名古屋城 本丸御殿+木造天守閣問題特集

2017年度
18/3/30(金) 「名古屋城穴蔵部分調査」現状変更許可取っていないことを市が認める

18/3/30 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第26回)が開催されました。

18/3/30 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第26回)配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180330.pdf
・名古屋城跡保存活用計画(案)抜粋
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180330-1.pdf
・名古屋城跡保存活用計画(案)概要
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180330-2.pdf
・名古屋城跡保存活用計画 資料編
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180330-3.pdf
・名古屋城跡保存活用計画(案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180330-4.pdf

・メモ(名古屋市民オンブズマン作成)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180330-5.pdf
・全体整備検討会議 終了後の囲み取材の様子(名古屋市民オンブズマン作成)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180330-6.pdf
 

注目すべき点は3つありました。
1)竹中工務店から基本設計+石垣調査結果が本日市に提出されたと説明
2)木造復元明記の保存活用計画に「バリアフリーを求めるのは不可能」と意見
3)穴蔵調査 文化庁の現状変更許可申請許可を受けていないことを認める  

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1)竹中工務店から基本設計+石垣調査結果が本日市に提出されたと説明

これまでの各部会の報告がなされました。
バリアフリー対策について報告があり、エレベーター設置について、設置するかどうか、設置する場合3案を検討中であるとしました。
名古屋城総合事務所は「どこまでが『史実に忠実か』定義が難しい。文化庁にも明確な基準がない」と認めました。 

構成員の赤羽一郎・愛知淑徳大学非常勤講師は「竹中工務店とは基本設計+石垣調査を本日18/3/30までの契約だが、市に提示されたか」と質問し、名古屋市は「竹中工務店から資料を受け取り、本日完了検査を行う予定」と答えました。

全体整備検討会議 終了後の囲み取材では、名古屋城総合事務所の蜂谷主幹は
「基本設計の完成物の検査ですが、今日1日で終わるわけでは無く、すごい量ですから、段ボール5箱くらいあるので、随時検査します。成果品としてはいただきました。
 検査で合格しているわけではないものですから、検査をさせていただいて、内容に不足があればさらに追加を求めることがありえる。
 あるけども、基本設計としては完了しているということ。」と述べました。

市は基本設計が終わったとしていますが、エレベーター設置について決まっていないのに、基本設計を終わらせる、というのが理解できません。
18/3/28天守閣部会で、「構造計画、防災計画、ユニバーサルデザイン、仮設計画、活用、維持管理、地盤調査」が終わっていないことを認めました。
これらも基本設計終了に必要不可欠です。
・名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託 契約書(当初)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-2.pdf
・発注契約書の仕様
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180202.pdf
・変更契約書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180313.pdf

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2)木造復元明記の保存活用計画に「バリアフリーを求めるのは不可能」と意見

名古屋市は、木造復元明記の保存活用計画を示しました。
赤羽講師は「城郭築城時にバリアフリー思想は無く、不特定多数の登城を想定していなかった。『史実に忠実』を柔軟性を考えてはどうか
木造天守ではバリアフリーは不可能といわざるを得ない現天守を改修することで解決する。ないものねだりだ」と述べました。

それに対しては他の有識者も市もなにも返事をしませんでした。
なお、全体整備検討会議 終了後の囲み取材で、西野所長は「意見としては受け止めた。概ね了承された。保存活用計画を文化庁に報告して策定に向けて進める」としました。

囲み取材の中で、記者は「文化庁にいつ提出するのか」と質問したところ、岩本整備室長は「提出ではないです。見せて示す。提出というものではない。そういうものは申請とかいう」と述べました。

文化庁は、保存活用計画について「確認」すると通知を出しています。
・文化庁 重要文化財(建造物)保存活用計画の策定について(通知)
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/hokoku/kenzobutsu_hozonkeikaku.html
(計画の確認)
 12.所有者等は,都道府県教育委員会を通じて文化庁に計画書 1 部を提出し,計画の内容と必要な手続について文化庁の確認を受けることができるものとする。
 13.文化庁は,都道府県教育委員会に計画書受理の旨を通知し,もって確認の通知とする。
 15.確認を受けた計画の内容を変更する場合は,所有者等は変更後の計画書に変更前の計画書を添えて文化庁の再確認を受けるものとする。
 
「確認」とは、「特定の事実または法律関係の存否について公けの権威をもって判断しこれを確定する行為のこと」(行政法要論(改訂増補版)原田尚彦著)となっています。「単に文化庁に見せればよい」というものではないと理解しています。

17/10/13に、千田構成員が「一般に、名古屋城は特別史跡ですので、どういうふうに整備し、管理して活用していくかということについては、古くは保存管理計画の中にそれが謳われていました。それが、例えば国の特別史跡の許認可権をもってる文化庁に対しても、名古屋市としてはこういうふうに名古屋城を管理し、整備していくという約束になっていて。それは名古屋市民だけでなくて、国の特別史跡として国民全体に対する名古屋市の約束を示したものになっています。」
「名古屋市の側で、天守を木造にすると一方的に保存活用計画に書くことはできないわけです。当然文化庁とも合意の上です。合意ができれば文化庁としても、議論のスタートとしては木造化を検討するということになるわけです」と述べています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171013-5.pdf

上記保存活用計画について、文化庁が「計画書受理の旨を通知」する「確認の通知」を行うのかどうかは未定です。

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3)穴蔵調査 文化庁の現状変更許可申請許可を受けていないことを認める  

現在、名古屋市は3つの予算で石垣調査をしています。
1)17/5/9契約 基本設計+石垣基礎調査(金額不明)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-2.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180202.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180313.pdf
2)平成29年度11月補正予算 天守台石垣調査(5300万円)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170912.pdf
3)平成30年度当初予算 天守台石垣調査(2億8700万円) 
 http://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000102/102554/07kankobunkakouryu.pdf

赤羽構成員は「18/3/28に天守閣部会で『ケーソン基礎のボーリングを行う』よう要望したようだが、なんのためのケーソン基礎ボーリングなのか。どのようにするのか。史跡部分の破壊の可能性はあるのか」と聞きました。
名古屋市は「内部のコアをボーリングし、ケーソン下部を調査したい。天守閣部会は、現天守閣の安全性を確認するためにも提案した」と述べました。

赤羽構成員は、「18/5/7に現天守閣をクローズすると報道されているが、なんのためにクローズするのか」と名古屋市に尋ねました。
西野所長は「耐震調査したら危ないから。穴蔵調査をするため」と答えましたが、
赤羽構成員は「穴蔵調査とはどういう調査をするのか。また、文化庁に現状変更許可申請が必要な調査にあたるのでは」と質問したところ、西野所長は「あくまでも耐震性が低いため入城禁止にする。穴蔵調査の具体的なものは決まっていないし、文化庁の現状変更許可を得ているわけでもない」と述べました。
 
名古屋市は、一方で木造天守閣を復元する、現天守閣は2022年12月木造天守閣竣工まで入場禁止にするといっておきながら、ケーソンの下の史跡部分の破壊の可能性があるボーリング調査は「現天守閣の安全性を確認するため」といっています。
永遠に入場禁止にし、現天守閣を壊す計画ならば、現天守閣の安全性を確認するためのケーソン下のボーリングは必要ありません。
どう考えても、木造天守閣をケーソン基礎の上に載せて安全性が保たれるかどうかのためとしか考えられません。

しかも、文化庁には穴蔵部分の調査の現状変更許可も取っていないことを認めました。現天守閣入場禁止まであと1か月。どのような穴蔵部分の調査をするかも決まっておらず、現状変更許可もない中で、1か月で調査が開始できる可能性は0です。
調査が始まらないのに天守閣の入場禁止をしようとしています。

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全体の工程表が公表されていないので、現状がどうなっているのかもわかりません。
それぞれの位置づけが明確で無く、何をしなければいけないのかもわかりません。

・18/3/30に名古屋市に提出された「基本設計」は、法・契約に基づいたものか
・文化庁は「保存活用計画」を「確認」するのか
・文化庁は「基本計画」を認めるのか。
・竹中工務店と実施設計+木材の製材契約を結ぶのか

木造天守閣を作るのであれば、本来筋は以下です。
1)名古屋城跡保存活用計画(案)確定            (2018/3)       
2)名古屋城跡保存活用計画 文化庁の確認を受ける      (2018/4以降予定)
3)ケーソン調査のための文化庁現状変更許可を受ける     (未定)
4)ケーソン調査                      (未定)
5)エレベーター設置について方針を定める          (2018/5予定)
6)日本建築センターの評定                 (未定)
7)総務省から消防設備の緩和許可を得る           (未定)
8)名古屋市建築審査会の同意(建築基準法3条 適用除外)  (未定)
9)文化庁復元検討委員会の同意               (未定)
10)基本計画をまとめる                   (2018/7予定)
11)文化庁文化審議会の許可                 (2018/7予定)
12)基本設計完成                      (2018/3提出)
13)実施設計                        (2018/4以降予定)

4月に入ったら、早急に基本設計+その他業務委託の成果物を情報公開請求します。
入場者数想定の結果も情報公開請求します。


18/3/28(水) 名古屋市 天守閣部会に名古屋城木造復元スケジュール示せず

18/3/28、名古屋市は特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第9回)を開催しました。

・18/3/28 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第9回)配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180328.pdf
・18/3/28 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第9回)配付
 特別史跡名古屋城跡保存活用計画(案)天守閣整備関係部分抜粋
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180328-1.pdf
・18/3/28 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第9回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180328-2.pdf

大きく分けて2点ありました。
1)エレベーター設置について
2)基本計画の策定について

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1)エレベーター設置について ですが、当初は2018年3月末までに市の方針を決めるとしていましたが、2018年5月までに延長になりました。
市民からは、「エレベーターを設置すべきでない」「エレベーターは必須だ」双方の声が多数あることが紹介されました。

市は途中経過として3案を提案しました。
a)竹中当初提案(4人乗り)(内部)
 4階まで 
 大梁を切る
 一般的な車椅子・電動車椅子の対応はできない
b)11人乗り(内部)
 4階まで 
 柱や大梁を切る
c)11人乗り(外部)
 1階まで
 外壁に史実にない開口部を設置し、史実との乖離が生じる

有識者の川地正数・川地建築設計室主宰は「個人的見解だが、史実に忠実とすれば、b)c)はどうかと思う。a)は可能性はあるが、車椅子が乗らなければ意味が無い。地震・火事時、いかに地下1階まで避難するか検討しないとまずい。通常は車椅子が乗る形で影響がないようにご検討いただければ」と発言しました。

しかし、「史実に忠実」「バリアフリー」を完全に満たす方法が現時点でないなかで、「ご検討」と言われてもよいアイディアがあるはずもありません。

なお、最上階までの階段数は未だに公表していません。
地面から最上階(5階)までは38.45メートル。階段1段の高さは最高29.4センチ。傾斜55度くらいの急な階段を120段以上のぼることになります。

有識者の古阪秀三・立命館大学客員教授は「本日名古屋城に行ってきたら、エレベーターが混んでいた。多様な選択肢を示し、現状をよく見て、もう少し幅広く考えて欲しい」と述べました。

しかし、「ではどうすればよいか」が述べられていません。「史実に忠実」と「バリアフリー」は両立しないことを、はっきり言うのが有識者としての務めなのではないかと思います。

しかも、名古屋市は「建築基準法第3条第1項第4号の適用により建築基準法の適用を除外することで、木造による復元が可能となるが、構造や防火・避難に関する性能について現代建築物と同等の安全性を確保することが前提条件」としており、「完全に史実に忠実」は不可能と認めているとしか思えません。

さらにバリアフリー法については「上記適用除外で、特別特定建築物に街頭せず、建築物移動円滑化基準への適合義務に関する規定は適用されない。しかし、地方公共団体及び施設管理者の責務である移動円滑化を促進するために必要な措置を講じる努力義務については適用される」としており、バリアフリーを無視することは出来ません。

i)「史実に忠実」と「バリアフリー」は両立しない
ii)防火・避難性能は現代建築物と同等の安全性を確保することが前提条件
iii)移動円滑化促進措置を講じる努力義務は適用される
のであれば、「史実に忠実」ではなく「バリアフリー」を選択するしかないのではないかと考えます。
(なお、どうして現天守閣の耐震改修・長寿命化・7階までエレベーター設置がきちんと検討されないのか、不思議でたまりません。木造天守閣作成より格安で法的・技術的にも簡単にできます)

天守閣部会の「有識者」が、上記について理解しているようには思えませんが、そんな人達がエレベーター設置などの有無を決めようとしています。

天守閣部会には、電動車椅子の人2人も傍聴に来ていました。
車椅子の人は「法律は適用除外されるのかもしれないが、『障害者の権利に関する条約』に適用除外があるのだろうか。」と、天守閣部会終了後、委員に話しかけていました。
・外務省 障害者の権利に関する条約
 http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken/index_shogaisha.html
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2)基本計画の策定について ですが、名古屋市は名古屋城の木造天守閣「復元」に際し、文化庁に対して現状変更許可申請を行う必要があり、2018年7月に文化庁に提出する計画を立てています。

・17/12/25 名古屋市議会経済水道委員会
 特別史跡名古屋城跡天守閣整備事業に係る基本計画(案)の進捗状況について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171225-5.pdf
名古屋城天守閣整備事業基本計画(案)の趣旨
・名古屋城天守閣整備事業における基本的な考え方を整理したもの
・現状変更許可申請を行うにあたり必要となる資料

しかし、17/12/25に名古屋市議会経済水道委員会に示したスケジュールでは、2018年3月には基本計画(天守台石垣除く)を完成させる予定でしたが、天守台石垣だけでなく、「構造計画、防災計画、ユニバーサルデザイン、仮設計画、活用、維持管理、地盤調査」について終わってないことを認めました。

小野徹郎・名古屋工業大学名誉教授は、「天守台の地質調査をちゃんと進まないと、主架構にいかない。」と述べたところ、名古屋城総合事務所の渡辺主幹は「まだ見通しは立っていない」と認めました。
座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は見通しが立っていないということは、工程は見通しがたたないということか」、小野名誉教授も全体の計画は変更を検討していると言うことか」と質問したところ、渡辺主幹は「そういったことです」と認めました。

古阪客員教授は「前回、全体のスケジュールがわかる資料を出して欲しいと要望した。現在予定通りなのか、いっていないのか。現在説明できないのであれば、4月時点でどうなっているのか。一番重要だ」と述べました。
瀬口座長も「今日、スケジュール資料を出して欲しいとお願いしたが、出せていないというのは調整できていないということですね?」と述べました。渡辺主幹は「調整できるところを調整して、情報提供に努力する」と述べるにとどまりました。

また、有識者の三浦正幸・広島大学大学院教授は「東海地震がいつくるかわからない。ケーソン下のボーリングは絶対的に必要だ。文化庁に要望して欲しい。この委員会として要望したい」と述べ、全員が同意しました。

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名古屋市と竹中工務店は、名古屋市城天守閣整備事業基本設計その他業務委託について、委託の期限を18/2/28から18/3/30に延期しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180313.pdf
わざわざケーソン部分のボーリングを削除しています。

いまだに、名古屋市は文化庁に対しては「石垣調査は、現在の石垣の保全のために必要」としか言っておらず、木造天守閣復元については文化庁には正式な文書を出していません。
ケーソン基礎のボーリングを行う必要性について、どのように文化庁に説明するつもりなのでしょうか。
「木造天守復元のため」としても、木造復元を明記した「特別史跡名古屋城跡保存活用計画」はまだ文化庁で「確認」されていません。
「既存の天守閣のため」とすると、「保存活用計画」との矛盾が出てきます。

順番は以下です。
1)「特別史跡名古屋城跡保存活用計画」が文化庁に「確認」される
2)ケーソン基礎のボーリングを行うための現状変更許可申請を文化庁に提出し許可される
3)ボーリング調査の結果が判明する
4)上記調査結果に基づき、基本計画を策定する
5)基本計画を添えて、文化庁文化審議会に、現天守閣取り壊し、木造天守復元承認の現状変更許可申請を行う。
 
どう考えても、5)の現状変更許可申請を2018年7月の文化審議会に提出することは不可能です。

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2018/3/30(金)10時〜、KKRホテル名古屋において「特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議」が開催されます。傍聴可能
http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2017/kankobunkakoryu/0000099872.html

年度末で、基本設計等の期限、入場者数試算の期限、保存活用計画策定期限も2018/3/30です。
竹中工務店と名古屋市は契約延長するのか、どの程度委員が問題点を指摘するか、に注目したいです。

2018/3/28時点まとめ
・建築基準法3条1項4号適用除外は受けていない
・名古屋市消防長の同意はまだ
・エレベーター設置有無方針は2018年5月に決定
・基本設計+その他業務委託 期限は2018/3/30
 エレベーター設置が決まらないと完了できず
 石垣調査の範囲を広げることを提案されているが、期限内に終了するか不明
 予算の年度をまたぐための市議会で繰越明許の議決も取っていない
・入場者数試算 期限は2018/3/30
・「特別史跡名古屋城跡保存活用計画」確定は2018/3/30
 その後文化庁で「確認」予定
・ケーソン基礎ボーリングは行っていない
 現状変更許可申請の時期も未定
・基本設計終了後の実施設計予算8.6億円+7.04億円は可決
・木材製材予算22.115億+73.11億円は可決
・2018/5/7 現天守閣地下部分調査のため、閉鎖決定
 

18/3/16(金) 絵にも描けない名古屋城木造天守閣予算115.1億円 委員会で可決

18/3/16に名古屋市議会経済水道委員会が開会されました。

(新規)名古屋城天守閣の整備
3,495,000千円(債務負担行為8,015,000千円)
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-15-1-2-2-0-0-0.html
1 趣旨 特別史跡名古屋城跡の本質的価値の理解促進、及び文化的観光面の魅力向上を図るため、名古屋城天守閣の整備を行う。
2 事業内容(1)実施設計 
 基本設計の結果を踏まえた詳細設計を実施
 30年度860,000千円
 31〜32年度704,000千円(債務負担行為)
(2)設計監理等支援業務委託43,500千円
  天守閣整備事業に係る技術面及び法務面に関する支援
(3)木材の製材
 柱や梁等の主架構木材調達及び製材並びにその施工監理
 30年度2,211,500千円
 31〜34年度7,311,000千円(債務負担行為)
(4)天守台石垣調査287,000千円
 現在実施している天守台石垣調査に加え、石垣の背面や劣化の状況等を詳細に把握するための調査
(5)史跡内仮設工事93,000千円
 仮設事務所の設置

上記予算について、各会派の意見は以下です。

自民 原案賛成 名古屋城天守閣の閉館後において、名古屋城の無料開放や
        現存する三つの隅櫓の開放など様々な集客対策を行うことで
        入場者を確保すること。
民主 原案賛成 歴史観光歴史遺産を観光魅力に昇華することを念頭に娯楽性等を
        加味しながら観光客の視点に立って、観光資源を魅力あるものに
        磨き上げていくこと
公明 原案賛成 バリアフリー新法が施行されて10年になるが遅れている箇所の
        観光文化観光文化施設のバリアフリー化を早急に進めること
共産 反対   名古屋城天守閣の木造復元に関しては、バリアフリー問題一つ
        とっても容易に解決しない、このような天守閣木造化は拙速に
        進めるのではなく、いったん立ち止まり、現天守閣の耐震化を
        含めて再検討すべきだから。
        2022年、天守閣木造復元に関して市民合意がない中、事業を
        進めることに繋がるから。
減税 原案賛成

結局賛成多数で可決しました。

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今回の委員会の審議中に以下が明らかになりました。
・2018年2月末期限の基本設計を3月30日まで延ばすこと。
 (エレベーター設置、建築審査会の適用除外などがないと基本設計は完了しない)
・エレベーター設置については実施設計の中で決めると市はしていること。
・文化庁とは木造天守閣について相談していないこと。
・名古屋市建築審査会の適用除外はなされていないこと。
・エレベーター設置の有無は5月までに決めること。
・スプリンクラーは全館設置予定であること。
・寄付が「思っていたのと違う」としても返還はなし。
・木材予算95億2250万円は、全体の3分の1程度。
・業者に委託した入場者数試算は市想定より減少すること。
・市想定来場者数は1日最大7万人だが、25000人を超える場合は木造天守閣の入城制限を検討。

実施設計予算が市議会で可決されても、基本設計が完了しなければ実施設計に移れません。
各種法令を守りながら、現代建築史上前代未聞の6階建て木造建築は出来るのか?
どのような姿になるのか?だれもわかりませんし、だれがどこでいつ決めるのかもわかりません。

基本設計は2018年3月30日までに期限延長になりますが、万が一予算を次年度に
繰り越す場合、「繰越明許」の議決が必要ですが、現時点では市議会に提案がありません。

きちんとした情報を出さず、法的手続も軽視・無視する名古屋市。
市議会もまともな追及ができません。

2018/5/7から、現天守閣地階の石垣調査を行うため、現天守閣を閉鎖する予定です。
(市は、木造天守閣建設とは関係ないと文化庁に説明しています)
調査が終われば、現天守閣は再度見学可能になるはずですが、「木造天守閣建設のため」として、ずっと閉鎖を続ける予定とのこと。

いつまででたらめな行政を続けるつもりなのでしょうか。
いつまで竹中工務店はこんな名古屋市につきあうのでしょうか。


18/3/14(水)名古屋城木造化 今回木材予算95億円は全体の3分の1

18/3/14に名古屋議会市経済水道委員会が開催されました。
・配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180314.pdf
・18/3/14 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋市民オンブズマンによる、自動文字起こしアプリを使った文字起こし+修正)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180314-1.pdf

江上市議(共産)が「今回提案されている木材予算、新年度22億円余、債務負担行為が73億円余、合計が95億円余は木材総額か」と質問があり、市は「柱・梁・土台部分のみで2036立方メートル。全体で4500立方メートルで3分の1程度を要求している」としました。

また、福田市議(公明)が「天守閣に登れない人が出てくるのか」と質問し、「名古屋城では2万-25000人で入城制限をかける予定。最大1日7万人来場する試算をしているので、そういったことも考えられる」としました。

また、福田市議は「史実に忠実ということで、スプリンクラーはつけるのか。クーラーはつけないとして熱中症対策はどうするのか」と質問し、市は「消防と協議中だが基本的には全館にスプリンクラーを設置予定。スポットクーラーや送風機などの対策は必要だと考えるが、詳細は設計中で検討する」としました。
福田市議は「遮熱材などを検討しては」といいましたが、市は「基本的には史実に忠実に復元していくので、資料に基づきながら進めていきたいと考えている」としました。

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結局、基本設計でどこまで決めるのか。誰がスプリンクラーなどの有無を決めるのか。いつ決めるのかなどがまったく明らかになっていません。
しかし18/3/16(金)午前10時には意思決定してしまいます。

議論も低調で、基本的な情報も提示されませんでした。18/5/7に天守閣が閉鎖されても基本設計が終わらず、来場者だけが激減して一歩も進まない姿が目に浮かびます。

18/3/13(火)名古屋城木造化基本設計 期限延期以外の詳細判明

名古屋市城天守閣整備事業基本設計その他業務委託について、名古屋市は竹中工務店への委託の期限を18/2/28から18/3/30に延期しましたが、その変更契約書を情報公開請求で入手しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180313.pdf


・地盤調査費が約7648万円から約2568万円に減額されています。
・木材主架構費が約5134万円増えています。
・天守閣既存調査(ケーソン)が約249万円増えています。


発掘調査地点を減らしているのですが、どのようにケーソン調査をするのかが、添付されている図ではわかりません。
本当にケーソン調査をしようと思ったら、1ヶ月ではとても間に合いません。
市議会では、基本設計の期限が2月末から延長になったことをなぜかほとんど問題視していない感があります。

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なお、名古屋市は18/2/15時点では竹中工務店に1円も支払っていないことが判明しています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180228-1.pdf
役所の会計に詳しい人に聞いたところ、「基本設計は知的業務なので、原則完成するまで支払わない」とのこと。

基本設計が完了するめどはまったく立っていません。
竹中工務店はこのままただ働きをするのか、それとも。。。


18/3/12(月)名古屋城木造天守閣 市想定より少ない来場者見込み公表

18/3/12に名古屋議会市経済水道委員会が開催されました。
・18/3/12 名古屋市議会経済水道委員会配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180312.pdf

今回、「名古屋城天守閣木造復元に向けた調査結果の概要」が示されました。
        現天守閣閉鎖時 ピーク   50年後
・名古屋市試算  112万人    452万人  366万人
・低位      145万人    378万人  295万人
・基本      145万人    382万人  318万人
・高位      145万人    422万人  346万人
・参考      145万人    388万人  378万人
いずれも、リニア開業で来場者が増大するとしています。


江上博之市議(共産・中川区)は、「現天守閣閉鎖時、市の想定より多い145万人が来るというのはとても信じられない」としました。
西川ひさし市議(自民・昭和区)は、「現在、約230万人の名古屋市人口が、50年後には180万人ぐらいに減るにもかかわらず、毎年346万人ぐらい維持できるのはなぜか。不思議でたまらない。」としました。
西川市議はまた「単純計算で最大1日7万人ぐらいが入る計算になる。これまで最大で桜の時期に35000人入ったが、芋を洗うようだったと思う。7万人なんて名古屋城のどこにそんなに人が入れるのか。」としました。
名古屋市は、「姫路城の例を参考にすると、名古屋城木造天守閣でも2万人から2万5000人をめどに入場制限しながら運営していくことになるのではないか」と答弁しました。
また、西川市議は「上記試算はエレベーターをつけたときの想定かどうか」と聞き、市は「エレベーターをつけず、階段を上る前提での試算だ」としました。

西川市議は、「100億円の寄付を集めると市長は言っているが、いつまでに集めるのか」と聞き、市は、「来年度は2億円を集める目標だ。100億円というのは一定の目安としての努力目標であり、期限を区切っているわけではない」としました。

エレベーター設置について、各局の現状の課題認識・意見が出されました。

福田誠治市議(公明・南区)は「木造天守閣の中にエレベーターを設置するとなると、梁などを切り、新たな柱などをつける必要がある。」としましたが、市は「基本的には史実に忠実に復元し、附属のものとしてエレベーター設置を検討していく必要がある」としました。
福田市議は「1階部分くらいまでなら、油圧式の昇降機がある。どうするかはっきり決めて欲しい」としました。

また、天守閣閉館から天守閣木造復元竣工までのスケジュールが出されました。
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今回、コンサルタント会社が示した数字の根拠がわからないためなんとも言えませんが、
過去、公共事業の需要予測の多くは外れてきました。
(あおなみ線22%、リニモ44% https://www.ombudsman.jp/taikai/2014hazure.pdf )

市議は誰も指摘しませんが、「最大1日7万人名古屋城の敷地に入るが、木造天守閣には2万〜25000人しか入れない」のなら、残りの45000人〜5万人は何をするのでしょうか。
しかも、これらはエレベーター設置がなく階段で登る際のものであり、チェアリフトなどをつけるとさらに少なくなってしまいます。
現天守閣でも、階段では無くエレベーターでのぼるために、エレベーター待ちの人が長蛇の列をなしています。
地上11階建て相当の建物を急な階段で上り下りできる人が一体どの程度いるでしょうか。

寄付については、名古屋市が「100億円の寄付を達成する目標を定めていない」と明言しました。毎年2億円としても50年かかります。
市議は誰も指摘しませんが、505億円かかるとされる建設費、276億円以上かかる維持費に、利息が100億円かかる計算です。
せっかく寄付を100億円集めたとしても、全額利息で消える計算となります。なんのための寄付募集なのでしょうか。
・16/4/22 名古屋市議会経済水道委員会配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/160422.pdf


エレベーター設置については、2015年12月の技術提案・交渉方式による公募型プロポーザルで名古屋市がゼネコンに検討するよう注文していることです。
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/17_topics/271202/dwl/koubo_03.pdf

スケジュールですが、基本設計がいつ終わるのかがまったく書いていません。
2018年2月末までだった基本設計は、3月末までに延期されましたが、完了するめどはたっていません。
以下が必要ですが、いずれも受け付けられてもいません。
・「日本建築センターの評定」(まだ)
・「文化庁復元検討委員会の審査」(最低3回?まだ1回も審査されず)
・「文化審議会」(5月と10月 1階も審議されず)
・「建築基準法第3条への名古屋市建築審査会の同意」(18/3/22議題になし)
・「消防法第17条第3項に基づく総務大臣の認定」(まだ)
・「名古屋市消防長の同意」(まだ)
参考:17/12/6 名古屋市議会経済水道委員会配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171206.pdf

万が一名古屋市議会が、実施設計や木材の予算を認めたとしても、実施設計は基本設計が完了しないと着手出来ません。
木材についても、基本設計が完了するまでは、リスクがあるため着手しないのではないかと思います。

市議は、このような構図について、知っているのか知らないふりをしているのかわかりませんが、きちんと追及しません。
このような構図は、多くの市民から市議に送られていますが、まったく取り上げず、「史実に忠実な木造天守閣を求める」という市民の意見ばかり採り上げます。
もし「史実に忠実」を求めるのであれば、現在の竹中工務店との契約を破棄し、再度プロポーザルを取り直す必要があります。
その場合も、消防法・建築基準法上、天守閣の内部には人は入れません。

無理に無理を重ねてきた名古屋城天守閣木造化計画。
いったん白紙に戻し、竹中工務店、関係市職員を楽にしてあげられるのは市議会だけなのですが。


18/3/8(木)名古屋城木造化「エレベーターの有無の方針は5月中に決定」に変更

18/3/8に名古屋議会市経済水道委員会が開催されました。
・18/3/8 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋市民オンブズマンによる、自動文字起こしアプリを使った文字起こし+修正)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180308-1.pdf

名古屋市は当初、2018年3月中にエレベーターを設置するかどうかについて決めるとしていましたが、名古屋城の西野所長は「現時点では年度内に方針を決定するの非常に難しいと考えている。遅くとも5月中には決定する必要がある」としました。
2022年12月に木造天守閣を完成させる予定でしたが、大幅に遅れる可能性がますます高まりました。

なお、「エレベーターを設置しない場合」「内部にエレベーターを設置する」「外部にエレベーターを設置する」複数案から方針を決めるとのこと。

西川市議は、「昔の名古屋城にはエレベーターはなかった。エレベーター設置のために木材を切るなどしたら、史実に忠実と言えるのか」と疑問を呈しました。
しかし「バリアフリーに配慮したこと」は2015年12月の技術提案・交渉方式による公募型プロポーザルで名古屋市がゼネコンに注文していることです。
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/17_topics/271202/dwl/koubo_03.pdf

2016年3月の竹中工務店による提案でもエレベーターを書いていました。
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/17_topics/280330/index.html

なぜ今頃になって、こんなことを言い出すのか全く分かりません。
エレベーター設置については、何回も何回も名古屋市民オンブズマンをはじめ、他の市民団体も問題を提起しています。
市議にも何通も手紙を送っていますが、まったく読んでいなかったことがわかりました。

・エレベーター設置をしない場合、公募型プロポーザル違反になるため、再度設置しない場合として公募し直しが筋ではないか
・エレベーター設置した場合、文化庁が復元許可を出すか不明

寄附をした人が「こんなはずじゃなかった」と言ってますが、きちんと名古屋市の仕様をみたのでしょうか。
市民にきちんと説明もせずに寄付を募ってしまった名古屋市、河村市長の責任は重大です。
・寄付者一覧
 http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshukaku/02_gohoumeicho/index.html

また、中川市議は、「1人でも多くの方に見てもらえるような努力をずっと継続していく」ということを言っていますが、基本設計の締め切りが2018年3月末であること、技術開発がいつ完成するか全くめどが立っていないため、空論に終わっています。

基本設計は、エレベーター設置の有無が決まらないと完成しません。その他、「日本建築センターの防災評定、構造評定ならびに文化庁復元検討委員会、名古屋市の建築審査会と、消防法17条3項に基づき総務大臣の認定等の緩和、名古屋市消防長の同意」が必要ですが、いずれもなされていません。

江上市議は、「現天守閣は5階までエレベーターがついているが、それを7階まで持っていくことは技術的に可能か」と質問し、名古屋市は、「可能性ではゼロではない」と回答しました。

藤井議員は、「現在、名古屋城に展示してあるものについて、今後どこに展示するのか」と質問し、次回委員会までに資料で提出すると言っています。

なお、名古屋市は、2019年9月から現天守閣の取り壊しの方に入っていく予定だとしていますが、現時点では基本設計が完了するめどは立っておらず、しかも、取り壊すのにも文化庁の許可が必要です。

その許可が果たして下りるのかどうか。下りたとしても、その後の木造復元のめどは全く立っていない以上、現天守閣を取り壊して良いのかという議論もきちんとなされていません。

名古屋市は、基本設計の取りまとめは3月末で完了する、石垣の発掘調査も3月末で完了することが可能だと言っています。
次回委員会では今後のスケジュールならびに入場者予測について概要が出てきます。
今後も注目していきたいです。

18/3/6(火)名古屋城石垣部会「石垣ハザードマップの策定を」提言

18/3/6に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣部会(第26回)が開催されました。
・配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180306-1.pdf
・特別史跡名古屋城跡保存活用計画(案)(平成30年3月6日)
 石垣関係等主要部分抜粋
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180306-2.pdf

まず、現在行われている、名古屋城の天守台周辺の発掘調査について報告がなされました。
石垣の安定性の確認ですが、通常は地山を掘り込んで地業が施されていますが、地山の上に盛り土があり、その上に根石が乗っていることが指摘されました。

それについて、宝暦の地震などの修復ではなく、近代の濃尾大地震の際の修復で施された可能性が高く、防災上放置できないと指摘されました。早急な対策が望まれ、ハザードマップの策定をすべきとの提言がされました。

その後、特別史跡名古屋城跡保存活用計画(案)について議論がなされました。
委員からは、「本質的価値」の部分について、江戸時代の遺構と、明治以後近代になってからの遺構が同じとこに書いてあったら矛盾するじゃないかと指摘がありました。
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河村市長の思いつきの天守木造化以前に、取り組みが必要なことが相次いでいます。
・石垣の安全性を最優先で確保すること
・木造天守閣にした場合の収支予測を公表すること
・木造天守閣の耐震性・耐火防火・バリアフリー対策について明確にして市民に提示すること

18/3/2(金)名古屋城木造化 市名古屋城木造化 市「バリアフリー等付加機能は実施設計で確定」繰り返す

18/3/2に名古屋市経済水道委員会が開催されました。
・18/3/2 名古屋市議会本会議(名古屋市民オンブズマンによる、自動文字起こしアプリを使った文字起こし+修正)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180302.pdf

田口一登市議(共産)は、「基本設計はエレベーターのありなしの複数案」になるのかと質問しましたが、渡辺観光文化交流局長は「原則として実施設計は、基本設計から引き続いて行うものであり、今後速やかに実施設計を進め、木造復元の詳細を確定してまいりたいと考えております。
したがいまして、バリアフリー等新たに付加する機能につきましては、基本設計において様々な可能性について検討してまいりましたので、それを踏まえ、バリアフリーの基本方針を決定するとともに、実施設計を進めながら詳細を確定してまいりたいと考えております」と述べるだけで、明確に回答しませんでした。

河村たかし名古屋市長は、以下また思いつきでものをいいました。
今回、月に一遍かふた月に一遍、ハートフルデーというかバリアフリーでというかそういうのを作りまして、その日は健常者の方はちょっとご遠慮していただくということで、福祉関係の方は車椅子だけじゃありませんので、年食って上がれん方だとか小さいから上がれんとか目の不自由な方とかたくさんみえますので、中に相当人数がおってですね、例えば150人とか200人とかおってですね、みんなでみんなで支えてなおかつ仮にハートフルデーだったら、今、最大斜度が45度で一段が20センチ弱ですけど。そういうのでもスロープ化することはできますかね。上でちょっとかぶせる。
これは僕は素人目でいっとっちゃいかんですけど。例えばウインチで引っ張りながら上は上で落ちないようにきちっと支えると。
そういう補助具を使いながら上がってってもらうと。いうことにしますと、今よりももっとたくさんですね。の人に、天守閣に上がってもらうことができる。いう方向で進めたらどうだということで、両方ともまだこれだというふうにはなっておりませんけど、両方とも考えていきましょうというふうにもなっておりまして、今回でも、予算が計上されておる、ということでございます。
河村市長は18/2/27記者会見で、「まったく本物でないならやめたほうがよい」とまで言っています。
・平成30年2月27日 名古屋市長河村たかし 定例記者会見 41:38〜
 https://youtu.be/FckPdczjOGU?t=41m38s

  「バリアフリー等付加機能は実施設計で確定」ですが、実施設計でやると言うのでは、国交省告示15号、建築士法違反です。
http://www.mlit.go.jp/common/000048579.pdf

名古屋市は竹中工務店と2018年2月28日までに「基本設計その他業務委託」を完了させるという契約を結んでおきながら、2018/2/27に両者でこっそり2018/3/30までと延長させました。
・名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託 契約書(当初)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-2.pdf
上記はマスコミにも市民にも公表しておらず、2018/3/1に名古屋市民オンブズマンが名古屋城総合事務所整備室に電話で問い合わせてはじめてわかりました。

市議も、「基本設計は当初の契約(2018/2/28)までにできなかった」「基本設計を行うには、日本建築センターの防災評定、構造評定ならびに文化庁復元検討委員会、名古屋市の建築審査会と、消防法17条3項に基づき総務大臣の認定等の緩和、名古屋市消防長の同意が必要だが、いずれもなされていない」「エレベーター設置の有無を実施設計で決めるのは違法である」ことをきちんと追及しません。

・15/12/2 名古屋城天守閣整備事業にかかる技術提案・交渉方式(設計交渉・施工タイプ)による公募型プロポーザル
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/17_topics/271202/index.html

今後の市議会委員会での議論を注目したいです。市議やマスコミにも上記資料を示しています。
18/3/6(火)午前10時〜 石垣部会が開かれますのでそちらも注目したいです。
http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2017/kankobunkakoryu/0000102498.html

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なお、市は竹中工務店と約8億4000万円の基本設計+その他業務委託契約を結んでおきながら、市は1円も支払っていませんでした。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180228-1.pdf
市民オンブズマンなどから住民監査請求をされるリスクを避けたのかもしれません。

このまま3月末でも基本設計が出来なければ、竹中工務店はずるずると無報酬で先の見えない仕事を続けるのか、追加費用について市と話し合うのか。
その場合、議会で予算を承認する必要があります。

基本設計だけでもこんなにもめているのに、今後「実施設計8億6000万円+債務負担行為7億400万円、設計監理等支援業務委託4350万円、史跡内仮設工事9300万円、木材の製材22億1150万円+債務負担行為73億1100万円」を竹中工務店と契約を結ぶ予算を提出しています。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-15-1-2-2-0-0-0.html
合計112億2300万円もの予算を認めるかどうかが、2018年2月議会最大の論点です。
特に木材については、基本設計・実施設計がうまくいかなかった場合、取り返しがつかなくなります。
「市が決めた・議会が決めた」だけでは進まないのが、法治国家の常識です。

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今後のスケジュール(予定)

・3/6(火)午前10時〜 石垣部会(KKRホテル名古屋4階)
・3/8(木)午前10時〜 市議会経済水道委員会 付議議案審査[質疑(市民経済局、観光文化交流局関係)]
・3/12(月)午前10時〜 市議会経済水道委員会 付議議案審査[資料質疑・質疑(市民経済局、観光文化交流局関係)]
・3/14(水)午前10時〜 市議会経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(市民経済局、観光文化交流局関係)]
・3/16(金)午前10時〜 市議会経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(3局一括)]
・3/19(月)名古屋市議会本会議 議決
・3/22(木)名古屋市建築審査会
・3月中   エレベーター設置の有無方針決定
      収支予測・来場者予測委託終了予定
・3/30(金)基本設計・石垣基礎調査委託終了予定(2月末から延長)
・5/7(月) 天守閣閉鎖予定

18/3/1(木)名古屋城木造化「基本設計+その他業務委託」2月末完了せず3月末まで期間を延長 支払いもまだ 建築基準法三条適用除外もまだ

18/3/1に名古屋市経済水道委員会が開催されました。
・18/3/1 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋市民オンブズマンによる、自動文字起こしアプリを使った文字起こし+修正)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180301.pdf
補正予算は賛成多数で可決されました。

委員会の裏で、名古屋市民オンブズマンは名古屋城総合事務所整備室に「名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託」について問合せしていました。
・名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託 契約書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-2.pdf
履行期限が平成30年2月28日のため、3月1日午前9時5分に以下問合せ、同日午後3時55分に電話で回答を得ました。

1) 業務完了届・引渡は完了したか(業務委託契約書 31条)→まだ
2)委託代金は支払ったか(業務委託契約書32条、36条) →まだ(1円も支払わず)
3)万が一引渡等完了していない場合、契約書は変更されたか(業務委託契約書26条)
 →2/27に契約書変更した
  履行期間を平成30年2月28日から、平成30年3月30日に延長した。その他は変わらず

・「18/2/27不存在決定 上記業務委託 18/2/15時点で支払いは発生していない」
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180228-1.pdf

計画では年間366万人もの人が入場する名古屋城木造天守閣の安全をどう確保するか、だれでも入れるようどのように設計するか、というのは極めてハードルが高いです。日本建築センターでも審査が行われます。建築審査会や文化庁復元検討委員会では1秒も議論がなされていません。

これまで、名古屋市は「平成30年2月末までに、基本設計と石垣調査をまとめるよう努力する」と繰りかえしてきましたが、結局出来ませんでした。

さらに、建築基準法3条1項4号適用除外についても、18/2/27時点では不存在決定がでました。

・「18/2/27不存在決定 建築審査会 適用除外書類なし」
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180228-1.pdf

なお、名古屋市民オンブズマンは18/3/1に「『名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託』契約変更に伴う書類」を情報公開請求しました。

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8億4721万6844円にも及ぶ契約の期日がいつのまにかこっそり変更され、記者会見も無く、市民に全く知らされていませんでした。
石垣調査が遅れており、建築基準法第3条第1項第4号適用除外手続きも進んでおらず、エレベータ設置の有無すら決まっていないのに、本当に基本設計が2018年3月末に完成するとは思えません。

にもかからわず、2018年2月議会に名古屋城天守閣の整備として34億9500万円を計上しています。
(実施設計8億6000万円、設計監理等支援業務委託4350万円、史跡内仮設工事9300万円、木材の製材22億1150万円)

基本設計が完了しないと、実施設計には移れません。木材の製材も、きちんと工事が出来るとみこめないと出来ないというのが通常です。

基本設計等予算は2017年度のものなので、原則年度をまたぐことはできません。年度をまたぐ際は「繰越明許」ということで議会の議決が必要ですが、いまだに議会には提案されていません。
議会の議決を経ず、予算年度をまたぐことは脱法行為です。

「市が決めれば何でも出来る」「議会が決めれば何でも出来る」と思ったら大間違いです。
日本国内のことは、日本国憲法ならびに法律で縛られます。
契約書も読まず、法律も知らない人達、法の抜け道ばかり考えている人達が、今後の名古屋城のゆくえを左右しようとしています。
理性的な議論を望みます。

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参考:名古屋城本丸御殿
・基本設計 平成18年度
【建築基準法第 3 条第 1 項第 4 号適用除外手続き】
 平成 19 年 2 月 29 日 認定申請
 平成 19 年 3 月 31 日 認定
・実施設計 平成19年度
【現状変更許可】
 平成 18 年 12 月 第 1 回復元検討委員会
 平成 19 年 3 月 第 2 回復元検討委員会
 平成 19 年 7 月 第 3 回復元検討委員会
 平成 19 年 9 月 現状変更許可申請
 平成 19 年 11 月 現状変更許可
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/17_topics/271202/dwl/koubo_07.pdf

