名古屋市民オンブズマン         第110号 2002年1月1日
      
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メリークリスマス
  新年おめでとう
  2002年元
名古屋
市民オンブズマン
  タイアップグルー

昨年の訴訟通信簿は4勝1負
  
勝ちは塩付け土地・万博懇談・水道談合・万博情報
 昨年の成果は訴訟に関する限り4勝1負けの好調であった。
まず、@1月12日、名古屋市土地開発公社一部非公開取消訴訟完全勝訴判決。A5月29日、愛知県の万博懇談会非公開取り消し訴訟で、一部を除き更に公開を命じる判決、県側の主張は一切認められず。B9月7日、愛知県の上水道、名古屋市の下水道談訴訟は、談合を明確に認めると共に、自治体側の不提訴が違法であると確認した。訴えが「談合という違法行為に基づく損害賠償をしない」事の違法性を問う形であることから、監査請求期限の制限を受けず、一年の壁をクリアー。そしてC12月13日、経済産業省に対する公開法下の初判決である「万博情報非開示取消訴訟」で全面勝訴した。
 唯一の負けは名古屋市議定員訴訟。不合理は認めたものの、政治判断を待つことになった。


 12月13日午後1時30分、裁判長は入廷と同時に原告と被告に向かい、迅速な書面提出に謝意を表し、両者に追加事項が無いことを確認したうえで「これで終結します。裁判所は直ちに打ち合わせに入り5分後に言い渡しを行います」と宣言した。前例のないことで廷内騒然とする中、5分後裁判長が着席、直ちに判決が言い渡された。
 内容は、判決文の結論に「以上の次第で,本件係争部分1,2については,情報公開法に定める非開示理由が存在するとは認められず,原告の請求は理由があるから,これを認容することとしし,訴訟費用は被告の負担とし,主文のとおり判決する。」とあるように、オンブズマンの全面勝訴である。
 判決にある裁判所の判断でも(HPに全文掲載)国側の言い分を木っ端みじんに粉砕、各所に揶揄さえ感じられる内容で、「所詮被告の言い分は情報公開の本旨を踏みにじるもの」とし、改めて「国の何でも隠そう」体質を痛烈に批判した。
 例えば、金融機関の名を公表しない理由について「被告の主張に従うと、この19日の間に(非公開とするための)正当な利益が消滅する劇的な事情の変化があったことになるが、もとより、被告はこのような事実を主張していない。」と被告の主張を退けている。
 また、被告が収支見通しを非公開とした理由について、「これが公開されると世論が誤解し曲解する恐れがあり、それにもとずいて違法不法な行動を取るものがいないと考えるのは人間の本性を知らない空論である」とマスコミの誤報事件を引き合いに出しているのに対して、「このようなマスコミに対する不信感や一般的,抽象的な誤報の可能性を理由に情報を不開示とすることは,結局,あらゆる情報の開示を拒む結果となって,情報公開制度それ自体を否定することにもなりかねず、マスメディアが民主主義社会の発展に大きな役割を果たしてきたことをも考慮すると、そのような立論が不当であることはいうまでもない。そして,誤報にはそれぞれの原因があり(一般に,十分な情報が与えられない場合に,不確かな憶測をもって補うことがあり,誤報が発生しやすくなると考えられる。)」と非公開が誤報を生むと主張。「なお,万博の開催やその手法内容等に賛否いろいろな考えの県民が存在し,収支見通しに関する情報が協会に対する非難材料として用いられる可能性もあるが,それが当初の見通しの甘さを非難するものである限り,民主主義社会においては甘受されるべきであって,これに対しては協会による広報をもって対応すべきであり,かつ対応できる事柄と考えられる。」としている。
 印象では、裁判所は本件訴訟の当初から国の言い分を言語道断の珍論と見なしていた様子で、提訴後約4ヶ月で判決となった。
 情報は、古くなっては価値がない。その意味からも迅速な訴訟指揮は大いに評価されるところである。
 また、終結と同時日の判決は、被告に同席を促す結果を招き、判決の趣旨読み上げを聴かせる効果もあった。
 情報公開法施行後の初判決は、国の公開に対する意識の貧しさを浮き彫りにする画期的なものとなった。

