自民党名古屋市議団 政務調査費返還請求提訴

 155号で報じた、名古屋市監査委員の自民党市議団に対する監査請求棄却を受けて、返還を請求するよう名古屋市長に求める訴状を9月2日名古屋地裁へ提出した。
訴状はhttp://www.ombnagoya.gr.jp/sosyou/050902sojou.pdf
訴訟の行方」
 が注
目される
 請求の内容は監査請求と同様、虚偽の収支報告書による支出を返還するよう市長に求めるものである。
 市議団が提出した政務調査費収支報告書の内容が不当であることをを、当の市議団が認めていることが、これまでの政務調査費訴訟と大いに異なっている。市議の証人喚問を含む訴訟の成り行きが注目される。
第1回は10月19日10時地裁で開廷される。

訴  状(要旨)
2005年9月2日
名古屋地方裁判所  御 中
原告ら訴訟代理人  弁護士  佐 久 間 信 司
同   新   海   聡
外7名
政務調査費返還代位請求事件
訴訟物の価額    金1,600,000円也
請求の趣旨
1 被告は自民党名古屋市議団に対し、金2870万円及びこれに対する2005年6月1日から支払  済みに至るまで年5分の割合による金員を支払うよう,請求せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
 との判決を求める。
請求の原因
(タイアップニュース154・155号記載の監査請求と要旨同一につき−中略−)
 4,住民監査請求
  以上により、原告らは監査委員に対し、被告が自民党名古屋市議団に対し、2003年度分お  よび2004年度分として同会派に支給した政務調査費中、同会派の共通経費として処理された 合計金2870万円について市にこれを返還させるための必要な措置をとることの勧告をもとめる  住民監査請求を2005年6月15日付でなしたが、同年8月1日付けで棄却する決定がなされた。
第3 結論
 1 以上の通り、名古屋市が自民党市議団に交付した2003年度および2004年度の政務調査費  中、同市議団が共通経費分として月額一人あたり5万円の割合で支出したとされる合計金28  70万円(内訳:2003年度分1475万円、2004年度分1395万円)については、収支報告書と異  なった目的に支出されたにもかかわらず、事実に適合した適法な収支報告がされていない。
 2 かかるものについては、被告は条例7条および不当利得返還請求権に基づいて返還を求  めるべきであるから、同金額ならびに不当利得返還請求権が発生したことが明白となった200  5年6月1日から支払い済みまで年5分の割合による遅延損害金について地自法242条の2第  1項第4号本文,第2項第1号に基づき,請求の趣旨記載の判決を求め る次第である。

 

市民オンブズマン岡山のHPより  岡山県職員措置請求
 
請求の要旨 県警が平成16年度、岡山県警察署協  議会の委員に支払った委員報酬1,202,700円は違  法な支出であるから岡山県警察本部長は岡山県知 事に対しその金員を返還することの措置を求める。
理由 県警察署協議会規則では「協議会の会議は、 その目的を定めて会長が召集する。」および「協議 会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開く ことができない」と規定している。
 しかるに西警察署協議会が平成16年度、3回にわたり開催された協議会は会長が欠席であり協議会は成立しない。協議会委員報酬255,000円は違法な支出である。また、高梁警察署協議会が開催した3回の協議会の出席者数は全委員10名中、それぞれ4名、3名、4名で、協議会開催は無効であり、委員に支払った報酬額116,100円は違法な支出である。
(以上の他8署合計1,202,700円の返還を求めている。)
 
 日程 : 名古屋市民オンブスマン・タイアップグループ               2005年9月以降 
曜日 時間 行 事 ・ 裁 判 ・ 催 し 場    所
10 19 10:00 自民党名古屋市議団政務調査費返還訴訟 名古屋地裁
10 26 13:10 デザイン博判決 名古屋高裁
11 15:00 県議政務調査費訴訟 名古屋高裁
11  17 15:00 愛知万博食糧費情報公開判決 名古屋高裁
 *毎週火曜日午後6時半から例会・火曜会をリブレ法律事務所(大津橋南100m東側、リブビル6F)で開いています
◇ HP = www.ombnagoya.gr.jp/    
◇ e-mail adress = ombngy@hotmail.com
 
名古屋市民オンブズマンタイアップグループ機関誌
1995年10月25日第1号発行
事務局 : 名古屋市中区丸の内 3-6-19
ライオンズシティ久屋503号滝田法律事務所
tel:052-961-1600 fax:052-961-1615
ホットラインFAX : 052-953ー8050
 
