名古屋城 本丸御殿+木造天守閣問題特集

2020年度
21/3/30 名古屋城全体整備検討会議 文化庁からの「宿題」回答提出を認める

21/3/30に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第38回)が開催され、
文化庁からの指摘事項に関する回答の提出を承認しました。

・21/3/30 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第38回)配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210330.pdf



21/3/25 名古屋城天守閣部会委員「天守台石垣表面をすべて修理すると5年くらいかかりそう」

21/3/25午後、特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第23回)が開催されました。
 
・21/3/25 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第23回)
 配付資料
 
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210325-2.pdf
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210325-2-1.pdf
 
2019年9月に文化庁から4つの指摘事項が出されており、名古屋市はそれに回答しない限り、次の段階に進めませんでした。
名古屋市は、回答を作成するために各種調査をしてきました。名古屋市は「指摘事項への回答について、事前に資料を文化庁に見せたところ、『このままでは細かすぎ、ボリュームが多い。一問一答形式で回答してほしい』と指導をいただいた」としました。

麓和善・名古屋工業大学大学院教授は「指摘事項への回答には、『天守台石垣の被熱と劣化に関し、仮設物設定前に保存を行う。令和3年夏ごろに石垣保存方針を作成し、石垣補修を行う』とある。表面被熱劣化への対応は結構難しい。一個づつの石ごとに検討しないといけない。『令和3年夏ごろ』と明確に回答するのがよいのか。本当にできるのか。補修をやってから仮設工事に取り掛かるので良いのか。
時間が短すぎる。これだけの面積なのでかなり時間がかかる。全部補修したうえで工事に取り掛かることが必要なのか疑問に思う。『石垣の保存方針を検討する』くらいではダメか。『修理する』と言わないと、文化庁への回答が成立しないか」としました。

名古屋城総合事務所は「今年夏ごろをめどに石垣保存方針を作成したい。石垣表面の補修については、内堀保護工でかぶる部分はさきにやらないといけない」としました。

麓教授は「石垣部会の議論を踏まえると、時間がかかる気がする」とし、名古屋城総合事務所は「ご心配な点は分かるが、方針として示す必要はあると思う」としました。

三浦正幸・広島大学名誉教授は「麓先生の懸念はごもっとも。『被熱によって表面がはがれかかった石材は、必要措置を講じる』と限定修飾語を用いてはどうか。記載の通りだと、自らの首を絞めるようなもの。天守閣石垣の表面の被熱と劣化をすべて直すと、それだけで5年くらいかかりそう」と述べました。

村木副センター長は「現時点で、どの段階でどのレベルの補修をするか、具体的な検討はできていない。しかし直接内堀保護工に触れ、剥離してしまうところは事前に対応する必要がある。記述の仕方は検討したい」としました。

古阪秀三・立命館大学客員教授は「ここまで遅れた。文化庁のルールは何か。どういう審査員、指導員がいるのか。文化庁は何をやっているのか。このままでは木造復元を我々は天国から見ているかもしれない」としました。

佐治所長は「天守閣部会からのご指摘は前向きに検討したいが、21/3/30に開かれる全体整備検討会議には時間がないため、同じ文面で出したい」としました。

座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「本日の指摘を踏まえて文化庁に提出してほしい。私が修正を確認する」としました。

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同じ21/3/25に開催した2つの部会で、午前中に開かれた石垣・埋蔵文化財部会では『遺構保存を徹底する』としたにもかかわらず、午後に開かれた天守閣部会では「天守台石垣の表面については、必要な措置を講じる」とまで表現が後退しました。

天守台石垣の表面は戦災の被熱で極めてはがれやすくなっており、ちょっと触るだけでボロボロ落ちてくることがあります。
プラスチックを利用した軽量盛り土は軽いため、堀底の石列等遺構に対する影響は「軽微」と解析結果がでたとのこと。

しかしながら、軽量盛り土が天守台石垣に触れると、ボロボロはがれる可能性があります。

「その補修を徹底する」と石垣部会は午前中に了承したのに、午後の天守閣部会では「必要な措置を講じる」に後退する意見が出ました。

今後、どのような文言が文化庁に提出されるかわかりませんが、文化庁が「必要な措置を講じる」で、現天守閣解体の現状変更申請を認めるかわかりません。

三浦名誉教授が述べたように「天守閣石垣表面の補修を徹底すれば5年かかる」のです。
それ以降しか、現天守閣解体のための足場を組むことはできません。
2028年ごろの木造復元など夢のまた夢です。

せっかく2つの部会が同じ会場に集まったのだから、午前と午後にわけるのではなく、どうして同時に開催して意見を交換しなかったのか、理解に苦しみます。

堀底石列に続き、天守台石垣表面の補修方法も今後確実に焦点になります。
市民や議員、マスコミがどこまでこの問題を理解しているのか。名古屋城木造復元への道ははるかかなたです。

21/3/25 名古屋城石垣部会「文化庁からの指摘事項への回答『遺構保存を徹底する』明記は極めて大きな一歩』」

21/3/25午前に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第41回)が開催され、現天守の解体の現状変更許可申請に対する文化庁からの指摘事項への対応について、石垣部会構成員は概ね了承をしました。

・21/3/25 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第41回)
 
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210325-1.pdf
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210325-1-1.pdf

・21/3/25 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第41回)終了後の記者会見
 名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210325-1-3.pdf

2019年9月に文化庁から4つの指摘事項が出されており、名古屋市はそれに回答しない限り、次の段階に進めませんでした。
名古屋市は、回答を作成するために各種調査をしてきました。
名古屋市は「指摘事項への回答について、事前に資料を文化庁に見せたところ、『このままでは細かすぎ、ボリュームが多い。一問一答形式で回答してほしい』と指導をいただいた」としました。

名古屋城調査研究センターの村木副所長は「内堀についてレーダー探査、発掘調査をしたところ、新たに石列が見つかった。しかし、天守台については接するところまで、それ以外の面は接するところまではなかった。今回は遺構を調べるまでは至っていないが、重要な遺構と認識しており、今後調査体制を整える」としました。

また、名古屋城総合事務所は「内堀に関して工学的解析を行ったが、空隙はなかった。新たな石列は、力学的には大天守閣石垣や御深井丸側石垣と独立している。
また、現天守閣解体時の仮設物設置時と、木造復元時の最大荷重時の解析を行ったが、プラスチックの軽量盛り土で埋めた場合、ほとんど影響はなく、遺構の保護対策として妥当と考える」としました。

さらに、大天守北側の御深井丸側石垣について発掘調査をしたところ、ほとんど遺構は確認できなかったとしました。

天守台石垣について、背面に空隙は認められず、軽量盛り土での押し込みもないとしました。石の表面剥離については、軽量盛り土で埋め戻した際、表面剥離進行の可能性があるが、他城郭などを参考にして石垣保護の事前対策をしたいとしました。

文化庁と相談をしたが、上記回答を出すことにおおむね了承したとのこと。

石垣部会の千田嘉博・奈良大学教授は「文化庁の指摘事項は解決しないと進まない。
今回の報告は、名古屋城総合事務所が調査した結果、『ここがこうわかった。継続調査はこうする、こう対策する』と明確になり、どう保護するかは今後検討だが、宿題はほぼ完ぺきに回答ができたと考える」としました。

赤羽一郎・元愛知淑徳大学非常勤講師は「新たに内堀で見つかった石列をどう評価するかについて記載がないのは苦言を呈したい。市民に説明責任が問われる。『文化庁の注文にこたえるだけでいい』というのでは、調査研究センターの意義が問われる」としました。

千田教授は「内堀底で見つかった石列は、幻の小天守の石垣の基礎でほぼ間違いがない。今回の調査目的は、見つかったものの性質を調べるものではなかった。将来名古屋城を訪れるお客様に見せられたら良い」としました。

続いて、天守台ボーリング調査について議題となりました。

宮武正登・佐賀大学教授は「小天守台になぜボーリングを入れるのか欠落している。小天守から大天守にシルト層が傾斜している可能性があるから。」としました。

議題に関し、石垣部会としては一部修正を求めるものの、親委員会である、全体整備検討会議に諮ることを了承しました。

石垣部会終了後、記者会見が行われました。

座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「新型コロナ禍の中、現場の発掘調査の方は大変頑張ってくれた。
石垣部会の助言と現場がずれることはあったが、議論してここまでこれた」としました。

記者は「もう文化財遺構を毀損しないという整備方針を明記された評価点について、名古屋市の姿勢が変わったのか」と質問しました。

宮武教授は「文化庁からの指摘事項が出た時点と現時点では情報量が全然違う。指摘事項以降、細密な調査をして、新しい知見が出てきて、気づかなかったダメージも出てきた。名古屋市側の姿勢が変わったということではなく、調査の質も量も増えたため、来年度以降も必要な調査を続けていく。解決策や報告策は今回文化庁側にこたえられると確認した。」としました。

赤羽氏は「石垣部会の使命は、名古屋城の本質的価値を持っている石垣、地下遺構をどう保全し、発展、理解を進めていくかというもの。せっかく出てきた石列を調査し記録することは使命にかなったもの。
木造復元について、部会として議論したことはない。今回木造復元と現天守解体について名古屋市の回答が出たが、私としては、石垣部会が扱う範疇ではないと理解している」としました。

宮武教授は「石列について下まで見たいが、今回の調査はあくまで健康診断として行う調査。文化庁は仕切り直して考えてくださいということ」としました。

千田教授は「今回の部会は非常に意義があったと思う。文化庁からだされた宿題について、一生懸命名古屋城調査研究センターが調査し、学術的な成果に基づいて
こたえられるところまで明確に答えた。
堀底石列については、名古屋市が最終的にどう活かすのか目的を明らかにしたうえで、文化庁から許可をもらえるかもしれないということ。
今回、文化庁からの宿題はほぼ完全な形で回答できることが明確になった。前提条件をクリアすることが見えた。この一歩は極めて大きい」としました。

記者から「名古屋市は木造天守額を2028年完成目安というような新たな工程表を提出しているが、今回を踏まえてどうなるとお感じか」と質問しました。
宮武教授は「親委員会の承認もまだ。午後の天守閣部会もあるのでお楽しみ」としました。

千田教授は「名古屋市は組織として石垣・埋蔵文化財・地下遺構の保存を徹底したうえで、復元や整備を進めると書類で明確にした。宿題をクリアしたということではなく、名古屋市はこの方針で名古屋城を活かしていくと明確にしたのも大きなこと」としました。

宮武教授は「文化庁の宿題はツボどころを得ていたといえる。名古屋市は回答するうちに改善点が見えてきて、不足するところも見えてきて、さらに調査したら堀底から石垣が見つかった。
単に宿題解決という問題ではなく、これからの名古屋城の整備に向けて考え直すいい機会が得られたと思う」としました。

西形達明・関西大学名誉教授は「私は工学側の人間。現存石垣をいかに傷つけないか、影響しない形で工事が達成させるかが第一課題。
今回発泡スチロールを使うことになり、計算技術で計算したら影響は非常に微細という結果が出た。
工事を行う前にいろんな調査がなされたが、新技術が開発された。ただもし施工に入るなら、未知の問題が出てくるだろう。石垣は工学分野では扱うのは難しい。安定性の評価は工学的には未知の領域。実際施工が行われれば、いろんな問題が出てきて、今後の城郭石垣の維持管理の中で非常に大きな成果が得られる可能性があるだろう」としました。

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石垣部会委員は「石垣や地下遺構を傷つけない」と明記した名古屋市の方針を大変評価しています。
しかしながら、実際に石垣や地下遺構を傷つけずに木造復元ができるのかは全く不明です。
竹中工務店が提案した「跳ね出し架構」に代わる」新たな基礎構造を検討するため、石垣部会と天守閣部会が合同で「調整会議」を開くとしましたが、2021年2月末までには開催されませんでした。

さらに、名古屋市は文化庁からの、現天守閣解体申請に関する指摘事項に対する返事をようやくできるめどが立ちましたが、その後、その回答を受けて文化庁復元検討委員会がどう判断するかは不明です。
石垣部会は「さらに調査が必要」と言っているので、追加の指摘事項が出る可能性も大きいです。

もっと問題なのは、木造復元に関する現状変更申請を名古屋市は今後文化庁に提出しようとしていますが、上記跳ね出し架構に代わる基礎構造を提案できるのか、さらには木造復元に関する現状変更申請書を本当に提出できるのか、文化庁復元検討委員会から「木造復元に関する指摘事項」は出ないのか。全く未定です。

21/3/25天守閣部会では、三浦正幸・広島大学名誉教授は「天守閣石垣の表面の被熱と劣化をすべて直すと、それだけで5年くらいかかりそう」と述べています。
・21/3/25 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第23回)
 配付資料
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210325-2.pdf
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210325-2-1.pdf
 
石垣部会の今回の了承は大きな一歩ではありますが、今後の課題があまりにも大きいです。

名古屋市の今回の方針通りに行えば、木造復元にあと何年かかるのか。そもそも「遺構や石垣を壊さずに木造復元が可能なのか」も現時点ではわかりません。

方針が「絵に描いた餅」になるのではないか、今後も注意してみていきたいです。


21/3/24 名古屋市文化財調査委員会委員「名古屋城総合事務所が同じミスを何回もする原因はなにか?」

21/3/24に名古屋市文化財調査委員会が開催されました。
・21/3/24 名古屋市文化財調査委員会 配付資料
 
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210324-1.pdf
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210324-2.pdf
 
20/3/2に名古屋城総合事務所が名古屋城重要文化財等展示収蔵施設 外構工事に伴って、特別史跡である遺構の石列を毀損しました。その再発防止策として、国指定史跡等の現状変更許可申請に対して教育委員会が副申書をつける際、今年度から文化財調査委員会が指導を行うことにしました。

教育委員会は、「再発防止策はとったものの、市会本会議でも話題になったように、名古屋城総合事務所は毀損届を期限内に文化庁に提出せず、また現状変更許可申請をせずに工事を行った。誠に残念なことであり、教育委員会としては、観光文化交流局に注意喚起を行うとともに、教育委員会としても十分留意する」と発言しました。

山本直人委員は、「どうして名古屋城総合事務所は同じミスを何回も繰り返すのか?原因は何か?教育委員会を言うことを聞かず無視しているのか?」と尋ねました。

教育委員会は「毀損届は10日以内に文化庁に提出することになっているが、確認をしていたところ結果的に時間を要することになったという。
現状変更許可申請については、名古屋城総合事務所は通常の維持管理も行っており、現状変更許可申請が必要な場合、必要ない場合があり、保護法、保存活用計画を十分参照されなかった。名古屋城総合事務所は意識が低い。」
委員長は「今後はなるべく同様なことが起こらないことを期待したい」としました。


18/7/9石垣部会と名古屋城事務所、文化庁が東京で打合せ「石垣の修復をまずやらねばならない。工事の後でやるというのはダメ」

名古屋市民オンブズマンは、2018/7/9に石垣部会、名古屋城総合事務所、文化庁記念物課の調査官が名古屋市東京事務所で打合せをした際の復命書を情報公開請求し、開示されました。

名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所保存整備室
平成30年7月9日分 復命書、持参資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210322-1.pdf
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210322-2.pdf
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210322-3.pdf

本件は21/2/12に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第40回)で、赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は「2018年に石垣部会メンバーと名古屋市東京事務所に行って文化庁と話をしたことがある。」と述べたことから発覚しました。

名古屋市観光文化交流局観光交流部観光推進課は「復命書の保存期間は1年で、廃棄処理が完了している」として不存在決定を出しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210226.pdf

今回開示された文書には、以下記載されていました。

<建物基礎>
穴蔵石垣は、昭和だからといって外して良いとはならない。
<スケジュール>
天守閣を復元するかどうかを別にして(部会はそれには関与しない)、石垣の修復をまずやらねばならない。工事の後でやるというのはダメ。
一般論として、修理が先。

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このようなことがはっきり石垣部会から指摘されていたのが文書ではじめて確認出来ました。

2年8ヶ月も前にこのような指摘がなされていたことが市民や議員に広く知られていれば、その後の議論も相当変わってきたと思います。

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城総合事務所が文化庁へ出張した際の復命書は情報公開請求してきましたが、今回は名古屋市東京事務所出張なので公開請求対象から外れていました。

名古屋市は、2018/7/9の会合後も「石垣の応急処置はするものの、まず天守木造化、続いて石垣修復」の方針を崩していません。
名古屋市はその方針でその後も予算を提出し、文化庁にも現天守閣解体の現状変更許可申請を提出していますが指摘事項が出されて、名古屋市はまだ回答できていません。

文化庁から認められている専門部会である石垣部会の委員が、「石垣の修復を工事の後でやるというのはダメ」というのであれば、文化庁は、石垣の修復がないままの現天守閣解体・木造復元の現状変更許可申請を認めないのではないでしょうか。

これまで市議会で議論してきた前提がすべて狂ってきます。
人件費も含め、木造復元事業に平成28年度〜令和元年度で69億6800万円余をかけています。

市民・議員に説明もせず、ありとあらゆる点で行き詰まっている名古屋城木造復元事業。
河村たかし名古屋市長が2015/8/24に出した「まず本丸天守の復元。全責任は私がとる」という指示書がますます意味を持ってきます。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf


21/3/18 名古屋市会委員会 令和3年度名古屋城木造復元予算を付帯決議つけて可決

21/3/18に名古屋市議会経済水道委員会が開催され、河村たかし名古屋市長を委員会に呼んで議論は白熱したものの、自民・民主・公明が提案した付帯決議をつけて令和3年度名古屋城木造復元予算は可決されました。

・21/3/18 名古屋市会経済水道委員会 配付資料
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210318.pdf

・21/3/18 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210318-1.pdf

・21/3/18 名古屋市議会経済水道委員会
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210318-2.pdf
 
渡辺義郎市議(自民・北区)は、「提出された資料を見ても、「検討中、解析中」ばかりで、21/3/25に予定されている石垣部会に間に合うのか、石垣調査を含め、白紙の答案を文化庁に提出するのか」と聞きました。
河村たかし名古屋市長は「文化庁との交渉はずっと局長に任せている。信頼している。名前は出せないが、文化庁のトップの方は、『4月に提出いただければ審議会に載せよう。なんでも相談してください』と言っていた。当局は十分対応していると思っている」としました。

渡辺市議は「資料には、引き続き検討と書いてある。内堀を軽量盛り土で埋めるのは当然と結論があり、できなければ切腹と言った。職員に、文化庁に資料を出させるようせかせるからだ」としました。
河村市長は「知っている爺さんばあさんは、あの世行く前に作って本物にのぼりたいというひとがものすごくいる。職員に無理にせかしていることは一切ない」としました。

渡辺市議は「2年前は自信いっぱいだったが、文化庁の議題に上がらなかった。市議団が調査したところ、有識者会議を通らないような気がする」としました。
河村市長は「文化庁から、宿題をクリアしたら、5月にかけましょうと聞いている。学者の皆様とはもう1回ある。必ず5月の文化審議会にかけられると信じている」としました。松尾局長は「5月は文化庁で復元を議論するわけではない。今回、文化庁からの宿題を3月中にまとめて4月にかける。復元は後になる」と補足しました。

渡辺市議は「文化庁は、『解体と復元を一緒に申請出せ』と言った。そもそも、副申書を教育委員会が添付しないといけないが、今回ついていない。教育委員会は副申書をつけないと言っている。申請を出せるのか」としました。
佐治所長は「追加情報に教育委員会の副申書は必要ないと認識している」としました。
河村市長は「副申についてははじめて聞いた」としました。
佐治所長は「以前、文化庁からの確認事項に対する回答を提出したが、その時も副申は出していない。今回の指摘事項も、途中なので副申は必要ないと認識している」としました。

渡辺市議は「文化庁は『解体申請をいっぺんおろして、復元と一緒に出しなさい』と言っている。教育委員会は副申を出さない。間に合わないと言っているのと同じ。
文化庁に確認した。」としました。
河村市長は「文化庁から、一体でやるときは変更でよいとはっきり聞いた」としました。

渡辺市議は「4月上旬に文化庁からの指摘事項の回答を出して、復元にかかる現状変更許可申請はいつ出すのか」と質問しました。
佐治所長は「一体の現状変更許可申請に関し、時期はまだ文化庁と相談していない。出し方は取り下げになるのか、付け足しなのかは調整するが、まだ先になる。」としました。

渡辺市議は「全然ダメ。誰が原因か。また、幻の小天守閣について、力不足で調査できない学芸員が、なぜ軽量盛り土をかければ遺跡保護大丈夫と結論を出せるのか」としました。
河村市長は「幻の小天守閣について、専門家が話して進めればよい。専門部会がもう1回あると聞いている」としました。

渡辺市議は「自民党の浅井市議は、文化庁二課長、調査官の実名を出した。市長はいったい誰と話したのか。信頼関係があるのか。トップとはだれか。実際に行っているのか」としました。
河村市長は、「最近は直には行っていない。実名はいかんがトップ。トップが『両方一緒に出して』と言った。トップの名前は先様に了解をとってから話す」としました。

渡辺市議は、「浅井市議は、松尾局長が『市長の公約の木造復元はしない』と関係者にメールと送ったと言っている。市長マニフェストをばっさり。市長はどう思う」としました。
河村市長は「あんたが木造復元をしないといった?はっきりしない。前後の文脈は知らない。そんなことはないと思う。本人のことを聞かないといけない。竣工時期ありきではないと、局長が横で言っている」としました。

渡辺市議は「公約だから進んでいるように見せたいのだろうが、局長の元では進まないという人がたくさんいる。マニフェストとしての成果はゼロで、寄付した人を裏切った。市民に謝罪してはどうか」としました。
河村市長は「公約は大きい。名古屋市の1000年の計」としました。

渡辺市議は「税金を使わず、入場料だけで賄う計画。本丸御殿が完成しても年間230万人。計画の年間360万人は極めて厳しい。市長は、陽子線施設は毎年赤字が出るからやめた。名古屋城も赤字ならやめないといけないのでは、としました。
河村市長は「文化庁は、本丸地区全体の復元で行こうと超ビッグな話をしている。世界の文化財になるのは確実。江戸城は年間400万−500万人を想定しているが、物理的には入れないから。名古屋はリニアができて、復興のシンボル。ものすごい数の人が来てくださると信じている」としました。

渡辺市議は「たちどまって考えるのはどうか。入る入るという論法ばかり。赤字もありうるのでは」としました。
河村市長は「奈良ドキュメントでは、同じ場所で同じ材料で図面があれば、なくなったかもしれないが本物がある。」としました。

渡辺市議は「基礎構造にケーソンを使っているが、『復元的整備』になるのでは、また、新たな階段をつけるとどうなる」としました。
河村市長は「ケーソンについては、最終的には文化庁が判断するが、7000トンほどあり、安全のためにも必要と考える。規約の中に、安全面には別途配慮が必要とある。名古屋城で復元できなければ、日本で復元はダメでしょう。」としました。

渡辺市議は「とても文化庁の許可が出ない。そんな中予算が出ている。復元の申請すらできない状況。本丸御殿は10年かかって着手した。短兵急にする必要はないのでは」としました。
河村市長は「Is値は0.14.文化庁の指導に従って丁寧にやっている。世界の木造の宝ができると信じている」としました。

渡辺市議は、「竹中と基本協定を結んでいるが、法律的に問題が起こるのではないか。」としました。
河村市長は「技術提案交渉方式は、国会全会一致で決まった。文化庁は『竹中の技術提案は素晴らしい』と言っている。違法はありえない」としました。
渡辺市議は「はぐらかすのはやめや。基本協定に違反するのではないかと質問している。」
河村市長は「委員長と協議して、今の伸ばしていく範囲は契約上問題ないと聞いている」としました。

渡辺市議は「解体と復元はいつ出せるのか。副申書をつけて出せるのか」としました。
松尾局長は「竣工時期ありきの復元はうまくいかない。解体について、1年半前の指摘をほったらかしにはできない。手順を踏んでやりたい。文化庁は、木造復元だけでなく全体の整備もしたいと言ったらそれはいいねと言った。一定の理解をしていただいていると理解している。合体して申請するのはいずれくる」としました。

渡辺市議は「文化庁はそう思っていない。自分よがりで大きな間違い。うまくいかなかったら責任はどうとるか。5年10年20年たったとき、河村市長はいない懸念がある。反対するわけではないが苦言を呈したい」としました。

さわだ晃一市議(公明・西区)は、「収支計画は採算がちゃんととれるという条件で総務省に出している。竣工時期が決まらないと収支計画はできない。議会は当局が出してきたオフィシャルな資料で議決するしかない。あとになって、議会が悪い、誤っていたという市長に付き合ってられない。市長は、予算を提出しないでください」としました。
河村市長は「世紀の工事でチャンス。1000年の価値がある。予算は出している」としました。

さわだ市議は「河村市長がいないほうが木造復元がうまくいく。竣工時期を定める決断を」としました。
河村市長は「許可権者は文化庁。匍匐前進しながら進んでいく。文化庁と竣工時期の相談はしたことがない」としました。

橋本ひろき市議(民主・南区)は「今回は復元なのか復元的整備なのか」と質問しました。
佐治所長は「文化庁に具体的な計画を提出できていない。判断するのは文化庁」としました。
河村市長は「これは復元」と明確に述べました。

橋本市議は「これまで議会は復元的整備に予算を認めてきたわけではない。復元的整備ならやらない方がよいと言って」としました。
河村市長は「そのくらいの気持ち。復元的整備ならやらんほうがよい」としました。

江上博之市議(共産・中川区)は「技術提案交渉方式の協定書では、2022年12月完成となっている。工程からすれば、5年6年でできるとは思えない。損害賠償が多額となる。ここで決断すべき。」としました。
河村市長は「当局に答弁を求めたい。文化庁と相談しないといけない可能性がある」としました。
名古屋城総合事務所は「弁護士と相談したところ、単純に時間が伸びたということではなく、様々な不確定要素が具体化したため、それらを踏まえて現実的に検討する」としました。
河村市長は「現時点では見直しはできないからしない」としました。

江上市議は「当初の建設費想定は250億〜400億円だった。工期を短縮するから505億円と高くてもやむを得ないとなった。工期が伸びたら高額な価格はおかしいのでは」としました。
河村市長は「竹中も遵守すると言っている。妥当だと思う」としました。

江上市議は「東北隅櫓や、多門櫓などの復元を優先すべきで、今あるものを壊して木造化することはない:としました。

総括質疑は終了し、暫時休憩ののち意思決定をしました。

自民:以下の要望を付してすべての原案に賛成し、7号議案の付帯決議にも賛成いたします。
 
名古屋民主:以下の要望を付してすべての原案に賛成し、7号議案の付帯決議にも賛成いたします。

減税日本:以下の要望を付してすべての原案に賛成し、7号議案の付帯決議には反対いたします。
観光文化交流局関係一刻も早い天守閣木造復元を待ち望んでいる市民がおおくみえると思う中、事業費の上限505億円を遵守して竣工すること。

公明:以下の要望を付してすべての原案に賛成し、7号議案の付帯決議にも賛成いたします。

共産:第一号議案 一般会計予算 反対
 理由 一つ 名古屋城の天守閣木造復元関連経費は、木造復元の完成期限2022年12月を断念し、技術提案交渉方式による契約の必要性もないにもかかわらず、事業を強引に進めようとしているから
第七号議案 名古屋城天守閣特別会計予算 反対
 理由 これは一般会計予算の名古屋城天守閣木造復元関連経費の反対理由と同じです。
以上です。

予算について、賛成多数で可決。
付帯決議も賛成多数で可決されました。

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委員会の白熱した議論を踏まえると、どうして予算を可決できるのか全く理解ができません。
しかも、付帯決議はこれまで何回も反故にされています。

市当局も市民に説明があまりにも足りませんし、市議会の今回の判断に至った経緯も説明が足りません。

今後、21/3/25(木)には石垣部会・天守閣部会が開催されます。
https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2020/kankobunkakoryu/0000139315.html
https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2020/kankobunkakoryu/0000139332.html

委員会の指摘が正しかったのかどうかは、各部会の議論でわかるでしょう。
今回の委員会の議決は、あとあとまで禍根を残すと思います。

21/3/17 自民市議「名古屋城内堀 軽量盛り土埋め立てについて石垣部会に一昨年9月から一度も諮っていないとはどういうことか」

21/3/17に名古屋市議会経済水道委員会が開かれました。

21/3/17 名古屋市議会経済水道委員会 資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210317.pdf

21/3/17 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210317-1.pdf

渡辺義郎市議(自民・北区)は、名古屋城木造復元に関し、文化庁に対して解体と復元一緒に提出するのかと質問し、名古屋城総合事務所は、「そのように文化庁から指摘をいただいているので、最終的には解体と復元一体でだしていく」としました。

渡辺市議は、「(内堀を)軽量盛り土で埋め戻す仮設計画は妥当と書いてあるが、石垣部会とどのように協議したか」と質問したところ、名古屋城総合事務所は「来週3月25日に諮る予定。その後天守閣部会、3月30日に全体整備検討会議に諮り、最終的にご了承いただければ文化庁に提出したい」としました。

渡辺市議は「遅い。石垣部会にダメと言われたらまた延びてしまう。やり方そのものがおかしい」としました。
佐治所長は「タイトなスケジュールで部会の合意を得ようとしているのは申し訳ないと思っている。文化庁と協議をし、相談したうえで部会に諮らせていただこうとしている」としました。

渡辺市議は「文化庁から指摘をされたのは一昨年の9月。石垣部会に1回も聴いていないとはどうですか。」としました。
佐治所長は「月1回くらい石垣部会を開催し、中間報告はしている。3月25日の部会で、文化庁に出す形で諮らせていただきたいと思っている」としました。

渡辺市議は、これまで石垣部会と軽量盛り土に関する協議をいつやってきたのか、また教育委員会との調整内容を資料要求しました。

渡辺市議は「市長ができる限り早く作るよう関与している気がする。市長を呼んで見解をおたずねしたい」としました。

江上博之市議(共産・中川区)は、「天守閣木造復元すると、今不足している博物館機能が克服されるのか。」と質問し、名古屋城は「復元する木造天守自体は博物館ではない。特別史跡としての価値をあげていく価値がある」としました。

江上市議は「大阪城は阪神淡路大震災後に耐震化し、館長が100年もつと言っていた。理屈ではなく、木造が雰囲気がいいわとしかみえない」としました。
松尾局長は「木造復元で、本質的価値が高められる。展示収蔵庫も開設し、博物館も城外に作るなど合わせ技で考えていきたい」としました。

次回経済水道委員会は21/3/18(木)午前9時半から、市長を招いて行います。
https://nagoya.gijiroku.com/index.asp


21/3/16 公明市議「河村市長である以上、名古屋城木造復元なんてできない」

21/3/16 名古屋市会経済水道委員会が開催されました。

21/3/16 名古屋市観光文化交流局
経済水道委員会説明資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210316.pdf

21/3/16 名古屋市会経済水道委員会(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210316-1.pdf

さわだ晃一市議(公明・西区)は名古屋城木造復元の収支計画に触れ、それは起債のために必要としたものの、現状では収支計画がないが、国にどのような説明をしたか質問しました。
名古屋城総合事務所は「総務省へは、竣工時期を延期しているものの、必要な調査、検討を継続実施予定している。現行収支計画における黒字額を考慮すると、収支は保たれると考えていると説明している。総務省からは特段意見をいただいていないので、一定の理解を頂いていると考えている。市税を投入しない特別会計に対しては、現行の国、県からの補助制度はなじまないと考えが示されている」としました。

さわだ市議は「本丸御殿のときは寄付が3分の1。現天守も寄付が3分の1。木造天守は建設費が505億円だから、仮に3分の1としたら約160億円。市長は寄付目標を100億円と言っていたが、現状の寄付額はいくらか」と質問したところ、名古屋市は「2021/1末で約4.7億円」としました。
さわだ市議は「年間1億の寄付があっても95年かかり、市長のいうことは極めて非現実的。」としました。
また、償還利率、年次割、寄付金、公債償還金、基金積立の額は大いに変わる可能性があるという認識か」と質問したところ、名古屋市は「変動する可能性がある」と認めました。

さわだ市議は「最初の竣工時期を2020年7月と決めたのはだれか。財源を起債でいくと決めたのはだれか。市長だと思うが間違いないか」と質問したところ、佐治所長は「その認識」としました。
さわだ市議は「今頃出来てないといけなかった。いかに無茶苦茶な竣工時期の設定だったか。混乱の要因は市長。木造復元予算も市長の責任で出してきている。今後、現天守閣解体工事、木造復元工事、石垣工事、その他調査など不確定要素があり、これから工事の金額はどんどん増してくる。市長は陽子線治療施設の話しを通じ、『議決した議会に責任がある』と述べたが、石垣の工事を議決する前に505億円を超えてしまったらどうしたらよいのか。全部議会の責任か。」と質問しました。
松雄局長は「竣工時期、財源フレーム、全てが縛られた中でやっていくことに無理があり、ご迷惑をおかけしており、局長として反省しないといけない。ただ505億円については議会からの附帯決議を頂いており、死守しながら工夫しながらやっていきたい」としました。

さわだ市議は「混乱の全ての原因は河村市長。提案者が河村市長じゃなかったらもっとうまくいっていると思う。対立構造を煽り物事を進めていく河村市長の政治手法は限界。彼が市長である以上、名古屋城木造復元なんか出来ないと思う」としました。

渡辺義郎市議(自民・北区)は「文化庁に出される資料は、復元か復元的整備か」と質問し、名古屋城総合事務所は「最終的には文化庁の判断。我々としては復元を目指している」としました。
佐治所長は「非常階段の扱いについて、具体的に文化庁に問合せをしている状況ではない。今後文化庁に復元の計画を出した後、文化庁に議論をしていただくことになると考えている。」としました。

江上博之市議(共産・中川区)は「新型コロナを受けて、入場者の見直しの議論をしたことがあるのか」と質問したところ、名古屋城総合事務所は「収束後の社会状況の変化を見通すことはむずかしい」としました。

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今後の予定

3月17日(水曜日)午前10時 付議議案審査[総括質疑(上下水道局、観光文化交流局関係)]

21/3/17 名古屋市観光文化交流局
経済水道委員会説明資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210317.pdf

3月18日(木曜日)午前9時30分 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(観光文化交流局関係)、意思決定(3局一括)]



21/3/12 名古屋城木造復元 局長「石垣全部直すには100年かかる」

21/3/12に名古屋市議会経済水道委員会が開催されました。

21/3/12 名古屋市議会経済水道委員会 配付資料
(観光文化交流局分)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210312.pdf

21/3/12 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210312-1.pdf

さわだ晃一市議(公明・西区)は「名古屋城木造復元の総事業費が505億円を超えた場合、議会に求められる手続きはなにか」と質問し、市は「505億円を超える前提で考えていないので、想定になるが、基本協定を結ぶ、基本設計を契約することで議会にお認め戴いているので、それと同じような形で何らかの説明をさせていただきたい。現時点では120億円くらいの契約をしているが、それ以外の契約をするたびに予算要求させていただく。その段階で議会にはご議論いただく。それと同じような形になる」としました。

沢田市議は、「今後市議会の議決が必要となるタイミングはいつか」と質問し、市は「復元検討委員会を経た後に、文化庁に解体と復元を一体とした現状変更許可申請を出していく。その許可をいただいた上で、解体予算や木材調達や建設予算を議会の議決をいただきながらすすめていく」としました。

さわだ市議は、「本丸の整備計画 将来構想案の中に『復元』と『復元手法を検討』が混じっているが」と質問し、市は「出来るものは復元したいし、復元的整備で
建物を建てる場合もあるし、それすら難しければAR技術などを活用を視野に入れたい」としました。

さわだ市議は「復元の課題として、『石垣への影響、防火・避難の安全性、耐震性の確保』とある。こういう重要な指摘事項について文化庁に率直に聞ける状況か」と質問し、市は「木造復元計画について正式に説明は現在出来ていない。防災計画の中で、計画している避難階段についても相談できていない。」としました。
佐治名古屋城総合事務所長は「『市側の思いについては文化庁は十分承知している』、という言葉をいただいている」としました。

さわだ市議は「収支計画はどうなっているか」と質問したところ、市は「有識者に諮っている新たな手順、工程が決まったら市として竣工時期を定め、収支計画を定めたい。2022年12月竣工前提の収支計画から更新できていない。補助金や寄付金については、収支計画に含まれていない」としました。

江上博之市議(共産・中川区)は「市の計画では、木造復元した上で、9年で石垣を保全修復する考えだが、石垣保全方針、修復の考え方はどうなっているか」と質問し、村木副調査研究センター長は「今年度は、文化庁からの指摘事項に答えることを優先した。
今後追加調査が必要と判明したので、それを行った上で、来年度7月あたりに石垣保全・保存方針を取りまとめて文化庁に示せるようにしたい。何年かけて整備するかは考えていない」としました。

江上市議は「基本協定の延長は、5年を超えると竹中との関係が難しいと弁護士に言われている。しかし実際は5年というレベルではないとなったら、基本協定は無理と言うことで見直しせざるを得ないのでは」と質問し、佐治所長は「石垣の保存方針に基づく修復は、北面から御深井丸石垣にかけて、内堀の底に構台の基礎を作る際に影響が出ないための対策であって、根本的に石垣を積み直すのは木造天守が出来た後という方針には変わりない」としました。

江上市議は「文化庁からの4つの宿題を文化庁に持って行くと、なにか進むような雰囲気があるが、木造復元の条件のいろんなものが揃っているわけではない。基礎構造を検討する調整会議は開催されてないか」と質問し、市は「まだ開催していない」としました。
江上市議は「耐震化をなぜ真剣に考えないか。賛成の人もいるが、作る以上はしっかりした物を作ってほしいという議論が出てくる。そういう点で基本協定そのもの含めて見直しが必要」としました。

江上市議は「内堀発掘調査で発見された遺跡は今後どうするか」と質問し、村木副センター長は「今回の発掘で調査目的は達成できた。今回の調査については丁寧に埋め戻す。その上で、遺構が今後の工事の際に適切に守れるような工学的な検討を踏まえて方策を考えたい。調査結果については大変重要なので、調査体制を整え、調査研究を十分し、調査する機会、検討を有識者や文化庁と相談していきたい」としました。

松雄観光文化交流局長は「市長から木造復元をどうしてもやれと強い指示をいただいているから全力で進めている。当初は木造が先、石垣が後だったが、うまくいかないため必要な石垣調査をしっかりして悪いところは直すことが必要だと考えている。
江上市議がいうように全部石垣を直そうとすると、搦手馬出石垣を解体するだけで15年かかった。もう100年くらいかかるかもしれない。そこはご理解いただきながら、部会の先生方も理解いただきながら、一歩一歩着実に進めていきたいという意図がある。
基礎構造については、早く調整会議を開いて議論すればよいが、いろんな立場の先生が見えるから、議論が本当に収まるかが非常に難しくなる。
なので文化庁と詰めて議論の幅をどこに持っていくのかを相当議論してきた。文化庁と石垣部会、全体整備検討会議の皆様と、相当突っ込んだ意思疎通をしながら進めている」としました。

江上市議は「河村市長の一番の誤算は石垣を軽視したこと。本質的な価値は石垣」としました。

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2021年2月末現在で、名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定に基づく契約の状況は、120億5641万8000円にものぼります。そこまで巨額な費用をかけて、事業は何が進んだかといえば、文化庁からの解体・木造復元の現状変更許可については「一歩も進んでいない」のが現状です。
天守台石垣・周辺石垣の調査は若干進んでいます。基礎構造についてはまだ決まっていません。バリアフリーも決まっていません。防災計画も、避難階段について文化庁に相談できていません。新たな竣工時期・収支計画も決まっていません。

本来、天守を木造復元するのであれば、局長がいうように「100年かけて天守台石垣を積み直す」しかないのではないでしょうか。
(名古屋市民オンブズマンとして、「100年かけて天守台石垣を積み直せ」と主張しているわけではありません)
しかしながら、河村たかし名古屋市長が2015/8/24に「まず本丸天守の復元。全責任は私がとる」という指示書をだしたため、本来あるべき方針が歪められたと理解しています。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf

その後、松雄局長は「必要な石垣調査をしてから」に軌道修正したということのようですが、それにしても「2022年12月から5年の延長」という弁護士の見解に縛られています。

完全に行き詰まった名古屋城木造復元事業。2021年度予算を市議会は認めるのかどうか。そして「全責任は私がとる」とした河村市長の責任をどう追及するのか。
2021年3月16日(火)午前10時 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(経済局、観光文化交流局関係)]、3月18日(木)午前10時経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(3局一括)]で決まります。


21/3/12 名古屋城木造化基本設計等住民訴訟 原告「文化庁は『復元的整備』に なると言っており、『復元』とする基本協定に反する」

21/3/12に、「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」が原告となった、名古屋城天守閣木造復元事業基本設計費の返還等を求める住民訴訟の高裁第1回口頭弁論が名古屋高裁民事1部で行われました。
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle/

原告は、21/2/25に控訴理由書を提出しました。
 第1 原判決は原告主張を誤認していること
 第2 本件要求水準書の記述を本件基本設計契約の内容から排除する判断は根拠がなく矛盾していること
 第3 成果品の提出義務の未履行について
 第4 検査が完了していないこと
 第5 書面に明記されている記述事項を根拠なく否定していること
 第6 原判決では、木造復元工事と耐震補修工事の比較を詳細に比較検討していないこと
 
その上で、21/3/11に準備書面(1)を提出しました。

21/3/8名古屋市会本会議で、浅井正仁市議が「文化庁第二課長は『階段増設、避難用通路の確保は復元的整備』と述べた。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210308.pdf
本件事業における基本協定書では、『天守閣木造復元に現状変更等を申請する』『優先交渉権者は、前項に伴い発注者が実施する文化財の復元に必要な諸手続において責任を持って必要な資料を作成する』としている。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf

竹中工務店との間で、書面による同意が無い限り、復元的整備を目的とした事業、または基本協定に変更することは出来ない。
社会通念に照らして著しく妥当性を欠き、裁量権の範囲を逸脱しまたはこれを濫用したものと解するのが相当。

求釈明として以下を求める。
1.名古屋高等裁判所は名古屋市に対して、本件事業において「階段増設、避難用通路の確保」を予定しているのか、確認されたい。
2.名古屋高等裁判所は文化庁に対して、文化財の再建時に「階段増設、避難用通路の確保」が為された場合、それが復元に当たるのか、復元的整備に当たるものか確認されたい。
3.名古屋高等裁判所は名古屋市、または名古屋市住宅都市局建築指導部建築指導課などに対して検査を軽減する「下検査」について事実としてあるものか確認されたい。重要な事実の基礎を欠いたまま名古屋市契約規則(甲29号証)と相矛盾する判例を放置する事はできません。

名古屋市の代理人は、答弁書を陳述しました。

裁判長は、名古屋市代理人に対して「原告から求釈明が出ていますが」と問われ、「答える必要がありますか?」と回答しました。
裁判長は「一義的には被告が判断して欲しい」と述べました。

次回弁論は、21/5/25(火)午後2時30分〜名古屋高裁10階で行います。


21/3/10 自民市議「名古屋城木造復元がうまくいかない場合、竹中工務店から裁判にならないか心配している」 

21/3/10 名古屋市会経済水道委員会が開かれました。

21/3/10 名古屋市会経済水道委員会(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210310.pdf

渡辺義郎市議(自民・北区)は、「竹中工務店との間で基本協定を結んでいるが、2022年12月までの契約。絶対遅れてしまうことはわかるが、その場合はどうなるか?」と質問したところ、名古屋城総合事務所は「竣工時期が見通せる段階に来たら、竹中工務店と事業期間を見直すことをしていきたいと思っている。
あわせて、木材の契約の変更手続きを行っていきたい。事業費505億円のうち、大部分はこれからの契約なので、基本契約を見直した以降に、予算を上程させて要求し、その上で契約をしていくことになると思っている」としました。

渡辺市議は、「いつ基本協定の見直しをするのか」と質問しましたが、佐治所長は「文化庁の宿題を返し、5月の文化審議会に諮ったあと、その次の復元検討委員会に諮っていただくことを目標にしている。そうすれば不確定要素がだんだん固まっていく。その中である程度工期について見通しが付くと考えている。」としました。

