名古屋市民オンブズマン   HP=www.ombnagoya.gr.jp  第121号 2002年11月12日
       
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名古屋市、市政調査会弁護士費用訴訟で上告
 名古屋市政調査会訴訟の弁護士報酬請求事件で名古屋市は、350万円弁護士費用支払を命じた10月17日の名古屋高裁判決を不服として、10月31日、最高裁への上告した。             
訴訟の起因 この訴訟は、名古屋市が条例に違反して市議に市政調査費を支払っていたことを違法とした一審判決に対して、名古屋市が控訴、審議中に損害を補填して訴因を消滅させ、形式勝訴した名古屋市に対し、オンブズマン側が内容は実質勝訴と同様なので、弁護士費用の支払いを求めたもの。
一審判決 01年3月13日、地裁は原・住民訴訟の判決は本来の要件である住民全体の利益を守ることが確保されたため、勝訴判決を受けた場合以上に違法行為が是正され、勝訴要件を十分に満たすと判断し、被告に弁護士費用の支払いを命じるとともに仮執行をも認める判決を下した。
二審判決 10月17日名高裁は一審判決を支持、住民側勝訴した場合と同様に損害を回復した市側が弁護士費用を支払うべき、とした。
最高裁で何を争うのか 名古屋市はここにいたってなぜ上告なのか、法理論では争点があるのかもしれない。
 しかし市側の態度はあまりに「市民のための行政」という原点を見失ったものではないのか。或いは官僚の無謬性にこだわっているのか。
 法理論争のために市民の税金を使うことはさけて貰いたいものである。そのための市側弁護士費用の返還訴訟でも起こさねばならない。
弁護士費用は? 勿論、名古屋市民オンブズマンの弁護士は無報酬である。そして、行政側の弁護士は当然費用を受けている。行政の損害を回復させている側が無報酬で、返還を拒む側が収入を得ているというのも、思えば変な構図ではないか。
注:「地方自治法242条の2-四-F 訴訟を提起したものが勝訴(一部勝訴を含む)した場合において、弁護
士に報酬を支払うべきときは、地方公共団体に対し、その報酬額の範囲内で相当と認めめられる額の支払
いを請求することが出来る」

名古屋市の控訴は返り討ちに
弁護士報酬請求訴訟の控訴審判決
              弁護士 竹内浩史
 10月17日、名古屋高裁は「名古屋市政調査会」住民訴訟の弁護士報酬相当額として被告名古屋市が原告に350万円を支払うよう命じた今年3月13日の名古屋地裁判決を支持し、控訴を棄却する判決を言い渡した。
 地方自治法は、住民訴訟の原告が「勝訴」した場合、自治体に弁護士報酬相当額を請求することができると規定している。
 「名古屋市政調査会」住民訴訟では、一審勝訴判決後に違法支出が返還され、控訴審は損害が回復されたことを理由に一審判決を取り消すという経過をたどっていたため、「勝訴」に該当するかどうかが争点となっていた。被告名古屋市は、勝訴判決は取り消されているから「勝訴」に該当しないと主張していた。
今回の名古屋高裁判決は、「勝訴」に該当するという結論は名古屋地裁と同じであるが、理由付けは少し異なっている。地裁判決は、勝訴判決が必要という原則を前提にして控訴審判決文の理由が実質勝訴と読めるかどうかという解釈に重点を置いていたのに対し、今回の高裁判決は、住民訴訟の提起・追行により損害が補填されたという事実の流れを重視して「実質的に勝訴判決を得た場合と同視できる」と認めた。
一審判決前に違法支出が返還され、勝訴判決を得るまでもなく成果をおさめる事例もある事などからすると、今回の判決の考え方が実質的にも一層妥当であろう。
 被告名古屋市は、上告期限の10月31日に最高裁に上告した。
 しかし、地裁・高裁の裁判官が理由付けを異にしながらも同じ結論に至ったのは、それが妥当で常識的な結論だからであろう。
 常識に反して上告する名古屋市の対応は、本当に残念である。
                                                         