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これまでの経緯は、名古屋市民オンブズマンのホームページでまとめています。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm

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今後のスケジュール(予定)

・3/2(金)本会議で代表質問
 田口一登議員(共産)[55分]名古屋城天守閣の木造復元について
 大村光子議員(減税)[49分]「名古屋城デスティネーションイヤー」の取り組みについて
  (1)名古屋城との回遊性向上に向けた取り組み
  (2)名古屋城における無料クーポンの配布
・3/8(木)午前10時〜 市議会経済水道委員会 付議議案審査[質疑(市民経済局、観光文化交流局関係)]
・3/12(月)午前10時〜 市議会経済水道委員会 付議議案審査[資料質疑・質疑(市民経済局、観光文化交流局関係)]
・3/14(水)午前10時〜 市議会経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(市民経済局、観光文化交流局関係)]
・3/16(金)午前10時〜 市議会経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(3局一括)]
・3/19(月)名古屋市議会本会議 議決
・3/22(木)名古屋市建築審査会
・3月中   エレベーター設置の有無方針決定
      収支予測・来場者予測委託終了予定
・3/30(金)基本設計・石垣基礎調査委託終了予定(2月末から延長)
・5/7(月) 天守閣閉鎖予定
18/2/28(水)名古屋城木造化 市「バリアフリー対策の内容次第によっては寄付を返して」電話を認める

18/2/28に名古屋市経済水道委員会が開催されました。
・18/2/28 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋市民オンブズマンによる、自動文字起こしアプリを使った文字起こし+修正)
(33:30-35:50まで)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180228.pdf

江上市議(共産)がエレベーター問題に対し、「史実に忠実になるのか疑問だから寄附を返してくれという声が名古屋市にあったか」と質問したところ、「市にも、エレベーター等のバリアフリー対策の内容次第によっては寄附を返してほしいという問い合わせの電話があった」と認めました。

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そもそも「史実に忠実」と「建築基準法同等の安全」をどう両立させるか、名古屋市は市民にきちんと説明をしてきませんでした。
その象徴としてのエレベーター設置について、きちんとした方針も示さず、寄付をすでに集めはじめてしまった名古屋市、さらに河村市長の責任は重大です。

ほとんど議論になりませんが、現在の名古屋市の試算であれば、名古屋市は建築費用505億円のほかに、利子が100億円、運営管理費が276億円、修繕費が30億円と、今後50年間に約911億円かかる試算をしています。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/160422.pdf
仮に木造天守閣のための寄附が100億円集まったとしても、その全額が利子の支払いに消える予定です。

今後どうなるのか全くわかりません。
18/2/28までの契約の、「木造天守閣基本設計+石垣調査」が終わる気配はまったくありません。通常の行政手順を全く踏まえずに行ってきたツケが3月に一気に噴き出しそうです。

今後のスケジュール(予定)
・2/28(水)基本設計・石垣基礎調査委託終了予定
・3/1(木)10時半〜 市議会経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(2局一括)]
・3/8(木)午前10時〜 市議会経済水道委員会 付議議案審査[質疑(市民経済局、観光文化交流局関係)]
・3/12(月)午前10時〜 市議会経済水道委員会 付議議案審査[資料質疑・質疑(市民経済局、観光文化交流局関係)]
・3/14(水)午前10時〜 市議会経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(市民経済局、観光文化交流局関係)]
・3/16(金)午前10時〜 市議会経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(3局一括)]
・3/19(月)名古屋市議会本会議 議決
・3月中   エレベーター設置の有無方針決定
      収支予測・来場者予測委託終了予定
・5/7(月) 天守閣閉鎖予定

18/2/27(火)「名古屋城木造天守閣にエレベーター『つける』『つけない』なら寄付金返せ」双方の声に市「丁寧に説明。返還しない」

18/2/27に名古屋市経済水道委員会が開催されました。
・18/2/27 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋市民オンブズマンによる、自動文字起こしアプリを使った文字起こし+修正)
(20分30秒まで)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180227-1.pdf
配付資料はありません。

名古屋城天守閣木造化への寄付に関し、森市議は「木造化だが、史実に忠実だということで、エレベーターがないものができるとして寄付をした人もいれば、エレベーターがつくかもしれないということで、寄付をした人もいる。自分の思いとは違った方向にことが進んでいくことも重々あり得るが、今後どう考えるのか」という質問を行いました。

名古屋市は「史実に忠実だとして寄附を集めている。誤解のないように丁寧な説明に努めていく。現時点では返還することを方針として考えていない。としました。

森ともお議員(民主)は、「今のうちから自分の意に180度変化することになった場合、返還するかどうかを議論した方が良い」と述べ、名古屋市は「課題等を整理して関係機関と相談したい」と述べました。

西川ひさし議員(自民)は、「市長が、『エレベーターも考えている』という発言があったが、『城というものは要塞で展望台ではない』と言うべきだった。エレベーターがつけられるわけがない。いい加減な発言をしないように」と述べました。
渡辺局長は、「現在検討中。史実に史実な木造復元を行い、その範囲でのバリアフリー対策を検討中だ」としか述べていません。

藤井ひろき議員(共産)は、「現在は全体整備計画で耐震化だ。それなのに木造復元のために基金を求めるのは矛盾しているのではないか」と質問をしましたが、市は、「現在保存活用計画を作成中なので矛盾していない」と述べるだけです。

江上博之議員(共産)は、「建築基準法三条の適用除外は、エレベータ等が仮設だから認められるのではないか」としましたが、市は「文化財保護法に基づき、現状変更が復元であれば3条適用が可能」としました。
江上議員は「文化庁と、適用除外についてやりとりをしたのか」と聞いたところ、市は「現在といたしましてはまだそのエレベーターの設置の有無について文化庁と協議はしておりません。」と述べました。

すでに1000万円を超える個人からの寄付が5件あるとのこと。
今後どうなるのか全くわかりません。
18/2/28までの契約の、「木造天守閣基本設計+石垣調査」が終わる気配はまったくありません。
通常の行政手順を全く踏まえずに行ってきたツケが3月に一気に噴き出しそうです。


18/2/21(水)「名古屋城木造化予算に対する市民意見」市は完全に無視

名古屋市は、平成30年度予算要求内容の公開に対し、市民から意見を募集した結果がホームページで公開されました。
http://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000102/102100/30shiminn.pdf

市民意見募集のときには木材に関するお金の合計95億円は公開されていませんでした。
http://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000099/99534/30yosanyoukyuunaiyounokoukai.pdf

それでも実施設計、史跡内仮設工事、監理設計等支援業務委託等として10億4100万円+7億400万円を提案しようとしたことに対し、市民からは多くの反対の声が集まりました。

しかし、一方的に市の考え方を述べるだけで、まともには回答しませんでした。
全て入場料収入で賄うとしていますが、根拠はありません。
2018年3月にコンサルに委託して根拠を出す予定です。

収支計画のまともな根拠もなく、市民からの意見も聞かない。「江戸時代そのまま」の体制で、名古屋城天守閣木造復元に突き進もうとしていますが、法律や民意はそれを許しません。


18/2/14(水)名古屋城天守閣部会瀬口座長「市の説明は詭弁に過ぎない」

2018年2月14日、特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第8回)が行われました。
・配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180214.pdf
・名古屋市民オンブズマン作成メモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180214-1.pdf

初めに、天守台石垣周辺調査について名古屋市から説明がありました。
その説明が終わった後、天守閣部会の座長である瀬口哲夫氏は、「手元に石垣部会から市長と西野所長あての2018年1月17日付けの書類がある。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180117-1.pdf
石垣部会はなぜ再開したのか。
当該書類には、A『市としては、私の発言のように、石垣部会は見学者の安全性をを軽視する姿勢にあるとは全く認識しておらず、事業を推進する部局としても遺憾であるとの、組織としての意思表示があったことを肯定的に評価する』ということを石垣部会が言っている。
私の発言は、くりかえしませんが、議事録を見てもらえばいいと思いますが、西野所長は私の発言に対して、遺憾であったという意思表示をしたのか。」と西野所長に問いただしました。
・17/10/13 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第24回)議事録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171013-5.pdf

西野所長は「12月18日の石垣部会との話の中で、私ども事務局としてはですね、石垣部会、名古屋市としては『石垣部会が石垣の安全性を考えてない』とは考えておりませんということは申しました。ただ、瀬口座長のご見解が『石垣部会が石垣の安全性を考えていない』というふうに、名古屋市が認識しているとは全く申し上げておりませんので、私どもとしては、ただ『石垣部会は石垣の安全性を考えていないとは考えていない』ということだけを石垣部会に申し上げたということでございます。」と述べましたが、瀬口座長は「詭弁だと思います。私も考えておりません。そういうふうには。私も考えておりません。あたかも私が考えて名古屋市総合事務所が石垣部会と同じような考えであると表明したから、評価したということだと理解せざるを得ません。」と述べました。

西野所長は上記を繰り返しましたが、瀬口座長の「それでは、石垣部会は誤解しているということですね。」には回答しませんでした。

また、瀬口座長は上記2018年1月17日付けの書類の@「12月18日の名古屋市と石垣部会の調整会合で、『市長が私に面談の上で10月13日発言の撤回を直接促した。私はこれを拒否と経緯が伝えられた』と。名古屋市側から石垣部会に。これは、私は市長からそういう発言を聞いておりません。今まで、穏便をにしてくれというから発言を控えておりましたけれども、石垣部会の今後の活動方針についてこの二つのことは事実に基づいていないと思うんです。このことで、名古屋市の担当者が私のところにですね、私の発言の撤回と謝罪を求めて行きたいと、面会をしたい、と私はお断りをしました。つまり、面会をしたいという申し出があるということは、この二つの条件を認めているという事ではないでしょうか。」と述べました。

西野所長は言い訳をしましたが、瀬口座長は「しかし、メールではそのように書いておりません。謝罪と撤回を求めると書いております。」と述べ、西野所長は回答しませんでした。

その後、市はあらためて2018年1月17日付けの書類を読み上げました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180117-1.pdf

瀬口座長は「こういう重要なことですね。やはり天守閣部会の皆様が分かっていないと、これが事業が行くかできないか重要なポイントだと思うんですよ。なぜ説明をしないんですか。しかも一番については、この文章は私に、私は間違ったことを言っているとは思っていないんです。発言は足りなかったところはあるかもしれませんけど、間違ったことは報告が無かったのかな、間違ったことは言ってないと思うんですけれども。当局は、間違ったことだと思っていないんです。要請の執行を継続することを、受入たということですね。」と述べ、西野所長は「私どもといたしましても、先ほど申し上げたように、瀬口座長の発言のご意志については、瀬口座長は、そういう趣旨ではなくて、その時点では安全性の検討に至っていないと趣旨だとお聞きしておりますので、それについては石垣部会の方に回答をさせていただいたということでございます。ただ石垣部会は、そういうふうに理解をされていないということでございまして、名古屋市の立場でいきますと、それが発言がこうであるということを断定できる立場ではなく、あくまでも私どもは座長からお伺いしたことを石垣部会にお伝えしている、そういうふうに今回、石垣部会から引き続き求めると、求めよということですので、石垣部会がそういうふうなお考えだということについてはこれからもお伝えはさせていただくというふうなつもりでございます。名古屋市が、そういう意思を持って要請していくということではございません。」と回答しました。
瀬口座長は「詭弁に過ぎないです」と述べました。

委員からは「毎回全体のスケジュールの中の今回の天守閣部会の位置づけをはっきりさせるべきだ」という意見がありました。
なお、車椅子の人は2人来ていましたが、一言も木造天守閣の車椅子・バリアフリーについて話はありませんでした。

天守閣部会終了後、瀬口座長は一言も述べず帰りました。
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西野所長は終了後の記者会見で以下述べました。
・名古屋市民オンブズマン作成メモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180214-2.pdf
記者:市長が瀬口座長に謝罪と撤回を求めて会っていた事実はあるのか
西野:市長はそういう事実、要は石垣部会が石垣の安全性を考えていないということを瀬口座長が話されたと言うことであれば、撤回を求めたいと考えてその場に臨んだ。実際に話した中で、瀬口座長はそういうつもりはないというお話ですので、市長としてはそれであれば、丁寧な説明をお願いします。そういうふうなしましたので、その話の中で具体的に謝罪撤回を求めるというところまでは至っていない。そういうことまではしていない。
記者:面会したのは事実ですか
西野:面会したのは事実です。私どもの理解としては、そういう状況を石垣部会は謝罪撤回を市長が求めたと受け止めていおりますが、瀬口座長は具体的に撤回を求められているわけではないので、そういう事実はないとおっしゃっております。
記者:石垣部会の方は、石垣部会が謝罪撤回を求めたということを踏まえて再開したのではないでしょうか。
西野:謝罪・撤回を求めたというところは、どういう風に捉えるかと言うことですが、まあ、市長はそういうことが事実上確認出来れば
記者:石垣部会としては謝罪・撤回を求めたっていう認識だと思うんですが
西野:はいはい
記者:それに関しては支障が出る気がしますが
西野:市長は事実だとすれば謝罪撤回を求めるという意思で会見に臨んだというのが事実ですので、それをもって石垣部会は市長は謝罪・撤回を求める意思があったということを捉えて評価したのではないかと思いますけど
若干のニュアンスの違いだと思います
記者:それは石垣部会にはきちんと説明したんですか?そういう風にやろうとしたけれども、はっきりとは言えていません
西野:石垣部会にはそのときの状況は12月18日にお話ししたときにお話しはしているつもりであります
記者:今日瀬口座長がこういう発言が出ても「それはそういうことなんですね」と向こう側は理解するんですね
西野:私どもは今までの話し合いの中で、そういう風にやっていたという理解です。
記者:でも市長まで会いに行かれて、瀬口座長はそんな認識なかった、と突っ返しているから、この先謝罪するとか発言撤回するとありえないことですよね。
西野:ちょっと私が言うのはあれですけど、それは、市長が実際に確認して先ほど申しましたように十分そういう趣旨ではないというふうにはお話をされていますので、それは瀬口座長のはっきりとした意思だろうというふうには認識してます。
記者:石垣部会はそう考えていないので、こじれるとまた止まりますよ。
  言い逃れしているとしか聞こえない
西野:まあ、難しいですが、どういうふうにとるかということは、なかなかね、我々としては、そういうお話をずっとしていくつもりです。

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結局、西野所長は石垣部会と瀬口座長に二枚舌を使っているとしか思えません。発言の当事者である河村市長に、いったい瀬口座長に何と発言したのか、確認したいです。
今後どうなるのか非常に興味深いです。
特に、「市長が瀬口座長に発言の撤回を求めた」と信じている石垣部会はどう対応するか、注目したいです。

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経緯
・17/10/13に瀬口座長が「石垣部会は安全性を考えていない」発言
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171013-5.pdf
・17/10/16 石垣部会が瀬口座長の発言撤回を求める書簡
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171016.pdf
・17/11/27 西野所長が石垣部会に回答
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171127-2.pdf
・日時不明 市長と瀬口座長が面談
 内容不明 
・17/12/18 市と石垣部会が調整会合
 市は石垣部会に「河村市長が瀬口氏に面談の上で10/13発言の撤回を直接促した(氏はこれを拒否)と」伝える
 市は「河村市長は、発言の撤回を促す意思で会見に臨んだ」と18/2/14記者に説明
 (詳細な内容不明)
・18/1/17 石垣部会が市長と西野所長に「今後の活動方針について」送付
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180117-1.pdf
・18/1/30 石垣部会再開
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18/2/13(火)名古屋城 市の石垣部会への返事がようやく公開

名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会が、17/10/13に開催した名古屋城全体整備検討会議(第24回)での瀬口哲夫・名古屋市立大名誉教授「天守閣部会は(入場者らの)安全性を考慮している。石垣部会は安全性を考えていない」との発言に抗議し石垣部会として瀬口氏に対して発言の撤回を求める書簡を市に送った事に関し、名古屋市が石垣部会に返事を送った件で、名古屋市民オンブズマンが上記返事を再度情報公開請求したところ、中身がようやく全部公開されました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171127-2.pdf
以前「事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」として内容が全面非公開とする決定が17/12/14にでました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171214.pdf

西野所長は瀬口氏からのコメントと称するものを書いてはいますが、瀬口氏からは一度も詳細について説明がなく、記者会見もせず、記者へも返事をせず、石垣部会への謝罪もありません。
西野所長は書簡で「次回の石垣部会では市長が出席し、冒頭で市長コメントを述べさせていただきたい」と提案していますが、次回2018年1月30日に行われた石垣部会には市長は来ませんでした。


18/2/12(月)18/2/15まで名古屋城木造化パブコメ募集中 例文提示

名古屋市は名古屋城「保存活用計画」案に関するパブリックコメントを18/2/15(木)必着で募集しています。
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000101416.html
 
パブコメとは何か、何が問題なのかは以下でまとめました。
http://ombuds.exblog.jp/26452951/
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以下資料を掲載します。参考になれば幸いです。

「名古屋城天守を戦後復興市民のシンボルに」の一級建築士である高橋和生氏が、18/2/8に開催したパブコメ学習会をまとめ、市議全員に送りました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180213takahashi.pdf

高橋和生氏パブコメ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180213takahashi-2.pdf

高橋和生氏作成
天守の石垣を「名古屋城再建 名古屋タイムズ・アーカイブ委員会編2010年樹林舎刊」の写真で追う。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180213takahashi-3.pdf

「名古屋城天守を戦後復興市民のシンボルに」が、パブコメを募集しました。記載本人の同意を得てネット上に掲載します。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/pabukome180213.pdf

パブコメ募集チラシ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/pabukome180213-2.pdf

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「名古屋城天守を戦後復興市民のシンボルに」
https://www.facebook.com/1740949266229351/


18/2/10(土)ゲームアプリ「旅かえる」で、中国人が殺到する名古屋城

2018年2月10日ごろから中国では春節(旧正月)の休みが始まった。
ここ名古屋でも中国人観光客がいつになく増えている。
春節のためだけだと思っていたが、ニュースを見ると、名古屋の会社が開発したゲームアプリ「旅かえる」が中国で人気が爆発し、ゲームの中で紹介されている日本の観光地を訪れる中国人が急増しているという記事を読んだ。

旅かえるはカエルが日本各地を旅するゲームだ。いろんなところに写真を取りにいく。
まず、カエルが行くのは名古屋城だ。いろんなアイテムを渡すと、遠くに旅に出る。記事では、名古屋城を訪れる中国人の予約数が前月の200%増しという。
このようなゲームアプリで、名古屋だけでなく日本全国の観光地を中国人ならびに全世界の人に知ってもらえることは良いことだと思う。

ただ、残念ながら名古屋市は、木造天守閣を復元するためだとして、2018年5月7日から天守閣の入場禁止をすると発表した。
名古屋城を訪れても天守閣に登れないというのは、みすみす機会を失わせている。
5月7日から始まるのは天守台地下の石垣調査の予定だが、現在、天守閣周辺の石垣調査がまだ終わっておらず、天守台地下の石垣調査に移れるかどうかは不透明である。
もっと問題なのは、木造天守閣の基本設計の締め切りが2018年2月28日だが、エレベーター設置の有無の方針も決まっておらず、文化庁復元検討委員会で木造天守の議論もしていない。さらに、建築基準法の適用除外を受けてもいないため、基本設計が予定通りに完了する見込みは現時点ではない。にもかかわらず、木造天守閣復元として、5月7日に閉めてしまう計画だ。
このままでは木造天守閣に向けた次の段階である。詳細設計、木材製材作業なども取り掛かれるとは思えないし、木造天守閣自体本当にできるかどうかも不明だが、名古屋市は2018年2月議会に詳細設計・木材製材費などとして34億9500万円の予算を提案している。

現在名古屋城を訪れる観光客のうち、名古屋市民は1割程度だ。見た目では半分以上が中国人観光客に思える。この「旅かえる」ブームがいつまで続くかわからないが、今こそ名古屋城を中国にもっとアピールすべきなのに、5月7日で閉めてしまうというものはあまりにももったいない。

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2018-02-07 07:12 searchina
日本のゲームアプリ「旅かえる」ブームがリアルな観光業にも影響、登場する観光地の予約が増加=中国
http://news.searchina.net/id/1653071?page=1
18/2/9(金)名古屋市 平成30年度予算案でいきなり「名古屋城木造化 木材調達」約22億円計上

2018年2月9日、名古屋市は平成30年度予算(草案)を公表しました。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-15-1-2-2-0-0-0.html

新規事業として、名古屋城天守閣の整備34億9500万円を計上しました。
財政局査定では、ゼロ査定だった「実施設計8億6000万円、設計監理等支援業務委託4350万円、史跡内仮設工事9300万円」が市長査定で復活していただけでなく、いきなり「木材の製材」として22億1150万円(債務負担行為 H31-34年度 73億1100万円)が計上されておりました。
(上記と別途、平成29年度11月補正の天守台石垣調査 債務負担行為2億8700万円を計上)

(新規)名古屋城天守閣の整備
3,495,000千円(債務負担行為8,015,000千円)

1 趣旨 特別史跡名古屋城跡の本質的価値の理解促進、及び文化的観光面の魅力向上を図るため、名古屋城天守閣の整備を行う。
2 事業内容(1)実施設計 
 基本設計の結果を踏まえた詳細設計を実施
 30年度860,000千円
 31〜32年度704,000千円(債務負担行為)
(2)設計監理等支援業務委託43,500千円
  天守閣整備事業に係る技術面及び法務面に関する支援
(3)木材の製材
 柱や梁等の主架構木材調達及び製材並びにその施工監理
 30年度2,211,500千円
 31〜34年度7,311,000千円(債務負担行為)
(4)天守台石垣調査287,000千円
 現在実施している天守台石垣調査に加え、石垣の背面や劣化の状況等を詳細に把握するための調査
(5)史跡内仮設工事93,000千円
 仮設事務所の設置
 担当課名古屋城総合事務所整備室主幹(天守閣整備) 電話231-2481

名古屋市は「予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例」に基づき、各課の予算要求内容、財政局査定内容、市長判断を公開するとともに、市民からの意見を募っていますが、「木材の製材」費は出てきていませんでした。
http://www.reiki.city.nagoya.jp/reiki_honbun/i502RG00001216.html

名古屋市財政局財政課の担当者に18/2/9に電話で確認したところ、「木材の製材については、予算要求内容の公開とりまとめ時には間に合わなかった。その後、観光文化交流局から要求が出てきたために、市民に公開されることなく、意見も募集しなかった。一般の市民にとっては、今回の草案ではじめて目にしたことになる。」と説明しました。
なお、この草案は市議会に出す予算案と金額は同じで、わかりやすく説明したものということです。

名古屋城天守閣木造化の木材製材費としては、全部で95億2250万円となっております。
市長査定で認められるのは、例年は一般財源約21億円です。
しかし、名古屋城に関しては特別会計の「名古屋城天守閣会計」を作っており、市長査定を大幅に超える部分の予算を組むことが可能となっております。

なお今回、名古屋城天守閣の整備として34億9500万円計上していますが、これは河村市長の金看板であった。市民税減税の法人分とりやめ34億円とほぼ同額となります。
(上記34億円については、半分を企業寄付促進特例税制とするようです。)

名古屋城に関しては、竹中工務店に委託した期限の2018年2月末までの基本設計+石垣基礎調査が完了する見込みは立っておりません。
・エレベーター設置の有無の方針が2018年3月にしか決まりません。
・石垣基礎調査も大幅に遅れています。
・建築審査会で建築基準法適用除外が行われていません。
・日本建築センターで防災評定・構造評定がなされていません。
・文化庁・復元検討委員会では1秒も木造天守閣について議論がなされていません。
・「木造復元」と明記する「保存活用計画」は2018年3月に名古屋市が定める予定ですが、文化庁がそのように「確認」するかどうかは未定です。

にもかかわらず、平成30年度予算で、基本設計が終了しないと着手出来ない実施設計を認めることは到底できませんし、ましてや、木材の製材費用合計95億2250万円を認めてはいけません。

名古屋の市民・議員・マスコミはこの構図を十分理解し、少なくとも2018年2月末の契約満了時に、法的に有効な基本設計が完成したかを確認するまで、議会はこれら予算を認めてはいけません。
市長個人の責任を大幅に超えてしまい、将来に莫大な禍根を残してしまいます。
・名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託 契約書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-2.pdf

市は何回も答弁で、『市議会は、実施設計や木材購入、現天守閣の取り壊し、新しく作る天守閣の建設などでそれぞれ議会が議決が必要だ。議決がされなければ進まない。その場合、市は損害賠償を竹中工務店に払う必要もない』と答弁しており、契約書上もそうなっています。市議会には慎重な審議を求めます。

・名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf
(予算の成立)
第6条 設計業務調査業務及び工事監理業務に係る契約は予算の成立を条件とする。
2 工事施工業務に係る契約は、工事施工業務に係る予算の成立及び議会の議決に付すべき契約及び財産の取得または処分に関する条例(昭和39年名古屋市条例第43号)第2条の規定に基づく名古屋市議会における議会の議決を条件とする。当該議決を経るまでは仮契約とし、当該議決があったときをもって本契約とするものとする。
3 前2項に係る予算が成立しない場合又は前項に係る議決が得られない場合は、本事業を中止し、契約の締結をしないことがある。また、その場合、当該予算に係る業務については発注者、優先交渉権者の間に何ら権利義務が発生せず、発注者は予算の成立について何ら責を負わない。

(事業の中止等)
第18条 本事業が中止になった場合、本基本協定が解除された場合又は価格等の交渉の不成立が確定した場合、発注者は契約を締結していない部分については損害賠償の責めを負わない。
2 本事業が発注者または優先交渉権者の責めに帰すべき事由で中止になった場合、その相手方は損害賠償の請求をすることができる。

◯平成28年3月17日 名古屋市会経済水道委員会
http://www.kaigiroku.net/kensaku/nagoya/nagoya.html
◆斉藤副委員長 交渉・提案方式、この言葉についてはちょっと一度、今そういうことでありますので、ぜひそれは入れていただきたいということと、交渉・提案方式というのは、当然こちら側、地方自治体側から見ると、チェック機能が果たせない。我々議会がその中で今後チェック機能が果たせるときというのは、どこの段階で、設計なんですか、それともその後、設計がたしか複雑に3段階ぐらいに分かれていたと思います。要するに、時間を短縮するために設計、三つある工程をすっと設計を一つのスパンにしたりだとか、そういういろいろなシミュレーションがあったと思いますけど、どの時点で、これはやっぱり2020年7月にできないんじゃないかという議会がそう思うとき、また、執行部さんはどう思われるかわからぬですけど、ちょっとその中で思った場合、どこでチェック機能が果たせる、どういった段階でこの2020年7月、交渉・提案方式が2020年7月のところがちょっと難しいんではないかというところは、どの時点で議会のチェック機能が果たせるんでしょうか。
◎下山市民経済局名古屋城総合事務所長 まずは、新年度に入りましては、技術提案の優秀提案が出てまいりましたら、速やかに所管事務調査等でまずは御報告をさせていただくと。その後、市民アンケート、市民報告会を経まして、まずは議案の提出という形になろうかと思います。それは、設計費の予算であったり、あるいは工事費の予算であったり、工事費の契約の議案であったりという、そういう形になろうかと思います。
 そういう中で、私どもも議案の提出の途中段階でも必要に応じて適宜御報告なりをさせていただければというふうに思っております。
◆斉藤副委員長 よく適宜、使われますけども、適宜は当然のことであろうかなと私、思っております。その中で議案としてというのは、総務省のいう観光その他債が出てきたときにしかとめられないということなんですか、議案というのは。
◎下山市民経済局名古屋城総合事務所長 議案ということで、補正予算の議案もありますし、今おっしゃられた特別会計の設置の条例、そういった部分もございますし、そういうようなお諮りをする機会ということでございます。
◆斉藤副委員長 今、くしくも所長さんが、ますし、ますしと言いますけど、一遍どこの時点で、何段階を経て、これがそうやって出てくるのか教えていただけますか。「ますし、ますし」ってそんな議案がたくさんぼんぼこ、この技術・提案方式によって、また観光その他債によってとんとこ出てくるものなのですか。チェック機能が果たせるんですか。
◎寺本市民経済局名古屋城総合事務所整備室主幹 技術提案・交渉方式の流れの中では、まず最初の契約というのが設計段階でございます。そのときにまず議会の皆様に予算の御了解をいただく必要が発生してまいりますので、まずはそのときにお諮りいたします。
 そして、設計が始まりましたら、今度はできた設計によりまして積算を行います。そして、その積算を行った上で次に工事の契約をいたしますので、そのときにまた議会の皆様にその予算をお諮りすることになりますので、完成までには技術提案・交渉方式の中の流れといたしましては、その2回の契約時にお諮りさせていただくことになります。
◆斉藤副委員長 ということは、2回そこでいろいろな諸条件が整い次第、また議会のほうに報告をまたそうやって議案として出てくるということは、議会の総意でまた決定していくことでしょうけども、2回あるというふうで理解して、これでいいんですね。
◎寺本市民経済局名古屋城総合事務所整備室主幹 委員おっしゃるとおりでございます。


18/2/8(木)名古屋城跡保存活用計画案 パブリックコメント学習会開催

2018年2月8日「名古屋城天守を戦後復興市民のシンボルに」という団体が、特別史跡名古屋城跡保存活用計画案 パブリックコメント学習会を行いました。
https://www.facebook.com/1740949266229351/

まず、ビデオ「名古屋城天守を戦後復興市民のシンボルに」を見ました。
https://www.youtube.com/watch?v=7bzvZ_BKN9w&feature=youtu.be

続いて、名古屋市民オンブズマンの内田隆がそもそも、パブコメとは何か、さらに、名古屋城の憲法ともいえる現在有効な「全体整備計画」から「保存活用計画」に変更されようとしていることを説明しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180208.pdf

続いて、高田廣司さんがその保存活用計画に何が書いてあるかを説明しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180208-1.pdf
☆市の「保存活用計画」案 http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000101416.html

名古屋市民オンブズマンの内田さんは、「上記保存活用計画には、初めて天守閣の整備方針を木造復元とする大転換にもかかわらず、耐震改修・長寿命化との比較がきちんとなされておらず、資金計画も全く書かれていない。時代設定がバラバラなど、多数の問題点を抱えている」と説明しました。
さらに、「市民説明会が6回あったが、保存活用計画の重要性や、なぜパブコメを行っているかなどの説明はなかった。会場から意見を言った人の9割は反対意見だった。市は名古屋城の敷地に来た人の半分しか天守閣に登れないという試算を出している、木造天守閣を国宝にする方法は不明など、極めて杜撰なものだ。詳細はニュースに載せたので見てほしい」としました。http://www.nagoya.ombudsman.jp/news/193.pdf

内田さんは、「制度としてのパブコメは、市は考え方を示す義務がある。きちんとパブコメで問題点を指摘して市に提出するとともに、予算を審議する市議会にも問題点を伝え、保存活用計画案を再度検討させるべきだ」としました。

また、街頭で500人以上のシール投票をした西浦愛子さんは「名古屋市民は現在の天守閣を壊すことをあまり知らない。きちんと説明すると、ほとんどの人が反対してくれる。1月9日から31日までシール投票を行ったが、504:6で6回の説明会で、圧倒的に反対が多い。木造賛成派の人はいい加減なことしか言わない。市はお金の力で市民に嘘をばらまいている。市議会も勉強していない」としました。


続いて、一級建築士の高橋和生さんが会場からの様々な質問に答えました。
高橋さんは「市議会は、議員報酬あげるかわりに木造天守閣を認めると、河村市長とバーター取引をしている。マスコミもきちんと言わない。
しかし、2018年2月末までの基本設計契約は、エレベーターがどうするかも決まっていないだけでなく、地下ケーソンを調べろと市が言ったにもかかわらず、ケーソン調査をしていない。ケーソンの下まで杭を打つというのは、史跡破壊になり文化庁は認めるはずがない。市の建築審査会で建築基準法適用除外も決定していない。日本建築センターの防災評定、構造評定もとっていないなど、プロから見れば基本設計として2月末までに完成しないことは明らかだ。
基本設計が終了しないと実施設計に移れない。現在、行政不服審査法に基づき審査請求をしている」と述べました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170826takahashi.pdf
http://bit.ly/2BPCNMz

内田さんは、「多くの人は勘違いしているが、市は何回も答弁で、『市議会は、実施設計や木材購入、現天守閣の取り壊し、新しく作る天守閣の建設などでそれぞれ議会が議決が必要だ。議決がされなければ進まない。その場合、市は損害賠償を竹中工務店に払う必要もない』と答弁しており、契約書上もそうなっている。
市議の立場からすれば、「俺たちが予算を認めた基本設計8億円が竹中に渡っているにもかかわらず、2月末に基本設計ができないというのは、議会無視だ」と怒らせるのは良いのではないか」と述べました。
・名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託 契約書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-2.pdf

高田さんは「広報なごや2018年2月号で、100万部『名古屋城天守閣木造復元進行中』とばらまいたが、よくよく読むと、市職員は市長名の指示書があるため、いやいや木造化を進めていることがわかる。」としました。
http://bit.ly/2BO87LA
・平成27年8月24日 指示書 市民経済局長 宮村喜明殿 名古屋市長 河村たかし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf

内田さんは「市財政局も実施設計予算を認めないとするなど、木造化には反対している。市民が声を上げるべきだ」としました。
http://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000100789.html

電動車いすでの参加も2名おり、「電動車いすは、100キロ以上ある。上に乗っている人も含めると、相撲取りぐらいの重さがある。背負子云々と市長が言っているが、傾斜50°の階段を担ぐなんてとてもできない」としました。

高橋さんは「当初の竹中工務店案の小型エレベーターでも、手動車いす1台しか乗れず、電動車いすは乗れない」としました。

最後に高橋さんは、「木造天守を復元した大洲城や掛川城では、市民の民意があり、掛川城は建設費11億円すべて寄付で賄った。
違法建築ではあるが、文化庁も建築審査会も民意がしっかりしていれば、なかなか反対しにくい。
多くの『木造化反対』の声をパブコメを市に出すだけでなく、文化庁や建築審査会に提出することも重要だ。
文化庁の人の一部には現在のコンクリート製天守閣を壊し、石垣のみの形が本来のあるべき姿だという意見もある。そうではなく、戦後復興のシンボルとして現天守閣を末永く残していきたい。」としました。

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☆市の「保存活用計画」案 パブリックコメント18/2/15(木)必着
 http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000101416.html


18/2/7(水)名古屋城石垣部会+天守閣部会合同部会等議事録+業務日程表 ようやく公開

以前に行われた、特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議や天守閣部会、石垣部会の
各議事録、ならびに竹中工務店から出された業務日程表が情報公開請求で公開されました。

・17/10/13 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第24回)議事録
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171013-5.pdf
 瀬口座長は、天守閣部会は安全性を考慮し、石垣部会は安全性を考えていないと発言し、石垣部会の北垣・宮武・千田各構成員が「それは違う」と即座に反論しています。にもかかわらず、瀬口座長はいまだに違いを認めていません。

・17/11/6 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第25回)議事録
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171106-6.pdf
いきなり保存活用計画案を見せられた赤羽構成員は、「耐震改修よりも木造復元とだという結論ありきだ。比較をきちんと行っていない。木造復元に関し、バリアフリーや防火の問題について、精査すべきではないか」と言っています。

・17/8/7 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第4回)議事録
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170807-5.pdf

・17/8/29 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第5回)議事録
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170829-5.pdf

・17/11/16 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第6回)議事録
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171116-5.pdf
古坂構成員は、天守閣部会では何をするのか。またスケジュールが出されていないことに疑問を呈し、工期が延びて失敗するのではないかと心配しています。
それに対し瀬口座長は「一番最後に答える」と言っておきながら、結局答えませんでした。
また、名古屋城総合事務所は、エレベーターをつけないという案について個別に天守閣部会に意見を聞いていたことを暴露。小野副座長は非公開の会議で、2階までエレベーターをつけてはどうかという提案を検討するよう依頼したが、結果が説明されていないとしました。


・17/8/9 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会(第23回)議事録
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170809-5.pdf
宮武構成員は、石垣調査を竹中工務店に外注するしていることに反対しています。
竹中工務店は裏付けの原本は見ていないことを白状し、宮武構成員は「竹中工務店作成のレポートは学生のレポートレベル」と言いました。

・17/9/12 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会(第24回)議事録
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170912-5.pdf

・17/5/9 竹中工務店作成 業務日程表
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-5.pdf
 基本設計その他業務委託は2月末までに終わらせることになっています。
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このような議事録は、会議が終わったらすぐに情報公開請求しなくても公開すべきです。
しかし、議事録が完成するのに3ヶ月程度かかります。

そもそも、これら有識者会議は、傍聴者が10人しか傍聴できず、しかも、録音録画もできません。報道機関のカメラすら審議中は入れません。インターネット中継もありません。
これらの議論を即座に公開し、市民の判断ができるような材料をつくるべきだと考えます。


18/2/8(木)18時半〜 名古屋城パブコメ学習会に参加を(金山市民会館)

18/2/8(木)18時半〜、「名古屋城天守を『戦後復興市民のシンボル』に」という団体が、金山の市民会館で「特別史跡名古屋城跡保存活用計画(案)」パブリックコメント学習会を行い、名古屋市民オンブズマンの内田隆が、今回のパブコメの位置づけと名古屋市の説明の矛盾を説明します。
・チラシ
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/pabukome180128.pdf
・パブコメ学習会案内
 https://www.facebook.com/events/144155032942448/
是非ご参加下さい。

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名古屋城パブコメ学習会

日時:2018年2月8日(木)18時半〜
会場:日本特殊陶業市民会館 第二会議室(地下鉄金山駅直結)
 https://nagoya-shimin.hall-info.jp/kaikan/access.html
タイムテーブル
 ・ビデオ:名古屋城天守を「戦後復興市民のシンボル」に
 ・なぜ今名古屋市は名古屋城パブコメを募集するのか+全6回質疑まとめ
  名古屋市民オンブズマン 内田隆
 ・パブコメの概要の概要 高田廣司
 ・シール投票の現状 西浦愛子
 ・質疑応答 高橋和生(一級建築士)
参加費:無料(カンパ募集)
主催:名古屋城天守を「戦後復興市民のシンボル」に
 https://www.facebook.com/1740949266229351/
2/15(木)締め切りのパブコメならびに資料はこちらから
 http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000101416.html
 

18/2/2 名古屋城木造復元 竹中工務店との基本設計等の発注契約書の仕様の開示

名古屋城天守閣の木造復元に関し、竹中工務店に委託した基本設計や石垣基礎調査等の発注契約書の仕様が18/2/2に開示されました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180202.pdf

今回、17/12/18に情報公開請求しましたが、1ヶ月半かかった後の18/2/2になってようやく全面公開されました。
どうしてこんなに遅くなったのかは不明です。

これを読むと、18/2/28までに、基本設計だけでなく、仮設建築物設計や現天守解体設計、さらに、調査業務、史実調査、地盤調査、石垣調査、積算業務、施行技術検討業務、関連法令等行政手続き業務が含まれていたことが分かりました。

当初は、現天守閣地下に埋まっているケーソン基礎をボーリングすることになっていました。
しかし、石垣部会が石垣調査のための調査しか認めないとしたためにいまだにケーソンを調査しておらず、今後行う予定の石垣詳細調査でも、ケーソン基礎を調査する予定になっていません。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171013-2.pdf

天守閣部会の事務局業務も、竹中工務店に委託していたことが分かりました。
また、成果物として、文化庁 復元検討委員会の協議調整に必要となる資料については、回答及び修正を行った上で提出することと記載がありますが、いまだに復元検討委員会では、1秒も名古屋城天守閣復元に関して議論がなされておりません。

石垣調査について全面的に竹中工務店に委託していたこともわかりました。
18/2/1になって、石垣調査が再開されましたが、期限の18/2/28までに調査が終わるかどうかは不透明です。

また、ユニバーサルデザイン整備基準整備計画書というものがついてあり、スロープはもちろん、視覚障害者誘導用ブロック、エレベーターなどが、ついているかどうかのチェック表までありました。

また、エレベーターを設置するかどうかも方針が決まっておらず、その他耐火・耐震等の検討について、「史実に忠実」とどう調整するのか、なにをどう現代技術を「添付」するのか、さらにどこで誰が決定するのかすら決まっておらず、基本設計が完了する見込みが立っておりません。

期限以内に委託が完了しない場合、どのようにするのか全く不明です。しかも、履行保証が「無」となっています。

・名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf
・名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託 契約書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-2.pdf
 
18年2月末にどうなるか、注視したいです。


18/1/31 名古屋城石垣部会による瀬口座長発言抗議書簡がついに公開

名古屋城天守閣木造復元をめぐり、特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議座長の瀬口哲夫・名古屋市立大名誉教授による「天守閣部会は(入場者らの)安全性を考慮している。石垣部会は安全性を考えていない」発言に対して17/10/16に全体整備検討会議石垣部会が名古屋市に提出した書簡の内容がついに全面公開されました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171016.pdf

これまでは、「公にすることにより、特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議にかかる事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため(名古屋市情報公開条例第7条第1項第5号)、内容が非公開でした。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171121-2.pdf

石垣部会の抗議だけでなく、河村市長自らが瀬口氏への発言撤回を求めるも、いまだに瀬口氏は発言を撤回していません。

石垣部会は、瀬口氏へ撤回と謝罪を引き続き求める書簡を2018年1月17日に市長と名古屋城総合事務所長に提出した上で、18/1/30に石垣部会を再開しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180117-1.pdf

瀬口氏発言は、石垣部会を侮辱するだけでなく、全国の石垣保全にマイナスになります。
瀬口氏は、マスコミからの質問に一切応じておりません。

一刻も早く瀬口氏は発言を撤回・謝罪すべきですし、市長をはじめとする市当局は瀬口氏への働きかけならびに座長・有識者としての適格性の検証もすべきです。

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名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm

以下、17/10/16石垣部会書面全文
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名古屋城総合事務所所長
西野輝一様

