名古屋市民オンブズマン 　　　HP=www.ombnagoya.gr.jp　　　　　第128号　2003年6月10日

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名古屋市塩ヅケ土地情報公開控訴審
　 5月28日判決　 高裁・積極的な開示を命令

　名古屋市は土地買収に関し､内密に交渉するため価格の公開はなじまないと主張していたが､判決は｢買収は公示価格を基準に算出された適正な価格｣のはずであり､個人情報として保護するに値しないとした｡さらに､被買収者は隣地の買収価格を知って価格を検討するほうが､疑心暗鬼の交渉をするよりも合理的であるとして､｢必要な情報は開示し､説明することが要求される｣と全面開示を命じた｡
　非公開を原則とした買収交渉が､既に通用しないことを裁判所が認めた意義は大きい｡
　平成10年度に市土地開発公社の塩ﾂﾞｹ土地(訴訟で争っている年度のもの)で､5年を超える保有土地の総額は1254億3900万円(政令市中､面積･価額とも2番)､そのうち10年以上保有する土地の価額は537億9200万円で面積･価額とも政令市中ﾅﾝﾊﾞｰﾜﾝ｡

裁判所に批判された名古屋市の土地取得手法

　名古屋市土地開発公社がﾊﾞﾌﾞﾙ期に買ったまま長期保有している土地が､名古屋市の財政を圧迫していることが大問題となっている｡土地開発業者から買った土地はゆくゆくは名古屋市が買い取ることになるが､その価格は土地開発公社が土地を買うために銀行から借りた借金だけでなく､借入金利などを加えた金額になるからだ｡そうすると､土地の取得価格を含めた買い戻し費用の金額情報が名古屋市の財政を占ううえで重要だ｡ところが､名古屋市は個々の土地毎のこういった情報を公開していない｡その理由として最も強く主張するのは､土地を公社が幾らで買ったか､という情報がわかると､これから用地買収をしようとする土地の地主が､自分もその値段で買って欲しい､といって買収がうまくすすまなくなる､というのだ｡うーむ｡市民を敵視していますな｡しかもこの理屈は､過去に買収した価格がばれると､地主が名古屋市の言い分を聞いてくれないことを名古屋市自ら認めた､とも言える｡しかし､真実が明らかになると市民が抵抗を示す､ということは､名古屋市の提案内容にこそ問題があることの証拠で､名古屋市の理屈では､名古屋市の言い分を信じた正直者ほど馬鹿を見る結果になるのではないか｡だいたい､税金で土地を買うのだから､非常識な値段で土地買うことなど許されるわけはないし､もし仮に非常識な値段で買ったような事実があれば､そういう情報こそ公開しなければいけない｡
　さて､この点については第一審の地裁判決も名古屋市の主張には理由がない､としたが､今回の高裁判決はさらにすすんで､土地買収の手法について｢土地所有者にとっては､近隣地の買収価格を全く知らされず､公社又は名古屋市からの申し出価格が当該土地の公正な価格であるから信頼して欲しいと言われるより､近隣地の買収価格を知り､近隣地と当該土地との相違点を認識する方が､当該土地についての買収申し出を充分検討できるというべきである｡公社又は名古屋市が買収交渉において､適正な価格で買収に応じて貰えるように土地所有者を説得することが責務であるとすると､交渉に当たっては､必要な情報は開示し､必要な説明をすることが要求されるというべきである｡｣と､名古屋市の土地買収のこれまでの主張を批判している｡
名古屋市は後ろ向きの上告受理申立などせず､この部分をよく検討してこれまでの土地取得交渉の手法をあらためるべきである｡【新海 聡】

