個人情報保護条例


豊田市情報公開審査会 情報公開手数料導入諮問時、質問した委員の氏名を議事録に記載せず

22/10/3に開催された豊田市情報公開・個人情報保護審査会で、情報公開請求時の手数料導入について諮問されましたが、その際の質疑応答の議事録を情報公開請求したところ、質問した委員の指名が Q:としか書かれておらず、どの委員が発言したか分からないことが判明しました。
22/10/3に開催された豊田市情報公開・個人情報保護審査会の議事録
●議事録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota287.pdf
 
22/10/3に開催された豊田市情報公開・個人情報保護審査会の配付資料(「『情報公開制度における手数料の導入について』に関するパブリックコメントの結果」を除く)
説明資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota286-1.pdf
●R4第8回審査会次第
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota286-2.pdf
●R4第8回審査会進行要領
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota286-3.pdf
 
当該審議会は「非公開」で開催されました。
この議事録は「全部公開」なので、審査請求しても取消訴訟をしても、発言した委員の氏名は分かりません。

議事録には「審議の経過 意見なし。 結論 実施機関の案を適当なものと認める。」とありました。

------
参考:豊田市情報公開・個人情報保護審査会委員名簿
 鋤柄司  弁護士
 鈴木秀和 名城大学理工学部情報工学科准教授
 鈴木裕利 中部大学工学部情報工学科教授
 松村 享 名古屋学院大学法学部法学科教授
 宮崎 亮 弁護士
 渡部美由紀名古屋大学大学院法学研究科教授

-----------
豊田市は、22/11/9に「情報公開制度における手数料の導入について」の意見募集結果の公表をし、反対 38件どちらでもよい 1件 でした。
https://www.city.toyota.aichi.jp/shisei/koho/1009544/1049531/1050674.html

22/12/2(金)に豊田市議会が開会されます。
・令和4年12月定例会 豊田市議会
 提出議案一覧 議案の要旨・予算関係議案の要旨
 http://toyota-shigikai.jp/presentation.html#pagelink

豊田市情報公開条例の一部を改正する条例が上程され、コピー実費以外に、請求1件当たり200円の請求手数料と、100枚を超える枚数1枚につき10円の開示手数料を新たに設定する方針です。

豊田市がパブリックコメントを行った際、名古屋市民オンブズマンは22/9/30に上記に対し反対の意見を提出しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220930.pdf

市議会の議論に注目したいです。

------------
なお、同市議会に、豊田市個人情報保護法施行条例も上程されます。

上記に関し、同審査会に諮問した資料も情報公開請求しました。

市長が22/10/25に豊田市情報公開・個人情報保護審査会に諮問した「個人情報保護条例」に関する諮問書類一式
@諮問書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota284-1.pdf
A諮問事項
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota284-2.pdf
B制度改正の概要(国の説明資料).pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota284-3.pdf
C個人情報の保護に関する法律(令和5年4月1日)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota284-4.pdf
D【制定案】豊田市個人情報保護法施行条例(新規制定)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota284-5.pdf
E【新旧】豊田市情報公開・個人情報保護審査会条例の一部改正条例
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota284-6.pdf
 
22/10/31に開催された豊田市情報公開・個人情報保護審査会で配布された資料(審査請求に係る資料を除く)
説明資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota285-1.pdf
R4第9回審査会次第
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota285-2.pdf
R4第9回審査会進行要領
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota285-3.pdf


22/11/18(金)名古屋市 「審議会に事後に報告することができる」個人情報保護条例を議会に提案

名古屋市は、個人情報保護法改正に伴い、「名古屋市個人情報保護条例」全部改正案を22/11/18に市議会に提案しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/221118nagoya.pdf
改正個人情報保護法では、残念ながら各自治体の個人情報保護審議会の意見を事前に聞くなど、事前関与は許容されないこととなっており、これまでの個人情報保護の水準が保たれなくなるのではないかと疑問が相次いでいます。

名古屋市個人情報保護審議会は、22/8/5に、審議会に「事後報告」を求める個人情報保護条例改正答申を提出しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220805.pdf

上記答申を受け、名古屋市が個人情報保護条例全部改正案を提出してきました。
残念ながら、条例改正案についてパブリックコメントは行いませんでした。
https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/63-0-0-0-0-0-0-0-0-0.html

全部改正案では、市長部局と議会が同じ条例で書かれています。
また、審議会へ諮問できる場合を3つ定めています(11条)。
1)条例を改正し、又は廃止しようとする場合
2)個人情報の取扱いに関する運用の細則を定めようとする場合
3)番号利用法27条第1項に規定する特定個人情報保護評価を実施する場合
さらに、「実施機関は、規則で定めるところにより、その行った個人情報の取扱いについて、名古屋市個人情報保護審議会に報告することができる」としています。

今後市議会でどのような審議がなされるか注目したいです。
少なくとも上記答申を踏まえた議論がなされることを望みます。


豊田市情報公開請求手数料新設案パブコメ 反対が39件中38件

豊田市は、22/11/9に「情報公開制度における手数料の導入について」の意見募集結果の公表をしました。
https://www.city.toyota.aichi.jp/shisei/koho/1009544/1049531/1050674.html
・意見の概要
反対 38件
どちらでもよい 1件
多くの市民の反対にもかかわらず、豊田市は「応分の御負担を頂くことは、やむを得ないと考えられます」と繰り返し、請求手数料新設する方針を続けています。

一方、なぜか豊田市が行った「Eモニターアンケート」の結果も掲載しており、153人中公文書開示請求をしたことがないのが3名のみであることがわかりました。
開示請求をしたことがない人に手数料導入の是非を聞くのはふさわしくないと考えますし、ただでさえ開示請求をする人が少ないのに、さらに請求手数料を新設した場合、さらに開示請求をする人が減少するのではないでしょうか。

---
豊田市議会は22/12/2(金)-12/21(水)開会予定です。
http://toyota-shigikai.jp/


豊田市情報公開請求手数料徴収 非公開審査会で「徴収は適当」答申

豊田市が情報公開請求時に200円請求手数料徴収の条例改正方針を示している件で、諮問を受けた豊田市情報公開・個人情報保護審査会は、非公開の審査会を踏まえて22/10/24に「徴収は適当」と答申を出しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/221024toyota.pdf
なお、上記手数料に関するパブコメの結果とそれに対する市の見解は、11月中旬に市ホームページに掲載される予定です。

---------
また、豊田市は同審議会に22/10/25に個人情報保護条例改正に関して諮問しました。
22/10/31に同審議会を非公開で開催しました。
次回は22/11/28ですが、議題はまだ未定で、次回も傍聴実施予定はないとのこと。

名古屋市民オンブズマンは電話で「個人情報保護条例改正に関して、市民の関心が高い。
また、全市町村で同時期に個人情報保護条例改正作業を行っており、役所の担当者がホームページで他自治体の動向を調査している。
豊田市と同時期に手数料を導入しようとした瀬戸市は、市民の傍聴を許可しただけでなく、配付資料をすべてホームページで公開している。
http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2022092100107/
豊田市も同様のことを望む」と伝えました。


瀬戸市情報公開請求手数料案は「無料が適当」市審査会答申

瀬戸市情報公開・個人情報保護審査会は22/11/1に「個人情報の保護に関する法律の一部改正に伴う対応について(答申)」を出し、改正後の個人情報保護条例ならびに情報公開条例について、開示等請求手数料は現行どおり無料とすることが適当としました。
http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2022092100107/files/tousinn.pdf

瀬戸市は、個人情報保護法が改正されるため、個人情報保護条例で開示請求手数料を新設し、情報公開条例でも同様に開示請求手数料を新設する方針を示し、パブリックコメントを募集しました。
しかしながら、多数の市民から反対意見が出て、審査会の判断が注目されていました。

