名古屋市民オンブズマン・タイアップニュース 171号 2008年10月28日発行
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愛知県でも やはり裏金
 
 
徹底的調査で膿を出し切れ
 
愛知県裏金は少なくとも2.6億円と発表
 
 会計検査院が、国の補助金が適正に使われているかをサンプル調査したところ、サンプル調査の12道府県全てで流用があったことが08/10/18に発覚しました。そのうち、愛知県が12道府県中最も多く発覚した(少なくとも2.6億円)といいます。
 各種報道によれば、各県は「預け」という、業者と結託して架空発注を行い、別の物品を購入していたとのことです。また「カラ雇用」「カラ出張」「はり付け」なども行われていたようです。県保有の書類は整っているため、市民オンブズマンが調査しようとしてもこれまで発覚しませんでした。
 会計検査院は業者の発注台帳をはじめて調査し、大規模な「流用」があったことがわかりました。
 国の補助金は、補助目的のみしかつかえず、「いやしくも補助金等の他の用途への使用をしてはならない。」(『補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律』11条)業者に「預け」ている時点で、すでに目的外であり、法律違反です。「裏金」をいくら私的に使っていなくても駄目なのです。
 
 
裏金「違法性はない
 
と強弁」「ばれたら返
 
す」「情報は公開しな
 
い」姿勢が温床
 
 私たち名古屋市民オンブズマンは、1995年以降、「裏金」「違法支出」を対象とする住民訴訟を提起して来ました。ところがその度毎に愛知県は法廷で、違法はないと強弁し、違法が争えないとなると違法と認定された一部の金額のみを返還するだけで、全庁的な違法支出の調査を怠る態度に終始しました。
 さらに、情報公開も不十分です。違法支出が強く疑われる1998年までの旅費や食糧費などの支出については出張者名も支出先の業者名も公開しないまま、「適切な予算執行を指示することをもって、違法支出が起こらないよう、十分な対策を取っている」と説明してきました。
 しかし、市民に情報を隠したままで行われる「対策」は、市民の常識を支出の適法性の基準に反映させることができなくなることを意味します。
 このような、いわば密室で行われた愛知県の「改革」手法では「悪しき慣行」として連綿と続いていた違法支出を改善することは不可能です。
 
知事はこれまで全庁調査を命令せず
 
2006年に岐阜県で、2007年に名古屋市で裏金が発覚しました。
名古屋市民オンブズマンでは、これまで愛知県に対して、「預け」など「裏金」がないか全庁調査するよう何度も申し入れてきました。しかしながら、内部監査がしっかりしているなどといって、業者までは調査してきませんでした。
 今回の会計検査院の指摘に端を発する愛知県の違法支出問題の深刻さは、これまで知事が過去の情報を隠蔽しながら違法支出について全庁的な調査を怠り、私たちやマスコミが県の違法支出を指摘する都度、「一部による病理現象である」として、問題となった金額のみの返還で事態の収拾をはかるといった、知事の安易な態度がもたらしたものと言わざるを得ません。
 
徹底的調査のための6項目を要求
 
名古屋市民オンブズマンは、裏金を徹底的に調査するよう08/10/23づけで知事に対して6項目申し入れました。
1,知事自身を責任者とする調査 を行うこと
2,国の補助事業のみならず、県 費単独事業の支出をも対象と した全庁調査を行うこと
3,本庁ならびに県警・外郭団体 も対象とすること
4,文書が破棄されずに残ってい る限り、過去の支出に遡った調 査をされたい
5,第三者による調査委員が十分 な調査をなしうるだけの権限と
 時間を与えること
6,調査経過と結果の徹底的な公 開を
 
 08/11/4までの回答を求めています。
 名古屋市民オンブズマンは、知事の回答如何によっては、住民監査請求など法的手段を検討する方針です。
 
 
愛知県議政務調査費自主公開者 現る
続く愛知県議はゼロ
 
 
選挙公約通り自主公開した佐藤夕子県議
 
 愛知県議の佐藤夕子氏(民主党愛知県議員団所属)は、07年4月に行われた統一地方選挙の際に公約として政務調査費の領収書を自主公開するとしてきましたが、このたび、公約どおりに平成19年度政務調査費の議員個人委託分(月額40万円)に関して政務調査活動実績報告書を自身のホームページで掲載し、領収書の写しを事務所にて公開する、との報道に接し08/7/11に同県議の事務所に名古屋市民オンブズマンのメンバー5人が約1時間、領収証と帳簿の閲覧をして佐藤議員と話をしました。
 名古屋市民オンブズマンが愛知県議の政務調査費領収書と帳簿を見るのは初めてです。
 
 
 
 
 
 
 
領収書を見てはじめ
 
 
てわかったこと
 
 支出内容についてはともかくとして、情報を公開したことは高く評価したいと思いますし、情報の公開によって議員の調査活動について市民と議員とが考えるきっかけとなるなど、議会の活性化の観点からも全面公開は有益であると思いました。一方、政務調査費の領収証の公開が「政治活動の自由」を侵害する可能性があるとは到底思えませんでした。
 
