名古屋城 本丸御殿+木造天守閣問題特集

河村市長は木造天守閣復元をぶち上げましたが迷走中です。建物だけで505億円かかるとのこと。100億円の利子、その他運営管理費等を含めると2069年までに915億円かかる見込みです。2020年の東京オリンピックに間に合わせると市長一人意気込んでいましたが、突如2022年に延ばしましたが断念し、新たな竣工時期は発表出来ません。市民は冷ややかです。「民主主義発祥の地ナゴヤ」の看板を下ろしたのでしょうか。
※17/3/23に名古屋市議会は名古屋城天守閣木造化の基本設計等に関する補正予算10億円を可決しました。17/5/9に「基本協定」「基本設計契約書」を締結しましたが、2019年8月、河村市長は2022年12月までの木造天守閣復元を断念しました。いまだに竣工時期の目処はたっていません。しかし2018年度末で市債を35億1400万円借りています。
名古屋市は新型コロナ対策に追われ、「不要不急」の木造天守閣復元を行う余裕はないはずです。
※名古屋市は現天守閣の解体申請を文化庁に提出していましたが、21/7/27に取り下げしています。現時点では、解体ならびに復元に関する書類は文化庁に提出していません。

2023年度4月-7月
  • 名古屋城木材保管料 令和4年度約1億円支出済
  • 23/7/25(火)全国の障害がある議員が名古屋城視察と差別発言ヒアリング
  • 23/7/24(月)河村市長 名古屋城木造復元以外の具体的インバウンド対策答えられず
  • 23/7/22(土)姫路で名古屋城築城時石垣講演 160名参加でほぼ満席
  • 名古屋市人権施策推進・差別解消「課長級会議」 議事録作成せず
  • 【独自】名古屋城木造天守昇降技術 市はMHIと契約をいまだ結ばず
  • 23/7/3(月)名古屋城木造復元 河村市長「本物かどうかは市民が認定する」
  • 23/7/4(火)名古屋城市民討論会差別発言問題 障害者団体「河村市長は『対話を公開するのは嫌だ』と言っている」
  • 23/6/30(金)名古屋城木造復元昇降機 自民市議「松雄副市長に『1階まで』と決める権限はない」
  • 23/6/29(木)名古屋城差別問題 杉野副市長「問題点を明らかにするためにはもしかしたら1年程度かかるという感覚」
  • 23/6/28(水)名古屋城天守木造復元用木材製材契約「暫定的に」2025年3月末まで延長する議案提出
  • 23/6/27(火)愛知県「名古屋城バリアフリー討論会での差別発言は遺憾」
  • 23/6/26(月)名古屋城木造復元 自民市議「市民アンケートで5階まで昇降機が47.2%に市長はどう考えるか」に市長答えず
  • 23/6/25(日)大塚耕平参議院議員 配布パンフに「名古屋城天守閣の再建推進」とのみ記載
  • 23/6/23(金)河村市長「名古屋城『木造復元』と『全員が登れるようにする』は両立しない」
  • 名古屋城バリアフリー問題 今後の市議会の議論に注目
  • 23/6/19(月)河村市長 市議会本会議冒頭で6/3名古屋城バリアフリー討論会に関して陳謝も、第三者委員会設置と明言せず
  • 23/6/16(金)名古屋市障害者施策推進協議会有識者「バリアフリーを市民に決めさせるのが問題だ」
  • 23/6/15(木)市局長「名古屋城木造復元事業は、6/3市民討論会検証が終わるまで進めない」明言
  • 23/6/15(木)名古屋市議「名古屋城差別発言に対し、トップが直ちに発言を非難すべき」
  • 23/6/14(水)名古屋市議「23/6/3名古屋城バリアフリー市民討論会は、『市長が参加したため公平性が担保されなかった』が委員会の総論」
  • 23/6/13(火)木造名古屋城 差別は許さない!市役所前緊急抗議集会に150人超 河村市長は現れず
  • 23/6/12(月)名古屋城所長「バリアフリー『1階まで昇降機と決定した』は事実と異なる」と明言
  • 名古屋城木造復元 23/6/12全体整備検討会議にバリアフリー案示さない方針と中日新聞報道
  • 名古屋市 自民市議団に「名古屋城昇降機は23/3/20には『上からの指示』で1階以上に設置しないと決まっていた」と説明
  • 23/6/6(火)名古屋市議「名古屋城バリアフリー市民討論会は『いじめの場所』だった!」
  • 23/6/5(月)「アリバイづくり」の名古屋城跡バリアフリー検討会議
  • 23/6/3(土)矛盾を極めた名古屋城バリアフリー市民討論会 市民アンケートは最上階までが47.2%
  • 名古屋城木造復元「金シャチ募金」2022年度は約1.9億円
  • 23/6/3(土)14時〜 名古屋城バリアフリー市民討論会 傍聴はネット配信のみ
  • 23/5/28(日)名古屋城石垣部会「特に御深井丸側石垣、鵜の首、穴蔵石垣の状態は最悪で危険だ」
  • 名古屋城木造復元バリアフリーアンケート 市長「無作為抽出は『フラットに聞くため』」
  • 建築士「名古屋城木造整備基本計画(案)は史実に忠実と言えず、大義名分がない」
  • 名古屋城木造復元バリアフリーアンケート文面 「市民討論会」開催後まで開示決定延長
  • 河村たかし名古屋市長「2022年12月までに名古屋城木造復元できなければ関係者全員切腹」発言は本当 ショート動画
  • 河村たかし名古屋市長「『木造名古屋城に鉄骨スロープ』計画は知らなかった」発言は誤り ショート動画
  • 23/4/24(月)河村市長 名古屋城木造化遅れ「謝るよりしょうがない」
  • 23/5/20(土)建築士が読み解く!名古屋城跡木造天守整備基本計画(案)
  • 【独自】木造名古屋城スロープ案 市は22/11/29に市長に説明済み
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    名古屋城木材保管料 令和4年度約1億円支出済

    名古屋市民オンブズマンは、名古屋城木造復元のための木材の製材に関して情報公開請求し、名古屋市が竹中工務店に令和3年度に1億2400万円、令和4年度に9998万4500円支出済であることを確認しました。

    ・支出命令書(令和3年度、4年度)
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230725-00.pdf
    ・変更契約書(令和5年3月7日)
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230725-0.pdf

    ・「名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託」変更概要書
     「名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託」変更契約書
     (令和4年3月25日)
     「名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)」変更契約書
     (令和4年3月9日)
     「名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)の追加」契約書
     (令和4年4月1日)
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220422.pdf
     開示文書
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220422-1.pdf
    ・22/6/17提出 令和4年第77号議案
     契約の一部変更について 
     名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)の請負契約
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220628.pdf
    ・仮契約書
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220422-1.pdf
    ・23/6/28(水)名古屋市議会経済水道委員会配布資料+
     令和5年6月19日提出「契約の一部変更について
     名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)の請負契約」
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230628.pdf

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    名古屋城木造復元事業は市の思うようには進まず、木材保管が「暫定的に」2025年3月末まで延長されました。
    保管費用は年間約1億円です。

    23/6/15(木)に佐治独歩・名古屋市観光文化交流局長は「23/6/3に開催された名古屋城バリアフリー市民討論会をめぐる事件について、一連の検証が終わるまで名古屋城木造復元事業を進めない」と明言しました。
    https://ombuds.exblog.jp/29599991/

    23/7/30横井利明名古屋市議(自民)はブログで、「復元計画に影響しない範囲で現天守閣の開場を」と述べています。
    http://blog.livedoor.jp/minami758/archives/2571043.html

    渡邉正之建築士は、「名古屋市が作成した現天守の耐震改修案」を読み解き、「Is値0.75以上にするには、大天守小天守合計で13億5047万0205円。エレベーター改修1億6000万円をあわせると、15億1051万9605円と試算されている。」「主に7階だけ補強する『暫定的耐震補強』だと、1億7172万円の試算がでている。」と述べています。
    https://ombuds.exblog.jp/29105934/

    このまま木材保管費用を年間1億円支払い続けるのか、それとも(いったん)現天守耐震補強を行うのか。

    インバウンド観光客がこれほど増えている現在、なにもせず手をこまねいているのはあまりにももったいないと思います。


    23/7/25(火) 全国の障害がある議員が名古屋城視察と差別発言ヒアリング

    全国の障害がある議員らで構成する「障害者の自立と政治参加をすすめるネットワーク」の議員ら約20名が23/7/25に名古屋城を訪れ、名古屋城木造復元事業の視察ならびに23/6/3バリアフリー市民討論会についてのヒアリングを、市ならびに「名古屋城木造天守にEV設置を実現する実行委員会」に対して行いました。
    ・23/7/25 障害者の自立と政治参加をすすめるネットワーク
     記者会見資料
     〜障害者差別解消法第7条に抵触する可能性を正しく報道してください〜
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230725.pdf
     
    ・23/7/25 名古屋市民オンブズマン配付資料
     名古屋城バリアフリー市民討論会はなぜ開催されたか
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230725-2.pdf
     
    議員らはまず名古屋城を視察した上で、階段体験館を視察しました。

    続いて、名古屋市からの説明を非公開で受けました。

    ・23/7/25 名古屋市説明資料(すすめるネットワークから情報提供) 
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230725-1.pdf
     
    その後、名古屋城木造天守にEV設置を実現する実行委員会の斎藤縣三氏から、これまでの概略の説明があり、23/6/3バリアフリー市民討論会の動画のダイジェスト版を見た上で、名古屋市民オンブズマンの内田隆が、「名古屋城バリアフリー市民討論会はなぜ開催されたか」というタイトルで10分程度発言しました。

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    河村たかし名古屋市長は、自分で世界公募すると決めた新技術国際コンペの結果が2022年12月に出てから「新技術は認めない」と言い出した。
    市長は「全く認めない」「3階までしか認めない」。次に「1、 2階までしか認めない」など日によって発言をコロコロ変えた。
    その後、熱狂的な木造復元支持者から市長、副市長や市担当者への電話が殺到し、市長は「新技術は付けない」と思いを固めてしまった。
    過去数年間「新技術で最低でも1階、なるべく最上階を目指す」としてきた観光文化交流局との板挟みになった副市長は「とりあえず1階までにしましょう」と局に命令した。
    市長と副市長と局の意見がバラバラになってしまい、形だけでも5000人のアンケートをし、さらに市民討論会という形をとって、最終的に市長の判断を仰ぐと妥協した。
    で、大慌てで議会にも文言を諮らずに4月以降アンケートを発送し、6月3日市民討論会を迎えた。
    6月3日後のスケジュールも全て決まっており、形だけ討論会を終えた後、6月20日には文化庁に市長が書類を持っていくはずだった。
    討論会の中身については、障害当事者が参加するかどうかや差別発言が出たらどうするかなど考える余裕は無かったようだ。

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    その後、障害がある議員から実行委員会メンバーに多数の質問がありました。
    斎藤氏は「新技術の国際コンペを実施しても、(柱や梁を切らないという前提であれば)何一つ変わらないと、当初から国際コンペ自体反対してきたし、最優秀作品は何のバリアフリーでも無いと発言してきた。
    ただ、名古屋の障害者団体の中には、この小型昇降機を認めようという人もいるが、最上階まで登るのは当然だというところでは一致している。
    刃向かっているのは河村市長ただ一人。
    2022年10月日弁連の『明らかに法律違反』という要望に対して名古屋市はいまだに無回答。
    https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html
    解決は市長退任しかない」と述べました。

    参加した舩後靖彦参院議員(れいわ新選組)は
    「私の出生地は岐阜。久しぶりに名古屋城を拝見した。
     本来なら懐かしく、かつ郷土の誇らしい城なのに、私たち障害者にとっては正直見るのがつらい建物になっている。
     名古屋城のバリアフリー化を巡る問題で、改めて差別解消の難しさを痛感している。
     難しいからこそ、議員として活動している私達が前面で取り組まなければならないのだと改めて感じている。
     この先どのような形で、差別解消とバリアフリー化を進めていくのか、その方法と案をぜひお聞かせください。」
    と述べました。
     
    -------
    ヒアリング終了後、記者会見が開かれました。

    「障害者の自立と政治参加をすすめるネットワーク」代表代行の村上博・熊本市議は「今回の問題は、エレベーターとバリアフリーと捉えてきたが、市長自らが人権感覚が無いことが一番大きな問題だったことが、地元の障害者のお話を伺って判明して驚いている。
    (同じ鉄骨鉄筋コンクリート造の)熊本城が熊本地震で被災後に復興する際、熊本城総合事務所が障害者団体に呼びかけ、どうしたらよいかということで3回意見交換会を行った。
    最終的に完成するのは30年近くかかるが、熊本城総合事務所の基本的な姿勢は、誰もが訪れることができる熊本城ということで、名古屋市長の姿勢と全く違っていた。
    熊本城は当然天守閣最上階までいけるようにエレベーターを付けている。」と述べました。

    「障害者の自立と政治参加をすすめるネットワーク」事務局長の古庄和秀・大牟田市議会副議長は「各種報道は『木造復元vsバリアフリー化』の構造になっているが、日本は国連障害者権利条約を批准しており、障害者差別解消法も施行されている。障害ある人ない人が平等な関係にならないといけない。
    『合理的配慮』の前に『事前的環境整備』が必要だ。
    https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/sabekai/kihonhoushin/honbun.html
    極端な言い方をすれば、エレベーターをつけなければ、階段を外すべきだ。新築なので平等にすべき」と述べました。

    また、障害者議員は「ヒアリングで名古屋市は『バリアフリーの詳細は、市民討論会の検証を行ってから。現時点では何も申し上げられない』としか述べなかった。
    今回、介助者に階段体験館に登ってもらったが、47度の急勾配で高齢者に危険であることがわかった。どこの視点に立って再建するのか。
    また、障害者差別解消法7条に抵触する可能性を質問したが、回答は無かった。
    質疑応答含め30分の予定中、名古屋市から25分間説明があり、ほとんど質問出来なかった。
    地元障害者団体から、『ぜひ外部から名古屋市議会に抗議やメッセージを送って欲しい』という声があったので、今後考えたい。」と述べました。


    23/7/24(月) 河村市長 名古屋城木造復元以外の具体的インバウンド対策答えられず

    23/7/24に行われた、河村たかし名古屋市長定例記者で、記者から「名古屋城木造復元まで10年スパンでかかるので、それ以外にインバウンド対策は何かあるのか」との質問に具体的に答えられませんでした。


    ・23/7/24 河村たかし名古屋市長定例記者会見(名古屋城部分)
     名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230724.pdf
     
    アメリカ『タイム』誌は2023年版「世界の最も素晴らしい場所」に日本では京都と名古屋を選びました。
    https://time.com/collection/worlds-greatest-places-2023/

    ・23/4/13(木) 11:30 大竹敏之名古屋ネタライター
     名古屋がタイム誌「世界の最も素晴らしい場所」に! 観光戦略のカギは“外国人目線”
     https://news.yahoo.co.jp/byline/otaketoshiyuki/20230413-00345112
     
    河村市長は「日本に名古屋ありっていう観光戦略っていうのはあってもいい。どまつりやなごやまつり以外のアイディアを、名古屋の人は非常に待ちわびておると思う」と他人事のように述べました。

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    名古屋城天守閣が2018年5月に耐震の安全性の問題から閉鎖されて以降、ずっと閉鎖されっぱなしです。
    名古屋市は23/3/14に「木造復元は順調にいって2032年度」とのべています。
    23/6/3バリアフリー市民討論会の差別発言の検証に時間がかかるため、完成はさらに延びます。
    そもそもバリアフリーの問題、石垣の問題、基礎構造の問題があり、本当に完成できるのかもわかりません。

    河村市長の「木造復元」一本足打法が崩れた現在、せっかくのインバウンドの機会をみすみす逃してしまっています。
    それに代わるアイディアも河村市長にはありません。


    23/7/22(土) 姫路で名古屋城築城時石垣講演 160名参加でほぼ満席

    23/7/22に姫路市立城郭研究室が主催した、名古屋城調査研究センターの堀内亮介氏が講師の第2回城郭市民セミナー「名古屋石垣の文献調査と展望」は160人ほぼ満席で大盛況でした。


    ・配付資料
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230722.pdf
    ・名古屋市民オンブズマンによるメモ
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230722-1.pdf
     
    日本城郭研究センター内にある姫路市立城郭研究室は、年に7回城郭市民セミナーを行っています。
    https://www.city.himeji.lg.jp/jyokakuken/0000023938.html

    抽選で当選した人のみ参加ができるとのこと。
    (後日問い合わせたところ、194人が申し込んで全員当選したが、当日160人が参加したとのこと。会場はほぼ満席でした)

    今回、堀内氏は名古屋城の公儀普請が行われた1610年前後の数年間の石垣についてのみ講演しました。
    当初予定されていた島津家が、琉球に派兵する役目があったため後に免除されたこと。
    前年の丹波亀山城普請に動員された中国・四国大名が追加で名古屋城普請に動員されたことなどを説明しました。

    現在名古屋市が進めている天守閣木造復元事業、また23/6/3バリアフリー市民討論会での差別発言については、全く触れませんでした。

    こんなピンポイントの講演会に、こんな多数の人が参加したのが驚きでした。
    その後の会場からの質問(時間の関係で1名だけ)も、大変詳しい質問でした。

    --------
    名古屋城調査研究センターには、学芸員が17名いるとのこと。
    https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/center/

    その割には、学芸員による名古屋での講演会はほとんど行われておりません。
    (2022年度 市民向け説明会1回、名古屋城シンポジウム1回)
     (2023年度 名古屋城検定公開講座4回)
     https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/save/tenshu_information/2022/12/20221218_1412.html
     https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/event/2023/06/20230623_1359.html

    名古屋城に関する研究成果に関し、地元名古屋でもっと市民に知らせることを行ってはどうでしょうか。
    単に紀要・センターだより、調査報告書、年報をネットで公開するだけでは、名古屋城が真の意味での「市民の象徴」になる日は遠いと思います。
    --------
    姫路城には、「官兵衛普請の石垣」があり、説明看板もありました。


    石垣に近づけないように、手前にロープがはってありました。姫路市立城郭研究室の石垣担当者に、後日電話で理由を聞きました。

    ・安全のため、石垣の真横に行かないようにロープがはってある
    1)古い時代の石垣なので、小さい間詰め石があり、たまにゆるんで落ちることもある。
     なにかあったときに石が人に当たることを避けるため。地震対策も考慮している。
    2)興味本位で石垣に登る人がいる。
     昭和の時代に、石垣上部に鉄条網を設置したが、あらためて石垣に登らないようにしている。

    ------
    今回姫路城を訪問しあらためて思いましたが、天守閣直下まで無料で誰でも行くことが出来、市民や観光客に親しまれている感じがしました。

    名古屋城は、普段は敷地内に入るには料金がかかるためか、あまり名古屋市民が訪れる場所になっていないようです。

    にもかかわらず、攻城団が23/7/20に発表した全国2022年度来城者調査では、有料の城では名古屋城が全国1位だったとのこと。
    (無料も加えると、1位金沢城、2位名古屋城)
    https://corporate.kojodan.jp/archives/6631

    天守閣が耐震不足のため閉まっていても全国1位の有料来城者を誇る名古屋城。

    名古屋市は23/3/14に「木造復元は順調にいって2032年度」とのべています。
    23/6/3バリアフリー市民討論会の差別発言の検証に時間がかかるため、完成はさらに延びます。

    有料ゾーンを狭くし、気軽に親しめるようにすればもっと多くの来城者が見込まれるのではないでしょうか。

    -----
    ☆カンパのお願い☆

    情報公開請求した文書を受け取るのに費用がかかります。
    交通費にも費用がかかります。
    名古屋市民オンブズマンは、会費とカンパのみで運営しております。
    ぜひともご協力をお願いいたします。
    《郵便振替口座》口座番号 00870−9−105687
     加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
    《ゆうちょ銀行》当座:〇八九店 105687
     加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
    http://www.ombnagoya.gr.jp/kannpa.htm

    -------
    ・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
     http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm


    名古屋市人権施策推進・差別解消「課長級会議」 議事録作成せず

    名古屋市民オンブズマンは、23/6/3名古屋城バリアフリー市民討論会での差別発言を受けて開催された以下庁内会議の議事録と資料を情報公開請求しましたが、課長級職員で作る「幹事会」の議事録は「作成せず不存在」決定が出ました。
    これでは、どのようなことが課長級の会議「幹事会」で議論されたかわかりません。


    なお、局長級会議である「推進会議」については、議事要旨が作成されていました。

    決定書
    http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230713.pdf

    ・23/6/9 配付資料(人権施策推進室分)
     令和5年度 第2回名古屋市人権施策推進会議幹事会
     令和5年度 第2回名古屋市障害者差別解消庁内推進会議幹事会
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230609-1.pdf
    ・23/6/9 配付資料(障害企画課分)
     令和5年度 第2回名古屋市人権施策推進会議幹事会
     令和5年度 第2回名古屋市障害者差別解消庁内推進会議幹事会
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230609-1.pdf

    ・23/6/12 配付資料(人権施策推進室分)と議事要旨
     令和5年度 第2回名古屋市人権施策推進会議
     令和5年度 第1回名古屋市障害者差別解消庁内推進会議
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230612-2.pdf
    ・23/6/12 配付資料(障害企画課分)と議事要旨
     令和5年度 第2回名古屋市人権施策推進会議
     令和5年度 第1回名古屋市障害者差別解消庁内推進会議
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230612-3.pdf

    -----
    「人権施策推進会議の開催結果」「障害者差別解消庁内推進会議の開催結果」として、ホームページにも掲載されていますが、会議概要に留まり、「議事要旨」は公開されていませんでした。
    https://www.city.nagoya.jp/sportsshimin/page/0000116827.html
    https://www.city.nagoya.jp/kenkofukushi/page/0000070378.html

    名古屋市は、市長や副市長が会議を主催し、複数局の長が含まれているものを「庁内会議」として定義しています。
    ・庁内会議の公表に関する指針
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/chonaikaigi.pdf
    ・「庁内会議の公表に関する指針」の趣旨及び解釈
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/chonai-syusi.pdf
    ・幹部会規程
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/kanbukai.pdf

    名古屋市情報公開条例第1条では、「この条例は、地方自治の本旨にのっとり、市民の知る権利を尊重し、行政文書の公開を求める権利を明らかにするとともに、情報公開の総合的な推進に関し必要な事項を定めることにより、名古屋市(以下「市」という。)の保有する情報の一層の公開を図り、もって市政に関し市民に説明する責務が全うされるようにし、市民の市政への参加を進め、民主的で公正かつ透明性の高い市政の推進に資することを目的とする。」とあります。
    https://www.city.nagoya.jp/sportsshimin/page/0000001423.html

    課長級の会議「幹事会」の議事録が作られないのは、情報公開条例第1条の趣旨に反するのではないでしょうか。制度の改正を求めます。

    なお、副市長、局長級で構成する「推進会議」の議事要旨は掲載されています。
    http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230612-2.pdf
    http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230612-3.pdf

    緑政土木局長が「私どもも市民討論会はよくやるので、大変切実な事象だと感じている。
    市の職員の対応要領6頁に『個人的な思想や言論は法の対象外』とあり、この解釈をどういうふうに考えるかというところで、市の職員みんな悩むと思う」と発言しており、大変印象に残りました。

    -------
    参考:名古屋城天守閣整備検討会議の開催結果
    2017/5/8第2回以降開催せず
    https://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000093281.html


    【独自】名古屋城木造天守昇降技術 市はMHIと契約をいまだ結ばず

    名古屋市民オンブズマンは、名古屋城木造天守昇降新技術に関して情報公開請求したところ、名古屋市は最優秀者に選んだMHIエアロスペースプロダクションと契約を23/6/30現在いまだ結んでいないことが判明しました。


    ・「令和5年度予算「木造天守閣昇降技術開発」(15,840千円)に関し、名古屋市が株式会社MHIエアロスペースプロダクションと結んだ契約書、合意書、協定等書面」 不存在
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230707.pdf

    -------
    23/6/11横井市議ブログでは以下記載があります。
    http://blog.livedoor.jp/minami758/archives/2567349.html
    にもかかわらず、突如として「天の声」で本年3月20日にバリアフリーの方針を撤回。市長の指示書に従って事務を進めていた担当者は、すでにMHIエアロスペースプロダクションの選定を済ませるなどしていたことから大混乱に陥った。

    23/6/15に佐治独歩・名古屋市観光文化交流局長は「23/6/3に開催された名古屋城バリアフリー市民討論会をめぐる事件について、一連の検証が終わるまで名古屋城木造復元事業を進めない」と述べ、23/6/29に杉野副市長は「問題点を明らかにするためにはもしかしたら1年程度かかるという感覚」と述べました。
    https://ombuds.exblog.jp/29599991/
    https://ombuds.exblog.jp/29615642/

    23/7/2に松雄副市長は以下述べています。
    https://ombuds.exblog.jp/29620548/
    「MHIエアロスペースには絶対的な自信を持っていた。名古屋市港区にあり、社長も名古屋城に対する思いが強い。しかし局があげたら市長は『認めない』と言い、私も衝撃を受けた。局の思いをなんとしてでも調整しないといけないと思い、市長と調整した。市長から『1階まで』という指示はない。どちらかというと、付けないというような立場。」

    23/7/3に「垂直昇降機は設置はするのか」と問われた河村たかし名古屋市長は「あれは選定しましたからね。」とと答えたものの、何階までとは結局はっきり答えませんでした。
    https://ombuds.exblog.jp/29623427/

    -------
    混迷する名古屋城木造復元事業。

    浅井正仁市議(自民)が23/6/26に市議会本会議で示したパネルには、河村市長のコロコロ変わる意見が明確に示されています。
    https://twitter.com/masahito_asai/status/1673248461737824256



    新技術公募については、令和元年〜3年度で1億4300万円の契約を(株)日本総合研究所と結びました。(議会の予算議決済)
    http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210908.pdf

    今後どうするつもりなのでしょうか。
    -------
    なお、23/6/3市民討論会ならびにアンケートの業務委託の契約書等も開示されました。
    「障害者差別解消に関する特記仕様書」もありました。

    ・特別史跡名古屋城跡におけるバリアフリーに関するアンケート等業務委託
     @契約書
     A仕様書
     B随意契約の内容の公表
     http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230630-2.pdf

    また、「23/7/4に河村たかし名古屋市長に金城裕市議会経済水道委員長が手渡した文書」を名古屋市議会事務局に問い合わせたら、「正副委員長一任で作成したため、市議会事務局は持っていない。読み上げた上、市長に手渡したため、市長は持っているのでは」と言われました。
    市長部局に情報公開請求済です。

    -----
    ☆カンパのお願い☆

    情報公開請求した文書を受け取るのに費用がかかります。
    名古屋市民オンブズマンは、会費とカンパのみで運営しております。
    ぜひともご協力をお願いいたします。
    《郵便振替口座》口座番号 00870−9−105687
     加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
    《ゆうちょ銀行》当座:〇八九店 105687
     加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
    http://www.ombnagoya.gr.jp/kannpa.htm