瀬戸市は2022年12月議会にも、個人情報保護条例改正案を提出する予定です。

・瀬戸市情報公開・個人情報保護審査会
 http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2022092100107/


豊田市情報公開請求手数料新設案 パブコメに反対9割強

豊田市が、情報公開請求手数料新設する案をパブコメにかけたところ、反対意見が9割強だったことが、名古屋市民オンブズマンの情報公開請求で判明しました。
・パブコメ回答まとめ
 どちらでもよい 1件
 反対 10件
・令和4年9月20日 豊田市長 太田稔彦
 諮問 情報公開制度の運営に関する事項について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220920toyota.pdf
 
・22/10/3に開催された豊田市情報公開・個人情報保護
 審査会に提出された「『情報公開制度における手数料の導入について』に関するパブリックコメントの結果」
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/221003toyota.pdf

---------
豊田市は、22/9/1-30までパブリックコメントを募集しました。
・22/8/26 豊田市報道発表資料 「情報公開制度における手数料の導入について」に関するパブリックコメントを実施します
 https://www.city.toyota.aichi.jp/pressrelease/1050502/1050838.html

今回開示された内容には詳細な意見が記載されており、「情報公開制度は受益者負担にはなじまない」「知る権利の後退」「請求手数料を設定することで、現状0.05%の利用者をさらに抑制することに」などが述べられております。

---------
一方、今回開示された資料の中に、なぜか「第5回Eモニターアンケート 情報公開制度における手数料の導入に関する意見募集」結果が掲載されていました。
https://www.city.toyota.aichi.jp/shisei/koho/emonitor/1008206.html

(1)情報公開制度によって市の保有する公文書の開示請求ができることをご存じですか
 ・知っていて、公文書の開示請求をしたことがある 2%
 ・知っているが、公文書の開示請求をしたことはない 42%
 ・知らなかった 56%

(2)公文書の開示請求において、実費に加えて、手数料を導入することについてどう思いますか?
 ・手数料の導入をすべきである  30%
 ・手数料の導入はやむを得ない  54%
 ・手数料の導入はすべきではない 11%
 ・その他             5%

------
上記Eモニターアンケートは、「公文書の開示請求を実際にしたことがない98%の人が、手数料について回答している」という重大な欠陥があります。
自由欄にも「実際にどのような公文書を開示しているのかわからなかったので、漠然とした質問で回答しにくかったです。具体例を記して欲しかったです」というものもあり、豊田市のアンケートの仕方自体に問題があると考えます。

豊田市情報公開条例第1条には、「地方自治の本旨にのっとり、市民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利を保障するとともに、公文書の開示等に関し必要な事項を定めることにより、市の諸活動を市民に説明する責務を全うし、もって市民の理解と批判の下に公正で透明な市政を実現し、市民の市政への参加の促進に資することを目的とする。」と書かれています。

そうであれば、0.05%しか情報公開請求していない現状を少しでも改善させるような仕組みを導入すべきではないでしょうか。

豊田市は、パブコメの回答をまだ市ホームページで公表していないだけでなく、22/10/3に開催された審査会自体を非公開にし、22/10/31開催予定の審査会も非公開を続ける方針です。

まずは、「パブコメに反対9割強」という事実を広く豊田市民に知らせるべきだと思います。


22/10/17(月)瀬戸市情報公開・個人情報保護 開示請求手数料導入見送り方針 市審査会

瀬戸市情報公開・個人情報保護審査会は22/10/17に会合を開き、情報公開条例・個人情報保護条例に伴う開示請求手数料の導入を見送る答申作成の意向を固めました。

・瀬戸市情報公開・個人情報保護審査会
 http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2022092100107/

・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://nagoya.ombudsman.jp/data/221017.pdf
 
瀬戸市は、個人情報保護法が改正されるため、個人情報保護条例で開示請求手数料を新設し、情報公開条例でも同様に開示請求手数料を新設する方針を示し、パブリックコメントを募集しました。
しかしながら、多数の市民から反対意見が出ました。

今回、瀬戸市は「個人情報保護条例に基づく開示請求は年間20件程度。コストは算出していない。情報公開条例に基づく開示請求は年間196件で、かかった時間は1525時間。人件費で算出すると1件当たり14,009円(コピーは別途)」と述べ、受益者負担の観点から開示請求手数料の導入を提案したとしました。

審査会委員からは「個人情報保護の方は、特定が容易」「他市町村ではほとんど開示請求手数料導入を検討していない」(市事務局調査では、兵庫県赤穂市・相生市がパブコメで導入を記載した程度) 「これまでも開示請求手数料を徴収することはできたが、個人の権利を保障するためとらずにきた」「要介護認定や火災について、自分の情報を取るのにどうして手数料が必要なのか、行政の説明が必要」「個人情報請求で財政圧迫しているとは思えない」という意見がでて、今回は見送りという結論になりました。

続いて、情報公開請求の手数料の議論になりました。

審査会委員から「開示請求に300円を取るのは市民の知る権利からみてまずいと思う。本来、開示請求を待たず積極的に情報提供をすべき」「なにを1件と考えるのか。開示請求者とトラブルになるのでは」「情報が不存在にもかかわらず開示請求手数料をとるのは懐疑的」「今回は、個人情報保護法改正に伴い、情報公開条例の開示請求手数料の提案が出てきたが、便乗値上げではないか。情報公開請求には公、大義があり、有料にしてはいけない」「受益者負担を強いるのはどうか」「時期尚早」という意見が出て、審議会委員全員が、開示請求手数料有償化ではなく、現在の無償化を継続するという意見でまとまりました。

今後審議会として答申をまとめて公表予定です。
瀬戸市は2022年12月議会にも、個人情報保護条例改正案を提出する予定です。

-------
・赤穂市個人情報保護法施行条例の制定及び赤穂市情報公開条例の一部改正に対するパブリックコメント
 https://www.city.ako.lg.jp/soumu/gyousei/kojinnjyouhoukoment.html

・「相生市個人情報の保護に関する法律施行条例(案)の概要」に対する意見の募集について
 https://www.city.aioi.lg.jp/site/public/kozinzyouhou-public.html

--------

豊田市情報公開請求手数料徴収 条例改正を審議する審査会は非公開の方針

豊田市が情報公開請求時に200円請求手数料徴収の条例改正方針を示している件で、市は22/9/20に豊田市情報公開・個人情報保護審査会に諮問しましたが、22/10/3に行った審査会は非公開、22/10/31(月)に予定されている審査会も非公開の方針であることが判明しました。
・22/8/26 豊田市報道発表資料 「情報公開制度における手数料の導入について」に関するパブリックコメントを実施します
 https://www.city.toyota.aichi.jp/pressrelease/1050502/1050838.html

名古屋市民オンブズマンが22/10/5に市担当者に電話で確認したところ、「パブコメの集計結果は、市の見解をつけて10月中に公表する予定。
集計結果は審査会に提示した。
豊田市情報公開・個人情報保護審査会条例上、審査会の行う調査審議の手続は、公開しないことになっており、市としては公開方針はない。
答申はできたら公文書管理センターに配架する予定。
22/10/31に条例改正について継続審議するかどうかはまだ未定。
なお、別件だが個人情報保護条例改正に関し、まだ審査会に諮問をするかを決定していない。パブコメする予定はない」とのことでした。

名古屋市民オンブズマンは「同時期に情報公開条例のパブコメを行った瀬戸市では、瀬戸市情報公開・個人情報保護審査会運営規則上は非公開となっていたものの、今回『瀬戸市情報公開・個人情報保護審査会傍聴要綱』を作り傍聴可能とした。
http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2022092100107/files/boutyouyoukou.pdf
豊田市でも、諮問部分に限って傍聴可能として欲しい」と述べたところ、「意見として承った」としました。

