25/6/4(水) 名古屋城 全体整備検討会議に差別事案「総括」概要1枚のみ報告
名古屋城全体の整備方針を決める有識者会議に「報告」として示されたのは、A3で1枚の「進め方の総括」と題する書面のみ。
名古屋城総合事務所が「有識者軽視を今後も続ける」という象徴的な場面がありました。
名古屋城バリアフリー市民討論会での障害者差別発言から、すでに丸2年が経過しました。
しかし、広沢市長は未だに障害者団体と面会すら果たしていません。
そしてこの5月、市は一方的な「総括」を発表し、このたび有識者にも「総括」を報告しました。
何が今、問われているのでしょうか。
● 市の「総括」は独りよがり
25/5/15に、名古屋市観光文化交流局は、第三者委員会や市議会、障害者団体の意見も聞かずに一方的に「総括」を発表しました。
名古屋城総合事務所ホームページの「その他のお知らせ」にこっそり載せていました。
・2025年5月15日 名古屋城総合事務所
名古屋城天守閣整備事業の進め方に係る総括について
● 全体整備検討会議に「総括」概要を「報告」
それを踏まえ、2025年6月4日に開催された名古屋城跡全体整備検討会議に「総括」概要(A3で1ページ)を報告題としてあげました。
なお、会議案内には「議題」しか載せず、「報告題」については全く記載がなかったため、傍聴者や記者も通常より人数が少なかったです。
・25/6/4 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第66回)配布資料
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
名古屋城総合事務所の担当者は、「概要」に記載がない、総括を出す背景などを説明しました。
そのうえで、概要の説明を行いました。
●有識者から「タイムスケジュールは?」と質問も「まだ言えない」
小濱芳朗・名古屋市立大学名誉教授は「今後のタイムスケジュールが一切書かれていないが、どうなっているのか」と質問しましたが、名古屋城総合事務所は「いつぐらいとはまだ言えない。もうしばらくお時間を」と述べるのみ。
有識者からの発言は上記のみでした。
●再発防止策を無視し、すでに有識者軽視の姿勢
総括(概要)には、「事業を進める上での基本的な方針と再発防止策を含む今後の進め方」として以下記載があります。
〇有識者等関係者の理解を得ながら進めていきます
● 市議会は「説明ではなく意見を取り入れる必要」指摘
市議会では「市民説明会で“説明”するだけでなく、“意見を取り入れる”プロセスが必要」「『市民討論会の失敗』は単なる現場対応ミスではなく、
上からの無理なスケジュールによって引き起こされた」と指摘がありました。
にも関わらず、有識者には「報告」するだけとは、名古屋城総合事務所は全く問題を理解せず、今後もこれまでと同様のやり方を続けると宣言したと同然です。
●総括にある「市民等への丁寧な説明と理解促進・機運醸成」とは
今回、有識者には「説明」しただけでしたが、市民にも「丁寧な説明」を今後行うとのこと。
これでは名古屋城は「市民の宝」には決してなりえません。
●重要文化財建造物と石垣の耐震問題はどうなった?
先日行われた、建造物部会や石垣・埋蔵文化財部会で議論となった「重要文化財建造物と石垣の耐震問題」については、今回の全体整備検討会議では議題にも報告題にもなっていませんでした。
「本物の文化財」さえ置き去りにしており、市の優先順位のおかしさがわかります。
● 今こそ、私たちの声を届けよう
このままでは、またしても「市民不在」の計画が進んでしまいます。
あなたの声が必要です。
◆次回の会議や議会を傍聴する
◆「総括」を読む
◆市に意見を届ける
◆情報をSNSで拡散する
このまま黙っていれば、また市民不在の整備が既成事実になります。
「名古屋城は市民の宝」。その声を届けるのは、今しかありません。
・2025年5月15日 名古屋城総合事務所
名古屋城天守閣整備事業の進め方に係る総括について
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今後の予定
・25/6/14(土)14時〜 名古屋城の有形文化財登録を求める会 勉強会 市政資料館
・25/6/17(火)〜7/3(木) 名古屋市議会6月定例会
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名古屋市民オンブズマンの活動はすべて、市民の皆さんのカンパで支えられています。
国も自治体も、企業も支援してくれません。だからこそ、あなたの一歩がこの運動を前に進めます。
皆様方のカンパが頼りです。以下リンクからカンパのご協力をお願いいたします。
なお、このままですと、来年以降も現在の事務局職員体制を維持することは困難となります
伏してご協力をお願いいたします。
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・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
・名古屋市民オンブズマンブログ 名古屋城問題
25/6/2(月) 広沢市長「名古屋城 障害者団体に会うスケジュールを詰めている」と述べるのみ
● まだ会えていない市長――差別発言から2年
名古屋城バリアフリー市民討論会での障害者差別発言から、すでに丸2年が経過しました。
しかし、広沢市長は未だに障害者団体と面会すら果たしていません。
そしてこの5月、市は一方的な「総括」を発表しました。
何が今、問われているのでしょうか。
● 市の「総括」は独りよがり
25/5/15に、名古屋市観光文化交流局は、第三者委員会や市議会、障害者団体の意見も聞かずに一方的に「総括」を発表しました。
・25/5/15 名古屋市観光文化交流局
名古屋城天守閣整備事業の進め方に係る総括について
・令和7年5月 名古屋市観光文化交流局
名古屋城天守閣整備事業の進め方に係る総括について
それを受け、記者からどうなっているか問われるも、「スケジュールを詰めている」と答えるのみ。
25/6/2(月)広沢一郎名古屋市長定例記者会見(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
記者:最後なんですけど名古屋城に関してなんですが、観光文化交流局の総括がでてからですね2週間が経ちましたけれども、その後の進捗はどのような状況でしょうか
広沢市長:それをですね今各障害者団体さんの方に、いつぐらいにどういうスケジュールで、このちょっとご報告に上がろうかということを今、局の方でアプローチをしているというふうに聞いてますので、おそらく近々、こういうスケジュールで、結構数ございますので、いつぐらいにどうやってやっていくかというのを今ちょっと詰めてるところですね。
記者:市長自らもご報告でかけられるという話をして、まだそれは実施されてない?
