名古屋市民オンブズマン・タイアップニュース 172号 2009年1月14日発行
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新年のご挨拶 名古屋市民オンブズマン 代表 税理士 倉橋 克実
 
 
 新年明けましておめでとうございます。
 だが、日本はおめでとうございますとは必ずしも言えない状況にあります。昨年のアメリカの金融破綻に伴い、日本の金融のみならず、実体経済も、トヨタ自動車をはじめとして多くの日本の主要企業が厳しい決算内容を予測するという厳しい状況が顕在化してきた。
 総務省は景気の後退に伴う地方税の落ち込みを法人2税を中心に前年度より4兆2843億円の見込みであると発表した。特に東京都と愛知県などで大幅な減収になると見られている。
 そして、一方では雇用の不安定化により、格差の進行によって既に荒れていた社会にますます安心、安全を脅かす要素が巻き散らかされることとなった。こういった状況は政治と行政でしか是正することはできない。完治徹底は不可能であるが、対処療法は可能であろう。
 財政の悪化が見込まれる今こそ、より健全な財政支出が要求される。我々オンブズマン・タイアップグループもこういった観点に立った活動が今年はできないものであろうか。以前にも申したことがありますが、オンブズマン活動は「無駄遣いを」減少させ、財政の健全化に寄与してきた。但し、それは不正、不法を追及したことによる、いわば副産物であった。予算書を読み解いたり、県や市のバランスシートを作らせたり、財政の健全化をオンブズマンが検討した結果でもなかった。
 「白い粉事件」に象徴されるように、模倣犯が出るほど、オンブズマンは行政の追及者である。官僚も議員もそのようには認知している。だが、彼らは我々と論争しようともせず、我々にアドバイスを求めることもない。そんな論争もアドバイスを求められる必要もなく、我々は批判者としての位置に厳然といればよい、という意見も一方であることも事実である。しかしながら、オンブズマン活動は市民運動である。行政や政治を市民の手に取り戻すことを目標に作られた市民運動である。その市民運動が官僚や議員と語ることなく、ひたすら批判者の位置のみに居続けるのは、いかがなものであろうか。以前の、オンブズマン活動はその構成の中心が弁護士であり、情報公開制度の黎明期でもあったことから、訴訟中心の活動であった。だが、弁護士への過重な負担からか、その活動の方向性を変えたり、活動を縮小していった。
 昨年は、政務調査費や裏金問題について、県や市へ数多くの申し入れを行い、マスコミへの露出も多かった。でもなにか、手応えがない。名古屋市民オンブズマン・タイアップグループのメンバーの方々に運動の再構築のためにも、メンバー間の対話とメンバーからの提案をお願いしたい。今年も一年皆様の活動を心底より期待するものであります。
 
愛知県の裏金問題
 
具体的な情報提供求む
 
 愛知県でついに発覚した裏金問題。しかし、「徹底的な調査」とは名ばかりの、「アクセルとブレーキを同時に踏む中途半端な調査」が行われています。これでは「徹底的に膿を出し切る」ことなど到底不可能です。
 心から県政を憂え、誇るべき愛知を築きたいとお考えの現・元職員に訴えます。せっかくの機会です。過去の裏金はどこへ行ったのでしょうか。現在の調査で不十分なら、どこを調査すればよいのでしょうか。
 すでにホームページ上で情報提供を呼びかけたところ、続々と情報が寄せられています。現在調査進行中です。
 実名・匿名などは問いません。下記のアドレスへあなたのアイディア・情報をお寄せ下さい。
http://www.ombnagoya.gr.jp/
office@ombudsman.jp
 
市会議長の責任を問う H13年政務調査費住民訴訟
 
 不当な「門前払い」却下判決
 
 
歴代議長政務調査費を 調査せず 
 
西村元市議対自民党名古屋市議団の名誉毀損裁判の中で、平成9−14年度の共通経費分帳簿が提出され、はじめて市民が実際の政務調査費のずさんな使われ方を知ることができた。
そのうち平成14年度分については既に住民監査請求を行い、08年3月28日約692万円の返還が勧告されたが(残り約511万は住民訴訟中)、平成13年度分「共通経費」のうち13,584,541円は不当利得返還債務の時効(5年)が成立していた。
 しかし政務調査費をチェックするのは議長であり、歴代議長がチェックしなかったために時効にかけて市に損害を与えたのではないかと、08年6月16日歴代議長の責任を問う住民訴訟を行った。
 
