名古屋市民オンブズマン        第151号 2005年4月5日
タイアップ NEWS
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名古屋市民オンブズマンタイアップグループ機関誌1995年10月25日第1号発行
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自治体で11,760円が国では89,100円とは?
国の制度は情報公開を妨害している
 名古屋市民オンブズマンが、国交省中部地方整備局に「中部建設協会との契約落札価格見積書」等を情報公開請求したところ、公開費が89,100円もかかった。
 同様な公開、地方自治体なら11,760円で済む。ただし、東京都だけは手数料を取るので国と大同小異だが。
 問題は情報が入っているファイル毎に公開手数料を1件分取られることだ。
 今回の請求対象はファイル数297とかで、請求手数料は1ファイル300円だから、297x300円=89,100と言うわけだ。
 請求する側はファイルを見せてくれと言っているのではない。
 行政の都合でファイルしてあるものを、なぜわれわれが負担しなければならないのか。
 公開された枚数は1,176枚、自治体なら1枚10円だから11,760円である。
情報公開法の制度運営に関する検討会あて
開示請求にかかる手数料廃止等を求める意見書提出
 名古屋市民オンブズマンは、05年3月9日「情報公開法の制度運営に関する検討会」(小早川光郎座長)に下記趣旨の「開示請求にかかる手数料廃止に関する意見書」を提出した。
手数料徴収の廃止
 国のファイルの整理方法一つで 莫大な費用がかかるのは、情報公開にとって莫大なバリアになる。
 現行の「開示請求手数料」は、情報公開請求を制限したいためと思わざるを得ない。
コピー代を10円に
 ほとんどの都道府県と政令市のコピー代は1枚10円である。
 情報公開法第1条の趣旨を生かすため「開示請求にかかる手数料」を廃止し、コピー代を10円とするよう検討を求める。

全国情報公開度ランキング
 全国市民オンブズマン連絡会議は、3月18日第9回情報公開度ランキングを発表した。
 都道府県のベスト5は、岩手・宮城・鳥取・長野・神奈川と然るべき首長の県が並ぶ。島根・広島・福岡が最下位を争うが、手数料を徴収する東京都は相変わらず失格。
 近県では三重の11位、愛知は30位、岐阜37位。政令13市は横並び傾向が強く、名古屋は6位と見事なホドホド順位。職員互助会問題で大いに名を挙げた大阪市はさすがに最下位13位を堅持した。 今年も第一次調査の結果を各自治体の情報公開担当者の方に送付し、それぞれの自治体の方々から寄せられた意見も参考にしながらランキングを作成した。今回の調査では50通を越えるファックスでの申し出が寄せられた。
 今年も意見の採否と理由については原則としてすべての意見に文書でお返事をしたが、そのすべてを本コメントでふれることはできまかった。
 その点をお詫びするとともにご意見をお寄せくださったことに感謝致します。
詳細は情報公開市民センター第9回情報公開度ランキングhttp://www.jkcc.gr.jp/rank/9/09_01.html
 
区政協力委員会補助金1億4千万円の垂れ流し
区政協力委員会決算報告は無監査状態
 任意団体であるはずの町内会長に委員を依嘱する、名古屋市独特の区政協力委員制度は、地域の振興をお題目に、町内会を半官半民のヌエ的存在として上意下達を計る巧妙な制度だ。
 市は区政協力委員会に運営補助金をつけ、委員会の事業計画に関係なく割り当て押しつける。
 毎年予算書決算書を提出させて、委員会の申し出によって補助金を出すような名目を作っているが、実態は渡し切り補助金。
 名古屋市民オンブズマンが、平成14・15年度の区政協力委員会決算書を精査したところ、平成15年度の予算書に記載されている前年度繰越金が、前年度の後期繰越金と合わない決算書が少なくとも22学区あった。
市職員が文書改竄してまで全額支給する、等々について、松原市長に
区政協力委員会運営補助金の調査を申し入れ
 さらに、補助金が余ったという区政協力委員会の決算書の支出額を改竄してまで、補助金が返却されることを防いだという、信じられない事実まで判明。
 これは公文書偽造ではないかという疑いをもたれるに至った。
 そこで、名古屋市民オンブズマンは3月24日、松原市長に対してこれらの問題の調査と説明を求め申入書を提出。間近に控えた市長選挙の判断材料にしたいと考るので、4月4日までの回答を求めた。
*4月4日、市から回答は遅れると連絡があった。

