25/3/19(水) 名古屋城石垣部会委員「はらんだ石垣『前抑え』と天守木造化での内堀埋立計画の関係は?」
迷走している名古屋城の木造復元事業!
あなたは、歴史的遺産の保存と「夢の復元」のどちらを選びますか?
名古屋城天守をめぐる復元事業と石垣保全の間で、いま市民の選択が問われています??。
名古屋市が強引に進めて来た名古屋城木造復元事業は、2023/6/3に名古屋市が開催した、バリアフリー市民討論会での参加者の差別発言と、河村前市長の「熱いトークがあってよかった」で事実上ストップしています。
一方、名古屋城の天守台周辺石垣はふくらみ・はらみが生じており、どう保存対策をするかが有識者会議で議論され続けています。
25/3/19に開催された名古屋城石垣・埋蔵文化財部会の議論を見ていきましょう。
・25/3/19 名古屋城石垣・埋蔵文化財部会(第65回)
配付資料(II 天守台天守台西側内堀御深井丸側石垣及び鵜の首(小天守西)水堀側石垣の保存対策 は議論せず)
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
はじめに、名古屋市の担当者から「赤羽一郎委員が体調不良を理由に2025/3/31で委員を退任する」と発表がありました。
千田嘉博・名古屋市立大学教授は「特別史跡の石垣はどこを守らないといけないか。
また、過去にあったが埋められたり改変された石垣があるが、図示されていない。
さらに、石垣の勾配の資料もないが、対策方針を決めて欲しいというのは、『何のための会議』か。組織として理解が共有されているのか。」と指摘しました。
宮武正登・佐賀大学教授は「前々回の会議で私がくいついて、ようやくU66(大天守西側対岸石垣)やS10(鵜の首西側石垣)の資料が出てきた。
以前はU65石垣(大天守北側対岸石垣)だけだった。」と述べました。
西形達明・関西大学名誉教授は「U66ははらみだしており、S10は石塁で地震に脆弱。しかも観光者の重要な動線となっている。
単純でかつ安全な方法としては押さえ盛り土がいい。景観の問題は後で検討する。S10も押さえたほうがいいのかな。」と述べました。
宮武教授は「資料を分析すると、地下がぐちゃぐちゃのようだ。石垣の前押さえをしないといけない」と述べました。
千田教授は「前押さえする方法として蛇籠を置く方法が提案されているが、5メートルの高さの石垣に、3メートルの蛇籠を置くと、内堀の景観に与える影響が大きい。
いくつかの提案をしてほしい。前に積むのが決まったかのように提案するのは不誠実。
そもそも、名古屋市は天守を木造化しようとしており、工事のため内堀を軽量盛り土で埋めて上に重機を通らせようと計画していると聞く。
今回の『内堀に蛇籠を置く提案』は、これまでの議論とは違う。
緊急石垣対策として国の補助金をつかって蛇籠を置いて後に撤去するのは税金の使い方として許容されるのか。文化庁から『天守木造復元する際に内堀を埋めないんですね』と言われたらどうするのか」と述べました。
一旦休憩を挟んで、名古屋市は「まずは人の安全確保が必要。広報を決めたわけではない。木造天守との関係は大事な視点なので整理したい。第2章は時間の無駄なので本日は議論しない」としました。
オブザーバーの山内良祐・愛知県県民文化局文化部文化芸術課文化財室は「どこかの部会で『いままで石垣崩落で人命失われたのはないが、ここでおこらないとは限らない』とあった。
どういう方法が最善なのか議論を」としました。
オブザーバーの中井将胤・文化庁文化資源活用課整備部門(記念物)文化財調査官は「以前上司から聞かれ、『石垣が崩れてから直すと3倍くらい費用がかかる』と説明した。
動線計画について、この部会で議論するのは違う。庁内の議論が足りない。
補助金については今回の措置が仮なのか、応急なのか、本整備なのか。
蛇籠が仮整備なら補助対象とならない。『本整備』なら対象になる。2-30年くらいが目安となる。
大きなプロジェクトがなければ簡単だが、そうでないので、今何をすべきか。
会議の前に相談を受けて指導できれば」と述べました。
千田教授は「この部会に、学芸員がほとんど参加していない。こういう機会に学んで、若手学芸員の成長を」と述べました。
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以下感想
名古屋城の石垣は「本物」です。
将来予想されている南海トラフ地震や名古屋直下型地震に備え、早急に石垣対策をすべきです。
・平成29年1月24日 名古屋市防災会議地震災害対策部会
名古屋市付近に推定されている断層に関する報告書
残念ながら、いつできるのか、そもそもできるのかわからない木造復元事業に名古屋市は人的・資金的リソースを振り分けています。
「急いで石垣対策をしないといけないが、将来的には木造復元事業もしたい」では、今回のように矛盾が生じてしまいます。
限られた税金の投入先として、なにを最も優先すべきなのでしょうか。
私たちは今こそ、「石垣と人命を守る」ことを最優先に考えるべきではないでしょうか。
主権者としての市民が問われています。
有識者会議の傍聴、名古屋市会議員への声が、この問題を動かす第一歩になります。
25/3/17(月) 広沢市長「名古屋城木造復元『全責任は私が取る』はそのまま変わらない」
迷走している名古屋城の木造復元事業!
河村たかし・前名古屋市長が『全責任は私が取る』という指示書を市職員に出して強引に進めて来た名古屋城木造復元事業は、2023/6/3に名古屋市が開催した、バリアフリー市民討論会での参加者の差別発言と、河村前市長の「熱いトークがあってよかった」で事実上ストップしています。
(現在第三者委員会の検証が終わり、名古屋市内での再発防止策の検討中)
市議会の附帯決議「文化庁の許可を得てから木材を購入するように」を無視して名古屋市は木材41億6370万9000円を購入済であり保管料が年間約1億円かかっています。
広沢一郎名古屋市長は、令和7年度当初予算案で「本丸以外の入場料無料化実証実験」を2025年秋の1ヶ月間行う方針を出しました。
そもそも河村前市長と広沢市長の名古屋城木造復元事業に対する考え方は同じなのでしょうか、違うのでしょうか。
25/3/17名古屋市議会経済水道委員会では広沢市長を招いて議論を行ったので見ていきましょう。
・25/3/17 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし
沢田ひとみ市議(自民・港区)は「広沢市長は河村前市長と同様『本物の復元』と言葉を使っている。私は当初徳川家康が建てた名古屋城をそのままの姿で復元すると思っていた。
しかし基礎構造は鉄筋コンクリート、史実になかった階段もある。市民が誤解するのではないか」と質問しました。
広沢市長は「『本質的価値』を感じられるかどうかこれが本物かどうかをわけると考える。
史実になかった階段を付けるが、姫路城でも追加でつけているとおり、必要最低限の消防設備や避難路を追加しないと来城者を中に入れられない。それらがあっても本質的価値を感じていただける。」と述べました。
浅井正仁市議(自民・中川区)は「市民は徳川家康が建てた名古屋城を建てると想像する。現実には昭和実測図で建てる。ある意味印象操作。」と述べました。
小出昭司市議(自民・中村区)は「復元に本物も偽物もないと思う。河村前市長の言葉のマジックで、市民に大きな誤解を招くこともある。
また、2026年アジア大会に向けてなにかするのか」と質問しました。
広沢市長は「千載一遇のチャンスなのでしっかり検討したい」と述べました。
田中里佳市議(民主・天白区)は「河村前市長と広沢市長の『オリジナル』は違う意味なのか」と質問しました。
広沢市長は「文化庁審議官から『歴史というものは全て起きたことは全て価値があることだ』と言われた。
今まで起きてきた歴史全てがオリジナルではないかと考えている。」と述べました。
浅井正仁市議(自民・中川区)は「本会議で『江戸と令和を結ぶ名古屋の誇りの象徴』と述べたが、所長はどう思ったか」と質問しました。
所長は「そのとおり」と述べ、広沢市長も「そのとおり。日本が再び大戦争になってお城が燃えてしまうことがもうない、そういう決意の表れとしても感じていただけるのではないか」と述べました。
浅井市議は「無料化実験の場所を確かめに行ったが、本丸御殿は何も見えない。外国から来てもなんなんだということになる」と質問しました。
広沢市長は「管理の観点でいうと、表二の門で管理をするのがやりやすい。写真を撮りたいという人からお金をいただく観点でも表二の門が正しい。
本丸御殿だけ有料も難易度が高い話しでは内が、どこまでお見せするのが収益的に妥当なのか悩ましい」と述べました。
浅井市議は「収益が減ると言うが、何を根拠に言っているのか」と質問しました。
管理活用課長は「実証実験を行ってみないとわからない。有料エリアを限定すると減収するリスクがあると市長に説明した。旅行会社へのヒアリングはしていない」と述べました。
浅井市議は「実証実験だから開けよう。写真ぐらい撮らせてあげよう。バスガイドから聞いたが、大阪から来た人は『500円払ったのに天守閣に登れなくて詐欺みたい』と言っていた。」と質問しました。
広沢市長は「敬老パスと無料化実験を組み合わせれば、お金をかけること無く1日楽しめる。フリーミアムモデルなので、表二の門だけ管理すれば管理しやすいが、一度検討したい。
実態からすれば現在本丸御殿に入っている率は半分ちょっとだけ。本丸以外が全部見れると4割減収になるおそれがある。」と述べました。
浅井市議は「朝6時から開けて一緒に名古屋城内でラジオ体操しよう。」と質問しました。
広沢市長は「夜間は警備上の問題があり難しいが、朝ならできるかなと思う。」と述べました。
浅井市議は「名古屋市民が名古屋城に行かないのは有料だから。愛される城にしないといけない。
芳名板や大谷翔平選手の木をセントレアや名古屋市公館、名古屋駅で展示すれば機運醸成になると思う。現天守を閉めたときにやればよかった。」と述べました。
広沢市長は「バリアフリー市民討論会時の差別発言の検証結果を待って総括して再度スタート地点に立つ。その後速やかに機運醸成を図りたい。」と述べました。
浅井市議は「現天守復元の際は、笠に『名古屋城復元』と書いて配った。江戸城も歩いたポイントで寄附につながる。
河村前市長は松原元市長から代わった際、3つの事業を取り止めた。
1)陽子線ガン
2)本丸御殿
3)導水路
3つとも動き出している。
本丸御殿について河村市長は指示書を出した。これはどう取り扱うのか。」と質問しました。
・平成27年8月24日 指示書 市民経済局長 宮村喜明殿 名古屋市長 河村たかし
広沢市長は「指示書には4項目あり、既に完了もしくは着手に入っているため指示書としては役割を終えた状態かと思う。
問題は『全ての責任は私が取る』だが、これに限らず全般に対して私は最終的な責任を負っているので変わらない」と述べました。
浅井市議は「河村前市長は最後の委員会で『全責任は、材木は違う』って言い切って逃げた。広沢市長は立派だ。市職員は俄然やる気になったと思う。
一緒に木造復元に向けて頑張っていきたいと思う」と述べました。
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以下24/10/9河村前市長の最後の委員会発言をふり返ってみましょう。
河村前市長の無責任さの尻拭いを誰がどこまでさせられるのでしょうか。
名古屋市民はいったいどうすればよいのでしょうか。
名古屋市議会 会議録・委員会記録検索システム
・令和6年10月9日(水曜日) 経済水道委員会
◆浅井委員 そこで私が気になるのは、まず1点目、毎年木材の保管料を負担しているのは、そもそも誰のせいかという質問が1問目です。市長、これを市長に一度聞いてほしいというもので、市長、ちょっとお答え願えますでしょうか。
◎河村市長 木造の場合は、乾燥させないかぬもんで、当初は機械乾燥と、早く造ろうということでしたけど、いろいろなことがありまして、じゃあ、自然乾燥でいきましょうかということで乾燥をしとると。某所に保管されとりまして−−僕も一応あまり場所は言っていかぬということになっておりますので−−見に行きましたけど、順調にその作業は進んどるということでございます。
◆浅井委員 いやいや、全然答えじゃない。質問聞いて、これ一般市民の人が、これ僕じゃないから、一般市民の人に聞かれたと思って答えてね。毎年木材の保管料を負担しているのは、そもそも誰のせいか。
◎河村市長 誰のせいかといいまして、いや、もともと木造復元をやる場合は、木材は生木ではいかぬので乾燥させないかぬわけですよ。だから、これは木造復元に必然的に伴うものですよ。初めは強制乾燥をやるというつもりだったんだけど、強制乾燥は強制乾燥で強制乾燥機等要るわけですよ。そういうのもありますけど、たまたまいろんな事情の中で自然乾燥しておると。そういうことです。
◆浅井委員 市長、うちら議会は、木材買うときに附帯つけているんだよ。その附帯を破って買ったのは、じゃあ誰かということだよ。