裁判所 入り口論で却下
 
 しかし、08年11月6日、名古屋地裁は「住民監査請求の期限が過ぎている」と却下判決を出した。
その後の経過は、
 ・平成14年4月30日 市議団  が議長に収支報告書提出
 
・平成19年4月30日 不当利  得返還債務が5年の消滅時効 にかかった
 
・平成20年4月30日 住民監  査請求の期間制限(1年)が経  過
  
・平成20年5月8日 住民監査  請求(期間制限より8日遅滞)
 
 とあまりにも形式論であるし、同様の最高裁判決があるというが、論点が異なるという当方の主張を全く考慮していなかった。
 今後高裁で争っていく所存である。
(内田隆)
「白い粉」郵送事件        
 
にせオンブズマン出現
 
市民オンブズマンを騙る
 
何者かが愛知県・名古
 
屋市に白い粉を郵送
 
 12月9日名古屋市役所・区役所や愛知県庁に「名古屋市民オンブズマン」と記された封筒が届き、中に「白い粉」が入っていたと報道された。名古屋市民オンブズマンはこれに一切関与していないことは言うまでもない。
 これは私たち「名古屋市民オンブズマン」に対する業務妨害である。氏名不詳の犯人を12月10日偽計業務妨害罪で告訴した。
 私たちが発送する郵便物には所在等が明記されており、問い合わにはすべて対応している。
 今後市民オンブズマンからという疑わしい書面が会った場合、模倣犯を防ぐ意味でも、直ちにお問い合わせいただきたい。
 なお「白い粉」封筒は当団体の水色封筒ではなく、白い封筒に「名古屋市民オンブズマン」と印字した紙を貼り付けたものだったとのことである。
 
言論によってのみ
 
  自治体は改革可能
 
 今回の文書には、愛知県、名古屋市の裏金つくりに抗議する意思が表現されていたという。しかし仮に本件の犯人が裏金つくりに抗議する意思をもっていたとしても、このような形での抗議を私たちは認めることはできない。
 今回の行動は “言論によって役所を追及する”市民オンブズマン活動とは正反対の行動で言論の名に値しない。
 
事件に萎縮せず
 
今後も自治体を追及 することを再確認
 
 私たちが何よりも問題と考えるのは、このような不当行為を行った犯人と同視されることをきらう余り、愛知県、名古屋市の裏金問題に対する市民、県民の健全な批判の言論が結果的に抑止されることである。しかし、これはこの地域の自由な言論が封殺されることをも意味するので、断じてさけなければならない。
 この地域の言論を守るという意味で、私たちは今後も自治体に対しては臆すことなく、問題を追及する言論を行使する考えであるし、このことは私たちと同じ意見を持つ県民、市民の皆様方にも呼びかけたい。
茶 番 劇 {愛知県裏金第三者委員会}
 
「県裏金第三者委員会」事前に公開の意志を決めていなかった!
 
 愛知県裏金問題の自主調査に関する検証・助言等を行う第三者委員会(経理適正化外部委員会)が08年10月31日に会合を行うとの記事が10月25日掲載され、28日担当課(総務部人事課)に同委員会は傍聴可能かどうか問い合わせたところ、人事課は「とりあえず第三者機関の設置を決めただけで、記者発表の際は市民に公開するかまでは決めていなかった。早急に決めて回答する」と返事があった。
 29日になって「傍聴可能」と連絡があり。人事課に早急にホームページに開催日時と傍聴可の旨掲載するように要望した。それに対し、議事録等は会合開催後にホームページに掲載するとのことだった。
 
公開は決めたが市民に公開を公表せず
 
 31日午前10時から第三者委員会の初会合があり、名古屋市民オンブズマンのメンバーら6名が傍聴した。
 9時45分頃会場に着くと、県職員が「傍聴定員は10名で、9時50分で締め切り10名を超えれば抽選する」と説明し「経理適正化外部委員会」傍聴要綱が壁に掲示されていた。
 傍聴希望者が「インターネットには今回の会議の説明も傍聴の定員や締め切りのことがひと言も書いてなかったではないか」とつめよると、担当者は「ネット上にも掲示板にも公表しておりませんでした」と認めた。
 
