名古屋城 本丸御殿+木造天守閣問題特集

河村市長は木造天守閣復元をぶち上げましたが迷走中です。建物だけで505億円かかるとのこと。100億円の利子、その他運営管理費等を含めると2069年までに915億円かかる見込みです。2020年の東京オリンピックに間に合わせると市長一人意気込んでいましたが、突如2022年に延ばしましたが断念し、新たな竣工時期は発表出来ません。市民は冷ややかです。「民主主義発祥の地ナゴヤ」の看板を下ろしたのでしょうか。
※17/3/23に名古屋市議会は名古屋城天守閣木造化の基本設計等に関する補正予算10億円を可決しました。17/5/9に「基本協定」「基本設計契約書」を締結しましたが、2019年8月、河村市長は2022年12月までの木造天守閣復元を断念しました。いまだに竣工時期の目処はたっていません。しかし2018年度末で市債を35億1400万円借りています。
名古屋市は新型コロナ対策に追われ、「不要不急」の木造天守閣復元を行う余裕はないはずです。
※名古屋市は現天守閣の解体申請を文化庁に提出していましたが、21/7/27に取り下げしています。現時点では、解体ならびに復元に関する書類は文化庁に提出していません。

23/3/17(金) 名古屋市 石垣部会に名古屋城天守台石垣の保存方針(案)を示すも審議時間が取れずいったん廃案 4月以降に議論へ

名古屋市は、23/3/17(金)に開催した特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第55回)で、2022年度中にまとめるとしていた名古屋城天守台石垣の保存方針(案)を示すも、石垣部会から「審議時間が取れなかった、内容も十分ではない」と意見がでたため、いったん廃案にし、2023年4月以降にあらためて議論することにしました。
名古屋市は、23/3/24(金)に開催する全体整備検討会議に、「特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画 第2章 石垣等遺構の保存」部分は2022年12月に全体整備検討会議で議論したものをそのまま出す方針とのことです。

・23/3/17(金)特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第55回)配付資料
 (資料3-1、3-2、3-3はいったん廃案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230317.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230317-1.pdf

名古屋市は、市議会にも市民説明会でも、「2023年3月までに、木造天守整備基本計画をまとめる。『石垣保存方針』『基礎構造の方針』『バリアフリーの方針』もまとめる」と公言してきました。

・22/7/13特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会第24回部会 配布資料
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/3f1fd4c3e39fef4bfb21b36eea469a95.pdf
・令和4(2022)年度開催 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2022/12/20221218_1412.html
 
ようやく23/3/17になって、天守台石垣の保存方針(案)を石垣部会に示すも、当初3番目に位置づけられていた議題の順番が、急遽最後(5番目)に回されました。

議題5(4番目に議論)の天守台穴蔵石垣背面調査の調査成果が報告され、はじめて粒径分布の測定結果が示され、50mm未満の粒径が多数を占める地点もあれば、150mm以上の粒径が多数を占める地点、その中間の地点もあることが判明しました。
宮武正登・佐賀大学教授は「背面の7割方がほぼ土のところがあり、背面の体をなしていない。今回調査していないが、小天守も同様ではないか。
しかも、調査箇所によって差があまりにもある。
構造物の危険度を把握することは無理ではないか。南海トラフなど大きな地震がある可能性があり、手をこまねいてみている時間はないのでは」と指摘しました。
千田嘉博・奈良大学教授は「今回の調査成果は、工事図面とどこも違っていたことが判明し衝撃的だ。本丸は人が通り、本格的な調査をして対策が必要だ。
鉄筋天守そのものの耐震性に問題があっただけでなく、穴蔵石垣背面調査で、栗石であるべきものが土であったことが判明した。より詳細な調査と対策が必要だ」としました。

名古屋城総合事務所は「背面がここまでひどいことが数字で判明した。名古屋市としては、穴蔵石垣をどうしていくか、現天守がある状態での調査は限界がある。
現天守を解体後、しっかり調査・把握した上で本来の姿に戻したい。
解体したらどう影響があるのか、どう調査するかは、あらためて石垣部会に諮りたい」と述べました。

赤羽一郎・元愛知淑徳大学非常勤講師は「表層を調査しただけに留まり、天守台そのものまで言えるのか。また、このデータをもって、木造天守云々は全くなりたたない。現天守はケーソンの上に載っており、まったくこのデータと関係がない」としました。

宮武教授は「木造天守の議論はしていない。木造であろうと、鉄筋であろうと、全て取っ払い天守台石垣だけになろうと、今の内面石垣は極めて不安定で、極めて危ない。穴蔵石垣は持たない」と述べました。

千田教授は「今回の調査で、今後どう活用しようとも、穴蔵石垣に人を入れるのは事実上できないことが見えてきた。広い範囲を調査しないと活用は難しい」としました。

宮武教授は「熊本城穴蔵石垣の方が、名古屋城穴蔵石垣より遙かにマシだが、地震後どうなったか見ている。人がいたら絶対助からない。数百キロの石が飛んでくる。木造であろうと鉄筋であろうと関係がない。どうするか、物理的に重機いれるか。手順すら見えていない」と述べました。

千田教授は「内面穴蔵石垣の状況は懸念されるが、『外面石垣も不安定』とは違う」と念を押されました。

この時点で15時54分と、終了予定時刻の16時ギリギリになり、駆け足で資料3−1、3−2、3−3を名古屋市が説明した時点で16時02分と、終了予定時刻を過ぎました。
・資料3−1「天守台周辺石垣の保存方針について」
・資料3−2「天守台石垣の保存方針(案)」
・資料3−3「特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画 第2章 石垣等遺構の保存」

座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「資料3については内容に入れていない」とし、どう扱うかとしましたが、名古屋城調査研究センターの村木誠副所長は「石垣部会に提出した資料として、23/3/24の全体整備検討会議に出したい」と述べました。

宮武教授は「議論することが多いし、資料が整理できていない。組み立てから議論すべき。まだまだ時間がかかる」と述べました。

赤羽氏は「熊本のことが反映されていない。熊本を教訓にすべき」と述べました。

千田教授は「事実関係の位置づけが、石垣部会の認識とかなり違う。一度文化庁に出せば『名古屋市の見解』となる。
過去、『部会では承知していないが、名古屋市としては文化庁に出す』とした恐ろしい歴史がある。それは良い方向には行かないと思う」と述べ、北垣座長も同意しました。

宮武教授は「これが一人歩きするのが怖い。これが文書として残ると、当該石垣の補修は見直すことにならず、後々の影響がある」と述べました。

鈴木整備室長は「3分だけ事務局で相談する時間が欲しい」として暫時休憩に入り、11分後に「石垣保存方針は全く十分な段階ではなく、石垣部会でご議論いただきまとめないといけないと認識している。
一方、1年前に文化庁にお許し頂いた途中経過のものはある。
・特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議第48回会議(令和4(2022)年3月31日)
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2022/02/20220216_1155.html
4月以降に早急に皆様に諮って議論し、まとめたい。
23/3/24全体整備検討会議には、1年前の資料をそのまま出したい。
また、木造天守整備基本計画の2章石垣部分については、昨年12月に全体会議に示したものをそのまま示したい。」
・特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 第53回会議(令和4(2022)年12月9日)
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2022/05/20220523_1352.html
としました。

上田剛・名古屋城総合事務所長は「今回配付した資料のうち、3−1、3−2、3−3は一旦廃案にしてやり直す。
天守台石垣の保存方針(案)は昨年度のバージョン1の段階。本日バージョン2にいきたかったができなかった」と明言しました。

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調べたところ、第50回石垣・埋蔵文化財部会部会(令和4(2022)年7月15日)で特別史跡名古屋城跡石垣の保存方針について議論されていましたが、「天守台石垣の保存方針(案)」は議論されませんでした。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2022/05/20220523_1352.html

木造天守整備基本計画の第2章については、第24回天守閣部会(令和4(2022)年7月13日)で議論されました。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2022/05/20220523_1352.html

石垣部会では、この1年、まったく「天守台周辺石垣の保存方針について」「天守台石垣の保存方針(案)」「木造天守整備基本計画 第2章 石垣等遺構の保存」が議題になっていませんでした。理由は不明です。

名古屋市民オンブズマンは、これまでの石垣部会傍聴後、「今回も天守台石垣の保存方針は議論しなかった」と繰り返してきました。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm
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2023年3月までに名古屋市がまとめるとしていたものの現状は以下です。
・木造天守整備基本計画→2章 石垣等遺構の保存 は石垣部会で議論せず
・石垣保存方針→石垣部会で議論せず廃案
・バリアフリー→2022年12月に新技術公募結果公表 日弁連から「憲法等違反」
・基礎構造→23/3/24 全体整備検討会議で示す?

「2023年3月末までにとりまとめありき」で強引に進めてきた名古屋城木造復元事業。
有識者会議の十分な議論はなされませんでした。
それだけではなく、現在の穴蔵石垣背面状況は極めて悪く、「人を入れることは事実上できない」のも事実です。

今後どうするのか、じっくり落ち着いて議論する必要があるのではないでしょうか。

なお、今後の有識者会議の予定は以下です。
23/3/22(水)天守閣部会では、バリアフリー、完成後の維持保全・修繕計画、復元計画が議論される予定です。

23/3/22(水)午後2時 天守閣部会(KKRホテル)
https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2022/kankobunkakoryu/0000161891.html

23/3/24(金)午後2時 全体整備検討会議(名古屋国際センター)
https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2022/kankobunkakoryu/0000162256.html

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23/3/14(火)名古屋市 名古屋城木造復元は「順調にいって2032年度」と初言及

23/3/14 名古屋市議会経済水道委員会で、名古屋市は名古屋城木造復元について「順調にいって2032年度」と初言及しました。

23/3/14 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230314-1.pdf

渡辺義郎市議(自民)は「2023年3月末までに基本計画書をまとめるということだが、順調にいっていつ木造復元出来る予定か」と質問しました。

名古屋市の荒川・天守閣整備担当主幹は「2023年度には文化庁の復元検討委員会で議論いただこうと考えている。
概ね2年とか2年半かかると感じている。
その後現状変更許可で、その後木造天守の完成には6年半ぐらいかかると思う。
なので、2023年度からスタートしたとして約9年かかる。ある程度順調にいくと2032年度。」と述べました。

一方、折戸観光文化交流局長は「現天守の解体と木造復元を一体とした現状変更許可については、時期は申し訳ありませんが明確には申し上げられない状況にある」と述べるも、「道筋がはっきりと見えてきたと認識している」としました。

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20/6/12特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第22回)では、復元検討委員会は2年半(8回)としています。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200612.pdf
しかし、名古屋城の担当者は「復元検討委員会の回数について、文化庁から言われたわけではない」と述べています。

17/3/30第23回検討会議では、平澤毅・文化庁文化財部記念物課文化財調査官は「必要なら10回でも20回でも審議する」と述べています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170330-2.pdf

また、文化庁文化審議会文化財分科会で、また「指摘事項」がでれば、さらに名古屋市は回答をする必要があります。
前回は「解体申請」に対して指摘事項が出たので、「復元」についてもなんらかの「指摘事項」が出る可能性は極めて高いです。
・2021年5月 名古屋市 「現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答」
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/5aefdcef999649c77581210cd69b0bbd.pdf
・21/6/18 文化庁文化審議会文化財分科会の所見(要旨)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210709.pdf

なお、22/7/13特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会第24回部会での『整備スケジュール』では、着工から6年半で完成としています。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/3f1fd4c3e39fef4bfb21b36eea469a95.pdf

バリアフリーの新技術については、日弁連から「最上階までの大型エレベーターを付けなければ憲法等違反で人権侵害」と要望が出ています。
https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html
・日弁連人権擁護委員会ニュース「人権を守る」95号 2023年3月1日発行 
 バリアフリー新法に準拠したエレベーターを最上階まで! 〜名古屋城天守閣再建に関して名古屋市に要望〜
 https://nichibenren.or.jp/activity/human/human_rights/wadai.html

一方、穴蔵石垣の地下の根石付近には、江戸時代の遺構が残っており、現天守閣を解体後に調査したうえでそれを壊さないような基礎構造を検討するとしています。
また、穴蔵石垣背面は現天守閣工事の際の土砂や廃材などで埋められており、現天守閣を解体して調査してから安全対策を検討する」としています。
これらにどの程度の年月がかかるかはわかりません。

仮に文化庁が現状変更許可を出し、工事も終了したとしても、23/2/17に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第27回)で座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授が述べたように、「名古屋市は現在木造復元天守に1時間2500人を上限と計画しているが、多いかもしれない。安全に見てもらえるためには、来た人をすべて入れるのはやめた方がいい」というのを採用すると、来場者だけで建設費・維持費等をまかなうのは事実上不可能となります。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230217-1.pdf

竹中工務店が2016年3月に優秀交渉権者に選ばれてから早くも7年が経ちました。
今後「早くても9年かかる」と名古屋市は認めました。
「全責任は私が取る」「2022年12月末までに木造復元できなければ関係者全員切腹」と発言した河村たかし名古屋市長。
いつ着工するかわからない木造名古屋城復元事業に、すでに経費として2016年度〜2021年度に73億688万8764円支出しており、さらに毎年1億円ずつ木材保管費用をかけています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230121-1.pdf

・2015/8/24 河村たかし市長「全責任は私が取る」指示書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
・2019/4/1 河村たかし市長定例記者会見
 「2022年12月末までに木造復元できなければ関係者全員切腹」
 https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000115900.html

これまで名古屋市の甘すぎる予測はことごとく外れてきました。
いつまで名古屋市民は、名古屋市の「いつか名古屋城を木造復元出来る」につきあわされるのでしょうか。


建築士が名古屋城木造天守整備基本計画をチェック ○印は7.8%のみ

建築士の渡邉正之氏が、23/2/17に行われた特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第27回)で配布された「特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画(案)を読み解き、内容をチェックしたところ、○印は102項目中8項目のみ(7.8%)にしかすぎず、ほかは不適切及び史実忠実に逸脱するとしました。
渡邉氏の承諾を得て資料を公開します。
・2023/3/2 建築士・渡邉正之
 特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画(案)内容チェック表
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230304.pdf

・23/2/17 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第27回)配布資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230217.pdf

23/2/17に示された整備基本計画(案)では、復元計画のDバリアフリー、E完成後の維持保全・修繕計画と、復元計画(図面)は次回以降となったものの、復元計画@建築計画、A構造計画、B防災・避難計画、C設備計画 と、公開活用@完成後の木造天守の公開、A施工時等の公開 についてははじめて示されました。

それらについて渡邉氏がチェックしたところ、8項目以外は不適切及び史実忠実に逸脱するとしました。
詳細は資料をお読み下さい。
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専門家である建築士から、これほどまでに「不適切」「史実忠実に逸脱」とされて、本当に文化庁の復元検討委員会が復元許可するのでしょうか。
また、名古屋市建築審査会の許可は出るのでしょうか。
基礎構造やバリアフリーが決まっていない現在、一般財団法人日本建築センターの評定や、一般財団法人日本消防設備安全センター消防設備システム評価委員会の評定は再度取る必要はないのでしょうか。

今後バリアフリーについて復元計画(案)が2023年3月中に提案される見込みですが、日弁連から「最上階までの大型エレベーターでなければ、憲法等違反で人権侵害」と言われている中、「愛知県障害者差別解消推進条例」等に反するとして、愛知県から必要な措置を講ずべきことを勧告されないのでしょうか。
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/shogai/sabetsu-jourei.html
https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html

「不適切」で「史実忠実に逸脱」する名古屋城木造復元事業。
イメージだけでは事業を進めることはできません。


23/3/10(金) 名古屋城木造復元 名古屋市「穴蔵石垣背面は現天守閣工事の際の土砂や廃材などで埋められている」

23/3/10に開催された名古屋市議会経済水道委員会で、名古屋市は「穴蔵石垣背面は現天守閣工事の際の土砂や廃材などで埋められており、現天守閣を解体して調査してから安全対策を検討する」と述べました。
・23/3/10 名古屋市議会経済水道委員会説明資料
 観光文化交流局
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230310.pdf
・23/3/10 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城関係分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230310-1.pdf
 
現在、名古屋城木造復元については、基本設計を終えたと主張し、実施設計を行っていますが、穴蔵石垣と木造部分の接点である基礎構造については、遺構を壊す「はね出し架構」に代わる新たな基礎構造を提案できていません。

江上博之市議(共産・中川区)は「穴蔵石垣の調査のために、もうこれ以上中に入ることができないのでは」と質問しました。名古屋城調査研究センター村木副所長は「根石付近では旧遺構が残っていることを確認している。具体的にどこまでが壊れているか把握できていない。」としました。

江上市議は、「実施設計は壊れている石垣の部分が明確じゃないと本来の実施設計はできないのではないか」と質問しました。
天守閣整備担当の荒井主幹は、「穴蔵石垣根石付近の調査ができないと、設計図面等がかけないことは当然あると思う。ただそれ以外の部分は必要なので、実施設計が必要。また、基礎構造の設計は、現天守解体後の調査を踏まえて行う必要がある。」と述べました。

浅井正仁市議(自民・中川区)は、石垣保全対策の内容を質問し、荒井主幹は「2023年度に設計、2024年度-2025年度に工事を実施し、現天守解体木造復元を一体とした現状変更許可に向けた復元検討委員会で議論がされている期間に工事を行いたい」と述べました。

浅井市議は穴蔵石垣の安全対策について質問し、村木副所長は「栗石などがしっかり組み込まれておらず、現天守閣工事の際の土砂や廃材などで埋められている。戦後に積み直された天守台の穴蔵石垣は、本来の構造や安定性を持っていないので、このままでは地震の際の安全性が担保できない可能性がある。現天守解体後の調査を踏まえて、安全対策を検討する必要がある。」と述べました。
 
浅井市議は、「コンクリートを解体しなければ中の状態は分からない。本当にもし穴蔵を積み上げるとなると、またわかんない年月かかる。しかしこれが文化財行政だと思っているので、しっかりと取り組んでいただきたい」としました。

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とんでもない施工不良が発覚した、名古屋城現天守閣。
22/11/18石垣部会でも問題になっていました。

第52回部会(令和4(2022)年11月18日)
配布資料 
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/7b070230c105ab84fbb1a1f030bfe302.pdf
議事録
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/e9ea97fa5e2c3a823f8a1108d0167ef6.pdf
 
天守閣部会委員から、「入場者の安全性を確保するために、最上階への入場制限を検討してはどうか」と言われています。
また、日弁連からは「最上階までの大型エレベーターがつかなければ憲法等違反で人権侵害」と言われています。

本当にこのまま木造復元に突き進むために現天守閣を解体するのがいいのか、現天守を残す方針にして、いかに穴蔵石垣を修復するかを考えるのがいいのか、今一度冷静に考えるべきではないでしょうか。


23/3/8(水) 名古屋市議 「木造名古屋城が赤字で年間10億円以上税金投入でも、二之丸庭園・東南隅櫓・多聞櫓を復元するのか」

23/3/8名古屋市議会経済水道委員会で、江上博之市議(共産)から「木造名古屋城が赤字で年間10億円以上税金投入でも、二之丸庭園・東南隅櫓・多聞櫓を復元するのか」と質問があり、上田剛名古屋城総合事務所長は「木造復元に引き続いて、可能な限りこうした名古屋城全体の整備についても取り組みを進めていきたい」と述べるに留まりました。

・23/3/8 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城関係)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230308.pdf
 
江上市議は「二の丸庭園だけじゃなくて、第2期の金シャチ横丁の問題、博物館とか、芝居小屋風の多目的施設の建設費だって大きな支障があると思う」と述べ、木造復元を中止すべきと述べました。

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1873年に廃城令が公布された後、各地の多くの城郭建造物は競売に掛けられ、民間に払い下げられ、特に天守閣や櫓などの巨大な建造物は移築や維持に莫大な費用がかかるため、安価で売却されたといいます。

名古屋城は永久保存方針を決定しましたが、保存修理の費用や人員の負担が重くなったことから、1893年に陸軍省から宮内省に移管しました。その直前の1891年に発生した濃尾地震のため、本丸多聞櫓や西之丸の榎多門は大破し、石垣も崩壊。修復は陸軍省が費用を負担したものの、本丸多聞櫓は撤去され、それ以降復元されていません。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/learn/history/kindai/

今後仮に名古屋城木造天守ができた場合で、大赤字になった場合は、保存修理の費用などがかさんで名古屋城の他建物の復元に悪影響が出るどころか、木造天守自体の存続さえ疑問視する風潮も出かねないと危惧します。

江上市議が主張する「年間10億円の赤字」の根拠は不明ですが、仮に年間10億円の赤字が50年間続けば500億円。200年続けば2000億円の赤字となります。
それだけ赤字ということは観光客数も少なく、将来の名古屋市民が木造名古屋城の存続を疑問視してもおかしくは無いのではないかと思います。

三菱UFJリサーチアンドコンサルティング(株)名古屋が2018年6月に発表した収支計画では、2017年度〜2071年度の55年間の収支予測は基本で▲15億円。低位で▲65億円。高位でも45億円の黒字です。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180627zenbun.pdf

これはコロナ禍前の試算なので、国内旅行者・外国人入場者の減少、インフレによる資材費・人件費の高騰、木材保存経費の増大、工期延長による事業費増大については一切触れられていません。

23/2/17に開かれた特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第27回)で、座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「安全確保するなら、1時間2500人でも多いかもしれない」と述べ、年間360万人の前提を覆すような発言をしました。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#230217

しかしながら、名古屋市は「竣工時期が定まってから収支計画を策定する」と述べるのみ。

市にとって都合の悪いことは全て先延ばしにしてきた名古屋城木造復元事業。
今回の議会でどの程度議員が追及できるのでしょうか。


23/3/7(火) 名古屋城木造天守バリアフリー 松雄副市長「1階への昇降は確保したい。今一度市民意見を聴取する機会を設ける」

名古屋城木造天守バリアフリーに関し、23/3/7名古屋市議会本会議で松雄副市長は「公募の最低要求水準である大天守1階への昇降は確保したいと考える。その上でより上層階へのバリアフリー対応が可能か検討する。今一度、市民意見を聴取する機会を設けて市民のご意見を伺い、最終的には市長の判断を仰ぎたい」と述べました。

・23/3/7(火)名古屋市議会本会議(名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230307.pdf
 
松雄副市長は「石垣の保存、基礎構造の検討に関し、天守台内部石垣の積み直し、現代工法の付加も視野に入れた石垣の修復整備を検討する必要がある。
基本計画には基礎構造の検討例をいくつか記載するにとどめ、現天守閣解体後に詳細な調査を実施した後に検討する。」と述べました。
またバリアフリーについては「国において具体的な方針までは示されておらず、本市で判断するものとなっている。
地上から小天守を経て、大天守地階まではスロープを設置の上、公募の最低要求水準である大天守1階への昇降は確保したい。
その上でより上層階へのバリアフリー対応が可能か検討する。
大変難しい問題なので、木造復元のバリアフリー化に関して、今一度、市民意見を聴取する機会を設けたい。」と述べました。

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河村たかし市長は、23/3/6市議会本会議で、バリアフリーについて「1階までか2階以上か」明言しませんでした。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#230306

松雄副市長は23/3/7に「公募の最低要求水準である大天守1階への昇降は確保したい」と述べましたが、斎藤まこと市議が23/3/6に質問した
「日弁連からもエレベーターを設置するよう要望がある」には回答しませんでした。

また、「『今一度』市民意見を聴取する機会を設けたい。」と松雄副市長は述べましたが、これまで市民意見を聴取する機会はあったのでしょうか。

これまで、名古屋城木造天守バリアフリーについては、河村市長と名古屋市当局との間で意見の齟齬がありました。今回の市議会でも、意見の齟齬が解消されたとは到底言えません。


23/3/6(月) 名古屋城木造天守バリアフリー 河村市長は「1階までか2階以上か」明言せず

23/3/6名古屋市議会本会議で、斎藤まこと市議から「名古屋城木造復元天守にエレベーターは1階までか2階以上か、もしくはエレベーターは難しいのかどうか」と聞かれた河村たかし市長は明言しませんでした。
・23/3/6(月)名古屋市議会本会議(名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230306.pdf

斎藤まこと市議は政令市初の車いす議員。
今回最初で最後の市議会本会議での名古屋城木造天守のエレベーターに関する質問でした。
斎藤市議は「日弁連からもエレベーターを設置するよう要望がある」としました。
・2022年10月24日 日弁連
 名古屋城天守閣にエレベーターの設置を求める人権救済申立事件(要望)
 名古屋市長宛て要望
 https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html

河村市長は「日弁連からヒアリングも何もなかった。11人乗り相当のエレベーターだと柱や梁を取り除く必要があり、木造では無理で鉄骨で補強しないといけず、合理的配慮とはいえない。
日弁連はめちゃくちゃな話。名古屋城は図面が残ってて200年後には国宝にしよう」と述べるのみ。

斎藤市議が「エレベーターは1階までか2階以上か」と再度聞くも、「鉄骨はいかん」と述べるのみ。
斎藤市議は「木造化しても国宝にはならないと思う。スプリンクラーや照明、扇風機もある。エレベーターを設置し、バリアフリーをぜひやってほしい」と述べました。

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事実をまず確認しますが、日弁連は20/1/10に名古屋市長あてに文書で照会をかけ、20/3/31に名古屋市長河村たかし名で日弁連あてに文書で回答をしています。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/220916.pdf

それを「日弁連からヒアリングも何もなかった」というのは事実をねじ曲げるどころか、自分の名前で提出した文書に全く責任を持っておらず、行政のトップとして失格と言わざるをえません。

しかも、日弁連の要望では、「柱や梁を取り除け」と明言しているわけではなく、「あえてエレベーターを設置しないのは憲法13条及び14条1項、障害者の権利に関する条約5条1項及び2項、障害者基本法や障害を利用とする差別の解消の推進に関する法律等に違反する」と述べています。

また、日弁連は「歴史的建造物の復元であるとしても、エレベーターを設置することができないということにはならないから、『史実に忠実に従った天守閣の再建』というだけでエレベーターの設置を拒絶することに合理性は認め難いというべき」と述べています。

名古屋市は今後どうするつもりなのでしょうか。

23/3/3(金) 名古屋市 名古屋城木造復元後の収支計画は「新たな完成期限を定めてから作成し公開」

名古屋市は、23/3/3名古屋市議会本会議で、名古屋城木造復元後の収支計画は「新たな完成期限を定めてから作成し公開」と述べました。
・23/3/3 名古屋市議会本会議(名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230303.pdf

江上博之市議(共産)は、「建設費は500億円以上、維持管理費含めて50年間で1000億円の費用が必要」とし、入城料収入だけでまかなうなら、毎年25億円以上必要、年間360万人が50年間続くと以前試算されたとしました。
一方、コロナ禍で入場客が激減し、このままだと毎年度10億円以上の税金投入もあり得ると質問しました。
折戸観光文化交流局長は「木造天守だけではなく、二之丸庭園等もプロモーションし、税金ではなく入城料収入によって財源をまかなっていく方針。新たな収支計画については、来年度以降、文化庁において復元検討委員会が開始され、新たな完成期限を定めることができる段階となったら、その完成期限に基づく収支計画を作成し、市民の皆様にお示しする」としました。

河村たかし名古屋市長は「図面が完璧に残っている。200年くらいで国宝にした方がいいと思う。もう一回国宝にする任務があると思わないか」と述べました。

江上市議は「だからといって木造天守復元の道ではない」と述べました。

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市の答弁自体は特段以前と変わっていません。江上市議の質問も以前と変わっていません。

江上市議は、どうして23/2/17に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第27回)で、座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授が発言した、「名古屋市は現在木造復元天守に1時間2500人を上限と計画しているが、多いかもしれない。安全に見てもらえるためには、来た人をすべて入れるのはやめた方がいい」と述べ、予約制を提案したことについて触れないのか分かりません。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#230217

文化庁は、復元が可能かどうか、史実に忠実に復元されているかを審査するだけで、赤字になるかどうかを審査するわけではありません。
現時点でも、名古屋市は国や愛知県に対して木造復元についての補助を求めているわけではありません。

観光文化交流局長が発言した、「文化庁において復元検討委員会が開始され、新たな完成期限を定めることができる段階」がいつになるのかわかりませんが、それまでずるずると税金を使い続けるのが果たしていいのか。
重要な問題をすべて先延ばししてきた名古屋市のツケは最終的には市民が支払います。


23/2/17(金) 名古屋城木造復元 天守閣部会座長「安全確保するなら、1時間2500人でも多いかもしれない」

23/2/17に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第27回)が開催され、座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「名古屋市は現在木造復元天守に1時間2500人を上限と計画しているが、多いかもしれない。安全に見てもらえるためには、来た人をすべて入れるのはやめた方がいい」と述べ、予約制を提案しました。
名古屋市が入城料収入だけで木造復元を行うため、収支見込みで前提としていた、年間360万人(土日2万人、平日6千人と想定)が崩れる可能性があります。
バリアフリーや基礎構造については次回以降に提案するとのこと。
・23/2/17 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第27回)配布資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230217.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230217-1.pdf

今回も、写真・録音・録画は禁止されました。
文化庁は今回はオブザーバーとして参加しませんでした。

名古屋市は、2023年3月末までに「木造天守整備基本計画」をまとめるとしています。 
名古屋市は、前回分科会までに江戸時代の様子を「復元原案」として検討してきました。
今回、ようやく「復元案」が提案されましたが、バリアフリーや基礎構造の具体的方法については次回以降に提案するとのこと。
ただ、基礎構造の検討の基本的な考え方を示しました。
 ・文化庁が定める基準を順守
 ・天守台本来の遺構には新たに手を加えないことを原則
 ・人命安全確保を第一

3階から4階には史実にはない階段を1こ付加し、5階から4階への救助袋を設置するとのこと。

復元計画の中の、防災・避難計画の項目で、「適切な在館者数の管理」があり、大天守の最大同時在館人数を2500人を上限としました。
また、4階から5階には階段が1つしかないため、「係員による厳格な入場制限を行い避難可能人数を超えないようにする」としました。

川地正数・川地建築設計室主宰は「名古屋市は1時間2500人を上限とし、5つの対策をすることで非常時に安全に避難できるとしたが、根拠を確認したい。
かつて名古屋市はオープン時に366万人来館するとし、休日2万人を8時間開館時間で均等にならしたが、市の予測では竣工事400万人を超えるとした。
休日2万人は相当超えると思う。
竹中工務店も加わって行った調査結果では、1日のうち均等に来るわけではなく、3時-4時に集中している。
高齢化も進み、障がい者・車いす以上に高齢者の階段の上り下りが大変。
1時間2500人に抑えても、階段周辺の混乱は予測される。人的管理ではなくデジタル技術で対応しないと大変なことになる」としました。

荒川主幹は「高齢者のシミュレーションをしている。1時間2500人は難しいオペレーションだが、避難が可能と考える」と述べました。

瀬口座長は「1970年大阪万博の時代とは変わり、近年の観光地では予約制をとっている。来た人を全部入れるのではなく、予約した人だけを入れるようにしてはどうか。
1時間2500人でも多いかもしれない。
安全に見てもらえるためには、来た人をすべて入れるのはやめた方がいい」と述べました。

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現存している木造3階建ての名古屋城西南隅櫓は、消防法の規程に基づき、最上階に同時に滞在できるのは9名のみです。
19/1/22木造復元市民向け説明会で、竹中工務店は「最上階にはおおむね100人程度で先生方と話をしている」としました。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2020/02/20200204_950.html

今回の資料には、各階毎の具体的な人数はありませんでした。

木造復元天守来館者はすべて最上階にのぼる、と仮定した場合、最上階のキャパで来館者数が決まります。
過去資料では、具体的な各階ごとの数字が出ていました。
今回どうして名古屋市は具体的な数字を出さないのか、理解に苦しみます。
「1時間2500人は難しいオペレーションだが、避難が可能と考える」というのであれば、それなりの根拠が必要ではないでしょうか。

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なお、名古屋城総合事務所に確認したところ、川地委員が述べた、時間ごとの来城者数調査結果は把握していないとのこと。
本丸御殿の入場者数もカウントしていないが、だいたい有料入場者数の3-6割程度とのこと。
本丸御殿の個人入場制限は下駄箱(300)の数がいっぱいだと入れない(団体客は別)とのことでした(湯殿書院は別)。

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参考までに、世界遺産であるイタリアのピサの斜塔の入場料は18ユーロ。
1グループ40人ごとに予約をとり、係員の案内で約30分の見学となります(1時間80人)。
ピサの斜塔の観光に来る人の多くは、斜塔内に入れません。

木造復元名古屋城も、ピサの斜塔と同様、多くの人は外から眺めるしかないのでしょうか。


23/2/10(金) 名古屋市 令和5年度当初予算案に名古屋城木造復元バリアフリー技術開発等約2億円計上

名古屋市は、23/2/10に令和5年度当初予算案を発表し、名古屋城木造復元関係では、実施設計1500万、設計監理等支援業務委託1000万、木材製材9998.5万、石垣保存対策5870万、木造天守閣昇降技術開発1584万、合計1億9952.5万円を計上しました。
https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-20-1-1-2-0-0-0.html

23/1/10に発表した「財政局査定内容の公開」では、「市長査定で対応を検討」とされていました。
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000159790.html

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河村たかし名古屋市長は22/12/5に「昇降技術の設置は、1階もしくは2階までとし、3階以上は設置しない、これが合理的配慮」と発言しました。
https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000158911.html

一方、23/1/10のTwitterでは「エレベーターヤメテチョウ」と述べています。
https://twitter.com/kawamura758/status/1612801372847755264

にもかかわらず、「大天守地階又は地上から可能な限り上層階まで昇降できる技術」を開発する予算を市長査定でつけるのは、全く理解できません。
https://www.castle-challenge.city.nagoya.jp/challenge/
河村市長は「3枚舌」と言われても仕方が無いのではないでしょうか。
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なお、23/2/17(金)午後2時から午後4時まで、KKRホテル名古屋 芙蓉の間で第27回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会が開催され、バリアフリーを含む木造天守整備基本計画についてが議論されます。ぜひ傍聴ください。
https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2022/kankobunkakoryu/0000160821.html
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>23/2/10(金) 名古屋城石垣部会 石垣保存方針、穴蔵石垣や鵜の首石垣など議論せず

名古屋市は23/2/10(金)に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会(第54回)を開催しましたが、木造天守復元に関係する穴蔵石垣や鵜の首石垣などは議論しませんでした。
オブザーバーの文化庁は今回も参加しませんでした。
・23/2/10 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第54回) 配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230210.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230210-1.pdf
 
今回も、録画・撮影は禁止されました。

議題は本丸搦手馬出周辺石垣の修復(敷金)と、表二の門附属土塀の雁木の調査についてでした。

石垣修復の際に下に敷く敷金について、名古屋市は突然「今年度中に1石2石元の場所に入れたいので、敷金をまとめて発注したい」と言い出しました。
しかしながら、敷金がどこにどう置かれていたかかのデータは名古屋市は取っていないとのこと。
石垣部会構成員は、「敷金の本当の目的と機能の検証は進んでいない。まずはデータを確認する必要がある」としました。

また、表二の門附属土塀の雁木について、千田嘉博・奈良大学教授は「そもそも表二の門を修理する前提があり、過去に撤去されたであろう雁木を調査し、復元可能か検討している。また、土塁も確認している。名古屋城が過去どうだったかを確認しているという調査のセオリーをわきまえて欲しい」と述べました。

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名古屋城の各種有識者会議を傍聴していて毎回思うのですが、この会議はどんな項目を議論しているのか、今回の位置づけはなにか、いつまでに何をしないといけないのかが全く分かりません。
また、全体会議と部会の関係、位置づけも分かりませんし、それぞれがどんな議論をしたのかの報告もありません。

名古屋城総合事務所は、2023年3月末までに、@石垣保存方針、A基礎構造の方針、B解体と復元を一体とした全体計画を策定しようとしています。
石垣部会は今後何を決めないといけないのか。あと1月半しかありませんが、まったく不明です。

たまたま、石垣部会が終了した23/2/10(金)12時に、令和5年度当初予算がネット公開されました。
https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-20-1-1-2-0-0-0.html
石垣保存対策に5870万円予算案が計上されていますが、それに関して何も議論がありませんでした。
いったいどうなるのでしょうか。
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名古屋城木造復元市民向け説明会 1回のみにした理由不存在

名古屋市は名古屋城木造復元市民向け説明会を2018年以降、年に3回〜8回行ってきましたが、今年は23/1/21(土)1回のみ行いました。
名古屋市民オンブズマンは「1回のみにした理由がわかる文書」を情報公開請求しましたが、不存在でした。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230206-2.pdf


河村たかし名古屋市長は、23/1/23に行った定例記者会見で、今年度は1回のみだったことに対し、「わざわざ少なくした認識はない」と述べましたが、少なくした理由は述べませんでした。
https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000160435.html

THE PAGE によれば、名古屋城総合事務所は「今回は会場での質疑応答の様子を後日オンライン配信するため、1回の開催でいいと判断したという」とのこと。

・23/1/23(月) 16:09配信 THE PAGE
 名古屋城説明会「木造反対はゼロ」も開催は1度きり 河村市長が会見
 https://news.yahoo.co.jp/articles/2d05edbf492f2e4c5bb26d15006b6cd222bdee6a?source=rss
 
23/2/8現在、会場での質疑応答のオンライン配信は見つけることができませんでした。
https://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000158537.html

上記サイトで、23/2/17までアンケートを実施しているとのこと。

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質疑応答のオンライン配信と、説明会の回数は特に関係がありません。
名古屋市はきちんと市民の疑問に向き合わなければ、「名古屋のシンボル」になるわけがありません。


名古屋城木造復元「200-300年後に国宝になる」文化庁偉い様発言根拠 不存在

河村たかし名古屋市長が23/1/23定例記者会見で発言した「まあ、文化庁の偉い様も、まあ、200年から300年で国宝にもう一回すると、名古屋城。自信をもって復元ということでやってくださいよと言ってましたよ、僕に。」の根拠が分かる会議記録、メモ、配付資料を名古屋市民オンブズマンが情報公開請求したところ不存在決定が出ました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230206-1.pdf
・令和5年1月23日 市長定例記者会見
 https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000160435.html
 
また、河村話法「名前を決して明かさない誰かが、自分に都合のよいことを言った」です。

唯一、名古屋市民オンブズマンによる情報公開訴訟で、河村市長が文化庁に対して発言した『これだけ資料が豊富な復元は世界に例がない。世界にアピールすることが必要だ』と発言したのが踊りの家元であったことがわかりました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200203-1.pdf

そもそも、現在の「文化庁の偉い様」が、仮に「200年から300年で国宝にもう一回する」と発言したとしても、当該「偉い様」には国宝にする権限はありません。
文化審議会文化財分科会の審議・議決を経て、国宝に指定することを文部科学大臣に答申をします。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/bunkazai/

今後、河村市長は発言者の氏名を明らかにすべきです。
また、「河村話法」だと認識すれば、ただちに「誰が発言したのか」と追及も可能です。

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「河村話法」一覧(名古屋城をめぐるもののみ)
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・平成27年12月12日 名古屋城天守閣木造化タウンミーティング
 https://ombuds.exblog.jp/22648799/
【河村市長】江戸城 500万人来ると想定されている
 名古屋も同じくらいくると学者が発言しているが、それ以上は物理的に入れない
【オンブズマン】学者はだれですか。具体的に言ってください
【河村市長】 名前は今言えない 
【オンブズマン】 なぜ名前を言えないのか
【河村市長】 その学者のプライバシーがあるから

・平成29年12月18日 市長定例記者会見
https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000099730.html
「そういうホームエレベーターというのは、実は大変に危険ですからね、これ。」不存在
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180117.pdf

・平成30年10月15日 市長定例記者会見
https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000110757.html
いやいや、そりゃ、文化庁だって言っていますから。そんな遅らせるつもりはありません、って。言ってますから、直接、電話ですけど。行く時間がないもんで。誰とはちょっと言いにくいけど、えらい様と話しておりますから。

・令和元年9月20日 名古屋市議会経済水道委員会
 https://ssp.kaigiroku.net/tenant/nagoya/SpTop.html
(市長)文化庁の責任ある方からは、解体だけだと更地になるだけだと、したがって、変更によって、解体と天守の復元を同時にやられたらどうですかと、そういう話があったということで、あとは現場で話をしてほしいと、具体的な問題についてはそういう話でした。
(浅井市議)それなら、不許可か差し戻しになったときは、市長あなたが全面的に責任持つんですか。
(市長)そりゃ、名古屋城は私は必死になって進めてきましたから、これは責任とりますよ、そんなふうになったら。そういうふうになりません。ちゃんと僕は、あなたはそう言われるけど、責任者からほぼ2回電話ですけどね、ちゃんと聞いておりますから。そのかわり、石垣部会の人と話をまとめてくださいと、そうしたら審議会に上げますからと、はっきり言われていますので、これは。

・令和2年4月25日中日新聞記事
「文化庁からも『木造でやりましょう』とはっきり言われた。」
不存在 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200520.pdf

・令和2年12月21日 市長定例記者会見 
「課題というか、文化庁からは、議会でも答弁しましたように、前へ進めましょうと。ただ、専門家、学者、専門委員の皆さんとは、仲よう、仲ようじゃないけど、話をちゃんとまとめて進んでくださいねと。」不存在
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201228-1.pdf

・令和3年3月1日 市長定例記者会見
https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000138784.html
(記者) この石列が学術的価値が高かった場合、どのような措置をするのかなと思いまして。
(市長)まあ、そこらは専門家に聞いてもらわなかんけど、私の勉強によるとこだと、西側に小天守を造る計画があったんだけど、それはやっぱりなかったんでないのかということで、一応の結論を見ているというふうに、ある学者から聞きましたけど。

・令和3年4月26日 中日新聞記事
「名古屋城木造天守 4,5年前 バリアフリーを企業に検討依頼 人力がいいという結論に」不存在
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210512.pdf

・令和3年5月31日 市長定例記者会見
 https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000140154.html
(記者)願望を聞いてるんじゃなくて、結果を聞いてるんですよ。文化審議会はどういう扱いされてるんでしょうか、把握してますか。
(市長)それは言わんでちょういうことになっとる。
(記者)文化庁が名古屋市に、報道質問に答えるなということをおっしゃっているんですか。
(市長)文化審議会についての内容は、いつ開かれて、どういうふうだったということは、何か言わないという慣例かと、そういうようなことらしいですよ。
(記者) それは名古屋市が問い合わせても文化庁は回答しない、してないということですか。
(市長)そんなことでないと思いますけど、そこら辺のところはどうかあれですけど、こうであったというに結論的には言わんでくれと。

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23/2/3(金) 名古屋城跡全体整備検討会議で鵜の首・穴蔵石垣調査成果報告も意見無し

23/2/3(金)に、特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第54回)が開催されました。
今回も撮影・録音は禁止されました。
名古屋市民オンブズマン関係者は都合がつかず傍聴できませんでした。

23/2/3(金)特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第54回)配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230203.pdf

議題は、西之丸展示収蔵施設周辺整備と、表二の門附属土塀の雁木の調査でした。
また、鵜の首(小天守西)の水堀側石垣根石発掘調査の調査成果と、穴蔵石垣根石発掘調査(追加調査)成果が報告されました。

傍聴した人に聞くと、報告だけで特に意見も質問も出なかったとのこと。


23/1/28(土)名古屋城シンポ パネリスト「木造復元してできるのはあくまでも令和の城」

23/1/28(土)に名古屋市は名古屋城シンポジウムを開催しました。
450人の定員が開始20分前には満席になるほど大盛況でしたが、会場からの質問時間はありませんでした。
パネリストの萩原さち子氏(城郭ライター)は「一つ気に留めるべきなのは、あくまで復元であり、かなえられない技術や資料があるため、あくまでも慶長の天守ではなく令和の天守である。
愛をもって本質的価値を見るべきで、何を選ぶのかが大事」と述べましたが、具体的な問題については触れませんでした。
・配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230128.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230128-1.pdf

今回、写真撮影は遠慮するよう事前にアナウンスがありました。新型コロナ禍の中、前後左右とも狭い席が満席で、しかもネット中継はありませんでした。
23/1/21市民説明会で配付した資料は、今回は配布されませんでした。

パネルディスカッションとは「ある問題について五、六人の対立意見代表者が聴衆の前で議論をかわし、のち聴衆全体に討論への参加を求める方法」(精選版 日本国語大辞典)とのこと。
https://onl.tw/M7555wv
今回壇上に上がったパネリストの小和田哲男氏(静岡大学名誉教授)、クリス・グレン氏(お城好きラジオDJ)、萩原さち子氏(城郭ライター)はいずれも大の城好きであり、いずれも名古屋城木造復元を積極的に推進し、全く意見の対立はありませんでした。

しかも、会場に来た人に、大高城を訪れた人はどれくらいいますかと質問したところ、半数以上が手をあげるなど「普通の客ではない」(コーディネーターの原史彦氏(名古屋城調査研究センター主査))。
会場は大変盛り上がり、会場で募集していた金シャチ募金への寄付受付にが大勢が集まっていました。

小和田名誉教授や上田剛名古屋城総合事務所所長が、いろいろ名古屋城の歴史や経緯を説明していましたが、「徳川家康が築いた究極の城」がどうして幕末に機能しなかったのか(家康が想定した最悪の事態である『西から江戸に向かって進軍してくる敵』を名古屋城でどうして防げなかったか)は全く説明がありませんでした。

それよりも、どうして2022年12月までに完成させると言っていた木造復元がここまで遅くなっているのか(いまだに文化庁の現状変更許可も出ていないどころか、名古屋市は解体と復元を一体とする現状変更許可申請もまだ出していない(2023年4月以降に提出予定))は説明がありませんでした。

萩原さち子氏も、「何を選ぶのかが大事」とは述べるものの、具体的な問題を挙げることなく、改善方法の提案もありませんでした。

小和田名誉教授は「木造復元は何年かかってもいいと思う。孫子の代までかかってもこの流れは絶やしてほしくない」と述べ、暗にいつまで木造復元に時間がかかるかわからないことを認めました。

河村たかし名古屋市長は、今回は挨拶をしませんでした。

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名古屋城木造復元事業のボトルネックである「バリアフリー」「基礎構造」「石垣安全対策」は竹中工務店が2016年3月に優秀交渉権者に選ばれて以降7年かけても解決できませんでした。
バリアフリーは日弁連が「憲法や条約、法律に違反する」とした小規模な昇降設備を導入する方針です。
しかも河村市長は「昇降技術の設置は、1階もしくは2階までとし、3階以上は設置しない、これが合理的配慮」と述べ、障害者団体が猛反発しています。
石垣等遺構を破壊しない「基礎構造」については、現在「調整会議」が開催出来ない状況です。
「石垣安全対策」については、これ以上調査を行うのが危険だと判断した場合、それを踏まえて検討予定とのこと。
これらを2023年3月末までにまとめる方針です。

金シャチ募金は約7億円寄付が集まったとのことですが、目標は100億円です。
名古屋市が今後53年間の試算を2016年6月に公表していますが、運営管理費も含めて979億円の事業中、利子は約101億円と試算されています。 
https://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/cmsfiles/contents/0000083/83234/1-4men.PDF

木造復元へ寄付した人には「あなたはどんな木造天守が出来ると思いますか」「江戸時代になかった昇降設備、階段を付けようとしていますが、それでも
寄付しますか」「昇降設備や階段がなければ、文化庁は許可しません」「天守台地下に、貴重な石列が発見され、それらを破壊するような基礎構造はできませんし、どう保存するかはまだ未定ですが、それでも寄付しますか」などを問いたいです。

何回も言うように、「資料さえ豊富なら、江戸時代そのものの天守が復元出来る」わけではないのです。
あくまでも「令和の城」であり、技術的制約だけでなく、各種法令を守る必要があるのです。
その上で、収支見通しが議論になるのですが、残念ながらそもそも法令が守られるかも分かりませんし、収支見通しも立っていません。
これらは、今回のような「シンポジウム」では明らかにならず、会場からの質疑や市議会での討論で明らかになるのですが、今回名古屋市は質疑がある市民説明会を年1回に減らしました。

名古屋城は、一部の城好きの人だけのものではなく、「日本全体の宝」なのです。
事実を踏まえたきちんとした議論を望みます。

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名古屋城木造復元 22/12/1名古屋市と文化庁面談記録に「現天守閣解体後穴蔵石垣を全面的に調査」

名古屋城木造復元事業に関し、22/12/1に名古屋市が文化庁に出張した際の復命書・資料が全面開示され、穴蔵石垣と基礎構造について、「現天守閣解体後全面的な調査」と記載がありました。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119.pdf

文化庁は渋谷主任文化財調査官で、名古屋市は教育委員会文化財保護室、名古屋城総合事務所所長他3名です。

復命書には、穴蔵石垣と基礎構造について、「現状可能な範囲で穴蔵石垣の状況について調査をしているが、現天守閣解体後全面的な調査を行ったうえで改めて石垣の安定性向上・安全確保の対策と基礎構造を合わせて具体的に検討する」と記載がありました。
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23/1/24(火)名古屋城石垣・埋蔵文化財部会では、オブザーバーの中井将胤・文化庁文化資源活用課整備部門(記念物)文化財調査官は「穴蔵石垣について、調査が足りないかもしれないが、危険が伴うのならその段階で判断すべき」と述べました。

23/1/21市民向け説明会配付資料にあった、「現天守閣解体後には、穴蔵石垣の全面的な発掘調査を行ったうえで、安全確保の対策と基礎構造について改めて具体的な方法を検討していく。」とも符合していると思います。

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なお、白黒14枚、カラー105枚で5390円請求されました。

復命書3枚はともかく、添付資料は22/12/5市議会説明資料とほとんど同じです。
・令和4年12月5日 名古屋市議会経済水道委員会説明資料
 観光文化交流局 名古屋城天守閣整備事業における解体と復元を一体とした全体計画(中間報告)について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221205-2.pdf
・令和4年12月5日 名古屋市議会経済水道委員会説明資料
 特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画(案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221205-3.pdf
 
名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所に確認したところ、「22/12/1に文化庁に提示した資料は、一部を修正して市議会に説明した。どこが違っているかはちょっと言えない。復命書の添付資料は、紙で保管しているから紙で開示した」と述べました。

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今回の添付資料は全面開示で、しかもパソコンで作っています。紙で開示するのは費用ばかりかかってしまいます。今後電磁的記録で開示することを希望します。

名古屋市スポーツ市民局市政情報室に確認したところ、「非公開部分がある際は、電磁的記録だと黒塗りができない。黒塗りをしたつもりが、情報が隠れていない事例があった。」と述べました。

当方はAcrobat Proという墨消しツールを説明し、情報を隠すことができると述べました。
https://helpx.adobe.com/jp/acrobat/kb/6111.html
しかしながら、市政情報室は「全庁的に当該ソフトを持っているわけではない」と述べました。

名古屋市情報公開条例の本旨に基づけば、電磁的記録での開示こそ、市民に説明する責務が全うされるのではないでしょうか。
https://www.city.nagoya.jp/sportsshimin/page/0000001423.html

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※ぜひともカンパをお願い致します。
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23/1/24(火)名古屋城石垣部会「『石塁』鵜の首は不安定で何らかの対策が必要」

23/1/24に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第53回)が開催され、小天守西側の鵜の首西側石垣を現地調査した石垣部会委員は「極めて不安定で、短期的・中長期的に何らかの対策が必要」と述べました。

・23/1/24 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第53回)配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230124.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230124-1.pdf

今回も、写真撮影・録音は傍聴者・マスコミとも禁止されました。

今回の議題は鵜の首西側石垣調査、穴蔵石垣根石発掘調査です。

鵜の首は名古屋城観覧の主要な導線であるだけでなく、現天守閣の解体の際、上を重機が通る計画となっています(車両荷重25kPa)。
・22/2/17 第47回名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会資料
 3 資料2.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220217-3.pdf

鵜の首西側石垣は、濃尾地震の際に崩落して積み直した記録があり、今回石垣の安定性を調査するために2ヶ所調査しました。

今回の調査で、下段は近世の石垣の可能性があり、上段はその後の時代の石垣ではないかとされました。
しかも、下段の石垣に上段の石垣がきちんと載っていない可能性があり、不安定なので今後ボーリング調査などが必要ではないかと指摘がありました。

また、鵜の首西側は水堀で、1.5mほど東側より低いとされ、地盤が傾斜している可能性が指摘されました。

座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「石垣と石垣でサンドイッチされているところは、普通は『石塁』と呼ぶ。
よほどなにか意図したものがないと作らない。
鵜の首は日常的に見学者が歩くところであり、絶対に道を確保しないといけない。」と述べました。
宮武正登・佐賀大学教授は「鵜の首東側石垣は、『全てが濃尾地震後の石垣』ではなく、パッチワーク的になっている。
しかも、石塁の構造物は本来は同レベルで水平にしながら土同士でかみ合うもの。危険因子が深刻な可能性がある」と述べました。
西形達明・関西大学名誉教授も「石塁構造は、熊本城の例を見ても安定性に欠け、地震で最も弱い形で危険が高い。上に観光客が通るので、安定性の検討をせざるを得ない」と述べました。

オブザーバーの中井将胤・文化庁文化資源活用課整備部門(記念物)文化財調査官は「今の段階では指導はない。各先生方がおっしゃられた
通りに進めて頂きたい。現状把握の後、短期的・長期的対策を取ってもらいたい。
普通なら石垣だけならそれなりの対応をすればよいが、長期的にほかの事業も入っているので、整理してもらいたい」としました。

穴蔵石垣根石発掘調査結果については、学芸員から報告があり、「江戸時代の石列の上に、工事の際の土砂が積まれており、その上に昭和再建後の石垣が載っていたことが判明した」とのこと。

梶原義実・名古屋大学大学院教授は「再建時工事の際の土砂の上に石垣が載っているのは衝撃的な写真。大丈夫か」と述べました。

宮武教授は「面で掘った7ヶ所のうち4ヶ所から江戸時代の石列が見つかっている。
締まりの無い工事の際の土砂の上に4メートルの石垣を載せているのは、比較にならないくらい状況が悪い。
今後、木造天守閣にするにせよ、現天守閣を残すにせよ、現天守閣をとっぱらうにせよ、極めて危ない。」と述べました。

北垣座長は「土砂だけでなく木製品も入っており、石垣の基礎としてあり得ない。これ以上現場での調査は無理な状況。今後新たな方向性を考えないと無理」と述べました。

宮武教授は「『完全に江戸時代の遺構が残っていない』のではないことは立証された。今後見つかった江戸時代の遺構を肯定的に活用・宣伝してもらいたい。」と述べました。

中井調査官は「穴蔵石垣について、調査が足りないかもしれないが、危険が伴うのならその段階で判断すべき」と述べました。

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「鵜の首」は、天守閣木造復元時は、最大25kPaの車両荷重をかける計画です。

地震時、観覧者の通行すら危ないとされている鵜の首。工事車両が通行して大丈夫なのでしょうか。
今後注目していきたいと思います。

なお、穴蔵石垣については、「想像以上に危ない」という認識で委員が一致しています。
その後の対応について、中井調査官が「危険が伴うのならその段階で判断すべき」と述べており、23/1/21市民向け説明会配付資料にあった、「現天守閣解体後には、穴蔵石垣の全面的な発掘調査を行ったうえで、安全確保の対策と基礎構造について改めて具体的な方法を検討していく。」と符合するのではないでしょうか。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230121-1.pdf


23/1/23(月)名古屋城説明会1回のみ 河村市長「わざわざ少なくした認識はない」 切腹発言「スケジュールがうまくいかなかったらとは言っとらんと思う」

河村たかし名古屋市長は、23/1/23に行った定例記者会見で、23/1/21名古屋市が行った名古屋城木造復元市民向け説明会が今年度は1回のみだったことに対し、「わざわざ少なくした認識はない」と述べました。
また、「2022年12月末までに復元出来なければ切腹」発言に対しては、「スケジュールがうまくいかなかったらとは言っとらんと思う」と述べました(事実と異なる)。

・動画
 https://www.youtube.com/watch?v=a8J5cyJwekM&list=PLxKm9FirWa9Sd0LtyzOnvrSrKVX_GiSUv&index=24
・23/1/23(月) 15:13配信 THE PAGE
 コロナ5類引き下げ「公費負担続けるべき」名古屋・河村市長会見1月23日(全文2)
 できんかったら切腹ものだと言った記憶はあります
 https://news.yahoo.co.jp/articles/e9ec18a23ec519ebba68fc9bcb5c866442f89ee1?page=5

THE PAGE によれば、名古屋城総合事務所は「今回は会場での質疑応答の様子を後日オンライン配信するため、1回の開催でいいと判断したという」とのこと。
・23/1/23(月) 16:09配信 THE PAGE
 名古屋城説明会「木造反対はゼロ」も開催は1度きり 河村市長が会見
 https://news.yahoo.co.jp/articles/2d05edbf492f2e4c5bb26d15006b6cd222bdee6a?source=rss

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2018年以降、年に3回〜8回行ってきた市民向け説明会を今年1回にした理由を、河村市長自らは説明しませんでした。

また河村市長「2022年12月末までに木造復元できなければ切腹」発言は、いまだに名古屋市公式WEBに載っています。
・平成31年4月1日 市長定例記者会見
 https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000115900.html
 (市長)みんな切腹と。そのかわり私一人では切腹しません。関係者全員切腹です。
 (記者)別に間に合わなければという意味ではないということですか。
 (市長)間に合わなければも同じですよ。同じですよ、そんなの。

市民からの直接の質問すら回数を減らして事実上受け付けなくする名古屋市。市民への説明無く「市民の誇り」を作ろうとしても無理です。

また、名古屋城木造復元事業の「バリアフリー」「基礎構造」「石垣安全対策」というボトルネックは7年かけても解決できませんでした。
名古屋市はあと2ヶ月ちょっとで市民の意見を無視してなんとかまとめた形を取ろうとしています。
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名古屋市 名古屋城木造復元 中日新聞に「文化庁の許可後10年程度の工期」と説明

23/1/22中日新聞に、23/1/21名古屋市が行った名古屋城木造復元市民向け説明会の記事があり、「市によると、文化庁の許可が出た後、現天守閣の解体を含めて十年程度の工期が見込まれている」と掲載されていました。
23/1/23に名古屋城総合事務所に電話で確認したところ、「市民向け説明会では、工期について具体的説明はなかった。
中日新聞が何をもとに記事にしたかわからないが、特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会第24回部会(令和4(2022)年7月13日)16ページに『整備スケジュール』が書いてあり、これが公にしている最新のもの。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/3f1fd4c3e39fef4bfb21b36eea469a95.pdf
上記には、天守台石垣保全・安全対策工事を含めると10年とある。
しかし、復元工事終了は、文化庁からの許可が出てから6年目の予定。
なお、今後の議論で、木造復元天守を安全に見て頂くために、天守台石垣保全・安全対策工事を復元工事と並行して行うことになるかもしれない。」と述べました。

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名古屋市は、23/1/21市民向け説明会では「(文化庁の)復元検討委員会の時間は読めないので、竣工期限を伝えられないのは心苦しい」とのみ説明しました。
・配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230121-1.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230121-2.pdf

せめて上記『整備スケジュール』を市民に示すことが必要だったのではないでしょうか。

なお、17/3/30に平澤毅・文化庁文化財調査官は「巨大な天守閣ですから、言うまでもなくこれまで事案が存在しませんので。
これを見ると3回くらいで書かれているみたいな感じですが、3回ですむのか、どうかというのは、まったくその限りではないですし。
実際、他の事案では5回、6回と重ねてやっている事案もあります。
予定通りいくかどうかは、まったく見えない状態です。」と述べています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170330-2.pdf

23/1/21(土)名古屋城木造復元市民向け説明会に217名参加も、質問途中で打ち切り

名古屋市は23/1/21(土)に名古屋城木造復元市民向け説明会を鯱城ホールで開きました。
今年度は質疑応答があるのは今回1回のみで、217名参加がありましたが多数質問希望者から手が上がるも、44分間のみで8名からの質問しか受け付けませんでした。
名古屋市の説明並びに質疑応答の様子は、カメラ撮影は禁止。
後日名古屋市がホームページに掲載するとのことでした。
・配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230121-1.pdf

・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230121-2.pdf

今回の質疑応答で見るべき点は、竹中工務店の「状況は変わることはあるが、名古屋市と話し合って基本協定に基づき事業を進めていく」というものと、名古屋市の「(文化庁の)復元検討委員会の時間は読めないので、竣工期限を伝えられないのは心苦しい」というものだけでした。

2022年12月末までの「基本協定」「実施設計」「木材製材等」はいつの間にか「暫定的に」2024年3月31日まで延長になりました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/211214.pdf
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220628.pdf
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220422-1.pdf
しかしながら、期限の定めの事実上ない実施設計契約、請負契約は、民法、建設業法に違反するという指摘もあります。

「過去の文献等資料」が豊富でも、現在の日本の各種法律を破って復元することはできない。

この当たり前の事実に対し、どう市や竹中工務店が答えるか。
今年度1回しか市民説明会がなかったため、確認する方法はありません。

今後市議会で質問を行うか、令和5年2月17日(金曜日)午後5時30分まで実施するアンケートに質問を送れば、後日、市のページに掲載するとのこと。
https://logoform.jp/form/mX9C/195058
https://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000158537.html

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参考
・平成28年度〜令和3年度木造復元に係る経費
 73億688万8764円
・寄付金額の実績(平成29年度〜令和3年度)
 5億8380万5117円
  
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名古屋城木造天守閣昇降新技術公募支援業務委託【2021年度分】成果品3078枚開示

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託【2021年度分】の成果品を情報公開請求したところ、白黒・カラーあわせて3078枚開示されました。
電磁的記録で開示を求めましたが拒否されたため、すべて紙で開示されました。
当初は白黒1258面12580円、カラー1820面91000円、合計103580円請求されましたが、交渉の末、全て白黒で30780円支払いました。
民間事業者の氏名のみ非公開で、他はすべて開示されました。
膨大な資料のため全ては読み込めていませんが、国際コンペを行うため、膨大な資料を全て英訳する必要があること、
じわじわと公募開始時期が遅れていくことなどがわかります。

また、打合せ記録からは以下注目すべき議論がなされていました。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/uchiawase.pdf
・21/6/3 安井建築設計事務所
 「地上から一階の技術」は提案のハードルが高く、良い提案がでてくるか懸念される。
 また、天守外壁に穴を開ける必要があり、竹中工務店の意見も聞くべき枠と感じた。
・21/7/21 名古屋市
 導入契約を一つの流れ、木造の天守閣に設置する行為がある。建築物に設備を設置するのは建築行為。建築業法の縛り。設置するには建築業許可が必要。
 設置を伴わない場合は、不要。例えばパナソニックの作った電気。装備品メーカー。
 そういうメーカーが公募に参加するとすると、建設業許可がない問題が発生する。
 安井建築設計事務所
 竹中は事業者に設置まで担ってほしいという意向がある。建築面でのお手伝いはできるが、設置に関する責任は負いたくないという趣旨。そのすみ分けがうまくいくかは心配。
・21/7/28 日本総合研究所
 建設業許可未取得の事業者が選定された際の契約関係については、一般的には、竣工中は本体工事の元請が仕切る現場であるため、そこに契約関係にない他者を入れることを元請は嫌がるものである。そのため、元請からの再委託を受けるか、元請から昇降設備を再委託される建設業許可を有する1者を介して、そこから再々委託を受けるような、契約関係が望ましいのではないか。竹中打合せでも確認したい。
・21/10/13 日本総合研究所
 建設業法許可のない公募参加者の取り扱い
 本体工事の請負契約を変更するスキームが現実的だと思われる。本体工事は建築一式であり、建築一式で請け負ったうえで、機械器具設置工事業の許可取得企業に下請負すれば問題ないはず。
・21/11/10 安井建築設計事務所
 建設業法許可のない公募参加者の取り扱い
 竹中工務店は、昇降技術に関するリスクを負担することを懸念しているものと理解している。
 日本総合研究所
 建設業法許可を理由とした対応可能性については、竹中工務店と打ち合わせし、対応策を見出すほかない。
 
参考になれば幸いです。
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名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託【2021年度分】
成果品一覧

公募受付支援等
・公募スキームの見直しを実施する。
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/1a.pdf
・事業者等へのヒアリングを実施する。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/1i.pdf
・公募資料等を修正する。(翻訳を含む。)
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/1u0103.pdf
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/1u04.pdf
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/1u05.pdf
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/1u06.pdf
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/1u07.pdf
・バリアフリー整備の在り方について、障害者、高齢者等の参画の下検討できる会について詳細事項を検討する。また、その会において、公募で選定した昇降技術を検討できるようにすること。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/1e.pdf
各種通訳、翻訳業務
・本技術公募に必要な通訳及び翻訳を実施する
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/2.pdf

会議等の開催に係る支援
・発注者が開催する会議等において、資料作成、有識者等との調整、議事録作成等の事務局業務等の支援を行う。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/3.pdf
技術開発に係る法的支援
・提案された技術毎の適用を授ける法律(国内法)の整理及び実用化に際し許認可が必要な場合はその手続と必要な期間を確認する
・想定する昇降技術を木造天守へ設置するための認証制度について調査・検討する。
・専門家や専門機関等へのヒアリング調査を実施する。
・事業者等へのヒアリングを実施する。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/4.pdf
公募プロモーション業務
・本技術公募を国内外に周知するため、技術公募用HPを制作し、管理運営する。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/5a.pdf
・PR要映像を作成し、HPへ掲載する。
・HPについては、日本語及び英語にて作成すること。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/5iu.pdf
その他付随する業務への支援
・各業務に関し、付随して必要となる業務について支援を行う。
01 定例会議資料
 20210412打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210412.pdf
 20210415打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210415.pdf
 20210422打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210422.pdf
 20210506打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210506.pdf
 20210513打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210513.pdf
 20210519打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210519.pdf
 20210528打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210528.pdf
 20210603打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210603.pdf
 20210609打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210609.pdf
 20210615打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210615.pdf
 20210623打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210623.pdf
 20210630打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210630.pdf
 20210715打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210715.pdf
 20210721打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210721.pdf
 20210728打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210728.pdf
 20210805打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210805.pdf
 20210811打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210811.pdf
 20210818打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210818.pdf
 20210825打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210825.pdf
 20210901打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210901.pdf
 20210910打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210910.pdf
 20210915打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210915.pdf
 20210929打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210929.pdf
 20211013打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/211013.pdf
 20211110打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/211110.pdf
 20211124打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/211124.pdf
 20211222打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/211222.pdf
 20220105打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/220105.pdf
 20220119打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/220119.pdf
 20220202打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/220202.pdf
 20220216打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/220216.pdf
 20220317打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/220317.pdf
02 議事録
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/uchiawase.pdf

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23/1/17(火)名古屋城天守閣部会 バリアフリー等検討は次回以降

23/1/17に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第26回)が開催されましたが、肝心のバリアフリーや基礎構造、石垣の安全対策などの復元計画については次回以降に持ち越されました。

・23/1/17 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第26回)
 配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230117.pdf
・23/1/17 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第26回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230117-1.pdf
 
今回、はじめて天守閣部会に渋谷啓一・文化庁文化財第二課主任文化財調査官がリアル参加しました。

今回、復元原案として、江戸時代の大小天守閣がどうだったのか、ミリ単位での検討結果が90分にわたって竹中工務店から報告されました。
構成員の先生は、みなここまで考察したことを評価しました。
渋谷調査官も「精緻な考察に敬意を表したい。今後、実際に建てるにはいろんな条件が出てくるから、これからも検討が必要」と述べました。

唯一、構成員の古阪秀三・立命館大学OIC総合研究機構客員研究員は「近年、気候変動がものすごく変わったし、地震もたくさん起きている。過去の建物をそのまま再現して良いのか。中国や韓国から、上記の点を相当困って僕のところに相談に来ている。地球変動の元で大丈夫か確認して欲しい」と述べました。

座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「文化庁に木造天守整備基本計画を出すのに2〜3ヶ月しかない。今後事務局が整理して天守閣部会で議論していく」としました。

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名古屋市と竹中工務店が17/5/9に「基本協定」を結んでもうすぐ6年。
2022年12月末までに木造天守閣を再建する契約でしたが、現在は完成時期の見通しが立っていません。

「復元原案」である、江戸時代の大小天守閣の様子はほぼ検討し終わりました。
しかしながら、6年前からずっと懸案であった、バリアフリー、基礎構造、石垣の安全対策については、いまだに課題が残っています。

バリアフリーの問題については、新技術の公募をしてにもかかわらず、予想通り小規模な昇降設備を採用し、しかも河村たかし名古屋市長は
22/12/5に「昇降技術の設置は、1階もしくは2階までとし、3階以上は設置しない、これが合理的配慮」と述べ、日弁連も「憲法や条約、法律に違反する」と
要望を出し、障害者団体も反発しています。

基礎構造を検討する調整会議は21/12/25に第3回が開かれて以降まったく不明です。
第53回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会は23/1/24(火)午後1時から名古屋市公館で開催されます。
https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2022/kankobunkakoryu/0000160065.html
6年間も検討し続けてもうまい解決方法が見つからない上記問題が、あと2ヶ月半で解決するとは到底思えません。
拙速ではなく、有識者や議会、市民の納得を得た上で事業を進めるべきです。

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今後の予定

・23/1/20(金) 名古屋市令和5年度予算要求財政局査定に対する市民意見締め切り
・23/1/21(土)午後1時半〜 名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会 鯱城ホール
・23/1/24(火)午前11時〜 石垣部会が小天守西側の鵜の首水堀側石垣視察
       午後1時〜 石垣・埋蔵文化財部会 名古屋市公館
・23/1/28(土)午前10時半 名古屋城シンポジウム 中区役所ホール
・23/2/17(金) 名古屋市会2月定例会開催  


名古屋城木造天守閣新技術の公募支援業務委託成果物 費用として103,580円請求されました

22/4/19に名古屋城木造天守閣新技術の公募支援業務委託成果物を情報公開請求したところ、22/12/28に開示決定が出て、2021年度分費用として103,580円請求されました。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/221228.pdf

白黒1258面(12,580円)、カラー1820面(91,000円)で、合計103,580円です。電磁的記録での交付は不可能とのこと。

名古屋城総合事務所に交渉したところ、全て白黒(3078面30,780円)で一旦交付し、必要な部分はカラーで請求しなおしとのことでした。
23/1/13に開示予定でしたが、コピー作業をするため、入手するのはまた後日となりました。
入手次第アップします。

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開示費用が膨大にかかるのであれば、事実上市民へ情報を公開しないことになります。
建設費用だけで505億円かかるとされる名古屋城天守閣木造復元事業。
しかも、バリアフリー公募については、どうして「最低1階まで」という条件にしたのかはまったく説明がありません。
本来は、情報公開請求しないでも市は公開して説明すべきではないでしょうか。
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名古屋城木造天守昇降新技術公募の2019年度、2020年度成果物は開示されており、どのような変遷があったのかわかります。
・22/3/31決定書
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/220414.pdf
・名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託【2019年度分】成果物
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/220414/2019-1.pdf
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/220414/2019-2.pdf
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/220414/2019-3.pdf
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/220414/2019-4.pdf
・名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託【2020年度分】成果物
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/220414/2020-1.pdf
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/220414/2020-2.pdf
 
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※ぜひともカンパをお願い致します。
情報公開請求してコピーを入手するのも、情報公開訴訟をするのも、費用がかかります。
名古屋市民オンブズマンは、会費とカンパのみで活動しております。
今後ともご支援頂けますと幸いです。

《郵便振替口座》 口座番号 00870−9−105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
《ゆうちょ銀行》 当座 〇八九店 105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
http://www.ombnagoya.gr.jp/kannpa.htm

《資金カンパ送付先・問い合わせ先》
 〒460-0002 名古屋市中区丸の内3-7-9 チサンマンション丸の内第2 303号室
 名古屋市民オンブズマン タイアップグループ事務局
 Tel:052−953−8052 Fax:052−953−8050
 メール:office@ombudsman.jp 
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名古屋市令和5年度予算要求財政局査定 名古屋城木造天守閣昇降技術開発費用「市長査定で対応を検討」

名古屋市は23/1/10に「令和5年度予算要求に対する財政局査定内容の公開」を行うとともに、予算要求(追加及び変更分)の内容についてのご意見募集を23/1/10(火)-23/1/20(金)まで行うと発表しました。
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000159790.html

各局からの要求に対する財政局案の考え方は以下の通りです。
@所管局の要求(見積り)通り
A事業内容、積算内容を精査のうえ計上
B経常経費の範囲内で対応を検討
C現段階では未計上
D市長査定で対応を検討

それによれば、観光文化交流局関係予算では、名古屋城天守閣の整備(天守閣の整備に係る設計監理等支援業務委託、実施設計、木工事及び石垣保存対策等)は1億9700万円の要求全額を財政局は認めました(@)。
一方、名古屋城木造天守閣昇降技術開発(木造天守閣に導入する昇降技術の開発 債務負担行為 名古屋城木造天守閣昇降技術開発業務委託 期間 6〜8年度 限度額64百万円)は、1600万円の予算要求に対し、「市長査定で対応を検討」(D)としました。

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名古屋城天守閣木造復元事業については、竹中工務店との2022年12月末までに完成させるという基本協定期限が切れ、「暫定的に」実施設計、木材製材等の期限が延長されています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/211214.pdf
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220628.pdf
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220422-1.pdf

いまだにいつ完成するのかは不明です。
そもそも以下バリアフリーの問題をはじめ、基礎構造、石垣保存方針など解決できるのか分かりません。
木材保管費用だけで年間1億円かけています。

また、名古屋城木造天守閣昇降技術開発について、名古屋市は22/12/5に公募の結果を発表し、「車いす1台、介助者1名」もしくは乗員4人の小型昇降設備を導入する方針を示しました。
https://www.castle-challenge.city.nagoya.jp/
しかしながら、日弁連は22/10/24に「小型」「最上階まで行けない」場合、憲法や条約、障害者基本法やバリアフリー新法等に違反する」と要望しました。
https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html
河村たかし名古屋市長は22/12/5に「昇降技術の設置は、1階もしくは2階までとし、3階以上は設置しない、これが合理的配慮」と発言しました。
https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000158911.html
22/12/7に愛知障害フォーラム(ADF)と名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会は、名古屋城木造天守昇降技術および市長発言の撤回要求と抗議を行いました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221207.pdf

市財政局として、日弁連が「違憲・条約違反・違法」と指摘する小型昇降設備の導入に対し、財政局査定では認めませんでした。
市長査定で市長がどのように判断するのか注目したいです。

過去数年間、名古屋城木造復元関係の予算は市長査定ではじめて公開され、いずれも計上されていました。
平成30年度予算要求に対する財政局査定内容の公開で、実施設計等予算要求10億4100万円を財政局は未計上としたものの、市長査定で32億7700万円計上した以来の財政局査定です。

23/1/21(土)鯱城ホールで行われる名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会で質問できます。
https://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000158537.html
また23/1/20(金)まで、予算財政局案に意見を言いましょう。
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000159790.html

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なお、名古屋市は令和3年度以降、「財政局査定内容の公開」も市民意見を募集するようになりました。
経緯を名古屋市財政局財政課に質問したところ、「財政局査定時点で当初の予算要求時より一定数の追加、変更が毎年度発生していた。
条例の趣旨からして、財政局査定時点でも市民から意見を求めるべきではないかという意見が財政課ででたため、追加変更についても2回目の意見募集をするべきとなった。
なお、要綱等の変更はなかった。」とのこと。

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・22/9/22 全国市民オンブズマン連絡会議
 「予算編成過程・住民参加状況調査結果」
・概要 http://www.ombudsman.jp/taikai/2022yosan-2.pdf
・詳細 http://www.ombudsman.jp/taikai/2022yosan-1.pdf

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・予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例
 https://www1.g-reiki.net/city.nagoya/reiki_honbun/i502RG00001216.html
・予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例施行細則
 https://www1.g-reiki.net/city.nagoya/reiki_honbun/i502RG00001217.html
 
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2022年度名古屋城木造復元市民説明会は23/1/21(土)1回のみ

名古屋市は、23/1/21(土)午後1時半から名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会を行うと発表しました。
https://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000158537.html
しかし、これまで最低でも3ヶ所は行ってきた市民説明会が今回は1ヶ所のみです。質疑応答は30分程度とのこと。

過去の市民向け説明会を調べると、だんだんと頻度が減っています。
2022年1月→3ヵ所
2021年1月→3ヵ所
2019年11〜12月→8ヵ所
2019年1月→6ヵ所
2018年1月→6ヵ所

23/1/28(土)午前10時半から名古屋城シンポジウムを開催するようですが、質疑応答時間はありません。

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2017年5月9日に竹中工務店と2022年12月末までに木造復元を完成させるという基本協定を結んで早5年8ヶ月。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf
すでに2022年12月末は過ぎ、『暫定的』に2024年3月末までにしていますが、完成の目処はたっていません。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/211214.pdf

過去、多くの市民が名古屋城木造復元事業に対して疑問を市民向け説明会で述べてきました。
名古屋市は「検討中」と繰り返すだけで、先延ばししてきました。

2022年12月に公募して決定した「バリアフリー新技術」は、予想通り小規模な昇降設備であり、しかも河村たかし名古屋市長は22/12/5に「昇降技術の設置は、1階もしくは2階までとし、3階以上は設置しない、これが合理的配慮」と述べ、障害者団体は猛反発しています。
・名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募
 https://www.castle-challenge.city.nagoya.jp/
・2022年12月7日 名古屋市長 河村たかし様
 愛知障害フォーラム(ADF) 名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会
 名古屋城木造天守昇降技術および市長発言の撤回要求と抗議 
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221207.pdf

また、「はね出し架構」に代わる基礎構造をどうするか、2023年3月末までに基礎構造の方針を示すようですが、見通しが立っていないようです。
21/12/25に第3回名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議(非公開)が開かれて以降、開かれていないようです。(まったく不明)

また、石垣保存方針も2023年3月末までに策定する予定のようですが、見通しが立っていないようです。

2022年12月末には、名古屋市内で1日4000人を超える新型コロナ陽性者が出ているにもかかわらず、「説明会当日の内容を、後日動画で配信する予定」のみであり、リアルタイムでのネット参加はできません。
アンケートをネット等で募集し、後日文書で回答するようですが、その場でどう対応するかの反応を見ることはできません。

名古屋市民オンブズマンは、21/3/2に河村たかし名古屋市長あてに「名古屋城木造復元事業市民説明会ポストコロナ時代の情報発信を求める」申し入れ書を郵送しました。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210302.pdf
その中で以下要望しています。
・ライブのネット配信での質疑応答
・計上された新年度予算案に対する質疑
・1ヶ月に1度程度のライブ配信説明会の開催

22/8/18に、山本亜土名商会頭は「河村たかし市長が断片的に説明することが、簡単に言うと眉唾もんだな、と誰もが思っている」と述べたと報道されています。
河村市長は「石垣部会、文化庁に丁寧に説明してきた」としていますが、市民・議員には全く丁寧に説明していません。

折戸観光文化交流局長はバリアフリーの問題について「丁寧に説明して進めていく」としながらも、一般市民に対して直接説明する機会は、市民説明会のみです。

今回の市民説明会のチラシが名古屋市役所の市民情報センター窓口で配布されてきましたが、コピー用紙に白黒の印刷でした。
名古屋市のやる気度合いがわかります。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230121.pdf

これが、2020年度末までで約70億円かけた名古屋城木造復元事業の現状です。
木材保管費用だけで年間1億円かけていますが、今後いつまで続くかわかりません。
名古屋市は本当に今後どうするつもりなのでしょうか。

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令和4年度開催 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会・名古屋城シンポジウム
https://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000158537.html


22/12/16(金)オブザーバー「名古屋城博物館(仮称)の年間入館者数想定と入館料見込みを示して」

名古屋市は22/12/16に「第2回金シャチ横丁第二期整備 博物館ゾーン整備基本構想検討懇談会」を開催しました。
録音・録画は禁止されました。
構成員の1人はZoomで参加していましたが、傍聴するには会場に来る必要がありました(定員10名)。
・22/12/16 第2回金シャチ横丁第二期整備 博物館ゾーン整備基本構想検討懇談会 配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221216.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221216-1.pdf
 
22/3/23に開催された第1回懇談会では、最短2028年に完成予定と説明しましたが、今回は特に説明はありませんでした。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2022/02/20220216_1155.html


構成員は「名古屋城天守閣が木造復元されるので、それにあわせて現天守内に展示されていた展示物を、名古屋城博物館(仮称)に展示しようとするのは理解できる。
市民アンケートでは、『国宝や重要文化財の展示を見たい』が多かったので、ぜひ展示してもらいたい」「調査研究は一番必要」
「地域住民にとってどういう意味があるのか。『開かれた場である』というのなら、アクセシブル、インクルーシブが必要」という意見が相次ぎました。

また、佐々木雅幸・金沢星稜大学特任教授は「国内で『姉妹城』提携はあるのか?また、海外の城と姉妹関係はあるのか。各城郭美術館と提携すれば、企画展としてやれる」と述べました。

田沢裕賀・大分県立美術館館長は「名古屋は経済都市なので、観光観光に頼らないといけないのか? 本物にこだわるべきだ」と述べました。

オブザーバーの大竹正芳・名古屋商工会議所商務交流部長は「博物館ゾーン整備と併せて、回遊性を高め、アクセスができるようにしてほしい」と述べました。

オブザーバーの北折真人・公益財団法人名古屋観光コンベンションビューロー専務理事は「年間の入館者数想定や入館料見込みを示してもらいたい。
それが足枷になることがあるかもしれない。
また、あまり歴史学習、調査研究成果を押しつけがましく発信すると引かれる可能性がある。バランスをやってはどうか」と述べました。

オブザーバーの木村広聖・名古屋市博物館副館長は「2026年度に新しい名古屋市博物館がオープンする予定。
考える中で『社会的包摂 福祉』とどうかかわるか途方に暮れた。
また、学校の先生が求めていることが違うことがあった。現場のニーズとあわない。
1人1台タブレットが支給されており、学びが大きく変わる。
名古屋市博物館を設計する中で、当事者から話を聞いた。
名古屋城博物館でも当事者から今後話を聞くと思うが、『そうだったのか』という話が聞けると思う」と述べました。
   
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22/12/16の名古屋市内の新型コロナウィルス陽性者数は2797人、死亡者5人。
そんな中、懇談会はZoomを使っているにもかかわらず「傍聴するには会場に来る必要がある」(定員10名)とし、
「『開かれた場である』必要がある」「アクセシブル(近寄りやすいさま。利用しやすいさま)、インクルーシブ(包含しているさま。すべてを含んでいるさま。包括的)が必要」というのはあまりにも滑稽です。

名古屋城博物館(仮称)を作るのであれば、懇談会の時点から「開かれた場」「アクセシブル」「インクルーシブ」が必要ではないでしょうか。

なお、市議会でも問題となっていましたが、新しくオープン予定の名古屋市博物館と、名古屋城博物館(仮称)、西の丸御蔵城宝館の棲み分けをどうするかということは特に議論がありませんでした。

金シャチ横丁第二期整備(芝居小屋風多目的施設)(2025年度開業予定)についても特に説明がありませんでした。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220518.pdf


さらに、2023年春に開館予定の名古屋刀剣ワールド/名古屋刀剣博物館(メーハク)については、一言も述べていませんでした。
最大200振の刀剣・日本刀を展示することが可能で、国宝や重要文化財、重要美術品といった貴重な刀剣・日本刀を見ることが出来るとのこと。
https://www.meihaku.jp/


名古屋城天守閣木造復元後は、特に内部で展示する予定はないとのこと。
(博物館機能が失われます)
名古屋城博物館(仮称)でなにをどのように展示するのかわからないのですが、現天守の博物館機能を潰してまでして箱物を作るメリットはどれだけあるのでしょうか。

2012年12月に文化庁が確認した、現在有効である「全体整備計画 増補版」では『天守耐震改修整備、展示内容見直し』と明記してありました。
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000045497.html
https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10505177/www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000045497.html

それを、2018年5月に市民の意見をあまり取り入れずに策定した『特別史跡名古屋城跡保存活用計画』では「整備方針は木造復元とし、検討を進める」としています。
https://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000105368.html

今の名古屋城博物館(仮称)の議論は、理念ばかりで具体的に何を展示するのかというものが抜けているのではないでしょうか。
貴重な展示企画であれば、新たにオープンした西の丸御蔵城宝館をさらに活用すればよいのではないかと思いますし、名古屋市博物館もリニューアルされます。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/special_exhibition/2022/11/20221119_1402.html

ソフトの充実、既存の博物館のさらなる活用、隣接して新設予定の「芝居小屋風多目的施設」の活用でも足りないなにか、というのは一体何なのか。
今の議論では見えてきません。

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参考
・外務省 グローカル外交ネット
 令和4年1月25日 大阪城天守閣館長 北川 央
 大阪城と海外の城郭との友好城郭提携
 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/local/page24_001631.html
 
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22/12/9(金)名古屋城全体整備検討会議委員「木造化を市が『復元』と言いきるがバリアフリーは大きな問題」

22/12/9 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第53回)が開催され、構成員の赤羽一郎・元愛知淑徳大学非常勤講師は「天守閣木造化を市が『復元』だと言いきるが、バリアフリーは大きな問題で、日弁連からも要望が出ている」と述べました。

・22/12/9 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第53回)
 配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221209.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221209-1.pdf
 
今回も、写真撮影・録画は禁止されました。
オブザーバーの文化庁は「スケジュールが合わないため欠席」とのこと。

「特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画(案)」の中間報告について、全体整備検討会議にははじめて資料が提示されました。

赤羽氏は「私は基本的には木造天守にはあまり賛成ではない。資料1-15に、文化庁が定めた基準には、『復元』『復元的整備』両方の概念が記載されている。
名古屋市としては、復元なのか、復元的整備なのか、どういう方向性を考えているのか」と質問し、名古屋城総合事務所は「名古屋市としては、可能な限り史実に忠実に行う『復元』と考えている」と述べました。

赤羽氏は「バリアフリーは大きな問題。日弁連からも要望書が出ているくらい、憲法、バリアフリー新法にかかわると私は思う。
名古屋市は『復元』だと言い切るが、バリアフリーとの関係は」と質問し、名古屋城総合事務所は「昇降技術として、柱・梁を傷めない。床に穴はあけるが、我々としては復元と判断した」としました。

小濱芳朗・名古屋市立大学名誉教授は「昭和実測図では『筋交い』が入っているが、復元原案では無しにするという。筋交いを取ると、手当てしないと同じような状況になるのでは」と質問し、名古屋城総合事務所は「必要に応じて現代技術を入れたい」としました。
座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「それなりの安全性を文化庁の基準に準じて入れる。『史実に忠実』といっても、江戸時代まるっきりではない。文化財としての価値は保つ」と述べました。

赤羽氏は「1-14でドレスデン宣言が引用されているが、よく読むと、現在の天守のことを言っているのではないか。
ローザンヌ憲章も、名古屋市内の城下町、三の丸、城下町、名城北公園で正しく守られているのか。
『世界的視座から見た木造復元の意義』とあるが、我田引水的で気持ちが悪い」と述べました。

麓和善・名古屋工業大学名誉教授は「これまで、文化財としての価値を高めるにはどうすればよいか検討する中で、整備計画、基本構想を出してきた。
その一環として本丸御殿を史実に忠実に復元した。天守も史実に忠実に復元しようとしてきた。それは特別史跡の価値を高めるためと理解している。
復元的整備ではなく復元だと言い切るのは、市が自信があるから。豊富な資料はほかの城郭や、焼失した文化財で最も可能な案件。」と
述べました。

瀬口座長は「木造復元の価値は根本的なことなので、いくらでも議論していただいてもいい。
『復元的整備』とは、資料があまりない中で行うことで、『復元』とは似て非なるものと考えないといけない」としました。

また、名古屋城総合事務所から報告案件として、穴蔵石垣調査結果が出て、近世段階の石列が良好に残存することが確認されたとしました。
しかし、現天守がある状況では調査に限界があり、局所にとどまるとして、確実に保存するため、どの程度残っているか調査が必要」と述べました。

さらに報告案件として、バリアフリー新技術公募結果が報告されました。
しかし、観覧ルートについては具体的なものは資料提示できていない、天守閣部会で諮りたいとしました。  
駆動部については「業者のノウハウが入っているため秘密。油圧ではなくほかの方法と聞いている」としました。

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河村市長が「昇降技術の設置は、1階もしくは2階までとし、3階以上は設置しない、これが合理的配慮」と述べたバリアフリー。
日弁連も「そもそも柱や梁を切らなければ、『高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令』で定める『幅が140センチ以上、車椅子の転回に支障がない籠』はできない」としています。
・2022年10月24日 日本弁護士連合会 会長 小林元治
 名古屋城天守閣にエレベーターの設置を求める人権救済申立事件(要望)
 名古屋市長宛て要望
 https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html
・高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令
 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=418CO0000000379

また、天守台穴蔵石垣、穴蔵背面について、「現天守を解体しなければ詳細が分からない」と発言がありました。
詳細が分からなくても、ある程度「はね出し架構に代わる基礎構造」を示す必要があるのではないでしょうか。

・2020/9/25 全体整備検討会議 柱まるけの基礎構造の絵
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/c6d2631c5012acfd8a78f6f591238969.pdf
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・株式会社MHIエアロスペースプロダクション
 https://www.mhi.com/jp/group/map/business
 MHI下関 「シップフリーモ(SF)エレベータ」
 https://mhi.com/jp/group/mhise/media/876/download
 ☆ラック・ピニオン駆動式、チェーンドライブ式


22/12/7(水)名古屋城木造復元バリアフリー新技術公募 障害者団体が市長発言撤回要求と抗議

名古屋城木造復元に関するバリアフリー新技術公募に関して、22/12/5に行われた河村たかし名古屋市長発言「昇降技術の設置は、1階もしくは2階までとし、3階以上は設置しない、これが合理的配慮」をめぐり、22/12/7に「愛知障害フォーラム」(ADF)と「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」は連名で市長発言の撤回要求と抗議を行いました。
・2022年12月7日 名古屋市長 河村たかし様
 愛知障害フォーラム(ADF) 名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会
 名古屋城木造天守昇降技術および市長発言の撤回要求と抗議 
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221207.pdf

18/5/30に名古屋市は「木造天守閣の昇降に関する付加設備の方針」を公表し、内部エレベーターは「乗員4人程度に限られるため、バリアフリー法対応
エレベーターは設置できない」から、柱や梁を傷めない新技術を公募するとしました。
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180530.pdf

名古屋市は、22/12/5に開催された名古屋市議会経済水道委員会で、新技術公募の結果を発表し、「車いす1台、介助者1名」もしくは乗員4人の小型昇降設備を導入する方針だとしました。
・令和4年12月5日 名古屋市議会経済水道委員会説明資料
 観光文化交流局 名古屋城天守閣整備事業における解体と復元を一体とした全体計画(中間報告)について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221205-2.pdf

一方、同日河村市長が記者会見で「昇降技術の設置は、1階もしくは2階までとし、3階以上は設置しない、これが合理的配慮」などと発言し、史実に忠実に再現するためには、一部の人を排除しても構わないという旨の発言に抗議したものです。

なお、名古屋市議会経済水道委員会では、市当局は「現段階ではなかなかどこまでいけるのかというところまでははっきりとはわからない」とし、市長発言と食い違っています。
22/12/6同委員会で折戸秀郷・観光文化交流局長は陳謝し、委員会は市側を厳重注意しました。

・22/12/5 名古屋市議会経済水道委員会
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221205-4.pdf

記者会見を行った「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」斎藤縣三共同代表は「22/10/24に日弁連から市に『要望書』が出され、22/11/1に当会として公開質問状及び要望を提出したが、回答に時間がかかるとして先延ばしになっていた。
にもかかわらず、河村市長は『日弁連からの要望書は読んでいない』とさえ発言した。今回緊急で5項目の抗議及び回答要求項目を提出した。年内なるべく早い段階で文書での回答を頂きたい」と述べました。

・2022年10月24日 日本弁護士連合会 会長 小林元治
 名古屋城天守閣にエレベーターの設置を求める人権救済申立事件(要望)
 名古屋市長宛て要望
 https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html

同会の辻直哉事務局長は「今回最優秀提案があった小型昇降機は幅が狭く、私のような大きい電動車いすは入れない可能性がある。
ストレッチャータイプの車いすだと確実には入れない。
新しく作るという名古屋城木造天守閣は公共の施設なので、一部の人を排除するのではなく、だれもが登れるようにしてもらいたいとずっと言い続けてきた。
かつての河村市長発言『本物を見ることが、本当のバリアフリー』により、私たちの主張が『障害者のわがままだ』など言われなき中傷を受けた。
大阪城や熊本城でもバリアフリー化が進んだ。名古屋城だけが時計の針が逆に回っているのは許せない」と述べました。

同会会員の入谷忠宏さんは「現名古屋城天守閣に登った際、家族みんなで大型エレベーターを使っていたのが印象的だった。今回の提案では、家族みんなで名古屋城を楽しむことができない。」と述べました。

名古屋城総合事務所の梅田明主幹は「今団体から書面を頂いたばかり。回答するかどうかも含めて持ち帰って検討したい」と述べました。

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・名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募
 https://www.castle-challenge.city.nagoya.jp/

・株式会社MHIエアロスペースプロダクション
 https://www.mhi.com/jp/group/map/business
 MHI下関 「シップフリーモ(SF)エレベータ」
 https://mhi.com/jp/group/mhise/media/876/download

・2019年01月10日 DPI日本会議
 名古屋城の木造新天守へのエレベーター不設置について、人権救済を申し立てました
 https://bit.ly/3xjiaSI


22/12/5(月)名古屋城木造化 日弁連がダメ出しした「小型昇降機」設置方針示す

名古屋市は22/12/5の名古屋市議会経済水道委員会で、名古屋城木造復元事業の昇降技術に関する公募の結果を発表し、日弁連が「これではダメ」と要望した、小型昇降機の設置方針を示しました。

・令和4年12月5日 名古屋市議会経済水道委員会説明資料
 観光文化交流局 名古屋城天守閣整備事業における解体と復元を一体とした全体計画(中間報告)について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221205-2.pdf

・令和4年12月5日 名古屋市議会経済水道委員会説明資料
 特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画(案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221205-3.pdf

・令和4年12月5日 名古屋市議会経済水道委員会説明資料
 博物館基本構想の策定に向けた検討状況(金シャチ横丁第二期整備)について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221205-1.pdf 

・22/12/5 名古屋市議会経済水道委員会
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221205-4.pdf
傍聴席は5名しかなく、満員のため傍聴できなかった人もいるとのこと。

日弁連が指摘した「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令」では、「幅が140センチ以上、車椅子の転回に支障がない籠」のエレベーターを求めていますが、今回名古屋市が示したものは、幅が140センチなく、車椅子の転回もできません。

高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=418CO0000000379
第十八条 2 
五 当該移動等円滑化経路を構成するエレベーター(次号に規定するものを除く。以下この号において同じ。)及びその乗降ロビーは、次に掲げるものであること。
チ 不特定かつ多数の者が利用する建築物(床面積の合計が二千平方メートル以上の建築物に限る。)の移動等円滑化経路を構成するエレベーターにあっては、イからハまで、ホ及びヘに定めるもののほか、次に掲げるものであること。
(1) 籠の幅は、百四十センチメートル以上とすること。
(2) 籠は、車椅子の転回に支障がない構造とすること。

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以下参考

・株式会社MHIエアロスペースプロダクション
 https://www.mhi.com/jp/group/map/business
 
・2022年10月24日 日本弁護士連合会 会長 小林元治
 名古屋城天守閣にエレベーターの設置を求める人権救済申立事件(要望)
 名古屋市長宛て要望
 https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html

・名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募
 https://www.castle-challenge.city.nagoya.jp/

・2019年01月10日 DPI日本会議
 名古屋城の木造新天守へのエレベーター不設置について、人権救済を申し立てました
 https://bit.ly/3xjiaSI

・名古屋市民オンブズマン 名古屋城木造化 
 日弁連人権救済申立照会に対する市回答入手
 http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#221012
 

【動画】名古屋城木造復元 2022年12月末 バリアフリー昇降「新技術公募」はどうなる?

名古屋市民オンブズマンは、名古屋市が名古屋城木造復元で2022年12月末にバリアフリー昇降「新技術公募」の結果発表をする件で、「名古屋城木造復元 2022年12月末 バリアフリー昇降「新技術公募」はどうなる?」動画を発表しました。
https://youtu.be/e_GUr3gHITQ

参考:名古屋市 名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募
 https://www.castle-challenge.city.nagoya.jp/
 
・名古屋市 日弁連人権救済申立照会に対する回答
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220916.pdf

・2022年10月24日 日弁連
 名古屋城天守閣にエレベーターの設置を求める人権救済申立事件(要望)
 https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html

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【動画】名古屋城天守台穴蔵石垣「江戸時代の石列」発見で木造復元はどうなる?

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城天守台穴蔵石垣から江戸時代の石列が見つかった件で、「名古屋城天守台穴蔵石垣「江戸時代の石列」発見で木造復元はどうなる?」動画を作成しました。
https://www.youtube.com/watch?v=-RMqQWVI5EA


22/11/18(金)名古屋城天守台穴蔵石垣に「近世段階の可能性がある石垣」また確認

22/11/18に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会(第52回)で、「近世段階の可能性がある石垣」がまた確認されました。
「穴蔵石垣はすべて昭和再建時に取り外した」という名古屋市の当初の想定が崩れ、木造復元に欠かせない新たな基礎構造の検討に大きな支障が出ることが予想されます。
・22/11/18特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会(第52回)
 配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221118.pdf
・22/11/18特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会(第52回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221118-1.pdf
 
今回も、傍聴者ならびにマスコミの写真撮影・録音は禁止されました。
リモート参加者がいないにもかかわらず、なぜかZoomをセッティングして画面に投影していました。
オブザーバーの文化庁は今回も参加しませんでした。

今回、天守台穴蔵石垣試掘追加調査等の調査結果が報告されました。

構成員の宮武正登・佐賀大学教授は「従来から『穴蔵石垣には遺構が存在しない』と言われてきたが、石垣部会は『それを証明すべき』と主張してきた。
今回の調査で、実は意外と遺構が残っていたことがほぼ確定した。
名古屋城総合事務所は『年代を確定したい』ためさらなる追加調査をしたいようだが、名古屋城築城当時のものであるとおよそ見えてきた。
また、橋台の調査の下にも、築城当時の遺構が残っている可能性もある。
さらに、今回の天守台穴蔵石垣背面調査の結果、背面に現天守閣再建時にいらなくなった土を入れていて、栗石ではないという無茶苦茶な状態であることが分かった。
天守閣を今後木造にするのか、今の天守を残すかにかかわらず、穴蔵石垣が南海トラフ地震で持つのか。背面の土の密度調査をすべきだ。
どんな形にせよ、このままおいておいては危ない。近代工法での補強も考えないといけない」と述べました。

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会議終了直後、宮武教授は「石垣部会に文化庁も出てもらうようにして。オンライン会議もできる。そこら辺の調整もして」と事務局に要望しました。

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傍聴していた江上ひろゆき名古屋市議(共産)は、会議終了後に、宮武教授に声をかけました。

・特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第52回)
 終了後の、宮武正登・佐賀大学教授と、江上ひろゆき名古屋市議との対話(一部)
 名古屋市民オンブズマンによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221118-2.pdf

宮武教授は「去年の12月くらいには(遺構が)残ってるかも知れないと言ってきた。残し方(が問題)でしょうね。
保存して、今抱えておられる諸事業についてのすり合わせをどう果たすのだろうか。まあ単純な話だと思う。
大変喜ばしいことだと思いますよ。文化財や歴史遺産が残っていることが。それをどう生かしていくか」と述べました。

その後、宮武教授は「穴蔵石垣の背面が想定より無茶苦茶だったので、天守閣を今後木造にするのか、今の天守を残すかにかかわらず、どう背面を補強するかを考える必要がある」と繰り返し述べました。

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名古屋市は2022年度中に、@石垣保存方針、A基礎構造の方針、B解体と復元を一体とした全体計画を策定しようとしています。
@については、保存方針策定後、どのように石垣を保存・整備するか、どの程度かかるかも不明です。
千田嘉博・奈良大学教授は「10年以上の月日がかかるということがあり得る」と17/6/23 第22回石垣部会で述べています。
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/b12778b6f6f8e4c4a543ef6f7cffec77.pdf
Aについては、今回の新たな発見で、さらなる調査を名古屋市が求めており、それを踏まえないと基礎構造の方針が決まらないのではないでしょうか。
Bについては、バリアフリーの新技術の最優秀者決定を2022年12月中に行う方針のようですが、名古屋市は「バリアフリー新技術の安全基準取得に最低でも5年かかるとみている」と発言しています。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#220314

22/12/5に名古屋市議会で行う所管事務調査でどのような議論がなされるか、注目です。

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22/11/18(金)名古屋市令和5年度当初予算要求に名古屋城木造復元関係計上せず

名古屋市は22/11/18に「予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例」に基づき「令和4年度予算要求内容の公開」を行いました。
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000157902.html
22/11/18(金)から22/12/19(月)まで意見募集中です。

令和5年度当初予算要求にも名古屋城木造復元関係予算は計上していません。
令和2.3.4年度も意見募集時には計上していませんでしたが、当初予算が公表された際にいきなり名古屋城木材保管費1億円などが計上されていました。
https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-0-0-0-0-0-0-0.html

制度の裏を突いて、市民の意見をまともに聞かない名古屋市。
例年12月-1月に市民説明会がありますが、市民への予算計上を公表しない以上、市民からの意見も出ることはなく、回答もしなくてよいことになります。

竹中工務店との2022年12月基本協定期限が切れ、「暫定的に」実施設計、木材製材等が延長されています。
また、障害者団体が同意するとはとても思えない、バリアフリー国際コンペも2022年12月には最優秀者を決定する予定です。
https://www.castle-challenge.city.nagoya.jp/
現天守解体についても、名古屋城大小天守閣穴蔵石垣周辺で近世石列等遺構が多数確認されました。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#220522
「穴蔵石垣はすべて昭和再建時に取り外した」という当初の想定が崩れ、木造復元に欠かせない新たな基礎構造の検討に大きな支障が出ています。

天守閣完成期限のメドもなく、完成するかどうか極めて怪しい名古屋城天守閣木造復元事業。
市民の意見を聞かずに強引に予算計上するのか、それとも。
どうなろうが名古屋市の傷は極めて大きいです。
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22/9/24 名古屋市民オンブズマン 内田隆 発表動画 
 予算編成過程公開実情報告(名古屋市)
 https://youtu.be/nIPHwFJgxKY

・22/9/24 名古屋市民オンブズマン発表資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/nagoya-yosan2022-1.pdf
・22/9/24 名古屋市民オンブズマン発表パワーポイント
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/nagoya-yosan2022.pdf
 
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・22/9/22 全国市民オンブズマン連絡会議
 「予算編成過程・住民参加状況調査結果」
・概要 http://www.ombudsman.jp/taikai/2022yosan-2.pdf
・詳細 http://www.ombudsman.jp/taikai/2022yosan-1.pdf


名古屋市の「予算編成過程の公開条例」は「欠陥条例」!