(「破って買ったの。」と呼ぶ者あり)いや、だってうちら議会は附帯つけましたよ。(「どういう附帯でした。」と呼ぶ者あり)ちゃんと計画ができて、文化庁に許可が出てから材木は買うようにと。違いましたっけ。ちょっと詳しく覚えていないけど。
許可が出てからとは言っていないと思いますがね。ちょっと分かりませんけど。
◎山田観光文化交流局名古屋城総合事務所担当課長 平成30年6月の定例会でございまして、そのときの附帯決議ですけども、正確にちょっと読み上げますが、木材の調達に当たっては、文化庁から与えられた課題を確実に解決し、現状変更許可の見通しを立てた上で計画的に行うこと。事業費の上限を505億円とすることは市民や議会との約束であり、実現に向けて最大限の努力をすることでございます。
◆浅井委員 ね、市長。附帯をあまり軽く見られると困るんだわ。じゃあ、それではもういいです。(「見通しをつけてやっているじゃないの。」と呼ぶ者あり)見通しついとるなら2020年でしょう。当初2020年完成だったんだから。(「いろんなことが起こるわけです。」と呼ぶ者あり)だから見通しついていないじゃん。
じゃあ、次の質問いきます。(「どこまで見通すかどうか、それは……」と呼ぶ者あり)じゃあ、言わせてもらうなら、文化財をやるときは、事前に文化庁と石垣の調査、いろんなものをやって、ようやく初めてどれぐらいの年数でできると、そこまで積み上げていくんだよ。名古屋市の場合は2020年ありきで走ったからこうなっているんだよ。市長、この人の質問ちょっと次いかさせてもらっていいかな。
次、この人の質問は、全責任は私が取ると言っていたのはでたらめか。でも、さっき市長は全責任は私だと言ったもんね、だって。それはいいんだよね。
◎河村市長 それは当然名古屋城の行政のことについていえば、私も800万円給料をもらっとるし、実際市長の責任ということに、これは究極的にはなりますよ。
◆浅井委員 じゃあ、これは市長が全責任を取るということ。
◎河村市長 全責任はちょっと待ちなさいよ。誤解があるといかぬので、これは例えば1年遅れたと。保管料が1億円かかると。それについて私が個人的にその債務というか補償責任を負うと、そういうこととはこれまた違いますからね。それはそれでまた、もしそうなれば裁判で決着することになると思うけど、それはどういう理由で遅れていったかということは、厳密に誰の過失なんだということは、ちゃんと証明されてからのことになりますから。何でもかんでも結果責任として全部市長が個人責任を負うという、当然そういう意味じゃないですよ。
◆浅井委員 全ては私じゃないと。でも、市長は事あるごとに全責任はわしが取ると言っとったけど、今日初めてその細かい部分を言われましたね。
◎河村市長 法律的に責任を取るという、法律的に言うと結果責任ですよね。何かがあったときに誰の過失にかかわらず自分が責任を取ると、言っておきますけど、そういうことではないですよ。それは言葉で、それは僕の責任だというのは、みんなでいろいろ責任体制を職員で分担しながら、物事いうのはそれぞれやっていきますから。だけど、総体的にはやっぱり市長の責任だろうなということは間違いないです。そういう意味ですから。(「責任は責任」と呼ぶ者あり)何言っとるんですか、そんなことやったら市長やるやつ誰もおらぬ。
◆浅井委員 だから、全責任というとすごい格好いいんだよね。この指示書、ここにあるんだけど、いろいろ書いてあって、以上本件の全責任は私が取るので、各員全力で取り組まれたいみたいなことが書いてあるんだけど、でも、以上本件のこの部分は責任取るけどみたいな、今の市長の話だと何か大分ニュアンスが変わっちゃうね。
◎河村市長 そういう言葉の話、そんなこと言っとったら、世の中で市長や知事やる人誰もおらぬようになりますよ。それぞれの責任というのは分担しとって、全体の責任は僕であるということです。その法的責任を毎年1億円の賠償責任を負うと言ったじゃないかということになると、これは裁判になるといけませんので、これは使われるとまずいから。それはそういう意味じゃないです。そんなこと大体分かっとるじゃないの。
◆浅井委員 これ、全責任は私が取るなんて言っちゃ駄目だよ。そうならわざわざこんなことを言っちゃ駄目よ。勘違いする。
◎河村市長 そのときはぜひ、名前言うのはやめときますけど、某観光文化局長がやっぱりずっとやってきたけど、名古屋城天守はコンクリートで耐震補強やるという前提で昔進んどったから、そのくらいのこと言ってもらわなければ、書いてもらうんだ、それも文章で、進められぬから書いてくれいうことで、ほんならいいよと言ってそれは。
◆浅井委員 書いてくれと言われたから指示書を書くの。
◎河村市長 そりゃ書きますよ。
◆浅井委員 そんな軽いものなの。
◎河村市長 軽くないですよ。そんなことまでやらないかぬかいという話だよ。そんなことまで。
◆浅井委員 じゃあ書かぬときゃいいじゃん。(「いやいや、書いてくれな前へ進まないでしょう。」と呼ぶ者あり)
○北野委員長 河村市長、挙手してちゃんと発言してくださいね。
◎河村市長 書いてくれな前へ進めないと言われりゃ、それは書きますよ。
◆浅井委員 市長の全責任の意味がようやくこれで多分分かったもんで、多分職員の人たちも顎外れたんじゃないかなと思う。
◆小出委員 ちょっと意見言わさせてください。
ちょっと今お話聞いていて、あきれ返るばかりなんですけど、いろいろ今回私が一番やり取りを聞いていて、やっぱり何といっても一番の根源的な問題は、平成27年8月24日の指示書ですわ、指示書。これの一番下に、以上、本件の全責任は私が取るので、全員全力で取り組まれたい。
よく市長は、ラーメン屋の話だとか、いろんな話されます。民間企業でも、もし民間企業で社長が社員に対してこの文書を出したら、社長が全責任取ると言っているんですから。責任を取るってどういうことですか。これは、自分がその職をかけてでもやるんだという意味ですよ。皆さんそう取りますよ。
◎河村市長 そうでもあります。
◆小出委員 そうですよね。いや、そうでもじゃなくて、トップとしてはそういう意味で伝えなかったら意味がないじゃないですか。そうですよね。だからみんな必死にやるわけですよ。
そこで、市長は何て言いましたか。僕はこれが今日は一番びっくりしたことです。そうやって書かないと、前に進まないから書いただけ。(「だけとは言っていません。」と呼ぶ者あり)いや、そうやって、後からいいですわ。それで、これは僕はもう本当にびっくりしました。
これ、職員の人たち、今日のインターネットで放送聞いたらどういうふうに思うと思いますか。今までの市民経済局から始まって、観光文化交流局のこの名古屋城に関わった人たち。この人たち全員は、この指示書に基づいて動いているわけですよ。皆さん、市長が市長の立場をかけて全責任取るからみんなやってくれと言うから、俺たちも命がけになって、必死になってやろうとしたわけですよ。そうですよね。
◎河村市長 そうです。
◆小出委員 そういう思いを、市長、この言葉は踏みにじっているのと一緒ですよ。市長は重くなかったと言っているんでしょう。それで、もうちょっと聞いてください。それで、結局みんな職員が無理したんですよ。いや、無理しているじゃないですか。それで、2020年の話や22年の話、無理をして無理をして、それでせっかくいいものがもっと早くできるはずだったのに、無理をして全部歯車が狂ってしまった。それを我々は是正しようとして、市長に言っても全然理解をしてくれない。その結果が、現在において全く何も動いていないという状態を生んじゃったんじゃないですか。
だから、私は、やっぱり実際に動いているのは職員の皆さんですよ、だから、この発言というのは、市長は職員を裏切ったと一緒なんですよ。どうぞ
◎河村市長 諦めていかぬですけど、毎年1億円のお金がかかるようになるという話の中で、そういうのを例えば損害賠償請求を河村たかしに出すとか、そういうのはやめてくださいよと、そういう意味です。(「言ってない」と呼ぶ者あり)いやいや、話の流れはそういう意味ですから。そういうことなんであって、あなたは言っとらんけど。(「僕に言ってください」と呼ぶ者あり)あなたはそれを言っていないけど、流れは浅井委員の言っとる、その人の文書もそういうことですから。言わんとしとるところは。だけど、そういうものではないですよということで。
◆小出委員 言わんとしていることを今から言いましょうか。言わんとしていることは、市長はそういう考え方でこの指示書を書いたわけですよ。
◎河村市長 何を。
◆小出委員 何を。もう一回言いましょうか。そうやって書かないと前に進まないから書いたと。
◎河村市長 と言われたということは事実です。
◆小出委員 いやいや、市長が今言ったじゃないですか。こうやって書かぬと。だから、市長、そういう意思で書いたということでしょう。(「前に進まないからと言われましたので。」と呼ぶ者あり)
○北野委員長 挙手してから。
◆小出委員 いや、だからまあいいや。書いたのは市長だから、結局それは市長の意思。まあ、またすり替えるようなことはやめよう。もうまたそんなことをやってもしようがないから。つまり、この言葉を職員の皆さんは信じて、命がけでやってきたんですよ。病気になった人も幾人か聞いていますよ。そんなことをやってきたのに、何だと、そんなことだったのかということが今日分かりました。それで、それで、市長が……(「誤解だと言ってください。」と呼ぶ者あり)
○北野委員長 挙手してから発言してください。静かにしてください。
◆小出委員 いや、市長、自分で言ったんだから。まあいい、あとからインターネット……。
25/3/11(火) 名古屋城木造復元事業令和7年度予算 木材保管費用1億1495万3千円は「必要最低限」なのか?
迷走している名古屋城の木造復元事業!
名古屋城の木造復元事業に、また1億円超の無駄な支出!?
そもそも、なぜ未だに解体すら進んでいないのか?
2022年12月に竣工するはずだった名古屋城木造復元事業。
しかし、2025年3月現在、解体のメドすら立っていません。
にもかかわらず、名古屋市は名古屋城木造復元事業として木材保管費用1億1495万3千円を含め、令和7年度予算に1億9908万8000円を計上しました。
25/3/11名古屋市議会経済水道委員会では、木材保管料については市議から特に指摘はありませんでした。
その議論を見ていきましょう。
・25/3/11 名古屋市議会経済水道委員(名古屋城関係分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
名古屋市は、名古屋城金シャチ横丁義直ゾーンの南に「名古屋城博物館」を構想しています。
2700万円かけてその予定地の一部の試掘調査を行い、基本計画策定等を行う予定です。
みつなか美由紀市議(共産・緑区)は「閉鎖されている現天守閣は『博物館』で各種展示がなされていた。
木造復元後は天守内には展示空間を設けないという計画。
差別発言の局としての総括もまだ終わっておらず、事業はいったん止まっているが、各種予算を計上しているのはどういう考えか」と述べました。
名古屋城総合事務所は「差別発言の局としての総括が終わるまで事業を前に進めない。
令和7年度予算は、特別史跡内の遺構保存の観点から欠かすことができない必要最低限のものとして計上させていただいている」と回答しました。
みつなか市議は「石垣保存対策工事の令和7年度への繰越額が1億7725万円あり、かなりの額になる。これが必要最低限なのか非常に疑問」と述べました。
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以下感想
「木材保管料 1億1495万3千円」が本当に「必要最低限」なのでしょうか。他の予算と並べて比較してみましょう。
令和7年度予算案1億9908万8000円の内訳は以下です。
・実施設計 1335万4千円
・設計監理等支援業務委託 610万円
・木材製材 1億1495万3千円
・石垣保存対策 2686万3千円
・木造天守閣昇降技術開発 3781万8千円
一番問題なのは「木材製材」という名目の木材保管料1億1495万3千円です。これを「必要最低限」というのは詭弁です。
名古屋城木造復元事業を複雑化させている木材購入(2016年度〜2023年度で木材の製材等41億6370万9000円)はなぜ市議会の附帯決議に反してまで強行されてしまったのか。
その上、そもそも払う必要が無く、今後いつまで支払うかわからない木材保管料を毎年約1億円ずつ支払っているのはなぜか。
名古屋市は『必要最低限の予算』と言いますが、実際には過去の判断ミスによるコストが積み重なっているだけではないでしょうか?
まずは、なぜこのような事態になったのかを明らかにし、責任の所在を追及することが先決ではないでしょうか。
この問題について、名古屋市は十分な説明をしているでしょうか?
市民の税金がどのように使われているのか、今こそ私たち一人ひとりが関心を持つべきではないでしょうか?
25/3/10(月) 自民市議「戦後復興の象徴である名古屋城現天守を壊して木造復元する理由はなにか?」
名古屋城の木造復元事業は迷走している!
戦後復興の象徴を壊す必要があるのか?
