名古屋市民オンブズマン 　　　HP=www.ombnagoya.gr.jp　　　　　第127号　2003年5月13日

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新発足地方議会の追従を期待する

　　名古屋市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝは、既報のように尾張地区13市の市議政務調査費を市民の立場で監査し、多くの問題点について各市ごとに具体的に指摘した。
　今春実施された統一地方選挙も終わり、多くの新市議が誕生した。
　そこで、せっかく問題点を指摘して使途の透明化を図った政務調査費問題を置き去りにしないために、新発足する市議会にあらためて政務調査費の使途について自覚を求めておきたい。
　今回の市民監査では、従来定説の無かった政務調査費の使途について、一つの指針を示した。
　その中で、尾張13市と同時に実施した豊田市政務調査費の使途基準等は評価に値するものであった。
　豊田市議の政務調査費の使いぶりは、一見するかぎり税金の無駄と非難されるような支出はなかった。
　使途にまったく問題がないというわけではないものの、他市に比し良好と言え、この点率直に認められる。
　豊田市の優れている点は、使途が具体的でかつ厳しく制限されていることである。
　他の自治体においては、少なくとも以下に紹介する豊田市の使途基準を下回ることの無いような運用基準を定めることを要望したい。
　このような使途制限のもとでは、政務調査費は安易に使い切ることは出来ないはずである。
調査研究費は、議員の調査研究に必要な経費の一部を補助するためにしか使えない、まるで選挙運動と見まがうような日常活動には使えないのである。
　まして、破格高額の政務調査費を受けていながら、領収書の添付さえ拒んでいる愛知県議・名古屋市議は心してこの使用基準を熟読玩味して貰いたい。　
豊田市議会政務調査費条例（関連条項のみ）
(目的)第1条 議員の調査研究に必要な経費の一部を補助することにより、市議会の議員の政策形成能力の向上及び市議会の審議機能の強化を図り、もって住民自治の確立と地方分権時代に即した市政の実現に寄与することを目的とする。
(使途基準)第8条 会派等は、別表（下表）に定める使途基準に従い、政務調査費を使用することができる。
(使途制限) 第9条 前条の規定にかかわらず会派等は､次に掲げる経費に政務調査費を使用してはならない。
　(1) 党費その他政党活動に要する経費又は政党が主催する事業若しくはこれに参加するための経費
　(2) 選挙活動のための経費
　(3) きょう応接待のための酒食その他これに類するもののための経費
　(4) 慶弔費、見舞金等の交際のための経費
　(5) 市民への配布を目的とした広報誌等の発行又は配布のための経費
　(6) 備品を購入するための経費
　(7) 個人的な使途に充てるための経費
　(8) 前各号に掲げるものを除くほか、政務調査費の使途にふさわしくないものとして議長が定める経費（規則第2条：ｶﾞｿﾘﾝ代と電話代）
(収支報告書等の提出) 第11条 政務調査費の交付を受けた会派の経理責任者及び議員は、収入及び支出の報告書を作成し、これに領収書等の証拠書類の写しを添えて、議長に提出しなければならない。

豊田市議会政務調査費規程（抜粋） 　
(政務調査費を使用できない経費)
第2条 条例第9条第8号の政務調査費の使途にふさわしくないものとして議長が定める経費は、次に掲げるものとする。
　　(1)　ガソリン代
　　(2)　電話代

豊田市議政務調査費の使途基準（条例8条関係）

項　　目	内　　容	使　途　の　例　示
研究研修費	研究会、研修会等を開催するために要する経費又は他の団体の開催する研究会、研修会等に参加するために要する経費	会場費、器材借上料、講師謝金、出席者負担金・参加費、旅費、郵送料
調査旅費	先進地調査又は現地調査(日本国内の調査に限る。)に要する経費	旅費、施設入場料
資料作成費	調査研究活動に必要な資料及び調査報告書等の作成に要する経費	写真現像代、印刷製本費、筆耕翻訳料
資料購入費	図書、資料等の購入に要する経費	新聞購読料、雑誌購読料、図書代
会議費	市政に関する要望、意見等を吸収するための会議及び会派が政策等を審議するための会議に要する経費	会場費、器材借上料、印刷製本費、茶菓子代、通常用いられる程度の食事代、郵送料
事務費	消耗品の購入に要する経費	筆記具代､用紙代､ｶｾｯﾄﾃｰﾌﾟ・ﾌﾛｯﾋﾟｰﾃﾞｨｽｸ代
その他経費	上記以外の経費で、調査研究活動に必要な経費として議長が定めるもの

