名古屋市民オンブズマン 　　　HP=www.ombnagoya.gr.jp　　　　　第125号　2003年3月11日

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上下水道住民訴訟の弁護士報酬の取り扱い
名古屋市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝ代表 弁護士 佐久間信司

大阪水道企業管理者の入札妨害事件は､被告業者が大阪府に和解金を､弁護士費用40万円を見張り番に支払い決着した。
　【和解条項】
　平成１２年に大阪府水道部が発注した二羽久保浄水場南系高度浄水処理棟建設付帯電機設備工事に係る公募型指名競争入札（以下「本件入札」という）が大阪府に代位して損害賠償請求訴訟を提起した本件（以下「本件住民訴訟」という）について、本件当事者らは紳士に協議を行い、本日、以下のとおり合意して、和解する。

1. 被告�潟Tンエレック、被告古田進及び被告岡田進は、本件入札に置いて、被告岡田進が被告古田進からの依頼に基づき元大阪府水道企業管理者の部下を介して聞き出した本件入札参加者名を不正に被告古田に漏えいし、被告�潟Tンエレックら入札参加業者が違法に談合を行ったことを認め、不眠に対して紳士に謝罪する。
2. 被告�潟Tンエレック及び被告古田進は、前項の談合の結果、利害関係人大阪府が損害を受けたことを認めて、利害関係人大阪府に対し、その損害の賠償として金２３１万２００３円の支払義務のあることを認め、利害関係人大阪府は、本件入札により受けた損害として被告�潟Tンエレック及び古田進が支払う前記金２３１万２００３円の受領義務のあることを認める。
3. 被告�潟Tンエレック及び被告古田進は、本日、前項に基づいて金２３１万２００３万円を、利害関係人大阪府に対して支払い、利害関係人大阪府はこれを受領した。
4. 被告�潟Tンエレック及び古田進は、本件住民訴訟に関する平成１４年３月１３日改正前の地方自治法２４２条の２第７項の弁護士費用として、原告住民らに対し、金４０万円の支払義務のあることを認める。
5. 被告�潟Tンエレック及び古田進は、本日、前項に基づいて金４０万円を、原告住民らに対して支払い、原告住民らはこれを受領した。
6. 被告大阪府知事は、本件入札において府職員からの不正な情報提供をもとに談合が行われたことにより、利害関係人大阪府が損害を受けたことを摯に受け止め、府民に謝罪すると共に、今後とも、公共事業における入札手続において談合が行われることがないよう、再発防止策を徹底し、入札・契約事務改善策の効果の有無、内容及び問題点等に就いて検証し、その結果を公表することを確認する。
7. 被告大阪府知事は、原告住民ら市民グループ「見張り番」が多大な努力を払い、本件問題の解決に当たられたことについて謝意を表する。
8. 本件原告住民らは、被告大阪府知事に対する請求にかかる訴えを取下げるとともに、他の彦倉に対するその余の請求を放棄する。
9. 被告大阪府知事は前項の訴えの取下げに同意する。
10. 第４項、第５項の４０万円を除く訴訟費用及び和解費用は、各自の負担とする。
    以上

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愛知県議・名古屋市議だけ領収書非公開が許される？
尾張地区自治体政調費の実体 　　　名古屋市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝ・同ﾀｲｱｯﾌﾟｸﾞﾙｰﾌﾟ

