名古屋城 本丸御殿+木造天守閣問題特集

2022年度
第4回名古屋城木造天守基礎構造検討調整会議 議事メモ内容非公開

23/1/10に開催された、名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議(第4回)の議事録等を名古屋市民オンブズマンが情報公開請求したところ、議事メモの中身は全て非公開でした。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230327.pdf

石垣と木造天守をつなぐ「基礎構造」を検討する調整会議は、天守閣部会と石垣部会から選抜された構成員が合同で行っていますが、21/12/25に第3回が開かれて以降まったく不明でした。
名古屋市民オンブズマンは、定期的に調整会議の議事録等を情報公開請求していたところ、23/2/9に請求した際、「23/3/26まで延長」となりました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230222.pdf

23/3/22に開催された名古屋城天守閣部会で、三浦正幸・広島大学名誉教授は「23/1/10に開催した『調整会議』では以前竹中工務店が提案した『はね出し架構』が掲載されていた」と述べましたが、特に議論の内容については述べませんでした。

今年度のすべての部会・全体整備検討会議が終了した23/3/24づけで決定が出ましたが、「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」があるとして、議論の中身ならびに発言者氏名は全て非公開となりました。

一方、配付資料はほとんど公開されました。三浦名誉教授が述べた『はね出し架構』も掲載されていました。
しかしながら、他の例A,例B,例Cについての「近世遺構レベルと基礎構造の関係イメージ」は非公開となりました。

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23/8/22市長定例記者会見で、松雄副市長は、文化庁との協議を2023年3月末までに絶対にまとめ上げると宣言しています。
・令和4年8月22日 市長定例記者会見
 名古屋城天守閣の木造復元について
 (記者)ありがとうございます。今のところ、文化庁との協議というのは順調に進んでるという理解でよろしいんでしょうかね。ちょっと長引いてますけど。
 (市長)
はい。僕はいろいろ、ちょこちょこ聞きますんで、専門委員の方にも。順調に進んでおるというふうな認識で。ええだろ、これ。ええ。この人が言ってはいけませんけど。副市長。
 (松雄副市長)今年度中に絶対にまとめ上げますから。それは文化庁もよく分かってますので。そういうことです。
 (市長)今年度だな。
 (松雄副市長)今年度。
 (市長) 3月までと。
 (松雄副市長)はい。
https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000155676.html
名古屋商工会議所の山本会頭は、22/8/18に名古屋城の天守閣の木造復元について、文化庁との協議の現状とか、改めてきちんと説明することが必要だと求めました。

残念ながら、松雄副市長が宣言した2023年3月末までに文化庁に提出するためにまとめるとした、木造天守基本整備計画(案)はまとまりませんでした。
「3大課題」である、@『石垣保存方針』、A『バリアフリーの方針』B『基礎構造の方針』がまとまらなかったためです。

@『石垣保存方針』は、23/3/17石垣部会終了時間直前に議案を提出し、議論の時間が取れませんでした。中身も問題があると石垣部会委員は述べました。

A『バリアフリーの方針』は、あらためて市民の意見を聴くとのこと。当初は大天守内部の昇降技術の件だけでしたが、23/3/22天守閣部会に、地上-小天守-橋台-大天守地階を結ぶ「鉄骨スロープ」案が示され、天守閣部会委員は「景観上はりっぱとは言えない」と述べています。
河村たかし市長は、23/3/22以前に市当局から説明を受け了承するも、天守閣部会後のマスコミの取材に対し、「初めて聞いた。全然聞いてないけど。鉄骨で作るのはいかん。鉄骨は根本的にいかん」と述べました。

B『基礎構造の方針』は、23/3/22天守閣部会では「示した3例はあくまでも例」と述べるのみ。
「現天守解体後、調査をしてあらためて基礎構造を検討したい」というのが名古屋市の方針です。
しかしながら、調整会議の議論は市民に全く公開されていません。

その他、耐震性、耐火性、二方向避難の問題、さらには天守閣部会委員から指摘された最上階への入場制限の検討、また収支計画も見直すことになります。

名古屋市は、23/3/14名古屋市議会経済水道委員会で、「木造復元は順調にいって2032年度」と初言及しました。
しかしながら、河村市長は23/3/20定例記者会見で「わしも副市長も知らなかった」とし、さらに早期の木造復元を目指すとしています。
https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000162185.html

しかしながら、木造天守基本整備計画(案)が2023年3月末にまとまらなかったため、想定より遅れることは確実です。
各種法令を守り、安全対策をすれば、「江戸時代そのものの木造復元」は不可能です。
「ハイブリッド型木造復元」で一体誰が得をするのか。全ての名古屋市民は、名古屋城木造復元事業の現状を知る必要があります。
それにはまず、基礎構造検討調整会議の全議事録を公開すべきです。

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23/3/24(金) 名古屋城木造復元 河村市長は鉄骨スロープ案を事前に確認・了承していた! 整備基本計画(案)の3大課題は先送り

23/3/24に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第55回)で、名古屋市は、23/3/22河村たかし市長がマスコミに対して語った「鉄骨スロープははじめて聞いた。鉄骨はいかん」発言について、「事前に名古屋市が説明して、市長の了承も得ていた」と述べました。
また、検討会議は木造天守基本整備計画(案)を一応了承しましたが、3大課題(石垣、バリアフリー、基礎構造)は今後検討するとしました。

・23/3/24 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第55回) 配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230324-1.pdf
・23/3/24 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第55回) 配付資料のうち、特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画(案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230324-2.pdf
・23/3/24 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第55回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230324-3.pdf
 
検討会議の議事に入る前、赤羽一郎・元愛知淑徳大学非常勤講師は「事前に自宅に本日の資料として送られてきたが、本日配付された資料と同じか」と確認。
名古屋市は「基礎構造の検討例について文言を追加した。その他も若干変更した」としました。
赤羽氏は「23/3/17石垣部会で、天守台石垣の保存方針(案)が議題としてあげられたが、時間が足りず廃案になった。4月以降あらためて提案するでよいか」と質問し、名古屋市は「令和4年度の調査実績を書き加えたものを3/17に提案したが、取り下げた。今回のは1年前の概要版からの引用」としました。

赤羽氏は「2章はどうか」とし、名古屋市は「昨年12月に全体整備検討会議に提出したもの。3/17石垣部会では議論出来なかった」としました。

赤羽氏は「テレビを見たら、天守閣部会の様子が流れたあと、河村市長は『バリアフリーの鉄骨スロープ案は聞いていない』と語っていた。市のトップと違うことが資料に載っているのはあり得るのか」と質問しました。

上田剛・名古屋城総合事務所所長は「鉄骨スロープ案については、市長にしっかりと図面を示して説明し、ご了解を頂いていた。
天守閣部会後の報道については、市長の公務が激務のため、マスコミから質問された際、失念したのではないか。その後市長に確認したが、『ああ、聞いていたな』と述べていた。」と答えました。

赤羽氏は「上記経緯はテレビでは聞こえてこなかったが」と聞き、上田所長は「市長がその後コメントする機会がなかった。
近々その旨市長から話があると理解している」と述べました。

赤羽氏は「木造天守を推進する市長が『これは違う』と発言するのは違和感を感じた。今後、文化庁に整備基本計画(案)を提出するのは、差し替え戦術をとるのか」と質問しました。
上田所長は「今後、差し替えを前提とした計画作成ではなく、しっかりしたものを作りたい」と述べました。

その後ようやく整備基本計画(案)の議事に入りました。
小濱芳朗・名古屋市立大学名誉教授は「私は構造が専門だ。
建築基準法では、最大層間変形角が木造では1/120以下にしろとなっている。どうして1/60なのか。土壁、筋交いなど最大耐力が元に戻らない。」と述べました。
竹中工務店(と思われる)は「文化庁が出した『重要文化財(建造物)耐震診断指針』では1/60となっており、整備基本計画ではこの値を設定したい。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/hogofukyu/taishin_shishin.html
復元原案時点では予備解析を行い、詳細な解析は、基礎構造が決まってから行う。設定した1/60だけで満足せず、さらに被害を減らすよう努力したい」と述べました。
小濱名誉教授は「本丸御殿は平屋で損傷が出にくい。天守の外壁はしっくり塗りで、開口部も小さく、1/60変形角だと漆喰壁に亀裂が出る。補修も難しい。1/120以下に収めてほしい」と述べました。

小濱名誉教授は「基礎構造の検討は重要だ。功罪を入れることが必要だと思う。1つの提案として、地下1階部分は鋼材を真ん中にいれ、周りを木造にするハイブリッドな部材を使ってはどうか。1時間耐火も可能」と述べました。
名古屋城総合事務所は「今回の例はあくまでも『例』。現天守閣解体後、遺構の残存状況を把握して考える。」としました。

小濱名誉教授は「昇降技術について、1階-2階は使えないか」と質問し、名古屋城総合事務所は「公募の最低水準を書いた。今後市民意見をうかがってどうするかきめる
技術開発の面もあり決める。他の階の設置可能性も否定できないが、現時点ではコメントできない」としました。

オブザーバーの渋谷啓一・文化庁文化財第二主任文化財調査官は「いくつか保留事項はあるものの、8章『復元計画と活用』を作って下さりありがとう。構造計画も今後の調査を踏まえる。最大層間変形角の指摘も踏まえながら、一つのとりまとめができたのではないか。今後ブラッシュアップして最終的な完成に進めていただければ」と述べました。

松雄副市長は「補正予算が成立後、ここまでくるのに7年6ヶ月かかった。それは私たちの理解が足りなかったから。残された課題について、丁寧な議論を重ね、充実したものにしたい。できる限り名古屋市民の総意にしたい。国に出す以上、考えられる最大最高のものを提出したい。」と述べ、局長ともども退席しました。

その後、表二の門附属土塀の雁木の調査、西之丸展示収蔵施設周辺の整備が議事になり、本丸搦手馬出周辺石垣の修復、不明門北土橋石垣根石発掘調査成果、天守台穴蔵石垣背面調査の調査成果が報告されて、今年度の有識者会議はすべて終了しました。

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毎回思うことですが、どうして全体整備検討会議で、各部会での議論の様子が報告されないのか全く理解できません。

参加している有識者は、全体の状況を把握していません。市職員や傍聴者は、各部会の議論を聞いており、非常にもどかしく感じます。
今回、赤羽氏が石垣部会や天守閣部会の議論を報告し、ようやく問題点が共有化されました。

ただ、天守閣部会の「鉄骨スロープ案は景観を損なう」「安全面を考えると、1時間2500人上限の計画は見直し、予約制を検討すべきだ」について、今後も全体整備検討会議で真剣に議論するべきではないかと思います。

河村市長の「バリアフリーの鉄骨スロープ案は聞いていない」発言ですが、公の電波に乗っていますし、インターネットでも閲覧できます。それを「単に忘れていた」では済まされません。
仮に「報告されたのを忘れていた」としても、「鉄骨はいかん」発言は別問題です。
事前に鉄骨スロープ案を報告され、了承されていたという事実があるにも関わらず、マスコミの前で「鉄骨はいかん」と発言するのは、市民・マスコミ・市職員・竹中工務店・文化庁を愚弄するものであり、断じて許せません。

「名古屋城木造復元に関し、河村市長は鉄骨スロープ案を事前に確認・了承していたにも関わらず、テレビの前で『鉄骨スロープははじめて聞いた。鉄骨はいかん』と発言した」という事実を、特に23/4/9名古屋市議選前に広めたいと思います。
テレビの前で「鉄骨はいかん」と発言したのは永久に消えない事実です。
・2023年3月22日(水) 18:31 CBC
 天守閣の周りに「鉄骨製スロープ」設置 名古屋市が「バリアフリー化」に向け提案
 https://newsdig.tbs.co.jp/articles/cbc/391639?display=1
 「初めて聞いた。全然聞いてないけど。鉄骨で作るのはいかん。鉄骨は根本的にいかん」
・2023/03/23 06:17配信 東海テレビ
 河村市長は「初めて聞いた」と反発…名古屋市が木造復元を目指す名古屋城天守閣 “建物外部にスロープ”の案
 https://www.tokai-tv.com/tokainews/article_20230323_26191
 江戸時代の名古屋城の復元にこだわる河村市長も、「初めて聞いた。鉄骨で造るのはいかん。違う建物になってしまう」と反発しています。
 
なお、最大層間変形角1/120について、有識者が指摘し、文化庁調査官も反応したので、今後真剣に検討する必要があると思います。

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名古屋市役所内で「2032年問題」と呼ばれている、名古屋城木造復元が最短で2032年度と市が議会で報告した件について、河村市長は「市長も副市長も聞いていない。もっと早期を目指すべき」と23/3/20定例記者会見で述べています。
https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000162185.html

しかし、本日の全体整備検討会議の議論を聞いていると、とても2032年度に完成するとは思えません。
3大課題(石垣、バリアフリー、基礎構造)も解決する見通しが立たず、これまで木材購入等約70億円かけた税金はどうなるのでしょうか。

19/6/24大村愛知県知事は「文化審議会に当面かかる予定はないと聞いた。当初から木造化は難しい、無理と聞いている。石垣の調査、計画ができていない。名古屋市も本当のことを言ったらどうか。文化庁から許可が下りていない段階で調達した木材94億円と設計費等々で100億円以上が全損になるおそれがある。
市議会には例えば百条委員会をやるなどして事実解明をしっかりやっていただきたい。取材されたマスコミの皆さんは知ってたんじゃないですか。
河村市長の『できなかったら切腹』発言は典型的なパワハラだ。関係者が希望すれば、愛知県が障害者団体も含めて調整することはやぶさかではない」としています。
https://www.pref.aichi.jp/koho/kaiken/2019/06.24.html#2

大村知事の4年前の指摘に真剣に耳を傾ける必要があると思います。

・2015/8/24 河村たかし市長「全責任は私が取る」指示書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
・2019/4/1 河村たかし市長定例記者会見
 「2022年12月末までに木造復元できなければ関係者全員切腹」
 https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000115900.html


23/3/22(水) 名古屋城天守閣部会 「鉄骨スロープ」「基礎構造検討例」記載の木造天守整備基本計画案を了承も、市長は「鉄骨はいかん」

23/3/22(水)に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第28回)で、「地上-小天守-大天守地階の鉄骨スロープ」「基礎構造検討例」などが記載された木造天守整備基本計画(案)を了承しました。
・23/3/22(水)特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第28回)配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230322.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230322-1.pdf

今回、前回提案された「構造計画」「防災・避難計画」「設備計画」「完成後の木造天守の公開」を一部追加・修正し、さらに新たに「バリアフリー」「完成後の維持保全・修繕計画」「復元計画(図面編)」が提案されました。

「地上から小天守を通り、橋台から大天守地階に入る鉄骨スロープ」の図がはじめて示されました。

また、バリアフリー新技術については、「大天守地下1階から1階まで導入する。柱や梁を取り除かずに設置が可能。それ以上は今後検討し、市民意見を伺ったうえで決める。1階は目立つことはないようにする」としました。

さらに、基礎構造検討例が3例示されました。

三浦正幸・広島大学名誉教授は「今回示された基礎構造検討例は『例』であって『案』ではないのか」と質問し、名古屋城総合事務所の荒井主幹は「今回は『例』である。現天守解体後、穴蔵石垣の調査結果を踏まえて、穴蔵石垣の今後や、基礎構造をどうするかを考えたい。今回上げた『例』のなかから選ぶものではない。」と述べました。

三浦名誉教授は「23/1/10に、天守閣部会と石垣部会メンバーで構成する『木造天守基礎構造検討に係る調整会議』には、以前竹中工務店が提案した『はね出し架構』が掲載されていた。今回どうして削除したのか」と質問しました。
荒井主幹は「調整会議では、比較できるように挙げた。名古屋市は『はね出し架構をいったん見直す』と議会で説明した。現天守解体後に基礎構造を検討したい。これを含めてあらためて調査結果を踏まえてゼロスタートで検討したい」と述べました。

三浦名誉教授は「3つしか例があがっていなく、誤解を招く気がする。『調査をしていない限定前提での例』と提案したい」としました。

また、「地上-小天守-大天守地階の鉄骨スロープ」について、川地正数・川地建築設計室主宰は「スロープの絵ははじめて出てきた。これは『例』か『案』か。
愛知県や名古屋市の「人にやさしい街づくりの推進に関する条例」ではスロープが必要とあるが、人的な対応で十分ではないかと勝手に思っている」と述べました。
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/jutakukeikaku/0000043092.html
荒川主幹は「スロープで計画したい」と述べました。

座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「小天守に行くには、スロープの下をくぐるようになっており、景観上はりっぱとは言えない景観にこだわっている名古屋市としては、どうか。現天守にはエレベーターがついているが、景観上は不評で、同じようなことになりやしないか。
スロープ予定のところは屋内より勾配が緩やかで、昇降機を使うとか工夫がいるのではないか。そもそもスロープは鉄骨か?木材か?鉄骨は冷たい。文化財は木造が多い」と述べました。

荒川主幹は「スロープは高さがあるので鉄骨の予定。小天守の階段から北側に飛び出す」としました。

瀬口座長は「今回提案された木造天守整備基本計画(案)はほぼ修正はない。全体を通して基本計画としてまとめた。
23/3/24に開催される全体整備検討会議に報告してよいか」と述べ、了承されました。

資料の説明と質疑を含め、48分間で終了しました。

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22/8/12締め切りだった「名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募」の「公募に関する質問への回答」に、以下記載があります。
https://www.castle-challenge.city.nagoya.jp/challenge/
公募による募集範囲外
橙線:地上から小天守を経由し、大天守地階までの観覧経路(木造天守復元設計・施工者によりバリアフリー対応)

具体的な絵は提案されてきませんでしたが、ルートは上記の通りでした。

現大天守閣の外観について、「東面に外部エレベーターが付いていて不評」という声があるようですが、そんな人が、それよりはるかに目立つ「鉄骨製小天守東面・北面のスロープ」を納得するのでしょうか。

また、基礎構造『例』については2020/9/25 全体整備検討会議で『柱まるけ』の基礎構造の絵が提案されていましたが、それの詳しくしたイメージ図を付けたものと、例C『石垣内RC柱設置』を追加したものです。
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/c6d2631c5012acfd8a78f6f591238969.pdf

今回、名古屋市は『例』ではあるものの、新たな基礎構造を提案してきました。
いずれも鉄骨柱もしくはRC柱を導入するものであり、とても『史実に忠実な復元』とは言えません。
とはいえ、完全な『史実に忠実な復元』では、地震にとても耐えることができないことは明らかです。

石垣部会の千田嘉博・奈良大学教授も23/3/16に以下述べています。
https://twitter.com/yoshi_nara/status/1636277807201542145
城郭国宝1号であったとおりに名古屋城天守を21世紀に立体復元したら、現在の法規に適合せず、誰も内部に入って見学することができません。耐震強度もありません。江戸時代のままに天守を復元することは、そもそも理論的に成り立たないのです。お気持ちは察しますが残念ながら不可能です。
https://twitter.com/yoshi_nara/status/1636285262316834816
もちろん主要躯体を木造で立体復元することは可能です。そこに基礎構造の改変や要所の補強による耐震性確保、防煙区画や二方向避難路など、現行法規に対応したさまざまな改変を、史跡における復元建物としての要件を満たしながら行う必要があります。内部に人が入って見学するためには避けられません。
https://twitter.com/yoshi_nara/status/1636287226723319808
健常者が史跡を訪ねて歴史を体感するための改変は当然のこととして認める一方で、さまざまな特性をもつ人が史跡を訪ねて歴史を体感するための改変は許さないと考えてよいか。私たちの社会はどうあるべきか、史跡の整備はよりよい未来をつくっていく方法のひとつでありたいと願っています。

なお、名古屋市民オンブズマンは、23/2/9に「第4回調整会議の会議録、資料」を情報公開請求しましたが、「23/3/26まで延長」となりました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230222.pdf

今回の天守閣部会では、きちんと議論がなされなかったように思えます。
市民に資料を公開し、「法律を守る。人命が最優先。バリアフリーのありかたについて議論を尽くす」ことが必要ではないでしょうか。

23/3/22 18:31CBCによれば、河村市長は名古屋市が提案した鉄骨スロープについて、「初めて聞いた。全然聞いてないけど。鉄骨で作るのはいかん。鉄骨は根本的にいかん」と述べたとのこと。
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/cbc/391639?display=1

市長と市の齟齬がまたも明らかになりました。

市長が「聞いていない」とする鉄骨スロープ案を、23/3/24全体整備検討会議に示すのでしょうか。

A天守閣整備事業にあわせた保全の方針 がない天守台石垣の保存方針(案)、石垣部会の議論を踏まえていない「2章 石垣等遺構の保存」を提案するのでしょうか。

今後、石垣部会の議論を経て、バリアフリーの市民意見募集を経て仮に木造天守整備基本計画(案)を文化庁に提出しても、「復元」についてもなんらかの「指摘事項」が出る可能性は極めて高いです。

木造復元は「最短で10年」ではなく、さらに時間がかかること、「史実に忠実な復元」は不可能なことを、特に23/4/9投開票の名古屋市議選前に、市民にきちんと説明する必要があります。

市長は「俺は聞いていない」で済む話しではありません。
・2015/8/24 河村たかし市長「全責任は私が取る」指示書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
・2019/4/1 河村たかし市長定例記者会見
 「2022年12月末までに木造復元できなければ関係者全員切腹」
 https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000115900.html

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今後の予定

・23/3/24(金)午後2時 全体整備検討会議(名古屋国際センター)
 https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2022/kankobunkakoryu/0000162256.html


23/3/20(月) 河村市長「『木造復元名古屋城完成が最短であと10年』はわしも副市長も知らなかった」

河村たかし市長は23/3/20定例記者会見で、「某新聞に『木造復元名古屋城完成が最短であと10年かかる』とあったが、わしも副市長も知らなかった」と述べました。
23/3/14名古屋市議会経済水道委員会での天守閣整備担当主幹の発言を市長・副市長が知らなかったというのは市の方針が執行部で一致していないということになり、議会軽視・市民軽視で極めて問題発言です。
しかも、市長は有識者・文化庁に「市民が早く作って欲しいからそれを理解してほしい」と繰り返すだけです。

・23/3/20 河村たかし名古屋市長定例記者会見(名古屋城関係部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230320.pdf
・23/3/14 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230314-1.pdf
 
記者から、「2023年3月末までに、木造天守整備基本計画をまとめると市は公言してきた。その中で特に石垣保全、基礎構造、バリアフリーの3つが大きな課題だったが、石垣部会から『この状況では石垣保存方針は了承できない。さらに議論が必要』と意見がでたことに対しての市長の受け止めは」と質問がありました。

河村市長は「申し訳ないの一言。死ぬ前に木造復元天守にのぼりたいという人が大勢いる。
市民の思いを石垣部会や文化庁は理解してほしい」と繰り返すのみ。

名古屋城の担当者は「石垣保存方針は今後しっかり議論したい。23/3/24全体整備検討会議に諮る資料は、以前に作った石垣保存方針を一旦提出する。」と述べました。

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バリアフリーについて、市と市長の意見が食い違っています。
完成期限についても市と市長の意見が食い違っています。
石垣保存方針は2023年3月末までに間に合いませんでした。

22/3/31 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第48回)に提示された天守台石垣の保存方針(案)は、2段階に分けて考えるとし、
@天守閣整備に関係なく現状、保存考える
A天守閣整備事業にあわせた保全の方針
の@の案を提案しただけです。
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2022/02/20220216_1155.html
Aについては、この1年間全く議論しませんでした。
あとどれくらい議論すれば、Aがまとまるのかは全く分かりません。

23/3/22(水)天守閣部会で、新たな基礎構造が提案されるのでしょうか。
23/3/24(金)全体整備検討会議で、いったいなにを議論するのでしょうか。

この状況であれば、「完成まであと10年」とはとうていいかず、さらに時間がかかるのではないでしょうか。
このことを、河村市長は「正直言って、正直にいわなあかん物事は」という態度で市民や議会に説明するとはとても思えません。

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今後の予定

23/3/22(水)午後2時 天守閣部会(KKRホテル)
https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2022/kankobunkakoryu/0000161891.html

23/3/24(金)午後2時 全体整備検討会議(名古屋国際センター)
https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2022/kankobunkakoryu/0000162256.html

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23/3/17(金) 名古屋市 石垣部会に名古屋城天守台石垣の保存方針(案)を示すも審議時間が取れずいったん廃案 4月以降に議論へ

名古屋市は、23/3/17(金)に開催した特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第55回)で、2022年度中にまとめるとしていた名古屋城天守台石垣の保存方針(案)を示すも、石垣部会から「審議時間が取れなかった、内容も十分ではない」と意見がでたため、いったん廃案にし、2023年4月以降にあらためて議論することにしました。
名古屋市は、23/3/24(金)に開催する全体整備検討会議に、「特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画 第2章 石垣等遺構の保存」部分は2022年12月に全体整備検討会議で議論したものをそのまま出す方針とのことです。

・23/3/17(金)特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第55回)配付資料
 (資料3-1、3-2、3-3はいったん廃案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230317.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230317-1.pdf

名古屋市は、市議会にも市民説明会でも、「2023年3月までに、木造天守整備基本計画をまとめる。『石垣保存方針』『基礎構造の方針』『バリアフリーの方針』もまとめる」と公言してきました。

・22/7/13特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会第24回部会 配布資料
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/3f1fd4c3e39fef4bfb21b36eea469a95.pdf
・令和4(2022)年度開催 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2022/12/20221218_1412.html
 
ようやく23/3/17になって、天守台石垣の保存方針(案)を石垣部会に示すも、当初3番目に位置づけられていた議題の順番が、急遽最後(5番目)に回されました。

議題5(4番目に議論)の天守台穴蔵石垣背面調査の調査成果が報告され、はじめて粒径分布の測定結果が示され、50mm未満の粒径が多数を占める地点もあれば、150mm以上の粒径が多数を占める地点、その中間の地点もあることが判明しました。
宮武正登・佐賀大学教授は「背面の7割方がほぼ土のところがあり、背面の体をなしていない。今回調査していないが、小天守も同様ではないか。
しかも、調査箇所によって差があまりにもある。
構造物の危険度を把握することは無理ではないか。南海トラフなど大きな地震がある可能性があり、手をこまねいてみている時間はないのでは」と指摘しました。
千田嘉博・奈良大学教授は「今回の調査成果は、工事図面とどこも違っていたことが判明し衝撃的だ。本丸は人が通り、本格的な調査をして対策が必要だ。
鉄筋天守そのものの耐震性に問題があっただけでなく、穴蔵石垣背面調査で、栗石であるべきものが土であったことが判明した。より詳細な調査と対策が必要だ」としました。

名古屋城総合事務所は「背面がここまでひどいことが数字で判明した。名古屋市としては、穴蔵石垣をどうしていくか、現天守がある状態での調査は限界がある。
現天守を解体後、しっかり調査・把握した上で本来の姿に戻したい。
解体したらどう影響があるのか、どう調査するかは、あらためて石垣部会に諮りたい」と述べました。

赤羽一郎・元愛知淑徳大学非常勤講師は「表層を調査しただけに留まり、天守台そのものまで言えるのか。また、このデータをもって、木造天守云々は全くなりたたない。現天守はケーソンの上に載っており、まったくこのデータと関係がない」としました。

宮武教授は「木造天守の議論はしていない。木造であろうと、鉄筋であろうと、全て取っ払い天守台石垣だけになろうと、今の内面石垣は極めて不安定で、極めて危ない。穴蔵石垣は持たない」と述べました。

千田教授は「今回の調査で、今後どう活用しようとも、穴蔵石垣に人を入れるのは事実上できないことが見えてきた。広い範囲を調査しないと活用は難しい」としました。

宮武教授は「熊本城穴蔵石垣の方が、名古屋城穴蔵石垣より遙かにマシだが、地震後どうなったか見ている。人がいたら絶対助からない。数百キロの石が飛んでくる。木造であろうと鉄筋であろうと関係がない。どうするか、物理的に重機いれるか。手順すら見えていない」と述べました。

千田教授は「内面穴蔵石垣の状況は懸念されるが、『外面石垣も不安定』とは違う」と念を押されました。

この時点で15時54分と、終了予定時刻の16時ギリギリになり、駆け足で資料3−1、3−2、3−3を名古屋市が説明した時点で16時02分と、終了予定時刻を過ぎました。
・資料3−1「天守台周辺石垣の保存方針について」
・資料3−2「天守台石垣の保存方針(案)」
・資料3−3「特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画 第2章 石垣等遺構の保存」

座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「資料3については内容に入れていない」とし、どう扱うかとしましたが、名古屋城調査研究センターの村木誠副所長は「石垣部会に提出した資料として、23/3/24の全体整備検討会議に出したい」と述べました。

宮武教授は「議論することが多いし、資料が整理できていない。組み立てから議論すべき。まだまだ時間がかかる」と述べました。

赤羽氏は「熊本のことが反映されていない。熊本を教訓にすべき」と述べました。

千田教授は「事実関係の位置づけが、石垣部会の認識とかなり違う。一度文化庁に出せば『名古屋市の見解』となる。
過去、『部会では承知していないが、名古屋市としては文化庁に出す』とした恐ろしい歴史がある。それは良い方向には行かないと思う」と述べ、北垣座長も同意しました。

宮武教授は「これが一人歩きするのが怖い。これが文書として残ると、当該石垣の補修は見直すことにならず、後々の影響がある」と述べました。

鈴木整備室長は「3分だけ事務局で相談する時間が欲しい」として暫時休憩に入り、11分後に「石垣保存方針は全く十分な段階ではなく、石垣部会でご議論いただきまとめないといけないと認識している。
一方、1年前に文化庁にお許し頂いた途中経過のものはある。
・特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議第48回会議(令和4(2022)年3月31日)
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2022/02/20220216_1155.html
4月以降に早急に皆様に諮って議論し、まとめたい。
23/3/24全体整備検討会議には、1年前の資料をそのまま出したい。
また、木造天守整備基本計画の2章石垣部分については、昨年12月に全体会議に示したものをそのまま示したい。」
・特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 第53回会議(令和4(2022)年12月9日)
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2022/05/20220523_1352.html
としました。

上田剛・名古屋城総合事務所長は「今回配付した資料のうち、3−1、3−2、3−3は一旦廃案にしてやり直す。
天守台石垣の保存方針(案)は昨年度のバージョン1の段階。本日バージョン2にいきたかったができなかった」と明言しました。

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調べたところ、第50回石垣・埋蔵文化財部会部会(令和4(2022)年7月15日)で特別史跡名古屋城跡石垣の保存方針について議論されていましたが、「天守台石垣の保存方針(案)」は議論されませんでした。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2022/05/20220523_1352.html

木造天守整備基本計画の第2章については、第24回天守閣部会(令和4(2022)年7月13日)で議論されました。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2022/05/20220523_1352.html

石垣部会では、この1年、まったく「天守台周辺石垣の保存方針について」「天守台石垣の保存方針(案)」「木造天守整備基本計画 第2章 石垣等遺構の保存」が議題になっていませんでした。理由は不明です。

名古屋市民オンブズマンは、これまでの石垣部会傍聴後、「今回も天守台石垣の保存方針は議論しなかった」と繰り返してきました。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm
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2023年3月までに名古屋市がまとめるとしていたものの現状は以下です。
・木造天守整備基本計画→2章 石垣等遺構の保存 は石垣部会で議論せず
・石垣保存方針→石垣部会で議論せず廃案
・バリアフリー→2022年12月に新技術公募結果公表 日弁連から「憲法等違反」
・基礎構造→23/3/24 全体整備検討会議で示す?

