名古屋市民オンブズマン        第153号 2005年6月14日
タイアップ NEWS
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名古屋市民オンブズマンタイアップグループ機関誌1995年10月25日第1号発行
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愛知県議の政務調査費訴訟
 
札幌高裁と正反対の判決
 
 名古屋市民オンブズマンが、県議選のあった平成15年4月分の政調費(政調費)が全額調査研究費に使われたなどということはあり得ず、目的外に使用されたに違いないとして、愛知県知事に対し県会の主要3会派に返還を求めるよう訴えた訴訟の判決が、5月30日名古屋地裁でありました。
 遺憾ながら、判決は「原告の請求を棄却」という議会に肩入れする時代錯誤なものでした。大変残念でオンブズ側は6月10日に名古屋高裁に控訴しました。
各地で政調費事件続発
 今回の名地裁判決を「時代錯誤」と批判する所以は、時を同じくして露見した名古屋市議会の自民党市議団長西村けんじ氏の政調費の不適切処理事件(250万円もの架空領収証を添付しての請求と、410万円の預り金の返還拒否事件等)や滋賀県議会の自民系会派が政調費の一部約1,600万円を調査業務委託費の名目で自民党県支部連合会に支出していた不祥事を念頭に置いてのことです。
領収書点検は空文 愛知県議の政調費でも自民・民主の経理責任者の証人尋問で、会派所属議員は領収証を提出せずに議員個人配分の政調費額を若干上回る実績報告書を提出するだけで、経理責任者は領収証を調べずに上限金額を配分したことが明らかになっています。
 会派から個別議員への政調費の配分が根拠のあるものかどうか全く保証がありません。公費支出の透明性が全くないのです。
条例は会派に交付と明記 確かに地方自治法上は会派だけでなく議員に対する政調費の交付も想定されていますが、法律を受けた愛知県の政調費条例では政調費は「議会における会派に対し交付する」と支給対象を会派に限定しています。
 にもかかわらず判決は、条例を受けた規程が第三者に調査委託した場合の調査委託費が使途基準として定められていることを手がかりに、会派から委託を受けた所属議員が行った調査研究活動に政調費を充てることを条例は否定する趣旨でないという。しかし証拠調べで明らかになったように、会派から議員への調査委託が現実にあったのかどうか疑わしいし、会派が主張する委託は包括的でほとんど無意味な内容の委託であって、議員による調査活動の成果物があるかどうかも不明な状態です。領収証を提出せず報告書の提出だけで会派から配分される調査研究費(自民は月額43万円、民主は月額40万円)は、実際には議員の個人的な必要に費消されている可能性がきわめて大きいと見るのが常識でしょう。
疑問だらけの事実認定
 判決は事実認定の面で証人として出廷した議員の供述を鵜呑みにした全く説得力のない判示になっています。そのため判決は「疑問の余地がないとはいえないが」「疑問がないではないが」など自信のない表現を濫発しています。
 この点を判決に即して具体的に指摘すると次のとおりです。
疑問点の具体的な指摘
 「会議の内容が政務調査活動といえるかどうか」「議員が個人で借りている事務所が政務調査活動以外の目的で使用されていないかどうか」「議員個人の事務所経費やガソリン・広報誌の印刷代が正確に按分されているかどうか」疑問がないではない。「共通経費の総額が端数のない金額になっていることは不自然」
 「会議に出席した議員に費用弁償として一律に1人15,000円を支給することが使途基準に適合するかどうか」「経理責任者が政調費についての証票類の整理・保管を各議員に委ねている点が規程8条の趣旨に沿うかどうか」疑問がないではない、などという具合です。
札幌と同じ条例なのに
 今回の判決は、ほとんど同様な内容の札幌市条例に関し、「政調費を充てることが認められる政務調査活動は会派が主体となって行うものに限られる」と判示した札幌高裁平成16年10月20日判決に抵触しますし、事実認定の面においても種々の事実誤認があると思います。
適正判決を求めて控訴
 名古屋市民オンブズマンは控訴して一審判決の取消・原告の請求認容判決を求めつつ、引き続き県市における政調費の使途の透明性を高める活動を強めて行きたいと考えています。
(弁護士 佐久間信司)
 
