名古屋城 本丸御殿+木造天守閣問題特集

2018年度
19/3/29(金)文化庁担当者「名古屋城天守台石垣は歴史的・工学的に検討を」

19/3/29に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第28回)が開催されました。

・19/3/29 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第28回) 配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190329.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190329-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190329-2.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190329-3.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190329-4.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190329-5.pdf

・特別史跡名古屋城跡全体整備検討委員会石垣部会のまとめ(試案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190329-0.pdf

・19/3/29 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第28回) 
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190329-6.pdf

本日は、各部会の検討状況について報告がありました。
名古屋市は現天守解体についての現状変更許可を2019年5月に文化庁文化審議会で審議することを求めていますが、文化庁はそれに当たり、5点の留意事項が示されました。
うち3点について石垣部会の意見を付すことが求められています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190226-1.pdf

石垣部会は19/3/25に開催されましたが、「1.現天守閣の解体に伴う石垣への影響について」と「2.天守台石垣保存方針について」のみを議論するだけで時間がきました。
しかも、石垣部会は「文化庁への名古屋城解体申請計画は当然行うべき調査・検討が行われておらず、前提を欠いており、石垣部会としては認められない」としました。

しかし、名古屋市は上記1.2.ならびに「3.石垣等詳細調査の具体的な手順・方法について」を「石垣部会にお示しさせて頂いた」とし、石垣部会から「工学的な分析だけでやろうとする誤った認識がある」「調査体制が不十分」などの意見があったことを、口頭で早口で概要を述べるのみ。

最後に、石垣部会の構成員で、全体整備検討会議の構成員でもある赤羽一郎委員が本日欠席しましたが、「特別史跡名古屋城跡全体整備検討委員会石垣部会のまとめ(試案)」が提出されたとして、名古屋城総合事務所職員が早口で読み上げました。

座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「赤羽さんからのまとめは公開してもいいんでしょう。コピーして配って下さい」と要求し、委員をはじめ傍聴者にも配られました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190329-0.pdf

瀬口座長は、「これらについて、石垣部会ではどのような議論がなされたのか。中身の議論があるのか。『どこどこを調査しろ』しかみえない。」と尋ね、名古屋市は「前回の部会では、私どもの不備があって、出来なかった。細部に至るまで検討できなかった。個別に頂いたところはあるが、十分検討頂いてご意見頂けなかった」としました。

また、瀬口座長は「上記3点は、天守閣部会にも出せばよいのではないか」としましたが、西野輝一・名古屋城総合事務所所長は「文化庁から石垣部会の意見を付すよう留意事項がついた。天守閣部会は解体方法についてご意見頂いた」とし、瀬口座長は「文化庁のせいにしているように聞こえる」としました。
オブザーバーの文化庁主任文化財調査官は苦笑いをしていました。

瀬口座長は「天守閣部会にも石垣の専門家がいる。工学的な意見もある。セカンドオピニオンとして幅広く意見を聞かないと進まないのではないか」とし、西野所長は「天守復元については、工学的検討も必要で、広く意見を聞いて石垣の保存について深く考えたい」としました。

「石垣部会のまとめ」について、他には特に意見は出ませんでした。
-------
その後、天守閣部会の報告もあったようですが、名古屋市民オンブズマンの担当者が所用で中座しました。
その後も会場にいた人に聞いたところ、文化庁の主任文化財調査官は瀬口座長の発言を引き、「名古屋城天守台石垣は歴史的・工学的に検討を求める」としたとのこと。

---------
今回、石垣部会の問題意識が、文化庁にきちんと伝わりました。

石垣部会の千田嘉博・奈良大学教授はtwitterで以下述べました。
文化庁調査官が「引き続き石垣への影響の検討必要」としたのは、名古屋城現天守解体工事の前提になる、石垣の基礎調査や工事施工範囲の埋蔵文化財の発掘をしておらず、名古屋市は文化財としての評価と保全対策ができていないと、厳しく指摘されたのと同じことです。https://twitter.com/yoshi_nara/status/1111621338383319041

こうした問題を名古屋城石垣部会も指摘していましたが、文化庁からまったく同じ指摘を受けたことで、名古屋市の現天守解体計画が、文化庁から許可を得られる可能性は、限りなくなくなったと思われます。https://twitter.com/yoshi_nara/status/1111623415532675073

専門家による検討組織である名古屋城石垣部会の決議を無視して、文化庁調査官の指摘も無視して、このまま名古屋市が4月に文化庁への天守解体工事の申請を強行すれば、名古屋市と名古屋城総合事務所に対する文化庁の信頼感は、著しく損なわれる恐れがあります。https://twitter.com/yoshi_nara/status/1111624809203544064
-----
名古屋市は一体何をしたいのでしょうか。
市議会議員選挙終了後の2019年4月以降、名古屋城木造化をめぐって一気に事態が動くと思います。


19/3/26(火)名古屋城天守閣部会「また文化庁がストップしたら石垣部会を解体するくらいの覚悟が必要」

19/3/26に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会が開催されました。
現天守閣解体に際し、石垣保全について天守閣部会に諮る予定はなかったと名古屋市が話したことに、「工学的なことについて石垣部会に任せられるのか」と天守閣部会は反発しました。

19/3/26 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第17回)配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190326.pdf
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190326-1.pdf
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190326-2.pdf

・19/3/26 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第17回)
(名古屋市民オンブズマンによるメモ)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190326-3.pdf

・19/3/26 名古屋城天守閣部会終了後西野所長記者会見
(名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190326-4.pdf

天守閣部会は、天守閣を木造復元するために2017年5月から会議を行ってきました。
考古学の専門家だけでなく、工学の専門家もいて、木造復元の様々な検討をしてきました。
ただし、基礎構造など木造復元の際の石垣に関わることは、石垣部会の了解を得るよう、天守閣部会は求めてきました。

文化庁からは、現天守閣解体にあたっては5点の留意事項が示され、そのうち3点(3.現天守の解体・除去工事が文化財である石垣等に影響を与えない工法であり、その保存が確実に図られること。4.石垣等保全の具体的方針 5.石垣等詳細調査の具体的な手順・方法等(石垣調査計画))について、石垣部会の意見を付すことが求められていました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190226-1.pdf

本日の天守閣部会では、前半の3点(1.現天守を解体する理由、2.現天守閣の解体工事計画 3.現天守閣解体に伴う天守台石垣への影響と対策)が議題としてあげられましたが、4.と5.については議題に挙げられませんでした。

麓和善・名古屋工業大学大学院教授は「4.5をクリアしないと現状変更できない。どうなっているのか」と質問したところ名古屋市は「石垣部会に示して、頂いた意見を付して文化庁に提出したい。事前に文化庁に出す前に資料としてお示ししたい」としました。

麓教授は「工学的検討は石垣部会で出来るのか」と質問しましたが、西野輝一・名古屋城総合事務所所長は「今整理している」とするのみ。

古阪秀三・立命館大学客員教授は「石垣部会で技術的なことができないのなら、こちらに任せる覚悟が必要。名古屋市民が喜ぶなら早く進めないと。4月に文化庁に出されるが、また文化庁ストップするなら、石垣部会を解体してやり直すくらいの覚悟が必要だ」としました。

-------
天守閣部会終了後の会見で、天守閣部会委員から石垣部会解体の提案がされたことを聞かれた西野所長は「石垣についてご助言をいただける専門家は非常に限られている。工学的検討については、天守閣部会に西形先生がいらっしゃるので、西形先生を中心にご検討頂くことを検討しており、石垣部会とも相談している」としました。

-------------
天守閣部会終了後、名古屋市職員が天守閣部会委員に、昨日の石垣部会に関する新聞記事を配布し、それを委員が熱心に読んでいたのが非常に象徴的だと感じました

石垣部会は19/3/25に、天守解体計画について「仮設桟橋・仮設構台を設置する石垣の調査をし、その影響を十分考慮し、保全措置を講じた上での計画でない」として計画を否決しました。

その様子を、名古屋城総合事務所職員はもちろん、竹中工務店、マスコミ、傍聴者は間近に見ていただけでなく、マスコミ報道を通じて多くの名古屋市民が状況を把握しました。
状況を知らなかったのは、天守閣部会委員だけだったといっても過言ではありません。

天守閣部会では、石垣部会がどのような意見を言ったのか、報告はありませんでした。
何を問題にしているのかすら情報を共有化せず、「いたずらに時間を浪費する石垣部会けしからん」と天守閣部会委員が思っているのであれば、情報共有しなかった名古屋城総合事務所に問題があります。

この期に及んでも、石垣部会・天守閣部会の情報共有はほとんどなく、意見のすれ違いばかり目にします。

しかも、天守閣部会にも、4.石垣等保全の具体的方針 5.石垣等詳細調査の具体的な手順・方法等(石垣調査計画))は議題とせず、単に示すのみとのこと。
(天守閣部会終了後、西野所長にマスコミが聞いたところ、5月文化庁申請までには、石垣部会も天守閣部会も開催しないとのこと)

有識者の意見すら聞こうとしない名古屋市の姿勢が、このような事態を招いたのではないでしょうか。

(なお、記者が質問中に述べている「石垣部会は『市の附属機関』」は事実誤認です。
石垣部会・天守閣部会は、条例に基づく『附属機関』ではありません。
http://www.city.nagoya.jp/shiminkeizai/cmsfiles/contents/0000010/10433/kankoubunka.pdf
また、『附属機関に類するもの』は「市の施策又は事業の企画・立案又は方針決定に際し、専門的知識の導入、利害の調整、民意の反映等を目的」とするものであって、決して「市の方針に沿った同意をいただくのが前提」ではありません!!

今後、19/3/29に全体整備検討会議が開催されますが、何がどうなるとも思えません。

自民党の丹羽ひろし市議も「名古屋城天守閣木造復元に赤信号!」と19/3/26にブログで書きました。
https://blogs.yahoo.co.jp/tetujin28164/56352119.html

「2022年12月が絶対」としてきた河村市長のツケが、一気に吹き出る日も近いです。
・15/8/24 河村市長 指示書
 「石垣修復を後回しにして、木造天守閣復元を先に行え。全責任は私が取る」
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf


19/3/25(月)石垣部会「文化庁への名古屋城解体申請計画は前提を欠いており、石垣部会としては認められない」

19/3/25に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣部会(第30回)が開催されました。
名古屋城現天守の解体に伴う石垣への影響について意見を聞かれた石垣部会は「文化財の現状変更をする際に当然行うべき調査・検討ならびに保全方法が十分行われておらず、検討もされていないことが明らかになったので、石垣部会としては認められない」としました。

19/3/25 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣部会(第30回)配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190325.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190325-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190325-2.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190325-3.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190325-4.pdf

19/3/25 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣部会(第30回)
名古屋市民オンブズマンによるメモ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190325-5.pdf

19/3/25 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣部会(第30回)
終了後の記者会見 名古屋市民オンブズマンによるメモ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190325-6.pdf

19/3/25 15:22 名古屋城石垣部会終了後の名古屋市会見・石垣部会記者会見
(名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190325-7.pdf

名古屋市は、現天守閣の耐震性が低いことを理由に、2022年12月までに木造復元するとし、竹中工務店と505億円を上限として基本協定を結びました。
しかし、石垣保全方針等がきちんと策定されていないため予定通りに進んでいないため、名古屋市は「現天守閣の耐震性が低いのを放置できない」ことを理由に、木造復元と解体を切り離し、先に解体だけ2019年5月に文化庁に申請する方針を決めました。

しかしながら、文化庁からは解体の現状変更申請提出にあたり5項目の「留意事項」がでました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190226-1.pdf
そのうち3点(1.現天守の解体・除去工事が文化財である石垣等に影響を与えない工法であり、その保存が確実に図られること。2.石垣等保全の具体的方針 3.石垣等詳細調査の具体的な手順・方法等(石垣調査計画))について、石垣部会の意見を付すことが求められていました。

今回、上記3点に加えて、これまで行ってきた本丸石垣発掘調査について議題に挙げられましたが、石垣部会は「事前に委員に相談もなく、直近に膨大な資料を送ってきて、しかもこれらを1時間半で議論するのは無理がある」としました。

1点目の「現天守の解体・除去工事が文化財である石垣等に影響を与えない工法であり、その保存が確実に図られること。」について、名古屋市は、「天守解体のため、北の外堀に仮設桟橋を作り、内堀に仮設構台を作る予定。ボーリング調査結果を踏まえると、石垣の堀底を保護すれば、石垣への影響は少ないと考える」としました。

宮武正登・佐賀大学教授は「表土の厚みを見ていない。遺構面もトレンチ調査もせず、どうして石垣への影響の計算ができるのか」と疑問を呈しました。

千田嘉博・奈良大学教授は「熊本城の修復でも、仮設橋を作ろうとしているが、文化庁は『橋を架けるところを全て調査せよ』といっている。計画を立てて、十分な保全策をたててはじめて許可されるのは名古屋城総合事務所も当然知っているはずだ。
名古屋城では、仮設桟橋を架ける外堀、仮設構台を作る内堀、その対岸、御深井丸、さらに本丸石垣調査について、立面調査・図面が必要。それらの現状変更許可を取るには1年はかかる。 この計画は上記調査を行っておらず、前提を欠いているため、石垣部会としては認められない。
文化庁としても、当然求められる手順を踏んでいないので『形式が整っていない』として客観的に突っ返されるだろう。
それら調査をした上で、国の特別史跡を『できれば』ではなく『絶対』に保存する工法を提案する」としました。

宮武教授は「堀底にゴミ穴があることがわかっているが、範囲も規模もわかっていない。万が一沈下した場合どうするのか。中止じゃ遅い」としましたが、名古屋城総合事務所は「今の時点では検討していない」としました。

赤羽一郎・愛知淑徳大学非常勤講師は「堀底を保護するためと提案されているESP工法は、文化財で実績はあるのか?文化庁が認めた実績はあるのか?」と質問しましたが、名古屋城総合事務所は「我々が知る限り実績は無い」としました。

2点目の「石垣等保全の具体的方針」について、名古屋市が天守台石垣を調査した結果、石垣の孕みの後ろは空洞ではなく土と栗石だとしました。
宮武教授は「空洞よりもっと大変。ダメージが生じている。」としました。

宮武教授は「来年度、新体制5人で、5現場の調査できるのか」としましたが、名古屋城総合事務所は「経験が十分と言えないが、なんとかやりたい」とするだけ。

また、千田教授は「名古屋市が石垣を調査した結果、江戸時代の石垣が現存していることが判明した。
竹中工務店が提案したという、木造天守を支える『跳ねだし加工』という、いったん石垣を外して工事を行うというものは、文化庁の方針に明確に抵触する。部会が以前指摘したが、西野所長は記者会見で『千田の個人的意見』と発言したが撤回をしてほしい。部会としての意見だ」としました。
宮武教授も「文化庁は鼻で笑っていた。『江戸時代の石垣をはずすなんてありえない』論外の工法だ」としました。

また、文石協の役員名簿から名古屋市がコンサル2名にお願いした件の位置づけも、「名古屋市が名古屋城の大小天守閣の石垣の適切な保存をはかるためのアドバイザー」とはっきりさせました。

結局、上記2点を議論するだけで時間が無くなりました。
最後に、赤羽構成員が「去年も今年も担当者が1人ずつ退職された。担当者に負荷がかかっているからだ。
5名の埋蔵文化財担当者で調査ができるか。担当者が死にますよ。文化庁が認めるはずがない」としました。

----
その後記者会見が行われました。

西野輝一・名古屋城総合事務所所長は「石垣部会から十分ご意見を頂いた。一部委員から『机上の空論』と言われたが、その旨文化庁に伝える。
市としては急ぎ天守を解体するため、文化庁に申請する。判断するのは文化庁。5月に解体許可が出なかった場合はお答えできない。」としました。
記者から「『文化庁から計画が突き返される可能性』があり、その場合名古屋市と文化庁・石垣部会との信頼関係を壊すのでは」という指摘には答えませんでした。

その後に石垣部会の記者会見も行われました。
宮武教授は「申請と許可は別だ。部会として内容を担保できなくても、申請は可能。文化庁がどう考えるかだ」としました。

千田教授は「埋蔵文化財について当然すべき調査、検討、保全方法が十分行われていない、検討していないことが明らかになった。その状況で文化庁に提出するのは名古屋市のご判断。しかし文化庁がどのようにご判断するか、一般的には推測ができると個人的に思う」としました。
また、「仮に石垣部会の決定とアドバイザーが対立する提案があった場合、名古屋市が判断することは過去もあってはならないし、今後も絶対あってはならない。審議するのは石垣部会というのは過去もこれからもそう。今後具体的な調査成果を検討する際に重要だ」としました。

------
記者会見終了後、石垣部会構成員は、現在修復が行われている搦手馬出石垣を見学に行きました。

千田教授はツイッターで以下述べました。
「名古屋城本丸内堀内に解体石材を置いていますが、保護シートは紫外線劣化によって完全に破れ、雨風によって石材番号を記したペンキや墨は流れ落ち、石材そのものの劣化が懸念されます。」 https://twitter.com/yoshi_nara/status/1110158031159848961
これら石材ひとつひとつが国特別史跡の石垣を構成したものであり、解体して空堀内に仮置きしたまま、基本的な保全管理を怠っている現状は、文化庁の補助事業として適切性を保っているか、案じています。名古屋城総合事務所は会計検査院の調査に耐えられるでしょうか。 https://twitter.com/yoshi_nara/status/1110159911042744320
----------------
今後、19/3/26に天守閣部会、19/3/29に全体整備検討会議が開催されます。
しかしながら、石垣部会がこれほど明確に、現天守解体計画を否定しているので、文化庁が現計画を簡単に認めることはないでしょう。

毎日新聞によれば、「ある市幹部は『遅れることは分かっていた。後は河村市長がいつ(工期遅れの発表を)決断するかだ』と明かした。」とのこと。
https://mainichi.jp/articles/20190325/k00/00m/040/350000c

名古屋市が竹中工務店と既に契約したのは以下46億677万6000円分です。
・基本設計    8億4693万6000円(支払い済み)
・実施設計   15億6384万円
・木材製材契約 94億5540万円(うち21億9600万円はH30年度)
木材の保管費用だけでも年間約1億円とのこと。

工期が遅れた場合、どうなるのか。名古屋市はいまだに発表しません。

いったいだれがこのような責任を取るのでしょう。1担当者の問題ではないことは確かです。
・15/8/24 河村市長 指示書
 「石垣修復を後回しにして、木造天守閣復元を先に行え。全責任は私が取る」
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
 

19/3/20(水)19/2/1河村市長 文化庁訪問時「現天守解体が認められないのなら、危ないので竹中の調査を止める」

名古屋市は、19/2/1に名古屋城木造天守閣復元の件で河村市長をはじめとする名古屋市職員が文化庁を訪問した際の復命書を公開しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190320.pdf

その中で、河村市長は「木材の保管料が毎年1億ずつかかる。すでに半分以上伐採した。予算も通している。認められないのなら、危ないので竹中の調査を止める。」と発言していたことが判明しました。
-------
河村市長の発言の趣旨がよく分かりませんが、「現天守閣解体を文化庁が認めない場合、現天守閣の下で石垣調査をしている竹中工務店の職員が、地震等発生時に危険なため、名古屋市と竹中工務店が契約している石垣調査を止める」ということなのでしょうか。

・Is値0.14は7階であって、地下1階はIs値0.24です。
 16/10/24 名古屋市観光文化交流局
 名古屋城天守閣の地震に対する安全対策の検討について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/161024.pdf
 
・竹中工務店は、Is値を承知の上で石垣調査を請けています。
 竹中工務店が「石垣調査は危険だから中止して欲しい」と言ったのでしょうか。
 石垣調査委託特記仕様書には、特に記載がありませんでした。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180903-3.pdf
・本当に名古屋市が石垣調査を止めた場合、竹中工務店との契約はどうなるのでしょうか。さらに費用がかかるおそれや、法廷闘争も想定できます。

また、復命書を読むと、河村市長が一方的に自分の都合だけを述べていることがわかります。
公開されている部分は、過去に公の場で発言していることですが、いまだに非公開となっている部分で何を言っているのかが非常に気になります。

また、文化庁が「●引き延ばしたりはしない。適切なものが揃えばしっかりと審議する。●」と発言したとありますが、非公開部分こそ重要なのではないでしょうか。

------
なお、今回の請求は、以前19/2/4に情報公開請求していますが、19/2/15づけで不存在決定が出ています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190215-1.pdf

にもかかわらず、今回開示された復命書の作成日付は、19/2/4,19/2/5、19/2/6と、不存在決定の出る前に作成されています。
河村市長は情報公開をまったくないがしろにしています。
このように情報を公開しないから、今日の迷走を生んでいると思います。

-------
なお、18/12/20に開催された全体整備検討会議の議事録は公開されました。

・2018年12月20日に開催された、特別史跡名古屋城跡
 全体整備検討会議 議事録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190315.pdf

-------

19/3/18(月)名古屋城調査研究センター所長に服部英雄氏

名古屋市は、19/4/1に新設する名古屋城調査研究センターの所長に、くまもと文学・歴史館長の服部英雄氏を委嘱すると発表しました。

・19/3/18 名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所保存整備室
 名古屋城調査研究センター所長の委嘱について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190318.pdf

名古屋城に係る調査研究に対し、学術的・専門的な見地から指導・助言を行うと言います。

なお、19/1/25京都新聞で、服部氏は「愚かな戦争が破壊した文化財を、史実に基づき復元する。世界の趨勢はそれを高く評価する。」と述べています。

・19/1/25 京都新聞
 服部英雄氏 文化財保護法70年、復元再考
 https://www.kyoto-np.co.jp/info/sofia/20190125_5.html

今後も注目していきたいと思います。

----
今後の予定

・19/3/25(月)13:30-15:30 石垣部会(KKRホテル)
 http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2018/kankobunkakoryu/0000112306.html
・19/3/26(火)10:00-13:00 天守閣部会(KKRホテル)
 http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2018/kankobunkakoryu/0000115770.html
・19/3/29(金)14:00-16:00 全体整備検討会議(能楽堂)
 http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2018/kankobunkakoryu/0000113450.html
  
-------

19/3/15(金)名古屋市議会 名古屋城現天守閣解体予算等を可決 共産反対 自民3人退席

19/3/15に開催された名古屋市議会本会議で、名古屋城現天守閣の解体準備予算9億6100万円等を可決しました。
・名古屋城天守閣の構台等仮設工事   9億6100万円(債務負担行為 11億4200万円)
・名古屋城調査研究センターの新設     5185万2000円
・木造天守閣の昇降に関する新技術の公募  4093万1000円(債務負担行為 1億8455万5000円) 
・名古屋城天守閣の実物大階段模型     9050万円
 及び展示施設の建設
・実施設計 6億9400万円(債務負担行為 1000万円)
・設計監理等支援業務委託 3億7000万円
・木材の製材             17億1300万円 (債務負担行為 55億9800万円)
・天守閣閉館中の魅力向上事業      1億4600万円

報道によれば、自民党の3名が議決時に退席したとのこと。
3名の氏名を教えて欲しいと名古屋市議会事務局議事課に電話で確認しましたが、「2019年6月ごろに発行予定の市会だよりに掲載されるかもしれないので、そこで確認して欲しい」とのこと。

・19/3/18 16:35 名古屋市会事務局議事課に電話で確認内容
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190318-1.pdf

市議会議員関係者に確認したところ、共産党は反対、退席した自民議員は伊神邦彦市議(千種)、丹羽ひろし市議(名東)、浅井正仁市議(中川)とのこと。

19/4/7に市議会議員選挙があります。
参考になれば幸いです。

-----
なお、名古屋城現天守閣解体については、19/3/25石垣部会、19/3/29全体整備検討会議を経た後、名古屋市は4月中に文化庁に石垣保全等の書類をまとめて提出し、5月中に文化庁の現状変更許可がでるかどうかが判明する予定です。
文化庁の現状変更許可が出た場合、解体の契約を市議会で認めるかどうか、ということになります。

2019年5月に文化庁の解体に関する現状変更許可がでなければ、これまで名古屋市が目標としてきた2022年12月木造天守閣復元は完全に絶望的になります。
その場合は「全責任は私が取る」とした河村市長の責任を問うのがまず第一でしょう。
・15/8/24 河村市長 指示書
 「石垣修復を後回しにして、木造天守閣復元を先に行え。全責任は私が取る」
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf


19/3/14(木)名古屋市議会委員会 名古屋城現天守閣解体予算等を要望を付して可決

19/3/14 名古屋市議会経済水道委員会で、名古屋城関係予算採決分の予算について採決がありました。

・19/3/14 名古屋市議会経済水道委員会 名古屋城関係予算採決分
 (名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190314.pdf
 
自民:要望を付して賛成
民主:要望を付して賛成
公明:賛成
共産:反対
減税:要望を付して賛成

結果、賛成多数で可決されました。

-------
議決の後、名古屋城に関して請願・陳情がなされましたが、いずれも認められませんでした。
請願の意見陳述は「委員会休憩中」に行われましたが、陳述者から原稿が提供されましたので掲載したします。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190314-3.pdf


・平成31年3月14日(木)名古屋市議会経済水道委員会 請願・陳情一覧
○観光文化交流局関係
 (新規分)
 平成31年請願第3号 名古屋城天守解体予算を認めないことを求める件
 平成31年陳情第2号 名古屋城天守閣を登録有形文化財にすることを求める件
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190314-1.pdf 
・19/3/14 名古屋市議会経済水道委員会 名古屋城関係請願・陳情審査
 (名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190314-2.pdf
 請願第3号 保留
 陳情第2号 聞き置く

------
2022年12月名古屋城木造復元のめどはたっておらず、2019年5月の文化庁の現天守閣解体の現状変更許可の見通しも立っていません。
にもかかわらず、市議会は予算を可決してしまいました。

名古屋市が2019年1月中旬頃作成した「天守閣整備事業工程表(案)」によれば、2019年5月の文化庁による現天守解体の現状変更許可が出た後に、解体の契約を市議会で行う必要があります。

2019年5月に現状変更許可が出なければ、解体契約を行うことは出来ません。
また、2022年12月の木造復元も事実上間に合わないことが確定します。
その場合、基本協定に基づき、名古屋市と竹中工務店は事業費と事業期間について協議をすることになります。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf

名古屋市が竹中工務店と既に契約したのは以下46億677万6000円分です。
・基本設計    8億4693万6000円(支払い済み)
・実施設計   15億6384万円
・木材製材契約 94億5540万円(うち21億9600万円はH30年度)
木材の保管費用だけでも年間約1億円とのこと。

今後どうなるか、想像もつきません。
2019年5月以降、市内部で責任者捜しをするのではないかという話もありますが、「全責任は私が取る」とした河村市長の責任を問うのがまず第一でしょう。
・15/8/24 河村市長 指示書
 「石垣修復を後回しにして、木造天守閣復元を先に行え。全責任は私が取る」
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf

【名古屋市が考える今後の流れ】
2019年3月 現天守解体予算約9.6億円が市議会で可決
  3月25日現天守解体時に石垣に影響を与えない工法について石垣部会の意見を聞く
   天守台石垣保存方針について石垣部会の意見を聞く
      天守台石垣保存の指針を定め、石垣部会の意見を聞く
2019年4月 名古屋市が文化庁文化審議会に現天守閣解体申請
      ・現天守を解体する理由
      ・具体的な工事内容
      ・解体除去工事が石垣に影響を与えない工法
      ・石垣等保全の具体的方針
      ・石垣等詳細調査の具体的な手順・方法
2019年5月 文化庁が現天守閣解体の現状変更許可を出す
2019年6月 現天守閣解体の市議会議決
 ○年○月 現天守閣解体
 ○年○月 文化庁に穴蔵石垣発掘調査の現状変更申請
 ○年○月 文化庁が穴蔵石垣発掘調査の現状変更許可を出す
 ○年○月 穴蔵石垣発掘調査
 ○年○月 天守台石垣保全工事
 ○年○月 日本建築センターで避難安全性能認定
 ○年○月 総務大臣の認定
 ○年○月 名古屋市消防長の同意
 ○年○月 文化庁復元検討委員会で木造復元審査
 ○年○月 文化庁文化審議会に木造復元申請
 ○年○月 文化庁 木造復元 現状変更許可
 ○年○月 名古屋市建築審査会の適用除外
 ○年○月 木造復元着工
2022年12月 木造天守完成

-------

19/3/13(水)名古屋城現天守解体 名古屋市「石垣部会からどのような意見を頂いてもそのまま文化庁に提出する」

19/3/13に名古屋市議会経済水道委員会が開催されました。 

・19/3/13 名古屋市議会経済水道委員会 配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190313.pdf
・19/3/13 名古屋市議会経済水道委員会 名古屋城関係分
 (名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190313-1.pdf

名古屋城木造復元に関し、先に解体の現状変更許可だけを文化庁に提出することに関し、本日も、市議から多数の疑問・心配が噴出しました。

松井よしのり市議(自民・守山区)は、2018年6月議会で自民党市議団が要望した、「木材の調達に当たっては文化庁から与えられた課題を確実に解決し、現状変更許可の見通しを立てた上で計画的に行うこと」に反し、名古屋城天守復元の見通しがたっていないにも関わらず、木材を購入することに対して疑問を呈しました。

また、松井市議は、現天守閣の解体に関する現状変更許可申請にあたって、文化庁から「石垣部会の意見を付すこと」というのは石垣部会から了解をえること、と考えるが、と質問したところ、名古屋市は「最終的にはどのような意見をいただいたといたしましてもそのままそれを付して提出するということを考えております」と述べました。
名古屋城総合事務所の西野所長は「石垣部会の認識の一致が得られていない得られていないということで、すぐには難しいという状況でございます」と述べました。

松井市議は「構台の仮設についての予算については、厳しい判断をしていくところになると思いますんで、現時点では私自身ではまだまだ疑問を感じぜざるにえられない」と述べました。

しかし、中田ちづこ市議(自民・中区)は「文化庁からの天守閣解体に係る現状変更許可が得られて、そして無用な支出とならないことが確実になってからこの予算の執行をしていただきたいと。これは強い要望でございます。」と述べました。

中川貴元市議(自民・東区)は「我々としてはこういう委員会でどれだけ議論をしても最終的には皆さんの話を信じて議決をするしかない」と述べました。

-------------
中田市議の指摘したことは、市議が要望しなくても法律で決まっています。
(なお予算だけでなく、契約の議決が必要です)

市議会での議論がまったく尽くされておらず(そもそも経済水道委員会の議員同士、委員会では議論していない)、問題点も山積みです。
現天守閣解体の際の石垣への影響、石垣等保全の具体的方針・石垣等詳細調査の具体的な手順・方法等について、石垣部会と認識の一致を得られておらず、3月25日に了解を得るのは絶望的です。

にもかかわらず、「市職員を信じて」予算を議決するというのはまったく理解できません。

自民党市議団内部、民主市会議員団内部でももめているようです。

「市議会は執行部のチェック機能」であるとすれば、今こそ予算を可決しないことで職責を果たせるのではないでしょうか。

市議会自らの判断を停止し、石垣部会や文化庁の動向に委ねるのは議会の責任放棄です。
3月14日(木)午前10時 経済水道委員会付議議案審査で、解体予算の意思決定(3局一括)が行われます。


19/3/11(月)名古屋城「仮設構台を作る際の石垣への影響 石垣部会から意見を頂いていない」

19/3/11に開催された名古屋市議会経済水道委員会で、名古屋城天守閣木造化に際し、現天守閣解体先行論について活発な質疑が行われました。

・19/3/11 名古屋市議会経済水道委員会 配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190311.pdf
・19/3/11  名古屋市議会経済水道委員会 名古屋城関係分
 (名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190311-1.pdf

名古屋市は、現天守閣を先に解体する現状変更許可申請を2019年5月に文化庁に申請し、その後復元の現状変更許可を文化庁に申請する予定です。
・名古屋市が2019年1月中旬以降に作成した天守閣整備事業工程表(案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190306-1.pdf
解体に当たっては、文化庁から5項目の「留意事項」が出たとのこと。
・19/2/26 名古屋市が発表した文化庁
 「現天守閣解体にかかる現状変更許可申請に関する留意事項について」
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190226-1.pdf

そのうち、3点について、石垣部会の有識者の意見をつけるように文化庁は言っています。
3 2に関連して、現天守の解体・除去工事が文化財である石垣等に影響を与えない工法であり、その保存が確実に図られること
  *石垣部会の意見を付すこと
4 石垣等保全の具体的方針
  *石垣部会の意見を付すこと
5 石垣等詳細調査の具体的な手順・方法等(石垣調査計画)
  *石垣部会の意見を付すこと

なお、天守閣解体に先立ち、仮設構台ならびに外堀に桟橋を架ける予算を提出しています。
名古屋市は「それら工事の石垣への影響は小さい」と述べています。

小林祥子市議(公明・名東区)は、石垣部会の意見はどうかと聞いたところ、名古屋市は「土木工学の専門家に意見を聞いている。石垣部会からは現段階で意見をいただいていない」としました。

また、木造天守閣実物大階段模型及び展示施設の建設9050万円、昇降に関する新技術の公募4093万1000円(債務負担行為1億8455万5000円)について、第2回バリアフリー検討会議で有識者がほぼ全員厳しい意見を言っていましたが、名古屋市は「ご意見をお伺いする」のみだとしました。


---------
19/3/25(月)午後1時半から石垣部会が開催されます。
http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2018/kankobunkakoryu/0000112306.html

しかし、議題が多すぎて到底十分な議論が出来るとは思えません。
しかも、名古屋市の計画をそのまま認めるとはとても思えません。

解体予算を早急に議決する必要性もありません。
石垣部会の結論、2019年5月の文化庁の現状変更許可の結果を見てから予算を議決しても、工程は変わらないと日比美咲市議(民主・名東区)は述べています。

解体予算については今回は継続審議にし、5月にあらためて審議してはどうでしょうか。

また、誰も指摘しませんが、天守閣用木材は秋に伐採するとのこと。
○平成30年6月28日(木曜日)名古屋市議会経済水道委員会
◎荒井観光文化交流局名古屋城総合事務所保存整備室主幹 
 あと、この時期に契約をしたいというものは、特に既に伐採されている木についてはよろしいんですが、これから伐採するという木につきましては、秋から冬にかけて木を切るということがあります。それをこの機会を逃すことによって1年延びるということにもなるということでございます。
 
そうであれば、文化庁の解体許可が出て、天守閣木造復元の見通しがたってから予算化・契約してもよいのではないでしょうか。
木材は保管費用だけでも年1億円かかるとのこと。
木材は予算年度を分割して発注しています。契約しなければ、その分保管費用はかかりません。

ありとあらゆる意味で、この市議会で予算議決をする理由が見つかりません。
市としてのリスクを低減するために、少なくとも予算議決を5月臨時議会に延ばすべきです。

委員会の実質審議は3/13(水)のみです。
問題点が山積みで、全然解決していません。
市議会は本来の仕事をすべきだと考えます。

仮に現天守閣解体予算が可決されても、文化庁がそんなに簡単に解体を認めるとは思えません。
万が一文化庁が現天守閣解体を認めたとしても、文化庁・名古屋市消防長・日本建築センター・総務大臣・建築審査会が木造復元をそんなに認めるとは思えません。
今後数十年間天守閣がない状態が続くのを許せますか?

(名古屋城天守閣がない状態(イメージ))

------
今後の予定

3月13日(水)午前10時〜 経済水道委員会
3月14日(木)午前10時〜 経済水道委員会 付議議案審査[意思決定]陳情審査
3月15日(金)午後1時   本会議で予算議決
3月17日(日)午後0時〜  「名古屋城の有形文化財登録を求める会」街頭宣伝(栄小公園集合)
3月25日(月)午後1時半〜 石垣部会(KKRホテル)
4月中          名古屋市が文化庁に現状変更許可申請(予定)
4月11日(木)午後6時半〜「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例勉強会(北生涯学習センター)
4月22日(月)午後2時〜  名古屋城文化庁訪問時面談記録情報公開訴訟 弁論 (名古屋地裁1102号法廷)
5月中          文化庁が現状変更許可申請に対して何らかの判断
5月16日(木) 午後2時〜  名古屋城木造化住民訴訟第1回弁論(名古屋地裁1102号法廷)


19/3/7(木)市議「名古屋城解体予算は5月文化庁変更許可が出た後でもスケジュールに遅れは出ない」

19/3/7に開催された名古屋市議会経済水道委員会で、名古屋城天守閣木造化の、解体先行論について活発な質疑が行われました。
 
19/3/7  名古屋市議会経済水道委員会 名古屋城関係分
(名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190307-2.pdf

名古屋市は、19/1/31に、「現天守閣解体の現状変更許可」を2019年5月に文化庁からもらい、その後に「木造天守閣復元の現状変更許可」を行う方針を決めました。
・名古屋市が2019年1月中旬以降に作成した天守閣整備事業工程表(案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190306-1.pdf

しかし、日比美咲市議(民主・名東区)は「5月の現状変更許可の見通しが立った時点で予算を計上してもよかったのではないか。6月の定例会までの間に臨時的に議会を開いて、予算審議をすれば現在当局が考えてるスケジュールにも遅れは出ないと思う」と述べました。

名古屋市は「今耐震性が低くて危険な状態である天守につきましては、速やかな解体を図っていかなきゃいけない」と述べるにとどめました。
しかも「石垣部会は、現時点で私どもの計画が認められるという状況ではございません」と認めました。

--------
以下問題点をまとめました。
・石垣部会は名古屋市の計画を認めていない
・石垣の具体的な保全方針はまだできていない
・石垣部会は「穴蔵石垣を調査するのに、現天守閣を解体する必要は無い」
・2019年3月に取り壊し予算を議会が認めても、5月臨時議会で取り壊し予算を認めても、工期に変化はない
・2019年5月に取り壊しの現状変更許可が出たとしても、木造復元の工期は7か月短縮することになり、竹中工務店と具体的調整はできていない
・文化庁は「耐震補強では十分でない理由」を聞いているが、名古屋市は答えを持っていない。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190226-1.pdf
・現天守は入場禁止にしており、「非常に危険な状態」で「できるだけ速やかに現天守閣を解体したい」理由を名古屋市は説明していない。
・石垣部会のコンサルは「復元と解体を分割申請する提案はしていない。名古屋市がアイディアを出し同意を求めたが同意していない」
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190306.pdf
・2019年5月文化庁現状変更許可が下りなければ、解体契約は出来ない

名古屋市がこれまでウソと6枚舌でごまかしてきたことが、ごまかしきれなくなり、いよいよ切羽詰まってきました。
少なくとも、2019年3月議会で解体予算を議決する必要は全くなく、5月臨時議会で解体予算を審議すればよいだけです。

名古屋市と文化庁、石垣部会が議論した肝心なところが非公開なので、「6枚舌」をこれまで許してきました。
しかし、議員がコンサルや文化庁へ直接調査に行ったことで状況が広く明らかになってきました。

19/3/7毎日新聞によれば、河村市長は「責任の取り方は頭では考えている。公の場で言うのは適切ではない」と説明したとのこと。
・15/8/24 河村市長 指示書
 「石垣修復を後回しにして、木造天守閣復元を先に行え。全責任は私が取る」
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf

この市議会では解体予算を可決せず、3月25日石垣部会、5月文化審議会を経てから解体予算審議をするのが、木造復元賛成・反対両方が納得する案ではないでしょうか。

すでに、竹中工務店とは118億6617万6000円もの契約を結んでいます。
・基本設計    8億4693万6000円(支払い済み)
・実施設計   15億6384万円
・木材製材契約 94億5540万円
どのように河村市長は「全責任を取る」のか。
2019年5月に何らかの結論が出るでしょう。


19/3/6(水)河村市長「名古屋城 5月に文化庁解体許可出なかった場合の話をするのは文化庁に失礼で無責任」

19/3/6名古屋市議会本会議で、浅井正仁議員(自民)から現名古屋城天守閣解体について「5月に文化庁から解体許可が出なかった場合全責任を取るのか」と聞かれた河村市長は「全力でやっている。出来なかったときの発言は無責任。文化庁に失礼だ」と独自の論理を展開しました。

19/3/6名古屋市議会本会議 名古屋城関連質疑
(名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190306.pdf

浅井市議は、名古屋市が作成した名古屋城復元の工程表が2つあることに疑問を呈しました。
 @H31年度予算要求にあたって、昨年秋頃に財政当局に要求するに際したもの
 AH31年2月議会で当初予算を議論するにあたって作成したもの
(上記2つは情報提供いただけるのか、現在名古屋城総合事務所に確認中です)

しかも、広沢副市長は「竹中工務店は『現状変更許可が見通せないため、工程は出せない』と言われております」と答弁しました。

さらに、浅井市議は「観光文化交流局の職員は『コンサルタントからクレームを頂いた』と言っている。
文石協所属のコンサル会社勤務のご両名は、復元と解体を分割申請する提案はしていない。名古屋市がアイディアを出し同意を求めたが同意していない」と述べました。
・平成31年2月4日 市長定例記者会見
 河村市長「石垣部会から推薦を受けたコンサルタントがそう言っとるんですよ、これは。解体を先にやれば、当然のことながら石垣も調査しやすいじゃないですか。」
 http://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000113986.html
・文石協所属のコンサル会社勤務の両名
 (株)都市景観設計代表取締役 奥村信一氏
    http://toshi-keikan.com/index.html
 (株)空間文化開発機構代表取締役 白石建氏
    http://www002.upp.so-net.ne.jp/

浅井市議は「文化庁へは石垣部会の意見を付せば通ると思っているなら認識が甘すぎる。
19/3/25に開催される石垣部会までに、これまでの宿題を出し、新たに宿題をもらう。その後4月中に文化庁文化審議会に提出する資料を揃え、5月の文化審議会」と述べ、このスケジュールで本当にやれるのか疑問を呈しました。
・19/2/26 名古屋市が発表した文化庁
 「現天守閣解体にかかる現状変更許可申請に関する留意事項について」
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190226-1.pdf

元々2018年10月文化審議会で解体の許可を得る予定でした。
現在2019年5月文化審議会で解体の許可を得るよう変更していますが、その場合でも工事が7か月遅れるとのこと。
元々31ヶ月の工程を24ヶ月で実施しなければならないことになります。

浅井市議は、2019年5月文化審議会で解体の許可が出なければ、予定していた2022年12月の完成は断念するのか、市長は全責任を取るのか質問しました。
・15/8/24名古屋市長 河村たかし指示書「全責任は私が取る」
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf

しかし、市長は「全力でやっている。出来なかったときの発言は無責任。文化庁に失礼だ」と繰り返し、責任についてはまったく触れませんでした。
坂野公壽議長(自民)も「責任の問題で答弁して下さい」と何回も言いましたが、まったく答えませんでした。

(残念ながら、浅井市議は財政局に対しては「時間の都合上」質問しませんでした)

-------
何回文字起こしを読んでも、河村市長の理屈は理解不能です。
全世界で理屈が通っていると思っているのは河村市長だけでしょう。
(河村市長以外で理解した人がいればお教え下さい)

2019年5月文化審議会での解体許可は絶望的です。そうであれば、2019年2月議会で来年度予算化されている、現天守解体予算約9.6億円、木材製材費17億1300万円を議会として可決せず(否決・継続審議)、スケジュールの再検討ならびに今後も木造化を進めるのかどうか、技術的な問題はクリア可能なのかどうか、採算はあうのかから、新議会のメンバーで検討し直すのがよいのではないでしょうか。

竹中工務店と結んだ基本協定6条3項で、「予算が成立しない場合又は前項に係る議決が得られない場合は、本事業を中止し、契約の締結をしないことがある。また、その場合、当該予算に係る業務については発注者、優先交渉権者の間に何ら権利、義務が発生せず、発注者は予算の成立について何ら責を負わない。」とあります。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf

発言が無責任・事実と違うだけでなく、実際に「全責任を取る」かどうかすら責任を取ろうとしない河村市長。

市民からは、基本設計約8.4億円の返還を求める住民訴訟、文化庁との面談記録情報公開訴訟、エレベーター設置を求める13674筆の署名などが起こされています。

市議会として明確な意思表示をするときではないでしょうか。


19/3/5(火)名古屋城石垣部会ワーキンググループ議事録 内容全部非公開

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城をめぐって非公開で開催された石垣部会ワーキンググループの議事録・配付資料を情報公開請求しましたが、内容・配付資料は「公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある」として内容が全面非公開でした。

・2018年10月5日に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議
 石垣部会ワーキンググループ 議事録・内容がわかるもの・配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190221-2.pdf

名古屋市は、市民・マスコミに公開されている石垣部会とは別に、非公開で石垣部会ワーキンググループを開催しています。
報道によれば、18/10/5は石垣部会メンバーは「本日は搦手馬出の石垣修復のみ話しを行い、天守台石垣については話し合わなかった」といいます。
それでも非公開にする理由がまったくわかりません。

19/3/25(月)午後1時半からKKRホテル名古屋で第30回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会が開催されます。
http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2018/kankobunkakoryu/0000112306.html

しかし、石垣部会ワーキンググループでの議論を非公開にしたままでは、傍聴者には真の議論の経緯がわかりません。
また、傍聴者は10名しか許可されず、録音・録画も許可されません。
議事録も3か月以上待たされます。
市民に情報を伝えずになにが「丁寧に進める」でしょうか。
----
なお、以下は公開されました。
・2018年11月2日に開催された、第13回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会 議事録
 2018年12月20日に開催された、第14回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会 議事録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190221-3.pdf
 
・2018年11月2日に開催された、第29回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会 議事録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190221-4.pdf

・2018年7月13日に開催された、第28回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会 議事録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190221-5.pdf

以下は不存在でした。19/3/5に再度請求しました。
・19/2/1 名古屋城の件で文化庁を訪問した際の復命書、支出命令書
・2018年12月28日に開催された、特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議(第2回)議事録
・2018年12月20日に開催された、特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 議事録
・2018年11月16日に開催された、特別史跡名古屋城跡バリアフリー説明会(第2回) 議事録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190221-6.pdf


19/3/4(月)名古屋城石垣調査 アドバイザー文石協会員からの意見伺いに基づく成果物 非公開

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城石垣調査に関して、名古屋市が文石協(文化財石垣保存技術協議会)会員に石垣の保存技術等に関する意見伺いをした際の成果物等を情報公開請求したところ、内容は全て非公開でした。

文化財石垣保存技術協議会会員からの意見伺い・成果物
・情報公開請求書
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190304-0.pdf
・決定書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190304.pdf
・旅行命令
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190304-1.pdf
・旅費・謝金
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190304-2.pdf
・支出命令書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190304-3.pdf
・成果物
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190304-4.pdf

今回、相手2名の氏名が初めて判明しました。
・(株)都市景観設計代表取締役 奥村信一氏
  http://toshi-keikan.com/index.html
・(株)空間文化開発機構代表取締役 白石建氏
  http://www002.upp.so-net.ne.jp/
今回成果物にもかかわらず、「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある」ため非公開としています。

下記について、現在担当者に問い合わせ中です。
・成果物は「率直な意見の交換」終了後ではないのか?
・成果物を公開することで、だれの「意思決定の中立性」が不当に損なわれるおそれがあると名古屋市は考えているのか。
 
しかも、名古屋市は19/2/26経済水道委員会で、「穴蔵調査のために、上物天守閣を取ってはいかがかどうかというような案をご提案いただいたとご助言いただいたというようなところがございます」と述べ、また「コンサルタントからは耐震性についての意見はいただいておりません。」とも述べています。

そうであれば、非公開にする意味はまったくありません。

------
19/1/15河村たかし名古屋市長の定例記者会見で、「名古屋城石垣については、文石協によるレポートは最後のまとめに入った」としました。
http://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000113561.html

しかし、今回開示された成果物の中には、18/12/28打合せが最後で、当該レポートらしきものは含まれておりませんでした。
完成したのかどうかも不明です。

専門家の意見がまったく非公開のまま、現名古屋城天守閣解体が強行されようとしています。
石垣の専門家である石垣部会からは「穴蔵調査のために天守閣を取る必要はない」と述べています。

このまま市民不在ですすめてよいのでしょうか。

-------

19/3/1(金)河村市長 名古屋城木造化「必ず石垣部会の理解が得られると思っている」

19/3/1に名古屋市議会本会議があり、名古屋城木造化について田口一登議員(共産)の「市の計画と石垣部会の立場に根本的な相違があるが、石垣の保全方針について石垣部会の了承を得られる見通しはあるか」という質問に対し、河村たかし名古屋市長は「必ず石垣部会の理解が得られると思っている」と述べました。
しかし、明確な根拠は述べませんでした。

平成31年3月1日(金曜日)の代表質問 名古屋城関係
(名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190301.pdf

河村市長の答弁はいつものとおりです。
・今いない人(今回は文化庁の前の課長)の答弁を持ち出す。
 本当に言ったかどうかは議事録が公開されていないため不明
・存在するか確かめようがない人(今回は「あるプロに聞きましたけど」)を持ち出して、自分に都合がいいことを言ったとする。
 名前を聞いても決して言わない。反論があれば名前を公表せよ。
・自説に都合がよいアンケートを引っ張り出す(今回は「昭和23年の地元市民のアンケート)。
 平成26年2月に名古屋市が実施したネットモニターアンケートでは、木造復元は15.3%、耐震補強は71.0%であったことは決して言わない。
 http://www.city.nagoya.jp/shiminkeizai/cmsfiles/contents/0000058/58322/H25.11.net_mon.pdf
・「文化庁は遅らせるつもりはありませんと、はっきりといっとりますから」というだけで、何を遅らせるつもりがないのかを言わない。
・文化庁は「丁寧にやってください」といっているらしいが、名古屋市は市民に説明しない。石垣部会との交渉も公開しない。
 時間を区切ることで、より関係者が硬直化しているよう。
・地震で危ない、というのなら、どうして耐震改修しないのか説明せず。
・「竹中さんの今の案も聞きましたら」は、誰に聞いたか不明。もし文化庁なら、協議内容を今すぐ公開すべき。

名古屋市は、19/2/26に「現天守閣解体にかかる現状変更許可申請に関する留意事項について」を発表しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190226-1.pdf

これを読めば、文化庁は河村市長がいうような発言では必ずしもないことがよく分かります。
このまま情報も公開せず、現天守閣取り壊しの予算を市議会は認めるのでしょうか。
---------
今後の予定(市議会分)
3月6日(水)午前11時45分〜 本会議 浅井正仁議員(自民)[16分]
 名古屋城天守閣木造復元の進め方について(観光文化交流局、財政局)
3月7日(木)午前10時〜 経済水道委員会
3月11日(月)午前10時〜 経済水道委員会
3月13日(水)午前10時〜 経済水道委員会
3月14日(木)午前10時〜 経済水道委員会 意思決定 陳情審査


※情報公開請求・各種訴訟・ニュースレター発行等活動するにもお金が必要です。
 情報公開訴訟をするのに印紙代が29,000円、切手代が6,740円かかっています。
 仮に勝訴しても、名古屋市民オンブズマンには1円も入ってきません。
 名古屋市民オンブズマンは会費とカンパのみで運営していますので、ぜひともカンパのご協力をお願いいたします。
  《郵便振替口座》
    口座番号 00870−9−105687
    加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
   http://www.ombnagoya.gr.jp/kannpa.htm


19/2/27(水)文化庁「名古屋市は、名古屋城耐震補強では十分でない理由を明らかにせよ」

名古屋市は、19/2/26に「現天守閣解体にかかる現状変更許可申請に関する留意事項について」を発表しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190226-1.pdf

名古屋市は、名古屋城木造復元の前に、現天守閣解体を行う方針で、解体の現状変更許可申請を2019年5月に開かれる文化庁文化審議会で了承を得る方針です。

その際、文化庁からの留意事項を確認したとしました。

------
現状変更許可申請提出にあたっての留意事項
1 現天守を解体する理由(現天守解体の必要性・妥当性)
  *耐震診断結果の詳細な説明、耐震補強では十分でない理由、現天守に係る沿革と内容に関する情報の整理、現天守の記憶保存等に関する措置  
2 現天守解体の具体的な工事内容(工事用仮設の具体的な内容を含む。)
  具体的な工法・工程等
3 2に関連して、現天守の解体・除去工事が文化財である石垣等に影響を与えない工法であり、その保存が確実に図られること
  *石垣部会の意見を付すこと
4 石垣等保全の具体的方針
  *石垣部会の意見を付すこと
5 石垣等詳細調査の具体的な手順・方法等(石垣調査計画)
  *石垣部会の意見を付すこと
 
------
「耐震補強で十分でない理由」を説明せよ、というのは、非常に厳しいです。
大阪城も熊本城も耐震補強をしています。
名古屋市は「耐震補強した場合でも概ね40年の寿命」としていますが、別途長寿命化をすればさらに寿命が延びます。

さらに、現天守の解体・除去に伴う石垣の影響と保存、さらに石垣等保全の具体的方針、石垣調査計画について、石垣部会の意見を付すこと、としています。
石垣部会はずっと開かれておらず、3月中に開く予定とのことですが、これまで議題としてきた搦手馬出石垣解体・修復、天守台石垣調査だけでなく、上記についてもさらに検討し、2019年4月予定の現状変更許可申請に間に合わせることは事実上不可能と思います。

----
19/2/27に名古屋市議会経済水道委員会が開催されました。
・配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190227-1.pdf
・19/2/27 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城関係)
 名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190227-1.pdf

しかしながら、19/2/26「留意事項」については質問がありませんでした。

-----
繰越予定となっている地盤調査は、現天守閣真下をボーリング調査するというものですが、石垣部会の了承をまだ得られていません。

穴蔵石垣調査のめどもたっておらず、石垣部会は「穴蔵調査のため上物天守閣を取る必要は無い」とまで言っています。

きちんとした手順を踏まず、ひたすら2022年12月木造天守閣完成だけを追い求めるものの、まったく進んでいないのが現状です。

「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」は木造天守閣にエレベーターを求める署名が13674筆集まったと19/2/25に発表しました。
https://www.facebook.com/nagoya.jitsugensurukai/

バリアフリー問題も解決していません。
消防法をどうクリアするのかもわかりません。
建築基準法の適用除外もまだ認定されていません。
石垣保存の指針、石垣保存方針もまだ出来ていません。

にもかかわらず、現天守閣解体申請しようとしていますし、木材を来年度17億1300万円購入しようとしています。
(木材はすでにH30年度で22億1150万円予算化済み)
木材保管料だけで年間1億円かかります。

名古屋市民の関心が日に日に低下している名古屋城天守閣復元事業。
具体化すればするほど、問題だけは日に日に膨らんでいます。
---------
今後の予定(市議会分)
2月28日(木)午前10時30分 経済水道委員会 付議議案審査[意思決定]
3月1日(金)午前10時〜 本会議
3月4日(月)午前10時〜 本会議
3月5日(火)午後1時〜 本会議
3月6日(水)午前10時〜 本会議
3月7日(木)午前10時〜 経済水道委員会
3月11日(月)午前10時〜 経済水道委員会
3月13日(水)午前10時〜 経済水道委員会
3月14日(木)午前10時〜 経済水道委員会 付議議案審査[意思決定]陳情審査

---------
※情報公開請求・各種訴訟・ニュースレター発行等活動するにもお金が必要です。
 情報公開訴訟をするのに印紙代が29,000円、切手代が6,740円かかっています。
 仮に勝訴しても、名古屋市民オンブズマンには1円も入ってきません。
 名古屋市民オンブズマンは会費とカンパのみで運営していますので、ぜひともカンパのご協力をお願いいたします。
  《郵便振替口座》
    口座番号 00870−9−105687
    加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
   http://www.ombnagoya.gr.jp/kannpa.htm

19/2/26(火)名古屋城石垣部会「穴蔵調査のため上物天守閣を取る必要は無い」

19/2/26に名古屋市議会経済水道委員会が開催されました。

19/2/26 名古屋市議会経済水道委員会 名古屋城関連部分
名古屋市民オンブズマンによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190226.pdf

平成31年2月4日 市長定例記者会見で、河村市長は名古屋城現天守閣解体について以下述べています。
http://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000113986.html
(記者)それはもう復元は5月の文化審議会には諮られないことは、もう了承していると、市としてもそれはしょうがないということでしょうか。
(市長)しょうがないというか、とりあえず、それは僕が言っとるんじゃないですよ。石垣部会から推薦を受けたコンサルタントがそう言っとるんですよ、これは。
(記者)そう言っとるというのは。
(市長)そういう方法がええと。
(記者)解体を先にやったほうがいいと。
(市長)そうそうそう、そういうことですね。解体を先にやれば、当然のことながら石垣も調査しやすいじゃないですか。そんなこと当たり前のことだわね、これ。しやすいより決定的だと思いますよ。もう何遍も言っとるけど、文化庁にもちゃんと言いましたから、これ。本当に延びると、調査も中止になりますよと言って、危ないから。労働安全衛生法、これ懲役になりますんで、刑事罰ですから。はっきりわかっとるでいかんですよ、Is値0.14いうのと。5月に入場禁止にしとるから、これ。そこまでやっとる建物ですよ。その54メートル下で、漫然と竹中工務店の従業員の方に調査して当たり前だなんて言えませんよ、やっぱりこれ。はっきり言ってあります、文化庁に、これ。本当ですよ、これ。
 地震だって起こりゃせんがやと思っとるだろう、東京のみんな、地震なんか起こりゃせんと。だけど、震度6強の地震で倒壊する可能性までしか書いてないけど、ちゃんとあれ見ると、震度6強の地震で倒壊する危険性が高いというとこまで本当は書かないかん。これちゃんと正式な文書でありますから。今のIs値0.14というやつは。という建物ですから、これ。
江上博之(共産・中川区)市議は「文石協が、耐震性のために解体した方がよいと言っているように聞こえるが」と質問したところ、名古屋城総合事務所の村木主幹は「文石協に依頼したが、コンサルタントは文石協の代表としてではなく、個人としてこられた。コンサルタントは、穴蔵調査のために上物天守閣を取ってはどうかとご提案いただいたが、石垣部会員からは、穴蔵調査のために、そこまでは必要ないんじゃないかと意見を頂いた。コンサルタントからは耐震性についての意見はいただいておりません。」と述べました。

-------
ここでも、市長の発言しか根拠がない弊害があらわれています。
これまで名古屋市は「文石協に依頼した」と言ってきましたが、個人のコンサル(誰か不明)でした。
しかも、耐震性については個人のコンサルすら発言していませんでした。

石垣の専門家である石垣部会からは「穴蔵調査のために天守閣を取る必要はない」と述べていると、はじめて明らかになりました。

19/1/11に非公開で行った特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会ワーキンググループ(WG)について、名古屋市民オンブズマンが「議論の内容がわかるもの」と「配付資料」を情報公開請求したところ、「議論の内容がわかるもの」は作成又は取得しておらず不存在、「配付資料」は「公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある」として内容が全面非公開でした。
・「議論の内容がわかるもの」決定
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190129-1.pdf
・「配付資料」決定
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190129-2.pdf
・「配付資料」内容
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190129-3.pdf

----
木造天守閣復元のめどがまったく立っていない現在、この2月市議会は現天守閣が解体されるかどうか、その後数十年天守閣が存在しない状態になるかどうかを判断する
重要な議会です。
全ての情報を公開した上で、慎重な審議を望みます。
 
--------
今後の予定

19/2/27(水)10時半〜 経済水道委員会
19/3/1(金)10時〜   市議会本会議代表質問 新年度予算審議
19/3/7(木)10時〜   経済水道委員会
19/3/11(月)18時半〜 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例勉強会(北生涯学習センター)
 https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
19/3/18(月) 名古屋市議会閉会
19/3/29(金) 名古屋市議会議員選挙告示
19/4/7(日)  名古屋市議会議員選挙
19/4/11(木)18時半〜 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例勉強会(北生涯学習センター)
 https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle 
19/5/16(木)14時〜 名古屋城木造化住民訴訟第1回弁論(名古屋地裁1102号法廷)
 https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle 

-------

※情報公開請求・各種訴訟・ニュースレター発行等活動するにもお金が必要です。
 情報公開訴訟をするのに印紙代が29,000円、切手代が6,740円かかっています。
 仮に勝訴しても、名古屋市民オンブズマンには1円も入ってきません。
 名古屋市民オンブズマンは会費とカンパのみで運営していますので、ぜひともカンパのご協力をお願いいたします。
  《郵便振替口座》
    口座番号 00870−9−105687
    加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
   http://www.ombnagoya.gr.jp/kannpa.htm
-------

19/2/21(木)名古屋城をめぐり、名古屋市が文化庁訪問時の復命書等 情報公開訴訟提訴

名古屋市民オンブズマンは、19/2/21に名古屋市を相手取り、名古屋城をめぐり文化庁訪問時の復命書等の情報非公開取消と開示の義務づけを求める訴訟を名古屋地裁に提訴しました。

・訴状
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190221.pdf
・証拠説明書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190221-1.pdf

取消しと開示の義務づけを求める対象は3件の処分です。
◎平成30年8月30日 行政文書一部公開決定通知書 
 上記一部開示決定をうけて一部開示された書類   
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180903-1.pdf
◎平成30年9月11日 行政文書一部公開決定通知書 
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180912.pdf
 上記一部開示決定をうけて一部開示された書類 
 ・2018年7月20日-25日に、名古屋市職員が文化庁を訪れた際の持参資料として
 1)名古屋城天守閣整備事業 基本計画書(概要編・資料編・図面編)
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180912-1.pdf  
 2)平成29年12月 復元検討委員会での報告に対する意見(平成30年3月提出)
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180912-2.pdf
 3)平成29年12月 復元検討委員会での報告に対する意見への追加回答
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180912-3.pdf
 4)平成30年3月 復元検討委員会での報告に対する意見への回答
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180912-4.pdf
 5)2018年7月20日-25日に、名古屋市職員が名古屋城関連で文化庁を訪れた際の持参資料
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180912-5.pdf
 ・2018年7月20日-25日に、名古屋市職員が文化庁を訪れた際の復命書、支出金調書として、
 6)復命書(名古屋城総合事務所長以下5名分)
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180912-6.pdf
 7)復命書(ナゴヤ魅力向上担当部長分)
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180912-7.pdf
 ・2018年7月20日-25日に、名古屋市職員が文化庁を訪れた際の会談の内容、指摘事項がわかるものとして
 8)2018年7月20日 文化庁打合せメモ
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180912-8.pdf
 ・2018年7月26日に、名古屋市職員が文化庁を訪れた際の復命書、支出金調書として
 9)復命書(名古屋城総合事務所長分)
   http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180912-9.pdf
 ・2018年7月26日に、名古屋市職員が文化庁を訪れた際の会談の内容、指摘事項がわかるものとして
 10)市長国家提案【文化庁】<平成30年7月26日(木)>面会記録
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180912-10.pdf
 11)市長国家提案【文化庁】<平成30年7月26日(木)>メモ
   http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180912-11.pdf
◎平成31年1月23日 行政文書一部公開決定通知書 
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190123-2.pdf
 上記一部開示決定をうけて一部開示された書類
1) 市長文化庁訪問<平成30年8月3日(金)>ぶら下がりメモ
2) 持参資料
3) 新聞一式
4) 復命書(8月3日分)
5) 復命書(9月10日分)
6) 復命書(9月25日分)
7) 支出命令書(8月3日分)
8) 支出命令書(9月10日分)
9) 支出命令書(9月25日分)
10) 市長文化庁訪問<平成30年8月3日(金)>面談記録
11) 市長文化庁訪問<平成30年8月3日(金)>ぶら下がりメモ
12) 文化庁打合せメモ
13) 市長文化庁訪問<平成30年9月25日(火)面談記録>
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190123-3.pdf

名古屋市は、文化庁訪問後に市長が記者会見を行い、その際の「市長ぶら下がりメモ」は公開するにも関わらず、実際の復命書の中身は「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある」としてほぼ公開していません。
また、処分2では「黒塗り部分を非公開にする」としており、意思表示が完結しておらず、無効の可能性すらあります。

市長直筆のメモは、当初は黒塗りでしたが、名古屋市民オンブズマンが審査請求したところ、「すでに市長が公の場において発言した内容だ」として公開されました。
・当初開示された市長のメモ(黒塗り)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180905.pdf
・開示された市長メモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181101.pdf
 