    -------

    23/7/3(月)名古屋城市民討論会差別発言問題 障害者団体「河村市長は『対話を公開するのは嫌だ』と言っている」

    23/7/3に行われた河村たかし名古屋市長定例記者会見で、記者から「なにをもって本物なのか」と問われた河村市長は「木で復元して、奈良ドキュメントの3つの要件に合致してると考えれば市民が本物と認定する」と述べました。


    23/7/3 河村たかし名古屋市長定例記者会見(名古屋城部分)
    名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
    http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230703.pdf

    記者から、23/6/3開催の名古屋城バリアフリー市民討論会に関する外部の検証チームを立ち上げる際、対象に市長や副市長も対象に加えるべきと議会から意見があったことを問われ、「喜んでいく」と述べました。

    また、記者から「暗礁に乗り上げてること自体が市長の責任と思っているんか」と聞かれ、「そう思うよりしょうがない」と述べました。

    さらに記者は「文化庁は『復元したとしてもそれはあくまでレプリカだ』という文書を出している」と聞いたところ、「なんですかそれ」と答えました。

    ・令和元年8月 史跡等における歴史的建造物の復元の在り方に関するワーキンググループ
    天守等の復元の在り方について(取りまとめ)
    https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/shiseki_working/pdf/r1411441_08.pdf
    史跡等において再現された歴史的建造物は文化財保護法上直ちに文化財として扱われるわけではなく、史跡等の文化財に準じた、価値を伝えるための手段(プレゼンテーション)としての複製品(レプリカ)と捉えられる。

    河村市長は「あとで見せて頂戴、抗議しますから」と述べました。

    さらに記者は「本物かどうかっていうのは誰が認定するのか」と問い、河村市長は「社会が、皆さんが認定する。形式的には文化庁が復元を許可する」と述べました。

    記者は「明治以降に復元されたもので、文化庁が国宝と認定したり、本物と認定した事例は多分ない。何を持って本物なのか」と質問しました。
    河村市長は「木で復元し、文化庁の奈良ドキュメントでたてた三つの要件に合致していれば、市民が本物だと思う」と述べました。

    また、「垂直昇降機は設置はするのか」と問われ、市長は「あれは選定しましたからね。」と答えたものの、何階までとは結局はっきり答えませんでした。

    ------
    23/6/26名古屋市議会本会議で、浅井正仁市議(自民・中川区)は、「今のコンクリ名古屋城は偽物か?本物に決まっている。令和の名古屋城も本物だと思う。だけど市民が決裂して何の議論も無いまま寂しい名古屋城を作ってよいのか。」と述べました。
    https://ombuds.exblog.jp/29612246/

    結局、本物かどうかを判断する公的部門は無く、「市民が思えば本物」のようです。
    「差別の象徴」木造名古屋城を「本物」で「市民のシンボル」だと全ての名古屋市民が思えるのでしょうか。

    定義が曖昧な「本物復元」を連呼して市民の分断を煽ってきた河村市長が市長である限り、木造復元は不可能ではないでしょうか。

    なお、上記文化庁が取りまとめた「天守等の復元の在り方について(取りまとめ)」には、以下の記載もあります。
    https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/shiseki_working/pdf/r1411441_08.pdf
    他方で、様々な再現が行われている中で、忠実性を追求し、再現される歴史的建造物の質が確保されるよう、適切に再現された歴史的建造物については、適切な評価を与えることが適当である。

    河村市長に足りないのは、現天守への「適切な評価」ではないかと思います。


    23/7/4(火)名古屋城市民討論会差別発言問題 障害者団体「河村市長は『対話を公開するのは嫌だ』と言っている」

    23/7/4(火)に開催された、名古屋市障害者施策推進協議会第2回 名古屋市障害者基本計画(第5次)専門部会で、23/6/3に開催された名古屋城バリアフリー市民討論会に関して差別発言が会場から出たことに対し、斎藤縣三委員が「河村たかし名古屋市長が障害者団体と話をしたいと言っているが、当方の申入から3週間経っても実現しないのは市長が『公開するのは嫌だ』と言っているからだ」と述べました。


    23/7/4 名古屋市障害者施策推進協議会
    第2回 名古屋市障害者基本計画(第5次)専門部会配付資料
    http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230704.pdf
    名古屋市民オンブズマンによるメモ
    http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230704-1.pdf

    23/6/16(金)に開催された名古屋市障害者施策推進協議会では、ほぼ全ての時間をバリアフリー市民討論会について費やして議論しました。
    https://ombuds.exblog.jp/29601534/
    それを受け、次期障害者基本計画の「差別解消、虐待の防止及び権利擁護の推進」について、大幅に再修正しました。

    斎藤委員は「これでは何の討論会なのか、差別発言とは何か。再発防止策とは何かが全く分からない。何が問題なのかもう少し見えるようにしないと、しっかりしたものとなるとは思えない。
    『市民が差別発言を行い、市長が肯定した』という重たい事実がある。
    市長は障害者団体と話をしたいといったが、3週間たっても実現しない。市長は『公開するのは嫌だ』と言っている。こそっとやりたいようだ。
    問題はなにか。市長はなにが差別か押さえていないからだ。どこに問題があったのか。職員が押さえられなかったのか。市長が逃げている」と述べました。

    田嶌仁美・障害福祉部長は「後世の人がなにが起こったかわかるように、詳細はできるだけ書き込みたい。
    どうしてこんな事態が起こったのかは、現在作業中であり、専門委員を入れて検討する。その様子を見守り、その都度修正したい」と述べました。

    入谷忠宏委員は「『障害者に対する差別発言』とあるが、『また障害者がやっている』と思われはしないか。
    『市民が差別発言をされた』としないと、障害者差別が消えない気がする。」と述べました。

    田嶌障害福祉部長は「『市民対障害者』という対立構造のようになっているのは不自然だと思う。表現は工夫したい」と述べました。

    ------------
    会議終了後、斎藤氏は「河村市長は、問題を何とかしないといけないとは理解しているようだ。しかし、このままだと検証委員会が始まってしまい、ずるずる市長と障害者団体との対話がないままになってしまうのではないか」と述べました。

    ---------
    23/6/13(火)午前に名古屋市役所前に約200人が集まった「差別は許さない!名古屋市役所前緊急抗議集会」前日に、河村市長は参加する意向を表明しましたが、予定の1時間前に「市長は『手違い』で来れなくなった」と連絡がありました。
    https://ombuds.exblog.jp/29598340/
    (市長の予定を後日確認したところ、23/6/13(火)午前の市長の公務はなにもありませんでした)

    ・2023年06月13日 18時47分 NHK
     バリアフリー対策めぐり差別的発言 市役所前で抗議活動
     https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20230613/3000029870.html
    一方、河村市長は記者団の取材に対し「私が直接話を聞くつもりだったが、市の幹部から自分たちで対応すると言われたので任せた。結果的にこちらのミスでご迷惑をおかけしたことは、申し訳ない。市としてきちんと見解がまとまったら、直接話をさせていただきたい」と述べました。

    差別発言から1ヶ月。緊急抗議集会から3週間。いまだに河村市長は障害者団体と公開の場で討論していません。
    この間、名古屋城バリアフリーに関し、市長と副市長と局以下の意見が食い違っていたことが判明しています。
    https://ombuds.exblog.jp/29620548/

    このままうやむやにすることを市長は望んでいるのでしょうか。
    河村市長が市民の分断を煽った結果、木造名古屋城が「市民のシンボル」ではなく「差別の象徴」となってしまいました。
    早急な対話が必要でしたが、もう手遅れなのかも知れません。

    -----------
    今後の予定

    ・23/7/8(土)18時〜 名古屋の歴史って、こんなに面白い
     講師:大塚耕平 氏(国会議員) 会場:札幌かに本家栄店
     会費:9,000円 主催:名古屋の旧町名の復活を目指す有志の会
     http://fukkatu-nagoya.com/index.html
    ・23/7/15(土)14時〜 市政資料館
     「名古屋城の有形文化財登録を求める会」の月例勉強会
     https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
    ・23/7/22(土)日本城郭研究センター(姫路市)
     名古屋城石垣の文献調査と展望 堀内亮介(名古屋城調査研究センター)
     https://www.city.himeji.lg.jp/jyokakuken/0000023938.html
    ・23/8/20(日) 名古屋市立大学寄付講座(近世名古屋学)開設記念 連続講座(第1回)
     千田嘉博先生による基調講演 テーマ「信長の城-勝幡城から安土城へ-」
     https://www.nagoya-cu.ac.jp/affiliate/facilities/nagoyagaku/
    ・23/9/18(月祝)14時〜 鯱城ホール
     「名古屋城が実現させた、家康の天下取り」 城郭建築の第一人者 三浦正幸氏 講演会
     https://miurakouza2023.peatix.com/event/3588765/


    23/6/30(金)名古屋城木造復元昇降機 自民市議「松雄副市長に『1階まで』と決める権限はない」

    23/6/30に名古屋市議会経済水道委員会が開催され、名古屋城木造復元の昇降新技術設置を松雄俊憲副市長が「1階まで」と指示していたことに対し、浅井正仁市議(自民)は「松雄副市長に『1階まで』と決める権限はない」と述べました。


    ・23/6/30 名古屋市議会経済水道委員会説明資料
     名古屋城バリアフリーに関する市民討論会での市民の発言に対する当局の対応について
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230630.pdf
    ・23/6/30(金)名古屋市議会経済水道委員会
     名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230630-1.pdf

    さわだ晃一市議(公明・西区)は以下述べました。
    ☆エレベーターを設置する、しない
    ☆即採用できる技術、将来的に開発しうる技術だが安全性が確認されていないので即採用できない技術
    がまぜこぜに議論されている。
    その上で
    ・2022年11月29日 市長の意向として「3階までしか認めない」
    ・2022年12月 市長は「最優秀提案は認めない、最上階を目指すようなものではない」と発言
    ・2022年12月5日 市長は「1,2階まで」と発言
    と定まっていない。
    その後、2022年12月末から2023年1月にかけて「副市長の考え方に変化」2023年1月、「市長の判断が『昇降設備を設置しない』となることを避けるため、『公募で選定した垂直昇降技術を当初は設置せずに復元を進めて後から設置する』もしくは、『公募の最低要求水準である1階まで設置する』として木造天守整備基本計画を取りまとめること」とある。
    想像だが、副市長が「ここの段階ではとにかく1階までで俺が抑え、あの市長を説得するから1階までつけとけば上まで後から登れるでしょう」っていうふうに間に入ったんじゃないか。

    浅井市議は、「23/6/3市民討論会当日の資料20ページは誰から指示があったのか」と質問し、佐治独歩・観光文化交流局庁は「原案は局が作ったが、発送する前に市長の意見を聞いて、5ページ『建築基準法の逐条解説』、20ページ『昇降設備がありとなしの部分の違い』を修正した」と述べました。
    ・23/6/3 名古屋城バリアフリーに関する市民討論会  当日配付資料
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230603-9.pdf

    その上で、松雄副市長を委員会に呼ぶことが決まりました。

    浅井市議は、佐治局長に「1階までとは誰の指示だったか」と質問し、「副市長から」と答えました。
    松雄副市長は「市長との関係もあるので、1階までまず留めろと指示した」と認めました。
    松雄副市長は「MHIエアロスペースには絶対的な自信を持っていた。名古屋市港区にあり、社長も名古屋城に対する思いが強い。しかし局があげたら市長は『認めない』と言い、私も衝撃を受けた。局の思いをなんとしてでも調整しないといけないと思い、市長と調整した。市長から『1階まで』という指示はない。どちらかというと、付けないというような立場。」と述べました。

    浅井市議は「国際コンペをやった以上、『昇降技術をつけないという選択』は無いのではないか。その前に止めるべきではないか」と述べ、松雄副市長は「おっしゃるとおり」と述べました。

    浅井市議は「副市長はとりあえず1階を付けて、その後また工事するようだ。また閉鎖して工事するのか。MHIは5階までは無理と断言したのか。」と質問し、松雄副市長は「言われていない」と述べました。

    浅井市議は「だったら、何であなたが決めるのよ。どこにそんな権限があるのよ。なぜ副市長はね最初から諦めるんだろう。技術開発で大体3年ぐらいって、前委員会で言っていた。なぜ3年が待てないのか。使わないといけない。損害賠償が出てくる。いろんなことが出てくる。考えて当然。エレベーターをつけないとした市長の公約に違反するが、公約って行政の人が動くことだろうか。憲法15条2項、全ての公務員は全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない。市長の支援者や、寄付した人の意見で名古屋城を決めていいのか。」と述べました。

    さわだ市議は「これまで局内とか市長と副市長の関係性の中で調整が行われてたってのは表に出てこなかった。
    不幸にも起きてしまった市民討論会を契機に、市民は到底知りうることのない調整が表に出た。密室で進んでいた。
    アンケートも、4階、3階、2階の可能性もあるのに設置しないか1階までか最上階までかしかなかった。」と述べました。
    松雄副市長は「アンケートは私はどちらかというとやるべきではない派だった。肌感覚だけだったので、局からも客観的なデータを持ちたいと言うことなのでやってみろとした」と述べました。

    さわだ市議は「アンケートや市民討論会は、何ら参考にならないものになった。」と述べました。
    また、「市長と局の分断ではなく、市民の中で意見が割れている。市長はどうやって対立した市民が納得いただけるか考えないといけないのでは。
    権力者の末期の姿だ。自分の思い通りになるように権力を振り回している。あなたがやりたいことは市民の分断なのか」と述べました。

    最後に、さわだ市議は「委員会の総意として、『市民討論会の検証をしっかり行うべき、信頼回復がなされて、適切な議決ができる環境が整ってからで無いと、バリアフリー問題の議案の審査には入れない』と決めてはどうか」と提案しました。

    浅井市議は「委員長名で抗議文なのかな。材木については附帯決議を挙げたが、議会のことは無視して決めてきた。」と述べ、委員長も賛成しました。
    ------------------
    市議会の議論で、23/6/3市民討論会以前、市長、副市長、局以下の方向性がバラバラだったことがよくわかりました。
    差別発言も大問題ですが、方向性がバラバラなのはさらに問題です。
    過去様々な自治体の問題を見てきましたが、市長、副市長、局以下の方向性がバラバラだったことは聞いたことがありません。
    社長、副社長、部長以下の方向性がバラバラな民間会社は即倒産するのではないでしょうか。

    21/2/19に松雄局長(当時)は、石垣部会の赤羽一郎氏に送付したメールで以下述べています。
    http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210420.pdf
    「一昨年4月に観光文化交流局長を拝命し、その年の6月までは市長の主導の名古屋城木造復元を実現しようと思っておりました。 この(市長の)やり方では決してうまくいかないことを認識し、市長との公約としての木造復元ではなく行政ベースの木造復元に大きく舵を切っており、その進め方として、従来に戻ることは私がいる限りありません。」

    残念ながら、市長は局以下の思いを分かろうとせず、松雄副市長も市長と局以下の板挟みになったのか、密室で強引に物事を決めようとしていました。
    23/6/3市民討論会での会場からの発言は、バラバラだった市長・副市長・局以下の方針の違いを明確に指摘するものであったため、差別発言があっても市職員は止められなかったのではないでしょうか。 
    結果的には障害者を傷つけ、信頼を失ってしまいました。

    22/12/6にMHIを最優秀者に選んだ経緯すら、名古屋市は公募ホームページごと削除しています。
    http://www.castle-challenge.city.nagoya.jp/challenge/
    国立国会図書館のアーカイブで読めるのみです。
    https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/12549184/www.castle-challenge.city.nagoya.jp/challenge/

    なお、局以下の方針である「最上階まで昇降新技術」すら、「小さすぎてストレッチャータイプの車いすが入れない。バリアフリー法等に違反する」として、当初から障害者団体は拒否しています。
    「差別の象徴」木造名古屋城復元事業はどうなるのでしょうか。

    @木造復元+5階まで大型エレベーター+外部スロープ(障害者団体希望)
    A木造復元+5階まで小型昇降機+外部スロープ(今後の技術開発次第)
    B木造復元+4階まで小型昇降機+外部スロープ(今後の技術開発次第)
    C木造復元+3階まで小型昇降機+外部スロープ(今後の技術開発次第)
    D木造復元+2階まで小型昇降機+外部スロープ(今後の技術開発次第)
    E木造復元+1階まで小型昇降機+外部スロープ(松雄副市長案)
    ×木造復元+昇降機無し 人を入れる(市長案)
    ×木造復元+昇降機無し 人を入れない(文化庁が認めない)
    F現天守を耐震改修+最上階まで大型エレベーター

    -----------
    今後の予定
    ・23/7/3(月)午前10時半〜 名古屋市議会経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(2局一括)]
           午前10時半〜 市長定例記者会見
    ・23/7/4(火)午後1時〜 名古屋市会本会議
    ・23/7/4(火)13時半〜 名古屋市公館
     第2回名古屋市障害者施策推進協議会専門部会
     https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2023/kenkofukushi/0000164811.html
    ・23/7/8(土)18時〜 名古屋の歴史って、こんなに面白い
     講師:大塚耕平 氏(国会議員) 会場:札幌かに本家栄店
     会費:9,000円 主催:名古屋の旧町名の復活を目指す有志の会
     http://fukkatu-nagoya.com/index.html
    ・23/7/15(土)14時〜 市政資料館
     「名古屋城の有形文化財登録を求める会」の月例勉強会
     https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
    ・23/7/22(土)日本城郭研究センター(姫路市)
     名古屋城石垣の文献調査と展望 堀内亮介(名古屋城調査研究センター)
     https://www.city.himeji.lg.jp/jyokakuken/0000023938.html
    ・23/9/18(月祝)14時〜 鯱城ホール
     「名古屋城が実現させた、家康の天下取り」 城郭建築の第一人者 三浦正幸氏 講演会
     https://miurakouza2023.peatix.com/event/3588765/

    -------
    ・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
     http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm

    -----
    2023年6月29日 20時00分 朝日新聞 寺沢知海
    名古屋城復元 差別発言の検証で河村市長にヒアリング調査へ
    https://www.asahi.com/articles/ASR6Y6559R6YOIPE01J.html

    2023/06/30 10:15 読売新聞
    名古屋城天守閣の復元計画、差別発言で大幅遅れ…職員「市長も含め適切でなかった」
    https://www.yomiuri.co.jp/national/20230630-OYT1T50000/

    週刊金曜日 2023年6月30日(1430)号  井澤宏明
    特集 誰が差別をあおるのか
    名古屋城復元のバリアフリー化めぐる討論会での差別発言問題
    河村市長の構想自体が「障害者差別」では
    https://www.kinyobi.co.jp/tokushu/003681.php

    2023年6月30日 05時05分 (6月30日 05時06分更新) 中日新聞
    名古屋城討論差別発言、市が外部有識者入れ検証 市長へのヒアリングも検討、結論まで1年程度か
    https://www.chunichi.co.jp/article/719471

    2023年6月30日 07時34分 東京新聞
    <わけあり記者がいく>差別発言に屈するな 時代を開くのは障害者だ
    https://www.tokyo-np.co.jp/article/259938

    23/6/29(木)名古屋城差別問題 杉野副市長「問題点を明らかにするためにはもしかしたら1年程度かかるという感覚」

    23/6/29に開催された名古屋市議会総務環境委員会で、23/6/3開催の名古屋城木造復元市民討論会に関する職員ヒアリング調査結果が公表され、横井利明市議(自民・南区)は「『討論会で起きたこと』に対して職員が苦悩したようには読めない。討論会に至るまでの状況で職員はもう既に崖っぷちにいた」と述べました。
    杉野みどり副市長は「問題点を明らかにするためには、もしかしたら1年程度かかるかという感覚を持っている」と述べました。

    ・23/6/29 名古屋市議会総務環境委員会説明資料
     本市主催討論会に係る人権の観点からの調査について
     令和5年6月29日 スポーツ市民局
     http://nagoya.ombudsman.jp/castle/230629.pdf

    ・23/6/29 名古屋市総務環境委員会(前半)
     名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230629-1.pdf
    ・23/6/29 名古屋市総務環境委員会(後半)
     名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230629-2.pdf

    名古屋市スポーツ市民局は、市観光文化交流局の主な管理職職員6人に対して23/6/21-23にヒアリング調査を実施しました。
    ・3分の1くらいの方が、市民Cの差別発言に対して拍手していて、どういう感覚なんだろうと思った。
    ・今となっては、基本的には、市民討論会の組み立て自体が不適切であったし、段取り自体も不十分であったと思う。その根本的な原因は、我々の障害者なりバリアフリーに対する考え方が、市長も含めて適切ではなかったことだと思っている。バリアフリーのあり方を何かと天秤にかけるということ自体、今日の社会の中では誤った考え方であろうと思う。
    ・多くの人がつけるなと言っているから1階までと決断したというのは、令和の時代では多分通用しないと思う。

    横井市議は「普通、職員はここまで心情吐露するものなのか。行間に出ているものは、苦悩。職員は苦しんでいる。『討論会で起きたこと』に対して職員が苦悩したようには読めない。討論会に至るまでの状況で職員はもう既に崖っぷちにいた。
    職員をギリギリの状態まで追いやっておいて、しかも上からの指示で何をやっても否定されていく。そんな中で、相当厳しい言葉も浴びていたんでしょう。
    本当にマニュアルとか研修レベルの話なのか。職員は『これを止めたらあとから大変なことになるんじゃないか』と思ったのではないか。『バリアフリーは1階以上つける方針は無い』と言われていた。止められますか」と述べました。

    ふじた和秀市議(自民・瑞穂区)は「6/3直前に文化庁に『基本計画を市長が文化庁に持っていくから日程調整したい』と日程調整をはじめた話がある。
    6/7経済水道委員会で問題だとなり、6/8に市長の日程調整はいったんチャラにしてほしいという連絡が文化庁に入ったという。
    6/3討論会、6/12全体会議、6/15所管事務調査、市長が持参の日程調整が事実なら、ものすごく持っていくつもりだった。
    バリアフリーの議論をこの程度で済まそうとしていたのは、人権意識が皆無と言ってよいのではないか」と述べました。

    その後、杉野副市長を委員会に招いて質疑しました。

    ふじた市議は「市長や副市長もヒアリング対象になる」と述べ、杉野副市長は「そこまで考えが至っていなかった。背景や状況についても客観的に把握しなければ検証にならないと考えている」としました。

    ふじた市議は「平成26年に遡ってヒアリングすべき。また、障害者団体に当時から『甘えすぎるな』『障害者に全額払わせよう』などメールやメールが届いていた。とうとう名古屋城問題は障害者を痛め苦しめるところにまで至ってしまった」と述べました。
    杉野副市長は「遡るべきということに対して、私からは今は言えない。ただ人権意識は根本的に重要。どこに原因があるかは探さないといけない。」とのべました。

    ふじた市議は「名古屋城は名古屋市民の精神的支柱の前に、差別の象徴になっちゃう。障害者差別は役人はしてはいけないが、個人であれば表現の自由の範囲内で許されると勘違いしている市民があらわれている。
    木造名古屋城でパワースーツ活用や担ぐことについて、市健康福祉局は『本人の意向を尊重した対応を行う必要がある。パワースーツなどの新技術も合理的配慮の一つとなりうる可能性はあるが、そもそもそのような技術が未だ開発されておらず、判断できない。もし仮に開発されたとしても、安全性や快適性といった点、利用者のお気持ちや尊厳といった点などで、障害者本人の意向に沿ったものとなるかどうかの課題があると考える』と見解を出した」とのべました。

    杉野副市長は「バリアフリーを二項対立で議論し、市民を分断して議論をしていくということは許されないし、私はそれを避けなければならないと思っております。
    問題点を明らかにするためには、少なくとも数ヶ月という単位では厳しいのかなと思っております。もしかしたら1年程度かかるのかなあという感覚を持っている」と述べました。

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    今後の予定
    ・23/6/30(金)午前10時30分 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(観光文化交流局関係)]
            本丸搦手馬出周辺石垣の修復について(観光文化交流局関係)
        名古屋城バリアフリーに関する市民討論会での市民の発言に対する当局の対応について(観光文化交流局関係)
    ・23/7/4(火)午後1時〜 名古屋市会本会議
    ・23/7/4(火)13時半〜 名古屋市公館
     第2回名古屋市障害者施策推進協議会専門部会
     https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2023/kenkofukushi/0000164811.html
    ・23/7/8(土)18時〜 名古屋の歴史って、こんなに面白い
     講師:大塚耕平 氏(国会議員) 会場:札幌かに本家栄店
     会費:9,000円 主催:名古屋の旧町名の復活を目指す有志の会
     http://fukkatu-nagoya.com/index.html
    ・23/7/15(土)14時〜 市政資料館
     「名古屋城の有形文化財登録を求める会」の月例勉強会
     https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
    ・23/7/22(土)日本城郭研究センター(姫路市)
     名古屋城石垣の文献調査と展望 堀内亮介(名古屋城調査研究センター)
     https://www.city.himeji.lg.jp/jyokakuken/0000023938.html
    ・23/9/18(月祝)14時〜 鯱城ホール
     「名古屋城が実現させた、家康の天下取り」 城郭建築の第一人者 三浦正幸氏 講演会
     https://miurakouza2023.peatix.com/event/3588765/

    -------

    23/6/28(水)名古屋城天守木造復元用木材製材契約「暫定的に」2025年3月末まで延長する議案提出

    23/6/28(水)に開催された名古屋市議会経済水道委員会で、名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)の請負契約のうち、完成予定期日を「暫定的に令和6年3月31日」から「暫定的に令和7年3月31日」に変更する議案が提出されました。


    ・23/6/28(水)名古屋市議会経済水道委員会配布資料+
     令和5年6月19日提出「契約の一部変更について
     名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)の請負契約」
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230628.pdf
     名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230628-1.pdf

    浅井正仁市議(自民・中川区)は「これは年間1億円の保管料が発生する件だが、いつから支出なのか?505億円の外か中か?」と質問しました。
    山田主幹は「昨年度から引き続き2回目。505億円の中。」と答えました。

    浅井市議は「税金は投入しないのか?竹中工務店が面倒を見るのか」と質問し、山田主幹は「その通り」と答えました。

    浅井市議は「4ヶ所保管ではなく1ヶ所保管の方が費用がかからないのでは」と質問し、山田主幹は「保管コストは重要だが、材木業者が近くにあるので、4ヶ所保管もメリットがある。どう考えるかは重要な課題」としました。

    -------
    なお、23/6/27休憩後流会となった総務環境委員会は、23/6/28総務環境委員会は、北角嘉幸市議(減税・千種区)の謝罪がありました。
    ・23/6/27(火)名古屋市議会総務環境委員会(前半)
     名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230627.pdf
    ・23/6/28(水)名古屋市議会総務環境委員会(委員変更部分)
     名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230628-3.pdf

    ---------
    名古屋城木造復元事業は市の思うようには進まず、木材保管が「暫定的に」2025年3月末まで延長されようとしています。
    保管費用は年間1億円です。

    なぜ木造復元事業が市の思うように進まないのか。
    1つは、情報を公開していないからではないでしょうか。

    名古屋市民オンブズマンの情報公開請求で、以下判明しました。
    ・23/6/8に名古屋市が名古屋法務局人権擁護部第二課へ
     報告した文書、名古屋市職員用「差別事象への対応について
     (対応マニュアル)<名古屋市>」
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/houmu.pdf

