名古屋市民オンブズマン       第105号 2001年8月21日




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特集:第8回全国市民オンブズマン IN DOUSISHA UNIV.
8月4・5日に京都・立命館大学で行われた全国市民オンブズマン京都大会は450名の参加者を得て盛況の中、田中康夫長野県知事をゲストに招き、「公共事業は、うちらでしまつ」のテーマのもと各地の報告を交えて発表、大会宣言を発表して5日夕刻幕を閉じた。
 
大会宣言-公共事業の必要性を市民自身が判断しよう
 7月29日に実施された参議院選挙は「改革」を呼号する小泉自民党の圧勝に終った。小泉政権が、あえて具体的内容には触れずマジックワードとして使った「改革」という言葉に、多くの国民がゆがんだ日本社会の構造を本当の意味で改革し、額に汗して働く昔の幸せを増進させてほしいという切ない期待を寄せた筈である。
 わが国の社会のゆがみは、国内総生産に対する公共事業費の比率が欧米主要国の3倍に達し、社会福祉費の比率と逆転している点に集約されている。そして年間40兆円に及ぶ官公需を食い物にするために「政官財の鉄のトライアングル」と呼ばれる社会的強者が形成する利権構造を崩壊させなければ、大多数の国民にとっては本当の改革にはならない。
 「改革」方針を支持したはずの選挙の結果は、皮肉にもこの利権構造の担い手をも肥大させた。来年度予算の編成をめぐって財務省は「公共事業予算10%削減」という方針を打ち出したが、その内容は事業内容のカットではなくコストダウンのすすめを言うものに過ぎず、ムダな公共事業の根本にメスを入れるものではない。しかも、この程度の方針さえ「景気回復」を旗印とする建設族の圧力により、削減幅が圧縮された上「補正予算」の別途編成さえ日程にのぼる模様である。
 中央政府の舵取りに期待しているだけでは、日本社会のガンであるムダな公共事業をやめさせることは出来ないとかねてから考えているわれわれは「公共事業はうちらでしまつ」というテーマを掲げ、今大会に各地からの実情調査の結果を集約した。
 さしあたってわれわれが選択した公共事業は、高速道路・ダム・港湾・地方空港の4種類であったが、すべてに共通して、事業採択がなされる前には過大な需要予測が立てられ、その需要予測の根拠となった資料は公表されないまま事業の完成とともに廃棄されている、という問題があることがわかった。
 つまり、見通しを「誤った」原因、責任がどこにあったかということを追及する機会が、国民に対し一切封じられて来たということである。
 東京湾アクアラインや本四架橋の無惨な財政的失敗にもかかわらず、四国縦貫横断道路の建設がすすめられたり、岡山空港や福島空港の赤字タレ流しを目の前に見ながら、神戸空港や静岡空港の建設がすすめられるという、壮大な愚行の繰りかえしが大手を振ってまかり通る原因の一つは、ここにある。
 このような愚行の練り返しを防ぐためには、すべての公共事業について、その企画構想段階から、事業主体や監督官庁があらゆる資料を情報公開することが必要不可欠である。この種の情報は行政の「意思形成過程」に属するという理由でともすれば秘匿されがちであるが、このような悪しき習慣は打破されなければならない。すべての情報を把握した上で、住民がみずからに保証されている参政権(住民監査請求権、住民投票条例制定の直接請求権などを含む)を最大限に行使すること、それこそムダな公共事業への公金投入を未然に防ぐ唯―の方法である。
 時の政権がかかげる言葉に期待や幻想を抱くことはやめよう。ムダな公共事業をやめさせて、少しでも暮らしやすい社会をつくるためには、市民がみずからの力をたのむしかないのだ。われわれは「公共事業はうちらでしまつ」の決意をあらためて確認して今大会の宣言とする。
2001年8月5日
全国市民オンブズマン連絡会議 第8回大会参加者―同