名古屋市民オンブズマン 代表の新海聡弁護士は「市長が『文化庁はこう言った』とする情報だけでは情報がコントロールされており、市民の間の議論の前提が欠ける。
市民的議論の発生を危惧したのであれば、行政に不都合な情報を隠ぺいして市民を籠絡しようとする企てでしかない。
今回非公開にしたのは原因が2つあると考える。
1つ目は、河村市長と現場が意思疎通が図られておらず、市長がこの問題にナーバスになっていて、情報をコントロールしたいということを現場が忖度しているようだ。市長がしゃべっていないことは黒塗りにするように働く。
2つ目は河村市長は情報公開に関心が無いこと。
『意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ』などないことを裁判で明らかにしていきたい」としました。


-------
名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm

※情報公開請求・各種訴訟・ニュースレター発行等活動するにもお金が必要です。
 今回提訴するのに印紙代が29,000円、切手代が6,740円かかっています。
 仮に勝訴しても、名古屋市民オンブズマンには1円も入ってきません。
 名古屋市民オンブズマンは会費とカンパのみで運営していますので、ぜひともカンパのご協力をお願いいたします。
  《郵便振替口座》
    口座番号 00870−9−105687
    加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
   http://www.ombnagoya.gr.jp/kannpa.htm
 
-------

19/2/14(木)天守閣部会 「名古屋城現天守 解体先行申請論」に異議を出さず

19/2/14に名古屋城全体整備検討会議天守閣部会(第16回)が開催されました。

・19/2/14 名古屋城全体整備検討会議天守閣部会(第16回) 配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190214.pdf
・19/2/14 名古屋城全体整備検討会議天守閣部会(第16回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190214-1.pdf
 
・19/2/14 名古屋城全体整備検討会議天守閣部会(第16回)
 終了後、西野所長のぶら下がり 名古屋市民オンブズマンによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190214-2.pdf
 
議題に入る前に「現天守閣の解体について」が報告されました。

名古屋城総合事務所から、「昨年10月に文化審議会に図り、11月に現状変更許可取得予定だったがいたらなかった。
これまで現天守閣解体と復元を一度に行うよう進めてきたが、『現天守閣は耐震性が低く危険なため、速やかに解体したい』と河村市長が2月1日に文化庁を訪れて直接申し入れを行った。
文化庁は『石垣にダメージを与えない工法をご提案いただければ検討する』と述べた。並行して木造復元を求めたい。」としました。
その後、具体的な解体方法案と、解体工事に伴う石垣への影響について説明しました。

天守閣部会構成員は、「当初は素屋根をかけて解体と復元を行う予定だったが、今回の提案は足場だけだ。音や塵は大丈夫か」などの質問にとどまり、河村市長が突然言い出した現天守「解体先行申請論」そのものへの疑義は出ませんでした。

-----------
19/2/2中日新聞で、天守閣部会の麓和善・名工大教授は以下述べています。
着手難しいのでは
名古屋工業大大学院の麓和善(ふもと・かずよし)教授(建築史、文化財の保存修復)の話 
文化庁が解体を認めることになれば、その後の復元も認める前提になる。いつ復元事業に着手できるのか、本来の道筋が見えていないのに解体に着手するのは難しいのではないか。天守がない期間が長くなれば、なぜ早々に解体してしまったのかという不満につながる可能性もある。
----------
名古屋市民オンブズマンは、19/2/1に河村市長が現天守閣解体先行論を述べた際、「仮に現天守閣が解体された場合、今後数十年は天守閣が無い状態が続くおそれがあります」と書きました。

それを見た人は「数十年は冗談でしょう」と述べました。以下根拠を述べます。

【名古屋市が考える今後の流れ】
2019年3月 現天守解体予算約9.6億円が市議会で可決
2019年4月 名古屋市が文化庁文化審議会に現天守閣解体申請
2019年5月 文化庁文化審議会で現天守閣解体了承
2019年○月 文化庁が現天守閣解体の現状変更許可を出す
 ○年○月 現天守閣解体
 ○年○月 文化庁に穴蔵石垣発掘調査の現状変更申請
 ○年○月 文化庁が穴蔵石垣発掘調査の現状変更許可を出す
 ○年○月 穴蔵石垣発掘調査
 ○年○月 天守台石垣保存の指針を定め、石垣部会の了解を得る
 ○年○月 天守台石垣保存方針を石垣部会に諮りながら定める
 ○年○月 天守台石垣保存方針を文化庁に提出し、了解を得る
 ○年○月 天守台石垣保全工事
 ○年○月 日本建築センターで避難安全性能認定
 ○年○月 名古屋市建築審査会の適用除外
 ○年○月 総務大臣の認定
 ○年○月 名古屋市消防長の同意
 ○年○月 文化庁復元検討委員会で木造復元審査
 ○年○月 文化庁文化審議会に木造復元申請
 ○年○月 文化庁 木造復元 現状変更許可
 ○年○月 木造復元着工
2022年12月 木造天守完成

しかしながら、上記スケジュールは絶望的です。
そもそも、現天守閣解体の現状変更許可は、木造復元と一体のものです。解体だけ認め、木造復元しない、ということはありえません。
文化庁は、木造天守閣復元の見通しが立っていないのに、解体のみの現状変更許可を出すのか疑問です。
河村市長・名古屋市の「文化庁はこういった」というのと、文化庁の実際の発言のニュアンスが異なっているということも漏れ聞こえます。

一方、穴蔵石垣発掘調査は、どこをどう調査するかもはっきり決まっていません。
しかも、「天守台石垣保存の指針」「天守台石垣保存方針」も決まっていません。
その後天守台石垣保全工事に入りますが、千田嘉博・奈良大学教授は「10年以上の月日がかかるということがあり得る」と述べています。
・17/6/23 第22回石垣部会での千田嘉博・奈良大学教授 発言
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170623-2.pdf
「まず天守台石垣の保全工事です。何年かかるかわかりません。
 今日の最初に話のあった搦手馬出の石垣は、解体工だけで10年以上の期間が経っていることになります。天守台石垣の必要な保全工事というのは、場合によっては10年以上の月日がかかるということがあり得ると思います。
 そういったものを踏まえたうえの、その先に現行天守を解体して、木造天守にするという可能性があるということになります。」

石垣カルテについても、中井将胤・文化庁文化財部記念物課文化財調査官は「何年かかるかというのは、こちらはあまり問題ではない」と述べています。 
・17/5/12 第21回石垣部会での中井将胤・文化庁文化財部記念物課文化財調査官 発言
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170512-3.pdf
 「文化庁としましては、文化財保護と文化財活用と両方を進めているところでありますので、そのへんをきちんと踏まえていただいて、どういう順番でやるかという方向は決めていただければいいかと思います。
 最終的には、ここに載っている項目を全部やっていただくということは、ぜひやっていただきたい。何年かかるかというのは、こちらはあまり問題ではないので、最終的にこれに近づける形で。」
文化庁復元検討委員会(年 2〜3 回開催)についても、平澤毅・文化庁文化財部記念物課文化財調査官は「必要なら10回でも20回でも審議する」としています。
・17/3/30 第23回検討会議での平澤毅・文化庁文化財部記念物課文化財調査官 発言
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170330-2.pdf
 「今回の、名古屋市で提案されている木造天守ですね。巨大な天守ですから、言うまでもなくこれまで事案が存在しませんので。これを見ると3回くらいで書かれているみたいな感じですが、3回ですむのか、どうかというのは、まったくその限りではないですし。実際、他の事案では5回、6回と重ねてやっている事案もあります。予定通りいくかどうかは、まったく見えない状態です。
・17/3/31読売新聞によれば、会議後、「何回で結論を出すというルールはない。必要なら10回でも20回でも審議する」と語ったとのこと。
 
本来であれば、木造天守閣復元の流れは以下です。
・石垣・調査(数年)
・石垣修復(10年以上)
・文化庁復元検討委員会での木造天守閣検討(少なくとも数年)
・現天守解体(数年)
・穴蔵石垣調査(不明)
・穴蔵石垣修復(不明)
・木造復元(数年)

これに、バリアフリー問題の解決、日本建築センターで避難安全性能認定、名古屋市建築審査会の適用除外、総務大臣の認定、名古屋市消防長の同意を取る必要があります。
さらに、穴蔵石垣・天守台石垣を破壊する「はね出し架構」を石垣部会・文化庁が認めるか、それに代わる工法を竹中工務店が提案できるかも不明です。
いずれも解決しておらず、今後何年かかるかわかりません。
 
河村市長が「石垣より先に木造復元をすること」と指示書を出したことがそもそもの誤りです。 
・平成27年8月24日 指示書 市民経済局長 宮村喜明殿 名古屋市長 河村たかし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf

河村市長は大急ぎで木造天守復元を指示したため、結局竹中工務店は505億円を提示し、名古屋市と基本協定を結びました。
石垣を積み直した後に木造復元を行う、とした清水建設は350億円の試算をしましたが、名古屋市が設定した完成時期に間に合わず、正式な提案はしませんでした。

名古屋市は、当初は最上階までエレベーターを設置して耐震改修・長寿命化する(約29億円)方針でしたが、河村市長の上記指示によりまったく検討しなくなりました。

天守閣閉鎖期間が長くなれば、来城者も減ってしまいます。
また、天守閣が存在しない期間が長くなれば、それだけ来城者が減ります。
木材保管予算は毎年約1億円かかります。

19/2/19から始まる2019年2月市議会で、約9.6億円の解体費用、約17億1300万円の木材の製材費を認めるのか。
上記予算が可決されると事態はより複雑になります。

竹中工務店と結んだ基本協定6条3項で、「予算が成立しない場合又は前項に係る議決が得られない場合は、本事業を中止し、契約の締結をしないことがある。また、その場合、当該予算に係る業務については発注者、優先交渉権者の間に何ら権利、義務が発生せず、発注者は予算の成立について何ら責を負わない。」とあります。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf

「名古屋城天守閣の姿が生きている間は二度と見られなくなる」かどうかの瀬戸際です。
知り合いの名古屋市議会議員に、予算についてどういう意思表示をするつもりなのかお尋ね下さい。
名古屋城の未来が2月議会の市議の採決にかかっているのです。


※情報公開請求・各種訴訟・ニュースレター発行等活動するにもお金が必要です。
 名古屋市民オンブズマンは会費とカンパのみで運営しています。
http://www.ombnagoya.gr.jp/info/index.htm
------
今後の予定
・19/2/ ( )名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会が
・19/2/19(火) 名古屋市議会開会
・19/2/ ( ) 名古屋市民オンブズマンが
・19/3/11(月)18時半〜 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例勉強会(北生涯学習センター)
 https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
・19/3/18(月) 名古屋市議会閉会
・19/3/29(金) 名古屋市議会議員選挙告示
・19/4/7(日)  名古屋市議会議員選挙
・19/4/11(木)18時半〜 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例勉強会(北生涯学習センター)
 https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle


19/2/12(火)名古屋市 平成31年度予算に名古屋城天守閣解体関連予算約9.6億円をいきなり計上

名古屋市は、19/2/12に平成31年度当初予算の概要を公開しました。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-16-1-1-2-0-0-0.html

その中で、いきなり名古屋城天守閣解体関連予算9億6100万円を計上しました。

これまで市民に公開されてきた「予算要求内容の公開」「予算要求に対する財政局査定内容の公開」には一言も触れられていませんでした。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-16-1-0-0-0-0-0.html

名古屋市 平成31年度予算参考資料
http://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000114/114533/31sannkou.pdf
「平成31年度主な施策等一覧」観光文化交流局
http://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000114/114536/kannkou.pdf
名古屋城木造化関連(千円)
・名古屋城調査研究センターの新設 51,852
・木造天守閣の昇降に関する新技術の公募 40,931(債務負担行為 184,555)
・名古屋城天守閣の構台等仮設工事 961,000 (債務負担行為 1,142,000)
・名古屋城天守閣の実物大階段模型及び展示施設の建設 90,500
・実施設計 694,000 (債務負担行為 10,000)
・設計監理等支援業務委託 37,000
・木材の製材 1,713,000 (債務負担行為 5,598,000)
・天守閣閉館中の魅力向上事業 146,000

「仮設構台等の設置工事」の詳細はよくわかりませんが、2016年3月の竹中工務店提案では、天守閣北側のお堀に仮設の橋を架け、内堀に仮設構台を設置する計画です。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/17_topics/280330/dwl/takenaka.pdf


木造天守閣復元のめどが全く立っていない現在、この予算を市議会が認めたら、天守閣解体に一歩近づき、仮に現天守閣が解体された場合、今後数年〜数十年は天守閣が無い状態が続くおそれがあります。

河村市長は19/2/4定例記者会見で「上の天守閣がなくなれば、穴蔵石垣の調査がしやすくなるに決まっている」と言っています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190204-1.pdf

しかし石垣部会は「穴蔵石垣の調査をするために現天守閣を壊せ」とは一言も述べておらず、「文化庁の許可を受けていない事業については審議しない」としか述べていません。

名古屋市は、穴蔵石垣について調査する必要性について、17/9/12石垣部会で述べたくらいです。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170912.pdf
穴蔵石垣については多くが昭和の再建の際に再築されており、根石背面調査や遺構の調査をする必要があります。
それよりは、ケーソン下のボーリングの方が、木造天守閣復元には重要です。
穴蔵石垣の遺構も、木造天守閣復元の際のはね出し架構を作る際には調査する必要があります。

17/9/12に石垣部会の千田嘉博教授はマスコミに向かって「これまで部会の議論と異なった内容が報じられているのは残念だ。先ほどまで議論しているのは石垣調査についてであって、木造天守閣に関する議論は一切行っていない。間違いです。誤報です。穴蔵石垣について、本質的価値現状を工学的・考古学的に調査して必要があれば適切な修理を行うのであって、木造天守のための事前調査ではない。名古屋市は現状変更許可を文化庁に提出したが、そこのところをかき分けていただいている」と強調しました。
http://ombuds.exblog.jp/25602183/

19/2/2読売新聞によれば、文化庁に直接取材し「本来は解体と復元を一体とするのが望ましい。計画を見ないと(許可は)判断できない」としています。
一般的には今後の見通しをたててから、現建造物を壊す許可をだすのではないでしょうか。
名古屋市は何回も文化庁を訪問していますが、そのやり取りの詳細は市民に一切非公開です。竹中工務店にも公開していません。

18/5/6現天守閣閉鎖後9か月立っても、いまだに穴蔵石垣調査が出来ていません。何のための閉鎖だったのかわかりません。
にもかかわらず、「穴蔵石垣を調査するために現天守閣を解体する」というのはあまりにも乱暴です。
また、現天守閣解体の足場を組む際に内堀に荷重がかかるのですが、天守閣対岸側の石垣調査をしておらず、内堀が耐えられるかという心配もあります。

木造天守閣復元賛成の立場でも、このように性急に現天守閣解体予算を計上する名古屋市のやり方に疑問を持っている人が多くいます。
このままでは、「生きているうちには二度と名古屋城天守閣の姿が見えなくなる」おそれもあります。

具体的には、市議会は平成31年当初予算のうち、少なくとも解体関連予算約9.6億円の予算を可決しない、せめて継続審議にすることを求めます。

-----------
その他、名古屋城調査研究センターの新設5185万2000円、木造天守閣の昇降に関する新技術の公募4093万1000円(債務負担行為 1億8455万5000円)、名古屋城天守閣の実物大階段模型及び展示施設の建設9050万円、実施設計6億9400万円(債務負担行為 1000万円)、設計監理等支援業務委託3700万円、木材の製材17億1300万円
(債務負担行為 55億9800万円)、天守閣閉館中の魅力向上事業 1億4600万円が計上されています。

昇降新技術の見通しも立っていないのに予算だけ計上し、木造天守閣復元の見通しが立っていないのに木材だけは着実に購入しようとしています。
木材保管料だけでも年間1億円がかかります。

------
平成30年度も、「当初予算の概要」で木材調達約22億円をいきなり計上しています。
http://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000102118.html
「予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例」では予算要求を事前に市民に公開し、意見を募集することにしていますが、このようなことが繰り返されたら条例の趣旨に明らかに反します。

なお、「予算要求内容の公開に対する市民意見の内容及び市の考え方」「予算編成過程の公開」は19/2/15(金)12時頃市ホームページに掲載予定とのこと。

-------
名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm

------
今後の予定
・19/2/14(木)13時半〜 天守閣部会(名古屋能楽堂)
http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2018/kankobunkakoryu/0000114485.html
・19/2/ ( )名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会が
・19/2/19(火) 名古屋市議会開会
・19/2/ ( ) 名古屋市民オンブズマンが
・19/3/11(月)18時半〜 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例勉強会(北生涯学習センター)
 https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
・19/3/18(月) 名古屋市議会閉会
・19/3/29(金) 名古屋市議会議員選挙告示
・19/4/7(日)  名古屋市議会議員選挙
・19/4/11(木)18時半〜 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例勉強会(北生涯学習センター)
 https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle



19/2/4(月)現名古屋城天守閣「先に解体申請」めぐり記者会見中、市長と副市長に齟齬

19/2/4に河村たかし名古屋市長定例記者会見が行われました。
・会見(動画あり)
 
http://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000113986.html
・名古屋市民オンブズマンによる文字起こし(名古屋城部分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190204-1.pdf
 
河村市長は、19/2/1に文化庁を訪問後、「2019年5月の文化庁文化審議会には、現天守閣解体の申請を行う。解体については復元検討委員会はいらない」と述べ、19/2/4記者会見でもそう述べました。

しかしながら、同席した副市長は「復元検討委員会が3月にあり、5月文化審議会に復元についても出したい」としました。

生中継を聞いていても、名古屋市の方針が結局何かわかりませんでした。
その後名古屋城総合事務所が、記者クラブに対して資料を投げ込んだと聞き、翌日19/2/5午後になって名古屋市市民情報センターに開架されているのを入手しました(後述)。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190204.pdf

結局、名古屋市は2019年5月の文化庁文化審議会で、現天守の解体の許可を得たいようです。
以下まとめました。

・当初は、3回の復元検討委員会にかけた後に文化審議会の許可を得る予定だった。
 現在1回も復元検討委員会にかけていない。
・復元検討委員会の期限はないと、河村市長は文化庁に聞いたと話した。
・記者から「先に天守を壊して、復元許可がもし出なかったら、天守閣がない期間が結構長くなる可能性があるリスク」について聞かれ、市長は「ありえない」と即答。理由は言わず。 
・記者から「天守を取り外して、石垣の安全性を調査した後、復元に耐えられないと判断したら」と聞かれた河村市長は「そんなのはでないでしょう」と答えた。
 理由は「熊本城のオリジナルの石垣は熊本地震で耐えた。名古屋城の石垣も濃尾地震に耐えた。現在の天守はケーソンの上に載っている」を繰り返すのみ。
 名古屋城石垣の戦災被熱・戦後の石垣復元についてはコメントせず。
・解体の予算は9億円。新年度予算に入れることはまだ言わないでほしいといわれている。
 
なお、「予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例」に基づき、公開されている平成31年度予算要求内容の公開には、一言も現天守閣解体の予算について記載がありません。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-16-1-0-0-0-0-0.html

昨年18/2/9、名古屋市は平成30年度予算案(草案)でいきなり「名古屋城木造化 木材調達」約22億円を計上しました。
http://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000102118.html
こんなことを繰り返していたら、「本市の予算が市民生活に与える影響が多大であることに鑑み、予算の編成過程における情報を広く公開することにより、予算編成の透明性を高め、市民の声をより予算に反映できるようにすることを目的とする」上記条例の趣旨に反します。

なお、17/3/30特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議にオブザーバーとして出席した文化庁文化財調査官は、「前例のない巨大な天守閣のため、3回で済むか、全くその限りではない」との見解を示しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170330-2.pdf
17/3/31読売新聞によれば、会議後、「何回で結論を出すというルールはない。必要なら10回でも20回でも審議する」と語ったとのこと。
しかも、「予算が付けば計画が進む、という話ではない。石垣や堀を毀損する計画は認められない」と強調したとのこと。 

解体予算案がはたして2月議会に提案されるのかどうかわかりませんが、解体が文化庁から許可されるのかもわからない、文化庁と市とのやり取りは完全に黒塗り、ましてや木造復元が許可される見通しがまったく立っていない現在、2019年2月市議会で解体予算を拙速に可決しないよう求めます。
予算案を否決しなくても、継続審議をすればよいだけです。
  
河村市長は「石垣部会、文化庁に丁寧に説明してきた」としていますが、市民・議員には全く丁寧に説明していません。
6回にもわたって行った市民説明会では、1回も解体予算について話しがでませんでしたし、
今後のスケジュールについても述べませんでした。

名古屋城木造復元については、市民の興味はますます失われています。
これも、市長のその場限りの発言と、市民へきちんと説明していないことが問題なのではないでしょうか。
河村市長は「これが1年延びると1億かかると」と述べ、2022年12月完成を延ばすと木材保存のため、毎年1億円かかることを非常に恐れています。
「全責任は私が取る」とした文書の価値は最終的にいくらになるのでしょうか。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
すでに、竹中工務店とは118億6617万6000円もの契約を結んでいます。
・基本設計    8億4693万6000円(支払い済み)
・実施設計   15億6384万円
・木材製材契約 94億5540万円
-------
なお、名古屋市民オンブズマンは、名古屋城総合事務所が、記者クラブに対して資料を投げ込んだと知り、19/2/4 21:10に電話で確認しました。
「『市長記者会見の趣旨を明確にした』とする資料を記者クラブに投げ込んだ。本日の市長・副市長の発言に一部齟齬があったと聞いており、誤解を招くおそれがあるため投げ込んだ。」
情報提供いただけないかと依頼したところ「記者クラブ配付資料は翌日市民情報センターに開架されるルールであれば、それにしたがってほしい。『誤解を招くおそれ』を解くため、本日市政記者クラブに資料を投げ込んだのであり、特定の人に情報提供することはルールから外れるため、私だけの判断ではできない。」としました。
「市長・副市長発言はyoutubeで公開されており、世界中の人が『誤解を招くおそれ』があるのではないか。資料を今すぐにでも市ホームページにアップするなど、『誤解を招くおそれ』を解く必要があるのではないか」と言ったが、「今後必要に応じて検討する」とのこと。

翌日19/2/5午後に、市民情報センターに上記資料が開架されているか問い合わせたところ、開架されていないとのこと。
確認してもらったところ、「市長室広報課と名古屋城総合事務所で齟齬があり、開架されていなかった。先ほど資料を開架した」と言われました。

なお、19/2/5 21:00現在、名古屋市公式webサイト平成31年2月分(報道発表資料)には、上記資料は掲載されていません。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/345-11-11-0-0-0-0-0-0-0.html

自らに都合の悪い情報を市民に公表しない、名古屋市の姿勢があらわれています。


19/1/31(木)19/1/11名古屋城石垣部会ワーキング 議論の内容作成せず 配付資料全面非公開

19/1/11に非公開で行った特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会ワーキンググループ(WG)について、名古屋市民オンブズマンが「議論の内容がわかるもの」と「配付資料」を情報公開請求したところ、「議論の内容がわかるもの」は作成又は取得しておらず不存在、「配付資料」は「公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある」として内容が全面非公開でした。
・「議論の内容がわかるもの」決定
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190129-1.pdf
・「配付資料」決定
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190129-2.pdf
・「配付資料」内容
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190129-3.pdf

現在、名古屋城木造復元をめぐっては、文化庁が「天守台石垣の保存方針について石垣部会の了解を得ていない」として、名古屋市が2018年10月に予定していた文化庁文化審議会の許可を得ることを断念しました。

19/1/11石垣部会WGで何が話し合われたかはわかりませんが、名古屋市と文化庁とのやり取りを踏まえた話しあいがなされたものと推測できます。
資料は54ページにも及び、相当中身の濃い話し合いがされたのではないでしょうか。

市民に十分な説明をせず、「2022年12月完成」の目標をあくまで変えないとする名古屋市の姿勢に極めて疑問を抱きます。

19/1/30(水)名古屋市「名古屋城天守台石垣の安定計算を行うためのケーソン下ボーリングまだできていない」

19/1/30に、特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議第15回天守閣部会が開催されました。

・19/1/30 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 第15回天守閣部会配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190130-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190130-2.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190130-3.pdf
 
主に、2018年10月に文化庁文化審議会の許可が出なかった「天守台石垣」について、どのような問題があるのかが議論されました。

今回も、名古屋市は天守台石垣についてどのように問題なのか、具体的に示さず、スケジュールも全く示しませんでした。

構成員の小野徹郎・名古屋工業大学名誉教授は「今後の見通しをお聞かせ願いたい」としましたが、西野輝一・名古屋城総合事務所所長は「具体的な見通しは立てられていない」とするのみ。

古阪秀三・立命館大学客員教授は「石垣部会には技術的なことがわかったメンバーがいるのか。去年9月からずっと滞ったまま。石垣部会は何を言ったのか、名古屋市は何をやったのか。はっきりと書かないと、これでは半年たっても同じことになる。ここの部分の覚悟がいる。ちょっとひどすぎる」としました。

三浦正幸・広島大学名誉教授は「東南海地震が予測されている現在、名古屋城の石垣が全て崩壊する可能性もあり、一刻も早くしないと困る。石垣を保存しなくちゃいけないといいながら、かえって石垣を危機に陥れているような気がする」と述べました。

瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「文石協(文化財石垣保存技術協議会)のメンバーは天守閣部会に3人いる。石垣部会にも3人いる。文化庁は『地元有識者』と言っているが」としたところ、西野所長は「石垣部会との認識の一致・石垣部会の了解が必要」としました。

また、西形達明・関西名誉教授は「熊本でも、基本的な石垣安定計算について、一時近似はすでになされている。私が見たところ、現在の天守石垣調査結果を踏まえれば、すでにやろうと思えばできない段階ではないと思っている。」としましたが、名古屋城総合事務所の蜂矢主幹は「石垣の安定性を行うためにはケーソン下のボーリングをする必要があると認識している。今それについてまだ着手できない状況であるが、私どもとしては、木造の復元と並行した形で石垣の安定性の確認というのは当然必要なものだと考えている」と述べました。

西形名誉教授は「難しい議論だが、石垣の評価は逃げて通れない。やるのなら天守閣部会でもできる」と述べました。

------------
ケーソン下のボーリングについては、当初は基本設計その他業務委託に含まれていましたが、期限を18/2/28から18/3/30に変更する際になぜかボーリングを削除しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180313.pdf

ボーリングするには文化庁の現状変更許可を取得する必要がありますが、これまで、名古屋市は文化庁には「石垣保全のため」として天守台周辺石垣の調査の現状変更許可申請を行ってきました。

石垣部会は「文化庁記念物課による特別史跡の現状変更許可の方針が固まっていない調査・整備事業については、今後も当部会での審議対象とはしない」としており、ケーソン下ボーリング調査について、石垣部会と調整がつかなかった、と見るのが妥当だと考えます。
穴蔵石垣調査はいまだ調査場所も示されず、しかもケーソン地下ボーリングのめども立っていません。

18/9/10に石垣部会と名古屋市が非公開で行ったワーキンググループの内容は全面不開示です。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181010-1.pdf

石垣部会・天守閣部会ともにいいたいことがあるなら、合同部会を開けばいいだけのことです。
このままではいくら経っても進みません。
名古屋市も、問題点をきちんと提示せず、市民・議員・天守閣部会・石垣部会・文化庁・竹中工務店にすらごまかしながら進めています。

--------
なお、本日、金シャチを復元するかどうかについて議論が盛り上がりました。
三浦正幸・広島大学名誉教授は「『史実に忠実』とすると、16金以下の14金くらいになり、みっともないので金網をはるしかないとしました。
その他、経費の面などから、現在の金シャチをそのまま載せてはどうか、という多数の有識者から意見に対し、名古屋市は「現在の金シャチは歴史的価値があり、破棄するわけではなく、どう活用していくか検討中で、2体有効活用していきたいと考えている。木造復元で再利用しては、ということは検討する」とのこと。
名古屋市は現在の金シャチは歴史的価値があることを認めながらも、現在の天守閣の歴史的価値を正当に評価せずに破壊しようとするのは理解できません。


19/1/27(日) 名古屋城説明会 竹中工務店「工事着手時期は具体的にどう変えるかは話ししていない」

19/1/27に鯱城ホールで名古屋城天守閣木造復元シンポジウムが開催されました。

・当日配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190127.pdf
・会場からの質問と回答 概要(名古屋市民オンブズマンによるメモ)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190127-1.pdf

参加者は115名。
シンポジウムとは名ばかりで、はじめに大学の先生による講義があったのち、これまでの市民向け説明会の内容と同じでした。
会場からは「市長の意見の押しつけだ」とする意見が出ました。

説明会5回・シンポ1回で、竹中工務店に対してようやくスケジュールの見直しについての具体的な質問が出ました。
竹中:竹中工務店といたしましてはですね、昨年の春ですね、名古屋市さんと基本協定を結びまして、仕事をやっておりますが、その中でですね、2022年の12月木造復元を目標としてやるということでですね、現在まで来ております。現状ですね、文化庁に許認可等が降りておりませんので、着手についてですねまだ具体的にどう変えるかというようなお話はしておりませんけれども、いろんな工法等ありますのでですね、現状はできるかぎり2022年12月を遵守できるようにがんばっていきたいと考えております。 
------
 名古屋市は、2018年10月の文化審議会での了承を断念しました。
 断念前の18/9/21、名古屋市議会本会議で広沢副市長は「現時点において竹中工務店と具体的な協議は行っておりません」としました。
 しかしながら、断念以降、全体のスケジュールはいまだに公表されていません。断念後の2018年10月30日、名古屋市議会経済水道委員会で西野所長は「2019年5月に文化審議会の了承を得たとしても、10か月程度工事が遅れる」と述べています。
また、市は「竹中さんは現状変更許可の見通しが立たない今の現状におきましては具体的なスケジュールを検討するのはなかなか難しい」とさえ述べています。
 それどころか、18/12/28の西野所長の記者会見では「2022年に完成する見通しは立っていないが、目指してやっている。」とまで述べました。
 当初の案では2018年9月に仮設素屋根見学施設の予算要求、2018年11月に現天守解体予算要求がなされる予定でしたが、いまだに予算要求されていません。2019年度当初予算にも要求されていません。穴蔵石垣調査についても、予算どころかなにをどう調査するのかもはっきりしていません。
 名古屋市は「建築基準法の適用除外を受ける予定」と繰り返し述べており、今後1/29に建築審査会が行われる予定ですが、いまだに議題に名古屋城が上がってきません。

ようやく、名古屋市と竹中工務店は、基本協定13条などに基づき完成時期について協議していないと認めました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf

----
市民の多数の質問で、おぼろげながら名古屋市と竹中工務店の関係が見えてきました。
・名古屋市が文化庁訪問時の資料を、竹中工務店は見ていない(19/1/17)
・竹中案 最上階には100人で入場制限検討。1日2500人との関係は不明(19/1/22)
・河村市長「アメリカの歴史的建造物の学者『今を生きる人間には歴史的建造物を壊す権利はない』」 (19/1/25)
・河村市長「「法隆寺は地震で倒れてきたら危ない。金もかかる」(19/1/25)
・竹中「文化庁に許認可等が降りておりませんので、着手についてまだ具体的にどう変えるかというようなお話はしていない(19/1/27)
 
今後は、名古屋市議会・マスコミ・市民が追及する番です。
総額505億円もの巨大プロジェクトは頓挫寸前です。


19/1/25(金) 名古屋城木造化説明会 河村市長「アメリカの歴史的建造物の学者『今を生きる人間には歴史的建造物を壊す権利はない』」

19/1/25に名古屋市東文化小劇場で名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会が開催されました。

・当日配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190117.pdf
・会場からの質問と回答 概要(名古屋市民オンブズマンによるメモ)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190125-1.pdf

300人の会場に一般参加者は40名。
河村市長の地元とあって、市長は自らが行った旭丘高校解体反対運動に触れました。

1938年に建設されたコンクリート製校舎は2000年-2002年に建て替えられました。
当時、「どうして同じ年に作られた愛知県庁が登録有形文化財で、旭丘高校は登録有形文化財にならないのか」と聞いています。
・平成23年10月17日 市長定例記者会見
 http://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000029407.html
・平成12年4月19日 衆議院文教委員会議録
 http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/syugiin/147/0007/14704190007012.pdf

2000/4/19衆議院文教委員会で、河村たかし衆議院は以下述べています。
「いろいろな工法が、特に大震災以降完成されてきて、例えば下に免震装置を入れて、コンクリートは劣化防止をやって、中は反対に全くリニューアルして新品同様のものにしていく、欧米なんかそれは非常に多いんですけれども、そういう工法が完成されてきた。しかし、時代がちょうどその境でありまして、その認識がないころにできた計画の場合は、壊していっちゃうんですね。
 ですから、ぜひ政治家として、取り壊しだけではなくて、ほかもそれをやれというんじゃなくていいですが、しかし、そういう工法もやはりあり得る、検討してほしいという、ぜひ御答弁をいただけませんでしょうか。」
当時、文化庁次長の近藤政府参考人は以下述べています。
 「私どもも、この話を承りまして、愛知県教育委員会にも、この旭丘高等学校校舎の位置づけ、価値づけと申しましょうか、今の登録基準に照らし合わせますならばそれは合致をするであろう、こういうようなこともお話はしておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、現時点におきまして、愛知県教育委員会におきましては、先ほども申し上げましたような観点で検討しておる。
 さらにそういったいろいろなことをまた愛知県教育委員会が検討するということであれば、それはまたそれで非常に結構なことであろうと思っております。」
今回、市長の最後の挨拶で、「旭丘高校を壊す際、アメリカの歴史的建造物の学者が来まして、タウンミーティングをやった。『歴史的建造物については、今を生きる人間にはそれを壊す権利はない』びっくりしました。なるほど、そういう考えがあるのか。」と述べました。

市長の発言はその後「この場合それを上回るだけのものがあればですが。名古屋城なんかは、完璧な図面がある。引き継いでいくのは我々の責任ではないか」と続きます。

しかし、建設から62年たったコンクリート製旭丘高校が壊される際に「チェーンでぐるぐるまきにして座り込んだ」河村たかし衆院議員が、市長として、建設から60年たつコンクリート製名古屋城天守を壊そうとするのかいまだに理解できません。

河村市長はさらに「法隆寺は地震で倒れてきたら危ない。金もかかる」と述べるなど、木造建築物そのものに対して疑問を投げかけました。

木造名古屋城の計画の詳細はいまだに見えてきませんが、竹中工務店の最新の案では、火事にならないよう、スプリンクラーを大量につけるようです。

「現在のコンクリート製天守閣」より、「スプリンクラー・遮煙区画など現在の技術を付加した木造天守閣」の方が、果たして価値があるのか。文化庁もそこを問題視しています。

そもそも、「エレベーター無し、ガラス張り避難階段無し」の木造天守閣計画が、日本建築センターで認定を取れるのか。名古屋市建築審査会の適用除外、総務大臣の認定、名古屋市消防長の同意を取れるのか。
仮にそれらが取れたとして、「入場料で借金を返す」という計画の収支があるのか。

今回、市の主催した説明会を毎回聞きましたが、疑問はさらに深まりました。

結局、河村市長は「好きか嫌いか」で判断しているだけではないか、そこに無自覚で、周囲の人を振り回しているのではないかと思えます。

19/1/24(木) 名古屋城木造化 名古屋市が文化庁訪問時の内容・資料全部非公開

名古屋市が名古屋城木造化の件で文化庁に行った際の復命書・持参資料を名古屋市民オンブズマンが情報公開請求したところ、内容と持参資料すべて全面非公開でした。
・決定書
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190123-2.pdf
・内容
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190123-3.pdf
  
理由は「当該情報が公開されることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある」というものです


一体何が書かれているのか?
しかも、19/1/17に、名古屋市と基本協定を結んでいる竹中工務店は「名古屋市が文化庁を訪問した時の議事録は確認していない」と述べました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190117-1.pdf

すでに118億6617万6000円もの契約を結んでいる竹中工務店にすら情報を見せないというのは前代未聞の異常事態です。
・基本設計    8億4693万6000円(支払い済み)
・実施設計   15億6384万円
・木材製材契約 94億5540万円

市長直筆のメモは、当初は黒塗りでしたが、「すでに市長が公の場において発言した内容だ」として公開されました。
・当初開示された市長のメモ(黒塗り)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180905.pdf
・開示された市長メモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181101.pdf

名古屋市民オンブズマンとして、早急に何らかの対応を取る予定です。


19/1/23(水)名古屋城木造化 竹中工務店「耐震性と史跡の保護を両立させた案は可能と考える」

19/1/23に名古屋市緑文化小劇場で名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会が開催されました。

・当日配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190117.pdf
・会場からの質問と回答 概要(名古屋市民オンブズマンによるメモ)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190123-1.pdf

350人の会場に一般参加者は40名。
司会者から「多くの人に質問・発言してもらうため、過去3回の説明会で発言した人はご遠慮下さい」としましたが、手をあげる人が少なかったためか、後半は過去に発言した人も発言できました。

名古屋市民オンブズマンの内田は、石垣部会が最も問題にしている「木造復元の基礎構造である『はね出し架構』が史跡を破壊すること」について「石垣部会は断じて認めないし、一般論として文化庁も認めないだろうと言っているが、竹中工務店と名古屋市はどう思っているか」と質問しました。

竹中工務店は「石垣の扱い方によってですね、様々な案が考えられると思いますが、耐震性と史跡の保護を両立させた案というのは可能かと考えています。
 いずれにしましても、石垣の調査結果に基づいて、先生方とよく相談しながら最善の案を作り込んでいきたいと考えています。」と述べましたが、具体的には示しませんでした。
 内田は「はねだし加工はなしでできるんですか」と追加で質問したところ「そういった案も考えられるということです。」と述べましたが、具体的にどのような案があるのか、それで耐震性が図られるのかは述べませんでした。

名古屋市は「現在天守台内部・外部の石垣現況を把握・調査しており、結果に従って石垣保全方針を定めたい」と述べました。
------------
しかし、天守台内部石垣(穴蔵石垣)については、どのように調査するのかもまだ決まっておらず、予算も提案できていません。
文化庁の現状変更許可もとっておりません。

現在のコンクリート製天守閣は、天守台石垣の地下に埋められているコンクリート製ケーソンで支えられており、石垣に荷重がかからないようになっています。
しかし、木造天守復元の際は、外部石垣と内部石垣の間に荷重がかかるようになるため、竹中工務店は「はね出し架構」と呼ばれるコンクリート製基礎構造を設置することを提案しました。それに対して石垣部会が猛烈に反発しているのは前述のとおりです。

「可能だ」と抽象的に述べるのではなく、例えば竹中工務店と文化庁や石垣部会が直接面と向かって討論しているところを市民に公開する方が、よっぽど役に立つと思います。
------------
質問案を作成しました。
竹中工務店が市民の質問に答えるのは、今回の説明会のみです。
竹中工務店は、聞かれれば市民に言いたいことがあるようです。
どれでもよいので、読み上げていただけると幸いです。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190124.pdf
・今後のスケジュールについて
・入場者数予測と滞在時間について

-------
今後も市民向け説明会・シンポが開催されます。ぜひご参加下さい。
【市民向け説明会】  
 ・1/25(金)18時半〜(東文化小劇場)
【シンポジウム】 
 ・1/27(日)14時〜 木造復元シンポジウム(鯱城ホール)
 http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000112541.html


19/1/22(火)名古屋城木造化説明会 竹中「最上階には約100名入場制限検討。避難器具は減免で協議中」

19/1/22に名古屋市瑞穂文化小劇場で名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会が開催されました。

・当日配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190117.pdf
・会場からの質問と回答 概要(名古屋市民オンブズマンによるメモ)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190122-1.pdf

300人の会場に一般参加者は45名。
司会者から「多くの人に質問・発言してもらうため、過去2回の説明会で発言した人はご遠慮下さい」とされたため、名古屋市民オンブズマンは質問ができませんでした。
多数手が上がりましたが、「時間が無い」という理由で質問者が限られました。

賛成派の人は、特に勉強せずに同じことを何回も話し、また「名古屋市や竹中工務店がいい加減なことをするはずがない」とするのみ。
(2022年12月完成には、2018年文化審議会での許可がどうしても必要でしたが、それができなかったのだから、スケジュールがどう変更するのか、ということについてはどうして触れないのでしょうか)
名古屋市ののらりくらりの対応に対して、一部反対派は感情的に怒るのみ。
こんなことを繰り返しても、なにも進みません。

そんな中、唯一話が進んだのは消防・避難計画についてです。
消防法の規程に基づき、木造3階の西南隅櫓には、最上階に登るのは9名のみであることを踏まえると、木造5階・地下1階建ての木造天守で安全に避難できるようにするため、最上階に何人登れるのか、避難器具はどこに付ける予定かと質問がありました。
・消防法施行令25条
 http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=336CO0000000037#388 

竹中工務店は「建築基準法の適用除外を受ける予定。現在避難安全性能を有識者と協議中で、最終的には日本建築センターで認定を取る予定。最上階にはおおむね100人程度で先生方と話をしている」としました。また、避難器具については「例えばスプリンクラー+避難消火栓という、消防法以上のものを設置することによって、そういった避難器具の減免をしていこうということで今協議を進めさせている」と述べました。

にもかかわらず、名古屋市は「1時間2500人、1日当たり20000人を最大来城者の計算としている」と繰り返しました。

-------
2018年7月19日に開催された天守閣部会配付資料では、1時間2500人来城者の計算で在館者密度を均一にすると、最上階には136人と試算されています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180806-1.pdf

最上階に100人しか登れなければ、想定していた136人から約26.5%減となります。そうであれば、1時間1838人、1日14700人しか最上階に登れない、という計算に
ならないのでしょうか。(竹中工務店は、1時間2500人で安全性を検証しているとしています)

4階で大量の人が滞留すれば、非常時にはより危険になります。もしくは最上階に登れないとして、4階まで登っても、5階に登らず降りることにもなりかねません。

また、消防法施行令25条では、防火対象物には以下の避難器具を付けることが義務づけられています。
(滑り台・避難はしご・救助袋・緩降機・避難橋・滑り棒・避難ロープ・避難用タラップ)
スプリンクラー等をいくらつけたとしても、階段が1個しかなく、しかも通常の階段よりはるかに急な木造階段に来城者が殺到すると大変危険です。本当に日本建築センターで認定が取れるのか疑問です。

危険さを減らそうとすると人数制限が必要となり、入場料収入のみでまかなうという収支計画が狂います。

------------
質問案を多数作成しました。
竹中工務店が市民の質問に答えるのは、今回の説明会のみです。
竹中工務店は、聞かれれば市民に言いたいことがあるようです。
どれでもよいので、読み上げていただけると幸いです。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190123.pdf
・はね出し架構について 
・今後のスケジュールについて
・費用について
・石垣調査や工事の予算提案について
・入場者数予測について

-------
今後も市民向け説明会・シンポが開催されます。ぜひご参加下さい。
【市民向け説明会】  
 ・1/23(水)18時半〜(緑文化小劇場)
 ・1/25(金)18時半〜(東文化小劇場)
【シンポジウム】 
 ・1/27(日)14時〜 木造復元シンポジウム(鯱城ホール)
 http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000112541.html

---------

19/1/19(土)名古屋城木造化説明会「本日手すりにつかまって階段を降りたが市職員は誰も手伝ってくれなかった」

19/1/19に名古屋市中区役所講堂で名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会が開催されました。

・当日配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190117.pdf
・会場からの質問と回答 概要(名古屋市民オンブズマンによるメモ)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190119.pdf

来場者は約120人。
質問時間は市・竹中工務店の回答を合わせて50分弱。
多数手をあげていましたが、10名しか会場から発言できませんでした。

会場に来ていた杖をついた第1級障害者が、「本日会場に入るために手すりにつかまって階段を降りていたが、背広を着た人何人にも追い抜かれ、誰も手伝ってくれなかった。本日福祉の担当者はだれもいない。
これでもバリアフリーか。名古屋市が想定するのは車椅子の人だけか。木造天守閣には手すりくらいつくのか。
また、先日完成した本丸御殿を訪問した際、靴脱いで杖をついて回ったが、柱に触って支えようとしたら係員に怒られた。壁に触ったら怒られた。木造天守閣に触ったら怒られるのか。障害者にわかるように教えてほしい」と発言しました。

西野輝一・名古屋城総合事務所所長は「本日は対応が不十分だった」と謝罪しました。
木造天守閣の階段については、「安全対策のために、史実に忠実につくるが、安全上最低限の付加設備を考えている。防災、避難、バリアフリーを踏まえ、手すりなどを考えている。国宝姫路城・松本城も手すりはついている。名古屋城も必要だと考えている。」としました。
また、本丸御殿については、「触って注意されたことについて、気分を害されて申し訳ない。本丸御殿はどうしても昔の建物のままで、触った時にはじくことはしていない。さわらないようお願いしているが、あまりに行きすぎるとご不便をおかけすることになる。それが触られたときに、悪意でなければ申し上げることはないようにしたい。天守復元の際も同様にしたい」としました。

また、「木造天守閣は『史実に忠実』と『バリアフリー』2つ作れ」という声が会場から上がったのが印象的でした。「史実に忠実」で儲けた金で、「バリアフリー」を、という趣旨のようです。
会場では失笑で満ちあふれ、さすがの河村市長も答えませんでした。

さらに、「エレベーター設置のぜひについて、市民の意見を数字で表してはどうか」という会場の声に対し、河村市長は「住民投票でやるのも一つの方法だが、福祉の方が『住民投票はやってくれるな』と言っている」としました。

----------
名古屋市が配付した資料に細かいことが書いていないため、どうしても質問がおおざっぱかつ素人質問になってしまいます。
せめて名古屋市が考える収支計画、石垣部会の議事録などを公開したうえで行わないと、全然議論が進みません。
また、全5回説明会・1回シンポがありますが、前にどのような質問がなされたのか報告がないため、同じような質問と、同じような回答が繰り返されます。

-------
今後も市民向け説明会・シンポが開催されます。ぜひご参加下さい。
また、質問案を多数作成しました。質問をする人を募集します。office@ombudsman.jp までご連絡下さい。
【市民向け説明会】  
 ・1/22(火)18時半〜(瑞穂文化小劇場) 
 ・1/23(水)18時半〜(緑文化小劇場)
 ・1/25(金)18時半〜 (東文化小劇場)
【シンポジウム】 
 ・1/27(日)14時〜 木造復元シンポジウム(鯱城ホール)
 http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000112541.html


19/1/17(木)名古屋城木造復元 竹中工務店「名古屋市が文化庁訪問時の議事録は確認していない」

19/1/17に熱田区役所講堂で開催された名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会で、名古屋市と基本協定を結んでいる竹中工務店は、「名古屋市が木造復元をめぐって文化庁を訪問した際に、名古屋市が作成した議事録は確認していない」ことを認めました。
・当日配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190117.pdf
・名古屋市民オンブズマンによる質問とやり取り 文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190117-1.pdf 
・会場からの質問と回答 概要
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190117-2.pdf

250席の会場で、本日参加したのは関係者を除くと38名だったとのこと。(説明会終了後の河村市長ぶら下がり記者会見中、記者からの質問より)

名古屋市は、これまでの経緯を説明しましたが、どうして2018年10月の文化審議会の許可が出なかったのかについては「有識者の方から天守台石垣の保存に対する対応が不十分だったというふうに言われておりまして、10月の諮問には至らなかったというような状況でございます。」としか述べませんでした。また今後のスケジュール案も示しませんでした。

竹中工務店は、「史実」をいかに掘り起こしているか、また資料に記載がない部分については、有識者と協議して進めていく、としか説明しませんでした。

会場からは、現在の名古屋城を壊して、できるかどうかもわからない木造天守閣に邁進する姿勢に対して疑問の声が多くあがりました。
しかし、質問希望者が大勢手をあげていたにもかかわらず、司会は「時間が限られている」として7名しか当てず、強制的に終了させました。

そんな中、名古屋市民オンブズマンの内田は、そもそもの説明会の意義と資料の不十分さについて、黒塗り資料を見せながら質問しました。
 1)どうして去年10月に文化庁の文化審議会の許可が得られなかったのか。
 2)どこが問題になっているのか
 3)どう解決するつもりか
 4)スケジュールはどうするのか
を説明しなければ意味が無い。
特に、石垣部会が指摘している、「現石垣を破壊するおそれがある『はね出し架構』」について説明しないと全く意味がない。
名古屋市は文化庁を複数回訪問しているが、内容は市民にも市議にも黒塗り。
以下2点質問する。
・竹中工務店に対して
 名古屋市が文化庁訪問時に名古屋市作成した議事録について、中身は見たか。中身を見た場合、どのような中身で、どのような感想か。
 特に「はね出し架構」について文化庁はなんと言っていて、どうお考えか。
・名古屋市に対して
 現時点で、文化庁を訪問した際の議事録を公開するおつもりはあるか。ないというなら、公開しない理由と、これまで市民に説明していないこと、今回の説明会でも説明できないというのはなにが書かれているのか。

竹中工務店は「今の質問ですが、文化庁さんに対しての名古屋市さんが協議をした議事録、そういったものを竹中工務店は確認しているかというご質問ですけれども、確認はしておりません。」と回答し、会場全体から「えー」という声が上がりました。

続いて、西野輝一・名古屋城総合事務所所長は「今ご質問いただきましたが、情報公開していない書類につきましては、現在、文化庁とは事業の進捗、それから許可を受けるということに向けてですね、協議を行っている。そういう段階ということでございますので、今日の説明会は事業の進捗状況をご説明するということでご説明しておりますけれども、今のご指摘になった部分につきましては、まさに協議中という段階のものでございますので、現時点で公開することはできない。そういうふうに考えております。」としました。


-------
2018年10月に文化庁復元検討委員会の許可をめざして、名古屋市長・名古屋市職員が複数回文化庁を訪問してきました。
しかしながら、文化庁から様々な指摘を受けたようで、文化庁は基本計画書の受け取りを拒否しました。

名古屋市と文化庁とのやり取りは、職員による「議事録」に記載されていますが、内容は一切非公開です。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181221.pdf


市長直筆のメモは、当初は黒塗りでしたが、「すでに市長が公の場において発言した内容だ」として公開されました。
・当初開示された市長のメモ(黒塗り)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180905.pdf
・開示された市長メモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181101.pdf
 
名古屋市と基本協定を結んだ竹中工務店は、当然名古屋市の上記「議事録」を確認した上で、今後の進捗について協議しているものだと推測していましたが、今回の発言で正反対だったことが判明しました。

名古屋市が、市民や議会に議事録の内容を公開しないのと、基本協定を結んだ上で、基本設計・実施設計・木材調達の契約を名古屋市と結んでいる竹中工務店に公開しないのとは全く意味が異なります。

名古屋市は木造復元事業を進めるつもりが本当にあるのか?
名古屋市と竹中工務店の関係がすでに決裂しているのではないかとも思えます。

-------
今後も市民向け説明会・シンポが開催されます。ぜひご参加下さい。
【市民向け説明会】  
 ・1/19(土)14時〜(中区役所ホール) 
 ・1/22(火)18時半〜(瑞穂文化小劇場) 
 ・1/23(水)18時半〜(緑文化小劇場)
 ・1/25(金)18時半〜 (東文化小劇場)
【シンポジウム】 
 ・1/27(日)14時〜 木造復元シンポジウム(鯱城ホール)
 http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000112541.html

---------

19/1/15(火) 河村市長「名古屋城石垣の文石協によるレポートは最後のまとめに入った」

19/1/15河村たかし名古屋市長の定例記者会見で、「名古屋城石垣については、文石協(文化財石垣保存技術協議会)によるレポートは最後のまとめに入った」としました。
・19/1/15 河村たかし名古屋市長定例記者会見
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190115.pdf

19/1/17から、名古屋城の現状についての市民説明会が開催されます。
【市民向け説明会】 
 ・1/17(木)18時半〜(熱田区役所講堂) 
 ・1/19(土)14時〜(中区役所ホール) 
 ・1/22(火)18時半〜(瑞穂文化小劇場) 
 ・1/23(水)18時半〜(緑文化小劇場)
 ・1/25(金)18時半〜 (東文化小劇場)
【シンポジウム】 
 ・1/27(日)14時〜 木造復元シンポジウム(鯱城ホール)
 http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000112541.html

記者からは、「レポートが1/17に間に合わなかったら、途中で内容が変わるのか」と質問され、「若干ずれたらご容赦いただきたい」としました。
(上記説明会には、「※各日とも内容は同じです。ご都合の良い日にご参加ください。」とあります)

レポートは、まず石垣部会、文化庁に出して、その後マスコミ・市民に報告することになるだろうとしました。
------
ただ、いまだに何についてのレポートなのか不明です。
広沢副市長は18/11/29名古屋市議会本会議で、「文石協から紹介されたコンサルによる助言、指導をいただきながら、石垣の保全方針等を検討している」としています。
河村市長は「石垣部会の皆さんからご推薦を頂いたコンサルさんのレポートですから、それは尊重してもらなわないといけない」としています。

一方、石垣部会の宮武正登・佐賀大学教授は18/11/2石垣部会終了後の記者会見で「マンパワーの問題として、これくらいは自分たちでやってくれよ。それがなかなかできない。手伝ってくれない。何かが解決するものではない。修理の考え方、こういうデータトレーニングまで部会ではできない。先行事例を知っている方にオブザーバーとして聞いて。劇的に変わるつもりはない。」としています。

-----
市民説明会という前に、市がまずやることはたくさんあります。
・過去の石垣部会・天守閣部会の議事録をすべて市のホームページに公開し、何が論点かまとめること
・文化庁とのやりとりを公表すること
・今後のスケジュール案(最新版)ならびに、2019年5月文化審議会で許可が出なかった場合のスケジュール案と、竹中工務店の考え

その上での市民説明会です。
既に、竹中工務店とは以下契約を結んでいます。
・基本設計    8億4693万6000円(支払い済み)
・実施設計   15億6384万円
・木材製材契約 94億5540万円

2022年12月完成が絶望的になるなか、さらに追加費用をかけてでもいつできるともわからない、果たして時間をかければできるのかすらわからない天守閣木造化に邁進するのか、それとも費用は一部無駄になるものの、木造化の方針を見直すという道があるのか。

ぜひ市民説明会で市に疑問点をぶつけましょう。

19/1/9(水) 障害者団体 名古屋城木造天守エレベーター不設置方針撤回を求め日弁連に人権救済申立

障害者団体などでつくる「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」のメンバーが、名古屋城の木造新天守にエレベーターを設置しないとする名古屋市の方針は人権侵害にあたるとして、19/1/7、日本弁護士連合会に方針の撤回を求めて人権救済を申し立てました。
・人権救済申立書
 
http://bit.ly/2RIrux5
・名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会
 https://www.facebook.com/nagoya.jitsugensurukai/

現在の天守にエレベーターがついているにもかかわらず、木造天守にエレベーターが設置されなかった場合、当然、車椅子を利用する身体障害者は2階以上にのぼることはできなく、障害者権利条約違反、障害者差別解消法違反としています。
名古屋市が現在検討している代替案も、実際に実現する保証は何らない、募集期間が2019年の1年間しかなく、これまで実現できなかった新技術による他の昇降方法が突然実現するとは到底考えられないとしています。

なお、同団体は、2019年1月末まで、エレベーター不設置の撤回を求めるネット署名を行っています。
・【目標1万筆】名古屋城木造復元、エレベーター不設置の撤回を求めるネット署名、ご協力のお願い
 http://bit.ly/2RF5jYC
 

19/1/8(火) 名古屋城天守閣木造化問題山積で2022年12月完成は絶望的も、市長は計画通りやると繰り返すのみ

河村たかし名古屋市長が2022年12月完成をめざして強引に推し進めてきた名古屋城天守閣木造化ですが、目標としてきた2018年10月文化庁文化審議会の許可取得断念表明で、市は早急な計画の見直しを迫られていますが、2019年4月名古屋市議選を控え、スケジュール変更を河村市長は言い出せない、という政治状況があるとの見方があります。

収支・石垣・法令遵守・意義・情報公開それぞれ難題ばかり

 建設費用だけで505億円、利子100億円、維持費を含めると今後55年間で約940億円の名古屋城天守閣木造化プロジェクト。いずれも極めて高いハードルです。
@需要予測・収支計画は妥当か
A文化財である石垣保全は可能か
B各種法令を遵守できるか(バリアフリー、消防、地震対策)
Cそもそも現天守を壊して木造化する意義があるのか
D情報を公開し、市民の意見を聞いているか

愛知県は木造天守に補助実施考えず

18/11/13愛知県議会一般会計・特別会計決算特別委員会で、 高木ひろし県議(新政あいち県議団)が名古屋城本丸御殿と名古屋城天守閣復元事業について質問したところ、愛知県は「本丸御殿には県として9.6億円補助を行ったが、名古屋城天守閣木造化は入場料収入等で事業費をまかなうとあり、補助実施は考えていない」と述べました。

石垣部会開催めど立たず 天守閣部会「石垣の何が問題か」

 18/11/2石垣部会で、専門家は「天守台石垣は空襲の被熱で弱くなっており、しかも現天守復元時にモルタルを注入したこともあり、はらみが生じている。調査すればするほど、崩壊の危険性が差し迫っていることがわかる」といいます。
 一方、天守台石垣最上部まで江戸時代の石が積んである可能性があると名古屋市が認めました。
 千田嘉博・奈良大学教授は「現天守を壊す、壊さない、木造天守閣を建てる・建てないにかかわらず、@石垣保全方針を示す、A石垣を保全する は譲れない」「名古屋市でとりまとめたとされる天守閣復元案の詳細は承知していないが、少なくとも江戸時代の遺構を破壊する基礎構造である『はね出し架構』は断じて認めないし、一般論として文化庁も認めないだろう。現実離れしている。」としました。
一方、18/11/29名古屋市議会本会議で、浅井正仁市議(自民)が次回石垣部会の日程が決まっていないとしました。
 18/12/20天守閣部会で、古阪秀三・立命館大学客員教授は「石垣部会の議事録を全て読んだ。スケジュールを再検討するだけのワーキングがあってもよい。石垣の何が問題で、天守閣復元とどう関係があるのか。このままでは失敗に近づく。関係があれば解決方法はなにか。発注者支援業務の人も、勇気を持って指摘すべきだ。基本協定を結んだが、だんだん怪しくなってきた。『石垣のはらみ』はいつまでに解決するのか。穏便な発言では決着しない。解決するのは石垣部会なのか、市なのか、文化庁なのか。」と迫りましたが、名古屋市ははっきりとは答えませんでした。

バリアフリー有識者 「2022年までに電動車椅子対応は多分無理」

 18/12/28に、特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議(第2回)が開催されました。
議題としては、名古屋城木造天守閣にエレベーターを設置しない基本方針を18/5/30に名古屋市として決めたが、付加設備公募のスキーム案についての案について意見を言ってほしい、というものでした。
 しかし、磯部友彦・中部大学教授(交通計画、福祉のまちづくり)は「前回18/4/24に第1回検討会議があったが、そこで述べた意見と、18/5/30方針の関係はどうなっているのか。検討会議が検討して方針を決めたように思える。私としては納得しない」としました。
 さらに、「施設計画はあるが、どう使うかが明確になっていない。来城者の数が見えない。ピーク時どのように動くか。滞在時間は中身で決まる。見積もりがないと開発が難しい。どのような人を対象とするか。安全性、耐久性を確保しないと。しかし機械なので絶対安全は難しい。前回、『階段模型を作れ』と提案したのは、昇降装置の実験設備として提案したのではない。エレベーター付けない場合、普通の人が階段を上れるか確認して欲しいからだ。登れない人はだれか?排除される人が出てくる可能性がある。
 また、安全性は誰が確認するのか。福祉機器や昇降機器は検査機関を通さなければ市場に通せない。
 評価基準はあらかじめ設定が必要だし、相対的なものでなく絶対的な水準がいる。アクセルだけではダメでブレーキがいる。最終審査で合格者ゼロの場合はどうするか」と具体的に指摘しました。
 三浦正幸・広島大学名誉教授(日本建築史、文化財学)はまず名古屋市に、対象は電動車椅子と一般的な車椅子どちらが対象かと尋ね、両方対応だと市が答えると、「それはおかしい。電動車椅子対応にすると、設備が過重になる。2022年までに開発は多分無理。電動車椅子対応でなければ、2022年までは可能だと思う。電動車椅子については完成年度を下げて別公募にしては」と提案しました。

西野所長「2022年までに完成する見通しが立ってない」認める

バリアフリー検討会議終了後の西野所長の記者会見では、「手動・電動車椅子を問わず、2022年12月竣工までに対策を十分に取れるようにしていかなければいけない。来年度早々には募集条件を固めたい」としました。
 記者から「2022年に完成する見通しが立っていない状況だ。机上の空論ではないか」との質問に、「見通しは立っていないが、目指してやっている。それを見据えてバリアフリーの対策も取っていこうと考えている」としました。

市長「文化庁訪問時の議事録を公開すると大混乱する」

 18/11/29名古屋市議会本会議で、浅井正仁市議(自民)は「文化庁との調整内容資料は黒塗りだった。文化庁に行った際の市長のメモは、当初は黒塗りだったが公開された。2022年12月完成を死守する、目指すは嘘や偽りはありませんか。実は何年も遅れるようなスケジュールで文化庁や石垣部会、文石協と調整しているといったことは仮にもないでしょうね。」と質問したところ、広沢副市長は「現時点において完成時期を変更するスケジュールは検討しておりません。」と答弁しました。
 浅井市議は9月25日市が文化庁を訪問した際の議事録メモを市に要求したところ「のり弁」がきたと示し、「本会議等で説明したことと整合性のつかないことがらを記録したことがひょっとしたらあるんでしょうか。どうして市長メモは出せて議事録メモは出さないのか」と疑念を述べました。
 河村市長は「自筆のメモは『決定事項』だから出した。他のものは交渉中、折衝中の事項で、情報公開条例で公開しなくてよいとある。これは当然ですけどそんなもん出てまったら大混乱します」と述べました。   

市長「文化庁はスケジュールありきではないと言っている」

 浅井市議は、「5月の木造復元検討委員会まではスケジュールは見直さないでいいですよね」と念を押したところ、河村市長は「5月がどうのこうのよりも文化庁からスケジュールありきではないと言われておりまして」と述べ、議場からはヤジが飛びました。
 浅井市議は、「名古屋市は当初は復元検討委員会を3回の計画だった。文化庁は3回でも難しいと言っていた。しかし今は名古屋市は1回の計画。本当にやれるのか」と述べましたが、市長からは回答がありませんでした。

名古屋市財政局  11月補正・平成31年度予算要求に木造化関係予算計上せず

 名古屋市会平成30年11月定例会に提出された11月補正予算では、9月議会で行う予定だった仮設素屋根見学施設補正予算要求もなければ、穴蔵石垣調査関係の予算要求もありませんでした。
11月議会で行う予定だった現天守解体補正予算要求もありませんでした。
 上記は平成31年度予算要求にも計上されていませんでした。
2月議会でどのようになるのかはまったく不明です。

18/6/28時点でのスケジュール案
・18/7中 復元検討委員会に基本計画書を提出 了承予定【まだ】
・18/9 市議会に仮設素屋根見学施設補正予算要求【要求せず】
・18/10中 文化審議会にかけ、了承【まだ】
・18/11中 文化庁の現状変更許可【まだ】
・18/11 市議会で現天守解体補正予算要求【要求せず】
  仮設素屋根見学施設議決 【なし】   
・18/11月-19/1月 竹中工務店が契約に基づき木材を伐採
 【18/11/19-20 アカマツ伐採】
・19/2 市議会で現天守解体契約議決
・19/11 市議会で本体工事補正予算要求承認
・20/2 本会議で本体工事契約議決
・22/12 完成予定

保管料年間1億円も木材伐採開始

 上記5点の課題も全く解決しておらず、名古屋市と文化庁とは2022年12月完成には致命的なやりとりがなされている可能性があるものの、市民にも議員にもまったく公開されていません。
 そんな中、契約に基づき、2018年11月〜2019年1月に、竹中工務店が木材を伐採中です。2018年11月19日-20日には岩手県の樹齢400年以上のアカマツを伐採しました。仮に完成が2022年12月以降になった場合、木材の保管料は年間約1億円にも及ぶといいます。

史上初!木造化住民監査請求に名古屋市監査委員「合議不調」

 「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」が呼びかけた158名が名古屋城天守閣木造化の基本設計が完成していないとして市長に対して8億4693万6000円の賠償を求めた住民監査請求で、名古屋市監査委員は18/11/19に「合議不調」の結論を出しました。住民監査請求で合議不調を出したのは名古屋市監査委員始まって以来です。 合議不調部分は1点。
 成果物が18/3/30に竹中工務店から名古屋市に対して提出されたが、それに対して検査確認をしたかどうかです。
・福田・黒川・小川監査委員の判断 事前監査は合理的な手法。1日で検査確認が違法・不当に行われたと判断することはできないと解するのが妥当
・丹羽監査委員の判断 検査確認は、当局の主張するような事前確認を行ったとしても、納品された成果物を1枚1枚詳細に内容確認すべきものであり、この確認を1日で行うことができたとは到底考えられないことから、検査確認が正当に行われたとはいえないと解するのが妥当

「壊すな!名古屋城天守 木造建て替えはいらない!」住民訴訟提訴

 「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」のメンバー15名は18/12/17に「市長・担当市職員13名は名古屋城木造化 基本設計代金8億4693万6000円を市に返還しろ、実施設計を解除せよ、名古屋城天守閣整備事業を停止せよ」という住民訴訟を名古屋地裁に本人訴訟で提訴しました。
「契約に基づく『成果物』は未完成であり、市長に対し、市に損害賠償ならびにその後の実施設計、木材購入についての事業停止を求める」というものです。
 住民監査請求から追加した論点は以下3点
 1)「基本設計説明書」はほとんど非公開だが、すでに公開されている文書と同様であり、非公開にする理由はない。
 2)河村市長の「指示書」によって、職員が適正な事務を行わなかったのではないか。
 3)名古屋市は、18/3/28に「『基本計画書』は7月に完成予定」としており、18/3/30には未完成ではないか。   
 「求める会」事務局の森晃さんは「名古屋城木造化に関しては、バリアフリー、石垣、消防など多数の問題を抱えており、このまま順調に進むとは思えない。にもかかわらず、木材購入を進めており、保管費用が年間1億円かかるという。また、どんな木造天守閣ができるのか市民に公開することなく、寄付を集め続けている。今後住民訴訟で『基本設計』の黒塗り部分を明らかにするとともに、市長や市職員の尋問も求めたい」としています。 

進むも地獄、退くも地獄「全責任は市長が取る」の効力は?