渡辺市議は「名古屋城木造に賛成の意見だが、なかなかうまくいかん、本当にいいかと心配している。来年のやつは確実もはやすでに駄目だってわかっている。見直し時期はいつか。」としたところ、松雄局長は「河村市長は2022年12月と言って事業を進めて正直うまくいかなかった。今は一旦延長して定めずに、眼前の課題について着実に進んでいきましょうとしている。以前市議会委員会で、何年延ばしたら法的安定性があるかといった議論をさせていただいたが、弁護士に確認したところ、『10年延ばすのは長すぎる』と答弁した。
当初と違うのは、2022年12月にやるとしていた当初は石垣部会、文化庁とネゴシエートがうまくやらない段階でやってきたが、今は反省している。今度は有識者に合意を得た上で出したい。宿題は全く駄目だという風には考えていない」としました。

渡辺市議は「もし噂通り駄目だった場合、責任はどうなるか。その時点で竹中と話せばいいというが、裁判でもなりやしないか心配している。仮にそうなった場合はえらいことだという感じを受ける。責任の有無は、当初の誤り、市長かな。観光文化交流局になるのかな。答弁しにくいと思うのでいいが、そういう心配をしている」としました。

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次回21/3/12(金)午前10時から、経済水道委員会の付議議案審査[資料質疑・質疑(経済局、観光文化交流局関係)]があります。
https://nagoya.gijiroku.com/index.asp

21/3/8 自民名古屋市議「木造復元天守閣に新しい階段を付けたら『復元」ではなく『復元的整備』になると文化庁は明言した」

21/3/8に名古屋市議会本会議が行われました。

21/3/8 名古屋市議会本会議(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210308.pdf

自民党の浅井正仁市議による、独自調査に基づく的確な質問と追及は、過去の市議会で類を見ないものでした。
以下当方で発言をまとめたところ、9つのスクープがありました。

【スクープ1】名古屋城総合事務所は過去2年間で10件の無許可違法工事を行い、一切公表していない。
【スクープ2】2021年1月21日に無許可で掘り、顛末書を教育委員会に10日を過ぎても提出せず。
【スクープ3】2020年11月内堀発掘調査で、幻の小天守と思われる遺構が発見されたがすぐに公表せず、石垣部会から指摘され3ヶ月後に公表。
【スクープ4】松雄観光文化交流局長が「2019年4月に局長になり、2019年6月までは市長主導の木造復元を実現しようとしていたが、うまくいかないと認識し、行政ベースの木造復元に大きく舵を切り、私がいる限り従来に戻ることはない。市長のように竣工時期を先に決めて、天守が先、石垣は後では何年かかっても木造復元出来ない。私たちの基本的な考え方は、通常の11人乗りエレベーターを検討している」とある人にメール送信。
【スクープ5】松雄局長は2021年1月8日の全体整備検討会議で「名古屋市と密接に連携するために、木造復元に係る諸課題を調整するためのパイプ役として来年度も名古屋城からの職員派遣を受ける内諾をしてもらった」と発言したが、文化庁は「名古屋市からの実務経験者を受け入れているからといって、名古屋市に対して忖度などはありえない。まして木造復元の調整のためという趣旨は一切無い」と文書で回答。文化庁文化財第二課長も、松雄局長の発言を完全否定していただいて結構ですと発言とのこと。
【スクープ6】松雄局長は2021年1月8日の全体整備検討会議で「名古屋市から資料の提出があれば、なるべく早い時期に文化審議会で議題として審議するという文化庁の意向」と発言したが、文化庁は「名古屋市が文化審議会に資料を提出したいと言えば、宿題が途中であっても復元の資料が概要であっても拒否は出来ない。中途半端な資料では文化審議会を通るはずもなく、再検討して返すという意味」と文書で回答。
【スクープ7】今回発見された天守台内堀の「石列」について、松雄局長は「調査目的はおおむね達成されたので、遺構が保護されるよう、適切に埋め戻しを行った上で調査を終了し、その後地元有識者のご意見を伺いながら遺構の保護対策を図ってまいります」と答弁したが、文化庁は「今回の石垣の安定性の調査という目的では歴史的発見の遺構の調査はできない」と言っているだけ。調査をしないで埋めてもいいなんて言っていない。
【スクープ8】文化庁の正式な見解では、「今回発見された遺構の詳細調査より開発を優先する、つまり木造復元を優先するのは一般常識ではない。
なお、学芸員の能力不足で調査体制が不自由な、不十分な場合には名古屋市からの詳細調査の先送りの要望を考慮して、文化庁が決める」と言っている。
今回のような歴史的発見を公表しなかった事例は過去にはないと、文化財第二課長、山下調査官も当初、公表しなかったことが疑問にあったよう。
【スクープ9】文化庁の公式見解「3階の階段増設、避難用通路の確保は復元的整備。現代技術を活用した場合でも、耐震補強、防火設備消防法施行などは復元。当時の建築手法と異なる材料加工による組み立ては復元的整備が原則。」

浅井市議は、河村市長に「階段を増設したら復元的整備になるという説明を松雄局長から聞いていたのか」と質問しましたが、河村市長は「必要な防災上のものや、スプリンクラーや、電気などは当然付ける」としか答えませんでした。

浅井市議は「市長がなんと言おうが、今回公約した『復元』は出来ない。『復元的整備』だ」として、「復元のための予算は即刻取り下げていただきたい。」と述べました。

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松雄局長のメールなるものは、まだ手に入れていないのですが、浅井市議の発言が事実としたら、市民、議員、有識者に誤解を与えます。
また、2021年1月8日松雄局長発言も極めて誤解を招くものです。

「復元」か「復元的整備」かですが、21/1/23 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会では、竹中工務店は「復元整備」とし、名古屋市は「復元を目指す」としています。

・21/1/23 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会 港文化小劇場 質疑応答部分
(名古屋市民オンブズマンによる文字起こし)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210123-1.pdf
3)今回は文化庁の基準で言う「復元」(規模と意匠を史実に再現する)か「復元的整備」(意匠を一部変更して再現する)かどちらか
 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/92199502.html
→竹中工務店 「復元整備」 建築審査会を経て安全性、避難防災、耐震性の許可を頂く
→名古屋城 歴史的資料が豊富なので「復元を目指す」。
 文化庁の定めにあるとおり、人面の安全を確保したい。構造補強、防災上の避難設備設置を含めて文化庁と協議したい。
 バリアフリーについては上記基準には文言としては出てこない。考え方として、史実に忠実な復元とバリアフリーの両立とした。柱や梁を変更せずに昇降可能な付加設備を導入する所存

浅井市議の今回の9つのスクープで、名古屋市は市民に対して誠実に対応してこなかったことが明らかになりました。

名古屋市令和3年度当初予算案に名古屋城天守閣の整備として3億3807万4000円が計上されています。
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000137/137857/3kanbun.pdf

今回発見された内堀底の石列の問題だけでなく、いまだに新たな基礎構造の議論もされていません。
(2021年2月末までに、「調整会議」は開催されずと確認済)
その他課題は山積みです。

市議会はここで意地を見せるかどうか。市議会も市民も試されています。

21/3/7 名古屋城本丸内堀発掘調査成果公開 学芸員「埋没石垣発見なら名古屋城では初」

21/3/7に、名古屋城本丸内堀発掘調査の成果公開と学芸員による解説が行われました。
午前の部には40人近くが詰めかけ、熱心に話を聞いた後に質疑応答も活発に行われました。

21/3/7 特別史跡名古屋城跡 本丸内堀発掘調査の概要(配付資料)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210307.pdf

案内文
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210225-2.pdf
21/3/7 特別史跡名古屋城跡 本丸内堀発掘調査の概要 説明部分
(名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210307-1.pdf


解説をした木村有作学芸員は以下述べました。
内堀に地中レーダーをかけたら、内堀の底から反応が出た。
掘ってみないとなにかわからないので発掘したところ、江戸時代初期、築城時の土とともに大きい石が面を向けて並んで出てきた。
北で東西方向に石列が並んでいるのと同様、南に25メートル離れたところでも東西方向に石列が並んでいた。
石垣の特徴を持った何らかの遺構ではないかと思う。
南北石列のちょうど真ん中には、大天守の「切り欠き部分」がある。
なお、石列は大天守には接続していない。
過去の絵図を調査すると、当初は大天守西側にもう一つの小天守を建設する計画があった。
大阪城などでは埋没石垣は結構発見されてきたが、名古屋城ではこれまで見つかってきていない。
喜びと戸惑いというか非常に慎重に調査が必要。

質疑では、「新聞報道では、これで発掘終了とあった。今後調査はしないのか、胴木が発見される可能性は」などありましたが、「発掘調査は目的があり、予算を必要とする。今回は何らかの遺構があればそこで発掘終わりというものだった。新聞報道は書きぶりであって、今後も引き続き調査はやりたいと考える。歴史学は一つ結論を出しても新しい事実が出ればまた考えるもの」とのことでした。

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今回、木造復元事業の進捗と石列発見の関係の説明はありませんでした。

今回発見された石列の正体はわかりませんが、絵図にあるように幻の西小天守の石垣の一部であれば大発見だと思います。
これらを埋め戻すだけでなく、現天守解体・木造復元のために内堀全体を埋めて重機を載せて、石列は大丈夫なのか。また、石列の全体像を当面調査しなくてよいのか。
木造復元事業自体を再検討する時期が来ているのではないでしょうか。

21/3/3 名古屋市会委員会 名古屋城木造復元実施設計繰越補正予算 賛成多数で可決

21/3/3に名古屋市会経済水道委員会は名古屋城木造復元実施設計繰越補正予算を賛成多数で可決しました。

・21/3/3 名古屋市会経済水道委員会(名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210303-1.pdf

・令和3年第56号議案
 令和2年度名古屋市名古屋城天守閣特別会計補正予算(第1号)
 https://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000137/137878/2.2gian.pdf

今後、令和3年度予算案を市議会としてどう判断するのか注目したいです。

名古屋城木造復元事業市民説明会 ポストコロナ時代の情報発信を求める 申し入れ

名古屋市民オンブズマンは、21/3/2に河村たかし名古屋市長あてに「名古屋城木造復元事業市民説明会ポストコロナ時代の情報発信を求める」申し入れ書を郵送しました。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210302.pdf

名古屋市は令和2(2020)年度古屋城天守閣木造復元市民向け説明会を、緊急事態宣言下の令和3(2021)年1月22日(金)、1月23日(土)、1月31日(日)に各区文化小劇場で実施しました。
しかし、説明会の様子をオンラインで配信はしませんでした。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2020/12/20201222_1113.html

名古屋市民オンブズマンは、説明責任の実施方法として不十分だとし、1ヶ月に1度程度の頻度で年間12回の説明会のライブ配信を求めます。


21/3/2 名古屋城木造復元 名古屋市「必要があれば解体の仮設工事の設置計画の見直しも含め有識者に諮る」

21/3/2に名古屋市会経済水道委員会が開催されました。

・令和3年3月2日 名古屋市観光文化交流局
 経済水道委員会説明資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210302-0.pdf

・21/3/2 名古屋市会経済水道委員会(名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210302-1.pdf

江上博之市議(共産・中川区)は「文化庁からの宿題の調査は年度内にどうするのか」と質問したところ、名古屋市は「調査は概ね終わったため、工学的な検討に反映させた上で、文化庁と相談する」と述べました。

佐治名古屋城総合事務所長は「必要があれば解体の仮設工事の設置計画の見直しも含めた形で有識者に諮って、了承を得て4月に文化庁に提出する目標でがんばっている」としました。

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21/3/2〜7まで、内堀発掘調査の成果を公開しています。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210225-2.pdf

名古屋市は「築城期に気付かれた石列」「石垣を持つ何らかの構造物の基礎が築かれたことを示す」「これまで絵図で知られていた、本丸の縄張計画の変遷を具体的に示すものの可能性がある」と述べています。

このような大発見に関し、工学的検討の結果がどうなるかわかりませんが、内堀を軽量盛り土で埋め戻すという「これまでの『内堀埋立計画』が完全に危うくなった」 (21/2/12 名古屋城石垣・埋蔵文化財部会 千田嘉博・奈良大学教授)という見方が出るのも当然でしょう。https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/uploads/86964a2aa060f2d5a44ad4a94799156b.pdf

21/3/1 河村市長 名古屋城内堀底石列の存在を認めるも、「木造天守 一刻も早く祈る思い」

21/3/1に河村たかし名古屋市長定例記者会見が行われました。(1:15〜)
https://www.youtube.com/watch?v=BNmJxQuQGVg

・21/3/1 河村たかし名古屋市長定例記者会見(名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210301.pdf

記者から、名古屋城内堀発掘調査で石列が発見されたと問われた河村市長は「西側に小天守を作る計画の遺跡ではないかということは知っている」と述べました。

記者は「木造復元する場合、内堀の上に仮設構台を建てて重機を載せて作業する計画で、石列が史跡価値が高かった場合どうするのか」と質問しましたが、河村市長は「西側の小天守を作る計画はなかったということで結論を見ているとある学者から聞いた。文化庁と専門家で議論して、丁寧にやっていただきたい」としました。

記者は「木造復元の計画、完成時期への影響は」と聞きましたが、「文化庁や専門家が議論することだが、僕は延びないように、一刻も早く史実に基づいた千年の名古屋の誇りが出来るように祈る思い」と述べました。

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またもや「河村話法」です。

・西側の小天守については、名古屋市が18/1/28に徳川美術館 学芸員 原史彦氏を招いて講演「名古屋城築城の歴史」を行い、「西側小天守の計画はあった。工事をやってみて、地盤が弱かったため設計図面を引き直した」と述べています。
 http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/cmsfiles/contents/0000100/100606/02shidai_symposium.pdf
 ・名古屋市民オンブズマンによるメモ
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180128-1.pdf
原氏は現在名古屋市の学芸員です。
・河村市長は、学者の名前を決して言いません。
・今回の内堀底の石列は、はじめて発掘して発見されたため、どの学者も存在を知りません。
・石列についてはどのようなものか現時点ではわかりませんが、「貴重な物かどうか、追加調査する」というのが筋です。いくら市長が「祈って」も、貴重な物であれば当然完成時期へ影響がでるでしょうし、「内堀底から石列遺構が発見され、これまでの『内堀埋立計画』が完全に危うくなった」 (21/2/12 名古屋城石垣・埋蔵文化財部会 千田嘉博・奈良大学教授)との指摘もあります。
・自分に都合の悪い状況を決して認めません。

21/3/2以降、内堀底石列を公開するとのこと。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210225-2.pdf

名古屋城木造復元事業自体、抜本的な見直しが迫られています。

名古屋市観光推進課 名古屋城の件で18/7/9名古屋市東京事務所訪問時復命書「廃棄処理済」

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城の件で、2018/7/9に名古屋市東京事務所を訪問した際の復命書、持参資料を情報公開請求したところ、名古屋市観光文化交流局観光交流部観光推進課は「復命書の保存期間は1年で、廃棄処理が完了している」として不存在決定を出しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210226.pdf

名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所保存整備室は21/3/31まで延長決定を出しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210226-2.pdf
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そもそも、本件は21/2/12に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第40回)で、赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は「2018年に石垣部会メンバーと名古屋市東京事務所に行って文化庁と話をしたことがある。」と述べたことから発覚しました。

名古屋城総合事務所職員は、定期的に文化庁を訪問していることは承知していましたが、名古屋市東京事務所を訪問しているかどうかは、外部からわかりようがありません。

たまたまこのような形で発覚しても、「復命書は1年保存」と言われたら、どうしようもありません。

国や他自治体の標準文書保存期間基準を調べてみたところ、県外出張の復命書は3-5年が多いようです。

・名古屋市情報あんしん条例施行規程
 https://www1.g-reiki.net/city.nagoya/reiki_honbun/i502RG00001058.html
 
赤羽委員は「『復元天守の実施設計に必要な調査を、無理矢理石垣保全を理由にすり替えることは慎むべき』と話し合ったことが記憶にある。非公式なので議事録なんかないと思うが。」と述べています。
石垣部会・名古屋市・文化庁が集まって、市民のチェックの目が届きにくい場所で行った非常に重要な会議について、事後的に市民がチェック出来ないのは、到底納得いきません。

名古屋市情報あんしん条例施行規程の内容並びに解釈を変更するとともに、2018/7/9の会議で何が話し合われたのか、名古屋市は市民に説明すべきです。

21/2/26 名古屋市議会経済水道委員会「名古屋城 実施設計は今年度何をしたのか?」

21/2/26に名古屋市議会経済水道委員会が開会されました。

・21/2/26 名古屋市議会経済水道委員会 名古屋城部分
(名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210226-1.pdf

江上博之市議(共産・中川区)は「2020年度、名古屋城天守閣の実施設計は何をやったのか」と質問し、
名古屋城総合事務所は「文化庁からの指摘事項に対し、回答するための調査等を優先的に行った。
設計業務としては、指摘事項に対応するための図面の作成あるいは整理を行った。調査業務は石垣調査を行った。
そのため今回繰越要求をしている業務、地盤調査業務などができなかった」としました。

江上市議は次回21/3/2(火)午前10時30分〜 委員会までに資料を要求し、名古屋城総合事務所は資料を提出するとのこと。


名古屋城木造化 21/1/6文化庁訪問時復命書 公開

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城総合事務所が名古屋城の件で2021年1月6日に文化庁を訪問した際の復命書、持参資料を情報公開請求して開示されました。

・名古屋城総合事務所職員が、名古屋城の件で2021年1月6日に文化庁を訪問した際の復命書、持参資料
 
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210225.pdf

また、21/1/8に開催した特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第36回)で、構成員に配付した資料も公開されました。

・名古屋城内における現状変更許可等の実績
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210225-1.pdf
 

21/2/15 名古屋城情報公開訴訟 弁論準備WEB会議

名古屋城天守閣木造化をめぐり、名古屋市が文化庁訪問時の復命書等の情報を非公開にしたのはおかしいとして、名古屋市民オンブズマンが公開を求めた情報公開訴訟の弁論準備が21/2/15にWEB会議(非公開)で行われました。

非公開文書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200203-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-2-1.pdf   
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-3-1.pdf
 
裁判所の釈明事項(表の青書き)についてまずは名古屋市側が3月末までに回答し、それをうけて名古屋市民オンブズマン側が4月28日までに主張をすることになりました。
次回は5月13日(木)Web会議(非公開)です。

21/2/12 名古屋城石垣部会 千田委員「内堀底から石列遺構が発見され、これまでの『内堀埋立計画』が完全に危うくなった」

21/2/12に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第40回)がZoomウェビナーで開催されました。
録音・録画はあいさつまでしか許可されませんでした。
また、委員、事務局とも、ところどころ音声が途切れ途切れでした。

21/2/12特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第40回)
・会議次第【石垣埋文部会(第40回)】
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212.pdf
・資料1 本丸搦手馬出の修復について
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212-1.pdf
・資料2 天守台ボーリング調査について
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212-2.pdf
・資料3 大天守北面レーダー探査結果について
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212-3.pdf
・資料4-1〜8 本丸内堀発掘調査成果について
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212-4-1-8.pdf
・資料4-9 本丸内堀発掘調査成果について
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212-4-9.pdf
・資料5 穴蔵石垣の調査成果について
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212-5.pdf
・資料6 西之丸蔵跡追加調査について
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212-6.pdf

・名古屋市民オンブズマンによるメモ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210212-0.pdf

議題として、まず天守台石垣ボーリング調査があげられました。
名古屋市は「木造天守建築のため、工学的解析をするには地盤情報が必要で、天守台石垣ボーリング調査をしたい。この調査は石垣保全方針策定にも役に立つ」と説明しました。

赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は「2018年に石垣部会メンバーと名古屋市東京事務所に行って文化庁と話をしたことがある。『復元天守の実施設計に必要な調査を、無理矢理石垣保全を理由にすり替えることは慎むべき』と話し合ったことが記憶にある。非公式なので議事録なんかないと思うが。ボーリングは慎重には慎重を期してやる必要がある。私は、決して石垣保全のために行うことを前面に出すような調査ではないと認識している。」としました。
名古屋城総合事務所の荒井主幹は「木造天守の構造解析も当然使えるし、石垣の構造解析にも使いたい。ケーソンがある場合とない場合の比較が可能。」としました。

千田嘉博・奈良大学教授は「名古屋市の資料の作り方がなっていないため叱りたい。どういう手順で委員会や市民、文化庁に説明していくかプロセスが全然理解できていない。
名古屋城の本質的価値は石垣。石垣を保全するためにデータを取りたいと最初に述べること。
次に名古屋市は現天守を解体して木造天守に建て替える計画を持っていて、文化庁とも相談していて、『その際はボーリング等を行い、地盤データを取りなさい』と指導を得ているためこのような計画を立てた、と書類を書かないといけない。
なぜそれがわからない。何年も前進できない理由は何か。
会議のかけ方がわかっていないから、赤羽先生のように鋭いところを突かれて、うまく答えられないことが起こる。」としました。

続いて、本丸内堀発掘調査成果について名古屋市から報告がありました。
内堀にトレンチを入れたところ、こぶし大の礫が密集し、大き目の石材がある面をそろえて並んでいる石列が検出された」としました。

オブザーバーの、中井将胤・文化庁文化資源活用課文化財調査官は「どこまで調査するのが妥当か検討して欲しい。天守台石垣、御深井丸側石垣にどうすりついているか、どう影響があるかは調べるべき」としました。

千田教授は「今回の調査で重要なことがわかった。従来は『空堀の底』として、現天守解体・木造再建時には空堀を埋め立てて上に重機を載せる計画だったが、完全に危うくなった。空堀の保全に万全の対策をしないといけない。足場を作るのなら、この石列がなにかはっきりしないと、どれだけの保全策をとるか判断しがたい。範囲や性格をつかむまで調査すべき。かなり大事な発見なので、市民や報道機関に公開することも必要。」と述べました。

宮武正登・佐賀大学教授は「新しく検出された遺構に目が行くが、攪乱、残滓が放り込まれているところをほおっておいては困る。不安定な状態で御深井丸石垣がのっているのか。安定策を採るため調査すべき」としました。

議題の「穴蔵石垣の調査成果について」は、時間が無いため読んでおいて下さい、になりました。

報告として、「西之丸蔵跡追加調査について」が報告されました。
宮武教授は「名古屋城総合事務所は『21/2/9の全体整備検討会議で承認された』とするが、埋蔵文化財部会としては、報告議題ではなく、試掘についても審査すべきだ」としました。

千田教授は「何目的であっても、まず部会の審議を経て全体会議を行う。名古屋城のようなやり方は他の全国の特別史跡ではない。根本的なことが出来ていない。西之丸の平面表示は、石列毀損事故がなければ今頃完成していた。学術的な根拠がなく表示していたことになる。同じ事故が起こるし、整備したものがいいかげんなものになる。一つ一つ手順を踏むしかない。何も反省していない」としました。

宮武教授は「設計後にもし一石でも出た場合、設計変更になり余計ややこしい」としました。

千田教授は「特別史跡内の発掘調査については、整備目途であれ開発目途であれ、石垣・埋蔵文化財部会の議論を経る、と座長から確認して欲しい」としました。

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今回の石垣・埋蔵文化財部会を見ていると、千田教授のおっしゃるとおり名古屋市は「まず天守復元ありき、開発ありき」であって、市民・文化庁への説明をないがしろにしています。

それどころか、内堀下の新たな石列発見で、現天守解体・木造復元計画を根本から見直す必要に迫られています。
名古屋市は市民に現状を説明した上で、今後どうするか具体的に説明すべきです。


・参考 19/8/5 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣部会(第 32 回)
 1ページ 文化庁に提出した現天守閣解体に係る現状変更許可申請書の概要
 設置される仮設物 仮設桟橋・仮設構台のイメージ
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/uploads/86964a2aa060f2d5a44ad4a94799156b.pdf


21/2/10 名古屋市令和3年度当初予算案に名古屋城天守閣の整備3億3807万計上

名古屋市は21/2/10に、令和3年度当初予算案を公表しました。

令和3年度当初予算の概要
https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-18-1-1-2-0-0-0.html

名古屋市 令和3年度主な施策等一覧 観光文化交流局
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000137/137857/3kanbun.pdf

それによれば、名古屋城天守閣の整備として3億3807万4000円が計上されています。

1 趣旨
特別史跡名古屋城跡の本質的価値の理解促進、及び文化的観光面の魅力向上を図るため、名古屋城天守閣の整備を行う。

2 事業内容
(1)実施設計 121,000千円
 ア 設計業務
  設計図作成、現状変更許可書類作成
 イ 調査業務
  史実調査、地盤調査
(2)設計監理等支援業務委託 12,000千円
  天守閣整備事業に係る技術面及び法務面に関する支援
(3)木材の製材 124,000千円
  柱や梁などの主架構木材の保管費及び運搬費
(4)石垣調査等 81,074千円
 ア 内堀御深井丸側等の石垣及び地盤の安定性調査(レーダー探査)
 イ 石垣モニタリング(天守台石垣)
 ウ 石垣調査(穴蔵石垣の試掘)

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名古屋市は「予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例」に基づき、予算編成過程を公開して市民の意見を募集しています。
しかしながら、今年も財政局査定内容の公開にない内容が当初予算案に計上され、市民の意見が言えませんでした。
21/1/22.23.31に開催された「名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会」でも、上記資料は公開されませんでしたし、
市民の意見も言えませんでした。

そもそも、今後名古屋城天守閣木造復元事業をするなら、どのような予算が提案される予定なのか。

2019年6月議会に提出予定だった、解体工事予算約20億円は今回も見送りました。

木材保管に関しては、名古屋市は21/1/23に「保管費はかかるが、機械乾燥費から自然乾燥に変えたため、現在は元々の木材の金額内で収まっている。しかしやはり限界があるので、その部分については竹中工務店と協議をするが、できるだけ追加にならないような工夫をしたい」と述べています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210123-1.pdf

松雄観光文化交流局長は「予算要求のデッドラインは2020年12月-2021年1月」と述べましたが、今回の予算はどう評価しているのか、全くわかりません。

なお、実施設計は当初2020/5/29までの予定が、2021/3/26まで延長変更契約をしていますが、いつまで延長するつもりなのかも不明です。
・名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託変更契約書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200415-2.pdf
・当初契約 2020年5月29日まで(15億6384万円)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180523-4.pdf
また、実施設計業務委託費としてすでに5億9400万円支出済です。
・19/7/31 情報提供文書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190731.pdf

今回の当初予算案で、名古屋市がしたいことがまったく見えてきません。
21/2/18(木)から21/3/22(月)まで名古屋市議会2月定例会が開催されます。
どのような議論がなされるか注目したいです。


21/2/9 名古屋城跡全体整備検討会議 麓委員「この段階で木造復元するかどうか議論するのはおかしいと思う」

21/2/9 第37回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議が開催されました。
今回はじめてZoomウェビナーでの会議でした。
しかしながら、録音・録画ははじめのあいさつまでしか許可されませんでした。

・21/2/9 第37回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 会議次第
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210209.pdf
・資料1 西之丸き損地点の修復について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210209-1.pdf
・資料2 西之丸蔵跡追加調査について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210209-2.pdf
・資料3 本丸整備基本構想(木造天守復元)について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210209-3.pdf
・資料4 令和3年度の二之丸庭園の修復整備・発掘調査について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210209-4.pdf
・資料5 名勝名古屋城二之丸庭園整備計画
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210209-5.pdf

・21/2/9 第37回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議
(名古屋市民オンブズマンによるメモ)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210209-0.pdf

今回、全体整備検討会議にはじめて本丸整備基本構想(木造天守復元)が議題として出されました。

麓和善・名古屋工業大学大学院教授は「江戸期の名古屋城の本丸を中心に復元整備していくという長期的方針は非常によいと思う」と述べました。

赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は「今回の資料は平成30年5月に定められた名古屋城跡保存活用計画に立脚しているが、それまでは平成24年12月に定められた全体整備計画増補版があった。
今回の資料を見て、逆に現在の天守閣の存在意義がクローズアップされたと思う。なにも木造天守にしなくても、現在の天守を活かし、修理すべき石垣を修理すれば、木造天守以上に当時の雰囲気を知っていただけるのではないか。
現天守を丁寧に扱って活かすということを、財政的な問題やいろんな課題、要請されている法的問題などをクリアできるのか私は疑問に思う。」と述べました。

麓教授は「今のこの段階で、全体整備検討会議で、木造復元かSRC耐震改修かを議論するのはちょっともうおかしいと思う」と述べたところ、赤羽委員は「資料にそう出ている。木造天守を追求すると出ているから、私は意見を申し上げた」としました。
麓教授は「市として木造復元をすると方針として出して、本質的価値を損なうことがないよう十分配慮しながら進めると言っているため、現段階で遡って議論するのはふさわしくないという気がする」と述べたところ、赤羽委員は「こういうことを議論するのが全体整備検討会議じゃないか。決まったから後戻りせずどんどんいこうということか」と述べました。
麓教授は「決めるのは名古屋市ではないか。全体整備検討会議として、妥当な復元かどうかは意見を申し上げるべきだとは思うが、大方針を我々が意見を出して決めることではないと思う」としました。
赤羽委員は「立場は色々あってよいと思う。反対あり賛成あり、皆でわいわい出し合うのが我々の立場としては正しいと思う」としました。

三浦正幸・広島大学名誉教授は「赤羽先生がおっしゃることはごもっとも。今回名古屋城本丸の将来の計画が出され、名古屋城を明治維新の時の姿に復元しようとしている。これは非常に意義がある。何十年もかけて史跡としての価値が高まることは間違いない。
現天守も戦後復興の象徴として非常に価値があるが、耐用年数約30年、耐震性能も悪いため、耐震補強したところで30年後には天守がなくなってしまうため、時間をあとに延べ巣だけの行為に過ぎない。木造復元で本質的価値をはるかに高めることになるので、妥当だと思う」と述べました。

藤井譲治・京都大学名誉教授は「木造で再建する構想そのものには賛成。もう一度鉄筋などの構造物を作ることは将来に向けた展望が持ち得ない」としました。

丸山宏・名城大学名誉教授は「馬出の姿、二之丸庭園の将来の姿を丁寧に書いて欲しい」としました。

小濱芳朗・名古屋市立大学名誉教授は「木造復元に意義を認める。木造の方が耐久性がある。」としました。

座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「長期的な将来構想案が実現すると、素晴らしい姿が実現できると思う。鉄筋コンクリートであれば、本質的を誤らせることになる、むしろ誤解を招く存在になるのではないかと考える。」としました。
瀬口座長は、オブザーバーの文化庁の山下調査官と平澤主任調査官に意見を聞きました。

山下調査官は「この議題は、文化庁から出している宿題に対する回答案を作るということなので、多くのことを申し上げるのは差し控えたい。
今回の将来構想案は、名古屋市として今後どのように名古屋城を整備するかということが具体的に明確になっているので、その点は大変評価できるのではないかと覆う。
私どもとしては、天守閣だけでなく名古屋城全体として名古屋市としてどのように整備をするかが大事だと考えている。このような形でまとめる方向は大変益するところが大きいと思う」と述べました。

平澤主任調査官は「今後第三専門調査会や文化財分科会で議論をしてただくことになるが、議論の提供という中で資料を洗練、整理していただければと思う」としました。

最後に、瀬口座長は「今回の資料をちょっと修正した形で文化庁に提出する手続きをしてよいか」委員に聞いたところ、特に反対が無く、手続きを進めることにしたとしました。

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19/9/24に文化庁から示された「現天守解体の現状変更許可申請に対する本市への指摘事項」では、以下が追加情報の提供を求められた事項としてあげられています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/191204-7.pdf
<追加情報の提供を求められた事項>
 1.現天守閣の解体・仮設物設置が石垣等遺構に与える影響を判断するための調査・検討について   
  ○内堀の地下遺構の把握、御深井丸側内堀石垣の現況及び安定性を確認するための追加発掘調査
  ○御深井丸の地下遺構把握のための発掘調査
  ○大天守台北面石垣の孕み出しについての調査・検討
  ○天守台石垣背面等の空隙についての調査
 2.現状変更を必要とする理由について 

この2.現状変更を必要とする理由について への回答が今回提示された「特別史跡名古屋城跡 本丸整備基本構想」だと思われます。

今回の資料と重なる部分も多い、「特別史跡名古屋城跡天守閣整備事業基本構想(案)(令和2年10月時点案)、同概要版(案)(令和2年11月4日時点案)」は、名古屋市民オンブズマンが情報公開請求したところ、21/1/15にほぼ内容が非公開でした。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-3-.pdf

市民に内容を事前に示すこともなく、今回全体整備検討会議でようやく「本丸整備基本構想」が示されたと思ったら、委員からは「この段階で木造復元をするかどうかこの場で議論するのはふさわしくないと思う」と発言が出る始末。いったいどこで議論すべきだったのでしょうか。

そもそも平成30年5月に定められた特別史跡名古屋城跡保存活用計画では「整備方針は木造復元とし、検討を進める」としか書かれていません。
・特別史跡名古屋城跡保存活用計画
 https://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000105368.html

具体的に木造復元を検討した結果、跳ね出し架構については全くメドが立たず、バリアフリーも「国際コンペを行う」としか決まっていません。消防法や耐震対応については、現状どうなっているか不明です。20/11/24に文化庁は「もうこれ以上、天守台を痛めることがないような基礎構造とすることを前提にして頂きたい。」と述べています。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-5-6.pdf

今回「本丸整備基本構想」という「絵に描いた餅」がはじめて市民に示されましたが、多聞櫓など、費用がいくらかかるか、また時期については全く示されませんでした。
また、天守台石垣を痛めないような基礎構造が出来るかどうかについて、「検討を行う」としか記載されていませんでした。

文化庁からの宿題である「現天守解体の現状変更許可申請に対する本市への指摘事項」ですが、他の項目についてどの程度回答できるかわかりませんが、名古屋市は2021年3月中にまとめて、2021年4月には文化庁に提出したいとしています。

文化庁は「現天守の解体だけでなく、木造復元についても木造復元も一体として審議する方針にすべき」としているため、木造天守復元に係る計画の具体的内容の追加提出を考えています。
https://bit.ly/3tTUlii

木造天守復元についても、現状変更許可申請が必要なので、さらに文化庁から宿題が出るでしょう。
このような、メドが全くたたない木造復元事業について、「きちんと議論できる場所が全くないことが、これまでの混迷を招いている」という認識が関係者にほとんど無いことが致命的です。

名古屋城 全体整備検討会議と石垣部会がZoomで傍聴可能に

21/2/9(火)午後1時半から行われる第37回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議、21/2/12(金)午後1時半から行われる第40回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会について、Zoomにて傍聴可能になりました。

事前に申込の上、ぜひ傍聴下さい。

・21/2/9(火) 第37回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議
 
https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2020/kankobunkakoryu/0000137387.html
・21/2/12(金) 第40回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会
 https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2020/kankobunkakoryu/0000137696.html
 

21/1/31 名古屋城木造復元 名古屋市「復元建築物が50年で国宝になった例はない」

名古屋市は、21/1/31に令和2(2020)年度開催名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会を西文化小劇場で開催し、63名が参加しました。

・21/1/31 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会 西文化小劇場
(名古屋市民オンブズマンによるメモ)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210131.pdf

・配付資料
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2020/12/20201222_1113.html
・説明動画
 https://www.youtube.com/watch?v=AkK0_MqEITI&feature=youtu.be
 
今回も、参加者に動画・写真撮影は許可されませんでした。
(録音はOKとのこと)

河村たかし名古屋市長はあいさつで「50年くらいで国宝になると思う」と述べました。

【1人目】
1)入場禁止はなぜか
2)木造は無理があるのでは
 →現天守閣閉鎖の理由は、耐震診断をしたところ値が低かった。大地震時倒壊等のおそれがある。
  耐震補強すればという意見に対して、先人が残した資料が残っている。
  建物自体機能は博物館だがいろいろ課題が多い。
  名古屋市としては、木造復元で方針を固めている。
 
【2人目】
1)基本設計は秘密主義
 →基本設計図は、基礎構造以外は開示させていただいている。
  基本計画は固まり切っていないため、中途半端な情報を開示することで混乱や率直な意見交換が阻害されるおそれ。事業者法人に不利益が生じるおそれ。
2)500億は入場料でまかなう見込みだがコロナ禍予測で見直しあるか
 →新たな竣工時期が定まっていないので定まり次第収支計画を算定する。
  新型コロナで社会状況がどう変化するか、今後どうなるか見通すのは困難。
  収束後を見据えた楽しみ方、さらなる魅力向上のため、分散して場内を楽しんでいただく等検討中。
3)バリアフリー新技術の現状
 →世界中調べた。公募でやるのでぜひとも公募してほしい。期待している。
  乗り換えができない電動車いすがそのまま昇降できるように。

【3人目】
1)毀損した石の列が戻るのか?
 →本当に同じとは言い切れないが、丹念に調査して文化庁とも協議し、極力江戸時代と同じ場所に再現するようつとめた。
2)今後のスケジュール 年度が入っていない
 →文化庁からの指摘事項について、今年度内に示して4月作業を進めている。区切りをつけて早期にやりたい。
 スケジュールに遅れがでないように新たな竣工時期を整理したい
3)木材2000本の管理状況について
 →竹中工務店が管理している。表面の色が変わっても、表面を削るため問題ない。
  複数の宮大工は「10年20年たっても木材使えなくなることはない」と言っている。
  法隆寺1300年もっており、風土にあう。しっかり管理することで無駄にはならない
4)石垣部会との議論状況
 →現在石垣現況調査進めている。
  また文化庁からの指摘事項調査について石垣部会と相談している。部会等開きにくいが、定期的に報告している。
5)バリアフリーの現状
 →名古屋市障害者団体連絡協議会と木造天守のご意見を聞いているが、公開の会議ではない。話し合いの場で公開していない。
  事業自体全体の進捗をみて、公募を適切な時期に開始したい。
  階段体験館は木造天守1階階段を再現している。バリアフリー新技術を実験するため。
  公募が始まっていないので実験には至っていない。木造見て確認していただいている。

【4人目】
1)一刻も早く木造を待ち望んでいる。名古屋市側の体制が弱いのでは
 →平成31年度に調査研究センター設置。学芸員強化し文化庁の要望に応えられるようにしたい
2)竣工時期 70過ぎている。生きている内に何とか見たい。2028年をなんとか2−3年前倒しできないか
 →竣工時期 一度有識者会議に示したこともある。この3月中にまとめて文化庁に出す。
  復元検討委員会クリアしたうえで出したい。
3)竹中工務店に、認可が下りた後工事に取りかかる課題
 →今回の大規模建造物は過去に類例がない
  竣工スケジュールが明確になれば、プロセスも明確にする
 
【5人目】
1)市長は「50年たてば国宝」と言ったが、そのような事例はあるか
 →復元建造物が50年で国宝になった例はこれまではないため答えを持っていない
 →(河村市長)嘘じゃない やる
2)エレベーターは11人乗りと小型の中間案は検討したか
 →整備指針では11人乗りと掲げられている。
  柱や梁主架構を変更しないよう、電動車いす乗り換えなしで介護者同行できるよう検討中。
 →(竹中)当初の提案は柱、梁など主要な木材をいじることなくなんとか昇降機をつけるとしたら4−5人乗り。
  しかしそのサイズでは電動車いすは載せられない。
  最近電動車いす増えているため、協議事項と認識。当社としては上記を提案した。
3)担当者は継続しているか
 →センターを作り体制を強化した。搦手は1人やってきた。
  今は担当者として考古学8名いる。組織としては継続してなりつつある。
4)有識者の座長が城郭考古学が得意ではない。時間を浪費しているのではないか
 →座長の選任の仕方は、市の取りまとめ実績等総合的に勘案。

【6人目】
1)木を抗菌処理や不燃処理してはどうか
→史実に忠実な復元を目指している。当時はおそらく抗菌処理をやっていなかった。
 伊勢神宮では足元に銅板をまき腐りを防ぐ。
 名古屋城を管理するうえで必要となれば、有識者、文化庁と相談して検討。
 今現在は腐りやすいところ以外はもとのとおり復元したい。
 
今回も時間切れとして、まだ手が上がっているにもかかわらず質問を打ち切りました。

--------
結局、現時点で何が決まって、何が決まっていないのかいまだにはっきりしません。
【決まっていないもの】
・基礎構造
・収支計画
・竣工時期、今後のスケジュール
・バリアフリー対策
・耐火・耐震対策?
・基本計画
・天守台石垣の今後の方針

【決まっているもの】
・基本設計(名古屋市は以下を開示と主張)
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/180518-1.pdf
・購入済の2000本木材
・平成28年度〜令和元年度で69億6800万円余の支出

これだけ決まっていないことが多く、しかも4月に文化庁に解体ならびに復元の資料を提出したとして、復元検討委員会でどのような議論がなされるかもわかりません。
17/3/30に文化庁文化財調査官は「前例のない巨大な天守閣のため、復元検討委員会の審議は3回で済むか、全く保証の限りではない。何回で結論を出すというルールはない。必要なら10回でも20回でも審議する」と述べています。

市民は、耐火・耐震対策やバリアフリーがなされた名古屋城木造復元が名古屋市によってなされようとしているということをどこまで理解しているのでしょうか。

このような「説明会やりました」アピールの説明会ではなく、もっと実質的な説明会を常時行うべきではないでしょうか。

21/1/23 名古屋市「名古屋城木造天守は『復元』を目指すが、構造補強・避難設備等を設置検討」認める

名古屋市は、21/1/23に令和2(2020)年度開催名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会を港文化小劇場で開催し、36名が参加しました。

・21/1/23 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会 港文化小劇場 前半部分
(名古屋市民オンブズマンによるメモ)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210123.pdf

・21/1/23 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会 港文化小劇場 質疑応答部分
(名古屋市民オンブズマンによる文字起こし)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210123-1.pdf

・配付資料
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2020/12/20201222_1113.html
・説明動画
 https://www.youtube.com/watch?v=AkK0_MqEITI&feature=youtu.be
 
今回も、参加者に動画・写真撮影は許可されませんでした。
(録音はOKとのこと)
名古屋市民オンブズマンの内田隆に対する質問と回答は別記事でまとめました。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#210123

【1人目】
1)これまで人件費も含め木造復元事業にいくらかけたのか
→平成28年度〜令和元年度で69億6800万円余
2)市長は「全責任はわしがとる」という文書を平成27年8月24日付けで出したが、選挙に出なかったらどうなるのか
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
→中止に絶対ならないように文化庁と打ち合わせている。
 市長も議員も任期ごとに全部やめるのが民主主義の重要なところ。
3)今回は文化庁の基準で言う「復元」(規模と意匠を史実に再現する)か「復元的整備」(意匠を一部変更して再現する)かどちらか
 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/92199502.html
→竹中工務店 「復元整備」 建築審査会を経て安全性、避難防災、耐震性の許可を頂く
→名古屋城 歴史的資料が豊富なので「復元を目指す」。
 文化庁の定めにあるとおり、人面の安全を確保したい。構造補強、防災上の避難設備設置を含めて文化庁と協議したい。
 バリアフリーについては上記基準には文言としては出てこない。考え方として、史実に忠実な復元とバリアフリーの両立とした。柱や梁を変更せずに昇降可能な付加設備を導入する所存

【2人目】
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#210123

【3人目】
1)基本設計は終了しているのか?実施設計はどこまで出来ているのか?
→基本設計は平成29年度に終了した。実施設計は現在続けている。
 基礎構造の検討は、「調整会議」を開いて検討する。バリアフリー、防災設備、構造補強なども今後詰めていく。
2)文化庁の指摘事項「耐震対策が目的か、木造が目的か」有識者会議で議論に出てこないが
 →平成29年度、30年度に天守閣部会、全体整備検討会議で相当議論した。
 その後、仕様を決める作業は続けているが、まだ有識者にお諮りする段階ではない。

【4人目】
1)既に購入した材木の保管費用は505億円に含まれているか
→当初の機械乾燥から自然乾燥にしたので費用が増えてはない。
 今後は竹中と協議するが、できるだけ追加にならないように工夫したい。
2)北側のはらみ出しの部分の改修は必要か
→追加調査し、有識者に諮ってどういう処置が必要かを検討したい。
 現段階で積み替え作業が必要か判断できていない。
3)石垣の改修が先か、木造天守閣の復元が先か
→当初は天守、石垣という順序予定だったが、内容によっては天守の工事に先立ち応急的でよければ対応する必要があろう
4)展示収蔵施設のオープンはいつか
→設備的には春頃オープン出来る状態にしたい
5)毀損事故が再発したが、反省しているのか
→再発防止対策に則って対応していた。事故は不可抗力だったという認識。
 所定の期間内に文化庁に提出出来なかったのは事務処理が不適切だった。大変反省している。
6)はね出し架構の部分は、既に昭和34年に改変されているのにどうして石垣部会の先生はもう一度調査しろと言っているのか
→石垣とは、表面の石垣だけでなく、栗石、盛り土全体を一体として石垣という。
 根石と言われる地下部分まで現天守再建時に触ったかわからない、
 栗石、盛り土も含めて大事だと有識者から言われている。
 その中に基礎を入れること自体、簡単にいいよと言えるものではないため調査しろと言われている。
 文化庁からも「中の遺構がもし江戸時代から残っているのなら、残すのを前提として考えて。中に物を入れること、穴蔵石垣を全部取り出すということは今すぐいいよとは言えないためしっかり調査して下さい」と言われている。
 