「2023年3月末までにとりまとめありき」で強引に進めてきた名古屋城木造復元事業。
有識者会議の十分な議論はなされませんでした。
それだけではなく、現在の穴蔵石垣背面状況は極めて悪く、「人を入れることは事実上できない」のも事実です。

今後どうするのか、じっくり落ち着いて議論する必要があるのではないでしょうか。

なお、今後の有識者会議の予定は以下です。
23/3/22(水)天守閣部会では、バリアフリー、完成後の維持保全・修繕計画、復元計画が議論される予定です。

23/3/22(水)午後2時 天守閣部会(KKRホテル)
https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2022/kankobunkakoryu/0000161891.html

23/3/24(金)午後2時 全体整備検討会議(名古屋国際センター)
https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2022/kankobunkakoryu/0000162256.html

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23/3/14(火)名古屋市 名古屋城木造復元は「順調にいって2032年度」と初言及

23/3/14 名古屋市議会経済水道委員会で、名古屋市は名古屋城木造復元について「順調にいって2032年度」と初言及しました。

23/3/14 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230314-1.pdf

渡辺義郎市議(自民)は「2023年3月末までに基本計画書をまとめるということだが、順調にいっていつ木造復元出来る予定か」と質問しました。

名古屋市の荒川・天守閣整備担当主幹は「2023年度には文化庁の復元検討委員会で議論いただこうと考えている。
概ね2年とか2年半かかると感じている。
その後現状変更許可で、その後木造天守の完成には6年半ぐらいかかると思う。
なので、2023年度からスタートしたとして約9年かかる。ある程度順調にいくと2032年度。」と述べました。

一方、折戸観光文化交流局長は「現天守の解体と木造復元を一体とした現状変更許可については、時期は申し訳ありませんが明確には申し上げられない状況にある」と述べるも、「道筋がはっきりと見えてきたと認識している」としました。

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20/6/12特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第22回)では、復元検討委員会は2年半(8回)としています。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200612.pdf
しかし、名古屋城の担当者は「復元検討委員会の回数について、文化庁から言われたわけではない」と述べています。

17/3/30第23回検討会議では、平澤毅・文化庁文化財部記念物課文化財調査官は「必要なら10回でも20回でも審議する」と述べています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170330-2.pdf

また、文化庁文化審議会文化財分科会で、また「指摘事項」がでれば、さらに名古屋市は回答をする必要があります。
前回は「解体申請」に対して指摘事項が出たので、「復元」についてもなんらかの「指摘事項」が出る可能性は極めて高いです。
・2021年5月 名古屋市 「現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答」
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/5aefdcef999649c77581210cd69b0bbd.pdf
・21/6/18 文化庁文化審議会文化財分科会の所見(要旨)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210709.pdf

なお、22/7/13特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会第24回部会での『整備スケジュール』では、着工から6年半で完成としています。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/3f1fd4c3e39fef4bfb21b36eea469a95.pdf

バリアフリーの新技術については、日弁連から「最上階までの大型エレベーターを付けなければ憲法等違反で人権侵害」と要望が出ています。
https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html
・日弁連人権擁護委員会ニュース「人権を守る」95号 2023年3月1日発行 
 バリアフリー新法に準拠したエレベーターを最上階まで! 〜名古屋城天守閣再建に関して名古屋市に要望〜
 https://nichibenren.or.jp/activity/human/human_rights/wadai.html

一方、穴蔵石垣の地下の根石付近には、江戸時代の遺構が残っており、現天守閣を解体後に調査したうえでそれを壊さないような基礎構造を検討するとしています。
また、穴蔵石垣背面は現天守閣工事の際の土砂や廃材などで埋められており、現天守閣を解体して調査してから安全対策を検討する」としています。
これらにどの程度の年月がかかるかはわかりません。

仮に文化庁が現状変更許可を出し、工事も終了したとしても、23/2/17に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第27回)で座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授が述べたように、「名古屋市は現在木造復元天守に1時間2500人を上限と計画しているが、多いかもしれない。安全に見てもらえるためには、来た人をすべて入れるのはやめた方がいい」というのを採用すると、来場者だけで建設費・維持費等をまかなうのは事実上不可能となります。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230217-1.pdf

竹中工務店が2016年3月に優秀交渉権者に選ばれてから早くも7年が経ちました。
今後「早くても9年かかる」と名古屋市は認めました。
「全責任は私が取る」「2022年12月末までに木造復元できなければ関係者全員切腹」と発言した河村たかし名古屋市長。
いつ着工するかわからない木造名古屋城復元事業に、すでに経費として2016年度〜2021年度に73億688万8764円支出しており、さらに毎年1億円ずつ木材保管費用をかけています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230121-1.pdf

・2015/8/24 河村たかし市長「全責任は私が取る」指示書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
・2019/4/1 河村たかし市長定例記者会見
 「2022年12月末までに木造復元できなければ関係者全員切腹」
 https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000115900.html

これまで名古屋市の甘すぎる予測はことごとく外れてきました。
いつまで名古屋市民は、名古屋市の「いつか名古屋城を木造復元出来る」につきあわされるのでしょうか。


建築士が名古屋城木造天守整備基本計画をチェック ○印は7.8%のみ

建築士の渡邉正之氏が、23/2/17に行われた特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第27回)で配布された「特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画(案)を読み解き、内容をチェックしたところ、○印は102項目中8項目のみ(7.8%)にしかすぎず、ほかは不適切及び史実忠実に逸脱するとしました。
渡邉氏の承諾を得て資料を公開します。
・2023/3/2 建築士・渡邉正之
 特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画(案)内容チェック表
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230304.pdf

・23/2/17 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第27回)配布資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230217.pdf

23/2/17に示された整備基本計画(案)では、復元計画のDバリアフリー、E完成後の維持保全・修繕計画と、復元計画(図面)は次回以降となったものの、復元計画@建築計画、A構造計画、B防災・避難計画、C設備計画 と、公開活用@完成後の木造天守の公開、A施工時等の公開 についてははじめて示されました。

それらについて渡邉氏がチェックしたところ、8項目以外は不適切及び史実忠実に逸脱するとしました。
詳細は資料をお読み下さい。
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専門家である建築士から、これほどまでに「不適切」「史実忠実に逸脱」とされて、本当に文化庁の復元検討委員会が復元許可するのでしょうか。
また、名古屋市建築審査会の許可は出るのでしょうか。
基礎構造やバリアフリーが決まっていない現在、一般財団法人日本建築センターの評定や、一般財団法人日本消防設備安全センター消防設備システム評価委員会の評定は再度取る必要はないのでしょうか。

今後バリアフリーについて復元計画(案)が2023年3月中に提案される見込みですが、日弁連から「最上階までの大型エレベーターでなければ、憲法等違反で人権侵害」と言われている中、「愛知県障害者差別解消推進条例」等に反するとして、愛知県から必要な措置を講ずべきことを勧告されないのでしょうか。
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/shogai/sabetsu-jourei.html
https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html

「不適切」で「史実忠実に逸脱」する名古屋城木造復元事業。
イメージだけでは事業を進めることはできません。


23/3/10(金) 名古屋城木造復元 名古屋市「穴蔵石垣背面は現天守閣工事の際の土砂や廃材などで埋められている」

23/3/10に開催された名古屋市議会経済水道委員会で、名古屋市は「穴蔵石垣背面は現天守閣工事の際の土砂や廃材などで埋められており、現天守閣を解体して調査してから安全対策を検討する」と述べました。
・23/3/10 名古屋市議会経済水道委員会説明資料
 観光文化交流局
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230310.pdf
・23/3/10 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城関係分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230310-1.pdf
 
現在、名古屋城木造復元については、基本設計を終えたと主張し、実施設計を行っていますが、穴蔵石垣と木造部分の接点である基礎構造については、遺構を壊す「はね出し架構」に代わる新たな基礎構造を提案できていません。

江上博之市議(共産・中川区)は「穴蔵石垣の調査のために、もうこれ以上中に入ることができないのでは」と質問しました。名古屋城調査研究センター村木副所長は「根石付近では旧遺構が残っていることを確認している。具体的にどこまでが壊れているか把握できていない。」としました。

江上市議は、「実施設計は壊れている石垣の部分が明確じゃないと本来の実施設計はできないのではないか」と質問しました。
天守閣整備担当の荒井主幹は、「穴蔵石垣根石付近の調査ができないと、設計図面等がかけないことは当然あると思う。ただそれ以外の部分は必要なので、実施設計が必要。また、基礎構造の設計は、現天守解体後の調査を踏まえて行う必要がある。」と述べました。

浅井正仁市議(自民・中川区)は、石垣保全対策の内容を質問し、荒井主幹は「2023年度に設計、2024年度-2025年度に工事を実施し、現天守解体木造復元を一体とした現状変更許可に向けた復元検討委員会で議論がされている期間に工事を行いたい」と述べました。

浅井市議は穴蔵石垣の安全対策について質問し、村木副所長は「栗石などがしっかり組み込まれておらず、現天守閣工事の際の土砂や廃材などで埋められている。戦後に積み直された天守台の穴蔵石垣は、本来の構造や安定性を持っていないので、このままでは地震の際の安全性が担保できない可能性がある。現天守解体後の調査を踏まえて、安全対策を検討する必要がある。」と述べました。
 
浅井市議は、「コンクリートを解体しなければ中の状態は分からない。本当にもし穴蔵を積み上げるとなると、またわかんない年月かかる。しかしこれが文化財行政だと思っているので、しっかりと取り組んでいただきたい」としました。

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とんでもない施工不良が発覚した、名古屋城現天守閣。
22/11/18石垣部会でも問題になっていました。

第52回部会(令和4(2022)年11月18日)
配布資料 
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/7b070230c105ab84fbb1a1f030bfe302.pdf
議事録
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/e9ea97fa5e2c3a823f8a1108d0167ef6.pdf
 
天守閣部会委員から、「入場者の安全性を確保するために、最上階への入場制限を検討してはどうか」と言われています。
また、日弁連からは「最上階までの大型エレベーターがつかなければ憲法等違反で人権侵害」と言われています。

本当にこのまま木造復元に突き進むために現天守閣を解体するのがいいのか、現天守を残す方針にして、いかに穴蔵石垣を修復するかを考えるのがいいのか、今一度冷静に考えるべきではないでしょうか。


23/3/8(水) 名古屋市議 「木造名古屋城が赤字で年間10億円以上税金投入でも、二之丸庭園・東南隅櫓・多聞櫓を復元するのか」

23/3/8名古屋市議会経済水道委員会で、江上博之市議(共産)から「木造名古屋城が赤字で年間10億円以上税金投入でも、二之丸庭園・東南隅櫓・多聞櫓を復元するのか」と質問があり、上田剛名古屋城総合事務所長は「木造復元に引き続いて、可能な限りこうした名古屋城全体の整備についても取り組みを進めていきたい」と述べるに留まりました。

・23/3/8 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城関係)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230308.pdf
 
江上市議は「二の丸庭園だけじゃなくて、第2期の金シャチ横丁の問題、博物館とか、芝居小屋風の多目的施設の建設費だって大きな支障があると思う」と述べ、木造復元を中止すべきと述べました。

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1873年に廃城令が公布された後、各地の多くの城郭建造物は競売に掛けられ、民間に払い下げられ、特に天守閣や櫓などの巨大な建造物は移築や維持に莫大な費用がかかるため、安価で売却されたといいます。

名古屋城は永久保存方針を決定しましたが、保存修理の費用や人員の負担が重くなったことから、1893年に陸軍省から宮内省に移管しました。その直前の1891年に発生した濃尾地震のため、本丸多聞櫓や西之丸の榎多門は大破し、石垣も崩壊。修復は陸軍省が費用を負担したものの、本丸多聞櫓は撤去され、それ以降復元されていません。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/learn/history/kindai/

今後仮に名古屋城木造天守ができた場合で、大赤字になった場合は、保存修理の費用などがかさんで名古屋城の他建物の復元に悪影響が出るどころか、木造天守自体の存続さえ疑問視する風潮も出かねないと危惧します。

江上市議が主張する「年間10億円の赤字」の根拠は不明ですが、仮に年間10億円の赤字が50年間続けば500億円。200年続けば2000億円の赤字となります。
それだけ赤字ということは観光客数も少なく、将来の名古屋市民が木造名古屋城の存続を疑問視してもおかしくは無いのではないかと思います。

三菱UFJリサーチアンドコンサルティング(株)名古屋が2018年6月に発表した収支計画では、2017年度〜2071年度の55年間の収支予測は基本で▲15億円。低位で▲65億円。高位でも45億円の黒字です。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180627zenbun.pdf

これはコロナ禍前の試算なので、国内旅行者・外国人入場者の減少、インフレによる資材費・人件費の高騰、木材保存経費の増大、工期延長による事業費増大については一切触れられていません。

23/2/17に開かれた特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第27回)で、座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「安全確保するなら、1時間2500人でも多いかもしれない」と述べ、年間360万人の前提を覆すような発言をしました。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#230217

しかしながら、名古屋市は「竣工時期が定まってから収支計画を策定する」と述べるのみ。

市にとって都合の悪いことは全て先延ばしにしてきた名古屋城木造復元事業。
今回の議会でどの程度議員が追及できるのでしょうか。


23/3/7(火) 名古屋城木造天守バリアフリー 松雄副市長「1階への昇降は確保したい。今一度市民意見を聴取する機会を設ける」

名古屋城木造天守バリアフリーに関し、23/3/7名古屋市議会本会議で松雄副市長は「公募の最低要求水準である大天守1階への昇降は確保したいと考える。その上でより上層階へのバリアフリー対応が可能か検討する。今一度、市民意見を聴取する機会を設けて市民のご意見を伺い、最終的には市長の判断を仰ぎたい」と述べました。

・23/3/7(火)名古屋市議会本会議(名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230307.pdf
 
松雄副市長は「石垣の保存、基礎構造の検討に関し、天守台内部石垣の積み直し、現代工法の付加も視野に入れた石垣の修復整備を検討する必要がある。
基本計画には基礎構造の検討例をいくつか記載するにとどめ、現天守閣解体後に詳細な調査を実施した後に検討する。」と述べました。
またバリアフリーについては「国において具体的な方針までは示されておらず、本市で判断するものとなっている。
地上から小天守を経て、大天守地階まではスロープを設置の上、公募の最低要求水準である大天守1階への昇降は確保したい。
その上でより上層階へのバリアフリー対応が可能か検討する。
大変難しい問題なので、木造復元のバリアフリー化に関して、今一度、市民意見を聴取する機会を設けたい。」と述べました。

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河村たかし市長は、23/3/6市議会本会議で、バリアフリーについて「1階までか2階以上か」明言しませんでした。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#230306

松雄副市長は23/3/7に「公募の最低要求水準である大天守1階への昇降は確保したい」と述べましたが、斎藤まこと市議が23/3/6に質問した
「日弁連からもエレベーターを設置するよう要望がある」には回答しませんでした。

また、「『今一度』市民意見を聴取する機会を設けたい。」と松雄副市長は述べましたが、これまで市民意見を聴取する機会はあったのでしょうか。

これまで、名古屋城木造天守バリアフリーについては、河村市長と名古屋市当局との間で意見の齟齬がありました。今回の市議会でも、意見の齟齬が解消されたとは到底言えません。


23/3/6(月) 名古屋城木造天守バリアフリー 河村市長は「1階までか2階以上か」明言せず

23/3/6名古屋市議会本会議で、斎藤まこと市議から「名古屋城木造復元天守にエレベーターは1階までか2階以上か、もしくはエレベーターは難しいのかどうか」と聞かれた河村たかし市長は明言しませんでした。
・23/3/6(月)名古屋市議会本会議(名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230306.pdf

斎藤まこと市議は政令市初の車いす議員。
今回最初で最後の市議会本会議での名古屋城木造天守のエレベーターに関する質問でした。
斎藤市議は「日弁連からもエレベーターを設置するよう要望がある」としました。
・2022年10月24日 日弁連
 名古屋城天守閣にエレベーターの設置を求める人権救済申立事件(要望)
 名古屋市長宛て要望
 https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html

河村市長は「日弁連からヒアリングも何もなかった。11人乗り相当のエレベーターだと柱や梁を取り除く必要があり、木造では無理で鉄骨で補強しないといけず、合理的配慮とはいえない。
日弁連はめちゃくちゃな話。名古屋城は図面が残ってて200年後には国宝にしよう」と述べるのみ。

斎藤市議が「エレベーターは1階までか2階以上か」と再度聞くも、「鉄骨はいかん」と述べるのみ。
斎藤市議は「木造化しても国宝にはならないと思う。スプリンクラーや照明、扇風機もある。エレベーターを設置し、バリアフリーをぜひやってほしい」と述べました。

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事実をまず確認しますが、日弁連は20/1/10に名古屋市長あてに文書で照会をかけ、20/3/31に名古屋市長河村たかし名で日弁連あてに文書で回答をしています。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/220916.pdf

それを「日弁連からヒアリングも何もなかった」というのは事実をねじ曲げるどころか、自分の名前で提出した文書に全く責任を持っておらず、行政のトップとして失格と言わざるをえません。

しかも、日弁連の要望では、「柱や梁を取り除け」と明言しているわけではなく、「あえてエレベーターを設置しないのは憲法13条及び14条1項、障害者の権利に関する条約5条1項及び2項、障害者基本法や障害を利用とする差別の解消の推進に関する法律等に違反する」と述べています。

また、日弁連は「歴史的建造物の復元であるとしても、エレベーターを設置することができないということにはならないから、『史実に忠実に従った天守閣の再建』というだけでエレベーターの設置を拒絶することに合理性は認め難いというべき」と述べています。

名古屋市は今後どうするつもりなのでしょうか。

23/3/3(金) 名古屋市 名古屋城木造復元後の収支計画は「新たな完成期限を定めてから作成し公開」

名古屋市は、23/3/3名古屋市議会本会議で、名古屋城木造復元後の収支計画は「新たな完成期限を定めてから作成し公開」と述べました。
・23/3/3 名古屋市議会本会議(名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230303.pdf

江上博之市議(共産)は、「建設費は500億円以上、維持管理費含めて50年間で1000億円の費用が必要」とし、入城料収入だけでまかなうなら、毎年25億円以上必要、年間360万人が50年間続くと以前試算されたとしました。
一方、コロナ禍で入場客が激減し、このままだと毎年度10億円以上の税金投入もあり得ると質問しました。
折戸観光文化交流局長は「木造天守だけではなく、二之丸庭園等もプロモーションし、税金ではなく入城料収入によって財源をまかなっていく方針。新たな収支計画については、来年度以降、文化庁において復元検討委員会が開始され、新たな完成期限を定めることができる段階となったら、その完成期限に基づく収支計画を作成し、市民の皆様にお示しする」としました。

河村たかし名古屋市長は「図面が完璧に残っている。200年くらいで国宝にした方がいいと思う。もう一回国宝にする任務があると思わないか」と述べました。

江上市議は「だからといって木造天守復元の道ではない」と述べました。

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市の答弁自体は特段以前と変わっていません。江上市議の質問も以前と変わっていません。

江上市議は、どうして23/2/17に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第27回)で、座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授が発言した、「名古屋市は現在木造復元天守に1時間2500人を上限と計画しているが、多いかもしれない。安全に見てもらえるためには、来た人をすべて入れるのはやめた方がいい」と述べ、予約制を提案したことについて触れないのか分かりません。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#230217

文化庁は、復元が可能かどうか、史実に忠実に復元されているかを審査するだけで、赤字になるかどうかを審査するわけではありません。
現時点でも、名古屋市は国や愛知県に対して木造復元についての補助を求めているわけではありません。

観光文化交流局長が発言した、「文化庁において復元検討委員会が開始され、新たな完成期限を定めることができる段階」がいつになるのかわかりませんが、それまでずるずると税金を使い続けるのが果たしていいのか。
重要な問題をすべて先延ばししてきた名古屋市のツケは最終的には市民が支払います。


23/2/17(金) 名古屋城木造復元 天守閣部会座長「安全確保するなら、1時間2500人でも多いかもしれない」

23/2/17に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第27回)が開催され、座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「名古屋市は現在木造復元天守に1時間2500人を上限と計画しているが、多いかもしれない。安全に見てもらえるためには、来た人をすべて入れるのはやめた方がいい」と述べ、予約制を提案しました。
名古屋市が入城料収入だけで木造復元を行うため、収支見込みで前提としていた、年間360万人(土日2万人、平日6千人と想定)が崩れる可能性があります。
バリアフリーや基礎構造については次回以降に提案するとのこと。
・23/2/17 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第27回)配布資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230217.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230217-1.pdf

今回も、写真・録音・録画は禁止されました。
文化庁は今回はオブザーバーとして参加しませんでした。

名古屋市は、2023年3月末までに「木造天守整備基本計画」をまとめるとしています。 
名古屋市は、前回分科会までに江戸時代の様子を「復元原案」として検討してきました。
今回、ようやく「復元案」が提案されましたが、バリアフリーや基礎構造の具体的方法については次回以降に提案するとのこと。
ただ、基礎構造の検討の基本的な考え方を示しました。
 ・文化庁が定める基準を順守
 ・天守台本来の遺構には新たに手を加えないことを原則
 ・人命安全確保を第一

3階から4階には史実にはない階段を1こ付加し、5階から4階への救助袋を設置するとのこと。

復元計画の中の、防災・避難計画の項目で、「適切な在館者数の管理」があり、大天守の最大同時在館人数を2500人を上限としました。
また、4階から5階には階段が1つしかないため、「係員による厳格な入場制限を行い避難可能人数を超えないようにする」としました。

川地正数・川地建築設計室主宰は「名古屋市は1時間2500人を上限とし、5つの対策をすることで非常時に安全に避難できるとしたが、根拠を確認したい。
かつて名古屋市はオープン時に366万人来館するとし、休日2万人を8時間開館時間で均等にならしたが、市の予測では竣工事400万人を超えるとした。
休日2万人は相当超えると思う。
竹中工務店も加わって行った調査結果では、1日のうち均等に来るわけではなく、3時-4時に集中している。
高齢化も進み、障がい者・車いす以上に高齢者の階段の上り下りが大変。
1時間2500人に抑えても、階段周辺の混乱は予測される。人的管理ではなくデジタル技術で対応しないと大変なことになる」としました。

荒川主幹は「高齢者のシミュレーションをしている。1時間2500人は難しいオペレーションだが、避難が可能と考える」と述べました。

瀬口座長は「1970年大阪万博の時代とは変わり、近年の観光地では予約制をとっている。来た人を全部入れるのではなく、予約した人だけを入れるようにしてはどうか。
1時間2500人でも多いかもしれない。
安全に見てもらえるためには、来た人をすべて入れるのはやめた方がいい」と述べました。

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現存している木造3階建ての名古屋城西南隅櫓は、消防法の規程に基づき、最上階に同時に滞在できるのは9名のみです。
19/1/22木造復元市民向け説明会で、竹中工務店は「最上階にはおおむね100人程度で先生方と話をしている」としました。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2020/02/20200204_950.html

今回の資料には、各階毎の具体的な人数はありませんでした。

木造復元天守来館者はすべて最上階にのぼる、と仮定した場合、最上階のキャパで来館者数が決まります。
過去資料では、具体的な各階ごとの数字が出ていました。
今回どうして名古屋市は具体的な数字を出さないのか、理解に苦しみます。
「1時間2500人は難しいオペレーションだが、避難が可能と考える」というのであれば、それなりの根拠が必要ではないでしょうか。