外部委員 追及は甘く進行はシナリオ通り
 
 会議での外部委員の追及は甘く、この委員会は県のシナリオ通りに話が進んでいく「茶番劇」でしかなかった。予測通り!
 弁護士の山田靖典委員長は就任あいさつのなかで「今回、不適正支出が発覚したことは残念。しかし大多数の県職員のモラル(倫理)もモラール(やる気)も高いと信じている」と述べ、一部の職員の単なる会計処理違反に過ぎないとの認識を明らかにした。
 また「預け」などごく一部の「不適正な会計処理」のみを調査し、過去作ってきたであろう膨大な裏金については、調査するつもりはないことが明らかになった。
 
今後の会議は非公開
 
 さらに山田委員長は「本日の会議は公開したが、次回以降の会議は、業者名や職員個人名が出るため、非公開としたい」とし、各委員が了承した。
 ただし、次回以降、会議の概要等については、記者発表すると明言した。
 外部委員の村松豊久弁護士が「愛知県の本庁・出先機関だけでなく、県が関与する団体も調査しないのか」と質問したのに対し、副知事は「外郭団体に対して県が調査を強制するのは難しいが、各団体自主調査するよう要請していきたい」と一歩踏み込んだ答弁をした。
 
委員が平成14年度以前の調査を促すも県職員文書保存を命ぜず
 
 外部委員の村松豊久弁護士が平成14年度以前の調査を行う意志があるのか質問したところ、総務部長は平成14年度以前の書類は原則廃棄しており、保存状態を調べて検討すると発言。
 *その後、県は各課に文書保  存を命ぜず、第三者委員会  開催後も文書を廃棄してい  た部署があったことが判明し  た(別稿参照)
 
 
 
委員長は認識の甘さを露呈
 
 委員会終了後、山田靖典委員長のインタビューがはじまった。
 職員処分や返還方法なども今後検討するようになるがと問われ「浅野史郎・元宮城県知事は、裏金調査ははじめからクロと思って調査させたと新聞報道で知ったが、愛知県職員はモラルが低いとは思わない。今はニュートラルで行きたい」と述べるなど、認識の甘さを露呈した。
 さらに外部委員は直接独自調査をするつもりなのかを聞かれ「私も仕事が忙しく、現時点では独自調査は前提となっていない。必要となればする」と述べ、やる気のなさをあらわした。
 さらに、岐阜県名古屋市の裏金問題追及を参考にするのか聞かれ「岐阜県や名古屋市の裏金問題は、一定金額をプールしたり餞別に当てたりしたもので、愛知県で発覚した今回の問題とは違うと認識している。
 愛知県の問題はコンプライアンス的には問題だが、裏金そのものではないのではないか」と述べるなど、問題を矮小化している。
 
会議日程も非公開、記者会見も行わず
 
 12月16日、事務局の人事課担当者に次回日程を確認したところ「山田委員長と電話で確認し、次回日程も非公開にした。終了後記者会見は行わない。ホームページで概要を掲載するだけ。これが委員会の総意」だとの返答があった。
 会議そのものの非公開と、会議日程の非公開は別問題、両者の区別をしない行政のあり方は情報公開の理念やアカウンタビリティの義務に反するだけでなく、「愛知県経理適正化外部委員会」の信頼性及び客観性に対する疑念を生じさせるものと言わざるを得ない。すくなくとも @日程 A会議 B議事録の公開は不可欠である。       (内田 隆)
愛知県 「裏金作りの証拠」H14年度会計書類を破棄
 
 08年11月14日の毎日新聞は愛知県は会計検査院の裏金指摘した後、5年の保存期限が過ぎたH14年度の書類を廃棄していたと報じた。その後愛知県は11月20日会計検査院指摘後14の機関と部署でH14年度分の会計文書を廃棄していたと公表した。
 特に県が裏金の謝罪会見を開いた10月18日以後にも出納事務局と3県税事務所で、心身障害者コロニーや2高校では第三者委員会がH14年度分の裏金調査を命じた10月31日以後に廃棄していた。
 11月20日名古屋市民オンブズマンは愛知県に対して会計文書破棄に関する申し入れを行った。

