名古屋市民オンブズマン        第149号 2005年2月8日
タイアップ NEWS
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名古屋市民オンブズマンタイアップグループ機関誌1995年10月25日第1号発行
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中部地方整備局へ随意契約について質問状提出
 
 名古屋市民オンブズマンが情報公開によって入手して資料から、中部地方整備局(中地整)は(社)中部建設協会へ、年間約360件100億円の事業を随意契約で委託していたことがわかった。
 会計法では、契約に際し入札乃至相見積りの徴収を義務づけており、これに寄らない随意契約は他に業者がない、機密保持が必要など、特別な要件がある場合に限られている。
 今回の随意契約でも機密保持などが理由であると説明されているが、契約内容にはその要件があるとは認めがたいものが少なくない。
 例えば、委託業務「平成15年度交通事故統合データベース作成業務」(1,250万円)の随意契約理由書には、「本業務の実施には、管内道路状況を十分把握しており、公安委員会から提供される交通事故データなどから行うデジタル道路地図へのデータ変換など、道路管理を補完しうる行政面の豊富な知識と経験が必要とされる。中建協は、本業務に必要とされる行政面の豊富な知識と経験と業務遂行能力を有する機関である。よって、会計法29条3第4項及び予決令第102条4第三号の規定に基づき、中建協と随意契約しようとする」としているが、これが他に適当な委託者がないこととはならない。
 さらに、この理由では会計法の随意契約要件である「契約の性質又は目的が競争を許さない場合、緊急の必要により競争に付することができない場合及び競争に付することが不利と認められる場合」に当たらないことは明白だ。
 また、委託業務で「続・木曽三川の治水史を語る」を発行しているが、その内容には機密性はまったく感じられないし、編集に当たって随意契約で期待すべき特殊な能力が必要とも考えられない。
 それのみか、この出版業務は1000万円で契約されているが、印刷物の厚さは約4cm、発刊はわずかに100部で1部当たり10万円、非売品として内部に配布されているのである。
 これを税金の無駄使いと言わずになんと言うのだろうか。
このように随意契約理由書で理由にもならない理由を付け恣意的に身内に業務を振り向けている。
 その結果が下グラフのよに殆どが99%以上というような常識はずれの高い契約率(契約金額対予定価格)となって現れている。
 
中地整入札監視委員会へも申し入れ
 名古屋市民オンブズマンは、上記質問状の提出と同時に、中部地方整備局の入札監視委員会第一部会あてに、中地協への特命随意契約の当否を調査し、競争入札の導入などの指導をするよう申入書を提出。
会計検査院公正取引委員会にも
 全資料を提出して調査を求めた。
 公正取引委員会は、本件は一義的には会計法上の問題であろうとしながらも、談合等の有無についても調査する意向を示した。会計検査院へは郵送。

(社)中部建設協会、建設行政の推進と建設事業の進展に寄与することを目的とし1966年設立、名古屋市に本部を置き東海4県下に12支所がある。役員は理事14名(内常勤役員は理事長専務理事を含め4名内3名が中地整OB)、監事2名で内5名が中部地方整備局(旧中部地建)OB。2003年度収入は約116.5億円で内105.6億円が中部地方整備局からの受託業務。職員数約400名。
 