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なお、名古屋城総合事務所に確認したところ、川地委員が述べた、時間ごとの来城者数調査結果は把握していないとのこと。
本丸御殿の入場者数もカウントしていないが、だいたい有料入場者数の3-6割程度とのこと。
本丸御殿の個人入場制限は下駄箱(300)の数がいっぱいだと入れない(団体客は別)とのことでした(湯殿書院は別)。

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参考までに、世界遺産であるイタリアのピサの斜塔の入場料は18ユーロ。
1グループ40人ごとに予約をとり、係員の案内で約30分の見学となります(1時間80人)。
ピサの斜塔の観光に来る人の多くは、斜塔内に入れません。

木造復元名古屋城も、ピサの斜塔と同様、多くの人は外から眺めるしかないのでしょうか。


23/2/10(金) 名古屋市 令和5年度当初予算案に名古屋城木造復元バリアフリー技術開発等約2億円計上

名古屋市は、23/2/10に令和5年度当初予算案を発表し、名古屋城木造復元関係では、実施設計1500万、設計監理等支援業務委託1000万、木材製材9998.5万、石垣保存対策5870万、木造天守閣昇降技術開発1584万、合計1億9952.5万円を計上しました。
https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-20-1-1-2-0-0-0.html

23/1/10に発表した「財政局査定内容の公開」では、「市長査定で対応を検討」とされていました。
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000159790.html

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河村たかし名古屋市長は22/12/5に「昇降技術の設置は、1階もしくは2階までとし、3階以上は設置しない、これが合理的配慮」と発言しました。
https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000158911.html

一方、23/1/10のTwitterでは「エレベーターヤメテチョウ」と述べています。
https://twitter.com/kawamura758/status/1612801372847755264

にもかかわらず、「大天守地階又は地上から可能な限り上層階まで昇降できる技術」を開発する予算を市長査定でつけるのは、全く理解できません。
https://www.castle-challenge.city.nagoya.jp/challenge/
河村市長は「3枚舌」と言われても仕方が無いのではないでしょうか。
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なお、23/2/17(金)午後2時から午後4時まで、KKRホテル名古屋 芙蓉の間で第27回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会が開催され、バリアフリーを含む木造天守整備基本計画についてが議論されます。ぜひ傍聴ください。
https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2022/kankobunkakoryu/0000160821.html
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>23/2/10(金) 名古屋城石垣部会 石垣保存方針、穴蔵石垣や鵜の首石垣など議論せず

名古屋市は23/2/10(金)に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会(第54回)を開催しましたが、木造天守復元に関係する穴蔵石垣や鵜の首石垣などは議論しませんでした。
オブザーバーの文化庁は今回も参加しませんでした。
・23/2/10 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第54回) 配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230210.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230210-1.pdf
 
今回も、録画・撮影は禁止されました。

議題は本丸搦手馬出周辺石垣の修復(敷金)と、表二の門附属土塀の雁木の調査についてでした。

石垣修復の際に下に敷く敷金について、名古屋市は突然「今年度中に1石2石元の場所に入れたいので、敷金をまとめて発注したい」と言い出しました。
しかしながら、敷金がどこにどう置かれていたかかのデータは名古屋市は取っていないとのこと。
石垣部会構成員は、「敷金の本当の目的と機能の検証は進んでいない。まずはデータを確認する必要がある」としました。

また、表二の門附属土塀の雁木について、千田嘉博・奈良大学教授は「そもそも表二の門を修理する前提があり、過去に撤去されたであろう雁木を調査し、復元可能か検討している。また、土塁も確認している。名古屋城が過去どうだったかを確認しているという調査のセオリーをわきまえて欲しい」と述べました。

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名古屋城の各種有識者会議を傍聴していて毎回思うのですが、この会議はどんな項目を議論しているのか、今回の位置づけはなにか、いつまでに何をしないといけないのかが全く分かりません。
また、全体会議と部会の関係、位置づけも分かりませんし、それぞれがどんな議論をしたのかの報告もありません。

名古屋城総合事務所は、2023年3月末までに、@石垣保存方針、A基礎構造の方針、B解体と復元を一体とした全体計画を策定しようとしています。
石垣部会は今後何を決めないといけないのか。あと1月半しかありませんが、まったく不明です。

たまたま、石垣部会が終了した23/2/10(金)12時に、令和5年度当初予算がネット公開されました。
https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-20-1-1-2-0-0-0.html
石垣保存対策に5870万円予算案が計上されていますが、それに関して何も議論がありませんでした。
いったいどうなるのでしょうか。
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名古屋城木造復元市民向け説明会 1回のみにした理由不存在

名古屋市は名古屋城木造復元市民向け説明会を2018年以降、年に3回〜8回行ってきましたが、今年は23/1/21(土)1回のみ行いました。
名古屋市民オンブズマンは「1回のみにした理由がわかる文書」を情報公開請求しましたが、不存在でした。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230206-2.pdf


河村たかし名古屋市長は、23/1/23に行った定例記者会見で、今年度は1回のみだったことに対し、「わざわざ少なくした認識はない」と述べましたが、少なくした理由は述べませんでした。
https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000160435.html

THE PAGE によれば、名古屋城総合事務所は「今回は会場での質疑応答の様子を後日オンライン配信するため、1回の開催でいいと判断したという」とのこと。

・23/1/23(月) 16:09配信 THE PAGE
 名古屋城説明会「木造反対はゼロ」も開催は1度きり 河村市長が会見
 https://news.yahoo.co.jp/articles/2d05edbf492f2e4c5bb26d15006b6cd222bdee6a?source=rss
 
23/2/8現在、会場での質疑応答のオンライン配信は見つけることができませんでした。
https://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000158537.html

上記サイトで、23/2/17までアンケートを実施しているとのこと。

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質疑応答のオンライン配信と、説明会の回数は特に関係がありません。
名古屋市はきちんと市民の疑問に向き合わなければ、「名古屋のシンボル」になるわけがありません。


名古屋城木造復元「200-300年後に国宝になる」文化庁偉い様発言根拠 不存在

河村たかし名古屋市長が23/1/23定例記者会見で発言した「まあ、文化庁の偉い様も、まあ、200年から300年で国宝にもう一回すると、名古屋城。自信をもって復元ということでやってくださいよと言ってましたよ、僕に。」の根拠が分かる会議記録、メモ、配付資料を名古屋市民オンブズマンが情報公開請求したところ不存在決定が出ました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230206-1.pdf
・令和5年1月23日 市長定例記者会見
 https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000160435.html
 
また、河村話法「名前を決して明かさない誰かが、自分に都合のよいことを言った」です。

唯一、名古屋市民オンブズマンによる情報公開訴訟で、河村市長が文化庁に対して発言した『これだけ資料が豊富な復元は世界に例がない。世界にアピールすることが必要だ』と発言したのが踊りの家元であったことがわかりました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200203-1.pdf

そもそも、現在の「文化庁の偉い様」が、仮に「200年から300年で国宝にもう一回する」と発言したとしても、当該「偉い様」には国宝にする権限はありません。
文化審議会文化財分科会の審議・議決を経て、国宝に指定することを文部科学大臣に答申をします。
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/bunkazai/

今後、河村市長は発言者の氏名を明らかにすべきです。
また、「河村話法」だと認識すれば、ただちに「誰が発言したのか」と追及も可能です。

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「河村話法」一覧(名古屋城をめぐるもののみ)
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・平成27年12月12日 名古屋城天守閣木造化タウンミーティング
 https://ombuds.exblog.jp/22648799/
【河村市長】江戸城 500万人来ると想定されている
 名古屋も同じくらいくると学者が発言しているが、それ以上は物理的に入れない
【オンブズマン】学者はだれですか。具体的に言ってください
【河村市長】 名前は今言えない 
【オンブズマン】 なぜ名前を言えないのか
【河村市長】 その学者のプライバシーがあるから

・平成29年12月18日 市長定例記者会見
https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000099730.html
「そういうホームエレベーターというのは、実は大変に危険ですからね、これ。」不存在
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180117.pdf

・平成30年10月15日 市長定例記者会見
https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000110757.html
いやいや、そりゃ、文化庁だって言っていますから。そんな遅らせるつもりはありません、って。言ってますから、直接、電話ですけど。行く時間がないもんで。誰とはちょっと言いにくいけど、えらい様と話しておりますから。

・令和元年9月20日 名古屋市議会経済水道委員会
 https://ssp.kaigiroku.net/tenant/nagoya/SpTop.html
(市長)文化庁の責任ある方からは、解体だけだと更地になるだけだと、したがって、変更によって、解体と天守の復元を同時にやられたらどうですかと、そういう話があったということで、あとは現場で話をしてほしいと、具体的な問題についてはそういう話でした。
(浅井市議)それなら、不許可か差し戻しになったときは、市長あなたが全面的に責任持つんですか。
(市長)そりゃ、名古屋城は私は必死になって進めてきましたから、これは責任とりますよ、そんなふうになったら。そういうふうになりません。ちゃんと僕は、あなたはそう言われるけど、責任者からほぼ2回電話ですけどね、ちゃんと聞いておりますから。そのかわり、石垣部会の人と話をまとめてくださいと、そうしたら審議会に上げますからと、はっきり言われていますので、これは。

・令和2年4月25日中日新聞記事
「文化庁からも『木造でやりましょう』とはっきり言われた。」
不存在 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200520.pdf

・令和2年12月21日 市長定例記者会見 
「課題というか、文化庁からは、議会でも答弁しましたように、前へ進めましょうと。ただ、専門家、学者、専門委員の皆さんとは、仲よう、仲ようじゃないけど、話をちゃんとまとめて進んでくださいねと。」不存在
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201228-1.pdf

・令和3年3月1日 市長定例記者会見
https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000138784.html
(記者) この石列が学術的価値が高かった場合、どのような措置をするのかなと思いまして。
(市長)まあ、そこらは専門家に聞いてもらわなかんけど、私の勉強によるとこだと、西側に小天守を造る計画があったんだけど、それはやっぱりなかったんでないのかということで、一応の結論を見ているというふうに、ある学者から聞きましたけど。

・令和3年4月26日 中日新聞記事
「名古屋城木造天守 4,5年前 バリアフリーを企業に検討依頼 人力がいいという結論に」不存在
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210512.pdf

・令和3年5月31日 市長定例記者会見
 https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000140154.html
(記者)願望を聞いてるんじゃなくて、結果を聞いてるんですよ。文化審議会はどういう扱いされてるんでしょうか、把握してますか。
(市長)それは言わんでちょういうことになっとる。
(記者)文化庁が名古屋市に、報道質問に答えるなということをおっしゃっているんですか。
(市長)文化審議会についての内容は、いつ開かれて、どういうふうだったということは、何か言わないという慣例かと、そういうようなことらしいですよ。
(記者) それは名古屋市が問い合わせても文化庁は回答しない、してないということですか。
(市長)そんなことでないと思いますけど、そこら辺のところはどうかあれですけど、こうであったというに結論的には言わんでくれと。

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23/2/3(金) 名古屋城跡全体整備検討会議で鵜の首・穴蔵石垣調査成果報告も意見無し

23/2/3(金)に、特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第54回)が開催されました。
今回も撮影・録音は禁止されました。
名古屋市民オンブズマン関係者は都合がつかず傍聴できませんでした。

23/2/3(金)特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第54回)配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230203.pdf

議題は、西之丸展示収蔵施設周辺整備と、表二の門附属土塀の雁木の調査でした。
また、鵜の首(小天守西)の水堀側石垣根石発掘調査の調査成果と、穴蔵石垣根石発掘調査(追加調査)成果が報告されました。

傍聴した人に聞くと、報告だけで特に意見も質問も出なかったとのこと。


23/1/28(土)名古屋城シンポ パネリスト「木造復元してできるのはあくまでも令和の城」

23/1/28(土)に名古屋市は名古屋城シンポジウムを開催しました。
450人の定員が開始20分前には満席になるほど大盛況でしたが、会場からの質問時間はありませんでした。
パネリストの萩原さち子氏(城郭ライター)は「一つ気に留めるべきなのは、あくまで復元であり、かなえられない技術や資料があるため、あくまでも慶長の天守ではなく令和の天守である。
愛をもって本質的価値を見るべきで、何を選ぶのかが大事」と述べましたが、具体的な問題については触れませんでした。
・配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230128.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230128-1.pdf

今回、写真撮影は遠慮するよう事前にアナウンスがありました。新型コロナ禍の中、前後左右とも狭い席が満席で、しかもネット中継はありませんでした。
23/1/21市民説明会で配付した資料は、今回は配布されませんでした。

パネルディスカッションとは「ある問題について五、六人の対立意見代表者が聴衆の前で議論をかわし、のち聴衆全体に討論への参加を求める方法」(精選版 日本国語大辞典)とのこと。
https://onl.tw/M7555wv
今回壇上に上がったパネリストの小和田哲男氏(静岡大学名誉教授)、クリス・グレン氏(お城好きラジオDJ)、萩原さち子氏(城郭ライター)はいずれも大の城好きであり、いずれも名古屋城木造復元を積極的に推進し、全く意見の対立はありませんでした。

しかも、会場に来た人に、大高城を訪れた人はどれくらいいますかと質問したところ、半数以上が手をあげるなど「普通の客ではない」(コーディネーターの原史彦氏(名古屋城調査研究センター主査))。
会場は大変盛り上がり、会場で募集していた金シャチ募金への寄付受付にが大勢が集まっていました。

小和田名誉教授や上田剛名古屋城総合事務所所長が、いろいろ名古屋城の歴史や経緯を説明していましたが、「徳川家康が築いた究極の城」がどうして幕末に機能しなかったのか(家康が想定した最悪の事態である『西から江戸に向かって進軍してくる敵』を名古屋城でどうして防げなかったか)は全く説明がありませんでした。

それよりも、どうして2022年12月までに完成させると言っていた木造復元がここまで遅くなっているのか(いまだに文化庁の現状変更許可も出ていないどころか、名古屋市は解体と復元を一体とする現状変更許可申請もまだ出していない(2023年4月以降に提出予定))は説明がありませんでした。

萩原さち子氏も、「何を選ぶのかが大事」とは述べるものの、具体的な問題を挙げることなく、改善方法の提案もありませんでした。

小和田名誉教授は「木造復元は何年かかってもいいと思う。孫子の代までかかってもこの流れは絶やしてほしくない」と述べ、暗にいつまで木造復元に時間がかかるかわからないことを認めました。

河村たかし名古屋市長は、今回は挨拶をしませんでした。

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名古屋城木造復元事業のボトルネックである「バリアフリー」「基礎構造」「石垣安全対策」は竹中工務店が2016年3月に優秀交渉権者に選ばれて以降7年かけても解決できませんでした。
バリアフリーは日弁連が「憲法や条約、法律に違反する」とした小規模な昇降設備を導入する方針です。
しかも河村市長は「昇降技術の設置は、1階もしくは2階までとし、3階以上は設置しない、これが合理的配慮」と述べ、障害者団体が猛反発しています。
石垣等遺構を破壊しない「基礎構造」については、現在「調整会議」が開催出来ない状況です。
「石垣安全対策」については、これ以上調査を行うのが危険だと判断した場合、それを踏まえて検討予定とのこと。
これらを2023年3月末までにまとめる方針です。

金シャチ募金は約7億円寄付が集まったとのことですが、目標は100億円です。
名古屋市が今後53年間の試算を2016年6月に公表していますが、運営管理費も含めて979億円の事業中、利子は約101億円と試算されています。 
https://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/cmsfiles/contents/0000083/83234/1-4men.PDF

木造復元へ寄付した人には「あなたはどんな木造天守が出来ると思いますか」「江戸時代になかった昇降設備、階段を付けようとしていますが、それでも
寄付しますか」「昇降設備や階段がなければ、文化庁は許可しません」「天守台地下に、貴重な石列が発見され、それらを破壊するような基礎構造はできませんし、どう保存するかはまだ未定ですが、それでも寄付しますか」などを問いたいです。

何回も言うように、「資料さえ豊富なら、江戸時代そのものの天守が復元出来る」わけではないのです。
あくまでも「令和の城」であり、技術的制約だけでなく、各種法令を守る必要があるのです。
その上で、収支見通しが議論になるのですが、残念ながらそもそも法令が守られるかも分かりませんし、収支見通しも立っていません。
これらは、今回のような「シンポジウム」では明らかにならず、会場からの質疑や市議会での討論で明らかになるのですが、今回名古屋市は質疑がある市民説明会を年1回に減らしました。

名古屋城は、一部の城好きの人だけのものではなく、「日本全体の宝」なのです。
事実を踏まえたきちんとした議論を望みます。

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名古屋城木造復元 22/12/1名古屋市と文化庁面談記録に「現天守閣解体後穴蔵石垣を全面的に調査」

名古屋城木造復元事業に関し、22/12/1に名古屋市が文化庁に出張した際の復命書・資料が全面開示され、穴蔵石垣と基礎構造について、「現天守閣解体後全面的な調査」と記載がありました。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119.pdf

文化庁は渋谷主任文化財調査官で、名古屋市は教育委員会文化財保護室、名古屋城総合事務所所長他3名です。

復命書には、穴蔵石垣と基礎構造について、「現状可能な範囲で穴蔵石垣の状況について調査をしているが、現天守閣解体後全面的な調査を行ったうえで改めて石垣の安定性向上・安全確保の対策と基礎構造を合わせて具体的に検討する」と記載がありました。
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23/1/24(火)名古屋城石垣・埋蔵文化財部会では、オブザーバーの中井将胤・文化庁文化資源活用課整備部門(記念物)文化財調査官は「穴蔵石垣について、調査が足りないかもしれないが、危険が伴うのならその段階で判断すべき」と述べました。

23/1/21市民向け説明会配付資料にあった、「現天守閣解体後には、穴蔵石垣の全面的な発掘調査を行ったうえで、安全確保の対策と基礎構造について改めて具体的な方法を検討していく。」とも符合していると思います。

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なお、白黒14枚、カラー105枚で5390円請求されました。

復命書3枚はともかく、添付資料は22/12/5市議会説明資料とほとんど同じです。
・令和4年12月5日 名古屋市議会経済水道委員会説明資料
 観光文化交流局 名古屋城天守閣整備事業における解体と復元を一体とした全体計画(中間報告)について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221205-2.pdf
・令和4年12月5日 名古屋市議会経済水道委員会説明資料
 特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画(案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221205-3.pdf
 
名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所に確認したところ、「22/12/1に文化庁に提示した資料は、一部を修正して市議会に説明した。どこが違っているかはちょっと言えない。復命書の添付資料は、紙で保管しているから紙で開示した」と述べました。

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今回の添付資料は全面開示で、しかもパソコンで作っています。紙で開示するのは費用ばかりかかってしまいます。今後電磁的記録で開示することを希望します。

名古屋市スポーツ市民局市政情報室に確認したところ、「非公開部分がある際は、電磁的記録だと黒塗りができない。黒塗りをしたつもりが、情報が隠れていない事例があった。」と述べました。

当方はAcrobat Proという墨消しツールを説明し、情報を隠すことができると述べました。
https://helpx.adobe.com/jp/acrobat/kb/6111.html
しかしながら、市政情報室は「全庁的に当該ソフトを持っているわけではない」と述べました。

名古屋市情報公開条例の本旨に基づけば、電磁的記録での開示こそ、市民に説明する責務が全うされるのではないでしょうか。
https://www.city.nagoya.jp/sportsshimin/page/0000001423.html

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23/1/24(火)名古屋城石垣部会「『石塁』鵜の首は不安定で何らかの対策が必要」

23/1/24に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第53回)が開催され、小天守西側の鵜の首西側石垣を現地調査した石垣部会委員は「極めて不安定で、短期的・中長期的に何らかの対策が必要」と述べました。

・23/1/24 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第53回)配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230124.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230124-1.pdf

今回も、写真撮影・録音は傍聴者・マスコミとも禁止されました。

今回の議題は鵜の首西側石垣調査、穴蔵石垣根石発掘調査です。

鵜の首は名古屋城観覧の主要な導線であるだけでなく、現天守閣の解体の際、上を重機が通る計画となっています(車両荷重25kPa)。
・22/2/17 第47回名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会資料
 3 資料2.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220217-3.pdf

鵜の首西側石垣は、濃尾地震の際に崩落して積み直した記録があり、今回石垣の安定性を調査するために2ヶ所調査しました。

今回の調査で、下段は近世の石垣の可能性があり、上段はその後の時代の石垣ではないかとされました。
しかも、下段の石垣に上段の石垣がきちんと載っていない可能性があり、不安定なので今後ボーリング調査などが必要ではないかと指摘がありました。

また、鵜の首西側は水堀で、1.5mほど東側より低いとされ、地盤が傾斜している可能性が指摘されました。

座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「石垣と石垣でサンドイッチされているところは、普通は『石塁』と呼ぶ。
よほどなにか意図したものがないと作らない。
鵜の首は日常的に見学者が歩くところであり、絶対に道を確保しないといけない。」と述べました。
宮武正登・佐賀大学教授は「鵜の首東側石垣は、『全てが濃尾地震後の石垣』ではなく、パッチワーク的になっている。
しかも、石塁の構造物は本来は同レベルで水平にしながら土同士でかみ合うもの。危険因子が深刻な可能性がある」と述べました。
西形達明・関西大学名誉教授も「石塁構造は、熊本城の例を見ても安定性に欠け、地震で最も弱い形で危険が高い。上に観光客が通るので、安定性の検討をせざるを得ない」と述べました。

オブザーバーの中井将胤・文化庁文化資源活用課整備部門(記念物)文化財調査官は「今の段階では指導はない。各先生方がおっしゃられた
通りに進めて頂きたい。現状把握の後、短期的・長期的対策を取ってもらいたい。
普通なら石垣だけならそれなりの対応をすればよいが、長期的にほかの事業も入っているので、整理してもらいたい」としました。

穴蔵石垣根石発掘調査結果については、学芸員から報告があり、「江戸時代の石列の上に、工事の際の土砂が積まれており、その上に昭和再建後の石垣が載っていたことが判明した」とのこと。

梶原義実・名古屋大学大学院教授は「再建時工事の際の土砂の上に石垣が載っているのは衝撃的な写真。大丈夫か」と述べました。

宮武教授は「面で掘った7ヶ所のうち4ヶ所から江戸時代の石列が見つかっている。
締まりの無い工事の際の土砂の上に4メートルの石垣を載せているのは、比較にならないくらい状況が悪い。
今後、木造天守閣にするにせよ、現天守閣を残すにせよ、現天守閣をとっぱらうにせよ、極めて危ない。」と述べました。

北垣座長は「土砂だけでなく木製品も入っており、石垣の基礎としてあり得ない。これ以上現場での調査は無理な状況。今後新たな方向性を考えないと無理」と述べました。

宮武教授は「『完全に江戸時代の遺構が残っていない』のではないことは立証された。今後見つかった江戸時代の遺構を肯定的に活用・宣伝してもらいたい。」と述べました。

中井調査官は「穴蔵石垣について、調査が足りないかもしれないが、危険が伴うのならその段階で判断すべき」と述べました。

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「鵜の首」は、天守閣木造復元時は、最大25kPaの車両荷重をかける計画です。

地震時、観覧者の通行すら危ないとされている鵜の首。工事車両が通行して大丈夫なのでしょうか。
今後注目していきたいと思います。

なお、穴蔵石垣については、「想像以上に危ない」という認識で委員が一致しています。
その後の対応について、中井調査官が「危険が伴うのならその段階で判断すべき」と述べており、23/1/21市民向け説明会配付資料にあった、「現天守閣解体後には、穴蔵石垣の全面的な発掘調査を行ったうえで、安全確保の対策と基礎構造について改めて具体的な方法を検討していく。」と符合するのではないでしょうか。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230121-1.pdf


23/1/23(月)名古屋城説明会1回のみ 河村市長「わざわざ少なくした認識はない」 切腹発言「スケジュールがうまくいかなかったらとは言っとらんと思う」

河村たかし名古屋市長は、23/1/23に行った定例記者会見で、23/1/21名古屋市が行った名古屋城木造復元市民向け説明会が今年度は1回のみだったことに対し、「わざわざ少なくした認識はない」と述べました。
また、「2022年12月末までに復元出来なければ切腹」発言に対しては、「スケジュールがうまくいかなかったらとは言っとらんと思う」と述べました(事実と異なる)。

・動画
 https://www.youtube.com/watch?v=a8J5cyJwekM&list=PLxKm9FirWa9Sd0LtyzOnvrSrKVX_GiSUv&index=24
・23/1/23(月) 15:13配信 THE PAGE
 コロナ5類引き下げ「公費負担続けるべき」名古屋・河村市長会見1月23日(全文2)
 できんかったら切腹ものだと言った記憶はあります
 https://news.yahoo.co.jp/articles/e9ec18a23ec519ebba68fc9bcb5c866442f89ee1?page=5

THE PAGE によれば、名古屋城総合事務所は「今回は会場での質疑応答の様子を後日オンライン配信するため、1回の開催でいいと判断したという」とのこと。
・23/1/23(月) 16:09配信 THE PAGE
 名古屋城説明会「木造反対はゼロ」も開催は1度きり 河村市長が会見
 https://news.yahoo.co.jp/articles/2d05edbf492f2e4c5bb26d15006b6cd222bdee6a?source=rss

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2018年以降、年に3回〜8回行ってきた市民向け説明会を今年1回にした理由を、河村市長自らは説明しませんでした。

また河村市長「2022年12月末までに木造復元できなければ切腹」発言は、いまだに名古屋市公式WEBに載っています。
・平成31年4月1日 市長定例記者会見
 https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000115900.html
 (市長)みんな切腹と。そのかわり私一人では切腹しません。関係者全員切腹です。
 (記者)別に間に合わなければという意味ではないということですか。
 (市長)間に合わなければも同じですよ。同じですよ、そんなの。

市民からの直接の質問すら回数を減らして事実上受け付けなくする名古屋市。市民への説明無く「市民の誇り」を作ろうとしても無理です。

また、名古屋城木造復元事業の「バリアフリー」「基礎構造」「石垣安全対策」というボトルネックは7年かけても解決できませんでした。
名古屋市はあと2ヶ月ちょっとで市民の意見を無視してなんとかまとめた形を取ろうとしています。
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名古屋市 名古屋城木造復元 中日新聞に「文化庁の許可後10年程度の工期」と説明

23/1/22中日新聞に、23/1/21名古屋市が行った名古屋城木造復元市民向け説明会の記事があり、「市によると、文化庁の許可が出た後、現天守閣の解体を含めて十年程度の工期が見込まれている」と掲載されていました。
23/1/23に名古屋城総合事務所に電話で確認したところ、「市民向け説明会では、工期について具体的説明はなかった。
中日新聞が何をもとに記事にしたかわからないが、特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会第24回部会(令和4(2022)年7月13日)16ページに『整備スケジュール』が書いてあり、これが公にしている最新のもの。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/3f1fd4c3e39fef4bfb21b36eea469a95.pdf
上記には、天守台石垣保全・安全対策工事を含めると10年とある。
しかし、復元工事終了は、文化庁からの許可が出てから6年目の予定。
なお、今後の議論で、木造復元天守を安全に見て頂くために、天守台石垣保全・安全対策工事を復元工事と並行して行うことになるかもしれない。」と述べました。

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名古屋市は、23/1/21市民向け説明会では「(文化庁の)復元検討委員会の時間は読めないので、竣工期限を伝えられないのは心苦しい」とのみ説明しました。
・配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230121-1.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230121-2.pdf