広沢市長:まだですね。
記者:わかりました。
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何回も述べるように、25/5/15に発表された「総括」は、市が一方的に発表しただけです。
第三者による再検証は行われておりません。
● 無理なスケジュールが問題の根源
市議会でも指摘があったように、「市民説明会で“説明”するだけでなく、“意見を取り入れる”プロセスが必要」
「『市民討論会の失敗』は単なる現場対応ミスではなく、上からの無理なスケジュールによって引き起こされた」のです。
スケジュールありきで一方的に「総括」することは、失敗を繰り返すことにほかなりません。
石垣・埋蔵文化財部会でも「どうしてこんな無理なスケジュールを組むのか、自分で自分の首を絞めている」という指摘を受けています。
名古屋城総合事務所は、木造復元事業や市民討論会だけでなく、石列遺構破壊でも同様の取り返しのつかない大ミスを犯しています。
● 真のバリアフリーとは何か
そもそも、障害者団体は「法律で定められている、誰でも最上階まで大人数で登れるエレベータ―」を求めており、現在の「少人数で何階まで登れるか分からない小型昇降機」でははじめから話になりません。
名古屋市がいくら「説明」しても無理です。
現在、小型の「新昇降技術」で何階まで登れるかをMHIに委託して2027/3/19期限で技術開発しており、あと2年で技術的な結論がでます。
● 「意見を取り入れる」姿勢が必要だ
名古屋城の整備事業が前に進むために、最低限必要なのは
・「障害者団体の意見」を最初から取り入れること
・「無理なスケジュール」ではなく、丁寧で段階的な対話を行うこと
・「説明」ではなく「共に考える」姿勢を市が持つこと
それが実現されない限り、市民の理解も、事業の信頼も得られません。
● 今こそ、私たちの声を届けよう
このままでは、またしても「市民不在」の計画が進んでしまいます。
あなたの声が必要です。
◆次回の会議や議会を傍聴する
◆市に意見を届ける
◆情報をSNSで拡散する
「名古屋城は市民のものだ」と、行動で示しましょう。
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今後の予定
・25/6/4(水)14時〜 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 (第66回) 名古屋能楽堂
・25/6/14(土)14時〜 名古屋城の有形文化財登録を求める会 勉強会 市政資料館
・25/6/17(火)〜7/3(木) 名古屋市議会6月定例会
25/6/2(月) 名古屋城 有識者に重要文化財建造物 防災計画を示す
「重要文化財の防災計画」が市民の知らないところで決まろうとしています。
2025年6月2日、「特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 建造物部会」が開催されました。
議題は「重要文化財の防災計画」――しかし、市民オンブズマン関係者は事情により傍聴できず、議論の中身は資料からは読み取れません。
名古屋城を“市民の宝”とするために、今こそ開かれた議論が必要です。
25/6/2に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 建造物部会(第37回)が開催されました。
議事は重要文化財建造物等保存活用計画について(防災計画など)でした。
名古屋市民オンブズマン関係者は事情により傍聴できず、資料のみ入手しました。
何か月か後には名古屋城総合事務所ページに議事録が掲載されるでしょう。
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25/5/23石垣・埋蔵文化財部会で、「重要文化財の建造物が載っている石垣について、建造物部会と石垣・埋蔵文化財部会の合同部会を開くべき」という意見が出ました。
建造物部会ではどのような議論になったのでしょうか。
資料だけではさっぱりわかりません。
なお、25/6/4(水)に開催される全体整備検討会議の議題は、「本丸搦手馬出周辺石垣の修復について(本丸搦手馬出西部の発掘調査)」のみとなっています。
名古屋市民オンブズマンは以下考えます。
・全体会議と部会は録音・録画・写真を許可すべき
・できればネット配信も行うべき
・遅くとも1か月以内に資料と議事録をネットに公表すべき
・せめて部会の議論を全体会議で報告すべき
・部会関係者を一堂に集めて今後のやり方を議論すべき
「名古屋市民は名古屋城に親しみがあまりない」と言われ続けて早数十年。
有識者会議での豊富な資料と議論は、城好きにはたまらないと思います。
どうして議論を市民に広く公開しないのか、不思議でたまりません。
名古屋城は大天守・小天守だけではありません。
名古屋市は「天守木造復元の機運を高めたい」と願っているようです。
木造復元の是非はさておいても、名古屋市が名古屋城をめぐって現在何をしているのかをまずきちんと発信すべきではないか、それこそが「名古屋城が市民の宝」となる第一歩ではないでしょうか。
名古屋城は「行政のもの」ではありません。市民に開かれた議論こそが、名古屋城を“市民の宝”にする道です。
あなたも次回の会議を傍聴して、議論の中身を確かめてみませんか?