 あってはならぬことが、いってはいけない発言が、マスコミも見守る公式の、公開の場でおこってしまいました。これから秒読みで保存活用計画にしっかり書き込まねばならぬ最大の課題を残す中での発言であり、これからの文化庁との対応次第では、難しい局面となりましょう。しかも、苦労して、初めて集まった4部会の前での、それを束ねる立場にある全体整備検討会の座長、瀬口氏の発言です。
 そもそも、特別史跡「名古屋城跡全体整備検討会」が開催されるきっかけは、石垣部会に対して、名古屋市市会議員団からの依頼で、行った公開の意見交換会でした。議員団からの質問の1つ目は、天守台石垣上に残るコンクリート製天守を撤去し、それに新たに復元天守を設ける実施計画が、「天守閣部会」で進行中である。それに対して石垣部会は、既に決まっている工期、工程等の実施計画に対し、どう対処するつもりなのか。
 石垣部会からの回答として、「天守閣部会」から公式の連絡は一切ない。だから、すでに関係者間で決められている工期、工程案に対して、石垣部会からどうこう申す事は一切ない。示されたご提案で進めるのみである。2つ目の質問は、今後、石垣部会に対し、合同の集会への参加を求められた場合、どうするのかと言う問いには、求めがあれば、いつでも出席すると応じている。
 今回の全体整備検討会の冒頭、「石垣部会からの提言」の補足説明の中で、現在の石垣部会の全身は、平成14年度から始まった大手搦手馬出石垣委員会であり、現在も文化財としての石垣修復工事を継続中と報告した。さらに報告として、国の特別史跡内の天守台へ、復元天守をおく計画案といった、指定文化財への現状変更行為は、保護以外の目的で進める事は基本的にあり得ない(文化財保護法)。そのために、文化財石垣としての、遺構の価値の検証と保護対策として、事前の考古学的調査が不可欠なのであり、すでに必要な調査を始めている。今後、4部会で調査結果を共有する必要があることにふれ、そのための対策案も提示したのである。おそらく、こうした一連の調査が認められて、初めて、文化庁からの何らかの回答が予想できるのではと、補足説明をした。これが全体整備検討会までの、石垣部会が進めてきた経緯です。
 今回の瀬口氏の発言は、石垣部会が、文化財の保護のみに固執して、安全や人命を軽視すす集団だとみなされており、意図的な印象操作と映ります。印象操作といえば、西形先生からの発言で、「天守閣部会も石垣の保全が、特別史跡の整備、活用にあたっては、その保全が基本になることを、しっかり理解すべき」といった内容に対し、瀬口発言では、180度反対の天守閣部会の理解に仕上げて、石垣部会の考え方を否と解しました。市長コメントを出された市長さんは、納得されるのでしょうか。
 重要な事は、前述した「石垣部会からの提言」の冒頭でもふれたように、大手搦手馬出委員会では、西田一彦先生指導の下に、文化財石垣の持つ本質的価値の保存(担保)と、地盤工学からの徹底した安全性の確保を図りながらの調査を実施してきた。現在のところ、搦手
馬出石垣は、文化財保護を前提に、伝統技術を基本としながら、史跡の整備としての安全性を考慮した整備をを心がけてきたのである。全国での実施事例としては、極めて高い調査水準を維持しているといえる。それだけに、前座長の西田先生に対して、瀬口発言は、先生の指導を受ける石垣部会メンバーにとっても、先生のこれまでのご研究を否定するかの発言であり、看過できない。
 一時的にせよ、石垣部会において座長まで務められた瀬口氏が、石垣部会は、文化財の保護、本質的な価値のみを重視して、安全性、人命を軽視していると言う発言には、さらに、重大な問題発言と言える。それは、今全国各地で実施されている、文化財石垣の修復工事に対する挑戦とも受け取られる。
 まず、文化庁であるが、安全性、人命を軽視して修復工事を全く認めてはいない。当然、
石垣部会としても、十分配慮しながら対策を講じている事は、すでにふれたところである。
瀬口氏の発言は、現在注目されている熊本城や、全国の修復工事に関わる「文化財石垣保存技術協議会」に関わる人々にとっても、けっして見逃すことのできぬ重い言葉である。
 近く、天守閣部会も開催されるであろう。同部会としての今回の瀬口発言をどのように総括されるのであろうか。その状況次第によっては、当石垣として抗議の意を明確にするため、全委員の離任、部会の解散を念頭に、すでに全委員からの合意を得ている。
 前回の瀬口氏による不用意な発言(石垣部会の「越権行為」云々)に端を発する混乱に対して(別添の元NHK解説員毛利和夫氏の評論参照)、当石垣部会としては、市当局が推進する特別史跡「名古屋城跡」保存整備のための、事業全体に対する悪影響を予測し、これを回避するための調整に協力しました。しかし、今回、4部会を総括する全体整備検討会の座長である瀬口氏は、2度目の問題発言をされました。氏の認識には、その後も変化がないことが理解できました。
 そうした座長の姿勢と、特別史跡としての保護方針に対する挑発的と思える態度に、当部会から厳重な抗議が起こっていることを、西野所長より伝えていただきたいと思います。ここであらためて全体整備検討会、および天守閣部会の総括責任者として、今回の問題発言を明確に撤回され、加えて石垣部会に対して謝罪行動がない限り、文化庁に経緯を報告した上で、現行の石垣部会の解散(全員委員の離任)を行う予定です。
 なお、このことは全委員(赤羽、千田、宮武の各委員)の総意によりますので、重ねて申し添えます。
 以上、縷々述べましたが、瀬口氏が座長のままで、4部会と全体整備検討会の協力的調整が得られるのでしょうか。マスコミや文化庁側から見ても、極めて異常な事態ですが、私ども石垣部会としては、このままの状態で、本来の機能の維持は無理であろうと判断しますが、いかがでしょうか。
 今週以降の、瀬口氏の去就に注視したいと思います。
2017年10月16日
北垣聰一郎(石垣部会を代表して)

18/1/30 名古屋城「石垣部会として『保存活用計画(案)』を認めない」明言

2018年1月30日、石垣部会が行われ、2018年3月に名古屋市としてまとめる予定をしており、現在市民から意見を募集している「特別史跡名古屋城跡保存活用計画(案)」について、「石垣部会としてはこれを認めない」とする意見をまとめました。
今回も、傍聴者は録音・写真が禁止されました。
・配布資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180130.pdf
・名古屋市民オンブズマンメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180130-1.pdf
 
まず、石垣部会がどうして再開したかを述べました。
しかし、2018年1月17日に石垣部会として提出した文書が、石垣部会だけでなくマスコミや傍聴者に配布されていないことを構成員が抗議し、市民に初めて公開されました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180117-1.pdf
再開に当たり、石垣部会から名古屋市に提出された5件の条件に対する考え方を聞かれ、名古屋城総合事務所の西野所長は以下回答しました。

 1 瀬口座長に対しての撤回と謝罪を引き続き求める
   →事務局として、要請を受け止めて、瀬口座長にこれからも引き続き伝え、意思を確認する
 2 搦手馬出修復 軌道修正する 
   →先生方の指導を得て着実に修復を進めたい
 3 文化庁記念物課によって固まっていない調査は今後審議しない
   →石垣を保全せよという観点、名古屋城全体整備の観点。
    先生方にご審議したいことを相談。
    審議対象となることを審議。
 4 藩政期以前保存、安全に反するもの 旧城の回復を求める。
   →伝える 「審議対象でない」ご報告する中で、ご提言いただけるものはいただきたい
 5 本丸北西 トレンチ調査 専門的見地 調査再開すること  
   →しっかり調査したい

千田嘉博・奈良大学教授は「天守台石垣調査については、天守台石垣の保全を目的として調査をしており、それ以上でもそれ以下でもない。しかし、これまでのほとんどすべての報道は、『木造復元のための露払い調査』と誤って報道されている。
名古屋市が木造復元すると市長・議会が決めても、史跡の整備ができるかは関係がない。石垣部会は、文化庁によってオーソライズされておらず、現状変更許可が下りていないことについて過去議論していないし、法に反する。文化庁の文化財保護課、復元検討委員会では、これまで1秒も木造天守閣のため議論をした事は無い。市は、石垣調査と木造復元と直結しているような説明がなかったかぜひ襟を正して欲しい」と言うことを再度述べました。

次に、搦手馬出の調査について話をしましたが、名古屋市の担当者が少ない中、搦手馬出の調査と、天守台石垣調査を同時並行できるのか、今年度中に出来るのか、文化庁へ提出した書類記載の担当者と実際が違うのは問題があるのでは、と言う疑問が出されました。

続いて、天守台石垣に調査について資料が出されました。
しかし、資料が雑多に出されており、何のための資料提出がわからない、とする意見が多数出されました。
また、「資料を踏まえた名古屋市の見解はなにか?」と構成員から聞かれても、調査は業者に丸投げなのか、名古屋市は回答しませんでした。資料の作り方が雑で、議論できないとしました。
(参考::「名古屋城天守閣整備に伴う調査業務 地盤調査」土層断面推定図は株式会社東京ソイルリサーチと記載。
平成29年度 特別史跡名古屋城跡石垣カルテ作成業務委託は株式会社四航コンサルタントが15,360,000円で17/12/14落札済)
 https://www.chotatsu.city.nagoya.jp/ejpkg/EjPPIj 

続いて、現在市民からの意見を募集している「保存活用計画(案)」について報告がありましたが、石垣部会の構成員からは「どうして『議題』ではなく『報告』なのか。石垣部会としては初めて資料を見た。きちんと意見が反映されるのか?」と言われました。
名古屋市は「石垣部会の皆様からの意見を踏まえて、反映できるところは反映したい」としか言わず、きちんと反映されるかは非常に不明です。
宮武正登・佐賀大学教授は「庭園にせよ、建造物にせよ、石垣にせよ、どの時代の形を目標にして保存・回復していくか、統一性が取れた指標が示されていないなど、内容が大変矛盾している。こんな矛盾した保存活用計画(案)が採用されると、これに縛られてしまい、大矛盾による混乱が起きて石垣修理は間違いなく頓挫する。
今回、『石垣部会に保存活用計画(案)を報告した』と実績づくり使われるのを恐れる。石垣部会として議題としてあげ、内容を反映していただきたい。」と強く述べました。
名古屋市は保存活用計画(案)について議論が尽くされていないことを認め、石垣等について保全方針を別途作るという方針を示しました。
千田教授は「これでは文化庁から『保存活用計画としては不備』としてやり直しを命じられる。しかも名古屋市が公式の会議で『議論が尽くされていない』と言っちゃった。残り2ヶ月では無理。ひどい内容でどうにもならない。専門家が議論して作らないと、実際の活用の際に動けなくなる。」としました。

赤羽一郎・愛知淑徳大学非常勤講師は「石垣部会としては『保存活用計画(案)』を認めない。1年ほど練ってほしい。このままでは恥ずかしい。」と述べると、西野所長は「『石垣部会としては認めない』ということを受け止めさせていただく。進め方は本日の意見を踏まえて一度考える」としました。
その後、石垣部会構成員は記者会見をしましたが、傍聴者は会場から排除されました。
記者会見終了後、石垣部会の構成員は、現在調査が行われている。天守台石垣の発掘調査について、現場視察を行いました。

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名古屋市は18/2/15まで『保存活用計画(案)』について意見募集していますが、石垣部会にすらきちんと意見を聞いていない『保存活用計画(案)』は市民としてとても認めることが出来ません。
・パブコメ募集詳細(名古屋市ページ)
 http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000101416.html

平成24年12月に文化庁が確認した、現在有効である「全体整備計画 増補版」では『現在の鉄筋天守を活用していく』と明記してあります。
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000045497.html

少なくとも、4つある各部会に『保存活用計画(案)』を議題としてあげた上で練り直し、再度パブリックコメントを取るべきです。(名古屋市民オンブズマンは以前からその旨主張していました)。
今後少なくとも数十年間の名古屋城の保存・活用・整備方針を決める重要なものです。
2018年3月末までに『保存活用計画(案)』を策定する必然性はありません。2018年3月末には、収支予測・来場者予測も完了し、エレベータ設置の有無の方針も決まっているはずです。

2018/1/30時点まとめ
・名古屋城天守閣木造化は、文化庁・復元検討委員会が認めたわけではない。
・天守木造化を明記する『保存活用計画(案)』は2018年3月完成目標だが、石垣部会は認めないと明言。
・名古屋市議会は、2017年3月に基本設計+石垣基本調査予算8億4721万6844円を議決しただけ。
 基本設計終了後、実施設計等予算17億4500万円を2018年2月議会で審議予定。その後、現天守閣解体、木造復元建設予算を議決予定。
 いずれも議会の議決がなければ天守閣木造化は進まないし、議会の議決が得られなくても、市は竹中工務店に賠償する義務はない。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-2.pdf
・名古屋市は竹中工務店に2018年2月末までとして「基本設計・石垣基礎調査」を委託したが、終了する見込みなし。
・2018年3月末までに、名古屋市は収支予測・来場者予測完了、エレベータ設置の有無の方針決定
・石垣詳細調査(3億4000万円)開始のため、2018/5/7天守閣閉鎖予定も、調査開始めどが立たず。
18/5/7〜木造天守閣竣工まで、「名古屋城木造復元に伴う調査及び工事」で入場禁止と伝える看板

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なお、名古屋テレビなど「石垣部会は文化庁が何も認めていない木造復元に絡んだ審議はできない」と報道するなど、マスコミの報道も徐々に変わっています。
https://www.nagoyatv.com/news/?id=177339&p=1

18/2/8(木)18時半〜、「名古屋城天守を『戦後復興市民のシンボル』に」という団体が、金山の市民会館でパブコメ学習会を行い、名古屋市民オンブズマンの内田隆が、今回のパブコメの位置づけと名古屋市の説明の矛盾を説明します。
・チラシ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/pabukome180128.pdf
・パブコメ学習会
 https://www.facebook.com/events/144155032942448/
是非ご参加下さい。


18/1/28 名古屋城天守閣木造復元シンポジウムに300人

2018年1月28日に、名古屋市は名古屋城シンポジウムと説明会を行い、約300人が集まりました。
・配布資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180128.pdf
・まとめ(名古屋市民オンブズマン作成)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180128-1.pdf

会場前では、「名古屋城天守を『戦後復興市民のシンボル』に」と言う団体が、「疑問・問題だらけの名古屋城説明会」と言うチラシを配り、パブリックコメントを出しましょうと呼びかけていました。
2/8(木)18時半〜、金山の市民会館でパブコメ学習会を行うとのこと。
・チラシ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/pabukome180128.pdf
・パブコメ学習会
https://www.facebook.com/events/144155032942448/
・パブコメ募集詳細(名古屋市ページ)
 http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000101416.html


はじめに、徳川美術館学芸部の原史彦さんの講演がありました。
「焼失した木造名古屋城は他の城とは違い、大変資料が残っている。5回も設計変更をしたことがわかっている。加藤清正はわずか3ヶ月で天守閣を築いた。建物は徳川家康が『とにかくとっとと作れ』と命じ、徳川家が御殿より後回しにして作った。完成後は、尾張藩主といえども、天守閣や本丸御殿には自由に入れなかった」と説明がありました。
・名古屋市民オンブズマンの感想 
過去の資料は豊富ですが、現在名古屋市が復元しようとしている木造天守閣についての資料は市民に公開されていません。
とにかく急いで名古屋城を作れ、と命じているのは、徳川家康も河村たかし名古屋市長も同じようです。しかし、過去の名古屋城も設計を5回も変更しています。現在の復元計画も、耐震改修を含めて何回も設計変更すべきではないでしょうか。

その後、名古屋市と竹中工務店から、現在の木造復元に関しての説明がありました。現在パブリックコメントを募集して、現在の耐震改修の方針から、木造復元に変更することを意見募集していますが、耐震改修の詳細については全く説明がありませんでした。
なお、今回ようやくPowerPointの資料が配布されました。

続いて、会場からの質疑がありました。河村市長は壇上に上がりませんでした。
車椅子の人が、何人も来て「私たちは木造天守閣に上れるのですか?背負子や抱えられて登るのは嫌だ」と質問しましたが「3月に方針を決定する」と言うのみ。
また、バリアフリー対策に関し、「市の検討会議をどうして非公開で行っているのか?」と言う質問に対しては、「庁内の会議だから非公開」としか言いませんでした。
なお、河村たかし名古屋市長が提案した「背負子の検討」というのは、「安全性や恐怖感の懸念など実現可能性も含めて十分検討する」と言いました。
また、「木造して復元しても、名古屋城の歴史はわからない。歴史博物館で展示してはどうか。」と言う意見も出ましたが、「展示施設を別途設ける予定」と説明するだけ。
さらに、木造天守閣にした際と、コンクリート天守閣を再建した場合の経済性について質問がありましたが、名古屋市からは回答がありませんでした。
さらに、「加藤清正は朝鮮半島を侵略した人だ。それらを郷土の英雄と称えるのはアジア各地への誤ったメッセージにならないか」という意見もありました。

1人目 文化財は建築基準法の適用除外になると理解している
     →建築基準法3条1項4号に基づき、建築審査会の同意を得られれば適用除外可能
    木造天守閣と、鉄筋コンクリート製天守閣の経済性を試算しているのか
    →木造をより大事に持たせたい(経済性の試算なし)
2人目 名古屋城木造天守閣が出来れば魅力が増える。港や熱田神宮とどうつながるか
    →堀川とつながるなど戦略を考える
3人目 市長は背負子と言うが、今の天守閣で背負子で担げるか検証を
    →安全性、恐怖感の懸念など、実現可能性も含めて十分検討
   バリアフリー検討会議がどうして非公開か
    →内部の会議なので、十分尽くした上で方針を決めて公開する
4人目 歴史などは木造復元してもわからない。歴史博物館で展示してはどうか  
    →構造を見せることで理解可能。収蔵施設を別途設ける予定
   殿様でさえ一生に一度しか天守閣に入らなかった。嫌だったのではないか
    →嫌かどうかは不明。戦後復興の価値はあるが、耐震性、老朽化を踏まえた。
5人目 電動車椅子の私は天守閣に登れるのか。抱えられるのは嫌。人工呼吸器を
    下ろしてチェアリフトに乗れない。
    →3月までに方針を決定する
6人目 100分の100模造品を作る感じ。400万人が急な階段を上るのは不可能。
    →本質的価値の理解の促進。運用は姫路城を踏まえる
    市長が自ら名古屋の魅力をないと発言している
    →回答なし
7人目 なぜ今名古屋城復元しないといけないか。加藤清正は朝鮮半島侵略者
    →名古屋市民にとってシンボル。耐震性など放置できない
8人目 犬山城などと連携できれば
    →市民のアイディアを募集したい
9人目 電動車椅子、高齢の人達が見れるよう、エレベータをつけて欲しい
    →3月末までに検討
10人目 東南海地震対策はどうなっているのか。石垣が壊れてはいけない
    →どう付加要素をつけるか検討中
    解体中、建設中の資料を残してはどうか
    →記録する

多くの人の質問希望がありましたが、今回も一方的に質問を打ち切り、河村市長が最後にまとめを言うために、69歳の河村市長は舞台上の細い通路を「危ない」と言いながら歩きました。この程度で危ないと言っている人が、傾斜50度の木造名古屋城の階段を登れるのでしょうか。


河村市長のまとめ
「会場からは、1 木造をやるか 2 バリアフリーの問題 について発言が出た。
1については、去年、私は早期復元、木造復元とはっきり宣言して市長選挙を行い、圧勝して民意が示された。私には一切自己顕示欲はなく、私利私欲もない。
2つ目については、背負子も言ったが、近代技術を加えてできるかもしれない。現在検討中である。ドローン技術と言う人もいる。皆で知恵を出し合っている。」としました。
いくら「民意」が示されたと言っても、違法なこと、弱者を虐げることはしてはいけません。
いつ完成するかわからない技術が「できるかもしれない」というのは、責任放棄です。各種法律にも適合が必要です。竹中工務店との契約上、2018年2月末までに基本設計・石垣基礎調査は完了しないといけません。

今回、出席した竹中工務店は質問に対して一言も話しませんでした。
市長の無理難題と、石垣部会・バリアフリー・国対応の板挟みになり、大変困っているのではないかと推測します。
基本設計・石垣基礎調査委託終了予定の2月末、名古屋市と竹中工務店、名古屋市議会がどうなるか非常に関心があります。

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今後のスケジュール
・1/30(火)10時〜 石垣部会
・2/15(木)名古屋城保存活用計画(案)パブコメ締め
・2/19(月)名古屋市2月議会開会 平成30年度市予算提案(実施設計等17億4500万円)
・2/28(水)基本設計・石垣基礎調査委託終了予定
・3/20(火)名古屋市2月議会閉会
・3月中   エレベーター設置の有無方針決定
      収支予測・来場者予測委託終了予定
・5/7(月) 天守閣閉鎖予定

18/1/16-24 名古屋城説明会(全5回) 代表的な質問と回答まとめ

18/1/16-24 名古屋城説明会(全5回) 代表的な質問と回答、回答のおかしさを以下まとめました。

1月28日(日)10時〜 鯱城ホールのシンポジウムでご活用ください。
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000100606.html
また、2月15日(木)まで、木造天守復元を明記するというパブコメも行っていますので、ぜひご意見を伝えましょう。
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000101416.html

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名古屋城説明会 全5区で開催。延べ340人ほどの参加。
質問 合計34人 うち9割は木造復元に反対もしくは疑問。

1/16(火)西区 100人 6人質問 
1/18(木)港区 43人 5人質問 
1/19(金)北区 60人 5人質問 
1/23(火) 名東区 100人 10人質問 
1/24(水)南区 40人 8人質問 

代表的な質問と回答と、回答のおかしさ

【質問1】名古屋市は、最大1時間に3000人名古屋城に来るも、
 木造天守閣には最大1時間1500人しか登れない試算を出しているが、どうすればよいか(1/24)
【市の回答】2018年3月末までに試算を精査する。
 なお、エレベーターではなくチェアリフトを使うと、もっと天守閣に
 登れる人は少なくなる。
【回答のおかしさ】現在の試算では、半分は木造天守閣に登れないことに。
 来る人が少なくなれば、「入場料で全てまかなう」が破綻する。

【質問2】石垣部会は中断しているが、調査は2018年2月末の期限までに間に合うのか?(1/23)
【市の回答】努力する。
【回答のおかしさ】石垣調査は、木造天守閣のためではない。
 仮に詳細調査を行うとして、一旦現天守閣を閉鎖しても、詳細調査終了後
 現天守閣を再オープンすればよい。

【質問3】現天守閣の地下に埋まっているケーソン基礎を調査していない。
 活用するかどうかはいつどこで判断するのか(1/24)
【竹中の回答】確かに調査していない。ケーソン基礎の中に杭を打つ
 工法を採用することに決めた。
【回答のおかしさ】2015年12月に名古屋市が出した「業務要求水準書」では
 「ケーソン基礎の耐久性の確認」という項目があるため、市との契約違反となる。

【質問4】建築基準法、地震対策などもあり、史実通りにはできないのではないか(1/24)
【竹中の回答】現在、史実はどうであったかを解明している。
 実施設計の中で、全てが実現できるかどうか判断する
【回答のおかしさ】仕様について、基本設計で全て決めないといけない。
 (国土交通省告示第15号、建築士法違反)

【質問5】エレベーター設置のありなしは2018年3月に方針を定める。
 基本設計は2018年2月にまとめる契約。矛盾するのではないか(1/23)
【名古屋市の回答】基本設計は、エレベーター設置のありなし複数案をまとめる
【回答のおかしさ】基本設計は1案のみ。これでその後の見積もりが可能。
 なお、エレベーターを設置しないことは違法。

【質問6】竹中の当初案 エレベーター4人乗りは車椅子が4人か?(1/23)
【竹中の回答】健常者が4人。手動車椅子は1台は乗れる。
【回答のおかしさ】電動車椅子、ストレッチャータイプを排除することに。

【質問7】木造天守閣はどのようにすれば国宝になるか(1/23)
【市の回答】わかりかねる。市民に愛着が持てる名古屋城にしていけば、、、
【回答のおかしさ】市長が一方的に「国宝になる」と言っているだけ。

【質問8】名古屋城天守閣は宝暦、本丸御殿は慶長と時差がある(1/18)
【市の回答】復元の時差は有識者が決めた。資料は宝暦がある。
【回答のおかしさ】宝暦天守閣と慶長本丸御殿が併存した試しはない

【質問9】木材調達は可能か。(1/19)
【竹中の回答】現時点では市と契約しておらず、調達していない。
 多くの地域からオファーが来ており、調達可能と理解している。
【回答について】外材を一部使用する予定。 

【質問10】2万人アンケートに不備があり、市民の意見をあらためて聞いて欲しい(1/19)
【市の質問】アンケートだけで決めたわけではない。
 議会でも9ヶ月議論した。
【回答のおかしさ】議会は基本設計予算を承認しただけで、今後、実施設計、
 現天守閣解体、木造工事などの予算が提案されるごとに議論する。
 市議会としては木造復元を決めた、という訳ではない。
 

18/1/24 「来場者の半数が木造名古屋城天守閣に登れない試算」を市が認める

2018年1月24日に、名古屋市南分文化小劇場で名古屋城に関する説明会がありました。
メモ(名古屋市民オンブズマン作成)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180124.pdf

その中で名古屋市は「現在の試算では確かに来場者は最高1時間3,000人から3,500人だが、木造名古屋城は最大1時間1,500人しか登れない試算をしている。しかし、今年3月末までに委託している調査業務委託で、収支計画や入場者見込みを精査中であり、現在の試算通りになるわけではない。一方、エレベーターの設置の有無も3月末までに方針を固める。現在検討中である、チェアリフトを使う際は、混乱を避けるため階段の利用を制限する可能性もある。それらも含めて今後試算を精査したい」としました。
試算通りでも半数は木造天守閣に登れず、もし試算通りに来なければ大赤字になってしまう。こんなずさんな計画が許されるものなのでしょうか。
「市が木造化の方針を決めた」を繰り返すだけで、根拠が全く示されておりません。現在募集中のパブリックコメントも、そのような資料なしに、木造化の方針を決めようとしています。
少なくとも3月末に、エレベーターの方針や収支予測がきちんと出てから、再度市民への報告会を行うべきです。今後数百年の名古屋城のあり方を決めるのですから、時間をかけてゆっくり市民合意を得る必要があります。

なお、竹中工務店は、現在の名古屋城天守閣の下にあるケーソン基礎の調査をしていないことを認め、木造天守閣にする際は、ケーソン基礎の中に杭を打つ工法を取る予定だ、と述べました。
しかし、ケーソン基礎の中に杭を打つ、ということを、文化庁が果たして認めるのでしょうか。

さらに、竹中工務店の末永さんは、「まずは史実に忠実を深掘りしている基本設計段階であり、これから現代の法律に合わせて、現代技術を付加していくことになるが、それは実施設計でおこないます。」と言いました。
これは、市との契約違反です。エレベーターのあるなしだけでなく、屋根が黒いか赤いかだけでも、それぞれ決めなければ基本設計と言えないのに、末永さんの発言はとんでもないです。今回の名古屋市との契約は、基本設計をまずまとめて、見積もりを提出し、その後、金額の議会承認があって、実施設計と調達・施工の契約です。基本設計でやり残したことを実施設計で取り返されるような契約ではありません。
エレベーターだけでなく、階段、換気設備、排煙設備、消化設備、構造の補強なども、必要なもの全てが入って、基本設計が完成します。
これでは、実施設計・施工のための議会承認を得るための見積もりも出せません。
「また、付加された現代技術のセット説明ができる用意ができたら、このような説明会を開かせていただいて、説明します。」と言いましたが会場からの「いつなんだ!」と言う質問には答えませんでした。

他にも、「せっかく楽しみに説明会に来たのに、資料も何もなく、大変失望した。」と言う声もありました。

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1人目 竹中に ケーソン基礎を活用するかどうかはいつ決めるのか
     →ケーソンの中に杭を打つことを決めた
     市に ピーク時、半数は木造天守閣に登れない試算だが
     →そのような試算はしたが、現在精査中。エレベーター有無でも入場者が変わる。
2人目 聞いてもわからない、資料もない、このような説明では理解が得られない
   →他会場の質問は後日ホームページで公開する予定。
   戦災が及ばないような宣言をしないのか
   →回答なし
   石垣をどう修復するか明らかにすべき
   →回答なし
   コンクリート調査をした結果を見せろ
   →内容は開示できるか検討する
3人目 地震対策は大丈夫か?
   →回答なし
   CGと違うものを作るのは詐欺
   →だますつもりは全くない。協議、実験をして史実に忠実に作る。
4人目 2万人アンケートに不備があった
  →回答なし
  長寿命化してもたないという根拠はなにか?  
  →長寿命化の確証はない。調査はしていない。
5人目 竹中を優秀提案としたというのはお墨付きなのか
  →プロポーザルで提案募集をし、国のガイドラインに基づき優秀提案を選んだ
6人目 資料がなく失望している
 →今回、竹中工務店と基本協定結んでからの説明を行った。
   それ以前の優秀提案の説明までは考えていなかった。今後参考にする
 プレカットでやるのか。職人の勘は?
 →プレカットは生産性とスケジュールを確保するため。
  どういう仕上げにするのか大工の皆さんのお知恵を借りたい。
7人目 現状でも桜の時期などエレベーター待ちで2時間待つ。
    500人の下駄箱を用意するとあり、1日に8000人しか登れない。どうするか?
 →名古屋城は姫路城の2倍あり、十分こなせると思っている。
 内苑と本丸など入場料をわけてはどうか
 →一つのご意見として参考
8人目 石垣を触らずに立て直すことは出来ない。文化庁は許可を出さないのではないか
 →文化庁から、石垣についてお話しは頂いていない
  時期は一つの目標として工期を努力する
 木造3階以上は違法建築
 →建築基準法3条4項を適用し、建築基準法除外特例が可能。
  関係諸官庁と合意形成が必要となる。
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説明会終了後、参加者は会場にいた市職員に対し、「1月23日説明会の時、河村市長が説明会に参加せず、お酒を飲んでいたことをTwitterでにあげていた」証拠写真を見せました。
https://twitter.com/kawamura758/status/955748523273699328
参加者は、市職員に対し「このような市長のもとで働く市職員が大変お気の毒だ。」と言うと、市職員は深く頷いていました。

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5回の説明会で、延べ340人ほどしか参加しておりません。これでは市民への十分な説明はできていません。しかも、質問は合計で34人しかできず、その9割は木造復元に反対もしくは疑問でした。

1/16(火)100人 6人質問 
1/18(木)43人 5人質問 
1/19(金)60人 5人質問 
1/23(火)100人 10人質問 
1/24(水)40人 8人質問 

1月28日(日)には、河村市長も参加してシンポジウムが行われます。ぜひご参加ください。
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名古屋城天守閣木造復元「市民向け説明会」・「シンポジウム」
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000100606.html

18/1/23 名古屋市「名古屋城 基本設計はエレベーターありなし2案を作成する」

2018年1月23日、名古屋市名東区文化小劇場において、名古屋城に関する説明会が行われました。
・会場質問(名古屋市民オンブズマン作成メモ)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180123.pdf

会場から、「現在の基本設計の締め切りは2018年2月末になっている。エレベーター設置の方針は3月までに決めると名古屋市は説明している。どうなっているのか」という質問が出ました。
名古屋市は、「基本設計の段階では複数案をまとめていただき行けたらと思って考えている」と発言しました。
基本設計が2案ある、というのは聞いたことがありません。これでは見積もりが出せません。こんないい加減なことで良いのでしょうか。

エレベーター設置の有無について、2月末までに方針を定めるとするか、竹中工務店との契約を延長し、追加費用については改めて議会の議決を経る、と言うのが筋ではないでしょうか。
さらに、現在ストップしている石垣調査についても、何とか2月中に終わらせる。」と説明するだけです。

1番目 木造化をやめるべきだ。耐震改修すべきだ。文化庁の許可が出るまで壊してはいけない
     →2万人アンケート。資料がいっぱいある。
     文化庁の現時点での、資格に対する認識。
     →文化庁は現時点では判断していない。
2番目 名古屋市の魅力を上げるためにも木造天守閣を作るべきだ。どうすれば国宝になるか
     → わかりかねる。市民の方に愛着が持てる名古屋城にしていく。
3番目 石垣部会は現在中断しているが、調査は契約が終わる2月までにできるか。
     →努力する
     エレベーターと考え方も3月中。基本設計も2月までということなのだがどうなっているのか。
     →複数案まとめる
4番目 今の現在の天守閣については戦災復興の中で当時の寄付で建てられた。
     →木造復元をしても、この天守閣の記憶と言うものをわれわれはしっかりと残していきたい。
5番目 2万人アンケートについては非常に問題があった
     →参考にした。議会に議案として提出した。
     現天守を壊すな。
     →100年持つということは実証されていない。
6番目 ご意見こないだの市長選を踏まえて民意は出ている。一刻も早く、天守閣を推進してほしい。
7番目 文化庁は木造復元についてどう考えているのか。今の天守閣について非常に評価している。
     →とくに言及されていない
     市民に十分説明をしたうえで、理解をしていただく上で手続きを進めていくべきではないか。
     →説明会を再度するかどうかは答えられない
8番目 バリアフリー対策としていてエレベータ欲しい。
     →史実に忠実が大前提
9番目 材木の調達についてどう調達する見込みか。工期が遅れた場合505億円で収まる予定なのか。
     →まだ名古屋市と包括契約していない。国産材を中心発注で確信を持っている。
    資金計画はどうなるかわからない中では募金を募集すべきじゃないと思う
     →返金は大変難しい
10番目 竹中提案の4人乗りエレベーターは車椅子が4人か?
     →健常者が4人。手動式車椅子なら入れる。
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なお、今回から、会場発言は1人2つの質問しかできなくなりました。5区しか説明会がいない中、せっかく寒い中参加しても2つの発言しかできません。さらに、今後事業が進捗したら同じような説明会を16区ですべきだ、とする会場発言に対して、西野所長は「現時点では何とも言えない」と言うのみ。

さらに、説明会が開かれている中、河村市長は大変楽しそうにお酒を飲んでいることをtwitterで報告しています。
19:26 - 2018年1月23日 河村たかし(本人)
https://twitter.com/kawamura758/status/955748523273699328


事業自体に問題があるだけでなく、進め方についても極めて問題がある名古屋城木造化。今後も1/24(水)、1/28(日)に説明会、シンポジウムが行われます。ぜひご参加下さい。現在の名古屋市の姿勢が大変よくわかります。

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名古屋城天守閣木造復元「市民向け説明会」・「シンポジウム」
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000100606.html

18/1/21 名古屋城石垣部会 ようやく18/1/30に再開予定

名古屋城天守閣木造化に関し、石垣部会が、天守閣部会座長の瀬口哲夫氏の「石垣部会は安全性を考えていない」発言に抗議して石垣調査がストップしていた問題で、石垣部会は18/1/18に名古屋市に対して審議を再開する方針を文書で明らかにしたとのこと。

18/1/30(火)午前10時〜、名古屋能楽堂で第25回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会が開催されます。傍聴可
http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2017/kankobunkakoryu/0000101621.html

17/5/9に名古屋市が竹中工務店と結んだ「基本協定書」「基本設計その他業務委託契約書」では、2018年2月末までに「基本設計その他業務委託」を終了させることになっています。
・名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf
・名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託 契約書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-2.pdf

上記石垣部会の抗議に伴い、2017年11月中旬から、「基本設計その他業務委託」に含まれる石垣基本調査がストップしていました。
事実上あと1ヶ月でどの程度石垣基本調査が可能なのか、大変疑問です。

そもそも、河村市長が瀬口座長に対し、発言の撤回を求めていましたが、その後どうなったか不明です。

瀬口座長を任命した名古屋市の責任が問われます。
市民の意見、有識者の意見をもっと聞く、常識ある座長を求めます。

なお、17/9/12に石垣部会の千田嘉博教授はマスコミに向かって「これまで部会の議論と異なった内容が報じられているのは残念だ。先ほどまで議論しているのは石垣調査についてであって、木造天守閣に関する議論は一切行っていない。間違いです。誤報です。穴蔵石垣について、本質的価値現状を工学的・考古学的に調査して必要があれば適切な修理を行うのであって、木造天守のための事前調査ではない。名古屋市は現状変更許可を文化庁に提出したが、そこのところをかき分けていただいている」と強調しました。
http://ombuds.exblog.jp/25602183/


18/1/19名古屋城説明会 会場質問を強制的に打ち切り

名古屋市は、18/1/19に「名古屋城天守閣木造復元」市民向け説明会を北文化小劇場で開催し、約60人が参加しました。
・名古屋市民オンブズマン 作成メモ
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180119.pdf

会場が250人定員のところ、約60人の参加で空席が目立ちました。
しかし、会場からの質問は活発に手が上がりました。フロアにいた市職員がマイクを2人に渡し、結局1人は当てませんでした。
合計5名が質問し、質問と回答の合計時間が30分を過ぎたところで、司会をした名古屋市観光文化交流局ナゴヤ魅力向上室の館雄聡主幹は「時間になりました」と強制的に打ち切りました。
会場から、「西区では45分間質疑をした。この説明会は5区しか行わない。みんな他の区から寒い中来た。手をあげているみんなが発言させてください」という声が上がりましたが、「ご質問はアンケート用紙に記入頂ければ、後日ホームページで回答する」ということを繰り返すだけでした。
これが「名古屋市の説明」の実態です。
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以下、18/1/19質問と回答です。

1人目 竹中に質問 CG予算はどこからでているのか 実測図を元にしたのか 
提案時のものはなかったが
 →前半のCGはプロポーザル時 自主的に作った 想像が入っている
  後半のCGは史実に忠実に。設計料に含まれている
    市に質問  署名の取扱は 反対はないと聞いたが
           →2/20にもらったのは確か。賛成も反対もあると発言した。
            賛成の署名もあることも事実。
            名古屋市の方で「市民の声」賛成反対何件あるか説明した
  署名を隠したわけではない。
          説明会の趣旨は
           →途中の段階 今の状況を報告 説明
          民意を問い直すべきでは
           →名古屋市としては進めたい
2人目 エレベーター 可能か
     →史実に忠実 現状の建築基準法同等。付加技術。
      エレベーター設置して問題ないか引き続き検討しているところ
    展示物はどういった形になるか
     →別途別の場所で展示したい
    動画 今後公開する予定は
     →公開できると言うことであれば見てもらいたい。
      (参考 プロポーザル時動画
          https://www.youtube.com/watch?v=-vvVL-TKSck&t=
          後半CG動画(名古屋市民オンブズマン撮影)
          https://www.youtube.com/watch?v=vpK3xjPTRuk&feature=youtu.be 
    閉鎖時期 5/7 本丸御殿6/8 同じ時期にすればよいのではないか
     →うまくあわせればよかったが、それぞれの進捗状況にあわせて
3人目 寄付を含めた予算の収支状況
     →入場者数でまかなう。熊本城、姫路城の推移 名古屋城はどうなるのか設定。
      昨年度200万人 木造復元したら360万人はいるのではないか
      現在500円。姫路城値上げした。名古屋城も1000円にするとして収支計画を立てた
      税金を投入せず、入場料だけで505億円がまかなえる
      本年度に入って、議会で外部に説明するためにあらためて収支計画を
      3月中にできあがる予定
    木材調達
     →まだ契約はしていない
      ヒノキ 文化財を対象に超尺の大径 かなりの業者がもっている    
      愛知県、木曽、奈良 木材提供の話がある
      予算が通れば調達したい
      梁のマツ 東北地方 松食い虫の影響が出ていない そこから考えている
4人目 市民の理解が得られていないがなぜ急ぐのか
     →意義があるものと認識。
    史実に忠実だとバリアフリーなど社会情勢に反する
     →要請があるのは認識している 現在検討している
 名古屋市としての結論を出したい
5人目 解体後の具材の活用方法
→どう示すかを今後検討
    木造復元中素屋根の観覧エリアどう見せるのか
     →5階にも見学者スペースがある
    名城公園 南側から桟橋を架ける 工事エリア
     →名城公園の道路を工事に使う。
      グランドを工事用ヤードとする
  お堀を越えて、天守北側に橋を架ける
    解体後事業がストップすることはないですよね
     →名古屋城全体方針 保存活用計画策定中
      名古屋城天守閣 木造で復元進めていくと表記
      ずっと今後整備するか方針 計画に基づいて整備していく
      事業が変わることはないと考えている
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なお、18/1/18港文化小劇場での説明会は43名だったとのこと。

1人目 500億円はもったいない
    →税金は使わない
2人目 なぜ木造天守閣にするのか
    →竹中工務店 現天守は老朽化し、危険。木造天守に替えるべき。
3人目 これだけの木材を使うのは環境破壊
    →回答なし
4人目 保存活用計画について、「文化庁の指導」とは何か。「市民が決めること」ではないか
    →名古屋市の要望は文化庁も了解しているところ
    現在は耐震改修という整備方針。木造天守基本設計委託との齟齬は?
    →回答なし
    世界遺産では、史跡の上のレプリカを認めていない。
    また、復元について、天守閣は宝暦、本丸御殿は慶長と時差がある
    →世界遺産について回答なし
     復元の時差があるのは有識者が決めた。宝暦にしたのは資料がないため
    現在の名古屋城で、広告代理店の支払額。赤字額、名古屋市民の入場者数
    →広告代理店への支払い額は回答なし
     ようやく黒字化できそう。
     名古屋市民は1割ほど
5人目 バリアフリーを求める。現天守が最上階まで行かないのもおかしい
    →市 現在各所にヒアリング中。
     竹中は何も答えず

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盛り上がりに欠ける名古屋城天守閣木造化。
1/23(火)、1/24(水)、1/28(日)も説明会・シンポジウムが開催されます。
ぜひご参加下さい。
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名古屋城天守閣木造復元「市民向け説明会」・「シンポジウム」
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000100606.html

18/1/18名古屋城木造化「ホームエレベーターの危険性」資料保有せず

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城天守閣木造化に関して、名古屋市の各局に「ホームエレベーターの危険性について、名古屋市が調査検討した資料」を情報公開請求しましたが、いずれも不存在でした。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180117.pdf

17/12/18に河村たかし名古屋市長の定例記者会見で、名古屋城にエレベーター設置を設置しない理由として、「ホームエレベーターは実は大変危険ですからね」と発言しました。(13:45〜)


しかし、国土交通省国土技術政策総合研究所の2012/2レポートでは、「ホームエレベーターでの人身事故事例は報告されていない」とのこと。
http://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/kpr/prn0037b.htm

今回、名古屋市市長室、観光文化交流局、健康福祉局、住宅都市局、緑政土木局、消防長に情報公開請求しました。

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何回も繰り返しますが、バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)14条では、不特定多数が利用する特別特定建築物を新築する際は、建築物移動等円滑化基準に適合させなければなりません。
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/
愛知県の「人にやさしい街づくりの推進に関する条例」でエレベーター、スロープ等の設置義務があります。
http://www.pref.aichi.jp/soshiki/jutakukeikaku/0000043092.html

名古屋市は「第1回 名古屋城木造復元天守バリアフリー対策検討会議」を17/12/28に非公開で開催しましたが、副市長、市民経済局長、健康福祉局長、子ども青少年局長、緑政土木局長、教育長、交通局長、観光文化交流局長が参加するだけで、建築基準法を所管する住宅都市局建築指導部建築指導課はチームに入っていません。

建築基準法の適用除外は、建築審査会の同意が必要となります。

・平成29年3月25日 国土交通省 住宅局 建築指導課
 歴史的建築物と建築基準法について
 http://h-ar.net/cms/wp-content/uploads/2017/03/20170325_HARNET4th_mlit-1.pdf
 (適用の除外)
 第三条この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定は、次の各号のいずれかに該当する建築物については、適用しない。
 四 第一号若しくは第二号に掲げる建築物又は保存建築物であつたものの原形を再現する建築物で、特定行政庁が建築審査会の同意を得てその原形の再現がやむを得ないと認めたもの

現在復元中の本丸御殿も金城温故録に記載がありますが、完全に「史実に忠実」ではなく、バリアフリー対応のスロープや照明、消火設備や防犯カメラ、耐震対策などがあります。
本丸御殿では、3回復元検討委員会を開き、現状変更許可を受けたほか、建築基準法第3 条第1 項第4 号適用除外手続きを行っています。
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/17_topics/271202/dwl/koubo_07.pdf
平屋の本丸御殿でもこのとおりなので、木造5層5階の天守閣はもっと現代技術を「付加」する必要があります。

市長は根拠もなく「虚偽」の説明をし、市は建築物のバリアフリーの責任者を内部会議にも呼ばない。
竹中工務店との「名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託」の期間満了が2018年2月28日。
それまでに基本設計その他業務委託はどうやっても終わりません。