22/9/24-25に開催された第29回全国市民オンブズ・米子大会2022で、名古屋市民オンブズマンの内田隆は、名古屋市の予算編成過程公開の現状報告を行い、「欠陥条例のため、名古屋城など市民の意見が分かれる問題については事実上意見が言えない」と述べました。
・22/9/24 名古屋市民オンブズマン 内田隆 発表動画 
 予算編成過程公開実情報告(名古屋市)
 https://youtu.be/nIPHwFJgxKY

・22/9/24 名古屋市民オンブズマン発表資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/nagoya-yosan2022-1.pdf
・22/9/24 名古屋市民オンブズマン発表パワーポイント
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/nagoya-yosan2022.pdf
 
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・22/9/22 全国市民オンブズマン連絡会議
 「予算編成過程・住民参加状況調査結果」
・概要 http://www.ombudsman.jp/taikai/2022yosan-2.pdf
・詳細 http://www.ombudsman.jp/taikai/2022yosan-1.pdf

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「再建名古屋城天守閣に最上階までエレベーター設置を要望」日弁連

日本弁護士連合会(日弁連)は、22/10/24に、「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」が申し立てた人権救済事件に関し、名古屋市長に対して「再建名古屋城天守閣に高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令第18条第2項第5号の要件を満たす最上階までのエレベーターを設置する」よう要望を出しました。
https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html

日本全国すべての弁護士は日弁連に登録しています。

日弁連は、「再建する名古屋城天守閣にあえてエレベーターを設置しないということは、障がいのある人が平等に公共施設を利用し、天守閣を観覧したり、天守閣から城下の眺望を享受したりすることにおいて差別されない権利・利益を侵害」「現にエレベーターを利用して天守閣に昇降することが保障されていた障がいのある人を合理的な理由なく差別することになる」と述べました。

また、名古屋市が現段階で昇降新技術を公募している件については、方針で「柱、梁を痛めないものとして、史実に忠実に復元する天守閣とするためには」「バリアフリー法の建築物移動円滑化基準に対応するエレベーターは設置できない」と明記されていると指摘し、「現在の天守閣で5階まで設置されているエレベーターの設置を本件公募において申請しても、そもそも最低要求水準を満たさないことは明らかである」と述べています。

そして、「今般、建築が計画されている木造天守閣は「歴史的建造物の復元」とされているが、不特定多数の来訪者を予定する施設として、公衆に開放され、利用される公共施設であることに変わりはない」として、「従前はエレベーターを利用して天守閣を昇降することができていた障がいのある人等が、建替後には天守閣を昇降することができなくなり、障がいのある人等が、相手方により、不当な差別的取扱いを受けることとなる」としています。

結論として、「エレベーターを昇降設備の選択肢から排除し天守閣を再建することは、これまでエレベーターを利用して天守閣を昇降することができていた障がいのある人が、建替後には天守閣を昇降することができなくなるように、障がいのある人を、不当な差別的取扱いをすることになるから、障害者差別解消法第7条第1項及び名古屋市差別解消条例第8条に違反することとなる」「そして、このような差別的取扱いの結果、これまで障がいのある人に保障されていたところの、昇降の困難を強いられることなく施設内を移動し観覧することを通じて自らの人格を形成し自己実現を図ることができる利益を奪い、また、天守閣から城下の眺望を享受することにおいて障がいのある人が差別されない権利・利益を侵害することになるから、憲法第13条が保障する幸福追求権を侵害すると言える。また、障がいのある人が、障がいのない人と比べて複数階を昇降することに特別な困難を強いられることになるから、不合理な差別として憲法第14条第1項にも違反する。」としています。

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・名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募
 https://www.castle-challenge.city.nagoya.jp/

・2019年01月10日 DPI日本会議
 名古屋城の木造新天守へのエレベーター不設置について、人権救済を申し立てました
 https://bit.ly/3xjiaSI

・名古屋市民オンブズマン 名古屋城木造化 
 日弁連人権救済申立照会に対する市回答入手
 http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#221012
 

名古屋城木造復元 名古屋市長室から名商への送付文不存在

山本亜土名古屋商工会議所会頭が「個人的な思い」として、「名古屋城に長期間入れないのは異常事態。河村たかし市長が断片的に説明することが、簡単に言うと眉唾もんだな、と誰もが思っている」と発言した件に対し、22/8/22河村たかし名古屋市長定例記者会見で「まとめてご発言いただきたいと市長室から名商に言ってくれといった」とした件を情報公開請求したところ、「行政文書は不存在」との決定が出ました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220906.pdf
また、同記者会見で河村市長が発言した「区長会で『区政協力委員さんに説明するように』」の根拠資料として新聞記事が公開されました。22/8/19区長会での市長発言要旨、22/8/23区政協力委員議長協議会での市長発言要旨は情報提供されました。

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実際、市長室から名商になにか口頭でも話しがあったのかは不明です。
その後の市長室の動き、区長会の動き、区政協力委員議長協議会の動きも不明です。

名古屋市民オンブズマンは、21/3/2に「名古屋城木造復元事業市民説明会 ポストコロナ時代の情報発信を求める」を河村たかし名古屋市長宛に郵送しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210302.pdf
その中で、「1ヶ月に1度程度の頻度で年間12回の説明会のライブ配信」を求めてきましたが、市民に対してまともな説明はいまだにありません。


名古屋城木造化 日弁連人権救済申立照会に対する市回答入手

「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」が19/1/7に日弁連人権擁護委員会に提出した「人権救済申立書」に関し、日弁連が名古屋市に照会を行い、市が20/3/31に回答した文書を名古屋市民オンブズマンは情報公開請求で入手しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220916.pdf

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以下、日弁連の照会文と名古屋市の回答(概要)をまとめました。

【質問1】2022年末の完成目標を断念した理由は
→文化庁による確認事項に対応するため調査・検討に全力を挙げて取り組んでいるため

【質問2】復元事業継続のためのクリアすべき調査・検討は
 →内堀地下遺構把握、御深井丸側内堀石垣追加発掘調査、御深井丸地下遺構把握発掘調査、大天守台北面石垣孕みだし調査・検討、大天守台石垣背面等空隙調査

【質問3】新技術公募の進捗状況は
 →今後の公募開始に向けて(株)日本総合研究所には支援を担っていただいている

【質問4】新技術の検討状況は
 →公募によって幅広く新技術の提案を募ることを計画

【質問5】検討会議でどのような議論がなされたか
 →歩行作業補助技術、移乗を必要とする技術、移乗を必要としない昇降装置、地上から直接1階以上に入場可能な技術を報告した。構成員からは垂直昇降装置と明示されたことはよかったなどの意見が出た。

【質問6】障害者・高齢者を排除することないようエレベーターを設置すべきとの要望・意見に対する名古屋市の見解及び対応策は
 →柱や梁を傷めないエレベーターは、4人程度が仕様可能なものは設置できないと考えている。新技術公募で、可能な限り上層階まで昇ることを目指すとともに、障害者団体の皆様とも120回以上ご意見を伺っている。ワークショップや名古屋市障害者団体連絡会等の場で議論を重ねている。
 
【質問7】努力義務である「具体的な必要な措置」の検討経緯・結果は
 →新技術を付加して移動の円滑化に努める。
 なお、建築基準法3条1項に規定する建築物は特別特定建築物から除くとされ、認定を受けることを計画していることから、建築物移動等円滑化基準への適合義務はなくなる
 
【質問8】エレベーター設置しないことでの不利益の内容
 →新技術公募を行わず、その他付加設備を一切付けないとすれば、大天守地階から1階以上に上ることが出来ないと認識。
 新技術を付加するため、当該不利益は生じないと認識。

【質問9】障害者の権利を侵害する結果となるかの見解
 →6で述べたエレベーターは設置しないが、新技術を付加することで、歩行困難な障害者が昇降できる環境を整える。

【質問10】新技術によって天守閣へ上がることができなければ人権侵害に該当するとの見解か否か
 →仮定の質問にはお答えいたしかねる。
 新技術を付加すること等を通じて、人権侵害とならないよう本件事業を実施する。

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・2019年01月10日 DPI日本会議
 名古屋城の木造新天守へのエレベーター不設置について、人権救済を申し立てました
 https://bit.ly/3xjiaSI
 
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22/10/7(金)名古屋城有識者「近代以降の名古屋城全体の石垣保存方針を明確化する必要があるとは思えない」

22/10/7に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第52回)が開催され、名古屋市は近代以降に修復・改変された石垣について「原則として修復復元することを前提に検討する」と提案しましたが、有識者からは「あたかも穴蔵石垣は修復復元すると取れる。個別に考えないといけない。統一して明確する必要があるとは思えない。個別に検討すればよい」「上記を原則とすると、将来100年でいくらかかるのか」など批判が相次ぎました。
・22/10/7 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第52回)配付資料
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/221007.pdf
・22/10/7 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第52回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/221007-1.pdf

今回も、議論は録音・録画が禁止されました。

名古屋城調査研究センターの村木誠副所長は
「名古屋城の石垣保存方針を3年くらいかけて作成中である。特に、18年5月に策定した『特別史跡名古屋城跡保存活用計画』では、近代以降に修復改変された石垣について、位置づけが曖昧だった。例えば、天守台穴蔵石垣は、下部は原形をとどめているが上部は戦後改変されている。小天守西側内堀石垣は、濃尾地震以降積み足しされた可能性がある。
 今回、『名古屋城石垣保存方針』における基本的な考え方(案)として、『原則として修復復元することを前提に検討する』と本検討会議に提案した。
 具体的な取扱い方針としては、復元整備の可否について慎重に検討し、個別事例ごとに判断したい」と述べました。
 
構成員の麓和善・名古屋工業大学名誉教授は「上記考え方(案)だと、あたかも穴蔵石垣は修復復元すると取れる。城内には、かつて石垣がなかったところに石垣が作られた事例もある。条件が違うのに、穴蔵石垣のために考え方(案)を言いたがっているように思える。どうすることが名古屋城にとって価値があるかを考える必要がある」と述べました。
村木副所長は「『一部石垣を改変していても手を入れない』ではないと明確にしたい」と述べました。

座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「上記考え方(案)は穴蔵石垣に影響に及ぶのか」と質問し、村木副所長は「個別の事例は今は議論出来ない」としました。

麓名誉教授は「近代以降の石垣については明確な位置づけをしてこなかったが、その必要があるのか。統一的に『原則として修復』明確化する必要があるとは思えない。個別に検討すればいい。」としました。

高瀬要一・公益財団法人琴ノ浦温山荘園代表理事は「近代石垣は難しい。近代でも価値があるものはある」としました。

瀬口座長は「名古屋城全体の石垣の面積はどれくらいか」と質問しましたが、村木副所長は答えられず、「長さは約9キロ」としました。
瀬口座長は「高さを10メートルとした場合、約90000u。1割を修復するとしても約9000u。方針を作ると、予算を決めちゃう気がする。
1uあたり100万円とした場合、将来100年で何兆円もかかる可能性がある。本質的価値はどこなのか。価値を高めるには何が必要か」としました。

リモートで参加した、オブザーバーの平澤毅・文化庁文化財第二課主任文化財調査官は「検討する重要事項がたくさんあるが、全体の進行のなかでどう進捗しているか、正確に把握しづらい。事務局にお願いしたいが、全体のなかでどこの箇所を議論するか冒頭に確認出来るようにしたい。
今年度の事業進捗はこうで、来年度はこういう事業を行いたいから今これを議論しているというもの。そうすれば全体を見失わない」としました。

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文化庁の平澤調査官も述べているように、名古屋城の今後をどうしていくかという面からみると、議題のそれぞれがどう位置づけられるかは大変わかりにくいです。
今回の石垣保存方針の提案はあまりにも唐突でした。

名古屋市は、木造天守復元を踏まえた石垣保存方針を2023年3月までに決定するとしています。

2022/7/15に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会 第50回部会で、名古屋城石垣の保存方針について議題にあがっています。(資料はネット上にアップされていますが、議事録はいまだにアップされていません)
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/df5b04e884854743485616445699cbe2.pdf

天守木造復元には、天守台穴蔵石垣をどうするか、小天守西の石垣をどうするかを個別に検討するだけでよいはずで、全体を決めて個別に下ろす必要はないはずです。仮に、個別の議論が紛糾しているから全体を決める、と名古屋市が考えているのであれば邪道です。

名古屋市は2022年度中に、石垣保存方針、基礎構造の方針、解体と復元を一体とした全体計画を策定しようとしています。
残り半年を切りましたが、具体的にどう進めようとしているのかわかりません。
天守台穴蔵石垣(地下部、上部)をどうするのか、情報を公開した上で、有識者ならびに市民が真剣に議論する必要があるのではないでしょうか。


名古屋城バリアフリー新技術公募 参加者数すら非公開

名古屋城天守閣木造復元事業に関し、エレベーターに代わる新技術を名古屋市が公募した件で、名古屋市民オンブズマンが提案業者から提出された書類の目次を情報公開請求したところ、全面非公開になりました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220905.pdf

名古屋市は22/8/12まで公募を受け付けていました。
https://www.castle-challenge.city.nagoya.jp/
名古屋市は「当該行政文書を一部公開とした場合、開示文書の枚数から参加者数が明らかとなる。
当該公募に係る最優秀者の選考前に、公募参加者名、公募参加者数が公開されることにより、公募の選考における公平性に影響を及ぼし、当該事業の公正又は適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、非公開とします」と述べています。

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どの業者からどのような技術が提案されたかということだけでなく、参加者数すら非公開にする名古屋市。
今後、障害者団体や高齢者団体から非公開でヒアリングをするようですが、こんなに非公開でどのように各種団体の意見を聴くのでしょうか。

22/8/18に、山本亜土名商会頭は「河村たかし市長が断片的に説明することが、簡単に言うと眉唾もんだな、と誰もが思っている」と述べたと報道されています。

それを受け、河村たかし名古屋市長は「区長会で『区政協力委員さんに説明するように』(と述べた)」と記者会見で発言していますが、22/9/6に名古屋市の区政協力委員担当者は「具体的にはなにも降りてきていない」とのこと。

河村市長のやることは一事が万事こうです。
2009年4月当選直後「日本民主主義発祥の地ナゴヤ」の垂れ幕を掲げましたが、実態はこうです。
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名古屋城木造復元 名商会頭「市長の断片的説明は眉唾もの」

22/8/19中日新聞によれば、名商会頭「名古屋城の復元停滞 異常事態」というタイトルで、山本亜土会頭は「個人的な思い」と断った上で、「城に長期間入れないのは異常事態。河村たかし市長が断片的に説明することが、簡単に言うと眉唾もんだな、と誰もが思っている」と言及したとのこと。
22/8/22に開催された河村たかし名古屋市長定例記者会見で、河村市長は「私もあの記事読ませていただきまして、うれしさ8割ぐらいだった。区長会で『区政協力委員さんに説明するように』(と述べた)」としています。

22/8/22(月) 15:58配信 THE PAGE
名古屋城天守木造復元「早く造って名古屋の宝に」名古屋・河村市長会見8月22日(全文2)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0ce7a9494112efaff565f1289f5424af0940874e?page=4

また、中日新聞記者からの「文化庁との協議は順調に進んでいるという理解でよいか」に対し、河村市長は「順調に進んでおると認識」と回答するも、松雄副市長は「今年度中に絶対にまとめ上げますから。それは文化庁もよく分かってますので。」としか述べず、順調に進んでいるとは述べていません。

さらに、日本経済新聞記者からの「名商会頭からかなり厳しく批判されていると思うが、感謝とはどういうことか」という質問に対し、「まとめてご発言いただきたいと市長室から名商に言ってくれといった」としました。

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名商会頭の「誰もが思っている」はあまりにも重いです。

名古屋城木造復元に期待している名古屋財界だけでなく、期待している市民、到底出来ないと思っている市民も、だれも名古屋城の木造復元の現状を把握できていません。

バリアフリーの新技術公募を22/8/12に締め切りましたが、「何件応募があったかすら言わない」名古屋市。
名古屋市は「バリアフリー新技術の安全基準取得に最低でも5年かかるとみている」と発言しています。
https://ombuds.exblog.jp/29122211/
障害者団体と150回対話したというものの、147回は議事録を作っていません。

はね出し架構に代わる新たな基礎構造の検討状況も全く分かりません。

木造天守復元を踏まえた石垣保存方針を2023年3月までに決定するとのことですが、その後どのように石垣を保存・整備するか、どの程度かかるかも不明です。
千田嘉博・奈良大学教授は「10年以上の月日がかかるということがあり得る」と17/6/23 第22回石垣部会で述べています。
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/b12778b6f6f8e4c4a543ef6f7cffec77.pdf

確実なのは、「木材保管料だけで新たに1億円かかる」ということだけです。

名古屋市民オンブズマンは、21/3/2に「名古屋城木造復元事業市民説明会 ポストコロナ時代の情報発信を求める」を河村たかし名古屋市長宛に郵送しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210302.pdf

しかし、市民に対してまともな説明はいまだにありません。

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21/12/25名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議(第3回)で江戸期遺構を報告済

太田敏光氏が情報公開請求して入手した、21/12/25に開かれた名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議(第3回)の会議メモは、22/5/20に情報公開された際に比べて、若干公開されました。http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/211225.pdf

新たに開示された文書には、「調査の結果、江戸期の遺構と思われるものが確認されている」としています。
・22/5/20決定書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220520.pdf
・開示文書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220520-1.pdf
 
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上記22/5/20決定の直後の、22/5/22に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第49回)で、名古屋城総合事務所は令和3年度に行った天守台穴蔵石垣試掘調査で、大小天守閣地下の穴蔵石垣根石周辺に、刻印有石材を含む近世石列等遺構を多数発見したと初めて発表しました。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2022/05/20220523_1352.html

ただ、21/12/25にはすでに遺構は確認されていて、調整会議構成員には示していたことがはじめて分かりました。

名古屋城総合事務所は、2022年1月に行われた名古屋城木造復元市民説明会でも一言も述べず、記者発表も特段行っていないようです。
(石垣部会、全体整備検討会議では公表しています)
https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/345-0-0-0-0-0-0-0-0-0.html

22/8/19(金)中日新聞によれば、名商会頭「名古屋城の復元停滞 異常事態」というタイトルで、山本亜土会頭は「個人的な思い」と断った上で、「河村たかし市長が断片的に説明することが、簡単に言うと眉唾もんだな、と誰もが思っている」と言及したとのこと。

現天守閣地下にある、近世石列等遺構は、木造復元事業にどの程度影響を及ぼすものなのか。
調整会議で議論されているはずですが、その中身はいまだに非公開です。

22/8/22に開催された河村たかし名古屋市長定例記者会見で、河村市長は「私もあの記事読ませていただきまして、うれしさ8割ぐらいだった。区長会で『区政協力委員さんに説明するように』(と述べた)」としています。

また、中日新聞記者からの「文化庁との協議は順調に進んでいるという理解でよいか」に対し、河村市長は「順調に進んでおると認識」と回答するも、松雄副市長は「今年度中に絶対にまとめ上げますから。それは文化庁もよく分かってますので。」としか述べず、順調に進んでいるとは述べていません。

22/8/22(月) 15:58配信 THE PAGE
名古屋城天守木造復元「早く造って名古屋の宝に」名古屋・河村市長会見8月22日(全文2)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0ce7a9494112efaff565f1289f5424af0940874e?page=4
名商・山本会頭の退任会見での発言への受け止めを
文化庁との協議は順調に進んでいるのか

区政協力委員だけではなく、市民に現状を率直に説明することが必要ではないでしょうか。


名古屋城バリアフリーについて話し合われた名古屋市「障害者団体連絡会」議事録不存在

名古屋市民オンブズマンは、22/4/5に開催された「名古屋市障害者団体連絡会」で話された内容が分かるものを情報公開請求したところ、22/8/4に不存在決定が出ました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220804-2.pdf

配付資料は公開されました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220804-1.pdf

22/4/12に開催された、名古屋市議会経済水道委員会で、「名古屋市障害者団体連絡会」の、名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募の実施についての主な意見が記載されています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220412.pdf

不存在決定に先立ち、名古屋市健康福祉局障害福祉部障害企画課の担当者から、名古屋市民オンブズマンに「不存在」と電話が掛かってきました。
名古屋市民オンブズマンは、「上記名古屋市議会委員会記載以外の資料がないか」と尋ねたところ、「ありません」と答えました。
名古屋市民オンブズマンは「外部の会議に参加して、説明しておきながら、議事録や議事メモがまったくないのは、名古屋市情報公開条例などに照らしておかしい。
情報公開を所管する、名古屋市スポーツ市民局市民生活部市政情報室市政情報係と相談して欲しい。
特に今回は、委員会資料がある。委員会資料を作るに当たり、なんらかのメモがないと作れないはずだ。二重の意味でおかしい」と述べました。

担当者は「了解した」と述べましたが、結局不存在決定でした。
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上記委員会資料には、「少なくとも1階だけでなく、最上階という表現を明文化してほしい」「公募全体のスケジュールが見えてないし、税金の無駄使いになるので公募実施は反対」「公募実施についてはそのものが反対」などありますが、賛成意見もあり、どの程度の割合で発言があったのかわかりません。
そのもとの資料を確認しようとしましたが、「不存在」でした。

名古屋市は、都合の悪い文書を作らない、公開しないようにしています。
少なくとも建設費だけで505億円もの事業の名古屋城木造復元事業。
現時点では竣工期限は決まっていません。
バリアフリーについて、障害者団体が具体的に何を言ったかも、市民をはじめ議員にもはっきり示していません。
市民も議員もなめられています。
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22/8/5(金)名古屋城全体整備検討会議座長「愛知県新体育館予定地『発掘調査して報告書作るだけ』は最低」

22/8/5に開催された、名古屋城全体整備検討会議で、座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「愛知県が愛知県新体育館を作るために発掘調査した名城公園遺跡で江戸時代の遺物が発見された。
新体育館の予定位置とかかっていれば、体育館を移動してもらうくらいしないと文化財の破壊になる。
『発掘調査して報告書作るだけ』は最低だ」と述べました。

・配付資料(資料2 1ページ目「余芳古写真」は
 著作権の関係で2次利用は控えて欲しいと名古屋城総合事務所より依頼)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220805.pdf0000 
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220805-1.pdf

今回も、傍聴者は録音・録画は禁止されました。
(一部会議出席者はZoomで参加していましたが、傍聴者のZoomでの参加は認められませんでした)

議題3つ(舟運、余芳移築再建、本丸搦手馬出石垣)は淡々と進みました。

報告議題として、天守台穴蔵石垣背面調査について報告され、今後9月頃から行いたいとのこと。

続いて報告議題として、愛知県埋蔵文化センターが名城公園で発掘調査を行った「下御深井御庭の調査について」を、なぜか名古屋城調査研究センターの村木誠副所長が報告しました。

村木副所長は「愛知県が名城公園で発掘調査をした。瀬口座長から『本来は名古屋城の一部なので(検討会議で)報告するように』と言われた。
愛知県が作った資料を見ると、江戸時代の石灯籠や溝、御深井焼や瓦、井戸等が中央西、南端で発見された。
大半が弥生時代、古墳時代の遺跡。
中日新聞報道によれば、南側遺構群は松山茶席の蔵の庭の可能性もあるという。
名古屋城調査研究センターとして今後どう対応するか検討中。考古学学芸員や文書担当が整理に参加出来ないか検討している。
また、上記発掘調査結果を名古屋城の全体整備に取り入れるかを検討したい。」と発言しました。

赤羽一郎・元愛知淑徳大学非常勤講師は「発掘調査の結果を名古屋市教育委員会としてどう認識しているのか。名古屋市はこれまで遺跡として認定していなかったのでは」と質問しました。

名古屋市教育委員会文化財保護室の加藤久室長は「従前遺跡ではないところから出た。今名城公園として使われている。発掘された場所の南側は名城公園。 
結果を受けて、今後公園開発行為をする中で遺跡発見も想定される。試掘もお願いすることを考えている。
公園管理している部署に対し、『そういった地下遺構があるかもしれないため、不時発見につながるので、公園の開発があれば試掘を依頼し、遺構が発見された場合、文化財の先生と相談して、保存地の拡大も考えられると認識している」としました。

丸山宏・名城大学名誉教授は「江戸時代の石灯籠があったという。どういったものか。庭園部会で灯籠を研究している」と発言し、オブザーバーの、皆見秀久・愛知県県民文化局文化部文化芸術課文化財室室長補佐は「遺物は調査していない。見せられない。現在調査整理中で、報告書は近々に出来る」としました。

瀬口座長は「発掘調査をしているのは愛知県新体育館を作るためと聞いている。
仮に新体育館の位置と、松山茶屋の場所がかかっていれば、体育館を移動してもらうくらいしないと文化財の破壊になる。
あるのは民家ではなくテニスコートで国の土地だ。必要であれば移すくらいしないと。『報告書を作る』ではだめ。設計できてしまったなら、後戻りしにくくなる。
以前、戦国時代の砦が発掘され、『新しく作る建物ずらしてほしい』といえないのはダメだ。そのための準備をしないといけない。
『発掘調査して報告書を作る』だけなのは最低だ。きちんとすれば名古屋城の価値が上がると思う」と述べました。
 
加藤室長は「意見を拝聴した。記録保存は一つの現状の保存と認識している。開発行為がなければ遺跡が発見されなかったという話はよく分かる。
愛知県も我々も遺跡を記録して保存するのは『存在を将来につなげる』ため。報告書作成に向けている。意見を頂戴したことは受け止める。
なかなか体育館の位置の移動は、なかなか困難ではないか」と述べました。
 
瀬口座長は「県の有識者委員だった時、朝日遺跡を見学した。朝日遺跡がなぜ残らなかったか。
吉野ヶ里、三内丸山に匹敵するすばらしい遺跡だった。しかし高速道路を作る計画があったから。
本来は計画動かすくらいの力がないといけない。しかし朝日遺跡は遺跡を壊した。
名古屋城の遺跡も同じことを繰り返してはいけない。『加藤さんが命を懸けてでもやる』というのは冗談だが。
また、『名古屋城総合事務所は関係ない』ではない。名古屋城と名城公園の遺跡がそろうと、城郭のすばらしさ、日本的位置づけができる」と述べました。

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全体整備検討会議終了後、オブザーバーとして参加していた、平澤毅・文化庁文化財第二課主任文化財調査官と、加藤室長がなにか話していました。

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愛知県埋蔵文化財センターが調査した場所について、公開されている資料が限られているため、現在の場所と特定することがなかなか困難です。
・愛知県埋蔵文化財センター 広報誌 : 名城公園遺跡 発掘調査通信
 http://www.maibun.com/modules/mydownloads/viewcat.php?cid=152&orderby=dateD

一方、今回話題に出ていた「松山御茶屋」は、御深井庭及西御深井之図  『金城温古録』に掲載されています。
(伊藤正博氏WEB「吹上御苑のモデル 御深井の庭」より)
http://nagoya-town.info/bunnka/kita~ofukenoniwa/ofuke~zu.html

現在、名城公園のtonarinoより北は発掘調査が行われています。
(google map 2022より)

内堀や御深井丸の位置から、『金城温古録』とgooglemapを重ねると、松山御茶屋は今回の発掘調査の場所にあたるようにも見えます。
(名古屋市民オンブズマンによる、両図の重ね合い)


愛知国際アリーナのホームページによれば、tonarinoのすぐ北に大階段と新体育館が予定されているようにもみえます。
https://aichi-arena.co.jp/

愛知県新体育館は愛知県、名古屋城は名古屋市という縦割り行政で本当によいのでしょうか。

22/7/7に愛知県新体育館は起工式を実施したといいます。
https://aichi-arena.co.jp/news/63/

文化財をどう残すのか。
愛知県と名古屋市が真剣に話し合うべきではないでしょうか。
また、もっと市民・県民に情報を公開すべきだと思います。


名古屋城木造復元事業追及のためカンパ頂きました

22/7/27に、名古屋市民オンブズマンあてに名古屋城木造復元事業追及のためのカンパを手紙付きで匿名で受け取りました。
ありがとうございました。
名古屋市民オンブズマンは、各種情報公開請求を行ったり、市議会や有識者会議の傍聴を通じて、情報を広く市民に公開しています

※ぜひともカンパをお願い致します。
情報公開請求してコピーを入手するのも費用がかかります。名古屋市民オンブズマンは、会費とカンパのみで活動しております。
今後ともご支援頂けますと幸いです。

《郵便振替口座》 口座番号 00870−9−105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
《ゆうちょ銀行》 当座 〇八九店 105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
http://www.ombnagoya.gr.jp/kannpa.htm

《資金カンパ送付先・問い合わせ先》
 〒460-0002 名古屋市中区丸の内3-7-9 チサンマンション丸の内第2 303号室
 名古屋市民オンブズマン タイアップグループ事務局
 Tel:052−953−8052 Fax:052−953−8050
 メール:office@ombudsman.jp

以下寄付者の手紙です。
(名古屋市民オンブズマンは、特定の政党・団体・宗教団体を応援していません。支援も受けていません)
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いつもいろいろな情報を教えて頂き有難うございます。

私は市長の河村は任期中に名古屋城木造復元の目星をつけることすらも無理だと思っています。
木造復元は私は反対だからいいのですが。
いつまでぐだぐだ同じことばかり話しているのか?
名古屋城に関しては共産党がいちばんまっとうな意見なのではないかと思っています。

市会議員は、特に民主党はなぜこんなにおとなしいのだろうと思います。
国政の立憲民主党は弁が立つ人が多いのに。
カンパします。


22/7/20(水)学習会「建築士が読み解く! どうする名古屋城〜2万人アンケート再考、木造化、石垣〜」

「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」は、22/7/20(水)に学習会「建築士が読み解く! どうする名古屋城〜2万人アンケート再考、木造化、石垣〜」を行いました。
今後動画をアップするとのこと。
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle

・配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220720.pdf
 
講師の渡邉正之建築士は、名古屋城再建事業を考える背景は巨大地震頻発と建築基準法改正としました。

天守閣が震度6に耐えられるようにするため、名古屋市は(幻の)改修案(約30億円)を作成しました。
(22/2/22(火)学習会「建築士が読み解く 名古屋市が作成した幻の名古屋城現天守耐震改修案」)
 http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#220222

しかしながら、名古屋市は2016年に木造化への誘導説明を行った2万人アンケートを強行したのは不適切だと渡邉建築士は述べました。
木造もコンクリート造もメンテナンスあっての建造物であり、木造化に505億円、コンクリート耐震補強で30億円なので、冷静に考えるべきだとしました。

続いて、史実忠実・木造化は可能かという点に付いて述べ、実測図面では不十分であること、バリアフリーは健常者にとっても必須条件であること、「二度と燃えないお城」に反することから、建築基準法・消防法・バリアフリー法を無視しており、全てに於いて不適格としました。

続いて石垣の改修方針について述べ、石垣の耐震強度は震度5程度が限界であり、現代土木建築工学に基づき震度6相当を目指すべきと
しました。

最後に、渡邉建築士は「市民が求める形を当局者に届ける声が必要」としました。

会場から質問も活発に出ました。


22/7/16(土)名古屋城跡西之丸発掘調査 現地説明会

22/7/16に、名古屋城総合事務所は特別史跡名古屋城跡西之丸発掘調査 現地説明会を行いました。
多数の見学者が来城しました。

・配付資料
・案内

はじめに、名古屋城調査研究センターの村木誠副所長が挨拶し、「蔵の跡を地表面に展示しようと、発掘調査を行った。事前に工事をしたとき、六番御蔵東側の石列を壊してしまった。しっかり調査をして整備をするという反省をした。発掘調査の成果を見てもらいたい」としました。


続いて、担当学芸員が「米蔵が6棟建っていた。1600年代のどこかで一番〜五番御蔵が建てられた。
1834年に六番御蔵が建てられた。明治時代は陸軍の管轄になり、二番御蔵と五番御蔵が撤去された。
その後宮内省の管轄になり、大正4年前には全ての蔵が撤去された。蔵跡の位置を、礎石の抜き取った跡の発掘で確認した。二番、五番御蔵は正確な場所が分かっていない。
六番御蔵の東側だけは礎石がそのまま残っていた(今回壊した)。瓦だまり、近世水路も見つかった。
発掘調査が終わると土で埋め戻すため、遺構が見れるのは今日だけ。」と説明しました。

その後それぞれ遺構を見学しました。
学芸員が多数いて、見学者の質問に答えていました。
「白いひもが建物の形をしめしていて、赤いリボンが礎石の跡を示している。東側は礎石があるのでそのまま展示している」と説明しました。
それぞれの蔵にどの程度コメが入っていたのかと質問したところ、「非常用の米が貯蔵されていたようだが、詳細は不明。これ以外にも保存用の蔵が城内にあった」とのこと。また、発掘された瓦は天守の瓦の可能性もあるとのこと。

学芸員に、六番御蔵の発掘後どうするのかと聞いたところ、「土で埋め戻したあと、蔵の跡をコンクリートで平面的に示すような整備を今後行いたいと考えている。」とのこと。

学芸員に「天守閣の地下の発掘結果について見る機会はないのか」と質問したところ、「天守閣は耐震性が低く閉館している。市民に公開は計画がない。築城期の天守台の状況がわかってきた。」と回答がありました。
「せっかく西の丸御蔵城宝館が出来たので、発掘調査を分かりやすく示して欲しい」と伝えました。
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大勢の城好きが、学芸員を質問攻めにしていました。

名古屋城では多数の発掘を行っています。市民が気軽に学芸員に質問出来る機会をもっと作ってもらいたいですし、名古屋城木造復元に関しても、どうなっているのか市民が直接市に気軽に質問出来る機会を作ってもらいたいです。

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なお、名古屋城本丸御殿の「湯殿書院」について見学が出来るか入口まで行きましたが、閉まっていました。
村木誠副所長に聞いたところ、「現在湯殿書院は、蜜を避けるため、また運営上の理由で閉鎖している。閉鎖していることを記載しているかどうかはわからない」とのことでした。

少なくとも名古屋城の東門入口には、「湯殿書院」が閉まっていることの記載はありませんでした。
ホームページにも特に記載は見つかりませんでした。

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なお、名城公園の弥生時代の発掘について質問したところ、「愛知県が発掘調査を行って終了したと聞いている。
あちらは沖積地。名古屋城は台地の上にあるので、おそらく同様のものはない。弥生時代の遺物はときどきあるが、大規模にはない。
名古屋市博物館にある銅鐸は、名古屋城の堀から出たという言い伝えがある。『由緒』なので、箱に書くと価値が高くなる。本当に名古屋城の堀から出たか、いつ出たか、名古屋から出たかも分からないが、形から見ると、名古屋城の堀から出てもおかしくはない」とのこと。
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22/7/15(金)名古屋城石垣部会で石垣保存方針を審議

22/7/15に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会(第50回)が開催されました。
今回も写真・ビデオ撮影は禁止されました。
一部構成員はZoomで参加しました。
22/7/15 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 
石垣・埋蔵分科会部会(第50回)配付資料

名古屋市民オンブズマンメンバーは用事があり資料だけ入手して退席したため、メモはありません。

石垣部会を傍聴した人によれば、全体整備検討会議の臨時書面会議で、天守台穴蔵石垣背面調査が了承されたことが報告されたとのこと。

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22/7/15に愛知県内で判明した新型コロナウイルス感染者は6351名と、6000人を4日連続で超えました。
そんな中、一部構成員はZoomで参加しているにもかかわらず傍聴するには会場に来い、ネット中継しない、というのはとても理解できません。

天守台穴蔵試掘調査では、近世の石列、刻印を有する石材、石樋などが発見されています。

天守台穴蔵石垣背面調査でも、なんらかの遺構が見つかる可能性があります。
議事録は数ヶ月先にしか公開されません。
・名古屋城 令和4(2022)年度有識者会議開催実績
石垣部会の議論を広く市民に知らせることを望みます。


22/7/13(水)名古屋城木造復元 天守閣部会で木造天守整備基本計画を審議

22/7/13に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第24回)が開催されました。
今回も写真・ビデオ撮影は禁止されました。
・配付資料
・名古屋市民オンブズマンによるメモ(途中まで)

上田剛名古屋城総合事務所長は「令和3年3月以来1年4か月ぶりの開催で申し訳ない。全体計画である『木造天守整備基本計画』を年度内に取りまとめたい」と挨拶しました。

次に、木造天守整備基本計画、石垣保存方針、基礎構造の方針、天守全体のバリアフリーの方針の今年度のスケジュール案が示されました。
また、木造天守整備基本計画(目次)案及び進捗管理表が示され、天守閣部会で何を審議するのか、次回以降検討するのは何かを明記した資料が示されました。
特に意見はありませんでした。

その後、木造天守整備基本計画の各章ごとに議論になりました。

西形達明・関西大学名誉教授は「昨今、文化庁が『石垣耐震マニュアル』を作った。それに対応するデータは名古屋城は持っている。どう対応するか」と質問しました。
名古屋城調査研究センターの村木誠副所長は「マニュアルは熊本城を踏まえて案を示されたと理解しており、理解に努めている」としました。

また、座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「資料19ページにある、『基礎構造検討に係る調整会議』は非公開であることを明記した方がいい。情報公開していないことを認識した方がいい」と発言しました。

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名古屋市民オンブズマンメンバーは用事があり退席したため、その後のメモはありません。

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天守閣部会を聞いた感想ですが、名古屋市は2022年5月に文化庁に対して「現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への追加回答」を提出したことで一区切り付いたと考えているようで、なんとか今年度中に『木造天守整備基本計画』を取りまとめようとしています。

しかしながら、はね出し架構に代わる基礎構造について、どのような案が出るかは未知数です。
また、現在公募しているバリアフリーについても、よい案が出るか不明です。

そもそも、各部会は傍聴者が限られており、写真・ビデオ撮影も傍聴者もマスコミも不可です。
議事録も数ヶ月後にしか公開されません。

『基礎構造検討に係る調整会議』は傍聴を全く認めていません。

いったい名古屋城木造復元はどうなっているのか。
「フレーズが変わった」現在、名古屋城総合事務所は市民に直接説明することが必要ではないでしょうか。

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参考:文化財石垣・石積擁壁補強技術協会

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22/7/20(水)学習会「建築士が読み解く! どうする名古屋城〜2万人アンケート再考、木造化、石垣〜」

「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」は、22/7/20(水)18:30〜 名古屋市北生涯学習センターにて学習会「建築士が読み解く! どうする名古屋城〜2万人アンケート再考、木造化、石垣〜」を行います。
よろしければご参加下さい。

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建築士が読み解く!どうする名古屋城 〜2万人アンケート再考、木造化、石垣〜

日時:22/7/20(水)18:30〜20:30
会場:名古屋市北生涯学習センター 第3集会室 
 地下鉄:「黒川」下車 4番出口 徒歩2分
講師:渡邉正之建築士
参加費無料
主催:名古屋城天守の有形文化財登録を求める会


22/7/1(金) 名古屋城天守木造復元 木材製材 「『暫定的に』期間延長」市議会委員会で可決

22/7/1(金)に開催された名古屋市会経済水道委員会で、「名古屋城天守木造復元事業の木材製材の請負契約を、『暫定的に』令和6年3月31日まで期間延長する」とする契約が委員会で可決されました。

・22/6/17提出 令和4年第77号議案
 契約の一部変更について 
 名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)の請負契約
 
・22/7/1 名古屋市会経済水道委員会
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 
・仮契約書
 
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22/2/25に開催された名古屋市本会議で、名古屋市は「名古屋城木造復元事業に関し、竹中工務店との基本協定を『暫定的』に2024年3月末、実施設計と木工事の債務負担行為の期限も『暫定的』に2024年3月末としたが、過去債務負担行為で『暫定的に』とした事例はない」と明言しました。

前代未聞の、期間を「暫定的に」延長する契約。
議会で議決すればなんでも許される、という問題では無いのではないでしょうか。


22/6/28(火) 名古屋城天守木造復元 木材製材 名古屋市議「『暫定的に』期間延長の理由は?」

22/6/28(火)に開催された名古屋市会経済水道委員会で、江上博之市議(共産・中川区)は、「名古屋城天守木造復元事業の木材製材の請負契約を、『暫定的に』令和6年3月31日まで期間延長する理由はなにか」と質問しました。
・22/6/17提出 令和4年第77号議案
 契約の一部変更について 
 名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)の請負契約

・22/6/28(火)名古屋市会経済水道委員会(名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 
当初契約は22/12/16まででしたが、『暫定的に』24/3/31まで契約を延長するとしました。

名古屋城総合事務所保存整備室 荒井敦徳・天守閣整備担当主幹は「現天守解体と木造復元を一体とした現状変更許可の取得に至っていないため、完成期限を
覚書という形で暫定的に1年ずつ延ばすという覚書を締結している。
その覚書に基づいて工期を延長する」としました。

江上市議は「今年の2月議会の最終補正で、債務負担行為の変更があったが、それに基づき行うのか」と質問し、荒井主幹は「そう」と答えました。

江上市議は「どちらに対しましても、私どもとしては、名古屋城天守閣木造復元そのものを、今見直すべきだとやめるべきだという立場だ」と述べました。

・仮契約書

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22/2/25に開催された名古屋市本会議で、名古屋市は「名古屋城木造復元事業に関し、竹中工務店との基本協定を『暫定的』に2024年3月末、実施設計と木工事の債務負担行為の期限も『暫定的』に2024年3月末としたが、過去債務負担行為で『暫定的に』とした事例はない」と明言しました。

前代未聞の、期間を「暫定的に」延長する契約。
議会で議決すればなんでも許される、という問題では無いのではないでしょうか。


22/6/11-13 名古屋城 全体整備検討会議を臨時書面会議で開催 天守台穴蔵石垣背面調査は大天守3ヶ所のみに

名古屋市は、特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議を22/6/11-13に臨時書面会議で行ったと発表しました。
テーマは、天守台穴蔵石垣背面調査についてです。

戦後にかなり大規模に工事の影響が及んでいることを確認したため、そのことの石垣に対する影響を早急に把握する必要が生じた、としています。

近世の遺構が残存している可能性があるところ(隅角部に近いところ)を、平面的に掘り下げるとのこと。
なお、小天守穴蔵石垣は、調査環境が悪く、現時点での調査を控えた方がよいと判断したとのこと。

また、穴蔵石垣の背面状況をより確実に把握するためには、築石を外すなど、本格的な調査が必要となるが、現時点では実施が困難である、としており、「いずれも、条件が整った際に本格的な調査を実施して確認したい」としています。

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これに先立つ22/5/22に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会(第49回)が開催され、石垣部会の構成員がはじめて背面石垣調査の現場に入り、「極めて劣悪な環境だ。事故を避ける必要がある」と述べています。

座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「小天守では立ち上がれなく、調査は実際できない」宮武正登・佐賀大学教授は「どうして内側の石垣を外せないのか」と述べています。

・22/5/22 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第49回)
 配付資料
 名古屋市民オンブズマンによるメモ

22/5/22石垣・埋蔵文化財部会では、大天守4ヶ所、小天守2ヶ所を調査位置としていましたが、今回の名古屋城跡全体整備検討会議書面会議では、大天守3ヶ所のみになっていました。

これで果たして目的が達成できるのか。どうして内側の石垣を外して調査しないのか。資料だけでは判明しません。

名古屋市は、2022年度に、バリアフリー新技術の公募・決定、木造天守復元を踏まえた石垣保存方針決定、基礎構造の方針決定、「解体と復元を一体とした全体計画」策定を予定しています。

名古屋市はまたも「期限ありき」の進め方をしようとしているのでしょうか。
これまで「期限ありき」の進め方をし、遺跡を壊したり、結局はうまくいかないことの繰り返しでした。
そもそも市民への説明も全く足りていません。
どうして今回臨時書面会議になったのかも不明です。

名古屋城の整備がこれでうまくいくとは到底思えません。
人命最優先を望みます。

22/6/23(木)名古屋市 名古屋城お茶屋「余芳」3年目途に再建目指すと答弁

名古屋市は、22/6/23に開かれた名古屋市会本会議で、名古屋城二之丸庭園にかつてあったお茶屋「余芳」を3年を目途に再建目指すと答弁しました。
・22/6/23 名古屋市会本会議(名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 
上村みちよ市議(東区・自民)は「余芳の再建を皮切りとして、今後整備が進むことで、江戸幕府の中心であったこんにちの東京にも残っていない本物の大名庭園を体感できる貴重な場所として、名古屋城の魅力を大きく向上させることは間違いありません。」と述べています。

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上記質問と答弁では、二之丸庭園の保存整備の全体像の予算が分かりません。
令和4年度予算では、8630万円が計上されていましたが、今後いくらくらいの事業かは分かりませんでした。

22/5/30に行われた、特別史跡名古屋城跡全体整備検討建造物部会第30回部会には、余芳に関する詳細が記載されていますが、費用については特に見つかりませんでした。

限られた予算の中、どの程度費用対効果を算出しているのか、
少なくとも市民に説明する義務があるのではないでしょうか。


名古屋城木造復元 文化庁訪問時資料情報公開訴訟 確定で出てきた資料 市長「コンクリートの改修は世界の大恥」

名古屋城木造復元事業に関して2018/6/13〜2018/12/10の間に名古屋市職員が文化庁を訪問したときの復命書の開示を求める情報公開訴訟で、河村たかし名古屋市長の発言部分ならびに石垣保存検討内容等の開示を命じた22/3/30名古屋地裁判決が確定しました。
新たに開示されたのは22ページ分です。
(市が、開示されたところを黄色マーカーで塗ってくれました)

特に、河村市長の発言(3日分)を添付します。(開示部分を枠で囲みました)

 今回、河村市長は2018年8月3日文化庁訪問時に「ゆっくりやるとコンクリートの改修になる。これは世界の大恥。」と文化庁に対して述べていたことが判明しました。
 また、河村市長が木曽氏(名古屋城総合事務所は、元ユネスコ日本政府代表部大使の木曽功氏ではないかと推測)と市長が会っていたのは初めて判明しました。

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・処分取り消し

・決定書@
・開示文書@
・新たに開示部分黄色マーカー@ 1ページ

・決定書A
・開示文書A(基本計画書)
・新たに開示部分黄色マーカーA(基本計画書)13ページ

・開示文書A
・新たに開示部分黄色マーカーA5ページ
 
・決定書B
・開示文書B
・新たに開示部分黄色マーカーB3ページ

【公開を命じる】
・平成30年6月13日 河村たかし名古屋市長の発言(添付資料)
・平成30年7月26日 河村たかし名古屋市長の発言(添付資料)
・平成30年8月3日  河村たかし名古屋市長の発言(添付資料)

・文化庁職員の発言(「本丸御殿の工事について」部分)@
 平成30年7月20日
・防災及び避難計画の考え方のうち、防災拠点設置場所等と避難イメージ図A
 開示文書A(基本計画書)
・基本設計書中の建設費及び建設業務費の概算工事費
 開示文書A(基本計画書)
・「石垣保存の基本的な考え方」「天守台石垣保存に関する基本的な考え方」
 「天守台石垣保存方針」「城内石垣全体の保存に向けて」
 「天守閣木造復元事業との関係」について市の検討内容
 開示文書B

【公開を命じない】
・文化庁職員の発言
・市職員発言(文化庁職員との対話内容)
・「構造計画の考え方」(竹中工務店の独自のノウハウ記載部分)
・防災及び避難計画の考え方等(防災拠点設置場所等と避難イメージ図を除く部分)

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名古屋城木造天守昇降新技術公募 2021年度成果品タイトル一覧のみ開示 内容開示は2022年12月末

名古屋城天守閣木造復元事業に関して、新技術公募の成果物を名古屋市民オンブズマンが情報公開請求したところ、22/6/3に上記成果品タイトル一覧のみ公開しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220603.pdf

内容は22/12/31まで延長になりました。
また、上記について、令和3年度に支払った金額がわかるものは不存在となっています。(今後1年以内に作成する予定と記載)

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なお現在、名古屋城総合事務所は22/8/12まで「名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募」を行っており、2022年12月下旬に最優秀者選定予定です。
・NAGOYA CASTLE CHALLENGE ナゴヤキャッスルチャレンジ
 名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募

2022年6月10日質問回答@を公開しており、何を公募しているか図解しています。

22/6/3(金)名古屋城全体整備検討会議でも、大小天守閣穴蔵石垣周辺の近世石列等遺構報告

22/6/3に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第50回)で、名古屋城総合事務所は令和3年度に行った天守台穴蔵石垣試掘調査で、大小天守閣地下の穴蔵石垣根石周辺に、刻印有石材や石樋を含む近世石列等遺構を多数発見したと報告がありました。
22/5/22に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第49回)と同じ資料です。
名古屋城木造復元事業に多大な影響が考えられます。
残念ながら、大手マスコミはだれも傍聴しませんでした。
また、録音・録画は禁止されました。
名古屋市民オンブズマンは事情により傍聴できなかったため、配付資料のみアップします。

・22/6/3 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 (第50回)
 配付資料

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木造天守と地下ケーソンをつなぐ「基礎構造」の検討は、新たに発見された遺構を保存するという前提で行う必要があります。
また、今後行う予定の穴蔵石垣背面調査の結果、新たな遺構が確認される可能性もあり、その場合もそれを保存するのが前提となります。

名古屋市は、2022年度に、バリアフリー新技術の公募・決定、木造天守復元を踏まえた石垣保存方針決定、基礎構造の方針決定、「解体と復元を一体とした全体計画」策定を予定しています。

しかしながら、今回の新たな遺構発見で、予定通りには進まなくなったのではないでしょうか。
市のさらなる説明を求めます。


名古屋城木造化 2016年12月 市と竹中工務店との打合せ記録 2017年4月契約解除した場合の損害賠償想定額 開示

16/12/5に、名古屋城総合事務所職員と竹中工務店が面談した際の打合せ記録をあらためて情報公開請求したところ、22/5/26に内容が公開され、2017年4月契約解除した場合の損害賠償想定額として竹中工務店が想定している項目が判明しました。
16/12/20開示決定時には内容は一部非公開でした。


・竹中工務店名古屋支店との打合せ記録(平成28年12月5日)

・竹中工務店名古屋支店との打合せ記録(平成28年12月5日) 平成28年12月22日開示決定
 
竹中工務店は「諸条件により異なりますが、本プロジェクトの契約解除による
請求として以下のような項目が想定されます」として以下を挙げました。
・契約解除までに掛かった実費の精算
・本プロジェクトの業務委託先の契約を解除しなければならないことによる業務委託先からの損害賠償に対する補償
・本プロジェクトの施行に必要な人員等を確保するために、他のプロジェクトの受注を控えたことによる営業機会の逸失についての損害賠償
・本プロジェクト推進のための体制維持に係る待機人員の人件費
・その他

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以下は以前も公開されていました。

「4日間における考え方の変化について」と題された項目では、「事業費縮減案に対する貴市の全面的な協力を仰げるという認識に至ったことから、総事業費505億円内で実施できるよう努力をしていく考えに至った」としています。

また、「2022年7月から天守閣竣工が遅延した場合の損害金の想定額」と題された項目では、「遅延該当工事(木造復元部分):16,318,081千円(税抜)」
とあります。
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16/12/5当時、17/4/23に予定されていた名古屋市長選挙の結果次第では、名古屋城木造復元事業自体が中止される可能性がありました。
具体的な想定額は今も不明ですが、当時黒塗りだった部分が公開されれば、その後の展開も異なった可能性があります。

「4日間における考え方の変化について」はよく分かりませんが、直前の16/11/28に行われた、河村たかし名古屋市長と竹中工務店との面談時と考え方が変わったことを意味しているのかも知れません。

また、2022年現在、はね出し架構に代わる基礎構造を有識者による「調整会議」で検討していますが、うまくいくかわかりません。(情報は全く出てきません)

当初の2022年12月竣工は断念しており、現時点でも新たな竣工時期を名古屋市は示していません。
今回開示された資料は、今後、名古屋城木造復元事業に関する契約解除や損害賠償請求を考える上でも重要な書類ではないでしょうか。

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名古屋城木造化 2016年11月 市長と竹中工務店との面談メモ「市は『文化庁の現状変更許可を前倒しに取ることは困難』と認識」

16/11/28に、河村市長をはじめ名古屋城総合事務所長や市職員と竹中工務店が面談した際の面談メモをあらためて情報公開請求したところ、22/5/26に内容が公開され、市は『文化庁の現状変更許可を前倒しに取ることは困難』と認識していたことが判明しました。
16/12/20開示決定時には内容は全て非公開でした。
・市長と竹中工務店との面談メモ(平成28年11月28日)

参考
・市長と竹中工務店との面談メモ(平成28年11月28日) 平成28年12月20日開示決定
 
面談メモには、竹中工務店からは、木材の発注時期が遅れると、提案時に見込んでいた木材の確保が困難となる、仮設工事や解体工事の着手時期が遅れると概算事業費が増加する可能性が指摘され、文化庁の許可をできるだけ早くとり、着手時期を早めることが必要だと提案があったことが記されていました。

市は「熊本地震を受けて石垣の詳細調査の期間を鑑みると、竹中工務店の提案は困難であると認識しているが、一度検討する」と回答しました。

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16/4/14以降に複数発生した熊本地震を受け、名古屋市は名古屋城の石垣の調査を一刻も早く行う必要がありました。
上記面談メモでは、名古屋市が当時石垣の詳細調査の期間をどの程度見積もっていたのか不明ですが、少なくとも許可を前倒しすることはできないと名古屋市が認識していたことは確かなようです。

市長が竹中工務店と16/11/28に面談してから5年半が過ぎました。
名古屋市は文化庁から現状変更許可をとるどころか、いまだに石垣調査を行っており、現天守解体と復元を一体とした計画を文化庁に提出することすらできていません。

一方、竹中工務店は木材を購入し続け、保管料として年間1億円かけています。

16/11/28「市長と竹中工務店との面談メモ」がもっと早く公開されていれば、その後の展開も違ったのではないかと思います。
少なくとも、2016年当時「石垣調査をどの程度見込んでいたのか」はっきりさせることは今からでも必要だと思います。

以前、名古屋城総合事務所の幹部職員から名古屋市民オンブズマンに対し「市民に言えないことが山ほどある」とほのめかされたことがあります。
特に市と竹中工務店との交渉はこれまでほとんど黒塗りでわかっていません。
名古屋市は、情報公開請求を待たず、積極的に情報を公開し、どうして現状のようになったのかを説明する義務があります。

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22/5/22(日)【歴史的大発見】名古屋城大小天守閣穴蔵石垣周辺で近世石列等遺構を多数確認

22/5/22に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第49回)で、名古屋城総合事務所は令和3年度に行った天守台穴蔵石垣試掘調査で、大小天守閣地下の穴蔵石垣根石周辺に、刻印有石材を含む近世石列等遺構を多数発見したと初めて発表しました。
名古屋城木造復元事業に多大な影響が考えられます。
残念ながら、大手マスコミはだれも傍聴しませんでした。
また、録音・録画は禁止されました。
・22/5/22 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第49回)
 配付資料

・22/5/22 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第49回)
 配付されなかった資料(情報提供)

・22/5/22 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第49回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ

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名古屋市は、2021年5月に「現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答」を行いました。

その後、21/7/9に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議で、天守台穴蔵石垣の根石周辺試掘調査ならびに背面調査を行うべきとされました。
それに基づき、名古屋城調査研究センターと名古屋城総合事務所は天守台穴蔵試掘調査を行っていました。

本日の部会に先立ち、石垣・埋蔵文化財部会構成員は現場を視察したところ、天守台穴蔵石垣背面調査について、「極めて悪い環境であることがわかった、調査員の安全を十分に確保してほしい」としました。
さらに、宮武正登・佐賀大学教授は「どうしてこの場所を調査することになったのか、イメージが共有できていないようだ。
穴蔵石垣背面については、昭和天守再建時に無茶苦茶な工事をして、昭和に積み替えた石垣が不安定になっていることがこの1年の調査でわかった。
内側石垣を入れる為、斜めの勾配に掻き取っている。
(参考:21/12/25 名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議(第3回)配付資料)
 今後の調査について(穴蔵石垣背面調査)
 計画図(裏コンクリートあり) 計画図(裏コンクリートなし)
また、掘削したあとどうするのか。不安定な元に戻すのか、安定させるのか。
どうして昭和に積んだ内側石垣を外せないのか。
それには内側石垣の評価が避けられない」としました。

その後、天守台穴蔵石垣の根石周辺試掘調査について報告があり、大小天守閣地下の穴蔵石垣根石周辺に、刻印有石材を含む近世石列等遺構を多数発見したと報告しました。
北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「時間が無いので新しい報告のみ報告してほしい」としましたが、村木誠・名古屋城調査研究センター副所長は「今回すべて、初めて部会で報告する」としました。

宮武教授は「天守台の中に、オリジナルの遺構があることがわかった。事故があってはまずいので、やるときは思い切って調査してほしい」としました。

その他、舟運、本丸搦手馬出周辺石垣修復についても議論されました。
予定を超過して2時半議論がありました。

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名古屋城大小天守閣穴蔵地下で近世石列等遺構を多数確認という歴史的大発見の割には、石垣部会の各委員は冷静に見えました。
部会での公式発表は今回が初でしたが、事前に委員に知らせていたのではないでしょうか。
実際問題、石垣部会委員も多数含まれている「名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議」の21/12/25 第3回配付資料に、天守台穴蔵石垣試掘調査中間報告がありました。
 
「現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項」では、「現天守の解体・仮設物設置が石垣等遺構に与える影響を判断するための調査・検討が必要」とされています。

今回、名古屋城大小天守閣地下で近世石列等遺構が多数確認されました。
22/3/16名古屋市議会経済水道委員会で、村木副所長は「遺構は本質的価値を構成するものなので、今後も適切な形で残していくことが前提になる」と答弁しています。

木造天守と地下ケーソンをつなぐ「基礎構造」の検討は、新たに発見された遺構を保存するという前提で行う必要があります。
また、今後行う予定の穴蔵石垣背面調査の結果、新たな遺構が確認される可能性もあり、その場合もそれを保存するのが前提となります。

名古屋市は、2022年度に、バリアフリー新技術の公募・決定、木造天守復元を踏まえた石垣保存方針決定、基礎構造の方針決定、「解体と復元を一体とした全体計画」策定を予定しています。

しかしながら、今回の新たな遺構発見で、予定通りには進まなくなったのではないでしょうか。
その議論が今回の石垣部会で時間が無かったためか十分行われなかったのは残念です。


名古屋城木造天守 基礎構造検討「調整会議」会議メモ・配布資料ほぼ非公開

名古屋市民オンブズマンは、21/12/25に開催された「名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議(第3回)」の会議メモ・配付資料を情報公開請求したところ、内容はほぼ非公開でした。

令和3年12月25日開催 名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議(第3回)
会議の内容がわかるものとして会議メモ、配布資料
・決定書
・開示文書
 
これでは、現状どのようになっているのか全くわかりません。

しかも、会議時間が2時間45分にも及んでいるにもかかわらず、会議録は作成せず、A4で2枚の会議メモのみ作成して公開されました。

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22/5/22(日)13時から、第49回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会が開催されます。

そこでどの程度明らかになるのでしょうか。


21/5/18(水) 名古屋城芝居小屋風多目的施設案 自民市議「整備費8億で維持費6000万 200席だと民業圧迫に当たらないか」

22/5/18に開催された名古屋市会経済水道委員会で、名古屋市は名古屋城正門南に作る予定の金シャチ横丁第二期整備芝居小屋風多目的施設案の概算整備費が約8億円、指定管理者を想定しており、市の負担は年間約6000万円-7000万円かかることを明らかにしました。自民党の浅井正仁市議は「想定が200席。同規模の民業を圧迫することにならないか」と指摘しました。

・22/5/18 名古屋市観光文化交流局
 市会経済水道委員会説明資料
 金シャチ横丁第二期整備(芝居小屋風多目的施設)の整備計画(案)について

・22/5/18 名古屋市会経済水道委員会(名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

浅井正仁市議(自民・中川区)は「名古屋市が持っている文化施設は26ヶ所。一方、民間の大須演芸場や名演小劇場、ナゴヤ座など民間は苦労していると報道されている。民間へのヒアリングでどのような意見があったのか」と質問しました。

鈴木整備室長は「ナゴヤ座は40席前後、大須演芸場は200席弱と聞いている。100-150席程度の芝居小屋は少ないので需要があるのではないか、民業圧迫するような劇場はないのではと考えている」としました。

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名古屋市は、芝居小屋風多目的施設以外にも博物館ゾーン整備を検討しています。

22/3/23 第1回金シャチ横丁第二期整備 博物館ゾーン整備基本構想検討懇談会
・会議次第【博物館懇談会】
・会議資料1
・【参考1】金シャチ横丁基本構想概要版
・【参考2】特別史跡名古屋城跡保存活用計画概要版
・【参考3】博物館構想検討懇談会開催要綱(R040303案)
・【参考4】博物館構想検討懇談会傍聴要綱


21/5/13(金) 名古屋城跡全体整備検討会議(第49回) 今後1年の予定確認と舟運のみ

22/5/13に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第49回)が開催され、今後1年の予定確認と舟運のみで約30分で終了しました。

22/5/13 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第49回) 配付資料

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いったい名古屋城木造復元事業はどうなっているのか。
石垣部会の元で行っていた穴蔵石垣調査の結果はどうなったのか。
昇降技術の公募はどういう状況か。
基礎構造検討はどうなったのか。

何もわかりません。

名古屋市は、木材保管料として2022年度に約1億円支払う予定です。

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名古屋城木造天守昇降新技術公募 2021年度成果物 開示は2022年12月末

名古屋城天守閣木造復元事業に関して、新技術公募の成果物を名古屋市民オンブズマンが情報公開請求したところ、22/6/5までに上記報告書内容一覧のみ公開し、そのほかは22/12/31まで延長になりました。

また、上記について、令和3年度に支払った金額がわかるものは不存在でした。(今後1年以内に作成する予定と記載)

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現在、22/8/12まで「名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募」を行っており、2022年12月下旬に最優秀者選定予定です。
・昇降技術開発 上限8000万円
・昇降技術導入 上限2億円
・大天守のより上層階まで昇降できる技術
 (少なくとも大天守1階に昇降ができること)

・NAGOYA CASTLE CHALLENGE ナゴヤキャッスルチャレンジ
 名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募
 
どうして「少なくとも大天守1階に昇降ができる」と公募条件が変わったのか、名古屋市各局で構成する「名古屋城木造復元天守バリアフリー対策検討会議」の議事録を情報公開請求しても、第3回-第6回は不存在でした。
・決定書
・開示文書(第1回、第2回議事録(要旨、議事録メモ))
 
名古屋城木造天守昇降新技術公募の2019年度、2020年度成果物は開示されており、どのような変遷があったのかわかります。
・22/3/31決定書
・名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託【2019年度分】成果物
・名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託【2020年度分】成果物

今回の2021年度成果物を2022年12月末まで開示しないというのは、最優秀者選定予定の2022年12月下旬までは詳細を公開しないという名古屋市の強い意志があると思われます。

これでは、どうして「少なくとも大天守1階に昇降ができる」と公募条件が変わったのかわからず、公募に関して意見もいいにくいです。

しかも、年度がかわって1ヶ月たった現時点でも、2021年度にいくらコンサルタント(株式会社日本総合研究所)に支払ったのかすら書類を作っていないというのは異常と言うほかありません。

新技術公募に関し、市民不在、形だけ公募したことにする名古屋市。うまくいくとは到底思えません。


名古屋城木造復元事業追及のためカンパ頂きました

22/5/2に、名古屋市民オンブズマンあてに名古屋城木造復元事業追及のためのカンパを手紙付きで匿名で受け取りました。
ありがとうございました。

・地震多発にもかかわらず石垣の補修が進まないこと
・木材に虫がわいたらどうするのか、保管料だけでなく処分料までかかるのではないか

名古屋城木造復元のための木材については、2018年度に約95億円で契約しました。2022年3月末までに約40億円支払い予定です。未執行は約55億円です。
上記とは別に、木材保管料として2022年度に約1億円支払う予定です。

建設だけで総額505億円もの事業の名古屋城木造復元事業。
当初は2022年12月までの予定でしたが、竣工時期はいまだに未定です。
名古屋市は市民に対してわかりやすくきちんと説明していません。

市民は、賛成か反対かを判断する材料がなければ判断しようがありません。
現状は、どのような木造名古屋城ができるのか確定していません。
(石垣、バリアフリー、基礎構造)
上記が確定したとして、文化庁に復元が認められるかどうかも不明です。

にもかかわらず、木材はすでに約40億円購入してしまいました。
木材を含め、名古屋市はすでに平成28年度〜令和元年度で69億6800万円余予算を使ってしまっています。

名古屋市民オンブズマンは、各種情報公開請求を行ったり、市議会や有識者会議の傍聴を通じて、情報を広く市民に公開しています。

※ぜひともカンパをお願い致します。
情報公開請求してコピーを入手するのも、情報公開訴訟をするのも、費用がかかります。
名古屋市民オンブズマンは、会費とカンパのみで活動しております。
今後ともご支援頂けますと幸いです。

《郵便振替口座》 口座番号 00870−9−105687
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 Tel:052−953−8052 Fax:052−953−8050
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「名古屋城木造復元天守バリアフリー対策検討会議」議事録 第3回-第6回 不存在

名古屋城木造復元天守の整備におけるバリアフリーの考え方や整備に関すること等の検討を行うため、名古屋市の各局で構成する「名古屋城木造復元天守バリアフリー対策検討会議」の議事録を名古屋市民オンブズマンが情報公開請求したところ、第1回(平成29年12月28日)、第2回(平成30年2月28日)分は開示されましたが、第3回(平成30年3月29日)、第4回(平成30年5月7日)、第5回(令和2年4月13日)、第6回(令和3年11月8日)分は「請求に係る行政文書を作成又は取得しておらず、不存在であるため、非公開」となりました。
・決定書
・開示文書(第1回、第2回議事録(要旨、議事録メモ))

概要と会議資料は市ホームページに掲載されています。
・名古屋城木造復元天守バリアフリー対策検討会議の開催結果

第1回開催 平成29年12月28日 概要平成30年1月5日作成 8日後 25分
第2回開催 平成30年2月28日  概要平成30年3月1日作成 1日後 45分
第3回開催 平成30年3月29日  概要平成31年1月22日作成 299日後 60分
第4回開催 平成30年5月7日  概要平成31年1月22日作成 260日後 30分
第5回開催 令和2年4月13日  概要令和4年1月17日作成 644日後 資料配付のみ
第6回開催 令和3年11月8日  概要令和4年1月17日作成 70日後 15分

第3回-第6回については、概要では議論の経過が全くわかりません。
また、現在は公開されていますが、第3回の配付資料については平成30年4月2日に名古屋市民オンブズマンが以前に情報公開請求したところ、中身は全て黒塗りでした。

名古屋市は「庁内会議の公表に関する指針」というものを作っています。
これに基づき、情報公開請求しなくても会議終了後、速やかに会議の名称、開催の日時及び場所、議題、出席者の役職名、審議の概要、照会先をネット・市民情報センターで公表することになっています。

第3回-第6回について、名古屋市が定めている上記指針で「速やかに公表」することとなっている概要すら70-644日後に公開しています。
第1回・第2回で作成していた議事要旨・議事メモすら、第3回-第6回は作成していませんでした。

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今回開示された議事録(要旨)では、各局の本音が垣間見えます。

第1回
健康福祉局長:今まで外部に言ってきたことと変わるため、決定方針に加わる自信がない。

第2回
交通局長:木造復元が、何を最優先にしているのかよくわからない。
交通局長:新たな技術を推進するのであれば、VR技術に力を入れるべきではないか。
緑政土木局長:竹中工務店が提案をしている内部のエレベーターの4人乗りの4階までは、問題はあるのか。
廣澤副市長:技術的に4人乗りのエレベーターを付加できたとしても、避難対策の問題が生じてしまう。
交通局長:文化庁から、名古屋市の方針について認められない意見が出た場合はどうなるのか。
観光文化交流局長:その部分について訂正を行った場合、その後認められることもある。実際に、本丸御殿復元事業についても同じようなことが行われていた。

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第3回以降、各局から様々な意見が出されたのではないかと思われます。
バリアフリーについて、市内部の議論も公開せずに、市民が納得することはありません。

現在、22/8/12まで「名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募」を行っています。
・昇降技術開発 上限8000万円
・昇降技術導入 上限2億円
・大天守のより上層階まで昇降できる技術
 (少なくとも大天守1階に昇降ができること)

・NAGOYA CASTLE CHALLENGE ナゴヤキャッスルチャレンジ
 名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募
 
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前代未聞!名古屋城木造復元事業実施設計・木材の製材 「暫定的に」24/3/31までの契約書 開示

名古屋市民オンブズマンは、名古屋天守閣木造復元事業に関し、実施契約業務委託・木材の製材に関する延長契約書を情報公開請求したところ、「暫定的に」24/3/31までとなっていました。
さらに、実施設計契約は4億2494万2579円が増額されていました。

また、木材保管料として、22/4/1-23/3/31までで9998万4500円を名古屋市が竹中工務店に支払う契約をしていたことも判明しました。
決定書
・「名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託」変更概要書
・「名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託」変更契約書
 (令和4年3月25日)
・「名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)」変更契約書
 (令和4年3月9日)
・「名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)の追加」契約書
 (令和4年4月1日)
開示文書
 
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22/2/25に開催された名古屋市本会議で、名古屋市は「名古屋城木造復元事業に関し、竹中工務店との基本協定を『暫定的』に2024年3月末、実施設計と木工事の債務負担行為の期限も『暫定的』に2024年3月末としたが、過去債務負担行為で『暫定的に』とした事例はない」と明言しました。

異例中の異例の契約を行っている名古屋市と竹中工務店。
このような契約は、両者が合意しているからといって合法なのか?
竣工時期が見通せない現在、木材保管料が年間1億円かかっているのを市民はどう見るのか?
そもそも石垣保全・バリアフリー・基礎構造は各種法律に従ってできるのか?
その上で経済的に成り立つのか?

名古屋市が市民へ説明を怠ってきたツケがまわってきました。
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名古屋城天守閣木造復元事業 総務省への起債届出書 完成は2031年度と記載

名古屋城天守閣木造復元事業について、総務大臣に届け出をした起債届出書(2021年度発行分)を情報公開請求したところ、22/2/15づけで名古屋市が総務大臣に届出をしていたことが判明しました。

・名古屋城 木造復元事業 起債届出書(2021年度発行分)

それによれば、事業期間は平成28年度〜令和13年度(2031年度)とありました。
 
2019、2020年度分も情報公開請求していますが、同じく事業期間は平成28年度〜令和13年度(2031年度)です。

・名古屋城 木造復元事業 起債届出書(2020年度発行分)
・名古屋城 木造復元事業 起債届出書(2019年度発行分)

開示された資料によれば、2020年度までにすでに62億5229万3000円使っており、2021年度に3億2600万使う予定です。
国庫補助は全く予定していません。

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22/4/18(月) 名古屋城木造天守昇降新技術公募 開始強行

名古屋市は、22/4/18に「名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募」を22/8/12まで開始したと発表しました。
・昇降技術開発 上限8000万円
・昇降技術導入 上限2億円
・大天守のより上層階まで昇降できる技術
 (少なくとも大天守1階に昇降ができること)

NAGOYA CASTLE CHALLENGE ナゴヤキャッスルチャレンジ
名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募

記者発表資料

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22/3/18に開催された名古屋市議会経済水道委員会では、「木造天守閣の昇降に関する技術の国際コンペについては、障害者団体、高齢者団体、福祉関係学識者及び関係機関と十分に検討を行い、理解を得た上で実施すること。」という附帯決議をつけていますが、22/3/25名古屋市障害者施策推進協議会、22/3/29名古屋城跡バリアフリー検討会議、22/4/8名古屋市障害者団体連絡会で、相次いで疑問や反対の声が出ています。

名古屋市は、2019年度に公募の実施方法(買取り費用)について、4製品採用・6.7億円が「基本方針や障害者の意見を実現できる可能性が高い」と、最も評価を高くしていました。
また、費用2億円だと、「基本方針を満たせない可能性が高い」としていました(373ページ、384ページ)

また、名古屋市は「エレベーターのある空間の下階に人がいる空間があるのは危険。建築基準法の適用除外を受けるとしても、避難経路等の法的課題のクリアが必要である。」「たとえば、天守閣にエレベーター設置用の穴を穿つ場合は、遮煙区画する必要がある。」「たとえば、エレベーターを設置すると下階の空間への対策が必要となる」と述べています。(173ページ)

情報公開請求で名古屋市民オンブズマンが受け取ったのが22/4/14。関係者に検討もされないまま、22/4/18に公募が強行開始されました。

このままでは、名古屋市の事前予想通り「基本方針を満たせない可能性が高い」になるのではないかと思います。
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名古屋城昇降新技術公募成果物開示「6.7億円だと実現可能性が高いが、2億円だと満たせない可能性が高い」

名古屋城 昇降新技術公募支援事業業務委託の成果物(2019.2020年度分)が開示されました(1926枚、39620円)。
(巨大ファイルです。22/5/16までは以下から一括ダウンロードできます)

・22/3/31決定書
・名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託【2019年度分】成果物
・名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託【2020年度分】成果物

極めて重要な内容が多数記載されており、これまで各種会合・議会での議論の前提が覆る可能性があります。
2021年度分成果物も名古屋市に提出されているはずなので、それを全て公開した上で、再度各種会合・市議会を開催し、納得・承認後でないと国際コンペを開始すべきではありません。

特に、2019年度当初は「4製品6.7億円だと各部門で回収可能な費用設定で、積極的な参加が期待できる」「基本方針や障害者の意見を実現できる可能性が高い」と評価◎で、費用2億円だと「結局は基本方針を満たせない可能性が高い」だったにもかかわらず、2022年4月にも開始しようとする国際コンペでは、「想定開発費用上限8000万円、想定導入費用上限2億円」になった経緯について市民に説明すべきです。

今回1926枚にもわたる資料を読んでも、上記疑問には答えていません。

名古屋市は、木造天守閣の昇降に関する新技術の公募について、令和元年〜3年度で1億4300万円(予算)、令和4年度予算として3938万6000円をつけています。

木材の保管費用は年間1億円です。

名古屋市の予算の付け方には到底納得できません。
導入費用上限2億円のバリアフリー技術公募を強行することで、「結局は基本方針を満たせない可能性が高い」になることをおそれます。

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本件は21/7/26に情報公開請求し、特例延長がかかっていました。
決定書は22/3/31になっていますが、決定書が届いたのは22/4/14。名古屋市スポーツ市民局市政情報室が郵送したのは22/4/13でした。

昇降新技術公募支援事業業務委託に関しては、2022年3月に市議会委員会、名古屋市障害者施策推進協議会、名古屋城跡バリアフリー検討会議が開催されました。
2022年4月には、名古屋市障害者団体連絡会、市議会委員会が開催されました。
上記議論の前に、開示文書が広く公開されれば結論も異なっていたのではないかと残念でなりません。

開示決定日と送付日に開きがあることについて、名古屋城総合事務所の担当者に聞いたところ、「決定日の22/3/31に内部決裁がおりた。その後開示をするに当たって何千枚もの枚数を印刷する作業に時間がかかった。
たまたま年度が替わり、担当者が変わったため、引き継ぎを含めて作業に時間がかかった。ご迷惑をおかけした。
22/4/8や22/4/12に各種会合があったことは承知しているが、上記会合にあわせて遅らせたわけではなく、事務としては効率よくやった」としました。

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「名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託」は令和元年〜3年度で1億4300万円の契約を(株)日本総合研究所と結んでいます。

成果物として、令和元年度、令和2年度分が今回開示されました。
何度も公募要項を修正し、英文でも作成していたことがわかります。

当初は、公募の実施方法(買取り費用)について、4製品採用・6.7億円が「基本方針や障害者の意見を実現できる可能性が高い」と、最も評価を高くしていました。
また、費用2億円だと、「基本方針を満たせない可能性が高い」としていたことも判明しました。
(2019-1 373ページ、384ページ)

さらに、1時間あたりに天守閣に来場することが想定される障害者数を16人とし、部門1,2,3を使えば処理能力と来城者平均値が拮抗しているとしました。
(2019-1 379ページ)

また、認証制度も調査していました。
(2019-1 388ページ)

ヒアリングは国外10社1組織、国内48社にも及んでいます。
(2019-2 24ページ)

その後、2020/2/14に開催された「名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募にかかる評価員・技術相談員会(第1回(評価員))配付資料では、4つの各部門評価1位の者に各2000万円×4交付、最優秀者1者のみ2億円契約に変更になりました。
(2019-3 118ページ)
同打合せ記録では、名古屋市は「このような技術に関する公募が実現した例はないという指摘を頂いた」「旧建築物は建築基準法第3条による適用除外を受ける関係から、新たにエレベーターを入れると建築基準法第3条の適用が怪しくなることは要注意すべき点である」「国宝にという点は、名古屋市側からは書きづらい内容である」など、率直に意見を述べています。
(2019-3 231ページ)

2019/5/30に開催された、「名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託」打合せ(名古屋市、日本総合研究所)では、名古屋市は「竹中工務店の議論を補足すると、地階から1階であっても木造建築には相当な加重がかかる。また、エレベーターのある空間の下階に人がいる空間があるのは危険。火災の煙の流れも考慮する必要があるとのこと。建築基準法の適用除外を受けるとしても、避難経路等の法的課題のクリアが必要である。」「たとえば、天守閣にエレベーター設置用の穴を穿つ場合は、遮煙区画する必要がある。」「たとえば、エレベーターを設置すると下階の空間への対策が必要となる」と述べています。
(2019-4 173ページ)

2019/6/4に開催された「名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託」打合せ(名古屋市、日本総合研究所)で、日本総合研究所は、「リニアが通ることもあり、国際的に名古屋市をプロモーションの一環として本事業をとらえ、提案を広く集めるというスタンスが重要。極論を言えば、一等賞が
出なくても、そのプロセスを世界に発信することに意味があるという考え方」と述べています。
(2019-4 177ページ)

2019/7/10に開催された「名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託」打合せ(名古屋市、日本総合研究所)で、名古屋市は「財政当局は試作品の中から一つ選んで最終契約をする方式をイメージしているので、今年度から検討している部門分けの話を理解してもらう必要がある。」と述べています。
(2019-4 193ページ)

2019/10/10に開催された「名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託」打合せ(名古屋市、日本総合研究所)で、日本総合研究所は「総額2億円の予算では『技術の開発・納入・設置』までを考えると、技術の採用が難しいと考えている」と述べ、名古屋市は「財政との折衝方針について、庁内で検討したい」「もしかしたら、『部門を減らす』という選択肢も併せて検討しなければならないかもしれないと考えている」と述べました。
(2019-4 227ページ)

「バリアフリー協議会」という公開の場所を新設しようとしていました。
(2020-1 28ページ)

また、2020/3/17に開催されたP社への専門家ヒアリングで、P社は「結論として右図は成り立っていない。階段のための模式図の断面なので階段では成立するが、1階と2階は、北側の階段室のずれが大きく階段しか通っておらずエレベーターを通る予知(ママ)がないのでほぼあり得ない。管理運営上は階段の前で滞留が多くなるので、階段室は通常の運営時も溢れかえる。エレベーターを入れて障がい者の方が行列を作るとなると管理運営も相当難易度が上がる」「防災的には左側のえんじ色が大変になる。防災評定は基本設計の要点だったので最初にした。煙がもくもく上に行くと絶対助からない。縦穴を防ぐのは
歴史的事実。今回もそれを現代建築要素ではなく伝統的要素でするので、層をまたがって煙が上がるのはしんどい」と述べています。
(2020-2 143ページ)

2020/3/24に開催されたZ組織に対するヒアリング結果では、Z組織は「結局穴を開けるなら今の防災評定の前提と違ってくる。火災法では縦に穴を開けるのは望まない。縦に穴を開けた場合どう区画するのか。苦労をして煙の制御方法の前提が相容れるのか。逆に申し上げると相容れなければならない。遮煙や炎をどう計画していくのかは躯体側で検討しないといけない」と述べています。
(2020-2 173ページ)

2021/2/2に開催された「名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託」打合せ(名古屋市、日本総合研究所)で、名古屋市は「9月開始への局内の圧力が強い。一方で、全体の工程についての算段が付いていることもポイントになる。そのため、遅延リスクも依然として残っているなかでの準備となる点、申し訳なく思っている」「試作機を用いた審査を想定していたが、実機なしのアイデアベースで行うことを想定している」と述べています。
(2020-2 366ページ)

2021/2/2に開催された「名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託」打合せ(名古屋市、日本総合研究所)で、名古屋市は「竹中としても、相当に苦労を重ねて某エレベーター事業者と折衝していた経緯がある」と述べています。
(2020-2 376ページ)

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※今回の開示で、白黒1417枚、カラー509枚、合計39620円の費用がかかっております。
ぜひともカンパをお願い致します。
情報公開請求してコピーを入手するのも、情報公開訴訟をするのも、費用がかかります。
名古屋市民オンブズマンは、会費とカンパのみで活動しております。
今後ともご支援頂けますと幸いです。

《郵便振替口座》 口座番号 00870−9−105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
《ゆうちょ銀行》 当座 〇八九店 105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
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参考:空圧式ホームエレベーターNuVa 株式会社V・T・SYSTEMS 

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名古屋城木造復元 文化庁への出張復命書情報公開訴訟 市長発言等開示命令 確定

名古屋城木造復元事業に関して2018/6/13〜2018/12/10の間に名古屋市職員が文化庁を訪問したときの復命書に関し、名古屋地裁が22/3/30に河村たかし名古屋市長の発言部分ならびに石垣保存検討内容等の開示を命じた判決が双方控訴せず確定しました。

判決に基づき市が文書を開示次第、名古屋市民オンブズマンのホームページにアップします。

・21/9/16本件処分に基づく開示文書

【公開を命じる】
・河村たかし名古屋市長の発言
・文化庁職員の発言(「本丸御殿の工事について」部分)
・防災及び避難計画の考え方のうち、防災拠点設置場所等と避難イメージ図
・基本設計書中の建設費及び建設業務費の概算工事費
・「石垣保存の基本的な考え方」「天守台石垣保存に関する基本的な考え方」「天守台石垣保存方針」「城内石垣全体の保存に向けて」「天守閣木造復元事業との関係」について市の検討内容
 
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2020年10月 名古屋城跡天守閣整備事業基本構想(案) ようやく開示

太田敏光氏が審査請求をした、「2020年10月 名古屋城跡天守閣整備事業基本構想(案)」が、情報公開審査会の答申をまたずに22/4/12に全てが名古屋市教育委員会から開示されました。
太田氏の許可を得て資料をアップします。(黄色く塗られているところが、今回新たに開示された部分)

本件は21/2/3に一部開示決定が出て、太田氏が審査請求していました。

名古屋市教育委員会は「その後に作成した天守閣整備事業基本構想がホームページに公開されており、(案)も公開することにした」と説明しています。

名古屋市民オンブズマンも当時情報公開請求しましたが、非公開でした。

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情報は生ものです。
1年半もたってから公開しても遅いです。
しかも、開示された文書を見ても、2020年10月当時非公開にすべきだったと思われるところはありません。

名古屋城関連文書に関しては、「とりあえず非公開」としていたものが多すぎます。
審査請求や裁判で、後日公開しても、遅すぎるのです。
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22/4/12(火)名古屋城木造復元昇降技術公募 市議「耐震改修すれば最上階に行けるのに、どうして少なくとも1階までの技術公募か」

22/4/12 名古屋市会経済水道委員会で、名古屋城木造復元の昇降技術公募について議論されました。

22/4/12 名古屋市会経済水道委員会説明資料
名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募について

22/4/12 名古屋市会経済水道委員会
(名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし)

うえぞの晋介市議(民主・西区)は「せっかくつくった実物大の階段模型『階段体験館』が『できることがあれば使っていきたい』っていう説明ではおかしい」と述べました。

また、うえぞの市議は「想定開発費用上限8000万円、想定導入費用上限2億円を越えた場合の『臨機応変に』とはどういうことか」と質問し、上田剛名古屋城総合事務所長は「上限に見合った提案がなければ、それは再度検討する余地があろうかと思っております。もし万が一、公募が不調に終わった場合は、再度また議員の皆様方にご意見を頂戴しながら考えてまいることになろうと思っております」と述べました。

岡本やすひろ市議(民主・緑区)は「先日の会議で、バリアフリーの審査項目についてはそれぞれの配点をちょっとずつ変えた方がいいんではないかという意見が出た。」と質問し、木造天守閣昇降技術開発等担当梅田主幹は「重要とする項目の点数を厚くした。具体的には、大天守のより上層階まで上がっていただくこと、利用対象者の範囲、反復した輸送能力。配点の数字は言えない。」と述べました。

江上博之市議(共産・中川区)は「2018年に文化庁に基本計画案を提出しようとした。7月19日に天守閣部会に出した資料を見ると、『耐震改修だと最上階の7階まで行ける。木造復元はバリアフリーに最善の努力をするとか、かつ可能な限り上層階まで登ることができるよう目指す』としているだけで、実現できるとは言っていない。文化庁からバリアフリーについて検討を求められた。その後検討は進んでいないのか」と質問しました。
梅田主幹は「現在進めていく」としました。

江上市議は「最上階まで行けないとなれば、今年度中に文化庁に全体計画を出すこと自体できないのではないか」としました。
天守閣整備担当荒川主幹は「バリアフリーの方針として出す。天守全体のバリアフリーをまとめる。5階まで届くかは公募の結果を見て考える。仮に行けなかったとしても、全体計画を出さないということはないと考える」としました。
上田所長は「技術の限界はいったいどこか。史実に忠実な復元とバリアフリーの両立を、極限まで求めていくが、技術がそこまで達していなければ、認めざるを得ない。文化庁、障害者団体と協議したい。」

江上市議は「耐震改修なら現時点で最上階まで行ける。にもかかわらず木造復元でやろうとしている。それでも文化庁と話しをするか」と質問し、上田所長は「今の段階で未来永劫に未来永劫にわたって最上階まで行けませんと断定はしたくない。」としました。

江上市議は「耐震改修すれば最上階まで行けるのがわかっているのにあえて今年度3938万6000円の金をかけて公募をするのは反対だ」と述べました。

浅井正仁市議(自民・中川区)は「障害者団体に配布した資料には『取り外すことにより史実に忠実な状態に戻せること』とあるが、議会配付資料にはない。」と質問し、梅田主幹は「上記は最低要求水準。今回は記載しなかった」としました。
上田所長は「表記が不十分だった。割愛した。」としました。

浅井市議は「割愛されたら困る。本題に移りたい。バリアフリーは名古屋城の史跡の文化財的価値を高める。魅力を世界に発信するためにやるんだよね。世界公募をやるのが目的というのはおかしい。」と述べました。

また、浅井市議は「現在大天守に行くには、小天守、渡り、穴蔵、エレベーター。小天守を昇る階段、渡りの石畳のバリアフリーはどうなっているのか」と質問し、梅田主幹は「今回の公募の範疇外」としました。
浅井市議は「素晴らしい昇降技術がでてきて採用しようとしても、大天守に行く過程のバリアフリー対策ができていないのなら行けない。」と質問し、梅田主幹は「木造天守地下1階までのアクセスは竹中工務店の範疇。文化庁と協議したい」と述べました。

浅井市議は「エレベーターまで行く動線がわからなければ、いくらいい提案出しても、文化庁が、復元検討委員会の中で『史跡を傷つけるから駄目だ』って言われたら、せっかくの提案が駄目になっちゃう。はね出し架構で同じ経験をしている。」と述べました。

また、浅井市議は「メンテナンスが不安。外国企業に対して代理店も受け付けるのか」とし、梅田主幹は「メンテナンスも条件として求める」としました。

浅井市議は「試作品を使うときに事故があったときは名古屋市がお金を持つのか、製造元責任者か」と質問し、梅田主幹は「底まで決めていない。市場の際は安全性が確保できたとわかった段階でしか難しい」としました。

浅井市議は「半年後には結果がわかる。半年後に、『また先延ばしにします』と今までずっとそうしてきた。精神論はもういらない。市民に変な期待だけさせる。局長、1年後の全体計画に絶対間に合うと言ってくれるか」とし、折戸局長は「実現可能性がある提案は十分にあると考える。スケジュールに沿って精力的に進めていきたい。」と述べました。

浅井市議は「これがガス抜きやアリバイづくりにならないように。市民の税金でやるんだから」としました。

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どうしてこのような委員会を予算を通す前に行わず、所管事務調査でするのか理解に苦しみます。

しかも、22/4/8に行われた名古屋市障害者団体連絡会では「公募実施は反対」「公募実施についてはそのものが反対」という意見も出たとのこと。
上記連絡会はオンラインで開かれたようで、傍聴もできず、どのような意見がどの程度の割合で出たのかもわかりません。
また、「バリアフリーが『車椅子』を前提としていることは問題ではないか」という意見も出たようですが、資料には記載されていませんでした。

22/3/18に開催された名古屋市議会経済水道委員会では、「木造天守閣の昇降に関する技術の国際コンペについては、障害者団体、高齢者団体、福祉関係学識者及び関係機関と十分に検討を行い、理解を得た上で実施すること。」という附帯決議をつけていますが、22/3/25名古屋市障害者施策推進協議会、22/3/29名古屋城跡バリアフリー検討会議、22/4/8名古屋市障害者団体連絡会で、相次いで疑問や反対の声が出ています。

今回の経済水道委員会自体が「ガス抜き」「アリバイづくり」だったのではないかと思います。

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22/4/11(月)河村たかし名古屋市長 記者会見で名古屋城木造復元「市長発言」公開命令に触れず

22/4/11河村たかし名古屋市長定例記者会見で、22/3/30に名古屋地裁で判決が出た、名古屋城木造復元に関する文化庁への出張復命書記載の「市長発言」等開示命令への対応については、記者から質問も出ず、河村市長も発言しませんでした。

22/3/30判決なので、判決を受け取ってから2週間以内に控訴しないと確定します。

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2013年「河村たかし 名古屋市長選 新新新第2期マニフェスト(簡略版)」には、情報公開は以下記載がありました。
3.市民への情報公開
(1)予算編成過程の公開
(2)市長定例記者会見の充実(月2回を週1回に、生中継の実施)
(3)幹部会の公開
(4)市民集会の積極的な開催(公開討論会、タウンミーティング等)
(5)「裏金」に係わる通帳・帳簿の公開

2021年4月9日「河村たかし第二次確定マニュフェスト」では情報公開の文字はありません。

河村市長は、裁判で公開を命じられた、名古屋城木造復元に関する文化庁への自らの発言を公開することができるのか?市長の情報公開への取り組みが試されています。

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・22/3/30 名古屋地裁判決
 【公開を命じる】
 ・河村たかし名古屋市長の発言
 ・文化庁職員の発言(「本丸御殿の工事について」部分)
 ・防災及び避難計画の考え方のうち、防災拠点設置場所等と避難イメージ図
 ・基本設計書中の建設費及び建設業務費の概算工事費
 ・「石垣保存の基本的な考え方」「天守台石垣保存に関する基本的な考え方」「天守台石垣保存方針」「城内石垣全体の保存に向けて」「天守閣木造復元事業との関係」について市の検討内容

・21/9/16本件処分に基づく開示文書

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今後の予定

・22/4/12(火)午前10時 名古屋市経済水道委員会
 名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募について(観光文化交流局関係)
・22/4/21(木)午後6時30分 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例会
 「北生涯学習センター」第3集会室 
・22/5/25(水)午後6時30分 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例会
 「北生涯学習センター」第3集会室 


名古屋市 現名古屋城天守閣解体許可申請に対する文化庁の確認事項に対する回答 開示

太田敏光氏が審査請求をした、「名古屋市が2019年6月に文化庁に提出した『名古屋城跡の現状変更申請に係る名古屋市への確認事項に対する回答』」が、情報公開審査会の答申に従って22/3/30にほぼ全てが開示されました。
太田氏の許可を得て資料をアップします。

なお、名古屋市は現天守閣天守閣の解体申請を文化庁に提出していた件について21/7/27に取り下げしています。

参考になれば幸いです。

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名古屋市 情報公開審査会の答申一覧

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名古屋市 2019年4月文化庁提出 現名古屋城天守閣解体許可申請書 開示

太田敏光氏が審査請求をした、「2019年4月に文化庁に提出した現名古屋城天守閣解体許可申請書」が、情報公開審査会の答申に従って22/3/30にほぼ全てが開示されました。
太田氏の許可を得て資料をアップします。

なお、名古屋市は現天守閣天守閣の解体申請を文化庁に提出していた件について21/7/27に取り下げしています。

参考になれば幸いです。

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名古屋市 情報公開審査会の答申一覧

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22/3/31(木)名古屋城跡全体整備検討会議 文化庁指摘事項への追加回答 概ね了承

22/3/31に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第48回)が開催されました。
録音・録画は今回も禁止されました。

・22/3/31 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第48回)配付資料

・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 
今回、2021年5月に、名古屋市が提出した「現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答」で、2021年度中に調査・検討を実施予定とした各項目について、調査・検討結果を報告しました。

1)天守台石垣の保存方針(案)
2)御深井丸側内堀石垣の保存対策
3)小天守西側石垣の修復した石垣における遺構の保存

それぞれ詳細に報告があり、概ね了承されました。

3)小天守西側石垣の修復した石垣における遺構の保存ですが、石垣部会から「石垣を近世以前に戻すのが妥当だ。明治以降の石垣をどうするのか、全体整備検討会議で検討してほしい。江戸時代の姿がわかった。このまま進めても史実に忠実にならない。江戸時代の本来の姿に戻すのがよいのではないか。それには大規模発掘が必要。」という意見が出たことが紹介されましたが、特に意見は出ませんでした。

2)御深井丸側内堀石垣の保存対策について、麓和善・名古屋工業大学名誉教授は「御深井丸側内堀石垣の修復は、仮設物設置前に行うとのこと。
私が他城郭の石材・石垣修理に関わってきた経験を踏まえて述べると、あまり神経質にならない方がいい。
・亀裂があったらどういう場合でも樹脂を使って修復する
・剥離 大きさにかかわらずなんでもする
ではなく、ある程度の大きさなら補修するという方針がいい。仮設物を作る前にやるなら、それほど時間もないと思う。 拙速に修理をしないようにしてほしい。樹脂を使うか使わないか 慎重に考えてほしい」としました。

また、赤羽一郎・元愛知淑徳大学非常勤講師は「石垣の過去修復ラインが本当なのか。また、石垣等遺構の上を重機が通るのに『レーダーで確認出来たから安全です』と言い切れるのか不安だ。石垣そのものの履歴を調べる必要がある。」と述べました。
麓教授は「今回の目的は『天守復元に向けての仮設計画で、石垣に対して損傷を与えない工法を選択するためにどうすればいいか』というもの。赤羽委員指摘の調査は、時間をかけて名古屋城全体でやった方がいい」と述べました。

小濱芳朗・名古屋市立大学名誉教授は「非接触工法は、上下の梁の支点に圧力が集中する。本来3次元モデルでないとだめ。石垣に悪さをしないため、圧力を分散させる方法を検討してほしい。」としました。
また、「天端のモニタリング設備等、なにか変状があったらわかるよう、常に監視ができるようにしてはどうか。」と述べ、名古屋城総合事務所は今後検討したいとしました。

1)天守台石垣の保存方針(案)は、2段階に分けて考えるとし、
@天守閣整備に関係なく現状、保存考える
A天守閣整備事業にあわせた保全の方針
の@の案を提案しました。

最後に、オブザーバーの平澤毅・文化庁文化財第二課主任文化財調査官は「名古屋市は現天守解体、復元の検討をこれからやると思うが、内容のみならず、実施上のプロセスの中で点検事項はたくさんある。検討を深めて、全体会議でも精緻な議論をしていただけたら」と述べました。

議題は上記で終わり、その後報告事項として、木造天守復元の全体計画策定に係る令和4年度の想定スケジュール、また名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募について報告があり、特に意見は出ませんでした。

最後に佐治独歩・名古屋城総合事務所所長から所長退任の挨拶がありました。
「この3年間で、解体に対する文化庁への現状変更許可申請を出し、それに対する文化庁への指摘事項の回答にめどがたちほっとしている。
『振り出しに戻った印象』もあるかもしれないが、現天守解体時に設置する仮設物の遺構への影響の分析もした。
今後の想定スケジュールにそって、着実に計画をまとめたい。
在任中、特別史跡を毀損する事故が発生したが、職員一同遺構を守る意識を持った。
今後も有識者の皆様には厳しくも温かい指摘をいただきたい」

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2022年度は、バリアフリー新技術の公募開始、木造天守復元を踏まえた石垣保存方針決定、基礎構造の方針決定、「解体と復元を一体とした全体計画」策定など、これまでの矛盾を何らかの方法で解決することが求められてきます。

はたして矛盾は解決するのでしょうか。
年度内に全体計画がまとまらず先送りになるのでしょうか。
矛盾はさらに広がり、収拾が付かなくなるのでしょうか。
なんらかの解決策が見つかり、文化庁復元検討委員会にかけられたとして、現天守解体と復元の現状変更許可が認められるのはいつになるのでしょうか。
また、解体のための仮設物設置をするために内堀を埋める前に、石垣・石材の補修が必要となりますが、それにどの程度時間がかかるのでしょうか。

莫大な労力と税金を投入してきた名古屋城木造復元事業。
2022年度も目が離せませんが、市民の関心は一層薄まっています。
一体誰の何のための事業なのか。市民の理解無くして事業は成功しません。

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22/3/30(水)名古屋城木造復元 文化庁への出張復命書情報公開訴訟 市長発言・石垣保存検討内容等の開示命令 名古屋地裁

名古屋城木造復元事業に関して2018/6/13〜2018/12/10の間に名古屋市職員が文化庁を訪問したときの復命書の開示を求める情報公開訴訟で、名古屋地裁民事9部(日置朋弘裁判長)は、河村たかし名古屋市長の発言部分ならびに石垣保存検討内容等の開示を命じました。

2019/2/21に提訴した当初はほとんど黒塗り(593ページ中562ページ)でしたが、21/9/16に新たな開示決定がなされて、593ページ中90ページまで減りました。

・21/9/16本件処分に基づく開示文書

裁判所は、対象文書を細かく認定して判断しました。
【公開を命じる】
・河村たかし名古屋市長の発言
 本件処分の3年以上前にされたものであり、本件各処分の時点において、内容が確定したものであると誤解される可能性は相当低いというべき。
 名古屋市長の発言のみが記載され、文化庁職員の発言は記載されておらず、文化庁職員の発言内容が公開されるわけではないから、市と文化庁との間の信頼関係が損なわれるとは言い難い。
・文化庁職員の発言(「本丸御殿の工事について」部分)
 本丸御殿の工事は2018年6月に完了しているが、文化庁職員の発言は2018年7月20日の打合せの際であり、既に終了した工事に関するものであり、率直な意見の交換や市の意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれを考慮する必要はない。
・防災及び避難計画の考え方のうち、防災拠点設置場所等と避難イメージ図
 すでに記者クラブ提供資料に記載済み。
・基本設計書中の建設費及び建設業務費の概算工事費
 内容が確定したものであると誤解される可能性は低い。
・「石垣保存の基本的な考え方」「天守台石垣保存に関する基本的な考え方」「天守台石垣保存方針」「城内石垣全体の保存に向けて」「天守閣木造復元事業との関係」について市の検討内容
 本件処分の3年以上前のものであり、文化庁や石垣部会からの指摘を受けて変更を余儀なくされており、変更を余儀なくされたことは既に公表されているから、公開されたとしても内容が確定したものであると誤解されて市民の間に混乱が生じたり、その内容が流布され、市がその内容の既成事実化を図っていると有識者に誤解されたりする蓋然性は認められないというべき
 
【公開を命じない】
・文化庁職員の発言
 市と文化庁との間に率直な意見交換が損なわれる蓋然性が認められる。本件処分時においても本件事業についての議論が継続されている。
・市職員発言(文化庁職員との対話内容)
 市職員の発言が公開されると、その前後の文化庁職員の発言内容を一定程度予想することが可能となるものであるから、市職員の発言が記載されている部分も含めて上記蓋然性が認められるというべき。
・「構造計画の考え方」(竹中工務店の独自のノウハウ記載部分)
 競合他社が模倣したり、参考にしたりすることにより、竹中工務店の競争上の地位が害されると認められる。
・防災及び避難計画の考え方等(防災拠点設置場所等と避難イメージ図を除く部分)
 竹中工務店のノウハウならびに公共安全情報に該当する。

原告の名古屋市民オンブズマンの新海聡弁護士は
「判決で、市長発言について『市民に説明をするのが市の仕事だ』と市に反省を求めている。
名古屋市の情報公開条例は大変できがよいが、近年情報公開訴訟をしてこなかったため、市職員が『公開しない方が楽』となっていたのではないか。
しかし文化庁職員の発言については、現在検討中ということで認められなかった。
竹中工務店のノウハウ部分も認められなかった。
これらを判断するのは裁判所でのインカメラ審理が必要だ。
市は一刻も早く裁判所から開示を命じられた部分を公開すべきだ。」としました。


22/3/29(火)名古屋城跡バリアフリー検討会議委員「『大天守のより上層階まで上がれること』は平等の観点から最も重視されるべき」

22/3/29に、特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議(第4回)が約2年半ぶりにWEBで開催されました。
録音・録画は今回も禁止されました。

22/3/29 特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議(第4回) 配付資料

メモは後日アップします。

今回は、名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募についてが議題となりました。
まず、これまでのバリアフリー関連の経緯を振り返りました。
名古屋城総合事務所は「本検討会議は、前回の開催後に『次回は公募開始の見通しを示して開催する』とした。前回から約2年半経過したが、この間、公募開始を見合わせていた。令和2年5月にバリアフリー法が改正され、歴史的建造物の復元に際してのバリアフリー整備のあり方における高齢者障害者等の参画などの社会的要請や、令和3年6月の文化庁からの指導による木造復元天守を実現するために必要な手続きへの対応による公募スキームの見直しを行ってきた」としました。

委員からは特に意見はありませんでした。

続いて公募についてスケジュール、目的、概要、今後の進め方を市が説明しました。
主な条件として、「大天守の柱・梁を傷めない」「少なくとも大天守1階に昇降できることとし、可能な限り上層階まで昇ることができること」としました。
また、新年度早々に公募開始、8月ごろ提案書を締め切り、提案書再提出後12月頃審査を行い、最優秀者選定予定(公募開始から約9ヶ月)としました。
また、「加点要求水準」として8項目挙げ、一定の基準を満たさないと最優秀者として選定しないとしました。

それぞれ構成員が意見を言い、名古屋城総合事務所が回答する形式になりました。

野々垣篤・愛知工業大学准教授は「『加点要求水準』8項目の重み付けは違うのか」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「重み付けは、フラットの採点にしている」としました。
野々垣准教授は「バリアフリーの項目の評価によっては最優秀者云々がなんとなくクリアではない。しっかり応募する側の立場に立ったときの平等性が担保されていればいいと思う」としました。

三浦正幸・広島大学名誉教授は「建築士の立場から言えば、柱や梁を変更されると木造建築として成り立たないので問題は無い。加点要求水準は、『可能な限り木造天守の外観や内観を損なわない工夫がなされていること』『木造天守に使用されている木材を保護すること』これだけで十分。」としました。

磯部知彦・中部大学教授は「応募者によって、いいところと悪いところがある場合どうするのか。また、ステップなごやを作ったのなら、応募者に実験してもらいたい」としました。
名古屋城総合事務所は「最優秀の一社は決めたい。上層階まで行けるのなら組み合わせて昇ることも考えたい。障害者団体から、いろんな技術が入ると使いにくいのではないかということもあるので、なるべく技術の数を増やすことなくやっていきたいが、臨機応変に決めることも必要と考えている。階段体験館は、メーカーが使いたいと言うことなら使っていただきたい」としました。

高橋儀平・東洋大学名誉教授は「『加点要求水準』は網羅的に記述していただいたことは悪いことではないが、バリアフリー化するために何が最も重要かということはある。『大天守のより上層階まで上がれること』は平等の観点から最も重視されるべきだと思う。他と同等に評価するのは、評価基準としてはあまりにも漠然としているのではないか。優先順位を設けるべきではないか。
また、評価委員はバリアフリーの技術を評価できる人なのか。既に決まっているというが、どう評価するのか懸念や疑問を持つ。インバウンドの人がどう関与するのか。
さらに、バリアフリー法2020年改正で、文化財を復元するときの当事者参画、高齢者障害者等の参画の話がある。検討の場を設けることになったが、今日の会議には当事者が構成員に入っていないのは大問題ではないか。
評価委員の構成メンバーにも1名は代表者として当事者を入れる必要があるのではないか。利用者は事務局を介して意見する形だが、これを参画と呼んでいいのか。
また、評価委員の中には、バリアフリー検討会議の議論に参加していただいた方が加わる必要があるのではないか。」としました。
名古屋城総合事務所は「『加点要求水準』の優先順位は優劣を付けるのは難しい。何を重要視することは加味したい。評価委員の先生は、6名のうち障害者が2人は入っている。構成員の先生が評価委員になってはということだが、
名古屋城全体のバリアフリーについて。大天守の審査であるし、検討会議で意見を頂くので、別枠で先生を準備した。
技術相談員でバリアフリー検討会議の先生の中で一部協力いただくところもある。」と述べました。

高橋名誉教授は「『団体から意見が出てきたから優劣を付けられない』というのはちょっと無責任。何を重視するのかのは重要な要素。上層階まで上がれないことと、怖い思いをしないことが同列でいいのか。
外に公開し、市民のかたにどう受け止められるのか。評価委員に市民の人はいるのか。全くないのなら市民・権利者・納税者の人からすると少し違うと思う。いなければ加えるべきだ。ワークショップは公開か。」としました。
名古屋城総合事務所は「『加点要求水準』は評価委員の先生と相談して決めたい。評価委員に市民がいるかということかということだが、専門の有識者なので、一般の市民が評価するのは非常に難しい面があるのではないか。開発段階で市民から意見を頂く場は設けたい。ワークショップは非公開を考えている。最優秀者になるまでは秘匿をしたいというメーカーもある。技術の概要は公開できるところは公開していく。」

高橋名誉教授は「ワークショップが非公開なら、利用者はその場にはいないということか。いて非公開の議論が行えるのか。市内の障害者団体がどう関与できるのか。明確に公表しておく必要がある」としました。
名古屋城総合事務所は「障害者団体から参加していただき、事務局で技術をまとめて意見を交換すると考えている。」としました。

矢野和雄弁護士は「高橋先生の意見と重なるが、『加点要求水準』がフラットなのは理解できない。障害者団体と、どこを一番重視しているか突っ込んだ意見交換をしたのか。できるだけ上まで上がりたいというところは基本的なところとして強くあるのではないか。
また、『大天守の1階まで』が最低基準でいいのか。基準を設けた理由を教えて。
さらに、『参画』を実質化する仕組みにしてほしい。」としました。
堀越哲美・愛知産業大学学長は「『加点要求水準』の軽重は他でも事例がある。」としました。
名古屋城総合事務所は「ワークショップ等で高齢者障害者からの意見をどうフィードバックするかは、必要なことは場を設けて意見交換していきたい。1階までは、現状は外部エレベーターが1階まで来ている。そこで内部を見ていただける。内部は江戸期に復元する。大きな柱や梁の内部空間を実体験していただく。まずは1階まで昇降できることを少なくともということで最低要求水準とした。目標は5階までを求めていきたい。
柱や梁を取ると、文化庁の示す復元の基準もあるので、守りつつバリアフリーとするのは非常に高度な技術を有すると考える。」

矢野弁護士は「5階までということは、募集では示されない。『加点要求水準』でも全くわからない。公募の中にどうやって反映できるのか。協議会の場だけの発言に終わるのではないか。また、『バリアフリーと史実に忠実な調和を求める』はよく聞こえるが、回答を聞くとどこに調和を求めるのかは難しい。いろんな考えがある。バランスが取れているのか、正直なところ思うところがある。技術的に難しければ、上を断念するのかどうかは、価値判断となる。」としました。

渡辺崇史・日本福祉大学教授は「『加点要求水準』が同じ評価基準でいいのか。アクセシビリティーと、ユーザビリティが混在している。一番重要なのは『移動を保証していこう』というところ。優先すべきはアクセシブルなもの。基準をつけた方がいい。使い勝手がよくてもだれもアクセス出来ないのは意味が無い。ただ、アクティビティアクセシビリティという観点からいくと、移動はできるが楽しめないということがあると思う。
障害のある人の排除につながる場面もある。教育が入っていない。特別支援学校の見学、地域の学校で車椅子利用とか、行ったはいいができないとなると、排除につながることが考えられる。
史実に忠実は大事な論点だが、利用者の排除につながることはなってはいけない。どんな人がどのようにどんなタイミングで利用するかという観点から検討してほしい。
当事者団体はもちろんだが、教育などの人からも意見を聴いたほうがいい」としました。

名古屋城総合事務所は「『加点要求水準』について、多くの先生が言っているので検討したい。特別支援学校など意見を聴くことは大事。使いやすいもの、排除されないようにを頭に置きながら意見を集めたい」としました。

中嶋秀朗・和歌山大学教授は「全体という視点でみたとき、昇降技術、独立した別の技術として求めているように感じる。
最優秀者1社選定という書き方が、天守を建築する人が入っていない。
移動技術は、鉄道、ローラーコースターにしても、設備と車両で一つなので、天守を作る人とその上を走らせる人、全体像、お互い設備と両方から歩み寄ることで技術が楽になると思う。
天守の作りと一体、一体になって推奨していいのか公募動画を作るときにかいてあるので、公開する必要がある。
技術対話とか、天守を作る人とどういうタイミングで組んで開発するスキームなのか。やるべきなのか。組んでやらないと課題が難しくなる。
また、開発者が1回選ばれると、その中だけで進んでいくことが多い。バリアフリー検討会議が1社選定される過程、選定後にからんで意見を反映できる場所があってもよいと思う」としました。
名古屋城総合事務所は「建物と昇降技術が歩み寄るという指摘は、昇降技術だけでは建物の中に入れるのは難しい。公募期間中でも竹中と情報共有し検討していく。建物側との取り合いは非常に大事な部分となる。手を組んでやっていくのは話している。
開発の中で新しくなったり使いやすくなったりするものは取り入れていくべき。検討会議でも意見を頂きたい。」としました。

中嶋教授は「実際作る側が公募段階で明確に出しているのか、求められたらOKかは大きく違う。公募する側は、そっちまで触れないのではないかと思う。一緒にやる、問題ないということをはじめにオープンにすることが大事。」としました。
名古屋城総合事務所は「建物側の制約で昇降技術がいい物があっても入れられないのは避けたい。いいものなら建物側のやりとりは最初の段階からやっていきたい。パッシブではなくアクティブにやっていきたい」としました。

