名古屋城 本丸御殿+木造天守閣問題特集

2021年度

22/3/31(木)名古屋城跡全体整備検討会議 文化庁指摘事項への追加回答 概ね了承

22/3/31に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第48回)が開催されました。
録音・録画は今回も禁止されました。

・22/3/31 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第48回)配付資料
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/220331.pdf

・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220331-1.pdf
 
今回、2021年5月に、名古屋市が提出した「現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答」で、2021年度中に調査・検討を実施予定とした各項目について、調査・検討結果を報告しました。

1)天守台石垣の保存方針(案)
2)御深井丸側内堀石垣の保存対策
3)小天守西側石垣の修復した石垣における遺構の保存

それぞれ詳細に報告があり、概ね了承されました。

3)小天守西側石垣の修復した石垣における遺構の保存ですが、石垣部会から「石垣を近世以前に戻すのが妥当だ。明治以降の石垣をどうするのか、全体整備検討会議で検討してほしい。江戸時代の姿がわかった。このまま進めても史実に忠実にならない。江戸時代の本来の姿に戻すのがよいのではないか。それには大規模発掘が必要。」という意見が出たことが紹介されましたが、特に意見は出ませんでした。

2)御深井丸側内堀石垣の保存対策について、麓和善・名古屋工業大学名誉教授は「御深井丸側内堀石垣の修復は、仮設物設置前に行うとのこと。
私が他城郭の石材・石垣修理に関わってきた経験を踏まえて述べると、あまり神経質にならない方がいい。
・亀裂があったらどういう場合でも樹脂を使って修復する
・剥離 大きさにかかわらずなんでもする
ではなく、ある程度の大きさなら補修するという方針がいい。仮設物を作る前にやるなら、それほど時間もないと思う。 拙速に修理をしないようにしてほしい。樹脂を使うか使わないか 慎重に考えてほしい」としました。

また、赤羽一郎・元愛知淑徳大学非常勤講師は「石垣の過去修復ラインが本当なのか。また、石垣等遺構の上を重機が通るのに『レーダーで確認出来たから安全です』と言い切れるのか不安だ。石垣そのものの履歴を調べる必要がある。」と述べました。
麓教授は「今回の目的は『天守復元に向けての仮設計画で、石垣に対して損傷を与えない工法を選択するためにどうすればいいか』というもの。赤羽委員指摘の調査は、時間をかけて名古屋城全体でやった方がいい」と述べました。

小濱芳朗・名古屋市立大学名誉教授は「非接触工法は、上下の梁の支点に圧力が集中する。本来3次元モデルでないとだめ。石垣に悪さをしないため、圧力を分散させる方法を検討してほしい。」としました。
また、「天端のモニタリング設備等、なにか変状があったらわかるよう、常に監視ができるようにしてはどうか。」と述べ、名古屋城総合事務所は今後検討したいとしました。

1)天守台石垣の保存方針(案)は、2段階に分けて考えるとし、
@天守閣整備に関係なく現状、保存考える
A天守閣整備事業にあわせた保全の方針
の@の案を提案しました。

最後に、オブザーバーの平澤毅・文化庁文化財第二課主任文化財調査官は「名古屋市は現天守解体、復元の検討をこれからやると思うが、内容のみならず、実施上のプロセスの中で点検事項はたくさんある。検討を深めて、全体会議でも精緻な議論をしていただけたら」と述べました。

議題は上記で終わり、その後報告事項として、木造天守復元の全体計画策定に係る令和4年度の想定スケジュール、また名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募について報告があり、特に意見は出ませんでした。

最後に佐治独歩・名古屋城総合事務所所長から所長退任の挨拶がありました。
「この3年間で、解体に対する文化庁への現状変更許可申請を出し、それに対する文化庁への指摘事項の回答にめどがたちほっとしている。
『振り出しに戻った印象』もあるかもしれないが、現天守解体時に設置する仮設物の遺構への影響の分析もした。
今後の想定スケジュールにそって、着実に計画をまとめたい。
在任中、特別史跡を毀損する事故が発生したが、職員一同遺構を守る意識を持った。
今後も有識者の皆様には厳しくも温かい指摘をいただきたい」

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2022年度は、バリアフリー新技術の公募開始、木造天守復元を踏まえた石垣保存方針決定、基礎構造の方針決定、「解体と復元を一体とした全体計画」策定など、これまでの矛盾を何らかの方法で解決することが求められてきます。

はたして矛盾は解決するのでしょうか。
年度内に全体計画がまとまらず先送りになるのでしょうか。
矛盾はさらに広がり、収拾が付かなくなるのでしょうか。
なんらかの解決策が見つかり、文化庁復元検討委員会にかけられたとして、現天守解体と復元の現状変更許可が認められるのはいつになるのでしょうか。
また、解体のための仮設物設置をするために内堀を埋める前に、石垣・石材の補修が必要となりますが、それにどの程度時間がかかるのでしょうか。

莫大な労力と税金を投入してきた名古屋城木造復元事業。
2022年度も目が離せませんが、市民の関心は一層薄まっています。
一体誰の何のための事業なのか。市民の理解無くして事業は成功しません。

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22/3/30(水)名古屋城木造復元 文化庁への出張復命書情報公開訴訟 市長発言・石垣保存検討内容等の開示命令 名古屋地裁

名古屋城木造復元事業に関して2018/6/13〜2018/12/10の間に名古屋市職員が文化庁を訪問したときの復命書の開示を求める情報公開訴訟で、名古屋地裁民事9部(日置朋弘裁判長)は、河村たかし名古屋市長の発言部分ならびに石垣保存検討内容等の開示を命じました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220330.pdf

2019/2/21に提訴した当初はほとんど黒塗り(593ページ中562ページ)でしたが、21/9/16に新たな開示決定がなされて、593ページ中90ページまで減りました。

・21/9/16本件処分に基づく開示文書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210916-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210916-2-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210916-2.pdf 
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210916-3.pdf

裁判所は、対象文書を細かく認定して判断しました。
【公開を命じる】
・河村たかし名古屋市長の発言
 本件処分の3年以上前にされたものであり、本件各処分の時点において、内容が確定したものであると誤解される可能性は相当低いというべき。
 名古屋市長の発言のみが記載され、文化庁職員の発言は記載されておらず、文化庁職員の発言内容が公開されるわけではないから、市と文化庁との間の信頼関係が損なわれるとは言い難い。
・文化庁職員の発言(「本丸御殿の工事について」部分)
 本丸御殿の工事は2018年6月に完了しているが、文化庁職員の発言は2018年7月20日の打合せの際であり、既に終了した工事に関するものであり、率直な意見の交換や市の意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれを考慮する必要はない。
・防災及び避難計画の考え方のうち、防災拠点設置場所等と避難イメージ図
 すでに記者クラブ提供資料に記載済み。
・基本設計書中の建設費及び建設業務費の概算工事費
 内容が確定したものであると誤解される可能性は低い。
・「石垣保存の基本的な考え方」「天守台石垣保存に関する基本的な考え方」「天守台石垣保存方針」「城内石垣全体の保存に向けて」「天守閣木造復元事業との関係」について市の検討内容
 本件処分の3年以上前のものであり、文化庁や石垣部会からの指摘を受けて変更を余儀なくされており、変更を余儀なくされたことは既に公表されているから、公開されたとしても内容が確定したものであると誤解されて市民の間に混乱が生じたり、その内容が流布され、市がその内容の既成事実化を図っていると有識者に誤解されたりする蓋然性は認められないというべき
 
【公開を命じない】
・文化庁職員の発言
 市と文化庁との間に率直な意見交換が損なわれる蓋然性が認められる。本件処分時においても本件事業についての議論が継続されている。
・市職員発言(文化庁職員との対話内容)
 市職員の発言が公開されると、その前後の文化庁職員の発言内容を一定程度予想することが可能となるものであるから、市職員の発言が記載されている部分も含めて上記蓋然性が認められるというべき。
・「構造計画の考え方」(竹中工務店の独自のノウハウ記載部分)
 競合他社が模倣したり、参考にしたりすることにより、竹中工務店の競争上の地位が害されると認められる。
・防災及び避難計画の考え方等(防災拠点設置場所等と避難イメージ図を除く部分)
 竹中工務店のノウハウならびに公共安全情報に該当する。

原告の名古屋市民オンブズマンの新海聡弁護士は
「判決で、市長発言について『市民に説明をするのが市の仕事だ』と市に反省を求めている。
名古屋市の情報公開条例は大変できがよいが、近年情報公開訴訟をしてこなかったため、市職員が『公開しない方が楽』となっていたのではないか。
しかし文化庁職員の発言については、現在検討中ということで認められなかった。
竹中工務店のノウハウ部分も認められなかった。
これらを判断するのは裁判所でのインカメラ審理が必要だ。
市は一刻も早く裁判所から開示を命じられた部分を公開すべきだ。」としました。


22/3/29(火)名古屋城跡バリアフリー検討会議委員「『大天守のより上層階まで上がれること』は平等の観点から最も重視されるべき」

22/3/29に、特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議(第4回)が約2年半ぶりにWEBで開催されました。
録音・録画は今回も禁止されました。

22/3/29 特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議(第4回) 配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220329.pdf

メモは後日アップします。

今回は、名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募についてが議題となりました。
まず、これまでのバリアフリー関連の経緯を振り返りました。
名古屋城総合事務所は「本検討会議は、前回の開催後に『次回は公募開始の見通しを示して開催する』とした。前回から約2年半経過したが、この間、公募開始を見合わせていた。令和2年5月にバリアフリー法が改正され、歴史的建造物の復元に際してのバリアフリー整備のあり方における高齢者障害者等の参画などの社会的要請や、令和3年6月の文化庁からの指導による木造復元天守を実現するために必要な手続きへの対応による公募スキームの見直しを行ってきた」としました。

委員からは特に意見はありませんでした。

続いて公募についてスケジュール、目的、概要、今後の進め方を市が説明しました。
主な条件として、「大天守の柱・梁を傷めない」「少なくとも大天守1階に昇降できることとし、可能な限り上層階まで昇ることができること」としました。
また、新年度早々に公募開始、8月ごろ提案書を締め切り、提案書再提出後12月頃審査を行い、最優秀者選定予定(公募開始から約9ヶ月)としました。
また、「加点要求水準」として8項目挙げ、一定の基準を満たさないと最優秀者として選定しないとしました。

それぞれ構成員が意見を言い、名古屋城総合事務所が回答する形式になりました。

野々垣篤・愛知工業大学准教授は「『加点要求水準』8項目の重み付けは違うのか」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「重み付けは、フラットの採点にしている」としました。
野々垣准教授は「バリアフリーの項目の評価によっては最優秀者云々がなんとなくクリアではない。しっかり応募する側の立場に立ったときの平等性が担保されていればいいと思う」としました。

三浦正幸・広島大学名誉教授は「建築士の立場から言えば、柱や梁を変更されると木造建築として成り立たないので問題は無い。加点要求水準は、『可能な限り木造天守の外観や内観を損なわない工夫がなされていること』『木造天守に使用されている木材を保護すること』これだけで十分。」としました。

磯部知彦・中部大学教授は「応募者によって、いいところと悪いところがある場合どうするのか。また、ステップなごやを作ったのなら、応募者に実験してもらいたい」としました。
名古屋城総合事務所は「最優秀の一社は決めたい。上層階まで行けるのなら組み合わせて昇ることも考えたい。障害者団体から、いろんな技術が入ると使いにくいのではないかということもあるので、なるべく技術の数を増やすことなくやっていきたいが、臨機応変に決めることも必要と考えている。階段体験館は、メーカーが使いたいと言うことなら使っていただきたい」としました。

高橋儀平・東洋大学名誉教授は「『加点要求水準』は網羅的に記述していただいたことは悪いことではないが、バリアフリー化するために何が最も重要かということはある。『大天守のより上層階まで上がれること』は平等の観点から最も重視されるべきだと思う。他と同等に評価するのは、評価基準としてはあまりにも漠然としているのではないか。優先順位を設けるべきではないか。
また、評価委員はバリアフリーの技術を評価できる人なのか。既に決まっているというが、どう評価するのか懸念や疑問を持つ。インバウンドの人がどう関与するのか。
さらに、バリアフリー法2020年改正で、文化財を復元するときの当事者参画、高齢者障害者等の参画の話がある。検討の場を設けることになったが、今日の会議には当事者が構成員に入っていないのは大問題ではないか。
評価委員の構成メンバーにも1名は代表者として当事者を入れる必要があるのではないか。利用者は事務局を介して意見する形だが、これを参画と呼んでいいのか。
また、評価委員の中には、バリアフリー検討会議の議論に参加していただいた方が加わる必要があるのではないか。」としました。
名古屋城総合事務所は「『加点要求水準』の優先順位は優劣を付けるのは難しい。何を重要視することは加味したい。評価委員の先生は、6名のうち障害者が2人は入っている。構成員の先生が評価委員になってはということだが、
名古屋城全体のバリアフリーについて。大天守の審査であるし、検討会議で意見を頂くので、別枠で先生を準備した。
技術相談員でバリアフリー検討会議の先生の中で一部協力いただくところもある。」と述べました。

高橋名誉教授は「『団体から意見が出てきたから優劣を付けられない』というのはちょっと無責任。何を重視するのかのは重要な要素。上層階まで上がれないことと、怖い思いをしないことが同列でいいのか。
外に公開し、市民のかたにどう受け止められるのか。評価委員に市民の人はいるのか。全くないのなら市民・権利者・納税者の人からすると少し違うと思う。いなければ加えるべきだ。ワークショップは公開か。」としました。
名古屋城総合事務所は「『加点要求水準』は評価委員の先生と相談して決めたい。評価委員に市民がいるかということかということだが、専門の有識者なので、一般の市民が評価するのは非常に難しい面があるのではないか。開発段階で市民から意見を頂く場は設けたい。ワークショップは非公開を考えている。最優秀者になるまでは秘匿をしたいというメーカーもある。技術の概要は公開できるところは公開していく。」

高橋名誉教授は「ワークショップが非公開なら、利用者はその場にはいないということか。いて非公開の議論が行えるのか。市内の障害者団体がどう関与できるのか。明確に公表しておく必要がある」としました。
名古屋城総合事務所は「障害者団体から参加していただき、事務局で技術をまとめて意見を交換すると考えている。」としました。

矢野和雄弁護士は「高橋先生の意見と重なるが、『加点要求水準』がフラットなのは理解できない。障害者団体と、どこを一番重視しているか突っ込んだ意見交換をしたのか。できるだけ上まで上がりたいというところは基本的なところとして強くあるのではないか。
また、『大天守の1階まで』が最低基準でいいのか。基準を設けた理由を教えて。
さらに、『参画』を実質化する仕組みにしてほしい。」としました。
堀越哲美・愛知産業大学学長は「『加点要求水準』の軽重は他でも事例がある。」としました。
名古屋城総合事務所は「ワークショップ等で高齢者障害者からの意見をどうフィードバックするかは、必要なことは場を設けて意見交換していきたい。1階までは、現状は外部エレベーターが1階まで来ている。そこで内部を見ていただける。内部は江戸期に復元する。大きな柱や梁の内部空間を実体験していただく。まずは1階まで昇降できることを少なくともということで最低要求水準とした。目標は5階までを求めていきたい。
柱や梁を取ると、文化庁の示す復元の基準もあるので、守りつつバリアフリーとするのは非常に高度な技術を有すると考える。」

矢野弁護士は「5階までということは、募集では示されない。『加点要求水準』でも全くわからない。公募の中にどうやって反映できるのか。協議会の場だけの発言に終わるのではないか。また、『バリアフリーと史実に忠実な調和を求める』はよく聞こえるが、回答を聞くとどこに調和を求めるのかは難しい。いろんな考えがある。バランスが取れているのか、正直なところ思うところがある。技術的に難しければ、上を断念するのかどうかは、価値判断となる。」としました。

渡辺崇史・日本福祉大学教授は「『加点要求水準』が同じ評価基準でいいのか。アクセシビリティーと、ユーザビリティが混在している。一番重要なのは『移動を保証していこう』というところ。優先すべきはアクセシブルなもの。基準をつけた方がいい。使い勝手がよくてもだれもアクセス出来ないのは意味が無い。ただ、アクティビティアクセシビリティという観点からいくと、移動はできるが楽しめないということがあると思う。
障害のある人の排除につながる場面もある。教育が入っていない。特別支援学校の見学、地域の学校で車椅子利用とか、行ったはいいができないとなると、排除につながることが考えられる。
史実に忠実は大事な論点だが、利用者の排除につながることはなってはいけない。どんな人がどのようにどんなタイミングで利用するかという観点から検討してほしい。
当事者団体はもちろんだが、教育などの人からも意見を聴いたほうがいい」としました。

名古屋城総合事務所は「『加点要求水準』について、多くの先生が言っているので検討したい。特別支援学校など意見を聴くことは大事。使いやすいもの、排除されないようにを頭に置きながら意見を集めたい」としました。

中嶋秀朗・和歌山大学教授は「全体という視点でみたとき、昇降技術、独立した別の技術として求めているように感じる。
最優秀者1社選定という書き方が、天守を建築する人が入っていない。
移動技術は、鉄道、ローラーコースターにしても、設備と車両で一つなので、天守を作る人とその上を走らせる人、全体像、お互い設備と両方から歩み寄ることで技術が楽になると思う。
天守の作りと一体、一体になって推奨していいのか公募動画を作るときにかいてあるので、公開する必要がある。
技術対話とか、天守を作る人とどういうタイミングで組んで開発するスキームなのか。やるべきなのか。組んでやらないと課題が難しくなる。
また、開発者が1回選ばれると、その中だけで進んでいくことが多い。バリアフリー検討会議が1社選定される過程、選定後にからんで意見を反映できる場所があってもよいと思う」としました。
名古屋城総合事務所は「建物と昇降技術が歩み寄るという指摘は、昇降技術だけでは建物の中に入れるのは難しい。公募期間中でも竹中と情報共有し検討していく。建物側との取り合いは非常に大事な部分となる。手を組んでやっていくのは話している。
開発の中で新しくなったり使いやすくなったりするものは取り入れていくべき。検討会議でも意見を頂きたい。」としました。

中嶋教授は「実際作る側が公募段階で明確に出しているのか、求められたらOKかは大きく違う。公募する側は、そっちまで触れないのではないかと思う。一緒にやる、問題ないということをはじめにオープンにすることが大事。」としました。
名古屋城総合事務所は「建物側の制約で昇降技術がいい物があっても入れられないのは避けたい。いいものなら建物側のやりとりは最初の段階からやっていきたい。パッシブではなくアクティブにやっていきたい」としました。

山田陽滋・名古屋大学大学院教授は「障害者はそもそも今の段階で納得しているのか」としました。
名古屋城総合事務所は「障害者団体からは最上階まで行きたいと求められている。柱や梁を傷めずにどこまでやれるのかというところも出てくると思う。なるべく使いやすい技術を説明して、より上層階まで求めていきたいと説明している」としました。
山田教授は「スパッと言い切れたらいいが、そういうわけではない。障害者の意見をわかった上でしているという理解でいいか。
ワークショップの時期は早めてほしい。公募の期限の前の技術相談の時期にしてほしい。ステートオブジアートだと言って納得させるのもロジックとしてはあると思うが、テクノロジーアセスメントをきちんと情報共有して、これ以上できないというアカウンタビリティーをあげるため、我々すらもわかっていない状況で出てきたものについて後でワークショップを開くのはおそらくガス抜きだろうと思われちゃう。提案の前にないとダメ。4階まではいけるが5階はだめという技術と、5階までは数人ならいけるかもという技術があった場合、皆さんで納得してじゃあどうするか、そこではじめて情報共有の価値が出る。
やらずに4階までという提案で止めて、後でワークショップやったらよろしくない。
我々も含めて技術のギリギリのところは関心が高い。ソリューションを与えるかは事前に考えてほしい。
専門家が提案するとしても、障害者のニーズをちゃんと取り入れて考えているかは、尋ねる障害者によっても変わる。」としました。
また、「階段体験館は最上階が模擬されているか」と質問し、名古屋城総合事務所は「1階から2階の階段を再現している」としました。
山田教授は「4階から5階も階段体験館で推し量れるのか」と質問し、名古屋城総合事務所は「階段の幅が変わっている。もう少し検証がいる」としました。
山田教授は「今から追加で作ってくれというわけにはいかないんですよね。技術相談は、Q&A集を集めて開示していってほしい。最優秀者を選定しないという話があると思うが、他の技術提案を入れることも考えているのか」としました。
名古屋城総合事務所は「組み合わせてできるなら、公募参加者同士の連携も出てくるので、可能ならばそういう提案でも大丈夫と思っている」としました。
山田教授は「そのときの予算は。くっつけると最優秀の方の予算が削られるとできなくなる場合は話は別」と質問し、名古屋城総合事務所は「予算は考えたい。1回今の予算でやっていく。」としました。

小野徹郎・名古屋工業大学名誉教授は「落としどころをどう考えるのかは難しい。全体計画を文化庁へ出すスケジュールとバリアフリーが並行しているのは、前から名古屋市には言っているが技術がある程度出てこないと上の計画が立たない。時期が重なるというのは、上を考えるのに引っかかって、関わるところは、柱梁などの主架構を変更しないというのが入っているだけで、応募者がきちっと新しい技術を提案できるのかが非常に不安に考えている。9ヶ月は短く、新しい技術を木造天守との兼ね合いで提案できるのか非常に心配している。『調和を求める』というのはいい言い方だが、どの辺に落としどころがあるのかという話しと、1階まで、最上階という話しまで出ていて、技術公募の中でどの程度応募者に内容が伝わるのか非常に心配。技術応募自体がいわゆるガス抜きの結果にならないかと心配している。」としました。
名古屋城総合事務所は「バリアフリーがクリティカルパスというか決まらないとという意見だが、9ヶ月、いろんな意見を伺いながら決めたい。意見交換しながら選定してきたい。何とかこうできればいい。ガス抜きと思われてはいけない。意見聴取・発信したい」としました。

川地正数・川地建築設計室主宰は「3点質問したい。
1)3つ項目で公募を受けるが、『地上から大天守地階までのバリアフリーは木造天守復元の設計・施工者にて別途対応予定』とあるが疑問。後出しじゃんけんにならないように公開すべき。
2)審査評価基準は曖昧・漠然としている。安全性と輸送能力に尽きると思う。
 1日2万人と想定している。2016年実測調査では3割の車椅子を含む歩行困難者が1.1%いた。1日220人となる。時間帯によっては2%から4%。1時間7-80人の歩行困難者が来られる。相当混雑が予想される。2016年は75歳以上の高齢者が全体人口の13%くらいだが、2030年には20%ちかくになる。昇降設備の利用者が格段に増えると考えないといけない。一気通貫の昇降設備1台ではとても対応出来ない。何台か設置することでスムーズに対応できるシミュレーションを義務づけないと審査できないのではないか。
3)審査の柔軟性。2025年大阪万博でドローンタクシーが飛ぶかも知れないと言われている。発展のモビリティ技術が進化していく。令和4年度できるのではなく、その後の技術に対して対応出来る審査にしていく必要がある」としました。
名古屋城総合事務所は「1)はそのとおりなので、必要に応じて決まった段階でオープンにしたい。
 2)輸送能力について、まずは技術がどのようなものが提案されるか見てみて、対応出来るか決めたい。その後どれくらいの能力があるか、管理計画で待ち時間が長くなるようではいけない。
 3)は竣工までにバリアフリー環境を向上できるなら導入できればしたい。」としました。
 
小浜芳朗・名古屋市立大学名誉教授は「安全基準をどう考えているのか。特に緊急時の対応策が考えられていないと、移動手段としては問題がある。
最低限の要求で『史実に忠実』は柱や梁を変更しない、取り外して元の状態に戻すとあるが、最低限の制約が出てくる。応募者に明確にしないと、これはできなかったということになる。重量が一定程度以下でないと補強が必要となる。柱梁の配置による設備の大きさなど、専門的な知識が必要じゃないかと思う。福祉施設の設計とか、福祉機械の設備では難しい。公募にあたってどう応募者に伝達されるのか。せっかく応募しても『こんなはずじゃなかった』ということにならないように」としました。
名古屋城総合事務所は「緊急時の安全性は、評価の項目になっている。地震、災害時にフェイルセイフの提案もしていただく。評価はこれから許可認可を取っていく技術もあると思う。安全性が担保できるように、一緒になって許認可も対応していきたい。認証機関のアプローチもはじめている。応募者が理解できるかということは、どういう構造かは理解できないと優れた提案が出てこないと思う。希望される人には守秘義務を結んだ上で設計図の図面を渡すことを考えている」としました。

小浜名誉教授は「開発者がイメージできるような図面、構造的な条件、重量的な問題が大きいと思う。公募時に伝えてほしい」としました。

小松義典・名古屋工業大学大学院准教授は「『可能な限り健常者の移動と同じような時間で移動』と『多人数による反復した利用が可能』がうまく飲み込めなかった。時間当たりの輸送人数を確保するという意味と、障害者が待ちたくないことと重なって書かれている。
提案する方からすれば、1時間当たり200人輸送しないといけないという基準が示されている方が明確。基準と書いているが項目。どういう基準で評価するかは書かれていない。地下階まではエレベーターが想定されているのか。現状だと外にエレベーターが別途付いている。今回は許容するのか。ああいう形はないと示すのか。主架構は変更しないとしても、外壁は穴開けてもいいのか。ちゃんと言った方がいい。
現状のエレベーターエスカレーターは10年くらいしか持たない。更新するわけで、外壁を壊さないと更新できないものでもいいのか。火災等非常時にどう機能できるかは性能条件」としました。
名古屋城総合事務所は「『加点要求水準』の『移動時間』は『健常者と一緒になって移動できる』も入ってくる。総合的に見ながら搬送能力も見ながら相対評価になる。地上から1階までのバリアフリーは、今は大天守1階までつながっている。設計施工者で別途対応は大天守地下1階まで。地上から小天守に入り、橋台で渡って地下1階にはいる。そこまでのバリアフリーは木造復元の設計施工者が対応するということ。
エレベーターは外部あるが、大天守1階につながっているので今回は対象外。
緊急時安全基準は大事なのでしっかりと出てきた技術に対応したい。
維持管理も、費用面について概算を公募の段階でいただく。もちろん検討項目にいれる。
大がかりな工事をしないとリニューアルができないというのはダメと考えている。」としました。

西形達明・関西大学名誉教授は「『大天守の柱梁は傷めない』『可能な限り上層まで登れる』の2つで応募者に意図が伝わるのか。要求水準が10項目ある。安全性・輸送能力というキーワードがある。ある程度応募者に示さないと、十分な条件をそろえた者が集まるのか。
開発費用、導入費用についてわかりやすく説明して。開発費用8000万円が上がっている。試作機作成は最優秀者が決まってから。どの程度の案の提示で評価できるのか。文書だけで評価するのか、担保されているのか。」としました。
名古屋城総合事務所は「安全性、実現性も審査項目に入っている。実現可能性で選びたい。図面は提供しつつ、変なものにならないようにしたい。質問回答の期間は2ヶ月設けている。開発契約と導入契約は、8000万円上限で試作機を作っていただく。実機と導入費用として上限2億円。5階までいけるかどうかというところはあるが、それを想定したもの。」としました。

堀越学長は「公募は進める方向でいいのではないか」としました。

川地主宰は「小野先生が『ガス抜きにならないように』と発言したのが非常に気になった。
公募は普通にやると最優秀な応募者が出てこない可能性が十分にある。個人的には史実に忠実で、可能な昇降設備はあると思っている。
ただ国の許認可が大変厳しいので、審査の柔軟性も含めて、アンフェアにならない範囲で、市側がメーカーにプッシュしながらできるだけ応募をしていただく。」としました。

高橋名誉教授は「なかなかこういう場を持つことができなかった。当事者の参画の仕方は再考すべき。バリアフリー法の改正の附帯決議でも言われているが、今のやり方が参画のあり方なのか。市は『市民は有識者ではない、素人なんだ』という意識の持ち方はよくない。障害を持つ市民が一番知っている。評価委員がどこまで見識を持っているのかもう一度再考すべき。
もう一つ、火災等緊急時、上層階にいる障害者をどう下まで下ろすのかを含めた垂直移動施設であるべき。
最後に、当初計画で河村市長がエレベーターを付けないという判断があったが、今回の公募でどういう位置づけか」としました。
名古屋城総合事務所は「エレベーターを付けないと平成30年に方針を出した際、既存の今ある実用化されてるエレベーターは柱や梁を取らずにというのは非常に厳しいと思っている。エレベーターの技術を使って工夫することによって、名古屋城仕様になるかも知れないが、昇降技術として導入できる可能性があるものは公募で応募していただくのは全然構わない。」としました。

堀越学長は「今日の意見を踏まえて、検討して次の段階にむけて準備していただく方向で」としました。

名古屋城総合事務所は「『加点要求水準』のメリハリ、利用者の参画を深く考え、公募に織り込めるものほあ織り込みたい。
今後昇降技術の公募をはじめて、天守閣全体のバリアフリーの方針を決めていきたい。」としました。

