ド　キ　ュ　メ　ン　タ　リ　ー

愛知県税事務所カラ雇用問題追跡

１９９６年１１月２４日作成

１９９７年０１月０５日追補

名古屋市民オンブズマン・タイアップグループ

　愛知県の出先税務機関におけるカラ雇用の問題は，新聞報道に始まり，県当局は，めずらしくも，その事実を認めました。名古屋市民オンブズマンとそのタイアップグループは，新聞報道によってそのことを知り，追及を始めました。以下に，その経過と関係書類などを，解説付きでまとめます。

　　　　目　　　　　次

１．経　　過

1996.08.04	中日新聞報道。奥さんの履歴書の提出を求められた知多市役所職員の疑念から，カラの疑惑が発覚。
1996.08.07	県総務部長記者会見：１９９５年度に県内の23の出先税務機関のうち，１９ヶ所で１２９名分，６１８万余円にのぼるカラ雇用が行われていたことを認め，謝罪。
1996.09.09	名古屋市民オンブズマンとタイアップグループは，この件に関し，愛知県知事に公開質問状を提出。
1996.10.04	公開質問状へ回答。
1996.10.18	１８日　県，１９９４年度分に遡り，全出先税務機関で，カラ雇用が行われていたとして，３６名を処分。最も厳しいもので文書訓戒。不正に支出されていた金額は，返済もさせない方針。
1996.10.31	名古屋市民オンブズマンとタイアップグループ，この件に関して，その金額の返済を求めて住民監査を請求。
1996.11.11	監査委員に対し，意見陳述。
1996.11.14	愛知県総務部内に総務部長を班長として設置された県税務事務改善検討班が検討を終わり，改善報告書を記者発表。
1996.11.22	知事宛に意見書提出。
1996.12.17	名古屋市内１５区役所・日進など６市役所・１４税務署に宛て公開質問状を送付。
1996.12.27	監査結果通知。違法を認め，知事に改善の勧告を提出するも，県の損害を認めず，賠償請求はできないとする矛盾した監査結果。
1996.12.27	名古屋市以外の５市，公開質問状に回答。
1996.12.28	名古屋市内の各区税務課長の連名で，公開質問状に一括回答。２７日付。

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２．公開質問状と回答

　本年９月９日に提出した，臨時雇用職員の不正な雇用等に関する公開質問状と，それに対する，回答の全文を，わかりやすいように，組み替えたものです。
なお，連絡先：総務部税務課管理経理担当と付記がありました。

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３．回答への批判

　県に対する公開質問状の文案を作成したタイアップグループのメンバーの一人は，上記の回答について，次のように批判しています。

臨時雇用職員のカラ雇用　　愛知県の回答の問題点

４．監　査　請　求

　住民監査請求は，地方自治法第２４２条に定められています。請求の趣旨は，職員措置請求書に，１０００字以内で書くことになっています。それ以外に事実証明書を添付することができます。また，請求の趣旨をくわしく説明するために，意見陳述の機会が設けられ，監査委員に，直接，意見を言うことができます。
　今回のカラ雇用問題について，公開質問状に対するお座なりな回答や，その後発表された軽すぎる処分を見て，住民監査請求をすることにしました。タイアップグループの３名のメンバーが請求人になり，オンブズマンの弁護士２名が代理人になりました。
　以下は，その措置請求書，および請求人と代理人の意見陳述書です。

１）愛知県職員措置請求書

請求の趣旨

　愛知県は，１９９４年，１９９５年度の二年間に県税徴収にあたる事務所が臨時職員の不正な雇用（いわゆる「カラ雇用」）を行い，それによって得た裏金を税務署や市町村への慰労に充てていることを認めました。県の公表によると，１９９４年度は県税徴収にあたる２３の事務所全て（＊註＊）で不正な税の執行が行われ，不正支出額は総額８８５万円（同年の臨時職員雇用に係わる予算９７８万円の実に９０．５％）１９９５年度は１８の事務所で６１８万円（同年度同予算８８０万円の７０．２％）が不正に使用されたことになります。１９９３年度については発表がありませんが，カラ雇用が「悪しき慣行」である以上，１９９３年度についてもカラがないはずはありません。
　１９９３年度のカラ雇用の金額を１９９４年と１９９５年の中間値の８０％と仮定すると，１９９３年予算１０７９万円のうち少なくとも８６１万円が不正使用となります。すなわち，不法行為損害賠償の時効にかかっていない過去３年分に限っても，カラ雇用による違法な裏金は２３６４万円に上ると予想されます。
　私たち名古屋市民オンブズマン・タイアップグループは去る９月９日，カラ雇用の徹底的な調査を求めるため，知事に公開質問をしました。ところが残念ながら１０月４日付の回答は私たちの疑問に答えたものではありませんでした。そして愛知県は税を不正に執行した幹部３６人を本年１０月１８日付で文書訓戒・口頭訓戒・所属長注意の処分にし，不正支出分について返還させないことで終わらせようとしています。私たちは県のこの処置について，過去３年間に少なくとも２３６４万円もの不正支出が疑われるにもかかわらず，その実態調査も納得できる再発防止策も示さず，軽微な行政処分で問題を風化させようとする意図が明かであると考えています。
　そこで私たちは知事に下記の措置を求めるとともに，知事にカラ雇用の全庁調査と具体的な再発防止策の策定を求めます。
記　知事は本件違法な賃金の支出手続担当者（各賃金支出にかかる本来的な支出負担行為権限者，支出行為者および愛知県財務規則に従ったその代決者）に対し，本件違法な賃金支出の３年間の合計２３６４万円を愛知県に返還させる等の適切な措置をとること。
　請求人後記のとおり
　右のとおり地方自治法第２４２条１項の規定に意より，事実証明書を添付の上，必要な措置を請求する。
（＊註＊）の数字は当初新聞報道によるもの，後の訂正された数次とは異なる。