 H14年度の会計文書は愛知県での裏金つくりの真相を明らかにする上で極めて重要な証拠だ。加えて10月31日に開かれた裏金問題の第三者調査委員会で、委員からH14年度以前も文書が残されている場合は調査対象に加えるよう指示され、総務部長がH14年度以前の書類は保存状態を調べて検討すると答弁した。
 これらの文書が愛知県の調査に必要不可欠の文書であることを認識しながら、あえてこれらの文書を破棄したとすれば、刑法258条の「公用文書毀棄罪」に該当することは明らかである。
 今後、H14年度以前の会計文書の破棄がなされた場合には、私たちは公用文書毀棄罪での刑事告発をする所存だ。

 今回の文書の破棄が明るみに出た際に、愛知県は当初は文書を破棄しないよう指示したと説明し、後に「そのような指示をしたことはなかった」という発表が虚偽であったことを認めた。
 これに限らず愛知県の虚偽はゲーム機をDVDプレーヤーと発表したり、iPodをアップルコンピュータと発表するなど、そこここに説明の綻びとなって現れている。
 これら一つ一つの嘘から透けて見えるのは、ひたすら県民の批判を避けることに終始し、そのために批判を浴びそうな事実をできる限り隠蔽しようとする県の姿勢である。 今回の文書破棄も、こういった県の調査に対する消極的な姿勢が職場全体に蔓延し、真相究明よりも証拠の隠滅を優先しようとする行動となって現れたと見ざるを得ない。事態は極めて深刻だ。
 文書の破棄が犯罪を構成する、しないに係わらず、私たちは今回の文書の破棄は裏金調査に対する悪質な証拠隠しであると考える。そこで、愛知県が裏金謝罪会見を開いた10月18日以降にどのような文書が破棄されたのか、どのような理由で破棄したかを調査し、公表するよう求める。
 また、報道によると副知事の西村真氏・稲垣隆司氏両名は、本年5月には会計検査院の指摘事項を把握していたにもかかわらず、全部署に対して書類保管の指示をせず、そのため多くの部署で会計書類の破棄が行われたという。したがって私たちは副知事のリーダーシップには期待できない。文書の破棄については知事自らが率先調査し発表することを求める。

知事「適切な措置」と開き直り
 ところがこれに対し知事は12月2日、保存期限が過ぎた文書を廃棄すること自体は「適切な措置」だと開き直りの回答を出した。

 以上を受け、名古屋市民オンブズマンは12月11日、以下の文書の公開を請求しました。
 *平成14年度下記の部署の支出証拠 書類で、すでに廃棄された文書ファイル の名称、量、廃棄の方法、契約、廃棄伺 い及び廃棄決定に関する書類(紙、電磁 的記録それぞれ)
  ・公共建築課
  ・出納事務局監理課、出納課
  ・名古屋東部・北部・南部県税事務所

 12月26日、廃棄関係文書が開示され、10月28日に文書を廃棄した出納事務局は「9月中に文書廃棄を計画し、契約通りに10月28日に廃棄した(裏金の資料であると)配慮がなかったといわれればその通りだ」と認めた。
 一方、会計検査院が検査した「建設部」内の公共建築課では、その課にたまたま国費支出がなかったため会計検査院は検査せず、9月中に廃棄を計画し、10月17日に廃棄したという。しかし、文書管理規定上は廃棄1年前に公文書館に対して廃棄予定分処理リストを提出することになっているが(愛知県行政文書管理規程65条)、公共建築課ではこのリストを提出していない。
 公共建築課の担当者は「建設部の他の課に会計検査院の検査が入っていたことは知っていたが、裏金が指摘されたことは知らなかった。リストを提出していなかったことが文書管理規程違反だと言われればそうかもしれない」と言っていた。
 会計検査院が検査した建築部の課で文書破棄が見つかっているので、今後も追及を続ける。
名古屋市、裏金の帳簿・通帳は行政文書ではないと却下
 
オンブズマン 取消訴訟へ
 
裏金帳簿・裏金通帳は行政文書でない?
 