2022年12月に竣工するはずだった名古屋城木造復元事業。しかし、2025年3月現在、解体のメドすら立っていません。
市民の寄付金も激減し、「本当に復元する意味があるのか?」という疑問の声が高まっています。
「耐震性が低い」として2018年5月7日から名古屋城天守閣に入場できなくなって早7年が経とうとしています。
25/3/10名古屋市議会では、自民党市議団の浅井正仁市議が「戦後復興の象徴である現天守を壊して木造復元する理由はなにか?」と広沢一郎・新市長に鋭く尋ねました。
・25/3/10 名古屋市議会本会議(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
成田たかゆき市議(自民)は、「現在障害者差別解消推進条例の改正案が提出されており、市が差別事案の当事者であれば場合の紛争解決の仕組みが追加されている。
7年前に私が、『名古屋城の関係で差別に該当することになったら市長が自ら勧告することになるのか』とただしたら、『市が当事者となるのは想定していない。市が最後まで責任を持って、障害者の方と対応する』との答弁した。
5年後に残念ながら現実のものとなったことは極めて許し難い。」と述べました。
浅井市議は「2度と燃えない城にしたいという当時の名古屋市民の思いを込めて、昭和34年に今の鉄骨鉄筋コンクリート天守閣で再建した。
あえて壊れてもいない現在の天守閣を取り壊してまで木造に復元する意味は何か。
熊本城は熊本地震で大きな被害を受けたが、震災の復興の象徴として震災から5年後には完全な復旧がなされた。
名古屋城は10年近く前の2016年の市民アンケートの結果を未だに根拠にしている。
令和5年度の寄付金は年間2000万ほど、当初の頃の約10分の1になり、市民の復元の機運が高まっているとは思えない。
名古屋城よりずっと古い昭和8年建築の名古屋市役所本庁舎は大規模な免震補強を実施してまで重要文化財に指定された」と述べました。
浅井市議は「本当に丁寧に進めていたら今頃、解体が始まってたんじゃないか。名古屋城の屋根裏に現天守へ寄附者を行った『芳名板』がある。
これで機運の醸成をはかってはどうか」と提案しました。
浅井市議は「特別史跡を構成する石垣の上に、当時の姿に現代の技術を駆使して復元することに価値がある。
天守閣の木造復元は、江戸と令和を結ぶ名古屋の誇りの象徴であるべきだ。
市長は『史跡の保護、現天守の価値の評価、機運の醸成』と述べたが、バリアフリーという大切な要件が入った。
今回市長と議論ができた、これは対立から対話に変わったと思っている。
名古屋城、買ってしまった木材どうするのかしっかりと考えていきたい」と述べました。
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以下感想
▼名古屋城木造復元の問題点
@ 市民の関心が低下している
- 2023年度の寄付金は約2000万円。2017年度の約1/10。
A バリアフリー問題
- 市の条例改正により、復元計画の矛盾が浮き彫りに。
B 建設費の高騰
- 資材費の上昇により、当初想定よりも大幅にコスト増が想定。
浅井市議の前半の議論はその通りだと思いますが、どうして「機運醸成」にいこうとするのか不明です。
寄付金が集まっていないのは、市民が木造名古屋城を望んでいないからです。
・寄付金額一覧
令和5(2023)年度 2000万円程度
令和4(2022)年度 190,972,470円
令和3(2021)年度 103,546,008円
令和2(2020)年度 78,604,761円
令和元(2019)年度 62,495,813円
平成30(2018)年度 131,783,050円
平成29(2017)年度 207,357,485円
河村たかし・前名古屋市長は「市民税減税すれば寄附が集まる」と常日頃いっていましたが、現状はそうなっていません。
河村前市長が言っていた「寄付金目標100億円」からは程遠いです。
なお、2016年(平成28年)6月広報なごや折込資料「名古屋城天守閣の整備」掲載の収支計画によれば、2016年(平成28年)度〜2069年(平成81年)度の54年間の入場料収入総額が979億円。
建設費元金が約505億円、利子が約101億円となっています。
いまだに竣工時期すら決まらない名古屋城木造復元事業。
建設資材高騰により、当初の想定よりはるかに建設費がかかると想定されます。
少なくとも、購入済の木材保管費用は年間1億円余分にかかります。
名古屋城木造復元事業は、市民の関心を失いつつあります。寄付金は激減し、竣工のメドも立っていない。
あなたは、今の名古屋城木造復元計画に賛成ですか? 反対ですか?
情報を全て公開した上で、今こそ市民の意見を再度確認すべき時ではないでしょうか?
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今後の予定
・25/3/11(火)午前10時 経済水道委員会 付議議案審査[質疑(経済局、観光文化交流局関係)]
・25/3/13(木)午前10時 経済水道委員会 付議議案審査[資料質疑・質疑(経済局、観光文化交流局関係)]
・25/3/14(金)午前10時 財政福祉委員会 付議議案審査[資料質疑・質疑(健康福祉局関係)]
・25/3/15(土)14時〜 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例勉強会 市政資料館
・25/3/17(月)午前10時 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(経済局、観光文化交流局)]
・25/3/18(火)午前10時 財政福祉委員会 付議議案審査[総括質疑(健康福祉局関係)]
・25/3/19(水)午後1時 経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(3局一括)]
午後1時半 午後1時30分 財政福祉委員会 付議議案審査[意思決定(2局一括)]
午後1時半〜 石垣・埋蔵文化財部会(名古屋市公館)
・25/3/21(金)午後2時〜 第64回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(名古屋市公館)
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25/2/25(火) 広沢市長「名古屋城木造復元時 入場料は『柔軟に考えたい』」
広沢一郎・名古屋市長は、25/2/25市長定例記者会見で記者から名古屋城木造復元時の入場料について問われ、「元々入場料で事業費をまかなう計画なのでその通りにやりたい。ただ値段は柔軟に考えたい。今500円は極めて安いという声もあるので、海外の城の事例等もみながら適切な値段を付けたい」と述べました。
・25/2/25(火)広沢一郎名古屋市長定例記者会見
・25/2/25(火)広沢一郎名古屋市長定例記者会見(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、文字起こしアプリによる文字起こし
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以下感想と補足説明
2016年(平成28年)1月18日の河村たかし名古屋市長会見では「500円で400万人入場者を見込む」としています。
その後2016年(平成28年)4月22日ならびに同年12月5日名古屋市議会経済水道委員会説明資料、平成28年6月広報なごや折込資料「名古屋城天守閣の整備」では、「市民は450円、市民以外は1000円」としました。
2017年(平成29)に第三者機関が天守閣木造復元に関する入場者数見込み及び収支計画について調査(名古屋城木造復元が2022年12月完成、リニア新幹線が2028年度に開業の前提)した際は、「市内450円、市外1000円」という前提条件でした。
2018年(平成30年)1月19日 北文化小劇場での市民向け説明会 質疑応答で舘主幹(当時)は「木造復元したあかつきには1,000円にするという形で入場料金を設定して収支計画をたてた。収支計画を自体は3月中には出来上がる予定」と述べています。
2018年(平成30年)2月発行の広報なごや折込資料「名古屋城天守閣特集号」には入場料については特に記載はありませんでした。
現状、名古屋市は「文化庁への現状変更許可申請時期が定まらず、竣工時期が決まっていないので、申請時期が定まってから収支見込みを作る」としています。
2024年(令和6年)7月1日 河村たかし市長定例記者会見で「名古屋城における外国人料金は『感じ悪い。僕はそれはちょっと考えとらんですね」と述べています。
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当初は「2022年12月までに入場料だけで木造復元」を見込んでいたのはその通りですが、2023/3/14名古屋市議会経済水道委員会で、名古屋城総合事務所の荒川宏主幹は名古屋城木造復元について「順調にいって2032年度」と初言及しました。
その後のバリアフリー市民討論会での参加者の差別発言もあり、現在は木造復元事業は事実上ストップしています。
年間約1億円の木材保管費がかかるだけでなく、人件費・各種資材も高騰しており、抜本的に収支見込みを見直すべきなのですが、そうなっておりません。
小型の「新昇降技術」で何階まで登れるかをMHIに委託して2027/3/19期限で技術開発しており、あと2年で技術的な結論がでます。
その結論を障害者団体が「納得」するかどうかは不明ですが、日弁連は2022/10/24に「車椅子が入れる大型のエレベーターを最上階まで設置しないのは、憲法第13条及び第14条第1項並びに障害者の権利に関する条約第5条第1項及び第2項、さらに、憲法第13条及び第14条第1項の趣旨を具現化した障害者基本法や障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律等に違反する」と名古屋市長宛てに要望書を出しました。
今後、木造復元事業ができるかどうか分かりませんが、仮に建物ができるとしても、収支計画はどうなるのでしょうか。建設費等高騰のため、入場料を今より大幅に値上げした場合、「税金を投入しない」という当初の計画が崩れるおそれもあります。
せめて、「仮に今着工した場合」の収支計画を公表して、市民の判断を仰ぐべきではないでしょうか。
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今後の予定
・25/2/27(木)午前10時30分 名古屋市議会経済水道委員会 付議議案審査[質疑(経済局、観光文化交流局関係)]
・25/3/4(火)午前10時30分 経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(3局一括)]
・25/3/10(月)午後個人質問
成田たかゆき議員(自民)[30分]
障害者差別のない共生社会の実現について
(1)車椅子利用者の市バス乗車
(2)車椅子利用者のためのバリアフリー
(3)バリアフリーの理念と実効性のある障害者差別解消の仕組み
名古屋城と東郷町諸輪地区(旧諸輪村)との歴史的関係の伝承について
浅井正仁議員(自民)[30分]
名古屋城天守閣木造復元について
・25/3/11(火)午前10時 経済水道委員会 付議議案審査[質疑(経済局、観光文化交流局関係)]
・25/3/13(木)午前10時 経済水道委員会 付議議案審査[資料質疑・質疑(経済局、観光文化交流局関係)]
・25/3/15(土)14時〜 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例勉強会 市政資料館
・25/3/17(月)午前10時 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(経済局、観光文化交流局)]
・25/3/19(水)午後1時 経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(3局一括)]
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・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
25/2/3(月) 名古屋城石垣部会委員「戦災被熱した石垣と被熱していない石垣を同じように保存対策してはいけない」
25/2/3(月)に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会(第64回)が開催されました。天守台西側内堀御深井丸側石垣(U66)と鵜の首水堀側石垣(S10)の保存対策について議論になり、構成員の宮武正登・佐賀大学教授は「戦災被熱した本丸北側内堀御深井丸側石垣(U65)と、被災していない石垣(U66.S10)を同じように扱ってはいけない。U65は解体修理のために釣り上げたら粉砕してしまう。U66やS10は解体修理が可能」と述べました。
・25/2/3 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第64回) 配付資料
名古屋市民オンブズマンによるメモ
名古屋城総合事務所は、優先的に保存対策を進める石垣として、来場者の動線上でかつ痛みの激しいU65、U66、S10をあげ、U65については対応方針を以前の石垣部会で了承しました。
今回、名古屋城総合事務所は「U66、S10も、原則としてU65の保存対策の手法に倣う」と提案しました。
宮武教授は「U66-2については、濃尾地震後に根石から積み替えた可能性が高い。
U66-1も幕末以降根石から積み替えられている。S10の危険な状況は分かっていた。
南海トラフが想定されているので、対応を考えなければならない。
『今石垣が動いていないからよい』『地震時のため何らかの対応が必要』『人が上を歩く』『木造天守工事のために石垣前面を埋める』などいろんなステージがある。
どこからどこまでが不安定か。『傷んだ石垣をU65と同様に補修する』 『現時点での調査結果では、1か所だけ根石から積み替えだから安全』というのは見直しを」と述べました。
西形達明・関西大学名誉教授は「鵜の首(S10,U66-2)は石塁タイプであり、計算上不安定に分類される。長期的に安定化を考えざるをえない」と述べました。
宮武教授は「小天守西側石垣(U56)は今回どうして対象から外したのか。状況は一番ひどい。人は通る動線では無いが、以前、木造天守を作る際、トラックヤードをどうするか、内堀を埋めたらどうするかという議論をした。結局どうするかの議論が『調査をしよう』で止まっている」と述べました。