２）意見陳述書

イ　代理人　Ａ弁護士の意見陳述書

１．なぜ裏金を返還しないのか
　本件はカラ雇用の事実を愛知県自ら認めた希有なケースである。しかし，これに関して職員に対する懲戒処分をしておきながら，実際にカラ雇用に支出した金員を返還させないことにした。返還をしないまま本件を決着させようとしているのは，カラが明かになった日本全国の都道府県中，愛知県だけである。県民であることを，今回ほど不幸に感じたことはない。
　愛知県が金員の返還をさせないのは，本件によって作られた裏金が，自治省通達に基づく，確定申告の共同受付相談業務など国・県・市町村三機関の協力のための必要経費にもちいられたのであるから違法性はないのだ，という認識が理由となっているのであろう。しかし，実際に愛知県が説明するように裏金が使われていたとしても，違法に公金を使っておきながら，民事上の責任を果たさないことなどあり得ないではないか。裏金をつくって，本来の用途と異なる使い方をすることは詐欺とどこが異なるのか。実際に必要な経費であれば，なぜ予算化をしていないのか。
　予算として認められていないものについて支出をすることは，財政民主主義への背理である。目的は全てを正当化すると言い切ると刷れば，官僚の思い上がりも甚だしい。憲法公布後５０年間に亙る民主行政のシステムは一体何だったのか。こういった県民の不信感をどうお考えか。
２．果たして目的は正当なのか
（ａ）そもそも本件に関する県の支出は正当なものであろうか。今回の問題に関連する自治省通達には，昭和29年９月２日の当時自治省次官通達「道府県と市町村の税務行政運営上の協力体制の確立について」から，昭和61年２月26日の自治省税務局長通達「最近の経済事情の下における納税の猶予などの措置について」までの９つの通達が関連するようである。そして，それらの通達は，いずれも国・地方税等の制度改正の都度発せられ，国・県・市町村三者間の協力体制について，具体的・個別的に極めて細かい指示を行っている。
　しかし，数次に亙る自治省通達を吟味してみると，県の対応は，むしろそれらの通達から乖離しており，通達を本件支出の正当性の根拠とすること自体，恣意的であると言わざるを得ない。
（ｂ）裏金づくりによる金品提供の背景として，県は所得税申告書の閲覧・複写について，税務署に多大な協力を得ている旨，名古屋�市民オンブズマンの質問に対して説明している。しかし，昭和29年９月２日の自治庁次官通達においては，課税関係書類の閲覧及び記録は，税務官署と各地方団体が相互に相手方の立場を尊重して協力することとし，これによってこれら課税関係書類の閲覧及び記録は，関係機関が協力する当然の事務ということとされている。
　さらに，昭和29年11月５日の自治庁次官通達「税務官署との間の協議会の設置について」では，道府県単位に「地方政務協議会」を，税務署単位に「地区税務協議会」を設置するよう指示し，それぞれ協議会の構成員を職名を上げて指示し，協議会の主要な協議決定事項のうち重要なものは随時自治庁に報告すること，各協議会の経費は，国と地方自治団体とが負担するとし，その負担額は両者協議の上決定することと指示している。つまり，これらの業務は本来県において行うべき義務であり，本来裏金によって慰労することにはまったく合理的な根拠がないといわざるを得ない。
（ｃ）次に愛知県は，名古屋市民オンブズマンの質問状に対する前記回答で，今回のカラによる資金の支出の根拠について「確定申告の共同受付相談事務などで，県は好意的な対応を得ております」とか，「県が最も多く他の機関に依存していることから，応分の支出として行ってきたものです」と説明している。
　しかしながら，昭和41年12月13日の自治省税務局長通達「個人事業税・個人住民税の申告書の取扱について」では，個人事業税・個人住民税の申告書を提出すべき者の申告手続きの取扱について，個人事業税や個人住民税の申告書用紙の共同送付を県と市町村が相互に協議すること，納税者の便宜を図るため，県と市町村は相互に協議し共同納税相談を実施するなど，申告書受理の簡素化に努めることなどを指示しているのである。しかし，県は上記通達を遵守していない。つまり，県は自ら行い協力すべき多くの事務を国や市町村に依存しているため，裏金による金品を提供してそれを償ってきたに過ぎないのである。
（ｄ）したがって，以上のとおり愛知県が支出の必要性を協調する業務も，もともと通達に規定された本来的な業務であり，しかも県が通達を遵守せず，かかる業務の実施を怠ってきた対価として，裏金を支出していたに過ぎない。
　結局，本件裏金づくりにはなんらの合理性もないばかりか，職務怠慢の対価として裏金をつくり支出していたという点で，悪質である。
３．本件の違法性
　以上に加えて述べたい点は，「カラ雇用」という手法が，善意の第三者の名を勝手に使用した点で，行為態様においても重大な違法があるという点である。知らないうちに自分が雇用申し込みを行い，自分の氏名が県職員によって勝手に用いられる，このようなことはいかなる意味においても正当化されない。これらが各偽造罪を構成することは言うまでもないことであるが，県の行った行為が極めて重大なプライバシー侵害にあたる，という事実の重大さを監査委員において理解されたい。

ロ　代理人　Ｂ弁護士の意見陳述書

　カラ雇用による裏金作りは，単なる予算執行上の「不適切」な行為ではなく，「違法」な行為である。
　すなわち，現実には臨時雇用職員を雇っていないにもかかわらず，臨時職員の賃金の名目で公金を支出しているのであるから，支給の実質的要因を欠き，財政会計法規に反し，違法であることは明かである（地方自治法第２３２条の３）。支出された公金が個人的目的に使われたのではなかったとしても，それによって支出の違法性が治癒されることはあり得ない。
　そして，この公金支出の事務に関しては，臨時職員の架空の履歴書が作成されていたことが判明しており，組織ぐるみの故意の違法行為であることは明かである。したがって，本件各賃金支出にかかる本来的な支出負担行為権限者，支出命令権者，支出行為者および代決者は，支出された公金の全額を賠償すべきことは当然である（地方自治法第２４３条の３）。