山田陽滋・名古屋大学大学院教授は「障害者はそもそも今の段階で納得しているのか」としました。
名古屋城総合事務所は「障害者団体からは最上階まで行きたいと求められている。柱や梁を傷めずにどこまでやれるのかというところも出てくると思う。なるべく使いやすい技術を説明して、より上層階まで求めていきたいと説明している」としました。
山田教授は「スパッと言い切れたらいいが、そういうわけではない。障害者の意見をわかった上でしているという理解でいいか。
ワークショップの時期は早めてほしい。公募の期限の前の技術相談の時期にしてほしい。ステートオブジアートだと言って納得させるのもロジックとしてはあると思うが、テクノロジーアセスメントをきちんと情報共有して、これ以上できないというアカウンタビリティーをあげるため、我々すらもわかっていない状況で出てきたものについて後でワークショップを開くのはおそらくガス抜きだろうと思われちゃう。提案の前にないとダメ。4階まではいけるが5階はだめという技術と、5階までは数人ならいけるかもという技術があった場合、皆さんで納得してじゃあどうするか、そこではじめて情報共有の価値が出る。
やらずに4階までという提案で止めて、後でワークショップやったらよろしくない。
我々も含めて技術のギリギリのところは関心が高い。ソリューションを与えるかは事前に考えてほしい。
専門家が提案するとしても、障害者のニーズをちゃんと取り入れて考えているかは、尋ねる障害者によっても変わる。」としました。
また、「階段体験館は最上階が模擬されているか」と質問し、名古屋城総合事務所は「1階から2階の階段を再現している」としました。
山田教授は「4階から5階も階段体験館で推し量れるのか」と質問し、名古屋城総合事務所は「階段の幅が変わっている。もう少し検証がいる」としました。
山田教授は「今から追加で作ってくれというわけにはいかないんですよね。技術相談は、Q&A集を集めて開示していってほしい。最優秀者を選定しないという話があると思うが、他の技術提案を入れることも考えているのか」としました。
名古屋城総合事務所は「組み合わせてできるなら、公募参加者同士の連携も出てくるので、可能ならばそういう提案でも大丈夫と思っている」としました。
山田教授は「そのときの予算は。くっつけると最優秀の方の予算が削られるとできなくなる場合は話は別」と質問し、名古屋城総合事務所は「予算は考えたい。1回今の予算でやっていく。」としました。

小野徹郎・名古屋工業大学名誉教授は「落としどころをどう考えるのかは難しい。全体計画を文化庁へ出すスケジュールとバリアフリーが並行しているのは、前から名古屋市には言っているが技術がある程度出てこないと上の計画が立たない。時期が重なるというのは、上を考えるのに引っかかって、関わるところは、柱梁などの主架構を変更しないというのが入っているだけで、応募者がきちっと新しい技術を提案できるのかが非常に不安に考えている。9ヶ月は短く、新しい技術を木造天守との兼ね合いで提案できるのか非常に心配している。『調和を求める』というのはいい言い方だが、どの辺に落としどころがあるのかという話しと、1階まで、最上階という話しまで出ていて、技術公募の中でどの程度応募者に内容が伝わるのか非常に心配。技術応募自体がいわゆるガス抜きの結果にならないかと心配している。」としました。
名古屋城総合事務所は「バリアフリーがクリティカルパスというか決まらないとという意見だが、9ヶ月、いろんな意見を伺いながら決めたい。意見交換しながら選定してきたい。何とかこうできればいい。ガス抜きと思われてはいけない。意見聴取・発信したい」としました。

川地正数・川地建築設計室主宰は「3点質問したい。
1)3つ項目で公募を受けるが、『地上から大天守地階までのバリアフリーは木造天守復元の設計・施工者にて別途対応予定』とあるが疑問。後出しじゃんけんにならないように公開すべき。
2)審査評価基準は曖昧・漠然としている。安全性と輸送能力に尽きると思う。
 1日2万人と想定している。2016年実測調査では3割の車椅子を含む歩行困難者が1.1%いた。1日220人となる。時間帯によっては2%から4%。1時間7-80人の歩行困難者が来られる。相当混雑が予想される。2016年は75歳以上の高齢者が全体人口の13%くらいだが、2030年には20%ちかくになる。昇降設備の利用者が格段に増えると考えないといけない。一気通貫の昇降設備1台ではとても対応出来ない。何台か設置することでスムーズに対応できるシミュレーションを義務づけないと審査できないのではないか。
3)審査の柔軟性。2025年大阪万博でドローンタクシーが飛ぶかも知れないと言われている。発展のモビリティ技術が進化していく。令和4年度できるのではなく、その後の技術に対して対応出来る審査にしていく必要がある」としました。
名古屋城総合事務所は「1)はそのとおりなので、必要に応じて決まった段階でオープンにしたい。
 2)輸送能力について、まずは技術がどのようなものが提案されるか見てみて、対応出来るか決めたい。その後どれくらいの能力があるか、管理計画で待ち時間が長くなるようではいけない。
 3)は竣工までにバリアフリー環境を向上できるなら導入できればしたい。」としました。
 
小浜芳朗・名古屋市立大学名誉教授は「安全基準をどう考えているのか。特に緊急時の対応策が考えられていないと、移動手段としては問題がある。
最低限の要求で『史実に忠実』は柱や梁を変更しない、取り外して元の状態に戻すとあるが、最低限の制約が出てくる。応募者に明確にしないと、これはできなかったということになる。重量が一定程度以下でないと補強が必要となる。柱梁の配置による設備の大きさなど、専門的な知識が必要じゃないかと思う。福祉施設の設計とか、福祉機械の設備では難しい。公募にあたってどう応募者に伝達されるのか。せっかく応募しても『こんなはずじゃなかった』ということにならないように」としました。
名古屋城総合事務所は「緊急時の安全性は、評価の項目になっている。地震、災害時にフェイルセイフの提案もしていただく。評価はこれから許可認可を取っていく技術もあると思う。安全性が担保できるように、一緒になって許認可も対応していきたい。認証機関のアプローチもはじめている。応募者が理解できるかということは、どういう構造かは理解できないと優れた提案が出てこないと思う。希望される人には守秘義務を結んだ上で設計図の図面を渡すことを考えている」としました。

小浜名誉教授は「開発者がイメージできるような図面、構造的な条件、重量的な問題が大きいと思う。公募時に伝えてほしい」としました。

小松義典・名古屋工業大学大学院准教授は「『可能な限り健常者の移動と同じような時間で移動』と『多人数による反復した利用が可能』がうまく飲み込めなかった。時間当たりの輸送人数を確保するという意味と、障害者が待ちたくないことと重なって書かれている。
提案する方からすれば、1時間当たり200人輸送しないといけないという基準が示されている方が明確。基準と書いているが項目。どういう基準で評価するかは書かれていない。地下階まではエレベーターが想定されているのか。現状だと外にエレベーターが別途付いている。今回は許容するのか。ああいう形はないと示すのか。主架構は変更しないとしても、外壁は穴開けてもいいのか。ちゃんと言った方がいい。
現状のエレベーターエスカレーターは10年くらいしか持たない。更新するわけで、外壁を壊さないと更新できないものでもいいのか。火災等非常時にどう機能できるかは性能条件」としました。
名古屋城総合事務所は「『加点要求水準』の『移動時間』は『健常者と一緒になって移動できる』も入ってくる。総合的に見ながら搬送能力も見ながら相対評価になる。地上から1階までのバリアフリーは、今は大天守1階までつながっている。設計施工者で別途対応は大天守地下1階まで。地上から小天守に入り、橋台で渡って地下1階にはいる。そこまでのバリアフリーは木造復元の設計施工者が対応するということ。
エレベーターは外部あるが、大天守1階につながっているので今回は対象外。
緊急時安全基準は大事なのでしっかりと出てきた技術に対応したい。
維持管理も、費用面について概算を公募の段階でいただく。もちろん検討項目にいれる。
大がかりな工事をしないとリニューアルができないというのはダメと考えている。」としました。

西形達明・関西大学名誉教授は「『大天守の柱梁は傷めない』『可能な限り上層まで登れる』の2つで応募者に意図が伝わるのか。要求水準が10項目ある。安全性・輸送能力というキーワードがある。ある程度応募者に示さないと、十分な条件をそろえた者が集まるのか。
開発費用、導入費用についてわかりやすく説明して。開発費用8000万円が上がっている。試作機作成は最優秀者が決まってから。どの程度の案の提示で評価できるのか。文書だけで評価するのか、担保されているのか。」としました。
名古屋城総合事務所は「安全性、実現性も審査項目に入っている。実現可能性で選びたい。図面は提供しつつ、変なものにならないようにしたい。質問回答の期間は2ヶ月設けている。開発契約と導入契約は、8000万円上限で試作機を作っていただく。実機と導入費用として上限2億円。5階までいけるかどうかというところはあるが、それを想定したもの。」としました。

堀越学長は「公募は進める方向でいいのではないか」としました。

川地主宰は「小野先生が『ガス抜きにならないように』と発言したのが非常に気になった。
公募は普通にやると最優秀な応募者が出てこない可能性が十分にある。個人的には史実に忠実で、可能な昇降設備はあると思っている。
ただ国の許認可が大変厳しいので、審査の柔軟性も含めて、アンフェアにならない範囲で、市側がメーカーにプッシュしながらできるだけ応募をしていただく。」としました。

高橋名誉教授は「なかなかこういう場を持つことができなかった。当事者の参画の仕方は再考すべき。バリアフリー法の改正の附帯決議でも言われているが、今のやり方が参画のあり方なのか。市は『市民は有識者ではない、素人なんだ』という意識の持ち方はよくない。障害を持つ市民が一番知っている。評価委員がどこまで見識を持っているのかもう一度再考すべき。
もう一つ、火災等緊急時、上層階にいる障害者をどう下まで下ろすのかを含めた垂直移動施設であるべき。
最後に、当初計画で河村市長がエレベーターを付けないという判断があったが、今回の公募でどういう位置づけか」としました。
名古屋城総合事務所は「エレベーターを付けないと平成30年に方針を出した際、既存の今ある実用化されてるエレベーターは柱や梁を取らずにというのは非常に厳しいと思っている。エレベーターの技術を使って工夫することによって、名古屋城仕様になるかも知れないが、昇降技術として導入できる可能性があるものは公募で応募していただくのは全然構わない。」としました。

堀越学長は「今日の意見を踏まえて、検討して次の段階にむけて準備していただく方向で」としました。

名古屋城総合事務所は「『加点要求水準』のメリハリ、利用者の参画を深く考え、公募に織り込めるものほあ織り込みたい。
今後昇降技術の公募をはじめて、天守閣全体のバリアフリーの方針を決めていきたい。」としました。

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今回判明した条件は以下です。
・1時間200人
・可能な限り5階まで登れる
・火災時も安全に下まで降りれる
・柱や梁を傷めない
・柱や梁にあまり荷重をかけすぎない
・設備更新の際、大規模に建物を壊さない
・技術開発に8000万円、実機導入に2億円
・日本の厳しい安全基準をクリアする
・障害当事者の意見を事前に聞く
・技術評価者はインバウンドの専門家など

各委員が「最優秀が無いのではないか」「ガス抜きになるのではないか」と心配するのも当然です。
そもそも障害者団体は、「現状(7階建ての5階までのエレベーター)」より後退することを全く認めていません。
こんな状態でどうして無理に国際公募しようとするのか全く理解ができません。

22/3/25(金)名古屋市障害者施策推進協議会で、斎藤縣三・わっぱの会理事長は「文化庁から『バリアフリーをやれ』といわれて無理矢理国際コンペをしようとしているとしか思えない。国際コンペを行い、海外企業を選んでから『実現しませんでした』では無責任であり、日本の信用にも関わる」と発言していますが、今回名古屋市は一言も述べていませんし、経緯にものせていません。
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なお、名古屋市はこれまできちんと関係者と調整もせず、見切り発車で基本設計・実施設計・木材を調達してしまい、2020年度末までで約70億円かけています。木材保管料は今後毎年1億円かかります。

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22/3/25(金)名古屋市障害者施策推進協議会委員「名古屋城木造天守昇降技術国際コンペ 安全性基準をクリアできるか見通しがつかない」

22/3/25に第2回名古屋市障害者施策推進協議会が開催されました。
今回も録音・録画は禁止されました。

・配布資料

・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 (名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募について)

今回「名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募について」が議題として挙げられました。

名古屋城総合事務所木造天守閣昇降技術開発等担当梅田主幹は「名古屋城木造天守昇降技術国際コンペを行いたい。特定の技術を排除せず、大天守の柱、梁を傷めない方法で、少なくとも大天守1階(地上面から12メートル)に昇降できるもの。まず高齢者・障害者の意見を聴いて、技術選定を実施し再提出してもらう予定。難しい課題が山積だが、目標は5階まで求めるのは変わっていない」としました。
   
斎藤縣三・わっぱの会理事長は「文化庁から『バリアフリーをやれ』といわれて無理矢理国際コンペをしようとしているとしか思えない。
未来の技術を募集しようとしているようだが、最優秀を選び、作ってみて安全性基準をクリアできるか見通しがつかない。文化庁が認めるとしたら、現在可能な技術。
一番重要なのは石垣問題で、解決できないのなら計画そのものがおかしい。
いつまでもしばられて、現名古屋城天守を眠らせたままにしている。はやくこの問題を解決すべき。
国際コンペを行い、海外企業を選んでから『実現しませんでした』では無責任であり、日本の信用にも関わる」と述べました。

梅田主幹は「安全性と耐久性は大切だ。そもそも文化庁の許可がないと復元実現しない。文化庁と協議しつつ進めている。新技術と呼んでいるが、今までの既存の技術の応用、組み合わせで新しい技術も出てくる。認証機関にもアプローチしている。実用化可能性が見込めないところはダメ。提案技術が実用化できるのか見極めたい」としました。
 
斎藤理事長は「先般、名古屋市会で『木造天守閣の昇降に関する技術の国際コンペについては、障害者団体、高齢者団体、福祉関係学識者及び関係機関と十分に検討を行い、理解を得た上で実施すること』という附帯決議を挙げた。
障害者団体の理解を得た、という認識を持っているのか」としました。

梅田主幹は「今後、障害者団体連絡会で説明し、公募実施の理解を得ていきたい」としました。

会長の瀧実・愛知淑徳大学教授は「これから理解を得ていきたいということか」と質問したところ、梅田主幹は「これまでは個別に説明を行ってきて、一定程度は公募の実施を認めていただいているのではないかと認識している。公募前にもう一度説明したい」としました。

斎藤理事長は「名古屋市は春から国際コンペをやると言っている」とし、瀧会長は「具体的にどう進めるか」と発言しました。

笹川純子・名身連聴覚言語障害者情報文化センター所長は「設備を使う障害者当事者の意見を聞くだけではなく、選定まで当事者がかかわってほしいと個人的に思う。」と述べました。
 
今井千鶴・名古屋手をつなぐ育成会青年の会会員は「名古屋城木造復元で最も問題なのは石垣。熊本地震でで石垣が崩れて城全体が崩れた。名古屋城で崩れたら心が痛い。石垣をまず直さないと、天守を木造復元したとしても地震で崩れるのか不安。首里城は木造復元したが火災で焼失した。名古屋城が木造復元したとして、火災焼失したらだれが責任とるのか。復元は賛成だが、災害、防災を検討してと思う。検討して直してほしい。耐震補強を考えないと、なんか危険と思う」としました。
 
梅田主幹は「1959年に完成した現コンクリート天守は石垣で荷重を支えず、ケーソンで支えている。石垣は江戸期のものがのこっているものが多々あり、残っているものは保護する。
以前の木造天守は戦争で焼け落ち、石垣も熱を受けて劣化している。今後、石垣に手を入れながら石垣保存方針を定めるため、これからも調査していく。
防災・安全・避難が大事。竣工までに防災計画を作ることになっている。昇降計画が入った後に防災計画を見直し、安全に建物に入ってもらう。ご理解いただきたい。」と述べました。

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斎藤理事長は、協議会終了後「今回は名古屋市から説明を聞いただけ。賛同はしていない。
障害者連絡会を4月に開催する予定と聞いた。そこで了承を得たいのだろう」と述べました。


22/3/25(金)名古屋城木造化基本設計費返還等住民訴訟 2審も敗訴 名古屋高裁

「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」が原告となった、名古屋城天守閣木造復元事業基本設計費の返還等を求める住民訴訟の判決が22/3/25に名古屋高裁で言い渡され、名古屋高裁民事1部(松村徹裁判長)は、控訴を棄却しました。

本件は、名古屋城天守閣木造化のための基本設計代金8億4693万6000円を市に返還しろ、実施設計契約を解除せよ、木材購入等名古屋城天守閣整備事業を停止せよと訴える住民訴訟です。

地裁は敗訴しました。

・20/11/5 敗訴 名古屋地裁 
 
名古屋高裁は以下述べました。

・本件事業が「史跡等における歴史的建造物の復元等に関する基準」に依ったとしても、同基準の定義に照らし「復元」に当たるというべき
・上記定義に照らすと「復元的整備」に当たるものであったとしても、本件事業の目的が上記の木造復元工事によって天守閣の整備を行なうこと等が変わるものではないから、本件事業は復元を目的とするものと認められる。
・基本協定によって、本件事業は本件要求水準書及び本件技術提案書にも準拠すると定めている。しかし、上記の定めから直ちに本件要求水準書及び本件技術提案書が本件基本設計契約の内容となるものではない。
・本件選定手続においては、基本設計の段階において本件事業につき復元検討委員会の審査を受けて文化審議会の諮問を経ていることを前提としていたことがうかがえるが、本件基本設計契約の内容に照らすと、本件事業につき復元検討委員会の審査を受けて文化審議会の諮問を経ることが竹中工務店の義務であるとは認められず、上記の点は、本件事業につき復元検討委員会の審査を受けて文化審議会の諮問を経る時期の一応の目途を示したものにすぎないというべき
・名古屋市が文化庁に提出した名古屋城天守閣整備事業基本計画書において何らか問題がうかがわれたとしても、それをもって当然に竹中工務店の成果品が本件基本設計契約に基づいて作成すべきものに達しておらず本件基本設計業務が未履行であったことになるものではない
・いわゆる「下検査」についても会計法令状に定めがあるわけではない。しかし、同項の検査について監督が補完的な役割を果たすことを禁じているものとは解されない。地方自治法に反する検査方法であるとは認められない。
・その他、控訴人がるる主張するところを踏まえても、本件事業が違法であるということはできないとの前記の判断は左右されない。
 
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原告は判決を受けてコメントを文書で発表しました。

原告事務局の森晃氏は「高裁判決は不当である。22/3/30に行う原告団会議で、上告するか決定する」としました。

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・名古屋城天守の有形文化財登録を求める会
 

22/3/24(木)名古屋城石垣部会「天守台石垣・御深井丸側石垣 樹脂コーティング・ピン止め後に非接触工法なら妥当」

22/3/24(木)特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第48回)が開催されました。
今回も、冒頭の挨拶以外は録音・録画は禁止されました。

22/3/24(木)特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第48回)配付資料

名古屋市民オンブズマンによるメモ

22/3/24(木)特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第48回)配付資料
終了後の佐治所長ぶら下がりインタビュー
名古屋市民オンブズマンによる文字起こし

今回は、3つの議事が議論されました。
いずれも、2021年5月に名古屋市が文化庁に提出した「現天守解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答(令和3年5月)」の残っている部分についてです。

1つめ「御深井丸側内堀石垣の保存対策について」ですが、レーダー探査や目視調査をした結果、樹脂やピン止めで石垣を補修・補強し、間詰石を補充した上で、「非接触工法」を用いて表面剥離を回避して内堀保護を行えば、仮設計画が石垣や地下遺構の保存を確実に図れると提案しました。

宮武正登・佐賀大学教授は「小天守台石垣の被熱剥離はものすごい。御深井丸側石垣だけでなく、大天守台、小天守台石垣に関しても同様の保全方法をとった上で、非接触工法を、というのは大変妥当だと思う」としました。

千田嘉博・奈良大学教授は「亀裂が生じている部分に樹脂は容易だが、剥離は空堀の底に目視するだけでも無数に落ちている。
どこまでできるか課題。新しい工法を示していただいたので何とかいけるかと思った。」としました。

2つめ「小天守西側の調査分析結果について」ですが、前回22/2/17部会資料に追加して出しました。
現在空調設備があり、濃尾地震後の修復場所が調査出来ないところは、撤去できる時期に改めて調査するとのこと。

名古屋城調査研究センターの村木誠副所長は「金城温古録では、剣塀のところの石垣が一段下がっていた。近代以降かさ上げしたのではないか」としました。

千田教授は「小天守側内堀 厚い盛り土があるので、遺構の保全のためなら調査いらないのではないか。
しかし史実に忠実に復元するのなら、現状の剣塀の石垣の形では史実に忠実な復元にはならない。
また、小天守台石垣を本来の形に戻すのなら、大規模発掘調査が免れられない」としました。

宮武教授は「濃尾地震後の剣塀の写真を見ると、石垣の裏にもう一層あるようにみえる。石垣が地中に埋まっている可能性がある。
明治大正期の石垣をどう扱うかが課題。部会だけでは決められない。いつまでも先延ばしにはできない」としました。

3つめ「天守台石垣の保存方針について」ですが、名古屋城総合事務所としては「天守整備事業にかかわらず行わないといけないと考えているので、2段階に区分したい。1段階目は整備事業と切り離して保存対策を示したい」として、1段階目の対策を示しました。

千田教授は「内堀堀底の石列について、『建物の基礎』の可能性というのは聞いたことが無い。絵図に残っている『もう一つの小天守の基礎』以外の可能性はあるのか。持って回った書き方をするのは望ましい姿勢ではないのではないか」としました。
村木副所長は「書き方は不適切だった。」としました。

赤羽一郎・元愛知淑徳大学非常勤講師は「保存だけでなく、石垣の普及啓発を考えてほしい」としました。

千田教授は「今日午前中に名古屋城に行ったが、梅や桜が賑やかだった。仮設店が立ち並んでいて、活用面にはいいが、、内堀、石垣、隅櫓など本質的価値が見えなくなっていた。両立した活用の仕方を考えてほしい。
また本丸御殿の前は深い砂利敷きで、長年保護マットが敷いてある。主要導線の整備計画が考えていなかったのは大きな反省点ですぐに改めるべき。」としました。

座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「3つの案件は大体意見が出尽くした。全体会議に報告してほしい」としました。
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終了後、佐治所長はぶら下がりインタビューに答え、「(石垣を)しっかり対策を施した上で(木造天守閣復元をする)ということです。その考え方は変わっておりません」と述べました。

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名古屋城天守木造復元を行うのであれば以下が必要とされました
・天守台石垣の2段階目(天守復元時)の保存方針策定
・今後御深井丸側石垣、大天守・小天守台石垣ともに、樹脂コーティング・ピン止め
・剣塀の石垣をどうするか検討 その後の対応
・小天守西側石垣の大規模発掘調査 その後どうするか検討 その後の対応
・名古屋城全体の石垣の保存方針(3年くらい)

それらが終わってからようやく内堀を埋めることが可能となるとのこと。

また、バリアフリー対応、消防・防災対策、新たな基礎構造の検討なども残っています。
それらができてようやく文化庁復元検討委員会にかかるのですが、そこでも何年かかるか見当も付きません。

あと何年くらいかかるのでしょうか。本当に木造復元事業は実現可能なのでしょうか。
毎年1億円ずつ木材保管費用がかかるのだけは確実です。

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なお、部会終了後佐治所長に22/3/23に開催された「第1回金シャチ横丁第二期整備 博物館ゾーン整備基本構想検討懇談会」について質問したところ、「現在ある建物について特に報告はしなかったが、名古屋農林総合庁舎、名古屋農林総合庁舎2号館は旧名古屋貯金事務センターの場所に移転予定。独立行政法人水資源機構中部支社については交渉中」とのことでした。

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今後の予定
・22/3/25(金)午後1時15分 名古屋城基本設計住民訴訟判決 名古屋高裁
・22/3/25(金)午後1時半- 第2回名古屋市障害者施策推進協議会 名古屋市公館 レセプションホール 
・22/3/29(火)午後3時- 第4回特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議 WEB会議
・22/3/30(水)午後1時10分 名古屋城文化庁訪問時面談記録情報公開訴訟判決 名古屋地裁1101法廷
・22/3/30(水)午後6時半- 名古屋城の有形文化財登録を求める会月例会 北生涯学習センター
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22/3/23(水)名古屋市「名古屋城博物館(仮称)を最短2028年に完成させたい」

名古屋市は22/3/23に「第1回金シャチ横丁第二期整備 博物館ゾーン整備基本構想検討懇談会」を開催しました。
録音・録画は禁止されました。

22/3/23 第1回金シャチ横丁第二期整備 博物館ゾーン整備基本構想検討懇談会
・会議次第【博物館懇談会】
・会議資料1
・【参考1】金シャチ横丁基本構想概要版
・【参考2】特別史跡名古屋城跡保存活用計画概要版
・【参考3】博物館構想検討懇談会開催要綱(R040303案)
・【参考4】博物館構想検討懇談会傍聴要綱
名古屋市民オンブズマンによるメモ(途中から)
 
懇談会は10時からZoomで行いましたが、なぜか傍聴は10時23分頃から開始しました。

当初の話が聞けなかったためよく分かりませんが、名古屋城正門南側にある、金シャチ横丁義直ゾーンの南側に、名古屋城博物館(仮称)を作ろうとしているようです。
また、義直ゾーンの東側には芝居小屋風多目的施設を作る計画です(2025年度開業予定)。

名古屋市は、今後のスケジュールとして以下を述べました。
1)基本構想を策定(2022年度)
2)基本計画を策定(2023-2024年度)
3)設計→工事(最短2028年度に完成)

古池嘉和・愛知学院大学現代社会学部教授は「毎年学生を連れて犬山城下をフィールドワークしているが、表の『観光テーマパーク化』しているところは人がいっぱいいるが、現役で動いている裏筋は誰も歩いていない。そのようなのはあまり望ましくない」としました。

佐々木雅幸・金沢星稜大学特任教授は「名古屋城博物館(仮称)を建てようとする場所にはもともとなにがあったのか。博物館の歴史性を踏まえてほしい」としました。
名古屋城調査研究センターの原史彦氏は「東照宮と天王坊という寺社空間・庭園があった。近代に陸軍の参謀本部が置かれ、地下室が作られた。地下遺構はかなり壊されたと聞いている。どこまで破壊されたか+残っているか調べたい」としました。

千田嘉博・奈良大学教授は「本丸御殿は木造ででき、天守も木造再建で動いている。名古屋城博物館(仮称)は本質的価値を高めるために重要な施設となるべき。
名古屋城の調査研究だけでなく、日本の城と近世武家文化を世界に発信するようにしてはどうか」としました。

田沢裕賀・大分県立美術館館長は「名古屋にある優れた博物館である名古屋市博物館、徳川美術館との棲み分け・連携が鍵。
城の魅力を見せるため、必ず寄らないといけないところにしたい」としました。

高田徹・城郭史研究会は「武家文化も必要だが、明治以降の歴史も重たい。師団司令部があった。現代につながる部分が必要。現天守も見所がいっぱいある。」としました。

木下直之・静岡県立美術館館長は「現代まで視野に入れてつくってほしい。志を高く持って、本物志向に」としました。

次回、現地を見てから意見交換をするとのこと。

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名古屋城博物館(仮称)については、どのようなものができるのかさっぱりわかりません。
予算規模も示されていないようです。

名古屋市は、国土交通省に対し「東海農政局(名古屋農林総合庁舎)の早期移転、基幹となる広域防災拠点の整備を求める要望(令和元年7月)」を出しています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190710.pdf

それを受け、現在ある名古屋農林総合庁舎、名古屋農林総合庁舎2号館は旧名古屋貯金事務センターの場所に移転予定とのこと。
・令和2年7月27日 中部地方整備局 営繕部
 名古屋第4地方合同庁舎【官庁営繕事業】説明資料(再評価)

(現在ある、独立行政法人水資源機構中部支社は不明。名古屋城階段体験館も不明)

「名古屋三の丸ルネサンス期成会」なる団体も21/1/7に設立されているようです。

名古屋市は令和4年度予算に「金シャチ横丁第二期整備(博物館構想の策定)」を2800万円要求しましたが、財政局案で0査定、予算案で2000万円に復活した経緯があります。
名古屋市博物館もリニューアル計画がありますし、西の丸御蔵城宝館も21/11/1にできたばかりです。

名古屋城天守閣木造復元事業は見通しが全く立っていません。せっかくの博物館相当施設である現天守を『放置』して、新たな『箱物』を作ろうのは理解に苦しみます。

2028年、名古屋城は一体どのような姿になっているのでしょうか。

22/3/18(金)名古屋城木造復元関係予算 市委員会で附帯決議をつけて賛成多数で可決

22/3/18(金)に名古屋市議会経済水道委員会が開会され、名古屋城木造復元関係予算は附帯決議をつけて賛成多数で可決されました。

22/3/18 名古屋市議会経済水道委員会配布資料

22/3/18(金)名古屋市議会経済水道委員会 (名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

附帯決議(案)
第7条議案関係
1 木造天守閣の昇降に関する技術の国際コンペについては、障害者団体、高齢者団体、福祉関係学識者及び関係機関と十分に検討を行い、理解を得た上で実施すること。
自民党:以下の要望を付して賛成。附帯決議にも賛成。
 一つ。石垣の保全方針は、専門家会議や関係機関等との協議、合意を得てから策定をすること。
 
民主党:以下の要望を付して賛成。附帯決議にも賛成。
 一つ。国際会議場の整備にあたっては、関係局と連携し、その周辺エリアを含めた魅力を一層高めるとともに、運営については、利用者にとって使いやすい、利用料金の設定に努めること。

減税:以下の要望を付して賛成。附帯決議にも賛成。
名古屋城に設置予定のデジタルサイネージについて来場者の利便性を高めるため、来場者のニーズを常につかみ、あとは名古屋城という文化の文化遺産の景観にふさわしいデザインにすること、また外国語については、来場者の動向を見極めて、来場者に沿った言語を採用すること。

公明:以下の要望を付して賛成。附帯決議にも賛成。
観光文化交流局関係 金シャチ横丁第2期整備、整備芝居小屋風多目的施設の整備については、可能な限り早い時期に整備構想を示し早期の開業を目指して名古屋城観光を盛り上げること。

共産党:第1号議案 一般会計予算、反対 
理由 1石垣調査で、地下1階穴蔵石垣、天守内堀の御深井丸側石垣、小天守西側石垣の調査検討し、石垣保全保存方針を策定するだけでも時間がかかる。
天守を支える基礎構造のあり方の検討が進んでいない。
石垣保存方針が決まらなければ、天守木造復元の実施設計もバリアフリー方針も決まらない。
その一方で強引に木材を購入し、保管料だけでも毎年毎年1億円を予算化するという基本協定の天守完成期限が決まらないので、暫定的に期限を覚書で延長している。
市民合意もなく強引に進めてきた天守木造復元事業は行きづまっており、ましてや税金の無駄遣いになる。
事業を中止し、建設会社との基本協定を解除し、名古屋城天守閣木造復元関係経費は削除する必要があるから
第7号議案 名古屋城天守閣特別会計予算、反対
理由 一般会計予算の名古屋城天守閣木造復元関連経費の反対理由に同じ
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これまで委員会で附帯決議をあげてきましたが、名古屋市はことごとく無視してきました。

・21/3/18 名古屋市会経済水道委員会 附帯決議
 名古屋城天守閣木造復元に係る予算については、文化庁の文化審議会において正式に「木造復元」の許可がされた後に執行すること。

・17/3/22 名古屋市会経済水道委員会 附帯決議
 1 名古屋城天守閣木造復元事業を進めるにあたっては、入場者数と収支見込みに対して民間調査会社から長期の予測は不可能であるとの指摘があることから、独立採算による収支相償の財源フレームを堅持するために、入場者数目標の達成に向けてあらゆる努力をすること。
 1 財源フレームの基本的な考え方については、市民の機運醸成を図り寄付金などの募集をするほか、事業の意義について国や県の理解を得て補助金を確保するとともに、市民税5%減税の検証による見直しも含め財源を確保すること。
 1 総事業費505億円については、工期設定の適切な見直しを行うなど大幅な圧縮に努めるとともに、文化庁や優先交渉権者との協議調整状況ならびに仕様や工程および契約内容等について適宜議会への報告を行い、議会に諮りながら進め、あわせて市民の理解を得ながら市民とともに事業を進めること

また、各会派の要望も無視してきました。
・22/3/3 名古屋市会経済水道委員会 要望
 自民党:木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託につきましては、各関係機関の合意を得た上で事業を進めること。

・18/7/3 名古屋市会経済水道委員会 要望
 自民:一つ、木材の調達に当たっては、文化庁から与えられた課題を確実に解決し、現状変更許可の見通しを立てた上で計画的に行うこと。
 一つ、総事業費の上限を505億円とすることは、市民や議会との約束であり、実現に向けて最大限の努力をすること。
 
市議会は何回同じことを繰り返すのでしょうか。
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22/3/16(水)名古屋城木造化 市「穴蔵石垣 根石付近地下に遺構が残っていた」

22/3/16(水)に名古屋市議会経済水道委員会が開会されました。

22/3/16 名古屋市観光文化交流局
経済水道委員会説明資料

22/3/16 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

江上博之市議(共産・中川区)は「金シャチ横丁の博物館構想と、名古屋市博物館構想との関係は」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「名古屋市博物館は旧石器時代から現代に至るまで。金シャチ横丁の博物館は、名古屋城の歴史、尾張藩の歴史や文化。明治以降の陸軍期、離宮期などを紹介したい。具体的な展示計画は考えていない」としました。
江上市議は「天守木造復元工事のために、天守の中にある展示物をもってくるという形であれば賛成できない」としました。

江上市議は「昇降技術はどうみたってバリアフリーになっていない。穴蔵石垣、背面調査の後どういう設定にするか、いつになるかわからない。内堀御深井丸、小天守西側遺構からすれば、来年3月に基本計画を立てるのは大変難しい。局長を含めたい意見を聴きたい」としました。

佐治名古屋城総合事務所長は「担当技官が苦悩のにじみ出た答弁をした。市の思いだけで進めない。文化庁や地元有識者、議会からご指導ご意見をいただきながら合意形成したい」としました。

折戸観光文化交流局長は「課題をかたづけて確実に全体計画を作成したい。」としました。

江上市議は「令和4年度中に出来ないと思っている。石垣の落書きの話があるが、特別史跡と市民との関係を作っていくことこそ重要。天守閣木造は即刻中止すべき」としました。

うえぞの晋介市議(民主・西区)は「第2次世界大戦に名古屋城が空襲で焼失した。平和の象徴として再建された。
例えば名古屋城をウクライナ色を掲げるとか。侵略をとめるための行動もつながるのではないか」としました。
名古屋城総合事務所は「名古屋城には色をライトアップする設備がない。設備が難しい。」としました。

岡本やすひろ市議(民主・緑区)は「昇降機について反対はしていないが確認したい。
公募スケジュールで、障害者からの意見聴取はいつできるのか」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「7月から9月に高齢者・障害者の意見聴取と議論を行う。それの前の質問回答の段階で、提案者から障害者団体と意見交換や質問があれば実施する。頂いた意見を公募参加者にフィードバックする。また、令和5年度以降、昇降技術開発の期間中も利用者目線でのご意見を伺う場を適宜設けたい。最優秀選定後も、どのようなものが決まったかを報告したい。」としました。

岡本市議は「障害者団体は公募の理解はしていると言うが、意見交換もあると理解しているのか?」としました。
名古屋城総合事務所は「各個別でよく説明している。どのタイミングで意見を伺うかも説明しているので、理解を頂いていると認識している」としました。

岡本市議は「最終的に障害者団体から『本当にこれでいいか』と意見が出た場合、令和4年度末までに全体計画をどうしても出したいという思いと、現実として昇降技術の理解が難しいとなった場合でも令和4年度末までに全体計画を決めて文化庁に提出をしていく理解でいいのか?障害者団体がいうのならもう少し考えようかという猶予があるか」と質問しました。
佐治所長は「文化庁、障害者団体とよく報告して理解を求めたい。議会にも報告したい」としました。

岡本市議は「元々は上位4事業者に補助金を支払って実証審査を行うことになっていた。今のスケジュールでは試作品は優秀者選定後になった。どうしても局として令和4年度中になんとしても全体計画をまとめたいということが先行しているように聞こえる。一方、昇降技術の安全性や障害者の意見が後回しになっているように思える。」としました。
佐治所長は「早々に公募を開始すれば年度中に方針が盛り込めるんじゃないかと考えている。見直しで逆転したが、障害者団体に納得頂けるものを作りたいことは変わっていない。安全性も認証機関の認証を受けられるように相談したい。」としました。

岡本市議は「もし1階までのしかでてこなかったら、障害者団体は『それじゃダメだ』といってくるかもしれない。よく意見を聴いてすすめていただきたい」としました。

浅井正仁市議(自民・中川区)は「2028年が竣工期限となっていた資料には、穴蔵石垣調査は2020年6月くらいに終わることになっていた。
結局何年遅れることになるのか」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「令和2年度に予算を認めて頂いたが着手出来ず今年度行った。2年間遅れている。」としました。

浅井市議は「基礎構造は2020年6月に決まることになっていた。いまだ案すらない。何年遅れているのか」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「いまだ決まっていないので、何年と言うことは申し上げられない」としました。

浅井市議は「文化庁復元検討委員会は、以前の資料では2020年7月頃から始まるとあるが、今回の資料にはどこにも見当たらない」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「我々の希望としては令和5年度にはじめていけたらと考えているので、約3年の遅れ」としました。

浅井市議は「結果1ミリも動いていない。市は『順調順調』といっているが。調査はしているが、結果的に1ミリも動いていない。
どうして2年も前に終わっているはずの穴蔵石垣調査がいまだに終わらず、さらに来年まで続くのか」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「令和2年度に試掘調査を計画していたが、文化庁からの指摘事項の回答に注力した。予算執行できなかった」としました。

浅井市議は「穴蔵石垣には文化財としての遺構はないだろうと言われていたがそうか」と質問しました。
村木調査研究センター副所長は「当初は、地表の上の部分は作り替えたという認識だった。今年度調査の中で、根石付近の地下調査を進め、有識者には意見を頂戴していないが、ある程度一部は残存状況が確認出来た」としました。

浅井市議は「遺構が残っているとどういうことになるのか」と質問し、村木副所長は「遺構は本質的価値を構成するものなので、今後も適切な形で残していくことが前提になる」としました。

浅井市議は「遺構がない前提で工事をすると言っていたと思うが、石垣保全計画の新たな検討をしないといけないという理解か」と質問し、村木副所長は「遺構は適切に保存するという方針を示していたので、有識者の合意を得た上で、調査結果を確定し、それを踏まえた対応をしたい」としました。

浅井市議は「天守閣石垣の向かい側の石垣の安全性について、石垣部会から『歩くのも危険、軽量盛り土で埋める計画は絶望的』との新たな課題が示された。しかし本会議答弁を聞く限り、石垣部会とほぼ合意ができていると印象を持った。石垣部会は、『天守台向かい側石垣が不安定』の指摘を撤回したのか」と
質問しました。
村木副所長は「石垣部会にはあらためて調査結果を説明したい」としました。

浅井市議は「課題は解決していない」と質問し、村木副所長は「今のところは合意形成に至っていないが、次回の部会で合意できるように考えている」としました。

浅井市議は「何をすれば合意がもらえるのか」とし、村木副所長は「まず調査結果を理解・認めて頂くのが重要。その後どういう対策を行うかもご理解頂ければと考えている」としました。

浅井市議は「軽量盛り土はどうするのか」とし、荒井主幹は「遺構としての影響がないような工法を検討している。有識者に諮っていきたいと考えている。軽量盛り土は現時点ではやる方向で考えている」としました。

浅井市議は「石垣部会の現時点での意見と反する。今から理解してもらうのか」とし、荒井主幹は「令和3年5月に文化庁に指摘事項に対する回答を提出した。石垣に対して影響がない仮設計画にするため必要な調査を行うとある。何らかの対策を取らないといけないので、有識者会議に検討したものを諮りたい」としました。

浅井市議は「これも検討段階。石垣部会から指摘されている。調査して今から検討する。部会に資料を出したのか」と質問し、荒井主幹は「去年10月に中間報告という形で説明した。今後遺構への影響がないような対策の検討を続けている」としました。

浅井市議は「天守台石垣北側のはらみが崩れる危険が指摘されたと思うが、そのままにするか補強するか、積み直すのか結論はでたのか」と質問しました。
村木副所長は「現在は安定的であるというところは理解頂いたと思う。補修や補強など何らかな措置が必要かは相談していない。より詳細な天守台石垣の保存方針を来年度定めたい。具体的な手法は来年度検討したいと考えている」としました。

浅井市議は「天守台上部の昭和の時代に積み替えた石垣は文化財として保全の必要はないという理解か」とし、村木副所長は「全体を一つの構造体としてみるのか、別と考えるのかは整理したいと思っている。現在検討中」としました。

浅井市議は「幻の小天守かもしれないという石垣はどうなっているのか」と質問し、村木副所長は「適切に埋め戻し、将来的な調査研究の対象とはしたいが、当面埋め戻して保全保護すると考えている。」としました。

浅井市議は「軽量盛り土を埋めるなら、遺構が傷つくかの検討はしたのか」とし、荒川主幹は「文化庁に『支障がない』と回答し、部会でも合意形成を図った」としました。

浅井市議は「基礎構造の『はね出し工法』は完全に消えたということか?」と質問し、荒井主幹は「見直すので、復活はないと考えている」としました。

浅井市議は、「穴蔵石垣を調査し、保全方針が出てから基礎構造を検討する」という順番かと質問し、荒井主幹は「現状を調査し、石垣整備方針や基礎構造を並行して考えていく。整備の方針が固まらないと石垣の検討ができない部分があるが、完全に整備の方針が固まってからじゃないと基礎構造が検討できないわけではないので、並行して進めたい」としました。

浅井市議は「昇降技術は国際コンペで決めるが、12月以降に穴蔵石垣の保全方針を決めて、並行して基礎構造を決めるのか」と質問しました。
荒井主幹は「技術公募でどんな技術が提案されるかは現在わからない。穴蔵部分に技術が来ることも想定されるので、その場合には当然基礎構造とも関係する」としました。

浅井市議は「バリアフリーのスケジュールを見ると、12月に書類審査選定がある。安全基準は5年かかると言われた。適合するかもわからない。リスクのある昇降技術を前提として基礎構造を決めて、基本計画も作ることになりかねない」としました。
荒井主幹は「昇降技術が公募する前ではわからないので答えができない。実現可能かどうかという有識者の意見を踏まえて、実現する前提での昇降技術が選ばれると考える。」としました。

浅井市議は「安全基準が出ていないものを全体計画に織り込み、文化庁は何を信頼してOKとするのか」と質問し、梅田主幹は「評価委員に工学系や許認可に詳しい人もいる。実現性がある程度見込めるもので審査に基準も設けている。」としました。

浅井市議は「日本で国際コンペは1回しかやったことがない。新国立競技場だけ。ザハ案はできなかった。すごく難しい。下手すればすぐ裁判になる。外国は裁判普通にする。バリアフリー、昇降設備以外の検討はどうなっているのか」と質問しました。
荒井主幹は「木造復元は文化庁と協議する段階ではない。全国にも国宝や重要文化財、復元城郭建築物があるので、底と同等のバリアフリー対策をする計画」としました。

浅井市議は「階段は安全対策。そういうものを全体計画に盛り込まないといけない」としました。
荒井主幹は「来年度取りまとめる予定」としました。

浅井市議は「国際コンペは12月まで。図面が必要ということか」と質問し、荒井主幹は「復元計画に盛り込みたい、バリアフリー検討会議のなかでも検討したい」としました。

浅井市議は「バリアフリーは昇降機だけではない。『名古屋城木造復元天守バリアフリー対策検討会議』という庁内会議がネットから出てきた。
第3回資料に現天守閣について『本丸エリアから大天守5回まではエレベーターで昇降可能で、バリアフリー対応出来ているが、最上階への昇降は会談しかないためバリアフリー対応出来ていない』とあった。
副市長、前局長が集まる会議で『展望室まで行けなければバリアフリーに対応したとは言えない』と言っていた。どうして今回最低1階までか。いつ変わったか」と質問しました。
梅田主幹は「公募条件は最低の基準」としました。

浅井市議は「絶対に最上階まで行けるバリアフリーに条件を変えたらどうか」と質問しました。
梅田主幹は「『より上層階まで求めていく』としてきた」としました。

浅井市議は「このときの検討会議で3つ案が出されている
A エレベーターを設置しない
B 一部史実と乖離するが、到達階を3階とする4人乗り小型エレベーター
C 史実と乖離するが、天守外部に1階とする11人乗りエレベーター
小型であろうと、エレベーターを設置した時点で史実に忠実な復元ではないという理解か」とし、梅田主幹は「記載の通り」としました。

浅井市議は「B案はバリアフリー対応か?補助員が乗れないからだめなのか?」と質問し、梅田主幹は「4人乗りだと介助者が乗れないため、バリアフリー対応としては十分ではないといいう意見を頂いた」としました。

浅井市議「だとするとC案。国際コンペはバリアフリー対応の前提で公募するのだから、エレベーターで言えば11人乗りが相当の条件だと思うが」と質問し、梅田主幹は「史実に忠実な復元とバリアフリーの両立を目指しているので、11人乗り福祉基準体制エレベーターは設置できない」としました。

浅井市議は「11人乗りはダメで、A案B案C案は全部ダメか?」と質問し、梅田主幹は「A案でエレベーターを設置しないという方針を決めた。エレベーター技術も含めて幅広く特定の技術を排除せず公募で求めたい」としました。

委員長の渡辺義郎市議(自民・北区)は「昇降の関係は、別に所管事務調査でしっかりやるということでご理解できないか」としましたが、浅井市議は「予算がからんでいる」としました。
渡辺市議は「ずっとやって理解できるから反対だということになるのではないかという気もするので、この問題はこの問題だけ所管事務調査をしたらどうか」と提案し、浅井市議は了承しました。

浅井市議は「公募の工程は、当初は4年間、次に1年9ヶ月。次に9ヶ月。今回6ヶ月。どうしてこんなに変わるの。別に公募をやればいい。
バリアフリー検討議事録を読んだが、先生方が『検討していない』と言っている。2年間やっていない。
公募かける前にバリアフリー検討会議、障害者会議ありますよね。必ず了承を得てから公募をして下さい。後戻りになったら大変だ。人が乗るものだから、落ちたときどうするのか。製作会社も賠償請求行く」としました。

渡辺委員長は局長の姿勢を聞きたいとし、折戸局長は「難しい課題だが、着実にクリアしないといけない。バリアフリーについては、障害者団体からエレベーター設置を望む考えを頂いている。私どもはバリアフリーは必須と認識している。丁寧に説明して進めていく。令和4年度内に解体と復元を一体とした全体計画を取りまとめたい」としました。

渡辺委員長は「浅井市議からエレベーターに関する取扱いがちぐはぐだと指摘があった。当初予算とは別に所管事務調査でしっかりやって姿勢を出したい。当初予算はエレベーターは分けて、エレベーターは所管事務調査をしたい」としました。

中里高之市議(自民・緑区)は「自民党では『木造化は議会で賛成しているからしょうがない』といっている。
いろんな問題がある。文化庁の意見を聴いて来年度に申請できるようにする。そのための予算。前抜きに萎縮してはいけない」としました。
浅井市議は「文化庁はヒントをくれた。名古屋市は自分に都合のいいように解釈している。復元ありき、工期ありきでものを考える。石垣を守るため、『ありき』じゃなく。そうするともっと早く進む」としました。

中里市議は「局長は全体で『木造の復元をやる』という意識を持った答弁をお願いする」としました。
江上市議は「石垣問題一つとっても無理。文化財保護が基本。調査をするとますます文化財保護が問題になる。市長に進言してほしい。聞いている方がいやになる。
文化庁は熊本城で変わったと思う。地震で再生して耐震化でああいう形になった。税金の無駄使いはやめてほしい」としました。

中里市議は「政党の意識の違い。名古屋市会全体で木造復元やろうよとなっている。多少遅れてもいい、遅れんようにやって、という意識の答弁をお願いしたい」としました。
折戸局長は「1年でできるのかと心配を頂いた。非常に難しい課題であるということは受け止めているが、学術的調査や研究を前提にしていく必要がある。市の思いだけでは済まない。竣工期限ありきの進め方をしてきたわけだが、考えを改めて、調査分析を踏まえてしっかり計画を立てて有識者との合意形成を図るという文化財整備の基本に立ち返ったことで反省して取り組んできたことで、文化庁から一定の評価を得たと認識している。来年度の目標を掲げたので、よろしくお願いします」としました。

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渡辺委員長の発言の趣旨がよく分かりませんが、「昇降技術公募について、経緯がちぐはぐ」だから「当初予算をその部分だけ切り離して、別途所管事務調査をする」のか、「当初予算から切り離さずに別途所管事務調査をする」のかでは全く意味が違います。

議会の重要な役目の一つに、予算を議決するというものがあります。逆に言えば、議会で予算が議決されなければ、市は1円も予算を使うことができません。

昇降技術公募について、市の説明が極めてちぐはぐで、しかも障害者団体、バリアフリー検討会議の意見も聴いていません。
今回は、当初予算をバリアフリー部分だけ切り離して採決し、障害者団体、バリアフリー検討会議の意見を聴いた上で所管事務調査を行ってから、あらためて予算の可否を審議しても遅くないのではないでしょうか。
単に税金の無駄使いに留まらず、業者から訴訟されるリスクも高いです。基礎構造のあり方にも関わってくるのではないでしょうか。

局長は「竣工期限ありきの進め方は反省した」としましたが、今は「令和4年度中の全体計画提出ありき」としか思えません。

名古屋市会 経済水道委員会としての意思決定は、22/3/18(金)午前10時からの付議議案審査[意思決定(3局一括)]で決まります。


22/3/8(火)名城公園アクセス 公明市議「愛知県新体育館ができると、地下鉄輸送能力が1万人不足する計算」

22/3/8に名古屋市議会本会議が開会されました。

22/3/8 名古屋市議会本会議(名城公園アクセス部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

さわだ晃一市議(公明)は名城公園へのアクセスについて質問し、2025年から供用開始予定の愛知県新体育館へのアクセスへの課題について質問しました。

折戸観光文化交流局長は「名古屋城周辺駐車場については、春の大型連休やイベント開催時以外は駐車場が不足していない。
今後木造復元事業や二之丸庭園、金シャチ横丁整備などが進むと、さらに多くの人に名古屋城を楽しんでもらえると考える。
公共交通機関を利用頂きたいが、海外も含めて遠方からの来城者が多い施設なので、観光バスをはじめとする駐車スペースの確保は今後の課題になると認識している」としました。

緑政土木局長は「これ以上駐車場造成するスペースは少なく困難。公共交通機関での来場を来場をお願いしたい。地下鉄名城公園駅から名城公園の導線で、大津通を横断する際の信号待ちで滞留することが想定される。地下横断歩道の整備について令和4年度から工事に着手する予定。」としました。

小林交通局長は「地下鉄名城線は1時間あたり最大10本の臨時列車を増発することで、約1万2400人の輸送力の増強が可能。
新体育館の最大収容人員である1万7000人と想定しても1時間以内に輸送できると考えている。
一方、バンテリンドームナゴヤで大規模イベント開催時においては、現状でも臨時列車を運行している。
新体育館とバンテリンドームナゴヤのイベントの終了時刻が重なった場合の対応は今後の検討課題。」としました。

さわだ市議は「名古屋城へのアクセスはコロナ前で年間約200万人。天守復元後は年間360万人と、1.8倍ということになる。コロナ前の1日最大入場者数を3万人とすると、1.8倍すると1日5万4000人くらいくる計算となる。
名城公園エリア全体の来訪者数は低く見積もっても全体で65000人を超えるのではないか。
駐車場は1044台。2時間くらいで入れ替わっても1日7000台くらいしか停められないだろう。
名城公園に桜の回廊の整備をした場合、1日35000人。65000人に足すと10万人くらいが1日にどっと来ることになる。東京ディズニーリゾートの1日平均入園数を軽く超える。
名城公園の北と南の道路は非常に狭い。観光バスや選手団のバスが入ってくると、前にも後ろにも下がれない。
現在は駐車できるようになっているが、駐車禁止になった場合、260代以上の車が停められなくなるので、一時に停められるのは780台くらい。東山動物園は年間234万人、公式駐車場だけで1400台以上ある。
名古屋城や名城公園の来訪者が多いのは3月から5月まで。コロナ前の3年間に、愛知県体育館とナゴヤドームでイベントが重なった日は5日間くらいある。
愛知県新体育館とナゴヤドームが同じ時間に終わって人が帰った場合、名城公園駅の21時台の輸送能力は臨時列車10本くらい走らせても1万人程度不足するのが明らか。総合的なアクセス対策はどうするのか」と質問しました。

松雄副市長は「このエリアは名古屋を代表する第一級の歴史、文化、観光、スポーツ、学術の拠点となる
ポテンシャルを十分持ち合わせていると考えている。施設の駐車場不足や、周辺道路、地下鉄混雑など大変重要な課題と認識している。
関係局で共有しているので、検討チームを作って対応したい」としました。

さわだ市議は「愛知県新体育館の駐車場整備は本来愛知県が行うべき。地下鉄利用者の4割は市外在住者であるにもかかわらず、地下鉄への県負担金は年間3000万円。『大規模施設は作ります、駐車場は作りません、地下鉄を利用して下さい、地下鉄経費は負担しません』というのが県の態度。
県と交渉できる当局は居ないのか。アクセス対策について何もしないのなら県は金くらい出すべき。
バリアフリー化は全市的に必要だと思うので、障害当事者の方もいれて検討頂きたい」としました。

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22/3/14(月)名古屋城木造化 市「バリアフリー新技術の安全基準取得に最低でも5年かかるとみている」

22/3/14(月)に名古屋市議会経済水道委員会が開会されました。

22/3/14 名古屋市観光文化交流局
経済水道委員会説明資料

22/3/14(月) 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城関連部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし(一部抜け)

江上博之市議(共産・中川区)は「現天守閣を作るときに穴蔵石垣に対してとんでもないことをしてしまった。
元に戻すのか、いつの時代に戻すのか、現状でいいのか、議論だけで時間がかかるのではないか。」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「穴蔵石垣はある程度状況が判明している。新年度に背面の調査を計画しており、残存状況を把握した上で今後整備をどうするかを検討していきたい」としました。

江上市議は「来年3月までにできるとは思えない。石垣の状態について方向性が出て、保存方針が出た上でないと、実施設計にはかかれないのではないか」としたところ、名古屋城総合事務所は「その通り」としました。

江上市議は「来年3月までとして、その時期が来たらまた延長と。その繰り返しではいけない。御深井丸の内堀、小天守の西側の遺構問題もある。木造化の話しをすればするほど文化財の調査をしなくちゃいけない。調査をするとどんどん問題が出てくる。
木造化が可能性がないことが事実として明らかになると指摘しておく」としました。

岡本やすひろ市議(民主・緑区)は、昇降技術の公募について、障害者団体の話し合いについて質問しました。
名古屋城総合事務所は「障害者団体連絡会のような全体会議のほか、各団体への個別説明や会合への出席をし、公募に関しての説明や意見交換等を実施をしてきた。木造天守のバリアフリーに関しては、エレベーターの設置を望む考えをいただいているが、今までの意見交換等によって、公募を実施して、高齢者や障害者の方々のご意見を伺いながら、昇降技術を選定していくということについては一定のご理解をいただいていると認識をしている」としました。

岡本市議は「公募まではしてもいいよということでの理解をさせていただきたいと思います。」とのべました。
次に、公募してくれる業者があるかどうか質問したところ、「●」

また、岡本市議は公募の費用について質問し、名古屋城総合事務所は「公募支援業務委託に1億4000万余り、設計開発上限8000万。導入費用で上限2億円。」としました。

岡本市議は「この1年間でできるのか。8000万円と2億円について、令和4年度予算に計上されていないが」と質問し、佐治所長は「公募後昇降技術を選定した後に、開発に必要な費用等の協議を行い、仕様を確認した上で契約する。2億円は竣工時期がに定まった後の契約になる。必要な予算については、予算化する上での必要な条件が整った段階で必要な額を議会に諮りたい」としました。

岡本市議は「2億円と言ったが、何階から何階までの予算か」と質問し、名古屋城総合事務所は「できれば最上階の5階までバリアフリーの対応をしていきたいと考えている。金額は5階までを見込んでいる。」としました。

浅井正仁市議(自民・中川区)は「コンサルと契約しているのが令和元年5月15日だと思うが、どうしてこの期間世界公募しなかったのか。仕様書はできていたと以前答えていた」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「昨年度までは、竣工時期の見通しがたった後に公募開始すると言うことで進めてきた。今年度は6月に文化庁から所見指導いただき、竣工時期が見通せない状況での公募開始ができるように公募スキーム見直しを行った。」としました。

浅井市議は「コンサルとの契約で、1年目に公募、2年目に試作品審査、3年目に最終審査となっている。今回の資料では4月から公募で12月に最終審査を終えるとしている。半年でやる。圧縮したのか」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「当初は公募期間中に試作機製作を行い、それを元に導入をしていく考えだった。
スキームを見直し、試作機の製作等がなくなった。期間を短くした。選定後の期間に試作機を作ることになったので、時間がかかる」としました。

浅井市議は「聞き捨てならない言葉があった。以前、階段模型を作り、『試作品を障害者に見せて、安全を確認してからやる』と言っていた。今は作ってから試作品を見せる。順序が逆になった。竣工時期より安全の方が大事じゃないということ」としました。名古屋城総合事務所は「まず書類とプレゼンで選び、その後製作をして階段模型で実機の試験を実施できればと考えている」としました。

浅井市議は「どうして説明をコロコロ変えるのか。スケジュール出さなければ、試作機が後っていうのがわからなかった。工程をコロコロ変えるのはいかがなものか。全体計画とかあったときでいいじゃん。『名古屋市は1階までのバリアフリーで考えてます』でいいんじゃないの?文化庁が本当に設計もってこいと言ったのか」と質問しました。名古屋城総合事務所は「来年度まとめる文化庁の全体計画の中には、具体的な設計とかそのレベルまで出すことは求められていないと理解している」としました。

浅井市議は「考え方でいい。『名古屋市は1階までのバリアフリーで考えてます。でてくるかどうかわからないけどこれでいいですか』っていって文化庁に見せればいいだけの話し。こんなのはバリアフリーじゃないと言ったら終わりの話しだ」としました。
佐治所長は「全体計画に盛り込む内容は設計レベルまでではないが、どういう技術で地下から何階までいくかというところは、しっかり盛り込む必要があると考える。公募をして12月までには選定し、技術を全体計画の中に盛り込む手順を考えている」としました。

浅井市議は「エレベーターは200年か400年かの歴史があり、信用されている。新技術の安全基準は取るのにどれくらいかかるのか」としました。
名古屋城総合事務所は「1年2年では難しいと思っている。5年程度くらいは最低でもかかるのではないかと考えている。復元検討委員会にかかってから並行してやっていく考え」としました。

浅井市議は「世界公募の時期がすごく悪いと思う。バリアフリーで先進的なのはヨーロッパ。ウクライナ情勢の中で公募をかけて、たくさんの提案を受けたいと言うが時期的にいいのか」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「社会情勢が不安定となっている。しかし海外メーカーからも難しいと言われていない。ヒアリングは継続して行いたい」としました。

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市の答弁を何回聞いても、どうして令和4年度中に昇降技術の公募を開始し、最優秀者選定しようとするのかわかりません。
そもそも「全体計画」(・石垣の保存方針 ・復元原案 ・復元計画)が令和4年度中にとりまとまるかどうかも不明です。

そもそも障害者団体が現時点でなんと言っているか不明です。

名古屋市は、障害者団体と150回話をしたとしていますが、議事録があるのは3回。議事録・話した内容がない場合の面談相手・日時は不存在です。

無理に昇降技術の世界公募を強行すると、余計混乱します。
すでに約40億円もの木材を購入も、解体・復元の現状変更許可の見通しが出ず、年間1億円の保管費用がかかっているものの二の舞になります。

単に「やってる感」を出すためだけに、これ以上税金と関係各所の混乱を招くのはやめるべきです。

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22/3/10(木)名古屋城木造化 民主市議「昇降新技術公募のスケジュールはどうなっているか」

22/3/10に名古屋市議会経済水道委員会が開かれました。

22/3/10 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

江上博之市議(共産・中川区)は、名古屋城内の植栽について「名古屋城としてふさわしい年代はいつか。各種建物の時代が違うように、時代設定はどうなっているのか」と質問し、名古屋城総合事務所は「文献などの研究検討を行いつつ、できる限り歴史的な観点を取り入れた上で史跡保護や景観改善といった観点に重点を置いた計画として、令和4年度に現状把握、令和5年度に今後の管理方針や管理方法、事業計画を策定したい」と述べました。

また、江上市議は「石垣の保存方針の策定学術分析とはなにか」と質問し、名古屋城総合事務所は「1)名古屋城全体の石垣保存方針策定に向けた調査検討
2)過年度の石垣調査の学術的検討 3)調査結果を知らせるシンポ 3年をメドにしている。」と述べました。

江上市議は「木材の製材9900万円の内訳は」とし、名古屋城総合事務所は「木材保管費として約1億円。契約している工事とは別に、あらたに契約を行う。」としました。

岡本やすひろ市議(民主・緑区)は「昇降に関する新技術公募について、計画スケジュールを教えてほしい」とし、名古屋城総合事務所は「令和4年度早々に公募を開始し、令和4年12月に昇降技術を選定したい。令和4年度中に天守全体のバリアフリーの方針を策定し全体計画に反映したい。令和5年度以降、昇降技術の開発の契約を考えている」としました。

浅井正仁市議(自民・中川区)は、「形としては政府調達が一番近いかと思うが、国際コンペはほぼやっていない。コーディネートしている会社とは契約をしているよね」とし、名古屋城総合事務所は「現在も契約をしている。公募支援業務を発注している段階の仕様書はある」としました。

浅井市議は「公告期間や質疑期間などを書いてきて。また、1年間のスケジュールも月別でほしい。2028年完成時期までのスケジュールをもう1回みたい」と
しました。名古屋城総合事務所は「季節ごとなら出せる」としました。

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「名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託」契約書・支出命令書を情報公開請求したところ開示されました。
当初、令和元年〜3年度で1億4300万円の契約を(株)日本総合研究所と結びました。

しかしながら、まだ公募開始には至っていません。
名古屋市が言う「審査基準」なるものはなにかわかりませんが、愛知県重度障害者の生活をよくする会・NPOちゅうぶが提出した「バリアフリーは今より良くなる!!?」を実現するために必要な7つの基準は以下です。
 1 誰もが乗れる
 2 誰もが簡単に使える
 3 一般の人(健常者)の移動と同じような時間で移動できる
 4 たくさんの利用が連続してできる
 5 一般の人の移動と対立しない
 6 天守閣の最上階まで上がれる
 7 怖い思いをしないで乗れる
 
これらすべて満たし、しかも史実に忠実で、「エレベーターではない」ものを世界公募すれば実現可能なのでしょうか。

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22/3/9(水)名古屋城木造化 自民市議「『跳ね出し架構』に代わる基礎構造案は柱まるけだが、それでも木造復元するのか」

22/3/9に開催された名古屋市議会本会議で、浅井正仁市議(自民・中川区)は3点重要なことを質問しました。
1)『跳ね出し架構』に代わる基礎構造案は柱まるけで『史実に忠実な復元』ではないが、それでも木造復元するのか
2)バリアフリー 市長はどうして『最低1階まででも構わない』『エレベーターでもいい』と変更したのか
3)『現在の天守閣の保全』と、『木造復元』を比較した結果、文化財としてどちらが史跡価値を高めるかの検証が必要

22/3/9(水)名古屋市会本会議(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

浅井市議は「名古屋市は突然基本計画を令和4年までに策定すると発言した。そうなら完成期間は言えるのではないか。木造復元がいかにも進んでいるように見せるためだけのようにしか思えない。これまでも大丈夫なようにいうだけで、結果はできませんでしたの繰り返しだった。基本計画策定が令和4年にできる根拠を明確にして欲しい。」と述べました。

折戸観光文化交流局長は「解体と復元を一体とした全体計画は、平成30年に基本計画書(案)として作成したものがあるので、これをもとに取りまとめていく。
全体計画は、 ・石垣の保存方針 ・復元原案 ・復元計画 などになる。
まず復元原案を秋にかけて整理するとともに、石垣の保存方針、基礎構造、バリアフリーの方針も並行して整理する。バリアフリーは速やかに公募を開始し、令和4年12月に昇降技術を選定する計画。復元計画として年明けをメドにまとめていきたい。
有識者には令和4年度中に全体計画を取りまとめるとの目標を表明している」としました。

浅井市議は「相当厳しいスケジュールではないか。これまでもスケジュール通りに進んだことは一度も無かった。市長、3年かけて1ミリも進まなかったことを1年で全部しますということ。
竹中工務店が技術提案した跳ね出し架構以外の基礎構造の検討は、私の印象ではとても難しいと思う。
市長に聞きたい。令和2年9月25日の全体整備検討会議で、柱まるけの基礎構造の絵が描いてある。
はね出し工法は絶望。私たちに示されているのは柱まるけの基礎構造しかない。史実に忠実じゃない基礎構造でも、木造復元されるつもりか」と質問しました。

河村たかし名古屋市長は「上記はイメージとして示した。今後調査の結果を踏まえて方針を検討していく」とした文書を読み上げました。

浅井市議は「市長はなぜ逃げる?この工法ならやるのかやらないかと聞いている。去年3月の委員会で、橋本ひろき市議(民主)は『何が何でも復元か、場合によっては復元的整備も考えるのか』と質問したら、市長は『復元的整備ならやらない方がいいと答えた。
いつもコロコロと適当に変わる。なぜ逃げる?史実に忠実に復元するのかしないのか」と質問しました。

河村市長は「質問する通告はありませんでしたけど、当然のことながら、当然のことながら史実に忠実な復元ということでございます。」と回答しました。

浅井市議は「質問通告はちゃんとした。史実に忠実じゃない工法だったら、木造は断念するのかどうか言ってください。」と質問しました。

河村市長は木の文化の説明をし出しましたが、浅井市議は「人が通れんぐらいの柱まるけになるんですよ。それが史実か、忠実かってこと。それでもやるのか。なぜ逃げるか。」と追及しました。

次に浅井市議はバリアフリーについて質問し、「最低条件は1階までで、なんと市長が絶対につけないと言っていたエレベーターでもいいということ。市長に確認するが、障害者に『エレベーターは設置しないけど、新技術で必ず対応する』と約束したよね。
ドローンで飛ばすとか、背負子で運ぶとか、駕籠に乗せるとかたくさんのアイディアをだした。
おんぶしてでも最上階の景色を見せたいという熱い市長の思いがあったが、今は『障害者には最上階から景色を見るのは諦めろ』と言っているようにきこえてならない。
市民説明会後のネットの書き込みを見ると、『障害者団体の言うことを聞かずに史実に忠実な復元をしてほしい』という意見がたくさん入っていた。どうしてこうなったのか。市民説明会で『本当は史実に忠実な復元をしたいが、バリアフリーバリアフリーといわれて、あたかも妥協してエレベーターを付けるように聞こえたから』だと思う。
これは間違えたメッセージ。バリアフリーは国・世界的な要請。当然に配慮すべきものであって、意見されて妥協してつけるものではない。『最低1階まででも構わない』と言ったのも市長。『エレベーターでもいい』と言ったのも市長。どうして方針を変えたのか。
誤解している人たちに市長からなぜバリアフリーをするのかお言葉を頂きたい」としました。

河村市長は「バリアフリーの法律は2つあり、いずれも『合理的配慮をしなければならない』と決めている。
どういうものかは関係の方、団体、文化庁、議会皆さん考えてやっていくということで、私はないようにおいて変わったことは一遍もありません」と述べました。

浅井市議は「今月の末に文化庁に提出する宿題があると思うが、提出出来なかったらどうするのか。いろいろ責任の取り方はあると思うが、市長の考えを教えて」としました。

河村市長は「文化庁は『丁寧な上にも丁寧にやってくださいよ、協力しますから』といっている。必ず実現するだろう、1000年の名古屋の宝ができるだろうと思っている」としました。

浅井市議は「責任を聞いたがまったくもってよくわからない。前回の委員会に来たとき、『全責任はわしが持つ』と市長は言った。損害賠償も含めて。覚えているか」と質問しました。

河村市長は「全責任は市長にある。全責任自分でもって、文化庁から『有識者の皆さんのそういというか合意で持ってきて』と言われたので、全力投球させていただいている」としました。

浅井市議は「局長は先程基本計画の策定に当たって、・石垣の保存方針 ・復元原案 ・復元計画 の課題を整理すると答弁があった。重大な課題が欠落していると思うが、市長おわかりか」としました。

河村市長は「ようわかりません」とこたえました。

浅井市議は「現在の天守閣の記録じゃなくて『評価』。解体のプロセスが欠落している。市長の答弁は復元のプロセスだからダメ。
現在の天守閣の保全と、木造復元を比較した結果、文化財としてどちらが史跡価値を高めるかを検証すること。ここがない。一番難しい問題。
熊本城は、震災で致命的な損傷を受けたにもかかわらず、保存と復元の検証の結果、保存を選択した。熊本城は現在エレベーターも最上階までついている。
つまり、壊れてもいない名古屋城をあえて壊してまで復元する価値があるという説明をしなきゃだめ。
そのため、当初耐震性が極めて低いという理由で、『まずは解体してから復元する』という解体先行という考えがされた。
しかし突然、前局長が『復元ありきの解体』と言っちゃった。この方針転換で現天守を壊す理由がなくなった。壊れてもいない名古屋城を壊してまで木造復元をする理由を基本計画に入れなきゃ駄目。前回の委員会で前局長にヒントを出したら、『委員の言っていることはわからない』とバッサリ切られた。新局長には理解してほしい。
最初に文化庁に僕が江上市議と横井市議とで行ったとき、当時記念物課長に言われた。初見を見て、このことかというのがよく分かった。城に携わっている人はわからない。今の城、記念写真を撮ればいいと思っている。そんな簡単なもんじゃない」としました。

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なお、債務負担行為による実施設計、木工事ならびに昇降技術の公募の繰越は賛成多数で可決されました。

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22/3/4(金)名古屋市議会本会議 自民市議「名古屋城 予定通り進んでいれば木材保管料年間1億円はかからなかった」

22/3/4に名古屋市議会本会議代表質問がありました。

22/3/4 名古屋市議会本会議代表質問 名古屋城部分
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリよる文字起こし

北野よしはる市議(自民)は以下述べました。
事業を開始して5年たったが、事業が遅れていることに「全責任を持つ」と言った市長の責任は大きい。
質問1)95億円で木材を調達したのはどこでか。
 →岐阜県、奈良県、高知県や岩手県で。
  全体数量2,323本のうち約9割の2,071本調達済み
質問2)調達した木材はどれだけの期間保管されているのか
 →長いもので約3年
質問3)保管料はどれだけ費やしてきたか
 →令和3年度末までに約3億円
質問4)今後どれだけの保管料が必要となる見込みか
 →年間約1億円を見込んでいる
質問5)バリアフリー 昇降技術の公募は開始できるのか。障害者団体との合意は得られているのか
 →市の姿勢につきましては、一定のご理解をいただいているものと認識しております
質問6)バリアフリー 昇降技術の公募はいつはじめられるか
 →令和4年度早々には公募を開始してまいりたいと考えている

北野市議は「事業計画が詰めが甘く、材料は集めたが、使うことができず、莫大な保管料を払わないといけない。
今回の質問はそれを市民に明らかにするため。毎年1億円の木材保管料が必要となる。
予定通り進んでいれば、木材保管料の別契約は必要なかった。
1日も早く1日も早く調達した木材を使って、木材復元をした天守閣を市民にも見てもらえるように、スピード感をもって進めてもらいたい。
また、昇降技術の公募について、本市の姿勢に障害者団体の皆様から一定のご理解をいただいているのは安心した。
問題をあらかじめ想定していれば揉めることもなかった。
熊本城は被災したが既に復旧工事が完了し、大きな喜びをもたらしている。
名古屋市民は落胆している。歴史ロマンの象徴としての本来のイメージを取り戻すべき」としました。

続いて江上博之市議(共産)が以下述べました。
事業の見通しがないことは明らか。小天守西側石垣は濃尾大地震で破壊され、遺構すらはっきりしない。調査すればするだけ問題がでてくる。
石垣調査のため、木造復元がいつになるかわからないのに今買わないとなくなると言って木材購入を強引に行い、木材保管料を毎年1億円かける。
強引な木造復元は中止したらどうか。
全体修繕保全を行い、あるものは残し、ないものの復元など、総合的かつ計画的な名古屋城全体としての魅力向上を求める。

河村市長は、「現在に再現するという理念を掲げ、本丸御殿に続けて復元事業を進めている。全体の魅力は一層高まると認識している」としました。

江上市議は、「木材保管料には1億円使って、大切なものを廃止する。
傷つけられた名古屋の民主主義。市民の名誉を取り戻すために全力を尽くす」としました。

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北野市議の質問で、バリアフリーに関して市は障害者団体が「市の姿勢につきましては、一定のご理解をいただいているものと認識しております」という答弁で納得しているのはあまりにもナイーブです。

障害者団体は、市から市の姿勢を何回も聞かされて、『市の言い分はわかった』としている、というだけです。
障害者団体は、1回も「大天守1階までのバリアフリーでいい」とは言っていません。

きちんと関係者と調整もせず、見切り発車で基本設計・実施設計・木材を調達してしまった名古屋市。2020年度末までで約70億円かけており、木材保管料は今後毎年1億円かかります。
しかし、完成の見込みもありません。

19/9/2大村愛知県知事は「国、文化庁の許可が下りるめどもないのに100億円の木材を調達して買ってしまった」「どういう経過をたどって何が起こってこういう事態になったのかという事実関係をしっかり検証して、そして、その事実関係を情報公開をしていただきたい」としています。

19/6/24大村愛知県知事は「文化審議会に当面かかる予定はないと聞いた。当初から木造化は難しい、無理と聞いている。石垣の調査、計画ができていない。名古屋市も本当のことを言ったらどうか。文化庁から許可が下りていない段階で調達した木材94億円と設計費等々で100億円以上が全損になるおそれがある。市議会には例えば百条委員会をやるなどして事実解明をしっかりやっていただきたい。
取材されたマスコミの皆さんは知ってたんじゃないですか 河村市長の『できなかったら切腹』発言は典型的なパワハラだ。関係者が希望すれば、愛知県が障害者団体も含めて調整することはやぶさかではない」としています。
 
市議会にできることはもっとあるのではないでしょうか。

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22/3/4(金)名古屋城跡全体整備検討会議 木造復元は今回も議題に上がらず

22/3/4(金)特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第47回)がWEBで開かれました。

22/3/4(金)特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第47回)配付資料

22/3/4(金)特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第47回)名古屋市民オンブズマンによるメモ

今回はWEB開催でしたが、最初の挨拶以降は撮影・録音・録画は禁止されました。

今回の議事は5つ。
1)本丸搦手馬出周辺石垣の修復について
2)表二の門附属土塀の雁木調査について
3)令和4年度の二之丸庭園の発掘調査について
4)水堀における舟運について
5)名古屋城植栽管理計画について

議題としては、今回も名古屋城木造復元事業については一言も触れませんでした。

調べたところ、第43回会議(令和3(2021)年9月3日)で
3)天守台穴蔵石垣等の試掘調査について
が議題になってから6ヶ月もまったく議題に上がっていませんでした。

いったいどうしたのでしょうか。
穴蔵石垣等の試掘調査の結果は?
小天守西側内堀調査は?
御深井丸側石垣調査は?
跳ね出し架構に代わる基礎構造は?
バリアフリー技術の公募は?
市民が関心があることは山ほどあります。

また、この間石垣・埋蔵文化財部会も開催されています。
それら報告は特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議にされているのでしょうか。
なお、22/1/25に開催した第46回石垣・埋蔵文化財部会、22/2/17に開催した第47回石垣・埋蔵文化財部会の議事録・配付資料は、市公式ホームページに掲載されていません。

22/2/17 第47回名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会資料
0 会議次第.pdf
1 資料1本編.pdf
2 資料1別添資料.pdf
3 資料2.pdf
22/2/17 第47回名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会
(名古屋市民オンブズマンによるメモ)

市民にも、有識者にも情報を共有しない名古屋城総合事務所。
木造復元に「不都合な真実」が出てきたという情報もあります。情報公開無くしていかなる事業もうまくいきません。


22/3/3(木)名古屋市議会経済水道委員会 名古屋城木造復元補正予算可決

22/3/3(木)に名古屋市議会経済水道委員会が開催され、名古屋城木造復元関連補正予算が賛成多数で可決されました。

22/3/3 名古屋市議会経済水道委員会
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

自民党:原案に賛成いたします。一つ要望をつけさせていただきます。
 木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託につきましては、各関係機関の合意を得た上で事業を進めること。
その他の議案については、原案賛成です。

民主党:原案に賛成します。

減税:はい、原案賛成です

公明:原案に賛成です。

共産:第30号案第53号議案名古屋市名古屋城天守閣特別会計補正予算第2号に反対します。
理由1 名古屋城天守閣木造復元については、基本協定書の木造天守閣完成期限が2022年12月31日を断念し、技術提案交渉方式による契約の必要性もなくなったことから事業を中止すべきである。にも関わらず、覚書で完成期限を2024年3月31日まで延長したことは認められない。債務負担行為そのものが必要でない上に、今回、債務負担行為の期間で『暫定的に』という表示は、過去の事例がなく、このような債務負担行為による実施設計、木工事は認められないこと
2 天守閣木造化が前提であり、最上階へのバリアフリーの条件もない、昇降技術公募の繰り越しは認められないこと
その他は原案に賛成。

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22/2/28名古屋市議会経済水道委員会の、浅井正仁市議(自民党)の「現状変更許可の見通しを立ててから木材を買えば、保管料毎年1億円かからなかった」等の発言はなんだったのか。
要望や意向表明をつけて予算に賛成してきたが、ことごとく名古屋市はそれら要望や意向表明に反することを行ってきたにもかかわらず、今回も要望をつけて賛成する、という気持ちが理解できません。

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22/2/28(月)名古屋城木造復元 自民市議「現状変更許可の見通しを立ててから木材を買えば、保管料毎年1億円かからなかった」

22/2/28に名古屋市議会経済水道委員会が開催され、名古屋城木造復元事業のため名古屋市が既に約40億円もの木材を購入も、現天守解体と木造復元のめどが立っておらず、年間保管費が毎年約1億円かかっていることに対し、浅井正仁市議(自民・中川区)が「2018年6月定例会の経済水道委員会の意思決定で、自民党から『木材の調達に当たっては、文化庁から与えられた課題を確実に解決し、現状変更許可の見通しを立てた上で計画的に行うこと』と意向表明がなされた。ちゃんと文化庁からの許可をもらってから(木材を)買えば、こんな事態にも落ちなかった」と述べました。

22/2/28 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

まず、江上博之市議(共産・中川区)が、名古屋城木造復元事業で木材をいくら購入したかを質問しました。
名古屋城総合事務所は、「2018年度に約95億円契約した。2022年3月末までに約40億円支払いをする。未執行は約55億円。
約40億円の内訳は木材費・運搬費・保管費・工事管理費。木材は岐阜・愛知・奈良・高知の木材保管庫で保管している」としました。

江上市議は「未執行の55億円には木造保管料は入っていなかったのか」と質問すると、名古屋城総合事務所は「その通り」と答えました。

また、木工事の残りはいくらか、損害賠償請求の対象になるか江上市議が聴いたところ、名古屋城総合事務所は「契約済みの約95億円とは別に、残り約105億円。残りは損害賠償請求の対象にならない」としました。

江上市議は「事業を中止すべき」としました。

さらに、江上市議は基礎構造、穴蔵石垣について質問しました。
名古屋城総合事務所は「穴蔵石垣は、来年度背面状況の調査を計画している。それを踏まえて整備方針の検討を進めていく。」としました。

江上市議は御深井丸側の内堀石垣について質問をし、名古屋城総合事務所は「必要な調査は終えており、石垣の修復の考え方、劣化の著しい石に対する丁寧な保護対策を含んだ仮設計画の検討を行っている。2022年3月中に有識者と合意形成を図れるよう作業をしている」としました。

また、江上市議は基礎構造を検討する『調整会議』について質問をし、名古屋城総合事務所は「本来の遺構に新たに手を加えないことを原則として、可能な限り史実に忠実な復元をするために『調整会議』を開催している。現在地下の穴蔵部分の遺構を試掘調査しており、それを踏まえて検討する。来年度は穴蔵石垣の背面調査に基づいて基礎構造を検討することが必要」としました。

江上市議は「石垣保存の立場の人と、天守閣を建てたい人の意見は相当違うと思う。ますます議論は続くだろう。『覚書』を毎年変えるのはいいのか。事業中止が必要」としました。

浅井正仁市議(自民・中川区)は「2018年6月定例会の経済水道委員会の意思決定で、自民党から『木材の調達に当たっては、文化庁から与えられた課題を確実に解決し、現状変更許可の見通しを立てた上で計画的に行うこと』と意向表明がなされた。名古屋市はこれと相反することをして、今の結果になっている。
1年毎にやっても、完成時期までもほぼ変わらない。自民党の意向表明を作った人は先見の明があった。ちゃんと文化庁からの許可をもらってから(木材を)買えば、こんな事態にも落ちなかった。保管料も毎年毎年1億円かからなかった」と述べました。

さらに浅井市議は「名城公園に木材保管庫を作る話は、6億ぐらいだったと思う。
(注:2019年6月議会に提案した名古屋城天守閣木造化木材保管庫予算400万円(債務負担行為 3億1300万円))
 ・名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材保管庫設置)
 ・19/6/26 名古屋市議会経済水道委員会配付資料
 保管庫予算は取り下げた。あと3年たったら6億円になっちゃう。
 保管庫を作った方が安上がりになったかも知れない。
 買った木は朽ち腐らせる訳にはいかない。
 調査が次から次へと出てくるが、目的ありきの調査じゃないの。
 有識者は違うと思う。ちゃんと全て調べて、それから復元の議論に入っていくのじゃないか。
 だから部会をやる度に、調査が足りないとか整理しろとか。考え方を改めた方がいい」としました。
 
また、浅井市議はバリアフリーについても、「市は障害者団体の理解を得てから公募すると言っていたが、公募開始までに踏む手順は何か」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「バリアフリー検討会議と名古屋市障害者団体連絡会で公募の説明を改めて行った上で解消したいと考えている」としました。
浅井市議は「バリアフリー検討会議はこれまで何回開いたか」と質問し、名古屋城総合事務所は「2019年度に1回。2020年度は0回、2021年度も0回。今年度できる限り早い時期に開催したい」としました。
浅井市議は「名古屋市障害者団体連絡会は何回開いたか」と質問し、名古屋城総合事務所は「2019年度に3回、2020年度に1回、2021年度に1回とあと1回開催したい」としました。

浅井市議は「高齢者への説明は」と質問したところ、名古屋城総合事務所は「公募開始後にワークショップという形でご意見を伺いたい」としました。

浅井市議は「復元の課題は3つあると考える。
1)石垣保全方針
2)基礎構造
3)バリアフリー
バリアフリーは『最低1階まで』に文化庁はなんとコメントしているのか」と質問したところ、名古屋城総合事務所は「文化庁に説明をしたが、意見を頂いていない。そのように進めていけばいいと考えている。」としました。

浅井市議は「基本計画、全体計画が名古屋市が出していないため、文化庁として検討できない。復元検討委員会にかけると言うことは、名古屋市の考え方を
しめすこと。そのときに『最低1階までのバリアフリーでダメと言われたらどうするつもりか。基礎構造と同じ構図だ。そこまで考えないとダメだと思う。これは税金だから。」と述べました。

佐治所長は、「バリアフリーも基礎構造もすぐ決まるものではない。具体的な提案が出てきた段階で、文化庁に説明したいと考えている。
復元検討委員会にかかってだめと言われないように調整をしっかり行いながら進めたい」としました。

江上市議は、「最上階までを条件としたら、何件くらい公募があると考えているか」と質問し、名古屋城総合事務所は「公募前なので控えたいが、色々興味を頂いている企業はいる」としました。
江上市議は「『少なくとも1階まで』はバリアフリーに値しない」と述べました。

上記で質疑は終了しました。
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22/2/25(金)名古屋城木造化 名古屋市「債務負担行為で、過去に完成期限を『暫定的に』としたことはない」

22/2/25に開催された名古屋市本会議で、江上博之市議(共産・中川区)の質問に答えた折戸観光文化交流局長は「名古屋城木造復元事業に関し、竹中工務店との基本協定を『暫定的』に2024年3月末、実施設計と木工事の債務負担行為の期限も『暫定的』に2024年3月末としたが、過去債務負担行為で『暫定的に』とした事例はない」と明言しました。

22/2/25 名古屋市本会議 (名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

江上市議は5点述べました。
1)当初、技術提案方式は2022/12/31までだった。
 しかし名古屋市は『暫定的に』契約を延期している。
 債務負担行為の変更ではなく事業を中止し見直すのが筋
 →基本協定書に関わる覚え書きの趣旨を踏まえて暫定的に設定した。暫定的の事例はないが、文言で表示した事例はある。
 (国営尾張西部土地改良事業 工事完了の翌年度から17年間という期間を設定)
2)天守と石垣の接点の『基礎構造』はどうするのか
 →回答せず
3)天守内堀の御深井丸石垣をどう修復するのか
 →回答せず
4)基本計画を2023年3月までに作成するというが、専門家会議で確認したのか
 →文化庁と有識者のご指導・ご助言を賜りながら、必要な調査検討を丁寧に進めつつ、十分な議論と合意形成を図りながら、目標達成に全力で取り組んでいく
5)バリアフリー公募『少なくとも1階に昇降』でバリアフリー対策と言えるのか
 →1階までは最低限の基準。幅広く提案を募る。
 
江上市議は、「債務負担行為で『暫定的』とした事例は過去になかった。市が例に出した工事は事例にならない。
 基本計画も、名古屋市の姿勢を表明しただけ。有識者の確認を得たわけではない。
 『事業の見通しがないのに目標を表明して、そのときになったら弁解する』繰り返しはやめたらどうか。
 バリアフリーについて表現を変えたようだが、内容は変わらず。
 最上階までの条件にしたら応募者がいないということなのだろうが、バリアフリーができないことを示している。
 応募者がいるようにするため予算を繰り越すのは理由にならない。強引に進めてきた木造復元事業を中止せよ。
 あるものは活用し、耐震改修し、ないものは復元して整備を進めるよう求める」としました。
 
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名古屋市民オンブズマンは、名古屋市と竹中工務店が21/11/18に結んだ、名古屋城天守閣木造復元事業の完成期限を2024年3月末と暫定的に定めた「名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書に係る覚書」を情報公開請求で入手しました。

・21/11/18 名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書に係る覚書

今回市議会に提出されている、「令和4年度名古屋市各特別会計予算に関する説明書」の名古屋城天守閣会計の債務負担行為でも、令和4年度以降の支出予定額の期間欄に「4〜暫定的に5」と記載があります。

極めて異例な名古屋城木造復元事業。
完成の目処がたっていないのであれば、債務負担行為も延長すべきではありません。
市議会が債務負担行為を認めなければ、名古屋城木造復元事業はストップします。

2017/5/9「名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書」完成期限 2022年12月末
第6条の3
 前2項に係る予算が成立しない場合又は前項に係る議決が得られない場合は、本事業を中止し、契約の締結をしないことがある。また、その場合、当該予算に係る業務については発注者、優先交渉権者の間に何ら権利、義務が発生せず、発注者は予算の成立につて何ら責を負わない。
 

22/2/22(火)学習会「建築士が読み解く 名古屋市が作成した幻の名古屋城現天守耐震改修案」

「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」は、22/2/22に学習会「建築士が読み解く 名古屋市が作成した幻の名古屋城現天守耐震改修案」を開催しました。
・配付資料
・文字起こし(講演部分)

これは、名古屋市民オンブズマンが情報公開請求で入手した、「名古屋市が作成した現天守の耐震改修案」を渡邉正之建築士が読み解いて解説したものです。

・開示決定書
・【名古屋城大天守閣】構造体劣化調査結果等
・【名古屋城小天守閣】構造体劣化調査結果等
・(情報提供資料)名古屋市構造体劣化調査(鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造)作業要領(平成22年度(2010)版)
・【名古屋城大天守閣】耐震診断概要書
・【名古屋城大天守閣】耐震診断報告書1
・【名古屋城大天守閣】耐震診断報告書2
・【名古屋城大天守閣】耐震診断報告書3
・【名古屋城小天守閣】耐震診断概要書
・【名古屋城小天守閣】耐震診断報告書1
・【名古屋城小天守閣】耐震診断報告書2
 
・平成29年3月 株式会社大建設計名古屋事務所
 名古屋城天守閣暫定的耐震補強調査業務報告書
 @補強計画の耐震診断結果
 A補強計画の耐震診断結果の考察
 G概算工事費及び概算工程表
  
講師の渡邉正之建築士は以下述べました。
名古屋市は、平成22年(2010年)9月に構造体劣化調査、平成23年(2011年)2月に耐震診断概要書をまとめた。
また、平成29年(2017年)3月に暫定的耐震補強調査をまとめていた。
構造体劣化調査の結果、基準をクリアーしていた。
耐震診断概要では、Is値の目標0.6を大幅に下回る0.14だった。どうすればIs値0.6、0.75に補強できるかをまとめたのが耐震診断概要書。
内部の柱に鋼板を巻いたり、RC増設壁をしたり、炭素繊維を巻いたりして耐震補強する(外観は変更しない。外壁に×型の鉄筋がむき出しになることはない)。
Is値0.6以上にするには、大天守小天守合計で11億5000万円。エレベーター改修1億6000万円をあわせると、13億1511万4500円。
Is値0.75以上にするには、大天守小天守合計で13億5047万0205円。エレベーター改修1億6000万円をあわせると、15億1051万9605円と試算されている。
主に7階だけ補強する「暫定的耐震補強」だと、1億7172万円の試算がでている。
名古屋市はせっかく業者に上記調査を発注したのに、全く活用もせず、市長は「505億円で木造」と叫んでいる。
安ければいいわけではないが、こんな財産があるにもかかわらず知らん顔してやるべきなのか。
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会場から活発な質疑が行われました。

渡邉氏は「現在Is値0.14といっても、地震が来た際、倒壊するとは限らない。名古屋城は地盤が非常によい。
木造復元については1/10とか1/100の模型を作って実験値を算出し、構造計算のシステムに当てはめることは可能。」としました。

会場から「市民に耐震補強の説明もせず、長寿命化の説明もせず、『耐震補強しても40年しかもたない』と2016年5月に2万人アンケートをしたのがそもそもの間違いだった」という声が出ました。

「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」は、今後も引き続き学習会を行っていくとのことです。


22/2/17(木)名古屋城石垣部会座長「小天守西側内堀調査 今の状態では文化庁に報告は無理」

22/2/17(木)に第47回名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会が開催され、座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「小天守西側内堀調査は不十分であり、今の状態では文化庁に報告するのは無理だ」と明言しました。

22/2/17 第47回名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会資料
0 会議次第.pdf
1 資料1本編.pdf
2 資料1別添資料.pdf
3 資料2.pdf
 
22/2/17 第47回名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会
(名古屋市民オンブズマンによるメモ)

今回は会議がWEB(Zoomウェビナー)で行われ、傍聴もWEBで行われました。
しかし、録画・録音は禁止されました。

今回の議題は2つ。
「本丸搦手馬出周辺石垣の修復について」と、「小天守西側の調査分析結果について」です。

小天守西側石垣は、濃尾地震の際に大規模に崩落した後修復されています。
名古屋城木造復元にあたっては、小天守西側の内堀に軽量盛り土を載せて、その上に大型重機や仮設構台、資材を載せる計画です。

文化庁からは、「内堀底面については、地下遺構の全体状況を正確に把握し、保存を前提とした仮設物設置計画の検討が必要である。」と指摘事項が出されています。
名古屋市は2021年5月に「回答」で、「小天守西側の濃尾地震の際に修復した石垣の部分については、令和3年度に地下遺構面の標高を確認する調査を実施し、その結果を踏まえて石垣の保存を確実に図る仮設計画とする」と述べています。

今回部会に提出された資料では、「地下遺構面」は石垣側では地表から533mm、反対側の西側では784mmで検出したとしました。
遺構面に働く仮設物設置の荷重(最大鉛直応力)の解析結果は、地盤の許容支持力に比べて小さく、成人男性の歩行時に比べても小さい値であり、影響は軽微と考えられるとしました。

構成員の宮武正登・佐賀大学教授は「石垣側と西側をつなぐ地表下がどうなっているかわからない。
斜めにすりあがっているというのは城郭遺構では考えられない。守るべき遺構がどうなっているのかわからない。
遺構の残存状況がわからず、(その上に軽量盛り土を)やっていいのか、問題提起したい」としました。

また、「濃尾地震後に修復した石垣は相当ゆがんでいる。大型土嚢で被覆するというが、持つのか?」としました。
構成員の西形達明・関西大学名誉教授は「持つか持たないかと言われると、うーんと言わざるを得ない。
細かいところの石垣、劣化部は(計算に)入っていない。なんとか安全でしょうという結論を出す気がする。100%大丈夫か?といわれると、、、」としました。

構成員の赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は「東西ではなく南北方向に長い発掘調査をすべきだったのでは。地下に遺構があるかもしれないが、『深いから荷重かけてもいい』というのはちょっと問題。
遺跡について真摯に取り組んで欲しい」としました。

座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「今日の報告では、(石垣部会が)『理解できました』には至っていない。
文化庁に報告すると言っても、今の状態では無理。(文化庁が)理解できない。事務局でそろえて精査して次回出してほしい」としました。

宮武教授は「『文化財調査するにはどうすればいいか』と考えれば、こういうことにはならなかった。
『表土がこれくらいだから大丈夫』では文化庁は通らない」としました。

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大天守西側の堀底からは「幻の小天守の石垣の基礎の可能性」がある石列が発見されています。
小天守西側の堀底にも、なんらかの遺構がある可能性もあります。
名古屋市は、文化庁から指摘事項が出ているにもかかわらず、きちんとした調査をしてこず、今回石垣部会から「これでは調査が不十分」と言われました。

軽量盛り土工法に対して文化庁から早急にお墨付きをもらいたいがために、十分な調査をせずに名古屋市はやろうとしていたようにみえます。
このような「遺構軽視」ではなく、「石垣ファースト」にすると名古屋市が言っていたのは口先だけだったのではないでしょうか。

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今後の予定(2022年)

2/22(火)18時半- 学習会 建築士が読み解く!名古屋市が作成した「幻」の名古屋城現天守耐震改修案 北生涯学習センター
2月28日(月曜日)午前10時30分 経済水道委員会 付議議案審査[質疑(経済局、観光文化交流局関係)]
3月2日(水曜日)午前10時30分 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(経済局、観光文化交流局、上下水道局関係)]
3月3日(木曜日)午後1時 経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(3局一括)]
3月10日(木曜日)午前10時 経済水道委員会 付議議案審査[質疑(経済局、観光文化交流局関係)]
3月14日(月曜日)午前10時 経済水道委員会 付議議案審査[資料質疑・質疑(経済局、観光文化交流局関係)]
3月16日(水曜日)午前10時 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(経済局、観光文化交流局関係)]
3月18日(金曜日)午前10時 経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(3局一括)]
3/25(金)13:15 名古屋城木造化基本設計等住民訴訟 名古屋高裁
3/30(水)13:10 名古屋城木造復元情報公開訴訟判決 名古屋地裁

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22/2/16(水)名古屋城木造復元情報公開訴訟結審 判決は22/3/30(水)

名古屋市民オンブズマンが原告の、名古屋城木造復元事業に関する情報公開訴訟の弁論が22/2/16に名古屋地裁で行われ、結審しました。

本件は、名古屋市と文化庁とのやり取りの情報です。
当初はほとんど黒塗りでしたが、21/9/16に新たな開示決定がなされて、593ページ中562ページの黒塗りが90ページまで減りました。

・開示文書

その後、原告は非公開部分について「情報公開条例の非公開理由にあたらない」と個別に主張しました。

判決は22/3/30(水)13:10 名古屋地裁です。
ぜひ傍聴に来て下さい。

名古屋市令和4年度当初予算案に名古屋城天守閣木造復元に6億6187万円計上

名古屋市は22/2/10に、令和4年度当初予算案を公表しました。

令和4年度当初予算の概要

参考資料

名古屋市 令和4年度主な施策等一覧 観光文化交流局

それによれば、名古屋城天守閣の木造復元として6億6187万円が計上されています。

・天守閣の整備 3億4466万円
・木造天守閣の昇降に関する新技術の公募 3938万6000円
・木造復元に向けた機運醸成 1000万円
・基金の積立 1億1万5000円
・事務費等 1億6780万9000円

天守閣の整備 3億4466万円の詳細は以下です。

1 趣旨
特別史跡名古屋城跡の本質的価値の理解促進、及び文化的観光面の魅力向上を図るため、名古屋城天守閣の整備を行う。

2 事業内容
(1)実施設計 15,000千円
 ア 設計業務
  設計図作成、構造解析、現状変更許可申請書類作成
 イ 調査業務
  史実調査
(2)設計監理等支援業務委託 15,000千円
  天守閣整備事業に係る技術面及び法務面に関する支援
(3)木材の製材 99,985千円
  柱や梁などの主架構木材の保管費
(4)石垣調査等 214,675千円
 ア 石垣保存方針の策定に向けた調査
 イ 天守台周辺石垣対策計画策定
 イ 石垣モニタリング(天守台石垣)

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名古屋市は「予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例」に基づき、予算編成過程を公開して市民の意見を募集しています。
しかしながら、今年も財政局査定内容の公開にない内容が当初予算案に計上され、市民の意見が言えませんでした。
22/1/19.20.22に開催された「名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会」でも、上記資料は公開されませんでしたし、
市民の意見も言えませんでした。

そもそも、今後名古屋城天守閣木造復元事業をするなら、どのような予算が提案される予定なのか。

2019年6月議会に提出予定だった、解体工事予算約20億円は今回も見送りました。

木材保管に関しては、名古屋市は21/1/23に「保管費はかかるが、機械乾燥費から自然乾燥に変えたため、現在は元々の木材の金額内で収まっている。しかしやはり限界があるので、その部分については竹中工務店と協議をするが、できるだけ追加にならないような工夫をしたい」と述べています。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/houkokusyo_1.pdf

なお、実施設計は当初2020/5/29までの予定が、2022/3/26まで延長変更契約をしていますが、いつまで延長するつもりなのかも不明です。
・当初契約 2020年5月29日まで(15億6384万円)
・変更契約 2021年3月26日まで(11億5361万640円)
・変更契約 2022年3月25日まで(11億4091万5941円)
 
また、実施設計業務委託費としてすでに5億9400万円支出済です。
・19/7/31 情報提供文書

なお、名古屋城天守閣特別会計は2020年度末までで約70億円支出済です。

今回の当初予算案で、名古屋市がしたいことがまったく見えてきません。
とにかく先は見えないがずるずる経費を出し続けたい、としか思えません。

22/2/18(金)から22/3/23(水)まで名古屋市議会2月定例会が開催されます。
どのような議論がなされるか注目したいです。


22/1/25(火) 名古屋城石垣部会 天守台石垣・北対岸石垣に一言も触れず

22/1/25に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第46回)が開かれました。
構成員はZoomウェビナーで会議を行っているにもかかわらず、傍聴希望者は名古屋市公館へ画面を見に来い、という扱いでした。
しかも写真・ビデオの撮影等は今回もマスコミ・傍聴者は禁止されました。

・22/1/25 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第46回)
 配付資料

・22/1/25 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第46回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ

有識者が議案について議論をするのですが、議案が
(1)本丸搦手馬出周辺石垣の修復について
(2)表二の門附属土塀の雁木の調査について
のみであり、現在名古屋市が取り組んでいるはずの名古屋城天守木造化に関しては一言も触れませんでした。

なお、名古屋市は現天守閣の解体申請を文化庁に提出していた件について21/7/27に取り下げしていますが、全体整備検討会議・各部会ともに一言も触れていません。

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名古屋市はようやく特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会第45回部会(令和3(2021)年10月29日)の議事録を公開しました。

21/10/29会議で千田嘉博・奈良大学教授は「御深井丸側内堀石垣調査の速報値を見たところ、想定より状況が悪い。内堀を埋めてクレーン台座を置くのはとても耐えられない。もし天守木造を行う場合、現在検討をしている工事の工法をとるのは絶望的になったのではないか」と述べました。
これに関し、今回の部会では一言も触れていませんでした。

名古屋城天守木造化に関して市民に情報を公開せず、どういう状況になっているかほぼ説明していない名古屋城総合事務所。
年に3回のみの市民説明会では疑問点は解決しません。市民の理解なくして未来はありません。

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今後の予定

・22/1/25(火)午後6時半〜 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」例会
 @北生涯学習センター
・22/2月上旬 2022年度予算公開
・22/2/16(水)午前10時〜 
 名古屋城文化庁訪問時面談記録情報公開訴訟 @名古屋地裁1101法廷
・22/2/18(金)名古屋市会開会 
・22/2/22(火)午後6時半〜 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」学習会
 「建築士が読み解く!名古屋市が作成した「幻」の名古屋城現天守耐震改修案」
 @北生涯学習センター
 講師 建築士の渡邉正之様
・22/3/25(金)午後1時15分
 名古屋城基本設計住民訴訟 判決 @名古屋高等裁判所10階法廷
 
※名古屋城関係の有識者会議は以下で開催予定がわかります。


名古屋城木造バリアフリー説明 議事録・話した内容がない場合の面談相手・日時不存在

名古屋市民オンブズマンは「名古屋城天守閣木造復元事業の件で、名古屋市職員が障害者団体と面談した際、議事録・話した内容がわかるものがない場合の面談相手と日時、市職員の氏名がわかるもの、持参資料」を情報公開請求したところ、「面談相手と日時、市職員の氏名がわかるもの」は不存在でした。

21/11/30名古屋市会本会議で、浅井正仁市議(自民)が「木造復元事業のバリアフリー新技術公募について、名古屋市は1階まで最低条件と変更した。
障害者団体と頻繁に協議したと市は説明したが、うち議事録があるのはたったの 3 回。あと147 回の議事録はどこにいったのか」と質問しました。

今回、議事録がないもののうち、面談相手と日時、市職員の氏名がわかるものを情報公開請求しましたが、不存在でした。

ただ、持参資料だけが開示されました。

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これでは本当に147回も障害者団体と協議したかわかりません。
そもそも、障害者団体に説明に行って、議事録がないこと自体がおかしいです。

そもそも、障害者団体と協議をして「1階まで」でよいと障害者団体が了承した、とは名古屋市も言っていません。

浅井市議がバリアフリー国際コンペで「1階までの条件で文化庁が許可するのか。世界標準に適応するのか」と問うても答弁がありませんでした。

「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」が19/1/7に日弁連人権擁護委員会に提出した「人権救済申立書」によれば、「これまで5階までは利用できていたにもかかわらず,エレベーターのない新天守閣が作られれば1階以外の利用はできないこととなり,新天守閣が車いすを利用する身体障害者の権利をより制限することとなるのは明らかである。」としています。

なお、名古屋市民オンブズマンは「障害者団体と協議した際の議事録」を別途情報公開請求中です。

22/1/22(土)名古屋城木造復元市民向け説明会 不完全燃焼のまま終了

22/1/22に名古屋城木造復元市民向け説明会が鯱城ホールで開催され、83名が参加しました。
今回も撮影は許可されず、ネット中継もありませんでした。
・22/1/22 名古屋城木造復元 市民向け説明会
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
・22/1/22 名古屋城木造復元事業市民向け説明会(質疑応答部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
・配付資料
・【名古屋市公式】令和3年度 名古屋城天守閣木造復元 オンライン市民向け説明会

今回も質疑時間が短く、5名しか質問出来ませんでした。
事実誤認に基づく質問も多く、これで「市民向け説明会を終えた」というのは「アリバイづくり」としか言いようがありません。

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1人目
 質問1:将来売店等をどけるのか
  →今後整備を進める中で再配置
 質問2:エレベーター 今ある外付けはやめてほしい
  →今後エレベーターも含めて広く技術を募集する
 質問3:天守閣部会の回数が少ない
  →平成29年度、30年度は多くやった
   必要に応じて開催する
 質問4:障壁画の水漏れの原因は
  →空調不調で少し描いた絵に水がしみた
   経過観察中 絵に大きなダメージはない
   原因は調査中 

2人目
 質問1:2020年に突然文化庁から「解体と復元一体」の
  着工許可がでた。ポイントは
  (注:着工許可は出ていません)  
  →2021年5月に、名古屋市が「現天守解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答」を発送した。
   その後2021年6月に文化審議会文化財分科会から「所見」が出た。
    ・「石垣影響は考古学的調査、工学的調査を」一定の評価を得た
    ・解体理由を木造復元と整理したなら、解体と復元は一体として審議する必要がある。
   今回はじめて文化庁から手順に向けて指導いただけた  
 質問2:市長は「研究ではトップを走る機関を設けたい」といっていたが
  →金沢城や熊本城のセンターに人数はかなり近づいた
   日本のトップ、世界のトップには一朝一夕にはいかない  
 質問3:完成時期はいつか?去年2027年頃できると言っていたが、市長はOKと返事していない
  →今後作る計画を有識者と十分合意形成諮る必要がある。
   文化庁の有識者「復元検討委員会」がどれくらいかかるか正直つかめない
   現在完成時期は示せないが、令和4年度中に検討委員会にかけるのは市長も事務方も認識が一致
 質問4:バリアフリー ハンディキャップだけでなく高齢者対策も
  →昇降技術選定する前にハンディキャップ+高齢者からもご意見をもらう予定
  
3人目
 質問1:城はバリアそのもの。急な階段を上る体験に意義がある
  特別史跡を目指すなら本物の小規模なバリアフリーにして。
  現在どの程度公募が集まっているのか
  →公募は現在始めていない。
   昇降技術メーカー以外からももらいたい

4人目:
 質問1:建築審査会が「復元やむを得ない」としてはじめて建築基準法の適用除外になる
   安全性、法同等の安全で躓いているのではないか 
  →適用除外は後。文化庁の現状変更許可が先。
 質問2:基本計画、全体計画を策定するのは一歩前進だと思う。
  いつ頃どうなるのか
  →解体と復元を一体とした全体計画の策定は2022年度いっぱいを予定。
   文化庁復元検討委員会は2023年度から入っていきたい。
   それがどれくらいかかるかわからない
  
