名古屋市民オンブズマン         第112号 2002年2月5日
      
事務局 : 名古屋市中区丸の内 3-6-1 ライオンズシティ久屋503  滝田法律事務所内
            
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最高裁判所傍聴記 1月28日
 平成3年、愛知県知事と名古屋市長の公文書非公開取り消しを訴えたオンブズマンの訴訟が、一審二審を経て、最高裁まで行き、弁論が行われることになった。
 県、市とも勿論別々の訴訟であるが、内容が類似のためか、一審二審ともほぼ同時進行で進んできた。最高裁でも両件が同時に扱われる。
 最高裁で実質審議が行われるのはまれとか、 物見高いタイアップグループの有志は、高額の旅費もものかは有名な最高裁の建物見物かたがた、数分間の陳述を聞く傍聴に出かけた。
 小法廷は縦横40mx30mくらいのゆったりした部屋で、天井が高い。正面一段と高いところに4席の判事席があるのは予想とおり、テレビなどでおなじみの判事席は背当ての高さが1.5mくらい、隣との間隔もそれくらいある立派さで権威を象徴しているつもりらしい。その後ろに両開きの扉があって、判事はそこから出てくる。
 一段下がって書記席がある。当日書記は2名。
 書記席に向かってほぼ同列の高さに原告被告席がある。中央から左右に分かれ、円弧状に判事席に向かっている。椅子は書記と同じ程度の、判事より背もたれの低いもので、裁判官の方が偉いんだぞ、と言外に威嚇している。
 その後ろに腰高の柵があって傍聴席を隔てている。傍聴席も円弧状で、18席4列計72席だが、両端の12席づつ計24席は記者席で、ここにはテーブルと照明が付いている。
 前方両端に廷吏が一人ずつ、後方両側にも一人ずつ立っているのは、世話人兼警備か?多分写真撮影や録音を見張っているのであろう。背広を着ていた。
 最初に審議される愛知県の訴訟では、左側に県側が佐治主任弁護士はじめ5人、オンブズマン側は滝田主任弁護士以下4人が着席。傍聴人は県側1名、オンブ側8人。やや優勢の感じで開廷を待つ。
 ほぼ10時半ちょうどに町田、井嶋、藤井、深澤の4判事が入廷して開廷。
 県相手の事件を審理、裁判長が双方に書面以外の主張はないかと確認、オンブ側が発言を求めて、滝田、新海両弁護士が数分ずつ陳述。県側は発言なく終結。判決は来2月28日10時30分に言い渡すと申し渡されて終わり。この間15分足らず。
 市相手事件の審理に当たって、上告人被上告人の関係から、代理人、傍聴人が席を左右入れ替わった。相手側の弁護人が変わったのは勿論である。
 こちらは10時47分開廷、審理は更に短く、滝田弁護士が3分程度陳述しただけで11時前に終了、判決は県の事件と同日同時に行われる。
 帰路、裁判所内部の正面広間を見物、広いフロアと高い天井はヨーロッパの宮殿入口を思わせるような荘重な造りである。
 フロア両サイドに数脚の椅子が置かれ、公平を示すためか天秤ばかりを掲げたブロンズ像がある、多分正義の女神テーミス像か。
 案内してくれた係員に、ここで何をするのかと質問したが、確たる用途は無い様子であった(新海弁護士によれば、司法修習生時代にここで身体検査があったということであるが、今は別の所でするとか)。
 裁判所の建物は重厚さを打ち出すためか、内外壁から床に至まで殆どの部材は花崗岩を使っているが、ホール正面背後に鉄骨材が見えたり、高見にたぶん雨水用樋と思われる配管が出ていたりして、設計意図とは裏腹に、当時の予算不足、或いは技術の限界を見せている。
 バブルの盛んなときに建てていればもっともっとこれ見よがしの建物になっていたであろうから、あるいはこのほうが良いのかも知れない。
 しかし、正面から見えるいわゆる「表」部分にはふんだんに花崗岩(内壁までも)を使いながら、いったん傍聴者通路に入ると内張りなどは一変し、屋外通路などは程度の悪いコンクリート張りで、すでにセメント部分が流出し、バラスの浮き出しが目立っている。
 ここらは官尊民卑を具現していると言えそうである。いわゆる偉い人達が傍聴するときは、正面側から入るよう特別扱いをするであろうことに疑いの余地はあるまい。
 珍しいもの見たさの最高裁傍聴もあっという間に終わったが、いったい何であれだけのことに、わざわざ呼び出しての口頭弁論なのであろうか。
 今回のような弁論ならば、さらなる文書提出を求めれば済むことではなかろうか。あるいは、形勢不利を感じている側の、喘ぎを聞こうとでもいうのか。
 すくなくとも、裁判所側からの質問などの形で、両者の考え方を直接聞くなどのことを期待したのだが。