【会場】
1)基本設計に跳ね出し架構は入っていたのか
→方針を固めるところまで。この方法で、とは書かれていない。実施設計の中で詰めないと行けない
2)はね出し工法以外の方法とはなにか
→決まっていない
3)なぜ公開しないのか
→検討中なので

新たにはじめて質問する人がいなかったため、質疑応答は時間内に終了しました。
----------
これまで名古屋市(特に市長)は、「寸分違わぬ木造復元」があたかも可能なように宣伝してきました。
しかしながら、名古屋市は今回構造補強・避難設備等を設置検討していることを認めました。
今回作ろうとしている名古屋城は「寸分違わぬ木造復元」ではないことをあらためて市民は認識する必要があります。

それに対し、建設費だけで505億円もの予算をかけて行おうとしています。
(2020年度末までに人件費を含めて69億6800万円余)

ところが、最重要の基礎構造について、有識者からも文化庁からも「天守台石垣の中の根石、栗石も土も史跡なので、調査して江戸時代からのものなら残すことを前提に」と言われており、いまだにどのような基礎構造にするか決まっていませんし、公開されてもいません。

20/11/24名古屋市が文化庁を訪問した際、文化庁は以下述べています。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-5-6.pdf
○木造天守基礎構造の考え方について
・観覧者の安全確保については、文化庁が定める“復元の基準”にも定めがあることであり、配慮いただくのは当然のこととして、遺構の保存を前提とするということに十分配慮して頂きたい。
・天守台は築石だけでなく、栗石、背面土で構成されるものである。現在の天守台は江戸期からの姿を残す遺構であるが、戦後天守再建時にケーソン基礎を打つなど、手を加えられた事実がある。
・もうこれ以上、天守台を痛めることがないような基礎構造とすることを前提にして頂きたい。

このままでは、いつになったら木造天守閣の姿が見えるのかすらわかりません。
仮に何らかの形が出来たとしても、文化庁文化審議会、復元検討委員会の許可さらに名古屋市建築審査会の建築基準法適用除外、名古屋市消防長の同意がでるか不明です。

こんなことは、2017/5/9に竹中工務店と基本協定を結ぶ前、2015年からずっと主張してきたことです。
名古屋市は、2015/12/9に技術提案・交渉方式公募型プロポーザルの現場説明会の中で、「文化庁は『土の中こそが遺跡』と言っている。掘削行為は一切禁止。」と述べています。
竹中工務店の「はね出し架構」はそもそも文化庁が認めるはずのないことだったのではないでしょうか。
それを名古屋市がわからなかったわけがありません。
そもそもだれも出来ない条件でプロポーザルを行ったのではないか。プロポーザル自体の正当性が問われます。

---------
市民向け説明会は21/1/31(日)あと1回を残すのみです。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2020/12/20201222_1113.html

質問は原則1人1回しか出来ません。
まだまだ質問されていない項目はあります。ぜひ参加して質問下さい。

質問案
・令和3年度(2021年度)名古屋市当初予算(財政局案)では木造復元事業について計上されていないが、最終的に何を計上するのか。局長は『予算要求のデッドラインは2020年12月-2021年1月」と述べた。
・説明会配布物の8ページ「文化庁からの指摘事項への対応と今後の流れ」では、具体的なスケジュールが書いてないが、どうするつもりか。
・20/10/7市議会経済水道委員会で市は「新たな竣工時期を定めて505億円の起債の収支を合わせた収支計画を総務省に出す必要がある」と答弁したが、いつまでに計画を出す予定なのか。そもそも出せるのか。
・河村市長は2020年9月18日名古屋市会本会議で「文化庁からはとにかく進めましょうと」と発言した。
 2020年12月21日定例記者会見でも「文化庁からは、議会でも答弁しましたように、まあ前へ進めましょうと。」と発言した。
 根拠を情報公開請求したが不存在だった。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201228-1.pdf
・竣工時期が未定で、仮に505億円かけて木造天守が完成したとして、来場者はどれくらいを見込んでいるのか。
 特に新型コロナウイルスが全世界で猛威を振るっており、現状が続けば外国からの客が全く見込めないし、国内からの客も見込めない。どうするつもりか
・21/1/22市民説明会終了後、市長は記者から「木造復元とコロナはどちらが大事か」と問われ、「変な誘導尋問は答えられない。そんなもの答えようがない。価値観が全然違う」と回答した。
 同じ質問を、局長、竹中工務店、そして河村市長に聞きたい。この時期にあえて名古屋城木造復元事業を進める意義は何か。
 市民の木造復元にかける熱意は完全に冷めている。「新型コロナ対策より名古屋城木造復元を望む」という市民がいたら見て議論したい。
 

21/1/23 名古屋城天守閣基本構想(案) 有識者会議まで市民に公開するつもりなし

名古屋市は、21/1/23に令和2(2020)年度開催名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会を港文化小劇場で開催し、36名が参加しました。

・21/1/23 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会 港文化小劇場 前半部分
(名古屋市民オンブズマンによるメモ)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210123.pdf

・21/1/23 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会 港文化小劇場 質疑応答部分
(名古屋市民オンブズマンによる文字起こし)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210123-1.pdf

・配付資料
 https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2020/12/20201222_1113.html
・説明動画
 https://www.youtube.com/watch?v=AkK0_MqEITI&feature=youtu.be
 
今回も、参加者に動画・写真撮影は許可されませんでした。
(録音はOKとのこと)

21/1/22に開催された第1回目では質問を途中で打ち切りましたが、今回ははじめて質問する人を当てるという方式で行ったため、4人質問しそれ以上手をあげる人はいませんでした。

名古屋市民オンブズマンの内田隆が手をあげたところ、ようやく当たりました。
会場に対し、開示された黒塗り資料を示しながら質問しました。

【名古屋市民オンブズマン】
1)今回オンラインで質疑応答を配信する予定はあるか
→名古屋城はビッグプロジェクトで市民に直接説明できる大切な機会の場。対策は十分行った。オンライン説明会を実施している。
 質問があればアンケートフォームがあり、そちらに回答する。
 質疑応答の配信予定は現在はない。
2)文化庁に20/11/4に「天守閣整備事業 基本構想(案)」を示していたことが情報公開請求で判明した。
 しかし中身が黒塗り。木造復元の意義まで黒塗りとはどういうことか。
 唯一「天守の整備方針は木造復元」という文字のみ読める。
 さらに、RC天守閣と木造天守の比較衡量もされていたが、これも黒塗り。
 昨年度末までに69億6800万円も使っているのに情報を隠して「市民への機運醸成」とはあきれかえる。
 まさに名古屋城木造復元事業は「不要不急」であり、今やるべきとは思えない。
 基本構想(案)を市民に公開して議論するつもりはあるか。
 →基本構想(案)は、検討中の段階なので公開すると多様で自由な議論の妨げになることも考えられる。
 必要な時期がくれば、公開されている地元の有識者会議で示す。
----------
配付された資料のどこを見ても、「天守閣整備事業 基本構想(案)」をすでに作成して、文化庁に示していたということは書かれていません。
情報公開請求しても黒塗りです。
いったい、名古屋市民は木造復元事業のなにに賛成し、なにに反対しているのでしょうか。
基礎的な資料すら公開されていないのが現状です。
このようなやり方だからこそ、会場への参加者が36名と極めて少なかったのではないでしょうか。

当初の竹中工務店の技術提案・交渉方式の提案書では、スケジュール案が記載されています。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/downloads/takenaka.pdf
このような全体のスケジュール案がずっと公開されていないためわからないのですが、「天守閣整備事業 基本構想(案)」というのは、0フェーズにある「復元方針・基本計画」にあたるものなのでしょうか。
いまだに文化庁に対して正式な木造復元に関する書類を提出していないということは、いまだに0フェーズにとどまっておりながら、1フェーズの基本設計を終了させ、1-2フェーズの木材伐採、2フェーズの実施設計に進んでいるということなのでしょうか。


今回配付された資料8ページの「文化庁からの指摘事項への対応と今後の流れ」には、日程案が書かれなくなりました。
果たして木造復元事業がどこまで進んでいるのか、全くわかりません。

市民向け説明会は21/1/31(日)あと1回を残すのみです。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2020/12/20201222_1113.html


21/1/22 名古屋城木造復元説明会 質問途中で打ち切り

名古屋市は、21/1/22に令和2(2020)年度開催名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会を名東文化小劇場で開催し、57名が参加しました。

・配付資料
 
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2020/12/20201222_1113.html
・説明動画
 https://www.youtube.com/watch?v=AkK0_MqEITI&feature=youtu.be
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210122.pdf
 
愛知県内に新型コロナウイルス緊急事態宣言が発出されている中、名古屋市は市民説明会をオンラインで行いませんでした。
名古屋市は、上記説明動画を「オンライン市民向け説明会」と称してyoutubeにアップしていますが、コメントは書き込むことができません。
しかも、説明会の様子について、「参加者は写真・ビデオ撮影をご遠慮下さい」とされました。

当初、会場は20時10分までとしていましたが、時間を20時までに短縮して行ったにもかかわらず、なぜか学芸員による
「一般論としての名古屋城天守、櫓、御殿の話し」が30分ほどありました。
その後すでにyoutubeで公開されている説明動画そのものを会場で15分ほど流しました。

休憩の後、市長、市職員、竹中工務店が壇上に上がり、市民説明会を1人3分以内での発言で行いました。

【1人目】
1)去年から進展はなにか
 →去年4月に文化庁に現状変更申請後、文化庁から
  「現天守閣解体と木造復元を一体で審議すべき」と指摘され、木造復元の具体的計画を今後提出しようとしている。
  4月に、解体に関する指摘事項の回答をする予定。
2)金シャチをおろす金があるなら新型コロナウイルス対策して欲しい
 →名古屋のシンボルを地上に降ろして元気を戻してもらおうというもの。
 事業者の皆様に多大な出資をしてもらっている。感染対策は十分する予定。
3)3月に金シャチをおろすのは、時期的に4月市長選挙と関係があるのでは
 →上記趣旨で開催する
 
【2人目】
1)本来この説明会は5年前に開かれるべきもの。今日はじめて具体的な形で提案された。
 指摘事項への対応の中身はどうなっているか
 文化庁は「木造天守が目的か、耐震改修が目的か整理して」と言っている。
 →資料が豊富に残り、木造復元可能なほぼ唯一の城。
  名古屋市としては木造復元していく。
2)今後の見通しは
 →現在検討中で、まとまったものから有識者にご議論して頂きたい。
 年度内にまとめて今年4月に文化庁に提出したい
3)調査研究センターのスタッフは足りないのか
 →発掘調査に携わる考古学専門は8名。
 そのほかに会計年度任用職員がいる。市の職員が調査にあたるのがふさわしい。
 一定のめどをつけたい。

【3人目】
1)市長は平成26年に市議会で「文化庁は鉄筋コンクリート天守の再建を認めない」と発言した。
 令和2年6月、文化庁は鉄筋コンクリート天守について「老朽化したならば取り壊せ」とは書いていない。
 壊すという文化庁の方針はない
 →(市長)文化庁は「コンクリートの城を壊してもう一回またコンクリートで作るのはまずいですわな」と言ったのは確か。
  今も同じような答え。あなたは文化庁ではない。ペーパーは読んだ。
 (局長)文化庁は「コンクリート天守はすべて解体しろ」とは言っていない。
 本当に木造復元するのか、延命なのか自治体で考えろということ。
 名古屋市としては、全国の城のなか、唯一大量の資料が残っているため木造化にかじを切りたい。
2)平成30年6月定例会で、木材94億円購入議決の際、附帯決議で「現状変更許可の見通しをつけて買い付けを」とした。
 いまだに現状変更許可が出ていない。
 1年1億保管料支払っている、買う必要がない木材。
 →今回2000本近く調達した。
 もともとの工程に沿った形で調達しないと、径が太い木は入手が困難になる。

【4人目】
1)今日の市民向け説明会の意義がわからない。
 これまでも「木造にすべきかアンケートを再度行え」という意見が出ているがどう思うか
→本市としては我が国でベストな事例なので事業を進める方針。
 従いまして木造復元アンケートは現時点では考えていない。
 
結局、まだまだ会場から手が上がっていたにもかかわらず、質疑応答は28分で終了しました。

---------
その後、河村市長を報道関係者が取り囲んで「ぶら下がり」が行われました。

・21/1/22 名古屋城市民説明会終了後河村市長ぶら下がり
(名古屋市民オンブズマンによるメモ)
河村:早く作って欲しいというじいさんばあさんたちがしゃべってくれるといいが、なかなかならない。
 自由にしゃべってもらわなあかんで、全員が反対ということもある。
記者:緊急事態宣言下で何故今回説明会?
河村:決まったこと。あらゆる集会が駄目ではない。
 名古屋は疫学調査ものすごくやっていて減っている。
 日本中がこれをやったら減ってくる。
記者:オンブズマンからは、オンラインで開催しろという申し入れがあったみたいだが
河村:そりゃいいんじゃないですか。こうやって丁寧にやるのは
 話したい人もいるでしょう。やってくれてよかったという人もいる。
 こういうことに来て話したい人もいる。
記者:行政としては外出自粛を言っているが、人を集めてイベント進めるのは
河村:全部がいかん、オールオアナッシングの社会ではない
 スケジュールが決まっている。
記者:木造復元とコロナはどちらが大事か
河村:変な誘導尋問は答えられない。そんなもの答えようがない
 価値観が全然違う
記者:今日やったのはアンサーではない
河村:これはこれ やってくれてよかったという人いると思う
記者:木材調達状況 全部国内で確保できたと言っていた
河村:今は出来ている
記者:米ヒバは?
河村:はじめは言っていたが、梁のでかいの 岩手など まあ国産で全部出来ると思う
所長:まだ米ヒバは買っていない
河村:まだ買っていない
所長:基礎構造が決まったらふさわしいものを調達する
記者:米ヒバ買うんですね
所長:その予定ではある
河村:出来たら国産で。強さの関係で   
所長:有識者会議を今後リモートで行いますから
記者:市長選のからみもあったが、来年度以降も木造復元をエネルギッシュに進めるには河村市長でないと出来ないのでは
河村:ありがとうございます。頭に入れます。
 72になりました。南無阿弥陀仏

ぶら下がり終了後、所長に対し、リモートで開催した際傍聴はどうなるか聞くと「傍聴も先着順でできるようにしたい」と回答しました。

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新型コロナウイルス緊急事態宣言が発出されている中、市民に十分な説明は全くなされませんでした。
しかも、質問を打ち切る等、市民に対して誠実に向き合っているとは到底言えません。

抜本的な改善を求めます。

21/1/15 名古屋城木造復元基本構想案 内容の詳細は全部不開示

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城の件で2020年7月1日〜11月30日に文化庁を訪問した際の復命書、持参資料を情報公開請求し、21/1/15に一部開示されました。

「特別史跡名古屋城跡天守閣整備事業基本構想(案)(令和2年10月時点案)、同概要版(案)(令和2年11月4日時点案)」は以下理由で非公開でした。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-3-.pdf
「非公開情報は、名古屋城天守閣木造復元事業についての市の機関内部における検討に関する情報が記載されており、当該事業はいまだ実施途上であり、現時点では中間的な検討段階にとどまるものです。
当該情報について公開されることが前提となると、当該議論・検討の意見交換に加わる者が、いわれなき非難を避けようとしたり、各々の立場等に拘束されたりすることで、多様かつ自由な意見が現れなくなり、円滑な議論・検討が損なわれるおそれがあります。
したがって、当該情報は、市の機関内部における検討に関する情報であって、公にすることにより、市の率直な意見の交換が不当に損なわれるおそれがあるため、非公開とします。」

名古屋市は基本構想(案)の中で、天守の木造復元の意義、整備方針と復元の時代設定など詳細に述べているようですが、内容はすべて黒塗りです。
また、現RC天守耐震改修と木造復元について比較衡量していますが、内容は全て黒塗りです。

これでは、市民の理解を得て事業を進めようとする気が全く見られません。
建築費だけで505億円をかけて行う事業とは到底思えません。
2020年3月末までにすでに購入した木材31億5000万円、基本設計費8億4693万6千円、実施設計費5億9400万円は支出済です。さらに毎年木材保管費は1億円かかるのです。

また、「バリアフリー整備の検討状況報告」は以下理由で非公開でした。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-1-2.pdf
「非公開情報は、名古屋城天守閣木造復元事業についての市の機関内部における検討に関する情報が記載されており、当該事業はいまだ実施途上であり、現時点では中間的な検討段階にとどまるものです。
当該情報について公開されることが前提となると、当該議論・検討の意見交換に加わる者が、いわれなき非難を避けようとしたり、各々の立場等に拘束されたりすることで、多様かつ自由な意見が現れなくなり、円滑な議論・検討が損なわれるおそれがあります。
したがって、当該情報は、市の機関内部における検討に関する情報であって、公にすることにより、市の率直な意見の交換が不当に損なわれるおそれがあるため、非公開とします。
非公開箇所は、名古屋城天守閣木造復元事業のうち、本市が検討している公募する昇降技術のイメージに関する情報が記載されています。公にすることにより、今後の昇降技術の公募に係る事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため、非公開とします。」

名古屋市は21/1/22.23.31に市民向け説明会をネット中継せずに行う予定です。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2020/12/20201222_1113.html

基本構想案も市民に公開せず、なにが市民向け説明会なのでしょうか。
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※今回の開示で、白黒156枚、カラー199枚、合計11,560円の費用がかかっております。
ぜひともカンパをお願い致します。
http://www.ombnagoya.gr.jp/kannpa.htm
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・決定書と開示文書(名古屋城総合事務所管理活用課分)
 名古屋城総合事務所職員が、名古屋城の件で令和2年9月8日に文化庁を訪問した際の復命書、持参資料
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-200908.pdf

・決定書
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/2101152.pdf
1-1 復命書(令和2年9月18日分)
1-2 名古屋城天守閣整備事業におけるバリアフリー整備の検討状況報告(R2.9.18文化庁への報告)
1-3 西之丸の五番蔵周辺調査の進め方について
2  復命書(令和2年10月1日分)
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-1-2.pdf
3-1 復命書(令和2年11月4日分)
3-2 名古屋城展示収蔵施設外構工事地下遺構き損部分の修復について
3-3 特別史跡名古屋城跡天守閣整備事業基本構想(案)(令和2年10月時点案)、同概要版(案)(令和2年11月4日時点案)
3-4 名古屋城金シャチ特別展覧(仮称)について(令和2年10月22日
 第34回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議資料)
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-3-.pdf
4-1 復命書(令和2年11月10日分)
4-2 重要文化財旧本丸御殿障壁画 保存修理計画の時点修正について
5-1 復命書(令和2年11月10日分)
5-2 重要文化財名古屋城表二の門附属土塀の整備について
5-3 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第37回)配付資料
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-4-5.pdf
5-4 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第38回)配付資料
5-5 名古屋城本丸搦手馬出石垣修復について
6-1 復命書(令和2年11月24日分)
6-2 西之丸展示収蔵施設の外構整備について
6-3 木造天守基礎構造の検討について(令和2年9月25日
 第33回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議資料)
6-4 天守基礎構造検討の考え方について(令和2年10月22日
 第34回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議資料)
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-5-6.pdf 

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20/12/3名古屋城跡全体整備検討会議で傍聴者に配付されなかった「基礎構造検討の考え方」 入手

員に配付した資料、プロジェクタに投影した資料を情報公開請求して入手しました。

・天守台におけるモルタル片の落下について
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-1.pdf
・天守台における石材片の落下について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-2.pdf
・議題(1) 西之丸展示収蔵施設の外構整備について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-3.pdf
・議題(2) 名勝名古屋城二之丸庭園整備計画について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-4.pdf
・議題(3)令和3年度の二之丸庭園の修復整備・発掘調査について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-5.pdf
・報告(2) 木造天守基礎構造検討の考え方について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-6.pdf
・名古屋城内における現状変更許可申請の実績(構成員に配付した資料)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210115-7.pdf
 
特に、「報告(2) 木造天守基礎構造検討の考え方について」は、当初、プロジェクターで基礎構造の図が2つ投影されていましたが、途中で名古屋城総合事務所の職員の指示があり、プロジェクターの投影が消されました。

どうして投影が消されたのか、またどうして資料配付がなかったのかはいまだに不明です。

21/1/14 名古屋城現天守閣 耐震調査報告書を情報公開請求で入手

名古屋市民オンブズマンは、平成22年度に名古屋市が行った、名古屋城現天守閣の耐震調査報告書を情報公開請求で21/1/14に入手しました。参考になれば幸いです。

当時、名古屋市の方針は耐震改修でした。
Is値0.75以上にして、エレベーター改修工事をするのに、大天守閣・小天守閣合計で15億1051万9605円の概算工事費が出ています。(以下資料76ページ目)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-1-2-3.pdf
また、名古屋市耐震審査会からは「耐震診断書の内容については審査の結果妥当と認めます」と文書が出ています(以下資料57ページ目)。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-1-1.pdf

名古屋市は木造復元の時期どころか、現天守閣の解体すら見通しが立っていません。
耐震改修について、真剣に検討すべきではないでしょうか。

※今回の開示で、白黒2197枚、カラー432枚、合計43,620円の費用がかかっております。
ぜひともカンパをお願い致します。
http://www.ombnagoya.gr.jp/kannpa.htm
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・開示決定書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114.pdf
・【名古屋城大天守閣】構造体劣化調査結果等
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-1.pdf
・【名古屋城小天守閣】構造体劣化調査結果等
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-2.pdf
・(情報提供資料)名古屋市構造体劣化調査(鉄筋コンクリート造、
 鉄骨鉄筋コンクリート造)作業要領(平成22年度(2010)版)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-0.pdf
・【名古屋城大天守閣】耐震診断概要書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-1-1.pdf
・【名古屋城大天守閣】耐震診断報告書1
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-1-2-1.pdf
・【名古屋城大天守閣】耐震診断報告書2
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-1-2-2.pdf
・【名古屋城大天守閣】耐震診断報告書3
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-1-2-3.pdf
・【名古屋城小天守閣】耐震診断概要書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-2-1.pdf
・【名古屋城小天守閣】耐震診断報告書1
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-2-2-1.pdf
・【名古屋城小天守閣】耐震診断報告書2
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-2-2-2.pdf
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21/1/8 名古屋市 2021年度予算要求財政局査定に名古屋城木造復元関係予算計上せず

21/1/8に公表された「令和3年度予算要求に対する財政局査定内容の公開及び予算要求(追加等)」に、名古屋城木造復元関連予算は全く付いていませんでした。
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000136516.html

天守閣閉館中の魅力向上事業にも、予算要求4200万円のうち、堀の活用に伴う調査費として200万円しか計上されませんでした。

名古屋市は、新型コロナウイルス対策の予算を多数計上しています。

名古屋市が発表した収支見通し(令和2年10月公表)では、市税見込みが令和2年度予算5,979億円のところ、令和3年度は5,539億円と、440億円も減少するとのこと。

今後、2月中旬に発表される予算案(市長案)ではどうなるかわかりませんが、不要不急で、しかも見通しが全くたたない名古屋城木造復元事業に計上する予算はないはずです。

21/1/8 名古屋城全体整備検討会議 現天守解体・木造復元について議題にせず

21/1/8に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第36回)が開催されました。

・21/1/8特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第36回)
 配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210108.pdf

・21/1/8特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第36回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210108-1.pdf
 
今回も、あいさつまでしか写真・ビデオは許可されませんでした。

今回は名古屋城天守木造復元事業について議題に上がらず、傍聴者も4人しかいませんでした。

議題
・本丸搦手馬出周辺石垣の修復について
・カヤの下垂枝剪定について
報告
・西之丸の検証発掘調査について

唯一、松雄観光文化交流局長が冒頭のあいさつで以下述べただけです。
「21/1/6に文化庁の文化財第二課長、主任調査官、課長補佐と名古屋市が意見交換をした。
名古屋市が天守閣の木造復元をしていることは文化庁に適宜報告しており、文化庁としても認識しているとのこと。
名古屋市としては、現天守閣解体申請にかかる文化庁からの指摘事項に対する市の考え方は、有識者と詰めて4月早々にも文化庁に提出したいと考えているが、文化庁としては名古屋市から提出があり次第、なるべく早い機会に文化審議会に報告・審議していきたいとのこと。
文化庁としては、名古屋市と今後も密接に連携して、特別史跡の保存活用等を進めていきたい、市の有識者会議にも主任調査官の予定が付けば派遣するなど、引き続き指導・助言をしていきたいとのこと」

終了後の記者会見はありませんでした。
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松雄観光文化交流局長は20/9/11石垣・埋蔵文化財部会で「来年度予算要求のデッドラインは2020年12月-2021年1月」と述べています。

同じ21/1/8に公表された「令和3年度予算要求に対する財政局査定内容の公開及び予算要求(追加等)」にも、名古屋城木造復元関連予算は全く付いていません。
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000136516.html

局長は来年度の予算がどうなったかも一言も述べていません。

局長あいさつの中で、「文化庁は、名古屋市が木造復元事業を進めていることは認識している」とだけ述べており、木造復元事業を推進するとも反対するとも述べていません。
木造復元事業に関し、名古屋市は復元の具体的な絵を基本構想という形で文化庁に正式に提出しておらず、それは当然でしょう。

「現天守閣解体申請にかかる文化庁からの指摘事項に対する市の考え方」ですが、名古屋市は4月早々に提出したいと考えているようですが、そもそもまとまるのか、まとまったとして文化庁がそれを受け取るか、また仮に文化庁が受け取ったとしても文化審議会に報告・審議し、すんなり通るかどうか、再度指摘事項がでるのかは不明です。

また、文化庁は「特別史跡の保存活用等を進めていきたい」とだけ述べており、「天守閣木造復元を進めたい」とは一言も述べていません。

そもそも、こんなに頻繁に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議が開催されるのは、木造復元事業を進めるためではなかったでしょうか。
しかしながら、基礎構造を検討する「調整会議」は2020年12月までに開かれることはありませんでした。
今後も「日程を調整中」とするのみです。

実際、名古屋城天守閣木造復元事業はどうなっているのでしょうか。
市の発表を聞いているだけでは全くわかりません。

唯一わかる「全体整備検討会議」でこの状態です。
どうしてネット中継しないのか、いまだにわかりません。

課題は山積み、情報は市民に隠す。
時間だけが過ぎていきますが、近い将来に爆発するでしょう。

21/1/5 20/12/17名古屋城石垣部会で、傍聴者に配付されなかった資料 開示

20/12/17に開催した特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会(第39回)で傍聴者に配付されなかった資料を名古屋市民オンブズマンが情報公開請求したところ開示されました。

・決定書
 
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210105-1.pdf
・開示文書
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210105-2.pdf
 ・20/12/17に開催した特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会(第39回)で、構成員に配付した資料
 (傍聴者に配付された資料を除く)
 ・20/12/17に開催した特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会(第39回)で、名古屋城総合事務所がプロジェクタに投影した資料
 (傍聴者に配付された資料を除く)

参考になれば幸いです。
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部会構成員にのみ配付した資料を情報公開請求すれば開示するのであれば、はじめから傍聴者にも配付すればよいのに、と毎回思います。

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なお、名古屋城公式ページには、20/12/17配付資料はアップされていません。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2020/06/20200621_1022.html
(21/1/5現在、20/6/22以降の全体整備検討会議議事録、20/6/18以降の石垣・埋蔵文化物部会議事録は掲載されていません)

名古屋城木造復元 基礎構造を検討する『調整会議』はいまだ開催されず

名古屋城木造天守復元事業の基礎構造を検討するため、天守閣部会と石垣・埋蔵文化財部会の構成員の一部からなる『調整会議』を当初は2020年10月中にも行うと報道がありましたが、21/1/5に名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所に再々度電話で確認したところ、「基礎構造を検討する調整会議はまだ開催していない。開催日時を調整中」と回答がありました。

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21/1/8(金)13時- 第36回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議が開催されます。
https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2020/kankobunkakoryu/0000136286.html

しかしながら、議題には名古屋城天守木造復元についてあげられていません。
・本丸搦手馬出周辺石垣の修復について
・カヤの下垂枝剪定について

松雄観光文化交流局長は20/9/11石垣・埋蔵文化財部会で「来年度予算要求のデッドラインは2020年12月-2021年1月」と述べています。

・天守閣木造復元には基礎構造が不可欠。
・以前竹中工務店が提案した基礎構造は「史跡を破壊するおそれ」として、石垣部会と文化庁が見直しを求める
・「史実に忠実」と「安全確保」を両立する新たな基礎構造を検討する『調整会議』はいまだ開催出来ず
・2021年度当初予算要求に名古屋城天守木造復元予算を提案できず
・予算要求のデッドラインは2020年12月-2021年1月
・木材の多くは購入済。保管費用だけで年間1億円

今後の名古屋城はどうあるべきか。大慌てで議論してもうまく結論が出るとは思えません。
新型コロナウイルスの影響で来客者数見込みなど、前提が大幅に狂っています。
また、名古屋市全体の予算も逼迫しています。
名古屋城総合事務所が例年行う市民説明会は、次回2021年1月22日、23日、31日に開催予定ですが、市民説明会の様子はネットで公開されません。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2020/12/20201222_1113.html
名古屋市はもっと早く、情報を十分に公開した上で市民の意見を十分に聞いておけばよかったのにと思ってなりません。

21/1/4 名古屋城木造復元市民向け説明会の様子はネット中継せず 

名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所は、21/1/22以降、3回「名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会」を行うと発表しました。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2020/12/20201222_1113.html

・2021年1月22日(金)午後6時30分から午後8時10分まで
 名東文化小劇場 当日先着150人
 講演者 原 史彦(歴史)「名古屋城天守・櫓・御殿」
・2021年1月23日(土)午後1時30分から午後3時10分まで
 港文化小劇場 当日先着150人
 講演者 二橋 慶太郎(考古)「名古屋城石垣石材の特徴について」 
・2021年1月31日(日)午後1時30分から午後3時10分まで
 西文化小劇場 当日先着150人
 講演者 堀内 亮介(歴史)「名古屋城天守の宝暦大修理について」

なお、「オンライン説明会」を行うとのこと。
 令和3年1月22日(金曜日)午前10時に、名古屋市公式YouTubeチャンネル「まるはっちゅーぶ」1chに動画を掲載します。
 ご都合のよい時間にご覧いただけます。
 名古屋市からの説明(20分程度)
 ナレーター:名古屋おもてなし武将隊 徳川家康
 
名古屋城総合事務所に21/1/5に電話で確認したところ、以下判明しました。
・オンライン説明会は、説明会会場の様子を映すものではない
・説明会会場で使用するパワーポイントを動画化する
・説明会会場と資料は同じ 
・説明会会場でどのように説明を行うかは検討中

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名古屋市は毎年「市民向け説明会」を行ってきていますが、本年度は以前と比べて回数が減少しています。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/
・2017年度開催 6回 659人
・2018年度開催 6回 419人
・2019年度開催 8回 448人

寄附金額も年々減少しています。
2017年度 207,357,485円
2018年度 131,783,050円
2019年度  62,495,813円

2021年度名古屋市予算案は、例年であれば2月中旬に公表されます。(財政局案は1月上旬)
https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-18-1-0-0-0-0-0.html
しかしながら、現時点では名古屋城木造復元関連の予算案は計上されておらず、松雄観光文化交流局長の「予算スケジュールとして、2020年12月-2021年1月がデッドラインだ」の結論も、市民向け説明会で公表されるかどうかはわかりません。

新型コロナウイルスが全国的に猛威を振るっています。
総額505億円の名古屋城天守閣木造復元事業は、新たな竣工時期どころか、現天守閣解体のめども立っていません。
このまま名古屋城天守閣木造復元事業を進めるべきなのか、それとも別の選択肢があるのか。

大阪市は、いわゆる「大阪都構想」について、YouTube及びZoomを利用したオンライン住民説明会を20/9/30-10/10に実施しました。
https://www.city.osaka.lg.jp/fukushutosuishin/page/0000513383.html

横浜市でも、IR推進に関連し、2021年2-3月に市民向けのオンライン説明会を開催すると報道されました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFB099V10Z01C20A2000000?unlock=1
https://www.city.yokohama.lg.jp/city-info/seisaku/torikumi/IR/

大阪市は市民からの質問の様子を動画で公開しています。
横浜市も同様とのこと。

名古屋市は一方的な動画を流して「オンライン説明会」と名乗るようです。
「市民不在」の名古屋城天守木造復元事業に未来はありません。

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今後の予定

・21/1/8(金)午後1時〜 第36回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(名古屋市公館)
・21/1/上旬 2021年度予算財政局案公表
・21/1/14(木)午後6時30分〜 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例勉強会(北生涯学習センター)
・21/1/22(金)午後6時30分〜 市民向け説明会(名東文化小劇場)
・21/1/23(土)午後1時30分〜 市民向け説明会(港文化小劇場)
・21/1/31(日)午後1時30分〜 市民向け説明会(西文化小劇場)
・21/2/13(土)午後6時30分〜 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例勉強会(北生涯学習センター)
・21/2/15(月)午前11時〜 名古屋城文化庁訪問時面談記録情報公開訴訟(WEB会議・非公開)
・21/2/中旬 2021年度予算案公表
・21/2/18(木)〜3/22(月) 名古屋市会2月定例会
・21/2/28(日) 学習会
・21/3中 有識者会議(予定)
・21/4中 文化庁への指摘事項に関する追加情報の提出(予定)
・21/4中 名古屋市長選挙(予定)
・21年度早い段階 天守台石垣の保存方針作成(予定)

20/12/28 名古屋城木造化 河村市長発言「文化庁からとにかく進めましょうと」根拠文書不存在

名古屋市民オンブズマンは、20/12/22に名古屋市に対して名古屋城天守閣木造復元事業に関して河村市長が「文化庁からとにかく進めましょうと」する発言の根拠を情報公開請求したところ、20/12/28に「文書不存在」の決定が出ました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201228-1.pdf

・名古屋城天守閣木造復元事業に関し、
 2020年9月18日名古屋市会本会議
 河村市長発言「文化庁からはとにかく進めましょうと、ただ学者の皆さんとはみんな合意してやっててくださいねと。」の根拠がわかるもの
・名古屋城天守閣木造復元事業に関し、
 2020年12月21日名古屋市長定例記者会見
 河村市長発言「文化庁からは、議会でも答弁しましたように、まあ前へ進めましょうと。ただ、専門家、学者、専門委員の皆さんとは仲良う、仲良うじゃないけど話をちゃんとまとめて進んでくださいねと。」の根拠がわかるもの

公文書がない、ということは、根拠が事実上ないということです。

河村市長は、いつ、文化庁のだれがなんと言ったかはっきり言うべきです。
そうでなければ、市議会の虚偽答弁だけでなく、市民・国民全員に虚偽の説明をしていることになります。

20/12/23 名古屋城情報公開訴訟 弁論準備WEB会議

名古屋城天守閣木造化をめぐり、名古屋市が文化庁訪問時の復命書等の情報を非公開にしたのはおかしいとして、名古屋市民オンブズマンが公開を求めた情報公開訴訟の弁論準備が20/12/23にWEB会議(非公開)で行われました。

非公開文書
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200203-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-2-1.pdf   
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-3-1.pdf

名古屋市代理人は、
@「史資料の収集・調査、史資料の詳細な検討、復元原案の確定、建物の姿・形の決定、復元案の決定、工事内容の具体化に、竹中工務店の専門的なノウハウが記載されているから非公開」
A「長尺大径木の市場が高騰する具体的恐れがあるから非公開」としました。

原告名古屋市民オンブズマンの新海聡弁護士は、以下述べました。
@「最高裁第二小法廷平成23年10月14日判決では、公開により『競争上の地位その他正当な利益が害される蓋然性が客観的に認められる』ことが必要とされている。名古屋市は具体的主張とその合理性の吟味が全く明らかにされていない。また、竹中工務店にノウハウがあったとしても、城の木造による建築という市場そのものが存在しないため、他の城の競合先との関係で、どのように不利に働くかを観念すること事態困難」
A「長尺大径木の需要は情報公開によってだけでなく報道によって需要が予想される性質。情報公開による高騰とは因果関係がない」

次回までに裁判所が論点の表をまとめる予定です。
次回は21/2/15(月)11時半〜WEB会議(非公開)です。

20/12/21 名古屋城木造復元 河村市長 記者会見で、公文書に根拠のない「文化庁からは前へ進めましょうと」を繰り返す

20/12/21に河村たかし名古屋市長定例記者会見が行われました。
・20/12/21 河村たかし名古屋市長定例記者会見(名古屋城部分)
(名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
 
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/201221.pdf

記者から、「今年1年振り返って、市政の最重要課題である名古屋城の木造復元はどうだったか」振り返ってと言われて以下述べました。

 まあお城も、まあこれは名古屋1000年の計ですので、1000年先まで、ぜひ木造天守を、日本のために、世界のためにも残したいということで。まああの、課題というか、文化庁からは、議会でも答弁しましたように、まあ前へ進めましょうと。
 ただ、専門家、学者、専門委員の皆さんとは仲良う、仲良うじゃないけど話をちゃんとまとめて進んでくださいねと。
 
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20/9/18 名古屋市議会 本会議で、河村たかし名古屋市長は「文化庁からはとにかく進めましょうと、ただ学者の皆さんとはみんな合意してやっててくださいねと。」と述べました。

20/9/18 名古屋市議会 本会議(名古屋城部分)
(名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/200918.pdf 

名古屋市民オンブズマンは、2020年4月25日中日新聞記事に記載された河村たかし名古屋市長の発言「文化庁からも『木造でやりましょう』とはっきり言われた。」の根拠がわかるものを名古屋市に対して情報公開請求したところ、20/5/20に不存在決定が出ました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200520.pdf
過去の名古屋市が公開した資料を見ても、そのようなものは見当たりません。
 
河村市長は、いつ、文化庁のだれがなんと言ったかはっきり言うべきです。
そうでなければ、市議会の虚偽答弁だけでなく、市民・国民全員に虚偽の説明をしていることになります。

何回も述べているように、名古屋城は「学術上の価値が特に高く、我が国文化の象徴たるもの」である特別史跡です。
全国に63件しか特別史跡はありません(令和2年3月10日現在)。

・文化庁 国指定文化財等データベース 史跡名勝天然記念物
 https://kunishitei.bunka.go.jp/bsys/categorylist?register_id=401
・文化庁文化財部記念物課 日本の特別史跡
 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/kinenbutsu/pdf/r1392261_01.pdf

特別史跡は、市長が根拠無くどうこうできるものではそもそもありません。
文化庁の現状変更許可がなければ釘一本打てないとされています。
そこを曖昧にしたまま、スケジュールありきで進めてきた結果が現状だと考えます。

20/12/18 名古屋城き損2件 名古屋市教育委員会と市、文化庁とのやりとり 開示

名古屋市民オンブズマンは、名古屋市と名古屋市教育委員会に対し、2020年10月に発生した名古屋城き損事案について、市教育委員会と文化庁とのやり取りがわかるものを情報公開請求しました。

名古屋市と市教育委員会とのやりとり、市教育委員会と名古屋市、市教育委員会と文化庁については以下開示されました。
名古屋市が市教育委員会とやり取りしたもののうちき損届、文化庁とのやり取りしたもののうち復命書については21/1/15まで期間延長決定がでました。

・2020/12/16 名古屋市
 2020年10月14日に発生した名古屋城天守台モルタル落下について、名古屋市教育委員会とやり取りした中身がわかるもの、資料として天守台レーダー探査中モルタル落下の経緯 
 顛末書(令和2年11月16日付2観名調第34号)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201218-1.pdf

・2020/12/17 名古屋市教育委員会
 き損届、特別史跡名古屋城跡のき損届の遅延に係る顛末書について
 石垣石材片落下の概要、名古屋城石垣石材落下の経緯、名古屋城全体整備検討会議におけるき損事案(石材・モルタル片落下)の報告、打合せ報告書(石垣き損)、打合せ報告書(き損届(石材・モルタル)について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201218-2.pdf
 
・2020/12/17 名古屋市教育委員会
 特別史跡のき損について(特別史跡名古屋城跡 大天守台北面石垣・石材落下)、石垣石材片落下の概要、名古屋城石垣石材落下の経緯、名古屋城全体整備検討会議におけるき損事案(石材・モルタル片落下)の報告
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201218-3.pdf
 
名古屋市への情報公開請求で出てきた、「天守台レーダー探査中モルタル落下の経緯」ですが、通常であれば決裁のはんこが押される場所がなぜか空欄となっています。
この文書がいつ作られたのかも書かれていません。

延長決定通知分の資料を見て考えたいのですが、本件はまだまだ謎が多すぎます。


20/12/17 石垣部会 名古屋城天守台ケーソン部分以外のボーリングを認めず

20/12/17 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・
埋蔵文化財部会(第39回)が開催されました。

・20/12/17 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第39回) 配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201217.pdf 

・20/12/17 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第39回) 
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201217-1.pdf
 
石垣・埋蔵文化財部会構成員の千田嘉博・奈良大学教授は欠席、またオブザーバーの文化庁もいませんでした。

松雄俊憲観光文化交流局長はあいさつの中で、10月に起こした2件の毀損について「名古屋城総合事務所としては毀損事案ではないと認識しているが、いったん毀損届を出すと行政として決めたのなら、法に基づき期限内に提出すべきだったと反省している。
今回は、搦手石垣と天守台ボーリングについて議事にしたが来年度予算に関わることなので、できれば本日決めたい、
次年度から搦手石垣を積み直したいとしました。

今回も、あいさつまでしか写真・ビデオは許可されませんでした。さらに、参考資料は構成員の机上にのみ配布されました。

最初に、天守台北面石垣の石材片とモルタル片の落下について報告がありました。

赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は「石材片とモルタル片について、部会構成員に実物を見せたか」と質問したところ、村木誠・名古屋城調査研究センター
副所長は見せてないと回答しました。
赤羽氏は「実物を見ていただいて、どういうものか認識するのが大事。文化庁に1か月以上連絡していないのはどう考えても不自然。
また、局長の『毀損事案と認識していないが届けを出した』は矛盾する。2件の毀損があってから、石垣部会も全体会議もあったのにそれらに報告がなかった。どうして実物を見せないのか、『認識していないが』の理由を聞きたい」としました。
佐治所長は「現場として、教育委員会文化財保護室と連携して、翌日には毀損届けを出すと決定したが、遅くなったのは事務上のミス。石垣保存方針を早急に作りたいし、文化財保護法に基づく毀損に当たるかの基準を作る」と述べましたが、どうして実物を見せなかったのかの説明はありませんでした。

次に本丸内堀発掘調査について報告がありました。調査結果については次回以降部会で説明するとのこと。

続いて議事に入り、本丸搦手馬出周辺の修復について議論がなされました。
名古屋城総合事務所は、背面盛り土について石灰を混合する方針を示しました。
宮武正登・佐賀大学教授は「オリジナルの土でオリジナルに戻すのが原則伝統的工法では持たない根拠はなにか。あえて石灰を混合する積極的な根拠はを示して欲しい」としましたが、名古屋城総合事務所は「他城郭の事情を照らしながら、何故必要なのか整理したい」と述べるのみ。

次に、天守台ボーリング調査について議論になりました。
目的は、天守台周辺に設置する仮設の影響、現天守閣解体時に地盤が浮き上がる現象の影響、地震時における天守台の挙動とケーソン基礎による石垣への影響、地震時における地震波の作成のためとしました。
5カ所ボーリングを行う予定で、@Aでは大天守ケーソン外部を、Bでは大天守ケーソン内部を、Cでは小天守ケーソン内部を、Dでは小天守ケーソン外部をボーリングする予定としました。

赤羽氏は「どのようにボーリングするのか」と質問したところ、名古屋城総合事務所は「ロータリーボーリングと呼ばれる方法で、ケーソン基礎はダイアモンドカッターでくりぬく予定。振動、湧水や大天守、小天守の現況に影響はないと考える。」としましたが、赤羽氏は「資料に記載が無い。口頭で済まそうというのは悪い」としました。