名古屋市は竹中工務店と基本協定を結んでおり、竹中工務店は「文化庁の許可の見通しが立たないと、工程案は作れない」と拒否しています。
なお、一般的には、工期が延びればその分人件費その他がかかります。
一方、河村市長が「史実に忠実」と言い続けたため竹中工務店の当初の計画にはあった、エレベーターやガラス張りの避難コアは付けない方針になっています。しかし、これらが「建築基準法同等の安全性」であるとして、日本建築センターの防災評定、総務大臣の認定、名古屋市消防長の同意、名古屋市建築審査会の適用除外を受けられるかは全く未定です。
 2015/8/24に河村市長は名古屋市市民経済局長に「2020年7月までに名古屋城を木造化せよ。石垣は後回しでよい。全責任は私が取る」と指示書を出しています。
 市職員は、誰一人として2022年12月までに完成するとは思っていませんが、上記指示書があり、基本協定があるため、それを大義名分としています。
 今後、どのようになるのか注目したいですし、住民訴訟で名古屋市がどのように反論してくるかも注目です。

「市民向け説明会」で市に質問・意見を

 名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会・シンポジウムが以下開催されます。申込不要 無料
 上記疑問を直接市にぶつけましょう。
【市民向け説明会】 
・1/17(木)18時半〜(熱田区役所講堂) 
・1/19(土)14時〜(中区役所ホール) 
・1/22(火)18時半〜(瑞穂文化小劇場) 
・1/23(水)18時半〜(緑文化小劇場)
 ・1/25(金)18時半〜 (東文化小劇場)
【シンポジウム】 
・1/27(日)14時〜 木造復元シンポジウム(鯱城ホール)

市議会は今後もだんまりか?

これまでチェック機能を果たしてこなかった名古屋市議会は今後もだんまりなのでしょうか。4月の選挙の争点にし、態度をはっきりさせたいです。

18/12/28(金) 名古屋城バリアフリー有識者「木造天守復元 2022年までに電動車椅子対応は多分無理」

18/12/28に、特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議(第2回)が開催されました。

・18/12/28名古屋城跡バリアフリー検討会議 配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181228.pdf
・18/12/28名古屋城跡バリアフリー検討会議(名古屋市民オンブズマンメモ)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181228-1.pdf
・18/12/28 特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議 終了後の西野所長記者会見(名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしまとめ)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181228-2.pdf


議題としては、名古屋城木造天守閣にエレベーターを設置しない基本方針を18/5/30に名古屋市として決めたが、負荷設備公募のスキーム案についての案について意見を言ってほしい、というものでした。



しかし、磯部友彦・中部大学教授(交通計画、福祉のまちづくり)は「前回18/4/24に第1回検討会議があったが、そこで述べた意見と、18/5/30方針の関係はどうなっているのか。検討会議が検討して方針を決めたように思える。私としては納得しない」としました。
麓和善・名古屋工業大学大学院教授(建築史、文化財保存修理)も「第1回目の委員の意見に対してどういう考慮をしたのか。単に意見を聞いて方針を決めました、では済まない。最終的な案は委員が了解している必要がある」としました。

西野輝一・名古屋城総合事務所所長は「第1回検討会議での先生のご意見を市として受け止めた。会議で方針を決めたわけではない。各先生に説明したが、十分な説明ができていなかったことは反省する」としました。

-------
中身の議論ですが、川地正数・川地建築設計室主宰(建築生産)は「障害者団体から頂いた『7つの基準』をいかにクリアしていくか。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180724.pdf
 1 誰もが乗れる
 2 誰もが簡単に使える
 3 一般の人(健常者)の移動と同じような時間で移動できる
 4 たくさんの利用が連続してできる
 5 一般の人の移動と対立しない
 6 天守閣の最上階まで上がれる
 7 怖い思いをしないで乗れる
あるメーカーに確認したが、一から作り直さないと行けないので、数千万円単位の開発費が必要とのこと。 
また、『※障害者等利用者の意見も審査に反映させる』のではなく、審査員の中に入れるべきだ」としました。


また、小松義典・名古屋工業大学大学院准教授(環境工学)は「少し期間が短いのではないか。また、災害時の避難や緊急時の搬送に活用できるものを」としました。

磯部教授は「施設計画はあるが、どう使うかが明確になっていない。来城者の数が見えない。ピーク時どのように動くか。滞在時間は中身で決まる。見積もりがないと開発が難しい。どのような人を対象とするか。安全性、耐久性を確保しないと。しかし機械なので絶対安全は難しい。
前回、『階段模型を作れ』と提案したのは、昇降装置の実験設備として提案したのではない。エレベーター付けない場合、普通の人が階段を上れるか確認して欲しいからだ。登れない人はだれか?排除される人が出てくる可能性がある。
また、安全性は誰が確認するのか。福祉機器や昇降機器は検査機関を通さなければ市場に通せない。
評価基準はあらかじめ設定が必要だし、相対的なものでなく絶対的な水準がいる。アクセルだけではダメでブレーキがいる。
最終審査で合格者ゼロの場合はどうするか」と具体的に指摘しました。

高橋儀平・東洋大学教授(福祉のまちづくり)も以下指摘しました。
「史実に忠実な復元はできないと断言してよい。建築基準法にあわないものはできない。地震、耐火の問題もある。
 また、誰もが利用できるのが最大のポイント。ベビーカー・車椅子が何人いるかチェックする必要がある。
 さらに、合格しなければどうなるのか。竣工検査と実用化が同時はあり得ない。お役所として、説明がおかしいと言うことに気付いているはず。
 今後新しい歴史を作るが、一部の人を排除して新しい歴史を作るのは困ったことになる。
 後戻りできない公募スキームは現実的でない。
 ものだけは開発できるが、人が見えていない。設置しても利用できないのではないか」
 
渡辺崇史・日本福祉大学教授(福祉工学)も、「介護用ロボット・自立支援ロボットでは、技術先行型で開発したけれど使われないものが山ほど有る。ニーズを調査した上で、誰のどの困りごとに対応するのか、費用対効果を考えたものでないといけない。
また、従来のエレベーターではなく新しい垂直歩行も考えるべき。特定の技術の排除はダメ。
さらに、差別解消法に基づけば、合理的配慮ではなく基礎的な環境整備だ。障害を理由に「10分並んでね」というのはだめ」としました。

山田陽滋・名古屋大学大学院教授(機械安全・ロボティクス)は「事故が起こった際の有識者の責任はあるのか?責任が及ばないのが国際的基準。最初から有識者がプロジェクトコーディネーターとしてコミットしてくることが必要」としました。
 
三浦正幸・広島大学名誉教授(日本建築史、文化財学)はまず名古屋市に、対象は電動車椅子と一般的な車椅子どちらが対象かと尋ね、両方対応だと市が答えると、
「それはおかしい。電動車椅子対応にすると、設備が過重になる。2022年までに開発は多分無理。電動車椅子対応でなければ、2022年までは可能だと思う。電動車椅子については完成年度を下げて別公募にしては」と提案しました。

小野徹郎・名古屋工業大学名誉教授(建築構造学)は「『史実に忠実』はあり得ない。できるだけ忠実にする。どこかで妥協点・落としどころを見つけるのは必要だ」としました。

高橋教授は「歴史的な現にあるものにエレベーターをつけるというわけではない。差別解消法を持ち出すまでもなく、新築建築物に『史実に忠実なのでエレベーター無し』と踏み外していいのか。公共団体としての質が問われるのではないか。この期間で開発できるのか。無駄になるのではないかと心配する。竣工年を先に延ばしても、可能かどうか試行しないといけない。」としました。
--------
続いて、現在公開している名古屋城エリア・施設のバリアフリー検討調査について報告がありました。

高橋教授は「40団体ヒアリングではなく、現状確認のワークショップ、改善提案ワークショップ、その後のワークショップなど最低3回、開かれた調査のやり方を検討すべき。具体化して業務委託した方が役に立つ報告書になる」としました。

磯部教授は「私は名古屋市健康福祉局の有識者会議で座長をしている。
http://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000002473.html
バリアフリー法ではバリアフリー重点整備地区ができ、名古屋市では名古屋駅・金山・栄・大曽根がそうだ。都市公園も候補地となる。名城公園は都市公園だ。まず調査して、ぜひ健康福祉局の推進協議会で議論すると実りあるものとなる」としました。

------
バリアフリー検討会議終了後の西野所長の記者会見では、「手動・電動車椅子を問わず、2022年12月竣工までに対策を十分に取れるようにしていかなければいけない。来年度早々には募集条件を固めたい」としました。

記者から「2022年に完成する見通しが立っていない状況だ。机上の空論ではないか」との質問に、「見通しは立っていないが、目指してやっている。それを見据えてバリアフリーの対策も取っていこうと考えている」としました。

記者からは「市長はコンペも検討と言っていたが」との質問には、「コンペの結果に一番期待をして進める」としました。
・18/5/30配付資料 河村市長の手書きの「他、国際コンペ」
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180530.pdf
 -------------
今回のスキーム案ですが、「資金調達は参加事業者による自己調達」「所有権は参加事業者に帰属」としか書いておらず、名古屋市が採用業者にいくら払うのか、まったく不明です。
実用化が万が一可能になり、採用されたらお金は支払われるのか?審査に落ちたら開発費は無駄になるのか?市議会は予算を通すのか?木造名古屋城天守以外で同様の昇降具を利用したいというところはめどが立っているのか?など全くわかりません。

検査機関による第三者チェックの必要性についての磯部教授の指摘はもっともですが、名古屋市としてどう考えているのでしょうか。

前回、今回の指摘と、障害者団体からの「7つの基準」をまとめたものを表にして、全て満たせるものを条件だとすれば、とても4年で完成させるのは無理だと誰の目にも明らかになるでしょう。
ありとあらゆる面から、2022年12月までの名古屋城木造天守復元事業は行き詰まっています。
「名古屋市として判断した」と言い続ける時期は終わりました。

「付加設備の方針」だけでなく「スケジュール」、そもそもの「史実に忠実な木造復元」自体の見直しが迫られています。

----------
【今後の予定】
・19/1/13(日)13時半〜16時半 「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」学習会(北生涯)
 https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
・19/1/17(木)18時半〜 名古屋城木造復元説明会(熱田区役所講堂)
・19/1/19(土)14時〜  名古屋城木造復元説明会(中区役所ホール)
・19/1/22(火)18時半〜 名古屋城木造復元説明会(瑞穂文化小劇場)
・19/1/23(水)18時半〜 名古屋城木造復元説明会(緑文化小劇場)
・19/1/25(金)18時半〜 名古屋城木造復元説明会(東文化小劇場)
・19/1/27(日)14時〜  名古屋城木造復元シンポジウム(鯱城ホール)


---------
18/4/24 市民オンブズマン事務局日誌
なんのための「名古屋城跡バリアフリー検討会議」?
https://ombuds.exblog.jp/26722457/


18/12/25(火) 名古屋市教育委員会が名古屋城木造化の件で文化庁に行った際の復命書 内容全面非公開

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城天守閣木造化に関し、名古屋市職員が2018年7月27日〜12月10日に文化庁を訪問した際の資料ならびにその際の記録を情報公開請求しました。
18/12/25に教育委員会分(18/9/25面談)が開示されましたが、内容は全部非公開でした。

決定書・開示文書
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181221.pdf
理由:名古屋市情報公開条例第7条第1項第4号に該当
 当該情報が公開されることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるため、非公開とします。


なお、特別秘書の復命書も開示されました(18/8/3面談)。
しかし、内容は記載がありませんでした。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181217.pdf


観光文化交流局名古屋城総合事務所関係の書類は19/1/23まで延長となりました。

18/11/29名古屋市議会本会議で浅井正仁市議(自民)が質問したとおり、文化庁との面談記録は内容が全面非公開でした。
また、2018年7月27日〜12月10日の間、教育委員会関係者は文化庁に1回しか訪問していなかったことが公文書で明らかになりました。

--------
復元だけで総額505億円の予算をかけて河村たかし名古屋市長が強引に2022年12月までに完成させようとしている名古屋城天守閣木造化は、天守台石垣の想定以上の劣化ならびに、木造化のための「はね出し架構」と呼ばれる工法が江戸時代からの石垣の遺構を壊すおそれがあるため、有識者委員会の「石垣部会」が反発しており、2018年10月に予定していた文化庁文化審議会の諮問の見通しはたっておらず、その後の文化庁の現状変更許可も見通しも立っていません。

実際に名古屋市と文化庁はどのような話し合いを行っているのか。内容を情報公開請求しても常に黒塗りです。
名古屋市は何をおそれているのか。
名古屋市・名古屋市長が「市議会」「市民」「文化庁」「天守閣部会」「石垣部会」「竹中工務店」それぞれに都合のよいことを言ってきたことを「6枚舌」とかつて表現しましたが、計画が具体的になって、より行き詰まりをみせるにあたり、「市議会」「市民」に対する説明を放棄したとしか思えません。
非公開にすればするほど、「市議会」「市民」の市政に対する不信感は募りますし、膠着状態も続くのではないでしょうか。
ただ、2022年12月の期限は着実に近づいており、膠着状態が続くのももうしばらくだとみています。

【今後の予定】
・18/12/26(水)午前10時〜 名古屋市産業・歴史文化・観光戦略特別委員会
 http://www.city.nagoya.jp/shikai/category/324-3-0-0-0-0-0-0-0-0.html
・18/12/27(木)午後1時半〜 名古屋市経済水道委員会
 http://www.city.nagoya.jp/shikai/category/324-3-0-0-0-0-0-0-0-0.html
・18/12/28(金)午前10時〜 特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議(第2回)(名古屋国際センター)
 http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2018/kankobunkakoryu/0000112673.html
・19/1/13(日)13時半〜16時半 「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」学習会(北生涯)
 https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
 
--------

18/12/20(木) 名古屋城天守閣部会委員「石垣の何が問題か。復元とどう関係あるか具体的にせよ」

18/12/20に名古屋城全体整備検討会議天守閣部会、名古屋城全体整備検討会議が開催されました。

・18/12/20名古屋城全体整備検討会議天守閣部会 配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181220-1.pdf
・18/12/20名古屋城全体整備検討会議天守閣部会 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181220-3.pdf
・18/12/20名古屋城全体整備検討会議 配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181220-2.pdf
・18/12/20名古屋城全体整備検討会議 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181220-4.pdf
 
名古屋市は、名古屋城天守を木造復元するため、2018年10月の文化審議会の諮問を受ける予定でしたが、18/10/15に河村たかし名古屋市長は10月の文化審議会の諮問には至らなかったと表明しました。

天守閣部会は、全体の工程はどうなっているのか、その中で天守閣部会は何を議論しているのか明らかにしてほしいとずっといっていました。
今回、ようやく資料が出ましたが、天守閣部会の今後の議題案がでた(別添資料1-2)だけでした。

天守閣部会の座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「全体との工程との関係が書いていない。実施設計が終わるのはいつか?また、穴蔵部分は基本設計時未定だった。実施設計段階のどこに入ってくるのか」と質問したところ、名古屋城総合事務所の蜂矢主幹は「石垣部会との話しの結論が出ていないため、どの段階で穴蔵部分ができるか出せない」と答えました。

また、古阪秀三・立命館大学客員教授は「石垣部会の議事録を全て読んだ。石垣部会、市は何をやりたいのか。目的は天守閣を建て直して楽しむんだというもの。石垣部会、天守閣部会とも決着をしなければいけない。今のままではタイムラインを止めてしまって検討し直すのが正しくなる。既に膨大な金を使っている。市、市長が相談してやって欲しい。スケジューリングだけを検討するワーキングがあってもよい」としました。

西野輝一・名古屋城総合事務所所長は「石垣部会から、石垣調査が十分でないと指摘を受けた。穴蔵については我々が検討し、報告しようとしている。穴蔵部分のスケジュールはめどをたてて先生方に示したい」としましたが、瀬口座長は「既に検討から2年たっている。めどが立っていないのではないか」とし、西野所長は「次回天守閣部会までにできるかわからないが努力する」と述べるにとどまりました。

また、古阪客員教授は「石垣の何が問題で、天守閣復元とどう関係があるのか。このままでは失敗に近づく。関係があれば解決方法はなにか。発注者支援業務の人も、勇気を持って指摘すべきだ。基本協定を結んだが、だんだん怪しくなってきた。『石垣のはらみ』はいつまでに解決するのか。穏便な発言では決着しない。解決するのは石垣部会なのか、市なのか、文化庁なのか。私はコンストラクションマネジメントのプロだ」ときつく述べました。

瀬口座長も「文化庁の許可がもらえないのはなぜか。ネックがそこならどうやって解決するのか。石垣の問題はどういう点か整理しないと、来年7月また受け取ってもらえない。乗り越えるべくやって欲しい」としました。

また、川地正数・川地建築設計室主宰は「過去実績では、土曜日は午後2-3時が午前中の2倍来場者があった。しかし、防災計画では木造天守の中に入る最大人数を1時間2500人とし、休日9時-17時、8時間で各2500人=20000人と試算をしている。収支計画では年間360万人、平日6000人、休日20000人としているが、厳しいのではないか」と述べましたが、だれも回答をしませんでした。

-------------
続いて、名古屋城全体整備検討会議が開催されました。

天守閣整備事業の経緯と、これまでの経緯が報告されましたが、石垣の何が問題なのかは明らかになりませんでした。

全体整備検討会議の瀬口座長は「石垣調査の目的はなにか。学術的な調査なのか、石垣保全の調査なのか」と質問しましたが、名古屋城総合事務所の村木主幹は「天守台の現状を把握するのが第一の目的。根石周りは考古学的発掘調査。天守台石垣を評価してどう保全策を講じるか、方針を立てるのが調査の目的で、天守周辺をどう整備していくか。どのように整備するにしても、ふさわしい調査と対策が必要」としました。

また、麓和善・名古屋工業大学大学院教授は「石垣部会は保全と安全対策を検討しているが、現在はメンバーが考古学に偏りすぎている。保全と安全対策が今の体制でできるのか」と発言し、西野所長は「土木工学の先生がいらっしゃったが、体調のためオブザーバーになった。部会の構成を検討したい」としました。

------------------
これまで、名古屋市は石垣部会には「木造天守閣のための石垣調査」とは言っていませんし、石垣部会も「木造天守閣のための石垣調査」を了承したことはなく、あくまでも天守台石垣が危機的状況なのでどう保全策を講じるかのための調査だとしています。

天守台石垣は空襲の被熱で弱くなっており、しかも現天守復元時にモルタルを注入したこともあり、はらみが生じています。調査すればするほど、崩壊の危険性が差し迫っていることがわかると石垣部会の専門家はいいます。
一方、天守台石垣最上部まで江戸時代の石が積んである可能性があると名古屋市が認めました。

木造天守復元のためには、現在の石垣のうち昭和に積み直した部分を取り外し、さらに『はね出し架構』というコンクリート製土台を現在の石垣内部に組み込む計画を竹中工務店が提案していました。
しかし、最上部まで江戸時代の石垣が積んであるとなると、石垣を取り外すことができなくなります。
しかも現在の石垣内部には、江戸時代の石垣の遺構がある可能性もあり、仮に『はね出し架構』で石垣の遺構を破壊するとなれば到底認めないし、文化庁も認めないだろうと、石垣部会の委員が発言しています。
「穴蔵部分の石垣」をなんのためにどう調査するのか、いまだに名古屋市は石垣部会に示せていません。

石垣調査は「石垣保全・学術目的」でもありつつ、「木造復元のため」でもあったのですが、名古屋市は石垣部会には「木造復元のため」と言わなかったことのツケが出てきています。
上記が問題であると当然名古屋市も石垣部会も文化庁も認識していますが、名古屋市は文書として天守閣部会に示すことを躊躇しているように思えます。市民・議会にも明示していません。
実際に「上記問題がある」と名古屋市が認めてしまえば、2022年12月の木造復元は完全に潰えます。
名古屋市が上記問題があることを認めなくても、決して石垣部会も文化庁も、現在の木造天守閣復元計画を認めようとしないでしょう。

解決策としては、『はね出し架構』なしの木造天守閣計画を作る、というものがありますが、竹中工務店が知恵を絞っても案が出てこないと言うことは無理なのでしょう。
名古屋市は2022年12月完成目標を取り下げ、竹中工務店と話し合うことからはじめるべきではありますが、すでに基本設計で8億4693万6000円支払い済み、実施設計15億6384万円も契約済、木材製材契約94億5540万円済で、木材保管費用だけで年間1億円もかかります。
現時点では文化庁文化審議会の諮問・現状変更許可の見通しが立っていないので、交渉は難航を極めるのではないでしょうか。

なお、18/12/17、基本設計費返還と実施設計・木材製材費の差し止めを求める住民訴訟が提訴されました。
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle

今後名古屋城はどうなっていくのか。どうすべきなのか。
資料を市民・議会にきちんと示した上で議論して決めるべきだと考えます。

18/12/17(月) 「壊すな!名古屋城天守 木造建て替えはいらない!」住民訴訟提訴

「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」のメンバー15名は18/12/17に「市長・担当市職員13名は名古屋城木造化 基本設計代金8億4693万6000円を市に返還しろ、実施設計を解除せよ、名古屋城天守閣整備事業を停止せよ」という住民訴訟を名古屋地裁に提訴しました。
・訴状
 
https://drive.google.com/file/d/1MdNRZ99UD7nDgbo5mrxLeM6CX7hJ3Brv/view
・概要、甲号証、証拠説明書、声明など
 https://drive.google.com/drive/folders/1T_5khzBPQ4R5IBgVOMSY-VVb8viwdHkz

【事案の概要】河村たかし名古屋市長は、「名古屋城の現天守の耐震性能が低い」として、耐震改修が決まっていたにもかかわらず、木造天守復元事業に関する基本設計8億4693万6000円の予算を2017年3月に通し、名古屋市は竹中工務店と契約を結んだ。しかしながら、基本設計の期限である2018年3月30日までに、「『業務要求水準書』で定められた「文化庁における『復元検討委員会』の同意、『文化審議会』の諮問」を得ることなく、名古屋市は同日竹中工務店から、「成果物」段ボール5箱分を受け取り、2018年4月27日に竹中工務店に金員を支払った。

【住民監査請求】「現天守にこそ戦後復興のシンボルとしての価値」があるとする当会の主張に賛同する名古屋市民158名は、「上記契約に基づく『成果物』は未完成であり、市長に対し、市に損害賠償ならびにその後の実施設計、木材購入についての事業停止を求める」住民監査請求を2018年9月21日に名古屋市監査委員に行った。
 監査委員の丹羽ひろし市議(自民)は、「納品を1日で行うことができたとは到底考えられない」とし、市監査委員としては2018年11月19日に、名古屋市始まって以来の「合議不調」の結果を出した。実施設計・木材購入については判断しなかった。
 http://www.city.nagoya.jp/kansa/cmsfiles/contents/0000010/10918/20181119_juminkansa.pdf

【住民訴訟の提訴】私たちは「合議不調」との結果には到底納得できないので、住民訴訟に進むしかありません。返還を求める対象は、市長ならびに支出命令書に印鑑を押した名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所職員ら13名です。訴訟は、本人訴訟として行います。
 住民監査請求から追加した論点は以下3点
 1)「基本設計説明書」はほとんど非公開だが、すでに公開されている文書と同様であり、非公開にする理由はない。
  https://ombuds.exblog.jp/26803947/
 2)河村市長の「指示書」によって、職員が適正な事務を行わなかったのではないか
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
 3)名古屋市は、18/3/28に「『基本計画書』は7月に完成予定」としており、18/3/30には未完成ではないか。
   
「求める会」事務局の森晃さんは「名古屋城木造化に関しては、バリアフリー、石垣、消防など多数の問題を抱えており、このまま順調に進むとは思えない。にもかかわらず、木材購入を進めており、保管費用が年間1億円かかるという。また、どんな木造天守閣ができるのか市民に公開することなく、寄付を集め続けている。今後住民訴訟で『基本設計』の黒塗り部分を明らかにするとともに、市長や市職員の尋問も求めたい」としています。

・名古屋城天守の有形文化財登録を求める会
 http://bit.do/Ncastle
 https://www.facebook.com/1740949266229351/

------
今後の予定

・12/20(木)10時〜12時 第14回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会 
 (名古屋能楽堂会議室) 
 http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2018/kankobunkakoryu/0000112576.html
・12/20(木)13時半〜15時半 第27回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議
 (名古屋能楽堂会議室)  
 http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2018/kankobunkakoryu/0000112305.html
・12/23(日)13時半〜16時半 「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」学習会(北生涯)
 https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
・1/13(日)13時半〜16時半 「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」学習会(北生涯)
 https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
 

18/12/6(木) 「名古屋城天守木造建て替えはいらない」住民監査請求 監査委員会議録が公開

「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」が18/9/21に名古屋市監査委員に対して行った「名古屋城天守木造建て替えはいらない」住民監査請求についての監査委員会議会議録を同会が情報公開請求したところ、ほとんどが公開されました。

・平成30年9月21日に提出された名古屋市職員措置請求(30監特23号)に対する
 1.監査委員議事の内容がわかるもの
 2.同議事において提示された文書 すべて 

・決定書
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181206-1.pdf
・18/9/21「監査委員会議」会議録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181206-2.pdf
・18/10/2「監査委員会議」会議録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181206-3.pdf
・18/10/17「監査委員会議」会議録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181206-4.pdf
・18/10/24「監査委員会議」会議録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181206-5.pdf
・18/10/31「監査委員会議」会議録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181206-6.pdf
・18/11/8「監査委員会議」会議録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181206-7.pdf
・18/11/9「監査委員会議」会議録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181206-8.pdf
・18/11/13「監査委員会議」会議録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181206-9.pdf
・18/11/19「監査委員会議」会議録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181206-10.pdf
 
------
監査委員は、観光文化交流局に対して非常に詳細に問合せをしています。
大部なので詳細は読み切れていませんが、観光文化交流局の回答について特に2点について興味深い記載がありました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181206-5.pdf

1)「公募型プロポーザル業務要求水準書」について
 ・「請求者の主張する業務要求水準の部分については、特別史跡における現状変更許可の取得について説明したものであり、受託者が行う業務を示したものではない」
 「基本設計については、業務要求水準書の内容を満たすことを満たすことを前提とし、契約するものです」
 ・「事実です。基本設計の段階において、文化審議会の答申が出され、文化庁長官により天守木造復元の現状変更が許可されれば、天守木造復元の文化庁との手続が完了となり、実施設計の段階の内容において、文化審議会に関する業務が発生しないことを意味しています。」
 
2)18/3/30蜂矢主幹「基本設計の完成物の検査は今日1日で終わるわけではない」発言について
 ・当職員も正確には記憶していないが、引用される趣旨の発言をしたことは認める
 ・「修正の指摘が多ければ一日で終わるとは限らないということ」
 ・「納品時点においては、完了検査に合格しているわけではない」という事実を述べた
 ・「『内容に不足があれば』については、完了検査を行う中で不足が確認されれば、補正を命じるものであるという事実を述べた
 ・「基本設計としては完了しているということについては、受託者の立場として業務が完了していることを述べており、業務の完了は本市の検査の受検後になります。
  
----
このような屁理屈が、裁判所で通用するのか。18/12/17提訴の住民訴訟が注目されます。

なお、「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」は、黒川にある「北生涯学習センター」で学習会を開催するとのこと。
 https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
 12月10日(月) 18:30ー20:00第1集会室
 12月15日(土) 13:30〜16:30 視聴覚室
 12月23日(日) 13:30〜16:30 第3集会室
 1月13日(日) 13:30〜16:30 第6集会室


18/11/29(木) 河村市長「名古屋城木造天守 文化庁と折衝中の議事録を公開すると大混乱する」

18/11/29に名古屋市市議会本会議が開催され、浅井正仁市議(自民)が名古屋城天守閣木造復元の進め方について質問しました。
・平成30年11月29日(木曜日)の議案外質問 浅井正仁議員(自民)
 (名古屋市民オンブズマンによる、自動文字起こしアプリによる文字起こし)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181129.pdf

浅井市議は2点質問しました。

1 来年5月の文化審議会までに復元検討委員会開催のめどが立っているのか、
  また復元検討委員会の開催に向けて文化庁とは現在どのような調整を行っているのか。
 →広沢副市長 文石協から紹介されたコンサルによる助言、指導をいただきながら、石垣の保全方針等を検討しており、5月の文化審議会までに復元検討委員会に諮っていただけるよう努めております。
  文化庁との調整につきましては、現時点において、市長みずから幹部に電話で行っており、検討の進捗につきましては、今後当局から適宜報告をさせていただきたいと考えております。

2 文化庁の調整内容資料は黒塗りだった。文化庁に行った際の市長のメモは当初は黒塗りは、当初は黒塗りだったが公開された。
  2022年12月完成を死守する、目指すは嘘や偽りはありませんか。
  実は何年も遅れるようなスケジュールで文化庁や石垣部会、文石協と調整しているといったことは仮にもないでしょうね。
 →広沢副市長 現時点において完成時期を変更するスケジュールは検討しておりません。  
  
それを受け、浅井市議は、文化庁に行ってきたと述べました。
浅井市議は「文化庁としても、できる協力はきちんとするという印象を持った。また2022年12月完成という時期については不可能といった発言はなく、私の印象としては、名古屋市の頑張り次第なんだろうなということも思って帰ってきた」としました。
しかしながら、「次回の石垣部会の日程が決まっていない。今年10月文化審議会を断念した以降、文化庁には名古屋市として一度も電話もなければ、相談にも行っていない」とのべました。

その上で、9月25日に市が文化庁を訪問した際の議事録メモを市に要求したところ「のり弁」がきたと示しました。
浅井市議は「本会議等で説明したことと整合性のつかないことがらを記録したことがひょっとしたらあるんでしょうか。どうして市長メモは出せて議事録メモは出さないのか」と疑念を述べました。
次に、市長さんは来年5月の文化審議会に諮られないことが明確になるまでは、スケジュールの見直しはないという考えでいいんですよね、と質問しました。

河村市長は「自筆のメモは『決定事項』だから出した。他のものは交渉中、折衝中の事項で、情報公開条例で公開しなくてよいとある。
これは当然ですけどそんなもん出てまったら大混乱します」と述べました。
さらに、「石垣部会の言われる様に進んでいる」と述べました。

浅井市議は「市長は答えていない。5月の木造復元検討委員会まではスケジュールは変更しないという考えでいいんですよね」と追及したところ、
河村市長は「そのスケジュールでやる、やるということでお話してあります」と述べました。

浅井市議は、「5月の木造復元検討委員会まではスケジュールは見直さないでいいですよね」と念を押したところ、河村市長は「5月がどうのこうのよりも文化庁からスケジュールありきではないと言われておりまして」と述べ、議場からはヤジが飛びました。

浅井市議は、「名古屋市は当初は復元検討委員会を3回の計画だった。文化庁は3回でも難しいと言っていた。しかし今は名古屋市は1回の計画。本当にやれるのか」と述べましたが、市長からは回答がありませんでした。

最後に、浅井市議は「今のままだったら絶対何も動きませんよ。付帯決議で「議会に適宜報告する」としたが、黒塗りで何を議論するのか。文化庁は、「これは名古屋市の判断で出せるといっていた。2020年がもし遅れて税金を使うようなことがあれば、全ての責任は市長にある」と述べました。

-----------
名古屋市情報公開条例第7条第1項第4号では、以下記載があります。
(4)市の機関、国、独立行政法人等、他の地方公共団体及び地方独立行政法人の内部の又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に市民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定のものに不当に利益を与え、若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの
http://www.city.nagoya.jp/shiminkeizai/page/0000001423.html

「不当に市民の間に混乱を生じさせるおそれ」がある文化庁とのやりとりの情報とはいったいなんなのでしょうか。
文化庁は「名古屋市が判断すること」としたと浅井市議は述べています。「おそれ」の主張立証責任は市にあります。

「市長メモ」も上記第7条第1項第4号を理由として非公開にしていました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180905.pdf
しかし、名古屋市民オンブズマンが審査請求した直後に「公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるとは認められない」ため公開されました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181101.pdf

市民に資料も見せず、2022年12月完成もほぼ不可能となったにも関わらず、未だに根拠もなく「期限を死守する」としか述べない河村市長。
税金だけが垂れ流しです。
「全責任は私が取る」とした文書がますます重みを持っていきます。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
-----
今後の予定(名古屋市民オンブズマン以外)

・2018年12月8日(土) 13:30〜16:30
 名古屋城木造復元のバリアフリーを考える シンポジウム(ウィンクあいち)
 http://www.aju-cil.com/events/event/181208/
・2018年12月10日(月)18時半〜  
 「名古屋城天守木造建て替えはいらない」住民訴訟 説明会(北生涯学習センター)
 https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
・2018年12月15日(土)13時半〜  
 「名古屋城天守木造建て替えはいらない」住民訴訟 説明会(北生涯学習センター)
 https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
・2018年12月17日(月)
 「名古屋城天守木造建て替えはいらない」住民訴訟 提訴(名古屋地裁)
 https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
・2018年12月23日(日)13時半〜  
 「名古屋城天守木造建て替えはいらない」住民訴訟 説明会(北生涯学習センター)
 https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
・2019年1月13日(日)13時半〜  
 「名古屋城天守木造建て替えはいらない」住民訴訟 説明会(北生涯学習センター)
 https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle

--------
名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm

18/11/27(火) 名古屋城 バリアフリーについて名古屋市からの質問に愛知県審議会が回答

愛知県障害者施策審議会が名古屋市に「名古屋城木造天守閣にエレベーター不設置方針」再考を要望したことに対し、名古屋市が市長名で18/10/25に質問書を送った件で、18/11/9に審議会が名古屋市に回答をしていたことが名古屋市民オンブズマンの情報公開請求でわかりました。

・18/10/2審議会の要望書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181002.pdf

・18/10/25名古屋市の質問書と、18/11/9審議会の回答
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181126.pdf

審議会の要望書では「当事者の方々と十分に協議をしていただき」とありますが、名古屋市の質問書にはそれについては全く触れず、根拠法令と解釈、そもそも要望書を出した根拠を尋ねるにとどまっています。

名古屋市の姿勢が如実にあらわれている質問書だと考えます。

質問書の中で、「本市と致しましては、〜法規定に抵触しているものではないと考えております」とありますが、そもそも、これらについて名古屋市観光文化交流局は、名古屋市健康福祉局に問い合わせたのでしょうか。
その結果の「本市と致しましては」なのでしょうか。

名古屋市は、県審議会に質問書を送るよりまずすることがあるのではないでしょうか。


なお、以下が条文です。
------
・障害者の権利に関する条約第4条1(d)
1 締約国は、障害に基づくいかなる差別もなしに、全ての障害者のあらゆる人権及び基本的自由を完全に実現することを確保し、及び促進することを約束する。このため、締約国は、次のことを約束する。
(d) この条約と両立しないいかなる行為又は慣行も差し控えること。また、公の当局及び機関がこの条約に従って行動することを確保すること。
・障害者の権利に関する条約第9条1
 1 締約国は、障害者が自立して生活し、及び生活のあらゆる側面に完全に参加することを可能にすることを目的として、障害者が、他の者との平等を基礎として、都市及び農村の双方において、物理的環境、輸送機関、情報通信(情報通信機器及び情報通信システムを含む。)並びに公衆に開放され、又は提供される他の施設及びサービスを利用する機会を有することを確保するための適当な措置をとる。この措置は、施設及びサービス等の利用の容易さに対する妨げ及び障壁を特定し、及び撤廃することを含むものとし、特に次の事項について適用する。
(a) 建物、道路、輸送機関その他の屋内及び屋外の施設(学校、住居、医療施設及び職場を含む。)
(b) 情報、通信その他のサービス(電子サービス及び緊急事態に係るサービスを含む。)
 http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/adhoc8/convention131015.html

・障害者権利委員会の一般的意見第2号(2014年)のパラグラフ13
13.障害者権利条約第9条は、「締約国は、障害のある人が自立して生活すること及び生活のあらゆる側面に完全に参加することを可能にするため、障害のある人が、他の者との平等を基礎として、都市及び農村の双方において、物理的環境、輸送機関、情報通信(情報通信技術及び情報通信システムを含む。)、並びに公衆に開かれ又は提供される他の施設及びサービスにアクセスすることを確保するための適切な措置をとる」と規定している。物理的環境、輸送機関、情報通信及びサービスを網羅する、アクセシビリティのあらゆる複雑性への取り組みがなされることが重要である。その焦点となるのは、もはや建築物、輸送インフラストラクチャー、車両、情報通信及びサービスを所有する者の法的人格と、その公共性又は民間性ではない。物品、製品及びサービスは、公衆に開かれ又は提供される限り、公的機関によって所有及び/又は提供されるか、民間企業によって所有及び/又は提供されるかにかかわらず、すべての人にとってアクセシブルでなければならない。障害のある人は、すべての物品、製品及び公衆に開かれ又は提供されるサービスに対し、これらへの効果的かつ平等なアクセスを確保し、障害のある人の尊厳を尊重する方法による、平等なアクセスを持たなければならない。このアプローチは差別の禁止に由来している。アクセスの否認は、違反者が公的主体であるか民間主体であるかにかかわらず、差別行為に相当すると見なされる。アクセシビリティは、機能障害の種類を問わず、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、国民的もしくは社会的出身、財産、出生又は他の地位、法的又は社会的地位、ジェンダー又は年齢などのいかなる区別をも伴うことなく、すべての障害のある人に提供されなければならない。アクセシビリティは、障害のある人のジェンダーと年齢という視点を特に考慮したものでなければならない。
・障害者権利委員会の一般的意見第2号(2014年)のパラグラフ15
15.すべての新規の物品、製品、施設、技術及びサービスへのユニバーサルデザインの厳格な適用は、障害のある人を含むあらゆる潜在的な消費者による、その固有の尊厳と多様性を十分に考慮した方法での、完全かつ平等な、制限されることのないアクセスを確保するものでなければならない。またそれは、特定の場所の中での障壁のない移動を含む、ある場所から別の場所への、個人による一連の無制限の移動の創造に貢献するものでなければならない。障害のある人とその他の利用者が、必要に応じて補助器具と人又は動物による支援を使用しながら、バリアフリーな路上を移動し、アクセシブルなノンステップ車両に乗り、情報通信を利用し、ユニバーサルデザインの建物に入り、その中を移動できるようにしなければならない。ユニバーサルデザインの適用は、補助器具のニーズを自動的に取り除くものではない。最初の設計段階から建物にユニバーサルデザインを適用することにより、建設費を大幅に減らすことができる。建物を最初の段階からアクセシブルにしても、多くの場合、総建設費はまったく増加しないが、場合によっては、費用がわずかに増加することもある。一方、建物をアクセシブルにするために後から改築する費用は、特に特別な歴史的建造物などの一部の事例で著しく増加する可能性がある。最初からユニバーサルデザインを適用した方が経済的であるが、後から障壁を撤廃するために見込まれる費用を、アクセシビリティを阻む障壁を漸進的に撤廃する義務を回避するための言い訳として利用してはならない。
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/rightafter/crpd_gc2_2014_article9.html

・障害者基本法第21条
第二十一条 国及び地方公共団体は、障害者の利用の便宜を図ることによつて障害者の自立及び社会参加を支援するため、自ら設置する官公庁施設、交通施設(車両、船舶、航空機等の移動施設を含む。次項において同じ。)その他の公共的施設について、障害者が円滑に利用できるような施設の構造及び設備の整備等の計画的推進を図らなければならない。
2 交通施設その他の公共的施設を設置する事業者は、障害者の利用の便宜を図ることによつて障害者の自立及び社会参加を支援するため、当該公共的施設について、障害者が円滑に利用できるような施設の構造及び設備の整備等の計画的推進に努めなければならない。
3 国及び地方公共団体は、前二項の規定により行われる公共的施設の構造及び設備の整備等が総合的かつ計画的に推進されるようにするため、必要な施策を講じなければならない。
4 国、地方公共団体及び公共的施設を設置する事業者は、自ら設置する公共的施設を利用する障害者の補助を行う身体障害者補助犬の同伴について障害者の利用の便宜を図らなければならない。
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kihonhou/s45-84.html

・障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律第3条
 第三条 国及び地方公共団体は、この法律の趣旨にのっとり、障害を理由とする差別の解消の推進に関して必要な施策を策定し、及びこれを実施しなければならない。
・障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律第5条
 第五条 行政機関等及び事業者は、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮を的確に行うため、自ら設置する施設の構造の改善及び設備の整備、関係職員に対する研修その他の必要な環境の整備に努めなければならない。
・障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律第7条
 第七条 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならない。
 2 行政機関等は、その事務又は事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をしなければならない。
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/law_h25-65.html

・障害者基本法 (都道府県等における合議制の機関)
第三十六条 都道府県(地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)を含む。以下同じ。)に、次に掲げる事務を処理するため、審議会その他の合議制の機関を置く。
 一 都道府県障害者計画に関し、第十一条第五項(同条第九項において準用する場合を含む。)に規定する事項を処理すること。
 二 当該都道府県における障害者に関する施策の総合的かつ計画的な推進について必要な事項を調査審議し、及びその施策の実施状況を監視すること。
 三 当該都道府県における障害者に関する施策の推進について必要な関係行政機関相互の連絡調整を要する事項を調査審議すること。
http://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/kihonhou/s45-84.html

-------
・愛知県障害者施策審議会
 https://www.pref.aichi.jp/soshiki/shogai/0000043616.html


18/11/19(月) 名古屋城木造天守閣基本設計住民監査請求「合議不調」市監査委員

「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」158名が名古屋城天守閣木造化の基本設計が完成していないとして市長に対して8億4693万6000円の賠償を求めた住民監査請求で、名古屋市監査委員は18/11/19に「合議不調」の結論を出しました。住民監査請求で合議不調を出したのは名古屋市監査委員始まって以来です。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181119.pdf
「求める会」は住民訴訟を検討するとのこと。
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle

合議不調部分は1点。(12)(13)
成果物が18/3/30に竹中工務店から名古屋市に対して提出されたが、それに対して検査確認をしたかどうかです。
・福田・黒川・小川監査委員の判断
 事前監査は合理的な手法。1日で検査確認が違法・不当に行われたと判断することはできないと解するのが妥当
・丹羽監査委員の判断
 検査確認は、当局の主張するような事前確認を行ったとしても、納品された成果物を1枚1枚詳細に内容確認すべきものであり、この確認を1日で行うことができたとは到底考えられないことから、検査確認が正当に行われたとはいえないと解するのが妥当
 
その他はすべて住民側の理由無しとしました。

(1)現状変更許可は文化庁の現状変更許可が必要で、文化審議会の諮問を受けなければならない。
 →現状変更にかかる許可は工事の着手までに必要であると解するのが妥当

(2)国土交通省告示15号で「基本設計に必要な範囲で、建築確認申請を行うために必要な事項について関係機関と事前に打ち合わせを行う」
 →告示15号は設計業務の報酬基準を定めたもの。なすべき業務を定めたものではないと解するのが妥当
 
(3)「プロポーザル業務要求水準書」で「基本設計の段階で『復元検討委員会』の審査を受け、文化審議会にかけられる」
 →当時のスケジュール感を示したものにすぎないと解するのが妥当

(4)上記業務要求水準書への質問に対する市の回答書で「実施設計段階では『復元検討委員会』審査や文化審議会手続は不要」
 →趣旨は、「基本設計段階で文化審議会の答申がだされ、現状変更が許可されれば、実施設計段階で文化審議会に関する業務が発生しない」と認める
 
(5)基本設計業務委託概要書で「申請に必要な事前打ち合わせ」と「申請書類の作成」が明示されている
 →現状変更許可の申請者は名古屋市長であることから、申請書は名古屋市のみが作成しうる

(6)業務委託仕様書では「文化審議会にかけられるのは基本設計の段階」とされているのは明白。
 →その時点でのスケジュール感を示したものにすぎない。
  なお、17/5/9に締結した基本協定書には、契約書が最も優先して適用される旨が規定されている。
  「業務要求水準書」と「業務委託仕様書」の記載内容に矛盾や相違があったとしても、「業務委託仕様書」が優先される
  
(7)成果品目録に「申請に必要な事前打ち合わせ」と「申請書類の作成」に係る「打ち合わせ議事録」や「申請書類」は含まれていない。
 文化庁関連では「資料等の原稿」のみ。
 →成果物は当該資料として確認できたことから、納品されていると認める。請求人は、基本設計契約で求めている成果物は文化庁との協議を経て修正を反映させた基本計画書であると解していると思料される。
 市は、基本計画書は文化庁との事前協議を行うにあたって必要となるものであり、基本設計契約で求めている成果物は、市の考え方をとりまとめたものであり、必ずしも文化庁が求める修正を全て反映させる必要はない旨の主張をしている。
 基本計画書の提出時期や、本丸御殿復元の際のこと、工事の着手までに現状変更許可が得られればよいことを踏まえると、基本設計で求めている成果物において文化庁が求める修正をすべて反映させる必要はないと解するのが妥当。
 
(8)「復元検討委員会」の審査や文化審議会の諮問結果が得られていない。建築の仕様について確定していない。
 →現状変更許可が得られていなくても、基本設計や実施設計の施行は可能と解するのが妥当。
 仮に、文化庁から仕様の変更を求められたとしても、基本設計にその変更点をすべて反映させる必要はなく、実施設計の段階で対応をすることが可能と解するのが妥当
 
(9)「業務要求水準書」の要件が満たされておらず、18/3/30基本設計図書は未完成
 →その時点でのスケジュール感を示したものに過ぎず、成果物は納品されている
 
(10)会計管理者は債務が確定していることを確認したうえでなければ、支出をすることができない
 →基本設計図書が未完成であるという請求人の主張には理由がない
 
(11)18/2/27に、基本設計業務の履行機関を「18/2/28まで」から「18/3/30まで」と変更契約締結した
 →石垣調査に関する工程の組み直しが必要となったことが理由であると認める。
 
(12)名古屋城総合事務所の蜂谷主幹は18/3/30報道の囲み取材で「基本設計の完成物検査ですが、今日一日で終わるわけでは無く、すごい量ですから、段ボール5箱くらいあるので、随時検査します。検査で合格しているわけではないものですから、検査をさせていただいて、内容に不足があればさらに追加を求めることがありえる。あるけれど、基本設計としては完了しているということ」と述べた。
 →成果物は納品されていることから、内容に不足があるとは言えない。
 
(13)構造計算書は14,414ページに及び数量調書も639ページにわたる 
 →成果物は納品されていることから、内容に不足があるとは言えない。
 
(14)基本設計図書の内容は未完成 実施設計契約も無効
 →成果物の検査確認に対する判断が分かれたことから、基本設計が未完成であることを前提とした本主張については判断しない
 
(15)事業の計画に遅延が発生する。
 木材を購入した場合、保管代金が発生する恐れがある。暫定的な損害拡大防止措置として本件事業の停止を求める。
  →成果物の検査確認に対する判断が分かれたことから、基本設計が未完成であることを前提とした本主張については判断しない


18/11/16(金)名古屋城木造化 バリアフリー非公開説明会で「昇降にかかる公募の検討状況」発表 

18/11/15特別史跡名古屋城跡バリアフリー説明会(第2回)が非公開で開催されました。
配付資料はあとで情報提供いただきました。
・配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181115.pdf

18/11/14に問い合わせた際は「日時を公表していない」でしたが、事前に情報を得ていたとおり、11/15に開催されました。日時非公開のため傍聴も出来ませんでした。
・18/11/15 名古屋城総合事務所とのやりとり
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181115-3.pdf

その中で、「木造天守閣の昇降にかかる公募の検討状況」が公開されていたことがわかりました。

技術開発の資金調達の欄には「アイデア審査、実証審査の成績上位入賞者には、融資または補助」とあります。
いくらかかるのかわかりませんが、さらに事業費が膨らみます。
ただ、なにも決まっていない段階です。市議会が予算を認めるかどうかも不透明です。

・傾斜50度の階段 地下1階〜地上5階まで
・すべて木造の建物 「国宝にする予定」のため、傷つけるのは論外
・1段の幅が狭く、通常の建物の階段より極めて困難
・安全性を十分確保する必要がある
・付加設備をどこまで認めるのかどうかは不明

2022年12月完成予定はほぼ絶望的ですが、樹齢300年以上の木材を18/11/19-20に伐採予定ですし、エレベーターに代わる昇降の公募も資金を名古屋市がつけて公募するといいます。

木材保管代金は年間1億円とのこと。
名古屋城天守閣木造化をこのまま見通しも立たないまま進めていき、貴重な木材だけがずっと保管されることになります。


18/11/15(木)名古屋市 2018年11月補正予算に名古屋城木造化関係予算計上せず

18/11/21から始まる名古屋市会平成30年11月定例会ですが、11月補正予算では、9月議会で行う予定だった仮設素屋根見学施設補正予算要求もなければ、穴蔵石垣調査関係の予算要求もありませんでした。
11月議会で行う予定だった現天守解体補正予算要求もありませんでした。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-15-4-0-0-0-0-0.html

18/6/28に名古屋市議会経済水道委員会で述べた、名古屋市が想定するスケジュールから相当ずれています。
しかし、木材だけは伐採しようとしています。

18/6/28時点でのスケジュール案
・18/7中 復元検討委員会に基本計画書を提出 了承予定【まだ】
・18/9 市議会に仮設素屋根見学施設補正予算要求【要求せず】
・18/10中 文化審議会にかけ、了承【まだ】
・18/11中 文化庁の現状変更許可【まだ】
・18/11 市議会で現天守解体補正予算要求【要求せず】
     仮設素屋根見学施設議決 【なし】   
・18/11月-19/1月 竹中工務店が契約に基づき木材を伐採
 【18/11/19-20 アカマツ伐採予定】
・19/2 市議会で現天守解体契約議決
・19/11 市議会で本体工事補正予算要求承認
・20/2 本会議で本体工事契約議決
・22/12 完成予定

木材保管代金は年間1億円とのこと。
このまま見通しも立たないままずるずると先延ばししていくのでしょうか。


18/11/14(水)第2回特別史跡名古屋城跡バリアフリー説明会 実施予定日時は「公表していない」

第1回特別史跡名古屋城跡バリアフリー説明会は18/7/24に開催されましたが、第2回が18/11/15に開催されると複数ルートから聞こえてきました。しかし名古屋市ホームページには全く記載されていませんでした。

18/11/14に名古屋城総合事務所に電話して確認しました。

市民オンブズマン:特別史跡名古屋城跡バリアフリー説明会の第2回はいつか
名古屋城(女性):担当に聞いたら「今のところ考えていない」という
市民オンブズマン:えっ、明日あると聞いたのだが
名古屋城(女性):えっ、明日。担当に確認します。
名古屋城(女性):お待たせしました。「公表していない」
市民オンブズマン:話が違う。「今のところ考えていない」と「公表していない」は全く意味が違う
名古屋城(女性):そうですね。電話しばらくお待ち下さい。

ようやく担当者が電話に出ました。

名古屋城総合事務所:第2回を開催するかどうかだが、日時は特に公表していない
 天守閣部会は公開が義務づけられている。
 今回は説明会。一般的な説明会は公表を義務づけられたものではない。
 開催する際その場で適宜判断する。
 傍聴についても主催である名古屋市が判断する。
市民オンブズマン:公表しなければ傍聴できない
名古屋城総合事務所:名古屋市が参加者を選定をする。
 どういう風に実施するか、実施に際して適宜考えていく
市民オンブズマン:実施したことを公表するのか。
名古屋城総合事務所:終わった後、公表するかどうか適宜検討
市民オンブズマン:傍聴は誰でも可能か
名古屋城総合事務所:公表していない会議は一般的に傍聴できない
市民オンブズマン:情報公開条例の趣旨に基づき公開すべきでは 
名古屋城総合事務所:説明会ごとに適宜検討する
市民オンブズマン:情報公開条例36条に反するのでは
名古屋城総合事務所こむら:この会議は36条適用のものではない
市民オンブズマン:7/24に開催した4社との不平等になるのではないか
 名古屋市がマスコミ・傍聴者の前で技術紹介した。
 次回仮に非公表になる場合、4社と不平等ではないか
名古屋城総合事務所:取材についてメディア入る入らないは適宜判断する
 取材の有無は事実だと思うが、それがすぐに平等性を欠くとは思っていない
市民オンブズマン:次回メディアがいないと企業は納得しているか 
名古屋城総合事務所:企業とは密接に調整する
 開催趣旨をご理解していただきたい。
 企業様の真意はわからない。
市民オンブズマン:マスコミには第2回の日時は公表していないのか
名古屋城総合事務所:適宜判断する。公表は義務づけられない。
市民オンブズマン:いつだれが開催と非公開を決めるのか
名古屋城総合事務所:名古屋市として開催の事務を行う
 内部の担当者だけが決めるわけではない
 意思を決定する中で開催決定を決める
市民オンブズマン:第2回 議事録は公開するのか
 第1回はマスコミにも公表し、議事録もネットで公開されている。
 仮に公開しなければ不平等ではないか
名古屋城総合事務所:合わせて検討する。
 企業の捉え方もある。意見交換をする。開催あり方も検討する
市民オンブズマン:配付資料は公開するか もらえるか
名古屋城総合事務所:公開するかどうか
 お渡しできるか適宜判断する
市民オンブズマン:非公開の場合、参加者は事前に決まっているか
名古屋城総合事務所:会議非公開の場合参加者は固まっているのが一般的
----
バリアフリーに関し、「障害者団体等に丁寧に説明する」と名古屋市は言っており、文化庁からも「バリアフリー 意思そつうはしっかり」と言われたと、河村市長のメモにあります。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181101.pdf

にもかかわらず、どうやって決めたのかわからない「障害者団体」だけを呼んで、「バリアフリー説明会」をする、というのが、今の名古屋市のやり方です。

・(平成30年7月24日開催)特別史跡名古屋城跡バリアフリー説明会における主なご質問・ご感想に対する回答について
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/17_topics/300724_2/index.html


18/11/13(火)愛知県 議会で「名古屋城天守閣木造化に補助実施考えていない」

18/11/13愛知県議会一般会計・特別会計決算特別委員会で、 高木ひろし県議(新政あいち県議団)が名古屋城本丸御殿と名古屋城天守閣復元事業について質問したところ、愛知県は「名古屋城天守閣木造化に補助実施考えていない」と述べました。

高木県議と愛知県振興部観光振興課主幹のやり取りを、愛知県振興部観光振興課に18/11/14に電話で以下確認しました(概要であって、正式には後日公開される議事録を参考にして欲しいとのこと)。
-----
高木:名古屋城本丸御殿整備費補助金に対する補助額の総額はいくらか。
主幹:10年間で約9.6億円の補助を行った。
高木:名古屋市は本丸御殿に続いて天守閣の整備もしようとしている。助成をする考えはあるのか
主幹:再建計画においては入場料収入等で事業費をまかなうとあり、県の補助金は見込まれていない。
 また税金投入も予定しておらず、補助の実施は考えていない。
 しかし補助が必要になるのではないかという話しもあるので、今後の推移を見守りたい。
高木:本丸御殿のときの状況は大幅に違う。慎重に推移を見守ってもらいたい。
 もし要請があったとしても慎重に対応すべきと考える。
 

------
名古屋城天守閣木造復元は、建設費だけで505億円、利子が約101億円管理運営費が50年間で約276億円、その他を含めると約979億円にも及ぶ巨大事業です。

16/4/22 名古屋市議会経済水道委員会説明資料
天守閣木造復元整備にかかる財源フレーム(案)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/160422.pdf

名古屋市が三菱UFJリサーチアンドコンサルティング(株)名古屋に委託した「名古屋城天守閣木造復元に向けた調査業務委託」によれば、2017年度〜2071年度の55年間の収支予測は基本で▲14.67億円。低位で▲64.65億円になります。
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshukaku/03_fukugenjigyo/dwl/29chousakekka.pdf 


名古屋城天守閣木造化の基本設計予算を認めた際の17/3/22市議会委員会付帯決議では、「事業の意義について国や県の理解を得て補助金を確保する」とありましたが、それも出来ない見通しです。

・17/3/22 名古屋市議会経済水道委員会付帯決議
 名古屋城天守閣木造化・空見地区新展示場調査費について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170322-4.pdf

また、現時点では文化庁の許可が出る見通しが立っていませんが、製材した木材の保管費が年1億かかる見込みです。
にもかかわらず、樹齢300年以上もの木を18/11/19-20にも伐採しようとしています。

愛知県の補助実施が見込めない以上、抜本的に計画を変更する必要があります。

--------

18/11/7(水)名古屋城天守閣木造化は座礁寸前 2022年12月完成はほぼ望みなし 一刻も早く計画の全面見直しを

 河村たかし名古屋市長が2022年12月完成をめざして強引に推し進めてきた名古屋城天守閣木造化ですが、目標としてきた2018年10月文化庁文化審議会の許可取得断念表明で、市は早急な計画の見直しを迫られています。

名古屋城天守木造化未解決の5つの課題

 建設費用だけで505億円、利子100億円、維持費を含めると今後55年間で約940億円の名古屋城天守閣木造化プロジェクト。論点を簡単にまとめてみました。いずれも解決していません。
@需要予測・収支計画は妥当か
A文化財である石垣保全は可能か
B各種法令を遵守できるか(バリアフリー、消防、地震対策)
Cそもそも現天守を壊して木造化する意義があるのか
D情報を公開し、市民の意見を聞いているか

しかし市議会は木材製材契約94億円可決


上記問題は以前から何回も言われているにもかかわらず、名古屋市議会経済水道委員会は18/7/3に木材製材費94億5000万円の契約を自民・民主・公明・減税の賛成で可決してしまいました。
 特別史跡名古屋城は、文化庁の現状変更許可がなければ、釘一本打つことは出来ません。
 今回文化庁はなぜ名古屋市からの資料すら受け取らなかったのか。上記5つの点につき、数多くの情報公開請求と、市議会委員会・天守閣部会・石垣部会傍聴の結果さらに理解が深まったため、以下まとめてみました。

入場者予測基本シナリオでは14億円赤字

 18/6/27にようやく開示された収支計画では、基本シナリオで約14億円赤字です。しかも、これは階段のみつけた場合で、名古屋市が言う「新技術」によって障害者らが上り下りすることを考えていません。さらに、市は自ら「ブームが去ることを懸念している」と認めています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180627zenbun.pdf

搦手馬出石垣 解体だけで10年以上 天守台石垣はさらに大規模

 18/7/13特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会(第28回)が開催されました。
 名古屋城にある天守台石垣とは別の「搦手馬出」の石垣は、現在解体作業中ですが、10年以上かかっています。来年度から積み直しを行う予定ですが、マンパワーと資金不足で今後積み直しが完了するまで何年かかるかわかりません。
 石垣部会の委員は「天守台石垣は危機的状況。にもかかわらず名古屋市は『安定している・やや不安定』という記述にとどまる。このまま文化庁に資料を提出するつもりか」としました。
 
竹中工務店 地震対策のため、石垣内部に 「はね出し架構」提案

 18/7/19に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第12回)が開催され、名古屋市は、文化庁復元検討委員会資料(追加項目)を提出しました。
 その中で、竹中工務店から、木造天守閣が大地震に耐え、さらに現在の石垣に負担をかけずに復元天守閣の加重を支持するため、現石垣の中に「はね出し架構」という基礎構造を作ることが提案されました。
 名古屋市は「はね出し架構を作る際、おそらく石垣を解体することになるが、戦後に積み直した部分で押さえたい」としました。
 天守閣部会は「石垣と石垣の木造天守閣の接点の部分は難しいので石垣部会に任せたい」とし、その他部分は了承しました。

「認識の一致を見ない」石垣の問題は2点
@現石垣をどう保全するか A基礎構造の「はね出し架構」は史跡を破壊する


 名古屋城跡は史跡の中でも特に重要な「特別史跡」です。その重要な位置を占めるのが、石垣であり堀です。しかし、これまで名古屋市が石垣について十分な管理を行ってきてこなかったこと。また天守台の北面石垣にはらみや内部に空洞が見られ、最近の調査で西面の石の半数以上に亀裂や剥離が見られるなど危険な状態であると、石垣の専門家である「石垣部会」が再三指摘してきました。また昭和の天守閣復元時に大量に注入したモルタルが石垣の維持に影響を与えていないかどうかきちんとした調査が必要なことも指摘されています。
 名古屋市は、天守閣復元をした後に石垣を修理するつもりだとしています。
 これまで、昭和の天守閣復元時に、外側の石垣の多くを取り外し、内側の穴蔵石垣をほとんど破壊したと考えられてきました。しかし近年名古屋市が行った天守台石垣調査で、外側の石垣の少なくとも端は一番上まで江戸時代からの石垣であること。内側の穴蔵石垣も一部遺構が残っている可能性が名古屋市から示されました。
 18/11/2石垣部会では、石垣有識者は「現天守を壊す、壊さない、木造天守閣を建てる・建てないにかかわらず、@石垣保全方針を示す、A石垣を保全する は譲れない」「名古屋市でとりまとめたとされる天守閣復元案の詳細は承知していないが、少なくとも江戸時代の遺構を破壊する基礎構造である『はね出し架構』は断じて認めないし、一般論として文化庁も認めないだろう。現実離れしている。」としました。

ガラス張り避難コア・避難コア作らずと市

 18/6/28に名古屋市議会経済水道委員会が開催されました。
 江上博之市議(共産)が技術提案書で示された防災計画と避難階段について現在どうなっているか質問したところ、名古屋市は「防災計画について、竹中工務店から技術提案の段階では中央にガラスによる避難コアを設けて、新たに避難階段を設置するという提案をいただいたが、天守閣部会で『史実に忠実ではないのではないか』という意見ををいただいたので、取りやめをしている」と答弁しました。

いまだに建築基準法適用除外・日本建築センター防災評定・総務大臣緩和・市消防庁の同意取れず

 木造5階建ての建造物を作成するには、名古屋市建築審査会の、「建築基準法の適用除外」を受ける必要がありますが、いまだに議題にすら上がっていません。
 仮に適用除外を受けたとしても、日本建築センターの防災評定で「建築基準法同等の安全性」を受ける必要が、また、消防設備等については、「総務大臣の認定による緩和」が、火災予防条例については、名古屋市消防長の同意を得ることが必要ですが、いまだにいずれも完了していません。
果たしてガラス避難コア・避難階段なし、非常用エレベーターなしで、建築基準法で定められている二方向避難と同等の安全性が確保されるのか不明です。