なお、名古屋市民オンブズマンは、上記諮問書ならびに審査会に提出されたパブコメ取りまとめ結果を情報公開請求しました。


22/10/3(月)瀬戸市情報公開条例「公務員氏名不開示除外を削除」方針は認めず 市審査会

22/10/3に瀬戸市情報公開・個人情報保護審査会が開催され、情報公開条例の不開示情報から「公務員氏名の不開示除外を削除」しようとする市の方針を認めないとしました。
一番懸念していた請求手数料については、次回22/10/17審査会で議論することになりました。
令和4年度 第6回瀬戸市情報公開・個人情報保護審査会
http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2022092100107/

傍聴者は4名。
22/9/13まで市が実施していたパブリックコメント実施結果も報告されました。
傍聴者は資料は閲覧可能でしたが、持ち帰りは不可でした。
14時から開催し、16時15分まで議論が白熱しました。

・瀬戸市情報公開条例一部改正骨子(案)についての意見募集の結果をお知らせします
 http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2022093000062/
・瀬戸市個人情報保護法施行条例骨子(案)についての意見募集の結果をお知らせします
 http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2022093000109/

そもそも瀬戸市は「個人情報の保護に関する法律の一部改正に併せ、情報公開条例の不開示情報から除外されていた、公務員の職及び氏名並びに職務遂行内容の内、氏名について、除外事由から削除します。」とする方針を示していました。

名古屋市民オンブズマンは、22/9/13に「情報公開条例の規定を動かす必要は無い」と意見書を提出しています。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220913.pdf

市は「情報公開条例から公務員氏名について、除外事由から削除しても運用上は変わらない」と説明していましたが、委員からは「わざわざ条例から削ることで、市民の誤解を招くのでは」「削ることに意味が出てくるおそれがある」「いつまでも『公務員氏名を開示する』という慣行が続くといえるのか」などの発言が相次ぎました。

市は「情報公開条例と個人情報保護条例をそろえた方がいいと思うが、多くの自治体で別で開示不開示を決めている。
また、情報公開条例から公務員氏名について除外事由から削らず、そのままという自治体も10市程度あり、法的には可能。」と述べました。

委員は「法的に問題がなければ、現状のままの方がよい」とし、審議会の意見としました。

また、個人情報保護条例の目的外利用及び外部提供に関し、その旨を市長に届け出ることを義務づけるという点について、瀬戸市は、「愛知県の答申では特に触れていないが、名古屋市の答申では『事後的に審査会に報告しなさい』となっている」としました。
委員は「複眼でチェックする必要がある」「一旦個人情報が流出したら取り返しが付かない」と述べました。
委員からは「原則、外部提供してはいけない」としてはと提案がありましたが、市からは「法律でそれは出来ないとなっている」としました。
委員から「外部提供の条件を厳しめに書けないか」と意見が出ました。

--------
次回22/10/17審査会でどのような議論になるのか注目したいです。
その後審査会としての答申が出る予定ですが、それを市はどう条例案に反映するのか、市議会はどのような議論を行うのか、目が離せません。
--------
なお、瀬戸市議会個人情報保護条例骨子案のパブコメ結果が公開されました。
http://nagoya.ombudsman.jp/data/221003-1.pdf


瀬戸市情報公開請求手数料徴収改正骨子案に意見提出

名古屋市民オンブズマンは、瀬戸市が現在行っている情報公開条例一部改正骨子(案)の意見募集(パブリックコメント)に対して、「改正骨子案のいずれにも反対する」という意見書を提出しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220913.pdf

@受益者負担の考え方により、開示請求に係る手数料を公文書1件につき300円とする。
→導入により、瀬戸市の情報公開条例に対する考え方を転換させる

A行政機関個人情報保護法の一部改正にあわせ、不開示情報から除外されていた、公務員の職及び氏名並びに職務遂行内容の内、氏名について、除外事由から削除する。
→行政機関個人情報保護法の施行にともない、地方公共団体の個人情報保護条例の改正が行われるからといって、情報公開法の規定を動かす必要はない。

意見書では、「骨子案は情報公開の後退に他ならない」として、「骨子案を撤回することこそ、行政に対する信頼を獲得することにつながることを、瀬戸市長においてご理解いただきたい。」と締めています。

--------
瀬戸市は現在、「情報公開条例一部改正骨子(案)」、「個人情報保護法施行条例骨子(案)」、「市議会の個人情報保護条例骨子(案)」、「行政不服審査関係手数料徴収条例骨子(案)」に対するパブコメを行っています。(いずれも22/9/13(火)締切)
http://www.city.seto.aichi.jp/bunya/publiccomment/


瀬戸市民が情報公開請求手数料徴収等方針に抗議

22/8/29に、「瀬戸市の問題を考える市民ネットワーク」が、瀬戸市に対し「瀬戸市情報公開条例一部改正骨子(案)等とそのパブリックコメント募集手続きに関する抗議及び申入書」を提出しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220829-1.pdf

・まず情報公開・個人情報保護審査会に諮問せよ
・審査会は調査審議を行え
・上記を経た上で市民説明会を開催し、あらためてパブコメを行え
・行政不服関係手数料徴収条例も同様にせよ
・情報公開請求手数料は撤回せよ
・公務員氏名はこれまで通り公開せよ
・個人情報保護条例の手数料も撤回せよ
・個人情報保護条例は市の主体性を示せ

☆瀬戸市 パブリックコメント(市民意見募集)
 http://www.city.seto.aichi.jp/bunya/publiccomment/

対応した行政課長は以下述べました。
「『瀬戸市パブリックコメント手続に関する要綱』によれば、『手数料の徴収を除く』としている。
http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2010111003862/
情報公開条例改正は本来対象ではないが、個人情報保護条例と関係するから、パブコメで市民の意見を聴いた上で審査会にかけたい。
22/8/30に瀬戸市情報公開・個人情報保護審査会を開くが、そこではパブコメの説明はするが、諮問はしない。
審査会は『会議は、非公開とする』とあるので公開しない。
https://www1.g-reiki.net/seto/reiki_honbun/i506RG00000672.html
22/9/13にパブコメ終了後、9月中に審査会に諮問する予定。
10月中に条例の成案を作り、12月議会に上程する予定。
個人情報保護法改正に伴い、個人情報保護条例を改正しないといけない。
今回、受益者負担の考えから、個人情報保護条例も情報公開条例も手数料を取る提案をした。
なお、公務員氏名については、条文は変えるが、これまでと変わることがない運用をする予定。
隠すつもりはない」

「市民ネットワーク」の加藤徳太郎氏は「パブコメの記載では市民にはわかりにくかった。
筋として、市民に説明し、審査会に諮問をしてからパブコメをすべき。
また、名古屋市の審議会では個人情報保護条例に関し、手数料を0円にすべきと答申を出した。
逗子市担当者は『神奈川県で手数料を取るとか公務員の氏名不開示にするとか聞いたことがない』といっている。
個人情報保護条例改正と、情報公開条例とは関係が無い」と述べました。

---------------------
また、市議会議長に対しても「瀬戸市議会基本条例を無視した瀬戸市議会個人情報保護条例についてのパブリックコメント募集に関する抗議及び市民意見募集期間延長等を求める申入書」を提出しました。

水野良一議長が対応して下さいました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220829-2.pdf

・個人情報開示請求手数料300円を撤回せよ
・議会個人情報保護条例を作る際、市民との意見交換会、説明会等を
 行うまで市民意見募集を延期せよ
・議会基本条例から逸脱するな

議長に経緯を聞こうとしましたが、議事課長が代わりに答えました。
「個人情報保護法改正で、議会が個人情報保護条例から外れる。
 議会独自の個人情報保護条例を作る必要があるため、市長部局と相談し、市長部局と足並みをそろえるような内容で案を作成し、今後市長提案として議会に条例案を出す予定。
 条例案については、全国市議会議長会が作成した条例(例)があるので、それを参考にした。
 議会には、議会運営委員会で2回報告している。」
 