ハ　申請人　Ｃ氏の陳述書

　私は，県税事務所における，臨時職員雇用をよそおい，不正にウラ金を作った，いわゆる「カラ雇用」問題に関して，監査請求をいたしました。もとより，私は，行政のことについて，くわしい者でもなく，会計処理の専門家でもありません。一人の納税者として，一般市民の常識的な感覚として，考えるところを以下に述べます。
１．私たちが，この「カラ雇用」問題を初めて知ったのは，８月始めの新聞記事でした。新聞記事によれば，ある市の税務担当者の疑念をきっかけに，新聞社が調査し，記事にしたのを，県総務部長が認めたものと，理解しました。愛知県では，今までにも，カラ出張などの疑惑が取り沙汰されながらも，県自体がそれを認めたものはありませんでしたので，私たち名古屋市民オンブズマンとそのタイアップグループでは，県当局がどのように考えておられるかを知りたいと思い，９月９日知事宛に公開質問状を提出し，１０月４日付けで，それに対する回答をいただきました。しかし，その内容は，表面的なもので，なんら誠意を感じることができず，とても私たちの期待に適うものではありませんでしたが，しばらくは，県当局が，どのように対応されるかを見守っておりました。
　１８日，県当局は，この問題に関する処分を発表されました。その内容は，最も重い処分の人でも，文書訓戒というものでした。今までの他県の同種の問題への対応を見ていますと，具体的に，県に損害を与えたということで，その金額を返済するというのが，最低限の処置のように，印象を受けています。しかし，今回の県の処分は，個人のために使ったのではないという理屈でしょうが，あまりにも，一般市民の常識・感覚とはかけ離れたものだと思い，せめては，ウラで作った金額を返還するように措置して欲しいと考え，監査請求をさせていただきました。
２．私たちの「公開質問状」の３の（２）で，『今回のカラ雇用が単に県民の税金を扱う機関のみでなされていたとは到底思えず，むしろ県民の県民の税金を扱う機関がカラをしている以上はなおさら他の機関でもカラ操作がなされているのではないか，との深い疑念を有しています。そこで，貴職としては，全庁的なカラ調査をされる意志をお持ちですか，理由を付しておこたえください』と質問しました。これに対する回答は，『ご指摘のような「カラ雇用」といった事実はないと考えています』という，そっけ�ないものでした。
　ところが，その回答から２週間後に，処分がなされました。当初，問題になった「カラ雇用」は，１９９５年度分の２３の出先税務機関のうち１９ヶ所に関わるものでしたが，処分の対象になったのは，１９９４年度分を含め，２３すべての出先税務機関でした。ということは，質問状に対する回答は，「・・・・・・と考えています」と，賢明にも，逃げどころを作ってはありますが，お座なりの，誠意の全くないものであったことを，県当局自らが立証したことになります。さらに，新聞報道では，「不祥事を機に全庁的な洗い出しをする」との答弁があったとのことですが，その答弁と，今回の処分の内容・質問状への回答は，ともに，矛盾しています。
　これでは，県当局は，問題にまともに対応しようとはせず，その場限りの答弁・回答を繰り返して，言い逃れだけをしようとしていると非難されて当然でしょう。県民を愚弄するのも，甚だしいと言わざるを得ません。行政に対する信頼が揺らいでいる現在，このような対応では，信頼を回復するどころか，ますます信頼を失わせることになるのではないでしょうか。
３．文書訓戒という処分は，履歴書にも記載しなくてはならない処分だから，重い処分だという考えが役所にはあるようです。しかし，一般社会では，軽い処分だと感じています。なぜなら「カラ雇用」は，それで作ったウラ金を何に使おうとも，少なくとも有印公文書偽造および行使という犯罪を構成するのではないかと考えるからです。さらには，詐欺罪にも当たるのではないかとも思います。もとより，監査請求で，そのような訴追を求めるものではありませんが，事柄自体はそれほど重大なものだということです。
　つい先頃話題になった八王子市教育委員会事務局の「オオバカモン」事件では，当該の事務職は６ヶ月の停職処分になったと新聞で知りました。あの事件は，確かに配慮は足りなかったとは思いますが，刑法上の犯罪を構成するものでしょうか。内容も違い，自治体も違うので，単純に比較するのは間違いでしょうが，その差の大きさには，やはり，驚きます。愛知県の今回の処分と八王子市の処分を並べて聞くと，バランスを欠くと感じます。一般市民は，役所というところは，個人のヘマに対しては厳しいが，上まで絡むような役所内部の組織的な犯罪に関しては甘いとの印象を持ったでしょう。これもまた，役所に対する信頼感を失わせる原因になります。
４．「カラ雇用」で作ったウラ金の使途について，経費に当たるものだというような弁明がされているようです。それが本当なら，本来，予算化するべきものでしょう。それが，今までされていなかったのには，それ相当の理由があるはずです。多分，その理由は，税務関係の仕事を，規定や通達通りに行っていないということではないでしょうか。そうだとするなら，今後のためには，単に予算化すれば済むものではなく，業務自体の洗いなおしを含めた対応策が必要になると思います。
５．現在，監査委員のあり方自体も問われています。事務局の職員も，県庁の他の部局から配転で来て，また何年か経つと他の部局に戻ることになっていると聞いています。監査委員の１名も県職員のＯＢで，監査に当たるほとんどの人が，いわば身内で構成されています。そのような状況の中で，県民の立場で監査するというのは，私たち部外者が想像する以上に難しいことかも知れません。しかし，県民としては，監査委員に頼る以外は，裁判に訴えるしかないのです。そのこともお考えいただいて，監査してくださるようお願いします。
　特に，今回の監査請求の内容の事実関係については，すでに県自体が認めておられます。従って，この監査請求に対しては，棄却という結論では済まないと考えます。監査委員が新しく変わられたことでもありますし，今までのように「棄却」という結論ではなく，今後，同種の問題が起こらないような改善策を考えるきっかけとなるような監査結果を期待します。

ニ　申請人　Ｄ氏の意見陳述要旨

１．県には実態調査の意志がほとんど感じられない。
（１）９月９日のオンブズマンの公開質問に対する県の回答
　【質問】これらの大規模なカラ雇用が独自の判断と責任で行ってきたとは到底思えず，これらの事務所を統括する立場にある何らかの機関の指示なり依頼に基づくのではないか。これらを含めて，全庁的なカラ調査をされる意志をお持ちですか。
　この質問にはまともに答えず。
　【回答】ご指摘のようなカラ雇用といった事実はないと考えています。
（２）１０月４日の回答後
　１０月１８日，１９９４年にもカラ雇用があり，今度は全ての事務所（２３）で行われていた旨公表。額は８８５万円，予算の９０．５％，ちなみに１９９５年は６１８万円，予算の７０．２％。
（３）１０月４日，発表以前に下記のことがあった。
　　・８月７日記者会見，河内総務部長他二人
　　　　この会見でカラ出張が慣例化していたことを認めるとともに，「いつからか分からない」と発表している。
　　・９月４日の朝日新聞
　　　　西尾市議会で取り上げられ，１９７９年度に，同市税務課は県西三加和事務所西尾税務出張所から現金を受けとっていることが判明。
２．職員の行政処分について
（１）公開質問：刑事告訴（文書偽造同行使，詐欺）や懲戒処分をする意志の有無については，何も答えず。
　　・１０月１８日責任者を行政処分：文書訓戒，口頭訓戒，所属長注意で計３６人　対象は監督責任者
（２）市民感情からすると非常に軽く，この問題に対する役所と市民の受けとめ方には天と地ほどの差がある。
　　・市民感情では刑事犯罪である。しかも公権力が市民のプライバシーを侵害しそれを悪用することによって行った点で，情状はよくない。
　　・不心得な個人の犯罪ではなく，長期，継続，組織的な犯罪である。
　　・調査の不十分さともあいまって，この行政処分は職員に対しての公平の原則を欠く。
　　・指示命令や監督責任者の処分だけで，それに何倍もの実行行為者である職員は不問。実行行為者の責任も軽くない。
３．不正支出した税金の返還について
（１）公開質問には何も答えず。
（２）８月７日　記者会見　河内総務部長他二人
　　「世話になっている市町村へのお礼と，本来，県が雇用すべきパートを税務署に代わりに雇ってもらっているための経費」
　　・１０月１８日　中日新聞「県内部や職員個人が使ったのではないので県としては実害はなく」「返還しないつもり」
４．県には損害があり，当然返還させるべきである。
（１）県はカラ雇用の不正経理は認めても，それによって，捻出した金は正当な目的のために使用されたような印象を与えようとしている。
（２）しかし，公開質問に対する回答では必要性が感じられず，国や市町村の職員の飲食費などに使われた無駄な経費である。
　　・【回答】「県が法令やまたは相互の取り決め以外の根拠に基づいて委託したり，あるいは国井や市町村が県のために純粋な好意に基づいて行っている業務はありませんが，自治省通達等により三機関が協力して行うこととされている確定申告の共同受付相談業務などで，県は好意的な対応を得ております」
　　・すなわち法令に根拠のない税の違法支出であり，県は損害を蒙っている。
　　・１９９５年度　６１８万円の内訳

　　　現金　　　　　５００万円（使途は受取人の自由）
　　　ビール券など　　６４万円
　　　支払い保留分　　５４万円

以　上

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５．税務事務改善報告書の概要

　県は，「税務事務改善報告書」をまとめ，11月17日，改善検討班の班長を務めた権総務部長が，記者会見で発表しました。
　別添の資料を除き，全体で12ページにおよぶ長文ですので，原文の項目に従って，概要を以下に載せます。

