名古屋市民オンブズマン タイアップニュース169号 2007年11月22日発行
名古屋市でも やはり裏金
 
 
徹底的調査と情報公開を
 
裏金は少なくとも
 
6600万円と発表
 
 名古屋市総務局職員部監察室は07/10/31に記者会見をし、市内10区役所と本庁2局1室で現時点で45,626,370円の裏金があり、3区役所でこれまでに裏金を20,456,022円使っていたと発表しました。裏金は少なくとも66,082,392円あったことになります。
 今回明らかとなった3区役所(南区、緑区、天白区)での裏金の作り方は以下の通りです。
 ・区民まつり補助金の不適正な  精算
 ・臨時的任用職員賃金の水増  し請求
 ・選挙関係委託料の水増し請  求
 それら裏金を超過勤務手当や新聞購読費、パソコン購入費やアルバイト雇用費に当てていたとして、個人的な着服はなかったとしています。
 監察室の発表資料と各種報道によれば、今回は局区室による調査及び監察室による聞き取り調査での中間発表とのことです。副市長をリーダーとした「不適正な会計処理にかかる内部調査チーム」を立ち上げて徹底的な実体解明に取り組み、年内にも全容を明らかにする方針だそうです。
 名古屋市では、平成18年4月〜5月に「金銭出納事務の点検について」という全庁自主調査を行っており、その際は「裏金は一切なかった」と結論づけていました。平成18年7月に岐阜県の裏金が発覚した後、平成18年9月議会での答弁でも松原市長は「岐阜県のような不適切な事例はございません」と断言しており、因田助役は「不適切な事例はなかったため、現時点で改めて調査する必要はない」としていました。
 
徹底的調査と情報公
 
 
開を申し入れ裏帳簿
 
 
を開示請求
 
 
 名古屋市の記者発表したことを受け、名古屋市民オンブズマンは、裏金を徹底的に調査するよう07/11/12に申し入れました。また、情報公開についても申し入れるとともに、名古屋市が行った裏金調査資料(聞取調査票、裏金帳簿、裏金通帳)を情報公開請求しました。
 
裏金「やっぱりあったか」「これだけではないはず」
 
 記者会見を行った名古屋市民オンブズマンの新海聡弁護士は、10月31日の市の記者発表を「やっぱり裏金があったか」という思いと、「実態はこんなはずはない」との思いで聞きました。「やっぱり裏金があったか」というのは、95年10月に、総務局財政課で職員が手書き領収書を作成していたことを指摘して住民監査請求を起こし、監査委員もその事実を認めていたということがあったためです。
「実態はこんなはずはない」というのは、記者発表された裏金は(情報公開条例が改正された)平成13年度以降のものだけで、区役所を中心としていたものであり、平成13年度以前の情報が公開されない時代には、全庁的に行われていたはずだ、と考えるためです。
 名古屋市民オンブズマンは、名古屋市長にリーダーシップが見えないことを問題視。市長自ら率先して真相究明を指示するよう求めました。
 また、現在行われている内部調査は名古屋市全区局室を対象にしていますが、他自治体で裏金が作成・保管されていた外郭団体や職員組合を調査していない点を指摘し、それらまで調査するよう求めました。
 さらに、設立予定の外部調査委員会については、内部調査が適切であったかどうかの検証が主であり、「必要に応じて実地調査する」だけでは不十分であるし、そもそも人選がこれまで名古屋市政と関係が深い人たちであり、客観的な外部調査が可能か疑問を呈しました。
 
今後住民監査請求も
 
 
視野に
 
 
 名古屋市の裏金問題は市民にとって非常に関心が高いものですが、名古屋市ホームページには、07/11/7の定例市長記者会見の発表文言のみ記載があり、これまでの調査結果や報道発表資料などは07/11/12現在全く載っていません。これでは市民への説明責任を果たしているとはとうてい言えません。
 名古屋市民オンブズマンは、調査結果如何によっては、住民監査請求や情報公開訴訟を検討する方針です。
(内田隆)
 
自民党名古屋市議団政務調査費住民訴訟
 
市議団は領収書文書提出申立に応じず
 
領収書等の文書提出命令申立
 
 自民党名古屋市議団に支給された政務調査費の返還を求める住民訴訟は「共通経費」分は名古屋高裁、「個人経費」分は名古屋地裁に係属中である。
 両訴訟の争点は、政務調査費の領収書通りに実際に使用されたのか、「預かり金(余剰金)」はあったのかどうかというものであり、それらは自民党市議団側が持っているはずの「領収書」「会計帳簿」「銀行通帳」をみれば明らかとなる。
 そこで原告の名古屋市民オンブズマン側は、07/9/3に領収書等の文書提出命令申立を行った。
自民市議団陳述書は提出するも領収書は見せず
 しかしながら、自民党側は政務調査費の使途に関する議員の陳述書や書証を裁判所に提出するも、肝心の領収書等は裁判所に提出するつもりはないと主張してきた。その理由としては、「専ら文書の所持者の利用に供するための文書」「議会の自主性の尊重」「公開が義務付けられていない」というものである。
 しかしこれらの意見はとうてい納得ができないとして、オンブズマン側は反論書を提出した。
                                            