同席した名古屋市民オンブズマンの内田は、議事課長に「議会には過去どのような個人情報保護条例に基づく自己情報開示請求があったのか」と質問しました。
議事課長は「事実上ほぼ事例がない。議会として個人情報を収集することはない」としましたが、内田は「請願や陳情書に書かれている氏名、傍聴者氏名、その他議員の住所氏名、政務活動費の支払先個人などが考えられるのではないか。
 また、愛西市では政治倫理審査会が開かれたが、審査会が入手したというNPO等の個人情報が誤って記載されていた。このような際に議会に対して
 個人情報保護条例に基づく自己開示請求は行い、誤っていたら訂正したり、削除を求めることが出来る」としました。
 
加藤徳太郎氏は「三重県議会では、代表者会議で協議し、2023年2月議会で条例を上程するという。瀬戸市議会も急ぐ必要は無い」としました。

議長は「加藤徳太郎氏は、『パブコメの資料だけでは、説明が足らない』ということか」と質問し、加藤氏は「そうだ」と答えました。

内田は、「今回申入れしなかったが、市長部局の個人情報保護条例改正も問題が多い。
そもそも、個人情報保護条例とは、自分の情報を入手し、誤っていたら正したり削除したりするもの。
よくあるのは、公立学校でいじめ自殺した後、クラスメートにアンケートを取ったものや報告書を開示請求する。また、公立病院で医療ミスが起こったときのカルテなども開示請求する。
こんなとき、手数料がかかるというのはハードルが上がってしまう。
名古屋市などは、手数料0円にしようという方針を固めている。
条例を検討する際はよく考えて欲しい」と述べました。
  
なお、瀬戸市議会から、全国市議会議長会が作成した「○○市議会の個人情報の保護に関する条例(例)案」を入手しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220829.pdf

瀬戸市のパブリックコメントは22/9/13(火)までです。
 http://www.city.seto.aichi.jp/bunya/publiccomment/

瀬戸市が情報公開・個人情報開示請求時に300円手数料徴収の条例改正案パブコメ募集

瀬戸市が情報公開条例改正案(骨子案)・個人情報保護条例改正案(骨子案)・市議会の個人情報保護条例骨子(案)、行政不服審査関係手数料徴収条例骨子(案)へのパブコメを募集を発表しました。
公文書1件につき300円の手数料をとり、また、公務員の氏名を不開示にできるようにしようというものです。

瀬戸市 2022年8月15日
情報公開条例一部改正骨子(案)の意見募集 
http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2022081200030/
募集期間 8月15日(月)〜9月13日(火)※郵送の場合は必着

瀬戸市 2022年8月14日
個人情報保護法施行条例骨子(案)の意見募集
http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2022080400097/
募集期間 8月15日(月)〜9月13日(火)※郵送の場合は必着

瀬戸市 2022年8月14日
市議会の個人情報保護条例骨子(案)への意見募集
http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2022070700039/
募集期間 8月15日(月)〜9月13日(火)※郵送の場合は必着

瀬戸市 2022年8月15日
行政不服審査関係手数料徴収条例骨子(案)の意見募集
http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2022081200016/
募集期間 8月15日(月)〜9月13日(火)※郵送の場合は必着
------
過去、市民オンブズマンが行ってきた「情報公開度ランキング」では、情報公開請求時に手数料を取る自治体を「失格」としてきました。
市民の「知る権利」を制限する閲覧手数料の導入は決して許しません。

同様に、閲覧手数料を新設しようとした陸前高田市は、2019/6/27に陸前高田市議会で継続審査になり、審議未了で廃案になりました。
https://bit.ly/3KvYba8

名古屋市民オンブズマンとして早急に申入書を提出する予定です。


22/8/5 名古屋市個人情報保護審議会 「事後報告」を求める個人情報保護条例改正答申提出

名古屋市個人情報保護審議会は、22/8/5に開催した第287回名古屋市個人情報保護審議会で、名古屋市個人情報保護制度の改正について答申を提出しました。
審議会会長が、寺澤雅代名古屋市スポーツ市民局長に答申を手渡し、局長が挨拶をして5分で傍聴は終了しました。
名古屋市はパソコン持ち込みは許可しました。

・配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220805.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220805-1.pdf 

デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律(整備法)に基づき、地方公共団体の個人情報保護制度は、2023年4月から全国共通ルールとしての規律へ移行します。
そのために各地方公共団体で個人情報保護条例の改正が必要となっています。
名古屋市個人情報保護審議会は、条例改正の答申の諮問を受けてから8回審議しています。

新法では、国の置かれた個人情報保護委員会(個情委)が一元的に担うこととされているため、各自治体の個人情報保護審議会の意見を事前に聞くなど、事前関与は許容されないこととなると考えざるを得ない、としています。
どうすれば個人情報保護のレベルを下げないようにするか、答申で苦心の跡が見てとれます。

本答申の趣旨で、「(新法の)規律には、個人情報の保護を旨とする現行条例の規律と異なる点が数多くある」「新法の規律へ移行した後にあったも、これを可能な限り維持すべきとの観点に立ち」と述べています。
 
・個人情報の本人以外の者からの取得のうち、現行条例によるならば事前に当審議会への意見聴取を要するもの
・法令等に基づかない取得
・個人情報の利用目的以外の利用及び提供に関しては、新法の規定に基づき『特別の理由』があることをもってする行政機関等以外のものへの提供
・要配慮個人情報等の電子計算機処理、個人情報の電子計算機処理についての通信回線による結合及び個人情報の電子計算機 処理の開始等のうち、現行条例によるならば当審議会への事前の意見聴取を要するもの
については、
「個人情報保護制度の所管部署への報告等を行った上で実施するとともに、これにつき当審議会への事後報告を行うこととするのが適当である」としています。

また、「行政機関等匿名加工情報の提供を受けようとする事業者からの事業の提案内容は、一定程度公表することとする仕組みの構築を検討するのが適当である」としています。

------
名古屋市は今後、条例改正のパブリックコメントを募集するのでしょうか。

各地で、条例改正についてパブリックコメントが募集されています。
・【全国】個人情報保護審議会リンク集
 https://www.ombudsman.jp/kojin/link

今後、名古屋市議会に条例改正案が提案されることになります。
名古屋市個人情報保護審議会での苦労した審議を市議会での審議に活かしてもらいたいです。

今後も注目していきたいです。
-------
なお、前々回、前回の議事録を情報提供頂きました。

・22/6/3 名古屋市個人情報保護審議会議事録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220603-3.pdf
・22/7/1 名古屋市個人情報保護審議会議事録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220701-2.pdf
 

22/8/4 愛知県個人情報保護審議会 淡々と終了

22/8/4に愛知県個人情報保護審議会が開催され、個人情報の保護に関する法律の改正に伴う個人情報保護制度の見直しについて(答申)(案)が議論されました。
・22/8/4愛知県個人情報保護審議会 配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220804.pdf

審議会の傍聴はパソコン持ち込み不可、録音禁止でした。

事務局の県職員が、答申案を全文朗読し、それに対して委員が質問する、というスタイルでした。
合計50分で終了しました。

個人情報ファイル簿に関し、どうして1000人以上で個人情報ファイル簿を作るのか、実務上はどうなっているのか、1000人以上の割合はどうなっているのかと質問がありました。
事務局は「1000人以上というのは政令で決められているから。理由を個人情報保護委員会に聞いたところ、『保護と事務の効率性を勘案したから』とのこと。1000人以上のものを県全体で数えてみたが、1000以上はある。
1000人未満の個人情報ファイルは膨大で数えられなかった。
実務上は、行政文書ファイル管理簿で1000人未満の個人情報ファイルの所在が確認出来るし、請求する人はファイルがあることを知っていることも多い。
なお、『1000人以上になると個人情報ファイル簿を作ることになり面倒くさいから、2つに分割して個人情報ファイル簿を作らないでおこう』とすることはないように、今後県職員に徹底したい」としました。