1/18(木)、1/19(金)、1/23(火)、1/24(水)、1/28(日)も説明会・シンポジウムが開催されます。
ぜひご参加下さい。
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名古屋城天守閣木造復元「市民向け説明会」・「シンポジウム」
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000100606.html
名古屋市及び株式会社竹中工務店からの説明
質疑応答

平成30年1月18日(木)午後6時30分〜午後8時00分 港文化小劇場
平成30年1月19日(金)午後6時30分〜午後8時00分 北文化小劇場
平成30年1月23日(火)午後6時30分〜午後8時00分 名東文化小劇場
平成30年1月24日(水)午後6時30分〜午後8時00分 南文化小劇場

「シンポジウム」の開催 ※市長出席
天守閣をテーマとした講演会
名古屋市及び株式会社竹中工務店からの説明
質疑応答
市長からの総括

平成30年1月28日(日曜日)午前10時00分〜午後0時30分 鯱城ホール



18/1/17 18/1/16 「名古屋城天守閣木造復元」市民向け説明会に100人

名古屋市は、18/1/16に「名古屋城天守閣木造復元」市民向け説明会を西文化小劇場で開催し、約100人が参加しました。

配付資料が、「次第」1枚しかありません。これでは何のための説明会かわかりません。
パワーポイントで名古屋市、竹中工務店が説明したので、出来る範囲で写真を撮って以下アップしました。
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18/1/16 「名古屋城天守閣木造復元」市民向け説明会 配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180116.pdf

名古屋市説明パワーポイント(名古屋市民オンブズマンが写真から起こす)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180116-1.pdf

竹中工務店説明パワーポイント(名古屋市民オンブズマンが写真から起こす)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180116-2.pdf

名古屋市「天守閣木造復元におけるバリアフリーの検討」(名古屋市民オンブズマンが写真から起こす)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180116-3.pdf

メモ(名古屋市民オンブズマン作成)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180116-4.pdf

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これまでの説明会では、河村たかし名古屋市長とコーディネーターの瀬口哲夫氏が毎回いましたが、今回は両者ともおらず、淡々と進みました。
はじめに、西野名古屋城所長から、「本日から保存活用計画策定のためのパブリックコメントをはじめた」と述べるも、現在の「耐震改修」と、今後の「木造復元」について、それぞれの利点・課題を述べることもなく、木造復元のみ説明をしました。
・特別史跡名古屋城跡保存活用計画(案)についてパブリックコメント 18/2/15まで
 http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000101416.html

また、車椅子をつけるかどうかなどのバリアフリーについては、市から4分しか説明をしませんでした。

竹中工務店は、これまでの調査結果を淡々と述べるだけで、私には、発表者から「ぜひとも木造復元を行いたい」という意欲が感じられませんでした。

市の司会者から、質問時間は30分と限定され、6名しか発言出来ませんでした。以下のような活発な意見が出て、最終的に45分に延びました。

1人目 耐震対策は大丈夫か
    →付加機能で現行基準以上の建物にしたい
    3階以上は適用除外 何らかのハイテク技術 文化庁で認められるか
    →管理をしていく 管理上の配慮について市として方向性を示して文化庁と相談
    設計 2月末までに間に合うのか
    →市として努力したい
2人目 殿様気分を味わっては。
    →運営面で考えたい
    エレベーター 外からのアプローチは
    →いろいろ検討したい
    着物など
    →考えたい
3人目 壊す必要がないのではないか
    →老朽化した。当局としては長寿命化で何年持つか断定できない。
    当時の市民の誇り どうして壊すのか
    →木造はメンテナンスで長く残すことが出来る。議会でも議論された
4人目 エレベーターがなくなると不安
    →3月までに決めたい
    他の入場者に制限
    →意見を聞いて検討したい
5人目 市民の意見 あらためて聞いて欲しい
    →アンケートだけで決めたわけではない
     議会でも9ヶ月議論した 進めていくところにきている
6人目 木造復元 スタートがおかしい
    アンケートをやり直せ
    505億 360万人 現実的に出すべきではないか
    姫路城ですら287万人
    耐震化がベストではないか
    →アンケートだけで決めたわけではない
     議会でも9ヶ月議論した 進めていくところにきている
     
今回は、「2016年4-5月に実施した、2万人アンケートのやり方がおかしい、きちんと耐震改修・長寿命化を記載してやり直せ」という意見が多く出ました。
また、車椅子利用者から「竹中工務店が作ったCGは素晴らしかった。ぜひ内部を見てみたい。楽しみにしているのに、エレベーターが設置されず見ることが出来ないとしたら大変残念だ」との意見が出ました。

さらに、名古屋市は、「2018年2月までに基本設計等を終わらせるよう市として努力したい」と述べましたが、石垣部会がストップし、石垣調査が止まっている現在、基本設計「等」にある石垣調査が終わらず、委託が完了する見込みはありません。
そのことを一番よく分かっているのは名古屋市と竹中工務店ですが、そのような発言はありませんでした。

なお、会場外では、天守閣木造化に関するシール投票がなされていました。

チラシも配付されていました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170826takahashi.pdf

今回、300人の会場に100人しか参加せず、しかも質問の手がそんなに上がりませんでした。
盛り上がりに欠ける名古屋城天守閣木造化。
1/18(木)、1/19(金)、1/23(火)、1/24(水)、1/28(日)も
説明会・シンポジウムが開催されます。
ぜひご参加下さい。
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名古屋城天守閣木造復元「市民向け説明会」・「シンポジウム」
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000100606.html
名古屋市及び株式会社竹中工務店からの説明
質疑応答

平成30年1月18日(木)午後6時30分〜午後8時00分 港文化小劇場
平成30年1月19日(金)午後6時30分〜午後8時00分 北文化小劇場
平成30年1月23日(火)午後6時30分〜午後8時00分 名東文化小劇場
平成30年1月24日(水)午後6時30分〜午後8時00分 南文化小劇場

「シンポジウム」の開催 ※市長出席
天守閣をテーマとした講演会
名古屋市及び株式会社竹中工務店からの説明
質疑応答
市長からの総括

平成30年1月28日(日曜日)午前10時00分〜午後0時30分 鯱城ホール


18/1/16 木造復元明記「名古屋城跡保存活用計画(案)」パブコメ 1/16-2/15まで募集開始

名古屋市は、特別史跡名古屋城跡保存活用計画(案)についてパブリックコメントを開始しました。
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000101416.html
ご意見の募集期間平成30年 1月16日(火)から2月15日(木)まで。
(郵送の場合は平成30年2月15日(木曜日)必着)

名古屋市は木造復元の方針を決めたと公表していますが、驚くべきことに、平成24年12月に文化庁が確認した、現在有効である「全体整備計画 増補版」では『現在の鉄筋天守を活用していく』と明記してあります。
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000045497.html

それを、今回の「保存活用計画(案)」でようやく木造復元の方針を明記しようとするものです。
方針を変更するに当たり、耐震改修と木造復元の利点と課題を比較しています。(202ページ〜209ページ)
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/cmsfiles/contents/0000101/101416/honpen5-10.pdf

【耐震改修】
(利点)・現天守閣の価値の保存と継承
    ・博物館機能の維持
    ・文化的観光面における魅力の向上
    ・観覧環境の向上
    ・既存建物の活用
    ・遺構の保全
(課題)・特別史跡名古屋城跡の本質的価値の理解促進にかかる課題
    ・耐震改修工事における課題
    ・バリアフリーにおける課題
    ・展示収蔵機能における課題
    ・天守閣の閉鎖に伴う課題
    ・天守台石垣にかかる課題
    ・ケーソン基礎にかかる課題
【木造復元】
(利点)・特別史跡名古屋城跡の本質的価値の更なる理解促進
    ・文化的観光面における魅力の向上
    ・伝統工法による復元
    ・新技術の導入と伝統技術の融合
(課題)・現天守閣の価値の保存と継承にかかる課題
    ・木造復元工事にかかる課題
    ・バリアフリーにおける課題
    ・展示収蔵機能における課題
    ・天守閣の不在に伴う課題
    ・天守台石垣にかかる課題
    ・ケーソン基礎にかかる課題

上記を踏まえ、「木造復元は、耐震改修と比較して、特別史跡内の建造物として、本質的価値の理解を促進するという点で優位性が認められる。」ため、整備方針は木造復元にするといいます。

しかし、個別に見ていくと、耐震改修の利点は多く、課題は解決しやすいのに対し、木造復元の利点は「特別史跡名古屋城跡の本質的価値の更なる理解促進」という抽象的なものに限られ、課題は耐震改修よりはるかに大きく、エレベーター設置問題など到底解決しそうにありません。

障害者・高齢者などを切り捨て、しかも耐震・耐火を兼ね備えることで「史実に忠実」ではない木造名古屋城天守閣を作ったとして、どのような「本質的価値」を来場者に理解させるのか、まったくわかりません。
それを505億円もかけて入場料のみでまかなおうという計画なので、仮に来場者がそれほど来なかった場合、全て名古屋市が負担することになります。
(2018年2月末までに、調査業者に委託して来場者予測がでる予定。パブコメ締め切りには間に合いません)

以前から予測していたとおり、1/16以降開かれる「市民向け説明会」・「シンポジウム」は、「名古屋城跡保存活用計画(案)」についての説明のためでした。
・名古屋市パブリックコメント制度要綱
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/63-7-0-0-0-0-0-0-0-0.html

【前提条件】
・石垣調査・基本設計等が進んでいないため、2022年12月までの完成は不可能です。
・バリアフリー法・建築基準法・消防法の規定により、「史実に忠実な復元」は不可能です。
・木造復元は建築だけで505億円。耐震改修は29億円で済みます。

上記を踏まえ、ぜひパブコメに意見を提出しましょう。

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名古屋城天守閣木造復元「市民向け説明会」・「シンポジウム」
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000100606.html
名古屋市及び株式会社竹中工務店からの説明
質疑応答

平成30年1月16日(火)午後6時30分〜午後8時00分 西文化小劇場
平成30年1月18日(木)午後6時30分〜午後8時00分 港文化小劇場
平成30年1月19日(金)午後6時30分〜午後8時00分 北文化小劇場
平成30年1月23日(火)午後6時30分〜午後8時00分 名東文化小劇場
平成30年1月24日(水)午後6時30分〜午後8時00分 南文化小劇場

「シンポジウム」の開催 ※市長出席
天守閣をテーマとした講演会
名古屋市及び株式会社竹中工務店からの説明
質疑応答
市長からの総括

平成30年1月28日(日曜日)午前10時00分〜午後0時30分 鯱城ホール


18/1/15 名古屋城 石垣部会・石垣調査はいまだ再開せず

名古屋城天守閣木造化に関し、石垣部会が、天守閣部会座長の瀬口哲夫氏の「石垣部会は安全性を考えていない」発言に抗議して石垣調査がストップしている問題で、18/1/15に名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所整備室に電話で確認したところ、「石垣部会ならびに石垣調査については『調整中』」との回答がありました。

17/12/25に開催された名古屋市議会経済水道委員会で、中川貴元市議と西野所長は以下やり取りしました。
中川貴元(自民・東区):石垣部会 「前回の委員会で、今日の委員会までに石垣部会の問題が解決していればいいですね」と発言。現時点で気持ちはどう変わったか

西野所長:協議を進めた。一度話し合いを 先週の月曜日 市役所の中で3名と私以下名古屋城職員で話した。
 石垣先生は、名古屋市の考え方は理解 評価した。「1名欠席 結論は出ないが、速やかに結論を出したい」現時点では調整されていると認識。
 今日「解決した」とは言えないが、前には進んでいる。
 
中川貴元(自民・東区):3名の方については、これまで同様。名古屋市に協力するとおっしゃったのか。

西野所長:最終結論はその日出せない。3名 みんなGOはおっしゃっていない。
 私としては、前向きに受け止めたと感じている。

中川貴元(自民・東区):せかすわけではないが、いつまでにめどが立ちそうか

西野所長:なんとか今年中に。会議の場でも言った。
 年明けになっても、日をおかずに石垣の調査を再開したい。
 
中川貴元(自民・東区):その結果によっては、計画案の書きぶりも変わるのか

西野所長:保存活用計画は今後の大きなもの。時期が変わるだけで内容が変わるわけではない
 
中川貴元(自民・東区):石垣部会のみならず、部会、検討会議 設置経緯。石垣部会 それそのものには書いていない。
 石垣部会 変動することになれば、書きぶりも変わるのではないか。そこは大丈夫か

西野所長:名古屋城跡全体整備検討会議で検討、作成。石垣部会は下部機関 基本的には書きぶりには変更はない。

17/5/9に名古屋市が竹中工務店と結んだ「基本協定書」「基本設計その他業務委託契約書」では、2018年2月末までに「基本設計その他業務委託」を終了させることになっています。
・名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf
・名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託 契約書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-2.pdf

石垣部会の協力無くして石垣調査は出来ません。
河村市長は瀬口座長に「発言の撤回、謝罪を求めていることがわかった」とする17/12/19読売新聞報道もあります。
http://www.yomiuri.co.jp/local/aichi/news/20171219-OYTNT50026.html

西野所長は、17/12/25に「なんとか2017年中に。年明けになっても日をおかずに」と述べていましたが、18/1/15になっても『調整中』であれば、座長交代、スケジュールの大幅見直し、「基本設計その他業務委託」契約期間の延長など、計画の抜本的な見直しが必要になるのではないでしょうか。
万が一石垣部会の構成員を変更しても、文化庁はそう簡単に話に乗ってくるとは思えません。

18/1/16から開催される「市民向け説明会」・「シンポジウム」で名古屋市と竹中工務店に対してじっくり聞いてみたいです。
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000100606.html

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名古屋城タウンミーティング 質問案

難問1 石垣保全
 ・石垣部会 18/1/15現在、石垣部会ならびに石垣調査はストップしている。今後の見通しと、2018年2月末締め切りの「基本設計その他業務委託」完了まであと1ヶ月余りに迫っているが、完了する見込みがあるか

難問2 エレベーター設置
 ・17/12/25名古屋市議会産業・歴史文化・観光戦略特別委員会で、本木造天守閣は新築であると市は答弁した。
 バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)14条では、不特定多数が利用する特別特定建築物を新築する際は、建築物移動等円滑化基準に適合させる義務があるが、建築基準法3条の適用除外が可能だとする根拠条文ならびに建築審査会の同意スケジュール
・17/12/28河村たかし市長定例記者会見で、名古屋城にエレベーター設置を設置しない理由として、「ホームエレベーターは実は大変危険ですからね」と発言した根拠
・名古屋市が竹中工務店に委託した「名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託」847,216,844円の当初の契約書上の期限は18/2/28だが、エレベーター設置の有無は基本設計に明記する必要性はあるのかないのか。現在の契約書上の決定期限はいつか。エレベーター設置についての名古屋市としての方針の期限はいつか。

難問3 耐震性
 ・今後の建築審査会の「適用除外」同意申請のスケジュール

難問4 耐火性
 ・総務省からの消火設備の緩和許可申請のスケジュール

難問5 地下ケーソン調査
 ・現時点で、現天守閣の地下に埋まっているケーソンのボーリングは行っていないが、今後の木造天守閣の基礎として使えるかどうかどう判断するつもりか 

難問6 文化庁復元検討委員会
 今後のスケジュール案ならびに「保存活用計画(案)パブコメ」の実施時期

難問7 情報非公開と市民の反対
 ・市民に石垣部会とのやりとりやエレベーター設置の基本的な情報が公開されていないが、今後も市民に情報を知らせないまま木造天守閣を作るつもりか
 ・現在市は2022年12月までの木造天守閣復元を目指しているが、2016年5月に行われた2万人アンケートでは「2020年7月まで」と選択肢であった。「2022年12月まで」希望を表明した市民は一人もいない。
  また、耐震改修について「概ね40年の寿命」とあったが、長寿命化を行った大阪城は今後100年は持つという。上記を明記した上で再度アンケートをするつもりはあるか

難問8 採算性
・パブコメの締め切りは、2018年2月末までと三菱UFJリサーチアンドコンサルティング株式会社名古屋に1998万円(税込み)で委託した「名古屋城天守閣木造復元に向けた調査業務委託」(契約日 2017/9/26)を行い、入場者数見込み及び収支計画の策定、民間活力の導入の検討、名古屋城に係る課題整理、入場者数増加策の提案、経済波及効果調査の結果がでてからにしないか
・17/12/25名古屋市議会経済水道委員会で、市は「名古屋城に最高1時間3000人来るも、木造天守閣には1時間1500人しか登れない計算」を示したが、木造天守閣に登れない残り1500人はどうすればよいのか


18/1/14 名古屋市役所内部の「天守閣整備検討会議」部会とWG ほとんど開かれず

名古屋市は市長・副市長や局長らで構成する「名古屋城天守閣整備検討会議」を2015/11/9に作っていますが、おもてなし部会、天守閣整備部会は1回も開かれていなかったことが名古屋市民オンブズマンの情報公開請求で明らかになりました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180112.pdf

6「名古屋城天守閣整備検討会議」公報・公聴、機運醸成部会WG
7「名古屋城天守閣整備検討会議」天守閣整備部会
11「名古屋城天守閣整備検討会議」おもてなし部会
12「名古屋城天守閣整備検討会議」おもてなし部会WG
6.7.11及び12については、当該部会・WGの開催実績がなく、公開請求に係る行政文書を作成していないことから、不存在のため非公開とします。

・名古屋城天守閣整備検討会議の開催結果
 http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000093281.html

その他、開示請求した結果は以下です。
・17/5/8 名古屋城天守閣整備検討会議(第2回)会議記録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180112-1.pdf
・15/12/4 名古屋城天守閣整備検討会議 公報・公聴、機運醸成部会(第1回)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180112-3.pdf
・16/2/12 名古屋城天守閣整備検討会議 公報・公聴、機運醸成部会(第2回)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180112-4.pdf
・16/5/19 名古屋城天守閣整備検討会議 天守閣整備部会 ワーキング
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180112-8.pdf
・17/3/23 名古屋城天守閣整備検討会議 天守閣整備部会 ワーキング
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180112-9.pdf
・17/5/2 名古屋城天守閣整備検討会議 天守閣整備部会 ワーキング
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180112-10.pdf

天守閣整備部会ワーキングについても、17/3/23以降ひらかれていません。
これでは、スケジュールが遅れていること、エレベーター設置について、耐震・耐火、地下ケーソンの問題など、対応出来ません。

名古屋市は「第1回 名古屋城木造復元天守バリアフリー対策検討会議」を17/12/28に開催しましたが、本来は「天守閣整備部会」「天守閣整備部会ワーキング」で基本協定書だけでなくきちんと議論をすべきでした。

名古屋市は竹中工務店と2018年2月末までに基本設計を終わらせる業務委託を締結していますが、上記課題を解決しないことには基本設計は終わらせることができません。

名古屋市は今後どうするつもりなのでしょうか。
18/1/16から開催される「市民向け説明会」・「シンポジウム」で名古屋市と竹中工務店に対してじっくり聞いてみたいです。

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名古屋城天守閣木造復元「市民向け説明会」・「シンポジウム」
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000100606.html
名古屋市及び株式会社竹中工務店からの説明
質疑応答

平成30年1月16日(火)午後6時30分〜午後8時00分 西文化小劇場
平成30年1月18日(木)午後6時30分〜午後8時00分 港文化小劇場
平成30年1月19日(金)午後6時30分〜午後8時00分 北文化小劇場
平成30年1月23日(火)午後6時30分〜午後8時00分 名東文化小劇場
平成30年1月24日(水)午後6時30分〜午後8時00分 南文化小劇場

「シンポジウム」の開催 ※市長出席
天守閣をテーマとした講演会
名古屋市及び株式会社竹中工務店からの説明
質疑応答
市長からの総括

平成30年1月28日(日曜日)午前10時00分〜午後0時30分 鯱城ホール


18/1/12 「名古屋城 バリアフリー検討チーム」議論内容は不存在

名古屋市は「第1回 名古屋城木造復元天守バリアフリー対策検討会議」を17/12/28に非公開で開催しました。
名古屋市民オンブズマンは17/12/28に「上記会議の議論の内容がわかるもの」を情報公開請求しましたが、18/1/11に「請求時点において作成しておらず、不存在」という決定がでました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180111.pdf


なお、以下の文がついていました。
※今回非公開とした『「名古屋城木造天守復元におけるバリアフリーに関する検討チーム」議論の内容がわかるもの』については、今後一年以内に当該行政文書の全部又は一部についての公開が可能となる予定のため、公開を希望する場合は当該時期以後新たに公開請求が必要となります。

名古屋市情報公開条例によれば、組織的に用いていればメモも録音も行政文書に当たります。
第2条
(2)行政文書 実施機関の職員(市が設立した地方独立行政法人の役員を含む。以下同じ。)が職務上作成し、又は取得した文書、図画(写真及びフィルムを含む。以下同じ。)及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が管理しているものをいう。
http://www.city.nagoya.jp/shiminkeizai/page/0000001423.html

今後数百年にもわたる名古屋城のあり方を議論する会議において、誰一人メモも取らず、録音もしないということがありえるのでしょうか。
今後議事録を作るとしても、どのように作るのでしょうか。

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なお、名古屋市は「福祉都市環境整備指針」を2017年3月に改定しています。
http://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000011886.html
・福祉都市環境整備指針(案)に対する市民意見の内容及び市の考え方
http://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000090982.html
(3)バリアフリー化の対応
ア 本市が整備及び設置する施設への対応
●公共建築物
民間建築物等の整備を先導する役割を果たすよう、この指針に定める技術的基準に基づく整備を推進するとともに、案内・誘導・介助などの人的対応への配慮にも努めます。
既設の施設は、十分な検証を行い、これを踏まえつつ改善・工夫を行います。

整備の基本的な考え方
A-12 エレベーター
(1)階の上下移動の手段としてエレベーターを設ける。
(2)エレベーターは、車いす使用者や視覚障害者などが1人でも操作できるように配慮した構造とする。
(3)設置にあたっては、かご床と階床との段差や隙間の解消に配慮する。
C かごの大きさ
○利用者の状況や施設の規模、特性などを考慮し、エレベーター利用者が特に多い場合は、20 人乗り以上のエレベーターを導入することが望ましい。その際、緊急時の対応等に配慮し、可能な箇所には、ストレッチャーを乗せることができる、奥行き(概ね200cm 以上)のあるエレベーターを導入することが望ましい。

名古屋市は、2014年に批准した障害者権利条約、2016年に施行された障害者差別解消法を受け、自らが定めた「福祉都市環境整備指針」に反することはできません。上記整備指針をまとめた健康福祉局障害福祉部障害企画課企画育成係のことを健康福祉局長は当然知っておりますので、何を今さら「バリアフリー対策検討会議」で議論するのかわかりません。『意識のバリアフリー』が一番必要なのはだれでしょうか。

名古屋城天守閣は公共建築物なので、以下の2つしか選択肢はありません。
1)木造化にしてエレベーター設置等、バリアフリー・耐震・耐火対応(505億円)
2)現天守を耐震化・長寿命化・7階までエレベーター設置(29億円)

本来は、上記2つの選択肢について市民の意見を聞くパブリックコメント・市民向け説明会・シンポジウムのはずです。
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000100606.html
上記を踏まえた説明を求めますし、市が説明しなければ市民が問いただすだけです。


18/1/11 名古屋市平成30年度予算財政局査定 名古屋城木造化実施設計予算計上せず

2018年1月10日に名古屋市は「平成30年度予算要求に対する財政局査定内容の公開」を行いました。
http://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000100789.html

各自治体は予算案を作成して議会に提案するのですが、これまでは 予算案の作成過程はブラックボックスに包まれてきました。
予算案は、各課が財政局に予算要求し、財政局が査定した後、 市長判断を経て予算案が作られます。

名古屋市は「予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例」に基づき、各課の予算要求内容、財政局査定内容、市長判断を公開するとともに、市民からの意見を募っています(しかし、市民からの意見はほとんど反映されません)
http://www.reiki.city.nagoya.jp/reiki_honbun/i502RG00001216.html

財政局査定内容をよく見ると、「各課は要望しているが、財政局は却下・減額した予算」がはっきりと浮かび上がります。

臨時・政策経費の名古屋城関係の予算を拾いました。
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財政局案(単位:100万円)
・歴史観光の推進               238→0 未計上
・名古屋城本丸御殿障購入壁画復元模写の購入  4→0 局配分財源で検討
・名古屋城本丸御殿障壁画表具工事       2→0 局配分財源で検討
・名古屋城本丸御殿観覧環境整備        15→0 局配分財源で検討
・重要文化財障壁画の展示           18→0 未計上
・名古屋城二之丸地区整備基本構想の策定    8→0 未計上
・名古屋城二之丸庭園の保存整備        47→38 精査のうえ計上
・金シャチ横町構想の推進           23→0 未計上
・本丸御殿完成を契機とした文化発信・交流事業 15→10 精査のうえ計上
・天守閣へ移管後の魅力向上事業        170→31 精査のうえ計上
・名古屋城周辺景観改善事業          182→0 局配分財源で検討
・名古屋城天守閣の整備            1041→0 未計上
・名古屋城天守閣積立基金の設立        200→200 要求通り
・名古屋城天守閣木造復元における機運醸成   100→22 精査のうえ計上
・名古屋城受入環境整備            57→0 未計上
・名古屋城調査研究体制の強化         12→0 未計上

@ 所管局の要求(見積り)通り
A 事業内容、積算内容を精査のうえ計上
B 局配分財源で対応を検討
C 現段階では未計上
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特に、名古屋城天守閣の整備(天守閣の整備にかかる実施設計、史跡内仮設工事、設計監理等支援業務委託等 債務負担行為 天守閣木造復元の実施設計期間 ?〜? 限度額704百万円)の10億4100万円がまったく計上されなかったのが特徴的です。

現在、名古屋市は竹中工務店に名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務を8億4721万6844円で2018年2月28日まで委託しています。
・名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託 契約書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-2.pdf
しかしながら、石垣部会が、天守閣部会座長の瀬口哲夫氏の「石垣部会は安全性を考えていない」発言に抗議して石垣調査がストップしており、上記基本設計等業務委託が完了するめどが立っていません。

さらに、木造天守閣にエレベーターを設置するかについて、名古屋市は2018年3月末までに方針を決定するとしており、上記委託履行期間を過ぎることになり、上記基本設計が完了しません。
また、現天守閣地下にあるケーソン調査も行っておらず、日本建築センターの評定、総務省から消防設備の緩和許可、名古屋市建築審査会の適用除外の同意、文化庁復元検討委員会の同意もいずれも得られておらず、基本設計が完了するめどが立っていないのが現実です。
基本設計が完了しないことには、実施設計に進むことが出来ません。 
 
財政局は、平成28年度6月補正予算編成過程でも名古屋城天守閣木造復元の基本設計等10億1100万円を計上せず、市長査定で復活させています。
「財政局としては、名古屋城天守閣木造化の予算は認めない」とする強い意志が感じられます。
(財政局が唯一満額計上したのが「名古屋城天守閣積立基金の設立」2億円で、すべて寄付金でまかなうとのこと。年間2億円の寄付だけで名古屋城天守閣木造化を行うのなら、505億円の予算なので252年間かかる計算となります)

今後、市長査定(一般財源約21億円)でどうなるかですが、他の事業でも予算要求が認められていない中、名古屋城だけ優遇する理由があるのでしょうか。
仮に名古屋城木造化の実施設計予算を計上した場合、契約も出来ず、予算が執行できずに浮いてしまいます。
実施設計契約を結ぶめどが立っていない以上、市長査定で計上しないことを求めますし、仮に予算を計上しても、議会が予算を認めることは到底許されません。

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名古屋市は、平成22年度〜29年度で個人市民税・法人市民税を合計880億円も減税しています。
 H22 161億円
 H23 61億円
 H24 78億円
 H25 113億円
 H26 118億円
 H27 116億円
 H28 116億円
 H29予算 117億円
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-7-2-4-12-0-0-0-0-0.html

今後も個人市民税・法人市民税を5%減税すると、年間120億円程度減収となる見込みです。
 H30見込み 119億円
 H31見込み 121億円
 H32見込み 117億円
 H33見込み 116億円
http://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000073/73922/30-33zaiseishuusi.pdf

予算が足りず、新規事業の多くが計上されていません。
平成29年11月15日に名古屋市は「市民税5%減税検証報告書」を取りまとめ、「市民税5%減税しない方が市内総生産等伸びる」と結論づけました。
http://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000099733.html
市内総生産等が伸びないだけでなく、新規事業の多くも出来ません。

減税について考えるには「平成30年度予算要求に対する財政局査定内容の公開」を熟読するのが一番です。
http://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000100789.html
市長査定後の予算と市民の意見、市の回答もぜひお読みください。

18/1/10 名古屋城 河村市長と瀬口座長の面談日程すら不存在

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城木造化を巡り、河村たかし名古屋市長と天守閣部会座長の瀬口哲夫・名古屋市立大名誉教授が面談した経緯、内容ならびに日程がわかるものを情報公開請求しましたが、すべて不存在でした。

名古屋城天守閣木造化をめぐり、石垣部会は天守閣部会座長の瀬口哲夫氏の「石垣部会は安全性を考えていない」発言に抗議して石垣調査がストップしています。
17/12/6名古屋市議会経済水道委員会で、渡辺局長は「石垣部会の意向について市長も心配している。その件で、瀬口座長と市長が面会した」と述べています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171206-2.pdf
http://smart.discussvision.net/smart/tenant/nagoya/WebView/rd/council_1.html?referrer=http://www.city.nagoya.jp/shikai/(1:06:15〜)

また、17/12/18に、名古屋市は名古屋城石垣部会と面談し、「河村市長が瀬口座長と面談し、発言の撤回を要請していた」ことを明らかにしました。(17/12/19読売新聞)
 http://www.yomiuri.co.jp/local/aichi/news/20171219-OYTNT50026.html

名古屋市民オンブズマンは、上記面談に関する経緯がわかるもの、面談時の内容がわかるもの、配付資料を17/12/6に情報公開請求しましたが、17/12/15にすべて不存在となりました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171215.pdf

その後、17/10/13-12/14分の市長日程ならびに市政記者クラブに提供した「市長の一日」を情報公開請求しましたが、「来客応対」としか記載がありませんでした。
http://www.city.nagoya.jp/mayor/category/315-0-0-0-0-0-0-0-0-0.html
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180109.pdf
少なくとも庁内で公人として面談しているのであれば、相手をきちんと文書に残すのが情報公開条例等で求められていると考えます。

仮に面談相手が「個人情報に当たる」として非公開になれば、異議申立や裁判で争うことができます。
しかしながら、記載が無いと争うことも出来ません。

具体的に瀬口座長と市長の面談日を問い合わせました。
・名古屋城 記録を取っていない
・市長室 誰と面談したかまでは記録を取っていない

市長室が、誰と面談したか記録を取っていない、というのは考えられません。そんなことをしたら、秘書課は仕事になりません。
上記回答が真実だとしたら、情報公開請求されることをおそれて記録を取らなくしたか、情報公開条例を無視して不存在決定を出したかどちらかです。

16/11/28に河村市長と竹中工務店が面談した際も同様の問題がありましたが、「市長と竹中工務店との面談メモ」が作成されており、内容は黒塗りでしたが公開されました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/161220.pdf

なお、市長室秘書課は、「一般的に言って、来客応対について、記録を取るという規則はなく、記録もないが、メモ程度はあるが整理されていない。」としましたが、名古屋市情報公開条例によれば、組織的に用いていればメモも行政文書に当たります。
第2条
(2)行政文書 実施機関の職員(市が設立した地方独立行政法人の役員を含む。以下同じ。)が職務上作成し、又は取得した文書、図画(写真及びフィルムを含む。以下同じ。)及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が管理しているものをいう。
http://www.city.nagoya.jp/shiminkeizai/page/0000001423.html

また、名古屋市職員の公正な職務の執行の確保に関する条例に基づき、市長を含めた職員は、職員以外の者が職員に対して行う市政に関する要望、意見、苦情その他これらに類する行為(要望等)を記録しなければいけません。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/52-6-5-0-0-0-0-0-0-0.html

なお、「首相の一日」は、面談相手まで各新聞に掲載されています。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/shusho/

名古屋市秘書課の文書件名簿(どんな簿冊を持っているか)一覧は以下です。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shichoshitsu.pdf

そこまでして市民に秘密にする名古屋城木造化とはいったいなんなのでしょうか。

さらに検討して具体的に面談の日程、内容を調査したいです。


18/1/9 名古屋城木造復元説明会に「保存活用計画(案)パブコメのため」と明記せず

名古屋市が18/1/16以降、名古屋城天守閣木造復元のために行う市民向け説明会(5区)・シンポジウム(1箇所)に関し、白黒のチラシが出来ていました。18/1/9に入手しました
・チラシ
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180108.pdf
区役所には配架していますが、市民情報センターには配架していません(今後配架予定)。
チラシは名古屋市ホームページにも載せていません。

文字だけのページは以下。
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000100606.html

広報なごや平成30年(2018年)1月号の9ページ目、レジャー欄の下にこっそり案内を載せています。
http://www.city.nagoya.jp/shicho/cmsfiles/contents/0000013/13636/1801shibaniren.p1s.pdf

名古屋市は市民にきちんと説明する気はあるのでしょうか。
そもそも今回の説明会の目的は何でしょうか。

名古屋市は木造復元の方針を決めたと公表していますが、平成24年12月に文化庁が確認した、現在有効である「全体整備計画 増補版」では『現在の鉄筋天守を活用していく』と明記してあります。
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000045497.html

上記「全体整備計画 増補版」を、このたび有識者の了承も議会の了承も得ないまま、『整備方針は木造復元とし、検討を進める』とする「保存活用計画(案)」を策定しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171225-8.pdf

上記「保存活用計画(案)」について、2018/1月-2月にパブリックコメントを実施する予定です。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171225-6.pdf
パブリックコメントに伴う説明会、というのが本来の目的です。

パブリックコメント終了後、「保存活用計画」を策定・公表する予定ですが、策定には文化庁の確認が必要になります。

・文化庁 重要文化財(建造物)保存活用計画の策定について(通知)
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/hokoku/kenzobutsu_hozonkeikaku.html
(計画の確認)
 12.所有者等は,都道府県教育委員会を通じて文化庁に計画書 1 部を提出し,計画の内容と必要な手続について文化庁の確認を受けることができるものとする。
 13.文化庁は,都道府県教育委員会に計画書受理の旨を通知し,もって確認の通知とする。
 15.確認を受けた計画の内容を変更する場合は,所有者等は変更後の計画書に変更前の計画書を添えて文化庁の再確認を受けるものとする。

仮に「保存活用計画」について文化庁の確認を受けたとしても、木造天守閣を作るには、505億円もの巨額の費用がかかるだけでなく、バリアフリー法・消防法・建築基準法等に抵触して違法建築になるおそれが極めて強いです。
上記違法建築であれば役所の許可が下りませんし、許可を下ろそうとすると「寸分違わぬ復元」にはなりません。

石垣部会は天守閣部会座長の瀬口哲夫氏の「石垣部会は安全性を考えていない」発言に抗議して石垣調査がストップしています。
しかし、それだけでなく、名古屋市がエレベーター設置しない方針を示し、また現天守閣の下のケーソン調査を行っていないため、18/2/28までの基本設計終了が見込めなくなっています。
・名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託 契約書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-2.pdf

18/1/16からの説明会・シンポジウムには竹中工務店からの現状報告があるとのこと。
どのような報告になるのか極めて興味深いです。

名古屋城天守閣の木造に賛成・反対する意見があるとは思いますが、少なくとも上記については共通理解にしてもらいたいです。

名古屋市は、上記について説明しないまま、説明会を行おうとしています。
少なくとも説明会に参加する市民・議員は上記を理解した上で参加してもらいたいです。
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名古屋城天守閣木造復元「市民向け説明会」・「シンポジウム」
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000100606.html
名古屋市及び株式会社竹中工務店からの説明
質疑応答

平成30年1月16日(火)午後6時30分〜午後8時00分 西文化小劇場
平成30年1月18日(木)午後6時30分〜午後8時00分 港文化小劇場
平成30年1月19日(金)午後6時30分〜午後8時00分 北文化小劇場
平成30年1月23日(火)午後6時30分〜午後8時00分 名東文化小劇場
平成30年1月24日(水)午後6時30分〜午後8時00分 南文化小劇場

「シンポジウム」の開催 ※市長出席
天守閣をテーマとした講演会
名古屋市及び株式会社竹中工務店からの説明
質疑応答
市長からの総括

平成30年1月28日(日曜日)午前10時00分〜午後0時30分 鯱城ホール


17/12/28 名古屋城木造化 名古屋市は市民に秘密で竹中工務店と価格交渉

名古屋市民オンブズマンは、17/12/20に開催された、「名古屋城天守閣整備事業にかかる技術提案・交渉方式(設計交渉・施工タイプ)の実施に伴う意見聴取会(第6回)の配付資料と議論の内容がわかるもの」を情報公開請求しましたが、名古屋市は全面非公開にしました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171227.pdf

理由は以下です。
 当会議は、「国土交通省直轄工事における技術提案・交渉方式の運用ガイドライン」に基づいて優先交渉権者との価格交渉を行いその結果等について学識者から意見を聴取するものです。
 現時点で公表できない情報を含んでおり、公にすることにより、事業の性質上、事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため非公開とします。
 ※請求に係る行政文書は、当該事業の契約締結後には公表予定です。
資料が一切公開されないため、どのような契約をだれと締結するつもりなのか、金額がいくらをいくらにするつもりなのかもさっぱりわかりません。

想像でしかありませんが、17/5/9に名古屋市が竹中工務店と結んだ「基本協定書」「基本設計その他業務委託契約書」どおりに進んでいないからではないでしょうか。

・名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf
・名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託 契約書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-2.pdf
 
石垣部会は、天守閣部会座長の瀬口哲夫氏の「石垣部会は安全性を考えていない」発言に抗議して石垣調査がストップしています。
しかし、それだけでなく、名古屋市がエレベーター設置しない方針を示し、また現天守閣の下のケーソン調査を行っていないため、18/2/28までの基本設計終了が見込めなくなっています。
18年10月までに文化庁復元検討委員会からの了承を得られなくなったことがあり、2022年12月までの木造天守閣竣工は事実上不可能になりました。

バリアフリーについては、バリアフリー法だけでなく、愛知県の「人にやさしい街づくりの推進に関する条例」でエレベーター、スロープ等の設置義務があります。
http://www.pref.aichi.jp/soshiki/jutakukeikaku/0000043092.html
上記は建築基準法3条の適用除外ができないと当方は理解しています。

名古屋市は17/12/28に市幹部らがエレベーター設置するかのプロジェクトチームを立ち上げたとのことですが、名古屋市の住宅都市局建築指導部建築指導課、愛知県の建設部建築局建築指導課、建設部建築局住宅計画課に問い合わせるのが先ではないでしょうか。

また、名古屋市が文化庁に提出した「石垣調査」は、あくまで石垣保全のための調査であり、17/5/12には検討していた現天守閣の下にあるケーソンの調査は、17/10/13時点では含まれておりません。
・17/5/12  特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣部会(第21回)配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170512.pdf
・17/10/13 名古屋城全体整備検討会議(第24回)配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171013-2.pdf

これでは、現在のケーソンの寿命がわからず、木造天守閣を上に載せて大丈夫かどうかが判明しません。
基本設計が完了せず、木造天守閣計画が事実上ストップしています。

木造天守閣を作るのであれば、本来筋は以下です。
1)名古屋城跡保存活用計画(案)パブコメで木造化と明記   (2018/1-2予定)       
2)名古屋城跡保存活用計画を市が確定 文化庁の許可を受ける (2018/3以降予定)
3)ケーソン調査のための文化庁の許可を受ける        (未定)
4)ケーソン調査                      (未定)
5)エレベーター設置について方針を定める          (2018/3予定)
6)日本建築センターの評定                 (未定)
7)総務省から消防設備の緩和許可を得る           (未定)
8)名古屋市建築審査会の同意(建築基準法3条 適用除外)  (未定)
9)文化庁復元検討委員会の同意               (未定)
10)基本設計完成                     (2018/2末 完成予定)
11)実施設計                       (2018/4以降予定)

上記にもかかわらず、名古屋市は18/5/7から名古屋城の現天守閣を入場禁止(閉鎖)すると正式に発表しました。
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/17_topics/291212/index.html

現状では天守閣閉鎖を伴う石垣調査は18/5/7から始まりません。
調査もせずに入場禁止にした場合、来場者が減る責任はどう取るのでしょうか。
少なくとも、2018年2月議会では、実施設計予算を市は提出することはできませんし、仮に提出しても市議会は承認してはいけません。

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そんな矛盾だらけの名古屋城木造化について、名古屋市は市民向け説明会を18/1/16以降行うとのこと。
是非ご参加下さい。

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名古屋城天守閣木造復元「市民向け説明会」・「シンポジウム」
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000100606.html
名古屋市及び株式会社竹中工務店からの説明
質疑応答

平成30年1月16日(火)午後6時30分〜午後8時00分 西文化小劇場
平成30年1月18日(木)午後6時30分〜午後8時00分 港文化小劇場
平成30年1月19日(金)午後6時30分〜午後8時00分 北文化小劇場
平成30年1月23日(火)午後6時30分〜午後8時00分 名東文化小劇場
平成30年1月24日(水)午後6時30分〜午後8時00分 南文化小劇場

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「シンポジウム」の開催 ※市長出席
天守閣をテーマとした講演会
名古屋市及び株式会社竹中工務店からの説明
質疑応答
市長からの総括

平成30年1月28日(日曜日)午前10時00分〜午後0時30分 鯱城ホール

17/12/25 名古屋市「名古屋城に最高1時間3000人来るも、木造天守閣には1時間1500人しか登れない計算」示す

17/12/25午後、名古屋市議会経済水道委員会が開催されました。

・17/12/25 名古屋市議会経済水道委員会
 特別史跡名古屋城跡天守閣整備事業に係る基本計画(案)の進捗状況について
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171225-5.pdf
・17/12/25 名古屋市議会経済水道委員会
 特別史跡名古屋城跡保存活用計画(案)について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171225-6.pdf
・名古屋城天守閣整備事業 復元整備基本構想案
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171225-7.pdf
・保存活用計画(案)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171225-8.pdf


・名古屋市民オンブズマンメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171225-2.pdf
 
浅井正仁市議(自民・中川区)は、400万人入れようとすると最高1日何人来場するかを尋ねたところ、名古屋市は「今後の設計によるが、姫路城だと最高で1日25000人来た。来場時間を実質8時間とした場合、3000-3500人」としました。
また、名古屋市は「姫路城は最大1時間800人を超えた場合入城制限をした。名古屋城は床面積2倍なので、1500人くらいを考えている。」としました。

現在は、85%程度の来場者が天守閣に登っているとのこと。上記計算であれば、名古屋城に来ても木造天守閣に入れない人が半分の1500人もあらわれるということになります(しかし、どの市議も指摘しませんでした)。

浅井市議は「チェアリフトで最上階に登るのに30分かかる。障害者団体がバスで来たら、大渋滞する」としましたが、チェアリフトがなくても半分は木造天守閣に入れない計算です。

また、福田誠治市議(公明・南区)は、夏はどうなるのかと聞いたところ、名古屋市は「エアコン設備を設けると史実と異なるため、配管が不要なエアコンに変わるものを考えている」としました。
福田市議は「トップの市長は無責任だが、市職員が無責任ではいけない」としました。