5人目
 意見1:現天守はヘリで解体すれば、重機を使わなくて済む
  →去年金シャチを大型ヘリで地上に降ろしたが1体1.2トン。それくらいが限界。
   遺構に影響がないよう進めている。
 意見2:売店を潰せば解体スペースを確保できる
   ヤードは西側、北側内堀を発泡スチロールで埋めて確保したい。
   昨年度有識者に諮り「工学的、考古学的に影響が軽微」となり、問題はないと考えている

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3日間の説明会に参加した人は208人。質問出来た人は15人しかいません。
しかも事実に基づかずに質問した人も多いです。

事実
・当初の名古屋城木造復元計画は工事だけで505億円。
 当初は2022年12月までに復元と竹中工務店と基本協定。
・名古屋城木造復元をするためには文化庁から現天守解体
 ・木造復元の許可が必要
・木造復元には基本設計・実施設計・木材製材・復元工事が必要
・基本設計は8億4693万6千円。
 2018/3/30に完成と市は主張
 (住民訴訟中 22/3/25(金)名古屋高裁判決)
・実施設計 11億4091万5941円支出済
 契約は22/3/25まで。
・木材は39億3744万円支出予定(2022/3末まで)。
 全契約2323本のうち2071本調達済
 保管費年間9000万円。
・2022年1月時点で木材等に約70億円支出済。
・現天守解体申請は2019/4/18に申請も2021/7/27に取り下げ
・本丸整備基本構想は2021/5/6に文化庁に郵送
・石垣保存方針は2022年度中に策定予定と名古屋市
・基礎構造の方針も2022年度中に策定予定と名古屋市
・バリアフリーの方針を「大天守1階まで昇ることを必須」と
 障害者団体の意見を聞かずに決定。
・昇降技術公募開始は2022年度中になるかも。
・上記が決まった後、2022年度中に「解体と復元を一体とした全体計画の策定」の予定と名古屋市
・2022年度中に、石垣保存方針、基礎構造の方針、解体と復元を一体とした全体計画が策定できるか不明。
・2023年度中に文化庁復元検討委員会を開催予定と名古屋市。
 しかし何回検討委員会を開けば許可が出るか全く見通せず
・復元検討委員会の許可がでれば現状変更許可手続きになる
・その後、名古屋市建築審査会で「建築基準法適用除外」をとる必要。
・名古屋市消防長の同意も必要
・現状では名古屋市は全く完成時期が見通せず
・竹中工務店とは暫定的に2024年3月末まで基本協定を延長。
・完成時期が見通せた後、収支計画を出す予定

基本的な事実を踏まえない質問はどれだけやっても無駄です。
また、名古屋市の説明を聞いても、やたら細かく上記についてどこまで市民が理解できるかさっぱりわかりません。

名古屋市が市民への説明を怠ってきたツケが回ってきました。
すでに約70億円税金を使っています。
19/9/2大村愛知県知事は「国、文化庁の許可が下りるめどもないのに100億円の木材を調達して買ってしまった」
「どういう経過をたどって何が起こってこういう事態になったのかという事実関係をしっかり検証して、そして、その事実関係を情報公開をしていただきたい」としています。

名古屋市は約232万人市民全員に対し、今後何千回でも説明し、疑問に答えることが必要ではないでしょうか。
また、2022年末までに木造復元があたかもできるような言説を振りまいてきた河村たかし名古屋市長は、今こそ「全責任は私が取る」を具現化すべきです。
参考:2015/8/24 河村たかし市長「全責任は私が取る」指示書

今後、2022年2月議会に新年度予算として名古屋城関係の予算がいきなり出てくることが予想されます。
市議会に注目です。

22/1/20(木)名古屋城木造復元市民向け説明会「『着実に前進』といえるのか」

22/1/20に名古屋城木造復元市民向け説明会が鶴舞公会堂で開催され、61名が参加しました。
今回も撮影は許可されず、ネット中継もありませんでした。

・22/1/20 名古屋城市民向け説明会
 (名古屋市民オンブズマンによるメモ)
・22/1/20 名古屋城木造復元事業市民向け説明会(質疑応答)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
・配付資料
・【名古屋市公式】令和3年度 名古屋城天守閣木造復元 オンライン市民向け説明会
 
今回も質疑時間が短く、5名しか質問出来ませんでした。
木造復元に賛成している人も「現在どうなっているのか」と強く詰め寄ることが多かったです。

1人目
 質問1:一級建築士が、建築基準法に何重にも違反していると言っている
  →建築審査会の同意を得ればよい
 質問2:消防設備システム評価で「5階窓から避難するのは恐怖で動けないのではないか」といわれた。なぜ市民に知らせない
  →第三者機関で評定・評価いただく
 質問3:御深井丸石垣深刻な状況 どう対応するのか
  →調査終了し、今後検討
 質問4:基礎構造 どうなっている
  →スピード感を持って進めていく
 質問5:バリアフリーはいい案が出なければどうするのか
  →そのとき考える
 質問5:収支計画はいつ出すのか
  →新たな竣工期限が定まり次第考える

2人目
 質問1:今まで市のお金いくら使ったか数字がない
  →天守閣特別会計 令和2年度末までで約70億円
 意見1:白川ホールも潰れ、色々潰れている。リセットして考え直すべき
 
3人目
 意見1:もっと積極的にアピールを
  →解体申請を出したら文化庁から指摘事項をもらった。
   「解体と復元を一体化した申請を」という所見をもらった。
   全体計画を令和4年度中に作成したい
 意見2:櫓や門も再建してはどうか
  →本丸優先だが、全体が江戸ワールドになるようにしたい

4人目
 質問1:石垣がなぜ足を引っ張っているのか
  →本質的な価値があり、整備事業で保存に影響を与えないのが前提
 質問2:名古屋城は入場者数が多いがバリアフリーできるのか
  →技術は公募により広く募りたい
 質問3:熊本城はどうして地震で倒壊しなかったか
  →偶然の要素がありわからない
  
5人目
 質問1:復元検討委員会が最大の山場。
  着実に前進と言えるのか どこを目標にするのか
  →全体計画は来年度いっぱいかけてまとめたい。
  石垣保存方針、基礎構造、バリアフリーもなんとか来年度いっぱいで有識者会議で合意形成したい。
  復元検討委員会は本丸御殿は3回開かれた。
  今回何回か想像もつかない
 要望1:「一日を早く復元」ではなく100年後も愛される施設を作って

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当初河村たかし名古屋市長は「2020年のオリンピックまでに名古屋城を木造復元しよう」といいました。
延びて2022年12月までに竣工する基本協定を竹中工務店と結びましたが、現時点では木材等で約70億円費やしたものの、現天守解体すらできておらず、竣工時期のメドもたっていません。
バリアフリー、基礎構造、石垣すべてにおいて、メドがたっていません。

河村市長の言うがまま、「木造復元事業がすぐにでもできる」と信じてきた人も、ようやくここにきて何か変だと気付いてきたようです。
「なるべく早く木造天守を作って欲しい」といっても、特別史跡内の工事なので、文化庁の許可が無いと釘一本打てないことは当初からわかっていました。

名古屋市がいうように、本当に2022年度中に石垣保存方針、基礎構造、バリアフリーについて有識者と合意ができるのか。
万が一合意できたとして、文化庁復元検討委員会の審査でどのような意見が言われるのか。

市民に十分な説明を怠ってきたツケが回ってきています。

名古屋城木造復元 「昇降技術は火源にならないのか?」

22/1/19に名古屋城木造復元事業市民向け説明会が開催された後、河村たかし名古屋市長のぶら下がり記者会見がありました。

22/1/19 名古屋城市民向け説明会後の河村たかし名古屋市長ぶら下がり
(名古屋市民オンブズマンによるメモ)

河村市長は、名古屋市が動画を一方的に配信していることを「説明会をオンラインでやる」と勘違いしていたことが判明しました。
河村市長は「説明会がオンラインでできると面白いけどね」と前向きな発言をしました。

また、昇降技術について新年度予算に提出する意向を示しましたが、新年度からしか公募できないかと聞かれて市の担当者は「そうなるかもしれない」と回答しました。

記者から、「先程の説明会では、名古屋城の中に火源(かげん、火の元)を一切使わないと説明があったが、昇降技術は火源にならないのか」と質問がありました。
佐治独歩・名古屋城総合事務所長は「まだ現時点で公募も始まっていませんので、どういう技術を採用するかということはお答えできない」としました。
記者は「逆に言うと火源になる提案というのは採用しないということか。エレベーターとか電気使うことになると思うんですけど」と質問し、名古屋城の担当者は「什器のエネルギーを勘案して防災計画を立てている。オーバーしないような制限をかけてバリアフリーの技術を公募しますんで、そういったことにはならないというふうに思います」としました。

記者から「説明資料には、これまでいくら使ったかというお金に関する説明が一つも無かったが」と質問があり、河村市長は「意図的ではない。してもいいんじゃないですか、別に。世界の宝、1000年持つ、無駄使いは1円もしていない」としました。

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現天守閣は、内部エレベーターが途中(7階建ての5階)までは行くことができます。
木造復元天守閣の昇降技術については、河村市長は2021年の市長選挙で『(車椅子の人に)5階で景色を見せてあげる』と言っていました。
しかし、障害者団体と連絡を取ることなく、バリアフリーの方針がいつのまにか「大天守1階まで昇ることを必須とし、可能な限り上層階まで昇ることができる」と変更になりました。

名古屋市は、一般財団法人日本消防設備安全センターから20/1/29に「消防設備システム評価」を取得しています。
しかし、昇降技術については、まだ公募していないため、上記システム評価の対象外です。
・名古屋城天守閣整備事業 消防設備システム評価について(避難誘導システム)
 一部公開決定書
・名古屋城天守閣整備事業 消防設備システム評価について(避難誘導システム)

19/10/31に発生した首里城火災の出火元は分電盤が設置されていた正殿北東部分とみられており、延長コードにショートの痕跡が見られますが、原因は不明です。

昇降技術の公募条件はどのようになるのかわかりませんが、電気を使わないようにするのか。電気を使ったとして火源にならない方法がなにかあるのか不明です。

なお、昇降技術公募とは直接は関係ありませんが、電動車いす(ハンドル型) 走行中に発火・全焼した事例が数件あることが、一般社団法人 日本福祉用具・生活支援用具協会の調査でわかりました。
・一般社団法人 日本福祉用具・生活支援用具協会
 福祉用具の重大製品事故に係る公表(1)(令和4年1月12日)
 ■重大製品事故であって、製品起因が疑われる事故

また、スマホ等で事故が発生した事例は平成22年度から平成26年度までの5年間に合計239件あったことが、独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センターの調査で判明しました。

数百年間の間の技術革新はどうなるかわかりませんが、一切火源を名古屋城天守閣内に入れない、ということが可能なのでしょうか。
消防設備システム評価書の多くが非公開なので、どうなっているかわかりません。

「万が一」の火災の際、どう避難するかは市民に知らせるべきではないでしょうか。
また、火源を城内に入れないための対策は何をするか(手荷物検査、手荷物預かりなど)も知らせるべきだと思います。

ただでもハードルが高い昇降技術公募ですが、火源問題でさらにハードルが高くなりました。
当初の予定通り2021年度中に公募開始できるのか、それとも予算を議会で通した上で来年度以降に公募開始がずれ込むのか。
市議会での議論が注目されます。


22/1/19(水)名古屋城木造復元市民説明会 市「5階想定人数と避難時間 今の段階ではわからないとしか言えない」

22/1/19に名古屋城木造復元事業市民向け説明会が開催され、64名が参加しました。
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
・名古屋市民オンブズマンによる文字起こし(質疑部分)
・配付資料
・【名古屋市公式】令和3年度 名古屋城天守閣木造復元 オンライン市民向け説明会
 
2021/8/4に金メダルをかじった後、年内は対外的公務を自粛していた河村たかし名古屋市長ですが、本日は会場で挨拶しました。
しかしマイクが入っていないのに気付かず、1分程度マイク無しで話し、市職員からの指摘でようやく気付きました。
挨拶は例年通りでしたが、「死ぬ前に木造天守閣に登ってみたい」と締めました。

次に、服部英雄・名古屋城調査研究センター所長が、所長就任3年目にしてはじめて公の場で挨拶し、自らの名古屋城の思い出の後、調査研究センターの最新の研究報告をしました。

続いて、佐治独歩・名古屋城総合事務所長が木造復元事業の進捗状況等を説明しました。

質問時間は30分のみで、1人3分以内とし、結局5名しか質問出来ませんでした。

1人目
 質問1:木材の必要本数は何本か?
  →契約2323本うち2071本調達した
 質問2:最低でも母校から名古屋城が見えるように
  →景観条例がある

2人目
 質問1:去年から今年 なにか進展があったのか
  →文化庁の所見を頂いた 着実に前進していると認識している
 質問2:竹中工務店との技術提案交渉方式はなくなったのか
  →調査で新たな課題が出てきた 反故になったわけではない
  
3人目
 意見1:元々耐震改修と決まっていたのに議会が報酬バーターで
  予算を通した。市民に意見は1回も聞かれていない
  →満足できるかはともかく市民説明会をしてきた
   有識者会議、議会の意見も受け止め、計画に反映させている
     
4人目
 意見1:名古屋城は大阪城に比べて汚い
  →景観を改善したい
 質問1:「大地震で崩壊する可能性がある天守台石垣で支持しない」とは
  →以前は天守台と石垣で天守閣を支えてきた。
   現在の鉄骨鉄筋コンクリートは重いので、内部のケーソンで受け止めている。
   大地震時に石垣が崩れると観覧者に被害が出る
   ケーソン基礎を再利用して木造天守を作るという意味

5人目
 質問1:どうして質問のネット中継をしないのか
  →去年実地でやって喜ばれた。総合的に判断した
   オンラインでも質問は受け付けている
 質問2:松雄局長が「市長主導の復元では決してうまくいかない」とメールした。
  石垣部会赤羽一郎氏は「木造復元に与することはあり得ない」と述べた
  →以前は竣工期限ありきだった
   本丸整備基本構想は全体整備検討会議の合意を得ている
 質問3:石垣部会千田嘉博教授「御深井丸側内堀石垣の状況が悪い。
  クレーン台座を置くのは耐えられない」と発言
  →全体の状況が取りまとまってから対応方法を検討
 質問4:市消防局「地震後火災は検討対象としなくていい」
  阪神大震災を踏まえてもそう言えるか
  →火の元を天守に持ち込ませないことを徹底させたい。
  火の元ない以上出火しようがない。地震でも火災は起きない。
 質問5:「消防設備システム評価」専門委員会から
  「5階窓からはしご車への移動は恐怖で動けないのではないか」指摘
  東側地盤から37メートル、12階建てビル相当の5階での
  滞在想定人数、5階窓からはしご車への移動の人数と時間は  
 →5階の想定人員は入場1時間2500人。
  単純に6フロアで割ると417人。面積按分で100人台。
  防災評定はシステム評価の第三者機関をとった。
  専門家のチェックを受けているので大丈夫と考えている。
  今の段階で人数、時間はわからないとしか言えない。
  
市会から、「想定時間を超えた。コロナ禍でもあるし打ち切りたい」としたところ、なぜか会場から拍手がでました。

河村市長がいつもの最後の挨拶をして終わりました。

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ぶら下がりについては別記事でまとめました。

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天守閣5階からの避難について、なぜか情報公開請求でも非公開です。

・名古屋城天守閣整備事業 消防設備システム評価について(避難誘導システム)
 一部公開決定書
・名古屋城天守閣整備事業 消防設備システム評価について(避難誘導システム)

5階滞在人数もはっきりいわず、はしご車での避難想定人数も述べません。(資料PDF99ページ)
3階-4階は史実にない階段を新たに作る計画ですが、4階-5階は1ヶ所しか階段がなく、屋根を伝ってはしご車で避難する計画のようです。
しかし、具体的に何人避難できるか言えない、というのは2020/1/29に消防設備システム評価書を取得している現在、理解不能です。

会場からも意見があったように、この1年間で進捗がほとんどなく、しかも新年度予算要求も公開されていない以上、意見が極めて言いにくいです。
しかも、全国的に新型コロナウイルス陽性者数が急増し、対面で集まることは避けたいと思う人が多数だと思います。

こんな中、同様に1/20(木)午後6時30分から名古屋市公会堂 大ホールで、1/22(土)午後1時30分から鯱城ホールで市民説明会が行われます。

無理に勧めることはしませんが、関心のある方は参加してみてはどうでしょうか。


名古屋城木造復元市民向け説明会の様子は今回もネット中継せず 

名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所は、22/1/19以降、3回「名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会」を行うと発表しました。
・令和3(2021)年度開催 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会
・令和4(2022)年1月19日(水曜日)午後6時30分から午後8時30分まで
 名古屋能楽堂
 講演者:服部 英雄(歴史)「特別史跡名古屋城跡をめぐる最近の研究課題」
・令和4(2022)年1月20日(木曜日)午後6時30分から午後8時30分まで
 名古屋市公会堂 大ホール
 講演者:原 史彦(歴史)「写真でみる幕末の名古屋城-尾張徳川家14代慶勝の写真術-」
・令和4(2022)年1月22日(土曜日)午後1時30分から午後3時30分まで
 鯱城ホール
 講演者:木村 有作(考古)「特別史跡名古屋城跡 〜文化財の宝庫 名古屋城〜」

撮影はご遠慮いただきたいとのこと。
録音は可能とのこと。

なお、「オンライン説明会」を行うとのこと
名古屋市公式YouTubeチャンネル「まるはっちゅーぶ」1ch(外部リンク)にて動画を掲載します。
ご都合のよい時間にご覧いただけます。
・名古屋市からの説明(30分程度)
名古屋城総合事務所に22/1/17に電話で確認したところ、以下判明しました。
・オンライン説明会は、説明会会場の様子を映すものではない
・説明会会場で使用するパワーポイントを動画化する
・説明会会場と資料は同じ 
・説明会会場では口頭で説明する

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名古屋市は毎年「市民向け説明会」を行ってきていますが、本年度は以前と比べて回数が減少しています。
・2017年度開催 6回 659人
・2018年度開催 6回 419人
・2019年度開催 8回 448人
・2020年度開催 3回 153人

寄附金額は低迷しています。(目標100億円)
2017年度 207,357,485円
2018年度 131,783,050円
2019年度  62,495,813円
2020年度  78,604,761円

2022年度名古屋市予算案は、例年であれば2月中旬に公表されます。(財政局案は1月上旬)
しかしながら、現時点では名古屋城木造復元関連の予算案は
計上されておらず、市民向け説明会で公表されるかどうかは
わかりません。

新型コロナウイルスが全国的に猛威を振るっています。
総額505億円の名古屋城天守閣木造復元事業は、新たな竣工時期どころか、現天守閣解体のめども立っていません。
このまま名古屋城天守閣木造復元事業を進めるべきなのか、それとも別の選択肢があるのか。

大阪市は、いわゆる「大阪都構想」について、YouTube及びZoomを利用したオンライン住民説明会を20/9/30-10/10に実施しました。

横浜市でも、IR推進に関連し、2021年2-3月に市民向けのオンライン説明会を開催しました。

名古屋市民オンブズマンは、21/3/2に「名古屋城木造復元事業市民説明会 ポストコロナ時代の情報発信を求める」を河村たかし名古屋市長宛に郵送しました。

報道によれば、早ければ22/1/19から東海3県に「まん延防止等重点措置」が適用されるとのこと。

過去1年間で、以下が判明しました。
・「消防設備システム評価」専門委員会「5階窓からはしご車への移動は恐怖で動けないのではないか」
・市消防局「地震後火災は検討対象としなくていい」
・バリアフリー国際コンペ 1階までの条件方針
・竹中工務店との基本協定を2024年3月まで延長
・自民市議「文化庁は名古屋城『木造復元を認める方針』を変更した」
・石垣部会委員「大天守対岸石垣が想定より状況が悪く、このままでは木造天守復元工事に耐えられない」
・名古屋市 名古屋城現天守閣解体申請書を「取り下げ」
・名古屋城事務所長が「基礎構造に係る調整会議」に関し部会構成員に送ったメール 肝心の部分が非公開
・朝日新聞「市幹部 名古屋城木造復元『解体と木造化一体化見直しには2年かかる』」
・松雄観光文化交流局長「市長主導の名古屋城木造復元では決してうまくいかないと認識」
・名古屋城天守閣部会委員「天守台石垣表面をすべて修理すると5年くらいかかりそう」
・18/7/9石垣部会と名古屋城事務所、文化庁が東京で打合せ「石垣の修復をまずやらねばならない。工事の後でやるというのはダメ」
・自民市議「名古屋城木造復元がうまくいかない場合、竹中工務店から裁判にならないか心配している」 
・自民名古屋市議「木造復元天守閣に新しい階段を付けたら『復元」ではなく『復元的整備』になると文化庁は明言した」
・名古屋城本丸内堀発掘調査成果公開 学芸員「埋没石垣発見なら名古屋城では初」
・石垣部会 「内堀底から石列遺構が発見され、これまでの『内堀埋立計画』が完全に危うくなった」
・名古屋市「復元建築物が50年で国宝になった例はない」

名古屋市は一方的な動画を流して「オンライン説明会」と名乗るようです。
「市民不在」の名古屋城天守木造復元事業に未来はありません。

22/1/11 名古屋市令和4年度予算財政局査定 名古屋城木造復元関係予算 予算要求計上されず

22/1/11に、名古屋市の「令和4年度予算要求に対する財政局査定内容の公開及び予算要求(追加及び変更分)の内容についてのご意見募集について」が公開されました。
令和4年1月11日(火曜日)から令和4年1月21日(金曜日)まで意見募集中です。

2022年1月11日 名古屋市財政局財政部財政課予算第一係
令和4年度予算要求に対する財政局査定内容の公開及び予算要求(追加及び変更分)の内容についてのご意見募集について

予算編成は、以下の流れで行います。
1)各局からの予算要求
2)財政局査定
3)市長査定

名古屋市は「予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例」に基づき、1)2)の状況を市民に公表した上で意見を募集しています。

令和4年度当初予算要求に引き続き、財政局査定でも名古屋城木造復元関係予算は計上していません。

令和2.3年度も1)2)の意見募集時には計上していませんでしたが、当初予算が公表された際にいきなり名古屋城木材保管費1億円などが計上されていました。
制度の裏を突く名古屋市のやり方では、到底市民は納得できません。

竹中工務店との2022年12月基本協定期限が切れる関係で、実施設計、木材製材等どのような契約にするのかは極めて重要になります。
また、障害者団体が同意するとはとても思えない、バリアフリー国際コンペも、来年度も予算要求する予定とのこと。

なお、前名古屋市会議員の横井利明ブログによれば、市長査定では8億円(一般財源ベース)をめぐる予算の争奪戦があるとのこと。

2022年01月11日 横井利明ブログ
令和4年度予算要求に対する財政局査定内容の公開

8億円で名古屋城関係の予算を全てまかなうのか、それともどうするのか。
市民不在・密室での判断がまもなく下されます。

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現段階で判明している予算要求と財政局査定は以下です。
・名古屋城石垣保存方針策定・学術的分析
 700万円→200万円
・名古屋城所蔵文化財の修理 
 1000万円→0
・金シャチ横丁第二期整備(博物館構想の策定・芝居小屋風
 多目的施設の整備)
 2800万円・1900万円→市長査定で対応を検討


名古屋城木造復元「消防設備システム評価」専門委員会「5階窓からはしご車への移動は恐怖で動けないのではないか」指摘

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城木造復元事業のために一般財団法人日本消防設備安全センター消防設備システム評価委員会が2020年1月に発行した「名古屋城天守閣整備事業 消防設備システム評価について(避難誘導システム)」(2020/1/29に取得)を21/7/16に情報公開請求したところ、21/12/28に一部公開決定がでました。

・名古屋城天守閣整備事業 消防設備システム評価について(避難誘導システム)
 一部公開決定書
・名古屋城天守閣整備事業 消防設備システム評価について(避難誘導システム)
 
非公開理由は以下です。
(第7条第1項第2号)
当該行政文書には、以下の通り株式会社竹中工務店の技術上のノウハウに関する情報が記載されており、当該情報が公開されると、法人の通常有する競争上の利益が損なわれ、同社に「明らかに不利益を与えると認められる」と考えられるため
・防災・避難計画策定に関する情報
名古屋城ほどの大規模な木造の歴史的建築物の復元工事が行われた例はこれまでない。
そのため、大規模な木造建築物の防災・避難計画策定のために、株式会社竹中工務店の技術上のノウハウを生かした独自の手法を用いている。
この情報は他の歴史的建造物の復元にも適用可能なものであるため、公開されると、同業他社が上記ノウハウを模倣することにより、株式会社竹中工務店の競争上の利益が損なわれるものと認められる。

(第7条第1項第3号)
当該行政文書には、木造天守内部に設置された監視カメラの映像の監視と発災時の防災情報の集約と監視等を行う防災拠点の設置場所や人員配備等についての情報が記載されており、当該情報が公開されると悪意ある第三者によって、この防犯・防災機能が阻害され、「人の生命、身体、財産の保護、犯罪の予防、その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある」と考えられるため

なお、一般財団法人日本消防設備安全センター消防設備システム評価委員会委員長及び防災性能評定委員会委員長の氏名も非公開です。

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「竹中工務店の技術上のノウハウ」が記載されているということで内容の多くが非公開ですが、その中でも判明したことがあります。

・大天守収容人員(人)
   算定基準による 避難計算上の想定
 5階  75  417
 4階  157 417
 3階  270 417
 2階  430 417
 1階  413 417
 地階 221 417
(合計)1566人   2502人 (2ページ)
 大天守の最大同時在館人数は2500人を上限とする。
 大天守各階毎の最大在館者人数は、2500人を「各階同一人数」または「各階同在館者密度」で配分した場合の数値を超えないこととする。(6ページ) 
・3階から4階に(史実にない)階段を付加する(3ページ)
・5階 2方向避難確保のため、救助袋式避難ハッチを1ヶ所付加する。(39ページ)

2019年7月17日に開催された専門委員会での質疑も記載されています。
・Q 在館者数2500人は、過去の実績からか。
 A 過去の実績で、天守への入場者数を土日2万人、平日6千人と想定しました。そのうえで滞在時間を1時間と長めに設定し、避難も考慮した上で最大2500人(約0.56人/u)の在館者を設定しました。
・Q 5階だけの人数制限は考えていないのか。
 A 考えています。スリッパを履き替えることで、人数分のスリッパの数以下に制限する等の方法を考えています。
・Q はしご車のバスケットが着くのはどこまでか。
 A 窓には直接は着けられませんが、屋根上の少し離れたところに着くことができます。そのような進入を補助するため、1〜4階には窓付近の外壁に丸環等の手掛り設置を検討しています。   
・Q ■
 A 旧国宝(戦前に指定された国宝の意)建造物の再現であるので、防火区画など、現代建築を前提とした対策は困難です。
・Q 5階から4階へは避難器具が必要ではないか。
 A 避難器具は、通常の避難計画で想定する状況より逃げ遅れた極少数、一部の避難者の最終避難手段として設けられるものと考えられます。
 本計画では、火災を起こさない、起こさせないこと、また、万が一火災が生じたとしても、スプリンクラーによる自動消火と、係員による早期覚知、早期消火を確実に行うことを基本とした計画としています。すなわち、避難器具が必要となる状況がない計画としています。
 なお、階段室内には避難時に歩行が困難になった人も下りられるよう、北階段内各階にEVACチェア等の避難補助具を置く予定です。
・Q 「京都アニメーション」の火災を見て、縦穴区画が脆弱で避難経路が限られていると、大惨事になることがはっきりした。この火災を教訓にいくつか指摘致します。
A 京都アニメーションの火災の教訓はガソリンのような 爆発的に延焼を拡大させる着火源によって放火されると、現代の 建築物でも重大な被害になることだと考えます。
 一方、今回の建物は近世初期に建造された旧国宝の再建であり、伝統的木造建築に採用可能な手法・対策を複合的に組み合わせることを検討いたしました。
 その際、現存する大規模天守である姫路城等を参考にし、それと同等以上の対策を図り安全性を強化する方針です。
・Q スプリンクラーは万能ではないため、消し止められると思うのは間違いである。
 少しでも延焼を遅らせるには、散水継続期間を一般の設備の数倍確保できないか。ふすま、屏風、展示品などで広範囲が燃え始めて、スプリンクラーヘッドがいくつか開放してしまうと、継続期間がどんどん短くなる。
 A ■
・Q 在館人数2500人は多いのではないか。10分の1くらいにするなど検討すべきと思う。
 A 類例の現存天守と比較して少ない人数として上限(2500人)を設定しています。
 ■
・Q 大天守地下避難経路内及び小天守1階で火災が発生した場合に水平引き戸が閉鎖しなかった場合でも安全に待機できる確認がされていないが、確認する必要があるのではないか。
 最低限、留まることが不可能になった場合の避難経路がなければ、避難安全性が確保されているとは言えないものと思料する。
 A ■
 
2019年10月18日に開催された専門委員会での質疑も記載されています。

・委員からの意見
 全体的にソフトウェアに頼りすぎた計画となっている。姫路城では、火災時に一時待機を止むを得ず行う場合もある内容であるが、一時待機を望ましいものとしては、扱っていない。
 申請資料では、5階から4階の階段が使用できない場合ははしご車により救助する計画となっているが、数百人が避難完了するには相当な時間がかかる。5階からの避難をはしご車による救助を前提とすることは厳しいと思われる。
・Q 大天守5階部分の人数制限はどの程度の数か。
 A ■
・Q 4階北階段で出火した場合、5階の来場者が鎮火するまで一時避難する計画は消防的にはあり得ないと思う。
 5階から4階への避難経路を北階段以外に設置を検討すること。
 A ■ ご指摘いただきましたので、持ち帰り検討いたします。
・Q はしご車を使った5階窓の外からの救助のため、丸環にロープを取り付ける他に非常時に取り出せる手摺等は検討できないか。
 A 固定物は銅板の瓦を貫通させて木造の屋根に設置することになり、漏水による屋根下地の腐朽が起こり強度の維持が困難です。
 窓からバスケットまで、避難はしごによる対応を検討します。

2019年12月18日に開催された専門委員会での質疑も記載されています。
・Q 5階と4階には何人くらい入れるのか。4階の南階段への避難者の滞留密度も考慮して降りる場所を選んだのか。
 A 設備編P3-9では、避難計算上の最大人数として417人としているが、5階は運営計画の打ち合わせの中で150人程度に抑えることになると思われる。
 表-3.2.2は、在館者密度を均一した避難計算用の人数です。
 その通りです。
・Q 先日姫路城を見てきたが、天守の窓から屋根の上を歩行して避難するのは、高さや屋根勾配から一般の人には難しいと感じたので、避難はしごは実験により避難時の使い勝手を確認していただきたい。
 A 避難はしごは屋根面で使うため、突子を部分的に取るなどの既製品での対応が難しいので、試作品を作るなどして確認します。
・Q はしご車架梯検討図は、実際にはしご車を入れて検討した結果を基に作成したものか。
 A この図の停車位置の少し手前まで所轄消防署のはしご車を入れてもらい、現在の5階屋根までバスケットが届くことを確認しました。
 なお、図のはしご車後方のアウトトリガー張り出し部分は、現在
 現天守閣1階に入るための外部エレベーター棟がある。木造復元時には基礎を残し解体撤去するので、その部分までははしご車が進入できるという前提での検討図です。
・Q 5階屋根面の救助活動用の避難はしごについては、使い勝手について実験していただきたい。
 A 避難はしごは試作品を作り確認します。
 現天守閣の屋根を使って検証できるように解体工事の直前等に計画します。

2020年1月17日に開催された専門委員会での質疑も記載されています。
・Q 防災計画の前提条件にある入館者数を担保する手段はいかがか。
 A 全体の人数制限は小天守入り口での管理等により行う。各階の人数は階段の係員が誘導時に数をカウントする。
 設計火源は、建物自体が展示物で、基本的に展示物はなく、可燃物はふすま程度です。
 持込荷物は靴だけにする等、極力少なくする予定。
・Q 5階窓からはしご車ヘの移動は、屋根上の避難はしごを補助に使っても、高所の恐怖で動けないのではないか。
 避難者の心理面を考慮しておくことが必要である。
 A 5階屋根の上の移動は、避難者単独の避難ではなく、公設消防隊による救助になり、屋根上の避難はしご、窓下の丸環とロープの使用による安全確保は名古屋市消防の指導を受けて整理していく。
・Q オリジナルでは勾配が急な階段だが、実施案ではモディファイするのか。
 A ■ 階段は史実に忠実に造るが、実物大模型での歩行実験で安全性確認を行ったので、結果を踏まえて、手摺を付加するなど安全対策もする。
・Q 2つの階段は一方通行で行うのか。在館者管理が重要であり、各階の在館者数を把握する手段を検討した方が良いが、離れた階段では人数管理が難しいのでは。
 A 各階の階段の一方通行は検討中だが、通常は南階段から昇って、北階段から降りる計画です。
 4階から5階の管理は特に重要と考えており、5階用スリッパ履き替え等で5階在館者数管理を行うこととしている。
 一方通行とする場合は、南北の各階段に配置した係員が連携して5階在館者管理および非常時の誘導を行えるよう、各係員間の連絡手段や連携要領を検討する。

また、2019/1/21に一般財団法人日本建築センターが評定した「評定書」「評価報告書」も添付されていました。
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名古屋市と市消防局との協議の情報公開請求で以下判明しています。

竹中工務店は「建築審査課より、大天守、小天守は建築としても別棟として取り扱い、それぞれ石垣の天端を地盤面とし高さを判定すると判断いただいた。その結果、大天守の軒高さは31m未満となり、避難バルコニー不要と考えるがよいか」としたところ、市消防局予防部指導課建築係の鵜飼主任は「よろしい」としました。
また、竹中工務店は「日本建築センターとの事前打合の中で、地震後火災は委員会での検討の対象としない方針で良いか」と問い合わせがあったとし、鵜飼主任は「地震後火災は検討対象としなくて良い」としました。
今回開示された「名古屋城天守閣整備事業 消防設備システム評価について(避難誘導システム)」でも、避難バルコニーは記載されていませんし、地震後火災は検討対象とされていません。

大天守東面の地盤から大天守5階床まで高さ37.683m(12階建てビルに相当)
東北隅堀底から大天守5階床まで高さ45.987mあります。(15階建てビルに相当)
大天守1階床でも12.506m、20.810mあります。

火災時に大天守5階に75人(算定基準による)、417人(避難計算上の想定)がいるものの、救助袋を使ったり、避難はしごを使い屋根を伝ってはしご車のバスケットで避難する、という計画です。

しかも、現時点では外部エレベーターが設置されており、現天守閣で実際にはしご車を使った避難実験をすることはできません。

名古屋市は消防設備システム評価書を取得しましたが、専門委員会から複数の指摘を受けています。
回答が黒塗り、指摘が黒塗りの部分も多数あります。
全てを市民に公開し、火災時の危険性を十分に知らせた上で、本当にこのまま天守閣復元を進めるべきなのか、もう一度市民に問うべきではないでしょうか。

なお、消防に関して詳しい人がいれば、上記資料を読んで気付いた点などをお教え下さい。
office@ombudsman.jp

また、天守閣木造復元を楽しみにしている方に、「史実にない3階から4階への階段を付加する」ことで消防設備システム評価を取得したこと。5階から4階には避難するための救助袋が設置される予定であること。火災時は堀底から約46メートルある屋根を伝ってはしご車で避難する計画であることを知った上で、それでも天守閣木造復元を望むのか聞いてみたいです。

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なお、2018年7月19日に開催された天守閣部会配付資料では、1時間2500人来城者の計算で在館者密度を均一にすると、最上階には136人と試算されています。

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※今回の開示で、白黒133枚、カラー100枚、合計6330円の費用がかかっております。
ぜひともカンパをお願い致します。
情報公開請求してコピーを入手するのも、情報公開訴訟をするのも、費用がかかります。
名古屋市民オンブズマンは、会費とカンパのみで活動しております。
今後ともご支援頂けますと幸いです。

《郵便振替口座》 口座番号 00870−9−105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
《ゆうちょ銀行》 当座 〇八九店 105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ

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今後の予定

・22/1/19(水)午後6時30分から午後8時30分
 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会 @名古屋能楽堂
 講演者:服部 英雄「特別史跡名古屋城跡をめぐる最近の研究課題」
・22/1/20(木)午後6時30分から午後8時30分
 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会 @名古屋市公会堂 大ホール
 講演者:原 史彦「写真でみる幕末の名古屋城-尾張徳川家14代慶勝の写真術-」
・22/1/22(土)午後1時30分から午後3時30分
 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会 @鯱城ホール
講演者:木村 有作「特別史跡名古屋城跡 〜文化財の宝庫 名古屋城〜」
・22/2/16(水)午前10時〜 
 名古屋城文化庁訪問時面談記録情報公開訴訟 @名古屋地裁1101法廷
・22/2/22(火)午後6時半〜 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」学習会
 「建築士が読み解く!名古屋市が作成した「幻」の名古屋城現天守耐震改修案」
 @北生涯学習センター
 講師 建築士の渡邉正之様
・22/3/25(金)午後1時15分
 名古屋城基本設計住民訴訟 判決 @名古屋高等裁判所10階法廷


名古屋城 基礎構造検討調整会議 議事録作成せず 配付資料多くが非公開

名古屋市民オンブズマンは、21/9/9に開催された「名古屋城木造天守基礎構造に係る調整会議(第2回)」の議事録、配付資料を情報公開請求したところ、議論の内容がわかるものは「作成又は取得しておらず不存在」、配付資料も「市民等から名古屋市や有識者会議構成員等に問合せ・苦情等が寄せられ」「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」「事務の公正又は適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」があるとして非公開でした。
21/6/27に開催された第1回会議の主な意見についても配付資料に入っていましたが、内容は非公開でした。

なお、天守木造基礎構造に係る検討スケジュール(案)があり、木造天守基礎構造の方針を確定するのは2022年12月末頃とのことです。

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市民に対して情報をひた隠しにする名古屋市。建築費だけで505億円もかかる事業で、情報を非公開にすると到底賛同は得られません。

名古屋市はすでに平成28年度〜令和元年度で69億6800万円余予算を支出しています。
市民にあらゆる情報を公開した上で、このまま木造復元事業を進めた方がよいのか、そうでない道があるのかをきちんと議論すべきです。


名古屋城木造復元事業 名古屋市と竹中工務店は24年3月末まで暫定的に協定延長

名古屋市民オンブズマンは、名古屋市と竹中工務店が21/11/18に結んだ、名古屋城天守閣木造復元事業の完成期限を2024年3月末と暫定的に定めた「名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書に係る覚書」を情報公開請求で入手しました。

・21/11/18 名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書に係る覚書

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名古屋市は、竹中工務店と2017/5/9に「名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書」を結び、完成期限を2022年12月末と定めました。

しかしながら、2019/8/29に河村たかし名古屋市長は2022年末復元完成を断念と発表しました。

今回、ようやく基本協定書を見直して2024年3月末と暫定的に定めました。

今回の「覚書」では、「現時点で現天守閣解体と木造復元を一体とした現状変更許可の取得に至っていない」ことを認めています。
完成期限について「必要に応じて見直しの協議を行う」、事業期間については「天守閣の完成時期が確定したときにあわせて変更を行う」としています。

なお、協定に基づく各契約は、あらためて契約を延長して、債務負担行為について議会の議決を経る必要があります。
・実施設計 22/3/25まで
・木材の製材 22/12/16まで
・昇降に関する新技術の公募支援業務委託 22/3/24まで


21/12/15(水)名古屋城情報公開訴訟WEB弁論準備 

名古屋市民オンブズマンが原告の、名古屋城木造復元事業に関する情報公開訴訟のWEB弁論準備が21/12/15に行われました。
原告の名古屋市民オンブズマンは、準備書面(3)を提出しました。
次回までに被告名古屋市側が反論し、原告側も再反論します。
次回弁論は22/2/16(水)午前10時に名古屋地裁1101法廷で行います。久しぶりの弁論です。ぜひ傍聴をお願い致します。

なお、情報公開訴訟の結果、593ページ中562ページの黒塗りが90ページまで減りました。

・2018/8/30  593ページ中562ページ黒塗り
   
・2019/5/31 68箇所 151ページ黒塗り
 
・2020/2/3 67箇所 151ページ黒塗り
 
・2021/9/16 60箇所黒塗り 90ページ
 

名古屋城木造復元 松雄局長発言に対する文化庁の文書回答 不存在

名古屋市民オンブズマンは、21/1/8名古屋城跡全体整備検討会議での松雄局長発言に対する文化庁の文書回答を名古屋市に情報公開請求しましたが、「取得しておらず、不存在」でした。

・2021年1月8日の全体整備検討会議松雄局長発言「名古屋市と密接に連携するために、木造復元に係る諸課題を調整するためのパイプ役として来年度も名古屋城からの職員派遣を受ける内諾をしてもらった」に対する文化庁「名古屋市からの実務経験者を受け入れているからといって、名古屋市に対して忖度などはありえない。まして木造復元の調整のためという趣旨は一切無い」旨の文書回答
・2021年1月8日の全体整備検討会議松雄局長発言「名古屋市から資料の提出があれば、なるべく早い時期に文化審議会で議題として審議するという文化庁の意向」に対する、文化庁「名古屋市が文化審議会に資料を提出したいと言えば、宿題が途中であっても復元の資料が概要であっても拒否は出来ない。中途半端な資料では文化審議会を通るはずもなく、再検討して返すという意味」旨の文書回答。

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令和 3 年 1 月 8 日(金)13:00〜14:30
特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第 36 回)議事録
松雄局長あいさつ
今週の 6 日水曜日に、文化庁の鍋島文化財第二課長、山下主任調査官、吉野課長補佐と私とで、意見交換を持つ機会がありました。その際、まず私どもが天守閣の木造復元を進めているということを、文化庁にも適宜ご報告しており、その状況については、文化庁としてもよく認識している、とのことでした。現在進めている、現天守閣解体申請に係る文化庁からの指摘事項に対する市の考え方については、有識者の方々とよく詰め、まとまり次第、本年 4 月早々にも文化庁へ提出したいと考えています。文化庁としては、市から提出があり次第、なるべく早い機会に文化審議会に報告、審議していきたいとのことでした。あわせて文化庁からは、市とは今後密接に連携して、特別史跡の保存、活用等を進めていきたいとの意向であり、全体整備検討会議等の市の有識者会議にも、主任調査官の予定がつけば派遣するなど、引き続き助言していきたいとのことでもありました。
市としては、国の文化行政の修得や、現在進めている現天守閣解体および天守閣の木造復元の係る諸課題を調整するためのパイプ役として、来年度も文化庁へ市の職員を派遣することについて、文化庁の内諾を得ています。文化庁との関係を維持すべく、引き続き尽力していきたいと考えています。

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名古屋市 令和 3年  2月 定例会 03月08日−05号
◆(浅井正仁君) 
 松雄局長は、今年1月8日の全体整備検討会議の挨拶で、鍋島文化財第二課長、山下主任文化財調査官、吉野課長補佐と意見交換をした際、名古屋市と密接に連携するために、木造復元に係る諸課題を調整するためのパイプ役として、来年度も名古屋城からの職員派遣を受ける内諾をしてもらったと発言されています。
 しかし、この発言が思わぬ反響を呼び、文化庁は一体何を考えているのか、文化庁の公式見解を聞いてくれないかといった電話が来ました。文化庁の対応に不信感を抱く事態になってはいけないと思い、私は−−そのときの資料がこれですけれども−−まず一つ目、先ほどの全体会議で局長が挨拶した文書を入手し、そして、衆議院議員の工藤彰三衆議院議員から文化庁長官宛てに、この資料を作成し、そして、工藤彰三衆議院議員のほうから、丹羽秀樹文部科学副大臣のほうへ持っていってもらい、丹羽秀樹副大臣のほうから文化庁に届けられた。これによって正式な文書を頂いてまいりました。
 しかしながら、返ってきたときには、その上に、名古屋市会議員浅井正仁、衆議院議員工藤彰三(代理)と書いてありますので、多分、私が質問したことは文化庁も知っていたと思います。
 そこで、文化庁の回答はこうです。現在、文化庁では、全国の自治体から5名の実務経験者を受け入れています。名古屋市から受け入れている小村拓也氏が記念物・建造物などを担当しているからといって、名古屋市に対して忖度などはあり得ません。まして、木造復元の調整のためという趣旨は一切ありません。
 松雄局長、これはあなたが内諾を得たと言った鍋島文化財第二課長と山下主任文化財調査官が、わざわざ工藤代議士のところまで出向かれて回答したものです。つまり、松雄局長の発言は真っ赤なうそ。そして、このうそが元で、自治体職員を文化庁に派遣すればパイプにできると多くの人に誤解を与え、文化庁にまで多大な迷惑をかけた。鍋島文化財第二課長と山下主任文化財調査官は、私たちの名前を出して松雄局長の発言を完全に否定していただいて結構ですとまで言われたそうです。この真っ赤なうそで多くの人が迷惑をした。これは信用失墜行為に当たるのではないでしょうか。
 さらに松雄局長は、挨拶の中で、名古屋市から資料の提出があれば、なるべく早い時期に文化審議会で議題として審議するという文化庁の意向ですとも挨拶で言われています。この文化庁の発言の真意についても、文化庁長官宛て文書で正式に聞いており、鍋島文化財第二課長と山下主任文化財調査官により、回答をいただいております。
 名古屋市から文化審議会に資料を出したいと言われれば拒めない。文化審議会は毎月開催なので、4月に提出があれば5月の文化審議会で議題にするということだけです。当然、提出された資料に問題があれば、再検討として返します。なお、解体と復元の申請をセットで提出することが条件だと言われております。
 簡単に言えば、名古屋市が文化審議会に資料を提出したいと言えば、宿題が途中であっても、復元の資料が概要であっても、拒否はできません。文化審議会で審議をするけど、中途半端な資料では文化審議会を通るはずもなく、再検討として返すという意味です。
 つまり、松雄局長は、再検討として返されることを百も承知で、あえて中途半端な資料を文化審議会に提出しようとしているということになります。本来ならば、資料が整ってから解体と復元をセットで提出するべきものを、なぜ文化庁の条件を無視して、追加提出という無駄なプロセスをあえてする必要があるのか。これは、名古屋市民や名古屋市議会に木造復元が進んでいるように思わせたいから、要は木造復元が前進していると錯覚させることが目的ではないでしょうか。つまり、資料が出されたら文化審議会の議題として受けざるを得ないという文化庁のルールを利用して、審議されたから前進したと言いたいだけということです。

名古屋城木造復元事業 市消防局「地震後火災は検討対象としなくていい」

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城木造復元事業に関して、名古屋城総合事務所と名古屋市住宅都市局建築審査課、名古屋市消防局予防部指導課建築係と竹中工務店が協議をした際の議事録を情報公開請求して一部公開されました。

・名古屋城天守閣復元事業の件で、2018/2/9に名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所が名古屋市住宅都市局建築審査課と協議した内容がわかるものとして
(1)打合記録簿
・名古屋城天守閣復元事業の件で、2017/5/30-2018/3/19に名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所が消防局と協議した内容がわかるものとして
(2)打合記録簿

それぞれの専門的立場から法的に詰めています。
気づいた点を挙げました。ほかにあればお教えください。
office@ombudsman.jp

竹中工務店は「建築審査課より、大天守、小天守は建築としても別棟として取り扱い、それぞれ石垣の天端を地盤面とし高さを判定すると判断いただいた。その結果、大天守の軒高さは31m未満となり、避難バルコニー不要と考えるがよいか」としたところ、市消防局予防部指導課建築係の鵜飼主任は「よろしい」としました。
また、竹中工務店は「日本建築センターとの事前打合の中で、地震後火災は委員会での検討の対象としない方針で良いか」と問い合わせがあったとし、鵜飼主任は「地震後火災は検討対象としなくて良い」としました。
竹中工務店は、「火災時の避難にも使えるようなエレベータの仕様について、非常用エレベータ以外に消防として何か基準はないか」としましたが、建築係の鵜飼主任は「エレベータの仕様は建築基準法で定めているので、消防の方にはない。
あっても防火や電気系統の仕様など非常用エレベータに準じたものになるのではないか」としました。

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これらは、以前2018/4/2に情報公開請求したところすべて内容が非公開でした。
配付資料についても今回あらためて情報公開請求しましたが、開示文書としては開示されませんでした。
上記で述べたような専門的なことについて、もっと早い段階で市民が知っていたら、名古屋城木造復元事業に対する目も異なっていたのではないでしょうか。

市消防局「地震後火災は検討対象としなくていい」といっていますが、本当にそれで大丈夫でしょうか。
名古屋市中消防署は、以下パンフレットを作っています。
Q6.阪神淡路大震災で発生した建物の火災で、最も出火件数が多かったのはいつ?
答え: 3 停電が復旧し、電気が通じた時

そもそも、大天守の高さは、石垣が19.5m、本体が36.1mの55.6m。
軒高さは石垣天端から考えると30.221mと31m未満ですが、石垣がたちあがる地上面から考えると31mを大幅に上回ります。
避難バルコニーが必要ではないでしょうか。

また、非常時のためにも非常用エレベータを設置すべきではないのでしょうか。
今からでも使える論点が多くあります。ぜひご活用ください。

21/12/10 名古屋城跡全体整備検討会議座長「搦手馬出石垣を解体して内部に現代工法をいろいろ入れても『真正性が保てる』とはどういう意味か」

21/12/10に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第46回)が開催されました。写真・ビデオの撮影等は今回もマスコミ・傍聴者は禁止されました。

・21/12/10 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第46回) 配付資料

・21/12/10 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第46回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 
はじめに、松雄俊憲・観光文化交流局長が「約3年間観光文化交流局長を務めてきたが、21/12/16から副市長に拝命されることとなった。
名古屋城木造復元事業については、文化庁指摘事項、石列毀損事故の対応で有識者の皆様に大変ご指導を頂いた。
副市長になっても引き続き木造復元事業に取りくむ。
石垣保存方針、基礎構造、バリアフリーなど懸案はあるが、来年度末目途に復元原案を取りまとめたい」と挨拶して退席しました。

議題としては、今回も名古屋城木造復元事業については一言も触れませんでした。

議題は二之丸庭園整備計画、本丸搦手馬出周辺石垣の修復についてです。

2004年度から解体を始めた本丸搦手馬出周辺石垣ですが、2018年度にようやく解体を終え、2022年度から2026年度にかけて積み直しを行う予定です。
現在石垣・埋蔵文化財部会で詳細な検討を行っており、積み直し基本方針を策定中ですが、過去7か月、全体整備検討会議に報告してなかったため、中間報告を行いました。

その中で、地震時の安全性確保のため、「ジオテキスタイル」と呼ばれる現代工法を用いて石垣を安定させる方針が示されました。

三浦正幸・広島大学名誉教授は「安全性を高めるため、裏込層でジオテキスタイルを入れる方針とのこと。実験では有効だと聞いた。
ジオテキスタイルの耐久年数を教えてほしい」としたところ、名古屋城総合事務所は「材料の選定まで進んでいない。今後耐用年数を調べて報告する」としました。
三浦名誉教授は「有機物は石より寿命が短い。20−30年程度なら気休めにしかすぎない。石垣は100年単位の寿命。入れることに反対するわけではないが、ずっと安全と誤解しては困る」としました。

座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「『真正性が保てる』とあるが、石垣を解体していろいろ入れる方針だ。
どういう意味か。『真正性』という言葉が安易に使われているのではないか。これだけ新しい工法を付け加えても、『真正性』という場合もあるのか」としました。
名古屋城総合事務所の鈴木昌哉保存整備室長は「材料的には置き換わるため、その面で言えば伝統的なものはない。
石垣の全体的な工法では、形状的なものは記録を再現したいので、それを『真正性を確保したい』と述べている」としました。
瀬口座長は「『私たちがこう思う』ではなく、ユネスコの定義があるので、基準を変えてはいけない。
定義からすれば、ここでは使えないのではないか。これが通るならなんでも世界遺産が通ってしまう」としました。

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「オーセンティシティ(真正性 Authenticity)に関する奈良ドキュメント」は、文化財の価値と信憑性をより客観的に評価するために、保全に関連する文化的多様性と文化遺産をより広く理解する必要性に対処する文書です。

「世界遺産条約履行のための作業指針」では以下述べています。
文化遺産の種類、その文化的文脈によって一様ではないが、資産の文化的価値(登録推薦の根拠として提示される価値基準)が、下に示すような多様な属性における表現において真実かつ信用性を有する場合に、真正性の条件を満たしていると考えられ得る。
・形状、意匠
・材料、材質
・用途、機能
・伝統、技能、管理体制
・位置、セッティング
・言語その他の無形遺産
・精神、感性
・その他の内部要素、外部要素

搦手馬出石垣は修復後、来城者が石垣の上に登って観覧する予定です。
地震時の安全性を確保する必要があります。

現在名古屋城木造復元事業を名古屋市が強引に進めようとしていますが、地震時の安全性を確保する必要があります。
そうすると、本丸搦手馬出周辺石垣と同様、真正性の議論が出てくるのではないでしょうか。

天守閣木造復元事業について、地震時の安全性を確保して進めるということを、名古屋市民がどこまで理解しているのでしょうか。


21/12/9 名古屋城木造化基本設計等住民訴訟 証人尋問採用せず結審 名古屋高裁

21/12/9に、「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」が原告となった、名古屋城天守閣木造復元事業基本設計費の返還等を求める住民訴訟の高裁第5回口頭弁論が名古屋高裁民事1部で行われ、原告側が申し出た高橋和生一級建築士の証人尋問は採用せず、結審しました。
判決は22/3/25(金)13:15 名古屋高裁1001号法廷です。

今回裁判長が松村徹裁判官に交代しました。
原告は弁護士を付けず本人訴訟で行ってきました。
原告は準備書面4を提出しました。
松村裁判長は「原告の主張は出尽くしたと思う」とした上で、「証人尋問は必要を認めないため採用せず」としました。
松村裁判長は、市側代理人弁護士に対し、原告への反論があるかと聞き、市側代理人弁護士は「過去の主張で反論しつくしている。書面を出すとすれば、過去の主張のどこで反論しているかを指摘するのみ」とし、弁論終結でよいとしました。

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2018/12/17提訴から丸3年。
基本設計費8億4693万6千円の返還を求めた住民訴訟です。
その後も名古屋市は事業を進め、2022年3月末までに、木材で39億3744万円、実施設計で11億4091万5941円支払う契約です。
しかしながら、2021年12月現在、木造復元事業の竣工時期が全く見通せないどころか、現天守解体申請のメドすら立っていません。バリアフリー国際公募も、新たな基礎構造もメドがたっていません。
既に購入した木材の保管費は年間9000万円です。

多分偶然ですが、実施設計契約は住民訴訟判決日の22/3/25で切れます。
名古屋市は、実施設計契約延長をはかるため、債務負担行為を新たに定めて議会にはかる必要があります。
名古屋市は「契約期間の定めをしない債務負担行為」を2021年11月議会に提出しようとして、市議会の猛反発で撤回に追い込まれました。
2022年2月議会には必ず何らかの債務負担行為を名古屋市は提出してくるでしょう。
債務負担行為を議会が認めなければ、実施設計契約は終了し名古屋城木造復元事業は事実上ストップします。

運命の2022年3月25日まであと106日。
木造復元事業に費やした59億2529万1941円について、名古屋市議会、裁判所はどう判断するのか。
一瞬も目が離せません。

参考:2015/8/24 河村たかし市長「全責任は私が取る」指示書
 

【重要】名古屋城木造復元事業 市住宅都市局建築審査課・消防局との協議時配布資料 住宅都市局も消防局も廃棄済

名古屋市民オンブズマンは、2018/3/2-2020/2/4に名古屋城天守閣復元事業の件で、名古屋城総合事務所と名古屋市住宅都市局建築審査課、名古屋市消防局と協議した際の配付資料を情報公開請求したところ、住宅都市局も消防局も「保存期間を過ぎており不存在」という決定が出ました。
・市住宅都市局建築指導部建築審査課
・市消防局予防部規制課

名古屋市民オンブズマンは、上記期間中の協議内容がわかるものと配付資料を名古屋城総合事務所に情報公開請求したところ、協議内容がわかるものは一部開示されました。
・開示決定書
・住宅都市局建築審査課と協議した内容がわかるもの
・消防局と協議した内容がわかるもの

しかしながら、「打合議事録」に記載のあった「配付資料」について開示されなかったため、全て特定してあらためて名古屋城総合事務所に情報公開請求したところ、「保存期間を事務処理上必要な1年未満の期間」と設定しているため、廃棄処理が完了し不存在決定がでました。

「廃棄済」であれば、市の検討が正しかったのか判断できません。

21/12/2(木)名古屋城木造復元事業契約専決処分議会報告漏れ 民主市議「議会軽視ともとれる非常に重たい事態」

21/12/2に名古屋市会経済水道委員会で付議議案に対する質疑が行われました。

21/12/2名古屋市会経済水道委員会(名古屋城関係分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

その後、うえぞの晋介市議(民主・西区)から名古屋城天守閣整備事業先行工事請負契約の契約金額の変更に関する専決処分について質疑の許可が求められ、委員長は許可しました。

・令和3年11月18日提出 名古屋市長 河村たかし
 令和3年報告第54号 工事請負契約の契約金額の変更に関する専決処分について

・名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)変更契約書 (R2.3.26)
・名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)変更契約書(R3.3.31)
 
大島総務課長は「今回の契約変更が専決処分の行為に該当するとの認識に至らなかったことから、報告がされないままとなった」としました。
また、局長・部長級1名が文書訓戒、課長級以下7名が口頭厳重注意とした理由として、「毎年毎年度、状況に合わせてその都度丁寧に契約変更を行ってきたものの専決処分の認識を欠き、議会報告を遅延したことで、議会との信頼関係を損なう事態となった」としました。

うえぞの市議は「二度と起こってはいけない。平成29年2月定例会の委員会で、自民・民進・公明の3会派共同で附帯決議をあげた。議会への報告漏れについて、議会軽視ともとれる非常に重い事態であると捉えている。今後、再発防止策を徹底して行い、しっかり進めていただきたい」としました。

委員長の渡辺義郎市議(自民・北区)は「今後このようなことのないよう、きちっとした姿勢で臨んでいただきますようお願いする」としました。


21/11/30(火)名古屋城木造化 バリアフリー国際コンペ 自民市議「1階までの条件で文化庁が許可するのか。世界標準に適応するのか」

21/11/30に名古屋市会本会議が開催され、名古屋城天守閣木造復元事業に関して、浅井正仁市議(自民)が市当局に対して厳しい指摘と質問をしました。

21/11/30 名古屋市議会本会議 文字起こし(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

浅井市議の第1回目の質問と答弁
1)石垣部会から、天守閣石垣の対面側石垣の状態が非常に悪く、内堀を軽量盛り土で埋め立ててクレーン設置する工法は絶望的になったと指摘された。
2)バリアフリーに関し、松雄局長は「障害者団体の代表と密に協議」したと答弁したが、そんなことは聞いたことが無い
 →松雄局長「同じ内容を各団体に個別に行ったものを全て含んだもの。多くの意見交換ができる状態にまでなってきたとの思いで答弁した
3)所管事務調査で、バリアフリーコンペは「1階までが新技術の最低要件」と説明された。いつ方針を変えたのか。
 エレベーターでもいいという方針に変えたのか。 
 →松雄局長「現状は車椅子の方が見える眺望は1階フロアまで。平成30年5月に定めた『付加技術の方針』では、可能な限り上層階まで登ることができるように目指し、現状よりも天守閣の素晴らしさや眺望を楽しめることを保証するとしている。
 内部エレベーターは11人乗りだと柱・梁を傷めるので設置しない。
 外部エレベーターも外観を損なうから設置しない。
 公募は特定の技術を排除しない。公募の審査基準作成には意見を反映している。
 名古屋市障害者団体連絡会のような全体会議には、令和3年度はこれからだが、令和元年度に3回、令和2年度に1回説明した。」
4)松雄局長が萩生田大臣のところに行って何を言われたか
 →松雄局長「21/9/24に市長と広沢副市長の了解をとって上京した。
  メモを取ってないが、大臣から『バリアフリー対応しっかり取り組んで。イレギュラーなことはせず、文化財行政の手順に従って着実に進めて欲しい』と言われた」
  
浅井市議の第2回目の質問と答弁
1)回数について「思いを答弁」とはどういうことか。
 議事録があるのは3回のみ。あと147回の議事録はどこへ。
 基礎構造と同じ状況だ。石垣部会と合意しなかったから、跳ね出し工法を見直すことになり、いまだに決まらない。
 バリアフリー国際コンペも障害者団体と合意しないと結局後戻りになる。
2)条件が1階までとはどういうことか。
 2階〜5階はオプション。1階までなら2億6000万円。 
 上限が4億3000万円。こんな博打のような世界公募があるか。
 河村市長は市長選挙で『5階で景色を見せてあげる』と言ってた。
 1階の窓には格子がついている。1階のバリアフリーで文化庁が許可するのか、世界標準に適応するのか。 
 当初は『条件が厳しいから世界公募にかける』と言っていた。なぜハードルが下がるのか。
 5階までに変えないと、障害者の人も納得しない」
 →河村市長「バリアフリー法は合理的配慮を要求している。
  現在、車椅子の方が外を眺望できるのは1階なので最低の要求水準を1階とした。
  広く提案を募り、5階までバリアフリー対応できる昇降技術を求めていく。」
3)観光文化交流局は実質的に期限のない債務負担を補正予算として提出しようとしていた。
 反省するどころか、今後、いちいち議会に報告しなくて済むよう、債務負担にしてしまえという乱暴な発想。
 言い換えれば、木造復元が完成するまで議会は口を出すな。白紙委任状を渡せと、議会に言ってるようなもの。
 私は債務負担が絶対に駄目だとは言っていない。
 木造復元の完成時期が明確になったら債務負担にすればいい。
 議会が債務負担を認めたら、今後は契約の見直しすら議会が口を出せなくなる。
 名古屋市に前例のない債務負担を出そうとしたのか、またなぜ提出を断念したのか。
 さらには、今回断念した補正予算を来年2月の議会に再度提出する考えを持っているのか
 →河村市長「実施設計と木工事の契約期限が迫っていて、基本協定の完成期限を暫定的に延長する覚書を21/11/18に竹中工務店と交わした。
 債務負担行為の期限は天守閣の完成までとすることにした。
 今回の補正予算は事前の調整に時間を要したため、追加上程を目指したが、専決処分報告漏れ、重要で難しい案件について検討時間を設けることが困難なため、上程を見送った。
 実施設計と木工事については契約期限の変更を担保する債務負担行為設定が必ず必要となる。
 2月定例会で上程をお願いしたいと考えている。」

浅井市議の第3回目の質問と答弁
1)松雄局長は萩生田大臣と会った翌日に藤田自民党市議団団長に会って「正面から正々とをやりなさい。」つまり、小細工せずにやりなさいという趣旨の発言があったと聞いている。
 文化財に忖度はない。名古屋城は全ての文化財好きの方、全ての日本中の学芸員が注目している
2)「期限の定めのない債務負担」という考え方は、議会の権限を大きく害するもの。次の議員のメンバーが「なぜ議論出来ないのか」といわれかねない。
 文化庁が「木造はダメ」と言ったときどうするつもりなのか。
3)バリアフリーの国際コンペ。
 竹中工務店は当初4人乗りエレベーターを提案した。今回の国際コンペで4人乗りエレベーターを提案したら竹中の案は受けるのか
 →松雄局長「4人乗りだと介助者が入れないので採用できない。
 少なくとも車椅子の人と介助者が乗れる昇降装置ができないか。かつ柱と梁を傷めずできないかとチャレンジしていきたい」

浅井市議の第4回目の発言
1)補正で「期限のない債務負担」を認めたら議論ができない。名古屋市の行政をチェックするのが議員の役目。
 松雄局長は文部科学大臣から「イレギュラーなことはするな」といわれた。
 松雄局長は、団長に姑息な事はしないと伝えた。しかしこの予算の出し方はイレギュラー。
 工事で「完成時期まで」という債務負担行為はないのでは。これがイレギュラーで姑息。
 市長は選挙戦で「5階まで連れて行く。同じ景色を見せる」とあれだけ言った。
 →叫ぶものあり 
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「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」が19/1/7に日弁連人権擁護委員会に提出した「人権救済申立書」によれば、「これまで5階までは利用できていたにもかかわらず,エレベーターのない新天守閣が作られれば1階以外の利用はできないこととなり,新天守閣が車いすを利用する身体障害者の
権利をより制限することとなるのは明らかである。」としています。

浅井市議がバリアフリー国際コンペで「1階までの条件で文化庁が許可するのか。世界標準に適応するのか」と問うても答弁がありませんでした。

また、「実質的に期限のない債務負担を補正予算として提出する」ことに対し、前例等詳しい人がいればお教え下さい。 
office@ombudsman.jp
・総務省
 問 実施期間の考え方は(契約年数に制限はあるのか)
 答 契約期間は予算における債務負担行為の範囲内で定める必要があります。
 地方に関しては、債務負担行為の上限について法律上の制限はありませんので、各地方公共団体の予算において債務負担行為を定め、議会の議決を経た上で、その範囲内で契約期間を定めることとなります。
 問 債務負担行為の議決時期は
 答 1.地方公共団体が債務を負担する行為をするには、予算で債務負担行為として定めておかなければなりません(地方自治法第214条)。
 2.したがって、債務を負担する行為である複数年度契約の締結が成立する時点、すなわち契約の応諾に当たる落札者の決定の時点で、執行中の予算上、債務負担行為が認められている必要があります。
・自治総研通算399号 2012年1月号 佐藤英善 早稲田大学名誉教授
 債務負担行為と歳入歳出予算の法的関係
 債務負担行為の設定は、その対象事項、期間および限度額を定めて行う
・総務省 普通地方公共団体の予算の調整の様式等について
  備考 1 期間及び限度額の欄には、年度ごとに当該年度の限度額を記載すること。ただし、その性質上年度ごとの限度額の明らかでないものは、その総額を記載することができる。
  2 限度額の金額表示の困難なものについては、当該欄に文言で記載することができること。
・クリエイティブ房総 第86号 
 自治体判例情報 伊藤綜合法律事務所 弁護士 伊藤 義文
 違法な債務負担行為に基づく支出命令の違法性
 債務負担行為そのものが無効と判断されるのは、どのような場合でしょうか。
 「市の判断に裁量権の範囲の著しい逸脱又は濫用があり、本件委託契約を無効としなければ地方自治法2条14項、地方財政法4条1項の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められるという場合」(最二小判平成20年1月18日・民集62巻1号1頁)
 
名古屋市はバリアフリー国際コンペに関して、2022年3月までに公募開始しようとしています。
その場合も、追加予算を市議会に提出する必要があります。

また、実施設計契約は22/3/25までです。木材の製材は22/12/16までです。
・名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託 変更概要書(R3.3.26)
・名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)変更契約書(R3.3.31)

名古屋市は2022年2月議会で、実施設計契約、木材の製材の延長に関して何らかの予算を提出してくるでしょう。
市議会は「期限の定めのない債務負担」なる奇手を認めるのか。
仮に期限を定めてあっても、木造復元の完成の目処が全くたっていない現時点で契約延長を認めるのか。
市議会の動きから目が離せません。


名古屋市庁内会議「名古屋城木造復元天守バリアフリー検討会議」議事録作成せず

名古屋市の副市長、局長級で構成する庁内会議「名古屋城木造復元天守バリアフリー検討会議」が21/11/8に開催されましたが、その出席者、会議の内容がわかるもの、録音について情報公開請求したところ「請求に係る行政文書を作成又は取得しておらず、不存在であるため、非公開とします」との決定が21/11/25に出ました。
配付資料は一部公開されました。

名古屋市は、「市長又は副市長をトップとし、各局室長等で構成される会議」について、「庁内会議の公表に関する指針」に基づき、会議の概要及び会議資料を公表することになっています。

過去に開催された庁内会議の会議概要(開催結果)は市WEBページに掲載されています。
「名古屋城天守閣整備検討会議」「名古屋城木造復元天守バリアフリー対策検討会議」についても概要が掲載されています。

今後名古屋市は作成するつもりかどうかは不明です。

名古屋市は、19/1/25に「庁内会議の公表にかかる調査結果について」を発表し、庁内会議として公開の対象となる47会議中、開催があった32会議のなかで、全ての公表資料が公表されている会議は14、一部の公表にとどまった会議は6、全ての公表資料が公表されていない会議は12ありました。

情報公開は市長のやる気が最もあらわれます。
自分たちで決めた「指針」に基づく公表すら行ってなかった名古屋市。
「政策形成過程の情報」こそ最も重要であることを、市長以下わかっていなかったのではないかと思います。

21/11/25 名古屋市 松雄俊憲観光文化交流局長を副市長として提案

名古屋市は、松雄俊憲・観光文化交流局長を副市長として議会に提案しました。

令和3年11月25日 名古屋市議会運営委員会・協議事項

松雄観光文化交流局長は、これまで河村たかし・名古屋市長の名を受け、名古屋城木造復元に邁進してきました。
議会同意案件なので、議会がどのような判断をするのか注目です。

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以下松雄局長語録

・19/8/5松雄局長「名古屋市は木造復元をやりたい。穴蔵調査を最終的にやりたい。ご理解頂けないか」
 千田嘉博・奈良大学教授「穴蔵調査は木造天守閣が耐えられるか調査するために必要。でも文化庁に別のうその理由で発掘調査を申請するのは認められない。名古屋市の方針はわかるが、文化庁の現状変更許可を取ってから、大いに議論をする。」

・19/9/18 浅井正仁市議(自民)「6月議会の際、松雄局長が『観光文化交流局と石垣部会の意見が相違があれば石垣部会の委員はやめていただく』と発言した。
 9月議会の際、松雄局長『ある大物国会議員で頼んであるからうまくいく。名前は市長に聞いてくれ』と言われた」

・19/9/18 松雄局長「文化庁も将来的な木造復元の方針があるならば、本来解体と復元は一体として申請されることが望ましいと考えているとのこと」

・19/9/25 松雄局長「技術提案交渉方式は2022年12月という期限がある。どれくらい延ばすことができれば、技術提案交渉方式の範囲内で収まるのかは難しい問題。弁護士からは『10年は長すぎる。MAXでも5年のなかというスケジュール感を持っている」
 渡辺義郎市議(自民)「石垣部会との関係をどう修復される気か」
 松雄局長「私の不穏当な発言もあり、希望通りにいくということはまいらんだろうと考える。私も含めて謝罪をさせて頂き、関係を一から構築する以外にないと考える。市長トップに関係を修復したい」

・19/12/7 市民向け説明会 会場「松雄局長は人の命の大切さを知らない」
 →松雄局長「国民の生命と財産を守るのが私ども公務員しての最大の使命。人の命を軽視する、あるいは人権をないがしろにする、それは絶対に認めないといったような姿勢」

・19/10/3 松雄局長「名古屋城天守閣木造化について、新たな竣工時期として2027年を目指すとは言っていない。基本協定の有効性が保持出来る期間として概ね5年程度ではないかと弁護士から言われたと言った。」

・20/3/20 松雄局長 外構工事石列毀損について「委員の先生方は、この問題についていろいろ言いたいことがあると思う。一切言い訳はしない。検討して対処方法を出したい。」

・20/5/14 松雄局長「これまでは工期ありきで、無理に無理を重ねてきた。まず審議会の中で、この手順でよいかを把握し、安全なものに全力を挙げていきたい。市民にわかりやすく説明をし、ご理解頂きながら進んでいきたい」

・20/9/18 松雄局長「基礎構造は、この事業の中で最も重要な部分であり、その確定までには相当の期間を要すると考えておりますことから、現時点では具体的な検討案をお示しすることはできません。」

・20/10/7 松雄局長「事務方としては工程を積み上げると2028年10月と出たとした。なかなか読めない部分がある。
 1)2022年の基本協定の有効性をしっかりするには市として竣工時期をさだめないといけない。
 2)総務省から505億円の観光その他債の起債を認めてもらった。収支を合わせた形で収支計画を出さないといけない。市としての竣工時期を決めたあとに、もう一度収支の状況を総務省に出す必要がある。

・20/12/17 松雄局長「2020年10月に起こした2件の毀損について『名古屋城総合事務所としては毀損事案ではないと認識しているが、いったん毀損届を出すと行政として決めたのなら、法に基づき期限内に提出すべきだったと反省している。」

・21/1/8 松雄局長「名古屋市と密接に連携するために、木造復元に係る諸課題を調整するためのパイプ役として来年度も名古屋城からの職員派遣を受ける内諾をしてもらった」と発言。
 文化庁「名古屋市からの実務経験者を受け入れているからといって、名古屋市に対して忖度などはありえない。まして木造復元の調整のためという趣旨は一切無い」。

・21/2/19 松雄局長 石垣部会の赤羽一郎氏に送付したメール
 「一昨年4月に観光文化交流局長を拝命し、その年の6月までは市長の主導の名古屋城木造復元を実現しようと思っておりました。
 この(市長の)やり方では決してうまくいかないことを認識し、市長との公約としての木造復元ではなく行政ベースの木造復元に大きく舵を切っており、その進め方として、従来に戻ることは私がいる限りありません。」

・21/6/28 名古屋城現天守閣解体申請書を取り下げるかという質問
 松雄局長「取り下げます、市長と相談します」→「取り下げます」→「出し直す」→「見直す」→『取り下げは致しません』
 
・21/7/27 松雄局長が文化庁訪問時、名古屋城現天守閣解体申請書を「一旦返却してもらった」と強弁

・21/9中旬 浅井正仁市議(自民)「経済界の重鎮から『松雄局長から、木造復元を妨害しているのは自民党』と言われたと聞いた。」

・21/9/27 松雄局長が文部科学省文部科学大臣室を訪問時 復命書に会った相手が記載なし。内容も極めて簡易


名古屋城木造化 令和2年度末 木材の製材変更契約書開示

名古屋市民オンブズマンは、名古屋市が専決処分(2,003,400円減額)した名古屋城木造化に関する木材の製材変更契約書を情報公開請求して開示されました。

・名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)変更契約書(R3.3.31)

変更後 94億4988万9840円
工期 平成30年7月4日から令和4年12月16日まで

なお、請負代金の支払いの限度額は以下の通りです。
平成30年度 21億9600万円
令和元年度 15億2737万円
令和2年度    9007万円
令和3年度  1億2400万円
令和4年度  55億1244万9840円

令和3年度末までの支払い限度額は39億3744万円となります。

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市長が専決処分した際は、議会に報告することが定められています。
しかしながら、令和元年度末と令和2年度末について

市議会に報告がなされていませんでした。

市議会に報告がなされなければ、市民も知りようがありません。

なお、木材保管費は年間9000万円とのこと。

約94.5億の木材製材費用のうち、すでに約39億使ったとみるのか、まだ55億は使っていないとみるのか。

いずれにせよ、天守閣復元のめどはたっていない以上、名古屋市は22/12/16までの木材の製材契約を延長する意向でしょう。

市議会はこのまま変更契約を承認するのか。それとも契約延長を認めないのか。
市議会委員会の答弁でも下山市民経済局名古屋城総合事務所長(当時)が認めたとおり、補正予算、工事契約の際に議会に諮り、議会のチェック機能が果たせるのです。

◯平成28年3月17日 名古屋市会経済水道委員会
https://ssp.kaigiroku.net/tenant/nagoya/SpTop.html

◆斉藤副委員長 どの時点で、これはやっぱり2020年7月にできないんじゃないかという議会がそう思うとき、また、執行部さんはどう思われるかわからぬですけど、ちょっとその中で思った場合、どこでチェック機能が果たせる、どういった段階でこの2020年7月、交渉・提案方式が2020年7月のところがちょっと難しいんではないかというところは、どの時点で議会のチェック機能が果たせるんでしょうか。
◎下山市民経済局名古屋城総合事務所長 議案ということで、補正予算の議案もありますし、今おっしゃられた特別会計の設置の条例、そういった部分もございますし、そういうようなお諮りをする機会ということでございます。
◆斉藤副委員長 ということは、2回そこでいろいろな諸条件が整い次第、また議会のほうに報告をまたそうやって議案として出てくるということは、議会の総意でまた決定していくことでしょうけども、2回あるというふうで理解して、これでいいんですね。
◎寺本市民経済局名古屋城総合事務所整備室主幹 委員おっしゃるとおりでございます。

21/11/25(木) 名古屋城木造復元「基本協定を2024年3月まで延長で竹中工務店と合意」と朝日新聞報道

21/11/25朝日新聞朝刊で、「名古屋城の木造天守、完成まで竹中工務店 協定延長、名古屋市と合意」との記事が掲載されました。
 
記事の概要は以下の通りです。
 ・完成時期は見通せないが、暫定的に2024年3月末に延ばす覚書を交わして基本協定延長
 ・翌年以降も覚書で1年ずつ暫定延長 完成時期が固まるまで続けることで合意
 ・総事業費の上限は505億円のまま維持
 ・関連予算案を11月市議会に提出予定

現時点では予算案は11月市議会に提出されていません。
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2017/5/9に、名古屋市と竹中工務店は「天守閣の完成期限は2022年12月まで」とする基本協定を結びました。

第13条6項で「優先交渉権者は、自らの努力のみでは合理的に事業期間又は天守閣の完成期限を遵守することができない場合、発注者と協議する」とあります。

19/10/3松雄観光文化交流局長は「基本協定の有効性が保持出来る期間として概ね5年程度ではないかと弁護士から言われた」としています。 
しかしながら、竣工期限の延長について、弁護士の見解1として「裁判官によって判断は変わる。ただし10年は厳しいと思われる」としていました。

しかしながら、21/11/9名古屋市会経済水道委員会で、「当初と前提が変わった場合には、例えば、1年毎に基本協定の効力が維持されていることを確認し、必要に応じて見直しを行い、有効性を相互に確認ができていれば、基本協定は有効なものとして維持できる」と弁護士見解が変わっています。

第13条7項で「発注者は、前項の協議を行った場合には、協議の過程及び結果について公表することができる」とあります。

あまりにも不透明な基本協定延長。
全ての情報を公開した上で、基本協定を延長した方がよいのか。他の道があるのか、その場合費用はどうなるのか。

名古屋城木造復元事業ほど、実現可能性がなく、今後の見通しがなく、契約もデタラメな事業を知りません。
名古屋市と竹中工務店だけで基本協定延長という重大事を決めるという議会・市民無視はとても許すことができません。

今後も基本協定延長については注目していきたいです。


名古屋城木造化 文化庁への復命書・添付資料にバリアフリー公募書類案

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城木造化に関して21/11/1に名古屋城総合事務所所長ら6名が文化庁に出張した際の復命書を情報公開請求して開示されました。
21/6/18に文化審議会文化財分科会から出された「特別史跡名古屋城跡の現状変更(天守閣解体)について」(所見)も開示されました。

文化庁は渋谷主任調査官、浅野調査官が対応しました。

名古屋市は現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項における引き続き調査・検討を要する事項について説明しました。
また、木造復元に係る課題の検討状況等について説明しました。

その中で、「名古屋城天守閣整備事業におけるバリアフリー整備の検討状況について」という書面が出ており、「公募の審査基準に関するワークショップを実施し、貴重なご意見を戴き、審査基準に反映している」と記載がありました。
また、バリアフリー検討会議を3回開催し、親身にご意見を頂いているとしています。
「『柱、梁を傷めないこととし、階層間の床を一部取り外すことは可逆的であるので許容できる』との考え方をいただいており、垂直に昇降する設備であれば、障害者の方々が理解される可能性が十分にあるとの意見もいただいています」としています。

さらに、基本計画書の構成についても説明しました。

いずれも、文化庁の意見については記載がありませんでした。

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19/8/20.21に、「名古屋城木造天守閣の昇降新技術公募に関する審査基準作成のワークショップ」を開催しましたが、名古屋市は広く広報しなかったため、2日間で6名の参加に留まりました。

また、「バリアフリー検討会議」は19/10/24に開催された第3回会議以降、2年間開かれていません。

もっと問題なのは、2018年に障害者団体がハンガーストライキ、約20000筆の署名、抗議文の提出などを行って以降、「丁寧な説明と意見聴取を頻繁に行っ」たにも関わらず、有識者が「理解される可能性が十分にある」と意見を出しただけで、「障害者団体に理解された」となっていないことです。

いつのまにか「本公募では、大天守1階への昇降ができることを必須条件とする」と後退しています。
これらは「バリアフリー検討会議」に諮ったのでしょうか。
障害者団体に「丁寧な説明と意見聴取を頻繁に行った」のでしょうか。

「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」が19/1/7に日弁連人権擁護委員会に提出した「人権救済申立書」によれば、「これまで5階までは利用できていたにもかかわらず,エレベーターのない新天守閣が作られれば1階以外の利用はできないこととなり,新天守閣が車いすを利用する身体障害者の
権利をより制限することとなるのは明らかである。」としています。

障害者団体がとても容認できない公募条件を出して公募するのか。
新たに公募に必要な予算を議会は認めるのか。
果たして公募条件を満たす業者はあらわれるのか。
仮に業者があらわれたとして、障害者団体の猛抗議にどう対応するのか。
そもそも文化庁が現天守解体・木造復元を認めるのか。
国土交通省がバリアフリー新技術を認めるのか。
愛知県「人にやさしい街づくりの推進に関する条例」に適合するのか。

バリアフリーに関しては、今年度内に公募を開始するとのこと。
新たな企業を巻き込んでより泥沼になるより、名古屋市はもう一度関係者ときちんと話した方がよいのではないでしょうか。

名古屋城木造化 名古屋市観光文化交流局長 文部科学省訪問時の復命書に訪問した相手、内容記載せず

21/9/27に名古屋市職員が文部科学省文部科学大臣室を訪問し、文部科学大臣への挨拶及び事務方との意見交換をした際の復命書と持参資料を名古屋市民オンブズマンが情報公開請求したところ、復命書にはなぜか松雄俊憲・名古屋市観光文化交流局長の名前しかなく、しかも会った相手が記載されていませんでいた。
内容も「文部科学省文部科学大臣室を訪問し、名古屋城天守閣整備事業にかかる現状説明を行った。」としか記載されていませんでした。
持参資料は開示されませんでした。

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21/11/9に開催された名古屋市会経済水道委員会で、中里高之市議(自民・緑区)は以下述べています。
・21/11/9 名古屋市会経済水道委員会
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
中里高之(自民・緑区):前にはもっと言うと、これ言っていいかどうかわからんですけども、松雄局長と9月の末にね、当時、萩生田文部科学大臣だったんですけども、大臣とこに一緒に行かしていただきました。で、名古屋城のことをよくお願いをしました。
そん中でちょっと気になったもんですから、大臣室に文化庁のね、この木造化をする担当のトップだとか、そのNo.2 No.3ぐらいみんな来てましたよ。その中でね、もう私大臣室だったもんですから、言ったんですよ。
邪魔しておるやつが、文化庁に居るらしいなって。そしたらね、大臣も言ってくれましたよ、そんなこやっとるんかって言って。
滅相もございませんって時代みたいな話だったよ。
文科省は、名古屋城を木造化については、しっかりと名古屋と話し合って前向きに進めていきたいって言い切りましたよね。
で、萩生田大臣もそのときにね、俺もしっかり応援するし、次の大臣になってもちゃんと引き続きやるからなって言ってくれました。それは松雄局長も聞いて見える話です。
で、もっと言うと、もう今、萩生田さん変わったんですけども、この前名古屋で当選をさせていただいたうちの選挙区なんですけども、池田佳隆って、文部科学副大臣ですよ、これもいいチャンスじゃないですか。
で、大臣は池田文部科学副大臣の同じ派閥の先輩ですよ。いくらでももう話は行ってます。
今朝も、池田副大臣と私、話をしてね、こういう所管事務調査があるけども、また一つよろしくなっていうお話をしてきました。ぜひ、場合によっては東京に来て、いろいろと話をしたいなという意見までも交わしました。
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中里高之市議の発言の真偽が名古屋市の公文書で確認できないことになります。
それどころか、復命書は「名古屋市長 河村たかし」あてに出すものなので、市長へ文書での報告がされていないということです。

名古屋市は「名古屋市職員の公正な職務の執行の確保に関する条例」で、要望等を全件記録することになっています。

今回、中里市議の言うとおりであれば、文部科学省、文化庁に対して「要望」を行っています。
文部科学省・文化庁に「要望」の記録があるかはまだ確認していませんが、同様の「要望」がもし名古屋市宛にあれば、条例に基づき記録することになるでしょう。
今回、少なくとも名古屋市職員が出張した際の復命書にしては記載があまりにも少ないのではないでしょうか。

名古屋市令和4年度当初予算要求に名古屋城木造復元関係計上せず

名古屋市は21/11/19に「予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例」に基づき「令和4年度予算要求内容の公開」を行いました。
21/11/19(金)から21/12/20(月)まで意見募集中です。

令和4年度当初予算要求に名古屋城木造復元関係予算は計上していません。

令和2.3年度も意見募集時には計上していませんでしたが、当初予算が公表された際にいきなり名古屋城木材保管費1億円などが計上されていました。

制度の裏を突いて、市民の意見をまともに聞かない名古屋市。
例年12月-1月に市民説明会がありますが、市民への予算計上を公表しない以上、市民からの意見も出ることはなく、回答もしなくてよいことになります。

竹中工務店との2022年12月基本協定期限が切れる関係で、実施設計、木材製材等どのような契約にするのかは極めて重要になります。
また、障害者団体が同意するとはとても思えない、バリアフリー国際コンペも、来年度も予算要求する予定とのこと。
現天守解体についても、大天守北対岸にある、御深井丸側内堀石垣は調査の結果「予想以上に状況が悪く、当初の計画のように内堀を埋めてクレーン台座を置くのはとても耐えられない。」(千田嘉博・奈良大学教授)としています。

天守閣完成期限のメドもなく、完成するかどうか極めて怪しい名古屋城天守閣木造復元事業。
市民の意見を聞かずに強引に予算計上するのか、それとも。
どうなろうが名古屋市の傷は極めて大きいです。

21/11/19 名古屋城木材製材金額変更専決処分 ようやく議会に報告

名古屋市が名古屋城天守閣木造化に関する木材製材契約の金額の変更について、専決処分を行ったにも関わらず議会に報告していなかった件で、21/11/18にようやく報告しました。
現在は、94億4988万9840円となっています。

・令和3年11月18日提出 名古屋市長 河村たかし
 令和3年報告第54号 工事請負契約の契約金額の変更に関する専決処分について
 

名古屋城御深井丸側内堀石垣 石垣部会でスクリーンに投影された資料開示

21/10/29に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会で、御深井丸側内堀石垣についてスクリーンに投影された資料が開示されました。

部会構成員の千田嘉博・奈良大学教授は「御深井丸側内堀石垣調査の速報値を見たところ、想定より状況が悪い。内堀を埋めてクレーン台座を置くのはとても耐えられない。もし天守木造を行う場合、現在検討をしている工事の工法をとるのは絶望的になったのではないか」と述べました。

また、天守台西側石垣調査、東側石垣調査の速報版も開示されました。

・21/10/29特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第45回)
 配付資料
・21/10/29特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第45回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ

【重要】名古屋城木造復元事業 市住宅都市局建築審査課・消防局との協議時配布資料 廃棄済

名古屋市民オンブズマンは、2018/3/2-2020/2/4に名古屋城天守閣復元事業の件で、名古屋城総合事務所と名古屋市住宅都市局建築審査課、名古屋市消防局と協議した際の配付資料を情報公開請求したところ、「保存期間を事務処理上必要な1年未満の期間」と設定しているため、廃棄処理が完了し不存在決定がでました。

名古屋市民オンブズマンは、上記期間中の協議内容がわかるものと配付資料を情報公開請求したところ、協議内容がわかるものは一部開示されました。
・開示決定書
・住宅都市局建築審査課と協議した内容がわかるもの
・消防局と協議した内容がわかるもの

しかしながら、「打合議事録」に記載のあった「配付資料」について開示されなかったため、今回全て特定してあらためて情報公開請求しました。
「廃棄済」であれば、市の検討が正しかったのか判断できません。

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名古屋市住宅都市局建築審査課と協議した際の配布資料
2018/3/2分
・前回議事録
・富岡製糸場西置繭所の素屋根 見学施設資料
・法第85条第2項、施行令第147条で除外される法文
・建築法規チェック図

名古屋市消防局と協議した際の配布資料
2018/4/25分
・BCJ4/9第3回部会議事録・部会配付資料
・H300105消防設備安全センター議事録
・はしご車検討図

2018/5/30分
・安全センター打合記録(H30.3.29付消防庁報道資料「外国人来訪者や障害者等が利用する施設における災害情報の伝達及び避難誘導に関するガイドライン」の公表

2018/6/13分
・5/23安全センター打合記録訂正版、建築センター打合記録+配付資料
・天守東側消防活動空地検討図
・大天守4・5階消火栓設置検討図
・消防法チェックリスト

2018/7/12分
・安全センター打合記録(7/4)
・システム評価資料目次案
・BCJ第5回部会指摘事項回答書(7/4打合記録)

2018/8/1分
・システム評価資料集(8/1)

2018/9/12分
[能美防災より・]火災予防検知システムパンフレット2種類、
・火災予兆センサ特例システムについて、
・型式承認について
[竹中より]・BCJ議事録(第6回部会ドラフト)、橋台平・立面図

2018/9/26分
[竹中より]・小天守避難計画案、橋台・大小天守閣立面図

2018/10/16分
・消防隊進入口配置位置案
・18/10/15BCJ部会資料

2018/11/7分
・消防隊進入口配置位置案(改)
・18/10/15BCJ第7回部会指摘事項回答書
・18/10/29BCJ本委員会指摘事項回答書
・防災計画書最終版案

2018/12/12分
・システム評価資料案

2019/1/23分
・安全センター打合記録(H31/1/8)
・指摘回答(案)
・システム評価資料(改定版)
・消火栓・アラーム弁室配置図(案)、配置ラフパース(案)

2019/6/3分
・BCJ評価書
・「各設備の作動シーケンス」訂正
・安全センター打合記録19.02.26
・避難誘導シナリオ質疑回答書
・安全センター指摘回答
・「避難誘導シナリオ(各階配置)」
・コミニカインターホンカタログ抜粋
・「外部の避難誘導」
・システム評価資料「設備編」「建築編」

2019/7/31分
・「質疑事項及び回答内容(名古屋城天守閣の避難誘導システム)」
・スプリンクラー打合せ図

2019/9/11分
・「質疑事項及び回答内容(名古屋城天守閣の避難誘導システム)」(別添資料、追加資料)

2019/11/27分
・10/18システム評価専門委員会指摘事項・回答案
・上記回答添付資料案

2020/1/14分
・システム評価親委員会用資料[設備編][建築編]

2020/2/4分
・第37回消防システム評価委員会議事録(案)
・名古屋城天守閣整備事業 消防設備システム評価について(以下、評価書案)

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なお、名古屋市住宅都市局建築審査課との2018/2/9分、名古屋市消防局との2017/5/30-2018/3/19分について以前情報公開請求したところ、協議内容はすべて非公開になりました。

今回あらためて情報公開請求したところ、21/12/10まで延長になりました。

21/11/12 名古屋城天守木造復元事業木材製材変更契約 専決処分を議会に報告せず河村市長謝罪

21/11/12の名古屋市議会運営委員会で、河村たかし名古屋市長は名古屋城天守木造復元事業の木材製材変更契約2件について、専決処分を議会に報告しなかったとして謝罪しました。

21/11/12 名古屋市議会議会運営委員会 配付資料

名古屋市議会運営委員会はネット中継していません。
傍聴は新型コロナの関係で3名までしか認められていません。
傍聴してきましたが、河村市長はマスク越しにぼそぼそ話すだけで、詳細がわかりませんでした。
また、配布資料にも「1 補正予算に関する専決処分について」としか記載されていませんでした。
議会運営委員会委員からは特に質問はありませんでした。

補正予算に関する専決処分についての資料(議案)は、21/11/19にならないと市民に公開されないとのこと。

名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所保存整備室の荒井敦徳主幹に、議会運営委員会終了後電話で詳細を問い合わせました。
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天守閣整備事業の先行工事である、「木材の製材」については、平成30年7月に市議会で議決をして、契約した。

その後、以下2回契約を変更した。
・令和元年度末 令和2年3月26日 3,506,760円減額
・令和2年度末 令和3年3月31日
  
本来であれば金額変更契約については、議会の議決がいる。
しかし、金額が小さい場合は専決処分により変更契約を行い、その上で議会に報告することが定められている。

今回専決処分を行ったが、その後の議会への報告がなされていなかった。
議会の報告は地方自治法180条は「いつやらないといけない」とは書いていない。
即座に法律違反ではないが、専決処分を行った以降速やかに議会に報告するのが普通。
市長が市議会への報告がなされていなかったことに対して謝罪した。


21/11/9 自民市議「文化庁は名古屋城『木造復元を認める方針』を変更した。竹中工務店の3大技術提案は否定された」

21/11/9に名古屋市会経済水道委員会が開催されました。

・21/11/9 名古屋市会経済水道委員会配付資料
 名古屋城における天守閣整備事業について

・21/11/9 名古屋市会経済水道委員会
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

・21/11/9 名古屋市会経済水道委員会 (動画)

・文化審議会文化財分科会の所見(要旨)

・現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答

江上博之市議(共産・中川区)は、石垣保存方針が今年の夏に出される予定だったが遅れている理由を聞きました。
村木誠・名古屋城調査研究センター副所長は「文化庁からはまず宿題として残っておる調査について、文化庁に報告すること、そして石垣の保存方針については、追加の宿題を返す際に、合わせて提出するようにと指示、指導があった。
来年の3月までに調査を終えてそれを取りまとめて、来年5月の文化審議会を目指して石垣保存方針を取りまとめたい。
穴蔵石垣の根石周りについては、今年度中に状況が明らかになる予定。穴蔵石垣については、現天守閣がある状態ではすべて把握するのは極めて困難。必要があれば、現天守閣解体後にあらためて再検討したい。
御深井丸側石垣については、年内に取りまとめたい」としました。

江上市議は「御深井丸側石垣について、石垣部会からどんな発言があったのか」質問しました。
村木副所長は「宮武構成員から、石垣が極めて深刻な状況であって、この後の工事と切り離して石垣単体として保全できるかを真剣に検討すべきである。
千田構成員からは、@文化財としての石垣をどのように保全するかの対策が必要であること。Aこの後に計画している天守閣整備の工事計画について、現在の工法取ることは絶望的ではないか、Bその危ない石垣の上面が来場者の動線となっていることが正しい判断か と発言があった」としました。

江上市議は「バリアフリーについては大天守1階まででいいと読めるが」と質問しました。
梅田木造天守閣昇降技術開発担当主幹は「現在は外部エレベーターが大天守1階まで続いている。
また、内部は地下1階から1階までできることを確認したい。木造高層建築物のハードルを上げてしまうと応募者が減ってしまうのではないかと考えている。今後の技術開発によってはより上層階の昇降が可能になると考えている」としました。

江上市議は「短期間で作るために技術提案交渉方式を採用し、当初250−400億円を想定していたが税抜き460億円となった。
メリットはなくなった、基本協定の原点がおかしくなったのではないか」と質問しました。
高田主幹は「早くやるという面もあるが、発注者が最適な仕様を設定できない場合をクリアするためのもの。完成期限は延長は弁護士の見解でもプロポーザルの有効性は確保されていると考えている」としました。

岡本やすひろ市議(民主・緑区)は「バリアフリー技術公募は具体的にいつ始まるのか」と質問しました。
梅田主幹は「公募開始から選定までで約9ヶ月、その後契約協議に約3ヶ月、昇降技術の開発の契約まで約1年を想定している。できれば今年度中早いうちに公募開始できればと考えている」としました。
松雄観光文化交流局長も「私が大臣に会った際、開口一番に『名古屋市さん、バリアフリーの問題はしっかりやってくださいね』と言われた。予算の確保をお願いした腕、年明けにも公募ができるよう準備を進めたい」としました。

浅井正仁市議(自民・中川区)は「私は木造復元に大賛成。この2-3年ずっと質問させていただいている。
全体計画の中で、現状変更許可手続きまでの手順のイメージがある。
解体と復元を一体とした全体性格を策定するとあるが、その前に石垣保存方針、基礎構造、バリアフリーなど、重要かつ難しい課題がたくさんある。本当に作成されるのか」と質問しました。
荒川主幹は「いずれも重要かつ難しい課題。全力で取りまとめたい。令和4年度末までに全体計画を策定したい」としました。

浅井市議は「今までの答弁を聞く限り、石垣保全方針も順調、基礎構造もまあまあ順調、バリアフリーも出すばっか。木造復元はすべて順調に聞こえる。
しかし今日の資料に2021年10月29日の石垣部会の内容が載っていない。すごいことを言われていると思う。
議員の委員の皆さんは知っているのか。何のための所管事務調査かがわからない。
村木さんは3点と言われたがそうじゃない。御深井丸の内堀石垣について、石垣内部が破断している濃尾地震時の修復箇所が変になっている。内堀を埋めてクレーンを置く工法は絶望的とまで言われている。でさらにもう一点。天守閣対面側石垣の傷みが激しく、観光客の通路として使っていることすら危険だとまで言われている。皆さん、これ聞いてどう思うか。学芸員としてどう思うか」としました。
村木副所長は「深刻な状況だと認識している。専門の石積み技術者の方に加わっていただき現況を丁寧に把握している。急いで取りまとめたい」としました。

浅井市議は「石垣部会から衝撃的な指摘を受けているが、今年度中に石垣保全方針をまとめるとの合意がいえるのか」としました。
村木副所長は「調査自体は先生方のご指導を受けながら進めている。調査結果を共有して合意形成に努めたい」としました。
浅井市議は「資料に『影響は軽微であり、計画が適切だとの合意を得た』とある。石垣の上を歩くことすら危険、内堀埋める工法は絶望的と言われても適正との合意を得たと言えるのか」としました。

また、浅井市議は「調整会議は本当に合意できている段階なのか」確認しました。
荒井主幹は「6月に1回目、9月2に2回目を行った。穴蔵試掘調査を始めており、それに基づき検討していく」としました。

浅井市議は「僕が本会議で跳ね出し架構について動いたと自負している。2年たっても結論が出ていない。
使う見込みもない予算は提出すべきではない。議会で、木造復元が認められるまでの予算は執行はしないよう付帯決議がされた。架空の話で予算を出されても難しい」としました。

浅井市議は「バリアフリーは大天守1階まで上ることを必須とははじめてきいた。エレベーターは提案することができるのか」としました。
梅田主幹は「エレベーター技術を排除はしていない。柱や梁を痛めない、史実に忠実なら導入の可能性があると考える」としました。

浅井市議は「最初の竹中提案でよいのではないのか」としました。
梅田主幹は「竹中提案は4人乗りで、小型の車いす1台しか乗れない。障害者団体との意見交換を踏まえると、ちょっとだめではないかということで、今回公募することにした」としました。

浅井市議は「局長が、150回意見交換を行ったと発言したが、何が合意されたのか。どんな団体が何を言ったか」質問しました。
梅田主幹は「経緯、復元状況を説明した。エレベーター設置を望む考えは変えていただいていないので、一定程度ご理解いただけるような昇降技術を求めていきたいと説明している」としました。
浅井市議は「エレベーターに近いものなら障害者はいいといったのか」と質問したところ、梅田主幹は「はっきりと伝えてもらっているわけではない。個別の意見は出すのは難しい」としました。

浅井市議は「昨年6月に問い合わせた際、『復元検討委員会に諮られる見通しが立った段階で速やかに公募を開始する』と答えをいただいた。今の段階では開催される見通しは分からない。だったら復元検討委員会の開催時期にあわせて遅れるという理解でいいのではないか」としました。
梅田主幹は「解体と復元の一体的な全体計画に、バリアフリーの方針も反映する必要があるので、公募開始していく必要があると考える」としました。
佐治所長は「復元検討委員会の開催時期を待っていると間に合わないので方針を転換した」としました。
浅井市議は「国際コンペの結果が障害者団体に受け入れられなかったらやり直す、再考すると佐治所長は言った。6億かけて再考してまた6億かけるのか。税金の無駄だ」としました。

また、浅井市議は「文化庁が出した所見では、当初は文化庁は解体が先行されても木造復元にすることは理解していたと思える。しかし、名古屋市が『木造復元ありき』と整理した以上、解体のみを内容とする解体申請を引き続き審議することは適当ではなく、解体と復元を一体の計画として審議していく必要があると文化庁は方針を変えた。どうして文化庁の説明が変わったのか不思議。
また、文化庁から2年前に解体申請を取り下げろと助言があったが、2年間放置していたのも不思議」としました。

浅井市議は「名古屋市は名古屋城の全体計画を策定しようとしている。西の丸庭園整備に700億円かかるとか30年先とか言われている。多くの調整が必要となるし、莫大なお金と年月がかかる。全体計画とは、天守の解体と復元を一体だけではない。特別史跡名古屋城全体をまとめないといけない。」としました。

浅井市議は「名古屋市は竹中工務店と基本協定を結んでいる。竹中が選定された理由は、エレベーター設置、跳ね出し架構という基礎構造、内堀を軽量盛り土で埋める復元工法と思っていた。3大技術提案が否定されている。竹中工務店との協定そのものが問題になってくるのではないか。」としました。
荒川主幹は「復元する天守の分析などは価値がある」としました。

浅井市議は「市長に意見を聞きたい」として、河村たかし名古屋市長が出席しました。

浅井市議は「本丸御殿の整備の際は、文化庁は所見を多分出していない。2年前に耐震性能が極めて低く、解体申請を先行するという文化庁との合意を破棄して木造復元ありきと指示したのは市長か」と質問しました。
河村市長はこれまでの説明を繰り返し、はっきりと答弁はしませんでした。
松尾局長は「木造復元が最終的な目標だから、解体させてほしいと変えた」としました。

浅井市議は「所見には『特別史跡における歴史的建造物の再現行為として適切』とあり、『復元』と書いていない。どういう意味か」と質問しました。
河村市長は自分の思いを繰り返しました。

浅井市議は「文化庁の所見には以下書いてある。
・(文化庁との)合意を破棄したから解体申請の審議をやめた
・石垣保全方針を作る約束を守れ
・復元の前に現天守の価値を評価しろ
・基本計画を作ってから解体と復元を一体で申請しろ
・中間報告はいいから全部整ってから来い
市長は指示書で『私が全責任を負う』と書いてある。今の状態では市長個人で想像を絶する多額の損害賠償を負うかもしれない。
陽子線の時、議会が議決した、木造復元も議会が議決したと言われる。議決したら議員まで訴えられる。
『お城に入ったら公務員保険入れ』とうわさされているが、4−5億円。1000億円全部持つのか。職員が気の毒でしょうがない。市長が議会も職員も含めて全責任をとるのか。全体業務を整理して検証する、議会も含めたプロジェクトチームを立ち上げて計画を練り上げてはどうか」としました。
河村市長は「必ず実現する。責任をとる。」としました。

岡本市議は「2023年3月末までに全体計画、基本計画書を作ると答弁があったが、それも含めて責任をとるのか」と質問しました
河村市長は「結構でございます」としました。

中里高之市議(自民・緑区)は「松雄局長と9月に萩生田文部科学大臣に会いに行った。文化庁の木造復元担当のトップも皆来ていた。
私は『邪魔している奴が文化庁にいるらしいな』と言った。『滅相もない。』と時代劇のようだった。
文部科学省は、名古屋市と話し合って前向きに進めていきたいと言い切った。萩生田大臣も応援する、次の大臣も引き継ぎやると言った。
うちの選挙区の池田佳隆って文部科学副大臣。前向きにきちっと成功させることが名古屋の将来の観光産業に対する皆さんの腕にかかっている」としました。

浅井市議は「中里委員から『文化庁があたかも足を引っ張っている』という発言があったが違う。申し訳ないが国宝だ。ちゃんとやることをやれば応援するというのが文化庁のスタンス。忖度はない。
昔『全名古屋市民が木造を建てたいと言っても、石垣が崩れるなら国は止める』と言った。それが国宝。そこをよく理解してほしい。」としました。

最後に、松雄局長から「精神論で仕事をやっているつもりはない。保存方針、基礎構造、バリアフリー、史実に忠実な復元原案を作ること。
そこまでいけば文化庁と相談ができる。忖度はない。正々堂々と議論をしてするしかない」としました。

21/11/5 名古屋城跡全体整備検討会議 天守木造化に一言も触れず

21/11/5に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第45回)が開催されました。
写真・ビデオの撮影等は今回もマスコミ・傍聴者は禁止されました。

・21/11/5 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第45回) 配付資料

・21/11/5 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第45回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 
有識者が議案について議論をするのですが、議案が
(1)名勝名古屋城二之丸庭園整備計画について
(2)令和4年度の二之丸庭園の修復整備・発掘調査について
(3)表二の門附属土塀の雁木の調査について
のみであり、現在名古屋市が取り組んでいるはずの名古屋城天守木造化に関しては一言も触れませんでした。

なお、名古屋市は現天守閣の解体申請を文化庁に提出していた件について21/7/27に取り下げしていますが、全体整備検討会議・各部会ともに一言も触れていません。

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有識者会議の議題は名古屋城総合事務所が決めているようですが、全体像がわからず、今後何をどう議論すべきなのか、何を議題として予定しているのかが全くわかりません。

名古屋城調査研究センターに学芸員が多数在籍するようになったとはいえ、マンパワーも予算も限られる中、何に集中して行うべきなのか。
全体を見渡して議論するのが有識者会議の役割ではないかと私は思いますが、現状はそうなっていません。

また、各部会の報告もありません。
21/10/29に開催された 石垣・埋蔵文化財部会では、千田嘉博・奈良大学教授は「御深井丸側内堀石垣調査の速報値を見たところ、想定より状況が悪い。内堀を埋めてクレーン台座を置くのはとても耐えられない。もし天守木造を行う場合、現在検討をしている工事の工法をとるのは絶望的になったのではないか」と述べました。
これに関し、全体整備検討会議で資料を共有することもなければ、発言を紹介することもなく、今後どうすべきかを議論もしていません。

さらに、名古屋城総合事務所の佐治独歩所長は「千田教授から指摘(深刻な状況の石垣の上が園路になっており、石垣の上を歩くのは正しい判断か)があった観覧者の安全については、十分対処していきたい」としましたが、今回何も触れませんでした。

今回の全体整備検討会議では、傍聴していたマスコミは途中で帰ってしまい、他に傍聴していた一般の人もいませんでした。

現時点では、5ヶ月前に開催された全体整備検討会議第40回会議(令和3(2021)年6月4日)の議事録もホームページにアップされていません。

名古屋城天守木造化に関して市民に情報を公開せず、どういう状況になっているか全く説明していない名古屋城総合事務所。
市民の理解なくして未来はありません。

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今後の予定

・21/11/9(火)午前10時 名古屋市会経済水道委員会
 名古屋城における天守閣等整備事業について(観光文化交流局関係)
・21/12/9(木)午後4時30分 名古屋城基本設計等住民訴訟
 名古屋高裁10階
・2021/12/15(水)午後1時30分〜 名古屋城文化庁訪問時面談記録情報公開訴訟(WEB会議・非公開)