今後、若干の字句の訂正を行い、答申を完成させるとのこと。
---------
愛知県個人情報保護審議会は、実質審議が2回で終わりました。
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/kenminsoumu/0000002030.html
名古屋市個人情報保護審議会は、すでに7回審議をしています。(しかし、2022年度になってからの報告がweb上にはありません)
https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/55-3-9-0-0-0-0-0-0-0.html

愛知県個人情報保護審議会では、オンライン結合や本人収集原則、目的外利用の際審議会に聞くことなどは特に論点となっていませんでした。

審議結果や資料をホームページにすぐに載せる、神奈川県情報公開・個人情報保護審議会とは大違いです。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/h3e/cnt/f7314/index.html

愛知県に答申を出したあと、パブリックコメントを募集するのでしょうか。

各地で、条例改正についてパブリックコメントが募集されています。
・【全国】個人情報保護審議会リンク集
https://www.ombudsman.jp/kojin/link

今後、愛知県議会に条例改正案が提案されることになります。
注目していきたいです。
-------

22/7/1 名古屋市個人情報保護審議会 条例改正答申案がほぼまとまる

22/7/1に名古屋市個人情報保護審議会が開催され、個人情報保護条例の改正答申案がほぼまとまりました。

・当日配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220701.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220701-1.pdf
 
審議会の議論は特に「個人情報保護審議会の事前関与は許容されない」との解釈をどう表現するかに集中しました。

答申の項目4〜6において、それぞれ新法の下では、「現行条例の規律のような形での当審議会による事前関与は、許容されないこととなると考えられる」(答申6頁11〜13行、8頁2〜3行、下から2段落目)という案が提案されました。

しかし、審議会としては、個人情報保護委員会に解釈等を一元化する点に納得している訳ではないとの立場で答申を作成しているので、「ガイドラインに記載があるから審議会による事前関与は許容されない」という論旨にするのは適切ではないという意見がでました。

最終的には、答申の上記部分を、「許容されないこととなると考えざるを得ない」という表現に修正することで、審議会としての姿勢を示す、ことになりました。

答申は、これでほぼ完成となりました。
次回は22/8/5(金)13:30-14:50 名古屋市役所西庁舎12階入札室で行います。

-------
これら名古屋市個人情報保護審議会の議論が、上記「答申」記載文書で読んだ人に伝わるのかが疑問です。
本来は、名古屋市個人情報保護審議会委員が公の場で「このような議論があった」と説明するのが筋ではないでしょうか。

---------
なお、前回 22/6/3の個人情報保護審議会の議事録は22/7/12以降に情報提供頂く予定です。


22/6/13 愛知県個人情報保護審議会で個人情報保護条例改正審議

22/6/13に第216回愛知県個人情報保護審議会が開催され、大村秀章愛知県知事から諮問があった、愛知県個人情報保護制度の見直しについて審議されました。
傍聴は名古屋市民オンブズマンのメンバー1名のみでした。
・配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220613.pdf
 
22/5/19に知事から諮問が正式にあったあとはじめて行われた審議会でしたが、事務局が個人情報保護法の規定を説明し、見直しの方向性を事務局が複数提案した後、審議会委員が議論した上で方向性を淡々と定めていく進行でした。
説明も含めて1時間で終了しました。

一番議論したのは以下の2点でした。

・個人情報ファイル簿-A案(個人情報ファイル簿は本人が1000人以上のものについて作成し、個人情報取扱事務登録簿は作成しない)

・審議会への諮問 A案(個人情報の保護に関する事項について審議会に諮問できる規定を置く)
 
特に審議会への諮問に関しては、事務局は「国に対して質問しても、回答が具体的ではなくよくわからない」と繰り返し、結局「個人情報の適正な取扱いについては、国の個人情報保護委員会に問い合わせるが、自治体としての基準を定める際、この個人情報保護審議会以外の別の機関を新たに作るよりは、この審議会で扱った方がよい」ということになりました。

次回7月の審議会で答申案をまとめるとのことでした。

---------
名古屋市と愛知県を両方の個人情報保護審議会を傍聴した感想ですが、名古屋市個人情報保護審議会では、過去9ヶ月にわたって個人情報保護条例改正問題を審議しており、委員の中で問題意識が共有されているように感じました。

・名古屋市 個人情報保護審議会の審議状況
 https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/55-3-11-0-0-0-0-0-0-0.html
 
どうして愛知県と名古屋市の個人情報保護審議会の横の連携がないように見えるのかが大変不思議です。

----------
前回の議事録の情報提供を事務局に求めましたが、「また連絡する」とのこと。

----------
全国市民オンブズマン連絡会議は、各地の個人情報保護審議会を傍聴するよう呼びかけています。
リンク集を作りましたので、審議会の日程を確認して下さい。
https://www.ombudsman.jp/kojin/link


22/6/3 名古屋市個人情報保護審議会 答申は7月提出に延期

22/6/3に、第285回名古屋市個人情報保護審議会が開催されました。
名古屋市民オンブズマン、愛知県弁護士会関係者が傍聴しました。
・配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220603-1.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220603-2.pdf
 
前回に引き続き答申案が配布され、これについて委員と市当局との議論がなされました。
主に答申案の1項、2項、4項、5項、6項、10項、12項の表現について意見交換がなされました。

主な意見としては以下が出ました。
・審議会が事前関与することは新法ではできないため、所管課が事前に相談することと、審議会に事後報告させることをいずれも盛り込んだ。
・2項(死者情報)については、新法が死者の情報を対象としておらず、現行条例は対象としていることから、新法によって現行法の基準が低下しないように指針を示す。
・4項、5項、6項については事後公表にすることについては特に異論なし。
慎重な取り扱いや市職員の教育について答申に定める。
・10項については特に異論なし
・12項については、冒頭の第1の総論にいれることとし、12項では定めない

もっとも意見が分かれたのは、1項で、現行の要注意情報と新法の要配慮情報について対象に相違がないことをどのように答申にいれるか、ということでした。
特に条例の「歴史的社会的理由により・・」の情報が新法の「社会的身分」に含まれることを明示した方が良い、などの意見がありました。

結局、今回の審議会を踏まえて7月の審議会で答申をまとめることになりました。

次回以降も
・22/7/1(金)午後1時30分?2時50分
・22/8/5(金)(同時刻)
・22/9/2(金)(同時刻)
に開催されることになりました。

---------
なお、22/5/19に開催された第284回名古屋市個人情報保護審議会の議事録を情報提供して頂きました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220519-3.pdf

残念ながら、名古屋市は個人情報保護審議会の配付資料や議事録をホームページに掲載していません。
https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/55-3-11-0-0-0-0-0-0-0.html


愛知県でも審議会で個人情報保護条例改正議論

22/5/12に第215回愛知県個人情報保護審議会が開催され、条例改正が議題となっていたことが判明しました。
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/kenminsoumu/kojinjohohogoshingikai215.html
配付資料を入手しましたのでアップします。

22/5/12 第215回愛知県個人情報保護審議会
・配付資料
 http://nagoya.ombudsman.jp/data/220512-1.pdf
 http://nagoya.ombudsman.jp/data/220512-2-1.pdf
 http://nagoya.ombudsman.jp/data/220512-2-2.pdf
 http://nagoya.ombudsman.jp/data/220512-2-3.pdf
 http://nagoya.ombudsman.jp/data/220512-2-4.pdf

次回は22/6/13(月)13時半- 愛知県個人情報審議会が愛知県自治センター4階の第2会議室で行われるとのこと。
傍聴される際は、13時-13時20分に部屋に来て欲しいとのこと。