    ・@名古屋城バリアフリーに関する市民討論会参加票
     A当日配付資料
      ・討論会配付資料
      ・注意事項
      ・質問用紙
      ・感想記入用紙
      ・名古屋城木造天守復元チラシ
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230603-9.pdf
     
    上記対応マニュアルには、「差別発言の場合」とあり、
    明確に差別行為者への対応が記載されています。

    また、23/6/3市民討論会配付資料には、大変分かりやすい「バリアフリー対応 昇降技術を入れたらどんなイメージ?」が掲載されていました。
    (上記資料は当日スクリーンに投影されていただけで、動画が消された現在、情報公開請求するしか入手する方法がありませんでした)
    木材保管料年間1億円についても、「竹中工務店との当初の基本協定の505億円内で行う」「当初の名古屋城復元の計画は、入場料で505億円+管理費等をまかなう」というだけで、年間1億円自体は税金で支出しています。
    ・22/6/17提出 令和4年第77号議案
     契約の一部変更について 
     名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)の請負契約
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220628.pdf
    ・仮契約書
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220422-1.pdf
    ・令和5年度当初予算 
     名古屋城木造復元関係 実施設計1500万、設計監理等支援業務委託1000万、木材製材9998.5万、石垣保存対策5870万、木造天守閣昇降技術開発1584万、合計1億9952.5万円を計上し可決済
     https://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000161/161003/07kannkoubunnkakouryuukyoku.pdf

    --------
    なお、石垣部会委員である千田嘉博・奈良大学教授と、歴史ライターの水野誠志朗氏が、バリアフリーをめぐってTwitter上で論争しています。

    ・23/6/23 朝日新聞 千田先生のお城探訪
     名古屋城の天守復元議論 バリアフリー 文化財だからこそ
     https://www.asahi.com/articles/ASR6P5R89R6NOXIE02Q.html
    ・2023年6月26日 水野誠志朗の尾張時代の信長をめぐる
     名古屋市が作ろうとしている完全復元ではない木造天守の建築には反対します
     https://plus.chunichi.co.jp/blog/mizuno/article/233/11114/

    午後9:29 ? 2023年6月27日 千田嘉博_城郭考古学twitter
    https://twitter.com/yoshi_nara/status/1673669894523559938
    水野誠志朗さんの文章「江戸時代のままの完全復元はされず、エレベーターやら避難階段やら、スプリンクラーやら防煙扉やら、なんやらかんやらごちゃごちゃついた耐震・耐火・バリアフリーの木造風天守が作られることとなります。であるならそんな物はいらない」中日新聞Web

    私の感想としては、「ようやく『まともな人』(23/6/12特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画を読んで理解している人)同士の論争がはじまった」という感じです。
    ・23/6/12特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画
     https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/
     
    名古屋市は、竹中工務店と2017/5/9に「基本協定」を結んで以来、6年にわたって木造名古屋城天守復元計画を練ってきました。
    ・名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf

    23/6/12整備基本計画はバリアフリー以外はまとまっています。
    6年の検討の結果、「史実に忠実な復元」にするには「天守の基礎はケーソン、建物荷重は鉄骨で受け止め、補強金物等の工事と耐震ダンパーを設置。各階にはコンセントが多数あって、天守全域にLAN配線を完備」する方針となりました(千田教授Twitterより)。
    https://twitter.com/yoshi_nara/status/1672878543280431106

    文化庁や学者や市当局が考える「史実に忠実な復元」は上記なのでしょうが、それを市民は23/6/12にようやく知りました。
    素直に受け入れることができるかどうか、という問題提起が水野氏の主張なのでしょう。

    また、千田教授は「そしてバリアフリー化は、移動等に障害がある人に史跡を開くのに必要です。バリアフリー化を欠いた整備計画に落胆している人が水野さんの視野に入っていますか?」と述べています。
    https://twitter.com/yoshi_nara/status/1673674091096690689

    一方、当事者である障害者はどのように述べているのでしょうか。

    たまたま無作為抽出5000人に選ばれた車いす当事者(会場参加者から差別用語を用いて暴言を吐かれた人)は、「寸法がかかれていない。電動車椅子や、全身の麻痺の人のストレッチャーが乗れるか乗れないかの説明がない。パワースーツやVRでは納得できない。排除されていると感じる」と述べています。
    ・名古屋市民オンブズマンによる文字起こし(23/6/7アップ 差別発言を消しています)
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230603-4.pdf

    23/6/13に市役所前で抗議行動を行った団体は、「市?を分断し、差別を助?する名古屋城?造天守復元事業を即時中?すること。」を求めています。
    ・2023年6月13日 名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会
     名古屋城バリアフリー市民討論会における重大な人権侵害の原因究明及び再発防止策検討のための第3者検証委員会設置の申し入れ
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230613.pdf

    日弁連は22/10/24に「車椅子が入れる大型のエレベーターを最上階まで設置しないのは、憲法第13条及び第14条第1項並びに障害者の権利に関する条約第5条第1項及び第2項、さらに、憲法第13条及び第14条第1項の趣旨を具現化した障害者基本法や障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律等に違反する」と名古屋市長宛てに要望書を出しました。
    https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html

    千田教授は「整備基本計画はバリアフリーに配慮しようとしている」と主張しているようですが、当の障害者団体は、「名古屋市が提案している昇降技術は小さすぎてだめ。市?を分断し、差別を助?する名古屋城?造天守復元事業を即時中?すること。」と主張しています。

    名古屋市が「障害者団体に約150回丁寧に説明した」というのを真に受けているのではないでしょうか。
    (「説明した」だけで「納得した」とは一言も言っていない)

    本来は、木造復元事業を進める一番初期に、バリアフリー対策をしっかり検討すべきでした(石垣対策もそうです)。
    しかしながら、名古屋市はバリアフリー対策を「昇降新技術公募」で先送りしましたが、予想通り大型エレベーターはつきませんでした。
    (小型昇降技術で小型車いす+介助者1名が最上階5階まで昇降可能)

    しかもやっかいなのは、すでに木材を約40億円も購入してしまったことです。保管費用に年間約1億円もかかります。

    名古屋市民オンブズマンは、使い道のない土地を自治体が購入し、利子だけがかさんでいくことに対して「塩漬け土地」と呼んで早期解消を求めてきました。
    http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/sioduke/index.htm

    現在の名古屋城木造復元用として木材を購入したのは、いわば「塩漬け木材」ではないでしょうか。
    今後どうしていくのか。市議会だけで議論するのでは無く、少なくとも名古屋市民全員に23/6/12整備基本計画を配布し、さらに23/6/3市民討論会配付資料を配付した上で、市民が納得がいく名古屋城の姿を遅ればせながら議論するしかないと思います。

    ---------
    2023年6月28日 05時05分 (6月28日 05時05分更新) 中日新聞
    社説 名古屋城の復元 「市民の城」でなければ
    https://www.chunichi.co.jp/article/717858

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    今後の予定
    ・23/6/29(木)午前10時30分 総務環境委員会 付議議案審査[総括質疑(スポーツ市民局関係)]
    ・23/6/30(金)午前10時30分 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(観光文化交流局関係)]
            本丸搦手馬出周辺石垣の修復について(観光文化交流局関係)
    名古屋城バリアフリーに関する市民討論会での市民の発言に対する当局の対応について(観光文化交流局関係)
    ・23/7/4(火)午後1時〜 名古屋市会本会議
    ・23/7/4(火)13時半〜 名古屋市公館
     第2回名古屋市障害者施策推進協議会専門部会
     https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2023/kenkofukushi/0000164811.html
    ・23/7/8(土)18時〜 名古屋の歴史って、こんなに面白い
     講師:大塚耕平 氏(国会議員) 会場:札幌かに本家栄店
     会費:9,000円 主催:名古屋の旧町名の復活を目指す有志の会
     http://fukkatu-nagoya.com/index.html
    ・23/7/15(土)14時〜 市政資料館
     「名古屋城の有形文化財登録を求める会」の月例勉強会
     https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
    ・23/7/22(土)日本城郭研究センター(姫路市)
     名古屋城石垣の文献調査と展望 堀内亮介(名古屋城調査研究センター)
     https://www.city.himeji.lg.jp/jyokakuken/0000023938.html
    ・23/9/18(月祝)14時〜 鯱城ホール
     「名古屋城が実現させた、家康の天下取り」 城郭建築の第一人者 三浦正幸氏 講演会
     https://miurakouza2023.peatix.com/event/3588765/
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    23/6/27(火)愛知県「名古屋城バリアフリー討論会での差別発言は遺憾」

    23/6/27(火)愛知県議会県民環境委員会が開催され、高木ひろし県議(あいち民主)の質問に対し、愛知県人権推進課長は「23/6/3に名古屋市主催で行われた名古屋城バリアフリー市民討論会での差別発言に関し詳細は把握していないが、遺憾だと思う」と述べました。
    ・23/6/27 愛知県議会県民環境委員会(人権、名古屋城部分)
     名古屋市民オンブズマンによるメモ
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230627-2.pdf
     
    愛知県は、22/4/1に「愛知県人権尊重の社会づくり条例」を施行しました。
    https://www.pref.aichi.jp/soshiki/jinken/aichi-jinken.html

    高木県議は「去年10月に人権に関する県民意識調査を行い、3月まとまった。差別が減っているという回答は増えたが、ネットでの差別を見たという回答は増えている。また、県条例を知っているという回答は7.4%にとどまった。経年変化から何を汲み取るかが重要だ」と述べました。
    https://www.pref.aichi.jp/soshiki/jinken/jinken-ishiki.html

    また、高木県議は「23/6/3市民討論会で差別発言が出た。名古屋市は愛知県条例を引き合いにして、条例作りをしているという。県としては市民討論会の差別発言をどう受けて止めているのか。」と質問しました。

    愛知県人権推進課長は「これまで人権問題に関し教育、啓発をしてきた。様々な差別について去年4月に県条例を作った。市の差別発言に関し詳細は把握していないが、遺憾だと思う。条例制定から1年。だが周知されていない。」と述べました。

    高木県議は「差別発言を障害者と言いかえても、『我慢せよ、黙っとれ』という発想が差別発言である。しかも発言者を選んだのは名古屋市である。市の期待に応えて本音を言ったのではないか。討論会の設定自体、名古屋市は反省すべきだ。
    県条例は7.4%ぐらいしか知らない。克服するにはただパンフを全世帯に配布しても効果がないのではないか。こういう事象があった際、県条例では、こうなっており、県はこう捉えると宣伝しないと、意義が理解されない。」と述べました。

    愛知県人権推進監は「去年4月に県条例を作った。目的としては、『人権施策を総合的かつ計画的に推進し、もってあらゆる人権に関する課題の解消を図るとともに、全ての人の人権が尊重される社会の実現に寄与すること』としている。」と述べました。

    ----------
    差別を無くすために何をすべきか。
    単に言葉だけでなく、『討論会の設定自体、名古屋市は反省すべきだ。』とする高木県議の言葉は重いです。

    -----------
    なお、愛知県議会は今どき委員会はネット中継していません。
    委員会開始開始30分前までに事務局に氏名と住所を書いて傍聴申し込みをする必要があります。
    傍聴者は名前を書いた名札を胸につけるのが義務です。
    委員会冒頭で、議員間で傍聴者の名前を回覧されます。
    パソコン・スマホ使用不可。録音録画不可。
    各委員会10名定員です。
    委員会で使う資料は、傍聴者には「貸与」され、傍聴後は回収されます。
    陳情が出されていたようですが、委員会資料には無く、「入手するには情報公開請求が必要」とのこと。

    隣の福祉医療委員会傍聴希望者は11名。くじを引いて10名当選しました。
    「コロナ対応が終わったのだから、委員会室の扉を開けろ」など要望を多数していた人がいました。

    -------
    なお、23/6/27(火)10時30分から開催された名古屋市議会総務環境委員会は、冒頭北角嘉幸市議(減税・千種区)が経済水道委員会から移ってきたことについて「委員会開会前にけじめを示すよう求められたが対応がなされていない」ということで紛糾し、11時20分に暫時休憩となり、その後も開会の見通しが立っていません。動きがあり次第書きます。
    →23/6/27(火)午後9時55分頃に「本日の委員会は再開されないことになりました」と画面が変わりました。初日の委員会審議が流会です。

    ・23/6/27(火)名古屋市議会総務環境委員会(前半)
    名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
    http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230627.pdf
    --------
    今後の予定

    ・23/6/28(水)午前10時30分 経済水道委員会 付議議案審査[質疑(観光文化交流局関係)]
    ・23/6/29(木)午前10時30分 総務環境委員会 付議議案審査[総括質疑(スポーツ市民局関係)]
    ・23/6/30(金)午前10時30分 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(観光文化交流局関係)]
            本丸搦手馬出周辺石垣の修復について(観光文化交流局関係)
    ・23/7/4(火)午後1時〜 名古屋市会本会議
    ・23/7/4(火)13時半〜 名古屋市公館
     第2回名古屋市障害者施策推進協議会専門部会
     https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2023/kenkofukushi/0000164811.html
    ・23/7/8(土)18時〜 名古屋の歴史って、こんなに面白い
     講師:大塚耕平 氏(国会議員) 会場:札幌かに本家栄店
     会費:9,000円 主催:名古屋の旧町名の復活を目指す有志の会
     http://fukkatu-nagoya.com/index.html
    ・23/7/15(土)14時〜 市政資料館
     「名古屋城の有形文化財登録を求める会」の月例勉強会
     https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
    ・23/7/22(土)日本城郭研究センター(姫路市)
     名古屋城石垣の文献調査と展望 堀内亮介(名古屋城調査研究センター)
     https://www.city.himeji.lg.jp/jyokakuken/0000023938.html
    ・23/9/18(月祝)14時〜 鯱城ホール
     「名古屋城が実現させた、家康の天下取り」 城郭建築の第一人者 三浦正幸氏 講演会
     https://miurakouza2023.peatix.com/event/3588765/

    23/6/26(月)名古屋城木造復元 自民市議「市民アンケートで5階まで昇降機が47.2%に市長はどう考えるか」に市長答えず

    23/6/26に開催された名古屋市議会本会議で、浅井正仁市議(自民・中川区)は「名古屋城木造復元の昇降に関する市民アンケートでは『5階まで昇降機が47.2%』だったが市長はどう考えるか」と質問しましたが、市長は「熟考している」としか答えませんでした。
    ・23/6/26 名古屋市議会本会議(名古屋城部分)
     名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230626.pdf

    松雄副市長は、名古屋市は22/12/5に昇降新技術公募の最優秀者にMHIエアロスペースプロダクションを選んだにも関わらず、同日市長が定例記者会見で「1階2階まで」と発言したことを受け、市民から昇降設備を付けることに厳しい意見が多数寄せられたとしました。
    https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000158911.html

    松尾副市長は「昇降設備を設置しない、または1階までとの意思が固いことを感じていたため、市長の判断が昇降設備を設置しないという結論だけにはならないよう、市長と何度も意見交換を重ね、様々な方策を模索し、年明けには当局に対して公募で選定した垂直昇降技術を当初は設置せずに復元を進めてから設置する。もしくは公募の最低要求水準である1階まで設置するということで復元計画を取りまとめるよう指示をいたしました。」と認めました。

    浅井市議は「観光文化交流局は終始一貫して最上階を目指すと言っている。誰も1階って言ってない。
    観光文化交流局がまとめた資料には『年末から年始頃、副市長の考えに変化』って書いてある。
    https://twitter.com/masahito_asai/status/1673248461737824256

    市長。あなたは、松雄副市長に昇降機は設置しないことでいいのか指示しましたか。イエスかノーでお答えください。」と述べました。
    河村市長は「質問通告を受けていない」とはぐらかしました。

    浅井市議は「名古屋城木造復元の昇降に関する市民アンケートでは『5階まで昇降機が47.2%』だったが市長はどう考えるか」と質問しましたが、市長は「熟考している」としか答えませんでした。

    また、市長は不規則発言を繰り返しました。

    浅井市議は「5/29に熊本城に行った。震災後にエレベーターが付けられた。担当者からは『至極普通のこと』と言われた。今から建てるの悪いけど、新築だよ。レプリカだよ、木造復元だけど新築だよ。
    熊本城の最上階には車いすの方が2人いた。シルバーカーを押している人もいた。
    担当者は『足の悪いご婦人が小学生の遠足の際、下のベンチにずっと座って上を見ていた。長い年月が経ってようやく最上階、あのときの子ども達と同じ景色を見れたとすごく感謝した』という。
    子どもにそんな寂しい思いをさせてよいのか、という議論が名古屋城で欠けていた。
    市長は今の名古屋城はあたかも偽物かのようにいう。今のコンクリ名古屋城は偽物か?本物に決まっている。6億工事費の内2億も寄付があってできた。
    令和の名古屋城も本物だと思う。だけど市民が決裂して何の議論も無いまま寂しい名古屋城を作ってよいのか。
    名古屋城に健康福祉局の障害担当の方が入ってもらうのが一番いいと思う」と述べました。
    -------------
    河村市長は、議長から当てられてもないのに「大事な事だで発言させろ!」「発言させんとは、どう言う議会だぁ!」などと不規則発言を繰り返しました。

    現在、23/6/3市民討論会についてはスポーツ市民局を中心に検証がなされようとしていますが、昇降新技術選考とその後についても、厳格な検証が必要ではないでしょうか。

    また、21/3/18名古屋市議会経済水道委員会で、「名古屋城天守閣木造復元に係る予算については、文化庁の文化審議会において正式に『木造復元』の許可がされた後に執行すること」という附帯決議が可決されているにも関わらず、木材を約40億円購入したことについても検証が必要です。
    http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210318.pdf

    河村市長には議会が設置する「100条委員会」で十分に発言してもらってはどうでしょうか。
    ・地方自治法100条
    https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000067
    B 第一項後段の規定により出頭又は記録の提出の請求を受けた選挙人その他の関係人が、正当の理由がないのに、議会に出頭せず若しくは記録を提出しないとき又は証言を拒んだときは、六箇月以下の禁錮又は十万円以下の罰金に処する。

    19/6/24大村愛知県知事は「文化審議会に当面かかる予定はないと聞いた。当初から木造化は難しい、無理と聞いている。石垣の調査、計画ができていない。名古屋市も本当のことを言ったらどうか。文化庁から許可が下りていない段階で調達した木材94億円と設計費等々で100億円以上が全損になるおそれがある。市議会には例えば百条委員会をやるなどして事実解明をしっかりやっていただきたい。」と述べています。
    https://www.pref.aichi.jp/koho/kaiken/2019/06.24.html#2

    大村知事発言から4年。いまだに文化審議会にかかっていませんし、石垣の修復方針はできましたが具体的な計画はまだです。木材はすでに約40億円購入済で、その他を合わせると約70億円支出済です。

    --------
    今後の予定

    ・23/6/27(火)午前10時30分 総務環境委員会 付議議案審査[質疑(スポーツ市民局関係)]
      午後1時 愛知県議会県民環境委員会
    ・23/6/28(水)午前10時30分 経済水道委員会 付議議案審査[質疑(観光文化交流局関係)]
      午後1時 愛知県議会県民環境委員会
    ・23/6/29(木)午前10時30分 総務環境委員会 付議議案審査[総括質疑(スポーツ市民局関係)]
    ・23/6/30(金)午前10時30分 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(観光文化交流局関係)]
            本丸搦手馬出周辺石垣の修復について(観光文化交流局関係)
    ・23/7/4(火)午後1時〜 名古屋市会本会議
    ・23/7/4(火)13時半〜 名古屋市公館
     第2回名古屋市障害者施策推進協議会専門部会
     https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2023/kenkofukushi/0000164811.html
    ・23/7/8(土)18時〜 名古屋の歴史って、こんなに面白い
     講師:大塚耕平 氏(国会議員) 会場:札幌かに本家栄店
     会費:9,000円 主催:名古屋の旧町名の復活を目指す有志の会
     http://fukkatu-nagoya.com/index.html
    ・23/7/15(土)14時〜 市政資料館
     「名古屋城の有形文化財登録を求める会」の月例勉強会
     https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
    ・23/7/22(土)日本城郭研究センター(姫路市)
     名古屋城石垣の文献調査と展望 堀内亮介(名古屋城調査研究センター)
     https://www.city.himeji.lg.jp/jyokakuken/0000023938.html
    ・23/9/18(月祝)14時〜 鯱城ホール
     「名古屋城が実現させた、家康の天下取り」 城郭建築の第一人者 三浦正幸氏 講演会
     https://miurakouza2023.peatix.com/event/3588765/
    -------
    ・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
     http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm
    ---------
    2023年6月26日 中日新聞 水野誠志朗の尾張時代の信長をめぐる
    名古屋市が作ろうとしている完全復元ではない木造天守の建築には反対します
    https://plus.chunichi.co.jp/blog/mizuno/article/233/11114/




    23/6/25(日)大塚耕平参議院議員 配布パンフに「名古屋城天守閣の再建推進」とのみ記載

    23/6/25に開催された参議院議員大塚耕平氏第22回「耕話会」で名古屋城木造復元について口頭では触れませんでしたが、配布されたパンフには「名古屋城天守閣の再建推進」と明記されていました。

    なお、大塚氏は「次期参院選には出馬せず、名古屋市長選にチャレンジさせていただきたい」と述べました。
    -------
    2023年6月時点での名古屋市政の最大の問題は「名古屋城木造復元をどうするか」ではないでしょうか。
    その中でも、特にバリアフリーについてどうするかは焦眉の課題です。

    23/6/15名古屋市議会経済水道委員会で、佐治独歩・名古屋市観光文化交流局長は「23/6/3バリアフリー市民討論会の検証が終わるまでは名古屋城木造復元事業を進めない」と明言しました。
    また、荒川主幹は「文化庁の方からは、整備基本計画としては昇降技術をどの階にどの位置に付けることで復元原案と言っておりますけれども、元々どういう姿をしていたかという元々のその天守に与える影響、こういったものがどこまで及ぶのかということをきっちり書いてきなさいという指導を受けております。」と述べています。
    http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230615-5.pdf

    なお、石垣部会の委員も行っている、千田嘉博・奈良大学教授は朝日新聞に木造復元名古屋城とバリアフリーについて意見を投稿しています。

    2023年6月23日 14時00分 朝日新聞 千田嘉博・城郭考古学者
    (千田先生のお城探訪)バリアフリー 文化財だからこそ
    https://digital.asahi.com/articles/ASR6P5R89R6NOXIE02Q.html

    また、バリアフリー以外にも様々な付加設備がつきます。
    千田教授は23/6/25 17:04に以下投稿も行っています。
    https://twitter.com/yoshi_nara/status/1672878543280431106
    名古屋市は今年(2023年)、「特別史跡名古屋城跡天守整備基本計画(案)」を示しました。それによると天守の基礎はケーソン、建物荷重は鉄骨で受け止め、補強金物等の工事と耐震ダンパーを設置。各階にはコンセントが多数あって、天守全域にLAN配線を完備。これが「史実に忠実な復元」の実像。
    参考:『木造天守整備基本計画』第8章
    https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2023/06/14/uploads/4e83c1f2f7891939697bfcadc829eaf5.pdf8-27
    (ア) 電気設備
    ■ 受変電幹線設備
    名古屋城第一変電塔から高圧分岐し、内苑売店東側に受変電設備を設置する。以降、必要箇所に低圧
    にて電力供給する。
    ■ 電灯設備
    分電盤は設置位置や仕上げ面について目立たないように配慮する。要所にコンセントを計画する。照明は
    器具を直接見せない間接照明主体とし、必要に応じてコンセント電源もしくはバッテリー対応の照明器具を計
    画する。外部にスイッチを計画し、夜間などの閉館時は通電しない運用を可能とし、漏電対策を施す。
    ■ 防災照明・誘導灯
    非常照明・誘導灯を設置する。
    ■ 電話・情報設備
    電話用アウトレットは小天守監視室に計画する。情報用(LAN)アウトレットは要所に計画する。
    ■ 放送設備
    非常放送兼用型アンプを小天守地階監視室に計画する。案内放送が大・小天守全体に可能なように要
    所にスピーカーを設置する。日本語・英語・中国語・韓国語対応とする。
    ■ 自動火災報知設備
    消防法に基づき自動火災報知設備を計画する。受信機は開館時間にスタッフが常駐する小天守地階
    監視室に計画する。合わせて、内苑警備室、名古屋城総合事務所に発報が確認できる計画とする。
    感知器については天井に煙感知器を主体に計画する。
    ■ 監視カメラ設備
    混雑状況等の把握や防犯に配慮して要所に監視カメラを設置する。表示モニタは小天守地階監視室、内
    苑警備室、名古屋城総合事務に計画し映像確認可能とする。
    ■ 避雷設備
    JIS A 4201-1992 に準拠して計画する。頂部に突針を設置し、雷保護を行う。接地は既存接地極を利
    用する。

    名古屋市の名古屋城ホームページに、23/6/12に有識者ととりまとめた『木造天守整備基本計画』が掲載されています。(バリアフリーは未定)
    https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/

    木造復元事業に賛成するにせよ、反対するにせよ、少なくとも上記『基本計画』を元に議論してもらいたいです。

    遅くとも2025年4月までには名古屋市長選挙が確実に行われます。
    どなたが市長選挙に立候補するにせよ、名古屋城木造復元に関して方針を明確にする必要があるのではないでしょうか。

    --------
    今後の予定

    ・23/6/26(月)午後 名古屋市会本会議 議案外質問
      浅井正仁議員(自民)[27分]名古屋城天守閣木造復元について
    ・23/6/27(火)午前10時30分 総務環境委員会 付議議案審査[質疑(スポーツ市民局関係)]
      午後1時 愛知県議会県民環境委員会
    ・23/6/28(水)午前10時30分 経済水道委員会 付議議案審査[質疑(観光文化交流局関係)]
      午後1時 愛知県議会県民環境委員会
    ・23/6/29(木)午前10時30分 総務環境委員会 付議議案審査[総括質疑(スポーツ市民局関係)]
    ・23/6/30(金)午前10時30分 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(観光文化交流局関係)]
            本丸搦手馬出周辺石垣の修復について(観光文化交流局関係)
    ・23/7/4(火)午後1時〜 名古屋市会本会議
    ・23/7/4(火)13時半〜 名古屋市公館
     第2回名古屋市障害者施策推進協議会専門部会
     https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2023/kenkofukushi/0000164811.html
    ・23/7/8(土)18時〜 名古屋の歴史って、こんなに面白い
     講師:大塚耕平 氏(国会議員) 会場:札幌かに本家栄店
     会費:9,000円 主催:名古屋の旧町名の復活を目指す有志の会
     http://fukkatu-nagoya.com/index.html
    ・23/7/15(土)14時〜 市政資料館
     「名古屋城の有形文化財登録を求める会」の月例勉強会
     https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
    ・23/9/18(月祝)14時〜 鯱城ホール
     「名古屋城が実現させた、家康の天下取り」 城郭建築の第一人者 三浦正幸氏 講演会
     https://miurakouza2023.peatix.com/event/3588765/
    -------

