名古屋市民オンブズマン 　　　　HP=www.ombnagoya.gr.jp　　　　　　第113号　2002年3月5日
　　　　　　　　　　
名古屋市中区丸ﾉ内3ｰ6-11 ﾗｲｵﾝｽﾞｼﾃｨ久屋503　滝田法律事務所内Tel.052-961-1600Fax.052-961-1615
　

　2月28日､愛知県知事と名古屋市長の交際費情報公開訴訟の判決言渡しに､名古屋市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝからただ一人立会ってきた。　当日午後から日弁連の臨時総会に出席するついでであったが、第１小法廷には私の司法研修生時代の刑事弁護教官だった深澤武久判事(当時は弁護士)がおり､久しぶりのご尊顔を拝したかったという動機もあった。
　午前10時30分に開廷､まず県関係の言い渡し｡傍聴席から向かって右側の被上告人席に座った｡県側からは佐治良三弁護士ほか3名の職員が出廷していた｡傍聴席の約10名の大半は別の裁判の関係者か見学者だったようである｡
　井嶋一友裁判長が｢ただ今から判決主文を読み上げますが､複雑で長くなりますので後で判決をご覧下さい｣という趣旨の前置きを述べた上､判決主文を朗読。　たしかに複雑な主文だった。はっきり分かったのは｢原判決中一部を破棄し､名古屋高裁に差し戻す」ということ。驚いた。昨年最高裁判決を受けた大阪と京都の事件では差し戻ししなかったのに､こちらはまだ､裁判を続けろというのである。　原判決のうち｢会費｣という費目につき、具体的に検討せず一律非公開にした点は不当というのが差戻しの理由だった。　いったん閉廷、左側の上告人席に移動。名古屋市からは誰も来ておらず、被上告人席は空席となった。再び４名の裁判官が入廷、今度は町田顯裁判長が判決主文を朗読。県と同様の内容で｢接遇｣｢賛助｣｢生花｣｢記念品又は賞品｣という各費目について､一律非公開にしたのは不当だから差戻しというものだった。原判決は最高裁から見ても杜撰だったということである。　提訴から約11年、最高裁上告後だけでも約5年。他方で現在の条例と運用は大幅に改善している。県に至っては、原審で当該文書の一部を書証として提出し、訴えの利益が無くなったという上告理由を提出したほどである(この上告は棄却された）。県と市はもういい加減に無益な争いを続けるのはやめたらどうか。　判決原本を受け取って正面玄関から出た。あいにく雨上がりで路面が湿っており、転倒して小指を切った。判決文が破れ、血染めになった。とても悲しかった。

　 2/28 ＫＫさん