 
全国市民オンブズマン別府大会
 
 今年のオンブズマン全国大会は9月10/11日の両日別府市ビーコンプラザに359名が参加し「もっと広げよう、情報公開!」をテーマに開催された。
 初日は元三重オンブズマンで元長野県副出納長兼会計局長松葉謙三弁護士による基調講演のあと、各地の活動報告。
 二日目は「議会改革」「公共事業」「談合・入札改革」「補助金・業務委託問題」「情報公開」「警察問題」等6分科会が開かれ、討議の後、下記の大会宣言を採択して閉会した。なお、大会宣言は、各都道府県・政令市・内閣府・総務省に送付する。
 「情報公開ランキング10年の成果と課題」と題する討議の全容は、大会資料として下記のように公販しているが、面白そうな部分を次頁以降に掲載した。
 
大会資料販売(498ページ+351ページ)
 1セット3,500円(送料込み)。
 申し込みは全国事務局までメール(office@ombudsman.jp)かFAX(052-953-8050)で。
また、包括外部監査の通信簿2004年度版も発売中。
 
議会改革分科会 「政務調査費の公開度を高める決議」
 
 議会改革分科会では「政務調査費の公開度を高める決議」陳情書を各地で出すことを決議した。後日、陳情書の書式などを各地にお知らせする。
 
来年度全国大会は2006/8/5-6 長野県松本市で行う予定

大 会 宣 言(要旨)
第12回全国市民オンブズマン別府大会メインテーマ「もっと広げよう、情報公開!」
 1979年に大平首相が必要性を表明して以後、先進的地方自治体で情報公開条例が次々と制定されたが、国の情報公開法が制定されるまで20年もかかった。
 その後、情報公開法の適用対象は各種法人にも拡大されたが、行政民営化の流れの中、情報公開制度は「空洞化」の危機を迎えている。
 例えば、永年鉄骨橋梁メーカーと官製談合を続けた日本道路公団は今年3つの民間会社に分割され情報公開法の対象から除外されてしまう。
 このような状況のもとで、私たちは「民営化」が「情報の不透明化」にならないため、次の3点にそって、情報公開制度を根本的に見直すことが必要であると考える。
第1に、情報公開法および情報公開条例で規定する情報公開義務の主体を、行政機関や独立行政法人等に限定せず、国や地方自治体から一定の割合を超える出資、助成や業務委託を受ける法人団体にも拡大し、国民の情報公開請求権を明記すること。
第2に、行政機関や法人等が情報公開請求を拒否した場合、「非公開処分の取消」の行政訴訟によるという発想をあらため、「情報公開」という給付を求める民事訴訟とすること。
第3に、情報公開請求訴訟の裁判管轄を、現在の50箇所の地方裁判所本庁だけでなく、205箇所の地裁支部にも拡大すること。
 総務省に設置された「情報公開法制度運営の検討会」は本年3月29日、「現時点での法改正は必要なし」との結論を下した。しかし、その検討対象は、実際に行政機関に提出された情報公開請求の取扱いの当否に限られている。
「情報公開請求の領域自体が狭められつつある」という問題意識を抜きにした結論は無意味である。
 私たちは、これまで情報公開の最前線を切り開いてきた市民運動としての責任を果たすために、上記3点の制度改革推進を宣言する。
 
2005年9月10日
 
  第12回全国市民オンブズマン
別府大会参加者一同
ランキング10年の成果と課題
                 全国市民オンブズマン連絡会議事務局
                                               
? 総合順位と全体の傾向
?都道府県
 過去9回の総合順位ベスト3   
 


 
   自治体 点数
 宮城県 78.4
 岩手県 68.2
 三重県 67.1
 このほかにも北海道と
東北4県が上位13に入
る健闘をしている。  
          
 
  ナニやってんだかワースト3    



 
  自治体 点数
45位 福岡県 35.8
46位 長崎県 34.6
47位 宮崎県 32.5
 上位があれば下位も
ある。なぜか九州6県で
は大分の32位が最高!
 
 
?政令市
 政令市のベスト3  政令市は2004年度ま
      
  自治体 点数
川崎市 62.8
仙台市 62.4
札幌市 61.2
でに調査した13政令市。都道府県とよく似た傾向で北方の自治体が健闘
 
  政令市のワースト3 やっぱり九州勢と
     
  自治体 点数
11位  福岡市 48.6
12位  大阪市 41.2
13位 北九州市 40.4
阪市 この一年、ナニかと話題の多い大阪市も低迷。情報非公開と不正支出の間に関係?
 