--------
全国市民オンブズマン連絡会議 個人情報保護条例問題
https://www.ombudsman.jp/kojin

22/5/19(木)名古屋市個人情報保護審議会委員「『今の名古屋市の保護基準より低下する』をどうぼやかして答申に記載するか」

22/5/19に第284回名古屋市個人情報保護審議会が開催され、個人情報保護条例改正の答申案を議論する際、各委員から「『今の名古屋市の保護基準より低下する』をどうぼやかして答申に記載するか」という声が上がりました。

・配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220519.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220519-1.pdf
 
22/4/20に、国から「ガイドライン」が示されており、それを踏まえて、市事務局から答申案が示されました。

令和4年4月20日更新
個人情報保護委員会 (令和4年4月一部改正)
個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(行政機関等編)
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/220420_koutekibumon_guidelines.pdf
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/

今回は論点番号1、3、7、8、9、10が確認されました。

「答申案にもう少し内容を具体的に記載してはどうか」という意見も委員からありましたが、概ね答申に書かれている今の方向性でいきたい、という結論になりました。

今後の審議会の関与(論点番号12)については、個人情報保護委員会に質問を送っているが、まだ回答が返ってきていないとのことで、次回以降に議論予定です。

審議会では、法改正によって条例での保護水準が下がることを懸念しており、それを何とか答申の中で示せないか、という視点から議論がなされていました。

---------
また、前回の議事録を情報提供いただきました。
 
・22/4/22 第283回名古屋市個人情報保護審議会 議事録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220422-3.pdf

--------

22/4/20公開「個人情報保護法ガイドライン(行政機関等編)」に「法に基づく規律を越えるルールを設けることはできない」記載

22/4/22に名古屋市個人情報保護審議会が開催され、傍聴してきました。
・配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220422.pdf
・メモ(名古屋市民オンブズマン 作成)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220422-1.pdf

個人情報保護法改正(23/4/1施行)に伴う、名古屋市個人情報保護条例の改正について、5月、6月の名古屋市個人情報保護審議会で答申案を検討し、7月に答申をするというスケジュールです。

今回の審議会は、前回までの審議の概要を確認しただけで、実質的な議論はほとんどありませんでした。
なお、審議資料に記載された「懸案事項」は答申に入れるか否かは未定で、5月の審議会であらためて意見を伺いたいとしました。

審議資料によれば、「新法により、当市の個人情報保護行政に対する当審議会の関与の度合いは一定程度低下することとなるが、市民の情報の保護水準を低下させてはならない」「先述の事後報告事項等のほか、法の許容範囲内において、実施機関が必要に応じて当審議会に報告をし、又は意見を求めることができるような包括規定を設けるなどの仕組みを担保する方法を検討すべき」とありました。

最後に名古屋市の担当者から、「国から個人情報の保護に関する法律についてのガイドラインが示され、名古屋市は昨日の夜入手した。まだ内容が精査できていない。本日の審議資料に反映したかったが、まだ読み込みが足りない。大きく変わったところがあり、なかなか私たちが求めているところや同じ方向を向いているようなものでもない。
今後政令やガイドライン以外も、他都市も参考にしたい。   
5月6月で検討し、7月答申に間に合わせるには大方決めないといけないが、一部確定できないものもある」と発言がありました。

---------
調べたところ、22/4/20に国のガイドラインが示されていました。

令和4年4月20日更新
個人情報保護委員会 (令和4年4月一部改正)
個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(行政機関等編)
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/220420_koutekibumon_guidelines.pdf
https://www.ppc.go.jp/personalinfo/legal/

そこには以下記載がありました。

・ただし、本ガイドラインの中で、「しなければならない」、「してはならない」及び「許容されない」と記述している事項については、地方公共団体の機関及び地方独立行政法人についても、これらに従わなかった場合、法違反と判断される可能性がある。(1ページ)
・地方公共団体の個人情報保護制度についても、従来は個別の条例で規律されていたものを、統合後の法に基づく全国共通ルールとして、行政機関及び独立行政法人等に対して新たに適用されるものと同様の規律を適用し、地方公共団体に対する規律についても、解釈運用・監視監督を委員会が一元的に担う仕組みを整備。(5ページ)
・また、条例要配慮個人情報について、法に基づく規律を越えて地方公共団体による取得や提供等に関する固有のルールを付加したり、個人情報取扱事業者等における取扱いに固有のルールを設けることは、法の趣旨に照らしできない。(16ページ)
・令和3年改正法では、社会全体のデジタル化に対応した個人情報の保護とデータ流通の両立の要請を踏まえて、地方公共団体の個人情報保護制度についても、法の規律を適用して解釈を委員会が一元的に担う仕組みが確立されたところ、地方公共団体の機関において、個別の事案の法に照らした適否の判断について審議会等への諮問を行うことは、法の規律と解釈の一元化という令和3年改正法の趣旨に反するものである。」(70ページ)
・一方、個人情報保護やデータ流通について直接影響を与えるような事項であって、法に委任規定が置かれていないもの(例:オンライン結合に特別の制限を設ける規定、個人情報の取得を本人からの直接取得に限定する規定)について、条例で独自の規定を定めることは許容されない。(74ページ)

2000年に施行された地方分権一括法で、地方への権限移譲が明確化され、国と地方の関係を「上下・主従関係」から「対等・協力関係」に転換することになりました。
また、「上乗せ」「横出し」条例は最高裁判決で、一般論として合法的なものがあると承認したことなどから、各地で上乗せ横出し条例が制定されています。(徳島市公安条例事件 最高裁昭和50年9月10日判決)

国のガイドラインが、これまでの地方自治体の個人情報保護審議会より個人情報保護レベルが低いのも問題ですが、「法に基づく規律を越えるルールを設けることはできない」と記載されているのも問題です。

今後も注目していきたいです。


22/3/25(金)名古屋市個人情報保護審議会 傍聴メモ

22/3/25(金)に名古屋市第282回個人情報保護審議会が開催されました。

・22/3/25(金)282回個人情報保護審議会配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220325.pdf

愛知県弁護士会の加藤光宏弁護士が、傍聴してメモを取りました。
許可を得て掲載します。
----------
2022年3月25日
弁護士 加藤 光宏

2022年3月25日 第282回個人情報保護審議会(名古屋市)を傍聴したので、概要を報告する。

名古屋市個人情報保護制度の改正についての主なテーマは、
1)匿名加工情報について
2)審議会の審議事項について
の2点であった。

1 匿名加工情報について
審議資料に沿って議論が交わされた。
 匿名加工情報については、業者からの提案を市が受け付ける→その内容の適否を審査する→業者と契約を締結し、市が加工した情報を提供する、という運用を想定している。契約期間が終了したら、事業者は加工情報を廃棄する必要がある。審査は、市の職員が行うことになるが、この点については、国と調整中とのこと。
事業者の情報をどの程度公表するかが議論になったが、原則公表し、利用方法も具体的に開示する方向で進めるべきとの意見があった。
今回の法改正で、国は利活用を進める方向に舵を切ったが、考え方としては保護を優先すべきであろう。特に、利活用が前面に出てくると、現場職員は、保護よりも利活用を優先してしまう可能性もあるので、現場、職員に対して保護を優先すべきであることを市として宣言しておくことは重要である。

2 審議会の役割について
審議資料に沿って議論が交わされた。
 従前、審議会で議論してきた事項は、今後は減る方向にならざるを得ないが、審議会が事後報告を受け、運用状況を確認していくという形で関与したい。そのための方法として、審議会の意見を求めることができる旨の包括的規定を条例におくなどして、何とか関与の道筋を残すのが好ましいのではないか。審議会の関与の程度については、個人情報保護委員会がどの程度関与してくるのかも踏まえて検討していくべき。「地域特性」をキーワードに審議会が関与できる場面を考えていきたいが、助言を求める先が国なのか審議会なのかを現場が運営上迷わないようにしていくことも必要である。

