名古屋城 本丸御殿+木造天守閣問題特集
2014年度以前
名古屋城本丸御殿 国の補助金制度激変
名古屋城本丸御殿について、名古屋市の予算案に対する意見を
出すため、国の予算案を見ていたところ、H22年度予算から国の
「都市公園事業費補助」がまるごと削られているのを見つけました。
・平成21年12月25日 国土交通省都市・地域整備局
平成22年度 都市・地域整備局関係予算決定概要
http://www.mlit.go.jp/common/000055971.pdf
真意を確かめようと、国土交通省都市・地域整備局公園緑地景観課に
10/1/20に電話で確認しました。
・H21まであった各種補助金は廃止する
・H22から各種補助金を「社会資本整備総合交付金(仮称)」に
一本化する。
総額は2.2兆円。どう配分するかは現在検討中。
各自治体からどうなっているか問い合わせが相次いでいる。
以下18ページに社会資本整備総合交付金の概念図が書いてあります。
・平成21年12月25日 国土交通省
平成22年度国土交通省関係予算のポイント
http://www.mlit.go.jp/common/000055981.pdf
*****************************************************
社会資本整備総合交付金がどのようなものになるのかわかりませんが、
これまでのひも付き補助金ではなく、自治体の裁量に任される
交付金になるとしたら、原口大臣が述べたように「地域主権とは、
地域で間違った首長を選べば、その失敗の責任は地域で負うという
厳しいシステム」となります。
http://www.soumu.go.jp/main_content/000041056.pdf
河村市長は、裁量に任される交付金の使途を選ぶ際、他の使途にもまして
名古屋城本丸御殿復元を優先するとしたら、やはりおかしいのでは
ないでしょうか。
また、このことは名古屋市政に限ることではなく、全国の自治体の首長と議会が
試されることになるでしょう。
以下参考
−−
2010年1月13日(水) 馬淵澄夫 副大臣会見要旨
http://www.mlit.go.jp/report/interview/mabutihukudaijin100113.html
平成22年1月12日
国土交通省政策会議(第7回)議事要旨
http://www.mlit.go.jp/common/000056749.pdf
平成21年10月13日 総務省政策会議 議事要旨
http://www.soumu.go.jp/main_content/000041056.pdf
名古屋市への申入書 秘書課入り口で手渡す運用に改悪
名古屋市民オンブズマンが09/10/1に、事前にアポイントを取った上で
名古屋市あてに名古屋城本丸御殿「凍結」の申し入れを行いに、名古屋市秘書課に
行ったところ、担当者は「今から呼ぶ」といい、しかも申入書は秘書課入り口での
手交であると告げられた。

↑右側が名古屋市民オンブズマン 代表の倉橋克実税理士。左は名古屋城整備室職員。
名古屋市民オンブズマンのメンバーは、「時間を決め、アポイントを取っていても、
担当者が遅れてくるとは何事だ。しかも、何十回も市に申し入れしているが、入り口で
申入書を渡したことはなかった。市長が替わって市民への応対が悪化したというのは
どういうことだ」と抗議しました。
秘書課は、「数多くの団体の方が申し入れをしに来ていますし、突然来られる方も
いらっしゃいますので、応接室ではなく、すべて秘書課内(入り口)で対応させて
いただいております。」と説明しましたが、名古屋市民オンブズマンは
「別の市民団体はきちんと応接室で書類を手渡しているのをテレビで見た。
都合がよい市民団体と、そうでない市民団体と、差別しているのではないか」と
抗議しました。
その日は、たまたま応接室が空いていたので、問答の末、申し入れの
趣旨を応接室で説明することができました。
また、10/8(木)に次回申し入れのアポイントを取ろうとしても、
「上記の説明の通り、入り口で応対させていただきます」との一点張り。
「入り口での書類受け渡しは誰が決めた」と聞くと、「秘書課として決めた」。
「規則か」というと、「そうではない。」とのこと。
事務局の内田は、「名古屋市民オンブズマンだけ特別扱いして欲しいわけではない。
しかし、一生懸命市民が作成した申入書を、部屋の入り口で受け渡すなど、社会常識としておかしい。
他市民団体にも、応接対応すべきではないか」と言いました。
その上で、「では、1日何件申し入れがあり、それぞれどこで受け取っているのかの
リストがありますか」と聞いたところ、「作成していない」とのこと。
そのリストを作ってもらうよう要望しました。
しかし、秘書課からは「リストを作成していないし、作る必要性もないと考えている」とのこと。
松原市政の際は、少なくとも入り口での申し入れ書手渡しは記憶にありません。
写真に残っている直近2回とも、別の部屋に通されました。
河村たかし・名古屋市長の、「都合のよい市民団体」と「都合の悪い市民団体」の
対応の差の象徴ではないかと考えます。
−−
【参考写真】
07/11/12 名古屋市裏金問題 申し入れ

↑申し入れをする名古屋市民オンブズマンの倉橋克実代表(中央)と新海聡弁護士(中央右)。
左は伊藤彰・総務局職員部長。
09/2/6 名古屋城本丸御殿 申し入れ

↑申入書を手渡す、代表の倉橋克実税理士
本丸御殿「凍結」再度申し入れ+国・県に「補助金出すな」申し入れ
名古屋市民オンブズマンは、総額150億円にも及ぶ名古屋城本丸御殿
復元事業「凍結」を求め、09/10/1づけで名古屋市長 河村たかし あてに
申し入れを行いました。
http://nagoya.ombudsman.jp/data/091001.pdf
添付資料
http://nagoya.ombudsman.jp/data/091001-1.pdf
また、09/10/2づけで、本事業に補助金を出している国土交通省、行政改革大臣、
愛知県に対し、補助金支出をやめるよう申し入れを郵送で行いました。
http://nagoya.ombudsman.jp/data/091002.pdf
今回、以下の3点をふまえて、このタイミングで申し入れを行いました。
1.名古屋市の来年度予算は、不況・10%減税で500億円減収の見込み。
命と生活に直結する大きなプロジェクトは次々と白紙撤回、凍結と発表したが、
観光展示物の本丸御殿だけ見直しがないのは納得できない。
2.国の政権交代があり、来年度概算要求は白紙で見直すと言っている。
名古屋市も「不要・不急」な本事業を白紙で見直せ。
3.本丸御殿では「市民の声」を偽装する手法を用いたが、次々と同様の手法を
行っているのは許せない。
また、今週中にも、本事業に補助金を出している国土交通省、愛知県に対し、
