名古屋市民オンブズマン   HP=www.ombnagoya.gr.jp  第120号 2002年10月8日
          
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  ー名古屋市議費用弁償問題特集ー 
名古屋市議費用弁償条例アンケート結果は
条例遡及施行に賛成 0!! 反対12 態度保留61
委員会は 民主・自民・公明の賛成 で敗訴逃げ条例成立
 名古屋市議は、登庁するだけで受け取る費用弁償額が全国一高額の日額15000円である。
 オンブズは支給が違法であると訴訟を起こしているが、9月2日裁判所はオンブズの勝訴を前提に、議員全員で支払う方法による和解を考えるよう提案した。
 ところが市は違法性を免れようろ、条例の施行期日を1年遡る改正案を市議会に提出。違法判決を免れる改正で、しかも議員の返金を免れるためだけのお手盛り条例など前代未聞である。
 市長は記者会見で、敗訴を免れる訴訟対策であることを公言している。
市議費用弁償条例案の賛否 
市 議 総 数 78
条例改正に賛成  0
  同  反対 12
賛否保留 61
回答無し  5
オンブズは20日、全議員 に改正に対する賛否を 問う緊急アンケートを実施、 左表の結果を得た。
   さて、10月7日の市議
 総務環境委員会では、同条例案は民主・自民・公明の賛成で可決、来る本会議で成立することになる。
次は、質問書への市長回答と、地裁の判決、それ以前の支出に対する監査請求→提訴、が楽しみ。
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費用弁償条例改正議員アンケートへのコメント
 本年9月20日名古屋市民オンブズマンが行った、現行の費用弁償条例の施行日を一年遡らせる改正案についての賛否を問うアンケートに対しては、73名の議員から何らかの回答があった。
 回答中自民党名古屋市議団24名については会派としての回答で、議員の回答ではなかった。回答を寄せなかった議員のみならず、個人としての意見の形すら整えようとしない同会派の政治姿勢には残念ながら失望せざるを得ない。
 回答結果は上の通りで、条例案に賛成であると明示した回答は1通もなく、反対は12通、残りの61通は審議中を理由に、賛否を明らかにしないものであった。
 尤も、賛否を明らかにしない、という回答の実体の多くは、条例案に賛成と思われる。にもかかわらず、正直に賛成、と回答できないのは、条例案が市民の感覚に適合せず、選挙民から批判されることを恐れた結果と見るほかない。
 しかし、もし条例案への賛成が市民の批判を招き、相当ではないとお考えの場合には、反対票を投じられることこそが有権者代表としての議員の姿勢の筈だ。
 そもそも、審議中だから賛否を明らかにしない61通の論理は不可解である。回答時点で賛否を決めかねている、というのであればわかる。しかし、これらの回答は、審議中であることを理由として回答は差し控える、というものばかりなのだ。
 しかし、これは私たちの常識からは理解不能だ。審議中の議案は政治的な争点なのである。
 政治的な争点だからこそ、議員は自分の立場を明確にして選挙民を説得することが必要であるし、選挙民も議員の立場を知ることで、議員に働きかけることができるのである。
 審議中のテーマに関して議員が自己の立場を鮮明にすることは、議会制民主主義の課程で議員が自己の存在をアピールし、これによって選挙民が選挙以外の場面で地方政治に参加できる重要な機会なのだ。
 審議中だから、と言う理由で自己の立場を明らかにしない議員は、自ら選挙民との間にバリケードを築き選挙民の意思が議会に入ることを妨げているのである。
 私たちはこのような議員の姿勢に「お任せ民主主義」「観客民主主義」とか言われる民主主義の形骸化の原因の一つを見た思いがする。今回、自分の意見をまともに明示できなかった議員には、自己の態度が議会制民主主義の形骸化の病巣となっていることを意識し、
今後はかかる態度を改めることを求めたい。

市民オンブズマン、市長に質問書提出
過去の違法支給を議員に返還請求せよ
!
 費用弁償条例の施行日を遡行させて、自らこれまでの支給が違法であることを認める形になった市長に対し、オンブズは3日従来の違法支給分について返還請求する意志の有無を問う質問状(下記)を提出した。
 市長にその意志がない場合、違法支給を追求する監査請求から住民訴訟へと進展することになる。

公開質問書
2002年10月3日
名古屋市長 松原 武久 様          
名古屋市民オンブズマン
名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
 