名古屋市議に初当選した則竹勅仁議員（民主党）は、登庁時市議に支給される費用弁償（日額1万円）の受け取りを拒否すると書面で市長に申し出た。

平成15年4月30日 　名古屋市長 　　　松 原 武 久 殿 　　　　　　　　　　　　私は費用弁償の受け取りを拒否します 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　のりたけ勅仁 　　前略 　　　今回の選挙で名古屋市議会議員となりました の りたけ勅仁と申します 私は、 　　あらゆる議員特権の 廃止を、有権者との最も明確 な公約である選挙公 報に掲 　　げ当選いたしました。 　　　その理由は以下のとりです。 　　　１．真に名古屋市民のための政治が求められてい る今、まず議員こそが襟を正 　　　　　して数々の議員特権 を見直すべきであると思います。 　　　２．議員は、その活動の対価として歳費が支給され ておりこれに加えて日当で 　　　　　ある費用弁償を得るこ とは、俸給の二重取りです。 　　　３．「身近なところから改革する」という私の政治信 念に基づき、先ず私は費用弁 　　　　　償について、その 受け取りそのものを拒否いたします。 　　　　　松原市長におかれましては、以上の事情をお 汲み取りいただき、私への費 　　　　用弁償の支給を止 めてくださいますようお願いいたします。 　　 　　　万が一、私の申し出が受け入れられない場合、 その理由を文書で平成15年 　　　　5月9日(金)までにお 示し下さい。

　費用弁償については以前斎藤亮人議員（ともに）が市に返還を申し入れ、公選法による寄付行為に当たるとして断念した経緯がある。
初当選の市議らしい初々しさが魅力的だが、総与党の中核を担う民主党所属とあっては、さぞ風当たりも強かろうと思われる。
　初心忘るべからず、今後の成り行きを注目したい。
自治法では「議員は費用弁償を受け取ることが出来る」と規定しており受け取りが義務づけられてはいない。
　名古屋市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝは費用弁償の欺瞞性と、支給に当たって行われた条例の遡及施行について住民訴訟を継続中だが、支給に疑義を夾んでいる多くの議員たちが受け取りを拒否すれば、法廷の裁きを待つまでもなく市民の常識が議会で生かされることになる。
　意味不明な市長回答
　この申し入れに対し、9日市長から下記のような回答があった。

平成15年5月9日 　　市会議員 　　　　　のりたけ 勅仁 様 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　名古屋市長　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　松 原 武 久 　 　　　　　　　　　　　　　　議員に支給する費用弁償について　　　 　　　　　みだしの費用弁償につきましては、「名古屋市 　　　議会の議員の報酬及び費用弁償等に関する 条例」に基づき、支給する義務がある 　　　と考えておりますので、ご理解賜りますようお願いいた します。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（総務局総務課、市会義務局総務課）

　「と考えておりますので」どうするというのか、ほとほと考えあぐねて、対応を丸投げし返したわけで、これでは回答とは言えない。

大阪では費用弁償廃止が主流愛知県下の自治体は？
　大阪府下の自治体では、費用弁償を廃止する自治体が主流になっている。
　大阪府の全44市町村中、37市町村が費用弁償を廃止、支給を続けているのは7市町村だけという。
　毎日新聞によれば、存続の７市町村は、大阪市・堺市･高槻市（特別委員会への出席のみ）･富田林市･松原市･能勢町･千早赤坂村（常任委のみ）。最高額は大阪市の１万４０００円、最低額は松原市の１５００円。
　愛知県下の市町村はどうなっているのかな？
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一票の格差　弁護士任官・竹内弁護士の置きみやげ　