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以下感想です。
2023/6/3名古屋城バリアフリー市民討論会での参加者の差別発言ならびにその後の市の対応のまずさから、事実上名古屋城木造復元事業はストップしています。
市民討論会以前、木造復元をするには内堀を軽量盛り土で埋め立て、その上をトラックが資材を載せて走ることが想定されていました。
(参考:令和5(2023)年6月12日 特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画 08_第7章_現天守閣の解体・木造復元時における仮設計画)
石垣上部や内堀の底がトラックや資材の重さに耐えられるのか、そもそも被熱した石垣の表面と軽量盛り土が接触すると、石垣表面がはがれるのではないかという懸念がありました。
U65石垣については、緊急性を要するということと、戦災で被熱しているため解体修理をするとよりダメージを与えてしまうことから、間詰石の締め直し、補充や築石間の空隙の充填、破損石材の修理で対応することになりました。
今回、名古屋城総合事務所は明確に「U66.S10は戦災被熱していない」と明言しました。
そうであれば、1日数万人が上を通る主要動線であるU66.S10石垣は解体修理も検討に値するのではないでしょうか。
にもかかわらず、小手先の対応に終始しようとする名古屋城総合事務所は、どうしても「木造復元事業を早急に進めたい」という思いがあるとしか思えません。
何百回も繰り返しますが、「特別史跡名古屋城跡」の石垣の多くは、江戸時代に作られた「本物」です。
近い将来に起こるとされる南海トラフ地震で「本物」の石垣が壊れるのを可能な限り予防すると共に、石垣が壊れて人命が失われることは名古屋市総力をあげて避ける必要があります。
名古屋城木造天守の復元の意味をどう捉えるかは人それぞれだとは思いますが、木造復元を優先するあまり、人命が失われる事態ならびに「本物の石垣」が毀損する事態はあってはいけません。
何百回も繰り返しますが、「本物」の石垣について、どうなっているか調査が不十分でした。ようやく石垣調査を一部行いましたが、まだ全体像がわかっていません。
にもかかわらず、河村前市長は木材を41億6370万9000円分購入してしまい、毎年木材の保管料を約1億円支出しています。
「木造復元前のめり」になるあまり、「本物の」石垣対策をおろそかにしてきたという反省は、市長が替わっても対策に反映されていないようです。
なお、現在積み直し作業がなされている本丸搦手馬出石垣(1557.8u、4393個)は、2002年〜2018年に解体作業が行われ、2023年以降積み直し作業を行っています。
25/1/10(金) 名古屋市令和7年度予算要求財政局査定 名古屋城木造復元約1.9億円「市長査定で対応を検討」
名古屋市は25/1/10に「令和7年度予算要求に対する財政局査定内容の公開」を行うとともに、予算要求(追加及び変更分)の内容についてのご意見募集を25/1/10(金)-25/1/20(月)まで行うと発表しました。

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一般的に、自治体の予算編成過程は以下のように行います。
予算編成方針
↓
各部局の予算要求
↓
財政部局査定
↓
首長査定
☆予算案
↓
議会審議、決定
↓
執行
多くの自治体では、予算案が議会に提出されるまでは行政内部においてのみ予算編成権が行使されてきており、このプロセスに市民が関与するための具体的手段はほとんど制度化されてきませんでした。
そんな中、予算の編成や執行の過程に住民が参加する「参加型予算」の取り組みが一部自治体において見られるようになり、参加型民主主義の一つの方向として注目されています。
名古屋市は、「予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例」に基づき、当初予算の各部局の予算要求や財政部局査定、首長査定を公開するとともに、各部局の予算要求時に市民意見を募集し、予算案が確定した後に「市民意見の内容及び市の考え方」を公表してきました。
・予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例
・予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例施行細則
調べたところ、令和3年度当初予算案からは、各部局の予算要求時だけでなく、財政部局査定後も市民意見を募集していたことが判明しました。
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各局からの要求に対する財政局案の考え方は以下の通りです。
@所管局の要求(見積り)通り
A事業内容、積算内容を精査のうえ計上
B経常経費の範囲内で対応を検討
C現段階では未計上
D市長査定で対応を検討
それによれば、観光文化交流局関係予算では、名古屋城天守閣の整備(天守閣の整備に係る設計監理等支援業務委託、実施設計、木工事及び石垣保存対策等)1億9000万円の要求を追加して行いましたが、「市長査定で対応を検討」(D)としました。
これでは内訳が分からないため、名古屋城総合事務所に25/1/10に電話で確認しました。
・設計監理等支援業務委託 610万円
・石垣保存対策支援業務委託 190万円
・事務費等 2831万7千円
・実施設計 1335万4千円
・木材製材 1億1495万3千円
・石垣保存対策 2496万3千円
合計1億9000万円(1億8958万7千円を切り上げ)
木材製材費用が、令和6年度予算が9998万5千円にもかかわらず、今回値上げしている理由を聞きましたが、「現時点では予算要求なので」と回答されませんでした。
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名古屋城天守閣木造復元事業については、竹中工務店との2022年12月末までに完成させるという基本協定期限が切れ、「暫定的に」実施設計、木材製材等の期限が延長されています。
いまだにいつ完成するのかは不明です。
どうして完成する目処も立っていない中、市議会でも2021/3/19に「名古屋城天守閣木造復元にかかる予算については、文化庁の文化審議会において正式に「木造復元」の許可がされた後に執行すること」附帯決議をあげているにもかかわらず木材を先に買ってしまい、保管料として年間約1億円も支出し続けるのか全く理解できません。
しかも後述の通り、順調にいっても着工まで約5年半かかるとしたら、さらに約5.5億円も税金が投入されることになります。
・2021/3/19 市議会附帯決議
また、名古屋城木造天守閣昇降技術開発について、履行期間は2027/3/19であることが契約書の情報公開請求で判明しました。
履行期間後、文化庁復元検討委員会で検討(2年-2年半)、工事(6年半)だとすると、順調にいっても完成するのは今から約12年後の2036年度ではないか、と名古屋市民オンブズマンは試算しました。
障害者団体は「今回公募で決まった小型昇降技術は人権侵害であり承服できない。
市民を分断し、差別を助長する名古屋城木造天守復元事業を即時中止すること」と述べています。
日弁連も22/10/24に名古屋市に対し、「あえて大型エレベーターを設置しないのは差別でかつ憲法・条約・法律等に違反し、最上階までの大型エレベーターを設置するよう」要望しています。
このような「差別の城」に税金を投入し続けてよいのか、令和6年能登半島地震からの復興や、将来起こるとされている南海トラフ地震への備えが優先するのではないか、市民の良識が問われています。
ぜひ25/1/20(月)まで、予算財政局案に意見を言いましょう。
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・22/9/22 全国市民オンブズマン連絡会議
「予算編成過程・住民参加状況調査結果」
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・予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例
・予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例施行細則
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なお、名古屋城木造復元事業以外の名古屋城関係事業の査定内容は以下です。
「木材保管料1億円を他に回すことができれば」と思わざるを得ません。
参考になれば幸いです。(単位:100万円) ( )書は一般財源額
令和6年度予算額
令和7年度要求額
財政局案
【@所管局の要求(見積り)通り】
・天守閣閉館中の魅力向上事業
天守閣閉館中の魅力向上に資する、民間事業者と連携した催事
情報発信等
令和6年度予算額 84(−)
令和7年度要求額 85(−)
財政局案 85(−)
・名古屋城本丸御殿長期保全計画の策定
名古屋城本丸御殿を後世に遺し続けていくため、長期保全計画を策定
令和6年度予算額 13(13)
令和7年度要求額 8(8)
財政局案 8(8)
・重要文化財表二之門 の修復
重要文化財表二之門の大規模修理に伴い、雁木復元整備を行うための検討及び基本設計を実施
令和6年度予算額 17(8)
令和7年度要求額 14(7)
財政局案 14(7)
・名古屋城重要文化財建造物等保存活用計画の策定調査
名古屋城内の重要文化財建造物等に関する保存活用計画の策定に向けた石垣耐震診断
令和6年度予算額 51(26)
令和7年度要求額 10(5)
財政局案 10(5)
・名古屋城天守閣寄附金の募集及び積立
名古屋城天守閣木造復元のための寄附金の募集及び基金への積立
令和6年度予算額 112(12)
令和7年度要求額 106(5)
財政局案 106(5)
【A事業内容、積算内容を精査のうえ計上】
・名古屋城観覧環境の整備
観覧環境の改善のため、多様な来場者に配慮した看板の整備
令和6年度予算額 50(50)
令和7年度要求額 104(11)
財政局案 80(8)
・名古屋城園路等改修
来場者が安全、快適に城内を観覧するため、園路の改修を実施
債務負担行為 期間 8年度
限度額 66百万円
令和6年度予算額 20(9)
令和7年度要求額 207(21)
財政局案 180(18)
<財政局案概要>
債務負担行為 期間 8年度 限度額 5800万円
・名古屋城二之丸庭園 の保存整備
名勝名古屋城二之丸庭園の保存整備のための発掘調査及び修復整備等
令和6年度予算額 59(24)
令和7年度要求額 144(34)
財政局案 143(34)
・名古屋城水堀における舟運事業
名古屋城の本質的価値への理解を深め、魅力向上を図るため、
水堀における舟運事業実施に向 けた船着場の設置工事等
令和6年度予算額 − (−)
令和7年度要求額 200(24)
財政局案 200(24)
【B経常経費の範囲内で対応を検討】
・名城エリア観光拠点化事業
名城エリアを歴史・観光・文化・スポーツ拠点とするための
基本構想の策定及び構想を踏まえた事業を実施
令和6年度予算額 10(10)
令和7年度要求額 5(5)
財政局案−(−)
・名古屋城茶席の改修等
経年劣化した茶席の改修及び竹垣の更新に向けた設計及び工事
令和6年度予算額 − (−)
令和7年度要求額 22(22)
財政局案 −(−)
・名古屋城内苑トイレの改修
和式便器を洋式便器に更新するなど、トイレ環境を改善
令和6年度予算額 − (−)
令和7年度要求額 10(10)
財政局案 −(−)
・名古屋城植栽管理計画に基づく植栽管理
令和6年度に策定する植栽管理計画に基づき、植栽管理を実施
令和6年度予算額 − (−)
令和7年度要求額 11(11)
財政局案 −(−)
・名古屋城外堀排水路改修
劣化した外堀排水路の改修工事を行うとともに、未調査区間の劣化状況調査を実施
令和6年度予算額 − (−)
令和7年度要求額 31(9)
財政局案 −(−)
【C現段階では未計上】
・名古屋城デジタルミュージアム構築事業
名古屋城所蔵品等をデジタルアーカイブ化し、ウェブ上で公開
するとともに、データを活用した事業を実施
令和6年度予算額 − (−)
令和7年度要求額 121(60)
財政局案 −(−)
・名古屋城こどもファスト・トラック等優先入場実証実験
名古屋城において、来場者の特性に応じた受入環境の整備を図るための実証実験を実施
令和6年度予算額 2(2)
令和7年度要求額 2(2)
財政局案 −(−)
【D市長査定で対応を検討】
・現天守閣の活用
平成30年以降閉館している現天守閣のエレベーター棟を
活用した眺望体験を実施
令和6年度予算額 − (−)
令和7年度要求額 20(20)
財政局案
・金シャチ横丁第二期整備(博物館の整備)
金シャチ横丁構想のさらなる推進のため、名古屋城の価値や魅力等を
伝える博物館基本計画策定に向けた発掘調査等を実施
令和6年度予算額 − (−)
令和7年度要求額 29(29)
財政局案
・金シャチ横丁第二期整備(多目的休憩所の整備)
多目的休憩所建設工事等の実施
債務負担行為
期間 8〜9年度 限度額1,582百万円
令和6年度予算額 − (−)
令和7年度要求額 6(6)
財政局案
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・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
・名古屋市民オンブズマン・減税・予算編成過程の公開
24/12/5(木) 広沢新市長 名古屋城木造復元は「公約通り」に小型昇降機をできる限り上層階までチャレンジと明言
24/12/5名古屋市議会本会議で、広沢一郎・新名古屋市長は「公約通り」に「小型昇降機をできる限り上層階まで設置することにチャレンジし、史実性とバリアフリーを両立させたい」と明言しました。
・名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
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24/11/24投開票の名古屋市長選の際、「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」からの公開質問状に対し、広沢候補(当時)は以下回答していました。
以下、質問と回答を対応させました。
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名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会様市長選挙アンケート
