名古屋市民オンブズマン 　　　HP=www.ombnagoya.gr.jp　　　　　第126号　2003年4月8日

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第7回全国(都道府県･政令指定都市)情報公開ﾗﾝｷﾝｸﾞ

　今回の調査でも､常連の情報公開先進県と下位の県との二極化は解消されていません｡下位の県も交際費の相手方情報の公開などの面で公開度を改善していますが､その歩みは遅く､先進群は下位群が一歩改善する間に数歩先を歩んでいる､という状態にあります｡
　今回の調査で下位の山形県以下5県(山形県､福岡県､静岡県､奈良県､長崎県)に共通する点は､交際費の相手方の公開度が低いだけでなく､監査委員の本監査の質疑の公開度も低い､ということです｡監査関係の情報公開度は知事部局ではなく､代表監査委員の決定によるものですから､県庁組織全体が情報公開に消極的だ､と言えるでしょう｡
　情報公開制度は広報とは異なります｡たとえば､交際費の相手方の情報の公開だけに邁進しても､他の情報の公開に積極的でなければ情報公開とは言えません｡知事や実施機関の責任者が公開度を高めたい情報だけ公開すればよい､というものではないのです｡今回のﾗﾝｷﾝｸﾞは政策形成過程の情報の公開度をかなり重視しました｡情報公開制度の要諦は政策形成過程の情報がどこまで公開されるか､という点にありますから､今回ﾗﾝｸを落とした自治体は､情報公開制度の意義づけにどこか問題があった､と言わざるを得ません｡
　反対に今回大きくﾗﾝｸを上げたのは和歌山県､千葉県､山口県です｡しかし､地元のｵﾝﾌﾞｽﾞによると､千葉県では非公開処分を争う異議申し立て1万3000件が滞留しているとか､手数料の有料化や大量請求に対する拒否制度の検討などがされている､と聞きます｡もしこのような制度を設けるとしたら､情報公開に逆行します｡
　今回は監査関係文書の復命書や質疑内容の記載については､結果的に､緩やかな採点となりました｡
　これは､実際に監査委員が行った質疑の内容が乏しい場合でも､乏しい なりにすべてが記載されていれば配点せざるを得ないことによります。　
　特に､質疑内容について5点を配点したところの多くは､監査の指摘が交通事故に対する口頭注意であったり､ひったくりが多いがその対策は､といった社会見学の質問のようなものに止まった印象でした(そういう資料を読んだ上で改めて高知県や大分県めて高知県や大分県を読むと、理由に合理性があるとは到底思えないのですが)｡
非公開でない場合にはﾗﾝｷﾝｸﾞとしては加点されるにしても､本監査の際にその程度の質問しかされないことも問題と思われます｡
これでは監査委員の存在意義そのものが問われます｡ 監査の実態についてはまた別の機会に問題にせざるを得ない､という思いを強くしましたが､少なくとも次回以降は監査委員において積極的な質疑がされ､これが記録されることを期待したいと思います｡

＊ﾃﾞｰﾀは各自治体の首長交際費・県警本部長交際費・工事成績評定文書・監査書類の4点から情報公開度を判定しました。
　　報告書本文と詳しい結果は情報公開市民センターのHP http://www.jkcc.gr.jp/に掲載しています。
＊また、ランキング採点のサンプル文書は　http://search.jkcc.gr.jp/office/rank/7-sample.pdf 　でダウンロードできます。

　名古屋市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝﾀｲｱｯﾌﾟｸﾞﾙｰﾌﾟ　名古屋市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝでは、愛知県財政課のﾀｸｼｰ使用状況を数年にわたって追跡調査してきた。
　調査当初、月額940万円にも上った使用料は、昨年12月現在で約112万円であった。平成6・8・9・13・14年各12月のﾀｸｼｰ使用料は表のとおり年々減少していて、900万円というかっての金額を思うと、つい良く減っていると言いたくなるが、一つの課で如何に多忙月とは言え、月間100万円を越えるﾀｸｼｰ代は、民間企業では想像を絶する金額である。
　それにしても以前の900万という金額は何だったのかとあらためて問いたくも成るが､ここは今後一層の減額を期待しておくとしよう。

