公開度で最下位は東京都。閲覧手数料を徴収することで失格となり､総合順位はつかない上､透明度でも最も公開度の低い都道府県となった。すべての点で東京は情報公開ﾜｰｽﾄﾜﾝ。

　東京都には土地開発公社が無いので､住宅供給公社を対象とした。この項目で東京都からｸﾚｰﾑついたが､同様に住宅供給公社を対象とした愛媛県は24ﾎﾟｲﾝﾄを獲得している。

　そのほか､東京都警視庁は､2002年度激励慰労費で1億2千万円(！)も飲食に使いながら､出席者を公開しない､警視庁の定期監査での委員の質疑内容の公開もないなど､東京都の情報公開には見るべきところは全くない。

　相変わらず九州では低迷が続く。九州各県では市民の眼をおそれる何か大問題を抱えているのか。情報公開請求をする市民を敵視する姿勢が県庁内にあるのか。九州の知事たちは情報非公開の風土から脱却すべきだ。

　過去の成績上位から低迷している自治体がある。長野県は前回18位今回は35位､前々回6位の北海道は前回22位今回は43位に､4回連続ﾍﾞｽﾄ10入りの高知県は前々回が18位前回34位今回24位と下落傾向。知事の情報公開に対する高い意識が､県庁全体に及んでいないのではないか。

大阪市の低迷

　政令市では大阪市の低迷が目立つ。大阪市は2001年度､全国で最も多額の交際費を支出していた自治体(年間1億7000万円以上)であることがわかり､2003年8月の全国市民ｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝ大会で問題とされたが､今回の調査でも相手方情報の多くを公開しない。公表できない特殊な目的に交際費が使われているのではないかと疑いが強い。情報非公開の影に腐敗あり､最近の道警や県警による裏金つくりの事実は､そのことに例外がないことを示している。

土地開発公社
　取得価格では地番ごとの価格まで公開しているのは5府県(三重､福井､沖縄､岐阜､京都)と3市(横浜､千葉､川崎)。不当な価格で土地が購入されたかどうかを市民が知るためには､地番ごとの取得価格の公開が必要である。
　積上価格の利息は36府県は公開し､残りは記載なし。利息がどの程度自治体の財源を圧迫するかはきわめて重要な情報である。記載すらないことは､塩漬け土地に多額の税金を投入することについて市民に責任をとろうとする意識がないとしか思えない。
公社条例実施機関化の遅れ
　公社が実施機関になっていたのは鳥取県と岡山県､福岡市の3自治体のみ。逆に京都府と熊本県は情報公開規程すらない。今回の調査で45都道府県と13政令市の公社について直接情報公開請求ができることが判明した。
警察激励慰労費
　激励慰労費とは､捜査活動に従事した警察官が飲食に用いる経費で､財源は国費と県費。
調査の結果
　氏名を全面公開している県警本部は無い。参加者の記載がなかったのは6都県(沖縄県･岐阜県･千葉県･神奈川県･福岡県･東京都)､警部以下の氏名非公開は2県(静岡県･山梨県)､その他39道府県が警部補以下の氏名が非公開。身内だけの激励慰労会の出席者名簿を作成しない6都県は問題外である。
　警部補以下氏名を非公開としている県が多いのも問題。鳥取県警は､地元のｵﾝﾌﾞｽﾞﾏﾝが提起した鳥取県警の食糧費公開に関する裁判で､警部補以下の氏名公開の判決前に､規則で｢警部補以下の氏名は非公開とする｣と定めた。警部補以下氏名の非公開取消判決は確定し､公開が命じられたが､新たに作った規則を盾に､未だに公開していない。
　不正がないから非公開､ではなく､不正がないから公開､が県警の信頼回復に最も求められていることのはずである｡
制度運用
　昨年､ｺﾋﾟｰ代1枚10円の地方自治体は28府県､今年は35自治体になった。｢ｺﾋﾟｰ代10円は標準｣はますます強まった。20円を徴収している12自治体(東京､山梨､新潟､兵庫､広島､島根､香川､福岡､長崎､熊本､鹿児島､宮崎)中5県が九州というのも､ｺﾋﾟｰ代のｶﾙﾃﾙでもあるのか､と疑われるが､佐賀県は今年10円に値下げした。
失格について
　閲覧手数料を徴収する自治体は例年同様､失格とした。都道府県､政令市での失格は東京都だけ。
まとめ　
　二極化と、九州地区の公開度が低いことを昨年来指摘してきた。
　しかし､その九州でも佐賀や大分など、少しずつ公開度の改善をしている自治体も出ている。情報公開制度の遅れている自治体はやはり少数派になっている。
　今年の福井県のように、新知事誕生が情報公開度ｱｯﾌﾟの原動力になった、と思われるところもある。しかし、いったん上位評価を受けても、翌年の調査では順位を後退させる自治体も多くなっている。
　行政や地方政治が新しい問題に直面する度に、どのような情報を公開しなければならないか、というテーマも新しくなる。一度の見直しだけで情報公開制度は完成するのではない。そして、情報公開制度の改善を常に検討する、ということは、自治体運営への市民の参加に対する首長の考え方が常に問われている、ということである。情報公開度の低い自治体の首長は、情報公開制度を行政目標に対する広報制度の一部として位置づけたり、行政に反対する市民の意見を雑音としか考えていないのではないだろうか。
　第一次調査の結果を各自治体の情報公開担当者の方に送付し、それぞれの自治体の方々から寄せられた意見も参考にしながらランキングを作成した。お寄せくださった方々に感謝します。
その他詳細は　http://www.jkcc.gr.jp/rank/08_01.html　を参照されたい｡

【　番外編　】　
コピー用紙価格比較　 今回コピー用紙の予定価格をランキングの対象にしたが、その副産物として各自治体がいくらでコピー用紙を購入しているかが判明した。これを踏まえ、コピー用紙の契約について気づいた点をレポートする。
◆ 最も安く購入している自治体、最も高 い自治体　A4コピー用紙2500枚当たりの単価を調査してみたが、今回調査中最安値は福島県で、2500枚で944円で契約している。反対に、最も高いのは和歌山市で3,300円で、3倍の開きがある。
◆ 用紙のメーカー指定が高値の原因
　コピー用紙をメーカー別に指定している自治体が多くみられるが、これが落札額高騰の原因となっている。民間のオフィス宅配大手のカタログ価格よりも安価な1,200円未満で購入している自治体は40あったが、メーカー別に指定していた自治体はここには含まれていない。逆に民間のオフィス宅配より明らかに高額の1,500円以上で購入している自治体は19もあったが、内、10がメーカー別に紙を指定している。
メーカー別に指定して購入すると、入札業者数が限定されて高価になることがデータから推測できる。　　また、コピー機と包括契約をしている自治体もあるが、それも高価になる傾向が見られる。他にも、広島市や福井県など各課ごとに用紙を随意購入している自治体は割高になる傾向がみられる。購入方法を検討してもらいたい。