中部地方整備局と中部建設協会間 契約率=件数グラフ
 
*ここ数年の談合追求などの結果、官公庁での通常入札あるいは相見積もり契約では予定価格の95%前後での成約が常識となってきた。もちろんまだまだではあるが。
 
社団法人中部建設協会への特命随意契約に関するお尋ね 要旨
 
 私たちは今般、御庁への情報公開請求の結果、御庁は2003年度の1年間で360件の事業について〈社)中部建設協会に特命随意契約で業務を委託していることがわかりました。これら360件の契約の平均落札率は99.6%、ほぼ予定価格で契約していることになります。これによる合計契約金額は税抜95億7千万円に上ります。
 相見積もりをとることなく、予定価格の99.6%もの高い落札率で随意契約を締結しているという実態は、市民感覚からすれば、税金をOBに対する利益供与の目的で遣っているとしか思えません。
 しかし、これは相見積もりをとることを義務づけた会計法29条の3に反することは明らかです。
 これに対し御庁は、業務の秘密保持に対する信頼性から特命随意契約とした、という説明をしています。しかし、機密保持を実現するためには、業務のすべてについて同協会の職員が実施することが必要なはずですが、年間360件にも及ぶ委託業務のすべてを協会の職員のみで実施できるとは考えられず、ほとんどの業務について再委託せざるを得ない筈です。現にいくつかの事業について、再委託を受けている民間業者の存在が確認できます。
 そうである以上、再委託業者等を含めた競争入札によって委託者を選定すべきであり、秘密保持の観点での特命随意契約を主張されることは、おおよそ合理的とは思えません。
 またたとえば、御庁が協会に1000万円で委託した『続・木曽三川の治水史を語る』を見てみても、特命随意契約の合理性を支える、編纂に関する特別な能力や知識が必要なものであったとも考えられません。
 結局のところ、御庁の説明には説得力があるものとは思えず、私たちとしてはこれらの業務委託は会計法29条の3に違反すると考えざるを得ません。
 御庁に対して、以下の点をご説明いただくよう、求めます。
1,特命随意契約での委託業務に ついて、今後競争入札を導入 することを検討していますか。 検討していないとすれば、その 理由もお答え下さい。
2,今後も随意契約を継続すると して(あるいは継続するものに 対して)、(社)中部建設協会以 外から見積書を取ることは検討 していますか。検討していない としたら、理由は何ですか。
 以上の点について2月24日までにご回答をいただきたく存じます。
2005年2月3日
名古屋市民オンブズマン
代表 佐久間信司
 
−中部地方整備局で慣例を破るチョットした出来事−
 
 2月3日、中部地方整備局(中地整)へ上記質問状提出の際、チョットした出来事があった。
 最初われわれは今日のところは文書を提出し大体の趣旨を説明するだけのつもりでいた。
 オンブズ側は6名、それにカメラを含むマスコミ人が10名ほどである。 ところが中地整側は会議室を用意していてくれて、ある程度の話し合いと回答をするすもりだったようだ。
 通された会議室で、中地整側5名程と対面して座り、周囲をカメラと記者が取り囲む形になったが、中地整側は最初の挨拶後マスコミの退席を要求、オンブズ側はどうせ記者会見で全部話す事だと同席を主張、中地整は慣例でからと押し問答。
 ここで中地整に促された形でマスコミは全員退室し始めたが、殆ど部屋を出たところ、オンブズ側が押しとどめた形になり、結局最後まで同席する結果となった。
 話の内容に公開をはばかる必要は考えられず、もしそうなったらその段階で退席を求めればいいことで、慣例のみでマスコミに退席を求めるとは、相変わらず情報公開に後ろ向きな姿勢だが、今日の出来事は期せずして慣例破りの結果を得たと言えよう。すくなくともわれわれに関しては、今後記者への公開が約束されたわけである。

今年は補助金に注目第二弾
県下32市の補助金規則を調査
なんと県下32市中4市には統一規則がなかった−

 名古屋市民オンブズマンが愛知県と県下2市および政令市の補助金関係法令調査したところ、県下の32市中27市には、補助金規則等があるが、名古屋市を含めて瀬戸・半田・東海・岩倉の5市には全体をまとめる規則が無く、必要に応じて要綱などを作って対応しているという。
なお、尾張旭市だけは条例化して議会のチェックを受けるようになっている。
 なお、今回のアンケートにより各市から提供された補助金金額等は整理次第公開する。
 