※名古屋城関係の有識者会議は以下で開催予定がわかります。

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情報公開請求してコピーを入手するのも、情報公開訴訟をするのも、費用がかかります。
名古屋市民オンブズマンは、会費とカンパのみで活動しております。
今後ともご支援頂けますと幸いです。

《郵便振替口座》 口座番号 00870−9−105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
《ゆうちょ銀行》 当座 〇八九店 105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ

21/10/29 名古屋城石垣部会委員「大天守対岸石垣が想定より状況が悪く、このままでは木造天守復元工事に耐えられない」

21/10/29に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会が開催され、部会構成員の千田嘉博・奈良大学教授は「御深井丸側内堀石垣調査の速報値を見たところ、想定より状況が悪い。
内堀を埋めてクレーン台座を置くのはとても耐えられない。
もし天守木造を行う場合、現在検討をしている工事の工法をとるのは絶望的になったのではないか」と述べました。

・21/10/29特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第45回)
 配付資料
・21/10/29特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第45回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ

今回も、部会中の録音・録画は禁止されました。

まず、松雄局長はあいさつで「本日、文化財石垣保存技術協議会(文石協)の方に来ていただいた。
今後連携していきたい。搦手馬出石垣の積み直しについて現地指導を頂きたい」としました。

座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長も「名古屋城の保全事業にとって、文石協が名古屋市と連携することは今後おそらく名古屋市にとって大きな力になる。大変喜ばしいことではないか」と述べました。

その後、本丸搦手馬出周辺石垣の修復について議論がなされました。
・今後増加するとみられる集中豪雨にどの程度対応するか
・ジオテキスタイルを付加することの可否
・石灰混合の可否
・吸出防止層は妥当か
・再利用不可の石材の調達方法について
・逆石の角度補正について

続いて、御深井丸側内堀石垣の調査について議論になりました。
名古屋城調査研究センターの村木誠・副センター長は以下述べました。
(配付資料とは別に、スクリーンに投影した資料を基に説明しましたが、写真撮影・録音禁止なので詳細は手元にありません)
「『現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項』で、天守台以外の石垣の各種調査が足りないとあり、レーダー探査、目視での調査を行った。
(参考資料)現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答
まだ評価検討はできていないので、速報値。
大天守北対岸にある、御深井丸側内堀石垣調査(U65)について、石垣は戦災時に被熱劣化しており、割れがめだつ。
間詰石の抜け落ちや表面剥離も多い。面としての変形が認められる箇所もある。対応が必要な変状もある。
今年度中に整理して文化庁からの指摘事項に答える。対応方針まで取りまとめたい」

北垣座長は「写真を見ただけで戦災で甚大な被害を受けたのがわかる」としました。

宮武正登・佐賀大学教授は「写真では野面積みに見えるが違う。
真ん中で石が割れて前に出てきている。また石垣が内側で破砕し、支えきれないものが前面にでている。
太平洋戦争時被熱で全面石垣がボロボロ。また、濃尾地震時の修復箇所が変になっている。
それぞれの課題に応じた調査が必要。
当初は外見剥離を抑える方法でいいかと思ったが、天守の工事とは切り離して、石垣単体として保全できるかが課題」としました。

千田教授は以下述べました。
「当初思っていたより状況が悪い。
3つの問題がある。
・文化財としての石垣をどう保全できるか。深刻な問題。
・天守の復元に当たっては、内堀を埋めてクレーン台座を置くという計画だが、かねがね対面側石垣への影響が深刻ではないかとしていたが、とても耐えられない。
 もし天守木造を行うのであれば、これまでの工事の工法をとるのは絶望的になったのではないか。
 総合事務所でご検討いただきたい。調査の結論がでたわけではないが。
・そんな深刻な状況の石垣の上が園路になっている。このままでいいのか。
 危険な状況わかっていて、石垣の上を歩くのは正しい判断か。何らかのことがあれば、名古屋市の責任が問われる。
 調査を待ってから判断でいいのか。緊急性を要する」
 
村木副センター長は「石垣について対策が必要と指摘があったので、早期に検討したい」としました。
名古屋城総合事務所の佐治独歩所長も「特に千田先生からご指摘があった3点目の観覧者の安全については、十分対処していきたい」としました。

オブザーバーの中井将胤・文化庁文化資源活用課文化財調査官は「内堀石垣の途中経過について、文化庁からはどうこうはない。ただ、文化庁としては、安定性がどうなのか、石材はどうなのかしっかり示してほしい。
 また、今何をしないといけないか。
  ・すぐにしないといけないか
  ・少しは大丈夫か
 文化庁としては気になる。詰めた結果が出れば」と述べました。
 
部会終了後のぶら下がり記者会見で、宮武教授は「御深井丸側内堀石垣は緊急に検討を要する。天守閣復元事業工事の足場設置とは切り離して、解体修理が必要なのか、個別に安定化が図れるか検討する必要がある。
一般論としては、危ない状態で足場設置工事をするべきではない。このまま石垣をほっといたら崩れる」としましたが、名古屋城総合事務所の鈴木整備室長は「現段階では答えられない」としました。 
 
その後、石垣・埋蔵文化財部会構成員と、文石協の人が現地調査を行ったとのこと。

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現時点では、木造天守復元時、大天守北の外堀を架設桟橋で越え、御深井丸側内堀石垣の上を通り、内堀を軽量盛り土で埋めて、その上を大型重機や仮設構台を設置する予定です。
御深井丸に展示されている礎石は避けるように仮設計画を見直しましたが、その下の石垣部分についてはこれまで調査されておらず、今回初めて判明しました。

調査速報値によれば、御深井丸内堀石垣は想定以上に悪く、現時点でその上部を園路として来城者が通行しており、このままで安全性が確保されているかは早急に検討を要する、とする石垣部会構成員の指摘は重要です。

人が通るだけでも安全性が確保されているかわからないのに、人よりはるかに重量・振動がある重機を載せるのは更に問題ではないでしょうか。

なお、御深井丸側内堀石垣の問題だけでなく、内堀石垣の底には貴重な遺構(幻の小天守の石垣の基礎の可能性)もあります。

天守閣復元事業のメドは全く立っていません。
それどころか、現天守閣解体のための架設桟橋・内堀埋め立てすら全面的見直しが迫られる可能性が非常に強いです。
「不要不急」で実現可能性の見通しが立たない天守閣復元事業より先に、御深井丸側内堀石垣の安全性確保を最優先にすべきではないでしょうか。

名古屋城木造復元天守 過去2年半 市住宅都市局建築審査課と協議無し

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城天守整備事業の件で2018/2/10-2021/9/6の間に名古屋市住宅都市局建築審査課と協議した内容がわかるものを情報公開請求したところ、21/10/22に開示されました。
木造復元工事の際の素屋根ならびに実物大階段模型及び展示施設棟については打合せ記録が開示されましたが、木造復元天守に関する協議の記録は開示されませんでした。
・開示決定書
・住宅都市局建築審査課と協議した内容がわかるもの
 
2018/2/9に、名古屋城総合事務所と市住宅都市局建築審査課、竹中工務店が「名古屋城天守閣整備事業本体 法規打合せ」を10分間行ったことは以前の開示請求でわかりますが、内容は全面非公開です。

19/12/7に開催された名古屋城木造化市民説明会で、名古屋城総合事務所は「国土交通省住宅局建築指導課に直接確認をしているわけではない。ただし建築基準法三条1項4号については、特定行政庁が認定する。担当部局である名古屋市住宅都市局建築指導課に相談はしている。建築指導課からは、文化財保護法の手続きを踏み、再現がやむを得ないと判断されれば3条の適用は可能と考えていると聞いている。」と発言があっただけで、具体的にいつどこでだれが発言したかはまったく不明です。

名古屋城総合事務所は、名古屋市建築審査会で建築基準法の適用除外を受けたいとしています。
しかしながら、いまだに建築審査会で名古屋城木造復元事業に関して審議はありません。

市住宅都市局建築指導課との協議も、2018/2/9の1回のみです。
一体どうなっているのでしょうか。
果たして、名古屋市建築審査会は建築基準法の適用除外を認めるのでしょうか。
建築審査会が仮に適用除外を認めない場合、これまで費用を掛けてきた基本設計・実施設計・木材等はほぼすべて無駄になります。
それに代わる「建築基準法に適合した木造復元事業」なるものがどのようなものかわかりかねますが、現在の名古屋城木造復元の予想図とはかけ離れたものになるでしょう。

いったい、名古屋城木造復元事業はどこまで進んでいるのか。
・市住宅都市局建築指導課との協議 1回のみ
・市建築審査会 0回
・現天守解体申請 取り下げ
・木造復元天守申請時期 見通しなし
・竣工時期 見通しなし
・基本設計 18/3/30に完成と市は主張(住民訴訟 高裁係属中)
・実施設計 22/3/25まで再延長
・木材 21/3/31までに少なくとも38億1344万円支出済
・バリアフリー国際コンペ 今年度中に開始したいと市

名古屋城総合事務所は、木造復元の全体像を示したことはなく、何がどこまで進んでいるのか、どのような協議をしているのかも不明です。
事業が進んでいるのか進んでいないのかすらわかりません。

市民が情報公開請求を頻繁に行っても、よく分かりません。
このような状況で、「市民に望まれる名古屋城」ができるとは到底思えませんし、そもそも完成にこぎ着けられるとも思えません。

名古屋城木造復元 市消防局との協議議事録開示「5階ははしご車も届かない」

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城天守整備事業の件で2018/3/20-2021/9/6の間に名古屋市消防局と協議した内容がわかるものを情報公開請求し、21/10/22に開示されました。
・開示決定書
・消防局と協議した内容がわかるもの

しかしながら、防災・避難計画策定に関する情報について、「名古屋城ほどの大規模な木造の歴史的建築物の復元工事が行われた例はこれまでない。そのため、大規模な木造建築物の防災・避難計画策定のために、株式会社竹中工務店の技術上のノウハウを活かした独自の手法を用いている。この情報は他の歴史的建造物の復元にも適用可能なものであるため、公開されると同業他社が上記ノウハウを模倣することにより、株式会社竹中工務店の競争上の利益が損なわれるものと認められる」とし、肝心な部分が非公開となっています。
また、配付資料は今回の開示資料にはついていませんでした。

なお、木造名古屋城大天守は、約12.5メートルの石垣の上、約36.1メートル5階建ての予定です。

そんな中、以下は判明しました。
日本建築センターと、消防設備安全センターの許可を得るための協議です。

18/4/25に名古屋城総合事務所、名古屋市消防局予防部指導課建築係と竹中工務店が協議した際、「各階の屋根の先端の出が大きいので、通常のはしご車では1階窓しかアプローチできない。また、先端屈折式のはしご車でも1・2階にしかアプローチできないことがわかった」と記載がありました。

18/5/30の協議の際、市消防局予防規制課建築係の服部係長は消防隊進入口について「屋根の先端にしか届かなくても、進入・救助をしないといけない場合もあるので、はしご車が窓に届かないから不要とするものでもない」と述べています。

18/10/16の協議では、市消防局予防規制課建築係池田主任は「消防隊侵入口について、5階ははしご車も届かないことから進入口は設置しなくてよい。ただし1階から4階まで10m毎に進入口を設けること」としています。

18/12/12の協議では、市消防局予防規制課建築係の服部係長は「はしご車のバスケットが窓に直接取り付けられれば、つまり屋根の上を登って窓に取り付くことがなければ、丸輪は不要としてよい。バスケット側面に扉が付いているものもあるので、その扉の開閉に必要な寸法は壁面(窓面)から離れていてもバスケットが窓に取り付いていると考えてよい。そのチェックをした上で要不要を決めれば良い。」としています。

19/9/11協議で、竹中工務店は「はしご車の架梯の図は、■委員長から事務局に要請があったようで、事務局としても断れないので回答の資料として提示したいと連絡があった。また事務局からは、その資料を提示することではしご車を使っての消防・救助活動にまで議論が及ぶのは今回の審議にそぐわないので、そのあたりはきちんと委員に説明し、はしご車の架梯が可能であることだけに議論をとどめるとのことであった。もしも救助活動について問い合わせがあったとしても、回答できるように、窓上部(室内側)に丸環をつけ、ロープをフックで掛けて屋根の上を伝えるように計画したが、これを今後提示してもよいか。(追加資料-1)」と述べました。
名古屋城総合事務所の遠藤技師は「今日の資料では窓の上にも丸環をつける図となっているが、意匠的な問題もあるので、場合によっては天守閣部会の了承も得たいので、今日は了承できない」としました。
市消防局の服部係長は「勾配のある屋根の上を伝っての救助活動は、なにがしらの補助設備などがほしいが、議論が保留になったままのところでもある。」としました。
竹中工務店は「人命に関わる設備は、史実と異なっていても設置できる方針だったので、提案した。一旦、窓の上の丸環については、消した図で今回は安全センターに回答する。窓上部の丸環は中止し、窓の下の置き床となる箱内にロープを常備しておき、片方は固定されていて、もう片方を窓から投げることができるようにする方針とし、安全センターへの資料としたい。(電話にて池田氏、遠藤氏に確認))」としました。

2019/11/27の協議で、19/10/18システム評価専門委員会の指摘事項に対する回答案等について、竹中工務店は「また、救助活動に関わる部分はシステム評価の対象ではないと事務局から言われているが、前回専門委員会後に■委員長が事務局に対して5階屋根の上でのバスケットまでの避難部分に滑り止めとなるような対策を検討するよう指示があったそうで、総合審議の欄に追記されてきている。これについても屋根面に避難はしごを展張できるような案を示したいと思う。」としました。
市消防局の服部係長は「この案で回答するのはいいが、更に追求されるようだったら、5階在館者に対してはプレアラームの段階で避難誘導を開始する(まずは階段に誘導し、階段での避難が難しくなれば救助袋を使う)などして、5階で一時待機となってしまう人数をなるべく減らすようにする、ということも考えておいてはどうか。」としました。
名古屋城総合事務所の纐纈主査は「はしご車での救出が可能かどうか、現地での検証を名古屋城総合事務所から消防局にお願いしている。候補日として12/2、3、16のいずれかで調整中。」としました。

20/2/4の協議で、名古屋城総合事務所の遠藤技師は「評価書案50ページ「第7 付帯事項」4には、3階4階の屋根面にも金属はしごの設置を「所轄消防機関と協議し施工すること」とあるが、3階4階への金属はしご設置は確定なのか?」と質問したところ、竹中工務店は「施工は協議結果により必要とされれば設置するの意のつもりでいる。委員会当日にも議事録にもない話なので、安全センターに確認する」としました。
また、市消防局の服部係長は「今後は大天守東面の進入口を使った救助に必要な設備等の打合せが残っているという認識でいる。」とし、竹中工務店は「では、次回以降の協議として、32条特例・許可申請のスケジュールと進入口を使った救助方法について協議させていただく」としました。
その後、「(安全センター 技術部 ■氏 2/5 16:40tel.にて:評価書案「第7 付帯事項」4については、名古屋市消防との救助方法の検討結果により3階4階にも必要とされれば設置する、の意と解してもらって良い。施工は無条件で必須というわけではない。)」と記載がありました。

「次回、20/2/27(木)09:30〜」協議とありますが、その後の議事録は開示されませんでした。

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議事録に資料が添付されていないため、詳細がわかりません。

・現在名古屋市に配備されているはしご車で、結局木造天守閣の何階までアプローチ可能なのか。
 【参考】西消防署 はしご車(30m級先端屈折式) 約2.5mで屈折
  中川消防署 はしご車(30m級先端屈折式) 約3.5mで屈折
・窓や屋根に丸環・金属はしご・すべりどめは付けるのか
・火災時、各階に何人いると想定し、どのように避難する想定なのか。

名古屋市は2019/1/21に一般財団法人 日本建築センターから『防災評定書』を取得しています。
また、名古屋市は一般財団法人 日本消防設備安全センターから2020/1/29に「消防設備システム評価書」「評価報告書(名古屋城天守閣整備事業の避難誘導システム)」を取得しています。

しかしながら、避難計画の詳細については開示されていません。

木造天守閣内にいる人は、火災時に屋根を伝ってはしご車で避難するのか。その際何人が避難可能なのか。
情報が開示されなければ、結局責任が曖昧になってしまいます。

消防に関して詳しい人がいれば、資料を読んで感想をお聞かせください。

名古屋城現天守閣解体申請取り下げ 復命書開示

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城現天守解体申請取り下げ時の書類と文化庁への出張復命書の情報公開請求を行い、開示されました。

・開示決定書
・21/7/19 名古屋市長 河村たかし
 特別史跡名古屋城跡の現状変更(天守閣解体)の許可申請の取扱いについて
・21/7/27文化庁への出張復命書

それによれば、令和3年7月19日に名古屋市長河村たかし名で文化庁に対し、「本申請に木造天守復元の内容を加えて見直しを行い、改めて出し直す方針としましたので、一旦、申請書を返却くださいますようお願いします。」と記載がありました。

復命書には「【その他】・現天守閣解体の現状変更許可申請に関する書類を受領した」とありました。

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名古屋市は2019/4/18に解体申請書を文化庁に提出し、2021/7/27に解体申請書を取り下げました。
(「返却」という言葉は行政手続法にありません)

19/9/18に開催された名古屋市議会本会議で、松雄名古屋市観光文化交流局長は「文化庁も将来的な木造復元の方針があるならば、本来解体と復元は一体として申請されることが望ましいと考えているとのことでございます」と述べました。

この2年間はいったいなんだったのか。
名古屋城木造復元に関しては、新たな基礎構造のメドもたっておらず、バリアフリーに関する国際コンペも始まっていません。文化庁のいうとおり、現天守解体と木造復元の書類は一体として出すのが筋です。

にもかかわらず、現天守解体申請書を出し続け、しかも、木材について、少なくとも38億1344万円支出済です。
・21/3/31 90,070,000
・20/3/31  573,370,000
・19/11/22  954,000,000
・19/3/29 2,196,000,000
それも含め、木造復元事業は人件費も含め平成28年度〜令和元年度で69億6800万円余支出しています。

木造復元の書類を文化庁に提出出来るメドはたっていません。
「やってる感」を出すために現天守解体申請を出し続けたのではないでしょうか。

21/10/8 名古屋市議会委員会 令和2年度名古屋城決算を賛成多数で可決

21/10/8に開催された名古屋市議会経済水道委員会で、
名古屋城関係の決算を賛成多数で可決しました。

21/10/8 名古屋市議会経済水道委員会
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

自民:賛成 名古屋城においては、天守閣の木造復元の早期実現のため、議会の指摘事項を踏まえ着実に進めるとともに、景観の改善や庭園の整備等についても、名城公園を所管する緑政土木局と連携して進め必要な体制を構築できるように努めること。
民主:賛成 一つ名古屋城天守閣整備事業の昇降技術の公募については、障害者団体等の声をしっかり聞くとともに、予算について整理した上で議会に丁寧な説明を行って開始し、復元検討委員会に向けた全体計画にバリアフリーの方針を反映すること。一つアフターコロナにおける観光戦略においては、新しいニーズに応えながら名古屋の新たな観光誘客に繋がる仕組みを作り名古屋の観光振興や地域経済の活性化に繋げていくこと。
減税:賛成
公明:賛成 金シャチ横丁の整備については、利用者の利便性向上のため、休憩スペースやトイレなどの設置を事業者側と協議し進めるとともに、集客力向上のために一過性のものとならないよう創意工夫を凝らし、効果的なイベントなどを開催し、周辺の観光資源と一体で盛り上がるための方策を検討すること。
共産:反対 名古屋城天守閣木造復元を強引に進めようとしたため、名古屋城重要文化財と展示収容施設の外構工事での特別史跡の毀損事件でも明らかになったように、遺構や石垣に対する調査研究体制に不安なまま事業を進めさらに、木造復元の実施設計において、繰越費用まで不要額とする、あってはならない事態を招いた。木造復元の完成期限2022年12月を断念した以上、技術提案交渉方式による契約の必要性もなくなったことから、事業を中止すべきであるから、
      名古屋城天守閣特別会計反対。理由は一般会計の2項目目と同じです。

21/10/6 名古屋城木造天守閣昇降新技術公募新スキーム 自民市議「どれもよくない場合どうするか」

21/10/6に名古屋市議会経済水道委員会で決算審査が行われました。

・21/10/6 名古屋市議会経済水道委員会 配布資料 観光文化交流局

・21/10/6 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城関係)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 
まず、新型コロナの影響で、名古屋城の入場者数が令和元年度の約200万人から令和2年度は約52万人まで落ち込んだことが報告されました。

次に、西之丸毀損事故で1113万6000円費用がかかったと報告されました。
名古屋城総合事務所は、再発防止策を策定してからの毀損事故は4件としました。
浅井正仁(自民・中川区)市議は「街路灯は無断の現状変更だ。毀損届として出していない。同様のことは何件あったのか」としたところ、村木名古屋城調査研究センター副所長は「件数としては把握していないが、二之丸庭園の発掘調査で間違いから掘りすぎたと先週認識した。深さ1メートルのところ50センチくらい余分に掘った。判断が甘かった。学芸員の経験不足も含め反省している」としました。

次に、実施設計の予算が2億2000万円のところ2573万7000円の支出だったと報告がありました。
江上博之(共産・中川区)市議は、どうして設計図を繰り越したのかと質問したところ、荒井主幹は「業務としてできなかった」としました。

続いて、木造天守閣の昇降に関する新技術の公募について議論になりました。
木造天守閣昇降技術開発等担当梅田主幹は「障害者団体や有識者を含め丁寧なご説明をさせていただいたうえ、手順が整い次第公募を開始していければと考えている。
国内外10社以上は興味を持っている。公募スキームを変更し、公募期間を約9か月として最優秀者と協議を実施し、開発契約まで3か月を見込んでいる。公募開始から開発契約まで約1年を想定している」としました。

岡本やすひろ(民主・緑区)市議は「この予算は今年度までと理解している。来年度にかかるのはおかしくないか」としたところ、佐治所長は「しっかり整理する。今後必要な予算は一度精査して、あらためてこの委員会に相談したい」としました。

浅井市議は「10社からまず何社を選ぶのか。だれが選ぶのか」と質問したところ、梅田主幹は「有識者で評価委員を決めており、その結果を踏まえて市が選定する。
評価委員には車いすの人が2人いる」としました。浅井市議は「公募してどれもよくない場合どうするのか」と質問したところ、梅田主幹は「障害者団体はエレベーターの設置を望むという考えは変わっていない。史実に忠実とバリアフリーの両立と丁寧に説明はさせていただいているが、障害者団体と膝を突き合わせて話進めつつ、技術を選定していこうとしている」としました。
佐治所長は「審査基準を作っており、一定の得点に満たなかった場合は採用しないということもある。その時点で検討が必要と考えている」としました。

また、浅井市議は「現天守閣解体後、キーホルダーを作ったり銅板瓦を売るという話を天守閣部会から提案があったがその後はどうなった」としたところ、名古屋城総合事務所は「解体の時期が決まっていないので現状では検討していない」としました。

さらに、浅井市議は本丸御殿のスプリンクラー設置について質問したところ、名古屋城総合事務所は「スプリンクラー設置については文化庁にも有識者会議にも諮っていない」としました。
松雄観光文化交流局長は、「構造をどうするかは時間がかかる。建造物部会は2年間で1回も開いていない」としました。
佐治所長は「初動の体制を充実した。建造物部会にかけるため準備はしたが、準備が整わなかった」としました。

浅井市議は「木造復元の完成時期はいつまでに積み上げられるのか」と質問したところ、委員長の渡辺義郎(自民・北区)市議から「令和2年度の決算について審議しており、行き過ぎているような感じがする」としました。
江上市議は「2022年12月竣工で基本協定書ができている。令和2年度中に基本協定の文言の変更などの動きはあったか」と質問したところ、荒川主幹は「そこまではなかった。今後検討したい」としました。

最後に、渡辺義郎委員長は「名古屋城木造建設について、一部会派は反対だがそれ以外は反対していない。しかし、手法というか、手続きというか、答弁したことがきちんと済んでいないからうまくいかない。うちの会派からもいつできるのかと心配になっている。決められたこと、発言したことをきちんと守っていただきたい」としました。

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「名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託」契約書・支出命令書を情報公開請求したところ開示されました。
当初、令和元年〜3年度で1億4300万円の契約を(株)日本総合研究所と結びました。

しかしながら、まだ公募開始には至っていません。
名古屋市が言う「審査基準」なるものはなにかわかりませんが、愛知県重度障害者の生活をよくする会・NPOちゅうぶが提出した「バリアフリーは今より良くなる!!?」を実現するために必要な7つの基準は以下です。
 1 誰もが乗れる
 2 誰もが簡単に使える
 3 一般の人(健常者)の移動と同じような時間で移動できる
 4 たくさんの利用が連続してできる
 5 一般の人の移動と対立しない
 6 天守閣の最上階まで上がれる
 7 怖い思いをしないで乗れる
 
これらすべて満たし、しかも史実に忠実で、「エレベーターではない」ものを世界公募すれば実現可能なのでしょうか。

渡辺義郎委員長は最後に「市は決められたこと、答弁したことをきちんと守っていただきたい」と述べました。
しかしながら、「実現不可能なことを決めた・答弁した」場合は、どうやっても実現不可能です。

バリアフリーの問題だけではありません。
市が実現不可能なことを決めた、答弁したから、ここまで大混乱なのではないでしょうか。
参考:2015/8/24 河村たかし市長「全責任は私が取る」指示書

名古屋城木造化をめぐる傷は極めて大きいです。
すでに平成28年度〜令和元年度で69億6800万円余予算を支出しています。
バリアフリー公募に関し、来年度まで予算がかかる見通しになったのだから、無理に今年度に公募を開始するのではなく、あらためて木造復元事業そのものの実現可能性・採算性をすべて見直したうえで、バリアフリー公募のめどが立ちそうになってからでも遅くはないのではないでしょうか。


21/10/4 名古屋市議会経済産業委員会で名古屋城決算審査

21/10/4 名古屋市議会経済産業委員会で、令和2年度決算審査が行われました。

・21/10/4 名古屋市議会経済産業委員会(名古屋城・国際展示場部分)
 名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし

名古屋城に関しては、新型コロナの関係で入城者数が激減した件、金シャチ横丁も売り上げが激減した件、外構工事で石列を毀損した件、石垣調査が遅れた件、実施設計が進まなかった件、木造天守閣昇降に関する新技術公募の進捗状況、9000万円の木材保管費について、21/10/6の名古屋市議会経済産業委員会に資料が提出されることになりました。


21/10/1 第44回名古屋城跡全体整備検討会議で現天守解体申請取下の報告せず

21/10/1(金)に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第44回)がウェブ上で開催されました。
今回は委員のネットでの会議の様子を傍聴者がネットで見ることができました。

・会議次第【全体会議(第44 回)】
・議事1「西之丸蔵跡追加調査について」
・報告1「本丸御殿の天井板の破損について」
・名古屋市民オンブズマンによるメモ

今回、議事として「西之丸蔵跡追加調査について」、報告として「本丸御殿の天井板の破損について」があげられるだけで、約50分で終了しました。

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21/9/17名古屋市会本会議において、松雄俊憲・名古屋市観光文化交流局長は21/7/27に名古屋城現天守閣解体申請書を取り下げたことを認めました。

特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議は、第42回が21/8/6、第43回が21/9/3に開かれていますが、今回の21/10/1第44回でも、現天守閣解体申請書の取り下げは全く報告されていません。

21/5/7開催の第39回会議では、「(参考資料)現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答」が配付されています。

名古屋市にとって都合の良い情報だけ全体整備検討会議にあげ、都合の悪い情報は隠蔽する、というのは、全く反省していない証拠ではないでしょうか。
これでは同様の失敗を繰り返してしまいます。


21/9/28 名古屋城木造化基本設計等住民訴訟 高裁第4回口頭弁論

21/9/28に、「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」が原告となった、名古屋城天守閣木造復元事業基本設計費の返還等を求める住民訴訟の高裁第4回口頭弁論が名古屋高裁民事1部で行われました。

一審原告は、原告側証人高橋和生意見書を提出しました。

なお、名古屋市民オンブズマンに21/9/17に開示された名古屋城天守閣整備事業 基本計画書(概要編・資料編・図面編)ですが、一審原告は「開示されたばかりで精査している。次回口頭弁論までに書証として出すだけでなく、主張も提出したい」としました。
・令和3年9月16日 行政文書一部公開決定通知書
 ■2018年7月20日-25日に、名古屋市職員が文化庁を訪れた際の持参資料として
  (1)名古屋城天守閣整備事業 基本計画書(概要編・資料編・図面編)  
   
次回弁論は21/11/11(木)14:00〜 名古屋高裁10階で行います。
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・名古屋城天守の有形文化財登録を求める会

名古屋城情報公開訴訟対象文書 開示決定見直し 資料一部開示

名古屋城情報公開訴訟の対象文書が、開示決定が見直されて21/9/17に開示文書を新たに受け取ってきました。
残念ながら、復命書等の開示部分は変わりませんでした。
名古屋城天守閣整備事業 基本計画書(概要編・資料編・図面編)の500ページの資料のうち、103ページはあらたに開示部分が増えました。
しかし、肝心な部分は開示されていません。

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・令和3年9月16日 名古屋市長 河村たかし
 行政文書一部公開決定の取消しについて(通知)
 
・令和3年9月16日 行政文書一部公開決定通知書
 平成30年6月13日に名古屋城の件で文化庁を訪問した際の復命書、支出命令書
 (1)復命書
 (2)支出命令書

・令和3年9月16日 行政文書一部公開決定通知書
 ■2018年7月20日-25日に、名古屋市職員が文化庁を訪れた際の持参資料として
  (1)名古屋城天守閣整備事業 基本計画書(概要編・資料編・図面編)  
  (2)平成29年12月 復元検討委員会での報告に対する意見(平成30年3月提出)
  (3)平成29年12月 復元検討委員会での報告に対する意見への追加回答
  (4)平成30年3月 復元検討委員会での報告に対する意見への回答
  (5)2018年7月20日-25日に、名古屋市職員が名古屋城関連で文化庁を訪れた 際の持参資料
  (1.復元概要・復元整備基本構想)
 ■2018年7月20日-25日に、名古屋市職員が文化庁を訪れた際の復命書、支出金 調書として、
  (6)復命書(名古屋城総合事務所長以下5名分)
  (7)復命書(ナゴヤ魅力向上担当部長分)
  (8)支出命令書(平成30年7月20日分)
 ■2018年7月20日-25日に、名古屋市職員が文化庁を訪れた際の会談の内容、指 摘事項がわかるものとして
  (9)2018年7月20日 文化庁打合せメモ
 ■2018年7月26日に、名古屋市職員が文化庁を訪れた際の復命書、支出金調書として
  (10)復命書(名古屋城総合事務所長分)
  (11)支出命令書
 ■2018年7月26日に、名古屋市職員が文化庁を訪れた際の会談の内容、指摘事項 がわかるものとして
  (12)市長国家提案【文化庁】<平成30年7月26日(木)>面会記録
  (13)市長国家提案【文化庁】<平成30年7月26日(木)>メモ

・令和3年9月16日 行政文書一部公開決定通知書
 ■2018年7月27日?12月10日に、名古屋城天守閣整備事業の件で名古 屋市職員が文化庁を訪れた際の
 1 持参資料として
  (1)市長文化庁訪問<平成30年8月3日(金)>ぶら下がりメモ
  (2)持参資料(石垣保存の基本的な考え方と天守台
  (3)新聞一式
 2 復命書、支出命令書として
  (4)復命書(平成30年8月3日(金)分)
  (5)復命書(平成30年9月10日(月)分)
  (6)復命書(平成30年9月25日(火)分)
  (7)支出命令書(平成30年8月3日(金)分)
  (8)支出命令書(平成30年9月10日(月)分)
  (9)支出命令書(平成30年9月25日(火)分)
 3 会議の内容、指摘事項がわかるものとして
  (10)市長文化庁訪問<平成30年8月3日(金)>面談記録
  (11)市長文化庁訪問<平成30年8月3日(金)>ぶら下がりメモ
  (12)文化庁打ち合わせメモ(平成30年9月10日(月)分)
  (13)市長文化庁訪問<平成30年9月25日(火)>面談記録

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(名古屋城天守閣整備事業 基本計画書(概要編・資料編・図面編)以外、
 開示部分に変化なし。
 以下が開示されたページ番号。
G79,G80,G81,G82,G83,G90,G91,G92,G93,G94,G97,G98,G99,G100,G101,G102,G103,G104,G105,G106,G107,G108,G109,G110,G112,G113,G114,G115,G117,G118,G119,G120,G121,G122,G125,G126,G127,G128,G129,G130,G131,G132,G133,G134,G135,G136,G137
S125,S197,S217,S219,S220,S221,S222,S223,S224,S226,S228,S229,S230,S232,S249,S266
Z50,Z51,Z52,Z53,Z54,Z55,Z56,Z57,Z58,Z59,Z60,Z62,Z63,Z64,Z65,Z66,Z67,Z68,Z69,Z70,Z71,Z72,Z73,Z74,Z75,Z76,Z77,Z78,Z79,Z80,Z81,Z82,Z83,Z84,Z85,Z86,Z87,Z88,Z89,Z91

21/9/17 名古屋市 名古屋城現天守閣解体申請書を「取り下げ」

21/9/17に開かれた名古屋市会本会議において、浅井正仁議員(自民)の質問に対し、松雄俊憲・名古屋市観光文化交流局長は21/7/27に文化庁を訪問し、名古屋城現天守閣解体申請書を「一旦返却してもらった」ことを認めました。
・21/9/17 名古屋市会本会議 (名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

浅井市議は2021年6月本会議で、文化庁の所見を踏まえ解体申請は取り下げるべきと強く意見をしましたが、松雄局長は取り下げないとしました。
浅井市議は21/7/28に文化庁を訪問したところ、「21/7/27に松雄局長と佐治所長が文化庁に来て、現天守閣解体申請書を取り下げに来た」と言われたとのこと。
文化庁の山下文化財第二課長は「取り下げと認識している」とのこと。
浅井市議は松雄局長に、木造復元天守の完成時期の想定を聞きました。

松雄局長は「市長の決裁を頂いた上で、木造復元の内容を加えてあらためて出し直す方針を固めた。
文化庁に方針を説明し、『一旦返却』してもらった。市の方針に反して解体申請を取り下げたいとは言っていない。
竣工時期については、以前は2028年と提示したが、全体計画作成を丁寧に進めることが重要であり、途上である現段階で完成時期を答えるのは適切でないと考える」としました。

浅井市議は「言葉遊びだ。『返却』という行政手続きがあるのか。
21/6/23文化庁に提出した文書には『解体申請の取り下げをする場合は市の意思表示をすること。手続きは口頭でもメールでも事務連絡でもよい』と書いてある。
また、その際に市が持っていった工程表には『申請取り下げ』と書いてある。また、復命書には『現状変更許可申請に関する書類を受領した』としかなく、文化庁とのやり取りが記載されていない。
文化庁には『取り下げ』とし、市議には『返却』。
山下課長や調査官に『返却か』と聞いたら『申請には取り下げと継続しかない』と鼻で笑われた。
市職員に聞くと、みんな『取り下げ」というが、名古屋城総合事務所職員だけ笑いながら『返却』という。
市長はこのようにごまかして木造復元が進むと思っているのか。
今週初め、経済界の重鎮から『松雄局長から、木造復元を妨害しているのは自民党』と言われたと聞いた。
現状は石垣の保全方針もまだ、基礎構造もまだ、実施設計もまだ、国際コンペもまだ。
以前は石垣部会のせい、今は自民党のせいにしている。
あなたたちのせいではないか。
2年前の令和元年9月本会議で、松雄局長は『文化庁から一体として申請することが望ましいと伝えられている』と言っている。
市民から『いつ名古屋城ができるの』と聞かれ、『いやまだちょっとわからない』というと、『だって100億で木買っちゃったんでしょ』と言われる。
目標はいつなのか。」と述べました。

河村たかし名古屋市長は「取り下げということになると断念したと思われるから、それは良くないと言うことで出し直すように松雄局長に僕が指示した。変更でもいいから名前はそちらで考えていただいて。
時期は丁寧にやっているので、文化庁のとこにありますので、そういう段階」としました。

浅井市議は「市長、一緒に文化庁に行って返却に行きましょう」と締めました。

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名古屋城現天守閣の解体申請に係る現状変更許可申請書は、単独で提出しても通らないことは、2年前にはすでに文化庁から伝えられていました。
にもかかわらず、どうしてずっと「取り下げ」しなかったのか。
まさに河村市長が述べたとおり、「取り下げということになると断念したと思われるから」です。

名古屋城木造復元に関し、「やっている感」「進んでいる感」を出すためだけに、通りもしない解体のみの現状変更許可申請を提出してきた名古屋市。
浅井市議が述べるとおり、「石垣の保全方針もまだ、基礎構造もまだ、実施設計もまだ、国際コンペもまだ」です。
にもかかわらず「100億円で木材を購入してしまった」名古屋市。
石垣調査や基礎構造検討は一歩ずつ進んではいますが、最終的に木造復元が可能になるかはいまだにわかりませんし、出来ないと主張する専門家も多数います。
仮に木造復元が技術的に可能だとしても、「入城料だけで建設費・運営費をまかなう」計画が達成されるとは状況がこれだけ変化した現在、到底思えません。
「やっている感」の代償はあまりにも大きいです。

21/9/3 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第43回)

21/9/3(金)に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第43回)が開催されました。
今回も委員はネットで会議をしましたが、傍聴者はネットで見ることができず、会議室でスクリーンを見ました。
唯一、パソコンからのスピーカーの音を、会場マイクで拾って会場スピーカーで流したため、声が聞き取りやすかったのがよかったことです。

・21/9/3 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第43回)配付資料
・21/9/3 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第43回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 
今回も、石垣・埋蔵文化財部会の指摘を受けて名古屋城総合事務所が微修正をしたことを議論しました。
しかしながら、石垣・埋蔵文化財部会がどのような理由でどのような指摘を行ったのか、具体的な議事録が配付されていないため、全体整備検討会議構成員が、どうして変更することになったか理解できずに困惑するシーンが複数ありました。

具体的には、六番御蔵の発掘範囲に関してと、穴蔵石垣現状変更許可申請の範囲についてです。

また、天守台穴蔵石垣等試掘調査についての資料はでましたが、それが今後の木造復元事業のどの位置を占め、今後どのような工程を考えているのかの全体像は示されませんでした。

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いまだに各部会との情報共有がうまくいっていません。
ひとつは、全体整備検討会議や部会をネットで公開し、録画も公開することです。
そうすれば、広く傍聴者が傍聴でき、別の所属の委員も見ることができます。
技術的にはすぐにでも出来るのに、どうしてしないのか理解に苦しみます。

なお、全体整備検討会議の議題は名古屋城総合事務所が決めるようです。
文化庁への現状変更許可申請はいったいどうなったのか、最近報告事項にも上がってきていません。

21/6/28(月)の名古屋市本会議で、浅井正仁市議(自民・中川区)は「文化庁は『名古屋城木造復元は全ての条件が整うまで現状変更許可申請は受け付けない』としている。一旦今の解体申請は取り下げるんですよ、ね。」と質問し、名古屋市の対応が4転したことを明らかにしています。

現状変更許可申請がどうなったかは、 全体整備検討会議の報告事項に上がってもいいはずです。
有識者にまできちんと情報を共有しない名古屋城総合事務所。
隠していることはまだまだあるのではないでしょうか。

名古屋市消防局 名古屋城木造復元事業に関する名古屋城総合事務所との協議内容・資料不存在

名古屋市民オンブズマンは、名古屋市消防局に対し、「名古屋城天守閣復元事業の件で、名古屋市消防局が名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所と協議した内容がわかるもの・資料(名古屋市消防局保有分)」を情報公開請求したところ、「名古屋城総合事務所とは協議をしておりますが、消防局では文書の作成、資料の保有はしておらず不存在であるため、非公開とします。」と決定が出ました。


名古屋城木造復元 「消防設備システム評価書」取得済が判明

名古屋市民オンブズマンが名古屋市に対して情報公開請求したところ、名古屋市は一般財団法人 日本消防設備安全センターから2020/1/29に「消防設備システム評価書」「評価報告書(名古屋城天守閣整備事業の避難誘導システム)」を取得していたことが判明しました。

21/7/9に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第41回)で、名古屋市は「一般財団法人 日本建築センターから『防災評定書』を取得している。
さらに一般財団法人 日本消防設備安全センターによる評価も取得済である。」と述べたことから今回の請求を行いました。


21/8/25 名古屋城石垣・埋蔵文化財部会委員「穴蔵石垣調査目的が共有出来ていない」

21/8/25(水)に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会(第44回)がウェブ会議で開催されました。
傍聴者は名古屋能楽堂の会議室でしか傍聴できず、会場のスピーカーは小さく、音が聞こえにくいだけでなく、ネットの不具合で音声が時々途切れました。
しかも録画・録音は禁止されました。
傍聴者はマスコミ含めて8名でした。

・特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・
 埋蔵文化財部会(第44回)配付資料
 
・特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会(第44回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 
今回、天守台穴蔵石垣の調査成果についてようやく市が説明する時間ができました。
その後、天守台穴蔵石垣の試掘調査について市から案が提案され、部会で議論になりました。

名古屋城調査研究センターの村木誠副所長は以下述べました。
「穴蔵石垣について、測量、現況調査、史実調査を行ってきた。
 現在見えている部分については、現天守閣再建時に全て積み直しており、近世の遺構は残っていない。
 ただ、まだ根石等隠れている部分について条件が許せば発掘調査をしたい。
 現在、木造天守の基礎構造は『調整会議』で再検討されており、地下遺構の試掘を踏まえてからという意見が出た。
 2021年7月の全体整備検討会議で諮ったところ、『根石だけでなく石垣背面も把握する必要がある』という意見が出た。
 今回は、まず調査出来る部分の根石を調査したい。
 背面についてはどこをやるべきか具体案を検討できていない」。
 
宮武正登・佐賀大学教授は以下述べました。
「調査の目的が共有できていない。
 今後、木造天守を作るのであれ、現状保存であれ、根石部分にオリジナル部分残っているか?という考古学的調査だけでなく根石が無事かどうか、安定しているかを調べる必要がある。
 現天守閣再建時の工事がずさんで、後ろの石垣が持たなくなった。
 大地震が来たら内側穴蔵石垣が完全崩壊する。
 現状が安定しているか確認するためトレンチを入れる」
 
千田嘉博・奈良大学教授は以下述べました。
「内面石垣の安定性をいかに確保するか。
 鉄筋であれ木造であれ、復元検討委員会がどうこういっても人が入れなくなる。
 また、調査位置として、橋台のところの石垣の把握も追加すべきだ。」

西形達明・関西大学名誉教授は以下述べました。
「少なくとも下部石垣の角度はどうなっていか。穴蔵石垣の安全性は絶対に確保する必要がある。
 それに対する安定性の検証はどうすればいいかきっちり検討する必要がある。」

村木副所長は「橋台が調査可能か調査したい。
また、遺構の残存状況を調べる目的だったが、石垣の安定性まで広げた目的を達成できるようにしたい」としました。

宮武教授は「橋台の調査について、文化庁に現状変更許可申請を別々に出すなら論理がおかしくなる。セットで出さないといけない」としました。

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熊本城天守閣の地階穴蔵部分は,石垣を伝統的工法で復旧した上で建物側にネット等による安全対策を施しています。
天守閣への入口となる小天守東側は、グリグリッドと呼ばれる、築石の裏のグリ石の間に網状のシートを敷きこむことで動きを拘束し,さらにシートと繋がれたフックの端を石垣表面にかぶせたネットと結束し築石の崩落も防ぐという仕組みを採用しています。
・大林組 グリグリッド
・2021-05-10 けんせつPlaza
熊本城の復興〜歴史的遺産の将来への継承
4. 天守閣復旧整備事業

現在の名古屋城は、小天守から橋台を通って大天守穴蔵部分を通過して大天守に登っていきます。
木造復元した場合も同様です。

大天守穴蔵部分の石垣耐震性・安全性の確保は絶対です。

今後穴蔵石垣の試掘調査を行うのでしょうが、木造復元事業はさらに難題を抱えることになりました。
・文化財としての地下遺構を守りながら新たな基礎構造を作れるか
・地下遺構があってもなくても、根石部分が安定しているか 
 大地震の際石垣ごと崩壊しないか
・仮に石垣崩壊の可能性がある場合、どのように来場者の安全性を確保するか

仮に木造復元事業を断念するとしても、現天守閣を再開するには、建物の耐震性だけでなく、穴蔵石垣の耐震性も検討する必要があります。


名古屋市文化財調査委員会委員「『守山の棒の手』一部が伝承解除されたのは市補助金がなくなったからか」

21/8/2に、名古屋市文化財調査委員会が開催されました。
録音は禁止されました。また、協議題「歴史資料について」は傍聴出来ませんでした。

・配付資料

4 報告事項 の中で、委員から、文化財保護事業等の補助率について質問がありました。

D市指定文化財を収蔵するための専用施設の修理
補助対象経費の35/100以内(元 35%)
※22年度に国・県指定文化財に対する本市からの補助金を廃止

名古屋市の担当者は、以下述べました。
・市が指定する文化財は名古屋市が補助金を出している
・国や県が指定する文化財に対しては、国や県が責任を持つべきだとして、平成22年度から名古屋市からの金銭的な補助金は廃止した。
 しかし、窓口支援は引き続き行っている。

委員は以下述べました。
「『守山の棒の手』は県指定の無形民俗文化財だ。これまで大森と川村で伝えられてきたが、県が財源の問題で補助金がどれだけあるか。
 随伴補助は0になった。現在は大森だけであり、川村は伝承解除になり抹消された。その情報が委員に入らなかった。
 名古屋市が連絡を取っていなかったという悪態をさらした。
 委員として情けないし、議論されることもなかった。
 川村が伝承解除されたのは、名古屋市が補助金を出してなかったからか?そういうことが起こってからでは遅い」
 
名古屋市教育委員会文化財保護室長は以下述べました。
「市指定文化財の修理等は補助対象経費の70/100以内にしている。
 平成22年度に、全市一律補助金を3割カットした。10年間7がけにし、令和元年に7割まで戻った。」
 
委員は以下述べました。
「市内の文化財の現状はどうなっているのか。貴重な財産で、残らなくなってしまう。
 お金じゃない。保存会に寄り添う必要がある。
 名古屋市は、山車だけでなく棒の手などもきちんと見るべき」
 
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名古屋市の文化政策を考える上で、上記エピソードは大変示唆に富むのではないでしょうか。

なお、平成22年度は名古屋市で市民税減税が始まった年です。
・名古屋市 平成22年度予算 当初予算


21/8/25名古屋城石垣・埋蔵文化財部会部会 WEB会議も傍聴は会場のみ

名古屋市は、21/8/25に第44回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会を開催すると発表しました。

案内によれば、WEB会議とのこと。
しかし、傍聴はWEB上での傍聴は不可で、傍聴者用会場での傍聴は10名となっています。

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現在、愛知県には「愛知県まん延防止等重点措置」が実施されています。
それどころか、21/8/20には大村秀章愛知県知事は新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言の発令を国に要請しました。

にもかかわらず、傍聴は会場に来いとのこと。

過去、21/2/9全体整備検討会議、21/2/12石垣・埋蔵文化財部会、21/6/4全体整備検討会議はZoomウェビナーで行われ、傍聴もWEB上で可能でした。

今回、市民への説明態度が明らかに後退していますし、新型コロナウイルス対策にも逆行しています。

名古屋城天守閣木造復元事業は、名古屋市民だけでなく全国的に注目されています。
しかしながら、傍聴するには会場へ来い、しかも10名のみ、というのは事実上傍聴拒否と言わざるを得ません。

Zoomウェビナーの費用は、傍聴者500人まで毎月10700円、傍聴者1000人まで毎月18800円です。
この程度であれば、部会に参加する構成員の交通費が浮くため、十分予算内でまかなえるはずです。

建設費だけで505億円にも及ぶ名古屋城天守閣木造復元事業。
かたくなにネットでの傍聴を許可しないのは、市民に知られてはまずいことがあるのでしょうか。


21/8/17 名古屋城木造化基本設計等住民訴訟 高裁第3回口頭弁論

21/8/17に、「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」が原告となった、名古屋城天守閣木造復元事業基本設計費の返還等を求める住民訴訟の高裁第3回口頭弁論が名古屋高裁民事1部で行われました。

一審原告は、準備書面(3)を提出しました。
その中で、「別訴(名古屋地裁民事9部 情報公開訴訟原告 名古屋市民オンブズマン)で、名古屋市は非開示を見直すといっている。この中には、本件甲24号証等も含まれており、本件控訴審の根幹をなす記載もあるので、同文書が開示された段階で証拠として提出する。
ただ、いつごろ開示されるかわからない」としました。

名古屋市の代理人弁護士は「本訴訟と担当部局が違うのでわからないが、一審原告がいう『根幹をなす記載』とは認識が違う。
また、探索的証拠調べになるのではないか。どことどういう関連があるのか」としました。

一審原告は、「甲24号証には基本設計図書が含まれており、本件控訴審の根幹をなす」としました。

名古屋市代理人弁護士は「黒塗りは、本事業を請け負った竹中工務店の著作権や知的財産の部分に関して行った。
市の解釈が変わったわけではないが、時間が変化してこの時期に竹中工務店に譲歩を求め、決定を一部見直す」としました。

なお、今回までに提出予定だった、原告側証人高橋和生意見書については「証人との調整が間に合わなかった」とのことで、次回までに提出する予定とのこと。

次回弁論は21/9/28(火)13:30〜 名古屋高裁10階で行います。
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・名古屋城天守の有形文化財登録を求める会

21/6/27 名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議(第1回)配付資料 一部開示

名古屋市民オンブズマンは、21/6/27に開催された、名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議(第1回)配付資料を情報公開請求して一部開示されました。

「名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議」(第1回)配付資料
・決定書
・開示文書
 
「名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議の補足事項」では「調整会議は、原則非公開で開催する。ただし、構成員及び座長と相談の上、公開での開催が出来るものとする。」とあります。

資料には、
1 木造天守基礎構造に係る検討項目(案)
(1)天守台の現状把握
(2)天守台の修復整備の方針
(3)基礎構造の検討
2 木造天守基礎構造に係る検討ステップ(案)
が記載されていますが、
「当該行政文書には、未確定な情報や今後想定している事業内容を含んでおり、公にすることにより、市民等から名古屋市や有識者会議構成員等に問合せ・苦情等が寄せられ、『率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ』があると考えられるため」
「当該行政文書には、未確定な情報や今後想定している事業内容を含んでおり、公にすることにより、市民等から名古屋市や有識者会議構成員等に問合せ・苦情等が寄せられ、『事務の公正又は適正な遂行に支障を及ぼすおそれ』があると考えられるため」非公開となっています。

その他資料は公開されています。
なお、(参考2)名古屋城天守閣整備事業 基本計画書は、現在名古屋市民オンブズマンが情報公開裁判で争っている文書と同一であり、今回の開示対象からは外しました。

今後、調整会議は概ね2ヶ月に1回を想定しているとのこと。

参考になれば幸いです。
[#IMAGE|d0011701_22212651.jpg|202108/10/01/|mid|1654|2340#]

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※今回の開示で、白黒26枚、カラー84枚、合計4460円の費用がかかっております。
ぜひともカンパをお願い致します。


21/8/6(金)特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議開催は何のため?

21/8/6に、特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第42回)が開催されました。
今回も録音・録画はマスコミ・傍聴者に許可されませんでした。

・21/8/6 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第42回)配付資料

・名古屋市民オンブズマンによるメモ

冒頭、佐治独歩・名古屋城総合事務所所長は、本丸御殿天井板破損に関して一報しましたが、配付資料には一切記載がありませんでした。
今後文化庁に対して毀損届を提出し、点検結果をまとめて全体整備検討会議に提出するとのこと。

その後、二之丸庭園修復整備、二之丸地区発掘調査について議題になりました。

その後、報告として、西之丸蔵跡追加調査があげられました。
名古屋城総合事務所は「石垣・埋蔵文化財部会から『事前に文化庁に、念のため聞いておいた方がいいのではないか』という指摘があり、文化庁にこれでいいか聞いたところ、よいのではないかという趣旨の回答を得た」と発言がありました。
構成員からは特に意見もなく、全部で30分で終わりました。

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今回の全体整備検討会議は一体何のために行ったのでしょうか。

天守閣木造復元事業について、一言も述べていませんでした。
現在事業はどうなっているのか?今後の見通しはどうなっているのか。
前回の全体整備検討会議から進んでいるのか進んでいないのか。
名古屋城総合事務所が「議題」にあげたものだけを議論するので、「議題にあげられていない」ものはわかりようもありません。

また、西之丸蔵跡追加調査に関し、21/7/14に開催された石垣・埋蔵文化財部会で、宮武正登・佐賀大学教授は「1838年以前に成立した御本丸御深井丸図には六番御蔵は記載がない。当時なかった六番御蔵を展示するのは適当か。石垣・埋蔵文化財部会として『方針がはなはだ疑問である』という意見が出たとしてほしい。外観的には、同時に存在したと誤解を生じさせかねない。シンプルに、石垣・埋蔵文化財部会は『時代の違う、併存したことのない建物を表示していいのか』疑問だとしていると文化庁に聞いて欲しい。文化庁から『いいのではないか』といわれればそれっきりだ」としました。

それをどこまで文化庁に伝えたかわかりませんし、今回の全体整備検討会議では特に伝えていませんでした。

市民や議員、マスコミはおろか、有識者会議同士の情報すら共有させずに進めようとする名古屋城総合事務所。
これは木造復元事業に限ったことではありません。

各種有識者会議の配付資料や議事録の、ホームページ掲載は以前よりは早くなったものの、まだまだ遅いです。

事業が遅々として進まないだけでなく、度重なる毀損事故を起こしているのは、情報の非公開体質が原因ではないでしょうか。
市民への説明会も年1回のみで、時間も限られるしおおざっぱなものです。

そうではないとするならば、もっとやり方があるのではないでしょうか。

21/7/14(木)名古屋城情報公開訴訟 弁論準備WEB会議

名古屋城天守閣木造化をめぐり、名古屋市が文化庁訪問時の復命書等の情報を非公開にしたのはおかしいとして、名古屋市民オンブズマンが公開を求めた情報公開訴訟の弁論準備が21/7/14にWEB会議(非公開)で行われました。

非公開文書
 
名古屋市は、これまで非公開にしてきたいくつかの情報について当方と同様の開示請求があったことからそちらに開示決定をする関係で当方の不開示部分も見直す、という回答をしてきました。
次回までにあらたな開示決定をし一覧表の差し替えも名古屋市がする一方で当方は訴えの変更をすることになりました。
次回期日は21/9/22(水)午後4時45分〜 Web会議(非公開)です。


21/7/14(木)名古屋城石垣・埋蔵文化財部会 穴蔵石垣調査まで議論できず

21/7/14に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第43回)が開催されました。
今回も写真・録音は許可されませんでした。

21/7/14 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第43回)
配付資料

21/7/14 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第43回)
名古屋市民オンブズマンによるメモ 

議事は多岐にわたり、最後の(4)穴蔵石垣の調査成果について、(5)天守台穴蔵石垣の試掘調査について は、資料は配付されたものの、時間切れで議論できませんでした。

佐治独歩・名古屋城総合事務所長は「8月下旬に次回石垣・埋蔵文化財部会を予定しているので、穴蔵石垣についてはそこで議論していただきたい。
9月に基礎構造を議論する調整会議を行う予定。石垣部会の評価を踏まえて次回の部会で諮れればと思う」としました。

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まず、名古屋市から、天守閣整備事業の進捗状況について、文化庁からの指摘事項への回答と、基礎構造を議論する調整会議について報告がありました。

宮武正登・佐賀大学教授は「21/6/27に調整会議があり、21/7/9に全体整備検討会議があり、本日21/7/14に石垣・埋蔵文化財部会を行っている。『全体整備検討会議等と調整会議の関係について(案)』によれば、全体整備検討会議の議論で、部会に何をしろと決まったか報告する必要がある。それがなされていない」としました。

名古屋城総合事務所は「全体整備検討会議では、穴蔵石垣試掘調査について、把握できていない地下の根石周辺遺構だけでなく、背面遺構についてもあわせて検討してはどうかという意見が出た」としました。
宮武教授は「調整会議の中身まで報告し、それぞれ意見が出るとぐちゃぐちゃになる」としました。

本丸搦手馬出周辺石垣についての議論の後に、二之丸地区の発掘調査について議論になりました。
千田嘉博・奈良大学教授は「金沢城では二の丸御殿の大規模調査が行われている。金沢城は近代に軍隊が入っていて、兵舎跡が発掘されている。近世の二の丸御殿の把握がかなり難しい。文化庁からは『近代以降の遺構も重要なので、近代の遺構の撤去はまかりならん』と指導があったようだ。
名古屋城も近代に軍隊が入っているので、文化庁と相談して発掘調査の方針を決めて欲しい」としました。

続いて、西之丸蔵跡追加調査について議論になりました。
千田教授は「1838年以前に成立した御本丸御深井丸図には六番御蔵は記載がない。当時なかった六番御蔵を展示するのは適当か」と質問しました。
鈴木整備室長は「全体整備検討会議で整備方針について諮ったあと、発掘の是非を検討する」としました。
千田教授は「全体整備検討会議の議論が十分でないのではないか。だから石列の毀損につながったと考える。同時に存在していないものは整備しない『異時同図法』は基本中の基本。基準になる絵図面で存在しているものと厳格にかせられている。史跡整備の基本的な考え方として間違っている。矛盾があるなら矛盾を無くさないと、図面を書いても文化庁から突っ返される」としました。

名古屋城調査研究センターの村木誠副所長は「江戸時代後期の姿を表示する計画に見直したつもり。発掘調査に基づいて何が表現できるか。六番御蔵の発掘物はあるので、何らか表示はする」としました。

宮武教授は「石垣・埋蔵文化財部会として『方針がはなはだ疑問である』という意見が出たとしてほしい。外観的には、同時に存在したと誤解を生じさせかねない」としました。

司会の赤羽一郎副座長は「発掘調査によって整備の手法を決めるのは間違っていると思う。論議の方向、方法が間違っていると考えざるを得ない」としました。

宮武教授は「シンプルに、石垣・埋蔵文化財部会は『時代の違う、併存したことのない建物を表示していいのか』疑問だとしていると文化庁に聞いて欲しい。文化庁から『いいのではないか』といわれればそれっきりだ」としました。

最後に、千田教授は「今回はリモートで参加したが、各会議の頻度が高すぎてタイトな日程だ。できるだけ出席できるような日程構成を望む」としました。

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今回も、石垣・埋蔵文化財部会と全体整備検討会議の風通しの悪さが問題になりました。

最もよいのは、各会議をフルオープンにしてネットで公開することです。
市民にも議員にも他の有識者にも議論の内容がよく分かります。
現在は、なぜか傍聴を許可して録音・録画が禁止されているだけでなく、名古屋城総合事務所の議事録作成も極めて遅いです。

今回傍聴席の隣で「議事録作成者」の名古屋市職員が座って作業をしていたのですが、手書きでICレコーダーを置いて議事録を作成していました。
全体整備検討会議議事録は2021年1月8日以降、石垣・埋蔵文化財部会議事録は2020年12月17日以降公開されていない理由がようやくわかりました。

少なくともPAミキサーからのライン録音を行って半自動文字起こしアプリを使えば、2時間半程度の会議であれば1日で文字起こしが完了します。
最も良いのは「話す人の前にスマホを持っていく」です。(会場はマイクを使っているため、会場マイクと、スマホマイク2本持ちが最適だと思います)

名古屋市健康福祉局は、千種区役所、中村区役所、南区役所、名東区役所でUDトークを法人契約しています。

よりよい名古屋城にするにはどうすればよいのか。
市民に議論が開かれたものにするしかないのではないでしょうか。

21/7/9(金)名古屋城跡全体整備検討会議  麓名誉教授「調整会議は何のためにあるのか?」

21/7/9 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第41回)が開催されました。録音・録画は今回も禁止されました。

21/7/9 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第41回)
傍聴者配付資料

21/7/9 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第41回)
名古屋市民オンブズマンによるメモ

構成員の、石垣・埋蔵文化財部会部会の赤羽一郎氏、公益財団法人琴ノ浦温山荘園代表理事の高瀬要一氏は欠席でした。

まず、報告として、「天守閣整備事業の進捗状況について」が報告されました。

ここで、はじめて、現天守閣解体申請に対する指摘事項への回答の結果についてとして、文化審議会文化財分科会の所見(要旨)が公開されました。

(文化庁の「史跡等における歴史的建造物の復元等に関する基準」(令和2年4月17日文化審議会文化財分科会決定)は構成員のみに配付されました。)

名古屋市は「文化審議会文化財分科会の所見では、『木造天守復元が理由なら一体の計画として審議していく必要があり、申請は現天守解体のみならず、木造天守復元についても一体として見直しを図るのが適当。木造復元に関する計画の具体的内容については、上記文化庁の基準に準拠した適切な内容となるよう十分な調査・検討を実施されたい』とされた。名古屋市は、『復元』に該当すると考えている。また、すでに防火・避難については日本建築センターから「防災評定書」を取得している。
(名古屋市民オンブズマンが情報公開請求で入手した、19/1/21 一般財団法人 日本建築センター 名古屋城天守閣整備事業 防災評定書
さらに、一般財団法人日本消防設備安全センターによる評価も取得済である。
今後、構造評定を取得する予定だし、バリアフリーも安全確保をしていく。御深井丸調査なども文化審議会第三専門調査会に報告したい」としました。

また、21/6/27に非公開で開催された「名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議について」についてもはじめて議論の中身が一部公開されました。
名古屋城総合事務所は「局長名で『本市からのお願い』を出した。『はね出し架構』に代わる基礎構造を検討するため、石垣・埋蔵文化財部会と天守閣部会にまたがる調整会議を設置する。屋上屋を架すものにならないようにしたい。
専門家としての知見に基づくご意見に加え、公開しないことを前提とした忌憚のないご意見についてもお出し頂きたい」としました。

小濱芳朗・名古屋市立大学名誉教授は「示された『基礎構造検討の考え方』だが、『天守台の遺構には新たに手を加えない』とあるがどこまでをいうのか」としましたが、名古屋城総合事務所保存整備室の荒井敦徳主幹(天守閣整備)は「穴蔵の試掘調査を行い、しっかり調査して情報を把握した上で検討したい」としました。
麓和善・名古屋工業大学名誉教授は「荒井さんの回答は不十分。近代や昭和に修理し積み替えたものは本来の遺構ではないと言い切ってもいいと思うが」としましたが、名古屋城調査研究センターの村木誠副所長は「明治以降に手が加わったところの区別がまだできていない」とするのみ。
麓名誉教授は「『近代や昭和に修理し積み替えたものは本来の遺構ではない』となぜ明言しないのか。はっきりしないと近代まで手を加えられなくなる」としました。

座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「『本来の石垣は崩壊しない』とは断定できない。人命の安全確保を第一とするのとは矛盾するのではないか。」としました。

丸山宏・名城大学名誉教授は「調整会議で座長をつとめている。穴蔵石垣は観覧者の安全を確保するため、崩壊しないようにしないといけない。調整会議のメンバーでは共通の認識があったと思う」としました。

荒井主幹は「石垣は、完全に安全性を確保することはありえない。万が一の時でも崩れないようにすることはできる。今後調整会議で具体的に議論して進めていきたい」としました。

麓名誉教授は「次回調整会議で議論しないと行けないのか。『近代改造は本来の遺構とは思っていない』、それに手を加えるかどうかは次の話だ」としたところ、荒井主幹は「それはそれで前提。その後は議論する」としました。

三浦正幸・広島大学名誉教授は「現在の穴蔵石垣は、新品の薄い石を貼り付けているだけ。大地震で崩れる可能性は100%だ。本来の石垣がどうだったのかしっかり調査する必要がある。
また、内部石垣は観覧者から近く、崩れた場合に人命に差し障りがあるため、1000年に1度の地震でも崩れてはいけない。通常の方法では絶対無理で、別の方法を使って施行する必要がある」としました。

続いて、二之丸地区発掘調査について議論になりました。
名古屋城総合事務所は「全体整備検討会議で調査計画変更を承認いただければ、石垣部会に諮る」としました。
瀬口座長は「石垣部会で議論した結果がここに来ているのか」と質問したところ「まだ石垣部会には諮っていない。調査区の変更は新たな調査と同じ扱いだと思った」としました。
麓名誉教授は「部会で検討し、全体検討会議で承認なら良いが、全体検討会議で承認後、部会で検討は考え方がおかしいのではないか」としました。

続いて、余芳の移築再建について議論になりました。
麓名誉教授は「建造物部会で疑問点や間違っている点が指摘されたが、今回の資料は建造物部会の図面と同じ物。せめてそのまま出すのはやめてほしい」としました。
瀬口座長は「部会がどんな議論をしているのかわからない。『こういう部会の意見があり、こういう修正をした』をしないのは名古屋城総合事務所が疑問があるから修正しないのか。内容的に高まらない。」としました。

最後に、天守台穴蔵石垣試掘調査について議論になりました。
麓名誉教授は「今日はいっぱい言いたいことがある。調整会議でこの件はでた。明らかに積み直しをしているところは古写真で確認出来ている。どこが本来の石垣か、戦後の石垣か、判断がつかないかを示してもらいたい。
とりあえず現状変更申請ではなく、試掘調査と現況調査を一緒に申請出したらと提案したが、今回反映されていない」としました。

瀬口座長は「それはサボタージュという。調整会議の意見を反映して試掘調査の追加をすればよいのであって、部会に戻す必要はない。行ったり来たりでまた2-3年かかる」としました。

村木副所長は「穴蔵石垣全体の調査は、現天守があるので全体調査は出来ない。速やかに調査が出来るところを選定した。今後の石垣部会に報告し、評価を確定してから全体整備検討会議に報告したい」としました。

麓名誉教授は「調整会議はどうなるのか。石垣部会の構成員もいる。意見をまた石垣部会で検討して全体整備検討会議で諮るのか。調整会議は何のためにあるのか」としました。

荒井主幹は「穴蔵石垣の試掘とあわせて背面調査をやりたいと思っている。しかし慎重にやらないといけない」としました。

麓名誉教授は「荒井主幹は大変悠長だ。当然どこを解体してどこを調査するか検討していたと思っていた。この調査にどの程度時間をかけるのか。
オブザーバーの愛知県の洲嵜さんに聞きたいが、『両方確認しないといけないとわかっている場合、根石と石垣解体について、調査範囲がわかれば、同時に現状変更出せる』のか」と質問したところ愛知県県民文化局文化部文化芸術課文化財室の洲嵜和宏室長補佐は「調査の目的がしっかりしていれば、まとめていただいてもいい。できていなければ個別に現状変更許可申請をする必要がある。」としました。

麓名誉教授は「個別に現状変更許可申請をするのなら時間がかかるのか」と質問したところ、洲嵜室長補佐は「そのとおり」としました。

名古屋城総合事務所の佐治独歩所長は「背面土は検討してこなかった。穴蔵試掘を先行してやりたい」としました。

瀬口座長は「石垣試掘調査の場所を追加するのは石垣部会に諮らなくてもここで決めればよいのでは」としましたが、荒井主幹は「やれるところとやれないところがある。現天守がある状況ではこの場所を選んだ」としました。

瀬口座長は「調整会議は公開しないかもしれないが、委員の名前は公開しなくても意見は公開しないといけない」としました。

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全体整備検討会議・各部会の議事録は1年以上たっても公式ページで公開されていません。
(21/7/12現在)
・特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議
 第31回会議(令和2(2020)年6月22日)以降まだ
・特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会
 第39回部会(令和2(2020)年12月17日)以降まだ

市民に情報を公開しないだけでなく、全体整備検討会議・部会間でも情報を共有しない、というのはどういう組織体制なのでしょうか。
このことは名古屋城木造復元計画が浮上してきた5年以上前からずっと指摘しているにもかかわらず、一向に改善しません。

さらに、新しく「調整会議」が設置され、どんな議論がなされているか参加した人以外はわからず、断片的に述べられるだけです。
そうであれば、全体整備検討会議・部会・調整会議ともいっそのことフルオープンにし、録音・録画も可にすれば、構成員だけでなく市民・議員全員が情報共有出来ます。

2015/8/24に河村たかし名古屋市長は「まず本丸天守の復元。全責任は私がとる」という指示書を出しました。
それから6年がたとうとしていますが、いまだに木造復元計画を文化庁に提出出来ていないのは、関係各所と情報を共有しないことが原因ではないでしょうか。

また、愛知県の洲嵜和宏室長補佐が述べるように、「両方一緒に現状変更許可申請を文化庁に提出すれば、結果的に時間が短くて済む」のです。
穴蔵石垣に関してわざわざ別々に現状変更許可申請を出すのは、名古屋市が市民や議会に対して「やってる感」を出すためではないかと疑ってしまいます。
これは、現天守の解体申請と、木造復元の申請についても同様だと思います。

「やってる感」だけで6年。
開示された資料によれば、2019年度までにすでに58億3719万7000円使っており、2020年度に2億3207万4000円使う予定です。

16/6/17読売新聞によれば、「清水建設が石垣を先に補修すれば約350億円で済むも、2024年ごろの完成になり河村市長が要求する2020年7月の完成に間に合わないために辞退した」とあります。

そもそも木造復元事業は時間と金さえかければ可能なのか。
莫大なお金はかけたものの、新たな基礎構造が提案できるか不明ですし、バリアフリーも不明。巨大地震に耐えられるかも不明です。
現時点で505億円の費用を入城料でまかなえるかどうかの試算も竣工時期が定まっていないからという理由で出来ていません。
「全責任は私がとる」という河村たかし名古屋市長の発言がさらに重要になってきます。

名古屋城事務所長が「基礎構造に係る調整会議」に関し部会構成員に送ったメール 肝心の部分が非公開

名古屋市民オンブズマンは、「名古屋城天守木造復元事業に関し、『基礎構造に係る調整会議』を指す文言が含まれ、佐治名古屋城総合事務所長が特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議及び各部会の構成員に送ったメール、上記メールへの返事」を情報公開請求し、21/7/6に一部開示決定がでました。

名古屋城木造復元に関し、竹中工務店が提案した「はね出し架構」は遺跡を破壊するとして、石垣・埋蔵文化財部会が反発してきました。
石垣・埋蔵文化財部会と天守閣部会が合同で『基礎構造に係る調整会議』を開催しようということになりましたが、20/10/22に設置を了承したにもかかわらず、8ヶ月後の21/6/27になってようやく「調整会議」が開催されました。
今回、佐治所長が各部会構成員に送ったメール・上記への返事のうち、「調整会議」という文言が含まれるもののみを開示請求しました。

しかしながら、肝心の部分の中身は非公開でした。

21/6/27「調整会議」は非公開で開催されました。
また、「調整会議」の配付資料は、業務量の増大を理由に21/8/11まで延長になっています。

いったい佐治所長は石垣・埋蔵文化財部会構成員になんとメールを書いているのか。
各構成員はどのような思いなのか。
木造復元の最重要課題である基礎構造は、市民に全く知らされずに議論されています。

21/6/28(月)自民名古屋市議「文化庁は『名古屋城木造復元 全ての条件が整うまで現状変更許可申請受け付けない』としている」

21/6/28に行われた名古屋市議会本会議で、浅井正仁市議(自民・中川区)は名古屋城木造復元に関し、文化庁から届いた『所見』を文化庁から入手し、「全ての条件が整うまで、現状変化許可申請も受け付けない。復元検討委員会はその後に開催するとここに書いてある」と述べました。

・21/6/28名古屋市議会本会議(名古屋城木造復元関係部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

浅井市議は「先週、『今年の夏に木造復元検討委員会がスタートして、2028年完成する』かのような報道がされたが真っ赤な嘘。議会に嘘を言い、マスコミに嘘をいい、そして市民にも平気で嘘を言っていた」としました。

浅井市議は「文化庁の見解として、『解体申請に対する見解は一旦取り下げて、解体と復元検討を一体の計画として出して』とある。また、新聞報道が正しければ、7月までに石垣の保存方針を策定しなければ、復元検討委員会はスタートしない。1ヶ月でどうやって間に合わせるのか」と質問しました。

松尾観光文化交流局長は「文化庁からは『天守解体のみならず、木造天守復元についても一体としてその内容に加えるよう見直しを図るのが適当である』とされた。この所見に沿った見直しを図っていきたい。
また、復元検討委員会は、本市において木造天守の基礎構造やバリアフリー対策も含め、木造復元計画の全体像がまとまった後に、諮れることがはっきりいたしましたので、これまでの認識を改めなければならないと思っております。」としました。

浅井市議は「あなたは文化庁に謝罪を言うべき。ゴールポストがどんどん変わっている。今度はいつの文化審議会を死守するのか。」と質問したところ、松尾観光文化交流局長は「御深井丸側内堀、石垣背面の空隙調査や築石の調査、また石垣保存方針の策定検討等残っている。現時点で具体的な時期をお示しできない」としました。

浅井市議は「一旦今の解体申請は取り下げるんですよ、ね。
また、市長に質問するが、市長は21/6/14記者会見で『文化庁から口止めされているので言えないが順調』と言った。
・(参考)令和3年5月31日 市長定例記者会見
文化財保護室と観光文化交流局に聞いたが、文化庁に電話していない。市長も聞いていない。市長、あなたは聞いてもいないことを電話をしていないのに口止めされた。これを嘘と言わずして、何を嘘と言うんでしょうかね。
また、毎年1億円、完成までに何十億円が必要かわからない、どんどん膨れ上がる木材の保管料を市民の皆さんに更に重い負担をかけて、税金で担うのか。」と質問しました。

河村市長は「竹中工務店からは、『事業費について、上限額を遵守し、名古屋市と協力して木造天守復元を実現してまいりたい』と聞いているので、上限額に収まるようにする。『木造天守閣は他に類を見ない大規模な木造復元であることから、大変意義のある事業であり、引き続き名古屋市と協力して事業を進めてまいりたい』と聞いている」としました。

浅井市議は「竹中工務店とは基本協定を白紙にすることはないという合意を得ていると、そして505億も何年経とうがずっと堅持できるというね、合意をもらってるみたいで、市長さすが」とのべました。
その後、「21/6/23に名古屋城が文化庁に行ったが、答弁調整の際、解体申請を取り下げるのかと質問したら、
1)松雄局長は「取り下げます、市長と相談します」。
2)次の日、私は何も言ってません。局長の方から「取り下げます」
3)昨日の夕方「出し直す」に変わった
4)今日「見直す」に変わった
言葉遊びがこの低迷のね、一番の原因だ。」としました。
松雄局長は「幹部会で最終的な答弁の精査をし、『取り下げは致しません』。解体申請の取り扱いについては、文化庁から市で決めなさいというふうにお伝えをいただいておりますし、今回指摘をいただいておりますので、その通りの対応したい」としました。

浅井市議は「あきれて物もいえない。所見を見て公務員は誰1人としてあなたの言った所見を理解できない。文化庁もがっかりだと思う。
今後、文化庁からは何の相談も受けてくれなくなるかもしれない。市長をはじめそこに座っている人みんなの責任だ」としました。

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名古屋城木造復元の件で、過去に何度も名古屋市は文化庁を訪問していますが、どのようなやりとりがあったのか、肝心の部分はいまだに黒塗りです。
名古屋市は議会やマスコミや市民に『説明』をしてきましたが、今回文化庁からの『所見』を浅井市議が入手したことで、市の『説明』と文化庁の『所見』が全く違っていたことが明白になりました。

名古屋市民オンブズマンは、過去の名古屋市と文化庁とのやり取りの非公開を情報公開訴訟で争っています。
また、今回文化庁から出された『所見』についても情報公開請求しています。

名古屋市民はどの程度、名古屋市と文化庁の言い分が食い違っていることを知っているのでしょうか。
今回の浅井市議の本会議でのやり取りならびに文化庁からの『所見』を全名古屋市民に配布することを望みます。

21/6/27(日)名古屋城木造天守 基礎構造検討「調整会議」非公開で開催

21/6/28新聞各紙に、名古屋城木造天守の基礎構造を検討する「調整会議」が非公開で開催されたと報道されました。

名古屋城木造天守の基礎構造は、竹中工務店が、現在の石垣や遺構を取り外してコンクリートで作る「はね出し架構」という工法を提案しましたが、石垣・埋蔵文化財部会は「史跡を破壊するはね出し架構は断じて認めないし、一般論として文化庁も認めないだろう」と述べました。
「はね出し架構」に代わる工法を検討する「調整会議」は「石垣・埋蔵文化財部会」と「天守閣部会」の代表者から構成されるとのこと。
20/10/22に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第34回)で、「調整会議」の設置が了承されました。
しかしながら、8ヶ月後の21/6/27になってようやく「調整会議」が開催されました。

この間、名古屋城総合事務所と各部会構成員とでどのようなやりとりがあったのか、21/5/25に「佐治名古屋城総合事務所長と各構成員との、『基礎構造に係る調整会議』を指す文言が含まれるメールのやりとり」を情報公開請求しましたが、21/7/8まで延長になっています。

そもそも、名古屋市の附属機関と類する機関は、名古屋市情報公開条例第36条で「公開するものとする」となっています。
上記に基づき、「石垣・埋蔵文化財部会」と「天守閣部会」も公開されています。

今回の「調整会議」はどうして非公開となったのか。
21/6/28に、まずは調整会議の開催要項と、配付資料を情報公開請求しました。

21/6/26(土)「金シャチと名古屋城」千田教授講演会 木造復元に一言も触れず

21/6/26(土)に、「名古屋城金シャチ特別展覧開催記念講演会」があり、特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会構成員の千田嘉博・奈良大学教授の講演会「金シャチと名古屋城」がありました。
・配付資料
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 
千田教授は、会場に集まった城好きを前に、名古屋城をはじめとする全国のお城の最新発掘調査に基づく話しを2時間にわたって行いましたが、名古屋城木造復元には一言も触れませんでした。

録音・写真撮影は禁止されたので、メモを元に要点を書きます。
・徳川家康は築城も名人だった
・石垣の重ね積みと算木積みは並行する技術だった
・大小天守群が連結する慶長期江戸城は鉄壁な守りを誇るが、御殿用地を圧迫した
・その後に計画された名古屋城は、政治や話し合いのための御殿用地を確保するため、大天守西側の堀の中に小天守を作ろうとした。
 しかし、西側小天守の根石を据え付けた段階で、最終的にやめた。
・その後計画された大坂城・江戸城は、名古屋城での家康の決断に秀忠・家光が従ったから。 
・明和大火以降、天守そのものが不要になった
・天守の屋根にシャチを載せるのは、おそらく安土城から
・龍は中国では最高の神聖な生き物
 龍とシャチは同義のもの
・名古屋城の金シャチは、戦いの時代ではなく、平和な時代を象徴したもの

名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託 変更概要書 開示

名古屋市民オンブズマンは、2021/3/26に名古屋市が竹中工務店と変更を行った「名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託 変更概要書」を情報公開請求して入手しました。

・名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託 変更概要書(R3.3.26)

実施設計に関し、当初は2018/4/9-2020/5/29まででした。
しかしながら、2021/3/26まで延長しました。
今回、2022/3/25まで再延長していたことが判明しました。

今回開示された「変更概要書」には以下記載がありました。

・設計図作成 本事業を進めるための必要最小限の業務である、木造天守復元と現天守解体を一体で行う現状変更許可の取得に向けた書類作成業務の内、実施する必要がなくなったものを取り止める
・現状変更許可書類作成 本事業を進めるための必要最小限の業務である、木造天守復元と現天守解体を一体で行う現状変更許可の取得に向けた書類作成業務の内、実施する必要がなくなったものを取り止める

これでは、当初の実施設計契約で何の書類作成を必要としていたのか、なにを取り止めるのかがわかりません。

変更概要書以上に詳細な文書がないか、今後情報公開請求してみます。

朝日新聞「市幹部 名古屋城木造復元『解体と木造化一体化 見直しには2年かかる』」

21/6/21に、河村たかし名古屋市長の定例記者会見がありました。

・令和3年6月21日 名古屋市長河村たかし 定例記者会見

しかしながら、公式youtubeには名古屋城に関して発言はありませんでした。

記者会見の「第2部」で、名古屋城に関して発言していたことがTHE PAGE の動画及び文字起こしでわかりました。

21/6/21(月) 15:18配信 THE PAGE
名古屋市・河村市長が定例会見6月21日(全文3完)木造天守復元の議論始まるのでご安心を

文化審議会文化財審議会から名古屋市に出された、現天守閣解体への指摘事項に対する名古屋市からの回答が報告され、所見が出たとのこと。
・現天守解体、仮設物設置が石垣等遺構に与える影響を判断するための調査、検討が一定程度進捗したものと評価できる
・天守解体の理由を木造天守復元と整理したのであれば、天守解体と木造天守復元を一体の計画として審議していく必要があると認められる。
・本申請については天守解体のみならず木造天守復元についても一体としてその内容に加えるよう見直しを図るのが適当である。

河村市長は「いよいよ復元についての議論が始まるということでご安心をいただきたいと思います」と述べています。

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ところが、21/6/22朝日新聞記事によれば、「市は今後、解体と木造化を一体化した計画づくりを急ぐが、練り直しには『2年かかる』(市幹部)といい、見直した計画が許可されるかどうか見通せない。」としています。
 
これはどういうことなのか。

・現時点では、名古屋市は現天守の解体について文化庁に申請を提出し、文化審議会文化財審議会から「調査、検討が一定程度進捗したもの」と評価された。
・現時点では、名古屋市は木造復元に関して文化庁に申請書は提出出来ていない。
・文化庁は、「天守解体と木造天守復元を一体として申請する」のが適当と、名古屋市に述べた。
・名古屋市幹部は「天守解体と木造天守復元を一体として計画するには2年かかる」と述べた。
・仮に一体として書類を文化庁に申請できたとして、その後文化庁で何年審議されるかは不明。

河村市長は「いよいよ復元についての議論が始まる」と述べていますが、そもそも復元についての書類が出来ておらず、「文化庁で復元についての議論が始まる」ことはありません。
むしろ「いまから復元についての議論」が名古屋市の中で始まるのではないでしょうか。
しかし、木造復元で極めて重要な部分である基礎構造の見直しについて、いまだに石垣部会・天守閣部会合同の「調整会議」が開かれていません。

2015年3月に名古屋市が「名古屋城整備検討調査報告書」で「可能な限り早期の木造復元が望ましい」としてから早6年がたちました。
当初予定していた2020年7月竣工はとうの昔に過ぎ去り、竹中工務店と基本協定を結んだ2022年12月竣工も正式に断念しています。

名古屋市幹部は「天守解体と木造天守復元を一体として計画するには2年かかる」としていますが、貴重な遺構である石垣を壊さずに、耐震性・耐火性・避難・バリアフリーを確保した形で木造復元計画が果たして2年で可能になるのでしょうか。

何年かけても上記条件をクリア出来ない可能性が非常に高いと、6年前から一部市民は主張しています。
仮にクリアしたとしても、現時点で総額505億円の工事費を入場料だけでまかなえるとは到底思えませんし、その具体的試算も出ていません。

文化審議会文化財審議会からの「所見」は、現天守解体に関しては一歩前進ではありますが、木造復元まであと何千歩かかるかわかりません。
もしかしたら、何万歩かけてもたどり着かないのかもしれません。
河村市長は、あたかも木造事業が進んでいるように見せているだけで、木造復元事業は文化庁に対しては6年前から一歩も進んでいないのです。

名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託 2022/3/25まで再延長

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託について、
・支出命令書(令和2年度分)
・変更契約書
・名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)に基づく、支出命令書(令和2年度分)
を情報公開請求して開示されました。

実施設計に関し、当初は2018/4/9-2020/5/29まででした。
しかしながら、2021/3/26まで延長しました。
今回、2022/3/25まで再延長していたことが判明しました。

2020年度に実施設計業務委託のために支出した金額は25,737,261円でした。
また、木材の製材の為に支出した金額は9007万円でした。

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実施設計契約は、名古屋城木造復元の詳細を確定するきわめて重要なものです。
しかしながら、既存の石垣遺構を破壊する「跳ね出し架構」に代わる基礎構造はいまだに具体化されていませんし、基礎構造を検討する『調整会議』も開かれていないようです。

また、バリアフリーについても、具体的なことは決まっていませんし、国際コンペも昨年度末までには開始されませんでした。

実施設計は、建築審査会、文化財保護審議会、復元検討委員会、消防長同意、構造安全性審査、防災計画評価が得られてはじめて完成します。
(2016年3月25日 竹中工務店 技術提案書 29ページより)
耐震・耐火・避難計画についても、どのような状況になっているのかまったくわかりません。
そもそも「名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書」第4条では天守閣の完成期限を2022/12/31にしていますが、
2019/8/29に、河村市長はようやく2022年末復元を断念と発表しました。
その後完成期限を基本協定書上どうしているかは不明です。

いつまで、見通しの見えない事業に税金と労力をつぎ込むつもりなのでしょうか。
新型コロナウィルスは全世界に猛威を振るっており、外国からの観光客がいつになったら戻ってくるのかも不明です。
「入場料だけでまかなう」とした収支計画がどのようになるのかも不明です。

なお、名古屋市民オンブズマンは、名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託 契約書(令和3年3月26日)記載の「変更概要書」を追加で情報公開請求しました。

21/6/4 名古屋城全体整備検討会議に「新たな工程」示さず

21/6/4に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第40回)がZoomウェビナーで開催されました。
録音・録画は今回も認められませんでした。

特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第 40 回)配付資料
・会議次第
・(資料1)要綱改正について
・(資料2) R3整備スケ
・(資料3)内堀御深井丸側石垣のレーダー探査
・(資料4)正門トイレの改修について
・(資料5)西之丸蔵跡追加調査について

別の用事がありほとんどの時間傍聴できませんでした。
議事録は名古屋城公式ページで後日ご確認下さい。
(なお、20/6/22に行われた第31回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議の議事録すら掲載されていません)

配付資料によれば、令和3年度事業予定について(イメージ)が提案されましたが、天守閣整備事業に関する「新たな工程」「バリアフリー対応」について≪検討中≫となっています。

21/6/1 名古屋城石垣部会 現天守解体に関する文化庁への回答への対応 話題に出ず

21/6/1に第42回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会がオンラインで開催されました。
今回も傍聴者には写真も録画も禁止されました。

21/6/1 第42回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会 配付資料

21/6/1 第42回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会
名古屋市民オンブズマンによるメモ

1時間半の限られた時間の中、1時間10分は本丸搦手馬出について議論になりました。

その後、御深井丸側レーダー探査について議論になりました。
しかし、時間がないということで、「危険性の高い石垣からレーダー探査する」ということなどを、全体整備検討会議に報告するということになりました。

最後に、報告事項として二の丸発掘調査について報告がありました。
最終的には1時間40分で終了しました。

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昨年度、あれだけ時間をかけて検討した、
「現天守解体に関する文化庁からの指摘事項への回答」について、文化審議会でどのように対応したかは話題に出ませんでした。

21/6/4開催の第40回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議で確認することを望みます。

21/5/31 河村市長 名古屋城解体申請 文化審議会「言ってくれるなということになっとる」

21/5/31に河村市長の定例会見が行われ、現天守解体申請への指摘事項への回答を21/5/6に郵送した後の文化審議会の扱いを問われ、「言ってくれるなということになっとる。まあ順調だということで」と述べました。
・令和3年5月31日 名古屋市長河村たかし 定例記者会見(名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしによる文字起こし
 
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210531.pdf

記者は「願望ではなく結果を聞いている」と問いましたが、河村市長は「言わんでちょういうことになっとる。」と返答しました。
記者は「文化庁が名古屋市に、報道、質問に答えるなと言ったのか」としたところ「言わないという慣例らしい」としました。

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19/6/21に、名古屋市は「6/21に開催された文化審議会で議題とならず、解体工事の着手にさらなる遅れが生じるため、工期の見直しを含め、竹中工務店、文化庁、地元の有識者と協議を進める」旨発表しています。
・19/6/21市長コメント
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190621.pdf

名古屋市は文化庁に電話で聞けば確認出来るという前例があります。

河村市長の発言は、主語が不明のことが多々あります。
「言ってくれるな」と言ったのは、文化庁なのか、名古屋市担当者なのか、それとも河村市長なのか。
どうして、新型コロナ対策の際は市担当者が答えるのに、名古屋城関連は市担当者が答えないのか非常に疑問です。
「名古屋市は文化庁に問合せをしたのかどうか」「その結果はどうだったのか」「言えないのなら、文化庁から口止めされているのか」を名古屋城担当者に直接聞きたいです。

21/6/1開催の第42回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議、石垣・埋蔵文化財部会、21/6/4開催の第40回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議で確認することを望みます。
https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2021/0-Curr.html
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なお、河村市長が述べた「メディアに対する監視機構」のFAIRは、「政府による検閲や報道における少数派意見の擁護」を行う団体とのこと。
河村市長の指摘とは正反対ではないでしょうか。
・FAIR(Fairness and Accuracy in Reporting)
 https://fair.org/
・前嶋和弘 文教大学人間科学部准教授
 アメリカのマスメディア監視団体の政治的・社会的影響力についての研究
 https://www.taf.or.jp/files/items/533/File/p237.pdf
 「FAIR は 1986 年の創設以来、メディアの偏向と(注:政府機関などによる)検閲に対し、十分な批判を続けてきた。報道における多様性を擁護し、公共の利益や少数派、異なる意見をメディアが軽視しないように厳しくチェックすることで、憲法修正第一条に定められた「言論の自由」を活性化させるよう活動している」

 
名古屋城石垣部会赤羽氏が名古屋城総合事務所長に送付したメール開示

名古屋城天守木造復元の件で、石垣・埋蔵文化財部会構成員の赤羽一郎氏が、佐治名古屋城総合事務所長あてに送付したメール(2021年2月17日付)を名古屋市民オンブズマンが情報公開請求したところ、21/5/20付けで開示決定が出ました。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210520.pdf

これは、21/2/9名古屋城跡全体整備検討会議で、赤羽構成員が「なにも木造天守にしなくても、現在の天守を活かし、修理すべき石垣を修理すれば、木造天守以上に当時の雰囲気を知っていただけるのではないか。現天守を丁寧に扱って活かすということを、財政的な問題やいろんな課題、要請されている法的問題などをクリアできるのか私は疑問に思う。」と述べたことを踏まえています。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#210209

開示されたメールでは、佐治独歩・名古屋城総合事務所長が21/2/16に赤羽氏に対し「21/2/3に、基礎構造に係る調整会議を進めていく上で、木造天守復元についての考えを聞かせて頂きたいとメールを送ったが、21/2/9全体整備検討会議のご意見に凝縮されているということか」とメールしていました。

21/2/17に赤羽氏が佐治所長に送ったメールでは以下述べています。

21/2/9全体整備検討会議で申し上げたことが私の主張に相違ない。
2012年度の整備方針(現天守耐震補強・展示機能向上)に加えて、EVの最上階への延伸、本丸を囲む櫓の利活用等を進めれば、木造天守を復元しなくても本丸地区の存在意義は十分発揮されると考えている。
また、資料3-6に「3-2復元の課題」が掲げられているが、この項目こそが復元論議のスタートにあるべきものだが行われず、達成される見通しが立っていない。
・21/2/9 第37回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議
 資料3 本丸整備基本構想(木造天守復元)について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210209-3.pdf

1)21/2/9全体整備検討会議で、三浦正幸・広島大学名誉教授が「将来の大地震で現天守も石垣も崩壊する。木造天守はメンテをしっかりすれば永続する。いずれ崩壊する現天守の耐震補強を行うのは二度手間だ」と述べたが、崩落した石垣を再構築する具体的な理論と方法を作成することが先に行われなければならないのではないか。

2)ケーソンに依拠して木造天守を復元することが「史実に忠実」なことか。ケーソンの真ん中とその周囲でボーリング調査を行いたいという目的も、天守台の石垣ではなくて木造天守を支えるケーソンの健全性を推し量るものではないか

3)穴蔵は空襲被害とケーソン工事によって大半が壊され、再構築された様相が見てとれたが、それも含めて長い歴史のかけがえのない一部であり、トータルとして名古屋城を捉えなくてはならないと思う。

4)バリアフリーの進展は見られないように思う。世界の趨勢は、バリアフリーという概念自体が遅れており「ユニバーサル・デザイン」の時代と言われている。それらの概念と「史実に忠実」という概念がどのように調和を得られるのか。

5)復元に要する経費とその財源見通しはどうなっているのか。未曾有のコロナ禍の元で悪化している財政状況の中で市の公金がどのように使われているのか、市民への負担はどうなのかという疑問に答えるべき

6)21/2/9全体整備検討会議で麓和善・名古屋工業大学大学院教授は「木造復元は市が決めたことで、私たちは論ずるべきものではない」と述べた。その場で、私がこういう会議で様々な意見が出て論議されてよい、と申した。この考えも変わらない。

上記メールを踏まえ、名古屋城木造復元の事務方トップの松雄俊憲・観光文化交流局長は21/2/19に赤羽氏に送付したメールで「この(市長の)やり方では決してうまくいかないことを認識し、市長との公約としての木造復元ではなく行政ベースの木造復元に大きく舵を切っており、その進め方として、従来に戻ることは私がいる限りありません。」と明確に述べています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210420.pdf

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全ては河村たかし名古屋市長が2015/8/24に出した「まず本丸天守の復元。全責任は私がとる」という指示書がはじまりです。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
 
石垣部会ら有識者とのボタンの掛け違いが約6年たっても解決しません。
バリアフリー、耐震など6年前からの課題はいまだに解決できず、基礎構造を議論する、石垣部会・天守閣部会合同の「調整会議」も20/3/31特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第30回)に提案されましたが、それから1年2ヶ月たってもいまだに開かれていません。

開示された資料によれば、名古屋城木造復元事業で2019年度までにすでに58億3719万7000円使っており、2020年度に2億3207万4000円使う予定です。

にもかかわらず、現天守の解体のめどはたっていませんし、木造復元事業のめどもたっていません。

河村たかし名古屋市長はどう「全責任をとる」のでしょうか。

21/5/13 名古屋城情報公開訴訟 弁論準備WEB会議

名古屋城天守閣木造化をめぐり、名古屋市が文化庁訪問時の復命書等の情報を非公開にしたのはおかしいとして、名古屋市民オンブズマンが公開を求めた情報公開訴訟の弁論準備が21/5/13にWEB会議(非公開)で行われました。

非公開文書
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200203-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-2-1.pdf   
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-3-1.pdf
 
名古屋地裁民事9部の裁判長が日置朋弘裁判官に交代しました。

書面の検討の上にたって、被告名古屋市側に一覧表での当方の主張に対する反論を求めました。
番号2 議会で承認されている、という当方の主張に対し
番号3 意思形成に関する影響はあるか
番号32?35 どういう混乱があるのか
番号38 石垣部会の議論を新聞が報道していることと混乱の関係
番号40・42 市長発言でどのような混乱があるか

また、乙4の3の利用目的を尋ねました。

これについて一覧表を市側に7月5日までに提出するよう求めました。
名古屋市民オンブズマン側は次々回までに反論となります。
次回は2021年7月14日午後1時30分 web会議(非公開)です。

河村市長「名古屋城木造天守 4,5年前 バリアフリーを企業に検討依頼 人力がいいという結論に」文書不存在

名古屋市民オンブズマンは、21/4/26中日新聞8面に記載された、21/4/25河村たかし名古屋市長当選後のインタビューの、名古屋城木造復元のバリアフリー部分の文言について根拠資料を情報公開請求したところ、全て不存在決定が出ました。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210512.pdf

・「中日新聞:名古屋城天守木造復元事業でエレベーターの代わりにどんな バリアフリーのアイデアがあるのか。
 河村市長:『四、五年前、ある企業にお願いして検討してもらった。』」の依頼文、費用がわかるもの
・「河村市長:『四、五年前、ある企業にお願いして検討してもらった。今の技術だと人力(で上階へ運ぶ手段)がいいという結論になりました。」の結論がわかるもの

少なくとも、公文書としてバリアフリーについて企業にお願いして検討してもらったことは残っていません。
なんらかの結論も残っていません。

河村たかし名古屋市長が「口からでまかせ」を言った可能性が極めて強いです。
「口からでまかせ」ではないというのであれば、今すぐに当該企業名とお願い文書、費用、結論文を市長が公開すべきです。

もっと悪質なのは、21/4/25投開票の市長選挙最中に、上記バリアフリーの具体策について河村市長は一言も述べず、当選が決まってから「すでに決まったこと」と述べていることです。

しかも、名古屋城木造復元の事務方トップの松雄観光文化交流局長は「この(市長の)やり方では決してうまくいかないことを認識し、市長との公約としての木造復元ではなく行政ベースの木造復元に大きく舵を切っており、その進め方として、従来に戻ることは私がいる限りありません。」と明確に述べています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210420.pdf
具体的には、21/2/19の時点で「名古屋城の内部構造から幅150cm×奥行160cmの格子に収まり、階層毎に貫通する昇降技術(エレベーター技術)はできないのか」というものです。
しかし現時点では目処はたっていません。

河村市長は何回も「エレベーターをつけずに人力で何とかする」と発言しており、これは信念です。
市長にいくら信念があっても、バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)14条では、不特定多数が利用する特別特定建築物を新築する際は、建築物移動等円滑化基準に適合させなければなりません。
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/

なお、有識者会議である特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議は、第3回会議が2019年10月24日に開催されて以降、1年半に渡って開催されていません。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2020/03/20200331_993.html

2018年7月24日開催の「特別史跡名古屋城跡バリアフリー説明会」ではパワーアシストスーツも紹介されましたが、あくまで「紹介」であって、結論が出ているわけではありません。https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2020/02/20200204_953.html

河村たかし名古屋市長は二重三重四重五重に市民をだましているとしか言いようがありません。
情報公開請求で「ファクトチェック」してみました。
市長からの反論を具体的な資料で求めます。


名古屋城天守閣木造復元事業 総務省への起債届出書 完成は2031年度と記載

名古屋城天守閣木造復元事業について、総務大臣に届け出をした起債届出書(2020年度発行分)を情報公開請求したところ、21/2/3づけで名古屋市が総務大臣に届出をしていたことが判明しました。

・名古屋城 木造復元事業 起債届出書(2020年度発行分)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210430.pdf

それによれば、事業期間は平成28年度〜令和13年度(2031年度)とありました。
 
2019年度分も情報公開請求していますが、同じく事業期間は平成28年度〜令和13年度(2031年度)です。
 
・名古屋城 木造復元事業 起債届出書(2019年度発行分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200415-1.pdf

開示された資料によれば、2019年度までにすでに58億3719万7000円使っており、2020年度に2億3207万4000円使う予定です。
国庫補助は全く予定していません。

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名古屋城木造復元事業は、現天守の解体すら見通しがついておらず、木造復元事業がいつ完成するのか、そもそもどのような木造復元になるのかすら目処がたっていません。
しかしながら、基本設計・実施設計や木材製材で、すでに60億円以上を使っています。
上記のほとんどを借金でまかなっており、どのように返済するのかも全く目処がたっていません。
名古屋市は「全額入場料収入で返済する予定。返済計画は竣工時期が固まった時点で見直す」と述べていますが、新型コロナ禍がどの程度続くのか誰も見通せず、来城者もまったく見通せません。

一体どうするつもりなのでしょうか。

・2015/8/24 河村市長「全責任は私が取る」指示書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf

名古屋城石垣部会赤羽氏と河村市長「公務として面談は確認出来ず」

名古屋市民オンブズマンは、名古屋市に対し、名古屋城の件で石垣・埋蔵文化財部会構成員の赤羽一郎氏と、河村たかし名古屋市長が面談した際の記録(21/2/22-4/20分)を情報公開請求しましたが、不存在決定がでました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210430-1.pdf

その後、名古屋城総合事務所から電話があり、「公務として2名が面談していることは確認出来なかった」と連絡がありました。
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本件は、松雄観光文化交流局長と赤羽氏とのメールのやり取りの中で、赤羽氏が「河村市長に直接お目にかかりたい」と伝え、松雄局長が「本当にお望みなら、私からお断りする理由はない、セットできないか調整したいと思っている」と記載があったことを受けて情報公開請求をしたものです。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210420.pdf

このメールのやり取りは決定的なことが書かれています。

河村市長:公約「木造復元竣工時期ありき。まず木造復元、その後石垣。」全責任は私がとる 
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
松雄局長:2019年6月に、市長公約としての木造復元ではなく、行政ベースの木造復元に大きく舵を切った。
 石垣の保全を第一。課題の克服の先に木造復元がある。
赤羽構成員:木造復元より、現天守を護っていくことがはるかに歴史的に意義深い。木造復元に与することはあり得ない。  

名古屋城の整備に関し、文化庁は「地元有識者の理解」を得るよう繰り返し述べています
市長と局長、石垣部会構成員の思いがここまで食い違っているのであれば、とうてい名古屋城天守閣木造復元は不可能ではないでしょうか。

少なくとも2021/4/20までは、公務として市長・赤羽氏の面談はなかったようです。
関係者の思いがバラバラで調整も出来ず、そもそも木造復元が実現するかどうかもわからない。
こんな状態をいつまで続けるのでしょうか。

21/5/7 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 文化庁への回答に意見無し

21/5/7 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第39回)が開催されました。

・21/5/7 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第39回)配付資料
 
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210507-1.pdf
・現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210507-2.pdf

別の用事がありほとんどの時間傍聴できず、最後のみ傍聴しました。
議事録は名古屋城公式ページで後日ご確認下さい。
(なお、20/6/22に行われた第31回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議の議事録すら掲載されていません)
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/

なお、本日赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長・元愛知淑徳大学非常勤講師は急に欠席したとのこと。

議事としては、「令和3年度事業予定について」がありました。
麓和善・元名古屋工業大学大学院教授は「全体整備検討会議と各部会、調整会議の関わり方はどうなっているか」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「現在は、全体整備検討会議で議論したものを各部会に下ろし、また全体整備検討会議に上げている。今後、見直しも考える」としました。

次に、その他として、「現天守解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答」が資料として配られました。
名古屋城総合事務所は「文化庁は5月の文化審議会にご報告していただき、一定の方向性を出していただけるものと思っております」と述べました。

A3で41ページもの資料を配付されましたが、構成員からは特に意見は出ませんでした。

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「指摘事項への回答」では、「本来、木造天守復元が現天守解体の理由」と明記しました。
「本丸整備基本構想及び天守整備基本構想」として、色々書かれていますが、いったいいくらかかるのか、いつまでに行う予定なのか、そもそも実現可能なのかは全くわかりません。

「本丸整備基本構想及び天守整備基本構想」は、有識者会議にしか示されておらず、市民の意見を聞いたものではありません。

赤羽一郎構成員は21/2/9 第37回名古屋城跡全体整備検討会議で「なにも木造天守にしなくても、現在の天守を活かし、修理すべき石垣を修理すれば、木造天守以上に当時の雰囲気を知っていただけるのではないか。財政的な問題やいろんな課題、要請されている法的問題などをクリアできるのか私は疑問に思う。」と述べました。
その後、松雄局長との往復書簡もメールでやり取りしています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210420.pdf

赤羽構成員以外の各構成員は意見を言わなかったのでどう考えているかわかりかねますが、名古屋城木造復元は「絵にも描けない餅」ではないでしょうか。
いくら市長が公約で掲げても、市は法律違反をすることができません。
松雄局長がいう「行政ベースの木造復元」だと、文化庁が言う「復元的整備」になる可能性が高いです。
・令和2年4月17日 文化庁
 史跡等における歴史的建造物の復元等に関する基準の決定について
 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/92199502.html
 
事実に基づき、きちんと議論する場を望みますが、残念ながら望み薄です。


21/5/6 名古屋市 名古屋城現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答を郵送で提出

名古屋市は21/5/6に、「名古屋城現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答」を郵送したと発表しました。

・令和3年5月6日 名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所
 現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答提出について
 
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210506.pdf

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河村市長もコメントで述べていますが、「5月の文化審議会にご報告していただき、一定の方向性を出していただけるものと思っております」というだけで、実際に文化審議会がどう判断するかわかりません。

また、「解体に加え復元についても一体的な審議をお願いしたいと思っております」とあるように、復元について具体的な計画はまだ出来ていません。
特に、「跳ね出し架構」に代わる新たな基礎構造を議論するため、石垣部会と天守閣部会が合同で「調整会議」を開くとしていましたが、2021年3月末までには開催がありませんでした。

今後も注目していきたいです。

(参考 21/5/7 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第39回)に配付した、「現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答」)

名古屋城木造復元 文化庁とのやり取りがどの程度公開されているか知っていますか?