エレベーター未設置方針で、県審議会が再考を要望

 愛知県の公的な審議会である「愛知県障害者施策審議会」が、名古屋市が名古屋城天守閣整備事業においてエレベーターを設置しない方針を示したことに対し、18/10/2に再考を求める要望書を名古屋市長あてに提出しました。県によれば、同審議会が名古屋市に対して要望書を提出するのははじめてとのこと。http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181002.pdf
 同審議会は、「(障害者権利条約、障害者基本法、障害者差別解消法、愛知県障害者差別解消推進条例の)理念に反し、障害者差別解消法で禁じられている不当な差別的取扱いになるおそれがあると本審議会でも意見が出ております」としています。
 
河村市長文化庁訪問時のメモすら非公開

 河村たかし名古屋市長が18/6/13に名古屋城天守閣木造化のために文化庁を訪問した際、「市長が作成したメモ」を名古屋市民オンブズマンが情報公開請求したところ、「公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある」として内容がすべて非公開でした。名古屋市民オンブズマンは、内容の公開を求め、18/10/23に市長に対して審査請求を行いました。
 名古屋市民オンブズマン代表の新海聡弁護士は、「名古屋城をめぐり、いろんな議論があるが、市長のメモがほぼ全面非公開になっているのは非常におかしい。問題を象徴している。メモの内容はほとんど市長自らしゃべっていると思うが、それすら非公開にするとは一体何なんだろうか。『情報非公開はおかしい』と言わないと、情報公開制度はどんどん劣化する。一度非公開にするとずっと非公開になる。河村市長は、自分が興味をもったことについて、非公開にしがちである。
 名古屋城木造化については、賛成・反対の意見があるが、一番コアな部分として、文化庁はなんて言っているのか、市の中でどういう議論がなされているのかがブラックボックスになっている。これでは市民が関心を持つはずがない。いい加減にしろ、ということで今回審査請求を行った。
 文化庁にも情報公開請求を行ったが、『記録を作成していない』と回答が出た。今回、名古屋市は市長のメモを情報公開請求の対象としたことは評価するが、内容が非公開なのはおかしい。
 ただ、情報公開窓口の人に聞いたところ、情報非公開が多く、審査請求が滞留しており、答申が出るまで4年くらいかかるかもという。4年後は2022年だ。冗談じゃない。弁明書が出た段階で、訴訟を起こすなどを考えたい」としました。

市長メモ 審査請求直後に公開

 市長メモの公開を求める審査請求から9日後の18/11/1に名古屋市は「すでに市長が公の場において発言した内容であることから、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるとは認められないため」として、非公開処分を取り消し公開しました。
名古屋市民オンブズマンは「審査請求後に慌てて取り消すくらいなら、はじめから公開すれば良かったのに。市は『市民の理解を得る』というのなら全ての情報を一刻も早く公開すべき」としました。

文化庁「現天守閣を壊してまで木造化する意義は?」

 公開された市長メモには、A今天守解体する 工法やりかた 史跡をいためない 今の天守の価値評価はきちんと」とあり、現天守の価値を文化庁は高く評価していることがわかります。

「現天守閣を残せ」主張団体 基本設計約8.4億返還を求め住民監査請求

 「名古屋城天守の有形文化財登録を求める市民の会」 158名は、18/9/21に名古屋城天守閣木造化に関する基本設計8億4693万6000円を市が竹中工務店に支払ったのは違法だとして住民監査請求を行いました。
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
18/3/30に竹中工務店が名古屋市に提出した基本設計の成果物2813枚を名古屋市民オンブズマンは情報公開請求しましたが、ほとんど黒塗りでした。
 しかし、「技術提案・交渉方式」プロポーザル募集時の「業務要求
水準書」で「基本設計の段階で文化庁における『復元検討委員会』の審査をうけ、文化審議会にかけられる」とあるが、いまだに審査結果が出ていないため、基本設計の要件を満たしていないとしています。http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/17_topics/271202/dwl/koubo_03.pdf

 基本設計が未完成で、実施設計契約も無効であれば、計画の遅延が発生するため、本件事業の停止も求めています。

河村市長2018年10月文化審議会許可断念も「2022年12月」目標取り下げず

 18/10/15河村たかし名古屋市長は定例会見で2018年10月文化庁文化審議会の了承を断念すると述べ、上記までの完成が極めて厳しくなっており、工程案の見直しも具体的に進んでいませんが、依然として「期限を死守する」としています。

最低10か月工程遅れるも、工程案示せず

 しかし、次の文化審議会は2019年5月で、工程は最低でも10か月程度遅れると、18/10/30名古屋市議会経済水道委員会で市は認めました。市は「文化審議会の許可のめどが立っていない以上、竹中工務店は工程案を作れないと言っている」としました。
 市長は「石垣部会から文化財石垣保存技術協議会と石垣保全方法を相談して欲しいと言われた」としていますが、当の石垣部会は 「マンパワーの問題として、修理の考え方、データの取り方などのトレーニングを、先行事例を知っている方にオブザーバーとして聞いてはどうか、ということ」と、突き放しています。

竹中工務店 契約に基づき木を調達中

 上記5つの問題点は全く解決していないなか、18/11/2天守閣部会において、竹中工務店から木材調達中である旨報告がありました。18/11/6NHK報道によれば、樹齢400年以上のアカマツを岩手県内から伐採するとのこと。
 木材の年間保管料だけで約1億円かかるといいます。
 
全面的計画見直しを

名古屋市民オンブズマンは過去様々な公共事業をチェック・追及してきましたが、今回の名古屋城木造復元ほど、ずさんで見通しの立たない事業は見たことがありません。現状では、数年間程度期限を延ばせば完成する、というものではなく、木造天守閣を着工できる見通しは全く立っていないというのが現状です。
 これも、河村市長が15/8/24に当時の市民経済局長に出した指示書「全責任は私が取る」が原因です。
 一刻も早く2022年12月目標の断念を宣言し、善後策を検討すべきです。2022年12月断念宣言が遅れれば遅れるほど、傷は深まり、市民への負担は増します。
 18/10/17朝日新聞によれば、「市長は2019年4月の統一地方選挙が終わるまでは強気を続けるだろう」としています。名古屋城を政争の具にすることは許せません。

18/11/2(金)石垣部会委員「名古屋市は『名古屋城天守台石垣は江戸時代からのもの』と認めた。 木造天守建設のためのはね出し架構で石垣を壊すのは現実離れ」

名古屋市は、18/11/2に名古屋城天守閣部会と石垣部会を開催しました。

・18/11/2 第13回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会 配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181102-1.pdf
・18/11/2 第13回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会 配付資料3
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181102-2.pdf
・18/11/2 第29回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会 配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181102-3.pdf

・18/11/2 第13回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会
 名古屋市民オンブズマン作成メモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181102-4.pdf
・18/11/2 第29回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会
 名古屋市民オンブズマン作成メモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181102-5.pdf
・18/11/2 名古屋城石垣部会+名古屋市記者会見
 名古屋市民オンブズマン作成メモ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181102-6.pdf
  
--------
天守閣部会の瀬口座長は、「7月19日に天守閣部会で天守閣復元に係る基本計画書(案)を諮り、『天守閣部会に関する内容については了承される』が、石垣に関しては石垣部会の了承を得るよう指摘される」とあるが、『木造化に関して了承したが、石垣を含めた全体は了承していない』のであって、上記記載だと曖昧だ。
木造と石垣の接点について了承していない」と、相変わらず無責任な発言を行いました。
午後、まさに木造部分と石垣をつなぐ「はね出し架構」が問題になったのですが、そこを天守閣部会の委員がどれほどまで意識されていたかはわかりません。

天守閣部会は、相変わらず「史実ではどうだったか」の細かすぎる議論をしています。
ただ、最後に階段の1段ずつの高さについて、史実が正確にはわからないと竹中工務店が報告した際に、意見が活発になりました。
川地正数・川地建築設計室主宰は「階段は唯一避難施設として使う施設。設計者としては階段の踏みはじめと踏み終わりの高さを変えることはあり得ない。安全性という意味では、場合によっては高さをならしてはよいのではないか」としました。
古阪秀三・立命館大学客員教授も「震災が起こる可能性が高い。どこまで史実に忠実にするか。安全にするか。文化庁が全部判断するのか。京都は文化財がいっぱいあり、犠牲にすることとそのままの判断は文化庁はせず京都市が行う。
同様に名古屋市が行うことではないか。この天守閣部会で行うのではないか。
特に石垣について、直下型地震が来た場合、石垣は持つのか。『史実に忠実に』は自然現象が来たらどうするか。名古屋市民のために安全を確保すべき」としました。

瀬口座長は、西野所長に考えを聞き、西野所長は「基本設計・実施設計に進むにつれ、具体的な内容にしている。案を出して先生からご意見を頂き、それを踏まえて作っていく。審議頂いたものを名古屋市の案として文化庁に示したい」としました。

西形達明・関西名誉教授は「地階穴蔵の安全性について、この状態で復元していいのか。熊本の地震を踏まえ、ぜひ検討して欲しい」としました。

なお、竹中工務店から、木材調達について報告がありました。
 柱、梁 ひのきの長尺は全国からほぼ完了している。名古屋城は木曽ヒノキを使われた経緯があり、困難だが木曽地方、裏木曽との調整を行っており、できるだけ使用できるようにしたい。梁 まつ 岩手県を中心に調達。 柱 けやき 国産7年貯木。ベイヒバ 長尺太い3本を考えていたが、国産まつ材でできそう。土台 断面が小さいものは国産材を検討。
--------
続いて、午後に石垣部会が開催されました。

石垣部会の宮武正登・佐賀大学教授は「資料に『地元有識者とまだ認識の一致を見ていない』とあるが、これはどういうことか。文化庁が発言したのであれば『 』で書いて欲しい。部会の認識が足りないようにも読める。地元有識者の意見がいまだに反映されていない、と読んでよいか。
天守台石垣については、@石垣保全方針を示す A石垣を保全する の2点は譲れない。現天守閣を壊す壊さない、木造天守閣を建てる建てないとは別。損なわれた穴蔵部分の石垣の復元を検討する。また、それを損なう木造天守閣の基礎構造なのかどうかが重要だ」としました。

石垣部会の千田嘉博・奈良大学教授は「今後の進め方に『特別史跡の保存に影響を与えない基礎構造の検討 調査研究の結果を踏まえ、必要に応じて見直しを行う』とあるが、考え方が根本的に間違っている。
名古屋市で天守閣復元案をとりまとめたと伺っており、どういうものかわからないが、少なくとも江戸時代の遺構を破壊する基礎構造である『はね出し架構』は断じて認めないし、一般論として文化庁も認めないだろう。現実離れしている。
何回も部会・ワーキンググループで指摘し、文化庁でも指摘されているのになぜ残っているのか。名古屋市は本当は木造天守閣を建てるつもりはないのか」としました

北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長も「名古屋城は『特別史跡』と、全国にある史跡の中でもトップ。本質的価値は縄張り、特に石垣、堀にある。地下に埋蔵されている遺物・遺構も当然含まれる。石垣の確実な現状の保存、現遺構の価値の一切を傷つけることなく、次世代に継承するという条件が名古屋城には付加されている」としました。

しかし名古屋市はコメントを発することなくスルーしました。

千田教授・宮武教授は議事を遮って抗議したところ、西野輝一・名古屋城総合事務所所長は
「本質的価値を傷つけずに次世代に継承するのは重要なテーマ。天守台石垣の状況からして木造復元と関係なく、保全と旧態の復元をしっかりとやっていく。今後石垣保存については文石協と相談する。基礎構造について問題があるとの指摘は重々承知している。」としました。
 
その後、名古屋市が調査した石垣の報告がなされました。
また、午前中まで天守閣部会にいた、関西地盤環境研究センターの西形達明顧問と相談を行った結果の「石垣背面構造の検討事項について」が報告され、議論になりました。

資料の中で、名古屋市が調査した石垣カルテの途中経過が示されました。
当初、天守台石垣(外側)は上部はすべて取り外し、新しい石垣を積み直したと名古屋市は考えてきましたが、今回の石垣カルテでは、隅角部の石垣は最上部まで宝暦期(江戸時代)のものであった可能性が高いとされました。

千田教授は「隅角部の石は宝暦期のものであり、江戸時代の本質的価値が残っている。毀損することができないことが明らかになった。
木造復元に関し、基礎構造の部分が成り立たない。『必要に応じて見直す』は成り立つ余地がない。名古屋市はかなり深刻に考えるべき」としました。

また、石垣内部のスコープ調査で、昭和の現天守閣建築時に、大規模に石垣にモルタル注入しており、さらに石垣内部でモルタルが下部にたれていることがわかりました。

石垣部会の委員は、「天守台石垣は極めて危機的な状況であり、他城郭でもあったように、石垣の内部からの崩落がおきかねない」としました。
  

-------
その後の石垣部会の記者会見で、石垣部会委員は上記指摘を繰り返しました。
記者から「2022年工期目標は守られると思うか」という質問が出ましたが、北垣名誉所長は「石垣の本質的価値の議論のみ行っている。工期が遅れるかどうかの議論は少し違う。今のご質問には答えられない」としました。

はね出し架構について記者から聞かれ、千田教授は「部会としてはコメントはない。本物の石垣が最上部まで残っているので、次の世代までどう残すかが特別史跡の基本的な考え。文化庁は本物の遺跡を壊して整備する、ということは認められない。名古屋城もその枠組みを踏まえてほしい」としました。

また、記者からは「名古屋市は文石協のアドバイスを年末までもらう、と言っているが」という質問に対し、「文石協に聞く以前の問題。マンパワーの問題として、修理の考え方、データの取り方などのトレーニングを、先行事例を知っている方にオブザーバーとして聞いてはどうか、ということ。そもそも12月までに資料がそろえられるのか」としました。

--------
その後、名古屋市が記者会見を行いました。
西野所長は「基礎構造の『はね出し架構自体が価値を損なう」というのは千田先生個人の意見だと認識している。特別史跡の価値を損なうような木造復元はできない。必要な見直しはしていかないといけない。価値を損なうような案になると名古屋市が結論を出せば見直す。石垣保存の計画を立てる中で検討すべきことだ。今後のスケジュールはなにも示せない。来年5月文化審議会の許可を得るには、来年3月復元検討委員会、来年1月石垣部会了承を得ないと。具体的にできるかどうかなにもお示しできない」としました。

------------------------------
石垣部会を傍聴していた人は全員、「このままでは木造復元自体到底出来ない」と感じました。
昭和の現天守を作る際、
・穴蔵部分(内側)の石垣は全て破壊して積み直した
・天守台石垣(外側)は上部は取り外し、新しい石垣を積み直した
と名古屋市は以前は考えていましたが、今回調査を進めるにつれ、以下のことが判明したのです。
・穴蔵部分の石垣・遺構は一部残っている可能性が高い
・天守台石垣(外側)は上部まで江戸時代のものである可能性が高いと名古屋市が言明

穴蔵部分の石垣は、江戸時代のものが一部そのまま残っている可能性が高いにも関わらず、木造天守を作る際、「はね出し架構」というコンクリート構造物を新たに作り、穴蔵部分の石垣・埋蔵物をすべて破壊する、という計画をたてています。だから、千田先生は「江戸時代の遺構を破壊するはね出し架構は断じて認めないし、一般論として文化庁も認めないだろう」としているのです。

一方、大地震に耐えるだけの木造天守を支えるには、「はね出し架構」は必要不可欠であると、竹中工務店はしています。
それ以外の提案は現時点ではありません。

自治体の開発に際して行う発掘調査で、過去の貴重な遺物が発見され、開発自体がストップした事例は多くあります。
名古屋城も、このまま「2022年12月木造天守閣完成」という、現実離れした目標を一刻も早く取り下げ、今後どうすればよいか真摯に協議を開始すべきだと考えます。


18/11/1(木)名古屋城木造化 市長が作成した文化庁訪問時のメモ 非公開取消し公開

河村たかし名古屋市長が2018年6月13日に名古屋城天守閣木造化のために文化庁を訪問した際「市長が作成したメモ」非公開処分に対し、10月23日に審査請求した件で、本日11月1日に名古屋市は非公開処分を取り消し公開しました。

・平成30年11月1日 行政文書一部公開決定の取消し及び当該取消しに係る公開決定について(通知)
・平成30年6月13日文化庁訪問時に市長が作成したメモ(今回開示された文書)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181101.pdf

一部公開決定を取り消し、公開とする理由:一部公開決定において非公開とした内容は、すでに市長が公の場において発言した内容であることから、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるとは認められないため、公開することとします。


---------
なお、特別秘書に確認したところ、@〜Cは文化庁の発言を市長がまとめたもの、Dは市長の意見とのこと。
特別秘書によれば、「18/6/13以外のときに市長が文化庁訪問時にメモをしていたかどうか記憶にない。少なくとも6/13しか市長からメモをもらっていない」としました。

以下、読みやすいように特別秘書に内容を確認したあと、名古屋市民オンブズマンが打ち直しました。
※18/11/2注記 Cバリアフリー ですが、特別秘書に確認した際「意見そつう」と特別秘書が言いましたが、18/11/2に特別秘書と市長室秘書課から連絡があり、「市長が当該メモに関する新聞記事を読んだが、当該部分は『”意思そつう”と書いた』とのことなのでweb記載を訂正してほしい」とのことなので、経緯を記載して訂正いたします。
-----
    10:00〜10:30
6/13 文化庁 山崎部長、大西課長、圓入課長

 @石がき調査
  着実に進める、結果を出す

 A今天守解体する
  工法やりかた 史跡をいためない
  今の天守の価値評価はきちんと

 B新天守作るとき
  史跡をいためない

共有させて頂きたい
キャチボール対応
(天守部会、石がき部会、)
地元の学術部会が了として文化庁にあげる

Cバリアフリー
 意思そつうはしっかり

D世界にアピール、 タイミング

--------
名古屋市民オンブズマンコメント
 市民が審査請求を行った後にあわてて処分を取り消すくらいなら、はじめから公開すればよかったのに。今回のメモだけでなく、名古屋城木造化をめぐっては市民に情報が公開されていない。市が名古屋城木造復元事業について「市民の理解を得る」というのなら、今回のメモに限らずまず全部の情報を一刻も早く公開すべきだ。

--------
なお、10月23日に提出した審査請求は、11月1日付けで取り下げました。
・審査請求書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181023.pdf
・市長メモと開示決定
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180905.pdf

------
18/6/14朝日新聞報道によれば、「面談後、河村氏は『文化庁もアイデアを出すから、協力しながら進めましょうということ(になった)」とあります。
https://www.asahi.com/articles/ASL6F51YJL6FOIPE01P.html
しかし、市長メモにはそのようなことは記載されておりません。

18/6/13文化庁訪問には、名古屋市からは市長、特別秘書、東京事務所長、名古屋城総合事務所長が出席しており、名古屋城総合事務所長は復命書に内容を記載していますが、いまだに非公開のままです。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180903-1.pdf

名古屋城をめぐっては、いまだに多くのことが市民に公開されていません。
客観的に見れば、2022年12月完成は絶望的ですが、今後どうすべきか、資料を全て公開した上で市民が判断できることを望みます。


18/10/31(水)文化庁 名古屋城に関して名古屋市と面談した内容・持参資料を「保有していない」

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城天守木造復元に関して名古屋市が文化庁に面談した際の内容、名古屋市持参資料を文化庁に対して情報公開請求しましたが、18/10/29づけで「不存在」決定がでました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181029.pdf

☆不存在(当該文書を保有していないため)
・18/6/13に開催された、名古屋城天守木造復元に関して名古屋市と文化庁が面談した際の内容がわかるもの
・18/6/13に開催された、名古屋城天守木造復元に関して名古屋市と文化庁が面談した際の、名古屋市持参資料
・18/7/20に開催された、名古屋城天守木造復元に関して名古屋市と文化庁が面談した際の内容がわかるもの
・18/7/20に開催された、名古屋城天守木造復元に関して名古屋市と文化庁が面談した際の、名古屋市持参資料
・18/7/26に開催された、名古屋城天守木造復元に関して名古屋市と文化庁が面談した際の内容がわかるもの
・18/7/26に開催された、名古屋城天守木造復元に関して名古屋市と文化庁が面談した際の、名古屋市持参資料
・18/8/15に開催された、名古屋城天守木造復元に関して障害者らの市民団体と文化庁が面談した際の内容がわかるもの

☆一部開示
・18/8/15に開催された、名古屋城天守木造復元に関して障害者らの市民団体と文化庁が面談した際の、障害者らの市民団体持参資料

----
なお、もとむら 伸子衆議院議員(共産)は、2018/10/26に文化庁に名古屋城天守閣木造化問題で聞き取りを行ったとのこと。
http://motomura-nobuko.jp/2018/1101-170944.html

18/10/30(火)名古屋城木造化 名古屋市・竹中工務店は工程案を示せず

18/10/30に名古屋市議会経済水道委員会が開催されました。
・配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181030.pdf
・名古屋市民オンブズマン 自動文字起こしアプリによる文字起こし)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181030-1.pdf

名古屋市が2018年10月文化審議会の許可を断念してからはじめての市議会委員会でした。
今回も市議会は追及はしましたが、市はきちんと回答をしませんでした。
市議も、重要な問題点をあまり理解していなかったのではないかと思います。

現状まとめ
・2022年12月までに木造天守閣復元が契約で定められている
・必須だった2018年7月文化庁復元検討委員会、2018年10月文化審議会の許可は得られなかった。
・2019年5月文化審議会の許可が得られるか不明 上記で許可が得られても工期は7か月遅れる。
・文化庁は「石垣部会の同意を得て」と言っている
・石垣部会は「まず石垣調査、保全措置を」としている
 →名古屋市は文化財石垣保存技術協議会に相談中
・石垣部会は「はね出し架構で石垣部会を壊す、天守を作ってから石垣を修復するという考え方が基本的に認められない」としている
 →上記について名古屋市は「文化財石垣保存技術協議会と相談する」とは述べていない
・竹中工務店は「文化庁の許可の見通しが立たないと、工程案は作れない」と拒否
・木材 保管料は年間1億。2018年6月に契約済み
・文化庁 障害者団体と協議会を設置して説明をし、理解を得よと要望
・愛知県障害者施策審議会から「県条例違反のおそれ」と要望

特に、現天守閣の地下に埋まっているケーソンとは別に「はね出し架構」という新たな構造物を作り、現在の石垣・地下遺構を壊す計画は石垣部会は認めない、としている点は、まったく歩み寄りの余地がないように思えます。
「特別史跡」名古屋城の石垣を壊す計画を石垣部会・文化庁が認めると本当に名古屋市は思っているのか。
上記の問題をどうして市議がもっと問題視しないのか大変疑問です。
市民にも、この点が木造天守閣復元と石垣をめぐる最大の問題であると伝わっていないのが大変残念です。


また、今後文石協(文化財石垣保存技術協議会)の助言を得るようですが、そこでもっと調査を、と言われる可能性が高いです。

2022年12月の完成は無理だ、とどうして市は認めないのか。早めに認めた方がやりようもあると思うのですが、認めずにずるずると引き延ばすと傷がさらに大きくなります。

なお、18/11/2に天守閣部会と石垣部会が開催されます。
ぜひ傍聴下さい。
-----
11/2(金)10時- 第13回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会
開催日:平成30年11月2日(金曜日) 
開催時間:午前10時から正午まで(予定) 
開催場所:名古屋能楽堂 会議室 
議題(会議の公開・非公開の別)
・復元天守の寸法の分析について(公開) 
傍聴について
1 傍聴定員 一般傍聴者は10名
2 傍聴手続 会議当日、開催場所の会議室入口にて先着順で受け付けます。一般傍聴者については定員に達した時点で手続きを終了します。 
その他 撮影等 座長の許可があれば出席者紹介まで可 
http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2018/kankobunkakoryu/0000110993.html

------
11/2(金)13時- 第29回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会 

開催日:平成30年11月2日(金曜日) 
開催時間:午後1時00分から3時00分 
開催場所:KKRホテル名古屋 4階 福寿の間 
議題(会議の公開・非公開の別)
・搦手馬出石垣の整備について(公開)
・名古屋城内石垣のカルテについて(公開)
・天守台石垣の調査について(公開)
  ・発掘調査について
  ・石垣現況調査について
・天守台周辺発掘調査 追加調査について(公開)ほか 
傍聴について:会議当日、開催場所の会議室入口にて先着順で受け付けます。一般傍聴者については定員に達した時点で手続きを終了します。 
その他:座長の許可があれば、撮影等は出席者紹介まで可。 
http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2018/kankobunkakoryu/0000108553.html

----
今後の予定
・11/2(金)10時- 天守閣部会
      13時- 石垣部会
      15時- 平成30年度第4回名古屋市建築審査会 (名古屋城議題無し)
・11/14(水)ごろ 名古屋市11月補正予算編成過程の公開
・11/20(火)まで 住民監査請求の結果発表
・11/21(水)   名古屋市議会11月定例会開会


18/10/24(水)名古屋城木造化 基本設計8.4億返還を求め住民監査請求意見陳述

「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」は、名古屋城天守閣木造化のための「基本設計」が未完成にもかかわらず名古屋市が竹中工務店に約8億4000万円支払ったのは違法だとして18/9/21に住民監査請求を行っています。
18/10/24に意見陳述を行いました。監査委員からの質問はありませんでした。

・陳述内容、当日配付資料1、2
 
https://drive.google.com/drive/folders/1z0a_OZOKl6BjWp9mgIMw87uR4_MGEWp5
・陳述後の記者会見動画  
 http://bit.ly/2JdAOlY

陳述人の森さんによれば、「業務要求水準書」で「基本設計の段階で文化庁における『復元検討委員会』の審査をうけ、文化審議会にかけられる」とあるが、いまだに審査結果が出ていないため、基本設計の要件を満たしていないとしています。
基本設計が未完成で、実施設計契約も無効であれば、計画の遅延が発生するため、本件事業の停止を求めています。

また、当日配布した追加証拠で、2018年3月に完成されたとされる「基本設計説明書」は、2017年12月に公開された「構想案」とほぼ同じにも関わらず黒塗りされており、不整合な事務が行われている蓋然性が高いとしました。

納品物に対する誤認を引き起こしたのは、観光文化交流局職員が超過勤務をしすぎているためだとしています。

名古屋城天守閣木造化について、当初は2020年東京オリンピックにあわせて事業者のプロポーザルがなされたにもかかわらず、現在は2022年になり、それすらも危ぶまれているため、2022年にこだわる理由はないとしました。
監査決定は18/11/20までに出る予定です。

--------
今後の予定
・10/30(火)13時- 名古屋市経済水道委員会 特別史跡名古屋城跡天守閣整備事業の進捗状況について(観光文化交流局関係)
・11/2(金)15時- 平成30年度第4回名古屋市建築審査会 (名古屋城議題無し)
  / ( )
・11/14(水)ごろ 名古屋市11月補正予算編成過程の公開
・11/20(火)まで 住民監査請求の結果発表
・11/21(水)   名古屋市議会11月定例会開会


18/10/23(火)名古屋城木造化 河村市長文化庁訪問時の直筆メモ 公開を求め審査請求

河村たかし名古屋市長が2018年6月13日に名古屋城天守閣木造化のために文化庁を訪問した際、「市長が作成したメモ」を名古屋市民オンブズマンが情報公開請求したところ、内容がすべて非公開でした。
名古屋市民オンブズマンは、内容の公開を求め、18/10/23に市長に対して審査請求を行いました。

・審査請求書
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181023.pdf
・市長メモと開示決定
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180905.pdf
 

・記者会見内容(名古屋市民オンブズマン作成)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181023-1.pdf

名古屋市民オンブズマンはこれまで名古屋城木造化をめぐり多数の情報公開請求をしましたが、内容についてほとんどが真っ黒でした。
名古屋市民オンブズマン代表の新海聡弁護士は、「名古屋城をめぐり、いろんな議論があるが、市長のメモがほぼ全面非公開になっているのは非常におかしい。問題を象徴している。
 メモの内容はほとんど市長自らしゃべっていると思うが、それすら非公開にするとは一体何なんだろうか。
 『情報非公開はおかしい』と言わないと、情報公開制度はどんどん劣化する。一度非公開にするとずっと非公開になる。
 河村市長は、自分が興味をもったことについて、非公開にしがちである。
 名古屋城木造化については、賛成・反対の意見があるが、一番コアな部分として、文化庁はなんて言っているのか、市の中でどういう議論がなされているのかがブラックボックスになっている。これでは市民が関心を持つはずがない。いい加減にしろ、ということで今回審査請求を行った。
 文化庁にも情報公開請求を行ったが、『記録を作成していない』と回答が出た。今回、名古屋市は市長のメモを情報公開請求の対象としたことは評価するが、内容が非公開なのはおかしい。
 ただ、情報公開窓口の人に聞いたところ、情報非公開が多く、審査請求が滞留しており、答申が出るまで4年くらいかかるかもという。
 4年後は2022年だ。冗談じゃない。弁明書が出た段階で、訴訟を起こすなどを考えたい」としました。
 
名古屋市民オンブズマンの内田隆氏は「これまでありとあらゆる名古屋城関係の情報を公開請求したが、ほとんどが非公開になっている。非公開で行われた石垣部会ワーキンググループの議事録・配付資料も非公開。基本設計の成果物も非公開。文化庁に名古屋城所長が訪問した際の復命書も非公開となっている。これらはすべて名古屋市民オンブズマンのホームページで公表している」としました。


18/10/21(日)名古屋城天守「戦後復興市民のシンボル」にシンポに37人

「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」が18/10/21に名古屋城シンポを行い、37名が参加しました。
・名古屋市民オンブズマン 作成メモ
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181021.pdf


まず、動画「戦後復興のシンボル 名古屋城天守閣の価値」を見ました。
 https://www.youtube.com/watch?v=SYYp0k9zEu8

その後、名古屋城木造天守復元事業の基本設計約8億4000万円の返還を求める住民監査請求を158名が行ったと、住民監査請求人代表の森さんから説明がありました。
基本設計は、文化庁の同意を得て完成するとしていたものが、いまだに同意を得ていないのに名古屋市は「完成」したとし、約8億4000万円の基本設計を竹中工務店に支払ったのはおかしいとしました。
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
https://www.facebook.com/1740949266229351/
11月21日までに監査の結論が出、結果に不満があれば住民訴訟を提訴する方針としました。
今後、10月24日(水)午後3時30分〜名古屋市監査委員室(名古屋市役所東庁舎5階)にて意見陳述を行うのでぜひ傍聴に来て欲しいとのこと。
http://www.city.nagoya.jp/kansa/page/0000110656.html

さらに、一級建築士の高橋和生さんから、「名古屋城天守 漂流」と題し、木造復元事業で現在何が起きているのか、石垣問題と建築基準法の説明をしました。
 石垣問題1 「まず石垣修復」と石垣部会の言うとおりにすると、コンペやり直しになる
     2 文化庁「現天守を壊すなら、現石垣を傷めることなく壊せ」
     3 石垣部会「石垣危険」 市「石垣は安定している」
     4 熊本城は国土交通省がコンクリート天守を長寿命化・耐震改修中
 建築基準法1 竹中はハイテク木造を「付加」する案を示した
      2 しかし名古屋市は自ら竹中との契約を破った
      3 「安全」の適用除外はない。    
どうしてこうなったかは、2015年8月24日に市職員に出された河村市長の指示書のせいだとし、今後「有形文化財登録を求める会」として「現天守こそ本物」と言い続けるとしました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181021-1.pdf

会場からは、会の運営に対しての意見や、今後石垣をどうすれば良いのか、文化庁の方針はどうなっているのかなどの意見がでました。

名古屋市民オンブズマンの内田隆は、「これまで名古屋城関係で情報公開請求を多数行ってきたが、ほとんどが真っ黒で何が書かれているかさっぱりわからない。18/6/13に河村市長が文化庁を訪問したときに市長自らが作成したメモが、情報公開請求の対象となったが、残念ながら内容は全て非公開となった。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180905.pdf
開示を求めて18/10/23に審査請求するつもり」としました。

18/10/19(土)「名古屋城木造復元発注者支援業務」成果物 ほとんど非公開

名古屋市民オンブズマンは、「名古屋城木造復元発注者支援業務」成果物を情報公開請求し、18/10/19に17,720円かけて入手しました。

しかし、内容はほとんど非公開でした。
かろうじてわかることは、発注者支援業務を受注している(株)安井建築設計事務所は、きちんと仕事をしている、ということです。
努力の結果、現天守閣の価値がよく分かるようになっています。各地のお城の復元状況、どうすればエレベーターをつけることが出来るかも調査されています。
ただ、せっかくの成果物を市民に公開せず、しかも膨大な手間をかけるも、根本的な政治的方針の誤り(石垣修復を後回しにし、天守閣を先に行う。バリアフリー法を無視しエレベーターをつけない など)で、天守閣整備事業は膠着状態に陥っています。

開示された資料が参考になれば幸いです。
また、カンパも募集中です。
http://www.ombnagoya.gr.jp/kannpa.htm
----
平成29年度「名古屋城天守閣整備事業に係る発注者支援業務」に関する成果物(電子データを希望)
・業務報告書(業務計画書、各種協議報告書、技術資料等を含む。)
・打合せ記録
・単価等調査報告書(見積書等を含む。)
・価格交渉等の記録及び公表資料
・会議等の資料、議事録(音声データを含む。)
・現天守閣の価値評価に係る協議資料案
・その他業務上、監督員が必要と認めたもの

上記成果物を収受した日時がわかるもの

・決定書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019.pdf

(A)従業員等の氏名等に関する部分については、特定の個人を識別することができるもののうち、通常他人に知られたくないと認められるため(名古屋市情報公開条例第7条第1項第1号)、非公開とします。
(B)株式会社竹中工務店等の保有する独自の技術等に関する部分は公にすることにより、法人の通常有する競争上の利益が損なわれると認められる(名古屋市情報公開条例第7条第1項第2号)、非公開します。
(B')行政文書に押印されている代表者員は、法人の内部管理に関する情報であって、公にすることにより、当該法人が明らかに不利益を与える可能性があるため(名古屋市情報公開条例第7条第1項第2号)非公開とします。
(C)文化庁等との協議内容に関する情報については、当該情報が公開されることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるため(名古屋市情報公開条例第7条第1項第4号)、非公開とします。
(D)工事費の積算等及び株式会社竹中工務店等との会議に関する部分は、公にすることにより、名古屋城天守閣整備事業に関する事務の公正又は適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報を含むため(名古屋市情報公開条例第7条第1項第5号)、非公開としています。

※議事録の音声データにつきましては、特定の個人を識別することができるもののうち、通常他人に知られたくないと認められるため(名古屋市情報公開条例第7条第1項第1号)及び名古屋城天守閣整備事業に関する事務の公正又は適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報を含むため(名古屋市情報公開条例第7条第1項第5号)、非公開とします。

業務報告書(業務計画書、各種協議報告書、技術資料等を含む。)
1)業務報告書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-1.pdf
2)成果品内容
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-2.pdf
3)業務記録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-3.pdf
4)6月業務報告書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-4.pdf
5)7月業務報告書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-5.pdf
6)8月業務報告書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-6.pdf
7)9月業務報告書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-7.pdf
8)10月業務報告書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-8.pdf
9)11月業務報告書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-9.pdf
10)12月業務報告書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-10.pdf
11)1月業務報告書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-11.pdf
12)2月業務報告書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-12.pdf
13)3月業務報告書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-13.pdf
14)要求水準書及び必須項目確認表
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-14.pdf
15)業務計画書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-15.pdf
16)契約書案
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-16.pdf
打ち合わせ記録。
17)第1回日別報告書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-17.pdf
18)第1回会議資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-18.pdf
19)第2回日別報告書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-19.pdf
20)第3回日別報告書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-20.pdf
21)熊本城視察
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-21.pdf
22)姫路城視察
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-22.pdf
23)仮収蔵庫質疑回答
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-23.pdf 
24)収蔵庫参考資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-24.pdf
 
単価等調査報告書(見積書等を含む。)
25)木材調達
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-25.pdf
26)仮設事務所
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-26.pdf
27)石垣調査
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-27.pdf

価格交渉等の記録及び公表資料
28)日別報告書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-28.pdf

会議等の資料、議事録(音声データを含む。)
29)価格交渉の内容
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-29.pdf
30)資料1
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-30.pdf
31)資料2
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-31.pdf
32)資料3
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-32.pdf
33)資料4
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-33.pdf
34)意見聴取会(第6回)議事録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-34.pdf

現天守閣の価値評価に係る技術資料案
35)「現天守閣の価値評価に係る支援」作業経緯
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-35.pdf
36)(1)「名古屋城(天守閣・本丸御殿)の価値
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-36.pdf
37)(2)第3回天守閣部会指摘事項
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-37.pdf
38)(3)「名古屋城(天守閣・本丸御殿の価値)」最終版
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-38.pdf
39)(4)復元検討委員会用資料案
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-39.pdf
40)(5)復元検討委員会用資料1-2,1-3,1−4
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-40.pdf
41)(6)名古屋城年表(分析用)・入場者数
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-41.pdf
42)(7)現天守閣と建築基準法
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-42.pdf
43)(8)現天守閣の建築概要
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-43.pdf
44)(9)現天守閣の評価
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-44.pdf
45)(10)日本建築構造技術変遷史
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-45.pdf
46)(11)建築技術と関連法制度
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-46.pdf
47)(12)技術史関係法令年表
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-47.pdf
48)(13)日本建築学会計画系論文
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-48.pdf
49)(14)文化庁月報
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-49.pdf
50)(15)外国人旅行者数
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-50.pdf
51)(16)近代建築ガイドブック建物一覧
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-51.pdf
52)(17)城郭復元・復興分析表
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-52.pdf
53)(18)ケーソンの歴史
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-53.pdf
54)(19)名古屋城関連年表
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-54.pdf
55)(20)杭の種類
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-55.pdf
56)(21)現天守閣の建築的特徴
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-56.pdf
57)(22)城調査項目案
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-57.pdf
58)(23)瀬口先生指摘事項への対応
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-58.pdf
59)(24)世帯数の推移
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-59.pdf
60)(25)文化庁提出基本計画書(抜粋)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-60.pdf
61)(26)建築基準法適用除外データ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-61.pdf
62)(27)2月28日文化庁相談資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-62.pdf
63)(28)GHQによる世論操作
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-63.pdf
64)(29)文化庁提出基本計画書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-64.pdf

その他業務上監督員が必要と認めたもの
65)1.外付けのエレベーター検討
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-65.pdf
66)2.バリアフリー
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-66.pdf

上記成果物を受領した日時がわかるもの
67)成果品目録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181019-67.pdf

18/10/21(日)13時半〜 名古屋城天守「戦後復興市民のシンボル」にシンポ開催

「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」は18/10/21(日)に名古屋城木造化に反対するシンポジウムを行います。
名古屋城木造化をめぐり、2018年10月の文化庁文化審議会許可申請を断念しましたが、市民は状況がよく分からない状況に置かれたままです。
現天守閣こそ価値がある、という立場から、これまでの情報をまとめました。

このグループメンバーがシンポジウムを行うのは、17/8/26に行ったシンポ以来2回目です。
ぜひご参加下さい。
---------
名古屋城天守「戦後復興市民のシンボル」に 名古屋城シンポ

10月21日(日)13時半〜16時
会場 名古屋市博物館講堂
資料代 500円
・ビデオ「天守閣への思い 名古屋城天守閣建替に反対します」8分 
 高田廣司(元教員)
・「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」からの住民監査請求報告 30分
 森晃(請求人代表)
・「名古屋城 漂流」30分 
 高橋和生(一級建築士)
・シンポジウム
主催:名古屋城天守の有形文化財登録を求める会
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
https://www.facebook.com/1740949266229351/


18/10/17(水)名古屋市次期総合計画タウンミーティング 名古屋城について多数意見

18/10/17に名古屋市は名古屋市次期総合計画のタウンミーティングを河村市長をはじめ総務局の職員も参加して中川区役所で開催し、約100人が参加しました。
・配付資料
 
http://www.city.nagoya.jp/somu/cmsfiles/contents/0000104/104297/jikikeikaku-chuukannan-gaiyouban.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181017-1.pdf
 http://www.city.nagoya.jp/nakagawa/cmsfiles/contents/0000105/105443/H30nakagawa.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181017.pdf

次期総合計画に関して、ということですが、個別の問題について意見を出す人が多かったです。
中でも、名古屋城について意見を出した人が結構いました。

次期総合計画中間案には、名古屋市が505億円もの事業費をかける名古屋城天守木造復元については全く触れていません。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/66-9-3-0-0-0-0-0-0-0.html
----
市民:ボストン美術館は当初33万人見込んだが外れ、16万人しかこず年間5億円赤字。
 この始末はどうして取るのか。市民に押しつけないようにして欲しい。
 同様に、平成レプリカと呼ばれる天守閣木造化は、絶対に破綻しないという根拠を示すべきでは。
 河村市長は「市民の熱意」を根拠にしているが、市民に責任を押しつけるようだ。
 将来破綻したら誰が責任を取るのか
河村市長:ボストン美術館はわしが決めたことではない。
  お城は悪いけど、けんかになるといかんが、レプリカではない本物を作る。
  名古屋はああいうことをやらなかったら、大阪リニア直結すると、経済力が落ちて福祉が悪くなる。ようけくるにきまってる。自慢になる 1000年。
  
市民:名古屋城のエレベーターを油圧式にしたら。カプセル型で上まで行けるようにすればよい。
河村市長:11人乗りのエレベーターをつけるとなると梁を取る必要がある。
 鉄骨を組まないといけず、今の名古屋城とどこが違うのか。
 本物に登れるのがいいのではないか。工夫をしていく。
 全然違うのなら今のままでいいのでは。世界の大恥になる。図面を引いた人は泣く。
 
市民:名古屋城 本物を作るのは大賛成。姫路城や熊本城はエレベーター付いているか?障害者は気の毒だが本物を作るのは重要
河村市長:お城は本物を作って 1000年は大事にして。
 誇りになる 名古屋に 世界に自慢になるものを作らないと。
※注:熊本城には最上階まで到達するエレベーターを付ける工事を行っています。

-----
参加者が100人程度、質問者も少なく、手をあげれば誰でも当たる状態です。

名古屋城について、発言するよい機会だとおもいます。他の問題でも、意見を言えます。
今後他の15区でもタウンミーティングが開催されます。ぜひご参加下さい。
http://www.city.nagoya.jp/somu/page/0000108834.html


--------
なお、「名古屋市次期総合計画中間案」ですが、5年おきに改訂されると、担当課長が最後に述べて、はじめて位置づけがわかりました。
・名古屋市 総合計画
 http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/66-0-0-0-0-0-0-0-0-0.html

過去の総合計画を見返してみると、同じような文言が並んでいます。
ただ、「名古屋市中期戦略ビジョン 平成 24 年度の実施状況および総括」は、2010年9月に名古屋市中期戦略ビジョンを策定したが、その後どうなっているか実際の達成状況をチェックした、というものがあり、大変興味深かったです。
http://www.city.nagoya.jp/somu/cmsfiles/contents/0000010/10920/heisei24jisijyoukyohoukoku.pdf

当時目標を定めた2018年度には実際どうなっているのか、具体的な数字を示して比較することで、何が足りなかったのか検討をすることが出来ます。
(ただ、目標達成の指標がどのように選ばれたのかは疑問です。また、「情報公開率」という数字があり、実績が2012年度で99.1%とありますが、どのように算出するのか不明なため、よく分かりません)
 
また、総合計画は総務局が所管なのはわかりますが、予算の裏付けや予算の推移が触れられていないのが残念です。
10年スパンで当該施策に対する予算はどうなっているのか、比較できればよいと思います。
・名古屋市 予算のあらまし(名古屋市の財政事情)
 http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-7-2-4-0-0-0-0-0-0.html 

--------

18/10/16(火)10/17(水)18時半〜 名古屋市次期総合計画タウンミーティング(中川区)に参加を

名古屋市は、「名古屋市次期総合計画タウンミーティング」を全16区で開催します。
http://www.city.nagoya.jp/somu/page/0000108834.html
しかし、時期総合計画中間案には、名古屋市が505億円もの事業費をかける名古屋城天守木造復元については全く触れていません。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/66-9-3-0-0-0-0-0-0-0.html

-----
魅力資源の磨き上げ!「魅力向上・発信戦略」
1)名古屋城を核とした魅力軸の創出・発信
(3)魅力資源の磨き上げ!「魅力向上・発信戦略」
さらなる魅力向上・発信やにぎわいの創出をめざし、名古屋城、東山動植物園など名古屋が有する文化・歴史資源、観光資源を磨き上げ、さらなる掘り起しを進めるとともに、市民のまちへの愛着や誇りの醸成を通じた市民による名古屋の魅力発信を促進します。また、
名古屋城を核とした、大須、熱田、有松・桶狭間などで形成する「歴史・文化魅力軸」と名古屋駅・ささしま地区、栄地区、名古屋港地区と、そのエリアを流れる堀川、中川運河などで形成する「まちづくり・ものづくり魅力軸」の2 つの魅力軸を中心に積極的なプロモーションを行うなどそれぞれのエリアの魅力向上をはかります。
------
一方、18/10/15河村たかし名古屋市長は定例会見で、
これまで2022年12月完成を目指してきた名古屋城天守木造復元について、2018年10月文化庁文化審議会の了承を断念すると述べ、上記までの完成が極めて厳しくなっており、工程案の見直しも具体的に進んでいませんが、依然として「期限を死守する」としています。

「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」らは、「復元する木造天守閣にエレベーターを設置しないのは、障害者権利条約、障害者基本法、障害者差別解消法、愛知県障害者差別解消推進条例の理念に反し、障害者差別解消法で禁じられている不当な差別的取扱いになるおそれがある」としています。
https://www.facebook.com/nagoya.jitsugensurukai/

また、「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」は、「復元検討委員会」「文化審議会」の手続が終わっていないのに基本設計を「完了」したのは違法だとして、住民監査請求を行っています。
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle

有識者会議「石垣部会」は、天守台石垣が危機的状況だとして、天守をどうこうするよりまず石垣の保全・修復を最優先すべきだとしています。

しかし、市は名古屋城の現状についてまともに説明会を行っていません。

上記タウンミーティングには、河村たかし名古屋市長をはじめ、市の関係者が多く参加するとのこと。
疑問点や意見を直接名古屋市に問いただすよい機会だと思います。

以下16区で開催されます。内容は同じとのことで、どの会場に参加してもよいです。
ぜひご参加下さい。

タウンミーティング日程 区 日程 時間 会場
中川区 10月17日(水曜日) 午後6時30分から午後8時30分 中川区役所講堂
守山区 10月18日(木曜日) 午後6時30分から午後8時30分 守山区役所講堂
中区 11月2日(金曜日) 午後6時30分から午後8時30分 中区役所ホール
南区 11月3日(土曜日・祝日) 午後2時00分から午後4時00分 南区役所講堂
天白区 11月7日(水曜日) 午後6時30分から午後8時30分 天白区役所講堂
西区 11月8日(木曜日) 午後6時30分から午後8時30分 西区役所講堂
名東区 11月10日(土曜日) 午後2時00分から午後4時00分 名東区役所講堂
瑞穂区 11月11日(日曜日) 午後2時00分から午後4時00分 瑞穂区役所講堂
千種区 11月13日(火曜日) 午後6時30分から午後8時30分 千種区役所講堂
港区 11月17日(土曜日) 午前10時00分から正午 港区役所講堂
東区 11月18日(日曜日) 午後2時00分から午後4時00分 東区役所講堂
昭和区 11月20日(火曜日) 午後6時30分から午後8時30分 昭和区役所講堂
緑区 11月24日(土曜日) 午後2時00分から午後4時00分 緑区役所講堂
中村区 11月25日(日曜日) 午後2時00分から午後4時00分 中村区役所講堂
北区 12月10日(月曜日) 午後6時30分から午後8時30分 北区役所講堂
熱田区 12月13日(木曜日) 午後6時30分から午後8時30分 熱田区役所講堂


--------

18/10/15(月)河村市長「名古屋城木造天守復元 文化庁許可取得2018年10月断念」表明も、2022年12月完成死守と述べる

18/10/15河村たかし名古屋市長は定例会見で、これまで2022年12月完成を目指してきた名古屋城天守木造復元について、2018年10月文化庁文化審議会の了承を断念すると述べ、上記までの完成が極めて厳しくなっており、工程案の見直しも具体的に進んでいませんが、依然として「期限を死守する」としています。

平成30年10月15日 名古屋市長河村たかし 定例記者会見
 
https://www.youtube.com/watch?v=6XCetVz5Mw8
名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181015.pdf

河村市長まとめ
・10月文化審議会には間に合わなかった。
・文石協(文化財石垣保存協議会)の専門家から石垣保全についてアドバイスを受けるよう、石垣部会に言われた
・文化庁 誰とは言わないが、「国宝第1号なので丁寧にやっていかないといけないと言っている」
・2022年12月期限は死守する
--------
しかし、文石協との交渉もこれからです。
http://bunsekikyou.sakura.ne.jp/

各種報道によれば、石垣部会の懸念は2点だと理解しました。
1)天守閣木造化よりまず天守台石垣の保全・修復を
2)木造天守閣の基礎となる「はね出し架構」は文化財を破壊するため認めない

1)については、「文化財石垣保存技術協議会」と相談することは考えられます。
ただ、相談後すぐに天守台石垣の保全・修復をするとなると、名古屋市が計画している「まず木造天守閣を復元し、その後石垣保全・修復」に反します。

2)については、「文化財石垣保存技術協議会」と相談することではなく、竹中工務店と相談することではないでしょうか。
耐震性を高めた木造天守閣をつくるために、文化財を破壊する「はね出し架構」以外の工法が果たして取り得るのか。
「はね出し架構」しか採用できないのであれば、石垣部会は当然木造天守閣復元を認めないでしょうし、文化庁も認めるはずがありません。

また、河村市長のいつものやりかた「名前を決して明かさない誰かが、自分に都合のよいことを言った」がありました。
 河村:文化庁だって言っています。「遅らせるつもりはありません」って。直接電話ですけど。
  行く時間が無いもんで。誰とはちょっと言いにくいけど偉い様が断言しております。
  スケジュールありきどうのこうのいうのではない。
善意に解釈すれば文化庁は「わざと遅らせるつもりはありません。石垣部会の了承を得た上で、書類を復元検討委員会に提出後、文化審議会にかけられれば検討します」と言うことだと思います。
河村市長は自分の都合のよい部分だけ切り取って発言することがよくあります。文化庁も当然河村市長の会見を見ている、とは思わないようです。
名古屋市民オンブズマンは、電話の内容について即情報公開請求しました。

また、河村市長は「竹中工務店は、市議会が予算を議決を行ったため、200本ほどの製材に入っているという話し」と述べました。

名古屋市は、竹中工務店とは、これまで10月に文化庁の許可が得られなかった場合の話しは一切していないとしていましたが、河村市長は「相談するしかしょうが無い。工期の短縮などできんのか。聞いてみんとわからん。勝手に言うわけいかない』としながらも、工期について死守すると述べたことについては「そりゃできるわ やってもらわんといかん。そういうもんじゃないですか。民意はどうなるのか」と述べるなど、自分の希望・主張を一方的に述べるにとどまっています。
 
2018年10月文化庁の許可取得を断念するに当たり、河村市長は「むかつく」と述べました。
石垣部会に対してか、と記者に聞かれたところ、「世の中といいますか」といい、手続を進められなかったのは名古屋市の責任ではないか、と聞かれると、
「どの責任というわけでもない。しょうがない 世界でただ一個のこういう建物を作るんだから。世界ではじめて 巨大な木造建築。かつての国宝1号。木造復元するんだから苦労はある。世の中の一つの流れ、名古屋の宝が世界の宝」など、自らの責任を全く認めようとしません。
なお、最後に「『むかつく』という発言は取り消して欲しい」と述べました。

そもそも、石垣の素人である河村市長が「2020年7月までに名古屋城を木造化せよ。石垣は後回しでよい。全責任は私が取る」と2015/8/24に河村市長は名古屋市市民経済局長に指示書を出したのがボタンの掛け違いのはじまりです。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf しかしいまだに自らの責任を認めようとしません。

------
18/10/17朝日新聞によれば、市長の強気の姿勢を以下分析しています。

2018年10月17日03時00分 朝日新聞 関謙次
名古屋城天守木造化 月内の国許可断念「22年末完成」厳しく
河村市長 強気崩さず
https://www.asahi.com/articles/ASLBJ4S0ZLBJOIPE01D.html

河村市長に近い関係者は「市長は腹の中では来年5月の許可も難しいとわかっていると思うが、市長選で公約に掲げたので、絶対に無理とは言わない」と話す。ある市職員も「自分のことを守らないといけないし、(代表を務める地域政党)減税日本も勝たせないといけない。統一地方選が終わるまでは、強気を続けるだろう」とみる。
 
----
このまま市民に説明せず、希望的観測で物事を進めようとしても決してうまくいきません。
情報を公開し、市民に対するきちんとした説明ならびに関係者を一堂に会した話し合いを求めます。


18/10/14(日)名古屋城石垣部会ワーキンググループ 資料・議事録全て非公開

18/9/10に開催された、特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会ワーキンググループ(WG)の配付資料・議事録を名古屋市民オンブズマンは情報公開請求しましたが、「公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」があるとして非公開になりました。

・決定書
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181010.pdf
・配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181010-1.pdf
・まとめ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181010-2.pdf

報道によれば、名古屋市副市長と石垣部会が、今後について話し合ったといいますが、これでは全くわかりません。

なお、決定書に以下記載がありました。
「※今回非公開とした行政文書の内容については、今後一年以内に当該行政文書の内容の全部又は一部について公開が可能となる予定のため、公開を希望する場合は当該時期以後新たに公開請求が必要となります。」
 
有識者会議「石垣部会」は、天守台石垣が危機的状況だとして、天守をどうこうするよりまず石垣の保全・修復を最優先すべきだとしています。
名古屋市がどのようなつもりなのかが、この議事録を読めばわかるはずです。

しかし、市は名古屋城の現状についてまともに市民に説明を行っていません。


18/10/11(木)名古屋市「名古屋城木造化基本設計 18/3/30以降完了検査していない」と主張

18/10/11に名古屋市議会経済水道委員会が開催され、2017年度決算について審議されました。

18/10/11 名古屋市観光文化交流局
平成29年度決算説明資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181011-2.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181011-1.pdf
名古屋市民オンブズマン 文字起こしアプリによる文字起こし(名古屋城天守閣部分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181011.pdf

その中で、江上博之市議が(共産・中川区)「8億4693万6000円かけた名古屋城天守木造復元基本設計等は、3月30日に竹中工務店から納品されて、その日のうちに完了したのか」と質問したところ、新井主幹は「最終的な納品は3月30日に受けたが、事前に担当者、建築技師、係長級が検査を行った上で完了検査を行った。3月30日以降は一切完了検査をやっていない」と述べました。

江上市議は「新聞報道ではちょっと誤解を生むようなね、発言があったかに感じているんです。今のような3月30日全てが完了したわけではなくて、どうもまだこれからやりとりをして最終確認はしなあかんとか、そんなような報道があったにや聞いておりますけれども、今委員会でね答弁された話ですから、そのことをまず受けとめておきます。」としました。

----------
江上市議をはじめとする市議は、誰も問題点をわかっていないのではないでしょうか。
1)市職員が3月30日に成果物を受け取ったが、今後検査をすると発言していること
2)「成果物」に求められる内容を満たしているのか
3)「成果物」記載のエレベーター設置の有無について

1)市職員が3月30日に成果物を受け取ったが、今後検査をすると発言していること
全体整備検討会議 終了後の囲み取材では、名古屋城総合事務所の蜂谷主幹は「基本設計の完成物の検査ですが、今日1日で終わるわけでは無く、すごい量ですから、段ボール5箱くらいあるので、随時検査します。成果品としてはいただきました。検査で合格しているわけではないものですから、検査をさせていただいて、内容に不足があればさらに追加を求めることがありえる。」と述べました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180330-6.pdf
にもかかわらず、18/10/11には「3/30以降完了検査を行っていない」と答弁しました。

2)「成果物」に求められる内容を満たしているのか
「名古屋城天守閣整備事業にかかる技術提案・交渉方式(設計交渉・施工タイプ)による公募型プロポーザル 業務要求水準書」(平成27年12月)第2章第4節1.(6)特別史跡における条件では以下述べられています。
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/17_topics/271202/dwl/koubo_03.pdf
A 木造復元に際し、実施設計に着手する前の基本設計の段階において、文化庁における「復元検討委員会」の審査を受け、文化審議会にかけられる。(復元検討委員会は年 2〜3 回行われ、名古屋城本丸御殿復元工事の場合は、3 回の審査を受けている。また、文化審議会は、5 月と 10 月の 2 回行われている。)
基本設計が「完了」する2018/3/30までに、「復元検討委員会」の審査を受けていませんし、「文化審議会」にもかけられていません。
そうであれば、業務要求水準書違反となり、基本設計の「成果物」として認められないのではないか、というのが、現在住民監査請求を行っている「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」の主張の肝です。

3)「成果物」記載のエレベーター設置の有無について
名古屋城木造復元天守にエレベーターを設置しない方針を決めたのは、18/5/30です。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180530.pdf
「基本設計」が完了した時点では、エレベーターをつける・付けないは決まっていなかったはずです。
「成果物」にはどのように記載しているのかは、黒塗りのため全くわかりません。
仮にエレベーターをつけない、とした「成果物」が竹中工務店から提出されていた場合、それは建築基準法・消防法等を遵守したものなのか。

上記疑問は、少し調べればわかるのですが、その努力を市議はしないのか、理解する能力が無いのかわかりません。

結局市議会ではこのまま疑問が解消されないままなのでしょうか。
--------
今後の予定

・18/10/15(月)午前11時 経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(3局一括)]
・18/10/15(月)午後2時30分〜 河村たかし名古屋市長定例記者会見
・18/10/17(水)午後1時 本会議(閉会) ○平成29年度決算認定案 [委員長報告後、議決]
 18/10/17(水)午後6時半〜 名古屋市次期総合計画タウンミーティング(中川区)
・18/10/21(日)午後1時半〜 名古屋城シンポ(名古屋市博物館講堂)
 18/10/21(日)10時〜 13時30分〜 15時〜 石垣現地説明会
・18/10/ ( )
 18/10/ ( )
・18/10/ ( )   
・18/10/31(水)文化庁文化審議会に諮っていないことが確定 


18/10/9(火)名古屋市「名古屋城木造化基本設計は18/3/30に完了した」と主張

18/10/9に名古屋市議会経済水道委員会が開催され、2017年度決算について審議されました。

2018年10月9日(火曜日)午前10時 名古屋市議会経済水道委員会 付議議案審査[質疑(市民経済局、観光文化交流局関係)]
名古屋市民オンブズマン 文字起こしアプリによる文字起こし(名古屋城天守閣部分)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181009.pdf

その中で、江上博之市議が(共産・中川区)「8億4600万円ほどかけた名古屋城天守木造復元基本設計等は時間を取ったのではないか」と質問したところ、新井主幹は「当初は2018年2月28日までだったが、一部工程上のスケジュールもありまして、3月30日に工期を変更した。3月30日に業務の完了というのを確認させていただいたので業務として完了した」と述べました。

現在、「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」は基本設計業務は未完成だとして、18/9/21に名古屋市民158名が市長に対し8億4693万6000円を市に賠償を求める住民監査請求を行いました。
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle

上記団体は10月21日(日)13時半〜 名古屋市博物館講堂で名古屋城シンポを行うとのこと。
https://www.facebook.com/events/372709399936825/

それはともかく、名古屋市民オンブズマンは基本設計の成果物を情報公開請求しましたが、内容はほとんど黒塗りで全くわかりませんでした。
・決定書
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518.pdf
・基本設計説明書
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-1.pdf
・石垣現状調査等
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-2.pdf
・石垣測量
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-3.pdf
・調査業務
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-4.pdf
・積算
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-5.pdf
・地盤調査報告書
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-6.pdf
・施工技術検討業務
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-7.pdf
・打合せ記録簿 天守閣部会・その他
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-8.pdf
・図面
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-9.pdf

現在、障害者団体が木造復元天守閣にエレベーターの設置を求めていますが、上記基本設計でどのようになっているのかも不明です。
防火・防災・耐震設計などをクリアしているのかも不明です。

市議会の決算審議で、基本設計の中身ならびに、契約書の仕様通りに完成したのかどうかが明らかになることを期待します。

--------
今後の予定

・18/10/11(木)午後1時 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(市民経済局、観光文化交流局関係)]
・18/10/15(月)午前11時 経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(3局一括)]
・18/10/17(水)午後1時 本会議(閉会) ○平成29年度決算認定案 [委員長報告後、議決]
・18/10/21(日)午後1時半〜 名古屋城シンポ(名古屋市博物館講堂)
・18/10/31(水)文化庁文化審議会に諮っていないことが確定 

--------

18/10/5(金)名古屋城石垣部会ワーキングで天守台石垣話題に出ず

18/10/6マスコミ各紙に、名古屋市が有識者会議「石垣部会」のメンバーから名古屋城搦手馬出の石垣修復について意見を聴取した、と報道されました。

正式な「石垣部会」が開催されるのであれば、名古屋市公式web「会議開催のお知らせ」に出るはずです。
http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2018/0-Curr.html

上記ページを毎日チェックしていましたが、石垣部会開催については記載がありませんでした。

18/10/9に、名古屋城総合事務所に電話で確認したところ、「18/10/5は『石垣部会ワーキング』を開催した。正式な部会ではない。担当レベルの技術的な意見交換を行った。『石垣部会ワーキング』は記者にも市民にも非公開。
ただ、『石垣部会ワーキング』終了後、マスコミ向けに記者会見を行った」とのことでした。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181003.pdf

------
報道によれば、搦手馬出の石垣修復は2004年から着手していますが、約4000個の石が外されて空堀に移されています。15年かかりようやく2018年度中には外し終わるといいます。今後、積み直し計画を作った上で国に補助金申請した上で来年度以降積み直しに着手するとのこと。

報道によれば、石垣部会メンバーは「本日は搦手馬出の石垣修復のみ話しを行い、天守台石垣については話し合わなかった」といいます。

------
搦手馬出の石垣修復は、取り外すだけで15年かけています。現在問題となっている名古屋城天守台石垣について、取り外して修復するのに何年かかり、いくら費用がかかるのでしょうか。
搦手馬出石垣修復を行う人員と、天守台石垣調査を行う人員ははたしているのでしょうか。

石垣は江戸時代から残る貴重な史跡です。
天守台の上に載る天守閣をどうこうするよりまず先に、天守台石垣の保全と修復が必要ではないでしょうか。

18/10/2(火)愛知県審議会が名古屋市に「名古屋城木造天守閣にエレベーター不設置方針」再考を要望

愛知県の公的な審議会である「愛知県障害者施策審議会」が、名古屋市が名古屋城天守閣整備事業においてエレベーターを設置しない方針を示したことに対し、18/10/2に再考を求める要望書を名古屋市長あてに提出しました。県によれば、同審議会が名古屋市に対して要望書を提出するのははじめてとのこと。
同審議会を所管する愛知県健康福祉部障害福祉課から、要望書を情報提供いただきました。
・要望書
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181002.pdf
・審議会等のプロフィール(愛知県障害者施策審議会)
 https://www.pref.aichi.jp/soshiki/shogai/0000043616.html

同審議会は、「(障害者権利条約、障害者基本法、障害者差別解消法、愛知県障害者差別解消推進条例の)理念に反し、障害者差別解消法で禁じられている不当な差別的取扱いになるおそれがあると本審議会でも意見が出ております」としています。

そのうえで「当事者の方々と十分に協議をしていただき、障害者、高齢者等を含むすべての人が、安心して利用できる名古屋城木造天守閣の実現を目指していただきますようお願い申し上げます」としています。