 名古屋市が税金を裏金にしていた際に作成された「帳簿」・「銀行通帳」を名古屋市民オンブズマンが08年11月に情報公開請求したところ「行政文書でない」という理由で「却下」された。
 オンブズはこれを不服として09年1月にも取消訴訟を提起する予定だ。
 
07年には行政文書と認めた上で非公開
 
 名古屋市では総額2億1600万円に上る裏金を作ってことが判明し08年3月に職員413人が処分された。
市では裏金を作った際、出し入れや使途がわかる「帳簿」を作成していた。また、裏金の保管方法としては、現金以外にも、銀行通帳が用いられてきた。
 07年10月に名古屋市の裏金づくりが発覚し、07年11月に名古屋市民オンブズマンが「裏金帳簿」「裏金通帳」を情報公開請求した際「公開請求のありました行政文書は、公にすることにより今後の調査において、正確な事実の把握が困難になる恐れがある」ためとして非公開にされた。
 このときは「裏金帳簿」「裏金通帳」が行政文書と認めた上で非公開にしているにもかかわらず、裏金調査が終了した後の08年11月の請求では「職員が職務上作成し、取得したものではなく、組織的な利用もないことから、行政文書に該当しない」と却下にするのは筋が通らないし、情報公開の名に値しない。
 
市長、最終的には精査して公開すると明言
 
 松原市長は、07年11月19日の定例記者会見の中で名古屋市民オンブズマンから「裏帳簿」の公表を求められていることに対し“当面は非公開にするが、最終的には精査して公開する”と発言している。
また、副市長はある記者から“基本的に全て公開することでよろしいか”と尋ねられ“全て公開するとは言えない。しかし姿勢としては隠すものではない。最終的には精査して判断する”と回答している。
 今回の却下決定は、市長の方針とも反する。
 
福岡県「裏帳簿」最高裁で開示命令
 
 なお、96年に発覚した福岡県裏金の「裏帳簿」をめぐって、市民オンブズマン福岡が情報公開請求したところ「公文書に当たらず却下」とされたが、最高裁で「公文書に当たる」として確定している。
 これを受けて福岡県は裏帳簿の個人名など大部分を非公開にして開示したが、福岡地裁では公務員氏名を公開するよう命じた。
 今回の名古屋市の「却下」決定は、最高裁判決にも反するものである。
 福岡県では58億円もの裏金が作られており、一部開示された裏帳簿(約9700枚)には、中央官庁、県議会議員、監査委員、会計検査院への接待など「癒着、なれ合いの行政の証拠」が多数記載されていた。
 徹底した情報公開こそ裏金づくりの再発防止策だ。
 08年10月に会計検査院によって発覚した他自治体の裏金作りの対応にもこの裁判が影響すればと期待される。
 
名古屋市、第三者委員会入手の通帳一部開示
 
 名古屋市民オンブズマンが08年11月20日名古屋市長あてに情報公開請求した「不適正な会計処理に係る外部調査委員会によって入手された金融機関の取引明細表」についてが、12月8日一部開示された。
 名古屋市裏金外部調査委員会は、名古屋市が内部調査で調査した不明金や不適切な保管金のなかで、銀行通帳が名古屋市に残っていなかった過去10年分のものについて、金融機関に問い合わせ入手したとのことで合計13口座という。
 名古屋市の内部調査では、裏金の金額は約1.6億円としたが、外部調査委員会の調査によって、さらに約5600万円が追加され、合計約2.1億円が裏金と推定された。
 開示された金融機関の取引明細表については、口座名や口座番号、取引先、摘要欄が非公開となった。
 問い合わせた担当者による非公開理由は、口座名には係長名が使われていたことが多く「仮に今後裏金問題が起きて内部調査の必要が生じたとき、正確な調査ができなくなるおそれがある」と口頭で説明があった。
*名古屋市情報公開条例第7条第1項第5号に該当特定した文書の内、取引先、口座氏名、口座番号、摘要欄の一部の情報については、公開することにより、今後の同種の調査において職員の協力が得られず、正確な事実の把握が困難となり、適切な調査事務の遂行に支障を及ぼす恐れがあるため。
 名古屋市のちぐはぐな対応は、情報公開の意味を理解していないために起こったのか「裏帳簿を情報公開訴訟へ」と新聞記事になったための政治的判断かわからぬが、今回の第3者委員会入手の通帳に関しても、情報公開訴訟をするかあらためて検討したい。
 