せめて上記『整備スケジュール』を市民に示すことが必要だったのではないでしょうか。

なお、17/3/30に平澤毅・文化庁文化財調査官は「巨大な天守閣ですから、言うまでもなくこれまで事案が存在しませんので。
これを見ると3回くらいで書かれているみたいな感じですが、3回ですむのか、どうかというのは、まったくその限りではないですし。
実際、他の事案では5回、6回と重ねてやっている事案もあります。
予定通りいくかどうかは、まったく見えない状態です。」と述べています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170330-2.pdf

23/1/21(土)名古屋城木造復元市民向け説明会に217名参加も、質問途中で打ち切り

名古屋市は23/1/21(土)に名古屋城木造復元市民向け説明会を鯱城ホールで開きました。
今年度は質疑応答があるのは今回1回のみで、217名参加がありましたが多数質問希望者から手が上がるも、44分間のみで8名からの質問しか受け付けませんでした。
名古屋市の説明並びに質疑応答の様子は、カメラ撮影は禁止。
後日名古屋市がホームページに掲載するとのことでした。
・配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230121-1.pdf

・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230121-2.pdf

今回の質疑応答で見るべき点は、竹中工務店の「状況は変わることはあるが、名古屋市と話し合って基本協定に基づき事業を進めていく」というものと、名古屋市の「(文化庁の)復元検討委員会の時間は読めないので、竣工期限を伝えられないのは心苦しい」というものだけでした。

2022年12月末までの「基本協定」「実施設計」「木材製材等」はいつの間にか「暫定的に」2024年3月31日まで延長になりました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/211214.pdf
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220628.pdf
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220422-1.pdf
しかしながら、期限の定めの事実上ない実施設計契約、請負契約は、民法、建設業法に違反するという指摘もあります。

「過去の文献等資料」が豊富でも、現在の日本の各種法律を破って復元することはできない。

この当たり前の事実に対し、どう市や竹中工務店が答えるか。
今年度1回しか市民説明会がなかったため、確認する方法はありません。

今後市議会で質問を行うか、令和5年2月17日(金曜日)午後5時30分まで実施するアンケートに質問を送れば、後日、市のページに掲載するとのこと。
https://logoform.jp/form/mX9C/195058
https://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000158537.html

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参考
・平成28年度〜令和3年度木造復元に係る経費
 73億688万8764円
・寄付金額の実績(平成29年度〜令和3年度)
 5億8380万5117円
  
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名古屋城木造天守閣昇降新技術公募支援業務委託【2021年度分】成果品3078枚開示

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託【2021年度分】の成果品を情報公開請求したところ、白黒・カラーあわせて3078枚開示されました。
電磁的記録で開示を求めましたが拒否されたため、すべて紙で開示されました。
当初は白黒1258面12580円、カラー1820面91000円、合計103580円請求されましたが、交渉の末、全て白黒で30780円支払いました。
民間事業者の氏名のみ非公開で、他はすべて開示されました。
膨大な資料のため全ては読み込めていませんが、国際コンペを行うため、膨大な資料を全て英訳する必要があること、
じわじわと公募開始時期が遅れていくことなどがわかります。

また、打合せ記録からは以下注目すべき議論がなされていました。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/uchiawase.pdf
・21/6/3 安井建築設計事務所
 「地上から一階の技術」は提案のハードルが高く、良い提案がでてくるか懸念される。
 また、天守外壁に穴を開ける必要があり、竹中工務店の意見も聞くべき枠と感じた。
・21/7/21 名古屋市
 導入契約を一つの流れ、木造の天守閣に設置する行為がある。建築物に設備を設置するのは建築行為。建築業法の縛り。設置するには建築業許可が必要。
 設置を伴わない場合は、不要。例えばパナソニックの作った電気。装備品メーカー。
 そういうメーカーが公募に参加するとすると、建設業許可がない問題が発生する。
 安井建築設計事務所
 竹中は事業者に設置まで担ってほしいという意向がある。建築面でのお手伝いはできるが、設置に関する責任は負いたくないという趣旨。そのすみ分けがうまくいくかは心配。
・21/7/28 日本総合研究所
 建設業許可未取得の事業者が選定された際の契約関係については、一般的には、竣工中は本体工事の元請が仕切る現場であるため、そこに契約関係にない他者を入れることを元請は嫌がるものである。そのため、元請からの再委託を受けるか、元請から昇降設備を再委託される建設業許可を有する1者を介して、そこから再々委託を受けるような、契約関係が望ましいのではないか。竹中打合せでも確認したい。
・21/10/13 日本総合研究所
 建設業法許可のない公募参加者の取り扱い
 本体工事の請負契約を変更するスキームが現実的だと思われる。本体工事は建築一式であり、建築一式で請け負ったうえで、機械器具設置工事業の許可取得企業に下請負すれば問題ないはず。
・21/11/10 安井建築設計事務所
 建設業法許可のない公募参加者の取り扱い
 竹中工務店は、昇降技術に関するリスクを負担することを懸念しているものと理解している。
 日本総合研究所
 建設業法許可を理由とした対応可能性については、竹中工務店と打ち合わせし、対応策を見出すほかない。
 
参考になれば幸いです。
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名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託【2021年度分】
成果品一覧

公募受付支援等
・公募スキームの見直しを実施する。
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/1a.pdf
・事業者等へのヒアリングを実施する。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/1i.pdf
・公募資料等を修正する。(翻訳を含む。)
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/1u0103.pdf
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/1u04.pdf
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/1u05.pdf
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/1u06.pdf
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/1u07.pdf
・バリアフリー整備の在り方について、障害者、高齢者等の参画の下検討できる会について詳細事項を検討する。また、その会において、公募で選定した昇降技術を検討できるようにすること。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/1e.pdf
各種通訳、翻訳業務
・本技術公募に必要な通訳及び翻訳を実施する
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/2.pdf

会議等の開催に係る支援
・発注者が開催する会議等において、資料作成、有識者等との調整、議事録作成等の事務局業務等の支援を行う。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/3.pdf
技術開発に係る法的支援
・提案された技術毎の適用を授ける法律(国内法)の整理及び実用化に際し許認可が必要な場合はその手続と必要な期間を確認する
・想定する昇降技術を木造天守へ設置するための認証制度について調査・検討する。
・専門家や専門機関等へのヒアリング調査を実施する。
・事業者等へのヒアリングを実施する。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/4.pdf
公募プロモーション業務
・本技術公募を国内外に周知するため、技術公募用HPを制作し、管理運営する。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/5a.pdf
・PR要映像を作成し、HPへ掲載する。
・HPについては、日本語及び英語にて作成すること。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/5iu.pdf
その他付随する業務への支援
・各業務に関し、付随して必要となる業務について支援を行う。
01 定例会議資料
 20210412打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210412.pdf
 20210415打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210415.pdf
 20210422打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210422.pdf
 20210506打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210506.pdf
 20210513打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210513.pdf
 20210519打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210519.pdf
 20210528打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210528.pdf
 20210603打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210603.pdf
 20210609打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210609.pdf
 20210615打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210615.pdf
 20210623打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210623.pdf
 20210630打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210630.pdf
 20210715打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210715.pdf
 20210721打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210721.pdf
 20210728打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210728.pdf
 20210805打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210805.pdf
 20210811打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210811.pdf
 20210818打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210818.pdf
 20210825打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210825.pdf
 20210901打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210901.pdf
 20210910打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210910.pdf
 20210915打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210915.pdf
 20210929打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/210929.pdf
 20211013打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/211013.pdf
 20211110打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/211110.pdf
 20211124打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/211124.pdf
 20211222打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/211222.pdf
 20220105打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/220105.pdf
 20220119打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/220119.pdf
 20220202打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/220202.pdf
 20220216打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/220216.pdf
 20220317打合資料 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/220317.pdf
02 議事録
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230119/uchiawase.pdf

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23/1/17(火)名古屋城天守閣部会 バリアフリー等検討は次回以降

23/1/17に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第26回)が開催されましたが、肝心のバリアフリーや基礎構造、石垣の安全対策などの復元計画については次回以降に持ち越されました。

・23/1/17 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第26回)
 配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230117.pdf
・23/1/17 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第26回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230117-1.pdf
 
今回、はじめて天守閣部会に渋谷啓一・文化庁文化財第二課主任文化財調査官がリアル参加しました。

今回、復元原案として、江戸時代の大小天守閣がどうだったのか、ミリ単位での検討結果が90分にわたって竹中工務店から報告されました。
構成員の先生は、みなここまで考察したことを評価しました。
渋谷調査官も「精緻な考察に敬意を表したい。今後、実際に建てるにはいろんな条件が出てくるから、これからも検討が必要」と述べました。

唯一、構成員の古阪秀三・立命館大学OIC総合研究機構客員研究員は「近年、気候変動がものすごく変わったし、地震もたくさん起きている。過去の建物をそのまま再現して良いのか。中国や韓国から、上記の点を相当困って僕のところに相談に来ている。地球変動の元で大丈夫か確認して欲しい」と述べました。

座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「文化庁に木造天守整備基本計画を出すのに2〜3ヶ月しかない。今後事務局が整理して天守閣部会で議論していく」としました。

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名古屋市と竹中工務店が17/5/9に「基本協定」を結んでもうすぐ6年。
2022年12月末までに木造天守閣を再建する契約でしたが、現在は完成時期の見通しが立っていません。

「復元原案」である、江戸時代の大小天守閣の様子はほぼ検討し終わりました。
しかしながら、6年前からずっと懸案であった、バリアフリー、基礎構造、石垣の安全対策については、いまだに課題が残っています。

バリアフリーの問題については、新技術の公募をしてにもかかわらず、予想通り小規模な昇降設備を採用し、しかも河村たかし名古屋市長は
22/12/5に「昇降技術の設置は、1階もしくは2階までとし、3階以上は設置しない、これが合理的配慮」と述べ、日弁連も「憲法や条約、法律に違反する」と
要望を出し、障害者団体も反発しています。

基礎構造を検討する調整会議は21/12/25に第3回が開かれて以降まったく不明です。
第53回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会は23/1/24(火)午後1時から名古屋市公館で開催されます。
https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2022/kankobunkakoryu/0000160065.html
6年間も検討し続けてもうまい解決方法が見つからない上記問題が、あと2ヶ月半で解決するとは到底思えません。
拙速ではなく、有識者や議会、市民の納得を得た上で事業を進めるべきです。

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今後の予定

・23/1/20(金) 名古屋市令和5年度予算要求財政局査定に対する市民意見締め切り
・23/1/21(土)午後1時半〜 名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会 鯱城ホール
・23/1/24(火)午前11時〜 石垣部会が小天守西側の鵜の首水堀側石垣視察
       午後1時〜 石垣・埋蔵文化財部会 名古屋市公館
・23/1/28(土)午前10時半 名古屋城シンポジウム 中区役所ホール
・23/2/17(金) 名古屋市会2月定例会開催  


名古屋城木造天守閣新技術の公募支援業務委託成果物 費用として103,580円請求されました

22/4/19に名古屋城木造天守閣新技術の公募支援業務委託成果物を情報公開請求したところ、22/12/28に開示決定が出て、2021年度分費用として103,580円請求されました。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/221228.pdf

白黒1258面(12,580円)、カラー1820面(91,000円)で、合計103,580円です。電磁的記録での交付は不可能とのこと。

名古屋城総合事務所に交渉したところ、全て白黒(3078面30,780円)で一旦交付し、必要な部分はカラーで請求しなおしとのことでした。
23/1/13に開示予定でしたが、コピー作業をするため、入手するのはまた後日となりました。
入手次第アップします。

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開示費用が膨大にかかるのであれば、事実上市民へ情報を公開しないことになります。
建設費用だけで505億円かかるとされる名古屋城天守閣木造復元事業。
しかも、バリアフリー公募については、どうして「最低1階まで」という条件にしたのかはまったく説明がありません。
本来は、情報公開請求しないでも市は公開して説明すべきではないでしょうか。
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名古屋城木造天守昇降新技術公募の2019年度、2020年度成果物は開示されており、どのような変遷があったのかわかります。
・22/3/31決定書
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/220414.pdf
・名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託【2019年度分】成果物
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/220414/2019-1.pdf
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/220414/2019-2.pdf
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/220414/2019-3.pdf
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/220414/2019-4.pdf
・名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託【2020年度分】成果物
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/220414/2020-1.pdf
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/220414/2020-2.pdf
 
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※ぜひともカンパをお願い致します。
情報公開請求してコピーを入手するのも、情報公開訴訟をするのも、費用がかかります。
名古屋市民オンブズマンは、会費とカンパのみで活動しております。
今後ともご支援頂けますと幸いです。

《郵便振替口座》 口座番号 00870−9−105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
《ゆうちょ銀行》 当座 〇八九店 105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
http://www.ombnagoya.gr.jp/kannpa.htm

《資金カンパ送付先・問い合わせ先》
 〒460-0002 名古屋市中区丸の内3-7-9 チサンマンション丸の内第2 303号室
 名古屋市民オンブズマン タイアップグループ事務局
 Tel:052−953−8052 Fax:052−953−8050
 メール:office@ombudsman.jp 
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名古屋市令和5年度予算要求財政局査定 名古屋城木造天守閣昇降技術開発費用「市長査定で対応を検討」

名古屋市は23/1/10に「令和5年度予算要求に対する財政局査定内容の公開」を行うとともに、予算要求(追加及び変更分)の内容についてのご意見募集を23/1/10(火)-23/1/20(金)まで行うと発表しました。
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000159790.html

各局からの要求に対する財政局案の考え方は以下の通りです。
@所管局の要求(見積り)通り
A事業内容、積算内容を精査のうえ計上
B経常経費の範囲内で対応を検討
C現段階では未計上
D市長査定で対応を検討

それによれば、観光文化交流局関係予算では、名古屋城天守閣の整備(天守閣の整備に係る設計監理等支援業務委託、実施設計、木工事及び石垣保存対策等)は1億9700万円の要求全額を財政局は認めました(@)。
一方、名古屋城木造天守閣昇降技術開発(木造天守閣に導入する昇降技術の開発 債務負担行為 名古屋城木造天守閣昇降技術開発業務委託 期間 6〜8年度 限度額64百万円)は、1600万円の予算要求に対し、「市長査定で対応を検討」(D)としました。

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名古屋城天守閣木造復元事業については、竹中工務店との2022年12月末までに完成させるという基本協定期限が切れ、「暫定的に」実施設計、木材製材等の期限が延長されています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/211214.pdf
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220628.pdf
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220422-1.pdf

いまだにいつ完成するのかは不明です。
そもそも以下バリアフリーの問題をはじめ、基礎構造、石垣保存方針など解決できるのか分かりません。
木材保管費用だけで年間1億円かけています。

また、名古屋城木造天守閣昇降技術開発について、名古屋市は22/12/5に公募の結果を発表し、「車いす1台、介助者1名」もしくは乗員4人の小型昇降設備を導入する方針を示しました。
https://www.castle-challenge.city.nagoya.jp/
しかしながら、日弁連は22/10/24に「小型」「最上階まで行けない」場合、憲法や条約、障害者基本法やバリアフリー新法等に違反する」と要望しました。
https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html
河村たかし名古屋市長は22/12/5に「昇降技術の設置は、1階もしくは2階までとし、3階以上は設置しない、これが合理的配慮」と発言しました。
https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000158911.html
22/12/7に愛知障害フォーラム(ADF)と名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会は、名古屋城木造天守昇降技術および市長発言の撤回要求と抗議を行いました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221207.pdf

市財政局として、日弁連が「違憲・条約違反・違法」と指摘する小型昇降設備の導入に対し、財政局査定では認めませんでした。
市長査定で市長がどのように判断するのか注目したいです。

過去数年間、名古屋城木造復元関係の予算は市長査定ではじめて公開され、いずれも計上されていました。
平成30年度予算要求に対する財政局査定内容の公開で、実施設計等予算要求10億4100万円を財政局は未計上としたものの、市長査定で32億7700万円計上した以来の財政局査定です。

23/1/21(土)鯱城ホールで行われる名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会で質問できます。
https://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000158537.html
また23/1/20(金)まで、予算財政局案に意見を言いましょう。
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000159790.html

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なお、名古屋市は令和3年度以降、「財政局査定内容の公開」も市民意見を募集するようになりました。
経緯を名古屋市財政局財政課に質問したところ、「財政局査定時点で当初の予算要求時より一定数の追加、変更が毎年度発生していた。
条例の趣旨からして、財政局査定時点でも市民から意見を求めるべきではないかという意見が財政課ででたため、追加変更についても2回目の意見募集をするべきとなった。
なお、要綱等の変更はなかった。」とのこと。

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・22/9/22 全国市民オンブズマン連絡会議
 「予算編成過程・住民参加状況調査結果」
・概要 http://www.ombudsman.jp/taikai/2022yosan-2.pdf
・詳細 http://www.ombudsman.jp/taikai/2022yosan-1.pdf

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・予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例
 https://www1.g-reiki.net/city.nagoya/reiki_honbun/i502RG00001216.html
・予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例施行細則
 https://www1.g-reiki.net/city.nagoya/reiki_honbun/i502RG00001217.html
 
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2022年度名古屋城木造復元市民説明会は23/1/21(土)1回のみ

名古屋市は、23/1/21(土)午後1時半から名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会を行うと発表しました。
https://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000158537.html
しかし、これまで最低でも3ヶ所は行ってきた市民説明会が今回は1ヶ所のみです。質疑応答は30分程度とのこと。

過去の市民向け説明会を調べると、だんだんと頻度が減っています。
2022年1月→3ヵ所
2021年1月→3ヵ所
2019年11〜12月→8ヵ所
2019年1月→6ヵ所
2018年1月→6ヵ所

23/1/28(土)午前10時半から名古屋城シンポジウムを開催するようですが、質疑応答時間はありません。

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2017年5月9日に竹中工務店と2022年12月末までに木造復元を完成させるという基本協定を結んで早5年8ヶ月。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf
すでに2022年12月末は過ぎ、『暫定的』に2024年3月末までにしていますが、完成の目処はたっていません。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/211214.pdf

過去、多くの市民が名古屋城木造復元事業に対して疑問を市民向け説明会で述べてきました。
名古屋市は「検討中」と繰り返すだけで、先延ばししてきました。

2022年12月に公募して決定した「バリアフリー新技術」は、予想通り小規模な昇降設備であり、しかも河村たかし名古屋市長は22/12/5に「昇降技術の設置は、1階もしくは2階までとし、3階以上は設置しない、これが合理的配慮」と述べ、障害者団体は猛反発しています。
・名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募
 https://www.castle-challenge.city.nagoya.jp/
・2022年12月7日 名古屋市長 河村たかし様
 愛知障害フォーラム(ADF) 名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会
 名古屋城木造天守昇降技術および市長発言の撤回要求と抗議 
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221207.pdf

また、「はね出し架構」に代わる基礎構造をどうするか、2023年3月末までに基礎構造の方針を示すようですが、見通しが立っていないようです。
21/12/25に第3回名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議(非公開)が開かれて以降、開かれていないようです。(まったく不明)

また、石垣保存方針も2023年3月末までに策定する予定のようですが、見通しが立っていないようです。

2022年12月末には、名古屋市内で1日4000人を超える新型コロナ陽性者が出ているにもかかわらず、「説明会当日の内容を、後日動画で配信する予定」のみであり、リアルタイムでのネット参加はできません。
アンケートをネット等で募集し、後日文書で回答するようですが、その場でどう対応するかの反応を見ることはできません。

名古屋市民オンブズマンは、21/3/2に河村たかし名古屋市長あてに「名古屋城木造復元事業市民説明会ポストコロナ時代の情報発信を求める」申し入れ書を郵送しました。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210302.pdf
その中で以下要望しています。
・ライブのネット配信での質疑応答
・計上された新年度予算案に対する質疑
・1ヶ月に1度程度のライブ配信説明会の開催

22/8/18に、山本亜土名商会頭は「河村たかし市長が断片的に説明することが、簡単に言うと眉唾もんだな、と誰もが思っている」と述べたと報道されています。
河村市長は「石垣部会、文化庁に丁寧に説明してきた」としていますが、市民・議員には全く丁寧に説明していません。

折戸観光文化交流局長はバリアフリーの問題について「丁寧に説明して進めていく」としながらも、一般市民に対して直接説明する機会は、市民説明会のみです。

今回の市民説明会のチラシが名古屋市役所の市民情報センター窓口で配布されてきましたが、コピー用紙に白黒の印刷でした。
名古屋市のやる気度合いがわかります。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230121.pdf

これが、2020年度末までで約70億円かけた名古屋城木造復元事業の現状です。
木材保管費用だけで年間1億円かけていますが、今後いつまで続くかわかりません。
名古屋市は本当に今後どうするつもりなのでしょうか。

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令和4年度開催 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会・名古屋城シンポジウム
https://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000158537.html


22/12/16(金)オブザーバー「名古屋城博物館(仮称)の年間入館者数想定と入館料見込みを示して」

名古屋市は22/12/16に「第2回金シャチ横丁第二期整備 博物館ゾーン整備基本構想検討懇談会」を開催しました。
録音・録画は禁止されました。
構成員の1人はZoomで参加していましたが、傍聴するには会場に来る必要がありました(定員10名)。
・22/12/16 第2回金シャチ横丁第二期整備 博物館ゾーン整備基本構想検討懇談会 配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221216.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221216-1.pdf
 
22/3/23に開催された第1回懇談会では、最短2028年に完成予定と説明しましたが、今回は特に説明はありませんでした。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2022/02/20220216_1155.html


構成員は「名古屋城天守閣が木造復元されるので、それにあわせて現天守内に展示されていた展示物を、名古屋城博物館(仮称)に展示しようとするのは理解できる。
市民アンケートでは、『国宝や重要文化財の展示を見たい』が多かったので、ぜひ展示してもらいたい」「調査研究は一番必要」
「地域住民にとってどういう意味があるのか。『開かれた場である』というのなら、アクセシブル、インクルーシブが必要」という意見が相次ぎました。

また、佐々木雅幸・金沢星稜大学特任教授は「国内で『姉妹城』提携はあるのか?また、海外の城と姉妹関係はあるのか。各城郭美術館と提携すれば、企画展としてやれる」と述べました。

田沢裕賀・大分県立美術館館長は「名古屋は経済都市なので、観光観光に頼らないといけないのか? 本物にこだわるべきだ」と述べました。

オブザーバーの大竹正芳・名古屋商工会議所商務交流部長は「博物館ゾーン整備と併せて、回遊性を高め、アクセスができるようにしてほしい」と述べました。

オブザーバーの北折真人・公益財団法人名古屋観光コンベンションビューロー専務理事は「年間の入館者数想定や入館料見込みを示してもらいたい。
それが足枷になることがあるかもしれない。
また、あまり歴史学習、調査研究成果を押しつけがましく発信すると引かれる可能性がある。バランスをやってはどうか」と述べました。

オブザーバーの木村広聖・名古屋市博物館副館長は「2026年度に新しい名古屋市博物館がオープンする予定。
考える中で『社会的包摂 福祉』とどうかかわるか途方に暮れた。
また、学校の先生が求めていることが違うことがあった。現場のニーズとあわない。
1人1台タブレットが支給されており、学びが大きく変わる。
名古屋市博物館を設計する中で、当事者から話を聞いた。
名古屋城博物館でも当事者から今後話を聞くと思うが、『そうだったのか』という話が聞けると思う」と述べました。
   
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22/12/16の名古屋市内の新型コロナウィルス陽性者数は2797人、死亡者5人。
そんな中、懇談会はZoomを使っているにもかかわらず「傍聴するには会場に来る必要がある」(定員10名)とし、
「『開かれた場である』必要がある」「アクセシブル(近寄りやすいさま。利用しやすいさま)、インクルーシブ(包含しているさま。すべてを含んでいるさま。包括的)が必要」というのはあまりにも滑稽です。

名古屋城博物館(仮称)を作るのであれば、懇談会の時点から「開かれた場」「アクセシブル」「インクルーシブ」が必要ではないでしょうか。

なお、市議会でも問題となっていましたが、新しくオープン予定の名古屋市博物館と、名古屋城博物館(仮称)、西の丸御蔵城宝館の棲み分けをどうするかということは特に議論がありませんでした。

金シャチ横丁第二期整備(芝居小屋風多目的施設)(2025年度開業予定)についても特に説明がありませんでした。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220518.pdf


さらに、2023年春に開館予定の名古屋刀剣ワールド/名古屋刀剣博物館(メーハク)については、一言も述べていませんでした。
最大200振の刀剣・日本刀を展示することが可能で、国宝や重要文化財、重要美術品といった貴重な刀剣・日本刀を見ることが出来るとのこと。
https://www.meihaku.jp/


名古屋城天守閣木造復元後は、特に内部で展示する予定はないとのこと。
(博物館機能が失われます)
名古屋城博物館(仮称)でなにをどのように展示するのかわからないのですが、現天守の博物館機能を潰してまでして箱物を作るメリットはどれだけあるのでしょうか。

2012年12月に文化庁が確認した、現在有効である「全体整備計画 増補版」では『天守耐震改修整備、展示内容見直し』と明記してありました。
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000045497.html
https://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/10505177/www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000045497.html

それを、2018年5月に市民の意見をあまり取り入れずに策定した『特別史跡名古屋城跡保存活用計画』では「整備方針は木造復元とし、検討を進める」としています。
https://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000105368.html

今の名古屋城博物館(仮称)の議論は、理念ばかりで具体的に何を展示するのかというものが抜けているのではないでしょうか。
貴重な展示企画であれば、新たにオープンした西の丸御蔵城宝館をさらに活用すればよいのではないかと思いますし、名古屋市博物館もリニューアルされます。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/special_exhibition/2022/11/20221119_1402.html

ソフトの充実、既存の博物館のさらなる活用、隣接して新設予定の「芝居小屋風多目的施設」の活用でも足りないなにか、というのは一体何なのか。
今の議論では見えてきません。

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参考
・外務省 グローカル外交ネット
 令和4年1月25日 大阪城天守閣館長 北川 央
 大阪城と海外の城郭との友好城郭提携
 https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/local/page24_001631.html
 
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22/12/9(金)名古屋城全体整備検討会議委員「木造化を市が『復元』と言いきるがバリアフリーは大きな問題」

22/12/9 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第53回)が開催され、構成員の赤羽一郎・元愛知淑徳大学非常勤講師は「天守閣木造化を市が『復元』だと言いきるが、バリアフリーは大きな問題で、日弁連からも要望が出ている」と述べました。

・22/12/9 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第53回)
 配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221209.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221209-1.pdf
 
今回も、写真撮影・録画は禁止されました。
オブザーバーの文化庁は「スケジュールが合わないため欠席」とのこと。

「特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画(案)」の中間報告について、全体整備検討会議にははじめて資料が提示されました。

赤羽氏は「私は基本的には木造天守にはあまり賛成ではない。資料1-15に、文化庁が定めた基準には、『復元』『復元的整備』両方の概念が記載されている。
名古屋市としては、復元なのか、復元的整備なのか、どういう方向性を考えているのか」と質問し、名古屋城総合事務所は「名古屋市としては、可能な限り史実に忠実に行う『復元』と考えている」と述べました。

赤羽氏は「バリアフリーは大きな問題。日弁連からも要望書が出ているくらい、憲法、バリアフリー新法にかかわると私は思う。
名古屋市は『復元』だと言い切るが、バリアフリーとの関係は」と質問し、名古屋城総合事務所は「昇降技術として、柱・梁を傷めない。床に穴はあけるが、我々としては復元と判断した」としました。

小濱芳朗・名古屋市立大学名誉教授は「昭和実測図では『筋交い』が入っているが、復元原案では無しにするという。筋交いを取ると、手当てしないと同じような状況になるのでは」と質問し、名古屋城総合事務所は「必要に応じて現代技術を入れたい」としました。
座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「それなりの安全性を文化庁の基準に準じて入れる。『史実に忠実』といっても、江戸時代まるっきりではない。文化財としての価値は保つ」と述べました。