「名古屋城は市民のものだ」と声を届けるために、できることから始めましょう。
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今後の予定
・25/6/4(水)14時〜 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 (第66回) 名古屋能楽堂
・25/6/14(土)14時〜 名古屋城の有形文化財登録を求める会 勉強会 市政資料館
・25/6/17(火)〜7/3(木) 名古屋市議会6月定例会
25/5/23(金) 名古屋城石垣部会委員「重要文化財の櫓と石垣の耐震方法は『合同部会』で議論を」
あなたは、名古屋城の櫓がいつ崩れてもおかしくない状況にあることを知っていますか?
天守の木造復元よりもはるかに重要な「現存する本物」への対策が、今まさに議論されています??。
市民討論会での差別発言で事実上ストップしている名古屋城木造復元事業。
一方、現存する櫓など、江戸時代から続く重要文化財の耐震診断と、その下の石垣の耐震補強は喫緊の課題です。
天守の木造復元よりも、今守るべきは「本物」の櫓と石垣です。
そのために、建造物部会と石垣部会の合同議論が不可欠です。
25/5/23に石垣・埋蔵文化財部会で議論になったので詳しく見ていきましょう。
25/5/23 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第66回)
・配布資料
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
今回も、録音・録画・写真撮影は禁止されました。
議題は3つ。報告題が1つでした。
・議題
(1)本丸搦手馬出周辺石垣の修復について
(2)特別史跡名古屋城跡内の石垣保存方針策定について
(3)重要文化財建造物等保存活用計画について(東南隅櫓及び西北隅櫓直下石垣の耐震基礎診断)
・報告
(1)水堀関連遺構の発掘調査成果について
【議題1】本丸搦手馬出周辺石垣の修復
→ 焦点:復元年代の不明確さ、バリアフリー方針の整合性
現在進められている本丸搦手馬出周辺石垣の修復について、有識者から「図面での石垣表現がまちまち」「いつの時代に復元するのか決まっているのか」「ここはバリアフリーを行うが、名古屋城全体をバリアフリー化するということでよいか」など、厳しい指摘が次々出ました。
最後のバリアフリーについて、渡辺所長は「バリアフリーは大事な考え方」と述べるだけでした。千田嘉博・名古屋市立大学高等教育院教授は「他ではバリアフリーしないのか」と問われ、渡辺所長は「他も実施する」と述べました。
【議題2】石垣保存方針の策定
→ 焦点:どの部会が責任を持つのか、期限設定の無理
名古屋城跡内の石垣保存方針策定について千田教授から「『有識者による指導助言』とぼかさず、『石垣・埋蔵文化財部会』によると明記した方がよい」と指摘を受け、名古屋城総合事務所はそのように修正するとしました。
宮武正登・佐賀大学教授は「『今年度中に保存方針をまとめる』とあるが、首を絞めるだけ。
特に、上に現存する建物が載っている石垣をどうするかは、上の建物の安全性と、下の安全性がバッティングする」と述べました。
座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「上の建物にどの程度人が入るのか。1人2人でいいのか、どんどん入れましょうなのかで全く意味合いが違う」と述べました。
【議題3】現存櫓下の耐震診断
→ 焦点:杭打ちは許されるのか、専門部会の合同必要性
(3)重要文化財建造物等保存活用計画について (東南隅櫓及び西北隅櫓直下石垣の耐震基礎診断)を議論しました。
宮武教授は「下の石垣が『安定性を欠いている』とされた場合、パイル(杭)を打ちますか?それはやっちゃいけないこと。」と述べました。
北垣座長は「『非石塁』と記載があるが、素人でもわかりやすくしてほしい。そもそも『非石塁』とひとまとめにされてもいろいろある。」と述べました。
千田教授は「耐震基礎診断後、建造物部会と石垣部会の部会をまたいだ議論も必要ではないか」と述べました。
名古屋城総合事務所は「建造物部会は建物、石垣部会は石垣として、『取り合い部分』について合同部会は想定していなかった。
耐震基礎診断結果を見て検討したい」と述べました。
千田教授は「名古屋城をめぐっては、これまで部会がそれぞれ勝手な意見を言い、年度末に全体整備検討会議にかけるが、実務としては使えなかった。
国の補助金、市の税金が入っており、結果的に使えないのなら国民・市民に申し訳がない。これが何年も続いている。
・名古屋城総合事務所の組織に問題があるのか?
・部会が重層的で同時並行でやっており、組み立てそのものに問題があるのか?