中川貴元市議(自民・東区)は、18/5/7に現天守が閉鎖された後、盛り上げる手段を尋ね、名古屋市は「映像コーナーを設ける」としました。

一方、17/12/25午前中の委員会で、教育室長は小学生の名古屋城見学について聞かれ、
「小学生の入場者数は無料なのでつかんでいない。教育課としては、危険性がなるべくならないように。実際に登らなくても、ARやVRで体験出来るようにしたい。
 そういう仮想かもしれないが、実際に体験することで文化財を守ると、教育委員会の立場上思った。」と述べました。
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ARやVRで体験出来るのなら、505億円もかける必要性はありません。しかも危険性の高い階段を上らせる意味は何かあるのでしょうか
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171225-1.pdf
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なお、中川市議は、石垣部会の現状について問合せ、西野所長は
「年内に解決したい。年内に返事がいただけると思っている。もし期待する返事でなかった場合今後検討する。
 工程については大幅に石垣の調査が遅れるということなら苦しくなる。そのあとの処置は竹中と相談して検討」と述べました。

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今ごろ想定最大入場者数を発表している名古屋市。問題点に気づかない市議会。教育委員会は大変冷めています。

夏の酷暑時に、エアコンなしでマンション13階まで傾斜50度以上の急階段を登る人がどの程度いるでしょうか。
いても多くが倒れてしまいます。

木造天守閣の姿が具体的になればなるほど矛盾します。
結局は、安全軽視、来場者軽視で、借金だけが積み上がっていくことになるのが目に見えています。
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そんな矛盾だらけの名古屋城木造化について、名古屋市は市民向け説明会を18/1/16以降行うとのこと。
是非ご参加下さい。

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名古屋城天守閣木造復元「市民向け説明会」・「シンポジウム」
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000100606.html

名古屋市及び株式会社竹中工務店からの説明
質疑応答

平成30年1月16日(火)午後6時30分〜午後8時00分 西文化小劇場
平成30年1月18日(木)午後6時30分〜午後8時00分 港文化小劇場
平成30年1月19日(金)午後6時30分〜午後8時00分 北文化小劇場
平成30年1月23日(火)午後6時30分〜午後8時00分 名東文化小劇場
平成30年1月24日(水)午後6時30分〜午後8時00分 南文化小劇場

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「シンポジウム」の開催 ※市長出席
天守閣をテーマとした講演会
名古屋市及び株式会社竹中工務店からの説明
質疑応答
市長からの総括

平成30年1月28日(日曜日)午前10時00分〜午後0時30分 鯱城ホール
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17/12/25 名古屋城 名古屋市議「2018年にバリアフリー法改正予定と把握しているか?」

17/12/25午前、名古屋市議会産業・歴史文化・観光戦略特別委員会が開催されました。

17/12/25 名古屋市議会産業・歴史文化・観光戦略特別委員会説明資料
 特別史跡名古屋城跡保存活用計画(案)について
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171225-3.pdf

・特別史跡名古屋城跡保存活用計画(案)概要版(17/12/25市議会配付)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171225-4.pdf
・特別史跡名古屋城跡保存活用計画(案)(17/12/25市議会配付)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171225-8.pdf



名古屋市民オンブズマンメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171225-1.pdf

その中で、成田たかゆき市議(自民・天白区)が「2018年 通常国会で、バリアフリー法改正されるという話しが聞こえているが把握しているか」と質問しましたが、名古屋市は把握していないとのこと。

名古屋市は「現在の名古屋城天守閣を取り壊し、新たに木造天守閣を作るため、新築と考えている。木造天守閣には建築基準法3条が適用される。
バリアフリー法では建築基準法3条が適用され、バリアフリー法の適用が除外される。しかしまったくバリアフリー法を無視していいわけではない。
建物、マンパワーで対応したい」としました。

成田市議は「バリアフリー法は2006年改正されて以来、11年間改正されていない。2020年の東京オリンピック・パラリンピック、さらに2026年アジア競技大会、2027年リニア開業と盛りだくさんで、海外からのお客さん、国内の障害者の移動の円滑化は喫緊の課題」としました。

西野所長は「現時点ではバリアフリー法の対象ではないと認識している。スケジュールを決めて、木造化を進めている。今年度基本設計が完了する際、エレベーターを設置するか決めないといけない。状況の変化によって、さらに検討が必要だとすればその時点で検討が必要」としました。

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木造化について想いがある人は多いですが、想いとは関係なく、法律を守らないといけないということは共通認識でないといけませんし、法律を守らなければ現在の名古屋城について指一本形状変更することは出来ません。
現在の法律でも、建築基準法3条の「適用除外」を受けるには、建築審査会の同意を得る必要がありますが、現時点では名古屋市は建築審査会に諮っていません。
名古屋城木造天守閣が本当に「適用除外」になるのかはまだわからないのです。

バリアフリー推進は国策ですし、条約を批准していますし、世界的な流れです。「一部の人の想い」だけで法律を無視することは不可能です。
名古屋城の今後については
1)ハイテク木造(エレベーターあり) 建設費だけで505億円 2022年12月までは事実上不可能
2)耐震改修+長寿命化100年(最上階までエレベーター) 約29億円
のどちらがよいのかしか選択肢はありません。

2016年5月に行われた2万人アンケートでは、上記についてきちんと説明していませんでした。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/160511-1.pdf

建物の中に入る人の安全を考え、誰でもが簡単に移動可能にするための建築基準法・バリアフリー法・消防法です。
市民をだまそうとしても無理です。
強引に建設しようとしても必ず破綻します。
万が一違法建築が出来た場合、来場者が危険にさらされるため、監督官庁の責任問題になります。
法律遵守は「一部の障害者のため」だけではないのです。


河村市長「ホームエレベーターは実は大変危険ですからね」発言の根拠はなにか

17/12/18に河村たかし名古屋市長の定例記者会見で、名古屋城にエレベーター設置を設置しない理由として、「ホームエレベーターは実は大変危険ですからね」と発言しました。(13:45〜)


記者 今話を伺っていて、エレベーターではダメなんですか?
市長 エレベーターでも ホームエレベーターいうのなら無いわけじゃなかったんですよ。
ホームエレベーター 人だと2-3人詰めてのれば。
車椅子だと1台しか乗れないとほとんど。
ホームエレベーターは実は大変危険ですからねこれ
それと上り下りありますんで、
ものすごい非常に何人でどうかという話になると大変ですよ。これは。ええ
今のところ聞いているところによれば、今デパートのような 10人乗りか20人乗りかわかりませんけど、
ああいうものは、という人はあまりおらないですけどね それ。

国土交通省の研究所の2012/2レポートでは、「ホームエレベーターでの人身事故事例は報告されていない」とのこと。

国土交通省国土技術政策総合研究所
国総研プロジェクト研究報告 第 37 号 平成24年2月
建築空間におけるユーザー生活行動の安全確保のための評価・対策技術に関する研究(その2)
http://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/kpr/prn0037b.htm
ホームエレベーターに関する人身事故の発生は、これまで新聞等で報道された事例はなく、また、平成5年6月30日付け建設省通達である“昇降機の維持及び運行の管理に関する指針”第8“人身事故発生時の措置”五“特定行政庁その他関係官公署への連絡”により特定行政庁に報告された例もなく、また、大手のホームエレベーター保守会社に故障状況を聴取しても人身事故例はこれまでないとのことである。http://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/kpr/prn0037bpdf/kp0037b07.pdf
なお、住宅用エレベーターについては、2017年11月5日に人身事故が1件あったことがわかっています。
http://www.n-elekyo.or.jp/accident/2017/11/

名古屋市民オンブズマンは、17/12/22に「平成29年12月18日開催河村市長定例会見『ホームエレベーターは実は大変危険ですからね』の根拠がわかるもの」を市長室、観光文化交流局、緑政土木局、健康福祉局、住宅都市局、消防庁に対して情報公開請求しました。

何回も繰り返しますが、バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)14条では、不特定多数が利用する特別特定建築物を新築する際は、建築物移動等円滑化基準に適合させなければなりません。
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/

市議会は、どうして上記エレベーター設置しないことの違法性について、設計者の竹中工務店に聞き、違法を取り締まる名古屋市住宅都市局建築指導課(名古屋市建築審査会)に問いたださないのか理解が出来ません。

エレベーター設置は市長の好み、障害者の要望に左右されるのではなく、「法的義務」です。どうして市長は「虚偽の根拠」まで用いてエレベーター設置を嫌がるのでしょうか。

なお、障害者団体は、木造天守閣にした場合、20人乗りのエレベーター設置を求めています。

名古屋市が竹中工務店に委託した「名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託」847,216,844円の契約書上の期限は18/2/28です。
第1条に「日本国の法令を遵守し」とあります。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-2.pdf

建築基準法の適用除外にするためには、市建築審査会が同意しないといけません。また、日本建築センター、文化庁復元委員会、市消防庁の確認・許可が必要です。

エレベーターなしでは基本設計が通らず、委託契約が完了しません。木造化をしたい人が「505億円もかけてエレベーターをつけるのがよいのか」というのであれば、再度「約29億円かけて現天守閣を耐震補強・長寿命化(100年は可能)」と市民に情報を知らせた上で意見を聞いてはどうでしょうか。

幸いなことに、竹中工務店とは基本協定書6条で、「市議会における議会の予算の成立・議決を条件」とし、「予算・議決が成立しない場合は市は何ら責を負わない」としています。
・名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf
 
1)木造エレベーターなしは法律上無理
2)木造エレベーターあり・耐震・防火対策は法律上可能だが、
 505億円かかり、各種ハードルが極めて高い。2022年12月までの完成は事実上不可能。
 上記費用を入場料だけでまかなえるかは不明。2018/2に調査レポートが完成予定。
3)現天守閣耐震改修・長寿命化は約29億円で可能。ハードルも低い。
 文化庁が許可した現在の「全体整備計画」では「耐震改修」となっている。 

ここまで混迷を深めた名古屋城木造化については、きちんと論点を整理して、市民に情報を知らせた上で市民の意見を聞いてはどうでしょうか。


17/12/20 名古屋城天守閣部会 エレベータ設置の是非は一言も触れず

17/12/20に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第7回)が開かれました。
現在、天守閣木造化の際にエレベータを作って欲しいと障害者団体が要望していますが、前回「エレベーター無し」と決めた天守閣部会は、今回はエレベーター設置について一言も触れませんでした。
・配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171220.pdf
・議事メモ(名古屋市民オンブズマン作成)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171220-1.pdf

ずっと、木造天守閣の木材についてと、屋根の仕上げについての細かい話しばかり行っており、しかもいったん決めたことを蒸し返すようなこともありました。
結局この部会で何を決めたのか、何を決めないといけないのかはわかりませんでした。
「史実に忠実な」をどこまで再現するのか、技術・材料があるのか、コストはどの程度かかるのかなど、細かい話しがまったく決まりません。
そもそも、エレベーター設置をはじめ、建築基準法・バリアフリー法・消防法に適合するものをつくるのかどうかという、大きい話も決まっていません。
これでは2018年2月末までと名古屋市が竹中工務店に委託した「名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託」が終わりません。
河村市長は上記委託について、どこまでわかって「エレベーター設置しない方針」と言っているのでしょうか。

なお、唯一の収穫は名古屋城 宝暦大修理の屋根に用いられた『黒チャン塗』という技法は現代では失われた技法であり、「史実に忠実な復元」は不可能であると言うことです。

当日車椅子利用者が4人傍聴していました。
会議終了後、AJU車椅子センターの内海千恵子さんは「日本政府は2014年に障害者権利条約を批准したのに、天守閣部会が前回『木造天守閣にエレベーターを設置しない』と決めたのは信じられない。昨日ADF(愛知障害フォーラム)から天守閣部会があると聞いて、今日は予定を変更して傍聴に来た。
しかし、本日は天守閣部会で一言もエレベーターに触れなかったのはショックだ。
『有識者』は好きなことを話すだけで、以前に決めたことすら蒸し返すのに、エレベーターについてはまったく聞く耳を持っていない。。
これでは木造化の検討は進まないし、エレベーターについても付くことはないだろう。どこに言えば意見を聞いてくれるのか」と嘆いていました。

会議終了後、座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は、マスコミから逃げるように会場を去りました。
西野輝一・名古屋城総合事務所所長は「座長は特にコメントはありません」と防御していました。
マスコミから「エレベーター設置や、石垣部会からの謝罪要求に対し、まったくコメントしないのは市民の理解を得られないのではないか」と聞かれても、座長らは一言も答えずにタクシーに乗りました。

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さらに、名古屋市は17/12/20午後に、名古屋城天守閣整備事業にかかる技術提案・交渉方式(設計交渉・施工タイプ)の実施に伴う意見聴取会(第6回)を非公開で開催すると発表しました。
http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2017/kankobunkakoryu/0000100790.html

上記意見聴取会メンバーは、天守閣部会と8名中7名は同じです。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171220-2.pdf


特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会名簿
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170713.pdf

○小野徹郎 建築学 名古屋工業大学名誉教授
○片岡靖夫 建築学 中部大学名誉教授
○川地正数 建築生産 川地建築設計室主宰
○瀬口哲夫 近代建築史、まちづくり 名古屋市立大学名誉教授
 西形達明 地盤工学 関西大学名誉教授
○麓 和善 建築史、文化財保存修理 名古屋工業大学大学院教授
○古阪秀三 建築生産 立命館大学客員教授
○三浦正幸 日本建築史、文化財学 広島大学大学院教授

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名古屋城天守閣整備事業にかかる技術提案・交渉方式(設計交渉・施工タイプ)の実施に伴う意見聴取会
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/151129.pdf

 大森文彦 東洋大教授 弁護士
○小野徹郎 名古屋工業大学名誉教授 公益財団法人日本建築積算協会 東海北陸支部長
○片岡靖夫 中部大学名誉教授
○川地正数 川地建築設計室主宰 中部大学非常勤講師
○瀬口哲夫 名古屋市立大学名誉教授
○麓 和善 名古屋工業大学大学院教授
○古阪秀三 京都大学教授
○三浦正幸 広島大学大学院教授
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どのようなことが議論されたのか、まったくわかりません。
市民不在で重要なことが決まっていきますし、重要なことが決まりません。

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17/12/20まで、平成30年度の名古屋市予算に対する意見募集中です。
・平成30年度予算編成過程 意見募集
 http://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000099534.html

なお、17/12/25(月)に、名古屋市議会で名古屋城に関する2つの委員会が行われます。傍聴可。
天守閣部会のメンバーにも保存活用計画(案)を見せないまま、市議会は木造天守閣の方針を承認するのでしょうか。
http://www.city.nagoya.jp/shikai/category/324-3-0-0-0-0-0-0-0-0.html
12月25日(月曜日)午前10時 産業・歴史文化・観光戦略特別委員会
  特別史跡名古屋城跡保存活用計画(案)について(観光文化交流局、教育委員会関係)
 午後1時30分 経済水道委員会 (1)特別史跡名古屋城跡保存活用計画(案)について(観光文化交流局関係)
 (2)特別史跡名古屋城跡天守閣整備事業に係る基本計画(案)の進捗状況について(観光文化交流局関係)


17/12/19 「河村市長が天守閣部会座長へ発言撤回要請」読売新聞報道も、市長-座長面談時の内容不存在

17/12/18に名古屋城天守閣木造化を巡り、石垣部会と名古屋市が協議をしました。
その後石垣部会は記者会見を行い、「河村たかし名古屋市長が、天守閣部会の瀬口哲夫名市大名誉教授の『石垣部会は安全性を考えていない』発言の撤回、謝罪をを求めていることがわかった」と17/12/19読売新聞が報じました。
http://www.yomiuri.co.jp/local/aichi/news/20171219-OYTNT50026.html

読売新聞によれば、瀬口氏は市長の撤回要請に応じていないとのこと。
また、17/12/19中日新聞によれば、市と石垣部会が会合再開に向けて協議したが、結論は出ず、現在中断している石垣調査は年内の再開はないと報じています。

上記中日新聞によれば、西野輝一・名古屋城総合事務所長は、2022年末の完成を目指す工期への影響について「さらに1-2ヶ月遅れれば、竹中工務店と相談しないとわからない」と述べたとのこと。

しかし、現在の石垣調査は竹中工務店に委託した「名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託」847,216,844円に含まれており、この契約書上の期限は18/2/28です。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-2.pdf
考慮するハードルがあまりにも高く、『ハイテク木造』が2022年末完成は元から不可能と名古屋市民オンブズマンは見ていますが、少なくとも現在の石垣調査が終わらなければ、「基本設計その他業務委託」が完了せず、続く「実施設計」に移ることが出来ません。
竹中工務店による、名古屋市への損害賠償請求が発生する可能性があります。

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名古屋市民オンブズマンは、17/12/6に「特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議座長の瀬口哲夫・名古屋市立大名誉教授と河村たかし名古屋市長が面談した経緯がわかるもの(平成29年度)」「面談時の内容がわかるもの、配付資料」を情報公開請求しましたが、17/12/15に「請求のあった行政文書を作成又は取得しておらず不存在」としました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171215.pdf

16/11/28に河村市長と竹中工務店、16/12/5に名古屋市と竹中工務店が面談した際は、中身は黒塗りでしたがメモを作成して公開しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/161220.pdf
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/161222.pdf

名古屋市の情報公開のあり方がさらに後退しています。
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なお、名古屋市は17/12/19になって、第7回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会を17/12/20(水)10時〜、名古屋国際センター別棟ホールで行うことを公表しました。傍聴可
http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2017/kankobunkakoryu/0000099962.html
前日に発表するというのは、市民に公開したくないと言うことなのでしょうか。
また、瀬口座長が、「石垣部会に対する発言」についてどのように話すか大変興味があります。

さらに、17/12/20に、名古屋城天守閣整備事業にかかる技術提案・交渉方式(設計交渉・施工タイプ)の実施に伴う意見聴取会(第6回)を非公開で開催すると発表しました。
http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2017/kankobunkakoryu/0000100790.html

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自らの誤った発言を決して撤回しない瀬口哲夫座長。
事前に瀬口座長に発言撤回要請をしておきながら、17/12/18記者会見ではまったく触れず、責任逃れをする河村市長。
https://www.youtube.com/watch?v=M1ItLSRTJD4
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171218.pdf
市長と瀬口座長と石垣部会と竹中工務店の板挟みになり、困惑するがなんとかその場だけを取り繕おうとする西野所長。
専門的知識を持ち、「400年前の姿の再建はそもそも不可能だが、『ハイテク木造』であってもこのままのスケジュールでは無理」とわかっていても、市長に口出しが出来ず、無視を決め込む名古屋市各局担当者。
上記構図を理解する能力が無い市議会。
名古屋城を巡る無責任体制は、石垣のさらなる劣化を招き、現天守閣の耐震強度不足による大地震での被害を招きかねません。

なぜこんな事態になってしまったのでしょうか。
名古屋市が的確な情報を公開せず、市民に誤った「400年前そのものの木造天守が出来る」というイメージを植え付けた河村市長の責任は重大です。
そのイメージで市は寄附金募集をしているのでさらにたちが悪いです。
今後どうなるかさっぱりわかりませんが、さらなる混乱が起こることだけは間違いないです。

17/12/18 名古屋城木造天守 河村市長が再度「車椅子は剛力みたいに手で支えて登っていっては」発言

名古屋城天守閣木造化に関し、河村市長は17/12/18記者会見で「車椅子の人は昔の剛力みたいに手で支えて上がれば、コミュニケーションがとれる」と発言しました。
・平成29年12月18日 名古屋市長河村たかし 定例記者会見

・文字起こし(名古屋市民オンブズマン作成)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171218.pdf

2013年6月19日本会議でも河村市長は「背負子(しょいこ)」で名古屋市立大の学生にボランティアで上がってもらったらどうかと発言しています。
http://www.kaigiroku.net/kensaku/nagoya/nagoya.html

現在また木造天守閣にエレベーターをつけるかどうかが議論になっていますが、河村市長は何回も「エレベーターをつけずに人力で何とかする」と発言しており、これは信念です。

市長にいくら信念があっても、バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)14条では、不特定多数が利用する特別特定建築物を新築する際は、建築物移動等円滑化基準に適合させなければなりません。
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/

法律というのは、人権を守るためにあるのであり、時の為政者の好き勝手なことをあらかじめ防止するためにあります。
多くの市民が仮にバリアフリー法違反の建築を望んでも、法治国家である以上は認められません。

また、市長が何回も繰り返す「市民の圧倒的な民意」ですが、2016年5月に行われた2万人アンケート説明資料では「小型エレベーター設置を検討」(車椅子利用可 4人乗り)とあり、エレベーター無しの前提ではありません。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/160511-1.pdf
しかも、以下の3択では、2020年までに木造は一番少なく21.5%でした。
2万人中7,224人
・2020年7月までに木造復元 21.5%
・2020年7月にとらわれず木造復元 40.6%
・現天守閣の耐震改修工事 26.3%
・その他6.2%
・無回答5.4%

現在、なぜか2022年12月までの木造復元を名古屋市は目指していますが、市民にきちんとした情報も出さず、市民の意見も聞かず、しかも違法建築を建てて人権侵害を行おうとしています。
エレベーター設置に関する庁内の検討会を年内に設けると市長は発言しましたが、「違法建築は建てられない」ことは、市長以外の市職員は全員知っており、なにを検討するのかまったくわかりません。

車椅子利用者などで作る愛知障害フォーラム(ADF) は、あくまでもエレベーター設置を求めています。
「チェアリフト」でも「階段昇降機」でもありませんし、ましてや「背負子」「剛力」でもありません。
http://aichidisabilityforum.com/#nagoyajyou

竹中工務店との契約上、2018年2月末で基本設計を終了させることになっており、エレベーター設置問題を解決しないことには成果物が市に引き渡せません。
・名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託 契約書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-2.pdf
今後、「名古屋市のせいで成果物が引き渡せなかった」と、竹中工務店は名古屋市を訴えるのでしょうか。
「全責任は私が取る」と2015/8/24に河村市長は名古屋市市民経済局長に指示書を出しています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
どのように「責任を取る」のか見ものです。

17/12/16 元大阪城館長「耐震改修した大阪城はあと100年はもつ」

日本共産党名古屋市会議員団は、17/12/16に「まだ止められる 2022年名古屋城天守閣木造化」シンポジウムを行い、70人が参加しました。
・日本共産党 江上博之市議による報告
 
http://egami-hiroyuki.jcpweb.net/action/2017-12/2923.html
・配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171216.pdf
・メモ(名古屋市民オンブズマン作成)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171216-1.pdf
・17/11/11 日本共産党名古屋市会議員団
 名古屋市政資料 名古屋城天守閣木造復元特集
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171216-2.pdf
 
元大阪城館長の渡辺武氏は、38年間大阪城天守閣一筋に勤め、全国城郭管理者協議会の副会長19年、会長4年を勤め、各地の城になんどとなく足を運んだ経験から、歴史的な文化遺産を復元・復旧・修復する際、最低限考慮しないといけないことがあるとして、以下述べました。
 @何のために(目的)
 A根拠となる資料がどの程度確かなものがあるか
 B材料調達の可否 
 C技術力・技術者が確保できるか 
 D経費の問題 いくらかかるか、だれが負担するか 
 E工期 
名古屋城木造化は、Aの資料は豊富にあり、B材料C技術があったとしても、それは一種の複製でレプリカを作ることであり、原本価値はないということを承知していないとだめだと述べました。
また、現天守閣の「展示物を見て理解するという重要な意味」は木造にするとまず無理になるとしました。
よって、@なんのために木造化するのか 絶えず原点に立ち返らないといけず、「外部からのシンボル」という意味では現天守が数十年間果たしてきています。
また、熊本城で耐震化については早急に行う必要があると述べ、大阪城では耐震補強とコンクリートの中性化を行い、震度6以上の自信が起こっても人身事故を起こさないだけの安全性を確保し、貴重な文化財に被害を及ぼさないようにし、計算上今後100年以上は大丈夫にしたと述べました。
その際、全館車椅子ごと観覧可能にしたところ、車椅子での来場者はそれまで年10-20人程度のところが年間3000人くらいになり大変喜ばれたとのこと。
大阪城では、公園管理部分は民間委託したが、内部の博物館機能は学芸員も館長も市直営を続けて充実させている。現名古屋城天守については、外観を手を入れれば今後も持ち,内部を充実させればよいのではないかとしました。

続いて、日本共産党名古屋市議団の江上博之市議は、「2019年の統一地方選挙で議会勢力を変えれば、木造化は変更できるのではないか」と述べました。

また、元NHK解説委員の毛利和雄さんは、「木造化するなら名古屋市は文化庁の中の委員会に諮って検討が必要だが、現時点では諮っていない。2022年末までの完成スケジュールはどう考えても成り立たない」としました。

一級建築士の滝井幹夫氏は、「木造天守閣を建てるには、建築基準法、消防法、バリアフリー法の法的制約がある。建築基準法には『適用除外』があり、名古屋市の審査会で否決された場合、市長は委員を入れ替えて同意させる可能性がある」と述べました。
 
会場からは活発な質問が出ました。
渡辺武氏は「博物館法第23条で『公立博物館は、入館料その他持物館資料の利用に対する対価を徴収してはならない。』とある。しかし、戦後の経済成長初期は金がないので『但し、博物館の維持運営のためにやむを得ない事情のある場合は、必要な対価を徴収することができる。』となったことを悪用している。本来は無料。外国の博物館は基本的に無料。金を儲けるために料金を上げるのは非常に文化的でない。文化度の低い発想で、。本来無料にすべき『建設費の500億は入場料でまかなえる』は名古屋市民として世界に恥ずべき発想だ。」と述べました。

また、渡辺氏は「名古屋城は現在年間190万人来るが、正直入場者が多すぎると思う。大阪城は年間250万人来ているが、朝から行列が並び、エレベーターに半分くらいしか乗れない。
以前大阪城築城400年祭りを行ったが、最高1日25000人来てすさまじい人人人だった。階段がちびた。来城者はぞろぞろとあるき、なにも見れない。幸い事故は起こらなかった。明石の事故は繰り返してはいけない。
木造名古屋城は年間360万人を目標にしているが、そんな状態を名古屋市民は求めているのか?『入場料ごっつう儲かる』とやってはいけない。声を上げて欲しい。」と述べました。

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今回、誰一人として、「木造化実施設計等予算18億4500万円を盛り込む平成30年度予算に意見を言おう(17/12/20まで)」「今後木造天守閣を明記する『保存活用計画案』にパブリックコメントを出そう(2018/1-2予定)」「石垣部会・天守閣部会を傍聴してレポートしよう」「12/25(月)13:30- 名古屋市議会経済水道委員会を傍聴しよう」などいう人がいなかったのは不思議でなりません。
・平成30年度予算編成過程 意見募集
 http://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000099534.html

また、2018年2月議会での実施設計予算審議の際、「400年前の木造天守閣を再築することは法律上できません。ハイテク木造を望みますか?」と、木造天守閣推進派や他市議に言い続けることなど、いろいろできることはあるはずです。

このまま市民不在のまま、名古屋城天守閣木造化は進んでいくのでしょうか。そうはならず、石垣部会の問題、エレベーター設置問題が解決しないと基本設計が完了しません。泥沼の法廷闘争になるのが目に見えています。
全関係者のダメージが一番少ないほぼ唯一の方法は、2018年2月議会で木造化実施設計等予算を認めない、という選択ですが、議会がこの構図を理解しているのか、
そんな決断力が議会にあるのか疑問です。本当に今後どうなるのか。無責任体制は続きます。

17/12/15 名古屋城 市の石垣部会への返事が「事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」で非公開

名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会が、17/10/13に開催した名古屋城全体整備検討会議(第24回)での瀬口哲夫・名古屋市立大名誉教授「天守閣部会は(入場者らの)安全性を考慮している。石垣部会は安全性を考えていない」との発言に抗議し石垣部会として瀬口氏に対して発言の撤回を求める書簡を市に送った事に関し、名古屋市が石垣部会に返事を送った件で、名古屋市民オンブズマンが上記返事を情報公開請求したところ、市の回答は「事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」として内容が全面非公開とする決定が17/12/14にでました。
石垣部会が送った書簡も再度内容が全面非公開でした。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171214.pdf


なお、瀬口座長発言に対し、石垣部会から「名古屋市に送られた書簡に対する返事を出すにあたって検討した内容がわかるもの」「瀬口氏に送られた書簡」「瀬口氏に送られた書簡に対する返事」「瀬口氏に送られた書簡に対する返事を出すに当たって検討した内容がわかるもの」については、いずれも不存在でした。
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石垣部会は瀬口氏発言で激怒しており、瀬口氏の謝罪・発言撤回無くしては石垣部会は現在の石垣調査、今後の石垣詳細調査に協力しないと明言しています。
現在の石垣基礎調査は2018年2月末までで終了する予定ですが、今後どうなるのかまったく予測がつきません。
(名古屋城総合事務所整備室に17/12/15確認。石垣基礎調査は竹中工務店に委託した「名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託」847,216,844円に含まれている。石垣基礎調査の費用は、名古屋市としては把握していない)
・名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf
・名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託 契約書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-2.pdf
 
しかも、2017年11月補正予算が可決された石垣詳細調査について、発掘調査が2018年4月以降開始予定ですが、石垣部会の協力を得られていない現状では発掘調査を始めることも出来ません。

市民への説明もせず、石垣部会への説明もせず、石垣基礎調査もストップしたままだと、「基本設計その他業務委託」を行った竹中工務店に追加費用を払うことにもなりかねません。
河村市長は、陽子線ガン施設建設でも独断で工事を中断させており、現在日立製作所が名古屋市を相手に裁判中です。
河村市長は再度繰り返したいのでしょうか。

17/12/14 河村市長「名古屋城天守閣木造化バリアフリーに関する指示書」は不存在

河村たかし名古屋市長は名古屋城木造天守閣にエレベーター設置しない方針を示した件で、17/11/28名古屋市議会本会議で「弱者切り捨てでは全くない。『関係者と相談してやれ』と指示していた」と述べました。
名古屋市民オンブズマンは「河村市長が名古屋城天守閣木造化バリアフリーに関して出した指示書」を情報公開請求しましたが、17/12/8付けで不存在決定がでました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171208.pdf

これでは本当に指示したのか、また仮に市長が口頭でなんらかの指示をしたとしても市民に内容がよくわかりません。

名古屋市民オンブズマンは、「名古屋城木造天守復元におけるバリアフリーに関する検討チーム」の召集文、構成メンバー、配付資料、議論の内容がわかるものを17/12/14に情報公開請求しました。

名古屋市は、「名古屋城木造天守復元を目指す」としながら、市民にきちんとした情報を公開していません。
このままでは、木造化の基本設計が終了予定で、石垣調査(基礎調査)終了予定(現在停止中 再開のめどが立たず)で、来年度予算審議が始まる2018年2月末ごろ、様々な矛盾が一気に噴出しそうです。
「転ばぬ先の杖」としての情報公開がまったく機能していません。
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なお、以下情報公開請求を17/11/29にしましたが、すべて延長になりました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171212.pdf
・平成29 年5 月8 日開催の「名古屋城天守閣整備検討会議」(第2回)
 議事録、配布資料(web掲載以外)
・「名古屋城天守閣整備検討会議」広報・公聴、機運醸成部会
 議事録・内容がわかるもの、配布資料
・「名古屋城天守閣整備検討会議」広報・公聴、機運醸成部会WG
 議事録・内容がわかるもの、配布資料
・「名古屋城天守閣整備検討会議」天守閣整備部会
 議事録・内容がわかるもの、配布資料
・「名古屋城天守閣整備検討会議」天守閣整備部会WG
 議事録・内容がわかるもの、配布資料
・「名古屋城天守閣整備検討会議」おもてなし部会
 議事録・内容がわかるもの、配布資料
・「名古屋城天守閣整備検討会議」おもてなし部会WG
 議事録・内容がわかるもの、配布資料
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000093281.html

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平成2 9年1 1月3 0日
愛知障害フォーラム(A D F ) 代表加賀 時男様
名古屋市長 河村 たかし
名古屋城木造復元天守におけるバリアフリーに関する公開質問状について(回答)
http://aichidisabilityforum.com/index.html#nagoyajyou2

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17/12/13 名古屋市は名古屋城天守閣木造化2億円寄付募集に1億円税金を使う計画 12/20まで意見募集中

名古屋市は、平成30年度当初予算案として実施設計、史跡内仮設工事、監理設計等支援業務委託等として10億4100万円+7億400万円を提案しようとしています。
 ・実施設計+仮設工事    起債  9億7300万円
 ・設計監理等支援業務委託等 一般財源  6800万円
 ・実施設計 30-32年度 7億400万円 起債
また、平成30年度に2億円の寄付を集めるのに、1億円の税金(一般財源)を使って
機運醸成を図る計画です。
・名古屋市 平成30年度予算要求内容の公開 22ページ目
 
http://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000099/99534/30yosanyoukyuunaiyounokoukai.pdf
「予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例」に基づき、平成29年12月20日(水)まで意見募集中です。
http://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000099534.html
名古屋市は、名古屋城天守閣木造化のため、「名古屋城天守閣積立基金」を設置しました。
木造天守閣建設には505億円かかる見込みで、利子100.67億円、運営管理費276.45億円などを含めると、2069年までに915億円もかかる大事業です。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/160511-1.pdf
「税金を1円も使わず木造天守閣を作る」と河村市長は言っていますが、機運醸成名目で1億円の税金を使うのはどのように説明をするのでしょうか。

また、エレベーター設置の有無、耐火・防災仕様が決まっていない現在、実施設計に着手出来るのでしょうか。
この計画は疑問と利子がふくらみます。

17/12/7 名古屋城石垣詳細調査 補正予算が市議会委員会で可決

17/12/7に名古屋市議会市議会経済水道委員会が開かれ、名古屋城の石垣詳細調査に関する補正予算3億4000万円についての意思決定がなされました。

自民:賛成
民進:賛成 石垣調査 文化庁と密に連携すること
公明:賛成 
共産:反対 石垣部会から指導を受けられず、石垣調査が中断し再開のめどが
      たっていない中、補正予算を提案するのは問題
減税:賛成

共産党の2名以外賛成し、原案通り可決されました。

石垣部会が言うように、名古屋城石垣詳細調査は木造天守のための事前調査ではありません。「石垣自体の本質的価値・現状を工学的・考古学的に調査して必要が
あれば適切な修理を行う」というものです。
しかし、ほとんどの市議が石垣詳細調査は「木造天守のため」と信じて疑いません。市もはっきりとは言いません。

全体整備検討会議座長の瀬口哲夫氏「石垣部会は安全性を考慮していない」発言で、石垣部会は激怒しており、瀬口氏の謝罪・発言撤回無くしては石垣部会は現在の石垣調査、今後の石垣詳細調査に協力しないと明言しています。
こんな中で補正予算を可決する市議会の気持ちがまったくわかりません。

情報をきちんと共有せず、二枚舌を使う名古屋市。まともな議論をしない名古屋市議会。今後石垣調査だけでなく、エレベーター設置・バリアフリー問題、耐震・防火問題、文化庁がそもそも木造天守閣建設を認めるかどうかなど問題が山積です。
遅かれ早かれ、名古屋市は2022年12月完成目標を変更しないといけなくなります。
お金の絡むことなので、早めに方針転換をした方がよいと思いますが、このまま突っ走ってしまうのでしょうか。

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なお、名古屋市は、平成30年度当初予算案として実施設計、史跡内仮設工事、監理設計等支援業務委託等として10億4100万円+7億400万円を提案しようとしています。
 ・実施設計+仮設工事    起債  9億7300万円
 ・設計監理等支援業務委託等 一般財源  6800万円
 ・実施設計 30-32年度 7億400万円 起債
また、今後2億円の寄付を集めるのに1億円の税金(一般財源)を使って機運醸成を図る計画です。
・名古屋市 平成30年度予算要求内容の公開 22ページ目
 
http://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000099/99534/30yosanyoukyuunaiyounokoukai.pdf
平成29年12月20日(水曜日)まで意見募集中です。
http://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000099534.html

少なくとも、名古屋市が当初描いていた以下スケジュールは見直すべきです。
・2017/11 保存活用計画案が全体整備検討会議で承認
・2017/12 市議会で保存活用計画案を審議
    12/20まで H30年度予算意見募集締め  
・2018/1-2 保存管理計画パブリックコメント
・2018/2末 「木造復元に向けた調査業務委託」発表
      竹中工務店 「基本設計」完成予定
・2018/3  保存活用計画策定・公表
・2018/5/7 天守閣閉鎖予定


17/12/6 名古屋市 石垣詳細調査は「木造天守閣復元のため」と明言せず

17/12/6に名古屋市議会経済水道委員会が開催されました。
・配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171206.pdf
・メモ(名古屋市民オンブズマン作成)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171206-2.pdf

名古屋城天守閣整備事業工程案も出ました。

西川ひさし市議(自民・昭和区)は、石垣詳細調査について「木造復元のためのものですよね」と確認していますが、西野所長は「名古屋城天守木造計画 一つ一つ基本設計をし、石垣調査を行う。その中の一つの要素として天守台保全をしっかりしていく。そういう部分で取り組んでいる」と述べるだけで、「木造天守閣復元のため」とは明言しませんでした。

配付資料を見ても、「天守台を適切に保全し後世に伝えるため、調査により石垣の現状を把握し、調査結果に基づき対策を実施する」とごまかすような
書き方をしています。
しかし、市議は市のごまかしに気づいていないようです。

17/9/12に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣部会(第24回)で、構成員の千田嘉博・奈良大学教授はマスコミに向かって「これまで部会の議論と異なった内容が報じられているのは残念だ。先ほどまで議論しているのは石垣調査についてであって、木造天守閣に関する議論は一切行っていない。間違いです。誤報です。
穴蔵石垣について、本質的価値現状を工学的・考古学的に調査して必要があれば適切な修理を行うのであって、木造天守のための事前調査ではない。名古屋市は現状変更許可を文化庁に提出したが、そこのところをかき分けていただいている」と強調しました。
http://ombuds.exblog.jp/25602183/

福田誠治市議(公明・南区)の天守閣の基礎工事で石垣が影響が全くないのか?という質問に対し、「天守の木造復元では石垣内側に構台を作るため、工事では石垣に影響がない。石垣に荷重をかけないので裏込めには影響ないと考える」と明言していますが、本当に影響がないのかは石垣部会に諮っていません。

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現在の石垣部会と天守閣部会座長の瀬口哲夫氏との仲違いは、表面的には瀬口氏の「石垣部会は安全性を考慮していない」発言ですが、名古屋市の上記のようなごまかし(石垣部会・文化庁には「石垣保全のため」、市議には「木造天守閣復元のためか」と聞かれても曖昧にする)が背景にあるのではないでしょうか。

17/6/23に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会(第22回)では、予定では2020年3月に天守を解体し、その後、解体後の石垣調査を2020年4月5月で行う計画で、同年6月からは5月までに完成した実施設計に基づき木造天守閣に着手するものでした。
「消失後に積み直しされたであろう穴蔵部分について、史実調査、現状の調査をした結果を踏まえ今後の取扱いを決定する」としか書いておらず、どのように2ヶ月間で
見直しをするのか全く具体的ではないと、全委員から批判されました。
http://ombuds.exblog.jp/24630301/

今回出されてきた工程案では、天守解体後の穴蔵石垣調査ではなく、まず2018/5に天守閣を閉鎖して穴蔵石垣の詳細調査をするようになっています。
2018/10に穴蔵石垣の根石背面調査が終了後も天守閣閉鎖をし続け、いつの間にか素屋根の鉄骨制作、エレベーター、現天守閣解体になだれ込もうという計画となっています。
根石背面調査のため、天守閣を閉鎖する必要があるとしても、それが終われば天守閣を再度開放するのが筋です。
また、「詳細調査を踏まえ、どのような石垣があるべき姿なのか考え、必要であれば修復する」というのが石垣部会の意見ですが、それとは関係なく木造天守閣建設が進む計画となっています。
また、穴蔵石垣の詳細調査をどのように実施設計に反映させるのか、構台設置が石垣にどのように影響があるのか検討する余裕はあるのでしょうか。

少なくとも、現在の石垣基礎調査で、石垣部会の了承が得られない限り発掘調査ならびに地盤調査は再開しません。
今後の石垣詳細調査でも、発掘調査・根石背面調査は不可能です。
これらができなければ例え予算が通っても、文化庁は石垣詳細調査の許可を出しません。

ここで石垣詳細調査の予算を市議会が認めることは、混乱に拍車をかけることになりかねません。
石垣詳細調査がなんのために行われるのか、目的を今一度はっきりさせ、
石垣部会と文化庁がきちんと納得した上で石垣詳細調査を行うべきではないでしょうか。


17/12/4 名古屋市「名古屋城石垣部会の混乱は本年12月中に問題を解決したい。できなければ文化庁と相談」

17/12/4に名古屋市議会経済水道委員会が開かれ、名古屋城の石垣詳細調査に関する補正予算3億4000万円についての議論がなされました。

・名古屋市民オンブズマン 作成メモ
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171204.pdf

そもそも、この石垣詳細調査は、名古屋城石垣部会が「現在の名古屋城で最も貴重な石垣について『観光客の安全を考慮するため』に、早急に石垣調査を行うべき」としたものです。調査対象は天守台石垣に限りません。

しかしながら、17/10/13に開催した石垣部会・天守閣部会合同会議で、座長の瀬口哲夫・名古屋市立大名誉教授が「天守閣部会は(入場者らの)安全性を考慮している。石垣部会は安全性を考えていない」との発言を行い、石垣部会構成員の猛烈な反発を呼んでいます。

石垣部会は17/10/16に名古屋市と瀬口座長に抗議の書簡を提出しました。
・名古屋市民オンブズマンに開示された書簡
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171121-2.pdf

17/11/17読売新聞報道によれば、瀬口氏の発言撤回・謝罪がなければ11月末で石垣部会を解散すると伝えたとのこと。
17/12/1読売新聞報道によれば、市が回答したものの石垣部会の求めたものでなかったため、結論が出せないとして現在も結論が持ち越しとのこと。
・2017年12月01日 読売新聞
 名古屋城 石垣部会「解散」なお協議
 http://www.yomiuri.co.jp/local/aichi/news/20171201-OYTNT50009.html

17/12/4NHK報道によれば、石垣部会が紛糾し、現在行われている石垣概要調査が11月中旬から中断し、再開のめどが立っていないとのこと。
・2017年12月04日 09時44分 NHK
 名古屋城の石垣調査が中断
 http://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20171204/3250551.html

17/12/4経済水道委員会で、名古屋市は現時点で行っている石垣調査が中断していることを認めました。また、「石垣部会には市として回答を出したが返答は来ていない。いつまでに回答する、とお話し頂いているわけではない。解決しないと現在行っている石垣発掘調査が進まない。12月中に解決したい。もしうまくいかなかった場合、他の専門家の方にお願いするなど、文化庁と相談して適切な対応をとる。」と述べました。

なお、現在のスケジュールでは、2018年ゴールデンウィーク明けの5月7日には石垣詳細調査を行うため、現天守閣を入場禁止にし、その後木造天守閣復元(2022年12月予定)までずっと閉鎖し続けるとのこと。
閉鎖中は値下げは考えていないと言います。

石垣部会は「石垣の安全性のために詳細調査が必要」と言い続けてきましたが、西野名古屋城総合事務所長は「木造天守を史実に忠実に作っていくために」石垣詳細調査が必要と述べました。
石垣部会への説明と食い違っています。

石垣詳細調査を行うには文化庁への申請が必要で、調査開始予定2018/5/7の数ヶ月前には申請予定とのこと。
石垣詳細調査は、石垣部会との協議が整わなくても2018/7-8月までは進めていけると名古屋市は主張しています。

また、木造天守閣を作成する際、既存のケーソンを利用するかどうかは、今後行う劣化度調査を踏まえて、ということで、まだ決まっていないようです。

今回の石垣詳細調査予算3.4億円は、竹中工務店との当初の基本協定505億円とは別ですが、竹中工務店と協議して505億円に含むとのこと。

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名古屋市は石垣詳細調査3.4億円を行いたいということですが、現石垣調査も進んでいないのに、石垣詳細調査を文化庁が認めるのでしょうか。
また、現在の石垣調査報告も2018年3月末に概要を行うとのこと。

石垣問題だけでなく、エレベーター設置の問題、耐火・耐震問題、文化庁がそもそも木造天守閣建設を認めるかどうかなど問題が山積で、とても完成は2022年12月には間に合いません。

名古屋市が木造天守閣を目指すと正式に決めるために必要な「特別史跡名古屋城跡保存活用計画」は2017年12月に名古屋市会に提出予定で、委員会審議にかけられる予定ですが、いまだに提出されていません。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171013-2.pdf

名古屋市は、まず2022年12月の目標を下ろした上で、石垣部会と調整し、2018年2月末 「木造復元に向けた調査業務委託」発表を待って、その資料とともに保存活用計画パブリックコメントを行ってはどうでしょうか。
上記が出来ない理由が、竹中工務店との基本設計契約完成予定が2018年2月末であるのなら、エレベーター設置について設置検討が2018年3月末が締め切りというのは欺瞞であるし、仮に基本設計契約の完成が遅れた場合どうなるのかをはっきりさせるべきです。

石垣部会・市議会・竹中工務店・文化庁・市長・市民にいい顔を見せようとしてきた矛盾が一気に吹き出してきています。
名古屋市はきちんと説明していません。


17/11/29 河村市長「名古屋城木造化 エレベータ無しは『関係者と相談してやれ』と指示していた」

名古屋市が名古屋城木造天守閣にエレベーター設置しない方針を示した件で、松井よしのり市議(自民)の17/11/28名古屋市議会本会議に対して河村たかし名古屋市長は「弱者切り捨てでは全くない。『関係者と相談してやれ』と指示していた」と述べました。
・17/11/28 名古屋市議会本会議(動画)
 
http://www.nagoya-city.stream.jfit.co.jp/
・名古屋市民オンブズマン作成メモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171128.pdf

高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)では、不特定多数が利用する特別特定建築物の新設には、所有者は移動等円滑化基準に適合させる義務があります。
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/index.html

名古屋市は、15/12/10「名古屋城天守閣整備事業にかかる 技術提案・交渉方式(設計交渉・施工タイプ) による公募型プロポーザル業務要求水準書」でバリアフリーについて以下述べています。
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/17_topics/271202/dwl/koubo_03.pdf
F バリアフリー化 バリアフリーに配慮したものであること。
(5)ユニバーサルデザイン
(配慮する項目ついては史実に忠実な木造復元と両立した計画とする)
 @車いす利用者へのユニバーサルデザイン  
  a)車いすの利用が想定される階にはエレベータ等の設置を検討し、アクセスが容易となる環境を目指す。また、災害時においても、円滑な避難が可能な環境を整備する。
  b)敷地から出入口への移動経路は段差のない計画とする。
  c)各種サインは、車いす使用者の視認性に配慮すること。
  d)車いす置き場を確保する。
 A視覚障がい者へのユニバーサルデザイン
  a)視覚障がい者の安全かつ円滑な移動を目的として、音声誘導装置や点字サインを、主要な出入口等に適宜設置する。
  b)ロービジョン者、色弱者に配慮し各種サインを計画する。
 B聴覚障がい者へのユニバーサルデザイン
  a)災害発生時に聴覚障がい者が一人で取り残される可能性があるため、避難経路等にフラッシュランプを設置する。
  b)各種サインは、聴覚障がい者の利用に配慮した計画とする。
 C知的、精神、発達障がい者へのユニバーサルデザイン
  a)心身状況の変化により休息及び休憩が必要となる場合があるため、施設内の各階に休憩できるスペースを設置する。
  b)同伴者とともに利用できるトイレを設置する。
 D高齢者等へのユニバーサルデザイン
  a)高齢者が容易に移動可能な環境を整備する。
  b)必要箇所に手すり又はこれに代わるものを設置し、様々な身体状況の観覧者が利用しやすい環境を整備する。
  c)各種サインは、高齢者にとって見やすいサイズや色づかいとする。
  d)高齢者等の安全な移動に配慮し、段差等についてはコントラストに配慮し視認性を確保する。
 E子連れ利用者へのユニバーサルデザイン
  a)トイレにはベビーチェア・ベビーシートを設置したブースを設けるとともに、授乳できるスペースを設置する。
  b)ベビーカー置き場を確保する。
 F外国人利用者へのユニバーサルデザイン
 外国人の来場が想定されるため、ピクトグラムなどの言語以外の表示や、多国語表記のサインを設置する。

名古屋市は自ら「エレベータ等の設置を検討し」と述べているにもかかわらず、
エレベータの設置をしない方針にするというのは、まったく理解できません。

市長を8年以上し、部下に指示をしていたにもかかわらず、市職員が障害者に
話を聞いていなかったことを部下の責任にする河村市長も信じられません。

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松井よしのり市議(自民)は以下述べています。
 名古屋城の木造のお城が出来た場合、本丸御殿の面から最上階まで38.45mになります。
 通常の建物だと13-14階にあたります。
 階段の踏み込み面は、通常25-6cmのところ20cmしかありません。
 階段の蹴上がり(高さ)は通常17-8cmのところ29.4cmもあり、倍近くになります。
 勾配は通常35度のところ最大55.7度にもなり、垂直に近いです。
 通常の階段は幅170cmのところ、木造名古屋城は120cmと狭い。そこに75cmの昇降機を持ってくるという。
 市長さん、2022年に完成した場合、頑張って階段で登る自信はありますか?

