黒塗り公用車

12/5/17 愛知県黒塗公用車回答来る 作成決裁文書を情報公開請求

名古屋市民オンブズマンが12/4/27づけで行った、愛知県の黒塗公用車に関する 提言と質問に対し、12/5/15づけで愛知県から回答が来ました。
http://nagoya.ombudsman.jp/data/120515.pdf

4/27資料は大村知事に見せてほしいと念を押していたところ、「確かに見せた」とのこと。

【12/5/23訂正】 上記回答についても「知事に決裁をもらった」とのこと。
と記載しましたが、
電話での回答は「回答については知事に報告をした」の誤りでした。

名古屋市民オンブズマンは、上記回答を作成するに当たっての決裁文書を 12/5/17づけで情報公開請求しました。

12/4/27 愛知県黒塗公用車に関して申し入れ

名古屋市民オンブズマンは、愛知県職員の「お上意識」の象徴である 「運転士付黒塗公用車」について、別紙のとおり廃止の申し入れならびに 質問状を12/4/27づけで知事宛に提出しました。
http://nagoya.ombudsman.jp/data/120427-1.pdf

名古屋市長には2009/11/16に面談して直接申入書を手渡しましたが、 残念ながら、知事に直接申入書を提出したいと担当課に伝えても、 知事の判断を仰ぐことなく、担当課が受け取ると連絡が来たのみでした。 その件に関しても質問状を提出しました。
http://nagoya.ombudsman.jp/data/120427-2.pdf

運用状況は、名古屋市と比べても愛知県のほうが稼働率は低いにもかかわらず、 担当課は「職務の遂行のために、都合がよいときに利用している。 以前の黒塗公用車49台から、20台まで圧縮した。」と強弁しています。

現在の黒塗公用車の使われ方について、知事の回答がほしいと何回も担当者に伝えました。 また、官僚がだめな場合、どうすればよいのか、ということも伝えました。

名古屋市民オンブズマンの内田隆は、「河村市長は当方と面談した。 大村知事が当方と面談するかどうか、知事に判断してもらいたかったが、担当課レベルで 会わないと決められたのは大変不本意だった。」と伝えると、県担当者は 「行き違いがあった」と述べるのみ。

内田は「以前の宮城県知事の浅野史郎氏は、『知事には、県庁と言う行政機構のトップという面と、 県民から選ばれて県庁に送り込まれたという面がある。例えば左手に腫瘍ができ、 切断しないと死んでしまうとなった際、行政機構のトップという視点だけなら自分の右手で 左手は切れない。しかし、県民から選ばれて県庁に送り込まれたという視点があれば、 左手を切断できる右手になれる』と述べている。http://www2.jfn.co.jp/guest/vol01/talk07.html 大村知事は、数多くの県民が投票した。愛知県庁という組織の不具合をぜひ改革してもらいたい」 と述べました。

黒塗公用車の廃止に関し、知事の英断を求めます。

参考
・名古屋市民オンブズマン分析資料 3枚
 http://nagoya.ombudsman.jp/data/120427-3.pdf

・愛知県作成資料(H24.3.15面談時に入手) 5枚
 http://nagoya.ombudsman.jp/data/120315aichi.pdf


↑愛知県総務部財産管理課に申し入れするオンブズマンメンバー(右)


↑申し入れを行った会議室のドア。ペンキがはがれている。
 財産管理課の担当者は「直す金がなくて」と述べるが、オンブズマンメンバーは  「だったらまず黒塗公用車をやめてはどうか」と切り返した。