また、赤羽氏は、「現状変更について、文化庁と打合せをしたか」質問しましたが、名古屋城総合事務所は「細かいことまでは話しをしていないが、ボーリングは話をした」と述べるのみ。
赤羽氏は「文化庁は内諾はされたか」聞きましたが、名古屋城総合事務所は「意思についてふさわしいかわからないが、特段否定はされていないと理解している」としました。

宮武教授は「小天守ケーソン外部をくりぬくDを文化庁は知っているのか」聞きましたが、名古屋城総合事務所は「文化庁はケーソンを打ち抜くとは承知している」としました。
宮武委員は「曖昧にしてはいけない。ケーソンをボーリングすることと、土をボーリングすることは話が違う。@について、どうしてこの位置か説明が出来ないでしょう?」としたところ、名古屋城総合事務所は「ケーソン基礎を入れるときウォータージェットを使った。昔の地層が残っていない可能性もある。今回の目的は90m掘って、PS検層をしたい。きれいなものがあれば試料を採取したい」としました。

宮武教授は「説得力が無い。『北面石垣のハラミを分析するためにここを選んだ』のか?」としましたが、名古屋城総合事務所は「地下一階は半分は機械室。ボーリング調査できるところと出来ないところがある」とするのみ。

座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「そういういい方がおかしい。名古屋市は、考え方で『文化財である天守台石垣』が知らないうちに消えている。天守台石垣の保存を前提としたうえで、が、だんだん穴をあけるため何かいい方法がないかな?に見える。ケーソンの外側は特別史跡の遺跡なので、触れない。あらたにボーリングを打ち込むのは文化庁が認めるか?」としました。

宮武教授は「上に何かあってボーリングがやれないというのならやるなということ。機械室があってボーリング出来ないのならやるなということ。@ADはケーソンをくりぬいていない。それが文化財を守るためなら文化庁は認めるが、今の説明は違う。一般的に、標準貫入試験は経年変化を調査するため、その後もモニタリングをする。それは考えているか?」としましたが、名古屋城総合事務所は考えていないとのこと。

北垣座長は「部会の考え方がお示しできたと思う」としました。

本日も記者会見はありませんでした。

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名古屋城総合事務所は、文化庁に対して、どこをどうボーリング調査するかもしっかり伝えていないばかりか、石垣・埋蔵文化財部会に対しても、文化庁がどのように考えているかもきちんと伝えていませんでした。

石垣・埋蔵文化財部会構成員が言うとおり、ケーソンの外側は特別史跡の遺構です。

20/12/3特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第35回)でオブザーバーである山下信一郎・文化庁文化財第二課主任文化財調査官は「がわの石垣だけでなく、栗石、ケーソンでかなり痛められているが盛り土が残存しているのではないかと思っている。そういったことを含めた総体としての天守台の遺構といったものの保全・保存が特別史跡として大事だと考えている。必要な分は修復していただくことは当然だと思っているが、新たな改変がなるべくないように、という形で意見交換させていただいた」と述べています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201203-1.pdf

これは、新たな基礎構造だけでなく、ケーソン以外のボーリングにも当然関係してくると考えます。

20/10/22 名古屋城全体整備検討会議は、天守台ボーリング調査について以下述べています。
「名古屋城総合事務所は、解体に伴う仮設物、現天守解体した際のリバウンドの影響、地震時のケーソンの影響を詳細に調査するため現天守閣の地下の天守台のボーリング調査を行うとしました。以前天守閣部会で了承されているので、全体整備検討会議で了承を得られたら、石垣・埋蔵文化財部会で了承を得たいとしました。」
今回、石垣・埋蔵文化財部会で天守台ボーリング調査について了承を得られなかったため、当然来年度予算も要求できないことになります。

また、今回は議題としてはあげられませんでしたが、木造天守基礎構造の検討について、20/9/25に記載のあった「文化財である天守台石垣」が、20/10/22には「天守台石垣」となっていたことについて、石垣部会構成員は激怒しています。
・20/9/25 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第33回)配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200925.pdf
・20/10/22特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第34回)配付資料 資料3
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201022.pdf

今回、木造天守基礎構造の検討について議題になかったのは意外でした。
松雄局長は、来年度予算のデッドラインは2020年12月末-2021年1月と言っていました。
いまだに現天守解体予算も、木造復元天守予算も提案できる状況にありません。
天守台ボーリング調査についても、今回の部会では石垣部会は認めませんでした。
文化庁にすらはっきり説明していないようです。

名古屋城総合事務所は、いつまで同じことを繰り返すのでしょうか。
すべては、「無理なスケジュールありき」で進めているからではないかと思います。
無理なスケジュールを名古屋城総合事務所に強いている河村市長は、今何を考えているのでしょう。

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混迷が続く名古屋城木造復元事業 会議は続くが事業は進まず

2022年末の竣工を断念した名古屋城天守閣木造復元事業だが、いまだに新たな竣工時期の目処がたたないばかりか、現天守閣解体の目処もたっておらず、さらに名古屋城総合事務所は新たな毀損隠ぺいと取られかねないことも行っており、事業は全く進んでいない。

大きな問題点は5点


 膠着状況に陥った理由としては5点あると考える。
@木造復元天守と穴蔵石垣が接する「基礎構造」が決まっていない
A解体仮施設設置予定場所の調査が終わっていない
Bバリアフリーが決まっていない
C市長が竣工時期について固執
D度重なる毀損事故や竣工時期遵守のため職員が疲弊

石垣部会「『はじめから穴蔵石垣解体ありき』はまずい」

 20/6/18に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第35回)に、天守閣整備事業の「新たな工程」の案が示された。
石垣部会構成員の宮武正登・佐賀大学教授は「工程案に『穴蔵石垣の解体』とある。解体するための発掘調査を謳っており、下の部分を守るという議論に立っていない。解体出来るかどうかはこれからだ。だいぶん傷みが酷いのは承知しているが、調査してもいないからわからない」 とした。
 座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「以前から、特別史跡の本質的価値は石垣にあると言ってきた。それを保全するためにはどういう手立てがあるか考えている。現在、上に建物をつくるという案が出ているが、現在残っている石垣にうまく乗るのかどうかはきちんと議論していない」とした。

局長が石垣部会に懇願も「全体会議で議論を」

20/9/11に石垣・埋蔵文化財部会(37回)が行われた。
「ご相談」ということで、現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項等への対応について、松雄観光文化交流局長から説明があった。「現在予算編成の時期で、名古屋城木造復元、石垣調査についてはどうしても来年度予算に計上したい。しかしながら、新型コロナウイルスの影響で、来年度の予算は極めて厳しい。市長の査定があるが、石垣・埋蔵文化財部会の合意を得て、市長に『どうしても木造復元をやりたい』と強く言いたい。
 今後石垣・埋蔵物文化財部会の先生と議論したいが、事業が進まないということをどうしても避けたい。
 予算スケジュールとして、2020年12月-2021年1月に赤線を引いたが、そこがデッドラインだ。非常にタイトなスケジュールであることは重々承知しているが確実に進めたい」とした。
 北垣座長は「こちらとしては、『そうなんですか?』としか言いようがない。 石垣・埋蔵文化財部会に相談していただいても、今回は報告いただいたということであろう。まずは全体整備検討会議で審議していただいて、我々はそのあと審議する」と述べた。

基礎構造は部会をまたぐ「調整会議」で検討へ いまだ開催されず

 20/9/25に全体整備検討会議(第33回)が行われた。
 名古屋城総合事務所保存整備室の荒井敦徳主幹は「竹中工務店のプロポーザル時の技術提案は跳ね出し工法だった。しかし、穴蔵石垣、外部石垣を取り外す形で施工するので、石垣部会から、『現在の遺構の毀損を前提としており、認められるものではない』とされた。文化庁からも、『穴蔵石垣については、遺構が残っていることを前提に検討を』と言われている。現在、竹中とともに基礎構造検討中。
 現在の石垣は、天守焼失時に劣化しており、荷重をかけられない。
・天守台石垣に荷重をかけず、遺構の保存を前提としたうえで史実に忠実な復元を行う方針
・例えば、現代工法による構造加工を付加するとか、木造架構の一部を現代工法に置き換えるとか。
・有識者に諮って基礎構造を決定する。調整会議を設置して意見をいただくことを想定。」
 座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「調整会議は設置する方向で行きたいが、内容が未成熟なので調べてから」とした。
 しかし、11月末時点でいまだに調整会議は開催されていない。

自民市議「2028年を外してはどうか」

 20/10/7 名古屋市議会経済水道委員会が開催された。
 渡辺義郎市議(自民・北区)は今後のスケジュールについて質問し、荒川主幹は「2021年4月に、現天守閣の現状変更許可申請に対する文化庁からの指摘事項に回答する予定。仮に文化庁から許可が出るとすると解体の許可となるが、ただ、文化庁からは解体と復元は一体ではないか、と言われているため、名古屋市は復元の具体的な絵を基本構想という形で提出し、許可が出るなら解体だけが出ることはないと思う。また、天守台石垣修復などは、その後、来年度早々に石垣の保存方針をたてて修復を行いたいと考えている。2021年文化庁に回答するもので、すぐに工事に着手っていうことはないと考える」とした。
 渡辺市議は「それなら、2028年にこだわりすぎると問題が出るため、僕はそれを外したらどうだ。文化庁の許可が出て、全てを整えてどっから言われてもいいとなってから着手しなくちゃいけない俺は外してもいいと思うよ。少々こだわりすぎるといつまで経ってもできんぞ。」と述べた。

石垣裏モルタル落下等 市議指摘後文化庁に毀損届提出

 20/11/27に開催された名古屋市議会本会議で、自民党の浅井正仁市議が、20/10/14に発生した名古屋城石垣裏にあるモルタル落下に伴う毀損届が、法定の10日以内ではなく、浅井市議が指摘した後にようやく文化庁に提出されたと述べた。
浅井市議は、「モルタルの一部が落下したことが問題。劣化の激しい石垣があることも驚異。明るみにでれば、文化庁や石垣部会からモルタル調査や石垣劣化の程度が話題となり、今後のスケジュールに大きく影響すると思う。
 万が一スケジュールが遅れないように毀損を隠蔽したとしたら、市長に本質的な問題を伝えないまま、すべての責任を市長が負うことなってしまう。
 5月の文化審議会を死守するといった発言が職員にどれだけプレッシャーになっているのか考えていただきたい。名古屋城の職員が先の見えない迷走と想像できない業務量に皆疲れ切っている。
 早急に解体申請を取り下げて必要な書類が整った後に解体申請と復元申請をセットにして、文化審議会に議題を提出すべき」と述べた。

情報公開訴訟「防災拠点位置を非公開にするのは、警察署の場所を非公開にする理由と同じか?」

名古屋城天守閣木造化をめぐり、名古屋市が文化庁訪問時の復命書等の情報を非公開にしたのはおかしいとして、名古屋市民オンブズマンが公開を求めた情報公開訴訟の弁論準備が20/6/23に電話会議(非公開)で行われた。
原告名古屋市民オンブズマンの新海聡弁護士は「名古屋市が防災センターの場所を黒塗りにするという理屈は、『消防と治安の中心』だからという。防災センターは、街で言うところの警察署と消防署にあたるところだ。名古屋市は、警察署と消防署の場所を地図で黒塗りする、という理屈と同じではないか」とし、裁判長も「そういうことですか」とした。
 市代理人は「新幹線の運行センターや、県警の交通センターみたいなところ」とした。

基本設計費の返還等を求める住民訴訟 敗訴

 「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」が原告となった、名古屋城天守閣木造復元事業基本設計費の返還等を求める住民訴訟の判決が20/11/5に名古屋地裁で言い渡され、名古屋地裁民事9部は、公金の支出の差止を却下し、その他を棄却した。
https://drive.google.com/file/d/1dc9FBR5-tDA5egPW9BF9ZnU6tdETxIQo/view
 裁判所は以下判断した。
・要求水準書及び技術提案書が基本設計契約の内容となるものではない
・基本設計契約上、竹中工務店は名古屋市に対して、文化庁に提出すべき基本計画書及び申請書類を提出する義務を負うとはできない。
・本件事業につき名古屋市の裁量権の範囲の逸脱またはその濫用があるとは言えない。
・名古屋市は建築審査会の同意を得て建築を行うことを予定しており、実現不可能であるとはうかがわれない。
 原告の森晃氏は「裁判所が実態を認めなかったことに不満が残る。いまだに文化庁復元検討委員会の審査も受理されておらず、司法が文書主義を否定するものであり、司法自身の自己否定だと感じる。今も使われる見込みも不明な木材保管費がかかっており、実現の見通しも立たない木造化よりも、現天守保護を優先すべきだと訴える。」として、控訴の意向を表明した。

市議「文化庁文書に『40年の寿命』記載なし」

 20/11/30に開催された名古屋市議会本会議で、共産党の江上博之市議が、「2020年6月に文化庁が発表した文書には、『再アルカリ化など、延命策によって、耐震補強を行えば、相当年数維持できることが可能』と言っている。2016年名古屋市アンケートでは、『現天守閣の耐震改修工事について、おおむね40年の寿命と記述』があるが、上記文化庁文書には記述はない」と追及した。
松雄観光文化交流局長は「コンクリートの寿命を概ね40年としたのは平成22年度の耐震診断と共に実施した構造体劣化調査の結果に基づいたもの。耐震改修の実施の有無に関わらず、天守閣のコンクリートの中性化の進行度合いと、コンクリート内部の鉄筋の腐食、さびの状況から判断した」とした。

木材保管期間を21年3月まで延長 年1億円

 名古屋市は20/3/26に木材製材に関する契約書を変更し、2020年6月末までだった木材保管費を2021年3月末まで延長した。年間保管費は1億円。

市議会6月9月11月補正に予算計上せず

 名古屋市は、新型コロナウイルス対策のための補正予算を6月、9月、11月議会に提出したが、その中には名古屋城木造復元事業に関しては1つも入っていなかった。
 さらに、令和3年度当初予算の予算要求内容の公開にも入っていない。

局長「来年度予算要求のデッドラインは2020年12月-2021年1月」

20/9/11に松雄観光文化交流局長が言ったように、来年度予算要求のデッドラインは2020年12月-2021年1月です。様々な問題点は解決しておらず、とても2028年に竣工できるとは思えない。
 そうであるならば、大慌てで予算を通すよりも、問題点を広く市民に共有して、今後どのような名古屋城にしていったらよいのか、市民に意見を聞いてはどうか。
 名古屋城総合事務所職員は、締め切りに追われて能力を発揮し切れていないように思える。それに伴い、毀損事故や隠ぺいとも取られかねない対応をしている。
 なお「全責任は私が取る」と2015/8/24に河村市長は名古屋市市民経済局長に指示書を出している。http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
2021年1月に、名古屋城の現状の市民説明会が予定されているとのこと。残念ながら、市民の名古屋城に関する関心は年々低下しているように思える。
 市民が市民説明会に積極的に参加し、市民の生の声を伝えよう。

20/12/7 名古屋城木造化 市議会委員会で減税議員に委員間討議

20/12/7に名古屋市議会経済水道委員会で、名古屋城の毀損事故報告、二之丸庭園整備計画案、木造天守閣復元に係る進捗状況について所管事務調査が行われました。

・20/12/7 名古屋市観光文化交流局
 経済水道委員会説明資料
 特別史跡名古屋城跡西之丸き損地点の調査と修復について
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201207-1.pdf
・2020年10月 名古屋城総合事務所
 特別史跡名古屋城跡西之丸き損地点の調査と修復
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201207-2.pdf
・20/12/7 名古屋市観光文化交流局
 経済水道委員会説明資料
 名勝名古屋城跡二之丸庭園整備計画(案)について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201207-3.pdf
・20/12/7 名古屋市観光文化交流局
 経済水道委員会説明資料
 名古屋城天守閣整備事業に係る進捗状況について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201207-4.pdf
・20/12/7 名古屋市観光文化交流局
 経済水道委員会資料
 天守台北面石垣における石材片及びモルタル片の落下について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201207-5.pdf

20/12/7 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城関連部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201207-6.pdf

毀損について報告があった後、二の丸庭園整備計画案について説明と質疑がありました。
鈴木保存整備室長は「6期約20年から30年にわたる長い計画で、工事費の算出は難しい。およそ17億〜20億円」と述べました。

その後、名古屋城天守閣整備事業に係る進捗状況について説明のあと、質疑がありました。
小出昭司(自民・中村区)市議が「すでに購入した木材はいくらか。」と質問し、荒井主幹は「契約額が約95億。昨年度までで約35億円を支出済。2022年12月までと契約している。」としました。
小出市議は「市議会本会議の議決の要望事項として、現状変更許可が下りてから木材を購入するよう要望していたが」と質問したところ、荒井主幹は「木材を調達できないとこの事業実現が非常に難しくなる。もともと当初の工程に沿った形で木材を調達していかないと一旦調達を止めると二度と集め得られなくなる可能性もあるということで、事業の実現にも非常に影響があるので工程に沿った形で契約した」としました。
小出市議は「2028年までに延びることによる木材劣化はどう読むか」と質問したところ、荒井主幹は「工期が延びても木材は十分使えると思う。」としました。

続いて、委員間討議が行われました。

小出市議が浅井康正(減税・名東区)市議に対し、現在日本の現状に対する考え方を聞きたいとし、浅井市議は「多くの市民が早く作って欲しいと願っていると思う。文化庁の許可がいただけるかどうかが一番大きな問題点。一刻も早く木造復元をして頂ければ」としました。
小出市議は「文化庁の問題でどうすればよいか」と質問し、浅井市議は「会派の代表は文化庁に丁寧に説明し、理解を得るようしっかり協議を重ねると言っている。木造復元によって石垣に影響を与えないというのは大きな課題。石垣部会の意見を踏まえて、しっかりやっていただきたい」と述べました。
小出市議は「自分のところが責任を取るようなスタンスの言葉が全く出てこない。減税日本としての意思を示して欲しい。一刻も早く作るとはどういうプロセスをへたらよいのか」としましたが、浅井市議は「文化庁の許可をえることだと思う」と述べるのみ。
小出市議は「当初2020年、次に2022年これで2028年と2回延びた。大きな予算を使っているがどう考えるか」としたところ、浅井市議は「史跡を戻すには必要経費だと思う。505億の中でやりえるという答弁があった気がする。スムーズに行けたらよかったという感想を持つ。」としました。
小出市議は「河村市長は平成27年8月24日書面で『全責任は私が取るので全力で取り組まれたい』とある。どう思うか」としましたが、浅井市議は「審議中なので、責任に関する発言は市長がお答えになることと思う」と述べるのみ。

江上博之(共産・中川区)市議は「2016年アンケートでは、2020年までにが約20%、期限を定めず木造復元が約40%、耐震補強が約26%だった。立ち止まって市民の声を聞けと我々の立場ははっきりしているが、多くの市民が望んでいる根拠はなにか」と質問し、浅井市議は「河村市長が市長公約として木造復元するとしたため」と
述べました。
江上市議は「耐震補強について、40年しか持たないという根拠はなにか」としましたが、浅井市議は「国宝第1号の名古屋城を本物復元する意味からすると議論がかみ合わない」としました。

さわだ晃一(公明・西区)市議は「浅井市議で市議会議事録を検索しても、名古屋城では1つも出てこない。市長のためになる質問を個人として行われない心境が
理解できない。」としたところ、浅井市議は「本会議で個人質問で名古屋城を取り上げたことはない。やっぱり国宝第1号。名古屋城で特化する人もいたので、勝手に
お願いしていた。反省する」としました。
さわだ市議は「熱心に質問作るに当たって当局と一生懸命打合せをしながら質問を作っている。当局の疲弊を憂う。市長は『税金で食ってるのは極楽だ』と言うが、浅井市議個人はどう思う」としましたが、浅井市議は「お答えできない」とするのみ。

渡辺義郎(自民・北区)市議は「天守閣を早く作らないかんという気持ちは一緒。なんで遅れているのか。」としたところ、浅井市議は「市長の強い思いで2020年にした。石垣保存、保護について石垣部会には相当の相違があった。市長も石垣部会と向き合っていなかったという事実もある。」としました。
渡辺市議は「そう思ったら、党の代表の市長に進言しないといけない。なぜ言わなかったのか。僕は2028年にはできんと見ている。庭園は30年。石垣はしっかりしようと思ったら50年くらいできない。」と延べ、浅井市議は「石垣部会に向き合ってほしいという進言はした。」としました。

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名古屋城問題で珍しく委員間討議がなされました。
減税日本市議の、勉強不足と解決提示能力のなさ、市長への進言のなさがよくわかってとてもよかったと思います。

しかしながら、委員間討議は減税日本だけにするものではないはずです。
・名古屋市議会基本条例
https://www1.g-reiki.net/city.nagoya/reiki_honbun/i502RG00001202.html#e000000229
第11条 委員会は、資料等を積極的に公開し、議案等の審査及びその所管に属する事務の調査の充実を図り、委員間の討議も行い、その経過や結果を本会議において的確に委員長が報告し、その機能を十分に発揮する
2 委員会は、市政の課題に適切かつ迅速に対応するため、調査を行うとともに、政策立案及び政策提言を行う。

自民党の渡辺市議は「僕は2028年にはできんと見ている」と述べました。
そうであれば、市議会として果たして今後何が出来るのか。各会派に対して問題提起し、討議をしてもよかったのではないでしょうか。

20/9/11に松雄観光文化交流局長は「予算スケジュールとして、今年12月-来年1月に赤線を引いたが、そこがデッドライン」と述べています。
https://ombuds.exblog.jp/28241688/

12月も実質あと20日。問題解決能力がない市長と減税日本。
無茶な過密スケジュールに追われててんてこ舞いな事務局。
市議会は、自分たちの本来の力に気付いていないのかもしれません。

19/9/2大村愛知県知事は「国、文化庁の許可が下りるめどもないのに100億円の木材を調達して買ってしまった」「どういう経過をたどって何が起こってこういう事態になったのかという事実関係をしっかり検証して、そして、その事実関係を情報公開をしていただきたい」としています。
https://www.pref.aichi.jp/koho/kaiken/2019/09.02.html#4

20/11/30 名古屋城木造化 名古屋市議「文化庁文書に『40年の寿命』と記載なし」 

20/11/30に開催された名古屋市議会本会議で、共産党の江上博之市議が、「2020年6月に文化庁が発表した文書には、『再アルカリ化など、延命策によって、耐震補強を行えば、相当年数維持できることが可能』と言っている。
2016年名古屋市アンケートでは、『現天守閣の耐震改修工事について、おおむね40年の寿命と記述』があるが、上記文化庁文書には記述はない」と追及しました。

20/11/30 名古屋市議会本会議 文字起こし(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201130.pdf

・令和2年6月 史跡等における歴史的建造物の復元の在り方に関するワーキンググループ
 鉄筋コンクリート造天守閣の老朽化への対応について(取りまとめ)
 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kondankaito/shiseki_working/roukyuka_taiou/pdf/92335501_01.pdf

・令和2年4月17日 文化審議会文化財分科会決定
 史跡等における歴史的建造物の復元等に関する基準
 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/pdf/92199502_01.pdf
 
松雄観光文化交流局長は「コンクリートの寿命を概ね40年としたのは平成22年度の耐震診断と共に実施した構造体劣化調査の結果に基づいたもの。耐震改修の実施の有無に関わらず、天守閣のコンクリートの中性化の進行度合いと、コンクリート内部の鉄筋の腐食、さびの状況から判断した」としました。

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令和2年6月のワーキンググループによる「取りまとめ」では、「RC造天守の建築物については、木造か延命化のどちらが史跡等の本質的価値に資するかを検討したうえで、今後木造による再現の可能性を模索するなど、個別の史跡等の事情により様々な整備方策を執ることが考えられる」「史跡等に所在する老朽化するRC造天守等は、今後、木造による再現の可能性の模索や長寿命化措置など、個別の史跡等の事情により様々な整備方策を執ることが考えられる」と述べています。

名古屋城木造復元が行き詰まっている現在、耐震診断や構造体劣化調査の結果を全て公開した上で、あらためて木造か延命化のどちらが史跡等の本質的価値に資するかを検討する時期に来たのではないでしょうか。

20/12/3 名古屋城木造復元基礎構造 文化庁「これ以上遺構を新たに傷を付けないで考えるのが原則」

20/12/3に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第35回)が開催されました。

・20/12/3特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第35回)
 配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201203.pdf

・20/12/3特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第35回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201203-1.pdf
 
今回も、あいさつまでしか写真・ビデオは許可されませんでした。

議事としては、以下3つが挙げられていました。
・西之丸展示収蔵施設の外構整備について
・名勝名古屋城二之丸庭園整備計画について
・令和3年度の二之丸庭園の修復整備・発掘調査について
しかしながら、当日になって以下2点が「報告」とされました。
(1)き損地点等の追加調査について
(2)木造天守基礎構造検討の考え方について

村木誠・名古屋城調査研究センター副センター長はき損地点等の追加調査について、資料4を示しながら説明しました。
しかし、「来年1月以降の全体整備検討会議で結果が出てくる」として、調査結果は報告しませんでした。

次に、木造天守基礎構造検討の考え方について、配付資料無しで名古屋城総合事務所の担当者が説明しました。
当初、プロジェクターで基礎構造の図が2つ投影されていましたが、途中で名古屋城総合事務所の職員の指示があり、プロジェクターの投影が消されました。

名古屋城総合事務所は以下述べました。
「9月、10月に全体整備検討会議でご議論・ご了解いただいた木造天守基礎構造検討の考え方について、文化庁に赴いて現状を報告して意見を頂いた。
『観覧者の安全確保については、文化庁が定める復元の基準にも定めがあり、配慮することは当然のこととして、遺構の保存を前提とするということに十分配慮していただきたい。
天守台は築石だけでなく、栗石、背面土で構成されるものであり、現在の天守台は江戸期から姿を残す遺構であるが、戦後天守再建時にケーソン基礎をうつなど、手が加えられた事実がある。
もうこれ以上天守を痛めることがないような基礎構造とすることを前提としていただきたい。』
今後、調整会議で様々な角度からご意見をお聞きしながら議論を進めていく。全体整備検討会議、関係部会にも適宜説明したいと考えている」
 
構成員の赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は
「上記について資料がないのか。ペーパーでいつ出されるのか。ペーパーで議論の根拠とすべき」としましたが、名古屋城総合事務所は「本日資料はない。現在調整会議を調整しており、今後全体整備検討会議に、資料と合わせて報告したい。」と述べるだけでした。

赤羽氏は「文化庁に報告してアドバイスいただいたとのことだが、木造復元は、文化庁が決めている『復元』なのか『復元的整備』なのか。名古屋市と文化庁にそれぞれ聞きたい」としました。
名古屋城総合事務所「文化庁からは『木造復元については、残された資料が豊富で文化財として石垣が残っているということもあり『復元』で考えている。文化庁とは今後相談したい」としました。
オブザーバーである山下信一郎・文化庁文化財第二課主任文化財調査官は以下述べました。
「復元の具体的なことについては、名古屋市から正式に申請等があるわけではない。
 現在、既存の天守解体についていただいたものについて、さらにご検討いただいている状況。
 ただ、現状は名古屋市は『復元』で考えていると承知している。
 基礎構造の考え方についても名古屋市から話を聞いたが、一般論として、『復元』にしろ『復元的整備』にしろ、建てる建物なので人命、安全確保は当然。
 それから、現存する遺構は、現代の我々があらたに傷つけることはないということで考えていくというのが大きな原則。
 人命優先は熊本震災での熊本城を検討しているが、その通り。
 復元全体のコンセプト。基礎構造に特化して人命優先では少し無いのではないか。
 もっと大きな次元においての基本的な考え方ではないかと名古屋市に伝えた。
 また、既存の天守台については、石垣の上の部分が戦災やRC復元の際に上野部分が改変を受けている。
 ただ、天守の遺構について、天守台として私どもは考えている。
 がわの石垣だけでなく、栗石、ケーソンでかなり痛められているが盛り土が残存しているのではないかと思っている。
 そういったことを含めた総体としての天守台の遺構といったものの保全・保存が特別史跡として大事だと考えている。
 必要な分は修復していただくことは当然だと思っているが、新たな改変がなるべくないように、という形で意見交換させていただいた」

続いて、その他として、20/10/9-11に発生した天守台石垣石材落下と、20/10/12に発生した天守台内部モルタル落下について報告がありました。
佐治独歩名古屋城総合事務所所長は「毀損再発防止策に従い、速やかに対応して、毀損届を提出することを決めたが、法定の10日を大幅に過ぎてから文化庁に提出した。
市議会本会議でも指摘があり、事実関係を含め調査中で、調査結果がまとまり次第報告したい。
写真をプロジェクターで示す」としました。

赤羽氏は「前回の全体整備検討会議の前に落下が起こったが報告がない。落ちたものをここに持ってきて示すのが本来のあり方。
全体整備検討会議そのものをスポイルするものと考えざるを得ない。
毀損再発防止策が作られておりながら、毀損届が1ヶ月以上遅れるとは信じられない。隠さず提示頂き、議論の材料を提示して頂きたい。」としました。

小濱氏は「石が崩れたのなら原因をはっきりさせて欲しい。今後も天守の石垣が崩れる可能性もある。対策を考えて欲しい」としたところ、村木副所長は「現況調査を行っており、劣化していることが判明している。調査した成果を反映させて保全の方針を示したい」としました。

麓和善・名古屋工業大学大学院教授は「大きさにかかわらずすべて毀損届けを出す必要があるのか。基本的な方針はどこか」と質問し、山下主任文化財調査官は「相対的なものなので文化庁に相談して欲しいが、その前に管理者が考えて欲しい」としました。

終了後記者会見はありませんでした。

終了後、名古屋城バリアフリー担当者に「国際コンペは開始されたか」と質問したところ、「現時点では開始していない。開始する際は何らかの形で報告・公表したい」と回答しました。

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木造復元に欠かせない基礎構造について、文化庁は「これ以上遺構を新たに傷を付けないで考えるのが原則」と明言しました。
石垣・埋蔵文化財部会と天守閣部会で構成するという「調整会議」で新たな基礎構造を検討するようですが、果たして遺構を新たに傷をつけないような基礎構造が提案できるのでしょうか。

全体整備検討会議の委員にも、文化庁とのやり取りを文字で配付しない。
毀損届も法定の10日を大幅に遅れて提出する。
新たな基礎構造検討プロジェクターも隠す。

木造復元以前の問題です。
このような情報非公開体質の名古屋城総合事務所に、木造復元に関わる資格はないと思います。

20/11/27 自民名古屋市議「名古屋城石垣裏モルタル落下毀損 市が隠ぺいしたら市長が責任を負うことに」

20/11/27に開催された名古屋市議会本会議で、自民党の浅井正仁市議が、20/10/14に発生した名古屋城石垣裏にあるモルタル落下に伴う毀損届が、法定の10日以内ではなく、浅井市議が指摘した後にようやく文化庁に提出されたと述べました。

20/11/27 名古屋市議会本会議 文字起こし(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201127.pdf

文字起こしから以下まとめました(すべて2020年)。

10/9  石垣劣化により崩れる
10/14  モルタル毀損
10/15  教育委員会文化財保護室が、名古屋城総合事務所に毀損届の提出を指示
    その後8回程度催促
11/3  浅井市議に情報提供
11/6  ある人が名古屋城総合事務所に問合せ 「毀損に心当たりはないがモルタルが落ちた」と回答
○   名古屋城総合事務所は浅井市議に「モルタルが落ちたと文化財保護室に報告したが、文化庁に毀損届を出したかは把握していない」
11/10  名古屋城総合事務所が毀損届作成し、文化財保護室に提出    
11/11 文化財保護室長が申達書を作成
11/16  文化庁にモルタルの件で電話で一報を入れる
    教育長が新たな毀損を把握
    顛末書の作成日
11/17  モルタルの件の毀損届を文化庁に郵送
11/19  市長がモルタルの件の報告を受ける
    広沢副市長が浅井市議から電話でモルタルの件の報告を受ける
   
浅井市議は「市長も教育庁も一ヶ月以上全く知らされていなかったのは組織として大きな問題」としましたが、広沢副市長は「1週間ほど前に浅井市議から電話で聞くまで本件の存在を把握していなかった。全容を把握できていないため、全てを明確にお答えすることはできない」と述べるのみ。
浅井市議は、「モルタルの一部が落下したことが問題。劣化の激しい石垣があることも驚異。明るみにでれば、文化庁や石垣部会からモルタル調査や石垣劣化の程度が話題となり、今後のスケジュールに大きく影響すると思う。
万が一万一スケジュールが遅れないように毀損を隠蔽したとしたら、市長に本質的な問題を伝えないまま、すべての責任を市長が負うことなってしまう。
観光文化交流局長、市民の大切な税金を使って議会との付帯決議を無視して100億の木材を買ってしまった状態で木造復元を進めているという自覚をお持ちいただきたい。
5月の文化審議会を死守するといった発言が職員にどれだけプレッシャーになっているのか考えていただきたい。名古屋城の職員が先の見えない迷走と想像できない業務量に皆疲れ切っている。
あなたが5月の文化審議会において解体申請を取り下げるきっかけにしたいと考えていることは手に取るように私はわかりますが、解体申請の取り下げは今でもできる。早急に解体申請を取り下げて必要な書類が整った後に解体申請と復元申請をセットにして、文化審議会に議題を提出すべき。」と述べました。

また、浅井市議は「復元か、復元的整備か」と質問したところ、河村たかし名古屋市長は「復元しか考えていない」と述べました。

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特別史跡名古屋城は、「釘一本うつにも文化庁の現状変更許可申請が必要」と言われます。
モルタルが落下したことについての文化庁への毀損届提出は当然ですが、判断に迷えば文化庁に聞けばよいことは浅井市議も述べています。
名古屋市は2021年5月の文化審議会になんとしても間に合わせたいようですが、竹中工務店が以前提案した跳ね出し架構に代わる基礎構造も目処がたたず、各種石垣調査もまだまだあり、文化庁からの指摘事項への回答もできておらず、バリアフリーに関する新技術国際公募もまだ出来ていません。
どう考えても無理があるスケジュールを最優先にするあまり「情報の隠ぺい」をしたとしたら、「市民のための名古屋城」とは真逆ではないでしょうか。
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20/11/20 名古屋市 2021年度予算要求に名古屋城木造復元関係予算計上せず

名古屋市は20/11/20に「予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例」に基づき「令和3年度予算要求内容の公開」を行いました。
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000134782.html
20/11/20(金)から20/12/21(月)まで意見募集中です。

2020年度も、意見募集時には名古屋城木造復元関係予算計上していませんでしたが、20/2/12に名古屋市令和2年度当初予算が公表された際、いきなり名古屋城木材保管費1億円などが計上されていました。
http://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000122696.html
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-17-1-8-2-0-0-0.html

名古屋城天守閣の木造復元 6億7740万9千円
 天守閣の整備      2億4507万4千円
  実施設計         8900万  円
  設計監理等支援業務委託  1300万  円
  主架構木材の保管費  1億     円
  発掘調査等        4307万4千円
 昇降に関する新技術の公募1億3168万9千円
 木造復元に向けた機運醸成  2470万  円
 基金の積立       1億     円
 事務費等        1億7594万6千円 
 
20/9/11に松雄観光文化交流局長は「予算スケジュールとして、今年12月-来年1月に赤線を引いたが、そこがデッドライン」と述べています。
https://ombuds.exblog.jp/28241688/

今回出された「中期的な収支見通し」(令和2年10月公表)でも、市税の落ち込みはすさまじく、令和3年度には352億円もの赤字が見込まれています。
そんな中、全く見通しが立たないだけでなく、どうみても「不要不急」の名古屋城木造復元事業をする余裕があるのか、大変疑問です。

河村たかし名古屋市長の決断次第だと思います。


20/10/22特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議で、傍聴者に配付されなかった資料 開示

20/10/22に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第34回)で、傍聴者に配付されなかった資料を名古屋市民オンブズマンが情報公開請求したところ開示されました。

・名古屋城内における現状変更許可申請の実績
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201022-4.pdf
・議題(2) 御深井丸等の地下遺構把握の調査について(プロジェクター投影資料)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201022-2.pdf
・議題(3) 木造天守基礎構造の検討について(プロジェクター投影資料)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201022-3.pdf

参考になれば幸いです。

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なお、名古屋城公式ページには、20/10/22配付資料はアップされていますが、上記配付されなかった資料は公開されていません。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2020/06/20200621_1022.html
(20/11/6現在、20/6/22以降の全体整備検討会議議事録、20/6/18以降の石垣・埋蔵文化物部会議事録は掲載されていません)
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20/11/5 名古屋城木造化基本設計費の返還等を求める住民訴訟 敗訴 名古屋地裁

「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」が原告となった、名古屋城天守閣木造復元事業基本設計費の返還等を求める住民訴訟の判決が20/11/5(木)13:10に名古屋地裁1号法廷で言い渡され、名古屋地裁民事9部は、公金の支出の差止を却下し、その他を棄却しました。
https://drive.google.com/file/d/1dc9FBR5-tDA5egPW9BF9ZnU6tdETxIQo/view

本件は、名古屋城天守閣木造化のための基本設計代金8億4693万6000円を市に返還しろ、実施設計契約を解除せよ、木材購入等名古屋城天守閣整備事業を停止せよと訴える住民訴訟です。

裁判所は以下判断しました。

【竹中工務店が基本設計契約に基づき復元検討委員会の審査を受けて文化審議会の諮問を経る義務を負うか】
原告:基本設計契約に基づき義務を負う
市:竹中工務店は、必要な資料を作成するとどまる。契約書と基本協定とが矛盾又は相違する場合に契約書が優先して適用される。
裁判所:竹中工務店が名古屋市による現状変更許可の申請手続きについて補助的作業を行う旨を定めたものと理解することができるものであり、義務を負うということはできないというべき。
 基本協定が要求水準書及び技術提案書に準拠する旨を規定していることから直ちに要求水準書及び技術提案書が本件基本設計契約の内容となるものではないというべき。
 
【基本設計契約に基づく成果品の提出義務の未履行について】
原告:基本設計契約上、竹中工務店は名古屋市に対して、名古屋市が現状変更許可の申請手続きに関して文化庁に提出すべき基本計画書及び申請書類を提出する義務がある。成果品として提出した資料の中に基本計画書と題する書面が含まれていない。
市:名古屋市が文化庁に提出する基本計画書及び申請書類を規定していない。名古屋市が文化庁に提出する基本計画書は、仕様書23条に定められていない事項を含むもの。
裁判所:基本設計契約上、竹中工務店は名古屋市に対して、名古屋市が現状変更許可の申請手続きに関して文化庁に提出すべき基本計画書及び申請書類を提出する義務を負うということはできない。
 竹中工務店が名古屋市に提出した基本設計説明書には、基本計画書に記載されるべき事項のうち全体外構計画を除く事項を含んでいる(竹中工務店は「外構検討図」として提出されているものと認められる)。
 
【検査の違法の有無】
原告:段ボール5箱分の成果品を提出日当日に行った検査は適正なものであったとは考え難い
市:仮納品を受けた上で、点検・修正を行い、主任監督員による同様の点検・修正を経て、精査の上納品された成果物に対して検査・確認を行った。
裁判所:適正な履行確保のために必要な点検及び修正が実施されているといえる。

【河村の支出命令に係る指揮監督上の義務違反の有無】
原告:河村市長は市民経済局長に対して全責任を取る旨の指示書を発出しているから、指揮監督上の義務違反がある
裁判所:直ちに支出命令について具体的な指揮監督上の義務違反があるということはできない。
 
【事業の違法の有無】
原告:パブリックコメントにおいて木造復元に否定的な意見が約75%。コンクリート内部のアルカリ回復工事が存在するため天守閣の木造復元工事をすべきではない。
裁判所:名古屋市の判断については、重要な事実の基礎を欠くものであるか、又は、その内容が社会通念に照らして著しく妥当性を欠くものであって、裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したと認められる場合に限り、違法となるものと解するのが相当。 
 本件事業につき名古屋市の裁量権の範囲の逸脱又はその濫用があるとはいえない。
 名古屋市は建築審査会の同意を得て建築を行うことを予定しており、実現不可能であるとはうかがわれない。

原告の森晃氏は「裁判所が実態を認めなかったことに不満が残る。いまだに文化庁復元検討委員会の審査も受理されておらず、司法が文書主義を否定するものであり、司法自身の自己否定だと感じる。今も使われる見込みも不明な木材保管費がかかっており、実現の見通しも立たない木造化よりも、現天守保護を優先すべきだと訴える。」として、控訴の意向を表明しました。
https://drive.google.com/file/d/1IZ69Ij60H6I2UEfYs7HtN1gtHrqhWm0S/view
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・名古屋城天守の有形文化財登録を求める会
 https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
 

20/10/22 名古屋城全体整備検討会議 各種現状変更許可申請を了承も課題は『調整会議』に丸投げ

20/10/22に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第34回)が開催されました。

・20/10/22特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第34回)
 配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201022.pdf

・20/10/22特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第34回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201022-1.pdf
 
今回も、あいさつまでしか写真・ビデオは許可されませんでした。
また、参考資料として、今年度現状変更許可申請のまとめは構成員のみ机上配布されました。

今回、5点の議題、1点の報告がありました。

(1)き損地点等の調査及び修復等について
き損した六番御蔵の石材について報告がありました。五番御蔵は調査中として次回報告するとのこと。
赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は「五番御蔵は施工されているが、これも含めて考え直すのか」としたところ、「すでにコンクリートまでつくってあり、可能であればコンクリートを活かしたい。ただ、コンクリートを必ず撤去しないとは考えない。次回以降説明する」としました。
上記現状変更許可申請が了承されました。

(2)御深井丸等の地下遺構把握の調査について
名古屋城総合事務所は、傍聴者配付資料にはない資料をプロジェクタに映し、説明をしました。
前回20/9/25全体整備検討会議、20/10/12石垣・埋蔵文化財部会での指摘を踏まえ、トレンチを見直したとのこと。
高瀬要一・公益財団法人琴ノ浦温山荘園代表理事は「絵図には御番所があり、今回確認するためにトレンチを入れる。しかし、仮に御番所の遺構が出てきたらどうするのか」と質問をしました。
村木誠・名古屋城調査研究センター副所長は「どういう遺構が出てくるかによる。遺構工事で掘削するわけではない。遺構を確認し、埋め戻す。その後工学的検討を行い、その後判断したい」と述べるに留まりました。
上記現状変更許可申請が了承されました。

(3)木造天守基礎構造の検討について
まず、名古屋城総合事務所から「天守基礎構造の考え方について」を一部修正したと報告がありました。
  @天守台石垣が復元天守の荷重に耐えられるか、定量的安定性評価が必要。
   しかし城郭石垣の評価は現実的に非常に難しい。
  A外部石垣を現代工法に置き換えることはできない
  B外部石垣は被熱劣化し大地震時に崩壊する可能性がある。
  C内部石垣は現状積み方が不明で、大地震時に崩壊の可能性が否定できない  
その後、天守基礎構造検討の考え方を一部修正しました。
 ・観覧者安全確保第一
 ・天守台石垣が「文化財である」は削除
 ・木造復元天守は、天守台石垣で支持しない基礎構造とする
 ・文化庁の基準を遵守する
 ・本来の遺構の保存を前提とした上で、史実に忠実な復元を行う方針
 留意点
  @現況を踏まえて検討
  A大地震時 外部石垣 崩壊安全対策   
    内部石垣 崩壊しないことを前提とした基礎構造検討
  B安全確保のため、防火・避難、耐震対策、観覧環境、景観に配慮した基礎構造検討
  
続いて、竹中工務店が、傍聴者配付資料にはない資料(戦後の天守台石垣資料)をプロジェクタに映し、説明をしました。天守閣焼失後、昭和27−31年に石垣積みなおし工事を行い、地上に見えている石垣部分はすべて積みなおされていた。昭和32−34年天守閣工事でも石垣を外して工事している。

名古屋城総合事務所は、「穴蔵石垣部分は戦後かなり手が加えられている。今後も調査を引き続き進めたい。上記「天守台基礎構造検討の考え方について」に基づき、天守閣部会と石垣・埋蔵文化財部会構成員からなる『調整会議』で詳細なことを検討したい。」としました。

小M芳朗・名古屋市立大学名誉教授は「天守台工事中の写真は初めて見た。穴蔵石垣はどこにどういう材料が使われているか。今後、穴蔵石垣復元が可能なのか。不安定な基礎構造になりかねない。基礎構造の議論に影響がある。」としました。
名古屋城総合事務所は「穴蔵石垣を解体する、解体しないは結論としてあるわけではない。復元天守をどうするか、調整会議で議論し、どういった形で石垣を整備するか検討したい」としました。

赤羽氏は「竹中工務店が示した写真は石垣部会に提示されていない。提示が必要。やり方がおかしい。また、今回の写真で、現天守閣を作るときに大天守石垣が手が加えられていることがわかるが、当時苦労していることがわかる。穴蔵石垣は、『作り直したから文化的意味が無い』わけではない。」としました。

名古屋城総合事務所は「竹中が示した写真は、おそらく2年前に示した資料にあると思う。今後調整会議で基礎構造の議論を進めたいが、両会議、全体整備検討会議にも報告する」としました。
村木センター副所長は「穴蔵石垣について、石垣・埋蔵文化財部会では議論していない。今後資料を提示したい」としました。

藤井譲治・京都大学名誉教授は「穴蔵石垣を積み替えたときの裏側かコンクリートか、栗石か土か?」と質問しましたが、名古屋城総合事務所は「記録がなく把握しきっていない。穴蔵の背面に部分的にモルタルがあるが、どの範囲か正確なところがわかっていない」としました。

赤羽氏は「木造復元天守の【理想の姿】として、史実に忠実な木造復元(主架構・外観・内観)とあるが、3つがそろえば史実に忠実か?材料、防火壁、エレベーターはどうなるのか?」としました。
名古屋城総合事務所は「【理想の姿】とは、遺構の保存と史実に忠実、両方が100点は難しいが望むこと。材質、広報については文化庁が定める基準に基づいて行う。今後、解体に関する文化庁指摘事項に回答するが、それ以降、復元検討委員会に諮って頂き、そのうえで復元する。最終的な整備の形が整っていく。そのスタートにたちたい」としました。

座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「【理想の姿】という言葉がよくない。何が理想か。どこまで忠実にやるか」と発言しました。
結局、基本的な考え方は了承されました。

(4)天守台ボーリング調査について
つづいて、天守台ボーリング調査について議論になりました。
名古屋城総合事務所は、解体に伴う仮設物、現天守解体した際のリバウンドの影響、地震時のケーソンの影響を詳細に調査するため現天守閣の地下の天守台のボーリング調査を行うとしました。以前天守閣部会で了承されているので、全体整備検討会議で了承を得られたら、石垣・埋蔵文化財部会で了承を得たいとしました。
各構成員から補足質問がでましたが、了承されました。

(5)二之丸地区の発掘調査について
前回の全体整備検討会議とほぼ変わらない提案が出ました。瀬口座長は「前回、高瀬委員から『二之丸地区基本構想を作ってから発掘調査した方がよい』と意見が出た。愛知県体育館が移転するのは2026年度以降で、慌てて掘らなくてもよいのではないか。」としました。
名古屋城総合事務所は「確かに体育館がなくなるのはもう少し先だが、試掘調査を検証しながら考える」としました。
上記は了承されました。

続いて、名古屋城金シャチ特別展覧について報告がありました。
三浦正幸・広島大学名誉教授は「せっかくお金をかけて金シャチをおろすのなら、破損調査を行ってはどうか。木造復元天守の金シャチについては決定が出来ていない。」とし、名古屋城総合事務所は検討したいとしました。

記者会見はありませんでした。
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今回の全体整備検討会議は、いつになく淡々と進んだと思います。すべて議論は『調整会議』で行うとしたからでしょう。
しかしながら、本日の全体整備検討会議では、『調整会議』についてどのように行うかは一言も出ませんでした。誰がメンバーなのか、誰が選ぶのか。課題は何か。議論は傍聴可能なのか。いつ行うのか。

20/10/11に開催された石垣・埋蔵文化財部会でも、
『調整会議』に関するスケジュールは記載されていませんでした。
・20/10/11 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第38回)資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201011.pdf
 
来年度予算要求のデッドラインが2020年12月。
今回現状変更許可申請を文化庁が認めたとして、名古屋市のスケジュール予定でも、調査は2021年2月末までかかる予定です。
2021年3月に有識者会議で了承をえることになっていますが、『調整会議』で議論するには、上記調査が必要不可欠でしょう。

さらに、元々17年以上にわたって搦手馬出石垣の修復について議論してきた石垣・埋蔵文化財部会と、木造復元天守をどう作るかを議論するために3年半前に設置された天守閣部会では、考え方の根本が違います。
17/10/13に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第24回)では、石垣部会構成員と天守閣部会構成員も同席しましたが、瀬口哲夫座長が「石垣部会は安全性を考えていない」と発言し、大混乱に陥りました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171013-5.pdf

・新たな基礎構造の検討は極めて難しい(「史実に忠実」と「安全確保」の両立)
・材料、防火壁、エレベーターなどどうするか
・石垣部会と天守閣部会の考え方の溝
・基礎的調査が間に合っていない
・タイムリミットは2020年12月?2021年2月?

