名古屋市民オンブズマンタイアップ NEWS
第157号 2005年10月12日
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名古屋市民オンブズマンタイアップグループ機関誌1995年10月25日第1号発行
事務局 : 名古屋市中区丸の内 3-6-19ライオンズシティ久屋503号滝田法律事務所
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タイアップNEWS10年でひと区切り
本号以降不定期発行にします
 名古屋市民オンブズマンタイアップグループが発足して10年たちました。
 そして、「タイアップNEWS」も1995年10月25日号(次頁の写真)の第1号以来満10年、本号で157号です。
 発刊当初活況を呈した運動もこのところ沈静気味なので、この機会に思い切ってNEWSを不定期発行に移行することとします。
 
不定期発行にする理由
1ニュースが少なくなった
 なんと言ってもニュースが減りました。そのことは日程表の行数に如実に現れています。
 当初は裁判をはじめ行事が溢れていました。
グループも次々と問題を掘り起こし、データーの収集と分析に熱中し、火曜会は公開されたれた文書の整理や仕分けに大わらわで、メンバーは自宅に持ち帰って、それらの分析に没頭していました。
 現況の行事予定は数件にすぎませんし、グループの発意による地元自治体などの追求はほとんど行われていません。当然ニュースは少なくなります。
 一回の発行には、郵送、印刷、封筒等の実費だけでも万単位の費用がかかります。
 発行するために記事を探ような現状で、漫然と会費を使うことに疑問を感じています。
号数と日程表の行数
号数 日付 行数
 1 95/10  15
 3 95/12  16
 15 96/10  13
 37 97/10  16
 58 98/10  12
 74 99/10   8
 93 00/10  14
107 01/10   3
120 02/10  11
132 03/10   4
145 04/10   5
 
2インターネットが普及した
 一方で、発刊当時は少数派だったインターネットの普及率は、すでに80%に達していると言われます。
 ニュースを随時ホームページに載せていけば、「タイアップNEWS」はどうしても後追いとなってしまい、依存度は発足当時ほどではないようです。
3編集者が固定した
 編集者が固定すれば、どうしても内容は独りよがりになります。独善とマンネリズムは最も排除されなければなりません。
 運動に活気が無くなれば、編集にも気合いが入りません。
 これは言い訳けに過ぎませんが、誌面に覇気が無くなるのは、編集者の年のせいばかりとも言い切れません。
 その他様々な理由で、この機会に刻々のニュースはホームページに掲載し、「タイアップNEWS」は、記事量がまとまった段階で、あるいは重要判決などのビッグニュースの発生に応じて臨機に発行したいとおもいます。
 本号編集に当たって、旧号を見ているうちに、98年10月6日の57号に、「活動活性化アンケートお願いします」という記事が見つかりました。
 「オンブズマン活動に対する社会の理解も広がり,期待も高まっています。一段と活性化するために,アンケートをすることになりました。同封のアンケートにお答えくださり,FAXか郵便でお送りください。 」と言っていますが、内容は、活動するメンバーの固定化を脱するため、あるいは会員の「観客民主主義」化を防ぎ、一人でも多くの参加を呼びかけているものです。
 発足3年時ですでに発生していた悩みは未だに解消されていません。
4会員との連絡を主に
 タイアップグループが発足10年を経て、未だに多くの熱心な会員に支持されている理由に、「タイアップNEWSの発行」があることは否定出来ないと思います。
 「タイアップNEWS」の定期発行が無くなると、これら熱心な会員とのコンタクトが失われるおそれがあります。
 この点は最も危惧されるところなので、折々に発行して情報を提供しながら連携を保つように努力します。(柴田孝介)
 
タイアップNEWS回顧
 第1号はB4版の片面に編集者苦心の手書きで、1200字前後でした。その年「官官接待」が流行語大賞に選ばれるなど、当時の活気が現れています。
 刊行後ほどなく簡易印刷機を入手して高速印刷(コピー機も今ほど高速ではなかった)、総出で折り曲げに、封筒入れにと励みました。
 そして手書きのニュースは実に2001年6月の102号まで続きす。
 以後ワープロ化するとともにA4版の表裏にり、間もなくA3版の中折り4頁となって、記事量も大幅にふえました。
 2002年の1月号からカラー化し、本号で10年を迎えたのです。現在文字数は6000字前後です。