河村市長
 年食ってどうなるかわからんが、精一杯登る。
 いろんな技術があり、学者やメーカーと相談している。
 チームを作ってええ方法を考える。出てきます。必ず。

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健常者でも元々の木造天守閣は登りにくいです。
あえて登りにくく、違法な名古屋城を作る意味はどこにあるのでしょうか。
建築費だけで505億円、維持費などを含めると2069年までで914.98億円もかかるとされる木造天守閣を入場料だけで返済する計画は無理があります。
借金だけが残ることになるのではないでしょうか。


17/11/22 名古屋城石垣部会 座長発言に対する市への書簡が内容全面非公開

名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会が、17/10/13に開催した名古屋城全体整備検討会議(第24回)での瀬口哲夫・名古屋市立大名誉教授「天守閣部会は(入場者らの)安全性を考慮している。石垣部会は安全性を考えていない」との発言に抗議し石垣部会として瀬口氏に対して発言の撤回を求め、石垣部会として反論する書簡を市に送った事に関し、名古屋市民オンブズマンが上記書簡を情報公開請求したところ、17/11/21に決定がでて、市への書簡は内容が全面非公開でした。
瀬口氏への書簡は市には不存在でした。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171121-2.pdf


17/11/17読売新聞は、瀬口氏の撤回や謝罪がない場合、石垣部会を11月末で解散すると市に伝えていたことがわかったと報じました。
・2017年11月17日 読売新聞
 名古屋城復元 有識者に亀裂 ◆石垣部会、解散も検討
 http://www.yomiuri.co.jp/chubu/news/20171117-OYTNT50000.html?from=tw
・2017年11月17日 読売新聞
 名古屋城の木造復元へ影響必至 有識者 石垣の安全巡り溝
 http://www.yomiuri.co.jp/local/aichi/news/20171117-OYTNT50011.html

17/11/21に書類を取りに行く際、名古屋城総合事務所整備室職員が説明してくれました。
「現段階で内容は非公開。現時点では関係者と協議中なので、いつから公開になるかなどは何も言えない。
 非公開理由は、情報公開条例7条1項5号のア〜オではなく、『その他その他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の公正又は適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるもの 』。
 瀬口氏への書簡は名古屋市は受け取っていない。実際に書簡が瀬口氏に出されたのかは把握していないし、瀬口氏へ聞いてもいない。
 本書簡は、17/10/16にメールで受け取った。
 メールには建築ジャーナル2017年10月号「お城と日本人」のゲラもついていた。(ゲラではなく、その後完成した冊子の写しを情報提供いただいた)
 17/11/17読売新聞記事が掲載されたことは承知しているが、現時点ではコメントできる状況でない。
 本書簡に関し、読売新聞以外の報道があったとは承知していない。
 石垣部会からの書簡に対し、どのように回答するのか未定。
 次回石垣部会の開催時期については、なんとも言えない。」

名古屋市は、名古屋城天守閣木造化をするにしてもしないにしても、石垣を今後どう保全していくか、内部石垣をどう調査するのかなど、様々な課題があります。
座長の意味不明の発言で議論が進まないというのは理解が出来ません。
文化庁は「特別史跡名古屋城跡の本質的価値は石垣で、その保全が必要」(建築ジャーナル2017年10月号)、「まずは石垣部会でしっかり議論してほしい」(横井ブログ)と述べています。
・2017年06月11日 名古屋市議横井利明ブログ
 天守閣木造復元に対する文化庁の意見は?
 http://blog.livedoor.jp/minami758/archives/2370816.html

このような状況であることを市民に知らせず、強引に進めようとする名古屋市のやり方も納得いきません。
これが「21世紀のお城整備」なのでしょうか。

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なお、上記整備室職員は、17/11/21障害者団体からの要望書受け取り時の西野所長発言「あと4ヶ月で木造天守閣の設計を詰めていかないといけない」について、「今日はじめて聞いた」としました。
名古屋城総合事務所内でも情報共有がされていないことに驚きました。
各種部会、議会をはじめ、市民にも情報を知らせず、名古屋市の市長と取り巻きの一部だけが暴走している構図です。


17/11/21 名古屋城木造化 障害者団体「『エレベーター無しで安全に』あと4ヶ月でどう検討するのか」

17/11/21、愛知障害フォーラム(ADF)の電動車椅子メンバー4人と支援者は名古屋城総合事務所を訪れ、名古屋城木造復元天守にエレベーターを設置しない方針を示した名古屋市に対して公開質問状を提出し、意見交換を行いました。
・17/11/21 愛知障害フォーラム(ADF)
 名古屋城木造天守復元におけるバリアフリーに関する公開質問状
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171121.pdf

ADFから名古屋市民オンブズマンに対して取材のお願いが届き、名古屋城内の会議室で行われた意見交換の場に同席しました。
(会議室入室にあたって、名古屋城総合事務所の許可も得ました)

・17/11/21 名古屋市民オンブズマン作成メモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171121-3.pdf
・意見交換終了後の西野所長ぶら下がり記者会見
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171121-4.pdf
 
簡単に言えば、以下の通りで平行線をたどりました。
・ADF「筋力が弱く、チェアリフトに乗れない障がい者がいる。スカラモービルに乗れない車椅子も多い。これらはエレベーターの代替案にならない。」
・名古屋市「今回は案。全ての人を安全・安心に登っていただくため、今後皆さまの意見を聞いて検討する」

唯一目新しいことは、西野輝一・名古屋城総合事務所所長が「木造天守閣の設計を年度内に詰めていかないといけない」と発言したことです。竹中工務店との基本設計完成期限が2018年2月末であるためだと思いますが、根拠はよく分かりません。
・名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf
・名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託 契約書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-2.pdf
 
ADFの辻直哉事務局長は「電動車椅子は120キロ。乗る人も含めると200キロ近くになり、エレベーター無しで安心・安全に移動する手段をあと4ヶ月で技術開発出来るとは到底思えない。
本日の話し合いはゼロ回答だ。何も示してもらえなかった。
昔の姿の天守閣が復元されるのは関心があるが、現状では一部の人を『排除』しているように思えてならない。
名古屋市は現在の天守閣のエレベーター利用状況も把握していない。
チェアリフトは1階上がるのに1人5分かかるというが、私たち4人が5階まで行くのに何分かかるのか。
特別支援学校が観覧した場合もまともに検討していない。
現在の天守閣部会有識者は文化財の専門家ばかりであり、バリアフリーについては資料が2枚だけで10分しか議論しておらず、強引な部会だ。ユニバーサルデザインの専門家は一人も入っておらず、今後どのように話を聞くかも明確な回答がなかった。
名古屋市の内部の健康福祉局の担当者にも話をしていない。
木造にすると階段の1段1段が高くなり、高齢者も階段を上りにくくなる。
私たちはよく海外から来たお客さんを名古屋城に案内する。現状では外のエレベーターから天守閣に入ってきて、内部エレベーターで5階まで行ける。しかし現状では展望室まではエレベーターで行けなくてがっかりする。今後展望室までエレベーターがついたらよい」と述べました。

別のADFメンバーは「簡単に『エレベーターをつけない』という結論を出せる人がこの世にいるのだなと思い、がっかりした」と述べました。

辻事務局長は、会議開始前「以前、名古屋城本丸御殿に入ったことがある。『備え付け車椅子に乗り換えて欲しい』といわれたが、乗り換えると怪我をする。結局自分の電動車椅子のタイヤを拭いて入った。電動車椅子から下ろされるのは『自分の足を外せ』と同じだ。」と述べました。

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上記に先立ち、17/11/20に河村たかし名古屋市長の定例記者会見がありました。
・平成29年11月20 日 名古屋市長河村たかし 定例記者会見
 
・上記メモ(名古屋市民オンブズマン作成)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171120-3.pdf

河村市長は、ロボットの専門家である和歌山大学の中嶋秀朗教授に市職員が相談し、「難しい課題だが研究している」と発言しました。
http://wakarid.center.wakayama-u.ac.jp/ProfileRefMain_2394.html

河村市長は「某新聞に載っていたことを言ったことは一言もない。必ず喜んでいただけるよう最高の技術を開発しようや。僕は『福祉団体に言わないけない、福祉団体と相談しないと』と言っていた。憤懣やるかたなし。」と部下に責任転嫁しました。
その上で「まだ四・五年ある。」を繰り返し、竹中工務店との基本設計契約のことを無視あるいは軽視する発言をしました。

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そもそも、名古屋城木造天守閣の形を具体的に検討する部会は、天守閣部会とは別に作る、という話もあったはずです。
そのルールが曖昧なまま、名古屋市・市長の一方的な思い込みだけで突き進んでしまっています。
また「2022年12月までに完成させる」と決めたのは河村市長であり、何の根拠も必然性もありません。
また、バリアフリー法には、木造天守閣が適用除外になれる条文がないように読めます。
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/index.html
(参考)
 ・平成29年 3月 25日 国土交通省 住宅局 建築指導課
 歴史的建築物と建築基準法について
 http://h-ar.net/cms/wp-content/uploads/2017/03/20170325_HARNET4th_mlit-1.pdf

現在の名古屋城は、地下1階〜7階まで階段が173段あり、かなりの人が23人乗りの内部エレベーター2基で5階まで登ります(5階から7階は44段の階段)。
18階建てのビルに相当するとのこと。
505億円かけてエレベーターのない木造天守閣(耐震・防火のため『寸分違わぬ名古屋城』ではない)を障がい者・高齢者を排除する形で作るのがいいのか。
約29億円かけて現天守閣の耐震改修・展示物のリニューアル・長寿命化・展望室までのエレベーター設置をするのがよいのか。
焦っているのは名古屋市だけです。
2018/2末に発表される「木造復元に向けた調査業務委託」で収支予測・来場者見込みを見た上で、保存活用計画案のパブリックコメントを行って市民の意見を十分聞いてから判断しても遅くはないのではないでしょうか。


17/11/20 名古屋市議会特別委員会 名古屋城視察後非公開で議論

17/11/20に名古屋市産業・歴史文化・観光戦略特別委員会 が開催され、その後名古屋城の二の丸庭園等を視察しました。
・当日配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171120.pdf

委員は名古屋城天守閣も視察しましたが、その後名古屋城本丸御殿内の会議室で、委員と市当局が非公開で議論しました。
名古屋市観光文化交流局の担当者に「傍聴できないのか」と聞いたところ「出来ない。理由は市議会の担当者に聞いてくれ。
担当者はすでに部屋に入ってしまった」といわれました。

非公開の議論が終了後、たまたま先述の担当者と会い、内容を伝えてくれました。
「探したがいらっしゃらなかった。傍聴は委員長に諮らないといけない。必要であれば議事メモを渡す」と言われました。

・松井よしのり(自民・守山区)
 金シャチ横町の状況について
  →スケジュール通り 18/3/26 内覧会を行う
   来年2月に工事が終わる
・岡本善博(自民・中川区)
 二の丸庭園についての考え方は
  →現在保存活用計画を作っており、その中で整備する 
・岡本善博(自民・中川区)
 文化庁との調整について
  →石垣調査については文化庁と調整し、現状変更許可を得た。
   名古屋城天守閣については文化庁の許可を得ないと触れない。
   引き続き文化庁と協議をする。
 
市議は本当にこれしか聞かなかったのでしょうか。
本当にこれだけなら、市議があまりにも勉強不足です。
木造天守閣に関する建築基準法の問題、バリアフリー新法の問題、さらにエレベーター設置の有無、石垣部会解散の危機など山積みです。
みんな忘れていますが、当初は2020年7月までに木造天守閣を作る予定だったため、竹中工務店は2017年12月に着工予定で、本丸御殿の工事と同時並行をする予定でした。
しかし種々の事情で工事は延びに延びています。文化庁から石垣調査の許可は得ていますが、その他工事の許可はいまだに受けておらず、着工どころか現天守閣・エレベーター解体予定もわかりません。
一方、本丸御殿は18/6/8完成予定で、本丸御殿を作っていた作業スペースが空き、木造天守閣を作る場合、工法を大幅に見直すことが可能となりましたが、具体的に検討している気配はありません。

法的に極めて問題があるにもかかわらず市長の言いなりになる市当局、問題を的確に指摘しない市議会。一番困惑しているのは、このままでは適法な基本設計ができない竹中工務店ではないでしょうか。


17/11/17 名古屋城石垣部会「石垣部会は安全性軽視」座長発言撤回・謝罪がなければ解散検討と読売新聞報道

17/11/17読売新聞は、名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会が、17/10/13に開催した名古屋城全体整備検討会議(第24回)での「石垣部会」「天守閣部会」初顔合わせ時に、瀬口哲夫・名古屋市立大名誉教授が「天守閣部会は(入場者らの)安全性を考慮している。石垣部会は安全性を考えていない」との発言に抗議し、撤回や謝罪がない場合、石垣部会を11月末で解散すると市に伝えていたことがわかったと報じました。
・2017年11月17日 読売新聞
 名古屋城復元 有識者に亀裂 ◆石垣部会、解散も検討
 
http://www.yomiuri.co.jp/chubu/news/20171117-OYTNT50000.html?from=tw
・2017年11月17日 読売新聞
 名古屋城の木造復元へ影響必至 有識者 石垣の安全巡り溝
 http://www.yomiuri.co.jp/local/aichi/news/20171117-OYTNT50011.html

17/10/13会議を傍聴していましたが、石垣部会構成員は当初から石垣の安全性を考慮した発言をしており、瀬口座長の発言は唐突でした。
石垣部会構成員の猛烈な抗議と、天守閣部会構成員からの石垣部会構成員発言への擁護にもかかわらず、瀬口座長は発言を撤回・修正しませんでした。
瀬口座長は「時間が来ました。最後混乱させて申し訳ございませんでした」といいつつ、終了後テレビカメラから逃げるように立ち去りました(動画あり)。

17/11/6開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第25回)でも、赤羽一郎・石垣部会構成員が猛烈に抗議し、石垣部会として瀬口氏に対して発言の撤回を求め、石垣部会として反論する書簡を市に送った事を明らかにしました。

・17/10/13 名古屋市民オンブズマンブログ
 名古屋城「石垣部会」「天守閣部会」初顔合わせも、瀬口座長が混乱を招く  
 http://ombuds.exblog.jp/25918103/
・17/11/6 名古屋市民オンブズマンブログ
 突如出てきた木造化ありき「名古屋城跡保存活用計画」に有識者猛反発
 http://ombuds.exblog.jp/26097720/

名古屋市民オンブズマンは、上記書簡を情報公開請求中ですが、まだ開示されておりません。

瀬口座長のこれまでの発言はピントがずれていることが多く、しかも全体整備検討会議ならびに各部会の進め方についても、各構成員から疑問が呈せられてきました。
各部会の位置づけならびに、何をいつまでに決めないといけないのか、各委員にすらきちんと説明していません。
市民に対する説明責任もまったくありません。

現在の特別史跡名古屋城跡で最も貴重なのは石垣です。
しかし、天守台石垣については1945年米軍空襲による被熱で相当劣化が進んでおり、「観光客の安全を考慮するために、早急に石垣調査を行うべき」と石垣部会が提案し、名古屋市は2017年11月補正予算で5400万円+2018年度以降調査2億8700万円を予算計上しています。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-14-5-0-0-0-0-0.html

木造天守閣を作るにせよ作らないにせよ、石垣保全は必要です。
木造天守閣を作る場合、過去の石垣の調査をどうするのか、また、地下階の石垣をどうするのかなど問題が山積みです。
17/11/6全体整備検討会議にオブザーバーとして参加した、平澤毅・文化庁文化財部記念物課文化財調査官は「保存活用計画策定については、客観性を欠くような議論がなされていないか名古屋市と重ねて協議させて頂いている。慎重な検討を要する事項がおおく、石垣状態調査の推移をしっかりとご報告いただきながら、拙速な判断がされないように留意している」と、慎重な姿勢を崩していません。
石垣部会が解散したら、文化庁が保存活用計画策定に同意することは難しくなり、木造天守閣も事実上できなくなります。

瀬口座長を任命した名古屋市の責任が問われます。
市民の意見、有識者の意見をもっと聞く、常識ある座長を求めます。

17/11/16 「名古屋城木造天守にエレベーター無し」方針に有識者異論出さず 傍聴者大反発

17/11/16に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 第6回天守閣部会が開催されました。
・配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171116-1.pdf
・名古屋市民オンブズマン作成メモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171116.pdf

不特定多数の者が利用する日本の公共建築物は、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー法)」に基づき、2000u以上の新築・増築、改築又は用途変更について、建築物移動等円滑化基準への適合義務があります。
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/index.html

名古屋市は、「史実に忠実な木造復元」「利用者の安全性の確保」「ユニバーサルデザイン(バリアフリー)の採用」の基本方針を掲げましたが、名古屋市としては「エレベーターは設置しない。ただし、代替案で車いす使用者等の合理的配慮を目指す」としました。
結論としては、「現時点では、エレベーターを設置せず、地層から5階の表階段にチェアリフトを設置する。今後の技術の進展を注視し、優れた代替案があれば、改めて検討する」としました。

配布された資料によれば、チェアリフトは1階から2階まで1日10往復を見込んでいるとのこと。
名古屋市は来場者数を年間366万人(1日約1万人)見込んでいますが、1日10人しか使わない計画です。しかもチェアリフトを使っているときは他の人は階段を使うことは難しいです。
残りの人は18階建て相当の建物を傾斜55度・一段が29.4センチの階段で登る計算になります。

木造天守閣復元のために設置された天守閣部会メンバーは、特に異論を出しませんでした。
しかし、構成員の小野徹郎・名古屋工業大学名誉教授は「場合によっては2階までエレベーターを設置すればそれほど大変ではないのではないか、と前回提案したが、その検討結果がない。個人的にちらっと見せてもらうのではなく、情報をオープンにするのが必要」としました。

傍聴していた、AJU車椅子センターの柳原康来さんは、会議終了後
「名古屋市が木造天守閣に車椅子をつけない方針と知り、黙っている訳にはいかないと思って今回来た。
 しかしなぜエレベーターをつけないのか、説明がなかった。腹筋、背筋が弱く、チェアリフトに乗れない人もいる。
 私は100キロある特注の電動車椅子に乗っており、顎で操作して自分の意思で移動が可能である。
 他の車椅子では身体が痛くなり長時間座っていられない。この車椅子を2階、3階に持っていってもらえるならなんとかなるが。。。
 名古屋市は、登った先のことを考えてもらいたい。私はわがままを言っている訳ではない。よりよい観光地になればと思う。」と述べました。

上記を知った別の車椅子利用者は「車椅子利用者でカラダを触ると痛みが出る人は結構たくさんいます。身体の拘縮がある人や骨の変形などで普通の椅子では無理だという人も多いです。骨がもろくなっている人もいるし、障害を持っていても異性に触れてもらいたくない人もいます。あと、専用椅子に呼吸器ボンベなどを付けている人もいます。こんな人に優しくない建物を新たに建てる政令都市名古屋って、正直言って国際的にも恥ずかしいです。」と述べています。

傍聴をしていた名古屋市議は、会議終了後、名古屋城総合事務所所長に
「観光客が名古屋城に来て階段を登れるのは何人か?わらわかせるな。横浜ではわざわざスロープを後付けでつけた。みっともない。考えが浅すぎる。ようあんなこと喋るな?自分たちで勝手にやるな。
 古いお城におまえの親を連れて登ってみろ!『絶対来たくない、怖い』って言うぞ。ダメだぞ。
 実際運用として何人乗れるの?車椅子以外の人も登るんだ。障害者の団体来たらもうダメ。
 市は市民の声を一切聞いてない。あんたたちは心が優しくないかとろいかどちらかだ。苦情が出ることが見えてる。
 あまりにも悲しい。あなた方はみなさん立派な人たちなのに。出発点が燃えた天守を再建しようというものでしょう。絶対あかん。このままでは後で泣かなあかん。」
と強い口調で詰問しました。

今回、配布視された資料の中で、現SRC造の名古屋城天守閣再建時、市民からの寄付が目標1億円のところ2億円集まったこと、もう燃えず、地震にも強い城を作ろうとしたこと、博物館機能を充実させようとしたことが詳しく報告されました。

今回の資料にも費用のことが書かれていません。
耐震改修なら約29億円で済み、エレベーターも最上階までつく予定です。
木造天守閣は建築だけで505億円かかりますが、天守閣部会構成員の三浦正幸・広島大学大学院教授によれば、「東南隅櫓のような外壁を用いると、10年に1度足場を組んでメンテナンスをしないといけず、そのたびごとに足場代として10億円以上かかる」と発言がありました。

構成員の小野徹郎・名古屋工業大学名誉教授は「この委員会はなにをどこまで決めるのか。意見を言うだけか。スケジュールの問題がある。原則を早く決定する必要がある」とし、進め方がきちんと決められていないことに不安を表しました。

構成員の古阪秀三・立命館大学客員教授も「この委員会はなにをするのか。文化庁とのやりとりは業者がするのではないか。どう天守閣を復元するかというスケジュールが出てこない。その辺の座長のお考えは。 気にしているのは、プロジェクトをどう進めていくのかということ。下手すると失敗する可能性がある。2022年にできるかということ。明日あさって京都で国際会議があり、プロジェクトの失敗例を集める。非常に気になる。」としましたが、瀬口座長は「最後に議論する」というものの、はっきりとしたことは言いませんでした。

そもそも、「木造天守閣にする」という保存活用計画に名古屋市が変更せずに、竹中工務店に基本設計を委託したのが間違っています。本来の流れは、保存活用計画の変更を名古屋市民の意見を聞いた上で文化庁の許可を得て、それから基本設計の発注をしたり、寄付金を集めるべきでした。このままでは竹中工務店が基本設計を完成させることができませんし、市民のパブリックコメント意見も活きてきません。
少なくとも、名古屋市が当初描いていた以下スケジュールは見直すべきです。
・2017/11 保存活用計画案が全体整備検討会議で承認
・2017/12 市議会で保存活用計画案を審議
・2018/1-2 保存管理計画パブリックコメント
・2018/2末 「木造復元に向けた調査業務委託」発表
      竹中工務店 「基本設計」完成予定
・2018/3  保存活用計画策定・公表



17/11/6 突如出てきた木造化ありき「名古屋城跡保存活用計画」に有識者猛反発

17/11/6に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第25回)において、突如木造天守閣ありきの「名古屋城跡保存活用計画」が構成員に示され、各委員は猛反発しました。上記検討会議では保存活用計画案は了承されていません。
また、17/10/13に開催された第24回全体整備検討会議において、瀬口座長が「石垣部会は安全性を考えていない」と発言したことに対し、赤羽一郎・石垣部会構成員が猛烈に抗議し、石垣部会として瀬口氏に対して発言の撤回を求め、石垣部会として反論する書簡を市に送った事を明らかにしました。

・傍聴者配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171106.pdf
・特別史跡名古屋城跡保存活用計画(17/11/6配布版)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171106-5.pdf
・特別史跡名古屋城跡保存活用計画概要版(17/11/6配布版)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171106-1.pdf
・特別史跡名古屋城跡保存活用計画資料編(17/11/6配布版)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171106-2.pdf
・特別史跡名古屋城跡保存活用計画の「天守閣の整備」部分抜粋資料(17/11/6配布版)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171106-4.pdf
・メモ(名古屋市民オンブズマン作成)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171106-0.pdf

特別史跡である名古屋城跡の保存・活用等にあたっての基本理念及び基本方針、整備計画は名古屋市が平成24年12月に「全体整備計画 増補版」としてまとめ、文化庁の許可を得ています。そこには『現在の鉄筋天守を活用していく』とあります。
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000045497.html

名古屋市は木造天守閣復元方針を示し、10億円かけて設計業務委託を行っていますが、全体整備計画を変更し文化庁の許可を得ないことには木造復元はおろか現天守閣の解体も出来ません。
名古屋市は、17/10/13前回全体整備検討会議で今後の予定を示し、新たな「保存活用計画」を作って2017/11に全体整備検討会議にかけ、2017/12に市議会で委員会審議、2018/1-2にパブリックコメント、2018/3に策定・公表の予定としました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171013-2.pdf

検討会議では、建造物部会、庭園部会の議論の報告が長々続き、しかも保存活用計画について、市職員が資料をただ読み上げるだけで、予定されていた終了時間まであと5分となっていました(結局17分程度議論しました)。

赤羽一郎・石垣部会構成員は、「木造復元という結論ありきだ。普通は比較表を見て決めるが、逆転している。特に木造の課題について書かれているバリアフリーについて、エレベーターはどうするのか。また防火についてまったく書かれていない。耐震改修については、現天守のメンテナンスがされていなかったため問題が噴出しているだけだ。これまでメンテナンスの金額をいくらかけてきたかわからない」とし、猛反発しました。
名古屋市は「木造復元の課題についてフラットな目で評価したい」としましたが、具体的にどのように変更するのかは明言しませんでした。

また、三浦正幸構成員は、「現天守閣は、石垣の中にケーソンを入れて支えるコンクリート製天守の代表であり、名古屋市民の心のよりどころであった、という価値をしっかり書いて欲しい。また、ケーソンを打ち抜いてボーリングし、ケーソン下の地盤調査が必要だ。耐震改修・木造どちらにしても役に立つデータが取れる」と提言し、名古屋市は「今後実施時期を検討したい」としました。

小浜芳朗構成員は「決定的に違うのは耐久性だ」と述べました。

いずれにせよ、今回配布された保存活用計画から変更される予定です。
再度検討会議にかけずに、議会での審議やパブリックコメントにかけるとすれば有識者をないがしろにしています。
また、各部会についても「参考送付」するだけとなっており、特に石垣部会で「意見を言う場がないのか」と以前から反発があります。

「保存活用計画」の中身についてもあまりにもずさんです。比較表はありますが、それぞれの費用についてはまったく書かれていません。(耐震改修29億円 木造復元505億円)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/160511-1.pdf
また、現天守閣に収蔵されている収蔵物について、『木造復元の場合は、近隣地に新たに展示・収蔵を行う施設の建設等を検討し、対応する』とありますが、具体的な計画は示されておらず、費用も示されていません。
木造復元した場合、巨大な「がらんとした空間」の活用方法についてはまったく触れられていません。

また、現在、名古屋市は三菱UFJリサーチアンドコンサルティング株式会社名古屋に1998万円(税込み)をかけて「名古屋城天守閣木造復元に向けた調査業務委託」(契約日 2017/9/26)を行い、入場者数見込み及び収支計画の策定、民間活力の導入の検討、名古屋城に係る課題整理、入場者数増加策の提案、経済波及効果調査などを業者にまとめさせています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170731.pdf
しかし、業者が調査結果を名古屋市に提出するのは18/2/28までで、現在の名古屋市のスケジュール案だと、パブリックコメントが終了しています。

現在、10億円かけて竹中工務店が基本設計を行っていますが、エレベーターの有無、木造天守閣の耐震補強手法、耐火仕様など、天守閣部会でも具体的にどうするのか議論がされていません。
基本設計も18/2/28までに完成予定で、パブリックコメントが終了している予定です。

オブザーバーとして参加した、平澤毅・文化庁文化財部記念物課文化財調査官は「保存活用計画策定については、客観性を欠くような議論がなされていないか名古屋市と重ねて協議させて頂いている。慎重な検討を要する事項がおおく、石垣状態調査の推移をしっかりとご報告いただきながら、拙速な判断がされないように留意している」と、慎重な姿勢を崩していません。

名古屋城の今後を決める重要な『特別史跡名古屋城跡保存活用計画』策定については、市民に対してきちんとした情報公開をする必要があります。
少なくとも2018年3月までに策定を急ぐ必要はまったくありません。
少なくとも、以下の点を求めます。
・18/2/28までに1998万円をかけて行う「木造復元に向けた調査業務委託」の結果を踏まえ、入場者数見込みや収支計画について比較表を策定し、保存活用計画に掲載すること。
・耐震改修と木造復元の比較について、費用を含めてさらに詳細に行うこと。
・18/2/28までに10億円かけて作成する基本設計で示される木造案を資料に掲載すること。
・「名古屋城跡保存活用計画」について、全体整備検討会議、各部会の意見を十分聞き、全ての部会・構成員の了承を得ること。
・上記について記載した資料を基にパブリックコメントを行い、また市民の意見を直接聞く場を設けること。


17/11/1 名古屋城天守閣木造化 有識者会議配付資料+議事録 一部開示

名古屋城天守閣木造化に関し、有識者会議の配付資料のうち、傍聴者に配布されなかったもの、ならびに議事録が17/11/1に名古屋市民オンブズマンの情報公開請求に対して公開されました。

各部会の傍聴者は10名に限られており、少なくとも議事録は名古屋市のホームページに載せるべきです。
また、傍聴者に配布しない資料も、非公開情報に当たるのであれば一部黒塗りでもよいので傍聴者に配布すべきです。
名古屋市民オンブズマンが情報公開請求しなければ市民に情報を公開しないのはあまりにもおかしいです。
これで505億円の事業を進めようとしているのは信じられません。

・平成29年10月13日開催「特別史跡名古屋城跡 全体整備検討会議(第24回)」
 配付資料のうち、傍聴者に配布されなかったもの
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171013-3.pdf

・平成29年8月29日開催「特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第5回)」
 ・傍聴者配付資料 ・傍聴者に配布されなかったもの
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170829-2.pdf

・平成29年6月23日開催「第22回特別史跡名古屋城跡 全体整備検討会議石垣部会」
 議事録・議事の内容がわかるもの
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170623-2.pdf

・平成29年7月13日開催「第3回特別史跡名古屋城跡 全体整備検討会議天守閣部会」
 議事録・議事の内容がわかるもの 
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170713-2.pdf
 

17/10/13 名古屋城「石垣部会」「天守閣部会」初顔合わせも、瀬口座長が混乱を招く

17/10/13に名古屋城全体整備検討会議(第24回)が開催されました。
今回もまた、資料5-5.6は「未確定の情報が含まれている」として傍聴者には配布されませんでした。毎回、テレビカメラは冒頭の挨拶までで追い出されます。
傍聴者は録音・写真も不可です。
・傍聴者配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171013-2.pdf
・議事要旨(名古屋市民オンブズマン作成)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171013-1.pdf

名古屋城天守閣木造化をめぐり、「木造天守閣を作る作らないにかかわらず、まず石垣の調査が必要だ」とする石垣部会と、「木造天守閣を作るには石垣を含めてどうすればよいか考える」天守閣部会との意識のずれがあり、しかもそれぞれの部会の議論が共有化されていなかったため、今回初めて両者が顔を合わせて議論しました。
開始前、それぞれの部会委員が名刺交換しているのが衝撃的でした。

冒頭で、「特別史跡名古屋城跡保存活用計画」を策定するという提案が名古屋城総合事務所からなされましたが、このことの意味を委員が誰も理解していなかったのか、質問や異論は出ませんでした。

その後、「石垣部会」と「天守閣部会」の現状報告と、各分科会から提言がなされました。

そもそも石垣部会は、平成14年度から行っている本丸搦手馬出の石垣修復を検討するために発足しており、平成18年に石垣部会と改称した経緯があります。石垣部会に「木造天守」について公式に提示されたのは今年5月です。天守台石垣の内部構造資料をはじめて見て、築城当時の石垣が残っていることに驚き、まずは調査が必要だとしています。木造天守閣を作る・作らないにかかわらず、現状の天守台石垣は劣化・老朽化しており、早急に調査し、その後どのように保全するかを検討する必要があるとしています。

一方天守閣部会は、木造天守閣を作るという方針を名古屋市が定めたために今年5月に発足した部会です。築城当時の城の様子、焼失前の城の様子などを詳細に検討しています。石垣については、「天守閣の木造復元に際し、工事が石垣に影響を与えない工法であり、その保全が確実に図られるよう対策を検討する必要がある」と提言しています。
その中で、史実に忠実な復元を図っていくが、現在の法律の中ではパーフェクトにはいかないことを認め、避難路やバリアフリー、エレベーターなど、適切な接点を見つけないといけない、としました。

その後、石垣部会の千田嘉博構成員(奈良大学教授)は、「文化庁の許可を得て策定した現在の名古屋城の全体整備計画では、 『現在の鉄筋天守を活用していく』となっている。 現状では木造天守閣は実行不可能。全体整備計画の書き換えという、 文化庁だけでなく国民に対する手続は欠くことが出来ない。」としました。
名古屋城総合事務所は、「現在、新たな保存活用計画を策定中で、文化庁とも検討している」としています。

・特別史跡名古屋城跡全体整備計画 増補版 平成24年12月
 http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000045497.html

17/6/9 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第6回 保存活用計画検討会)
・配付資料 会議次第など
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170609-1.pdf
・特別史跡 名古屋城跡保存活用計画 概要版
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170609-2.pdf
・資料編
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170609-3.pdf
・特別史跡 名古屋城跡保存活用計画
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170609-4.pdf

石垣部会の宮武正登構成員(佐賀大学教授)は「石垣部会に対し、新たな保存活用計画について1回も提案がされていない。本日冒頭で資料が配付されたが、その『今後の予定』を見ると、この11月に『各部会にも参考送付』としている。来年3月には策定・公表するという。石垣部会は何か言えるのか」と疑問を呈しました。

また、全体整備検討会議 副座長の丸山宏構成員(名城大学教授)は、「木造天守閣だが、復元して中身をどう使うのかの提案がほとんど出てきていない。本丸御殿は使っている。また、話を聞いていると、石垣部会と天守閣部会はもっと密に連携を取るべき」としました。

石垣部会の宮武構成員は、「現況の天守台は既に相当痛めつけられている。あるべきパーツがなく、でてはいけないところがでている。天守閣部会は、現状の石垣の上に木造天守閣を載せて耐えられるかの議論をしているが、大正時代に軍部が積み直した石垣をどうするかとか、戦後改変された石垣をどうするかなど、『あるべき石垣』の議論とコンスタントにすりあわせをしないといけない」としました。

石垣部会の千田構成員は「穴蔵内面石垣の強度をどう担保するのかが課題。地下の内面石垣が崩壊したら避難経路が失われかねない。お客さんの安全性を確保するため、木造天守閣にするしないにかかわらず議論しないといけない」としました。

上記を踏まえ、座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「天守閣部会は安全性と文化財のことを考えているが、石垣部会は安全性を考えておらず、まず調査すべき、という認識の差があることがわかった」とまとめました。

石垣部会の3名は「まったく逆だ。発言を訂正してほしい」と一斉に抗議しました。
瀬口座長は「撤回しない」とし、石垣部会によるさらなる反発を招きました。
瀬口座長は「木造天守を作るには石垣の安全性を考えないといけないが、石垣部会はそこまで議論していない」と発言しましたが、石垣部会は「そのずれではない」と抗議しました。

天守閣部会の小野徹郎構成員(名古屋工業大学名誉教授)は、
「石垣部会としては、『木造天守閣を作るために具体的にどう対処するか、調査をしていない以上答えられない』としている。当然、石垣部会も安全性を考えないで検討しているわけではない。天守閣部会は上に構造物を作るためにスタートしており、進行の違いだと思う。石垣をどうするか、壊れてしまっては文化財ではないので今後も考えていこう」とまとめました。
 
瀬口座長は「時間が来ました。最後混乱させて申し訳ございませんでした」といいつつ、終了後テレビカメラから逃げるように立ち去りました(動画あり)。

石垣部会と天守閣部会の議論のすりあわせもまだまだ進んでおらず、石垣調査も始まったばかり。座長の適格性も極めて疑われる中で、この11月には保存活用計画案が全体整備検討会議で承認され、12月には市議会で審議、来年1-2月にはパブリックコメント、3月には策定・公表という猛スピードで進んでいく予定を名古屋市は立てています。
今後数百年の名古屋城のあり方を、まともな議論もなくして決めていく名古屋市のあり方に疑問を持ちます。
少なくとも、名古屋城関係の有識者全員25名が一堂に会し、今後どのようにすべきかを徹底的に議論すべきではないでしょうか。


名古屋城天守閣木造化 天守の耐震性能(復元原案)詳細はまたも非公開

17/8/7に開催された「特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 第4回天守閣部会」の際に、傍聴者とマスコミに配布されなかった資料を名古屋市民オンブズマンが情報公開請求し、17/9/25に開示されました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170807-4.pdf

残念ながら、天守の構造解析モデルなど「技術上のノウハウに関する情報を含む部分については、公にすることにより、法人の通常有する競争上の利益が損なわれると認められるため」非公開でした。

名古屋市は、名古屋城の耐震については「名古屋市としては、木造復元することで耐震化を図る」と繰り返し、今の建築基準法の基準以上を求めるとしています。しかしながら、構造解析モデルが示されなければ、本当に建築基準法の基準以上になるのかがわかりません。

また、現在の天守閣を耐震改修するのにかかる費用と耐震数値、木造化して耐震改修するのにかかる費用と耐震数値をきちんと比較しないと、木造化して仮に目標入場者数に届かない場合の税金投入の説明が付きません。

なお、現在検討しているのは「復元原案」であって、「復元案」とは異なります。
「復元案」がどのようなものになるのかはまだまったくわかりません。

名古屋城石垣周辺調査は何のため?