1. はじめに
   　2000年5月に地方自治法が改正され､2001年度以降､政務調査費（以後政調費）の支出は条例に基づくことが義務づけられた。
   　2001年度､愛知県内では42自治体が条例を制定し､政調費を支出している。愛知県内で最も多額の議員1人当たり政調費を支出しているの名古屋市の660万円､次いで愛知県の600万円。3位の豊橋市が84万円であることをみれば､名古屋市と愛知県の政調費額は突出している。
   　最少額は瀬戸市の10万円､ついで豊明市の10万8千円､稲沢市の12万円､町､村では長久手町が12万円と10万円を超える外は､いずれも10万円未満。
   　ところで､政調費は地方自治法で「議員の調査研究に資するための必要な経費」と規定されたが､使途については2000年度までは具体的用途を示す資料はほとんど公開されなかった。しかし政調費条例が､支出報告書だけでなく､支出の内容を示す領収証を議長宛に提出することを会派に義務づけている場合には､情報公開によって具体的な支出内容が判るようになった。
   　愛知県内では､愛知県､名古屋市を除く25市で政調費の支出内容を示す領収証が公開され､これら自治体では､市民が議員の政調費使途を知ることができるようになった。
   　今回の調査は､領収証が公開される上記25市中､尾張地区の13市（瀬戸､春日井､津島､犬山､江南､小牧､稲沢､東海､知多､尾張旭､岩倉､豊明､日進の各市）に対して､昨2002年7月に「2001年度の政調費の支出に関する一切の資料」の公開を求め､公開文書を対象として行った。
2. 評価の概観
   　各市の会派に対する支出については別記自治体ごとの評価を参照いただくとして､ここでは全体に共通する問題点について述べる。
   　　　�T　日当について
   　津島､小牧､東海､知多､岩倉､豊明､犬山､江南（共産党を除く）の各市の会派では､政調費による出張に､旅費実費の外に日当を受領していた（なお､稲沢市は支給した旅費の内訳を示さず､旅費に日当が含まれているか不明）。
   　日当については､出張の際に支給された弁当代が名を変えて残ったものだ､とか､本来の勤務地での仕事に従事した場合よりも出張により支出を余儀なくされる費用､とか説明されているが､いずれにしても､公費支出の合理性の説明が難しい費用となっている。
   　したがって､愛知県など自治体の中には､職員の出張日当支給を廃止するところも出てきている。
   　このような現状から､日当を「議員の調査研究に資するための経費」と見ることには､大きな違和感が拭えない。
   　日当を支給する､という運用の原因は､政調費の支給規則などが旅費規程を準用している点にあると思われる。しかし､一般の職員が旅行命令に基づいて行う出張の場合とは趣旨を異にする自発的な調査活動に対し､日当支給規定までも形式的に準用することには疑問がある。少なくとも議員には､日当支給に違和感を感じる程度の､公費に対するセンスを持ってほしい。そういう点で､漫然と日当の支給を受けてきた議員は､公費の感覚に乏しいといわなければならない。せめて今後は政調費による視察に対する日当支給はやめていただきたい。
   　　　�U　疑問だらけの「視察」
   �@　「視察」という名の観光旅行
   　以前､私たちは議員の海外視察旅行について､実際は多くが観光旅行でしかない､と指摘したことがある。
   　今回は視察旅費ではなく､政調費を財源とする視察を検討したわけであるが､視察旅費を用いた場合と同様に､ｽｹｼﾞｭｰﾙや目的､行き先からみて､観光旅行としか評価できないような視察や､公費を用いてまで行く必要が理解できない視察が､あいかわらず多い。
   　今回の調査で特に強い疑問を感じたのは､小牧市のいくつかの会派が行った視察である。ある会派は1人25万円で5日間のｵｰｽﾄﾗﾘｱ視察に出かけているが､公式日程は全行程中4時間のみでしかない。別の会派は6日間で「中国行政視察」と称し中国の西安､北京､上海を廻り､兵馬俑抗､始皇帝陵､万里の長城などの世界遺産に出かけている。この「行政視察」中の公式行事は3日目の大学副教授2名との夕刻の「懇談会」と帰国前日午後の上海の役所と老人ﾎｰﾑ訪問だけ､それ以外は移動と世界遺産「視察」である。
   　海外視察だけではない。国内視察でもｺﾝﾎﾟｽﾄｼｽﾃﾑの視察のために長崎のﾊｳｽﾃﾝﾎﾞｽにまで出かける､という会派もあった。いずれも視察に対する公費意識が著しく欠如している､と言わざるを得ないし､このような視察を行う会派があることが､他の会派の公費意識までも麻痺させる､という悪循環の存在すらうかがわせるものであった。
   　小牧市以外の自治体でも､奇妙な視察をした会派がる。豊明市のある会派は2泊3日で北海道に「北方領土問題対策の概要」等の調査を目的として出かけ､津島市のある会派は2泊3日で福島県に「全日本菊花連盟全国大会」の視察に出かけ､知多市のある会派はﾃﾚﾋﾞで中継している国会の委員会傍聴に出かけている。
   　これら視察のどこが「議員の調査研究に資するため」に行ったものとなるのか。全体として､政調費という公費を使ってまで実施する合理性に疑問を感じる視察ばかりが目立つ。冬季の視察は九州､沖縄へ､夏期は東北､北海道へ､という季節と行き先の奇妙な相関関係も多く認められる。議員の視察の多くは全くの観光旅行か､控えめに言っても公費支出不要の視察といっても言い過ぎではない。
   �A　多人数での視察に意味があるのか