上記を踏まえると、『調整会議』でタイムリミットまでに何らかの結論がでるとはとても思えないのですが、今回の全体整備検討会議の議論を聞いていると、名古屋市と竹中工務店はあくまでも早期の木造天守復元に固執するつもりのようです。

名古屋市が15/12/2に「名古屋城天守閣整備事業にかかる技術提案・交渉方式(設計交渉・施工タイプ)による公募型プロポーザル」をはじめてもうすぐ5年。
以来様々な検討・調査がなされてきましたが、最も重要な基礎構造についてはいまだに形になっていませんし、有識者も議論していません。
5年も決まらなかったことが数回?の『調整会議』で決まるのでしょうか。

市民不在で突き進んできた名古屋城木造復元事業のツケがすべて『調整会議』で噴出しようとしています。
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20/10/11 名古屋城石垣・埋蔵文化財部会開催

20/10/11 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第38回)資料が開催されました。

20/10/11 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第38回)資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201011.pdf
20/10/11 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第38回)
(名古屋市民オンブズマンによるメモ)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201011-1.pdf

今回も、録音・録画は冒頭あいさつまででした。
議題は、以下3つでした。
(1)本丸搦手馬出周辺石垣の修復について
(2)御深井丸等の地下遺構把握のための調査について
(3)二之丸地区の発掘調査について

(1)については、淡々と検討が進みました。
(2)については、現天守閣解体申請に対する文化庁からの
4点の指摘事項への対応について、現在の進捗状況を説明しました。
特に今回、御深井丸等の地下遺構把握のための調査について議論がなされました。

村木誠・名古屋城調査研究センター副所長は「一昨年度、現天守閣解体のための仮設構台を置く予定である御深井丸等の地下について、石垣部会からは地下遺構を把握すべきとされたが、名古屋市は地下遺構を把握せずに文化庁に現状変更許可申請を提出した。しかし、文化庁から『地下遺構を把握すべき』とされたため、今後地下遺構を把握するための発掘調査をしたい。
20/9/25全体整備検討会議で説明したところ、赤羽委員らから『2メートル角ではなく、溝状のトレンチがよい』とされたが、来場者の通路、樹木、電気設備があり、溝状は難しい」としました。

宮武正登・佐賀大学教授は「遺構がないところを掘っても遺構に当たらない。何を期待しているのか」と質問したところ、村木副所長は「今回は掘れるところでトレンチを設定した。旧天守閣の礎石が置いてあるが、礎石を外して仮設構台の基礎を置く計画だ。今回は遺構面まで掘り下げることを意図していない。ある深さで確認できなければ終わり」としました。

宮武教授は「遺構がないところにトレンチなど文化庁が認めるか?また、あと何センチかわからないがトレンチをいれるとはどういうことか。礎石にトレンチ入れる必要があるのか?」としたところ、名古屋城総合事務所は「礎石と礎石の間にコンクリートを打つ予定で、礎石には荷重あたらない」としました。

宮武教授は「そもそも当該場所に礎石がなくてもよい。当面の施工にあたっては、適宜なところに移転してはどうか。現計画の見直しも含め、礎石自体の活用も求める」としました。

続いて、(3)二之丸地区発掘調査について議論がなされました。
欠席の赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長から「今ある県立体育館がなくなったあと調査したほうがよいのでは」と意見が出されましたが、名古屋城総合事務所は「まず調査する」としました。

その後、城内石垣カルテについて報告があり、終了しました。
記者会見は今回も行われませんでした。

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名古屋城木造復元に関し、様々な場所で議論がなされていますが、それぞれどのような議論がなされているか共有されているかは甚だ疑問です。

・全体整備検討会議
・石垣・埋蔵文化財部会
・名古屋市議会経済水道委員会
・文化庁
・竹中工務店

いったい、今回の石垣・埋蔵文化財部会は何を目的に、どのような位置づけで行われたのかはっきりしません。

20/10/7名古屋市議会経済水道委員会では、名古屋城総合事務所は「基礎構造については現在検討中で、その部分の業務は進んでいない。名古屋市は、2021年4月に現天守閣解体の現状変更許可申請に対する文化庁の指摘事項への回答を行う予定だが、それと同時に木造天守閣復元の具体的な絵を基本構想という形で示す予定。その後来年度早々に石垣保全方針をたてて修復する予定。2021年4月回答すぐに工事に着手することはないと考える。また、新たな竣工時期を定めて505億円の起債の収支を合わせた収支計画を総務省に出す必要がある」としました。
市議からは「2028年12月目標を外してはどうか」という意見が出ました。

今回の石垣・埋蔵文化財部会の議論を聞いていると、外堀に桟橋をかけ、御深井丸・内堀に仮設構台をつけることを前提としているように思えましたが、現天守閣解体・木造復元の現状変更許可申請が当面通らないのであれば、議論が全く異なってきます。

そうであるならば、無理なスケジュールを立てて遺跡調査を今年度中にする必要は全く無く、十分に調査が出来る体制を整えてから行えばよいのではないでしょうか。

結局、2022年12月竣工を断念したのは、有識者や文化庁の意見をきちんと聞かなかったからということもありますが、それぞれの議論の場でそれぞれが議論をして、情報の共有がきちんとなされなかったためではないでしょうか。

また、二之丸地区発掘調査についてですが、17/12/25名古屋市議会産業・歴史文化・観光戦略特別委員会で議論になりましたが、二之丸御殿を復元するとすると700億円くらいかかるとのこと。
いまだにビジョンがはっきりしません。

以前、有識者が「関係者全員が一堂に会して、今後の名古屋城のあり方を検討する場を設けては」と提案しましたが、いまだに実現されていません。

文化庁とのやり取りも、肝心の部分が非公開です。竹中工務店とのやり取りも非公開です。

20/10/22(木)10時から、第34回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議が開催予定です。
https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2020/kankobunkakoryu/0000133695.html
・き損地点等の調査及び修復等について
・御深井丸等の地下遺構把握の調査について
・木造天守基礎構造の検討について
・天守台ボーリング調査について
・二之丸地区の発掘調査について

どのような議論になるのか注目したいのですが、名古屋市の思うように進むとは到底思えませんし、議論をする項目が多すぎます。
来年度予算のデッドラインまであと2ヶ月。
拙速な議論ではなく十分な議論と調査を望みますが、そのような体制にないのが大変残念です。

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20/10/9 2019年度名古屋城関係決算 市議会委員会で認定すべきと決す

20/10/9 名古屋市議会経済水道委員会が開かれ、以下意見が付されて決算が認定すべきと決されました。

20/10/9 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城部分)
(名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/201009.pdf

・自民党:以下の意見を添えて賛成。
 名古屋城天守閣木造復元事業については竣工時期にこだわることなく、地元有識者や文化庁などの関係者と丁寧に協議を行い、着実な事業の実施に努めること。
・名古屋民主:決算認定案に賛成
・減税日本ナゴヤ:以下の意見を付して決算に賛成。
 調査研究センターをもとに、名古屋城の魅力向上に繋がるよう、さらに多くの研究調査研究に努めること。
・公明党:原案に賛成
・共産党:認定1号に反対。理由 一つは名古屋城天守閣木造復元については、名古屋城重要文化財等展示収蔵施設の外構工事での特別史跡の毀損事件でも明らかになったように、開発整備を重視し、文化財保護がなおざりになっていることが明らかであり、また、木造復元の完成期限2022年12月を断念した結果、技術提案交渉方式による建設会社との基本協定書の効力を失っていることから、事業を中止すべきであり、特別会計への支出は認められないこと。
 認定7号 名古屋城天守閣特別会計歳入歳出決算の認定に反対
 理由 一般会計反対理由の関係事項の趣旨に同じです。
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20/10/7市議会経済水道委員会であれだけ自民党が意見を言って、それでも意見を付して決算に賛成しました。
他の、名古屋民主、公明は意見も特に付けずに賛成しています。

名古屋市議会は、名古屋市議会基本条例に基づき、2010年度と2012年度に議会報告会を開催しました。その後も市長に対して議会報告会の開催に必要な経費を要求していますが、市長からは、「政務活動費の活用などにより、政党または個人が行うべきものである」として、議会として行う議会報告会の開催は認められていません。
http://www.city.nagoya.jp/shikai/category/412-0-0-0-0-0-0-0-0-0.html

全国市民オンブズマン連絡会議が20/9/18に発表した「政務活動費情報公開度ランキング」では、名古屋市議会は4年連続20政令市中最下位でした。
https://www.ombudsman.jp/seimu/2020

市長も市民の前で名古屋城木造復元について語りませんが、市議会も市民の前で語りません。

どのような木造復元天守閣ができるか、市民に公開されていません。それどころか、まだ最も重要な基礎構造が決まっておらず、だれもどのような姿なのかわかっていないのです。

505億円もの事業が、市民不在、責任者の姿が見えないまま漂流しています。
(2020年3月末までにすでに購入した木材31億5000万円、基本設計費8億4693万6千円、実施設計費5億9400万円は支出済です。さらに毎年かかるとされる木材保管費は1億円です。)

20/10/7 名古屋城木造化竣工時期 自民市議「2028年を外したらどうか」

20/10/7 名古屋市議会経済水道委員会が開催されました。

20/10/7 名古屋市 観光文化交流局
令和元年度決算説明資料
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/201007.pdf

20/10/2 名古屋市 観光文化交流局
令和元年度決算説明参考資料
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/201002.pdf

20/10/7 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城部分)
(名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201007-1.pdf

名古屋城天守閣木造復元事業に関しては、2019年8月に、2022年12月竣工目標を取り下げ、いまだに竣工時期の目処がたっていません。
河村たかし名古屋市長は、20/2/25に、「一部報道で2028年10月の完成を目指す新工程案を検討しており、市長も反対はしない」旨の報道がなされた際、「2028年10月案が含まれているのは否定しないが、少しでも早く木造天守閣をお届けできるよう、事務方に指示を出しており、この時期に市として目標とする竣工時期を申し上げる段階にない」とするコメントを発表しました。
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000125995.html
しかしながら、20/3/2に名古屋城跡の石列毀損事故を起こし、新たな竣工時期は全く目処がたっていません。

江上博之市議(共産・中川区)は、実施設計についてどうなっているか質問し、名古屋城総合事務所の荒井主幹は「基礎構造について検討しているので、その部分の業務は進んでいない」としました。

江上市議は、「竹中工務店との当初の基本協定は505億円となっていたが、2028年もおぼつかなくなっている。金額そのものの見直しの議論はなかったのか」質問し、荒井主幹は「設計が終わった段階で、工事の契約をしていくが、その際に価格交渉を行い、適切に契約をしていく」としました。

渡辺義郎市議(自民・北区)は今後のスケジュールについて質問し、荒川主幹は「2021年4月に、現天守閣の現状変更許可申請に対する文化庁からの指摘事項に回答する予定。仮に文化庁から許可が出るとすると解体の許可となるが、ただ、文化庁からは解体と復元は一体ではないか、と言われているため、名古屋市は復元の具体的な絵を基本構想という形で提出し、許可が出るなら解体だけが出ることはないと思う。」としました。

渡辺市議は、「石垣修復も上記に含まれているのか?」と質問したところ、荒川主幹は「天守台石垣修復などは、その後、来年度早々に石垣の保存方針をたてて修復を行いたいと考えている。2021年文化庁に回答するもので、すぐに工事に着手っていうことはないと考える」としました。

渡辺市議は「それなら、2028年にこだわりすぎると問題が出るため、僕はそれを外したらどうだ。文化庁の許可が出て、全てを整えてどっから言われてもいいとなってから着手しなくちゃいけない俺は外してもいいと思うよ。少々こだわりすぎるといつまで経ってもできんぞ。」と述べました。

佐治独歩・名古屋城総合事務所所長は「文化審議会で受け取っていただければ、復元検討委員会に諮っていただいて、木造天守の具体的な議論をしていただきたいと望んでいる。復元検討委員会に諮るまではなかなか竣工時期がいつかということを決めることは難しい。収支金額を正確に見込むには、竣工期限を定めてシミュレーションをすることが必要となる」としました。

松雄俊憲・観光文化交流局長は「答弁で、事務方としては工程を積み上げると2028年10月と出たとした。なかなか読めない部分がある。市の竣工時期がなくてよいかというと、2つの問題が出る。
1)2022年の基本協定の有効性をしっかりするには市として竣工時期をさだめないといけない。
2)総務省から505億円の観光その他債の起債を認めてもらった。収支を合わせた形で収支計画を出さないといけない。市としての竣工時期を決めたあとに、もう一度収支の状況を総務省に出す必要がある。
よってどこかで決めたい」としました。 

渡辺市議は「また出来ないと思う。公表しなければよい」としましたが、松雄局長は「本当は出したくない。マスコミの皆さんも含めてそこを書かれるものなので、誤解を生んだのはその通り」としました。

中川貴元市議(自民・東区)は「名古屋城木造復元に賛成論者であることを前提に話をしたい。これまで何を反省して何を学んだのか。有識者の考え、国の考えが、
一度たりとも皆さんの思いが天に通じたことはない。皆さんは学者にはなれない。専門家や国に任せるというか委ねる。目標時期は言わないと断言した方がよいのでは」としました。
松雄局長は「反省の1年だった。国や学識経験者がOKと言わない限り、先に進めないことがはっきりわかった。市長に言ったが、『早くやってくれ』と市長は言った。眼前の課題をしっかりこなしていくことが結論。」としました。

中川市議が再度局長に尋ねたところ、「少なくとも事務方が何年までにやりますとは言わない。市長に判断いただくなりしないと辛い。そうはいっても木造復元の議論ができるような道筋、復元検討委員会は死守したい。今年度中に答えを返していくことはさせていただきたい」としました。

中川市議は「505億円の話しは断言しない方がよいのではないか」としましたが、松雄局長は「議会から505億の中でやりきると附帯決議をいただいているので頑張りたい」としました。

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・木造復元がどのような形になるかまだ決まっていない。特に基礎構造は有識者で議論もしていない。
・予定通りにいっても、現天守解体の文化庁からの宿題の返事が出来るのが2021年4月。その後、木造復元の現状変更許可申請を受け取ってもらえるかすらわからない。
・仮に木造復元の現状変更許可申請を文化庁が受け取ったとして、木造復元に関し、復元検討委員会でどのような議論がなされ、どのような意見が名古屋市に対して出されるかわからない。
・名古屋市と竹中工務店との協定書の期限が2022年12月であり、その有効性を確保するため、新竣工時期を定める必要がある。
・総務省に、新竣工時期を定めた後、505億の起債の新たな収支計画を出す必要がある。
・局長は「事務方が何年までにやりますとはいわない。市長に判断いただくなりしないと辛い」と明言。

名古屋市政131年の歴史で最大の混乱を招いている名古屋城天守閣木造復元事業。
2020年3月末までにすでに購入した木材31億5000万円、基本設計費8億4693万6千円、実施設計費5億9400万円は支出済です。
さらに毎年かかるとされる木材保管費は1億円です。

このままでは、2028年はおろか、何十年経っても木造復元は形にならないのではないでしょうか。

今後のスケジュール(案)
・2020年12月 来年度名古屋市予算確保のデッドライン
・2021年4月 文化庁へ指摘事項回答+基本構想提出
      (河村市長任期満了)
・2021年   復元検討委員会で審議(復元の現状変更許可申請を文化庁が受け取れば)     
       天守台石垣保存方針策定
       総務省に新たな収支計画提出?
・2022年12月 基本協定上の天守閣完成期限       

河村市長は2015/8/24「全責任は私が取る」という指示書を書いています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
 
河村市長は、今どこにいますか?市民になにを語りかけていますか?

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今後の予定
・20/10/9 名古屋市議会経済水道委員会
・20/10/11 石垣・埋蔵文化財部会
・20/10/22 全体整備検討会議
・20/10/29 名古屋城文化庁訪問時面談記録情報公開訴訟(WEB会議・非公開)
・20/11/5 13:10 基本設計費返還を求める住民訴訟判決 名古屋地裁(別団体)

20/10/5 名古屋城木造復元をめぐり、市議会で2019年度決算審査

20/10/5に名古屋市議会経済水道委員会が開催されました。

20/10/5 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城部分)
(名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/201005.pdf

20/10/2 名古屋市 観光文化交流局
令和元年度決算説明参考資料
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/201002.pdf

2019年度は、名古屋城木造復元について2019年8月に、2022年12月竣工目標を取り下げ、さらに2020年3月には石列毀損事故を起こし、当初の計画から大幅に狂いました。いまだに新たな竣工時期すら目処がたっていません。
2019年度予算についても使いきれなかった額があります。
逆に、竣工時期すら目処がたっていないにもかかわらず、多額のお金が使われています。
・一般会計名古屋城費 予算 19億8622万1000円
  支出済 15億4889万9056円(繰越明許費 1億1000万円)
  不用額 3億2732万1944円
・名古屋城天守閣特別会計 予算 32億7988万4000円
  支出済額 22億3914万6222円(繰越明許費 1億3100万円)  
  不用額   9億 973万7778円
  
各市議は各資料を要求し、20/10/7経済水道委員会に提出される予定です。


20/9/25 名古屋城木造化 基礎構造検討は部会をまたぐ「調整会議」で検討へ

20/9/25 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第33回)が行われました。
今回も写真撮影・録音とも認められませんでした。

20/9/25 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第33回)配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200925.pdf

20/9/25 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第33回)
名古屋市民オンブズマンによるメモ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200925-1.pdf

今回は、現天守解体申請に対する文化庁からの指摘事項の件と、基礎構造、天守台ボーリング調査についてでした。

まず、現天守解体申請に対する文化庁からの指摘事項への対応について説明がありました。
その後、松雄観光文化交流局長からのお願いを佐治所長が代読しました。
「本来であれば頭を下げてお願いしたいが、議会開会中なので出来ない。
1点目は当面のスケジュールについて。昨年9月に文化庁から『指摘事項』が出て既に1年が過ぎている。真摯に答え、信頼関係を得たい。今年度中に有識者と合意を得て、来年度早々にも市長が直接文化庁に出向いて手渡したいと考えている。タイトなスケジュールで頻繁な有識者会議をお願いする。心苦しいが、局をあげて万全を尽くしたい。
2点目は次年度予算の確保。有識者の皆さまには方向性を導いていただいた。木造復元には予算の裏付けが極めて重要。新型コロナウィルスの影響で、リーマンショックを上回る経済の落ち込みが想定される。確実に予算確保するため、年明け早々の市長査定までに道筋と経費を信念をもって予算要求したい。さらなるご助言をいただくこともあるかもしれないが、よろしくお願いする。」

今回から全体整備検討会議の構成員になった、藤井譲治・京都大学名誉教授は、現状変更を必要とする理由について、現在の進捗状況を尋ねました。
名古屋城総合事務所は「平成29年、30年度に基本計画、基本構想を図面などまとめ、一定の形にして文化庁と相談した。内容について足りないとされ、基本構想のところを補強・精査して作業している」としました。

座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は、「基本設計・実施設計は終わったんですね」としたところ、名古屋城総合事務所は「基本設計は終了した。基本構想の、現天守の評価、木造復元の意義が弱い」としました。

続いて、本丸内堀発掘調査について説明と質問がありました。

次に、御深井丸等の地下遺構把握の調査について説明と質問がありました。

赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は「地下遺構調査の範囲は聞いていたが、細かい方法は石垣部会では諮っていない。内容は石垣部会で検討したい」としました。

続いて、木造天守基礎構造の検討について議論になりました。
名古屋城総合事務所保存整備室の荒井敦徳主幹は「木造天守復元事業は平成27年度プロポーザルで竹中工務店を選び、その際の技術提案は跳ね出し工法だった。石垣の中に赤色の部分、はね出し加工で荷重を受けるというもの。しかし、穴蔵石垣、外部石垣を取り外す形で施工するので、石垣部会から、『現在の遺構の毀損を前提としており、認められるものではない』とされた。文化庁からも、『穴蔵石垣については、遺構が残っていることを前提に検討を』と言われている。
現在、竹中とともに基礎構造検討中。
現在の石垣は、天守焼失時に劣化しており、荷重をかけられない。以下考え方で新たな基礎構造を考えたい。
(1)基礎構造の考え方
  ・天守台石垣に荷重をかけない
  ・本質的価値を理解するうえで不可欠な遺跡の保存に十分配慮
  ・遺構の保存を前提としたうえで史実に忠実な復元を行う方針
具体的には、以下で示す。
(2)入側部の支持方法
例えば、現代工法による構造加工を付加するとか、木造架構の一部を現代工法に置き換えるとか。イメージ案を示す。
(3)今後の進め方
 有識者に諮って基礎構造を決定する。調整会議を設置して意見をいただくことを想定。
 
小濱芳朗・名古屋市立大学名誉教授は「当初の『史実に忠実な木造復元』が『基礎木造を変えないといけない』となっている。『忠実な木造復元』はどこまで許容されるのか」としたところ、荒井主幹は「『史実に忠実な木造復元』は遺構を保護することが大前提。そうしないと木造復元の実現につながらない。観覧者の安全確保、防火、耐震など、調整会議で様々な意見をいただいて決めたい」としました。

赤羽構成員は「資料4を示した理由はなにか?」としたところ、荒井主幹は「基礎構造の考え方を見直していくなか、有識者会議である全体整備検討会議(親会議)、部会に正式に議論をしていただくに至っていない。今後詳細に検討する。親会議に、今後議論することの報告を行った。
今後(1)の考え方に基づくという説明を行った。今後調整会議を行う。調整会議は昨年度3月に、「複数の部会にまたがる際調整会議を設置する」と全体整備検討会議で位置づけた。その部分の報告を行った。そのように進めることへの意見を求めたい」としました。

三浦正幸・広島大学名誉教授は「(1)の前提条件が違う。穴蔵石垣は天守が燃えた際に非常に痛んだため、全ての石を取り替えた。根石以外は新品なのは資料で明らか。根石を除いて遺構ではないと思っている。石垣の上に荷重がかけられないのは、木造よりはるかに重い鉄筋コンクリート造の天守を石垣に載せたら崩れるということ。木造なら関係が無い。また、穴蔵石垣は算木積みになっておらず、強度が低下している。将来起こる東南海地震で、石垣の上の方が崩壊して、木造天守の中にいる人に影響がある。前提事実が違う。今の穴蔵石垣は文化財ではなく、間違っているので改めるべき。」としました。

荒井主幹は「勉強になった。今後議論・検討を進め、修正しながら有識者に諮る」としました。

続いて、ボーリング調査について報告がありました。

名古屋城総合事務所は「支持基盤の荷重が除かれると、リバウンドと呼ばれる地盤が浮き上がる現象が考えられる。工学的解析を行ったが、文化庁からは『考古学的、工学的検討を総合的に検討をすべき』と指摘があった。解析データは、本丸御殿の横のデータを基にしたため、精度を高めるため天守直下のボーリング調査をしたい。天守台に埋まっているケーソンが地震時にどう動くか、石垣にどう影響があるのか試算したい」としました。

佐治所長は「木造復元基礎構造について、再度検討し、全体に示したい。次回の全体整備検討会議は1ヶ月後を予定している。早い段階で調整会議の設置を認めていただきたい」としました。

瀬口座長は、「調整会議は設置する方向でいきたいが、内容が未成熟なので調べてほしい。次回の全体整備検討会議で了承してスタートしたい」としました。

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名古屋市は2015年12月に公募型プロポーザルを行い、2016年3月に竹中工務店を優秀交渉権者に選びました。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/learn/tenshu/outline/

それからもう4年半が経とうとしていますが、最も重要な部分の「基礎構造」の仕様が固まっていない、というのは衝撃的な事実とは思いませんか?

にもかかわらず「基本設計は終了した」と名古屋城総合事務所は発言しました。(現在基本設計について別団体が住民訴訟中。20/11/5名古屋地裁で判決言い渡し。)
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle

「終了した」とされる基本設計で、基礎構造がどのように記述されていたかは、情報公開請求してもいまだに黒塗りです。
(現在名古屋市民オンブズマンが情報公開訴訟し、一部は開示されましたが、なお黒塗り部分があります)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200203-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-2-1.pdf   
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-3-1.pdf

2020年3月末までにすでに購入した木材31億5000万円、基本設計費8億4693万6千円、実施設計費5億9400万円は支出済です。
さらに毎年かかるとされる木材保管費は1億円です。

河村市長は2015/8/24「全責任は私が取る」という指示書を書いています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf

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どうしてこのような事態になってしまったのか?
名古屋市民オンブズマンは「情報を公開してこなかったから」と考えます。
いまだに全体整備検討会議・分科会とも、写真も録音も不許可です。
文化庁と名古屋市との面談記録も、肝心なところは公開していません。
基本設計・実施設計の詳細も市民にわかりません。
これでは名古屋城木造復元の姿が見えず、「何に賛成するのか、反対するのか」すら市民は理解できていない状況です。

「調整会議」が設置されるようですが、少なくとも市民の傍聴を認めるだけでなく、インターネットでの審議の公開を求めます。

20/9/18 名古屋城天守閣木造化 名古屋市は新たな基礎構造検討案を示せず

20/9/18に名古屋市議会 本会議が行われました。

20/9/18 名古屋市議会 本会議(名古屋城部分)
(名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/200918.pdf

浅井正仁市議(自民・中川区)が、はね出し架構と呼ばれる基礎構造に代わる新たな基礎構造案が出来ているかを質問したところ、松雄観光文化交流局長は「基礎構造は、この事業の中で最も重要な部分であり、その確定までには相当の期間を要すると考えておりますことから、現時点では具体的な検討案をお示しすることはできません。」と述べました。

また、浅井市議がエレベーターに代わる昇降技術の公募について質問したところ、松雄局長は「障害者団体の方々等は、令和元年度以降、大小はございますが150回以上にわたり、本市の公募の考え方について丁寧な説明と情報の共有に努めてきたところでございます。バリアフリー整備につきましては、これまでに国と相談をいたしておりませんでしたので、速やかに文化庁に出向き、本市のバリアフリー整備の検討の経緯と、考え方をご説明した上で、文化庁の考え方やご意見を伺いながら、齟齬が生じないように、また障害者団体等の方々とも、引き続き協議を重ね、適切に対応してまいりたいと考えております。」と述べました。

また、名古屋城木造復元事業の財源と収支計画について浅井市議が質問したところ、松雄局長は「新型コロナの影響で、今年度4月から8月までの前年同月比は約9割の減少。厳しい状況だが、木造天守閣復元事業は事業費505億円で行い、市民の皆様の税金ではなく、名古屋城に親しみ、楽しんでいただくための入場の収入で賄っていくという考えに変わりはない。収支計画につきましては、現在地元有識者に諮っております手順と工程が確定したら、市としての竣工時期を定め、その上でこれまでの入場者数や入場料の考え方に基づく収支計画を定めたいと考えている」と述べました。

最後に、今後のスケジュールについて問われた河村たかし名古屋市長は「今局長が言いましたようにですね、そのスケジュールでやってくということでございます。文化庁からはとにかく進めましょうと、ただ学者の皆さんとはみんな合意してやっててくださいねと。」と述べました。

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基礎構造が確定しないと、木造復元は不可能です。
これまでの「はね出し架構」は、コンクリートで基礎を作るという計画で、江戸時代からの地下遺構を破壊するおそれがありました。
地下遺構を破壊せず、かつ巨大木造建築を支え、巨大地震にも耐えられる基礎構造が果たして提案できるのでしょうか。

仮に新たな基礎構造が提案できたとしても、これまで現天守閣ではエレベーターで上部階まで行くことが出来ましたが、そこから後退することは決して許されない、と障害者団体は主張しています。国際コンペを行うとしていますが「史実に忠実」と昇降装置をどう折り合いを付けるかは極めて困難です。
今回、名古屋市ははじめて「バリアフリー整備について国と相談していなかった」ことを認めました。

上記がクリアしても、入場料収入だけで505億円をまかなうということがクリアできるのでしょうか。
2016/6時点の名古屋市試算では、名古屋市は入場料年間平均約19億円と試算していました。
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/cmsfiles/contents/0000083/83234/1-4men.PDF
入場者が約9割減少すると約1.9億円となり、管理運営費年間約5億円にも満たなくなります。

河村市長は「文化庁からはとにかく進めましょうと」と発言しました。
名古屋市民オンブズマンは、これまで名古屋市が文化庁を訪問した際の復命書を情報公開請求していますが、一回も「文化庁からはとにかく進めましょうと」がわかる資料は開示されたことがありません。
万が一そのような資料があるとしたら、一刻も早く市民に開示すべきです。

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ここまでずさんすぎる計画は、全国的にみても見当たりません。木材保管の費用だけで年間1億円がかかっています。
未曾有のコロナ禍の中、名古屋城木造復元を市民に情報を知らせず強引に推し進めているのが河村たかし名古屋市長です。

20/9/11 名古屋城木造化 局長が石垣部会に懇願も「全体会議で議論を」

20/9/11 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(37回)が行われました。
今回も写真撮影・録音とも認められませんでした。

20/9/11 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(37回)配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200911.pdf

20/9/11 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(37回)
名古屋市民オンブズマンによるメモ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200911-1.pdf

2時間の予定で、2時間まるまる本丸搦手馬出について議論になりました。
予定時間を大幅に超過して、本丸内堀発掘調査について議論に入りました。

現在、名古屋市は現天守閣解体の現状変更許可申請を文化庁に行っており、それに対し文化庁は現天守の解体・仮設物設置が石垣等遺構に与える影響を判断するための調査・検討について、4項目の指摘事項を示しています。
そのうちの1つが、内堀の地下遺構の把握、御深井丸側内堀石垣の状況及び安定性を確認するための追加発掘調査です。

名古屋城総合事務所から、内堀調査の案が示され、石垣・埋蔵文化財部会は了承しました。

続いて、「ご相談」ということで、現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項等への対応について、松雄観光文化交流局長から説明がありました。
「現在予算編成の時期で、名古屋城木造復元、石垣調査についてはどうしても来年度予算に計上したい。しかしながら、新型コロナウイルスの影響で、来年度の予算は極めて厳しい。市長の査定があるが、石垣・埋蔵文化財部会の合意を得て、市長に『どうしても木造復元をやりたい』と強く言いたい。
今後石垣・埋蔵物文化財部会の先生と議論したいが、事業が進まないということをどうしても避けたい。
予算スケジュールとして、今年12月-来年1月に赤線を引いたが、そこがデッドラインだ。非常にタイトなスケジュールであることは重々承知しているが確実に進めたい」としました。

続いて、文化庁からの指摘事項等への対応の進捗状況の説明がありました。

さらに、指摘事項とは関係ないが、天守台下ボーリング調査も、本年度中に調査したいとしました。

座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「こちらとしては、『そうなんですか?』としか言いようがない。 石垣・埋蔵文化財部会に相談していただいても、今回は報告いただいたということであろう。まずは全体整備検討会議で審議していただいて、我々はそのあと審議する」と述べました。
 
宮武正登・佐賀大学教授は「文化庁の指摘事項とは別の、天守台下ボーリング調査について、文化庁とは相談しているのか」と質問したところ、名古屋城総合事務所は「文化庁とは相談する中で、『解体と復元を一体で』ということなら説明してほしい。まず天守台ボーリング調査を行って、文化財保存に万全を期す。そういった方向であれば、了承したいとお話を得た」と述べました。

また、宮武教授は「今後、天守部会と石垣部会がセッションして調整会議とあるが?」と質問したところ、名古屋城の担当者は「昨年度の3月に開かれ名古屋城全体整備検討会議で、議題が複数の部会にまたがるときは『調整会議』を設置して議論しようということで了承を得た。木造復元の基礎構造であるはね出し工法を見直し文化財をいかに保存するか、史実に忠実に復元を行うか、検討を進めている。内容はそれぞれの部会、全体会議に報告、諮り、文化庁に報告したい」としました。

・20/3/31 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第30回)配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200331.pdf

宮武教授は「2年前に破綻した『石垣部会と天守閣部会の合同会議』とは異なるのか?」と質問したところ、名古屋城担当者は「各部会から構成員を選出する。どう選ぶかは部会長が決めると思うが、全体会議にはまだ諮っていない」としました。

結局、予定時間を大幅に上回り、会議時間は2時間47分かかりました。
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20/9/25(金)10時〜、KKRホテルで全体整備検討会議が行われます。
http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2020/kankobunkakoryu/0000132814.html

そこでどのような議論になるか注目したいです。


20/9/14 文化庁指摘事項返事遅れ 河村市長「名古屋城木造化 根本的な影響はないと思う」と発言

20/9/14に河村たかし名古屋市長定例記者会見がありました。
・令和2年9月14日名古屋市長河村たかし定例記者会見
 28:25-38:01
https://www.youtube.com/watch?v=JEp_-NSjBqE
・20/9/14 河村たかし名古屋市長定例記者会見(名古屋城部分)
 (名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200914.pdf

記者から「文化庁からの現天守閣解体にあたっての指摘事項4項目について、もともとは2020年10月に返事をするスケジュールだったが、名古屋市は2021年4月に返事をするスケジュールを示した。城が完成するまでの影響は」と聞かれた河村市長は、「とにかく全体的な大きな根本的影響はないと思ってますけどね。文化庁さんの方からも進めましょうやと。」と述べました。

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名古屋市民オンブズマンは、これまで名古屋市が文化庁を訪問した際の復命書を情報公開請求していますが、一回も「文化庁さんのほうからも進めましょうやと」がわかる資料は開示されたことがありません。
万が一そのような資料があるとしたら、一刻も早く市民に開示すべきです。

・文化庁とのやりとりの肝心なところはいまだに非公開
 (名古屋市民オンブズマンが現在情報公開訴訟中)
・「指摘事項」について、文化庁への返事が少なくとも半年延びた
・上記「指摘事項」については現天守閣解体についてであり、「木造復元」については名古屋市は現状変更許可申請も文化庁に正式には提出出来ていない。
・「木造復元」について、文化庁がどのような判断をするかは、申請書が出されるまでわからない
・特に問題となっている、木造天守の基礎構造である「はね出し架構」について、代替案はいまだに公開されていない。

にもかかわらず、2028年10月頃に名古屋城木造復元を予定しているということに「全体的な大きな根本的影響はないと思ってます」と河村市長は述べた、ということです。

木材保管の費用だけで年間1億円がかかっています。
未曾有のコロナ禍の中、名古屋城木造復元を市民に情報を知らせず強引に推し進めているのが河村たかし名古屋市長です。

20/8/31 名古屋城天守閣木造化 文化庁とのやりとり情報公開訴訟 弁論準備

20/8/31に名古屋城天守閣木造化に関し、名古屋市と文化庁とのやりとりの情報公開を求める訴訟の弁論準備手続き(電話)が行われました。

非公開文書
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200203-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-2-1.pdf   
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-3-1.pdf
 
名古屋市は、20/7/16に各文書をどうして非公開にしたかをさらに詳しく説明しました。
名古屋市民オンブズマンは、上記に対して反論しました。

次回までに、名古屋市は以下3つの釈明事項について準備書面で相手方が提出することになりました。
1 本件処分時に文化庁との交渉を含めた事業の進捗状況はどうだったか
2 竹中工務店のノウハウとはなにか。
 一般的な歴史的建造物の再現で必要なノウハウを超えるどういうノウハウが今回の名古屋城であるのか。
 それについてどのような点が特殊で竹中工務店が知られたくないか
3 木材の流通で、木材の市場の規模、取引事例、過去に歴史的建造物の建築によって市場にどのような混乱が生じているか

次回は20/10/29(木)午前11時からWeb会議(非公開)で行います。

名古屋城木造復元 木材保管費用追及のためカンパ頂きました

20/8/25に、名古屋市民オンブズマンあてに名古屋城追及のためのカンパを匿名で届きました。
ありがとうございました。

名古屋城木造復元のための木材購入・保管費用について、名古屋市民オンブズマンのホームページで知ったとのこと。
(木材の製材費用94億5189万3240円、少なくとも27億6937万円を支出済)
 木材保管費用年間1億円)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180612-2.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200708.pdf
 http://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000125/125382/05kankou.pdf
河村市長は上記ほとんど説明せず、名古屋市民も実態を知る人は周囲にはいないとのこと。
それを隠すかのように、市長は市政とは関係の無いことばかり話題に出すのは許せないと、この匿名の方は述べています。
「私たちの支払った税金を市長の勝手な使い方をされるのは許せないです」と結んでいます。
------
名古屋市民オンブズマンは、名古屋城木造復元に関し、現状がどうなっているのか、どのような議論が行われているのか、情報公開請求をして、入手した情報全てホームページに掲載しています。
名古屋市と文化庁とのやりとりの多くは黒塗りとなっており、現在情報公開訴訟中です。

情報公開請求してコピーを入手するのも、情報公開訴訟をするのも、費用がかかります。
名古屋市民オンブズマンは、会費とカンパのみで活動しております。
今後ともご支援頂けますと幸いです。

《郵便振替口座》 口座番号 00870−9−105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
《ゆうちょ銀行》 当座 〇八九店 105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
  http://www.ombnagoya.gr.jp/kannpa.htm

名古屋市文化財調査委員会委員「名古屋城がやることはいい加減なことが多く、文化庁の怒りをいっぱい買って困る」

名古屋市民オンブズマンは、20/3/27に開催された「名古屋市文化財調査委員会」の議事録を情報公開請求して開示されました。
・令和2年3月27日開催「名古屋市文化財調査委員会」議事録(請求にかかるもの)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200818-1.pdf
・令和2年3月27日開催「名古屋市文化財調査委員会」配付資料(請求にかかるもの)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200818-2.pdf

20/3/2に名古屋城総合事務所が名古屋城重要文化財等展示収蔵施設 外構工事に伴って、特別史跡である遺構の石列を毀損した直後の開催だったため、各委員から指摘が相次ぎました。

文化財保護室長は「施工を担当した業者に、ここに遺構がある可能性を丁寧に説明していなかった。業者としてはいわゆる支障物件みたいなものだと思って掘り起こしたものを一か所に固めてあるような状態が発生した。あたかも業者の方に非があったような言い方、説明は我々一切しておりません。」と述べました。

委員の、井上光夫・元名古屋市博物館副館長は以下述べました。
(井上委員)名古屋城に対する注文なんですけれども、私が現職の頃から名古屋城さんがやってくることは非常にいい加減なことが多くて、文化庁のお怒りをいっぱい買って困るということ、きちんとやれということを指導してきたのだけれども。それでもこれを見る限りは直らないというところがあるので、本当にきちんと名古屋城さんにやっていただかないといけないと思うので、いろんなことがありましたけれど、とにかく届け出をしないで掘削をするとかいろんなことが度々あるので、本当に注意してやっていただかないと困るなと思います。だから、文化庁も非常に怒ると思いますよ。

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なお、教育委員会事務局生涯学習部文化財保護室文化財保存活用係がウェブページに記載している〈開催結果〉には、
(3)報告事項(公開) 事務局より説明後、質疑応答。しか記載が無く、毀損事故に関して説明、質疑応答があったことは全くわかりません。

・令和2年3月27日 名古屋市文化財調査委員会〈開催結果〉
 http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigikekka_2019_5/kyoiku/0000128296.html
 
20/6/26に名古屋市観光文化交流局 名古屋城総合事務所と名古屋市教育委員会事務局 文化財保護室が連名で発表した「特別史跡名古屋城跡における遺構のき損事故再発防止対策」によれば、「外部有識者等による委員会の設置」が盛り込まれています。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/uploads/prevent_recurrence_20200625.pdf
しかしながら、いかなる議論が外部有識者の間でなされているのか市民がわからなければ、単なる絵に描いた餅になりかねません。