12/20自民党市議2名の尋問
           
 共通経費訴訟において、自民党側は、陳述書提出のみならず、自民党市議2名(藤澤忠将氏・藤田和秀氏)の証人申請を行い、名古屋高裁はこれを認めた。07/12/20(木)14時30分から各人1時間づつ尋問を行う。
 1審での西村元団長への証人尋問で、「預かり金(余剰金)」が作られる詳細なシステムが明らかになった。次回の2名の証人尋問では、西村証言とどこまで食い違いがあるのか、証言に矛盾はないのか、そもそも帳簿や領収書を公開せずにどこまで各証人の主張を信用できるのかが争点となる。ぜひ傍聴にご参加を。
 
 
12/8オンブズマン&タイアップ 望年会に参加を
 
 
日 時 : 12月8日(土)  望年会 午後6時00分〜
場 所 : 舞い魚処 いけす 漁場 新栄店(名古屋市中区新栄1丁目16番14号)
         TEL 052-262-2791
      地下鉄新栄駅から 広小路葵交差点南西徒歩1分(国道19号線沿い)
    会 費 : 男性5000円 女性4500円(飲み物代込み)
申込み : FAX(052−953−8050)か電話(052−953-8052)で弁護士法人リブレまで。
望年会はどなたでも参加できます。お気軽にお申し込み下さい。
 
 
 日程 : 名古屋市民オンブスマン・タイアップグループ               2007年11月以降 
曜日 時間 行 事 ・ 裁 判 ・ 催 し 場    所
12 18:00   望年会   漁場(新栄)
12


 
20

17
 



 
14:30

10:15
 
自民党名古屋市議団政務調査費(共通経費分)住民訴訟 証人尋問
自民党名古屋市議団政務調査費(個人分)住民訴訟 弁論

 名古屋地裁1102号法廷
 名古屋地裁
 
 
毎週火曜日午後6時半から例会を弁護士法人リブレ(大津橋南100m東側 liv.ビル6F)で開いています
   
              
政務調査費の透明化義務づけへ
県議・市議に申し入れ
 
時代の流れに逆らう
 
愛知県議 名古屋市議
 
 議員の調査・研究のための補助金である政務調査費は、愛知県議が1人当たり月50万円、名古屋市議は1人当たり月55万円支給されているにもかかわらず、領収書をはじめ、報告書等が市民に全く公開されておらず、「第2の給与」「議会対策費」と市民は指摘してきました。
 全国各地での政務調査費を用いた不正の発覚や、各地の市民が返還を求める住民訴訟を起こし、さらに「政治とカネ」への市民の厳しい視線から、各地の議会では政務調査費の透明化を図るために条例改正を行っています。
 07年10月現在では、領収書全部添付に条例改正済みなのは6府県(岩手・宮城・新潟・長野・大阪・鳥取)5政令市(千葉・新潟・浜松・静岡・神戸)で、さらに他の自治体でも全面添付の方針を決めたところが数多くあり、領収書全面添付は時間の問題です。
 
全国の議員7割 1
 
 
円以上の公開と回答
 
 全国市民オンブズマン連絡会議は都道府県、政令市、中核市の全議員およびいくつかの市の議員5700余名に対して政務調査費の意識アンケート調査を行い、50%を超える3055名の議員が回答しました。
 このアンケート結果では全体の7割を超える議員が1円以上の領収証の公開を、また、5割を超える議員が一件ごとの支出内容がわかる会計帳簿の公開を支持していることがわかりました。政務調査費を用いて活動した成果を透明化することについても、約6割の議員が活動報告書を、7割を超える議員が視察報告書を、各作成して全面公開することを支持する、という結果が出ています。
 
愛知県議会・名古屋市議会の遅い議論
 
 しかしながら、愛知県と名古屋市については、議論が非常に遅れています。使途基準をまず明確に決めてから、というのは、これまでの使途基準が違法支出を疑わせます。領収書添付の金額について制限を設けるというのは、他の補助金ではありえなく、自らの特権を維持しようとしているとしか考えられません。
 国では政治資金規正法の改正が議論されていますが、「政治団体への寄附など自分のカネ」の支出ですら領収書を全面公開にしようという議論がある中、「全額補助金(税金)」の政務調査費の領収書に制限を設けるというのはナンセンスとしか言いようがありません。
9/19 県議会・市議
 
 
会に申し入れ
 
 
 遅々として議論が進まない愛知県議会・名古屋市議会の各会派に対して、07/9/19づけで、以下申入書と全国オンブズの大会決議・アンケートを手渡しました。
第1 各会派において、
 @政務調査費を用いて行った  政務調査活動の具体的内   容、成果を記載した活動報  告書 
 A政務調査費を用いて行った  視察の内容、成果を記載し  た視察報告書
 を作成すること。
第2 上記@Aおよび
 B政務調査費の支出に関する  1円以上の領収証
 C政務調査費の一件ごとの支  出を記載した会計帳簿
 の各写しを翌会計年度の最初 の月の末日までに議長に提出 し、議長はこれを保管すること。
第3 第2記載の@ABCの文 書の原本については、各会派 において何人に対しても閲覧 に供すること。
 