12/3/22 名古屋市黒塗り公用車住民監査請求 棄却

名古屋市民オンブズマンのメンバーが黒塗り公用車への支出について 住民監査請求を行っていた件で、名古屋市監査委員は12/3/22づけで棄却しました。
PDF

しかし、意見の中で「台数については、運転手の処遇により決めるのではなく、 総合的な検証により定める必要があり、一層の行政の効率化・合理化を求める」 としました。

今後のさらなる改革を期待します。

12/3/7 名古屋市黒塗り公用車 新年度から3台減らすと答弁

12/3/7に名古屋市議会本会議で鈴木孝之議員(減税日本ナゴヤ)が黒塗り公用車について質問し、 新開輝夫市長室長は「現在11台ある黒塗り公用車を平成24年度から3台減らして8台にする」と答弁しました。
http://www.nagoya-city.stream.jfit.co.jp/vod_play.php?CNTID=10827&PREVPAGE=%CC%E1%A4%EB
後日確認したところ、平成23年度当初に運転手は11人だったが、 年度途中で1人退職、年度末で2人定年、さらに年度末で1人配置転換を行うとのこと。
(配置転換先は4月以降公表可)
減らすのは、市が所有している車で、平成24年度早いうちに減らすとのこと。
(リース契約書には記載がないが、解約料が別途かかるためとのこと。)

H24年度からは、車8台、運転士7人になるという計算になります。
運転士に対して車が1台余るのではないかという指摘に対しては、「1台エスティマがあり、移動人数が多いとき使う。 普段は使わない」とのこと。
せっかく運転手を配置転換しても、「黒塗り公用車を使う」という意識は変わっていないことがわかりました。

12/2/14 名古屋市黒塗り公用車に関する支出 意見陳述

12/2/14に名古屋市民オンブズマンのメンバーは、
名古屋市市長室秘書課が管理する公用車(いわゆる黒塗り車)に関する
住民監査請求の意見陳述を行いました。



左側が監査委員、右側が請求人(名古屋市民オンブズマンメンバー)

お互いに自己紹介が終わった後、意見陳述をしました。

・陳述人 柴田孝介
 黒塗り公用車を10年近く調べてきたが、そもそもこれは法律以前の常識の問題である。
 河村市長には当初期待しており、面談した際「よう調べてくれた」と述べられたが、
 その後何の反応もないというのは不本意である。
 監査委員にしても、昔は市民の言い分を取り上げてチェックすると思っていたが、
 バリアを築いている。
 昨年12月に秘書課の職員と面談したが、「稼働率が悪い」事は認めていたが、
 「運転手の雇用に困る」ためだと説明した。
 既存の黒塗り車が廃車になったら、「運転手のため、リースしてそろえる」とまで言った。
 ご承知のとおり、黒塗り車を廃止し、運転手を別の部署に配置転換すれば、
 億の金が浮く。現在黒塗り車の走行距離をタクシーで換算すれば年間1200万円で済む。
 
・陳述人代理人 新海聡弁護士
 今回求める措置は、リース解除と点検・車検代の差し止めだ。
 運転手の解雇は求めていない。
 というのも、市民税減税を行う方針だと名古屋市は説明しているが、
 その分苦労を負って欲しいということだ。
 運転手の配置転換を努力しているのか。
 行政の改革で一番難しいのは、公務員制度改革である。
 それに手をつけようとしない河村市政の象徴が、市長足下の市長室黒塗り車であると考えている。

-----------
質問
・久野峯一監査委員(税理士)
 資料には昨年9月の運行資料しかないが、他は調査したか?
 ◎柴田 本来は名古屋市が調査すべき。
   このようなまとまった資料は名古屋市は作っていないのではないか。
   1枚1枚紙で開示されるので、金と手間が膨大にかかる。
   10年前からたびたび調査はしている。

・吉井信雄代表監査委員(元交通局長)
 運転手はほとんど働いていない、とあるが、もう少し具体的に
 ◎内田 1回も車庫から出ていない日が、それぞれ10日前後ある。
   新海 「待機」を仕事とする必要があるのか?

