第80号 2000年2月1日                          
 
県税事務所カラ雇用事件判決
 
 間接的に前知事らの責任を認定
 
 1月31日、名古屋地裁で、愛知県県税事務所カラ雇用の損害賠償請求訴訟の判決がありました。
 この事件は、愛知県の税務関係地方機関で、実際には雇用していない臨時職員を雇ったように見せかけウラ金を作っていた事件です。 新聞報道がキッカケで県の総務部長がカラ雇用を認めました。
 オンブズマン・タイアップグループはこの件に関して公開質問状を県知事に出しましたが、お座なりの回答しかありませんでした。その後、県は一定の調査をして36名の処分を発表しましたが、不正支出の金の返済は求めませんでした。次いで、県税の事務改善報告書が出され、県としてはこれでこの問題に終止符を打ったつもりのようでした。
 一方、オンブズマン・タイアップグループでは、この件について住民監査請求を行いましたが、監査報告では不正を認めたものの、金の返済は求めませんでしたので、損害賠償請求訴訟を起こしたものです。
 97年1月に提訴して以来、99年12月10日の結審に至るまで、県側はカラ雇用の事実は争いようがないにも関わらず、法廷で種々な言い訳を主張してきました。
 ところが、結審の日、前知事を除く被告たちが訴訟の対象となった680万円余を利息とともに県に返済したので、県の損害は消滅したと主張しました。
 間違いを認めてお金を返すのなら、裁判で争う必要があったのでしょうか。返済した理由は「早く裁判を終わらせたいから」だそうで、それならば結審の日になって返済するのはなぜでしょう。姑息さにあきれます。
 結審当日、裁判長から原告に対して訴訟を取り下げるかどうか質問されましたが、オンブズマン・タイアップグループでは、下記のような意見書を裁判所に提出してあえて判決を求めたものです。
 判決では前知事鈴木礼治氏をはじめ、県税事務所長らに裁判費用の一部を支払えとの命令が出されましたが、県知事の責任を認めたのは初めてのことです。
 なお、形の上では原告敗訴で、一般には裁判費用はすべて原告側の負担となるのですが、被告(県側)にも負担するよう命じたことは、裁判所が県側の責任を認めたことになります。


              意   見   書

一.先般被告らが、本件訴訟の対象となっているカラ雇用によって支出された、公金
 及び支出時からの遅延損害金を県に支払ったため、本請求は県に損害がないとの理
 由で棄却される見通しとなりましたが、以下の理由により私達は本件訴訟を取り下
 げずに、あえて判決を求めることにしました。
1. 本件カラ雇用による支出が違法であることは、誰の目から見ても明らかです。
   偽造の履歴書まで作成し、アルバイトを雇ったことにして公金を支出させ、それ
  を税務署や関係市町村に現金のまま、あるいはドリンク剤やビール券に換えて接
  待費的にばらまくことが許されるとするなら、自治体職員がウラ金を作り、それ
  を公に出来ない支出に当てることを容認することになり、地方自治法、関係条例、
  規則が公金の支出について厳格な手続きを求めている趣旨を没却し、ひいては、
  民主主義の根幹を揺るがすことになってしまいます。
2. ところが被告らは、ことの重大性を全く自覚せずに、長年の慣行であったとか、
  世話になった税務署や市町村に謝礼をするのは当然であるといった愚にも付かな
  い理由を挙げて本件支出は違法ではないと主張し、全面的に争っていました。そ
  して、この様な主張が通りそうもないと観念して、結審間近になって損害金を県
  に返し、責任を曖昧にしたまま本件訴訟を終わらせようとしているのです。
    被告らが、違法行為に荷担したことを真に反省し、責任を自覚するならば、カ
   ラ雇用が発覚した段階で、県民に謝罪をし、監査請求期間の関係上訴訟の対象と
   出来なかった平成6年度分の支出も含めた損害金全額を県に返還したはずです。
   さらには、北海道や宮城県のように、全庁的な違法支出の徹底的な調査とそれに
   より判明した違法支出金の返還につながったはずです。ところが、被告らはここ
   に至って、なお、「今後も訴訟を継続することにより、愛知県の行政運営に僅か
   でも支障を来すことになることは大変心苦しく感じており・・・請求されている
   金額・・・及び利息相当額について支払いたい」等と言い訳をしています。この
   ような自己保身、内向きの事なかれ主義が庁内に蔓延しているからこそ、カラ雇
   用のような違法行為が長期間にわたって野放しにされてきてしまったのです。
3. このような悪慣行の根を絶つには、本件支出の違法性や被告らの責任を曖昧に
  したまま本件訴訟を終了させるわけにはいきません。そこで、私達は敢えて判決
  を求めることにしたのです。
二.裁判所におかれましては、私達が判決を求める理由を十分に斟酌され、仮に、県
 に損害がないとの理由で本案請求を棄却するとしても、判決理由中には、本件支出
 が違法であることと被告らに責任があることを明確に指摘されるよう希望します。
   また、本件訴訟で私達が求めていた金額全額が、本件訴訟を提起したことにより
 県へ返還されたのですから、実質的には私達の勝訴というべきです。したがって、
 訴訟費用は全額被告らに負担を命ずるよう希望します。
 
 
「後ろ向きの議論を続けるのはどうか」裁判長が苦言
 万博懇談会情報非公開訴訟 控訴審で
 
 万博誘致室が行った懇談会の参加者・会場・目的などを非公開とした決定の取り消しを求める訴訟は、昨年8月末に外国人を対象としたものを除いて、勝訴しました。オンブズマン・タイアップグループ・県の双方が控訴しましたが、その控訴審の第1回弁論の時、県側が非公開を求める従来の主張を繰り返したところ、裁判長は「後ろ向きの議論を続けるのはどうか」と苦言を呈し、「過去の話だし、今更実益がないのでは。条例も公開するように改正されているし、将来的な方向性も踏まえて議論しませんか」と諭しました。
 
オンブズマン・タイアップグループの[溜まり場]出来る
 
 このほど、リブレ法律事務所ではビルの同じ階の向かい部屋も借りることになり、そこの、オンブズマン・タイアップグループの溜まり場に出来るスペースを設けることになりました。
 これまで5年間、火曜会などリブレ法律事務所のご厚意で、無料で使わせていただいていることもあり、新しいスペースにおく机椅子など費用の一部をタイアップグループで負担することになりました。
 
ホムページも新しく!!  2月中旬から
                   
 それに伴って、タイアップグループ専用のパソコンも備え、今まで会員の菰田さんの個人ホームページの一部においてあったタイアップのホームページもそこに移します。