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今回判明した条件は以下です。
・1時間200人
・可能な限り5階まで登れる
・火災時も安全に下まで降りれる
・柱や梁を傷めない
・柱や梁にあまり荷重をかけすぎない
・設備更新の際、大規模に建物を壊さない
・技術開発に8000万円、実機導入に2億円
・日本の厳しい安全基準をクリアする
・障害当事者の意見を事前に聞く
・技術評価者はインバウンドの専門家など

各委員が「最優秀が無いのではないか」「ガス抜きになるのではないか」と心配するのも当然です。
そもそも障害者団体は、「現状(7階建ての5階までのエレベーター)」より後退することを全く認めていません。
こんな状態でどうして無理に国際公募しようとするのか全く理解ができません。

22/3/25(金)名古屋市障害者施策推進協議会で、斎藤縣三・わっぱの会理事長は「文化庁から『バリアフリーをやれ』といわれて無理矢理国際コンペをしようとしているとしか思えない。国際コンペを行い、海外企業を選んでから『実現しませんでした』では無責任であり、日本の信用にも関わる」と発言していますが、今回名古屋市は一言も述べていませんし、経緯にものせていません。
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なお、名古屋市はこれまできちんと関係者と調整もせず、見切り発車で基本設計・実施設計・木材を調達してしまい、2020年度末までで約70億円かけています。木材保管料は今後毎年1億円かかります。

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22/3/25(金)名古屋市障害者施策推進協議会委員「名古屋城木造天守昇降技術国際コンペ 安全性基準をクリアできるか見通しがつかない」

22/3/25に第2回名古屋市障害者施策推進協議会が開催されました。
今回も録音・録画は禁止されました。

・配布資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220325-2.pdf

・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 (名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募について)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220325-3.pdf

今回「名古屋城木造天守の昇降技術に関する公募について」が議題として挙げられました。

名古屋城総合事務所木造天守閣昇降技術開発等担当梅田主幹は「名古屋城木造天守昇降技術国際コンペを行いたい。特定の技術を排除せず、大天守の柱、梁を傷めない方法で、少なくとも大天守1階(地上面から12メートル)に昇降できるもの。まず高齢者・障害者の意見を聴いて、技術選定を実施し再提出してもらう予定。難しい課題が山積だが、目標は5階まで求めるのは変わっていない」としました。
   
斎藤縣三・わっぱの会理事長は「文化庁から『バリアフリーをやれ』といわれて無理矢理国際コンペをしようとしているとしか思えない。
未来の技術を募集しようとしているようだが、最優秀を選び、作ってみて安全性基準をクリアできるか見通しがつかない。文化庁が認めるとしたら、現在可能な技術。
一番重要なのは石垣問題で、解決できないのなら計画そのものがおかしい。
いつまでもしばられて、現名古屋城天守を眠らせたままにしている。はやくこの問題を解決すべき。
国際コンペを行い、海外企業を選んでから『実現しませんでした』では無責任であり、日本の信用にも関わる」と述べました。

梅田主幹は「安全性と耐久性は大切だ。そもそも文化庁の許可がないと復元実現しない。文化庁と協議しつつ進めている。新技術と呼んでいるが、今までの既存の技術の応用、組み合わせで新しい技術も出てくる。認証機関にもアプローチしている。実用化可能性が見込めないところはダメ。提案技術が実用化できるのか見極めたい」としました。
 
斎藤理事長は「先般、名古屋市会で『木造天守閣の昇降に関する技術の国際コンペについては、障害者団体、高齢者団体、福祉関係学識者及び関係機関と十分に検討を行い、理解を得た上で実施すること』という附帯決議を挙げた。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220318-1.pdf
障害者団体の理解を得た、という認識を持っているのか」としました。

梅田主幹は「今後、障害者団体連絡会で説明し、公募実施の理解を得ていきたい」としました。

会長の瀧実・愛知淑徳大学教授は「これから理解を得ていきたいということか」と質問したところ、梅田主幹は「これまでは個別に説明を行ってきて、一定程度は公募の実施を認めていただいているのではないかと認識している。公募前にもう一度説明したい」としました。

斎藤理事長は「名古屋市は春から国際コンペをやると言っている」とし、瀧会長は「具体的にどう進めるか」と発言しました。

笹川純子・名身連聴覚言語障害者情報文化センター所長は「設備を使う障害者当事者の意見を聞くだけではなく、選定まで当事者がかかわってほしいと個人的に思う。」と述べました。
 
今井千鶴・名古屋手をつなぐ育成会青年の会会員は「名古屋城木造復元で最も問題なのは石垣。熊本地震でで石垣が崩れて城全体が崩れた。名古屋城で崩れたら心が痛い。石垣をまず直さないと、天守を木造復元したとしても地震で崩れるのか不安。首里城は木造復元したが火災で焼失した。名古屋城が木造復元したとして、火災焼失したらだれが責任とるのか。復元は賛成だが、災害、防災を検討してと思う。検討して直してほしい。耐震補強を考えないと、なんか危険と思う」としました。
 
梅田主幹は「1959年に完成した現コンクリート天守は石垣で荷重を支えず、ケーソンで支えている。石垣は江戸期のものがのこっているものが多々あり、残っているものは保護する。
以前の木造天守は戦争で焼け落ち、石垣も熱を受けて劣化している。今後、石垣に手を入れながら石垣保存方針を定めるため、これからも調査していく。
防災・安全・避難が大事。竣工までに防災計画を作ることになっている。昇降計画が入った後に防災計画を見直し、安全に建物に入ってもらう。ご理解いただきたい。」と述べました。

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斎藤理事長は、協議会終了後「今回は名古屋市から説明を聞いただけ。賛同はしていない。
障害者連絡会を4月に開催する予定と聞いた。そこで了承を得たいのだろう」と述べました。


22/3/25(金)名古屋城木造化基本設計費返還等住民訴訟 2審も敗訴 名古屋高裁

「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」が原告となった、名古屋城天守閣木造復元事業基本設計費の返還等を求める住民訴訟の判決が22/3/25に名古屋高裁で言い渡され、名古屋高裁民事1部(松村徹裁判長)は、控訴を棄却しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220325.pdf

本件は、名古屋城天守閣木造化のための基本設計代金8億4693万6000円を市に返還しろ、実施設計契約を解除せよ、木材購入等名古屋城天守閣整備事業を停止せよと訴える住民訴訟です。

地裁は敗訴しました。

・20/11/5 敗訴 名古屋地裁 
 https://app.box.com/s/ff3ykt80mtkbmfcvoo27khekujr296id 
 
名古屋高裁は以下述べました。

・本件事業が「史跡等における歴史的建造物の復元等に関する基準」に依ったとしても、同基準の定義に照らし「復元」に当たるというべき
・上記定義に照らすと「復元的整備」に当たるものであったとしても、本件事業の目的が上記の木造復元工事によって天守閣の整備を行なうこと等が変わるものではないから、本件事業は復元を目的とするものと認められる。
・基本協定によって、本件事業は本件要求水準書及び本件技術提案書にも準拠すると定めている。しかし、上記の定めから直ちに本件要求水準書及び本件技術提案書が本件基本設計契約の内容となるものではない。
・本件選定手続においては、基本設計の段階において本件事業につき復元検討委員会の審査を受けて文化審議会の諮問を経ていることを前提としていたことがうかがえるが、本件基本設計契約の内容に照らすと、本件事業につき復元検討委員会の審査を受けて文化審議会の諮問を経ることが竹中工務店の義務であるとは認められず、上記の点は、本件事業につき復元検討委員会の審査を受けて文化審議会の諮問を経る時期の一応の目途を示したものにすぎないというべき
・名古屋市が文化庁に提出した名古屋城天守閣整備事業基本計画書において何らか問題がうかがわれたとしても、それをもって当然に竹中工務店の成果品が本件基本設計契約に基づいて作成すべきものに達しておらず本件基本設計業務が未履行であったことになるものではない
・いわゆる「下検査」についても会計法令状に定めがあるわけではない。しかし、同項の検査について監督が補完的な役割を果たすことを禁じているものとは解されない。地方自治法に反する検査方法であるとは認められない。
・その他、控訴人がるる主張するところを踏まえても、本件事業が違法であるということはできないとの前記の判断は左右されない。
 
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原告は判決を受けてコメントを文書で発表しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220325-1.pdf

原告事務局の森晃氏は「高裁判決は不当である。22/3/30に行う原告団会議で、上告するか決定する」としました。

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・名古屋城天守の有形文化財登録を求める会
 https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle
 

22/3/24(木)名古屋城石垣部会「天守台石垣・御深井丸側石垣 樹脂コーティング・ピン止め後に非接触工法なら妥当」

22/3/24(木)特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第48回)が開催されました。
今回も、冒頭の挨拶以外は録音・録画は禁止されました。

22/3/24(木)特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第48回)配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220324.pdf

名古屋市民オンブズマンによるメモ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220324-1.pdf

22/3/24(木)特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第48回)配付資料
終了後の佐治所長ぶら下がりインタビュー
名古屋市民オンブズマンによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220324-2.pdf

今回は、3つの議事が議論されました。
いずれも、2021年5月に名古屋市が文化庁に提出した「現天守解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答(令和3年5月)」の残っている部分についてです。

1つめ「御深井丸側内堀石垣の保存対策について」ですが、レーダー探査や目視調査をした結果、樹脂やピン止めで石垣を補修・補強し、間詰石を補充した上で、「非接触工法」を用いて表面剥離を回避して内堀保護を行えば、仮設計画が石垣や地下遺構の保存を確実に図れると提案しました。

宮武正登・佐賀大学教授は「小天守台石垣の被熱剥離はものすごい。御深井丸側石垣だけでなく、大天守台、小天守台石垣に関しても同様の保全方法をとった上で、非接触工法を、というのは大変妥当だと思う」としました。

千田嘉博・奈良大学教授は「亀裂が生じている部分に樹脂は容易だが、剥離は空堀の底に目視するだけでも無数に落ちている。
どこまでできるか課題。新しい工法を示していただいたので何とかいけるかと思った。」としました。

2つめ「小天守西側の調査分析結果について」ですが、前回22/2/17部会資料に追加して出しました。
現在空調設備があり、濃尾地震後の修復場所が調査出来ないところは、撤去できる時期に改めて調査するとのこと。

名古屋城調査研究センターの村木誠副所長は「金城温古録では、剣塀のところの石垣が一段下がっていた。近代以降かさ上げしたのではないか」としました。

千田教授は「小天守側内堀 厚い盛り土があるので、遺構の保全のためなら調査いらないのではないか。
しかし史実に忠実に復元するのなら、現状の剣塀の石垣の形では史実に忠実な復元にはならない。
また、小天守台石垣を本来の形に戻すのなら、大規模発掘調査が免れられない」としました。

宮武教授は「濃尾地震後の剣塀の写真を見ると、石垣の裏にもう一層あるようにみえる。石垣が地中に埋まっている可能性がある。
明治大正期の石垣をどう扱うかが課題。部会だけでは決められない。いつまでも先延ばしにはできない」としました。

3つめ「天守台石垣の保存方針について」ですが、名古屋城総合事務所としては「天守整備事業にかかわらず行わないといけないと考えているので、2段階に区分したい。1段階目は整備事業と切り離して保存対策を示したい」として、1段階目の対策を示しました。

千田教授は「内堀堀底の石列について、『建物の基礎』の可能性というのは聞いたことが無い。絵図に残っている『もう一つの小天守の基礎』以外の可能性はあるのか。持って回った書き方をするのは望ましい姿勢ではないのではないか」としました。
村木副所長は「書き方は不適切だった。」としました。

赤羽一郎・元愛知淑徳大学非常勤講師は「保存だけでなく、石垣の普及啓発を考えてほしい」としました。

千田教授は「今日午前中に名古屋城に行ったが、梅や桜が賑やかだった。仮設店が立ち並んでいて、活用面にはいいが、、内堀、石垣、隅櫓など本質的価値が見えなくなっていた。両立した活用の仕方を考えてほしい。
また本丸御殿の前は深い砂利敷きで、長年保護マットが敷いてある。主要導線の整備計画が考えていなかったのは大きな反省点ですぐに改めるべき。」としました。

座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「3つの案件は大体意見が出尽くした。全体会議に報告してほしい」としました。
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終了後、佐治所長はぶら下がりインタビューに答え、「(石垣を)しっかり対策を施した上で(木造天守閣復元をする)ということです。その考え方は変わっておりません」と述べました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220324-2.pdf

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名古屋城天守木造復元を行うのであれば以下が必要とされました
・天守台石垣の2段階目(天守復元時)の保存方針策定
・今後御深井丸側石垣、大天守・小天守台石垣ともに、樹脂コーティング・ピン止め
・剣塀の石垣をどうするか検討 その後の対応
・小天守西側石垣の大規模発掘調査 その後どうするか検討 その後の対応
・名古屋城全体の石垣の保存方針(3年くらい)

それらが終わってからようやく内堀を埋めることが可能となるとのこと。

また、バリアフリー対応、消防・防災対策、新たな基礎構造の検討なども残っています。
それらができてようやく文化庁復元検討委員会にかかるのですが、そこでも何年かかるか見当も付きません。

あと何年くらいかかるのでしょうか。本当に木造復元事業は実現可能なのでしょうか。
毎年1億円ずつ木材保管費用がかかるのだけは確実です。

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なお、部会終了後佐治所長に22/3/23に開催された「第1回金シャチ横丁第二期整備 博物館ゾーン整備基本構想検討懇談会」について質問したところ、「現在ある建物について特に報告はしなかったが、名古屋農林総合庁舎、名古屋農林総合庁舎2号館は旧名古屋貯金事務センターの場所に移転予定。独立行政法人水資源機構中部支社については交渉中」とのことでした。

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今後の予定
・22/3/25(金)午後1時15分 名古屋城基本設計住民訴訟判決 名古屋高裁
・22/3/25(金)午後1時半- 第2回名古屋市障害者施策推進協議会 名古屋市公館 レセプションホール 
・22/3/29(火)午後3時- 第4回特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議 WEB会議
・22/3/30(水)午後1時10分 名古屋城文化庁訪問時面談記録情報公開訴訟判決 名古屋地裁1101法廷
・22/3/30(水)午後6時半- 名古屋城の有形文化財登録を求める会月例会 北生涯学習センター
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22/3/23(水)名古屋市「名古屋城博物館(仮称)を最短2028年に完成させたい」

名古屋市は22/3/23に「第1回金シャチ横丁第二期整備 博物館ゾーン整備基本構想検討懇談会」を開催しました。
録音・録画は禁止されました。

22/3/23 第1回金シャチ横丁第二期整備 博物館ゾーン整備基本構想検討懇談会
・会議次第【博物館懇談会】
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220323-1.pdf
・会議資料1
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220323-2.pdf
・【参考1】金シャチ横丁基本構想概要版
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220323-3.pdf
・【参考2】特別史跡名古屋城跡保存活用計画概要版
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220323-4.pdf
・【参考3】博物館構想検討懇談会開催要綱(R040303案)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220323-5.pdf
・【参考4】博物館構想検討懇談会傍聴要綱
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220323-6.pdf
名古屋市民オンブズマンによるメモ(途中から)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220323-7.pdf
 
懇談会は10時からZoomで行いましたが、なぜか傍聴は10時23分頃から開始しました。

当初の話が聞けなかったためよく分かりませんが、名古屋城正門南側にある、金シャチ横丁義直ゾーンの南側に、名古屋城博物館(仮称)を作ろうとしているようです。
また、義直ゾーンの東側には芝居小屋風多目的施設を作る計画です(2025年度開業予定)。

名古屋市は、今後のスケジュールとして以下を述べました。
1)基本構想を策定(2022年度)
2)基本計画を策定(2023-2024年度)
3)設計→工事(最短2028年度に完成)

古池嘉和・愛知学院大学現代社会学部教授は「毎年学生を連れて犬山城下をフィールドワークしているが、表の『観光テーマパーク化』しているところは人がいっぱいいるが、現役で動いている裏筋は誰も歩いていない。そのようなのはあまり望ましくない」としました。

佐々木雅幸・金沢星稜大学特任教授は「名古屋城博物館(仮称)を建てようとする場所にはもともとなにがあったのか。博物館の歴史性を踏まえてほしい」としました。
名古屋城調査研究センターの原史彦氏は「東照宮と天王坊という寺社空間・庭園があった。近代に陸軍の参謀本部が置かれ、地下室が作られた。地下遺構はかなり壊されたと聞いている。どこまで破壊されたか+残っているか調べたい」としました。

千田嘉博・奈良大学教授は「本丸御殿は木造ででき、天守も木造再建で動いている。名古屋城博物館(仮称)は本質的価値を高めるために重要な施設となるべき。
名古屋城の調査研究だけでなく、日本の城と近世武家文化を世界に発信するようにしてはどうか」としました。

田沢裕賀・大分県立美術館館長は「名古屋にある優れた博物館である名古屋市博物館、徳川美術館との棲み分け・連携が鍵。
城の魅力を見せるため、必ず寄らないといけないところにしたい」としました。

高田徹・城郭史研究会は「武家文化も必要だが、明治以降の歴史も重たい。師団司令部があった。現代につながる部分が必要。現天守も見所がいっぱいある。」としました。

木下直之・静岡県立美術館館長は「現代まで視野に入れてつくってほしい。志を高く持って、本物志向に」としました。

次回、現地を見てから意見交換をするとのこと。

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名古屋城博物館(仮称)については、どのようなものができるのかさっぱりわかりません。
予算規模も示されていないようです。

名古屋市は、国土交通省に対し「東海農政局(名古屋農林総合庁舎)の早期移転、基幹となる広域防災拠点の整備を求める要望(令和元年7月)」を出しています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190710.pdf

それを受け、現在ある名古屋農林総合庁舎、名古屋農林総合庁舎2号館は旧名古屋貯金事務センターの場所に移転予定とのこと。
・令和2年7月27日 中部地方整備局 営繕部
 名古屋第4地方合同庁舎【官庁営繕事業】説明資料(再評価)
 https://www.cbr.mlit.go.jp/kikaku/jigyou/data/r0207/090_shiryou_3.pdf

(現在ある、独立行政法人水資源機構中部支社は不明。名古屋城階段体験館も不明)

「名古屋三の丸ルネサンス期成会」なる団体も21/1/7に設立されているようです。
https://www3.chubu.ac.jp/documents/faculty/hattori_atsushi/home/117/117_d4bd6ee66cdd3c2d87289d1385b4cd82.pdf

名古屋市は令和4年度予算に「金シャチ横丁第二期整備(博物館構想の策定)」を2800万円要求しましたが、財政局案で0査定、予算案で2000万円に復活した経緯があります。
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000149/149878/R4.henseikatei.pdf
名古屋市博物館もリニューアル計画がありますし、西の丸御蔵城宝館も21/11/1にできたばかりです。

名古屋城天守閣木造復元事業は見通しが全く立っていません。せっかくの博物館相当施設である現天守を『放置』して、新たな『箱物』を作ろうのは理解に苦しみます。

2028年、名古屋城は一体どのような姿になっているのでしょうか。

22/3/18(金)名古屋城木造復元関係予算 市委員会で附帯決議をつけて賛成多数で可決

22/3/18(金)に名古屋市議会経済水道委員会が開会され、名古屋城木造復元関係予算は附帯決議をつけて賛成多数で可決されました。

22/3/18 名古屋市議会経済水道委員会配布資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220318.pdf

22/3/18(金)名古屋市議会経済水道委員会 (名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220318-1.pdf

附帯決議(案)
第7条議案関係
1 木造天守閣の昇降に関する技術の国際コンペについては、障害者団体、高齢者団体、福祉関係学識者及び関係機関と十分に検討を行い、理解を得た上で実施すること。
自民党:以下の要望を付して賛成。附帯決議にも賛成。
 一つ。石垣の保全方針は、専門家会議や関係機関等との協議、合意を得てから策定をすること。
 
民主党:以下の要望を付して賛成。附帯決議にも賛成。
 一つ。国際会議場の整備にあたっては、関係局と連携し、その周辺エリアを含めた魅力を一層高めるとともに、運営については、利用者にとって使いやすい、利用料金の設定に努めること。

減税:以下の要望を付して賛成。附帯決議にも賛成。
名古屋城に設置予定のデジタルサイネージについて来場者の利便性を高めるため、来場者のニーズを常につかみ、あとは名古屋城という文化の文化遺産の景観にふさわしいデザインにすること、また外国語については、来場者の動向を見極めて、来場者に沿った言語を採用すること。

公明:以下の要望を付して賛成。附帯決議にも賛成。
観光文化交流局関係 金シャチ横丁第2期整備、整備芝居小屋風多目的施設の整備については、可能な限り早い時期に整備構想を示し早期の開業を目指して名古屋城観光を盛り上げること。

共産党:第1号議案 一般会計予算、反対 
理由 1石垣調査で、地下1階穴蔵石垣、天守内堀の御深井丸側石垣、小天守西側石垣の調査検討し、石垣保全保存方針を策定するだけでも時間がかかる。
天守を支える基礎構造のあり方の検討が進んでいない。
石垣保存方針が決まらなければ、天守木造復元の実施設計もバリアフリー方針も決まらない。
その一方で強引に木材を購入し、保管料だけでも毎年毎年1億円を予算化するという基本協定の天守完成期限が決まらないので、暫定的に期限を覚書で延長している。
市民合意もなく強引に進めてきた天守木造復元事業は行きづまっており、ましてや税金の無駄遣いになる。
事業を中止し、建設会社との基本協定を解除し、名古屋城天守閣木造復元関係経費は削除する必要があるから
第7号議案 名古屋城天守閣特別会計予算、反対
理由 一般会計予算の名古屋城天守閣木造復元関連経費の反対理由に同じ
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これまで委員会で附帯決議をあげてきましたが、名古屋市はことごとく無視してきました。

・21/3/18 名古屋市会経済水道委員会 附帯決議
 名古屋城天守閣木造復元に係る予算については、文化庁の文化審議会において正式に「木造復元」の許可がされた後に執行すること。
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210318.pdf

・17/3/22 名古屋市会経済水道委員会 附帯決議
 1 名古屋城天守閣木造復元事業を進めるにあたっては、入場者数と収支見込みに対して民間調査会社から長期の予測は不可能であるとの指摘があることから、独立採算による収支相償の財源フレームを堅持するために、入場者数目標の達成に向けてあらゆる努力をすること。
 1 財源フレームの基本的な考え方については、市民の機運醸成を図り寄付金などの募集をするほか、事業の意義について国や県の理解を得て補助金を確保するとともに、市民税5%減税の検証による見直しも含め財源を確保すること。
 1 総事業費505億円については、工期設定の適切な見直しを行うなど大幅な圧縮に努めるとともに、文化庁や優先交渉権者との協議調整状況ならびに仕様や工程および契約内容等について適宜議会への報告を行い、議会に諮りながら進め、あわせて市民の理解を得ながら市民とともに事業を進めること
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170322-4.pdf

また、各会派の要望も無視してきました。
・22/3/3 名古屋市会経済水道委員会 要望
 自民党:木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託につきましては、各関係機関の合意を得た上で事業を進めること。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220303.pdf

・18/7/3 名古屋市会経済水道委員会 要望
 自民:一つ、木材の調達に当たっては、文化庁から与えられた課題を確実に解決し、現状変更許可の見通しを立てた上で計画的に行うこと。
 一つ、総事業費の上限を505億円とすることは、市民や議会との約束であり、実現に向けて最大限の努力をすること。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180703.pdf
 
市議会は何回同じことを繰り返すのでしょうか。
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22/3/16(水)名古屋城木造化 市「穴蔵石垣 根石付近地下に遺構が残っていた」

22/3/16(水)に名古屋市議会経済水道委員会が開会されました。

22/3/16 名古屋市観光文化交流局
経済水道委員会説明資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220316.pdf

22/3/16 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220316-1.pdf

江上博之市議(共産・中川区)は「金シャチ横丁の博物館構想と、名古屋市博物館構想との関係は」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「名古屋市博物館は旧石器時代から現代に至るまで。金シャチ横丁の博物館は、名古屋城の歴史、尾張藩の歴史や文化。明治以降の陸軍期、離宮期などを紹介したい。具体的な展示計画は考えていない」としました。
江上市議は「天守木造復元工事のために、天守の中にある展示物をもってくるという形であれば賛成できない」としました。

江上市議は「昇降技術はどうみたってバリアフリーになっていない。穴蔵石垣、背面調査の後どういう設定にするか、いつになるかわからない。内堀御深井丸、小天守西側遺構からすれば、来年3月に基本計画を立てるのは大変難しい。局長を含めたい意見を聴きたい」としました。

佐治名古屋城総合事務所長は「担当技官が苦悩のにじみ出た答弁をした。市の思いだけで進めない。文化庁や地元有識者、議会からご指導ご意見をいただきながら合意形成したい」としました。

折戸観光文化交流局長は「課題をかたづけて確実に全体計画を作成したい。」としました。

江上市議は「令和4年度中に出来ないと思っている。石垣の落書きの話があるが、特別史跡と市民との関係を作っていくことこそ重要。天守閣木造は即刻中止すべき」としました。

うえぞの晋介市議(民主・西区)は「第2次世界大戦に名古屋城が空襲で焼失した。平和の象徴として再建された。
例えば名古屋城をウクライナ色を掲げるとか。侵略をとめるための行動もつながるのではないか」としました。
名古屋城総合事務所は「名古屋城には色をライトアップする設備がない。設備が難しい。」としました。

岡本やすひろ市議(民主・緑区)は「昇降機について反対はしていないが確認したい。
公募スケジュールで、障害者からの意見聴取はいつできるのか」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「7月から9月に高齢者・障害者の意見聴取と議論を行う。それの前の質問回答の段階で、提案者から障害者団体と意見交換や質問があれば実施する。頂いた意見を公募参加者にフィードバックする。また、令和5年度以降、昇降技術開発の期間中も利用者目線でのご意見を伺う場を適宜設けたい。最優秀選定後も、どのようなものが決まったかを報告したい。」としました。

岡本市議は「障害者団体は公募の理解はしていると言うが、意見交換もあると理解しているのか?」としました。
名古屋城総合事務所は「各個別でよく説明している。どのタイミングで意見を伺うかも説明しているので、理解を頂いていると認識している」としました。

岡本市議は「最終的に障害者団体から『本当にこれでいいか』と意見が出た場合、令和4年度末までに全体計画をどうしても出したいという思いと、現実として昇降技術の理解が難しいとなった場合でも令和4年度末までに全体計画を決めて文化庁に提出をしていく理解でいいのか?障害者団体がいうのならもう少し考えようかという猶予があるか」と質問しました。
佐治所長は「文化庁、障害者団体とよく報告して理解を求めたい。議会にも報告したい」としました。

岡本市議は「元々は上位4事業者に補助金を支払って実証審査を行うことになっていた。今のスケジュールでは試作品は優秀者選定後になった。どうしても局として令和4年度中になんとしても全体計画をまとめたいということが先行しているように聞こえる。一方、昇降技術の安全性や障害者の意見が後回しになっているように思える。」としました。
佐治所長は「早々に公募を開始すれば年度中に方針が盛り込めるんじゃないかと考えている。見直しで逆転したが、障害者団体に納得頂けるものを作りたいことは変わっていない。安全性も認証機関の認証を受けられるように相談したい。」としました。

岡本市議は「もし1階までのしかでてこなかったら、障害者団体は『それじゃダメだ』といってくるかもしれない。よく意見を聴いてすすめていただきたい」としました。

浅井正仁市議(自民・中川区)は「2028年が竣工期限となっていた資料には、穴蔵石垣調査は2020年6月くらいに終わることになっていた。
結局何年遅れることになるのか」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「令和2年度に予算を認めて頂いたが着手出来ず今年度行った。2年間遅れている。」としました。

浅井市議は「基礎構造は2020年6月に決まることになっていた。いまだ案すらない。何年遅れているのか」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「いまだ決まっていないので、何年と言うことは申し上げられない」としました。

浅井市議は「文化庁復元検討委員会は、以前の資料では2020年7月頃から始まるとあるが、今回の資料にはどこにも見当たらない」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「我々の希望としては令和5年度にはじめていけたらと考えているので、約3年の遅れ」としました。

浅井市議は「結果1ミリも動いていない。市は『順調順調』といっているが。調査はしているが、結果的に1ミリも動いていない。
どうして2年も前に終わっているはずの穴蔵石垣調査がいまだに終わらず、さらに来年まで続くのか」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「令和2年度に試掘調査を計画していたが、文化庁からの指摘事項の回答に注力した。予算執行できなかった」としました。

浅井市議は「穴蔵石垣には文化財としての遺構はないだろうと言われていたがそうか」と質問しました。
村木調査研究センター副所長は「当初は、地表の上の部分は作り替えたという認識だった。今年度調査の中で、根石付近の地下調査を進め、有識者には意見を頂戴していないが、ある程度一部は残存状況が確認出来た」としました。