報道によれば、西野輝一・名古屋城総合事務所所長らは「市長に報告する。新技術でバリアフリーを実現していきたい」としたといいます。


18/10/1(月)河村市長「名古屋城石垣は、石垣にまつわることをやる機関と相談中」

18/10/1に開催された河村たかし名古屋市長定例記者会見で、河村市長は「2018年10月に文化審議会に間に合わせるために、石垣にまつわることをやる機関と相談中」と述べました。

・平成30年10月1日 名古屋市長河村たかし 定例記者会見
 
https://www.youtube.com/watch?v=WzOLHJn4-9w
 
・18/10/1 河村たかし名古屋市長定例記者会見(名古屋市民オンブズマンによる、自動文字起こしアプリを使った文字起こし)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/181001.pdf

河村市長の発言ははっきりしません。
・石垣部会から、どのような提案があったのか。
・なにが45億円かかっているのか。
・石垣部会から「石垣にまつわることをやる機関」と相談しろと言われたのか
・石垣部会から「石垣にまつわることをやる機関」と相談すれば
 2018年10月の文化審議会に間に合うと言われたのか。
・文化庁は上記についてなんと言ったのか

結局、文化庁は上記についてなんと言っているのかは、市長は答えませんでした。

-------
「石垣にまつわることをやる機関」は、18/9/21中京テレビ報道によれば、「文化財石垣保存技術協議会」のようです。
http://bunsekikyou.sakura.ne.jp/

・18/9/21(金) 20:13配信 中京テレビ
 名古屋城の石垣保存 「文化財石垣保存技術協議会」からアドバイス得る方針 名古屋市
 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180921-00010008-sp_ctv-l23

各種報道によれば、石垣部会の懸念は2点だと理解しました。
1)天守閣木造化よりまず天守台石垣の保全・修復を
2)木造天守閣の基礎となる「はね出し架構」は文化財を破壊するため認めない

1)について、「文化財石垣保存技術協議会」と相談することは考えられます。
ただ、相談後すぐに天守台石垣の保全・修復をするとなると、名古屋市が計画している「まず木造天守閣を復元し、その後石垣保全・修復」に反します。

2)については、「文化財石垣保存技術協議会」と相談することではなく、竹中工務店と相談することではないでしょうか。
耐震性を高めた木造天守閣をつくるために、文化財を破壊する「はね出し架構」以外の工法が果たして取り得るのか。
「はね出し架構」しか採用できないのであれば、石垣部会は当然木造天守閣復元を認めないでしょうし、文化庁も認めるはずがありません。

------
また、河村市長は「現状は今石垣部会さんから提案があったのははじめてですから」と市民に誤解を招く説明をしています。
名古屋市は、石垣部会に対しては「石垣調査」について議題にあげていただけで、木造天守閣と石垣との関係について議題にはあげてきませんでした。

17/9/12に石垣部会の千田嘉博教授はマスコミに向かって「これまで部会の議論と異なった内容が報じられているのは残念だ。先ほどまで議論しているのは石垣調査についてであって、木造天守閣に関する議論は一切行っていない。間違いです。誤報です。穴蔵石垣について、本質的価値現状を工学的・考古学的に調査して必要があれば適切な修理を行うのであって、木造天守のための事前調査ではない。名古屋市は現状変更許可を文化庁に提出したが、そこのところをかき分けていただいている」と強調しました。
http://ombuds.exblog.jp/25602183/

その後も、石垣部会は「文化庁記念物課による特別史跡の現状変更の方針が固まっていない調査・整備事業については、今後も当部会での審議対象とはしない」としています。
・17/10/16 石垣部会が名古屋城総合事務所所長に送った書簡
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171016.pdf
・18/1/17 石垣部会が河村たかし名古屋市長と名古屋城総合事務所所長に送った書簡
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180117-1.pdf

これらも、市民・マスコミに全く情報を知らせず、しかも2022年12月完成ありきで他人の意見を全く聞き入れずに突き進んできた河村市長の方針のツケが回ってきたのです。
名古屋城天守閣木造化に関する、2018年10月文化庁文化審議会での承認は絶望的ですが、期限まで1か月。
その後にどう「全責任を取る」のか。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
今後も注目していきます。


18/9/25(火)河村市長「名古屋城木造化 2022年完成を見直すつもりは全くない」

18/9/25名古屋市議会本会議で、江上博之市議(共産)の「名古屋城天守閣木造化について、2022年完成目標をいったん立ち止まって市民の声を聞くために計画を見直すつもりはあるか」という質問に対し、河村たかし名古屋市長は「見直すつもりは全くありません」と答弁しました。

・18/9/25 名古屋市議会本会議議事録(名古屋市民オンブズマンに
 よる自動文字起こしアプリによる自動文字起こし)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180925.pdf
 
江上市議は、「天守閣復元事業について、3ヶ月間市民や議会に報告されていない」「10月文化審議会に諮ることは出来ないと明言せよ」「現天守閣は価値が高いと名古屋市が認めているが、解体してよいか」「天守閣復元よりハラミがある石垣保全修復が先ではないか」「木造天守閣最上階階段1カ所だと安全や入城制限が必要ではないか」と質問しました。

渡辺観光文化局長は「石垣保存方針について石垣部会と一致をみていないため、10月文化審議会は時間的に大変厳しい」「今後バーチャルリアリティーなどで記録して後世に伝える」「石垣については詳細調査を進め、保存方針を立てる」「管理運営面の工夫で安全面を確保し、できる限り入城制限をしないよう努める」としました。

江上市議は、共産党が行った市政アンケートの途中経過で、今後の天守閣整備について意見が分かれているとしました。
・市長提案の2022年完成目標で木造化する27%。
・いったん立ち止まり、改めて検討する 32%。
・耐震補強などを行い、木造化を行わない27%。
上記を踏まえ、いったん立ち止まってはどうかとしました。

河村市長は「木造天守閣復元を掲げて市長選挙で勝った。議会で議決を行った。耐震性が低い。図面があるので、私は使命だと思っている」としました。

江上市議は「耐震性は2009年からわかっていた。2022年完成の天守閣木造化は中止。いったん立ち止まって市民の声を聞け、そのために計画を見直すことを求める」としました。

---------
河村市長以外、関係者全員が2022年12月名古屋城木造天守閣復元は無理だと理解しています。
上記を河村市長が理解しているのかどうかは不明ですが、それを現段階で認めることは以下の3点から不可能だと考えます。
・竹中工務店とは2022年12月までに完成させることと契約を結んでおり、「市の都合」と認めた場合、竹中工務店は契約額505億円の増額を言い出しかねないため市からは言いにくいこと。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf
・2022年12月・505億円は市議会議決の付帯決議にあり、時期・総額見直しは付帯決議違反となること。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170322-4.pdf
・名古屋城天守閣木造化事業が停滞・破綻した場合、15/8/24指示書「『本件(名古屋城復元整備計画)の全責任は私が取る』」の履行を迫られる等、河村市長の政治責任を問われること。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
 
市議会が2018年9月議会でどこまで追及できるかわかりませんが、少なくとも決算審議のなかで基本設計が仕様書・業務要求水準書どおりに作られたかどうかはチェックできるはずです。
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle

2022年12月完成が絶望的になるのは、2018年10月文化審議会にかからなかったと明らかになる2018年11月以降でしょうか。
その際、名古屋市はどうするのか。竹中工務店はどうするのか。市議会はどうするのか。基本設計費用の返還を求めた住民監査請求はどうなるのか。全く開催される気配がない石垣部会は何を発言するのか。「名古屋市建築審査会」の適用除外審査はいつになるのか、実際に適用除外になるのか。
エレベーター設置・バリアフリー問題、消防法の問題、防災問題、来場者数・収支計画の問題も全く解決していません。

全ての混乱は、河村市長が「石垣修復を後回しにして、木造天守閣復元を先に行え。全責任は私が取る」と15/8/24に指示書を出したことにあります。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
出発時点から出来もしない、「絵にも描けない」名古屋城天守閣木造化だったのです。

きちんとした情報を市民に公開せず、石垣部会有識者の意見を事前に聞かず、今も聞かず、市幹部の話も聞かない河村市長のやり方の破綻がもうすぐ迫ってきています。

--------
名古屋市議会 委員会の開会日程(予定) ネット中継あり
http://www.city.nagoya.jp/shikai/category/324-3-0-0-0-0-0-0-0-0.html

9月26日(水曜日)午前10時5分 経済水道委員会 付議議案審査[質疑(市民経済局、観光文化交流局関係)]
9月28日(金曜日)午前10時30分 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(市民経済局、観光文化交流局関係)]
10月2日(火曜日)午前10時30分 経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(3局一括)]
10月5日(金曜日)午前10時 経済水道委員会 付議議案審査[説明(市民経済局、観光文化交流局、上下水道局関係)]]
10月9日(火曜日)午前10時 経済水道委員会 付議議案審査[質疑(市民経済局、観光文化交流局関係)]
10月11日(木曜日)午後1時 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(市民経済局、観光文化交流局関係)]
10月15日(月曜日)午前11時 経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(3局一括)]
--------

18/9/23(日)名古屋城 18/6/13河村市長文化庁訪問時、文化庁側「記録なし」と本村衆院議員に返答

名古屋城天守閣木造化をめぐり、18/6/13に河村たかし名古屋市長が文化庁を訪問しました。
名古屋市民オンブズマンはその際の内容がわかるものを名古屋市に情報公開請求したところ、市長のメモは黒塗り、職員の復命書も一部黒塗りでした。

それを見たもとむら伸子衆議院議員(日本共産党)は文化庁に文化庁側の記録を求めましたが、18/9/20づけで文化庁文化財部記念物課企画調整係から「当日のやりとりは記録しておりません」という回答が来ました。

文化庁が名古屋市とのやり取りを記録しないのは、「行政文書の管理に関するガイドライン」に反する可能性があります。

・行政文書の管理に関するガイドライン
http://www8.cao.go.jp/chosei/koubun/hourei/kanri-gl.pdf
第3 作成
3 適切・効率的な文書作成
(2) ○○省の外部の者との打合せ等の記録の作成に当たっては、○○省の出席者による確認を経るとともに、可能な限り、当該打合せ等の相手方(以下「相手方」という。)の発言部分等についても、相手方による確認等により、正確性の確保を期するものとする。ただし、相手方の発言部分等について記録を確定し難い場合は、その旨を判別できるように記載するものとする。

あらためて文化庁に対し、当日のやり取りを情報公開請求してみます。

・平成30年6月13日文化庁訪問時に市長が作成したメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180905.pdf
・平成30年6月13日に名古屋城の件で文化庁を訪問した際の復命書、支出命令書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180903-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180801.pdf
 

18/9/21(金)名古屋城木造化 「市民の会」が基本設計約8.5億円返還求め住民監査請求

18/9/21に「名古屋城天守の有形文化財登録を求める市民の会」158名は名古屋城天守閣木造化に関する基本設計8億4693万6000円を市が竹中工務店に支払ったのは違法だとして住民監査請求を行いました。
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle

記者会見動画
https://www.youtube.com/watch?v=AXoP1qK4MZs&feature=youtu.be


住民監査請求によれば、名古屋市は「基本設計の段階において、文化庁における『復元検討委員会』の審査を受け、文化審議会にかけられる」ことを仕様書・業務要求水準書で定めているにもかかわらず、いまだに復元検討委員会・文化審議会にかかっていないとしています。
また、日本建築センター、消防、県、建築審査会との協議も完了していないとしています。
しかし竹中工務店は18/3/30に基本設計図書を納入し、18/4/27に代金を受け取っており、地方自治法232条の4第2項、名古屋市契約規則第53条に反しているとしています。

「名古屋城天守の有形文化財登録を求める市民の会」は記者会見の中で、15/8/24に河村市長河村たかしが市民経済局長宮村喜明に対して出した「指示書」を示し、「『本件(名古屋城復元整備計画)の全責任は私が取る』とあるため、市職員が無責任のまま事業に当たっている」としました。

18/9/21(金)名古屋市副市長「名古屋城 2018年10月文化審議会に諮らなかった場合の完成時期は竹中工務店と具体的な協議はしていない」

18/9/21に名古屋市議会本会議が開催され、浅井正仁市議(自民)が名古屋城天守閣木造化のスケジュールが遅れていることについて質問し、広沢副市長は「2018年10月の文化審議会に諮らなかった場合の完成時期は、竹中工務店と具体的な協議はしていない」と答弁しました。

18/9/21 名古屋市議会本会議(名古屋市民オンブズマンによる
 自動文字起こしアプリによる文字起こし)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180921.pdf

浅井市議は「本来2018年9月に素屋根工事の補正予算が提案されることだったができていない。2018年7月に名古屋城天守閣整備事業基本計画書案を提出しようとしたが出来ていない。2018年10月の文化審議会には間に合わないという理解か。また、次の文化審議会は2019年5月だが、その際完成は2022年12月に間に合うのか、竹中工務店とその回答を得ているか」質問しました。

広沢副市長は「2018年7月に基本計画書案を提出しようとしたが、文化庁から『石垣保全方針について有識者と認識が一致していない』と指摘され、基本計画書案の提出を見送った。現在も提出に至っておらず、現状変更許可取得も努力しているため、補正予算案の上程が出来なかった。
2018年10月文化審議会に間に合わせるスケジュールの根拠は現時点ではお答えできない。
2018年10月文化審議会に諮られなかった場合の完成時期は、その段階で優先交渉権者と協議し、2022年12月の木造復元天守閣竣工スケジュールを守るよう努力してまいりたいと考えていることから、現時点において竹中工務店と具体的な協議は行ってない」と答弁がありました。

浅井市議は「昨日工藤昭三衆議院議員に『2018年10月の審議会で本当に諮られるのか』文化庁に確認してもらった。」とし、広沢副市長は「名古屋市から申請書が出ていない。出ていなければ審議会には諮られない」と答弁しました。

浅井市議は「精神論だけでは、2022年になってもずっとこのまま。担当職員は仕事量が多く人手不足。また、『工期を守る』そこだけに目が行って、全てを見失っている。史実に忠実に復元するため、原点の気持ちに戻り、施策を見つめ直してほしい」と述べました。

最後に、「6月の委員会での自民党の要望にもかかわらず、木材を拙速に買ってしまった。次の5月の文化審議会を目指すとか言う前に、じっくりと腰を据えて取り組み、嘘偽りなく真実を議会並び、市民の皆さんに伝えることを要望する」とした上で、「市長に一言言わさせていただきたいと思います。市長。職員の声を、心の叫びを聞いて、職員を信じて、進めていただきたい」と述べました。

-----------
18/7/3に名古屋市議会経済水道委員会で自民党は以下要望を述べています。
自民:一つ、木材の調達に当たっては、文化庁から与えられた課題を確実に解決し、現状変更許可の見通しを立てた上で計画的に行うこと。
 一つ、総事業費の上限を505億円とすることは、市民や議会との約束であり、実現に向けて最大限の努力をすること。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180703.pdf

これが反故になっているのに、あまり怒りがみえてきません。(この要望を市が反映できると考える方が甘いと思います)
また、文化庁には議員は何回も問合せをしていますが、当の竹中工務店に対して問合せをした形跡がありません。竹中工務店は現状何を考えているのか。今後数年単位で工期が延びた場合、追加費用を含めてどうするつもりなのか。その際、議会はどう反応するのか。

名古屋城天守閣木造化をめぐっては、あまりにも情報が隠ぺいされており、しかも上記のような将来のリスクについても情報が出されておりません。

名古屋市は、今回方向転換するチャンスをみすみす逃しました。

限られた情報を分析し、18/9/21に「名古屋城天守の有形文化財登録を求める市民の会」が基本設計業務において違法性が疑われるとして住民監査請求を18/9/21に起こしました。
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle

障害者団体は木材製材契約94億5540万円の差し止めを求める住民監査請求を起こす方針とのこと。
https://www.facebook.com/nagoya.jitsugensurukai/

誤りを認めない河村たかし名古屋市長、煮え切らない市・市議会に対して市民の怒りが爆発しています。


18/9/20(木)名古屋城 天守閣部会ワーキング 内容全面非開示 謝金額も不明

名古屋城天守閣木造化に関し、マスコミ・一般に公開されている天守閣部会・石垣部会があります。
しかし、天守閣部会には「ワーキンググループグループ」という非公開の会議があったことが判明したので、議事録を情報公開請求しましたが、日時と参加者だけ書かれた表紙は公開されましたが、内容は全て非公開でした。
しかも、「建造物ワーキング 第1回議事録」は議事録すら作成されていませんでした。
開示された表紙からは、17/8/29に天守閣部会構成員との打ち合わせ会、17/10/18に天守閣部会ワーキング(午前・午後)が開催されていたことが判明しました。

また、謝金については「基本設計その他業務委託」業務委託概要書に基づき竹中工務店に支払っているとして、合計8億4693万6000円の支出命令書しか開示されませんでした。

・「特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会開催要綱」に基づくワーキンググループに出席した者への謝金の支払いに関する支出命令書書として支出命令書
・「特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会開催要綱」に基づく建造物ワーキング 議事録として特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会構成員との打合せ会 議事録
 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会ワーキング 議事録
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180920-2.pdf
☆参考 名古屋城天守閣整備事業基本計画その他業務委託業務委託概要書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180920-3.pdf

天守閣部会ワーキングについては市民に情報を全く公開していません。
一刻も早く公開することを求めます。

-------
なお、発注者支援業務についても情報公開請求したところ一部が開示されました。

平成29年度「名古屋城天守閣整備事業に係る発注者支援業務」
・契約書
・名古屋城天守閣整備に係る発注者支援業務共通仕様書
・情報の保護及び管理のための特記仕様書(業務委託用)
・障害者差別解消に関する特記仕様書
・名古屋城天守閣整備事業に係る発注者支援業務特記仕様書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180920-1.pdf


18/9/19(水)名古屋城 石垣部会と市 非公表会合で調整失敗 2022年完成は絶望的と日経新聞

日本経済新聞電子版18/9/19 14:30(新聞記事は18/9/20朝刊)に、「漂流する名古屋城復元 「22年完成」絶望的に」という記事が載りました。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35515740Z10C18A9CN8000/

記事によれば、18/9/10に名古屋城天守閣木造化をめぐり、「石垣部会」の構成員と市幹部が開催自体非公表で会合をもち、木造復元に絡む石垣保全手法について打開策を探ったとのこと。
しかし、市側からは有識者を納得させる案は示せなかったといいます。

現在、天守台石垣は空襲と経年変化により崩落の危険性があります。
しかしながら、名古屋市は石垣はそのままにしてまず木造天守閣を2022年12月までに復元させ、その後に石垣を修復する予定を立てています。
しかも、木造天守閣を支えるために「はね出し架構」というコンクリート構造物を石垣内部に埋め込む予定で、これは現在の石垣を破壊してしまいます。
石垣部会は強く反発し続けています。

特別史跡名古屋城跡の権限を持つ文化庁は、石垣部会の合意を得ることを申請受付の条件としています。
石垣部会の同意を得られなければ文化庁への申請は不可能です。
当初は2018年10月の文化庁文化審議会で妥当との判断を得ようとしていましたが、いまだに書類すら文化庁に提出できていません。
次回文化審議会は2019年5月ですが、石垣部会の理解を得られる見込みはありません。

しかしながら、河村市長は2022年12月までの完成を死守せよと強気の態度を崩していません。
上記日経新聞によれば、「圧勝した昨春の市長選で市民に公約した木造復元計画が見直しに追い込まれれば政治責任を問われかねないからだ」としています。

---------
一方、名古屋市は基本設計8億4693万6000円を竹中工務店に支払い済み、実施設計15億6384万円も契約を結びました。
木材製材契約94億5540万円の予算も市議会で可決しました。

完成期限の2022年12月を仮に延ばした場合、名古屋市と竹中工務店は金額の交渉に入りますが、どの程度金額が膨らむかまだわかりません。
木材の保管費用としては年1億円程度とのこと。
これらも市議会の同意を得ないといけませが、市議会がどう判断するかもわかりません。

石垣をめぐる問題だけで課題が山積です。
その他、エレベーター設置・バリアフリー問題、消防法の問題、防災問題、建築基準法適用除外、さらには来場者数・収支計画の問題も全く解決していません。

障害者団体は木材製材契約94億5540万円の差し止めを求める住民監査請求を起こす方針とのこと。
https://www.facebook.com/nagoya.jitsugensurukai/

また、「名古屋城天守の有形文化財登録を求める市民の会」が基本設計業務において違法性が疑われるとして住民監査請求を18/9/21に起こします。

前に進めないことは確実ですが、止まることも引き返すことも莫大な追加費用がかかってしまいます。
こうなることは容易に予測できましたし実際予測していましたが、しがらみや政治状況からここまで紛糾してしまいました。

河村市長の政治責任なしでの解決方法は考えられませんし、仮に政治責任をとったとしても費用は莫大にかかってしまいます。

現在開催されている名古屋市議会で、どこまで市議会が追及できるのか。
名古屋市がどこまで方針を転換できるのか。注目です。
----------------
平成30年9月定例会 本会議の議案外質問通告内容
http://www.city.nagoya.jp/shikai/page/0000109572.html

平成30年9月21日(金曜日)の議案外質問通告内容
浅井正仁議員(自民)[18分](14:09〜)
名古屋高速道路の対距離料金制度の導入について
名古屋城の整備について
(1)天守閣木造復元の今後の見通し(観光文化交流局、教育委員会)
(2)本丸御殿のスロープ工事(観光文化交流局、教育委員会)

平成30年9月25日(火曜日)の議案外質問通告内容
江上博之議員(共産)[15分](10:20〜)
名古屋城天守閣整備事業の見直しについて

名古屋市議会 委員会の開会日程(予定)
http://www.city.nagoya.jp/shikai/category/324-3-0-0-0-0-0-0-0-0.html

9月26日(水曜日)午前10時5分 経済水道委員会 付議議案審査[質疑(市民経済局、観光文化交流局関係)]
9月28日(金曜日)午前10時30分 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(市民経済局、観光文化交流局関係)]
10月2日(火曜日)午前10時30分 経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(3局一括)]
10月5日(金曜日)午前10時 経済水道委員会 付議議案審査[説明(市民経済局、観光文化交流局、上下水道局関係)]]
10月9日(火曜日)午前10時 経済水道委員会 付議議案審査[質疑(市民経済局、観光文化交流局関係)]
10月11日(木曜日)午後1時 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(市民経済局、観光文化交流局関係)]
10月15日(月曜日)午前11時 経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(3局一括)]


18/9/12(水)名古屋城木造化 2018年7月下旬に文化庁訪問時の持参資料・記録 内容全面非開示

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城天守閣木造化に関し、名古屋市職員が2018年7月20-25日に文化庁を訪問した際の資料ならびにその際の記録を情報公開請求しましたが、内容は全面非開示でした。 

決定書
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180912.pdf
理由:名古屋市情報公開条例第7条第1項第4号に該当
 公開請求のあった文書の内容のうち、黒塗り部分につきましては、当該情報が公開されることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるため、非公開とします。
・2018年7月20日-25日に、名古屋市職員が文化庁を訪れた際の持参資料として
 1)名古屋城天守閣整備事業 基本計画書(概要編・資料編・図面編)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180912-1.pdf  
 2)平成29年12月 復元検討委員会での報告に対する意見(平成30年3月提出)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180912-2.pdf
 3)平成29年12月 復元検討委員会での報告に対する意見への追加回答
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180912-3.pdf
 4)平成30年3月 復元検討委員会での報告に対する意見への回答
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180912-4.pdf
 5)2018年7月20日-25日に、名古屋市職員が名古屋城関連で文化庁を訪れた際の持参資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180912-5.pdf
・2018年7月20日-25日に、名古屋市職員が文化庁を訪れた際の復命書、支出金調書として、
 6)復命書(名古屋城総合事務所長以下5名分)
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180912-6.pdf
 7)復命書(ナゴヤ魅力向上担当部長分)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180912-7.pdf
・2018年7月20日-25日に、名古屋市職員が文化庁を訪れた際の会談の内容、指摘事項がわかるものとして
 8)2018年7月20日 文化庁打合せメモ
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180912-8.pdf
・2018年7月26日に、名古屋市職員が文化庁を訪れた際の復命書、支出金調書として
 9)復命書(名古屋城総合事務所長分)
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180912-9.pdf
・2018年7月26日に、名古屋市職員が文化庁を訪れた際の会談の内容、指摘事項がわかるものとして
 10)市長国家提案【文化庁】<平成30年7月26日(木)>面会記録
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180912-10.pdf
 11)市長国家提案【文化庁】<平成30年7月26日(木)>メモ
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180912-11.pdf
 
開示請求を分析すると、18/7/20に文化庁記念物課に名古屋市職員が6名訪問しています。
基本計画書(概要編・資料編・図面編)(表紙以外全て真っ黒)と、2017年12月の復元検討委員会での報告に対する意見と回答、追加回答、2018年3月の復元検討委員会での報告に対する意見への回答、ならびに31ページのタイトルすら非公開の資料を持って行ったことがわかりました。
復命書の内容、打合せメモは非公開です。

その後、18/7/26に市長に随行して西野輝一・名古屋城総合事務所所長が文化庁を訪問していますが、面会記録の多くは非公開です。
18/7/26文化庁訪問後、河村たかし名古屋市長は、「木造復元の計画は提出していない」と記者に説明しています。

--------
かたくなに、文化庁と市のやり取りの詳細を非公開とする名古屋市。行政のプロジェクトで市民に情報を公開せずにうまくいった例はありません。

文化庁からは「石垣部会とよく話し合って結論を出すように」と言われているといいます。
しかしながら、18/7/13に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会(第28回)が開催された後、2か月たっても開かれていません。

18/9/14から始まる名古屋市会平成30年9月定例会ですが、9月補正予算では仮設素屋根見学施設補正予算要求もなければ、穴蔵石垣調査関係の予算要求もありませんでした。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-15-3-0-0-0-0-0.html

18/8/30に文化庁が公開した、「平成31年度文化庁概算要求の概要」「参考資料」を見ても、「2020年までの観光立国の実現を加速」しようとはしているものの、特段天守閣の木造復元を推進しようとする記述はありませんでした。
むしろ、鉄筋コンクリート造の建築物を重要文化財として指定し、修理をしようとする姿勢が見られます。
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/yosan/index.html
文化財修理の抜本的強化
国宝・重要文化財(建造物)の価値を損なうことなく次世代へ継承するため、保存修理を実施する。
○ 明治以降に建造された近現代建造物(土木・建築)は、従来の木造のほか、煉瓦や鉄骨、鉄筋コンクリート造の建築物及び土木構造物が含まれる。平成5年度から重要文化財への指定を開始し、指定件数は337件に達し、本格的な修理の時期に達している。

上記を踏まえると、「2022年12月木造天守閣完成」の破綻は誰の目にも明らかですが、いつそれを名古屋市が認めるかが焦点となっています。
その際、竹中工務店と契約上どのような金銭的処理をするつもりなのか、市議会は同意するのか、その後の見通しはどうなるのかなど問題は山積みです。

今回開示された情報が公開されれば、「破綻」がすぐに明らかになるのですが、公開されないために「破綻」を認める時期が先延ばしになります。
「破綻」を認めるのが遅くなればなるほど、「市民へのつけ」も大きくなります。

2018年9月議会でどこまで明らかになるのでしょうか。


18/9/5(水)名古屋城木造化 河村市長が文化庁訪問時に作成したメモ 内容非公開

18/6/13に河村市長が文化庁を訪問した際、自ら作成したメモについて、名古屋市民オンブズマンが18/7/18に情報公開請求したところ、18/9/5に内容が全面非公開になりました。
・平成30年6月13日文化庁訪問時に市長が作成したメモ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180905.pdf
理由:名古屋市情報公開条例第7条第1項第4号に該当
 公開請求のあった行政文書に記載されているメモ内容は、公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるため、非公開とします。


 (メモの上部の日時と参加者記載は、特別秘書が直接記載したとのこと)

-------
しかしながら、18/6/18の市長記者会見では、市長は記者にメモを見せてもよいような口ぶりをしています。

---
平成30年6月18日 市長定例記者会見
http://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000106008.html
(記者) 石垣部会の話なんですが、東京に行かれた時、主に五つの課題が出たという話があったと思うんですが、その中にはその話は入ってなかったと思うんですけれども。
(市長) いや、石垣部会の話入ってます。
(記者) 石垣調査の中に入っているという認識でよかったですか。一番最初に石垣調査のことについての言及があったと思うんですが。「石垣部会とよう相談して結論を出してください」というのは、わかりません、知識不足というか記憶不足で申し訳ありません。 
(市長) それが一番初めで、もしよかったら、そのときの僕のメモがあるけど、まあええか。
(記者) これは市長の中では、記者に対しては伝えていたという認識でいいってことですか。
(市長) これはそうですよ、一番最初に言った。よう相談してというのか、よう話し合ってというのか、結論を出してくださいと。(記者) 石垣部会と、ということですね。
(市長) そうです。
-----
今回、特別秘書の田中克和さんがじきじきに情報公開窓口にきて、「説明責任を果たす」としました。
しかしながら、書いてある内容について問い合わせたところ「すみませんが、上記理由でお答えできません」とのこと。
市長発言の「もしよかったら、そのときの僕のメモがあるけど、まあええか。」の趣旨についても尋ねましたが、「市長に聞かないと趣旨はわからない」とのこと。
当該メモは記者にも公開していないことを確認しました。

今回は、市長が書いたメモを特別秘書に渡したので、特別秘書が持っているとのこと。
名古屋城の件で文化庁に行った際のメモが他にあるかと問い合わせたところ「これしかもらっていない」と言いました。
特別秘書が記者会見を行ったことがあるか問い合わせましたが、「就任時の記者会見のみ」と言いました。

同日の文化庁訪問に関しては、特別秘書も同行しており、
復命書を作成していますが、行程と参加者しかかかれておらず、何を話したのか何もわかりません。

名古屋城をめぐっては、きちんとした情報が公開されず、市長の一方的な発言しかわかりません。
せっかく特別秘書がご尽力されているのであれば、その内容を公開するのが筋ではないでしょうか。

また、特別秘書の体制を聞いたところ、だれも職員がおらず、自分一人で市長直轄で行っていると言いました。
問合せのため電話をしても、ほとんどつながりません。

市民不在の名古屋城木造化を象徴するような市長のメモ内容全面非公開。
市民はなめられています。
名古屋市民オンブズマンとして何が出来るか早急に考えたいです。


18/9/4(火)「名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託」概要書等 開示

名古屋市民オンブズマンは、「名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託」概要書等を情報公開請求し、以下開示されました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180903-3.pdf
・業務委託概要書
・名古屋城天守閣整備事業実施設計委託仕様書
・名古屋城天守閣整備事業、石垣調査委託、特記仕様書
・地盤調査委託仕様書

------
しかし、そもそも「名古屋城天守閣整備事業にかかる技術提案・交渉方式(設計交渉・施工タイプ)による公募型プロポーザル 業務要求水準書」(平成27年12月)第2章第4節1.(6)特別史跡における条件では以下述べられています。
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/17_topics/271202/dwl/koubo_03.pdf
A 木造復元に際し、実施設計に着手する前の基本設計の段階において、文化庁における「復元検討委員会」の審査を受け、文化審議会にかけられる。
(復元検討委員会は年 2〜3 回行われ、名古屋城本丸御殿復元工事の場合は、3 回の審査を受けている。また、文化審議会は、5 月と 10 月の 2 回行われている。)

また、上記に関する質問の回答として、名古屋市は16/2/2に以下回答しています。
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/17_topics/271202/dwl/koubo_07.pdf
質問内容:文化庁における「復元検討委員会」の審査を受け、文化審議会にかけられるのは、基本設計の段階であり、そこで文化審議会の了解が得られれば、実施設計段階では、文化庁における「復元検討委員会」の審査や文化審議会の手続きは不要であると考えてよろしいでしょうか。
回答:結構です。

しかし、18/9/4現在、「復元検討委員会」の審査を受けておらず、文化審議会にもかかっておりません。
それにもかかわらず「基本設計」を18/3/30に名古屋市は竹中工務店から受領して、18/4/27に8億4693万6000円を支払い済みです。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180612-1.pdf

基本設計の内容は全面非開示で市民にはさっぱりわかりません。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-1.pdf

しかし、河村たかし名古屋市長は「エレベーターはつけない方針」と明言しており、障害者差別解消法違反・愛知県人にやさしい街づくりの推進に関する条例違反・障害者権利条約違反のおそれがあります。
そもそも、現時点では名古屋市建築審査会よる建築基準法の適用除外を受けていません。

そんな中、名古屋市は竹中工務店と2020/5/29までに実施設計契約を完成させるよう15億6384万円の契約を結びました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180523-4.pdf

石垣調査は全く進まず、文化庁の復元検討委員会・文化審議会の審議にかかる見通しも立たず、安全性を確保するための(一般財団法人)日本建築センター、(一般財団法人)日本消防設備安全センターとの協議もどこまで進んでいるか不明で、名古屋市建築審査会よる建築基準法の適用除外のめどもたっていません。
客観的に見れば、2022年12月までの木造天守閣復元は不可能ですが、河村市長だけが「何とかする」と強気です。
いつ計画破綻を名古屋市が認めるのか、その後どうなるのかはわかりません。

市民に情報を公開しないことで、名古屋城木造化計画破綻への道を突き進む名古屋市。ツケをすべて市民に押しつけるのは断固拒否します。


18/9/3(月)名古屋城18/6/13文化庁訪問時の復命書内容非公開 「建造物ワーキング」議事録作成せず

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城天守閣木造化に関して18/7/18に以下情報公開請求をしましたが、またも市民は知ることが出来ませんでした。

----
・平成30年6月13日に名古屋城の件で文化庁を訪問した際の復命書、支出命令書
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180903-1.pdf
 一部開示
 理由 名古屋市情報公開条例第7条第1項第4号に該当
 公開請求のあった「復命書」の内容につきましては、当該情報が公開されることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるため、非公開とします。
・名古屋城天守閣木造化について、「ガラスによる避難コア・避難階段」に関する天守閣部会・天守閣部会構成員による意見
 @特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 建造物ワーキング第2回議事録
 A特別史跡に名古屋城跡前体制整備検討整備会議天守閣部会(第10回)議事録
 B特別史跡名古屋城跡全体整備会議天守閣部会(第12回)議事録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180903-2.pdf
 Aは開示 @Bは不存在
 理由 @、Bについては、請求のあった行政文書作成または取得しておらず、不存在のため非公開とします。
 非公開とした@、Bについては今後1年以内に当該行政文書の全部または一部についての公開が可能となる予定のため、公開を希望する場合は当該時期以後、新たに公開請求が必要となります。
------
特に、「特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 建造物ワーキング」なるものは存在すら全く公表されていませんでした。いつ開催されたかも不明です。
「特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会開催要綱」には、第7条(ワーキンググループ)で「市長は、ワーキンググループを開催し、部会の検討事項のうち特定の事項の整理、情報交換等を行わせることができる」とあるだけで、はたしていくつのワーキングループがあるのかも不明です。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170510.pdf

17/10/18に「特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会ワーキング」が開催されたことは、開示書類で判明しています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-8.pdf

いくつワーキンググループがあるのか、その設置根拠と議事録を今後情報公開請求する予定です。

また、18/6/13文化庁訪問は特別秘書も同行しており、その復命書の開示については18/9/5(水)午前11時から特別秘書が直接説明するとのこと。


18/8/6(月)18/7/19名古屋城天守閣部会で配付されなかった資料 内容ほとんど非公開

名古屋市民オンブズマンは、2018年7月19日に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第12回)で、傍聴者に配付されなかった資料を情報公開請求したところ、以下のように内容はほとんど非公開になりました。

行政文書の一部を公開しない理由:(一般財団法人)日本建築センター、(一般財団法人)日本消防設備安全センターとの協議中の情報については、当該情報が公開されることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるため(名古屋市情報公開条例第7条第1項第4号)、非公開とします。

・決定書
 2018年7月19日開催
 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第12回)
 傍聴者に配付されなかった資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180806.pdf
・開示文書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180806-1.pdf
・記者クラブへの情報提供資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180806-2.pdf
 
どのように来城者を避難させるのか、これでは全くわかりません。

ただ、そんな中でも判明したことがあります。
・各階在館者数シミュレーション(避難対象人数2500人)「滞在者数を均一」と、「在館者密度を均一」があります。最上階はあまり人が入れないことがわかりました。
・照度シミュレーション
 内部はそうとう暗いです。付加手摺に照明内蔵を提案しています。
 

・煙の上昇を防止する階段床開口の閉鎖板戸の活用
 史実には階段に板戸があったようですが、「史実に忠実」な板戸で煙が防げるのでしょうか。
 手動?電動? 材質は木?それとも不燃材? 
 
公共建築物を建てる際の絶対条件である安全性の確保すら、どのように検討しているか非公開にしています。
安全性を確保するには入場者数の制限が必要ですが、そうすると年間366万人、1時間2500人来場して入場料で返済するという資金計画が崩れます。
2018年7月文化庁復元検討委員会への基本計画が提出できず、2022年12月竣工が絶望的になった現在、資金計画から全面的に見直す必要があるのではないでしょうか。

------
今後の予定

・8/19(日)13時半〜 名古屋城の歴史についての勉強会(名古屋市東図書館)
 特にこの1、2年の特殊な問題を中心に勉強します。
 時間:18/8/19(日)13:30〜
 場所:名古屋市立東図書館2階集会室
  地下鉄ナゴヤドーム前矢田下車 1番出口すぐ
  https://www.library.city.nagoya.jp/guide/m_higashi.html
 講師:森晃(名古屋城天守を「戦後復興市民のシンボル」に)
  https://www.facebook.com/1740949266229351/
 どなたでも参加できます。
 資料代:100円
 主催:名古屋城の歴史を勉強する会


18/8/1(水)名古屋市 名古屋城に関する報道発表資料をホームページに載せず

18/8/1、名古屋市民オンブズマンメンバーが名古屋市にある市政情報センターを訪れ、報道発表資料の綴りを見ていたところ、平成30年7月30日付けで「名古屋城天守閣整備事業について(情報提供)」という書類が市政記者クラブに情報提供されていた事が判明しました。
親切な名古屋市情報公開担当職員が「ご承知かと思いますが、市政記者クラブへ情報提供されている資料は、ホームページに掲載されていますよ」と教えてくれましたが、その場で市ホームページを確認しても、上記情報提供については掲載されていませんでした。
・名古屋市 報道発表資料(平成30年度分)
 http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/345-11-0-0-0-0-0-0-0-0.html
・名古屋市 新着情報
 http://www.city.nagoya.jp/main/news/curr.html
 
名古屋市が記者クラブに提供したすべての報道発表資料は、原則としてホームページで公開することになっています。
・平成23年3月11日 市長室広報課長
 報道発表資料の名古屋市ホームページへの公開基準について

上記広報課長の事務連絡があるにもかかわらず、どうしてホームページに載っていないのかと聞いたところ、早速名古屋城総合事務所に問合せ、事務連絡に基づきホームページで公開するよう伝えてくれました。

※18/8/2追記 18/8/2に名古屋市のホームページを確認したところ、18/8/1にアップしたとありました。
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000108039.html

--------
18/7/30河村市長定例記者会見において、名古屋城総合事務所が文化庁に基本計画書案を持参した日時を「市内部の調整が出来ていないため」公開しない、という姿勢をとっていました。
記者から「それはおかしい」と追及され、その後に今回の情報提供でようやく7月20日に持参したことを認めました。
・動画
 https://youtu.be/Iip-FYW1-ts?t=14m
・名古屋市民オンブズマン書き起こしメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180730.pdf

名古屋市は、以前から、自分に都合が悪い情報は、ホームページに掲載しない傾向があります。
そうしないための広報課長事務連絡であるにもかかわらず、きちんとした対応がとられていません。
早急な対応を望みます。

------ 
・2016年 01月 21日 市民オンブズマン 事務局日誌
 名古屋市 記者提供資料はweb公開も、補足資料はweb掲載せず?
 https://ombuds.exblog.jp/22797046/
 

18/7/30(月)河村市長 名古屋城木造天守閣の件で再度文化庁訪問も、基本計画渡せず

18/7/30に河村たかし名古屋市長は定例会見で、7月中に文化庁に提出を予定していた名古屋城天守閣木造復元基本計画を7月中には断念したと発表しました。
・動画
 
https://youtu.be/Iip-FYW1-ts?t=14m
・名古屋市民オンブズマン書き起こしメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180730.pdf

名古屋市は文化庁の復元検討委員会が7月中に開催される見込みのため、それに復元基本計画を提出する予定でした。
しかし、18/7/26に河村市長が文化庁を訪問した際、文化庁は「石垣部会の理解を得て欲しい」と言い、持参した復元基本計画を渡せませんでした。

河村市長は「文化庁は『できる限りのサポートをする』と言った」と繰り返しましたが、記者から「サポートというのは10月の文化審議会に了承を得られるようにサポートするというとおっしゃいましたか」と聞かれ、「そんなことはいってないけれど」と認めました。

しかし河村市長は、2018年10月の文化審議会にかけるようめざし、2022年12月の天守閣完成予定は変えないといまだに強気の姿勢を崩していません。

また、名古屋城総合事務所の村木さんは、「7/13石垣部会、7/19天守閣部会を経て、その指摘を踏まえて修正したものを文化庁に持参は致しましたが、文化庁で地元有識者との認識の一致を見ていないとの指摘を受けて、7月の提出は見送った」としたものの、「天守閣部会終了後、河村市長訪問時ではないが、市の内部で調整仕切れていないため、訪問日はまだ明らかに出来ない」と異例の対応をしました。

--------
河村市長や名古屋城総合事務所職員は、youtubeで会見の様子が全世界に発信されているという意識がないのでしょうか。
大変恥ずかしい会見です。特に文化庁の関係者がこの会見を見たら、「そんなこと言ってない」と大激怒するのではないでしょうか。

・石垣部会では、天守台石垣と木造復元の関係を議論もしていない
・文化庁からは、石垣部会の理解を得て欲しいと言われているが、石垣部会からは理解は得られていない
・木造復元をするには、2018年7月に復元基本計画を復元検討委員会に提出して了承を得る必要があるが、復元基本計画は7月に渡せなかった
・木造復元をするには、2018年10月の文化審議会で了承・現状変更許可を得る必要があるが、その前提の復元検討委員会での了承が得られていない
・文化庁の現状変更許可が得られなければ、石垣をとり外すことも、現在の名古屋城を解体することも、まして木造復元をすることもできない。
・2022年12月に完成させるには、2018年10月に現状変更許可を得られないと工程上極めて厳しい。
   
客観的に考えれば、2022年12月の完成は不可能になったと考えるのが正しいでしょう。
名古屋城総合事務所の村木さんが「市の内部で調整し切れていない」というのは、「スケジュールを大幅に変更することが必要となったため、今後どうすべきか調整しきれていない」という意味だと推測します。
竹中工務店とは2022年12月までに505億円で完成させるという基本協定を結んでいます。
スケジュールを大幅に変えることは、基本協定上は可能ですが、金額の変更をどうするのか、議会の付帯決議に反することをどうするのかなど課題が山積みです。

障害者団体はエレベーターをつけろと主張し続けていますし、新技術のめども立っていません。
スケジュールを遅らせることで金額が大幅に増えると、当初の入場料だけで返済するという計画に狂いが生じます。
また、「新技術」の開発費も505億円に入っていません。
さらに「新技術」が仮に導入された場合、入場者が「新技術」のために制限されることになったら、さらに入場料収入が減ることになります。

今後どのように決着をつけるのか。市長はどのように責任をとるのか。泥沼の法廷闘争に突入するのか。
市民不在の議論が続きます。その間、名古屋城天守閣には入ることは出来ません。


18/7/26(木)河村市長 名古屋城木造天守閣の件で再度文化庁訪問も、基本計画渡せず

各種報道によれば、18/7/26に河村たかし名古屋市長は名古屋城木造天守閣の件で再度文化庁を訪問したが、基本計画書を文化庁に渡さなかったとのこと。
文化庁からは再度「石垣部会」の理解を得て欲しいと言われたとのこと。

名古屋市は2018年7月中に基本計画書を文化庁に提出しようとしていました。
・現ケーソン地下のボーリングが行われていないため、ボーリング調査を石垣部会が認めるか
・木造天守閣復元のため、天守台石垣、穴蔵石垣を外すことを認めるか
・はね出し架構やマットスラブ新設のため、遺跡の掘削を認めるか
・橋台下にPC梁設置を認めるか
・内堀底石垣の保護対策は十分か
・落石防止ネットの地盤アンカーを認めるか
など、石垣をめぐる論点は多岐に及びますが、いずれも全く議論されていません。

石垣部会は、現在の名古屋城天守台石垣の状態が極めて悪いため、早急に調査した上でどのような対策をとるべきか議論すべきだとしています。
上記議論は、木造天守閣を作るには必要ですが、優先順位からすれば「本質的価値」のある石垣の調査・修復が先であると石垣部会はしています。

名古屋市の計画では2018年7月中に基本計画書を文化庁に提出しようとしていましたが、絶望的です。
18/7/27読売新聞によれば、西野輝一名古屋城総合事務所所長は「現時点ではなんとも言えない。しかるべき時に報告する」と月内提出を明言しなかったとのこと。
こうなることは経緯を調べればずいぶん前からわかっていたのですが、それでも名古屋市は文化庁に基本計画書を提出するのでしょうか。

なお、名古屋市は文化庁の復元検討委員会に過去2回書類を持って行っていますが、いずれも名古屋城木造天守閣復元は議題にもあがらず、意見が合計で7つ示されただけです。
仮に名古屋市が文化庁に基本計画書を提出したとしても、石垣部会の理解を得られていない以上、再度意見を示されるだけです。
そのときになってはじめて、名古屋市は2022年12月には完成しないと認めるのでしょうか。
もしくは、2018年10月文化審議会を断念し、2019年5月の文化審議会を目指すとし、2022年12月の完成に固執するのでしょうか。
延ばせば延ばすほど、木材の保管費用(年1億円)はかかっていきます。


18/7/25(水)名古屋市「名古屋城跡保存活用計画に対する市民意見まとめは手引に従い1か月でwebから消えた」

名古屋市は、18/1/16-2/15まで、名古屋市パブリックコメント制度要綱に基づき「特別史跡名古屋城跡保存活用計画(案)」に対するパブリックコメント(パブコメ)を募集しました。
その後、18/5/11に、市民意見の内容及び市の考え方を市のホームページに掲載しました。

2018年5月11日 名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所保存整備室保存整備係
特別史跡名古屋城跡保存活用計画(案)に対する市民意見の内容及び市の考え方
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000105362.html

しかし、いつの間にか上記ページが読めなくなっていました。


また、名古屋市がweb上でまとめてある「パブリックコメント」ページに一切記述がなくなっていました。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/63-0-0-0-0-0-0-0-0-0.html

名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所に確認したところ、18/7/25に返事がありました。
「パブコメについて、市の内部で『手引』を作っており、概ね1か月市民意見の内容及び市の考え方をホームページに記載するようにとある。
それに基づき、掲載期限を決めるのは所管部署。
名古屋城総合事務所としては、手引に示されている期限で決定した。
具体的には18/5/11に掲載し、1か月としたので、6月中旬には消えた。
「意見募集を終了した計画等についての市民のご意見及び市の考え方」には平成16年以前に公表した計画も載っているが、それらの掲載期限を決めるのは所管部局。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/63-5-0-0-0-0-0-0-0-0.html
パブリックコメント手続実施状況一覧表は年度ごとに掲載してあり、今回年度をまたがって行ったため、平成30年度パブリックコメント手続実施状況一覧表に来年度に載る予定。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/63-6-0-0-0-0-0-0-0-0.html
そもそも手引に『web掲載期間は概ね1か月』と決めていることの妥当性については、所管している総務局法制課法規係に直接問い合わせて欲しい。
なお、パブリックコメントを受けて作成した完成版は載っている
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000105368.html 」。

そもそも、平成29年度に市が行った他の20のパブコメすべて、市民の意見がいまだにホームページに載っています。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/63-5-0-0-0-0-0-0-0-0.html

なぜ名古屋城の件だけ載せないのか全く理解できません。

たまたま当該パブコメをダウンロードしていたので、名古屋市民オンブズマンのページでアップします。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/pabukome180511.pdf

まさかとは思いますが、天守閣木造復元に肯定的な意見9件、否定的意見140件だったから、他部局と異なりすぐに消した訳ではないと思いたいです。


多くの市民の意見を募集し、それを元に市の考えを示してよりよい案を作成するパブリックコメント制度。
すぐに市民の意見を消すのは本末転倒です。


18/7/24(火)障害者団体「名古屋城木造天守 エレベーター無しで7つの基準をクリアし今よりよくなるか?」

18/7/24に名古屋市は「特別史跡名古屋城跡バリアフリー説明会」を開催しました。
・配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180724.pdf

河村市長の挨拶の後、最初に開催の趣旨を市が述べましたが、「現在開発されている技術を知ってもらいたい」としただけでした。
報道によれば、市は当初、新技術の検討を進める協議会としての開催を目指していたが、エレベーター設置を求める団体側の同意を得られず説明会の形をとったとのこと。
特に有識者が参加するわけでもなく、市と業者、障害者団体が参加しました。
傍聴者も一部発言しましたが、「時間が無いので、アンケートに記載をすればホームページ等で回答を公表する」と述べました。

名古屋市は、各企業や有識者から提案があった新技術を説明し、その後4社が実際に現在の技術を説明しました。
・二足昇降ロボット
・駕籠
・アシストスーツ、人工筋肉
・階段昇降機

ただ、各企業は正式に契約があれば開発する、というのであり、現時点では既存の技術の紹介にとどまりました。
名古屋市からは、開発資金の負担割合について話はありませんでした。

一方、「愛知県重度障害者の生活をよくする会」「NPOちゅうぶ」は書面を提出し、以下の7つの基準を示しました。
1 誰もが乗れる
2 誰もが簡単に使える
3 一般の人(健常者)の移動と同じような時間で移動できる
4 たくさんの利用が連続してできる
5 一般の人の移動と対立しない
6 天守閣の最上階まで上がれる
7 怖い思いをしないで乗れる


障害者からは「震度7が起こったらどうなるのか」「バランスよく椅子に座れる人は少ないがどういった人を想定しているのか」「10年前の技術が現在どうなったのか。あと4年でどこまで進むのか」「一度にたくさんの人が同時連続は出来るのか」と質問が出ました。
企業は「地震が起きたら今のままでは完全に転ぶ。補助ワイヤーをつけるなど必要。」「あくまでもお年寄りで階段を上るのがしんどい人を想定している。体幹がない人は想定していない」「正式に発注依頼があれば進む。技術の紹介しかできない。未来はなかなかいえない」「上記7つの基準の内、一度にたくさんの人が同時連続は難しい。他は解決できそう」としました。

--------
傍聴者は、あまりの現実性のなさにあきれていました。

名古屋城現天守閣には、車椅子の人だけでなく、ベビーカーを押した人、お年寄り、松葉杖の人も多く来場しており、その人達向けの技術になっているのか大変疑問です。
エレベーターは上記7項目をクリアしており、エレベーター以外の技術で何とかする、というのは非常に困難だと思います。

特に、「100年後は国宝にする」と河村市長は述べており、周囲の木を傷つけることは出来ませんし、あまり重い加重をかけることもできません。
発火原因となることも絶対出来ません。(電動車椅子は、乗っている人を含めて約200キロです)
しかも、階段は中央に避難コア・非常階段をつけない方針にしたとのことで、最大55.7度の急勾配の2つの階段のみ来城者が使うことになります。
そんな中、何らかの「新技術」で階段を上り下りすると、一般の人の移動が妨げられてしまうのではないかと思いますし、来場者数見込みもさらに減らす必要があります。

名古屋市は今後も説明会を続けるとのことですが、実のある会になるとは思えません。

朝日新聞によれば、障害者からは「69歳の河村市長自身が急な階段を最後まで上りきれるのか」と質問があり、河村市長は終了後、「僕はあきらめます」と答えたとのこと。

こんないい加減な市長が思いつきで言ってきた名古屋城木造化ですが、実態が見えてくるにつれて問題が噴出しています。
8億4000万円かけて作った基本設計、15億6384万円の契約を結んだ実施設計、94億5540万円の木材製材契約は今後どうなるのでしょうか。
505億円の他にさらに「新技術」開発費用をかけるのでしょうか。「新技術」で階段が使えなくなり、入場者減少に伴って入場料も減少し、赤字を垂れ流す施設になるのでしょうか。
2022年12月までの木造化は、石垣調査が遅れているため無理です。
傷の浅い内に引き返すのがよいと思いますが、どこまでいけば引き返すのでしょうか。


18/7/22(日)愛知県障害者施策審議会 名古屋城天守閣にエレベーター設置再考を求める意見書提出方針 

18/7/22毎日新聞によれば、18/7/19に開催された愛知県障害者施策審議会で名古屋城天守閣木造復元でエレベーターを設置しない名古屋市の方針に対して再考を求める意見書提出方針を決めたとのこと。
・平成30年度第1回愛知県障害者施策審議会
 
http://www.pref.aichi.jp/soshiki/shogai/2354658787989876755.html

名古屋市は、「史実に忠実」としながらも、スプリンクラーをつけ、3階から4階への新たな階段をつけようとしています。
しかも、「本質的価値」を持つ石垣・遺構を取り外し・掘削してはね出し架構やマットスラブを新設しようとしています。

河村市長がどうしてエレベーター不設置にこだわるのか不明です。あらためて、どのような天守閣がよいのか、耐震補強・長寿命化を含めて考え直すべきではないでしょうか。


18/7/19(木)市は新たな階段提案も、天守閣部会は名古屋城基本計画を石垣部分を除き了承 

18/7/19に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第12回)が開催されました。
名古屋市は、文化庁復元検討委員会資料(追加項目)を提出しましたが、天守閣部会としては「石垣部分を除き了承」としました。

18/7/19 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第12回)
・配付資料
  
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180719.pdf
・資料3 文化庁復元検討委員会資料(追加項目)について (訂正前)
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180719-1.pdf  
・上記資料3の一部訂正部分 G42,G44
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180719-2.pdf
☆地震の解析等4ページ、「防災・避難計画の考え方」は傍聴者・マスコミに配付されず

・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180719-3.pdf
 
河村市長は、はじめに挨拶だけして退席しました。

まず、名古屋市は、文化庁から指摘された7項目について、名古屋市としての回答案を説明しました。
三浦正幸・広島大学名誉教授は「大阪城は登録有形文化財になっている。文化庁としては、暗に現名古屋城天守を登録有形文化財にしてはと言っているのではないか。地震に耐えられず、耐震補強には莫大な金がかかるが寿命が延びるわけではない。木造の方が太陽年園がはるかに延びる。歴史がよく分かるという根本的な話しが文化庁に伝わっていないのではないか。」と述べました。

次に、名古屋市は天守台石垣の保全と安全対策を述べました。
名古屋市は「木造天守閣を復元する際、はねだし工法をとる。基本方針として、石垣を解体しないようにしたいが、おそらく解体が必要となってくる。その場合、戦後に積み替えした範囲で押さえたい」としました。
西形達明・関西大学名誉教授は「天守閣部会としてはしょうがないが、石垣部会にも了承を得てもらいたい」としました。

西野所長は「北面石垣のはらみだしが気になっており、詳細調査を始めた。石垣部会の先生方にも相談しながら早急に対応を行う。天守の復元をしてから速やかに石垣修復を行う」と述べ、座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「工程を書き直すということですね」と確認しましたが、西野所長は「工程は変わらない」としました。
瀬口座長は「いずれにしても書き直すでしょう?応急的なものであれ、石垣保全対策をとりながら木造天守復元を行う、というのは入っていない」と述べました。
西野所長は「盛り込みたい」としました。

その後、竹中工務店は復元整備の詳細と利活用について説明しました。
はね出し架構とマットスラブを新設するため、石垣の取り外し、掘削等が必要となる範囲、遺構の掘削が必要となる可能性がある範囲があることが示されました。
三浦名誉教授は「石垣の改変となってしまう。これでは石垣部会が賛同しない。」とし、名古屋市は検討すると述べました。
瀬口座長は「石垣との関係は難しい。天守閣部会としてはこれくらいか」とし、石垣部分については石垣部会に任せることにしました。

なお、地震の解析部分資料については、報道関係者と傍聴者には配付されませんでした。

次に、防災計画について議論されましたが、この部分の資料も報道関係者と傍聴者には配付されませんでした。
竹中工務店としては、日本建築士センターと数回打ち合わせをした結果、1日20000人、1時間2500人滞在する人を安全に避難させるには、3階から4階まで史実にない南階段を作ることが必要と考えたと述べました。
また、階段の最上部に、煙が上部に行かないよう閉める扉をつけること、階段部分を遮煙区画とすることなどを説明しました。
竹中工務店は「名古屋市消防局とも打合せをしているが、日本建築士センターの評価書はまだ時間がかかる」と述べました。
川地正数・川地建築設計室主宰は「データを見ると午後2時半-4時に1.6倍くらい来る。ピークを2500人とするのなら、1日20000人は厳しい。在館者人口は3000人を超えるのではないか。
20000人を何が何でも確保するなら、大阪城のように9時〜19時まで延長しては」と述べました。

また、川地主宰は「歩行困難者は2%を占める。2500人いると50人が各階にいる。北側階段を囲う安全区画をとるのは絶対必要ではないか」と述べました。

最後に、瀬口座長は「天守閣部会プロパーの問題については、大きな問題は無かった。石垣と天守復元については、石垣部会と名古屋城総合事務所の間で検討して欲しい」と述べました。

----------
そもそも、竹中工務店は当初の案では中央部分にガラス張りの避難コア・避難階段を作ることを提案していました。
しかし、天守閣部会が「史実に忠実でない」と言ったらしく(議事録で確認出来ない)、案から外れました。
最大55.7度の急勾配の階段を避難に使うというのは、全く理解できません。
・人をそれほど入れないようにする→入場料だけで借金を返す計画が破綻
・史実にない階段をつける→「史実に忠実でない」と市民・寄付者から文句
・人を大勢入れる→緊急時に避難できない
いずれにせよ、全てをうまく満たすものはできそうにありません。


名古屋市は、当初の市民に説明してきた計画とは大分異なっていることをあらためて市民に説明すべきです。

------
また、石垣についてですが、「名古屋城の本質的価値」がある石垣・遺構を取り外し・掘削をして、新たにはね出し架構やマットスラブを新設するのは本末転倒ではないでしょうか。
18/7/13石垣部会で、千田教授は「資料G19 基礎構造ABC案があるが、石垣の中に巨大なマットスラブ(コンクリート耐圧盤)が中に入る提案である。これはだれがどうみても史実に不忠実な石垣復元だ。Bについては、遺跡が残っていても壊すと読める。名古屋市として文化庁に申請するのかもしれないが、石垣部会として了承していないし、議論もしていない」と述べました。

文化庁からは「石垣保全については石垣部会と十分話し合うこと」と言われています。にもかかわらず、名古屋市は文化庁復元検討委員会に資料を提出するとのこと。

課題が山積であり、文化庁復元検討委員会に「議題」として取り上げられる可能性は極めて低いです。
名古屋市は、2022年12月完成目標を撤回した上で、善後策を竹中工務店や市議会と協議する段階ではないでしょうか。

天守台石垣については、詳細調査でより危機的状況であることが判明しています。このまま放置しておけば、大雨や地震により、石垣が崩れてしまう危険性があります。「名古屋城の本質的な価値」の石垣をみすみす放置し、出来るかどうか全くわからない木造化に邁進しようとしつつも、「史実に忠実」に熱心なあまりさらに完成へのハードルをあげているのが河村市政です。

---------
今後の予定です。

・18/7/23(月)14:00- 名古屋市建築審査会(名古屋城関連議題なし)
 http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2018/jutakutoshi/0000107184.html
・18/7/24(火)13:00- 特別史跡名古屋城跡バリアフリー説明会(名古屋市役所本庁舎5階 正庁 )
 http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/17_topics/300724/index.html
・18/7/30(月)18:00- 名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会
 

18/7/17(火)名古屋城本丸御殿工事 基礎が江戸時代の地層に達したおそれ

名古屋城本丸御殿の障害者スロープの工事をする際、基礎が江戸時代の地層に達したおそれがあると石垣部会構成員が指摘したと、一部報道がありました。
河村市長は18/7/17記者会見で以下のように述べましたが、詳細はよく分かりません。
特に配付資料もありませんでした。
仮に文化庁へ提出した現状変更許可申請書と、実際の工事が食い違った場合大問題です。
「文化財を破壊した」として、文化庁の名古屋市に対する信頼が地に落ちます。
今後の名古屋城天守閣復元事業にも影響が出るのではないでしょうか。

------
18/7/17 河村市長定例記者会見(名古屋市民オンブズマンまとめ)
http://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000106808.html

記者:一部報道 本丸御殿の工事 問題があったのではないか

河村市長:報道内容 活字は読んだ
 当局によれば、文化庁の許可は取ってやっている
 どういうふうに内容をやっていたか再度調査中である
 真実をきちっと明らかにして、申し上げることを申し上げないといけない
 
記者:調査中で、まとまり次第発表するということか
 
河村市長:はい
 小天守と本丸御殿の間にあるスロープ 80センチくらい違ってくる
 
記者:許可は取ったのか

担当者:そういう可能性はないと思うが、確認中

河村市長:許可は取っているが、実際はどうなっているかきちっと検証している
 許可とらんとできない
 
-------
2018年07月14日 09時40分 NHK
本丸御殿復元 工法に問題か
http://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20180714/3501941.html

2018年07月14日 21:10 東海テレビ
名古屋城本丸御殿の復元工事で“江戸時代から残る遺構”
傷つけた恐れ 専門家が視察で指摘
http://tokai-tv.com/tokainews/article.php?i=58245&date=20180714

2018/7/17 16:40 日本経済新聞
本丸御殿の遺構の土、保護不適切か 名古屋市が調査へ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33055920X10C18A7CN8000/


18/7/15(日)サマーセミナー「現名古屋城天守の価値」に延べ48名参加

「名古屋城天守を『戦後復興市民のシンボル』に」は18/7/15に愛知サマーセミナーで学習会「コンクリート天守と『名古屋城址』の価値」を開き、2コマで延べ47名が参加しました。

・高橋和生氏 パワーポイント資料
 
https://www.facebook.com/kazuo.takahashi.545/media_set?set=a.1350311368438312.1073741935.100003783851253&type=3
・西浦芳郎氏 配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180715.pdf
・内容メモ(名古屋市民オンブズマン作成)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180715-1.pdf

講座が始まる前に、下記動画を見ました。
・「戦後復興のシンボル 名古屋城天守の価値」
 https://www.youtube.com/watch?v=SYYp0k9zEu8
・コンクリート天守閣を守ろう
 https://www.youtube.com/watch?v=0tB-peth9kY

一級建築士の高橋氏は、都市計画から見た名古屋市の歴史を説明しました。
高橋氏は「河村市長がいう『面白い』だけで現天守を壊してよいのか。名古屋GDP12兆円のうち、観光収入は300億円。どのような名古屋市があるべき姿か考えよう」としました。

続いて、西浦芳郎氏は「2018年1月に名古屋市が行ったパブコメでは、意見196件中肯定的9件、否定140件であったのに、名古屋市は全く無視してきた。
この間感じたことは、お城の問題と言うよりは、市民の問題。名古屋市の民主主義の問題ではないか」と述べました。

中学生・高校生も参加し、市民の高い関心度合いがわかりました。

・名古屋城天守を「戦後復興市民のシンボル」に
 https://www.facebook.com/1740949266229351/

18/7/13(金)「石垣部会として、名古屋城復元天守の基礎構造は了承していないし、議論していない」

18/7/13に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会(第28回)が開催されました。
石垣部会は、本日示された「天守台石垣の保全と安全対策」資料について、「これまで指摘してことと180度違う」と反発しました。
また、「木造復元に伴う天守台石垣の保全と対策」資料については、時間が無く名古屋市側が説明できませんでしたし、
「石垣部会として、名古屋城復元天守の基礎構造は了承していないし、議論していない」と述べました。
・配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180713.pdf
・配付資料「天守台石垣の保全と安全対策」
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180713-1.pdf

・石垣部会内容メモ(名古屋市民オンブズマン作成)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180713-2.pdf
・終了後の記者会見メモ(名古屋市民オンブズマン作成)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180713-3.pdf 

