名古屋市民オンブズマン　第１２回情報公開度ランキング結果について

08/3/21付けで第１２回全国情報公開度ランキングが発表されました。
愛知県内自治体のランキングについて、名古屋市民オンブズマンのコメントを発表します。

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愛知県内の自治体の第１２回情報公開度ランキング結果について

名古屋市民オンブズマン（担当：新海聡）

１，概観

　中核市ランキングで岡崎市が１位、豊橋市と豊田市が同点８位と、中核市の順位が高いこと、これに県内ランキングで愛知県が１３位となったことをあわせてみると、今回のランキング調査では愛知県内の自治体が健闘していることを挙げることができるが、問題も多い。以下、問題点を中心にコメントする。

２，愛知県について

　愛知県は昨年の３０位から大幅に順位を上げた。２０位以内に入ったのは久しぶりである。原因を検討すると、再就職情報や交際費のｗｅｂ上での公開度を改善したことが挙げられる。いずれも知事部局の情報である。しかし、同じ知事部局でも、初めて評価対象となった予算の編成スケジュールについては、１点しかとれていない。「初物」に弱いのは以前からの愛知県の特徴であって、ここに愛知県知事部局の情報公開の課題が集約されているように思える。情報公開が常に意識されていれば、新しい項目についても高得点がとれるはずである。新しい項目については１年目には点数が伸びない、というのは、情報公開がいまだに愛知県の各部局に浸透していないことの現れではないか。
　指摘されて「改善」する姿勢はそれなりに評価するが、情報公開に対してそれほど積極的に取り組んでいるとは思えない点は、ベスト１０に入っている自治体中、ユニークな制度がある、とのアピールすらしていないのは愛知県だけだ、という点にも現れている。情報公開度ランキングがなくなりでもしたら、愛知県の情報公開度は一気に低下するのではないか。不安である。
一方、愛知県議会の会派の政務調査費の公開度の低さは全国最低である。制度の見直しの途上にある政務調査費であるが、すでに全国水準との差は大きい。制度の見直しに際して、それまでの愛知県議会の政務調査費の公開水準の低さを意識しないままだとすると、新たな制度も全国水準から遅れをとることになりはしないだろうか。

３，名古屋市について

　今年は８位。昨年の１５位（＝最下位）は酷すぎただけに、改善を期待したが、８位に止まった。名古屋市も愛知県同様、昨年の低迷の原因となった再就職情報や市長交際費のｗｅｂでの公開を改善した。にもかかわらず、順位の上昇が鈍かった原因は、愛知県同様、予算の編成スケジュールと政務調査費の公開度の低さである。「初物に弱い」点は愛知県と同様である。愛知県も名古屋市も情報公開制度がまだまだ役所全体に浸透していないといえる。
　また、一昨年、市職員への厚遇問題をはじめとして、裏金つくりが次々と発覚した大阪市では、再発防止への対策の一つとして情報公開を挙げている。以来、それまでは最下位グループの常連であった大阪市は上位グループの一角を形成するようになった（昨年３位、今年４位）。
　昨年来、名古屋市でも裏金が発覚している。残念ながら松原市長は、再発防止の方法として、職員の意識の改革をおっしゃることに熱心なようだが、意識の問題よりも先に重点課題とすべきは情報公開ではないだろうか。そのように見てくると、名古屋市の８位はいかにも物足りない。

４，中核市について

　岡崎市の１位、豊橋市と豊田市の８位は率直に言って意外である。岡崎や豊橋にもオンブズが活動しているが、オンブズ達の印象もおそらく私たちと同様ではないだろうか。にもかかわらず、これらの自治体が中核市のなかで上位グループを形成しているのは、中核市全体のレベルの低さが原因なのである。このことは情報公開度ランキングの本文でも指摘しているが、平均点にして政令市と１２点もの開きがあるのだ。そして、この「低レベルの」争いの中での岡崎市や豊橋市、豊田市の「勝因」をあえて挙げるとすれば、それはおそらく、地元の市民オンブズの存在ではないか。指摘されて改善する、という行政の消極的な姿勢は愛知県や名古屋市でも見られたが、市民オンブズが情報公開に対する行政の姿勢を常に監視している、という点では岡崎や豊橋でも同様である。岡崎市や豊橋市、豊田市が全国的にみて優れた情報公開制度を持っているわけではない。

５，まとめ

　愛知県、名古屋市、岡崎市をはじめとする県内の中核市のいずれも、今回、高い得点を得られたからと言って、来年以降も高い公開度を保つことのできると感じさせる根拠は残念ながらまったくない。指摘されたものについてのみ改善する、という消極的な姿勢からの脱皮が望まれる。
　そして、愛知県、名古屋市においては、議会の情報公開度の低さは明らかに議会の怠慢以外の何者でもない。直ちに政務調査費の全面公開を求めたい。
以　上

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