名古屋市会議長と各会派、公開質問状へ回答
 
会 派 名 政務調査費領収書公開に対する回答
市議長(佐橋典−) 各会派の意見を聞きながら、検討していきたい。現状では賛否を明確にいたしかねる。
民主党市会議員団 6月上旬を目どに回答させていただく。
自民党市議団 6月には会派内の意見を集約し返事させて頂くので、しばらく時間をいただきたい。
公明党市会識見団 6月上旬を目処に回答させていただく予定にしております。
共産党市議団 領収書公開に賛成(別紙で意見を主張)
市民ネット 回答未着(本人現在海外旅行のため連絡つかず)
ローカルパーティー名古屋 賛成、市民にわかりやすくするため支出項目の統一的な基準を作る必要がある
ともにネットワーク 賛成、@情報公開の対象にできるA領収書の改ざんを防止B責任の所在が明らかに
民主クラブ
 
領収書公開に賛成(別紙で意見
を主張)
 
桜井前議長の「各会派宛提案」にオンブズ再度申入書を提出
 自民党前市議団長の政調費不明朗会計問題で、桜井前議長は私案として「プライバシーや会派活動を保護する基本に立脚しながら(政務調査費収支報告の提出に際し)例えば5万円以上の領収書を添付する」事を自民党市議団に提示、試案として検討を求めるとともに、各会派にも提示した。
 
なぜ5万円以上なのか?
 名古屋市民オンブズマンでは、この前議長申し入れを重視、6月3日、佐橋現議長と、アンケートで今月中に公開の可否につき態度を表明するとした3会派に対して、再度右のような申し入れを行った。
 議長提案は、領収書の公開など話題にも出来ない市会内の感覚では、勇気ある発言と捉える向きあるようだが、このあたりにも市議の感覚が如何に市民のそれとずれているかが表れていると言えよう。
 
なぜ発生主義で出来ないのか?
 費用がかかった都度請求する。 これは、公私混同を避けるために、世間一般、普通に行われている常識的な方法だ。
市議さん達にだけ出来ないはずはないと思うのだが。
 
やはり政務調査費が多すぎて使い切れないのか?
 という疑問がいよいよ大きくなってくる。県内の他の全市で公開しているというのに。
 
政務調査費領収書に関する再度の申入れ(要旨)
5月16日、市会(前)議長から各会派あて「私案として、例えば5万円以上の領収書の添付することを提案、会派内外で検討を依頼する」文書が送付された。
5万円未満が野放しでは、実効が伴わないことは明らかで、現在の市会の立場は、市民を納得させる根拠も示さず先例に追従し、このような方法で問題をやり過ごすことが許される状況ではない。
所得税の申告には、額の多少に関わら領収書などの証票が要求される。そのようにして徴収された税金から支出される
政務調査費に、たとえ少額であろうとも領収書の提示が不要なはずはない。
前述の議長私案は5万円以上の領収書公開で、なんとかこの場を切り抜けようという、根回し工作に思え納得出来ない。
政務調査費の領収書公開は時代の流れである。
今回の不祥事を契機に、名古屋市議としての主体性を発揮し民主的で透明性の高い市会に再生されるよう、あらためて申し入れる。
 
追加疑惑 前団長の「預り金」返還問題
 
もうなにおか言わんや年度末精算の条例を知らないのか?
 名古屋市民オンブズマンは15日本件の監査請求を提出 
 
 ひょうたんから駒か、西村自民前市議団長が、前団長から引き継いだ410万円を返還したいと申し出て、市議団から断られた。
 市議団としては、年度末に精算して、残金はないはずだから受け取れようも無く、知らぬ存ぜぬで通すしかない。
 そこで前団長が、発言を撤回すればうやむやにもなりかねなかったが、「市議団が知らないというのは理解に苦しむ、発言は撤回しない。」
 実は政調費がプールされて、選挙年に分配されているのは、ご当地市議団に限らず県議ともども周知の事実と想われる。
 ただ、証拠が現れないだけで、昨今話題の談合と同じ古くて新しい政官財の病根だ。
 