断固幕引きを許さず
 
 全ての帳簿・通帳の、さらに内容全てが公開されるまで、名古屋市の裏金問題が解決したとは言えない。全容解明があってはじめて再発が防止される。
 裁判の場で真実を明らかにしていきたい。
(内田 隆)
名古屋市民オンブズマン発 愛知県知事宛      
愛知県裏金調査に関する12のお尋ね
 
名古屋市民オンブズマンは、平成20年12月15日愛知県が発表した「不適正な経理処理に係る全庁調査の結果について(平成19年度分)」は期待はずれであり、県民の疑問に応えたものとはなっていない、と12月25日知事に対して以下12の質問を行い(一部略)、09年1月13日までの回答を求めた。

平成20年12月15日愛知県は「不適正な経理処理に係る全庁調査の結果について(平成19年度分)」(以下「12月調査結果」)を発表した。しかし、知事が会見で宣言した「徹底調査」の名のもとに行った調査としては期待はずれであり、今回の裏金調査に対する県民の疑問に応えたものとはなっていない。これでは裏金の真相を究明しようとする知事の前向きな姿勢を見ることができない。そこで私たちは貴職に対し以下の事項をお伺いするものである。
 
1.どの業者にいくらプールされていたか、何の物品を購入したかなど「預け」等の実態を明らかにする意思はあるか
  市民が知りたいのは「業者名」「預け金の額」「一括払い」「差替え」「翌年度納入」「前年度納入」の区別であり、どの名目で何を購入したことになっていたのか、である。これら情報がないと、発表された物品で全てかどうかが市民にわからない。業者の書類と突合した証拠こそ、公開すべきである。
 
2.賃金・旅費について「県単独事業」の調査をする予定はあるか
  過去に県税事務所カラ雇用問題や監査委員事務局カラ出張疑惑が生じていながら、県単独事業でカラ雇用やカラ出張などの不正支出が一切なされていないとする根拠がどこにあるか不明である。改めて県単独事業についての調査をする予定があるか、もし調査をしないとすれば、その根拠は何か。
 
3.需用費について「国庫補助対象」「県単独」それぞれの金額を示させる意思はあるか
  県民へ「県単独」事業での裏金作成の実態を知らせないのは「県民の信頼回復」からほど遠いだけでなく、調査が二度手間になる。それぞれの金額を説明する意思の有無とその理由について明らかにされたい。
 
4.開催日程すら非公開の「経理適正化外部委員会」を全面公開させる意思はあるか
  次回以降の会議については記者発表すると明言しながら「次回日程すらも非公開。終了後記者会見は行わない。ホームページで概要を掲載するだけでこれが委員会の総意」だとの返答があった。しかし会議そのものの非公開と、会議日程の非公開は次元を異にする問題で、両者の区別をしない行政のあり方は情報公開の理念やアカウンタビリティの義務に反するだけでなく「愛知県経理適正化外部委員会」の信頼性及び客観性に対する疑念を生じさせるものである。
 すくなくとも@日程A会議B議事録の公開は不可欠である。
 
5,県警の裏金も調査させる意思はあるか
  岩手県警では平成20年11月25日記者会見を行い、平成15-20年度の6年間に計2538万円の県費を不正に会計処理していたと認めた。うち、業者の口座に事前入金して物品を購入する「預け」が計2433万円にのぼったという。宮崎県警では3警察署で「預け」が発覚し全額返金している。知事のリーダーシップさえあれば県警に調査させることは可能である。
 
6.文書廃棄に対する対応はどう考えるか
  公金の不正流用が明らかになった時点から、会計文書は当然裏金つくりの証拠になりうる存在であることは明白だ。文書廃棄した職員への処分および今後は文書の保管についてどのように考えているか。
 
7.委託料や任意団体の保管金など、他全ての金銭に関する調査を行う意思はあるか
 愛知県は平成20年12月19日、林業関係の任意団体の運営費を着服した職員がいたと発表した。報道によれば農林水産部だけで69もの任意団体の会計事務を県職員が行っているという。他部での状況と、その確認は早急にする必要がある。
 岐阜県では県が事務局と会計を担当する300を超える実行委員会や協議会などを1994年までに調査し裏金が発覚している。
 徹底的な全庁調査というには全ての金銭に関する調査が必要である。
 