費用弁償を断った新市議その後 訴訟は和解へ？

　名古屋市議に初当選した則竹議員は､登庁時市議に支給される費用弁償(日額1万円)を､報酬の二重取りであるとして受け取りを拒否しているが､市は支給は市の義務として､5月28日就任以来の登庁2日分2万円を支給のうえ保管しているという｡市側の説明によれば､費用弁償は登庁に対する実費だそうだが､実際は日額1万円と､議員の日当化している｡しかも免税。
　市側の､支給は義務との言い分､及び返金は議員の公選法違反になるとの言い分は､いずれも根拠はなく､則武議員の師匠､河村たかし代議士は衆議院の特別委員会委員長手当を辞退し､事務局は公選法違反ではないと判断している｡
　市議が年間に受け取る費用弁償は概略で1人当たり100万円､全員で年に７〜8千万円が支出されているが､議員には別途地下鉄バスの優待乗車券が支給され､登庁に際し駐車場も無料で提供されている｡

オンブズは費用弁償訴訟を継続中 6月中に和解か？

　オンブズでは02年早々に名古屋市議費用弁償の当時日額1.5万円が高額すぎることと、支給額が条例で決められていないとして提訴した。
　市は同年3月、支給金額を条例で指定、さらにオンブズがそれ以前の支給について返還提訴したところ、条例施行日を遡るという姑息な手段で勝訴を得た。
　が、その判決でさえ｢条例遡及前は明らかに違法な公金支出｣とされた。
　現在オンブズは、お手盛り金条例の施行日遡及は違法であること、金額が不当に高いこと、をもって控訴中､訴訟は既に結審し、6月27日に和解調整が行われるが果たしてどのような和解案が示されるか。
　和解不調の場合7月31日に判決言い渡しがある。

名古屋高速道路公社に
「料金徴収業務独占契約」に関する申し入れ」

　名古屋高速道路公社は､高速道路料金の徴収業務を､道路開設以来下記の3者に独占的に委託契約し､その総額は約28億円に達する｡
　名古屋市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝの問い合わせに対して､料金徴収は特殊業務であるなどと説明しているが､既に青森県では､入札導入により約50％節減されている｡
　ｵﾝﾌﾞｽﾞでは､外郭団体・特殊法人改革の一環としてこの問題に取り組み､6月11日､下記の申入書を公社に提出し回答を求める｡
　　申入書

裁判官になって感心した事　元会員 竹内浩史

　4月1日に弁護士から裁判官になって､2か月以上が経ちました｡
　裁判所に入って感心した事は､公金の管理､公私の別が極めて厳格だという事です｡
　任官してから既に数回以上､公式の会合の後の懇親会に出席しましたが､すべて会費制でした｡高裁長官や司法研修所教官との昼食会でも､弁当代を徴収｡
　各部でも毎月｢部会費｣を徴収し､歓送迎会等のみならず､コーヒー豆・茶葉代に当てています｡
　それと別に月給日に300円徴収されていたので､これは何の費用ですかと尋ねたら､裁判官協議会の時に配るペットボトルや缶入りのお茶代だと言われて､本当にぴっくりしました｡たしか､その程度は｢食料費｣の本来的使途だと言って許されていたような気が・・・｡　元オンブズマン弁護士も脱帽です｡
　いつからこんなに厳格になったのか｡18年前の私の司法修習生時代には､研修旅行費等を捻出するために､いろいろ工夫をしていたような気もします｡
　とにかく､ここまで姿勢を正しているのは､おそらくオンブズマン活動の成果だろうと思いました｡おかけで家計から会資の支出がかさんでいますけど｡
　書籍の購入も厳格です｡あらかじめ決まった予算の範囲で､各部の裁判官室に備え置く書籍を購入しても良い事になっているのですが､｢ハリー・ポッター｣のような本はもとより､英会話の本や､道路地図まで駄目とされています｡私は､地図は交通事故事件をはじめとして裁判に必要な場合があるので良いのではないかと思っているのですが｡おそらく､ドライプに使う私用と区別がつかないという理由なのでしょう｡私は自費で関東の地図を購入し､事件で知らない地名が出て来たりすると探して勉強しています｡
　任官の直前に､県市の政務調査費の使途が問題にされでいたのを見ましたが､見習ってほしいものです｡
　名古屋の市民の皆さんにお会いできなくなって残念ですが､私は東京高等裁判所第23民車部で左陪席栽判官を務めていますので､ぜひ傍聴にお越し下さい｡開廷日は月・水で､原則として午前10時と牛後１時10分に弁論が人っています｡