名古屋市は、今日の石垣部会を踏まえて、7月中に文化庁復元検討委員会に木造名古屋城天守閣復元に関する資料を提出する予定でした。
それには、復元工事に際し、石垣をどう保全するかなどを示す必要がありました。
市議も含め14名が傍聴していましたが、小天守台周りの石垣の話しをしている最中に、スマホでゲームをしている市議もいました。

まず、河村たかし名古屋市長が「市民との約束について全力を尽くしたい。人員と予算をつけてやりたい」と挨拶をし、すぐに退場しました。

その後、10年以上続いている本丸搦手馬出周辺石垣修復工事について議論しました。
座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「10年以上経過している修復工事は全国でもない。時間がかかりすぎだ。以前いただいた縦横断図があれば、どうしてここを修復しないといけないかわかる。全員が再確認する必要がある」としました。
 
次に、小天守台周り石垣の発掘調査について議論しました。
昨年度、本丸御殿復元工事のため発掘できなかった部分を調査するとのこと。

最後に、天守台石垣の保全と安全対策について議論しました。
名古屋市は、「天守台石垣の保全と安全対策」と「木造復元に伴う天守台石垣の保全と対策」の2つの資料を示し、一方的に説明しようとしました。
北垣座長は「12時までに終了となっている。こちらからも質問したい」とし、「木造復元に伴う天守台石垣の保全と対策」についての市の説明を途中で終わらせました。

まず、「天守台石垣の保全と安全対策」について議論すると言うことで、石垣部会の委員には、採用資料が配付されました。
北垣座長は「これまで石垣部会として、天守台石垣がどのように危険な状態なのか調査してきた。北面はらみ、根石欠落、堀の外岸不安定性など。しかし、現在天守台石垣の北面しか調査が出来ていない。石垣カルテづくりをして、はじめて修復が出来る。へこみやS字型が図面で明らかとなった。
また、現在足場を組み、間近で特徴を見ることができたが、石垣は極めて深刻な状態だった」としました。

赤羽一郎・愛知淑徳大学非常勤講師は「この資料を文化庁に持って行くのか」と聞いたところ、名古屋城担当者は、この資料を7月に持って行く予定といいました。
赤羽構成員は「足場を組み間近に見たところ、モルタルが奥にとどまったり、空洞があったり、栗石が落ちていたりかなり恐ろしい状態になっていた。しかし資料には盛り込まれていない。「やや不安定」という記述に驚きと危機感を持つ。これをこのまま文化庁に提出してよいのか」と問いました。

西野輝一・名古屋城所長は「文化庁にどう提出するかは、石垣部会のご審議を踏まえて提出したい」と答えました。

千田嘉博・奈良大学教授は「報告書の結論である『安定している』とは正反対だ、というのが石垣部会の主張。調査が足りない。危険な状態にある。
安定生保全調査を早急に行って保全措置を執るのが最優先だ。一般論として文化庁に確認したが、『何らかの復元建物を先に作り、石垣修復を後回しにすることは史跡の整備として適切ではない』とのこと。文化庁に持って行く資料が出来たとするのはいかがなものか。『根石が安定している』結論は妥当ではない」としました。

西野所長は「天守台だけでなく石垣全体を保全したい」としました。

最後に、千田教授は「資料G19 基礎構造ABC案があるが、石垣の中に巨大なマットスラブ(コンクリート耐圧盤)が中に入る提案である。これはだれがどうみても史実に不忠実な石垣復元だ。Bについては、遺跡が残っていても壊すと読める。名古屋市として文化庁に申請するのかもしれないが、石垣部会として了承していないし、議論もしていない」と述べました。

(参考 見延山久遠寺五重塔復元工事 マットスラブ)
 http://www.kuonji.jp/kuonji/50-10/pdf/03.pdf

終了後石垣部会は記者会見を行いました。
市の許可を得て、引き続き傍聴しました。

記者は、「名古屋市が7月に文化庁に書類を提出できない場合、来年5月に提出する予定だが、調査にどの程度のスパンを考えているか」と質問したところ、北垣座長は「一層価値あるものにするには時間がかかる。国と相談して決めること」としました。
千田教授は「本丸搦手馬出石垣の解体だけで10年かかっている。天守台石垣はより大規模。」と述べました。

赤羽構成員は「石垣部会と、今回の資料では、データ、評価、認識に開きがある」としました。
千田教授は「どうして石垣部会の審議結果が反映されず、私たちの評価と180度違っているのかと個人的に思っている。報告書と有識者の考えが全く違うのはまれだ」としました。
その後に名古屋市が会見を行いました。
名古屋市は相変わらず「本日の審議を踏まえて、文化庁に7月に資料を出す予定。天守閣復元と平行して石垣修復をしていく。
石垣部会の指摘について、どう記述するかは今後検討する」としました。

記者から「文化庁に理解いただけると思うか」と聞かれましたが、西野所長は「我々が言えることではない。しっかりと説明してきたい」としました。

記者から「市長は7月中に石垣部会をもう一度開けないかと言っていたが」と問われ、西野所長は「そういう想定はない」としました。

-----
石垣部会の意見すら180度ねじ曲げて報告書を作成し、しかも特別史跡である石垣を破壊する可能性がある名古屋城木造天守復元計画。
どうしてこのような異例なことを行うのか全く理解が出来ません。

名古屋市は、今後天守閣部会を経て文化庁復元検討委員会に資料を提出するようですが、文化庁から言われた「石垣部会とよく話し合って」という前提条件すらクリアできていません。

今後どうなるか全く読めませんが、木材保管費用だけはずっとかかっていくと予測できます。
今後も注目していきたいです。

-------
今後の予定です。

・18/7/15(日)13時10分?16時10分 講座「コンクリート天守と『名古屋城址』の価値」
 https://www.facebook.com/events/667509150270479/
 椙山高校中学 西館 5F 514教室
 講師 西浦芳郎・高橋和生(名古屋城天守を「戦後復興市民のシンボル」に)
・18/7/19(木)10時-13時 天守閣部会 名古屋国際センター
 http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2018/kankobunkakoryu/0000107344.html
・18/7/23(月)14:00- 名古屋市建築審査会(名古屋城関連議題なし)
 http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2018/jutakutoshi/0000107184.html
・18/7/24(火)第1回エレベーター(EV)に代わる手段を検討する協議会
・18/7/30(月)名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会



18/7/12(木)名古屋市 文化庁に提出した名古屋城木造化関連資料 タイトル以外全て不開示

名古屋市民オンブズマンが名古屋市に対して以下情報公開請求しましたが、「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある」としてタイトルの一部以外不開示になりました。

・決定書
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180712.pdf

・17/12/26に開催された文化庁「史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会」に関して文化庁に提出した資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180712-1.pdf
・17/12/26に開催された文化庁「史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会」での議論を受けて「史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会」に関して文化庁に提出した資料
・18/3/26に開催された文化庁「史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会」に関して文化庁に提出した資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180712-34.pdf


また、以下は既に不存在決定が出ています。
・18/3/26に開催された文化庁「史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会」での議論を受けて「史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会」に関して文化庁に提出した資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180612-3.pdf

これでは、現在名古屋市が名古屋城木造復元に関して何を考えているのか、どのような方針で行くのかもまったくわかりません。
市民不在で手続だけ進めていく木造名古屋城が「名古屋市民のシンボル」になることはありえません。

------
なお、以下は開示されました。

・17/12/26に開催された文化庁「史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会」での議論の内容がわかるもの(平成30年2月5日 文化庁記念物課)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180712-2.pdf
・18/3/26に開催された文化庁「史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会」での議論の内容がわかるもの(平成30年5月16日 文化庁記念物課)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180712-5.pdf

------
今回、全面黒塗りの資料が70枚あり、1枚10円の費用を払おうとしたところ、「全面黒塗りの資料についてはお金を受け取ることは出来ない」として、一部でも開示されたもののみお金を支払い、他は無料で提供を受けました。


18/7/9(月)文化庁 名古屋市が提出した名古屋城木造化関連資料 全面不開示決定

名古屋市民オンブズマンが文化庁に対して以下情報公開請求しましたが、「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある」として不開示になりました。
・17/12/26に開催された文化庁「史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会」に名古屋市が提出した資料
・17/12/26に開催された文化庁「史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会」での議論を受けて名古屋市が「史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会」に提出した資料
・18/3/26に開催された文化庁「史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会」に名古屋市が提出した資料
・18/3/26に開催された文化庁「史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会」での議論を受けて名古屋市が「史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会」に提出した資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180629.pdf
これでは、名古屋市がどのような計画を立てているのか、また、文化庁の指摘を受けてどのように回答をしたのかわかりません。

平成30年3月6日閣議決定 「文化芸術推進基本計画― 文化芸術の「多様な価値」を活かして,未来をつくる ―( 第1期 )」にも反しているのではないでしょうか。
・目標3 心豊かで多様性のある社会
 あらゆる人々が文化芸術を通して社会に参画し相互理解が広がり,多様な価値観が尊重され,心豊かな社会が形成されている。
 http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/hoshin/pdf/r1389480_01.pdf

-------
ただ、以下は開示されました。

・平成29年12月26日開催 復元検討委員会での指摘事項
(17/12/26に開催された文化庁「史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会」での議論の内容がわかるもの(名古屋市関係分))
・史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会における報告事項(特別史跡名古屋城跡 天守)に対する主な意見 (18/3/26に開催された文化庁「史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会」での議論の内容がわかるもの(名古屋市関係分))
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180709.pdf

開示された全文を掲載いたします。
---
平成30年2月5日 文化庁記念物課
平成29年12月26日開催 復元検討委員会での指摘事項

特別史跡名古屋城跡の天守についての調査状況を委員会に報告した。以下の指摘があった。

@戦後都市文化の象徴であるRC(SRC)造天守を解体するにはなお議論を尽くす必要がある。
史資料の豊富さということのみで、名古屋城跡天守を木造とする考えが正当化できるかどうか検討を要する。
A戦前における城郭建築についての研究と耐火構造の必要性というような中で、RC(SRC)造天守が建設されたわけであるが、前者についての追跡が不十分ではないか。
B建築基準法の変遷についての調査がさらに必要
 34年改正が国宝保存法に指定されており、戦災によって焼失したものの再建を適用除外としていると解釈できるか否か、検討が必要。
C石垣の調査を行い、その成果に基づいて具体的にどのように石垣を保全していくのかを検討しなければならない。方針のみでは議論とならない。

--------
史跡等における歴史的建造物の復元の取り扱いに関する専門委員会における報告事項(特別史跡名古屋城跡天守)対する主な意見

・SRC造による外観復元・博物館機能の背景について
 近現代建築の外観復元においては、内部を木造に見せることができないこともあって、城戸は内部に博物館を作ろうと考えたのではないか。
・SRC造技術の発達について
 SRC造技術の発達については、その経緯・歴史をもっと示し、評価すべきではないか?
・天守台石垣にかかる課題への対策について
 天守解体及び木造天守建築時における、天守台石垣に対する影響を考える必要がある。石垣の調査が継続中であるため、報告がなされていない。石垣の構造解析は難しいし、時間がかかると思う。

------
これら7つの文化庁の指摘に対し、名古屋市は満足に回答できていないといいます。

18/7/13石垣部会では、上記について議論するようですが、これまで石垣部会では木造天守閣復元については一度も議論をしたことがなく、議論が1回で終了するとはとても思えません。
石垣部会の議論を注目したいです。

以下今後の予定です。
・18/7/13(金)10時-12時 石垣部会 名古屋能楽堂会議室 
 http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2018/kankobunkakoryu/0000106944.html
・18/7/15(日)13時10分?16時10分 講座「コンクリート天守と『名古屋城址』の価値」
 https://www.facebook.com/events/667509150270479/
 椙山高校中学 西館 5F 514教室
 講師 西浦芳郎・高橋和生(名古屋城天守を「戦後復興市民のシンボル」に)
・18/7/19(木)10時-13時 天守閣部会 名古屋国際センター
 http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2018/kankobunkakoryu/0000107344.html
・18/7/23(月)14:00- 名古屋市建築審査会(名古屋城関連議題なし)
 http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2018/jutakutoshi/0000107184.html

18/7/4(水)94.5億円名古屋城木造化木材製材契約 市議会本会議で賛成討論なく可決 共産と自民2名が反対

18/7/4名古屋市議会本会議で、名古屋城天守閣木造化木材製材費94.5億円契約について、
自民(2名を除く)・民主・公明・減税の賛成で可決されました。
・名古屋市民オンブズマン 自動文字起こしアプリによる文字起こし
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180704.pdf
・議案
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180619.pdf
・契約書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180612-2.pdf

経済水道委員長は、委員会で以下要望が出たと述べるのみ。
一つ、木材の調達に当たっては、文化庁から与えられた課題を確実に解決し、現状変更許可の見通しを立てた上で計画的に行うこと。
一つ、総事業費の上限を505億円とすることは、市民や議会との約束であり、実現に向けて最大限の努力をすること
一つ、名古屋城天守閣木造復元事業について市民の理解を得ながら、市民とともに事業を進めて進めることができるよう、説明会やシンポジウム等、様々な場面において丁寧に説明していくこと
一つ、文化庁からの現状変更許可の取得に向けて鋭意努力し、総事業費の上限505億円並びに2022年12月の完成期日を遵守すること。
一つ、文化庁の現状変更許可の取得に際し、石垣部会、天守各部会ならびに復元検討委員会、加えて文化審議会に対して万全の準備を期して臨むこと。

その後質疑はなく、討論は共産党による反対討論はありましたが、賛成討論はありませんでした。

裁決時、ネット中継では誰が賛成したかわかりませんでしたが、共産党以外に
自民の2名が反対したと、田口かずと市議(共産)がtwitterで述べていました。
https://twitter.com/TaguchiKazuto/status/1014379077166194688
 名古屋城天守閣の木造復元のための木材調達などを契約する議案に、共産党以外に自民党の議員2人が反対しました。文化庁が現天守閣の解体・木造化を許可する見通しがない中、木材調達を先行させる強引なやり方は、市民にさらなる負担をもたらす恐れがあります。
現時点では文化庁から現状変更許可を得る見通しは全く立っていませんが、市議会はチェック機関としての働きを自ら放棄しました。
「当局がんばれ」だけでは全く進みません。名古屋城関係職員は疲弊しています。
2018年7月中に行われる石垣部会・天守閣部会・文化庁復元検討委員会・名古屋市建築審査会で、議会の拙速な議決の当否が明らかになるでしょう。

18/7/3(火)名古屋城木造化木材製材費94.5億円契約 市議会経水委で自民・民主・公明・減税の賛成で可決

18/7/3名古屋市議会経済水道委員会が開催され、名古屋城天守閣木造化木材製材費94.5億円契約について、自民・民主・公明・減税の賛成で可決されました。
・名古屋市民オンブズマン 自動文字起こしアプリによる文字起こし
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180703.pdf
・議案
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180619.pdf
・契約書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180612-2.pdf
 
各会派は以下要望を述べました。
自民:一つ、木材の調達に当たっては、文化庁から与えられた課題を確実に解決し、現状変更許可の見通しを立てた上で計画的に行うこと。
 一つ、総事業費の上限を505億円とすることは、市民や議会との約束であり、実現に向けて最大限の努力をすること。

民主:一つ、名古屋城天守閣木造化復元事業について市民の理解を得ながら、市民とともに事業を進めることができるよう、説明会やシンポジウム等様々な場面において丁寧に説明をしていくこと。
 一つ、文化庁からの現状変更許可の取得に向けて鋭意努力し、総事業費の上限505億円並びに2022年12月の完成期日を厳守すること。

公明:賛成(要望なし)

減税:文化庁の現状変更許可の取得に際して石垣部会、天守各部会ならびに復元検討委員会、加えて文化審議会に対して万全の準備を期して臨むこと。

共産党は反対しました。

共産:名古屋城天守閣木造化は文化庁の現状変更許可の見通しもなく、有識者から求められた石垣の背面調査等もいまだに行われていない。エレベーター設置を求める市民の理解も得られておらず、木材契約を行う段階には至っていない。
 そもそも2022年の12月の木造化スケジュールありきの木材調達契約であり、市民不在の計画そのものが問題であること。
-------
これまであれだけ議会が厳しく追及してきても、なぜか最後には要望を述べて賛成する、というのはこれまで繰り返してきたことですが、ここまで無理難題を行政に負わせる意味が全くわかりません。

せめて18/7/13の石垣部会の議論を待てなかったのか、大変疑問です。

-------
早速、石垣部会の千田嘉博・奈良大学教授はtwitterで以下述べました。
https://twitter.com/yoshi_nara/status/1013979524197781504
https://twitter.com/yoshi_nara/status/1013980929595883520
https://twitter.com/yoshi_nara/status/1013982593186852864
名古屋城の石垣部会は、木造天守の再建に賛成あるいは反対ということではなく、まずは国特別史跡としての本質的価値をもつ石垣をしっかり調べて、発掘して、現状を把握して、評価して、適切な保全の措置をとることが必要と、一貫して名古屋市に提言しています。文化庁も同じ見解です。
名古屋城の石垣調査の現状を整理すると、大天守石垣の石垣カルテ=未完成、大天守石垣の根石発掘調査=調査途中で埋め戻して未達、大天守穴蔵石垣の発掘=未着手、小天守石垣の石垣カルテ=未完成、小天守石垣の根石発掘調査=未着手、小天守穴蔵石垣の発掘=未着手。
この調査の状況で、名古屋城の大・小天守台石垣の現状把握が適切に行われていると考えて、石垣の現状を評価して安全性と保全のための適切な措置を確定できると判断してよいかが、問題です。みなさんはどうお考えになるでしょうか?
-------
今回の名古屋城天守閣木造化のための木材製材契約議決が、名古屋市の財政に深く禍根を残すことを憂慮いたします。
いざ2022年12月完成が間に合わなくなり、竹中工務店から追加費用の請求が名古屋市に来て「2022年12月厳守、505億円厳守と市議会は要望した」では通用しないのです。


18/7/2(月)名古屋市「石垣部会には、名古屋城木造化について今から説明する予定」認める

18/7/2名古屋市議会経済水道委員会が開かれました。

・18/7/2 名古屋市議会経済水道委員会配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180702.pdf
・18/7/2 名古屋市民オンブズマン 自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180702-1.pdf
 
手塚将之市議(減税)が、石垣部会から指摘されている事項は具体的にはなにか聞かれ、市は以下3点と答えました。
1)現在行っている調査 もう少し詳細に
2)石垣と木造復元の建物の関係の整理 今後課題
3)石垣整備スケジュールと木造スケジュールの問題 

これらを18/7/13石垣部会で全て提示し、すべて了承を得ようと市は考えているようです。
そもそも、石垣部会は「文化庁記念物課による特別史跡の現状変更許可の方針が固まっていない調査・整備事業については、今後も当部会での審議対象とはしない」としています。
1)について、天守台周りの詳細調査を行うのに手一杯です。
穴蔵石垣調査について、18/6/1には議題にも上りませんでした。仮に18/7/13に議題に上るとしても、すぐに認めるかどうかはわかりません。

しかも2)や3)については、全く初耳のことばかりであり、特別史跡である石垣をまず優先的に調査・修復すべきと石垣部会が即日認めるとは到底思えません。

-------
にもかかわらず、名古屋市は「今木材94億円の議決をしないと、2022年12月完成に間に合わなくなる。2018年10月に文化審議会で認められず、2019年5月も認められないと相当厳しい」と述べるのみ。

どうして議決をせめて石垣部会が終わった後、18/7/13以降では間に合わなくなるのか全くわかりません。

----
また、中川貴元市議(自民)は、「現天守閣に所蔵している収蔵品を、西の丸に現在建設中の建物以外にも、金シャチ横丁の隣だけでなく、東海農政局の土地は何とかならないのか。パンフレットには点線で囲んである」と質問しました。
市は「過去に国と市で協議した際、名城東公園を交換するという話があった。
現在リニア関連で利用しているので、あと15-20年ほどかかると認識している」と発言がありました。
これも、現時点でどこまで国と協議が進んでいるかわかりません。

-------------
こんな状態で、18/7/3に94億円の木材議決を行うのでしょうか。
このままでは将来に将来に禍根を残します。

----------
・7/3(火)10:30- 経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(2局一括)]
 ネット中継あり http://www.city.nagoya.jp/shikai/
・7/4(水)13:00- 名古屋市議会本会議で木材契約採決予定
 ネット中継あり http://www.city.nagoya.jp/shikai/
・7/13(金)石垣部会(時間・場所未定)
・天守閣部会(時間・場所未定)
・7/23(月)14:00- 名古屋市建築審査会

18/7/2(月)大村知事「木造名古屋城エレベーター不設置方針に、全国の障害者が主張されるのはよくよくのこと」

18/7/2に愛知県知事が記者会見を行い、名古屋城エレベーターについて記者から問われ、「全国の障害者の皆さんが名古屋に集まって主張されるのはよくよくのことだと思う。私は障害者の基本的人権にかかわるものだというふうに認識をしているので、名古屋市は真摯に受け止めて話し合うテーブルについてほしい。言ってきたことをいろいろはぐらかすとかそういうことじゃなくて、真正面から真摯に受けとめて、そしてしっかりとこたえていただきたい。」と述べました。
(後日、知事公式ページに記者会見の様子の動画と文字起こしが掲載されます)
 
http://www.pref.aichi.jp/koho/kaiken/

・名古屋市民オンブズマンによる自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180702ohmura.pdf

また、知事は「連合愛知が障害者団体を支援するというのは、働く仲間の中に障害者がいるのでどう一緒に仕事をするかは大きな課題であり、自然の流れだ」としました。
その上で、「県として出来ることは考えている。行政体が障害者団体と角突き合うのは異常な事態。話し合って正常化し、バリアフリー社会を目指そうと強く申し上げる」と述べました。


18/6/30(土)「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」に連合愛知が賛同

18/6/30に「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」が開催され、約100名の人が参加しました。
・実行委員会
 
https://www.facebook.com/nagoya.jitsugensurukai/
・当日配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180630.pdf

はじめに、会の設立趣旨説明を、実行委員会共同代表の近藤佑次さんが行いました。
「名古屋城の木造復元について、エレベーターがつかない方針だ。
 障害者権利条約で、様々な人が決定権を保障しようという流れは当然ある。
 河村市長は新技術を、といっているが、エレベーターはベビーカーでも足腰の弱い障害者でもボタン一つ押せば係員に何か頼むことなく気軽に安心安全移動が出来るので、街に当たり前にある。505億円かけてエレベーターが設置されないことに抗議していく。障害者が歴史を学ぶ、楽しむことは今より困難になる。
 名古屋市だけの問題ではない」

次に、近畿大学工学部名誉教授の三星昭宏さんから応援メッセージをいただきました。
「バリアフリーの研究と教育に携わってきた。
 昨日名古屋城に行ったら、本丸御殿は素晴らしくびっくりしたが、150億円の金額をかけたという。名古屋の情報は全国に発信されなく知らなかった。
 市民的議論が入っているか重要。
 これまで、「そよ風のように外に出よう」という合い言葉で、障害者が障害の有無に関わらず等しく外出できるようにしてきた。
 2000年以降、障害者の権利条約が締結され、政策も変わってきた。
 全ての人が暮らしやすいユニバーサルな社会を先頭に立って牽引してきたのは愛知の障害者の皆さん。
 最大の理由はセントレア。計画の段階からユニバーサルデザインで設計し大きな成功を挙げた。
 羽田空港は3年前セントレアを研究し尽くしたがセントレアを超えられなかった。
 このたび名古屋を象徴する名古屋城再建が話題になり、流れを大きく発展させたバリアフリー化、ユニバーサルデザイン化を全国から期待されている。
 ところで、ロボットの背中に担いで上がることや、階段昇降機などは技術的にはできあがっているが、普及しなかった。理由は障害者の心的肉体的負担だ。
 東京の地下鉄には階段昇降機があれほど普及したが、エレベーターがないにも関わらず使われていないのは怖いから。歴史を学んでいない。
 名古屋で提案している人は、階段昇降機やロボットを直接使ったことがない人ではないか。
 事業者は現場決定に学ばなければいけない。
 18/6/20に改正バリアフリー法が成立した。2020年東京オリパラを交通行政社会を大きく前進させた。
 最初から多数の障害者に直接参加する仕組みができた。
 名古屋城も当事者による評価を半年間前倒ししてすべき。
 歴史的建造物をバリアフリーで再建する取り組みは出ている。大阪城は先駆けで、金沢城の五十間長屋は歴史的建造物復元とバリアフリーを上手に組み合わせた。
 http://www.pref.ishikawa.jp/siro-niwa/kanazawajou/facility/
 姫路城も細かいところでバリアフリー化がなされている。
 当事者が参加参画して、全ての人が学べるように作っていただきたい」
 
次に、共同代表の斎藤縣三さんが、これまでの経過を説明しました。
「名古屋城のバリアフリー化についていろいろ要望を出していたが、今年4月になってようやく市長が答えた。
 市長の頭の中だけで好きなように作り上げた。
 4月24日バリアフリー検討会議が開かれたが、どのような形で参加するかも情報がこちらになかった。
 一緒に検討しようという気がない。 
 5月になって、エレベーターをつけないと障害者団体に行ってきた。
 4月検討会議からエレベーター排除方針はわかっていた。
 5月21日に市役所前抗議行動を行った。
 6月19日に全国の皆さんに集まって市役所を取り囲み、その後48時間ハンガーストライキを行った。
 その後、司会もこちらがして、1問1問で迫った。
 市長は話し合いの最後では「挑戦する」と変わった。彼自身の中でも本当に出来るとはほとんど思っていない。
 エレベータは邪魔だと凝り固まっている。
 竹中工務店に勤めている人に話しを聞いたが、竹中としては上までエレベーターをつけたいという案を示したが、市から拒否されたとのこと。
 また、本当に昔のままのお城を再建しても観光施設としては面白くない。
 本丸御殿のようなきらびやかな飾り付けはない。
 マスコミは、障害者が要望するバリアフリーか歴史的建造物かという論点にしているが、それは間違い。
 防災防火などいろんな物をつけない限りは木造復元は出来ない。
 また、バリアフリーは障害者だけの問題ではない。高齢者、ベビーカーなども。
 ぜひ全国に知らせたい」

その後、各団体から応援メッセージが述べられました。
名古屋市民オンブズマンの内田隆は、以下述べました。
「名古屋城木造化は建設費505億。利子100億。維持管理費も含めると50年間で1000億円もの巨大プロジェクト。これを1円の税金も使わずに作るというのが河村市長の意見。そんな物が本当に出来るのか、これまで情報公開請求で調査してきた。
 去年8億4000万円かけて作った基本設計。どんな物ができたか情報公開請求した。
 皆さん見えますか?真っ黒なんです。市民に全く公開されません。「竹中工務店の知的財産」だから非公開としています。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-1.pdf
 また、エレベーターをつけるつけないについて、市役所内でどんな議論がなされたか情報公開請求した。結果はこれ。何もないんですよ。不存在。黒塗りすらない。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180612-3.pdf
 これって、国政でも同じようなことを聞いたことが無いですか?
 ただ、49000円ほどかけて情報公開請求したら、一部わかったことがある。
 1年前、竹中工務店は天守閣中央部にガラス張りの避難コア・非常階段を提案していた。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-7.pdf
 ようやくおととい、市議会で「ガラス張りの避難コア・非常階段は史実に忠実でないためつけない方針」と発表した。
 しかし、火事になったとき逃げる場所として大変重要。健常者すら煙に巻かれて死んでしまう。
 今後も進められるかわからないのに、あさって7/3には94億円の木材契約をしよう、というのが現状だ。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180619.pdf
 ここまでずさんな公共事業は見たことがない。
 もっと情報公開させ、市民の議論を活発にして、本当にエレベーターが必要か、そもそも木造化出来るのか市民が判断できるようにしたい。
 一緒にがんばろう」
※名古屋市民オンブズマンは実行委員会に応援メッセージを依頼されたためスピーチしました。当実行委員会には参加していません。
 
その後も、愛知障害者(児)の生活と権利を守る連絡協議会・上田孝さんは
「これは名古屋城ではなく河村城としか思えない」という声も上がりました。大阪からも多数来場してメッセージが寄せられました。
その他、「収支計画では低位を見ないと行けない。エレベーターをつけない場合、高齢者、子連れなどがリピーターになるか。500億円を投じて黒字に出来るめどがあるか。観光資源として成り立つか徹底検証いただきたい」
「名古屋の中心に排他性の象徴を作ってよいのか」という声も上がりました。
大阪からは「ネットを見たところ、「障害者のわがまま」という声が多いらしいが、「新技術を主張する河村市長の人間性を疑う」という意見も多くなっている。
差別の問題、人権の問題であること。さらに先輩達が築き上げてきたものが壊される状況だ。」と述べました。

次に、賛同者紹介として、連合愛知副事務局長の梅田佳宏さんが紹介され、連合愛知として賛同するとしました。

今後の行動提起として、共同代表の近藤佑次さんは、今後竹中工務店との話し合いや、文化庁との話し合い、市議団への働きかけを行っていくとしました。

共同代表の斎藤縣三さんは、「新技術の協議会の参加については、新技術を押しつけるため、しかもそれでバリアフリーを考えているポーズを作るためならば参加しない。」とし、河村市長のいくつものウソを全国に発信するとしました。
市民署名も集める方針を示しました。
次回実行委員会は7/30を予定しているとのこと。

実行委員会事務局長の辻直哉さんからは、実行委員会への参加とカンパの呼びかけがなされました。

また、会場から、「大村知事から河村市長に、人に優しいまちづくり条例について電話をかけた」という情報も述べられました。

最後にシュプレヒコールがなされて終了しました。
-------
終了後、連合愛知副事務局長の梅田佳宏さんがマスコミ取材を受けました。
「実行委員会の方と先日面談・要請があり、連合愛知として実行委員会に賛同することを機関決定した。
 木造復元自体には賛成している。
 今後、市議会所属の議員などにどう働きかけるかなど考えたい」としました。
 
今後、7/4市議会での約94億円の木材契約採決にどのように影響があるか注目したいです。
-----
今後の予定です。

・7/2(月)10:00- 大村知事定例記者会見
 http://www.pref.aichi.jp/koho/kaiken/
・7/2(月)10:30- 河村市長定例記者会見
 http://www.city.nagoya.jp/mayor/category/316-0-0-0-0-0-0-0-0-0.html
・7/2(月)10:30- 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(観光文化交流局関係)]
 ネット中継あり http://www.city.nagoya.jp/shikai/
・7/3(火)10:30- 経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(2局一括)]
 ネット中継あり http://www.city.nagoya.jp/shikai/
・7/4(水)13:00- 名古屋市議会本会議で木材契約採決予定
 ネット中継あり http://www.city.nagoya.jp/shikai/
・7/13(金)石垣部会(時間・場所未定)


18/6/28(木)名古屋城木造化 中央にガラス張り避難コア・避難階段作らずと市

18/6/28に名古屋市議会経済水道委員会が開催されました。
・名古屋市民オンブズマンが自動文字起こしアプリを用いて文字おこししたメモ
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180628-2.pdf

名古屋城天守閣木造化について2022年12月完成を目指す名古屋市に対し、市議から多数疑問点が出されましたが、中でも江上博之市議(共産)が技術提案書で示された防災計画とか避難階段について現在どうなっているか質問したところ、名古屋市は「防災計画について、竹中工務店から技術提案の段階では中央にガラスによる避難コアを設けて、新たに避難階段を設置するという提案をいただいたが、天守閣部会で『史実に忠実ではないのではないか』という意見ををいただいたので、取りやめをしている」と答弁しました。

ガラス張りの避難階段ですが、17/5/10に開催された、特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第1回)の添付資料で提示されていました。(152ページ)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-7.pdf

しかし、傍聴していた人、マスコミにも配付されず、情報公開請求ではじめて明らかになったものです。

ところで、その後の天守閣部会議事録(竹中工務店作成)を全て読みましたが、 「ガラス張りの避難階段」について一言も言及されておりません。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-8.pdf

唯一考えられるのは、公開されている天守閣部会ではなく、非公開の「天守閣部会ワーキング」なるところで議論されていた可能性があります。議事録は全て非公開です。

仮に名古屋市建築審査会が建築基準法の適用除外の同意をしたとしても、「現行の建物と同等の安全性が確保できる」として第三者機関である日本建築センターの防災評定を取る必要があります。
・名古屋市 建築審査会
 http://www.city.nagoya.jp/jigyou/category/39-6-3-7-0-0-0-0-0-0.html
・日本建築センター
 https://www.bcj.or.jp/
 
果たしてガラス避難コア・避難階段なし、非常用エレベーターなしで、建築基準法で定められている二方向避難と同等の安全性が確保されるのか、仮に入城制限した場合、収支予測はどうなるのかなど、疑問が満載です。

---------
また、松井よしのり市議(自民)と市のやり取りで、文化庁との意見交換の日程とやり取りが判明しました。
現在文化庁から出された意見7つ(4つ+3つ)について、西野所長は「回答につきましても、それでいいというようにも言われているということも
ありません」と述べました。
・17/12/25 名古屋市は文化庁復元検討委員会に基本構想を提出
・17/12/26 文化庁復元検討委員会に基本構想が報告される
・18/2/5 文化庁から意見を4点いただいた
 1)戦後都市文化の象徴であるRC(SRC)造天守を解体するにはなお議論を尽くす必要がある
 2)戦前における城郭建築についての研究と耐火構造の必要性についての追跡が不十分
 3)建築基準法の変遷についての調査がさらに必要 戦災焼失したものの再建を適用
  除外としていると解釈できるか検討が必要
 4)石垣について
  基本計画に必要な石垣調査のとりまとめ
  穴蔵石垣の保全と観覧者の安全を考慮した基礎構造の検討
・18/3/26 文化庁復元検討委員会に基本構想が報告される
 名古屋市は文化庁復元検討委員会に石垣を除く3点の回答を提出した
・18/5/16文化庁から追加意見を3点いただいたが、名古屋市は正式な物と認識していなかった
 1)現天守は内部を木造に見せられなかったので博物館にしたのではないか
 2)SRC造の建築の発達の歴史
 3)石垣について(追加)
・18/6/5 名古屋市は上記追加3点が正式な意見だと認識した
・18/6/13 市長・特別秘書・西野所長が文化庁を訪問 以下指摘された
 1)石垣調査を着実に進めて結果を出して欲しい
 2)現天守閣解体時に史跡を傷めないように
 3)天守閣を作るときも史跡を傷めないように
 4)現天守閣の価値の評価の検証
 5)バリアフリーについて今後も障害者団体と意見交換を
 
中川貴元市議(自民)と市とのやり取りの中で、今後の市が想定するスケジュールも判明しました。
・18/7/4 名古屋市議会本会議で木材製材契約が議決
・18/7月-10月 竹中工務店が契約に基づき木材調達調査を行う
・18/7/13 石垣部会開催 
  基本計画に必要な石垣調査のとりまとめ
  穴蔵石垣の保全と観覧者の安全を考慮した基礎構造の検討
  新しい木造復元の建物と石垣との関係
  天守台石垣周辺部の追加調査
・18/7中 天守閣部会 基本計画書について諮る 
・18/7中 復元検討委員会に基本計画書を提出 了承予定
・18/9 市議会に仮設素屋根見学施設補正予算要求
・18/10中 文化審議会にかけ、了承
・18/11中 文化庁の現状変更許可
・18/11 市議会で現天守解体補正予算要求
     仮設素屋根見学施設議決    
・18/11月-19/1月 竹中工務店が契約に基づき木材を伐採
・19/2 市議会で現天守解体契約議決
・19/11 市議会で本体工事補正予算要求承認
・20/2 本会議で本体工事契約議決

西野所長は、「仮に2018年10月の文化審議会で認められない場合は、2019年5月の文化審議会を目指す。
その場合、あらためて竹中工務店と工程について見直すが、現時点では工事が遅れるのか、現序変更許可が遅れても工期を守れるのかは申し上げられない」としました。

中川市議は「2018年7月石垣部会、天守閣部会、復元検討委員会で認められるかわからないのにもかかわらず、どうしていま94億を出して木材を買う必要があるか」と質問しましたが、市は「木材の伐採が2018年11月から始まるので、今契約しないと1年遅れになる」と答弁しました。

-----
もし木材をめぐる市の答弁が本当であれば、2018年7月石垣部会、天守閣部会、復元検討委員会が終了した後、2018年8月に市議会で木材契約を採決しても2022年12月木造復元には十分間に合うのではないでしょうか。仮に2018年7月4日の市議会本会議で木材契約をし、その後現状変更許可が遅れるなどして工期が延びた場合、木材保管料だけで年1億、工賃を含めると年十億円単位の追加費用がかかる可能性があります。

上記スケジュールでは触れていませんでしたが、名古屋市建築審査会の「適用除外」同意、日本建築センターの防災評定、総務大臣による消防法の緩和、名古屋市消防長の同意も必要です。

石垣部会、天守閣部会の議論を経て、復元検討委員会に諮り、完成した基本計画に基づき収支計画を見直した上で、せめて2018年8月に木材契約採決を遅らせることを提案します。

--------
今後の予定です。

・18/6/30(土)13:30- 「名古屋城木造天守のエレベーター設置を実現する
 実行委員会設立集会」栄ガスビル キングルーム(5F)
 https://www.facebook.com/events/191203671596817/
・18/7/2(月)10:30- 河村市長定例記者会見
 http://www.city.nagoya.jp/mayor/category/316-0-0-0-0-0-0-0-0-0.html
・7/2(月)10:30- 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(観光文化交流局関係)]
 ネット中継あり http://www.city.nagoya.jp/shikai/
・7/3(火)10:30- 経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(2局一括)]
 ネット中継あり http://www.city.nagoya.jp/shikai/
・7/4(水)13:00- 名古屋市議会本会議で木材契約採決予定
 ネット中継あり http://www.city.nagoya.jp/shikai/
・7/13(金)石垣部会(時間・場所未定)
 
------
その他、議員から資料要求のありました資料の多くはすでに情報公開請求で入手済です。

・2018年1月説明会アンケート
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180620-2.pdf
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180620-3.pdf
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180620-4.pdf
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180620-5.pdf
 上記報告書(質疑部分のみ作成)
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180620-1.pdf

・三菱UFJリサーチ&コンサルティングに委託した、来城者予測(全文)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180627zenbun.pdf


18/6/28(木)愛知県議が県議会建設委員会で名古屋城エレベーター、消防について質問

18/6/28に開催された愛知県議会建設委員会で、福田喜夫県議(新政あいち)が名古屋城天守閣木造化に関するバリアフリーや消防、防災に関して質問しました。

福田県議は元尾三消防組合・豊明市・長久手市消防指令センター長で消防に関して大変詳しいです。
http://fukuta440.com/profile

愛知県は「人にやさしい街づくりの推進に関する条例」を持っており、愛知県内全ての建築物が対象となります。
http://www.pref.aichi.jp/soshiki/jutakukeikaku/0000025385.html

車椅子の人も2名傍聴しており、大変関心が高かったです。

簡単にメモをまとめました。
------
福田県議:大規模木造建築物と建築基準法の規定は
建築指導課主幹:建築基準法は生命、健康、財産保護を図ることを目的とした、建築物の最低の基準。
 ただし、文化財などの原型を再現する建築物で、建築審査会の同意を得た上で、原型の再現がやむを得ないと特定行政庁が認定した物については建築基準法第3条第1項第4号の規定により適用除外になる。

福田県議:大規模木造建築物と「人にやさしい街づくりの推進に関する条例」の適用については
住宅計画課主幹:全国で3番目に制定された条例。不特定多数が利用する施設について、全ての県民が円滑に施設を利用できるように必要な整備を義務づけ。
 一方文化財等の整備基準を遵守することが困難な場合については、整備基準の適用を除外する規定が設けられている。

福田県議:建築基準法と「人にやさしい街づくりの推進に関する条例」の関係性、優先又は相互の適用は
住宅計画課主幹:それぞれ目的があり、規定が適用される。
 ただし「人にやさしい街づくりの推進に関する条例」は建築基準法を踏まえている。
 
福田県議:県に建築確認申請がされる建築物、民間の建築確認業務を行うもの、すべて建築予定の自治体の消防の審査を受けると承知しているが、どのような申請手続が行われるか
建築指導課主幹:建築確認の際、建築基準法第93条の規定により消防長等の同意がなければ確認証を交付することはできない。建築主事が建築基準関係規定に適合するか確認する。
 名古屋市内の建築物は特定行政庁である名古屋市が手続きする。
 
福田県議:人にやさしいまちづくりの推進に関する条例と、名古屋城木造化のエレベーター設置について県の考えを伺う。
 自治体が計画するのと、民間が計画するのでは条例適用が異なるのか。県の指導が異なるのか。
住宅計画課主幹:「人にやさしいまちづくり条例」ではエレベーター設置を義務づけているが、条例には適用除外が設けられており、名古屋市は適用除外する考えと聞いている。
 一方文化庁は障害者の理解を得ることを求めているため、名古屋市が対応検討していると聞いているので検討していただきたい。
 条例適用は、自治体、民間とも同じ整備基準の遵守を求めており、民間には着工前の整備計画届け出を義務づけている。
 自治体は当然整備基準を遵守ものなので、届け出を不要としている。
 県の指導は民間も自治体も指導できるが、名古屋市など条例事務を所管している自治体は、県で指導することはなく、自治体がそれぞれ条例適用について判断することとなっている。
 いずれにせよ、障がい者の基本期人権に関わる問題なので、重大な事案だと認識している。
 名古屋市は障害者関係社と十二分に意見交換して、よりよい解決策を見いだしていただきたい。

福田県議:石垣の問題。堀の一番低いところを耐圧すれば大型はしご車が進入できて火災等災害防止が図れると聞いている。
 一方建築基準法の地盤の位置は石垣の上から高さを測るため、31m未満となり、建築基準法で定める非常用エレベーター設置義務がなくなる。
 しかし、二方向避難と消防隊侵入活動に利用する非常用エレベーターがない状態となる。どのような規制があるか。
建築指導課主幹:石垣のように地盤面が30度以上の勾配で、その高低差が2 mを超える場合はがけに当たる。愛知県建築基準条例でがけ付近の建築物の規定が定められている。
 https://www.pref.aichi.jp/kenchikushido/01kenchikukijun/02kenjoureietc/joreikaisetsu170209.pdf
 建築物ががけの上にある場合、崖の状況に影響されないよう、崖の下場から建築物までの水平距離を崖の高さの2倍以上離したり、また、基礎繰りを施行するなどの措置が必要。
 名古屋城は、名古屋市が特定行政庁なので、計画が愛知県建築基準条例を含む建築基準法令を適用していくかは、名古屋市の建築主事が判断する。

福田県議:まとめると、木造名古屋城は建築基準法など適用受けるため、現在の法規制を充足して建築される。しかし名古屋市は特定行政庁の権限があるため、耐震性、安全性などは名古屋市で審査する。
 「人にやさしいまちづくりの推進に関する条例」は当然充足することが前提だ。
 これで間違いはないか
住宅計画課主幹:はい

福田県議:県当局におかれては、名古屋市が「人にやさしいまちづくりの推進に関する条例」を遵守するよう調整をお願いしたいと強く要望する。
 
-----------
名古屋市では、名古屋城に関して市議会委員会で建築指導課、住宅計画課の担当者が答弁した記憶はありません。
庁内の各局で構成する「名古屋城木造復元天守バリアフリー対策検討会議」には建築審査会を所管する住宅都市局、消防法を所管する消防局は構成員に入っていません。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180111.pdf
しかも、議事録は「不存在」です。

「来城者の安全」を最優先にせず、安易に「適用除外」を行うのか。具体的にどのような方策をとるのか。
専門家である名古屋市職員の意見が聞きたいです。

----------
なお、愛知県議会の委員会を久しぶりに傍聴しましたが、名古屋市議会と比べて格段に遅れていました。
・ネット中継なし(名古屋市議会はあり)
・傍聴は開始30分前に締め切り、30分前集合必須。10人のみ。
・写真・録音不可
・傍聴する際、住所氏名を記入の上、その紙を議員に回覧させる
・傍聴者には資料「貸与」であり、終了後返却を求められる(傍聴時にどこにも記載なし)
・一般傍聴者はパソコン使用禁止(記者はOK)
https://www.pref.aichi.jp/gikai/oshirase/iinkai_boucho.html
しかも議事録公開は2か月後、全文文字起こしではなく要約です。

必死になって手書きでメモをしたので、一部抜けているところがあるかもしれません。

ネット中継を行っていれば、現在はスマホで自動的に文字起こし出来るアプリがあるので即日文字起こしを行えます。
http://udtalk.jp/

委員会のネット中継が出来ないのは予算をかけないため、という理由があるのかもしれませんが、写真や録音を不可とする理由は全くわかりません。
「誤った情報が一人歩き云々」というのであれば、ネット中継をすればよいだけですし、それこそ文字起こしアプリを議会で導入しているところは数多くあります。

議員がせっかくよい質問をしても、すぐに内容が広く県民に知らされなければ宝の持ち腐れです。
一刻も早い改善を求めます。
-------
なお、県議会、市議会とも、議会の委員会室には議員10名ほどの他に、執行部と呼ばれる担当課職員が80名ほど座っています。
議員が質問した際、担当課職員が発言を行います。
本日の愛知県議会建設委員会では2時間行われましたが、議員が発言したのが6名ほど、担当課職員が発言したのが10名強ほどで、他の人はただ座っているように見えました。
委員長が発言する内容は、すべてシナリオが担当課職員の手元にあり、委員長はただ読み上げていました。
議員の質問も、要旨が配付されており、回答も記載されていたことが、傍聴席からよく見えました。
しかし、「関連」ということで議員が発言した際、予定していなかったのか担当課職員が答えられないことがあり、議員が立腹していました。
このようなやり取りをもっと県民に広く知らせてはどうかと思います。
委員会の質問の「関連」の多さでは、名古屋市議会の方が多く、活発に聞こえます。
ただ、愛知県議会は委員会で「一般質問」という形で、議案以外についても質問が出来、活発に質問されました。
ここは名古屋市議会と違うのではないかと思います。


18/6/27(水)名古屋城木造天守閣入場者予測報告書がようやく開示 18/6/11天守閣部会後の打合せ記録は不存在

名古屋市が三菱UFJリサーチアンドコンサルティング(株)名古屋に1998万円(税込み)をかけて委託した「名古屋城天守閣木造復元に向けた調査業務委託」結果報告書全文が18/6/27にようやく名古屋市民オンブズマンの情報公開請求で公開されました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180627zenbun.pdf

概要は名古屋城の公式ページに掲載されています。
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshukaku/03_fukugenjigyo/dwl/29chousakekka.pdf
本来は2018年3月30日が完成期限でしたが、成果物を受領した名古屋市が、明らかな間違いを発見したとして、成果物の訂正を求め、2018年6月13日に完成しました。

これによれば、2017年度〜2071年度の55年間の収支予測は基本で▲14.67億円。低位で▲64.65億円。高位でも45.46億円のプラスに過ぎません。
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshukaku/03_fukugenjigyo/dwl/29chousakekka.pdf 
しかもこれは木材保管費用や追加工費、「新技術」開発費が含まれていません。

予測については、様々な資料がありますので、ぜひ参考にして下さい。

関心を持ったのは、「名古屋城天守閣木造復元に関する専門家懇談会」で名古屋市、専門家とも率直な意見交換をしていたことです。一部を抜粋します。

-----
【第 1回:名古屋城天守閣木造復元に関する専門家懇談会】
(概要 )日時2017 年 12月 27 日(水)9時 30分〜 11時 30 分
場所三菱 UFJリサーチ&コンルティグ名古屋オフィス会議室
出席者<委員>三菱東京UFJ銀行 伊藤 政典 様
       株式会社電通 清谷 典生 様
       中部大学 服部 敦 様
       名鉄観光サービス株式会社 福井 佳代 様
       委員随行者様:2名
名古屋市:5名、MURC:宮下 主任、右近主任、岩田主任、加藤準研究員、志賀

委員 :決して高いハードルではなのだなという印象を持った
 →市:ブームが去るのではないかという点を懸念している。
 →MURC:首都圏は城があまりないため、城観光という感覚があまりないと考える。 リニアがその風穴を開けるかどうか、ポイントになる。

【第 2回: 名古屋城天守閣木造復元に関する専門家懇談会】
日時 201 8年 1月 31 日(水 )13 時 30分〜 15時 30 分
<委員>
場所三菱 UFJリサーチ&コンルティグ名古屋オフィス セミナールーム
出席者<委員>南山大学 石川 良文 様
       三菱東京UFJ銀行 伊藤 政典 様
       中部大学 服部 敦 様
       名鉄観光サービス株式会社 福井 佳代 様
       委員随行者様:1名
名古屋市:4名、MURC:佐々木、宮下、右近、岩田、内田、上田、志賀

MURC:(委員に対し)広告宣伝費の質問については何か意図したことがあったのか。
→委員:その額ですむのかというはある。入場者見込みを上げてくためには広告宣伝費に傾注する必要があと考える。それを民活によって入場者数をあげるというシナリオでは無理があるのではないか。
 公共サイドでやる場合であっても ある程度の広告宣伝費をかけていかないと、現在検討しているシナリオを下支えできるようにはならいのではないかか。これだけ大事業をやるということに対 して、現在考えている年間2000万円の広告宣伝費は桁が小さすぎるのではないか。 一般的に日本の行政は広告宣伝費を低く見積もる傾向がある。

委員:アンケート結果にある通り、公共交通アクセスが良くなると観光頻度は増加すると考えられるが、名古屋市してはこの点についてどのように考えているか。名古屋市中心部で考えている新しい交通システムを(入場者増加の)要素として考えているのか。
→市:短期的には メーグルの活用をしやすくすることを検討している。長期的にはBRTも考えている。前回指摘を受けたが、今の アンケート設問であると市内の交通アクセスなのか、リニア等のより広域の交通アクセスなのか交通判断ができない(市としては市内交通としての意図があった。)

委員 :イベントは浮き沈みが大きい。持続性はない。効果の大きなイベントほど大変手間がかかる。

委員 :入場者数が少なくなったときの人員管理、人件費、緊急対応などが求められるが、民間ではこうした管理をどうやって対応するかは難しい。運営会社でビジネスとしてやっていくのは簡単でない。 ロケーションを含めた検討が必要である。

------
名古屋市はこれまで「50年間366万人が続く」としていましたが、委員には「ブームが去ることを懸念している」と述べていました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180312.pdf

委員から、「広告宣伝費が年間2000万円では桁が小さすぎる」と指摘がありました。

名古屋市は「長期的にはBRTも考えている」としましたが、現在検討段階であり、いくらかかるのか、どこを走るのかも全く見えてきません。
http://www.city.nagoya.jp/jutakutoshi/page/0000089453.html
仮にBRTを導入した場合、市試算だと建設費が約5億円/km、車両費が燃料電池バスで約1億円、連結バスで約8000万円です。
名古屋駅(新幹線口)から名古屋城正門前まで今の道路を走れば約3.3km。建設費は約15億円ほどかかる見込みですし、車両費も数億円単位でかかります。

メーグルは20-30分に1本運行で、しかも名古屋駅-名古屋城間は22分かかります。
https://www.nagoya-info.jp/routebus/

年間366万人のアクセスをどうするのか、まともに検討された資料を見たことはありません。
名古屋駅(新幹線口)のバス乗り場に余裕があるのか、リニアとのアクセスはどうなるのかなど、まったく不明です。

また、熊本地震後、熊本城来城者が減少しているにもかかわらず、将来予測される東海・東南海・南海地震の来城者への影響を全く考慮に入れていません。
18/6/18に発生した大阪地震では、特に海外からの観光客が生まれて初めて地震を体験して非常に恐怖を感じたといいます。
その後、かなりの数の宿泊客のキャンセルが出ていると報じられています。

18/6/26に政府の地震調査研究推進本部地震調査委員会は「全国地震動予測地図2018年版」を公表しました。
https://www.jishin.go.jp/evaluation/seismic_hazard_map/shm_report/shm_report_2018/それによれば、30年以内に震度6弱以上の確率は名古屋市 46%です。

それほどまでに地震確率が高いのであれば、まだ作ってもいない名古屋城天守閣木造化の来城者予測で地震の影響がない、と心配するより、震度6弱が実際起こったときにどのような被害が名古屋市民に出るのか、その対策を早急にとるほうが先だと考えるのは私だけでしょうか。

18/6/18河村市長定例記者会見では、大阪地震を受けて帰宅困難者対策はどうするのかマスコミに聞かれ「難航している。ちょっと考えさせて欲しい」というのみ。
「だからこそ一刻も早く名古屋城を木造化しないといけない」と独自の理論を述べました。
http://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000106008.html

------
なお、18/6/11に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第11回)で名古屋市は「18/6/1石垣部会では小天守周り石垣・搦手馬出について、午前中意見を頂けなかったが、午後意見を頂いた 」と述べましたが、情報公開請求したところ「請求のあった行政文書を作成又は取得しておらず不存在のため非公開」となりました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180627.pdf

------
名古屋市職員ですら、「ブームが去ることを懸念している」名古屋城天守閣木造化。
2022年12月完成は絶望的ですが、竹中工務店との基本協定を結んでいる以上、市からは解除や延期を言いにくい面があります。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf

現在6月議会に提案されている約94億円の木材製材契約を市議会が議決しなければ、基本協定の全面的見直しを余儀なくされます。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180619.pdf

名古屋市議会は以下の予定で審議されます。
6月28日(木)午前10時半- 経済水道委員会 付議議案審査[質疑(観光文化交流局関係)]
7月2日(月)午前10時半- 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(観光文化交流局関係)]
7月3日(火)午前10時半- 経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(2局一括)]
http://www.city.nagoya.jp/shikai/category/324-2-0-0-0-0-0-0-0-0.html

障害者団体らで作る「名古屋城木造天守のエレベーター設置を実現する実行委員会設立集会」は18/6/30(土)13:30〜15:00 栄ガスビル キングルーム(5F)で行われます。
https://www.facebook.com/events/191203671596817/

名古屋城の命運はあと1週間で決まります。


18/6/24(日)名古屋城天守閣木造化 矛盾が露呈 2022年12月完成は絶望的 市議会は95億円木材製材契約を否決できるか?

河村たかし名古屋市長が2022年12月完成をめざして強引に推し進める名古屋城天守閣木造化ですが、徐々に形が見えてくる中で矛盾が露呈してきました。

名古屋城木造天守閣5つの論点の行方
建設費用だけで505億円、利子100億円、維持費を含めると今後55年間で約940億円の名古屋城天守閣木造化プロジェクト。論点を簡単にまとめてみました。
@需要予測・収支計画は妥当か
A文化財である石垣保全は可能か
B各種法令を遵守できるか(バリアフリー、消防、地震対策)
Cそもそも現天守を壊して木造化する意義があるのか
D情報を公開し、市民の意見を聞いているか
 これら5点、いずれも解決できていません。しかし、名古屋市は竹中工務店と基本協定を結んで基本設計・実施設計契約を締結し、市民から寄付金まで集めるなど、既成事実を積み重ねています。

収支計画は2018年6月に公表 基本シナリオでは14億円赤字
名古屋市は、これまで名古屋城木造化した場合の入場者予測・収支計画を自分たちだけで作成してきました。市民や市議会などから何度も追及され、ようやく三菱UFJリサーチアンドコンサルティング(株)名古屋に1998万円(税込み)をかけて委託した「名古屋城天守閣木造復元に向けた調査業務委託」結果は、2018年6月13日に完成しました。これによれば、2017年度〜2071年度の55年間の収支予測は基本で▲14.67億円。低位で▲64.65億円。高位でも45.46億円のプラスに過ぎません。
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshukaku/03_fukugenjigyo/dwl/29chousakekka.pdf しかもこれは後述の木材保管費用や追加工費が含まれていません。


5月7日天守閣閉鎖も穴蔵石垣の調査開始のめどたたず
名古屋市は2018年5月7日に現天守閣を閉鎖しました。当初は現天守閣地下にある穴蔵石垣を取り外して調査する予定でしたが、調査に必要な現状変更許可は文化庁に申請もしておらず、いまだに調査のめどはたっていません。
名古屋市は「現天守閣の耐震性が低いため閉鎖した。早ければ5月上旬から穴蔵石垣を取り外した調査を開始するつもりだった。取り外さずにできる調査を現在行っている」と述べるのみ。

石垣調査学芸員が2018年3月に自己都合退職
2018年6月1日に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会(第27回)が開催されました。
はじめに、これまで名古屋城石垣調査に携わってきた学芸員が、2018年3月末に自己都合退職したことが明らかになりました。石垣部会の構成員からは、「新たに入ってきたのは新人ばかりで、戦力としてはおそらく大変な状態だろう」と発言しました。

石垣部会「穴蔵石垣調査どころではない」
今回の石垣部会には、天守閣木造復元の現状変更許可申請に必要不可欠な「穴蔵石垣調査」が議題に上がりませんでした。
堀の底や天守台石垣の対岸の石垣、天守台周りの石垣についての調査の途中経過が報告され、今後その追加調査も提案されました。
石垣部会構成員の宮武正登・佐賀大学教授は、「天守台周りなど石垣調査の視点は3つある。 @根石は宝暦改修 現在ダメージを受けているのか A堀 堀底が安定しているのか B堀の対岸 見学者が歩いている場所が安定しているのか
上記に関し、特に堀の対岸の石垣は不安定であることが判明した。将来的に今の形が担保されるか、追加調査が必要だ」と述べました。
記者から、現状変更許可申請のための穴蔵石垣調査と同時並行でできないかと問われた宮武教授は「それどころではない。外回りが危ないため優先順位がある。マンパワーが限られている」としました。

「穴蔵石垣調査」にケーソン下ボーリングを含むかが争点?
これらやり取りをきいていても、いまいち問題点がわかりません。「穴蔵調査」とは一体何をさすのか。天守閣地階部分である穴蔵石垣の調査だけでなく、現天守地下ケーソンのさらに下の地盤調査が、木造天守閣復元には必要不可欠です。しかし、名古屋市は2017年度竹中工務店との石垣調査委託の対象から、ケーソン下ボーリング調査を削除しています。 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180313.pdf 2018年3月28日に天守閣部会は全会一致でケーソン下のボーリング調査を要望しています。
しかし、ケーソン下は「特別史跡」なので、文化庁の現状変更許可が必要ですし、石垣部会の審議も必要です。石垣部会は「文化庁記念物課による特別史跡の現状変更許可の方針が固まっていない調査・整備事業については、今後も当部会での審議対象とはしない」としており、ケーソン下ボーリング調査について、石垣部会ならびに文化庁は果たして認めるのでしょうか。上記調整が石垣部会とつかなかった、と見るのが妥当だと考えます。
これまで、名古屋市は文化庁には「石垣保全のため」として天守台周辺石垣の調査の現状変更許可申請を行ってきました。
穴蔵石垣調査はいまだ調査場所も示されず、しかもケーソン地下ボーリングのめども立たないため、2022年12月天守閣木造復元完成は事実上不可能になったと考えます。

何のための「バリアフリー検討会議」?
2018年4月24日に、有識者で構成する「特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議」が開催されました。今回も議論は録音・テレビ撮影不可でした。
建築・地盤工学関係、建築史関係、福祉関係、工学関係の学識者を招いていますが、「専門的見地から意見を聴取する」とするだけで、庁内会議である「名古屋城木造復元天守バリアフリー対策検討会議」との関係・位置づけもはっきりしません。
有識者16人のうち、「天守閣部会」の人は6人います。2017年11月16日に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 第6回天守閣部会が開催され、「エレベーターは設置しない。ただし、代替案で車いす使用者等の合理的配慮を目指す」とした市の方針に異論を出さなかったため、障害者団体が反発して「2018年5月までにエレベーター設置の有無の方針を決める」ということではなかったのでしょうか。
市長の挨拶のあと、有識者がそれぞれの立場で意見をいいました。それなりの意見は出ましたが、意見の対立は大きく、これでまとまるとはとても思えません。
この有識者会議の目的はよく分かりませんが、開催要綱第2条で「特別史跡名古屋城跡全体のバリアフリーに関すること」とあるので、木造天守閣のエレベーターについては5月に決着をつけ、その後は「木造天守閣以外のバリアフリー」について検討する可能性があることに気がつきました。
現在、名古屋城を訪れる人のほとんどが、名古屋城天守閣に登っています。5月以降に天守閣のバリアフリー以外のバリアフリーについて議論するのではなく、2018年5月と期限を切らず、十分に「当事者参加」「情報公開」を行い、十分この有識者会議で議論することを望みます。

権限を持つ大村県知事 エレベーター不設置方針に「再考を」
名古屋市がエレベーター不設置の方針を示していることについて、大村秀章愛知県知事は2018年5月14日の記者会見で「障害者の基本的人権に関わる」として再考を求めました。  
障害者団体「愛知障害フォーラム」は、2018年5月11日に市の方針は不当な差別に当たるとして、愛知県障害者差別解消推進条例に基づき知事に助言、あっせん又は指導を行うよう求めました。
大村知事は、「上記助言等は事業者に対して行うことができる」とした上で、「名古屋市も引き続き障害者関係の皆さまと十二分に意見交換していただいて、よりよい解決策を見いだしていただきたい」と述べました。
愛知県は「人にやさしい街づくりの推進に関する条例」の権限を持っています。http://www.pref.aichi.jp/soshiki/jutakukeikaku/0000025385.html
2018年4月10日に所管の愛知県住宅局住宅計画課に問い合わせたところ、「名古屋城にも適用される」と明言しました。

河村市長「エレベーター無し」正式表明
河村たかし名古屋市長は2018年5月30日に「今後復元する名古屋城木造天守閣にエレベーターを設置しない」と正式に表明しました。その代わり、「新技術の開発などを通してバリアフリーに最善の努力をする」「現状1階フロアまでだが、様々な工夫により、可能な限り上層階まで昇ることができるよう目指し、現状よりも天守閣のすばらしさや眺望を楽しめることを保証する」という基本方針を公表しました。しかし「新技術の想定候補一覧」は12項目が並べられているだけです。
河村市長は「はしご車で『非常口』から避難は可能。そうであれば中に入ることも可能。」としていますが、障害者団体は「これでは見世物だ」と反発しています。


河村市長 文化庁にバリアフリー説明も「所管ではない」
河村市長は2018年6月14日に、名古屋城木造化のバリアフリーについて説明するため文化庁を訪れ非公開で意見交換したと、各マスコミが報道しました。2018年6月14日朝日新聞によれば、「河村氏はバリアフリー策を説明したが、文化庁側は『所管ではない』として特段の意見を述べなかった。」とあります。
建築物におけるバリアフリーの所管は国土交通省住宅局建築指導課であり、愛知県建設部建築局住宅計画課 ではないでしょうか。仮に名古屋市建築審査会が、建築審査会の「適用除外」の同意をしたとしても、建築物移動等円滑化基準を完全に無視してよいことにはなりません。
文化庁はバリアフリーについては「所管ではない」ため、文化庁と国土交通省住宅局建築指導課、愛知県建設部建築局住宅計画課、名古屋市を交えて協議する必要があると考えます。

障害者団体約500人がエレベーター設置を求めてデモ・ハンガーストライキも
「名古屋城木造天守のエレベーター設置を実現する実行委員会」は、2018年6月19日に名古屋城木造天守にエレベーターを求めて集会・デモを行い、その後名古屋市役所を取り囲んでアピールしました。
新築の建造物にエレベーターを設置しないのは、国連・障害者権利条約と障害者基本法・障害者差別解消法の理念に反しているとしています。
茨城・埼玉・東京・岐阜・大阪・兵庫・愛媛・沖縄などから、障害者団体が合計約500名が集まりました。
2018年6月18日に震度6弱の地震が起こった大阪から来た方は、「ほとんどのエレベーターが停止し、車椅子だと移動に困った。それほどエレベーターが日常的に使われている。にもかかわらず、名古屋城にはエレベーターをつけない方針という。名古屋城でエレベーターがつかなければ、他の施設でもエレベーターなしでよい、ということになりかねない」としました。その後、大雨の中市役所前で10名程度が48時間のハンガーストライキを行いました。
河村市長は障害者団体と何回か面談しましたが、議論は平行線に終わりました。
名古屋市は、6月中にバリアフリー対策の協議会を設ける予定ですが、障害者団体は「エレベーター無しが前提の協議会には参加しない」としています。