申入書要旨
1.行政文書偽造改竄の疑い
 千種区大和学区区政協力委員会の平成15年度予算書・決算書が、改竄または偽造された疑いがあるので、事実関係を調査し公表すること。
2.補助金の決算処理
  同区政協力委員会の平成14年度学区補助金の決算に際し、委員会が提出した決算書の補助金関連事業の支出額が、補助金金額に達しなかったため、市職員が決算書を改竄して返却を回避した疑いが濃厚である。この経緯を調査し公表すること。
3.市長の見解表明を求める
 全区政協力委員会の両年度予算書・決算書には、繰越金が合致しないものが22学区、前期・後期繰越金が0円とする学区が100近くあるなど公金を処理する文書として看過出来ない問題点があまりにも多い。
 市長選挙を間近に控えて、これらの問題に関する市長の見解を求める。
4.補助金等交付規則の制定を
 補助金等交付規則を、期限を定めて制定すること求める。
申入書全文は:http://www.ombnagoya.gr.jp/dekigoto/05.03.23.mousiiretoSI.rtf

札幌高裁・札幌市議の政務調査費に違法支出の判決
1.政務調査費は調査研究に必要な経費であっても、会派の行う調査研究でない場合には認められないー
1.政務調査費が、第2の議員歳費であってはならないー

2004年10月20日札幌高裁判決
主文要約
(1)被控訴人札幌市議会自民党議員会は、札幌市に1542万0165円及び平成14年8月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2)以下省略
判決文の要点とまとめ
要点 地方自治法100条12項及び13項は、議会における会派又は議員に対する調査研究費等の助成を制度化し、併せて、その使途の透明性を確保しようとするものである。
 札幌市議会政務調査費の交付に関する条例第5条使途の基準は、「会派は政務調査費を市政に関する調査研究に資するに必要な経費以外に充ててはならない」とし、情報公開を促進する観点から、その使途の透明性を確保するために、交付することに関し必要な事項を定めるという趣旨で規定されている。
 被告は、政務調査費の具体的な使途等については、各議員の政治活動の内容そのものに関わる問題であり、その明細を明らかにするのは相当でなく、またその必要性もないとして、政務調査分担費を会派のために使用したとの立証をする意思はないというが、そうすると、政務調査費を会派のために使用したとの立証のない本件では、各議員に支出した政務調査費は、本件条例に違反する違法な支出である。
まとめ 以上のとおり、政務調査費を会派のために使用したとの立証のない本件では、被控訴人が政務調査費として各議員に配布した1542万0165円の支出は、本件条例に違反し、違法であり、札幌市は、少なくとも同額について法律上の原因なく損失を被っているといえるから、不当利得として返還請求できるものといえる。