 前略にて失礼いたします。
 
 ご承知の通り、私たちは、改正前の名古屋市議会の「報酬および費用弁償等に関する条例」(以下「改正前条例」と言います。)が地方自治法に反することを理由とし、これに基づく平成13年6月から同年11月までの間に名古屋市議に支給された日額1万5000円の費用弁償(合計4566万円)の支出が違法であるとして、名古屋地方裁判所に住民訴訟を提起しています。因みにこの訴訟は10月21日に結審することになっています。
 
 これについて名古屋市は当初、改正前条例が違法ではない、との答弁をしておられたはずですが、上記訴訟が10月21日に結審することが確定した先月9月になって、貴職は今年4月に改正したばかりの改正費用弁償条例の施行日を一年遡らせる内容の条例の再改正案を現在開会中の市議会に提出されました。さらに、再改正案の提出に対し、貴職は上記住民訴訟において名古屋市に対して損害賠償義務を負うことを避けることを目的としたことを記者会見で認めておられますが、改正前条例が適法であれば、貴職の敗訴は考慮しなくても良い訳ですから、結局、名古屋市の法廷での答弁とは裏腹に、貴職自ら改正前条例の違法を認められたこととなるのは明らかです。
 
 むろん、仮に再改正案が成立したとしても、貴職が賠償責任を免れるかどうかは訴訟の別の論点を考慮した上で、最終的に栽判所が判断することですから、私たちが訴訟結果に関してここて主張することほ避けたいと思いますが、ここで私たちが注目しているのは、上記再改正案で遡及しないとされる期間の改正前条例に基づく費用弁償の支出に対する貴職の対応です。
 
今回の再改正案で遡及するのは一年です。一方、違法な改正前条例による議員に対する費用弁償の支給はそれ以前から続いていますし、ご自身が住民訴訟の被告となっている時期の改正前条例は違法で、それ以前が適法ということほあり得ない筈てすから、今回の再改正案によっても遡及しない平成12年度以前に支出した費用弁償支出の違法性は残る、という結果となります。そして、これら違法支出については、時効て請求権が消滅した場合を除き、名古屋市としては支給を受けた議員に返還請求権を行使できるはずですし、地方自治法240条2項で貴職は地方自治体の長として、督促、強制執行、取立をする義務を負っておられる筈です。
 
そこで私たちは貴職に対し以下のご質間をする次第です。
 
 @ 平成12年度以前に支給した議員に対する過去の費  用弁償について、返還請求する意思およびその理由  について
      ・ある    ・ない
理由:
 A返還請求をされる場合には、何年度の支給分まで遡  って請求されるか。
 B返還請求される場合にほ、いつまでに返還請求をさ  れるか。
 ご回答は10月25日までに下記宛に郵送またはファックスにてお願い致します。
 
 なお、貴職が返還請求をする意思がない、とお答えになった場合や、ご回答がない場合には、貴職が返還請求権の行使を違法に怠っていることを理由として、住民監査請求を検討せざるを得ませんので、その旨ご了解下さい。
 
[ご返答・お問い合わせ先]
 〒:460-0002 名古屋市中区丸の内3丁目6番41号
 電話052-953-7885、FAX052-953-8050
 名古屋市民オンプズマン弁護士 新海聡 宛