１）税務事務改善検討班の設置

　８月４日に知多事務所東海税務出張所で「カラ雇用」疑惑があると言う新聞報道がなされ，総務部税務課が調査したところ，事実であった。そこで，１９９５年度について，全地方機関について調査をしたところ，賃金の予算執行が行われていない２つの機関を除く２３のうち１９の地方機関で，カラ雇用が行われていたことが判明したので，８月７日にその内容を記者発表した。
　８月12日，総務部長を班長として税務事務改善検討班を設置し，現状分析，問題点の把握，改善策の検討を行うこととした。

２）予算執行の実態調査

（１）調査方法及び範囲

　１９９５年度及び１９９４年度以前分の臨時雇用職員の賃金の執行状況について，関係書類並びに退職者を含む関係者のべ 300名に聴取などの調査を行った。

（２）調査結果

【１９９５年度分】
　２３機関で執行した臨時雇用職員賃金総額８，６８７，１７５円（１６４名分延べ１，７９７日）のうち，１９機関の６，１８２，０７０円（１２９名分延べ１，２６５日）がカラ。
　使途は，税務署または市町村に，現金または飲物等の形で渡されていた。これは，国・県・市町村が協力して行うとされている三税共同受付相談業務において県は最も多くの業務を他機関に依存していたので，市町村にはお礼の意を表わすために，陣中見舞・報奨金的なものとして，現金または飲物を，また税務署には臨時職員雇用経費相当分として現金を渡していた場合があった。
　また，辞退などにより，現金５３７，３１９円が８事務所で支払い留保されていた。これは，返納されている。
【１９９４年度分】
　２３機関で執行した臨時雇用職員賃金総額９，７６６，４５０円（１８１名分延べ２，０３４日）のうち，１９機関の８，８５２，４１０円（１６８名分延べ１，８３９日）がカラ。
　支払い留保分はなかった。使途は同様であった。
【１９９３年度分以前】　１９９３年度分についても同様な状況で行われていたと考えられるが，当時の関係者のほとんどが退職または異動しており，メモ等もなく記憶も薄れていて，事実関係を具体的・明白には把握できなかった。

（３）事務処理の内容（職員の関与）

　臨時職員雇用の手続きは雇用伺い及び雇用協議書を作成し，総務部財政課の承認を得て雇用する。この決済については総務担当ラインと所属長だけとなっていた。手続きに必要となる履歴書は，県事務所の税務課長などが市町村の税務課長などに依頼したり，職員・知人から紹介してもらって入手していた。
　市町村や税務署に，金品を届けたのは県税事務所においては所長または次長県事務所においては税務課長であった。
　前年踏襲型の事務処理が限られた職員の間で行われ，関係書類が形式的には整っていたので，監査等においてチェックされなかった。

（４）臨時雇用職員が従事する事務

　昭和４１年，４２年の税制改革により，年度末の一時期に集中して三税共同受付業務が新たに発生し，４３年度から臨時職員雇用のための予算措置がなされた。受付相談の周辺業務の受付，案内書類の整理，編綴などの軽易な事務に従事させていた。

（５）不適切な予算執行の始期

　当初は県が臨時職員を雇用していたが，長い間に変形して，慣例化した。現在，各県税関係地方機関における実施の基準や方法が様々であり，統一を欠いているので，各事務所の実情によってそれぞれ発生したものである。
　従って，始まった時期の特定は難しいが，昭和５０年頃から次第に行われるようになったと推認するのが妥当だと考えられる。

３）三税共同相談受付相談業務の経緯と内容

（１）事務内容と運用

ア．運用の発生
　昭和４１年度の地方税法の一部改正，４２年度の一部改正で，現行の所得税の確定申告を提出したものは個人事業税・県・市町村民税の申告書を提出したものと見なすこととされた。
イ．事務の運用
　上記税制改正に伴い，国・都道府県・市町村三者間の協力を一層緊密にする必要から，数次にわたり通達が出された。その趣旨は：
　（ａ）申告説明会は国・都道府県・市町村が協力して行うこと。
　（ｂ）納税相談会場に，三税の受付場所を設けるとともに，その設置場所に十分配慮すること。
　（ｃ）農事相談会場における納税者の受付・案内等は，できるだけ都道府県及び市町村の職員も分担するよう配慮すること。
とされ，現在も，これにより運営されている。

（２）受付相談に伴う関連事務の概要

　三税受付相談業務は，県下20地域において，それぞれ設置されている地区税務協議会の協議に基づき対応している。業務には，次のようなものがある。
ア．申告説明会の開催青色申告者対象 11から12月
イ．事前の広報宣伝
ウ．確定申告用紙の送付
エ．確定申告書の整理・編綴

（３）税務協議会の役割

ア．税務協議会における協議
　県下全域に及ぶ問題について，毎年度，名古屋国税局・本県・名古屋市・愛知県市長会・愛知県町村会出構成する地方税務協議会で協議し調整する。
イ．地区税務協議会における協議
アでの協議結果を受けて，地区税務協議会で日程・派遣職員数・会場設営等具体的取扱について協議し，実行する。

（４）県の役割と負担の状況

　三税共同受付相談業務において，職員の派遣，会場の設営と運営などの資材と労力係る応分の負担が必要である。しかし，県が何をどのように負担すべきかについて，画一的な基準がなく，各地の状況に応じた対応を行ってきた。
　実態として，県職員の派遣数が少なく，国・市町村に依存する度合が最も高く，「大変お世話になっている」という税務職員の一般的な共通認識が形成されている状況にある。

４）個人県民税徴収取扱費交付金との関連性

　地方税法上，個人県民税の賦課徴収義務は，市町村が行うとされていることから，その事務を行うための費用を補償するために交付している。
　これに対して，確定申告の三税共同受付相談業務に係る支出は，所得税の確定申告書を提出したものは，個人事業税及び個人県民税・市町村民税の申告書を提出したものと見なすこととされ，これに伴う事務は，自治省税務局長通達などに基づき，国，県，市町村が協力して行うこととされたことから，新たに昭和４３年から県の応分の負担として実施してきたものである。
　個人県民税徴収取扱費交付金とは，対象と内容が全く異なるものである。

５）市町村の意向

　広範囲にわたる市町村の意向を要約すると，主なものは次のとおりである。
・地区協議会の協議によって定められた対応をしてほしい。
・職員又は臨時職員を派遣してほしい。
・臨時雇用職員の派遣は市町村から要請があるまでは不要である。
・今後，現金は受け取れない。

６）改善に向けた諸施策

（１）品物の提供及び現金交付の取りやめ

　このような形態の実施には反省すべき点も多く，取りやめる。

（２）臨時職員の雇用等

　新たに協力推進の目的に沿って次の代替の措置をする。
ア．三税共同受付相談業務の会場に，地区税務協議会の協議に基づいた必要な臨時職員数を県が雇用して派遣する。
イ．会場設営については，適切な場所に県による会場設営も行うなど，協議に基づいた適切な対応を図っていく。
ウ．必要な消耗品等の配備を行う。

（３）予算執行等の点検強化

　前例踏襲型の事務処理が限られた職員間で処理され，チェック機能が働かず，是正されないままに来たとの反省から，次のとおり改善する。
ア．採用手続きの適正化
　（ａ）臨時職員雇用にあたっては，総務担当は協議結果を確認の上，手続きを行う。
　（ｂ）臨時職員を採用する場合は，必ず，税務担当を含めた複数の職員が直接に面接を行い，「雇用伺い」の決済に添付する。
イ．雇用体制の整備
　臨時雇用職員の勤務状態の確認は，現実に事務処理内容の指示をする担当者が行い，その記録などを整備・保管する。決済権者は，内容などを具体的に確認する。
ウ．内部監査の強化
　総務部税務課が実施する指導監査において，関係担当者から実態を聴取するとともに，臨時職員の勤務状況に関する記録を確認し，必要に応じて，現認するなど，監査機能を強化する。