埼玉県志木市の市民委員会その他

　5月14日付朝日新聞に紹介された埼玉県志木市の市民委員会､以下概要を紹介しますが､このような市民参加制度を愛知県や県下自治体も是非取り入れてほしいと思います｡
　埼玉県志木市のＩＴ部会は､１年１１月に発足した市民委員会の9つの部会のひとつ｡ＮＥＣの現役技術者､ソフト開発の経営者､日本ﾕﾆｼｽやﾎﾝﾀﾞのOB､ﾊﾟｿｺﾝ塾経営､情報専門学校の講師……｡13人のﾒﾝﾊﾞｰはＩＴ専門家ぞろい｡
　｢市民の能力が職員を超える場面が増えた｡そんな宝物を放っておく手はない｣と穂坂市長｡
　昨年9月｡4月に開館予定の図書館などの複合施設｢いろは遊学館｣に導入する小学生用などのﾊﾟｿｺﾝ約80台分のﾘｰｽの予算が半分以下に削られた｡
　当初の1台あたり平均の見積りは42万円｡｢そんなに高いものが必要か｣｡ＩＴ部会のﾒﾝﾊﾞｰら4人でつくる情報ｼｽﾃﾑ検討委員会が疑問を示した｡
　市の担当者は｢市販のものは信頼性が薄いので､市役所では企業用のﾊﾟｿｺﾝを使っている｣と説明､しかし､検討委は｢小学生が親しむくらいなら､市販のもので十分｣と､付属品なども削り落とし、結局､1台あたり17万円余で落札した｡
　｢業者主導のＩＴ化が進んでいた､ということ｡民間では契約しないような高価なものでも役所なら､と業者は思っていただろうが､これからはそうはいきませんよ｣｡ＩＴ部会の1人は｢市民委員会効果｣を説明する｡
　この例に見られるように､市民委の最大の任務は､予算のﾁｪｯｸだ｡予算にはしろうとだが､疑問があれば徹底して質問する｡｢総務費｣などという合計数字では納得しない｡
　どれとどれを足し算したものか､市の財政当局に見積書まで求める｡
　発足から今年2月までに11件の提言書や報告書を出した｡　結局は白紙に戻った周辺3市との合併のﾒﾘｯﾄ､ﾃﾞﾒﾘｯﾄについて(合併部会)､市民病院への市民ﾊﾞｽ新規運行について(病院水道部会)など｡
　市民委員会会長望月泰宏さんは｢市民委員会が有効に機能するかどうかのｶｷﾞは､徹底した情報公開と､市長がどれだけ提言を実行に移すかにかかっている｣と言う｡
　東京都三鷹市では01年､公募に手を挙げた375人が参加した｢みたか市民ﾌﾟﾗﾝ21会議｣が､向こう10年間の街づくり基本計画を作った実績がある｡
　市は関与せず作業は白紙から始まった｡2年半にわたり､10分科会で検討を重ね会合は773回を数えた｡市幹部は｢恒常的な市民参加のｼｽﾃﾑをどう作るかが今後の課題｣という｡
　ﾆｭｰﾖｰｸでは､市民参加のｼｽﾃﾑとして｢ｺﾐｭﾆﾃｨｰ委員会｣がある｡59のｺﾆｭﾆﾃｨｰ地区ごとに､区長らが任命した50人以内のﾒﾝﾊﾞｰと地元の市議とで委員会をつくる｡すでに25年余りの歴史をもつ｡任期は2年で無報酬だ｡
　市の予算編成過程で意見を言い､見積もりを検討する役回りに加え､市から予算の配当を受け､執行もする｡
　日本の市民委員会より､さらに自立した活動形態だ｡米国の自治制度などを研究している土岐寛・大東文化大教授は｢志木市の市民委は現市長の後ろ盾があってはじめて機能しているが､永続的なｼｽﾃﾑにできるかどうかが課題｣と言う｡
　志木市のHPは http://www.city.shiki.saitama.jp/