愛知県議政務調査費返還訴訟
札幌高裁判決を受けて1月26日、名地裁で会派会計責任者の証人尋問
 この訴訟は県議選挙が行われた2001年4月に、県議会各会派が超多忙な選挙中にもかかわらず、議員一人当たり50万円の政務調査費を使い切っているとは到底考えれないと、その使途について説明を求めたことに発しいている。
 当日は自民・民主・公明の各会派会計責任者が法廷に立ち、原告被告両サイドの弁護士からの尋問に答えた。
 尋問・回答の主な内容は、
自民党・・引退で4月の選挙に出ない議員の政務調査費もある。
 4月分政務調査費には3月分の光熱費やタクシー代も含まれる。
 光熱費は議員個人事務所の光熱費で、調査研究のためだけに借りた事務所である。
 会派は60名で帳票類も多いので、各自保管し必要に応じ提出を求めて調査する。
 選挙議員の政務調査活動も、補助者が代行することもある。
 実績報告書は政治活動の自由が侵されるので提出出来ない。
*なぜ犯される?には回答なし。
*調査活動の内容についても回答しない。
 各自が保管している領収書のチエックはしない。
*裁判所からの質問:会派主体の調査研究活動はないのか?
 回答−ない−
民主党・・4月分の政務調査費には3月光熱費・タクシー代・広報・資料などの印刷代などが含まれる。
*3月は決算期で会計上繰越金になっているのではないか?には回答無し。
 選挙がある議員は調査研究活動はしないし、請求もしない。
 政務調査費には個人の人件費・事務費も含んでいる、政務調査費と他の費用との振り分けは案分している。案分の内容は日常の活動でわかる、見当がつく。
 政務調査費の実績報告書を提出する意志はない。
 議員に案分した残りの約240万円も、個々の議員の費用で超過したというものに分配した。
 個人が借りている事務所の光熱費の請求は全員ではない、ガソリン代も全員ではない。GSの請求額中のどれだけが調査研究に当たるかは見当でわかる。
公明党・・4月分には共通経費・新聞代、事務用品費、FAXリース費などがある。3月の光熱費も入る。
 などと、前二会派とほぼ同様な発言。
 実績報告書を提出する意志はない。
 特異なことは、デスクパソコン、ノートパソコンを個々の議員が購入し、個々に自宅などで調査研究専用に使用しているという。
*次回3月9 日で終結 の予定*

札幌高裁・札幌市議の政務調査費に違法支出の判決
=判決文中の決め手= 
1.政務調査費は調査研究に必要な経費であっても、会派の行う調査研究でない場合には認められないー
2.政務調査費が、第2の議員歳費であってはならないー
2004年10月20日札幌高裁判決
主 文(要約)
(1)被控訴人(札幌市議会自民党議員会)は、札幌市に対し、1542万0165円及びこれに対する平成14年8月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2)以下省略
判決文の要点とまとめ
要点 地方自治法100条12項及び13項は、議会における会派又は議員に対する調査研究費等の助成を制度化し、併せて、その使途の透明性を確保しようとするものである。
 札幌市議会政務調査費の交付に関する条例第5条(使途の基準)は、「会派は、政務調査費を、市政に関する調査研究に資するために必要な経費以外のものに充ててはならない。」とし、情報公開を促進する観点から、その使途の透明性を確保しようとするために、交付することに関し必要な事項を定めるという趣旨で規定されている。
 被告は、政務調査費の具体的な使途等については、各議員の政治活動の内容そのものに関わる問題であり、その明細を明らかにするのは相当でなく、またその必要性もないとして、政務調査分担費を会派のために使用したとの立証をする意思はないというが、そうすると、政務調査費を会派のために使用したとの立証のない本件では、各議員に支出した政務調査費は、本件条例に違反する違法な支出である。
まとめ 以上のとおり、政務調査費を会派のために使用したとの立証のない本件では、被控訴人が政務調査費として各議員に配布した1542万0165円の支出は、本件条例に違反し、違法であり、札幌市は、少なくとも同額について法律上の原因なく損失を被っているといえるから、不当利得として返還請求できるものといえる。