浅井市議は「遺構が残っているとどういうことになるのか」と質問し、村木副所長は「遺構は本質的価値を構成するものなので、今後も適切な形で残していくことが前提になる」としました。

浅井市議は「遺構がない前提で工事をすると言っていたと思うが、石垣保全計画の新たな検討をしないといけないという理解か」と質問し、村木副所長は「遺構は適切に保存するという方針を示していたので、有識者の合意を得た上で、調査結果を確定し、それを踏まえた対応をしたい」としました。

浅井市議は「天守閣石垣の向かい側の石垣の安全性について、石垣部会から『歩くのも危険、軽量盛り土で埋める計画は絶望的』との新たな課題が示された。しかし本会議答弁を聞く限り、石垣部会とほぼ合意ができていると印象を持った。石垣部会は、『天守台向かい側石垣が不安定』の指摘を撤回したのか」と
質問しました。
村木副所長は「石垣部会にはあらためて調査結果を説明したい」としました。

浅井市議は「課題は解決していない」と質問し、村木副所長は「今のところは合意形成に至っていないが、次回の部会で合意できるように考えている」としました。

浅井市議は「何をすれば合意がもらえるのか」とし、村木副所長は「まず調査結果を理解・認めて頂くのが重要。その後どういう対策を行うかもご理解頂ければと考えている」としました。

浅井市議は「軽量盛り土はどうするのか」とし、荒井主幹は「遺構としての影響がないような工法を検討している。有識者に諮っていきたいと考えている。軽量盛り土は現時点ではやる方向で考えている」としました。

浅井市議は「石垣部会の現時点での意見と反する。今から理解してもらうのか」とし、荒井主幹は「令和3年5月に文化庁に指摘事項に対する回答を提出した。石垣に対して影響がない仮設計画にするため必要な調査を行うとある。何らかの対策を取らないといけないので、有識者会議に検討したものを諮りたい」としました。

浅井市議は「これも検討段階。石垣部会から指摘されている。調査して今から検討する。部会に資料を出したのか」と質問し、荒井主幹は「去年10月に中間報告という形で説明した。今後遺構への影響がないような対策の検討を続けている」としました。

浅井市議は「天守台石垣北側のはらみが崩れる危険が指摘されたと思うが、そのままにするか補強するか、積み直すのか結論はでたのか」と質問しました。
村木副所長は「現在は安定的であるというところは理解頂いたと思う。補修や補強など何らかな措置が必要かは相談していない。より詳細な天守台石垣の保存方針を来年度定めたい。具体的な手法は来年度検討したいと考えている」としました。

浅井市議は「天守台上部の昭和の時代に積み替えた石垣は文化財として保全の必要はないという理解か」とし、村木副所長は「全体を一つの構造体としてみるのか、別と考えるのかは整理したいと思っている。現在検討中」としました。

浅井市議は「幻の小天守かもしれないという石垣はどうなっているのか」と質問し、村木副所長は「適切に埋め戻し、将来的な調査研究の対象とはしたいが、当面埋め戻して保全保護すると考えている。」としました。

浅井市議は「軽量盛り土を埋めるなら、遺構が傷つくかの検討はしたのか」とし、荒川主幹は「文化庁に『支障がない』と回答し、部会でも合意形成を図った」としました。

浅井市議は「基礎構造の『はね出し工法』は完全に消えたということか?」と質問し、荒井主幹は「見直すので、復活はないと考えている」としました。

浅井市議は、「穴蔵石垣を調査し、保全方針が出てから基礎構造を検討する」という順番かと質問し、荒井主幹は「現状を調査し、石垣整備方針や基礎構造を並行して考えていく。整備の方針が固まらないと石垣の検討ができない部分があるが、完全に整備の方針が固まってからじゃないと基礎構造が検討できないわけではないので、並行して進めたい」としました。

浅井市議は「昇降技術は国際コンペで決めるが、12月以降に穴蔵石垣の保全方針を決めて、並行して基礎構造を決めるのか」と質問しました。
荒井主幹は「技術公募でどんな技術が提案されるかは現在わからない。穴蔵部分に技術が来ることも想定されるので、その場合には当然基礎構造とも関係する」としました。

浅井市議は「バリアフリーのスケジュールを見ると、12月に書類審査選定がある。安全基準は5年かかると言われた。適合するかもわからない。リスクのある昇降技術を前提として基礎構造を決めて、基本計画も作ることになりかねない」としました。
荒井主幹は「昇降技術が公募する前ではわからないので答えができない。実現可能かどうかという有識者の意見を踏まえて、実現する前提での昇降技術が選ばれると考える。」としました。

浅井市議は「安全基準が出ていないものを全体計画に織り込み、文化庁は何を信頼してOKとするのか」と質問し、梅田主幹は「評価委員に工学系や許認可に詳しい人もいる。実現性がある程度見込めるもので審査に基準も設けている。」としました。

浅井市議は「日本で国際コンペは1回しかやったことがない。新国立競技場だけ。ザハ案はできなかった。すごく難しい。下手すればすぐ裁判になる。外国は裁判普通にする。バリアフリー、昇降設備以外の検討はどうなっているのか」と質問しました。
荒井主幹は「木造復元は文化庁と協議する段階ではない。全国にも国宝や重要文化財、復元城郭建築物があるので、底と同等のバリアフリー対策をする計画」としました。

浅井市議は「階段は安全対策。そういうものを全体計画に盛り込まないといけない」としました。
荒井主幹は「来年度取りまとめる予定」としました。

浅井市議は「国際コンペは12月まで。図面が必要ということか」と質問し、荒井主幹は「復元計画に盛り込みたい、バリアフリー検討会議のなかでも検討したい」としました。

浅井市議は「バリアフリーは昇降機だけではない。『名古屋城木造復元天守バリアフリー対策検討会議』という庁内会議がネットから出てきた。
https://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000102655.htm
第3回資料に現天守閣について『本丸エリアから大天守5回まではエレベーターで昇降可能で、バリアフリー対応出来ているが、最上階への昇降は会談しかないためバリアフリー対応出来ていない』とあった。
副市長、前局長が集まる会議で『展望室まで行けなければバリアフリーに対応したとは言えない』と言っていた。どうして今回最低1階までか。いつ変わったか」と質問しました。
梅田主幹は「公募条件は最低の基準」としました。

浅井市議は「絶対に最上階まで行けるバリアフリーに条件を変えたらどうか」と質問しました。
梅田主幹は「『より上層階まで求めていく』としてきた」としました。

浅井市議は「このときの検討会議で3つ案が出されている
A エレベーターを設置しない
B 一部史実と乖離するが、到達階を3階とする4人乗り小型エレベーター
C 史実と乖離するが、天守外部に1階とする11人乗りエレベーター
小型であろうと、エレベーターを設置した時点で史実に忠実な復元ではないという理解か」とし、梅田主幹は「記載の通り」としました。

浅井市議は「B案はバリアフリー対応か?補助員が乗れないからだめなのか?」と質問し、梅田主幹は「4人乗りだと介助者が乗れないため、バリアフリー対応としては十分ではないといいう意見を頂いた」としました。

浅井市議「だとするとC案。国際コンペはバリアフリー対応の前提で公募するのだから、エレベーターで言えば11人乗りが相当の条件だと思うが」と質問し、梅田主幹は「史実に忠実な復元とバリアフリーの両立を目指しているので、11人乗り福祉基準体制エレベーターは設置できない」としました。

浅井市議は「11人乗りはダメで、A案B案C案は全部ダメか?」と質問し、梅田主幹は「A案でエレベーターを設置しないという方針を決めた。エレベーター技術も含めて幅広く特定の技術を排除せず公募で求めたい」としました。

委員長の渡辺義郎市議(自民・北区)は「昇降の関係は、別に所管事務調査でしっかりやるということでご理解できないか」としましたが、浅井市議は「予算がからんでいる」としました。
渡辺市議は「ずっとやって理解できるから反対だということになるのではないかという気もするので、この問題はこの問題だけ所管事務調査をしたらどうか」と提案し、浅井市議は了承しました。

浅井市議は「公募の工程は、当初は4年間、次に1年9ヶ月。次に9ヶ月。今回6ヶ月。どうしてこんなに変わるの。別に公募をやればいい。
バリアフリー検討議事録を読んだが、先生方が『検討していない』と言っている。2年間やっていない。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2020/03/20200331_993.html
公募かける前にバリアフリー検討会議、障害者会議ありますよね。必ず了承を得てから公募をして下さい。後戻りになったら大変だ。人が乗るものだから、落ちたときどうするのか。製作会社も賠償請求行く」としました。

渡辺委員長は局長の姿勢を聞きたいとし、折戸局長は「難しい課題だが、着実にクリアしないといけない。バリアフリーについては、障害者団体からエレベーター設置を望む考えを頂いている。私どもはバリアフリーは必須と認識している。丁寧に説明して進めていく。令和4年度内に解体と復元を一体とした全体計画を取りまとめたい」としました。

渡辺委員長は「浅井市議からエレベーターに関する取扱いがちぐはぐだと指摘があった。当初予算とは別に所管事務調査でしっかりやって姿勢を出したい。当初予算はエレベーターは分けて、エレベーターは所管事務調査をしたい」としました。

中里高之市議(自民・緑区)は「自民党では『木造化は議会で賛成しているからしょうがない』といっている。
いろんな問題がある。文化庁の意見を聴いて来年度に申請できるようにする。そのための予算。前抜きに萎縮してはいけない」としました。
浅井市議は「文化庁はヒントをくれた。名古屋市は自分に都合のいいように解釈している。復元ありき、工期ありきでものを考える。石垣を守るため、『ありき』じゃなく。そうするともっと早く進む」としました。

中里市議は「局長は全体で『木造の復元をやる』という意識を持った答弁をお願いする」としました。
江上市議は「石垣問題一つとっても無理。文化財保護が基本。調査をするとますます文化財保護が問題になる。市長に進言してほしい。聞いている方がいやになる。
文化庁は熊本城で変わったと思う。地震で再生して耐震化でああいう形になった。税金の無駄使いはやめてほしい」としました。

中里市議は「政党の意識の違い。名古屋市会全体で木造復元やろうよとなっている。多少遅れてもいい、遅れんようにやって、という意識の答弁をお願いしたい」としました。
折戸局長は「1年でできるのかと心配を頂いた。非常に難しい課題であるということは受け止めているが、学術的調査や研究を前提にしていく必要がある。市の思いだけでは済まない。竣工期限ありきの進め方をしてきたわけだが、考えを改めて、調査分析を踏まえてしっかり計画を立てて有識者との合意形成を図るという文化財整備の基本に立ち返ったことで反省して取り組んできたことで、文化庁から一定の評価を得たと認識している。来年度の目標を掲げたので、よろしくお願いします」としました。

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渡辺委員長の発言の趣旨がよく分かりませんが、「昇降技術公募について、経緯がちぐはぐ」だから「当初予算をその部分だけ切り離して、別途所管事務調査をする」のか、「当初予算から切り離さずに別途所管事務調査をする」のかでは全く意味が違います。

議会の重要な役目の一つに、予算を議決するというものがあります。逆に言えば、議会で予算が議決されなければ、市は1円も予算を使うことができません。

昇降技術公募について、市の説明が極めてちぐはぐで、しかも障害者団体、バリアフリー検討会議の意見も聴いていません。
今回は、当初予算をバリアフリー部分だけ切り離して採決し、障害者団体、バリアフリー検討会議の意見を聴いた上で所管事務調査を行ってから、あらためて予算の可否を審議しても遅くないのではないでしょうか。
単に税金の無駄使いに留まらず、業者から訴訟されるリスクも高いです。基礎構造のあり方にも関わってくるのではないでしょうか。

局長は「竣工期限ありきの進め方は反省した」としましたが、今は「令和4年度中の全体計画提出ありき」としか思えません。

名古屋市会 経済水道委員会としての意思決定は、22/3/18(金)午前10時からの付議議案審査[意思決定(3局一括)]で決まります。
https://nagoya.gijiroku.com/index.asp


22/3/8(火)名城公園アクセス 公明市議「愛知県新体育館ができると、地下鉄輸送能力が1万人不足する計算」

22/3/8に名古屋市議会本会議が開会されました。

22/3/8 名古屋市議会本会議(名城公園アクセス部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220308.pdf

さわだ晃一市議(公明)は名城公園へのアクセスについて質問し、2025年から供用開始予定の愛知県新体育館へのアクセスへの課題について質問しました。

折戸観光文化交流局長は「名古屋城周辺駐車場については、春の大型連休やイベント開催時以外は駐車場が不足していない。
今後木造復元事業や二之丸庭園、金シャチ横丁整備などが進むと、さらに多くの人に名古屋城を楽しんでもらえると考える。
公共交通機関を利用頂きたいが、海外も含めて遠方からの来城者が多い施設なので、観光バスをはじめとする駐車スペースの確保は今後の課題になると認識している」としました。

緑政土木局長は「これ以上駐車場造成するスペースは少なく困難。公共交通機関での来場を来場をお願いしたい。地下鉄名城公園駅から名城公園の導線で、大津通を横断する際の信号待ちで滞留することが想定される。地下横断歩道の整備について令和4年度から工事に着手する予定。」としました。

小林交通局長は「地下鉄名城線は1時間あたり最大10本の臨時列車を増発することで、約1万2400人の輸送力の増強が可能。
新体育館の最大収容人員である1万7000人と想定しても1時間以内に輸送できると考えている。
一方、バンテリンドームナゴヤで大規模イベント開催時においては、現状でも臨時列車を運行している。
新体育館とバンテリンドームナゴヤのイベントの終了時刻が重なった場合の対応は今後の検討課題。」としました。

さわだ市議は「名古屋城へのアクセスはコロナ前で年間約200万人。天守復元後は年間360万人と、1.8倍ということになる。コロナ前の1日最大入場者数を3万人とすると、1.8倍すると1日5万4000人くらいくる計算となる。
名城公園エリア全体の来訪者数は低く見積もっても全体で65000人を超えるのではないか。
駐車場は1044台。2時間くらいで入れ替わっても1日7000台くらいしか停められないだろう。
名城公園に桜の回廊の整備をした場合、1日35000人。65000人に足すと10万人くらいが1日にどっと来ることになる。東京ディズニーリゾートの1日平均入園数を軽く超える。
名城公園の北と南の道路は非常に狭い。観光バスや選手団のバスが入ってくると、前にも後ろにも下がれない。
現在は駐車できるようになっているが、駐車禁止になった場合、260代以上の車が停められなくなるので、一時に停められるのは780台くらい。東山動物園は年間234万人、公式駐車場だけで1400台以上ある。
名古屋城や名城公園の来訪者が多いのは3月から5月まで。コロナ前の3年間に、愛知県体育館とナゴヤドームでイベントが重なった日は5日間くらいある。
愛知県新体育館とナゴヤドームが同じ時間に終わって人が帰った場合、名城公園駅の21時台の輸送能力は臨時列車10本くらい走らせても1万人程度不足するのが明らか。総合的なアクセス対策はどうするのか」と質問しました。

松雄副市長は「このエリアは名古屋を代表する第一級の歴史、文化、観光、スポーツ、学術の拠点となる
ポテンシャルを十分持ち合わせていると考えている。施設の駐車場不足や、周辺道路、地下鉄混雑など大変重要な課題と認識している。
関係局で共有しているので、検討チームを作って対応したい」としました。

さわだ市議は「愛知県新体育館の駐車場整備は本来愛知県が行うべき。地下鉄利用者の4割は市外在住者であるにもかかわらず、地下鉄への県負担金は年間3000万円。『大規模施設は作ります、駐車場は作りません、地下鉄を利用して下さい、地下鉄経費は負担しません』というのが県の態度。
県と交渉できる当局は居ないのか。アクセス対策について何もしないのなら県は金くらい出すべき。
バリアフリー化は全市的に必要だと思うので、障害当事者の方もいれて検討頂きたい」としました。

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22/3/14(月)名古屋城木造化 市「バリアフリー新技術の安全基準取得に最低でも5年かかるとみている」

22/3/14(月)に名古屋市議会経済水道委員会が開会されました。

22/3/14 名古屋市観光文化交流局
経済水道委員会説明資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220314.pdf

22/3/14(月) 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城関連部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし(一部抜け)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220314-1.pdf

江上博之市議(共産・中川区)は「現天守閣を作るときに穴蔵石垣に対してとんでもないことをしてしまった。
元に戻すのか、いつの時代に戻すのか、現状でいいのか、議論だけで時間がかかるのではないか。」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「穴蔵石垣はある程度状況が判明している。新年度に背面の調査を計画しており、残存状況を把握した上で今後整備をどうするかを検討していきたい」としました。

江上市議は「来年3月までにできるとは思えない。石垣の状態について方向性が出て、保存方針が出た上でないと、実施設計にはかかれないのではないか」としたところ、名古屋城総合事務所は「その通り」としました。

江上市議は「来年3月までとして、その時期が来たらまた延長と。その繰り返しではいけない。御深井丸の内堀、小天守の西側の遺構問題もある。木造化の話しをすればするほど文化財の調査をしなくちゃいけない。調査をするとどんどん問題が出てくる。
木造化が可能性がないことが事実として明らかになると指摘しておく」としました。

岡本やすひろ市議(民主・緑区)は、昇降技術の公募について、障害者団体の話し合いについて質問しました。
名古屋城総合事務所は「障害者団体連絡会のような全体会議のほか、各団体への個別説明や会合への出席をし、公募に関しての説明や意見交換等を実施をしてきた。木造天守のバリアフリーに関しては、エレベーターの設置を望む考えをいただいているが、今までの意見交換等によって、公募を実施して、高齢者や障害者の方々のご意見を伺いながら、昇降技術を選定していくということについては一定のご理解をいただいていると認識をしている」としました。

岡本市議は「公募まではしてもいいよということでの理解をさせていただきたいと思います。」とのべました。
次に、公募してくれる業者があるかどうか質問したところ、「●」

また、岡本市議は公募の費用について質問し、名古屋城総合事務所は「公募支援業務委託に1億4000万余り、設計開発上限8000万。導入費用で上限2億円。」としました。

岡本市議は「この1年間でできるのか。8000万円と2億円について、令和4年度予算に計上されていないが」と質問し、佐治所長は「公募後昇降技術を選定した後に、開発に必要な費用等の協議を行い、仕様を確認した上で契約する。2億円は竣工時期がに定まった後の契約になる。必要な予算については、予算化する上での必要な条件が整った段階で必要な額を議会に諮りたい」としました。

岡本市議は「2億円と言ったが、何階から何階までの予算か」と質問し、名古屋城総合事務所は「できれば最上階の5階までバリアフリーの対応をしていきたいと考えている。金額は5階までを見込んでいる。」としました。

浅井正仁市議(自民・中川区)は「コンサルと契約しているのが令和元年5月15日だと思うが、どうしてこの期間世界公募しなかったのか。仕様書はできていたと以前答えていた」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「昨年度までは、竣工時期の見通しがたった後に公募開始すると言うことで進めてきた。今年度は6月に文化庁から所見指導いただき、竣工時期が見通せない状況での公募開始ができるように公募スキーム見直しを行った。」としました。

浅井市議は「コンサルとの契約で、1年目に公募、2年目に試作品審査、3年目に最終審査となっている。今回の資料では4月から公募で12月に最終審査を終えるとしている。半年でやる。圧縮したのか」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「当初は公募期間中に試作機製作を行い、それを元に導入をしていく考えだった。
スキームを見直し、試作機の製作等がなくなった。期間を短くした。選定後の期間に試作機を作ることになったので、時間がかかる」としました。

浅井市議は「聞き捨てならない言葉があった。以前、階段模型を作り、『試作品を障害者に見せて、安全を確認してからやる』と言っていた。今は作ってから試作品を見せる。順序が逆になった。竣工時期より安全の方が大事じゃないということ」としました。名古屋城総合事務所は「まず書類とプレゼンで選び、その後製作をして階段模型で実機の試験を実施できればと考えている」としました。

浅井市議は「どうして説明をコロコロ変えるのか。スケジュール出さなければ、試作機が後っていうのがわからなかった。工程をコロコロ変えるのはいかがなものか。全体計画とかあったときでいいじゃん。『名古屋市は1階までのバリアフリーで考えてます』でいいんじゃないの?文化庁が本当に設計もってこいと言ったのか」と質問しました。名古屋城総合事務所は「来年度まとめる文化庁の全体計画の中には、具体的な設計とかそのレベルまで出すことは求められていないと理解している」としました。

浅井市議は「考え方でいい。『名古屋市は1階までのバリアフリーで考えてます。でてくるかどうかわからないけどこれでいいですか』っていって文化庁に見せればいいだけの話し。こんなのはバリアフリーじゃないと言ったら終わりの話しだ」としました。
佐治所長は「全体計画に盛り込む内容は設計レベルまでではないが、どういう技術で地下から何階までいくかというところは、しっかり盛り込む必要があると考える。公募をして12月までには選定し、技術を全体計画の中に盛り込む手順を考えている」としました。

浅井市議は「エレベーターは200年か400年かの歴史があり、信用されている。新技術の安全基準は取るのにどれくらいかかるのか」としました。
名古屋城総合事務所は「1年2年では難しいと思っている。5年程度くらいは最低でもかかるのではないかと考えている。復元検討委員会にかかってから並行してやっていく考え」としました。

浅井市議は「世界公募の時期がすごく悪いと思う。バリアフリーで先進的なのはヨーロッパ。ウクライナ情勢の中で公募をかけて、たくさんの提案を受けたいと言うが時期的にいいのか」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「社会情勢が不安定となっている。しかし海外メーカーからも難しいと言われていない。ヒアリングは継続して行いたい」としました。

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市の答弁を何回聞いても、どうして令和4年度中に昇降技術の公募を開始し、最優秀者選定しようとするのかわかりません。
そもそも「全体計画」(・石垣の保存方針 ・復元原案 ・復元計画)が令和4年度中にとりまとまるかどうかも不明です。

そもそも障害者団体が現時点でなんと言っているか不明です。

名古屋市は、障害者団体と150回話をしたとしていますが、議事録があるのは3回。議事録・話した内容がない場合の面談相手・日時は不存在です。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220121.pdf

無理に昇降技術の世界公募を強行すると、余計混乱します。
すでに約40億円もの木材を購入も、解体・復元の現状変更許可の見通しが出ず、年間1億円の保管費用がかかっているものの二の舞になります。

単に「やってる感」を出すためだけに、これ以上税金と関係各所の混乱を招くのはやめるべきです。

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22/3/10(木)名古屋城木造化 民主市議「昇降新技術公募のスケジュールはどうなっているか」

22/3/10に名古屋市議会経済水道委員会が開かれました。

22/3/10 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220310.pdf

江上博之市議(共産・中川区)は、名古屋城内の植栽について「名古屋城としてふさわしい年代はいつか。各種建物の時代が違うように、時代設定はどうなっているのか」と質問し、名古屋城総合事務所は「文献などの研究検討を行いつつ、できる限り歴史的な観点を取り入れた上で史跡保護や景観改善といった観点に重点を置いた計画として、令和4年度に現状把握、令和5年度に今後の管理方針や管理方法、事業計画を策定したい」と述べました。

また、江上市議は「石垣の保存方針の策定学術分析とはなにか」と質問し、名古屋城総合事務所は「1)名古屋城全体の石垣保存方針策定に向けた調査検討
2)過年度の石垣調査の学術的検討 3)調査結果を知らせるシンポ 3年をメドにしている。」と述べました。

江上市議は「木材の製材9900万円の内訳は」とし、名古屋城総合事務所は「木材保管費として約1億円。契約している工事とは別に、あらたに契約を行う。」としました。

岡本やすひろ市議(民主・緑区)は「昇降に関する新技術公募について、計画スケジュールを教えてほしい」とし、名古屋城総合事務所は「令和4年度早々に公募を開始し、令和4年12月に昇降技術を選定したい。令和4年度中に天守全体のバリアフリーの方針を策定し全体計画に反映したい。令和5年度以降、昇降技術の開発の契約を考えている」としました。

浅井正仁市議(自民・中川区)は、「形としては政府調達が一番近いかと思うが、国際コンペはほぼやっていない。コーディネートしている会社とは契約をしているよね」とし、名古屋城総合事務所は「現在も契約をしている。公募支援業務を発注している段階の仕様書はある」としました。

浅井市議は「公告期間や質疑期間などを書いてきて。また、1年間のスケジュールも月別でほしい。2028年完成時期までのスケジュールをもう1回みたい」と
しました。名古屋城総合事務所は「季節ごとなら出せる」としました。

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「名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託」契約書・支出命令書を情報公開請求したところ開示されました。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210908.pdf
当初、令和元年〜3年度で1億4300万円の契約を(株)日本総合研究所と結びました。

しかしながら、まだ公募開始には至っていません。
名古屋市が言う「審査基準」なるものはなにかわかりませんが、愛知県重度障害者の生活をよくする会・NPOちゅうぶが提出した「バリアフリーは今より良くなる!!?」を実現するために必要な7つの基準は以下です。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/sanko2_kijun_1.pdf
 1 誰もが乗れる
 2 誰もが簡単に使える
 3 一般の人(健常者)の移動と同じような時間で移動できる
 4 たくさんの利用が連続してできる
 5 一般の人の移動と対立しない
 6 天守閣の最上階まで上がれる
 7 怖い思いをしないで乗れる
 
これらすべて満たし、しかも史実に忠実で、「エレベーターではない」ものを世界公募すれば実現可能なのでしょうか。

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22/3/9(水)名古屋城木造化 自民市議「『跳ね出し架構』に代わる基礎構造案は柱まるけだが、それでも木造復元するのか」

22/3/9に開催された名古屋市議会本会議で、浅井正仁市議(自民・中川区)は3点重要なことを質問しました。
1)『跳ね出し架構』に代わる基礎構造案は柱まるけで『史実に忠実な復元』ではないが、それでも木造復元するのか
2)バリアフリー 市長はどうして『最低1階まででも構わない』『エレベーターでもいい』と変更したのか
3)『現在の天守閣の保全』と、『木造復元』を比較した結果、文化財としてどちらが史跡価値を高めるかの検証が必要

22/3/9(水)名古屋市会本会議(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/220309.pdf

浅井市議は「名古屋市は突然基本計画を令和4年までに策定すると発言した。そうなら完成期間は言えるのではないか。木造復元がいかにも進んでいるように見せるためだけのようにしか思えない。これまでも大丈夫なようにいうだけで、結果はできませんでしたの繰り返しだった。基本計画策定が令和4年にできる根拠を明確にして欲しい。」と述べました。

折戸観光文化交流局長は「解体と復元を一体とした全体計画は、平成30年に基本計画書(案)として作成したものがあるので、これをもとに取りまとめていく。
全体計画は、 ・石垣の保存方針 ・復元原案 ・復元計画 などになる。
まず復元原案を秋にかけて整理するとともに、石垣の保存方針、基礎構造、バリアフリーの方針も並行して整理する。バリアフリーは速やかに公募を開始し、令和4年12月に昇降技術を選定する計画。復元計画として年明けをメドにまとめていきたい。
有識者には令和4年度中に全体計画を取りまとめるとの目標を表明している」としました。

浅井市議は「相当厳しいスケジュールではないか。これまでもスケジュール通りに進んだことは一度も無かった。市長、3年かけて1ミリも進まなかったことを1年で全部しますということ。
竹中工務店が技術提案した跳ね出し架構以外の基礎構造の検討は、私の印象ではとても難しいと思う。
市長に聞きたい。令和2年9月25日の全体整備検討会議で、柱まるけの基礎構造の絵が描いてある。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/uploads/c6d2631c5012acfd8a78f6f591238969.pdf
はね出し工法は絶望。私たちに示されているのは柱まるけの基礎構造しかない。史実に忠実じゃない基礎構造でも、木造復元されるつもりか」と質問しました。

河村たかし名古屋市長は「上記はイメージとして示した。今後調査の結果を踏まえて方針を検討していく」とした文書を読み上げました。

浅井市議は「市長はなぜ逃げる?この工法ならやるのかやらないかと聞いている。去年3月の委員会で、橋本ひろき市議(民主)は『何が何でも復元か、場合によっては復元的整備も考えるのか』と質問したら、市長は『復元的整備ならやらない方がいいと答えた。
いつもコロコロと適当に変わる。なぜ逃げる?史実に忠実に復元するのかしないのか」と質問しました。

河村市長は「質問する通告はありませんでしたけど、当然のことながら、当然のことながら史実に忠実な復元ということでございます。」と回答しました。

浅井市議は「質問通告はちゃんとした。史実に忠実じゃない工法だったら、木造は断念するのかどうか言ってください。」と質問しました。

河村市長は木の文化の説明をし出しましたが、浅井市議は「人が通れんぐらいの柱まるけになるんですよ。それが史実か、忠実かってこと。それでもやるのか。なぜ逃げるか。」と追及しました。