   　会派で共通の政策推進をしているのであればともかく､政策への興味関心や理解度は議員一人ひとり違う筈である。多人数の会派全員が､場合によっては複数会派が合同して､同じｽｹｼﾞｭｰﾙで視察などする必要があろうか。1人､せいぜい2名程度の少人数で出かけなければ､視察で成果を挙げることは期待できないのではないか。
   �B　公費で視察は何のため
   　いずれも議員の調査研究活動のための視察､というﾀﾃﾏｴで行われている。しかし､議員や会派が現在取り組んでいる政策のための学習や資料収集という目的での視察はほとんどなかった。結局､政調費を用いて行われた視察はせいぜい､議員個人の教養を高め､見聞を広める程度の意味しかない。しかし､自己の教養を高めたり､見聞を広めたりすることは､本来議員自身の責任と努力において行うべきものであり､わざわざ公費を支出してまで行う必要があるとは思えない。まさか公費が支出されないと十分な研鑽ができない､などとおっしゃる議員はいらっしゃらないと思うが､議員には政調費による視察が当然に許される､などという意識は捨て､せめて視察の成果を納税者に納得させる程度の視察を実施されたい。�V　公費意識の欠如-税金の経費控除と勘違い？
   　次に目に付いたのは､ﾃﾞｼﾞｶﾒ､電子手帳などの本来個人で使う備品の購入や､公費で購入することに疑問を感じる書籍購入への支出の存在である。「株価四季報」「ﾊﾘｰﾎﾟｯﾀｰと賢者の石」を政調費で購入していた例（瀬戸市）すら存在していた。
   　また､懇談会費や打ち合わせ費用名目で政調費から飲食費が支出されている例にも疑問が多い。津島市のある会派は打ち合わせ費用名目で2人分の昼食を13回とっている､会派が2人であることからみれば､単に昼食を政調費から支出した､としか思えない。
   　これらに限らず､今回の調査全体を通して､多くの会派や議員は､政調費として支出して良いかどうかの基準を､税金の申告の際に経費として認められる基準と同じように考えているのではないか､という印象を持った。当然ながら､税金の経費控除は自費の使途の問題であって､公費支出の正当性が問われる政調費とは異なる。もし､このような考えが少しでもあったのであれば､ただちに改められたい。
3. 政調費は必要か
   　以上､全体を通しての印象や問題と思われる支出を指摘したが､それ以外にも各自治体毎のﾚﾎﾟｰﾄで指摘したように､公費支出として好ましくないと思われる支出が多く､むしろ公費支出としての合理性を感じることのできないものの方が､多いと感じられた。
   　公費意識の欠如をたびたび指摘したが､これも政調費が多くの議員の意識では「第2給与」として支給され､使われていることに起因するのではないか､と考える。
   　しかし､議員の給与と変わらない使い方がされるのならば､政調費を支給する必要はない。給与以外に政調費が支給されるのは､議員や会派の政策策定のためである。
   　具体的な政策追求の調査事項がない､あるいは当該年度に調査する必要がないのであれば､その年度に支給された政調費を使い切る必要はない。
   　政調費を支出した成果を納税者や選挙民に説明できない会派や議員は､年度末に政調費を返納する位の姿勢を示してはどうか。政調費を返納することによって､公費に対する厳しい姿勢を納税者に示すことができる筈である。
4. 情報すら公開しない名古屋市会､愛知県会は
   　ここまで述べたのは名古屋市､愛知県を除く､領収証を公開している13市に対するものである。この13市中､1人あたりの支出金額が最も大きい春日井市ですら年間36万円でしかない。
   　その一方､1人あたりの年間支出額660万円の名古屋市､600万円の愛知県の各議員が領収証を公開しないのは異常である。外交機密費でもない年間600万円を超える公費支出について､支出報告に領収証を添付しなくても良い､と考えることがなぜ正当化されるのか。
   　領収証の公開が議員活動を侵害する､という理由は無い。現に13自治体では領収証を公開しているし､都道府県でも岩手県､長野県議会では2003年5月から政調費の領収証の公開を決めている（宮城県議会も検討中）。
   　13市と名古屋市､愛知県との違いは政調費の支給額の以外にない。全国市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝ連絡会議が2002年に調査した結果でも､支給額の大きな自治体ほど政調費の使途の公開度が低いという結果が出た（因みに名古屋市は支給額は政令市中2位､開示度は下から2番目のｸﾞﾙｰﾌﾟに､愛知県は支給額は47都道府県中5位､開示度は名古屋市と同様､下から2番目のｸﾞﾙｰﾌﾟに位置する）。
   　なぜ､領収証が公開できないか､という点について､13市の使途を見たことから推察すれば､支給額が大きければ大きいほど給与と区別のつかない「私的」な用途への支出が増えるために､領収証公開により不当な公費の支出として批判されることを畏れた結果だ､と見える。もし､私たちの推察が間違っているのであれば､領収証が公開できない理由を説明してもらいたい。それが選挙で選出された公職者として最低限の義務の筈である。
5. 1. まとめにかえて
      　議員には今一度､政調費が公費であることを思い､支出の合理性を市民に説明できるように使っていただきたい。そして､私たちが指摘したところに異議があれば､遠慮なく､反論していただきたい。
      　名古屋市議､愛知県議については､私たちは政調費の領収証公開についての姿勢は当の議員の公費意識や公職者の責任感を示すﾊﾞﾛﾒｰﾀｰであると考えており､ この観点からあらためてご意見をうかがう所存である。