21/4/25(日)名古屋市長選が行われます。
その争点の一つに、名古屋城木造復元があります。
当初、2022年12月竣工予定でしたが、河村たかし名古屋市長は2022年12月竣工を断念し、あらたな竣工時期は発表されていません。

しかし、そもそも許認可権を持つ文化庁は、名古屋城木造復元についてなんといっているかご存じでしょうか。
名古屋市民オンブズマンは、18/6/13-18/12/10分の名古屋市と文化庁とのやり取りについて情報公開訴訟をしています。

当初はほとんどが黒塗りでしたが、訴訟が進むにつれて徐々に公開部分が増えてきました。

非公開文書
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200203-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-2-1.pdf   
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-3-1.pdf
 
いまだに、文化庁が名古屋市になんといっているのか非公開です。
また、「石垣保存の基本的な考え方と天守台石垣の保存方針(案)について」も非公開です。


防災・避難計画(案)なども非公開です。

復元整備の詳細と利活用についても非公開です。


現状では、「文化庁が名古屋市に対し、木造復元についてなんと言っているか」は市民も議員も知らないのです。
それどころか、「どのような木造復元を名古屋市がしようとしているのか」も、市民にも議員にも示していないのが現状です。

名古屋市長選の争点になれば幸いです。
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名古屋城木造復元 21/4/8 文化庁訪問時の復命書・資料 開示

21/4/8に名古屋城天守閣木造復元事業の件で、河村たかし名古屋市長や特別秘書、名古屋城総合事務所長、名古屋市教育委員会文化財保護室らが文化庁訪問をした際の復命書・資料を情報公開請求して21/4/23に開示されました。

・21/4/8 文化庁訪問時の復命書(河村市長、特別秘書分)
 
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210423-1.pdf
・21/4/8 文化庁訪問時の復命書・資料(名古屋城総合事務所保存整備室分)
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210423-2.pdf
・21/4/8 文化庁訪問時の復命書(名古屋市教育委員会文化財保護室分)
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210423-3.pdf
 
開示資料にははっきり書かれていませんが、21/4/9朝日新聞によれば、21/4/8時点では名古屋市はまだ文化庁からの現天守解体に関する指摘事項へ回答しておらず、河村市長は、「回答に向けた準備が整ったことを伝え、回答のベースになる資料を渡した」だけとのこと。

名古屋市側は、「天守閣木造復元事業が目に見える形で動き出すことを強く願っている」「5月の文化審議会にご報告してもらえるようお願いしたい」としていますが、文化庁は「担当の方で資料を確認させてもらい、内容が詰まったら審議会に諮っていくことになるのでしっかりと擦り合わせをしてもらいたい」と述べるにとどまっています。

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何回も述べますが、これは「現天守の解体にかかる現状変更許可申請に対する文化庁の指摘事項」に対する回答のベースです。
実際、名古屋市が文化庁に回答を送付したかは、現在情報公開請求中です。

今回、名古屋市は「現天守閣解体の現状変更許可申請に対する文化庁の指摘事項への回答」を行う予定ですが、それと同時に木造天守閣復元の具体的な絵を基本構想という形で示す予定で、今回の「名古屋城本丸の整備計画【将来構想】」「名勝名古屋城二之丸庭園整備計画(案)」「『未来につなげる』名古屋城の魅力向上と発信」がそれにあたると思われます。

しかしながら、河村たかし名古屋市長は「文化庁の責任ある方から、解体と天守の復元を同時にやられてはどうですかと話があった」としており、現天守解体のみの現状変更許可申請が認められるのかは不明です。

21/3/18に名古屋市議会経済水道委員会で、佐治所長は「一体の現状変更許可申請に関し、時期はまだ文化庁と相談していない。出し方は取り下げになるのか、付け足しなのかは調整するが、まだ先になる。」としました。

21/4/25(日)に名古屋市長選挙が行われます。
名古屋城木造復元の現状をよく把握した上で、投票行動を行うことを望みます。

21/4/20 市観光文化交流局長「市長主導の名古屋城木造復元では決してうまくいかないと認識」メール開示

名古屋市民オンブズマンは、名古屋市に対して、松雄観光文化交流局長がメールで送った、「一昨年4月に観光文化交流局長を拝命し、その年の6月までは市長の主導の名古屋城木造復元を実現しようと思っておりました。しかし、このやり方では決してうまくいかないことを認識し、市長との公約としての木造復元ではなく行政ベースの木造復元に大きく舵を切っており、その進め方として、従来に戻ることは私がいる限りありません。」の全文、上記への返事、返事への回答メールを情報公開請求し、21/4/20に開示されました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210420.pdf

これは、21/3/8自民党の浅井正仁市議の市議会本会議質問で発覚したことです。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#210308

当該メールは、石垣・埋蔵文化財部会の赤羽一郎構成員からのメール(未入手)に対する返事として松雄文化交流局長が21/2/19に書いたものだったことが判明しました。

21/2/9全体整備検討会議で、赤羽構成員は「なにも木造天守にしなくても、現在の天守を活かし、修理すべき石垣を修理すれば、木造天守以上に当時の雰囲気を知っていただけるのではないか。現天守を丁寧に扱って活かすということを、財政的な問題やいろんな課題、要請されている法的問題などをクリアできるのか私は疑問に思う。」と述べたことを踏まえています。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#210209

まず、松雄局長は「一昨年4月に観光文化交流局長を拝命し、その年の6月までは市長の主導の名古屋城木造復元を実現しようと思っておりました。
しかし、このやり方では決してうまくいかないことを認識し、市長との公約としての木造復元ではなく行政ベースの木造復元に大きく舵を切っており、その進め方として、従来に戻ることは私がいる限りありません。」と述べています。
具体的には、石垣保全を第一にし、木造復元の竣工時期にとらわれないとしています。

一方、木造復元自体は市の方針で議会の議決を得、国と正式に協議しているので、振り出しに戻すこともあり得ないとしています。

松雄局長は、木造復元する意義は高いと考えており、伝統技術を確実に継承したいとも思っています。
天守閣の木造復元を契機に、次の名古屋をどうするのかグランドデザインを考えるきっかけにしないといけないとしています。

木造復元とエレベーター問題については、どうしたら「史実に忠実」とバリアフリーが調和した形で復元出来るか知恵を絞っているとしています。
経費については全額入場収入でまかなうことになっており、年間350万人を見込んでいるが、決して不可能な目標数値ではないと考えているとしています。

それに対し、赤羽構成員は21/2/20メールで「戦国時代の木造天守を復元するより、第二次世界大戦後の名古屋市民の思いを具現させた現天守を護っていくことが、はるかに歴史的に意義深いと思う」「私のこれまでの思いを覆してまで、木造天守復元に与することはあり得ない」と述べています。

さらに、赤羽構成員は21/2/21メールで「松雄局長は、河村市長の意向には必ずしも従わず、石垣等の史跡保護を最優先としその延長線に木造復元があると理解してよいのか。そうなら私の現天守に対する思いは変わることはないが、全体構想の中で天守をどう位置づけるかという議論なら私見を述べさせていただくことにやぶさかではない」「可能なら、松雄局長ともども、河村市長に直接お目にかかり、局長の考えや私どもの思いを河村市長に伝え、木造復元の進め方の問題点を申し述べる機会としたい」としています。

松雄局長は21/2/22メールで「市の方針と異なり残念だが、しっかり受け止めさせていただく」としました。
松雄局長の認識を変えるきっかけは、局長になる前の2019/3/25第30回石垣部会の議事録を読んだからとのこと。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2020/03/20200331_992.html
「市長のように竣工時期を先に決めて、天守が先、石垣は後の進め方では何年かかっても木造天守などできない」としています。
具体的には、文化庁からの指摘事項に回答することとしています。

また、天守内堀であらたに検出された石列遺構の追加調査をすべきではないかというご指摘については、文化庁中井調査官の指摘を踏まえ、調査の趣旨・目的を逸脱しない範囲で必要な調査を検討したいと考えているとしています。
さらに、「文化庁は現天守を解体してまで、新たに木造天守を復元する意味を名古屋市に問いかけている」の市の回答は、「特別史跡名古屋城跡本丸整備基本構想」が当たると考えているとしています。

市長との面会については、「本当にお望みなら、私からお断りする理由はない、セットできないか調整したいと思っている。
しかし、本質のところで意見が相違しており、有益な会談となるのか、また会談を通じて益々先生との関係がギクシャクするのは望んでおりません」と結んでいます。

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このメールのやり取りは決定的なことが書かれています。

河村市長:公約「木造復元竣工時期ありき。まず木造復元、その後石垣。」全責任は私がとる 
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
松雄局長:2019年6月に、市長公約としての木造復元ではなく、行政ベースの木造復元に大きく舵を切った。
 石垣の保全を第一。課題の克服の先に木造復元がある。
赤羽構成員:木造復元より、現天守を護っていくことがはるかに歴史的に意義深い。木造復元に与することはあり得ない。  

その後石垣部会構成員と市長との会談が行われたかどうかは現時点では不明です。

そもそも、河村市長は松雄局長の「方針転換」を了解しているのか。
そのような「方針転換」を市民にきちんと説明したのか。
市民は市長公約が行政によって変更されたことを理解しているのか。

松雄局長は「益々先生との関係がギクシャクするのは望んでおりません」としていますが、むしろ市長と松雄局長の関係がどうなっているのかが知りたいです。

その上で、「地元有識者の理解」を得るよう文化庁は繰り返し述べていますが、赤羽構成員が「木造復元に与することはあり得ない」というのなら、文化庁が木造復元を許可することは「あり得ない」のではないでしょうか。

現在、名古屋市長選の最中です。
河村市長はマニフェストに名古屋城について書いてありますが、上記「方針転換」についてどこまでわかって書いているかは不明です。
「何年かかってもできない」(松雄局長)ことを前回の「公約」としていたことも問われるべきです。

少なくとも、名古屋市在住の全有権者は、今回開示されたメールを読んだ上で投票行動を考えるべきだと思います。


21/4/16 令和3年度 名古屋城関係予算要求額内訳 開示

名古屋市が令和3年度に予算として計上した実施設計1億2100万円、設計監理等支援業務委託1200万円、木材製材1億2400万円、石垣調査等8107万4000円、の内訳を情報公開請求したところ、21/4/13に公開されました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210413.pdf

木材保管費9000万円、木材運搬費3400万円としています。
名古屋市は「今回の予算要求により、木材の製材の契約金額が増加するものではありません。」と述べています。

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木材の製材の契約書等を名古屋城総合事務所から情報提供してもらいました。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200708.pdf
これによれば、予算額は94億5540万円で、工期は令和4年12月16日までとしています。

木造天守閣の完成どころか、現天守閣解体のメドもたっていません。
あと1年9ヶ月で木材が全て使われる見込みはありません。

今後竹中工務店と木材の製材の契約書を見直さざるをえません。年間9000万円にも及ぶ木材保管費用についてどうなるのか、
名古屋市は全く語っていません。

21/3/30 名古屋城全体整備検討会議 文化庁からの「宿題」回答提出を認める

21/3/30に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第38回)が開催され、
文化庁からの指摘事項に関する回答の提出を承認しました。

・21/3/30 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第38回)配付資料



21/3/25 名古屋城天守閣部会委員「天守台石垣表面をすべて修理すると5年くらいかかりそう」

21/3/25午後、特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第23回)が開催されました。
 
・21/3/25 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第23回)
 配付資料
 
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210325-2.pdf
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210325-2-1.pdf
 
2019年9月に文化庁から4つの指摘事項が出されており、名古屋市はそれに回答しない限り、次の段階に進めませんでした。
名古屋市は、回答を作成するために各種調査をしてきました。名古屋市は「指摘事項への回答について、事前に資料を文化庁に見せたところ、『このままでは細かすぎ、ボリュームが多い。一問一答形式で回答してほしい』と指導をいただいた」としました。

麓和善・名古屋工業大学大学院教授は「指摘事項への回答には、『天守台石垣の被熱と劣化に関し、仮設物設定前に保存を行う。令和3年夏ごろに石垣保存方針を作成し、石垣補修を行う』とある。表面被熱劣化への対応は結構難しい。一個づつの石ごとに検討しないといけない。『令和3年夏ごろ』と明確に回答するのがよいのか。本当にできるのか。補修をやってから仮設工事に取り掛かるので良いのか。
時間が短すぎる。これだけの面積なのでかなり時間がかかる。全部補修したうえで工事に取り掛かることが必要なのか疑問に思う。『石垣の保存方針を検討する』くらいではダメか。『修理する』と言わないと、文化庁への回答が成立しないか」としました。

名古屋城総合事務所は「今年夏ごろをめどに石垣保存方針を作成したい。石垣表面の補修については、内堀保護工でかぶる部分はさきにやらないといけない」としました。

麓教授は「石垣部会の議論を踏まえると、時間がかかる気がする」とし、名古屋城総合事務所は「ご心配な点は分かるが、方針として示す必要はあると思う」としました。

三浦正幸・広島大学名誉教授は「麓先生の懸念はごもっとも。『被熱によって表面がはがれかかった石材は、必要措置を講じる』と限定修飾語を用いてはどうか。記載の通りだと、自らの首を絞めるようなもの。天守閣石垣の表面の被熱と劣化をすべて直すと、それだけで5年くらいかかりそう」と述べました。

村木副センター長は「現時点で、どの段階でどのレベルの補修をするか、具体的な検討はできていない。しかし直接内堀保護工に触れ、剥離してしまうところは事前に対応する必要がある。記述の仕方は検討したい」としました。

古阪秀三・立命館大学客員教授は「ここまで遅れた。文化庁のルールは何か。どういう審査員、指導員がいるのか。文化庁は何をやっているのか。このままでは木造復元を我々は天国から見ているかもしれない」としました。

佐治所長は「天守閣部会からのご指摘は前向きに検討したいが、21/3/30に開かれる全体整備検討会議には時間がないため、同じ文面で出したい」としました。

座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「本日の指摘を踏まえて文化庁に提出してほしい。私が修正を確認する」としました。

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同じ21/3/25に開催した2つの部会で、午前中に開かれた石垣・埋蔵文化財部会では『遺構保存を徹底する』としたにもかかわらず、午後に開かれた天守閣部会では「天守台石垣の表面については、必要な措置を講じる」とまで表現が後退しました。

天守台石垣の表面は戦災の被熱で極めてはがれやすくなっており、ちょっと触るだけでボロボロ落ちてくることがあります。
プラスチックを利用した軽量盛り土は軽いため、堀底の石列等遺構に対する影響は「軽微」と解析結果がでたとのこと。

しかしながら、軽量盛り土が天守台石垣に触れると、ボロボロはがれる可能性があります。

「その補修を徹底する」と石垣部会は午前中に了承したのに、午後の天守閣部会では「必要な措置を講じる」に後退する意見が出ました。

今後、どのような文言が文化庁に提出されるかわかりませんが、文化庁が「必要な措置を講じる」で、現天守閣解体の現状変更申請を認めるかわかりません。

三浦名誉教授が述べたように「天守閣石垣表面の補修を徹底すれば5年かかる」のです。
それ以降しか、現天守閣解体のための足場を組むことはできません。
2028年ごろの木造復元など夢のまた夢です。

せっかく2つの部会が同じ会場に集まったのだから、午前と午後にわけるのではなく、どうして同時に開催して意見を交換しなかったのか、理解に苦しみます。

堀底石列に続き、天守台石垣表面の補修方法も今後確実に焦点になります。
市民や議員、マスコミがどこまでこの問題を理解しているのか。名古屋城木造復元への道ははるかかなたです。

21/3/25 名古屋城石垣部会「文化庁からの指摘事項への回答『遺構保存を徹底する』明記は極めて大きな一歩』」

21/3/25午前に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第41回)が開催され、現天守の解体の現状変更許可申請に対する文化庁からの指摘事項への対応について、石垣部会構成員は概ね了承をしました。

・21/3/25 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第41回)
 
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210325-1.pdf
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210325-1-1.pdf

・21/3/25 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第41回)終了後の記者会見
 名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし

2019年9月に文化庁から4つの指摘事項が出されており、名古屋市はそれに回答しない限り、次の段階に進めませんでした。
名古屋市は、回答を作成するために各種調査をしてきました。
名古屋市は「指摘事項への回答について、事前に資料を文化庁に見せたところ、『このままでは細かすぎ、ボリュームが多い。一問一答形式で回答してほしい』と指導をいただいた」としました。

名古屋城調査研究センターの村木副所長は「内堀についてレーダー探査、発掘調査をしたところ、新たに石列が見つかった。しかし、天守台については接するところまで、それ以外の面は接するところまではなかった。今回は遺構を調べるまでは至っていないが、重要な遺構と認識しており、今後調査体制を整える」としました。

また、名古屋城総合事務所は「内堀に関して工学的解析を行ったが、空隙はなかった。新たな石列は、力学的には大天守閣石垣や御深井丸側石垣と独立している。
また、現天守閣解体時の仮設物設置時と、木造復元時の最大荷重時の解析を行ったが、プラスチックの軽量盛り土で埋めた場合、ほとんど影響はなく、遺構の保護対策として妥当と考える」としました。

さらに、大天守北側の御深井丸側石垣について発掘調査をしたところ、ほとんど遺構は確認できなかったとしました。

天守台石垣について、背面に空隙は認められず、軽量盛り土での押し込みもないとしました。石の表面剥離については、軽量盛り土で埋め戻した際、表面剥離進行の可能性があるが、他城郭などを参考にして石垣保護の事前対策をしたいとしました。

文化庁と相談をしたが、上記回答を出すことにおおむね了承したとのこと。

石垣部会の千田嘉博・奈良大学教授は「文化庁の指摘事項は解決しないと進まない。
今回の報告は、名古屋城総合事務所が調査した結果、『ここがこうわかった。継続調査はこうする、こう対策する』と明確になり、どう保護するかは今後検討だが、宿題はほぼ完ぺきに回答ができたと考える」としました。

赤羽一郎・元愛知淑徳大学非常勤講師は「新たに内堀で見つかった石列をどう評価するかについて記載がないのは苦言を呈したい。市民に説明責任が問われる。『文化庁の注文にこたえるだけでいい』というのでは、調査研究センターの意義が問われる」としました。

千田教授は「内堀底で見つかった石列は、幻の小天守の石垣の基礎でほぼ間違いがない。今回の調査目的は、見つかったものの性質を調べるものではなかった。将来名古屋城を訪れるお客様に見せられたら良い」としました。

続いて、天守台ボーリング調査について議題となりました。

宮武正登・佐賀大学教授は「小天守台になぜボーリングを入れるのか欠落している。小天守から大天守にシルト層が傾斜している可能性があるから。」としました。

議題に関し、石垣部会としては一部修正を求めるものの、親委員会である、全体整備検討会議に諮ることを了承しました。

石垣部会終了後、記者会見が行われました。

座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「新型コロナ禍の中、現場の発掘調査の方は大変頑張ってくれた。
石垣部会の助言と現場がずれることはあったが、議論してここまでこれた」としました。

記者は「もう文化財遺構を毀損しないという整備方針を明記された評価点について、名古屋市の姿勢が変わったのか」と質問しました。

宮武教授は「文化庁からの指摘事項が出た時点と現時点では情報量が全然違う。指摘事項以降、細密な調査をして、新しい知見が出てきて、気づかなかったダメージも出てきた。名古屋市側の姿勢が変わったということではなく、調査の質も量も増えたため、来年度以降も必要な調査を続けていく。解決策や報告策は今回文化庁側にこたえられると確認した。」としました。

赤羽氏は「石垣部会の使命は、名古屋城の本質的価値を持っている石垣、地下遺構をどう保全し、発展、理解を進めていくかというもの。せっかく出てきた石列を調査し記録することは使命にかなったもの。
木造復元について、部会として議論したことはない。今回木造復元と現天守解体について名古屋市の回答が出たが、私としては、石垣部会が扱う範疇ではないと理解している」としました。

宮武教授は「石列について下まで見たいが、今回の調査はあくまで健康診断として行う調査。文化庁は仕切り直して考えてくださいということ」としました。

千田教授は「今回の部会は非常に意義があったと思う。文化庁からだされた宿題について、一生懸命名古屋城調査研究センターが調査し、学術的な成果に基づいて
こたえられるところまで明確に答えた。
堀底石列については、名古屋市が最終的にどう活かすのか目的を明らかにしたうえで、文化庁から許可をもらえるかもしれないということ。
今回、文化庁からの宿題はほぼ完全な形で回答できることが明確になった。前提条件をクリアすることが見えた。この一歩は極めて大きい」としました。

記者から「名古屋市は木造天守額を2028年完成目安というような新たな工程表を提出しているが、今回を踏まえてどうなるとお感じか」と質問しました。
宮武教授は「親委員会の承認もまだ。午後の天守閣部会もあるのでお楽しみ」としました。

千田教授は「名古屋市は組織として石垣・埋蔵文化財・地下遺構の保存を徹底したうえで、復元や整備を進めると書類で明確にした。宿題をクリアしたということではなく、名古屋市はこの方針で名古屋城を活かしていくと明確にしたのも大きなこと」としました。

宮武教授は「文化庁の宿題はツボどころを得ていたといえる。名古屋市は回答するうちに改善点が見えてきて、不足するところも見えてきて、さらに調査したら堀底から石垣が見つかった。
単に宿題解決という問題ではなく、これからの名古屋城の整備に向けて考え直すいい機会が得られたと思う」としました。

西形達明・関西大学名誉教授は「私は工学側の人間。現存石垣をいかに傷つけないか、影響しない形で工事が達成させるかが第一課題。
今回発泡スチロールを使うことになり、計算技術で計算したら影響は非常に微細という結果が出た。
工事を行う前にいろんな調査がなされたが、新技術が開発された。ただもし施工に入るなら、未知の問題が出てくるだろう。石垣は工学分野では扱うのは難しい。安定性の評価は工学的には未知の領域。実際施工が行われれば、いろんな問題が出てきて、今後の城郭石垣の維持管理の中で非常に大きな成果が得られる可能性があるだろう」としました。

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石垣部会委員は「石垣や地下遺構を傷つけない」と明記した名古屋市の方針を大変評価しています。
しかしながら、実際に石垣や地下遺構を傷つけずに木造復元ができるのかは全く不明です。
竹中工務店が提案した「跳ね出し架構」に代わる」新たな基礎構造を検討するため、石垣部会と天守閣部会が合同で「調整会議」を開くとしましたが、2021年2月末までには開催されませんでした。

さらに、名古屋市は文化庁からの、現天守閣解体申請に関する指摘事項に対する返事をようやくできるめどが立ちましたが、その後、その回答を受けて文化庁復元検討委員会がどう判断するかは不明です。
石垣部会は「さらに調査が必要」と言っているので、追加の指摘事項が出る可能性も大きいです。

もっと問題なのは、木造復元に関する現状変更申請を名古屋市は今後文化庁に提出しようとしていますが、上記跳ね出し架構に代わる基礎構造を提案できるのか、さらには木造復元に関する現状変更申請書を本当に提出できるのか、文化庁復元検討委員会から「木造復元に関する指摘事項」は出ないのか。全く未定です。

21/3/25天守閣部会では、三浦正幸・広島大学名誉教授は「天守閣石垣の表面の被熱と劣化をすべて直すと、それだけで5年くらいかかりそう」と述べています。
・21/3/25 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第23回)
 配付資料
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210325-2.pdf
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210325-2-1.pdf
 
石垣部会の今回の了承は大きな一歩ではありますが、今後の課題があまりにも大きいです。

名古屋市の今回の方針通りに行えば、木造復元にあと何年かかるのか。そもそも「遺構や石垣を壊さずに木造復元が可能なのか」も現時点ではわかりません。

方針が「絵に描いた餅」になるのではないか、今後も注意してみていきたいです。


21/3/24 名古屋市文化財調査委員会委員「名古屋城総合事務所が同じミスを何回もする原因はなにか?」

21/3/24に名古屋市文化財調査委員会が開催されました。
・21/3/24 名古屋市文化財調査委員会 配付資料
 
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210324-1.pdf
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210324-2.pdf
 
20/3/2に名古屋城総合事務所が名古屋城重要文化財等展示収蔵施設 外構工事に伴って、特別史跡である遺構の石列を毀損しました。その再発防止策として、国指定史跡等の現状変更許可申請に対して教育委員会が副申書をつける際、今年度から文化財調査委員会が指導を行うことにしました。

教育委員会は、「再発防止策はとったものの、市会本会議でも話題になったように、名古屋城総合事務所は毀損届を期限内に文化庁に提出せず、また現状変更許可申請をせずに工事を行った。誠に残念なことであり、教育委員会としては、観光文化交流局に注意喚起を行うとともに、教育委員会としても十分留意する」と発言しました。

山本直人委員は、「どうして名古屋城総合事務所は同じミスを何回も繰り返すのか?原因は何か?教育委員会を言うことを聞かず無視しているのか?」と尋ねました。

教育委員会は「毀損届は10日以内に文化庁に提出することになっているが、確認をしていたところ結果的に時間を要することになったという。
現状変更許可申請については、名古屋城総合事務所は通常の維持管理も行っており、現状変更許可申請が必要な場合、必要ない場合があり、保護法、保存活用計画を十分参照されなかった。名古屋城総合事務所は意識が低い。」
委員長は「今後はなるべく同様なことが起こらないことを期待したい」としました。


18/7/9石垣部会と名古屋城事務所、文化庁が東京で打合せ「石垣の修復をまずやらねばならない。工事の後でやるというのはダメ」

名古屋市民オンブズマンは、2018/7/9に石垣部会、名古屋城総合事務所、文化庁記念物課の調査官が名古屋市東京事務所で打合せをした際の復命書を情報公開請求し、開示されました。

名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所保存整備室
平成30年7月9日分 復命書、持参資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210322-1.pdf
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210322-2.pdf
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210322-3.pdf

本件は21/2/12に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第40回)で、赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は「2018年に石垣部会メンバーと名古屋市東京事務所に行って文化庁と話をしたことがある。」と述べたことから発覚しました。

名古屋市観光文化交流局観光交流部観光推進課は「復命書の保存期間は1年で、廃棄処理が完了している」として不存在決定を出しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210226.pdf

今回開示された文書には、以下記載されていました。

<建物基礎>
穴蔵石垣は、昭和だからといって外して良いとはならない。
<スケジュール>
天守閣を復元するかどうかを別にして(部会はそれには関与しない)、石垣の修復をまずやらねばならない。工事の後でやるというのはダメ。
一般論として、修理が先。

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このようなことがはっきり石垣部会から指摘されていたのが文書ではじめて確認出来ました。

2年8ヶ月も前にこのような指摘がなされていたことが市民や議員に広く知られていれば、その後の議論も相当変わってきたと思います。

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城総合事務所が文化庁へ出張した際の復命書は情報公開請求してきましたが、今回は名古屋市東京事務所出張なので公開請求対象から外れていました。

名古屋市は、2018/7/9の会合後も「石垣の応急処置はするものの、まず天守木造化、続いて石垣修復」の方針を崩していません。
名古屋市はその方針でその後も予算を提出し、文化庁にも現天守閣解体の現状変更許可申請を提出していますが指摘事項が出されて、名古屋市はまだ回答できていません。

文化庁から認められている専門部会である石垣部会の委員が、「石垣の修復を工事の後でやるというのはダメ」というのであれば、文化庁は、石垣の修復がないままの現天守閣解体・木造復元の現状変更許可申請を認めないのではないでしょうか。

これまで市議会で議論してきた前提がすべて狂ってきます。
人件費も含め、木造復元事業に平成28年度〜令和元年度で69億6800万円余をかけています。

市民・議員に説明もせず、ありとあらゆる点で行き詰まっている名古屋城木造復元事業。
河村たかし名古屋市長が2015/8/24に出した「まず本丸天守の復元。全責任は私がとる」という指示書がますます意味を持ってきます。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf


21/3/18 名古屋市会委員会 令和3年度名古屋城木造復元予算を付帯決議つけて可決

21/3/18に名古屋市議会経済水道委員会が開催され、河村たかし名古屋市長を委員会に呼んで議論は白熱したものの、自民・民主・公明が提案した付帯決議をつけて令和3年度名古屋城木造復元予算は可決されました。


・21/3/18 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210318-1.pdf

・21/3/18 名古屋市議会経済水道委員会
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 
渡辺義郎市議(自民・北区)は、「提出された資料を見ても、「検討中、解析中」ばかりで、21/3/25に予定されている石垣部会に間に合うのか、石垣調査を含め、白紙の答案を文化庁に提出するのか」と聞きました。
河村たかし名古屋市長は「文化庁との交渉はずっと局長に任せている。信頼している。名前は出せないが、文化庁のトップの方は、『4月に提出いただければ審議会に載せよう。なんでも相談してください』と言っていた。当局は十分対応していると思っている」としました。

渡辺市議は「資料には、引き続き検討と書いてある。内堀を軽量盛り土で埋めるのは当然と結論があり、できなければ切腹と言った。職員に、文化庁に資料を出させるようせかせるからだ」としました。
河村市長は「知っている爺さんばあさんは、あの世行く前に作って本物にのぼりたいというひとがものすごくいる。職員に無理にせかしていることは一切ない」としました。

渡辺市議は「2年前は自信いっぱいだったが、文化庁の議題に上がらなかった。市議団が調査したところ、有識者会議を通らないような気がする」としました。
河村市長は「文化庁から、宿題をクリアしたら、5月にかけましょうと聞いている。学者の皆様とはもう1回ある。必ず5月の文化審議会にかけられると信じている」としました。松尾局長は「5月は文化庁で復元を議論するわけではない。今回、文化庁からの宿題を3月中にまとめて4月にかける。復元は後になる」と補足しました。

渡辺市議は「文化庁は、『解体と復元を一緒に申請出せ』と言った。そもそも、副申書を教育委員会が添付しないといけないが、今回ついていない。教育委員会は副申書をつけないと言っている。申請を出せるのか」としました。
佐治所長は「追加情報に教育委員会の副申書は必要ないと認識している」としました。
河村市長は「副申についてははじめて聞いた」としました。
佐治所長は「以前、文化庁からの確認事項に対する回答を提出したが、その時も副申は出していない。今回の指摘事項も、途中なので副申は必要ないと認識している」としました。

渡辺市議は「文化庁は『解体申請をいっぺんおろして、復元と一緒に出しなさい』と言っている。教育委員会は副申を出さない。間に合わないと言っているのと同じ。
文化庁に確認した。」としました。
河村市長は「文化庁から、一体でやるときは変更でよいとはっきり聞いた」としました。

渡辺市議は「4月上旬に文化庁からの指摘事項の回答を出して、復元にかかる現状変更許可申請はいつ出すのか」と質問しました。
佐治所長は「一体の現状変更許可申請に関し、時期はまだ文化庁と相談していない。出し方は取り下げになるのか、付け足しなのかは調整するが、まだ先になる。」としました。

渡辺市議は「全然ダメ。誰が原因か。また、幻の小天守閣について、力不足で調査できない学芸員が、なぜ軽量盛り土をかければ遺跡保護大丈夫と結論を出せるのか」としました。
河村市長は「幻の小天守閣について、専門家が話して進めればよい。専門部会がもう1回あると聞いている」としました。

渡辺市議は「自民党の浅井市議は、文化庁二課長、調査官の実名を出した。市長はいったい誰と話したのか。信頼関係があるのか。トップとはだれか。実際に行っているのか」としました。
河村市長は、「最近は直には行っていない。実名はいかんがトップ。トップが『両方一緒に出して』と言った。トップの名前は先様に了解をとってから話す」としました。

渡辺市議は、「浅井市議は、松尾局長が『市長の公約の木造復元はしない』と関係者にメールと送ったと言っている。市長マニフェストをばっさり。市長はどう思う」としました。
河村市長は「あんたが木造復元をしないといった?はっきりしない。前後の文脈は知らない。そんなことはないと思う。本人のことを聞かないといけない。竣工時期ありきではないと、局長が横で言っている」としました。

渡辺市議は「公約だから進んでいるように見せたいのだろうが、局長の元では進まないという人がたくさんいる。マニフェストとしての成果はゼロで、寄付した人を裏切った。市民に謝罪してはどうか」としました。
河村市長は「公約は大きい。名古屋市の1000年の計」としました。

渡辺市議は「税金を使わず、入場料だけで賄う計画。本丸御殿が完成しても年間230万人。計画の年間360万人は極めて厳しい。市長は、陽子線施設は毎年赤字が出るからやめた。名古屋城も赤字ならやめないといけないのでは、としました。
河村市長は「文化庁は、本丸地区全体の復元で行こうと超ビッグな話をしている。世界の文化財になるのは確実。江戸城は年間400万−500万人を想定しているが、物理的には入れないから。名古屋はリニアができて、復興のシンボル。ものすごい数の人が来てくださると信じている」としました。

渡辺市議は「たちどまって考えるのはどうか。入る入るという論法ばかり。赤字もありうるのでは」としました。
河村市長は「奈良ドキュメントでは、同じ場所で同じ材料で図面があれば、なくなったかもしれないが本物がある。」としました。

渡辺市議は「基礎構造にケーソンを使っているが、『復元的整備』になるのでは、また、新たな階段をつけるとどうなる」としました。
河村市長は「ケーソンについては、最終的には文化庁が判断するが、7000トンほどあり、安全のためにも必要と考える。規約の中に、安全面には別途配慮が必要とある。名古屋城で復元できなければ、日本で復元はダメでしょう。」としました。

渡辺市議は「とても文化庁の許可が出ない。そんな中予算が出ている。復元の申請すらできない状況。本丸御殿は10年かかって着手した。短兵急にする必要はないのでは」としました。
河村市長は「Is値は0.14.文化庁の指導に従って丁寧にやっている。世界の木造の宝ができると信じている」としました。

渡辺市議は、「竹中と基本協定を結んでいるが、法律的に問題が起こるのではないか。」としました。
河村市長は「技術提案交渉方式は、国会全会一致で決まった。文化庁は『竹中の技術提案は素晴らしい』と言っている。違法はありえない」としました。
渡辺市議は「はぐらかすのはやめや。基本協定に違反するのではないかと質問している。」
河村市長は「委員長と協議して、今の伸ばしていく範囲は契約上問題ないと聞いている」としました。

渡辺市議は「解体と復元はいつ出せるのか。副申書をつけて出せるのか」としました。
松尾局長は「竣工時期ありきの復元はうまくいかない。解体について、1年半前の指摘をほったらかしにはできない。手順を踏んでやりたい。文化庁は、木造復元だけでなく全体の整備もしたいと言ったらそれはいいねと言った。一定の理解をしていただいていると理解している。合体して申請するのはいずれくる」としました。

渡辺市議は「文化庁はそう思っていない。自分よがりで大きな間違い。うまくいかなかったら責任はどうとるか。5年10年20年たったとき、河村市長はいない懸念がある。反対するわけではないが苦言を呈したい」としました。

さわだ晃一市議(公明・西区)は、「収支計画は採算がちゃんととれるという条件で総務省に出している。竣工時期が決まらないと収支計画はできない。議会は当局が出してきたオフィシャルな資料で議決するしかない。あとになって、議会が悪い、誤っていたという市長に付き合ってられない。市長は、予算を提出しないでください」としました。
河村市長は「世紀の工事でチャンス。1000年の価値がある。予算は出している」としました。

さわだ市議は「河村市長がいないほうが木造復元がうまくいく。竣工時期を定める決断を」としました。
河村市長は「許可権者は文化庁。匍匐前進しながら進んでいく。文化庁と竣工時期の相談はしたことがない」としました。

橋本ひろき市議(民主・南区)は「今回は復元なのか復元的整備なのか」と質問しました。
佐治所長は「文化庁に具体的な計画を提出できていない。判断するのは文化庁」としました。
河村市長は「これは復元」と明確に述べました。

橋本市議は「これまで議会は復元的整備に予算を認めてきたわけではない。復元的整備ならやらない方がよいと言って」としました。
河村市長は「そのくらいの気持ち。復元的整備ならやらんほうがよい」としました。

江上博之市議(共産・中川区)は「技術提案交渉方式の協定書では、2022年12月完成となっている。工程からすれば、5年6年でできるとは思えない。損害賠償が多額となる。ここで決断すべき。」としました。
河村市長は「当局に答弁を求めたい。文化庁と相談しないといけない可能性がある」としました。
名古屋城総合事務所は「弁護士と相談したところ、単純に時間が伸びたということではなく、様々な不確定要素が具体化したため、それらを踏まえて現実的に検討する」としました。
河村市長は「現時点では見直しはできないからしない」としました。

江上市議は「当初の建設費想定は250億〜400億円だった。工期を短縮するから505億円と高くてもやむを得ないとなった。工期が伸びたら高額な価格はおかしいのでは」としました。
河村市長は「竹中も遵守すると言っている。妥当だと思う」としました。

江上市議は「東北隅櫓や、多門櫓などの復元を優先すべきで、今あるものを壊して木造化することはない:としました。

総括質疑は終了し、暫時休憩ののち意思決定をしました。

自民:以下の要望を付してすべての原案に賛成し、7号議案の付帯決議にも賛成いたします。
 
名古屋民主:以下の要望を付してすべての原案に賛成し、7号議案の付帯決議にも賛成いたします。

減税日本:以下の要望を付してすべての原案に賛成し、7号議案の付帯決議には反対いたします。
観光文化交流局関係一刻も早い天守閣木造復元を待ち望んでいる市民がおおくみえると思う中、事業費の上限505億円を遵守して竣工すること。

公明:以下の要望を付してすべての原案に賛成し、7号議案の付帯決議にも賛成いたします。

共産:第一号議案 一般会計予算 反対
 理由 一つ 名古屋城の天守閣木造復元関連経費は、木造復元の完成期限2022年12月を断念し、技術提案交渉方式による契約の必要性もないにもかかわらず、事業を強引に進めようとしているから
第七号議案 名古屋城天守閣特別会計予算 反対
 理由 これは一般会計予算の名古屋城天守閣木造復元関連経費の反対理由と同じです。
以上です。

予算について、賛成多数で可決。
付帯決議も賛成多数で可決されました。

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委員会の白熱した議論を踏まえると、どうして予算を可決できるのか全く理解ができません。
しかも、付帯決議はこれまで何回も反故にされています。

市当局も市民に説明があまりにも足りませんし、市議会の今回の判断に至った経緯も説明が足りません。

今後、21/3/25(木)には石垣部会・天守閣部会が開催されます。

委員会の指摘が正しかったのかどうかは、各部会の議論でわかるでしょう。
今回の委員会の議決は、あとあとまで禍根を残すと思います。

21/3/17 自民市議「名古屋城内堀 軽量盛り土埋め立てについて石垣部会に一昨年9月から一度も諮っていないとはどういうことか」

21/3/17に名古屋市議会経済水道委員会が開かれました。

21/3/17 名古屋市議会経済水道委員会 資料

21/3/17 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

渡辺義郎市議(自民・北区)は、名古屋城木造復元に関し、文化庁に対して解体と復元一緒に提出するのかと質問し、名古屋城総合事務所は、「そのように文化庁から指摘をいただいているので、最終的には解体と復元一体でだしていく」としました。

渡辺市議は、「(内堀を)軽量盛り土で埋め戻す仮設計画は妥当と書いてあるが、石垣部会とどのように協議したか」と質問したところ、名古屋城総合事務所は「来週3月25日に諮る予定。その後天守閣部会、3月30日に全体整備検討会議に諮り、最終的にご了承いただければ文化庁に提出したい」としました。

渡辺市議は「遅い。石垣部会にダメと言われたらまた延びてしまう。やり方そのものがおかしい」としました。
佐治所長は「タイトなスケジュールで部会の合意を得ようとしているのは申し訳ないと思っている。文化庁と協議をし、相談したうえで部会に諮らせていただこうとしている」としました。

渡辺市議は「文化庁から指摘をされたのは一昨年の9月。石垣部会に1回も聴いていないとはどうですか。」としました。
佐治所長は「月1回くらい石垣部会を開催し、中間報告はしている。3月25日の部会で、文化庁に出す形で諮らせていただきたいと思っている」としました。

渡辺市議は、これまで石垣部会と軽量盛り土に関する協議をいつやってきたのか、また教育委員会との調整内容を資料要求しました。

渡辺市議は「市長ができる限り早く作るよう関与している気がする。市長を呼んで見解をおたずねしたい」としました。

江上博之市議(共産・中川区)は、「天守閣木造復元すると、今不足している博物館機能が克服されるのか。」と質問し、名古屋城は「復元する木造天守自体は博物館ではない。特別史跡としての価値をあげていく価値がある」としました。

江上市議は「大阪城は阪神淡路大震災後に耐震化し、館長が100年もつと言っていた。理屈ではなく、木造が雰囲気がいいわとしかみえない」としました。
松尾局長は「木造復元で、本質的価値が高められる。展示収蔵庫も開設し、博物館も城外に作るなど合わせ技で考えていきたい」としました。

次回経済水道委員会は21/3/18(木)午前9時半から、市長を招いて行います。


21/3/16 公明市議「河村市長である以上、名古屋城木造復元なんてできない」

21/3/16 名古屋市会経済水道委員会が開催されました。

21/3/16 名古屋市観光文化交流局
経済水道委員会説明資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210316.pdf

21/3/16 名古屋市会経済水道委員会(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210316-1.pdf

さわだ晃一市議(公明・西区)は名古屋城木造復元の収支計画に触れ、それは起債のために必要としたものの、現状では収支計画がないが、国にどのような説明をしたか質問しました。
名古屋城総合事務所は「総務省へは、竣工時期を延期しているものの、必要な調査、検討を継続実施予定している。現行収支計画における黒字額を考慮すると、収支は保たれると考えていると説明している。総務省からは特段意見をいただいていないので、一定の理解を頂いていると考えている。市税を投入しない特別会計に対しては、現行の国、県からの補助制度はなじまないと考えが示されている」としました。

さわだ市議は「本丸御殿のときは寄付が3分の1。現天守も寄付が3分の1。木造天守は建設費が505億円だから、仮に3分の1としたら約160億円。市長は寄付目標を100億円と言っていたが、現状の寄付額はいくらか」と質問したところ、名古屋市は「2021/1末で約4.7億円」としました。
さわだ市議は「年間1億の寄付があっても95年かかり、市長のいうことは極めて非現実的。」としました。
また、償還利率、年次割、寄付金、公債償還金、基金積立の額は大いに変わる可能性があるという認識か」と質問したところ、名古屋市は「変動する可能性がある」と認めました。

さわだ市議は「最初の竣工時期を2020年7月と決めたのはだれか。財源を起債でいくと決めたのはだれか。市長だと思うが間違いないか」と質問したところ、佐治所長は「その認識」としました。
さわだ市議は「今頃出来てないといけなかった。いかに無茶苦茶な竣工時期の設定だったか。混乱の要因は市長。木造復元予算も市長の責任で出してきている。今後、現天守閣解体工事、木造復元工事、石垣工事、その他調査など不確定要素があり、これから工事の金額はどんどん増してくる。市長は陽子線治療施設の話しを通じ、『議決した議会に責任がある』と述べたが、石垣の工事を議決する前に505億円を超えてしまったらどうしたらよいのか。全部議会の責任か。」と質問しました。
松雄局長は「竣工時期、財源フレーム、全てが縛られた中でやっていくことに無理があり、ご迷惑をおかけしており、局長として反省しないといけない。ただ505億円については議会からの附帯決議を頂いており、死守しながら工夫しながらやっていきたい」としました。

さわだ市議は「混乱の全ての原因は河村市長。提案者が河村市長じゃなかったらもっとうまくいっていると思う。対立構造を煽り物事を進めていく河村市長の政治手法は限界。彼が市長である以上、名古屋城木造復元なんか出来ないと思う」としました。

渡辺義郎市議(自民・北区)は「文化庁に出される資料は、復元か復元的整備か」と質問し、名古屋城総合事務所は「最終的には文化庁の判断。我々としては復元を目指している」としました。
佐治所長は「非常階段の扱いについて、具体的に文化庁に問合せをしている状況ではない。今後文化庁に復元の計画を出した後、文化庁に議論をしていただくことになると考えている。」としました。

江上博之市議(共産・中川区)は「新型コロナを受けて、入場者の見直しの議論をしたことがあるのか」と質問したところ、名古屋城総合事務所は「収束後の社会状況の変化を見通すことはむずかしい」としました。

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今後の予定

3月17日(水曜日)午前10時 付議議案審査[総括質疑(上下水道局、観光文化交流局関係)]

21/3/17 名古屋市観光文化交流局
経済水道委員会説明資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210317.pdf

3月18日(木曜日)午前9時30分 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(観光文化交流局関係)、意思決定(3局一括)]



21/3/12 名古屋城木造復元 局長「石垣全部直すには100年かかる」

21/3/12に名古屋市議会経済水道委員会が開催されました。

21/3/12 名古屋市議会経済水道委員会 配付資料
(観光文化交流局分)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210312.pdf

21/3/12 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210312-1.pdf

さわだ晃一市議(公明・西区)は「名古屋城木造復元の総事業費が505億円を超えた場合、議会に求められる手続きはなにか」と質問し、市は「505億円を超える前提で考えていないので、想定になるが、基本協定を結ぶ、基本設計を契約することで議会にお認め戴いているので、それと同じような形で何らかの説明をさせていただきたい。現時点では120億円くらいの契約をしているが、それ以外の契約をするたびに予算要求させていただく。その段階で議会にはご議論いただく。それと同じような形になる」としました。

沢田市議は、「今後市議会の議決が必要となるタイミングはいつか」と質問し、市は「復元検討委員会を経た後に、文化庁に解体と復元を一体とした現状変更許可申請を出していく。その許可をいただいた上で、解体予算や木材調達や建設予算を議会の議決をいただきながらすすめていく」としました。

さわだ市議は、「本丸の整備計画 将来構想案の中に『復元』と『復元手法を検討』が混じっているが」と質問し、市は「出来るものは復元したいし、復元的整備で
建物を建てる場合もあるし、それすら難しければAR技術などを活用を視野に入れたい」としました。

さわだ市議は「復元の課題として、『石垣への影響、防火・避難の安全性、耐震性の確保』とある。こういう重要な指摘事項について文化庁に率直に聞ける状況か」と質問し、市は「木造復元計画について正式に説明は現在出来ていない。防災計画の中で、計画している避難階段についても相談できていない。」としました。
佐治名古屋城総合事務所長は「『市側の思いについては文化庁は十分承知している』、という言葉をいただいている」としました。

さわだ市議は「収支計画はどうなっているか」と質問したところ、市は「有識者に諮っている新たな手順、工程が決まったら市として竣工時期を定め、収支計画を定めたい。2022年12月竣工前提の収支計画から更新できていない。補助金や寄付金については、収支計画に含まれていない」としました。

江上博之市議(共産・中川区)は「市の計画では、木造復元した上で、9年で石垣を保全修復する考えだが、石垣保全方針、修復の考え方はどうなっているか」と質問し、村木副調査研究センター長は「今年度は、文化庁からの指摘事項に答えることを優先した。
今後追加調査が必要と判明したので、それを行った上で、来年度7月あたりに石垣保全・保存方針を取りまとめて文化庁に示せるようにしたい。何年かけて整備するかは考えていない」としました。

江上市議は「基本協定の延長は、5年を超えると竹中との関係が難しいと弁護士に言われている。しかし実際は5年というレベルではないとなったら、基本協定は無理と言うことで見直しせざるを得ないのでは」と質問し、佐治所長は「石垣の保存方針に基づく修復は、北面から御深井丸石垣にかけて、内堀の底に構台の基礎を作る際に影響が出ないための対策であって、根本的に石垣を積み直すのは木造天守が出来た後という方針には変わりない」としました。

江上市議は「文化庁からの4つの宿題を文化庁に持って行くと、なにか進むような雰囲気があるが、木造復元の条件のいろんなものが揃っているわけではない。基礎構造を検討する調整会議は開催されてないか」と質問し、市は「まだ開催していない」としました。
江上市議は「耐震化をなぜ真剣に考えないか。賛成の人もいるが、作る以上はしっかりした物を作ってほしいという議論が出てくる。そういう点で基本協定そのもの含めて見直しが必要」としました。

江上市議は「内堀発掘調査で発見された遺跡は今後どうするか」と質問し、村木副センター長は「今回の発掘で調査目的は達成できた。今回の調査については丁寧に埋め戻す。その上で、遺構が今後の工事の際に適切に守れるような工学的な検討を踏まえて方策を考えたい。調査結果については大変重要なので、調査体制を整え、調査研究を十分し、調査する機会、検討を有識者や文化庁と相談していきたい」としました。

松雄観光文化交流局長は「市長から木造復元をどうしてもやれと強い指示をいただいているから全力で進めている。当初は木造が先、石垣が後だったが、うまくいかないため必要な石垣調査をしっかりして悪いところは直すことが必要だと考えている。
江上市議がいうように全部石垣を直そうとすると、搦手馬出石垣を解体するだけで15年かかった。もう100年くらいかかるかもしれない。そこはご理解いただきながら、部会の先生方も理解いただきながら、一歩一歩着実に進めていきたいという意図がある。
基礎構造については、早く調整会議を開いて議論すればよいが、いろんな立場の先生が見えるから、議論が本当に収まるかが非常に難しくなる。
なので文化庁と詰めて議論の幅をどこに持っていくのかを相当議論してきた。文化庁と石垣部会、全体整備検討会議の皆様と、相当突っ込んだ意思疎通をしながら進めている」としました。

江上市議は「河村市長の一番の誤算は石垣を軽視したこと。本質的な価値は石垣」としました。

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2021年2月末現在で、名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定に基づく契約の状況は、120億5641万8000円にものぼります。そこまで巨額な費用をかけて、事業は何が進んだかといえば、文化庁からの解体・木造復元の現状変更許可については「一歩も進んでいない」のが現状です。
天守台石垣・周辺石垣の調査は若干進んでいます。基礎構造についてはまだ決まっていません。バリアフリーも決まっていません。防災計画も、避難階段について文化庁に相談できていません。新たな竣工時期・収支計画も決まっていません。

本来、天守を木造復元するのであれば、局長がいうように「100年かけて天守台石垣を積み直す」しかないのではないでしょうか。
(名古屋市民オンブズマンとして、「100年かけて天守台石垣を積み直せ」と主張しているわけではありません)
しかしながら、河村たかし名古屋市長が2015/8/24に「まず本丸天守の復元。全責任は私がとる」という指示書をだしたため、本来あるべき方針が歪められたと理解しています。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf

その後、松雄局長は「必要な石垣調査をしてから」に軌道修正したということのようですが、それにしても「2022年12月から5年の延長」という弁護士の見解に縛られています。

完全に行き詰まった名古屋城木造復元事業。2021年度予算を市議会は認めるのかどうか。そして「全責任は私がとる」とした河村市長の責任をどう追及するのか。
2021年3月16日(火)午前10時 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(経済局、観光文化交流局関係)]、3月18日(木)午前10時経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(3局一括)]で決まります。


21/3/12 名古屋城木造化基本設計等住民訴訟 原告「文化庁は『復元的整備』に なると言っており、『復元』とする基本協定に反する」

21/3/12に、「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」が原告となった、名古屋城天守閣木造復元事業基本設計費の返還等を求める住民訴訟の高裁第1回口頭弁論が名古屋高裁民事1部で行われました。
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle/

原告は、21/2/25に控訴理由書を提出しました。
 第1 原判決は原告主張を誤認していること
 第2 本件要求水準書の記述を本件基本設計契約の内容から排除する判断は根拠がなく矛盾していること
 第3 成果品の提出義務の未履行について
 第4 検査が完了していないこと
 第5 書面に明記されている記述事項を根拠なく否定していること
 第6 原判決では、木造復元工事と耐震補修工事の比較を詳細に比較検討していないこと
 
その上で、21/3/11に準備書面(1)を提出しました。

21/3/8名古屋市会本会議で、浅井正仁市議が「文化庁第二課長は『階段増設、避難用通路の確保は復元的整備』と述べた。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210308.pdf
本件事業における基本協定書では、『天守閣木造復元に現状変更等を申請する』『優先交渉権者は、前項に伴い発注者が実施する文化財の復元に必要な諸手続において責任を持って必要な資料を作成する』としている。

竹中工務店との間で、書面による同意が無い限り、復元的整備を目的とした事業、または基本協定に変更することは出来ない。
社会通念に照らして著しく妥当性を欠き、裁量権の範囲を逸脱しまたはこれを濫用したものと解するのが相当。

求釈明として以下を求める。
1.名古屋高等裁判所は名古屋市に対して、本件事業において「階段増設、避難用通路の確保」を予定しているのか、確認されたい。
2.名古屋高等裁判所は文化庁に対して、文化財の再建時に「階段増設、避難用通路の確保」が為された場合、それが復元に当たるのか、復元的整備に当たるものか確認されたい。
3.名古屋高等裁判所は名古屋市、または名古屋市住宅都市局建築指導部建築指導課などに対して検査を軽減する「下検査」について事実としてあるものか確認されたい。重要な事実の基礎を欠いたまま名古屋市契約規則(甲29号証)と相矛盾する判例を放置する事はできません。

名古屋市の代理人は、答弁書を陳述しました。

裁判長は、名古屋市代理人に対して「原告から求釈明が出ていますが」と問われ、「答える必要がありますか?」と回答しました。
裁判長は「一義的には被告が判断して欲しい」と述べました。

次回弁論は、21/5/25(火)午後2時30分〜名古屋高裁10階で行います。


21/3/10 自民市議「名古屋城木造復元がうまくいかない場合、竹中工務店から裁判にならないか心配している」 

21/3/10 名古屋市会経済水道委員会が開かれました。

21/3/10 名古屋市会経済水道委員会(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210310.pdf

渡辺義郎市議(自民・北区)は、「竹中工務店との間で基本協定を結んでいるが、2022年12月までの契約。絶対遅れてしまうことはわかるが、その場合はどうなるか?」と質問したところ、名古屋城総合事務所は「竣工時期が見通せる段階に来たら、竹中工務店と事業期間を見直すことをしていきたいと思っている。
あわせて、木材の契約の変更手続きを行っていきたい。事業費505億円のうち、大部分はこれからの契約なので、基本契約を見直した以降に、予算を上程させて要求し、その上で契約をしていくことになると思っている」としました。

渡辺市議は、「いつ基本協定の見直しをするのか」と質問しましたが、佐治所長は「文化庁の宿題を返し、5月の文化審議会に諮ったあと、その次の復元検討委員会に諮っていただくことを目標にしている。そうすれば不確定要素がだんだん固まっていく。その中である程度工期について見通しが付くと考えている。」としました。

渡辺市議は「名古屋城木造に賛成の意見だが、なかなかうまくいかん、本当にいいかと心配している。来年のやつは確実もはやすでに駄目だってわかっている。見直し時期はいつか。」としたところ、松雄局長は「河村市長は2022年12月と言って事業を進めて正直うまくいかなかった。今は一旦延長して定めずに、眼前の課題について着実に進んでいきましょうとしている。以前市議会委員会で、何年延ばしたら法的安定性があるかといった議論をさせていただいたが、弁護士に確認したところ、『10年延ばすのは長すぎる』と答弁した。
当初と違うのは、2022年12月にやるとしていた当初は石垣部会、文化庁とネゴシエートがうまくやらない段階でやってきたが、今は反省している。今度は有識者に合意を得た上で出したい。宿題は全く駄目だという風には考えていない」としました。

渡辺市議は「もし噂通り駄目だった場合、責任はどうなるか。その時点で竹中と話せばいいというが、裁判でもなりやしないか心配している。仮にそうなった場合はえらいことだという感じを受ける。責任の有無は、当初の誤り、市長かな。観光文化交流局になるのかな。答弁しにくいと思うのでいいが、そういう心配をしている」としました。

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次回21/3/12(金)午前10時から、経済水道委員会の付議議案審査[資料質疑・質疑(経済局、観光文化交流局関係)]があります。

21/3/8 自民名古屋市議「木造復元天守閣に新しい階段を付けたら『復元」ではなく『復元的整備』になると文化庁は明言した」

21/3/8に名古屋市議会本会議が行われました。

21/3/8 名古屋市議会本会議(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210308.pdf

自民党の浅井正仁市議による、独自調査に基づく的確な質問と追及は、過去の市議会で類を見ないものでした。
以下当方で発言をまとめたところ、9つのスクープがありました。

【スクープ1】名古屋城総合事務所は過去2年間で10件の無許可違法工事を行い、一切公表していない。
【スクープ2】2021年1月21日に無許可で掘り、顛末書を教育委員会に10日を過ぎても提出せず。
【スクープ3】2020年11月内堀発掘調査で、幻の小天守と思われる遺構が発見されたがすぐに公表せず、石垣部会から指摘され3ヶ月後に公表。
【スクープ4】松雄観光文化交流局長が「2019年4月に局長になり、2019年6月までは市長主導の木造復元を実現しようとしていたが、うまくいかないと認識し、行政ベースの木造復元に大きく舵を切り、私がいる限り従来に戻ることはない。市長のように竣工時期を先に決めて、天守が先、石垣は後では何年かかっても木造復元出来ない。私たちの基本的な考え方は、通常の11人乗りエレベーターを検討している」とある人にメール送信。
【スクープ5】松雄局長は2021年1月8日の全体整備検討会議で「名古屋市と密接に連携するために、木造復元に係る諸課題を調整するためのパイプ役として来年度も名古屋城からの職員派遣を受ける内諾をしてもらった」と発言したが、文化庁は「名古屋市からの実務経験者を受け入れているからといって、名古屋市に対して忖度などはありえない。まして木造復元の調整のためという趣旨は一切無い」と文書で回答。文化庁文化財第二課長も、松雄局長の発言を完全否定していただいて結構ですと発言とのこと。
【スクープ6】松雄局長は2021年1月8日の全体整備検討会議で「名古屋市から資料の提出があれば、なるべく早い時期に文化審議会で議題として審議するという文化庁の意向」と発言したが、文化庁は「名古屋市が文化審議会に資料を提出したいと言えば、宿題が途中であっても復元の資料が概要であっても拒否は出来ない。中途半端な資料では文化審議会を通るはずもなく、再検討して返すという意味」と文書で回答。
【スクープ7】今回発見された天守台内堀の「石列」について、松雄局長は「調査目的はおおむね達成されたので、遺構が保護されるよう、適切に埋め戻しを行った上で調査を終了し、その後地元有識者のご意見を伺いながら遺構の保護対策を図ってまいります」と答弁したが、文化庁は「今回の石垣の安定性の調査という目的では歴史的発見の遺構の調査はできない」と言っているだけ。調査をしないで埋めてもいいなんて言っていない。
【スクープ8】文化庁の正式な見解では、「今回発見された遺構の詳細調査より開発を優先する、つまり木造復元を優先するのは一般常識ではない。
なお、学芸員の能力不足で調査体制が不自由な、不十分な場合には名古屋市からの詳細調査の先送りの要望を考慮して、文化庁が決める」と言っている。
今回のような歴史的発見を公表しなかった事例は過去にはないと、文化財第二課長、山下調査官も当初、公表しなかったことが疑問にあったよう。
【スクープ9】文化庁の公式見解「3階の階段増設、避難用通路の確保は復元的整備。現代技術を活用した場合でも、耐震補強、防火設備消防法施行などは復元。当時の建築手法と異なる材料加工による組み立ては復元的整備が原則。」

浅井市議は、河村市長に「階段を増設したら復元的整備になるという説明を松雄局長から聞いていたのか」と質問しましたが、河村市長は「必要な防災上のものや、スプリンクラーや、電気などは当然付ける」としか答えませんでした。

浅井市議は「市長がなんと言おうが、今回公約した『復元』は出来ない。『復元的整備』だ」として、「復元のための予算は即刻取り下げていただきたい。」と述べました。

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松雄局長のメールなるものは、まだ手に入れていないのですが、浅井市議の発言が事実としたら、市民、議員、有識者に誤解を与えます。
また、2021年1月8日松雄局長発言も極めて誤解を招くものです。

「復元」か「復元的整備」かですが、21/1/23 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会では、竹中工務店は「復元整備」とし、名古屋市は「復元を目指す」としています。

・21/1/23 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会 港文化小劇場 質疑応答部分
(名古屋市民オンブズマンによる文字起こし)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210123-1.pdf
3)今回は文化庁の基準で言う「復元」(規模と意匠を史実に再現する)か「復元的整備」(意匠を一部変更して再現する)かどちらか
 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/92199502.html
→竹中工務店 「復元整備」 建築審査会を経て安全性、避難防災、耐震性の許可を頂く
→名古屋城 歴史的資料が豊富なので「復元を目指す」。
 文化庁の定めにあるとおり、人面の安全を確保したい。構造補強、防災上の避難設備設置を含めて文化庁と協議したい。
 バリアフリーについては上記基準には文言としては出てこない。考え方として、史実に忠実な復元とバリアフリーの両立とした。柱や梁を変更せずに昇降可能な付加設備を導入する所存

浅井市議の今回の9つのスクープで、名古屋市は市民に対して誠実に対応してこなかったことが明らかになりました。

名古屋市令和3年度当初予算案に名古屋城天守閣の整備として3億3807万4000円が計上されています。
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000137/137857/3kanbun.pdf

今回発見された内堀底の石列の問題だけでなく、いまだに新たな基礎構造の議論もされていません。
(2021年2月末までに、「調整会議」は開催されずと確認済)
その他課題は山積みです。

市議会はここで意地を見せるかどうか。市議会も市民も試されています。

21/3/7 名古屋城本丸内堀発掘調査成果公開 学芸員「埋没石垣発見なら名古屋城では初」

21/3/7に、名古屋城本丸内堀発掘調査の成果公開と学芸員による解説が行われました。
午前の部には40人近くが詰めかけ、熱心に話を聞いた後に質疑応答も活発に行われました。

21/3/7 特別史跡名古屋城跡 本丸内堀発掘調査の概要(配付資料)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210307.pdf

案内文
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210225-2.pdf
21/3/7 特別史跡名古屋城跡 本丸内堀発掘調査の概要 説明部分
(名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210307-1.pdf


解説をした木村有作学芸員は以下述べました。
内堀に地中レーダーをかけたら、内堀の底から反応が出た。
掘ってみないとなにかわからないので発掘したところ、江戸時代初期、築城時の土とともに大きい石が面を向けて並んで出てきた。
北で東西方向に石列が並んでいるのと同様、南に25メートル離れたところでも東西方向に石列が並んでいた。
石垣の特徴を持った何らかの遺構ではないかと思う。
南北石列のちょうど真ん中には、大天守の「切り欠き部分」がある。
なお、石列は大天守には接続していない。
過去の絵図を調査すると、当初は大天守西側にもう一つの小天守を建設する計画があった。
大阪城などでは埋没石垣は結構発見されてきたが、名古屋城ではこれまで見つかってきていない。
喜びと戸惑いというか非常に慎重に調査が必要。

質疑では、「新聞報道では、これで発掘終了とあった。今後調査はしないのか、胴木が発見される可能性は」などありましたが、「発掘調査は目的があり、予算を必要とする。今回は何らかの遺構があればそこで発掘終わりというものだった。新聞報道は書きぶりであって、今後も引き続き調査はやりたいと考える。歴史学は一つ結論を出しても新しい事実が出ればまた考えるもの」とのことでした。

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今回、木造復元事業の進捗と石列発見の関係の説明はありませんでした。

今回発見された石列の正体はわかりませんが、絵図にあるように幻の西小天守の石垣の一部であれば大発見だと思います。
これらを埋め戻すだけでなく、現天守解体・木造復元のために内堀全体を埋めて重機を載せて、石列は大丈夫なのか。また、石列の全体像を当面調査しなくてよいのか。
木造復元事業自体を再検討する時期が来ているのではないでしょうか。

21/3/3 名古屋市会委員会 名古屋城木造復元実施設計繰越補正予算 賛成多数で可決

21/3/3に名古屋市会経済水道委員会は名古屋城木造復元実施設計繰越補正予算を賛成多数で可決しました。

・21/3/3 名古屋市会経済水道委員会(名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210303-1.pdf

・令和3年第56号議案
 令和2年度名古屋市名古屋城天守閣特別会計補正予算(第1号)
 https://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000137/137878/2.2gian.pdf

今後、令和3年度予算案を市議会としてどう判断するのか注目したいです。

名古屋城木造復元事業市民説明会 ポストコロナ時代の情報発信を求める 申し入れ

名古屋市民オンブズマンは、21/3/2に河村たかし名古屋市長あてに「名古屋城木造復元事業市民説明会ポストコロナ時代の情報発信を求める」申し入れ書を郵送しました。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210302.pdf

名古屋市は令和2(2020)年度古屋城天守閣木造復元市民向け説明会を、緊急事態宣言下の令和3(2021)年1月22日(金)、1月23日(土)、1月31日(日)に各区文化小劇場で実施しました。
しかし、説明会の様子をオンラインで配信はしませんでした。

名古屋市民オンブズマンは、説明責任の実施方法として不十分だとし、1ヶ月に1度程度の頻度で年間12回の説明会のライブ配信を求めます。


21/3/2 名古屋城木造復元 名古屋市「必要があれば解体の仮設工事の設置計画の見直しも含め有識者に諮る」

21/3/2に名古屋市会経済水道委員会が開催されました。

・令和3年3月2日 名古屋市観光文化交流局
 経済水道委員会説明資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210302-0.pdf

・21/3/2 名古屋市会経済水道委員会(名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210302-1.pdf

江上博之市議(共産・中川区)は「文化庁からの宿題の調査は年度内にどうするのか」と質問したところ、名古屋市は「調査は概ね終わったため、工学的な検討に反映させた上で、文化庁と相談する」と述べました。

佐治名古屋城総合事務所長は「必要があれば解体の仮設工事の設置計画の見直しも含めた形で有識者に諮って、了承を得て4月に文化庁に提出する目標でがんばっている」としました。

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21/3/2〜7まで、内堀発掘調査の成果を公開しています。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210225-2.pdf

名古屋市は「築城期に気付かれた石列」「石垣を持つ何らかの構造物の基礎が築かれたことを示す」「これまで絵図で知られていた、本丸の縄張計画の変遷を具体的に示すものの可能性がある」と述べています。

このような大発見に関し、工学的検討の結果がどうなるかわかりませんが、内堀を軽量盛り土で埋め戻すという「これまでの『内堀埋立計画』が完全に危うくなった」 (21/2/12 名古屋城石垣・埋蔵文化財部会 千田嘉博・奈良大学教授)という見方が出るのも当然でしょう。https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/uploads/86964a2aa060f2d5a44ad4a94799156b.pdf

21/3/1 河村市長 名古屋城内堀底石列の存在を認めるも、「木造天守 一刻も早く祈る思い」

21/3/1に河村たかし名古屋市長定例記者会見が行われました。(1:15〜)
https://www.youtube.com/watch?v=BNmJxQuQGVg

・21/3/1 河村たかし名古屋市長定例記者会見(名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210301.pdf

記者から、名古屋城内堀発掘調査で石列が発見されたと問われた河村市長は「西側に小天守を作る計画の遺跡ではないかということは知っている」と述べました。

記者は「木造復元する場合、内堀の上に仮設構台を建てて重機を載せて作業する計画で、石列が史跡価値が高かった場合どうするのか」と質問しましたが、河村市長は「西側の小天守を作る計画はなかったということで結論を見ているとある学者から聞いた。文化庁と専門家で議論して、丁寧にやっていただきたい」としました。

記者は「木造復元の計画、完成時期への影響は」と聞きましたが、「文化庁や専門家が議論することだが、僕は延びないように、一刻も早く史実に基づいた千年の名古屋の誇りが出来るように祈る思い」と述べました。

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またもや「河村話法」です。

・西側の小天守については、名古屋市が18/1/28に徳川美術館 学芸員 原史彦氏を招いて講演「名古屋城築城の歴史」を行い、「西側小天守の計画はあった。工事をやってみて、地盤が弱かったため設計図面を引き直した」と述べています。
 http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/cmsfiles/contents/0000100/100606/02shidai_symposium.pdf
 ・名古屋市民オンブズマンによるメモ
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180128-1.pdf
原氏は現在名古屋市の学芸員です。
・河村市長は、学者の名前を決して言いません。
・今回の内堀底の石列は、はじめて発掘して発見されたため、どの学者も存在を知りません。
・石列についてはどのようなものか現時点ではわかりませんが、「貴重な物かどうか、追加調査する」というのが筋です。いくら市長が「祈って」も、貴重な物であれば当然完成時期へ影響がでるでしょうし、「内堀底から石列遺構が発見され、これまでの『内堀埋立計画』が完全に危うくなった」 (21/2/12 名古屋城石垣・埋蔵文化財部会 千田嘉博・奈良大学教授)との指摘もあります。
・自分に都合の悪い状況を決して認めません。

21/3/2以降、内堀底石列を公開するとのこと。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210225-2.pdf

名古屋城木造復元事業自体、抜本的な見直しが迫られています。

名古屋市観光推進課 名古屋城の件で18/7/9名古屋市東京事務所訪問時復命書「廃棄処理済」

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城の件で、2018/7/9に名古屋市東京事務所を訪問した際の復命書、持参資料を情報公開請求したところ、名古屋市観光文化交流局観光交流部観光推進課は「復命書の保存期間は1年で、廃棄処理が完了している」として不存在決定を出しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210226.pdf

名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所保存整備室は21/3/31まで延長決定を出しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210226-2.pdf
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そもそも、本件は21/2/12に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第40回)で、赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は「2018年に石垣部会メンバーと名古屋市東京事務所に行って文化庁と話をしたことがある。」と述べたことから発覚しました。

名古屋城総合事務所職員は、定期的に文化庁を訪問していることは承知していましたが、名古屋市東京事務所を訪問しているかどうかは、外部からわかりようがありません。

たまたまこのような形で発覚しても、「復命書は1年保存」と言われたら、どうしようもありません。

国や他自治体の標準文書保存期間基準を調べてみたところ、県外出張の復命書は3-5年が多いようです。

・名古屋市情報あんしん条例施行規程
 https://www1.g-reiki.net/city.nagoya/reiki_honbun/i502RG00001058.html
 
赤羽委員は「『復元天守の実施設計に必要な調査を、無理矢理石垣保全を理由にすり替えることは慎むべき』と話し合ったことが記憶にある。非公式なので議事録なんかないと思うが。」と述べています。
石垣部会・名古屋市・文化庁が集まって、市民のチェックの目が届きにくい場所で行った非常に重要な会議について、事後的に市民がチェック出来ないのは、到底納得いきません。

名古屋市情報あんしん条例施行規程の内容並びに解釈を変更するとともに、2018/7/9の会議で何が話し合われたのか、名古屋市は市民に説明すべきです。

21/2/26 名古屋市議会経済水道委員会「名古屋城 実施設計は今年度何をしたのか?」

21/2/26に名古屋市議会経済水道委員会が開会されました。

・21/2/26 名古屋市議会経済水道委員会 名古屋城部分
(名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210226-1.pdf

江上博之市議(共産・中川区)は「2020年度、名古屋城天守閣の実施設計は何をやったのか」と質問し、
名古屋城総合事務所は「文化庁からの指摘事項に対し、回答するための調査等を優先的に行った。
設計業務としては、指摘事項に対応するための図面の作成あるいは整理を行った。調査業務は石垣調査を行った。
そのため今回繰越要求をしている業務、地盤調査業務などができなかった」としました。

江上市議は次回21/3/2(火)午前10時30分〜 委員会までに資料を要求し、名古屋城総合事務所は資料を提出するとのこと。


名古屋城木造化 21/1/6文化庁訪問時復命書 公開

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城総合事務所が名古屋城の件で2021年1月6日に文化庁を訪問した際の復命書、持参資料を情報公開請求して開示されました。

・名古屋城総合事務所職員が、名古屋城の件で2021年1月6日に文化庁を訪問した際の復命書、持参資料
 
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210225.pdf

また、21/1/8に開催した特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第36回)で、構成員に配付した資料も公開されました。

・名古屋城内における現状変更許可等の実績
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210225-1.pdf
 

21/2/15 名古屋城情報公開訴訟 弁論準備WEB会議

名古屋城天守閣木造化をめぐり、名古屋市が文化庁訪問時の復命書等の情報を非公開にしたのはおかしいとして、名古屋市民オンブズマンが公開を求めた情報公開訴訟の弁論準備が21/2/15にWEB会議(非公開)で行われました。

非公開文書
 
裁判所の釈明事項(表の青書き)についてまずは名古屋市側が3月末までに回答し、それをうけて名古屋市民オンブズマン側が4月28日までに主張をすることになりました。
次回は5月13日(木)Web会議(非公開)です。

21/2/12 名古屋城石垣部会 千田委員「内堀底から石列遺構が発見され、これまでの『内堀埋立計画』が完全に危うくなった」

21/2/12に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第40回)がZoomウェビナーで開催されました。
録音・録画はあいさつまでしか許可されませんでした。
また、委員、事務局とも、ところどころ音声が途切れ途切れでした。

21/2/12特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第40回)
・会議次第【石垣埋文部会(第40回)】
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212.pdf
・資料1 本丸搦手馬出の修復について
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212-1.pdf
・資料2 天守台ボーリング調査について
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212-2.pdf
・資料3 大天守北面レーダー探査結果について
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212-3.pdf
・資料4-1〜8 本丸内堀発掘調査成果について
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212-4-1-8.pdf
・資料4-9 本丸内堀発掘調査成果について
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212-4-9.pdf
・資料5 穴蔵石垣の調査成果について
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212-5.pdf
・資料6 西之丸蔵跡追加調査について
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212-6.pdf

・名古屋市民オンブズマンによるメモ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212-0.pdf

議題として、まず天守台石垣ボーリング調査があげられました。
名古屋市は「木造天守建築のため、工学的解析をするには地盤情報が必要で、天守台石垣ボーリング調査をしたい。この調査は石垣保全方針策定にも役に立つ」と説明しました。

赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は「2018年に石垣部会メンバーと名古屋市東京事務所に行って文化庁と話をしたことがある。『復元天守の実施設計に必要な調査を、無理矢理石垣保全を理由にすり替えることは慎むべき』と話し合ったことが記憶にある。非公式なので議事録なんかないと思うが。ボーリングは慎重には慎重を期してやる必要がある。私は、決して石垣保全のために行うことを前面に出すような調査ではないと認識している。」としました。
名古屋城総合事務所の荒井主幹は「木造天守の構造解析も当然使えるし、石垣の構造解析にも使いたい。ケーソンがある場合とない場合の比較が可能。」としました。

千田嘉博・奈良大学教授は「名古屋市の資料の作り方がなっていないため叱りたい。どういう手順で委員会や市民、文化庁に説明していくかプロセスが全然理解できていない。
名古屋城の本質的価値は石垣。石垣を保全するためにデータを取りたいと最初に述べること。
次に名古屋市は現天守を解体して木造天守に建て替える計画を持っていて、文化庁とも相談していて、『その際はボーリング等を行い、地盤データを取りなさい』と指導を得ているためこのような計画を立てた、と書類を書かないといけない。
なぜそれがわからない。何年も前進できない理由は何か。
会議のかけ方がわかっていないから、赤羽先生のように鋭いところを突かれて、うまく答えられないことが起こる。」としました。

続いて、本丸内堀発掘調査成果について名古屋市から報告がありました。
内堀にトレンチを入れたところ、こぶし大の礫が密集し、大き目の石材がある面をそろえて並んでいる石列が検出された」としました。

オブザーバーの、中井将胤・文化庁文化資源活用課文化財調査官は「どこまで調査するのが妥当か検討して欲しい。天守台石垣、御深井丸側石垣にどうすりついているか、どう影響があるかは調べるべき」としました。

千田教授は「今回の調査で重要なことがわかった。従来は『空堀の底』として、現天守解体・木造再建時には空堀を埋め立てて上に重機を載せる計画だったが、完全に危うくなった。空堀の保全に万全の対策をしないといけない。足場を作るのなら、この石列がなにかはっきりしないと、どれだけの保全策をとるか判断しがたい。範囲や性格をつかむまで調査すべき。かなり大事な発見なので、市民や報道機関に公開することも必要。」と述べました。

宮武正登・佐賀大学教授は「新しく検出された遺構に目が行くが、攪乱、残滓が放り込まれているところをほおっておいては困る。不安定な状態で御深井丸石垣がのっているのか。安定策を採るため調査すべき」としました。

議題の「穴蔵石垣の調査成果について」は、時間が無いため読んでおいて下さい、になりました。

報告として、「西之丸蔵跡追加調査について」が報告されました。
宮武教授は「名古屋城総合事務所は『21/2/9の全体整備検討会議で承認された』とするが、埋蔵文化財部会としては、報告議題ではなく、試掘についても審査すべきだ」としました。

千田教授は「何目的であっても、まず部会の審議を経て全体会議を行う。名古屋城のようなやり方は他の全国の特別史跡ではない。根本的なことが出来ていない。西之丸の平面表示は、石列毀損事故がなければ今頃完成していた。学術的な根拠がなく表示していたことになる。同じ事故が起こるし、整備したものがいいかげんなものになる。一つ一つ手順を踏むしかない。何も反省していない」としました。

宮武教授は「設計後にもし一石でも出た場合、設計変更になり余計ややこしい」としました。

千田教授は「特別史跡内の発掘調査については、整備目途であれ開発目途であれ、石垣・埋蔵文化財部会の議論を経る、と座長から確認して欲しい」としました。

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今回の石垣・埋蔵文化財部会を見ていると、千田教授のおっしゃるとおり名古屋市は「まず天守復元ありき、開発ありき」であって、市民・文化庁への説明をないがしろにしています。

それどころか、内堀下の新たな石列発見で、現天守解体・木造復元計画を根本から見直す必要に迫られています。
名古屋市は市民に現状を説明した上で、今後どうするか具体的に説明すべきです。


・参考 19/8/5 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣部会(第 32 回)
 1ページ 文化庁に提出した現天守閣解体に係る現状変更許可申請書の概要
 設置される仮設物 仮設桟橋・仮設構台のイメージ
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/uploads/86964a2aa060f2d5a44ad4a94799156b.pdf


21/2/10 名古屋市令和3年度当初予算案に名古屋城天守閣の整備3億3807万計上

名古屋市は21/2/10に、令和3年度当初予算案を公表しました。

令和3年度当初予算の概要
https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-18-1-1-2-0-0-0.html

名古屋市 令和3年度主な施策等一覧 観光文化交流局
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000137/137857/3kanbun.pdf

それによれば、名古屋城天守閣の整備として3億3807万4000円が計上されています。

1 趣旨
特別史跡名古屋城跡の本質的価値の理解促進、及び文化的観光面の魅力向上を図るため、名古屋城天守閣の整備を行う。

2 事業内容
(1)実施設計 121,000千円
 ア 設計業務
  設計図作成、現状変更許可書類作成
 イ 調査業務
  史実調査、地盤調査
(2)設計監理等支援業務委託 12,000千円
  天守閣整備事業に係る技術面及び法務面に関する支援
(3)木材の製材 124,000千円
  柱や梁などの主架構木材の保管費及び運搬費
(4)石垣調査等 81,074千円
 ア 内堀御深井丸側等の石垣及び地盤の安定性調査(レーダー探査)
 イ 石垣モニタリング(天守台石垣)
 ウ 石垣調査(穴蔵石垣の試掘)

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名古屋市は「予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例」に基づき、予算編成過程を公開して市民の意見を募集しています。
しかしながら、今年も財政局査定内容の公開にない内容が当初予算案に計上され、市民の意見が言えませんでした。
21/1/22.23.31に開催された「名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会」でも、上記資料は公開されませんでしたし、
市民の意見も言えませんでした。

そもそも、今後名古屋城天守閣木造復元事業をするなら、どのような予算が提案される予定なのか。

2019年6月議会に提出予定だった、解体工事予算約20億円は今回も見送りました。

木材保管に関しては、名古屋市は21/1/23に「保管費はかかるが、機械乾燥費から自然乾燥に変えたため、現在は元々の木材の金額内で収まっている。しかしやはり限界があるので、その部分については竹中工務店と協議をするが、できるだけ追加にならないような工夫をしたい」と述べています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210123-1.pdf

松雄観光文化交流局長は「予算要求のデッドラインは2020年12月-2021年1月」と述べましたが、今回の予算はどう評価しているのか、全くわかりません。

なお、実施設計は当初2020/5/29までの予定が、2021/3/26まで延長変更契約をしていますが、いつまで延長するつもりなのかも不明です。
・名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託変更契約書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200415-2.pdf
・当初契約 2020年5月29日まで(15億6384万円)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180523-4.pdf
また、実施設計業務委託費としてすでに5億9400万円支出済です。
・19/7/31 情報提供文書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190731.pdf

今回の当初予算案で、名古屋市がしたいことがまったく見えてきません。
21/2/18(木)から21/3/22(月)まで名古屋市議会2月定例会が開催されます。
どのような議論がなされるか注目したいです。


21/2/9 名古屋城跡全体整備検討会議 麓委員「この段階で木造復元するかどうか議論するのはおかしいと思う」

21/2/9 第37回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議が開催されました。
今回はじめてZoomウェビナーでの会議でした。
しかしながら、録音・録画ははじめのあいさつまでしか許可されませんでした。

・21/2/9 第37回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 会議次第
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210209.pdf
・資料1 西之丸き損地点の修復について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210209-1.pdf
・資料2 西之丸蔵跡追加調査について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210209-2.pdf
・資料3 本丸整備基本構想(木造天守復元)について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210209-3.pdf
・資料4 令和3年度の二之丸庭園の修復整備・発掘調査について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210209-4.pdf
・資料5 名勝名古屋城二之丸庭園整備計画
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210209-5.pdf

・21/2/9 第37回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議
(名古屋市民オンブズマンによるメモ)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210209-0.pdf

今回、全体整備検討会議にはじめて本丸整備基本構想(木造天守復元)が議題として出されました。

麓和善・名古屋工業大学大学院教授は「江戸期の名古屋城の本丸を中心に復元整備していくという長期的方針は非常によいと思う」と述べました。

赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は「今回の資料は平成30年5月に定められた名古屋城跡保存活用計画に立脚しているが、それまでは平成24年12月に定められた全体整備計画増補版があった。
今回の資料を見て、逆に現在の天守閣の存在意義がクローズアップされたと思う。なにも木造天守にしなくても、現在の天守を活かし、修理すべき石垣を修理すれば、木造天守以上に当時の雰囲気を知っていただけるのではないか。
現天守を丁寧に扱って活かすということを、財政的な問題やいろんな課題、要請されている法的問題などをクリアできるのか私は疑問に思う。」と述べました。

麓教授は「今のこの段階で、全体整備検討会議で、木造復元かSRC耐震改修かを議論するのはちょっともうおかしいと思う」と述べたところ、赤羽委員は「資料にそう出ている。木造天守を追求すると出ているから、私は意見を申し上げた」としました。
麓教授は「市として木造復元をすると方針として出して、本質的価値を損なうことがないよう十分配慮しながら進めると言っているため、現段階で遡って議論するのはふさわしくないという気がする」と述べたところ、赤羽委員は「こういうことを議論するのが全体整備検討会議じゃないか。決まったから後戻りせずどんどんいこうということか」と述べました。
麓教授は「決めるのは名古屋市ではないか。全体整備検討会議として、妥当な復元かどうかは意見を申し上げるべきだとは思うが、大方針を我々が意見を出して決めることではないと思う」としました。
赤羽委員は「立場は色々あってよいと思う。反対あり賛成あり、皆でわいわい出し合うのが我々の立場としては正しいと思う」としました。

三浦正幸・広島大学名誉教授は「赤羽先生がおっしゃることはごもっとも。今回名古屋城本丸の将来の計画が出され、名古屋城を明治維新の時の姿に復元しようとしている。これは非常に意義がある。何十年もかけて史跡としての価値が高まることは間違いない。
現天守も戦後復興の象徴として非常に価値があるが、耐用年数約30年、耐震性能も悪いため、耐震補強したところで30年後には天守がなくなってしまうため、時間をあとに延べ巣だけの行為に過ぎない。木造復元で本質的価値をはるかに高めることになるので、妥当だと思う」と述べました。

藤井譲治・京都大学名誉教授は「木造で再建する構想そのものには賛成。もう一度鉄筋などの構造物を作ることは将来に向けた展望が持ち得ない」としました。

丸山宏・名城大学名誉教授は「馬出の姿、二之丸庭園の将来の姿を丁寧に書いて欲しい」としました。

小濱芳朗・名古屋市立大学名誉教授は「木造復元に意義を認める。木造の方が耐久性がある。」としました。

座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「長期的な将来構想案が実現すると、素晴らしい姿が実現できると思う。鉄筋コンクリートであれば、本質的を誤らせることになる、むしろ誤解を招く存在になるのではないかと考える。」としました。
瀬口座長は、オブザーバーの文化庁の山下調査官と平澤主任調査官に意見を聞きました。

山下調査官は「この議題は、文化庁から出している宿題に対する回答案を作るということなので、多くのことを申し上げるのは差し控えたい。
今回の将来構想案は、名古屋市として今後どのように名古屋城を整備するかということが具体的に明確になっているので、その点は大変評価できるのではないかと覆う。
私どもとしては、天守閣だけでなく名古屋城全体として名古屋市としてどのように整備をするかが大事だと考えている。このような形でまとめる方向は大変益するところが大きいと思う」と述べました。

平澤主任調査官は「今後第三専門調査会や文化財分科会で議論をしてただくことになるが、議論の提供という中で資料を洗練、整理していただければと思う」としました。

最後に、瀬口座長は「今回の資料をちょっと修正した形で文化庁に提出する手続きをしてよいか」委員に聞いたところ、特に反対が無く、手続きを進めることにしたとしました。

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19/9/24に文化庁から示された「現天守解体の現状変更許可申請に対する本市への指摘事項」では、以下が追加情報の提供を求められた事項としてあげられています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/191204-7.pdf
<追加情報の提供を求められた事項>
 1.現天守閣の解体・仮設物設置が石垣等遺構に与える影響を判断するための調査・検討について   
  ○内堀の地下遺構の把握、御深井丸側内堀石垣の現況及び安定性を確認するための追加発掘調査
  ○御深井丸の地下遺構把握のための発掘調査
  ○大天守台北面石垣の孕み出しについての調査・検討
  ○天守台石垣背面等の空隙についての調査
 2.現状変更を必要とする理由について 

この2.現状変更を必要とする理由について への回答が今回提示された「特別史跡名古屋城跡 本丸整備基本構想」だと思われます。

今回の資料と重なる部分も多い、「特別史跡名古屋城跡天守閣整備事業基本構想(案)(令和2年10月時点案)、同概要版(案)(令和2年11月4日時点案)」は、名古屋市民オンブズマンが情報公開請求したところ、21/1/15にほぼ内容が非公開でした。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-3-.pdf

市民に内容を事前に示すこともなく、今回全体整備検討会議でようやく「本丸整備基本構想」が示されたと思ったら、委員からは「この段階で木造復元をするかどうかこの場で議論するのはふさわしくないと思う」と発言が出る始末。いったいどこで議論すべきだったのでしょうか。

そもそも平成30年5月に定められた特別史跡名古屋城跡保存活用計画では「整備方針は木造復元とし、検討を進める」としか書かれていません。
・特別史跡名古屋城跡保存活用計画
 https://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000105368.html

具体的に木造復元を検討した結果、跳ね出し架構については全くメドが立たず、バリアフリーも「国際コンペを行う」としか決まっていません。消防法や耐震対応については、現状どうなっているか不明です。20/11/24に文化庁は「もうこれ以上、天守台を痛めることがないような基礎構造とすることを前提にして頂きたい。」と述べています。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-5-6.pdf

今回「本丸整備基本構想」という「絵に描いた餅」がはじめて市民に示されましたが、多聞櫓など、費用がいくらかかるか、また時期については全く示されませんでした。
また、天守台石垣を痛めないような基礎構造が出来るかどうかについて、「検討を行う」としか記載されていませんでした。

文化庁からの宿題である「現天守解体の現状変更許可申請に対する本市への指摘事項」ですが、他の項目についてどの程度回答できるかわかりませんが、名古屋市は2021年3月中にまとめて、2021年4月には文化庁に提出したいとしています。

文化庁は「現天守の解体だけでなく、木造復元についても木造復元も一体として審議する方針にすべき」としているため、木造天守復元に係る計画の具体的内容の追加提出を考えています。
https://bit.ly/3tTUlii

木造天守復元についても、現状変更許可申請が必要なので、さらに文化庁から宿題が出るでしょう。
このような、メドが全くたたない木造復元事業について、「きちんと議論できる場所が全くないことが、これまでの混迷を招いている」という認識が関係者にほとんど無いことが致命的です。

名古屋城 全体整備検討会議と石垣部会がZoomで傍聴可能に

21/2/9(火)午後1時半から行われる第37回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議、21/2/12(金)午後1時半から行われる第40回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会について、Zoomにて傍聴可能になりました。

事前に申込の上、ぜひ傍聴下さい。

・21/2/9(火) 第37回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議
 
https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2020/kankobunkakoryu/0000137387.html
・21/2/12(金) 第40回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会
 https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2020/kankobunkakoryu/0000137696.html
 

21/1/31 名古屋城木造復元 名古屋市「復元建築物が50年で国宝になった例はない」

名古屋市は、21/1/31に令和2(2020)年度開催名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会を西文化小劇場で開催し、63名が参加しました。

・21/1/31 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会 西文化小劇場
(名古屋市民オンブズマンによるメモ)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210131.pdf

・配付資料
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2020/12/20201222_1113.html
・説明動画
 https://www.youtube.com/watch?v=AkK0_MqEITI&feature=youtu.be
 
今回も、参加者に動画・写真撮影は許可されませんでした。
(録音はOKとのこと)

河村たかし名古屋市長はあいさつで「50年くらいで国宝になると思う」と述べました。

【1人目】
1)入場禁止はなぜか
2)木造は無理があるのでは
 →現天守閣閉鎖の理由は、耐震診断をしたところ値が低かった。大地震時倒壊等のおそれがある。
  耐震補強すればという意見に対して、先人が残した資料が残っている。
  建物自体機能は博物館だがいろいろ課題が多い。
  名古屋市としては、木造復元で方針を固めている。
 
【2人目】
1)基本設計は秘密主義
 →基本設計図は、基礎構造以外は開示させていただいている。
  基本計画は固まり切っていないため、中途半端な情報を開示することで混乱や率直な意見交換が阻害されるおそれ。事業者法人に不利益が生じるおそれ。
2)500億は入場料でまかなう見込みだがコロナ禍予測で見直しあるか
 →新たな竣工時期が定まっていないので定まり次第収支計画を算定する。
  新型コロナで社会状況がどう変化するか、今後どうなるか見通すのは困難。
  収束後を見据えた楽しみ方、さらなる魅力向上のため、分散して場内を楽しんでいただく等検討中。
3)バリアフリー新技術の現状
 →世界中調べた。公募でやるのでぜひとも公募してほしい。期待している。
  乗り換えができない電動車いすがそのまま昇降できるように。

【3人目】
1)毀損した石の列が戻るのか?
 →本当に同じとは言い切れないが、丹念に調査して文化庁とも協議し、極力江戸時代と同じ場所に再現するようつとめた。
2)今後のスケジュール 年度が入っていない
 →文化庁からの指摘事項について、今年度内に示して4月作業を進めている。区切りをつけて早期にやりたい。
 スケジュールに遅れがでないように新たな竣工時期を整理したい
3)木材2000本の管理状況について
 →竹中工務店が管理している。表面の色が変わっても、表面を削るため問題ない。
  複数の宮大工は「10年20年たっても木材使えなくなることはない」と言っている。
  法隆寺1300年もっており、風土にあう。しっかり管理することで無駄にはならない
4)石垣部会との議論状況
 →現在石垣現況調査進めている。
  また文化庁からの指摘事項調査について石垣部会と相談している。部会等開きにくいが、定期的に報告している。
5)バリアフリーの現状
 →名古屋市障害者団体連絡協議会と木造天守のご意見を聞いているが、公開の会議ではない。話し合いの場で公開していない。
  事業自体全体の進捗をみて、公募を適切な時期に開始したい。
  階段体験館は木造天守1階階段を再現している。バリアフリー新技術を実験するため。
  公募が始まっていないので実験には至っていない。木造見て確認していただいている。

【4人目】
1)一刻も早く木造を待ち望んでいる。名古屋市側の体制が弱いのでは
 →平成31年度に調査研究センター設置。学芸員強化し文化庁の要望に応えられるようにしたい
2)竣工時期 70過ぎている。生きている内に何とか見たい。2028年をなんとか2−3年前倒しできないか
 →竣工時期 一度有識者会議に示したこともある。この3月中にまとめて文化庁に出す。
  復元検討委員会クリアしたうえで出したい。
3)竹中工務店に、認可が下りた後工事に取りかかる課題
 →今回の大規模建造物は過去に類例がない
  竣工スケジュールが明確になれば、プロセスも明確にする
 
【5人目】
1)市長は「50年たてば国宝」と言ったが、そのような事例はあるか
 →復元建造物が50年で国宝になった例はこれまではないため答えを持っていない
 →(河村市長)嘘じゃない やる
2)エレベーターは11人乗りと小型の中間案は検討したか
 →整備指針では11人乗りと掲げられている。
  柱や梁主架構を変更しないよう、電動車いす乗り換えなしで介護者同行できるよう検討中。
 →(竹中)当初の提案は柱、梁など主要な木材をいじることなくなんとか昇降機をつけるとしたら4−5人乗り。
  しかしそのサイズでは電動車いすは載せられない。
  最近電動車いす増えているため、協議事項と認識。当社としては上記を提案した。
3)担当者は継続しているか
 →センターを作り体制を強化した。搦手は1人やってきた。
  今は担当者として考古学8名いる。組織としては継続してなりつつある。
4)有識者の座長が城郭考古学が得意ではない。時間を浪費しているのではないか
 →座長の選任の仕方は、市の取りまとめ実績等総合的に勘案。

【6人目】
1)木を抗菌処理や不燃処理してはどうか
→史実に忠実な復元を目指している。当時はおそらく抗菌処理をやっていなかった。
 伊勢神宮では足元に銅板をまき腐りを防ぐ。
 名古屋城を管理するうえで必要となれば、有識者、文化庁と相談して検討。
 今現在は腐りやすいところ以外はもとのとおり復元したい。
 
今回も時間切れとして、まだ手が上がっているにもかかわらず質問を打ち切りました。

--------
結局、現時点で何が決まって、何が決まっていないのかいまだにはっきりしません。
【決まっていないもの】
・基礎構造
・収支計画
・竣工時期、今後のスケジュール
・バリアフリー対策
・耐火・耐震対策?
・基本計画
・天守台石垣の今後の方針

【決まっているもの】
・基本設計(名古屋市は以下を開示と主張)
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-1.pdf
・購入済の2000本木材
・平成28年度〜令和元年度で69億6800万円余の支出

これだけ決まっていないことが多く、しかも4月に文化庁に解体ならびに復元の資料を提出したとして、復元検討委員会でどのような議論がなされるかもわかりません。
17/3/30に文化庁文化財調査官は「前例のない巨大な天守閣のため、復元検討委員会の審議は3回で済むか、全く保証の限りではない。何回で結論を出すというルールはない。必要なら10回でも20回でも審議する」と述べています。

市民は、耐火・耐震対策やバリアフリーがなされた名古屋城木造復元が名古屋市によってなされようとしているということをどこまで理解しているのでしょうか。

このような「説明会やりました」アピールの説明会ではなく、もっと実質的な説明会を常時行うべきではないでしょうか。

21/1/23 名古屋市「名古屋城木造天守は『復元』を目指すが、構造補強・避難設備等を設置検討」認める

名古屋市は、21/1/23に令和2(2020)年度開催名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会を港文化小劇場で開催し、36名が参加しました。

・21/1/23 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会 港文化小劇場 前半部分
(名古屋市民オンブズマンによるメモ)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210123.pdf

・21/1/23 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会 港文化小劇場 質疑応答部分
(名古屋市民オンブズマンによる文字起こし)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210123-1.pdf

・配付資料
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2020/12/20201222_1113.html
・説明動画
 https://www.youtube.com/watch?v=AkK0_MqEITI&feature=youtu.be
 
今回も、参加者に動画・写真撮影は許可されませんでした。
(録音はOKとのこと)
名古屋市民オンブズマンの内田隆に対する質問と回答は別記事でまとめました。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#210123

【1人目】
1)これまで人件費も含め木造復元事業にいくらかけたのか
→平成28年度〜令和元年度で69億6800万円余
2)市長は「全責任はわしがとる」という文書を平成27年8月24日付けで出したが、選挙に出なかったらどうなるのか
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
→中止に絶対ならないように文化庁と打ち合わせている。
 市長も議員も任期ごとに全部やめるのが民主主義の重要なところ。
3)今回は文化庁の基準で言う「復元」(規模と意匠を史実に再現する)か「復元的整備」(意匠を一部変更して再現する)かどちらか
 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/92199502.html
→竹中工務店 「復元整備」 建築審査会を経て安全性、避難防災、耐震性の許可を頂く
→名古屋城 歴史的資料が豊富なので「復元を目指す」。
 文化庁の定めにあるとおり、人面の安全を確保したい。構造補強、防災上の避難設備設置を含めて文化庁と協議したい。
 バリアフリーについては上記基準には文言としては出てこない。考え方として、史実に忠実な復元とバリアフリーの両立とした。柱や梁を変更せずに昇降可能な付加設備を導入する所存

【2人目】
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#210123

【3人目】
1)基本設計は終了しているのか?実施設計はどこまで出来ているのか?
→基本設計は平成29年度に終了した。実施設計は現在続けている。
 基礎構造の検討は、「調整会議」を開いて検討する。バリアフリー、防災設備、構造補強なども今後詰めていく。
2)文化庁の指摘事項「耐震対策が目的か、木造が目的か」有識者会議で議論に出てこないが
 →平成29年度、30年度に天守閣部会、全体整備検討会議で相当議論した。
 その後、仕様を決める作業は続けているが、まだ有識者にお諮りする段階ではない。

【4人目】
1)既に購入した材木の保管費用は505億円に含まれているか
→当初の機械乾燥から自然乾燥にしたので費用が増えてはない。
 今後は竹中と協議するが、できるだけ追加にならないように工夫したい。
2)北側のはらみ出しの部分の改修は必要か
→追加調査し、有識者に諮ってどういう処置が必要かを検討したい。
 現段階で積み替え作業が必要か判断できていない。
3)石垣の改修が先か、木造天守閣の復元が先か
→当初は天守、石垣という順序予定だったが、内容によっては天守の工事に先立ち応急的でよければ対応する必要があろう
4)展示収蔵施設のオープンはいつか
→設備的には春頃オープン出来る状態にしたい
5)毀損事故が再発したが、反省しているのか
→再発防止対策に則って対応していた。事故は不可抗力だったという認識。
 所定の期間内に文化庁に提出出来なかったのは事務処理が不適切だった。大変反省している。
6)はね出し架構の部分は、既に昭和34年に改変されているのにどうして石垣部会の先生はもう一度調査しろと言っているのか
→石垣とは、表面の石垣だけでなく、栗石、盛り土全体を一体として石垣という。
 根石と言われる地下部分まで現天守再建時に触ったかわからない、
 栗石、盛り土も含めて大事だと有識者から言われている。
 その中に基礎を入れること自体、簡単にいいよと言えるものではないため調査しろと言われている。
 文化庁からも「中の遺構がもし江戸時代から残っているのなら、残すのを前提として考えて。中に物を入れること、穴蔵石垣を全部取り出すということは今すぐいいよとは言えないためしっかり調査して下さい」と言われている。
 
【会場】
1)基本設計に跳ね出し架構は入っていたのか
→方針を固めるところまで。この方法で、とは書かれていない。実施設計の中で詰めないと行けない
2)はね出し工法以外の方法とはなにか
→決まっていない
3)なぜ公開しないのか
→検討中なので

新たにはじめて質問する人がいなかったため、質疑応答は時間内に終了しました。
----------
これまで名古屋市(特に市長)は、「寸分違わぬ木造復元」があたかも可能なように宣伝してきました。
しかしながら、名古屋市は今回構造補強・避難設備等を設置検討していることを認めました。
今回作ろうとしている名古屋城は「寸分違わぬ木造復元」ではないことをあらためて市民は認識する必要があります。

それに対し、建設費だけで505億円もの予算をかけて行おうとしています。
(2020年度末までに人件費を含めて69億6800万円余)

ところが、最重要の基礎構造について、有識者からも文化庁からも「天守台石垣の中の根石、栗石も土も史跡なので、調査して江戸時代からのものなら残すことを前提に」と言われており、いまだにどのような基礎構造にするか決まっていませんし、公開されてもいません。

20/11/24名古屋市が文化庁を訪問した際、文化庁は以下述べています。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-5-6.pdf
○木造天守基礎構造の考え方について
・観覧者の安全確保については、文化庁が定める“復元の基準”にも定めがあることであり、配慮いただくのは当然のこととして、遺構の保存を前提とするということに十分配慮して頂きたい。
・天守台は築石だけでなく、栗石、背面土で構成されるものである。現在の天守台は江戸期からの姿を残す遺構であるが、戦後天守再建時にケーソン基礎を打つなど、手を加えられた事実がある。
・もうこれ以上、天守台を痛めることがないような基礎構造とすることを前提にして頂きたい。

このままでは、いつになったら木造天守閣の姿が見えるのかすらわかりません。
仮に何らかの形が出来たとしても、文化庁文化審議会、復元検討委員会の許可さらに名古屋市建築審査会の建築基準法適用除外、名古屋市消防長の同意がでるか不明です。

こんなことは、2017/5/9に竹中工務店と基本協定を結ぶ前、2015年からずっと主張してきたことです。
名古屋市は、2015/12/9に技術提案・交渉方式公募型プロポーザルの現場説明会の中で、「文化庁は『土の中こそが遺跡』と言っている。掘削行為は一切禁止。」と述べています。
竹中工務店の「はね出し架構」はそもそも文化庁が認めるはずのないことだったのではないでしょうか。
それを名古屋市がわからなかったわけがありません。
そもそもだれも出来ない条件でプロポーザルを行ったのではないか。プロポーザル自体の正当性が問われます。

---------
市民向け説明会は21/1/31(日)あと1回を残すのみです。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2020/12/20201222_1113.html

質問は原則1人1回しか出来ません。
まだまだ質問されていない項目はあります。ぜひ参加して質問下さい。

質問案
・令和3年度(2021年度)名古屋市当初予算(財政局案)では木造復元事業について計上されていないが、最終的に何を計上するのか。局長は『予算要求のデッドラインは2020年12月-2021年1月」と述べた。
・説明会配布物の8ページ「文化庁からの指摘事項への対応と今後の流れ」では、具体的なスケジュールが書いてないが、どうするつもりか。
・20/10/7市議会経済水道委員会で市は「新たな竣工時期を定めて505億円の起債の収支を合わせた収支計画を総務省に出す必要がある」と答弁したが、いつまでに計画を出す予定なのか。そもそも出せるのか。
・河村市長は2020年9月18日名古屋市会本会議で「文化庁からはとにかく進めましょうと」と発言した。
 2020年12月21日定例記者会見でも「文化庁からは、議会でも答弁しましたように、まあ前へ進めましょうと。」と発言した。
 根拠を情報公開請求したが不存在だった。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201228-1.pdf
・竣工時期が未定で、仮に505億円かけて木造天守が完成したとして、来場者はどれくらいを見込んでいるのか。
 特に新型コロナウイルスが全世界で猛威を振るっており、現状が続けば外国からの客が全く見込めないし、国内からの客も見込めない。どうするつもりか
・21/1/22市民説明会終了後、市長は記者から「木造復元とコロナはどちらが大事か」と問われ、「変な誘導尋問は答えられない。そんなもの答えようがない。価値観が全然違う」と回答した。
 同じ質問を、局長、竹中工務店、そして河村市長に聞きたい。この時期にあえて名古屋城木造復元事業を進める意義は何か。
 市民の木造復元にかける熱意は完全に冷めている。「新型コロナ対策より名古屋城木造復元を望む」という市民がいたら見て議論したい。
 

21/1/23 名古屋城天守閣基本構想(案) 有識者会議まで市民に公開するつもりなし

名古屋市は、21/1/23に令和2(2020)年度開催名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会を港文化小劇場で開催し、36名が参加しました。

・21/1/23 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会 港文化小劇場 前半部分
(名古屋市民オンブズマンによるメモ)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210123.pdf

・21/1/23 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会 港文化小劇場 質疑応答部分
(名古屋市民オンブズマンによる文字起こし)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210123-1.pdf

・配付資料
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2020/12/20201222_1113.html
・説明動画
 https://www.youtube.com/watch?v=AkK0_MqEITI&feature=youtu.be
 
今回も、参加者に動画・写真撮影は許可されませんでした。
(録音はOKとのこと)

21/1/22に開催された第1回目では質問を途中で打ち切りましたが、今回ははじめて質問する人を当てるという方式で行ったため、4人質問しそれ以上手をあげる人はいませんでした。

名古屋市民オンブズマンの内田隆が手をあげたところ、ようやく当たりました。
会場に対し、開示された黒塗り資料を示しながら質問しました。

【名古屋市民オンブズマン】
1)今回オンラインで質疑応答を配信する予定はあるか
→名古屋城はビッグプロジェクトで市民に直接説明できる大切な機会の場。対策は十分行った。オンライン説明会を実施している。
 質問があればアンケートフォームがあり、そちらに回答する。
 質疑応答の配信予定は現在はない。
2)文化庁に20/11/4に「天守閣整備事業 基本構想(案)」を示していたことが情報公開請求で判明した。
 しかし中身が黒塗り。木造復元の意義まで黒塗りとはどういうことか。
 唯一「天守の整備方針は木造復元」という文字のみ読める。
 さらに、RC天守閣と木造天守の比較衡量もされていたが、これも黒塗り。
 昨年度末までに69億6800万円も使っているのに情報を隠して「市民への機運醸成」とはあきれかえる。
 まさに名古屋城木造復元事業は「不要不急」であり、今やるべきとは思えない。
 基本構想(案)を市民に公開して議論するつもりはあるか。
 →基本構想(案)は、検討中の段階なので公開すると多様で自由な議論の妨げになることも考えられる。
 必要な時期がくれば、公開されている地元の有識者会議で示す。
----------
配付された資料のどこを見ても、「天守閣整備事業 基本構想(案)」をすでに作成して、文化庁に示していたということは書かれていません。
情報公開請求しても黒塗りです。
いったい、名古屋市民は木造復元事業のなにに賛成し、なにに反対しているのでしょうか。
基礎的な資料すら公開されていないのが現状です。
このようなやり方だからこそ、会場への参加者が36名と極めて少なかったのではないでしょうか。

当初の竹中工務店の技術提案・交渉方式の提案書では、スケジュール案が記載されています。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/downloads/takenaka.pdf
このような全体のスケジュール案がずっと公開されていないためわからないのですが、「天守閣整備事業 基本構想(案)」というのは、0フェーズにある「復元方針・基本計画」にあたるものなのでしょうか。
いまだに文化庁に対して正式な木造復元に関する書類を提出していないということは、いまだに0フェーズにとどまっておりながら、1フェーズの基本設計を終了させ、1-2フェーズの木材伐採、2フェーズの実施設計に進んでいるということなのでしょうか。


今回配付された資料8ページの「文化庁からの指摘事項への対応と今後の流れ」には、日程案が書かれなくなりました。
果たして木造復元事業がどこまで進んでいるのか、全くわかりません。

市民向け説明会は21/1/31(日)あと1回を残すのみです。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2020/12/20201222_1113.html


21/1/22 名古屋城木造復元説明会 質問途中で打ち切り

名古屋市は、21/1/22に令和2(2020)年度開催名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会を名東文化小劇場で開催し、57名が参加しました。

・配付資料
 
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2020/12/20201222_1113.html
・説明動画
 https://www.youtube.com/watch?v=AkK0_MqEITI&feature=youtu.be
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210122.pdf
 
愛知県内に新型コロナウイルス緊急事態宣言が発出されている中、名古屋市は市民説明会をオンラインで行いませんでした。
名古屋市は、上記説明動画を「オンライン市民向け説明会」と称してyoutubeにアップしていますが、コメントは書き込むことができません。
しかも、説明会の様子について、「参加者は写真・ビデオ撮影をご遠慮下さい」とされました。

当初、会場は20時10分までとしていましたが、時間を20時までに短縮して行ったにもかかわらず、なぜか学芸員による
「一般論としての名古屋城天守、櫓、御殿の話し」が30分ほどありました。
その後すでにyoutubeで公開されている説明動画そのものを会場で15分ほど流しました。

休憩の後、市長、市職員、竹中工務店が壇上に上がり、市民説明会を1人3分以内での発言で行いました。

【1人目】
1)去年から進展はなにか
 →去年4月に文化庁に現状変更申請後、文化庁から
  「現天守閣解体と木造復元を一体で審議すべき」と指摘され、木造復元の具体的計画を今後提出しようとしている。
  4月に、解体に関する指摘事項の回答をする予定。
2)金シャチをおろす金があるなら新型コロナウイルス対策して欲しい
 →名古屋のシンボルを地上に降ろして元気を戻してもらおうというもの。
 事業者の皆様に多大な出資をしてもらっている。感染対策は十分する予定。
3)3月に金シャチをおろすのは、時期的に4月市長選挙と関係があるのでは
 →上記趣旨で開催する
 