赤羽氏は「1-14でドレスデン宣言が引用されているが、よく読むと、現在の天守のことを言っているのではないか。
ローザンヌ憲章も、名古屋市内の城下町、三の丸、城下町、名城北公園で正しく守られているのか。
『世界的視座から見た木造復元の意義』とあるが、我田引水的で気持ちが悪い」と述べました。

麓和善・名古屋工業大学名誉教授は「これまで、文化財としての価値を高めるにはどうすればよいか検討する中で、整備計画、基本構想を出してきた。
その一環として本丸御殿を史実に忠実に復元した。天守も史実に忠実に復元しようとしてきた。それは特別史跡の価値を高めるためと理解している。
復元的整備ではなく復元だと言い切るのは、市が自信があるから。豊富な資料はほかの城郭や、焼失した文化財で最も可能な案件。」と
述べました。

瀬口座長は「木造復元の価値は根本的なことなので、いくらでも議論していただいてもいい。
『復元的整備』とは、資料があまりない中で行うことで、『復元』とは似て非なるものと考えないといけない」としました。

また、名古屋城総合事務所から報告案件として、穴蔵石垣調査結果が出て、近世段階の石列が良好に残存することが確認されたとしました。
しかし、現天守がある状況では調査に限界があり、局所にとどまるとして、確実に保存するため、どの程度残っているか調査が必要」と述べました。

さらに報告案件として、バリアフリー新技術公募結果が報告されました。
しかし、観覧ルートについては具体的なものは資料提示できていない、天守閣部会で諮りたいとしました。  
駆動部については「業者のノウハウが入っているため秘密。油圧ではなくほかの方法と聞いている」としました。

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河村市長が「昇降技術の設置は、1階もしくは2階までとし、3階以上は設置しない、これが合理的配慮」と述べたバリアフリー。
日弁連も「そもそも柱や梁を切らなければ、『高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令』で定める『幅が140センチ以上、車椅子の転回に支障がない籠』はできない」としています。
・2022年10月24日 日本弁護士連合会 会長 小林元治
 名古屋城天守閣にエレベーターの設置を求める人権救済申立事件(要望)
 名古屋市長宛て要望
 https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html
・高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令
 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=418CO0000000379

また、天守台穴蔵石垣、穴蔵背面について、「現天守を解体しなければ詳細が分からない」と発言がありました。
詳細が分からなくても、ある程度「はね出し架構に代わる基礎構造」を示す必要があるのではないでしょうか。

・2020/9/25 全体整備検討会議 柱まるけの基礎構造の絵
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/c6d2631c5012acfd8a78f6f591238969.pdf
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・株式会社MHIエアロスペースプロダクション
 https://www.mhi.com/jp/group/map/business
 MHI下関 「シップフリーモ(SF)エレベータ」
 https://mhi.com/jp/group/mhise/media/876/download
 ☆ラック・ピニオン駆動式、チェーンドライブ式


22/12/7(水)名古屋城木造復元バリアフリー新技術公募 障害者団体が市長発言撤回要求と抗議

名古屋城木造復元に関するバリアフリー新技術公募に関して、22/12/5に行われた河村たかし名古屋市長発言「昇降技術の設置は、1階もしくは2階までとし、3階以上は設置しない、これが合理的配慮」をめぐり、22/12/7に「愛知障害フォーラム」(ADF)と「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」は連名で市長発言の撤回要求と抗議を行いました。
・2022年12月7日 名古屋市長 河村たかし様
 愛知障害フォーラム(ADF) 名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会
 名古屋城木造天守昇降技術および市長発言の撤回要求と抗議 
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221207.pdf

18/5/30に名古屋市は「木造天守閣の昇降に関する付加設備の方針」を公表し、内部エレベーターは「乗員4人程度に限られるため、バリアフリー法対応
エレベーターは設置できない」から、柱や梁を傷めない新技術を公募するとしました。
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180530.pdf

名古屋市は、22/12/5に開催された名古屋市議会経済水道委員会で、新技術公募の結果を発表し、「車いす1台、介助者1名」もしくは乗員4人の小型昇降設備を導入する方針だとしました。
・令和4年12月5日 名古屋市議会経済水道委員会説明資料
 観光文化交流局 名古屋城天守閣整備事業における解体と復元を一体とした全体計画(中間報告)について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221205-2.pdf

一方、同日河村市長が記者会見で「昇降技術の設置は、1階もしくは2階までとし、3階以上は設置しない、これが合理的配慮」などと発言し、史実に忠実に再現するためには、一部の人を排除しても構わないという旨の発言に抗議したものです。

なお、名古屋市議会経済水道委員会では、市当局は「現段階ではなかなかどこまでいけるのかというところまでははっきりとはわからない」とし、市長発言と食い違っています。
22/12/6同委員会で折戸秀郷・観光文化交流局長は陳謝し、委員会は市側を厳重注意しました。

・22/12/5 名古屋市議会経済水道委員会
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221205-4.pdf

記者会見を行った「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」斎藤縣三共同代表は「22/10/24に日弁連から市に『要望書』が出され、22/11/1に当会として公開質問状及び要望を提出したが、回答に時間がかかるとして先延ばしになっていた。
にもかかわらず、河村市長は『日弁連からの要望書は読んでいない』とさえ発言した。今回緊急で5項目の抗議及び回答要求項目を提出した。年内なるべく早い段階で文書での回答を頂きたい」と述べました。

・2022年10月24日 日本弁護士連合会 会長 小林元治
 名古屋城天守閣にエレベーターの設置を求める人権救済申立事件(要望)
 名古屋市長宛て要望
 https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html

同会の辻直哉事務局長は「今回最優秀提案があった小型昇降機は幅が狭く、私のような大きい電動車いすは入れない可能性がある。
ストレッチャータイプの車いすだと確実には入れない。
新しく作るという名古屋城木造天守閣は公共の施設なので、一部の人を排除するのではなく、だれもが登れるようにしてもらいたいとずっと言い続けてきた。
かつての河村市長発言『本物を見ることが、本当のバリアフリー』により、私たちの主張が『障害者のわがままだ』など言われなき中傷を受けた。
大阪城や熊本城でもバリアフリー化が進んだ。名古屋城だけが時計の針が逆に回っているのは許せない」と述べました。

同会会員の入谷忠宏さんは「現名古屋城天守閣に登った際、家族みんなで大型エレベーターを使っていたのが印象的だった。今回の提案では、家族みんなで名古屋城を楽しむことができない。」と述べました。

名古屋城総合事務所の梅田明主幹は「今団体から書面を頂いたばかり。回答するかどうかも含めて持ち帰って検討したい」と述べました。

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・名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募
 https://www.castle-challenge.city.nagoya.jp/

・株式会社MHIエアロスペースプロダクション
 https://www.mhi.com/jp/group/map/business
 MHI下関 「シップフリーモ(SF)エレベータ」
 https://mhi.com/jp/group/mhise/media/876/download

・2019年01月10日 DPI日本会議
 名古屋城の木造新天守へのエレベーター不設置について、人権救済を申し立てました
 https://bit.ly/3xjiaSI


22/12/5(月)名古屋城木造化 日弁連がダメ出しした「小型昇降機」設置方針示す

名古屋市は22/12/5の名古屋市議会経済水道委員会で、名古屋城木造復元事業の昇降技術に関する公募の結果を発表し、日弁連が「これではダメ」と要望した、小型昇降機の設置方針を示しました。

・令和4年12月5日 名古屋市議会経済水道委員会説明資料
 観光文化交流局 名古屋城天守閣整備事業における解体と復元を一体とした全体計画(中間報告)について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221205-2.pdf

・令和4年12月5日 名古屋市議会経済水道委員会説明資料
 特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画(案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221205-3.pdf

・令和4年12月5日 名古屋市議会経済水道委員会説明資料
 博物館基本構想の策定に向けた検討状況(金シャチ横丁第二期整備)について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221205-1.pdf 

・22/12/5 名古屋市議会経済水道委員会
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221205-4.pdf
傍聴席は5名しかなく、満員のため傍聴できなかった人もいるとのこと。

日弁連が指摘した「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令」では、「幅が140センチ以上、車椅子の転回に支障がない籠」のエレベーターを求めていますが、今回名古屋市が示したものは、幅が140センチなく、車椅子の転回もできません。

高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=418CO0000000379
第十八条 2 
五 当該移動等円滑化経路を構成するエレベーター(次号に規定するものを除く。以下この号において同じ。)及びその乗降ロビーは、次に掲げるものであること。
チ 不特定かつ多数の者が利用する建築物(床面積の合計が二千平方メートル以上の建築物に限る。)の移動等円滑化経路を構成するエレベーターにあっては、イからハまで、ホ及びヘに定めるもののほか、次に掲げるものであること。
(1) 籠の幅は、百四十センチメートル以上とすること。
(2) 籠は、車椅子の転回に支障がない構造とすること。

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以下参考

・株式会社MHIエアロスペースプロダクション
 https://www.mhi.com/jp/group/map/business
 
・2022年10月24日 日本弁護士連合会 会長 小林元治
 名古屋城天守閣にエレベーターの設置を求める人権救済申立事件(要望)
 名古屋市長宛て要望
 https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html

・名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募
 https://www.castle-challenge.city.nagoya.jp/

・2019年01月10日 DPI日本会議
 名古屋城の木造新天守へのエレベーター不設置について、人権救済を申し立てました
 https://bit.ly/3xjiaSI

・名古屋市民オンブズマン 名古屋城木造化 
 日弁連人権救済申立照会に対する市回答入手
 http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#221012
 

【動画】名古屋城木造復元 2022年12月末 バリアフリー昇降「新技術公募」はどうなる?

名古屋市民オンブズマンは、名古屋市が名古屋城木造復元で2022年12月末にバリアフリー昇降「新技術公募」の結果発表をする件で、「名古屋城木造復元 2022年12月末 バリアフリー昇降「新技術公募」はどうなる?」動画を発表しました。
https://youtu.be/e_GUr3gHITQ

参考:名古屋市 名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募
 https://www.castle-challenge.city.nagoya.jp/
 
・名古屋市 日弁連人権救済申立照会に対する回答
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220916.pdf

・2022年10月24日 日弁連
 名古屋城天守閣にエレベーターの設置を求める人権救済申立事件(要望)
 https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html

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【動画】名古屋城天守台穴蔵石垣「江戸時代の石列」発見で木造復元はどうなる?

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城天守台穴蔵石垣から江戸時代の石列が見つかった件で、「名古屋城天守台穴蔵石垣「江戸時代の石列」発見で木造復元はどうなる?」動画を作成しました。
https://www.youtube.com/watch?v=-RMqQWVI5EA


22/11/18(金)名古屋城天守台穴蔵石垣に「近世段階の可能性がある石垣」また確認

22/11/18に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会(第52回)で、「近世段階の可能性がある石垣」がまた確認されました。
「穴蔵石垣はすべて昭和再建時に取り外した」という名古屋市の当初の想定が崩れ、木造復元に欠かせない新たな基礎構造の検討に大きな支障が出ることが予想されます。
・22/11/18特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会(第52回)
 配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221118.pdf
・22/11/18特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会(第52回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221118-1.pdf
 
今回も、傍聴者ならびにマスコミの写真撮影・録音は禁止されました。
リモート参加者がいないにもかかわらず、なぜかZoomをセッティングして画面に投影していました。
オブザーバーの文化庁は今回も参加しませんでした。

今回、天守台穴蔵石垣試掘追加調査等の調査結果が報告されました。

構成員の宮武正登・佐賀大学教授は「従来から『穴蔵石垣には遺構が存在しない』と言われてきたが、石垣部会は『それを証明すべき』と主張してきた。
今回の調査で、実は意外と遺構が残っていたことがほぼ確定した。
名古屋城総合事務所は『年代を確定したい』ためさらなる追加調査をしたいようだが、名古屋城築城当時のものであるとおよそ見えてきた。
また、橋台の調査の下にも、築城当時の遺構が残っている可能性もある。
さらに、今回の天守台穴蔵石垣背面調査の結果、背面に現天守閣再建時にいらなくなった土を入れていて、栗石ではないという無茶苦茶な状態であることが分かった。
天守閣を今後木造にするのか、今の天守を残すかにかかわらず、穴蔵石垣が南海トラフ地震で持つのか。背面の土の密度調査をすべきだ。
どんな形にせよ、このままおいておいては危ない。近代工法での補強も考えないといけない」と述べました。

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会議終了直後、宮武教授は「石垣部会に文化庁も出てもらうようにして。オンライン会議もできる。そこら辺の調整もして」と事務局に要望しました。

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傍聴していた江上ひろゆき名古屋市議(共産)は、会議終了後に、宮武教授に声をかけました。

・特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第52回)
 終了後の、宮武正登・佐賀大学教授と、江上ひろゆき名古屋市議との対話(一部)
 名古屋市民オンブズマンによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/221118-2.pdf

宮武教授は「去年の12月くらいには(遺構が)残ってるかも知れないと言ってきた。残し方(が問題)でしょうね。
保存して、今抱えておられる諸事業についてのすり合わせをどう果たすのだろうか。まあ単純な話だと思う。
大変喜ばしいことだと思いますよ。文化財や歴史遺産が残っていることが。それをどう生かしていくか」と述べました。

その後、宮武教授は「穴蔵石垣の背面が想定より無茶苦茶だったので、天守閣を今後木造にするのか、今の天守を残すかにかかわらず、どう背面を補強するかを考える必要がある」と繰り返し述べました。

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名古屋市は2022年度中に、@石垣保存方針、A基礎構造の方針、B解体と復元を一体とした全体計画を策定しようとしています。
@については、保存方針策定後、どのように石垣を保存・整備するか、どの程度かかるかも不明です。
千田嘉博・奈良大学教授は「10年以上の月日がかかるということがあり得る」と17/6/23 第22回石垣部会で述べています。
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/b12778b6f6f8e4c4a543ef6f7cffec77.pdf
Aについては、今回の新たな発見で、さらなる調査を名古屋市が求めており、それを踏まえないと基礎構造の方針が決まらないのではないでしょうか。
Bについては、バリアフリーの新技術の最優秀者決定を2022年12月中に行う方針のようですが、名古屋市は「バリアフリー新技術の安全基準取得に最低でも5年かかるとみている」と発言しています。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#220314

22/12/5に名古屋市議会で行う所管事務調査でどのような議論がなされるか、注目です。

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22/11/18(金)名古屋市令和5年度当初予算要求に名古屋城木造復元関係計上せず

名古屋市は22/11/18に「予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例」に基づき「令和4年度予算要求内容の公開」を行いました。
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000157902.html
22/11/18(金)から22/12/19(月)まで意見募集中です。

令和5年度当初予算要求にも名古屋城木造復元関係予算は計上していません。
令和2.3.4年度も意見募集時には計上していませんでしたが、当初予算が公表された際にいきなり名古屋城木材保管費1億円などが計上されていました。
https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-0-0-0-0-0-0-0.html

制度の裏を突いて、市民の意見をまともに聞かない名古屋市。
例年12月-1月に市民説明会がありますが、市民への予算計上を公表しない以上、市民からの意見も出ることはなく、回答もしなくてよいことになります。

竹中工務店との2022年12月基本協定期限が切れ、「暫定的に」実施設計、木材製材等が延長されています。
また、障害者団体が同意するとはとても思えない、バリアフリー国際コンペも2022年12月には最優秀者を決定する予定です。
https://www.castle-challenge.city.nagoya.jp/
現天守解体についても、名古屋城大小天守閣穴蔵石垣周辺で近世石列等遺構が多数確認されました。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#220522
「穴蔵石垣はすべて昭和再建時に取り外した」という当初の想定が崩れ、木造復元に欠かせない新たな基礎構造の検討に大きな支障が出ています。

天守閣完成期限のメドもなく、完成するかどうか極めて怪しい名古屋城天守閣木造復元事業。
市民の意見を聞かずに強引に予算計上するのか、それとも。
どうなろうが名古屋市の傷は極めて大きいです。
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22/9/24 名古屋市民オンブズマン 内田隆 発表動画 
 予算編成過程公開実情報告(名古屋市)
 https://youtu.be/nIPHwFJgxKY

・22/9/24 名古屋市民オンブズマン発表資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/nagoya-yosan2022-1.pdf
・22/9/24 名古屋市民オンブズマン発表パワーポイント
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/nagoya-yosan2022.pdf
 
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・22/9/22 全国市民オンブズマン連絡会議
 「予算編成過程・住民参加状況調査結果」
・概要 http://www.ombudsman.jp/taikai/2022yosan-2.pdf
・詳細 http://www.ombudsman.jp/taikai/2022yosan-1.pdf


名古屋市の「予算編成過程の公開条例」は「欠陥条例」!

22/9/24-25に開催された第29回全国市民オンブズ・米子大会2022で、名古屋市民オンブズマンの内田隆は、名古屋市の予算編成過程公開の現状報告を行い、「欠陥条例のため、名古屋城など市民の意見が分かれる問題については事実上意見が言えない」と述べました。
・22/9/24 名古屋市民オンブズマン 内田隆 発表動画 
 予算編成過程公開実情報告(名古屋市)
 https://youtu.be/nIPHwFJgxKY

・22/9/24 名古屋市民オンブズマン発表資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/nagoya-yosan2022-1.pdf
・22/9/24 名古屋市民オンブズマン発表パワーポイント
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/nagoya-yosan2022.pdf
 
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・22/9/22 全国市民オンブズマン連絡会議
 「予算編成過程・住民参加状況調査結果」
・概要 http://www.ombudsman.jp/taikai/2022yosan-2.pdf
・詳細 http://www.ombudsman.jp/taikai/2022yosan-1.pdf

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「再建名古屋城天守閣に最上階までエレベーター設置を要望」日弁連

日本弁護士連合会(日弁連)は、22/10/24に、「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」が申し立てた人権救済事件に関し、名古屋市長に対して「再建名古屋城天守閣に高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令第18条第2項第5号の要件を満たす最上階までのエレベーターを設置する」よう要望を出しました。
https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html

日本全国すべての弁護士は日弁連に登録しています。

日弁連は、「再建する名古屋城天守閣にあえてエレベーターを設置しないということは、障がいのある人が平等に公共施設を利用し、天守閣を観覧したり、天守閣から城下の眺望を享受したりすることにおいて差別されない権利・利益を侵害」「現にエレベーターを利用して天守閣に昇降することが保障されていた障がいのある人を合理的な理由なく差別することになる」と述べました。

また、名古屋市が現段階で昇降新技術を公募している件については、方針で「柱、梁を痛めないものとして、史実に忠実に復元する天守閣とするためには」「バリアフリー法の建築物移動円滑化基準に対応するエレベーターは設置できない」と明記されていると指摘し、「現在の天守閣で5階まで設置されているエレベーターの設置を本件公募において申請しても、そもそも最低要求水準を満たさないことは明らかである」と述べています。

そして、「今般、建築が計画されている木造天守閣は「歴史的建造物の復元」とされているが、不特定多数の来訪者を予定する施設として、公衆に開放され、利用される公共施設であることに変わりはない」として、「従前はエレベーターを利用して天守閣を昇降することができていた障がいのある人等が、建替後には天守閣を昇降することができなくなり、障がいのある人等が、相手方により、不当な差別的取扱いを受けることとなる」としています。

結論として、「エレベーターを昇降設備の選択肢から排除し天守閣を再建することは、これまでエレベーターを利用して天守閣を昇降することができていた障がいのある人が、建替後には天守閣を昇降することができなくなるように、障がいのある人を、不当な差別的取扱いをすることになるから、障害者差別解消法第7条第1項及び名古屋市差別解消条例第8条に違反することとなる」「そして、このような差別的取扱いの結果、これまで障がいのある人に保障されていたところの、昇降の困難を強いられることなく施設内を移動し観覧することを通じて自らの人格を形成し自己実現を図ることができる利益を奪い、また、天守閣から城下の眺望を享受することにおいて障がいのある人が差別されない権利・利益を侵害することになるから、憲法第13条が保障する幸福追求権を侵害すると言える。また、障がいのある人が、障がいのない人と比べて複数階を昇降することに特別な困難を強いられることになるから、不合理な差別として憲法第14条第1項にも違反する。」としています。

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・名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募
 https://www.castle-challenge.city.nagoya.jp/

・2019年01月10日 DPI日本会議
 名古屋城の木造新天守へのエレベーター不設置について、人権救済を申し立てました
 https://bit.ly/3xjiaSI

・名古屋市民オンブズマン 名古屋城木造化 
 日弁連人権救済申立照会に対する市回答入手
 http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#221012
 

名古屋城木造復元 名古屋市長室から名商への送付文不存在

山本亜土名古屋商工会議所会頭が「個人的な思い」として、「名古屋城に長期間入れないのは異常事態。河村たかし市長が断片的に説明することが、簡単に言うと眉唾もんだな、と誰もが思っている」と発言した件に対し、22/8/22河村たかし名古屋市長定例記者会見で「まとめてご発言いただきたいと市長室から名商に言ってくれといった」とした件を情報公開請求したところ、「行政文書は不存在」との決定が出ました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220906.pdf
また、同記者会見で河村市長が発言した「区長会で『区政協力委員さんに説明するように』」の根拠資料として新聞記事が公開されました。22/8/19区長会での市長発言要旨、22/8/23区政協力委員議長協議会での市長発言要旨は情報提供されました。

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実際、市長室から名商になにか口頭でも話しがあったのかは不明です。
その後の市長室の動き、区長会の動き、区政協力委員議長協議会の動きも不明です。

名古屋市民オンブズマンは、21/3/2に「名古屋城木造復元事業市民説明会 ポストコロナ時代の情報発信を求める」を河村たかし名古屋市長宛に郵送しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210302.pdf
その中で、「1ヶ月に1度程度の頻度で年間12回の説明会のライブ配信」を求めてきましたが、市民に対してまともな説明はいまだにありません。


名古屋城木造化 日弁連人権救済申立照会に対する市回答入手

「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」が19/1/7に日弁連人権擁護委員会に提出した「人権救済申立書」に関し、日弁連が名古屋市に照会を行い、市が20/3/31に回答した文書を名古屋市民オンブズマンは情報公開請求で入手しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220916.pdf

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以下、日弁連の照会文と名古屋市の回答(概要)をまとめました。

【質問1】2022年末の完成目標を断念した理由は
→文化庁による確認事項に対応するため調査・検討に全力を挙げて取り組んでいるため

【質問2】復元事業継続のためのクリアすべき調査・検討は
 →内堀地下遺構把握、御深井丸側内堀石垣追加発掘調査、御深井丸地下遺構把握発掘調査、大天守台北面石垣孕みだし調査・検討、大天守台石垣背面等空隙調査

【質問3】新技術公募の進捗状況は
 →今後の公募開始に向けて(株)日本総合研究所には支援を担っていただいている

【質問4】新技術の検討状況は
 →公募によって幅広く新技術の提案を募ることを計画

【質問5】検討会議でどのような議論がなされたか
 →歩行作業補助技術、移乗を必要とする技術、移乗を必要としない昇降装置、地上から直接1階以上に入場可能な技術を報告した。構成員からは垂直昇降装置と明示されたことはよかったなどの意見が出た。

【質問6】障害者・高齢者を排除することないようエレベーターを設置すべきとの要望・意見に対する名古屋市の見解及び対応策は
 →柱や梁を傷めないエレベーターは、4人程度が仕様可能なものは設置できないと考えている。新技術公募で、可能な限り上層階まで昇ることを目指すとともに、障害者団体の皆様とも120回以上ご意見を伺っている。ワークショップや名古屋市障害者団体連絡会等の場で議論を重ねている。
 
【質問7】努力義務である「具体的な必要な措置」の検討経緯・結果は
 →新技術を付加して移動の円滑化に努める。
 なお、建築基準法3条1項に規定する建築物は特別特定建築物から除くとされ、認定を受けることを計画していることから、建築物移動等円滑化基準への適合義務はなくなる
 
【質問8】エレベーター設置しないことでの不利益の内容
 →新技術公募を行わず、その他付加設備を一切付けないとすれば、大天守地階から1階以上に上ることが出来ないと認識。
 新技術を付加するため、当該不利益は生じないと認識。

【質問9】障害者の権利を侵害する結果となるかの見解
 →6で述べたエレベーターは設置しないが、新技術を付加することで、歩行困難な障害者が昇降できる環境を整える。

【質問10】新技術によって天守閣へ上がることができなければ人権侵害に該当するとの見解か否か
 →仮定の質問にはお答えいたしかねる。
 新技術を付加すること等を通じて、人権侵害とならないよう本件事業を実施する。

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・2019年01月10日 DPI日本会議
 名古屋城の木造新天守へのエレベーター不設置について、人権救済を申し立てました
 https://bit.ly/3xjiaSI
 
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22/10/7(金)名古屋城有識者「近代以降の名古屋城全体の石垣保存方針を明確化する必要があるとは思えない」

22/10/7に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第52回)が開催され、名古屋市は近代以降に修復・改変された石垣について「原則として修復復元することを前提に検討する」と提案しましたが、有識者からは「あたかも穴蔵石垣は修復復元すると取れる。個別に考えないといけない。統一して明確する必要があるとは思えない。個別に検討すればよい」「上記を原則とすると、将来100年でいくらかかるのか」など批判が相次ぎました。
・22/10/7 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第52回)配付資料
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/221007.pdf
・22/10/7 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第52回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/221007-1.pdf

今回も、議論は録音・録画が禁止されました。

名古屋城調査研究センターの村木誠副所長は
「名古屋城の石垣保存方針を3年くらいかけて作成中である。特に、18年5月に策定した『特別史跡名古屋城跡保存活用計画』では、近代以降に修復改変された石垣について、位置づけが曖昧だった。例えば、天守台穴蔵石垣は、下部は原形をとどめているが上部は戦後改変されている。小天守西側内堀石垣は、濃尾地震以降積み足しされた可能性がある。
 今回、『名古屋城石垣保存方針』における基本的な考え方(案)として、『原則として修復復元することを前提に検討する』と本検討会議に提案した。
 具体的な取扱い方針としては、復元整備の可否について慎重に検討し、個別事例ごとに判断したい」と述べました。
 
構成員の麓和善・名古屋工業大学名誉教授は「上記考え方(案)だと、あたかも穴蔵石垣は修復復元すると取れる。城内には、かつて石垣がなかったところに石垣が作られた事例もある。条件が違うのに、穴蔵石垣のために考え方(案)を言いたがっているように思える。どうすることが名古屋城にとって価値があるかを考える必要がある」と述べました。
村木副所長は「『一部石垣を改変していても手を入れない』ではないと明確にしたい」と述べました。

座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「上記考え方(案)は穴蔵石垣に影響に及ぶのか」と質問し、村木副所長は「個別の事例は今は議論出来ない」としました。

麓名誉教授は「近代以降の石垣については明確な位置づけをしてこなかったが、その必要があるのか。統一的に『原則として修復』明確化する必要があるとは思えない。個別に検討すればいい。」としました。

高瀬要一・公益財団法人琴ノ浦温山荘園代表理事は「近代石垣は難しい。近代でも価値があるものはある」としました。

瀬口座長は「名古屋城全体の石垣の面積はどれくらいか」と質問しましたが、村木副所長は答えられず、「長さは約9キロ」としました。
瀬口座長は「高さを10メートルとした場合、約90000u。1割を修復するとしても約9000u。方針を作ると、予算を決めちゃう気がする。
1uあたり100万円とした場合、将来100年で何兆円もかかる可能性がある。本質的価値はどこなのか。価値を高めるには何が必要か」としました。