   ＊本県13自治体への「市民による監査」は下記をクリックしてください。

2003年3月市民による政務調査費監査報告

1. 瀬戸市議会政務調査費の支出に関する市民監査報告書
2. 春日井市議会政務調査費の支出に関する市民監査報告書
3. 津島市議会政務調査費の支出に関する市民監査報告書
4. 犬山市議会政務調査費の支出に関する市民監査報告書
5. 江南市議会政務調査費の支出に関する市民監査報告書
6. 小牧市議会政務調査費の支出に関する市民監査報告書
7. 稲沢市議会政務調査費の支出に関する市民監査報告書
8. 東海市議会政務調査費の支出に関する市民監査報告書
9. 知多市議会政務調査費の支出に関する市民監査報告書
10. 尾張旭市議会政務調査費の支出に関する市民監査報告書
11. 岩倉市議会政務調査費の支出に関する市民監査報告書
12. 豊明市議会政務調査費の支出に関する市民監査報告書
13. 日進市議会政務調査費の支出に関する市民監査報告書

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アンケートを愛知県議と名古屋市議全員へ

名古屋市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝ&ﾀｲｱｯﾌﾟｸﾞﾙｰﾌﾟは、3月11日政務調査費について愛知県議と名古屋市議の全員に対し、個人名での回答を求めるｱﾝｹｰﾄを配布した。
　質問は｢1.政務調査費の使途を示す領収証の公開に賛成か否か｣｢2.公開に対する個人の考えが所属する会派と異なった場合､どのような態度を取るか｣の二点。
　それぞれ理由を付け､3月20日までに回答するよう求めた。