華々しかった初期の活動
 情報公開の骨抜きを企む県当局
 1995年第1号は「情報公開の骨抜きを企む県当局」という、勇ましい見出しです。 そして、12月の見出しは、
1995年度流行語大賞・ 官々接待に決定
とあります。
 10年前、なにしろ行政側は、公開など思いもかけない、「民は知らしむべからず、よらしむべし」の感覚でしたから、オンブズ゙マンのする事なす事気にさわることばかり、反面まさかと思った文書改竄などがぞろぞろ現れ、それはてんやわんや、「タイアップNEWSも月2回発行していました。
1年後、96年の17号は県のカラ疑惑追求
 見出しは、県のカラ疑惑を徹底的に調査へ 分析の資料づくりに人手が足りず、NEWSで協力を求めています。この月FAXによるオンブズマンホットライン開設。
2年目97年、高裁で競馬組合の違法支出を認める実質勝訴
この38号の見出しは
競馬組合カラ支給事件も逆転判決 請求した損害は賠償されました。 この号に後にオンブズマンから東京高裁判事になった竹内弁護士が、議員定数不均衡問題について、 記事を載せています。
 次の39号で「疑惑のタクシーチケット問題」県財政課 と、初めて桁外れなタクシー使用料問題を取り上げました。
3年目98年県の情報公開運用に要望書提出
 見出しは公開された公文書が書き直されていた 遅々として進まぬ県の情報公開にいらだっているようです。何でも隠したい姿勢は、つまらぬものまで非公開とし、請求側をいらだたせていた時期です。
4年目99年は万博訴訟
万博懇談会情報公開処分取り消し請求訴訟 といささか長い見出し。万博懇談会は公務に関する支出として、非公開取り消し判決。ただし外国要人との懇談は例外としたため、訴訟は今日まで尾を引いています。
政調費は5年目2000年に現れた
議員調査研究費県と市の全議員に意見書送付
 2000年10月号では、議員調査研究費を取り上げています。現在話題になっている政務調査費のことで、当時から延々と続く問題であることが改めて思い出されます。
6年目経産局の黒塗り公開・上下水道談合完全勝訴
 万博公開・中部経産局アットいう間の敗訴か! の見出し。 上下水道談合では、県と名古屋市の談合訴訟、地裁は談合があったと明確に認め、自治体側が談合による損害の返還を求めないのは違法であるとした。訴えの内容が「談合という違法行為に基づく損害賠償を請求しない」という事実の違法性を問う形であることから、監査請求期限の制限は受けないとして、問題の「1年の壁」をクリアー。
7年目市議費用弁償特集
02年、名古屋市議は、登庁で受ける費用弁償が全国一の日額15000円。 オンブスの提訴に裁判所がオンブズ勝訴を前提に議員が返金する和解を提案した。
 ところが市は条例の施行期日を1年遡る改正(悪)案を市議会に提出。市長は記者会見で、敗訴を免れる訴訟対策であると公言した。
最高裁一年の壁認めず 7月、監査請求は支出発生後1年までに限られるという1年の壁が、支出を回復しようとしない公務員の怠慢(怠る行為)は現在も続いているという判断を示した最高裁判決で崩された。
 94年10月の監査請求以来8年を経ての差し戻しだが、1年の壁が既定のことのように言われて以来の流れには、改革に要する時間の長さを感じさせられる。
8年目県議政調費監査請求
 どうやって使い切ったのか月額50万円
 県議政務調査費の監査請求で意見陳述。
 この年4月に選挙があり、一ヶ月間の政務調査費が100%使い切られたことを突いて提訴。
9年目ついに警察を捜査?
全国に飛火した警察裏金
捜査費で激励慰労会 全国で恒例化・税金で身内だけの飲食が許されるのか
北海道警に端を発した警察騒動、ところが既に世論は沈静化か?
10年目 タイアップNEWS 不定期刊行へ
 
全国のオンブズマンホームページを見るには
 名古屋市民オンブズマンタイアップグループは機関誌「タイアップNEWS」の発行と時を同じくしてホームペジも開設し、機関誌を掲載すると共に、その他のニュースも随時取り上げて、これまでに12万近くの訪問者(ヒット数)を得ている。
 各地のオンブズも活発な活動状況を、都度HPに掲載している所がある。
 これらの閲覧は<全国のオンブズマン地図> http://www.jkcc.gr.jp/add/addxx_0.htm を開き、各地のグループを選べば、住所等と共にHPの有無が表示されている。
 残念ながら活発なHPは多くはないが。
 HPを開設しているオンブズは24府県で、その内更新日が記されているものは17件、中には数年間更新されてたいないところものもある。
 