次に浅井市議はバリアフリーについて質問し、「最低条件は1階までで、なんと市長が絶対につけないと言っていたエレベーターでもいいということ。市長に確認するが、障害者に『エレベーターは設置しないけど、新技術で必ず対応する』と約束したよね。
ドローンで飛ばすとか、背負子で運ぶとか、駕籠に乗せるとかたくさんのアイディアをだした。
おんぶしてでも最上階の景色を見せたいという熱い市長の思いがあったが、今は『障害者には最上階から景色を見るのは諦めろ』と言っているようにきこえてならない。
市民説明会後のネットの書き込みを見ると、『障害者団体の言うことを聞かずに史実に忠実な復元をしてほしい』という意見がたくさん入っていた。どうしてこうなったのか。市民説明会で『本当は史実に忠実な復元をしたいが、バリアフリーバリアフリーといわれて、あたかも妥協してエレベーターを付けるように聞こえたから』だと思う。
これは間違えたメッセージ。バリアフリーは国・世界的な要請。当然に配慮すべきものであって、意見されて妥協してつけるものではない。『最低1階まででも構わない』と言ったのも市長。『エレベーターでもいい』と言ったのも市長。どうして方針を変えたのか。
誤解している人たちに市長からなぜバリアフリーをするのかお言葉を頂きたい」としました。

河村市長は「バリアフリーの法律は2つあり、いずれも『合理的配慮をしなければならない』と決めている。
どういうものかは関係の方、団体、文化庁、議会皆さん考えてやっていくということで、私はないようにおいて変わったことは一遍もありません」と述べました。

浅井市議は「今月の末に文化庁に提出する宿題があると思うが、提出出来なかったらどうするのか。いろいろ責任の取り方はあると思うが、市長の考えを教えて」としました。

河村市長は「文化庁は『丁寧な上にも丁寧にやってくださいよ、協力しますから』といっている。必ず実現するだろう、1000年の名古屋の宝ができるだろうと思っている」としました。

浅井市議は「責任を聞いたがまったくもってよくわからない。前回の委員会に来たとき、『全責任はわしが持つ』と市長は言った。損害賠償も含めて。覚えているか」と質問しました。

河村市長は「全責任は市長にある。全責任自分でもって、文化庁から『有識者の皆さんのそういというか合意で持ってきて』と言われたので、全力投球させていただいている」としました。

浅井市議は「局長は先程基本計画の策定に当たって、・石垣の保存方針 ・復元原案 ・復元計画 の課題を整理すると答弁があった。重大な課題が欠落していると思うが、市長おわかりか」としました。

河村市長は「ようわかりません」とこたえました。

浅井市議は「現在の天守閣の記録じゃなくて『評価』。解体のプロセスが欠落している。市長の答弁は復元のプロセスだからダメ。
現在の天守閣の保全と、木造復元を比較した結果、文化財としてどちらが史跡価値を高めるかを検証すること。ここがない。一番難しい問題。
熊本城は、震災で致命的な損傷を受けたにもかかわらず、保存と復元の検証の結果、保存を選択した。熊本城は現在エレベーターも最上階までついている。
つまり、壊れてもいない名古屋城をあえて壊してまで復元する価値があるという説明をしなきゃだめ。
そのため、当初耐震性が極めて低いという理由で、『まずは解体してから復元する』という解体先行という考えがされた。
しかし突然、前局長が『復元ありきの解体』と言っちゃった。この方針転換で現天守を壊す理由がなくなった。壊れてもいない名古屋城を壊してまで木造復元をする理由を基本計画に入れなきゃ駄目。前回の委員会で前局長にヒントを出したら、『委員の言っていることはわからない』とバッサリ切られた。新局長には理解してほしい。
最初に文化庁に僕が江上市議と横井市議とで行ったとき、当時記念物課長に言われた。初見を見て、このことかというのがよく分かった。城に携わっている人はわからない。今の城、記念写真を撮ればいいと思っている。そんな簡単なもんじゃない」としました。

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なお、債務負担行為による実施設計、木工事ならびに昇降技術の公募の繰越は賛成多数で可決されました。

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22/3/4(金)名古屋市議会本会議 自民市議「名古屋城 予定通り進んでいれば木材保管料年間1億円はかからなかった」

22/3/4に名古屋市議会本会議代表質問がありました。

22/3/4 名古屋市議会本会議代表質問 名古屋城部分
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリよる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220304gikai.pdf

北野よしはる市議(自民)は以下述べました。
事業を開始して5年たったが、事業が遅れていることに「全責任を持つ」と言った市長の責任は大きい。
質問1)95億円で木材を調達したのはどこでか。
 →岐阜県、奈良県、高知県や岩手県で。
  全体数量2,323本のうち約9割の2,071本調達済み
質問2)調達した木材はどれだけの期間保管されているのか
 →長いもので約3年
質問3)保管料はどれだけ費やしてきたか
 →令和3年度末までに約3億円
質問4)今後どれだけの保管料が必要となる見込みか
 →年間約1億円を見込んでいる
質問5)バリアフリー 昇降技術の公募は開始できるのか。障害者団体との合意は得られているのか
 →市の姿勢につきましては、一定のご理解をいただいているものと認識しております
質問6)バリアフリー 昇降技術の公募はいつはじめられるか
 →令和4年度早々には公募を開始してまいりたいと考えている

北野市議は「事業計画が詰めが甘く、材料は集めたが、使うことができず、莫大な保管料を払わないといけない。
今回の質問はそれを市民に明らかにするため。毎年1億円の木材保管料が必要となる。
予定通り進んでいれば、木材保管料の別契約は必要なかった。
1日も早く1日も早く調達した木材を使って、木材復元をした天守閣を市民にも見てもらえるように、スピード感をもって進めてもらいたい。
また、昇降技術の公募について、本市の姿勢に障害者団体の皆様から一定のご理解をいただいているのは安心した。
問題をあらかじめ想定していれば揉めることもなかった。
熊本城は被災したが既に復旧工事が完了し、大きな喜びをもたらしている。
名古屋市民は落胆している。歴史ロマンの象徴としての本来のイメージを取り戻すべき」としました。

続いて江上博之市議(共産)が以下述べました。
事業の見通しがないことは明らか。小天守西側石垣は濃尾大地震で破壊され、遺構すらはっきりしない。調査すればするだけ問題がでてくる。
石垣調査のため、木造復元がいつになるかわからないのに今買わないとなくなると言って木材購入を強引に行い、木材保管料を毎年1億円かける。
強引な木造復元は中止したらどうか。
全体修繕保全を行い、あるものは残し、ないものの復元など、総合的かつ計画的な名古屋城全体としての魅力向上を求める。

河村市長は、「現在に再現するという理念を掲げ、本丸御殿に続けて復元事業を進めている。全体の魅力は一層高まると認識している」としました。

江上市議は、「木材保管料には1億円使って、大切なものを廃止する。
傷つけられた名古屋の民主主義。市民の名誉を取り戻すために全力を尽くす」としました。

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北野市議の質問で、バリアフリーに関して市は障害者団体が「市の姿勢につきましては、一定のご理解をいただいているものと認識しております」という答弁で納得しているのはあまりにもナイーブです。

障害者団体は、市から市の姿勢を何回も聞かされて、『市の言い分はわかった』としている、というだけです。
障害者団体は、1回も「大天守1階までのバリアフリーでいい」とは言っていません。

きちんと関係者と調整もせず、見切り発車で基本設計・実施設計・木材を調達してしまった名古屋市。2020年度末までで約70億円かけており、木材保管料は今後毎年1億円かかります。
しかし、完成の見込みもありません。

19/9/2大村愛知県知事は「国、文化庁の許可が下りるめどもないのに100億円の木材を調達して買ってしまった」「どういう経過をたどって何が起こってこういう事態になったのかという事実関係をしっかり検証して、そして、その事実関係を情報公開をしていただきたい」としています。
https://www.pref.aichi.jp/koho/kaiken/2019/09.02.html#4

19/6/24大村愛知県知事は「文化審議会に当面かかる予定はないと聞いた。当初から木造化は難しい、無理と聞いている。石垣の調査、計画ができていない。名古屋市も本当のことを言ったらどうか。文化庁から許可が下りていない段階で調達した木材94億円と設計費等々で100億円以上が全損になるおそれがある。市議会には例えば百条委員会をやるなどして事実解明をしっかりやっていただきたい。
取材されたマスコミの皆さんは知ってたんじゃないですか 河村市長の『できなかったら切腹』発言は典型的なパワハラだ。関係者が希望すれば、愛知県が障害者団体も含めて調整することはやぶさかではない」としています。
https://www.pref.aichi.jp/koho/kaiken/2019/06.24.html#2
 
市議会にできることはもっとあるのではないでしょうか。

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22/3/4(金)名古屋城跡全体整備検討会議 木造復元は今回も議題に上がらず

22/3/4(金)特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第47回)がWEBで開かれました。

22/3/4(金)特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第47回)配付資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220304-0.pdf
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220304-1.pdf
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220304-1-1.pdf
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220304-2.pdf
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220304-3.pdf
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220304-4.pdf
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220304-5.pdf
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220304-6.pdf

22/3/4(金)特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第47回)名古屋市民オンブズマンによるメモ
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220304-9.pdf

今回はWEB開催でしたが、最初の挨拶以降は撮影・録音・録画は禁止されました。

今回の議事は5つ。
1)本丸搦手馬出周辺石垣の修復について
2)表二の門附属土塀の雁木調査について
3)令和4年度の二之丸庭園の発掘調査について
4)水堀における舟運について
5)名古屋城植栽管理計画について

議題としては、今回も名古屋城木造復元事業については一言も触れませんでした。

調べたところ、第43回会議(令和3(2021)年9月3日)で
3)天守台穴蔵石垣等の試掘調査について
が議題になってから6ヶ月もまったく議題に上がっていませんでした。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2021/05/20210531_1155.html

いったいどうしたのでしょうか。
穴蔵石垣等の試掘調査の結果は?
小天守西側内堀調査は?
御深井丸側石垣調査は?
跳ね出し架構に代わる基礎構造は?
バリアフリー技術の公募は?
市民が関心があることは山ほどあります。

また、この間石垣・埋蔵文化財部会も開催されています。
それら報告は特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議にされているのでしょうか。
なお、22/1/25に開催した第46回石垣・埋蔵文化財部会、22/2/17に開催した第47回石垣・埋蔵文化財部会の議事録・配付資料は、市公式ホームページに掲載されていません。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2021/05/20210531_1155.html

22/2/17 第47回名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会資料
0 会議次第.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220217-0.pdf
1 資料1本編.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220217-1.pdf
2 資料1別添資料.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220217-2.pdf
3 資料2.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220217-3.pdf
22/2/17 第47回名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会
(名古屋市民オンブズマンによるメモ)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220217-4.pdf

市民にも、有識者にも情報を共有しない名古屋城総合事務所。
木造復元に「不都合な真実」が出てきたという情報もあります。情報公開無くしていかなる事業もうまくいきません。


22/3/3(木)名古屋市議会経済水道委員会 名古屋城木造復元補正予算可決

22/3/3(木)に名古屋市議会経済水道委員会が開催され、名古屋城木造復元関連補正予算が賛成多数で可決されました。

22/3/3 名古屋市議会経済水道委員会
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220303.pdf

自民党:原案に賛成いたします。一つ要望をつけさせていただきます。
 木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託につきましては、各関係機関の合意を得た上で事業を進めること。
その他の議案については、原案賛成です。

民主党:原案に賛成します。

減税:はい、原案賛成です

公明:原案に賛成です。

共産:第30号案第53号議案名古屋市名古屋城天守閣特別会計補正予算第2号に反対します。
理由1 名古屋城天守閣木造復元については、基本協定書の木造天守閣完成期限が2022年12月31日を断念し、技術提案交渉方式による契約の必要性もなくなったことから事業を中止すべきである。にも関わらず、覚書で完成期限を2024年3月31日まで延長したことは認められない。債務負担行為そのものが必要でない上に、今回、債務負担行為の期間で『暫定的に』という表示は、過去の事例がなく、このような債務負担行為による実施設計、木工事は認められないこと
2 天守閣木造化が前提であり、最上階へのバリアフリーの条件もない、昇降技術公募の繰り越しは認められないこと
その他は原案に賛成。

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22/2/28名古屋市議会経済水道委員会の、浅井正仁市議(自民党)の「現状変更許可の見通しを立ててから木材を買えば、保管料毎年1億円かからなかった」等の発言はなんだったのか。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#220228
要望や意向表明をつけて予算に賛成してきたが、ことごとく名古屋市はそれら要望や意向表明に反することを行ってきたにもかかわらず、今回も要望をつけて賛成する、という気持ちが理解できません。

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22/2/28(月)名古屋城木造復元 自民市議「現状変更許可の見通しを立ててから木材を買えば、保管料毎年1億円かからなかった」

22/2/28に名古屋市議会経済水道委員会が開催され、名古屋城木造復元事業のため名古屋市が既に約40億円もの木材を購入も、現天守解体と木造復元のめどが立っておらず、年間保管費が毎年約1億円かかっていることに対し、浅井正仁市議(自民・中川区)が「2018年6月定例会の経済水道委員会の意思決定で、自民党から『木材の調達に当たっては、文化庁から与えられた課題を確実に解決し、現状変更許可の見通しを立てた上で計画的に行うこと』と意向表明がなされた。ちゃんと文化庁からの許可をもらってから(木材を)買えば、こんな事態にも落ちなかった」と述べました。

22/2/28 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220228.pdf

まず、江上博之市議(共産・中川区)が、名古屋城木造復元事業で木材をいくら購入したかを質問しました。
名古屋城総合事務所は、「2018年度に約95億円契約した。2022年3月末までに約40億円支払いをする。未執行は約55億円。
約40億円の内訳は木材費・運搬費・保管費・工事管理費。木材は岐阜・愛知・奈良・高知の木材保管庫で保管している」としました。

江上市議は「未執行の55億円には木造保管料は入っていなかったのか」と質問すると、名古屋城総合事務所は「その通り」と答えました。

また、木工事の残りはいくらか、損害賠償請求の対象になるか江上市議が聴いたところ、名古屋城総合事務所は「契約済みの約95億円とは別に、残り約105億円。残りは損害賠償請求の対象にならない」としました。

江上市議は「事業を中止すべき」としました。

さらに、江上市議は基礎構造、穴蔵石垣について質問しました。
名古屋城総合事務所は「穴蔵石垣は、来年度背面状況の調査を計画している。それを踏まえて整備方針の検討を進めていく。」としました。

江上市議は御深井丸側の内堀石垣について質問をし、名古屋城総合事務所は「必要な調査は終えており、石垣の修復の考え方、劣化の著しい石に対する丁寧な保護対策を含んだ仮設計画の検討を行っている。2022年3月中に有識者と合意形成を図れるよう作業をしている」としました。

また、江上市議は基礎構造を検討する『調整会議』について質問をし、名古屋城総合事務所は「本来の遺構に新たに手を加えないことを原則として、可能な限り史実に忠実な復元をするために『調整会議』を開催している。現在地下の穴蔵部分の遺構を試掘調査しており、それを踏まえて検討する。来年度は穴蔵石垣の背面調査に基づいて基礎構造を検討することが必要」としました。

江上市議は「石垣保存の立場の人と、天守閣を建てたい人の意見は相当違うと思う。ますます議論は続くだろう。『覚書』を毎年変えるのはいいのか。事業中止が必要」としました。

浅井正仁市議(自民・中川区)は「2018年6月定例会の経済水道委員会の意思決定で、自民党から『木材の調達に当たっては、文化庁から与えられた課題を確実に解決し、現状変更許可の見通しを立てた上で計画的に行うこと』と意向表明がなされた。名古屋市はこれと相反することをして、今の結果になっている。
1年毎にやっても、完成時期までもほぼ変わらない。自民党の意向表明を作った人は先見の明があった。ちゃんと文化庁からの許可をもらってから(木材を)買えば、こんな事態にも落ちなかった。保管料も毎年毎年1億円かからなかった」と述べました。

さらに浅井市議は「名城公園に木材保管庫を作る話は、6億ぐらいだったと思う。
(注:2019年6月議会に提案した名古屋城天守閣木造化木材保管庫予算400万円(債務負担行為 3億1300万円))
 https://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000117/117882/gaiyou.pdf
 ・名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材保管庫設置)
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190723-1.pdf
 ・19/6/26 名古屋市議会経済水道委員会配付資料
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190626.pdf
 保管庫予算は取り下げた。あと3年たったら6億円になっちゃう。
 保管庫を作った方が安上がりになったかも知れない。
 買った木は朽ち腐らせる訳にはいかない。
 調査が次から次へと出てくるが、目的ありきの調査じゃないの。
 有識者は違うと思う。ちゃんと全て調べて、それから復元の議論に入っていくのじゃないか。
 だから部会をやる度に、調査が足りないとか整理しろとか。考え方を改めた方がいい」としました。
 
また、浅井市議はバリアフリーについても、「市は障害者団体の理解を得てから公募すると言っていたが、公募開始までに踏む手順は何か」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「バリアフリー検討会議と名古屋市障害者団体連絡会で公募の説明を改めて行った上で解消したいと考えている」としました。
浅井市議は「バリアフリー検討会議はこれまで何回開いたか」と質問し、名古屋城総合事務所は「2019年度に1回。2020年度は0回、2021年度も0回。今年度できる限り早い時期に開催したい」としました。
浅井市議は「名古屋市障害者団体連絡会は何回開いたか」と質問し、名古屋城総合事務所は「2019年度に3回、2020年度に1回、2021年度に1回とあと1回開催したい」としました。

浅井市議は「高齢者への説明は」と質問したところ、名古屋城総合事務所は「公募開始後にワークショップという形でご意見を伺いたい」としました。

浅井市議は「復元の課題は3つあると考える。
1)石垣保全方針
2)基礎構造
3)バリアフリー
バリアフリーは『最低1階まで』に文化庁はなんとコメントしているのか」と質問したところ、名古屋城総合事務所は「文化庁に説明をしたが、意見を頂いていない。そのように進めていけばいいと考えている。」としました。

浅井市議は「基本計画、全体計画が名古屋市が出していないため、文化庁として検討できない。復元検討委員会にかけると言うことは、名古屋市の考え方を
しめすこと。そのときに『最低1階までのバリアフリーでダメと言われたらどうするつもりか。基礎構造と同じ構図だ。そこまで考えないとダメだと思う。これは税金だから。」と述べました。

佐治所長は、「バリアフリーも基礎構造もすぐ決まるものではない。具体的な提案が出てきた段階で、文化庁に説明したいと考えている。
復元検討委員会にかかってだめと言われないように調整をしっかり行いながら進めたい」としました。

江上市議は、「最上階までを条件としたら、何件くらい公募があると考えているか」と質問し、名古屋城総合事務所は「公募前なので控えたいが、色々興味を頂いている企業はいる」としました。
江上市議は「『少なくとも1階まで』はバリアフリーに値しない」と述べました。

上記で質疑は終了しました。
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22/2/25(金)名古屋城木造化 名古屋市「債務負担行為で、過去に完成期限を『暫定的に』としたことはない」

22/2/25に開催された名古屋市本会議で、江上博之市議(共産・中川区)の質問に答えた折戸観光文化交流局長は「名古屋城木造復元事業に関し、竹中工務店との基本協定を『暫定的』に2024年3月末、実施設計と木工事の債務負担行為の期限も『暫定的』に2024年3月末としたが、過去債務負担行為で『暫定的に』とした事例はない」と明言しました。

22/2/25 名古屋市本会議 (名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220225.pdf

江上市議は5点述べました。
1)当初、技術提案方式は2022/12/31までだった。
 しかし名古屋市は『暫定的に』契約を延期している。
 債務負担行為の変更ではなく事業を中止し見直すのが筋
 →基本協定書に関わる覚え書きの趣旨を踏まえて暫定的に設定した。暫定的の事例はないが、文言で表示した事例はある。
 (国営尾張西部土地改良事業 工事完了の翌年度から17年間という期間を設定)
2)天守と石垣の接点の『基礎構造』はどうするのか
 →回答せず
3)天守内堀の御深井丸石垣をどう修復するのか
 →回答せず
4)基本計画を2023年3月までに作成するというが、専門家会議で確認したのか
 →文化庁と有識者のご指導・ご助言を賜りながら、必要な調査検討を丁寧に進めつつ、十分な議論と合意形成を図りながら、目標達成に全力で取り組んでいく
5)バリアフリー公募『少なくとも1階に昇降』でバリアフリー対策と言えるのか
 →1階までは最低限の基準。幅広く提案を募る。
 
江上市議は、「債務負担行為で『暫定的』とした事例は過去になかった。市が例に出した工事は事例にならない。
 基本計画も、名古屋市の姿勢を表明しただけ。有識者の確認を得たわけではない。
 『事業の見通しがないのに目標を表明して、そのときになったら弁解する』繰り返しはやめたらどうか。
 バリアフリーについて表現を変えたようだが、内容は変わらず。
 最上階までの条件にしたら応募者がいないということなのだろうが、バリアフリーができないことを示している。
 応募者がいるようにするため予算を繰り越すのは理由にならない。強引に進めてきた木造復元事業を中止せよ。
 あるものは活用し、耐震改修し、ないものは復元して整備を進めるよう求める」としました。
 
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名古屋市民オンブズマンは、名古屋市と竹中工務店が21/11/18に結んだ、名古屋城天守閣木造復元事業の完成期限を2024年3月末と暫定的に定めた「名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書に係る覚書」を情報公開請求で入手しました。

・21/11/18 名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書に係る覚書
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/211214.pdf

今回市議会に提出されている、「令和4年度名古屋市各特別会計予算に関する説明書」の名古屋城天守閣会計の債務負担行為でも、令和4年度以降の支出予定額の期間欄に「4〜暫定的に5」と記載があります。
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000149/149791/R4.tokkai.pdf

極めて異例な名古屋城木造復元事業。
完成の目処がたっていないのであれば、債務負担行為も延長すべきではありません。
市議会が債務負担行為を認めなければ、名古屋城木造復元事業はストップします。

2017/5/9「名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書」完成期限 2022年12月末
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170509-1.pdf
第6条の3
 前2項に係る予算が成立しない場合又は前項に係る議決が得られない場合は、本事業を中止し、契約の締結をしないことがある。また、その場合、当該予算に係る業務については発注者、優先交渉権者の間に何ら権利、義務が発生せず、発注者は予算の成立につて何ら責を負わない。
 

22/2/22(火)学習会「建築士が読み解く 名古屋市が作成した幻の名古屋城現天守耐震改修案」

「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」は、22/2/22に学習会「建築士が読み解く 名古屋市が作成した幻の名古屋城現天守耐震改修案」を開催しました。
・配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220222.pdf
・文字起こし(講演部分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220222-1.pdf

これは、名古屋市民オンブズマンが情報公開請求で入手した、「名古屋市が作成した現天守の耐震改修案」を渡邉正之建築士が読み解いて解説したものです。

・開示決定書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114.pdf
・【名古屋城大天守閣】構造体劣化調査結果等
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-1.pdf
・【名古屋城小天守閣】構造体劣化調査結果等
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-2.pdf
・(情報提供資料)名古屋市構造体劣化調査(鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造)作業要領(平成22年度(2010)版)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-0.pdf
・【名古屋城大天守閣】耐震診断概要書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-1-1.pdf
・【名古屋城大天守閣】耐震診断報告書1
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-1-2-1.pdf
・【名古屋城大天守閣】耐震診断報告書2
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-1-2-2.pdf
・【名古屋城大天守閣】耐震診断報告書3
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-1-2-3.pdf
・【名古屋城小天守閣】耐震診断概要書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-2-1.pdf
・【名古屋城小天守閣】耐震診断報告書1
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-2-2-1.pdf
・【名古屋城小天守閣】耐震診断報告書2
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210114-2-2-2.pdf
 
・平成29年3月 株式会社大建設計名古屋事務所
 名古屋城天守閣暫定的耐震補強調査業務報告書
 @補強計画の耐震診断結果
 A補強計画の耐震診断結果の考察
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/1703-1.pdf
 G概算工事費及び概算工程表
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/1703-8.pdf
  
講師の渡邉正之建築士は以下述べました。
名古屋市は、平成22年(2010年)9月に構造体劣化調査、平成23年(2011年)2月に耐震診断概要書をまとめた。
また、平成29年(2017年)3月に暫定的耐震補強調査をまとめていた。
構造体劣化調査の結果、基準をクリアーしていた。
耐震診断概要では、Is値の目標0.6を大幅に下回る0.14だった。どうすればIs値0.6、0.75に補強できるかをまとめたのが耐震診断概要書。
内部の柱に鋼板を巻いたり、RC増設壁をしたり、炭素繊維を巻いたりして耐震補強する(外観は変更しない。外壁に×型の鉄筋がむき出しになることはない)。
Is値0.6以上にするには、大天守小天守合計で11億5000万円。エレベーター改修1億6000万円をあわせると、13億1511万4500円。
Is値0.75以上にするには、大天守小天守合計で13億5047万0205円。エレベーター改修1億6000万円をあわせると、15億1051万9605円と試算されている。
主に7階だけ補強する「暫定的耐震補強」だと、1億7172万円の試算がでている。
名古屋市はせっかく業者に上記調査を発注したのに、全く活用もせず、市長は「505億円で木造」と叫んでいる。
安ければいいわけではないが、こんな財産があるにもかかわらず知らん顔してやるべきなのか。
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会場から活発な質疑が行われました。

渡邉氏は「現在Is値0.14といっても、地震が来た際、倒壊するとは限らない。名古屋城は地盤が非常によい。
木造復元については1/10とか1/100の模型を作って実験値を算出し、構造計算のシステムに当てはめることは可能。」としました。

会場から「市民に耐震補強の説明もせず、長寿命化の説明もせず、『耐震補強しても40年しかもたない』と2016年5月に2万人アンケートをしたのがそもそもの間違いだった」という声が出ました。
https://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000083689.html

「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」は、今後も引き続き学習会を行っていくとのことです。
https://peraichi.com/landing_pages/view/protect-nagoya-castle/


22/2/17(木)名古屋城石垣部会座長「小天守西側内堀調査 今の状態では文化庁に報告は無理」

22/2/17(木)に第47回名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会が開催され、座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「小天守西側内堀調査は不十分であり、今の状態では文化庁に報告するのは無理だ」と明言しました。

22/2/17 第47回名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会資料
0 会議次第.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220217-0.pdf
1 資料1本編.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220217-1.pdf
2 資料1別添資料.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220217-2.pdf
3 資料2.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220217-3.pdf
 
22/2/17 第47回名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会
(名古屋市民オンブズマンによるメモ)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220217-4.pdf

今回は会議がWEB(Zoomウェビナー)で行われ、傍聴もWEBで行われました。
しかし、録画・録音は禁止されました。

今回の議題は2つ。
「本丸搦手馬出周辺石垣の修復について」と、「小天守西側の調査分析結果について」です。

小天守西側石垣は、濃尾地震の際に大規模に崩落した後修復されています。
名古屋城木造復元にあたっては、小天守西側の内堀に軽量盛り土を載せて、その上に大型重機や仮設構台、資材を載せる計画です。

文化庁からは、「内堀底面については、地下遺構の全体状況を正確に把握し、保存を前提とした仮設物設置計画の検討が必要である。」と指摘事項が出されています。
名古屋市は2021年5月に「回答」で、「小天守西側の濃尾地震の際に修復した石垣の部分については、令和3年度に地下遺構面の標高を確認する調査を実施し、その結果を踏まえて石垣の保存を確実に図る仮設計画とする」と述べています。

今回部会に提出された資料では、「地下遺構面」は石垣側では地表から533mm、反対側の西側では784mmで検出したとしました。
遺構面に働く仮設物設置の荷重(最大鉛直応力)の解析結果は、地盤の許容支持力に比べて小さく、成人男性の歩行時に比べても小さい値であり、影響は軽微と考えられるとしました。

構成員の宮武正登・佐賀大学教授は「石垣側と西側をつなぐ地表下がどうなっているかわからない。
斜めにすりあがっているというのは城郭遺構では考えられない。守るべき遺構がどうなっているのかわからない。
遺構の残存状況がわからず、(その上に軽量盛り土を)やっていいのか、問題提起したい」としました。

また、「濃尾地震後に修復した石垣は相当ゆがんでいる。大型土嚢で被覆するというが、持つのか?」としました。
構成員の西形達明・関西大学名誉教授は「持つか持たないかと言われると、うーんと言わざるを得ない。
細かいところの石垣、劣化部は(計算に)入っていない。なんとか安全でしょうという結論を出す気がする。100%大丈夫か?といわれると、、、」としました。

構成員の赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長は「東西ではなく南北方向に長い発掘調査をすべきだったのでは。地下に遺構があるかもしれないが、『深いから荷重かけてもいい』というのはちょっと問題。
遺跡について真摯に取り組んで欲しい」としました。

座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長は「今日の報告では、(石垣部会が)『理解できました』には至っていない。
文化庁に報告すると言っても、今の状態では無理。(文化庁が)理解できない。事務局でそろえて精査して次回出してほしい」としました。