2024年11月7日
名古屋市長選挙立候補予定者 様
名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会
共同代表 斉藤縣三
小川直人
名古屋市長選挙における公開質問状
選挙準備にお忙しいことかと思います。
河村市政における名古屋城木造天守復元事業は、本物復元を目指す市民と誰も排除しないためエレベーター設置を求める障害者との間に深刻な分断を生み出し、市主催の討論会で差別発言が行われ、市職員も制止しないという状況まで発生しました。この原因を作ったのは、 様々な問題点を指摘されたにも関わらず、河村市長が 「エレベーター設置をしない」 という方針を撤回しなかったことです。このことにより、多くの人が傷つき、苦しめられました。 そこで、同じ過ちを繰り返さないためにも、以下の問いに対し、貴方様のお考えをお聞かせください。 なお、頂いた回答につきましては、 当団体ホームページ等を通じて、幅広く公表させていただくことをあらかじめご承知おきください。
回答者 広沢一郎
1. 名古屋城木造天守復元事業について、継続しますか、それとも中止しますか。
A. 継続する B. 中止する C. その他
回答: A (名古屋城木造復元事業を継続していく)
自由記述:
2. 1.で 「継続する」 「その他」 とお答えいただいた方に、お聞きします。
木造天守を復元する場合は、 どのようにエレベーター (昇降装置を含む) を設置します
か。
A. 最上階まで設置する B. 1階まで設置 C. その他
自由記述欄
回答: C (その他)
自由記述: 令和2年の文化庁の復元の基準に則った歴史的建造物の復元を目指している。 そのため梁、柱等の躯体への影響、内部意匠への影響等、歴史的建造物の本旨的な価値を壊さない範囲内 でのバリアフリーに積極的に取り組んでいきたい。
11人乗りのバリアフリー対応エレベーターは、梁、柱を相当数取り外したり破損させるこ とになるため設置はできない。
新技術として公募した昇降機については、天守の構造上、上層階に行くほど床面積が狭くなり、かつ周辺部に梁柱が密集しているため、 中心部に設置しないといけない等の課題がある。
この辺りをしっかりと考慮しながら設置についてしっかりと検討して参りたい。
また昇降機が上層階に設定できない場合でも、他の技術や運用等をしっかりと検討して少しでも上層階へ皆様に上っていただけるように努めて参りたい。
3. 1. 「中止する」 「その他」 とお答えいただいた方に、 お聞きします。 木造天守復元に変わるどのような対応をとられるのでしょうか。
A. 現天守の耐震工事を行なう B. 改めて市民の声を聞く C. その他
自由記述欄
3 は回答不要
4. 歴史的建築物の復元とバリアフリーの実現という、 現代の二つの価値についての基本的
な考え方をお聞かせ下さい。
自由記述欄
4. 自由記述: 建築基準法第3条にある通り、 歴史的建造物の復元については、 建築基準法の適用が除外される。 その逐条解説には適用除外の理由として「国宝などの文化財は先人が我々に伝えた貴重な財産であり、これを保存し、後世に伝え、あるいはその活用を図って、国民ひいては世界の文化に寄与することはわれわれの任務であるので、本法を文化財などの建築物に直接適用することは適切であるとはいえない。しかし、文化財といえども社会的な存在である以上は社会に与える影響を考え、安全上、防火上及び衛生上支障がない構造にする必要がある」 と規定されている。 この規定により文化財の復元のために、防災、防火のための設備負荷は必須だが、バリアフリー法の適用は除外されるとされている。そのため史実に忠実な復元を目指していきたい。もちろん障害者差別解消法に則りすべての皆さまにワンフロアでも上に上っていただけるよう昇降機や運用等を工夫して最大限努力をしていきたい。
5. 投票日までの間に、 私どもと懇談の機会を持って頂くことは可能でしょうか。
A. はい B. いいえ C. その他
自由記述欄
5. 回答:C ( その他)
自由記述 選挙期間中は日程が立て込んでおり、集会等では15分程度の予定しか組めなく 貴団体にとって失礼になるため、選挙後早い期間で責団体としっかり意見交換をさせてい ただく時間をいただければと思っている。
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以下感想
名古屋城木造復元事業は、「河村前市長と市職員の方針が異なる」という、極めて異例な進め方をしてきました。
バリアフリーについて、これまで市職員が行ってきた方針(河村前市長もいったんは認めた)である、「小型昇降機をできる限り上層階まで設置する」を広沢新市長もとっています。
ただ、「すべて河村前市長の公約を引き継ぐ」としてきた広沢新市長の方針に、河村前市長はどう対応するのか。
また、河村前市長が言ってきた「江戸時代そのものの本物復元」をそのまま信じて広沢候補に投票した市民はどう反応するのか。
そもそも、「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」をはじめとする障害者団体は、「車いす1台が乗降できる小型昇降機はバリアフリーからは程遠い」として、最上階までの大型エレベーター設置を求め続けています。
日弁連は22/10/24に「車椅子が入れる大型のエレベーターを最上階まで設置しないのは、憲法第13条及び第14条第1項並びに障害者の権利に関する条約第5条第1項及び第2項、さらに、憲法第13条及び第14条第1項の趣旨を具現化した障害者基本法や障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律等に違反する」と名古屋市長宛てに要望書を出しました。
小型の新昇降技術で何階まで登れるかは、7811万1000円でMHIに委託して2027/3/19期限で技術開発しており、いまだに確定していません。
広沢市長は、「公約通り」に「選挙後早い期間で責団体(名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会)としっかり意見交換をさせていただく」のでしょうか。
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2024年12月3日 水野誠志朗の尾張時代の信長をめぐる
広沢新市長はいつ「復元木造天守にエレベーターをつける」と言い出すでしょうか
24/11/21(木) 千田教授「『石垣部会が邪魔しているから名古屋城木造復元が進まない』ではない!」
千田嘉博・名古屋市立大学教授は、24/11/20-21に自らのXにて名古屋城木造復元事業について以下述べました。
引用します。
・2024年11月20日 午後7:07
特別史跡における復元建物として、文化庁の審議会の許可を得るのに必要な学術調査と法規に基づく手順を、名古屋市役所がしてこなかったのが問題なのです。千田の指摘が正しかったことは、名古屋市役所の復元計画が文化庁から門前払いされていることが証明しています。問題の本質を理解しましょう。
・2024年11月20日 午後10:48
千田は特別史跡熊本城跡の文化財修復検討委員も務めています。そして千田は石垣の上に木造で櫓や天守を復元するのに反対をしているのではなく、適切な学術調査と法規に基づいた手順を踏まなければ、どの史跡の城跡であれ、文化庁の復元許可は得られないことを一貫して名古屋市に説明しています。
・2024年11月20日 午後10:54
熊本市は文化庁が求められる復元・修復の手順と法規を厳格に遵守しているので、石垣や櫓の修復を着実に実現してきました。
一方、名古屋市は文化庁が求める手順も法規も遵守しなかったので、何もできていないのです。
・2024年11月20日 午後11:05
もう、いい加減に「千田が反対しているから名古屋城が進まない」のような、事実に反し個人を誹謗する言説はやめましょう。
天守の木造復元の許可権は、唯一、文化庁がもちます。千田が個人で進めたり/止めたりできることでは、そもそもないのです。誰であれ、発言には責任が伴います。
・2024年11月21日 午前8:29
熊本城、首里城など、史跡での歴史的建造物の復元は、文化庁の指導のもと策定した史跡の保存活用計画に基づいていて、史跡の本質的価値を保護・顕在化・活用するためです。だから理論的に「新たなテーマパークになる」可能性はありません。発言の前に文化庁『史跡等整備の手びき』を熟読しましょう。
・2024年11月21日 午後1:23
これだけ言葉を尽くして説明してもご理解いただけないのであれば仕方がありませんが、千田が名古屋市役所の「邪魔」をしているのではなく、学術調査と法規に則った手順を踏まないと、特別史跡の現状変更(天守の木造復元含む)はできないとお伝えしているだけです。
・2024年11月21日 午後1:28
千田が名古屋市役所の「邪魔」をしているから、名古屋城天守木造復元ができないのではなく、名古屋市役所が長らく学術調査や法規に基づく手順を著しく軽視してきたので、天守の木造復元が進展しなかったのです。復元するには学術成果を踏まえ、法と規程に従う道しかありません。
・2024年11月21日 午後1:31
必要な調査と多段階の審議を経ますので、一定の時間はかかると思います。
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以下感想です。
千田教授は特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会委員です。
当然これまでの経緯や議論は熟知しています。
石垣部会は、「名古屋市役所が学術調査や法規に基づく手順を著しく軽視している」と言い続けてきたにもかかわらず、なぜか名古屋市は文化庁に現状変更許可申請書を出し続けてきました。
そのたびに「追加で学術調査せよ」「法規に基づく手順を踏め」と言われ続けています。
・2019/2/26 名古屋市が発表した文化庁「現天守閣解体にかかる現状変更許可申請に関する留意事項について」
特別史跡名古屋城跡全体整備検討委員会石垣部会のまとめ(試案)
・2019/4/19 名古屋市「現天守閣解体のための現状変更許可申請」を文化庁に提出
・2019年9月 「現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項」
・2021年5月 名古屋市 「現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答」
・2022年3月 名古屋市 「現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への追加回答」
これら経緯は一応石垣部会では発表しており、市ホームページにも載せていますが、市が積極的に広報しているというわけではありません。
それどころか、市民説明会の回数は減少し、2023年度はついに0回となりました。
2015年12月-2016年1月→16ヶ所
2016年5月→5ヶ所
2018年1月→6ヵ所
2019年1月→6ヵ所
2019年11〜12月→8ヵ所
2021年1月→3ヵ所
2022年1月→3ヵ所
2023年1月→1ヶ所
2023年度→0ヶ所
2023/6/12に「特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第56回)」で承認された、現天守閣解体と木造復元を一体とした『木造天守整備基本計画』すら市民にきちんと説明していません。
「天守の基礎はケーソン、建物荷重は鉄骨で受け止め、補強金物等の工事と耐震ダンパーを設置。各階にはコンセントが多数あって、天守全域にLAN配線を完備」(2023年6月25日 千田嘉博名古屋市立大学教授 X )です。
名古屋城木造復元事業の特異な点は「河村たかし前市長と、市職員の説明が異なる」です。
石垣部会委員をはじめ、市職員は全員、上記2023/6/12『木造天守整備基本計画』を元に議論しています。
しかしながら、河村前市長はいまだに、あたかも「江戸時代そのものの名古屋城が復元できる」かのような言説を振りまいています。
それに扇動された人が、千田教授を不当に攻撃しているのではないでしょうか。
「釈迦に説法」を許しているのは、河村前市長と市職員、きちんと追及・説明してこなかった市議とマスコミではないかと思います。
これまでの経緯は『名古屋城・木造天守復元の落とし穴』毛利和雄著(新泉社)をお読み下さい。
※名古屋市民オンブズマンは、文化庁文化財部記念物課 監修『史跡等整備のてびき -保存と活用のために-』(同成社 2005)を購入しています。
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なお、河村たかし前名古屋市長の「後継」を自称・他称する広沢一郎候補の出陣式に、藤川晋之助・藤川選挙戦略研究所代表理事が応援演説しています。
東京都知事選挙の石丸信二候補の支援を行った藤川氏が、名古屋市長選挙にどのように具体的に関わっているか不明ですが、参考になれば幸いです。
24/11/19(火) 名古屋城石垣部会委員「天守西対岸石垣 化粧直しの議論より根石周りの調査と議論を」
24/11/19(火)特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第63回)が開催されました。
天守台西側内堀御深井丸側石垣(U66)の保存対策について、宮武正登・佐賀大学教授は「石垣表面をどうするかの前に、構造物としての石垣が持つか持たないかの議論をする必要がある。根石周りが安定しているかの調査と議論が先だ」とし、石垣部会としてはU66について保留としました。
鵜の首水堀側石垣(S10)のボーリング調査は承認されました。
「特別史跡名古屋城跡内の石垣保存方針策定について」は、報告はされたものの議論は不十分でした。
・24/11/19(火)特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第63回) 配付資料
・名古屋市民オンブズマンによるメモ(途中から)
現在、「顕著な変形、変状などがあり、現況に課題があると判断される石垣」のうち、来城者動線沿いの石垣(U65、U66、S10)について、優先的に保存対策を行うことにしています。
大天守北対岸石垣(U65)については、すでに石垣部会・全体整備検討会議で承認し、工事が着工されています。
U65は鉄筋を入れるが、U66、S10は鉄筋を入れない方針とのこと。
宮武教授は「U66は上を人が通るため、『構造体として安定している』と石垣部会が評価する必要がある。前回は表面の議論ばかりしていて、根石周りの調査も議論もしていない。
盛り土の上に根石が置いてあれば、いくら表面の化粧だけしても石垣ごと倒れたら意味がない」と述べました。