君は49,970円の 『のり弁』を見たか
2018年3月30日、名古屋市は基本設計等として竹中工務店から成果物約30000枚を受け取り、2018年4月27日に8億4693万6000円を支払い済みです。
名古屋市民オンブズマンは成果物のうち2813枚を49970円支払って情報公開請求で入手しましたが、中身は「競争上の利益が損なわれるおそれ」「文化庁との率直な意見交換や意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」「工事費積算は公正または適正な執行に支障を及ぼすおそれ」があるためほとんど非公開でした。https://ombuds.exblog.jp/26803947/
タイトルすら非公開のものもあり、これはなにかと担当者に聞いたところ、文化庁からの指摘事項への回答とのこと。
しかし、基本設計契約にはあった、文化庁文化審議会の許可がまだ得られていないこと、基本設計図書がないこと、文化庁・消防庁・国交省・名古屋市建築審査会・県(人にやさしい街づくりの推進に関する条例)に関する打ち合わせ記録がないことから、契約通りに行われていないのではないかという指摘もあります。


竹中提案「天守閣中央ガラス張り仮設避難コア・避難階段」いまだ議論せず
ただ、開示された資料の中に、去年竹中工務店が作成した提案があり、中央にガラス張りの避難階段があることがわかりました。
エレベーターはつけないのに、ガラス張りの避難階段はつけるのでしょうか?これが『史実に忠実な復元』なのでしょうか。避難階段をつけないと「建築基準法と同等の安全」にならない可能性があります。
また、スプリンクラーが多数付いていたり、耐震ダンパーや壁に耐震補強材が付いていたりなど、どこまでが「史実に忠実」と言えるのか、ほとんど議論が深まっていません。
 

6月天守閣部会に「構造計画、防災計画、現天守閣価値、石垣復元」議題に出せず
2018年6月11日に開催された天守閣部会では、以前6月に予定していた構造計画、防災計画等が議題として出せませんでした。
また、以前天守閣部会委員から要望があった、現時点での技術的な決定事項のマイルストーンの提出もできませんでした。
名古屋市は7月の天守閣部会に提出したいと説明するのみ。
おそらく、現天守閣地下のケーソン下ボーリングのめどがたっていないことが影響しているのではないでしょうか。
また、先述の仮設避難コア、避難階段をどうするか、災害など非常時の対策もまとまっていないのではないでしょうか。
穴蔵石垣調査もどこを調査するかすらまとまっておらず、7月に書類がまとまる見通しはたっていません。
 
文化庁「現天守を壊して木造化する意義はなにか?」
文化庁は「戦後都市文化の象徴であるRC(SRC)造天守を解体するにはなお議論を尽くす必要がある」と指摘していました。
座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「現天守閣の評価はどこで評価するのか」と尋ねましたが、「現在事務局で検討している。具体的に提出する時点で天守閣部会にご相談したい。7月に間に合わせたい。努力する」というのみ。

市民説明会 市・竹中「応答」部分は文字化せず アンケートへの意見作成せず  
名古屋市が2018年1月16日-1月28日に開催した、名古屋城天守閣木造復元「市民向け説明会」・「シンポジウム」に関し、質疑応答がありましたが、その議事録を情報公開請求したところ、市民からの質問は文字化されていましたが名古屋市や竹中工務店からの応答部分は「作成しておらず不存在」でした。
報告書のタイトルには「報告書(質疑応答)」とあるにもかかわらず、どうして応答部分が記載されていないのか名古屋市に問い合わせたところ、「業者には、質疑部分のみ文字化するよう指示した」とのこと。現在、契約書を情報公開請求しています。
名古屋市と竹中工務店が税金を用いて行った説明会・シンポジウムで、市・竹中工務店が責任を持って回答した部分に関し、文字記録になっていないのは大変おかしいです。
また、名古屋市は参加者に「時間がなかったため質問・意見できなかった方は、アンケートに記載してください。市の意見はホームページに掲載します」と言っておきながら、「アンケートへの名古屋市・竹中の意見は作成しておらず不存在」でした。

市議会がようやく 猛反撃を開始
2018年5月15日に名古屋市議会経済水道委員会が行われ、特別史跡名古屋城跡バリアフリー基本方針(案)、特別史跡名古屋城跡天守閣整備事業に係る基本方針(案)の進捗状況について議論がなされました。
エレベーターを付けないことで訴訟リスクがあるのか、「新技術」開発にいくらかけるのか。石垣調査は間に合うのか、障害者権利条約、障害者差別廃止法、バリアフリー法などに抵触するとお考えか、など。
議会も「いったん行った議決は重い」とは言ってきましたが、ようやく問題点に気づいてきたようです。

文化庁からの指摘は4項目 市議会には3項目しか示さず
2022年12月までの完成のめどは立っていないにもかかわらず、名古屋市は名古屋城天守閣木造復元のための木材製材費用94億5540万円の契約の承認を求めて2018年6月名古屋市議会に提案してきました。
2018年6月22日、名古屋市議会本会議で、近年まれに見る鋭い質疑がなされました。
浅井正仁議員(自民)は、2018年5月29日に文化庁に出向いて直接質問してきたと発言。文化庁からは4つ意見が出されたにもかかわらず、名古屋市は市議会には3つしか意見を示していなかったとしました。名古屋市が示さなかった1つは「石垣調査をしっかりやりなさい」というもの。随時議会に説明するという付帯決議を無視し、議会軽視も甚だしいとしました。

工期延期時 木材保管料は年1億円 追加公費負担は想定せず
また、浅井市議は「このままでは、名古屋市が予定している2018年7月文化庁復元検討委員会、2018年10月文化審議会にかけることができなく、2022年に間に合わないのではないか。木材調達契約を締結後に2022年に間に合わないことが発覚した場合、追加負担はいくらなのか」を質問しました。さらに、石垣調査が満足に出来なかった場合、スケジュールを見直すことになるのか質問しました。
渡辺観光文化交流局長は、追加負担については想定していないが、今回の木材調達契約見積もりによれば、延期時の木材保管料は年1億円と答弁しました。
また、「現状変更許可が予定通りに取得できなかった場合、スケジュールを見直すかどうかにつきましては、極力そうならないよう全力を尽くしてまいりますが、基本協定書に基づき、優先交渉権者と協議することとなるところでございます」と答弁しました。
また、広沢副市長は「スケジュールの見直しが必要となった場合、木材保管料の追加負担の他、建設コストの上昇が考えられる」としました。

追加工費負担は年十億円規模か?収支計画は破綻
追加工費がいくらになるかわかりませんが、河村市長が4ヶ月工事を凍結した陽子線治療センターは、追加費用として約3億8000万円+利息約7000万円を求められ、現在名古屋地裁で裁判となっています。
仮に陽子線治療センターと同額程度と仮定した場合、年間10億円規模となります。しかも現時点では名古屋城木造化の工事着工の見通しはたっておらず、どの程度延期されるかわかりません。
収支計画見通しが狂い、赤字は確実となります。

同じRC造熊本城 震災後長寿命化とバリアフリー化
2016年4月14日、16日に発生した熊本地震により、熊本城は約634億円の被害を出しました(国指定重要文化財13棟約72億円、天守閣と公園約137億円、石垣約425億円)。今後20年かけて復旧していくとのこと。
石垣は全973面中517面(約30%)の被害がありました。
2018年5月上旬に熊本城を見に行ってきましたが、石垣があちこちで崩れていました。地震が起きたのが入城時間外でけが人が出なかったのが不幸中の幸いです。
名古屋城と同じく鉄筋コンクリート製天守閣の熊本城ですが、どのように修復するかがホームページ上で全て掲載されています。 https://www.city.kumamoto.jp/hpKiji/pub/detail.aspx?c_id=5&id=17236&e_id=21
特に長寿命化、バリアフリー、石垣保全対策についても掲載されています。https://www.city.kumamoto.jp/common/UploadFileDsp.aspx?c_id=5&id=17236&sub_id=1&flid=118792
2019年までに最上階まで上がれるエレベーターを設置するなど、バリアフリー化に努めるとのこと。

RC造熊本城・大阪城と名古屋城の違いは何か
同じくRC造の大阪城も1997年に耐震改修・バリアフリー化されており、計算上今後100年は持つとのこと。
熊本城も大阪城も、市民に愛されています。
名古屋城は「鉄筋コンクリート製だから偽物」という声が未だに根強いですが、多くの人の寄付を元に再建されておりますし、熊本城・大阪城との違いがいまだにわかりません。
文化庁も名古屋城の現天守閣を「戦後都市文化の象徴」としています。
果たして、木造名古屋城天守閣と、仮に耐震改修した場合のRC製名古屋城天守、どちらが地震に耐えられるのでしょうか。そのような資料は一度も見たことがありません。
車いすの人を「排除」し、避難コア・避難階段が付けられた「木造」名古屋城ができてから「こんなはずではなかった」としても遅いのです。

市議会は木材製材契約94億円を否決し、全面的計画見直しを
違約金なく合法的に計画にストップをかけられるのは、市議会が予算・契約を議決しないことだけです。
・名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書 第6条 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf
そうすれば、名古屋市は竹中工務店と「2022年12月までに完成させる基本協定」を見直すことが可能となります。
約94億円の木材製材費を市議会がいったん認めたら、名古屋市の財政に致命的な打撃を与えかねません。いったん木材製材費を否決した後、あらためて収支計画の問題、バリアフリーの問題、安全性の問題を市民に情報を公開した上で、木造復元が可能なのか、どのような天守閣にすべきかから議論しなおすべきです。
今後、名古屋市議会、愛知県議会で議論がなされます。ぜひ市民の声を議員に届けましょう。


18/6/22(金)木造名古屋城 工期延期時木材保管料は年1億円 追加工費負担は想定せずと名古屋市答弁

18/6/22、名古屋市議会本会議で、名古屋城天守閣木造復元のための木材製材費用94億5540万円について、近年まれに見る鋭い質疑がなされました。

・浅井正仁議員(自民)自動文字起こし結果
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180622-2.pdf
・うかい春美議員(民主)自動文字起こし結果
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180622-3.pdf
(江上博之議員(共産)については機械トラブルのため自動文字起こしがありません。後日掲載いたします。

浅井正仁議員(自民)は、18/5/29に文化庁に出向いて直接質問してきたと発言。
文化庁からは4つ意見が出されたにもかかわらず、名古屋市は市議会には3つしか意見を示していなかったとしました。
名古屋市が示さなかった1つは「石垣調査をしっかりやりなさい」というもの。
随時議会に説明するという付帯決議を無視し、議会軽視も甚だしいとしました。
このままでは、名古屋市が予定している2018年7月文化庁復元検討委員会、2018年10月文化審議会にかけることができなく、2022年に間に合わないのではないか。
木材調達契約を締結後に2022年に間に合わないことが発覚した場合、追加負担はいくらなのかを質問しました。
さらに、石垣調査が満足に出来なかった場合、スケジュールを見直すことになるのか質問しました。

渡辺観光文化交流局長は、追加負担については想定していないが、今回の木材調達契約見積もりによれば、延期時の木材保管料は年1億円と答弁しました。
また、「現状変更許可が予定通りに取得できなかった場合、スケジュールを見直すかどうかにつきましては、極力そうならないよう全力を尽くしてまいりますが、基本協定書に基づき、優先交渉権者と協議することとなるところでございます」と答弁しました。
また、広沢副市長は「スケジュールの見直しが必要となった場合、木材保管料の追加負担の他、建設コストの上昇が考えられる」としました。


また、うかい春美議員(民主)は、今年1月に開催された市民向け説明会での質疑応答、アンケートへの意見をホームページに掲載するとしたものの、いまだに掲載されていないとしました。
木材を人工乾燥させると市が答弁したことに対し、「史実に忠実」とは主観にすぎないとしました。

----------
追加工費負担額は全く読めませんが、河村市長が名古屋陽子線治療センター(契約額約245億円)の建設工事を4か月凍結した際、追加費用として約3億8000万円+利息約7000万円を求められ、現在名古屋地裁で裁判となっています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/160408.pdf

仮に1年工事が延びた場合、陽子線治療センターと同じ額が請求されると仮定すると年間木材保管料1億円+工費約11.4億円+利息2.1億円=約14.5億円となる計算となります。

18/6/13にようやく完成した、三菱UFJリサーチアンドコンサルティング株式会社名古屋に1998万円(税込み)をかけて委託した「名古屋城天守閣木造復元に向けた
調査業務委託」結果によれば、2017年度〜2071年度の55年間の収支予測は基本で▲14.67億円。低位で▲64.65億円。高位でも45.46億円のプラスに過ぎません。
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshukaku/03_fukugenjigyo/dwl/29chousakekka.pdf


上記追加費用が加わったら、赤字間違いなしとなってしまいます。しかも、何年工事が延びるのかも現時点でははっきりしていません。
そもそも文化庁、国土交通省、総務省などから許可が下りるのかすらはっきりしていません。

----------
合法的にストップをかけられるのは、市議会が予算・契約を議決しないことだけです。
・名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書 第6条
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf

木材製材費を認めたら、名古屋市の財政に致命的な打撃を与えかねません。
今後、名古屋市議会、愛知県議会で議論がなされます。
ぜひ市民の声を議員に届けましょう。

名古屋市議会
6月28日(木)午前10時半- 経済水道委員会 付議議案審査[質疑(観光文化交流局関係)]
7月2日(月)午前10時半- 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(観光文化交流局関係)]
7月3日(火)午前10時半- 経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(2局一括)]
http://www.city.nagoya.jp/shikai/category/324-2-0-0-0-0-0-0-0-0.html

愛知県議会
6/28(木)午後1時- 建設委員会
6/29(金)午後1時- 建設委員会
https://www.pref.aichi.jp/gikai/teirei_rinji/nittei/index.html#tit


18/6/20(水)名古屋城説明会 市・竹中応答部分議事録作らず アンケートへの返事も作らず

名古屋市が18/1/16-1/28に開催した、名古屋城天守閣木造復元「市民向け説明会」・「シンポジウム」に関し、質疑応答がありましたが、その議事録を情報公開請求したところ、市民からの質問は文字化されていましたが名古屋市や竹中工務店からの応答部分は「作成しておらず不存在」でした。

報告書のタイトルには「報告書(質疑応答)」とあるにもかかわらず、どうして応答部分が記載されていないのか名古屋市に問い合わせたところ、「業者には、質疑部分のみ文字化するよう指示した」とのこと。現在、契約書を情報公開請求しています。

名古屋市と竹中工務店が税金を用いて行った説明会・シンポジウムで、市・竹中工務店が責任を持って回答した部分に関し、文字記録になっていないのは大変おかしいです。

また、名古屋市は参加者に「時間がなかったため質問・意見できなかった方は、アンケートに記載してください。意見はホームページに掲載します」と言っておきながら、「アンケートへの名古屋市・竹中の意見は作成しておらず不存在」でした。


名古屋城木造化は一事が万事こんな調子で、市民にきちんとした説明がなされていません。
計画の破綻は秒読みです。

------
・決定書 
 シンポ 市・竹中応答部分 作成しておらず不存在
 アンケートへの名古屋市・竹中の意見 作成しておらず不存在
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180620.pdf

・報告書(質疑応答)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180620-1.pdf
 
・アンケート
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180620-2.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180620-3.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180620-4.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180620-5.pdf
 
-----
参考 市民向け説明会・シンポジウムの開催結果について
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000100606.html
名古屋市が進めている名古屋城天守閣の木造復元についてご説明しました。
※市民向け説明会やシンポジウムでの質疑応答、会場で配布したアンケートへのご意見などにつきましては、後日こちらのページに掲載します。


18/6/19(火)障害者団体500名以上が名古屋城木造天守にエレベーターを求め市役所を取り囲む

「名古屋城木造天守のエレベーター設置を実現する実行委員会」は、18/6/19に名古屋城木造天守にエレベーターを求めて集会・デモを行い、その後名古屋市役所を取り囲んでアピールしました。
https://www.facebook.com/398477210619537/


茨城・埼玉・東京・岐阜・大阪・兵庫・愛媛・沖縄などから、障害者団体が集まりました。
18/6/18に震度6弱の地震が起こった大阪から来た方は、「ほとんどのエレベーターが停止し、車椅子だと移動に困った。それほどエレベーターが日常的に使われている。にもかかわらず、名古屋城にはエレベーターをつけない方針という。名古屋城でエレベーターがつかなければ、他の施設でもエレベーターなしでよい、ということになりかねない」としました。

名古屋市民オンブズマンの内田隆もスピーチに呼ばれました。
「木造名古屋城は、建築費だけで505億円。利子で100億円、維持費を含めると40年間で1000億円にもなる巨大プロジェクト。
これまでずっと情報公開請求して調べてきました。
8億4000万円で竹中工務店に委託して2018年3月末に完成した『基本設計』を情報公開請求しましたが、みなさん、中身がわかりますか?(わからない) 
内容は全部真っ黒です。
木造名古屋城天守閣がどのような形になるのか、名古屋市民は誰も知らないのです。

ただ、去年竹中工務店が作成した案が開示され、案には中央にガラス張りの避難階段があることがわかりました。
エレベーターはつけないのに、ガラス張りの避難階段はつけるのでしょうか?
これが『史実に忠実な復元』なのでしょうか。避難階段をつけないと建築基準法違反になります。
これらは市民の前で議論されていません。情報を公開させた上で市民みんなで議論しましょう」

矢場町から市役所前、名城公園前までデモを行いました。
その後、名古屋市役所前を文字通り取り囲んでアピールしました。

その中で、日本障害フォーラム(JDF)が18/6/19に「名古屋城天守閣木造復元エレベーター不設置に対するJDF声明」を発表したと報告がありました。
http://www.normanet.ne.jp/~jdf/opinion/20180619.html

障害者団体メンバーは、6/19(火)午後5時から、名古屋市役所前で48時間のハンガーストライキに突入したことを発表しました。

-------
なお、名古屋城天守閣木造化のための木材製材契約94億5540万円の議案が18/6/19に名古屋市議会に正式に提出されました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180619.pdf

どのような木造名古屋城天守閣ができるのか、市民には全く知らされないまま、名古屋市は実施設計15億6384万円を結んでしまいました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180523-4.pdf

木造復元に必要不可欠な、現天守閣下にあるケーソンの下のボーリング調査は、「優先順位が違う」として名古屋市は石垣部会に提案すら出来ていません。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180313.pdf

第三者に委託した収支計画も、18/6/13になってようやく概要が公開されました。
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshukaku/03_fukugenjigyo/dwl/29chousakekka.pdf

竹中工務店との契約2022年12月は到底間に合いそうにありません。
にもかかわらず、名古屋市は木材契約をしようとしています。

市議会しか合法的にストップをかけることはできませんが、これまでの経緯を見ていると大変難しそうです。
名古屋市、市議会は、障害者のアピール、市民の良識をどこまで無視するのでしょうか。
------------

18/6/17(日)熊本城の長寿命化、バリアフリー、石垣保全対策と名古屋城

2016年4月の熊本地震で鉄筋コンクリート製天守閣ならびに石垣が損傷を受けた熊本城ですが、どのように修復するかがホームページ上で全て掲載されています。
https://www.city.kumamoto.jp/hpKiji/pub/detail.aspx?c_id=5&id=17236&e_id=21

特に長寿命化、バリアフリー、石垣保全対策についても掲載されています。
https://www.city.kumamoto.jp/common/UploadFileDsp.aspx?c_id=5&id=17236&sub_id=1&flid=118792


鉄筋コンクリート製でも大地震で損傷を受けた熊本城。
名古屋市は、現在ある鉄筋コンクリート製の天守閣を壊し、新たに木造天守閣を復元しようとしています。エレベーターはつけない方針とのこと。石垣保全対策はどうなるかわかりません。
名古屋市は、検討の詳細についてホームページでは公開していません。最近ごくごく一部のみ掲載しはじめました。
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshukaku/03_fukugenjigyo/index.html#seven

天守閣部会、石垣部会、また、市議会経済水道委員会の配付資料は名古屋市民オンブズマンのページに掲載されています。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm

名古屋城も、熊本城のように長寿命化してバリアフリー対策をし、石垣保全をした方がよいと思うのですが。
特に地震に対して、鉄筋コンクリート製より木造の方が強い、という保障はありませんし、どうしても「ハイテク木造」となってしまいます。
火事に備える設備も必要です。

徐々に名古屋城木造天守閣の全体像が見え始めてきています。
「こんなはずではなかった」というまえに、熊本城を見習って長寿命化等をあらためて考えてはどうでしょうか。

-----
なお、障害者団体らが「木造天守にエレベーターをつけろ」と主張し、6月19日(火)12:00〜17:00から久屋大通公園エディオン久屋広場からデモ、市役所周囲でアピール行動を行うとのこと。
https://www.facebook.com/398477210619537/
名古屋市民オンブズマンメンバーもスピーチする予定です。


18/6/14(木)河村市長 文化庁への訪問の目的は?

河村市長は18/6/14に、名古屋城木造化のバリアフリーについて説明するため文化庁を訪れ非公開で意見交換したと、各マスコミが報道しました。
しかし、「記者発表資料」には、上記訪問に関する資料は全く公開されていません。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/345-11-3-0-0-0-0-0-0-0.html

18/6/14朝日新聞によれば、「河村氏はバリアフリー策を説明したが、文化庁側は「所管ではない」として特段の意見を述べなかった。」とあります。

建築物におけるバリアフリーの所管は国土交通省住宅局建築指導課であり、愛知県建設部建築局住宅計画課 ではないでしょうか。

・国土交通省 建築物におけるバリアフリーについて
 http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/jutakukentiku_house_fr_000049.html

・愛知県 人にやさしい街づくりの推進に関する条例
 http://www.pref.aichi.jp/soshiki/jutakukeikaku/0000025385.html

木造名古屋城天守閣は延べ床面積4,564平方メートルといいます。
「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」では、不特定多数の者が利用する2000平方メートル以上の新築については、「特別特定建築物」として建築物移動等円滑化基準の適合義務があります。

仮に名古屋市建築審査会が、建築審査会の「適用除外」の同意をしたとしても、建築物移動等円滑化基準を完全に無視してよいことにはなりません。

文化庁はバリアフリーについては「所管ではない」ため、文化庁と国土交通省住宅局建築指導課、愛知県建設部建築局住宅計画課、名古屋市を交えて協議する必要があると考えます。

------
なお、報道に寄れば議題は5つあったようですが、「何かが新しくなったということはない」とのこと。
・石垣調査の結果報告
・現天守の価値を評価すること


18/6/12(火)名古屋城木造化 基本設計支払い・木材仮契約書 バリアフリー資料が開示

名古屋市民オンブズマンが名古屋城木造化に関して以下請求した件に対し、名古屋市は18/6/12に公開しました。
しかし、庁内でのエレベーター設置の議論内容は再度「不存在」となりました。

・木材製材仮契約書 94億5540万円。2018年6月市議会で議決予定。
 
・名古屋市は基本設計等として8億4693万6000円を18/4/27に竹中工務店に支払い済み。(中身は全面非公開)

・18/3/29 名古屋城木造復元天守バリアフリー対策検討会議(第3回)配付資料(前回は全面非公開)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180612-5.pdf
・18/5/7 名古屋城木造復元天守バリアフリー対策検討会議(第4回)配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180612-6.pdf

以下は不存在になりました。
・「名古屋城木造天守閣復元におけるバリアフリーに関する検討チーム」議論の内容がわかるもの(2018年4月1日〜5月29日分)
・18/3/26に開催された文化庁「史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会」での議論を受けて史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会に提出した資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180612-3.pdf

以下は延長しました。
・17/12/26に開催された文化庁「史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会」に提出した資料
・17/12/26に開催された文化庁「史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会」での議論の内容がわかるもの
・17/12/26に開催された文化庁「史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会」での議論を受けて史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会に提出した資料
・18/3/26に開催された文化庁「史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会」に提出した資料
・18/3/26に開催された文化庁「史跡等における歴史的建造物の復元の取扱いに関する専門委員会」での議論の内容がわかるもの
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180612-4.pdf

-----
なお、名古屋市は18/6/12に、木材製材仮契約書 94億5540万円の議決を18年6月議会で行うと発表しました。

しかし、同じ日に示した平成30年度6月補正予算の概要では、天守閣石垣周辺追加調査の予算が計上されていませんでした。
当然ながら、穴蔵石垣内面調査の予算、ケーソン下のボーリング調査の予算も計上されていません。
http://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000106/106400/3006gaiyou.pdf

----
資料は不十分ながら開示されました。
このままではどう考えても2018年7月文化庁・復元検討委員会へ、木造天守閣復元のための満足いく資料をそろえて出すことは出来ません。

市議会は、2022年12月完成が間に合わないことがほぼ確実にもかかわらず、木材製材94億5540万円の議決を承認するのでしょうか。
議会には冷静な対応を求めたいのですが、これまでも不可解な力が加わったのか、議会は予算を承認し続けてきました。
「市民の代表」という言葉が空疎に聞こえます。


18/6/11(月)名古屋城木造化「構造計画、防災計画、現天守閣価値、石垣復元」7月に出すと強弁

18/6/11、名古屋市は特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会
(第11回)を開催しました。
・配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180611.pdf
・名古屋市民オンブズマン作成メモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180611-1.pdf
・天守閣部会終了後 西野所長ぶら下がり取材
 (名古屋市民オンブズマン作成メモ)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180611-2.pdf

冒頭、西野輝一・名古屋城総合事務所所長が
「以前、6月の天守閣部会で構造計画・防災計画等を出す予定だったが、少し時間を要している。7月に議題にさせて頂きたい」と、議題に出来なかったと述べました。
また、前回委員から要望があった、「現時点での技術的な決定事項のマイルストーン」の提出もできずに申し訳ないとしました。
今後現状変更許可申請に伴って天守閣部会に示したいと述べました。

麓和善・名古屋工業大学大学院教授は「現在の現状変更許可申請の進捗状況は」と質問したところ、名古屋市は「資料としては昨年12月、今年3月に文化庁の調査官に渡した。復元検討委員会に報告いただいたと認識している」と述べました。
文化庁からはなんと言われているかと麓教授が聞いたところ、「石垣調査について資料をまとめて出すように」「現天守閣の評価ならびにそれを解体し木造復元することについての意義を出すようにいわれた」とのこと。

麓教授は「これまでの天守閣部会での議論内容を文化庁に提示したか」と聞いたところ「報告していない」とのこと。

座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「基本計画書、基本構想は文化庁は受け取っていないと報道があったが」と聞いたところ、名古屋市は「文化庁に示した。復元検討委員会に報告いただいたと認識している」としました。
西野所長は「復元検討委員会がどう受け止めたかは十分認識していない」としました。

瀬口座長は「現天守閣の評価はどこで検討するのか」と尋ねたところ、西野所長は「現時点では事務局で検討している。具体的に提出する時点で天守閣部会にご相談したい」と述べました。瀬口座長は「そうすると7月に出せないのでは」と言いましたが、西野所長は「7月に間に合わせたい。努力する」というのみ。

各委員は詳しい資料がなく、困惑していました。

なお、今回の天守閣部会は市議は誰も傍聴していませんでした。

------------
天守閣部会終了後、西野所長はマスコミからの質問を多数受けました。
「6月に天守閣部会に構造計画、防災計画を示す予定だったが、とりまとめが遅れているため7月に回すことにした。現時点ではスケジュールに関係がない。7月末までに書類とりまとめが出来なければ、秋の現状変更許可申請は難しくなるかもしれないが、(文化庁と)詳細に話してないためはっきり言えない。許可が遅れた場合、竹中工務店と協議する」というだけ。
 
石垣の発掘調査が遅れている影響があるか、とマスコミが聞いたところ、「そうではない。石垣保全の考え方のとりまとめに時間がかかっている。現在、穴蔵石垣については石を外しての調査は行なっていない。方向性をとりまとめたい。石垣部会にもはかりたい石を外してまでの調査は今回の7月提出予定の基本計画には盛り込まない方針。しかしそれで文化庁がどういうかわからない。それ以外は出したい」と述べました。
 
最後に西野所長は「市長が文化庁に話をしに行くと言っている件について、私は動いていない」と述べました。

-----------------
上記を踏まえて、以下まとめてみました。

復元整備基本構想に対する文化庁からの指摘事項についてどのようなものがあったかは、概要のみ公開されただけであって、文書では示されていません。
また、それに対する名古屋市の回答も全面非開示です。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-7.pdf 496ページ

名古屋市が7月にまとめる予定の書類について疑問点を挙げました。

1.構造計画
 現天守閣地下に埋まっているコンクリートケーソンの下のボーリングのめどが立っていない現在、構造計画がまとまるのか?
 (以前から天守閣部会としてボーリングを要望していましたが、今回は一言も触れませんでした)
 
2.防災計画
 エレベーター不設置方針を決めたが、どのように車椅子利用者をはじめ入場させるのか全く未定。避難させる方法も未定。
 さらに、竹中工務店当初案にあった「仮設避難コア」「付加階段」について本当につけるつもりなのか?つけないのならどのように避難させるのか?
 仮に危険だとして人数を絞った場合、収支計画との兼ね合いはどうするのか。
 
3.現天守閣価値
 文化庁に「現天守閣」より「木造天守閣」の方が価値があると示せるのか。
 (これまでも天守閣部会で、現天守閣の価値については相当議論されています)

4.石垣復元
 穴蔵石垣の石を外さない「調査」だけで文化庁が納得するのか。それで「石垣保全」といえるのか。
 しかも、木造天守閣復元工事の際、石垣にどのような影響を与えるのか詳細はどうなっているのか。
 石垣部会と天守閣部会双方に示すことが出来るのか。
 現状変更許可申請も行われていない現在、両部会が納得するのか。
 
---------- 
名古屋城天守閣木造復元のスケジュールは遅れに遅れています。
しかも、全体の工程案が全く公開されていないため、どのような状況にあるのか市と竹中工務店以外、有識者でさえ誰もわかっていません。
以下、様々な資料からまとめてみました。

・2018年6月19日- 6月議会に「天守台石垣周辺追加調査」
        「主架構木材手配及び製材の契約承認後、本契約」
        「史跡外仮設工事(仮収蔵庫等)の予算」提案
・2018年7月 天守閣部会に「構造計画、防災計画、現天守閣価値」を示す
       石垣部会に「石垣保全の考え方」「天守台石垣周辺追加調査」
             「穴蔵石垣調査?」を示す
       復元検討委員会に「基本計画」(復元整備基本構想、復元詳細の検討、
        復元整備と利活用、復元根拠としての採用資料、復元原案の考証、
        透視図、建築計画、設備計画)提出      
・2018年9月 9月議会で「史跡外仮設工事(仮収蔵庫等)の契約承認後、本契約」
       「史跡内仮設工事(構台、素屋根等)の予算承認」
       文化庁に現状変更許可申請
・2018年10月 文化審議会
・2018年11月 文化庁から天守閣木造復元に係る現状変更許可がでる
      11月議会で施設内仮設工事(構台、素屋根等)の契約承認後、本契約
           外部EV解体工事等の予算承認、契約

------
何回も言うように、ここまで混乱させたのは河村たかし名古屋市長が市職員に
「木造復元は業務命令」だとしたことです。
その後、「2022年12月まで」とし、竹中工務店と基本協定を結んでしまいました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf
  
しかしながら、エレベーターの設置不設置の問題だけでなく、需要予測の問題、防火・耐火の問題、石垣保全の問題、現天守閣の価値の問題など、当初から言われてきた様々な問題がいまだに解決していません。

市議会は、一定程度批判はするものの、なぜか関連予算を通してきています。
・基本設計等 8億4000万円 18/3/30に完了と名古屋市
・実施設計  15億6400万円 
・木材製材  95億2250万円 2018年6月議会で議決予定
  
建設費だけで505億円、利子100億円、維持維持費等を含めると今後40年で979億2800万円にも上る巨大プロジェクトです。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/160422.pdf
合法的にストップをかけられるのは、市議会が予算・契約を議決しないことだけです。
・名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書 第6条
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf
 
市民へも有識者へもマスコミへも議員へもきちんと説明しない名古屋市。
批判はするが予算は通す市議会。
「市民には複雑だ」として上記構図をなかなか解説しようとしないマスコミ。
「どんな天守ができるのかわからずに寄付」を行う市民。

ツケは現在及び将来の名古屋市民が払うことになります。


18/6/11(月)13時- 名古屋城天守閣部会の議題から「防災計画等」外れたことの意味は?

18/6/11(月)13時- 第11回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会がKKRホテル名古屋 福寿の間で開催されます。
http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2018/kankobunkakoryu/0000106431.html

議題は以下となっています。
議題
・第27回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会の報告
・第10回天守閣部会における主な指摘事項と対応状況について
・大天守の屋根形状の検討について
・屋根雨水流れ解析について
・その他

しかし、18/3/28天守閣部会で示された、平成30年度検討内容(案)は一つも議題に上がっていません。
・主架構の考え方
・構造計画、防災計画、ユニバーサルデザイン、仮設計画、活用、維持管理、
 石垣調査、保全方針
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180328.pdf

上記が出来なければ、2018年7月に文化庁に提出する「基本計画」が完成しません。
そもそも、「地盤調査」がまだとあり、これが現天守閣地下のケーソンの下の地盤調査を意味するのであれば、石垣部会にも提案しておらず、文化庁の現状変更許可も受けていない現在、2018年7月提出は到底間に合いません。
石垣調査も、穴蔵石垣については石垣部会にも提案しておらず、文化庁の現状変更許可も受けていない現在、2018年7月提出は到底間に合いません。

18/5/9天守閣部会資料によれば、2018年6月議会で「主架構木材手配及び製材の契約承認後、本契約」「史跡外仮設工事(仮収蔵庫等)の予算承認」を行う予定とのこと。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180509.pdf
平成30年6月19日から7月5日に開催される6月市議会に何が提案されるのかわかりませんが、木材製材予算は95.225億円にものぼります。

2022年12月竣工は無理です。
「基本協定」によれば、「議会の議決」をもって本契約とし、議会の議決が得られない場合は、本事業を中止し、契約の締結をしないことがある、とあります。
・名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf
(予算の成立)
第6条 設計業務調査業務及び工事監理業務に係る契約は予算の成立を条件とする。
2 工事施工業務に係る契約は、工事施工業務に係る予算の成立及び議会の議決に付すべき契約及び財産の取得または処分に関する条例(昭和39年名古屋市条例第43号)第2条の規定に基づく名古屋市議会における議会の議決を条件とする。当該議決を経るまでは仮契約とし、当該議決があったときをもって本契約とするものとする。
3 前2項に係る予算が成立しない場合又は前項に係る議決が得られない場合は、本事業を中止し、契約の締結をしないことがある。また、その場合、当該予算に係る業務については発注者、優先交渉権者の間に何ら権利義務が発生せず、発注者は予算の成立について何ら責を負わない。

名古屋城総合事務所が河村たかし名古屋市長の言いなりとなっており、さらに天守閣部会も上記問題点を指摘しないのであれば、市議会が引導を渡すしかないのではないでしょうか。
95.225億円の木材製材予算を議決してから「やっぱり2022年12月竣工は無理でした」と名古屋市が認めることは、あまりにも名古屋市の損害が大きすぎます。

現在、障害者団体らが「木造天守にエレベーターをつけろ」と主張しています。
18/5/31に文化庁文化財部記念物課課長名で回答が届きました。
http://aichidisabilityforum.com/#nagoyajyou5
しかし、ユニバーサルデザインについても議題に上がっていません。
6月19日(火)12:00〜17:00から久屋大通公園エディオン久屋広場からデモ、市役所周囲でアピール行動を行うとのこと。
https://www.facebook.com/398477210619537/


最近の名古屋城天守閣部会・石垣部会とも、多くの市議が傍聴しています。
市議会の理性的な対応が注目されます。

18/6/4(月)河村市長「名古屋城木造復元 石垣について文化庁と石垣部会に直接説明する」

18/6/4に行われた河村たかし・名古屋市長の定例記者会見において、石垣部会が「石垣の外側と内側を同時に調査することは不可能」と述べたことに対し、「人任せに出来ないため、文化庁と石垣部会に直接説明する」としました。
・平成30年6月4日 名古屋市長河村たかし 定例記者会見
 
https://www.youtube.com/watch?v=dium-FR8QHo

文化庁記念物課から出された宿題に対し、「答えないといけないじゃないですか」というものの、名古屋市がどのように書面で回答したかはすべて非公開です。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-7.pdf 496ページ
バリアフリーについても話しをするとのこと。文化庁にはなるべく早く行きたいとのこと。

2022年12月の木造天守閣完成に変わりが無いと繰り返しました。
----
なお、河村市長は「熊本城大天守閣の石垣は、内側を除いて無傷だった。12センチ沈んだだけ」と繰り返していますが、写真を見ると、小天守と大天守の一部、大天守と小天守を結ぶ外側の石垣が崩れています。
http://kumamoto-guide.jp/kumamoto-castle/news/detail/24

河村市長は「名古屋城の石垣は1891年濃尾大地震で無傷」としていますが、
西南隅櫓は石垣と共に崩壊しています。
また、1669年、1802年、1819年の地震で石垣が崩れていることが確認されています。
http://www.pref.aichi.jp/bousai/densho/nagoya/03/06-01.html

河村市長は事実と異なることを毎回説明しています。
熊本城の石垣の崩落を目の当たりにすれば、石垣調査と対策は喫緊の課題であることは誰でも理解できると思いますが、名古屋市は石垣調査担当者の人数を去年と変えませんでした。

文化庁も石垣部会も、名古屋市長、名古屋市の対応に不信を抱いています。「説明すれば何とかなる」というものではありません。
現在進行中の石垣調査に満足の得られる調査員がいないにもかかわらず、2022年12月までの完成を最優先させる河村市政に未来はありません。

また、市長自らが文化庁と石垣部会に説明する、ということは、部下との意思疎通がうまくいっていないことを示唆します。
市長の無理難題に対し、部下が困惑しているのではないでしょうか。

-------
河村市長はまた、建築基準法3条4項の逐条解説について解説し、「これを保存し後世に伝え、あるいはその活用を図って、国民ひいては世界の文化に寄与することは我々の任務」だと説明しました。

・建築基準法第三条
1項四 第一号若しくは第二号に掲げる建築物又は保存建築物であつたものの原形を再現する建築物で、特定行政庁が建築審査会の同意を得てその原形の再現がやむを得ないと認めたもの
 http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?openerCode=1&lawId=325AC0000000201_20160901
・逐条解説 建築基準法
 https://shop.gyosei.jp/index.php/products/detail/7629

しかし、「しかし、文化財といえども社会的な存在である以上は社会に与える影響を考え、安全上、防火上及び衛生上支障がない構造にする必要がある。」と続いています。

また、「建築審査会の同意を得てその原形の再現がやむを得ないと認めたもの」と建築基準法3条1項4号にありますが、いまだに名古屋市建築審査会には名古屋城木造復元は議題に上がっていません。

---
自らに都合のよい情報ならびに虚偽の情報を垂れ流す河村たかし名古屋市長。
「市民の支持が得られた」というだけでは法律を突破することは不可能です。


18/6/1(金)石垣部会 名古屋城穴蔵調査は議題にも上がらず 2022年12月復元は事実上不可能に

18/6/1に名古屋市は特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会(第27回)を開催しました。
しかし、天守閣木造復元に必要不可欠な「穴蔵調査」は議題に上がらず、2022年12月天守閣木造復元完成は事実上不可能になりました。
・配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180601.pdf
・メモ(名古屋市民オンブズマン作成)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180601-1.pdf
・その後の記者会見メモ(名古屋市民オンブズマン作成)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180601-2.pdf
 
石垣部会は、本丸搦手馬出の石垣をどう修復するか検討するために作られた部会です。
木造天守閣の話が出る前、10年以上活動しています。
最近は、戦災で被害を受けた天守台石垣とその周辺についても審議しています。
石垣部会としては、「文化庁記念物課による特別史跡の現状変更許可の方針が固まっていない調査・整備事業については、今後も当部会での審議対象とはしない」と明言しています。
現時点では、文化庁は木造天守閣について現状変更許可を出していません。

2022年12月までに木造天守閣復元するための名古屋市が描いているスケジュールは以下です。
 2018年7月 文化庁復元検討委員会に基本計画を提出・了解
    10月 文化審議会
    11月 文化庁から木造復元にかかる現状変更許可
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180509.pdf

本日の石垣部会の議題としては1.調査体制、2.天守台石垣発掘調査まとめ、3.小天守台周り石垣発掘調査、4.搦手馬出石垣調査概要 があがりました。
穴蔵調査については議題に上がりませんでした。

本日の石垣部会ではまず、名古屋市は名古屋城の石垣について10年近く取り組んできた学芸員が2018年3月に自己都合で退職したことを明らかにしました。
石垣部会構成員からは「石垣調査を行う人数は昨年度と変わらないが、新人ばかり入ってきたため、戦力としてはおそらく大変な状態では無いか」と述べました。

次に、昨年度行われた天守台外部石垣発掘調査のまとめが議題に上がりました。しかし、まとめ切れていないのか、調査の資料がきちんと報告されていませんでした。
石垣部会構成員の宮武正登・佐賀大学教授は、「この調査の視点は3つある。
 1 根石は宝暦改修 現在ダメージを受けているのか
 2 堀 堀底が安定しているのか
 3 堀の対岸 見学者が歩いている場所が安定しているのか
上記に関し、特に堀の対岸の石垣は不安定であることが判明した。将来的に今の形が担保されるか、追加調査が必要だ」と述べました。

名古屋市からは、天守台石垣周辺の追加発掘調査地点が提案され、中井将胤・文化庁文化財部記念物課文化財調査官は「前年度までの調査だけでは不十分という意見には同意する。上記3点の目的が達成されていなければ追加調査が必要。場所については検討して欲しい」と述べました。

結局、時間切れで議題の1.2までしか終わらず、3.小天守台周り石垣発掘調査、4.搦手馬出石垣調査概要 は議論されませんでした。

石垣部会終了後、石垣部会と名古屋市の記者会見が開かれました。
名古屋城総合事務所職員に、記者会見を傍聴できるか聞いたところ、許可されました。

石垣部会に対し、記者は「現状変更許可申請のため、穴蔵石垣調査が必要だが、今回提案された天守台石垣周辺の発掘調査と同時並行でやってもよいという認識か」と尋ねたところ、宮武教授は「それどころではない。外回りが危ないため、優先順位がある。マンパワーが限られている。」と述べました。

続いて、名古屋市も記者会見を行いました。
西野輝一・名古屋城総合事務所所長は「現在、天守台石垣については測量や石垣を外さなくてもできる調査を行っている。穴蔵調査開始のリミットは考えていない。できる限り次回石垣部会で審議いただいて、と考えている。」と述べました。
記者からは、穴蔵調査に関して本日の議題に上がっていないが、と質問され、名古屋城総合事務所職員は「整理して次回あげたい。慎重に慎重を重ねて今のタイミングでまとめられなかった。調査は3-4か月の予定」と述べるにとどまりました。

記者から、あらためて現天守閣を閉鎖した理由を尋ねられ、西野所長は
「現天守閣は耐震性が低い。早ければ今年5月から石垣調査で石垣を外す可能性があったため、半年前に発表した」としました。
記者からは「穴蔵調査については、周辺調査について文化庁の現状変更許可が出た後に内部調査をするとなると相当遅れると思うが」と聞かれましたが、名古屋城総合事務所職員は「複数人学芸員がいるので平行してやりたい」としました。

記者から、穴蔵調査は10月に行われる文化庁文化審議会に提出する予定かと聞かれ、名古屋城総合事務所職員は「穴蔵調査のデータは必要だ。発掘調査以外の非破壊検査を元に提出する」としました。
西野所長は「木造復元をするためには、最終的には穴蔵調査は必要だが、申請時には必要ないと考える」としました。

---------------
これらやり取りをきいていても、いまいち問題点がわかりません。
「穴蔵調査」とは一体何をさすのか。
天守閣地階部分である穴蔵石垣の調査だけでなく、現天守地下ケーソンのさらに下の地盤調査が、木造天守閣復元には必要不可欠です。
しかし、名古屋市は2017年度竹中工務店との石垣調査委託の対象から、ケーソン下ボーリング調査を削除しています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180313.pdf
18/3/28に天守閣部会は全会一致でケーソン下のボーリング調査を要望しています。

しかし、ケーソン下は「特別史跡」なので、文化庁の現状変更許可が必要ですし、石垣部会の審議も必要です。
石垣部会は「文化庁記念物課による特別史跡の現状変更許可の方針が固まっていない調査・整備事業については、今後も当部会での審議対象とはしない」としており、ケーソン下ボーリング調査について、石垣部会ならびに文化庁は果たして認めるのでしょうか。
上記調整が石垣部会とつかなかった、と見るのが妥当だと考えます。

上記問題点について、名古屋市は市民にもマスコミにもきちんと説明していません。
今後のスケジュールもはっきり説明していません。
名古屋市が2022年12月復元を断念表明するのは時間の問題です。その際、竹中工務店との基本協定はどうなるのか。市民に説明してこなかったつけが一気に出てきました。

なお、市議も多数傍聴しており、問題点に気づきはじめてきたようです。
18/6/19からはじまる6月議会でどのような審議がなされるか注目します。

・2018年06月01日 横井利明オフィシャルブログ
 2022年末木造復元断念へ
 http://blog.livedoor.jp/minami758/archives/2412714.html


18/5/31(木)名古屋城木造天守閣「新技術の想定候補」は単なるリスト しかも開架せず

河村たかし名古屋市長は18/5/30に「今後復元する名古屋城木造天守閣にエレベーターを設置しない」と正式に表明しました。

18/6/1に名古屋市市民情報センターに行って、記者クラブに配付した資料を閲覧しましたが、当該資料はありませんでした。
ホームページ上にもありません。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/345-11-2-0-0-0-0-0-0-0.html

名古屋城総合事務所保存整備室に、市が配付した資料について問い合わせたところ、「資料は記者には配付したが、『記者クラブ配付資料』ではないため、開架していない」とのこと。

上記のような対応は名古屋市情報公開条例第33条に反しおかしい、資料を情報提供するよう求めたところ、FAXにて情報提供いただきました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180530.pdf
・名古屋市情報公開条例
 http://www.city.nagoya.jp/shiminkeizai/page/0000001423.html

その上で、「木造名古屋城のエレベーターについては世界中の関心事になっている。市民に公開・閲覧できるようにするのは当然だし、ホームページで公表することを望む」と要望しました。

--------
情報提供いただいた内容を読んでみました。
・木造天守閣の昇降に関する負荷設備の方針
・新技術の想定一覧

新技術は12個、項目が並べられているだけです。新聞各紙では項目が書かれていましたが、元資料まで項目だけとは思いませんでした。
最後、手書きで「他、国際コンペ」と書かれていますが、誰が書いたのかわかりません。

誰に呼びかけるのか。
だれがどのように新技術を選定するのか。
費用はいくらかけるのか。
全く決まっていません。

名古屋市が「切り札」としてきた「車椅子を載せられるはしご車」も、中京テレビの取材によれば「一般的な手押し車椅子を想定しており、電動車椅子は重量として厳しい」とのこと。
http://www.morita119.com/ir/pdf/20180508_2.pdf
http://www2.ctv.co.jp/news/2018/06/01/9978/
障害者団体は「見世物ではない」と反発しています。

------
人権とはなにか。国連人権高等弁務官事務所によれば、「生まれてきた人間すべてに対して、その人が能力を発揮できるように、政府はそれを助ける義務がある。その助けを要求する権利が人権。」と定義されています。
https://www.youtube.com/watch?v=TXJNVM-nHqo

大村秀章愛知県知事は18/5/14の記者会見で「障害者の方々のこうした基本的人権に関わることはですね、しっかりとこれは尊重されていかなければならない」と
述べています。
http://www.pref.aichi.jp/koho/kaiken/2018/05.14.html#4

人権について深い認識を持つ知事と、思いつきの新技術リストを公開する市長。
名古屋城木造化は4年を待たずに破綻するのは目に見えています。


18/5/27(日)名古屋城天守閣木造化 実施設計契約済みであることが判明

名古屋城天守閣木造化に関し、重要な情報は市民にほとんど公開されておりません。
名古屋市民オンブズマンは、18/5/8に多数情報公開請求したところ、18/5/23に決定がでました。

特に判明したことは、「名古屋城天守閣整備事業実施設計」契約15億6384万円を18/4/9に契約していたことです。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180523-4.pdf

基本設計については、エレベーター設置について方針がまだ決まっておらず、さらに現天守閣地下にあるケーソン基礎の下をボーリングしていないため、ケーソン基礎を活用できるか不明確であり、「基本設計」として成り立っていないのではないかという疑惑があります。
しかしながら、基本設計の内容はほぼ黒塗りで、詳細はわかりません。
https://ombuds.exblog.jp/26803947/

さらに、文化庁の有識者会議である復元検討委員会が 「現名古屋城天守閣は戦後都市文化の象徴」と発言していたことがわかりました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180515-1.pdf

現時点では、名古屋市が勝手に「木造復元する」と宣言して竹中工務店と基本設計の契約をしていただけで、文化庁も名古屋市建築審査会も日本建築センターもなにも判断していません。

そんな中、基本設計が終了した後にしかできない実施設計を名古屋市と竹中工務店は契約してしまいました。

名古屋市民オンブズマンは18/4/2に「名古屋城天守閣整備事業実施設計契約書」を情報公開請求しましたが、18/4/13に名古屋市は不存在決定しています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180413-2.pdf
しかしながら実は18/4/9に契約を結んでおり、しかも一言も決定書で触れないというのはどう考えても市民に不親切です。

18/5/8時点では、「名古屋城天守閣木造化」木材の製材95億2250万円の契約書は不存在でした。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180523-2.pdf

今後、基本設計の費用8億4693万6000円が竹中工務店に支払われたのか、木材製材についての契約を行ったのか、情報公開請求で調べます。

さらに、17/12/18に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会の構成員と名古屋市担当者が協議をした中身がわかるもの(議事録、議事メモ、録音)、配付資料が
不存在でした。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180523-3.pdf
この日は、市は石垣部会に「河村市長が瀬口氏に面談の上で10/13発言の撤回を直接促した(氏はこれを拒否)と」伝え、市は「河村市長は、発言の撤回を促す意思で会見に臨んだ」と18/2/14記者に説明したものです。(詳細な内容不明)
それを行政文書としては不存在、というのは市民に説明する気が全くないことの表れです。

愛知障害フォーラムは、18/5/17に名古屋城木造復元天守閣のバリアフリー化について文化庁に意見書を出しました  
http://aichidisabilityforum.com/#nagoyajyou5
また障害者団体らで作る「名古屋城木造天守のエレベーター設置を実現する実行委員会」は、18/5/28に河村市長からエレベーター設置について説明を受ける、とのことです。
https://www.facebook.com/398477210619537/

しかし名古屋城問題はエレベーターだけではありません。
かつて、元宮城県知事の浅野史郎氏は「情報公開は転ばぬ先の杖」といいました。
http://www.asanoshiro.org/genko/governannce/10.htm
2022年12月までの木造天守閣完成の可能性はゼロですが、河村市長とその周辺だけがいまだに固執しています。
それが崩れたとき、竹中工務店との「契約書」に基づきどのようなことになるのか。
情報を知らされずに幻想ばかり見せられた市民が最終的にツケを負うことになります。

-------
【一部開示決定】
・「名古屋城天守閣整備事業実施設計」契約書
・「名古屋城天守閣整備事業に係る発注者支援業務」契約書
・名古屋城「石垣調査に伴う仮設事務所設置工事」契約書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180523-4.pdf

【開示決定】
・18/1/30 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会(第25回)議事録
・18/3/6 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会(第26回)議事録
・18/3/30 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議全体整備検討会議(第26回)議事録
・17/11/20開催「名古屋市産業・歴史文化・観光戦略特別委員会」名古屋城視察時の議論の中身がわかるもの
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180523-5.pdf

【開示決定】
・17/12/20 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第7回)議事録
・18/2/14 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第8回)議事録
・18/3/28 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第9回)議事録
・名古屋市障害者施策推進協議会から名古屋城に関して提出された意見書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180523-6.pdf
 
【不存在(閲覧可能)議長分】
・17/11/20開催「名古屋市産業・歴史文化・観光戦略特別委員会」名古屋城視察時の議論の中身がわかるもの
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180523-1.pdf

【不存在】
・17/12/18 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会の構成員と名古屋市担当者が協議をした中身がわかるもの
(議事録、議事メモ、録音)、配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180523-3.pdf
・「名古屋城天守閣木造化」木材の製材 契約書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180523-2.pdf

【延長 6/21まで】
・18/1/16-1/28名古屋城天守閣木造復元「市民向け説明会」・「シンポジウム」での質疑応答
・18/1/16-1/28名古屋城天守閣木造復元「市民向け説明会」・「シンポジウム」での参加者から回収されたアンケート
・18/1/16-1/28名古屋城天守閣木造復元「市民向け説明会」・「シンポジウム」での参加者から回収されたアンケートへの名古屋市・竹中工務店のご意見
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180523-7.pdf


18/5/21(月)障害者団体100人以上がエレベーターなし名古屋城木造天守閣に抗議も「改良はしご車利用を検討」

18/5/21(月)12時-16時まで「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」100名以上が名古屋市役所前で、木造天守閣にエレベーターをつけない方針を示した河村たかし名古屋市長に対して抗議しました。
・配布チラシ
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180521.pdf

河村市長は同じ日の18/5/21(月)14時から定例記者会見しました。
http://www.ustream.tv/recorded/115084022

・障害者団体は誤解している
 完成までに4年ちょっとある。必ずや今よりバリアフリー対策がよくなる
 直接団体と会って話をしたい
・8-9社の業者から提案が既にある。
・今後、国際コンペをする予定。懸賞金を出すのかなど検討。
 両方から考える必要がある。
・5月末まで業者から言わないでくれと言われているが、
 はしご車トップメーカーは400キロまで車椅子を持ち運べる。
 ホームページにも載っている。それを改良すればよい。 
 もともと避難用だが、「非常口」から中に入ることも可能。
・(非常口を作るのは史実に忠実と言えるのかとマスコミから聞かれて)
 人命に関わることなのでスプリンクラーや消火栓は姫路城についている。
 木目調にして目立たないように出来る。
 非常口をつけても史実に忠実と言える。
・名古屋城でできれば、他の階段の施設にも使える

「新技術」の有力な案は、はしご車のようです。
ホームページを検索したところ、新型はしご車が5月末に発表されるとのこと。

・2018 年5 月8 日 株式会社モリタホールディングス
 新製品開発のお知らせ
 「普通免許対応 車両重量3.5t 未満CD-T型消防ポンプ自動車」
 「多目的消防ポンプ自動車 MVF21」を開発
 〜「東京国際消防防災展2018」に出展〜
 http://www.morita119.com/ir/pdf/20180508_2.pdf

「21m のブームと国内初となる最大400kg 対応のバスケットを搭載。」とあります。
ただ、現天守閣東側地面から天守台石垣の上まで約12メートル、そこから約36メートルの建物が建つ予定です。
どこに「はしご車を改良したもの」を置くのかわかりませんが、東側地面だとすれば石垣のちょっと上くらいにしか上がれません。
しかも、外側エレベーター設置に難色を示していながら、それよりもっと目立つはしご車を置くことが、「史実に忠実」と言えるのでしょうか
来場者はどう思うのでしょうか。

上記ホームページを、市役所前で抗議している障害者団体に見せたところ「これじゃ『見世物』だ!」「最上階では無く、石垣の上にしか登れないのか」と大変批判的でした。

なお、一級建築士によれば、「これはエレベータに代わるものではない。建物内に設置する昇降機は、安全基準があり、国の指定品でないといけない。弱者をブツのようにこんなのでは運べません。建物の確認申請時に、別に昇降機の申請もされます。業者だけでなく、施主と建築士の印が要ります。
火事の時はエレベータは避難に使えません。はしご車では、車いすの方を助けれないので、開発された非常時のものであり、それはそれではしご車に代わるものとして、貴重です。絵空事ではいけなく、この車が非常時には、現天守が耐震改修されても要ります。日常と非日常をごっちゃにしてはイケマセン。」とのこと。

また、河村市長は「8-9社の提案」「国際コンペ」両方から考えると話していましたが、「WTO政府調達に関する協定」で原則公募をする必要があります。
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/top/local_support/pdf/cio_text_ps_3-1.pdf
http://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000038/38267/tebiki.pdf

いくら払うのかも未定、どうやって決めるかも未定。本当に出来るのかも未定。「なにが史実に忠実」なのかは、各自イメージがバラバラ。
河村市長自身が、「これが史実に忠実」とは明言していません。それで法律がクリアできるのかもはっきり言っていません。
これでどうやって進めるのでしょうか。
-------
エレベーターだけでなく、石垣部会の千田嘉博奈良大学教授は以下ツイッターで述べました。

名古屋市民オンブズマンHPのご教示によると「名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託」成果物が、竹中工務店から名古屋市に提出されていた由です。そのなかに石垣調査についても報告があります。http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm(つづく)
私も名古屋城の石垣部会のメンバーですが、石垣カルテについては石垣部会で調査項目や方針と方法、年次計画などを議題として審議し、それに従って進めていると認識しています。石垣カルテの調査を進めている旨の報告も部会でありました。(つづく)
そうした石垣カルテの報告と、昨年度分の最終成果にもとづく名古屋城の石垣の分析と評価は、石垣部会として議論した記憶がありません。ところが、なぜか報告と評価がまとめられているように見えるのです。私の錯誤かもしれません。(つづく)
仮に、文化庁調査官も加わって、名古屋城の石垣調査の指導を担う石垣部会の審議なしに、石垣カルテの結果をまとめたとすれば、異例なことだと思います。調査フローのなかにも石垣部会はなく、そもそも特別史跡の整備における専門委員会の位置づけを適切に理解していたか心配になります。(つづく)
文化庁の指導のもと設置した専門委員会の審議を踏まえて史跡の整備を進めていく原則は、とても重要です。だから特別史跡である名古屋城跡で、そうした原則とは異なった方法で、石垣の分析と評価の結論を出すことはないはずだと思います。(つづく)
名古屋城大天守台石垣の発掘についても報告があり、それにもとづく石垣の分析と安定性の評価を記しています。しかし記憶によれば、その結論は石垣部会で審議した分析や評価と異なっているように思います。私の錯誤ならよいのですが、いったい何が起きているのでしょうか・・・。(おしまい)
https://twitter.com/yoshi_nara/status/998246179455488005
https://twitter.com/yoshi_nara/status/998247030618140673
https://twitter.com/yoshi_nara/status/998250089553395713
https://twitter.com/yoshi_nara/status/998251571619160066
https://twitter.com/yoshi_nara/status/998253388503527424
https://twitter.com/yoshi_nara/status/998255158587879424

-------
18/5/24に名古屋市と竹中工務店は非公開で価格交渉等を行い、有識者から意見聴取をするとのこと。
市民に情報も出さず、市民不在のまま強引に木造化を進めようとしています。
・名古屋城天守閣整備事業にかかる技術提案・交渉方式(設計交渉・施工タイプ)の実施に伴う意見聴取会(第7回)
http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2018/kankobunkakoryu/0000105895.html

----
河村市長の思いつき、その場しのぎをいつまで信じるのか。
事情を知らない市民はごまかせても、権限がある「文化庁復元検討委員会」「名古屋市建築審査会」「消防法 総務大臣」「名古屋市消防長」「日本建築センター」そして「竹中工務店」はごまかしきれません。


18/5/18(金)黒塗りだらけの名古屋城木造基本設計書等から判明することは?