今回、情報公開請求で有識者が重要な指摘をしていたことがはじめてわかりました。
市民がまずは現状を知ることが極めて大切だと考えます。

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※【緊急】カンパの呼びかけ(20/7/1)
名古屋城木造化情報公開請求、政務活動費領収書WEBアップにつき、コピー代、サーバー維持費など経費がかかっています。
活動を継続させるため、ぜひカンパをお願い致します。
《郵便振替口座》 口座番号 00870−9−105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
《ゆうちょ銀行》 当座 〇八九店 105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
  http://www.ombnagoya.gr.jp/kannpa.htm


名古屋城木造化 文化庁訪問時復命書 またも一部非公開

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城総合事務所が名古屋城の件で2019年10月22日〜2020年3月4日、3月10日〜6月30日に文化庁を訪問した際の復命書、持参資料を情報公開請求して一部開示されました。
・決定書
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813.pdf
1-1 復命書(令和元年11月11日分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-1-1.pdf
1-2 2019年11月4日石垣部会打ち合わせメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-1-2.pdf
2-1 復命書(令和元年12月2日分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-2-1.pdf
2-2 名古屋城本丸御殿内における重要文化財障壁画(麝香猫図/槙楓椿図)の展示について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-2-2.pdf
2-3 令和2年度本丸御殿内における重要文化財障壁画の展示について(計画案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-2-3.pdf
3-1 復命書(令和元年12月10日分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-3-1.pdf
3-2 名勝名古屋城二之丸庭園打合せ資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-3-2.pdf
4-1 復命書(令和元年12月23日分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-4-1.pdf
4-2 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会(第33回)会議資料(案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-4-2.pdf
5-1 復命書(令和2年1月23日分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-5-1.pdf
5-2 解体と復元を一体で現状変更許可を取得する場合のイメージ(案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-5-2.pdf
5-3 名古屋城天守閣整備事業工程見直し(案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-5-3.pdf
5-4 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第29回)会議資料(案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-5-4.pdf
6-1 復命書(令和2年1月27日分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-6-1.pdf
6-2 名古屋城表二之門耐震診断・補強提案構造計算書(2019年12月時点検討書)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-6-2.pdf
7-1 復命書(令和2年2月28日分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-7-1.pdf
7-2 本丸搦手馬出周辺石垣に係る特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会(第34回)会議資料(案)(2020年2月28日時点)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-7-2.pdf
7-3 名古屋城本丸表二之門及び土塀打合せ資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-7-3.pdf
8-1 復命書(令和2年3月26日分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-8-1.pdf
8-2 特別史跡名古屋城跡における遺構のき損等事故再発防止対策(中間案)(令和2年3月26日時点案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-8-2.pdf
8-3 外構工事における不適切な施工等の調査について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-8-3.pdf
8-4 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第30回)会議資料(案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-8-4.pdf
9-1 復命書(令和2年6月26日分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-9-1.pdf
9-2 特別史跡名古屋城跡における遺構のき損事故再発防止対策
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-9-2.pdf

-----
19/11/4に名古屋市は石垣部会と打合せをして、石垣部会は以下述べています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-1-2.pdf
◎はね出しはダメだと最初から言っている。文石協にでも相談して、別の案を考えるべき。

19/11/11名古屋市は文化庁との打合せで、以下述べています。
○石垣部会報告
 ・はね出しについては、文化庁としては具体的に検討する段階にないのでコメントなし。まずは地元の有識者と詰めて下さい。
○工程について
 ・地元有識者との合意形成の上で、こちらが通せるようなものをだしてもらわないといけない。
 ・石垣の中にコンクリートを入れることについて、文化庁としてその良し悪しを判断する立場にない。復元検討委員会や文化審議会で審議され、その行為が妥当であると判断されれば認められる。まずは、地元有識者の理解を得る事が先決。
 ・穴蔵石垣の発掘調査を行ってから基礎構造を見直すのではなく、穴蔵石垣の根石が残っていることを前提とした基礎構造を計画することが必要。
 ・また、基礎構造については、発掘調査の結果により見直すことがあることも基本計画書には明記しておく
 ・今回、指摘事項として追加情報を求めたので、ボールは名古屋市にあり、
 ・解体の申請の取り扱いをどうするとしても、解体の申請に伴う指摘に対して、追加情報の提供はすべき。

 
19/11/29名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会で、竹中工務店は「石垣が一番大切だと言うことは十分認知している。実施設計の最終成果物としてまとめるため、はね出し基礎構造が、耐震性の確保と史跡の保護を矛盾することなくできるか、石垣部会と目線合わせをしたい」と述べました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/191129-1.pdf

20/3/4に松雄観光文化交流局長は、「石垣部会の構成員より跳ね出し工法は認められないと意見をいただいており、文化庁からも穴蔵石垣の遺構が残っていることを前提として基礎構造検討するよう助言をいただいているため、跳ね出し工法は見直す。現在竹中工務店と跳ね出し工法に関わる案について代わる案について他城の整備事例を踏まえ、様々な角度から検討を始めた」としました。

-----
はね出し架構に関しては、一部開示されているので、その後の流れがかろうじて追えます。
しかしながら、他の石垣部会報告については、非公開なので具体的にどのような議論がなされているか、それを受けて名古屋市がどのように対応しているのかがわかりません。

木造復元の目処どころか、現天守閣解体すら目処がたっていません。名古屋市は市民に説明をすることもなく、ただ税金が使われ続けています。

名古屋市民オンブズマンは、18/6/13-18/12/10分の名古屋市と文化庁とのやり取りについて情報公開訴訟をしています。(次回 2020/8/31(月)(WEB会議・非公開))
ぜひご支援下さい。

※【緊急】カンパの呼びかけ(20/7/1)
名古屋城木造化情報公開請求、政務活動費領収書WEBアップにつき、コピー代、サーバー維持費など経費がかかっています。
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名古屋城全体整備検討会議(第32回) 配付されなかった資料開示

20/8/3に開催された名古屋市は特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第32回)で、なぜか「議事(4)大天守台北面石垣レーダー探査について」においてプロジェクタには映し出されたにも関わらず、配付されなかった資料があり、それを情報公開請求したところ、20/8/14に開示されました。
 
・20/8/3 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第32回) 資料5 追加資料
 現天守解体の現状変更許可申請に対する指摘事項への対応状況
 1 現天守の解体・仮設物設置が石垣等遺構に与える影響を判断するための調査・検討について
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200813-2.pdf

どのような経緯で、資料を配付しなかったのかわかりませんが、このようなことがあると市への不信感が増します。
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内容を詳細に見てみると、文化庁から名古屋市への「指摘事項」は2項目あり、1項目しかスクリーンに映し出していなかったことがわかりました。

・19/9/24 名古屋城総合事務所作成 文化庁打合せメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/191204-7.pdf
 現天守閣解体の現状変更許可申請に対する本市への指摘事項
 <文化審議会の判断>
 <追加情報の提供を求められた事項>
  1.現天守閣の解体・仮設物設置が石垣等遺構に与える影響を判断するための調査・検討について   
   ○内堀の地下遺構の把握、御深井丸側内堀石垣の現況及び安定性を確認するための追加発掘調査
   ○御深井丸の地下遺構把握のための発掘調査
   ○大天守台北面石垣の孕み出しについての調査・検討
   ○天守台石垣背面等の空隙についての調査
  2.現状変更を必要とする理由について 
  
指摘事項のうち、<文化審議会の判断>ならびに「2.現状変更を必要とする理由について」がどうなっているかまったく不明です。

令和2年7月6日河村たかし市長定例記者会見では、4項目の指摘事項について遅れていると記者から質問されていますが、河村市長ははぐらかしています。
http://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000130678.html

「1.現天守閣の解体・仮設物設置が石垣等遺構に与える影響を判断するための調査・検討について」はいつ出来るのか。
「2.現状変更を必要とする理由について」をどう答えているのか。
<文化審議会の判断>はどうなっているのか。

名古屋市はまともに回答していません。
今回の配付資料から除外したのは、そのような背景があったからかもしれません。

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・20/8/3 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第32回)配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200803.pdf
 
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名古屋市民オンブズマン 名古屋城問題ページ
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm

20/8/6 名古屋城木造化基本設計住民訴訟 市は原告最終準備書面に反論せず結審

20/8/6に、「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」が原告となった、名古屋城天守閣木造復元事業基本設計住民訴訟の第8回口頭弁論が名古屋地裁で行われ、結審しました。
判決は20/11/5(木)13:10に名古屋地裁1号法廷で言い渡される予定です。

前回弁論時、裁判所は、原告に20/7/7までに最終準備書面を提出させるよう指示し、それに対して名古屋市は反論があれば20/7/21までに答弁書を提出するよう指示がありました。
しかし、名古屋市からは書面が届かず、原告が確認したところ、「抗弁の必要を認めないため書面は提出しない」とのこと。

裁判所がどのような判断を示すか注目したいです。
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・名古屋城天守の有形文化財登録を求める会
 
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle

20/8/4 国指定史跡等現状変更 文化財調査委員会委員が名古屋市教育委員会副申チェックへ

20/8/4 名古屋市文化財調査委員会が開催されました。

・20/8/4 名古屋市文化財調査委員会 配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200804.pdf
 
・20/8/4 名古屋市文化財調査委員会 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200804-1.pdf
 
名古屋市教育委員会の諮問機関として、名古屋市文化財調査委員会が設置されています。
しかしながら、20/3/2に発生した特別史跡名古屋城跡における遺構の毀損事故について、名古屋市文化財調査委員会をはじめ、第三者機関は全くチェックしていませんでした。

今回、名古屋市教育委員会は「国指定史跡名勝天然記念物の現状変更にかかる文化財調査委員会の指導について」を作成し、今後は、現状変更許可申請書の提出を受け、副申(案)を作成した段階で、文化財調査委員会の委員に確認、指導・助言を受けるようにするよう、文化財調査委員会に提案しました。

西田佐知子・名古屋大学博物館准教授は「上記体制が整えば、3月2日の事故は起こらなかったと考えるか」と質問したところ、名古屋市教育委員会の片岡文化財保護室長は「チェック機構がなかったから事故が起こった」と述べるに留まりました。

井上光夫・元名古屋市博物館副館長は「ただの助言でよいのか?単に個人的意見になる可能性がある。それぞれの分野になるので、部会の中だけでも共有してはよいのではないか。あまり個人的レベルの判断だけで進めるべきではない。どんな問題が含まれているかまとめてもよい。部会で討議・報告したほうがよいのでは」という発言をしました。

片岡室長は「どのような案件が上がっているかを部会で共有すべきというご提案を頂いた。具体的にどうするかはメールの活用等、今後ご相談させていただきたい」としました。

委員長の池田洋子・名古屋造形大学特任教授は「この案は、現場に見に行かないといけないときに行く担当者。部会の中で、『こういうことがある』と認識できればよい」としました。

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名古屋城に関しては、今後も天守台周辺調査など現状変更許可申請を必要とする発掘調査が山積みです。
また、二の丸地区調査についても「特別史跡における現状変更許可申請に準じた取扱いを行うこととし、史文化財保護室で協議書を受け、これに回答する形をとっています」としています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200803.pdf

上記体制をしっかり機能させ、再発防止に留まらず様々な指導・助言が出来ることを期待します。

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なお、今後文化財登録制度を検討しているようです。
注目していきたいと思います。

20/8/3 名古屋城全体整備検討会議「二之丸地区発掘はビジョンを定めてから」

20/8/3に名古屋市は特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第32回)を開催しました。

・20/8/3 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第32回)配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200803.pdf

・20/8/3 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第32回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200803-1.pdf
 
有識者の三浦正幸・広島大学名誉教授、麓和善・名古屋工業大学大学院教授、オブザーバーの山下信一郎・文化庁文化財第二課主任文化財調査官は欠席でした。
今回も録音・録画・撮影は許可されませんでした。

はじめに、特別史跡名古屋城跡における遺構の毀損事故について佐治独歩・名古屋城総合事務所長から報告がありました。
「特別史跡名古屋城跡における遺構のき損事故再発防止対策」は20/6/22に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議で承認され、20/6/26に文化庁文化財第二課長に提出したとのこと。
第二課長からは「名古屋城は大型プロジェクトを控えているため、二度と同様の毀損事故を繰り返さないように」と言われたとのこと。
西の丸地区に関しては、20/7/17づけで文化庁から現状変更許可が出て、20/7/24から工事着手しているとのこと。
他の事業も進めていきたいと述べました。

高瀬要一・公益財団法人琴ノ浦温山荘園代表理事は「今回の事故の原因の一つには、整備計画を検討する場が無かったという点があった。どの部会にも報告がなく、全体整備検討会議にも上がってこなかった。あらたに整備部会を立ち上げてはどうか」と提案がありました。
名古屋城総合事務所は「再発防止対策として、各段階でチェック機能を強化することにした。今後は有識者の先生のご意見を伺いたい。全体整備検討会議のもとに各部会がある。全体整備検討会議に諮って、部会に下ろす。整備部会は今後検討する」としました。

続いて、全体整備検討会議の構成員について、日本近代史を専門とする人を1名増員する報告がありました。

次に議事に入り、二之丸庭園の発掘調査及び修復整備工事について議論になりました。

赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は「昭和52年度の発掘調査結果がわからないとある。これまでの調査経過を蓄積していない。これは毀損事故にもつながること。また、調査が散発的で、整備を前提とした調査ならこんなちっぽけな調査ではダメで実をあげていかないといけない」としました。

続いて、余芳復元に関する議論のあと、休憩を挟んで二之丸地区発掘調査について議論になりました。

現在愛知県体育館がある二之丸地区について、県体育館を名城公園に移転する計画があります。
名古屋市は二之丸地区の保存活用に関する基本構想を策定する方針を立てています。
名古屋市は、保存活用を目的とした内容把握のための試掘調査を行っています。

赤羽氏は「試掘調査の目的は何か。二之丸地区は特別史跡の未告示地区だが、体育館がなくなれば告示になり、試掘調査とは関係が無い。今ちまちま発掘調査するより、体育館がなくなってから、堂々と発掘調査すればよいのではないか。来場者保護も体育館がなくなれば必要ない。狭い面積を試掘しても成果が上がらない。大きなビジョンのもとに発掘してほしい」としました。

鈴木・名古屋城整備室長は「スケジュールについては、現体育館取り壊し後どうしていくかは、先日県から新体育館基本計画が公表されたばかり。どのようなビジョンを持っていくかは、小さいトレンチだと準備的な試掘にしかならないが、基本構想が策定されたら、この場所について予算が許す限り調査を行っていきたい」としました。

続いて、大天守台石垣北面レーダー探査について議論がなされました。
名古屋市は、そもそも大天守台石垣北面レーダー探査をしたのは、文化庁の指摘事項に基づくものだとして、配付資料にはないものの、スクリーンに投影して説明しました。
・文化庁の指摘事項は大きく2つ 
 1 工事が石垣に与える影響
 2 現状変更を必要とする理由
  ア 内堀、御深井丸現況調査
   内堀内発掘調査
   レーダー探査
   現在石垣部会で審議中
  イ 御深井丸地下遺構把握
   礎石の保存方法
  ウ 北面孕み出し
   対応した
  エ 背面等の空隙
   レーダー探査を計画
   内堀御深井丸側石垣について、総合外観調査等を再検討し、
   必要に応じて追加調査検討

小濱芳朗・名古屋市立大学名誉教授は「私の希望として、レーダー探査で空洞がないことがわかった。孕み出しがあっても安全かどうか、工学的モデル化して、解析を行って精密なモデルを理論的に評価していただきたい」としました。
名古屋城の担当者は「名古屋城総合事務所と竹中工務店で工学的な解析を行っているが、文化庁からは「考古学的解析も必要」と指摘がされた。
名古屋市は、いったんは「現天守解体による石垣に対する影響は軽微である」と結論をだしたが、レーダー探査の結果をどう反映していいのか専門の先生に相談したい」としました。

その後、東門トイレ改修について議論して終わりました。終了後の記者会見はありませんでした。

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二之丸地区全体の整備等については、17/12/25名古屋市議会産業・歴史文化・観光戦略特別委員会で議論になっています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171225-3.pdf
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/171225-1.pdf
それによれば、二之丸御殿、向屋敷の復元整備等、二之丸大手門・東門の復元整備等、二之丸の櫓の復元整備等が今後の取り組みの方向性として提案されています。

ただ、二之丸御殿については市議会で以下述べています。

◎岩本観光文化交流局名古屋城総合事務所整備室長 
 二之丸御殿については、なかなかちょっと詳細なものがないんですけども、例えば、本当に仮の話でございます。例えば本丸御殿を参考に二之丸御殿が面積的に5、6倍なんですけども仮に5倍ぐらいと仮定して、今、本丸御殿をやってきた単価でそのまま掛けますと700億円ぐらい。まともにやってしまうと、全部面積を掛けちゃうとそういうふうな形にはなります。
 
天守閣木造復元のめどは全くたっていません。
それどころか、解体すらいつ出来るのか全く不明です。新型コロナウイルスの影響で、観光客の動向もわからず、不確定要素がありすぎです。

そんな中、資料も詳細に残っていない二之丸御殿復元整備に700億円程度かけるべきかどうかは、市民の十分な納得が必要だと思います。
今後のビジョンを定めてから、一気に発掘調査を行うべきという赤羽氏の主張は理解できます。

名古屋城「金シャチ募金」2019年度は約6250万円

名古屋市は2017年7月から名古屋城天守閣積立基金を設置し、「名古屋城天守閣寄附金(金シャチ募金)」を募集しています。
2017年度、2018年度は名古屋城ホームページに掲載されていますが、2019年度については掲載されていなかったため、20/7/21に名古屋市民オンブズマンが電話で確認したところ、62,495,813円であることが判明しました。

平成29(2017)年度 207,357,485円
平成30(2018)年度 131,783,050円
令和元(2019)年度 62,495,813円
合計       401,636,348円
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/

グラフにしてみました。参考になれば幸いです。


名古屋城天守閣木造化に関する「市民の機運醸成」具合は数値で測ることはなかなか困難ですが、金シャチ募金額は一つの指標だと思います。

なお、2019年度寄付金については、2020年9月議会で報告されるとのこと。
名古屋市全体の寄付金については、名古屋市ホームページに掲載されていますが、2018年度分しかありませんでした。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/410-1-4-0-0-0-0-0-0-0.html

河村市長は「名古屋城木造復元のため、寄付金を100億円集める予定」と繰り返し述べています。
寄付募集2年9ヶ月で約4億円なので、これまでのペースでいけば100億円まで約68年9ヶ月かかる計算です。
ただ、毎年金シャチ募金の額が減る一方なので、予測がつきにくいです。

(なお、平成28年6月広報なごや折込資料「名古屋城天守閣の整備」では、建設費の元金約505億円、利子約101億円としています)
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/cmsfiles/contents/0000083/83234/1-4men.PDF
このままの逓減率で金シャチ募金が推移したと仮定し、さらに木材保管費用(年間約1億円と想定)をグラフに加えてみました。



このままであれば、金シャチ募金は木材保管費用にも足りないことになります。
現時点では、木造復元どころか、現天守閣の解体のめども全く立っていません。
河村市長、名古屋市はどのように落とし前を付けるつもりなのでしょうか。

・名古屋城天守閣積立基金条例
 https://www1.g-reiki.net/city.nagoya/reiki_honbun/i502RG00001415.html
 

名古屋城「石垣部会としての総意」部会議事録が11ヶ月たってようやく公開

20/7/13に名古屋城総合事務所から名古屋市民オンブズマンに電話があり、19/8/5、19/12/27に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会の議事録を名古屋城公式ページに掲載したと連絡がありました。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2020/03/20200331_993.html

第32回部会(令和元(2019)年8月5日)議事録
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/ff8f0ece9beb2132586f6dba5a367fec_1.pdf

第33回部会(令和元(2019)年12月27日)議事録
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/f0424372e31d2590aa37cba8588ccf62_1.pdf

過去、名古屋市民オンブズマンは、石垣部会の議事録について情報公開請求をしてきましたが、近年は「まだ議事録が完成していない。仮に情報公開請求しても『不存在』となる。議事録が完成した際は公式ページに掲載するし、連絡する」と言ってきました。

議事録はこれまで遅くとも半年程度たてば作成・公開されていましたが、部会開催後11ヶ月も完成しなかったのは今回が初めてです。
(名古屋市民オンブズマンは頻繁に名古屋城総合事務所に電話で確認するとともに公式ページをチェックしており、ようやく公式ページに載りました。)

皮肉にも、北垣座長は19/8/5部会最後に以下述べています。

北垣座長 いろいろな、最近、誤解に近いようなこともありますので、ひと言お話したいと思います。本日こうして、本会場にお集まりのマスコミの方々を含む、今日の参加者の皆様方にお伝えしておきたいです。これまでもそうですし、これからもそうだと思いますけれども、石垣部会の構成員は、私は委員と呼んでいますけれども。構成員はいろいろな場で、他の委員会、講演等に関わることが多いです。ここだけではありませんから。そうしたところで、個人としての発言はあっちこっちでやっています。中には、その話の中身には、非常に不正確な表現として紹介されることも多々あります。おそらく、これからもこうしたことはあると思います。そういう不正確情報というのは、いろんなところで聞かれると出てくると思います。改めて申しますと、この石垣部会で、今日のいろいろの発言ですね。これも含めて、例えば、議事録など足らないものを補ったり、修正したりしますね。今日ここで石垣部会として、それぞれの委員の発言。その報告ということを含めて。それが石垣部会としての総意です。これ以外のところで、いろいろな言葉を委員から出されることもあるかもしれませんが、とにかくここで出されている話が、この石垣部会の総意であるとご理解ください。これをひと言、添えたいと思います。今までいろいろな経緯からで、いろんなことがありましたから。どこかでひと言、そういう整理をしておかなければいけないかなと思っていましたので、お話しました。どうぞ、よろしくお願いします。

「石垣部会の総意」である議事録を、11ヶ月もだれも確認することが出来なかったという事実はあまりにも重いです。

議事録が完成していなかったため、天守閣部会との議論の共有が図れず、無用な軋轢を生んでいます。
また、市民も、石垣部会が具体的に何を問題にしているのかわからない状態に置かれ続けました。

状況は刻々と変化しており、この11ヶ月で、2022年12月竣工断念、石列毀損事故など様々なことが起きています。
「石垣部会としての総意」としての議事録は、何にもまして早く完成させるべきです。
「議事録を作る人手が足りない」のなら、とても505億円もの木造復元事業を進めるような体制ではないということを自白しているようなものです。
また、傍聴者に録音・録画を許可すればよいだけです。

河村市長は最近情報公開と言わなくなりましたが、実情は上記の通りです。

名古屋城天守閣木造化 木材保管期間を21年3月末まで延長 木材年間保管費約1億円

名古屋城天守閣木造復元事業につき、木材の製材の契約書等を名古屋城総合事務所から情報提供してもらいました。
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200708.pdf

(1)名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)契約書(変更契約・令和2年3月26日)、変更概要書
(2)支出命令書(支出命令番号0162501内訳番号001)
(3)決裁確認書・支払状況一覧照会画面のスクリーンショット 
(4)「名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)に係る随意契約協議申請書(平成30年4月16日)
 
変更概要書によれば、運搬費を削減、人工乾燥を取り止めるとのこと。
また、木材保管費を2020年6月末から2021年3月末まで延長するとありました。

以下名古屋城総合事務所に問い合わせました。
・当初契約はいつ結んだのか?
 →平成30年7月4日が当初契約。令和2年3月26日に変更契約を結んだ。
 ※平成30年7月4日に名古屋市議会本会議で議決されたため、下記が本契約書として効力を生じました。
  参考 平成30年5月28日 契約書 名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)
   http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180612-2.pdf
・当初の木材保管期間はどこに書いてあるのか?
 →契約書には記載は無い。
  契約時の価格交渉の中で、保管期間について確認した。
  また、令和元年6月26日経済水道委員会説明資料 に、「木材の製材」工程 として、2020年6月までと図になっている。
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190626.pdf
・令和2年度当初予算1億円と、本変更契約の関係は?
 →本変更契約は、名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)のもの。
  上記のうち、令和2年度は上記予算額1億円。
  (柱や梁などの主架構木材の保管費 令和2年度 1億円)
  http://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000125/125382/05kankou.pdf
・20/4/16支出命令の573,370,000円はどこの予算か?
 →令和元年度予算 木材の製材に関する予算

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木材の製材費用として、94億5189万3240円(変更後)の契約を竹中工務店と結んでいますが、いまだに現天守閣の解体すらめどがたっていません。
上記のうち既に少なくとも27億6937万円を支出しています。
木材の保管費用として年間1億円がかかるとのこと。
いつまで保管し続けるのでしょうか。
なお、「全責任は私が取る」と2015/8/24に河村市長は名古屋市市民経済局長に指示書を出しています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf

今後名古屋城について、市民はどうすればよいのでしょうか。

20/7/6 名古屋城天守閣木造化 河村市長 コロナ・毀損事故の完成スケジュール影響を答えず

20/7/6に河村たかし名古屋市長定例記者会見がありました。
・令和2年7月6日名古屋市長河村たかし定例記者会見
 43:06-47:40
 
https://www.youtube.com/watch?v=fWB1hj9WuLs
・20/7/6 河村たかし名古屋市長定例記者会見(名古屋城部分)
 (名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200706.pdf

記者から、「新型コロナで部会の開催が遅れたり、毀損事故があって文化庁への報告事項の回答が遅れており、名古屋城の完成のスケジュールに大きく影響してくるのではないか」と聞かれた河村市長は「毀損のことは文化庁に報告した」とはぐらかしました。

記者から「文化庁から2019/9に出た4つの指摘事項については本来は今年6月くらいに回答すると新たなスケジュールに書いてあったが、まだなされていないのは遅れているのではないか」としました。

・19/9/24 名古屋城総合事務所作成 文化庁打合せメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/191204-7.pdf
 現天守閣解体の現状変更許可申請に対する本市への指摘事項
 <文化審議会の判断>
 <追加情報の提供を求められた事項>
  1.現天守閣の解体・仮設物設置が石垣等遺構に与える影響を判断するための調査・検討について   
   ○内堀の地下遺構の把握、御深井丸側内堀石垣の現況及び安定性を確認するための追加発掘調査
   ○御深井丸の地下遺構把握のための発掘調査
   ○大天守台北面石垣の孕み出しについての調査・検討
   ○天守台石垣背面等の空隙についての調査
  2.現状変更を必要とする理由について 
・20/5/14 名古屋市観光文化交流局
 経済水道委員会説明資料
 名古屋城における遺構のき損事故再発防止対策及び天守閣整備事業に係る「新たな工程」の素案について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200514.pdf

河村市長は「一刻もはやく、石垣・埋蔵文化財部会と天守閣部会の学者が話し合って欲しい」と答えるに留まりました。
-----
上記文化庁の指摘事項のうち、追加情報の提供を求められた内堀・御深井丸、大天守台北面石垣・天守台石垣背面等については、ようやく石垣・埋蔵文化財部会でどこをどう調査するか議論している段階であり、しかも全体整備検討会議(親委員会)が内堀の追加発掘調査の意義を全く理解していないとして、石垣・埋蔵文化財部会委員が怒っています。
新型コロナ・毀損事故がなくても、上記指摘事項について調査が進んでいませんでした。
いったいいつになったら前進するのか全くわかりません。
しかも、何回も名古屋市が文化庁に書類を提出しているにもかかわらず「現状変更を必要とする理由について」を再度提出するよう求められている本当の意味はどのようなものなのでしょうか。

2020年6月末に木材保存期間が切れ、追加の費用がかかるといいます。
名古屋市民オンブズマンは、上記追加費用の契約ならびに名古屋市が文化庁を訪問した際の復命書を情報公開請求しました。
市長がまともに答えないのであれば、情報公開請求で明らかにするしかありません。

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20/7/2 名古屋城石垣部会「どうして内堀発掘調査の意図を全体整備検討会議メンバーが理解していなかったのか ショック」

20/7/2に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第36回)が開催されました。

・20/7/2 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第36回)
 傍聴者配付資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200702.pdf

・20/7/2 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第36回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200702-1.pdf

今回も、マスコミ・傍聴者とも録画・録音は頭撮り以外禁止されました。

今回から、石垣・埋蔵文化財に梶原義実・名古屋大学大学院准教授(埋蔵文化財専門)が構成員として加わりました。

司会である鈴木昌哉・名古屋城総合事務所保存整備室長が写真・ビデオ撮影はここまでといった直後、突然「議事に入る前に、石列毀損事故再発防止策について所長より説明する」と言いだし、佐治独歩・名古屋城総合事務所所長が経緯を説明し出しました。

早口で説明し終わった後、千田嘉博・奈良大学教授は「先程の説明は会議次第のどこに書いてあるのか。文化庁の指摘は極めて重要なところだ」としたところ、佐治所長は「会議次第に書いていない。失礼しました。反省する」と答えました。
千田教授は「取扱いの変更を求めている」とし、宮武正登・佐賀大学教授も「会議次第の 4.報告 に追加して、もう一度口頭に報告すれば議事録に残る」としたところ、佐治所長は「扱いを変える」としました。

次に、議事に移り、本丸搦手馬出周辺石垣の修復について審議しました。
宮武教授は「安定性を目指す比率と伝統性を目指す比率をどうするか。100か0かの議論をされているようだ。古いものを残すには、80対20とか議論はこれから行いたい」としました。
また、西形達明・関西大学名誉教授は「逆石が図面に例示されていない」と指摘しました。
宮武教授は「石材に墨書があるとあるが、何と書いてあるのか。墨で書くのは古い可能性がある。墨書や刻印などプレミアムがついていればぜひ残してほしい」としました。

千田教授は「墨書があった石材は現在どうなっているのか」と質問したところ、名古屋城の担当者は「石を外して下面に向けておいてある」としました。千田教授は「今更遅いがどう保存するか。データでは確認できるが、墨書が消えてしまったのではないか。取り扱いは慎重に」としました。

宮武教授は「石材を補修して使えるか使えないかは、プロの石工の目で判定しないといけない。石棟梁と話したのか」としたところ、名古屋城の担当者は「まだ話していない」としました。

座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「工期が長すぎル。全国でこんな長期にわたっているところはない」とし、宮武教授は「解体してから10数年かかっている。解体着手の時に担当していた人はいるか?0ですよ。どういう方向で始まったのか。何が変化したのかを共有する必要がある。また、担当の人1人が司令塔にならないと混乱する」としました。

続いて、本丸内堀発掘調査について審議しました。
名古屋城総合事務所は本丸内堀に関し、新しく4箇所T型トレンチを行う方針を示しました。

赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は「20/6/22に行われた全体整備検討会議では、かなり調査について批判的・懐疑的意見がでた。『発掘調査は破壊だ』と豪語している人もいた。目的がどこにあるのか?説明不足ではないか。今回の調査は保存のために絶対に必要だと認識している。レーダー探査で赤色になっている部分が西側石垣の下に食い込んでいて、西側石垣の健全性を損なっている可能性がある。学術調査ではなく保存のための調査であることを肝に銘じておしい」としました。

梶原准教授は「レーダーの反応の深さはわかっているのか」と質問したところ、村木誠・名古屋城調査研究センター副所長は「1.2メートルくらい」とし、梶原准教授は「1メートルでは足りない」としました。

千田教授は「今回の内堀発掘調査は、文化庁から指摘があったから行っている。全体整備検討会議に明確に目的を伝えて、各先生に理解してもらう必要がある。このようなことは再三のことだ。親委員会、部会どうしの議論がほぼなにも知らされていない。議論がかみ合わなくなっている。部会運営がまずい。内堀の底に関し、現在の天守閣復元工事の際、本来あってはならないことがあったのではないか。解決しないと石垣保全には問題がある。また、小天守西側について表記されていない。もうちょっと真剣に考えて資料を作ってほしい。」としました。

宮武教授は「どういう順番で調査を始めたか、搦手石垣と同様担当レベルで忘れているのではないか。天守台石垣根石がきわめて不安定の可能性があった。また、北側に常時水がたまっていて、発掘したらゴミ穴が出てきた。昭和30年代に現天守閣復元工事の際の残滓の可能性がある。御深井丸の下にもごみ山があるのではないか。また、地山は根切りも削り飛ばしているところや安定している部分が両方出てきた。最も危険因子だと思われる、レーダー探査で赤い部分をトレンチ入れようとしている。どうして全体整備検討会議が理解していなかったのか。そちらがショックだ。『遺構破壊』と全体整備検討会議の委員が発言したが、事務局はどういう説明をしてきたのか。また、今後発掘調査してわかったらどうするのか。判定ができないとだめ。説明が不足しているのなら、全体整備検討会議でもう一回説明を」としました。

佐治所長は「貴重なご意見をいただいた。全体整備検討会議に諮る。目的をしっかり説明する。全体と部会をスムーズにいくようにしたい」としました。

宮武教授は「木造工事の案は堀を全部埋めると聞いている。一番不安定なのは、小天守の西側。大正大水害や濃尾地震で石垣が崩落している。事務局でお考えの案はこれだけでよいのか?」としました。名古屋城の担当者は「現在、内堀を軽量盛り土で埋め戻し、仮設を立てる計画を建てている。小天守の南のラインまで埋め戻しをしようという計画をしている。具体的にはN.Vくらいまで」としました。
宮武教授は「濃尾地震で崩壊したところの境目までか。石垣部会何やっているのか?と親委員会にいわれそう」としました。

千田教授は「『内堀を埋めて、解体の仮設を作る』という計画は以前から具体的には聞いていない。極力軽くするといっても、軽量盛り土の文化財への影響はどうなのか。天守台石垣は、旧木造天守が焼けた際、表面が焼けており、表面を触ると壊れる。シート1枚いれても、石が剥離、断裂の可能性がある。本質的な価値を持つ石垣の対策を取ったうえで、可能なら工法がありうるかもしれない。埋蔵文化財としても根石調査が必要。こういう風で担保できるとする必要がある。『調査したから埋め戻しできる』にはならない」としました。

続いて、大天守天守台北面レーダー探査について審議しました。

村木副所長は「20/3/20に石垣部会で報告したところ、『縦方向でレーダー探査をしたが不足している。追加で横方向の探査をしてはどうか』と石垣部会から提案があり、横方向の調査を行いたい」としました。

宮武教授は「この部会はオンブズマンも議会も聞いている。3月の石垣部会で『レーダーが不足しているから横の方向を行ってはどうか」なんて言っていない。文化庁の指摘を受けて行う。部会がレーダーを求めたと言われてもこまる。ファイバースコープ調査では不足していると文化庁から言われた。この経過を共有しないとおかしくなる」としました。

村木副センター長は「文化庁から指摘があり、レーダー探査が不足と私どもから言った。説明が不十分だった」としました。

宮武教授は「西形先生に、北面に関して空洞があるので、なにも補修しなければ持つか持たないかを聞きたい。また、軽量盛り土を外す際の反発も知りたい。」としたところ、西形名誉教授は「抑え盛り土は発泡スチロールの予定。石垣面は影響を受けるほどの力が施工中かからないのではないか。楽観的な見方かもしれない。押さえ土によるリバウンドはそれほど大きくないだろう。問題は焼き石で、表面劣化に対する損傷は残されている。抑え盛り土による石垣への影響はそれほど大きくないだろう」
としました。

続いて、二の丸庭園の発掘調査について審議しました。
まず名古屋城総合事務所から資料の報告があり、今年度発掘調査を5箇所行うと断言しました。

千田教授は「『令和2年度に調査します』と断言したが、あなたは意味が分かって説明しているのか。今回部会で新議題なんだが、どういうつもりで説明しているのか」と
しました。
名古屋城の担当者は「この議題に諮るために報告した。もうしわけない」としました。

千田教授は「どういう調査計画を立てているのか、名古屋城総合事務所内で共有ができていないのではないか。何のために議題に出すか。聞いているすべての人がわからない。認識してほしい」としました。

宮武教授は「今回の発掘は文化財保護法第99条第1項の規定により行う。名古屋市総合事務所が市教育委員会を経由して愛知県に提出する。事前に福岡市などに聞いたが、かなり珍しいパターンだ。土地の持ち主が名古屋市で、史跡の候補地に過ぎない。開発行為を愛知県と名古屋市で行う。開発行為と背中合わせになり、これは毀損事故を懸念する。実際にだれが調査するのか。記録保存もあり得る。最悪なのは、記録保存をし、残ったものだけ史跡指定するというものだ。開発前提か保存前提かで調査がかわってくる。こういう調査を何のために行うのかディスカッションしないと事故につながる」としました。

千田教授は「調査の目的を示さないと審議しようがない。」としたところ、
佐治所長は「最初は報告として出そうとしていた。今回初めてスキームなど報告した。今後詳細な図面を部会に出して、全体に諮りたい」としました。
千田教授は「『最初は報告で出そうとしていた』とはどういうことか。今年から石垣・埋蔵物委員会になったのは、埋蔵文化財に関して、部会で検討できていなかったから、石列毀損事件が起きたという反省からではなかったか。今回しっかり審議する仕組みを作った。『まずは報告で」ではなく、しっかり審議するんだという姿勢を組織として共有してもらいたい」としました。

続いて、冒頭であった毀損事故の報告が再度ありました。
佐治所長は「6月18日に石垣部会に諮った後、6月22日に全体整備検討会議に諮った。それを踏まえ、6月26日に文化庁に再発防止策を提出した。文化庁文化財第二課長からは『全国が注目するプロジェクトを控えている。今回のような過ちを繰り返さないように』と言われた。今後万全を期して行う。今後西の丸について現状変更許可変更を提出するため、修復を含め、全体整備検討会議で検討したい。また、文化庁から出された現天守解体に関する指摘事項について、地元有識者と一つ一つ検討し、毀損地点修復とともにやりたい」としました。

宮武教授は「極めて重要なことを言っている。天守台のことについて、地元有識者と『検討を進めたい』なのか『検討をすすめてよろしい』なのか、なんといったのか。
主語はだれなのか」としました。
佐治所長は「文化庁から直接話がでたわけではない。文化庁から指摘事項が出た事について、平行して進めてよろしいという見解だ」としました。
宮武教授は「毀損問題、搦手など解決していない問題がたくさんある。天守台については、既存天守解体に向けた議論について、整理がついたものから有識者に議論してほしいということか?」としたところ、佐治所長は「そういう認識だ」としました。

宮武教授は「あいまいにすると議論の方向が変わる」としたところ、佐治所長は「『並行してすすめていただきたい』がすべて」としました。

赤羽委員は「市長が文化庁に行ってコメントを出されている。これでは、並行して進めていって結構という認識だ。文化庁が認識しているのか、名古屋城が認識しているのかどちらなのか。そもそも認識とはどういう意味なのか?」としたところ、佐治所長は「進めていただいて結構と双方が認識していると理解している」としました。
赤羽委員は「文化庁第二課長とお話しされた記録を文書として残して私たちに提示していただきたい」としました。

最後に、千田教授が「竹中工務店がネットの記事で、『木造天守について免振ダンバーを入れる』とあり、素晴らしい技術だと思う。しかし、石垣については、竹中工務店は事実関係を認識されていない。文化庁から指摘があったとプロジェクト総合調整室長自ら述べている。石垣部会から様々な懸念や調査が必要だと指摘してきたが、竹中や当時の名古屋市はそれを汲むことなく文化庁に対して解体現状変更許可申請したが、文化庁から『継続審議』、つまり評価されなかったという経緯である。 名古屋城総合事務所はプロポーザル方式で選ばれた竹中と一緒に仕事をするのであるから、実施責任者の室長が事実と違うのを出すのは望ましくない。名古屋市の側としても『名古屋市は知りませんでした』でよいのか。竹中の意識、認識は部会に対して軽視している。今後注意してほしいし、竹中とよく話し合ってほしい」としました。

終了後の記者会見はありませんでした。

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開始前、名古屋城の担当者が傍聴している私のところに来て、「ご要望のあった部会の議事録をホームページに載せた」と言いました。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2020/03/20200331_993.html
しかしながら、2019/12/26天守閣部会の議事録は掲載されているものの、19/8/5石垣部会の議事録はいまだに掲載されていません。

石垣部会・天守閣部会・全体整備検討会議(親委員会)の議事録を即作成し、共有するだけでも相当部会同士の誤解は解けるはずですが、なぜか名古屋城総合事務所は行いません。録音・録画をマスコミ・傍聴者に許可すれば、すぐにでも議事録が出来ますし、動画であれば誰でも確認出来ますがそうしません。

新型コロナウイルス対策として、国の有識者会議では審議会自体をWEB会議にし、それをそのままYouTubeで生中継しているものもあります。時代は変わっているのです。

名古屋市だけが旧態依然としたやり方をしており、そのせいで事業が全く進まないどころか、有識者会議同士の対立という全国的に見ても極めて珍しい状況が生まれています。

かつて名古屋市民オンブズマンは、名古屋市・名古屋市長が「市議会」「市民」「文化庁」「天守閣部会」「石垣部会」「竹中工務店」それぞれに都合のよいことを言ってきたことを「6枚舌」と表現しました
審議会議事録をすぐに作成して共有し、さらに文化庁とのやりとりを市民に公開すれば、何が問題となっているのかが一目瞭然となります。
しかしながら、文化庁と市とのやりとりは、名古屋市民オンブズマンが情報公開請求していても肝心な部分は非公開にし続けています。

2020年6月末に竹中工務店との契約が切れ、あらたに木材保管代として竹中工務店に最大年間1億円を支払う契約が結ばれたはずです。
情報公開がきちんとされず、市民が政策を判断できない状態になると本来払わなくてもよかった税金が投入されることになるのです。

このままでは、第二、第三の史跡毀損事故が起こるでしょう。

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今後の予定

・20/7/11(土)午後1時30分〜 「北生涯学習センター」第1集会室
 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」月例勉強会
・20/8/6(木)午後2時 名古屋地裁1階1号法廷 
 名古屋城基本設計住民訴訟第八回公判
・20/8/31(月)午前11時30分〜 
 名古屋城文化庁訪問時面談記録情報公開訴訟(WEB会議・非公開)

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2020.06.09 施工の神様 大石恭正
“歴史ロマン溢れる” 巨大プロジェクト。名古屋城天守閣木造復元に挑む竹中工務店
https://sekokan-navi.jp/magazine/36588?fbclid=IwAR3Dm_f76rr7UV7k04n1aKubG8j6Nr2rV2COiMmTrOEsA4o0q0yb4IEHT_0

東芝エレベータ株式会社
武将の性格がお城から見えてくる!お城の造りをヒントに建築設計を考える
https://www.toshiba-elevator.co.jp/elv/column/new-sales/castle/


20/6/23 名古屋城情報公開訴訟 原告「防災拠点位置を非公開にするということは、警察署や消防署の場所を非公開にするという理屈と同じか?」

名古屋城天守閣木造化をめぐり、名古屋市が文化庁訪問時の復命書等の情報を非公開にしたのはおかしいとして、名古屋市民オンブズマンが公開を求めた情報公開訴訟の弁論準備が20/6/23に電話会議(非公開)で行われました。

非公開文書
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200203-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-2-1.pdf   
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-3-1.pdf

68箇所の非公開部分に関し、どのようなことが書かれているか、どうして非公開にするかを市側が説明し、原告側が反論し、市側が再度反論することを一覧表形式でまとめています。

市の主な主張は以下です。
・復命書に、名古屋城木造天守閣のバリアフリーに関して、特に木造天守閣の昇降にかかる新技術の国際公募に関連した予算等についての名古屋市長の発言内容が記載されている。
 そのバリアフリーの具体的な方法・予算等の内容については、現時点においては、木造天守閣の昇降に関する新技術の国際公募に向けた事務の途上にあることから、記載されている情報は中間的・暫定的な検討・意見交換の内容であり、未確定な情報であるため、そのような情報が公開されると、未確定な情報が確定したものと誤解され、新技術の国際公募に応募を検討している企業等が未確定情報をもと、応募するかどうかの検討を行ってしまうなど不当に市民(特に応募が想定される企業等)の間に混乱を生じさせる。