補助金支出をやめるよう申し入れを行います。
さらに、「市民の声」を偽装するのではなく、本当に市民の声を反映させる手法を
来週具体的に市長に提案する予定です。
−−
2009年10月1日
名古屋市長 河村たかし 殿
名古屋市中区丸の内3丁目6番41号リブビル6F
名古屋市民オンブズマン
代表 倉橋克実
TEL 052-953-8052 FAX 052-953-8050
名古屋城本丸御殿復元事業「凍結」申し入れ
我々 名古屋市民オンブズマンは経済情勢に鑑み、名古屋城本丸御殿復元事業は今、成すべき優先事業ではないと反対し即時工事の凍結を申し入れしてきた。
しかし、河村市長は本年8月10日「本丸御殿復元事業は継続する」と言明しその理由の多くを“市民の大多数が賛成している”ことを挙げた。唯一の根拠とするところは6月14日に市主催で行われた市民討論会のみである。
我々はこの市長の決定と決定プロセスに対して下記疑義を踏まえて異議を申し立てここに再度、「本事業の凍結」を申し入れする。
1.名古屋市の現況に対応した社会的、経済的対策は充分だと、判断したのか
突然の世界的大不況発生から一年余が経過したが、失業率は増加を続け、7月の統計で5.7%に達した。そして、不況の出口もいまだ見えない。
名古屋市は現在でも、生活支援・雇用支援・失業者対策・中小企業への事業継続支援等々、厳しい財政事情の中であっても優先実施しなければならない多くの施策があります。
名古屋市では〔命と生活〕にかかわるこれらの施策が最大限、適切に実施、予算措置されたのであろうか。
名古屋市民の命と生活に直結する大きなプロジェクトは白紙撤回、撤退、凍結されたのに、観光展示物の本丸御殿だけは何の見直しもなく継続されるのか。
名古屋市は収支不足と市長公約の10%減税を合わせた500億円の穴埋めのため、人件費の190億円の削減と238億円の予算を削減する方針である。
以上のような現状と見通しを含めて熟慮すれば本丸御殿復元事業は今、税金を投入する優先事業であると考えられない。木造天守閣など論外である。
2.「市民討論会」での表決を“市民の声”というのは欺瞞である。
市民討論会の趣旨は その呼びかけ文に記載されているとおり「広く賛成、反対の意見をうかがう場」であり表決の場ではなかったはずである。しかも参加できた市民は抽選で選別された150名だけである。そもそも基本的な情報である市の財政状況、税収見込、雇用状況・推移、景気見通し、更に市長公約の10%減税との関係等々、一切の説明もない中での表決であった。
市長がその無作為抽出でない参加者のうち100名余の賛成をもって尤もらしく「市民の大多数が賛成だ」だと強弁する姿勢は理解できないし、間違っていると断言する(因みに参加者は有権者の0.0085%であり、 サンプルにしても少なすぎる数です)。
3.今後、このような「市民討論会」で“市民の声”を偽装するな
“市民の声を反映した”ことを担保とする手法を使い幾つかの施策が進行している。本丸御殿の討論会のように案件の当事者が主催、進行、結論まで導くやり方での集会は民主的手法とは程遠く茶番にすぎない。庶民主体であるかの如く市民集会を使うことは一部の関係者にとっての“利”であっても多くの市民にとってはじわじわ効く“害”でしかない。市民討論会は多くの市民の声を聞く場の一つ場、一つの手法でしかないはずである。以上が認識され改められないならば市長は“市民の声”に頼らず リーダーとして自身の決断を最初に表明して頂きたい。
以上
−−
参考資料
http://nagoya.ombudsman.jp/data/honmaruhojo.pdf
国への国庫補助要望調書 全体計画が1枚にまとまっている。
参考として、根拠条文(都市公園法29条)と施行令が挙げられています。
(施行令によれば、費用の1/2。法律で「補助することができる」と
あるだけなので、補助しなくてもよいはずだ、という当方の申し入れになります。
http://nagoya.ombudsman.jp/data/H20honmaruhojo.pdf
H20年度に名古屋市が国(国土交通省中部地方整備局)に対して行った、
補助金申請書と決定書です。
20年度は1,600万円の決定が出ています。
・国へのH21年補助金申請は行った。決定も出た。
申請額は今資料がないが、決定額は1億3200万円。
実際の金の流れは、工事の出来高に応じて支払われる。
http://nagoya.ombudsman.jp/data/090909.pdf
国に対するH22年度の予算要望について
・平成21年7月資料(添付)と書いてあるのは、7/28.29に
副市長が各省庁に提案活動した書類。(7/14の資料とともに持参)
・平成21年8月資料(添付)と書いてあるのは、本丸御殿復元と
名古屋市の方針が定まったので、8/27に副市長が各省庁に提案活動した書類。
2009年10月2日
国土交通大臣 前原 誠司 殿
内閣府特命担当大臣(行政刷新) 仙谷 由人 殿
名古屋市中区丸の内3丁目6番41号リブビル6F
名古屋市民オンブズマン 代表 倉橋克実
TEL 052-953-8052 FAX 052-953-8050
「名古屋城本丸御殿復元事業への
国補助金支出の凍結」申し入れ
当団体は、税金のムダ遣いを追及する市民団体である。
我々名古屋市民オンブズマンは、経済情勢に鑑み、名古屋城本丸御殿復元事業は今、成すべき優先事業ではないと反対し即時工事の凍結を名古屋市長に別紙の通り2009年10月1日づけで申し入れた。
本丸御殿復元事業は、名古屋市の説明によれば総事業費約150億円で、うち50億円を名古屋市税等、50億円を民間等からの寄付、残り50億円について国・愛知県の補助を見込んでいる。現在、国土交通省「都市公園事業費補助」(都市公園法29条)から、平成20年度は1600万円、平成21年度は1億3200万円の補助金交付決定が出ている。また愛知県の平成21年度予算では「観光対策の推進」名目で3240万円の補助金が付いている。
しかしながら、平成21年9月29日付閣議決定「平成22年度予算編成の方針について」
の中では、「ムダ遣いや不要不急な事業を根絶する」とうたっており、「各大臣は、既存予算についてゼロベースで厳しく優先順位を見直し、できる限り要求段階から積極的な減額を行うこととする」としている。
本件復元事業はまさに「不要不急」であり、真っ先に国補助金支出の見直しの対象となると考える。よって本年10月15日までに行う概算要求から、当事業費補助を削除し、平成22年度予算に計上しないよう求める。
以上
2009年10月1日
愛知県知事 神田真秋 殿
名古屋市中区丸の内3丁目6番41号リブビル6F
名古屋市民オンブズマン 代表 倉橋克実
TEL 052-953-8052 FAX 052-953-8050