【2人目】
1)本来この説明会は5年前に開かれるべきもの。今日はじめて具体的な形で提案された。
 指摘事項への対応の中身はどうなっているか
 文化庁は「木造天守が目的か、耐震改修が目的か整理して」と言っている。
 →資料が豊富に残り、木造復元可能なほぼ唯一の城。
  名古屋市としては木造復元していく。
2)今後の見通しは
 →現在検討中で、まとまったものから有識者にご議論して頂きたい。
 年度内にまとめて今年4月に文化庁に提出したい
3)調査研究センターのスタッフは足りないのか
 →発掘調査に携わる考古学専門は8名。
 そのほかに会計年度任用職員がいる。市の職員が調査にあたるのがふさわしい。
 一定のめどをつけたい。

【3人目】
1)市長は平成26年に市議会で「文化庁は鉄筋コンクリート天守の再建を認めない」と発言した。
 令和2年6月、文化庁は鉄筋コンクリート天守について「老朽化したならば取り壊せ」とは書いていない。
 壊すという文化庁の方針はない
 →(市長)文化庁は「コンクリートの城を壊してもう一回またコンクリートで作るのはまずいですわな」と言ったのは確か。
  今も同じような答え。あなたは文化庁ではない。ペーパーは読んだ。
 (局長)文化庁は「コンクリート天守はすべて解体しろ」とは言っていない。
 本当に木造復元するのか、延命なのか自治体で考えろということ。
 名古屋市としては、全国の城のなか、唯一大量の資料が残っているため木造化にかじを切りたい。
2)平成30年6月定例会で、木材94億円購入議決の際、附帯決議で「現状変更許可の見通しをつけて買い付けを」とした。
 いまだに現状変更許可が出ていない。
 1年1億保管料支払っている、買う必要がない木材。
 →今回2000本近く調達した。
 もともとの工程に沿った形で調達しないと、径が太い木は入手が困難になる。

【4人目】
1)今日の市民向け説明会の意義がわからない。
 これまでも「木造にすべきかアンケートを再度行え」という意見が出ているがどう思うか
→本市としては我が国でベストな事例なので事業を進める方針。
 従いまして木造復元アンケートは現時点では考えていない。
 
結局、まだまだ会場から手が上がっていたにもかかわらず、質疑応答は28分で終了しました。

---------
その後、河村市長を報道関係者が取り囲んで「ぶら下がり」が行われました。

・21/1/22 名古屋城市民説明会終了後河村市長ぶら下がり
(名古屋市民オンブズマンによるメモ)
河村:早く作って欲しいというじいさんばあさんたちがしゃべってくれるといいが、なかなかならない。
 自由にしゃべってもらわなあかんで、全員が反対ということもある。
記者:緊急事態宣言下で何故今回説明会?
河村:決まったこと。あらゆる集会が駄目ではない。
 名古屋は疫学調査ものすごくやっていて減っている。
 日本中がこれをやったら減ってくる。
記者:オンブズマンからは、オンラインで開催しろという申し入れがあったみたいだが
河村:そりゃいいんじゃないですか。こうやって丁寧にやるのは
 話したい人もいるでしょう。やってくれてよかったという人もいる。
 こういうことに来て話したい人もいる。
記者:行政としては外出自粛を言っているが、人を集めてイベント進めるのは
河村:全部がいかん、オールオアナッシングの社会ではない
 スケジュールが決まっている。
記者:木造復元とコロナはどちらが大事か
河村:変な誘導尋問は答えられない。そんなもの答えようがない
 価値観が全然違う
記者:今日やったのはアンサーではない
河村:これはこれ やってくれてよかったという人いると思う
記者:木材調達状況 全部国内で確保できたと言っていた
河村:今は出来ている
記者:米ヒバは?
河村:はじめは言っていたが、梁のでかいの 岩手など まあ国産で全部出来ると思う
所長:まだ米ヒバは買っていない
河村:まだ買っていない
所長:基礎構造が決まったらふさわしいものを調達する
記者:米ヒバ買うんですね
所長:その予定ではある
河村:出来たら国産で。強さの関係で   
所長:有識者会議を今後リモートで行いますから
記者:市長選のからみもあったが、来年度以降も木造復元をエネルギッシュに進めるには河村市長でないと出来ないのでは
河村:ありがとうございます。頭に入れます。
 72になりました。南無阿弥陀仏

ぶら下がり終了後、所長に対し、リモートで開催した際傍聴はどうなるか聞くと「傍聴も先着順でできるようにしたい」と回答しました。

--------
新型コロナウイルス緊急事態宣言が発出されている中、市民に十分な説明は全くなされませんでした。
しかも、質問を打ち切る等、市民に対して誠実に向き合っているとは到底言えません。

抜本的な改善を求めます。

21/1/15 名古屋城木造復元基本構想案 内容の詳細は全部不開示

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城の件で2020年7月1日〜11月30日に文化庁を訪問した際の復命書、持参資料を情報公開請求し、21/1/15に一部開示されました。

「特別史跡名古屋城跡天守閣整備事業基本構想(案)(令和2年10月時点案)、同概要版(案)(令和2年11月4日時点案)」は以下理由で非公開でした。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-3-.pdf
「非公開情報は、名古屋城天守閣木造復元事業についての市の機関内部における検討に関する情報が記載されており、当該事業はいまだ実施途上であり、現時点では中間的な検討段階にとどまるものです。
当該情報について公開されることが前提となると、当該議論・検討の意見交換に加わる者が、いわれなき非難を避けようとしたり、各々の立場等に拘束されたりすることで、多様かつ自由な意見が現れなくなり、円滑な議論・検討が損なわれるおそれがあります。
したがって、当該情報は、市の機関内部における検討に関する情報であって、公にすることにより、市の率直な意見の交換が不当に損なわれるおそれがあるため、非公開とします。」

名古屋市は基本構想(案)の中で、天守の木造復元の意義、整備方針と復元の時代設定など詳細に述べているようですが、内容はすべて黒塗りです。
また、現RC天守耐震改修と木造復元について比較衡量していますが、内容は全て黒塗りです。

これでは、市民の理解を得て事業を進めようとする気が全く見られません。
建築費だけで505億円をかけて行う事業とは到底思えません。
2020年3月末までにすでに購入した木材31億5000万円、基本設計費8億4693万6千円、実施設計費5億9400万円は支出済です。さらに毎年木材保管費は1億円かかるのです。

また、「バリアフリー整備の検討状況報告」は以下理由で非公開でした。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-1-2.pdf
「非公開情報は、名古屋城天守閣木造復元事業についての市の機関内部における検討に関する情報が記載されており、当該事業はいまだ実施途上であり、現時点では中間的な検討段階にとどまるものです。
当該情報について公開されることが前提となると、当該議論・検討の意見交換に加わる者が、いわれなき非難を避けようとしたり、各々の立場等に拘束されたりすることで、多様かつ自由な意見が現れなくなり、円滑な議論・検討が損なわれるおそれがあります。
したがって、当該情報は、市の機関内部における検討に関する情報であって、公にすることにより、市の率直な意見の交換が不当に損なわれるおそれがあるため、非公開とします。
非公開箇所は、名古屋城天守閣木造復元事業のうち、本市が検討している公募する昇降技術のイメージに関する情報が記載されています。公にすることにより、今後の昇降技術の公募に係る事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、非公開とします。」

名古屋市は21/1/22.23.31に市民向け説明会をネット中継せずに行う予定です。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2020/12/20201222_1113.html

基本構想案も市民に公開せず、なにが市民向け説明会なのでしょうか。
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※今回の開示で、白黒156枚、カラー199枚、合計11,560円の費用がかかっております。
ぜひともカンパをお願い致します。
http://www.ombnagoya.gr.jp/kannpa.htm
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・決定書と開示文書(名古屋城総合事務所管理活用課分)
 名古屋城総合事務所職員が、名古屋城の件で令和2年9月8日に文化庁を訪問した際の復命書、持参資料
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-200908.pdf

・決定書
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/2101152.pdf
1-1 復命書(令和2年9月18日分)
1-2 名古屋城天守閣整備事業におけるバリアフリー整備の検討状況報告(R2.9.18文化庁への報告)
1-3 西之丸の五番蔵周辺調査の進め方について
2  復命書(令和2年10月1日分)
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-1-2.pdf
3-1 復命書(令和2年11月4日分)
3-2 名古屋城展示収蔵施設外構工事地下遺構き損部分の修復について
3-3 特別史跡名古屋城跡天守閣整備事業基本構想(案)(令和2年10月時点案)、同概要版(案)(令和2年11月4日時点案)
3-4 名古屋城金シャチ特別展覧(仮称)について(令和2年10月22日
 第34回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議資料)
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-3-.pdf
4-1 復命書(令和2年11月10日分)
4-2 重要文化財旧本丸御殿障壁画 保存修理計画の時点修正について
5-1 復命書(令和2年11月10日分)
5-2 重要文化財名古屋城表二の門附属土塀の整備について
5-3 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第37回)配付資料
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-4-5.pdf
5-4 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第38回)配付資料
5-5 名古屋城本丸搦手馬出石垣修復について
6-1 復命書(令和2年11月24日分)
6-2 西之丸展示収蔵施設の外構整備について
6-3 木造天守基礎構造の検討について(令和2年9月25日
 第33回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議資料)
6-4 天守基礎構造検討の考え方について(令和2年10月22日
 第34回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議資料)
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-5-6.pdf 

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20/12/3名古屋城跡全体整備検討会議で傍聴者に配付されなかった「基礎構造検討の考え方」 入手

員に配付した資料、プロジェクタに投影した資料を情報公開請求して入手しました。

・天守台におけるモルタル片の落下について
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-1.pdf
・天守台における石材片の落下について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-2.pdf
・議題(1) 西之丸展示収蔵施設の外構整備について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-3.pdf
・議題(2) 名勝名古屋城二之丸庭園整備計画について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-4.pdf
・議題(3)令和3年度の二之丸庭園の修復整備・発掘調査について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-5.pdf
・報告(2) 木造天守基礎構造検討の考え方について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-6.pdf
・名古屋城内における現状変更許可申請の実績(構成員に配付した資料)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-7.pdf
 
特に、「報告(2) 木造天守基礎構造検討の考え方について」は、当初、プロジェクターで基礎構造の図が2つ投影されていましたが、途中で名古屋城総合事務所の職員の指示があり、プロジェクターの投影が消されました。

どうして投影が消されたのか、またどうして資料配付がなかったのかはいまだに不明です。

21/1/14 名古屋城現天守閣 耐震調査報告書を情報公開請求で入手

名古屋市民オンブズマンは、平成22年度に名古屋市が行った、名古屋城現天守閣の耐震調査報告書を情報公開請求で21/1/14に入手しました。参考になれば幸いです。

当時、名古屋市の方針は耐震改修でした。
Is値0.75以上にして、エレベーター改修工事をするのに、大天守閣・小天守閣合計で15億1051万9605円の概算工事費が出ています。(以下資料76ページ目)
また、名古屋市耐震審査会からは「耐震診断書の内容については審査の結果妥当と認めます」と文書が出ています(以下資料57ページ目)。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-1-1.pdf

名古屋市は木造復元の時期どころか、現天守閣の解体すら見通しが立っていません。
耐震改修について、真剣に検討すべきではないでしょうか。

※今回の開示で、白黒2197枚、カラー432枚、合計43,620円の費用がかかっております。
ぜひともカンパをお願い致します。
http://www.ombnagoya.gr.jp/kannpa.htm
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・開示決定書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114.pdf
・【名古屋城大天守閣】構造体劣化調査結果等
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-1.pdf
・【名古屋城小天守閣】構造体劣化調査結果等
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-2.pdf
・(情報提供資料)名古屋市構造体劣化調査(鉄筋コンクリート造、
 鉄骨鉄筋コンクリート造)作業要領(平成22年度(2010)版)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-0.pdf
・【名古屋城大天守閣】耐震診断概要書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-1-1.pdf
・【名古屋城大天守閣】耐震診断報告書1
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-1-2-1.pdf
・【名古屋城大天守閣】耐震診断報告書2
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-1-2-2.pdf
・【名古屋城大天守閣】耐震診断報告書3
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-1-2-3.pdf
・【名古屋城小天守閣】耐震診断概要書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-2-1.pdf
・【名古屋城小天守閣】耐震診断報告書1
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-2-2-1.pdf
・【名古屋城小天守閣】耐震診断報告書2
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21/1/8 名古屋市 2021年度予算要求財政局査定に名古屋城木造復元関係予算計上せず

21/1/8に公表された「令和3年度予算要求に対する財政局査定内容の公開及び予算要求(追加等)」に、名古屋城木造復元関連予算は全く付いていませんでした。
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000136516.html

天守閣閉館中の魅力向上事業にも、予算要求4200万円のうち、堀の活用に伴う調査費として200万円しか計上されませんでした。

名古屋市は、新型コロナウイルス対策の予算を多数計上しています。

名古屋市が発表した収支見通し(令和2年10月公表)では、市税見込みが令和2年度予算5,979億円のところ、令和3年度は5,539億円と、440億円も減少するとのこと。

今後、2月中旬に発表される予算案(市長案)ではどうなるかわかりませんが、不要不急で、しかも見通しが全くたたない名古屋城木造復元事業に計上する予算はないはずです。

21/1/8 名古屋城全体整備検討会議 現天守解体・木造復元について議題にせず

21/1/8に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第36回)が開催されました。

・21/1/8特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第36回)
 配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210108.pdf

・21/1/8特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第36回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210108-1.pdf
 
今回も、あいさつまでしか写真・ビデオは許可されませんでした。

今回は名古屋城天守木造復元事業について議題に上がらず、傍聴者も4人しかいませんでした。

議題
・本丸搦手馬出周辺石垣の修復について
・カヤの下垂枝剪定について
報告
・西之丸の検証発掘調査について

唯一、松雄観光文化交流局長が冒頭のあいさつで以下述べただけです。
「21/1/6に文化庁の文化財第二課長、主任調査官、課長補佐と名古屋市が意見交換をした。
名古屋市が天守閣の木造復元をしていることは文化庁に適宜報告しており、文化庁としても認識しているとのこと。
名古屋市としては、現天守閣解体申請にかかる文化庁からの指摘事項に対する市の考え方は、有識者と詰めて4月早々にも文化庁に提出したいと考えているが、文化庁としては名古屋市から提出があり次第、なるべく早い機会に文化審議会に報告・審議していきたいとのこと。
文化庁としては、名古屋市と今後も密接に連携して、特別史跡の保存活用等を進めていきたい、市の有識者会議にも主任調査官の予定が付けば派遣するなど、引き続き指導・助言をしていきたいとのこと」

終了後の記者会見はありませんでした。
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松雄観光文化交流局長は20/9/11石垣・埋蔵文化財部会で「来年度予算要求のデッドラインは2020年12月-2021年1月」と述べています。

同じ21/1/8に公表された「令和3年度予算要求に対する財政局査定内容の公開及び予算要求(追加等)」にも、名古屋城木造復元関連予算は全く付いていません。
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000136516.html

局長は来年度の予算がどうなったかも一言も述べていません。

局長あいさつの中で、「文化庁は、名古屋市が木造復元事業を進めていることは認識している」とだけ述べており、木造復元事業を推進するとも反対するとも述べていません。
木造復元事業に関し、名古屋市は復元の具体的な絵を基本構想という形で文化庁に正式に提出しておらず、それは当然でしょう。

「現天守閣解体申請にかかる文化庁からの指摘事項に対する市の考え方」ですが、名古屋市は4月早々に提出したいと考えているようですが、そもそもまとまるのか、まとまったとして文化庁がそれを受け取るか、また仮に文化庁が受け取ったとしても文化審議会に報告・審議し、すんなり通るかどうか、再度指摘事項がでるのかは不明です。

また、文化庁は「特別史跡の保存活用等を進めていきたい」とだけ述べており、「天守閣木造復元を進めたい」とは一言も述べていません。

そもそも、こんなに頻繁に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議が開催されるのは、木造復元事業を進めるためではなかったでしょうか。
しかしながら、基礎構造を検討する「調整会議」は2020年12月までに開かれることはありませんでした。
今後も「日程を調整中」とするのみです。

実際、名古屋城天守閣木造復元事業はどうなっているのでしょうか。
市の発表を聞いているだけでは全くわかりません。

唯一わかる「全体整備検討会議」でこの状態です。
どうしてネット中継しないのか、いまだにわかりません。

課題は山積み、情報は市民に隠す。
時間だけが過ぎていきますが、近い将来に爆発するでしょう。

21/1/5 20/12/17名古屋城石垣部会で、傍聴者に配付されなかった資料 開示

20/12/17に開催した特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会(第39回)で傍聴者に配付されなかった資料を名古屋市民オンブズマンが情報公開請求したところ開示されました。

・決定書
 
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210105-1.pdf
・開示文書
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210105-2.pdf
 ・20/12/17に開催した特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会(第39回)で、構成員に配付した資料
 (傍聴者に配付された資料を除く)
 ・20/12/17に開催した特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会(第39回)で、名古屋城総合事務所がプロジェクタに投影した資料
 (傍聴者に配付された資料を除く)

参考になれば幸いです。
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部会構成員にのみ配付した資料を情報公開請求すれば開示するのであれば、はじめから傍聴者にも配付すればよいのに、と毎回思います。

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なお、名古屋城公式ページには、20/12/17配付資料はアップされていません。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2020/06/20200621_1022.html
(21/1/5現在、20/6/22以降の全体整備検討会議議事録、20/6/18以降の石垣・埋蔵文化物部会議事録は掲載されていません)

名古屋城木造復元 基礎構造を検討する『調整会議』はいまだ開催されず

名古屋城木造天守復元事業の基礎構造を検討するため、天守閣部会と石垣・埋蔵文化財部会の構成員の一部からなる『調整会議』を当初は2020年10月中にも行うと報道がありましたが、21/1/5に名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所に再々度電話で確認したところ、「基礎構造を検討する調整会議はまだ開催していない。開催日時を調整中」と回答がありました。

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21/1/8(金)13時- 第36回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議が開催されます。
https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2020/kankobunkakoryu/0000136286.html

しかしながら、議題には名古屋城天守木造復元についてあげられていません。
・本丸搦手馬出周辺石垣の修復について
・カヤの下垂枝剪定について

松雄観光文化交流局長は20/9/11石垣・埋蔵文化財部会で「来年度予算要求のデッドラインは2020年12月-2021年1月」と述べています。

・天守閣木造復元には基礎構造が不可欠。
・以前竹中工務店が提案した基礎構造は「史跡を破壊するおそれ」として、石垣部会と文化庁が見直しを求める
・「史実に忠実」と「安全確保」を両立する新たな基礎構造を検討する『調整会議』はいまだ開催出来ず
・2021年度当初予算要求に名古屋城天守木造復元予算を提案できず
・予算要求のデッドラインは2020年12月-2021年1月
・木材の多くは購入済。保管費用だけで年間1億円

今後の名古屋城はどうあるべきか。大慌てで議論してもうまく結論が出るとは思えません。
新型コロナウイルスの影響で来客者数見込みなど、前提が大幅に狂っています。
また、名古屋市全体の予算も逼迫しています。
名古屋城総合事務所が例年行う市民説明会は、次回2021年1月22日、23日、31日に開催予定ですが、市民説明会の様子はネットで公開されません。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2020/12/20201222_1113.html
名古屋市はもっと早く、情報を十分に公開した上で市民の意見を十分に聞いておけばよかったのにと思ってなりません。

21/1/4 名古屋城木造復元市民向け説明会の様子はネット中継せず 

名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所は、21/1/22以降、3回「名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会」を行うと発表しました。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2020/12/20201222_1113.html

・2021年1月22日(金)午後6時30分から午後8時10分まで
 名東文化小劇場 当日先着150人
 講演者 原 史彦(歴史)「名古屋城天守・櫓・御殿」
・2021年1月23日(土)午後1時30分から午後3時10分まで
 港文化小劇場 当日先着150人
 講演者 二橋 慶太郎(考古)「名古屋城石垣石材の特徴について」 
・2021年1月31日(日)午後1時30分から午後3時10分まで
 西文化小劇場 当日先着150人
 講演者 堀内 亮介(歴史)「名古屋城天守の宝暦大修理について」

なお、「オンライン説明会」を行うとのこと。
 令和3年1月22日(金曜日)午前10時に、名古屋市公式YouTubeチャンネル「まるはっちゅーぶ」1chに動画を掲載します。
 ご都合のよい時間にご覧いただけます。
 名古屋市からの説明(20分程度)
 ナレーター:名古屋おもてなし武将隊 徳川家康
 
名古屋城総合事務所に21/1/5に電話で確認したところ、以下判明しました。
・オンライン説明会は、説明会会場の様子を映すものではない
・説明会会場で使用するパワーポイントを動画化する
・説明会会場と資料は同じ 
・説明会会場でどのように説明を行うかは検討中

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名古屋市は毎年「市民向け説明会」を行ってきていますが、本年度は以前と比べて回数が減少しています。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/
・2017年度開催 6回 659人
・2018年度開催 6回 419人
・2019年度開催 8回 448人

寄附金額も年々減少しています。
2017年度 207,357,485円
2018年度 131,783,050円
2019年度  62,495,813円

2021年度名古屋市予算案は、例年であれば2月中旬に公表されます。(財政局案は1月上旬)
https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-18-1-0-0-0-0-0.html
しかしながら、現時点では名古屋城木造復元関連の予算案は計上されておらず、松雄観光文化交流局長の「予算スケジュールとして、2020年12月-2021年1月がデッドラインだ」の結論も、市民向け説明会で公表されるかどうかはわかりません。

新型コロナウイルスが全国的に猛威を振るっています。
総額505億円の名古屋城天守閣木造復元事業は、新たな竣工時期どころか、現天守閣解体のめども立っていません。
このまま名古屋城天守閣木造復元事業を進めるべきなのか、それとも別の選択肢があるのか。

大阪市は、いわゆる「大阪都構想」について、YouTube及びZoomを利用したオンライン住民説明会を20/9/30-10/10に実施しました。
https://www.city.osaka.lg.jp/fukushutosuishin/page/0000513383.html

横浜市でも、IR推進に関連し、2021年2-3月に市民向けのオンライン説明会を開催すると報道されました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFB099V10Z01C20A2000000?unlock=1
https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/seisaku/torikumi/IR/

大阪市は市民からの質問の様子を動画で公開しています。
横浜市も同様とのこと。

名古屋市は一方的な動画を流して「オンライン説明会」と名乗るようです。
「市民不在」の名古屋城天守木造復元事業に未来はありません。

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今後の予定

・21/1/8(金)午後1時〜 第36回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(名古屋市公館)
・21/1/上旬 2021年度予算財政局案公表
・21/1/14(木)午後6時30分〜 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例勉強会(北生涯学習センター)
・21/1/22(金)午後6時30分〜 市民向け説明会(名東文化小劇場)
・21/1/23(土)午後1時30分〜 市民向け説明会(港文化小劇場)
・21/1/31(日)午後1時30分〜 市民向け説明会(西文化小劇場)
・21/2/13(土)午後6時30分〜 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例勉強会(北生涯学習センター)
・21/2/15(月)午前11時〜 名古屋城文化庁訪問時面談記録情報公開訴訟(WEB会議・非公開)
・21/2/中旬 2021年度予算案公表
・21/2/18(木)〜3/22(月) 名古屋市会2月定例会
・21/2/28(日) 学習会
・21/3中 有識者会議(予定)
・21/4中 文化庁への指摘事項に関する追加情報の提出(予定)
・21/4中 名古屋市長選挙(予定)
・21年度早い段階 天守台石垣の保存方針作成(予定)

20/12/28 名古屋城木造化 河村市長発言「文化庁からとにかく進めましょうと」根拠文書不存在

名古屋市民オンブズマンは、20/12/22に名古屋市に対して名古屋城天守閣木造復元事業に関して河村市長が「文化庁からとにかく進めましょうと」する発言の根拠を情報公開請求したところ、20/12/28に「文書不存在」の決定が出ました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201228-1.pdf

・名古屋城天守閣木造復元事業に関し、
 2020年9月18日名古屋市会本会議
 河村市長発言「文化庁からはとにかく進めましょうと、ただ学者の皆さんとはみんな合意してやっててくださいねと。」の根拠がわかるもの
・名古屋城天守閣木造復元事業に関し、
 2020年12月21日名古屋市長定例記者会見
 河村市長発言「文化庁からは、議会でも答弁しましたように、まあ前へ進めましょうと。ただ、専門家、学者、専門委員の皆さんとは仲良う、仲良うじゃないけど話をちゃんとまとめて進んでくださいねと。」の根拠がわかるもの

公文書がない、ということは、根拠が事実上ないということです。

河村市長は、いつ、文化庁のだれがなんと言ったかはっきり言うべきです。
そうでなければ、市議会の虚偽答弁だけでなく、市民・国民全員に虚偽の説明をしていることになります。

20/12/23 名古屋城情報公開訴訟 弁論準備WEB会議

名古屋城天守閣木造化をめぐり、名古屋市が文化庁訪問時の復命書等の情報を非公開にしたのはおかしいとして、名古屋市民オンブズマンが公開を求めた情報公開訴訟の弁論準備が20/12/23にWEB会議(非公開)で行われました。

非公開文書
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200203-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-2-1.pdf   
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-3-1.pdf

名古屋市代理人は、
@「史資料の収集・調査、史資料の詳細な検討、復元原案の確定、建物の姿・形の決定、復元案の決定、工事内容の具体化に、竹中工務店の専門的なノウハウが記載されているから非公開」
A「長尺大径木の市場が高騰する具体的恐れがあるから非公開」としました。

原告名古屋市民オンブズマンの新海聡弁護士は、以下述べました。
@「最高裁第二小法廷平成23年10月14日判決では、公開により『競争上の地位その他正当な利益が害される蓋然性が客観的に認められる』ことが必要とされている。名古屋市は具体的主張とその合理性の吟味が全く明らかにされていない。また、竹中工務店にノウハウがあったとしても、城の木造による建築という市場そのものが存在しないため、他の城の競合先との関係で、どのように不利に働くかを観念すること事態困難」
A「長尺大径木の需要は情報公開によってだけでなく報道によって需要が予想される性質。情報公開による高騰とは因果関係がない」

次回までに裁判所が論点の表をまとめる予定です。
次回は21/2/15(月)11時半〜WEB会議(非公開)です。

20/12/21 名古屋城木造復元 河村市長 記者会見で、公文書に根拠のない「文化庁からは前へ進めましょうと」を繰り返す

20/12/21に河村たかし名古屋市長定例記者会見が行われました。
・20/12/21 河村たかし名古屋市長定例記者会見(名古屋城部分)
(名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
 
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/201221.pdf

記者から、「今年1年振り返って、市政の最重要課題である名古屋城の木造復元はどうだったか」振り返ってと言われて以下述べました。

 まあお城も、まあこれは名古屋1000年の計ですので、1000年先まで、ぜひ木造天守を、日本のために、世界のためにも残したいということで。まああの、課題というか、文化庁からは、議会でも答弁しましたように、まあ前へ進めましょうと。
 ただ、専門家、学者、専門委員の皆さんとは仲良う、仲良うじゃないけど話をちゃんとまとめて進んでくださいねと。
 
--------------
20/9/18 名古屋市議会 本会議で、河村たかし名古屋市長は「文化庁からはとにかく進めましょうと、ただ学者の皆さんとはみんな合意してやっててくださいねと。」と述べました。

20/9/18 名古屋市議会 本会議(名古屋城部分)
(名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/200918.pdf 

名古屋市民オンブズマンは、2020年4月25日中日新聞記事に記載された河村たかし名古屋市長の発言「文化庁からも『木造でやりましょう』とはっきり言われた。」の根拠がわかるものを名古屋市に対して情報公開請求したところ、20/5/20に不存在決定が出ました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200520.pdf
過去の名古屋市が公開した資料を見ても、そのようなものは見当たりません。
 
河村市長は、いつ、文化庁のだれがなんと言ったかはっきり言うべきです。
そうでなければ、市議会の虚偽答弁だけでなく、市民・国民全員に虚偽の説明をしていることになります。

何回も述べているように、名古屋城は「学術上の価値が特に高く、我が国文化の象徴たるもの」である特別史跡です。
全国に63件しか特別史跡はありません(令和2年3月10日現在)。

・文化庁 国指定文化財等データベース 史跡名勝天然記念物
 https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/categorylist?register_id=401
・文化庁文化財部記念物課 日本の特別史跡
 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/kinenbutsu/pdf/r1392261_01.pdf

特別史跡は、市長が根拠無くどうこうできるものではそもそもありません。
文化庁の現状変更許可がなければ釘一本打てないとされています。
そこを曖昧にしたまま、スケジュールありきで進めてきた結果が現状だと考えます。

20/12/18 名古屋城き損2件 名古屋市教育委員会と市、文化庁とのやりとり 開示

名古屋市民オンブズマンは、名古屋市と名古屋市教育委員会に対し、2020年10月に発生した名古屋城き損事案について、市教育委員会と文化庁とのやり取りがわかるものを情報公開請求しました。

名古屋市と市教育委員会とのやりとり、市教育委員会と名古屋市、市教育委員会と文化庁については以下開示されました。
名古屋市が市教育委員会とやり取りしたもののうちき損届、文化庁とのやり取りしたもののうち復命書については21/1/15まで期間延長決定がでました。

・2020/12/16 名古屋市
 2020年10月14日に発生した名古屋城天守台モルタル落下について、名古屋市教育委員会とやり取りした中身がわかるもの、資料として天守台レーダー探査中モルタル落下の経緯 
 顛末書(令和2年11月16日付2観名調第34号)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201218-1.pdf

・2020/12/17 名古屋市教育委員会
 き損届、特別史跡名古屋城跡のき損届の遅延に係る顛末書について
 石垣石材片落下の概要、名古屋城石垣石材落下の経緯、名古屋城全体整備検討会議におけるき損事案(石材・モルタル片落下)の報告、打合せ報告書(石垣き損)、打合せ報告書(き損届(石材・モルタル)について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201218-2.pdf
 
・2020/12/17 名古屋市教育委員会
 特別史跡のき損について(特別史跡名古屋城跡 大天守台北面石垣・石材落下)、石垣石材片落下の概要、名古屋城石垣石材落下の経緯、名古屋城全体整備検討会議におけるき損事案(石材・モルタル片落下)の報告
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201218-3.pdf
 
名古屋市への情報公開請求で出てきた、「天守台レーダー探査中モルタル落下の経緯」ですが、通常であれば決裁のはんこが押される場所がなぜか空欄となっています。
この文書がいつ作られたのかも書かれていません。

延長決定通知分の資料を見て考えたいのですが、本件はまだまだ謎が多すぎます。


20/12/17 石垣部会 名古屋城天守台ケーソン部分以外のボーリングを認めず

20/12/17 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・
埋蔵文化財部会(第39回)が開催されました。

・20/12/17 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第39回) 配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201217.pdf 

・20/12/17 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第39回) 
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201217-1.pdf
 
石垣・埋蔵文化財部会構成員の千田嘉博・奈良大学教授は欠席、またオブザーバーの文化庁もいませんでした。

松雄俊憲観光文化交流局長はあいさつの中で、10月に起こした2件の毀損について「名古屋城総合事務所としては毀損事案ではないと認識しているが、いったん毀損届を出すと行政として決めたのなら、法に基づき期限内に提出すべきだったと反省している。
今回は、搦手石垣と天守台ボーリングについて議事にしたが来年度予算に関わることなので、できれば本日決めたい、
次年度から搦手石垣を積み直したいとしました。

今回も、あいさつまでしか写真・ビデオは許可されませんでした。さらに、参考資料は構成員の机上にのみ配布されました。

最初に、天守台北面石垣の石材片とモルタル片の落下について報告がありました。

赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は「石材片とモルタル片について、部会構成員に実物を見せたか」と質問したところ、村木誠・名古屋城調査研究センター
副所長は見せてないと回答しました。
赤羽氏は「実物を見ていただいて、どういうものか認識するのが大事。文化庁に1か月以上連絡していないのはどう考えても不自然。
また、局長の『毀損事案と認識していないが届けを出した』は矛盾する。2件の毀損があってから、石垣部会も全体会議もあったのにそれらに報告がなかった。どうして実物を見せないのか、『認識していないが』の理由を聞きたい」としました。
佐治所長は「現場として、教育委員会文化財保護室と連携して、翌日には毀損届けを出すと決定したが、遅くなったのは事務上のミス。石垣保存方針を早急に作りたいし、文化財保護法に基づく毀損に当たるかの基準を作る」と述べましたが、どうして実物を見せなかったのかの説明はありませんでした。

次に本丸内堀発掘調査について報告がありました。調査結果については次回以降部会で説明するとのこと。

続いて議事に入り、本丸搦手馬出周辺の修復について議論がなされました。
名古屋城総合事務所は、背面盛り土について石灰を混合する方針を示しました。
宮武正登・佐賀大学教授は「オリジナルの土でオリジナルに戻すのが原則伝統的工法では持たない根拠はなにか。あえて石灰を混合する積極的な根拠はを示して欲しい」としましたが、名古屋城総合事務所は「他城郭の事情を照らしながら、何故必要なのか整理したい」と述べるのみ。

次に、天守台ボーリング調査について議論になりました。
目的は、天守台周辺に設置する仮設の影響、現天守閣解体時に地盤が浮き上がる現象の影響、地震時における天守台の挙動とケーソン基礎による石垣への影響、地震時における地震波の作成のためとしました。
5カ所ボーリングを行う予定で、@Aでは大天守ケーソン外部を、Bでは大天守ケーソン内部を、Cでは小天守ケーソン内部を、Dでは小天守ケーソン外部をボーリングする予定としました。

赤羽氏は「どのようにボーリングするのか」と質問したところ、名古屋城総合事務所は「ロータリーボーリングと呼ばれる方法で、ケーソン基礎はダイアモンドカッターでくりぬく予定。振動、湧水や大天守、小天守の現況に影響はないと考える。」としましたが、赤羽氏は「資料に記載が無い。口頭で済まそうというのは悪い」としました。

また、赤羽氏は、「現状変更について、文化庁と打合せをしたか」質問しましたが、名古屋城総合事務所は「細かいことまでは話しをしていないが、ボーリングは話をした」と述べるのみ。
赤羽氏は「文化庁は内諾はされたか」聞きましたが、名古屋城総合事務所は「意思についてふさわしいかわからないが、特段否定はされていないと理解している」としました。

宮武教授は「小天守ケーソン外部をくりぬくDを文化庁は知っているのか」聞きましたが、名古屋城総合事務所は「文化庁はケーソンを打ち抜くとは承知している」としました。
宮武委員は「曖昧にしてはいけない。ケーソンをボーリングすることと、土をボーリングすることは話が違う。@について、どうしてこの位置か説明が出来ないでしょう?」としたところ、名古屋城総合事務所は「ケーソン基礎を入れるときウォータージェットを使った。昔の地層が残っていない可能性もある。今回の目的は90m掘って、PS検層をしたい。きれいなものがあれば試料を採取したい」としました。

宮武教授は「説得力が無い。『北面石垣のハラミを分析するためにここを選んだ』のか?」としましたが、名古屋城総合事務所は「地下一階は半分は機械室。ボーリング調査できるところと出来ないところがある」とするのみ。

座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「そういういい方がおかしい。名古屋市は、考え方で『文化財である天守台石垣』が知らないうちに消えている。天守台石垣の保存を前提としたうえで、が、だんだん穴をあけるため何かいい方法がないかな?に見える。ケーソンの外側は特別史跡の遺跡なので、触れない。あらたにボーリングを打ち込むのは文化庁が認めるか?」としました。

宮武教授は「上に何かあってボーリングがやれないというのならやるなということ。機械室があってボーリング出来ないのならやるなということ。@ADはケーソンをくりぬいていない。それが文化財を守るためなら文化庁は認めるが、今の説明は違う。一般的に、標準貫入試験は経年変化を調査するため、その後もモニタリングをする。それは考えているか?」としましたが、名古屋城総合事務所は考えていないとのこと。

北垣座長は「部会の考え方がお示しできたと思う」としました。

本日も記者会見はありませんでした。

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名古屋城総合事務所は、文化庁に対して、どこをどうボーリング調査するかもしっかり伝えていないばかりか、石垣・埋蔵文化財部会に対しても、文化庁がどのように考えているかもきちんと伝えていませんでした。

石垣・埋蔵文化財部会構成員が言うとおり、ケーソンの外側は特別史跡の遺構です。

20/12/3特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第35回)でオブザーバーである山下信一郎・文化庁文化財第二課主任文化財調査官は「がわの石垣だけでなく、栗石、ケーソンでかなり痛められているが盛り土が残存しているのではないかと思っている。そういったことを含めた総体としての天守台の遺構といったものの保全・保存が特別史跡として大事だと考えている。必要な分は修復していただくことは当然だと思っているが、新たな改変がなるべくないように、という形で意見交換させていただいた」と述べています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201203-1.pdf

これは、新たな基礎構造だけでなく、ケーソン以外のボーリングにも当然関係してくると考えます。

20/10/22 名古屋城全体整備検討会議は、天守台ボーリング調査について以下述べています。
「名古屋城総合事務所は、解体に伴う仮設物、現天守解体した際のリバウンドの影響、地震時のケーソンの影響を詳細に調査するため現天守閣の地下の天守台のボーリング調査を行うとしました。以前天守閣部会で了承されているので、全体整備検討会議で了承を得られたら、石垣・埋蔵文化財部会で了承を得たいとしました。」
今回、石垣・埋蔵文化財部会で天守台ボーリング調査について了承を得られなかったため、当然来年度予算も要求できないことになります。

また、今回は議題としてはあげられませんでしたが、木造天守基礎構造の検討について、20/9/25に記載のあった「文化財である天守台石垣」が、20/10/22には「天守台石垣」となっていたことについて、石垣部会構成員は激怒しています。
・20/9/25 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第33回)配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200925.pdf
・20/10/22特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第34回)配付資料 資料3
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201022.pdf

今回、木造天守基礎構造の検討について議題になかったのは意外でした。
松雄局長は、来年度予算のデッドラインは2020年12月末-2021年1月と言っていました。
いまだに現天守解体予算も、木造復元天守予算も提案できる状況にありません。
天守台ボーリング調査についても、今回の部会では石垣部会は認めませんでした。
文化庁にすらはっきり説明していないようです。

名古屋城総合事務所は、いつまで同じことを繰り返すのでしょうか。
すべては、「無理なスケジュールありき」で進めているからではないかと思います。
無理なスケジュールを名古屋城総合事務所に強いている河村市長は、今何を考えているのでしょう。

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混迷が続く名古屋城木造復元事業 会議は続くが事業は進まず

2022年末の竣工を断念した名古屋城天守閣木造復元事業だが、いまだに新たな竣工時期の目処がたたないばかりか、現天守閣解体の目処もたっておらず、さらに名古屋城総合事務所は新たな毀損隠ぺいと取られかねないことも行っており、事業は全く進んでいない。

大きな問題点は5点


 膠着状況に陥った理由としては5点あると考える。
@木造復元天守と穴蔵石垣が接する「基礎構造」が決まっていない
A解体仮施設設置予定場所の調査が終わっていない
Bバリアフリーが決まっていない
C市長が竣工時期について固執
D度重なる毀損事故や竣工時期遵守のため職員が疲弊

石垣部会「『はじめから穴蔵石垣解体ありき』はまずい」

 20/6/18に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第35回)に、天守閣整備事業の「新たな工程」の案が示された。
石垣部会構成員の宮武正登・佐賀大学教授は「工程案に『穴蔵石垣の解体』とある。解体するための発掘調査を謳っており、下の部分を守るという議論に立っていない。解体出来るかどうかはこれからだ。だいぶん傷みが酷いのは承知しているが、調査してもいないからわからない」 とした。
 座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「以前から、特別史跡の本質的価値は石垣にあると言ってきた。それを保全するためにはどういう手立てがあるか考えている。現在、上に建物をつくるという案が出ているが、現在残っている石垣にうまく乗るのかどうかはきちんと議論していない」とした。

局長が石垣部会に懇願も「全体会議で議論を」

20/9/11に石垣・埋蔵文化財部会(37回)が行われた。
「ご相談」ということで、現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項等への対応について、松雄観光文化交流局長から説明があった。「現在予算編成の時期で、名古屋城木造復元、石垣調査についてはどうしても来年度予算に計上したい。しかしながら、新型コロナウイルスの影響で、来年度の予算は極めて厳しい。市長の査定があるが、石垣・埋蔵文化財部会の合意を得て、市長に『どうしても木造復元をやりたい』と強く言いたい。
 今後石垣・埋蔵物文化財部会の先生と議論したいが、事業が進まないということをどうしても避けたい。
 予算スケジュールとして、2020年12月-2021年1月に赤線を引いたが、そこがデッドラインだ。非常にタイトなスケジュールであることは重々承知しているが確実に進めたい」とした。
 北垣座長は「こちらとしては、『そうなんですか?』としか言いようがない。 石垣・埋蔵文化財部会に相談していただいても、今回は報告いただいたということであろう。まずは全体整備検討会議で審議していただいて、我々はそのあと審議する」と述べた。

基礎構造は部会をまたぐ「調整会議」で検討へ いまだ開催されず

 20/9/25に全体整備検討会議(第33回)が行われた。
 名古屋城総合事務所保存整備室の荒井敦徳主幹は「竹中工務店のプロポーザル時の技術提案は跳ね出し工法だった。しかし、穴蔵石垣、外部石垣を取り外す形で施工するので、石垣部会から、『現在の遺構の毀損を前提としており、認められるものではない』とされた。文化庁からも、『穴蔵石垣については、遺構が残っていることを前提に検討を』と言われている。現在、竹中とともに基礎構造検討中。
 現在の石垣は、天守焼失時に劣化しており、荷重をかけられない。
・天守台石垣に荷重をかけず、遺構の保存を前提としたうえで史実に忠実な復元を行う方針
・例えば、現代工法による構造加工を付加するとか、木造架構の一部を現代工法に置き換えるとか。
・有識者に諮って基礎構造を決定する。調整会議を設置して意見をいただくことを想定。」
 座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「調整会議は設置する方向で行きたいが、内容が未成熟なので調べてから」とした。
 しかし、11月末時点でいまだに調整会議は開催されていない。

自民市議「2028年を外してはどうか」

 20/10/7 名古屋市議会経済水道委員会が開催された。
 渡辺義郎市議(自民・北区)は今後のスケジュールについて質問し、荒川主幹は「2021年4月に、現天守閣の現状変更許可申請に対する文化庁からの指摘事項に回答する予定。仮に文化庁から許可が出るとすると解体の許可となるが、ただ、文化庁からは解体と復元は一体ではないか、と言われているため、名古屋市は復元の具体的な絵を基本構想という形で提出し、許可が出るなら解体だけが出ることはないと思う。また、天守台石垣修復などは、その後、来年度早々に石垣の保存方針をたてて修復を行いたいと考えている。2021年文化庁に回答するもので、すぐに工事に着手っていうことはないと考える」とした。
 渡辺市議は「それなら、2028年にこだわりすぎると問題が出るため、僕はそれを外したらどうだ。文化庁の許可が出て、全てを整えてどっから言われてもいいとなってから着手しなくちゃいけない俺は外してもいいと思うよ。少々こだわりすぎるといつまで経ってもできんぞ。」と述べた。

石垣裏モルタル落下等 市議指摘後文化庁に毀損届提出

 20/11/27に開催された名古屋市議会本会議で、自民党の浅井正仁市議が、20/10/14に発生した名古屋城石垣裏にあるモルタル落下に伴う毀損届が、法定の10日以内ではなく、浅井市議が指摘した後にようやく文化庁に提出されたと述べた。
浅井市議は、「モルタルの一部が落下したことが問題。劣化の激しい石垣があることも驚異。明るみにでれば、文化庁や石垣部会からモルタル調査や石垣劣化の程度が話題となり、今後のスケジュールに大きく影響すると思う。
 万が一スケジュールが遅れないように毀損を隠蔽したとしたら、市長に本質的な問題を伝えないまま、すべての責任を市長が負うことなってしまう。
 5月の文化審議会を死守するといった発言が職員にどれだけプレッシャーになっているのか考えていただきたい。名古屋城の職員が先の見えない迷走と想像できない業務量に皆疲れ切っている。
 早急に解体申請を取り下げて必要な書類が整った後に解体申請と復元申請をセットにして、文化審議会に議題を提出すべき」と述べた。

情報公開訴訟「防災拠点位置を非公開にするのは、警察署の場所を非公開にする理由と同じか?」

名古屋城天守閣木造化をめぐり、名古屋市が文化庁訪問時の復命書等の情報を非公開にしたのはおかしいとして、名古屋市民オンブズマンが公開を求めた情報公開訴訟の弁論準備が20/6/23に電話会議(非公開)で行われた。
原告名古屋市民オンブズマンの新海聡弁護士は「名古屋市が防災センターの場所を黒塗りにするという理屈は、『消防と治安の中心』だからという。防災センターは、街で言うところの警察署と消防署にあたるところだ。名古屋市は、警察署と消防署の場所を地図で黒塗りする、という理屈と同じではないか」とし、裁判長も「そういうことですか」とした。
 市代理人は「新幹線の運行センターや、県警の交通センターみたいなところ」とした。

基本設計費の返還等を求める住民訴訟 敗訴

 「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」が原告となった、名古屋城天守閣木造復元事業基本設計費の返還等を求める住民訴訟の判決が20/11/5に名古屋地裁で言い渡され、名古屋地裁民事9部は、公金の支出の差止を却下し、その他を棄却した。
https://drive.google.com/file/d/1dc9FBR5-tDA5egPW9BF9ZnU6tdETxIQo/view
 裁判所は以下判断した。
・要求水準書及び技術提案書が基本設計契約の内容となるものではない
・基本設計契約上、竹中工務店は名古屋市に対して、文化庁に提出すべき基本計画書及び申請書類を提出する義務を負うとはできない。
・本件事業につき名古屋市の裁量権の範囲の逸脱またはその濫用があるとは言えない。
・名古屋市は建築審査会の同意を得て建築を行うことを予定しており、実現不可能であるとはうかがわれない。
 原告の森晃氏は「裁判所が実態を認めなかったことに不満が残る。いまだに文化庁復元検討委員会の審査も受理されておらず、司法が文書主義を否定するものであり、司法自身の自己否定だと感じる。今も使われる見込みも不明な木材保管費がかかっており、実現の見通しも立たない木造化よりも、現天守保護を優先すべきだと訴える。」として、控訴の意向を表明した。

市議「文化庁文書に『40年の寿命』記載なし」

 20/11/30に開催された名古屋市議会本会議で、共産党の江上博之市議が、「2020年6月に文化庁が発表した文書には、『再アルカリ化など、延命策によって、耐震補強を行えば、相当年数維持できることが可能』と言っている。2016年名古屋市アンケートでは、『現天守閣の耐震改修工事について、おおむね40年の寿命と記述』があるが、上記文化庁文書には記述はない」と追及した。
松雄観光文化交流局長は「コンクリートの寿命を概ね40年としたのは平成22年度の耐震診断と共に実施した構造体劣化調査の結果に基づいたもの。耐震改修の実施の有無に関わらず、天守閣のコンクリートの中性化の進行度合いと、コンクリート内部の鉄筋の腐食、さびの状況から判断した」とした。

木材保管期間を21年3月まで延長 年1億円

 名古屋市は20/3/26に木材製材に関する契約書を変更し、2020年6月末までだった木材保管費を2021年3月末まで延長した。年間保管費は1億円。

市議会6月9月11月補正に予算計上せず

 名古屋市は、新型コロナウイルス対策のための補正予算を6月、9月、11月議会に提出したが、その中には名古屋城木造復元事業に関しては1つも入っていなかった。
 さらに、令和3年度当初予算の予算要求内容の公開にも入っていない。

局長「来年度予算要求のデッドラインは2020年12月-2021年1月」

20/9/11に松雄観光文化交流局長が言ったように、来年度予算要求のデッドラインは2020年12月-2021年1月です。様々な問題点は解決しておらず、とても2028年に竣工できるとは思えない。
 そうであるならば、大慌てで予算を通すよりも、問題点を広く市民に共有して、今後どのような名古屋城にしていったらよいのか、市民に意見を聞いてはどうか。
 名古屋城総合事務所職員は、締め切りに追われて能力を発揮し切れていないように思える。それに伴い、毀損事故や隠ぺいとも取られかねない対応をしている。
 なお「全責任は私が取る」と2015/8/24に河村市長は名古屋市市民経済局長に指示書を出している。http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
2021年1月に、名古屋城の現状の市民説明会が予定されているとのこと。残念ながら、市民の名古屋城に関する関心は年々低下しているように思える。
 市民が市民説明会に積極的に参加し、市民の生の声を伝えよう。

20/12/7 名古屋城木造化 市議会委員会で減税議員に委員間討議

20/12/7に名古屋市議会経済水道委員会で、名古屋城の毀損事故報告、二之丸庭園整備計画案、木造天守閣復元に係る進捗状況について所管事務調査が行われました。

・20/12/7 名古屋市観光文化交流局
 経済水道委員会説明資料
 特別史跡名古屋城跡西之丸き損地点の調査と修復について
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201207-1.pdf
・2020年10月 名古屋城総合事務所
 特別史跡名古屋城跡西之丸き損地点の調査と修復
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201207-2.pdf
・20/12/7 名古屋市観光文化交流局
 経済水道委員会説明資料
 名勝名古屋城跡二之丸庭園整備計画(案)について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201207-3.pdf
・20/12/7 名古屋市観光文化交流局
 経済水道委員会説明資料
 名古屋城天守閣整備事業に係る進捗状況について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201207-4.pdf
・20/12/7 名古屋市観光文化交流局
 経済水道委員会資料
 天守台北面石垣における石材片及びモルタル片の落下について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201207-5.pdf

20/12/7 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城関連部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201207-6.pdf

毀損について報告があった後、二の丸庭園整備計画案について説明と質疑がありました。
鈴木保存整備室長は「6期約20年から30年にわたる長い計画で、工事費の算出は難しい。およそ17億〜20億円」と述べました。

その後、名古屋城天守閣整備事業に係る進捗状況について説明のあと、質疑がありました。
小出昭司(自民・中村区)市議が「すでに購入した木材はいくらか。」と質問し、荒井主幹は「契約額が約95億。昨年度までで約35億円を支出済。2022年12月までと契約している。」としました。
小出市議は「市議会本会議の議決の要望事項として、現状変更許可が下りてから木材を購入するよう要望していたが」と質問したところ、荒井主幹は「木材を調達できないとこの事業実現が非常に難しくなる。もともと当初の工程に沿った形で木材を調達していかないと一旦調達を止めると二度と集め得られなくなる可能性もあるということで、事業の実現にも非常に影響があるので工程に沿った形で契約した」としました。
小出市議は「2028年までに延びることによる木材劣化はどう読むか」と質問したところ、荒井主幹は「工期が延びても木材は十分使えると思う。」としました。

続いて、委員間討議が行われました。

小出市議が浅井康正(減税・名東区)市議に対し、現在日本の現状に対する考え方を聞きたいとし、浅井市議は「多くの市民が早く作って欲しいと願っていると思う。文化庁の許可がいただけるかどうかが一番大きな問題点。一刻も早く木造復元をして頂ければ」としました。
小出市議は「文化庁の問題でどうすればよいか」と質問し、浅井市議は「会派の代表は文化庁に丁寧に説明し、理解を得るようしっかり協議を重ねると言っている。木造復元によって石垣に影響を与えないというのは大きな課題。石垣部会の意見を踏まえて、しっかりやっていただきたい」と述べました。
小出市議は「自分のところが責任を取るようなスタンスの言葉が全く出てこない。減税日本としての意思を示して欲しい。一刻も早く作るとはどういうプロセスをへたらよいのか」としましたが、浅井市議は「文化庁の許可をえることだと思う」と述べるのみ。
小出市議は「当初2020年、次に2022年これで2028年と2回延びた。大きな予算を使っているがどう考えるか」としたところ、浅井市議は「史跡を戻すには必要経費だと思う。505億の中でやりえるという答弁があった気がする。スムーズに行けたらよかったという感想を持つ。」としました。
小出市議は「河村市長は平成27年8月24日書面で『全責任は私が取るので全力で取り組まれたい』とある。どう思うか」としましたが、浅井市議は「審議中なので、責任に関する発言は市長がお答えになることと思う」と述べるのみ。

江上博之(共産・中川区)市議は「2016年アンケートでは、2020年までにが約20%、期限を定めず木造復元が約40%、耐震補強が約26%だった。立ち止まって市民の声を聞けと我々の立場ははっきりしているが、多くの市民が望んでいる根拠はなにか」と質問し、浅井市議は「河村市長が市長公約として木造復元するとしたため」と
述べました。
江上市議は「耐震補強について、40年しか持たないという根拠はなにか」としましたが、浅井市議は「国宝第1号の名古屋城を本物復元する意味からすると議論がかみ合わない」としました。

さわだ晃一(公明・西区)市議は「浅井市議で市議会議事録を検索しても、名古屋城では1つも出てこない。市長のためになる質問を個人として行われない心境が
理解できない。」としたところ、浅井市議は「本会議で個人質問で名古屋城を取り上げたことはない。やっぱり国宝第1号。名古屋城で特化する人もいたので、勝手に
お願いしていた。反省する」としました。
さわだ市議は「熱心に質問作るに当たって当局と一生懸命打合せをしながら質問を作っている。当局の疲弊を憂う。市長は『税金で食ってるのは極楽だ』と言うが、浅井市議個人はどう思う」としましたが、浅井市議は「お答えできない」とするのみ。

渡辺義郎(自民・北区)市議は「天守閣を早く作らないかんという気持ちは一緒。なんで遅れているのか。」としたところ、浅井市議は「市長の強い思いで2020年にした。石垣保存、保護について石垣部会には相当の相違があった。市長も石垣部会と向き合っていなかったという事実もある。」としました。
渡辺市議は「そう思ったら、党の代表の市長に進言しないといけない。なぜ言わなかったのか。僕は2028年にはできんと見ている。庭園は30年。石垣はしっかりしようと思ったら50年くらいできない。」と延べ、浅井市議は「石垣部会に向き合ってほしいという進言はした。」としました。

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名古屋城問題で珍しく委員間討議がなされました。
減税日本市議の、勉強不足と解決提示能力のなさ、市長への進言のなさがよくわかってとてもよかったと思います。

しかしながら、委員間討議は減税日本だけにするものではないはずです。
・名古屋市議会基本条例
https://www1.g-reiki.net/city.nagoya/reiki_honbun/i502RG00001202.html#e000000229
第11条 委員会は、資料等を積極的に公開し、議案等の審査及びその所管に属する事務の調査の充実を図り、委員間の討議も行い、その経過や結果を本会議において的確に委員長が報告し、その機能を十分に発揮する
2 委員会は、市政の課題に適切かつ迅速に対応するため、調査を行うとともに、政策立案及び政策提言を行う。

自民党の渡辺市議は「僕は2028年にはできんと見ている」と述べました。
そうであれば、市議会として果たして今後何が出来るのか。各会派に対して問題提起し、討議をしてもよかったのではないでしょうか。

20/9/11に松雄観光文化交流局長は「予算スケジュールとして、今年12月-来年1月に赤線を引いたが、そこがデッドライン」と述べています。
https://ombuds.exblog.jp/28241688/

12月も実質あと20日。問題解決能力がない市長と減税日本。
無茶な過密スケジュールに追われててんてこ舞いな事務局。
市議会は、自分たちの本来の力に気付いていないのかもしれません。

19/9/2大村愛知県知事は「国、文化庁の許可が下りるめどもないのに100億円の木材を調達して買ってしまった」「どういう経過をたどって何が起こってこういう事態になったのかという事実関係をしっかり検証して、そして、その事実関係を情報公開をしていただきたい」としています。
https://www.pref.aichi.jp/koho/kaiken/2019/09.02.html#4

20/11/30 名古屋城木造化 名古屋市議「文化庁文書に『40年の寿命』と記載なし」 

20/11/30に開催された名古屋市議会本会議で、共産党の江上博之市議が、「2020年6月に文化庁が発表した文書には、『再アルカリ化など、延命策によって、耐震補強を行えば、相当年数維持できることが可能』と言っている。
2016年名古屋市アンケートでは、『現天守閣の耐震改修工事について、おおむね40年の寿命と記述』があるが、上記文化庁文書には記述はない」と追及しました。

20/11/30 名古屋市議会本会議 文字起こし(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201130.pdf

・令和2年6月 史跡等における歴史的建造物の復元の在り方に関するワーキンググループ
 鉄筋コンクリート造天守閣の老朽化への対応について(取りまとめ)
 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/shiseki_working/roukyuka_taiou/pdf/92335501_01.pdf

・令和2年4月17日 文化審議会文化財分科会決定
 史跡等における歴史的建造物の復元等に関する基準
 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/pdf/92199502_01.pdf
 
松雄観光文化交流局長は「コンクリートの寿命を概ね40年としたのは平成22年度の耐震診断と共に実施した構造体劣化調査の結果に基づいたもの。耐震改修の実施の有無に関わらず、天守閣のコンクリートの中性化の進行度合いと、コンクリート内部の鉄筋の腐食、さびの状況から判断した」としました。

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令和2年6月のワーキンググループによる「取りまとめ」では、「RC造天守の建築物については、木造か延命化のどちらが史跡等の本質的価値に資するかを検討したうえで、今後木造による再現の可能性を模索するなど、個別の史跡等の事情により様々な整備方策を執ることが考えられる」「史跡等に所在する老朽化するRC造天守等は、今後、木造による再現の可能性の模索や長寿命化措置など、個別の史跡等の事情により様々な整備方策を執ることが考えられる」と述べています。

名古屋城木造復元が行き詰まっている現在、耐震診断や構造体劣化調査の結果を全て公開した上で、あらためて木造か延命化のどちらが史跡等の本質的価値に資するかを検討する時期に来たのではないでしょうか。

20/12/3 名古屋城木造復元基礎構造 文化庁「これ以上遺構を新たに傷を付けないで考えるのが原則」

20/12/3に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第35回)が開催されました。

・20/12/3特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第35回)
 配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201203.pdf

・20/12/3特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第35回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201203-1.pdf
 
今回も、あいさつまでしか写真・ビデオは許可されませんでした。

議事としては、以下3つが挙げられていました。
・西之丸展示収蔵施設の外構整備について
・名勝名古屋城二之丸庭園整備計画について
・令和3年度の二之丸庭園の修復整備・発掘調査について
しかしながら、当日になって以下2点が「報告」とされました。
(1)き損地点等の追加調査について
(2)木造天守基礎構造検討の考え方について

村木誠・名古屋城調査研究センター副センター長はき損地点等の追加調査について、資料4を示しながら説明しました。
しかし、「来年1月以降の全体整備検討会議で結果が出てくる」として、調査結果は報告しませんでした。

次に、木造天守基礎構造検討の考え方について、配付資料無しで名古屋城総合事務所の担当者が説明しました。
当初、プロジェクターで基礎構造の図が2つ投影されていましたが、途中で名古屋城総合事務所の職員の指示があり、プロジェクターの投影が消されました。

名古屋城総合事務所は以下述べました。
「9月、10月に全体整備検討会議でご議論・ご了解いただいた木造天守基礎構造検討の考え方について、文化庁に赴いて現状を報告して意見を頂いた。
『観覧者の安全確保については、文化庁が定める復元の基準にも定めがあり、配慮することは当然のこととして、遺構の保存を前提とするということに十分配慮していただきたい。
天守台は築石だけでなく、栗石、背面土で構成されるものであり、現在の天守台は江戸期から姿を残す遺構であるが、戦後天守再建時にケーソン基礎をうつなど、手が加えられた事実がある。
もうこれ以上天守を痛めることがないような基礎構造とすることを前提としていただきたい。』
今後、調整会議で様々な角度からご意見をお聞きしながら議論を進めていく。全体整備検討会議、関係部会にも適宜説明したいと考えている」
 
構成員の赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は
「上記について資料がないのか。ペーパーでいつ出されるのか。ペーパーで議論の根拠とすべき」としましたが、名古屋城総合事務所は「本日資料はない。現在調整会議を調整しており、今後全体整備検討会議に、資料と合わせて報告したい。」と述べるだけでした。

赤羽氏は「文化庁に報告してアドバイスいただいたとのことだが、木造復元は、文化庁が決めている『復元』なのか『復元的整備』なのか。名古屋市と文化庁にそれぞれ聞きたい」としました。
名古屋城総合事務所「文化庁からは『木造復元については、残された資料が豊富で文化財として石垣が残っているということもあり『復元』で考えている。文化庁とは今後相談したい」としました。
オブザーバーである山下信一郎・文化庁文化財第二課主任文化財調査官は以下述べました。
「復元の具体的なことについては、名古屋市から正式に申請等があるわけではない。
 現在、既存の天守解体についていただいたものについて、さらにご検討いただいている状況。
 ただ、現状は名古屋市は『復元』で考えていると承知している。
 基礎構造の考え方についても名古屋市から話を聞いたが、一般論として、『復元』にしろ『復元的整備』にしろ、建てる建物なので人命、安全確保は当然。
 それから、現存する遺構は、現代の我々があらたに傷つけることはないということで考えていくというのが大きな原則。
 人命優先は熊本震災での熊本城を検討しているが、その通り。
 復元全体のコンセプト。基礎構造に特化して人命優先では少し無いのではないか。
 もっと大きな次元においての基本的な考え方ではないかと名古屋市に伝えた。
 また、既存の天守台については、石垣の上の部分が戦災やRC復元の際に上野部分が改変を受けている。
 ただ、天守の遺構について、天守台として私どもは考えている。
 がわの石垣だけでなく、栗石、ケーソンでかなり痛められているが盛り土が残存しているのではないかと思っている。
 そういったことを含めた総体としての天守台の遺構といったものの保全・保存が特別史跡として大事だと考えている。
 必要な分は修復していただくことは当然だと思っているが、新たな改変がなるべくないように、という形で意見交換させていただいた」

続いて、その他として、20/10/9-11に発生した天守台石垣石材落下と、20/10/12に発生した天守台内部モルタル落下について報告がありました。
佐治独歩名古屋城総合事務所所長は「毀損再発防止策に従い、速やかに対応して、毀損届を提出することを決めたが、法定の10日を大幅に過ぎてから文化庁に提出した。
市議会本会議でも指摘があり、事実関係を含め調査中で、調査結果がまとまり次第報告したい。
写真をプロジェクターで示す」としました。

赤羽氏は「前回の全体整備検討会議の前に落下が起こったが報告がない。落ちたものをここに持ってきて示すのが本来のあり方。
全体整備検討会議そのものをスポイルするものと考えざるを得ない。
毀損再発防止策が作られておりながら、毀損届が1ヶ月以上遅れるとは信じられない。隠さず提示頂き、議論の材料を提示して頂きたい。」としました。

小濱氏は「石が崩れたのなら原因をはっきりさせて欲しい。今後も天守の石垣が崩れる可能性もある。対策を考えて欲しい」としたところ、村木副所長は「現況調査を行っており、劣化していることが判明している。調査した成果を反映させて保全の方針を示したい」としました。

麓和善・名古屋工業大学大学院教授は「大きさにかかわらずすべて毀損届けを出す必要があるのか。基本的な方針はどこか」と質問し、山下主任文化財調査官は「相対的なものなので文化庁に相談して欲しいが、その前に管理者が考えて欲しい」としました。

終了後記者会見はありませんでした。

終了後、名古屋城バリアフリー担当者に「国際コンペは開始されたか」と質問したところ、「現時点では開始していない。開始する際は何らかの形で報告・公表したい」と回答しました。

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木造復元に欠かせない基礎構造について、文化庁は「これ以上遺構を新たに傷を付けないで考えるのが原則」と明言しました。
石垣・埋蔵文化財部会と天守閣部会で構成するという「調整会議」で新たな基礎構造を検討するようですが、果たして遺構を新たに傷をつけないような基礎構造が提案できるのでしょうか。

全体整備検討会議の委員にも、文化庁とのやり取りを文字で配付しない。
毀損届も法定の10日を大幅に遅れて提出する。
新たな基礎構造検討プロジェクターも隠す。

木造復元以前の問題です。
このような情報非公開体質の名古屋城総合事務所に、木造復元に関わる資格はないと思います。

20/11/27 自民名古屋市議「名古屋城石垣裏モルタル落下毀損 市が隠ぺいしたら市長が責任を負うことに」

20/11/27に開催された名古屋市議会本会議で、自民党の浅井正仁市議が、20/10/14に発生した名古屋城石垣裏にあるモルタル落下に伴う毀損届が、法定の10日以内ではなく、浅井市議が指摘した後にようやく文化庁に提出されたと述べました。

20/11/27 名古屋市議会本会議 文字起こし(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201127.pdf

文字起こしから以下まとめました(すべて2020年)。

10/9  石垣劣化により崩れる
10/14  モルタル毀損
10/15  教育委員会文化財保護室が、名古屋城総合事務所に毀損届の提出を指示
    その後8回程度催促
11/3  浅井市議に情報提供
11/6  ある人が名古屋城総合事務所に問合せ 「毀損に心当たりはないがモルタルが落ちた」と回答
○   名古屋城総合事務所は浅井市議に「モルタルが落ちたと文化財保護室に報告したが、文化庁に毀損届を出したかは把握していない」
11/10  名古屋城総合事務所が毀損届作成し、文化財保護室に提出    
11/11 文化財保護室長が申達書を作成
11/16  文化庁にモルタルの件で電話で一報を入れる
    教育長が新たな毀損を把握
    顛末書の作成日
11/17  モルタルの件の毀損届を文化庁に郵送
11/19  市長がモルタルの件の報告を受ける
    広沢副市長が浅井市議から電話でモルタルの件の報告を受ける
   
浅井市議は「市長も教育庁も一ヶ月以上全く知らされていなかったのは組織として大きな問題」としましたが、広沢副市長は「1週間ほど前に浅井市議から電話で聞くまで本件の存在を把握していなかった。全容を把握できていないため、全てを明確にお答えすることはできない」と述べるのみ。
浅井市議は、「モルタルの一部が落下したことが問題。劣化の激しい石垣があることも驚異。明るみにでれば、文化庁や石垣部会からモルタル調査や石垣劣化の程度が話題となり、今後のスケジュールに大きく影響すると思う。
万が一万一スケジュールが遅れないように毀損を隠蔽したとしたら、市長に本質的な問題を伝えないまま、すべての責任を市長が負うことなってしまう。
観光文化交流局長、市民の大切な税金を使って議会との付帯決議を無視して100億の木材を買ってしまった状態で木造復元を進めているという自覚をお持ちいただきたい。
5月の文化審議会を死守するといった発言が職員にどれだけプレッシャーになっているのか考えていただきたい。名古屋城の職員が先の見えない迷走と想像できない業務量に皆疲れ切っている。
あなたが5月の文化審議会において解体申請を取り下げるきっかけにしたいと考えていることは手に取るように私はわかりますが、解体申請の取り下げは今でもできる。早急に解体申請を取り下げて必要な書類が整った後に解体申請と復元申請をセットにして、文化審議会に議題を提出すべき。」と述べました。

また、浅井市議は「復元か、復元的整備か」と質問したところ、河村たかし名古屋市長は「復元しか考えていない」と述べました。

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特別史跡名古屋城は、「釘一本うつにも文化庁の現状変更許可申請が必要」と言われます。
モルタルが落下したことについての文化庁への毀損届提出は当然ですが、判断に迷えば文化庁に聞けばよいことは浅井市議も述べています。
名古屋市は2021年5月の文化審議会になんとしても間に合わせたいようですが、竹中工務店が以前提案した跳ね出し架構に代わる基礎構造も目処がたたず、各種石垣調査もまだまだあり、文化庁からの指摘事項への回答もできておらず、バリアフリーに関する新技術国際公募もまだ出来ていません。
どう考えても無理があるスケジュールを最優先にするあまり「情報の隠ぺい」をしたとしたら、「市民のための名古屋城」とは真逆ではないでしょうか。
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20/11/20 名古屋市 2021年度予算要求に名古屋城木造復元関係予算計上せず

名古屋市は20/11/20に「予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例」に基づき「令和3年度予算要求内容の公開」を行いました。
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000134782.html
20/11/20(金)から20/12/21(月)まで意見募集中です。

2020年度も、意見募集時には名古屋城木造復元関係予算計上していませんでしたが、20/2/12に名古屋市令和2年度当初予算が公表された際、いきなり名古屋城木材保管費1億円などが計上されていました。
http://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000122696.html
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-17-1-8-2-0-0-0.html

名古屋城天守閣の木造復元 6億7740万9千円
 天守閣の整備      2億4507万4千円
  実施設計         8900万  円
  設計監理等支援業務委託  1300万  円
  主架構木材の保管費  1億     円
  発掘調査等        4307万4千円
 昇降に関する新技術の公募1億3168万9千円
 木造復元に向けた機運醸成  2470万  円
 基金の積立       1億     円
 事務費等        1億7594万6千円 
 
20/9/11に松雄観光文化交流局長は「予算スケジュールとして、今年12月-来年1月に赤線を引いたが、そこがデッドライン」と述べています。
https://ombuds.exblog.jp/28241688/

今回出された「中期的な収支見通し」(令和2年10月公表)でも、市税の落ち込みはすさまじく、令和3年度には352億円もの赤字が見込まれています。
そんな中、全く見通しが立たないだけでなく、どうみても「不要不急」の名古屋城木造復元事業をする余裕があるのか、大変疑問です。

河村たかし名古屋市長の決断次第だと思います。


20/10/22特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議で、傍聴者に配付されなかった資料 開示

20/10/22に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第34回)で、傍聴者に配付されなかった資料を名古屋市民オンブズマンが情報公開請求したところ開示されました。

・名古屋城内における現状変更許可申請の実績
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201022-4.pdf
・議題(2) 御深井丸等の地下遺構把握の調査について(プロジェクター投影資料)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201022-2.pdf
・議題(3) 木造天守基礎構造の検討について(プロジェクター投影資料)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201022-3.pdf

参考になれば幸いです。

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なお、名古屋城公式ページには、20/10/22配付資料はアップされていますが、上記配付されなかった資料は公開されていません。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2020/06/20200621_1022.html
(20/11/6現在、20/6/22以降の全体整備検討会議議事録、20/6/18以降の石垣・埋蔵文化物部会議事録は掲載されていません)
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20/11/5 名古屋城木造化基本設計費の返還等を求める住民訴訟 敗訴 名古屋地裁

「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」が原告となった、名古屋城天守閣木造復元事業基本設計費の返還等を求める住民訴訟の判決が20/11/5(木)13:10に名古屋地裁1号法廷で言い渡され、名古屋地裁民事9部は、公金の支出の差止を却下し、その他を棄却しました。
https://drive.google.com/file/d/1dc9FBR5-tDA5egPW9BF9ZnU6tdETxIQo/view

本件は、名古屋城天守閣木造化のための基本設計代金8億4693万6000円を市に返還しろ、実施設計契約を解除せよ、木材購入等名古屋城天守閣整備事業を停止せよと訴える住民訴訟です。

裁判所は以下判断しました。

【竹中工務店が基本設計契約に基づき復元検討委員会の審査を受けて文化審議会の諮問を経る義務を負うか】
原告:基本設計契約に基づき義務を負う
市:竹中工務店は、必要な資料を作成するとどまる。契約書と基本協定とが矛盾又は相違する場合に契約書が優先して適用される。
裁判所:竹中工務店が名古屋市による現状変更許可の申請手続きについて補助的作業を行う旨を定めたものと理解することができるものであり、義務を負うということはできないというべき。
 基本協定が要求水準書及び技術提案書に準拠する旨を規定していることから直ちに要求水準書及び技術提案書が本件基本設計契約の内容となるものではないというべき。
 
【基本設計契約に基づく成果品の提出義務の未履行について】
原告:基本設計契約上、竹中工務店は名古屋市に対して、名古屋市が現状変更許可の申請手続きに関して文化庁に提出すべき基本計画書及び申請書類を提出する義務がある。成果品として提出した資料の中に基本計画書と題する書面が含まれていない。
市:名古屋市が文化庁に提出する基本計画書及び申請書類を規定していない。名古屋市が文化庁に提出する基本計画書は、仕様書23条に定められていない事項を含むもの。
裁判所:基本設計契約上、竹中工務店は名古屋市に対して、名古屋市が現状変更許可の申請手続きに関して文化庁に提出すべき基本計画書及び申請書類を提出する義務を負うということはできない。
 竹中工務店が名古屋市に提出した基本設計説明書には、基本計画書に記載されるべき事項のうち全体外構計画を除く事項を含んでいる(竹中工務店は「外構検討図」として提出されているものと認められる)。
 
【検査の違法の有無】
原告:段ボール5箱分の成果品を提出日当日に行った検査は適正なものであったとは考え難い
市:仮納品を受けた上で、点検・修正を行い、主任監督員による同様の点検・修正を経て、精査の上納品された成果物に対して検査・確認を行った。
裁判所:適正な履行確保のために必要な点検及び修正が実施されているといえる。

【河村の支出命令に係る指揮監督上の義務違反の有無】
原告:河村市長は市民経済局長に対して全責任を取る旨の指示書を発出しているから、指揮監督上の義務違反がある
裁判所:直ちに支出命令について具体的な指揮監督上の義務違反があるということはできない。
 
【事業の違法の有無】
原告:パブリックコメントにおいて木造復元に否定的な意見が約75%。コンクリート内部のアルカリ回復工事が存在するため天守閣の木造復元工事をすべきではない。
裁判所:名古屋市の判断については、重要な事実の基礎を欠くものであるか、又は、その内容が社会通念に照らして著しく妥当性を欠くものであって、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したと認められる場合に限り、違法となるものと解するのが相当。 
 本件事業につき名古屋市の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえない。
 名古屋市は建築審査会の同意を得て建築を行うことを予定しており、実現不可能であるとはうかがわれない。

原告の森晃氏は「裁判所が実態を認めなかったことに不満が残る。いまだに文化庁復元検討委員会の審査も受理されておらず、司法が文書主義を否定するものであり、司法自身の自己否定だと感じる。今も使われる見込みも不明な木材保管費がかかっており、実現の見通しも立たない木造化よりも、現天守保護を優先すべきだと訴える。」として、控訴の意向を表明しました。
https://drive.google.com/file/d/1IZ69Ij60H6I2UEfYs7HtN1gtHrqhWm0S/view
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・名古屋城天守の有形文化財登録を求める会
 https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
 

20/10/22 名古屋城全体整備検討会議 各種現状変更許可申請を了承も課題は『調整会議』に丸投げ

20/10/22に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第34回)が開催されました。

・20/10/22特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第34回)
 配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201022.pdf

・20/10/22特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第34回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201022-1.pdf
 
今回も、あいさつまでしか写真・ビデオは許可されませんでした。
また、参考資料として、今年度現状変更許可申請のまとめは構成員のみ机上配布されました。

今回、5点の議題、1点の報告がありました。

(1)き損地点等の調査及び修復等について
き損した六番御蔵の石材について報告がありました。五番御蔵は調査中として次回報告するとのこと。
赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は「五番御蔵は施工されているが、これも含めて考え直すのか」としたところ、「すでにコンクリートまでつくってあり、可能であればコンクリートを活かしたい。ただ、コンクリートを必ず撤去しないとは考えない。次回以降説明する」としました。
上記現状変更許可申請が了承されました。

(2)御深井丸等の地下遺構把握の調査について
名古屋城総合事務所は、傍聴者配付資料にはない資料をプロジェクタに映し、説明をしました。
前回20/9/25全体整備検討会議、20/10/12石垣・埋蔵文化財部会での指摘を踏まえ、トレンチを見直したとのこと。
高瀬要一・公益財団法人琴ノ浦温山荘園代表理事は「絵図には御番所があり、今回確認するためにトレンチを入れる。しかし、仮に御番所の遺構が出てきたらどうするのか」と質問をしました。
村木誠・名古屋城調査研究センター副所長は「どういう遺構が出てくるかによる。遺構工事で掘削するわけではない。遺構を確認し、埋め戻す。その後工学的検討を行い、その後判断したい」と述べるに留まりました。
上記現状変更許可申請が了承されました。

(3)木造天守基礎構造の検討について
まず、名古屋城総合事務所から「天守基礎構造の考え方について」を一部修正したと報告がありました。
  @天守台石垣が復元天守の荷重に耐えられるか、定量的安定性評価が必要。
   しかし城郭石垣の評価は現実的に非常に難しい。
  A外部石垣を現代工法に置き換えることはできない
  B外部石垣は被熱劣化し大地震時に崩壊する可能性がある。
  C内部石垣は現状積み方が不明で、大地震時に崩壊の可能性が否定できない  
その後、天守基礎構造検討の考え方を一部修正しました。
 ・観覧者安全確保第一
 ・天守台石垣が「文化財である」は削除
 ・木造復元天守は、天守台石垣で支持しない基礎構造とする
 ・文化庁の基準を遵守する
 ・本来の遺構の保存を前提とした上で、史実に忠実な復元を行う方針
 留意点
  @現況を踏まえて検討
  A大地震時 外部石垣 崩壊安全対策   
    内部石垣 崩壊しないことを前提とした基礎構造検討
  B安全確保のため、防火・避難、耐震対策、観覧環境、景観に配慮した基礎構造検討
  
続いて、竹中工務店が、傍聴者配付資料にはない資料(戦後の天守台石垣資料)をプロジェクタに映し、説明をしました。天守閣焼失後、昭和27−31年に石垣積みなおし工事を行い、地上に見えている石垣部分はすべて積みなおされていた。昭和32−34年天守閣工事でも石垣を外して工事している。

名古屋城総合事務所は、「穴蔵石垣部分は戦後かなり手が加えられている。今後も調査を引き続き進めたい。上記「天守台基礎構造検討の考え方について」に基づき、天守閣部会と石垣・埋蔵文化財部会構成員からなる『調整会議』で詳細なことを検討したい。」としました。

小M芳朗・名古屋市立大学名誉教授は「天守台工事中の写真は初めて見た。穴蔵石垣はどこにどういう材料が使われているか。今後、穴蔵石垣復元が可能なのか。不安定な基礎構造になりかねない。基礎構造の議論に影響がある。」としました。
名古屋城総合事務所は「穴蔵石垣を解体する、解体しないは結論としてあるわけではない。復元天守をどうするか、調整会議で議論し、どういった形で石垣を整備するか検討したい」としました。

赤羽氏は「竹中工務店が示した写真は石垣部会に提示されていない。提示が必要。やり方がおかしい。また、今回の写真で、現天守閣を作るときに大天守石垣が手が加えられていることがわかるが、当時苦労していることがわかる。穴蔵石垣は、『作り直したから文化的意味が無い』わけではない。」としました。

名古屋城総合事務所は「竹中が示した写真は、おそらく2年前に示した資料にあると思う。今後調整会議で基礎構造の議論を進めたいが、両会議、全体整備検討会議にも報告する」としました。
村木センター副所長は「穴蔵石垣について、石垣・埋蔵文化財部会では議論していない。今後資料を提示したい」としました。

藤井譲治・京都大学名誉教授は「穴蔵石垣を積み替えたときの裏側かコンクリートか、栗石か土か?」と質問しましたが、名古屋城総合事務所は「記録がなく把握しきっていない。穴蔵の背面に部分的にモルタルがあるが、どの範囲か正確なところがわかっていない」としました。

赤羽氏は「木造復元天守の【理想の姿】として、史実に忠実な木造復元(主架構・外観・内観)とあるが、3つがそろえば史実に忠実か?材料、防火壁、エレベーターはどうなるのか?」としました。
名古屋城総合事務所は「【理想の姿】とは、遺構の保存と史実に忠実、両方が100点は難しいが望むこと。材質、広報については文化庁が定める基準に基づいて行う。今後、解体に関する文化庁指摘事項に回答するが、それ以降、復元検討委員会に諮って頂き、そのうえで復元する。最終的な整備の形が整っていく。そのスタートにたちたい」としました。

座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「【理想の姿】という言葉がよくない。何が理想か。どこまで忠実にやるか」と発言しました。
結局、基本的な考え方は了承されました。

(4)天守台ボーリング調査について
つづいて、天守台ボーリング調査について議論になりました。
名古屋城総合事務所は、解体に伴う仮設物、現天守解体した際のリバウンドの影響、地震時のケーソンの影響を詳細に調査するため現天守閣の地下の天守台のボーリング調査を行うとしました。以前天守閣部会で了承されているので、全体整備検討会議で了承を得られたら、石垣・埋蔵文化財部会で了承を得たいとしました。
各構成員から補足質問がでましたが、了承されました。

(5)二之丸地区の発掘調査について
前回の全体整備検討会議とほぼ変わらない提案が出ました。瀬口座長は「前回、高瀬委員から『二之丸地区基本構想を作ってから発掘調査した方がよい』と意見が出た。愛知県体育館が移転するのは2026年度以降で、慌てて掘らなくてもよいのではないか。」としました。
名古屋城総合事務所は「確かに体育館がなくなるのはもう少し先だが、試掘調査を検証しながら考える」としました。
上記は了承されました。

続いて、名古屋城金シャチ特別展覧について報告がありました。
三浦正幸・広島大学名誉教授は「せっかくお金をかけて金シャチをおろすのなら、破損調査を行ってはどうか。木造復元天守の金シャチについては決定が出来ていない。」とし、名古屋城総合事務所は検討したいとしました。

記者会見はありませんでした。
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今回の全体整備検討会議は、いつになく淡々と進んだと思います。すべて議論は『調整会議』で行うとしたからでしょう。
しかしながら、本日の全体整備検討会議では、『調整会議』についてどのように行うかは一言も出ませんでした。誰がメンバーなのか、誰が選ぶのか。課題は何か。議論は傍聴可能なのか。いつ行うのか。

20/10/11に開催された石垣・埋蔵文化財部会でも、
『調整会議』に関するスケジュールは記載されていませんでした。
・20/10/11 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第38回)資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201011.pdf
 
来年度予算要求のデッドラインが2020年12月。
今回現状変更許可申請を文化庁が認めたとして、名古屋市のスケジュール予定でも、調査は2021年2月末までかかる予定です。
2021年3月に有識者会議で了承をえることになっていますが、『調整会議』で議論するには、上記調査が必要不可欠でしょう。

さらに、元々17年以上にわたって搦手馬出石垣の修復について議論してきた石垣・埋蔵文化財部会と、木造復元天守をどう作るかを議論するために3年半前に設置された天守閣部会では、考え方の根本が違います。
17/10/13に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第24回)では、石垣部会構成員と天守閣部会構成員も同席しましたが、瀬口哲夫座長が「石垣部会は安全性を考えていない」と発言し、大混乱に陥りました。

・新たな基礎構造の検討は極めて難しい(「史実に忠実」と「安全確保」の両立)
・材料、防火壁、エレベーターなどどうするか
・石垣部会と天守閣部会の考え方の溝
・基礎的調査が間に合っていない
・タイムリミットは2020年12月?2021年2月?

上記を踏まえると、『調整会議』でタイムリミットまでに何らかの結論がでるとはとても思えないのですが、今回の全体整備検討会議の議論を聞いていると、名古屋市と竹中工務店はあくまでも早期の木造天守復元に固執するつもりのようです。

名古屋市が15/12/2に「名古屋城天守閣整備事業にかかる技術提案・交渉方式(設計交渉・施工タイプ)による公募型プロポーザル」をはじめてもうすぐ5年。
以来様々な検討・調査がなされてきましたが、最も重要な基礎構造についてはいまだに形になっていませんし、有識者も議論していません。
5年も決まらなかったことが数回?の『調整会議』で決まるのでしょうか。

市民不在で突き進んできた名古屋城木造復元事業のツケがすべて『調整会議』で噴出しようとしています。
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20/10/11 名古屋城石垣・埋蔵文化財部会開催

20/10/11 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第38回)資料が開催されました。

20/10/11 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第38回)資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201011.pdf
20/10/11 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第38回)
(名古屋市民オンブズマンによるメモ)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201011-1.pdf

今回も、録音・録画は冒頭あいさつまででした。
議題は、以下3つでした。
(1)本丸搦手馬出周辺石垣の修復について
(2)御深井丸等の地下遺構把握のための調査について
(3)二之丸地区の発掘調査について

(1)については、淡々と検討が進みました。
(2)については、現天守閣解体申請に対する文化庁からの
4点の指摘事項への対応について、現在の進捗状況を説明しました。
特に今回、御深井丸等の地下遺構把握のための調査について議論がなされました。

村木誠・名古屋城調査研究センター副所長は「一昨年度、現天守閣解体のための仮設構台を置く予定である御深井丸等の地下について、石垣部会からは地下遺構を把握すべきとされたが、名古屋市は地下遺構を把握せずに文化庁に現状変更許可申請を提出した。しかし、文化庁から『地下遺構を把握すべき』とされたため、今後地下遺構を把握するための発掘調査をしたい。
20/9/25全体整備検討会議で説明したところ、赤羽委員らから『2メートル角ではなく、溝状のトレンチがよい』とされたが、来場者の通路、樹木、電気設備があり、溝状は難しい」としました。

宮武正登・佐賀大学教授は「遺構がないところを掘っても遺構に当たらない。何を期待しているのか」と質問したところ、村木副所長は「今回は掘れるところでトレンチを設定した。旧天守閣の礎石が置いてあるが、礎石を外して仮設構台の基礎を置く計画だ。今回は遺構面まで掘り下げることを意図していない。ある深さで確認できなければ終わり」としました。

宮武教授は「遺構がないところにトレンチなど文化庁が認めるか?また、あと何センチかわからないがトレンチをいれるとはどういうことか。礎石にトレンチ入れる必要があるのか?」としたところ、名古屋城総合事務所は「礎石と礎石の間にコンクリートを打つ予定で、礎石には荷重あたらない」としました。

宮武教授は「そもそも当該場所に礎石がなくてもよい。当面の施工にあたっては、適宜なところに移転してはどうか。現計画の見直しも含め、礎石自体の活用も求める」としました。

続いて、(3)二之丸地区発掘調査について議論がなされました。
欠席の赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長から「今ある県立体育館がなくなったあと調査したほうがよいのでは」と意見が出されましたが、名古屋城総合事務所は「まず調査する」としました。

その後、城内石垣カルテについて報告があり、終了しました。
記者会見は今回も行われませんでした。

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名古屋城木造復元に関し、様々な場所で議論がなされていますが、それぞれどのような議論がなされているか共有されているかは甚だ疑問です。

・全体整備検討会議
・石垣・埋蔵文化財部会
・名古屋市議会経済水道委員会
・文化庁
・竹中工務店

いったい、今回の石垣・埋蔵文化財部会は何を目的に、どのような位置づけで行われたのかはっきりしません。

20/10/7名古屋市議会経済水道委員会では、名古屋城総合事務所は「基礎構造については現在検討中で、その部分の業務は進んでいない。名古屋市は、2021年4月に現天守閣解体の現状変更許可申請に対する文化庁の指摘事項への回答を行う予定だが、それと同時に木造天守閣復元の具体的な絵を基本構想という形で示す予定。その後来年度早々に石垣保全方針をたてて修復する予定。2021年4月回答すぐに工事に着手することはないと考える。また、新たな竣工時期を定めて505億円の起債の収支を合わせた収支計画を総務省に出す必要がある」としました。
市議からは「2028年12月目標を外してはどうか」という意見が出ました。

今回の石垣・埋蔵文化財部会の議論を聞いていると、外堀に桟橋をかけ、御深井丸・内堀に仮設構台をつけることを前提としているように思えましたが、現天守閣解体・木造復元の現状変更許可申請が当面通らないのであれば、議論が全く異なってきます。

そうであるならば、無理なスケジュールを立てて遺跡調査を今年度中にする必要は全く無く、十分に調査が出来る体制を整えてから行えばよいのではないでしょうか。

結局、2022年12月竣工を断念したのは、有識者や文化庁の意見をきちんと聞かなかったからということもありますが、それぞれの議論の場でそれぞれが議論をして、情報の共有がきちんとなされなかったためではないでしょうか。

また、二之丸地区発掘調査についてですが、17/12/25名古屋市議会産業・歴史文化・観光戦略特別委員会で議論になりましたが、二之丸御殿を復元するとすると700億円くらいかかるとのこと。
いまだにビジョンがはっきりしません。

以前、有識者が「関係者全員が一堂に会して、今後の名古屋城のあり方を検討する場を設けては」と提案しましたが、いまだに実現されていません。

文化庁とのやり取りも、肝心の部分が非公開です。竹中工務店とのやり取りも非公開です。

20/10/22(木)10時から、第34回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議が開催予定です。
https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2020/kankobunkakoryu/0000133695.html
・き損地点等の調査及び修復等について
・御深井丸等の地下遺構把握の調査について
・木造天守基礎構造の検討について
・天守台ボーリング調査について
・二之丸地区の発掘調査について

どのような議論になるのか注目したいのですが、名古屋市の思うように進むとは到底思えませんし、議論をする項目が多すぎます。
来年度予算のデッドラインまであと2ヶ月。
拙速な議論ではなく十分な議論と調査を望みますが、そのような体制にないのが大変残念です。

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20/10/9 2019年度名古屋城関係決算 市議会委員会で認定すべきと決す

20/10/9 名古屋市議会経済水道委員会が開かれ、以下意見が付されて決算が認定すべきと決されました。

20/10/9 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城部分)
(名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/201009.pdf

・自民党:以下の意見を添えて賛成。
 名古屋城天守閣木造復元事業については竣工時期にこだわることなく、地元有識者や文化庁などの関係者と丁寧に協議を行い、着実な事業の実施に努めること。
・名古屋民主:決算認定案に賛成
・減税日本ナゴヤ:以下の意見を付して決算に賛成。
 調査研究センターをもとに、名古屋城の魅力向上に繋がるよう、さらに多くの研究調査研究に努めること。
・公明党:原案に賛成
・共産党:認定1号に反対。理由 一つは名古屋城天守閣木造復元については、名古屋城重要文化財等展示収蔵施設の外構工事での特別史跡の毀損事件でも明らかになったように、開発整備を重視し、文化財保護がなおざりになっていることが明らかであり、また、木造復元の完成期限2022年12月を断念した結果、技術提案交渉方式による建設会社との基本協定書の効力を失っていることから、事業を中止すべきであり、特別会計への支出は認められないこと。
 認定7号 名古屋城天守閣特別会計歳入歳出決算の認定に反対
 理由 一般会計反対理由の関係事項の趣旨に同じです。
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20/10/7市議会経済水道委員会であれだけ自民党が意見を言って、それでも意見を付して決算に賛成しました。
他の、名古屋民主、公明は意見も特に付けずに賛成しています。

名古屋市議会は、名古屋市議会基本条例に基づき、2010年度と2012年度に議会報告会を開催しました。その後も市長に対して議会報告会の開催に必要な経費を要求していますが、市長からは、「政務活動費の活用などにより、政党または個人が行うべきものである」として、議会として行う議会報告会の開催は認められていません。
http://www.city.nagoya.jp/shikai/category/412-0-0-0-0-0-0-0-0-0.html

全国市民オンブズマン連絡会議が20/9/18に発表した「政務活動費情報公開度ランキング」では、名古屋市議会は4年連続20政令市中最下位でした。
https://www.ombudsman.jp/seimu/2020

市長も市民の前で名古屋城木造復元について語りませんが、市議会も市民の前で語りません。

どのような木造復元天守閣ができるか、市民に公開されていません。それどころか、まだ最も重要な基礎構造が決まっておらず、だれもどのような姿なのかわかっていないのです。

505億円もの事業が、市民不在、責任者の姿が見えないまま漂流しています。
(2020年3月末までにすでに購入した木材31億5000万円、基本設計費8億4693万6千円、実施設計費5億9400万円は支出済です。さらに毎年かかるとされる木材保管費は1億円です。)

20/10/7 名古屋城木造化竣工時期 自民市議「2028年を外したらどうか」

20/10/7 名古屋市議会経済水道委員会が開催されました。

20/10/7 名古屋市 観光文化交流局
令和元年度決算説明資料
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/201007.pdf

20/10/2 名古屋市 観光文化交流局
令和元年度決算説明参考資料
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/201002.pdf

20/10/7 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城部分)
(名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201007-1.pdf

名古屋城天守閣木造復元事業に関しては、2019年8月に、2022年12月竣工目標を取り下げ、いまだに竣工時期の目処がたっていません。
河村たかし名古屋市長は、20/2/25に、「一部報道で2028年10月の完成を目指す新工程案を検討しており、市長も反対はしない」旨の報道がなされた際、「2028年10月案が含まれているのは否定しないが、少しでも早く木造天守閣をお届けできるよう、事務方に指示を出しており、この時期に市として目標とする竣工時期を申し上げる段階にない」とするコメントを発表しました。
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000125995.html
しかしながら、20/3/2に名古屋城跡の石列毀損事故を起こし、新たな竣工時期は全く目処がたっていません。

江上博之市議(共産・中川区)は、実施設計についてどうなっているか質問し、名古屋城総合事務所の荒井主幹は「基礎構造について検討しているので、その部分の業務は進んでいない」としました。

江上市議は、「竹中工務店との当初の基本協定は505億円となっていたが、2028年もおぼつかなくなっている。金額そのものの見直しの議論はなかったのか」質問し、荒井主幹は「設計が終わった段階で、工事の契約をしていくが、その際に価格交渉を行い、適切に契約をしていく」としました。

渡辺義郎市議(自民・北区)は今後のスケジュールについて質問し、荒川主幹は「2021年4月に、現天守閣の現状変更許可申請に対する文化庁からの指摘事項に回答する予定。仮に文化庁から許可が出るとすると解体の許可となるが、ただ、文化庁からは解体と復元は一体ではないか、と言われているため、名古屋市は復元の具体的な絵を基本構想という形で提出し、許可が出るなら解体だけが出ることはないと思う。」としました。

渡辺市議は、「石垣修復も上記に含まれているのか?」と質問したところ、荒川主幹は「天守台石垣修復などは、その後、来年度早々に石垣の保存方針をたてて修復を行いたいと考えている。2021年文化庁に回答するもので、すぐに工事に着手っていうことはないと考える」としました。

渡辺市議は「それなら、2028年にこだわりすぎると問題が出るため、僕はそれを外したらどうだ。文化庁の許可が出て、全てを整えてどっから言われてもいいとなってから着手しなくちゃいけない俺は外してもいいと思うよ。少々こだわりすぎるといつまで経ってもできんぞ。」と述べました。

佐治独歩・名古屋城総合事務所所長は「文化審議会で受け取っていただければ、復元検討委員会に諮っていただいて、木造天守の具体的な議論をしていただきたいと望んでいる。復元検討委員会に諮るまではなかなか竣工時期がいつかということを決めることは難しい。収支金額を正確に見込むには、竣工期限を定めてシミュレーションをすることが必要となる」としました。

松雄俊憲・観光文化交流局長は「答弁で、事務方としては工程を積み上げると2028年10月と出たとした。なかなか読めない部分がある。市の竣工時期がなくてよいかというと、2つの問題が出る。
1)2022年の基本協定の有効性をしっかりするには市として竣工時期をさだめないといけない。
2)総務省から505億円の観光その他債の起債を認めてもらった。収支を合わせた形で収支計画を出さないといけない。市としての竣工時期を決めたあとに、もう一度収支の状況を総務省に出す必要がある。
よってどこかで決めたい」としました。 

渡辺市議は「また出来ないと思う。公表しなければよい」としましたが、松雄局長は「本当は出したくない。マスコミの皆さんも含めてそこを書かれるものなので、誤解を生んだのはその通り」としました。

中川貴元市議(自民・東区)は「名古屋城木造復元に賛成論者であることを前提に話をしたい。これまで何を反省して何を学んだのか。有識者の考え、国の考えが、
一度たりとも皆さんの思いが天に通じたことはない。皆さんは学者にはなれない。専門家や国に任せるというか委ねる。目標時期は言わないと断言した方がよいのでは」としました。
松雄局長は「反省の1年だった。国や学識経験者がOKと言わない限り、先に進めないことがはっきりわかった。市長に言ったが、『早くやってくれ』と市長は言った。眼前の課題をしっかりこなしていくことが結論。」としました。

中川市議が再度局長に尋ねたところ、「少なくとも事務方が何年までにやりますとは言わない。市長に判断いただくなりしないと辛い。そうはいっても木造復元の議論ができるような道筋、復元検討委員会は死守したい。今年度中に答えを返していくことはさせていただきたい」としました。

中川市議は「505億円の話しは断言しない方がよいのではないか」としましたが、松雄局長は「議会から505億の中でやりきると附帯決議をいただいているので頑張りたい」としました。

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・木造復元がどのような形になるかまだ決まっていない。特に基礎構造は有識者で議論もしていない。
・予定通りにいっても、現天守解体の文化庁からの宿題の返事が出来るのが2021年4月。その後、木造復元の現状変更許可申請を受け取ってもらえるかすらわからない。
・仮に木造復元の現状変更許可申請を文化庁が受け取ったとして、木造復元に関し、復元検討委員会でどのような議論がなされ、どのような意見が名古屋市に対して出されるかわからない。
・名古屋市と竹中工務店との協定書の期限が2022年12月であり、その有効性を確保するため、新竣工時期を定める必要がある。
・総務省に、新竣工時期を定めた後、505億の起債の新たな収支計画を出す必要がある。
・局長は「事務方が何年までにやりますとはいわない。市長に判断いただくなりしないと辛い」と明言。

名古屋市政131年の歴史で最大の混乱を招いている名古屋城天守閣木造復元事業。
2020年3月末までにすでに購入した木材31億5000万円、基本設計費8億4693万6千円、実施設計費5億9400万円は支出済です。
さらに毎年かかるとされる木材保管費は1億円です。

このままでは、2028年はおろか、何十年経っても木造復元は形にならないのではないでしょうか。

今後のスケジュール(案)
・2020年12月 来年度名古屋市予算確保のデッドライン
・2021年4月 文化庁へ指摘事項回答+基本構想提出
      (河村市長任期満了)
・2021年   復元検討委員会で審議(復元の現状変更許可申請を文化庁が受け取れば)     
       天守台石垣保存方針策定
       総務省に新たな収支計画提出?
・2022年12月 基本協定上の天守閣完成期限       

河村市長は2015/8/24「全責任は私が取る」という指示書を書いています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
 
河村市長は、今どこにいますか?市民になにを語りかけていますか?

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今後の予定
・20/10/9 名古屋市議会経済水道委員会
・20/10/11 石垣・埋蔵文化財部会
・20/10/22 全体整備検討会議
・20/10/29 名古屋城文化庁訪問時面談記録情報公開訴訟(WEB会議・非公開)
・20/11/5 13:10 基本設計費返還を求める住民訴訟判決 名古屋地裁(別団体)

20/10/5 名古屋城木造復元をめぐり、市議会で2019年度決算審査

20/10/5に名古屋市議会経済水道委員会が開催されました。

20/10/5 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城部分)
(名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/201005.pdf

20/10/2 名古屋市 観光文化交流局
令和元年度決算説明参考資料
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/201002.pdf

2019年度は、名古屋城木造復元について2019年8月に、2022年12月竣工目標を取り下げ、さらに2020年3月には石列毀損事故を起こし、当初の計画から大幅に狂いました。いまだに新たな竣工時期すら目処がたっていません。
2019年度予算についても使いきれなかった額があります。
逆に、竣工時期すら目処がたっていないにもかかわらず、多額のお金が使われています。
・一般会計名古屋城費 予算 19億8622万1000円
  支出済 15億4889万9056円(繰越明許費 1億1000万円)
  不用額 3億2732万1944円
・名古屋城天守閣特別会計 予算 32億7988万4000円
  支出済額 22億3914万6222円(繰越明許費 1億3100万円)  
  不用額   9億 973万7778円
  
各市議は各資料を要求し、20/10/7経済水道委員会に提出される予定です。


20/9/25 名古屋城木造化 基礎構造検討は部会をまたぐ「調整会議」で検討へ

20/9/25 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第33回)が行われました。
今回も写真撮影・録音とも認められませんでした。

20/9/25 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第33回)配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200925.pdf

20/9/25 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第33回)
名古屋市民オンブズマンによるメモ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200925-1.pdf

今回は、現天守解体申請に対する文化庁からの指摘事項の件と、基礎構造、天守台ボーリング調査についてでした。

まず、現天守解体申請に対する文化庁からの指摘事項への対応について説明がありました。
その後、松雄観光文化交流局長からのお願いを佐治所長が代読しました。
「本来であれば頭を下げてお願いしたいが、議会開会中なので出来ない。
1点目は当面のスケジュールについて。昨年9月に文化庁から『指摘事項』が出て既に1年が過ぎている。真摯に答え、信頼関係を得たい。今年度中に有識者と合意を得て、来年度早々にも市長が直接文化庁に出向いて手渡したいと考えている。タイトなスケジュールで頻繁な有識者会議をお願いする。心苦しいが、局をあげて万全を尽くしたい。
2点目は次年度予算の確保。有識者の皆さまには方向性を導いていただいた。木造復元には予算の裏付けが極めて重要。新型コロナウィルスの影響で、リーマンショックを上回る経済の落ち込みが想定される。確実に予算確保するため、年明け早々の市長査定までに道筋と経費を信念をもって予算要求したい。さらなるご助言をいただくこともあるかもしれないが、よろしくお願いする。」

今回から全体整備検討会議の構成員になった、藤井譲治・京都大学名誉教授は、現状変更を必要とする理由について、現在の進捗状況を尋ねました。
名古屋城総合事務所は「平成29年、30年度に基本計画、基本構想を図面などまとめ、一定の形にして文化庁と相談した。内容について足りないとされ、基本構想のところを補強・精査して作業している」としました。

座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は、「基本設計・実施設計は終わったんですね」としたところ、名古屋城総合事務所は「基本設計は終了した。基本構想の、現天守の評価、木造復元の意義が弱い」としました。

続いて、本丸内堀発掘調査について説明と質問がありました。

次に、御深井丸等の地下遺構把握の調査について説明と質問がありました。

赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は「地下遺構調査の範囲は聞いていたが、細かい方法は石垣部会では諮っていない。内容は石垣部会で検討したい」としました。

続いて、木造天守基礎構造の検討について議論になりました。
名古屋城総合事務所保存整備室の荒井敦徳主幹は「木造天守復元事業は平成27年度プロポーザルで竹中工務店を選び、その際の技術提案は跳ね出し工法だった。石垣の中に赤色の部分、はね出し加工で荷重を受けるというもの。しかし、穴蔵石垣、外部石垣を取り外す形で施工するので、石垣部会から、『現在の遺構の毀損を前提としており、認められるものではない』とされた。文化庁からも、『穴蔵石垣については、遺構が残っていることを前提に検討を』と言われている。
現在、竹中とともに基礎構造検討中。
現在の石垣は、天守焼失時に劣化しており、荷重をかけられない。以下考え方で新たな基礎構造を考えたい。
(1)基礎構造の考え方
  ・天守台石垣に荷重をかけない
  ・本質的価値を理解するうえで不可欠な遺跡の保存に十分配慮
  ・遺構の保存を前提としたうえで史実に忠実な復元を行う方針
具体的には、以下で示す。
(2)入側部の支持方法
例えば、現代工法による構造加工を付加するとか、木造架構の一部を現代工法に置き換えるとか。イメージ案を示す。
(3)今後の進め方
 有識者に諮って基礎構造を決定する。調整会議を設置して意見をいただくことを想定。
 
小濱芳朗・名古屋市立大学名誉教授は「当初の『史実に忠実な木造復元』が『基礎木造を変えないといけない』となっている。『忠実な木造復元』はどこまで許容されるのか」としたところ、荒井主幹は「『史実に忠実な木造復元』は遺構を保護することが大前提。そうしないと木造復元の実現につながらない。観覧者の安全確保、防火、耐震など、調整会議で様々な意見をいただいて決めたい」としました。

赤羽構成員は「資料4を示した理由はなにか?」としたところ、荒井主幹は「基礎構造の考え方を見直していくなか、有識者会議である全体整備検討会議(親会議)、部会に正式に議論をしていただくに至っていない。今後詳細に検討する。親会議に、今後議論することの報告を行った。
今後(1)の考え方に基づくという説明を行った。今後調整会議を行う。調整会議は昨年度3月に、「複数の部会にまたがる際調整会議を設置する」と全体整備検討会議で位置づけた。その部分の報告を行った。そのように進めることへの意見を求めたい」としました。

三浦正幸・広島大学名誉教授は「(1)の前提条件が違う。穴蔵石垣は天守が燃えた際に非常に痛んだため、全ての石を取り替えた。根石以外は新品なのは資料で明らか。根石を除いて遺構ではないと思っている。石垣の上に荷重がかけられないのは、木造よりはるかに重い鉄筋コンクリート造の天守を石垣に載せたら崩れるということ。木造なら関係が無い。また、穴蔵石垣は算木積みになっておらず、強度が低下している。将来起こる東南海地震で、石垣の上の方が崩壊して、木造天守の中にいる人に影響がある。前提事実が違う。今の穴蔵石垣は文化財ではなく、間違っているので改めるべき。」としました。

荒井主幹は「勉強になった。今後議論・検討を進め、修正しながら有識者に諮る」としました。

続いて、ボーリング調査について報告がありました。

名古屋城総合事務所は「支持基盤の荷重が除かれると、リバウンドと呼ばれる地盤が浮き上がる現象が考えられる。工学的解析を行ったが、文化庁からは『考古学的、工学的検討を総合的に検討をすべき』と指摘があった。解析データは、本丸御殿の横のデータを基にしたため、精度を高めるため天守直下のボーリング調査をしたい。天守台に埋まっているケーソンが地震時にどう動くか、石垣にどう影響があるのか試算したい」としました。

佐治所長は「木造復元基礎構造について、再度検討し、全体に示したい。次回の全体整備検討会議は1ヶ月後を予定している。早い段階で調整会議の設置を認めていただきたい」としました。

瀬口座長は、「調整会議は設置する方向でいきたいが、内容が未成熟なので調べてほしい。次回の全体整備検討会議で了承してスタートしたい」としました。

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名古屋市は2015年12月に公募型プロポーザルを行い、2016年3月に竹中工務店を優秀交渉権者に選びました。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/learn/tenshu/outline/

それからもう4年半が経とうとしていますが、最も重要な部分の「基礎構造」の仕様が固まっていない、というのは衝撃的な事実とは思いませんか?