リモートで参加した、オブザーバーの平澤毅・文化庁文化財第二課主任文化財調査官は「検討する重要事項がたくさんあるが、全体の進行のなかでどう進捗しているか、正確に把握しづらい。事務局にお願いしたいが、全体のなかでどこの箇所を議論するか冒頭に確認出来るようにしたい。
今年度の事業進捗はこうで、来年度はこういう事業を行いたいから今これを議論しているというもの。そうすれば全体を見失わない」としました。

---------
文化庁の平澤調査官も述べているように、名古屋城の今後をどうしていくかという面からみると、議題のそれぞれがどう位置づけられるかは大変わかりにくいです。
今回の石垣保存方針の提案はあまりにも唐突でした。

名古屋市は、木造天守復元を踏まえた石垣保存方針を2023年3月までに決定するとしています。

2022/7/15に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会 第50回部会で、名古屋城石垣の保存方針について議題にあがっています。(資料はネット上にアップされていますが、議事録はいまだにアップされていません)
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/df5b04e884854743485616445699cbe2.pdf

天守木造復元には、天守台穴蔵石垣をどうするか、小天守西の石垣をどうするかを個別に検討するだけでよいはずで、全体を決めて個別に下ろす必要はないはずです。仮に、個別の議論が紛糾しているから全体を決める、と名古屋市が考えているのであれば邪道です。

名古屋市は2022年度中に、石垣保存方針、基礎構造の方針、解体と復元を一体とした全体計画を策定しようとしています。
残り半年を切りましたが、具体的にどう進めようとしているのかわかりません。
天守台穴蔵石垣(地下部、上部)をどうするのか、情報を公開した上で、有識者ならびに市民が真剣に議論する必要があるのではないでしょうか。


名古屋城バリアフリー新技術公募 参加者数すら非公開

名古屋城天守閣木造復元事業に関し、エレベーターに代わる新技術を名古屋市が公募した件で、名古屋市民オンブズマンが提案業者から提出された書類の目次を情報公開請求したところ、全面非公開になりました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220905.pdf

名古屋市は22/8/12まで公募を受け付けていました。
https://www.castle-challenge.city.nagoya.jp/
名古屋市は「当該行政文書を一部公開とした場合、開示文書の枚数から参加者数が明らかとなる。
当該公募に係る最優秀者の選考前に、公募参加者名、公募参加者数が公開されることにより、公募の選考における公平性に影響を及ぼし、当該事業の公正又は適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、非公開とします」と述べています。

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どの業者からどのような技術が提案されたかということだけでなく、参加者数すら非公開にする名古屋市。
今後、障害者団体や高齢者団体から非公開でヒアリングをするようですが、こんなに非公開でどのように各種団体の意見を聴くのでしょうか。

22/8/18に、山本亜土名商会頭は「河村たかし市長が断片的に説明することが、簡単に言うと眉唾もんだな、と誰もが思っている」と述べたと報道されています。

それを受け、河村たかし名古屋市長は「区長会で『区政協力委員さんに説明するように』(と述べた)」と記者会見で発言していますが、22/9/6に名古屋市の区政協力委員担当者は「具体的にはなにも降りてきていない」とのこと。

河村市長のやることは一事が万事こうです。
2009年4月当選直後「日本民主主義発祥の地ナゴヤ」の垂れ幕を掲げましたが、実態はこうです。
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名古屋城木造復元 名商会頭「市長の断片的説明は眉唾もの」

22/8/19中日新聞によれば、名商会頭「名古屋城の復元停滞 異常事態」というタイトルで、山本亜土会頭は「個人的な思い」と断った上で、「城に長期間入れないのは異常事態。河村たかし市長が断片的に説明することが、簡単に言うと眉唾もんだな、と誰もが思っている」と言及したとのこと。
22/8/22に開催された河村たかし名古屋市長定例記者会見で、河村市長は「私もあの記事読ませていただきまして、うれしさ8割ぐらいだった。区長会で『区政協力委員さんに説明するように』(と述べた)」としています。

22/8/22(月) 15:58配信 THE PAGE
名古屋城天守木造復元「早く造って名古屋の宝に」名古屋・河村市長会見8月22日(全文2)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0ce7a9494112efaff565f1289f5424af0940874e?page=4

また、中日新聞記者からの「文化庁との協議は順調に進んでいるという理解でよいか」に対し、河村市長は「順調に進んでおると認識」と回答するも、松雄副市長は「今年度中に絶対にまとめ上げますから。それは文化庁もよく分かってますので。」としか述べず、順調に進んでいるとは述べていません。

さらに、日本経済新聞記者からの「名商会頭からかなり厳しく批判されていると思うが、感謝とはどういうことか」という質問に対し、「まとめてご発言いただきたいと市長室から名商に言ってくれといった」としました。

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名商会頭の「誰もが思っている」はあまりにも重いです。

名古屋城木造復元に期待している名古屋財界だけでなく、期待している市民、到底出来ないと思っている市民も、だれも名古屋城の木造復元の現状を把握できていません。

バリアフリーの新技術公募を22/8/12に締め切りましたが、「何件応募があったかすら言わない」名古屋市。
名古屋市は「バリアフリー新技術の安全基準取得に最低でも5年かかるとみている」と発言しています。
https://ombuds.exblog.jp/29122211/
障害者団体と150回対話したというものの、147回は議事録を作っていません。

はね出し架構に代わる新たな基礎構造の検討状況も全く分かりません。

木造天守復元を踏まえた石垣保存方針を2023年3月までに決定するとのことですが、その後どのように石垣を保存・整備するか、どの程度かかるかも不明です。
千田嘉博・奈良大学教授は「10年以上の月日がかかるということがあり得る」と17/6/23 第22回石垣部会で述べています。
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/b12778b6f6f8e4c4a543ef6f7cffec77.pdf

確実なのは、「木材保管料だけで新たに1億円かかる」ということだけです。

名古屋市民オンブズマンは、21/3/2に「名古屋城木造復元事業市民説明会 ポストコロナ時代の情報発信を求める」を河村たかし名古屋市長宛に郵送しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210302.pdf

しかし、市民に対してまともな説明はいまだにありません。

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21/12/25名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議(第3回)で江戸期遺構を報告済

太田敏光氏が情報公開請求して入手した、21/12/25に開かれた名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議(第3回)の会議メモは、22/5/20に情報公開された際に比べて、若干公開されました。http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/211225.pdf

新たに開示された文書には、「調査の結果、江戸期の遺構と思われるものが確認されている」としています。
・22/5/20決定書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220520.pdf
・開示文書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220520-1.pdf
 
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上記22/5/20決定の直後の、22/5/22に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第49回)で、名古屋城総合事務所は令和3年度に行った天守台穴蔵石垣試掘調査で、大小天守閣地下の穴蔵石垣根石周辺に、刻印有石材を含む近世石列等遺構を多数発見したと初めて発表しました。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2022/05/20220523_1352.html

ただ、21/12/25にはすでに遺構は確認されていて、調整会議構成員には示していたことがはじめて分かりました。

名古屋城総合事務所は、2022年1月に行われた名古屋城木造復元市民説明会でも一言も述べず、記者発表も特段行っていないようです。
(石垣部会、全体整備検討会議では公表しています)
https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/345-0-0-0-0-0-0-0-0-0.html

22/8/19(金)中日新聞によれば、名商会頭「名古屋城の復元停滞 異常事態」というタイトルで、山本亜土会頭は「個人的な思い」と断った上で、「河村たかし市長が断片的に説明することが、簡単に言うと眉唾もんだな、と誰もが思っている」と言及したとのこと。

現天守閣地下にある、近世石列等遺構は、木造復元事業にどの程度影響を及ぼすものなのか。
調整会議で議論されているはずですが、その中身はいまだに非公開です。

22/8/22に開催された河村たかし名古屋市長定例記者会見で、河村市長は「私もあの記事読ませていただきまして、うれしさ8割ぐらいだった。区長会で『区政協力委員さんに説明するように』(と述べた)」としています。

また、中日新聞記者からの「文化庁との協議は順調に進んでいるという理解でよいか」に対し、河村市長は「順調に進んでおると認識」と回答するも、松雄副市長は「今年度中に絶対にまとめ上げますから。それは文化庁もよく分かってますので。」としか述べず、順調に進んでいるとは述べていません。

22/8/22(月) 15:58配信 THE PAGE
名古屋城天守木造復元「早く造って名古屋の宝に」名古屋・河村市長会見8月22日(全文2)
https://news.yahoo.co.jp/articles/0ce7a9494112efaff565f1289f5424af0940874e?page=4
名商・山本会頭の退任会見での発言への受け止めを
文化庁との協議は順調に進んでいるのか

区政協力委員だけではなく、市民に現状を率直に説明することが必要ではないでしょうか。


名古屋城バリアフリーについて話し合われた名古屋市「障害者団体連絡会」議事録不存在

名古屋市民オンブズマンは、22/4/5に開催された「名古屋市障害者団体連絡会」で話された内容が分かるものを情報公開請求したところ、22/8/4に不存在決定が出ました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220804-2.pdf

配付資料は公開されました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220804-1.pdf

22/4/12に開催された、名古屋市議会経済水道委員会で、「名古屋市障害者団体連絡会」の、名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募の実施についての主な意見が記載されています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220412.pdf

不存在決定に先立ち、名古屋市健康福祉局障害福祉部障害企画課の担当者から、名古屋市民オンブズマンに「不存在」と電話が掛かってきました。
名古屋市民オンブズマンは、「上記名古屋市議会委員会記載以外の資料がないか」と尋ねたところ、「ありません」と答えました。
名古屋市民オンブズマンは「外部の会議に参加して、説明しておきながら、議事録や議事メモがまったくないのは、名古屋市情報公開条例などに照らしておかしい。
情報公開を所管する、名古屋市スポーツ市民局市民生活部市政情報室市政情報係と相談して欲しい。
特に今回は、委員会資料がある。委員会資料を作るに当たり、なんらかのメモがないと作れないはずだ。二重の意味でおかしい」と述べました。

担当者は「了解した」と述べましたが、結局不存在決定でした。
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上記委員会資料には、「少なくとも1階だけでなく、最上階という表現を明文化してほしい」「公募全体のスケジュールが見えてないし、税金の無駄使いになるので公募実施は反対」「公募実施についてはそのものが反対」などありますが、賛成意見もあり、どの程度の割合で発言があったのかわかりません。
そのもとの資料を確認しようとしましたが、「不存在」でした。

名古屋市は、都合の悪い文書を作らない、公開しないようにしています。
少なくとも建設費だけで505億円もの事業の名古屋城木造復元事業。
現時点では竣工期限は決まっていません。
バリアフリーについて、障害者団体が具体的に何を言ったかも、市民をはじめ議員にもはっきり示していません。
市民も議員もなめられています。
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22/8/5(金)名古屋城全体整備検討会議座長「愛知県新体育館予定地『発掘調査して報告書作るだけ』は最低」

22/8/5に開催された、名古屋城全体整備検討会議で、座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「愛知県が愛知県新体育館を作るために発掘調査した名城公園遺跡で江戸時代の遺物が発見された。
新体育館の予定位置とかかっていれば、体育館を移動してもらうくらいしないと文化財の破壊になる。
『発掘調査して報告書作るだけ』は最低だ」と述べました。

・配付資料(資料2 1ページ目「余芳古写真」は
 著作権の関係で2次利用は控えて欲しいと名古屋城総合事務所より依頼)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220805.pdf0000 
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220805-1.pdf

今回も、傍聴者は録音・録画は禁止されました。
(一部会議出席者はZoomで参加していましたが、傍聴者のZoomでの参加は認められませんでした)

議題3つ(舟運、余芳移築再建、本丸搦手馬出石垣)は淡々と進みました。

報告議題として、天守台穴蔵石垣背面調査について報告され、今後9月頃から行いたいとのこと。

続いて報告議題として、愛知県埋蔵文化センターが名城公園で発掘調査を行った「下御深井御庭の調査について」を、なぜか名古屋城調査研究センターの村木誠副所長が報告しました。

村木副所長は「愛知県が名城公園で発掘調査をした。瀬口座長から『本来は名古屋城の一部なので(検討会議で)報告するように』と言われた。
愛知県が作った資料を見ると、江戸時代の石灯籠や溝、御深井焼や瓦、井戸等が中央西、南端で発見された。
大半が弥生時代、古墳時代の遺跡。
中日新聞報道によれば、南側遺構群は松山茶席の蔵の庭の可能性もあるという。
名古屋城調査研究センターとして今後どう対応するか検討中。考古学学芸員や文書担当が整理に参加出来ないか検討している。
また、上記発掘調査結果を名古屋城の全体整備に取り入れるかを検討したい。」と発言しました。

赤羽一郎・元愛知淑徳大学非常勤講師は「発掘調査の結果を名古屋市教育委員会としてどう認識しているのか。名古屋市はこれまで遺跡として認定していなかったのでは」と質問しました。

名古屋市教育委員会文化財保護室の加藤久室長は「従前遺跡ではないところから出た。今名城公園として使われている。発掘された場所の南側は名城公園。 
結果を受けて、今後公園開発行為をする中で遺跡発見も想定される。試掘もお願いすることを考えている。
公園管理している部署に対し、『そういった地下遺構があるかもしれないため、不時発見につながるので、公園の開発があれば試掘を依頼し、遺構が発見された場合、文化財の先生と相談して、保存地の拡大も考えられると認識している」としました。

丸山宏・名城大学名誉教授は「江戸時代の石灯籠があったという。どういったものか。庭園部会で灯籠を研究している」と発言し、オブザーバーの、皆見秀久・愛知県県民文化局文化部文化芸術課文化財室室長補佐は「遺物は調査していない。見せられない。現在調査整理中で、報告書は近々に出来る」としました。

瀬口座長は「発掘調査をしているのは愛知県新体育館を作るためと聞いている。
仮に新体育館の位置と、松山茶屋の場所がかかっていれば、体育館を移動してもらうくらいしないと文化財の破壊になる。
あるのは民家ではなくテニスコートで国の土地だ。必要であれば移すくらいしないと。『報告書を作る』ではだめ。設計できてしまったなら、後戻りしにくくなる。
以前、戦国時代の砦が発掘され、『新しく作る建物ずらしてほしい』といえないのはダメだ。そのための準備をしないといけない。
『発掘調査して報告書を作る』だけなのは最低だ。きちんとすれば名古屋城の価値が上がると思う」と述べました。
 
加藤室長は「意見を拝聴した。記録保存は一つの現状の保存と認識している。開発行為がなければ遺跡が発見されなかったという話はよく分かる。
愛知県も我々も遺跡を記録して保存するのは『存在を将来につなげる』ため。報告書作成に向けている。意見を頂戴したことは受け止める。
なかなか体育館の位置の移動は、なかなか困難ではないか」と述べました。
 
瀬口座長は「県の有識者委員だった時、朝日遺跡を見学した。朝日遺跡がなぜ残らなかったか。
吉野ヶ里、三内丸山に匹敵するすばらしい遺跡だった。しかし高速道路を作る計画があったから。
本来は計画動かすくらいの力がないといけない。しかし朝日遺跡は遺跡を壊した。
名古屋城の遺跡も同じことを繰り返してはいけない。『加藤さんが命を懸けてでもやる』というのは冗談だが。
また、『名古屋城総合事務所は関係ない』ではない。名古屋城と名城公園の遺跡がそろうと、城郭のすばらしさ、日本的位置づけができる」と述べました。

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全体整備検討会議終了後、オブザーバーとして参加していた、平澤毅・文化庁文化財第二課主任文化財調査官と、加藤室長がなにか話していました。

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愛知県埋蔵文化財センターが調査した場所について、公開されている資料が限られているため、現在の場所と特定することがなかなか困難です。
・愛知県埋蔵文化財センター 広報誌 : 名城公園遺跡 発掘調査通信
 http://www.maibun.com/modules/mydownloads/viewcat.php?cid=152&orderby=dateD

一方、今回話題に出ていた「松山御茶屋」は、御深井庭及西御深井之図  『金城温古録』に掲載されています。
(伊藤正博氏WEB「吹上御苑のモデル 御深井の庭」より)
http://nagoya-town.info/bunnka/kita~ofukenoniwa/ofuke~zu.html

現在、名城公園のtonarinoより北は発掘調査が行われています。
(google map 2022より)

内堀や御深井丸の位置から、『金城温古録』とgooglemapを重ねると、松山御茶屋は今回の発掘調査の場所にあたるようにも見えます。
(名古屋市民オンブズマンによる、両図の重ね合い)


愛知国際アリーナのホームページによれば、tonarinoのすぐ北に大階段と新体育館が予定されているようにもみえます。
https://aichi-arena.co.jp/

愛知県新体育館は愛知県、名古屋城は名古屋市という縦割り行政で本当によいのでしょうか。

22/7/7に愛知県新体育館は起工式を実施したといいます。
https://aichi-arena.co.jp/news/63/

文化財をどう残すのか。
愛知県と名古屋市が真剣に話し合うべきではないでしょうか。
また、もっと市民・県民に情報を公開すべきだと思います。


名古屋城木造復元事業追及のためカンパ頂きました

22/7/27に、名古屋市民オンブズマンあてに名古屋城木造復元事業追及のためのカンパを手紙付きで匿名で受け取りました。
ありがとうございました。
名古屋市民オンブズマンは、各種情報公開請求を行ったり、市議会や有識者会議の傍聴を通じて、情報を広く市民に公開しています

※ぜひともカンパをお願い致します。
情報公開請求してコピーを入手するのも費用がかかります。名古屋市民オンブズマンは、会費とカンパのみで活動しております。
今後ともご支援頂けますと幸いです。

《郵便振替口座》 口座番号 00870−9−105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
《ゆうちょ銀行》 当座 〇八九店 105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
http://www.ombnagoya.gr.jp/kannpa.htm

《資金カンパ送付先・問い合わせ先》
 〒460-0002 名古屋市中区丸の内3-7-9 チサンマンション丸の内第2 303号室
 名古屋市民オンブズマン タイアップグループ事務局
 Tel:052−953−8052 Fax:052−953−8050
 メール:office@ombudsman.jp

以下寄付者の手紙です。
(名古屋市民オンブズマンは、特定の政党・団体・宗教団体を応援していません。支援も受けていません)
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いつもいろいろな情報を教えて頂き有難うございます。

私は市長の河村は任期中に名古屋城木造復元の目星をつけることすらも無理だと思っています。
木造復元は私は反対だからいいのですが。
いつまでぐだぐだ同じことばかり話しているのか?
名古屋城に関しては共産党がいちばんまっとうな意見なのではないかと思っています。

市会議員は、特に民主党はなぜこんなにおとなしいのだろうと思います。
国政の立憲民主党は弁が立つ人が多いのに。
カンパします。


22/7/20(水)学習会「建築士が読み解く! どうする名古屋城〜2万人アンケート再考、木造化、石垣〜」

「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」は、22/7/20(水)に学習会「建築士が読み解く! どうする名古屋城〜2万人アンケート再考、木造化、石垣〜」を行いました。
今後動画をアップするとのこと。
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle

・配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220720.pdf
 
講師の渡邉正之建築士は、名古屋城再建事業を考える背景は巨大地震頻発と建築基準法改正としました。

天守閣が震度6に耐えられるようにするため、名古屋市は(幻の)改修案(約30億円)を作成しました。
(22/2/22(火)学習会「建築士が読み解く 名古屋市が作成した幻の名古屋城現天守耐震改修案」)
 http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#220222

しかしながら、名古屋市は2016年に木造化への誘導説明を行った2万人アンケートを強行したのは不適切だと渡邉建築士は述べました。
木造もコンクリート造もメンテナンスあっての建造物であり、木造化に505億円、コンクリート耐震補強で30億円なので、冷静に考えるべきだとしました。

続いて、史実忠実・木造化は可能かという点に付いて述べ、実測図面では不十分であること、バリアフリーは健常者にとっても必須条件であること、「二度と燃えないお城」に反することから、建築基準法・消防法・バリアフリー法を無視しており、全てに於いて不適格としました。

続いて石垣の改修方針について述べ、石垣の耐震強度は震度5程度が限界であり、現代土木建築工学に基づき震度6相当を目指すべきと
しました。

最後に、渡邉建築士は「市民が求める形を当局者に届ける声が必要」としました。

会場から質問も活発に出ました。


22/7/16(土)名古屋城跡西之丸発掘調査 現地説明会

22/7/16に、名古屋城総合事務所は特別史跡名古屋城跡西之丸発掘調査 現地説明会を行いました。
多数の見学者が来城しました。

・配付資料
・案内

はじめに、名古屋城調査研究センターの村木誠副所長が挨拶し、「蔵の跡を地表面に展示しようと、発掘調査を行った。事前に工事をしたとき、六番御蔵東側の石列を壊してしまった。しっかり調査をして整備をするという反省をした。発掘調査の成果を見てもらいたい」としました。


続いて、担当学芸員が「米蔵が6棟建っていた。1600年代のどこかで一番〜五番御蔵が建てられた。
1834年に六番御蔵が建てられた。明治時代は陸軍の管轄になり、二番御蔵と五番御蔵が撤去された。
その後宮内省の管轄になり、大正4年前には全ての蔵が撤去された。蔵跡の位置を、礎石の抜き取った跡の発掘で確認した。二番、五番御蔵は正確な場所が分かっていない。
六番御蔵の東側だけは礎石がそのまま残っていた(今回壊した)。瓦だまり、近世水路も見つかった。
発掘調査が終わると土で埋め戻すため、遺構が見れるのは今日だけ。」と説明しました。

その後それぞれ遺構を見学しました。
学芸員が多数いて、見学者の質問に答えていました。
「白いひもが建物の形をしめしていて、赤いリボンが礎石の跡を示している。東側は礎石があるのでそのまま展示している」と説明しました。
それぞれの蔵にどの程度コメが入っていたのかと質問したところ、「非常用の米が貯蔵されていたようだが、詳細は不明。これ以外にも保存用の蔵が城内にあった」とのこと。また、発掘された瓦は天守の瓦の可能性もあるとのこと。

学芸員に、六番御蔵の発掘後どうするのかと聞いたところ、「土で埋め戻したあと、蔵の跡をコンクリートで平面的に示すような整備を今後行いたいと考えている。」とのこと。

学芸員に「天守閣の地下の発掘結果について見る機会はないのか」と質問したところ、「天守閣は耐震性が低く閉館している。市民に公開は計画がない。築城期の天守台の状況がわかってきた。」と回答がありました。
「せっかく西の丸御蔵城宝館が出来たので、発掘調査を分かりやすく示して欲しい」と伝えました。
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大勢の城好きが、学芸員を質問攻めにしていました。

名古屋城では多数の発掘を行っています。市民が気軽に学芸員に質問出来る機会をもっと作ってもらいたいですし、名古屋城木造復元に関しても、どうなっているのか市民が直接市に気軽に質問出来る機会を作ってもらいたいです。

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なお、名古屋城本丸御殿の「湯殿書院」について見学が出来るか入口まで行きましたが、閉まっていました。
村木誠副所長に聞いたところ、「現在湯殿書院は、蜜を避けるため、また運営上の理由で閉鎖している。閉鎖していることを記載しているかどうかはわからない」とのことでした。

少なくとも名古屋城の東門入口には、「湯殿書院」が閉まっていることの記載はありませんでした。
ホームページにも特に記載は見つかりませんでした。

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なお、名城公園の弥生時代の発掘について質問したところ、「愛知県が発掘調査を行って終了したと聞いている。
あちらは沖積地。名古屋城は台地の上にあるので、おそらく同様のものはない。弥生時代の遺物はときどきあるが、大規模にはない。
名古屋市博物館にある銅鐸は、名古屋城の堀から出たという言い伝えがある。『由緒』なので、箱に書くと価値が高くなる。本当に名古屋城の堀から出たか、いつ出たか、名古屋から出たかも分からないが、形から見ると、名古屋城の堀から出てもおかしくはない」とのこと。
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22/7/15(金)名古屋城石垣部会で石垣保存方針を審議

22/7/15に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会(第50回)が開催されました。
今回も写真・ビデオ撮影は禁止されました。
一部構成員はZoomで参加しました。
22/7/15 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 
石垣・埋蔵分科会部会(第50回)配付資料

名古屋市民オンブズマンメンバーは用事があり資料だけ入手して退席したため、メモはありません。

石垣部会を傍聴した人によれば、全体整備検討会議の臨時書面会議で、天守台穴蔵石垣背面調査が了承されたことが報告されたとのこと。

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22/7/15に愛知県内で判明した新型コロナウイルス感染者は6351名と、6000人を4日連続で超えました。
そんな中、一部構成員はZoomで参加しているにもかかわらず傍聴するには会場に来い、ネット中継しない、というのはとても理解できません。

天守台穴蔵試掘調査では、近世の石列、刻印を有する石材、石樋などが発見されています。

天守台穴蔵石垣背面調査でも、なんらかの遺構が見つかる可能性があります。
議事録は数ヶ月先にしか公開されません。
・名古屋城 令和4(2022)年度有識者会議開催実績
石垣部会の議論を広く市民に知らせることを望みます。


22/7/13(水)名古屋城木造復元 天守閣部会で木造天守整備基本計画を審議

22/7/13に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第24回)が開催されました。
今回も写真・ビデオ撮影は禁止されました。
・配付資料
・名古屋市民オンブズマンによるメモ(途中まで)

上田剛名古屋城総合事務所長は「令和3年3月以来1年4か月ぶりの開催で申し訳ない。全体計画である『木造天守整備基本計画』を年度内に取りまとめたい」と挨拶しました。

次に、木造天守整備基本計画、石垣保存方針、基礎構造の方針、天守全体のバリアフリーの方針の今年度のスケジュール案が示されました。
また、木造天守整備基本計画(目次)案及び進捗管理表が示され、天守閣部会で何を審議するのか、次回以降検討するのは何かを明記した資料が示されました。
特に意見はありませんでした。

その後、木造天守整備基本計画の各章ごとに議論になりました。

西形達明・関西大学名誉教授は「昨今、文化庁が『石垣耐震マニュアル』を作った。それに対応するデータは名古屋城は持っている。どう対応するか」と質問しました。
名古屋城調査研究センターの村木誠副所長は「マニュアルは熊本城を踏まえて案を示されたと理解しており、理解に努めている」としました。

また、座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「資料19ページにある、『基礎構造検討に係る調整会議』は非公開であることを明記した方がいい。情報公開していないことを認識した方がいい」と発言しました。

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名古屋市民オンブズマンメンバーは用事があり退席したため、その後のメモはありません。

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天守閣部会を聞いた感想ですが、名古屋市は2022年5月に文化庁に対して「現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への追加回答」を提出したことで一区切り付いたと考えているようで、なんとか今年度中に『木造天守整備基本計画』を取りまとめようとしています。

しかしながら、はね出し架構に代わる基礎構造について、どのような案が出るかは未知数です。
また、現在公募しているバリアフリーについても、よい案が出るか不明です。

そもそも、各部会は傍聴者が限られており、写真・ビデオ撮影も傍聴者もマスコミも不可です。
議事録も数ヶ月後にしか公開されません。

『基礎構造検討に係る調整会議』は傍聴を全く認めていません。

いったい名古屋城木造復元はどうなっているのか。
「フレーズが変わった」現在、名古屋城総合事務所は市民に直接説明することが必要ではないでしょうか。

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参考:文化財石垣・石積擁壁補強技術協会

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22/7/20(水)学習会「建築士が読み解く! どうする名古屋城〜2万人アンケート再考、木造化、石垣〜」