・復命書に、本件事業の現状変更許可手続等に関する名古屋市長の発言に対してされた文化庁職員の発言内容が記載されている。
 非公開の場であることを前提とした率直な意見交換が実施されているにもかかわらず、そのような情報が公開されると、文化庁との信頼関係を損ない、かつ、今後硬直的・形式的な議論しか行われず、本件事業を進めて行くに当たり必要な意見交換が行われなくなり、率直な意見の交換が不当に損なわれる。
 本件事業を適切に意思決定を行い進めるに当たっては、文化財保護の専門家である文化庁の知見が必要不可欠であるところ、上記の内容が公開されると、外部からの圧力や干渉等の影響を受けることにより、文化庁から助言や指示等を受けられなくなり、意思決定の中立性が不当に損なわれる。
 上記の内容は、本件事業の現状変更許可手続等に関する中間的・暫定的な検討・意見交換の内容であり、文化庁職員の所見を含む未確定な情報であるため、そのような情報が公開されると、現状変更許可手続等について当該所見を含む未確定な情報が確定したものと誤解され、根拠を欠いた批判的な意見が流布されること等により、不当に市民の間に混乱を生じさせる。
 なお、原告は公開箇所との対比により、本非公開箇所が「一般的要望を行った箇所と考えられる」と主張している。
 「一般的」要望とは何を指すかはともかく、本非公開箇所と原告が挙げた公開箇所について直接の関係性はない。文化庁長官による現状変更許可を取得するためには、本市からの「基本計画書」の文化庁への提出や、文化庁による文化審議会への諮問及び同審議会による文化庁長官への答申が必要になり、本市から「基本計画書」の文化庁へ提出するにあたっては、事前に文化庁との審議の際に肝要となる点等について意見交換をし、過不足のない「基本計画書」を作成する必要がある(準備書面(3)第1の4(1))が、本非公開箇所は文化庁によってなされた本件事業の現状変更許可手続等に関する個別具体的な指摘を含めた言及が記載されており、原告の主張は失当である。

・基本計画書には名古屋城木造天守閣に関する「構造計画の考え方」について記載されている。具体的内容は「木造天守閣の重要な要素である主架構(柱や梁)の構造」に関するものであるところし、木造復元天守に対して、どのような耐震補強が有用であるかなどを検討した結果を示している。
 当該検討の根拠となる地盤調査について、今後更なる詳細の調査を要する点があるものであり、基本的な計画にとどまり、引き続き詳細な検討・修正を要する中間的・暫定的な内容であり、未確定な情報であるため、そのような情報が公開されると、未確定な情報が確定したものと誤解され、当該情報について、自身にとっては耐震性が不足していると感じた市民は木造天守閣の耐震性について不安を抱き、来城することを不必要に躊躇うなど、不当に市民の間に混乱を生じさせる。
 また、当該文書は現状変更許可の取得に向けて文化庁に提出するために作成し、文化庁に持参した資料である。
 これは、現状変更許可の取得や文化審議会の答申及び復元検討委員会の了承も得られていない段階のものである未確定の情報(計画)であるにもかかわらず、そのような情報が公開されると、未確定な情報(計画)が文化庁の了承を得たなど、確定したものと誤解され、根拠を欠いた批判的な意見が流布されること等により、不当に市民の間に混乱を生じさせる。

・基本計画書には名古屋城木造天守閣に関する「防災・避難計画の考え方」について記載されている。具体的内容は「木造化天守閣の火災予防や出火時の対応、また発災時の避難計画」に関し、火災時の観覧者の避難ルートや排煙の方法などを、発生場所ごとに個別具体的に分析し、避難計画を検討している。
 上記「防災・避難計画」は今後、建築審査会による同意を得て、初めて計画として完結するものであり、基本的な計画にとどまり、引き続き詳細な検討・修正を要する中間的・暫定的な内容であり、未確定な情報であるため、そのような情報が公開されると、未確定な情報が確定したものと誤解され、当該情報について、自身にとっては防災として不十分であると感じた市民は木造天守閣の防災について不安を抱き、来城することを不必要に躊躇うなど、不当に市民の間に混乱を生じさせる。

・基本計画書には名古屋城天守閣に関する「防災・避難計画の考え方」として防災設備のうち、その中枢を占める「防災拠点」の配置方法についての説明及び「防災拠点」の位置を示した図面である。
 「防災拠点」には、名古屋城木造天守閣内部に設置される監視カメラを確認する設備等が設置され、警備員が常駐し当該カメラで名古屋城木造天守閣内を昼夜監視することにより、不審な行為及び不審人物の侵入を早期に覚知することを予定している。
 「防災拠点」に関する情報が公開されると、名古屋城木造天守閣へ放火等を企図する人物に対し、犯罪実現の妨げとなる設備の所在地を示すことになり、通常であれば関係者しか知り得ない当該設備の所在地を示すことで、当該設備を無効化し、名古屋城木造天守閣への侵入を容易にするなど、犯罪を誘発し、観覧者や職員等、人の生命、身体、財産又は社会的な地位等の保護に支障を及ぼす。つまり、公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすといえる。
 「防災・避難計画」と「消防計画」は全く性質の異なるものであり、「防災・避難計画」は建築基準法上の適用除外を受けるために必要なものであって、訓練等の理由により公開することが前提となっていない。

・基本計画書に、名古屋城木造天守閣に関する「利活用とゾーニングの考え方」について記載されている。具体的内容は「木造天守閣を竣工後どのように活用するか、また階や空間をどのように利用するか(ゾーニング)」に関し、観覧エリアの場所設定の検討結果が記載されている。
 上記考え方は天守閣整備事業のうち観覧に関する基本的な計画にとどまり、引き続き詳細な検討・修正を要する中間的・暫定的な内容であり、未確定な情報であるため、そのような情報が公開されると、未確定な情報が確定したものと誤解され、根拠を欠いた批判的な意見が流布されること等により、当該情報について、自身にとっては魅力がないと感じた市民は木造天守閣について関心を失うなど、不当に市民の間に混乱を生じさせる。

・基本計画書には名古屋城木造復元天守閣に関する「文献資料」として、現存するどの文献資料を復元の根拠として用いるのが適切かについて、歴史的資料がどのように写本され、どのような変遷をたどったのかをフローチャートを用いることで分析している。
 その分析の判断根拠は他の歴史的建造物の復元時においても、分析の際の材料として流用が可能なものであることから、竹中工務店が持つ独自の技術的ノウハウ(分析時の判断根拠)である非公開とした情報が公開されると、同業他社がそのノウハウを模倣することで、同社の競争上の利益が損なわれることになる
 (当該法人である竹中工務店からもその旨回答を得ている。)。

・復命書には、天守台石垣の保全に関する名古屋市長の発言内容が記載されている。
 非公開の場であることを前提とした率直な意見交換が実施されているにもかかわらず、そのような情報が公開されると、文化庁との間で硬直的・形式的な議論しか行われず、本件事業を進めて行くに当たり必要な意見交換が行われなくなり、率直な意見の交換が不当に損なわれる。
 史実に忠実な復元を目指しながら、耐震性、バリアフリー等の種々の問題を解決して本件事業を進めていくに当たっては、様々な事情を総合的に考慮した上での政治的判断が必要であり、上記の内容が公開されると、外部からの圧力や干渉等の影響を受け、意思決定の中立性が不当に損なわれる。 
 上記の内容は、本件事業に関する天守台石垣の保全に関する石垣部会との仮定を含んだ調整方針などについての中間的・暫定的な検討・意見交換の内容であり、当該箇所については仮定を含んだ未確定な情報であるため、そのような情報が公開されると、仮定を含んだ未確定な情報が確定したものと誤解され、根拠を欠いた批判的な意見が流布されること等により、不当に市民の間に混乱を生じさせる。
 
・復命書には本件事業に関する、特に本件事業に無理解な世論について言及した名古屋市長の発言内容が記載されている。
 非公開の場であることを前提とした率直な意見交換が実施されているにもかかわらず、そのような情報が公開されると、文化庁との間で硬直的・形式的な議論しか行われず、本件事業を進めて行くに当たり必要な意見交換が行われなくなり、率直な意見の交換が不当に損なわれる。
 史実に忠実な復元を目指しながら、耐震性、バリアフリー等の種々の問題を解決して本件事業を進めていくに当たっては、様々な事情を総合的に考慮した上での政治的判断が必要であり、上記の内容が公開されると、外部からの圧力や干渉等の影響を受け、意思決定の中立性が不当に損なわれる。
 上記の内容は、本件事業に関する中間的・暫定的な検討・意見交換の内容であり、当該部分箇所については名古屋市長の所見を含む未確定な情報であるため、そのような情報が公開されると、当該所見を含む未確定な情報が確定したものと誤解され、根拠を欠いた批判的な意見が流布されること等により、不当に市民の間に混乱を生じさせる。

・復命書には、本件事業に関して、木造復元と耐震改修を比較した名古屋市長の発言内容が記載されている。
 非公開の場であることを前提とした率直な意見交換が実施されているにもかかわらず、そのような情報が公開されると、今後文化庁との間で硬直的・形式的な議論しか行われず、本件事業を進めて行くに当たり必要な意見交換が行われなくなり、率直な意見の交換が不当に損なわれる。
 史実に忠実な復元を目指しながら、耐震性、バリアフリー等の種々の問題を解決して本件事業を進めていくに当たっては、様々な事情を総合的に考慮した上での政治的判断が必要であり、上記の内容が公開されると、外部からの圧力や干渉等の影響を受け、意思決定の中立性が不当に損なわれる。
 上記の内容は、本件事業に関する中間的・暫定的な検討・意見交換の内容であり、当該箇所については仮定を含んだ未確定な木造復元のスケジュールに関連した情報であるため、そのような情報が公開されると、木造復元事業についての、仮定を含んだ未確定な情報が確定したものと誤解され、根拠を欠いた批判的な意見が流布されること等により、不当に市民の間に混乱を生じさせる。
 
原告名古屋市民オンブズマンの新海聡弁護士は「名古屋市が防災センターの場所を黒塗りにするという理屈は、『消防と治安の中心』だからという。防災センターは、街で言うところの警察署と消防署にあたるところだ。名古屋市は、警察署と消防署の場所を地図で黒塗りする、という理屈と同じではないか」とし、裁判長も「そういうことですか」としました。
市代理人は「新幹線の運行センターや、県警の交通センターみたいなところ」としました。

弁論準備後、新海弁護士は「名古屋市は、非公開にする理由として『無理解に基づく誤解を招く』ため、と市民のせいにしている。情報公開の理由を突き詰めると、結局くだらない話しになる。当初はびっくりするような話しがでるが、ひっくり返る」としました。

次回は20/8/31にネットで弁論準備(非公開)を行います。

20/6/23 名古屋城基本設計住民訴訟 市「『技術提案書』は一般的な条件を持っているか判断するため」

20/6/23に、「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」が原告となった、名古屋城天守閣木造復元事業基本設計住民訴訟の第7回口頭弁論が名古屋地裁で行われました。

名古屋市は準備書面(5)、証拠説明書(6)、乙24-25号証(歴代2人の名古屋城総合事務所長の陳述書)を提出しました。
https://drive.google.com/drive/folders/1yHgXlyQfARGimt8kuGdrBjowILcaKKWt

名古屋市は準備書面(5)の中で以下述べました。

・「要求水準書」の位置づけは、あくまで受注者に対して実施を要求する業務の概要や必要最小限の業務の範囲、契約や設計に係る条件、水準を一般的・抽象的に示したもの
・「技術提案書」の位置づけは、あくまで公募型プロポーザルの参加者が発注者の求める一般的な条件、水準を満たすノウハウを持っているかどうかを判断するためのもの
・名古屋市と竹中工務店権利義務関係を起立する書面は、「要求水準書」及び「技術提案書」ではなく、契約書、契約約款及び設計図書、図面、業務委託仕様書
・要求水準書のうち、第3章については例外的に受注者が履行すべき義務を定めたものであると主張するのは、設計業務等に関して記載又は提案された事項に限っては、本件契約書等に規定されていることを根拠として、受注者が履行すべき義務となる。
・「技術提案書」についても、設計業務等に関して記載又は提案された事項に限っては、契約上の義務として受注者が履行すべき義務
・「文化庁基本計画書」の用語は、答弁書第3の2(16)(11頁)において定義したもの

次回は20/8/6(木)午後2時 1階1号法廷 となります。

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原告は弁論終了後「『文化庁基本計画書』なるものの定義、要件水準書が『必要最小限の業務の概要』であるとか『設計に係る条件、水準を一般的・抽象的に示したものに過ぎない』という解釈の根拠を求めたが、被告名古屋市において、自身の発言を根拠にする以外、法律、法令等の根拠がない、名古屋市独自の解釈、判断であるとした点を注目したい。」としました。
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名古屋城天守の有形文化財登録を求める会
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle


20/6/22 名古屋城遺構破壊 文化庁担当者「名古屋市は全国の模範になるべきなのに甚だ遺憾」

20/6/22に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第31回)が開催されました。

20/6/22 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第31回)配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200622.pdf

20/6/22 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第31回)
名古屋市民オンブズマンによるメモ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200622-1.pdf

今回も、マスコミ・傍聴者とも録画・録音は頭撮り以外禁止されました。

まず、名古屋市から昨年度の各部会の報告がなされました。
しかし、ただ議題を読み上げただけで終わりました。
(いまだに2019/8/5第32回石垣部会の議事録すら、名古屋城ホームページに掲載していません。)
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2020/03/20200331_993.html

赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長からは「昨年度は建造物部会が開催されなかったが、毀損事故を起こした外構工事計画そのものについて、考えを聞いてもよかったのでは」と指摘しました。

続いて、西の丸遺構毀損事故について、再発防止策と現状の説明がありました。

高瀬要一・公益財団法人琴ノ浦温山荘園代表理事は「今回、掘削にあたって古図を参考にしたようだが、遺構を参考にすべきだった。また、表土直下に遺構があったので、遺構をそのまま見せた方がよかった」としました。
佐治独歩・名古屋城総合事務所長は「遺構をどう見せるか有識者会議に適切に諮っていなかった」ことを認めました。
座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「石列は遺構と認識していなかったのか?」と質問したところ、村木誠名古屋城調査研究センター副所長は「調査の時点で、石列があることは認識し、遺構と認識していた」としました。
瀬口座長は「石列が遺構という認識があれば、コンクリートを打つのは考えられない」と発言し、村木副所長は「盛り土をした上でやればよかった。手法の点で反省点がある」としました。
三浦正幸・広島大学名誉教授は「他の史跡では、遺跡の表示方法として露出にするのか平面にするのか、整備の委員会で諮って審議するのが通常。具体的な施工の方法 盛り土、基礎 表面表示の仕方なども審議する。名古屋城では一切出てきていない。他を参考にしてほしい」としました。
鈴木保存整備室長は「事前に委員会に諮っていなかったのは反省すべき。現在は毀損部分について全力を挙げ、その後先生方に諮りたい」としました。

瀬口座長が、今回の対策についてオブザーバーの山下信一郎・文化庁文化財第二課主任文化財調査官の意見を聞いたところ、「毀損事故に関してだが、本来は名古屋市は政令市なので特別史跡管理団体として全国の模範になるべきだった。文化庁としても甚だ遺憾。今回の再発防止策は丁寧にまとめた印象がある。問題は、まとめたものをきちんと実行することであって、再発防止の文字だけあっても、できなければ何の意味もない。今回、再発防止策として経緯、原因を分析された。肝に銘じて再発防止策、保存整備にまい進してほしい。先生方も、名古屋市を叱咤激励し、二度とこういうことがないようにしてもらいたい」としました。
 
続いて、今年度の事業予定を説明しました。
赤羽氏は「今年度の事業に関し、毀損事故に関してはどこにも書いていない。何にも劣らずやるべき。また、現在考古の学芸員は何人いるのか。学芸員の負担が大きいのではないかということをおそれる。二之丸発掘調査の目的は、緊急調査なのか。不急の事業ではないか。愛知県体育館の移転が見えてきた段階で、どういう調査をするか検討してはどうか。」としました。
村木副所長は、「現在考古の定員は8名だが1名欠員がある。経験が少ない学芸員も多い。十分な体制がとれるのか?と不安がないわけではない。毀損については1年あてて取り組む。ほかの調査が十分できるのか?という指摘だが、学芸員の能力を超える部分があったのではないかと反省している。事業、予定ありきではなく、学芸員ができるところ、整備事業で折り合いをつける。今後、学芸員の能力向上を図りながら、事業に合わせて無理をするのではなく、できる範囲で対応する」としました。

続いて、本丸内堀発掘調査について報告がありました。レーダー探査で反応があった部分を4箇所発掘調査したいとのこと。
水分の量や空隙、金属がある可能性があり、現天守を作る際に出てきたものを埋めた攪乱か、400年前に計画されていたもう一つの小天守の遺構の可能性があるとのこと。

麓和善・名古屋工業大学大学院教授は「4年連続で内堀調査をしているが、計画的にやってきたのではなく、それぞれの年度で不十分な点を解決するためと感じる。今年度で終了するのか。また、西側の石垣の上の方に四角く穴が空いたような線が見えるのは、当初の計画の小天守の名残という説があるが、宝暦に大天守を修理した際の出入り口。大天守の工事が終わってからふさいだと、論文を以前書いたがどうして西側小天守と思い込んでいるのか」としました。
三浦名誉教授も「小天守計画があったにせよ、堀底の下であれば、遺構の可能性はほぼない。信長時代の那古野城の遺構の可能性はあるが、石垣の安定性とは特に関係が無い。トレンチは、東西ではなく南北に1本すればよく、石垣の根元だけやればよい。計画自体おかしいので再検討を。発掘調査は破壊なので、最小限にすべき。地盤が緩くなる。」としました。

続いて、天守台北面石垣の調査について議論しました。
麓教授は「調査がわかったら今後どういう風に進んでいくか」と質問し、村木副所長は「石垣状況把握は、整備をどうするかにかかわらずどう保全するか、保全方針を備えて整備に備える」としました。
麓教授は「それで安定性、安全性が評価できる見込みがあるのか。不足であればどういう処置をとるか、筋道を立てられるか。工学的解析でどの程度見込みがあるか」とし、村木副所長は「調査をして、石垣部会に諮りたい。工学の先生も入った」としました。
麓教授は「他城郭でも石垣調査をしている。どう耐震対策、保全に活かされているか、調べた上で調査を行って欲しい。今の技術でわからないことも多い。『言われたから調査をやった。見解、判断は石垣部会にまかせる』ではなく、もう少し先を読んでほしい」としました。

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終了後の記者会見はありませんでした。

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せっかくの全体整備検討会議でしたが、各部会の議論の内容、特に石垣部会の問題意識が全体で共有されていなかったように感じます。
「石垣部会はただ調査、調査ばかり言っている。いつまでどこまで発掘調査すればよいのか」という、石垣部会以外の委員の不満が聞こえてくるようです。
また、文化庁から、名古屋城木造復元事業に関し具体的にどのような指摘があったのかすら、全体整備検討会議で共有されていない模様です。

20/6/18 名古屋城石垣部会「『はじめから穴蔵石垣解体ありき』はまずい」

20/6/18に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第35回)が開催されました。

200618 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第35回)配布資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200618.pdf

200618 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第35回)
名古屋市民オンブズマンによるメモ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200618-1.pdf

今回も、冒頭挨拶部分までしか録音・録画が許可されませんでした。
文化庁のオブザーバーは今回は参加しませんでした。

はじめに、松雄観光文化交流局長が挨拶した後、名古屋城調査研究センターの村木副所長が、2020年3月に起こした遺構毀損事故の現状について報告しました。
今回、他に不適切な施工等が行われていなかったかどうか調査したところ、以下5カ所で問題が認められたとのこと。
 @現状変更許可申請に記載ない掘削を行った 
 A学芸員の立ち合いなく掘削と基礎施工が行った 
 B現状変更許可申請の範囲を超えて発掘調査をした 
 C学芸員の立ち合いなく掘削 
 D学芸員の立ち合いなく現在の構造物の撤去
それらへの対応策を示しました。
その後、今回の毀損事故の状況を報告しました。
石垣部会構成員からは特に意見はありませんでした。

続いて、本丸搦手馬出周辺石垣修復に関し、逆石安定性実験と石材の再利用について報告がありました。石垣部会構成員の宮武正登・佐賀大学教授は「石垣が不安定だというが、我々が考えるだけで、文化財として400年前からあり、特別史跡を構成する要素だ。プラスアルファをすると破壊行為を行ってしまう」としました。

次に議題に移り、外構工事での遺構毀損事故の再発防止対策について事務局より説明がありました。
宮武教授は「今気付いたのだが、全体整備検討会議に外構工事を諮っているが、それほどディスカッションしている記憶がない。平成24年12月に試掘をして、7年後の平成31年3月に再度調査している。
あくまでも西の丸開発行為の計画から始まっており、7年たって発掘したらあった。それを守る議論がなかったのではないか」としました。
赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は「今日のような六番蔵、五番蔵のような表面展示については当初は話題になっていなかった」としました。
宮武教授は「遺構表示が後追いで入ってきたから、『特別史跡の中に構造物を作る際は、下から何か出ますよ』という立場に立っていなかったのが原因だったことにはじめて気がついた。」としました。

赤羽氏は「フローチャートに『監督立ち会いについて、日々はセンターの学芸員、節目は文化財保護室の学芸員が立ち会うとあるが、文化庁は了解しているのか」と尋ねたところ、文化財保護室長は「現実にこれまで運用ではそうしていた。正確に文化庁にお示しする。文化庁とも調整しながらやりたい。文化庁にはこういう案でまとめていく、と説明している」としました。

宮武教授は「教育委員会の副申で、『差し替えして』はこれまであったのか」と質問し、文化財保護室長は「文化庁への申請書が出る前にチェックしており、出てきたものを副申で却下するというのはない。名古屋城総合事務所と一緒に検討したが、協議の時間がなかなかとれず、チェックがおろそかになったという背景がある」としました。
宮武教授は「文化財保護室は、施工計画の段階からはいっていかないといけない。開発行為がスルーされていたのが原因ではないか。普通の文化財対応が出来ていなかった」としました。

また、赤羽氏は「再発防止対策に、『毀損の状態と今後の修復方針』はない方がよいのではないか。石列は調査しないとわからない」としました。
宮武教授は「この部分は石垣部会のマターではない。親委員会に報告しないといけない」としました。

また、宮武教授は「名古屋市は政令市なので、他事例である県のチェックがなく、第三者の関与がない。何とかならないか。」としました。

次に、名古屋城天守閣整備事業にかかる「新たな工程」の案について議論になりました。

宮武教授は「工程の案に書いてある『穴蔵石垣の解体』とはどこをイメージしているのか」と質問し、名古屋城総合事務所は「現天守を解体するのは上から解体する。穴蔵部分は、SRC鉄骨、柱が穴蔵と接する部分、食い込んでいる部分があり、解体と合わせて調査する。その部分について先生と相談して工法を決める。調査しながらやる」としました。
宮武教授は「先程の議論に戻るが、下の部分を守るという議論に立っていないから毀損事故が起こる。解体できるかどうかはこれからだ。軽々に『解体する』じゃない。
発掘調査するのは2種類ある。
 ・なくなるから記録→特別史跡ではありえない
 ・保全するためデータをえる調査 
この「新たな工程」の案は、解体するための発掘調査をうたっており、さっきの再発防止のフローチャートと一緒に持っていくのは矛盾する。」としました。

名古屋城総合事務所は「現在基礎構造の検討を竹中としている。石垣に影響を与えない工法を考えている。
その上で、解体できるか、解体による石垣影響を踏まえ解体してはいけないのではないかという検討を進めている」としました。

西形達明・関西大学名誉教授は「天守台石垣追加調査が近々に始まる予定だが、具体的な目的と内容はなにか」と質問し、村木副所長は「北面石垣のレーダー調査と、御深井丸の劣化の状況調査」としました。

服部英雄・名古屋城調査研究センター所長は「穴蔵石垣の昔の写真が出てきたが、想像もつかないくらい劣化していた。穴蔵石垣も昭和の改修時に新しい石に変わっている」としました。

宮武教授は「先に計画に出したらまずい。だいぶん痛みがひどいのは承知している。
どうせできるだろうと判断したのが今回の毀損事故を起こした原因だ。ここで出してはまずい」としました。

服部所長は「調査してはいけないのか」と問うたところ、宮武教授は「ぼろぼろだから大丈夫だろうといっても、穴蔵石垣を調査してもいないからわからない」としました。

座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「以前から、特別史跡の本質的価値は石垣にあると言ってきた。 それを保全するためにはどういう手立てがあるか考えている。
 現在、上に建物をつくるという案が出ているが、現在残っている石垣にうまく乗るのかどうかはきちんと議論していない」としました。
 
村木副所長は「穴蔵石垣の解体と書いたのは、昭和の時に手を加えているだろうから、昭和のものをどうするか検討したい。解体を前提と書くのはおかしいのなら、表記の仕方を検討する」としました。
北垣座長は「それはよろしくない。解体の前提にたつ検討がされていない。事前の検討を早急にしないといけない」としました。村木副所長は「穴蔵石垣試掘調査、穴蔵石垣発掘調査を踏まえて、昭和の穴蔵部分は解体したいのだが、『前提として解体する』という書き方は検討する」としました。

赤羽氏は「石垣部会としては、石垣については、天守閣を木造復元しようがしまいが、石垣の保全は重要だという立場だ。
『石垣保全方針に基づき応急対策を実施』とあるが、これは木造復元天守を作るためか?私たちはそうではない。
天守閣木造復元とはすれ違うというか、あくまでも石垣の保全を前提に考えている。
木造復元が目標の工程案を出されても、石垣保全という観点では『そうですか』とは申し上げられない」としました。

村木副所長は「再発防止策は全体に諮りたい」としました。

終了後の名古屋市・石垣部会の記者会見はありませんでした。
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天守閣部会が出来て3年。
石垣部会の議論と完全にすれ違っています。
議事録を共有すればよいのですが、2019/8/5第32回石垣部会の議事録すら、名古屋城ホームページに掲載していません。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2020/03/20200331_993.html

録音・録画も許可されておらず、上記まとめもどこまで正確かわかりません。

石垣部会が懸念している「はじめから開発ありき・第三者チェック無し」の体制が今後も続くのなら、再度の遺構破壊は避けられないでしょう。

今回、文化庁の現状変更許可条件に従わず遺構を破壊しましたが、それ以外に、現状変更許可申請に記載ない掘削を行った、現状変更許可申請の範囲を超えて発掘調査をした、というとんでもないことが新たに発覚しました。

文化庁がなんと言っているのか不明ですし、名古屋市とのやり取りの内容も非公開なのでわかりませんが、文化庁の名古屋市への信頼感は地に落ちていることは容易に想像できます。
このような状況で「新たな工程案」を示しても絵に描いた餅でしかないと思います。
名古屋市は「開発ありき」の姿勢をいつまで崩さないつもりなのでしょうか。

なお、来週にも特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議が開催されるとのことです。
(20/6/19追記 6/22(月)午前10時から行うと発表がありました。) http://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2020/kankobunkakoryu/0000128700.html

20/6/12 名古屋市 2020年度6月補正に名古屋城関係予算計上せず

名古屋市は20/6/12に令和2年度6月補正予算を公表しました。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-17-2-0-0-0-0-0.html
そこには、名古屋城天守閣木造復元関係予算は計上されませんでした。
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令和2年度当初予算は以下計上しています。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-17-1-8-2-0-0-0.html
 名古屋城天守閣の木造復元 6億7740万9千円
  天守閣の整備      2億4507万4千円
   実施設計         8900万  円
   設計監理等支援業務委託  1300万  円
   主架構木材の保管費   1億    円
   発掘調査等        4307万4千円
  昇降に関する新技術の公募1億3168万9千円
  木造復元に向けた機運醸成  2470万  円
  基金の積立       1億     円
  事務費等        1億7594万6千円 
 天守閣閉館中の魅力向上事業1億4280万  円
 石垣の基礎的研究普及事業   1000万  円
 金シャチ横丁第二期整備    2000万 円
令和元年度2月補正予算は以下計上しています。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-16-5-0-0-0-0-0.html
 天守閣木造復元実施設計  1億3100万円(繰越明許費)
 天守閣木造復元の構台等仮設工事費 9億6100万円減額
 債務負担行為(令和2年度以降)11億4200万円全額減額
  
もともと2022年12月竣工を延期したのちの工程のめどが立っていませんでしたが、20/3/2に名古屋市が起こした外構遺構毀損事故の影響で、まったく工程がストップしています。
文化庁と名古屋市との面談の詳細を情報公開請求したところ、文化庁は文化財第二課長が出てきて「大きな問題である。今後の名古屋市の計画においても本当にできるのかと思われる」と発言していたことが判明しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200402-2.pdf

今後木造復元にはいかなる予算がいつ必要なのか、文化庁の現状変更許可は本当に出るのかなど、名古屋市が明らかにすべきことは多々あります。
「本来は令和2年度6月補正予算で●●を計上したかったが、新型コロナならびに外構遺構毀損事故の影響で計上できなかった」ということすらわからないのです。

20/6/13中日新聞には、名古屋市の財政調整基金が2020年4月の100億円から、2020年6月時点推定では3.2億円に激減したとありました。
https://www.chunichi.co.jp/article/72415
記事には、南山大総合政策学部の森徹教授(地方財政論)の話として、「さらに新型コロナ対策を取る場合は、優先順位の低い政策をやめなければいけない。」と述べたとあります。

名古屋城天守木造復元は、市民の間でも極めて優先順位が低いものです。「新型コロナ対策をやめて名古屋城天守木造復元を優先すべき」という名古屋市民がいたらお教えください。
しかも実現するかどうかすらわからない、万が一無事木造復元が実現したとしても、あと何年かかるか、いくらかかるのかすらはっきりしません。
完成後の来場者数、メンテナンス費用等も新型コロナウイルスの影響を加味した試算はされていません。

令和2年度6月補正予算が公表された同じ20/6/12、本丸御殿の観覧が再開されました。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/topics/2020/06/20200611_1008.html
しかし、以下の感染防止策がとられています。
・本丸御殿内は200人の入場制限
・黒木書院・湯殿は引き続き入場休止
・隅櫓、階段体験館は引き続き入場休止
・入国制限地域から14日以内は来場お断り
・東海3県のみ
・行催事中止・延期
新型コロナウィルスの影響がいつまで続くのかわかりませんが、仮に上記と同様の制限が続いた場合、名古屋城木造天守閣には何人が入れるのでしょうか。収支計画はどうなるのでしょうか。
収支計画が崩れるのであれば、まずは「不要不急」の名古屋城天守木造復元をいったん無期延期すべきです。
いつ東海・東南海・南海トラフ地震が来るかもわからないのです。

20/6/12 名古屋城木造復元 天守閣部会座長「行き当たりばったりで長くなるばかり」

20/6/12に名古屋市は特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議天守閣部会(第22回)を開催しました。
毎回ですが、録音・録画は傍聴者ならびに報道機関にも禁止されています。

・20/6/12特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第22回)配布資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200612.pdf
・20/6/12特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 天守閣部会(第22回) 
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200612-1.pdf

議題は、20/3/31に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議に提案された「新たな工程」についてです。

名古屋市は「『新たな工程』を提案したが、新型コロナの影響で2か月ほど遅れている。
また、20/3/2に起こした外構工事毀損事故の対処に全力を挙げており、再発防止対策が関係者のご理解が得られるまで発掘調査できない。2028年10月の竣工を見込んでいるが、工程は延びることもあるが縮むこともある」としました。

小野徹郎・名古屋工業大学名誉教授は「天守台石垣の追加調査や、穴蔵石垣試掘はどうなっているのか。なにをどう調査するのか、石垣部会の了解を得ているのか」質問しました。
村木・名古屋城調査研究センター副所長は「現時点では、遺構の毀損事故があり、石垣、遺構の調査は進めていない。
文化庁から指摘事項があり、調査の準備は進めており、石垣・埋蔵文化財部会に早急にお諮りしたい。了解については今後審議をお願いする。何をどこまで目標にするかは今後検討する。」としました。

古阪秀三・立命館大学客員教授は「石垣部会は天守閣部会より前から存在しているが、これまで何をしてきたのか、今後何をするのか名古屋市の説明では全くわからない。石垣はそんなに難しいはずはない」としました。
佐治・名古屋城総合事務所所長は「石垣・埋蔵文化財部会には順次諮っている。全体整備検討会議に諮って、部会におろしてという手法をとっている」としました。
古阪客員教授は「回答になっていない。新型コロナ対策でも、日本政府は他国と比べてやり方が見えているか非常に疑問がある。契約が基本である。日本もそういう風に変わっていくべき」としました。

座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「天守閣部会は3年間復元検討をやってきたが、いまだに石垣部会が何をやっているのかわからない。名古屋市から情報が出てきていない。『順次図れるものは諮っていく』ばかりで、工程を考えるにはなっていない」としました。
佐治所長は「文化庁から指摘事項があり、追加情報をお返しするため全力を尽くしている。いつまでに検討を終えて、文化庁に返すかお示ししたい」としました。

川地正数・川地建築設計室主宰は「今ある天守は2年前から入場禁止という異常事態で、一刻も早く木造復元を実現しないといけないというのが市民感覚だと思う。
工程表を見たが、以前は5年で、現在は8年になっている。以前、復元検討委員会は1年(3回)で、今は2年半(8回)に延びた。
8回というのは文化庁とのやり取りで決まったのか。また、解体工事が相当延びている。クリティカルパスは何か。解体工事、準備工事がクリティカルだと理解している」としました。
名古屋城の担当者は「復元検討委員会の回数について、文化庁から言われたわけではない。
ただ、文化庁とのやり取りの中で、前例のない巨大な規模の工事であり、さらに特別史跡の石垣の上に建築するので、名古屋市の想定として2年半としたが、短くなるかもしれないし、もっと延びるかもしれない。
また過去基本設計や石垣調査、実施設計を行ってきた3年間で判明したのは、石垣にいかに影響を与えないような工程を組むかということ。穴蔵部分の解体を進めないとわからない部分もある。短くなることもあるし、長くなることもある」としました。
川地主宰は「解体は慎重にする必要がある。ただ、市民から『いつになったら着工するのか』という声がある。2年半の復元検討委員会を圧縮していただきたい」としました。

麓和善・名古屋工業大学大学院教授は「当初の工程が5年で、現在8年となっているが、当初の工程が他と比べて短いと思っていた。いい仕事をするためには、ちゃんとした時間を取る必要がある。木材加工は前倒しも可能。復元工事が当初の31か月に縛られることなく、適切な工事期間を表したものに直したほうがよい」としました。

小野名誉教授は「文化庁の許可が出るよう全力を注いでほしい。石垣部会が反対しているようだが、石垣のなにをいつまで明らかにすべきかはっきりしてもらいたい」としました。
西形達明・関西大学名誉教授は「私は最近石垣・埋蔵文化財部会に入った。石垣部会としては、天守台石垣の調査をやればやるほど問題が出てきた。石垣の保全が確認できなければ文化庁の許可がでない。石垣部会として、決して復元を遅らせようというのではない。調査を踏まえ、(解体工事の際の)抑え盛り土で石垣が大丈夫かどうか確実に検討したいということ」としました。
古阪客員教授は「西形先生が入られるまで3年間、石垣部会には技術的な検討ができるメンバーがいず、ほったらかしだった。また、市の契約が随分変わっていることは非常に大きな問題ではないか」としました。
西形名誉教授は「石垣の安定性についてなかなか結論が出せない。復元の基本的な考え方は、石垣と木造復元構造は分離された形で計画されている。石垣の変状等が起こっても、天守には影響しないようにという考え方である。むしろ、解体・復元工事によって石垣そのものに影響をあたえないように、変状が起きないようにするため、石垣そのものの安定性、長期の持続性を念頭に置いて石垣の調査をしている」としました。

瀬口座長は「石垣部会で検討していることは、木造復元とは関係ないのか」と聞いたところ、西形名誉教授は「そうですね」と回答しました。
瀬口座長は「石垣部会が危惧されていることが開示されていなく、全然解決していないのではないか。名古屋市がきちんと応えているのか。そこが大きいのではないか」としました。
西形名誉教授は「木造天守の荷重は石垣にかかることはなく、石垣そのものの安定性は維持されるのではないか。ただ、内部構造を調べ、予期しない空洞がないか調査をし、満足されれば工事中の対策について安定性が確保されるだろう」としました。

三浦正幸・広島大学名誉教授は「東南海地震がわりに早く来るのではないかと言われている。石垣は上から荷重をかけた方が安定する。熊本地震では、復元建物が乗っていた石垣は1棟を除いて崩壊した。復元建物が乗っていないものは、明治以降積みなおされた石垣が崩れた。解析が不足している。
現在の名古屋城は石垣に上から重さをかけていない。今東南海地震が来たら、石垣が大事だと言っているがコンクリートケーソンが中にあるために石垣を積みなおした上の方が崩れ落ちる可能性がある。設計を見直し、木造1階2階ができた後、石垣に荷重をかけるべき。また、工事中いつ東南海地震が来たらどう対応するか検討すべき」としました。
名古屋城の担当者は「石垣の安定性について、竹中工務店と工学的解析をしている。ケーソンがあることで石垣にどう影響があるのか、ケーソンがない場合の解析もしている。木造復元したときにどうなるかも解析中。」としています。
西形名誉教授は「地震時の天守構造と石垣の相互作用については複雑な問題があり、工学的手法では答えが出ないのではないか。また、三浦先生ご指摘の上から荷重をかける場合、当然相互作用が生まれる。熊本城については、石垣と天守の振動特性が違っていた。工学的検討は必要だと思う。」としました。

瀬口座長は「工程表にないが、復元検討委員会までになにをどこまで作成するのか。石垣調査はなにをどこまで調査するのか。復元検討委員会とどう関係するのか。
現状は『行き当たりばったり』で、『できたところから部会に諮ります』では、短くなることはなく長くなるばかり。」としました。
古阪客員教授は「竣工がこれだけ長くなると首長も変わる。本当も大丈夫か?世の中に発信しないといけない」としました。
瀬口座長は「次回天守閣部会までに、石垣部会はどこを明らかにしようとしているのか、文化庁に直接会っていろいろ言われていることと、今後想定される宿題についてまとめてほしい」としました。
佐治所長は「文化庁とどこまで調整できるかわからないが提出したい」としましたが、瀬口座長は「文化庁との調整はいらない。名古屋市としてどうするか聞きたい」としました。

川地主宰は「20/3/5新聞報道で、名古屋市は『2028年に延びるけど、事業費505億は堅持、順守する』と言っていたのが違和感を感じた。
木材の製材、保管、乾燥には経費が掛かる。石垣内部の跳ね出し加工見直しには人件費かかる。VEやるというが、コストダウンと同じ。史実に忠実なプロジェクトにVEはそぐわない」としました。
名古屋城の担当者は「505億円をどうしても守るが、質を下げることはよくない。期間が延びる際、基本協定に基づき、価格交渉を行う。竹中と協議をして、膨らむことはないように交渉する。505億に収まるか。そうじゃなくなるかもしれない。説明責任がある。目標は505億円」としました。
次回天守閣部会は7/10(金)予定とのこと。
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2017年5月10日に第1回天守閣部会が開催されて早3年。
天守閣部会と石垣部会は意思疎通がいまだにうまくできていません。
2019/8/5第32回石垣部会の議事録すら、名古屋城ホームページに掲載していません。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2020/03/20200331_993.html
いったい文化庁は具体的になんと名古屋市に言っているのか。
内容は市民にすら非公開です。

現在、名古屋市民オンブズマンは、名古屋市と文化庁とのやりとりの情報公開訴訟を行っています(2018/6/13-9/25分)。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200203-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-2-1.pdf   
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-3-1.pdf
 
有識者会議を録音・録画禁止しているため、なにが議論されているか、有識者会議同士も理解しておらず、市民も理解できていません。
問題点をきちんと明らかにすれば、2028年に完成ができるどころか、到底木造復元など着工すらできない状況なのではないでしょうか。
委員も指摘していましたが、2028年に竣工が延期されることで505億円が増える可能性もありますし、少なくとも1年で木造保管費用が約1億円かかります。
現天守閣解体すら見通しが立たない名古屋城木造復元事業は無期延期がよいのではないでしょうか。

20/6/4 「不要不急」の名古屋城天守閣木造復元事業は無期延期を!