「名古屋城本丸御殿復元事業への
県補助金支出の凍結」申し入れ
当団体は、税金のムダ遣いを追及する市民団体である。
我々名古屋市民オンブズマンは、経済情勢に鑑み、名古屋城本丸御殿復元事業は今、成すべき優先事業ではないと反対し即時工事の凍結を名古屋市長に別紙の通り2009年10月1日づけで申し入れた。
本丸御殿復元事業は、名古屋市の説明によれば総事業費約150億円で、うち50億円を名古屋市税等、50億円を民間等からの寄付、残り50億円について国・愛知県の補助を見込んでいる。現在、国土交通省「都市公園事業費補助」(都市公園法29条)から、平成20年度は1600万円、平成21年度は1億3200万円の補助金交付決定が出ている。また愛知県の平成21年度予算では「観光対策の推進」名目で3240万円の補助金が付いている。
しかしながら、平成21年9月29日付閣議決定「平成22年度予算編成の方針について」
の中では、「ムダ遣いや不要不急な事業を根絶する」とうたっており、「各大臣は、既存予算についてゼロベースで厳しく優先順位を見直し、できる限り要求段階から積極的な減額を行うこととする」としている。
本件復元事業はまさに「不要不急」であり、真っ先に国補助金支出の見直しの対象となると考える。また、愛知県についても、きわめて厳しい財政状況の中、補助金支出の見直しの対象となるのではないか。よって、平成22年度愛知県予算に当事業補助金を計上しないよう求める。
以上
本丸御殿本音トーク 「今、復元工事が必要か」の議論深まらず
09/6/14にあった「名古屋城本丸御殿 本音トーク」の議論をまとめました。
結論から言えば、「傍聴者は賛成派が多く、しかも文化的価値の議論が中心で、
市長の司会も悪く、議論が深まらなかった」です。
以下、傍聴した内田のメモを起こしましたので参考にしてください。
09/6/14(日)午後2時〜4時40分 名古屋市公館

↑会場の名古屋市公館

↑看板

↑傍聴当選はがき

↑開始前 会場は満員
・配付資料
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/090614.pdf
まず最初に、写真・録音はマスコミ関係者のみ許可するとの
説明がありました(よって討論会中の写真なし)。
傍聴定員150人いっぱいでしたし、テレビカメラは10台以上ありました。
はじめに、名古屋市(坪井参事)から本丸御殿事業の説明がありました。
・本丸御殿事業は名古屋城整備の一環であること
・地元職人を半数以上使うことになっている
・木材体験や、屋根の高さから工事現場見学も考えている
・H21.5現在 寄付 個人 3.7億
団体 38.1億
合計 41.8億
・工事は130億円、模写等で20億円の計算
・財源は 国・県補助金 50億円
寄付金(本丸) 50億円
寄付金(名城) 4億円
起債 10億円
市税 36億円
・完成時には、客が部屋まで入って障壁画を見ることができるゾーンと、
活用(お茶・お花)や演奏会、特別行事に活用するゾーンがある
・経済波及効果
復元事業による経済波及効果 約276億円
入場者数増加による経済波及効果 約206億円/年
・中止・中断等の影響
中止した際の違約金 算出できず(業者に損害があれば業者が請求可能)
ただし、業者の都合で中止した場合の条項(10分の1の違約金)を
仮に当てはめると、12億円となる
1期工事のみで終了した場合7億円となる。
また、文化庁からの許可(全体復元)に反するため、
原状回復を求められるおそれがある。
一時中断した場合、工事現場保存のために1億円の計算
その他、寄付金42億円の返還をしないといけない
●市民の声を裏切る
●企業のイメージダウンにつながる
●国や県の官益を損ねる
●長期にわたるプランがかけない
●さまざまな効果を損なう
0
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河村市長が司会をし、討論会が始まりました。
まず、今回の発言意見募集の結果の説明からありました。
19人 このまま続行
17人 修正して続行
14人 一時中断
7人 中止
1人 判別不能
そのうち、名前を伏せて市長が意見を読んだ上で、
賛成派5人、反対派5人を市長が選び、討論に臨みました
また、傍聴希望者は311人あり、そのうち150人が
当選して傍聴できました。
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賛成派・反対派双方の代表がインジャン(じゃんけん)で、先に
話すほうを決め、自己紹介した後3分ずつ相互に話しました。
(発言はあいうえお順)
その後、会場から意見を出すことになりました。
最終的に、会場の意見を挙手で出すと言われました。
【賛成】犬山在住 石田さん
3年前まで犬山市長をしていた。
犬山には犬山城(名古屋の家老の居城)がある。
そういう意味では、名古屋城と犬山城は一蓮托生である。
まちづくりは、「経済波及効果」など数値から入ってはだめ。
まちの「誇り」や「愛情」というのは歴史を掘り起こすことから始まる
「墓石から聞け」という外国の言葉もあるくらいである
法律では出来ないものである。
ランドはランドマークが必要で、精神性を出すものである
城は「磁力」がある(北斗七星を背にしているため)
風水に基づく吸引力がある
【反対】伊藤さん (名古屋市 川向こう在住)
東海豪雨の際は陸の孤島だった。
現在撞木館でNPOガイドをしている。
名古屋市の説明は賛成ありきの感がしたが、私は一時中断の立場。
復元はもっと真剣に考えるべき
お茶とか集会をするということを言われるが、完全復元するなら無理ではないか
名古屋城本丸御殿跡には、新しいものが混在している
弥生時代の遺跡や、中世那古野城の遺構が埋まっているかもしれない
幻の那古野城を、本丸御殿復元で今後100年以上封印するのはいかがなものか
また、木造のこけら葺きは安全上問題ではないか
【賛成】尾関さん
名古屋城が焼けた年に生まれた。
建築や都市計画が専門で、本丸御殿を復元しようという市民運動をやってきた
意見としてはプラス修正というもの
つまり、名古屋城全体を再生しようというもの
意義 世界に文化を発信
目標 本丸御殿は入り口 コンクリートの天守閣をも見直す
手段 木を植えながら循環型社会を目指す
期待 近世文化テーマパーク
方法 市民、世界から体験できるもの
財源 もっとグッズを作って売る 公民連携で
市の金で作る
体制 直営から、非営利の団体に任せてはどうか
城下町文化の研究の蓄積もできる
【反対】 倉橋さん 日進市在住 税理士
H2年から名古屋市民オンブズマンで活動している
超高齢化社会のなか、社会保障費が増大している。
名古屋市の義務的経費は51%、投資的経費は9%に過ぎない
市の財政は豊かではない 10年間財政支出すべきか?