2003年度県下政務調査費市民監査報告
詳細は名古屋市民オンブズマンHP http://www.ombnagoya.gr.jp「特集:政務調査費」に
 今回は愛知県内の03年度政務調査費による視察を調査した。
 政務調査費については、04年10月札幌高裁で、会派の政務調査以外の支出は違法という判決が出され、使途を立証しなかった会派に政調費の返還を命じた。
 この判決では政調費を議員個人の資質向上に使うるのは違法とし、政調費が議員の第二給与だという傾向に歯止めをかけるものである。
 この判決でこれまでの「良い経験だった」「百聞は一見にしかず」などという視察の違法性が問われることになる。
 今回はこの判決例も念頭に、名古屋市、愛知県を除く上位50会派の視察を調査した。
調査の結果
(1)多人数での視察が多すぎる 事前に下調べを行い、少人数で視察すればよい。
 行き先が見つけられないような議員に視察は不必要。
(2)奇妙な視察
 海外視察に出かけたのは豊橋市の清志会だけで、SARS対策の視察のためにシンガポールに、ソウル市のワールドカップスタジアム等や釜山市の市場等の見学のために韓国に出かけている。ソウル市や釜山市の視察が豊橋市政とどういう関係があるのか。
 他の自治体にも定番化しつつあるのが「根室市での北方領土の視察」。前年は豊明の会派が行ったが、今回は津島市の新生クラブ、一期一会が行った。
 北方領土返還は重大な政治課題であるが、自治体の議員が視察をすることが市政とどう関係するのか。今回の視察を津島市政にどのように生かしたのか。
 岡崎市の会派が「海水淡水化施設」「ダム浄化場」見学をした。岡崎市には海やダムはない。7回の視察中、6回が博物館、美術館、記念館の見学だった、という議員もいる。
 知多市の明和会は2泊3日で那覇市、沖縄市、石川市、糸満市へ。これは視察でなく社会見学。 
(3)そこに行く必然性がない
 夏は北海道や東北に、冬は沖縄や九州に、という傾向は相変わらず。視察のほとんどが「なぜそこに行く必要があったのか」という点が理解できない。 豊川市の市民クラブは恵庭市でコミュニティーバスの運行を視察、コミュニティーバスは愛知県内の21市17町で走っているのだが?
 伊達市でのごみ有料化、江別市での病院機能評価の視察のために北海道に行った西尾市の市民クラブ、などもそこに行く必然性が見られない。この傾向は多くの会派に共通する疑問だ。
 そこに行って参考になった、では足りず、具体的な会派の調査活動でなければならない。今回の視察記録を見る限り、政調費が出るから、使わないと損だ、という発想から抜けていないように思える。
むすび
 政調費でどこへ、何を視察目的として出かけたか、という記録は、その会派の問題意識の深さや調査能力を示すものだ。集団での視察しかできない議員や会派は、調査能力がないことを示しているし、観光旅行としか思えない視察をしている議員は市政に対する問題意識の低さを示している。
 今回の調査でも、政調費の支出は税金の無駄使いだと思えるものが目立った。
 その一方で、碧南市には、政調費を請求しないにもかかわらず、地域に根ざした議員活動をしている議員、会派がある。
 最後に、相変わらず今年も、名古屋市と愛知県の政調費使途の非公開が最大の問題であることを指摘せざるを得ない。
 札幌高裁の判決を真剣に検討すべきではないか。
 愛知県、名古屋市各議員の政調費使途の公開を強く求める。
       2005年3月28日
愛知県市民オンブズ連絡会議
(市民オンブズ岡崎、市民オンブズ知多半島、豊橋の情報公開をすすめる会、名古屋市民オンブズマンタイアップグループ)
                            
”瀬戸市議加藤徳太郎さん、万博開催式に招待されず”
これは現代の村八分だ!!
 瀬戸市議として愛知万博開催に反対した加藤徳太郎さんに、国際博覧会協会は万博開催式典出席を拒否した模様。協会側は拒否した理由を「加藤さんは開会式当日に抗議行動を計画しており、祝典の場に呼ぶのはふさわしくないと判断した」と毎日新聞の取材に答えている。
 瀬戸市議会議員全員に、愛知万博開催式典案内状が送られた。出欠の確認があったので加藤さんは出席の返事をした。 しかし、3月22日瀬戸市議議会事務局より「あなた(加藤さんのこと)の分だけ”招待状”が届いていない」との報告を受けた。
 これに対して、加藤さんは、「どの様な理由で開催式典招待状配布をとりやめたのか?」について万博開催式出席拒否についての質問と申し入れを、国際博覧会協会理事長宛てに行なった。
 意にそわない人間を、しかも、有権者から選挙にて選ばれた市議を、もっと言えば瀬戸市議の中で加藤さん一人を、開催式典への参加を拒否したわけだ。これが博覧会協会の考え方なのか?21世紀最初の万博における”隠れた汚点”となる事件ではなかろうか。 博覧会協会の回答を追って掲載する予定。

愛知県下32市の補助金関係アンケート調査結果
補助金規則の無い市には、強く例規の制定を求める
県内全市の補助金関係調査(2005年3月1日)


































 