名古屋城総合事務所は機能不全だ。調査研究センターもうまくなく、名古屋市教育委員会もサポートできていない」と述べました。
次に、報告題として、(1)水堀関連遺構の発掘調査成果が報告されました。
千田教授は「最初に気が付かないといけなかった。『水堀関連遺構』は『本丸搦手馬出周辺石垣の修復』の一環であり、全く関係ないものとして今回報告が出されたのであれば、相当悪いやつか何も考えていないかだ。最初に議論したのは無効だ。スケジュールが相当狂うが考えないといけない」と述べました。
それに対し、名古屋城総合事務所は「ほかになにかあるか」とのみ述べたため、千田教授は「『ほかになにかあるか』ではなく『どうするか』だ。全貌が見えていない」ときつく述べました。
宮武教授は「『水堀関連遺構』は全国的に珍しい『殿様が舟で遊んでいた証拠』が出てきた。搦手石垣も城全体を構成する。
一つのメニューとして、事業費は違うが寄せてできないか」と助け船が出ました。
千田教授は「組織が死にかけている。夢のある名古屋城。わくわく考えないと。全体が見えていない。」と述べました。
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以下感想です。
河村たかし前市長は「『本物』を作る」として、課題が極めて多い天守木造復元に邁進していましたが、事実上ストップしています。
一方、西南隅櫓、東南隅櫓及び西北隅櫓は名古屋城に創建時のまま現存する『本物』で重要文化財です。
将来発生するとされる南海トラフ地震や直下型地震にこれら建物やそれを支える石垣が耐えられるのか。
よほどその対応の方が喫緊の課題だと考えます。
なぜか名古屋城の有識者会議同士の横の連携がほぼなく、議事録も数か月後にしか公表されないため、ほかの部会でどのような議論になっているのか、委員同士が分かっていません。
早急に建造物部会と石垣・埋蔵文化財部会の合同部会を開くことを希望します。
私たち市民の関心と声が、文化財を守る力になります。次回の建造物部会・全体整備検討会議は傍聴可能です。ぜひ一緒に名古屋城の未来を見守りましょう。
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今後の予定
・25/6/2(月)10時半〜 広沢市長会見
・25/6/2(月)14時〜 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 建造物部会(第37回)
・25/6/4(水)14時〜 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 (第66回) 名古屋能楽堂
・25/6/14(土)14時〜 名古屋城の有形文化財登録を求める会 勉強会 市政資料館
・25/6/17(火)〜7/3(木) 名古屋市議会6月定例会
25/5/15(木) 広沢市長は河村前市長と『決別』して「変革のリーダー」になれるか 名古屋城総括を受けて問われる、市政トップの「本気度」
2025年5月15日、名古屋市議会経済水道委員会にて、広沢一郎名古屋市長が名古屋城木造天守閣復元事業をめぐる「総括」について答弁しました。市長就任後、初めて本格的にこの問題と向き合った姿勢が問われる中、その発言から見えてきたのは、市政の“転換”への意志と、なお残る“課題”でした。
・25/5/15 名古屋市観光文化交流局
名古屋城天守閣整備事業の進め方に係る総括について
・令和7年5月 名古屋市観光文化交流局
名古屋城天守閣整備事業の進め方に係る総括について
・25/5/15 名古屋市議会経済水道委員会(前半)
名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし
・25/5/15 名古屋市議会経済水道委員会(松雄副市長分)
名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし
・25/5/15 名古屋市議会経済水道委員会(広沢市長分)
名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし
◆「これで終わりではない、本番はこれから」
広沢市長は総括について「これで終わりではない、本番はこれから」と語り、今後、障害者団体や市民への丁寧な説明を重ねていく決意を表明しました。
「差別事案は、行政としてあってはならないものだった。組織も個々の職員も、深く反省しなければならない」
この姿勢は、副市長・局長答弁に比べて格段に誠実かつ明確なものであり、トップとして一定の責任を引き受けた点は評価できます。
◆「スケジュール優先は拙速だった」―はっきりと認める
市長は前任者の“拙速”を以下のように明言しました。
「今思えば、スケジュール優先は拙速だった。合意形成を丁寧に図るべきだった」
さらに、河村前市長の「1?2階で合理的配慮は十分」との発言が混乱を招いたことを認め、「その場その場で変わる発言には私も憂慮していた」と、当時そばにいた立場から振り返りました。
◆トップダウン体制から、対話型の行政へ?
印象的だったのは、組織運営に対する広沢市長の姿勢です。
「忖度ではなく、上下関係なく意見を出し合える“風通しの良い組織”を作る」
これは前政権の“恐怖政治”からの脱却を象徴する言葉です。市長は「現在の局内は緊張感を保ちつつも風通しは良好」と述べ、意見が言いやすい環境づくりに
意欲を示しました。
しかし、それを市民がどう体感できるかが今後の試金石となるでしょう。
◆それでも残る“聴く姿勢”の不十分さ
一方、問題点も明確です。
●「市民の声をどう聴くのか」が曖昧
議会では、9年前の2万人アンケートにいまだ依拠していることに対し「現在の市民の声を反映すべきでは」との批判が続出しました。
広沢市長は、
「今も市民の大半は木造復元を支持していると思う」
「選挙で木造化を掲げて当選したという事実がある」
と述べ、市民の意志を“選挙結果”と“過去の調査”に求める姿勢を示しました。
