名古屋城 本丸御殿+木造天守閣問題特集

河村市長は木造天守閣復元をぶち上げましたが迷走中です。建物だけで505億円かかるとのこと。100億円の利子、その他運営管理費等を含めると2069年までに915億円かかる見込みです。2020年の東京オリンピックに間に合わせると市長一人意気込んでいましたが、突如2022年に延ばしましたが断念し、新たな竣工時期は発表出来ません。市民は冷ややかです。「民主主義発祥の地ナゴヤ」の看板を下ろしたのでしょうか。
※17/3/23に名古屋市議会は名古屋城天守閣木造化の基本設計等に関する補正予算10億円を可決しました。17/5/9に「基本協定」「基本設計契約書」を締結しましたが、2019年8月、河村市長は2022年12月までの木造天守閣復元を断念しました。いまだに竣工時期の目処はたっていません。しかし2018年度末で市債を35億1400万円借りています。
名古屋市は新型コロナ対策に追われ、「不要不急」の木造天守閣復元を行う余裕はないはずです。
※名古屋市は現天守閣の解体申請を文化庁に提出していましたが、21/7/27に取り下げしています。現時点では、解体ならびに復元に関する書類は文化庁に提出していません。
河村たかし名古屋市長は24/10/1に衆院選立候補を表明し当選しました。24/11/24市長選で広沢一郎氏が当選しましたが、名古屋城の将来はどうなるでしょうか。

2025年4月以降
  • 25/4/24(木) 名古屋城跡全体整備検討会議 有識者「なぜ天守閣部会は2年間開催されていないのか!」
  • 25/4/15(火) 広沢市長 「名古屋城史資料 ユネスコ『世界の記憶』への登録は現状では難しい」
  • 25/4/14(月) 第1回名古屋市人権に関する条例(仮称)検討会 座長「作る以上は実行性のあるものであるべき」
    ・2024年9月-2025年3月はこちら
    ・2024年4月-8月はこちら
    ・2023年8月-2024年3月はこちら
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    25/4/24(木) 名古屋城跡全体整備検討会議 有識者「なぜ天守閣部会は2年間開催されていないのか!」

    一向に進まない名古屋城木造復元事業。
    名古屋市は市民に説明しないばかりか、有識者にもきちんと説明していないことが判明しました。

    25/4/24に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第65回)が開催されました。
    構成員の三浦正幸・広島大学名誉教授は「天守閣部会がずっと開催されていないのはなぜか」と質問しました。
    三浦名誉教授は天守閣部会の構成員でもあります。
    ・25/4/24 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第65回) 配付資料
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/250424.pdf
    ・名古屋市民オンブズマンによるメモ
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/250424-1.pdf


    2025年4月から、名古屋城総合事務所長も保存整備課長も新任となりました。
    2025年3月まで構成員だった赤羽一郎氏の後任は、特に選任されなかったようです。

    はじめに、2024年度の全体整備検討会議及び部会での検討内容、2025年度の事業予定が報告されると、三浦名誉教授は「天守閣部会がずっと開催されていないのはなぜか」と質問しました。
    天守閣部会は2023/3/22の第28回部会以降開催されていません。
     https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/save/plan_expert/2022/05/20220523_1352.html

    渡辺所長は「2年前にバリアフリー市民討論会で差別事案を引き起こした。
    事業の進め方どうだったのか、局としてまとめている。バリアフリーは大事なので慎重に議論している。一定整理がつくまでは先に進められないと考えている」と述べました。
    三浦名誉教授は「天守閣部会として差別事案の経緯を聞いていない。天守閣部会でもバリアフリーを諮ってもらって、考えないといけない。
    天守閣部会だけやっていない。石垣部会は天守関係の石垣やっており、違和感を感じている」と述べました。


    また、座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「石垣部会では天守台石垣保存対策が何回も議論されているようだが、全体会議で報告はあったか?」と尋ね、名古屋城保存整備課は「天守台対面北側U65は工事中。対面西側U66や鵜の首S10は今後工事したい」と述べました。
    瀬口座長は「天守台石垣そのものの工事は何年後?10年後?計画はあるのでは。何年かかるかわからないのでは、市民に対して無責任ではないか。
    石垣は5年前に調査するといって始めた。木造天守のバリアフリーとは関係がない。
    『現天守を壊さないと天守台石垣調査はできない』というが、壊さずにできる調査は終わったのか。
    名古屋市民は年間2万人死んでいる。5年でもう10万人の名古屋市民が死んでいる。
    あと5年たつとさらに10万人亡くなる。委員でも亡くなった方がいる。スケジュール感を示した方がいい。
    文化庁に書類を出すためのバリアフリー検討は天守閣部会で議論すればいい。市で決めたものを天守閣部会に諮るのか。今年度の予定に一切無いのはどういうことか。」と述べました。

    オブザーバーの渋谷啓一・文化庁文化財第二課主任文化財調査官は「一筋縄ではいかないような事業があるが、着実に整備を求めたい」と述べました。
    一方、平澤毅・文化庁文化財第二課主任文化財調査官は「令和7年度11項目事業予定が記載されているが、そのほかにも検討があるようだ。
    進捗状況は全体会議の場で構成員に情報提供してほしい」と述べました。
     