「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」は、22/7/20(水)18:30〜 名古屋市北生涯学習センターにて学習会「建築士が読み解く! どうする名古屋城〜2万人アンケート再考、木造化、石垣〜」を行います。
よろしければご参加下さい。

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建築士が読み解く!どうする名古屋城 〜2万人アンケート再考、木造化、石垣〜

日時:22/7/20(水)18:30〜20:30
会場:名古屋市北生涯学習センター 第3集会室 
 地下鉄:「黒川」下車 4番出口 徒歩2分
講師:渡邉正之建築士
参加費無料
主催:名古屋城天守の有形文化財登録を求める会


22/7/1(金) 名古屋城天守木造復元 木材製材 「『暫定的に』期間延長」市議会委員会で可決

22/7/1(金)に開催された名古屋市会経済水道委員会で、「名古屋城天守木造復元事業の木材製材の請負契約を、『暫定的に』令和6年3月31日まで期間延長する」とする契約が委員会で可決されました。

・22/6/17提出 令和4年第77号議案
 契約の一部変更について 
 名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)の請負契約
 
・22/7/1 名古屋市会経済水道委員会
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 
・仮契約書
 
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22/2/25に開催された名古屋市本会議で、名古屋市は「名古屋城木造復元事業に関し、竹中工務店との基本協定を『暫定的』に2024年3月末、実施設計と木工事の債務負担行為の期限も『暫定的』に2024年3月末としたが、過去債務負担行為で『暫定的に』とした事例はない」と明言しました。

前代未聞の、期間を「暫定的に」延長する契約。
議会で議決すればなんでも許される、という問題では無いのではないでしょうか。


22/6/28(火) 名古屋城天守木造復元 木材製材 名古屋市議「『暫定的に』期間延長の理由は?」

22/6/28(火)に開催された名古屋市会経済水道委員会で、江上博之市議(共産・中川区)は、「名古屋城天守木造復元事業の木材製材の請負契約を、『暫定的に』令和6年3月31日まで期間延長する理由はなにか」と質問しました。
・22/6/17提出 令和4年第77号議案
 契約の一部変更について 
 名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)の請負契約

・22/6/28(火)名古屋市会経済水道委員会(名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 
当初契約は22/12/16まででしたが、『暫定的に』24/3/31まで契約を延長するとしました。

名古屋城総合事務所保存整備室 荒井敦徳・天守閣整備担当主幹は「現天守解体と木造復元を一体とした現状変更許可の取得に至っていないため、完成期限を
覚書という形で暫定的に1年ずつ延ばすという覚書を締結している。
その覚書に基づいて工期を延長する」としました。

江上市議は「今年の2月議会の最終補正で、債務負担行為の変更があったが、それに基づき行うのか」と質問し、荒井主幹は「そう」と答えました。

江上市議は「どちらに対しましても、私どもとしては、名古屋城天守閣木造復元そのものを、今見直すべきだとやめるべきだという立場だ」と述べました。

・仮契約書

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22/2/25に開催された名古屋市本会議で、名古屋市は「名古屋城木造復元事業に関し、竹中工務店との基本協定を『暫定的』に2024年3月末、実施設計と木工事の債務負担行為の期限も『暫定的』に2024年3月末としたが、過去債務負担行為で『暫定的に』とした事例はない」と明言しました。

前代未聞の、期間を「暫定的に」延長する契約。
議会で議決すればなんでも許される、という問題では無いのではないでしょうか。


22/6/11-13 名古屋城 全体整備検討会議を臨時書面会議で開催 天守台穴蔵石垣背面調査は大天守3ヶ所のみに

名古屋市は、特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議を22/6/11-13に臨時書面会議で行ったと発表しました。
テーマは、天守台穴蔵石垣背面調査についてです。

戦後にかなり大規模に工事の影響が及んでいることを確認したため、そのことの石垣に対する影響を早急に把握する必要が生じた、としています。

近世の遺構が残存している可能性があるところ(隅角部に近いところ)を、平面的に掘り下げるとのこと。
なお、小天守穴蔵石垣は、調査環境が悪く、現時点での調査を控えた方がよいと判断したとのこと。

また、穴蔵石垣の背面状況をより確実に把握するためには、築石を外すなど、本格的な調査が必要となるが、現時点では実施が困難である、としており、「いずれも、条件が整った際に本格的な調査を実施して確認したい」としています。

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これに先立つ22/5/22に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会(第49回)が開催され、石垣部会の構成員がはじめて背面石垣調査の現場に入り、「極めて劣悪な環境だ。事故を避ける必要がある」と述べています。

座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「小天守では立ち上がれなく、調査は実際できない」宮武正登・佐賀大学教授は「どうして内側の石垣を外せないのか」と述べています。

・22/5/22 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第49回)
 配付資料
 名古屋市民オンブズマンによるメモ

22/5/22石垣・埋蔵文化財部会では、大天守4ヶ所、小天守2ヶ所を調査位置としていましたが、今回の名古屋城跡全体整備検討会議書面会議では、大天守3ヶ所のみになっていました。

これで果たして目的が達成できるのか。どうして内側の石垣を外して調査しないのか。資料だけでは判明しません。

名古屋市は、2022年度に、バリアフリー新技術の公募・決定、木造天守復元を踏まえた石垣保存方針決定、基礎構造の方針決定、「解体と復元を一体とした全体計画」策定を予定しています。

名古屋市はまたも「期限ありき」の進め方をしようとしているのでしょうか。
これまで「期限ありき」の進め方をし、遺跡を壊したり、結局はうまくいかないことの繰り返しでした。
そもそも市民への説明も全く足りていません。
どうして今回臨時書面会議になったのかも不明です。

名古屋城の整備がこれでうまくいくとは到底思えません。
人命最優先を望みます。

22/6/23(木)名古屋市 名古屋城お茶屋「余芳」3年目途に再建目指すと答弁

名古屋市は、22/6/23に開かれた名古屋市会本会議で、名古屋城二之丸庭園にかつてあったお茶屋「余芳」を3年を目途に再建目指すと答弁しました。
・22/6/23 名古屋市会本会議(名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 
上村みちよ市議(東区・自民)は「余芳の再建を皮切りとして、今後整備が進むことで、江戸幕府の中心であったこんにちの東京にも残っていない本物の大名庭園を体感できる貴重な場所として、名古屋城の魅力を大きく向上させることは間違いありません。」と述べています。

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上記質問と答弁では、二之丸庭園の保存整備の全体像の予算が分かりません。
令和4年度予算では、8630万円が計上されていましたが、今後いくらくらいの事業かは分かりませんでした。

22/5/30に行われた、特別史跡名古屋城跡全体整備検討建造物部会第30回部会には、余芳に関する詳細が記載されていますが、費用については特に見つかりませんでした。

限られた予算の中、どの程度費用対効果を算出しているのか、
少なくとも市民に説明する義務があるのではないでしょうか。


名古屋城木造復元 文化庁訪問時資料情報公開訴訟 確定で出てきた資料 市長「コンクリートの改修は世界の大恥」

名古屋城木造復元事業に関して2018/6/13〜2018/12/10の間に名古屋市職員が文化庁を訪問したときの復命書の開示を求める情報公開訴訟で、河村たかし名古屋市長の発言部分ならびに石垣保存検討内容等の開示を命じた22/3/30名古屋地裁判決が確定しました。
新たに開示されたのは22ページ分です。
(市が、開示されたところを黄色マーカーで塗ってくれました)

特に、河村市長の発言(3日分)を添付します。(開示部分を枠で囲みました)

 今回、河村市長は2018年8月3日文化庁訪問時に「ゆっくりやるとコンクリートの改修になる。これは世界の大恥。」と文化庁に対して述べていたことが判明しました。
 また、河村市長が木曽氏(名古屋城総合事務所は、元ユネスコ日本政府代表部大使の木曽功氏ではないかと推測)と市長が会っていたのは初めて判明しました。

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・処分取り消し

・決定書@
・開示文書@
・新たに開示部分黄色マーカー@ 1ページ

・決定書A
・開示文書A(基本計画書)
・新たに開示部分黄色マーカーA(基本計画書)13ページ

・開示文書A
・新たに開示部分黄色マーカーA5ページ
 
・決定書B
・開示文書B
・新たに開示部分黄色マーカーB3ページ

【公開を命じる】
・平成30年6月13日 河村たかし名古屋市長の発言(添付資料)
・平成30年7月26日 河村たかし名古屋市長の発言(添付資料)
・平成30年8月3日  河村たかし名古屋市長の発言(添付資料)

・文化庁職員の発言(「本丸御殿の工事について」部分)@
 平成30年7月20日
・防災及び避難計画の考え方のうち、防災拠点設置場所等と避難イメージ図A
 開示文書A(基本計画書)
・基本設計書中の建設費及び建設業務費の概算工事費
 開示文書A(基本計画書)
・「石垣保存の基本的な考え方」「天守台石垣保存に関する基本的な考え方」
 「天守台石垣保存方針」「城内石垣全体の保存に向けて」
 「天守閣木造復元事業との関係」について市の検討内容
 開示文書B

【公開を命じない】
・文化庁職員の発言
・市職員発言(文化庁職員との対話内容)
・「構造計画の考え方」(竹中工務店の独自のノウハウ記載部分)
・防災及び避難計画の考え方等(防災拠点設置場所等と避難イメージ図を除く部分)

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名古屋城木造天守昇降新技術公募 2021年度成果品タイトル一覧のみ開示 内容開示は2022年12月末

名古屋城天守閣木造復元事業に関して、新技術公募の成果物を名古屋市民オンブズマンが情報公開請求したところ、22/6/3に上記成果品タイトル一覧のみ公開しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220603.pdf

内容は22/12/31まで延長になりました。
また、上記について、令和3年度に支払った金額がわかるものは不存在となっています。(今後1年以内に作成する予定と記載)

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なお現在、名古屋城総合事務所は22/8/12まで「名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募」を行っており、2022年12月下旬に最優秀者選定予定です。
・NAGOYA CASTLE CHALLENGE ナゴヤキャッスルチャレンジ
 名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募

2022年6月10日質問回答@を公開しており、何を公募しているか図解しています。

22/6/3(金)名古屋城全体整備検討会議でも、大小天守閣穴蔵石垣周辺の近世石列等遺構報告

22/6/3に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第50回)で、名古屋城総合事務所は令和3年度に行った天守台穴蔵石垣試掘調査で、大小天守閣地下の穴蔵石垣根石周辺に、刻印有石材や石樋を含む近世石列等遺構を多数発見したと報告がありました。
22/5/22に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第49回)と同じ資料です。
名古屋城木造復元事業に多大な影響が考えられます。
残念ながら、大手マスコミはだれも傍聴しませんでした。
また、録音・録画は禁止されました。
名古屋市民オンブズマンは事情により傍聴できなかったため、配付資料のみアップします。

・22/6/3 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 (第50回)
 配付資料

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木造天守と地下ケーソンをつなぐ「基礎構造」の検討は、新たに発見された遺構を保存するという前提で行う必要があります。
また、今後行う予定の穴蔵石垣背面調査の結果、新たな遺構が確認される可能性もあり、その場合もそれを保存するのが前提となります。

名古屋市は、2022年度に、バリアフリー新技術の公募・決定、木造天守復元を踏まえた石垣保存方針決定、基礎構造の方針決定、「解体と復元を一体とした全体計画」策定を予定しています。

しかしながら、今回の新たな遺構発見で、予定通りには進まなくなったのではないでしょうか。
市のさらなる説明を求めます。


名古屋城木造化 2016年12月 市と竹中工務店との打合せ記録 2017年4月契約解除した場合の損害賠償想定額 開示

16/12/5に、名古屋城総合事務所職員と竹中工務店が面談した際の打合せ記録をあらためて情報公開請求したところ、22/5/26に内容が公開され、2017年4月契約解除した場合の損害賠償想定額として竹中工務店が想定している項目が判明しました。
16/12/20開示決定時には内容は一部非公開でした。


・竹中工務店名古屋支店との打合せ記録(平成28年12月5日)

・竹中工務店名古屋支店との打合せ記録(平成28年12月5日) 平成28年12月22日開示決定
 
竹中工務店は「諸条件により異なりますが、本プロジェクトの契約解除による
請求として以下のような項目が想定されます」として以下を挙げました。
・契約解除までに掛かった実費の精算
・本プロジェクトの業務委託先の契約を解除しなければならないことによる業務委託先からの損害賠償に対する補償
・本プロジェクトの施行に必要な人員等を確保するために、他のプロジェクトの受注を控えたことによる営業機会の逸失についての損害賠償
・本プロジェクト推進のための体制維持に係る待機人員の人件費
・その他

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以下は以前も公開されていました。

「4日間における考え方の変化について」と題された項目では、「事業費縮減案に対する貴市の全面的な協力を仰げるという認識に至ったことから、総事業費505億円内で実施できるよう努力をしていく考えに至った」としています。

また、「2022年7月から天守閣竣工が遅延した場合の損害金の想定額」と題された項目では、「遅延該当工事(木造復元部分):16,318,081千円(税抜)」
とあります。
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16/12/5当時、17/4/23に予定されていた名古屋市長選挙の結果次第では、名古屋城木造復元事業自体が中止される可能性がありました。
具体的な想定額は今も不明ですが、当時黒塗りだった部分が公開されれば、その後の展開も異なった可能性があります。

「4日間における考え方の変化について」はよく分かりませんが、直前の16/11/28に行われた、河村たかし名古屋市長と竹中工務店との面談時と考え方が変わったことを意味しているのかも知れません。

また、2022年現在、はね出し架構に代わる基礎構造を有識者による「調整会議」で検討していますが、うまくいくかわかりません。(情報は全く出てきません)

当初の2022年12月竣工は断念しており、現時点でも新たな竣工時期を名古屋市は示していません。
今回開示された資料は、今後、名古屋城木造復元事業に関する契約解除や損害賠償請求を考える上でも重要な書類ではないでしょうか。

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名古屋城木造化 2016年11月 市長と竹中工務店との面談メモ「市は『文化庁の現状変更許可を前倒しに取ることは困難』と認識」

16/11/28に、河村市長をはじめ名古屋城総合事務所長や市職員と竹中工務店が面談した際の面談メモをあらためて情報公開請求したところ、22/5/26に内容が公開され、市は『文化庁の現状変更許可を前倒しに取ることは困難』と認識していたことが判明しました。
16/12/20開示決定時には内容は全て非公開でした。
・市長と竹中工務店との面談メモ(平成28年11月28日)

参考
・市長と竹中工務店との面談メモ(平成28年11月28日) 平成28年12月20日開示決定
 
面談メモには、竹中工務店からは、木材の発注時期が遅れると、提案時に見込んでいた木材の確保が困難となる、仮設工事や解体工事の着手時期が遅れると概算事業費が増加する可能性が指摘され、文化庁の許可をできるだけ早くとり、着手時期を早めることが必要だと提案があったことが記されていました。

市は「熊本地震を受けて石垣の詳細調査の期間を鑑みると、竹中工務店の提案は困難であると認識しているが、一度検討する」と回答しました。

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16/4/14以降に複数発生した熊本地震を受け、名古屋市は名古屋城の石垣の調査を一刻も早く行う必要がありました。
上記面談メモでは、名古屋市が当時石垣の詳細調査の期間をどの程度見積もっていたのか不明ですが、少なくとも許可を前倒しすることはできないと名古屋市が認識していたことは確かなようです。

市長が竹中工務店と16/11/28に面談してから5年半が過ぎました。
名古屋市は文化庁から現状変更許可をとるどころか、いまだに石垣調査を行っており、現天守解体と復元を一体とした計画を文化庁に提出することすらできていません。

一方、竹中工務店は木材を購入し続け、保管料として年間1億円かけています。

16/11/28「市長と竹中工務店との面談メモ」がもっと早く公開されていれば、その後の展開も違ったのではないかと思います。
少なくとも、2016年当時「石垣調査をどの程度見込んでいたのか」はっきりさせることは今からでも必要だと思います。

以前、名古屋城総合事務所の幹部職員から名古屋市民オンブズマンに対し「市民に言えないことが山ほどある」とほのめかされたことがあります。
特に市と竹中工務店との交渉はこれまでほとんど黒塗りでわかっていません。
名古屋市は、情報公開請求を待たず、積極的に情報を公開し、どうして現状のようになったのかを説明する義務があります。

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22/5/22(日)【歴史的大発見】名古屋城大小天守閣穴蔵石垣周辺で近世石列等遺構を多数確認

22/5/22に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第49回)で、名古屋城総合事務所は令和3年度に行った天守台穴蔵石垣試掘調査で、大小天守閣地下の穴蔵石垣根石周辺に、刻印有石材を含む近世石列等遺構を多数発見したと初めて発表しました。
名古屋城木造復元事業に多大な影響が考えられます。
残念ながら、大手マスコミはだれも傍聴しませんでした。
また、録音・録画は禁止されました。
・22/5/22 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第49回)
 配付資料

・22/5/22 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第49回)
 配付されなかった資料(情報提供)

・22/5/22 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第49回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ

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名古屋市は、2021年5月に「現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答」を行いました。

その後、21/7/9に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議で、天守台穴蔵石垣の根石周辺試掘調査ならびに背面調査を行うべきとされました。
それに基づき、名古屋城調査研究センターと名古屋城総合事務所は天守台穴蔵試掘調査を行っていました。

本日の部会に先立ち、石垣・埋蔵文化財部会構成員は現場を視察したところ、天守台穴蔵石垣背面調査について、「極めて悪い環境であることがわかった、調査員の安全を十分に確保してほしい」としました。
さらに、宮武正登・佐賀大学教授は「どうしてこの場所を調査することになったのか、イメージが共有できていないようだ。
穴蔵石垣背面については、昭和天守再建時に無茶苦茶な工事をして、昭和に積み替えた石垣が不安定になっていることがこの1年の調査でわかった。
内側石垣を入れる為、斜めの勾配に掻き取っている。
(参考:21/12/25 名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議(第3回)配付資料)
 今後の調査について(穴蔵石垣背面調査)
 計画図(裏コンクリートあり) 計画図(裏コンクリートなし)
また、掘削したあとどうするのか。不安定な元に戻すのか、安定させるのか。
どうして昭和に積んだ内側石垣を外せないのか。
それには内側石垣の評価が避けられない」としました。

その後、天守台穴蔵石垣の根石周辺試掘調査について報告があり、大小天守閣地下の穴蔵石垣根石周辺に、刻印有石材を含む近世石列等遺構を多数発見したと報告しました。
北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「時間が無いので新しい報告のみ報告してほしい」としましたが、村木誠・名古屋城調査研究センター副所長は「今回すべて、初めて部会で報告する」としました。

宮武教授は「天守台の中に、オリジナルの遺構があることがわかった。事故があってはまずいので、やるときは思い切って調査してほしい」としました。

その他、舟運、本丸搦手馬出周辺石垣修復についても議論されました。
予定を超過して2時半議論がありました。

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名古屋城大小天守閣穴蔵地下で近世石列等遺構を多数確認という歴史的大発見の割には、石垣部会の各委員は冷静に見えました。
部会での公式発表は今回が初でしたが、事前に委員に知らせていたのではないでしょうか。
実際問題、石垣部会委員も多数含まれている「名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議」の21/12/25 第3回配付資料に、天守台穴蔵石垣試掘調査中間報告がありました。
 
「現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項」では、「現天守の解体・仮設物設置が石垣等遺構に与える影響を判断するための調査・検討が必要」とされています。

今回、名古屋城大小天守閣地下で近世石列等遺構が多数確認されました。
22/3/16名古屋市議会経済水道委員会で、村木副所長は「遺構は本質的価値を構成するものなので、今後も適切な形で残していくことが前提になる」と答弁しています。

木造天守と地下ケーソンをつなぐ「基礎構造」の検討は、新たに発見された遺構を保存するという前提で行う必要があります。
また、今後行う予定の穴蔵石垣背面調査の結果、新たな遺構が確認される可能性もあり、その場合もそれを保存するのが前提となります。

名古屋市は、2022年度に、バリアフリー新技術の公募・決定、木造天守復元を踏まえた石垣保存方針決定、基礎構造の方針決定、「解体と復元を一体とした全体計画」策定を予定しています。

しかしながら、今回の新たな遺構発見で、予定通りには進まなくなったのではないでしょうか。
その議論が今回の石垣部会で時間が無かったためか十分行われなかったのは残念です。


名古屋城木造天守 基礎構造検討「調整会議」会議メモ・配布資料ほぼ非公開

名古屋市民オンブズマンは、21/12/25に開催された「名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議(第3回)」の会議メモ・配付資料を情報公開請求したところ、内容はほぼ非公開でした。

令和3年12月25日開催 名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議(第3回)
会議の内容がわかるものとして会議メモ、配布資料
・決定書
・開示文書
 
これでは、現状どのようになっているのか全くわかりません。

しかも、会議時間が2時間45分にも及んでいるにもかかわらず、会議録は作成せず、A4で2枚の会議メモのみ作成して公開されました。

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22/5/22(日)13時から、第49回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会が開催されます。

そこでどの程度明らかになるのでしょうか。


21/5/18(水) 名古屋城芝居小屋風多目的施設案 自民市議「整備費8億で維持費6000万 200席だと民業圧迫に当たらないか」

22/5/18に開催された名古屋市会経済水道委員会で、名古屋市は名古屋城正門南に作る予定の金シャチ横丁第二期整備芝居小屋風多目的施設案の概算整備費が約8億円、指定管理者を想定しており、市の負担は年間約6000万円-7000万円かかることを明らかにしました。自民党の浅井正仁市議は「想定が200席。同規模の民業を圧迫することにならないか」と指摘しました。

・22/5/18 名古屋市観光文化交流局
 市会経済水道委員会説明資料
 金シャチ横丁第二期整備(芝居小屋風多目的施設)の整備計画(案)について

・22/5/18 名古屋市会経済水道委員会(名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

浅井正仁市議(自民・中川区)は「名古屋市が持っている文化施設は26ヶ所。一方、民間の大須演芸場や名演小劇場、ナゴヤ座など民間は苦労していると報道されている。民間へのヒアリングでどのような意見があったのか」と質問しました。

鈴木整備室長は「ナゴヤ座は40席前後、大須演芸場は200席弱と聞いている。100-150席程度の芝居小屋は少ないので需要があるのではないか、民業圧迫するような劇場はないのではと考えている」としました。

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名古屋市は、芝居小屋風多目的施設以外にも博物館ゾーン整備を検討しています。

22/3/23 第1回金シャチ横丁第二期整備 博物館ゾーン整備基本構想検討懇談会
・会議次第【博物館懇談会】
・会議資料1
・【参考1】金シャチ横丁基本構想概要版
・【参考2】特別史跡名古屋城跡保存活用計画概要版
・【参考3】博物館構想検討懇談会開催要綱(R040303案)
・【参考4】博物館構想検討懇談会傍聴要綱


21/5/13(金) 名古屋城跡全体整備検討会議(第49回) 今後1年の予定確認と舟運のみ

22/5/13に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第49回)が開催され、今後1年の予定確認と舟運のみで約30分で終了しました。

22/5/13 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第49回) 配付資料

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いったい名古屋城木造復元事業はどうなっているのか。
石垣部会の元で行っていた穴蔵石垣調査の結果はどうなったのか。
昇降技術の公募はどういう状況か。
基礎構造検討はどうなったのか。

何もわかりません。

名古屋市は、木材保管料として2022年度に約1億円支払う予定です。

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名古屋城木造天守昇降新技術公募 2021年度成果物 開示は2022年12月末

名古屋城天守閣木造復元事業に関して、新技術公募の成果物を名古屋市民オンブズマンが情報公開請求したところ、22/6/5までに上記報告書内容一覧のみ公開し、そのほかは22/12/31まで延長になりました。

また、上記について、令和3年度に支払った金額がわかるものは不存在でした。(今後1年以内に作成する予定と記載)

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現在、22/8/12まで「名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募」を行っており、2022年12月下旬に最優秀者選定予定です。
・昇降技術開発 上限8000万円
・昇降技術導入 上限2億円
・大天守のより上層階まで昇降できる技術
 (少なくとも大天守1階に昇降ができること)

・NAGOYA CASTLE CHALLENGE ナゴヤキャッスルチャレンジ
 名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募
 
どうして「少なくとも大天守1階に昇降ができる」と公募条件が変わったのか、名古屋市各局で構成する「名古屋城木造復元天守バリアフリー対策検討会議」の議事録を情報公開請求しても、第3回-第6回は不存在でした。
・決定書
・開示文書(第1回、第2回議事録(要旨、議事録メモ))
 
名古屋城木造天守昇降新技術公募の2019年度、2020年度成果物は開示されており、どのような変遷があったのかわかります。
・22/3/31決定書
・名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託【2019年度分】成果物
・名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託【2020年度分】成果物

今回の2021年度成果物を2022年12月末まで開示しないというのは、最優秀者選定予定の2022年12月下旬までは詳細を公開しないという名古屋市の強い意志があると思われます。

これでは、どうして「少なくとも大天守1階に昇降ができる」と公募条件が変わったのかわからず、公募に関して意見もいいにくいです。

しかも、年度がかわって1ヶ月たった現時点でも、2021年度にいくらコンサルタント(株式会社日本総合研究所)に支払ったのかすら書類を作っていないというのは異常と言うほかありません。

新技術公募に関し、市民不在、形だけ公募したことにする名古屋市。うまくいくとは到底思えません。


名古屋城木造復元事業追及のためカンパ頂きました

22/5/2に、名古屋市民オンブズマンあてに名古屋城木造復元事業追及のためのカンパを手紙付きで匿名で受け取りました。
ありがとうございました。

・地震多発にもかかわらず石垣の補修が進まないこと
・木材に虫がわいたらどうするのか、保管料だけでなく処分料までかかるのではないか

名古屋城木造復元のための木材については、2018年度に約95億円で契約しました。2022年3月末までに約40億円支払い予定です。未執行は約55億円です。
上記とは別に、木材保管料として2022年度に約1億円支払う予定です。

建設だけで総額505億円もの事業の名古屋城木造復元事業。
当初は2022年12月までの予定でしたが、竣工時期はいまだに未定です。
名古屋市は市民に対してわかりやすくきちんと説明していません。

市民は、賛成か反対かを判断する材料がなければ判断しようがありません。
現状は、どのような木造名古屋城ができるのか確定していません。
(石垣、バリアフリー、基礎構造)
上記が確定したとして、文化庁に復元が認められるかどうかも不明です。

にもかかわらず、木材はすでに約40億円購入してしまいました。
木材を含め、名古屋市はすでに平成28年度〜令和元年度で69億6800万円余予算を使ってしまっています。

名古屋市民オンブズマンは、各種情報公開請求を行ったり、市議会や有識者会議の傍聴を通じて、情報を広く市民に公開しています。

※ぜひともカンパをお願い致します。
情報公開請求してコピーを入手するのも、情報公開訴訟をするのも、費用がかかります。
名古屋市民オンブズマンは、会費とカンパのみで活動しております。
今後ともご支援頂けますと幸いです。

《郵便振替口座》 口座番号 00870−9−105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
《ゆうちょ銀行》 当座 〇八九店 105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ

《資金カンパ送付先・問い合わせ先》
 〒460-0002 名古屋市中区丸の内3-7-9 チサンマンション丸の内第2 303号室
 名古屋市民オンブズマン タイアップグループ事務局
 Tel:052−953−8052 Fax:052−953−8050
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「名古屋城木造復元天守バリアフリー対策検討会議」議事録 第3回-第6回 不存在