 
自治体

 
補助金
例規等
 
補助金金額

 
H15年歳

百万円
歳入
比%
 
1 名古屋 ナシ 55,585,766,000 2,519,281 2.21
2 豊橋市 規則 8,384,375,000 106,298 7.89
3 岡崎市 規則 2,703,479,643 91,357 2.96
4 一宮市 規則 2,132,892,000 67,403 3.16
5 瀬戸市 ナシ 783,772,124 34,342 2.28
6 半田市 ナシ 630,612,067 36,042 1.75
7 春日井 規則 1,755,879,000 71,854 2.44
8 豊川市 規則 1,607,997,672 35,013 4.59
9 津島市 規則 514,614,461 17,347 2.97
10 碧南市 規則 4,541,357,196 27,940 16.25
11 刈谷市 規則 1,517,077,277 43,427 3.49
12 豊田市 規則 11,269,194,527 131,673 8.56
13 安城市 規則 2,349,068,148 50,244 4.68
14 西尾市 規則 949,660,824 28,692 3.31
15 蒲郡市 規則 587,169,000 26,685 2.20
16 犬山市 規則 471,388,000 18,960 2.49
17 常滑市 規則 748,428,642 19,731 3.79
18 江南市 規則 2,087,942,020 23,389 8.93
19 尾西市 規則 316,956,638 16,112 1.97
20 小牧市 規則 1,193,057,877 45,866 2.60
21 稲沢市 規則 4,665,487,573 29,109 16.03
22 新城市 規則 308,980,000 12,727 2.43
23 東海市 ナシ 769,933,395 34,698 2.22
24 大府市 規則 1,686,181,669 20,878 8.08
25 知多市 規則 555,277,909 22,574 2.46
26 知立市 規則 464,250,000 15,788 2.94
27 尾張旭 条例規則 945,427,543 18,609 5.08
28 高浜市 規則 283,023,686 11,855 2.39
29 岩倉市 ナシ 117,155,000 11,936 0.98
30 豊明市 規則 577,550,690 19,355 2.98
31 日進市 規則 1,829,104,542 18,065 10.13
32 田原市 規則 1,281,473,695 23,769 5.39
本年2月県下全32市に対して補助金に関するアンケートを行い、各市から左表のような回答を得た。
補助金の定義 しかし「補助金」を規定するに際して「補助金とは、補助金等適正化法第2条に定める「補助金等」に準ずるもの」 としたため、補助金金額の集計に統一を欠く結果となった。
この点申しわけなく思うとともに、表の金額参照については、この点考慮をお願いしたい。
 なお、アンケートの内容と各市の回答は
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/hojokinn/hojokinnkekka.htm
 に掲載しています。
補助金例規の制定 補助金例規は殆どの市が整備していたが、名古屋・瀬戸・半田・東海・岩倉の5市は総括的例規が無く、補助事業ごとに規程等で対応している。
 補助金は常に、恒常化や既得権化あるいは予算上に常套化するなどの危険性を持っている。これらを防止し、また、精算決算を実効性のあるものとするためにも、充実した交付基本規則の制定が是非とも必要でである。
 なお、名古屋市の昨年度包括外部監査は、「補助金等交付基本規則」の例文まで付けて、補助金規則の制定を強く勧告している。

岡崎市、天下り全廃!?
 3月1日読売新聞記事によれば、新年度より岡崎市職員OBの外郭団体天下り就職を全廃するとのこと。 今年1月、柴田紘一市長が「行政改革の新施策として3月の定年退職者から天下り就職をやめたい」と表明し、天下り全廃の運びとなった。この結果、今春定年となる36名のうち20人余が、自治体が年金受給年齢まで再雇用できる「再任用制度」によって平職員として再就職し、残りは自力で再就職先を探すことになり、天下りは0となる。天下り全廃の動きは、高く評価できる。
 しかし、昨今、平職員であろうとも再就職できるだけで幸せな時代なはず。そんな中「再任用制度」によって退職者の多くが再就職する「再任用制度」が、抜け道になっているのではないか?市民は本当に納得できるのか?こういう厳しい視点で実際の運用を見守りたい。
 
 日程 : 名古屋市民オンブスマン・タイアップグループ      2005年4月以降 
時間 行 事 ・ 裁 判 ・ 催 し 場    所
26 10:00 万博懇談会情報公開訴訟 名古屋高裁1部
26 10:30 部会弁護士費用訴訟判決 最高裁
30 10:00 愛知県議政務調査費住民訴訟判決 名古屋地裁民事9部
  *毎週火曜日午後6時半から例会・火曜会をリブレ法律事務所(大津橋南100m東側、リブビル6F)で開いています
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