文化的価値はあるでしょう
ただし、武家文化などは日常から生まれるのであって
入れ物だけ立派にしても「観光」のみとなる
名古屋の経済は約14兆円。うち観光は2600億円と2%に過ぎない
本丸御殿復元事業も公共事業であって、
・補助金漬け
・過大な需要予測
・過大な経済効果
で進めてきている。
個人の寄付は3.7億円にすぎない
【賛成】河野さん
名古屋在住の教員
生まれたときにはまだ焼ける前の天守閣・本丸御殿があった
小学校の遠足でいったが、焼け跡しかなかった
その後天守閣が出来たが、エレベーターつきの鉄筋だった。
その後御殿が出来るのかと思っていたが、ずっと出来なかった。
古代、社寺は勧進や寄付で作られてきた。
貧者の一灯であって、どれだけの人が金を出したかが重要
これまで、名古屋ことばは日本語か?といわれ続けてきた
誇りを取り戻すには武家文化の結晶である本丸御殿が必要
実際に名古屋の職人さんが作ることで、100年200年と
子々孫々が自信と誇りを取り戻せる
【反対】佐藤さん
高校の教員をやっていました。
女性団体や平和団体、音楽を通じて平和活動をしています
日本史の先生で博物館でボランティアしているひとに聞くと、
出来ればいいとは思いますが、今作ることなのか疑問。
29歳の教え子が訪ねてきた。
だんなの仕事が減って、3-40万あった給料が20万円になった。
私はパートに行っているが足りなく、「夜のパート」に行っている。
子どものため、子どもを寝かせてから週2回、夜10時から1時まで
働いている。
給食代も払えない人も多いと聞く。
後期高齢者も大変。
本山市長が70歳以上医療費無料にしたのは立派。
【賛成】高倉さん
設計事務所で働いている。
母方は大工で、おじいさんは「先祖が名古屋城建築にかかわった」といっていた。
築城時の釘も実家にあるという。
立場は「条件付賛成」
総事業費は150億円だが、東京の業者が請け負っている。
半分以上が名古屋市外にでていくのではないか。
名古屋の人に還元されたらよいが、そうではないのではないか。
名古屋城の仕事が来ているか名古屋在住の人に聞いてみたが、あまりきていない
歴史的なことはすぐに京都・奈良に行ってしまう
かならず補修が出てくるので、名古屋の人に頼める、
後世まで続く体制を
【反対】前田さん
名東区在住76歳
世の中を斜めに見続けてきた。今回意見募集があったので応募してみた。
「一時中断」
1 国や地方自治体は生活を守るのが第一
1948年 高校1年のとき、憲法はそううたった
それから60年、幸せの実現を後押しされたか?