また、「市民説明会や市長ホットラインなどで声は集めていく」と言いつつも、「市民の意見を反映する具体的プロセス」は明言されませんでした。
◆「指示書」の扱いと河村市長への距離感
議論の中で何度も焦点となったのが、河村前市長が出した「全責任は私が取る」と記された指示書の扱いです。
広沢市長はこの文書について、
「市長の責任を明記したものだが、残りの部分は既に達成された。全体としては異例な事態だった」
と述べましたが、この指示書を「継承するのか、撤回するのか」については明言を避けました。
また、仮に河村前市長と文化庁に同行するよう求められたら?という質問に対して、
「市の方針と異なる内容であれば、同席はできない。立場はぶれない」
と答え、一定の独立性を見せた一方、“恩師”への配慮もにじむ微妙な距離感が残りました。
◆オンブズマンとしての評価と提言
広沢市長の答弁には、誠実さと反省の色が見られました。
しかし、市民オンブズマンの立場からは次のような課題を指摘せざるを得ません。
◎評価すべき点
・市民討論会での差別事案を「最大の大問題」として明確に認識
・スケジュール優先の弊害を認め、今後の丁寧な合意形成を強調
・トップダウン体制から脱却し、職員との双方向コミュニケーションを重視する姿勢
◎問題点・不十分な点
・現時点での市民意志(再アンケート・説明会での意見反映)への配慮が弱い
・指示書の扱い、前市長との関係に曖昧さが残る
・「市民とともに事業を作る」という主体的ビジョンがまだ不明確
◆まとめ:「リーダーシップ」の次は「シチズンシップ」へ
広沢市長は、かつての“スケジュール優先の暴走”から距離を取り、より開かれた行政を目指す姿勢を打ち出しました。これは重要な一歩です。
しかし、真の信頼回復に必要なのは、“市民の声を聞く仕組み”の構築と、その声を政策に活かす力です。
市民オンブズマンは引き続き、次の点を求めていきます:
・現時点での市民意見を把握するための再アンケートまたは協議会の設置
・総括の見直し・再補足に市民の声を反映させる機会の明示
・指示書の位置づけと前市長との関係を市民にわかりやすく説明する責任
名古屋城木造復元事業は、単なる建築ではありません。
「市政が市民とどう向き合うか」を象徴する問いです。
広沢市長の“決意”が、“変革”へと結実するか――
その行方を、私たちは注視していきます。
25/5/15(木) 松雄副市長は何を語ったのか 「切腹しろ」の圧力と “忖度の構造”――名古屋城整備失敗の核心を読む
2025年5月15日、名古屋市議会経済水道委員会において、「名古屋城天守閣木造復元事業」の進め方をめぐる「総括」に関し、松雄副市長がついに口を開きました。
市民討論会での差別事案を契機とした事業の混乱。その根本原因は何だったのか――副市長の発言から、市政の闇と行政の限界が垣間見えました。
・25/5/15 名古屋市観光文化交流局
名古屋城天守閣整備事業の進め方に係る総括について
・令和7年5月 名古屋市観光文化交流局
名古屋城天守閣整備事業の進め方に係る総括について
・25/5/15 名古屋市議会経済水道委員会(前半)
名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし
・25/5/15 名古屋市議会経済水道委員会(松雄副市長分)
名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし
・25/5/15 名古屋市議会経済水道委員会(広沢市長分)
名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし
◆「切腹しろ」との市長命令、指示書の重圧
松雄副市長は冒頭、過去の経緯を振り返りながらこう語りました。
「副市長就任時、河村たかし(前)市長から“できなければ切腹しろ”と言われた。あの指示書(※「全責任は私が取る」と明記)を受け取った瞬間がすべての始まりだった」
この発言は衝撃的です。副市長を含む職員が“トップの意向”に従わざるを得ない空気の中で、丁寧な調整や市民参加が軽視されていった背景が浮き彫りになりました。
なお、松雄副市長は「スケジュールありきで文化庁とも調整をしておりました」とあり、2015年8月24日指示書、2021年12月16日副市長就任以降、2023年6月3日市民討論会までの間に、文化庁との間でなんらかの合意があったことを示唆しました。
◆「職員の声より、市長の顔色」
松雄副市長は、職員が「市民説明には2年は必要」と進言していたことを「記憶にない」と述べました。しかし、結果的には市長・前局長の意向やスケジュール感を優先し、無理を重ねたことを認めています。
「最後は私もスケジュールに立ち戻ってしまった。職員はそれを気にしながら無理を重ねたのではないか」
この構図は、「市民の声より、市長の顔色」が優先される行政文化の象徴です。副市長自ら「忖度があったと言われれば否定できない」と認める答弁は、まさにその実態を証明するものでした。
◆「強い市長」と「言えない職員」のはざまで
副市長は、当時の議会での答弁すら「的確にできなかった」と述べたうえで、こう自戒しました。
「私は職員との間、市長との間の調整役。それがうまくできなかった。反省している」
つまり、トップの意向に対して「NO」と言えず、現場の声もすくいきれなかった――その責任を副市長自身が一部認めた格好です。
ただし、「すべてが河村前市長のせいではない」との立場を終始崩さず、あくまで「複合的な問題」として処理しようとする姿勢には限界も見えました。
◆謝罪の意思は表明されたが…
副市長は「機会があれば、障害者の方へ直接謝罪したい」と表明。さらに自身が所管する他局についても「障害者がよりよく暮らせる取り組みを全力でやる」と述べました。
これは一定の前向きな姿勢として評価できますが、一方で、謝罪のタイミング・形式・組織としての姿勢表明については曖昧さが残りました。
◆市民オンブズマンとしての指摘:これは「忖度の総括」ではないか?