（４）職員のモラルの高揚

ア．今後適切な事務処理による予算執行の確立を図るためには，モラルの向上対策の実施が必要であるので，次の対策に取り組む。
　　県税地方機関の長は，毎年，「税務事務改善計画を」策定し，実施状況を「税務事務改善実績報告書」により総務部長に報告する。
　（ａ）管理監督者は率先して常に自己を律し，職場環境の改善，事務の適正執行に勤める。
　（ｂ）毎年，県税関係地方機関ごとに「事務処理の見直し」に取り組む。
　（ｃ）税務職員研修の枠を広げ，外部講師などによる「モラル向上セミナー」を実施する。
　（ｄ）確定申告に関する知識を深めるため，総務部税務課は，職場研修の充実を図り，指導する。
イ．適材適所の原則に立って，担当職員が永年同一の事務に従事することのないよう職員配置に努める。

７）今後の予算措置

（１）臨時雇用職員の賃金

【１９９６年度】　総務部税務課は，前述の考え方に基づいて，現計予算内で，各県税関係地方機関の事務量に相当する必要額を算定し，各地方機関は，それをベースに地区税務協議会で協議し，具体的な雇用計画を策定して提出する。総務部長はこれに基づき予算配分する。各地方機関は，臨時職員雇用状況の実績を報告する。
【１９９７年度以降】　１９９６年度の地区協議会の協議を踏まえて，必要額を歳出予算に計上し，適切な予算執行を行う。

（２）会場設営経費等

　協議に基づいて，県が会場設営や事務的な消耗品の配備を行う場合には，これらの経費について歳出予算に必要な措置を講ずる。

８）ま　と　め

　・３ヶ月に及ぶ調査，検討の課程で，過去にこの事務に携わった税務職員及び現在その職にある者３００余名からの聴取りを実施した。
　・この中で不適切な予算執行は，県が三税共同受付相談業務において，実態として国，市町村に依存する度合が多く，こうした現場の共通認識を繁栄する形で，長期間にわたって安易に前例踏襲型の事務処理により今日に至っているものと認められた。
　・予算は，三税協調に係る事務の円滑な推進を図るという目的達成のために計上されており，その執行においては実態を踏まえた形の予算措置と適切な事務手続きによる執行がなされるべきであった。しかし，いずれの時点でもその努力がなされた形跡は認められず，あってはならない形で事務処理が繰り返されてきたものであり，誠に残念なことである。
　・今後は，二度とこのようなことが繰り返されることのないよう本報告書で示した改善策を実施していく。

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６．県知事への意見書

　「県税事務改善報告書」は，不法行為であるにもかかわらず，これを「不適切な予算執行」と表現などして，問題の矮小化を企み，カラ雇用があたかも各事務所で自然発生的に行われるようになったかのように描き出す一方，支出に関しては「当然県が負担すべき」であると述べるなど，矛盾点を数多く含むものです。しかも，公開質問状の回答とも矛盾します。
　このまま放置することは，この報告書を認めたことになりかねないので，名古屋市民オンブズマンとタイアップグループは連名で，県知事に対して質問つきの意見書を11月22日に提出しました。
　また，タイアップグループの１人は，知事意見書提出用メモを書き，窓口の秘書課長にその趣旨を説明するとともに，記者会見で発表しました。

意　　見　　書

　私たち名古屋市民オンブズマンとタイアップグループは本年９月９日，貴職に質問状を交付し，県税事務所のカラ雇用問題に関してお伺いをするとともに，全庁的なカラの調査を求めました。これに対して貴職は，１０月４日，当時明るみに出ていた１９の県税事務所以外にはカラ雇用の事実はない，との回答を愛知県名で出されました。ところが，上記回答のわずか２週間後の１０月１８日，愛知県は１９９４年度と合わせて２３全ての事務所でカラ雇用を行っていたという，私たちへの回答と矛盾する発表をしました。このような経過を経て１１月１４日に発表された税務事務改善検討班による税務事務改善報告書では，昭和５０年ごろからカラ雇用は行われていたことを認めつつ，１９９３年度以前のカラ雇用については真相を明かにせず，またカラ雇用による裏金については返還しないという方針を明かにしています。
　残念ながら私たちはこのような愛知県の姿勢につき，大きな不信の念を抱かずざるを得ません。なぜ私たちには虚偽の説明をしたのか，なぜ１９９３年以前の調査ができないのか。違法な公金支出を認めながら，なぜ損害の補填をしないのか。
　そこで私たちは今回，これらについて以下の意見を述べるとともに，貴職に対し，改めてご質問をいたします。

１．カラ雇用の事実が判明したことをどう考えるか。

　カラ雇用につき，上記報告書では単に不適切な事務処理と位置付けられています。しかし，私たちはカラ雇用・カラ出張などのカラは単なる事務処理上のモラルの問題ではなく，財政民主主義に違反し，また，裏金の使途にかかわらずカラ雇用の問題は文書偽造罪や詐欺，横領罪を構成する重大な違法行為と考えます。
　私たちは，単に不適切な事務処理であった，との愛知県の考え方を到底支持することはできません。貴職はそもそもカラ雇用やカラ出張が明かになったことをどうお考えなのでしょうか。

２．カラによる裏金の返還を内容としない再防止策はあり得ない。

　愛知県では裏金が職員個人の利益に費消されたものではないことを理由に裏金の返還をしていません。カラが発覚した日本全国の自治体で，裏金の返還をしない自治体は愛知県だけです。群馬県も職員が自主的にカラによる裏金の返還をすることを決めています。しかしながら，カラの本質が財政民主主義に違反するものである以上，裏金の使途を根拠として返還の有無を決定するという愛知県の姿勢は極めて官僚的であり，県民不在の決定と言わざるを得ません。
　しかも上記報告書によると，愛知県では１９９３年度以前のカラ雇用について，調査はしたが，職員の異動や転職で実態がわからななった，という結論を出しています。そうだとすると，少なくとも１９９３年度以前のカラ雇用による裏金については，個人的に費消されたものではない，という根拠はないことになります。１９９３年と言えば，不法行為損害賠償請求の時効にもかかっていない時期です。
　裏金を返還することについてある知事は，「職員自ら血を流すことが再発防止のために必要である」と説明しました。私たちも，裏金の返還は再発防止の大前提と考えます。
　そこで私たちは，裏金を職員ないしは裏金を受領した国税，自治体に対し返還を求める措置をとるよう，貴職に求めるものです。

３．全庁的な調査をしない理由はない。

　カラ雇用の原因について，報告書では「前例踏襲型の事務処理」と「関係書類が形式的に整っていたという実態から，チェック機能が働かなかったこと」を挙げています。しかし，これらは県税事務所に限った問題ではないはずです。これは多くの県民に共通する認識です。
　そこで私たちは貴職に対し，直ちに全庁的にカラ雇用，カラ出張等，カラの調査を行い，発表することを重ねて求めます。