110号は1月1日発行
 前号で110号は1月15日発行と伝えましたが、年末ニュース錯綜のため本号(110号)を1日発行とし、111号と共にお送りします。

県下自治体ランキング
  全自治体で公開条例が整備され、
公開度も数年前に比し格段の進歩、現状のアンケートの内容では甲乙付けがたいありさま(オンブズが遅れ気味?)。従って首長の出す見舞金の内容やコピー代金などにわたり詳細な調査をしなおすことになった。
 とは言え、全自治体に条例が整備されたことは、横並びを気にする行政の習性を捕らえたランキングシステムの予期せざる、かつ、大きな功績であろう。
 因みに、隣の岐阜県は109ある自治体中、公開条例があるところは53に過ぎない。
 しかしながら、公開された情報の内容については問題点が多い。
 多くの首長や議長が香典・見舞・祝儀など実に多額の公費(税金)をばらまいているが、これは体の良い選挙運動ではないか。また、これを私費で行うと公選法違反となるというのはどうにも納得できない。
 さらに、従来「祝儀」と言っていたものを「会費」と言い換えて体裁を整えるなど、姑息と思える手段も多い。
 このように内容についてのチェックが必要であり、採点にも反映するような方法を検討しなければならない。

自治法の改悪で、損害賠償訴訟は出来ない!?、 
 まてよ、寝た子を起こしたか?
 地方自治法の住民訴訟制度の改悪が次の国会で成立すると、自治体職員個人に対する住民訴訟が出来なくなるとかいわれている。 しかし、これは法の住民訴訟に関する4項、損害賠償の請求などに関する改悪のみ。1項の当該機関または職員に対する差し止め請求や、2項、行政処分の取り消しや無効確認、3項、怠る事実の確認などはこれまでのままだ。 
 住民訴訟改悪案は、自治体側の「なぜ個人に損害賠償?」という不満を解消することを内容とするが、その代償として、これまであまり提起されなかった「明かな違法・不当な支出が予定されている場合の差し止め訴訟」や、「怠る行為の摘発」にかえって光を当てることになった、とも言える。
 法に反した支出が見つかるたびに、ぽつぽつと起こしていた返還訴訟から脱却し、これからは市民による事前チェックを経て、予算成立と共に支出差し止め請求に及ぶことも充分ありうるわけだ。
 勝訴が難しい、といわれてきた差し止め訴訟も、自治法の改悪を期に全国で請求や訴訟が提起されれば、活動の活発化は必然。まだまだネタは山ほどある。お楽しみに。

 治安懇談会が自衛隊で開かれた     
 情報公開法の施行と共に県警本部長の交際費の公開を求めたところ、治安懇談会への出席費が支出されていた。
 その後の調査ではこの懇談会には検察庁や警察などの公安関係者が集まっている模様で、今回は自衛隊が幹事で開催していたものである。 現在、自衛隊に懇談会会員名簿の公開を求めている(約90枚あるとか)。(蛇足:国は請求時に300円徴収、コピー代は20円、ランキングでは失格)
 テロ対策云々で自衛隊の動向が取りざたされている中、市民に銃を向けることもあり得る治安問題の懇談会に、以前から自衛隊が参加していたことは注目に値する。
県の外郭団体焦点当てヽ見よう
事業内容と委託金などの使途について、以前から注目してきた(財)魚アラ公社をはじめ、県の外郭団体については、話題になりながら調査が進展していなかったが、天下りや出向が多かったり、県の出資比率が高い団体について焦点を絞り、具体的な内容を調査することになった。なお、12年度予算による貸付金・出資金のビッグスリ-は以下の通り。
  
団体名 貸付金 出資金
名古屋市高速道路公団 13,326,750 8,257,500
愛知県住宅供給公社 11,000,000  193,285
愛知県道路公社   113,900 2,760,000

 *1.利子補給 *2.出資金     単位 : 1000円

 日程:名古屋市民オンブズマン・タイアップグループ             2002年1月以降
 
 曜 時間 行 事 ・ 裁 判 ・ 催 し  場  所
27・28 土・日   拡大幹事会+包括外部監査道場 栃木(予定)
28  火 10:30 最高裁 県知事・名市長交際費公開上告審弁論 最高裁第1小法廷
 火 15:30 上水道談合訴訟控訴審弁論 名高裁4部
15  金 13:00 下水道談合訴訟控訴審弁論 名高裁1部
       
*以上の他、毎週火曜日に例会としての火曜会をリブレ法律事務所で開いています
◇ 郵便振替口座:名古屋市民オンブズマン・タイアップグループ 00870-9-105687 (会費振り込み用)
◇ ホームページアドレス:http://www.ombnagoya.gr.jp  全国のオンブズとリンク