宮武教授は「『文化財調査するにはどうすればいいか』と考えれば、こういうことにはならなかった。
『表土がこれくらいだから大丈夫』では文化庁は通らない」としました。

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大天守西側の堀底からは「幻の小天守の石垣の基礎の可能性」がある石列が発見されています。
小天守西側の堀底にも、なんらかの遺構がある可能性もあります。
名古屋市は、文化庁から指摘事項が出ているにもかかわらず、きちんとした調査をしてこず、今回石垣部会から「これでは調査が不十分」と言われました。

軽量盛り土工法に対して文化庁から早急にお墨付きをもらいたいがために、十分な調査をせずに名古屋市はやろうとしていたようにみえます。
このような「遺構軽視」ではなく、「石垣ファースト」にすると名古屋市が言っていたのは口先だけだったのではないでしょうか。

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今後の予定(2022年)

2/22(火)18時半- 学習会 建築士が読み解く!名古屋市が作成した「幻」の名古屋城現天守耐震改修案 北生涯学習センター
2月28日(月曜日)午前10時30分 経済水道委員会 付議議案審査[質疑(経済局、観光文化交流局関係)]
3月2日(水曜日)午前10時30分 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(経済局、観光文化交流局、上下水道局関係)]
3月3日(木曜日)午後1時 経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(3局一括)]
3月10日(木曜日)午前10時 経済水道委員会 付議議案審査[質疑(経済局、観光文化交流局関係)]
3月14日(月曜日)午前10時 経済水道委員会 付議議案審査[資料質疑・質疑(経済局、観光文化交流局関係)]
3月16日(水曜日)午前10時 経済水道委員会 付議議案審査[総括質疑(経済局、観光文化交流局関係)]
3月18日(金曜日)午前10時 経済水道委員会 付議議案審査[意思決定(3局一括)]
3/25(金)13:15 名古屋城木造化基本設計等住民訴訟 名古屋高裁
3/30(水)13:10 名古屋城木造復元情報公開訴訟判決 名古屋地裁

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22/2/16(水)名古屋城木造復元情報公開訴訟結審 判決は22/3/30(水)

名古屋市民オンブズマンが原告の、名古屋城木造復元事業に関する情報公開訴訟の弁論が22/2/16に名古屋地裁で行われ、結審しました。

本件は、名古屋市と文化庁とのやり取りの情報です。
当初はほとんど黒塗りでしたが、21/9/16に新たな開示決定がなされて、593ページ中562ページの黒塗りが90ページまで減りました。

・開示文書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210916-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210916-2-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210916-2.pdf 
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210916-3.pdf

その後、原告は非公開部分について「情報公開条例の非公開理由にあたらない」と個別に主張しました。

判決は22/3/30(水)13:10 名古屋地裁です。
ぜひ傍聴に来て下さい。

名古屋市令和4年度当初予算案に名古屋城天守閣木造復元に6億6187万円計上

名古屋市は22/2/10に、令和4年度当初予算案を公表しました。

令和4年度当初予算の概要
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000149/149765/R4.souan.pdf

参考資料
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000149/149769/R4.sankou.pdf

名古屋市 令和4年度主な施策等一覧 観光文化交流局
https://www.city.nagoya.jp/zaisei/cmsfiles/contents/0000149/149785/kankou.pdf

それによれば、名古屋城天守閣の木造復元として6億6187万円が計上されています。

・天守閣の整備 3億4466万円
・木造天守閣の昇降に関する新技術の公募 3938万6000円
・木造復元に向けた機運醸成 1000万円
・基金の積立 1億1万5000円
・事務費等 1億6780万9000円

天守閣の整備 3億4466万円の詳細は以下です。

1 趣旨
特別史跡名古屋城跡の本質的価値の理解促進、及び文化的観光面の魅力向上を図るため、名古屋城天守閣の整備を行う。

2 事業内容
(1)実施設計 15,000千円
 ア 設計業務
  設計図作成、構造解析、現状変更許可申請書類作成
 イ 調査業務
  史実調査
(2)設計監理等支援業務委託 15,000千円
  天守閣整備事業に係る技術面及び法務面に関する支援
(3)木材の製材 99,985千円
  柱や梁などの主架構木材の保管費
(4)石垣調査等 214,675千円
 ア 石垣保存方針の策定に向けた調査
 イ 天守台周辺石垣対策計画策定
 イ 石垣モニタリング(天守台石垣)

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名古屋市は「予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例」に基づき、予算編成過程を公開して市民の意見を募集しています。
しかしながら、今年も財政局査定内容の公開にない内容が当初予算案に計上され、市民の意見が言えませんでした。
22/1/19.20.22に開催された「名古屋城天守閣木造復元市民向け説明会」でも、上記資料は公開されませんでしたし、
市民の意見も言えませんでした。

そもそも、今後名古屋城天守閣木造復元事業をするなら、どのような予算が提案される予定なのか。

2019年6月議会に提出予定だった、解体工事予算約20億円は今回も見送りました。

木材保管に関しては、名古屋市は21/1/23に「保管費はかかるが、機械乾燥費から自然乾燥に変えたため、現在は元々の木材の金額内で収まっている。しかしやはり限界があるので、その部分については竹中工務店と協議をするが、できるだけ追加にならないような工夫をしたい」と述べています。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/houkokusyo_1.pdf

なお、実施設計は当初2020/5/29までの予定が、2022/3/26まで延長変更契約をしていますが、いつまで延長するつもりなのかも不明です。
・当初契約 2020年5月29日まで(15億6384万円)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/180523-4.pdf
・変更契約 2021年3月26日まで(11億5361万640円)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200415-2.pdf
・変更契約 2022年3月25日まで(11億4091万5941円)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210608.pdf
 
また、実施設計業務委託費としてすでに5億9400万円支出済です。
・19/7/31 情報提供文書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190731.pdf

なお、名古屋城天守閣特別会計は2020年度末までで約70億円支出済です。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220120-1.pdf

今回の当初予算案で、名古屋市がしたいことがまったく見えてきません。
とにかく先は見えないがずるずる経費を出し続けたい、としか思えません。

22/2/18(金)から22/3/23(水)まで名古屋市議会2月定例会が開催されます。
どのような議論がなされるか注目したいです。


22/1/25(火) 名古屋城石垣部会 天守台石垣・北対岸石垣に一言も触れず

22/1/25に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第46回)が開かれました。
構成員はZoomウェビナーで会議を行っているにもかかわらず、傍聴希望者は名古屋市公館へ画面を見に来い、という扱いでした。
しかも写真・ビデオの撮影等は今回もマスコミ・傍聴者は禁止されました。

・22/1/25 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第46回)
 配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220125.pdf

・22/1/25 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第46回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220125-1.pdf

有識者が議案について議論をするのですが、議案が
(1)本丸搦手馬出周辺石垣の修復について
(2)表二の門附属土塀の雁木の調査について
のみであり、現在名古屋市が取り組んでいるはずの名古屋城天守木造化に関しては一言も触れませんでした。

なお、名古屋市は現天守閣の解体申請を文化庁に提出していた件について21/7/27に取り下げしていますが、全体整備検討会議・各部会ともに一言も触れていません。

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名古屋市はようやく特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会第45回部会(令和3(2021)年10月29日)の議事録を公開しました。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2021/05/20210531_1155.html

21/10/29会議で千田嘉博・奈良大学教授は「御深井丸側内堀石垣調査の速報値を見たところ、想定より状況が悪い。内堀を埋めてクレーン台座を置くのはとても耐えられない。もし天守木造を行う場合、現在検討をしている工事の工法をとるのは絶望的になったのではないか」と述べました。
これに関し、今回の部会では一言も触れていませんでした。

名古屋城天守木造化に関して市民に情報を公開せず、どういう状況になっているかほぼ説明していない名古屋城総合事務所。
年に3回のみの市民説明会では疑問点は解決しません。市民の理解なくして未来はありません。

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今後の予定

・22/1/25(火)午後6時半〜 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」例会
 @北生涯学習センター
・22/2月上旬 2022年度予算公開
・22/2/16(水)午前10時〜 
 名古屋城文化庁訪問時面談記録情報公開訴訟 @名古屋地裁1101法廷
・22/2/18(金)名古屋市会開会 
・22/2/22(火)午後6時半〜 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」学習会
 「建築士が読み解く!名古屋市が作成した「幻」の名古屋城現天守耐震改修案」
 @北生涯学習センター
 講師 建築士の渡邉正之様
・22/3/25(金)午後1時15分
 名古屋城基本設計住民訴訟 判決 @名古屋高等裁判所10階法廷
 
※名古屋城関係の有識者会議は以下で開催予定がわかります。
 https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2021/0-Curr.html


名古屋城木造バリアフリー説明 議事録・話した内容がない場合の面談相手・日時不存在

名古屋市民オンブズマンは「名古屋城天守閣木造復元事業の件で、名古屋市職員が障害者団体と面談した際、議事録・話した内容がわかるものがない場合の面談相手と日時、市職員の氏名がわかるもの、持参資料」を情報公開請求したところ、「面談相手と日時、市職員の氏名がわかるもの」は不存在でした。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220121.pdf

21/11/30名古屋市会本会議で、浅井正仁市議(自民)が「木造復元事業のバリアフリー新技術公募について、名古屋市は1階まで最低条件と変更した。
障害者団体と頻繁に協議したと市は説明したが、うち議事録があるのはたったの 3 回。あと147 回の議事録はどこにいったのか」と質問しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/211130.pdf

今回、議事録がないもののうち、面談相手と日時、市職員の氏名がわかるものを情報公開請求しましたが、不存在でした。

ただ、持参資料だけが開示されました。

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これでは本当に147回も障害者団体と協議したかわかりません。
そもそも、障害者団体に説明に行って、議事録がないこと自体がおかしいです。

そもそも、障害者団体と協議をして「1階まで」でよいと障害者団体が了承した、とは名古屋市も言っていません。

浅井市議がバリアフリー国際コンペで「1階までの条件で文化庁が許可するのか。世界標準に適応するのか」と問うても答弁がありませんでした。

「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」が19/1/7に日弁連人権擁護委員会に提出した「人権救済申立書」によれば、「これまで5階までは利用できていたにもかかわらず,エレベーターのない新天守閣が作られれば1階以外の利用はできないこととなり,新天守閣が車いすを利用する身体障害者の権利をより制限することとなるのは明らかである。」としています。
https://bit.ly/3xjiaSI

なお、名古屋市民オンブズマンは「障害者団体と協議した際の議事録」を別途情報公開請求中です。

22/1/22(土)名古屋城木造復元市民向け説明会 不完全燃焼のまま終了

22/1/22に名古屋城木造復元市民向け説明会が鯱城ホールで開催され、83名が参加しました。
今回も撮影は許可されず、ネット中継もありませんでした。
・22/1/22 名古屋城木造復元 市民向け説明会
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/220122.pdf
・22/1/22 名古屋城木造復元事業市民向け説明会(質疑応答部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
・配付資料
・【名古屋市公式】令和3年度 名古屋城天守閣木造復元 オンライン市民向け説明会

今回も質疑時間が短く、5名しか質問出来ませんでした。
事実誤認に基づく質問も多く、これで「市民向け説明会を終えた」というのは「アリバイづくり」としか言いようがありません。

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1人目
 質問1:将来売店等をどけるのか
  →今後整備を進める中で再配置
 質問2:エレベーター 今ある外付けはやめてほしい
  →今後エレベーターも含めて広く技術を募集する
 質問3:天守閣部会の回数が少ない
  →平成29年度、30年度は多くやった
   必要に応じて開催する
 質問4:障壁画の水漏れの原因は
  →空調不調で少し描いた絵に水がしみた
   経過観察中 絵に大きなダメージはない
   原因は調査中 

2人目
 質問1:2020年に突然文化庁から「解体と復元一体」の
  着工許可がでた。ポイントは
  (注:着工許可は出ていません)  
  →2021年5月に、名古屋市が「現天守解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答」を発送した。
   その後2021年6月に文化審議会文化財分科会から「所見」が出た。
    ・「石垣影響は考古学的調査、工学的調査を」一定の評価を得た
    ・解体理由を木造復元と整理したなら、解体と復元は一体として審議する必要がある。
   今回はじめて文化庁から手順に向けて指導いただけた  
 質問2:市長は「研究ではトップを走る機関を設けたい」といっていたが
  →金沢城や熊本城のセンターに人数はかなり近づいた
   日本のトップ、世界のトップには一朝一夕にはいかない  
 質問3:完成時期はいつか?去年2027年頃できると言っていたが、市長はOKと返事していない
  →今後作る計画を有識者と十分合意形成諮る必要がある。
   文化庁の有識者「復元検討委員会」がどれくらいかかるか正直つかめない
   現在完成時期は示せないが、令和4年度中に検討委員会にかけるのは市長も事務方も認識が一致
 質問4:バリアフリー ハンディキャップだけでなく高齢者対策も
  →昇降技術選定する前にハンディキャップ+高齢者からもご意見をもらう予定
  
3人目
 質問1:城はバリアそのもの。急な階段を上る体験に意義がある
  特別史跡を目指すなら本物の小規模なバリアフリーにして。
  現在どの程度公募が集まっているのか
  →公募は現在始めていない。
   昇降技術メーカー以外からももらいたい

4人目:
 質問1:建築審査会が「復元やむを得ない」としてはじめて建築基準法の適用除外になる
   安全性、法同等の安全で躓いているのではないか 
  →適用除外は後。文化庁の現状変更許可が先。
 質問2:基本計画、全体計画を策定するのは一歩前進だと思う。
  いつ頃どうなるのか
  →解体と復元を一体とした全体計画の策定は2022年度いっぱいを予定。
   文化庁復元検討委員会は2023年度から入っていきたい。
   それがどれくらいかかるかわからない
  
5人目
 意見1:現天守はヘリで解体すれば、重機を使わなくて済む
  →去年金シャチを大型ヘリで地上に降ろしたが1体1.2トン。それくらいが限界。
   遺構に影響がないよう進めている。
 意見2:売店を潰せば解体スペースを確保できる
   ヤードは西側、北側内堀を発泡スチロールで埋めて確保したい。
   昨年度有識者に諮り「工学的、考古学的に影響が軽微」となり、問題はないと考えている

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3日間の説明会に参加した人は208人。質問出来た人は15人しかいません。
しかも事実に基づかずに質問した人も多いです。

事実
・当初の名古屋城木造復元計画は工事だけで505億円。
 当初は2022年12月までに復元と竹中工務店と基本協定。
・名古屋城木造復元をするためには文化庁から現天守解体
 ・木造復元の許可が必要
・木造復元には基本設計・実施設計・木材製材・復元工事が必要
・基本設計は8億4693万6千円。
 2018/3/30に完成と市は主張
 (住民訴訟中 22/3/25(金)名古屋高裁判決)
・実施設計 11億4091万5941円支出済
 契約は22/3/25まで。
・木材は39億3744万円支出予定(2022/3末まで)。
 全契約2323本のうち2071本調達済
 保管費年間9000万円。
・2022年1月時点で木材等に約70億円支出済。
・現天守解体申請は2019/4/18に申請も2021/7/27に取り下げ
・本丸整備基本構想は2021/5/6に文化庁に郵送
・石垣保存方針は2022年度中に策定予定と名古屋市
・基礎構造の方針も2022年度中に策定予定と名古屋市
・バリアフリーの方針を「大天守1階まで昇ることを必須」と
 障害者団体の意見を聞かずに決定。
・昇降技術公募開始は2022年度中になるかも。
・上記が決まった後、2022年度中に「解体と復元を一体とした全体計画の策定」の予定と名古屋市
・2022年度中に、石垣保存方針、基礎構造の方針、解体と復元を一体とした全体計画が策定できるか不明。
・2023年度中に文化庁復元検討委員会を開催予定と名古屋市。
 しかし何回検討委員会を開けば許可が出るか全く見通せず
・復元検討委員会の許可がでれば現状変更許可手続きになる
・その後、名古屋市建築審査会で「建築基準法適用除外」をとる必要。
・名古屋市消防長の同意も必要
・現状では名古屋市は全く完成時期が見通せず
・竹中工務店とは暫定的に2024年3月末まで基本協定を延長。
・完成時期が見通せた後、収支計画を出す予定

基本的な事実を踏まえない質問はどれだけやっても無駄です。
また、名古屋市の説明を聞いても、やたら細かく上記についてどこまで市民が理解できるかさっぱりわかりません。

名古屋市が市民への説明を怠ってきたツケが回ってきました。
すでに約70億円税金を使っています。
19/9/2大村愛知県知事は「国、文化庁の許可が下りるめどもないのに100億円の木材を調達して買ってしまった」
「どういう経過をたどって何が起こってこういう事態になったのかという事実関係をしっかり検証して、そして、その事実関係を情報公開をしていただきたい」としています。

名古屋市は約232万人市民全員に対し、今後何千回でも説明し、疑問に答えることが必要ではないでしょうか。
また、2022年末までに木造復元があたかもできるような言説を振りまいてきた河村たかし名古屋市長は、今こそ「全責任は私が取る」を具現化すべきです。
参考:2015/8/24 河村たかし市長「全責任は私が取る」指示書

今後、2022年2月議会に新年度予算として名古屋城関係の予算がいきなり出てくることが予想されます。
市議会に注目です。

22/1/20(木)名古屋城木造復元市民向け説明会「『着実に前進』といえるのか」

22/1/20に名古屋城木造復元市民向け説明会が鶴舞公会堂で開催され、61名が参加しました。
今回も撮影は許可されず、ネット中継もありませんでした。

・22/1/20 名古屋城市民向け説明会
 (名古屋市民オンブズマンによるメモ)
・22/1/20 名古屋城木造復元事業市民向け説明会(質疑応答)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
・配付資料
・【名古屋市公式】令和3年度 名古屋城天守閣木造復元 オンライン市民向け説明会
 
今回も質疑時間が短く、5名しか質問出来ませんでした。
木造復元に賛成している人も「現在どうなっているのか」と強く詰め寄ることが多かったです。

1人目
 質問1:一級建築士が、建築基準法に何重にも違反していると言っている
  →建築審査会の同意を得ればよい
 質問2:消防設備システム評価で「5階窓から避難するのは恐怖で動けないのではないか」といわれた。なぜ市民に知らせない
  →第三者機関で評定・評価いただく
 質問3:御深井丸石垣深刻な状況 どう対応するのか
  →調査終了し、今後検討
 質問4:基礎構造 どうなっている
  →スピード感を持って進めていく
 質問5:バリアフリーはいい案が出なければどうするのか
  →そのとき考える
 質問5:収支計画はいつ出すのか
  →新たな竣工期限が定まり次第考える

2人目
 質問1:今まで市のお金いくら使ったか数字がない
  →天守閣特別会計 令和2年度末までで約70億円
 意見1:白川ホールも潰れ、色々潰れている。リセットして考え直すべき
 
3人目
 意見1:もっと積極的にアピールを
  →解体申請を出したら文化庁から指摘事項をもらった。
   「解体と復元を一体化した申請を」という所見をもらった。
   全体計画を令和4年度中に作成したい
 意見2:櫓や門も再建してはどうか
  →本丸優先だが、全体が江戸ワールドになるようにしたい

4人目
 質問1:石垣がなぜ足を引っ張っているのか
  →本質的な価値があり、整備事業で保存に影響を与えないのが前提
 質問2:名古屋城は入場者数が多いがバリアフリーできるのか
  →技術は公募により広く募りたい
 質問3:熊本城はどうして地震で倒壊しなかったか
  →偶然の要素がありわからない
  
5人目
 質問1:復元検討委員会が最大の山場。
  着実に前進と言えるのか どこを目標にするのか
  →全体計画は来年度いっぱいかけてまとめたい。
  石垣保存方針、基礎構造、バリアフリーもなんとか来年度いっぱいで有識者会議で合意形成したい。
  復元検討委員会は本丸御殿は3回開かれた。
  今回何回か想像もつかない
 要望1:「一日を早く復元」ではなく100年後も愛される施設を作って

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当初河村たかし名古屋市長は「2020年のオリンピックまでに名古屋城を木造復元しよう」といいました。
延びて2022年12月までに竣工する基本協定を竹中工務店と結びましたが、現時点では木材等で約70億円費やしたものの、現天守解体すらできておらず、竣工時期のメドもたっていません。
バリアフリー、基礎構造、石垣すべてにおいて、メドがたっていません。

河村市長の言うがまま、「木造復元事業がすぐにでもできる」と信じてきた人も、ようやくここにきて何か変だと気付いてきたようです。
「なるべく早く木造天守を作って欲しい」といっても、特別史跡内の工事なので、文化庁の許可が無いと釘一本打てないことは当初からわかっていました。

名古屋市がいうように、本当に2022年度中に石垣保存方針、基礎構造、バリアフリーについて有識者と合意ができるのか。
万が一合意できたとして、文化庁復元検討委員会の審査でどのような意見が言われるのか。

市民に十分な説明を怠ってきたツケが回ってきています。

名古屋城木造復元 「昇降技術は火源にならないのか?」

22/1/19に名古屋城木造復元事業市民向け説明会が開催された後、河村たかし名古屋市長のぶら下がり記者会見がありました。

22/1/19 名古屋城市民向け説明会後の河村たかし名古屋市長ぶら下がり
(名古屋市民オンブズマンによるメモ)

河村市長は、名古屋市が動画を一方的に配信していることを「説明会をオンラインでやる」と勘違いしていたことが判明しました。
河村市長は「説明会がオンラインでできると面白いけどね」と前向きな発言をしました。

また、昇降技術について新年度予算に提出する意向を示しましたが、新年度からしか公募できないかと聞かれて市の担当者は「そうなるかもしれない」と回答しました。

記者から、「先程の説明会では、名古屋城の中に火源(かげん、火の元)を一切使わないと説明があったが、昇降技術は火源にならないのか」と質問がありました。
佐治独歩・名古屋城総合事務所長は「まだ現時点で公募も始まっていませんので、どういう技術を採用するかということはお答えできない」としました。
記者は「逆に言うと火源になる提案というのは採用しないということか。エレベーターとか電気使うことになると思うんですけど」と質問し、名古屋城の担当者は「什器のエネルギーを勘案して防災計画を立てている。オーバーしないような制限をかけてバリアフリーの技術を公募しますんで、そういったことにはならないというふうに思います」としました。

記者から「説明資料には、これまでいくら使ったかというお金に関する説明が一つも無かったが」と質問があり、河村市長は「意図的ではない。してもいいんじゃないですか、別に。世界の宝、1000年持つ、無駄使いは1円もしていない」としました。

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現天守閣は、内部エレベーターが途中(7階建ての5階)までは行くことができます。
木造復元天守閣の昇降技術については、河村市長は2021年の市長選挙で『(車椅子の人に)5階で景色を見せてあげる』と言っていました。
しかし、障害者団体と連絡を取ることなく、バリアフリーの方針がいつのまにか「大天守1階まで昇ることを必須とし、可能な限り上層階まで昇ることができる」と変更になりました。

名古屋市は、一般財団法人日本消防設備安全センターから20/1/29に「消防設備システム評価」を取得しています。
しかし、昇降技術については、まだ公募していないため、上記システム評価の対象外です。
・名古屋城天守閣整備事業 消防設備システム評価について(避難誘導システム)
 一部公開決定書
・名古屋城天守閣整備事業 消防設備システム評価について(避難誘導システム)

19/10/31に発生した首里城火災の出火元は分電盤が設置されていた正殿北東部分とみられており、延長コードにショートの痕跡が見られますが、原因は不明です。

昇降技術の公募条件はどのようになるのかわかりませんが、電気を使わないようにするのか。電気を使ったとして火源にならない方法がなにかあるのか不明です。

なお、昇降技術公募とは直接は関係ありませんが、電動車いす(ハンドル型) 走行中に発火・全焼した事例が数件あることが、一般社団法人 日本福祉用具・生活支援用具協会の調査でわかりました。
・一般社団法人 日本福祉用具・生活支援用具協会
 福祉用具の重大製品事故に係る公表(1)(令和4年1月12日)
 ■重大製品事故であって、製品起因が疑われる事故

また、スマホ等で事故が発生した事例は平成22年度から平成26年度までの5年間に合計239件あったことが、独立行政法人製品評価技術基盤機構 製品安全センターの調査で判明しました。

数百年間の間の技術革新はどうなるかわかりませんが、一切火源を名古屋城天守閣内に入れない、ということが可能なのでしょうか。
消防設備システム評価書の多くが非公開なので、どうなっているかわかりません。

「万が一」の火災の際、どう避難するかは市民に知らせるべきではないでしょうか。
また、火源を城内に入れないための対策は何をするか(手荷物検査、手荷物預かりなど)も知らせるべきだと思います。

ただでもハードルが高い昇降技術公募ですが、火源問題でさらにハードルが高くなりました。
当初の予定通り2021年度中に公募開始できるのか、それとも予算を議会で通した上で来年度以降に公募開始がずれ込むのか。
市議会での議論が注目されます。


22/1/19(水)名古屋城木造復元市民説明会 市「5階想定人数と避難時間 今の段階ではわからないとしか言えない」

22/1/19に名古屋城木造復元事業市民向け説明会が開催され、64名が参加しました。
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
・名古屋市民オンブズマンによる文字起こし(質疑部分)
・配付資料
・【名古屋市公式】令和3年度 名古屋城天守閣木造復元 オンライン市民向け説明会
 
2021/8/4に金メダルをかじった後、年内は対外的公務を自粛していた河村たかし名古屋市長ですが、本日は会場で挨拶しました。
しかしマイクが入っていないのに気付かず、1分程度マイク無しで話し、市職員からの指摘でようやく気付きました。
挨拶は例年通りでしたが、「死ぬ前に木造天守閣に登ってみたい」と締めました。

次に、服部英雄・名古屋城調査研究センター所長が、所長就任3年目にしてはじめて公の場で挨拶し、自らの名古屋城の思い出の後、調査研究センターの最新の研究報告をしました。

続いて、佐治独歩・名古屋城総合事務所長が木造復元事業の進捗状況等を説明しました。

質問時間は30分のみで、1人3分以内とし、結局5名しか質問出来ませんでした。

1人目
 質問1:木材の必要本数は何本か?
  →契約2323本うち2071本調達した
 質問2:最低でも母校から名古屋城が見えるように
  →景観条例がある

2人目
 質問1:去年から今年 なにか進展があったのか
  →文化庁の所見を頂いた 着実に前進していると認識している
 質問2:竹中工務店との技術提案交渉方式はなくなったのか
  →調査で新たな課題が出てきた 反故になったわけではない
  
3人目
 意見1:元々耐震改修と決まっていたのに議会が報酬バーターで
  予算を通した。市民に意見は1回も聞かれていない
  →満足できるかはともかく市民説明会をしてきた
   有識者会議、議会の意見も受け止め、計画に反映させている
     
4人目
 意見1:名古屋城は大阪城に比べて汚い
  →景観を改善したい
 質問1:「大地震で崩壊する可能性がある天守台石垣で支持しない」とは
  →以前は天守台と石垣で天守閣を支えてきた。
   現在の鉄骨鉄筋コンクリートは重いので、内部のケーソンで受け止めている。
   大地震時に石垣が崩れると観覧者に被害が出る
   ケーソン基礎を再利用して木造天守を作るという意味

5人目
 質問1:どうして質問のネット中継をしないのか
  →去年実地でやって喜ばれた。総合的に判断した
   オンラインでも質問は受け付けている
 質問2:松雄局長が「市長主導の復元では決してうまくいかない」とメールした。
  石垣部会赤羽一郎氏は「木造復元に与することはあり得ない」と述べた
  →以前は竣工期限ありきだった
   本丸整備基本構想は全体整備検討会議の合意を得ている
 質問3:石垣部会千田嘉博教授「御深井丸側内堀石垣の状況が悪い。
  クレーン台座を置くのは耐えられない」と発言
  →全体の状況が取りまとまってから対応方法を検討
 質問4:市消防局「地震後火災は検討対象としなくていい」
  阪神大震災を踏まえてもそう言えるか
  →火の元を天守に持ち込ませないことを徹底させたい。
  火の元ない以上出火しようがない。地震でも火災は起きない。
 質問5:「消防設備システム評価」専門委員会から
  「5階窓からはしご車への移動は恐怖で動けないのではないか」指摘
  東側地盤から37メートル、12階建てビル相当の5階での
  滞在想定人数、5階窓からはしご車への移動の人数と時間は  
 →5階の想定人員は入場1時間2500人。
  単純に6フロアで割ると417人。面積按分で100人台。
  防災評定はシステム評価の第三者機関をとった。
  専門家のチェックを受けているので大丈夫と考えている。
  今の段階で人数、時間はわからないとしか言えない。
  
市会から、「想定時間を超えた。コロナ禍でもあるし打ち切りたい」としたところ、なぜか会場から拍手がでました。

河村市長がいつもの最後の挨拶をして終わりました。

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ぶら下がりについては別記事でまとめました。

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天守閣5階からの避難について、なぜか情報公開請求でも非公開です。

・名古屋城天守閣整備事業 消防設備システム評価について(避難誘導システム)
 一部公開決定書
・名古屋城天守閣整備事業 消防設備システム評価について(避難誘導システム)