想像が大切だ 最近苛立つこと

　ｱﾒﾘｶが一方的にｲﾗｸを攻撃したこと､ｱﾒﾘｶが一方的にｲﾗｸを攻撃したことをやめさせられなかったこと､そういうｱﾒﾘｶにしっぽを振る男が日本の首相であること､そういう首相の支持率がいまだに高いこと､そういう首相をいまだにやめさせられないこと､住基ﾈｯﾄが接続し､個人情報保護法があっさり成立し､有事法案が国会を通過したこと､新聞が個人的な殺人事件や白装束を嬉しそうに報道し､有事法案が通ったら私たちの生活がどうなるか､などということを有事法成立前に報道しないか､してもこっそりと報道し､有事法案が通った今日になってNHKが有事法によって私たちの生活はどうなるか､などというﾆｭｰｽを流し｡
　単に漫然とﾆｭｰｽを見ているだけではﾀﾞﾒだ｡誰かに解説されることをｱﾃにしてはﾀﾞﾒだ｡
　辺見庸さんの『単独発言 私はﾌﾞｯｼｭの敵である』(角川文庫)の次の記述は､胸を打った｡「われわれが見るべきは惨憺たる死体である｡ﾒﾃﾞｨｱが見せるべきは無惨な死体である｡空母ではない｡ﾄﾏﾎｰｸの発射風景ではない｡米軍の戦争ﾒｶﾆｽﾞﾑに手もなくはめられたばかな｢従軍記者｣ではない｡艦載機が発進する光景ではない｡米軍兵士らの意味のない行進でもない｡子らの死体を正視すべきである｡撃たれ倒れる人の身体のｲﾒｰｼﾞで想念をいっぱいにすべきだ｡母や老人や無名の兵士らの凄惨な骸を眼のなかに入れなければならない｡(269頁)｣そうだ｡少しでも前向きになるために､誰か権威や権力者の言うことをｲﾝﾌﾟｯﾄするまえに､さしあたって､想像力を働かせようではないか｡(新海聡)

平成14年度 名古屋市議各会派政務調査費報告書

　14年度の名古屋市議団政務調査費報告書が公開された｡愛知県と名古屋市を除く県下自治体は､政務調査費の領収書まで公開して､公費の使用状況の公開度を高めているが､格段に高額を支給されている名古屋市議は相変わらず使細の公開を拒んでいる｡
　他の自治体議員の使用状況を見れば､名古屋市議の場合､高額の政務調査費はとても使途制限の範囲内では使い切れないのではないかと思われる｡
　このような疑念を晴らすためにも､領収書を含む明細の公開は避けられない事態である｡
　それにしても、民主党市議団の支出1億6千万チョッキリというのはスゴイ、なかなかこう行くものではない

オンブズマン＆タイアップ 合同総会と懇親会

日　時　：　7月12日　土曜日　午後3時から総会　5時から懇親会　
場　所　：　かっぱ園菜館　東区泉1-9-28　電話　052-951-3454
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　地下鉄｢高丘｣１番出口から北（東方端方向）へ二本目西（左折）へ200ｍ右側
　会　費　：　お酒を呑む人　６，０００円､　呑まない人　５，０００円　
　申し込みはFAXで　052-961-1615（滝田法律事務所）　又は　052-953-8050　へ
　　　　　参加資格制限はありません｡どなたでも参加出来ます｡多数の参加をお待ちしています｡

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