税金の使い方をずっとチェックしている。
敬老パスは大変ありがたい
主婦は夫の限られた収入から家計をやりくりする
自治体も同じで優先順位がある
一番大切なのはいのち
・医療
・保育園
・働く母親
税金は、自分の家計より有効に使ってもらいたい
一度立ち止まって考え直すべきでは
2 「近世武家文化」は存在していれば価値があるが、結局コピーに過ぎない
寄付が主体ならいいが、人のふんどしで相撲をとるのはいけない
【賛成】中西さん
北区在住 父は三重県出身だが、私は生粋の名古屋人
あまり知識はないが、名古屋を面白くしたい
1 名古屋はつまらない
デザイン博・万博の余韻もほとんど消え、中途半端な名古屋
天守閣は50年たって風格も出たが、本丸御殿の遺構があるだけでは
雰囲気が損なわれているし、説明するのが難しい
私は20代だが、今日傍聴に来ている20代はほとんどいなく、
10代、20代は興味がないのが現実
2 復元するリミットではないか
焼けてからすでに2世代が過ぎた
今後復元は厳しいのではないか
興味がない人が増えると必要かどうかわからなくなる
私は9割がた賛成
なるべく精巧につくること、コストを下げることを願う
【反対】
山口さん 港区在住 共産党市議
1 市として急いですることがある
派遣の人は家がなく、特養はいっぱい
こんな状況で御殿を作るといったら、
昔なら一揆がおき、お家取り潰しではないか
2 城跡整備全体を進めるべき
既存設備の復元や、二の丸庭園もある
本丸御殿の文化的価値について、地下鉄構内には説明もない
3 環境問題・ものづくりの象徴は大義名分に過ぎない
短歌会館は廃止され、文化予算は1/3に減った。
中小企業は青息吐息。
木曽川流域というのなら、徳山ダム導水路事業もいかがなものか
開発・イベント型から本気で意識すべき
「途中で引き返す決断を」
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河村市長は、論点整理として
1 文化的価値があるか
2 今の時期すべきか
を主に議論しようと言われ、会場発言を呼びかけました。
・みずたさん(緑区在住)
先ほど壇上の伊藤さんが、発掘調査をすべきといっているが、どうなっている
→麓 和善氏(アドバイザー
(名古屋工業大学大学院教授、特別史跡名古屋城跡全体整備検討委員会
委員・建造物部会長)
発掘調査は文化庁の許可がないと出来ない
御殿を建ててしまえば調査は出来ない
遺跡調査というのは遺跡を壊すことになる
文化庁は、近世の遺跡については壊す必要がないと判断した
みずたさん 文化庁が反対したから調査しないのか
→麓氏 遺跡を壊すか、今知ることは出来ないので残すかというのは業界の常識
みずたさん 破壊せずに調査すべき
・前田さん
麓氏は、文化庁の許可が出ないから遺跡の調査をしない、引き返しにくいと
言ったが、退却するする勇気がないのではないか
土台をコンクリートで固めて、構造物はコピーでは意味がない
私の疎開先の福井・丸岡城は、地震で一部壊れたが、町の人が寄付して直した。
・石田さん
確認したいのだが、この本丸御殿は上意下達のものではない
歴代市長は消極的だった
それを市民運動が盛り上がって、市が応援してくれるようになった
従来の公共工事ではない
また、今回のソフトである障壁画は疎開してあった
開発発想ではないものである。
なお、今回のディベート文化は今後も育てるべき
・尾関さん
歴史に関する考え方だと思う
何層目の歴史なのか
6000年前に台地が出来、400年前に城が出来た
市民運動としては、64年前の焼けた日から復元しようと言ってきた
50年前に天守閣ができ、市民が受け継いできた
名古屋城は広い、二の丸はすばらしい
その一部であることを認識してほしい
・伊藤さん
「江戸時代の史跡」を文化だと文化庁が認めた
しかし、吉野ヶ里遺跡や三内丸山遺跡の例もあるように
発掘調査したらとんでもないものが見つかって開発中止になった例もある
私は、弥生時代の都市国家跡があると思っているのでなんとも残念
織田信長の父は中世那古野城に住んでいた とても金持ち
御殿を作ること自体は反対ではない
100年後の人が評価することである
名古屋市には「江戸村」構想があったのをご存知か
中川区 山田家や、千種区など、本物の武家屋敷が解体されたが、
財政問題で頓挫して、市の倉庫で眠っている
名古屋城の脱出場所として作られた建物が弥富町に現存しているが、
取り壊されそうになっている
本物がある、市内に残っている文化を名古屋城敷地内に移築して、
本物の江戸文化ゾーンを作ってほしい
名古屋城は宝の山
「文化」「福祉・医療」を同じ土俵に乗せれば、文化は必ず負ける
同じ土俵に乗せてはいけない
また、多数決で決めてもいけない
・麓氏
遺構があるかどうかは発掘してみないとわからない
可能性があるのなら、残すことが大事ではないか
失われるものが大きい
・伊藤さん
作り方の問題だ
詳細な図面が残っているので、完全な復元は可能だ
障壁画の復元技術をもっている加藤さんは名古屋にいなく、
作りながらようやく育てた
大工組合や左官組合など多いが、これらは職人上がり
試験だけでは現場では使えない
御殿で技術を使ってみよう→完全復元を
・河村市長
天守閣は復元可能かね?
・伊藤さん
技術者を育てる間は一時中断を
・河野さん
2者択一
「みぞうゆう」の経済危機の中、「削って御殿を作れ」ではない
人材がいないのなら、地元から育てないといけない
金閣寺は1950年に放火されたが、5年後に3000万円で復元した。
中途半端に安く作ったため、すぐに漆がはげ、1985年に7.4億で修復した
中途半端なものを作るより、しっかりしたものを作ってほしい
・河村市長
地元業者を半分使うと言っているが、本当に使っているのか?
