全国の三セク・公社中、最大の借金を抱える名古屋高速道路公社の「談合」「(財)名古屋高速道路協会との協定」「随意契約」の全面的見直しを求める意見書を、名古屋高速道路公社理事長、愛知県知事、名古屋市長に郵送しました。回答の締め切りは07/3/31。
申し入れ本文
平成19年2月22日
名古屋高速道路公社 理事長 森 徳夫 殿
愛知県知事 神田 真秋 殿
名古屋市長 松原 武久 殿
名古屋市中区丸の内3−6−41
リブビル6階 弁護士法人リブレ内
名古屋市民オンブズマン
代表 倉橋 克実
TEL 052-953-8052 FAX 052-953-8050
全国の三セク・公社中、最大の借金を抱える名古屋高速道路公社の
「談合」「(財)名古屋高速道路協会との協定」「随意契約」の
全面的見直しを求める意見書
名古屋高速道路は平成16年3月末に料金値上げ(普通車750円、大型車1500円)をしてはや3年が経ちます。しかしながら、料金値上げは財政状況の抜本的な解決にはつながらず、平成17年度末で民間からの借入金・社債は総額6891億円にも及び、全国の三セク・公社中最多となっていることが、総務省のまとめたデータ(第三セクター等の状況に関する調査結果 平成18年12月27日)で明らかになりました。現在、名古屋高速道路公社は愛知県と名古屋市があわせて6961億円債務保証をしており、同公社が破たんした場合税金での穴埋めのおそれがあります。
名古屋市民オンブズマンは、それほどの借金を抱えた原因は「談合」「(財)名古屋高速道路協会との協定」「随意契約」にあると考え、それらの全面的見直しを求めます。
1.談合を撲滅するため、早急な対策を求めます。
平成19年1月23日の新聞各紙によれば、ゼネコン担当者が名古屋高速道路公社の建設工事でも談合をしていたことを認めたといいます。公社が発注した5件192.2億円(平均落札率93.49%)が報道の通り談合だと仮定した場合、談合しにくい制度にした長野県(2005年平均落札率74.8%)並に落札率が下がれば(表1)、38.5億円もの費用が浮く計算になります。
これは平成16年の料金値上げ時の増収額(年間34億円 平成14年11月19日 第20回料金問題調査会資料)を上回ります。
名古屋高速道路公社入札監視委員会は平成16年5月にスタートし、年に2回開催されてきましたが、抽出案件のみ審議している上、その抽出案件は低落札率のものが多く、何のための入札監視委員会かはなはだ疑問です。
報道された5件の工事に限らず、過去の分も含めて談合の有無を公社として調査する事を求めます。また、談合が判明した場合、業者に損害賠償請求を求める事を要望致します。
2.(財)名古屋高速道路協会との「基本協定」の廃止を求めます。
名古屋高速道路公社の経営を歪める、「(財)名古屋高速道路協会」との基本協定による契約を廃止するよう求めます。(財)名古屋高速道路協会と独占的な契約を結ぶ「基本協定」を結んだ理由として「公社事業の増加に伴う組織的、人的に不足している部分を補完する業務であり、また協会の寄附行為においても『公社の業務の円滑な運営に寄与する』旨定められていることから、民間に発注する業務とは本質的に異なる」ためと説明されていますが、全く説得力に欠けるものです。
現在、平成18年度には、協会との「協定」による契約が11業務20億94万4千円にも及びます。公社の契約は、原則として一般競争入札に付する事となっています(公社会計規定第71条)が、このあり方は規定に反する事となります。
しかも、(財)名古屋高速道路協会の歴代理事長を、名古屋高速道路公社の元理事長が務めていることが問題です。はじめから競争を封じ、「協定」を野放しにしていると市民が考えるのは自然なことです。名古屋高速道路公社理事長が退職後に(財)名古屋高速道路協会理事長に天下ることの禁止を求めます。
3.各種業者との随意契約を全面的に見直すよう申し入れます。
平成18年度には、各種業者との随意契約が16業務27億9775万5千円(平均落札率 99.6%)と、莫大な金額になっております。
名古屋高速道路公社が外部の公認会計士らに依頼して作成した「平成17年度 経営改善に係る外部監査報告書」のテーマがまさに業務委託であり、業務委託について競争性や透明性を図るため、随意契約ガイドラインを整備する事が提言されています。
公社の契約は、原則として一般競争入札に付する事となっています(公社会計規定第71条)。例外としての随意契約しか認められていないにもかかわらず、随意契約しているのは規定上問題があるだけでなく、競争入札によって削減できたはずのコストを余計に負担している点でも問題です。
全国的に見ると、真の競争入札を導入すれば20%程度は削減可能です。協会との「協定」ならびに随意契約の金額が20%削減されたとすると、約10億円削減可能であり、値下げすら視野に入ります。
政府は、平成18年6月13日に各省庁が結んだ、所管公益法人、独立行政法人、特殊法人、天下り官僚がいる民間法人等との随意契約の実態調査結果を発表しました。それによると、平成17年度に各省庁が結んだ随意契約は2兆1743億円(29631件)で、うち随意契約が妥当と判断した貨幣製造やライセンス国産による防衛装備品等7160億円(6843件)以外は競争入札等か企画競争・公募を行う方針を決めました。また、平成19年1月26日づけで「所管公益法人等以外との随意契約の適正化について 」を発表し、民間との随意契約1兆1973億円(5万4468件)のうち競争性のない随意契約(防衛等)以外の6761億円(3万6143件)を競争入札等にすることを発表しました。
国に随意契約原則全廃ができて、名古屋高速道路公社にできない理由はありません。行財政改革のために、まず(財)名古屋高速道路協会への「協定」ならびに各種随意契約を全面的に見直し、競争入札に付するもの、公社が直接行うものなど個別具体的に判断するよう要求します。
これら問題に対し、どのように対策を立てるのか、ご見解をできるだけ具体的にそれぞれの立場からお示し下さい。なお、ご回答の締め切りは3月31日(土)必着とさせていただきます。
返送先:〒460-0002 名古屋市中区丸の内3-6-41 リブビル6階
名古屋市民オンブズマン 担当 新海:内田 TEL 052-953-8052 FAX 052-953-8050
期限:2007年3月31日(土)必着
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