8.過去の裏金作成状況についてOB職員・現役職員に対面調査を行う意思はあるか
  愛知県だけが対面調査をしない、ということでは事態はすまされない。対面調査をする意思はあるのか、あるとしたら、どの規模で行われるかを明らかにされたい。
 
9.外部監査委員への監査要求を行う意思はあるか
  外部監査委員に対する個別外部監査をすることが必要と思われるがその意思はあるか。ないとすれば、その理由はなにか説明されたい。
 
10.「調査終了後」さらに裏金が発覚したらどのように処理するのか?「後出しは厳罰」と明言せよ
  不正支出の調査を阻害するものは「ばれなければ済む」という職員の意識である。
  知事が「後出しは厳罰」と命じない限り再発は必至である。
 
11.経理適正化対策本部会議の位置づけは?
  徹底調査なくして適切な対策が立てられないのは他の自治体のみならず愛知県においても当てはまると考える。
 
12.ホームページ情報を充実させる意思はあるのか
  本件に関し08年12月3日にようやくまとめたページを作ったが本日まで更新されていない。
県内オンブズ             
県内全市の情報公開度調査を
 
尾張旭市で「閲覧手数料」徴収の動き
 08年9月尾張旭市で情報公開条例を改悪し「閲覧手数料」を取ろうという動きがあった。
 尾張旭市によれば @公開請求の中には、個人情報を含む文書を大量に請求し非公開決定の後も請求や不服申立てを繰り返すものがある A事業者による営業が目的と思われるものがあるため、探す準備が必要なので特定の利益を受ける人に費用の一部負担をお願いしたいと考えたとい
う。
             
市民がもっと情報公開請求制度の活用を
 閲覧手数料徴収は、市民の知る権利の侵害となりうるため、とうてい認めることができない(閲覧費用負担はバカにならない)。
しかし尾張旭市民があまり情報公開請求しておらず業者ばかり情報公開していたため、このような制度改悪の提案を許してしまったということも考えられるのではないか。
県内情報公開度ランキングの提案
 その反省を踏まえ市民による情報公開制度の活用をはかるため、久しぶりに県内市情報公開度ランキングを行うことを呼びかける。
 過去愛知県市民オンブズ連絡会議が県内市情報公開度ランキングを発表したり、県内市議会政務調査費調査などを行っていた。 しかし、ここ数年県内オンブズの活動が休止状態になっていた。
 県内情報公開度ランキングをしないことで、都道府県・政令市以外の自治体の情報公開度が低迷あるいは後退している可能性がある。
全国全市情報公開度ランキングも発表予定
 全国市民オンブズマン連絡会議では上記の問題意識から、できる限り「全市」ランキングを各県それぞれ行おう、という提案がされている。共通情報公開請求項目を決め、共通項目で全国の全市のランキングを発表しようという計画もある。
 愛知県内自治体に対する請求項目や請求分担などの打合せのため、09年1月17日(土)午後2時〜弁護士法人リブレ名古屋事務所で会合を持ちたいのでぜひご参加下さい。(内田隆)
 
H16自民党市議団政務調査費(個人経費)住民訴訟
 
オンブズマンの尋問で政務調査費の実態明らかに

政務調査費委託先 
 
一時証言拒否
 
 H16年度に自民党名古屋市議団へ支給された政務調査費のうち、個人経費分1億3500万円の返還を求める住民訴訟(名古屋地裁)で、08年11月12日市議団側から申請があった市議2名に対する証人尋問があった。
 まず尋問された中田千津子市議は、ホームレス対策とアメリカ視察に政務調査費を用いたと説明した。しかしよく聞いてみると「調査会社」に委託してホームレス対策調査を行ったり、アメリカ視察の事前調査を行っていたことがわかった。その調査会社に今月はこの内容を調べて下さいと委託するという。毎月定額ではなく調査してもらう内容によって上下していたともいう。
 オンブズマン代理人の新海聡弁護士は中田市議に対して「調査会社の名称は」と聞いたところ、「弁護士さんと相談します」と一時証言拒否を行った。
 大手の調査会社としか述べず裁判長から「ホームレス対策の関係であれば秘密に行う必要も無いように思う」とまで言われるほどであった(後日陳述書が送られてきて調査会社の名称が判明した)。調査会社の成果物は、紙で届いたものもあるし口頭で聞いたものもあるという。
 