    23/6/23(金)河村市長「名古屋城『木造復元』と『全員が登れるようにする』は両立しない」

    23/6/23に開催された名古屋市議会本会議で、河村たかし名古屋市長は「『木造復元』と『全員が登れるようにする』は両立しない」と述べました。

    ・23/6/23 名古屋市議会本会議 議案外質問(名古屋城部分)
     名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230623.pdf





    田口一登市議(共産)は23/6/3に市が開催した名古屋城バリアフリー市民討論会について、参加者から車いすの障がい当事者に対して差別用語を使ったり、「どこまで図々しいの」「お前が我慢せよ」と罵倒した件は、「障害者への配慮よりも、本物復元を優先する市長の態度が市民討論会において、市長の考えに同調されている市民の皆さんの感情を高ぶらせ、差別発言を誘発させたのではないか」と指摘しました。

    河村市長は「『わがまま、図々しい、我慢せえ』と。また身体的ハンディキャップへの差別表現を用いつつ、『生まれながらにして不平等があって平等、そんなお金勿体ないと思うけどね』といった一連の発言は、障害者基本法および障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律の理念に反するものでありまして、障害者差別でございます。」と明言しました。

    その上で、河村市長は「木造復元を行うという考え方と、全員が登れるようにするという考え方ですね。これそれぞれの一番極端でもないけど全部突き詰めた姿というのは両立しないんですよこれは、残念ながら」と述べました。
    -----------
    23/6/5市長会見で、「言論の自由も大きいですからね、これ。言論の自由も、表現の自由も大きいですから。」と発言したときよりは、障害者差別だということを認めています。
    ・令和5年6月5日 市長定例記者会見
     https://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000164459.html
     まあ、しかしね、何でもええで平謝りに謝っときゃええというのが一般的に言われますけど。
    しかしながら、名古屋市が2018年5月に発表した『木造天守閣の昇降に関する付加設備の方針』では、「今回、木造復元に伴い、本来の天守閣の内部空間を観覧できるようにする。また、電動か否かによらず、車いすの方が見ることのできる眺望としては、現状1階フロアまでだが、様々な工夫により、可能な限り
    上層階まで昇ることができるよう目指し、現状よりも天守閣のすばらしさや眺望を楽しめることを保証する。」に反しています。
    https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/mokuzoutenshu_fukasetsubi.pdf


    名古屋市は、過去5年間、障害者団体に「丁寧に説明してきた」と話してきました(障害者が納得したかどうかは別)。
    しかしながら、「河村市長が言う『史実に忠実に木造復元』と、『全員が登れるようにする』は両立しない」ということは、当初から障害者団体が主張してきたことですし、世界公募を行った新昇降技術も、柱や梁を切らずに最上階までストレッチャータイプの車いすが登ることは不可能でした。(小さい車いす1台+介助者1名のみ)
    ・23/6/5 特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議(第5回)配付資料
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230605.pdf
     名古屋市民オンブズマンによるメモ
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230605-1.pdf

    日弁連は22/10/24に「車椅子が入れる大型のエレベーターを最上階まで設置しないのは、憲法第13条及び第14条第1項並びに障害者の権利に関する条約第5条第1項及び第2項、さらに、憲法第13条及び第14条第1項の趣旨を具現化した障害者基本法や障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律等に違反する」と名古屋市長宛てに要望書を出しました。
    https://www.nichibenren.or.jp/document/complaint/year/2022/221024.html


    結局、「新技術公募でなんとかなるだろう」とバリアフリー問題を先送りしてきた名古屋市が、公募結果をみても大型車いすではとても昇ることができず、しかも市民討論会での会場からの差別発言で非常に苦しい立場に追い込まれたのではないでしょうか。

    本来、このような市民合意は、計画の当初に行うべきでしたが、それを2018年5月に『付加設備の方針』を発表することで書類上整えたことのツケが今回ってきていると思います。

    さらに問題を複雑にしているのは、現在許認可を持っている文化庁にまだ現天守閣解体・木造復元申請書を提出していないにもかかわらず、すでに木材を約40億円購入済だということです。
    (なお21/3/18名古屋市議会経済水道委員会で、「名古屋城天守閣木造復元に係る予算については、文化庁の文化審議会において正式に『木造復元』の許可がされた後に執行すること」という附帯決議が可決されています)。
    http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210318.pdf


    2016/12/6に名古屋城所長は「プロポーザル条件の中で、『完成期限が遅れる場合、議決が得られない場合、中止することが出来る』とある。」と答弁しました。
    http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/160927-1.pdf

    また、市は何回も答弁で、『市議会は、実施設計や木材購入、現天守閣の取り壊し、新しく作る天守閣の建設などでそれぞれ議会が議決が必要だ。議決がされなければ進まない。その場合、市は損害賠償を竹中工務店に払う必要もない』と答弁しています。
    ・名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf
     
    今後も市議会のやり取りに注目したいです。

    --------
    今後の予定

    ・23/6/26(月)午後 名古屋市会本会議 議案外質問
      浅井正仁議員(自民)[27分]名古屋城天守閣木造復元について
    ・23/6/27(火)午前10時30分 総務環境委員会 付議議案審査[質疑(スポーツ市民局関係)]
      午後1時 愛知県議会県民環境委員会
    ・23/6/28(水)午前10時30分 経済水道委員会 付議議案審査[質疑(観光文化交流局関係)]
      午後1時 愛知県議会県民環境委員会
    ・23/6/29(木)午前10時30分 総務環境委員会 付議議案審査[総括質疑(スポーツ市民局関係)]
    ・23/6/30(金)午前10時30分 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(観光文化交流局関係)]
            本丸搦手馬出周辺石垣の修復について(観光文化交流局関係)
    ・23/7/4(火)午後1時〜 名古屋市会本会議
    ・23/7/4(火)13時半〜 名古屋市公館
     第2回名古屋市障害者施策推進協議会専門部会
     https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2023/kenkofukushi/0000164811.html
    ・23/7/8(土)18時〜 名古屋の歴史って、こんなに面白い
     講師:大塚耕平 氏(国会議員) 会場:札幌かに本家栄店
     会費:9,000円 主催:名古屋の旧町名の復活を目指す有志の会
     http://fukkatu-nagoya.com/index.html
    ・23/7/15(土)14時〜 市政資料館
     「名古屋城の有形文化財登録を求める会」の月例勉強会
     https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle

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    23/6/23 朝日新聞 千田先生のお城探訪
    名古屋城の天守復元議論 バリアフリー 文化財だからこそ
    https://www.asahi.com/rensai/list.html?id=500&iref=pc_rensai_article_breadcrumb_500

    23/6/22(木) 20:00配信 YTV
    「平等とワガママを一緒にするな、我慢しろ」名古屋城エレベーター撤去問題の討論会で飛び交った車いす利用者への差別発言、河村市長は「熱いトーク良かった」と話し後日陳謝

    名古屋城バリアフリー問題 今後の市議会の議論に注目

    2023年6月19日に開会した名古屋市会令和5年6月定例会ですが、議案外質問通告者一覧や、委員会の予定が公開されました。
    http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230621.pdf
    https://www.city.nagoya.jp/shikai/category/324-3-0-0-0-0-0-0-0-0.html


    2023年6月3日に開催された名古屋城バリアフリー市民討論会で差別的発言が出た件に関し、なぜ討論会を行ったのか、また再発防止策などが討論される予定です。
    ぜひ傍聴ください。
    本会議・委員会ともにネットで中継されています。
    https://nagoya.gijiroku.com/index.asp

    議案外質問通告者一覧(名古屋城関係分)
    ・田口一登君(共産)
     1 名古屋城バリアフリーに関する市民討論会での
      差別発言に対する市長の認識について(スポーツ市民局、健康福祉局、観光文化交流局)
    ・浅井正仁君(自民)
     1 名古屋城天守閣木造復元について、

    ---------------
    名古屋市民オンブズマンは、2015年6月頃から、名古屋城木造復元事業に関して注目し続けてきました。
    建設費だけで505億円にも及ぶ大プロジェクト。市民への説明、市民合意、そもそも法的に建設可能なのかどうか。
    8年間にわたる議論でも、未だに問題が解決していない部分が多数あります。

    特に問題だと思うのは、方針を決める有識者会議の委員が、他の有識者会議の議論や市議会での議論を、ほとんど市当局から聞いていないということです。
    当該分野の情報しか市当局からもらえず、全体状況が全くわからないまま、判断を強いられています。

    名古屋市民オンブズマンは、市議会の傍聴をはじめ、各種有識者会議も傍聴し、市民説明会も毎回出席して即日レポートを書いています。
    情報公開請求も行い、独自の資料も多数入手しています。(本文だけで100万字を超えています)
    貴重な情報源なのか、今では議員や有識者、市職員やマスコミ関係者も、当ホームページ・ブログを参考にしていただいているようです。
    https://ombuds.exblog.jp/i33/
    http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/

    大変ありがたいことに、カンパもいただいております。
    資料を掲載するホームページ維持費(月11,440円)文字起こしアプリ代(月980円)、コピー代、交通費など、様々な費用がかかります。
    名古屋市民オンブズマンは、会費とカンパのみで運営しております。
    ぜひともご協力をお願いいたします。
    《郵便振替口座》口座番号 00870−9−105687
     加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
    《ゆうちょ銀行》当座:〇八九店 105687
     加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
    http://www.ombnagoya.gr.jp/kannpa.htm
     
    --------
    今後の予定

    ・23/6/22(木)23(金)26(月)午前10時〜 名古屋市会本会議
    ・23/6/27(火)午前10時30分 総務環境委員会 付議議案審査[質疑(スポーツ市民局関係)]
      午後1時 愛知県議会県民環境委員会
    ・23/6/28(水)午前10時30分 経済水道委員会 付議議案審査[質疑(観光文化交流局関係)]
      午後1時 愛知県議会県民環境委員会
    ・23/6/29(木)午前10時30分 総務環境委員会 付議議案審査[総括質疑(スポーツ市民局関係)]
    ・23/6/30(金)午前10時30分 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(観光文化交流局関係)]
            本丸搦手馬出周辺石垣の修復について(観光文化交流局関係)
    ・23/7/4(火)午後1時〜 名古屋市会本会議
    ・23/7/4(火)13時半〜 名古屋市公館
     第2回名古屋市障害者施策推進協議会専門部会
     https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2023/kenkofukushi/0000164811.html
    ・23/7/8(土)18時〜 名古屋の歴史って、こんなに面白い
     講師:大塚耕平 氏(国会議員) 会場:札幌かに本家栄店
     会費:9,000円 主催:名古屋の旧町名の復活を目指す有志の会
     http://fukkatu-nagoya.com/index.html
    ・23/7/15(土)14時〜 市政資料館
     「名古屋城の有形文化財登録を求める会」の月例勉強会
     https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle

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    2023.6.21 mi-mollet
    私たちの人権は「わがまま」ではない。耳が痛いアドバイスを聞き入れ「人権のレンズ」で物事を見る【藤田早苗さん】
    https://mi-mollet.com/articles/-/42942?per_page=1


    23/6/19(月)河村市長 市議会本会議冒頭で6/3名古屋城バリアフリー討論会に関して陳謝も、第三者委員会設置と明言せず

    23/6/19名古屋市議会本会議冒頭で、河村市長は23/6/3名古屋城バリアフリー討論会に関して「不快な思いを抱かせることになったと思います。この場をお借りしまして改めてお詫びを申し上げます。」と述べました。
    「市民討論会の市側の対応についてしっかりと検証を行い、再発防止に向けて全力で取り組んでまいります。」とは述べましたが、第三者委員会を設置するとは明言しませんでした。


    ・23/6/19 名古屋市議会本会議(名古屋城部分)
     名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
     http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230619-1.pdf
     
    なお、議長から金城ゆたか市議(減税・瑞穂区)を総務環境委員から経済水道委員に、北角嘉幸市議(減税・千種区)を経済水道委員から総務環境委員に変更したと報告がありました。

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    23/6/19 13時過ぎに、市会事務局 議事課 委員会係に「現在の経済水道委員長はだれか」と問い合わせたところ、「23/6/15に田山委員長の不信任動議が可決されたが、現在の委員長は田山宏之市議(減税・北区)。次の委員会で、委員長がどうなるか話し合われる可能性がある」とのこと。
     
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    今後の予定

    ・23/6/22(木)23(金)26(月) 名古屋市会本会議
    ・23/6/27(火)28(水)29(木)30(金)7/3 常任委員会
    ・23/7/4(火)名古屋市会本会議
    ・23/7/4(火)13時半〜 名古屋市公館
     第2回名古屋市障害者施策推進協議会専門部会
     https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2023/kenkofukushi/0000164811.html
    ・23/7/8(土)18時〜 名古屋の歴史って、こんなに面白い
     講師:大塚耕平 氏(国会議員) 会場:札幌かに本家栄店
     会費:9,000円 主催:名古屋の旧町名の復活を目指す有志の会
     http://fukkatu-nagoya.com/index.html
    ・23/7/15(土)14時〜 市政資料館
     「名古屋城の有形文化財登録を求める会」の月例勉強会
     https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
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    23/6/16(金)名古屋市障害者施策推進協議会有識者「バリアフリーを市民に決めさせるのが問題だ」

    23/6/16(金)に名古屋市障害者施策推進協議会が開催され、23/6/3名古屋城バリアフリー討論会についてほとんどの時間を費やして討論しました。
    斎藤縣三委員は「名古屋城をめぐる5年間の矛盾が差別発言を生んだ」と発言しました。
    樋口恵一・大同大学准教授は「バリアフリーは市民が決めることか?結果を押し付けるアプローチとしかみえない。と述べました。
    瀧誠・愛知淑徳大学教授は「バリアフリーを市民に決めさせるのが問題だ。協議会として意見書を作成して市に提出する予定」としました。
    上田剛・名古屋城総合事務所所長は、各委員に平謝りしたうえで、「河村たかし名古屋市長の言動に関して各委員から指摘があった。私から申し上げにくいが、市長の日ごろからの言動に対して『忸怩たる思い』がある」と心情を吐露しました。



    ・23/6/16(金)第1回名古屋市障害者施策推進協議会 配付資料
    ・名古屋市民オンブズマンによるメモ
    ・名古屋市障害のある人もない人も共に生きるための障害者差別解消推進条例 ガイドブック
    ・障害を理由とする差別の解消の推進に関する名古屋市職員対応要領

    名古屋市健康福祉局障害福祉部障害企画課は、@障害者差別解消推進条例の改正について A次期障害者基本計画及び障害福祉計画・障害児福祉計画の策定について B読書バリアフリー推進計画の策定について を議題に挙げていましたが、23/6/3名古屋城バリアフリー討論会の差別発言を受けて、急遽議題のはじめに入れ、2時間40分を使って議論しました。

    まず、平松健康福祉局長からおわびがありました。
    瀧誠・愛知淑徳大学教授は、「大変なことが起きた。障害者差別解消条例、障害者基本計画は、事案を受けて当然加筆修正が必要」と述べました。

    続いて、上田所長、小鹿主幹が頭をさげて深くお詫びしました。

    牛田正美・愛知県難病団体連合会事務局長は、「名古屋市のバリアフリーの対応部署はどこか。以前、障害担当部署は『名古屋城問題は別』と述べた。それが背景にあったと思う。ワークショップはよくするが、『人の話を遮らない、否定しない』と事前にルールとして示して開催努力している。またマスコミの人が多くみえる。できるだけ名古屋市と障害者が対立構図にならないようにしてもらいたい」と述べました。

    橋井正喜・名古屋市身体障害者福祉連合会会長は、「アンケートに『現代の装置である電気をつけたり、史実にない階段をつけることを書いてと事前に要望したが書いてない。また、討論会に参加する人に、1億円ほどかけて作った木造階段を体験させてほしいと事前に要望したがやらなかった。私は目は悪いが足は達者。しかしあれを5階は大変だ。市長自らが差別を許した。差別ではなく『人権無視』だ。即刻第三者委員会なりしっかりしないと解決しない」と述べました。

    斎藤縣三・わっぱの会理事長は「名古屋市主催で前代未聞の出来事が起こったと誰もが思う。市長が同席し『活発な議論であった』と発言した市長は差別主義者そのもの。差別発言は偶然起きたのか?そうではなく、5年前からずっと引きずってきた。2018年5月に『付加設備の方針』を発表し、エレベーターをつけないと決めた。
    その中には『現状よりも天守閣のすばらしさや眺望を楽しめることを保証する』とあり、1階でどうのこうのではない。
    一方、市長は『1階で映像を見るを含める』や、『本物を見ることがバリアフリー』『合理的配慮は1階まで』と発言した。
    障がい者基本計画が5年前にできた際、『名古屋城も表現して』と申し上げたが、1行も乗らなかった。市の担当者が『市長が認めてくれない』といい、しかたないと思ったが甘かった。5年間の矛盾が差別発言を生んだ。
    今回『もう一度市民から意見を求める』と後戻りしたのは、市長が『本物復元』応援者の発言を引き出したいからであって、結果が差別発言だ。意見の対立を乗り越えてバリアフリーの公共空間を作ることが大切だ」と述べました。

    瀧教授は「討論会にどういう意義があったか」と質問し、上田所長は「昇降技術の設置に関し、市の方針の参考にしたかった。当初の目的かどうか疑問が残る。健康福祉局、人権担当部署で、討論会そのものの検証も進める予定。初期の目的に沿ったものか 検証したい。会議の内容というより会議の検証だ」としました。

    入谷忠宏・愛知県重度障害者団体連絡協議会事務局長は、「市民討論会はやるべきものだったのか。だれも障害ある人がいなかった場合、エレベーター、バリアフリーが話題に出なかったらどういうふうに進めるつもりだったのか。あいまいなことばっかで行き違いを感じる」と述べました。

    高嶋みえ・愛知県重度心身障害児(者)を守る会会長は「あさいちのニュースを食事しているときに見た。誰も助けてあげないのか。差別発言は言葉にならないよりあきれた。車いす 1人だけの出席だったら集中攻撃されることは分かり切っている。障がい者団体のだれかが出席すれば止められた。『差別発言ですよ、やめて』と強制退室してもいい」とのべました。

    斎藤理事長は「車いすのさいとうまこと名古屋市議が議会にはじめて登壇した際、『1500万円もかかっている』差別ヤジがでた。22年前のことと全く同じ。『再発防止には市長を変えるしかない』」と述べました。

    新井美千代・名古屋市視覚障害者協会副会長は、「地下鉄職員が『大変ですね』と優しい声かけの後、『一緒に出掛ける家族はいませんか』といわれたのを忘れられない。点字ブロックをつかって地下鉄に乗っていたが、いつのまにか点字ブロックが外されていて、問い合わせたら『国のガイドラインに合致している』と言われた。国土交通省は『心のバリアフリー』と言っている」とのべました。

    樋口恵一・大同大学准教授は「そもそも市民討論会やるべきことか?バリアフリーは市民が決めることか?結果を押し付けるアプローチとしかみえない。『部署が違うから、所管が違うから』心のバリアフリーは広がっていかない。」と述べました。

    鍛冶智子・金城学院大学准教授は「無作為抽出をしたが、障害のある意見や多様な意見が形になっているのか。設計の時点で障害のある人を排除する構造では」と述べました。

    高森裕司弁護士は「もともとは市がエレベータ―のある公共施設に対し、壊して再建する際、『エレベータ―がない施設を作る』のは差別と言っている。『不特定多数来て』に障害者は含まれないが、何年も市長は繰り返してきた。
     @はっきり市から「エレベータ―設置前提」と市民に発信するのが前提
     Aどうして方針が変わったのか。「障害者から言われたから」では差別偏見が残る。
     B今日の会議を受け、協議会として発信すべき」と述べました。

    手嶋雅史・椙山女学園大学教授は「無作為抽出は『くじ引き民主主義』『討論民主主義』として一部の行政で会議を数多く開催され始めている。メリットは議論が活発になるが、デメリットとして、進行が不適切、止められない状況がある。すべての個人が尊重され、適切かどうかも検証を」と述べました。

    瀧教授は「情報公開が悪い。私たちもマスコミで知るが、はっきりわからない。民間団体のホームページで探して情報を得る。市の検討プロセスの情報公開を積極的にしてもらいたい。バリアフリーを市民に決めさせるのが問題だ。今回の議論を踏まえて意見書をだしたい。」と述べました。

    上田所長は「市長の言動に関して各委員から指摘があった。私から申し上げにくいが、市長の日ごろからの言動に対して『忸怩たる思い』がある。ご指摘は次の名古屋城の事業の糧になるように」と心情を吐露しました。

    平松健康福祉局長は「6/3当日は市長、副市長、局長2人、部長複数人がいたが、差別の認識がない中終わった。『バリアフリーは市民が決めるものなのか』と感じている。関係の方々にしっかり伝えたい」と述べました。

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    今後の予定
    ・23/6/19-7/5 名古屋市会6月定例会

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    23/6/15(木)市局長「名古屋城木造復元事業は、6/3市民討論会検証が終わるまで進めない」明言

    23/6/15(木)に開催された名古屋市議会経済水道委員会で、佐治独歩・名古屋市観光文化交流局長は「23/6/3に開催された名古屋城バリアフリー市民討論会をめぐる事件について、一連の検証が終わるまで名古屋城木造復元事業を進めない」と明言しました。
    直後に、北角嘉幸市議(減税・千種区)は「いつまでに検証委員会を終えるつもりか。1年間延びると、どれくらい費用がかかるか」と市に質問し、他市議から
    「『検証委員会を早く終わらせろ、傷ついた人よりお金・材木が大切』と聞こえる」と紛糾し、収拾できなかった田山宏之委員長(減税・北区)の解任動議が可決されました。

    23/6/15(木)名古屋市議会経済水道委員会 配付資料
    http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/230615-3.pdf
    23/6/15 名古屋市議会経済水道委員会
    名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
    名古屋市民オンブズマンによるメモ(前半)

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    浅井正仁市議(自民・中川区)は、「6/3市民討論会の内容は局として人権侵害、障害者差別に当たるのか」と質問し、佐治局長は「発言は人権侵害、障害者差別に当たる。6月7日だったと記憶しているが、発言を受けた人の所属している団体を訪問した。しかし体調不良で会えなかった。本人宛に文書で気持ちを伝えた」としました。

    浅井市議は「これまで何回も市民説明会を行ってきて、一般の人どうぞというときには、ここまで酷い対立は出なかった。なぜ抽出でこんな発言がでたのか」と質問し、佐治局長は「発言の原因は分析できていない」と述べました。

    浅井市議は「たまたま障害者の方1人が参加した。もし障害者がいなかったら声は説明ではひょっとしたら聞けなかった。これが公平か?」と質問し、佐治局長は「広い意味での縮図。何度も障害者とは直接対話してきた」とのべましたが、浅井市議は「それなら市民討論会やらなくてよい。アンケートは47%5階までだった」と述べました。

    浅井市議は「なぜ『1階までは昇降機を付けます』と言わなかったのか。印象操作したかったのかも。8月の復元検討委員会に間に合わすためか。また順番を飛ばすわけか。検証委員会の人選は、名古屋市に関係ない人を、スポーツ市民局に仕切ってもらって選んで欲しい。」とのべました。

    さわだ晃一市議(公明・西区)はスポーツ市民局が中心となって検証を終えるまで、バリアフリーは進むべきではないと思うが」と質問し、佐治局長は「一連の事件の検証が終わるまでは事業は前に進めないと思っている」と述べました。

    さわだ市議は「分断を招いた要因の一つとして、情報公開が足らなかったのでは」と述べ、上田剛・名古屋城総合事務所所長は「バリアフリー検討会議の議事録や次第等はホームページで公表している。十分ではなかった」と述べました。

    さわだ市議は「仮に事務局の積み上げを吹っ飛ばすような政治的判断があった場合、変えないといけない状況があるのか」と質問し、佐治局長は「大変難しい質問」と答えました。
    さわだ市議は「名古屋城木造復元の分断を招いた要因である市長は手を引いて頂きたい。障害者団体から『市長もそう思っているんでしょう』と言われた」と述べました。

    浅井市議は「市民の声で『差別発言で、名古屋がどんなところか知った。大勢で一人をつるし上げて恥ずかしくないのか』名古屋市民はそう思われている。本当は人権と差別の話。傷ついた人の心を置き去りにしない」と述べました。

    また、浅井市議は「率直に聞くが、新技術で5階まで行けるのか」と質問しましたが、荒川主幹は「課題、建屋との取り合いの問題があり、明確には回答できない」と述べました。
    浅井市議は「それが決まってから提案して欲しい。そもそも1階までなら新技術を公募する必要なかった」と述べました。

    荒川主幹は「文化庁から『昇降技術をどの階、どこに付けるか』を復元原案に書いてきなさいと指導を受けている。復元基準には、バリアフリーについては書いていない。有識者からは、柱・梁を傷つけなければ復元と見なせると言われている」と述べました。

    北角嘉幸市議(減税・千種区)は「1年間延びると、どれくらい費用がかかるか」と質問し、佐治局長「1年遅れると、木材保管費1億円かかる」とのべました。
    北角市議は「できるだけ速やかに検証委員会を立ち上げてほしい」と述べました。

    それに対し、浅井市議は「検証委員会を早くしろ、傷ついた人より材木が大切と聞こえた」さわだ市議は「お金の方が優先と完全に聞こえた」とし、田山委員長は発言を収拾できず、さわだ市議が委員長不信任案を提出し、賛成多数で可決されました。

    16:54から暫時休憩に入りましたが、20:40に「本日の委員会は再開されないことになりました」と表示が出ました。今後の委員会は不明です。

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    時系列をまとめました。

    2022年12月 昇降新技術選定 その後、過半数が「昇降機反対」の声が市に寄せられる
    2023年1月21日 名古屋市 2022年度唯一の市民向け説明会
    3月20日ごろ「落としどころは1階まで昇降機」市で決定
    4月 アンケート発送+市民討論会参加者募集
    5月 アンケート結果判明 「最上階まで昇降機」が47.2%
    6月3日 市民討論会

    4月にアンケート発送と同時に、6/3市民討論会への申込書も送っています。
    当然ですが、市当局は発送時には結果は分かっていません。
    推測ですが、市はこれまで直接寄せられた声の過半数が「昇降機反対」だったので、5000人アンケート結果も同様ではないかと思ったのではないか。

    5000人アンケートならびに市民討論会の存在は、一般市民にも報道にも当初知らせていませんでした。
    市の思うアンケート結果が出ていれば「市民の意見を尊重する」と大々的に言いたかったのだと思います。
    しかしアンケート結果は当初想定とは逆で「5階まで昇降機」が47.2%。
    しかも市民討論会とアンケートの存在をマスコミに感づかれ、市は報道に公開するとともに、ネット中継せざるを得ませんでした。
    6/3当日参加者は37名。当日ネット中継を見ていた人は10名程度。市としては、中身はともかく「盛り上がった」雰囲気を作ればいい。参加者のアンケート(36)中、よかったと思うが26でした。

    市当局が、車いす参加者を想定していたのかは分かりません。
    河村市長は「熱いトークがあってよかった」と満足そうでしたが、市当局の想定外だったのは、車いすの障がい当事者に対する面と向かっての差別発言が会場から出たこと。差別発言について、朝日新聞、めざまし8,NEWSDIGが相次いで報道し、市議会も「差別発言は許さない」と動いたことです。