　朝日新聞の特集、「統一地方選挙の街で」�C（4月22日）では、一票の格差について論じている。
　過疎化してきた愛知県の北設楽郡選挙区の人口は、県下の人口最多区との一票の格差が5.97倍にもなり、竹内弁護士等が異常な格差は憲法違反と訴えていた。
　一二審での勝訴後､最高裁で逆転敗訴したものの、県議会は南北設楽郡を併せて定員1の選挙区とした。
　同紙に紹介されている竹内元弁護士の言い分。
　「議員の定数配分は選挙区の事情に関係なく、厳密に人口比例を徹底すべきだ。過疎地の議員を水増しして、そこへ政治が届くようにする方法は間違っている。 県民が優れた議員を選び、議会の中で県民全員の問題として過疎地のことを議論すべきだ」
　まさに正論だが、最も人口割りしやすい、というよりも人口割りでないのが不思議でならない名古屋市議の定数でさえ、さっぱり進化しない。
　放っておく市民がおかしいのか、逃げ回る市議がおかしいのか。

万博情報公開訴訟?奇妙なＢＩＥの回答
本当は万博廃止について何の契約もないのでしょう？

　万博をやめたらいくら掛かるか。万博を推進するうえで、こういう情報は当然公開されなければならない。
　ところが国も愛知県もはこういう素朴な疑問に応えず、ただひたすら突貫の土木工事をすすめている。
　万博をやめたら幾ら賠償義務を負うか、という資料がなぜ公開できないのか。裁判で外務大臣と経済産業大臣は、これらが外交上明らかにしてはいけない資料だから、というのである。
　そんなばかなことがあるか。そこまで言い張るのなら、外務省や経済産業省が公開したくない、と言っている文書を公開したらほんとうにまずいのか、直接BIEに聞いてみよう、ということで、BIEに対して、問題となっている２４の文書それぞれについて、文書の公開で支障が生じるかどうかを尋ねる調査手続（これを「調査嘱託」と言います。）をおこなった。
　BIEは当初予定された１月３１日までに回答せず、無視か、と思われた矢先、４月７日に事務局長名で、「BIEの内部資料はだせない」、という内容の文書をパリの日本大使館の職員宛に提出してきた。
　しかし、この回答は以下の二点で奇妙である。
　第１に、裁判所は２４の文書について公開することの支障を尋ねたのに、この回答では２４の文書には全く触れていない。
　第２に、調査嘱託は裁判所が実施するのであって、回答の宛先は裁判長宛でなければならないのに、事件の当事者である外務省の職員宛になされていること。
　裁判所もこの２点を指摘し、４月２３日の弁論で、これは調査嘱託に対する回答ではない、とし、被告側に、なぜ宛先が外務省の職員宛となったのか、その顛末を次回までに書面で提出するよう、求めた。
　次回は５月２６日（月）午前１１時であるが、外務省の説明が注目される。

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半田市国際交流基金訴訟和解
　　　　　曖昧な資金運用に歯止め
　名古屋市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝのﾒﾝﾊﾞｰでもある市民ｵﾝﾌﾞｽﾞ知多半島が、半田市の国際交流基金が違法に取り崩されていたとして、市長以下に損害賠償を求めていた訴訟は、5月9日名古屋地裁で和解が成立した。
　和解内容は、半田市は今後住民訴訟で提起された問題を真摯に受け止め、適切な運用を図り、補助金のあり方について市民からの理解を得るため、次の通り合意する。として、
１．国際交流基金の運用を昨年末改正された条例に基づき適切に運用する。
２．事業役割分担を明文化明確化し、人員配置も極力兼務を避け、職員採用は公正を旨とする。
　交流協会の人件費を市から支出しない。
３．今後は国際交流協会の補助金減額を含め、補助金のあり方について見直しを重ね、適切な運用に努力する。
---その他、公共施設を協会に使用させていること等についても、是正を図る等としている。

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政府・最高裁がこれでは、名古屋市の政務調査会も当然?
【抽象的違憲審査制？！】
　写真週刊誌FLASHの5月20日号に衝撃のスクープ?が掲載されている。
　[「政府が最高裁に「法案事前チェック」の証拠メール]と題する写真入り記事。
　司法制度改革推進本部の事務局が行政訴訟法の改正案を、委員に見せる前に内閣法制局にも修正してもらったうえ「最高裁修正で確定」していた事が、消し忘れメールを委員に送ってしまったために発覚したというもので、ﾒｰﾙの写真が掲載されている。
　同誌によれば、中央大法学部の下村名誉教授も「三権分立の中立性を害する重大な問題」と指摘しているという。行政訴訟の当事者となる内閣と裁判所に事前チェックさせたのは三権分立の危機と批判されている。緊張感が足りないか。
　かって名古屋市は、市議を行政側の市政調査会委員に委嘱し、行政と立法の分立など全く念頭にない不見識さを示したが、政府と最高裁がこれでは田舎ではそんなこと当然？