名古屋市議費用弁償訴訟18日判決
和解を避け、あえて判決を受ける経緯
 曲折を経た市議費用弁償訴訟は、11月18日地裁1103号法廷で判決が言い渡される。
 お手盛り支給条例の施行日を遡及改訂して違法性を消し、返還を免れようとする名古屋市議費用弁償訴訟は、条例改正(改悪)により形式的には合法化され、このままでは原告敗訴を免れないため、裁判所の調停で和解に向かっていた。
 市側は和解条件として、弁護士費用の一部を含む訴訟費用の負担は受け入れるが、和解後さらに遡っての返還追求を行わないことをに含めるよう要求。
 オンブズマン側は、現在一律15,000円の費用弁償を、実費を基礎にした額に見直すことを要求した。
 最終和解案は、両者の要求を撤回し、弁護士費用等の被告負担のみとなったが、これでは本来の費用弁小問題の解決にはならず、さらに条例の遡及改正に
は最高裁判例があるということを盾にした市側の言い分についても納得出来ないため、和解に応ぜず判決を受けることになった。
どうしても納得がいかない  議員が自己の利益を守るため、4月に作ったばかりの条例を数ヶ月後に改訂するなど本当に合法なのか。
 改正に賛成した市議は恥かしくは無いか。
 市民感覚では、そのようなお手盛りが最高裁で認められるとはとうてい信じられず、あえて判断を仰ごうとするものである。
 一方で、「オンブズマンは50万円(報道で、市が提示したとされた金額)の訴訟費用を受け取って、お手盛り市議と折り合いを付けるようなモノだったのか?」と言う批判と慨嘆の声が多数寄せられている。

愛知県上水道談合差戻審
 上水道談合差戻審は10月28日1時30分から名古屋地裁民事9部で和解の審議を開催し、裁判所から原被告双方に次のような和解案が提示された。
1.受注契約金額に対し、新規工事である安城浄水 場については 8%、継続工事である幸田浄水場に ついては5%、新規工事ではあるが他社は受注でき  ない事情があったと主張されている尾張東部浄水場については7%を被告受注企業が支払う。
 2.そのうち90%は愛知県に、10%は原告に弁護士  報酬として支払う。
 双方持ち帰り、検討して回答する事になった。
 次回和解期日は11月18日1時30分、次々回和解期日は12月13日4時30分。裁判所3階で。

誰が使うのか消防署の黒塗り車
 継続して調査している名古屋市の黒塗り車、11月には千種・天白・名東の各区役所と消防署に所属する黒塗り車の4月から9月までの運行表公開を求めた。
 なお、われわれの調査では全国の政令指定都市中で、区役所と消防署に黒塗り車が配備されているのは名古屋市だけである(大阪市は回答無しで不明)。
 まだ公開早々なのでデータはまとまっていないが、とりあえず目に付くのは消防署黒塗りの運行なので、その概要をレポートしよう。
 消防署の黒塗り車には、まず運行表が作られていない。従って車が、何時何処へ何をしに行ったのか、使用者は誰だったのか、が判らない。
 これまでの調査では、少なくとも運行表は作られ、公開されてきた。消防署の黒塗りは消防用機械器具だから、運行表がないのか?
 公開されたのは、下表のような「消防機械器具使用記録簿」で各署共通、1日一枚に記入されている。
消防機械器具使用記録簿               
機械器具名  登録番号  予算区分  燃料  走行距離 Km  活動時間 分 消費量 g
    (抹消5行)          
乗用車  名古屋74た7241  消防活動費 ガソリン  32  0  0 
    (抹消4行)          
    以下余白          
             
 上の表は、千種消防署の4月18日のものだが、表中には乗用車以外の消防機械器具が記入されているため、その部分9行は抹消されている。用紙行数は45行ある。 抹消された行は、最も多い日で19行である。 
 さて、消防署に何のために黒塗り車があるのか?消防署の場合、黒塗りは消防用機械器具なのか?運行記録が無くても良いのか?われわれが考える前に、当局にしっかりご検討願おうではないか。
区役所について 千種区役所の日報は3ケ月間で25枚、名東区96枚、天白区3枚。区役所車には運転専従者がいるが、天白区の場合長期欠勤とかで、運休状態。このあたりにも車の必要性に「?」がつく。

名古屋市非常勤特別職は登庁手当なし
  なぜ市議だけに費用弁償?
 名古屋市議は登庁だけで日額1万5千円の支給を受けるが、市には非常勤特別職として教育委員・監査委員などがある。
監査委員は4名いるが、内3名は非常勤で、2名は市議から選ばれ、1名は見識を有する者から選ばれる。
そして、監査委員が登庁しても費用弁償は無い。
 非常勤の教育委員なども同様である。
 因みに、教育委員長の報酬月額は42万1千円、教育委員40万7千円。
 識見で選ばれた監査委員月額40万7千円、市議から選ばれた監査委員は8万1千円である。なぜ議員だけが費用弁償として15,000円/日、貰えるのだろうか?