西形達明・関西大学名誉教授は「石垣の地盤がよくないのは確か。古い時代から石が積まれていれば、通常時は過去に石垣があった高さまでの荷重であれば支持しうるのかなと思う。
とんでもない地震時はわからない。できるのは円弧滑り解析くらいか」と述べました。
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以下感想です。
石垣保存対策については、「通常の観覧時の安全」と「木造復元事業の工事対策」がごっちゃになっているため、大変議論がわかりにくいです。
しかも、石垣部会は「木造復元事業について議論しない」ため、どうなっているかさっぱり分かりません。
2021/3/25時点では、木造天守復元時、大天守北の外堀を架設桟橋で越え、御深井丸側内堀石垣の上を通り、内堀を軽量盛り土で埋めて、その上を大型重機や仮設構台を設置する予定です。
鵜の首(小天守西側内堀)の解析(最大荷重時)は車両荷重25kPaです。西形先生は、「大地震時は分からない」としましたが、特に車両荷重25kPaについては発言しませんでした。
U66について、通常時の来城者の安全確保のため、根石周りの調査は重要です。
はたして木造復元工事の車両荷重25kPaに耐えられるか。耐えられない、とすると、工事自体の見直しを行うか、
根石から全面的に積み直すかになるのではないでしょうか。
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一方、24/9/27に開催された「名古屋城天守閣整備事業にかかる技術提案・交渉方式(設計交渉・施工タイプ)による公募型プロポーザル実施に伴う第11回意見聴取会」資料では、木造復元を前提とした竹中工務店との契約に基づくU65石垣の保存対策工事(税込9577万4000円)を行っています。
意見聴取会で、■(委員)は「U65の石垣の補修は、天守の問題ではなくて、観覧動線がすぐ上を通っているので、その方々が地震等で被災するのを防ぐために緊急に行うと、お聞きしていました。それで了承をしているのですが。天守の解体工事のためにとは、聞いていなかったと思います。」と述べています。
それに対し、事務局は「石垣補修工事の目的はそうですけれども、いずれにしても天守の仮設工事をするときに、ある程度影響がでるということですから。観覧動線の安全確保が主の目的です。かと言って、そこをやらずに天守の復元はできないですから。」と述べています。
相変わらず、有識者会議同士の議論の風通しが悪く、事務局もきちんと説明をしません。
U65、U66、S10石垣について、以下明確にする必要があります。
1)通常時、来城時に安全に通行できるか
できないならどのような対策が必要か。何年かかるか。
2)大地震時、来城者の安全を確保できるか
できないならどのような対策が必要か。何年かかるか。
3)木造復元工事をする際、重機を載せても石垣が破壊されないか。
破壊されるなら、どのような対策が必要か。何年かかるか。
「調査しなくては分からない」ではなく、事務局は「■くらいを今見込んでいます。」と明確に答弁しています。
「そこをやらずに天守の復元はできない」と述べているので、24/11/24投開票の名古屋市長選挙の前に、市民に時期を明らかにすべきです。
【独自】24/9/27名古屋城木造復元有識者意見聴取会議事録入手 有識者「石垣保存対策工事は10年くらいかかりそうですね」
名古屋市民オンブズマンは、「名古屋城天守閣整備事業にかかる技術提案・交渉方式(設計交渉・施工タイプ)による公募型プロポーザル実施に伴う意見聴取会(第2回〜第11回)の議事録、内容がわかるもの、配付資料、録音を情報公開し、9900円払って入手しました。
第7回意見聴取会、第8回意見聴取会の一部資料、第9回意見聴取会、40.58については「契約に至らなかった内容である」ため全面非公開。録音は特定の個人を識別することが出来るため非公開。その他、竹中工務店のノウハウ、率直な意見交換、工事費の積算、評価委員の氏名も非公開でした。
・24/11/15 行政文書一部公開決定通知書
「名古屋城天守閣整備事業にかかる技術提案・交渉方式(設計交渉・施工タイプ)による公募型プロポーザル評価委員に関する事務取扱要領」によれば、第2条で「評価委員は、名古屋城天守閣整備事業にかかる技術提案・交渉方式(設計交渉・施工タイプ)による公募型プロポーザル実施に関する事務の取扱い第2に規定する事項について意見を述べるものとする。」とあります。
マスコミも市民も非公開の中で行われてきました。
特に、全部非公開の第7回意見聴取会(2018/5/24)、第9回意見聴取会(2019/4/25)では何が話されたのか。
議事録が一部公開されている第6回意見聴取会(2017/12/20)以降は、評価委員の氏名が一部不開示です。
これでは責任のある有識者会議とは言えません。
また、第10回意見聴取会(令和元年12月26日) から第 11 回意見聴取会(令和6年9月27日) までなぜ約5年も開かなかったのか、疑問があります。
とはいえ、その他の議事録はかなり公開されています。
気付いた点を拾いました。
・第2回意見聴取会(平成28年3月20日)
麓和善委員「そんな簡単な資料で復元検討委員会は乗り切れない。膨大な資料を要求されます。それも何度も。本丸御殿の復元検討委員会の中でもそうだったと思うのですが、実測図があるからそれで復元検討委員会が通るというほど生やさしいものではない。」
・第3回意見聴取会(平成28年3月27日)
河村たかし名古屋市長「そりゃそう思いますよ。一定の合理的なところで市が信頼をもってやってきたところでポンと打ち切ったら、
そりゃやっぱり市の責任になると思いますよ、私は。
それがいずこの時点でどういうことかというのは、またこのあとの契約なんかが入ってくると思いますので、そこらできちっと決めるしか今のところしょうがないのではないかということです。」
・第10回意見聴取会(令和元年12月26日)
■「製材所近くの倉庫。名古屋城近くの保管庫の案はどうなりましたか?」
事務局「予算要求したが、解体の申請が見通しつかない中で、公園に建てても、公園が使えなく期間が延びると、市民サービスの低下になるので、いったん取り下げる。新しい工程の見通しを公表できる時点で、議会説明しながら、許可後にすぐに建設できるように。」
・第 11 回意見聴取会(令和6年9月27日)
■「全体で、何年かかるのですか。 4、5年ですか。」
事務局「何年から何年と、非常にお伝えしづらいですけど、天守の解体の工事が始まる前に、仮設の構台等などを造らないといけないですから、
■「それは知っていますけど、何年かかるのですかという質問です。 一言で言えるでしょう。言えないですか。
2か所あるわけでしょう。 北側のところが第1、第2工区と分かれて、最低2年かかるわけです。もう1つ細いところがあって、それがま2年くら いかかる。 そうすると、3年から4年かかるということですか。
事務局「■くらいを今見込んでいます。」
■「何をやっているのですか。 それまでは天守閣は壊さなくてもいいということですか。準備が整っていないので。」
事務局「復元検討整備基本計画をお出しし、文化庁の復元検討委員会などをふまえて、その間に石垣の保存対策工事をすべて処理していきたいと思っていま す。それに乗っかるようなかたちで行っていきたいと思っています。」
■「こっちが進まないと、 後ろがいかないからでしょう。」
事務局「そうです」
■「そちらに合わせて、こちらを進めると言っているわけではないでしょう、 今。」
事務局「その延長線上に、天守閣の事業があります。」
■「それをまず説明して、とりあえず姿勢ね、 総合事務所の姿勢を明らかにして、それで第1工区を今年度やります。 というならわかりますけど。いつ終わるかわからないような工事では、困ってしまいます。」
■「10年くらいかかりそうですね」
事務局「そこまでは」
■「技術的なことではなく、この工事とこの委員会との関係なんですが。 石垣・ 埋蔵文化財部会との関連はどうなっているのですか。 この工事に関して。 」
事務局「石垣・埋蔵文化財部会のほうには、こういった石垣の補修に対して、文化 財でもありますので、こういったかたちで補修しますということでご了承い ただき、そのうえで全体整備検討会議でお認めいただいています。手法としてもまとまって、図面化も済んで、ようやく工事という流れです。
■「わかりました。」
開示された資料をアップしました。
気付いた点があればお教え下さい。 office@ombudsman.jp
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第2回意見聴取会(平成28年3月20日)
1. 議事録
2. 議事次第、参加者一覧、配席表
3. 資料1 前回意見聴取会からの経過と今後の予定について
4. 資料2 参加者からの質疑に対する回答書
5. 資料3 技術提案書概要表
6. 資料4 要求水準書及び必須項目確認表
7. 資料5 技術提案書の公募資料等との整合性
8. 資料6 提案者への追加要請資料 (通知書、質疑書、正誤表等)
9. 資料7 名古屋城天守閣整備事業の技術提案・ 交渉方式による公募型プロポーザルにかかる調査票
10. 資料8 提案書評価採点シート(案)
第3回意見聴取会(平成28年3月27日)
11. 議事録
12. 議事次第、参加者一覧、配布資料一覧 配席表(午前・午後)
13. 資料1 前回意見聴取会のご意見整理について
14. 資料2 技術的事項の確認 質疑事項(第4回)
15. 資料3 技術的事項の確認 質疑事項(第5回)
16. 資料4 事務局質疑事項
17. 資料5 提案事業費一覧表
18. 資料6 第3回意見聴取会 提案者ヒアリング及び審査の日程
19. 個別配布@ 提案書評価採点シート
20. 個別配布@技術提案書 (A者・B者)
21. 参考資料1 求める技術提案書及び技術提案書の審査基準
22. 参考資料2 業務要求水準書による文化庁長官による現状変更許可の手続き記載部分抜粋
第4回意見聴取会(平成28年11月24日)
23. 議事録
24. 会議次第、出席者名簿、席配置表
25. 資料1 名古屋城天守閣整備事業の優先交渉権者決定以降の経緯について
26. 資料2 名古屋城木造復元にかかる工程について
第5回意見聴取会(平成29年2月9日)
27. 議事録
28. 会議次第、出席者名簿、席配置表
29. 資料1 名古屋城天守閣整備事業の完成期限見直しについて
30. 資料2 当初提案書の工程
31. 資料3 平成34年7月天守閣竣工の工程案(詳細)
32.資料4 平成34年12月天守閣竣工の工程案 (詳細)
第6回意見聴取会(平成29年12月20日)
33. 議事録
34. 会議次第、出席者名簿、 席配置表、 手続きフロー
35. 資料1 仮設事務所工事の見積書(当初)
36. 資料2 価格交渉の内容(仮設事務所工事)
37. 資料3 木材主架構分の調達の見積書
38. 資料4 価格交渉の内容(木材主架構分の調達)
第7回意見聴取会(平成30年5月24日)
非公開
第8回意見聴取会(平成31年1月18日)
39. 議事録
40. 会議次第、出席者名簿
41. 資料1 名古屋城天守閣実物大階段模型及び展示施設棟建設工事の概要
42. 資料2 名古屋城天守閣実物大階段模型及び展示施設棟建設工事の参考価格比較表
43. 資料3 名古屋城天守閣実物大階段模型及び展示施設棟建設工事の見積書
44 資料4-1 名古屋城木造天守閣実物大階段模型及び展示施設棟建設工事積算書(建築)
45. 資料4-2 名古屋城木造天守閣実物大階段模型及び展示施設棟建設工事積算書(機械設備)
46. 資料4-3 名古屋城木造天守閣実物大階段模型及び展示施設棟建設工事積算書(電気)
47. 資料5 価格交渉の内容(名古屋城木造天守閣実物大階段模型及び展示施設棟建設工事)
48. 資料6 名古屋城天守閣実物大階段模型及び展示施設棟建設工事の図面(抜粋)
第9回意見聴取会(平成31年4月25日)
非公開
第10回意見聴取会(令和元年12月26日)
49. 議事録
50. 会議次第、出席者名簿
51. 資料1 名古屋城天守閣整備事業先行工事 (木材の製材)の概要
52. 資料2 価格交渉の内容(名古屋城天守閣整備事業先行工事 (木材の製材)の木材保管費)
53. 資料3 名古屋城天守閣整備事業先行工事 (木材の製材)の木材保管費の参考価格比較表
54. 共用資料1 名古屋城天守閣整備事業先行工事 (木材の製材) 木材保管費の見積書
55. 共用資料2 名古屋城天守閣整備事業先行工事 (木材の製材) 木材保管費の名古屋市参考見積
第 11 回意見聴取会(令和6年9月27日)
56. 議事録
57. 会議次第、出席者名簿
58. 資料1 名古屋城天守閣整備事業に係る技術提案・交渉方式 (設計交渉・施工タイプ)による公募型プロポーザル実施に伴う意見聴取会 履歴
59. 資料2 名古屋城天守閣整備事業令和6年次石垣保存対策工事の概要
60. 資料3 名古屋城天守閣整備事業令和6年次石垣保存対策工事 図面
61. 資料4 価格交渉の内容 (名古屋城天守閣整備事業令和6年次石垣保存対 策工事)
62. 資料5 名古屋城天守閣整備事業令和6年次石垣保存対策工事 参考価格 比較表
63. 共用資料1 名古屋城天守閣整備事業令和6年次石垣保存対策工事の見積書
64. 共用資料2 名古屋城天守閣整備事業令和 6 年次石垣保存対策工事積算書
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・15/11/29「名古屋城天守閣整備事業にかかる技術提案・交渉方式(設計交渉・施工タイプ)による公募型プロポーザル実施に伴う意見聴取会(第1回)」
・名古屋城天守閣整備事業にかかる技術提案・交渉方式(設計交渉・施工タイプ)による公募型プロポーザル実施に伴う意見聴取会 名簿と事務取扱要領
【参考】
・2019年 06月 26日 市民オンブズマン事務局日誌
名古屋市 名古屋城天守閣木造化木材保管庫予算案取り下げを表明
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今後の予定
・24/11/19(火)14時半〜 第63回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会(名古屋能楽堂)
・24/11/24(日) 名古屋市長選挙
・24/11/29(金)まで 「名古屋市障害のある人もない人も共に生きるための障害者差別解消推進条例」パブコメ
・24/11/30(土)14時〜 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例勉強会 市政資料館