この日の副市長答弁から明らかになったのは、「前市長の強い意向 → 副市長の忖度 → 職員の沈黙」という行政の階層構造です。問題の根幹は、まさにこの“意思決定の不健全な流れ”にありました。
ところが、総括資料ではこの構造的問題が曖昧に処理されています。議員からも以下のような指摘が出ました。
「総括にトップの責任が明記されていないのはおかしい」
「行政による自己総括では限界がある。第三者による評価を入れるべき」
「“全責任は私が取る”という指示書の重さが、市長本人にはまったく自覚されていなかった」
こうした声に副市長は「残念だ」と応じましたが、だからこそ総括に何が書かれ、何が書かれなかったかは極めて重要です。
◆私たちは問い続ける
名古屋市民オンブズマンとして、以下の点を改めて指摘します。
・トップの強い意向が行政全体をゆがめたことを、正面から総括に書くべき
・指示書の意味と影響を明文化すべき
・第三者による再検証、あるいは市民委員会の設置を検討すべき
・副市長が「責任は重い」「深く反省している」と何度も口にしたことは記録されました。問題は、それが“言葉だけ”に終わらないかどうかです。
次回は、広沢市長の発言から「市民と向き合う覚悟はあるのか」を読み解きます。
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25/5/15(木) 名古屋城整備「総括」から見えた失政の構造 〜“説明”はするが“市民の声”は聞かない?〜
25/5/15(木)、名古屋市議会経済水道委員会で「名古屋城天守閣整備事業の進め方に係る総括」が当局から報告されました。
・25/5/15 名古屋市観光文化交流局
名古屋城天守閣整備事業の進め方に係る総括について
・令和7年5月 名古屋市観光文化交流局
名古屋城天守閣整備事業の進め方に係る総括について
・25/5/15 名古屋市議会経済水道委員会(前半)
名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし
・25/5/15 名古屋市議会経済水道委員会(松雄副市長分)
名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし
・25/5/15 名古屋市議会経済水道委員会(広沢市長分)
名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし
これは、2023年6月の名古屋城バリアフリー市民討論会での差別事案を契機に始まった一連の検証をまとめたものです。
私たち名古屋市民オンブズマンは、この「総括」が果たして本当に市民と向き合ったものになっているのか、そして失敗の本質を明らかにできているのかを点検しました。
◆総括の概要:反省と再出発…のはずが
観光文化交流局が示した総括資料では、市民討論会で起きた差別的発言への深い反省を起点とし、名古屋城整備の全体像を振り返っています。大きく分けて以下のような問題点が指摘されました。
・市内部の調整不足
・障害者人権への認識の甘さ
・史跡整備の経験不足
・情報提供のわかりにくさ
・スケジュール優先の弊害
・前市長の強い意向に対する職員の葛藤
これらをふまえて、「再発防止策」や「市民説明会の実施」などが今後の基本方針として示されました。
◆“スケジュール優先”の根深い構造的問題
議会の議論では、「市民討論会の失敗」は単なる現場対応ミスではなく、上からの無理なスケジュールによって引き起こされたとする見解が多数を占めました。
特に問題視されたのは、前市長(河村たかし氏)による「東京オリンピックまでに完成せよ」という指示が行政を過度に圧迫し、丁寧な説明や市民対話が軽視された点です。
実際、担当課長も「文化庁への計画提出に間に合わせるために討論会が急ぎ開催された」と認めています。これはまさに、“市民の意見を聴くための会”が“政策を通すための儀式”に堕していたことを意味します。
◆市民の声は本当に届いたのか?
市民の意思として繰り返し引用されたのが、2016年の「2万人アンケート」です。
木造復元賛成が6割という結果をもとに事業が進められてきました。
しかし、このアンケートについて議員からは次のような批判が出されました:
・質問内容が木造化に誘導的で中立性に欠けていた
・アンケート結果を政策へどう反映させるかの議論が当時不十分だった
・すでに9年前の結果であり、現在の民意と大きく乖離している可能性がある
それにもかかわらず、当局は「再アンケートの予定はない」と明言しました。
◆「説明」はするが「聴く」気はあるのか?
今後の事業方針として示されたのは「丁寧な情報提供」でした。市民説明会やWeb公開などで広報を進めるとのことですが、「意見を政策に反映させる」仕組みは依然不明確です。
一部議員からは、
「市民説明会で“説明”するだけでなく、“意見を取り入れる”プロセスが必要」
「“丁寧な情報発信”という言葉に逃げず、再検討・合意形成の場を設けるべきだ」
「市長・副市長のパワハラ調査の結果が出てから総括をすべきだ」
と強い要望が出されました。
◆差別事案の「謝罪」は済んだのか?