5階滞在人数もはっきりいわず、はしご車での避難想定人数も述べません。(資料PDF99ページ)
3階-4階は史実にない階段を新たに作る計画ですが、4階-5階は1ヶ所しか階段がなく、屋根を伝ってはしご車で避難する計画のようです。
しかし、具体的に何人避難できるか言えない、というのは2020/1/29に消防設備システム評価書を取得している現在、理解不能です。

会場からも意見があったように、この1年間で進捗がほとんどなく、しかも新年度予算要求も公開されていない以上、意見が極めて言いにくいです。
しかも、全国的に新型コロナウイルス陽性者数が急増し、対面で集まることは避けたいと思う人が多数だと思います。

こんな中、同様に1/20(木)午後6時30分から名古屋市公会堂 大ホールで、1/22(土)午後1時30分から鯱城ホールで市民説明会が行われます。

無理に勧めることはしませんが、関心のある方は参加してみてはどうでしょうか。


名古屋城木造復元市民向け説明会の様子は今回もネット中継せず 

名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所は、22/1/19以降、3回「名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会」を行うと発表しました。
・令和3(2021)年度開催 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会
・令和4(2022)年1月19日(水曜日)午後6時30分から午後8時30分まで
 名古屋能楽堂
 講演者:服部 英雄(歴史)「特別史跡名古屋城跡をめぐる最近の研究課題」
・令和4(2022)年1月20日(木曜日)午後6時30分から午後8時30分まで
 名古屋市公会堂 大ホール
 講演者:原 史彦(歴史)「写真でみる幕末の名古屋城-尾張徳川家14代慶勝の写真術-」
・令和4(2022)年1月22日(土曜日)午後1時30分から午後3時30分まで
 鯱城ホール
 講演者:木村 有作(考古)「特別史跡名古屋城跡 〜文化財の宝庫 名古屋城〜」

撮影はご遠慮いただきたいとのこと。
録音は可能とのこと。

なお、「オンライン説明会」を行うとのこと
名古屋市公式YouTubeチャンネル「まるはっちゅーぶ」1ch(外部リンク)にて動画を掲載します。
ご都合のよい時間にご覧いただけます。
・名古屋市からの説明(30分程度)
名古屋城総合事務所に22/1/17に電話で確認したところ、以下判明しました。
・オンライン説明会は、説明会会場の様子を映すものではない
・説明会会場で使用するパワーポイントを動画化する
・説明会会場と資料は同じ 
・説明会会場では口頭で説明する

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名古屋市は毎年「市民向け説明会」を行ってきていますが、本年度は以前と比べて回数が減少しています。
・2017年度開催 6回 659人
・2018年度開催 6回 419人
・2019年度開催 8回 448人
・2020年度開催 3回 153人

寄附金額は低迷しています。(目標100億円)
2017年度 207,357,485円
2018年度 131,783,050円
2019年度  62,495,813円
2020年度  78,604,761円

2022年度名古屋市予算案は、例年であれば2月中旬に公表されます。(財政局案は1月上旬)
しかしながら、現時点では名古屋城木造復元関連の予算案は
計上されておらず、市民向け説明会で公表されるかどうかは
わかりません。

新型コロナウイルスが全国的に猛威を振るっています。
総額505億円の名古屋城天守閣木造復元事業は、新たな竣工時期どころか、現天守閣解体のめども立っていません。
このまま名古屋城天守閣木造復元事業を進めるべきなのか、それとも別の選択肢があるのか。

大阪市は、いわゆる「大阪都構想」について、YouTube及びZoomを利用したオンライン住民説明会を20/9/30-10/10に実施しました。

横浜市でも、IR推進に関連し、2021年2-3月に市民向けのオンライン説明会を開催しました。

名古屋市民オンブズマンは、21/3/2に「名古屋城木造復元事業市民説明会 ポストコロナ時代の情報発信を求める」を河村たかし名古屋市長宛に郵送しました。

報道によれば、早ければ22/1/19から東海3県に「まん延防止等重点措置」が適用されるとのこと。

過去1年間で、以下が判明しました。
・「消防設備システム評価」専門委員会「5階窓からはしご車への移動は恐怖で動けないのではないか」
・市消防局「地震後火災は検討対象としなくていい」
・バリアフリー国際コンペ 1階までの条件方針
・竹中工務店との基本協定を2024年3月まで延長
・自民市議「文化庁は名古屋城『木造復元を認める方針』を変更した」
・石垣部会委員「大天守対岸石垣が想定より状況が悪く、このままでは木造天守復元工事に耐えられない」
・名古屋市 名古屋城現天守閣解体申請書を「取り下げ」
・名古屋城事務所長が「基礎構造に係る調整会議」に関し部会構成員に送ったメール 肝心の部分が非公開
・朝日新聞「市幹部 名古屋城木造復元『解体と木造化一体化見直しには2年かかる』」
・松雄観光文化交流局長「市長主導の名古屋城木造復元では決してうまくいかないと認識」
・名古屋城天守閣部会委員「天守台石垣表面をすべて修理すると5年くらいかかりそう」
・18/7/9石垣部会と名古屋城事務所、文化庁が東京で打合せ「石垣の修復をまずやらねばならない。工事の後でやるというのはダメ」
・自民市議「名古屋城木造復元がうまくいかない場合、竹中工務店から裁判にならないか心配している」 
・自民名古屋市議「木造復元天守閣に新しい階段を付けたら『復元」ではなく『復元的整備』になると文化庁は明言した」
・名古屋城本丸内堀発掘調査成果公開 学芸員「埋没石垣発見なら名古屋城では初」
・石垣部会 「内堀底から石列遺構が発見され、これまでの『内堀埋立計画』が完全に危うくなった」
・名古屋市「復元建築物が50年で国宝になった例はない」

名古屋市は一方的な動画を流して「オンライン説明会」と名乗るようです。
「市民不在」の名古屋城天守木造復元事業に未来はありません。

22/1/11 名古屋市令和4年度予算財政局査定 名古屋城木造復元関係予算 予算要求計上されず

22/1/11に、名古屋市の「令和4年度予算要求に対する財政局査定内容の公開及び予算要求(追加及び変更分)の内容についてのご意見募集について」が公開されました。
令和4年1月11日(火曜日)から令和4年1月21日(金曜日)まで意見募集中です。

2022年1月11日 名古屋市財政局財政部財政課予算第一係
令和4年度予算要求に対する財政局査定内容の公開及び予算要求(追加及び変更分)の内容についてのご意見募集について

予算編成は、以下の流れで行います。
1)各局からの予算要求
2)財政局査定
3)市長査定

名古屋市は「予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例」に基づき、1)2)の状況を市民に公表した上で意見を募集しています。

令和4年度当初予算要求に引き続き、財政局査定でも名古屋城木造復元関係予算は計上していません。

令和2.3年度も1)2)の意見募集時には計上していませんでしたが、当初予算が公表された際にいきなり名古屋城木材保管費1億円などが計上されていました。
制度の裏を突く名古屋市のやり方では、到底市民は納得できません。

竹中工務店との2022年12月基本協定期限が切れる関係で、実施設計、木材製材等どのような契約にするのかは極めて重要になります。
また、障害者団体が同意するとはとても思えない、バリアフリー国際コンペも、来年度も予算要求する予定とのこと。

なお、前名古屋市会議員の横井利明ブログによれば、市長査定では8億円(一般財源ベース)をめぐる予算の争奪戦があるとのこと。

2022年01月11日 横井利明ブログ
令和4年度予算要求に対する財政局査定内容の公開

8億円で名古屋城関係の予算を全てまかなうのか、それともどうするのか。
市民不在・密室での判断がまもなく下されます。

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現段階で判明している予算要求と財政局査定は以下です。
・名古屋城石垣保存方針策定・学術的分析
 700万円→200万円
・名古屋城所蔵文化財の修理 
 1000万円→0
・金シャチ横丁第二期整備(博物館構想の策定・芝居小屋風
 多目的施設の整備)
 2800万円・1900万円→市長査定で対応を検討


名古屋城木造復元「消防設備システム評価」専門委員会「5階窓からはしご車への移動は恐怖で動けないのではないか」指摘

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城木造復元事業のために一般財団法人日本消防設備安全センター消防設備システム評価委員会が2020年1月に発行した「名古屋城天守閣整備事業 消防設備システム評価について(避難誘導システム)」(2020/1/29に取得)を21/7/16に情報公開請求したところ、21/12/28に一部公開決定がでました。

・名古屋城天守閣整備事業 消防設備システム評価について(避難誘導システム)
 一部公開決定書
・名古屋城天守閣整備事業 消防設備システム評価について(避難誘導システム)
 
非公開理由は以下です。
(第7条第1項第2号)
当該行政文書には、以下の通り株式会社竹中工務店の技術上のノウハウに関する情報が記載されており、当該情報が公開されると、法人の通常有する競争上の利益が損なわれ、同社に「明らかに不利益を与えると認められる」と考えられるため
・防災・避難計画策定に関する情報
名古屋城ほどの大規模な木造の歴史的建築物の復元工事が行われた例はこれまでない。
そのため、大規模な木造建築物の防災・避難計画策定のために、株式会社竹中工務店の技術上のノウハウを生かした独自の手法を用いている。
この情報は他の歴史的建造物の復元にも適用可能なものであるため、公開されると、同業他社が上記ノウハウを模倣することにより、株式会社竹中工務店の競争上の利益が損なわれるものと認められる。

(第7条第1項第3号)
当該行政文書には、木造天守内部に設置された監視カメラの映像の監視と発災時の防災情報の集約と監視等を行う防災拠点の設置場所や人員配備等についての情報が記載されており、当該情報が公開されると悪意ある第三者によって、この防犯・防災機能が阻害され、「人の生命、身体、財産の保護、犯罪の予防、その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがある」と考えられるため

なお、一般財団法人日本消防設備安全センター消防設備システム評価委員会委員長及び防災性能評定委員会委員長の氏名も非公開です。

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「竹中工務店の技術上のノウハウ」が記載されているということで内容の多くが非公開ですが、その中でも判明したことがあります。

・大天守収容人員(人)
   算定基準による 避難計算上の想定
 5階  75  417
 4階  157 417
 3階  270 417
 2階  430 417
 1階  413 417
 地階 221 417
(合計)1566人   2502人 (2ページ)
 大天守の最大同時在館人数は2500人を上限とする。
 大天守各階毎の最大在館者人数は、2500人を「各階同一人数」または「各階同在館者密度」で配分した場合の数値を超えないこととする。(6ページ) 
・3階から4階に(史実にない)階段を付加する(3ページ)
・5階 2方向避難確保のため、救助袋式避難ハッチを1ヶ所付加する。(39ページ)

2019年7月17日に開催された専門委員会での質疑も記載されています。
・Q 在館者数2500人は、過去の実績からか。
 A 過去の実績で、天守への入場者数を土日2万人、平日6千人と想定しました。そのうえで滞在時間を1時間と長めに設定し、避難も考慮した上で最大2500人(約0.56人/u)の在館者を設定しました。
・Q 5階だけの人数制限は考えていないのか。
 A 考えています。スリッパを履き替えることで、人数分のスリッパの数以下に制限する等の方法を考えています。
・Q はしご車のバスケットが着くのはどこまでか。
 A 窓には直接は着けられませんが、屋根上の少し離れたところに着くことができます。そのような進入を補助するため、1〜4階には窓付近の外壁に丸環等の手掛り設置を検討しています。   
・Q ■
 A 旧国宝(戦前に指定された国宝の意)建造物の再現であるので、防火区画など、現代建築を前提とした対策は困難です。
・Q 5階から4階へは避難器具が必要ではないか。
 A 避難器具は、通常の避難計画で想定する状況より逃げ遅れた極少数、一部の避難者の最終避難手段として設けられるものと考えられます。
 本計画では、火災を起こさない、起こさせないこと、また、万が一火災が生じたとしても、スプリンクラーによる自動消火と、係員による早期覚知、早期消火を確実に行うことを基本とした計画としています。すなわち、避難器具が必要となる状況がない計画としています。
 なお、階段室内には避難時に歩行が困難になった人も下りられるよう、北階段内各階にEVACチェア等の避難補助具を置く予定です。
・Q 「京都アニメーション」の火災を見て、縦穴区画が脆弱で避難経路が限られていると、大惨事になることがはっきりした。この火災を教訓にいくつか指摘致します。
A 京都アニメーションの火災の教訓はガソリンのような 爆発的に延焼を拡大させる着火源によって放火されると、現代の 建築物でも重大な被害になることだと考えます。
 一方、今回の建物は近世初期に建造された旧国宝の再建であり、伝統的木造建築に採用可能な手法・対策を複合的に組み合わせることを検討いたしました。
 その際、現存する大規模天守である姫路城等を参考にし、それと同等以上の対策を図り安全性を強化する方針です。
・Q スプリンクラーは万能ではないため、消し止められると思うのは間違いである。
 少しでも延焼を遅らせるには、散水継続期間を一般の設備の数倍確保できないか。ふすま、屏風、展示品などで広範囲が燃え始めて、スプリンクラーヘッドがいくつか開放してしまうと、継続期間がどんどん短くなる。
 A ■
・Q 在館人数2500人は多いのではないか。10分の1くらいにするなど検討すべきと思う。
 A 類例の現存天守と比較して少ない人数として上限(2500人)を設定しています。
 ■
・Q 大天守地下避難経路内及び小天守1階で火災が発生した場合に水平引き戸が閉鎖しなかった場合でも安全に待機できる確認がされていないが、確認する必要があるのではないか。
 最低限、留まることが不可能になった場合の避難経路がなければ、避難安全性が確保されているとは言えないものと思料する。
 A ■
 
2019年10月18日に開催された専門委員会での質疑も記載されています。

・委員からの意見
 全体的にソフトウェアに頼りすぎた計画となっている。姫路城では、火災時に一時待機を止むを得ず行う場合もある内容であるが、一時待機を望ましいものとしては、扱っていない。
 申請資料では、5階から4階の階段が使用できない場合ははしご車により救助する計画となっているが、数百人が避難完了するには相当な時間がかかる。5階からの避難をはしご車による救助を前提とすることは厳しいと思われる。
・Q 大天守5階部分の人数制限はどの程度の数か。
 A ■
・Q 4階北階段で出火した場合、5階の来場者が鎮火するまで一時避難する計画は消防的にはあり得ないと思う。
 5階から4階への避難経路を北階段以外に設置を検討すること。
 A ■ ご指摘いただきましたので、持ち帰り検討いたします。
・Q はしご車を使った5階窓の外からの救助のため、丸環にロープを取り付ける他に非常時に取り出せる手摺等は検討できないか。
 A 固定物は銅板の瓦を貫通させて木造の屋根に設置することになり、漏水による屋根下地の腐朽が起こり強度の維持が困難です。
 窓からバスケットまで、避難はしごによる対応を検討します。

2019年12月18日に開催された専門委員会での質疑も記載されています。
・Q 5階と4階には何人くらい入れるのか。4階の南階段への避難者の滞留密度も考慮して降りる場所を選んだのか。
 A 設備編P3-9では、避難計算上の最大人数として417人としているが、5階は運営計画の打ち合わせの中で150人程度に抑えることになると思われる。
 表-3.2.2は、在館者密度を均一した避難計算用の人数です。
 その通りです。
・Q 先日姫路城を見てきたが、天守の窓から屋根の上を歩行して避難するのは、高さや屋根勾配から一般の人には難しいと感じたので、避難はしごは実験により避難時の使い勝手を確認していただきたい。
 A 避難はしごは屋根面で使うため、突子を部分的に取るなどの既製品での対応が難しいので、試作品を作るなどして確認します。
・Q はしご車架梯検討図は、実際にはしご車を入れて検討した結果を基に作成したものか。
 A この図の停車位置の少し手前まで所轄消防署のはしご車を入れてもらい、現在の5階屋根までバスケットが届くことを確認しました。
 なお、図のはしご車後方のアウトトリガー張り出し部分は、現在
 現天守閣1階に入るための外部エレベーター棟がある。木造復元時には基礎を残し解体撤去するので、その部分までははしご車が進入できるという前提での検討図です。
・Q 5階屋根面の救助活動用の避難はしごについては、使い勝手について実験していただきたい。
 A 避難はしごは試作品を作り確認します。
 現天守閣の屋根を使って検証できるように解体工事の直前等に計画します。

2020年1月17日に開催された専門委員会での質疑も記載されています。
・Q 防災計画の前提条件にある入館者数を担保する手段はいかがか。
 A 全体の人数制限は小天守入り口での管理等により行う。各階の人数は階段の係員が誘導時に数をカウントする。
 設計火源は、建物自体が展示物で、基本的に展示物はなく、可燃物はふすま程度です。
 持込荷物は靴だけにする等、極力少なくする予定。
・Q 5階窓からはしご車ヘの移動は、屋根上の避難はしごを補助に使っても、高所の恐怖で動けないのではないか。
 避難者の心理面を考慮しておくことが必要である。
 A 5階屋根の上の移動は、避難者単独の避難ではなく、公設消防隊による救助になり、屋根上の避難はしご、窓下の丸環とロープの使用による安全確保は名古屋市消防の指導を受けて整理していく。
・Q オリジナルでは勾配が急な階段だが、実施案ではモディファイするのか。
 A ■ 階段は史実に忠実に造るが、実物大模型での歩行実験で安全性確認を行ったので、結果を踏まえて、手摺を付加するなど安全対策もする。
・Q 2つの階段は一方通行で行うのか。在館者管理が重要であり、各階の在館者数を把握する手段を検討した方が良いが、離れた階段では人数管理が難しいのでは。
 A 各階の階段の一方通行は検討中だが、通常は南階段から昇って、北階段から降りる計画です。
 4階から5階の管理は特に重要と考えており、5階用スリッパ履き替え等で5階在館者数管理を行うこととしている。
 一方通行とする場合は、南北の各階段に配置した係員が連携して5階在館者管理および非常時の誘導を行えるよう、各係員間の連絡手段や連携要領を検討する。

また、2019/1/21に一般財団法人日本建築センターが評定した「評定書」「評価報告書」も添付されていました。
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名古屋市と市消防局との協議の情報公開請求で以下判明しています。

竹中工務店は「建築審査課より、大天守、小天守は建築としても別棟として取り扱い、それぞれ石垣の天端を地盤面とし高さを判定すると判断いただいた。その結果、大天守の軒高さは31m未満となり、避難バルコニー不要と考えるがよいか」としたところ、市消防局予防部指導課建築係の鵜飼主任は「よろしい」としました。
また、竹中工務店は「日本建築センターとの事前打合の中で、地震後火災は委員会での検討の対象としない方針で良いか」と問い合わせがあったとし、鵜飼主任は「地震後火災は検討対象としなくて良い」としました。
今回開示された「名古屋城天守閣整備事業 消防設備システム評価について(避難誘導システム)」でも、避難バルコニーは記載されていませんし、地震後火災は検討対象とされていません。

大天守東面の地盤から大天守5階床まで高さ37.683m(12階建てビルに相当)
東北隅堀底から大天守5階床まで高さ45.987mあります。(15階建てビルに相当)
大天守1階床でも12.506m、20.810mあります。

火災時に大天守5階に75人(算定基準による)、417人(避難計算上の想定)がいるものの、救助袋を使ったり、避難はしごを使い屋根を伝ってはしご車のバスケットで避難する、という計画です。

しかも、現時点では外部エレベーターが設置されており、現天守閣で実際にはしご車を使った避難実験をすることはできません。

名古屋市は消防設備システム評価書を取得しましたが、専門委員会から複数の指摘を受けています。
回答が黒塗り、指摘が黒塗りの部分も多数あります。
全てを市民に公開し、火災時の危険性を十分に知らせた上で、本当にこのまま天守閣復元を進めるべきなのか、もう一度市民に問うべきではないでしょうか。

なお、消防に関して詳しい人がいれば、上記資料を読んで気付いた点などをお教え下さい。
office@ombudsman.jp

また、天守閣木造復元を楽しみにしている方に、「史実にない3階から4階への階段を付加する」ことで消防設備システム評価を取得したこと。5階から4階には避難するための救助袋が設置される予定であること。火災時は堀底から約46メートルある屋根を伝ってはしご車で避難する計画であることを知った上で、それでも天守閣木造復元を望むのか聞いてみたいです。

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なお、2018年7月19日に開催された天守閣部会配付資料では、1時間2500人来城者の計算で在館者密度を均一にすると、最上階には136人と試算されています。

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※今回の開示で、白黒133枚、カラー100枚、合計6330円の費用がかかっております。
ぜひともカンパをお願い致します。
情報公開請求してコピーを入手するのも、情報公開訴訟をするのも、費用がかかります。
名古屋市民オンブズマンは、会費とカンパのみで活動しております。
今後ともご支援頂けますと幸いです。

《郵便振替口座》 口座番号 00870−9−105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
《ゆうちょ銀行》 当座 〇八九店 105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ

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今後の予定

・22/1/19(水)午後6時30分から午後8時30分
 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会 @名古屋能楽堂
 講演者:服部 英雄「特別史跡名古屋城跡をめぐる最近の研究課題」
・22/1/20(木)午後6時30分から午後8時30分
 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会 @名古屋市公会堂 大ホール
 講演者:原 史彦「写真でみる幕末の名古屋城-尾張徳川家14代慶勝の写真術-」
・22/1/22(土)午後1時30分から午後3時30分
 名古屋城天守閣木造復元 市民向け説明会 @鯱城ホール
講演者:木村 有作「特別史跡名古屋城跡 〜文化財の宝庫 名古屋城〜」
・22/2/16(水)午前10時〜 
 名古屋城文化庁訪問時面談記録情報公開訴訟 @名古屋地裁1101法廷
・22/2/22(火)午後6時半〜 「名古屋城の有形文化財登録を求める会」学習会
 「建築士が読み解く!名古屋市が作成した「幻」の名古屋城現天守耐震改修案」
 @北生涯学習センター
 講師 建築士の渡邉正之様
・22/3/25(金)午後1時15分
 名古屋城基本設計住民訴訟 判決 @名古屋高等裁判所10階法廷


名古屋城 基礎構造検討調整会議 議事録作成せず 配付資料多くが非公開

名古屋市民オンブズマンは、21/9/9に開催された「名古屋城木造天守基礎構造に係る調整会議(第2回)」の議事録、配付資料を情報公開請求したところ、議論の内容がわかるものは「作成又は取得しておらず不存在」、配付資料も「市民等から名古屋市や有識者会議構成員等に問合せ・苦情等が寄せられ」「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」「事務の公正又は適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」があるとして非公開でした。
21/6/27に開催された第1回会議の主な意見についても配付資料に入っていましたが、内容は非公開でした。

なお、天守木造基礎構造に係る検討スケジュール(案)があり、木造天守基礎構造の方針を確定するのは2022年12月末頃とのことです。

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市民に対して情報をひた隠しにする名古屋市。建築費だけで505億円もかかる事業で、情報を非公開にすると到底賛同は得られません。

名古屋市はすでに平成28年度〜令和元年度で69億6800万円余予算を支出しています。
市民にあらゆる情報を公開した上で、このまま木造復元事業を進めた方がよいのか、そうでない道があるのかをきちんと議論すべきです。


名古屋城木造復元事業 名古屋市と竹中工務店は24年3月末まで暫定的に協定延長

名古屋市民オンブズマンは、名古屋市と竹中工務店が21/11/18に結んだ、名古屋城天守閣木造復元事業の完成期限を2024年3月末と暫定的に定めた「名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書に係る覚書」を情報公開請求で入手しました。

・21/11/18 名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書に係る覚書

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名古屋市は、竹中工務店と2017/5/9に「名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書」を結び、完成期限を2022年12月末と定めました。

しかしながら、2019/8/29に河村たかし名古屋市長は2022年末復元完成を断念と発表しました。

今回、ようやく基本協定書を見直して2024年3月末と暫定的に定めました。

今回の「覚書」では、「現時点で現天守閣解体と木造復元を一体とした現状変更許可の取得に至っていない」ことを認めています。
完成期限について「必要に応じて見直しの協議を行う」、事業期間については「天守閣の完成時期が確定したときにあわせて変更を行う」としています。

なお、協定に基づく各契約は、あらためて契約を延長して、債務負担行為について議会の議決を経る必要があります。
・実施設計 22/3/25まで
・木材の製材 22/12/16まで
・昇降に関する新技術の公募支援業務委託 22/3/24まで


21/12/15(水)名古屋城情報公開訴訟WEB弁論準備 

名古屋市民オンブズマンが原告の、名古屋城木造復元事業に関する情報公開訴訟のWEB弁論準備が21/12/15に行われました。
原告の名古屋市民オンブズマンは、準備書面(3)を提出しました。
次回までに被告名古屋市側が反論し、原告側も再反論します。
次回弁論は22/2/16(水)午前10時に名古屋地裁1101法廷で行います。久しぶりの弁論です。ぜひ傍聴をお願い致します。

なお、情報公開訴訟の結果、593ページ中562ページの黒塗りが90ページまで減りました。

・2018/8/30  593ページ中562ページ黒塗り
   
・2019/5/31 68箇所 151ページ黒塗り
 
・2020/2/3 67箇所 151ページ黒塗り
 
・2021/9/16 60箇所黒塗り 90ページ
 

名古屋城木造復元 松雄局長発言に対する文化庁の文書回答 不存在

名古屋市民オンブズマンは、21/1/8名古屋城跡全体整備検討会議での松雄局長発言に対する文化庁の文書回答を名古屋市に情報公開請求しましたが、「取得しておらず、不存在」でした。

・2021年1月8日の全体整備検討会議松雄局長発言「名古屋市と密接に連携するために、木造復元に係る諸課題を調整するためのパイプ役として来年度も名古屋城からの職員派遣を受ける内諾をしてもらった」に対する文化庁「名古屋市からの実務経験者を受け入れているからといって、名古屋市に対して忖度などはありえない。まして木造復元の調整のためという趣旨は一切無い」旨の文書回答
・2021年1月8日の全体整備検討会議松雄局長発言「名古屋市から資料の提出があれば、なるべく早い時期に文化審議会で議題として審議するという文化庁の意向」に対する、文化庁「名古屋市が文化審議会に資料を提出したいと言えば、宿題が途中であっても復元の資料が概要であっても拒否は出来ない。中途半端な資料では文化審議会を通るはずもなく、再検討して返すという意味」旨の文書回答。

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令和 3 年 1 月 8 日(金)13:00〜14:30
特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第 36 回)議事録
松雄局長あいさつ
今週の 6 日水曜日に、文化庁の鍋島文化財第二課長、山下主任調査官、吉野課長補佐と私とで、意見交換を持つ機会がありました。その際、まず私どもが天守閣の木造復元を進めているということを、文化庁にも適宜ご報告しており、その状況については、文化庁としてもよく認識している、とのことでした。現在進めている、現天守閣解体申請に係る文化庁からの指摘事項に対する市の考え方については、有識者の方々とよく詰め、まとまり次第、本年 4 月早々にも文化庁へ提出したいと考えています。文化庁としては、市から提出があり次第、なるべく早い機会に文化審議会に報告、審議していきたいとのことでした。あわせて文化庁からは、市とは今後密接に連携して、特別史跡の保存、活用等を進めていきたいとの意向であり、全体整備検討会議等の市の有識者会議にも、主任調査官の予定がつけば派遣するなど、引き続き助言していきたいとのことでもありました。
市としては、国の文化行政の修得や、現在進めている現天守閣解体および天守閣の木造復元の係る諸課題を調整するためのパイプ役として、来年度も文化庁へ市の職員を派遣することについて、文化庁の内諾を得ています。文化庁との関係を維持すべく、引き続き尽力していきたいと考えています。