道路公団民営化で情報公開の後退は明らか
 2005/9/10-11、別府で第12回開催された全国オンブズマン大会のテーマの一つに「民営化に伴う情報公開制度の後退」がある。
 これまでも、営団地下鉄が「東京メトロ」という株式会社にかわった瞬間、独立行政法人等情報公開法の対象からはずれ、市民が直接情報公開請求出来なくなってしまった実績がある。
 成田空港も新東京国際空港公団から成田国際空港株式会社にかわり、情報公開請求が不可能になった。
営団地下鉄については地下鉄車両の落札率調査を行い、99%以上の高落札率が多数あったことが判明していた。
 また、成田空港公団の中の店舗や清掃会社などは、元空港反対派が設立した会社が多く、高額の随意契約を結んでいたことも新聞社の調査で明らかになった。
 これら市民・マスコミの追及なくして、「民営化すれば経営効率が改善する」というのはあまりにも脳天気だ。
落札率調査や随意契約調査、さらに幹部の交際費等がブラックボックス化し、「当局発表」を鵜呑みにするしかなくなってしまうのだ。
 これまで独立行政法人等情報公開法の対象だったものが情報公開からはずれた事例は以下の通りだ。
・H15.10. 自動車安全運転センター→民間法人に
・H15.10.社会保険診療報酬支払基金→民間法人に
・H16.4.1 新東京国際空港公団→民間法人に
・H16.4.1 帝都高速度交通営団→特殊会社に
2005年10月1日から、日本道路公団等4公団が民営化されるが、他と同じく独立行政法人等情報公開法の対象からはずれるという。
 日本道路公団は、鉄骨橋梁メーカーと癒着して官製談合を続けてきた。
 民営化されることにより、どの程度コストが削減できるのか、ファミリー企業との癒着をどこまで断ち切れるのかが注目されているが、市民による直接のチェックは出来なくなってしまうのだ。
 2005年9月29日の中日新聞によれば、日本道路公団の近藤剛総裁は記者会見の中で何度も「公正、透明な経営」と繰り返し「情報公開のあり方も今まで以下であってはならない」と断言した、とあった。
 しかしながら、独立行政法人等情報公開法の対象からはずれることに変りはなく、「直接の情報公開請求によらないディスクロージャー(情報提供)を充実するかを強調したにすぎない」(中日本高速道路会社移行本部談)とのことだ。どのようにディスクロージャーを進めていくかは今後の課題だといっていた。
 新たに「独立行政法人 保有債務返済機構」ができ、それは独立行政法人等情報公開法の対象となるとのこと。
 どの程度の情報が保有債務返済機構に引き継がれるのか問い合わせたが、落札率情報や交際費等は民営化された会社が引き継ぎ、独立行政法人等情報公開法の対象から外れるとのことであった。
日本道路公団の民営化にせよ、現在検討されている郵政公社の民営化にせよ、情報公開という視点からは大幅な後退だ。
 今後、民営化されても何らかの情報公開請求できるような制度作りを求めていくため、全国大会の「大会宣言」を作成した http://www.ombudsman.jp/taikai/index.html
 国や地方団体から一定の割合を超える出資や助成を受けたり、業務委託を受ける法人や団体に対して直接情報公開請求が出来るように制度を根本から変えることが必要である、という趣旨である。
 国は民営化がすすみ、地方自治体では「指定管理者制度」が導入され、ますます情報公開制度の範囲が狭められてきている。
 今後もこの問題について追及していきたい。
 
日程 : 名古屋市民オンブスマン・タイアップグループ    2005年10月以降 
曜日 時間 行 事 ・ 裁 判 ・ 催 し 場    所
10 19 10:00 自民党名古屋市議団政務調査費返還訴訟 名古屋地裁
10 26   デザイン博判決 名古屋高裁
11 15:00 県議政務調査費訴訟 名古屋高裁
◇ HP = www.ombnagoya.gr.jp/
◇ e-mail adress = ombngy@hotmail.com