被害当事者への謝罪についても議論がありました。観光文化交流局長は「事前に当事者へ謝罪をした」と述べましたが、それは“一対一の説明の場”にとどまっており、市民全体への公式な謝罪や姿勢表明はまだ不十分だと言わざるを得ません。
◆市民オンブズマンの視点:問われる“市民との距離感”
総括は膨大な反省を記録した資料ですが、問題の核心は単なる事務手続きや情報発信の技術ではありません。
それは、「誰のための行政か」という原点に立ち返れるかどうかです。
・市民の声に耳を傾ける仕組みがあるか
・意見が政策に反映される回路があるか
・トップの“強い意向”に職員がブレーキをかけられる構造があるか
名古屋城整備という巨大プロジェクトは、単なる観光施設整備ではありません。そのプロセス自体が、名古屋市政の民主主義の成熟度を問うものなのです。
今後は、松雄副市長・広沢市長がどのような責任と方向性を語るかが問われます。私たち市民オンブズマンは、引き続き丁寧に検証を続けてまいります。
【次回:副市長・市長の発言を読み解く】
25/4/24(木) 名古屋城跡全体整備検討会議 有識者「なぜ天守閣部会は2年間開催されていないのか!」
一向に進まない名古屋城木造復元事業。
名古屋市は市民に説明しないばかりか、有識者にもきちんと説明していないことが判明しました。
25/4/24に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第65回)が開催されました。
構成員の三浦正幸・広島大学名誉教授は「天守閣部会がずっと開催されていないのはなぜか」と質問しました。
三浦名誉教授は天守閣部会の構成員でもあります。
・25/4/24 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第65回) 配付資料
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
2025年4月から、名古屋城総合事務所長も保存整備課長も新任となりました。
2025年3月まで構成員だった赤羽一郎氏の後任は、特に選任されなかったようです。
はじめに、2024年度の全体整備検討会議及び部会での検討内容、2025年度の事業予定が報告されると、三浦名誉教授は「天守閣部会がずっと開催されていないのはなぜか」と質問しました。
天守閣部会は2023/3/22の第28回部会以降開催されていません。
渡辺所長は「2年前にバリアフリー市民討論会で差別事案を引き起こした。
事業の進め方どうだったのか、局としてまとめている。バリアフリーは大事なので慎重に議論している。一定整理がつくまでは先に進められないと考えている」と述べました。
三浦名誉教授は「天守閣部会として差別事案の経緯を聞いていない。天守閣部会でもバリアフリーを諮ってもらって、考えないといけない。
天守閣部会だけやっていない。石垣部会は天守関係の石垣やっており、違和感を感じている」と述べました。
また、座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「石垣部会では天守台石垣保存対策が何回も議論されているようだが、全体会議で報告はあったか?」と尋ね、名古屋城保存整備課は「天守台対面北側U65は工事中。対面西側U66や鵜の首S10は今後工事したい」と述べました。
瀬口座長は「天守台石垣そのものの工事は何年後?10年後?計画はあるのでは。何年かかるかわからないのでは、市民に対して無責任ではないか。
石垣は5年前に調査するといって始めた。木造天守のバリアフリーとは関係がない。
『現天守を壊さないと天守台石垣調査はできない』というが、壊さずにできる調査は終わったのか。
名古屋市民は年間2万人死んでいる。5年でもう10万人の名古屋市民が死んでいる。
あと5年たつとさらに10万人亡くなる。委員でも亡くなった方がいる。スケジュール感を示した方がいい。
文化庁に書類を出すためのバリアフリー検討は天守閣部会で議論すればいい。市で決めたものを天守閣部会に諮るのか。今年度の予定に一切無いのはどういうことか。」と述べました。
オブザーバーの渋谷啓一・文化庁文化財第二課主任文化財調査官は「一筋縄ではいかないような事業があるが、着実に整備を求めたい」と述べました。
一方、平澤毅・文化庁文化財第二課主任文化財調査官は「令和7年度11項目事業予定が記載されているが、そのほかにも検討があるようだ。
進捗状況は全体会議の場で構成員に情報提供してほしい」と述べました。
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以下感想
名古屋市は、木造復元のバリアフリーについて小型の「新昇降技術」で何階まで登れるかをMHIに委託して2027/3/19期限で技術開発しており、あと2年で技術的な結論がでます。
しかし、どの程度の進捗状況なのかまったく不明です。
そもそも、障害者団体は「大型のエレベーターを最上階までつけなければ『差別の城』を作ることになり、かつ違法」と主張しています。
市民にも説明せず、有識者にも説明しない木造名古屋城は『国宝』どころか「市が勝手に作ろうとしている城」でしかありません。
いくら選挙で木造復元に賛成した市長が選ばれ、木造復元に賛成した議員が多数を占めたとしても、市民や有識者に十分説明し、納得がいってはじめて「市民の宝」となるのではないかと思います。
少なくとも以下は早急に説明する必要があるのではないでしょうか。
・現在まで木造復元が進んでいない理由
・バリアフリーの見通し
・新昇降技術を除く現在の木造復元計画図
・今後の木造復元事業の見通し
・天守台石垣の工事の見通し
・事業費見通し
・今後の収支見通し
・今木造復元事業を見直したらどうなるか
皆さんも、市の担当者や市長、市議に対して「木造復元はどうなっているのか。一刻も早く市民への説明会を開くべき」と伝えてみませんか。
25/4/15(火) 広沢市長 「名古屋城史資料 ユネスコ『世界の記憶』への登録は現状では難しい」
広沢一郎名古屋市長は、「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」からの「名古屋城に関する史資料のユネスコ『世界の記憶』への登録のご提案」に対し、25/4/15に「現状では『世界の記憶』への登録は難しいと考えている」と回答しました。
・令和7年4月15日 名古屋市長 広沢 一郎
市長に対する提案並びに質問について(回答)
「求める会」は25/3/31に広沢市長に対し10件の提言、及び質問を行いました。
うち、「その名古屋城についての貴重な記録である『金城温故録』、『徳川義勝侯撮影の写真』、『昭和実測図』などの史資料は『世界の記憶』として登録するのにふさわしい条件を備えています。」と述べています。
・文部科学省国際統括官付 「世界の記憶」
広沢市長は以下回答しました。
1.名古屋城に関する史資料の「世界の記憶」への登録のご提案
(回答)