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「控訴人」と「被控訴人」取り違えここでも？　東京京高裁の珍判決
　住民訴訟の弁護士報酬支払いを巡り、川崎市と「かわさき市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝ」が争った控訴審で、東京高裁が２４日、「控訴人」（被告）と「被控訴人」（原告）を取り違えた判決を言い渡し、高裁は同日付で訂正した。
　ﾐｽは、市有地払い下げをめぐる住民訴訟で一部勝訴した市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝが、市に弁護士報酬の支払いを求めた訴訟の判決。
　高裁は市に６００万円の支払いを命じた横浜地裁川崎支部判決を変更し、３００万円に減額する判断を示したが、判決主文は被控訴人（市民オンブズマン）が控訴人（市）に払うことになっていた。
　オンブズマン側の大川隆司弁護士は「実害はないが、判決の肝心の部分の更正決定はあまり聞いたことがない」と話している。　　　　　［毎日新聞４月２５日］

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　三重県の下水道談合和解で東芝居直りコメント
　13日付け朝日紙によれば、名古屋高裁で三重県の下水道談合事件で三重ｵﾝﾌﾞｽﾞと工事2社および県浄化ｾﾝﾀｰの間で和解が成立し、東芝と事業団理事が4500万円の支払い義務を認め、弁護士費用を除く3700万円を東芝が三重県に支払うと合意された。
　ところで、記事には東芝のｺﾒﾝﾄとして「裁判所のすすめもあり、早期解決の判断から和解することにした」とある。
　これは今後も談合する決意表明と見られる。 [朝日新聞5/13]

財政逼迫の名古屋市市長室に遊休黒塗り車10両
これで財政難と言えるのか
名古屋市市長室が管理している黒塗り車は14両。その内市長など３役専用車を除く10両について、昨年12月に続き３月中の運行を検証した。
相変わらず殆ど車庫で眠っている　この10両の月間出庫回数は
138回、1両当りは13.8回、4月の開庁日は20日間だから、1両当り1日0.69回しか出庫していない。
黒塗り本来の来客使用は月間12回だけ　この138回は誰が乗ったのか？使用者を見ると、右図のようになんと本来の用途のはずである来客のための出庫はたったの12回で9％にすぎない。
　　40％は市長室が使用している　最も多いのは市長室員の使用で55回40％を占めている。
　市は財政危機というが､黒塗り車の保有経費など大したことではないのか。
　一般企業では、とっくの昔に役員専用車など使っているところはない。
　ところで市が４月に提示した黒塗り車の保有台数は下票の通りである

緊縮意識のかけらもない減車計画　表で目に付くのは区役所の5両減くらい。各消防署にどうして黒塗り車が必要なのだろうか、驚くことに消防署の黒塗り車は消防機器の扱いで運行表さえ作られていない。
　市長室はわずかに2両を減車するとしていが、これは選任運転者も付かない余剰車を処分するに過ぎない。しかもこれは今年度末（16年3月末）の予定に過ぎない。
三役専用車を除く11両の廃止を求める
財政逼迫の名古屋市市長室に遊休黒塗り車10両
　いまさら数字で示すまでもなく、この１１両は全く不要である。１日十数回の走行は３役車で充分こなせるし、重複したときはﾊｲﾔｰを利用すればすむことである。
　黒塗り車は保有するだけで毎日税金がかかっている、廃車すれば維持経費が不要になるだけでなく、税金も月割りで返還される。つまり、毎月不要な経費が支払われているのである。
　仄聞すれば減車するにも運転要員の処遇に困っているとか､それこそ運転者の不足が運行減の理由にされている市ﾊﾞｽ事業で大歓迎であろう。
　民間企業では、このような配置転換は日常茶飯事である。
幹部はバス地下鉄で登庁を　　　　　　　 　
　助役以下幹部職員が、率先して地下鉄通勤するくらいの心意気を見たいものだが。

（注）平成15年度中に減車するものは減車後の台数を掲載した

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日程：名古屋市民オンブズマン・タイアップグループ　　　　　　　　　　　 　　　　 2003年5月以降