愛知県議に自主公開するか質問
 
 第二、第三の佐藤議員の登場が議会活性化のためには重要であると考え、全愛知県議に対して、議員個人委託分の領収書の閲覧・謄写の可否、その理由の質問状送付を08/7/14付けで行いました。
3会派とも自主公開せ
 
ずと会派で回答
 
 
 しかし、自民・民主・公明各会派すべて会派での回答で、しかも領収書は見せない、というものでした。会派で回答する理由は「政務調査費は会派に支給されているため」ということですが、少なくとも民主党では議員個人に委託していることがわかっています。有権者はそもそも会派に投票したわけではないですし、07年4月に行われた統一地方選の際、佐藤県議以外にも「領収書全面公開」を主張して当選した議員がいると記憶しております。
 「政務調査費の使われ方」を見れば、議員として何を行っているかがよくわかります。今回有権者に対して説明責任を果たす良い機会であったにもかかわらず、「会派」という隠れ蓑に隠れてしまっている議員の哀れな姿が見えます。(内田隆)
 
全国で最も費用をかけながら
成果の見えない議会は愛知県議会
(5年で123億円、政策条例ゼロ)
政務調査費は政策条例提案に用いられず
 
全国市民オンブズマン連絡会議は08/8/30-31に千葉市で行った全国大会で、議会期待はずれ度ランキングを発表しました。
その調査の中で、政策条例(議会自身に関係しない議員提案条例:環境・街づくり条例など)1本あたりに政務調査費額を算出しましたが、過去5年間1本も政策条例が提案されていない都道府県・政令市は8自治体(千葉県・富山県・愛知県・奈良県・横浜市・川崎市・浜松市・福岡市)あり、それら議会の5年間の政務調査費総額を算出すると134億円にも上ることがわかりました。
 これに、費用弁償・政務調査費・議員報酬を合計して算出すると、全国で最も費用をかけながら成果の見えない議会は愛知県議会(5年で123億円、政策条例ゼロ)でした。
 愛知県議会は2008年4月分の政務調査費から3万円以上の領収書を公開することになりましたが、そのせいか、08/10/10づけでなんと34年ぶりに政策条例(県観光振興基本条例)が提案・可決されました。
 愛知県議会では、これまで政務調査費を政策条例に用いてこなかったことが改めて判明しましたが、今後に期待したいと思います。
 また、全国大会では、例年行っている2007年度全国落札率調査、2007年度包括外部監査の通信簿を発表しました。全国各地の活動報告も掲載されている大会資料集を1冊3000円で販売しています(包括外部監査通信簿は5000円)。ぜひご購入を。
 
 
オンブズマン&タイアップ総会報告
 名古屋市民オンブズマンと同タイアップグループの本年度総会は7月5日名古屋市内で開催、決算報告と1年間の活動報告、今後の活動の検討が行われた。
 まず、名古屋市民オンブズマン・タイアップグループの2007年度決算(右記)が報告・承認され、続いて名古屋市民オンブズマンの決算も報告・承認された。今年度は会員の会費納入が若干多かったが、高齢のために脱退する会員も多かった。しかしタイアップニュースの発行が年2回しかなかったせいで単年度では黒字となった。タイアップニュースを積極的に発行していく体制づくりが求められている。
 
タイアップメンバーが共同作業を
 続いて、この1年間のタイアップグループの活動を振り返った。感想としては、「政務調査費の裁判に偏すぎ、タイアップ会員が共同作業でつながるという本来の形が薄れてしまった。来年度はみんなで作業をしよう」というものや、「マスコミへの露出は増えたが、露出の割には効果が少なかった」というものがあった。
 また、2008年2月に報道された「西尾市長市税滞納問題」に怒った市民が集まった「西尾市民オンブズマン準備会」を支援し、落札率調査の助言や、西尾で新海弁護士の講演が行われたことが報告された。
自民市議団 政務調査費個人経費訴訟
藤田和秀・名古屋市議を尋問
 
病気療養中市議の政務調査費450万円はどこへ消えた?
 
 自民党名古屋市議団に支払われたH16年度政務調査費(個人経費)の返還を求める住民訴訟(名古屋地裁民事9部)で、当時の自民党名古屋市議団の財務委員長だった藤田和秀市議の証人尋問を行いました。
 藤田市議は、各団員から政務調査費の支出報告書と領収書の提出を受け、それをチェックして個人経費分(月50万円分を上限)を支払う係でした。
しかし、病気療養中であった故・坂崎市議分の支出報告書は藤田市議に提出されなかったと述べ、しかも支出報告書・領収書と引き替えにしかお金が支払われないシステムにもかかわらず、坂崎氏分のお金が保管されているはずの金庫からなくなっていたと証言
 
しました。
藤田市議は、当時の団長の西村氏が坂崎氏へお金を持っていったものと考え、西村氏が坂崎氏から領収書を受け取ったのだろうと推測、しかしどれが坂崎氏から受け取った領収書なのか照合することはいまだにできていないといいます。
 