ご提案にかかる史資料は、名古屋城にとって貴重な記録であり、その歴史的価値を広く知っていただくことは重要であると考えております。しかしながら、これらの史資料は国内での学術的評価がまだ十分にされているわけではなく、現状では「世界の記憶」への登録は難しいと考えております。
そのため、まずはこうした資料の価値を明らかにするための調査研究を進め、特別史跡名古屋城跡が有する文化財や資料等に関する学術的・総合的な調査研究を実施するとともに、本質的価値の理解を促進するため、様々な方策を検討してまいります。
25/4/14市長定例会見では以下述べています。
・令和7年4月14日 市長定例記者会見
名古屋城の世界記憶遺産への登録について
(記者) 名古屋城についてお尋ねしたいんですけど。先月末ですかね、市民団体から市長に対して質問状が届いたと思うんですが、その中で名古屋城の資料について、ユネスコの世界記憶遺産への登録についてしたらどうかという提案があったと思うんですが、それについて市長の考えありましたら教えてください。
(市長) その情報は私も聞いておりまして、そういうご質問状をいただいたということで。これは、ちょっと今から詰めてまいりますので、それがまとまりましたらまたご報告をさせていただきます。すみません。
(記者) 回答はいつ頃。
(市長) なるべく早めにと思ってます。そうですね、まあなるべく早くですね。何か局からあれば。いいですか。なるべく早めに。(記者)
ありがとうございました。
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以下感想
名古屋城木造復元事業は、23/6/3に名古屋市が開催したバリアフリー市民討論会における参加者による差別発言ならびにその後の対応の不手際がありました。
現在第三者委員会の検証が終わり、名古屋市での再発防止策の検討中です。
・「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」における差別事案に係る検証について(最終報告)
一方、名古屋城調査研究センターは、2024年3月現在、学芸員・事務職をあわせて23人の体制で各種調査を行っています。
いつになるかめども立たない、本当にできるかどうかも分からない木造復元に邁進するより、『世界の記憶』として登録する方がよほど現実的なのではないでしょうか。
むしろ、『世界の記憶』として登録する方が「本質的価値の理解」につながるのではないかと考えます。
25/4/14(月) 第1回名古屋市人権に関する条例(仮称)検討会 座長「作る以上は実行性のあるものであるべき」
25/4/14に名古屋市は第1回名古屋市人権に関する条例(仮称)検討会を開催しました。
座長に選任された小林直三・大阪経済大学教授は、検討会終了後「人権条例を作る以上は実行性のあるものであるべき」と述べました。
・名古屋市スポーツ市民局人権施策推進部 人権施策推進課人権企画担当
第1回名古屋市人権に関する条例(仮称)検討会(令和7年4月14日開催)
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
本件は、23/6/3に名古屋市が開催したバリアフリー市民討論会における参加者による差別発言ならびにその後の対応の不手際を踏まえ、第三者委員会による検証で「包括的で実行性がある人権条例」制定を提言されました。
・24/9/18 「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」における差別事案に係る検証について(最終報告)
今後、2025年7月〜12月に検討会を3回開き、2026年2〜3月に条例骨子を検討し、2026年4月以降、パブリックコメントを踏まえて条例案を決定するスケジュールが示されました。
委員からは「憲法だけで無く、各種条約を踏まえた条例にしてほしい」という意見が相次ぎました。
宮前髟カ弁護士は「2025年2月に愛知県弁護士会が人種差別撤廃条例を求める意見書を各自治体に出したので参考にしてほしい」と述べました。
・2025年(令和7年)2月18日 愛知県弁護士会 会長 伊藤倫文
愛知県内の地方公共団体において人種差別撤廃条例の制定を求める意見書
間宮静香弁護士(名古屋市子どもの権利擁護委員)は「名古屋市子どもの権利相談室『なごもっか』は全国的に見ても先進的だ。
上記の仕組みを人権全般に広げてはどうかと思う」と述べました。
・名古屋市子どもの権利相談室「なごもっか」
土井佳彦・特定非営利活動法人多文化共生リソースセンター東海 代表理事は「条例では言及できないが、そもそも国の法律や憲法がおいついていない。 国に提言しメッセージを発信してはどうか」と提案しました。
橋井正喜・名古屋市身体障害者福祉連合会 会長は「障害当事者は私くらい。やっかいなのは大人。どんな条例ができようが、障害者はどこかで我慢するしかないのが現状」と述べました。
次回は25/7/14(月)とのこと。
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広沢市長は25/4/14(月)午前に行われた記者会見で、人権条例の制定について記者から問われ「人権条例制定に向けた動きとともに、名古屋城も再び動き出すというふうに考えています。」と述べました。
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以下感想
包括的な人権条例は各地で制定されつつあります。
・一般財団法人 地方自治研究機構
人権の尊重と差別の解消に関する条例
一方、相模原市では人権施策審議会の「答申」が骨抜きになって24/3/19に市議会で可決・成立しました。
・2023年12月22日 19時00分 弁護士ドットコムニュース
津久井やまゆり園事件が起きた相模原市、骨抜き「人権条例案」に批判の声
25/4/1施行の名古屋市障害者差別解消推進条例改正は、パブコメ終了後、「勧告を行うことを原則としながら、勧告を行わない場合にはその理由を公表する」と骨抜きになりました。
また、国際人権基準の専門家の藤田早苗・英エセックス大学人権センターフェローは「国連人権高等弁務官事務所は『生まれてきた人間すべてに対して、その人が能力・可能性を発揮できるように、政府はそれを助ける義務がある。その助けを要求する権利が人権。人権は誰にでもある』と述べている」としています。
・国連広報センター (UNIC Tokyo)
人権とは? (OHCHR: 国連人権高等弁務官事務所)
今後、検討会の議論に注目するとともに、「骨抜き」にならないよう注視していきたいと思います。
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・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
・名古屋市民オンブズマン 人権条例ページ
・名古屋市民オンブズマンブログ 名古屋城問題
・名古屋市民オンブズマンブログ 人権問題