愛知県議会3万円以
 
上では意味がない
 
   
 報道では、07/10/12の愛知県議会の議会運営委員会理事会で、3万円以上の領収書を添付することを合意したとのことです。
 しかしながら、領収書は分割化能であり、●円以上の領収書添付というのはほとんど意味がありません。名古屋市会自民党(旧 新風自民)は、07/7から5万円以上の領収書を自発的に公開しはじめましたが、公開は全体の21.9%に過ぎませんでした。一刻も早く領収書の全面公開を決定すべきだと考えます。 (内田隆)
 
名古屋市06年度平均落札率は
政令市で最も高い91.7%
 全国市民オンブズマン連絡会議は07/9/15−16に山形で行った全国大会で、都道府県・政令市・県庁所在地市の公共事業落札率調査結果を発表しました。
06年度に発注した予定価格1億円以上の工事の平均落札率は、名古屋市は、91.7%と17政令市中最も高いものでした。(最低は千葉市の67.5%、政令市平均は84.1%)。同じく愛知県は84.2%で低い方から数えて24位でした。(最低は長野県で73.2%、都道府県平均は83.5%)。名古屋市は早急に入札制度を改革することを求めます。
オンブズマン&タイアップ総会報告
 名古屋市民オンブズマンと同タイアップグループの本年度総会は7月7日名古屋市内で開催、決算報告とパンフレットのお披露目が行われた。
 まず、名古屋市民オンブズマン・タイアップグループの2006年度決算(右記)が報告・承認され、続いて名古屋市民オンブズマンの決算も報告・承認された。今年度は会員の会費納入状況が昨年より悪く、また高齢のために脱退する会員も多く、単年度赤字となってしまった。タイアップ本来の目的であった「オンブズマンへの資金援助」にはほど遠いし、このままではあと数年でタイアップグループの財産が尽きてしまう計算となる。
 
カラーパンフ活用して会員獲得を
 続いて、そのようなタイアップグループの危機的状況を打開する会員新規獲得のためのツールとして、先日来作成してきたカラーパンフレットのお披露目が行われた。新規会員を募集する際、タイアップニュース以外の説明資料を手渡せば、「市民オンブズマンとは何か」他の市民に分かり易くなるのではないだろうか。希望する会員にはパンフを送付させて頂きたい。ぜひパンフを活用して頂き、新規会員獲得に尽力を。
 
 
 
 
   
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
名古屋市 「入札状況常時監視」議事録 一部非公開に異議申立
 
 名古屋市民オンブズマンは、名古屋市が「入札状況常時監視」を行っている「公正入札確保会議」の議事録・資料の情報一部非公開について07/8/16づけで異議申立を行いました。
 名古屋市が談合防止のために、外部委員を交えた「公正入札確保会議」を本年度から開始しましたが、公表された平成19年4月分の業種別落札率を見ると、「談合の疑いが極めて強い」落札率95%以上の業種が存在していました。にもかかわらず「談合はなかった」との会議の結論がでたとのこと。どのような資料に基づいて、「談合はなかった」と判断したのか知るために、平成19年6月29日付で議事録と資料の情報公開を行いました。
 しかし、開示された議事録・資料(平成19年7月9日付け)からは、どのような視点に基づいて調査したかという肝心な部分が黒塗りとなっており、各委員の意見も黒塗りでした。これでは本当に談合調査をしたのかもあやしくなります。「公正入札確保会議」が単なる「談合がなかったというお墨付き」機関に成り下がるのを防止するためにも、今回異議申立をしました。
(内田 隆)
愛知県・名古屋市 
職員再就職状況をWEBで公開開始
 愛知県・名古屋市は7・8月に相次いで記者会見を行い、平成18年度末に退職した課長級以上の再就職先一覧をweb上で公表したことを明らかにしました。氏名、退職時所属・職名、再就職先、再就職先役職名がすべて実名で公開されています。
■愛知県職員再就職先http://www.pref.aichi.jp/0000003464.htm
 ・県再任用    41人
 ・県関係団体  30人
 ・民間企業   37人
 ・その他     68人
■名古屋市職員再就職先http://www.city.nagoya.jp/shisei/ippan/nagoya00042977.html
 ・市外郭団体・市立大学 62人 ・公共的団体(上記除く)21人
 ・市非常勤職員等   26人
 ・民間企業等     18人これら取り組みは評価に値しますが、この「再就職」が「県の斡旋
(天下り)」によるものなのかどうかがはっきりしないところが今後の課題です。例えば長野県は、再就職一覧表に「県の紹介等の有無」の欄を載せています。
 「天下り」の実態を市民がよく知った上で、今後天下りについてどのように取り組むかが問題だと思います。