歯科医師市議   
歯科医師会総会出 に政務調査費支出
 
 次に尋問された岡本善博市議は歯科医師である。歯科医である岡本市議は歯科医師会の総会費を政務調査費の研修費としてあげていた。
 新海弁護士が「議員でなくても歯科医であれば歯科医師会の総会に参加するでしょう。なぜ政務調査費を使ってもいいと思ったのか」と聞いたところ「それは市政全般のことをいろいろと報告するということが、一歯科医師ではできない部分があろうかと思います」と回答があった。
 
わりにマトモな市議でコレ  
他の市議の調査実態
     が知りたい
 
 提出された陳述書から自民党市議団の中で比較的調査をしている市議とわかるこの2名でも実態はずさんな点があった。他の市議はまともに説明していない事例も多い。現在帳簿の文書提出命令申立を行っている。開示で実態を明らかにしたい。(内田隆)
裏金問題の根底にあるもの
 
弁護士 新 海  聡
 
「発覚すべくして発覚した」 愛知県の裏金
 
昨年(2007年)の名古屋市に続いて、今年(2008年)、愛知県でも全庁的な裏金の存在が明るみになった。それも、会計検査院の検査での発覚という愛知県にとって最悪のシナリオで、だ。しかし、これも「発覚すべくして発覚した」というべきではないか。
 官官接待に端を発する自治体の不正支出が全国で明るみに出た95年の秋ころから、私たちも情報公開条例をもとにして、愛知県や名古屋市での裏金の調査を開始した。その結果、飲食店の請求書を名古屋市の担当部局が作成して支払いをしていた事実や、愛知県の部局での不自然な県内宿泊や年度末に集中する備品購入などの事実が明らかになった。 これらは明らかにカラ飲食やカラ出張、備品購入を口実とする預けを疑わせる証拠である。しかし、名古屋市も愛知県もせいぜい、事務上の軽微なミス、とするだけで、全庁調査をしないばかりか、裏金の追及の根拠となる出張者名などの情報を非公開とし続けた。
このため、愛知県は他の自治体が公開している情報を公開していない、として、全国オンブズマンの情報公開度ランキングで98年、99年と2年連続で最下位となっている。そして、最下位の汚名を着てまで愛知県が隠そうとしたのは、裏金造りである。
 
これまで 裏金調査しなかった 真の理由 
 
では、他の自治体では次々と裏金の調査をし返還をしている中で、愛知県や名古屋市が頑なに裏金の調査をせず、情報も公開しなかったのは、なぜか。行政の無謬性に対する傲慢さと、これと裏腹をなす、市民に対する怯えが愛知県庁や名古屋市役所に根強くあるからだ。
要するに、行政は断固正しい、行政を疑う方が誤りだ、となれば、市民から行政にとって都合の悪い情報の公開を求められることや、行政の誤りを指摘されることには臆病にならざるを得ないのだ。そしてその臆病さは行政に批判的な市民や団体を「敵」視することにつながる。
この姿勢は、かつて市民オンブズマンを「必要な敵」と呼んだ前宮城県知事などの考え方と対局に位置する。
こうなると、公金に対する行政に批判的な市民の考えが行政に入り込むことはない。個々の職員が持っていたはずの健全な市民感覚も組織内で窒息するだけだ。
あとは、会計監査院のような、名古屋市や愛知県からみて、より強い「無謬」の機関に指摘されるまで、裏金の存在は組織のタブーとなりながら、連綿と作られ続けることになる。
 
 
行政の「市民 敵視の体質」に 変化なし
 
裏金造りの根底にある、行政に批判的な市民の眼を敵視する行政の体質に変化がないことは、裏金調査においても情報の隠蔽や調査対象を県自ら限定していることなどに現れている。
愛知県や名古屋市行政の民主度はまだまだ低い。
 
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 日程 : 名古屋市民オンブスマン・タイアップグループ               2009年1月以降 
曜日 時間 行 事 ・ 裁 判 ・ 催 し 場    所


 

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14:00
 

愛知県市民オンブズマン連絡会議 県内情報公開度ランキング打合せ

弁護士法人リブレ名古屋事務所
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自民党名古屋市議団政務調査費(H14共通経費分)住民訴訟 市議尋問 名古屋地裁民事9部 1102法廷
 
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