赤羽氏は「石垣部会の使命は、名古屋城の本質的価値を持っている石垣、地下遺構をどう保全し、発展、理解を進めていくかというもの。せっかく出てきた石列を調査し記録することは使命にかなったもの。
木造復元について、部会として議論したことはない。今回木造復元と現天守解体について名古屋市の回答が出たが、私としては、石垣部会が扱う範疇ではないと理解している」としました。
名古屋城総合事務所は「再発防止対策として、各段階でチェック機能を強化することにした。今後は有識者の先生のご意見を伺いたい。全体整備検討会議のもとに各部会がある。全体整備検討会議に諮って、部会に下ろす。整備部会は今後検討する」としました。
宮武教授は「石材を補修して使えるか使えないかは、プロの石工の目で判定しないといけない。石棟梁と話したのか」としたところ、名古屋城の担当者は「まだ話していない」としました。
名古屋城天守木造復元は、市民の間でも極めて優先順位が低いものです。「新型コロナ対策をやめて名古屋城天守木造復元を優先すべき」という名古屋市民がいたらお教えください。
しかも実現するかどうかすらわからない、万が一無事木造復元が実現したとしても、あと何年かかるか、いくらかかるのかすらはっきりしません。小野徹郎・名古屋工業大学名誉教授は「天守台石垣の追加調査や、穴蔵石垣試掘はどうなっているのか。なにをどう調査するのか、石垣部会の了解を得ているのか」質問しました。
古阪秀三・立命館大学客員教授は「石垣部会は天守閣部会より前から存在しているが、これまで何をしてきたのか、今後何をするのか名古屋市の説明では全くわからない。石垣はそんなに難しいはずはない」としました。
佐治・名古屋城総合事務所所長は「石垣・埋蔵文化財部会には順次諮っている。全体整備検討会議に諮って、部会におろしてという手法をとっている」としました。座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「天守閣部会は3年間復元検討をやってきたが、いまだに石垣部会が何をやっているのかわからない。名古屋市から情報が出てきていない。『順次図れるものは諮っていく』ばかりで、工程を考えるにはなっていない」としました。
佐治所長は「文化庁から指摘事項があり、追加情報をお返しするため全力を尽くしている。いつまでに検討を終えて、文化庁に返すかお示ししたい」としました。麓和善・名古屋工業大学大学院教授は「当初の工程が5年で、現在8年となっているが、当初の工程が他と比べて短いと思っていた。いい仕事をするためには、ちゃんとした時間を取る必要がある。木材加工は前倒しも可能。復元工事が当初の31か月に縛られることなく、適切な工事期間を表したものに直したほうがよい」としました。
小野名誉教授は「文化庁の許可が出るよう全力を注いでほしい。石垣部会が反対しているようだが、石垣のなにをいつまで明らかにすべきかはっきりしてもらいたい」としました。
西形達明・関西大学名誉教授は「私は最近石垣・埋蔵文化財部会に入った。石垣部会としては、天守台石垣の調査をやればやるほど問題が出てきた。石垣の保全が確認できなければ文化庁の許可がでない。石垣部会として、決して復元を遅らせようというのではない。調査を踏まえ、(解体工事の際の)抑え盛り土で石垣が大丈夫かどうか確実に検討したいということ」としました。古阪客員教授は「西形先生が入られるまで3年間、石垣部会には技術的な検討ができるメンバーがいず、ほったらかしだった。また、市の契約が随分変わっていることは非常に大きな問題ではないか」としました。
西形名誉教授は「石垣の安定性についてなかなか結論が出せない。復元の基本的な考え方は、石垣と木造復元構造は分離された形で計画されている。石垣の変状等が起こっても、天守には影響しないようにという考え方である。むしろ、解体・復元工事によって石垣そのものに影響をあたえないように、変状が起きないようにするため、石垣そのものの安定性、長期の持続性を念頭に置いて石垣の調査をしている」としました。
西形名誉教授は「木造天守の荷重は石垣にかかることはなく、石垣そのものの安定性は維持されるのではないか。ただ、内部構造を調べ、予期しない空洞がないか調査をし、満足されれば工事中の対策について安定性が確保されるだろう」としました。
三浦正幸・広島大学名誉教授は「東南海地震がわりに早く来るのではないかと言われている。石垣は上から荷重をかけた方が安定する。熊本地震では、復元建物が乗っていた石垣は1棟を除いて崩壊した。復元建物が乗っていないものは、明治以降積みなおされた石垣が崩れた。解析が不足している。
現在の名古屋城は石垣に上から重さをかけていない。今東南海地震が来たら、石垣が大事だと言っているがコンクリートケーソンが中にあるために石垣を積みなおした上の方が崩れ落ちる可能性がある。設計を見直し、木造1階2階ができた後、石垣に荷重をかけるべき。また、工事中いつ東南海地震が来たらどう対応するか検討すべき」としました。木材の製材、保管、乾燥には経費が掛かる。石垣内部の跳ね出し加工見直しには人件費かかる。VEやるというが、コストダウンと同じ。史実に忠実なプロジェクトにVEはそぐわない」としました。
名古屋城の担当者は「505億円をどうしても守るが、質を下げることはよくない。期間が延びる際、基本協定に基づき、価格交渉を行う。竹中と協議をして、膨らむことはないように交渉する。505億に収まるか。そうじゃなくなるかもしれない。説明責任がある。目標は505億円」としました。
次回天守閣部会は7/10(金)予定とのこと。記者から、残り任期1年でぜひ成し遂げたい政策は何かと聞かれた河村市長は、「減税。議員の家業化を止める。お城はちゃんとやらないかん。こどもが学校が楽しくなるように。」と答えました。