18/5/18、竹中工務店から名古屋市に提出された「名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託」成果物2813枚(白黒2267枚、カラー544枚、A2 2枚)が名古屋市民オンブズマンに公開され、実質30分程度でしたが「内容のご説明」がありました。
しかしながら、「竹中工務店の保有する独自の技術等に関する部分は公にすることにより、法人の通常有する競争上の利益が損なわれるおそれと認められるため非公開とします。」「文化庁等との協議に関する情報については、当該情報が公開されることにより、率直な意見の交換もしくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるため非公開とします。」「工事費の積算等に関する部分は公にすることにより、名古屋城天守閣整備事業に関する事務の公正または適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報を含むため非公開とします。」
これらで内容がほとんど非公開でした。

 (1)天守閣基本設計業務(外構、付帯設備含む)約300ページ
 (3)調査業務(史実調査、地盤調査、石垣調査等)
 (4)積算業務のうち、表紙(総額部分)部分
 (5)施工技術検討業務 約200ページ
 (6)関係法令等行政手続き 約400ページ

・決定書
 
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518.pdf
・基本設計説明書
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-1.pdf
・石垣現状調査等
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-2.pdf
・石垣測量
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-3.pdf
・調査業務
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-4.pdf
・積算
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-5.pdf
・地盤調査報告書
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-6.pdf
・施工技術検討業務
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-7.pdf
・打合せ記録簿 天守閣部会・その他
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-8.pdf
・図面
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-9.pdf


その中でもわかったことがあります。
・「名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託」の成果物は名古屋市に提出されていたこと。
・これらが、契約通りに作られたのか疑問があります。
 特に「関係法令等行政手続」資料が、名古屋市消防局予防部指導課との打合せが13回、名古屋市住宅都市局建築審査課との打合せが1回あったことが判明しています。
 しかし、「消防庁との協議」「名古屋市建築審査会への資料」「日本建築センター」との打合せはありません。
 契約書 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-2.pdf
 業務委託概略書 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180202.pdf
 変更契約書 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180313.pdf
・名古屋城総合事務所担当者は「基本設計について、エレベーター設置する案と設置しない案がある」と言っていました。
 以前から市は「バリアフリー等付加機能は実施設計で確定」といいますが、実施設計でやると言うのでは、国交省告示15号、建築士法違反のおそれがあります。
 http://www.mlit.go.jp/common/000048579.pdf
・「基本設計」時の「新機能として付加検討」は不明ですが、17/5/10天守閣部会では「仮設避難コア」「付加階段」として、耐火ガラスの壁で覆った避難階段を天守閣中央部分に設置しています。
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-7.pdf 152ページ
 名古屋城総合事務所担当者は「天守閣部会について、排煙設備に関する議論はこれまでなされていなかった」といいます。
・「基本設計」時の、穴蔵石垣と外周石垣の間(外周架構支持方法)は不明ですが、17/5/10天守閣部会では「跳ね出しスラブ」の上に土台を置く提案をしています。
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-7.pdf 143ページ
・開示された資料に、タイトルすら非公開のものがありました。
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-7.pdf 496ページ
 名古屋城総合事務所担当者に聞いたところ、「文化庁記念物課に2017年12月に現状変更許可申請をするため協議したが、その際の指摘事項への返事」とのこと。
・開示された「天守閣部会 議事録」資料に、タイトルすら非公開のものがありました。
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-8.pdf 100ページ、151ページ
 名古屋城総合事務所担当者に聞いたところ、「天守閣部会終了後、竹中工務店と有識者が打合せをしていたときの議事録」とのこと。
・17/10/18に「特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会ワーキング」が開催されていたことがはじめてわかりました。
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-8.pdf 121ページ
 市民の知らないところで、何らかの議論がなされていたようです。

現在エレベーター不設置方針をめぐって、市民の間で大変議論が巻き起こっています。
しかしながら、これらは天守閣部会の資料に以前から掲載されていたものでした。
天守閣部会は傍聴可能で資料ももらえますが、傍聴定員が10人で資料・議事録を閲覧できる場所も無く、ネット公開もしておらず、インターネット中継もありません。
(名古屋市民オンブズマンメンバーが、毎回部会を傍聴し、傍聴記録をつけた上で資料をネット上に公開しています)
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm

「史実に忠実な復元」とは言いますが、スプリンクラー、耐震ダンパー等は導入する予定と市が明言しています。
「仮設避難コア」「付加階段」をつけるのかつけないのか。もしつけない場合、消防法上どのような問題になるのか。

市民への説明がまったくされていないなか、名古屋市は強引に木造化を押し進めようとしていますが、各種法令を破ることはできません。
名古屋市民オンブズマンとして、今後の対応を早急に考えます。

※なお、今回の開示文書を入手するのに49,970円かかっています。
 よろしければカンパをお願いいたします。(「名古屋城コピー代」とお書き下さい)
 《郵便振替口座》口座番号 00870−9−105687
         加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ

--------
18/5/21(月)は、愛知県知事と名古屋市長の記者会見があります。
名古屋城をめぐり、どのようなことを話すか注目したいです。

5月21日(月)午前10時から
愛知県知事定例記者会見 生中継あり
http://www.pref.aichi.jp/koho/kaiken/

5月21日(月曜日)午後2時00分から
名古屋市長定例記者会見 生中継あり
http://www.city.nagoya.jp/mayor/category/316-0-0-0-0-0-0-0-0-0.html
---------

18/5/17(木)名古屋城木造化 弁護士「エレベーターなしでは訴訟リスクなしとはいえない」

18/5/17に名古屋市議会経済水道委員会が開催され、特別史跡名古屋城跡バリアフリー基本方針(案)について質疑がされました。

・18/5/17 名古屋市議会経済水道委員会説明資料
 特別史跡名古屋城跡バリアフリー基本方針(案)について
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180517.pdf
・18/5/17 名古屋市議会経済水道委員会
 名古屋市民オンブズマン 自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180517-1.pdf
 
名古屋市は、2022年12月竣工予定の木造天守閣にエレベーターを設置しない基本方針を示しましたが、「現状よりも天守閣のすばらしさや眺望を楽しめることを保障する」と書いたことを強調し続けています。
しかし、具体的な方法は「新技術の開発を今後国内外から幅広く提案を募る」とするだけで、誰にどのように提案を募るのか、いくら費用をかけるのかすら決まっていません。

中川貴元市議は、前回の委員会の中で「エレベーター不設置にした場合の訴訟リスクを弁護士に聞いてきて欲しい」と依頼し、本日バリアフリー基本方針(案)に対して弁護士2名の見解が示されました。
当然ですが、基本方針(案)は書面なので、具体的な権利利益の侵害について記載はありません。
「具体化されていく方法によっては、訴訟リスクはある」という弁護士の見解は当然です。
「史実に忠実な復元」を重視しすぎているという政治的な批判も当然ありうる」という弁護士の見解も当然です。

中川市議は、「障害者、大学の先生、企業、建築施工業者、市役所などが入ったバリアフリー対応協議会を設置して、プロセスの段階から努力をしていただいてはどうか。6月中、遅くても7月中には第1回目を行ってはどうか」と提案しました。
渡辺局長も「そういった形がよいのではないか。早い時期に提案の話しを市長にあげて実行に移していきたい」と発言しました。

-------
上記「バリアフリー対応協議会」と、18/4/24に第1回目を行ったばかりの、有識者で構成する「名古屋城跡バリアフリー検討会議」との違いがよく分かりませんが、仮にエレベーター不設置で決定した場合、「新技術」が開発されるまでは木造天守閣の着工・その前の現天守閣取り壊しはしてはいけないと考えます。
そうしなければ「現状よりも天守閣のすばらしさや眺望を楽しめることを保障する」が空手形になってしまいます。

名古屋城の高さは55.6m(天守台19.5m、建屋36.1m)もあります。
たまたま、重要文化財名古屋市役所は地上53.5メートルと、ほとんど名古屋城と同じ高さ・同じ地上5階・地下1階です。

名古屋市役所の地下から最上階まで「新技術」で登る方が、木造天守閣よりはるかに簡単です。(階段が複数、階段が広い、蹴上げが低い、階段が鉄筋コンクリート製)
エレベーターを使わずに車椅子を名古屋市役所の最上階まで登る技術が出来たとしても、木造天守閣特有の問題(階段が2つのみ、階段が狭い、蹴上げが高い。木のため荷重に耐えられない、『国宝を目指す』ため木に傷をつけられない。騒音もあまり出せない。熱を発せられない。大勢の来場者に対応しなければいけない。非常時は使えないかもしれない)があり、技術開発には困難を極めます。
しかも、その「新技術」が他の建物に応用できるかどうかと言えば疑問です(新技術をつけなくても、エレベーターをつければよい)。

「新技術」の開発費用はまったく未定ですが、本体の木造名古屋城より高額になる可能性もあります。どこからその費用を払うのでしょうか。
それを払うことが現在の名古屋市政の優先順位からして有益なのでしょうか。

18/5/16に愛知障害フォーラム(ADF)は「名古屋城木造復元天守閣のバリアフリー化方針に対するADF声明」を発表しました。
http://aichidisabilityforum.com/#nagoyajyou4
その中で「エレベーターは障害のある人だけでなく、高齢者、ベビーカーを使用する人、小さな子ども、大きな荷物を持った観光客などすべての人にとって有益なものであるのはいうまでもありません。」としています。

・4年後の2022年までに「新技術」が開発されるかどうかわからない
・費用もいくらかかるかわからない
・エレベーターを設置すればはるかに安上がり
・エレベーターを設置しなければ「訴訟リスクあり」と市が選任した弁護士が明言
・「新技術」導入で、他の登城できる人が減るかもしれない。
・「新技術」で「文化庁復元検討委員会」「名古屋市建築審査会」「消防法 総務大臣認定」「名古屋市消防長の同意」「日本建築センターの評定」が通るかどうかまったく不明

名古屋市はいったいなにをやっているのでしょうか。
自らハードルを上げ、訴訟リスクを高めています。

なお、ADFは「この間の名古屋城木造復元天守閣のバリアフリー化に関する新聞・テレビ等の報道によって、ネット等で匿名の方たちより、「障害者は自分勝手すぎる」、「クレイマー」等の言われなき誹謗中傷を受けており、名古屋市の方針が「差別・偏見・人権侵害」を助長しているといえます。」としています。
http://aichidisabilityforum.com/#nagoyajyou3

名古屋市はきちんとした情報を市民に知らせず、すでに「言われなき誹謗中傷の被害者」を生んでいます。
一刻も早く、既に破綻している「2022年12月竣工」を認め、善後策を検討すべきです。

-----
なお、18/5/18(金)午後1時〜 名古屋市市政情報室(名古屋市西庁舎1階)で、基本設計等の開示を受けます。全部で2813枚。
入手次第ネットにアップ予定です。
「基本設計業務」成果物が、はたして法律に基づいた形式・内容になっているのか。文化庁等への関係法令等行政手続がどのようになっているのか。資料を受け取ったあと、詳細に分析する予定です。

「名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託」成果物
 (1)天守閣基本設計業務(外構、付帯設備含む)約300ページ
 (3)調査業務(史実調査、地盤調査、石垣調査等)
 (4)積算業務のうち、表紙(総額部分)部分
 (5)施工技術検討業務 約200ページ
 (6)関係法令等行政手続き 約400ページ


18/5/16(水)文化庁復元検討委員会 「現名古屋城天守閣は戦後都市文化の象徴」

18/5/15名古屋市議会経済水道委員会において、名古屋市は、文化庁の有識者会議「復元検討委員会」が17/12/26.18/3/26に行われており、現天守閣を「戦後都市文化の象徴」と指摘していたことがはじめてわかりました。
・18/5/15 名古屋市議会経済水道委員会配付資料 名古屋市観光文化交流局
 特別史跡名古屋城跡天守閣整備事業に係る基本計画(案)の進捗状況について
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180515-1.pdf
・18/5/15 名古屋市議会経済水道委員会
 名古屋市民オンブズマンによる自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180515-2.pdf

配付資料にこっそりかかれており、市からの説明も簡単に済ませ、市議からの指摘もほとんどありませんでした。
 
「復元検討委員会」が行われていたのかどうかすら、これまで名古屋市は明らかにしてきませんでした。

18/5/16読売新聞によれば、「文化庁の担当者は「前例のない大規模な木造建築の復元計画なので、あらゆることについて詳細な検討や対応を、法令面を含めて詰めていく必要がある」と読売新聞の取材に話した。」とのこと。

2018年05月16日 読売新聞
天守「戦後都市文化の象徴」…文化庁検討委 木造復元に厳しい指摘
http://www.yomiuri.co.jp/local/aichi/news/20180516-OYTNT50017.html

今後、文化庁と名古屋市に対し、「復元検討委員会」での議事録、配付資料を情報公開請求する予定です。

名古屋市のエレベーター不設置方針決定で揺れる名古屋城木造化ですが、「現天守閣に価値」を見いだす文化庁の意見があることを踏まえ、名古屋市はどうするつもりなのでしょうか。
市議会でも、ようやく2022年12月までには到底木造化ができないことを認識し出しました。
車椅子・高齢者を「排除」して、「4年で新技術を見つける」「現状よりも天守閣のすばらしさや眺望を楽しめることを保障する」と言うだけの名古屋市の姿勢に対し、市民の中から疑問の声が広がってきています。

論点まとめ
・エレベーターをつけるかどうか(障害者団体からの要望、愛知県知事の意見、法令等)
・エレベーターに代わる「新技術」ができるか、どう探すか
・穴蔵石垣調査をどのようにするか(文化庁の現状変更許可)
・ケーソン地下調査を行えるか(文化庁の現状変更許可)
・「復元検討委員会」で認められるのか
・収支計画をどうするか
・仮設避難コア・加圧ファン・避難トンネルをどうするか
・建築基準法の適用除外が受けられるか(名古屋市建築審査会)
・消防法 総務大臣認定による緩和が受けられるか
・消防 名古屋市消防長の同意を得られるか
・日本建築センターの評定が受けられるか
・竹中工務店との契約はどうなるのか
・寄付した人にどうするか


18/5/15(火)名古屋城天守閣木造化 市議会委員会でエレベーター・入場者想定に今頃猛批判

2018年5月15日に名古屋市議会経済水道委員会が行われ、特別史跡名古屋城跡バリアフリー基本方針(案)、特別史跡名古屋城跡天守閣整備事業に係る基本方針(案)の進捗状況について議論がなされました。
・18/5/15 名古屋市議会経済水道委員会配付資料 名古屋市観光文化交流局
 特別史跡名古屋城跡バリアフリー基本方針(案)について
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180515.pdf
・18/5/15 名古屋市議会経済水道委員会配付資料 名古屋市観光文化交流局
 特別史跡名古屋城跡天守閣整備事業に係る基本計画(案)の進捗状況について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180515-1.pdf
・18/5/15 名古屋市議会経済水道委員会
 名古屋市民オンブズマンによる自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180515-2.pdf

名古屋市が「エレベーターを設置しない方針」を決めたこと。2018年5月14日朝に河村たかし名古屋市長が記者に対して「(市長選や市議会の議決など)市民の選択で旧国宝のものを復元しようと決まった。もう1回さかのぼるのはおかしい」と発言したこと、大村知事が「基本的人権の問題、よりよい解決策を見いだして」と発言したことについて、市に批判が相次ぎました。

森議員:エレベーターなど、昇降装置をつけるのとつけないのとでは登れる人数が変わってくると思うが。現在の入場者数の想定は、どのような前提なのか。
市:エレベーターありの状態でアンケート調査をした。他城郭改修したときから算出した。エレベーターのあるなしにかかわらず、入場者をきちっと確保したい。(渡辺局長はエレベーターを使っている人を0. 1%以下だと明言)

森議員:市長が市長選ではっきり争点となったというのであれば、バリアフリー検討会議を指示したのは何のためか。市長の真意は生地の真意はちょっとつかみ切れない。
市:バリアフリーも重要な課題と考えている。

西川議員:階段はどの程度のスピードで上るとシミュレーションしているか。
市:秒速約0. 3 mのスピードで上り 1分間でおよそ30人程度と考えている。

福田議員:下りもそうか。
市:そうだ。

三輪議員:障害者権利条約、障害者差別廃止法、バリアフリー法などに抵触するとお考えか。
市:新技術の開発を進めていって可能となると考えているため、現時点においては法令に抵触するものではないと考えている。今年度2000万円の予算をいただいており1000万円は名古屋城内のバリアフリー検討調査、残りの1000万について、新技術の開発をどう進めていくのか。枠組みなどを作りたいと考えている。現時点では、新技術開発について調査に手をつけているわけではない。どう公募する、誰に発信するかも決まっていない。

浅井議員:絵空事になるかもしれないが、どうなるのか。
市:仮定の話なので。お答えは難しい。方針で「保障をする」と書いた。

江上議員:新技術開発のためにお金はどのくらいまで使うつもりか
市:費用の面も含めて調べていきたい。

藤井議員:現天守閣7階までエレベーターを検討したのか
市:木造復元で対応するので、検討をしたが、実施していない。

藤井議員:他の名古屋市の公共建築物で、バリアフリー法に反して建築された事例は把握しているか
市:把握していない

西川議員:石垣調査の趣旨は何か。
市:後世に残すため。7月に文化庁に基本計画策定を取りまとめる予定

西川議員:石垣部会は次回決まっていない。穴蔵石垣、背面調査は来年3月までかかるにもかかわらず、7月までに基本生計画策定方針で間に合うのか。
市:まとめていきたい。

西川議員:県知事が発言したことは文化庁への申請に関係ないと言い切れるか。
市:発言されたばかりなのでなんとも言えないが、しっかりと説明し、ご理解をいただいて許可をいただけるようにしたい。市の方にお話があれば、市の考えをしっかりと説明してまいりたい。

福田議員:ケーソン以外に史実に忠実でないものは何があるか。
市:スプリンクラー、耐震ダンパー等入れることを考えている。

福田議員:名古屋城の暑さ対策はどう考えているのか。
市:蓄電池の場合を用いた冷風扇を1たん替えている。

中川議員:知事は「『県の職員が単にエレベーターをつけないというだけでは、直ちに障害者に差別的な取り扱いをしているとは言えない。代替案があれば直ちには言えない』と発言されたそうですが、不適切な発言だと言わざるを得ないと思います。それは私が取り消しておきます。不適切な発言だと軽率な発言だと言っていいと思います。そういうコメントはコメントすべき発言ではない。」これについて、市の見解は。
市:バリアフリーの精神に反するものではないと考えている。

中川議員:建築基準法の適用除外、福祉都市環境整備指針に続いての適用原則、障害者差別解消法についての市の考え方を
市:建築基準法の適用除外に該当しうる。新技術を活用して代替措置と市天守に上がっていただきたいと考える。障害者差別解消法は努力義務である。新技術の開発を進めることが合理的配慮に当たると考える。

中川議員:健康福祉局局長からコメントをいただいた。「木造天守閣の昇降に関する付加設備の方針案について障害者差別解消法においては、行政機関はみずから設置する施設の構造の改善及び設備の整備に努めなければならないとされています。今回、木造天守閣の昇降に関する付加設備の方針案においては、史実に忠実に復元するためエレベーターを設置せず、新技術の開発等を通してバリアフリーに変え、最善の努力をするとされております。
最新技術の開発等で必ず障害者の方にも、天守閣内部が見られるよう最大限の努力をするとされており、エレベーターを設置しないことが直ちに基本的人権を侵害するとは考えておりませんが、引き続き障害者の方の意見を聞きながら、障害者の観覧設備整備に努めていく必要があると考えています。」についての当局の見解をお聞かせいただきたい。
市:バリアフリーに最大限努力をしていく

中川議員:将来においては法令に抵触する可能性があるのであれば、イエスとはなかなか言いづらい。訴訟リスクは想定しているのか。
市:現時点において、弁護士等に確認してないので、今後詰めていきたい。

今頃になってですが、大変活発な議論がなされました。
5月17日午後1時半からの名古屋経済水道委員会において、訴訟リスクについて議論されるかもしれません。
----------
訴訟リスクといっても、竹中工務店からのもの。障害者団体からのもの。寄付者、さらに市民からの住民訴訟。また、愛知県、文化庁、国土交通省、消防庁、名古屋市消防長、名古屋市建築審査会などからの権限行使も考えられます。
このようなことは、方針を決める前に、きちんと検討した上で、方針を出すべきだったと思いますが、全てが後手後手の名古屋市です。
エレベーターをつけるにしてもつけないにしても、多大な困難を伴います。完成時期を遅らせても訴訟リスクがあるでしょう。仮に木造復元の方針を撤回したとしても、訴訟リスクがあるでしょう。
少しでも訴訟リスクを減らすために、市議会は予算の議決をすべきでなかったのですが、残念ながらその責任は市議自身はまったく感じていないようです。

いずれにしても訴訟リスクがあるなら、できる限り市民へのツケを最小限度にする方策を考えてもらいたいです。
市長をはじめ市当局はどのように責任を取るのか、市議会はどう対応するのか今後も注目していきたいと思います。


18/5/14(月)名古屋城木造化 エレベーター不設置方針に愛知県知事「再考を」

名古屋市が復元しようとしている名古屋城木造天守閣についてエレベーター不設置の方針を示していることについて、大村秀章愛知県知事は18/5/14記者会見で「障害者の基本的人権に関わる」として再考を求めたと各報道が伝えています。
(インターネット生中継がされていましたが、録画は後日見ることができるとのこと)
http://www.pref.aichi.jp/koho/kaiken/

障害者団体「愛知障害フォーラム」は、18/5/11に市の方針は不当な差別に当たるとして、愛知県障害者差別解消推進条例に基づき知事に助言、あっせん又は指導を行うよう求めました。
http://www.pref.aichi.jp/soshiki/shogai/sabetsu-jourei.html

大村知事は、「上記助言等は事業者に対して行うことができる」とした上で、「名古屋市も引き続き障害者関係の皆さまと十二分に意見交換していただいて、よりよい解決策を見いだしていただきたい」と述べたとのこと。

愛知県は「人にやさしい街づくりの推進に関する条例」の権限を持っています。
http://www.pref.aichi.jp/soshiki/jutakukeikaku/0000025385.html
18/4/10に所管の愛知県住宅局住宅計画課に問い合わせたところ、「名古屋城にも適用される」と明言しました。

------
21世紀になってずいぶんたち、平成も終わろうとしている現在、「障害者を排除」しようとするエレベーター不設置の方針は全くの時代錯誤です。
混乱を招いている河村たかし名古屋市長は、都合が悪くなると「誤解がある」と今回も述べましたが、時代を誤解しているのは河村市長の方ですし、名古屋市として2015/12の公募型プロポーザル業務要求水準書で「バリアフリー化 ・バリアフリーに配慮したものであること」と述べていることを忘れています。
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/17_topics/271202/dwl/koubo_03.pdf

現天守閣はいったん閉館しましたが、まだ取り壊されておりません。
2022年12月末までの木造天守閣完成は、穴蔵石垣調査に関する文化庁の現状変更許可すらおりておらず事実上無理です。
いつその事実を名古屋市が認めるかという状態です。
大阪城・熊本城のように、最上階までエレベーターを設置して耐震改修・長寿命化するのか(約29億円)、完成期限を延長してエレベーター付きの「ハイテク木造」(最低505億円。完成期限延長のため費用が増加する可能性あり)にするのか。
市民にきちんと情報を伝えてこなかったツケを払うときがきました。


18/5/11(金)名古屋市 木造天守閣 9割以上の否定意見を完全に無視

18/5/11、名古屋市は名古屋市は、「特別史跡名古屋城跡保存活用計画」を策定したと発表するとともに、パブコメ意見と市の考え方を公表しました。

特別史跡名古屋城跡保存活用計画
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000105368.html

2018年5月11日 名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所保存整備室保存整備係
特別史跡名古屋城跡保存活用計画(案)に対する市民意見の内容及び市の考え方
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000105362.html

平成24年12月に文化庁が確認した、「全体整備計画 増補版」では『現在の鉄筋天守を活用していく』と明記してあります。
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000045497.html

それを「整備方針は木造復元とし、検討を進める」と明記したのが今回の保存活用計画の目玉です。

市民からはそもそも木造復元に否定的な意見が140件集まり、肯定的な意見9件の15.5倍もありました(全体の94%)。

しかし、市は以下述べるだけでまったく反映されませんでした。
【市の考え方】
木造復元は、特別史跡内の建造物として本質的価値の理解を促進するという点において優位性が高く、また、現天守閣が有する価値の保存・継承等、木造復元における様々な課題も克服することが可能であると考えており、今後も木造復元の意義や木造復元の検討状況等の情報を市民の皆さまに丁寧に伝えながら、木造復元の事業を進めてまいりたいと考えております。

さらに、バリアフリーについても27件集まっていますが、「参考にする」というのみ。結局18/5/9の天守閣部会で「エレベーターは設置しない方向」としましたが、河村市長は18/5/10に「少なくとも1階までは上がれるようにする」と何の根拠も示さずに述べました。
【市の考え方】
真実性が高い木造復元とバリアフリーという課題に関しては、昇降・移動の困難な方への対応をいかに行うかをしっかりと検討し、ハード・ソフト両面から対応を行ってまいりたいと考えております。また、年齢や障害の有無、言語の違いなどに関わらず、多くの方が楽しめる観覧環境を整えるため、適切な説明板・案内板、多言語対応のパンフレットや音声ガイドの設置、案内スタッフの配置など、来場者の円滑な観覧を促すようユニバーサルデザインを検討してまいりたいと考えております。
また、木造復元天守閣の内部空間や眺望を体験できる方策の1 つとしてVR 等の活用検討も行ってまいりたいと考えております。
いただきましたバリアフリーに関するご意見は、今後の参考とさせていただきます。

保存活用計画については、文化庁の「確認」が必要だと理解しています。
・文化庁 重要文化財(建造物)保存活用計画の策定について(通知)
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/hokoku/kenzobutsu_hozonkeikaku.html
・平成29年10月24日 第12回企画調査会配布資料
 国指定等文化財の 個別の保存活用計画について
 http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/bunkazai/kokuho_wg/05/pdf/r1397990_03.pdf
 
今回の保存活用計画が、愛知県教育委員会を通じて提出され、文化庁から計画書受理の旨の通知(確認の通知)を受けたのか、愛知県教育委員会と文化庁に情報公開請求してみます。

いずれにせよ、保存活用計画では「整備方針は木造復元とし、検討を進める」となっているだけです。
「検討した結果出来ませんでした」となるかもわかりません。
木造天守閣復元には、文化庁の現状変更許可が必要です。
市民の広汎な疑問意見・バリアフリーに対する疑問をそのままに、文化庁が現状変更許可するのでしょうか。文化庁も市民からの多くの疑問があったことは承知しています。
その前に、石垣穴蔵調査、ケーソン下ボーリング調査のための現状変更許可を文化庁が認めるか、という問題もあります。

本来は、「保存活用計画」作成時に市民の議論を十分尽くしてから「木造復元」などの方針を決めればよかったのですが、まず基本設計をはじめてしまい、木造復元のための寄付も集め始め、現在は実施設計と木材製材の予算まで議会は可決してしまいました。
バリアフリーの問題はいまだに解決せず、耐火・耐震対策などもどうなるかわかりません。

市民の懸念をそのままに突っ走る名古屋城木造化に、明るい未来は見えてきません。


18/5/9(水)名古屋城木造復元 有識者「これでは工程表と呼べない」

18/5/9特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第10回)が開催されました。

18/5/9 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第10回) 配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180509.pdf
18/5/9 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第10回)
名古屋市民オンブズマン作成メモ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180509-1.pdf


冒頭に、「ケーソン健全性調査を行った」と報告がありました。
現天守閣を支えているコンクリートの塊であるケーソンは、地中深くに埋まっているため、中性化がほとんどされていないことが判明しました。
ただ、いつだれがどのような予算で何のために調査したかが明らかになっておらず、非常に唐突な感じがしました。
後に述べるケーソン地下調査との違いを明確にしないため、傍聴者は混乱しました。

次に、エレベーター設置について「報告」がありました。
名古屋市としては、エレベーターを設置しない方針を固めたとのこと。
今後、市議会委員会に報告ののち、5月末に最終決定を行うということでした。

川地正数・川地建築設計室主宰は「以前名古屋城に1日5200人来場者があったとき、現天守閣に車いすの人が4人館内にいた。今後祭日は1日20000人を考えているはず。
16人の車いすの人をいかにスムーズに避難させるか。16人を階段で避難させるのは厳しい。煙が入らない一時的な場所を考える必要がある。平常時のエレベーター付けるつけないではなくいろんな装置を検討すべき」としました。

古阪秀三・立命館大学客員教授は「京都では大勢の外国人観光客がスーツケースを持って移動し、ある意味迷惑している。外国人が大勢名古屋城に来るのなら、地元に沿った人がよく見て意見を出さないといけない」としました。

結局、エレベーター設置について「議題」ではなく「報告」となり、エレベーターの設置の有無について天守閣部会がふさわしいのかどうかもはっきりせず、しかも市は「案」として示すのみで、うやむやのまま「特に反対意見は出なかった」となりました。

18/4/24に有識者で構成する「特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議」を設置したものの、そこには特に今回の方針を示したわけでも無く、そこの議論が成熟して結論が出たわけでもありません。
https://ombuds.exblog.jp/26722457/

続いて、「議事」として前回の指摘事項と対応状況の説明をしました。
前回の天守閣部会で「ケーソン下のボーリング調査を早期に実施するように、文化庁の許可を得るように申し入れていただきたい」と要望が出ましたが、「早期に調査を実施できるよう努めてまいります」と書いてあるだけ。
座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「文化庁に実際に申し入れたのか。自分で努力するのか」と尋ねました。竹中工務店は「ケーソン基礎内のボーリングについては文化庁と協議している」と述べたと理解しました。
(声が小さく、また誰が発言したかも名乗らないため、はっきりはわかりませんでした)。
瀬口座長は「ボーリング調査の結果がでないといろいろできない」と、ケーソン下のボーリングが重要だと述べました。

次に、名古屋城天守閣整備事業工程案(マイルストーン)なるものが出されました。
古阪客員教授からは「マイルストーンには技術的な内容が欲しい。
また、これはだれが書いたのか。発注者、設計者、施工者の立場で異なっている。
発注者が強引に決めることもある。
具体的に書かないと、天守閣部会で何を決めて議論するのかわからない。
何が進んでいるのか」と批判がでました。
瀬口座長からは「今回のマイルストーンは文化庁が許可を出すかだろう。
文化庁の許可が着実に進むのか。資料があると議論しやすい」と述べました。
川地主宰も「なにがクリティカルなのかチェックするには、ネットワーク工程で
ないとだめだ。
石垣調査完了は平成31年3月となっているが、議会承認と逆転している。
今回の資料だと正直言ってわからない」としました。
瀬口座長も「石垣調査完了が、現状変更許可より遅れている。
工程に影響がないとマネジメントしている人が言っているが、、、。
工程案は前回・前々回から出して欲しいと言っていた。
次回も出して頂く」と酷評され、今回の天守閣部会ではまともに議論になりませんでした。


なお、石垣詳細調査完了が平成31年3月、木造復元に係る現状変更許可が平成30年11月に出される予定としていますが、文化庁は石垣詳細調査が完了してから木造復元に係る現状変更許可を出すため、そもそも逆転しています。
石垣詳細調査のうち、穴蔵石垣根石調査を行うには文化庁への現状変更許可申請が必要ですが、それは記載されておりません。 ケーソン基礎地下のボーリング調査を行うためにも文化庁への現状変更許可申請が必要ですが、それも記載がありません。

18/3/28天守閣部会で示された「平成30年度 天守閣部会検討内容(案)」では、「主架構の考え方」を検討することになっていましたが、まったく資料がありませんでした。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180328.pdf

2時間の予定でしたが、1時間で終了しました。

天守閣部会終了後、ぶら下がり記者会見に応じた西野所長に対し、
マスコミからは厳しい質問が飛びましたが、相変わらず同じ答えを繰り返しました。
・技術的に未知数だが→時代的に可能性を探る。パワーアシストなどで本人が登りやすくするとか、はしご車のようなものを利用するなど。
 「今すぐこれ」とは言えない。
・まだ確立されていない技術」に対して不安や懸念があるが
 →ごもっとも。燃えた天守そのままを復元するのが事業のコンセプト。名古屋城は「特別史跡」であり、江戸時代の風致が残っているようにそのまま復元したい。
・当初の案に戻ったのは結論ありきだったのではないか
 →検討したが、4人乗りエレベーターは限界があった。
・最終決定はどのようにするのか
 →そこまで決めていないが、市長が話しをするのではないか
・50年後-100年後に国宝を目指すというのはこれまでに無く踏み込んでいるが
 →コンセプトを大事にする
・法律や条令などで義務があるが、エレベーターなしで問題は無いのか
 →建造物については「努力義務」であり、バリアフリー法の趣旨を踏まえる
------
全国97の障害当事者団体で構成する特定非営利活動法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議は、18/5/9に「名古屋城天守閣木造復元事業バリアフリー未設置に対する抗議」を名古屋市長に提出しました。
http://bit.ly/2KaOEF0

日本共産党名古屋市議団も18/5/9に「「エレベーターなし」の天守閣木造化に対する談話」を発表しました。
http://www.n-jcp.jp/2018/05/19490.html

5月15日(火曜日)午後1時30分から開催される名古屋市議会経済水道委員会で、どのような議論になるのか注目したいです。
http://www.city.nagoya.jp/shikai/category/324-3-0-0-0-0-0-0-0-0.html
 
------
エレベーター設置だけでこれだけもめています。
今後、文化庁への現状変更許可申請(穴蔵石垣、ケーソン下部ボーリング、外部エレベーター・現天守閣解体、木造天守閣復元)、市建築審査会での「適用除外」同意、「消防法 総務大臣認定による緩和」「市消防長同意」「日本建築センターの評定」「愛知県人にやさしい街づくりの推進に関する条例に基づく整備計画の届出」がないと、木造天守閣は出来ません。

到底2022年12月の完成には間に合わないと考えますが、それを名古屋市が認めたとき、名古屋市は竹中工務店とどのような話し合いが行われるのか注目したいです。

来週には、名古屋市が業者に依頼した「木造天守閣への来場者見込み」の詳細が公開されます。
これだけ苦労してお金をかけたとして、無事に回収できるのか、そこから議論をし直す必要があるのではないでしょうか。

-----
2016年4月14日、16日に発生した熊本地震により、熊本城は約634億円の被害を出しました。
(国指定重要文化財13棟約72億円、天守閣と公園約137億円、石垣約425億円)
今後20年かけて復旧していくとのこと。
https://www.city.kumamoto.jp/hpKiji/pub/detail.aspx?c_id=5&id=14691&e_id=14

熊本城天守閣は名古屋城と同じコンクリート製ですが、2019年までに最上階まで上がれるエレベーターを設置するなど、バリアフリー化に努めるとのこと。

2018/5現在、熊本城天守閣も本丸御殿も入れませんが、「城彩苑」という総合施設は見学でき、熊本城の歴史が大変わかりやすく展示されています。
http://www.sakuranobaba-johsaien.jp/

「築城当時の歴史を感じる」には木造復元は必ずしも必要ありません。熊本城も築城当時の様子をCGで表現していましたし、佐賀県にある名護屋城も「バーチャル名護屋城」ということでCGで城跡を見ることが出来ます。
http://saga-museum.jp/nagoya/exhibition/limited/2016/06/001014.html

名古屋城については、石垣の劣化が進んでおり、東海地震が来たら石垣がどうなるかわかりません。
天守閣木造化より早急に石垣保全を図るべきではないでしょうか。

幸いなことに、現天守閣は「閉館」しただけで、まだ取り壊していません。
(取り壊すにも文化庁の「現状変更許可」が必要で、まだ名古屋市は取り壊しの現状変更許可申請を行っておりません)

「いったん決めた」からとして泥沼に突き進むのか、一部費用は無駄になるが撤退するのか。
情報を市が独占しており、有識者にも判断させない名古屋市。
ずるずると名古屋城天守閣閉館が続けば、来城者もじり貧になり、結局ツケは名古屋市民が負うことになります。


18/5/8(火)名古屋市 木造名古屋城天守にエレベーター設置しない方針決定と報道

18/5/8 中日新聞夕刊によれば、名古屋市は木造名古屋城天守にエレベーターを設置しない方針を固めたとのこと。

名古屋市は、現天守閣閉鎖最終日の18/5/6、開園時間終了後にマスコミだけに4人乗りエレベーターの概要説明を市政記者クラブのみ公開し「4人乗りエレベーターは通常の車椅子だと乗れない」と結論づけたとのこと。
このような概要説明が行われることも市民に一切公開しませんでした。
市政記者クラブ配付資料は翌開庁日午後に名古屋市市民情報センターに開架され発覚しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180506.pdf

今後エレベーター以外で昇降できるロボットなど新技術開発の提案を国内外から募る考えといいますが、具体的にはまったくめどが立っていません。

名古屋市は、2015/12の公募型プロポーザル業務要求水準書で「バリアフリー化 ・ バリアフリーに配慮したものであること。」と述べているにもかかわらず、自ら条件を反故にしました。
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/17_topics/271202/dwl/koubo_03.pdf

「建築基準法第3条第1項第4号に基づき適用除外」と名古屋市建築審査会はまだ同意していません。
http://www.city.nagoya.jp/jigyou/category/39-6-3-7-0-0-0-0-0-0.html

愛知県「人にやさしい街づくりの推進に関する条例」でも、「特定施設の新築若しくは新設、増築又は改築をしようとする者は措置の基準(以下「整備基準」という。)を遵守しなければならない」とあります。
http://www.pref.aichi.jp/soshiki/jutakukeikaku/0000025385.html

河村市長は18/4/23記者会見で「『一人でも多くの人に』登ってもらえるように努力する」と述べました。
http://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000104157.html
しかし、新築の公共施設では「『全員』が利用できるようにする」のが世の中の流れですし、各種法律・条例などの定めです。

名古屋市が方針を定めても、すぐさまエレベーターが設置されなくなるわけではありません。

名古屋城石垣部会の千田嘉博奈良大学教授は
「文化財の復元はいったい誰のためにするのでしょうか。原寸大レプリカはどれだけ「史実に忠実」を目指してもレプリカであって、本物にはなりません。」
「史跡における建造物の立体復元にあたっては、文化庁が組織する審議会が、保存活用計画との整合性、復元の必要性、設計や構造の適格性について厳格な審査を行います。つまり名古屋市の方針は最終結論ではないのです。復元の許認可権は、文化庁長官にあります。」
「国特別史跡として整備し、建物を復元するのですから、すべての人に公開するのが前提になります」と述べています。
https://twitter.com/yoshi_nara/status/993901144370962432
https://twitter.com/yoshi_nara/status/994063191322882048
https://twitter.com/yoshi_nara/status/993911729514991616

18/5/9天守閣部会で方針を示すとのこと。
「『全員』が利用できるようにする」にはどうすればよいのか、名古屋市民が試されています。


18/4/24(火)なんのための「名古屋城跡バリアフリー検討会議」?

18/4/24に、有識者で構成する「特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議」が開催されました。今回も議論は録音・テレビ撮影不可でした。
・配付資料 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180424.pdf
・名古屋市民オンブズマンによるまとめ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180424-1.pdf

建築・地盤工学関係、建築史関係、福祉関係、工学関係の学識者を招いていますが、「専門的見地から意見を聴取する」とするだけで、庁内会議である「名古屋城木造復元天守バリアフリー対策検討会議」との関係・位置づけもはっきりしません。

有識者16人のうち、「天守閣部会」の人は6人います。
17/11/16に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 第6回天守閣部会が開催され、「エレベーターは設置しない。ただし、代替案で車いす使用者等の合理的配慮を目指す」とした市の方針に異論を出さなかったため、障害者団体が反発して「2018年5月までにエレベーター設置の有無の方針を決める」ということではなかったのでしょうか。
https://ombuds.exblog.jp/26150795/

オブザーバーとして、1級障害者、電動車椅子の人が来て発言しました。
「1級障害者や老人は2階まで階段を上るのが苦痛・つらい」「現在でもエレベーターに行列が出来ている。今より使いにくくなるのはおかしい。VR、ハートフルデーは障害者に対する差別だ」としました。

それでは、上記の人も全員が最上階まで上がれるようにしよう、というものかといえば、そうでもないようです。

市長の挨拶のあと、有識者がそれぞれの立場で意見をいいました。
それなりの意見は出ましたが、意見の対立は大きく、これでまとめるとはとても思えません。

交通計画、福祉のまちづくりが専門の、磯部友彦・中部大学教授は「バリアフリーについて、だれがどこで検討したのか。当事者はいたのか」と質問したことに対し、名古屋城総合事務所の蜂谷氏は「VR、ハートフルデーについて、メーカー、学識経験者でこれまで議論してきた。障害者は同席していなかった」と述べました。
磯部教授は「私は名古屋市健康福祉局の有識者会議で座長をしている。
http://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000002473.html
そこで議論ができればよかったが、情報がなかった。今回は個人的意見を述べる。
「中部空港方式」が話題となった。2005年開港したが、2000年頃から障害者とともに設計段階から議論し、高い評判を得ている。『中部国際空港のユニバーサルデザイン』冊子にまとめた。https://amzn.to/2vNLOmZ
愛・地球博もそのメンバーでおこなった。
利用者あっての建物であり、使えないのは恥だ。
国連権利条約では『我々のことを我々抜きで決めるな』と障害者が主張していいものができた。名古屋城でもその方向性を求めたい。
『できないから我慢しろ』ではなく、前提条件から直せ。押しつけるのは技術者の恥だ。
福祉の世界では『史実』は暗い歴史。恐怖感があり使ってもらいたくない。『史実を参考』にいいものを使っていく。ハッピー Win−Winに。
VRでよいのなら作らなくてよい。VRの中で史実に忠実にすればよい。
私も名古屋市民で、建設した昭和34年は子どもの時代で名古屋の誇りだ。外観が誇りで、中にあるのは展示もの。中でも外でもどこでもよい。
一番上にのぼりたいが、高いビルも多くある。ここで議論しているのが実用的な名古屋城なのか、工芸品なのか。
史実に忠実なら模型でよい」と述べました。

福祉のまちづくりが専門の、高橋儀平・東洋大学教授は「社会的な公平性をぜひ記憶にとどめてほしい。これからの文化財を歴史の中でどう作っていくのか。
観光地のバリアフリーについて是非議論を進めて欲しい。エレベーターは4人乗りではダメで、国のバリアフリー法であれば、11人乗り、最低でも15人乗りにしてほしい」としました。

福祉工学が専門の渡辺崇史・日本福祉大学教授は「バリアフリーだけを取り上げて議論するのは違う。観光資源、安全対策で安全・楽しめるように。
対象者を障害者・高齢者だけは違う。アクセシビリティ アクセシブルな環境を。当事者参加無しには考えられない
2022年にはオリンピック・パラリンピック終わっている。世の中の視点は単にバリアがないことがアクセシビリティではない。活動できるように。いろんな意見を出し合って決める過程が重要」としました。

機械安全・ロボティクスが専門の、山田陽滋・名古屋大学大学院教授は「通常時・避難時の技術は分けるべき。元産総研にいた。エレベーター事故を二度と起こさないためにはどうすればよいか。避難時は新しい技術を入れるべきでは無い。VR、段差階段昇降機は非常時に使うのではない。
エレベーターしか回答がない。外か中かといえば、僕は外に付けるしかないと思う。階段を付ける。皆さんでどう判断するか。
中に付けるのなら、文化庁との戦い 史実の復元にどう影響するのか。
新しいテクノロジーには反発がある。コンセンサス会議などシティズンワークショップを行い、非専門家と専門家の溝をどう埋めるか。社会の皆さん含めて取り組んでいる」としました。

磯部教授は「階段の模型を作ってどうやって使うのか試してみればよい。作ればよい。どうしてやらなかったのか。机上の空論では進まない」としました。

オブザーバーの近藤佑次・愛知県重度障害者の生活をよくする会会員は
「私としてもエレベーターが必要ではないかという意見だ。名古屋市の目玉で様々な人訪れる。
 個人的に来る人もいれば、家族、仲間、学校、友達と来る。もし考えて欲しい。大切な人がエレベーターが必要ならどうしたほうがよいか。心に留めて考えて欲しい。
 非常に大きな事業なので、やはり全ての人を第一に。プライベートで作る、楽しむのなら誰も言わない。
 『様々な人の人権を守ろう』行政が無視して突き進むのはだめ。」としました。

オブザーバーの斎藤縣三・NPO法人わっぱの会理事長は「今日は第1回目だが、市は5月中に決めるとしている。有識者はそれぞれ考え方が違う。当事者参加が重要だとしたが、5月中にに決着をつけるとした。どうするのか」と質問したところ、西野輝一・名古屋城総合事務所所長は「継続して議論する。エレベーター・昇降については5月中に結論を出す」とするのみ。

-------
この有識者会議の目的はよく分かりませんが、開催要綱第2条で「特別史跡名古屋城跡全体のバリアフリーに関すること」とあるので、木造天守閣のエレベーターについては5月に決着をつけ、その後は「木造天守閣以外のバリアフリー」について検討する可能性があることに気がつきました。

現在、名古屋城を訪れる人のほとんどが、名古屋城天守閣に登っています。5月以降に天守閣のバリアフリー以外のバリアフリーについて議論するのではなく、2018年5月と期限を切らず、十分に「当事者参加」「情報公開」を行い、十分この有識者会議で議論することを望みます。


18/4/23(月)河村市長 記者会見で木造名古屋城「普通はエレベーターなし」の根拠は?

河村たかし名古屋市長は18/4/23に定例記者会見を行いました。
・平成30年4月23日 市長定例記者会見
 
http://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000104157.html
https://youtu.be/m_EW7o_mIr8?t=21m23s
・名古屋市民オンブズマンによる市長記者会見概要
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180423.pdf

河村市長は毎回毎回、記者からの質問にまともに答えていません。

記者:石垣調査はいつ出来るのか 期限に影響は無いか
→市長:石垣には現天守閣の加重は乗っていない(5回説明)
     予定に遅れることは無い

名古屋城総合事務所の担当者がでてきて、市長の代わりに説明しました。

名古屋城事務局:早急に穴蔵石垣の現状変更許可手続を文化庁に出す。
        早ければ5月中
        調査内容は石垣部会に諮る必要がある。 
        
その後も、河村市長は「石垣は濃尾地震では外側は無傷だ」と述べ、石垣部会が問題としている、戦災で焼けた影響や、現天守閣建設時の石垣改変についてはほとんど述べていません。
またもや名古屋城総合事務所の担当者がでてきて、市長の代わりに説明しました。

名古屋城事務局:石垣のはらみは前から指摘されている。
        原因も含めて調査している。
        現在の天守閣を作るとき、若干手が入っている
        今後どうすべきか、というのは今後のご判断。
        ケーソン自体の安全性と、ケーソンを支えている地盤の安全性を確認する必要がある。
        ケーソンの方も文化庁への申請が必要なので今後調整する。

その後、民間委託について記者から聞かれ、「7-8年前からずっと言っている」と述べるのみ。

春姫道中についても「民間でようやった」と述べるのみ。
今後どうするかは結局検討するとするだけです。

18/5/7に天守閣が閉鎖になるがなにかするのかと記者から問われた市長は「儀式かなんかしないといけない」と突然言い出しました。
また、今の天守についての役割を聞かれましたが、「シンボルとして甦らせる意味はあった」と述べるのみ。

「市長はエレベーターをつけたくないのか」と問われ、「市としては専門家と話して決める。コンペ時に『木造復元』とあった。普通はエレベーターなし」と述べました。
「様式書にはっきり明示している 『木造復元』復元のスパンがどのくらいあるかというはないわけではない全部昔のものかというとそうではない」
としました。

----------
市長が述べた「コンペ時に『木造復元』とあった」ですが、史実に忠実な復元とは、「大天守・小天守とも穴蔵(地下1 階)から上をすべて木造で復元することを原則とする。」としかありません。
「エレベーターなし」とはどこにも書いてありません。
むしろ、「バリアフリー化 ・ バリアフリーに配慮したものであること。」とあります。

・「名古屋城天守閣整備事業にかかる技術提案・交渉方式(設計交渉・施工タイプ)
 による公募型プロポーザル業務要求水準書 平成 27 年 12 月」
 http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/17_topics/271202/dwl/koubo_03.pdf
それをうけて、竹中工務店は仮設エレベーターを設置する案を出しました。

平成28年3月25日 名古屋城天守閣整備事業 技術提案書
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/17_topics/280330/dwl/takenaka.pdf

結局、2015年12月の「公募型プロポーザル業務要求水準書」が無理難題だったこと、「史実に忠実な復元」という条件がいかようにも解釈でき、だれがどのように決めるのかもいまだにはっきりしないことがずっと尾を引いています。
河村市長の頭の中で揺れ動く「史実に忠実な復元」にいつまで市役所職員・市民は振り回されないといけないのでしょうか。

少なくとも
・全員が最上階まで登れる
・現在の法律を守る
のであれば、木造天守閣復元は不可能です。
(竹中工務店案では4階までの小型エレベーター。11人乗りエレベーターでも4階までの案)

河村市長が「『一人でも多くの人に』登ってもらえるように最善の努力をする」としたのは暗示的です。

------
愛知県「人にやさしい街づくりの推進に関する条例」の権限をもつ大村知事が、18/4/16記者会見で「バリアフリーの流れになっているので、弱い立場の方々の意見をしっかり聞き入れていただきたい」と述べています。
http://www.pref.aichi.jp/soshiki/jutakukeikaku/0000025385.html

H30年4月16日 愛知県知事定例記者会見
https://youtu.be/cgTsB9UoNw0?t=29m5s

【質問】先週、愛知県の「人にやさしい街づくり推進委員会」が名古屋市に対して、木造復元する名古屋城について、障害者や高齢者にも対応するよう要請書を出しました。市は木造復元する天守閣についてバリアフリー対策を検討しているところですが、新しい名古屋城のバリアフリー対策について知事として所見はありますか。

そして委員会がですね、名古屋城の天守閣の改造というか新たな建設に当たってですね、
やはりバリアフリー、障害者・高齢者の方もね楽しめる、そうした施設にしていただきたいという要請を行ったということは聞いております。
ぜひね、そういった方々にこの障害者差別解消法、成立をし、施行され障害者差別解消推進条例も私ども県でね作り、それも施行され、バリアフリー法もねもう何年も前にできていろんな公共施設のがですね、バリアフリーバリアフリー化バリアフリー化という形になっているという流れの中でありますから、ぜひねそういった形の中で障害者、高齢者、そういった弱い立場の方々のね、意見をしっかり聞きいれていただいてねよりよい案をね、作っていただきたいというふうに思っております。
今そういうことで、検討されておられるというふうに聞いておりますので、よりよい方向でね、まとまっていくことを期待をしたいというふうに思います。

問題点の所在も把握せず、事実関係も把握せず、今後どうやって進めるのかもはっきりさせない河村たかし名古屋市長が行う木造天守閣復元事業はすでに行き詰まっています。


18/4/18(水)名古屋城木造化「建築基準法適用除外」「消防法 総務大臣認定による緩和」「市消防長同意」不存在

名古屋市民オンブズマンは、18/4/2に名古屋城木造化に関して15項目情報公開請求しました。
うち、「基本設計その他業務委託」成果物と、「木造復元に向けた調査業務委託」成果物は18/5/16まで延長になりました。

その他は何らかの決定がでました。

バリアフリーに関する庁内会議の資料は、議題すら非公開でした。
https://ombuds.exblog.jp/26673390/

また「建築基準法の適用除外」関係の資料はすべて不存在でした。
木造6階建ては現状では違法建築ですが、「建築基準法第3条第1項第4号に基づき適用除外」と名古屋市建築審査会が同意をすれば、建築基準法が適用除外になります。
http://www.city.nagoya.jp/jigyou/category/39-6-3-7-0-0-0-0-0-0.html

名古屋市は竹中工務店に18/3/30までに「基本設計その他業務」委託契約を行っていました。
竹中工務店は成果物を名古屋市に提出したといっていますが、建築基準法の適用除外には現時点ではなっていないことが判明しました。

また、名古屋市は「名古屋城天守閣整備事業にかかる技術提案・交渉方式(設計交渉・施工タイプ)
による公募型プロポーザル業務要求水準書 平成 27 年 12 月」で
・消防設備等については、消防法第 17 条第 3 項に基づく総務大臣の認定等により緩和を受けること。
・火災予防条例については、条例に適合していると認められるような代替案を検討し、名古屋市消防長の同意を得ること。
としていましたが、いずれも完了していなかったことがわかりました。
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/17_topics/271202/dwl/koubo_03.pdf
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/17_topics/280330/dwl/takenaka.pdf

エレベーター設置についても、2018年5月までに方針を定めると名古屋市はしており、基本設計が完了しないのではないかという疑問があります。
竹中工務店は成果物の対価として8億4693万6000円の請求書を18/3/30に名古屋市に提出しています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180413-5.pdf
しかし、現時点では名古屋市は竹中工務店に支払っていません。

名古屋城木造化について、名古屋市は市民に十分な情報も出さず、説明もしていません。
今後、建築基準法の適用除外になるのか、消防法第17条第3項に基づき総務省が認定するのか、名古屋市消防長が同意するのか非常に疑問です。
それらがいつまでかかるのかも不明です。

その他、文化庁復元検討委員会、文化審議会にかけられることになりますが、それらもどの程度時間がかかるかわかりません。

2018/5/7には現天守閣を閉鎖しようとしていますが、天守閣穴蔵部分の調査が開始される見通しは立っていません。

ここまでずさんな計画は見たことがありません。
これらも2022年12月までに名古屋城を木造化しようという河村たかし名古屋市長の無茶な計画のためです。

期限を改めて設定し直し、耐震改修を含めて十分議論してから決めても遅くはないのではないでしょうか。

--------
名古屋市長あて
【不存在】
1)名古屋城天守閣木造化に関し、名古屋市建築審査会に提出した「建築基準法第3条第1項第4号適用除外」認定申請書
2)名古屋城天守閣木造化に関し、名古屋市建築審査会が出した「建築基準法第3条第1項第4号適用除外」同意書
3)名古屋城天守閣木造化に関し、「建築基準法第3条第1項第4号適用除外」認定書
4)「名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託」に関し、株式会社竹中工務店名古屋支店に支払った委託代金の金額と日時がわかるもの
8)「名古屋城天守閣整備事業実施設計」契約書
10)「名古屋城天守閣木造化」木材の製材 契約書
11)「名古屋城木造天守閣復元におけるバリアフリーに関する検討チーム」議論の内容がわかるもの(2018年1月1日〜3月31日分)
  ただし、「庁内会議の会議の概要」を除く
14)名古屋城天守閣木造復元事業に関し、消防法第17条第3項に基づく総務大臣の認定等による緩和に関する書類
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180413-2.pdf

【延長】18/5/16まで  
5)「名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託」成果物(電子データ)
 (1)天守閣基本設計業務
 (2)その他設計業務
 (3)調査業務
 (4)積算業務
 (5)施工技術検討業務
 (6)関係法令等行政手続き
7)「名古屋城天守閣木造復元に向けた調査業務委託」(契約日 2017/9/26)の成果物(電子データを希望)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180413-1.pdf

【一部開示】
12)「名古屋城木造天守閣復元におけるバリアフリーに関する検討チーム」配付資料(2018年1月1日〜3月31日分)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180413-3.pdf
6)「名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託」に関し、株式会社竹中工務店名古屋支店から名古屋市に提出された請求書
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180413-5.pdf
9)「名古屋城天守閣整備事業に係る発注者支援業務 特記仕様書」
 「名古屋城天守閣整備に係る発注者支援業務 共通仕様書」
 「情報の保護及び管理のための特記仕様書(業務委託用)」
 「障害者差別解消に関する特記仕様書」
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180413-6.pdf
 ※契約書は不存在
13)18/3/30 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第26回)資料のうち、傍聴者に配付されなかったもの
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180413-7.pdf

名古屋市消防長あて
【不存在】
15)名古屋城天守閣木造復元事業に関し、火災予防条例に適合していると認められるような代替案についての名古屋市消防長の同意
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180413-8.pdf


18/4/17(火)名古屋城木造化バリアフリー庁内検討会議 議題すら非公開

名古屋市民オンブズマンは、堀場副市長を議長とした「『名古屋城木造復元天守バリアフリー対策検討会議』の配付資料ならびに議論の内容がわかるもの」を情報公開請求しました。

しかし、議論の内容がわかるものについては、「現時点で行政文書を作成または取得しておらず、不存在のため非公開」となりました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180413-2.pdf

配付資料については、2028年2月28日に行われた第2回検討会議については、公開されました。
しかしながら、3月29日に開催された第3回については、「議題」すら非公開で、配付資料の中身は全て非公開となりました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180413-3.pdf
庁内会議の議題や配付資料の中身が非公開というのは前代未聞です。




理由としては、「公にすることにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがあるため」としていますが、2月28日については公開しているため、理解ができません。

なお、名古屋市は「庁内会議の公表に関する指針」というものを作っています。
これに基づき、情報公開請求しなくても会議終了後、速やかに会議の名称、開催の日時及び場所、議題、出席者の役職名、審議の概要、照会先をネット・市民情報センターで公表することになっています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/chonaikaigi.pdf

第二回検討会議については、翌日3月1日に概要が作成され、すでに公開されています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180413-4.pdf

しかしながら、第三回にについては、3週間近く経った現在でも、いまだに公開されておりません。
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000102655.html

2018年4月17日に観光文化交流局名古屋城総合事務所保存整備室に電話にて確認したところ、「現時点でまだ公表していない」ことを認めました。
いつになるのかと聞いたところ「指針では速やかにとあるので、速やかに作成を努めるが、いつとは答えられない」としました。

「2週間以上経っててもまだ公開していないのは、速やかにではないのではないか」と聞きましたが、「速やかに公開することを努める」と回答するのみ。

名古屋城の木造化をめぐっては、2018年3月末までに基本設計を完成させる委託契約を、名古屋市と竹中工務店は結びました。
竹中工務店は名古屋市に成果物と称するものを提出しましたが、エレベーターの設置について方針が2018年5月にならないと決まらないため、基本設計が確定していないのではないかとの疑惑があります。

さらに、現在名古屋市は、木造天守閣復元のために寄付金を広く市民から募集していますが、「史実に忠実になると聞いて募金をしたが、エレベーターがつくのなら史実に忠実でないために認められない。寄付金を返せ。」「現在の常識では車いすに対応したエレベーターを設置するのは必須だ。エレベーターがもしつかないのなら、寄付金を返せ」という声が、双方の声が上がっています。
http://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshukaku/02_gohoumeicho/index.html

これらについても、名古屋市がどのように考えているのか、「名古屋城木造復元天守バリアフリー対策検討会議」で議論をされているはずなのですが、現時点では市民に全く公開されておりません。

特に、名古屋市の健康福祉局をはじめとした各局がどのような感想を持っているのか非常に気になるところです。
残念ながら、上記庁内会議には、建築審査会を所管する住宅都市局、消防法を所管する消防局は構成員に入っていません。
それでも何が話されたかということは重要です。

なお、名古屋市は庁内のバリアフリー対策検討会議とは別に、新たに有識者による「特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議」というものを立ち上げるとのこと。
これら有識者は建築・地盤工学関係学識者、建築史関係学識者、福祉関係学識者、工学関係学識者です。
http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2018/kankobunkakoryu/0000104862.html

庁内会議が5月末までにエレベーター設置の方針を決めるという予定ですが、この新たな「バリアフリー検討会議」との関係はどうなるのか。また、バリアフリー検討会議はいつまで検討をし続けるのか。当事者の意見はどこまできくのかなど、課題・疑問が多数あります。

これまで、木造天守閣のバリアフリー問題については、木造化を検討し始めたときからずっと課題となってきました。
基本設計が終わり、次は実施設計だと言っている現在、未だにバリアフリーの方針が決まっていないことに驚愕します。

18/4/10、愛知県の福祉有識者委員会「人にやさしい街づくり推進委員会」が名古屋城復元に関して要望書を提出しました。 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180410.pdf
18/4/12日本経済新聞に寄れば、愛知県知事は18/4/16定例記者会見で、名古屋城のバリアフリー化を要望したとのこと。 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29463170X10C18A4CN8000/

名古屋城木造化に関しては、地震対策、防火・耐火対策などでも問題が山積しており、どのような対策をとるのか、いまだに市民は知りません。
どう決まっているのか、決まっていないのかさえわからないのです。

これらも2022年12月までに名古屋城を木造化しようという河村たかし名古屋市長の無茶な計画のためです。
市民への情報を非公開にするのも無茶な方針のためです。

真に市民に慕われる名古屋城にするにはどうすればよいのか。
期限を改めて設定し直し、十分議論してから決めても遅くはないのではないでしょうか。


18/4/10(火)愛知県の福祉有識者委員会が名古屋城復元バリアフリーを求めて要望書提出

名古屋城天守閣木造復元をめぐり、名古屋市は5月までに方針を定めるとしている件で、18/4/10、愛知県の福祉有識者委員会「人にやさしい街づくり推進委員会」が名古屋城復元に関して要望書を提出しました。
この要望書は委員全員一致とのこと。
・要望書 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180410.pdf
・人にやさしい街づくり推進委員会
 http://www.pref.aichi.jp/soshiki/jutakukeikaku/0000065031.html

申し入れ終了後の外での鈴木健一・人にやさしい街づくり推進委員会委員長(名古屋市立大学大学院芸術工学研究科教授)、ならびに辻直哉・愛知障害フォーラム事務局長のコメントを聞きました。

鈴木健一委員長:具体的に求めていることは、新しくなる名古屋城について、登れない人が出てくるということになればまずいと思いますので、ぜひとも、大事な歴史を学ぶ学習施設、公共施設だと思いますので、名古屋市には仕組みを考えていただきたい。
 一番有力なのはエレベーターなのは明らかだと思います。一定の大きさのエレベーターを設置していただきたいと思います。少なくとも技術上上がれるところまではお願いしたい。
 委員会が年度末に開催された。名古屋城についても関心事だった。
 
辻直也委員:少なくとも現状より悪くなってほしくない。一部の人が排除されないようにしてほしい。
 エレベーター設置は障害者だけの問題ではない。高齢者、ベビーカーなども。
 ここは公園ですから、全ての人が安心して安全に登れることが最優先されるべき。その次にデザインなど。ここは公共の建物だ。

その場には愛知県住宅局住宅計画課の担当者2人も来ておりました。
「人にやさしい街づくりの推進に関する条例」は、名古屋城にも適用されるのかと確認したところ「適用される」と明言しました。
http://www.pref.aichi.jp/soshiki/jutakukeikaku/0000025385.html

「愛知県知事は名古屋城に関して『人にやさしい街づくりの推進に関する条例』に絡めて何か発言をしたことがあるか」と聞いたところ、発言していないとのこと。マスコミ各社も、同様の関心を持っていました。
----------
人にやさしい街づくりの推進に関する条例
http://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/23909.pdf
第十一条 特定施設の新築若しくは新設、増築又は改築(用途の変更をして特定施設にすることを含む。以下「特定施設の新築等」という。)をしようとする者は、当該特定施設(増築、改築又は用途の変更をしようとする場合にあっては、当該増築、改築又は用途の変更に係る部分その他規則で定める部分に限る。)について、次の各号に掲げる特定施設の区分に応じ、当該各号に掲げる別表に定める高齢者、障害者等が円滑に利用できるようにするために必要な特定施設の構造及び設備に関する措置の基準(以下「整備基準」という。)を遵守しなければならない。ただし、当該特定施設について整備基準を遵守する場合と同等以上の高齢者、障害者等が円滑に利用できるようにするための構造及び設備に関する措置が講じられると認められる場合又は当該特定施設について整備基準を遵守することが著しく困難な場合として規則で定める場合は、この限りでない。
第十二条 特定施設の新築等をしようとする者は、当該特定施設の新築等の工事に着手する日の三十日前までに、規則で定めるところにより、整備基準に適合させるための措置に関する計画(以下「整備計画」という。)を知事に届け出なければならない。
第十三条 知事は、前条の規定による届出があった場合において、当該届出に係る整備計画が整備基準に適合しないと認めるときは、当該届出をした特定施設の新築等をしようとする者に対し、必要な指導及び助言を行うことができる。
第十五条 知事は、特定施設の新築等をする者が第十二条若しくは前条第一項の規定による届出をしないで当該特定施設の新築等の工事に着手したとき、又は当該届出に係る整備計画の内容と異なる工事を行ったと認めるときは、必要な指示をすることができる。

18/4/3(火)名古屋城所長と瀬口座長とのメールのやり取り 内容全面非公開

18/2/14に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第8回)で、瀬口哲夫・天守閣部会の座長が「名古屋市の担当者が私のところにですね、私の発言の撤回と謝罪を求めて行きたいと、面会をしたい」「しかし、メールではそのように書いておりません。謝罪と撤回を求めると書いております。」とした件で、メールのやり取りを名古屋市民オンブズマンは情報公開請求しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180403.pdf

しかし、メールの内容については全面不開示でした。
「メールの内容については、公にすることにより特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議等の今後の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため(名古屋市情報公開条例第7条第1項第5号)


日時と宛先だけはわかりますので、以下まとめました。

・2018/1/18 14:59 
 名古屋城総合事務所整備室 渡邉達也主幹→瀬口座長
・2018/1/18 15:44 
 名古屋城総合事務所整備室 渡邉達也主幹→瀬口座長 
・2018/1/19 10:14
 ●→名古屋城総合事務所整備室 渡邉達也主幹
・2018/1/19 13:17
 名古屋城総合事務所整備室 渡邉達也主幹→瀬口座長
・2018/1/22 21:16
 瀬口座長→西野輝一・名古屋城総合事務所長
・2018/1/26 17:02
 西野輝一・名古屋城総合事務所長→瀬口座長
・2018/1/31 22:24
 瀬口座長→西野輝一・名古屋城総合事務所長
・2018/2/6 11:01
 西野輝一・名古屋城総合事務所長→瀬口座長
 
「有識者」に対してまで、名古屋市は二枚舌を使っています。
その事実を「有識者」に指摘されても、根拠資料を非公開としました。
名古屋城木造化をめぐっての市民に対する非公開は徹底しています。


18/4/2(月) 名古屋城天守閣木造化基本設計 成果品等を情報公開請求

名古屋市民オンブズマンは、18/3/30期限の「名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託」成果物(電子データ)を18/4/2に情報公開請求しました。
その他も以下請求しました。

名古屋市が全体のスケジュールを示さないため、今後木造化を進めるために何が必要なのか、何が問題となっているのかがまったくわからない状態です。
本来は名古屋市が積極的に市民に広報すべきですが、いまだに有識者会議の資料すら公式ホームページに載せていません。
名古屋市議会での配付資料も載せていません。

名古屋市民オンブズマンは、費用はかかりますが、いちいち情報公開請求して市民に広く知らせています。
無理な計画は事実を積み上げれば破綻します。

--------
名古屋市長あて
1)名古屋城天守閣木造化に関し、名古屋市建築審査会に提出した「建築基準法第3条第1項第4号適用除外」認定申請書
2)名古屋城天守閣木造化に関し、名古屋市建築審査会が出した「建築基準法第3条第1項第4号適用除外」同意書
3)名古屋城天守閣木造化に関し、「建築基準法第3条第1項第4号適用除外」認定書
4)「名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託」に関し、株式会社竹中工務店名古屋支店に支払った委託代金の金額と日時がわかるもの
5)「名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託」成果物(電子データ)
 (1)天守閣基本設計業務
 (2)その他設計業務
 (3)調査業務
 (4)積算業務
 (5)施工技術検討業務
 (6)関係法令等行政手続き
6)「名古屋城天守閣整備事業基本設計その他業務委託」に関し、株式会社竹中工務店名古屋支店から名古屋市に提出された請求書
7)「名古屋城天守閣木造復元に向けた調査業務委託」(契約日 2017/9/26)の成果物(電子データを希望)
8)「名古屋城天守閣整備事業実施設計」契約書
9)「名古屋城設計監理等支援業務委託」入札・随意契約仕様書 契約書
10)「名古屋城天守閣木造化」木材の製材 契約書
11)「名古屋城木造天守閣復元におけるバリアフリーに関する検討チーム」議論の内容がわかるもの(2018年1月1日〜3月31日分)
12)「名古屋城木造天守閣復元におけるバリアフリーに関する検討チーム」配付資料(2018年1月1日〜3月31日分)
13)18/3/30 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第26回)資料のうち、傍聴者に配付されなかったもの
14)名古屋城天守閣木造復元事業に関し、消防法第17条第3項に基づく総務大臣の認定等による緩和に関する書類

名古屋市消防長あて
15)名古屋城天守閣木造復元事業に関し、火災予防条例に適合していると認められるような代替案についての名古屋市消防長の同意
------
参考

・名古屋城天守閣整備事業基本計画→2018年7月に文化庁に提出する計画
 ・名古屋城天守閣整備事業における基本的な考え方を整理したもの
 ・現状変更許可申請を行うにあたり必要となる資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171225-5.pdf
・名古屋城基本設計→竹中工務店に委託。18/3/30に名古屋市が受領と主張。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-2.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180202.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180313.pdf


-------
トップへ戻る