以上

-------
なお、22/2/25に開催された第281回名古屋市個人情報保護審査会の議事録を、名古屋市から情報提供してもらいました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220225-2.pdf


22/3/1(火) 神奈川県内自治体 「個人情報保護法改正対応を審議会に諮問」は2つのみ 

かながわ市民オンブズマンが、神奈川県内34自治体に対し、「個人情報保護法改正への対応についての質問状」を22/1/23に発送し、回答集計表を22/3/1に発表しました。
https://www.ombudsman.jp/data/220301.pdf

・「個人情報保護法改正への対応についての質問状」
 http://kana-ombuds.world.coocan.jp/kouhou/2022/kouhou162.html#4

--------
集計結果

1 改正個人情報保護法への対応について、どのような取り組みをしていますか。
@内部での検討と合わせて審議会に諮問している
      2/34 神奈川県・川崎市(予定)、なお茅ヶ崎市は令和4年1月末に諮問予定
 A内部で検討を進めている
     20/34
 B今後検討したいと考えている
     12/34
 C目下のところ取り組む予定はない
      0/34
 Dその他
      0/34

2 改正個人情報保護法に対応する上で住民の意見を反映させることを予定されていますか。  
 @予定している
     14/34  パブリック・コメント
 A予定していない
      3/34  神奈川県(ただし規則制定時はパブコメ実施予定)・海老名市・大磯町
 Bその他
     17/34  未定orパブコメ実施を検討中

3 改正個人情報保護法に対応する上での基本的な姿勢についてうかがいます。
 @これまでの個人情報保護条例による施策を後退させないという観点で取り組む。
     11/34 横浜市(所管課の姿勢)・鎌倉市・小田原市・秦野市・厚木市・中井町・松田町
           ・山北町・開成町・真鶴町・湯河原町
 A国の解釈が示されればそれに従う。その結果、これまでの個人情報保護条例による施策が後退する
  こととなってもやむを得ないと考える。
      2/34 藤沢市・三浦市
 Bその他
     20/34

------------
デジタル社会形成整備法が2023年4月1日から各自治体に対して施行される予定です。
各自治体は、個人情報保護条例を整備法に何らかの形で対応させる必要があります。
しかしながら、弁護士や学者らは、各自治体のこれまでのレベルの高い個人情報保護条例が、低いレベルの法律にあわせられてしまうのかと心配しています。

アンケートが各地の参考になれば幸いです。

参考リンク
・神奈川県情報公開・個人情報保護審議会
 https://www.pref.kanagawa.jp/docs/h3e/cnt/f7314/index.html
・茅ヶ崎市情報公開・個人情報保護審議会
 https://www.city.chigasaki.kanagawa.jp/shingikai/kaigiroku/1008723/index.html
 
--------

22/2/25(金) 名古屋市個人情報保護審議会委員「国の個人情報保護委員会で各地からの助言を求める声にまかないきれるのか?

22/2/25(金)に、第281回名古屋市個人情報保護審議会が開催されました。
傍聴可能だったので傍聴してきました。

名古屋市のホームページでは、第277回(2021年10月22日)までしか記載が無く、しかも議題のみ載っていました。

・名古屋市 個人情報保護審議会の審議状況
 https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/55-3-11-0-0-0-0-0-0-0.html
 
審議会終了後、担当の名古屋市スポーツ市民局市民生活部市政情報室市政情報係に問い合わせたところ、議事録ならびに配付資料を情報提供してもらいました。(会議の概要は、市民情報センターに開示されていました)

・2021年10月22日(金) 第277回名古屋市個人情報保護審議会 概要+議事録+配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/277nagoya.pdf
・2021年11月26日(金) 第278回名古屋市個人情報保護審議会 概要+議事録+配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/278nagoya.pdf
・2021年12月24日(金) 第279回名古屋市個人情報保護審議会 概要+議事録+配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/279nagoya.pdf
・2022年1月28日(金) 第280回名古屋市個人情報保護審議会 概要+議事録+配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/280nagoya.pdf
・2022年2月25日(金) 第281回名古屋市個人情報保護審議会 配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/281nagoya.pdf
 
資料によれば、名古屋市個人情報保護審議会は、21/10/22から「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」(整備法)成立に合わせて、名古屋市個人情報保護条例の改正を検討していたことがわかりました。
過去傍聴者は0人でした。

整備法では、個人情報保護法が改正され、23/4/1から自治体に直接適用されることになります。
これまでの名古屋市個人情報保護条例を見直す必要があります。
特に、「手数料」は定めなければいけませんが、「非開示事由の追加」「要配慮個人情報」「個人情報取扱事務目録の存置」「審議会の審議事項」は定めることができるとあり、どこまで定めるかは自治体ごとに決める必要があります。
これまでレベルの高かった、自治体の個人情報保護条例が、レベルの低い国の個人情報保護法に一律にあわせられるのではないかと学者や有識者が懸念を表明しています。

事務局が21/11/26に論点整理をし、それぞれの論点に対して審議会委員が意見を言っていきました。
また、2022年7月に個人情報保護審議会が答申を出す予定、2022年11月議会で議案上程→承認の予定 だとも資料にありました。

21/12/24には、委員の小野木昌弘・中日新聞社論説委員が(国の)個人情報保護委員会に関して「きめ細やかに、事情に即した審議ではなく、全体が中央集権になるという話のようなので、全体的に、審議会の存在価値を問われる印象を受けた」と発言しています。

22/1/28には、荒見玲子・名古屋大学大学院法学研究科教授(行政学)が「個人情報保護委員会にお伺いを立てて、判断する動きは時間がかかる気がするがどうか」と発言しています。
川上明彦弁護士は、「国に判断を求めることにそもそもリスクがある。行政の所掌事務に必要な場合として、個人が自己情報をコントロールできるという点が個人情報保護の趣旨であるのにもかかわらず、コントロールを事実上国が行う可能性がある。国がこのような規程をするということであれば、条例で最大限自由が利かないようにしておかなくてはいけないのではないか。」と述べています。

今回、22/2/25には、開示決定の期限、費用の負担、訂正請求権、消去・利用停止請求権、利用及び提供の制限、電子計算機処理の制限、電子計算機の結合の禁止、個人情報の取扱状況等に係る公表について、事務局案を示した上で、各委員が発言しました。

利用及び提供の制限に関し、川上弁護士は「個人情報保護委員会で目的外提供判断の慎重さ・的確さは引き続き担保されるのか。実施機関が民間事業者等へ目的外提供するかどうかの判断は、個人情報保護委員会から示されるガイドラインを参照して行うとあるほか、必要に応じて個人情報保護委員会に助言を求めることも可能とある。仮に個人情報保護委員会に任せたとして、各地からの助言を求める声に個人情報保護委員会はまかなえきれるのか。
何を議論するか、空中戦をしていてもでてこない」としました。

会長の庄村勇人・名城大学法学部教授(行政法学)は「基本はガイドラインを徹底するが、迷ったとき、(国の)個人情報保護委員会に聞くのでは無く、(市の)個人情報保護審議会に相談できる体制を整えれば、慎重さを担保できるのではないか」としました。

他の論点も、何らかの形で(市の)個人情報保護審議会の関与を残せないかという議論が多かったです。

今後も名古屋市個人情報保護審議会の議論に注目していきたいです。


22/2/19(土) 愛知県弁護士会シンポ「どこへ行く!? 個人情報保護条例」

愛知県弁護士会は、22/2/19にオンラインシンポジウム「どこへ行く!? 個人情報保護条例」を開催しました。

講師は、元内閣府情報公開個人情報保護審査会常勤委員の森田明弁護士です。
・配付資料1 シンポジウム「地方自治と個人情報保護」基調講演 弁護士 森田明
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220219-1.pdf
・配付資料2 愛知県内市 自治体アンケート
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220219-2.pdf