４．ご質問

　私たちは貴職に対し，以下の質問にお答えになることを求めます。これらは知事が県民に対する説明義務をつくされるかどうかの問題でもあります。お答えはマスコミを通じて公開させていただくとともに，インターネットを通じて広く全国におしらせする所存です。自治体の首長の姿勢として，責任あるご回答を求める次第です。
（１）今回のカラ雇用は文書偽造罪，詐欺罪，横領罪を構成すると考えますか。また，財政民主主義との関係でどのような問題があるとお考えですか。
（２）カラが発覚したにもかかわらず裏金の返還措置をとっていないのは愛知県だけですが，県民はこれを支持するとお考えですか。また，カラ出張やカラ雇用等があっても，裏金を自己の利益のために費消したのでなければ，常に返還させる必要はないとお考えですか。
（３）カラ雇用，カラ出張について全庁的な調査はしましたか。その結果ならびにしていない場合にはしていないことの理由をお答えください。

＊＊＊ご回答は12月６日までにお願いします。＊＊＊

知事意見書提出用メモ

　三大カラ操作  カラ雇用・・・今回の件。
　　　　　　　　カラ飲食・・・官官接待・・・不審請求書で裁判中
　　　　　　　　カラ出張・・・監査事務局が県内に無数の宿泊出張，その他１２月３日住民訴訟提訴

　北海道・宮城県と続いた自治体の内部調査による公費乱用に対する「自主検査」は全国的な広がりを見せ，その結果，各地で官官接待・カラ出張・カラ雇用等々オンブズマンの指摘よりはるかに多くのものが明るみに出ている。
　もちろん自主調査の内容は万全にはほど遠く，ある意味ではほどほどに身内を庇いながらこの問題に幕を引こうという意図も感じられるが，一方でオンブズマン等の追及だけではこれら自治体による自主調査ほどの成果が挙げられるかどうかは疑問である。
　さて，ひるがえって当愛知県ではどうであろうか。いまや一般市民はこの問題は全国全ての自治体の問題であって例外はないと考えているが，その中にあって残念ながら「いままでに現れたもの以外にそのようなことはない」という愛知県の姿勢は市民不信感を高める一方である。ぬきさしならなくなる前に，他府県にならって自主的な全庁調査を行い決着をつけないと行政に大混乱を起こして県民にも大迷惑がかかり，愛知万博の開催も足元から崩れるであろう。
　ちょうど１年前の11月21日付某紙のインタビューで「官官接待の全廃を打ち出す自治体もある，なぜ愛知県はできないか」という質問に，鈴木知事は「格好つけるだけなら私もしたい。そんな生やさしい世界ではない。今すぐは無理。ドン・キホーテのようなことになる・・・」と答えている。「今すぐは無理」と言ってから１年経って情勢は大きく変わった。中央官庁でも新内閣が急務とする行革に官僚の腐敗で拍車がかかっている現在，愛知県知事の姿勢は，もはやドン・キホーテではなく，ハダカの王様になってしまった。名古屋市長の交代も決まり，今や四面楚歌の知事に危機感がないはずはない。
　今ころ「今スグ」の時であり，自らの発意で全庁の内部調査を始めるよう県民の１人として強く望む。
　また市民の側ではほとんどの職員はまじめに働いていて一部に問題人物がいるという思いから，大部分の職員が問題に関係しているのではないかと考えるようになってきた。ウラ金に縁のない大多数の職員の士気が案じられる。彼らの後ろめたい惨めな気持ちを取り除くためにも自主的全庁調査を望む。

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７．市・区役所および税務署への公開質問状

　１１月２２日に提出した県知事への意見書に対し，「目下係争中であるので答えられない」と言う返事がきました。予想されたこととは言え，誠実ではないと思います。
　今回のこの問題は，県庁内部に留まらず，国税庁や県下の市町村をも巻き込んだものです。カラ雇用で造られた裏金を受け取っているそれらの自治体にも，幾許かの責任があると考え，オンブズマンとタイアップグループは，１２月１７日，それらの団体に質問状を送付しました。
　送付先は，以下の通りです。
１　税務署関係（１４）
　名古屋中税務署・東税務署・千種税務署・北税務署・西税務署・中村税務署・一宮税務署・瀬戸税務署・小牧税務署・津島税務署・半田税務署・刈谷税務署・西尾税務署・新城税務署
２　名古屋市内区役所関係（１５）
　中区役所・東区役所・千種区役所・名東区役所・西区役所・北区役所・守山区役所・中村区役所・昭和区役所・瑞穂区役所・天白区役所・熱田区役所・緑区役所・中川区役所・港区役所
３　市役所関係（６）
　日進市・豊明市・一宮市・尾西市・稲沢市

県税徴収に伴うカラ雇用についてのお尋ね

　前略。私たちは行政の不当，不正を追及することを目的として設立された市民団体である名古屋市民オンブズマンとその支援グループです。本日は，愛知県県税関係地方機関で発覚した，いわゆる「カラ雇用」問題についてお尋ねいたしたく，お便りを差し上げた次第です。
　さて，既にご承知のことと存じますが，「カラ雇用」事件とは，愛知県県税関係地方機関において長年にわたり，実際には雇用していない臨時雇用職員の賃金支出の名目の下に裏金がつくられ，その裏金により，市町村にはビール券などの品物または現金を，税務署に対しては現金を渡していたとの驚くべき事実を言います。
　この問題の発覚後，愛知県総務部は，関係書類ならびに関係者３００余名からの事情聴取による調査を行い，去る１１月１４日その調査結果を「税務事務改善報告書」にまとめ，実態の一端を明かにしました。報告書によりますと，１９９５年度は，県下２３県税関係地方機関で執行した臨時雇用職員賃金の総額８，６８７，１７５円の内，１９地方機関で６，１８２，０７０円を，また，１９９４年度は，同じく臨時雇用職員の総額９，７６６，４５０円の内，８，８５２，４１０円を，それぞれ不適切な事務処理により執行し，その使途は税務署に対しては臨時職員雇用経費相当分として現金で，市町村の税務職員には，ビール券・ドリンク剤等またはこれらの品物に代える現金を渡したとしています。さらに上記報告書には，これらの事務処理が昭和５０年前後から行われるようになってきたと推認するのが妥当であること，これらの不適切な事務処理による予算執行の背景として，愛知県が三税共同受付業務において，実態として国，市町村に依存する度合いが多く，こうした現場の共通認識を反映する形で，長期間にわたって安易に前例踏襲型の事務処理により今日に至っていたとの指摘もあります。
　当然ながら愛知県としてはこれら「不適切な事務処理」を今後改めることを発表しています。
　しかしながら，私たちは，これらの問題を単に愛知県が「不適切な事務処理による予算執行であり今後改める」とすることで終わらせることに，極めて強い疑問を抱かざるを得ません。自治省は，昭和２９年以来度々国と地方団体との税務行政運営上の協力に関する通達等を発し，県・市町村に税務行政運営上の指示をしています。特に昭和５７年�３月の国税庁，自治省の了解事項は，「行政の効率化と適正，公平な税務執行の確保が，国，地方を通ずる重要な課題となっていることにかんがみ，税務行政の運営にあたって国と地方自治との協力体制を一層強化し，その適正・効率化を推進する必要があるとし，関係機関にその趣旨の周知徹底を図る」と明記しています。愛知県お県税関係地方機関の行為の実態は，この国税庁，自治省の了解事項の趣旨にも反し許されるものではないと思われるからです。
　さらにこの件は，文書偽造，詐欺，横領の罪を構成するとの疑いを払拭できないばかりでなく，善意の第三者を巻き込んだ履歴書の作成や裏金による金品の交付先が県庁内を越え，市町村税務職員や税務所にも及んでいることで，問題の広がりが他の都道府県のカラ操作と比較して極めて深刻です。
　以上の点から見れば，私たちは愛知県のみなならず，自治省通達に反する愛知県の件税関係地方機関の所為を放任してきただけでなく，裏金による何らかの利益供与を受けてきた市町村税務職員ならびに税務署の責任も無視できないと考えます。そこで，私たちは愛知県とともに税務行政に携わってこられた貴職または貴庁にこの問題に関する見解を承りたく，本質問をさせていただく次第です。
　なお，この質問書は，県下のいくつかの税務署及び市町村（区役所を含む）にお送りし，結果についてはマスコミを通じて公表させていただくほか，インターネットを通じて広く情報提供する予定ですので，あらかじめご承知おきください。
　また，勝手ながらご回答の期限を１２月２７日とさせていただきたく，下記名古屋市民オンブズマンの担当弁護士に回答書をご送付くださいますよう，お願い致します。