岐阜県穂積町長に損害賠償請求 (2月2日岐阜新聞より)
 情報非公開処分町議ら4人提訴
 公共事業の入札予定価格の情報を公開しなかったのは違法な公権力の行使だとし、穂純町議らが1日、町と町長を相手に200万円の損害賠償を求める訴えを岐阜地裁に起こした。
 町議等は昨年10月、公共事業の入札予定価格の事後公開を求めたところ、町が非公開としたため、処分取り消し訴訟を起こした。 第1回公判を前に、町が予定価格を公開したため、訴えを取り下げ、今回「町の非公開処分には理由がなく、違法な公権力の行使で、故意または重大な過失がある」として損害賠償請求訴訟を起こした。
これは愛知方式突き崩しの起爆剤?
 一審敗訴後、控訴審中に返金するなどで損害を無くし、形式勝訴に持ち込む愛知県などが得意とする手法をは、この訴訟の成り行き次第では通用しなくなるので、裁判の経過が注目される。

自治体公開度ランキング発表
 恒例のランキングは3月20日全国版を、続いて愛知県内版は3月26日に発表の予定。

 八王子市の見直し検討会提言
 八王子市では市長の発議で市民委員にる補助金等のあり方検討会が組織され、その報告が9月27日提出された。
 同市の平成12年度補助金等(補助金の他負担金・交付金を含む)は件数で499件、金額で137億円に達している。
 検討会はこの内特に検討を必要とするのも179件約61億円を検討の対象として検証し提言を行った。
 提言の内容は補助金のあり方について真摯に検討され、すべての自治体にとって示唆に富むものである。
 全部の紹介は出来ないので、以下に報告の末尾に添えられた「5。結びに代えて(提言、その2)」の抄を掲載する。

補助金等についての総括
(1)補助金等には、特定の団体の活動、運営を助成する目的で、人件費、事務費、会議費、研修費、視察費などを対象とする運営費補助が多かった。
(2)これらの補助金等は、社会、経済情勢が大きく変化している中にあって、相変わらず、特定団体等に対して長年にわたり継続交付している。補助金等の交付を受けることが、特定団体などの既得権になっていた。
という二つの顕著な特徴がある。
 いま、それぞれの補助金等が創設以来どのくらい長く続いているか分類すると以下のとおりである。
 (1)交付開始後10年以上続くもの57件(全体の32%)
 (2)交付開始後20年以上続くもの43件(全体の24%)
 (3)交付開始後30年以上続くもの38件(全体の21%)
合計で77%は、補助金等を交付する市の安易な対応を裏書きするであり、相当な制度疲労が進行しているといえる。
 現状は市および市民にとって放置出来ない段階に至っていて、今は補助金等のすべてに「ゼロベースからの見直し」を必要とする時期である。
 今後「補助金等適正化委員会(仮称)」を設置し、
(1)補助金のひとつひとつについてきっちり評価作業を  行い、問題点を再検討し「補助金等の交付」を見直す。
(2)真に公益的な、良い補助金を新しく創設する。
  という具体的な作業を行わねばならない。
 最後に、市の補助金等が特定団体等に対して、長年にわたって交付され続けたメカニズムについて考察したい。
(1)市の行政担当には、ある行政を円滑に遂行するために、特定団体等を利用したいという需要が生じる。そうした場合、行政は団体側からもたらされる便益に対して、補助金等を交付し協力関係を取り結ぶ。
 団体側は、補助金等を受けることは「箔が付く」と考えているようである。
 また条件のはっきりしない補助金等という現金給付なので、団体側には負担感はない。
(2)このような補助金等をめぐる行政と団体側の一種の「もたれ合い」の関係は、特定の団体に対する長年にわたる補助金等の交付という形で、社会、経済情勢や補助金等をめぐる環境が大きく変化しても、@ 行政の「安易な対応」A 団体側の「あまえ」に支えられて、長年にわたって続いてきた。
 今や市民と行政は、このような関係を清算して、
 (1)行政は、市民生活の根幹に関わることを自ら行う。
 (2)市民は、自立して行政をボランタリーに応援する。
 という精神で、新しい関係を構築するときに来ている。これを、補助金等を考える場合の原点として、市の補助金等は再出発をしなければならないのである。

投稿を主題にしたコラム欄を新設 タイアップのホームペジでは投稿を歓迎していますが、本ニュース上にも投稿欄を新設します。
 行政の勝手監査役を自任するオンブズマンにふさわしい投稿をお待ちしています。郵送FAX・メイルいずれでも結構です。下記までお送り下さい。
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 日程名古屋市民オンブズマン・タイアップグループ         2002年2月以降
 曜 時間   行 事 ・ 裁 判 ・ 催 し     場     所
 木 18:00 住民監査請求オンブズマン講座(平井弁護士) リブレ法律事務所
15  金 13:00 下水道談合訴訟控訴審弁論 名高裁1部
12  火 15:00 愛知県黒ぬり乗用車運行状況公開 県情報公開センター
18  月 13:15 塩漬け土地情報公開訴訟・弁論 名古屋高裁
28  木 10:30 知事市長交際費非公開取消訴訟・判決 最高裁
 水 17:00 住民訴訟オンブズマン講座(竹内弁護士) リブレ法律事務所
20  水   全国自治体情報公開度ランキング発表 市民オンブズマン連絡会議事務局
26  水   愛知県下自治体情報公開度ランキング発表 名古屋市民オンブズマン事務局
 *以上の他、毎週火曜日に例会としての火曜会をリブレ法律事務所で開いています
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