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名古屋市 令和 3年  2月 定例会 03月08日−05号
◆(浅井正仁君) 
 松雄局長は、今年1月8日の全体整備検討会議の挨拶で、鍋島文化財第二課長、山下主任文化財調査官、吉野課長補佐と意見交換をした際、名古屋市と密接に連携するために、木造復元に係る諸課題を調整するためのパイプ役として、来年度も名古屋城からの職員派遣を受ける内諾をしてもらったと発言されています。
 しかし、この発言が思わぬ反響を呼び、文化庁は一体何を考えているのか、文化庁の公式見解を聞いてくれないかといった電話が来ました。文化庁の対応に不信感を抱く事態になってはいけないと思い、私は−−そのときの資料がこれですけれども−−まず一つ目、先ほどの全体会議で局長が挨拶した文書を入手し、そして、衆議院議員の工藤彰三衆議院議員から文化庁長官宛てに、この資料を作成し、そして、工藤彰三衆議院議員のほうから、丹羽秀樹文部科学副大臣のほうへ持っていってもらい、丹羽秀樹副大臣のほうから文化庁に届けられた。これによって正式な文書を頂いてまいりました。
 しかしながら、返ってきたときには、その上に、名古屋市会議員浅井正仁、衆議院議員工藤彰三(代理)と書いてありますので、多分、私が質問したことは文化庁も知っていたと思います。
 そこで、文化庁の回答はこうです。現在、文化庁では、全国の自治体から5名の実務経験者を受け入れています。名古屋市から受け入れている小村拓也氏が記念物・建造物などを担当しているからといって、名古屋市に対して忖度などはあり得ません。まして、木造復元の調整のためという趣旨は一切ありません。
 松雄局長、これはあなたが内諾を得たと言った鍋島文化財第二課長と山下主任文化財調査官が、わざわざ工藤代議士のところまで出向かれて回答したものです。つまり、松雄局長の発言は真っ赤なうそ。そして、このうそが元で、自治体職員を文化庁に派遣すればパイプにできると多くの人に誤解を与え、文化庁にまで多大な迷惑をかけた。鍋島文化財第二課長と山下主任文化財調査官は、私たちの名前を出して松雄局長の発言を完全に否定していただいて結構ですとまで言われたそうです。この真っ赤なうそで多くの人が迷惑をした。これは信用失墜行為に当たるのではないでしょうか。
 さらに松雄局長は、挨拶の中で、名古屋市から資料の提出があれば、なるべく早い時期に文化審議会で議題として審議するという文化庁の意向ですとも挨拶で言われています。この文化庁の発言の真意についても、文化庁長官宛て文書で正式に聞いており、鍋島文化財第二課長と山下主任文化財調査官により、回答をいただいております。
 名古屋市から文化審議会に資料を出したいと言われれば拒めない。文化審議会は毎月開催なので、4月に提出があれば5月の文化審議会で議題にするということだけです。当然、提出された資料に問題があれば、再検討として返します。なお、解体と復元の申請をセットで提出することが条件だと言われております。
 簡単に言えば、名古屋市が文化審議会に資料を提出したいと言えば、宿題が途中であっても、復元の資料が概要であっても、拒否はできません。文化審議会で審議をするけど、中途半端な資料では文化審議会を通るはずもなく、再検討として返すという意味です。
 つまり、松雄局長は、再検討として返されることを百も承知で、あえて中途半端な資料を文化審議会に提出しようとしているということになります。本来ならば、資料が整ってから解体と復元をセットで提出するべきものを、なぜ文化庁の条件を無視して、追加提出という無駄なプロセスをあえてする必要があるのか。これは、名古屋市民や名古屋市議会に木造復元が進んでいるように思わせたいから、要は木造復元が前進していると錯覚させることが目的ではないでしょうか。つまり、資料が出されたら文化審議会の議題として受けざるを得ないという文化庁のルールを利用して、審議されたから前進したと言いたいだけということです。

名古屋城木造復元事業 市消防局「地震後火災は検討対象としなくていい」

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城木造復元事業に関して、名古屋城総合事務所と名古屋市住宅都市局建築審査課、名古屋市消防局予防部指導課建築係と竹中工務店が協議をした際の議事録を情報公開請求して一部公開されました。

・名古屋城天守閣復元事業の件で、2018/2/9に名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所が名古屋市住宅都市局建築審査課と協議した内容がわかるものとして
(1)打合記録簿
・名古屋城天守閣復元事業の件で、2017/5/30-2018/3/19に名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所が消防局と協議した内容がわかるものとして
(2)打合記録簿

それぞれの専門的立場から法的に詰めています。
気づいた点を挙げました。ほかにあればお教えください。
office@ombudsman.jp

竹中工務店は「建築審査課より、大天守、小天守は建築としても別棟として取り扱い、それぞれ石垣の天端を地盤面とし高さを判定すると判断いただいた。その結果、大天守の軒高さは31m未満となり、避難バルコニー不要と考えるがよいか」としたところ、市消防局予防部指導課建築係の鵜飼主任は「よろしい」としました。
また、竹中工務店は「日本建築センターとの事前打合の中で、地震後火災は委員会での検討の対象としない方針で良いか」と問い合わせがあったとし、鵜飼主任は「地震後火災は検討対象としなくて良い」としました。
竹中工務店は、「火災時の避難にも使えるようなエレベータの仕様について、非常用エレベータ以外に消防として何か基準はないか」としましたが、建築係の鵜飼主任は「エレベータの仕様は建築基準法で定めているので、消防の方にはない。
あっても防火や電気系統の仕様など非常用エレベータに準じたものになるのではないか」としました。

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これらは、以前2018/4/2に情報公開請求したところすべて内容が非公開でした。
配付資料についても今回あらためて情報公開請求しましたが、開示文書としては開示されませんでした。
上記で述べたような専門的なことについて、もっと早い段階で市民が知っていたら、名古屋城木造復元事業に対する目も異なっていたのではないでしょうか。

市消防局「地震後火災は検討対象としなくていい」といっていますが、本当にそれで大丈夫でしょうか。
名古屋市中消防署は、以下パンフレットを作っています。
Q6.阪神淡路大震災で発生した建物の火災で、最も出火件数が多かったのはいつ?
答え: 3 停電が復旧し、電気が通じた時

そもそも、大天守の高さは、石垣が19.5m、本体が36.1mの55.6m。
軒高さは石垣天端から考えると30.221mと31m未満ですが、石垣がたちあがる地上面から考えると31mを大幅に上回ります。
避難バルコニーが必要ではないでしょうか。

また、非常時のためにも非常用エレベータを設置すべきではないのでしょうか。
今からでも使える論点が多くあります。ぜひご活用ください。

21/12/10 名古屋城跡全体整備検討会議座長「搦手馬出石垣を解体して内部に現代工法をいろいろ入れても『真正性が保てる』とはどういう意味か」

21/12/10に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第46回)が開催されました。写真・ビデオの撮影等は今回もマスコミ・傍聴者は禁止されました。

・21/12/10 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第46回) 配付資料

・21/12/10 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第46回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 
はじめに、松雄俊憲・観光文化交流局長が「約3年間観光文化交流局長を務めてきたが、21/12/16から副市長に拝命されることとなった。
名古屋城木造復元事業については、文化庁指摘事項、石列毀損事故の対応で有識者の皆様に大変ご指導を頂いた。
副市長になっても引き続き木造復元事業に取りくむ。
石垣保存方針、基礎構造、バリアフリーなど懸案はあるが、来年度末目途に復元原案を取りまとめたい」と挨拶して退席しました。

議題としては、今回も名古屋城木造復元事業については一言も触れませんでした。

議題は二之丸庭園整備計画、本丸搦手馬出周辺石垣の修復についてです。

2004年度から解体を始めた本丸搦手馬出周辺石垣ですが、2018年度にようやく解体を終え、2022年度から2026年度にかけて積み直しを行う予定です。
現在石垣・埋蔵文化財部会で詳細な検討を行っており、積み直し基本方針を策定中ですが、過去7か月、全体整備検討会議に報告してなかったため、中間報告を行いました。

その中で、地震時の安全性確保のため、「ジオテキスタイル」と呼ばれる現代工法を用いて石垣を安定させる方針が示されました。

三浦正幸・広島大学名誉教授は「安全性を高めるため、裏込層でジオテキスタイルを入れる方針とのこと。実験では有効だと聞いた。
ジオテキスタイルの耐久年数を教えてほしい」としたところ、名古屋城総合事務所は「材料の選定まで進んでいない。今後耐用年数を調べて報告する」としました。
三浦名誉教授は「有機物は石より寿命が短い。20−30年程度なら気休めにしかすぎない。石垣は100年単位の寿命。入れることに反対するわけではないが、ずっと安全と誤解しては困る」としました。

座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「『真正性が保てる』とあるが、石垣を解体していろいろ入れる方針だ。
どういう意味か。『真正性』という言葉が安易に使われているのではないか。これだけ新しい工法を付け加えても、『真正性』という場合もあるのか」としました。
名古屋城総合事務所の鈴木昌哉保存整備室長は「材料的には置き換わるため、その面で言えば伝統的なものはない。
石垣の全体的な工法では、形状的なものは記録を再現したいので、それを『真正性を確保したい』と述べている」としました。
瀬口座長は「『私たちがこう思う』ではなく、ユネスコの定義があるので、基準を変えてはいけない。
定義からすれば、ここでは使えないのではないか。これが通るならなんでも世界遺産が通ってしまう」としました。

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「オーセンティシティ(真正性 Authenticity)に関する奈良ドキュメント」は、文化財の価値と信憑性をより客観的に評価するために、保全に関連する文化的多様性と文化遺産をより広く理解する必要性に対処する文書です。

「世界遺産条約履行のための作業指針」では以下述べています。
文化遺産の種類、その文化的文脈によって一様ではないが、資産の文化的価値(登録推薦の根拠として提示される価値基準)が、下に示すような多様な属性における表現において真実かつ信用性を有する場合に、真正性の条件を満たしていると考えられ得る。
・形状、意匠
・材料、材質
・用途、機能
・伝統、技能、管理体制
・位置、セッティング
・言語その他の無形遺産
・精神、感性
・その他の内部要素、外部要素

搦手馬出石垣は修復後、来城者が石垣の上に登って観覧する予定です。
地震時の安全性を確保する必要があります。

現在名古屋城木造復元事業を名古屋市が強引に進めようとしていますが、地震時の安全性を確保する必要があります。
そうすると、本丸搦手馬出周辺石垣と同様、真正性の議論が出てくるのではないでしょうか。

天守閣木造復元事業について、地震時の安全性を確保して進めるということを、名古屋市民がどこまで理解しているのでしょうか。


21/12/9 名古屋城木造化基本設計等住民訴訟 証人尋問採用せず結審 名古屋高裁

21/12/9に、「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」が原告となった、名古屋城天守閣木造復元事業基本設計費の返還等を求める住民訴訟の高裁第5回口頭弁論が名古屋高裁民事1部で行われ、原告側が申し出た高橋和生一級建築士の証人尋問は採用せず、結審しました。
判決は22/3/25(金)13:15 名古屋高裁1001号法廷です。

今回裁判長が松村徹裁判官に交代しました。
原告は弁護士を付けず本人訴訟で行ってきました。
原告は準備書面4を提出しました。
松村裁判長は「原告の主張は出尽くしたと思う」とした上で、「証人尋問は必要を認めないため採用せず」としました。
松村裁判長は、市側代理人弁護士に対し、原告への反論があるかと聞き、市側代理人弁護士は「過去の主張で反論しつくしている。書面を出すとすれば、過去の主張のどこで反論しているかを指摘するのみ」とし、弁論終結でよいとしました。

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2018/12/17提訴から丸3年。
基本設計費8億4693万6千円の返還を求めた住民訴訟です。
その後も名古屋市は事業を進め、2022年3月末までに、木材で39億3744万円、実施設計で11億4091万5941円支払う契約です。
しかしながら、2021年12月現在、木造復元事業の竣工時期が全く見通せないどころか、現天守解体申請のメドすら立っていません。バリアフリー国際公募も、新たな基礎構造もメドがたっていません。
既に購入した木材の保管費は年間9000万円です。

多分偶然ですが、実施設計契約は住民訴訟判決日の22/3/25で切れます。
名古屋市は、実施設計契約延長をはかるため、債務負担行為を新たに定めて議会にはかる必要があります。
名古屋市は「契約期間の定めをしない債務負担行為」を2021年11月議会に提出しようとして、市議会の猛反発で撤回に追い込まれました。
2022年2月議会には必ず何らかの債務負担行為を名古屋市は提出してくるでしょう。
債務負担行為を議会が認めなければ、実施設計契約は終了し名古屋城木造復元事業は事実上ストップします。

運命の2022年3月25日まであと106日。
木造復元事業に費やした59億2529万1941円について、名古屋市議会、裁判所はどう判断するのか。
一瞬も目が離せません。

参考:2015/8/24 河村たかし市長「全責任は私が取る」指示書
 

【重要】名古屋城木造復元事業 市住宅都市局建築審査課・消防局との協議時配布資料 住宅都市局も消防局も廃棄済

名古屋市民オンブズマンは、2018/3/2-2020/2/4に名古屋城天守閣復元事業の件で、名古屋城総合事務所と名古屋市住宅都市局建築審査課、名古屋市消防局と協議した際の配付資料を情報公開請求したところ、住宅都市局も消防局も「保存期間を過ぎており不存在」という決定が出ました。
・市住宅都市局建築指導部建築審査課
・市消防局予防部規制課

名古屋市民オンブズマンは、上記期間中の協議内容がわかるものと配付資料を名古屋城総合事務所に情報公開請求したところ、協議内容がわかるものは一部開示されました。
・開示決定書
・住宅都市局建築審査課と協議した内容がわかるもの
・消防局と協議した内容がわかるもの

しかしながら、「打合議事録」に記載のあった「配付資料」について開示されなかったため、全て特定してあらためて名古屋城総合事務所に情報公開請求したところ、「保存期間を事務処理上必要な1年未満の期間」と設定しているため、廃棄処理が完了し不存在決定がでました。

「廃棄済」であれば、市の検討が正しかったのか判断できません。

21/12/2(木)名古屋城木造復元事業契約専決処分議会報告漏れ 民主市議「議会軽視ともとれる非常に重たい事態」

21/12/2に名古屋市会経済水道委員会で付議議案に対する質疑が行われました。

21/12/2名古屋市会経済水道委員会(名古屋城関係分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

その後、うえぞの晋介市議(民主・西区)から名古屋城天守閣整備事業先行工事請負契約の契約金額の変更に関する専決処分について質疑の許可が求められ、委員長は許可しました。

・令和3年11月18日提出 名古屋市長 河村たかし
 令和3年報告第54号 工事請負契約の契約金額の変更に関する専決処分について

・名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)変更契約書 (R2.3.26)
・名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)変更契約書(R3.3.31)
 
大島総務課長は「今回の契約変更が専決処分の行為に該当するとの認識に至らなかったことから、報告がされないままとなった」としました。
また、局長・部長級1名が文書訓戒、課長級以下7名が口頭厳重注意とした理由として、「毎年毎年度、状況に合わせてその都度丁寧に契約変更を行ってきたものの専決処分の認識を欠き、議会報告を遅延したことで、議会との信頼関係を損なう事態となった」としました。

うえぞの市議は「二度と起こってはいけない。平成29年2月定例会の委員会で、自民・民進・公明の3会派共同で附帯決議をあげた。議会への報告漏れについて、議会軽視ともとれる非常に重い事態であると捉えている。今後、再発防止策を徹底して行い、しっかり進めていただきたい」としました。

委員長の渡辺義郎市議(自民・北区)は「今後このようなことのないよう、きちっとした姿勢で臨んでいただきますようお願いする」としました。


21/11/30(火)名古屋城木造化 バリアフリー国際コンペ 自民市議「1階までの条件で文化庁が許可するのか。世界標準に適応するのか」

21/11/30に名古屋市会本会議が開催され、名古屋城天守閣木造復元事業に関して、浅井正仁市議(自民)が市当局に対して厳しい指摘と質問をしました。

21/11/30 名古屋市議会本会議 文字起こし(名古屋城部分)
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

浅井市議の第1回目の質問と答弁
1)石垣部会から、天守閣石垣の対面側石垣の状態が非常に悪く、内堀を軽量盛り土で埋め立ててクレーン設置する工法は絶望的になったと指摘された。
2)バリアフリーに関し、松雄局長は「障害者団体の代表と密に協議」したと答弁したが、そんなことは聞いたことが無い
 →松雄局長「同じ内容を各団体に個別に行ったものを全て含んだもの。多くの意見交換ができる状態にまでなってきたとの思いで答弁した
3)所管事務調査で、バリアフリーコンペは「1階までが新技術の最低要件」と説明された。いつ方針を変えたのか。
 エレベーターでもいいという方針に変えたのか。 
 →松雄局長「現状は車椅子の方が見える眺望は1階フロアまで。平成30年5月に定めた『付加技術の方針』では、可能な限り上層階まで登ることができるように目指し、現状よりも天守閣の素晴らしさや眺望を楽しめることを保証するとしている。
 内部エレベーターは11人乗りだと柱・梁を傷めるので設置しない。
 外部エレベーターも外観を損なうから設置しない。
 公募は特定の技術を排除しない。公募の審査基準作成には意見を反映している。
 名古屋市障害者団体連絡会のような全体会議には、令和3年度はこれからだが、令和元年度に3回、令和2年度に1回説明した。」
4)松雄局長が萩生田大臣のところに行って何を言われたか
 →松雄局長「21/9/24に市長と広沢副市長の了解をとって上京した。
  メモを取ってないが、大臣から『バリアフリー対応しっかり取り組んで。イレギュラーなことはせず、文化財行政の手順に従って着実に進めて欲しい』と言われた」
  
浅井市議の第2回目の質問と答弁
1)回数について「思いを答弁」とはどういうことか。
 議事録があるのは3回のみ。あと147回の議事録はどこへ。
 基礎構造と同じ状況だ。石垣部会と合意しなかったから、跳ね出し工法を見直すことになり、いまだに決まらない。
 バリアフリー国際コンペも障害者団体と合意しないと結局後戻りになる。
2)条件が1階までとはどういうことか。
 2階〜5階はオプション。1階までなら2億6000万円。 
 上限が4億3000万円。こんな博打のような世界公募があるか。
 河村市長は市長選挙で『5階で景色を見せてあげる』と言ってた。
 1階の窓には格子がついている。1階のバリアフリーで文化庁が許可するのか、世界標準に適応するのか。 
 当初は『条件が厳しいから世界公募にかける』と言っていた。なぜハードルが下がるのか。
 5階までに変えないと、障害者の人も納得しない」
 →河村市長「バリアフリー法は合理的配慮を要求している。
  現在、車椅子の方が外を眺望できるのは1階なので最低の要求水準を1階とした。
  広く提案を募り、5階までバリアフリー対応できる昇降技術を求めていく。」
3)観光文化交流局は実質的に期限のない債務負担を補正予算として提出しようとしていた。
 反省するどころか、今後、いちいち議会に報告しなくて済むよう、債務負担にしてしまえという乱暴な発想。
 言い換えれば、木造復元が完成するまで議会は口を出すな。白紙委任状を渡せと、議会に言ってるようなもの。
 私は債務負担が絶対に駄目だとは言っていない。
 木造復元の完成時期が明確になったら債務負担にすればいい。
 議会が債務負担を認めたら、今後は契約の見直しすら議会が口を出せなくなる。
 名古屋市に前例のない債務負担を出そうとしたのか、またなぜ提出を断念したのか。
 さらには、今回断念した補正予算を来年2月の議会に再度提出する考えを持っているのか
 →河村市長「実施設計と木工事の契約期限が迫っていて、基本協定の完成期限を暫定的に延長する覚書を21/11/18に竹中工務店と交わした。
 債務負担行為の期限は天守閣の完成までとすることにした。
 今回の補正予算は事前の調整に時間を要したため、追加上程を目指したが、専決処分報告漏れ、重要で難しい案件について検討時間を設けることが困難なため、上程を見送った。
 実施設計と木工事については契約期限の変更を担保する債務負担行為設定が必ず必要となる。
 2月定例会で上程をお願いしたいと考えている。」

浅井市議の第3回目の質問と答弁
1)松雄局長は萩生田大臣と会った翌日に藤田自民党市議団団長に会って「正面から正々とをやりなさい。」つまり、小細工せずにやりなさいという趣旨の発言があったと聞いている。
 文化財に忖度はない。名古屋城は全ての文化財好きの方、全ての日本中の学芸員が注目している
2)「期限の定めのない債務負担」という考え方は、議会の権限を大きく害するもの。次の議員のメンバーが「なぜ議論出来ないのか」といわれかねない。
 文化庁が「木造はダメ」と言ったときどうするつもりなのか。
3)バリアフリーの国際コンペ。
 竹中工務店は当初4人乗りエレベーターを提案した。今回の国際コンペで4人乗りエレベーターを提案したら竹中の案は受けるのか
 →松雄局長「4人乗りだと介助者が入れないので採用できない。
 少なくとも車椅子の人と介助者が乗れる昇降装置ができないか。かつ柱と梁を傷めずできないかとチャレンジしていきたい」

浅井市議の第4回目の発言
1)補正で「期限のない債務負担」を認めたら議論ができない。名古屋市の行政をチェックするのが議員の役目。
 松雄局長は文部科学大臣から「イレギュラーなことはするな」といわれた。
 松雄局長は、団長に姑息な事はしないと伝えた。しかしこの予算の出し方はイレギュラー。
 工事で「完成時期まで」という債務負担行為はないのでは。これがイレギュラーで姑息。
 市長は選挙戦で「5階まで連れて行く。同じ景色を見せる」とあれだけ言った。
 →叫ぶものあり 
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「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」が19/1/7に日弁連人権擁護委員会に提出した「人権救済申立書」によれば、「これまで5階までは利用できていたにもかかわらず,エレベーターのない新天守閣が作られれば1階以外の利用はできないこととなり,新天守閣が車いすを利用する身体障害者の
権利をより制限することとなるのは明らかである。」としています。

浅井市議がバリアフリー国際コンペで「1階までの条件で文化庁が許可するのか。世界標準に適応するのか」と問うても答弁がありませんでした。

また、「実質的に期限のない債務負担を補正予算として提出する」ことに対し、前例等詳しい人がいればお教え下さい。 
office@ombudsman.jp
・総務省
 問 実施期間の考え方は(契約年数に制限はあるのか)
 答 契約期間は予算における債務負担行為の範囲内で定める必要があります。
 地方に関しては、債務負担行為の上限について法律上の制限はありませんので、各地方公共団体の予算において債務負担行為を定め、議会の議決を経た上で、その範囲内で契約期間を定めることとなります。
 問 債務負担行為の議決時期は
 答 1.地方公共団体が債務を負担する行為をするには、予算で債務負担行為として定めておかなければなりません(地方自治法第214条)。
 2.したがって、債務を負担する行為である複数年度契約の締結が成立する時点、すなわち契約の応諾に当たる落札者の決定の時点で、執行中の予算上、債務負担行為が認められている必要があります。
・自治総研通算399号 2012年1月号 佐藤英善 早稲田大学名誉教授
 債務負担行為と歳入歳出予算の法的関係
 債務負担行為の設定は、その対象事項、期間および限度額を定めて行う
・総務省 普通地方公共団体の予算の調整の様式等について
  備考 1 期間及び限度額の欄には、年度ごとに当該年度の限度額を記載すること。ただし、その性質上年度ごとの限度額の明らかでないものは、その総額を記載することができる。
  2 限度額の金額表示の困難なものについては、当該欄に文言で記載することができること。
・クリエイティブ房総 第86号 
 自治体判例情報 伊藤綜合法律事務所 弁護士 伊藤 義文
 違法な債務負担行為に基づく支出命令の違法性
 債務負担行為そのものが無効と判断されるのは、どのような場合でしょうか。
 「市の判断に裁量権の範囲の著しい逸脱又は濫用があり、本件委託契約を無効としなければ地方自治法2条14項、地方財政法4条1項の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められるという場合」(最二小判平成20年1月18日・民集62巻1号1頁)
 
名古屋市はバリアフリー国際コンペに関して、2022年3月までに公募開始しようとしています。
その場合も、追加予算を市議会に提出する必要があります。

また、実施設計契約は22/3/25までです。木材の製材は22/12/16までです。
・名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託 変更概要書(R3.3.26)
・名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)変更契約書(R3.3.31)

名古屋市は2022年2月議会で、実施設計契約、木材の製材の延長に関して何らかの予算を提出してくるでしょう。
市議会は「期限の定めのない債務負担」なる奇手を認めるのか。
仮に期限を定めてあっても、木造復元の完成の目処が全くたっていない現時点で契約延長を認めるのか。
市議会の動きから目が離せません。


名古屋市庁内会議「名古屋城木造復元天守バリアフリー検討会議」議事録作成せず

名古屋市の副市長、局長級で構成する庁内会議「名古屋城木造復元天守バリアフリー検討会議」が21/11/8に開催されましたが、その出席者、会議の内容がわかるもの、録音について情報公開請求したところ「請求に係る行政文書を作成又は取得しておらず、不存在であるため、非公開とします」との決定が21/11/25に出ました。
配付資料は一部公開されました。

名古屋市は、「市長又は副市長をトップとし、各局室長等で構成される会議」について、「庁内会議の公表に関する指針」に基づき、会議の概要及び会議資料を公表することになっています。

過去に開催された庁内会議の会議概要(開催結果)は市WEBページに掲載されています。
「名古屋城天守閣整備検討会議」「名古屋城木造復元天守バリアフリー対策検討会議」についても概要が掲載されています。

今後名古屋市は作成するつもりかどうかは不明です。

名古屋市は、19/1/25に「庁内会議の公表にかかる調査結果について」を発表し、庁内会議として公開の対象となる47会議中、開催があった32会議のなかで、全ての公表資料が公表されている会議は14、一部の公表にとどまった会議は6、全ての公表資料が公表されていない会議は12ありました。

情報公開は市長のやる気が最もあらわれます。
自分たちで決めた「指針」に基づく公表すら行ってなかった名古屋市。
「政策形成過程の情報」こそ最も重要であることを、市長以下わかっていなかったのではないかと思います。

21/11/25 名古屋市 松雄俊憲観光文化交流局長を副市長として提案

名古屋市は、松雄俊憲・観光文化交流局長を副市長として議会に提案しました。

令和3年11月25日 名古屋市議会運営委員会・協議事項

松雄観光文化交流局長は、これまで河村たかし・名古屋市長の名を受け、名古屋城木造復元に邁進してきました。
議会同意案件なので、議会がどのような判断をするのか注目です。

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以下松雄局長語録

・19/8/5松雄局長「名古屋市は木造復元をやりたい。穴蔵調査を最終的にやりたい。ご理解頂けないか」
 千田嘉博・奈良大学教授「穴蔵調査は木造天守閣が耐えられるか調査するために必要。でも文化庁に別のうその理由で発掘調査を申請するのは認められない。名古屋市の方針はわかるが、文化庁の現状変更許可を取ってから、大いに議論をする。」

・19/9/18 浅井正仁市議(自民)「6月議会の際、松雄局長が『観光文化交流局と石垣部会の意見が相違があれば石垣部会の委員はやめていただく』と発言した。
 9月議会の際、松雄局長『ある大物国会議員で頼んであるからうまくいく。名前は市長に聞いてくれ』と言われた」

・19/9/18 松雄局長「文化庁も将来的な木造復元の方針があるならば、本来解体と復元は一体として申請されることが望ましいと考えているとのこと」

・19/9/25 松雄局長「技術提案交渉方式は2022年12月という期限がある。どれくらい延ばすことができれば、技術提案交渉方式の範囲内で収まるのかは難しい問題。弁護士からは『10年は長すぎる。MAXでも5年のなかというスケジュール感を持っている」
 渡辺義郎市議(自民)「石垣部会との関係をどう修復される気か」
 松雄局長「私の不穏当な発言もあり、希望通りにいくということはまいらんだろうと考える。私も含めて謝罪をさせて頂き、関係を一から構築する以外にないと考える。市長トップに関係を修復したい」

・19/12/7 市民向け説明会 会場「松雄局長は人の命の大切さを知らない」
 →松雄局長「国民の生命と財産を守るのが私ども公務員しての最大の使命。人の命を軽視する、あるいは人権をないがしろにする、それは絶対に認めないといったような姿勢」

・19/10/3 松雄局長「名古屋城天守閣木造化について、新たな竣工時期として2027年を目指すとは言っていない。基本協定の有効性が保持出来る期間として概ね5年程度ではないかと弁護士から言われたと言った。」

・20/3/20 松雄局長 外構工事石列毀損について「委員の先生方は、この問題についていろいろ言いたいことがあると思う。一切言い訳はしない。検討して対処方法を出したい。」

・20/5/14 松雄局長「これまでは工期ありきで、無理に無理を重ねてきた。まず審議会の中で、この手順でよいかを把握し、安全なものに全力を挙げていきたい。市民にわかりやすく説明をし、ご理解頂きながら進んでいきたい」

・20/9/18 松雄局長「基礎構造は、この事業の中で最も重要な部分であり、その確定までには相当の期間を要すると考えておりますことから、現時点では具体的な検討案をお示しすることはできません。」

・20/10/7 松雄局長「事務方としては工程を積み上げると2028年10月と出たとした。なかなか読めない部分がある。
 1)2022年の基本協定の有効性をしっかりするには市として竣工時期をさだめないといけない。
 2)総務省から505億円の観光その他債の起債を認めてもらった。収支を合わせた形で収支計画を出さないといけない。市としての竣工時期を決めたあとに、もう一度収支の状況を総務省に出す必要がある。

・20/12/17 松雄局長「2020年10月に起こした2件の毀損について『名古屋城総合事務所としては毀損事案ではないと認識しているが、いったん毀損届を出すと行政として決めたのなら、法に基づき期限内に提出すべきだったと反省している。」

・21/1/8 松雄局長「名古屋市と密接に連携するために、木造復元に係る諸課題を調整するためのパイプ役として来年度も名古屋城からの職員派遣を受ける内諾をしてもらった」と発言。
 文化庁「名古屋市からの実務経験者を受け入れているからといって、名古屋市に対して忖度などはありえない。まして木造復元の調整のためという趣旨は一切無い」。