・荒川和夫監査委員(市議 減税日本)
 リース契約は違約金なしで契約可能と記載されているが、もう少し具体的に
 ◎内田 12/15に秘書課から説明を受けた際は、「違約金を支払う可能性がある」
   といわれたが、契約書を情報公開請求して条文を読む限り、
   具体的な違約金条項は無かった。担当者に「違約金条項がかかれていれば
   当方に連絡欲しい」と伝えたが、いまだに連絡がない。
   逆にいえば、違約金条項が無いのにあるかのように説明するのはおかしいのではないか。

・斎藤まこと監査委員(市議 民主)
 資料で「市民税5%減税で市民にしわ寄せがきている」とあるが、
 市長は「市民サービス低下は無い」といっている。具体的に何をさすのか?
 ◎内田 市長が言っているだけで、市民サービス低下は多くの市民が感じているし、
   ほぼすべての市職員も思っているはずだ。
   具体的に言えば、各種駐車場値上げ、道路・公園清掃の回数減らし、
   各種パンフレット印刷枚数減少など。
   市長は言っていることとやっていることが逆である。
   
・久野峯一
 これまでも運転手は減っているが、これは自然減か?
 ◎内田 平成16年以降、運転手は減っているがすべて定年退職・不補充の結果。
   今年も定年で2名減るとの事。
   逆に言えば、配置転換を全然していないということだ。
   具体的に努力した結果がまったく見えない。
   これまでも、名古屋市では電話交換手やバス運転手で配置転換を行ってきた。
   公用車運転手で配置転換できないはずはない。
   久野委員は税理士会の全国役員を勤められてきたと聞いている。
   民間企業で、黒塗り車を持っていてほとんど運転していないのなら、即つぶれることは
   よくご存知のはずだ。
 ◎柴田 秘書課によれば、平成30年までかければ、全員定年になり、
   運転手の数が0になるとの事。 
 
・吉井信雄
 これは違法なのか不当なのか、それとも違法不当なのか?
 ◎新海 著しい不当が違法だ、ということがものの本に考えている。
  裁量権を逸脱するほどの不当なので違法だと考えている。

・荒川和夫
 皆様は、黒塗り公用車の廃止問題は雇用の問題と切り離せない問題と考えているのか、
 別々の問題だと考えているのか
 ◎新海 意味がわからんな 最初に強調したつもりだ。
   質問の主旨がわからない。
   黒塗り廃止には運転手をクビにしなければならないかといえばNO,
      黒塗り廃止しても運転手をそこでぼんやりさせていてもよいかといえばNO.
      黒塗り廃止したらほかの職場を用意する必要がある、というのは前提。
 
・内田
 吉井委員は元交通局長で、交通局を黒字にされたという実績があると聞いている。
 その件で名古屋大学の学生に講演もしているとのこと。
 その実績で監査委員になられたようなので、まさに活躍の場所だと考えている。
 今回の監査には大変期待しているが、逆に悪い結論を出したのであれば、
 名古屋大学の学生に対して示しがつかないではないか。
 ◎吉井 プレッシャーをかけられちゃったな(笑) 

12/1/25 名古屋市黒塗り公用車に関する支出 住民監査請求

名古屋市民オンブズマンは,名古屋市市長室が管理する黒塗り公用車11台に関する支出をするなと住民監査請求を行いました。

             住民監査請求書 

             記者クラブ配布資料  

記者会見した、名古屋市民オンブズマンの新海聡代表は「今回、金額は小さいが象徴的な住民監査請求だ。一つは、いまだに名古屋市の公務員が黒塗り公用車を使っているという、公務員特権の象徴を追及しようというもの。二つ目には、特に河村市政が市民税5%減税を決めたが、黒塗り公用車に象徴される公務員制度改革に手をつけず、市民のサービス低下を招いていることに警鐘を鳴らすことだ。」と述べました。
調査した名古屋市民オンブズマン・タイアップグループの柴田孝介さんは「過去10年にわたり黒塗り公用車問題を追及してきたが、何も変わってこなかった。河村市長とは2009年11月16日に直接面談して『ぎょーさん調べていただいて、ありがてゃーこった。』と述べたにもかかわらず、まったく回答をよこさない。住民監査請求で、意見をはっきり述べてもらいたい」と述べました。
名古屋市監査委員の監査結果はは60日以内にでます。