名古屋三市議ら政務調査費シンポ
 
 冨田勝三、斎藤亮人、のりたけ勅仁の三市議らが、5月21日東別院会館で政調費のあり方をテーマにしたシンポジウムを開いた。予想を超えた大聴衆で会場に入りきれず、関心の高さが示された。
 三市議のほか、名大の小野耕二教授が基調講演。大阪・神戸・練馬区その他の市議有志も参加して地方政治とお金のあり方に活発な議論が交わされた。
県下全市では領収書公開
 なんと言っても政調費の領収書公開が話題の中心。名古屋市民オンブズマンから名古屋市と愛知県を除く県下の全市議会では領収書が公開されていることが披露されると、どよめきと拍手が起こった。
一方ではギャップも
 公開を主張している市議でさえも、政務調査費の用途には家賃や光熱費などの事務諸費やガソリン代など、首をひねりたくなるものも多い。
 このあたりに市議の認識と「市政の調査研究のため以外に使用してはならない」と定めた市条例や「会派での政務調査活動以外は認められない」という札幌高裁の判決などとの間のギャップが見られる。
直接監査請求も出来る
 大阪府門真市では、一市議の音頭によって議員が登庁のたびに受け取る費用弁償を止めさせる条例制定監査請求が成立した。 名古屋市の場合、有権者数は約174万人なので50分の1は、3万5千人。この会場にいる100人が1人350の署名を集めればOK、決して出来ない話ではないと発破がかけられた。
(地方自治法 第1節 条例の制定及び監査の請求 第74条 選挙権を有する者は、その総数の50分の1以上の連署をもつて、条例の制定又は改廃の請求をすることができる。)
○3 普通地方公共団体の長は、第1項の請求を受理した日から20日以内に議会を招集し、意見を附けてこれを議会に付議し、その結果を同項の代表者に通知するとともに公表しなければならない。
議員提案も視野に
名古屋市会の定数は75人、その12分の1以上、つまりは7人の賛成で議案を提出出来る(地方自治法112条2)のだから、領収書公開賛成の3議員に共産党市議団9人中4人が加われば、政務調査費条例改正の議員提案も出来るのではないか
(地方自治法第 6節 会議 第112条 議会の議員は、議会の議決すべき事件につき、議会に議案を提出することができる。但し、予算については、この限りでない。
○2  前項の規定により議案を提出するに当たつては、議員の定数の12分の1以上の者の賛成がなければならない
名古屋市会会議規則
第14条(議案の発議) 議案を発議する議員は、その案を具え、理由を付し、法第112条第2項の規定によるものについては所定の賛成者とともに連署し、その他のものについては4人以上の賛成者とともに連署して、議長に提出しなければならない。)
 
他山の石?岡山市職員互助会「厚友会」の分析
 
 大阪市はじめ自治体の手厚い職員厚生会給付が問題視されている。市民オンブズマンおかやまのHPから、同市職員共済会の様子を抜粋してみた。
名古屋市始め当地の互助会はいかがでしょうか
【収入】補助金は岡山市他から約1億4千万円。会費は基本給の0.6%。多くの保険に加入、15年度保険金額は20億1千500万円、手数料収入は5千500万円強。
手持ち現金3億7千900万円。
【事業】★一般会計事は盛り沢山、19項目にも及ぶ。
曰く、出産、婚姻、銀婚、長期会員、永年勤続、入学、卒業、特別給付、傷病見舞、家族傷病見舞、弔慰金、災害見舞、弔祭料(本人・配偶者・喪主・非喪主)、退会記念、永年会員退会餞別、と19項あり、15年度件数2、344件約1億7千200万円支出。
よくもこれだけ作ったもの。
 
レクリエーションこれも大変。
(厚友会事業)10件
 こんぴら歌舞伎大芝居、バトミントン大会、キダム大阪講演バスツアー、京都劇場ミュージカル観劇、デズニーリゾートバスツアー、MBS劇場バスツアー、テーブルマナー、ユニバーサルスタジオツアー、山口SL列車の旅、宝塚観劇バスツアー、計2、326人 38、198千円を支出。
仕事は何時するのだろうかと心配
 
(健康組合との共済事業)7件
春のハイキング、歌舞伎鑑賞教室・松竹、潮干狩りバスツアー、昆虫採集バスツアー、桃源まつりうらじゃ等、スキーバスツアー、ボウリング大会、 計2、121人 7、884千円。
(補助事業)9件
旅行補助、ブロック別レクリエーアション、芸能鑑賞等補助、海水浴旅費補助、梨狩り補助、りんご狩補助、みかん狩補助、スポーツ大会補助、パックツアー補助、 計11、615+? 48、750千円。
 レクレーションで入り損なったものまで拾いまくったか。
 
<事業合計>では 94、833千円
 
<平成15年度:
  一般会計収入予算の構成>
 1・会員会費 1億4400万円
 2・市補助金 1億4400万円
 3・繰越金  1億2500万円
 4・諸収入    1900万円
 
赤い羽根の聖域に隠れた
共同募金会の矛盾
町内会費からの一括上納では醵金者の善意は表せない ・ 県共同募金会は募金封筒方式推進を謳い、150万枚の封筒を配っているが、募金封筒はどこへ行ったのか、地方の分会が放棄したのか? ・ 分会の会計も公表出来ないのでは、募金だけでなく、配分への疑問さえ広がりかねない
 