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情報公開法請求一覧 名古屋市民オンブズマンは4月以降情報公開法による請求を約50件行った。全国市民オンブズマン連絡会議加盟のオンブズは40団体で約300件の請求を行っている。一覧表は情報公開市民センターのホームページhttp://www.jkcc.gr.jpに掲載。
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住民訴訟制度改悪に反対 調報告の中で代表幹事の辻公雄弁護士は、権力側の市民運動つぶしの一環として弁護士費用敗訴者負担制導入、株主代表訴訟の制限、地方自治法による住民訴訟の改悪の3点をあげている。
 住民訴訟制度改悪問題については2001年4月2日に「住民訴訟を骨抜きにし、住民の行政監視権を奪う地方自治法改悪に反対する意見書」と題する意見書を発表したが、再度全国大会の中で決議をあげることにした。
 4月2日の決議では首長、職員の責任が認められなくなるため反対、と述べたが、さらに検討していった結果「談合業者・悪徳業者」の責任も住民が直接は追及できなくなる制度でもあることが判明した。
 法案の狙いは自治体を首長・職員だけでなく、談合業者や悪徳業者ら違法行為者すべての「守護神」にすることにあり、このことは「住民訴訟つぶし」のために公金を投入することであり、また自治体と談合業者・悪徳業者との癒着を促進することに他ならない。
 今後、全国会議員とマスコミ関係者に決議を送り、さらに悪法阻止の運動を広範な住民運動団体と手を結んで大きく展開していきたい。
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包括外部監査の通信簿   知県は 名古屋市はC 豊田市は全国最低のE
 1999年に本格的にスタートした包括外部監査は、全都道府県、政令指定都市、中核市を含む91自治体で実施された。
 この包括外部監査は、外部の監査人が独立した視点から自治体の行財政の適法性、有効性、効率性、経済性の点検をし、その結果行財政の改善措置の必要があればその指摘をし、さらに自由な意見を述べる制度である。
 全国市民オンブズマン連絡会議として、監査報告書を入手・点検してその評価をした。
 愛知県は2000万円かけ「公の施設の適正管理について」監査。名古屋市は1999万9千円かけ「文化、スポーツ及びコンベンション施設の財務」について監査。 豊橋市は「市税」と「土地(未利用及び低利用地」について、豊田市は「市民税及び固定資産税」について監査している。 
 中でも豊田市の監査結果はペーパー1枚だけで、1155万円の値打ちがあるのか疑問。
 多額の税金を投入して包括外部監査が行われているので、市民も包括外部監査をよく読んで活用していきたい。
 包括外部監査の通信簿は3000円で販売。詳しくは大阪事務局(FAX 06-6202-5052)へ
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公共事業「出生の闇」にせまる 全国市民オンブズマン連絡会議は税金のムダを追及してきたが、特に大規模な税金のムダとして公共事業の問題を取りあげた。
 予算取りの段階では膨大な「需要予測」「経済波及効果」の数字を誇示し、予算が通過後数字は縮小、ハコモノの完成と同時に「予想を下回る実際」「赤字」が報じられるのが常である。
 このようなカラクリがなぜまかり通るのか、まずは公共事業の「出生の闇」に迫った。
 飛行場・港・高速道路・ダムについて、需要予測の推移と実際の需要との差を客観的な数字と比較したところ、全ての需要予測が事実と異なっており、予測を大幅に下回っている事例が数多く指摘された。
 詳しくは大会資料集(052-953-8050)に。
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各地オンブズマン活動報告書 名古屋市民オンブズマンタイアップグループは、現在議員政務調査費・県内公開度ランキング・公用車・県政功労者団体への補助金などに取り組んでいるが、全国各地でも同様の問題に取り組んでいることがわかった。 報告書によれば議員を対象にしたものが33件。内約は政務調査費関係12、国内外視察旅行関係7,議員OB団体の補助金関係4、議員評価5、委員会の透明化3などの活動が、申し入れ・アンケート調査・情報公開請求・監査請求・訴訟などによって行われている。
 名古屋では今年4回目になる首長交際費など県内情報公開度ランキングは、全国9のグループで実施。タクシーチケット関係(兵庫) ・互助会関係(兵庫)・医師会へ公費支出(高知)補助金に関係(京都)も取り上げられていた。【KM】
当日発表表された資料の一部は情報公開市民センターのホームページ http://www.jkcc.gr.jpジに掲載
・包括外部監査の通信簿 2000年
・全国市民オンブズマン情報公開法に基づく請 求・結 果一覧
・中央省庁情報公開度調査(公開度ランキング)
・各種決議(包括外部監査、情報公開法要請、 住民訴 訟制度改悪)
・大会資料集は3000円で販売。希望者はFAX(052-953-8050)まで。

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