菅義偉元首相は、地方自治体が独自に個人情報保護条例を設置していることは「2000個問題」であるとして、地方自治体のデータの利活用を推進するため、デジタル社会形成整備法を2021年5月に成立させました。
2023年4月1日から各自治体に対して法律が施行される予定です。

地方自治体の個人情報保護条例の方が、国の行政機関個人情報保護法より先にでき、しかも内容も条例の方がよいです。
デジタル社会形成整備法では、地方自治体の個人情報保護制度について、全国的な共通ルールを規定し、全体の所管を個人情報保護委員会に一元化することになっています。
https://www.ppc.go.jp/
弁護士らは、各自治体のこれまでのレベルの高い個人情報保護条例が、低いレベルの法律にあわせられてしまうのかと心配しています。

森田弁護士は以下述べました。
今回の法改正は、有識者の検討会ではなく内閣官房のタスクフォース(役所レベルでの協議の場)から始まった。
各自治体の個人情報保護制度の統一化について、自治体の反発は強かった。
要配慮個人情報や、本人外収集の制限や、オンライン結合の制限などは自治体は原則規制し例外的に解除してきたが、法律ではこのような視点は設けられていない。
それぞれの自治体が自分たちで考えて地域の特色を踏まえた形で制度化してきた。バラバラにはそれなりの意味があった。
条例を一本化するのであれば、摺り合わせを慎重にすべきだった。
自治体の審議会が果たした役割はこれまで大きかったが、『専門的な知見に基づく意見を聴くことが特に必要なとき』のみ審議会に諮問できると限定的な条件を付している。
国の情報保護委員会が関与するから、自治体の審議会に諮る必要はないとしている。
国の個人情報保護委員会が去年11月に自治体からの質問に答えてのQ&Aを公表しているが、審議会に住民代表は入れていけないわけではないが、『聞き手』だとしている。そこまで口出しできるのか。自治体が自主的に決めてもよいのではないか。
個人情報保護の水準が下がる可能性がある。
自治体は学校検診や乳幼児検診等、地域住民の網羅的な医療情報を持っている。ビッグデータ化のために狙われている。
22/2/15に新潟県弁護士会で本件についてシンポジウムを行い、個人情報保護委員会の人も参加したが、ペーパーに書いてあることは説明してくれるが、個別の問題については答えてくれなかった。
また、個人情報ファイル簿を作ることが義務化されているが、従来の登録簿に載っていた情報が落ちる可能性がある。
国はあまり考えていない。
さらに、議会を何らかの形で実施機関にすべきだが、国は議会で決めてと言っている。
その他、開示請求前置なのか、請求期間の問題など問題が多い。
法律の学者は、法律より進んだ条例がいっぱい有るのに、法律で一律規制をしてしまうのは非常に異例で、しかも個人情報保護という人権に関わるような問題で行うのは問題だとしている。
条例制定権の侵害で、憲法違反の問題を生じてくるのではないか。
本来監督機関であった個人情報保護委員会がむしろ上級庁みたいな役割になり、監督機関としての立場を外れるのではないか。
国の法律解釈は疑問が多く、自治体は現場の声を伝えて質問し、運用するのは難しいと伝えるべき。
議員や住民、弁護士なども声を上げる必要がある。

続いてシンポジウムになりました。
当初予定していた実務関係者の方の登壇は、適任者が見つからずなくなりました。

コーディネーターの新海聡弁護士は「来年4月から改正法が施行されるが、現状では無理ではないかと思わざるを得ない。
愛知県自治体にアンケートしたが、検討中という回答ばかり。長久手市は『特別な検討は必要ない』と考えている。」としました。

森田弁護士は「個人情報審議会の委員をしている神奈川県は去年5月か6月に審議会の諮問があって、5-6回は審議している。
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/h3e/cnt/f7314/index.html
他の市はまだ諮問まで行っていない。ぜひ主体性を持って取り組んで欲しい。」

新海弁護士は「今まで作っていたインデックス以外に、国に準拠した個人情報ファイル簿を作らないといけない。
どういう関係になるのか。1年でできるのか。『上乗せ横出し条例』類似の話し。現場の事務作業が大変。1年2ヶ月でやらないといけないのは、まず無理」としました。

新海弁護士は「条例改正が行われずに来年4月を迎えたらどうなるのか」と質問し、森田弁護士は「理屈の上では法律は施行されるので、法律に基づきやらなきゃダメになる。条例に手を加えなければ条例が生きるわけではなく、法律が生きることになる。ただ現場でどうするのか。
国の個人情報保護委員会には自治体から2000件ほど質問が殺到していて、それを踏まえてガイドライン案を作ったと言っている。
しかし自治体が納得するような内容でガイドラインはできているとは思えない。未解決の問題は多いと思う。」としました。

福島正人弁護士は「全国のルールが共通化して、具体的にどういう場面で情報が利活用されるかイメージが付かない」としました。
森田弁護士は「学校の情報をクラウドで管理するというものがある。しかし小さい自治体はコスト面、現場の負荷から導入が遅れた。
ビッグデータとして提供して活用させる需要に応える面があるが、自治体の中でややこしい手続きがあると支障になるというのが今回の法律改正の考え方。
しかし大きな支障なのか。審議会は月1か2ヶ月に1回開いている。
現場の間隔から離れたところで流通の阻害みたいな議論がなされている。」としました。
新海弁護士は「自治体の持ってる個人情報を匿名加工してビッグデータ化して資源にし、民間企業に利活用させる、というイメージ」としましたが、森田弁護士は「企業が欲しいのは匿名加工情報なのかという疑問が、以前検討会で出た。
また、全国基地騒音訴訟の原告団のリストを提案募集にかけた。匿名加工して意味があるものが残るとは到底思えない。
今まで国では匿名加工をやったのが1件だけ。『お品書き』を出す準備をするだけで自治体の負担は大変。」としました。

また、森田弁護士は「警察から自治体に捜査関係事項照会が来る。私が審議会に入っているところは個別に審議する。
もうちょっと書き方をちゃんと書いて欲しいなどいうと、取り下げることもある。丁寧な対応をすることはそれなりに意味がある。
さらに、医療広域連合にも結構捜査関係事項照会が来る。事後的な報告でも、慎重に対応することになる。
法律を改正したら、今の国の考え方からすれば全然審議会に権限が残らないだろう」としました。

会場から、「自治体の情報を国で活用するのなら、情報公開者リストなど、リストを作ることが問題となっていたことも国が容易に入手可能になるのでは」と質問が来ました。
森田弁護士は「国は匿名加工ルートではなく、生の情報を直接自治体から入手しようとするのでは。それに対するブレーキがきくのか。
重要土地調査規制法を個人情報保護の観点からどうかという意見を聴かれたことがある。7条で自治体に明確に情報を出せと義務づけをしてある。法令に基づいて提供を義務づけられるので、出さざるを得ない。
22条で自治体は協力せよと書いてある。範囲も広い。現状であれば任意の話しなので審議会にかかる。
しかし改正後は審議会に諮ることではないということになる。
国の個人情報保護委員会に聴いたとして、『出さない方がいいよ』とアドバイスするのか。国家機関同士でアドバイスはなかなか考えられない。自治体として国に出す場合は嫌と言えなくなるのではないか」としました。

福島弁護士は「市民サイドからすると、個人情報を従前のレベルで守って下さいというのはどのような方法があり得るのか。」と質問しました。
森田弁護士は「審議会委員は自治体が動かないと審議会も動けない。一市民として自治体に対して何らかの働きかけをすることはあり得る。
市民団体や弁護士会として、自治体に質問を出したり、議員もきちんと言ってほしいし、議会自体もどうするか考えて欲しい。
国は案として『個人情報保護法施行条例』という、最小限のサンプルを出してきた。これを自治体が作るのは非常に屈辱的な話し。
ちゃんと議論してもらわないと困る。黙っていては形だけの条例を自治体は作らされる」としました。

トップへ戻る