文化庁が名古屋城石垣周辺調査を許可したことを報じた17/9/22各紙の「調査の目的」を抜粋してみた。
中日新聞:木造復元関連
毎日新聞:木造復元事業を巡る調査
     許可が出ない場合、木造復元事業の全体工程が遅れる可能性
日経新聞:木造復元の前提となる調査
朝日新聞:発掘調査は木造天守化の前提と位置づけられている。(主語不明)
     市は許可が10月以降にずれ込めば、22年末完成を目指す。
     22年末完成を目指す工期に影響が出ると懸念していた。
読売新聞:石垣保全のために必要な調査

・17/8/29 名古屋城に関する「現状変更許可申請書」には、「木造天守」のためとは一切書かれていない。
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170829.pdf

名古屋城石垣部会 千田教授 17/9/12発言
「石垣部会では、木造天守閣に関する議論は一切行っていない。
 石垣調査は木造天守のための事前調査ではない」
 http://ombuds.exblog.jp/25602183/

なぜ文化庁、名古屋市、マスコミ、石垣部会こんなに認識が食い違うのか。
今回文化庁に申請した石垣調査は、石垣の現状を調査するのだが、木造復元のためにも使いうる。
そこを名古屋市は説明していない。

マスコミも、この2面性についてきちんと記事にしていないし、市民も知るはずがない。
今後、木造天守を作るには、現天守閣を壊すために再度文化庁に現状変更許可申請を行う必要がある。
そこで文化庁がどのような判断をするかはまったくわからない。
また、現天守閣を壊した際、コンクリートで埋もれている穴蔵部分の石垣を調査する期間は3ヶ月しかとっておらず、石垣部会が大変反発しており、名古屋市の予定通りに進むかどうかまったく未定である。
河村市長が「2022年12月までに名古屋城を木造復元する」としているしわ寄せがありとあらゆるところにきており、市民への説明も不十分なままである。


名古屋市が文化庁に申請した名古屋城に関する「現状変更許可申請書」入手

17/8/29に名古屋市が文化庁に申請した名古屋城に関する「現状変更許可申請書」を情報公開請求で入手しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170829.pdf

「史跡、名勝又は天然記念物の現状変更又は保存に影響を及ぼす行為を必要とする理由」として、「天守台の石垣の現況と内容並びに天守台の地盤の状況を把握するため、発掘調査及び地盤調査を行う。また、これらの調査を行うために必要な仮設物の設置を行う」とあります。
一言も「木造天守閣のため」という記載はありません。

「調査及び試験体制」として、「発掘調査は名古屋市学芸員(埋蔵文化財担当)が担当し、業務委託による支援を受ける。地盤調査は名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所の監督の下、業者委託で行う。」とあるだけで、どこまで竹中工務店が行うのか、学芸員が関わるのかはこの書類だけではわかりません。

調査は2018年3月31日までに終わらせる予定です。


17/9/12(水)石垣部会「名古屋城石垣の史実調査『今年度内で終了』は短すぎる」

17/9/12に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣部会(第24回)が開催されました。
・配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170912.pdf
・メモ(名古屋市民オンブズマン作成)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170912-1.pdf
 
名古屋市は、天守台石垣調査工程(案)を示しました。
千田嘉博・奈良大学教授は「前回の石垣部会では、特別史跡の価値を古文書などで証明すべきと提言した。学芸員の体制も充実させよとした。しかしながら、今回の案では学芸員は今年度は補強し、来年度以降総合体制を検討する、にとどまっている。また史実調査を平成30年2月までに終わらせようとしている。上記はつじつまが合っていない。
絵図は名古屋城を作った各大名家がもっている。『調査をやったことにする』のはまずい。史実調査はどう考えても今年度中に終わらない」とし、短すぎる調査期間案に懸念を表しました。

また、名古屋市は穴蔵石垣の修理状況調査に関しての案を示しました。
宮武正登・佐賀大学教授は「何のために調査するのか明確にすべき。コンクリートの背面にオリジナルの石垣が残っている可能性がある。まず現在の天守閣施工時の写真、測量図を徹底的に洗い直してもらいたい」としました。

最後に、千田教授はマスコミに向かって「これまで部会の議論と異なった内容が報じられているのは残念だ。先ほどまで議論しているのは石垣調査についてであって、木造天守閣に関する議論は一切行っていない。間違いです。誤報です。
穴蔵石垣について、本質的価値現状を工学的・考古学的に調査して必要があれば適切な修理を行うのであって、木造天守のための事前調査ではない。名古屋市は現状変更許可を文化庁に提出したが、そこのところをかき分けていただいている」と強調しました。


17/9/8(金)名古屋城有識者会議 傍聴者に配付されなかった資料は全て竹中工務店作成

名古屋城有識者会議(天守閣部会・石垣部会)において、傍聴者・マスコミに配布されていなかった資料があった問題で、名古屋市は17/9/8になって名古屋市民オンブズマンに開示しました。
「資料作成:竹中工務店」とあり、名古屋市としては資料作成に関わっていなかったことが判明しました。
なお、天守閣部会の資料の一部については、「配付資料のうち、技術上のノウハウに関する情報を含む部分については、公にすることにより、法人の通常有する競争上の利益が損なわれると認められるため」非公開となりました。

17/5/10 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 第1回 天守閣部会 資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170510-4.pdf

17/5/12 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 第21回 石垣部会 資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170510-4.pdf

17/6/15 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 第2回 天守閣部会 資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170615-4.pdf

17/5/12に石垣部会構成員が「極めて重要な資料」指摘した「S-008」という資料も公開されました。

名古屋城木造化については、その内容以外にも、市民への情報公開・市民参加という点からも極めて問題を抱えています。
市民に広く説明を求めたいのですが、名古屋市は木造のための寄付金集めをはじめるなど既成事実を積み重ねています。

17/8/26(土)壊すな!名古屋城天守シンポに70人

17/8/26(土)に「名古屋城を『戦後復興のシンボルに』実行委員会」が名古屋市博物館で「壊すな!名古屋城天守 名古屋城シンポ」を開催し、70名が参加しました。


・配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170826-1.pdf
・高橋和生氏パワーポイント(PDF)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170826takahashi.pdf
・赤羽一郎氏パワーポイント(PDF)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/akahaneppt.pdf

 
まず、実行委員の高田廣司さんが作成した「天守閣への思い 名古屋城天守閣建替に反対します」動画を見ました。


その後、実行委員の高橋和生氏(一級建築士)が、河村市長が使い分けている「違法建築 国宝名古屋城の伝統木造復元」と「法適用除外 観光で儲けるハイテク木造」を説明しました。


「違法建築は某ゼネコンが7年で350億円かけて作れるとした。
 法適用除外は、ゼネコンコンペで名古屋市が選んだ。
 しかし、現時点では第三者機関である建築審査会の同意を得られていない。
 法適用除外は坪単価が3000万円。
 レゴランドやJRなどでも坪単価は100万円以下。とんでもなく高い。
 しかも、50年間360万人が来るという計画。
 現在の天守閣には身障者エレベーターがあり、見苦しいという意見がある。
 しかしエレベーターの裏には非常階段がある。万が一の時小天守を通らずに避難できる。
 
 違法建築は寸分違わぬ天守閣。しかし建築基準法違反であり、
 『史実に忠実に』はできない。外観は現在と同じ。CGにあった畳は史実に反している。
 危険なのは火事と地震。木造3階以上は、パネル工法ならOKだがこれは伝統工法。
 私は6月にロンドンに行って、80名以上が亡くなる木造住宅の火事に遭遇した。
 親父は空襲の怖さから二度と燃えない鉄筋天守に寄付をした。
 不特定多数が来る特殊建築物は2方向避難が求められている。
 ロンドンは1本しか階段がなかった。
 
 法(建築基準法)適用除外というのは、以下の仕組み。
 国宝だが、仮設でハイテク防災を付け、取り外しが出来るため適用除外。
 建築審査会が『特定行政庁が原形の再現がやむを得ない』としたときだけ。
 壁と床を耐火方式にする。外から見てもわからない。
 ただし史実と違っている。
 名古屋市建築審査会で、『再現をやむを得ない』と言えるのか。
 8/24市議会の請願でその旨主張したが審議されなかった。
 
 木造天守にするには、文化庁記念物課史跡部門の復元検討委員会で検討する必要がある。
 本丸御殿でも同様のことが行われた。
 防災の方は国交省大臣名の認可がある。
 法適用除外では、真ん中に鉄骨避難階段や耐震壁、エレベーター、
 避難トンネルやスローブ、などが提案されている。
 国宝としては目障りだろうが必要。
 名古屋市は寄付金を集める以上、上記の姿と、国が認めないことを説明すべき。
 
 地震について、名古屋城のIs値が0.14と市は発表し、市長は「入城制限」すると言い出した。
 しかし、名古屋市の営繕部長が表に出てこない。
 名古屋市は去年12月に入城制限しないとし、「木造復元により安全性を確保」するとした。
 ところで「今のコンクリートより木造の方が地震に強いのか?」とよく聞かれる。
 熊本城は耐震工事を準備していたが、震度7の地震2回で倒壊しなかった。
 しかし修理限界を超えたため70億円で耐震補強をしている。
 
 名古屋城には名古屋市民が1割しか来ていない。
 名古屋城をオープンスペースにし、市民に愛される城にすれば観光客も増える。
 
 各地で天守の復元が相次いでいるが、いずれも図面はなく、存在もしていないから作った。
 現在の名古屋城天守を壊さないと木造天守は出来ない。
 なぜ壊すのか。空襲で約8000人がなくなった。
 今や登録有形文化財になる。名古屋市は嘘で耐震改修案を消し去った。
 市民2万人アンケートには「コンクリートは40年という調査結果が出ている」と書いてあった。
 名古屋市庁舎は重要文化財として永久保存になる。
 テレビ塔も登録有形文化財。
 名古屋大学豊田講堂も。
 竹中工務店は『コンクリートは400年もつ』といっている。
 
 河村市長は市民に「資料がある。文化庁も木造といっている」というが、
 名古屋市は文化庁に「耐震性が悪い。」と説明している。
 文化庁は「現在の天守に価値がある。壊すことに市民の賛同を得られているのか」といっている。
 文化庁の回答は市民に示していない
 市長「子ども達の宝になる。観光で儲かる」と市民に説明し、
 文化庁には「耐震性」。
 
 2015年3月に木造天守閣案を議会に提示した。来年2月には基本世景観量予定。
 しかし新聞を読んでいても建築基準法違反とは出てこない。
 今年4月1日に行われた中日新聞討論の対談で
 「職員から『木造化はできません』いって」
 業務命令書を書いたとした。「全責任は市長が負う」と書いたとのこと。本人は自慢している。
 調べたら2015年8月24日に業務命令書が書かれていた。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/news/191.pdf
 役人の「木造化はできません」と言った理由も聞きたい。
 しかし市長の陰に隠れた。
 今は役人の積極的なサポートが得られていない。
 
 今年5/12石垣部会では『石垣こそ文化財』と意見が出た。
 石垣を調査すると言うが、実際は現天守取り壊しのための石垣体力調査。
 石垣の上をトラックが通る。
 また、石垣を外さないとコンクリートを打てない。
 「史実に忠実」といいながら、文化財の石垣をないがしろにしている。
 コンペをやり直すべき。
 なお、現天守施工図を見ると、外の石垣と中の石垣の間にコンクリートが入っている。
 壊れた熊本城小天守の石垣は、小天守の加重が乗っていたため。
 
 復元木造天守は文化財ではなく、文化財保護法違反だ。
 名古屋城は都市公園というより観光地と位置づけられており、いつも工事中。
 石垣は10年かけても復元できていない。
 
 私は木造が嫌いといっているわけではない。失われた櫓など、
 愛知県と名古屋市が仲良くしてオープンスペースを作るべき。
 
 大阪城は歴史文化の発信がメインで、観光は後。天守閣のみ有料。
 学芸員が3人いて、自ら企画展示をし、リピーターを捕まえている。
 常設展示では外国人がわかるように大阪市の歴史を展示している。」
 
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続いて、赤羽一郎氏の説明がありました。
「現在、将来学芸員を希望する学生へ講師をしている。
 名古屋城については、全体部会の構成員ならびに石垣部会の構成員をしている。
 自己紹介。私はお城の中に住んでいた。
 名古屋学生会館には名古屋大学他270名がいた。
 ワンダーフォーゲル部に入って、練習のために石垣を登ったり降りたりしていた。
 その後50何年経って石垣の話をするのも何かの縁。

 先ほど高橋さんには建物の話をしていただいた。
 名古屋城は特別史跡。土地そのものが文化財。
 史跡の中の史跡 国宝級の文化財。その中でも大きな意味を持っているのが石垣。
 石垣は300面以上、65000平米くらい。ナゴヤドーム5面くらいある。
 規模、石は、徳川が作った大坂城に次ぐ2番目に大きな城。
 名古屋城石垣の本質的な価値はどこにあるのか。
 出積み 長い部分、短い部分 算木積みで積まれている。  
 石には文字が刻まれている。『加藤肥後守 内小代下総』
 加藤清正の有力の部下。実際に築いた人の名前。
 清正の刻銘が天守台石垣や小天守石垣に7カ所くらいある。
 こんなに多いのはびっくりします。
  
 強調しておきたいのは、現在名古屋市が天守台石垣の発掘調査をしようとしているが、 
 木造天守をするために仮設建築をたてるための調査ではなく、あくまでも
 石垣の保存状況、危ないか調査するため。
 現状変更の申請を文化庁に出さないと行けないが、木造天守を作るためではない。
 全体何が書いてあるかわかる。
 石垣は米軍の空襲で熱を受けており、表面剥離、亀裂があり読みにくいものも。
 名古屋城は徳川が作った城。
 なぜ豊臣恩顧の加藤清正の名前が書いてあるのか。
 家康が寛容だったから? 加藤清正に一目置いていたため。
 加藤清正がいなければ短期間でできなかった。
 
 江戸時代真ん中の宝暦年間に石垣が沈み込み天守が傾いた。
 ウインチを置いてロープを柱にくくりつけて天守を起こして石垣を築き直した。
 その後の履歴も残されている。
 当時、武家諸法度で城改修の時は届け出ないと行けないので文献も残っている。
 
 しかし変わってしまった部分もある。
 正門入るところは広場。当初からこうでなかった
 陸軍省から宮内省になり、名古屋離宮となった。
 皇族たちの宿になったが、車が通るのが不便だとして堀が埋められた。
 軍略的に大きな馬出しがあった。その他搦め手馬出し。
 2カ所も大きな馬出しがあるのは名古屋城以外にない。
 家康が何を狙っていたか。
 東の部分に立派なお堀が残っている。
 明治に入ってから変えられた。
 
 昭和20年5月14日に名古屋城は空襲でやられた。
 地階は穴蔵と呼んでいる。
 加藤清正の石は表面剥落しているが、穴蔵にはそういう石がない。
 どうも穴蔵の石は後に新しい石材で積み直されたようだ。
 この調査をすべき。
 北の面 モルタルなんかが注入されている。
 大きな井戸があった。今は模型がある。井戸底は20メートル下。
 お堀の底の下で水を確保していた。

 愛知県体育館がある東門は石垣が変な切り方になっている。
 ずっと続いていたが、斜めの部分が取り壊された。
 体育館を作る際に壊された。昭和39年。

 名古屋城西には鵜ノ首がある。
 城はどう作るのか。立地条件。名古屋台地の一番北。
 堀を掘る。普請という土木工事がなされる。
 徳川家康が諸大名を集めた。天下普請という。
 その上に建築物を立てる。作事という。
 普請が大きなウエイトをしめし、石垣が防御の重要な役目となる。
 名古屋城西北隅には西北隅櫓があり、小さな天守くらいの大きさがある。
 北はがけ。国立病院より北は長い坂になっている。
 慶長年間、西に豊臣が健在でそこに向けていた。

 現在石垣修理が行われている場所。搦め手。
 これまでの石垣修理場所は北側に偏っている。
 ちょうどこのラインが段丘、がけ。北は湿地帯。
 今やっている工事は搦め手の部分。積み直し。
 10年以上経っている。
 取り外した石垣は中堀に置いてある。
 こういう部分 石垣にずいぶん草が生えている
 名古屋市は石垣カルテを作って危険度を調査しよう、カルテとして残していこうとしている。
 草がたくさんあり、カルテづくりの障害になっている。
 中が腐葉土たまっている証拠。

石垣部会としては4点主張している。
石垣部会総意として、
・石垣天守台は保全を最優先に考える。
 発掘調査しようというのは、保全のための事前の調査。
・二の丸石垣など失われてしまった部分は名古屋城の本来の姿にすべき。
・石垣カルテを早く作れ。草木類が生えている。
 木造天守など言っていられない。
・学芸員を確保すべき。名古屋城は考古学1.5人しか確保していない。
 金沢城、大坂城 4人、8人キープしている。
 
木造天守が叫ばれているが、名古屋城全体から見ればもっと先にやるべき事がある。

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会場から意見がたくさん出ました。
・私は大工で木を使っている人間だが、タウンミーティングはむちゃくちゃすぎた。
 市長は「他でも城を作るから木が無くなる」と説明した。
 木は成長するし、竹中案では外在を使おうとしている。
 石垣は建物の基礎。基礎がしっかりしていないとダメ。
 石垣の石は遠くから運んできた。どうやって運んできたか。堀を掘って川で運んできた。
 もっと歴史的・技術的に勉強したい。
・一級建築士。名古屋市は名古屋城整備計画で耐震整備と書いてあり、まだ生きている。
 しかし市長が強行突破しようとしている。
 熊本の石垣を視察した。補修費用の2/3は石垣にかかるという。
 南海トラフが起きたとき補修はどうなるのか。
 法律の問題、経済的な問題はあるが、まず石垣を優先すべき。
・ずっと名古屋育ちだが、コンクリートの名古屋城の歴史は一切知らなかった。
 浄財で出来たこともはじめて知った。
 名古屋城のコンクリート建築は名建築であるという認識は重要。
・タウンミーティング2区言ったが、市長の言っていることがおかしい。
 市民は焼ける前の名古屋城が復元されると思っている人が多い。
 ハイテク現代建築。
 本丸御殿もそう。「和風住宅展示場」に思える。どんなものができるか知らされていない。
 税金投入しないというが、366万人50年間 そんなことができるのか。
 姫路城2年前に行ってきて、280万人。整理券出す。倒れる人が心配。
 次の年は211万人。
 来なかったらどうやって責任を取るのか。50年後市長は120歳。
 税金を投入するなら福祉、教育を削るだろう。
 石垣にまず手を入れないといけない。
 学芸員が1.5人しかいないのはショック。
 熊本城に電話したらすぐに学芸員がでて説明してくれた。
 名古屋城の文化財尊重姿勢があらわれている。
・建築関係の仕事をしている。
 市長は震度6で壊れると恐怖をばらまいた。
 しかし建築当時の震度は結果を見て決める。建物が壊れたら震度6。
 その理屈なら日本中の建物を直さないといけない。
 また、木造の方が強いというのがわからない。
 竹中の絵を見ると、ラーメン構造になっている。接合は木造。
 計算すると不安定な建物。そんなものを作っていいのか。
 耐震壁を作る、床を耐震補強する。ベニアで木造。いったい何を作るのか。
 市長は原寸大の模型が欲しいだけなのではないか。それに500億。
 「コンクリートだから偽物」というが、単なる材料。
 「エレベーターがあるから恥ずかしい」とは小学生の時に思っただけ。
 ところでトイレは作るのか作らないのか。
 まさか水洗ではないですよね。陶器などありえない。
 何を作りたいのか。

司会者からは、「タウンミーティングは2020年7月までの時に開催したが、
2022年に伸びた後1回も市民からは説明がない」とありました。

高橋さんは「市長を批判しても何も伝わらない。議会も審議しない。
市長は木造天守が出来るものと信じている。役人も説明できない状況に追い込んだ。
竹中も市から説明を止められているようだ。
マスコミは知っているが同調化している。
やりたくなかったが、「違法」建築基準法違反、消防法違反だと主張している。
石垣大事に考えないといけない。
500億円はもったいない。議会を通ってしまった。
現在でも違法。違法のままで文化庁が受け付けるとは思えない。
木造天守が漂流している。役人が言えないのであればやろうとして
今回シンポを開いた」としました。

赤羽さんは「石垣部会が市の依頼を受けているのは、
天守台石垣の発掘調査にご意見下さい、というだけ。
上に木造天守を作るための手続ではない。まったく関係のない話。
現在の天守を撤去するには現状変更という手続が必要。文化庁の許可案件。
木造天守を作るには文化庁の復元検討委員会の綿密な審査がある。
市は年3回で出来ると見込んでいるが多分そんなことはない。
おそらく簡単には許可を出さない。長い時間がかかる。
私たちの石垣部会と文化庁のやることを整理しないといけない」としました。

また、会場からの「耐震改修より木造建替がよい」という
市側の首長に対する具体的な反論は、という質問に対し高橋さんは
「耐震改修は10年前に決定している。
 2年前に市長の話で比較することなく木造しかないとした。
 名古屋市は耐震とは比較していない。事実としてそう。
 また、建築については寿命を語らないというものがある。
 人間は寿命があるが、建築は手入れすれば延びる。
 人間が必要としなくすれば寿命が尽きる。
 日本 火事・地震があり、30年、50年で立て替える。
 コンクリート 50年としているのは、
 税法上 50年しか使わないとして減価償却の話。
 ロンドンは140年前の建物が今でも売買されている。習慣の話。
 寿命の議論に引っ張られてしまうとわからない。
 竹中は400年持つコンクリートがあると言っている。
 竹中に耐震改修を依頼すれば400年持つように提案するだろう。
 他の会社でも作れる。
 違法性については、耐火材が木材、地震に耐えられるのか。
 性能設計 いろんなことができる。
 竹中の実力であればハイテク木造なら地震に耐えられる。
 しかし火事は難しい。私は自分で構造評定した。
 違法性あいまい 。
 法適用除外というのは、ようは国宝だから安全勘弁ね、危険我慢してねということ。
 それだけ松本城に登る人はリスク負っている。。
 地震で壊れるかも。入城制限してコントロールしている。
 名古屋市は重要文化財だから多少安全に目をつぶって、
 なおかつ法同等にしろといっている。
 私に設計しろと言われると逃げ出す。
 本物 某社350億7年で提案した。
 竹中は500億4年。
 見た目は仮設かなんかで木造でとどめる。
 言葉尻ではきれいに説明できない。
 動画のようにはならない。」としました。
 
8/24に請願した人からは「『建築審査会を通ってから寄付金を集めるべき』
と6月に主張したら、8/24にようやく陳述できた。
名古屋市議会は『議会開催前に言ってほしい、2月に出して欲しい』といわれた。
愛知県議会はその議会開会中に審議する。民主的でない市議会。
どうして3/22に議会で議決されたのかもわからない。
現在でも耐震は消えていない。ワンマン市長が暴走している。
私は河村市長が『エレベーターを付けず、身障者をおんぶして登って』と
言ったことに怒った。その後市長は『そんなこと言っていない』と
いい加減。みんなに知らせるにはどうすればよいか。』と言いました。

また、会場からは「一部の評判では、議会が10億円の予算を承認した理由として、
議員が報酬を上げたことに対して裏取引をしたのではないかというものがある。
最近河村市長は議員報酬のことを言わない。バーター取引で天守閣をOKしたのか」
という意見も出ました。

質問として、現在の天守閣の下に埋まっている巨大なケーソンはどうすればよいのか、
と言うことに対し、赤羽さんは「ケーソンという4本の鉄骨鉄筋の柱で
現天守は支えられており、石垣に負担はかかっていない。
そのケーソンをどうするかは私たちの思案の及ぶところではない。
ケーソンの上に仮に木造天守を載せるのであれば、復元検討委員会の課題だし、
撤去するのはもっと課題で、どちらも難しい。
検討する中でよい案が生まれてくるかもしれない」と言いました。

高橋さんは「文化庁は奈良の大極殿を図面なしで自ら作った。
気持ちがあればプロは復元できてしまう。
文化とはなんぞや、観光の目玉なのかはっきりさせないといけない。
木造復元するのに設計図はいらない」としました。

赤羽さんは「熊本城については文化財なので文化庁の現状変更抜きには出来ない。
国土交通省のお金で作っているが、法律の許可不許可は別。
名古屋城は史跡の中の特別史跡。撤去は大幅な改変で現状変更がいる」としました。

司会者は、「名古屋城木造には文化財、観光、コスト、安全の視点がある。
どれもクリアしないと行けないが、タウンミーティングでは観光が行き詰まると文化の話をし、
文化で行き詰まるとコストの話にそらす」としました。

最後に、赤羽さんは「石垣とは関係ないが、現在の天守の役割を説明したい。
小天守では障壁画の復元作業が行われている。
2013年には特別展 巨大城郭名古屋城 がなされ、素晴らしい展覧会だった。
展示機能、資料の修復、展示。博物館機能を現天守が持っている。
現在会場の名古屋市博物館ではゴジラ展が行われている。
1964年に名古屋城はゴジラによって壊された。
ゴジラは内堀に足を滑らせて天守閣を壊してしまった。
あらたに作り直して再度撮ったが、しかし足を滑らせたものがリアルだったので
映画ではそれを使った。
このゴジラは誰なのか、みなさんに問うて最後の言葉としたい」としました。

高橋さんは「2年前にfacebookで書き込んだことがきっかけ。
こんな状況になって、まわりにこんなに人が増えた。
2015/8/24に業務命令書によって役人は動けなくなった。
ジャーナリストは文化庁の本当の話の裏を取ってもらいたい。
建築基準法など理詰めでいかないといけない」として締めました。

名古屋城天守を「戦後復興市民のシンボル」に
https://www.facebook.com/1740949266229351/


名古屋城を「戦後復興のシンボル」に実行委員会は17/8/26(土)13時半〜、名古屋市博物館講堂で「壊すな!名古屋城天守 名古屋城を『戦後復興のシンボル』にシンポジウム」を行います。
https://www.facebook.com/events/108081929857645

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壊すな!名古屋城天守 名古屋城を「戦後復興のシンボル」に シンポ

先の大戦で焼け野原となった名古屋城。市民が天守復興のために2億円の寄付を集めました。二度と戦禍で燃えないようにという戦後復興のシンボルを取り壊していいのでしょうか。入場者数の見込みに疑問が出され、さらに文化庁や石垣部会からも慎重な意見や批判が相次いでいます。何が問題なのか、専門家を交えて市民の意見を交換しましょう。

壊すな!名古屋城シンポ

8月26日(土)13時半〜
会場:名古屋市博物館講堂(地下鉄桜通線「桜山」4番出口から徒歩5分)
 http://www.museum.city.nagoya.jp/guidance/access/index.html
ビデオ上映 高田廣司(元教員)
報告者   赤羽一郎(石垣部会構成員・愛知淑徳大学非常勤講師)
      高橋和生(一級建築士)
参加費500円
主催:名古屋城を「戦後復興のシンボル」に実行委員会
 https://www.facebook.com/events/108081929857645
チラシ http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170826.pdf


17/8/25 名古屋城天守閣木造化 天守の耐震性能(復元原案)詳細は非公開

17/7/13に開催された「特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 第3回天守閣部会」の際に、傍聴者とマスコミに配布されなかった資料を名古屋市民オンブズマンが情報公開請求し、17/8/25に開示されました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170713-3.pdf

残念ながら、天守の構造解析モデルなど「技術上のノウハウに関する情報を含む部分については、公にすることにより、法人の通常有する競争上の利益が損なわれると認められるため」非公開でした。

名古屋市は、名古屋城の耐震については「名古屋市としては、木造復元することで耐震化を図る」と繰り返し、今の建築基準法の基準以上を求めるとしています。しかしながら、構造解析モデルが示されなければ、本当に建築基準法の基準以上になるのかがわかりません。

また、現在の天守閣を耐震改修するのにかかる費用と耐震数値、木造化して耐震改修するのにかかる費用と耐震数値をきちんと比較しないと、木造化して仮に目標入場者数に届かない場合の税金投入の説明が付きません。


17/8/24 学芸員数 名古屋城3.5人 熊本城8人 金沢城9人

17/8/24に開催された名古屋市議会経済水道委員会では、「名古屋城の石垣及び天守の保存を求める件」請願が審議されました。
・資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170824.pdf
・メモ(名古屋市民オンブズマン作成)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170824-1.pdf

17/8/9石垣検討部会で「石垣調査について、市の主体性が必要。学芸員の体制が不十分」と指摘された件で、名古屋城総合事務所は「8月1日づけで、教育委員会から兼任で1名学芸員を増やした。体制については不十分だと認識しているので、今後検討する」と述べました。

中川議員が、「名古屋城、熊本城、金沢城の学芸員の数は何人か」と質問し、「名古屋城は今回の兼任含め4人。考古1名。障壁画・美術品1名。博物館の展示1名。熊本城は調査研究センター15名中、学芸員は8名。
金沢城の調査研究所16名中、考古担当学芸員で8名、その他1名は確実にいる」と述べました。

渡辺局長は、「金沢までは学芸員の体制を目指していきたい」と述べました。

江上議員は「竹中工務店から出された木造化案は、石垣と天守閣が接触することがあきらかだ。名古屋市は、地下ケーソンがあるから天守閣はその上に載せればよいとし、石垣は後回しにしようとした。接触がわかっていたら事前に調査の準備をすべきだった」と述べました。
担当主幹は「石垣をどう取り扱うか調査し、把握してから学識者の意見を聞いた」としましたが、石垣部会には「木造化するから石垣について検討願います」とは聞いていなかったことを認めました。

西野所長は「技術提案・交渉方式の優先交渉権者を決定する際、石垣に詳しい人もいた」と述べましたが、調査体制に関する認識は持っていなかったとしました。

なお、耐震については「名古屋市としては、木造復元することで耐震化を図る」と繰り返し、今の建築基準法の基準以上を求めるとしました。

結局、請願は「2月定例会で予算議決がされているため、議会意思が確定しており審査打ち切り」が多数を占めました。

17/8/17 17/8/1 名古屋城石垣 名古屋市議会委員と有識者懇談会 配付資料公開

17/8/1、名古屋市議会経済水道委員会は、委員会終了後名古屋城に現場視察に行きました。
そこには有識者がいて、現場視察した後、現地の会議室にて有識者・市議・市職員との「懇談会」を行ったとのこと。
マスコミは参加できたが、市民は傍聴は出来ませんでした。

「懇談会」の際の配付資料を情報公開請求したところ公開されました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170801-3.pdf

委員会の際の資料は閲覧に供しています。
広く市民に知らせないのか理解に苦しみます。

なお、穴蔵石垣補修のための補助申請資料(昭和25年10月17日)が掲載されていました。

17/8/9 名古屋城石垣部会 「石垣調査は市が責任を持ってすべき」

17/8/9 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会(第23回)が開催されました。
今回も、「未確定の部分がある」として傍聴者には資料の一部しか配布されませんでした。
・傍聴者に配付された資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170809.pdf
 
まず、市長からのメッセージが読み上げられました。
 「名古屋城天守閣木造復元に関して、参議院文教科学委員会において、『現状変更許可に当たっては現在の石垣の劣化状況等に関する現況調査を実施すること。現在の天守の解体・除却工事が文化財に石垣に影響を与えない工法でありその保存が確実にはかられること。木造天守の忠実な天守がなされるような具体的な計画内容であること。木造復元にかかる工事が文化財である石垣に影響を与えない工法であり、その保存が確実にはかられること』などが必要であると発言がありました。
  私といたしましては、特別史跡である石垣をしっかりと保全していくことも重要であると認識していますので、石垣部会の構成員の皆様方のご意見を伺いながら、文化庁が指摘しているような石垣の保全について対応していきたいと考えております。どうぞよろしくご審議をいただきますようお願いいたします」

それを受け、石垣部会としては天守閣木造化について議論はしないことを確認しました。

一方、石垣部会構成員は現地視察を行っており、石垣のダメージが想像以上にひどいこと、石垣を早く修復して欲しいことを要望しました。
名古屋城の石垣は天守閣周辺だけでなく膨大にあり、全てについて石垣カルテを作成するには2年という時間にこだわらずにすべきとしました。

続いて、天守台石垣の調査について、名古屋城管理事務所から史実調査、測量調査を既に行っている、と報告がありました。
千田嘉博・奈良大学教授から「部会でどういう調査をすべきか議論してから調査すべきではないか。そもそもだれが調査をしているのか」、と質問され、名古屋市は「名古屋城総合事務所、竹中工務店 両者で調べている」と言いにくそうに答えました。
千田教授は「名古屋市が管理団体として責任を持ってやるのが筋。竹中がサポートするのは契約内容に入っているのかもしれないが、調査の主体は名古屋市。どういう体制で学術調査を臨もうとしているのか。国の特別史跡は国民の共有財産。特別史跡になっている石垣はわずか。現状調査をするのは破壊を伴う調査。名古屋市が責任を持って調査しないといけない。委託調査は極めて異例のことではないか。名古屋市が責任を持って調査できないのであれば、やるべきではないこういう提案をされたのであれば、責任を伴う」と述べました。
宮武正登・佐賀大学教授も「特別史跡は国宝。よほど慎重としないと。コンサルが主体でやるべきではない。通常は近世史、城郭史の先生と一緒にやる。特別史跡級の城郭であれば専門学芸員が通常はいる。現地に立って、作業員を指示して発掘する。基本的なあるべき姿。名古屋市の体制を聞いておきたい。」としましたが、名古屋市は「今後学芸員に天守台専属で付いてもらいたいと考えている」と述べるのみ。
赤羽一郎・愛知淑徳大学非常勤講師も「埋蔵文化財遺跡の発掘調査というのは、ある意味では破壊行為と真実解明の狭間でデリケートな仕事。やるのは名古屋市がやらないといけない。外注に出す、委託に出すのはそうではない」と述べました。
中井将胤・文化庁文化財部記念物課文化財調査官は「基本的には管理団体になっている名古屋市が主導権を持っていないと行けない。何人か、というのは基準がないが、市がコントロールできる人数を文化庁としてはお願いしている。どこを委託するかを検討してほしい。また、発掘調査部会を作っているところもある」と述べました。

その後、現状の石垣の様子の発表がありましたが、石垣部会構成員から「発表者は名古屋城管理事務所の人ですか」と聞かれ、「竹中工務店です」と返事がありました。
宮武教授は「丸投げになっている。名古屋城管理事務所には文化財担当者は1人しかいない。その人は今の発表をそらんじて言えるのか。学芸員が把握していなければ
意味が無い」と述べました。
千田教授は「管理団体としての名古屋市はコントロールがまったく出来ていない。竹中工務店は原本に当たったのか?当たっていない。内藤先生の孫引きであり、学生レポートでも通らない。国の現状変更をするにあたり、部会に出されている資料としてはだめ。竹中が発表することが中身もそうだが形も外れている。ここから改めないと。大変強いショックを受けた。」と述べました。

最後になって、名古屋城管理事務所は「発掘調査 調査位置図 石垣調査整備の案 ・文化的価値を高める ・穴蔵 資料等により復元をめざす ・天守台石垣調査を実施し、その後適切に整備の内容、工程を検討する」を出してきましたが、副座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「検討すべきすることが多いので次回出して欲しい」と保留になりました。


17/8/7 名古屋城木造化天守閣部会「史実に基づいてどこまで復元するのがよいのか」問題提起のみ

17/8/7、特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第4回)が開催されました。今回も、部会の構成員に配布された基本計画書案は「未確定段階の情報で、技術上のノウハウが含まれており、傍聴者には配布しない」と名古屋市は説明しました。
・17/8/7 傍聴者に配付された資料 
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170807.pdf

名古屋市は現在の名古屋城天守を壊し、2022年12月までに木造天守にする計画を立てていますが、特別史跡である石垣を一部破壊して木造天守を作る際の足場にする計画をたてており、さらに現天守を作成する際に破壊されたと思われる石垣内面の調査期間を2ヶ月しか予定しておらず、これでは木造天守ありきで石垣修復ができないと、石垣部会の構成員は全員反対しています。
・第21回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会の議事録(17/5/12)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170512-3.pdf
 
しかしながら、17/8/7天守閣部会での議論は、石垣部会の議論をまったく踏まえず、過去の文献調査で判明したこと、ならびに耐震性能についての議論ばかりでした。
防弾壁を構造計算に入れたところ、大地震時、耐震基準 大天守 X方向で1.3倍、Y方向で1.6倍、小天守 X方向1.17倍 Y方向 0.97倍 と、ほぼ耐震性能をクリアすることになったとのこと。

また、通し柱か管柱かを、文献を精査して検討していました。

古阪秀三構成員(立命館大学客員教授・建築生産)は、「史実に基づいてどこまで復元するか。昔の名工が作ったものを復元するのが本当によいのか。力学的、デザイン的、空間的なものを組み合わせて考える必要がある。今後、気候大変動が起こり、建物へのプレッシャーが強くなる。計算機を使いながら、合理的に考えてはどうか」と発言しました。

竹中工務店はBIM(Building Information Modeling)を用いてモデル化していることを説明しました。
三浦正幸構成員(広島大学大学院教授・日本建築史文化財学)は「木材に関する史実は重要だが、構造的に不合理な場合、不合理を正すことも必要。それぞれシミュレーションして欲しい」としました。

石垣について、最後に小野徹郎構成員(名古屋工業大学名誉教授・建築学)が「遺構に配慮した工事」について少し触れましたが、「次回議論する」となりました。

この天守閣部会で、なにをいつまでに議論するのかというのが見えてきません。
BIMを見る限り、木造の構造をシミュレーションしているだけで、バリアフリー法に基づくエレベーターや消防法に基づく鉄骨の避難階段やガラスのトンネル,スプリンクラーなどは入っていません。

2017年8月末までに文化庁が「石垣調査」を認めなければ、2022年12月までの完成はできず、17/8/1に名古屋市ははじめて「工程を見直す可能性がある」と発言したと報じられました。

「400年前の木造のそのままの天守閣ができる」と信じている名古屋市民も多くいます。しかしながら、各種法律をクリアした具体的な姿は未だに見えず、石垣についても何が問題なのかを市民に直接は説明していません。「年間366万人の来城者が50年間来る」という根拠も明らかになっていません。

今回の木造化について、当初2020年7月までとしてコンペを行いました。2022年12月までの「工程を見直す可能性がある」というのではなく、再度現天守閣の耐震化か、期限を区切らない木造化どちらがよいか、というところから考え直す必要があるのではないでしょうか。


名古屋市議会委員会が名古屋城石垣視察後、市民に非公開で有識者と懇談会

17/8/1、名古屋市議会経済水道委員会は、委員会終了後名古屋城に現場視察に行きました。
そこには有識者がいて、現場視察した後、現地の会議室にて有識者・市議・市職員との「懇談会」を行ったとのこと。
マスコミは参加できたが、市民は傍聴は出来ませんでした。

「懇談会」終了後、名古屋城総合事務所に確認したところ、「石垣有識者は3名参加した(北垣、千田、赤羽)。視察に参加した議員13人には配付した資料があったが、マスコミには配布していない。また、議事録は作るつもりはない」とのこと。
私は「名古屋市議会として公式に現場視察を行っておきながら、議事録を作らないという根拠は何か」と聞いたら「調べて折り返し返事する」とのこと。

その後電話で回答がありました。「議会事務局としては、正式な委員会としては、開会の挨拶はした。そのあとの現場視察は勉強会で委員自体は自由参加。議会事務局としては議事録は作らない」とのこと。

名古屋城総合事務所としてどうなのかと聞いたところ、「現段階では起こしていない。未定。必要があれば起こす。議事メモを作るかまだわからない。議事メモをどうこれから扱っていくか。現段階では起こす予定ではない。実際問題として、議事録を作る体制を取っていなかった」とのこと。

当方としては、「議会委員会の議員は全員参加しており、有識者も市職員も仕事として参加している。今の市の内部の議論には、市民が存在していない。
このままでは文字に残らず、どのような話があったのかまったくわからなくなる。名古屋市は木造天守閣を400年残すつもりとのこと。どのような経緯で作られたのか後世に残さなくてよいのか。
また、市長は情報公開を掲げている。検討結果を文字に残すことは極めて重要だ」と要望しました。

その後、名古屋市に対して「17/8/1市議の名古屋城視察時に配付した資料(委員会傍聴者に配付した資料を除く)」を情報公開請求しました。
また、名古屋市会会議規則21条に基づき議長に報告される要領を入手したいと思います。

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・17/8/1 名古屋市議会経済水道委員会 配付資料(傍聴者用)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170801.pdf
 
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○名古屋市情報あんしん条例施行細則
第9条 実施機関の意思決定に当たっては行政文書を作成すること並びに事務及び事業の実績について行政文書を作成することを原則とするものでなければならない。
http://www.reiki.city.nagoya.jp/reiki_honbun/i502RG00001057.html#e000000300

○名古屋市会会議規則
第21条 委員会が付議された事件について審査又は調査を終えたときは、委員長は、その要領を議長に報告しなければならない。
http://www.reiki.city.nagoya.jp/reiki_honbun/i502RG00000022.html

○名古屋市議会基本条例
第6条3 議会の会議等で用いた資料は、積極的に公開する
   5 議会は、市民が傍聴しやすい環境を整備する。
http://www.reiki.city.nagoya.jp/reiki_honbun/i502RG00001202.html

○名古屋市会委員会条例
第16条 委員長は、書記をして議事の記録、出席者の氏名その他必要な事項を記載した記録を作成させ、これに署名又は押印しなければならない。
2 議事の記録は、録音テープその他の媒体(以下「録音テープ等」という。)をもとに作成する。
3 秘密会の議事及び委員長が取り消させた発言並びに録音テープ等は、公表しない。
4 第1項に規定する記録は、議長が管理する。
http://www.reiki.city.nagoya.jp/reiki_honbun/i502RG00000023.html

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以下石垣視察の様子(名古屋市民オンブズマン作成)

【名古屋城天守入口】
市職員  名古屋城石垣 ひび割れ 戦災の影響と言われている
     黒っぽいところは雨だれ
     赤色っぽいところが戦災と言われている
市議   どこを調査するのか
市職員  調査は面自体
     調査は今後
     最初は表面 今後中も
     文化庁と協議中

【名古屋城天守北側】
市職員  天守台北側 左の下ポッコリ出ている
     はらむ 調査をする
     今後調査等 ボーリング調査 石垣の根元調査
     有識者と踏まえて進めて行きたい
     底に見えてる ボーリング調査
     内容は有識者と相談
     有識者には考え方は概ね理解していただいている
     地盤調査 3箇所程度
     ボーリング調査 10箇所
     角の部分 調査をやった方がいいと言われている
     発掘調査についてご議論

【歩きながらマスコミに対し】
千田   石垣が空襲の熱で焼けてしまっている
     表面だけなのか中までか調査する必要がある
     加藤清正が作った石垣 大変貴重

【大天守地下一階 穴蔵】
市職員  資料の青いところ
     上の方が平面 縦に上の方
     丸井が井戸
     石垣補修のために文化庁申請
     一部取り外したのではないか
     積み直されているのか、資料が正しいのかご議論
     写真などみて石垣をご議論
市議   ここはどうやって調査するのか
     どう行った位置にあるのか 裏は?
市職員  先生たちと相談しながら
     外した方が良いか相談する
     外すには業者がいる
市議   後ろがコンクリートになっているか
市職員  おそらくなってある
     例えばレーダーで確認
     昭和25年
     昭和32年?35年 再建
     石垣を触ったのか触ってないのか
     今は分かっていない
     図面でしかわからない
     石垣の内側と外側
     今後レーダーもある
市議   石垣を外すのか?
     補助金申請書はある
     完了届が見つかっていない
市職員  探し中
     写真等も出てきている
     内側の石は補ったもの
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17/5/12 名古屋城石垣部会の議事録が2ヶ月半たってようやく公開+非公開資料の存在発覚