愛知県財政課12月のﾀｸｼｰ利用金額と件数

財政難とは何処の話か 市長室に黒塗り車が15両
　専用車を除く１１両は市職員の専用車 本来の来客使用は７％にすぎない　
　昨年12月現在､名古屋市市長室は黒塗り車15両を運用している。その内4両は市長と二人の助役および収入役の専用車である。
そこで今回は残る11両の昨年12月の運行にスポットを当てて見た。
　本来黒塗り車の用途は来客送迎用であると思うが、この１１両が12月中に来客用に使用された回数は13回に過ぎない。
　さらに運行票をﾁｪｯｸした結果、この来客送迎時間帯は､三役専用車の走行時間と重複していない。
　つまり、黒塗り本来の業務は４両の三役車でまにあったのである。
　いったいこれらの黒塗り車は誰が使っているのか？表から明かなように、74％は市の職員が使用し、その24％は市長室員が使っている。
　加えて市長室はこの間に三役専用車も10回使用している。
　つまりこの11両の黒塗り車は市職員専用で、ごくまれに来客に使用しているのである。
名古屋市は一部署がこのようにふんだんに黒塗り車を使えるほど裕福なのか、財政難を叫ぶならまず隗より始めるべきではないか。

１１両の運行状況 　これら11両の黒塗り車と9人の運転者で､平均1日に15人を運んでいる。走行距離は175ｋｍである。これは1両で足りる数字。
　毎日3両近くが車庫に入ったまま、まったく運行していないことも、この一年間で変わりがない。
この1ヶ月間の全走行3,706kmをタクシー料金に換算すれば \1,055,000。(316m/￥90）
タクシーなら100万円ですむが　この場合でも、出庫から出庫までが運賃換算されているので、実際は乗り捨てだからさらに安くすむ。
　財政難の市長さん、いかがですか？

愛知県議･名古屋市議政調費アンケート回答
愛知県議・名古屋市議だけ領収書非公開が許される？
　名古屋市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝでは、3月11日、愛知県議と名古屋市議に対して、政務調査費の使途報告に領収書の添付を義務づけるかどうかのｱﾝｹｰﾄ調査を実施した。
　県議は全会派が回答してきたが、名古屋市議からは回答がなかった。そのため､再度3月26日に各市議会派控え室にFAXを送り、3月28日までの回答を求めたが、名古屋市議の会派からはほとんど返事がなく、積極的に政調費に関する領収書を公開しようとする意思は無いものと思われる。いずれにしても、領収書を公開するとよほど都合が悪いと議員は考えているのであろう。
　今回の名古屋市議選の重要な判断材料にしたい。
　最近名古屋市民オンブズマンの追求は名古屋市議に関するものが多く、そのため愛知県議は「人ごと」のような回答をよこしてきたのではないか。
　しかし｢政治活動の自由」の確保から領収書の公開を見合わせる、という理屈は成り立たない。今後も愛知県議・名古屋市議に対して領収書の公開を要求していきたい。
愛知県議に対する政務調査費アンケート回答

名古屋市議に対する政調費アンケート回答

無かったはずの談合損害金を受け取った
愛知県知事と名古屋市長の見解を聴きたい
　先号で触れた上下水道談合訴訟の問題。「談合はあっても県に損害はない｣と主張していた愛知県と、談合による損害の立証が困難ｆであるとして、賠償請求をしなかった名古屋市。それでもｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝの提訴のおかげで、愛知県は1億5693万円､名古屋市は5692万円を談合損害金として受け取った。
　愛知県は法廷で、愛知県職員は談合に関与していないから、契約は適法であり、愛知県にはそもそも損害が無いと主張していた。それなのになぜ損害金を受け取るのか。元弁護士の知事は一言あって然るべきではないか。
　名古屋市は、法廷における主張で、談合によって市が受けた損害の立証が困難なので、敗訴した場合の訴訟費用負担はかえって市に損失を与える、等と言っている。
　これまでの住民訴訟で、一審敗訴後、控訴審中に返金などで訴因を消滅させる得意の手口で多額の訴訟費用に公金を使用してきたのは、自ら市に損失を与え続けたのではないのか。
　ともあれ、両主首長は市民に対し今回の損害金受け取りに対して、何らかのｺﾒﾝﾄを発するべきではないか。
また､県と市の職員諸氏の見解も聴きたいものである。