10/6/11 河村市長に対して「黒塗り公用車廃止提言」回答を要求

名古屋市民オンブズマンは,2009/11/16に河村市長に対して行った 「黒塗り公用車廃止提言」への市長からの回答がまだ来ていないため, 10/6/11に、市長直々の回答を要求しに市長室秘書課に申し入れに行きました。
http://nagoya.ombudsman.jp/data/100611.pdf

09/11/16に市長に面談を行って申し入れをした際,河村市長は「おっしゃるとおり、 民間では運転手付き黒塗り公用車なんか今やほとんど無い。 議会には議長・副議長専用のセンチュリーがあり、そちらばかり気にしとった。 こんなにぎょーさん調べて頂いて、ありがてゃーこった。 調査して、返事をしたい」と、前向きな回答を寄せました。

しかしながら、約束していた昨年度内に回答は得られず,10/4/19になってようやく 市長室秘書課から書面での回答をいただきましたが,「市長の意志は 確認していない」とのこと。

「庶民革命」を旗印に,自ら軽自動車を公用車にした河村市長の、「庶民革命」の 内実を問うために今回申し入れをした次第です。

オンブズ側は6月末までの回答を求めていましたが,6月中は市議会があり とても回答ができないとのこと。
ある程度は待つので,市長自らの意志を示した回答を求める,と伝えました


↑申入書を手渡す、名古屋市民オンブズマン事務局員の内田隆(右)


↑記者会見を行う,市民オンブズマンメンバー


09/12/4 黒塗り公用車廃止を求め、名古屋市議長・愛知県知事・議長に申し入れ

名古屋市民オンブズマンは、運転手付き黒塗り公用車の廃止を求め、 名古屋市議会議長に面談しました。
また、愛知県知事・愛知県議会議長に対しても申入書を提出しました。
http://nagoya.ombudsman.jp/data/091204shigicho.pdf
http://nagoya.ombudsman.jp/data/091204chijigicho.pdf

先月河村たかし・名古屋市長と面談した際、市議会議長にセンチュリーがある、 それは問題にしないのかと、市長はしきりに述べていました。
名古屋市長に言われるまでもなく、今回は名古屋市議会議長・副議長の黒塗り公用車と、 愛知県知事部局の黒塗り公用車の運行記録を調べて申し入れをした次第です。

名古屋市議会議長に対して、名古屋市民オンブズマンが直接面談して 申し入れたのははじめてです。


↑吉田隆一・名古屋市会議長(左)に申入書を手渡す、新海聡弁護士(右)

吉田・市会議長は、「現在の議長専用車は11年目で、本来なら買い換えの時期かも しれないが、財政が厳しい折、車検を通してまだ乗り続けようと検討している。」と述べました。
名古屋市民オンブズマンの新海聡弁護士は、「そもそも黒塗り車がステータスと 思っているのは役所だけで、民間ではほとんど廃止している。
市民目線での市政の運営のために、まず隗から始める意味での黒塗り車廃止を 申し入れたい。本当に必要であればタクシーかハイヤーを借りてはどうか」と述べました。
吉田氏は、「私の場合は自宅が議会から近いので、例えば黒塗り車を廃止して自転車でも よいかもしれない。しかし、自宅が遠い場合、分刻みのスケジュールで動いているので、 タクシーや自家用車などであれば、議会の定刻時刻に遅れるなどが考えられる。」と述べました。
新海弁護士は、「世の中の人は、黒塗り車に乗ってなくても、定刻通りに職場に来ている。 それが市民目線だ」と、意見のすれ違いが明らかになりました。


↑議会事務局員(左)に申入書を手渡す、新海聡弁護士(右)


↑県知事政策局秘書課(左)に説明をする、新海聡弁護士(右)


↑記者会見する、名古屋市民オンブズマンのメンバー

09/11/16 名古屋市「黒塗り公用車」廃止を求め市長と直接面談

名古屋市民オンブズマンは、名古屋市役所の本庁で管理している「黒塗り公用車」の 廃止を求め、河村たかし名古屋市長に直接面会して申入書を手渡しました。 名古屋市民オンブズマンとして、名古屋市長と直接面談して申ししれしたのははじめてです。
http://nagoya.ombudsman.jp/data/091116.pdf