にもかかわらず「基本設計は終了した」と名古屋城総合事務所は発言しました。(現在基本設計について別団体が住民訴訟中。20/11/5名古屋地裁で判決言い渡し。)
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle

「終了した」とされる基本設計で、基礎構造がどのように記述されていたかは、情報公開請求してもいまだに黒塗りです。
(現在名古屋市民オンブズマンが情報公開訴訟し、一部は開示されましたが、なお黒塗り部分があります)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200203-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-2-1.pdf   
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-3-1.pdf

2020年3月末までにすでに購入した木材31億5000万円、基本設計費8億4693万6千円、実施設計費5億9400万円は支出済です。
さらに毎年かかるとされる木材保管費は1億円です。

河村市長は2015/8/24「全責任は私が取る」という指示書を書いています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf

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どうしてこのような事態になってしまったのか?
名古屋市民オンブズマンは「情報を公開してこなかったから」と考えます。
いまだに全体整備検討会議・分科会とも、写真も録音も不許可です。
文化庁と名古屋市との面談記録も、肝心なところは公開していません。
基本設計・実施設計の詳細も市民にわかりません。
これでは名古屋城木造復元の姿が見えず、「何に賛成するのか、反対するのか」すら市民は理解できていない状況です。

「調整会議」が設置されるようですが、少なくとも市民の傍聴を認めるだけでなく、インターネットでの審議の公開を求めます。

20/9/18 名古屋城天守閣木造化 名古屋市は新たな基礎構造検討案を示せず

20/9/18に名古屋市議会 本会議が行われました。

20/9/18 名古屋市議会 本会議(名古屋城部分)
(名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/200918.pdf

浅井正仁市議(自民・中川区)が、はね出し架構と呼ばれる基礎構造に代わる新たな基礎構造案が出来ているかを質問したところ、松雄観光文化交流局長は「基礎構造は、この事業の中で最も重要な部分であり、その確定までには相当の期間を要すると考えておりますことから、現時点では具体的な検討案をお示しすることはできません。」と述べました。

また、浅井市議がエレベーターに代わる昇降技術の公募について質問したところ、松雄局長は「障害者団体の方々等は、令和元年度以降、大小はございますが150回以上にわたり、本市の公募の考え方について丁寧な説明と情報の共有に努めてきたところでございます。バリアフリー整備につきましては、これまでに国と相談をいたしておりませんでしたので、速やかに文化庁に出向き、本市のバリアフリー整備の検討の経緯と、考え方をご説明した上で、文化庁の考え方やご意見を伺いながら、齟齬が生じないように、また障害者団体等の方々とも、引き続き協議を重ね、適切に対応してまいりたいと考えております。」と述べました。

また、名古屋城木造復元事業の財源と収支計画について浅井市議が質問したところ、松雄局長は「新型コロナの影響で、今年度4月から8月までの前年同月比は約9割の減少。厳しい状況だが、木造天守閣復元事業は事業費505億円で行い、市民の皆様の税金ではなく、名古屋城に親しみ、楽しんでいただくための入場の収入で賄っていくという考えに変わりはない。収支計画につきましては、現在地元有識者に諮っております手順と工程が確定したら、市としての竣工時期を定め、その上でこれまでの入場者数や入場料の考え方に基づく収支計画を定めたいと考えている」と述べました。

最後に、今後のスケジュールについて問われた河村たかし名古屋市長は「今局長が言いましたようにですね、そのスケジュールでやってくということでございます。文化庁からはとにかく進めましょうと、ただ学者の皆さんとはみんな合意してやっててくださいねと。」と述べました。

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基礎構造が確定しないと、木造復元は不可能です。
これまでの「はね出し架構」は、コンクリートで基礎を作るという計画で、江戸時代からの地下遺構を破壊するおそれがありました。
地下遺構を破壊せず、かつ巨大木造建築を支え、巨大地震にも耐えられる基礎構造が果たして提案できるのでしょうか。

仮に新たな基礎構造が提案できたとしても、これまで現天守閣ではエレベーターで上部階まで行くことが出来ましたが、そこから後退することは決して許されない、と障害者団体は主張しています。国際コンペを行うとしていますが「史実に忠実」と昇降装置をどう折り合いを付けるかは極めて困難です。
今回、名古屋市ははじめて「バリアフリー整備について国と相談していなかった」ことを認めました。

上記がクリアしても、入場料収入だけで505億円をまかなうということがクリアできるのでしょうか。
2016/6時点の名古屋市試算では、名古屋市は入場料年間平均約19億円と試算していました。
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/cmsfiles/contents/0000083/83234/1-4men.PDF
入場者が約9割減少すると約1.9億円となり、管理運営費年間約5億円にも満たなくなります。

河村市長は「文化庁からはとにかく進めましょうと」と発言しました。
名古屋市民オンブズマンは、これまで名古屋市が文化庁を訪問した際の復命書を情報公開請求していますが、一回も「文化庁からはとにかく進めましょうと」がわかる資料は開示されたことがありません。
万が一そのような資料があるとしたら、一刻も早く市民に開示すべきです。

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ここまでずさんすぎる計画は、全国的にみても見当たりません。木材保管の費用だけで年間1億円がかかっています。
未曾有のコロナ禍の中、名古屋城木造復元を市民に情報を知らせず強引に推し進めているのが河村たかし名古屋市長です。

20/9/11 名古屋城木造化 局長が石垣部会に懇願も「全体会議で議論を」

20/9/11 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(37回)が行われました。
今回も写真撮影・録音とも認められませんでした。

20/9/11 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(37回)配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200911.pdf

20/9/11 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(37回)
名古屋市民オンブズマンによるメモ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200911-1.pdf

2時間の予定で、2時間まるまる本丸搦手馬出について議論になりました。
予定時間を大幅に超過して、本丸内堀発掘調査について議論に入りました。

現在、名古屋市は現天守閣解体の現状変更許可申請を文化庁に行っており、それに対し文化庁は現天守の解体・仮設物設置が石垣等遺構に与える影響を判断するための調査・検討について、4項目の指摘事項を示しています。
そのうちの1つが、内堀の地下遺構の把握、御深井丸側内堀石垣の状況及び安定性を確認するための追加発掘調査です。

名古屋城総合事務所から、内堀調査の案が示され、石垣・埋蔵文化財部会は了承しました。

続いて、「ご相談」ということで、現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項等への対応について、松雄観光文化交流局長から説明がありました。
「現在予算編成の時期で、名古屋城木造復元、石垣調査についてはどうしても来年度予算に計上したい。しかしながら、新型コロナウイルスの影響で、来年度の予算は極めて厳しい。市長の査定があるが、石垣・埋蔵文化財部会の合意を得て、市長に『どうしても木造復元をやりたい』と強く言いたい。
今後石垣・埋蔵物文化財部会の先生と議論したいが、事業が進まないということをどうしても避けたい。
予算スケジュールとして、今年12月-来年1月に赤線を引いたが、そこがデッドラインだ。非常にタイトなスケジュールであることは重々承知しているが確実に進めたい」としました。

続いて、文化庁からの指摘事項等への対応の進捗状況の説明がありました。

さらに、指摘事項とは関係ないが、天守台下ボーリング調査も、本年度中に調査したいとしました。

座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「こちらとしては、『そうなんですか?』としか言いようがない。 石垣・埋蔵文化財部会に相談していただいても、今回は報告いただいたということであろう。まずは全体整備検討会議で審議していただいて、我々はそのあと審議する」と述べました。
 
宮武正登・佐賀大学教授は「文化庁の指摘事項とは別の、天守台下ボーリング調査について、文化庁とは相談しているのか」と質問したところ、名古屋城総合事務所は「文化庁とは相談する中で、『解体と復元を一体で』ということなら説明してほしい。まず天守台ボーリング調査を行って、文化財保存に万全を期す。そういった方向であれば、了承したいとお話を得た」と述べました。

また、宮武教授は「今後、天守部会と石垣部会がセッションして調整会議とあるが?」と質問したところ、名古屋城の担当者は「昨年度の3月に開かれ名古屋城全体整備検討会議で、議題が複数の部会にまたがるときは『調整会議』を設置して議論しようということで了承を得た。木造復元の基礎構造であるはね出し工法を見直し文化財をいかに保存するか、史実に忠実に復元を行うか、検討を進めている。内容はそれぞれの部会、全体会議に報告、諮り、文化庁に報告したい」としました。

・20/3/31 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第30回)配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200331.pdf

宮武教授は「2年前に破綻した『石垣部会と天守閣部会の合同会議』とは異なるのか?」と質問したところ、名古屋城担当者は「各部会から構成員を選出する。どう選ぶかは部会長が決めると思うが、全体会議にはまだ諮っていない」としました。

結局、予定時間を大幅に上回り、会議時間は2時間47分かかりました。
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20/9/25(金)10時〜、KKRホテルで全体整備検討会議が行われます。
http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2020/kankobunkakoryu/0000132814.html

そこでどのような議論になるか注目したいです。


20/9/14 文化庁指摘事項返事遅れ 河村市長「名古屋城木造化 根本的な影響はないと思う」と発言

20/9/14に河村たかし名古屋市長定例記者会見がありました。
・令和2年9月14日名古屋市長河村たかし定例記者会見
 28:25-38:01
https://www.youtube.com/watch?v=JEp_-NSjBqE
・20/9/14 河村たかし名古屋市長定例記者会見(名古屋城部分)
 (名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし)

記者から「文化庁からの現天守閣解体にあたっての指摘事項4項目について、もともとは2020年10月に返事をするスケジュールだったが、名古屋市は2021年4月に返事をするスケジュールを示した。城が完成するまでの影響は」と聞かれた河村市長は、「とにかく全体的な大きな根本的影響はないと思ってますけどね。文化庁さんの方からも進めましょうやと。」と述べました。

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名古屋市民オンブズマンは、これまで名古屋市が文化庁を訪問した際の復命書を情報公開請求していますが、一回も「文化庁さんのほうからも進めましょうやと」がわかる資料は開示されたことがありません。
万が一そのような資料があるとしたら、一刻も早く市民に開示すべきです。

・文化庁とのやりとりの肝心なところはいまだに非公開
 (名古屋市民オンブズマンが現在情報公開訴訟中)
・「指摘事項」について、文化庁への返事が少なくとも半年延びた
・上記「指摘事項」については現天守閣解体についてであり、「木造復元」については名古屋市は現状変更許可申請も文化庁に正式には提出出来ていない。
・「木造復元」について、文化庁がどのような判断をするかは、申請書が出されるまでわからない
・特に問題となっている、木造天守の基礎構造である「はね出し架構」について、代替案はいまだに公開されていない。

にもかかわらず、2028年10月頃に名古屋城木造復元を予定しているということに「全体的な大きな根本的影響はないと思ってます」と河村市長は述べた、ということです。

木材保管の費用だけで年間1億円がかかっています。
未曾有のコロナ禍の中、名古屋城木造復元を市民に情報を知らせず強引に推し進めているのが河村たかし名古屋市長です。

20/8/31 名古屋城天守閣木造化 文化庁とのやりとり情報公開訴訟 弁論準備

20/8/31に名古屋城天守閣木造化に関し、名古屋市と文化庁とのやりとりの情報公開を求める訴訟の弁論準備手続き(電話)が行われました。

非公開文書
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200203-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-2-1.pdf   
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-3-1.pdf
 
名古屋市は、20/7/16に各文書をどうして非公開にしたかをさらに詳しく説明しました。
名古屋市民オンブズマンは、上記に対して反論しました。

次回までに、名古屋市は以下3つの釈明事項について準備書面で相手方が提出することになりました。
1 本件処分時に文化庁との交渉を含めた事業の進捗状況はどうだったか
2 竹中工務店のノウハウとはなにか。
 一般的な歴史的建造物の再現で必要なノウハウを超えるどういうノウハウが今回の名古屋城であるのか。
 それについてどのような点が特殊で竹中工務店が知られたくないか
3 木材の流通で、木材の市場の規模、取引事例、過去に歴史的建造物の建築によって市場にどのような混乱が生じているか

次回は20/10/29(木)午前11時からWeb会議(非公開)で行います。

名古屋城木造復元 木材保管費用追及のためカンパ頂きました

20/8/25に、名古屋市民オンブズマンあてに名古屋城追及のためのカンパを匿名で届きました。
ありがとうございました。

名古屋城木造復元のための木材購入・保管費用について、名古屋市民オンブズマンのホームページで知ったとのこと。
(木材の製材費用94億5189万3240円、少なくとも27億6937万円を支出済)
 木材保管費用年間1億円)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180612-2.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200708.pdf
 http://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000125/125382/05kankou.pdf
河村市長は上記ほとんど説明せず、名古屋市民も実態を知る人は周囲にはいないとのこと。
それを隠すかのように、市長は市政とは関係の無いことばかり話題に出すのは許せないと、この匿名の方は述べています。
「私たちの支払った税金を市長の勝手な使い方をされるのは許せないです」と結んでいます。
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名古屋市民オンブズマンは、名古屋城木造復元に関し、現状がどうなっているのか、どのような議論が行われているのか、情報公開請求をして、入手した情報全てホームページに掲載しています。
名古屋市と文化庁とのやりとりの多くは黒塗りとなっており、現在情報公開訴訟中です。

情報公開請求してコピーを入手するのも、情報公開訴訟をするのも、費用がかかります。
名古屋市民オンブズマンは、会費とカンパのみで活動しております。
今後ともご支援頂けますと幸いです。

《郵便振替口座》 口座番号 00870−9−105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
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名古屋市文化財調査委員会委員「名古屋城がやることはいい加減なことが多く、文化庁の怒りをいっぱい買って困る」

名古屋市民オンブズマンは、20/3/27に開催された「名古屋市文化財調査委員会」の議事録を情報公開請求して開示されました。
・令和2年3月27日開催「名古屋市文化財調査委員会」議事録(請求にかかるもの)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200818-1.pdf
・令和2年3月27日開催「名古屋市文化財調査委員会」配付資料(請求にかかるもの)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200818-2.pdf

20/3/2に名古屋城総合事務所が名古屋城重要文化財等展示収蔵施設 外構工事に伴って、特別史跡である遺構の石列を毀損した直後の開催だったため、各委員から指摘が相次ぎました。

文化財保護室長は「施工を担当した業者に、ここに遺構がある可能性を丁寧に説明していなかった。業者としてはいわゆる支障物件みたいなものだと思って掘り起こしたものを一か所に固めてあるような状態が発生した。あたかも業者の方に非があったような言い方、説明は我々一切しておりません。」と述べました。

委員の、井上光夫・元名古屋市博物館副館長は以下述べました。
(井上委員)名古屋城に対する注文なんですけれども、私が現職の頃から名古屋城さんがやってくることは非常にいい加減なことが多くて、文化庁のお怒りをいっぱい買って困るということ、きちんとやれということを指導してきたのだけれども。それでもこれを見る限りは直らないというところがあるので、本当にきちんと名古屋城さんにやっていただかないといけないと思うので、いろんなことがありましたけれど、とにかく届け出をしないで掘削をするとかいろんなことが度々あるので、本当に注意してやっていただかないと困るなと思います。だから、文化庁も非常に怒ると思いますよ。

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なお、教育委員会事務局生涯学習部文化財保護室文化財保存活用係がウェブページに記載している〈開催結果〉には、
(3)報告事項(公開) 事務局より説明後、質疑応答。しか記載が無く、毀損事故に関して説明、質疑応答があったことは全くわかりません。

・令和2年3月27日 名古屋市文化財調査委員会〈開催結果〉
 http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigikekka_2019_5/kyoiku/0000128296.html
 
20/6/26に名古屋市観光文化交流局 名古屋城総合事務所と名古屋市教育委員会事務局 文化財保護室が連名で発表した「特別史跡名古屋城跡における遺構のき損事故再発防止対策」によれば、「外部有識者等による委員会の設置」が盛り込まれています。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/uploads/prevent_recurrence_20200625.pdf
しかしながら、いかなる議論が外部有識者の間でなされているのか市民がわからなければ、単なる絵に描いた餅になりかねません。

今回、情報公開請求で有識者が重要な指摘をしていたことがはじめてわかりました。
市民がまずは現状を知ることが極めて大切だと考えます。

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※【緊急】カンパの呼びかけ(20/7/1)
名古屋城木造化情報公開請求、政務活動費領収書WEBアップにつき、コピー代、サーバー維持費など経費がかかっています。
活動を継続させるため、ぜひカンパをお願い致します。
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  http://www.ombnagoya.gr.jp/kannpa.htm


名古屋城木造化 文化庁訪問時復命書 またも一部非公開

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城総合事務所が名古屋城の件で2019年10月22日〜2020年3月4日、3月10日〜6月30日に文化庁を訪問した際の復命書、持参資料を情報公開請求して一部開示されました。
・決定書
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813.pdf
1-1 復命書(令和元年11月11日分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-1-1.pdf
1-2 2019年11月4日石垣部会打ち合わせメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-1-2.pdf
2-1 復命書(令和元年12月2日分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-2-1.pdf
2-2 名古屋城本丸御殿内における重要文化財障壁画(麝香猫図/槙楓椿図)の展示について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-2-2.pdf
2-3 令和2年度本丸御殿内における重要文化財障壁画の展示について(計画案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-2-3.pdf
3-1 復命書(令和元年12月10日分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-3-1.pdf
3-2 名勝名古屋城二之丸庭園打合せ資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-3-2.pdf
4-1 復命書(令和元年12月23日分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-4-1.pdf
4-2 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会(第33回)会議資料(案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-4-2.pdf
5-1 復命書(令和2年1月23日分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-5-1.pdf
5-2 解体と復元を一体で現状変更許可を取得する場合のイメージ(案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-5-2.pdf
5-3 名古屋城天守閣整備事業工程見直し(案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-5-3.pdf
5-4 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第29回)会議資料(案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-5-4.pdf
6-1 復命書(令和2年1月27日分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-6-1.pdf
6-2 名古屋城表二之門耐震診断・補強提案構造計算書(2019年12月時点検討書)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-6-2.pdf
7-1 復命書(令和2年2月28日分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-7-1.pdf
7-2 本丸搦手馬出周辺石垣に係る特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会(第34回)会議資料(案)(2020年2月28日時点)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-7-2.pdf
7-3 名古屋城本丸表二之門及び土塀打合せ資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-7-3.pdf
8-1 復命書(令和2年3月26日分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-8-1.pdf
8-2 特別史跡名古屋城跡における遺構のき損等事故再発防止対策(中間案)(令和2年3月26日時点案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-8-2.pdf
8-3 外構工事における不適切な施工等の調査について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-8-3.pdf
8-4 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第30回)会議資料(案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-8-4.pdf
9-1 復命書(令和2年6月26日分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-9-1.pdf
9-2 特別史跡名古屋城跡における遺構のき損事故再発防止対策
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-9-2.pdf

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19/11/4に名古屋市は石垣部会と打合せをして、石垣部会は以下述べています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-1-2.pdf
◎はね出しはダメだと最初から言っている。文石協にでも相談して、別の案を考えるべき。

19/11/11名古屋市は文化庁との打合せで、以下述べています。
○石垣部会報告
 ・はね出しについては、文化庁としては具体的に検討する段階にないのでコメントなし。まずは地元の有識者と詰めて下さい。
○工程について
 ・地元有識者との合意形成の上で、こちらが通せるようなものをだしてもらわないといけない。
 ・石垣の中にコンクリートを入れることについて、文化庁としてその良し悪しを判断する立場にない。復元検討委員会や文化審議会で審議され、その行為が妥当であると判断されれば認められる。まずは、地元有識者の理解を得る事が先決。
 ・穴蔵石垣の発掘調査を行ってから基礎構造を見直すのではなく、穴蔵石垣の根石が残っていることを前提とした基礎構造を計画することが必要。
 ・また、基礎構造については、発掘調査の結果により見直すことがあることも基本計画書には明記しておく
 ・今回、指摘事項として追加情報を求めたので、ボールは名古屋市にあり、
 ・解体の申請の取り扱いをどうするとしても、解体の申請に伴う指摘に対して、追加情報の提供はすべき。

 
19/11/29名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会で、竹中工務店は「石垣が一番大切だと言うことは十分認知している。実施設計の最終成果物としてまとめるため、はね出し基礎構造が、耐震性の確保と史跡の保護を矛盾することなくできるか、石垣部会と目線合わせをしたい」と述べました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/191129-1.pdf

20/3/4に松雄観光文化交流局長は、「石垣部会の構成員より跳ね出し工法は認められないと意見をいただいており、文化庁からも穴蔵石垣の遺構が残っていることを前提として基礎構造検討するよう助言をいただいているため、跳ね出し工法は見直す。現在竹中工務店と跳ね出し工法に関わる案について代わる案について他城の整備事例を踏まえ、様々な角度から検討を始めた」としました。

-----
はね出し架構に関しては、一部開示されているので、その後の流れがかろうじて追えます。
しかしながら、他の石垣部会報告については、非公開なので具体的にどのような議論がなされているか、それを受けて名古屋市がどのように対応しているのかがわかりません。

木造復元の目処どころか、現天守閣解体すら目処がたっていません。名古屋市は市民に説明をすることもなく、ただ税金が使われ続けています。

名古屋市民オンブズマンは、18/6/13-18/12/10分の名古屋市と文化庁とのやり取りについて情報公開訴訟をしています。(次回 2020/8/31(月)(WEB会議・非公開))
ぜひご支援下さい。

※【緊急】カンパの呼びかけ(20/7/1)
名古屋城木造化情報公開請求、政務活動費領収書WEBアップにつき、コピー代、サーバー維持費など経費がかかっています。
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  http://www.ombnagoya.gr.jp/kannpa.htm


名古屋城全体整備検討会議(第32回) 配付されなかった資料開示

20/8/3に開催された名古屋市は特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第32回)で、なぜか「議事(4)大天守台北面石垣レーダー探査について」においてプロジェクタには映し出されたにも関わらず、配付されなかった資料があり、それを情報公開請求したところ、20/8/14に開示されました。
 
・20/8/3 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第32回) 資料5 追加資料
 現天守解体の現状変更許可申請に対する指摘事項への対応状況
 1 現天守の解体・仮設物設置が石垣等遺構に与える影響を判断するための調査・検討について
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-2.pdf

どのような経緯で、資料を配付しなかったのかわかりませんが、このようなことがあると市への不信感が増します。
-------
内容を詳細に見てみると、文化庁から名古屋市への「指摘事項」は2項目あり、1項目しかスクリーンに映し出していなかったことがわかりました。

・19/9/24 名古屋城総合事務所作成 文化庁打合せメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/191204-7.pdf
 現天守閣解体の現状変更許可申請に対する本市への指摘事項
 <文化審議会の判断>
 <追加情報の提供を求められた事項>
  1.現天守閣の解体・仮設物設置が石垣等遺構に与える影響を判断するための調査・検討について   
   ○内堀の地下遺構の把握、御深井丸側内堀石垣の現況及び安定性を確認するための追加発掘調査
   ○御深井丸の地下遺構把握のための発掘調査
   ○大天守台北面石垣の孕み出しについての調査・検討
   ○天守台石垣背面等の空隙についての調査
  2.現状変更を必要とする理由について 
  
指摘事項のうち、<文化審議会の判断>ならびに「2.現状変更を必要とする理由について」がどうなっているかまったく不明です。

令和2年7月6日河村たかし市長定例記者会見では、4項目の指摘事項について遅れていると記者から質問されていますが、河村市長ははぐらかしています。
http://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000130678.html

「1.現天守閣の解体・仮設物設置が石垣等遺構に与える影響を判断するための調査・検討について」はいつ出来るのか。
「2.現状変更を必要とする理由について」をどう答えているのか。
<文化審議会の判断>はどうなっているのか。

名古屋市はまともに回答していません。
今回の配付資料から除外したのは、そのような背景があったからかもしれません。

-------
・20/8/3 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第32回)配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200803.pdf
 
--------
名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm

20/8/6 名古屋城木造化基本設計住民訴訟 市は原告最終準備書面に反論せず結審

20/8/6に、「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」が原告となった、名古屋城天守閣木造復元事業基本設計住民訴訟の第8回口頭弁論が名古屋地裁で行われ、結審しました。
判決は20/11/5(木)13:10に名古屋地裁1号法廷で言い渡される予定です。

前回弁論時、裁判所は、原告に20/7/7までに最終準備書面を提出させるよう指示し、それに対して名古屋市は反論があれば20/7/21までに答弁書を提出するよう指示がありました。
しかし、名古屋市からは書面が届かず、原告が確認したところ、「抗弁の必要を認めないため書面は提出しない」とのこと。

裁判所がどのような判断を示すか注目したいです。
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・名古屋城天守の有形文化財登録を求める会
 
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle

20/8/4 国指定史跡等現状変更 文化財調査委員会委員が名古屋市教育委員会副申チェックへ

20/8/4 名古屋市文化財調査委員会が開催されました。

・20/8/4 名古屋市文化財調査委員会 配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200804.pdf
 
・20/8/4 名古屋市文化財調査委員会 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200804-1.pdf
 
名古屋市教育委員会の諮問機関として、名古屋市文化財調査委員会が設置されています。
しかしながら、20/3/2に発生した特別史跡名古屋城跡における遺構の毀損事故について、名古屋市文化財調査委員会をはじめ、第三者機関は全くチェックしていませんでした。

今回、名古屋市教育委員会は「国指定史跡名勝天然記念物の現状変更にかかる文化財調査委員会の指導について」を作成し、今後は、現状変更許可申請書の提出を受け、副申(案)を作成した段階で、文化財調査委員会の委員に確認、指導・助言を受けるようにするよう、文化財調査委員会に提案しました。

西田佐知子・名古屋大学博物館准教授は「上記体制が整えば、3月2日の事故は起こらなかったと考えるか」と質問したところ、名古屋市教育委員会の片岡文化財保護室長は「チェック機構がなかったから事故が起こった」と述べるに留まりました。

井上光夫・元名古屋市博物館副館長は「ただの助言でよいのか?単に個人的意見になる可能性がある。それぞれの分野になるので、部会の中だけでも共有してはよいのではないか。あまり個人的レベルの判断だけで進めるべきではない。どんな問題が含まれているかまとめてもよい。部会で討議・報告したほうがよいのでは」という発言をしました。

片岡室長は「どのような案件が上がっているかを部会で共有すべきというご提案を頂いた。具体的にどうするかはメールの活用等、今後ご相談させていただきたい」としました。

委員長の池田洋子・名古屋造形大学特任教授は「この案は、現場に見に行かないといけないときに行く担当者。部会の中で、『こういうことがある』と認識できればよい」としました。

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名古屋城に関しては、今後も天守台周辺調査など現状変更許可申請を必要とする発掘調査が山積みです。
また、二の丸地区調査についても「特別史跡における現状変更許可申請に準じた取扱いを行うこととし、史文化財保護室で協議書を受け、これに回答する形をとっています」としています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200803.pdf

上記体制をしっかり機能させ、再発防止に留まらず様々な指導・助言が出来ることを期待します。

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なお、今後文化財登録制度を検討しているようです。
注目していきたいと思います。

20/8/3 名古屋城全体整備検討会議「二之丸地区発掘はビジョンを定めてから」

20/8/3に名古屋市は特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第32回)を開催しました。

・20/8/3 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第32回)配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200803.pdf

・20/8/3 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第32回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200803-1.pdf
 
有識者の三浦正幸・広島大学名誉教授、麓和善・名古屋工業大学大学院教授、オブザーバーの山下信一郎・文化庁文化財第二課主任文化財調査官は欠席でした。
今回も録音・録画・撮影は許可されませんでした。

はじめに、特別史跡名古屋城跡における遺構の毀損事故について佐治独歩・名古屋城総合事務所長から報告がありました。
「特別史跡名古屋城跡における遺構のき損事故再発防止対策」は20/6/22に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議で承認され、20/6/26に文化庁文化財第二課長に提出したとのこと。
第二課長からは「名古屋城は大型プロジェクトを控えているため、二度と同様の毀損事故を繰り返さないように」と言われたとのこと。
西の丸地区に関しては、20/7/17づけで文化庁から現状変更許可が出て、20/7/24から工事着手しているとのこと。
他の事業も進めていきたいと述べました。

高瀬要一・公益財団法人琴ノ浦温山荘園代表理事は「今回の事故の原因の一つには、整備計画を検討する場が無かったという点があった。どの部会にも報告がなく、全体整備検討会議にも上がってこなかった。あらたに整備部会を立ち上げてはどうか」と提案がありました。
名古屋城総合事務所は「再発防止対策として、各段階でチェック機能を強化することにした。今後は有識者の先生のご意見を伺いたい。全体整備検討会議のもとに各部会がある。全体整備検討会議に諮って、部会に下ろす。整備部会は今後検討する」としました。

続いて、全体整備検討会議の構成員について、日本近代史を専門とする人を1名増員する報告がありました。

次に議事に入り、二之丸庭園の発掘調査及び修復整備工事について議論になりました。

赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は「昭和52年度の発掘調査結果がわからないとある。これまでの調査経過を蓄積していない。これは毀損事故にもつながること。また、調査が散発的で、整備を前提とした調査ならこんなちっぽけな調査ではダメで実をあげていかないといけない」としました。

続いて、余芳復元に関する議論のあと、休憩を挟んで二之丸地区発掘調査について議論になりました。

現在愛知県体育館がある二之丸地区について、県体育館を名城公園に移転する計画があります。
名古屋市は二之丸地区の保存活用に関する基本構想を策定する方針を立てています。
名古屋市は、保存活用を目的とした内容把握のための試掘調査を行っています。

赤羽氏は「試掘調査の目的は何か。二之丸地区は特別史跡の未告示地区だが、体育館がなくなれば告示になり、試掘調査とは関係が無い。今ちまちま発掘調査するより、体育館がなくなってから、堂々と発掘調査すればよいのではないか。来場者保護も体育館がなくなれば必要ない。狭い面積を試掘しても成果が上がらない。大きなビジョンのもとに発掘してほしい」としました。

鈴木・名古屋城整備室長は「スケジュールについては、現体育館取り壊し後どうしていくかは、先日県から新体育館基本計画が公表されたばかり。どのようなビジョンを持っていくかは、小さいトレンチだと準備的な試掘にしかならないが、基本構想が策定されたら、この場所について予算が許す限り調査を行っていきたい」としました。

続いて、大天守台石垣北面レーダー探査について議論がなされました。
名古屋市は、そもそも大天守台石垣北面レーダー探査をしたのは、文化庁の指摘事項に基づくものだとして、配付資料にはないものの、スクリーンに投影して説明しました。
・文化庁の指摘事項は大きく2つ 
 1 工事が石垣に与える影響
 2 現状変更を必要とする理由
  ア 内堀、御深井丸現況調査
   内堀内発掘調査
   レーダー探査
   現在石垣部会で審議中
  イ 御深井丸地下遺構把握
   礎石の保存方法
  ウ 北面孕み出し
   対応した
  エ 背面等の空隙
   レーダー探査を計画
   内堀御深井丸側石垣について、総合外観調査等を再検討し、
   必要に応じて追加調査検討

小濱芳朗・名古屋市立大学名誉教授は「私の希望として、レーダー探査で空洞がないことがわかった。孕み出しがあっても安全かどうか、工学的モデル化して、解析を行って精密なモデルを理論的に評価していただきたい」としました。
名古屋城の担当者は「名古屋城総合事務所と竹中工務店で工学的な解析を行っているが、文化庁からは「考古学的解析も必要」と指摘がされた。
名古屋市は、いったんは「現天守解体による石垣に対する影響は軽微である」と結論をだしたが、レーダー探査の結果をどう反映していいのか専門の先生に相談したい」としました。

その後、東門トイレ改修について議論して終わりました。終了後の記者会見はありませんでした。

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二之丸地区全体の整備等については、17/12/25名古屋市議会産業・歴史文化・観光戦略特別委員会で議論になっています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171225-3.pdf
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171225-1.pdf
それによれば、二之丸御殿、向屋敷の復元整備等、二之丸大手門・東門の復元整備等、二之丸の櫓の復元整備等が今後の取り組みの方向性として提案されています。

ただ、二之丸御殿については市議会で以下述べています。

◎岩本観光文化交流局名古屋城総合事務所整備室長 
 二之丸御殿については、なかなかちょっと詳細なものがないんですけども、例えば、本当に仮の話でございます。例えば本丸御殿を参考に二之丸御殿が面積的に5、6倍なんですけども仮に5倍ぐらいと仮定して、今、本丸御殿をやってきた単価でそのまま掛けますと700億円ぐらい。まともにやってしまうと、全部面積を掛けちゃうとそういうふうな形にはなります。
 
天守閣木造復元のめどは全くたっていません。
それどころか、解体すらいつ出来るのか全く不明です。新型コロナウイルスの影響で、観光客の動向もわからず、不確定要素がありすぎです。

そんな中、資料も詳細に残っていない二之丸御殿復元整備に700億円程度かけるべきかどうかは、市民の十分な納得が必要だと思います。
今後のビジョンを定めてから、一気に発掘調査を行うべきという赤羽氏の主張は理解できます。

名古屋城「金シャチ募金」2019年度は約6250万円

名古屋市は2017年7月から名古屋城天守閣積立基金を設置し、「名古屋城天守閣寄附金(金シャチ募金)」を募集しています。
2017年度、2018年度は名古屋城ホームページに掲載されていますが、2019年度については掲載されていなかったため、20/7/21に名古屋市民オンブズマンが電話で確認したところ、62,495,813円であることが判明しました。

平成29(2017)年度 207,357,485円
平成30(2018)年度 131,783,050円
令和元(2019)年度 62,495,813円
合計       401,636,348円
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/

グラフにしてみました。参考になれば幸いです。


名古屋城天守閣木造化に関する「市民の機運醸成」具合は数値で測ることはなかなか困難ですが、金シャチ募金額は一つの指標だと思います。

なお、2019年度寄付金については、2020年9月議会で報告されるとのこと。
名古屋市全体の寄付金については、名古屋市ホームページに掲載されていますが、2018年度分しかありませんでした。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/410-1-4-0-0-0-0-0-0-0.html

河村市長は「名古屋城木造復元のため、寄付金を100億円集める予定」と繰り返し述べています。
寄付募集2年9ヶ月で約4億円なので、これまでのペースでいけば100億円まで約68年9ヶ月かかる計算です。
ただ、毎年金シャチ募金の額が減る一方なので、予測がつきにくいです。

(なお、平成28年6月広報なごや折込資料「名古屋城天守閣の整備」では、建設費の元金約505億円、利子約101億円としています)
このままの逓減率で金シャチ募金が推移したと仮定し、さらに木材保管費用(年間約1億円と想定)をグラフに加えてみました。



このままであれば、金シャチ募金は木材保管費用にも足りないことになります。
現時点では、木造復元どころか、現天守閣の解体のめども全く立っていません。
河村市長、名古屋市はどのように落とし前を付けるつもりなのでしょうか。

・名古屋城天守閣積立基金条例
 https://www1.g-reiki.net/city.nagoya/reiki_honbun/i502RG00001415.html
 

名古屋城「石垣部会としての総意」部会議事録が11ヶ月たってようやく公開

20/7/13に名古屋城総合事務所から名古屋市民オンブズマンに電話があり、19/8/5、19/12/27に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会の議事録を名古屋城公式ページに掲載したと連絡がありました。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2020/03/20200331_993.html

第32回部会(令和元(2019)年8月5日)議事録
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/ff8f0ece9beb2132586f6dba5a367fec_1.pdf

第33回部会(令和元(2019)年12月27日)議事録
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/f0424372e31d2590aa37cba8588ccf62_1.pdf

過去、名古屋市民オンブズマンは、石垣部会の議事録について情報公開請求をしてきましたが、近年は「まだ議事録が完成していない。仮に情報公開請求しても『不存在』となる。議事録が完成した際は公式ページに掲載するし、連絡する」と言ってきました。

議事録はこれまで遅くとも半年程度たてば作成・公開されていましたが、部会開催後11ヶ月も完成しなかったのは今回が初めてです。
(名古屋市民オンブズマンは頻繁に名古屋城総合事務所に電話で確認するとともに公式ページをチェックしており、ようやく公式ページに載りました。)

皮肉にも、北垣座長は19/8/5部会最後に以下述べています。

北垣座長 いろいろな、最近、誤解に近いようなこともありますので、ひと言お話したいと思います。本日こうして、本会場にお集まりのマスコミの方々を含む、今日の参加者の皆様方にお伝えしておきたいです。これまでもそうですし、これからもそうだと思いますけれども、石垣部会の構成員は、私は委員と呼んでいますけれども。構成員はいろいろな場で、他の委員会、講演等に関わることが多いです。ここだけではありませんから。そうしたところで、個人としての発言はあっちこっちでやっています。中には、その話の中身には、非常に不正確な表現として紹介されることも多々あります。おそらく、これからもこうしたことはあると思います。そういう不正確情報というのは、いろんなところで聞かれると出てくると思います。改めて申しますと、この石垣部会で、今日のいろいろの発言ですね。これも含めて、例えば、議事録など足らないものを補ったり、修正したりしますね。今日ここで石垣部会として、それぞれの委員の発言。その報告ということを含めて。それが石垣部会としての総意です。これ以外のところで、いろいろな言葉を委員から出されることもあるかもしれませんが、とにかくここで出されている話が、この石垣部会の総意であるとご理解ください。これをひと言、添えたいと思います。今までいろいろな経緯からで、いろんなことがありましたから。どこかでひと言、そういう整理をしておかなければいけないかなと思っていましたので、お話しました。どうぞ、よろしくお願いします。

「石垣部会の総意」である議事録を、11ヶ月もだれも確認することが出来なかったという事実はあまりにも重いです。

議事録が完成していなかったため、天守閣部会との議論の共有が図れず、無用な軋轢を生んでいます。
また、市民も、石垣部会が具体的に何を問題にしているのかわからない状態に置かれ続けました。

状況は刻々と変化しており、この11ヶ月で、2022年12月竣工断念、石列毀損事故など様々なことが起きています。
「石垣部会としての総意」としての議事録は、何にもまして早く完成させるべきです。
「議事録を作る人手が足りない」のなら、とても505億円もの木造復元事業を進めるような体制ではないということを自白しているようなものです。
また、傍聴者に録音・録画を許可すればよいだけです。

河村市長は最近情報公開と言わなくなりましたが、実情は上記の通りです。

名古屋城天守閣木造化 木材保管期間を21年3月末まで延長 木材年間保管費約1億円

名古屋城天守閣木造復元事業につき、木材の製材の契約書等を名古屋城総合事務所から情報提供してもらいました。
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200708.pdf

(1)名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)契約書(変更契約・令和2年3月26日)、変更概要書
(2)支出命令書(支出命令番号0162501内訳番号001)
(3)決裁確認書・支払状況一覧照会画面のスクリーンショット 
(4)「名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)に係る随意契約協議申請書(平成30年4月16日)
 
変更概要書によれば、運搬費を削減、人工乾燥を取り止めるとのこと。
また、木材保管費を2020年6月末から2021年3月末まで延長するとありました。

以下名古屋城総合事務所に問い合わせました。
・当初契約はいつ結んだのか?
 →平成30年7月4日が当初契約。令和2年3月26日に変更契約を結んだ。
 ※平成30年7月4日に名古屋市議会本会議で議決されたため、下記が本契約書として効力を生じました。
  参考 平成30年5月28日 契約書 名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)
   http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180612-2.pdf
・当初の木材保管期間はどこに書いてあるのか?
 →契約書には記載は無い。
  契約時の価格交渉の中で、保管期間について確認した。
  また、令和元年6月26日経済水道委員会説明資料 に、「木材の製材」工程 として、2020年6月までと図になっている。
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190626.pdf
・令和2年度当初予算1億円と、本変更契約の関係は?
 →本変更契約は、名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)のもの。
  上記のうち、令和2年度は上記予算額1億円。
  (柱や梁などの主架構木材の保管費 令和2年度 1億円)
  http://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000125/125382/05kankou.pdf
・20/4/16支出命令の573,370,000円はどこの予算か?
 →令和元年度予算 木材の製材に関する予算

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木材の製材費用として、94億5189万3240円(変更後)の契約を竹中工務店と結んでいますが、いまだに現天守閣の解体すらめどがたっていません。
上記のうち既に少なくとも27億6937万円を支出しています。
木材の保管費用として年間1億円がかかるとのこと。
いつまで保管し続けるのでしょうか。
なお、「全責任は私が取る」と2015/8/24に河村市長は名古屋市市民経済局長に指示書を出しています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf

今後名古屋城について、市民はどうすればよいのでしょうか。

20/7/6 名古屋城天守閣木造化 河村市長 コロナ・毀損事故の完成スケジュール影響を答えず

20/7/6に河村たかし名古屋市長定例記者会見がありました。
・令和2年7月6日名古屋市長河村たかし定例記者会見
 43:06-47:40
 
https://www.youtube.com/watch?v=fWB1hj9WuLs
・20/7/6 河村たかし名古屋市長定例記者会見(名古屋城部分)
 (名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200706.pdf

記者から、「新型コロナで部会の開催が遅れたり、毀損事故があって文化庁への報告事項の回答が遅れており、名古屋城の完成のスケジュールに大きく影響してくるのではないか」と聞かれた河村市長は「毀損のことは文化庁に報告した」とはぐらかしました。

記者から「文化庁から2019/9に出た4つの指摘事項については本来は今年6月くらいに回答すると新たなスケジュールに書いてあったが、まだなされていないのは遅れているのではないか」としました。

・19/9/24 名古屋城総合事務所作成 文化庁打合せメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/191204-7.pdf
 現天守閣解体の現状変更許可申請に対する本市への指摘事項
 <文化審議会の判断>
 <追加情報の提供を求められた事項>
  1.現天守閣の解体・仮設物設置が石垣等遺構に与える影響を判断するための調査・検討について   
   ○内堀の地下遺構の把握、御深井丸側内堀石垣の現況及び安定性を確認するための追加発掘調査
   ○御深井丸の地下遺構把握のための発掘調査
   ○大天守台北面石垣の孕み出しについての調査・検討
   ○天守台石垣背面等の空隙についての調査
  2.現状変更を必要とする理由について 
・20/5/14 名古屋市観光文化交流局
 経済水道委員会説明資料
 名古屋城における遺構のき損事故再発防止対策及び天守閣整備事業に係る「新たな工程」の素案について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200514.pdf

河村市長は「一刻もはやく、石垣・埋蔵文化財部会と天守閣部会の学者が話し合って欲しい」と答えるに留まりました。
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上記文化庁の指摘事項のうち、追加情報の提供を求められた内堀・御深井丸、大天守台北面石垣・天守台石垣背面等については、ようやく石垣・埋蔵文化財部会でどこをどう調査するか議論している段階であり、しかも全体整備検討会議(親委員会)が内堀の追加発掘調査の意義を全く理解していないとして、石垣・埋蔵文化財部会委員が怒っています。
新型コロナ・毀損事故がなくても、上記指摘事項について調査が進んでいませんでした。
いったいいつになったら前進するのか全くわかりません。
しかも、何回も名古屋市が文化庁に書類を提出しているにもかかわらず「現状変更を必要とする理由について」を再度提出するよう求められている本当の意味はどのようなものなのでしょうか。

2020年6月末に木材保存期間が切れ、追加の費用がかかるといいます。
名古屋市民オンブズマンは、上記追加費用の契約ならびに名古屋市が文化庁を訪問した際の復命書を情報公開請求しました。
市長がまともに答えないのであれば、情報公開請求で明らかにするしかありません。

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※名古屋城をめぐる情報公開訴訟、資料WEBアップにつき、訴訟費用、コピー代、サーバー維持費など経費がかかっています。
活動を継続させるため、ぜひカンパをお願い致します。
《郵便振替口座》 口座番号 00870−9−105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
《ゆうちょ銀行》 当座 〇八九店 105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
http://www.ombnagoya.gr.jp/kannpa.htm
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20/7/2 名古屋城石垣部会「どうして内堀発掘調査の意図を全体整備検討会議メンバーが理解していなかったのか ショック」

20/7/2に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第36回)が開催されました。

・20/7/2 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第36回)
 傍聴者配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200702.pdf

・20/7/2 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第36回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200702-1.pdf

今回も、マスコミ・傍聴者とも録画・録音は頭撮り以外禁止されました。

今回から、石垣・埋蔵文化財に梶原義実・名古屋大学大学院准教授(埋蔵文化財専門)が構成員として加わりました。

司会である鈴木昌哉・名古屋城総合事務所保存整備室長が写真・ビデオ撮影はここまでといった直後、突然「議事に入る前に、石列毀損事故再発防止策について所長より説明する」と言いだし、佐治独歩・名古屋城総合事務所所長が経緯を説明し出しました。

早口で説明し終わった後、千田嘉博・奈良大学教授は「先程の説明は会議次第のどこに書いてあるのか。文化庁の指摘は極めて重要なところだ」としたところ、佐治所長は「会議次第に書いていない。失礼しました。反省する」と答えました。
千田教授は「取扱いの変更を求めている」とし、宮武正登・佐賀大学教授も「会議次第の 4.報告 に追加して、もう一度口頭に報告すれば議事録に残る」としたところ、佐治所長は「扱いを変える」としました。

次に、議事に移り、本丸搦手馬出周辺石垣の修復について審議しました。
宮武教授は「安定性を目指す比率と伝統性を目指す比率をどうするか。100か0かの議論をされているようだ。古いものを残すには、80対20とか議論はこれから行いたい」としました。
また、西形達明・関西大学名誉教授は「逆石が図面に例示されていない」と指摘しました。
宮武教授は「石材に墨書があるとあるが、何と書いてあるのか。墨で書くのは古い可能性がある。墨書や刻印などプレミアムがついていればぜひ残してほしい」としました。

千田教授は「墨書があった石材は現在どうなっているのか」と質問したところ、名古屋城の担当者は「石を外して下面に向けておいてある」としました。千田教授は「今更遅いがどう保存するか。データでは確認できるが、墨書が消えてしまったのではないか。取り扱いは慎重に」としました。

宮武教授は「石材を補修して使えるか使えないかは、プロの石工の目で判定しないといけない。石棟梁と話したのか」としたところ、名古屋城の担当者は「まだ話していない」としました。

座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「工期が長すぎル。全国でこんな長期にわたっているところはない」とし、宮武教授は「解体してから10数年かかっている。解体着手の時に担当していた人はいるか?0ですよ。どういう方向で始まったのか。何が変化したのかを共有する必要がある。また、担当の人1人が司令塔にならないと混乱する」としました。

続いて、本丸内堀発掘調査について審議しました。
名古屋城総合事務所は本丸内堀に関し、新しく4箇所T型トレンチを行う方針を示しました。

赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は「20/6/22に行われた全体整備検討会議では、かなり調査について批判的・懐疑的意見がでた。『発掘調査は破壊だ』と豪語している人もいた。目的がどこにあるのか?説明不足ではないか。今回の調査は保存のために絶対に必要だと認識している。レーダー探査で赤色になっている部分が西側石垣の下に食い込んでいて、西側石垣の健全性を損なっている可能性がある。学術調査ではなく保存のための調査であることを肝に銘じておしい」としました。

梶原准教授は「レーダーの反応の深さはわかっているのか」と質問したところ、村木誠・名古屋城調査研究センター副所長は「1.2メートルくらい」とし、梶原准教授は「1メートルでは足りない」としました。

千田教授は「今回の内堀発掘調査は、文化庁から指摘があったから行っている。全体整備検討会議に明確に目的を伝えて、各先生に理解してもらう必要がある。このようなことは再三のことだ。親委員会、部会どうしの議論がほぼなにも知らされていない。議論がかみ合わなくなっている。部会運営がまずい。内堀の底に関し、現在の天守閣復元工事の際、本来あってはならないことがあったのではないか。解決しないと石垣保全には問題がある。また、小天守西側について表記されていない。もうちょっと真剣に考えて資料を作ってほしい。」としました。

宮武教授は「どういう順番で調査を始めたか、搦手石垣と同様担当レベルで忘れているのではないか。天守台石垣根石がきわめて不安定の可能性があった。また、北側に常時水がたまっていて、発掘したらゴミ穴が出てきた。昭和30年代に現天守閣復元工事の際の残滓の可能性がある。御深井丸の下にもごみ山があるのではないか。また、地山は根切りも削り飛ばしているところや安定している部分が両方出てきた。最も危険因子だと思われる、レーダー探査で赤い部分をトレンチ入れようとしている。どうして全体整備検討会議が理解していなかったのか。そちらがショックだ。『遺構破壊』と全体整備検討会議の委員が発言したが、事務局はどういう説明をしてきたのか。また、今後発掘調査してわかったらどうするのか。判定ができないとだめ。説明が不足しているのなら、全体整備検討会議でもう一回説明を」としました。

佐治所長は「貴重なご意見をいただいた。全体整備検討会議に諮る。目的をしっかり説明する。全体と部会をスムーズにいくようにしたい」としました。

宮武教授は「木造工事の案は堀を全部埋めると聞いている。一番不安定なのは、小天守の西側。大正大水害や濃尾地震で石垣が崩落している。事務局でお考えの案はこれだけでよいのか?」としました。名古屋城の担当者は「現在、内堀を軽量盛り土で埋め戻し、仮設を立てる計画を建てている。小天守の南のラインまで埋め戻しをしようという計画をしている。具体的にはN.Vくらいまで」としました。
宮武教授は「濃尾地震で崩壊したところの境目までか。石垣部会何やっているのか?と親委員会にいわれそう」としました。

千田教授は「『内堀を埋めて、解体の仮設を作る』という計画は以前から具体的には聞いていない。極力軽くするといっても、軽量盛り土の文化財への影響はどうなのか。天守台石垣は、旧木造天守が焼けた際、表面が焼けており、表面を触ると壊れる。シート1枚いれても、石が剥離、断裂の可能性がある。本質的な価値を持つ石垣の対策を取ったうえで、可能なら工法がありうるかもしれない。埋蔵文化財としても根石調査が必要。こういう風で担保できるとする必要がある。『調査したから埋め戻しできる』にはならない」としました。

続いて、大天守天守台北面レーダー探査について審議しました。

村木副所長は「20/3/20に石垣部会で報告したところ、『縦方向でレーダー探査をしたが不足している。追加で横方向の探査をしてはどうか』と石垣部会から提案があり、横方向の調査を行いたい」としました。

宮武教授は「この部会はオンブズマンも議会も聞いている。3月の石垣部会で『レーダーが不足しているから横の方向を行ってはどうか」なんて言っていない。文化庁の指摘を受けて行う。部会がレーダーを求めたと言われてもこまる。ファイバースコープ調査では不足していると文化庁から言われた。この経過を共有しないとおかしくなる」としました。

村木副センター長は「文化庁から指摘があり、レーダー探査が不足と私どもから言った。説明が不十分だった」としました。

宮武教授は「西形先生に、北面に関して空洞があるので、なにも補修しなければ持つか持たないかを聞きたい。また、軽量盛り土を外す際の反発も知りたい。」としたところ、西形名誉教授は「抑え盛り土は発泡スチロールの予定。石垣面は影響を受けるほどの力が施工中かからないのではないか。楽観的な見方かもしれない。押さえ土によるリバウンドはそれほど大きくないだろう。問題は焼き石で、表面劣化に対する損傷は残されている。抑え盛り土による石垣への影響はそれほど大きくないだろう」
としました。

続いて、二の丸庭園の発掘調査について審議しました。
まず名古屋城総合事務所から資料の報告があり、今年度発掘調査を5箇所行うと断言しました。

千田教授は「『令和2年度に調査します』と断言したが、あなたは意味が分かって説明しているのか。今回部会で新議題なんだが、どういうつもりで説明しているのか」と
しました。
名古屋城の担当者は「この議題に諮るために報告した。もうしわけない」としました。

千田教授は「どういう調査計画を立てているのか、名古屋城総合事務所内で共有ができていないのではないか。何のために議題に出すか。聞いているすべての人がわからない。認識してほしい」としました。

宮武教授は「今回の発掘は文化財保護法第99条第1項の規定により行う。名古屋市総合事務所が市教育委員会を経由して愛知県に提出する。事前に福岡市などに聞いたが、かなり珍しいパターンだ。土地の持ち主が名古屋市で、史跡の候補地に過ぎない。開発行為を愛知県と名古屋市で行う。開発行為と背中合わせになり、これは毀損事故を懸念する。実際にだれが調査するのか。記録保存もあり得る。最悪なのは、記録保存をし、残ったものだけ史跡指定するというものだ。開発前提か保存前提かで調査がかわってくる。こういう調査を何のために行うのかディスカッションしないと事故につながる」としました。

千田教授は「調査の目的を示さないと審議しようがない。」としたところ、
佐治所長は「最初は報告として出そうとしていた。今回初めてスキームなど報告した。今後詳細な図面を部会に出して、全体に諮りたい」としました。
千田教授は「『最初は報告で出そうとしていた』とはどういうことか。今年から石垣・埋蔵物委員会になったのは、埋蔵文化財に関して、部会で検討できていなかったから、石列毀損事件が起きたという反省からではなかったか。今回しっかり審議する仕組みを作った。『まずは報告で」ではなく、しっかり審議するんだという姿勢を組織として共有してもらいたい」としました。

続いて、冒頭であった毀損事故の報告が再度ありました。
佐治所長は「6月18日に石垣部会に諮った後、6月22日に全体整備検討会議に諮った。それを踏まえ、6月26日に文化庁に再発防止策を提出した。文化庁文化財第二課長からは『全国が注目するプロジェクトを控えている。今回のような過ちを繰り返さないように』と言われた。今後万全を期して行う。今後西の丸について現状変更許可変更を提出するため、修復を含め、全体整備検討会議で検討したい。また、文化庁から出された現天守解体に関する指摘事項について、地元有識者と一つ一つ検討し、毀損地点修復とともにやりたい」としました。

宮武教授は「極めて重要なことを言っている。天守台のことについて、地元有識者と『検討を進めたい』なのか『検討をすすめてよろしい』なのか、なんといったのか。
主語はだれなのか」としました。
佐治所長は「文化庁から直接話がでたわけではない。文化庁から指摘事項が出た事について、平行して進めてよろしいという見解だ」としました。
宮武教授は「毀損問題、搦手など解決していない問題がたくさんある。天守台については、既存天守解体に向けた議論について、整理がついたものから有識者に議論してほしいということか?」としたところ、佐治所長は「そういう認識だ」としました。

宮武教授は「あいまいにすると議論の方向が変わる」としたところ、佐治所長は「『並行してすすめていただきたい』がすべて」としました。

赤羽委員は「市長が文化庁に行ってコメントを出されている。これでは、並行して進めていって結構という認識だ。文化庁が認識しているのか、名古屋城が認識しているのかどちらなのか。そもそも認識とはどういう意味なのか?」としたところ、佐治所長は「進めていただいて結構と双方が認識していると理解している」としました。
赤羽委員は「文化庁第二課長とお話しされた記録を文書として残して私たちに提示していただきたい」としました。

最後に、千田教授が「竹中工務店がネットの記事で、『木造天守について免振ダンバーを入れる』とあり、素晴らしい技術だと思う。しかし、石垣については、竹中工務店は事実関係を認識されていない。文化庁から指摘があったとプロジェクト総合調整室長自ら述べている。石垣部会から様々な懸念や調査が必要だと指摘してきたが、竹中や当時の名古屋市はそれを汲むことなく文化庁に対して解体現状変更許可申請したが、文化庁から『継続審議』、つまり評価されなかったという経緯である。 名古屋城総合事務所はプロポーザル方式で選ばれた竹中と一緒に仕事をするのであるから、実施責任者の室長が事実と違うのを出すのは望ましくない。名古屋市の側としても『名古屋市は知りませんでした』でよいのか。竹中の意識、認識は部会に対して軽視している。今後注意してほしいし、竹中とよく話し合ってほしい」としました。

終了後の記者会見はありませんでした。

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開始前、名古屋城の担当者が傍聴している私のところに来て、「ご要望のあった部会の議事録をホームページに載せた」と言いました。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2020/03/20200331_993.html
しかしながら、2019/12/26天守閣部会の議事録は掲載されているものの、19/8/5石垣部会の議事録はいまだに掲載されていません。

石垣部会・天守閣部会・全体整備検討会議(親委員会)の議事録を即作成し、共有するだけでも相当部会同士の誤解は解けるはずですが、なぜか名古屋城総合事務所は行いません。録音・録画をマスコミ・傍聴者に許可すれば、すぐにでも議事録が出来ますし、動画であれば誰でも確認出来ますがそうしません。

新型コロナウイルス対策として、国の有識者会議では審議会自体をWEB会議にし、それをそのままYouTubeで生中継しているものもあります。時代は変わっているのです。

名古屋市だけが旧態依然としたやり方をしており、そのせいで事業が全く進まないどころか、有識者会議同士の対立という全国的に見ても極めて珍しい状況が生まれています。

かつて名古屋市民オンブズマンは、名古屋市・名古屋市長が「市議会」「市民」「文化庁」「天守閣部会」「石垣部会」「竹中工務店」それぞれに都合のよいことを言ってきたことを「6枚舌」と表現しました
審議会議事録をすぐに作成して共有し、さらに文化庁とのやりとりを市民に公開すれば、何が問題となっているのかが一目瞭然となります。
しかしながら、文化庁と市とのやりとりは、名古屋市民オンブズマンが情報公開請求していても肝心な部分は非公開にし続けています。

2020年6月末に竹中工務店との契約が切れ、あらたに木材保管代として竹中工務店に最大年間1億円を支払う契約が結ばれたはずです。
情報公開がきちんとされず、市民が政策を判断できない状態になると本来払わなくてもよかった税金が投入されることになるのです。

このままでは、第二、第三の史跡毀損事故が起こるでしょう。

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今後の予定

・20/7/11(土)午後1時30分〜 「北生涯学習センター」第1集会室
 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例勉強会
・20/8/6(木)午後2時 名古屋地裁1階1号法廷 
 名古屋城基本設計住民訴訟第八回公判
・20/8/31(月)午前11時30分〜 
 名古屋城文化庁訪問時面談記録情報公開訴訟(WEB会議・非公開)

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2020.06.09 施工の神様 大石恭正
“歴史ロマン溢れる” 巨大プロジェクト。名古屋城天守閣木造復元に挑む竹中工務店
https://sekokan-navi.jp/magazine/36588?fbclid=IwAR3Dm_f76rr7UV7k04n1aKubG8j6Nr2rV2COiMmTrOEsA4o0q0yb4IEHT_0

東芝エレベータ株式会社
武将の性格がお城から見えてくる!お城の造りをヒントに建築設計を考える
https://www.toshiba-elevator.co.jp/elv/column/new-sales/castle/


20/6/23 名古屋城情報公開訴訟 原告「防災拠点位置を非公開にするということは、警察署や消防署の場所を非公開にするという理屈と同じか?」

名古屋城天守閣木造化をめぐり、名古屋市が文化庁訪問時の復命書等の情報を非公開にしたのはおかしいとして、名古屋市民オンブズマンが公開を求めた情報公開訴訟の弁論準備が20/6/23に電話会議(非公開)で行われました。

非公開文書
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200203-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-2-1.pdf   
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-3-1.pdf

68箇所の非公開部分に関し、どのようなことが書かれているか、どうして非公開にするかを市側が説明し、原告側が反論し、市側が再度反論することを一覧表形式でまとめています。

市の主な主張は以下です。
・復命書に、名古屋城木造天守閣のバリアフリーに関して、特に木造天守閣の昇降にかかる新技術の国際公募に関連した予算等についての名古屋市長の発言内容が記載されている。
 そのバリアフリーの具体的な方法・予算等の内容については、現時点においては、木造天守閣の昇降に関する新技術の国際公募に向けた事務の途上にあることから、記載されている情報は中間的・暫定的な検討・意見交換の内容であり、未確定な情報であるため、そのような情報が公開されると、未確定な情報が確定したものと誤解され、新技術の国際公募に応募を検討している企業等が未確定情報をもと、応募するかどうかの検討を行ってしまうなど不当に市民(特に応募が想定される企業等)の間に混乱を生じさせる。

・復命書に、本件事業の現状変更許可手続等に関する名古屋市長の発言に対してされた文化庁職員の発言内容が記載されている。
 非公開の場であることを前提とした率直な意見交換が実施されているにもかかわらず、そのような情報が公開されると、文化庁との信頼関係を損ない、かつ、今後硬直的・形式的な議論しか行われず、本件事業を進めて行くに当たり必要な意見交換が行われなくなり、率直な意見の交換が不当に損なわれる。
 本件事業を適切に意思決定を行い進めるに当たっては、文化財保護の専門家である文化庁の知見が必要不可欠であるところ、上記の内容が公開されると、外部からの圧力や干渉等の影響を受けることにより、文化庁から助言や指示等を受けられなくなり、意思決定の中立性が不当に損なわれる。
 上記の内容は、本件事業の現状変更許可手続等に関する中間的・暫定的な検討・意見交換の内容であり、文化庁職員の所見を含む未確定な情報であるため、そのような情報が公開されると、現状変更許可手続等について当該所見を含む未確定な情報が確定したものと誤解され、根拠を欠いた批判的な意見が流布されること等により、不当に市民の間に混乱を生じさせる。
 なお、原告は公開箇所との対比により、本非公開箇所が「一般的要望を行った箇所と考えられる」と主張している。
 「一般的」要望とは何を指すかはともかく、本非公開箇所と原告が挙げた公開箇所について直接の関係性はない。文化庁長官による現状変更許可を取得するためには、本市からの「基本計画書」の文化庁への提出や、文化庁による文化審議会への諮問及び同審議会による文化庁長官への答申が必要になり、本市から「基本計画書」の文化庁へ提出するにあたっては、事前に文化庁との審議の際に肝要となる点等について意見交換をし、過不足のない「基本計画書」を作成する必要がある(準備書面(3)第1の4(1))が、本非公開箇所は文化庁によってなされた本件事業の現状変更許可手続等に関する個別具体的な指摘を含めた言及が記載されており、原告の主張は失当である。

・基本計画書には名古屋城木造天守閣に関する「構造計画の考え方」について記載されている。具体的内容は「木造天守閣の重要な要素である主架構(柱や梁)の構造」に関するものであるところし、木造復元天守に対して、どのような耐震補強が有用であるかなどを検討した結果を示している。
 当該検討の根拠となる地盤調査について、今後更なる詳細の調査を要する点があるものであり、基本的な計画にとどまり、引き続き詳細な検討・修正を要する中間的・暫定的な内容であり、未確定な情報であるため、そのような情報が公開されると、未確定な情報が確定したものと誤解され、当該情報について、自身にとっては耐震性が不足していると感じた市民は木造天守閣の耐震性について不安を抱き、来城することを不必要に躊躇うなど、不当に市民の間に混乱を生じさせる。
 また、当該文書は現状変更許可の取得に向けて文化庁に提出するために作成し、文化庁に持参した資料である。
 これは、現状変更許可の取得や文化審議会の答申及び復元検討委員会の了承も得られていない段階のものである未確定の情報(計画)であるにもかかわらず、そのような情報が公開されると、未確定な情報(計画)が文化庁の了承を得たなど、確定したものと誤解され、根拠を欠いた批判的な意見が流布されること等により、不当に市民の間に混乱を生じさせる。

・基本計画書には名古屋城木造天守閣に関する「防災・避難計画の考え方」について記載されている。具体的内容は「木造化天守閣の火災予防や出火時の対応、また発災時の避難計画」に関し、火災時の観覧者の避難ルートや排煙の方法などを、発生場所ごとに個別具体的に分析し、避難計画を検討している。
 上記「防災・避難計画」は今後、建築審査会による同意を得て、初めて計画として完結するものであり、基本的な計画にとどまり、引き続き詳細な検討・修正を要する中間的・暫定的な内容であり、未確定な情報であるため、そのような情報が公開されると、未確定な情報が確定したものと誤解され、当該情報について、自身にとっては防災として不十分であると感じた市民は木造天守閣の防災について不安を抱き、来城することを不必要に躊躇うなど、不当に市民の間に混乱を生じさせる。

・基本計画書には名古屋城天守閣に関する「防災・避難計画の考え方」として防災設備のうち、その中枢を占める「防災拠点」の配置方法についての説明及び「防災拠点」の位置を示した図面である。
 「防災拠点」には、名古屋城木造天守閣内部に設置される監視カメラを確認する設備等が設置され、警備員が常駐し当該カメラで名古屋城木造天守閣内を昼夜監視することにより、不審な行為及び不審人物の侵入を早期に覚知することを予定している。
 「防災拠点」に関する情報が公開されると、名古屋城木造天守閣へ放火等を企図する人物に対し、犯罪実現の妨げとなる設備の所在地を示すことになり、通常であれば関係者しか知り得ない当該設備の所在地を示すことで、当該設備を無効化し、名古屋城木造天守閣への侵入を容易にするなど、犯罪を誘発し、観覧者や職員等、人の生命、身体、財産又は社会的な地位等の保護に支障を及ぼす。つまり、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすといえる。
 「防災・避難計画」と「消防計画」は全く性質の異なるものであり、「防災・避難計画」は建築基準法上の適用除外を受けるために必要なものであって、訓練等の理由により公開することが前提となっていない。

・基本計画書に、名古屋城木造天守閣に関する「利活用とゾーニングの考え方」について記載されている。具体的内容は「木造天守閣を竣工後どのように活用するか、また階や空間をどのように利用するか(ゾーニング)」に関し、観覧エリアの場所設定の検討結果が記載されている。
 上記考え方は天守閣整備事業のうち観覧に関する基本的な計画にとどまり、引き続き詳細な検討・修正を要する中間的・暫定的な内容であり、未確定な情報であるため、そのような情報が公開されると、未確定な情報が確定したものと誤解され、根拠を欠いた批判的な意見が流布されること等により、当該情報について、自身にとっては魅力がないと感じた市民は木造天守閣について関心を失うなど、不当に市民の間に混乱を生じさせる。

・基本計画書には名古屋城木造復元天守閣に関する「文献資料」として、現存するどの文献資料を復元の根拠として用いるのが適切かについて、歴史的資料がどのように写本され、どのような変遷をたどったのかをフローチャートを用いることで分析している。
 その分析の判断根拠は他の歴史的建造物の復元時においても、分析の際の材料として流用が可能なものであることから、竹中工務店が持つ独自の技術的ノウハウ(分析時の判断根拠)である非公開とした情報が公開されると、同業他社がそのノウハウを模倣することで、同社の競争上の利益が損なわれることになる
 (当該法人である竹中工務店からもその旨回答を得ている。)。

・復命書には、天守台石垣の保全に関する名古屋市長の発言内容が記載されている。
 非公開の場であることを前提とした率直な意見交換が実施されているにもかかわらず、そのような情報が公開されると、文化庁との間で硬直的・形式的な議論しか行われず、本件事業を進めて行くに当たり必要な意見交換が行われなくなり、率直な意見の交換が不当に損なわれる。
 史実に忠実な復元を目指しながら、耐震性、バリアフリー等の種々の問題を解決して本件事業を進めていくに当たっては、様々な事情を総合的に考慮した上での政治的判断が必要であり、上記の内容が公開されると、外部からの圧力や干渉等の影響を受け、意思決定の中立性が不当に損なわれる。 
 上記の内容は、本件事業に関する天守台石垣の保全に関する石垣部会との仮定を含んだ調整方針などについての中間的・暫定的な検討・意見交換の内容であり、当該箇所については仮定を含んだ未確定な情報であるため、そのような情報が公開されると、仮定を含んだ未確定な情報が確定したものと誤解され、根拠を欠いた批判的な意見が流布されること等により、不当に市民の間に混乱を生じさせる。
 
・復命書には本件事業に関する、特に本件事業に無理解な世論について言及した名古屋市長の発言内容が記載されている。
 非公開の場であることを前提とした率直な意見交換が実施されているにもかかわらず、そのような情報が公開されると、文化庁との間で硬直的・形式的な議論しか行われず、本件事業を進めて行くに当たり必要な意見交換が行われなくなり、率直な意見の交換が不当に損なわれる。
 史実に忠実な復元を目指しながら、耐震性、バリアフリー等の種々の問題を解決して本件事業を進めていくに当たっては、様々な事情を総合的に考慮した上での政治的判断が必要であり、上記の内容が公開されると、外部からの圧力や干渉等の影響を受け、意思決定の中立性が不当に損なわれる。
 上記の内容は、本件事業に関する中間的・暫定的な検討・意見交換の内容であり、当該部分箇所については名古屋市長の所見を含む未確定な情報であるため、そのような情報が公開されると、当該所見を含む未確定な情報が確定したものと誤解され、根拠を欠いた批判的な意見が流布されること等により、不当に市民の間に混乱を生じさせる。

・復命書には、本件事業に関して、木造復元と耐震改修を比較した名古屋市長の発言内容が記載されている。
 非公開の場であることを前提とした率直な意見交換が実施されているにもかかわらず、そのような情報が公開されると、今後文化庁との間で硬直的・形式的な議論しか行われず、本件事業を進めて行くに当たり必要な意見交換が行われなくなり、率直な意見の交換が不当に損なわれる。
 史実に忠実な復元を目指しながら、耐震性、バリアフリー等の種々の問題を解決して本件事業を進めていくに当たっては、様々な事情を総合的に考慮した上での政治的判断が必要であり、上記の内容が公開されると、外部からの圧力や干渉等の影響を受け、意思決定の中立性が不当に損なわれる。
 上記の内容は、本件事業に関する中間的・暫定的な検討・意見交換の内容であり、当該箇所については仮定を含んだ未確定な木造復元のスケジュールに関連した情報であるため、そのような情報が公開されると、木造復元事業についての、仮定を含んだ未確定な情報が確定したものと誤解され、根拠を欠いた批判的な意見が流布されること等により、不当に市民の間に混乱を生じさせる。
 
原告名古屋市民オンブズマンの新海聡弁護士は「名古屋市が防災センターの場所を黒塗りにするという理屈は、『消防と治安の中心』だからという。防災センターは、街で言うところの警察署と消防署にあたるところだ。名古屋市は、警察署と消防署の場所を地図で黒塗りする、という理屈と同じではないか」とし、裁判長も「そういうことですか」としました。
市代理人は「新幹線の運行センターや、県警の交通センターみたいなところ」としました。

弁論準備後、新海弁護士は「名古屋市は、非公開にする理由として『無理解に基づく誤解を招く』ため、と市民のせいにしている。情報公開の理由を突き詰めると、結局くだらない話しになる。当初はびっくりするような話しがでるが、ひっくり返る」としました。

次回は20/8/31にネットで弁論準備(非公開)を行います。

20/6/23 名古屋城基本設計住民訴訟 市「『技術提案書』は一般的な条件を持っているか判断するため」

20/6/23に、「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」が原告となった、名古屋城天守閣木造復元事業基本設計住民訴訟の第7回口頭弁論が名古屋地裁で行われました。

名古屋市は準備書面(5)、証拠説明書(6)、乙24-25号証(歴代2人の名古屋城総合事務所長の陳述書)を提出しました。
https://drive.google.com/drive/folders/1yHgXlyQfARGimt8kuGdrBjowILcaKKWt

名古屋市は準備書面(5)の中で以下述べました。

・「要求水準書」の位置づけは、あくまで受注者に対して実施を要求する業務の概要や必要最小限の業務の範囲、契約や設計に係る条件、水準を一般的・抽象的に示したもの
・「技術提案書」の位置づけは、あくまで公募型プロポーザルの参加者が発注者の求める一般的な条件、水準を満たすノウハウを持っているかどうかを判断するためのもの
・名古屋市と竹中工務店権利義務関係を起立する書面は、「要求水準書」及び「技術提案書」ではなく、契約書、契約約款及び設計図書、図面、業務委託仕様書
・要求水準書のうち、第3章については例外的に受注者が履行すべき義務を定めたものであると主張するのは、設計業務等に関して記載又は提案された事項に限っては、本件契約書等に規定されていることを根拠として、受注者が履行すべき義務となる。
・「技術提案書」についても、設計業務等に関して記載又は提案された事項に限っては、契約上の義務として受注者が履行すべき義務
・「文化庁基本計画書」の用語は、答弁書第3の2(16)(11頁)において定義したもの

次回は20/8/6(木)午後2時 1階1号法廷 となります。

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原告は弁論終了後「『文化庁基本計画書』なるものの定義、要件水準書が『必要最小限の業務の概要』であるとか『設計に係る条件、水準を一般的・抽象的に示したものに過ぎない』という解釈の根拠を求めたが、被告名古屋市において、自身の発言を根拠にする以外、法律、法令等の根拠がない、名古屋市独自の解釈、判断であるとした点を注目したい。」としました。
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名古屋城天守の有形文化財登録を求める会
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle


20/6/22 名古屋城遺構破壊 文化庁担当者「名古屋市は全国の模範になるべきなのに甚だ遺憾」

20/6/22に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第31回)が開催されました。

20/6/22 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第31回)配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200622.pdf

20/6/22 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第31回)
名古屋市民オンブズマンによるメモ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200622-1.pdf

今回も、マスコミ・傍聴者とも録画・録音は頭撮り以外禁止されました。

まず、名古屋市から昨年度の各部会の報告がなされました。
しかし、ただ議題を読み上げただけで終わりました。
(いまだに2019/8/5第32回石垣部会の議事録すら、名古屋城ホームページに掲載していません。)
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2020/03/20200331_993.html

赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長からは「昨年度は建造物部会が開催されなかったが、毀損事故を起こした外構工事計画そのものについて、考えを聞いてもよかったのでは」と指摘しました。

続いて、西の丸遺構毀損事故について、再発防止策と現状の説明がありました。

高瀬要一・公益財団法人琴ノ浦温山荘園代表理事は「今回、掘削にあたって古図を参考にしたようだが、遺構を参考にすべきだった。また、表土直下に遺構があったので、遺構をそのまま見せた方がよかった」としました。
佐治独歩・名古屋城総合事務所長は「遺構をどう見せるか有識者会議に適切に諮っていなかった」ことを認めました。
座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「石列は遺構と認識していなかったのか?」と質問したところ、村木誠名古屋城調査研究センター副所長は「調査の時点で、石列があることは認識し、遺構と認識していた」としました。
瀬口座長は「石列が遺構という認識があれば、コンクリートを打つのは考えられない」と発言し、村木副所長は「盛り土をした上でやればよかった。手法の点で反省点がある」としました。
三浦正幸・広島大学名誉教授は「他の史跡では、遺跡の表示方法として露出にするのか平面にするのか、整備の委員会で諮って審議するのが通常。具体的な施工の方法 盛り土、基礎 表面表示の仕方なども審議する。名古屋城では一切出てきていない。他を参考にしてほしい」としました。
鈴木保存整備室長は「事前に委員会に諮っていなかったのは反省すべき。現在は毀損部分について全力を挙げ、その後先生方に諮りたい」としました。

瀬口座長が、今回の対策についてオブザーバーの山下信一郎・文化庁文化財第二課主任文化財調査官の意見を聞いたところ、「毀損事故に関してだが、本来は名古屋市は政令市なので特別史跡管理団体として全国の模範になるべきだった。文化庁としても甚だ遺憾。今回の再発防止策は丁寧にまとめた印象がある。問題は、まとめたものをきちんと実行することであって、再発防止の文字だけあっても、できなければ何の意味もない。今回、再発防止策として経緯、原因を分析された。肝に銘じて再発防止策、保存整備にまい進してほしい。先生方も、名古屋市を叱咤激励し、二度とこういうことがないようにしてもらいたい」としました。
 
続いて、今年度の事業予定を説明しました。
赤羽氏は「今年度の事業に関し、毀損事故に関してはどこにも書いていない。何にも劣らずやるべき。また、現在考古の学芸員は何人いるのか。学芸員の負担が大きいのではないかということをおそれる。二之丸発掘調査の目的は、緊急調査なのか。不急の事業ではないか。愛知県体育館の移転が見えてきた段階で、どういう調査をするか検討してはどうか。」としました。
村木副所長は、「現在考古の定員は8名だが1名欠員がある。経験が少ない学芸員も多い。十分な体制がとれるのか?と不安がないわけではない。毀損については1年あてて取り組む。ほかの調査が十分できるのか?という指摘だが、学芸員の能力を超える部分があったのではないかと反省している。事業、予定ありきではなく、学芸員ができるところ、整備事業で折り合いをつける。今後、学芸員の能力向上を図りながら、事業に合わせて無理をするのではなく、できる範囲で対応する」としました。

続いて、本丸内堀発掘調査について報告がありました。レーダー探査で反応があった部分を4箇所発掘調査したいとのこと。
水分の量や空隙、金属がある可能性があり、現天守を作る際に出てきたものを埋めた攪乱か、400年前に計画されていたもう一つの小天守の遺構の可能性があるとのこと。

麓和善・名古屋工業大学大学院教授は「4年連続で内堀調査をしているが、計画的にやってきたのではなく、それぞれの年度で不十分な点を解決するためと感じる。今年度で終了するのか。また、西側の石垣の上の方に四角く穴が空いたような線が見えるのは、当初の計画の小天守の名残という説があるが、宝暦に大天守を修理した際の出入り口。大天守の工事が終わってからふさいだと、論文を以前書いたがどうして西側小天守と思い込んでいるのか」としました。
三浦名誉教授も「小天守計画があったにせよ、堀底の下であれば、遺構の可能性はほぼない。信長時代の那古野城の遺構の可能性はあるが、石垣の安定性とは特に関係が無い。トレンチは、東西ではなく南北に1本すればよく、石垣の根元だけやればよい。計画自体おかしいので再検討を。発掘調査は破壊なので、最小限にすべき。地盤が緩くなる。」としました。

続いて、天守台北面石垣の調査について議論しました。
麓教授は「調査がわかったら今後どういう風に進んでいくか」と質問し、村木副所長は「石垣状況把握は、整備をどうするかにかかわらずどう保全するか、保全方針を備えて整備に備える」としました。
麓教授は「それで安定性、安全性が評価できる見込みがあるのか。不足であればどういう処置をとるか、筋道を立てられるか。工学的解析でどの程度見込みがあるか」とし、村木副所長は「調査をして、石垣部会に諮りたい。工学の先生も入った」としました。
麓教授は「他城郭でも石垣調査をしている。どう耐震対策、保全に活かされているか、調べた上で調査を行って欲しい。今の技術でわからないことも多い。『言われたから調査をやった。見解、判断は石垣部会にまかせる』ではなく、もう少し先を読んでほしい」としました。

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終了後の記者会見はありませんでした。

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せっかくの全体整備検討会議でしたが、各部会の議論の内容、特に石垣部会の問題意識が全体で共有されていなかったように感じます。
「石垣部会はただ調査、調査ばかり言っている。いつまでどこまで発掘調査すればよいのか」という、石垣部会以外の委員の不満が聞こえてくるようです。
また、文化庁から、名古屋城木造復元事業に関し具体的にどのような指摘があったのかすら、全体整備検討会議で共有されていない模様です。

20/6/18 名古屋城石垣部会「『はじめから穴蔵石垣解体ありき』はまずい」

20/6/18に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第35回)が開催されました。

200618 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第35回)配布資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200618.pdf

200618 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第35回)
名古屋市民オンブズマンによるメモ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200618-1.pdf

今回も、冒頭挨拶部分までしか録音・録画が許可されませんでした。
文化庁のオブザーバーは今回は参加しませんでした。

はじめに、松雄観光文化交流局長が挨拶した後、名古屋城調査研究センターの村木副所長が、2020年3月に起こした遺構毀損事故の現状について報告しました。
今回、他に不適切な施工等が行われていなかったかどうか調査したところ、以下5カ所で問題が認められたとのこと。
 @現状変更許可申請に記載ない掘削を行った 
 A学芸員の立ち合いなく掘削と基礎施工が行った 
 B現状変更許可申請の範囲を超えて発掘調査をした 
 C学芸員の立ち合いなく掘削 
 D学芸員の立ち合いなく現在の構造物の撤去
それらへの対応策を示しました。
その後、今回の毀損事故の状況を報告しました。
石垣部会構成員からは特に意見はありませんでした。

続いて、本丸搦手馬出周辺石垣修復に関し、逆石安定性実験と石材の再利用について報告がありました。石垣部会構成員の宮武正登・佐賀大学教授は「石垣が不安定だというが、我々が考えるだけで、文化財として400年前からあり、特別史跡を構成する要素だ。プラスアルファをすると破壊行為を行ってしまう」としました。

次に議題に移り、外構工事での遺構毀損事故の再発防止対策について事務局より説明がありました。
宮武教授は「今気付いたのだが、全体整備検討会議に外構工事を諮っているが、それほどディスカッションしている記憶がない。平成24年12月に試掘をして、7年後の平成31年3月に再度調査している。
あくまでも西の丸開発行為の計画から始まっており、7年たって発掘したらあった。それを守る議論がなかったのではないか」としました。
赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は「今日のような六番蔵、五番蔵のような表面展示については当初は話題になっていなかった」としました。
宮武教授は「遺構表示が後追いで入ってきたから、『特別史跡の中に構造物を作る際は、下から何か出ますよ』という立場に立っていなかったのが原因だったことにはじめて気がついた。」としました。

赤羽氏は「フローチャートに『監督立ち会いについて、日々はセンターの学芸員、節目は文化財保護室の学芸員が立ち会うとあるが、文化庁は了解しているのか」と尋ねたところ、文化財保護室長は「現実にこれまで運用ではそうしていた。正確に文化庁にお示しする。文化庁とも調整しながらやりたい。文化庁にはこういう案でまとめていく、と説明している」としました。

宮武教授は「教育委員会の副申で、『差し替えして』はこれまであったのか」と質問し、文化財保護室長は「文化庁への申請書が出る前にチェックしており、出てきたものを副申で却下するというのはない。名古屋城総合事務所と一緒に検討したが、協議の時間がなかなかとれず、チェックがおろそかになったという背景がある」としました。
宮武教授は「文化財保護室は、施工計画の段階からはいっていかないといけない。開発行為がスルーされていたのが原因ではないか。普通の文化財対応が出来ていなかった」としました。

また、赤羽氏は「再発防止対策に、『毀損の状態と今後の修復方針』はない方がよいのではないか。石列は調査しないとわからない」としました。
宮武教授は「この部分は石垣部会のマターではない。親委員会に報告しないといけない」としました。

また、宮武教授は「名古屋市は政令市なので、他事例である県のチェックがなく、第三者の関与がない。何とかならないか。」としました。

次に、名古屋城天守閣整備事業にかかる「新たな工程」の案について議論になりました。

宮武教授は「工程の案に書いてある『穴蔵石垣の解体』とはどこをイメージしているのか」と質問し、名古屋城総合事務所は「現天守を解体するのは上から解体する。穴蔵部分は、SRC鉄骨、柱が穴蔵と接する部分、食い込んでいる部分があり、解体と合わせて調査する。その部分について先生と相談して工法を決める。調査しながらやる」としました。
宮武教授は「先程の議論に戻るが、下の部分を守るという議論に立っていないから毀損事故が起こる。解体できるかどうかはこれからだ。軽々に『解体する』じゃない。
発掘調査するのは2種類ある。
 ・なくなるから記録→特別史跡ではありえない
 ・保全するためデータをえる調査 
この「新たな工程」の案は、解体するための発掘調査をうたっており、さっきの再発防止のフローチャートと一緒に持っていくのは矛盾する。」としました。

名古屋城総合事務所は「現在基礎構造の検討を竹中としている。石垣に影響を与えない工法を考えている。
その上で、解体できるか、解体による石垣影響を踏まえ解体してはいけないのではないかという検討を進めている」としました。

西形達明・関西大学名誉教授は「天守台石垣追加調査が近々に始まる予定だが、具体的な目的と内容はなにか」と質問し、村木副所長は「北面石垣のレーダー調査と、御深井丸の劣化の状況調査」としました。

服部英雄・名古屋城調査研究センター所長は「穴蔵石垣の昔の写真が出てきたが、想像もつかないくらい劣化していた。穴蔵石垣も昭和の改修時に新しい石に変わっている」としました。

宮武教授は「先に計画に出したらまずい。だいぶん痛みがひどいのは承知している。
どうせできるだろうと判断したのが今回の毀損事故を起こした原因だ。ここで出してはまずい」としました。

服部所長は「調査してはいけないのか」と問うたところ、宮武教授は「ぼろぼろだから大丈夫だろうといっても、穴蔵石垣を調査してもいないからわからない」としました。

座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「以前から、特別史跡の本質的価値は石垣にあると言ってきた。 それを保全するためにはどういう手立てがあるか考えている。
 現在、上に建物をつくるという案が出ているが、現在残っている石垣にうまく乗るのかどうかはきちんと議論していない」としました。
 
村木副所長は「穴蔵石垣の解体と書いたのは、昭和の時に手を加えているだろうから、昭和のものをどうするか検討したい。解体を前提と書くのはおかしいのなら、表記の仕方を検討する」としました。
北垣座長は「それはよろしくない。解体の前提にたつ検討がされていない。事前の検討を早急にしないといけない」としました。村木副所長は「穴蔵石垣試掘調査、穴蔵石垣発掘調査を踏まえて、昭和の穴蔵部分は解体したいのだが、『前提として解体する』という書き方は検討する」としました。

赤羽氏は「石垣部会としては、石垣については、天守閣を木造復元しようがしまいが、石垣の保全は重要だという立場だ。
『石垣保全方針に基づき応急対策を実施』とあるが、これは木造復元天守を作るためか?私たちはそうではない。
天守閣木造復元とはすれ違うというか、あくまでも石垣の保全を前提に考えている。
木造復元が目標の工程案を出されても、石垣保全という観点では『そうですか』とは申し上げられない」としました。

村木副所長は「再発防止策は全体に諮りたい」としました。

終了後の名古屋市・石垣部会の記者会見はありませんでした。
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天守閣部会が出来て3年。
石垣部会の議論と完全にすれ違っています。
議事録を共有すればよいのですが、2019/8/5第32回石垣部会の議事録すら、名古屋城ホームページに掲載していません。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2020/03/20200331_993.html

録音・録画も許可されておらず、上記まとめもどこまで正確かわかりません。

石垣部会が懸念している「はじめから開発ありき・第三者チェック無し」の体制が今後も続くのなら、再度の遺構破壊は避けられないでしょう。

今回、文化庁の現状変更許可条件に従わず遺構を破壊しましたが、それ以外に、現状変更許可申請に記載ない掘削を行った、現状変更許可申請の範囲を超えて発掘調査をした、というとんでもないことが新たに発覚しました。

文化庁がなんと言っているのか不明ですし、名古屋市とのやり取りの内容も非公開なのでわかりませんが、文化庁の名古屋市への信頼感は地に落ちていることは容易に想像できます。
このような状況で「新たな工程案」を示しても絵に描いた餅でしかないと思います。
名古屋市は「開発ありき」の姿勢をいつまで崩さないつもりなのでしょうか。

なお、来週にも特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議が開催されるとのことです。
(20/6/19追記 6/22(月)午前10時から行うと発表がありました。) http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2020/kankobunkakoryu/0000128700.html

20/6/12 名古屋市 2020年度6月補正に名古屋城関係予算計上せず

名古屋市は20/6/12に令和2年度6月補正予算を公表しました。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-17-2-0-0-0-0-0.html
そこには、名古屋城天守閣木造復元関係予算は計上されませんでした。
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令和2年度当初予算は以下計上しています。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-17-1-8-2-0-0-0.html
 名古屋城天守閣の木造復元 6億7740万9千円
  天守閣の整備      2億4507万4千円
   実施設計         8900万  円
   設計監理等支援業務委託  1300万  円
   主架構木材の保管費   1億    円
   発掘調査等        4307万4千円
  昇降に関する新技術の公募1億3168万9千円
  木造復元に向けた機運醸成  2470万  円
  基金の積立       1億     円
  事務費等        1億7594万6千円 
 天守閣閉館中の魅力向上事業1億4280万  円
 石垣の基礎的研究普及事業   1000万  円
 金シャチ横丁第二期整備    2000万 円
令和元年度2月補正予算は以下計上しています。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-16-5-0-0-0-0-0.html
 天守閣木造復元実施設計  1億3100万円(繰越明許費)
 天守閣木造復元の構台等仮設工事費 9億6100万円減額
 債務負担行為(令和2年度以降)11億4200万円全額減額
  
もともと2022年12月竣工を延期したのちの工程のめどが立っていませんでしたが、20/3/2に名古屋市が起こした外構遺構毀損事故の影響で、まったく工程がストップしています。
文化庁と名古屋市との面談の詳細を情報公開請求したところ、文化庁は文化財第二課長が出てきて「大きな問題である。今後の名古屋市の計画においても本当にできるのかと思われる」と発言していたことが判明しました。

今後木造復元にはいかなる予算がいつ必要なのか、文化庁の現状変更許可は本当に出るのかなど、名古屋市が明らかにすべきことは多々あります。
「本来は令和2年度6月補正予算で●●を計上したかったが、新型コロナならびに外構遺構毀損事故の影響で計上できなかった」ということすらわからないのです。

20/6/13中日新聞には、名古屋市の財政調整基金が2020年4月の100億円から、2020年6月時点推定では3.2億円に激減したとありました。
https://www.chunichi.co.jp/article/72415
記事には、南山大総合政策学部の森徹教授(地方財政論)の話として、「さらに新型コロナ対策を取る場合は、優先順位の低い政策をやめなければいけない。」と述べたとあります。

名古屋城天守木造復元は、市民の間でも極めて優先順位が低いものです。「新型コロナ対策をやめて名古屋城天守木造復元を優先すべき」という名古屋市民がいたらお教えください。
しかも実現するかどうかすらわからない、万が一無事木造復元が実現したとしても、あと何年かかるか、いくらかかるのかすらはっきりしません。
完成後の来場者数、メンテナンス費用等も新型コロナウイルスの影響を加味した試算はされていません。

令和2年度6月補正予算が公表された同じ20/6/12、本丸御殿の観覧が再開されました。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/topics/2020/06/20200611_1008.html
しかし、以下の感染防止策がとられています。
・本丸御殿内は200人の入場制限
・黒木書院・湯殿は引き続き入場休止
・隅櫓、階段体験館は引き続き入場休止
・入国制限地域から14日以内は来場お断り
・東海3県のみ
・行催事中止・延期
新型コロナウィルスの影響がいつまで続くのかわかりませんが、仮に上記と同様の制限が続いた場合、名古屋城木造天守閣には何人が入れるのでしょうか。収支計画はどうなるのでしょうか。
収支計画が崩れるのであれば、まずは「不要不急」の名古屋城天守木造復元をいったん無期延期すべきです。
いつ東海・東南海・南海トラフ地震が来るかもわからないのです。

20/6/12 名古屋城木造復元 天守閣部会座長「行き当たりばったりで長くなるばかり」

20/6/12に名古屋市は特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第22回)を開催しました。
毎回ですが、録音・録画は傍聴者ならびに報道機関にも禁止されています。

・20/6/12特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第22回)配布資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200612.pdf
・20/6/12特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第22回) 
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200612-1.pdf

議題は、20/3/31に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議に提案された「新たな工程」についてです。

名古屋市は「『新たな工程』を提案したが、新型コロナの影響で2か月ほど遅れている。
また、20/3/2に起こした外構工事毀損事故の対処に全力を挙げており、再発防止対策が関係者のご理解が得られるまで発掘調査できない。2028年10月の竣工を見込んでいるが、工程は延びることもあるが縮むこともある」としました。

小野徹郎・名古屋工業大学名誉教授は「天守台石垣の追加調査や、穴蔵石垣試掘はどうなっているのか。なにをどう調査するのか、石垣部会の了解を得ているのか」質問しました。
村木・名古屋城調査研究センター副所長は「現時点では、遺構の毀損事故があり、石垣、遺構の調査は進めていない。
文化庁から指摘事項があり、調査の準備は進めており、石垣・埋蔵文化財部会に早急にお諮りしたい。了解については今後審議をお願いする。何をどこまで目標にするかは今後検討する。」としました。

古阪秀三・立命館大学客員教授は「石垣部会は天守閣部会より前から存在しているが、これまで何をしてきたのか、今後何をするのか名古屋市の説明では全くわからない。石垣はそんなに難しいはずはない」としました。
佐治・名古屋城総合事務所所長は「石垣・埋蔵文化財部会には順次諮っている。全体整備検討会議に諮って、部会におろしてという手法をとっている」としました。
古阪客員教授は「回答になっていない。新型コロナ対策でも、日本政府は他国と比べてやり方が見えているか非常に疑問がある。契約が基本である。日本もそういう風に変わっていくべき」としました。

座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「天守閣部会は3年間復元検討をやってきたが、いまだに石垣部会が何をやっているのかわからない。名古屋市から情報が出てきていない。『順次図れるものは諮っていく』ばかりで、工程を考えるにはなっていない」としました。
佐治所長は「文化庁から指摘事項があり、追加情報をお返しするため全力を尽くしている。いつまでに検討を終えて、文化庁に返すかお示ししたい」としました。

川地正数・川地建築設計室主宰は「今ある天守は2年前から入場禁止という異常事態で、一刻も早く木造復元を実現しないといけないというのが市民感覚だと思う。
工程表を見たが、以前は5年で、現在は8年になっている。以前、復元検討委員会は1年(3回)で、今は2年半(8回)に延びた。
8回というのは文化庁とのやり取りで決まったのか。また、解体工事が相当延びている。クリティカルパスは何か。解体工事、準備工事がクリティカルだと理解している」としました。
名古屋城の担当者は「復元検討委員会の回数について、文化庁から言われたわけではない。
ただ、文化庁とのやり取りの中で、前例のない巨大な規模の工事であり、さらに特別史跡の石垣の上に建築するので、名古屋市の想定として2年半としたが、短くなるかもしれないし、もっと延びるかもしれない。
また過去基本設計や石垣調査、実施設計を行ってきた3年間で判明したのは、石垣にいかに影響を与えないような工程を組むかということ。穴蔵部分の解体を進めないとわからない部分もある。短くなることもあるし、長くなることもある」としました。
川地主宰は「解体は慎重にする必要がある。ただ、市民から『いつになったら着工するのか』という声がある。2年半の復元検討委員会を圧縮していただきたい」としました。

麓和善・名古屋工業大学大学院教授は「当初の工程が5年で、現在8年となっているが、当初の工程が他と比べて短いと思っていた。いい仕事をするためには、ちゃんとした時間を取る必要がある。木材加工は前倒しも可能。復元工事が当初の31か月に縛られることなく、適切な工事期間を表したものに直したほうがよい」としました。

小野名誉教授は「文化庁の許可が出るよう全力を注いでほしい。石垣部会が反対しているようだが、石垣のなにをいつまで明らかにすべきかはっきりしてもらいたい」としました。
西形達明・関西大学名誉教授は「私は最近石垣・埋蔵文化財部会に入った。石垣部会としては、天守台石垣の調査をやればやるほど問題が出てきた。石垣の保全が確認できなければ文化庁の許可がでない。石垣部会として、決して復元を遅らせようというのではない。調査を踏まえ、(解体工事の際の)抑え盛り土で石垣が大丈夫かどうか確実に検討したいということ」としました。
古阪客員教授は「西形先生が入られるまで3年間、石垣部会には技術的な検討ができるメンバーがいず、ほったらかしだった。また、市の契約が随分変わっていることは非常に大きな問題ではないか」としました。
西形名誉教授は「石垣の安定性についてなかなか結論が出せない。復元の基本的な考え方は、石垣と木造復元構造は分離された形で計画されている。石垣の変状等が起こっても、天守には影響しないようにという考え方である。むしろ、解体・復元工事によって石垣そのものに影響をあたえないように、変状が起きないようにするため、石垣そのものの安定性、長期の持続性を念頭に置いて石垣の調査をしている」としました。

瀬口座長は「石垣部会で検討していることは、木造復元とは関係ないのか」と聞いたところ、西形名誉教授は「そうですね」と回答しました。
瀬口座長は「石垣部会が危惧されていることが開示されていなく、全然解決していないのではないか。名古屋市がきちんと応えているのか。そこが大きいのではないか」としました。
西形名誉教授は「木造天守の荷重は石垣にかかることはなく、石垣そのものの安定性は維持されるのではないか。ただ、内部構造を調べ、予期しない空洞がないか調査をし、満足されれば工事中の対策について安定性が確保されるだろう」としました。

三浦正幸・広島大学名誉教授は「東南海地震がわりに早く来るのではないかと言われている。石垣は上から荷重をかけた方が安定する。熊本地震では、復元建物が乗っていた石垣は1棟を除いて崩壊した。復元建物が乗っていないものは、明治以降積みなおされた石垣が崩れた。解析が不足している。
現在の名古屋城は石垣に上から重さをかけていない。今東南海地震が来たら、石垣が大事だと言っているがコンクリートケーソンが中にあるために石垣を積みなおした上の方が崩れ落ちる可能性がある。設計を見直し、木造1階2階ができた後、石垣に荷重をかけるべき。また、工事中いつ東南海地震が来たらどう対応するか検討すべき」としました。
名古屋城の担当者は「石垣の安定性について、竹中工務店と工学的解析をしている。ケーソンがあることで石垣にどう影響があるのか、ケーソンがない場合の解析もしている。木造復元したときにどうなるかも解析中。」としています。
西形名誉教授は「地震時の天守構造と石垣の相互作用については複雑な問題があり、工学的手法では答えが出ないのではないか。また、三浦先生ご指摘の上から荷重をかける場合、当然相互作用が生まれる。熊本城については、石垣と天守の振動特性が違っていた。工学的検討は必要だと思う。」としました。

瀬口座長は「工程表にないが、復元検討委員会までになにをどこまで作成するのか。石垣調査はなにをどこまで調査するのか。復元検討委員会とどう関係するのか。
現状は『行き当たりばったり』で、『できたところから部会に諮ります』では、短くなることはなく長くなるばかり。」としました。
古阪客員教授は「竣工がこれだけ長くなると首長も変わる。本当も大丈夫か?世の中に発信しないといけない」としました。
瀬口座長は「次回天守閣部会までに、石垣部会はどこを明らかにしようとしているのか、文化庁に直接会っていろいろ言われていることと、今後想定される宿題についてまとめてほしい」としました。
佐治所長は「文化庁とどこまで調整できるかわからないが提出したい」としましたが、瀬口座長は「文化庁との調整はいらない。名古屋市としてどうするか聞きたい」としました。

川地主宰は「20/3/5新聞報道で、名古屋市は『2028年に延びるけど、事業費505億は堅持、順守する』と言っていたのが違和感を感じた。
木材の製材、保管、乾燥には経費が掛かる。石垣内部の跳ね出し加工見直しには人件費かかる。VEやるというが、コストダウンと同じ。史実に忠実なプロジェクトにVEはそぐわない」としました。
名古屋城の担当者は「505億円をどうしても守るが、質を下げることはよくない。期間が延びる際、基本協定に基づき、価格交渉を行う。竹中と協議をして、膨らむことはないように交渉する。505億に収まるか。そうじゃなくなるかもしれない。説明責任がある。目標は505億円」としました。
次回天守閣部会は7/10(金)予定とのこと。
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2017年5月10日に第1回天守閣部会が開催されて早3年。
天守閣部会と石垣部会は意思疎通がいまだにうまくできていません。
2019/8/5第32回石垣部会の議事録すら、名古屋城ホームページに掲載していません。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2020/03/20200331_993.html
いったい文化庁は具体的になんと名古屋市に言っているのか。
内容は市民にすら非公開です。

現在、名古屋市民オンブズマンは、名古屋市と文化庁とのやりとりの情報公開訴訟を行っています(2018/6/13-9/25分)。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200203-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-2-1.pdf   
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-3-1.pdf
 
有識者会議を録音・録画禁止しているため、なにが議論されているか、有識者会議同士も理解しておらず、市民も理解できていません。
問題点をきちんと明らかにすれば、2028年に完成ができるどころか、到底木造復元など着工すらできない状況なのではないでしょうか。
委員も指摘していましたが、2028年に竣工が延期されることで505億円が増える可能性もありますし、少なくとも1年で木造保管費用が約1億円かかります。
現天守閣解体すら見通しが立たない名古屋城木造復元事業は無期延期がよいのではないでしょうか。

20/6/4 「不要不急」の名古屋城天守閣木造復元事業は無期延期を!

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、全世界で懸命な努力がなされています。名古屋市も膨大な財政支出を行い、影響を最小限に食い止めようとしています。
 しかしながら、河村たかし名古屋市長は、505億の総予算を見込みながら完成のめどがいまだに立たない名古屋城天守閣木造復元事業を引き続き行う姿勢を崩していません。

文化庁から多数の指摘事項あり

 河村市長は、現天守解体工事に着手出来ていないという理由で、19/8/29に当初の2022年12月末竣工を断念しました。
 文化庁からは、解体工事の足場予定地の内堀や御深井丸の地下遺構調査、ならびに大天守石垣の孕み出しや石垣背面の空隙の有無に関する検討が求められています。
 さらに、現天守解体先行ではなく、「『解体と木造復元を一体として申請した方がよいのではないか』と文化庁の責任のある人が言った」と河村市長は19/9/20に名古屋市議会経済水道委員会で述べています。

平成23年3月報告書「木造復元 文化庁との交渉だけで23年以上要する」

 名古屋市が平成23年3月に作成した「名古屋城整備課題調査報告書」を名古屋城総合事務所から情報提供していただき入手しました。 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/1103.pdf
まず現天守を解体し、石垣を積み直した後、木造復元工事を行うという計画で、文化庁との調整・協議、許可申請期間を含まず約25年、約389.9億円と算出しています。
 名古屋市は「石垣等構造物がないため、より史跡への影響が少ない本丸御殿復元についても、昭和60年に構想検討を開始し、文化庁との度重なる交渉の結果、現状変更許可を得られたのは平成20年であり、23年間を要している。このため、木造天守の復元には、調査・設計期間、建設工事の期間以外に文化庁との協議・調整に長期的な年月を要するものと考えられる。」としています。
 さらに、石垣の解体積み直しの概算工期について、大天守・小天守・共通及び橋台合計で30億8377万9000円、調査に2年4ヶ月、設計に3年9ヶ月、工事に5年1ヶ月かかるとしています。

暫定的耐震補強は約1.7億円 8ヶ月で出来ると市委託報告書

 名古屋城現天守閣について、耐震改修すると約29億円、14ヶ月かかるとされてきました。
 しかし、名古屋市民オンブズマンが20/2/19に名古屋城総合事務所から情報提供していただいて入手した、名古屋市が2017年3月に業者に委託して行った「名古屋城天守閣暫定的耐震補強調査業務報告書」によれば、耐震目標値を下回っている7階部分及び塔屋部での暫定的耐震補強を行うには、1億7172万円、8ヶ月で出来ると記載がありました。
・平成29年3月 株式会社大建設計名古屋事務所 名古屋城天守閣暫定的耐震補強調査業務報告書
@補強計画の耐震診断結果
A補強計画の耐震診断結果の考察 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/1703-1.pdf
G概算工事費及び概算工程表
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/1703-8.pdf

 上記について、市民にきちんと意見を聞いたことはありません。
この報告書の存在もきちんと公開しておらず、今回名古屋城総合事務所に情報提供を求めてはじめて名古屋市民オンブズマンは全文を入手出来ました。


市長 予算提案説明の中で木材保管費1億円に触れず

20/2/19の名古屋市議会本会議で、河村たかし名古屋市長は市長提案説明を行いました。
しかし、「名古屋城天守閣会計では、天守閣木造復元に向けた発掘調査等を予定している。天守閣木造復元工事の工程の見直しに伴い、事業費を減額するほか、1件の繰越明許費、1件の債務負担行為の変更を予定している」のみ延べ、木材保管費1億円には触れませんでした。
完成のめどがたっていないにもかかわらず、木材だけは先行して購入してしまいました。
(2019年7月末現在 木材の製材94億5540万円のうち21億9600万円支出済)
 木材は2020年5月に竹中工務店の保管期限が切れ、年間1億円の追加保管費用がかかります。市議会で懸念が多数出ていたにもかかわらず、名古屋市は押し切って木材を購入してしまいました。
 いったいあと何年木材の追加保管が必要なのか。責任は誰にあるのか。河村市長は全く語りません。

市「2028年10月案は否定しないが、今は申し上げる段階ではない」

 20/2/23に朝日新聞が「木造天守 28年10月完成案 名古屋市 河村市長『反対せぬ』」という記事を載せました。
上記記事によれば、以下の通りです。
・名古屋市は20/2/1全体整備検討会議で新工程案を提示し確定したかったが、工期短縮を求める河村市長から了承を得られず。
・河村市長は「28年10月は最長、最悪の場合の案だ」と、反対はしない姿勢を強調
・市は28年10月案は期間を余裕を持って見積もり直したという
・市は、大幅に計画がずれ込めば訴訟になる可能性もあると懸念
 同日、名古屋市は上記記事を受けて「名古屋城木造復元の竣工時期に関する一部報道にかかる市長コメント」を発表しました。
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000125995.html
・あたかも2028年10月竣工時期が確定しているかの報道がなされた
・28年10月案が含まれていることは否定しない
・事務方にはさらに調整・検討するよう指示を出している。
 この時期に目標とする竣工時期を申し上げる段階にない
・早く市の案を固め、全体整備検討会議にお示しし、部会の意見も伺いながら最終的に竣工時期を決定したい
 20/2/24中日新聞によれば、「再三の延期を強いられたら事業自体が白紙化する懸念も市内部にある」としています。

市「実施設計 来年度も出来る見込みがない事業が当然ある」

20/2/26に名古屋市本会議で名古屋城天守閣特別会計補正予算について質疑がされました。
令和元年度2月補正予算で、名古屋城天守各特別会計補正予算については、天守閣木造復元実施設計1億3100万円を繰越明許費としています。
その他、天守閣木造復元の構台等仮設工事費9億6100万円の減額、債務負担行為(令和2年度以降)11億4200万円の全額減額を計上しています。
江上博之市議(共産党)の質問に対し、松雄観光文化交流局長は「文化庁から、『解体仮設設置が石垣等遺構に与える影響を判断するための調査検討』、『解体と木造復元を一体の計画として審議する必要があるため、計画の具体的内容の提出』を求められている。木造復元の意義をしっかりと説明し、ご理解いただければ木造復元の議論を始める環境が整うと考える。
 木造復元は実現可能だと認識している。そのためにも実施設計業務を継続して進め、完了させなければならないと考えている。」と述べました。
 江上市議は「思いを聞いたが、実施設計が完成出来る根拠は示されなかった。」としました。
 20/2/28に名古屋市議会経済水道委員会が開催され、江上市議は、「名古屋城木造復元の実施設計が今年度中に出来なかったのは、石垣調査ができなかったことと、基礎構造の方針が出ていないからだ。出来ない部分以外を繰り越すようだが、どうして出来ないのか?」と質問しました。
 荒井主幹は「来年度においてもできる見込みのない業務が当然ある。当面文化庁からの指摘事項に対して対応するが、その部分について繰越したい」としました。

市民3分間演説「木造化より新型コロナ対策を」

 20/2/27に名古屋市議会で市民3分間議会演説が行われました。経済水道委員会では、「観光と災害からみた名古屋城」と「名古屋城木造化について」で市民から発言がありました。
「現在、新型コロナウィルスによる肺炎という災害の真っ最中で、無駄な税金の浪費より、アルコールやマスクがほしい、安心して暮らしていけるのかなどをやってほしい」と結びました。

市議会 実施設計繰越予算を可決

 20/3/3 名古屋市議会経済水道委員会で、名古屋城木造復元事業実施設計繰越補正予算を可決しました。
 共産党以外賛成しました。
市議会では、20/2/28と3