証言と行動が矛盾だらけ
しかも、坂崎氏以外の各議員の支出報告書を合算した金額を市に報告したと藤田市議は述べましたが、坂崎氏の遺族から450万円の返還の申し出を受けた際、「政務調査費の処理上」、市への報告書を訂正して支出を450万円減らしたといいます。どう考えてもおかしな処理です。
今回の件で住民監査請求を行った際、監査委員が藤田市議にいろいろ質問したはずですが、その際、藤田市議が作成したと主張す
 
る「各議員の支出報告書の項目ごとにコンピューターで整理したもの」を監査委員に見せたのかどうか、そもそも作成していたことを説明したかも「覚えていない」の一点張りでした。
 
各議員からの支出報告書には、氏名、領収書の枚数と金額、支出内訳が記載されていました(裁判所には氏名、金額、支出内訳は黒塗りで提出)が、一部領収書の枚数の記載がないものがありました。
 これは「記載漏れ」の一点張りで、裁判長から「財務委員長としてチェックする際、記載漏れを正したり、自分で書き加えなかったのですか」と聞かれても「記載漏れ」としか回答しませんでした。
次回は、08/11/12(水)午前10時30分〜 名古屋地裁民事9部
(1102号法廷)で、自民党2市議の尋問を行います。
愛知県議07年度「議員派遣」住民監査請求
 
県議会規則違反は「議会の裁量」と棄却
 
愛知県議は政務調査費以外に年間25万円まで視察可能!?
 
 愛知県議の「厚遇」がまた明るみに出ました。議会として議員を派遣する「議員派遣制度」です。
 愛知県議会会議規則118条では、「議員派遣は議会の議決でこれを決定する」とあるにもかかわらず、愛知県ではあらかじめ将来1年分、抽象的内容(目的:(1)議案・請願の審査に関する調査
(2)国の法制度・政策・方針、地方公共団体の行政施策等に関する調査 (3)議会が議決した事項その他県政上の諸問題に関し、国会・政府・地方公共団体等に関する要望・要請 派遣場所:国内)で議決を行っておき、その後議員が議長に申請を出し、議長が派遣を決定し、後に議会運営委員会に報告するという運用をしていたことが名古屋市民オンブズマンの調査で明らかになりました。
 1人当たり年間25万円まで自由に使えるといいます。しかも、申請書・報告書ともにA4で1枚ほどでほとんど内容がわからず、どうしても「議会」が派遣しなければならない事案なのかがわかりませんでした。これでは「政務調査費」と何が異なるのかわからず、費用の二重取りです
 このように、1年分大雑把に議会で議決して運用しているのは愛知県議会のみです。
 
議会規則違反で1174万円返還を求める住民監査請求
 
今回、平成19年5月〜平成20年3月に行われた「議員からの申し出に基づく議員派遣」(84名192件、総額11,74,782円)に関し、議員84名にそれぞれ費用を県に返還するよう求める住民監査請求を08/9/4付けで行いました。
 
監査委員は「議会の裁量」と請求棄却も手続き見直しを要望
 
愛知県監査委員は08/10/24づけで棄却決定を出しました。その理由は「議員派遣の実効性を高めるために議長に決定を委ねることは、議会の判断として行っていることであり、議会の裁量の範囲内と解することができる」ためだとのことです。
 
しかしながら、県監査委員は「要望」の中で、「趣旨からすると議決された内容は、明確性といった点では十分とは言い難い面がある」とし、議員派遣の一連の手続きについて見直しの検討を進められたいとしています。      
           
提訴については、監査委員の判断を精査して、後日正式決定いたします。
(内田隆)
 
 
12/20オンブズマン&タイアップ望年会に参加を
 
 
日 時 : 12月20日(土)  望年会 午後5時00分〜
場 所 : ひょっとこさん(名古屋市北区田幡2−13−36) TEL 052-991-0792
 
      地下鉄黒川駅 地下鉄1番出口、UFJ銀行の裏徒歩1分
 
    会 費 : アルコール飲む人5000円 飲まない人4000円
 
申込み : FAX(052−953−8050)か電話(052−953-8052)で弁護士法人リブレまで
 
懇親会はどなたでも参加できます。お気軽にお申し込み下さい
 
 日程 : 名古屋市民オンブスマン・タイアップグループ               2008年11月以降 
曜日 時間 行 事 ・ 裁 判 ・ 催 し 場    所
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10:00
 
名古屋市議会議長の責任を問う住民訴訟 中間判決   名古屋地裁1102号法廷
 
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10:30

17:00
自民党名古屋市議団政務調査費(H16個人経費分)住民訴訟 証人尋問
望年会

 名古屋地裁1102号法廷
 ひょっとこさん(黒川)
 
毎週火曜日午後6時半から例会を弁護士法人リブレ(大津橋南100m東側 liv.ビル6F)で開いています