17/5/12に開催された、第21回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会の議事録が、17/7/26になってようやく名古屋市民オンブズマンに公開されました。

・第21回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会の議事録(17/5/12)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170512-3.pdf
・第1回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会の議事録(17/5/10)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170510-3.pdf

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・ 17/5/12 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣部会(第21回)傍聴者配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170512.pdf
 
・17/5/10 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第1回)傍聴者配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170510.pdf

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議事録を読んでいて、極めて重要な資料と構成員が指摘している「S-008」という資料がどこを探しても見つかりませんでした。
17/7/27に名古屋城総合事務所に確認したところ、「名古屋城天守閣整備事業」と題して竹中工務店が作成したA3版12ページの資料の8ページ目とのこと。
傍聴者にもマスコミにも議員にも配布していないことを認めました。
議事録には、「傍聴者やマスコミに配布していない資料がある」とは記載されていません。
名古屋城総合事務所も、「最近は冒頭でいうようになった」と、説明していなかったことを認めました。
5/12に傍聴したマスコミが、「専門用語が多くて理解が出来なかった」と言っていましたが、構成員が見て「重大な問題がある」と指摘していた資料が配付されていなかったのです。
名古屋市民オンブズマンは、17/7/27に「17/5/12傍聴者に配布されなかった『名古屋城天守閣整備事業』」を情報公開請求しました。

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「重要な資料」である「名古屋城天守閣整備事業」はまだ開示されていませんが、5/12石垣部会の議事録を読めば、問題点がよく分かります。
【石垣カルテ 作成について】
・現計画では、石垣カルテ作成を2年で306面行う予定。べらぼうにタイト。5-6年は必要。
・危険度把握も必要。
☆文化庁
・ここに載っている項目を全部やっていただくということは、ぜひやっていただきたい。何年かかるかというのはこちらはあまり問題ではない。

【名古屋城天守台石垣調査について】
・何を目的に石垣の調査をするのですか。
・木造天守に差し替えるから、その必要性で既存の石垣をいじらなければならないという論点を出しては、ダメダメなんですよ。特別史跡ですから。
・全国の史跡の整備、工事の中で、本物の国の特別史跡としての価値が認められている石垣を毀損することを前提とした復元、整備。そういったものは全く認められていない。
・根本的に考えを改めない限り、天守木造にせよ、何にせよ、1mmも進まないというか、議論の入口にも辿り着いていない。
・もし名古屋市が、本物の天守を作るんだということであれば、前提としてこの内側の石垣を見る限りは、もう一回積み直すという、石垣の修復工事をなしに、木造の天守は絶対にできない。
・工事施工の中の31年、エレベーターの解体から行って、現天守閣がのっかったままの状態で。失われたかどうかわからない天守の内部の穴蔵の状況というものは、具体的に調査ができるとは、私には思えない。
・この場所には天守を木造で作るときの素屋根という巨大なものをここに造る。おそらく竹中工務店さんが、文化財的なことは全く考慮せずに設計されていますが、その素屋根には大規模な見学デッキを含む。だから、空堀の中には、とんでもない加重がのっかっていくという。
・竹中工務店が出されたS-008の、昭和の天守を造った時に内面石垣が全部直されている。ほぼ全面直されていますから、この石垣の修理痕がなければ、その前に調査をしてどう石垣を直すかということを検討したうえで、この石垣の内面を本来のものに直すということがないと、木造天守の建築に移れないということも、まさにこの資料を出したことによって、委員会で明らかになってしまったわけですから。もはやこの計画は、まったく成り立たないという状況です。そこは本当に真剣に考え直してもらわないと、何度会を重ねても時間切れになるばかりだと思います。
・これまで10年かかってきた馬出の解体、石垣の復元もこれからやって、城内の庭の発掘調査もやって、報告書も作って、これだけのトレンチ調査もやって、石垣の保全や天守台の復元の方向の発掘調査もやって、1人ですよね、担当。無謀極まりないです。何としてでも人を採らないと、この事業はできませんというような、腹のくくり方で総合事務所の方でやってもらわないと、絶対頓挫します。
☆文化庁
・発掘調査と石垣を調査するための調査というのは別。石垣に対しての調査でないと、発掘調査の現状変更の許可もおりません。 

こんな重要なことを、報道機関(カメラは頭取りだけ)と数人の傍聴者の前で行い、議事録公開も2ヶ月半もかかって議会にも名古屋城検討会議の他部会にも示していないというのが名古屋市のやり方です。

少なくとも名古屋市民全員がこの議事録ならびに市民に非公開の「名古屋城天守閣整備事業」を読んでから、今後の名古屋城のあり方を考えるべきです。
「ハイテク木造」の文化的価値をどう見るかは人それぞれですが、石垣には「本物の国の特別史跡としての価値」が認められているのです。


17/7/13 名古屋城天守閣部会 瀬口座長「石垣部会は越権行為。十分理解していない」

17/7/13 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第3回)が開催され、石垣部会の議論の報告がなされました。
・傍聴者に配布された資料(本来の資料の一部) 
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170713.pdf
・名古屋市民オンブズマン作成メモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170713-1.pdf

石垣部会から17/5/12に以下のような意見が出たことが口頭で紹介されました。
 ・木造復元の工程が決まっている前提で石垣について検討するというのは認識があまい
 ・石垣の取扱の考え方を明確にした方がよい
 ・石垣調査の目的・内容を整理すべきである
 ・木造復元するために石垣を取り外す前提である
 ・文化財を毀損する調査はありえない
 ・昭和の再建時に作り直された石垣を直すべき 
 ・文化庁からも、「現段階ではこの計画では認められない」と言われている。
 ・文化庁から、「調査のためなら認められる」と言われた。
 ・調査の目的を明確にすべき

さらに17/6/23石垣部会において、「前部会において、天守閣木造復元ありきの調査はだめだということになった。今回改めて計画を提示されたが、天守閣の解体が前提となっている。どう考えても木造復元ありきの調査である。前回も申し上げたが、いくら後で積み直すと言っても、木造復元のために石垣を毀損する計画はだめ。まず、文化財である石垣を調査し、長い期間をかけて石垣の修復を行い、その後に初めて天守閣をどうするか議論すべき」「保存活用計画でも天守閣木造復元は決まっていない。その中で、木造復元が決まったかのような計画はおかしい」という意見があったことが紹介されました。

西形達明・関西大学名誉教授(地盤工学)は「調整が難しい感じだ。今後どうしていくのか」との質問に対し、名古屋城総合事務所の渡辺主幹は「情報の共有をまず始めたい。天守閣部会と石垣部会の議論を踏まえながら意見交換する場も考えている」としました。
座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授(近代建築史、まちづくり)は「石垣部会の意見として『天守閣をどうするか議論すべき』とあるが、行政の方針として決まったことを決まったとしないと、行政として困るのではないか。こういう議論が出てくるのは認知されていないのではないか」としました。
古阪秀三・立命館客員教授(建築生産)は、「行政が方針を決めて議会が議決している。名古屋城の今後は、発注者の市、議会、市民が決める。有識者が決めるわけではない。専門家はアドバイザーだ」としました。
瀬口座長は「部会の構成員が判断すべきことと、行政が判断することがある。議論が差し戻すような話が入っている。文化財としての石垣については、石垣保全についての調査を行っていく。石垣の部分について調査していないのでまだ言えない段階だ。まずは調査すべき。石垣部会も方針としてはおおむね理解を得ているとのこと。合同部会は場合によってはあるかもしれない」としました。

瀬口座長は、部会終了後の記者会見において、以下述べました。
「石垣部会に対して、市はしっかり説明すべきだ。私は今の竹中工務店提案のまま出来るとは思っていない。計画はこのまま行くかもしれないし変わるかもしれない。石垣部会の人が十分理解していない。石垣しか考えていない。」
記者から「調査した結果、修復が大幅に必要になるのでは」という質問に対し、「そのときに考える。予見して延ばすのは越権行為だ。石垣部会は天守のことを考えていない。これでは見通しが付かない。極端なことを言えば」と述べました。
記者からのさらなる追及にたいし、「食事に行かないといけない」と早々に立ち去りました。

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木造天守閣復元のために、石垣の一部を壊すということは、議員だけでなく名古屋市民にも一度も説明がありませんでした。石垣有識者に対してもこれまで説明してきませんでしたが、17/5/12になってようやく市が説明し、冒頭で説明したような大反発を受けたところです。
名古屋市の計画では、現天守閣解体後、2ヶ月で石垣内部調査を完了させる予定です。
「天守台全ての石垣調査と修復には10年かかる」という委員までいて、今の木造天守閣のスケジュールとは真っ向から対立しています。

有識者の有識者たるゆえんは、仮に行政や議会や市民が誤った方向に進もうとした場合、専門家としての立場から方向を正すことにあるのだと考えます。
名古屋城木造化については、名古屋市は石垣について有識者にきちんと話を聞くことも無く、「木造化は(まともに説明をしていない)議員も市民からも支持を得た」と強引に石垣を破壊して推し進めようとしているのが現状ですし、瀬口座長以下天守閣部会の委員も同様です。
石垣有識者としての立場から、「まず石垣を調査・修復してからにしてほしい」というのは越権行為では無く、まさに有識者としての勤めを果たしているのではないでしょうか。

過去、開発現場から貴重な遺跡が発見されて計画がストップしたことは多くあります。遺跡の貴重性はその道の専門家が判断してきました。
今回、石垣を破壊して木造天守閣を作る、というのは、石垣有識者だけでなく文化庁が認めませんし、「石垣調査のため」という二重舌も通じません。
残念ながら、名古屋市民はきちんとした情報を受け取ることが出来ません。市民に説明をせず、文化庁や有識者に二重舌をつかう名古屋市の手法は、2017年8月末までに文化庁が石垣調査の申請を受理しなければ破綻します。
一刻も早く、市民にも議員にも全部会委員にもきちんとした説明を求めます。
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なお、耐震性の問題について、竹中工務店が構造解析を行っていましたが、資料は「未確定の情報が含まれていることと、技術的なことが掲載されているため傍聴者には配布を控えている」とし、資料を入手することが出来ませんでした。パワーポイントで説明されていましたので以下メモを書きます。

耐震性能の説明
 名古屋城天守閣は、焼失前と同等の歴史的価値を持たせるため、旧来の材料・工法によって建築することを前提としている。天守閣は昭和5年に旧国宝指定を受けた建造物でもあり、今回の復元ではその歴史的価値を再現するためにも建築基準法第3条に当てはめ、建築基準法の適用を除外する方向で検討を進めている。しかし、復元後は市民交流の場として私用されるため、性能としては建築基準法と同等の性能が求められる。

構造設計の方針は、まず復元原案としての耐震性能を検討する。復元原案の耐震性能が不足する場合には、復元原案に付加する形で補強計画を行う。これは現在文化財建造物で行われている構造補強と同様の手法である。補強は、できる限り文化財的な価値を損なわない方法で計画する。本計画の構造設計の手法として、保有水平耐力による検討を基本とする。

 地震時の検討 中地震時 50年に1度 震度5強程度 最大層間変形角 1/60
        大地震時 500年に1度 震度6強程度 1/30
 耐震性能目標値の設定 建築基準法に対し、×1.0 ×1.25 ×1.5
 復元原案の耐震性能 
 補強等については次回以降
 構造解析モデルについて 3次元フレームでモデル化
 外壁部分 土壁 木ずり壁
 固有周期 東西1次3.61秒 2次1.71秒 3次1.11秒
       南北1次3.13秒 2次1.37秒 3次0.86秒
 大天守 Y方向は建築基準法同等の性能を有している
     X  有していない
 小天守 XY 有していない

小野徹郎・名古屋工業大学名誉教授(建築学)からは、「市として、耐震性の目標を出して欲しいと去年の部会で強くお願いした。建築基準法に対して1.0倍、1.25倍、1.5倍どう考えているか」と言う質問がありましたが、「目標値は時間をかけて慎重に考える」と述べるにとどまりました。
小野名誉教授は「スタートが決まっていないと補強計画できない。コスト・何を付与するか。私は建築基準法に対し、1.25倍が必要ではないかと考える。」としました。

また、木材について、竹中工務店から「『木材検討会』をあらためて名古屋市に立ち上げてもらって、そこで議論していただきたい。当方から木材の案を出したい」と提案がありました。

瀬口座長は「現天守閣は文化財ではない。博物館である。見かけは似ているが細部が違う。天守閣の形をした博物館を作った。過去の姿があらわれるとして、寄付してもらったのではないか。今の天守閣は価値がないのでだめだ」と述べました。
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記者も名古屋城総合事務所事務局も竹中工務店も傍聴者も、石垣部会の議論を知っていますが、「天守閣部会」の有識者だけが議論を知りません。このまますれ違いで進めることは到底出来ません。
傍聴していると様々なことを言いたくなりますが、言う機会がありません。記者の人も「本当にいろいろ委員に言いたい。しかし、インタビューしてもまともに返事もしない」と怒っていました。
「市民不在・有識者不在」で強引に進めていく名古屋城天守閣木造化は、まるで17世紀の徳川軍事政権のやり方を彷彿させます。「21世紀に城を作る」のであれば、21世紀にふさわしいやり方があるでしょうし、21世紀に守るべき法律を守らなければなりません。「有識者」が一番わかっていないのが大変残念です。


17/7/5 名古屋城天守閣 石垣現状変更許可申請 文化庁は不受理

名古屋市は特別史跡名古屋城跡の石垣現状変更許可申請書を17/7/4に文化庁に提出しようとしましたが、文化庁は受理しませんでした。
・17/7/4 名古屋市プレスリリース
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170704.pdf

名古屋市プレスリリースによれば、文化庁文化財部記念物課を訪問し、17/6/23に開催された石垣部会について報告するとともに、現状変更許可申請について相談したところ、「調査の趣旨については理解いただいたが、書類上の細かい修正の指示を受けたため、本日は申請書を提出することはできなかった」とのこと。
今後速やかに修正したうえで数日中に申請書を提出するとのことでした。

17/7/5読売新聞によれば、天守閣の土台の石垣だけでなく、城全体の石垣の調査に関する書類も提出するよう求められたとのこと。
また、石垣部会の有識者と市が足並みをそろえて議論を進めていってほしいと要望があったとのこと。

石垣部会の有識者は全員一致して、木造天守閣のための石垣調査には反対しています。
まず石垣復元のための調査をする必要がある、ということも有識者全員一致しています。それには10年かかる、とする有識者もいます。

2022年12月までに木造天守閣復元をするには、まず2017年8月末までに文化庁から石垣調査のため、石垣現状変更許可を得る必要がありますが、めどは全く立っていません。仮に文化庁から石垣調査の許可が出たとしても、現在の天守閣を壊す際の文化庁との協議、文化審議会、市建築審査会、市消防局との協議、復元検討委員会など
ハードルは数多くあります。
そもそも耐震壁・耐震床・仮設エレベーター付きの木造天守閣を市民が望んでいるのか、という問題もあります。

上記とは別に、入場者数の問題、収入が見込み通り来るのか、また寄付金が100億円集まるのか、という問題もあります。

名古屋市はいつまで「2022年12月までに木造化する」という夢物語にこだわるのでしょうか。
いくら河村たかし市長の「指示書」があっても、法律をまげてまで行うことはできません。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf


17/7/4 名古屋城天守閣木造化に向けた寄付基金予算が市議会で成立

17/7/3に開催された名古屋市議会経済水道委員会で、名古屋城天守閣木造化に向けた寄付基金予算が市議会で可決され、7/4の本会議で成立しました。
(自民、民進、公明、減税が賛成。共産反対)。

17/6/30経済水道委員会を聞く限り、議員のほとんどが現在のスケジュールでの木造化に疑問を持っており、特に石垣部会の有識者が「石垣調査を優先せよ」と主張していることから、文化庁から石垣調査の許可が下りないのではないのかとの懸念が示されました。

今回の石垣調査は、木造天守閣工事をする際、石垣が重機に耐えられるのか、というものです。また、木造天守閣を作る際は、石垣上部5メートルを壊す計画です。これを「石垣の保全のための調査」と石垣部会に説明し、石垣部会委員全員が反対しました。

しかしながら、石垣部会の議事録が議会に示されることは無く、議員も石垣部会の委員に直接ヒアリングすることも無く、さらに「木造化のための基本設計予算8億円を承認した責任がある」として、本基金予算を承認しています。

名古屋城本丸御殿復元事業では、総工費150億円のうち、寄付を50億円集めました。しかしながら、寄付の多くは経済会や経済団体で、当時の松原市長が中経連や名証に合計40億円の寄付をお願いしに行っています。それらを除く個人からでは4億円弱でした。
名古屋城天守閣木造化事業では、総工費505億円のうち、寄付を100億円集める計画ですが、河村市長は経済団体に出向いてお願いに行くが、具体的な金額は示さないとのこと。
さらに、本丸御殿の時は50億円あった国・県からの補助金は、今回の木造天守閣については全く見通しが立っていません。

名古屋市は、年間360万人が50年間来場するという計画を立てていますが、少なくとも年間330万人来れば50年間で返済できるとのこと。それ以下の来場者であれば、返済期間が延びると述べ、税金投入を示唆しました。また、「民間活力の導入」で来場者を増やすとしていますが、具体的にコストをどの程度かけるのか、という試算は全くしていません。

また、消防法の関係上、竹中工務店の案では鉄骨の避難階段やガラスのトンネルを付けています。
また、耐震性を高めるために耐震床・耐震壁を導入し、「仮設」のエレベーターを設置する計画です。
これらについて、市民にきちんと説明しているとは到底思えません。
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/17_topics/280330/dwl/takenaka.pdf

2017年8月末までに文化庁の許可が下りなければ、2022年12月までのスケジュールは達成できません。
許可が下りる・おりないにかかわらず、上記の問題は全く解決していません。
矛盾が明らかになるのはあと2ヶ月です。名古屋市はどのように処理しようとするのでしょうか。市長の責任はどうなるのでしょうか。


17/6/30 名古屋城石垣調査「文化庁への申請が8月までに出来ないと工程が遅れる可能性」市が明言

17/6/30に開催された名古屋市議会経済水道委員会において、名古屋城天守閣木造化の前に行う天守台石垣調査について、文化庁への調査申請を2017年7月8月中に行う予定で、それ以降に申請が遅くなると、全体の工程が遅れる可能性があると言わざるを得ない、と明言しました。
・17/6/30 名古屋市議会経済水道委員会配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170630.pdf
・17/6/30 名古屋市議会経済水道委員会メモ(名古屋市民オンブズマン作成)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170630-1.pdf
 
・17/6/28 名古屋市議会経済水道委員会メモ途中(名古屋市民オンブズマン作成)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170628-1.pdf

特別史跡内の名古屋城跡は、調査を行うにも文化庁の許可が必要です。特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会(2017/5/12開催)では、文化庁の担当者は「石垣を保全するという名目でなければ調査は許可できない」と明言したとのこと。また、石垣部会の意見が一致することが必要とも明言したとのことでした。
その次に開かれた石垣部会(2017/6/23開催)では、具体的な工程が名古屋市から示されたものの、解体後の石垣調査を2020年4月5月で行う計画で、6月には木造天守閣復元に入ってしまい、「どのように調査を反映させるか明確でない」としました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170623.pdf

千田嘉博・奈良大教授は「天守台の石垣すべてを解体・調査するには、さらに10年以上の時間がかかる」と述べ、現在の名古屋市の工程を批判しました。発言を聞く限り、すくなくとも、現在の名古屋市の工程に同意している有識者は1人もいませんでした。

しかしながら、中川貴元(自民・東区)市議の「石垣部会の5人の意見は一致しているのか」という質問に対し、名古屋市は「2人の方は本市の主張をご理解頂いていると認識している。他の人は聞いてみないとわからない」としました。議事録がいまだに作成されず、議論の詳細もきちんと議員にも説明していないことが、現在の混乱を招いています。

市議からは、「新聞報道を見る限り、石垣調査でもめており、本当に木造天守閣が2022年12月に完成できるか疑わしい。そんな状況で市民に寄付を呼びかけてよいのか。市民が寄付すると思うか。」という指摘がありました。
西川ひさし(自民・昭和区)市議は、「現場に何かがある委員会として所管事務調査を行い、石垣を見に行きたい。石垣部会の有識者にも説明してもらいたい」と要求し、正副委員長で検討することになりました。

一方、福田誠治(公明・南区)市議が「石垣を修復したとして、東海・東南海・南海地震の震度7に石垣が耐えられるのか」という質問に対しては、「石垣については複雑で、石垣部会の有識者に地盤工学についてお聞きしている。これから議論していく」と述べるにとどまりました。

このまま課題を残したまま、寄付金を集めてどうしようというのでしょうか。
見切り発車で都合の悪い情報を伝えない市、問題があることを認識したまま基本設計予算を認めてしまった議会。マスコミも、これらの詳細をうまく伝え切れていません。
様々な矛盾が明らかになるのはあと2ヶ月です。早めに計画を全面的に見直すことを決断しないといけません。


17/6/27 名古屋城天守閣石垣部会議事録 2ヶ月たっても議事録完成させず

17/5/12に開催された「第21回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会」の議事録を17/6/15に情報公開請求したところ、まだ作成しておらず不存在決定がでました。
7月中に作成予定とのこと。

・17/3/30特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第23回)議事録+17/5/10天守閣部会 17/5/12石垣部会 議事録不存在決定
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170330-2.pdf


17/6/9に開催した特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第6回 保存活用計画検討会)では、17/5/12石垣部会での議論を名古屋市は委員に報告せず、議論が全く共有されていませんでした。

17/6/23に開催された第22回石垣部会で、「各部会の議事録を共有するように」と委員が強く指摘しました。

名古屋市は有識者にすら他の部会の議論を共有せずに名古屋城木造化を進めようとしています。
このような議事録は一刻も早く作成し、有識者会議で共有するだけでなく、市のホームページで公表するのが筋ではないでしょうか。

名古屋市は、名古屋城天守閣の復元する資金に充てるため、名古屋城天守閣積立基金を設置する条例を2017年6月議会に提案しています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170616.pdf

現在のやり方は、「市民は寄付金だけ出せ、検討経緯の情報は出さない」という、まさに江戸時代そのものに思えます。

17/6/23 名古屋城石垣専門部会「天守閣木造化の前に石垣保全優先が当然」

17/6/23に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会(第22回)が開催されました。
・配付資料 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170623.pdf


↑工程表

前回5/12に開催された第21回石垣部会で議論が紛糾し、名古屋市は新たに工程表を作成してきましたが、予定では2020年3月に天守を解体し、その後、解体後の石垣調査を2020年4月5月で行う計画で、同年6月からは5月までに完成した実施設計に基づき木造天守閣に着手するものでした。
「消失後に積み直しされたであろう穴蔵部分について、史実調査、現状の調査をした結果を踏まえ今後の取扱いを決定する」としか書いておらず、どのように2ヶ月間で見直しをするのか全く具体的ではないと、全委員から批判されました。

北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は、「城郭の本質的価値は、実際に城郭が機能していた近世(安土桃山時代〜幕末)にある。その形に修復しようと全国各地で進められている。名古屋城は特別史跡なので全国の見本となる。姫路城では、大正3年に石垣が改変されていたことが最近わかった。名古屋城も調査してみないとわからない。近世の城郭の姿に修復させるものでないと、文化庁は認めない。石垣は手をかけることで弊害も起こる」とし、名古屋市が行おうとしている木造天守閣を建てたあとに石垣を整備するという方針にあらためて異議を唱えました。

千田嘉博・奈良大教授も「天守閣木造復元ありきの石垣調査は認められない。現在の石垣が木造天守閣に耐えられるのかの調査ではなく、石垣そのものの健全性をまず調査すべきだ。現在、石垣を10年以上時間をかけて解体・調査している。天守台の石垣すべてを解体・調査するには、さらに10年以上の時間がかかる。名古屋市は、『文化財としての石垣調査』としているが、考えていることは前回から1mmも変わっていない」と述べました。

宮武正登・佐賀大学教授は「前回の石垣部会の議論は、親委員会に説明したのか」と質問したところ、名古屋城総合事務所は「まだ説明していない」としました。宮武教授は「事務局でフィルタをかけるのでは無く、情報をストレートに共有する必要がある。それぞれ専門性がある。よほど慎重に議論し、議事録をそれぞれ共有しないといけない。」と述べました。

石垣専門部会終了後、上記有識者による記者会見が行われました。残念ながら記者会見は傍聴が出来ませんでした。

このまま名古屋市の計画どおりには少なくとも文化庁が許可しないでしょう。全面的な見直しを求めます。

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名古屋城 木造天守閣問題特集
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm

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・17/2/21 特別史跡名古屋城全体整備検討会議(第5回保存活用計画検討会)資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170221-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170221-2.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170221-3.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170221-4.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170221-5.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170221-6.pdf

・17/3/28 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会(第20回)議事録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170328-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170328-2.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170328-3.pdf

・17/3/30 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会(第23回)資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170330-1.pdf


17/6/9名古屋城跡全体整備検討会議で有識者が「石垣と天守閣は一体。木造復元の課題も書くべき」と発言

名古屋市は17/6/9に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第6回 保存活用計画検討会)を開催しました。
・開催案内
 
http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2017/kankobunkakoryu/0000093515.html
・配付資料 会議次第など
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170609-1.pdf
・特別史跡 名古屋城跡保存活用計画 概要版
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170609-2.pdf
・資料編
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170609-3.pdf
・特別史跡 名古屋城跡保存活用計画
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170609-4.pdf

2017年3月に名古屋城天守閣木造化の基本設計予算が認められてから初の全体整備検討会議で、かつ17/5/12に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣部会(第21回)で、木造天守閣復元計画に対してきわめて厳しい批判が出たにもかかわらず、本日の検討会議ではあまり厳しい議論がなされませんでした。
そもそも5/10に行われた天守部会の報告も、5/12石垣部会の報告もなされませんでした。

2時間の予定でしたが、30分事務局が字句の手直しを発表した後、40分程度有識者が持論を話し、時間が余ったので座長がオブザーバーを当てる始末。
結局全部で1時間半で終わりました。

ただ、唯一会場に緊張が走ったのは、石垣部会の有識者でもある赤羽一郎・愛知淑徳大学非常勤講師が発言した際です。
「天守閣復元事業は、天守閣と石垣を一体と考えるべきだ。木造復元に関して、課題が書いていない。空襲による被熱により内部構造が破壊されている可能性がある。また、戦後の天守を作ったときのケーソンがどうなっているかもわからない。課題はあるのではないか。石垣の詳細調査も含めて課題を書いていく必要がある」。
名古屋城総合事務所の担当者は、「いくつも課題があり、抜けている指摘を含めて記載したい」としたものの、座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「今回は基本的方針を書く。ケーソンは耐震改修でも同じ課題があり、そこまで書く必要があるのか。書いてもいいが、、、」と述べました。
赤羽氏は「それはおかしい」と声を上げました。
しかし瀬口氏は「ケーソンが地下にあることは、耐震改修でも木造天守閣でも同じだ」として、まともに取り合おうとしませんでした。

また、麓和善・名古屋工業大学大学院教授は「他の城跡では、石垣を分類し、どういう順番で修理をするか、緊急度を踏まえてきちんと計画を立てる。他の城趾ではそれがメインだが、名古屋城ではそれが明確になっていない」としました。

麓教授は、会合終了後のマスコミ取材の中で、「石垣部会での議論は、石垣部会委員から個人的に聞いているだけで、名古屋市から情報が来ない。情報が共有されていない」としました。

名古屋市は、今後10月頃に市議会に「名古屋城跡保存活用計画」案を提出した後、11月にパブリックコメントを行い、来年2月頃に策定・公表を予定しています。
しかしながら、各部会の情報も共有されておらず、市民にもきちんと知らせずに形だけ計画を作ってどのような意味があるのでしょうか。

また、大変気になったのは、復元をいろいろする方針を決めるようですが、財政的な試算が一切なされていないということです。
「かつてあった名古屋城のように戻したい」といくら有識者が願望を述べても、市の資産である名古屋城をどうするかは、税金をどのくらい投入するかがわからなければ判断しようがありません。市民の意見を早い段階で聞く必要があるのではないかと思います。
市民不在で名古屋城の今後のあり方を決めたら、いつかつけは回ってきます。

名古屋城木造化発注者支援業務 応募者がなく再度公募

名古屋市観光文化交流局は17/5/25に名古屋城天守閣整備事業に係る発注者支援業務を再度公募しました。
https://www.chotatsu.city.nagoya.jp/ejpkg/EjPPIj

同じ文言で2017年4月12日に公示して26日の締め切りでしたが、再度公募したということは前回だれも応募しなかったのではないかと推測されます。

本件支援業務は、名古屋市と竹中工務店の協議のほか、以下などを行います。
・文化財保護法に基づく現状変更許可に関する文化庁との協議
・建築基準法第3条に基づく名古屋市住宅都市局との協議
・消防法に基づく名古屋市消防局との協議
・学識経験者による意見聴取会、学識経験者との調整
このような複雑かつ極めて困難な業務(各法律を遵守すれば不可能)に手をあげる業者は到底存在しないと考えます。

上記法律に詳しい人は、名古屋城天守閣木造化は、2017年3月に議会で予算可決された基本設計業務8億4721万6844円以上手続が進まず、事業がストップすると言っています。
今回公募した発注者支援業務に応募があるのか、今後名古屋市はどうするつもりなのか、注目していきます。


17/5/24 名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書・基本設計契約書 入手

名古屋市は名古屋城天守閣木造化を進めるため、17/5/9に竹中工務店と「基本協定」「基本設計契約書」を締結しました。
名古屋市民オンブズマンは上記を情報公開請求し、17/5/24に開示されました。
・名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf
・名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託 契約書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-2.pdf
 
基本協定によれば、天守閣の完成期限は2022年12月31日までとしています。総額467億1000万円を上限にして2031年11月30日までに整備事業を行うとのこと。 
また、5条で、事業は基本設計以外に、実施設計業務、調査業務、工事管理業務、先行工事施工業務、本体工事施工業務、石垣工事施工業務をあげ、6条ではそれぞれ予算の成立を条件とし、「予算が成立しない場合又は議会の議決が得られない場合は、本事業を中止し、契約の締結をしないことがある。また、その場合、当該予算に係る業務については発注者、優先交渉権者の間に何ら権利、義務が発生せず、発注者は予算の成立について何ら責を負わない」としています。
また、18条で、「本事業が中止になった場合、本基本協定が解除された場合又は価格等の交渉の不成立が確定した場合、発注者は契約を締結していない部分については損害賠償の責めを負わない」としています。

基本設計その他業務委託によれば、2017/5/9-2018/2/28までに基本設計を847,216,844円で行うとのこと。

17/5/12 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣部会(第21回)では、有識者や文化庁が、既存の石垣について保全の名目でなければ調査できないと発言したとのこと。
2022年12月31日までに天守閣を完成させることは極めて難しくなっています。

「基本協定」「基本設計契約書」を精査し、市民に何が出来るか、議会に何が出来るかを考えていきたいです。

17/5/12 名古屋城天守閣木造化 石垣部会有識者が石垣移動を批判

名古屋市は、名古屋城天守閣木造化の方針に従い、有識者による天守閣部会と石垣部会を開催しました。

17/5/10 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第1回)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170510.pdf

17/5/12 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣部会(第21回)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170512.pdf

しかしながら、17/5/13新聞各紙によれば、名古屋市は天守閣木造復元に合わせて石垣の一部を移動させる計画を示したところ、複数の専門家が史跡保護の観点から計画を批判したとのこと。
文化庁文化財調査官は「石垣を保全するという名目でなければ調査は許可できない」と発言したとのことです。
基本協定に記載されている2022年12月までの完成は到底無理です。
(議事録は作成され次第情報公開請求で入手する予定です)

2017年3月に名古屋市議会が10億円の基本設計予算を可決したことを受け、名古屋市は17/5/9に竹中工務店と「基本協定」「基本設計契約書」を締結しました。
しかしながら、石垣を移動させることに有識者や文化庁から批判が起こることは当然想定されていたはずです。
第20回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会は17/3/28に開催されていますが、議題は「平成28年度石垣修復工事について」のみでした。
http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigikekka_2016_4/kankobunkakoryu/0000092362.html
どうして基本協定を結ぶ前に有識者会議を行わなかったのか、大変疑問です。

石垣だけでなく、入場者数・収支見通しもずさん、耐震基準を満たすために最新耐震補強を入れた「ハイブリット仮設木造天守閣」が果たして国土交通省・名古屋市建築審査会が認めるのかなど論点は数多くありますし、これらは名古屋城天守閣木造化の議論が出始めた2015年6月頃から市民も一部議員もずっと言い続けてきて、未だに解決していないことです。
15/8/24名古屋市長 河村たかし名で市民経済局長に出された「指示書」によれば、「全責任は私が取る」とあります。 
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
どのような責任を取るつもりなのか、はっきり聞いておきたいです。

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なお、17/5/10も17/5/12も、案内が市民情報センターの「記者クラブ配付資料」に配架しておらず、「審議会開催のお知らせ」に開催直前に配架されていたとのこと。市ホームページにも、「審議会開催のお知らせ」にのみ直前に掲載したとのこと。
http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2017/0-Curr.html
市民の関心がいまだそれほど高いわけではない名古屋城天守閣木造化について、もっと広く有識者の意見を知らせるべきです。


17/5/10名古屋城天守閣木造化「基本協定」「基本設計契約書」を情報公開請求

名古屋市は名古屋城天守閣木造化を進めるため、17/5/9に竹中工務店と「基本協定」「基本設計契約書」を締結しました。
しかしながら、2017年2月議会で補正予算可決した際の附帯決議にあった、「文化庁や優先交渉権者との協議調整状況ならびに仕様や工程および契約内容等について適宜議会への報告を行い、議会に諮りながら進め、あわせて市民の理解を得ながら市民とともに事業を進めること」に反し、「基本協定」「基本設計契約書」は市議会に締結前に見せることはありませんでした。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170322-4.pdf

名古屋市民オンブズマンは、17/5/10に「基本協定」「基本設計契約書」の開示請求を行いました。
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当初の2020年7月完成目標から、2022年12月に延期されて以降、名古屋市は市民への説明会を1回も行っておりません。
木造5階建ては建築基準法違反なので名古屋市建築審査会の許可は下りるのか、史跡内の工事に文化庁の許可が下りるのか、「仮設の耐震対策」で本当に国宝になるのか、現在の入場者の約2倍の366万人が完成後50年間続くのかなど、疑問点は多くありますが、市民へ納得する説明はありませんでした。
17/4/23に行われた名古屋市長選挙でも、きちんと根拠が説明されず、争点にもなりませんでした。
今後も注目していきます。

河村市長 15/8/24に市職員に対し、名古屋城木造天守閣を進めるよう「指示書」出す

中日新聞が17/4/1に行った市長選挙立候補予定者2人による討論会の中で、河村たかし名古屋市長が、名古屋市職員から「名古屋城天守閣木造化できません」と言われた事を明らかにしました。
また、市職員から「『市長が全責任を負う』という業務命令書を書いてくれ」という要望を受け、実際に業務命令書を書いたとしました。
名古屋市民オンブズマンは、上記業務命令書を情報公開請求し、17/4/20に入手しました。
・平成27年8月24日 指示書 市民経済局長 宮村喜明殿 名古屋市長 河村たかし
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf


市職員が「木造天守はできない。耐震改修だ。」といったにも関わらず、市長がトップダウンでさせた証拠ですが、市民としては「なぜ、役人が、木造天守はできない。耐震改修だと言ったかの理由が知りたい」です。
残念ながら、上記「指示書」で市民への説明は隠ぺいされました。

上記指示書は市民経済局長宛にはなっていますが、事実上名古屋市の全職員対象に、「名古屋城問題では市長の言うこと以外の提案や問題指摘などを封じた」業務命令書になっています。この文書の存在により、市長の命令の「木造」天守の構想の実現性が限り無く低いことが市の職員として判っていても、市長に対案を提案したり、見直しを言えなくなりました。
実際に、局長会議レベルで異論が出かかったにもかかわらず、発言できなかったようです。

つまり、河村市長は、市の職員からも批判も助けも貰えない(←自分がそれを拒んだ命令をしたせいです)、「裸の王様」になった証拠です。

17/4/23(日)投開票の名古屋市長選挙の結果次第でどうなるかわかりませんが、仮に名古屋城天守閣木造化を推進する候補が当選したとしても、建築基準法(国土交通省)違反、復元検討委員会(文化庁)の許可もそう簡単におりそうもない、入場者数試算もきわめてずさんな名古屋城天守閣木造化が、現在想定している2022年12月に完成する可能性はまずなく、木造天守閣が無事着工するかの見通しも立ちません。
着工したとしても、完成後に収支見通し通りになる可能性もほぼゼロです。
現段階では、2017年2月議会で可決した基本設計予算等10億円の契約はまだしておらず、新市長誕生後、5月に契約するとのこと。
名古屋市民の賢明な判断を期待します。

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・中日新聞 河村氏×岩城氏「闘論」(動画)(17/4/9未明まで公開されていました)
 http://www.chunichi.co.jp/senkyo/nagoyashicho2017/movie/touron.html

(2)政策実現、実行力 18:35〜
「わしも長い事政治をやってきましたので、これ国会議員。
 例えば減税もそうだけどね。
 子ども委員会も途中で気づいたけどね。ロサンゼルス行って。
 これが必要だというやつはそれはひっぱっていかないと。
 名古屋城の天守閣木造化もそうだがね。
 あんまりこんなとこで言っていいかわからんけど、
 職員から『木造化はできません』いって。『これはもう流れがあるからコンクリートで補修です』と。
 『もし市長がそういうのなら業務命令書書いてくれ』いって。
 こういうこといってかんと埋もれてまうといかんで歴史の中に。
 そんな事やらせるのかと。と言ったんだけど『書いてもらわないといかん』。
 『木造化に取り組む。業務命令とかいて』。その下にこれも書いてくれ。
 『全責任は市長が負うと、そこ書いてくれ』。」
 そこまで言ってやらないと、要するにそのいろんなパターンがあるけどね。
 2兆6000億円もあるんだから、企業会計までいれると、いろいろありますけど、
 これだというやつ、これだという大きな流れを変えるのは
 相当頑張らないといかん。相当頑張らないといかん。」


名古屋城木造化 竹中工務店との面談メモ 議決後も非公開

名古屋城天守閣木造化について、16/11/28に竹中工務店から505億円以上になるかもしれないと言われた際の面談メモならびに、16/12/5に「仮に名古屋市議会で2016年12月に予算が承認され、契約を結んだ後に2017年4月の市長選挙後、新市長が契約解除した場合の損害賠償想定額」についての打合せ記録について、再度情報公開請求したところ、以前市長名で「議決後に対応可能になると考えている」としたにもかかわらず、重要な部分が非公開のままでした。

・17/4/6 名古屋市一部開示文書(市長と竹中工務店との面談メモ、竹中工務店との打合せ記録)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170406.pdf

以下、以前開示請求した際の決定と文書です。

・16/12/20決定 名古屋市一部開示文書(市長と竹中工務店との面談メモ)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/161220.pdf
・16/12/22決定 名古屋市一部開示文書(竹中工務店との打合せ記録)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/161222.pdf

名古屋市議会で審議するにも、黒塗りのままではおかしいとして、名古屋市民オンブズマンとして開示を申し入れしましたが、市長からは17/1/31に「議決後対応可能になると考えている」という回答が来ました。
・17/1/31 上記文書開示申し入れに対する名古屋市長名での回答
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170131.pdf
 「現在、議会で審議している継続議案が議決された折には、貴団体から申入れについて対応が可能になると考えております。」

今回、開示文書を受け取るに当たって、名古屋観光文化交流局の担当者に話を聞いたところ、「17/1/31名古屋市長名での文書回答もあり、名古屋市としてはなるべく公開したかったが、優先交渉権者の竹中工務店から『企業のノウハウが含まれており、どうしても公開しないでほしい』といわれたため黒塗りにした」とのこと。

今後、仮に17/4/23市長選挙で名古屋城天守閣木造化に賛成する市長が当選し、5月に契約を結んだ後であれば、上記の資料は公開されるのか、と聞いたところ、「現在、契約はまだ結んでおらず、今後契約を結んだとすれば立場が変化するが、公開するかどうかはその時点であらためて竹中工務店と協議して判断する」とのこと。
 
仮に17/4/23市長選挙で名古屋城天守閣木造化に慎重な市長が当選し、契約を結ばない場合どうなるか、と聞いたところ、「現在、契約はまだ結んでおらず、補正予算が可決される前と同じである。しかしながら、補正予算が可決されているにも関わらず、契約を結ばない場合、河村市長が言う『法的義務』があるおそれもある」とのこと。

「市長が竹中工務店が木材をすでに購入した云々と発言している」と聞いたところ、「名古屋市としては、補正予算は基本設計等に関する10億円についてなので、木材については関知していない。木材というのは今後本体工事契約の一部となる。」としました。

今回非公開になった資料ですが、16年12月時点とは状況が変わっているものの、名古屋市の非公開姿勢がよくあらわれているのではないでしょうか。
17/4/23市長選で、名古屋城天守閣木造化に慎重な市長が当選して契約を結ばなければ違約金は発生しないのですが、今後、いつどのような市長が当選してなにをいうのかわかりません。
この黒塗りの公開を求めたいです。


名古屋市職員「名古屋城天守閣木造化できません。進めるなら『市長が全責任を負う』という業務命令書を書いてくれ」

中日新聞が17/4/1に行った市長選挙立候補予定者2人による討論会の中で、河村たかし名古屋市長が、名古屋市職員から「名古屋城天守閣木造化できません」と言われた事を明らかにしました。
また、市職員から「『市長が全責任を負う』という業務命令書を書いてくれ」という要望を受け、実際に業務命令書を書いたとしました。

建築基準法違反、文化庁の許可もそう簡単におりそうもない、入場者数試算もきわめてずさんな名古屋城天守閣木造化に対し、市職員が進めざるを得なかった根拠がようやくわかりました。

名古屋市民オンブズマンは、当該業務命令書を情報公開請求しました。
今後の責任問題を明らかにする上で極めて重要な資料だと考えます。

・中日新聞 河村氏×岩城氏「闘論」(動画)(17/4/9未明まで公開)
 
http://www.chunichi.co.jp/senkyo/nagoyashicho2017/movie/touron.html

(2)政策実現、実行力 18:35〜
「わしも長い事政治をやってきましたので、これ国会議員。
 例えば減税もそうだけどね。
 子ども委員会も途中で気づいたけどね。ロサンゼルス行って。
 これが必要だというやつはそれはひっぱっていかないと。
 名古屋城の天守閣木造化もそうだがね。
 あんまりこんなとこで言っていいかわからんけど、
 職員から『木造化はできません』いって。『これはもう流れがあるからコンクリートで補修です』と。
 『もし市長がそういうのなら業務命令書書いてくれ』いって。
 こういうこといってかんと埋もれてまうといかんで歴史の中に。
 そんな事やらせるのかと。と言ったんだけど『書いてもらわないといかん』。
 『木造化に取り組む。業務命令とかいて』。その下にこれも書いてくれ。
 『全責任は市長が負うと、そこ書いてくれ』。」
 そこまで言ってやらないと、要するにそのいろんなパターンがあるけどね。
 2兆6000億円もあるんだから、企業会計までいれると、いろいろありますけど、
 これだというやつ、これだという大きな流れを変えるのは
 相当頑張らないといかん。相当頑張らないといかん。」
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