福岡・警察問題シンポジウム
 
 2005年2月5日福岡県弁護士会館で市民オンブズマン福岡主催の警察問題シンポジウムが開催された。
警察裏金疑惑の追及のため、元警察官や市民オンブズマンら数十名が出席したシンポジウムでは、前半に福岡県警の捜査報償費支出に関する内部調査のあり方について報告され、福岡県警の内部調査では、適正に支出されたと認定する判断基準が緩やかであること、調査方法の聴き取りの内容が公開されず調査の内容が不明確だ、などいくつかの問題点が指摘された。
また、元釧路本部長原田宏二氏が裏金作りの仕組みを説明して、北海道警の内部調査結果との比較などの解説を加えた。
後半では、上記原田氏や、元弟子屈署次長斎藤邦雄氏らをパネリストとして警察問題の今後の取り組み方について議論された。その中で「警察が内部調査に基づく中途半端な処分で裏金問題に幕引きを図ろうとしていることは明らかで、追及を怠れば裏金づくりの慣行は今後も続き、現場警察官の士気低下は避けられない。」「領収書偽造等による裏金作りはもってのほかだが、現実に支出された費用はきちんと現場の警察官に支払われるべきだ。」「現場の警察官が働きやすい環境を作るためにも裏金づくりの慣行を止めさせなければ。」「この問題は、全国の警察の問題だ、福岡県警に対しても引き続き追及が必要。」などの議論が交わされ、最後に 1.福岡県警による裏金問題の幕引きを認めない、 2.福岡県警の問題は、明るい警察を実現するネットワークと協力して取り組んでいく、 3.当シンポジウムに参加した全員が警察裏金問題の取り組みを続けていく、旨のアピールが採択された。
 シンポジウムは大変有意義なものであったと思うが、元および現職の警察官が裏金づくりについて発言しようとしても、報道機関のカメラが気になり、なかなか発言ができない雰囲気だったのではなかったかと危惧される。
 内部告発が決定的に重要な役割を果たすこの様な取り組みにおいては、告発者の立場を最大限に尊重した対応が望まれるのではないかと思われた。(佐竹靖紀)
 
NHK問題二つの論点 公共放送の中立性とは
 
 与党に事前説明するのは当然の業務、などという幹部がいては国営よりしまつが悪い。
 次元の低い朝日新聞とのドロ試合にもあきれるが、権力におもね、ジャーナリズムを否定する姿勢は報道機関としての存在意義に関わる最重要な課題のはずだ。
 例えば、取材スタッフが海老沢会長(前)室へ突撃取材する様子などを、たとえヤラセでも放映するくらいにならないとだれも信頼しようとはしないだろう。
 そもそも、「不偏不党中立公正」などあり得ないことを、誰かが決め得ると錯覚しているようだ。不信不満の表明として起きた受信料不払い。40万件などといっているが、HP上で不払いに賛同するヒット数だけでも70数万だ。
 自動的に収入が沸いて出ると思っていた体質が招いた危機だが、払わないでも済むことを知った以上、回復は不可能だろう。事業収入(6738億円)の約97%を受信料に頼っているNHK、この線からでも危機は避けられそうもない。
 
受信料を支払うか 契約とは拒否出来るモノでは?
 
 放送法では「放送を受信する受信設備の設置者は、受信契約をしなければならない」と決めている。だが、契約とは両者の合意で結ぶモノで、一方的に契約を義務づけることが出来るのか?
CATVは無線ではないが? 放送法では「放送とは、公衆によつて直接受信されることを目的とする無線通信の送信をいう。」と定めている。
 CATVは有線で無線放送ではない。放送法で言う「放送」を直接受信していないCATVの視聴者への受信料請求はおかしい。
罰則無き受信料がベストか? このところ英国BBCがよく話題に上る。そしてBBCには受信料不払いに罰則があるが、罰則が無くても順調に運営されているNHK方式は世界に誇るべき制度だから大切にとNHKは言う。
 だがここに、お上が怖い日本人と、法律は王室や政府の専断を抑えるモノという英国との違いがかいま見えるのでは?
 ずっと昔、受信料未払いの家から放送局員が受信機を持ち去る光景を実際に見た記憶がある(戦前)。
 いまのNHKに逓信省お役人気質の残渣はないのか?(柴田孝介)
 日程 : 名古屋市民オンブスマン・タイアップグループ     2005年2月以降 
時間 行 事 ・ 裁 判 ・ 催 し 場    所

 
24
 

 
18:30 オンブズ講座「個人情報保護」
 
リブレ法律事務所
 

 

 

 
10:00 県内政務調査費最終弁論
 
名地裁1101号法廷
 

 
17
 

 
15:00 万博やめたらどうなる情報公開訴訟判決 名高裁
 

 
17
 

 
18:30 オンブズ講座「住民訴訟」
 
リブレ法律事務所
 

 
22
 

 
10:00 部会弁護士費用最高裁弁論
 
 
 
毎週火曜日に例会としての火曜会をリブレ法律事務所(大津橋南100m東側、リブビル6F)で開いています
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