ご　　質　　問

１　貴自治体（税務署）は，三税共同相談受付業務に関わって，県から金品を受領したことがありますか。あれば，その内容ならびに現金の場合は金額を，年　度に分けてお答えください。
２　現金を受領したことがある場合は，どのような形で受領されましたか。下の選択肢のうち近いものを選び，説明を加えてお答えください。
　イ　正式に，自治体（税務署）への納入として受取り，処理をした。
　ロ　自治体（税務署）への納入とはせず，税務担当者のところで処理をした。
　ハ　その他
３　現金を受領された場合には，その現金はどのような目的に支出されましたか，ご説明ください。
４　県から受領した現金，金品を県に返済されるおつもりはありますか。理由を付してお答えください。
　イ　返還する予定である。（理由）
　ロ　返還する予定はない。（理由）
５　愛知県の「報告書」には，１９９５年度について，金品の受領を辞退したところがあるとの記載がありますが，貴自治体（税務署）は，辞退されましたか。理由を付してお答えください。
　イ　辞退した。（理由）
　ロ　辞退しなかった。（理由）

回　答　の　ま　と　め

【質問１】受領した金品

１　税務署（１４）
・中・東・千種・北・西・中村・一宮・瀬戸・小牧・津島・半田・刈谷・西尾・新城（税務署は，９７年１月４日現在どこも回答していないので，以下省略します。回答のあり次第報告します。）
２　名古屋市内区役所（一括回答）

区	受　領　金　額		その他の物品
区	１９９４年度	１９９５年度	１９９４年度	１９９５年度
・中	５４，４００	９４，８００	両年度とも，区によってはカップコーヒー・ドリンク剤などの物品を受領しております
・東	５０，０００程度	５２，０００
・千種	７３，５００	６６，０００
・名東	５２，５００	４７，０００
・西	４０，０００	４０，０００
・北	５０，０００	５７，０００
・守山	３５，０００	５７，０００
・中村	５５，０００	５５，０００
・昭和	３５，０００
・瑞穂	３５，０００
・天白	３５，０００
・熱田	４０，０００
・緑	４０，０００
・中川	７４，０００
・港	７４，０００
・南	４０，０００

３　その他の市役所（５）

市	受　領　金　額		その他の物品
市	１９９４年度	１９９５年度	１９９４年度	１９９５年度
・日進	２０，０００		両年度とも，ドリンク１ケース
・豊明	１９９４年度以前については，現職就任１９９５年１１月１日につき承知していません１９９５年度については受領していません
・一宮	１２５，０００		ドリンク剤ビール券タオル	ドリンク剤ビール券ジュースタオル
・一宮	現金につきましては，三市三町で構成する市町民税に関しての尾張西部資料情報連絡の運営当番市（稲沢市）が県税事務所から４２８，７５０円を一括受領し，同連絡会の事業費に充てた９８，７５０円を差し引いた３３０，０００円の内，当市分として受領したものであります。
・尾西	４２８，７５０		ドリンク５０本	ドリンクジュース各５０本
・尾西	尾張西部資料情報連絡会（三市三町）に		ドリンク５０本	ドリンクジュース各５０本
・稲沢	４２８，７５０		ドリンク	ドリンク剤ジュース
・稲沢	尾張西部資料情報連絡会で受領		ドリンク	ドリンク剤ジュース

【質問２】受領形態

２　名古屋市内区役所（１５）一括回答
　全区同一回答：現金は陣中見舞として受領したため，自治体への納入手続きはしていません。
３　その他の市役所（５）
・日進　自治体への納入とはせず税務担当者が処理
・豊明　回答なし。
・一宮　当市分として受領した現金につきましては，市への納入とはせず，税務担当者のところで処理しました。
・尾西　尾張西部資料情報連絡会の当番市（稲沢市）で一括受領。
・稲沢　尾張西部資料情報連絡会（三市三町の市民税担当職員で構成）で受け取りました。

【質問３】受領した金の支出内容

２　名古屋市内区役所（１５）一括回答
　全区同一回答：陣中見舞として，事務繁忙期の職員の茶菓代などに充てました。
３　その他の市役所（５）
・日進　職員及び臨時職員の反省会の経費に充当
・豊明　回答なし。
・一宮　税務研修会資料の本代（要説住民税），残業時・休日出勤時の飲物，パン代，研修会・反省会のコーヒー代，三市三町親睦ボーリング大会の参加負担金，職員のソフトボール・バレーボール大会のジュース代
・尾西　尾張西部資料情報連絡会の会議及び研修会の飲み物代
・稲沢　尾張西部資料情報連絡会の会議及び研修会の飲物等に支出しています。

【質問４】返還の意志と理由

２　名古屋市内区役所（１５）一括回答
全区同一回答：陣中見舞として，受領したことから，お返しすることは予定しておりません。その他の区においては，陣中見舞として受領しております。
３　その他の市役所（５）
・日進　返還する予定はない。県より請求あれば返還する。
・豊明　回答なし。
・一宮　相手側の趣旨が「陣中見舞い」である以上，返済する必要はないと考えています。ただし，ことの次第が判明いたしました以上，通し分として受領した現金のうち，上記３の目的に支出しました残金５１，８７０円につきましては，求めがあれば返還に応じます。
・尾西　確定申告業務に対する陣中見舞いという趣旨である以上，返済する必要はないと考えている。
・稲沢　相手側の趣旨が陣中見舞いとしてである以上，返済する必要はないと考えています。