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※ぜひともカンパをお願い致します。
情報公開請求してコピーを入手するのも、情報公開訴訟をするのも、費用がかかります。
名古屋市民オンブズマンは、会費とカンパのみで活動しております。
今後ともご支援頂けますと幸いです。
《郵便振替口座》 口座番号 00870−9−105687
加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
《ゆうちょ銀行》 当座 〇八九店 105687
加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
《資金カンパ送付先・問い合わせ先》
〒460-0002 名古屋市中区丸の内3-7-9 チサンマンション丸の内第2 502号室
名古屋市民オンブズマン タイアップグループ事務局
Tel:052−953−8052 Fax:052−953−8050
メール:office@ombudsman.jp
情報公開から見た名古屋城木造復元事業
名古屋市民オンブズマンは、名古屋城木造復元事業について河村たかし前名古屋市長当選時から15年にわたって監視・追及してきました。
数十万円かけて情報公開請求したり、市議会・委員会傍聴、
有識者会議傍聴した結果は以下ページにまとまっています。
・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
・名古屋市民オンブズマンブログ 名古屋城問題
(ただし、上記は本文だけで160万字を超えているので、ジャーナリストの毛利和雄氏が24/7/1に発行した『名古屋城・木造天守復元の落とし穴』(新泉社)を読まれるのをおすすめします)
また、ジャーナリストの水野誠志朗氏の記事もお読み下さい。
・2024年3月11日 水野誠志朗の尾張時代の信長をめぐる
いつになってもできない木造天守。名古屋城木造復元事業の10年を振り返る(第一回)
・2024年4月18日 水野誠志朗の尾張時代の信長をめぐる
市民説明会にサクラ!? いつになってもできない木造天守。名古屋城木造復元事業の10年を振り返る(第二回)
今回、24/11/24投開票の名古屋市長選挙前に、「情報公開から見た名古屋城木造復元事業」をまとめてみたいと思います。
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情報公開から見た名古屋城木造復元事業
名古屋市民をはじめ、マスコミ、市議、市長候補すら「名古屋城木造復元」について、きちんと判断できる材料を得ていないのではないでしょうか。
それはどうしてか。
名古屋市民オンブズマンは「市が情報をきちんと出していないから」と考えます。
名古屋市民オンブズマンをはじめ、各地の市民オンブズマンや市民団体は「無駄な公共事業」を追及してきました。
名古屋城木造復元事業は「事業が進まない公共事業」だと考えます。
ただ、名古屋城木造復元事業は「通常の公共事業」とは違った性質があります。
@完成形(なにができるか)が見えない、決まっていない
A「決まった」ことも市は積極的に広報しない
B完成形が法律に適合するかがわからない
C需要予測・収支予測が不明
D内部情報がほとんど公開されない
E河村たかし前市長と、市職員の説明が異なる
F市議・マスコミの情報発信が不十分
@完成形(なにができるか)が見えない、決まっていない
通常、ダムでも道路でも、なにができるか確定し、それに対して賛成・反対が議論されます。
しかしながら、名古屋城木造復元事業については、どのような形になるか完成形がいまだに確定していません。
2023年6月12日に開催した「特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第56回)」で、昇降装置(エレベーター)以外はいちおう確定しました。
小型の新昇降技術で何階まで登れるかは、7811万1000円でMHIに委託して2027/3/19期限で技術開発しており、いまだに確定していません。
文化庁は「何階まで昇降技術・エレベーターを付けるか」確定してから現状変更許可申請書類を持ってこいといっています。
これでは賛成・反対言いにくいのではないでしょうか。
その後、文化庁復元検討委員会で数年かけて審議される予定です。
疑問点等があれば、名古屋市に質問し、申請書類を変更することもありえます。
A「決まった」ことも市は積極的に広報しない
名古屋城木造復元事業の図面は、昇降装置(エレベーター)以外は有識者会議でいちおう確定しています。
河村たかし前名古屋市長は「本物復元」と発言を繰り返していますが、上記資料を読めば、「天守の基礎はケーソン、建物荷重は鉄骨で受け止め、補強金物等の工事と耐震ダンパーを設置。各階にはコンセントが多数あって、天守全域にLAN配線を完備」(2023年6月25日 千田嘉博名古屋市立大学教授 X )がわかります。
その他、史実にない「木造天守に入るための小天守入り口に取りつけられる金属製スロープ」「3階から4階までの階段」も付けます。
なぜか上記については、名古屋市は積極的に広報していません。
B完成形が法律に適合するかがわからない
名古屋市は、「本丸御殿同様、名古屋市建築審査会で『建築基準法の適用除外』の同意を得る予定」としていますが、建築基準法同等の耐震・耐火性能を確保したいとしています。
2020年1月29日に、名古屋市は一般財団法人 日本消防設備安全センターから「消防設備システム評価書」を受け取り、十分な防火安全性能を有すると認められています。
また、2019年1月21日に、名古屋市は一般財団法人 日本建築センターの「評定書」を受け取り、「大天守の最大同時在館人数を2500人を上限とする」ことなどを条件に妥当と判断しています。
ただし、一部建築士からは「2方向避難路がないのは消防法・建築基準法違反」という指摘がありますし、市建築審査会が「同意」するかどうかはわかりません。市消防長の同意も必要です。
日弁連は2022/10/24に「あえてエレベーターを設置しないのは差別になり、憲法・各種条約・障害者基本法法等に違反するとする要望を出しています。
違法の建築物を建てるのは違法ですし、違法なものは「市のシンボル・誇り」にはなり得ません。
C需要予測が不明
全国市民オンブズマン連絡会議では2014年9月に「公共事業の需要予測の外れ率」(鉄道・コンテナ港)を調査し発表し、多くの公共事業は過大な需要予測をしているとしました。
一方、名古屋城木造復元事業については、「入場料収入のみで建築費・運営費をまかなう」という河村前市長の方針を受け、「年間360万人が50年間続く」という試算を出しました。
河村市長は2015/12/12に「ある学者は江戸城で500万人来ると見込まれており、名古屋城木造化でも同じくらい来ると言っている」といいながら、その学者の氏名を聞いても「学者のプライバシーがある」として明らかにしませんでした。
名古屋市は、2017年度に第三者機関に入場者数見込及び収支計画についての調査を委託しました。
名古屋城木造復元が2022年12月完成、リニア新幹線が2028年度に開業するとして、2071年度までで低位シナリオで64億6500万円の赤字、基本シナリオで14億6700万円の赤字、高位シナリオで45億4600万円の黒字としています。
しかしながら、2024年1月現在、「木造復元は順調にいって2036年度」(2023年3月名古屋市発言を元に、名古屋市民オンブズマンが主張)。
品川-名古屋間のリニア新幹線開業は2034年度以降に延期されました。
名古屋市は「文化庁への現状変更許可申請時期が定まらず、竣工時期が決まっていないので、申請時期が定まってから収支見込みを作る」としています。
税金のムダ遣いを追及する名古屋市民オンブズマンとしては、本来は「需要予測が過大で、途中で税金投入するおそれがあるのでは」と主張したいのですが、@なにができるか決まっていないA合法か不明 C需要予測を市が示していない ため、主張することすら出来ません。
D内部情報がほとんど公開されない
名古屋市民オンブズマンは、名古屋城木造復元事業に関して2018/6/13〜2018/12/10の間に名古屋市職員が文化庁を訪問したときの復命書の開示を求める情報公開訴訟を行い、河村たかし名古屋市長の発言部分ならびに石垣保存検討内容等の開示を命じた22/3/30名古屋地裁判決が確定しました。
河村市長は文化庁に対して「ゆっくりやるとコンクリートの改修になる。これは世界の大恥。」などと述べていたことが訴訟ではじめてわかりました。名古屋地裁判決では「文化庁職員の発言」「市職員発言(文化庁職員との対話内容)」は公開を命じず、いまだに不明です。
いったい文化庁は名古屋市になんと言っているのか。名古屋市民オンブズマンは文化庁にも情報公開請求していますが「不存在」です。
大村秀章愛知県知事は2019/6/24記者会見で「文化庁及び専門家の主張は名古屋城の石垣が特別史跡で国宝だと。
保存について調査をし、計画を作り、取り組む。そのことが担保できないと認められないということをですね、当初から言っておられたという話は、私は聞いております。あえて言えばですね、名古屋市さん、もうそろそろ本当のことを言ったらどうかという率直な感想を持っております。
権力者が権力を使って職員に無理強いをして、結果できなかった、市に損害を与えたということになればですね、これはえらいことではないかというふうに思います。
河村さんが選挙公約でうんぬんということを言われましたけれども、感想だけでもちょっと申し上げますと、公約に挙げたからといったってできないものはできないという、ただそれだけのことじゃないんですか、それ。」と述べています。
E河村たかし前市長と、市職員の説明が異なる
名古屋城木造復元事業の極めて特異な点は、「河村たかし前市長と、市職員の説明が異なる」ということです。
名古屋城木造復元に関するバリアフリー新技術公募に関する2022/12/5河村前市長と市当局の発言が象徴的ですが、市当局は市議会経済水道委員会で新技術公募の結果を発表し「『車いす1台、介助者1名』もしくは『乗員4人』の小型昇降設備を導入する方針で、可能な限り最上階を目指す」としたのに対し、河村前市長は「昇降技術の設置は、1階もしくは2階までとし、3階以上は設置しない、これが合理的配慮」と述べました。
障害者団体が河村前市長の撤回要求と抗議をしたのも当然です。
24/9/18に発表された「『名古屋城バリアフリーに関する市民討論会』における差別事案に係る検証について(最終報告)」では、「『史実に忠実』について 市長、副市長、職員間の解釈の不一致があった」「市としての方針を正確に理解してもらうための情報提供の不十分性」を指摘しています。
F市議・マスコミの情報発信が不十分
名古屋市民オンブズマンは名古屋市議のホームページやブログ、SNSを可能な限りチェックしていますが、名古屋城問題について共産党以外ほとんど発信がありません。
市議は市議会ではそれなりに追及しているのですが、議事録が出るのは3ヶ月後と遅く、市議会本会議・委員会動画をわざわざ見る人はほとんどいません。
マスコミも、市議の追及をほとんど報道していないように感じます。
マスコミ報道を見ているだけでは、名古屋城木造復元事業の問題は理解できないのではないでしょうか。
大村秀章愛知県知事は2019/6/24記者会見で「取材されたマスコミの皆さんは知ってたんじゃないんですか、これ大体。前提として事実関係を知りたい。事実関係を知りたい。何でこうなったのか。何で許可のめども立たないのに500億円という予算を立てて、議会も議決して。許可のめどが立つまでは木材は買っちゃ駄目だと言われていながら、それでも100億円も契約してどんどん製材をしてしまったと。当然のことながら許可は出ないと。
これは一体何が起きたんだと。我が日本国でこういうことが起きるのかということが私は不思議でならないんで、事実関係を是非しっかりとね、詳細につまびらかに、事細かに、いつ誰が何を言ってこうなったのかということもですね、是非知りたいというふうに思います。」と述べています。
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名古屋城木造復元事業をめぐる問題点はあまりにも多くあります。
(関心のある方は、「160万字」をお読み下さい。
ブログの「記事を解説しているセリフ付き絵」を読むだけでも勉強になります)
情報公開請求の「限界」は、「とっかかりがないと情報公開請求できない」というものです。
名古屋市職員が文化庁へ出張していることは予測できますが、「河村たかし前名古屋市長が、市職員に対して『指示書』を出していた」ことは、中日新聞が17/4/1に行った市長選挙立候補予定者2人による討論会の中で、河村前市長が、「名古屋市職員から『名古屋城天守閣木造化できません』と言われた。市職員から『市長が全責任を負う』という業務命令書を書いてくれ』という要望を受け、実際に業務命令書を書いた」と発言したことから、名古屋市民オンブズマンが情報公開請求し、17/4/20に入手しました。
・平成27年8月24日 指示書 市民経済局長 宮村喜明殿 名古屋市長 河村たかし
2024/11/24投開票の名古屋市長選挙で誰が当選されても、過去の経緯の徹底的な調査を求めます。
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※ぜひともカンパをお願い致します。
情報公開請求してコピーを入手するのも、情報公開訴訟をするのも、費用がかかります。
名古屋市民オンブズマンは、会費とカンパのみで活動しております。
今後ともご支援頂けますと幸いです。
《郵便振替口座》 口座番号 00870−9−105687
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名古屋市民オンブズマン タイアップグループ事務局
Tel:052−953−8052 Fax:052−953−8050
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・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
・名古屋市民オンブズマンブログ 名古屋城問題
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24/11/6 中日新聞デジタル
【ノーカット】名古屋市長選2024 主要な立候補予定者3人が討論 中日新聞社主催
24/11/8 名古屋青年会議所
令和6年度名古屋市長選挙公開討論会
名古屋城木造復元「木材40億円買っちゃったから進めないと」論の問題点
24/11/24投開票の名古屋市長選挙の争点に、名古屋城木造復元事業があがっています。