弁護士　竹内浩史

1. タイトル「談合の責任を追及しよう」　それは､一人の弁護士の呼びかけで始まった。全国一斉提訴。しかし被告企業は開き直る。相次ぐ訴え却下。予想外の連戦連敗。原告市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝの長い苦難が続く。道は険しく思えた。ようやく光明が見えたのは実に７年後､最高裁で劇的な逆転勝利。流れが変わった。そして､名古屋で初めての勝利和解に持ち込んだ。
   　人気番組「プロジェクトＸ」ならばこんな感じだろうか。
2. 熱い呼びかけ 話は今から約８年前にさかのぼる。
   1995年7月末､名古屋で開かれた第2回全国市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝ大会。終わり間際に壇上に立った横浜の大川隆司弁護士が呼びかけた「談合の責任を追及しよう」。
   　大会直前に日本下水道事業団の受注工事をめぐる談合が報道されていた。しかし､発注側の自治体は､自らなすべき損害賠償請求をする気配も無い。我々が住民訴訟を提起すべきではないのか。
   　神奈川県にはまだｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝがなく､老舗の大阪､名古屋､仙台に次ぎ結成された東京市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝ高橋利明弁護士から要請を受けての呼びかけだった。
   　大川弁護士の熱意あふれる訴えに､地元の名古屋市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝからも呼応が出てきた。平井宏和弁護士がまず名乗りを挙げ､主任として担当。次いで､竹内浩史弁護士。大学生時代大川弁護士に世話になり､敬愛する同弁護士の呼びかけに応じ弁護団に加わった。そして､森田茂弁護士。弁護士になりたて､平井弁護士から誘われて参加。
   　大会後､今度は上水道関係の談合が摘発され､合わせて取り組む方針になった。
   　原告になったのは､大会を機会に結成された「名古屋市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝﾀｲｱｯﾌﾟｸﾞﾙｰﾌﾟ」の市民数名。
3. 提訴の工夫　さて､愛知県・名古屋市では､どの工事を対象にするか。検討の末､愛知県発注では上水道､名古屋市発注では下水道工事と整理した。
   　被告はどうするか。本来､上水道は5社､下水道は9社に下水道事業団が協力した談合であり､全部を被告にするのが筋である。しかし､被告を多くすると裁判の進行を滞り､原告弁護団も無用の労力のため疲弊する事態になりかねない。対象工事の受注企業に絞る事にした。上水道談合では日立製作所と富士電機､下水道談合では三菱電機。奇しくも､中心的と目される大企業が被告に。
   　その代わり､自治体を被告に加える。本来なすべき損害賠償請求をしない愛知県･名古屋市の怠慢は許せない。地方自治法の規定に基づき「怠る事実の違法確認請求」を申し立てた。竹内の発案だった。
4. 門前払いの嵐　全国一斉の監査請求は11月末と決まった。談合に基づく損害賠償請求には１年の監査請求期限の適用は無いはずだ。提訴は拙速を避け､全国的に態勢が整うのを待とう。理論家の大川の判断だった。もちろん正しい法律解釈であった。
   　しかし､下級審裁判官大多数の判断は違った。監査請求期間徒過で訴え門前払いを主張する被告企業。それを容れて却下の判決が相次ぐ。名古屋も例外ではなかった。愛知県上水道談合住民訴訟では､名古屋地裁で3件の工事のうち2件について訴えを分離却下され､名古屋高裁もこれを支持､最高裁に。
5. 歴史的な大逆転勝利　名古屋では苦難の末､却下されずに残った裁判について､2001年9月､名古屋地裁（加藤幸雄裁判長）で勝訴判決。上水道の残り１件の工事と下水道につき訴えを適法と認め､被告に5ないし8％の賠償を命じる判決だった。のみならず､判決は主文で愛知県･名古屋市が損害賠償請求を怠った事を違法と宣言した。これが画期的と評価され､全国ﾆｭｰｽとなった。
   　そして､2002年７月。ついに最高裁が下級審判決の誤りを正す時が来た。愛知・三重・富山三県の上水道談合で､1･2審の門前払い判決を破棄し差し戻す。
   　差し戻しを受けた名古屋では地裁の主導で､愛知県上水道事件で早くも同年12月に原告勝利の和解が成立。
   　次いで､2003年2月､名古屋市下水道談合の原告勝利和解も名古屋高裁で成立した。
   　いずれも､全国で初の和解解決だった。
   　提訴時に被告を絞った事が､和解成立を容易にさせたようである。他の訴訟では､被告企業の大多数はなおも和解に抵抗しているという。
   　もちろん､既に前年判決で敗訴させられている名古屋地裁に差し戻しされた事が､被告の戦意を喪失させたという事情もあるだろう。
6. ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝの花道
   　ともあれ､名古屋市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝは､上下水道共に全国に先駆けて勝利和解を獲得するという手柄を挙げる事ができた。被告企業に支払わせた弁護士報酬の中から231万余円ものｶﾝﾊﾟを全国市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝにする事もできた。
   　そして弁護団の一員として勝ち取ったこの成果を花道に､竹内は12年にわたるｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝ活動から引退する事になった。
   　長い間､ご支援ありがとうございました。
   　詳しい事情は次号でお知らせする予定です。

日程：名古屋市民オンブズマン・タイアップグループ　　　　　　　　　　　 　　　　 2003年3月以降