    市議からの「情報公開が足りない」指摘はその通りです。毎年複数日行っていた、会場から質問が出る市民説明会を2022年度には1回しか行いませんでした。
    ・2023年 01月 23日 市民オンブズマン事務局日誌
     名古屋城説明会1回のみ 河村市長「わざわざ少なくした認識はない」 切腹発言「スケジュールがうまくいかなかったらとは言っとらんと思う」

    「市民の宝」を作るにもかかわらず、市民の意見をまともに聞こうとしない名古屋市。
    「エレベーター・昇降機つけろ」という市民だけで無く、「昇降機も電気も水道も付けるな」という市民に対してもきちんと説明してこなかったツケが現在回ってきています。

    特に、「4階-5階への昇降機設置案CGと配置図」「小天守を囲む外部鉄骨スロープ」については、ほとんどの市民が知らないため、ぜひ周知してもらいたいです。

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    今後の予定
    ・23/6/16(金)13時半〜 第1回名古屋市障害者施策推進協議会 名古屋市公館
    ・23/6/19-7/5 名古屋市会6月定例会

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    23/6/15(木)名古屋市議「名古屋城差別発言に対し、トップが直ちに発言を非難すべき」

    23/6/15に名古屋市議会財政福祉委員会が開催され、23/6/3に開催された名古屋城バリアフリー討論会で会場から出た障害者差別発言に関して議論になりました。
    ・23/6/15 名古屋市議会財政福祉委員会 配付資料
    ・名古屋市民オンブズマンによるメモ
    ・名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

    岩本たかひろ市議(自民・緑区)は、「23/6/3名古屋城バリアフリー討論会の会場となった、中区役所6階会議室には、バリアフリー用のトイレはあったのか」と質問し、市は「なかった。配慮が足りなかった」としました。

    岩本市議は「なにが障害者差別に当てはまるのか」と質問し、障害福祉部長は「わがまま、ずうずうしい、がまんせえ、そんな金はもったいないと、身体的なハンディキャップを持つ人をさす差別表現」と述べました。

    また、市は「観光文化交流局から23/5/12に情報提供があり、『市民アンケートを既に実施した。6/3に討論会がある』と言われた。進行上の課題は指摘しなかった。
    担当主幹が6/3に傍聴していたが、結果として発言の制止、事後のフォローはできなかった。大変反省している」としました。

    岩本市議は「20000人アンケートの際は、アンケートの中身も委員会で議論し、4月には3回所管事務調査を行った。市民討論会には違和感を感じる。
    なぜアンケート取ったにもかかわらず討論会を行ったのか。結果的に市民を分断し、悲しませた。討論会自体が不適切だった」と述べました。

    健康福祉局長は「討論会全体が不適切かといわれたら、さすがに全体が不適切とは申し上げられないが、結果的として討論会が不適切な状況になった」と述べました。
    障害福祉部長は「6/16に開催する名古屋市障害者施策推進協議会でご意見伺いたい」と述べました。

    また、本件で6/5-6/12に市に寄せられた電話、FAX、市民の声は92件とのこと。

    伊神邦彦市議(自民・千種区)は「23/6/24の新聞見出しに『市長ドタキャンため息』とあり、『私が出席するつもりだったが、健康福祉局から“私たちが出席するのでご遠慮を”と言われた』とあるが本当か?」と質問しました。
    局長は「『私どもで出席する』は事実。当日障害福祉部長に要望書を提出するとのことなので、私どもで対応した」と述べました。

    伊神市議は「朝日新聞に『行政のトップは直ちに非難を』とあったが、市長は発言者を非難したか」と質問し、局長は「把握していない」と述べました。
    伊神市議は「トップが強いメッセージを出すべきだ」とのべ、局長は「6/16に開催する名古屋市障害者施策推進協議会でご意見伺いたい」と述べました。
    伊神市議は「市長が言えないなら、健康福祉局がお詫びすべき」と述べました。

    ---------------
    なお、愛知県障害者(児)の生活と権利を守る連絡協議会(愛障協)は23/6/15(木)午後に河村たかし名古屋市長あてに「市民討論会における障害者の尊厳を傷つける発言事案について事案検証・再発防止策を策定する第3者委員会の設置をもとめる」を提出しています。
    要 求 事 項
    1.障害当事者を委員に含めた、第3者委員会を早急に設置し、各参加者および市長と当局関係者からヒアリングを実施、各法への抵触の有無を含めて原因究明と再発防止策を求める。
    2.市長および市当局に「広報なごや7月号」での経過報告および第3者委員会設置の掲載を求める。
    3.差別事案を示し、「差別はあってはならない」と市民に障害者理解を促進する具体策をおこなうこと。
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    今後の予定
    ・23/6/15(木)15時半〜 名古屋市議会経済水道委員会
     名古屋城バリアフリーに関する市民討論会での市民の発言に対する当局の対応について(観光文化交流局関係)
    ・23/6/16(金)13時半〜 第1回名古屋市障害者施策推進協議会 名古屋市公館
    ・23/6/19-7/5 名古屋市会6月定例会

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    ☆カンパ大募集☆
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    23/6/14(水)名古屋市議「23/6/3名古屋城バリアフリー市民討論会は、『市長が参加したため公平性が担保されなかった』が委員会の総論」

    23/6/14に名古屋市議会総務環境委員会が開催され、ふじた和秀市議(自民・瑞穂区)は「23/6/3に市が主催した名古屋城バリアフリー市民討論会は、『市長が参加したため公平性が担保されなかった』が当委員会の総論だ」と述べました。


    ・23/6/14 名古屋市議会総務環境委員会配布資料
    ・名古屋市民オンブズマンによるメモ
    ・名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

    ふじた市議は「愛知県は『愛知県人権尊重の社会づくり条例』を持っているが、名古屋市は」と聞かれ、「条例制定も選択肢の一つ。会議の際のマニュアルを作ってこなかった。他自治体を参考にし、全庁的に再発防止に努める」としました。
    ・愛知県人権尊重の社会づくり条例

    ふじた市議は「そもそも『名古屋城のバリアフリー市民討論会』なのに、バリアフリー討論では無く、エレベーターをつけるかつけないかを議論している時点で間違っている。
    参加した車いすの障害当事者に話を聞いたところ、当日になって質問アンケート求められた。また『あなたにあてますよ』という事前の説明は一切無かった。会の進め方も説明なかった。
    この人の『この会はアリバイづくりだ』発言だけ『名古屋市さんお答え下さい』とあるのが引っかかった。
    2名の差別的発言後、会場の1/3くらいから拍手がわいた。
    『47%が5階まで昇降機』という結果は最後に発表したが、潜在的な刷り込み無しにしたかったからか。もっと配慮した討論会をやらないといけない。
    当日参加後、誰からも声をかけられなかった。『各局で判断』では人権擁護につながらないと思う」と述べました。

    また、ふじた市議は「司会を発注した業者は、建物建設のために契約した設計事務所の委託先。随契で出されている。ファシリテーターとしてふさわしかったのかどうか。
    さらに、自民党総会で、『討論会開催前に、1階が落としどころと示されていた』と関係局長が述べた。討論会する必要が無い。市は人権侵害者にいまだに直接謝罪していない。
    昇降機が付こうがつかまいが、木造になろうがなるまいが、名古屋城が『差別の象徴』になる。
    落としどころが検討されていた中で、6/3に討論会、6/12に全体整備検討会議、6/15に経済水道委員会をうけて、文化庁に提出する流れが決まっていた中で、人権侵害された」と述べました。

    横井利明市議(自民・南区)は「今回差別発言を受けた本人に聞き取りをした。
    『参加出来る確率は466分の1と天文学的数字。当初は前向きに捉えていたが、誰も擁護してくれない、市の職員も守ってくれない。36対1だった。アウェーだった。辛かった。僕ははめられた』
    名古屋市民としてはずかしい。市の対応は人権侵害に当たるのか」と述べました。
    市は「人権侵害に当たるのかは答えしずらいが不適切だった」と述べました。

    横井市議は「市職員に人権教育すればなくなるのか?そういう場面で制止しないといけないのは知っている。なぜできなかったのか。そこが問題。
    6/12に全体整備検討会議、6/15に経済水道委員会をうけて7月に文化庁提出、8月に文化審議会でOKをもらうことを最優先にしたがために、人権がないがしろにされたのではないか。参加者が名古屋市の意向に沿った発言をしたから、止められなかったのでは」と述べました。

    ふじた市議は「再度動画を見たら、あのムードであの発言があったのは突発的では無く、私の目では必然だ。
    河村市長はエレベーターはいらないと公言しており、『100年先、1000年先に国宝、世界遺産にする。エレベーターつけたら史実に忠実ではない』と繰り返していた。
    ディベートだとしても、昇降機討論会に主催者としてその場にいて、市長はずっとやり取りを聞いていた。車いす1人で『36対1と思った』。
    市民の本音を聞きたいのなら、市長は出席せず、職員は最小限にし、名前や住所を公開せず きちんと賛否の半々を集めてすべき。
    市長がいる場で反対意見を言うプレッシャーがある。市長の前では公平な討論会になり得ない」と述べました。

    その上で、委員間討論を行い、市長があいさつ・出席しない方がよかったと、うかい春美(民主・中村区)、近藤和博(公明・緑区)、うえぞの晋介(民主・西区)、中川あつし(減税・中川区)市議から意見が出ました。

    最後に、ふじた市議は「6/3終了後アンケートをとり、全体を通して36回収した。 
     よかったと思う 26
     よくなかった 4
     どちらでもない 4
     不明 2
    あれがよかったのかショックを受けた。市長がああいうくくり方をすればそうなるかも。
    差別発言だった、心ない発言といっていれば、 アンケート結果変わっていたと思う。アンケート結果は無効だ」と述べました。

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    ・5000人アンケート送付資料
    ・23/6/3「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」 
     名古屋市民オンブズマンによる文字起こし(差別発言を消しています)

    ---------
    OECDで示された「ミニ・パブリックス」活用ガイドラインでは、
    11項目示されています。
    @目的
    Aアカウンタビリティ
    B透明性
    C参加の包括性
    D代表制
    E情報
    Fグループ討論
    G時間
    H高潔さ
    Iプライバシー
    J評価

    今考えると、「はじめから落としどころが決まっており」「市の意見を変えるつもりが無く」「市が主催し」「審議プロセスを公開せず」「一般市民の縮図でもなく」「専門知識にアクセス出来ず」「グループ討論も無く」「時間も無く」「参加者を保護することもない」今回の市民討論会は、評価すべき点が全くなく「アリバイづくり」と言われても仕方がありません。

    今後、第三者委員会での検証を望みます。

    --------------
    なお、地方自治法に詳しい弁護士から「名古屋城は『公の施設』にあたり、地方自治法244条3項で『普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。』となっている」と指摘がありました。
    (公の施設のあり方に関する報告書(名古屋市公の施設のあり方研究会)では、名古屋城は『産業振興施設』に位置づけられています)

    地方自治法(公の施設)
    第二百四十四条 普通地方公共団体は、住民の福祉を増進する目的をもつてその利用に供するための施設(これを公の施設という。)を設けるものとする。
    2 普通地方公共団体(次条第三項に規定する指定管理者を含む。次項において同じ。)は、正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない。
    3 普通地方公共団体は、住民が公の施設を利用することについて、不当な差別的取扱いをしてはならない。

    ----------
    今後の予定
    ・23/6/15(木)9時半〜 名古屋市議会財政福祉委員会
     障害者差別に関係する法令等の基本的な考え方について(健康福祉局関係)
     23/6/15(木)15時半〜 名古屋市議会経済水道委員会
     名古屋城バリアフリーに関する市民討論会での市民の発言に対する当局の対応について(観光文化交流局関係)
    ・23/6/19-7/5 名古屋市会6月定例会

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    23/6/13(火)木造名古屋城 差別は許さない!市役所前緊急抗議集会に150人超 河村市長は現れず

    名古屋城木造天守にEV設置を実現する実行委員会は、23/6/13(火)10時-12時に名古屋市役所前で「差別は許さない!名古屋市役所前緊急抗議集会」を開催し、障害者ら150人超が集まりました。
    なお、「6/13(火)11時半に河村たかし名古屋市長が集会に参加する」と6/12に市から実行委員会に連絡があったにもかかわらず、6/13(火)10時半になって「市長は『手違い』で来れなくなった」と連絡がありました。


    ・2023年6月13日 名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会
     名古屋城バリアフリー市民討論会における重大な人権侵害の原因究明及び再発防止策検討のための第3者検証委員会設置の申し入れ
    ・チラシ
     
    名古屋市が主催して23/6/3に開催した「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」で、車いすの障がい当事者に対して参加者から面と向かっての差別用語を使った差別発言、ならびに罵倒がありました。
    しかも市はその場で何らの対応をしなかっただけでなく、河村市長は直後に「熱いトークがあってよかった」と述べました。

    ・名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所
     「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」について(お詫び)
    ・23/6/3「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」 
     名古屋市民オンブズマンによる文字起こし(差別用語を消しています)

    斎藤縣三・共同代表は「怒りを持ってこの場にやってきた。市民討論会はいったいなんだったのか。勝手なアンケート、市民討論会、全く理解できなかった。
    開いた結果はなんだったのか。確実に『仕組まれた差別集会』だ。
    河村市長はこのような市民の発言を引き出すためにやった。前代未聞の酷い話だ。恥ずべきこと。怒りを名古屋市長にぶつけたい」と述べました。
    また、斎藤共同代表は、当初は「11時半に市長がこの場に来る」と明言しました。


    続いて、辻直哉事務局長が「こういう集会は5年前もやった。今度は仲間が差別にあうというとんでもないことが起きた。
    私はいろんな名古屋市・愛知県・国の会議にでているが、一人の人を差別用語で攻撃する会議は聞いたことがない。
    市長をはじめ市役所職員は誰も止めようとしなかった。しかも市長は『熱いトークがあってよかった』と述べた。明らかにバカにしているとしか思えない。」と述べました。
    その後、23/6/3の実際の会場の音声を流しました。
    辻事務局長は「『死にたい』とまで追い込まれた。どこが『熱いトークがあってよかった』のか。市長がこの場に来るかもしれないので、思いをぶつけて仲間を救おう」と述べました。

    さいとうまこと・元名古屋市議も「差別を無くそう」とスピーチしました。

    その後実行委員会4名が市役所に申入れ書を持っていきました。
    (実行委員会の許可を得て、同行しました)

    申入れ直前に、斎藤共同代表の携帯電話に電話がかかってきて、「6/12に『6/13 11時半に河村たかし名古屋市長が集会に参加する』と市から実行委員会に連絡があったにもかかわらず、『市長は“連絡ミス”で来れなくなった』と電話があったことを明らかにしました。

    以下申入れ書(抜粋)です。
    1.もし「3月20日には、名古屋城昇降機は『上からの指示』で1階以上に設置しないと決まっていた」とするならば、障害者をはじめ、市民や議会さえもあざむく重大な問題である。さらに12日の特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議では、「事実と異なる」とした。市議団への説明との乖離がなぜおきたのか説明いただきたい。
    2.障害者当事者および弁護士を含めた第3者検証委員会を設置し、市民討論会の参加者および関係者全員にヒアリング調査し、原因究明および報告、具体的な再発防止策の検討および実施すること。
    3.市民を分断し、差別を助長する名古屋城木造天守復元事業を即時中止すること。
    4.2018年5月30日に定めた『木造天守閣の昇降に関する付加設備の方針』では、「5.基本方針 現状よりも天守閣のすばらしさや眺望を楽しめることを保証する。」としているが、どのように保証するのか、具体的にお示しいただきたい。

    対応した田嶌仁美・市健康福祉局障害福祉部長は「名古屋城の問題は、市職員として自分たちも関係していると意識をしてあたっていきたい」と述べました。


    市観光文化交流局長にも申入れ書を持っていきました。

    その後、市議会の自民・民主・公明・共産の各会派にも申入れ書を持っていきました。

    斎藤共同代表が、「名古屋城総合事務所から連絡があり、11時半に市長が行くという約束をしたが、『連絡ミス』で市長は来れなくなったといわれた。
    市長は『逃げた』としか思えない。
    誠意を持って説明すると言っていたのが、翌日の今日自ら破ってしまった。代わりに観光文化交流局長が来ることになった。明らかに市長の責任。市の裏切り、市長の裏切りだ。」と伝えると、参加者からブーイングが巻き起こりました。
    斎藤共同代表は「市議会と共同歩調を取って、しっかりと怒りをぶつけていきたい」と述べました。


    「愛知県重度障害者の生活をよくする会」の石田長武会長は「我々が我慢しなくていい社会にするために、合理的配慮や社会モデルと言ってきた。発言した人も、明日動けなくなるかも知れない。それでも『我慢せえ』と言えるのか」と述べました。


    佐治独歩・観光文化交流局長は「今日11時半に市長が出向くという話が伝わっていたようだが、『手違い』で市長が来ることができなかったので深くお詫びする。私も先ほど聞いたばかり」と述べました。
    「その上で、名古屋城昇降機について1階以上に設置しないと決めたわけではない。『木造天守閣の昇降に関する付加設備の方針』は今も有効。今後も市民の意見を踏まえて検討する」と述べました。




    辻直哉事務局長は「河村市長は人権研修を受けたことがあるのか」と質問し、佐治局長は「職務の中で触れることが多かったのではないか」と述べました。

    辻事務局長は「市長が述べた『熱いトーク』とはなんだったのか」と質問し、佐治局長は「どういう気持ちかは確認していないが、率直な意見交換ができたと想像する」と述べました。
    また、第三者委員会に障害当事者をいれるのかについては答えませんでした。

    辻事務局長は「ストレッチャータイプの車いすでは、名古屋城の昇降機に乗れるのか」と繰り返し質問しましたが、佐治局長は「具体的なサイズを持ち合わせていない。代替手段を考えていく」と述べました
    ストレッチャータイプの車いすの女性は「友達と一緒に名古屋城に登って楽しみたい。国際的に考えても、誰も排除しないのが大切」と述べました。
    ---------
    なお、河村市長は23/6/13(火)午後、取材陣に対し以下説明したようです。
    ・2023年06月13日 18時47分 NHK
     バリアフリー対策めぐり差別的発言 市役所前で抗議活動
    一方、河村市長は記者団の取材に対し「私が直接話を聞くつもりだったが、市の幹部から自分たちで対応すると言われたので任せた。結果的にこちらのミスでご迷惑をおかけしたことは、申し訳ない。市としてきちんと見解がまとまったら、直接話をさせていただきたい」と述べました。
    ---------------
    名古屋市が「市民の宝」「観光の目玉」と位置づける木造名古屋城。しかしながら、今回バリアフリー市民討論会で差別発言が相次いだことから、「木造名古屋城は差別の象徴」と見なされています。

    今回、障害者団体が「市民を分断し、差別を助長する名古屋城木造天守復元事業を即時中止すること」と述べたことは画期的です。

    それだけでなく、「名古屋には障害者に面と向かって差別発言をする人がいる」と、全国、全世界の人が印象を持ってしまいました。
    誰がそんな都市にわざわざ観光に来たいと思うでしょうか。

    差別発言は、単に名古屋城木造復元に留まっていません。
    一刻も早く問題解決するとともに、名古屋市民に貼られた「負のレッテル」を剥がすよう、市職員だけでなく、市民も一丸となって努力が必要ではないでしょうか。

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    今後の予定
    ・23/6/14(水)13時〜 名古屋市議会総務環境委員会
     本市における人権に対する認識等について(スポーツ市民局関係)
    ・23/6/15(木)9時半〜 名古屋市議会財政福祉委員会
     障害者差別に関係する法令等の基本的な考え方について(健康福祉局関係)
     23/6/15(木)15時半〜 名古屋市議会経済水道委員会
     名古屋城バリアフリーに関する市民討論会での市民の発言に対する当局の対応について(観光文化交流局関係)
    ・23/6/19-7/5 名古屋市会6月定例会

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    23/6/12(月)名古屋城所長「バリアフリー『1階まで昇降機と決定した』は事実と異なる」と明言

    23/6/12特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第56回)で横井利明市議ブログ記載の「名古屋城昇降機は23/3/20に『上からの指示』で『木造天守閣の昇降に関する付加設備の方針』を撤回し、1階以上に昇降機を設置しないと決まっていた」について問われた上田剛・名古屋城総合事務所長が「『木造天守閣の昇降に関する付加設備の方針』は現時点でも有効で、『1階まで昇降機と決定した』は事実と異なる」と明言しました。
    横井市議ブログは「事実と若干異なる」と説明しましたが、「文言の正誤について現時点で言及する段階ではない」と述べました。


    ・23/6/12 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第56回)配付資料
    ・名古屋市民オンブズマンによるメモ
    ・18/5/30 「木造天守閣の昇降に関する付加設備の方針」

    ・23/6/8 横井利明名古屋市議ブログ
     市民の意見を聞く気もないのに「市民討論会」?
    ・23/6/11 横井利明名古屋市議ブログ
     河村市長の指示書はなぜ撤回されたのか

    今回も、マスコミへの撮影・録音・録画はあいさつまでとされました。

    検討会議冒頭、上田所長は23/6/3に開催したバリアフリー市民討論会で、参加者から差別発言があったこと、ならびにその対応の不手際に対して陳謝しました。

    赤羽一郎・元愛知淑徳大学非常勤講師は「横井市議ブログには、23/3/20には『1階以上上げないと決めた』とあった。
    それ以降、天守閣部会や全体整備検討会議、バリアフリー有識者会議もあった。国際コンペで優秀な業者を決めた後にそのようなことをするのは信じがたいずれがある。経過を説明いただきたい」と述べました。

    上田所長は「3/20に『以前の昇降機の方針が否定された』との記述は確認したが、事実と若干異なる。現時点でも上記方針は有効。
    1階まで昇降機設置というのは最低要求水準に記述されている。
    様々なご議論を全体整備検討会議を含めて先生に頂戴した。どこまで昇降設備をつけるのかは議論の途上だ。
    現時点で『1階まで昇降機と決定した』というのは事実と異なる」と述べました。
    その上で「文言の正誤について現時点で言及する段階ではない。表現の内容や市議会議員指摘は確認する必要がある。現時点では決定事項ではない。検討に検討を重ねている」と述べました。

    その後石垣等遺構の保全対策について提案され、了承されました。
    また、外部スロープ(鉄骨、周囲に木を貼り付ける)を付けることが了承されました。
    内部の昇降機の方針は、今回の全体整備検討会議で提案される予定でしたが、「23/6/3市民討論会の対応を優先する」として、次回以降に持ち越しになりました。

    麓和善・名古屋工業大学名誉教授は「現天守の記録保存についても工程表に反映して欲しいと何年も前から申し上げているが一向に取り上げてもらえない」と発言があり、次回までに反映することになりました。

    小濱芳朗・名古屋市立大学名誉教授は「地上から大天守地下1階へのバリアフリーのためのスロープ(鉄骨に木仕上げを行う)には違和感を感じている。
    一般の人は橋の下をくぐっていく。エントランスが圧迫を受ける感じがある。
    3.5mは1階分にあたるので、エレベータ―使った方がよいのではないか。エレベータ―とスロープ併用しては」と述べました。

    小鹿主幹は「『エレベータ―をつける』選択肢を検討したが、今はスロープを設置するのが一番ベストだとして掲げている。バリアフリー対応はスロープで実施したい。」と述べました。
     
    座長の瀬口哲生・名古屋市立大学名誉教授は「どういう視点で一番ベストとしたのか」と質問すると、小鹿主幹は「大変失礼ですが、考えを書くべきか宿題としたい」と反発した後、「車いすを利用する人はスロープであれば非常時にもスムーズに避難対応ができるため。また、小天守前の石段の上にスロープ設置が難しいため」と述べました。


    最後に、オブザーバーの渋谷啓一・文化庁文化財第二課主任文化財調査官は「木造天守整備計画は歴史建造物の復元だが、その下の遺構を守ってから上を復元するのが前提だ。
    下の石垣の保存方針を踏まえた形の基本計画が出来上がってきた。皆様のご努力のたまものだ。しっかりと遺構を守った上で整備してほしい」と述べました。

    一方、オブザーバーの平澤毅・文化庁文化財第二課主任文化財調査官は「変遷する社会の中で名古屋城跡の歴史や文化をどう将来に引き継ぐか。
    木造天守の再現は大きな事業だが、それが全体として事業内容に関係してくる。
    現在立っている天守にも歴史と文化が刻まれている。同じ場所に再建を検討しようとしている。同時には存在できない。
    苦渋の決断で現天守を解体せざるを得ないなら、事業の全体像を考えて、おおまかなスケジュールだけでなく、相当細かい手順がこれから検討が必要。
    名古屋城の歴史文化をどう伝えていくか。遺構保存、できたものをどう見せるかを超えて、事業そのものをどう見せるか。プラン、デザイン 統合的に取り組んでいくか。
    繰り返しになるが、基本計画ができたといって、そのままにやらないといけないわけではない。ベースにしてさらに検討、修正するべき方向性もあるかもしれない。いろんな事情が出てくるなかで細かく検討していけばいい」と述べ、渋谷調査官とは若干ニュアンスが異なる発言をしました。

    皆見秀久・愛知県県民文化局文化部文化芸術課文化財室室長補佐は「文化財保存の観点から、遺構を必要以上に改変せず、だれもが名古屋城を訪れ、特別史跡のすばらしさを感じれるようにしてもらいたい。活発なご議論を行い、様々な人と話しあい、保存と活用が図られるようにしてほしい」と述べました。

    ------------
    終了後、上田所長はマスコミから「木造天守整備基本計画について『文化庁への提出が遅れる見通しになった』でよいか」と何度も問われましたが、「『遅れる』というのは、目標があってそれが延びたというもの。
    文化庁への提出は、『なるべく早く』としていただけで、いつまでとは決めておらず、『遅れる』ではない」と詭弁を弄しました。

    -------
    2020/1/25に障害者団体が主催した名古屋城バリアフリーシンポで、森本章夫・名古屋城総合事務所主幹(当時)は、「2018年5月に『木造天守閣の昇降に関する付加設備の方針』を定め、史実に忠実するためエレベーターを設置せず、可能な限り上層階まで昇ることができるよう目指し、現状よりも天守閣のすばらしさや眺望を楽しめることを保証するため新技術を開発するとした。これをバイブルとして努力している。」と述べています。

    横井利明市議はブログで「名古屋城昇降機は23/3/20に『上からの指示』で『木造天守閣の昇降に関する付加設備の方針』を撤回し、1階以上に昇降機を設置しないと決まっていた」「自民党会派だけでなく、民主、公明会派にも説明したとうかがっている」と記載しています。

    仮に市議がブログに事実に反したことを記載したのであれば問題です。
    もっと問題なのは、市が、市議と全体整備検討会議への説明を使い分けていた(2枚舌)場合です。

    23/6/11横井市議ブログでは以下記載があります。
    にもかかわらず、突如として「天の声」で本年3月20日にバリアフリーの方針を撤回。市長の指示書に従って事務を進めていた担当者は、すでにMHIエアロスペースプロダクションの選定を済ませるなどしていたことから大混乱に陥った。