オンブズマン裁判官になる
　名古屋市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝの竹内浩史弁護士が東京高裁の裁判官に任命され､ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝを離れることになた。
　最高裁とｵﾝﾌﾞｽﾞが談合したか？とまで言われた昨年の最高裁逆転・ｵﾝﾌﾞｽﾞ勝訴判決をはじめ、自他共に認める名古屋市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝの知恵袋。法曹界の出来事としては特筆異例の事件であろうが、ｵﾝﾌﾞｽﾞにとっては掌中の珠を奪われた感もぬぐえない。
　ともあれ､ご本人にはお祝い申し上げるとともに、市民の立場に立った裁判官ぶりを期待したい。
　以下、ご本人のコメントです。　　　　　　　　　　
　私は4月1日付で裁判官に任命され、東京高等裁所の判事として赴任するため、名古屋市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝを退会する事になりました。名古屋の市民でも弁護士でもなくなるためです。
去年から、弁護士会が一般市民と共に裁判官に適任として推薦した弁護士を、最高裁が採用する制度が始まり、私は、中弁連の推薦で採用された第一号で、もちろん市民オンブズマンから初の裁判官です。
　3月27日まで公表できず､ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝﾀｲｱｯﾌﾟｸﾞﾙｰﾌﾟの皆様と会ってお別れが言えなかったのが心残りです。

激励会での竹内弁護士挨拶
３月２７日名古屋弁護士会主催の竹内弁護士任官激励会が盛大に開催された。以下は当日のご本人挨拶。

　本日はお日柄も良く、私の激励に駆けつけて戴きまこと､まことににありがとうございます。
　日柄が良いとは本日は友引だからです。是非私に続いてここにおいでの弁護士の皆様にも弁護士任官をしていただきたいと切に願っておりますので、ここで弁護士任官について説明会させていただきます。
　中弁連の推薦条件は、弁護士経験３年以上、年齢５５才くらいまで、懲戒処分を受けたことがないこと、であります。中弁連は悔しいことに弁護士任官で近弁連に大きく水をあけられている現状です。
　私は､このように祝福されて裁判官になった人というのは少ないのではないか本当に幸せ者と思っています。
　内定第一報を最高裁判事が電話で知らせて下さいました。深沢武久最高裁判事です。私の研修所時代の恩師で東京弁護士会から最高裁判事になられました。
　実は修習生の時に深沢先生が、それも授業中に、竹内君はリベラリストだから是非裁判官になってほしい、とおっしゃってくださった。その方がいまこの時に最高裁にいらっしゃる、本当に自分でも強運に驚いています。
　私には弁護士任官をせよという一種の天命みたいなものがあったのかのという風にさえ思えます。
　天命というのは言い換えれば市民の期待であります。これを裏切らぬよう良心に従い裁判官のつとめを果たしたいと思います。
　記念品にお配りした扇子を作りました。そこには弁護士法１条１項｢弁護士は基本的人権を擁護し社会正義を実現することを使命とする｣が記してあります。もう一つ作った扇子には憲法第76号3項｢裁判官はその良心に従い独立してその職権を行いうこと｣を記しました。弁護士任官者は弁護士と裁判官の中間みたいなものと思いますので、この気持ちを込めたものです。
　それではほんとうにお名残惜しいですが、行って参ります。ありがとうございました。

日程：名古屋市民オンブズマン・タイアップグループ　　　　　　　　　　　 　　　　 2003年4月以降