2015年8月1日、名古屋市でプレミアム商品券が発売された。
http://www.p-shouhinken.com/nagoya/index.html
1冊10000円購入すると12000円分使えるとあって、早朝から長蛇の列ができた。市内の区役所、コンビニ、スーパーなど269か所で午前10時から一斉に販売されたが、午前10時までに33.5度まで気温が上がり、少なくとも11名が熱中症などで病院に運ばれたとのこと。
港区役所講堂付近にいた男性は病院に運ばれ亡くなった。(プレミアム商品券を購入しに来たのかどうかは不明)
実際購入した人に聞いてみると、スーパーやコンビニに並んだ人はエアコンの効いた部屋で並んだ上、引換券をもらったためにまだよかったようだが、区役所で並んだ人は炎天下の屋外に長時間並ばされ、引換券も1時間前にしか渡されず、講堂に入れる人も人数制限があったとのことで悲惨だったとのこと。(区によって対応が異なる模様)
家族連れで多くの子どもが列に並んでいたとのこと。購入できずに帰った人も多かった模様だ。それでも20%のプレミアムを求めて行列する人も多かったという。
発行部数は66万3000冊で、1人5冊(5万円)まで購入できるとあるので、13万人以上が購入した計算となる。(名古屋市民は約228万人) ほとんどの人が5冊購入したとのこと。
しかし、命の危険を冒してまで商品券を購入する必要があったのだろうか。そもそも、行列に並べない病気や寝たきりの人や、購入するお金がない人など、本当に困った人には商品券は買えない。
商品券を使える店も限られており、大手スーパーやコンビニでは使えるが、地元の商店では申し込んでいない店も多く、使うことができない。他自治体では、商品券を換金するのに最長1カ月近くかかり、手元の資金がおぼつかなくなることもあると報道があり、名古屋市を調べてみると「最低でも」1カ月かかることが判明した。
https://www.p-shouhinken.com/nagoya/images/entry/entrance.pdf
購入できなかった人などから名古屋市に対して8/3まで電話が殺到したとのこと。
上記を見ていると、いったいだれのため、何のためのプレミアム商品券がわからない。
名古屋市の説明:平成27年10月の消費税の再増税は見送られたものの、個人消費の低迷が引き続き見込まれ、地元商店街等においては引き続き厳しい経営状況が余儀なくされることから、国の「地域住民生活等緊急支援のための交付金」を活用し、地域の消費意欲を喚起するため、全市一体となったプレミアム付き商品券を発行するもの。
名古屋市民オンブズマンは、15/2/16に名古屋市市民経済局地域商業課に対し、平成26年度2月補正予算 地方創生交付金地域消費喚起・生活支援型で計上のプレミアム付商品券の発行15.87億円の内訳を質問した。プレミアムは20%、13億円を予定。2.87億円は事務費を予定とのこと。
「プレミアム付商品券発行事業業務委託」はプロポーザル方式で、JTB中部 法人営業名古屋支店が1,575,441,663円(プレミアム額込)で受注していた。(契約締結日 平成27年5月1日)
http://www.chotatsu.city.nagoya.jp/chotatsu_topix/zuikei.html
2015/8/4中日新聞によれば、8/3に開催された幹部会で担当局長が経緯を説明したとあるが、配布資料はなかったとのこと(確認済み)。議事の要旨は今後作成するとのこと。
8/4午前現在、名古屋市ホームページには今回の大混乱について全く記載がない。
名古屋市としては経済効果は試算せず、販売場所で配ったアンケートでデータを集めるとしているとのこと。
今後、誰がいつどのようにプレミアム商品券事業を行うことを決めたのか、情報公開請求で調べたい。
北九州市で情報公開請求をしたところ、2014/12/27に交付金が閣議決定され、2015/2/5に財政局が資料を作り、2/9に総括表を作っている。
事実上1カ月程度で決めた模様だが、なぜプレミアム付き商品券をしようとしたのかまでは資料からは読み取れない。
このままでは、何回でも同様のことを繰り返してしまうのではないか。「暑さ対策」だけでなく、そもそもの企画自体の徹底的な検証が必要だ。
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