    事実関係は、市当局を追及しても出てこないのではないでしょうか。

    市議会は、少なくとも今こそ100条委員会を開き、どうしてこのような市民討論会を開くことになったのかだけでなく、MHIエアロスペースプロダクションの出頭を求め、事実関係を明らかにしてもらいたいです。
    当然、市職員に対し、『上からの指示』の具体的な氏名、内容も明らかにする必要があります。

    また、自民(20人)、民主(17人)、公明(12人)合計で49名(72%)と、議員総数68名の2/3を超えます。地方自治法には様々な手段が記載されているので、色々検討されてはどうでしょうか。

    さらに、文化庁の平澤調査官は「現在立っている天守にも歴史と文化が刻まれている」と明言しました。
    現天守と木造天守が同時には存在できない以上、情報を市民に公開した上で、あらためて方針を問うてはどうでしょうか。「市民の宝」名古屋城の今後を考えることは、焦る必要が全くありません。

    @木造復元+5階まで大型エレベーター+外部スロープ
    A木造復元+5階まで小型昇降機+外部スロープ
    B木造復元+1階まで小型昇降機+外部スロープ
    C木造復元+昇降機無し 人を入れない
    D現天守を耐震改修+最上階まで大型エレベーター
    ---------
    今後の予定
    ・23/6/13(火)10:00〜12:00 名古屋市役所前
     差別は許さない!名古屋市役所前緊急抗議集会(主催:名古屋城木造天守に EV設置を実現する実行委員会)
    ・23/6/14(水)13時〜 名古屋市議会総務環境委員会
     本市における人権に対する認識等について(スポーツ市民局関係)
    ・23/6/15(木)9時半〜 名古屋市議会財政福祉委員会
     障害者差別に関係する法令等の基本的な考え方について(健康福祉局関係)
     23/6/15(木)15時半〜 名古屋市議会経済水道委員会
     名古屋城バリアフリーに関する市民討論会での市民の発言に対する当局の対応について(観光文化交流局関係)
    ・23/6/19-7/5 名古屋市会6月定例会
     
    -------

    名古屋城木造復元 23/6/12全体整備検討会議にバリアフリー案示さない方針と中日新聞報道

    23/6/10中日新聞によれば、名古屋城木造復元に関し、23/6/12に開かれる名古屋城全体整備検討会議に昇降機設置の案を示さず、先送りにする方針を決めたとのこと。

    23/6/3に市が開催した「バリアフリー市民討論会」で差別発言があり、その対応を優先するとのことです。
    --------
    市民討論会の差別発言はとても許せるものではありませんが、名古屋城木造復元の現状に多くの市民が関心を寄せるきっかけになったことも事実です。

    ほとんどの市民は、市が名古屋城をどのように復元しようとしているかを知りません。

    講師の麓和善・名古屋工業大学名誉教授は「国宝で世界遺産の姫路城は、鉄骨で耐震補強し、消火設備、スプリンクラーをつけている」と写真で説明したうえで「名古屋城でも史実に忠実な復元をすると同時に合わせて、こういう防災設備も今設計しております」と述べています。

    ・23/6/3「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会」 
     名古屋市民オンブズマンによる文字起こし(差別発言を消しています)
    ・世界遺産姫路城 防火設備

    ※2019/11/6 22:15産経新聞によれば、姫路城には「天守を中心にスプリンクラーが1078カ所、感知器などの自動火災報知設備を669台、屋内消火栓を46カ所、大天守の最上階まで届く放水砲も設置しているとのこと。

    しかしながら、そのような大前提を知ってか知らずか、「電気も水道もエレベーターも昇降設備も必要ない」と主張する層が一定数いることも判明しました。

    23/6/3市民討論会では市は説明しませんでしたが、日弁連は22/10/24に「車椅子が入れる大型のエレベーターを最上階まで設置しないのは、憲法第13条及び第14条第1項並びに障害者の権利に関する条約第5条第1項及び第2項、さらに、憲法第13条及び第14条第1項の趣旨を具現化した障害者基本法や障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律等に違反する」と名古屋市長宛てに要望書を出しました。

    また、「エレベーター、昇降機をつけず、全員立ち入り禁止にすればよい」という意見も一定数あることが分かりましたが、現在の名古屋城木造復元事業は、建築費だけで505億円。管理・運営費を合わせると1000億円近い事業です。それを入場料収入でまかなおうとしています。
    ・平成28年6月広報なごや折込資料「名古屋城天守閣の整備」

    外からの見た目はほぼ現状と変わらず。人を入れなくてもスプリンクラー等は必要。
    それで年間360万人が50年間名古屋城を訪れるのでしょうか。
    入場料収入でまかなえなければ、市の税金が投入されますし、最悪木造天守閣を取り壊すことも考えられます。

    -------
    さらに、23/6/3に開催された「名古屋城バリアフリー市民討論会」ですが、無作為抽出された5000人市民アンケートが届いた人のうち、参加希望する人が参加出来るはずでしたが、「当日の会場入口では本人確認していなかった」ようです。
    当初100名定員で、大きな部屋(中区役所ホール)で予定していたものの、参加申し込み者が少なく(38名)、別の部屋に移動した経緯があります。
    ・5000人アンケートの対象と、参加申込書記載氏名は同一か
    ・参加申込書記載氏名と、参加者は同一か
    ・差別発言をした人は具体的にだれか。本当に5000人アンケートの対象か
    などを調べる必要があります。

    名古屋市は、自民・民主・公明市議団に「名古屋城昇降機は23/3/20には『上からの指示』で1階以上に設置しないと決まっていた」と説明したとのこと。

    なお21/3/18名古屋市議会経済水道委員会で、「名古屋城天守閣木造復元に係る予算については、文化庁の文化審議会において正式に『木造復元』の許可がされた後に執行すること」という附帯決議が可決されているにもかかわらず、木材を約40億円購入済です。
    (まだ文化庁から『木造復元』の許可は受けていません。木造復元申請書類も提出していません)

    市議会は、今こそ100条委員会を開き、どうしてこのような市民討論会を開くことになったのか明らかにしてもらいたいです。

    ------
    また、ほとんどの市民は知りませんが、2011年2月に名古屋市は現天守耐震診断概要書をまとめており、十分な耐震強度であるIs値0.75以上にするには、大天守小天守合計で13億5047万0205円。現在5階までのエレベーターを最上階(7階)まで改修する1億6000万円をあわせると、15億1051万9605円と試算しています。
    (内部の柱に鋼板を巻いたり、RC増設壁をしたり、炭素繊維を巻いたりして耐震補強する。外観は変更しない。外壁に×型の鉄筋がむき出しになることはない)。

    差別発言をした人は「この城は『家康が作ったそのものを作る』と名古屋市から聞いたので寄付をした」と述べています。
    だれがいつそのようなことを言ったのかわかりかねますが、少なくとも、現在の法律に基づいて7年間名古屋市と竹中工務店が検討してきた案をきちんと市民に示して、再度今後の方針を問うべきではないでしょうか。

    @木造復元+5階まで大型エレベーター+外部スロープ
    A木造復元+5階まで小型昇降機+外部スロープ
    B木造復元+1階まで小型昇降機+外部スロープ
    C木造復元+昇降機無し 人を入れない
    D現天守を耐震改修+最上階まで大型エレベーター

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    今後の予定
    ・23/6/12(月)13時〜 名古屋国際センター 別棟ホール
     第56回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議
    ・23/6/13(火)10:00〜12:00 名古屋市役所前
     差別は許さない!名古屋市役所前緊急抗議集会(主催:名古屋城木造天守に EV設置を実現する実行委員会)
    ・23/6/14(水)13時〜 名古屋市議会総務環境委員会
     本市における人権に対する認識等について(スポーツ市民局関係)
    ・23/6/15(木)9時半〜 名古屋市議会財政福祉委員会
     障害者差別に関係する法令等の基本的な考え方について(健康福祉局関係)
     23/6/15(木)15時半〜 名古屋市議会経済水道委員会
     名古屋城バリアフリーに関する市民討論会での市民の発言に対する当局の対応について(観光文化交流局関係)
    ・23/6/19-7/5 名古屋市会6月定例会
     
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    名古屋市 自民市議団に「名古屋城昇降機は23/3/20には『上からの指示』で1階以上に設置しないと決まっていた」と説明

    横井利明名古屋市議(自民)は、23/6/8公式ブログで、自民党名古屋市会議員団による観光文化交流局からの聞き取りの中で、「名古屋城木造復元における昇降機は23/3/20には『上からの指示』で1階以上に設置しないと決まっていた」と説明を受けたことを明らかにしました。
    観光文化交流局への聞き取りの中で、名古屋城天守閣木造復元に際し、「3月20日にはエレベーターは、1階以上には設置しないことが決まっていた」ことが明らかとなっている。しかもこの決定は所管の観光文化交流局ではなく、「上から」の指示で決められていたことも明らかとなった。つまり、6月3日におこなわれた市民討論会以前に、すでに1階以上にはバリアフリーを導入しないことを決めた上で市民討論会を行っていたことになり、そもそも討論会でバリアフリーを求める市民の声など聞くつもりもなく、アリバイ作りのための「官製茶番」だったことになる。
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    23/6/3「バリアフリー市民討論会」については、参加者から障害者への差別的な発言が繰り返され、しかも参加者から拍手が起こり、主催者の市も制止したり何ら対応をしなかったとして、市議会各会派ならびに各委員会で問題となっております。

    ・配信の様子を録画し、差別的発言を消して名古屋市民オンブズマンがアップしました(23/6/6)が、23/6/8に名古屋市から著作権侵害による削除申請があり、YouTubeから削除されました。
    ・名古屋市民オンブズマンによる文字起こし(23/6/7アップ 差別発言を消しています)
     
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    23/3/20に河村たかし名古屋市長定例記者会見があり、基本計画のバリアフリーについて問われた名古屋城担当者は「年度末にその検討結果ということで取りまとめはします。ただ、バリアフリーだとか、あるいは今回の石垣の保存方針、そういったものは引き続きやっていく必要があるかと思っております。」と述べています。

    23/3/24に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第55回)では、3大課題(石垣、バリアフリー、基礎構造)は今後検討するとしました。
    しかし、この時点ですでにバリアフリー方針が決まっていたことになります。

    23/5/22市長定例記者会見で、アンケートについて問われ市長は「どう考えとらっせるかなということをちょっとフラットに聞いてみようということでございます。」と述べていますが、すでにバリアフリー方針が決まっているにも関わらず、アンケートを取ったことになります。しかも、 アンケート項目に関して「まあ、これ、見せてくれと言われれば、別に秘密のもんではないですから」と述べており、それまではマスコミにも示していなかったことがわかります。

    23/6/5(月)に開催した特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議(第5回)では、座長の堀越哲美・愛知産業大学非常勤講師(環境工学)が「2022年12月に昇降技術の最優秀者を選び、23/6/3に市民討論会を開き、今回有識者の意見を聴いた。名古屋市がどう判断するか、市としてきちんと受け止めて欲しい。今日が一つの区切りだ」と締めましたが、すでに名古屋市は方針が決まっていたことになります。

    23/6/6(火)に開催された名古屋市議会経済水道委員会で上田剛・名古屋城総合事務所長は「昨年12月結果公表直後は、設置容認より反対の意見を電話や手紙でくれる方が多かったと認識している」と述べています。

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    令和3年度末現在で名古屋市の身体障害者手帳保有者は78397人、愛護手帳19637人、精神障害者保健福祉手帳31368人、合計129402人です。
    令和4年10月1日時点で名古屋市民は2,325,778人なので、各種手帳を持っている人は約5.5%になります。

    私の仮説ですが、市にクレームを入れる人の多くが昇降機反対だったので、「市民5000人アンケートをすれば、障がい者の絶対数も少ないため、昇降機反対の方が多い」と市が判断し、アンケートを強行したのではないか。
    こっそりアンケートと市民討論会を行い、「市民の意見を踏まえた」としたかったにもかかわらずマスコミに感づかれてアンケート用紙を公開し、ならびに市民討論会をマスコミに公開・ネットで公開せざるを得なかったのではないか。
    市の予想に反して、回答者の47.2%が「5階まで」で、焦った昇降機反対派が会場で障がい者を面と向かって罵倒してまで自説を主張したのではないか、と思いますが、いかがでしょうか。

    ・全体整備検討会議での虚偽説明
    ・マスコミにも5000人アンケートの詳細を説明していなかった
    ・バリアフリー検討会議での虚偽説明
    ・市議会へ報告無し、ならびに虚偽説明
    など、とてもまともな市政のやることではありません。

    どうして河村市長は急いで文化庁に名古屋城跡木造天守整備基本計画(案)を提出しようとしているのか。
    「2023年4月市議会選挙手土産説」「衆院選手土産説」などいろいろ噂されていますが、河村市長の本心は分かりません。
    (市選管に確認したところ、2023年4月市議会選挙公報は「市ホームページに掲載予定だが、具体的にいつ掲載できるか分からない」とのことでした)

    23/6/5(月)名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会は、河村たかし名古屋市長あてに「抗議及び回答要求文」を提出しています。
    一、市長の本心を明らかにしていただきたい。バリアフリーを実現することが市民の言う本物実現に反すると考えているのでしょうか。
    一、市長自ら作った「名古屋市障害のある人もない人も共に生きるための障害者差別解消推進条例(2016年4月施行)を守ろうとする意思がおありでしょうか。ここに定められた市の責務、市民の責務に明確に反する市民の差別発言を容認していいのでしょうか。

    バリアフリーのあり方については、2015年当初から問題となっていました。
    どうして2023年3月20日には市は「1階以上に設置しないと決めた」にもかかわらず、2023年6月、文化庁に整備基本計画(案)提出直前に「市民の意見を聞くふり」をしたのか。

    「市民の宝」名古屋城のあり方は、ここ数日で決めてよいものではありません。
    ・木造復元+5階まで大型エレベーター
    ・木造復元+5階まで小型昇降機
    ・木造復元+1階まで小型昇降機
    ・木造復元+昇降機無し 人を入れない
    ・現天守を耐震改修+5階まで大型エレベーター
    など、情報を全て公開した上で、あらためて市民の意見を聞いてはどうでしょうか。

    2017/4/1に、河村市長は「名古屋市職員から『名古屋城天守閣木造化できません』と言われ、「『市長が全責任を負う』という業務命令書を書いてくれ」という要望を受け、実際に2015/8/24に書いたことを明らかにしました。
    ・2015/8/24 河村たかし市長「全責任は私が取る」指示書

    ここまで市政に大混乱を招いた河村たかし名古屋市長。
    今こそ「全責任は私が取る」ときではないでしょうか。

    名古屋城木造復元事業のあり方については、今後も目が離せません。

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    今後の予定
    ・23/6/10(土)14時〜 市政資料館
     「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例勉強会
    ・23/6/12(月)13時〜 名古屋国際センター 別棟ホール
     第56回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議
    ・23/6/13(火)10:00〜12:00 名古屋市役所前
     差別は許さない!名古屋市役所前緊急抗議集会(主催:名古屋城木造天守に EV設置を実現する実行委員会)
    ・23/6/14(水)13時〜 名古屋市議会総務環境委員会
     本市における人権に対する認識等について(スポーツ市民局関係)
    ・23/6/15(木)9時半〜 名古屋市議会財政福祉委員会
     障害者差別に関係する法令等の基本的な考え方について(健康福祉局関係)
    ・23/6/19-7/5 名古屋市会6月定例会


    23/6/6(火)名古屋市議「名古屋城バリアフリー市民討論会は『いじめの場所』だった!」

    23/6/6(火)に開催された名古屋市議会経済水道委員会で、浅井正仁市議(自民・中川区)は「23/6/3に開催された名古屋城バリアフリー市民討論会は『いじめの場所』だった!面と向かって差別的発言を言われた車いす障がい当事者は『死にたい』と述べている。
    いまさらなぜ討論会をしたのか。しかも市長は『有意義だった』と述べた。市民討論会で対立を煽り、人を傷つけた。
    『昇降技術を1階か5階か付けないか』と、『人権や差別の問題』はどっちを優先するのか。」と述べました。

    名古屋市は23/6/12までにバリアフリーの方針を決め、23/6/12に開かれる名古屋城全体整備検討会議に木造天守整備基本計画を提案し、その後23/6/15の市議会経済水道委員会で議論し、再度全体整備検討会議に木造天守整備基本計画を諮ると明言しました。

    ・23/6/6 名古屋市議会経済水道委員会配付資料
    ・23/6/6 名古屋市議会経済水道委員会
     名古屋市民オンブズマンによるメモ
    ・23/6/6 名古屋市議会経済水道委員会
     名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

    23/6/6(火)13時半から開始された名古屋市議会経済水道委員会ですが、冒頭に佐治局長から23/6/3の名古屋城バリアフリー市民討論会で参加した市民が差別的発言をしたことについてお詫びがなされました。
    浅井正仁市議(自民・中川区)は「詫びる先は言われた方。詳細をこの委員会で諮って欲しい」と述べ、暫時休憩して正副委員長が協議し、急遽「名古屋城バリアフリーに関する市民討論会での市民の発言に対する当局の対応について」を議題としました。

    資料を調製し終わった17時20分から委員会が始まりました。

    服部将也市議(民主・北区)は「不適切な発言があったから、名古屋市公式ホームページには動画を載せていない。にもかかわらず、ある団体が動画をネット公開している。名古屋市として削除依頼すべき」と述べました。
    小鹿主幹は「動画の存在は承知していたが、どうすべきか協議していた。削除等の要請をする。速やかに判断しなかったのは不適切だった」と述べました。

    (注:23/6/6 21:50、名古屋市民オンブズマンに、名古屋市観光文化交流局の小鹿主幹から動画について「不適切な発言の内容が含まれているので、一般の方に見えるようにするのはよくない状態だと思っているので、削除していただけないかという要請」の電話があり、アップしていた動画は自主的に削除しました。
     なお、差別的発言だと思われる部分にピー音を入れた処理をした動画をアップしました。

    さわだ晃一市議(公明・西区)は、「6/3運営の問題と、再建の可否は分けた方がいいと思う。今回の市民討論会の位置づけを知りたい。
    平成29年段階で名古屋試案が出ていて、平成30年に方針を出した。ここまで数年間掛けて行ってきた位置づけは」と質問しました。
    小鹿主幹は「2022年12月の最優秀者選定公表後、市民から容認、反対意見いただいた。
    副市長から令和5年2月定例会で、『市民意見を聴取する機会を設けたい』と述べた」としました。

    さわだ市議は「どうしてきめ細かく障害者団体から話を聞いてきたはずなのに、文化庁に整備基本計画を取りまとめる直前にアンケートと市民討論会を行ったのか。23/6/12に全体会議検討会議を行う直前にバリアフリーの中身を取りまとめるという。
    おおいな違和感を抱いているし、これまで何回もアンケートを取る機会はあったはず」と述べました。

    上田所長は「昨年12月結果公表直後は、設置容認より反対の意見を電話や手紙でくれる方が多かったと認識している」としました。
    さわだ市議は「肌感覚と、今回の5000人アンケートの回答には乖離があった(5階までが約47%)どう受け止めるか」とし、上田所長は「最優秀案の概要も同封して聞いた。今回の討論会の冒頭で、有識者に史実に忠実な復元について話していただいたが、それを理解した上でのアンケートでは無い。6/12までに、何階まで昇降技術と明確に書けるかは最終段階に至っていない」としました。

    さわだ市議は「集まった36人は、強い意見を持った人が集まったのでは」とし、上田所長は「無作為抽出した市民の討論会は名古屋市では例が無かった。反省しながらやり方が適切なのか検討したい。住民基本台帳から無作為で選定し、その上でご希望の方が討論会に参加したのは間違いない」としました。

    さわだ市議は「意見が真っ二つに割れるのは予測できたはず。議論では無く衝突、対立、口論だった。望まない対立を招いた部分がある。リスクマネジメントをしていたとは思えない。
    史実に忠実に復元といっても、木造名古屋城が差別の象徴になる」と述べました。

    日比美咲市議(民主・名東区)は、「委員長が具体的差別発言を知ったのはいつ」と聞いたところ、田山宏之委員長(減税・北区)は「具体的に知ったのは今日6/6。その場では判断できず、調査に至らなかった。北角委員から入手したDVDで確認した。」と述べました。

    浅井市議は「DVDに差別発言があるのなら、観光文化交流局に削除しろと伝えたか」と聞いたところ、田山委員長は「委員会直前だったので、観光文化交流局には伝えていない」と述べました。
    浅井市議は「そんな注意もできない委員の下で何を議論したらいいのか」と述べました。

    さわだ市議は「田山委員長は6/3討論会に出席し、6/4新聞各紙に記事が出て、6/6DVDではじめて差別用語が分かったという。
    危機管理が無い。名古屋城木造復元について、あなたが仕切れるとは思えない。しかも今日視察に行こうとしていた」と述べました。

    浅井市議は「差別発言が聞き取れなかった人はここにいますか。いない。聞き取れなかったのは、市長と田山市議(減税)、大谷市議(減税)、北角市議(減税)だけ。なにもいえなくなった」と述べました。

    委員間討議に入り、さわだ市議は「仮に文字起こしや映像で無くても、聞かれれば当局は答えるのではないか」とし、上田所長は「口頭でいただければ、お伝えせざるを得ない」と述べました。

    浅井市議は「市長は6/3出席していたが聞き取れず、6/5記者会見でも聞き取れなかったと発言した。いわゆる差別発言が入ったDVDや議事録を見せたのか」と質問し、小鹿主幹は「6/3には伝えていない」上田所長は「不適切な単語は、秘書を通じて伝えたと理解している」としました。

    浅井市議は「市民討論会の最後のあいさつで、市長が『有意義だった』と述べた。局長、これは有意義だったか。対立を煽り、人を傷つけた。
    今日6/6 朝8時からのフジテレビ めざまし8を見たか。車いすの人はなんと言っていたか」と述べ、佐治局長は「録画で確認した。発言を控えたくなるような、悲しい言葉を発した」と述べました。

    浅井市議は「局長がいわないなら私が言う。『死にたいです』いじめの場所だ。小学校の場で同じことやったらどうなる。障害者を悪者にした。いまさらなぜ討論会か。広く市民にフラットな意見をきくというが、どんだけ障害者が叩かれるか。
    市長は「有意義」というが、全然有意義じゃ無い。今回の市民説明会で何を得たのか 主催したあなたたちは」と述べました。
     
    佐治局長は「昇降技術を1階まで、つけない、5階までについて、裏付けとなる自由な意見を確認できた」としましたが、浅井市議は「だったらアンケートでいいじゃん。意見を言わなくてもいいじゃん」と述べました。

    浅井市議は「6/15に所管事務調査があるが、何をするのか」と述べ、上田所長は「6/12までにバリアフリーの方向性を決め、案を6/12全体会議検討会議で出して、6/15所管事務調査を行う。それは成案では無い」としました。
    浅井市議は「全体会議検討会議の前に議会に出すべき案件ではないか」と述べましたが、上田所長は「スケジュールの都合上、事後になった。」と述べました。

    浅井市議は「『昇降技術を1階か5階か付けないか』と、『人権や差別の問題』はどっちを優先するのか。」と述べました。
    佐治局長は「世論や、市長と協議する」と述べました。

    さわだ市議は「総務環境委員会や財務福祉委員会でも議論するという。6/15のあとの手続を教えて」とし、上田所長は「6/15に示すのは案。修正をして再度全体会議検討会議に諮る。修正したものを議論して成案としたい」とのべました。
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    今後の予定
    ・23/6/10(土)14時〜 市政資料館
     「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例勉強会
    ・23/6/12(月)13時〜 名古屋国際センター 別棟ホール
     第56回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議
    ・23/6/19-7/5 名古屋市会6月定例会
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    ・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ

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    2023年6月6日 火曜 午後5:20 FNN めざまし8
    「本当に死にたかった」名古屋城に“エレベーター設置”問題 討論の場で“差別的な発言” 当事者の嘆き…名古屋市側の対応に疑問も

    2023年6月6日(火) 19:52 TBS
    障がい者は「我慢せえよ!」名古屋城復元をめぐり“差別的発言”が波紋 河村市長出席で陳謝も


    23/6/5(月)「アリバイづくり」の名古屋城跡バリアフリー検討会議

    23/6/5(月)に特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議(第5回)が開催され、有識者の意見を一通り聴いた後、座長の堀越哲美・愛知産業大学非常勤講師(環境工学)が「2022年12月に昇降技術の最優秀者を選び、23/6/3に市民討論会を開き、今回有識者の意見を聴いた。
    名古屋市がどう判断するか、市としてきちんと受け止めて欲しい。今日が一つの区切りだ」と締めました。
    傍聴していた車いすの障がい当事者は「これはアリバイづくりだ」と繰り返していました。


    ・23/6/5 特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議(第5回)配付資料
     名古屋市民オンブズマンによるメモ

    23/6/5(月)午前中、河村たかし名古屋市長の定例記者会見が開催され、「23/6/3(土)に開催した、バリアフリー市民討論会で、「差別的表現を含む不適切な発言があった。私は本当に聞こえなかった。その場で制止すべきだった。
    市民の皆さんが発言する場なので、自由に発言してもらうのが原則。
    事前に『差別発言は遠慮してください』と言うべきだった。申し訳なかったということでございます」と述べました。

    23/6/3動画は、修正後に後日市がアップするとのこと。

    ・23/6/3 名古屋城バリアフリーに関する市民討論会動画
     (名古屋市民オンブズマンが画面録画したものをアップ)
     差別発言部分は2時間4分14秒〜 差別発言が含まれていたため消します

    同じ頃、23/6/12(月)に第56回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議が開催されることがネットで発表されました。

    午後2時から開始されたバリアフリー検討会議は、傍聴者・報道関係者ともども、録音・録画が禁止されました。

    バリアフリー検討会議の冒頭、以前名古屋城総合事務所所長だった佐治独歩・観光文化交流局長が「1年2ヶ月ぶりにバリアフリー検討会議を開く。忌憚のないご意見をお願いしたい。
    6/3市民討論会では、会場から差別的表現を含む不適切発言があり、誠に遺憾。今後再発防止に誠心誠意取り組む」とあいさつをしました。

    その後、23/6/3市民討論会とほぼ同じ資料を説明しました。市民アンケートの結果も発表され、「昇降技術を設置しないと1回までを足せば40.3%と、5階までの47.2%とほぼ同じ」と説明がありました。
    ・4/19-5/8 5000人のうち1448人 29%
     設置しない 23.4%
     1階まで   16.9%
     5階まで   47.2%