↑市長応接室で市長に直接申入書を手渡す、名古屋市民オンブズマンメンバーの柴田孝介氏(中央左)


↑市長に説明をする柴田氏他メンバー。


↑記者会見をするメンバー。

名古屋市民オンブズマンは、市長が就任当初、保有していた最高級車のセンチュリーを 売却後、特に行動を起こしていないことを問題視。
2009年4月−6月の運転手付き黒塗り公用車の運行記録約1200枚を情報公開請求し、 分析しました。

すると、市長専用車は常時運行しているが、2台の副市長専用車は出退勤時のみ運行、 残り9台は平均して1日1回運行するかどうかということが判明しました。
しかも、一番多く乗っているのが「課員(ヒラ職員)」であることが判明しました。


分析を担当した柴田孝介氏は、「黒塗り公用車を廃止して、もし本当に必要であれば タクシーやハイヤーを借りた方が圧倒的に安くすむ。しかし、もっと問題視したいのは、 黒塗り公用車に平気で乗っている職員の意識改革ではないか。 市長は職員を減らそう、無駄をなくそうと努力しているようだが、 まず身近なところから改革して頂きたい」と述べました。

河村たかし・名古屋市長は「おっしゃるとおり、民間では運転手付き黒塗り公用車なんか 今やほとんど無い。
議会には議長・副議長専用のセンチュリーがあり、そちらばかり気にしとった。 こんなにぎょーさん調べて頂いて、ありがてゃーこった。
調査して、返事をしたい」と、前向きな回答を寄せました。

また、名古屋市民オンブズマンとして、議会黒塗り公用車、区役所黒塗り公用車の 運行状況、愛知県の黒塗り公用車の運行状況を調査している旨伝えました。
(名古屋市では、各消防署と消防学校に1台ずつ黒塗り公用車がありますが、 「消防器具」とのことで運行記録がない、旨も市長に伝えました)

2009年11月16日
名古屋市長 河村たかし殿
名古屋市民オンブズマン
代表 倉橋 克実
名古屋市中区丸の内3−6−41 リブビル6階
TEL 052-953-8052 FAX 052-953-8050
 
黒塗り車廃止の提言
 私たちは名古屋市の公用乗用車(いわゆる黒塗車)廃止を提言します。
 
 私たちは名古屋市市長室が管理する黒塗車の本年4月から6月の運行日報を調査し、その運行状況がきわめて不効率であるのみならず、黒塗車は必要ないとの結論に達しました。
 かって平成13(2001)年以降、私たちは市の黒塗車について調査し、その都度削減や廃止を申し入れてきましたが、当時市当局の回答は職制等の問題もあるため、運転要員の退職等にあわせて減車に努めるとのことでした。しかし、それ以降の状況は遺憾ながら減車に努めているとは認められません。
 その間にも世情は経費節減と省エネルギーの気運が高まり、黒塗車に関しても民間企業では削減ないし全廃の方向に進んでいます。
 そもそも黒塗車とはどのような存在でしょうか。かって運転が特殊技能であった時代には、官公庁のみならず民間でも役職者用あるいは来客用に運転手付きの乗用車を用意していましたし、また黒塗車で送迎されることはステータスシンボルとも見られていました。
 しかし運転が市民の常識となった現在、黒塗車は旧い意識から脱却できない官公庁あるいは役職者の権威を示す道具に過ぎなくなりました。
 すでに民間で黒塗車を多数所有している企業はありません。官公庁に運転者付き黒塗車が存在すること自体、納税者の感覚と乖離しています。これは常に費用対効果を考えている民間企業と、原価に無関心な公的機関との意識の違いでありましょう。今更黒塗車に乗って喜んでいる時代ではありません。
 
黒塗車の現状 しかし、黒塗車の廃止には市当局や市会等から相当の反論があると考えられます。ここに黒塗車運行に関する私たちの解析結果をお示しして、決断のための資料として提供します。
1.黒塗車の運行状況
 @市長副市長専用車(運行記録から専用車と判断される3台)の5・6月の運行
    