名古屋城木造復元天守の整備におけるバリアフリーの考え方や整備に関すること等の検討を行うため、名古屋市の各局で構成する「名古屋城木造復元天守バリアフリー対策検討会議」の議事録を名古屋市民オンブズマンが情報公開請求したところ、第1回(平成29年12月28日)、第2回(平成30年2月28日)分は開示されましたが、第3回(平成30年3月29日)、第4回(平成30年5月7日)、第5回(令和2年4月13日)、第6回(令和3年11月8日)分は「請求に係る行政文書を作成又は取得しておらず、不存在であるため、非公開」となりました。
・決定書
・開示文書(第1回、第2回議事録(要旨、議事録メモ))

概要と会議資料は市ホームページに掲載されています。
・名古屋城木造復元天守バリアフリー対策検討会議の開催結果

第1回開催 平成29年12月28日 概要平成30年1月5日作成 8日後 25分
第2回開催 平成30年2月28日  概要平成30年3月1日作成 1日後 45分
第3回開催 平成30年3月29日  概要平成31年1月22日作成 299日後 60分
第4回開催 平成30年5月7日  概要平成31年1月22日作成 260日後 30分
第5回開催 令和2年4月13日  概要令和4年1月17日作成 644日後 資料配付のみ
第6回開催 令和3年11月8日  概要令和4年1月17日作成 70日後 15分

第3回-第6回については、概要では議論の経過が全くわかりません。
また、現在は公開されていますが、第3回の配付資料については平成30年4月2日に名古屋市民オンブズマンが以前に情報公開請求したところ、中身は全て黒塗りでした。

名古屋市は「庁内会議の公表に関する指針」というものを作っています。
これに基づき、情報公開請求しなくても会議終了後、速やかに会議の名称、開催の日時及び場所、議題、出席者の役職名、審議の概要、照会先をネット・市民情報センターで公表することになっています。

第3回-第6回について、名古屋市が定めている上記指針で「速やかに公表」することとなっている概要すら70-644日後に公開しています。
第1回・第2回で作成していた議事要旨・議事メモすら、第3回-第6回は作成していませんでした。

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今回開示された議事録(要旨)では、各局の本音が垣間見えます。

第1回
健康福祉局長:今まで外部に言ってきたことと変わるため、決定方針に加わる自信がない。

第2回
交通局長:木造復元が、何を最優先にしているのかよくわからない。
交通局長:新たな技術を推進するのであれば、VR技術に力を入れるべきではないか。
緑政土木局長:竹中工務店が提案をしている内部のエレベーターの4人乗りの4階までは、問題はあるのか。
廣澤副市長:技術的に4人乗りのエレベーターを付加できたとしても、避難対策の問題が生じてしまう。
交通局長:文化庁から、名古屋市の方針について認められない意見が出た場合はどうなるのか。
観光文化交流局長:その部分について訂正を行った場合、その後認められることもある。実際に、本丸御殿復元事業についても同じようなことが行われていた。

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第3回以降、各局から様々な意見が出されたのではないかと思われます。
バリアフリーについて、市内部の議論も公開せずに、市民が納得することはありません。

現在、22/8/12まで「名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募」を行っています。
・昇降技術開発 上限8000万円
・昇降技術導入 上限2億円
・大天守のより上層階まで昇降できる技術
 (少なくとも大天守1階に昇降ができること)

・NAGOYA CASTLE CHALLENGE ナゴヤキャッスルチャレンジ
 名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募
 
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前代未聞!名古屋城木造復元事業実施設計・木材の製材 「暫定的に」24/3/31までの契約書 開示

名古屋市民オンブズマンは、名古屋天守閣木造復元事業に関し、実施契約業務委託・木材の製材に関する延長契約書を情報公開請求したところ、「暫定的に」24/3/31までとなっていました。
さらに、実施設計契約は4億2494万2579円が増額されていました。

また、木材保管料として、22/4/1-23/3/31までで9998万4500円を名古屋市が竹中工務店に支払う契約をしていたことも判明しました。
決定書
・「名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託」変更概要書
・「名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託」変更契約書
 (令和4年3月25日)
・「名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)」変更契約書
 (令和4年3月9日)
・「名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)の追加」契約書
 (令和4年4月1日)
開示文書
 
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22/2/25に開催された名古屋市本会議で、名古屋市は「名古屋城木造復元事業に関し、竹中工務店との基本協定を『暫定的』に2024年3月末、実施設計と木工事の債務負担行為の期限も『暫定的』に2024年3月末としたが、過去債務負担行為で『暫定的に』とした事例はない」と明言しました。

異例中の異例の契約を行っている名古屋市と竹中工務店。
このような契約は、両者が合意しているからといって合法なのか?
竣工時期が見通せない現在、木材保管料が年間1億円かかっているのを市民はどう見るのか?
そもそも石垣保全・バリアフリー・基礎構造は各種法律に従ってできるのか?
その上で経済的に成り立つのか?

名古屋市が市民へ説明を怠ってきたツケがまわってきました。
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名古屋城天守閣木造復元事業 総務省への起債届出書 完成は2031年度と記載

名古屋城天守閣木造復元事業について、総務大臣に届け出をした起債届出書(2021年度発行分)を情報公開請求したところ、22/2/15づけで名古屋市が総務大臣に届出をしていたことが判明しました。

・名古屋城 木造復元事業 起債届出書(2021年度発行分)

それによれば、事業期間は平成28年度〜令和13年度(2031年度)とありました。
 
2019、2020年度分も情報公開請求していますが、同じく事業期間は平成28年度〜令和13年度(2031年度)です。

・名古屋城 木造復元事業 起債届出書(2020年度発行分)
・名古屋城 木造復元事業 起債届出書(2019年度発行分)

開示された資料によれば、2020年度までにすでに62億5229万3000円使っており、2021年度に3億2600万使う予定です。
国庫補助は全く予定していません。

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22/4/18(月) 名古屋城木造天守昇降新技術公募 開始強行

名古屋市は、22/4/18に「名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募」を22/8/12まで開始したと発表しました。
・昇降技術開発 上限8000万円
・昇降技術導入 上限2億円
・大天守のより上層階まで昇降できる技術
 (少なくとも大天守1階に昇降ができること)

NAGOYA CASTLE CHALLENGE ナゴヤキャッスルチャレンジ
名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募

記者発表資料

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22/3/18に開催された名古屋市議会経済水道委員会では、「木造天守閣の昇降に関する技術の国際コンペについては、障害者団体、高齢者団体、福祉関係学識者及び関係機関と十分に検討を行い、理解を得た上で実施すること。」という附帯決議をつけていますが、22/3/25名古屋市障害者施策推進協議会、22/3/29名古屋城跡バリアフリー検討会議、22/4/8名古屋市障害者団体連絡会で、相次いで疑問や反対の声が出ています。

名古屋市は、2019年度に公募の実施方法(買取り費用)について、4製品採用・6.7億円が「基本方針や障害者の意見を実現できる可能性が高い」と、最も評価を高くしていました。
また、費用2億円だと、「基本方針を満たせない可能性が高い」としていました(373ページ、384ページ)

また、名古屋市は「エレベーターのある空間の下階に人がいる空間があるのは危険。建築基準法の適用除外を受けるとしても、避難経路等の法的課題のクリアが必要である。」「たとえば、天守閣にエレベーター設置用の穴を穿つ場合は、遮煙区画する必要がある。」「たとえば、エレベーターを設置すると下階の空間への対策が必要となる」と述べています。(173ページ)

情報公開請求で名古屋市民オンブズマンが受け取ったのが22/4/14。関係者に検討もされないまま、22/4/18に公募が強行開始されました。

このままでは、名古屋市の事前予想通り「基本方針を満たせない可能性が高い」になるのではないかと思います。
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名古屋城昇降新技術公募成果物開示「6.7億円だと実現可能性が高いが、2億円だと満たせない可能性が高い」

名古屋城 昇降新技術公募支援事業業務委託の成果物(2019.2020年度分)が開示されました(1926枚、39620円)。
(巨大ファイルです。22/5/16までは以下から一括ダウンロードできます)

・22/3/31決定書
・名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託【2019年度分】成果物
・名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託【2020年度分】成果物

極めて重要な内容が多数記載されており、これまで各種会合・議会での議論の前提が覆る可能性があります。
2021年度分成果物も名古屋市に提出されているはずなので、それを全て公開した上で、再度各種会合・市議会を開催し、納得・承認後でないと国際コンペを開始すべきではありません。

特に、2019年度当初は「4製品6.7億円だと各部門で回収可能な費用設定で、積極的な参加が期待できる」「基本方針や障害者の意見を実現できる可能性が高い」と評価◎で、費用2億円だと「結局は基本方針を満たせない可能性が高い」だったにもかかわらず、2022年4月にも開始しようとする国際コンペでは、「想定開発費用上限8000万円、想定導入費用上限2億円」になった経緯について市民に説明すべきです。

今回1926枚にもわたる資料を読んでも、上記疑問には答えていません。

名古屋市は、木造天守閣の昇降に関する新技術の公募について、令和元年〜3年度で1億4300万円(予算)、令和4年度予算として3938万6000円をつけています。

木材の保管費用は年間1億円です。

名古屋市の予算の付け方には到底納得できません。
導入費用上限2億円のバリアフリー技術公募を強行することで、「結局は基本方針を満たせない可能性が高い」になることをおそれます。

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本件は21/7/26に情報公開請求し、特例延長がかかっていました。
決定書は22/3/31になっていますが、決定書が届いたのは22/4/14。名古屋市スポーツ市民局市政情報室が郵送したのは22/4/13でした。

昇降新技術公募支援事業業務委託に関しては、2022年3月に市議会委員会、名古屋市障害者施策推進協議会、名古屋城跡バリアフリー検討会議が開催されました。
2022年4月には、名古屋市障害者団体連絡会、市議会委員会が開催されました。
上記議論の前に、開示文書が広く公開されれば結論も異なっていたのではないかと残念でなりません。

開示決定日と送付日に開きがあることについて、名古屋城総合事務所の担当者に聞いたところ、「決定日の22/3/31に内部決裁がおりた。その後開示をするに当たって何千枚もの枚数を印刷する作業に時間がかかった。
たまたま年度が替わり、担当者が変わったため、引き継ぎを含めて作業に時間がかかった。ご迷惑をおかけした。
22/4/8や22/4/12に各種会合があったことは承知しているが、上記会合にあわせて遅らせたわけではなく、事務としては効率よくやった」としました。

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「名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託」は令和元年〜3年度で1億4300万円の契約を(株)日本総合研究所と結んでいます。

成果物として、令和元年度、令和2年度分が今回開示されました。
何度も公募要項を修正し、英文でも作成していたことがわかります。

当初は、公募の実施方法(買取り費用)について、4製品採用・6.7億円が「基本方針や障害者の意見を実現できる可能性が高い」と、最も評価を高くしていました。
また、費用2億円だと、「基本方針を満たせない可能性が高い」としていたことも判明しました。
(2019-1 373ページ、384ページ)

さらに、1時間あたりに天守閣に来場することが想定される障害者数を16人とし、部門1,2,3を使えば処理能力と来城者平均値が拮抗しているとしました。
(2019-1 379ページ)

また、認証制度も調査していました。
(2019-1 388ページ)

ヒアリングは国外10社1組織、国内48社にも及んでいます。
(2019-2 24ページ)

その後、2020/2/14に開催された「名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募にかかる評価員・技術相談員会(第1回(評価員))配付資料では、4つの各部門評価1位の者に各2000万円×4交付、最優秀者1者のみ2億円契約に変更になりました。
(2019-3 118ページ)
同打合せ記録では、名古屋市は「このような技術に関する公募が実現した例はないという指摘を頂いた」「旧建築物は建築基準法第3条による適用除外を受ける関係から、新たにエレベーターを入れると建築基準法第3条の適用が怪しくなることは要注意すべき点である」「国宝にという点は、名古屋市側からは書きづらい内容である」など、率直に意見を述べています。
(2019-3 231ページ)

2019/5/30に開催された、「名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託」打合せ(名古屋市、日本総合研究所)では、名古屋市は「竹中工務店の議論を補足すると、地階から1階であっても木造建築には相当な加重がかかる。また、エレベーターのある空間の下階に人がいる空間があるのは危険。火災の煙の流れも考慮する必要があるとのこと。建築基準法の適用除外を受けるとしても、避難経路等の法的課題のクリアが必要である。」「たとえば、天守閣にエレベーター設置用の穴を穿つ場合は、遮煙区画する必要がある。」「たとえば、エレベーターを設置すると下階の空間への対策が必要となる」と述べています。
(2019-4 173ページ)

2019/6/4に開催された「名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託」打合せ(名古屋市、日本総合研究所)で、日本総合研究所は、「リニアが通ることもあり、国際的に名古屋市をプロモーションの一環として本事業をとらえ、提案を広く集めるというスタンスが重要。極論を言えば、一等賞が
出なくても、そのプロセスを世界に発信することに意味があるという考え方」と述べています。
(2019-4 177ページ)

2019/7/10に開催された「名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託」打合せ(名古屋市、日本総合研究所)で、名古屋市は「財政当局は試作品の中から一つ選んで最終契約をする方式をイメージしているので、今年度から検討している部門分けの話を理解してもらう必要がある。」と述べています。
(2019-4 193ページ)

2019/10/10に開催された「名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託」打合せ(名古屋市、日本総合研究所)で、日本総合研究所は「総額2億円の予算では『技術の開発・納入・設置』までを考えると、技術の採用が難しいと考えている」と述べ、名古屋市は「財政との折衝方針について、庁内で検討したい」「もしかしたら、『部門を減らす』という選択肢も併せて検討しなければならないかもしれないと考えている」と述べました。
(2019-4 227ページ)

「バリアフリー協議会」という公開の場所を新設しようとしていました。
(2020-1 28ページ)

また、2020/3/17に開催されたP社への専門家ヒアリングで、P社は「結論として右図は成り立っていない。階段のための模式図の断面なので階段では成立するが、1階と2階は、北側の階段室のずれが大きく階段しか通っておらずエレベーターを通る予知(ママ)がないのでほぼあり得ない。管理運営上は階段の前で滞留が多くなるので、階段室は通常の運営時も溢れかえる。エレベーターを入れて障がい者の方が行列を作るとなると管理運営も相当難易度が上がる」「防災的には左側のえんじ色が大変になる。防災評定は基本設計の要点だったので最初にした。煙がもくもく上に行くと絶対助からない。縦穴を防ぐのは
歴史的事実。今回もそれを現代建築要素ではなく伝統的要素でするので、層をまたがって煙が上がるのはしんどい」と述べています。
(2020-2 143ページ)

2020/3/24に開催されたZ組織に対するヒアリング結果では、Z組織は「結局穴を開けるなら今の防災評定の前提と違ってくる。火災法では縦に穴を開けるのは望まない。縦に穴を開けた場合どう区画するのか。苦労をして煙の制御方法の前提が相容れるのか。逆に申し上げると相容れなければならない。遮煙や炎をどう計画していくのかは躯体側で検討しないといけない」と述べています。
(2020-2 173ページ)

2021/2/2に開催された「名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託」打合せ(名古屋市、日本総合研究所)で、名古屋市は「9月開始への局内の圧力が強い。一方で、全体の工程についての算段が付いていることもポイントになる。そのため、遅延リスクも依然として残っているなかでの準備となる点、申し訳なく思っている」「試作機を用いた審査を想定していたが、実機なしのアイデアベースで行うことを想定している」と述べています。
(2020-2 366ページ)

2021/2/2に開催された「名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託」打合せ(名古屋市、日本総合研究所)で、名古屋市は「竹中としても、相当に苦労を重ねて某エレベーター事業者と折衝していた経緯がある」と述べています。
(2020-2 376ページ)

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※今回の開示で、白黒1417枚、カラー509枚、合計39620円の費用がかかっております。
ぜひともカンパをお願い致します。
情報公開請求してコピーを入手するのも、情報公開訴訟をするのも、費用がかかります。
名古屋市民オンブズマンは、会費とカンパのみで活動しております。
今後ともご支援頂けますと幸いです。

《郵便振替口座》 口座番号 00870−9−105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
《ゆうちょ銀行》 当座 〇八九店 105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
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参考:空圧式ホームエレベーターNuVa 株式会社V・T・SYSTEMS 

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名古屋城木造復元 文化庁への出張復命書情報公開訴訟 市長発言等開示命令 確定

名古屋城木造復元事業に関して2018/6/13〜2018/12/10の間に名古屋市職員が文化庁を訪問したときの復命書に関し、名古屋地裁が22/3/30に河村たかし名古屋市長の発言部分ならびに石垣保存検討内容等の開示を命じた判決が双方控訴せず確定しました。

判決に基づき市が文書を開示次第、名古屋市民オンブズマンのホームページにアップします。

・21/9/16本件処分に基づく開示文書

【公開を命じる】
・河村たかし名古屋市長の発言
・文化庁職員の発言(「本丸御殿の工事について」部分)
・防災及び避難計画の考え方のうち、防災拠点設置場所等と避難イメージ図
・基本設計書中の建設費及び建設業務費の概算工事費
・「石垣保存の基本的な考え方」「天守台石垣保存に関する基本的な考え方」「天守台石垣保存方針」「城内石垣全体の保存に向けて」「天守閣木造復元事業との関係」について市の検討内容
 
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2020年10月 名古屋城跡天守閣整備事業基本構想(案) ようやく開示

太田敏光氏が審査請求をした、「2020年10月 名古屋城跡天守閣整備事業基本構想(案)」が、情報公開審査会の答申をまたずに22/4/12に全てが名古屋市教育委員会から開示されました。
太田氏の許可を得て資料をアップします。(黄色く塗られているところが、今回新たに開示された部分)

本件は21/2/3に一部開示決定が出て、太田氏が審査請求していました。

名古屋市教育委員会は「その後に作成した天守閣整備事業基本構想がホームページに公開されており、(案)も公開することにした」と説明しています。

名古屋市民オンブズマンも当時情報公開請求しましたが、非公開でした。

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情報は生ものです。
1年半もたってから公開しても遅いです。
しかも、開示された文書を見ても、2020年10月当時非公開にすべきだったと思われるところはありません。

名古屋城関連文書に関しては、「とりあえず非公開」としていたものが多すぎます。
審査請求や裁判で、後日公開しても、遅すぎるのです。
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22/4/12(火)名古屋城木造復元昇降技術公募 市議「耐震改修すれば最上階に行けるのに、どうして少なくとも1階までの技術公募か」

22/4/12 名古屋市会経済水道委員会で、名古屋城木造復元の昇降技術公募について議論されました。

22/4/12 名古屋市会経済水道委員会説明資料
名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募について

22/4/12 名古屋市会経済水道委員会
(名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし)

うえぞの晋介市議(民主・西区)は「せっかくつくった実物大の階段模型『階段体験館』が『できることがあれば使っていきたい』っていう説明ではおかしい」と述べました。

また、うえぞの市議は「想定開発費用上限8000万円、想定導入費用上限2億円を越えた場合の『臨機応変に』とはどういうことか」と質問し、上田剛名古屋城総合事務所長は「上限に見合った提案がなければ、それは再度検討する余地があろうかと思っております。もし万が一、公募が不調に終わった場合は、再度また議員の皆様方にご意見を頂戴しながら考えてまいることになろうと思っております」と述べました。

岡本やすひろ市議(民主・緑区)は「先日の会議で、バリアフリーの審査項目についてはそれぞれの配点をちょっとずつ変えた方がいいんではないかという意見が出た。」と質問し、木造天守閣昇降技術開発等担当梅田主幹は「重要とする項目の点数を厚くした。具体的には、大天守のより上層階まで上がっていただくこと、利用対象者の範囲、反復した輸送能力。配点の数字は言えない。」と述べました。

江上博之市議(共産・中川区)は「2018年に文化庁に基本計画案を提出しようとした。7月19日に天守閣部会に出した資料を見ると、『耐震改修だと最上階の7階まで行ける。木造復元はバリアフリーに最善の努力をするとか、かつ可能な限り上層階まで登ることができるよう目指す』としているだけで、実現できるとは言っていない。文化庁からバリアフリーについて検討を求められた。その後検討は進んでいないのか」と質問しました。
梅田主幹は「現在進めていく」としました。

江上市議は「最上階まで行けないとなれば、今年度中に文化庁に全体計画を出すこと自体できないのではないか」としました。
天守閣整備担当荒川主幹は「バリアフリーの方針として出す。天守全体のバリアフリーをまとめる。5階まで届くかは公募の結果を見て考える。仮に行けなかったとしても、全体計画を出さないということはないと考える」としました。
上田所長は「技術の限界はいったいどこか。史実に忠実な復元とバリアフリーの両立を、極限まで求めていくが、技術がそこまで達していなければ、認めざるを得ない。文化庁、障害者団体と協議したい。」

江上市議は「耐震改修なら現時点で最上階まで行ける。にもかかわらず木造復元でやろうとしている。それでも文化庁と話しをするか」と質問し、上田所長は「今の段階で未来永劫に未来永劫にわたって最上階まで行けませんと断定はしたくない。」としました。

江上市議は「耐震改修すれば最上階まで行けるのがわかっているのにあえて今年度3938万6000円の金をかけて公募をするのは反対だ」と述べました。

浅井正仁市議(自民・中川区)は「障害者団体に配布した資料には『取り外すことにより史実に忠実な状態に戻せること』とあるが、議会配付資料にはない。」と質問し、梅田主幹は「上記は最低要求水準。今回は記載しなかった」としました。
上田所長は「表記が不十分だった。割愛した。」としました。

浅井市議は「割愛されたら困る。本題に移りたい。バリアフリーは名古屋城の史跡の文化財的価値を高める。魅力を世界に発信するためにやるんだよね。世界公募をやるのが目的というのはおかしい。」と述べました。

また、浅井市議は「現在大天守に行くには、小天守、渡り、穴蔵、エレベーター。小天守を昇る階段、渡りの石畳のバリアフリーはどうなっているのか」と質問し、梅田主幹は「今回の公募の範疇外」としました。
浅井市議は「素晴らしい昇降技術がでてきて採用しようとしても、大天守に行く過程のバリアフリー対策ができていないのなら行けない。」と質問し、梅田主幹は「木造天守地下1階までのアクセスは竹中工務店の範疇。文化庁と協議したい」と述べました。

浅井市議は「エレベーターまで行く動線がわからなければ、いくらいい提案出しても、文化庁が、復元検討委員会の中で『史跡を傷つけるから駄目だ』って言われたら、せっかくの提案が駄目になっちゃう。はね出し架構で同じ経験をしている。」と述べました。

また、浅井市議は「メンテナンスが不安。外国企業に対して代理店も受け付けるのか」とし、梅田主幹は「メンテナンスも条件として求める」としました。

浅井市議は「試作品を使うときに事故があったときは名古屋市がお金を持つのか、製造元責任者か」と質問し、梅田主幹は「底まで決めていない。市場の際は安全性が確保できたとわかった段階でしか難しい」としました。

浅井市議は「半年後には結果がわかる。半年後に、『また先延ばしにします』と今までずっとそうしてきた。精神論はもういらない。市民に変な期待だけさせる。局長、1年後の全体計画に絶対間に合うと言ってくれるか」とし、折戸局長は「実現可能性がある提案は十分にあると考える。スケジュールに沿って精力的に進めていきたい。」と述べました。

浅井市議は「これがガス抜きやアリバイづくりにならないように。市民の税金でやるんだから」としました。

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どうしてこのような委員会を予算を通す前に行わず、所管事務調査でするのか理解に苦しみます。

しかも、22/4/8に行われた名古屋市障害者団体連絡会では「公募実施は反対」「公募実施についてはそのものが反対」という意見も出たとのこと。
上記連絡会はオンラインで開かれたようで、傍聴もできず、どのような意見がどの程度の割合で出たのかもわかりません。
また、「バリアフリーが『車椅子』を前提としていることは問題ではないか」という意見も出たようですが、資料には記載されていませんでした。

22/3/18に開催された名古屋市議会経済水道委員会では、「木造天守閣の昇降に関する技術の国際コンペについては、障害者団体、高齢者団体、福祉関係学識者及び関係機関と十分に検討を行い、理解を得た上で実施すること。」という附帯決議をつけていますが、22/3/25名古屋市障害者施策推進協議会、22/3/29名古屋城跡バリアフリー検討会議、22/4/8名古屋市障害者団体連絡会で、相次いで疑問や反対の声が出ています。

今回の経済水道委員会自体が「ガス抜き」「アリバイづくり」だったのではないかと思います。

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22/4/11(月)河村たかし名古屋市長 記者会見で名古屋城木造復元「市長発言」公開命令に触れず

22/4/11河村たかし名古屋市長定例記者会見で、22/3/30に名古屋地裁で判決が出た、名古屋城木造復元に関する文化庁への出張復命書記載の「市長発言」等開示命令への対応については、記者から質問も出ず、河村市長も発言しませんでした。

22/3/30判決なので、判決を受け取ってから2週間以内に控訴しないと確定します。

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2013年「河村たかし 名古屋市長選 新新新第2期マニフェスト(簡略版)」には、情報公開は以下記載がありました。
3.市民への情報公開
(1)予算編成過程の公開
(2)市長定例記者会見の充実(月2回を週1回に、生中継の実施)
(3)幹部会の公開
(4)市民集会の積極的な開催(公開討論会、タウンミーティング等)
(5)「裏金」に係わる通帳・帳簿の公開

2021年4月9日「河村たかし第二次確定マニュフェスト」では情報公開の文字はありません。

河村市長は、裁判で公開を命じられた、名古屋城木造復元に関する文化庁への自らの発言を公開することができるのか?市長の情報公開への取り組みが試されています。

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・22/3/30 名古屋地裁判決
 【公開を命じる】
 ・河村たかし名古屋市長の発言
 ・文化庁職員の発言(「本丸御殿の工事について」部分)
 ・防災及び避難計画の考え方のうち、防災拠点設置場所等と避難イメージ図
 ・基本設計書中の建設費及び建設業務費の概算工事費
 ・「石垣保存の基本的な考え方」「天守台石垣保存に関する基本的な考え方」「天守台石垣保存方針」「城内石垣全体の保存に向けて」「天守閣木造復元事業との関係」について市の検討内容

・21/9/16本件処分に基づく開示文書

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今後の予定

・22/4/12(火)午前10時 名古屋市経済水道委員会
 名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募について(観光文化交流局関係)
・22/4/21(木)午後6時30分 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例会
 「北生涯学習センター」第3集会室 
・22/5/25(水)午後6時30分 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例会
 「北生涯学習センター」第3集会室 


名古屋市 現名古屋城天守閣解体許可申請に対する文化庁の確認事項に対する回答 開示

太田敏光氏が審査請求をした、「名古屋市が2019年6月に文化庁に提出した『名古屋城跡の現状変更申請に係る名古屋市への確認事項に対する回答』」が、情報公開審査会の答申に従って22/3/30にほぼ全てが開示されました。
太田氏の許可を得て資料をアップします。

なお、名古屋市は現天守閣天守閣の解体申請を文化庁に提出していた件について21/7/27に取り下げしています。

参考になれば幸いです。

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名古屋市 情報公開審査会の答申一覧

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名古屋市 2019年4月文化庁提出 現名古屋城天守閣解体許可申請書 開示

太田敏光氏が審査請求をした、「2019年4月に文化庁に提出した現名古屋城天守閣解体許可申請書」が、情報公開審査会の答申に従って22/3/30にほぼ全てが開示されました。
太田氏の許可を得て資料をアップします。

なお、名古屋市は現天守閣天守閣の解体申請を文化庁に提出していた件について21/7/27に取り下げしています。

参考になれば幸いです。

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名古屋市 情報公開審査会の答申一覧


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