    その後、堀越座長が、出席した委員全員から意見を聴くようにしました。
     中嶋秀朗・和歌山大学教授(システム工学)
      復元コンセプトをもって実現する議論を行う。
      5階までは技術的に難しそう。
      信頼性 最上階も難しいかも 5年10年後に見直しては
     山田陽滋・豊田工業高専校長(機械安全・ロボティクス)
      社会技術は単に作られるものではなく、社会がどう受容していくか。
      昇降技術選定はワークショップをして、いろいろ技術を選んだ。
      ギリギリのところを狙っている。
      技術の行く末を見守ってほしい。アセスメントを進めてほしい。
      アンケートの内容を、最新の議論にアップデートしてほしい。
      みんなで誇れる名古屋城にしてほしい。
     高橋儀平・東洋大学名誉教授(福祉のまちづくり)
      6/3youtube配信をし見た。話が公募前に戻ったよう。
      文化財がどう位置づけられるのか分かった。
      木造天守は構成要素の一つで、できた当初は文化財じゃない。
      「史実に忠実」でも、1人しか登れない文化財でいいのか。
      議論の前提を共有することが、対話するためには必要。
      日弁連からの要望もどう対応したのか。
      MHI、竹中、バリアフリー検討会議でフランクに議論すべき。
     渡辺崇史・日本福祉大学教授(福祉工学)
      いままで開催されたワークショップの内容が周知されているか。
      アンケートも〇× 対立構造にすべきでない。
      だれがいつ使うのかがない。
      外国人や小中学生も利用する。
      史実に忠実でもスペースが限られる。代替手段をどう考えるか。
      現状はこうで、将来はこうという夢を描くべき。
     磯部知彦・中部大学教授(交通計画、福祉のまちづくり)
      技術コンペは応募者が少なく残念。
      条件が厳しいからだ。最優秀者には本当に「最」が付くのか。
      幼稚園児20人、親20人が来た場合、小型昇降機しか無く、トイレも無いならどうなるか。
      アンケート結果は30代が最上階までが多いのは、子育て世代だから。
      階段体験館の活用をしてほしい。技術検証すべき。
      宝物と見世物を両立できなければ、できないとはっきり言おう。
      「だれも入れない」も一つの解決策。中途半端を危惧する。
     野々垣篤・愛知工業大学准教授(建築歴史、意匠)
      今回の議論がすでに歴史になっている。白黒付ける話では無い。
      歴史的建築物を建設するという意識を。
     三浦正幸・広島大学名誉教授(日本建築史、文化財学)
      「史実に忠実」「石垣を守る」の大前提として、命を絶対守ることが
      究極の大前提と以前から何回も述べているが、アンケートにも全く書いていない。
      南海地震に耐えるには柱・梁を欠いてはいけない。
      今回提案の技術は、大前提を守った技術であり、必要最低限をクリアしている。
     小野徹郎・名古屋工業大学名誉教授(建築構造学)
      私は以前と考え方が変わっていない。
      安全性+その時代の技術を反映すべき。
      1か0ではなく、妥協点を作ることが大事。
      「絶対はあり得ない」。
     川地正数・川地建築設計室主宰(建築生産)
      昇降技術については性急に結論出さなくてもいいのではないか。
      バリアフリー設備は途中や竣工後にもつけられる。
      今後考えてもよい。
      18の絵は、武者走りまではみ出すと言うことか。
     小濱芳朗・名古屋市立大学名誉教授(建築構造学)
      構造が専門。公募案は条件を満足している。
      しかしMHI担当者と直接議論しないと理解難しい。
      公募と軸組みが関係するが、今日の資料だけではわかりにくい。
     小松義典・名古屋工業大学大学院准教授(環境工学)
      今日の技術で、なぜ1階までか説明がなかった。
      上の階まで上がるとどうなるかも資料が無く、技術者としてはコメントしにくい。
      梁を切るのかわからない。名古屋市の説明では厳しい。
      外回りは大きなところで囲うのか。
      非常時にどう運用されるのか。火災時はどうするのか。

    その後、委員から意見が出ました。
     磯部:石垣は地中に埋まっている。
      別の場所で作ってもよいのでは。
      今の場所の今の天守閣を耐震改修しては。
     堀越:特別史跡の場所に史実に忠実に復元がポイント。
      今の技術では最高。
      広報が不足している。情報を出すことも必要。
     高橋:位置付けとしてどういう段階なのか。途中なのか。ゴールは何か。
      直近のロードマップがほしい

    堀越座長は「はじめに主幹から話があったように、最優秀者を選定し、市民討論会を行った。今回のバリアフリー検討会議を踏まえ、今後どう進めるかは、名古屋市がどう判断するか市として受け止めてほしい。
    議論としてまとまらないと思うが、会にさらなる情報提供をしてほしい。今日が一つの区切りだ」と締めました。

    最後に、佐治局長が「平成30年度の1回目からいろんな意見を頂いた。公募、選定を経て、一つの節目を迎えた。市として市長を含めしっかり受け止めて、木造天守を多くの人に楽しんでもらいたい」と述べました。

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    終了後、佐治局長に確認したところ、「資料10ページのイメージCGにあるように、廊下にはみ出れば、4階部分も昇降技術が設置可能」と述べました。
    (5000人アンケートには、その旨は記載ありません)

    傍聴していた車いすの障がい当事者は「これはアリバイづくりだ」と繰り返していました。
    別の車いすの障がい当事者は「23/6/3に話をした、阿部一雄・一般社団法人バリアフリー総合研究所 UD−ラボ東海代表理事は、まるで障害者の代表のような顔をしていたが、実は新技術公募の審査員だった。『名古屋市は障害者・高齢者団体に丁寧に説明している』と述べたが、阿部氏は直接説明をしていない」と述べました。

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    22/12/6に名古屋市が最優秀者に選んだ株式会社MHIエアロスペースプロダクションの技術であれば、廊下にはみ出れば最上階まで定員4人、または車いす1名介助者1名が登城可能のようです。

    そうであれば、その旨明記すべきだし、逆にどうして5000人市民アンケートを行ったのか理解に苦しみます。
    (1階までの選択肢はどうしてあったのか。昇降技術無しという選択肢はどうしてつけたのか)

    一部の委員とは、「技術対話」をしたようですが、その様子が他のバリアフリー検討会議委員にすら公開されていません。
    一般の市民にも当然公開されていません。

    委員から「早急に結論を出す必要は無い」と意見が出ましたが、名古屋市は23/6/12の名古屋城跡全体整備検討会議で、バリアフリーの方針について結論を出し、文化庁に整備基本計画(案)を提出する気満々に見えます。

    21/3/8名古屋市議会本会議で、自民党の浅井正仁市議が松雄観光文化交流局長(当時)が「2019年4月に局長になり、2019年6月までは市長主導の木造復元を実現しようとしていたが、うまくいかないと認識し、行政ベースの木造復元に大きく舵を切り、私がいる限り従来に戻ることはない。市長のように竣工時期を先に決めて、天守が先、石垣は後では何年かかっても木造復元出来ない。」とメールしたと暴露しています。
    ・21/2/19 松雄局長から、石垣部会の赤羽一郎氏へ送ったメール

    にもかかわらず、今回もまた、バリアフリーについて有識者にすらきちんと情報を公開しないまま、議論を終えようとしています。
    市民の中でも議論がまだまだ不十分なのは、不十分な資料を基にした5000人市民アンケート結果でも明らかです。

    また、今回のバリアフリー検討会議でもほとんど触れられていませんでしたが、小天守を囲む鉄骨スロープについて、本当にどうするのかという話も極めて重要だと考えます。
    河村市長は鉄骨スロープ案を事前に確認・了承していたにもかかわらず、「初めて聞いた。全然聞いてないけど。鉄骨で作るのはいかん。鉄骨は根本的にいかん」と報道陣の前で述べています。
    5000人市民アンケート資料にも、今回のバリアフリー検討会議資料にも掲載されていませんでした。

    現天守の大天守東側外付けエレベーターの外観に不評を言う人が多いと聞きます(2方向避難のためには必要不可欠です)。
    鉄骨スロープならびに4階-5階の昇降機CGについて、市民に説明し、納得をしてからでないと、木造天守が「市民の宝」とはなり得ないのでは無いでしょうか。

    また、名古屋市が2018/5/30に定めた『木造天守閣の昇降に関する付加設備の方針』では、「協議会を新たに設置し、障害者団体等当事者の意見を丁寧に聞くことにより、誰もが利用できる付加設備の開発を行う。 」とあります。
    にもかかわらず、昇降技術結果公表後の22/12/7に「愛知障害フォーラム」(ADF)と「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」が連名で提出した、「名古屋城木造天守昇降技術および市長発言の撤回要求と抗議」に対して、半年たった現在も文書での回答をしていません。 

    文化庁に書類を提出するのはその後にすべきですが、名古屋市は同じ過ちを繰りかえそうとしています。

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    今後の予定

    ・23/6/6(火)名古屋市議会経済水道委員会
     本丸搦手馬出周辺石垣について(観光文化交流局関係)[終了後、現場視察]
    ・23/6/10(土)14時〜 市政資料館
     「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例勉強会
    ・23/6/12(月)13時〜 名古屋国際センター 別棟ホール
     第56回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議
    ・23/6/19-7/5 名古屋市会6月定例会
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    23/6/3(土)矛盾を極めた名古屋城バリアフリー市民討論会 市民アンケートは最上階までが47.2%

    23/6/3(土)に、名古屋城バリアフリーに関する市民討論会が無作為抽出された市民のみ参加出来る形で行われました。
    名古屋市や有識者が「木造復元の意義」を熱心に説明し、会場から、車いすの障がい当事者に対する面と向かっての差別発言まで飛び出しましたが、無作為抽出市民5000人アンケートの結果は「『最上階まで昇降技術をつける』が47.2%」でした。
    なお、様子はネット配信されましたが、「後日視聴可能」とあったにもかかわらず、配信直後、非公開動画となっております。
    参加者へ配布された資料は、ネット視聴者には配られていません。


    ・5000人アンケート送付資料
    ・名古屋市民オンブズマンによるメモ
    ・名古屋市民オンブズマンによる文字起こし(23/6/7アップ 差別発言を消しています)
    ・配信の様子を録画し、名古屋市民オンブズマンがアップしました(23/6/6 差別発言がふくまれていたため消しました)
    ・配信の様子を録画し、差別的発言を消して名古屋市民オンブズマンがアップしました(23/6/6)

    名古屋城木造復元事業に関しては、新技術公募について、「名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託」として、令和元年〜3年度で1億4300万円の契約を(株)日本総合研究所と結びました。(議会の予算議決済)

    公募の説明資料には、技術開発費用として上限8000万円、実機導入として上限2億円と明記し、公募を実施した結果、名古屋市は、22/12/6に株式会社MHIエアロスペースプロダクションを最優秀者に選びました。

    にもかかわらず、今回以下質問をしています。

    問4 公募により選定された最優秀者の昇降技術の設置について、あなたの考え方は以下のうちどれですか。(1つに○)
    1 設置しない(豊富な史資料を基に名古屋城天守を往時の姿に忠実に復元する)
    2 1階まで(名古屋城天守の史実に忠実な復元に配慮しながら、1階からの眺望を楽しめるようにする(公募した昇降技術の最低要求水準)
    3 最上階(5階)まで(高齢者、障害者、小さな子ども連れの方等のため、最上階まで設置)
    4 わからない
    5 その他(  )

    結果は、市民討論会の最後で説明するとのこと。

    今回名古屋市が行った配信は「スクリーンをカメラで写す」という、極めて見にくいものでした。

    初めに、新型コロナ感染から復帰したばかりの河村たかし名古屋市長が、マスクを外して挨拶をしました。
    「国宝1号であった名古屋城を今後どうするか、1000年の宝になるにはどうすれば良いかを話してほしい」と、当初から会場を誘導しました。

    その後、天守閣部会の構成員をつとめる麓和善・名古屋工業大学名誉教授がなぜ、天守を復元するかということを説明しました。
    麓名誉教授は「『単に観光名所を作りたい』ではなく、特別史跡の価値を高める行為で無ければならない」としました。
    しかし、特にバリアフリーについては話はありませんでした。

    その後、上田剛・名古屋城総合事務所がバリアフリーについて説明しました。
    また、竹中工務店が2016年に作成したCGを見せました。
    その後MHIの提案のCGが紹介されましたが、結局MHIの提案で、柱や梁を切らずに5階まで行けるのかは明言しませんでした。
    また、地上から大天守地階まで、バリアフリーのためのスロープ設置も説明しました。

    市民討論会として、バリアフリー検討会議の堀越哲美・愛知産業大学元学長、今回の新技術公募の審査員だった、阿部一雄・一般社団法人バリアフリー総合研究所 UD−ラボ東海代表理事が話をしました。

    堀越氏は1980年代に鉄道会社勤務していたときからバリアフリーと公共建築物研究しており、「設備だけではバリアフリーにならない。機能性だけでなく、運営管理も必要。必要な機能はなにか議論することが必要」と述べました。

    阿部氏は車いすの建築士として、「名古屋城は12階建ての大きさ。城は元々人が入りにくいように作られたもの。建築とバリアフリーは相反する。いかに融合するかは大変。
    バリアフリー法は合理的な配慮を求められる。名古屋市は障害者・高齢者団体に丁寧に説明しているが、説明で納得するわけでは無い。
    私は中立的な立場で、一刻も早く建築に取りかかれるように事業を進めたい」と発言しました。

    その後、会場参加者が紙に意見・質問を書いて、それを陣笠隊が読み上げる形式を取りました。
    バリアフリーに特化した説明にもかかわらず、「木材は国産か外国産か」などの質問が出ました。
    また、「エレベーターの設置は決定しているのか」という質問に対し、名古屋城総合事務所昇降技術担当小鹿主幹は「本日意見を聞きたい。意見を聴いて考えたい」と述べました。

    「忠実に復元すれば新築でも文化財になるのか」という会場からの質問に対し、麓名誉教授は「新築が文化財になるかは微妙。特別史跡の中の構成要素の一つであり、『まったく文化財では無い』ではない。復元されると、将来100年200年1000年たてば、いずれは文化財に指定されるだろう」と述べました。

    「本討論会は、意見対立しているのか。問題設定がわかりません」という質問に対しては、「MHIを最優秀に選んで以降、『史実に忠実ならいらない』『バリアフリーが標準』という意見が名古屋城総合事務所にかなり来た。勝手に決めるわけにはいけないだろうとして5000人アンケートを行った。生の声を聞いて、最終的に昇降技術どうするかは、しっかり市民の意見を参考にしたい」としました。

    その後、なぜか会場からの紙を書いた人を当て、その人に発言する形式にしました。
    「パワースーツを活用しては」「内観が失われるのが悲しまない人がいるのが驚き」「4階5階までバリアフリーにするのはもったいない」「世界に誇れる名古屋城を」など、エレベーターを設置しない意見の発言が相次ぎました。

    その後、車いす当事者から発言がありました。
    「城は好きだが、名古屋城、大阪城には今エレベーターがある。城を新しくするとエレベーターをなくすというのは、障害者排除としか思えない。史実に忠実には反対していない。
    12階建て相当の建物なので、エレベーター外付けで中身を傷付けないでできないか。
    今提案されているエレベーターは大きさが分からない。『車いすが乗れればいい』ではない。電動車いすや、ストレッチャータイプはどうなるのか。気分が悪くなったらどうなるのか。
    『パワースーツがどう、VRで見ろ』などは我々は納得いかない。排除されていると感じる。今回をアリバイづくりにしてもらいたくない」

    それに対し、小鹿主幹は「外部からアプローチするエレベーターは付けない。内部昇降技術についていろんな意見を頂いている。昇降設備の大きさは、ストレッチャーは乗らない。歴史的な資料に基づき復元するので柱、梁を残すのが前提で昇降技術を選定した。車いす1台が収められる籠の大きさとなる」としました。

    会場から「車いすは来なくていいと言うことか」とありましたが、小鹿主幹は「貴重な意見をいただきながらしっかり昇降技術を考えたい」と述べました。

    別の人は「平等とわがままと一緒にするな。地下鉄のエレベーターは対応すべきだが、河村市長は電気の無い建物を再構築したいと言っている。なぜバリアフリーが言われるのか。ピラミッドにエスカレーターをつけろというもの。『お前が我慢せよ』昔の老人も上には登れなかった。エレベーターを付けるなら再構築する必要は無い。今度作る木造は200年持つので、ドラえもんのどこでもドアが開発されるかもしれない。今回は作らないのが再構築の意味だ」と発言しました。

    続いて、別の人も「この城は『家康が作ったそのものを作る』と名古屋市から聞いたので寄付をした。電気も無いものを作る。
    50年後100年後には世界遺産になることを願って寄付したはず。
    城は攻めにくいようにできている。階段も急で、あってあたりまえ。これから作る櫓門にも昇降を作れという問題にもなる。生まれながら不平等があって平等だ。
    ■■■で生まれるかも知れない、天才としてうまれるかもしれないがそれが平等。
    VRきれいに本物でつくったらもっと素晴らしいものができる。エレベーターは誰がメンテナンスするのか。金がもったいないので別のところに金を使いたい。
    タダでエレベーター動かない。電気もいる。人もいる。エレベーター必要ない。本当の木造を作って欲しい。」と述べました。
     
    さらに別の人は、「バリアフリーは決まっているのに、何を議論するのかと思っていた。逆の意見を知れて楽しかった。
    バリアフリーがいる、いらないとちゃんと議論しないといけない。またちゃんと開催して欲しい」と述べました。

    その後、ようやくアンケート結果が紹介されました。
    ・18歳以上の5000人無作為 1448人回答 29.0%
     エレベーターいらない:23.4%
     1階まで:16.9%
     5階まで:47.2%

    今日来た人は、大体上記比率かと思うと司会は述べました。
    また、なかなか説明資料だけで価値を伝えきることの難しさを感じるとも述べました。

    最後に、有識者が一言述べました。
    麓名誉教授は「防災上の現代工法も必要だ。バリアフリーは私の話では言わなかった。名古屋市・河村市長が原案に加えてどこまで設備を付けるか決定して欲しい。どちらがいいかは私の口からはいえない」。

    阿部氏は「バリアフリーと建築は難しい問題。 全市民が参加してもらうことが物理的・時間的に難しかった。名古屋市・河村市長がどう判断するか。有識者が議論する。」と述べました。
     
    堀越氏は「防災設備は避けられない。同じようなものと判断していくことが必要」と述べました。

    最後に、河村市長は「なぜ文化財は建築基準法の除外なのか。コンメンタールに『人類の任務』とあった。
    旭丘高校の校舎が取り壊されそうになったとき、アメリカの学者は『自分の世代で壊す権利は無い』と述べた。私はもうすぐ八事に行く。本物を残したい」と述べるに留まり、市民アンケートの結果 5階まで:47.2% については触れませんでした。

    -------------
    そもそも、バリアフリーの問題については、2015年当時からずっと問題となっていました。
    名古屋市は2018/5/30に「『木造天守閣の昇降に関する付加設備の方針』を定めました。

    それに基づき、市議会の予算も付け、名古屋市は新技術を公募しました。

    それに対し、22/10/24に日弁連が「車椅子が入れる大型のエレベーターを最上階まで設置しないのは人権侵害だ!」と名古屋市長宛てに要望書を出しました。

    結局名古屋市は1階までとして22/12/6にMHIを最優秀者に選びました。

    一方、河村市長は23/3/6名古屋市議会で、河村市長は「1階までか2階以上か」を明言しませんでした。

    しかも、23/4/9投開票の名古屋市議選では、河村市長は「本物復元」と繰り返しました。

    今回のアンケート・市民討論会は、事前に市議会に公式に説明されたものではありません。

    本来は、市と市長の方針が食い違っているのであって、市民を巻き込む必要は全くありませんでした。
    その上で、市民に「どのような木造復元にするか」という説明をほとんどしてこなかったツケが一気に噴出したと思います。

    今回、名古屋市は、「木造復元の意義を説明すれば、これまでの名古屋市の経緯はともかく、市長の言うとおりエレベーターなしの市民が多くなるのでは」と考えていた節がありますが、12階建てビルをエレベーター無しで登りたいという市民は少数だったこと、障害者・高齢者無視はしたくないという市民の良識があらわれたのではないでしょうか。

    そもそも、「エレベーターをどうするか」というのは、正式に竹中工務店との契約を結ぶ前に、市民に説明して納得してから進めるべきでした。
    当初の竹中工務店案は、「ガラス張りの区画に小型エレベーター」でしたが、それを河村市長や有識者が白紙に戻し、公募をすることになりました。

    今回、河村市長の「犬笛」(特定の集団にしか理解できない暗号のような表現を使うことで、批判を受けることのないメッセージを発信し、人々の考えや行動を操る政治手法)に応じて、差別主義者が差別発言をしたと考えております。

    防災・避難計画は、すでに一般財団法人日本建築センターの評定や、一般財団法人日本消防設備安全センター消防設備システム評価委員会の評定を受けています。(バリアフリーや石垣、基礎構造が決まっていないのにどうして評定がでたのか疑問です)
    にもかかわらず、「電気を一切使わない名古屋城が復元可能」と信じ切っている名古屋市民がいること自体、名古屋市のこれまでの説明が不十分だったということではないでしょうか。

    名古屋市民オンブズマンは、21/3/2に「名古屋城木造復元事業市民説明会 ポストコロナ時代の情報発信を求める」を河村たかし名古屋市長宛に郵送しました。
    ・1ヶ月に1度の頻度でオンライン説明会を求める
    ・質疑をオンライン又はメールで行い、その場で回答するか次回に回答を発表するなど広く公開せよ

    真逆の対応のバリアフリー市民討論会は、名古屋城をめぐる矛盾の象徴ではないでしょうか。

    ----
    なお21/3/18名古屋市議会経済水道委員会で、「名古屋城天守閣木造復元に係る予算については、文化庁の文化審議会において正式に『木造復元』の許可がされた後に執行すること」という附帯決議が可決されているにもかかわらず、木材を約40億円購入済です。(まだ文化庁から『木造復元』の許可は受けていません)

    名古屋市は、すでに木材をはじめ約70億円支出しています。3大課題(石垣、バリアフリー、基礎構造)のうち、バリアフリー、基礎構造は解決する見通しが立っていません。
    石垣保存方針策定は目処がたちましたが、仮設工事をする前に御深井丸側石垣、鵜の首、穴蔵石垣の早急に補修等対策をする必要があるとされ、いつ対策が終了するかは見通しが立っていません。

    一体どうなってしまうのでしょうか。


    名古屋城木造復元「金シャチ募金」2022年度は約1.9億円

    名古屋市が名古屋城木造復元のために募集している「金シャチ募金」の2022年度が1億9092万7470円であったことが、名古屋市民オンブズマンによる名古屋城総合事務所への電話での問い合わせで判明しました。
    (正式な額は、議会報告・承認後とのこと)


    名古屋市は2017年7月から名古屋城天守閣積立基金を設置し、「名古屋城天守閣寄附金(金シャチ募金)」を募集しています。
    2022年度末の合計は7億7475万9587円です。

    平成29(2017)年度 207,357,485円
    平成30(2018)年度 131,783,050円
    令和元(2019)年度 62,495,813円
    令和2(2020)年度   78,604,761円
    令和3(2021)年度 103,546,008円
    令和4(2022)年度 190,927,470円
    合計       774,759,587円

    -----
    河村市長は「名古屋城木造復元のため、寄付金を100億円集める予定」と繰り返し述べています。
    約6年間で約7.7億円なので、このままのペースでいけば78年ほどかかる計算です。

    そもそも、平成28年6月広報なごや折込資料「名古屋城天守閣の整備」では、建設費の元金約505億円、利子約101億円としており、寄付金目標額100億円は全額利子に消える計算となります。

    一方、購入した木材の保管費用は年間約1億円で、2022年度金シャチ募金の半額は、木材保管費用に消えている計算です。
    名古屋城本丸御殿復元事業では、総事業費150億円のうち、
    50億円(33%)を民間等からの寄付でまかないました。

    今回の名古屋城天守閣復元事業では、建築費だけで505億円のところ、100億円(20%)を民間からの寄付でまかなう計画ですが、現時点では約7.7億円(1.5%)しか集まっていません。
    総事業費は979億円です。

    名古屋市は、「収支見通しは、竣工のめどがたってから見直す」としていますが、あまりにもずさんです。

    市民の盛り上がりに欠ける、名古屋城木造復元事業。
    バリアフリーも行き詰まり、石垣修復は何年かかるか分からず、基礎構造は「現天守解体後の調査後に考える」と先送り。
    防火対策・避難対策・地震対策も、法同等の安全対策ができるかどうか極めて怪しいです。
    名古屋市はこのまま突き進むのでしょうか。
    ---------
    今後の予定
    ・23/6/3(土) バリアフリー市民討論会(一般公開せず、ウェブ配信)
    ・23/6/5(月)14時〜 名古屋能楽堂 
     特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議(第5回)
    ・23/6/6(火)名古屋市議会経済水道委員会
     本丸搦手馬出周辺石垣について(観光文化交流局関係)[終了後、現場視察]
    ・23/6/10(土)14時〜 市政資料館
     「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例勉強会
    ・23/6/19-7/5 名古屋市会6月定例会

    23/6/3(土)14時〜 名古屋城バリアフリー市民討論会 傍聴はネット配信のみ

    名古屋市は、23/5/26に「23/6/3(土)14時〜 開催する名古屋城バリアフリーに関する市民討論会は、無作為抽出した市民のみ参加出来、一般の人の傍聴は現地ではできず、ネット配信のみ可能」と発表しました。
    ・記者発表資料
    ・広報
    ・配信URL


    討論会は、天守閣部会の麓和善・名古屋工業大学名誉教授、バリアフリー検討会議の堀越哲美・愛知産業大学元学長、今回の新技術公募の審査員だった、阿部一雄・一般社団法人バリアフリー総合研究所 UD−ラボ東海代表理事です。

    市民討論会と言いながら、どうして限られた人しか会場で傍聴できないのか。「有識者」はどのように選ばれたのか、など、疑問がわきます。

    また、市民討論会の時間は2時間10分です。
    講演会・討論会の時間もあるので、質疑応答の時間がどれくらい取れるのかも疑問ですし、これで「市民の意見を聴いた」というのはあまりにも乱暴だと思います。

    ---------
    なお、「住民基本台帳より無作為抽出した18歳以上の5,000人を対象としたアンケート」と添付資料を情報公開請求したところ、23/5/29に開示されました。

    添付資料には「旧国宝第1号」「先人が残してくれた他の城郭には無い豊富な史資料を基に往時の姿に復元できる」「再度「国宝」になることを目指し」「名古屋市民の誇り」「木造の柱・梁に影響を与えない」「取り外し可能」と、大きな文字で書いてあります。

    日弁連が「車椅子が入れる大型のエレベーターを最上階まで設置しないのは人権侵害だ!」と名古屋市長宛てに要望書を出したことは触れていません。

    また、「地上から大天守地階までのバリアフリーは景観に配慮したスロープにて対応」と文字であるだけで、具体的な図は掲載されていません。

    その上で、以下質問をしています。
    問4 公募により選定された最優秀者の昇降技術の設置について、あなたの考え方は以下のうちどれですか。(1つに○)
    1 設置しない(豊富な史資料を基に名古屋城天守を往時の姿に忠実に復元する)
    2 1階まで(名古屋城天守の史実に忠実な復元に配慮しながら、1階からの眺望を楽しめるようにする(公募した昇降技術の最低要求水準)
    3 最上階(5階)まで(高齢者、障害者、小さな子ども連れの方等のため、最上階まで設置)
    4 わからない
    5 その他(  )