 最高裁・愛知芸文センター賠償請求訴訟で監査請求に一年の壁認めず
住民監査請求にまたまた追い風判決-
    それにしても長い長い裁判、決着はまだこれから
  本年7月、公金の不法支出を追求する監査請求は支出発生後1年までに限られるという、いわゆる1年の壁が、支出を回復しようとしない公務員の怠慢(怠る行為)は現在も続いているという判断を示した最高裁判決で崩された。
 10月3日最高裁は、一二審とも1年の壁で却下されていた愛知芸文センター訴訟にも、怠る行為に制限はないと判断、一審の名古屋地裁に差し戻した。
 これで、1991年に契約した芸文センターの設計変更工事にからむ違法支出約30億円を、県に賠償するよう求めた住民訴訟は、ようやく実質審議に入る。
 元である収賄事件では、元副知事の有罪が確定、当時の県幹部は、収賄事件の捜査で「工事費の過半が赤字補填だった」と供述しているという。
 94年10月の監査請求以来8年を経ての差し戻しだが、1年の壁が既定のことのように言われて以来の流れは、改革に要する時間を感じさせられる。
 これからは自治体も監査委員も要慎重考慮である。
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第9回全国市民オンブズマン栃木大会 467名参加・大盛況、大成功裡に終了
 全国各地から467名が参加した第9会全国市民オンブズマン栃木大会は、9月14・15の両日宇都宮市で開催、「監査制度を市民の手に取り戻そう」との大会宣言を採択、プロジェクトD[くたばれ談合運動]の展開を約して盛況裡に終了した。
大会宣言
監査制度を市民の手に取りもどそう
1. 今大会は、全国各地から470名の市民オンブズマンが、ここ宇都宮に集まり、「こっち向いてよ監査委員さん」の大会テーマを中心として、2日間にわたり熱心な討議と意見交換を行った。
 市民があらためて「こっち向いてよ」という声をあげなければならないほど、現在の監査委員制度は市民に背を向け、独立性を喪失し、本来の任務を放棄している。
2. そのことは、今大会で発表された「議会に対する監査の状況」からも明らかになった。議会に対して監査を行う場合には、政務調査費も対象に含め、それが「議員の調査・研究に必要な経費」としての本来の目的に即して使われているかどうかをチェックするのが当然である。
 しかし、監査委員の職権によるチェックが、政務調査費の支出内容に及んだ例は1つもなかった。
3. 一方市民自身が政務調査費の使途の不当性を追求する監査請求をしようと思っても、情報非公開の厚い壁がそびえ立っている。
 今大会で発表された「政務調査費の透明度調査」の結果によれば、収支報告書に領収書の添付を義務づけている自治体は、都道府県、政令市の中には1つもなかった。都道府県、政令市の議員や会派に交付される政務調査費は約170億円の巨額にのぼるのに、市民がその支出の当否をチエックして、監査請求をする手がかりは奪われている。 
4. 私たちは、法改正を含む監査委員制度の改革を追求しつつ、公費の支出に関わる情報の徹底的公開を追求する。監査請求制度と情報公開制度を使いこなす市民の力量が高まれば、監査委員の姿勢を変えることが出来ることを、私たちはこれまでの経験から深く確信してる。 
5. 私たちは95年の名古屋大会以来、談合問題と取りくみ、談合業者に対して損害賠償を請求する住民訴訟を推進してきた。そして今年7月、最高裁でこれらの住民訴訟の前提となる監査請求は申立期間の制限を受けない、という画期的判決を勝ち取った。「1年ルールによる門前払い」のカベは取りはらわれた。また、談合によって自治体が蒙った損害を、裁判所が職権で査定した勝訴判決もこの間に15件獲得した。
 このような流れの変化を背景に、東京都監査委員は8月8日、大型造園工事をめぐる談合事件について東京市民オンブズマンの請求を容れ、都知事に対し4ヶ月以内に損害賠償請求をするよう勧告した。
 7年にわたる私たちの運動が、監査委員の本来の役割を果たさせるに至ったのである。
6. 監査制度を市民の手に取りもどすため、新たに談合の損害賠償責任を各地で追及するプロジェクトD(=Damn It ! Dango,くたばれ談合)の運動を展開することを決めた。この運動は全国の監査委員と首長の姿勢をテストするものとなる。
7. 全国市民オンブズマン連絡会議が発足した仙台の地で来年開かれる第10回全国大会へ向けて、今大会の成果を最大限に活用する決意を全員で確認しあって、この大会の宣言とする。      2002年9月15日
第9回全国市民オンブズマン栃木大会 参加者一同

下水道談合差し戻し審
 7月の一連の最高裁判決後、下水道事件では初めての口頭弁論が、9月17日の午後1時15分から、名古屋高裁民事1部で開かれた。下水道事業団と三菱電機がなおも損害を争う準備書面を提出。
 裁判長は、次回から法廷外の弁論準備手続で、和解の可否も含めて進行したいと提案し、双方同意。  次回は11月8日am10:00、次々回12月9日am11:00

上水道談合差し戻し審
 上水道談合差し戻し審は9月9日開廷、監査請求が適法であると認めた上で、裁判所としては早期解決を求め判決以外の道を提案。和解への交渉に入った。
 被告側が裁判所の提案を検討し、次回回答する。
 次回は10月28日13:30と11月18日13:30 
     

常滑市去年は公開、今年は黒塗り
 市民オンブズ知多半島が9月、常滑市の市長交際費の公開を求めたところ、昨年9月には全く同じ文書で全面公開していた香典供花見舞いなどの送り先個人名を黒塗りにして公開した。
 この後退について市側は「個人情報の取り扱いに厳しくした」と説明しているが、同市の公開条例によれば、この場合役職氏名とも公開すると定められており、明らかに条例違反。
 前回の公開請求は県下自治体公開度ランキングのためだったので、高順位をねらった市側が全面公開し、今回は個人情報を理由に恣意的な措置を取ったとも考えられる。
  