→市民経済局長 鈴木
5割以上使うことになっており、市として指示している
→参事 坪谷 職人を5割以上使うことになっている
・麓氏
史実に忠実なものを作ろうとしている
現在ではほとんど行われていない工法もある
作りながら育てる
・石田さん
あんまり地元にこだわらないほうがよいのではないか
そもそもの名古屋城も、天下普請といって、いろんな大名がきて作ってきた
グローバル資本主義の現在、保護主義に走るとかえって危ない
文化はコピーから始まる
大工とも議論したが、現代職人の知恵が入る
技・技術と言うのは人についたもの
名古屋には伊藤平左衛門という宮大工では超有名なかたがいらっしゃったが、
すでに亡くなってしまった
・83歳
賛成賛成の声ばかり
ここにきているのは勝ち組ばかり
犬山と名古屋は違う
名古屋城天守閣はコンクリートで、中は狭くごちゃごちゃしている
この会はパフォーマンスか
・千種区 さとう
市長の追っかけをしている
御三家でもってきた
名古屋には徳川の痕跡が多い
自慢できるのは精神作用 徳川の精神
絶対にやってほしい
私は推進バッチを作っているが、行政の金は入っていない
説得して買ってもらっている
賛成の声を市長にFAXするよう呼びかけている
江戸時代は木と紙の文化 エコロジー ごみが落ちていない
・山口さん
1 文化について
本丸御殿+天守閣 セットで昭和5年に国宝指定されたが、
それとは違う、寛永期のものを復元しようとしている
国宝にした際、建物に価値があると判断したのか、障壁画なのか
江戸初期のものから作りかえられている
2 私も本丸御殿が見たい
技術の伝承を言うのなら、今の崩れかかっている石垣や、
鉄のカバーがかかっている門、庭園など
順番を変えてはどうか
・倉橋さん
文化論ばかりできわめて「マニアック」な議論 出る幕がない
本物を作ると言うが、そもそも「文化」とはなにか
市長は先日出来町天王祭りに参加されましたよね。
山車を引いて、からくり人形が出た。お囃子、太鼓、笛。
道路が狭いところはみんなで山車を担ぎ上げる
市民の中に息づいている 祭りの喜びを感じる
「山車・からくり」ではない
市民がそれらを使いながら、喜び、苦しさを感じるのが祭りの文化
「モノ」じゃない
いままでモノの話ばかり
寄付のうち、万博の金が10億入っている
民間からは少ない 12000人しか寄付していない
あとはほとんど企業の献金
市民が生きている文化、喜びを感じる文化を
・87歳 京町に住んでいる
小学校のころ、名古屋城は遊び場だった
看守の息子が同級生で中に入れてくれた
城の中は蜘蛛の巣だらけ
御殿でかくれんぼしていると怒られた
虎の絵はおっかなかった
作った際は、子どもたちがいっても怒られない場所に
・南区 いなばさん
一刻も早く作ったほしい
実りの秋
・中西さん
20代 現在無職 収入100万円くらいしかない
仕事がほしいが、50年後私は生きて、完成した御殿を見たい
・内田さん 東区在住
2歳になる息子の父 33歳
息子が子育てNPOに行っている
お茶やお花をNPOで行おうと、公民館など安い畳の部屋を借りようと
しているが、名古屋市は「子どもは畳を汚すから」という
理由で貸してくれない
何が文化の継承だ
本丸御殿も金持ちたちにしか貸さないであろう
・猿渡
熊本から、万博の際に愛知に来た
万博では警備隊長
制度的な文化 税金をどこに配分するか
60歳以上は金持ちばっかり 相続税を安くするなどしては
聖徳太子の1万円札がまだ何兆円もあるという
憲法90何条かで、地域特別立法が可能
・黒田 千種区在住
行政は当初消極的だった
・財政状況が厳しい
・市民の機運が盛り上がらない
復元検討委員会が開かれたが、その後財政は好転したのか 市民の機運は?
マスコミの世論調査では、凍結・反対で6割を超えている
寄付金も個人は多数ではなく、凍結すべきだ
---------
・河村市長
日本の借金は実は借金ではない
銀行の金を政府が引き受けているだけ
1人あたり600万円なんて大嘘
庶民に金がないのは事実
本当に財政危機なら金利が上がるはず
地方ではまず市役所がきれいになっていく
・河村市長
名古屋市に客が来ても、「どこに連れて行く」というのが問題になる
壇上の人に聞いてみたい
・伊藤さん
私はガイドをしており、連れて行くところがないと言うのは認識不足・勉強不足
名古屋人は横が見えない
モノがないとガイドできないと思っている
おいしいものがない、というのも、なんでもあるため
それしか作れない(例:そば)から名物になる
・石田さん
市民運動だけではだめ
市として行政として中心軸が必要
・倉橋さん
観光は所詮観光に過ぎない
・尾関さん
連れて行くのは、磨かないと気づかない
観光というのは、国の姿を見ること
・佐藤さん
駅地下ウォークがはやっているそう
大須観音近くに住んでいる
税金を入れないで作るやり方もあるのでは
・河野さん
100年たったら国宝
コンクリートの天守閣を壊して
・前田さん
見せるところは確かにない
古いもの 岡崎 大樹寺 白川郷など
・高倉さん
42 名古屋に目玉はない
古い家屋などがある
表具屋さんは5〜60の人が多い
本丸御殿はファッションショー
若い職人にチャンスを
・山口さん
行くところがないが、住むにはいい
「こんな討論会やっているよ」が目玉にある
史跡としての価値はともかく、「市長」がシンボルで十分ではないか
この市公館も緑に囲まれたよいところ
中途半端な建造物は、イタリア村で苦い経験済み
・中西さん
名古屋はつまらない
若い人は調べようとも思わない
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・中川さん 千種区在住
ゆっくりとやる
地下の地下まで調べて、丸ごと寄付でやってはどうか
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・河村市長
会場参加者の意見を挙手で示してほしい
反対 5
一時中断 37
修正して続行 32
そのまま続行 72
・河村市長
今回の討論はすばらしいこと
税金を使う基本として、市民が納得して進めないといけない
最後に、私としては天守閣を木で復元することの意見を聞きたい
賛成の方挙手を 8割がた賛成か
ありがとうございました
--------------
終了後、マスコミ各社から感想を聞かれました。
オンブズマン関係者の意見をまとめます。

↑終了後、感想を聞かれる倉橋さん(中央)
文化的な価値論争に関しては、推進派は10年以上の議論の集積があり、
反対派は勝てるはずがない。
「税金を用いて今復元すべきか」財政的な議論をすべきなのに、市長の司会が悪く、
議論が深まらなかったし、その前提条件も説明がなかった。
わざわざ往復はがき100円払って討論会を聞きに来る人は賛成派が大いに
決まっており、フェアなものではなかった。
「寄付のみで復元する」という選択肢がなかったのは意図的か?