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    以下感想

    名古屋市は、木造復元のバリアフリーについて小型の「新昇降技術」で何階まで登れるかをMHIに委託して2027/3/19期限で技術開発しており、あと2年で技術的な結論がでます。
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/240105-4.pdf

    しかし、どの程度の進捗状況なのかまったく不明です。
    そもそも、障害者団体は「大型のエレベーターを最上階までつけなければ『差別の城』を作ることになり、かつ違法」と主張しています。 
    http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221207.pdf
    http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230613.pdf
    http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230613-1.pdf

    市民にも説明せず、有識者にも説明しない木造名古屋城は『国宝』どころか「市が勝手に作ろうとしている城」でしかありません。
    いくら選挙で木造復元に賛成した市長が選ばれ、木造復元に賛成した議員が多数を占めたとしても、市民や有識者に十分説明し、納得がいってはじめて「市民の宝」となるのではないかと思います。
    少なくとも以下は早急に説明する必要があるのではないでしょうか。
    ・現在まで木造復元が進んでいない理由
    ・バリアフリーの見通し
    ・新昇降技術を除く現在の木造復元計画図
    ・今後の木造復元事業の見通し
    ・天守台石垣の工事の見通し
    ・事業費見通し
    ・今後の収支見通し
    ・今木造復元事業を見直したらどうなるか

    皆さんも、市の担当者や市長、市議に対して「木造復元はどうなっているのか。一刻も早く市民への説明会を開くべき」と伝えてみませんか。


    25/4/15(火) 広沢市長 「名古屋城史資料 ユネスコ『世界の記憶』への登録は現状では難しい」

    広沢一郎名古屋市長は、「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」からの「名古屋城に関する史資料のユネスコ『世界の記憶』への登録のご提案」に対し、25/4/15に「現状では『世界の記憶』への登録は難しいと考えている」と回答しました。

    ・令和7年4月15日 名古屋市長 広沢 一郎
     市長に対する提案並びに質問について(回答)
     https://5g0l2.hp.peraichi.com/
     
    「求める会」は25/3/31に広沢市長に対し10件の提言、及び質問を行いました。
    うち、「その名古屋城についての貴重な記録である『金城温故録』、『徳川義勝侯撮影の写真』、『昭和実測図』などの史資料は『世界の記憶』として登録するのにふさわしい条件を備えています。」と述べています。
    ・文部科学省国際統括官付 「世界の記憶」
     https://www.mext.go.jp/unesco/006/1354664.htm

    広沢市長は以下回答しました。
    1.名古屋城に関する史資料の「世界の記憶」への登録のご提案
    (回答)
     ご提案にかかる史資料は、名古屋城にとって貴重な記録であり、その歴史的価値を広く知っていただくことは重要であると考えております。しかしながら、これらの史資料は国内での学術的評価がまだ十分にされているわけではなく、現状では「世界の記憶」への登録は難しいと考えております。
     そのため、まずはこうした資料の価値を明らかにするための調査研究を進め、特別史跡名古屋城跡が有する文化財や資料等に関する学術的・総合的な調査研究を実施するとともに、本質的価値の理解を促進するため、様々な方策を検討してまいります。

    25/4/14市長定例会見では以下述べています。
    ・令和7年4月14日 市長定例記者会見
     https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000185570.html
    名古屋城の世界記憶遺産への登録について
    (記者) 名古屋城についてお尋ねしたいんですけど。先月末ですかね、市民団体から市長に対して質問状が届いたと思うんですが、その中で名古屋城の資料について、ユネスコの世界記憶遺産への登録についてしたらどうかという提案があったと思うんですが、それについて市長の考えありましたら教えてください。
    (市長) その情報は私も聞いておりまして、そういうご質問状をいただいたということで。これは、ちょっと今から詰めてまいりますので、それがまとまりましたらまたご報告をさせていただきます。すみません。
    (記者) 回答はいつ頃。
    (市長) なるべく早めにと思ってます。そうですね、まあなるべく早くですね。何か局からあれば。いいですか。なるべく早めに。(記者)
     ありがとうございました。
     
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    以下感想

    名古屋城木造復元事業は、23/6/3に名古屋市が開催したバリアフリー市民討論会における参加者による差別発言ならびにその後の対応の不手際がありました。
    現在第三者委員会の検証が終わり、名古屋市での再発防止策の検討中です。
    ・「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」における差別事案に係る検証について(最終報告)
    https://www.city.nagoya.jp/sportsshimin/page/0000178461.html

    一方、名古屋城調査研究センターは、2024年3月現在、学芸員・事務職をあわせて23人の体制で各種調査を行っています。
    https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/center/

    いつになるかめども立たない、本当にできるかどうかも分からない木造復元に邁進するより、『世界の記憶』として登録する方がよほど現実的なのではないでしょうか。
    むしろ、『世界の記憶』として登録する方が「本質的価値の理解」につながるのではないかと考えます。