ただ、名古屋市は情報をきちんと市民に伝えておらず、誤った情報で市民が判断するのを危惧しています。
特に「市議会が同意し、すでに木材40億円を購入したので、木造復元を進めないといけない」と主張する市民の方もいるようです。
以下、議論の前の共通認識にしたいです。
【前提事実】
・名古屋城木造復元事業へつぎ込んだ税金は、2016年度〜2023年度で、
88億4780万8000円(うち木材の製材等41億6370万9000円)
・木材の契約は94億5540万円(残り52億9169万1000円)
・当初は2022年12月16日までだったが、「暫定的に」2026年3月31日までに変更済み
・過去に支出した経費(木材の製材など)について市議会の議決を経ているが、
2021/3/19に市議会は以下附帯決議をあげている。
名古屋城天守閣木造復元にかかる予算については、文化庁の文化審議会において正式に「木造復元」の許可がされた後に執行すること。
・にもかかわらず、名古屋市は木材を購入した。
・竹中工務店とは「基本協定」を結び、「基本設計、実施設計、調査、木材、工事、石垣工事」で「上限505億円」としている。
・2016年6月に名古屋市が示した「収支計画」(2016年度〜2069年度)では、
入場料収入979億円、建設費606億円(元金505億円、利子101億円)、
運営管理費207億円、集客促進費2億円、修繕費31億円、基金積立64億円と試算。
その後新たな収支計画は公表せず。
・すでに購入した木材の保管のため、2022年度以降毎年1億円の税金を支出している。
・2015/8/24に河村たかし市長(当時)は「全責任は私が取る」指示書を出している。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
・2024年11月現在、名古屋市は文化庁に現天守閣解体・木造復元の現状変更許可申請を出していない。
・名古屋市は23/3/14に「木造復元は順調にいって2032年度」とのべている。
・2023/6/3名古屋城バリアフリー市民討論会以降、木造復元事業は進んでいない
・新昇降技術は7811万1000円でMHIに委託して2027/3/19期限で技術開発している
・寄付金は2017年度〜2022年度で7億7475万9587円(河村前市長は「目標100億円」と述べる)
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上記は「前提事実」です。ひとつも意見はありません。
すべて知っていた方はどれだけいるでしょうか。
上記から、いろんな感想が得られると思います。
「木材って、すでに予定の44%購入したんだ」
「どうして2021/3/19市議会附帯決議に反して木材を買ったの?」
「寄付金100億円で、利子が100億円か。寄付金7.7億円でいつになったら目標達成するのか。」
「収支見込みはいつになったら最新版が出るの?」
「木材の保管料毎年1億円は、いつまで払い続けないといけないの?」
「木造復元事業は本当にできるの?」
今後、名古屋市は「障害者の方に差別発言を謝罪し、再発防止策を取った上で、MHIの技術開発結果を待って、新昇降技術を何階まで付けるか議論し、その後文化庁に現状変更許可申請書類を提出する」予定とのこと。
皆さんはどう思われるでしょうか。
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証券用語に「コンコルド効果」というものがあります。
コンコルド効果|証券用語解説集(野村證券ページより引用)
行動ファイナンスにおける認知バイアスの一種で、投資の継続が損失の拡大につながると分かっていても、それまでに費やした労力やお金、時間などを惜しんで投資がやめられない心理現象のこと。サンクコスト(埋没費用)効果とも呼ばれる。
開発途中で既に採算が取れないことが想定されていたにもかかわらず、開発・就航を続行して遂には商業的に失敗した超音速旅客機コンコルドの事例を由来とする。
木材の製材等41億6370万9000円は多額です。
しかしながら、2027年3月MHI開発結果を待つと、「木造復元は順調にいって2036年度」となるのではないでしょうか。
単純計算で、木材保管料は2022年度〜2036年度毎年1億円ずつかかるとすると、15億円にものぼります。
そもそも、障害者団体は「大型の最上階までエレベーター」を当初から望んでいますし、あえてエレベーターを設置しないのは差別になり、憲法・各種条約・障害者基本法法等に違反するとして、日弁連も2022/10/24に同種の要望を行っています。
耐震・防火の観点から、入城者制限をかけた方がよいという有識者まであらわれました。
・2023/2/17 天守閣部会 川地構成員
「2030年頃には75歳以上の高齢者が全人口の2割を占めるという予測があります。そうなると、障害者、または車いすの方以上に75歳以上の高齢者、水平は歩けても階段の上り下りはできないという、歩行困難者がかなり来る。そうなると、2500人に抑えても、階段の周辺の混乱は相当予測されます」
瀬口座長「予約した人だけを入れる。そういうふうにしないと、2500人でも多いかもしれない」
そうすると、「入場料収入だけで建設費や運営管理費などをまかなう」という河村前市長の試算は崩れます。
どうしてこうなってしまったのか。
市議会の追及や情報公開請求だけでは明らかになっていないことがまだまだあるのではないかと思います。
市民をはじめ、マスコミ、市議、市長候補すら「名古屋城木造復元」について、きちんと判断できる材料を得ていません。
新市長には、徹底的な原因解明と責任追及をした上で、名古屋城の将来を決めていただきたいです。
なお、「名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書」6条3項に、「予算が成立しない場合又は議決が得られない場合は、本事業を中止し、契約の締結をしないことがある。また、その場合、当該予算に係る業務については発注者、優先交渉権者の間に何ら権利、義務が発生せず、発注者は予算の成立について何ら責を負わない」とあります。
その場合、購入した木材がどうなるかは、契約書上は不明です。
名古屋市によれば、「直射日光を防ぐなど適切な環境のもとで木材を保管することにより、10年、20年経ったとしても木材の品質には影響しません。」とあります。
24/10/22(火) 名古屋市は今年も名古屋城木造復元事業を公共事業の見直し対象にせず
24/10/22に名古屋市は令和6年度第1回名古屋市公共事業評価監視委員懇談会を開催しましたが、対象が「国土交通省からの社会資本整備総合交付金の事業」と、「国土交通省により評価の実施が義務づけられている上記以外の事業」のみとなっているため、事業採択から5年以上未着工となっている名古屋城木造復元事業については今年も対象となりませんでした。
愛知県と比較しての問題点の指摘は去年記事に書きました。
2023年 10月 31日 市民オンブズマン事務局日誌
名古屋市 公共事業再評価は国土交通省所管交付金・事業のみ対象
2023年 11月 07日 市民オンブズマン事務局日誌
名古屋城木造復元 公共事業の見直し対象にしなくていいの?
名古屋城木造復元事業は、河村たかし前名古屋市長らは「役所が文化財を復元する」とみているようですが、復元された建物はすぐには文化財にならないため、客観的に見れば、「事業が進まない公共事業をどうするか」問題ではないでしょうか。
名古屋市でも対象とした事業については、有識者がきちんと審議しています。愛知県のように、事業が進まない公共事業を定期的に見直す仕組みを名古屋市で取り入れてもらいたいです。
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今年あらたに発生した問題点は、「会場から退出する際に、配布した会議資料を返却すること」と、傍聴者に事前に案内を配布し、それを開始前に説明しなかったことです。
退出時に説明され、資料を返却させられました。
傍聴者は私1人でした。記者もいませんでした。
その後、去年は資料を返却させられなかったことを思いだし、名古屋市情報公開窓口に、上記扱いは名古屋市情報公開条例、「附属機関等の会議の公開に関する事務取扱要綱」に基づいているか確認しました。
・名古屋市情報公開条例 第36条 (会議の公開)
実施機関に置く附属機関及びこれに類するものは、その会議(法令又は他の条例の規定により公開することができないとされている会議を除く。)を公開するものとする。ただし、次に掲げる場合であって、当該会議で非公開を決定したときは、この限りでない。
(1)非公開情報が含まれる事項について審議、審査、調査等を行う会議を開催する場合
(2)会議を公開することにより、当該会議の適正な運営に著しい支障が生ずると認められる場合
・附属機関等の会議の公開に関する事務取扱要綱
5条1項
会議資料は、条例36条の趣旨を踏まえ、各附属機関等が決定する方法により傍聴者に対して提供する。
2項 前項に規定する会議資料の提供の方法は会議の冒頭において傍聴者に説明するものとする。
その後、会議担当者から「開始前に説明しなかったのは悪かった。また、会議資料について、附属機関の会議内で決定しなかったのも事実。
情報公開条例の趣旨を踏まえ、第1回目の資料は今から提供したい。
第2回目以降は、注意事項から(6)を削除したい。希望があれば傍聴者は資料を持ち帰ることが出来るようにしたい」と述べました。
名古屋市情報公開担当者は「他の附属機関も調べたが、『すべて必ず提供』『回収』『一部回収』があることがわかった」とのこと。
第1回資料を入手したのでネットに掲載します。
・24/10/22 令和6年度第1回名古屋市公共事業評価監視委員懇談会 配付資料
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
24/11/5に第2回会議がありましたが、傍聴者注意事項から(6)が消えており、傍聴者は資料を持ち帰ることが出来ました。
参考になれば幸いです。
・24/11/5 令和6年度第2回名古屋市公共事業評価監視委員懇談会 注意事項
・24/11/5 令和6年度第2回名古屋市公共事業評価監視委員懇談会 配付資料
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
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今後の予定
・24/11/8(金)19時〜 公益社団法人名古屋青年会議所主催 令和6年度名古屋市長選挙公開討論会(YouTube)
・24/11/16(土)14時〜 学習会「名古屋城木造天守復元を問う」ソーネおおぞね
・24/11/24(日) 名古屋市長選挙
・24/11/30(土)14時〜 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例勉強会 市政資料館
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24/11/6 中日新聞デジタル編集部
【ノーカット】名古屋市長選2024 主要な立候補予定者3人が討論 中日新聞社主催
24/10/11(金) 名古屋市施設整備における当事者参画の仕組み検討 市「対象公共建築物に木造名古屋城は当てはまらないと考える」
24/10/11に開催された名古屋市議会財政福祉委員会で、名古屋市は「名古屋市障害のある人もない人も共に生きるための障害者差別解消推進条例」の検討状況を報告しました。
また、「本市の施設整備における当事者参画の仕組みの検討状況」も報告しました。
名古屋市の担当者は「対象公共建築物に木造名古屋城は当てはまらないと考える」と明言しました。
・24/10/11(金)名古屋市議会財政福祉委員会説明資料
障害のある人もない人も共に生きるための施策の推進について
・24/10/11 名古屋市議会財政福祉委員会 (名古屋城部分)
(名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
24/6/3開催された「名古屋城バリアフリー市民討論会」での差別発言事案を受け、市条例改正案を提出する方針です。
障害者差別解消推進条例改正の考え方の中の「助言又はあっせんの申立て・措置の求め・勧告等」について、以下が追加されます。
・事業者に加え、差別事案の当事者が市の場合も、助言又はあっせんの申立て、措置の求め及び勧告等の対象に含まれること
・障害者差別解消調整委員会から市に対して措置の求めがあった場合、必ず勧告を行うこと
パブコメは24/10/31-24/11/29まで行っています。
・名古屋市健康福祉局 障害福祉部 障害企画課 企画担当
「名古屋市障害のある人もない人も共に生きるための障害者差別解消推進条例の改正の考え方(案)」に係る意見募集
一方、「本市の施設整備における当事者参画の仕組みの検討状況」については、「『名古屋城バリアフリーに関する市民討論会』における差別事案に係る検証委員会」最終報告に「市が公共建築物を整備するにあたり、障害者や高齢者をはじめ配慮が必要な当事者からの意見聴取や対話の仕組みを整備することを検討すべき」とあり、検討してきたところです。
岩本たかひろ市議は(自民)は「対象に名古屋城も含まれるのか」と質問し、担当課長は「観光文化交流局から、木造名古屋城については建築基準法の適用除外を受ける予定なので、特別特定建築物から除外されると聞いている。本事業の対象要件に当てはまらないと考える」と述べました。
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以下感想です。
障害者差別解消推進条例改正案については、ようやく差別事案の当事者が市でも対象に含まれると明記されるのでよいと思います。
一方、条例改正と「本市の施設整備における当事者参画の仕組み」との関係が分からなかったため、24/11/7に健康福祉局障害福祉部の担当者に聞いたところ、「現時点では法、条例では決まっていない。仕組みを検討している段階。今後、庁内会議や障害者団体と協議し、要綱にするかどうかを考える。
パブコメは広く市民に影響が出るものを対象とするので、今回条例案を対象とした。『当事者参画の仕組み』はパブコメをとっていない」とのことでした。
せっかく名古屋城木造復元に関して差別発言があって、条例改正、当事者参画の仕組みを作ろうとしているのであれば、当事者参画の仕組みも条例に入れてはどうでしょうか。
条例に入れなくても、杓子定規に「対象公共建築物に木造名古屋城は当てはまらない」とするのは、なんのための当事者参画の仕組みかわかりません。
対象公共建築物に「ただし、名古屋城木造復元事業を含む」など明記すればよいだけです。
名古屋市が真に差別発言を反省し、今後防止するなら、厳格な条例が必要ではないでしょうか。