「これで話を聞いた」というポーズに使われてはたまらない。
年よりは金持ちばかりと言う発言があったが、金がない年寄りも多い。
本日ほとんど参加がなかった若い世代も、収入が激減してホームレスになったり
自殺した人も大勢いる。
もっと論点を絞って議論しないと、言いっぱなしになってしまう。
壇上の人でも発言できずいらいらしたのに、会場の人はもっといらいらしただろう。
市の発表も、中止したら12億円違約金がかかるようなミスリードがあった。
(契約書では「算出不能」)
なるべく業者にも損害が出ないような縮小方法はあるはず。
天守閣を木で作り直すかどうかなど、金額など条件がさっぱりわからないままで
会場から意見を聞いて締めにするのはおかしい
本丸御殿 違約金に関する回答
09/6/12に名古屋城整備室室長から、本丸御殿の違約金に関して名古屋市としての結論が出たと電話がありました。
結論
名古屋市も業者も現時点では違約金を算出できず
業者にも依頼したが、どの時点で中止をするのかが決まっておらず、仮に時点を決めたとしても算出することは難しいと言われたため。
ただし、市長から、議論のベースが欲しいと言われたので、
仮に42条の2 業者の責めで契約が解除された際の違約金(請負額の10%)
を当てはめて計算してみることにした。
(全契約額−引き渡しを受けた額)×10%
私は、その仮定の条件はおかしいと抗議しましたが、仮定の話として
説明する、と言ってきました。
一方、国の補助金などは話が変わってきます。
平成20年度に国庫補助金(都市公園事業費補助)を1600万円
もらっています。(工事予算3200万円)
平成21年度の国庫補助金明細は不明ですが、21年度の予算が
3億5100万円なので、1億円以上は補助されるのでは
ないかと思います(市の説明書に、「詳細は担当職員と協議願います」
としか書いていません。)
その他、愛知県から、平成21年度に3240万円補助されます。
http://www.pref.aichi.jp/cmsfiles/contents/0000022/22770/21-04-06.pdf
国の補助金を受けて推進される公共事業を自治体の判断で中止した
場合には、それまでに受けた補助金の全額に、受領時以降年率10.95%の「加算金」を付して返還しなければならないと
されています(補助金適正化法17〜19条)。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S30/S30HO179.html
しかしながら、それではあまりにも酷なので、閣議決定で、
「政策再評価法」に基づいた適正な手続きを経て実施された
公共事業再評価の結果、事業主体である地方公共団体が補助事業を
中断した場合には、補助金適正化法上の義務違反がない限り、
補助金等の返還を求めることがない」ことを明らかにしています。
(昔、全国市民オンブズマンで調査しました)
http://www.ombudsman.jp/taikai/04saihyouka.pdf
名古屋市にも「名古屋市公共事業評価監視委員会」があります。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/jigyoukeikaku/machizukuri/kokyojigyo/
09/6/11、所管の住宅都市局企画経理課に電話で「本丸御殿は
再評価対象に当たるのか」聞いてみました。
「国土交通省所管公共事業の再評価実施要領」で5つ要件を
定めており、本丸御殿は最近着工したばかりなので
そのどれにも当たらない。
http://www.qsr.mlit.go.jp/s_top/jigyo-hyoka/yoryo/130706/sai01.pdf
(1) 事業採択後一定期間が経過した時点で未着工の事業
(2) 事業採択後長期間が経過した時点で継続中の事業
(3) 準備・計画段階で一定期間が経過している事業ただし次に掲げる事業で
着工時の個別事業箇所が明確なものに限る。
(4) 再評価実施後一定期間が経過している事業
(5) 社会経済情勢の急激な変化、技術革新等により再評価の実施の
必要が生じた事業
この場合において、再評価の実施の必要が生じているかどうかの判断は、
再評価の実施主体又は所管部局等の長が行うものとする。
私は、(5)に当たると市が判断すればよいのでは、と
再度聞いたところ、「確かに市が判断すれば再評価の対象に当たる」
という回答に変わりました。
結局、市として再評価をしようと判断し、再評価委員会で
中止が妥当と判断すれば、国の補助金は返還することがない、
ということになります。
参考にして頂けますと幸いです。
本丸御殿の違約金 市は現段階では計算できないはず
名古屋城本丸御殿を中止した際に問題となる「違約金」に関し、
名古屋市民オンブズマンは、名古屋城本丸御殿復元工事の契約書を入手してネット上で公開しました。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/honmaru-1.pdf
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/honmaru-2.pdf
この契約書43条では、以下のように述べています。
1.名古屋市は工事が完成するまでの間は、必要があるときは契約を解除することができる。
2.名古屋市が契約を解除したことにより業者が損害を及ぼしたときは、その損害を賠償しなければならない
また、第19条では以下のように述べています。
19条 2 甲(名古屋市)は、前項の規定によるほか、必要があると認めるときは、工事の中止内容を乙に通知して、工事の全部または一部の施工を一時中止させることができる。
3 甲は、前2項の規定により工事の施工を一時中止させた場合において、必要があると認められるときは工期もしくは請負代金額を変更し、又は乙が工事の続行に備え工事現場を維持し若しくは労働者、建設機械器具等を保持するための費用その他の工事の施工の一時中止に伴う増加費用を必要とし若しくは乙に損害を及ぼしたときは必要な費用を負担しなければならない
19条も43条も、業者が請求しないと確定しません。
つまり、「現時点で確定した違約金というものはなく、中止した際に業者が請求してはじめて
損害賠償義務が発生する」と読めます。
現時点では名古屋市は計算不可能です。
具体的な損害を業者が請求しない限り、損害は発生しないし、
「前払い金の支払いに関する特約条項」で、1年ごとに前払い金を支払うことに
なっており、109億円一括の損害賠償にはならないはずです。
また、同特約条項2項で、出来高予定額を市が変更可能とあり、
予定額を寄付金の範囲内に減少させれば、損害は発生しないのではないでしょうか。
しかしながら、名古屋市に09/6/10に確認したところ、「違約金は現在計算中で、
討論会がある6月14日までには間に合わせたい」としています。
市民に重要な情報を公開することを望みます。
09/2/8(日)11時〜 名古屋城本丸御殿反対チラシまき(名古屋市 栄)