    バリアフリー公募について、「名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託」として、令和元年〜3年度で1億4300万円の契約を(株)日本総合研究所と結んでいます。(議会の予算議決済)

    公募の説明資料にはで、技術開発費用として上限8000万円、実機導入として上限2億円と明記しています。

    市民討論会の定員は100名程度とのこと。

    どうして今のタイミングでアンケートをするのか全く理解できません。
    最優秀者に選んだ株式会社MHIエアロスペースプロダクションとの関係はどうなるのでしょうか。
    市議会への説明はどうなるのでしょうか。

    疑問だらけの市民説明会。
    市民の意見や、議会の意見をまともに聴こうとしない姿勢だけはわかります。

    -------
    ・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ


    23/5/28(日)名古屋城石垣部会「特に御深井丸側石垣、鵜の首、穴蔵石垣の状態は最悪で危険だ」

    23/5/28(日)に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第56回)が開催され、資料を読んだ石垣部会構成員は「特に御深井丸側石垣、鵜の首、穴蔵石垣の状態は最悪で、早急に補修等対策をする必要がある」と述べました。
    特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画(案)ならびに天守台石垣の保存方針については、石垣部会からの指摘を踏まえて訂正し、その後全体会議検討会議に提出される予定です。


    ・23/5/28 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第56回)配付資料
    ・23/5/28 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第56回)
     名古屋市民オンブズマンによるメモ

    今回も、審議中の録音・録画は禁止されました。
    しかも、23/5/28(日)の石垣部会開催は、23/5/26(金)になってからホームページで公表されました。

    名古屋市は23/3/17石垣部会(第55回)の終了予定時間5分前に名古屋城天守台石垣の保存方針(案)を示すも、「審議時間が取れなかった、内容も十分ではない」とされ、今回出し直しました。

    今回、天守台周辺石垣のそれぞれの面について危険度を分類(a,b1,b2,c1,c2)し、特に面として顕著な変形・変状があるものをc1としました。
    また、来城者への影響の観点から、崩落した場合来城者に影響が及ぶ可能性がある石垣をyとしました。

    千田嘉博・奈良大学教授は「整備スケジュールでは、天守台石垣の保存及び安全対策工事は、文化庁の許可が出て、木造天守閣が復元された6年目以降に行うとある。
    熱劣化した石垣は工事の前に修復する必要があるので、天守復元に先だって工程に入れないといけないのでは」と述べました。

    名古屋城総合事務所は「今年度、設計予算を確保しており、仮設を入れる前に手を入れる予定。具体的にどこを修復するかは今後石垣部会で相談する」としました。

    宮武正登・佐賀大学教授は「名古屋市が石垣を分類したc1でyが最悪で危険。
    具体的にはU65,U66,S10という御深井丸側石垣と鵜ノ首。どこにも具体的にどうしますと書いていない。
    しかもc1でyの穴蔵石垣の方針も書いてない。穴蔵石垣は、地震の際石垣が吹っ飛んできたら生命に関わる」と述べました。

    千田教授は「石垣部会として、木造復元がいいか悪いかを言うのではないが、木造復元するのなら、大小天守の穴蔵階は要になる。
    熊本城大天守台、小天守台は、熊本地震で穴蔵石垣が大崩壊した。客が入っていたらほぼ全滅しただろう。
    名古屋城は天守入るには穴蔵階を通らないといけず、絶対安全を確保しないといけない。
    熊本城は審議の中で二重三重に調査し、安全対策した。
    名古屋城も穴蔵階の絶対安全を確実に確保できなければ、文化庁として『これで進めて』とは言えないだろう」と述べました。

    また、千田教授は「今回基礎構造の例が3つ示されているが、それぞれ歴史的形とは全く別にしている。
    他と違って『天守を木造にするには、石垣を変状させていい』としている。
    板壁があり、石垣を本来の形に戻すと1ミリも見えない。名古屋市はどう復元しようとしているのか。書き込んでおかないと、『これから考えます』では文化庁が困る。文化財としてどういうメリット・デメリットがあるか。これでは、ただ木造を作りたいだけの資料だ」と述べました。

    梶原義実・名古屋大学大学院教授は「U65,U66という御深井丸側石垣が危ないとされた。観覧者の導線を石垣から離すことはできないか。
    六番御蔵も今後作ると言うが、石垣のきわを通さないようにできないか。今の導線を維持する必要はない」としました。

    宮武教授は、「基礎構造検討の基本的な考え方に、『大地震時に安全性が担保できない可能性のある天守台』と言い切っている。
    一方、『内部石垣が崩壊しないことを前提にした』ともあり、自己矛盾だ。
    『内部石垣をがちがちに固めないと』と書いており、自分の首を絞めている」と述べました。

    西形達明・関西大学名誉教授は「穴蔵石垣調査に立ち会った。本当に正確な調査ではないが、安定とは考えられない。何らかの形で補修・解体が必要だろう。
    その際の工事によって、外側石垣にどの程度影響があるか考えるのは避けられない。天守基礎構造の工法に大きく関係する。それぞれ、どんな問題が起きるのか整理して欲しい」と述べました。

    オブザーバーの山内良祐・愛知県県民文化局文化部文化芸術課文化財室は、「愛知県内には石垣が多くあり、崩れることがある。熊本地震や、東日本大震災ではたまたま人がいなかったのは奇跡的なこと。人的被害問題になっていないが、今後そうとは限らない。名古屋城が人的被害1番になってほしくない。石垣安全性について文化庁は力をいれて各自治体指導している。名古屋市としても同様にしてほしい。愛知県も、人命に影響がある石垣崩落が起きないようにしたい」と述べました。

    結局、座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は、「今日の議論を踏まえ、名古屋城総合事務所の方で調整し、石垣部会委員に個別に示した上で、全体会議検討会議に提出することでよいか」とし、了承されました。

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    今後の予定
    ・23/5/29(月)10時半〜 河村たかし名古屋市長記者会見
    ・23/6/3(土) バリアフリー市民討論会(一般公開せず)
    ・23/6/5(月)14時〜 名古屋能楽堂 
     特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議(第5回)
    ・23/6/10(土)14時〜 市政資料館
     「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例勉強会
    ・23/6/19-7/5 名古屋市会6月定例会

    名古屋城木造復元バリアフリーアンケート 市長「無作為抽出は『フラットに聞くため』」

    河村たかし市長は23/5/22定例記者会見で、現在市が行っている名古屋城木造復元バリアフリーアンケートについて「無作為抽出は『フラットに聞くため』」と述べました。
    アンケート文書については「見せてくれと言われれば、別に秘密のもんではない」と市長は述べました。
    名古屋城総合事務所に電話で確認したところ、「開示請求の決定は今週中にも出す」とのこと。


    ・23/5/23 河村市長会見文字起こし(名古屋城部分)
     名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
     
    河村市長は「エレベーターを最上階まで付けた方がいいかといえば付けた方がいいという人が多くなるのは当然。
    それとは別個な意義で、もう1回国宝になるような宝を若干不便であっても残しておこうというのは別個な価値判断なので、フラットにお伺いしてみよう。
    バリアフリー対応については文化庁に方針を出す必要がある。みんなに聞いていない、アンケートも取っていないのかとも言われかねない。
    2016年アンケートは、木造に賛成か反対かだった。
    今回は、最上階5階までエレベーターを付けた方がいいか、1階まで付けた方がいいか、つけないほうがいいかというもの。
    『国宝一号であったのは歴史的なこと』と説明文書を書いてある。
    これまで何階も名古屋城に関して市民意見交換会を行ってきた。
    木造そのものに賛成か反対か、エレベーターについての意見もあった。
    今回は無作為抽出した人の意見をフラットに聴くとどうなるか。これは重要な選択ではないかと思う」と述べました。

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    近年、「熟議民主主義」「討議民主主義」「ミニ・パブリックス」等と呼ばれる、無作為抽出された市民による政策形成プロセスが注目されています。

    名古屋市民オンブズマンは、2016/5/15に名古屋大学法学研究科の田村哲樹教授を招いて「熟議民主主義の必要性」の学習会を行っています。

    田村教授は「熟議民主主義では、熟慮+議論、ならびに自分の考えを見直すことが重要となる。熟議を通じて生まれる『練られた意見』が大事となる。
    ただし、行政がその立場を変える可能性が確保されていないと、アリバイ作りの機会と言われてしまう。」と述べています。

    今回のアンケート書面では、名古屋市の一方的な主張が記載されているだけです。
    しかも、23/6/3に予定されているという市民討論会で、市民同士が討論するかどうかは不明です。

    OECDで示された「ミニ・パブリックス」活用ガイドラインでは、11項目示されています。
    @目的
    Aアカウンタビリティ
    B透明性
    C参加の包括生
    D代表制
    E情報
    Fグループ討論
    G時間
    H高潔さ
    Iプライバシー
    J評価
    今回は特にB透明性、E情報、Fグループ討論、G時間、H高潔さ、J評価 に問題があると思います。
    H高潔さ には、「主催する公的機関とは異なる、政府とは適切に距離を取った調整チームによって実行されるべき」と記載があります。

    そもそも、名古屋市は昇降技術の公募を議会の議決を経た上で行い、22/12/6に株式会社 MHIエアロスペースプロダクションを最優秀者に選んでいます。
    ・名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募
     (国立国会図書館が保存した2023年2月4日時点のページ)

    公募要項に、「『木造天守閣の昇降に関する付加設備の方針』を2018/5/30に定めており、技術公募はこれに基づき行います。」とあります。
    5.基本方針
     ?また、協議会を新たに設置し、障害者団体等当事者の意見を丁寧に聞くことにより、誰もが利用できる付加設備の開発を行う。

    さらに、公募要領に「また、2020年4月3日衆議院国土交通委員会、5月 12日参議院国土交通委員会において、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議」が施行されており、この趣旨を踏まえることとします。 」とあります。
    ・附帯決議 令和2年4月3日衆議院国土交通委員会、5月 12日参議院国土交通委員会
     障害者権利条約に則り、歴史的建造物のバリアフリー化を進めるため、歴史的建造物を再現する場合等におけるバリアフリー整備の在り方について、高齢者、障害者等の参画の下検討が行われるよう、必要な措置を講ずること。

    愛知県の「人にやさしい街づくりの推進に関する条例」でエレベーター、スロープ等の設置義務があります。

    日本弁護士連合会(日弁連)は、22/10/24に名古屋市長に対して「再建名古屋城天守閣に高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律施行令第18条第2項第5号の要件を満たす最上階までのエレベーターを設置する」よう要望を出しました。
    大型エレベーターを最上階まで設置しなければ、「憲法・法律・条例違反で人権侵害にあたる」と述べています。

    日弁連は「民主主義と基本的人権の尊重・解説(令和版)みんなで決めるべきこと、決めてはならないこと〜民主主義と基本的人権の尊重〜」の中で、「たとえみんなのことであっても、個人の尊厳を害するような著しい不利益を与えることは、決めてはならない」と述べています。

    にもかかわらず、市議会にも説明せずに勝手に「無作為抽出市民アンケート・市民討論会」を行うと市は発表しています。
    市が定めた「基本方針」「公募要領」、参議院附帯決議にある当事者参加は無視です。

    これでは、田村教授がおそれた「アリバイ作りの機会」になってしまうのではないでしょうか。
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    ・2019年01月10日 DPI日本会議
     名古屋城の木造新天守へのエレベーター不設置について、人権救済を申し立てました
     
    ・名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
     
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    2012年6月 北海道大学科学技術コミュニケーション, 三浦太郎;三上直之
    コンセンサス会議の問題点の再考と討論型世論調査の活用の可能性

    6月 18日, 2019  勁草書房編集部ウェブサイト
    めんどうな自由、お仕着せの幸福
    第5回:熟議でのナッジ? 熟議へのナッジ?《田村哲樹さんとの対話》

    2021 年 12 月 11 日
    第 7 回 日本ミニ・パブリックス研究フォーラム 開催記録

    日本ミニ・パブリックス研究フォーラム

    建築士「名古屋城木造整備基本計画(案)は史実に忠実と言えず、大義名分がない」

    「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」は、23/5/20(土)に学習会「建築士が読み解く!名古屋城跡木造天守整備基本計画(案)」を行いました。
    動画は後日会のホームページで掲載します。

    ・配付資料
     
    名古屋市は、23/3/24に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第55回)に特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画(案)を提案し、検討会議は「3大課題(石垣、バリアフリー、基礎構造)は今後検討する」としたものの、一応了承しました。
    ・23/3/24 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第55回) 配付資料
    ・23/3/24に配布された特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画(案)

    講師の渡邉正之建築士は、上記整備基本計画(案)を読み解き、この整備基本計画(案)が、はたして「史実に忠実」な木造天守復元 と言えるのかまとめました。

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    木造天守の中に人を入れるには、現行法の法整備という高いハードルを乗り越える必要がある。
    しかし以下4項目で史実に忠実ではない
    ・バリアフリー 穴蔵階-1階だけで、全館バリアフリー化に至らず。スロープでは避難ルート確保は不十分。
    ・構造計画 天守台石垣背面は、昭和再建時に相当破壊されており、史実が不明。基礎構造は決まっていない。
    ・建築材料 屋根下地防水対策に仕様変更を行っている。
    ・防災避難計画 二方向避難経路として不適切。スプリンクラー、消火栓、階段、救助袋は史実にない

    はたして上記で現行法整備が達成されているのか。博物館機能が放棄されており、バリアフリーや消防避難設備も不完全。基礎構造は先送り。

    今こそ、現天守改修案と真剣に比較すべきだ。内装を工夫すれば、「史実に忠実内装仕上げ」ができる。
    ・木造天守(積み残し・先送り多数)+別棟博物館 600億円
    ・現天守改修 50億円

    木造天守は大義名分はなく、説得力がない。
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    今後、名古屋市はバリアフリーについて市民意見を聴き、石垣部会から意見を聴いて石垣保全方針をまとめた上で、文化庁に整備基本計画(案)を提出する予定です。(基礎構造は先送りの予定)

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    会場から活発な意見が出ました。

    「せっかく世界公募までした新技術公募だが、1階までしか行けなかった。名古屋市はこっそり無作為抽出市民アンケートを行い、23/6/3にアンケートを受け取った人だけを対象にシンポをするという。その結果次第で、もしかしたら1階までのバリアフリーすらやめにする可能性もある」という情報もありました。

    なお、Twitterをみて学習会に参加してくれた方もいました。
    ぜひ情報を広めて下さい。

    ・名古屋城天守の有形文化財登録を求める会


    名古屋城木造復元バリアフリーアンケート文面 「市民討論会」開催後まで開示決定延長

    名古屋城木造復元バリアフリーに関し、名古屋市が無作為抽出した市民にアンケートを2023年4月に送付したという情報が名古屋市民オンブズマンに入ったため、アンケート文面を情報公開請求したところ、「一時的な業務量の増大により、期間内に公開決定を行うことが事務処理上困難であるため」として、23/6/10まで延長決定が出ました。

    入った情報によれば、アンケートが届いた市民に限って、23/6/3(土)に参加者100名程度の市民討論会を開催するとのこと。
    現時点では、アンケートが届いていない人の参加は考えていないとのことでした。

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    名古屋市は、大天守内部のバリアフリーについて国際コンペを実施し、2022年12月に株式会社MHIエアロスペースプロダクションを最優秀者に選定しています。
    (公募ホームページは削除済み)
    大天守地下1階から地上1階までは可能とのこと。
    にも関わらず、現時点でアンケートを取る理由が、全くわかりません。

    そもそも、市民アンケートの文面を市民に全く公開しないというものは、極めて異例です。

    2016年5月に、名古屋城木造復元に賛成かどうかを聞く「2万人アンケート」については、事前に市議会で案を見せています。
    この際も、質問項目の作り方について議論があっただけでなく、「2万人アンケート」が、本当に民主的な方法なのかも、疑問が呈されました。

    しかも「2万人アンケート」で一番多かったのが、「2020年にとらわれず木造」であったにも関わらず、「名古屋市は2020年12月までに木造復元」とし、その後2022年12月までに延期されましたが、2023年5月現在、現天守閣解体すらできていません。
    名古屋城天守閣2万人アンケート結果について
    回答者 2万人中7,224人
    ・2020年までに木造 21.5%
    ・2020年にとらわれず木造 40.6%
    ・耐震改修 26.3% 
    ・その他 6.2%
    ・無回答 5.4%

    この際は、アンケートとともに、5回誰でも参加出来、質問も可能な市民向け報告会を開催しました。

    今回のバリアフリーアンケートについては、
    ・市議会で文言を説明していない
    ・市民にアンケート文言を説明していない。
    ・ごく限られた人しか参加できない「市民討論会」を開くという意味で極めて問題です。

    アンケートの資料・質問項目が妥当かどうかも判断できませんし、そもそも、バリアフリーに関して、障害当事者を呼ばずに決めてしまうことはあってはいけないのではないでしょうか。

    障害者権利条約は「私たちのことを私たち抜きで決めないで(Nothing About us without us)」を合言葉に世界中の障害当事者が参加して作成され、2006 年に国連で採択をされました(日本も批准しています)。

    今回のアンケートの中身がどのようなものかわかりませんが、仮に多数の人が少数派の基本的人権を奪うようなことがあってはいけません。
    法務省は、憲法の意義として、「基本的人権を『みんなで決めてはならないこと』」と教えるよう述べています。

    市民不在の中、強行されようとする名古屋城木造復元事業。
    日弁連は、「車椅子が入れる大型のエレベーターを最上階まで設置しないのは人権侵害だ!」と名古屋市長宛てに要望書を出しています。

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    ※名古屋市民に対して無作為抽出で送付されたバリアフリーアンケートをお持ちの方、よろしければ当方にメール等で送付下さい。 office@ombudsman.jp


    河村たかし名古屋市長「2022年12月までに名古屋城木造復元できなければ関係者全員切腹」発言は本当 ショート動画

    名古屋市民オンブズマンは、河村たかし名古屋市長「2022年12月までに名古屋城木造復元できなければ関係者全員切腹」発言は本当」ショート動画を作成しました。

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    河村たかし名古屋市長「2022年12月までに名古屋城木造復元できなければ関係者全員切腹」発言は本当

    2019年4月1日、河村たかし名古屋市長は名古屋城木造天守閣復元計画について「木造が作れなくなったら関係者全員切腹」と記者に述べました。

    記者から「2022年12月に間に合わなければという意味ではないということですか」と聞かれ、

    「間に合わなければも同じですよ」と述べています。

    河村市長「2022年12月までに木造復元できなければ全員切腹」発言は本当でした。

    2023年5月現在、約73億円を支出済ですが、木造復元はおろか、現名古屋城の解体申請もできていません。

    名古屋市民オンブズマンは、ホームページやブログで情報発信しています。ぜひチェックしてね。

















    河村たかし名古屋市長「『木造名古屋城に鉄骨スロープ』計画は知らなかった」発言は誤り ショート動画

    名古屋市民オンブズマンは、河村たかし名古屋市長「『木造名古屋城に鉄骨スロープ』計画は知らなかった」発言は誤り」 ショート動画を作成しました。

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    河村たかし名古屋市長「『木造名古屋城に鉄骨スロープ』計画は知らなかった」発言は誤り ショート動画

    2023年3月22日、名古屋市は名古屋城木造天守閣復元計画を説明する中で、小天守東側に鉄骨スロープを付ける案を示しました。
    同日、河村たかし名古屋市長は「鉄骨スロープは初めて聞いた、鉄骨はいかん」と記者に述べました。

    2日後の3月24日、名古屋城総合事務所長は「鉄骨スロープは事前に市長に説明し、了承を得ていた」と説明しました。

    名古屋市民オンブズマンが情報公開請求したところ、名古屋市は2022年11月29日に市長に説明済みであったことが判明。

    3月22日の市長発言は誤りでした。

    名古屋市民オンブズマンは、ホームページやブログで情報発信しています。ぜひチェックしてね。
















    23/4/24(月) 河村市長 名古屋城木造化遅れ「謝るよりしょうがない」

    河村たかし名古屋市長は、23/4/24(月)定例記者会見で、名古屋城木造復元事業が当初予定の2022年12月から遅れていることに対し「謝るよりしょうがない」と述べました。


    ・23/4/24(月)河村たかし名古屋市長定例記者会見(名古屋城部分)
     名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし

    名古屋城大小天守閣は、設備の老朽化や耐震性の確保のためとして、2018/5/7から入場禁止となっています。

    記者から「入場禁止から5年経った。さらにまた5年、あと何年かかるかわからないが、入場収入を得るために仕掛けが必要になるのでは」と質問が出ました。

    河村市長は「本当は(2020年東京)オリンピックまでに作ろうと思ってた。
    石垣保存方法について、いろんな立場がある。文化庁から『慎重の上にも慎重にやらさせて』といわれた。
    頼むからあと2−3年長生きしてちょう。
    石垣保存方法については確たる理論がないよう。
    本当に木造天守ができなかったら切腹といったが、時期が延びたやつは、ええか」と述べました。

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    石垣修復や保存方法が大事だというのは、当初から分かっていました。

    16/6/17読売新聞記事によれば、清水建設が石垣を先に補修すれば約350億円で済むも、2024年ごろの完成になり河村市長が要求する2020年7月の完成に間に合わないために、2016年3月締め切りの技術提案・交渉方式による公募型プロポーザルを辞退したとのことです。

    それでも、「どうしても2020年7月までに完成させる」と強行したのは河村市長です。
    結局、約505億円の竹中工務店と基本協定を結びました。

    ・2015/8/24 河村たかし市長「全責任は私が取る」指示書
    公募型プロポーザルから7年。
    特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画(案)は大体まとまりましたが、当初から問題視されていた3大課題(石垣、バリアフリー、基礎構造)はいまだに解決していません。

    その結果、文化庁にまだ基本計画(案)を提出できていませんし、文化庁からの現状変更許可も出ていません。
    現天守の解体も全く手つかずです。

    2016-2021年度の名古屋城天守閣木造復元に係る経費は73億688万8764円です。
    ・23/1/21 「名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会」資料冊子(ダウンロード:PDF)

    23/3/14 名古屋市議会経済水道委員会で、名古屋市の荒川・天守閣整備担当主幹は「2023年度には文化庁の復元検討委員会で議論いただこうと考えている。概ね2年とか2年半かかると感じている。
    その後現状変更許可で、その後木造天守の完成には6年半ぐらいかかると思う。
    なので、2023年度からスタートしたとして約9年かかる。ある程度順調にいくと2032年度。」と述べました。

    しかしながら、3大課題(石垣、バリアフリー、基礎構造)が解決していないため、2032年度に完成するとは思えません。
    にも関わらず、23/3/20河村市長定例記者会見では、「最短で2032年はわしは知らなかった。松雄副市長も知らなかった。市として確定した意見ではないと断言しておきたい。」と述べています。

    また、「切腹発言」について、2019/4/1 河村たかし市長定例記者会見で「2022年12月末までに木造復元できなければ関係者全員切腹」と明確に述べています。
     (記者)市長はどうなったら切腹ということですか。
     (市長)そんな変なふうになったらですよ。これは本当に木造がつくれんようになって、何かわけがわからんということでとめられたりしたら。それはそういうことじゃないですか。
    (記者)別に間に合わなければという意味ではないということですか。
    (市長)間に合わなければも同じですよ。同じですよ、そんなの。 
    19/6/24大村愛知県知事は河村市長の『できなかったら切腹』発言は典型的なパワハラだ。としています。

    河村市長は、いったい誰に対して何を謝っているのでしょうか。
    自分の発言に全く責任を持てない人物が、建設費だけで505億円もかかる名古屋城木造復元事業を成し遂げられると思いますか?

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    23/5/20(土)建築士が読み解く!名古屋城跡木造天守整備基本計画(案)

    「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」は、23/5/20(土)午後2時から、学習会「建築士が読み解く!名古屋城跡木造天守整備基本計画(案)」を名古屋市市政資料館第4集会室で行います。
    よろしければご参加下さい。


    名古屋市は、23/3/24に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第55回)に特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画(案)を提案し、検討会議は「3大課題(石垣、バリアフリー、基礎構造)は今後検討する」としたものの、一応了承しました。
    ・23/3/24 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第55回) 配付資料
    ・23/3/24に配布された特別史跡名古屋城跡木造天守整備基本計画(案)
     
    講師の渡邉正之建築士は、上記整備基本計画(案)を読み解き、この整備基本計画(案)が、はたして「史実に忠実」な木造天守復元 と言えるのかまとめました。

    「木造復元されるのだろう」というぼんやりとしたイメージではなく、2023年3月時点での「名古屋市が考える木造復元の姿」を把握することで、今後の名古屋城の整備の在り方を考えることができるのではないでしょうか。

    なお、名古屋市は3大課題(石垣、バリアフリー、基礎構造)」のうち、石垣保全方針とバリアフリーについては2023年度早々にもとりまとめ、早急に文化庁に提出する方針を立てています。

    また、名古屋市は23/3/14に名古屋市議会委員会で「木造復元は順調にいって2032年度」と初言及しています。

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    ・名古屋城天守の有形文化財登録を求める会


    【独自】木造名古屋城スロープ案 市は22/11/29に市長に説明済み

    名古屋城木造復元事業をめぐり、名古屋市が小天守閣東側に鉄骨スロープを付ける計画をしている件で、名古屋市は、2022年11月29日に、河村たかし名古屋市長にスロープの件を説明していたことが、名古屋市民オンブズマンの情報公開請求で判明しました。
    ・河村たかし名古屋市長への説明資料(令和4年11月29日)
     スロープ対応案

    残念ながら、面談記録、議事録、メモは不存在となりました。

    23/3/22に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第28回)で「地上-小天守-大天守地階の鉄骨スロープ」案が提案され、了承されました。
    ・23/3/22(水)特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第28回)配付資料
    ・名古屋市民オンブズマンによるメモ
     
    しかしながら、同日、河村市長はマスコミ取材に対し、名古屋市が提案した鉄骨スロープについて、「初めて聞いた。全然聞いてないけど。鉄骨で作るのはいかん。鉄骨は根本的にいかん」と述べたとのこと。

    23/3/24に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第55回)では、上田剛・名古屋城総合事務所所長は鉄骨スロープについて「事前に名古屋市が説明して、市長の了承も得ていた」と述べました。

    今回の情報公開請求で、上田所長の「事前に名古屋市が説明した」が確認取れました。
    市長が了承していたかどうかは書類上は確認できませんでしたが、市長と市の方針が食い違うのは大問題です。
    今後、市長と市の認識を改めて問い直したいところです。

    ---------
    なお、23/3/22資料ではスロープの傾斜は示されていませんでしたが、今回開示された22/11/29市長説明資料では、傾斜が約1/8〜1/15とされていました。

    「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー法)の政令によれば、屋内の通路の傾斜路の幅は120cm以上、勾配は1/12以下とされています。

    大天守内はいずれも1/8-1/10といずれも上記政令に反しています。
    23/3/24名古屋城跡全体整備検討会議(第55回)で、荒川主幹は「外部の傾斜は1/15。内部の傾斜は1/12を超える部分もあるが、運営面で工夫したい」と述べています。
    ・23/3/24 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第55回)
     名古屋市民オンブズマンによるメモ


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