    25/4/14(月) 第1回名古屋市人権に関する条例(仮称)検討会 座長「作る以上は実行性のあるものであるべき」

    25/4/14に名古屋市は第1回名古屋市人権に関する条例(仮称)検討会を開催しました。
    座長に選任された小林直三・大阪経済大学教授は、検討会終了後「人権条例を作る以上は実行性のあるものであるべき」と述べました。

    ・名古屋市スポーツ市民局人権施策推進部 人権施策推進課人権企画担当
     第1回名古屋市人権に関する条例(仮称)検討会(令和7年4月14日開催)
     https://www.city.nagoya.jp/sportsshimin/page/0000185607.html
    ・名古屋市民オンブズマンによるメモ
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/250414-0.pdf


    本件は、23/6/3に名古屋市が開催したバリアフリー市民討論会における参加者による差別発言ならびにその後の対応の不手際を踏まえ、第三者委員会による検証で「包括的で実行性がある人権条例」制定を提言されました。
    ・24/9/18 「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」における差別事案に係る検証について(最終報告)
     https://www.city.nagoya.jp/sportsshimin/page/0000178461.html
     
    今後、2025年7月〜12月に検討会を3回開き、2026年2〜3月に条例骨子を検討し、2026年4月以降、パブリックコメントを踏まえて条例案を決定するスケジュールが示されました。

    委員からは「憲法だけで無く、各種条約を踏まえた条例にしてほしい」という意見が相次ぎました。

    宮前髟カ弁護士は「2025年2月に愛知県弁護士会が人種差別撤廃条例を求める意見書を各自治体に出したので参考にしてほしい」と述べました。
    ・2025年(令和7年)2月18日 愛知県弁護士会 会長 伊藤倫文
     愛知県内の地方公共団体において人種差別撤廃条例の制定を求める意見書
     https://www.aiben.jp/opinion-statement/news/2025/03/post-122.html

    間宮静香弁護士(名古屋市子どもの権利擁護委員)は「名古屋市子どもの権利相談室『なごもっか』は全国的に見ても先進的だ。
    上記の仕組みを人権全般に広げてはどうかと思う」と述べました。
    ・名古屋市子どもの権利相談室「なごもっか」
     https://www.city.nagoya.jp/kodomoseishonen/page/0000154568.html

    土井佳彦・特定非営利活動法人多文化共生リソースセンター東海 代表理事は「条例では言及できないが、そもそも国の法律や憲法がおいついていない。 国に提言しメッセージを発信してはどうか」と提案しました。
     
    橋井正喜・名古屋市身体障害者福祉連合会 会長は「障害当事者は私くらい。やっかいなのは大人。どんな条例ができようが、障害者はどこかで我慢するしかないのが現状」と述べました。

    次回は25/7/14(月)とのこと。

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    広沢市長は25/4/14(月)午前に行われた記者会見で、人権条例の制定について記者から問われ「人権条例制定に向けた動きとともに、名古屋城も再び動き出すというふうに考えています。」と述べました。
    https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000185570.html

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    以下感想

    包括的な人権条例は各地で制定されつつあります。
    ・一般財団法人 地方自治研究機構
     人権の尊重と差別の解消に関する条例
     http://www.rilg.or.jp/htdocs/img/reiki/114_jinken.htm

    一方、相模原市では人権施策審議会の「答申」が骨抜きになって24/3/19に市議会で可決・成立しました。
    https://www.city.sagamihara.kanagawa.jp/shisei/1026766/1013001/1030258.html

    ・2023年12月22日 19時00分 弁護士ドットコムニュース
     津久井やまゆり園事件が起きた相模原市、骨抜き「人権条例案」に批判の声
     https://www.bengo4.com/c_1017/n_16950/

    25/4/1施行の名古屋市障害者差別解消推進条例改正は、パブコメ終了後、「勧告を行うことを原則としながら、勧告を行わない場合にはその理由を公表する」と骨抜きになりました。
    https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000114033.html
    https://ombuds.exblog.jp/30648511/

    また、国際人権基準の専門家の藤田早苗・英エセックス大学人権センターフェローは「国連人権高等弁務官事務所は『生まれてきた人間すべてに対して、その人が能力・可能性を発揮できるように、政府はそれを助ける義務がある。その助けを要求する権利が人権。人権は誰にでもある』と述べている」としています。
    https://hyogen-tsutaeru.jimdofree.com/
    ・国連広報センター (UNIC Tokyo)
     人権とは? (OHCHR: 国連人権高等弁務官事務所)
     https://www.youtube.com/watch?v=TXJNVM-nHqo

    今後、検討会の議論に注目するとともに、「骨抜き」にならないよう注視していきたいと思います。

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    ・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
     http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm 
    ・名古屋市民オンブズマン 人権条例ページ
     http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/jinken/index.htm

    ・名古屋市民オンブズマンブログ 名古屋城問題
     https://ombuds.exblog.jp/i33/
    ・名古屋市民オンブズマンブログ 人権問題
     https://ombuds.exblog.jp/i111/

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