名古屋市民オンブズマンのメンバーら約20人は、
名古屋城本丸御殿復元工事の「凍結」を求めて、
09/2/8(日)午前11時から12時半まで、名古屋市栄 三越前で
チラシまきを行いました。
通行人の反響はとてもよく、「テレビでやっていた件ですね」
「がんばってください」と声をかけられました。

↑マイクで訴える、市川一夫・名古屋市民オンブズマン・タイアップグループ
名古屋城本丸御殿凍結運動実行委員長
・当日配布チラシ
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/090208honmarugoten.pdf
「今本当に必要ですか?150億円の本丸御殿」
名古屋市が総額150億円をかけて名古屋城本丸御殿の復元工事を
行っております。市民の合意のないまま、09/1/19に着工しました。
しかしながら、税金の無駄遣いを追及する市民団体である「名古屋
市民オンブズマン」としてこの事業を検討した結果、以下の点で
「反対」することにしました。
1.「原寸大のレプリカ(模造品)」には文化的な価値がない
2.資金計画がずさんである
3.失業者が名古屋市に殺到している
総額150億円のうち、50億円を市民からの寄付と愛知万博の
余剰金(10億円)で賄おうとしていますが、未曾有の大不況の中、
寄付が急激に減少しており、現在40億円弱しか集まっておりません。
100億円近い税金を用いるのなら、職も住居もない失業者たちに
手をさしのべるのが、本来の行政のあり方ではないでしょうか。
名古屋市民オンブズマンとして、以下のことを決定しました。
・名古屋市長に対して「反対」申し入れ
2009年2月6日(金)午前10時30分 市長あてに申入書提出
(名古屋市役所本庁舎3階 秘書課)
午前10時45分 市政記者クラブにて記者会見
(記者クラブの都合により日程変更する可能性があります)
・本丸御殿「反対」街頭チラシまき
2009年2月8日(日)午前11時〜午後1時 雨天決行
名古屋・栄 三越ライオン前
当日連絡先:052-953-8052(携帯電話に転送されます)
そこで、当日の街頭チラシまきや、事前の準備に協力していただける
方を大募集します。
事前の準備:プラカード文字切り抜き
2/4(水)〜6(金) 午前10時〜午後6時で、ご都合の良い時間
名古屋市民オンブズマン事務所で作業します。はさみ・カッターを用います。
名古屋市中区丸の内3−6−41 リブビル6階
地下鉄名城線・桜通線「久屋大通駅」北徒歩5分
電話(052-953-8052)、FAX(052-953-8050),mail(office@ombudsman.jp)で事前に連絡下さい。
もしくは、パソコンデータを送りますので、家で切り抜き作業をしていただき、
切り抜いた文字を2/8(日)当日持ってきて頂くという方法もあります。
当日:チラシまき
2月8日(日)午前11時〜午後1時 雨天決行
当日午前10時45分に名古屋・栄 三越ライオン前集合
ご都合の良い時間のみ参加で結構です。
当日連絡先:052-953-8052(携帯電話に転送されます)
ご協力いただけます方は、当方に御連絡いただけますと幸いです。
09/2/6(日)名古屋市長に本丸御殿工事「凍結」申し入れ
名古屋市民オンブズマンは、150億円かけて名古屋市が行う、
名古屋城本丸御殿復元事業について、「大不況の今、行うことではない」として
事業の凍結を求める申し入れを行いました。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/090206.pdf
なお、2/8(日)午前11時〜午後1時まで、名古屋市栄・三越ライオン前で、
本丸御殿復元事業凍結を求める、チラシまきを行います。
御協力くださる方は、当日現地にお越し下さい(TEL:052-953-8052)。

↑申入書を手渡す、倉橋克実税理士(左)

↑プラカードの前で記者会見する、オンブズマンメンバーら
2009年2月6日
名古屋市長 松原 武久 殿
名古屋市中区丸の内3丁目6番41号リブビル6階
名古屋市民オンブズマン
代表 倉橋克実
電話052-953-8052 FAX052-953-8050
名古屋城本丸御殿 復元事業「凍結」申し入れ
私たちは、近況の社会情勢、更に下記の疑義に鑑み、名古屋城本丸御殿復元事業に反対し、即時工事の凍結を求め、ここに申し入れする。
1.今、本当に必要なのか! 150億円の本丸御殿
現況は未体験の経済危機にあり、有効な対策自体が不確かな時である。不況の嵐が強いほど行政に対しては多くの早急な対応が求められている。
減少する限られた予算の使途には、優先順位を選択しながら実行しなければならない。・生活支援・雇用支援・中小企業への事業継続支援等々に対する予算措置に優先するものがこの復元計画にあるとでも考えるのか。財源にそのような余裕があるのかを問いたい。
2.資金計画の杜撰さを危惧する
本事業の資金確保が担保されておらず見通しも立っていない。寄付も予定額の50億円にまだ10億円も足りていない。寄付・国の補助・県の補助による資金計画も現時点では明確な説明もできない状態である。国、県共に財源減少に苦慮しているのが現実で、貴重な税金を本事業への補助するような状況ではないと考えるのが常識だ。
3.「原寸大のレプリカ(模造品)」には文化的な価値がない
文化庁文化財部記念物課(06/8/24)が本事業をこのように説明している。
本復元計画は「忠実に再現される“原寸大のレプリカ(模造品)”であり、つくられた時点では“文化財”ではなく、史跡名古屋城を理解するための有効な施設である」
市長発言の“将来は世界遺産に登録されると思っている”との認識差は余りに大きく虚しい。
4.名古屋に失業者が殺到している現状と、本丸御殿が起爆剤になるという認識のズレ
市長の09/1/19定例記者会見では、「派遣切りへの対応は一自治体としての対応の限界を超えている」とし、国、県の支援を求めているにもかかわらず、同日の本事業着工式の挨拶では、「名古屋の起爆剤になる」と意味不明、論拠不明な楽観的な発言をしている。
報道によれば名古屋市に対する生活保護申請を含めた「住居のない人からの相談」が09/1/5-14の短期間で約1000件に上るとのこと。緊急宿泊所の関連経費が予算630万円の6倍以上に膨らむ見通し。他の生活保護扶助経費も当然増加する。今日のように切迫した事態に直面している中での上記、市長発言は現状認識と危機意識ともに我々市民感覚とは大きなズレがある。
そもそも、この本丸御殿復元計画は“元気な名古屋”と自負していた時期に、飛び出てきたものであり、経済の非常事態である現在ならば到底、発案できない事業である。
我々名古屋市民オンブズマンは、今、行政に何が一番求められている施策かを真摯に見極め、早急に実行することを求める。本復元事業への取り扱いは次期市長に委ねることが適切な判断と考える。
以上
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