使用者
 
5・6月の

出庫回数
5・6月の

走行距離
1日当たり

出庫回数
1日当たり

運転時間
1日当たり

走行距離
河村市長専用車 115回 2158km 2.78 5時間25分 54.5km
山田副市長専用車 118回 1003km 2.52 4時間24分 21.0km
住田副市長専用車 54回 797km 1.34 2時間57分 20.0km
      *4月は松原前市長時代のため5・6月について検証しています。
   上表のように副市長車の運行状況は非常に少なく、サラリーマンの通勤使用並みです。
   副市長の送迎はほとんど8〜9時および19〜21時に行われているため、送迎にはこの時間帯の出庫が少ない役員車以外の車で十分対処できます。
 
 A専用車を除いた黒塗り車の運行状況(4・5・6の3ヶ月)
専用車以外平均運行状況は1台当たり1日に1回出庫し、使用時間は3時間以内、走行距離30km以下と極端に少なく、1日のうち65%は待ち時間です。
  *4月 稼働黒塗車10台 出勤日日数21日間
  項目 10台月間合計 10台で1日 1台で月間 1台では 1日で
  出庫回数 295回 14回出庫 29.5回出庫 1.4回出庫
  運転時間 600時間55分 33時間運転 60時間運転 3時間運転
  走行距離 6827km 325km走行 683km走行 33km走行
    *295回の出庫の内、行き先が地下鉄駅名のものが54回、21%あります
  
  *5月 稼働黒塗車9台 出勤日日数18日間
    9台月間合計 9台で1日 1台で月間 1台では1日で


 
  出庫回数 199 11回出庫 22回出庫 1.2回出庫
  運転時間 472時間49分 26時間運転 52時間運転 2.9時間運転
  走行距離 3882km 216km走行 431km走行 23.9km走行
  *1 3日間しか出庫していない338さ758号は除いてあります
  *2 199回の出庫の内、行き先が地下鉄駅名のものが70回、36%あります
   
  *6月 稼働黒塗車9台 出勤日日数23日間              
        
  9台月間合計 9台で1日 1台で月間 1台では1日で
出庫回数 138回 6回出庫 15回出庫 0.5回出庫
運転時間 312時間05分 14時間運転 35時間 2時間運転
走行距離 4293km 187km走行 478km走行 21km走行
    *138回の出庫の内、行き先が地下鉄駅名のものが53回、38%あります
2.専用車以外の黒塗車は誰が使用しているのか
   下表は日報に記された乗車者名を役職別に集計したものです。
   この表によれば課長未満の職員が16.5%と一番多く使用しています。一般企業では課長級が運転手付きの黒塗車を使用するなど考えにくいことですが、まして平社員の使用など想像もできないことです。
   また、主用途の一つと予想される来客の利用が5.3%と少なく、市会議員の使用も同様に5.3%です。
   黒塗車の使用者比率
役職名 4月 比率 5月 比率 6月 比率 3ケ月計 比率 順位
局 長 48 18.0 20 10.1 31 15.6 99 14.9 2
部 長 29 10.9 14 7.0 11 5.5 54 8.1 5
室 長 20 7.5 14 7.0 6 3.0 40 6.0  
課 長 32 12.0 15 7.5 16 8.0 63 9.5 4
次 長 2 0.7 5 2.5 4 2.0 11 1.7 10
主 幹 5 1.9 4 2.0 1 0.5 10 1.5  
課 員 33 12.4 36 18.1 41 20.6 110 16.5 1
理 事 21 7.9 15 7.5 18 9.0 54 8.1 5
参 事 2 0.7 1 0.5 4 2.0 7 1.1  
教育長 9 3.4 8 4.0 9 4.5 26 3.9  
教育委員(長) 20 7.5 26 13.1 21 10.6 67 10.1 3
評価員 6 2.2   0.0   0.0 6 0.9  
監査委員 6 2.2 4 2.0 4 2.0 14 2.1 9
人事委員 5 1.9 3 1.5 2 1.0 10 1.5  
選管委員(長) 3 1.1   0.0   0.0 3 0.5  
教育委員 2 0.7   0.0   0.0 2 0.3  
資料館長   0.0 2 1.0   0.0 2 0.3  
林委員   0.0   0.0 2 1.0 2 0.3  
神谷委員   0.0   0.0 3 1.5 3 0.5  
議 員 6 2.2 17 8.5 12 6.0 35 5.3 7
来 客 6 2.2 15 7.5 14 7.0 35 5.3 7
市 長 2 0.7   0.0   0.0 2 0.3  
副市長 10 3.7   0.0   0.0 10 1.5  
267 100.0 199 100.0 199 100.0 665 100.0  
  