? 部門別公開度の変遷   
一見して判るように、六角形がいびつだ。
 警察と議会の公開度は明らかに期待はずれだ。 
 
 
    
? 交際費の変遷
 第2回ランキングの平均は30%にも満たなかったが、第
9回では80%になった。
 運動当初の95年11月、官官接待について鈴木愛知県知事が「そんな生やさしい世界じゃない。いますぐは無理。ドンキホーテのようなことになる。」と言った発言が、いまやなつかしい。
 交際費・食糧費の急減はオンブズマンによる情報公開活動の成果と言えるだろう。                     
?食糧費最初の公開請求は食糧費だった。
公開度上昇とともに明らかに激減した。
情報公開の不正防止機能をわれわれが最初に実感した記念すべきデータである。
 
? 最近話題の政務調査費  問題提起が新しいだけにまだまだである。
それでも数県で領収書が公開された。
 政務調査費領収書は、中小都市ではほとんど公開されている(愛知県では県と名古屋市以外100%)。
 都道府県と政令市では金額が多すぎて、使い切れないと言うのが本音のようである。
とりあえず議員に「けしからん」と一言!
 公開度平均で58.5%に対して、議会は20%!!
 市民が選んだ議員が、市民に情報を公開しないとは何事!!
選挙のときだけ調子の良いことを言うな!!
ご近所を見ながら?から率先して!に 自治体の公開度は近隣自治体の影響を受けるようだ。やはりご近所は気になる?
 これもランキングの効用であろう。
 
首長が変わると良くなるか? 次に首長交替の影響から。過去9年に首長が交代した自治体は31。
 前首長の最終年ランキングと新首長就任後2年目のランキングを比較すると
@16府県がランキングアップ
@ランクを下げた自治体は青森県、埼玉県、三重県、 兵庫県、和歌山県、香川県、大分県、宮崎県の9県
 
 
補助金問題を取り上げよう
 
 補助金行政の不透明さが、補助金の既得権益化を生み、自治体運営の健全性を阻害している。
そこで補助金について調査
 
根拠法規の有無
 まず、補助金はどのような根拠で出されているのか。
 47都道府県と全国808市(含東京23区)を対象に補 助金交付規則・条例の有無を調査した。
@)都道府県  条例を制定しているのは三重県1県だけ、43都道府県は規則があるだけ,兵庫・山口・愛媛の3県には条例も規則もない。
A)14政令市 6市(札幌、横浜、名古屋、京都、大 阪、神戸)が規則も条例も制定していない。
 兵庫・山口・愛媛の3県と札幌、横浜、名古屋、京都、 大阪、神戸の6市が、規則すらなく補助金を交付し ている。これでは補助金が腐敗の温床となって  も何の不思議もない。
 
補助金一覧表の作成と公表
 補助金関係の情報公表の程度について、補助金一 覧表作成の有無等をもとに評価。
@)一覧表を作成している自治体
  都道府県:25府県
  政令市:7市(札幌、千葉、横浜、川崎、広島、北九州、福岡) 最も詳細を報告している自治体は秋田県・福岡市である。
 A)一覧表を作成していない自治体
  都道府県:22府県
  政令市:7市(仙台・さいたま・静岡・名古屋・京都・大阪・神戸)大阪市は11月からホームページで公表する、と発表している。
   これらの自治体は、自らが出している補助金がどれだけあるのかさえ掴んでいないということだ。
 
一部事務組合の情報公開条例制定状況
 
 地域下水道や消防組合、ゴミ焼却場等、都道府県内の一部事務組合も地方公共団体。だがこれらの情報公開はこれからの課題だ。2005年8月2日汚水プラント談合を巡って公取が立ち入り調査したが、中に一部事務組合も数多くあったし、ゴミ焼却場の談合事件の舞台にもなっていた。
 一部事務組合は47都道府県に2001団体ある。とりあえず、その情報公開条例化率を調査した。
 最も条例化率の高い県は兵庫県の72.4%。
 県内一部事務組合が一つも条例を持たない県は岩手県・広島県・鹿児島県である。
 一部事務組合の条例制定は急務だ。
 
 
本当にまだまだ
これからだ!!
 
 よりよい情報公開とするために、決定的な方法はない、情報公開制度が市民にとっても、同時に行政にとっても重要な制度であることを行政当局も理解することが必要だ。
 ランキング調査をしてきたことは、私たち市民の視点から見た使いやすい情報公開制度に対する意見表明と言える。
 私たちは今後もランキング等を通して問題点に指摘し続けることが、最終的にはより良い情報公開制度に向けて必要なことであることを確認したいと思う。
報公開抜きの
民主主義はあり得ない!