 いわゆる”赤い羽根”共同募金については、これまで募金の方法、経費支出への疑問などについて、度々取り上げてきた。
 今回は、拠出する個人の側から問題を提起してみた。
 市内多くの町内では、戸別に募金することなく、町内会費から一括上納され、”赤い羽根”1本が後ほど配られてくることが多い。
 5月20日、募金封筒が個人宅へ廻ってこないのはなぜか千種区共同募金会に問い合わせたところ、地域でまとめて来られる場合その方針に従っていると言う。
 今年からは、共同募金の基本理念に従い、地域に説明して必ず募金封筒によること。同時に区共同募金会の会計決算を公表するように求めたところ、上部と相談すると言うままで返事が来ない。
 6月6日、回答を督促したが、県共同募金会と相談中、もう暫く待ってほしい、必ず返事はするが日時の約束は出来ない、と。
 昨年の愛知県共同募金会から得た回答では、各戸に募金封筒を配布するよう分会に働きかけていて、全世帯の56%分150万枚の封筒を印刷配布しているという。
募る人はボランティアでない
 共同募金のビジョンは「寄付する人も募る人もボランティア」で、人々が自発的に寄付できるようにという願いを表しています。と言う。
 要綱に「経費は、寄付金中から支出し、必要最小限度にとどめ、募金総額の概ね1割程度とする。経費の内訳は明確に公表する。」とある。「・・募る人もボランティア」という募る人の中心、県募金会の役職員だけはボランティアでない。15年度約4500万円の給料を取っているのは納得いきかねる。公表したら醵金は一気に減るだろう。
 街頭募金で小中校生が集めた金から給料を受け取って、どんな気持ちなのか。
なぜ会計を公開出来ない 要綱には「住民の信頼を得、住民への情報公開の責務を果たすため、積極的な情報提供に努める」とある。なぜ会計の公開をためらうのか、疑問は募るばかりだ。
 
黒塗車追求 名古屋・消防署 黒塗り公用車廃止へ 「不要」市民が批判
 上は6月11日朝日朝刊社会面のトップ大見出し。
 タイアップニュース150・152号と、一連の黒塗り批判の中で、名目が消防機材であり、運行記録が無いに等しいなど消防署の黒塗りはひときわ目立った。だが、実は誰も廃止とは言っていないのだ。「更新の時点で考える」というのは、市のこれまで「運転手の定年時に考える」と同じその場逃れ、17年度からとは、それまではしないのか?
 
黒塗車追求 市会正副議長専用車送迎は費用弁償の二重取り
 
名古屋市市議会黒塗車平成17年3月中の運行
議長車 副議長車
出庫回数 運転時間 走行距離 出庫回数 運転時間 走行距
52 51時間05分 893km 33 45時間20分 1001km
 
 同時に調査した正副議長専用車、議長車の平均出庫回数は1日2.17回、副議長車は1.83回で、ほとんど送迎のみに使用されていると思われる。 議員は登庁に1日1万円の費用弁償を受けているが、その主な内容は登庁用の交通費であるとされる。つまり正副議長の費用弁償は交通費の二重取りである。
 仮に、正副議長車の月間走行距離をタクシーで代替えすると、それぞれ約25.4万円、28.5万円。黒塗車は送迎を含むが、タクシーは片道で済むため、実際はさらに低くなる。
 

オンブズマン & タイアップ合同総会と懇親会
 
日 時 : 7月16日(土)    総会 18:00  懇親会 18:30
場 所 : かっぱ園菜館 東区泉1-9-28 地下鉄高岳1番出口を北(東片端方向)へ2筋で左折、2本目の右側
会 費 : 5、500円
申し込みはFAXで 052-961-1615(滝田法律事務所) 又は 052-953-8050 へ 参加資格に制限はありません。
 日程 : 名古屋市民オンブスマン・タイアップグループ               2005年6月以降 
曜日 時間 行 事 ・ 裁 判 ・ 催 し 場    所
15 15:00 名古屋市政務調査費監査請求 名古屋市監査委員事務局
24 10:30 塩漬け土地情報公開訴訟最高裁弁論 最高裁
27 10〜22 加藤徳太郎さんと行く万博 万博会場
16:00 デザイン博住民訴訟 結審 名古屋高裁
16 18:00 名古屋市民オンブズマン&タイアップG総会 かっぱ園
  *毎週火曜日午後6時半から例会・火曜会をリブレ法律事務所(大津橋南100m東側、リブビル6F)で開いています