3.行き先から見た使用の適否
   日報の行き先に地下鉄駅名そのものが記されているものを拾って、その数が出走数中の何%にあたるかを見ました。もちろんこれら全てが駅近辺の所用と断定するわけではありませんが、行き先全体の約3分の1が地下鉄駅名です。
   地下鉄は名古屋市営の交通機関です。職員は地下鉄や市バスを進んで利用すべきです。それにもかかわらず安易に黒塗車が使用されているのではないでしょうか。
   *行先に地下鉄駅名が記載されているものの数および比率



 
  4月 5月 6月
地下鉄駅名が行先のもの 54 70 53
全体の出庫回数 295 193 174
地下鉄率 18.3 36.3  30.5

 *地下鉄率
  =
地下鉄駅行/出庫回数
  ×100
 
4.民間企業の例
 @大手自動車メーカーのH技研工業は当初から黒塗車を置いていません。
 A市内の大手セラミックメーカーは黒塗車3台で社長副社長が優先使用し、他の役員はタクシーを使用。黒塗車があいていれば使用する。
 B海外の子会社を含め社員7000人規模の電機メーカーは、本社に運転手付黒塗りは役員用で2台。東京本社では黒塗車無しでハイヤーを使用。海外子会社は国により違い、東南アジア、中国では運転手付、欧米諸国では代表取締役が自ら運転するのが普通と言います。
 CH織機の場合、役員が自分で運転する車を場合によって会社の運転手が運転することもある。運転手つき黒塗車は6台ぐらい。基本的には副社長以上は送迎付き。
  運転手は子会社からの派遣です。この運転手はバスの運転もする。
5.タクシー・ハイヤーの利用では
   仮にこれら黒塗車の運行を全てタクシーまたはハイヤーで利用したと想定すると費用は下表のようになります。走行距離が最大の4月でもハイヤーで354万円、タクシーなら273万円 ですみます。これは黒塗車1台分の経費にもあたりません。
   黒塗車の運行をタクシーで計算

対象車両
 
4月 5月 6月
走行距離km 換算(千円) 走行距離km 換算(千円) 走行距離km 換算(千円)
タクシー ハイヤー タクシー ハイヤー タクシー ハイヤー
市長車 1,033   327   424 1,256   397   515   902   282   370
山田副市長車   308   97   126   340   108   139   663   210   272
住田副市長車   456   144   187   289   91   119   508   161   208
その他9台 6,827 2,158 2,799 3,882 1,227 1,592 4,293 1,358 1,760
  総 計 8,624 2,727 3,536 5,767 1,824 2,365 6,366 2,013 2,610
 *タクシーは253mごとに80円、ハイヤーは15kmごとに6,150円で計算(名鉄タクシー基準)
 
提言 あらためて黒塗車の廃止を提言します
政府要人等警備を要する人物以外に黒塗車を使用する時代ではなくなっています。
   民主党政府となって公金の使途につき議論が盛んです。名古屋市と市会が協力率先して黒塗車廃止を決定すれば、経費節減のみならず市職員の意識改革に資するとともに、名古屋市以外の官公庁への啓発ともなるでしょう。
   衆議院議員当時から黒塗車の提供を拒否し、また市長としての初登庁にあえて市バスを選ばれた河村市長は黒塗車廃止に当然賛成されることと存じます。
   市長の市民感覚尊重の立場からも黒塗車廃止を決断されることを提言します。

トップへ戻る