豊田市包括外部監査訴訟和解    

 名古屋市民オンブズマンは、豊田市の包括外部監査は鑑査の対象が、全国でも最も問題が少ない同市の「市税徴収状況」であり、提出された監査報告書が全部で8頁と極端に簡易なものであることなど、質量ともに監査というに値せず外部監査制度を、従来の監査と同じように形骸化する危険性を持つとして、豊田市長及び監査人に対して監査委託費用1155万円の返還を求め、6月7日名古屋地裁へ提訴していたが、この訴訟は、さる10月31日以下の条件で和解が成立した。
 1.外部監査人は監査内容を補充する追加報告書を提出すること
 2.豊田市は今後外部監査テーマの選定に当たって、市民の意見を反映させる機会をもうけること。
 3訴訟費用は各自負担。
 なお、この監査人は豊田市の外部監査委嘱を辞任していて、安易な外部監査の定着を恐れた名古屋市民オンブズマンの危惧は一応回避された

 名古屋市医師会休日急病診療所問題 
 既報のように、市医師会では天白区の休日急病診療所の虚偽決算問題で、補助金の返還とともに調査委員会を作って全区にわたる調査を行うとしているが、状況は天白区だけの問題として終結しようとしている節が濃厚。
 われわれは、医師会が市へ提出した過去の決算書を検証し、各区にわたって多くの不審点が見られたため、支給された補助金の使用状況と、提出された報告決算書の内容を厳重に調査するよう9月20日市長宛に申入書を提出した。(詳細はニュース120号参照)
 市側は医師会の調査結果を待っているとするが、医師会は例年は7月に提出する来年度事業の補助金申請を未だに行っていない。
 本来、前年度決算が出る前に来年度の補助金申請が出ること自体不思議であるが、未だに申請しないと言うことは、来年度は補助金なしで事業を運営するのだろうか。尤も決算書で見る限り、自主運営は決して不可能ではないと思われるのだが。
 なお、医師会は11月はじめ、調査報告書を市へ提出した模様。

「握手」か「お辞儀」両方だめ
 11月9日の大リーグ選抜と読売ジャイアンツ戦のMVPBボンズと敢闘賞阿部がお立ち台上で握手したとき、阿部はペコリとお辞儀。なんか謝っているのか?
 敗戦後間もなく、昭和天皇は全国を行脚し、九州の炭坑坑内を視察中のこと。ヘルメットをかぶった坑内員が同じようなヘルメット姿の天皇に、「人民の代表として握手したい」と一歩前に出たとき、天皇はわずかに下がって「日本式で行きましょう」と軽く会釈した。
 最近、テレビでいろいろな人が外国人と握手する場面を見るが、一番気になるのは握手しながら頭を下げる風景が多いことである。何も悪いことはしていないのに。
 相手は、ハテ?なにかこの人は私に引け目があるのか?と。
 握手は握手、お辞儀はお辞儀、両方一緒にはだめ。
 さすがに外務省の人間にお辞儀併用型はいないようだが、政治家には結構ペコペコ型いる。
 握手は胸を張ってしてください。(S)
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  日程:名古屋市民オンブズマン・タイアップグループ                2002年11月12日以降 
時間   行 事 ・ 裁 判 ・ 催 し     場     所
11 18 9:50 名市議費用弁償住民訴訟 判決言渡し 名地裁民事 1103号法廷
11 18 13:30 上水道談合差戻審和解協議 名地裁民事(非公開)
12  5 11:00 市長交際費差戻控訴審弁論準備 名高裁民事3部(非公開)
12  9 11:00 下水道談合差戻審弁論準備 名高裁民事1部 (非公開)
12 18 10:00 塩漬け土地情報公開訴訟最終弁論 名高裁民事3部 1003号法廷
12 17 10:00 県知事高裁費差戻控訴審弁論 名高裁民事3部 1003号法廷
以上の他、毎週火曜日に例会としての火曜会をリブレ法律事務所で開いています              
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