    
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 名古屋市へ休日急病診療所補助金調査申し入れ
 オンブズは名古屋市医師会天白休日急病診療所の内部決算書を入手、医師会が休日急病診療所補助金申請用に市へ提出した決算書に虚偽記載のおそれが強いことが判明した。
 既報のように、市医師会では天白区の補助金の返還とともに、調査委員会を作って全区にわたる調査を行うとしているが、状況は天白区だけの問題として終結しようとしている節が濃厚。
 われわれは、医師会が市へ提出した決算書を検証し、各区にわたって多くの不審点が見られたため、支給された補助金が正当に使用され、かつ提出された報告決算書を厳重に調査するよう9月20日市長宛に申入書を提出した。 不審とする内容は
@各区決算にある会議費が、5つの区で96万円、3区 で72万円とぴったり同額なのはなぜか?
A渉外費が、8区が72万円ぴったりで同額なのは?
B毎年の多額の施設補修積立金を、市当局は把握し ているのか。決算書に現れていないのはなぜか?
C内部資料の積立額は、決算書の記載額より多い。
D補助金交付要項を守っていないおそれがある。等

 住基ネット異議申し立ての成果は? 
 受け取り拒否、異議申し立て、審査請求さらに自治体の反乱と拡大一方の住基ネット問題。
 送付から60日の10月4日で一区切りという印象。
 自治体の個人情報アクセスログから始まった情報管理と個人情報保護の問題は、ようやく市民の意識を目覚めさせた段階と言えようか。
 まだまだ管理社会の恐ろしさに無頓着な人も多い反面、全国何処ででも住民票がとれることが何よりのメリットなどという説明で、国民が納得するとでも思っている大臣。その間にも拒否反応は増え続けている。

政令指定都市公用車調査追伸
  
抜群に多い名古屋市の黒塗り車 
 「京都大阪神戸からは回答が得られなかった」と伝えたが、その後京都神戸両市から回答があったので、両市を加えた表を掲載する。大阪市にはその後も連絡をとったが、10月2日現在回答はない。
  政令指定都市公用車運行調査整理表(平成14年8月実施)   名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
都市名 総括管理部署 市職員数 黒塗数 送 迎   耐用年数 過年の減車台数・対策   減車計画
札幌市 行政部総務課車両管理係 16,562 53 市長三役 12年13万km 4・局用車を廃止  
仙台市 各局主管課 10,766 29 市長三役 9年9万km 3・局間のプール制 運転者の退職不補充
千葉市 管 理 課 8,000 24 市長三役 7〜15年 5・更新を軽自動車に 同前
川崎市 総 務 局 16,126 22 市長三役 12年 6・タクシー活用  
横浜市 行政部総務課 33,000 47 市長三役 11年かつ10万km    
名古屋市  な  し 30,662 70 市長三役 9年かつ8万km 22・11年以降減車 減車と車種変更
京都市  な  し 24,000 48 コメント欄 11年かつ10万k 21・退職に伴い減車 市政改革大綱で見直
大阪市 10月8日現在 回答なし          
神戸市 各部局管理 18、412 48 市長三役 基準設定せず 3・なし 未定
広島市 秘書課 11,477 21 市長他* 10年以上  
北九州市  な し 10,460 21 市長三役 11年11万km 9・運転車の退職機会 未定
福岡市 自動車管理事務所 9,843 31 市長三役 9又は11年 7(今年度)・集中管理 集中管理で減車済み
 
日程:名古屋市民オンブズマン・タイアップグループ            2002年10月以降
時間   行 事 ・ 裁 判 ・ 催 し     場     所
10 18 13:00 市政調査会住民訴訟の弁護士報酬請求事件の控訴審判決 名古屋高裁1003号
10 21 10:30 市議費用弁償住民訴訟弁論準備 名地裁民事9部
10 28 13:30 上水道談合差戻審 名地裁民事
10 29 10:30 知事交際費差戻控訴審弁論 名高裁民事4部 1003号
10 31 11:00 豊田市包括外部監査住民訴訟弁論準備409号 名地裁民事9部
11  1 11:00 塩漬け土地情報公開訴訟弁論準備 名高裁民事3部
11  7 11:00 市長交際費差戻控訴審弁論準備 名高裁民事3部
11  8 10:00 下水道談合差戻審 名高裁民事1部
11 18 13:00 上水道談合差戻審 名地裁民事
12  5 11:00 市長交際費差戻控訴審弁論準備 名高裁民事3部
12  9 11:00 下水道談合差戻審 名高裁民事1部
12 18 10:00 塩漬け土地情報公開訴訟最終弁論 名高裁民事3部
 *以上の他、毎週火曜日に例会としての火曜会をリブレ法律事務所で開いています
◇ 郵便振替口座:名古屋市民オンブズマン・タイアップグループ 00870-9-105687 (会費振り込み用)
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