新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、全世界で懸命な努力がなされています。名古屋市も膨大な財政支出を行い、影響を最小限に食い止めようとしています。
 しかしながら、河村たかし名古屋市長は、505億の総予算を見込みながら完成のめどがいまだに立たない名古屋城天守閣木造復元事業を引き続き行う姿勢を崩していません。

文化庁から多数の指摘事項あり

 河村市長は、現天守解体工事に着手出来ていないという理由で、19/8/29に当初の2022年12月末竣工を断念しました。
 文化庁からは、解体工事の足場予定地の内堀や御深井丸の地下遺構調査、ならびに大天守石垣の孕み出しや石垣背面の空隙の有無に関する検討が求められています。
 さらに、現天守解体先行ではなく、「『解体と木造復元を一体として申請した方がよいのではないか』と文化庁の責任のある人が言った」と河村市長は19/9/20に名古屋市議会経済水道委員会で述べています。

平成23年3月報告書「木造復元 文化庁との交渉だけで23年以上要する」

 名古屋市が平成23年3月に作成した「名古屋城整備課題調査報告書」を名古屋城総合事務所から情報提供していただき入手しました。 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/1103.pdf
まず現天守を解体し、石垣を積み直した後、木造復元工事を行うという計画で、文化庁との調整・協議、許可申請期間を含まず約25年、約389.9億円と算出しています。
 名古屋市は「石垣等構造物がないため、より史跡への影響が少ない本丸御殿復元についても、昭和60年に構想検討を開始し、文化庁との度重なる交渉の結果、現状変更許可を得られたのは平成20年であり、23年間を要している。このため、木造天守の復元には、調査・設計期間、建設工事の期間以外に文化庁との協議・調整に長期的な年月を要するものと考えられる。」としています。
 さらに、石垣の解体積み直しの概算工期について、大天守・小天守・共通及び橋台合計で30億8377万9000円、調査に2年4ヶ月、設計に3年9ヶ月、工事に5年1ヶ月かかるとしています。

暫定的耐震補強は約1.7億円 8ヶ月で出来ると市委託報告書

 名古屋城現天守閣について、耐震改修すると約29億円、14ヶ月かかるとされてきました。
 しかし、名古屋市民オンブズマンが20/2/19に名古屋城総合事務所から情報提供していただいて入手した、名古屋市が2017年3月に業者に委託して行った「名古屋城天守閣暫定的耐震補強調査業務報告書」によれば、耐震目標値を下回っている7階部分及び塔屋部での暫定的耐震補強を行うには、1億7172万円、8ヶ月で出来ると記載がありました。
・平成29年3月 株式会社大建設計名古屋事務所 名古屋城天守閣暫定的耐震補強調査業務報告書
@補強計画の耐震診断結果
A補強計画の耐震診断結果の考察 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/1703-1.pdf
G概算工事費及び概算工程表
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/1703-8.pdf

 上記について、市民にきちんと意見を聞いたことはありません。
この報告書の存在もきちんと公開しておらず、今回名古屋城総合事務所に情報提供を求めてはじめて名古屋市民オンブズマンは全文を入手出来ました。


市長 予算提案説明の中で木材保管費1億円に触れず

20/2/19の名古屋市議会本会議で、河村たかし名古屋市長は市長提案説明を行いました。
しかし、「名古屋城天守閣会計では、天守閣木造復元に向けた発掘調査等を予定している。天守閣木造復元工事の工程の見直しに伴い、事業費を減額するほか、1件の繰越明許費、1件の債務負担行為の変更を予定している」のみ延べ、木材保管費1億円には触れませんでした。
完成のめどがたっていないにもかかわらず、木材だけは先行して購入してしまいました。
(2019年7月末現在 木材の製材94億5540万円のうち21億9600万円支出済)
 木材は2020年5月に竹中工務店の保管期限が切れ、年間1億円の追加保管費用がかかります。市議会で懸念が多数出ていたにもかかわらず、名古屋市は押し切って木材を購入してしまいました。
 いったいあと何年木材の追加保管が必要なのか。責任は誰にあるのか。河村市長は全く語りません。

市「2028年10月案は否定しないが、今は申し上げる段階ではない」

 20/2/23に朝日新聞が「木造天守 28年10月完成案 名古屋市 河村市長『反対せぬ』」という記事を載せました。
上記記事によれば、以下の通りです。
・名古屋市は20/2/1全体整備検討会議で新工程案を提示し確定したかったが、工期短縮を求める河村市長から了承を得られず。
・河村市長は「28年10月は最長、最悪の場合の案だ」と、反対はしない姿勢を強調
・市は28年10月案は期間を余裕を持って見積もり直したという
・市は、大幅に計画がずれ込めば訴訟になる可能性もあると懸念
 同日、名古屋市は上記記事を受けて「名古屋城木造復元の竣工時期に関する一部報道にかかる市長コメント」を発表しました。
http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000125995.html
・あたかも2028年10月竣工時期が確定しているかの報道がなされた
・28年10月案が含まれていることは否定しない
・事務方にはさらに調整・検討するよう指示を出している。
 この時期に目標とする竣工時期を申し上げる段階にない
・早く市の案を固め、全体整備検討会議にお示しし、部会の意見も伺いながら最終的に竣工時期を決定したい
 20/2/24中日新聞によれば、「再三の延期を強いられたら事業自体が白紙化する懸念も市内部にある」としています。

市「実施設計 来年度も出来る見込みがない事業が当然ある」

20/2/26に名古屋市本会議で名古屋城天守閣特別会計補正予算について質疑がされました。
令和元年度2月補正予算で、名古屋城天守各特別会計補正予算については、天守閣木造復元実施設計1億3100万円を繰越明許費としています。
その他、天守閣木造復元の構台等仮設工事費9億6100万円の減額、債務負担行為(令和2年度以降)11億4200万円の全額減額を計上しています。
江上博之市議(共産党)の質問に対し、松雄観光文化交流局長は「文化庁から、『解体仮設設置が石垣等遺構に与える影響を判断するための調査検討』、『解体と木造復元を一体の計画として審議する必要があるため、計画の具体的内容の提出』を求められている。木造復元の意義をしっかりと説明し、ご理解いただければ木造復元の議論を始める環境が整うと考える。
 木造復元は実現可能だと認識している。そのためにも実施設計業務を継続して進め、完了させなければならないと考えている。」と述べました。
 江上市議は「思いを聞いたが、実施設計が完成出来る根拠は示されなかった。」としました。
 20/2/28に名古屋市議会経済水道委員会が開催され、江上市議は、「名古屋城木造復元の実施設計が今年度中に出来なかったのは、石垣調査ができなかったことと、基礎構造の方針が出ていないからだ。出来ない部分以外を繰り越すようだが、どうして出来ないのか?」と質問しました。
 荒井主幹は「来年度においてもできる見込みのない業務が当然ある。当面文化庁からの指摘事項に対して対応するが、その部分について繰越したい」としました。

市民3分間演説「木造化より新型コロナ対策を」

 20/2/27に名古屋市議会で市民3分間議会演説が行われました。経済水道委員会では、「観光と災害からみた名古屋城」と「名古屋城木造化について」で市民から発言がありました。
「現在、新型コロナウィルスによる肺炎という災害の真っ最中で、無駄な税金の浪費より、アルコールやマスクがほしい、安心して暮らしていけるのかなどをやってほしい」と結びました。

市議会 実施設計繰越予算を可決

 20/3/3 名古屋市議会経済水道委員会で、名古屋城木造復元事業実施設計繰越補正予算を可決しました。
 共産党以外賛成しました。
市議会では、20/2/28と3/2に質疑がありましたが、共産党以外一言も本件について意見を述べていません。
このような名古屋市の対応について、一言も意見を表明しない、というのはどういうことなのでしょうか。

市「事務方案は28年10月竣工 はね出し架構は見直す」

20/3/4に名古屋市議会本会議が開催され、浅井市議が名古屋城木造復元に関して竣工時期と総事業費、はね出し工法について質問しました。
 松雄観光文化交流局長は「事務方の案として2028年10月が竣工時期で、それ以外は持ち合わせていない。今後3月末にも全体整備検討会議に諮って了解を頂いた上で、天守閣部会、石垣部会に応じて、専門的な見地から議論をお願いしたい」としました。
 さらに、総事業費は「竹中工務店と協議し、2028年までなら事業費が遵守出来ると確認している。さらに、2028年10月を超え、様々な要因により追加費用が必要となる場合があったとしても、505億を堅持できるよう強い決意を持って取り組んでいく」としました。
 最後に、「石垣部会の構成員より跳ね出し工法は認められないと意見をいただいており、文化庁からも穴蔵石垣の遺構が残っていることを前提として基礎構造検討するよう助言をいただいているため、跳ね出し工法は見直す。現在竹中工務店と跳ね出し工法に関わる案について代わる案について他城の整備事例を踏まえ、様々な角度から検討を始めた」としました。

前代未聞の石列毀損事故

 新たな竣工時期のめどはたっていませんでしたが、20/3/2に名古屋城総合事務所が、特別史跡名古屋城跡の石列を毀損するという前代未聞の事故を起こしたことで、全面的に作業がストップしました。
 名古屋市は20/3/5に、名古屋城重要文化財等展示収蔵施設外構工事に伴い、特別史跡の遺構(石列)を毀損したと発表しました。
 名古屋市は「掘削深が遺構面に達しない」と判断したため、学芸員を立ち会わせず掘削を行っていたところ、石列をき損したとのこと。
 石垣部会の千田嘉博・奈良大学教授は、「工事範囲の学術発掘を適切に行ったのか疑問。地下遺構の状況を確認しないまま工事を実施して、管理団体自らが特別史跡を破壊したのであれば、問題はきわめて深刻」とTwitterで述べています。

文化庁文化第二課長「今後の名古屋市の計画においても、本当に出来るのか」

 20/3/21名古屋市議会経済水道委員会で、名古屋市は文化庁から「工事の際は名古屋市文化財担当部局(埋蔵文化財担当)の立ち会い」が条件になっていましたが、名古屋城総合事務所は「節目節目に教育委員会文化財保護室の学芸員が立ち会う」という認識で行っていたと明らかにしました。
名古屋城調査研究センターの村木副所長は、20/3/5に文化庁を訪問した際、文化財第二課長らと面談し以下指摘を受けました。
・大きな問題である。名古屋市がこの掘削計画で立ち会いがいらないという判断をしたというのは遺構保存の認識が甘いと言わざるを得ない。現状変更申請書には重機と人力の併用とあるが学芸員が立ち会っていないと判断できない。副申における教育委員会の判断が甘いということになる。
・今後の名古屋市の計画においても、本当にできるのかと思われる。この先どうするかをよく考えて再発防止策を立てること。
・毀損の届けを出してもらって判断することになるが徹底して再発防止策が求められる。
・外構工事は当面止めてどう毀損したのか、現地の状況をきちっと把握する。原因の仔細も究明しないといけない。どうしてこうなったのか、事実を分析する。さらには検証発掘をする。どう調査させるのかを専門家とよく相談し、現場を見てもらって指導を仰ぐ、そのうえで毀損した箇所をどう修復するかについて有識者も交えて検討する。再発防止策体制の問題を検討する具体的な仕組みとして示していただく必要がある。最後、展示収蔵施設の外構をどうするか、これらの一定の目途が立ってから。

 20/3/11に開催された名古屋市議会教育子ども委員会で、市教育委員会の片岡文化財保護室長は「現在の文化財第二課長に会ったのは初めて。文化庁に赴くと第二課長がいて、『非常に異例、重大な案件であるので課長も出席をさせていただく』と言われた」としました。

自民市議「現天守を登録有形文化財に指定すべき」

 20/3/11市議会教育子ども委員会で、伊神邦彦市議(自民・千種区は「文化庁は、『遺構保存の認識が甘いと言わざるを得ない』と観光文化交流局ではなく、文化財保護室に対して、意見を述べている。観光文化が表にあり、人を入れたい観光をやりたいから、緩い条件で発注してしまう。文化財保護より観光に力が入っている。こういうことを許している名古屋市がおかしい。」としました。
 さらに、伊神市議は「大阪城は築80年で登録有形文化財になっている。名古屋城は築60年で、民間が3分の1を集めたまさに市民の文化だ。聞いたところによると、文化庁は現在の名古屋城天守閣を登録有形文化財に指定してくれともっていくと、文化財に指定しますという。なぜ登録しないのか」と質問しました。
 片岡室長は「登録有形文化財にしたいかは所有者の意向が基本にある。名古屋市は木造復元という取り組みがあるので、なかなかそういう話しにならない」としました。
 伊神市議は「市民の財産、宝なので、登録有形文化財にすべきで、保護しながら、建て替えるのであれば文化庁と打合せをしてやっていくべきだと私は思う」としました。

自民市議「竹中工務店の技術提案方式は崩壊した」

20/3/13に名古屋市議会教育子ども委員会が開かれました。
 伊神市議は「副申書の作成は当分書けない、ということを市長に伝えるべき」としたところ、片岡室長は「市長にきちっと伝える必要があることを今認識した」としました。
 伊神市議は「現天守閣の評価をきちっとして、市民に示し、登録有形文化財にしてもらい、その上でもっと価値のある木造天守に変えていくという筋道をきちんとして文化庁の信頼をもらって進めるのが本来のやり方。それをはしょったのがおかしい。
 また、現天守の解体申請書も、当初は竹中工務店が技術提案交渉方式で2020年までに作ると言った。それが2022年になり、2028年になりいつになるかわからない。
あの技術提案方式の考え方は崩壊した。もうだめだ。納期も出来ないんだから。だから今の解体申請書は取り返すべき。
現天守閣の価値を見定めて、それよりいいもの作りますと復元申請書と副申書を出すべき。竹中工務店の技術提案方式は崩壊した。返してくださいというのが筋だ」としました。

市議会 新年度予算 要望を付して可決
 20/3/16に名古屋市議会経済水道委員会が開かれ、2020年度予算案に対して、 あれだけ熱心に委員会で審議されたにも関わらず、共産党を除く各会派は要望を付して原案に賛成し可決されました。

石垣部会「今回の石列毀損は、仁王像の耳をそいだレベル」

 20/3/20に第34回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣部会が開催されました。
まず、石列毀損について報告があり、宮武正登・佐賀大学教授は「全国的に起こったことはまずない。特別史跡とは、国宝と同じレベルで、いわば仁王像の耳をそいだレベル。しかも保存する立場の市が毀損した。他県であれば、国に審査する前に県がフィルターになってチェックがかかる。しかし政令指定都市である名古屋市は愛知県を通さずストレートにいっちゃう。前回も、事業計画について政令指定都市と県の関係はあるものの、愛知県にアドバイザーとしてみてもらえないかと提言した。制度的にできないのは承知しているがなんとか検討して欲しい。
 唯一外的チェックは、名古屋市教育委員会の文化財保護室が行っている。副申をとっているはずだが、教育委員会では決裁をとったのか」としました。
 文化財保護室長は「現状変更許可申請のとき、副申を決裁し、チェックをしているが、今回機能が十分果たせなかった。なぜなのか原因究明等職責を果たすため全力を挙げたい」としました。
宮武教授は「チェックが働いていなかったのは具体的に何がまずかったのか。県に事前に聞くようなシステムを作るとかを検討して欲しい」としました。

石垣部会「現天守解体のため、『内堀を盛り土で埋めること』はできない」

 続いて、天守台周辺石垣の総合外観調査について報告がありました。
宮武教授は「今回出てきたデータで、思った以上に損傷剥離が多いことがわかった。構造的はそれほど悪くはないが、表面がひどい。どう止めるかが重要になる」としました。
 西形達明・関西大学名誉教授は「ビデオスコープ調査では局所的な空洞を調べるが、わかりにくい。レーダー探査は裏の状況をしらべる。現在、現天守解体のため、押さえ盛り土を空堀に入れようとしているが、裏に空洞があると押し戻してしまうことになる」としました。
宮武教授は「押さえ盛り土については部会で議論をしていないが、提案資料を見ると、この設計では出来ないことがわかる。盛り土を撤去した後に、剥離しかかっている石垣面が剥離する。シートをかけて養生しても剥離する。」としました。
西形名誉教授も「一番問題は表面熱剥離。触っただけでもぽろっと取れる。対策は考えないといけない」としました。
千田嘉博・奈良大学教授は「データが集まった。よくここまでこれた。石垣の対策が考えられると思うと感慨深い。焼けたことによる熱劣化はイメージしていたより深刻。しかし、石垣全体としては、大解体しないといけないか?というと、そういう必要性はない。
 すぐ結論というわけではないが、根本的な大規模な積みなおしをせずに効果的な保全策が見えてきたのではないか。
 一方、『空堀を埋めてしまう』と、内部空洞問題、表面が脆弱などで、従来の計画の『直接土が石垣にあたらない』では不十分だ」としました。

河村市長「文化庁に謝りに行かないといけない」

 20/3/23に河村たかし名古屋市長は定例記者会見を行い、文化庁に対して報告して文化庁に謝りにいかないといけない、具体的防止策を講じる必要があるとしました。
 しかし、「石垣部会の調査が3月いっぱいで終わると一部の人から聞いており、追加調査が必要かがわかる、市民で高齢の方は死ぬ前に木造復元天守が見たいと言っている人が多い」と述べました。
 今回の市長の会見では、市民県民国民に対して一言も謝罪の言葉を口に出していません。

石列毀損事故で「木造復元はスタート位置に立てない」

 20/3/31に名古屋市は特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第30回)を開催しました。
冒頭、松雄観光文化交流局長が「石列毀損について、国民の財産を毀損したことについて国民の皆さんに深くお詫びする」としました。その上で、松雄局長をトップとした調査委員会を立ち上げたとしました。
次に、石列毀損について、市長のコメントが20/3/27に発表されたとしました。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/uploads/sicho-comment-R02.03.27.pdf
 その後、再発防止策(中間案)が説明されました。
原因は5つと把握されました。
 ・史跡を保存する共有・連携の仕組みがなかく、個人が判断した
 ・整備部門、調査部門の意思疎通がうまくできず、教育委員会との分担も不明確
 ・工事に至るまでのチェック機能がうまく働かなかった
 ・実際の工事現場での学芸員の立ち合いが確認できなかった
 ・職員の認識の徹底、知識・経験の向上が行われてこなかった

 それを元に再発防止策が提案されました。
 三浦正幸・広島大学名誉教授は「平面表示の方法を普通は検討委員会で検討すべきだが、名古屋城はやっておらず非常に驚いた。表示の仕方自体も委員会で諮ってほしい。また、石列の復元については、考古学の専門家だけでなく建築学の専門家も一緒にしてほしい」としました。
 名古屋城総合事務所の蜂矢主幹は「石列毀損再発防止策が理解されるまで、木造復元はスタート位置に立てない」 と述べました。
 コメントを求められたオブザーバーの平澤毅・文化庁文化財第二課主任文化財調査官は「再発防止策は具体的に示して実効性がある仕組みにしてほしい。主な目的は遺構の保存であって、確認手続きの過剰な充実ではない。麓教授は『エラーは必ず起こる』と指摘した。一連のことを文化庁でも重く見ており、引き続き検討していただきたい」としました。

有識者「法的な取り組みは全体整備の議論になじまないのか」

続いて、名古屋城天守閣整備事業にかかる「新たな工程」の素案が議題になりました。
 赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は、「『実現可能な手順、工程』とあるが、バリアフリーの問題、史実に忠実といいながら、エレベーターや消防法、建築基準法など、現代の基準にあうべきだ。
 法的な取り組みなど、こういうことに入らないと考えているのか。全体整備の会議にはなじまないのか」としましたが、蜂矢主幹は「当然木造復元する際、地震に対する安全性や火災安全性を復元検討委員会に示す必要がある。バリアフリーは復元と並行する形で新技術を公募してバリアフリーをクリアしたい。今後公募する中で昇降する技術が確定したら、全体整備検討会議で諮りたい」としました。

市長「残り任期1年でお城をちゃんとやらないかん」

 20/4/27に河村市長定例記者会見が行われました。
 記者から、残り任期1年でぜひ成し遂げたい政策は何かと聞かれた河村市長は、「減税。議員の家業化を止める。お城はちゃんとやらないかん。こどもが学校が楽しくなるように。」と答えました。

自民市議「穴蔵石垣の現状変更許可申請は毀損事故再発防止策策定の前か後か?」

 20/5/14 名古屋市議会経済水道委員会が開催されました。
 今回の経済水道委員会では、まず再発防止策について議論になりました。
 渡辺義郎市議(自民・北区)が「(石列を毀損した)業者に何も責任はないのか?」と質問し、佐治名古屋城総合事務所所長は「工事を発注する上で、過去の試掘結果や埋まっている可能性を伝えていなかったのが(名古屋城総合事務所の)最大のミスなので、我々に責任があると考えている」としました。
 浅井正仁市議(自民・中川区)は「2020年2月の教育委員会で、教育長は『文化庁の理解を示さなければ副申書は出さない』と明言した。この中間案は正式には文化庁になにもやっていない。御深井丸や穴蔵とかの現状変更許可をとるタイミングはいつなのか。再発防止策が認められたときか、毀損部分の修復案を出したときか、全て修復したときか」と質問しました。
佐治所長は「詳細を文化庁と詰めているわけではないが、私どもとしては、まずは再発防止対策を部会にかけ、意見を頂いて修正して全体会議に戻し、そこで意見を頂いて中間案をとって文化庁に提出したい。文化庁の了解を頂いて整理がついたとしたい。その後必要な調査については、その後努力しながら現状変更許可の手続きをとっていきたい」としました。
 浅井市議は「工程はいいかもしれないが、工期自体は何の意味もない。新型コロナ、毀損とわからない状態。調査が始まってから8年と10ヶ月で間違いなくやるのか」と質問したところ、荒川主幹は「調査がスタートしてからの期間と考えている」としました。
 浅井市議は「吸収とはどこで吸収するのか。2022年の完成の時と同じように思えてしょうがない。本当に名古屋市いいのかなって思う。工期にとらわれず、『調査をしてから』といった文言に変えた方がよい」としました。
 松雄観光文化交流局長は「これまでは工期ありきで、無理に無理を重ねてきた。まず審議会の中で、この手順でよいかを把握し、安全なものに全力を挙げていきたい。市民にわかりやすく説明をし、ご理解頂きながら進んでいきたい」としました。

市長「文化庁からも『木造でやりましょう』とはっきり言われた」根拠資料不存在

名古屋市民オンブズマンは、2020年4月25日中日新聞記事に記載された河村たかし名古屋市長の発言「文化庁からも『木造でやりましょう』とはっきり言われた。」の根拠がわかるものを名古屋市に対して情報公開請求したところ、20/5/20に不存在決定が出ました。http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200520.pdf
 過去の名古屋市が公開した資料を見ても、そのようなものは見当たりません。
現在、名古屋市民オンブズマンは、名古屋市と文化庁とのやりとりの情報公開訴訟を行っていますが、肝心な部分の内容はすべて非公開です。
 ただ、裁判の中で名古屋市は『これだけ資料が豊富な復元は世界に例がない。世界にアピールすることが必要だ』と発言したのが踊りの家元であったことがわかりました。
 今回の不存在決定は、名古屋市がなぜかいまだに最優先課題としている名古屋城木造復元事業の文化庁側の根拠が存在しないことを明らかにしたことで極めて重要です。
 河村市長は、いつ、だれから「文化庁からも『木造でやりましょう』とはっきり言われた」のかを明らかにすべきですし、明らかに出来ないのであれば発言を撤回すべきです。

基本設計住民訴訟 市「『基本計画書』と『文化庁基本計画書』は別」

20/2/26に、名古屋城木造化基本設計住民訴訟弁論が名古屋地裁1102号法廷で行われました。
 市代理人は、要求水準書1章〜2章は義務ではないが、3章は義務だと主張しました。
 原告の森さんは、「以前原告が提出した準備書面に記載した、監督員検査についての市の反論がない。
 また、市は『基本計画書』と『文化庁基本計画書』は別と主張してしているようである。
 これまで市の書面に『基本計画書』という記載がたびたびあるが、『基本計画書』なのか『文化庁基本計画書』なのか、それぞれ求釈明したい」としました。


市 新型コロナ対策で合計約2700億円の補正予算

名古屋市は、新型コロナウイルス対策などで、補正予算を合計2699億7461万8000円組みました。
・補正予算(3月24日付専決処分) 5億5917万4000円
・令和2年度4月補正予算 144億7552万2000円
・補正予算(5月1日付専決処分) 2325億600万円
・令和2年度5月補正予算 224億3392万2000円)
 うち、国庫は2401億1156万4000円、愛知県支出金は70億7178万5000円、名古屋市一般財源は92億1316万1000円です。(基金積戻金98億3316万1000円、諸収入36億494万7000円、寄付1億4000万円)
 これらは寄付以外全て税金です。
 
「不要不急」の名古屋城木造化は無期延期を!

新型コロナウイルスの影響で、大不況になるおそれがあります。また、第二波、第三波に備える必要もあるでしょう。
 木造復元のめどもたたず、実際に法律を遵守した上で可能かどうかもわからず、しかも新型コロナウイルスの影響で、当初想定していたような来客数が見込めるかも全くわからなくなった名古屋城天守閣木造復元事業はまさに「不要不急」ではないでしょうか。
20/4/13河村市長記者会見では、新型コロナウィルスが名古屋城木造復元に与える影響を聞かれ、「今のところ聞いていない。とんでもない状況が起こった場合は別」と述べています。
 また、議会は合法的にストップをかけることができます。
(名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書 第6条の3
 議会の議決が得られない場合は、本事業を中止し、契約の締結をしないことがある)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf
何を優先するのか。河村市長や市議会は真剣に再検討してもらいたいです。


20/5/30 東大准教授「名古屋城エレベーター『本物の城だからつけてはいけない』という議論はおかしい」

20/5/30にLoft PlusOne Westは対談『城と復元 ?熊本城、そして安土と大坂?』を無観客・有料配信で行いました。
https://www.loft-prj.co.jp/schedule/west/146488
【出演】島充(城郭・古建築模型作家)
    海野聡(東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 准教授)
料金:¥2.000
※購入受付期間:20/6/7(日)まで
※アーカイブは、配信終了後、20/6/7(日)23:59まで視聴可能
https://twitcasting.tv/plusonewest/shopcart/6926

対談【城と復元】島 充/海野聡 ダイジェスト
https://www.youtube.com/watch?v=SGdc25OggGI

2部形式で、1部は城郭・古建築模型について。
2部は、名古屋城など復元に関する基本的な考え方について対談しました。

海野聡・東京大学大学院工学系研究科建築学専攻 准教授は「復元するものはどこまでいっても建設年代は現代。現代建築として過去の建築を復元することを忘れてはいけない。」としたうえで、「かつてあった形を考える復元原案と、実際に建てるときの復元実施案をきっちり分けて考えていかなければならない」としました。
その上で、「かつてどのような状態だったかという正確性の担保。その上で現代の社会においてどう考えるかということになる。そういった意味では名古屋城に関して『本物の城』だから (エレベーターを)つけてはいけない、という議論はおかしい」としました。
「『かつてに忠実な姿に再現したい』という現代人の欲求を押し通すためにエレベーターをつけません」というのは多分正しい解であって、『かつてはなかったはずなんだからつけるのはおかしい』っていう議論は捻じ曲がっていると思います。」と述べました。

海野准教授は「復元した時点でそれは本物のお城ではないので、意図的に現在の人がエレベーターをつけないで、かつての姿を実現することを主として押し進める、プロジェクトを推し進めるという判断をするのか。もしくは、現代人がバリアフリーに配慮をしてエレベーターをつけると現代人が判断するといった二つの判断のところで、かつての歴史というところに、エレベーターをつけない責任を転嫁するっていうのはよくないよということです。」と述べました。

20/5/21 名古屋城木造化 河村市長「文化庁からも『木造でやりましょう』とはっきり言われた」根拠資料不存在

名古屋市民オンブズマンは、2020年4月25日中日新聞記事に記載された河村たかし名古屋市長の発言「文化庁からも『木造でやりましょう』とはっきり言われた。」の根拠がわかるものを名古屋市に対して情報公開請求したところ、20/5/20に不存在決定が出ました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200520.pdf

2020/4/25中日新聞市民版「任期残り1年 河村市長に聞く 政治 死ぬまで挑戦 次期市長選 『なかなか悩ましい』」で河村市長は以下述べています。
https://chuplus.jp/paper/article/detail.php?comment_id=737853&comment_sub_id=0&category_id=130&ref=rank
名古屋城の木造化も苦労しましたけど、文化庁さんからも「木造でやりましょう」とはっきり言われた。一番難しいところはクリアしてきたと思いますね。
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名古屋市は、現時点では天守閣木造復元事業に関しては文化庁に対して現状変更許可申請を提出していません。

文化庁は、名古屋市がどのような木造復元事業をしようとしているのか把握していないため、組織として意見を言える状況にないと考えるのが、行政運営の常識です。

仮に、文化庁の担当者の誰かが「木造でやりましょう」と発言したとしても、それは組織としての意思決定ではなく、個人的な感想でしかありません。
その個人がだれかとも河村市長は特定していませんし、公的記録も今回不存在決定が出ました。

整備に関する文化庁の見解は、15/8/29「名古屋城天守閣フォーラム」資料には以下記載されています。
・天守の再建については、整備主体である地元の自治体がどのような整備を行うか考えることが第一
・天守を復元する場合は、原則として材料等は同時代のものを踏襲する必要があるが、それ以外の可能性を排除するものではない
・名古屋城天守閣については、往時の資料が十分そろっていることを踏まえると、木造によるできうる限り史実に忠実な復元をすべきとの意見が出される可能性が極めて高いと考えられる
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/150925.pdf

上記を見る限り、文化庁は一言も「木造でやりましょう」とは言っていません。

15/9/10名古屋市議会本会議で、河村市長は以下述べています。
https://ssp.kaigiroku.net/tenant/nagoya/SpTop.html
今、日本各地で天守閣の再建に向けた動きが進んでおり、例えば、北海道の松前城では、木造復元か耐震補強かの検討が進められております。
 この件につきまして、6月定例会の経済水道委員会において職員から、松前町にお伺いしたところ、文化庁からもRCでの再建はないと、木造復元だという指導を受けたというふうに確認しておりますと答弁いたしました。その後、直ちに私が先方に確認をしたところ、松前城には焼失前の天守についての詳細な図面などがないため、壁の厚さを増すような耐震改修しかできないと思っていたが、文化庁から木造復元でもよいとのお墨つきをいただいた。そのことを踏まえて、耐震改修にするのか、木造復元にするのかを町民の意見を聴取して検討することとしたとの説明を受けました。
 誤った答弁をいたしましたことについて訂正させていただきます。また、まことに申しわけございませんでした。 
平成30年10月15日 市長定例記者会見では以下やり取りがありました。
http://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000110757.html
(記者) そうなると、やはりその2022年末に完成させることを断言するのはおかしいということになりますね。
(市長) そんなことないですよ。そんなことありませんよ、そんなの。
(記者) そこをもう少し、緩やかに考えられないでしょうか。
(市長) いやいや、そりゃ、文化庁だって言っていますから。そんな遅らせるつもりはありません、って。言ってますから、直接、電話ですけど。行く時間がないもんで。誰とはちょっと言いにくいけど、えらい様と話しておりますから。
今回も、河村市長のいつものやりかた「名前を決して明かさない誰かが、自分に都合のよいことを言った」ではないでしょうか。

現在、名古屋市民オンブズマンは、名古屋市と文化庁とのやりとりの情報公開訴訟を行っています。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200203-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-2-1.pdf   
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-3-1.pdf
 
肝心な部分の内容はすべて非公開です。
ただ、裁判の中で名古屋市は『これだけ資料が豊富な復元は世界に例がない。世界にアピールすることが必要だ』と発言したのが踊りの家元であったことがわかりました。

今回の不存在決定は、名古屋市がなぜかいまだに最優先課題としている名古屋城木造復元事業の文化庁側の根拠が存在しないことを明らかにしたことで極めて重要です。

河村市長は、いつ、だれから「文化庁からも『木造でやりましょう』とはっきり言われた」のかを明らかにすべきですし、明らかに出来ないのであれば発言を撤回すべきです。

20/5/14 名古屋市議「名古屋城穴蔵石垣の現状変更許可申請をするのは毀損事故再発防止策策定の前か後か?」

20/5/14 名古屋市議会経済水道委員会が開催されました。

・20/5/14 名古屋市観光文化交流局 経済水道委員会説明資料
 名古屋城における遺構のき損事故再発防止対策及び天守閣整備事業に係る「新たな工程」の素案について
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200514.pdf
・20/5/14 名古屋市観光文化交流局 名古屋城総合事務所
     名古屋市教育委員会事務局 文化財保護室
 特別史跡名古屋城跡における遺構のき損事故再発防止対策(中間案) 
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200514-1.pdf

・20/5/14 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城部分)
(名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200514-2.pdf

20/3/2に特別史跡名古屋城跡の石列を毀損するという前代未聞の事故を起こした名古屋城総合事務所は、再発防止策を取りまとめ中です。
また、天守閣木造復元事業は当初の2022年竣工目標を断念し、「工程を積み重ねれば2028年までにできる」としてきましたが、上記毀損事故を踏まえ、「石列毀損再発防止策が理解されるまで、木造復元はスタート位置に立てない」 (20/3/31 蜂矢主幹発言)としています。

今回の経済水道委員会では、まず再発防止策について議論になりました。
渡辺義郎市議(自民・北区)が「(石列を毀損した)業者に何も責任はないのか?」と質問し、佐治名古屋城総合事務所所長は「工事を発注する上で、過去の試掘結果や埋まっている可能性を伝えていなかったのが(名古屋城総合事務所の)最大のミスなので、我々に責任があると考えている」としました。

次に、工程について議論になりました。
江上博之市議(共産・中川区)は、「@現天守の解体や仮設物設置が石垣等遺構に与える影響 A基礎構造のはね出し架構について、今年7月か8月にできるような書き方がしてあるがそんな段階か」と質問しました。

名古屋市観光文化交流局名古屋城調査研究センターの村木副所長は「@については今年度に入ってできるだけ早く行う計画を立てていたが、昨今の事情で有識者会議等が出来ず、調査が遅れている。状況が許せば早急にお諮りして調査を開始したい。」としました。
早川主幹は「Aについては穴蔵石垣試掘調査の結果をもって見直しを考えたい。2ヶ月程度遅れているが、全体の中で吸収していければよい」としました。

江上市議は「毀損事故の再発防止策ができてから次へ進めないと考えているのか」としたところ、佐治所長は「まずは毀損の再発防止策を徹底して整理したい」としました。

浅井正仁市議(自民・中川区)は「2020年2月の教育委員会で、教育長は『文化庁の理解を示さなければ副申書は出さない』と明言した。この中間案は正式には文化庁になにもやっていない。御深井丸や穴蔵とかの現状変更許可をとるタイミングはいつなのか。再発防止策が認められたときか、毀損部分の修復案を出したときか、全て修復したときか」と質問しました。
佐治所長は「詳細を文化庁と詰めているわけではないが、私どもとしては、まずは再発防止対策を部会にかけ、意見を頂いて修正して全体会議に戻し、そこで意見を頂いて中間案をとって文化庁に提出したい。文化庁の了解を頂いて整理がついたとしたい。その後必要な調査については、その後努力しながら現状変更許可の手続きをとっていきたい」としました。

浅井市議は「工程はいいかもしれないが、工期自体は何の意味もない。新型コロナ、毀損とわからない状態。調査が始まってから8年と10ヶ月で間違いなくやるのか」と
質問したところ、荒川主幹は「調査がスタートしてからの期間と考えている」としました。

浅井市議は「吸収とはどこで吸収するのか。2022年の完成の時と同じように思えてしょうがない。本当に名古屋市いいのかなって思う。工期にとらわれず、『調査をしてから』といった文言に変えた方がよい」としました。
松雄観光文化交流局長は「これまでは工期ありきで、無理に無理を重ねてきた。まず審議会の中で、この手順でよいかを把握し、安全なものに全力を挙げていきたい。市民にわかりやすく説明をし、ご理解頂きながら進んでいきたい」としました。

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特別史跡名古屋城跡内を発掘調査をするには、文化庁の現状変更許可が必要です。
それには、名古屋市教育委員会の「副申書」を付ける必要があります。

現在、石列毀損事故の再発防止策を策定中です。
20/3/13名古屋市議会教育子ども委員会で、市教育委員会の富沢部長は「経緯、原因究明を行い、事態を収拾し、文化庁等関係者の理解を得るのが最優先で、それらが整うまで次のステップには進めないと考える。正直どれくらい時間がかかるのか全く想像が付かない」としました。

1)再発防止策(案)策定
2)部会に再発防止策(案)をかける
3)全体整備検討会議に再発防止策(案)をかける
4)文化庁に再発防止策(案)を提出する
5)文化庁が再発防止策(案)を了解する

上記ができてはじめて、@現天守の解体や仮設物設置が石垣等遺構に与える影響の検討 A基礎構造のはね出し架構の再検討 ができます。

しかもAについては、穴蔵石垣試掘調査の結果を待ってから行います。
穴蔵石垣試掘調査も、現状変更申請が必要です。

今回も名古屋市は工程表を示してきましたが、穴蔵石垣試掘調査は2020年夏頃終わる予定となっていました。基礎構造検討も2020年夏過ぎとなっていました。
スケジュールは全くめどが立っていないといっていいでしょう。

20/4/27 河村市長 残り任期1年で「お城をちゃんとやらないかん」

20/4/27に河村市長定例記者会見が行われました。
45:58-49:16
https://www.youtube.com/watch?v=86GP3xSbZ6A

20/4/27 河村市長定例記者会見(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200427.pdf

記者から、残り任期1年でぜひ成し遂げたい政策は何かと聞かれた河村市長は、「減税。議員の家業化を止める。お城はちゃんとやらないかん。こどもが学校が楽しくなるように。」と答えました。

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2010年度から始まった名古屋市の市民税減税は、2019年度までで1114億円にものぼっています。
http://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000116/116671/1yosannoaramasi.pdf

名古屋市が行った「市民税5%減税検証報告書について(平成29年度)」では、名古屋市計量モデルによるシミュレーション分析の結果、市民税5%減税を実施しなかったと仮定した場合における10年間の市内総生産(名目)や民間最終消費支出(名目)、企業所得の伸び率は、今回は政府支出に減税相当額に加え、一定の仮定を
置いた前提のもとで国庫支出金等を上乗せしたことにより、市民税5%減税を継続して実施した場合における伸び率をいずれも上回る結果となりました。
http://www.city.nagoya.jp/zaisei/page/0000099733.html

名古屋城木造復元に関しては、まったくめどが立っていません。
行政が新型コロナウイルス対策に全力を注ぐ中、名古屋城木造復元はまさに「不要不急」の事業ではないでしょうか。

2018年度の名古屋市の児童相談所における児童虐待相談は3394件と、対前年度比17.1%増になりました。
http://www.city.nagoya.jp/kodomoseishonen/cmsfiles/contents/0000095/95890/houkokushoR1.pdf

結局、河村市長が2009年4月26日に名古屋市長に当選してから11年間でなにをやったのでしょうか。任期残り1年。きちんと検証が必要です。

20/4/20 名古屋市 名古屋城全面休業1ヶ月で約1.6億円減収と発表

20/4/20に河村市長定例記者会見が行われました。
17:32-20:25 32:20-35:16
https://www.youtube.com/watch?v=67mTMEj5aqE

20/4/20 河村市長定例記者会見(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200420.pdf

その中で、記者から名古屋城全面休業による入場料減収を聞かれた河村市長は「全面閉園する20/4/10〜20/5/10までを、昨年同期(19/4/10〜19/5/10)の来場者数と比較すると、約40万人のマイナス、約1億6000万円の落ち込みとなる」と自分で発言した直後に「どえりゃないかこれ。間違いじゃないか?1ヶ月か?毎月1億か?間違いないか?」と発言しました。

担当者は「昨年は当該期間に約40万人の入場者数があった。それが減少すると、単価をかけて約1億6000万円減収となる」としました。

河村市長は「毎月か?年間の?平均か?」など、見当違いの発言を繰り返しました。

河村市長は「1年間閉鎖すると入場料収入はいくらなくなるのか」と記者会見中に担当者に聞いたところ、「昨年実績が約200万人、約8億円」としました。

河村市長は「それは大きい」としました。

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20/1/27以降、中国政府が中国人団体ツアー販売を禁止してから、名古屋城の入場者数は激減していました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/201901-202001.pdf

河村市長は、年間入場者数、年間入場料収入もきちんと把握していなかったようです。

もっと問題なのは、今後新型コロナウイルスの影響がいつまで続くのかわかりませんが、仮に数年・数十年続いた場合、木造復元天守の建設費505億円、維持費などはおろか、現天守閣・本丸御殿の維持費・人件費すら払えなくなる可能性があります。

◯平成28年3月10日(木曜日)名古屋市会経済水道委員会
◎下山市民経済局名古屋城総合事務所長
 名古屋城の管理運営費ということで、職員の人件費、平成28年度予算ベースでございますが、3億2400万円余、それから、管理運営費といたしまして3億9600万円余という、その他、イベントや何かは別途でございます。
 本丸御殿の運営は1億4100万円でございます。

20/4/13河村市長定例記者会見では「名古屋城の木造化復元の影響はない。今んとこはね。いやいやとんでもない状況が起こった場合はですね、その場合は別ですからねこれ。」と発言しています。
http://www.city.nagoya.jp/mayor/page/0000128059.html

すでに「とんでもない状況」は起こっていると考えます。
名古屋市はいつになったら善後策を考えるのでしょうか。


20/4/17 名古屋城木造復元 2019年度木材の製材に9億5400万円支出

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)の支出(2019年度分)を情報公開請求したところ、19/12/25に9億5400万円支出していたことが判明しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200415-2.pdf

木材の製材94億5540万円のうち21億9600万円支出済でしたので、合計31億5000万円支出済となります。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190731.pdf

木材の製材については、竹中工務店と2022/12/16まで94億5540万円の契約を結んでいます。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180612-2.pdf

木材の保管期限は2020年6月で切れます。
令和元年6月24日(月曜日) 令和元年 名古屋市会経済水道委員会
◎佐治観光文化交流局名古屋城総合事務所長 
先ほども御説明申し上げましたが、竹中のほうで木材の調達が進んでおります。竹中の保管の期間が来年6月で終わります
2020年度名古屋城天守閣会計では、1億円が「柱や梁などの主架構木材の保管費」として予算が認められました。
http://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000125/125387/2tokkaimeisai.pdf
http://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000125/125382/05kankou.pdf

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名古屋城木造復元については、全くめどがたっていません。
すでに購入した木材31億5000万円、毎年かかるとされる保管費1億円、その他支出済の基本設計費8億4693万6千円、実施設計費5億9400万円はどうなるのでしょうか。

19/9/2大村愛知県知事は「国、文化庁の許可が下りるめどもないのに100億円の木材を調達して買ってしまった」「どういう経過をたどって何が起こってこういう事態になったのかという事実関係をしっかり検証して、そして、その事実関係を情報公開をしていただきたい」としています。
https://www.pref.aichi.jp/koho/kaiken/2019/09.02.html#4

新型コロナウイルス対策でますます市民の意識から消えていく名古屋城木造復元事業。
しかし、これまで名古屋城木造復元事業にかけた費用は確実にありますし、名古屋市は今後も費用をかけ続ける方針です。


20/4/16 名古屋城木造復元事業実施設計 契約を21/3/26まで延長 約4.1億円減額

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託変更契約書を情報公開請求したところ、当初2020/5/29までの予定が、2021/3/26まで延長変更契約をしていたことが判明しました。
また、4億1022万9360円減額していました。
(合計11億5361万640円)

さらに、上記実施設計業務委託契約に基づいての2019年度分の支出は無かったことが判明しました。

・名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託変更契約書
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200415-2.pdf
 
・当初契約 2020年5月29日まで(15億6384万円)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180523-4.pdf
 
なお、実施設計業務委託費としてすでに5億9400万円支出済です。
・19/7/31 情報提供文書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190731.pdf
 
今後、実施設計の「変更概要書」を追加で情報公開請求し、どこを変更したのか調査する予定です。

20/4/15 名古屋城木造復元事業起債届出書 完成は2031年度と記載

名古屋城木造復元事業について、総務大臣に届け出をした起債届出書(2019年度発行分)を情報公開請求したところ、20/2/4づけで名古屋市が総務大臣に届出をしていたことが判明しました。

・名古屋城 木造復元事業 起債届出書(2019年度発行分)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200415-1.pdf

それによれば、全体計画は起工が2016年度、完成が2031年度となっていました。
(対象 基本・実施設計、現天守解体工事、天守閣木造工事、石垣工事)

2019年度は実施設計で6億9400万円、木材の製材で17億1300万円、木造天守閣実物大階段模型及び展示施設棟建設工事で9050万円を計画しています。

どのように返済するかの具体的な計画の記載はありませんでした。
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20/2/4時点で、完成が2031年度と総務大臣に届出しているので、名古屋市が考える木造復元想定スケジュールがあるはずです。
それを市民に公開すべきです。

なお、20/3/31 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第30回)配付資料では、天守閣木造復元については2028年度となっています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200331.pdf

しかも、その後20/3/2に名古屋市が石列遺構を毀損したことで蜂矢主幹は「石列毀損再発防止策が理解されるまで、木造復元はスタート位置に立てない」 と述べました。
https://ombuds.exblog.jp/28024598/

名古屋市の計画では、木造復元事業費505億円全額を起債でまかなう予定です。
市民へのきちんとした説明が必要です。

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なお、「総務省から受領した、仮に協議したならば同意が認められない場合、その旨通知(2019年度分)」、「総務省に提出した起債計画書等の変更届(2017年度分)(2018年度分)」については不存在決定が出ました。

20/4/13 河村市長「新型コロナ 名古屋城木造化への影響は聞いていない」

20/4/13に河村市長定例記者会見が行われました。
動画 28:34-29:41
https://www.youtube.com/watch?v=XuWuHwg1WMo

20/4/13 河村市長定例記者会見(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200413.pdf
記者:新型コロナウイルスの関係、名古屋城の木造化復元の影響について伺います。感染拡大の影響 長期化することが予想されてますが、木造化への新しい工程の策定ですとかバリヤフリー技術の公募ですとか事業の進捗にどのような影響が出るとお考えでしょうか。

市長:今んとこ本当に聞いておりませんけどね。
しかし、例えば集まっていただいて会合するとかスケジュールについては丁寧にやっていかないと。それは具体的にあるんだろうけども、それもやりようがあるんであってですね。
お城のスケジュールが延びるということは今んとこは聞いておりません。

記者;影響は今んとこはないと。

市長:ない。今んとこはね。
いやいやとんでもない状況が起こった場合はですね、その場合は別ですからねこれ。

記者:分かりました。
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この期に及んでも名古屋城木造復元を推し進めようとする河村市長。
しかも、記者会見を行った20/4/13の午後、翌日4/14に名古屋市議会経済水道委員会が予定されていたのに「都合により延期」と発表されました。
「関係職員が発熱のため」延期とのこと。

20/4/13現在、名古屋市内感染者は延べ194人、死者は19人、公立保育園でも感染者が判明しました。

毎日毎日新型コロナウイルスの話題ばかりで、名古屋城木造天守閣復元について、「コロナウイルス対策より重視」する人という名古屋市民は現時点でいるのでしょうか。

河村市長が「とんでもない状況」と判断するのはいつのことなのでしょうか。

20/4/2 名古屋市教育委員会 特別史跡名古屋城石列毀損状況図面非公開

20/3/2に名古屋市が特別史跡名古屋城の石列を毀損した件について、名古屋市教育委員会が文化庁にどのように報告したかを名古屋市民オンブズマンが情報公開請求したところ、「石列毀損状況」の図面について、「調査途中で中身が確定していないため」として非公開にしました。

・き損届(名古屋城総合事務所保存整備室)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200402-1.pdf
・復命書(令和2年3月5日分)(名古屋城総合事務所保存整備室)
 復命書(令和2年3月9日分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200402-2.pdf
・特別史跡名古屋城跡のき損について、令和2年3月4日に教育委員会文化財保護室が文化庁あて送付したメール
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200402-3.pdf

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なお、特別史跡名古屋城跡毀損の件で、「2020年3月13日名古屋市教育子ども委員会の議論の内容」を市長に伝えた内容がわかるものは不存在でした。(教育委員会文化財保護室)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200402-4.pdf

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今後の予定
・20/4/5(日)14時- 名古屋城桜を見る会(地下鉄市役所駅7番出口集合)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200405.pdf
・20/5/11(土)18:30-「名古屋城の有形文化財登録を求める会」北生涯学習センター第1集会室
・20/5/13(水)午後3時 名古屋城木造天守基本設計住民訴訟 名古屋地裁1102法廷
・20/5/20(水)13時30分〜 名古屋城文化庁訪問時面談記録情報公開訴訟 弁論 名古屋地裁1102号法廷


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