【質問５】辞退の意志の有無と理由

２　名古屋市内区役所（１５）一括回答
　全区同一回答：昭和区，中川区，港区，南区，緑区，天白区については，１９９５年度は，受領しておりません。その他の区においては，陣中見舞として受領しております。
３　その他の市役所（５）
・日進　辞退しなかった。陣中見舞と思っていた。
・豊明　回答なし。
・一宮　官官接待等，官公署の予算とその執行のあり方につきまして，社会問題としての指摘があり，当市といたしましても当然であるとして，国，県との関係についても見直しをはかってまいりました。その一環といたしして，本件につきましても三市三町と図って辞退したものであります。
・尾西　官官接待等の支出について社会問題となり，厳しい認識が示されたので，現金の受領については三市三町の総意で辞退した。
・稲沢　地方公共団体の官官接待等への支出に対して大きな社会問題として提起され，本市も見直しを行っております。そのような状況において，尾張西部資料情報連絡会で協議し，現金の受領を辞退しました。

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８．回答の評価と問題点

タイアップグループメンバー個人的見解

１　一宮市の回答は，かなり細かく具体的で，誠実なものだと言える。これと比較すれば，それぞれの区に質問したのにに対し，一括で答えてきた名古屋市の対応は，表面的である。特に，支出の部分では，具体性を欠き，果たしてこのとおりだったのか疑わしい。
　名古屋市について言えば，質問の５に対して，１９９５年度，昭和区など８区は受領していないと述べるのみで，辞退したのか，県が持ってこなかったのか，明確でなく，理由についても全く触れていない。これでは，回答になっていないと言わざるを得ない。
　この点でも，一宮市が，税金の使途について注目をしている現在の社会一般の意向続きをくみ取り，改善しようとしている姿勢が感じられ好ましい。
２　一宮市の支出内容を見れば，県の「報告書」および「監査結果」に言うように，三税共同受付業務に関わるものだけに支出していたのではないことが明かである。
３　最も悪い対応を示したのが，豊明市である。現在，税務課長の職にあるものに対する質問ではなく，市に対する質問であるにも関わらず，自分の就任以前であるので一切知らない，答えないという態度は，傲慢不遜の誹りを免れられない。しかし，これは，単に豊明市の税務課長のできが悪いだけでなく，一切知らぬ存ぜぬを決め込んで，問題を直視しようとせず，改めようともしない愛知県の姿勢の反映でろう。
４　今回の回答によれば，名古屋市の各区が１９９４年度に受け取った現金は，合計８１８，４００円であるのに対し，１９９５年度は，４６８，０００円で，５７％強である。他の４市（と三町）は，１９９４年度４４８，７５０円であるのに対し，１９９５年度は現金は０である。回答があった部分だけで言えば，前年度比３７％弱である。
　一方，県の「報告書」によれば，裏金の総額は，１９９４年度が８，８５２，４１０円であったのに対し，１９９５年度は６，１８２，０７０円で，前年度比７０％である。また，監査結果によれば，平成６年度に市町村に支払った現金は，３，８５９，９５０円であるのに対し，平成７年度は６，１８２，０７０円で，前年度比７２％弱である。この県の「報告書」と「監査結果」の金額と，公開質問状の回答の金額の差は，全市町村に対する調査ではないので，即断はできないが，前年度比から見て納得しがたい。この差は，全市町村に対する調査ではないので即断はできないが，納得がいか�ない。全ての使途を明かにすることなしには，この疑念は晴れないと思う。そのためには，住民訴訟を提訴して明かにする必要があると考える。
５　全ての回答で，「陣中見舞いだから，返済しない」と回答している。一般社会でも，いわゆる陣中見舞い的なものは存在するが，経費としては，陣中見舞いなど有り得ない。あるとすれば，個人のポケットマネーから出るのが普通であろう。
　県・市など自治体でも，陣中見舞いなど予算上あるはずがないからこそ今回のように，税金を不正に支出して，裏金で操作せざるを得ないのではないか。この点に対する反省は，どこの自治体にも感じられない。
６　今回の事件は，単に県税関係地方機関だけの問題ではなく，県庁および市役所全体にカラ操作があり，裏金操作があることを疑わせる。その理由の一つは，その受領の仕方に関する回答に現れている。どの機関も，自治体への正規の納入とはせず，担当者のところで処理したと平然と答えている。これが県の「報告書」に言う「前例踏襲型事務処理」の一つであろう。この処理方法自体違法であると思われるが，それに対する反省がない。ということは，とりもなおさず，県・市を問わず，このようなやり方が普通に存在していると言うことを物語っている。
　支出の内容を細かく回答した一宮市の例を考え合わせると，おそらく担当者の手許には，裏帳簿・裏口座などが存在するのであろう。役所の各部署において，恒常的に裏金操作が行われ，予算外の支出に充てられている疑いが極めて濃い。

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ド キ ュ メ ン タ リ ー

愛知県税事務所カラ雇用問題追跡

１９９６年１１月２４日作成

１９９７年０１月０５日追補

名古屋市民オンブズマン・タイアップグループ

目 次

１．経 過

２．公開質問状と回答

３．回答への批判

臨時雇用職員のカラ雇用 愛知県の回答の問題点

‘96,11,8

自治省通達について

カラ雇用について

名古屋市との懇談会について

４．監 査 請 求

１）愛知県職員措置請求書

請求の趣旨

２）意見陳述書

イ 代理人 Ａ弁護士の意見陳述書

ロ 代理人 Ｂ弁護士の意見陳述書

ハ 申請人 Ｃ氏の陳述書

ニ 申請人 Ｄ氏の意見陳述要旨

５．税務事務改善報告書の概要

１）税務事務改善検討班の設置

２）予算執行の実態調査

（１）調査方法及び範囲

（２）調査結果

（３）事務処理の内容（職員の関与）

（４）臨時雇用職員が従事する事務

（５）不適切な予算執行の始期

３）三税共同相談受付相談業務の経緯と内容

（１）事務内容と運用

（２）受付相談に伴う関連事務の概要

（３）税務協議会の役割

（４）県の役割と負担の状況

４）個人県民税徴収取扱費交付金との関連性

５）市町村の意向

６）改善に向けた諸施策

（１）品物の提供及び現金交付の取りやめ

（２）臨時職員の雇用等

（３）予算執行等の点検強化

（４）職員のモラルの高揚

７）今後の予算措置

（１）臨時雇用職員の賃金

（２）会場設営経費等

８）ま と め

６．県知事への意見書

意 見 書

１．カラ雇用の事実が判明したことをどう考えるか。

２．カラによる裏金の返還を内容としない再防止策はあり得ない。

３．全庁的な調査をしない理由はない。

４．ご質問

知事意見書提出用メモ

７．市・区役所および税務署への公開質問状

県税徴収に伴うカラ雇用についてのお尋ね

ご 質 問

回 答 の ま と め

【質問１】受領した金品

【質問２】受領形態

【質問３】受領した金の支出内容

【質問４】返還の意志と理由

【質問５】辞退の意志の有無と理由

８．回答の評価と問題点

タイアップグループメンバー個人的見解

ド　キ　ュ　メ　ン　タ　リ　ー

　　　　目　　　　　次

１．経　　過

臨時雇用職員のカラ雇用　　愛知県の回答の問題点

４．監　査　請　求

イ　代理人　Ａ弁護士の意見陳述書

ロ　代理人　Ｂ弁護士の意見陳述書

ハ　申請人　Ｃ氏の陳述書

ニ　申請人　Ｄ氏の意見陳述要旨

８）ま　と　め

意　　見　　書

ご　　質　　問

回　答　の　ま　と　め