・21/2/19 松雄局長 石垣部会の赤羽一郎氏に送付したメール
 「一昨年4月に観光文化交流局長を拝命し、その年の6月までは市長の主導の名古屋城木造復元を実現しようと思っておりました。
 この(市長の)やり方では決してうまくいかないことを認識し、市長との公約としての木造復元ではなく行政ベースの木造復元に大きく舵を切っており、その進め方として、従来に戻ることは私がいる限りありません。」

・21/6/28 名古屋城現天守閣解体申請書を取り下げるかという質問
 松雄局長「取り下げます、市長と相談します」→「取り下げます」→「出し直す」→「見直す」→『取り下げは致しません』
 
・21/7/27 松雄局長が文化庁訪問時、名古屋城現天守閣解体申請書を「一旦返却してもらった」と強弁

・21/9中旬 浅井正仁市議(自民)「経済界の重鎮から『松雄局長から、木造復元を妨害しているのは自民党』と言われたと聞いた。」

・21/9/27 松雄局長が文部科学省文部科学大臣室を訪問時 復命書に会った相手が記載なし。内容も極めて簡易


名古屋城木造化 令和2年度末 木材の製材変更契約書開示

名古屋市民オンブズマンは、名古屋市が専決処分(2,003,400円減額)した名古屋城木造化に関する木材の製材変更契約書を情報公開請求して開示されました。

・名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)変更契約書(R3.3.31)

変更後 94億4988万9840円
工期 平成30年7月4日から令和4年12月16日まで

なお、請負代金の支払いの限度額は以下の通りです。
平成30年度 21億9600万円
令和元年度 15億2737万円
令和2年度    9007万円
令和3年度  1億2400万円
令和4年度  55億1244万9840円

令和3年度末までの支払い限度額は39億3744万円となります。

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市長が専決処分した際は、議会に報告することが定められています。
しかしながら、令和元年度末と令和2年度末について

市議会に報告がなされていませんでした。

市議会に報告がなされなければ、市民も知りようがありません。

なお、木材保管費は年間9000万円とのこと。

約94.5億の木材製材費用のうち、すでに約39億使ったとみるのか、まだ55億は使っていないとみるのか。

いずれにせよ、天守閣復元のめどはたっていない以上、名古屋市は22/12/16までの木材の製材契約を延長する意向でしょう。

市議会はこのまま変更契約を承認するのか。それとも契約延長を認めないのか。
市議会委員会の答弁でも下山市民経済局名古屋城総合事務所長(当時)が認めたとおり、補正予算、工事契約の際に議会に諮り、議会のチェック機能が果たせるのです。

◯平成28年3月17日 名古屋市会経済水道委員会
https://ssp.kaigiroku.net/tenant/nagoya/SpTop.html

◆斉藤副委員長 どの時点で、これはやっぱり2020年7月にできないんじゃないかという議会がそう思うとき、また、執行部さんはどう思われるかわからぬですけど、ちょっとその中で思った場合、どこでチェック機能が果たせる、どういった段階でこの2020年7月、交渉・提案方式が2020年7月のところがちょっと難しいんではないかというところは、どの時点で議会のチェック機能が果たせるんでしょうか。
◎下山市民経済局名古屋城総合事務所長 議案ということで、補正予算の議案もありますし、今おっしゃられた特別会計の設置の条例、そういった部分もございますし、そういうようなお諮りをする機会ということでございます。
◆斉藤副委員長 ということは、2回そこでいろいろな諸条件が整い次第、また議会のほうに報告をまたそうやって議案として出てくるということは、議会の総意でまた決定していくことでしょうけども、2回あるというふうで理解して、これでいいんですね。
◎寺本市民経済局名古屋城総合事務所整備室主幹 委員おっしゃるとおりでございます。

21/11/25(木) 名古屋城木造復元「基本協定を2024年3月まで延長で竹中工務店と合意」と朝日新聞報道

21/11/25朝日新聞朝刊で、「名古屋城の木造天守、完成まで竹中工務店 協定延長、名古屋市と合意」との記事が掲載されました。
 
記事の概要は以下の通りです。
 ・完成時期は見通せないが、暫定的に2024年3月末に延ばす覚書を交わして基本協定延長
 ・翌年以降も覚書で1年ずつ暫定延長 完成時期が固まるまで続けることで合意
 ・総事業費の上限は505億円のまま維持
 ・関連予算案を11月市議会に提出予定

現時点では予算案は11月市議会に提出されていません。
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2017/5/9に、名古屋市と竹中工務店は「天守閣の完成期限は2022年12月まで」とする基本協定を結びました。

第13条6項で「優先交渉権者は、自らの努力のみでは合理的に事業期間又は天守閣の完成期限を遵守することができない場合、発注者と協議する」とあります。

19/10/3松雄観光文化交流局長は「基本協定の有効性が保持出来る期間として概ね5年程度ではないかと弁護士から言われた」としています。 
しかしながら、竣工期限の延長について、弁護士の見解1として「裁判官によって判断は変わる。ただし10年は厳しいと思われる」としていました。

しかしながら、21/11/9名古屋市会経済水道委員会で、「当初と前提が変わった場合には、例えば、1年毎に基本協定の効力が維持されていることを確認し、必要に応じて見直しを行い、有効性を相互に確認ができていれば、基本協定は有効なものとして維持できる」と弁護士見解が変わっています。

第13条7項で「発注者は、前項の協議を行った場合には、協議の過程及び結果について公表することができる」とあります。

あまりにも不透明な基本協定延長。
全ての情報を公開した上で、基本協定を延長した方がよいのか。他の道があるのか、その場合費用はどうなるのか。

名古屋城木造復元事業ほど、実現可能性がなく、今後の見通しがなく、契約もデタラメな事業を知りません。
名古屋市と竹中工務店だけで基本協定延長という重大事を決めるという議会・市民無視はとても許すことができません。

今後も基本協定延長については注目していきたいです。


名古屋城木造化 文化庁への復命書・添付資料にバリアフリー公募書類案

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城木造化に関して21/11/1に名古屋城総合事務所所長ら6名が文化庁に出張した際の復命書を情報公開請求して開示されました。
21/6/18に文化審議会文化財分科会から出された「特別史跡名古屋城跡の現状変更(天守閣解体)について」(所見)も開示されました。

文化庁は渋谷主任調査官、浅野調査官が対応しました。

名古屋市は現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項における引き続き調査・検討を要する事項について説明しました。
また、木造復元に係る課題の検討状況等について説明しました。

その中で、「名古屋城天守閣整備事業におけるバリアフリー整備の検討状況について」という書面が出ており、「公募の審査基準に関するワークショップを実施し、貴重なご意見を戴き、審査基準に反映している」と記載がありました。
また、バリアフリー検討会議を3回開催し、親身にご意見を頂いているとしています。
「『柱、梁を傷めないこととし、階層間の床を一部取り外すことは可逆的であるので許容できる』との考え方をいただいており、垂直に昇降する設備であれば、障害者の方々が理解される可能性が十分にあるとの意見もいただいています」としています。

さらに、基本計画書の構成についても説明しました。

いずれも、文化庁の意見については記載がありませんでした。

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19/8/20.21に、「名古屋城木造天守閣の昇降新技術公募に関する審査基準作成のワークショップ」を開催しましたが、名古屋市は広く広報しなかったため、2日間で6名の参加に留まりました。

また、「バリアフリー検討会議」は19/10/24に開催された第3回会議以降、2年間開かれていません。

もっと問題なのは、2018年に障害者団体がハンガーストライキ、約20000筆の署名、抗議文の提出などを行って以降、「丁寧な説明と意見聴取を頻繁に行っ」たにも関わらず、有識者が「理解される可能性が十分にある」と意見を出しただけで、「障害者団体に理解された」となっていないことです。

いつのまにか「本公募では、大天守1階への昇降ができることを必須条件とする」と後退しています。
これらは「バリアフリー検討会議」に諮ったのでしょうか。
障害者団体に「丁寧な説明と意見聴取を頻繁に行った」のでしょうか。

「名古屋城木造天守にエレベーター設置を実現する実行委員会」が19/1/7に日弁連人権擁護委員会に提出した「人権救済申立書」によれば、「これまで5階までは利用できていたにもかかわらず,エレベーターのない新天守閣が作られれば1階以外の利用はできないこととなり,新天守閣が車いすを利用する身体障害者の
権利をより制限することとなるのは明らかである。」としています。

障害者団体がとても容認できない公募条件を出して公募するのか。
新たに公募に必要な予算を議会は認めるのか。
果たして公募条件を満たす業者はあらわれるのか。
仮に業者があらわれたとして、障害者団体の猛抗議にどう対応するのか。
そもそも文化庁が現天守解体・木造復元を認めるのか。
国土交通省がバリアフリー新技術を認めるのか。
愛知県「人にやさしい街づくりの推進に関する条例」に適合するのか。

バリアフリーに関しては、今年度内に公募を開始するとのこと。
新たな企業を巻き込んでより泥沼になるより、名古屋市はもう一度関係者ときちんと話した方がよいのではないでしょうか。

名古屋城木造化 名古屋市観光文化交流局長 文部科学省訪問時の復命書に訪問した相手、内容記載せず

21/9/27に名古屋市職員が文部科学省文部科学大臣室を訪問し、文部科学大臣への挨拶及び事務方との意見交換をした際の復命書と持参資料を名古屋市民オンブズマンが情報公開請求したところ、復命書にはなぜか松雄俊憲・名古屋市観光文化交流局長の名前しかなく、しかも会った相手が記載されていませんでいた。
内容も「文部科学省文部科学大臣室を訪問し、名古屋城天守閣整備事業にかかる現状説明を行った。」としか記載されていませんでした。
持参資料は開示されませんでした。

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21/11/9に開催された名古屋市会経済水道委員会で、中里高之市議(自民・緑区)は以下述べています。
・21/11/9 名古屋市会経済水道委員会
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
中里高之(自民・緑区):前にはもっと言うと、これ言っていいかどうかわからんですけども、松雄局長と9月の末にね、当時、萩生田文部科学大臣だったんですけども、大臣とこに一緒に行かしていただきました。で、名古屋城のことをよくお願いをしました。
そん中でちょっと気になったもんですから、大臣室に文化庁のね、この木造化をする担当のトップだとか、そのNo.2 No.3ぐらいみんな来てましたよ。その中でね、もう私大臣室だったもんですから、言ったんですよ。
邪魔しておるやつが、文化庁に居るらしいなって。そしたらね、大臣も言ってくれましたよ、そんなこやっとるんかって言って。
滅相もございませんって時代みたいな話だったよ。
文科省は、名古屋城を木造化については、しっかりと名古屋と話し合って前向きに進めていきたいって言い切りましたよね。
で、萩生田大臣もそのときにね、俺もしっかり応援するし、次の大臣になってもちゃんと引き続きやるからなって言ってくれました。それは松雄局長も聞いて見える話です。
で、もっと言うと、もう今、萩生田さん変わったんですけども、この前名古屋で当選をさせていただいたうちの選挙区なんですけども、池田佳隆って、文部科学副大臣ですよ、これもいいチャンスじゃないですか。
で、大臣は池田文部科学副大臣の同じ派閥の先輩ですよ。いくらでももう話は行ってます。
今朝も、池田副大臣と私、話をしてね、こういう所管事務調査があるけども、また一つよろしくなっていうお話をしてきました。ぜひ、場合によっては東京に来て、いろいろと話をしたいなという意見までも交わしました。
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中里高之市議の発言の真偽が名古屋市の公文書で確認できないことになります。
それどころか、復命書は「名古屋市長 河村たかし」あてに出すものなので、市長へ文書での報告がされていないということです。

名古屋市は「名古屋市職員の公正な職務の執行の確保に関する条例」で、要望等を全件記録することになっています。

今回、中里市議の言うとおりであれば、文部科学省、文化庁に対して「要望」を行っています。
文部科学省・文化庁に「要望」の記録があるかはまだ確認していませんが、同様の「要望」がもし名古屋市宛にあれば、条例に基づき記録することになるでしょう。
今回、少なくとも名古屋市職員が出張した際の復命書にしては記載があまりにも少ないのではないでしょうか。

名古屋市令和4年度当初予算要求に名古屋城木造復元関係計上せず

名古屋市は21/11/19に「予算編成の透明性の確保と市民意見の予算への反映に関する条例」に基づき「令和4年度予算要求内容の公開」を行いました。
21/11/19(金)から21/12/20(月)まで意見募集中です。

令和4年度当初予算要求に名古屋城木造復元関係予算は計上していません。

令和2.3年度も意見募集時には計上していませんでしたが、当初予算が公表された際にいきなり名古屋城木材保管費1億円などが計上されていました。

制度の裏を突いて、市民の意見をまともに聞かない名古屋市。
例年12月-1月に市民説明会がありますが、市民への予算計上を公表しない以上、市民からの意見も出ることはなく、回答もしなくてよいことになります。

竹中工務店との2022年12月基本協定期限が切れる関係で、実施設計、木材製材等どのような契約にするのかは極めて重要になります。
また、障害者団体が同意するとはとても思えない、バリアフリー国際コンペも、来年度も予算要求する予定とのこと。
現天守解体についても、大天守北対岸にある、御深井丸側内堀石垣は調査の結果「予想以上に状況が悪く、当初の計画のように内堀を埋めてクレーン台座を置くのはとても耐えられない。」(千田嘉博・奈良大学教授)としています。

天守閣完成期限のメドもなく、完成するかどうか極めて怪しい名古屋城天守閣木造復元事業。
市民の意見を聞かずに強引に予算計上するのか、それとも。
どうなろうが名古屋市の傷は極めて大きいです。

21/11/19 名古屋城木材製材金額変更専決処分 ようやく議会に報告

名古屋市が名古屋城天守閣木造化に関する木材製材契約の金額の変更について、専決処分を行ったにも関わらず議会に報告していなかった件で、21/11/18にようやく報告しました。
現在は、94億4988万9840円となっています。

・令和3年11月18日提出 名古屋市長 河村たかし
 令和3年報告第54号 工事請負契約の契約金額の変更に関する専決処分について
 

名古屋城御深井丸側内堀石垣 石垣部会でスクリーンに投影された資料開示

21/10/29に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会で、御深井丸側内堀石垣についてスクリーンに投影された資料が開示されました。

部会構成員の千田嘉博・奈良大学教授は「御深井丸側内堀石垣調査の速報値を見たところ、想定より状況が悪い。内堀を埋めてクレーン台座を置くのはとても耐えられない。もし天守木造を行う場合、現在検討をしている工事の工法をとるのは絶望的になったのではないか」と述べました。

また、天守台西側石垣調査、東側石垣調査の速報版も開示されました。

・21/10/29特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第45回)
 配付資料
・21/10/29特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第45回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ

【重要】名古屋城木造復元事業 市住宅都市局建築審査課・消防局との協議時配布資料 廃棄済

名古屋市民オンブズマンは、2018/3/2-2020/2/4に名古屋城天守閣復元事業の件で、名古屋城総合事務所と名古屋市住宅都市局建築審査課、名古屋市消防局と協議した際の配付資料を情報公開請求したところ、「保存期間を事務処理上必要な1年未満の期間」と設定しているため、廃棄処理が完了し不存在決定がでました。

名古屋市民オンブズマンは、上記期間中の協議内容がわかるものと配付資料を情報公開請求したところ、協議内容がわかるものは一部開示されました。
・開示決定書
・住宅都市局建築審査課と協議した内容がわかるもの
・消防局と協議した内容がわかるもの

しかしながら、「打合議事録」に記載のあった「配付資料」について開示されなかったため、今回全て特定してあらためて情報公開請求しました。
「廃棄済」であれば、市の検討が正しかったのか判断できません。

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名古屋市住宅都市局建築審査課と協議した際の配布資料
2018/3/2分
・前回議事録
・富岡製糸場西置繭所の素屋根 見学施設資料
・法第85条第2項、施行令第147条で除外される法文
・建築法規チェック図

名古屋市消防局と協議した際の配布資料
2018/4/25分
・BCJ4/9第3回部会議事録・部会配付資料
・H300105消防設備安全センター議事録
・はしご車検討図

2018/5/30分
・安全センター打合記録(H30.3.29付消防庁報道資料「外国人来訪者や障害者等が利用する施設における災害情報の伝達及び避難誘導に関するガイドライン」の公表

2018/6/13分
・5/23安全センター打合記録訂正版、建築センター打合記録+配付資料
・天守東側消防活動空地検討図
・大天守4・5階消火栓設置検討図
・消防法チェックリスト

2018/7/12分
・安全センター打合記録(7/4)
・システム評価資料目次案
・BCJ第5回部会指摘事項回答書(7/4打合記録)

2018/8/1分
・システム評価資料集(8/1)

2018/9/12分
[能美防災より・]火災予防検知システムパンフレット2種類、
・火災予兆センサ特例システムについて、
・型式承認について
[竹中より]・BCJ議事録(第6回部会ドラフト)、橋台平・立面図

2018/9/26分
[竹中より]・小天守避難計画案、橋台・大小天守閣立面図

2018/10/16分
・消防隊進入口配置位置案
・18/10/15BCJ部会資料

2018/11/7分
・消防隊進入口配置位置案(改)
・18/10/15BCJ第7回部会指摘事項回答書
・18/10/29BCJ本委員会指摘事項回答書
・防災計画書最終版案

2018/12/12分
・システム評価資料案

2019/1/23分
・安全センター打合記録(H31/1/8)
・指摘回答(案)
・システム評価資料(改定版)
・消火栓・アラーム弁室配置図(案)、配置ラフパース(案)

2019/6/3分
・BCJ評価書
・「各設備の作動シーケンス」訂正
・安全センター打合記録19.02.26
・避難誘導シナリオ質疑回答書
・安全センター指摘回答
・「避難誘導シナリオ(各階配置)」
・コミニカインターホンカタログ抜粋
・「外部の避難誘導」
・システム評価資料「設備編」「建築編」

2019/7/31分
・「質疑事項及び回答内容(名古屋城天守閣の避難誘導システム)」
・スプリンクラー打合せ図

2019/9/11分
・「質疑事項及び回答内容(名古屋城天守閣の避難誘導システム)」(別添資料、追加資料)

2019/11/27分
・10/18システム評価専門委員会指摘事項・回答案
・上記回答添付資料案

2020/1/14分
・システム評価親委員会用資料[設備編][建築編]

2020/2/4分
・第37回消防システム評価委員会議事録(案)
・名古屋城天守閣整備事業 消防設備システム評価について(以下、評価書案)

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なお、名古屋市住宅都市局建築審査課との2018/2/9分、名古屋市消防局との2017/5/30-2018/3/19分について以前情報公開請求したところ、協議内容はすべて非公開になりました。

今回あらためて情報公開請求したところ、21/12/10まで延長になりました。

21/11/12 名古屋城天守木造復元事業木材製材変更契約 専決処分を議会に報告せず河村市長謝罪

21/11/12の名古屋市議会運営委員会で、河村たかし名古屋市長は名古屋城天守木造復元事業の木材製材変更契約2件について、専決処分を議会に報告しなかったとして謝罪しました。

21/11/12 名古屋市議会議会運営委員会 配付資料

名古屋市議会運営委員会はネット中継していません。
傍聴は新型コロナの関係で3名までしか認められていません。
傍聴してきましたが、河村市長はマスク越しにぼそぼそ話すだけで、詳細がわかりませんでした。
また、配布資料にも「1 補正予算に関する専決処分について」としか記載されていませんでした。
議会運営委員会委員からは特に質問はありませんでした。

補正予算に関する専決処分についての資料(議案)は、21/11/19にならないと市民に公開されないとのこと。

名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所保存整備室の荒井敦徳主幹に、議会運営委員会終了後電話で詳細を問い合わせました。
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天守閣整備事業の先行工事である、「木材の製材」については、平成30年7月に市議会で議決をして、契約した。

その後、以下2回契約を変更した。
・令和元年度末 令和2年3月26日 3,506,760円減額
・令和2年度末 令和3年3月31日
  
本来であれば金額変更契約については、議会の議決がいる。
しかし、金額が小さい場合は専決処分により変更契約を行い、その上で議会に報告することが定められている。

今回専決処分を行ったが、その後の議会への報告がなされていなかった。
議会の報告は地方自治法180条は「いつやらないといけない」とは書いていない。
即座に法律違反ではないが、専決処分を行った以降速やかに議会に報告するのが普通。
市長が市議会への報告がなされていなかったことに対して謝罪した。


21/11/9 自民市議「文化庁は名古屋城『木造復元を認める方針』を変更した。竹中工務店の3大技術提案は否定された」

21/11/9に名古屋市会経済水道委員会が開催されました。

・21/11/9 名古屋市会経済水道委員会配付資料
 名古屋城における天守閣整備事業について

・21/11/9 名古屋市会経済水道委員会
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

・21/11/9 名古屋市会経済水道委員会 (動画)

・文化審議会文化財分科会の所見(要旨)

・現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答

江上博之市議(共産・中川区)は、石垣保存方針が今年の夏に出される予定だったが遅れている理由を聞きました。
村木誠・名古屋城調査研究センター副所長は「文化庁からはまず宿題として残っておる調査について、文化庁に報告すること、そして石垣の保存方針については、追加の宿題を返す際に、合わせて提出するようにと指示、指導があった。
来年の3月までに調査を終えてそれを取りまとめて、来年5月の文化審議会を目指して石垣保存方針を取りまとめたい。
穴蔵石垣の根石周りについては、今年度中に状況が明らかになる予定。穴蔵石垣については、現天守閣がある状態ではすべて把握するのは極めて困難。必要があれば、現天守閣解体後にあらためて再検討したい。
御深井丸側石垣については、年内に取りまとめたい」としました。

江上市議は「御深井丸側石垣について、石垣部会からどんな発言があったのか」質問しました。
村木副所長は「宮武構成員から、石垣が極めて深刻な状況であって、この後の工事と切り離して石垣単体として保全できるかを真剣に検討すべきである。
千田構成員からは、@文化財としての石垣をどのように保全するかの対策が必要であること。Aこの後に計画している天守閣整備の工事計画について、現在の工法取ることは絶望的ではないか、Bその危ない石垣の上面が来場者の動線となっていることが正しい判断か と発言があった」としました。

江上市議は「バリアフリーについては大天守1階まででいいと読めるが」と質問しました。
梅田木造天守閣昇降技術開発担当主幹は「現在は外部エレベーターが大天守1階まで続いている。
また、内部は地下1階から1階までできることを確認したい。木造高層建築物のハードルを上げてしまうと応募者が減ってしまうのではないかと考えている。今後の技術開発によってはより上層階の昇降が可能になると考えている」としました。

江上市議は「短期間で作るために技術提案交渉方式を採用し、当初250−400億円を想定していたが税抜き460億円となった。
メリットはなくなった、基本協定の原点がおかしくなったのではないか」と質問しました。
高田主幹は「早くやるという面もあるが、発注者が最適な仕様を設定できない場合をクリアするためのもの。完成期限は延長は弁護士の見解でもプロポーザルの有効性は確保されていると考えている」としました。

岡本やすひろ市議(民主・緑区)は「バリアフリー技術公募は具体的にいつ始まるのか」と質問しました。
梅田主幹は「公募開始から選定までで約9ヶ月、その後契約協議に約3ヶ月、昇降技術の開発の契約まで約1年を想定している。できれば今年度中早いうちに公募開始できればと考えている」としました。
松雄観光文化交流局長も「私が大臣に会った際、開口一番に『名古屋市さん、バリアフリーの問題はしっかりやってくださいね』と言われた。予算の確保をお願いした腕、年明けにも公募ができるよう準備を進めたい」としました。

浅井正仁市議(自民・中川区)は「私は木造復元に大賛成。この2-3年ずっと質問させていただいている。
全体計画の中で、現状変更許可手続きまでの手順のイメージがある。
解体と復元を一体とした全体性格を策定するとあるが、その前に石垣保存方針、基礎構造、バリアフリーなど、重要かつ難しい課題がたくさんある。本当に作成されるのか」と質問しました。
荒川主幹は「いずれも重要かつ難しい課題。全力で取りまとめたい。令和4年度末までに全体計画を策定したい」としました。

浅井市議は「今までの答弁を聞く限り、石垣保全方針も順調、基礎構造もまあまあ順調、バリアフリーも出すばっか。木造復元はすべて順調に聞こえる。
しかし今日の資料に2021年10月29日の石垣部会の内容が載っていない。すごいことを言われていると思う。
議員の委員の皆さんは知っているのか。何のための所管事務調査かがわからない。
村木さんは3点と言われたがそうじゃない。御深井丸の内堀石垣について、石垣内部が破断している濃尾地震時の修復箇所が変になっている。内堀を埋めてクレーンを置く工法は絶望的とまで言われている。でさらにもう一点。天守閣対面側石垣の傷みが激しく、観光客の通路として使っていることすら危険だとまで言われている。皆さん、これ聞いてどう思うか。学芸員としてどう思うか」としました。
村木副所長は「深刻な状況だと認識している。専門の石積み技術者の方に加わっていただき現況を丁寧に把握している。急いで取りまとめたい」としました。

浅井市議は「石垣部会から衝撃的な指摘を受けているが、今年度中に石垣保全方針をまとめるとの合意がいえるのか」としました。
村木副所長は「調査自体は先生方のご指導を受けながら進めている。調査結果を共有して合意形成に努めたい」としました。
浅井市議は「資料に『影響は軽微であり、計画が適切だとの合意を得た』とある。石垣の上を歩くことすら危険、内堀埋める工法は絶望的と言われても適正との合意を得たと言えるのか」としました。

また、浅井市議は「調整会議は本当に合意できている段階なのか」確認しました。
荒井主幹は「6月に1回目、9月2に2回目を行った。穴蔵試掘調査を始めており、それに基づき検討していく」としました。

浅井市議は「僕が本会議で跳ね出し架構について動いたと自負している。2年たっても結論が出ていない。
使う見込みもない予算は提出すべきではない。議会で、木造復元が認められるまでの予算は執行はしないよう付帯決議がされた。架空の話で予算を出されても難しい」としました。

浅井市議は「バリアフリーは大天守1階まで上ることを必須とははじめてきいた。エレベーターは提案することができるのか」としました。
梅田主幹は「エレベーター技術を排除はしていない。柱や梁を痛めない、史実に忠実なら導入の可能性があると考える」としました。

浅井市議は「最初の竹中提案でよいのではないのか」としました。
梅田主幹は「竹中提案は4人乗りで、小型の車いす1台しか乗れない。障害者団体との意見交換を踏まえると、ちょっとだめではないかということで、今回公募することにした」としました。

浅井市議は「局長が、150回意見交換を行ったと発言したが、何が合意されたのか。どんな団体が何を言ったか」質問しました。
梅田主幹は「経緯、復元状況を説明した。エレベーター設置を望む考えは変えていただいていないので、一定程度ご理解いただけるような昇降技術を求めていきたいと説明している」としました。
浅井市議は「エレベーターに近いものなら障害者はいいといったのか」と質問したところ、梅田主幹は「はっきりと伝えてもらっているわけではない。個別の意見は出すのは難しい」としました。

浅井市議は「昨年6月に問い合わせた際、『復元検討委員会に諮られる見通しが立った段階で速やかに公募を開始する』と答えをいただいた。今の段階では開催される見通しは分からない。だったら復元検討委員会の開催時期にあわせて遅れるという理解でいいのではないか」としました。
梅田主幹は「解体と復元の一体的な全体計画に、バリアフリーの方針も反映する必要があるので、公募開始していく必要があると考える」としました。
佐治所長は「復元検討委員会の開催時期を待っていると間に合わないので方針を転換した」としました。
浅井市議は「国際コンペの結果が障害者団体に受け入れられなかったらやり直す、再考すると佐治所長は言った。6億かけて再考してまた6億かけるのか。税金の無駄だ」としました。

また、浅井市議は「文化庁が出した所見では、当初は文化庁は解体が先行されても木造復元にすることは理解していたと思える。しかし、名古屋市が『木造復元ありき』と整理した以上、解体のみを内容とする解体申請を引き続き審議することは適当ではなく、解体と復元を一体の計画として審議していく必要があると文化庁は方針を変えた。どうして文化庁の説明が変わったのか不思議。
また、文化庁から2年前に解体申請を取り下げろと助言があったが、2年間放置していたのも不思議」としました。

浅井市議は「名古屋市は名古屋城の全体計画を策定しようとしている。西の丸庭園整備に700億円かかるとか30年先とか言われている。多くの調整が必要となるし、莫大なお金と年月がかかる。全体計画とは、天守の解体と復元を一体だけではない。特別史跡名古屋城全体をまとめないといけない。」としました。

浅井市議は「名古屋市は竹中工務店と基本協定を結んでいる。竹中が選定された理由は、エレベーター設置、跳ね出し架構という基礎構造、内堀を軽量盛り土で埋める復元工法と思っていた。3大技術提案が否定されている。竹中工務店との協定そのものが問題になってくるのではないか。」としました。
荒川主幹は「復元する天守の分析などは価値がある」としました。

浅井市議は「市長に意見を聞きたい」として、河村たかし名古屋市長が出席しました。

浅井市議は「本丸御殿の整備の際は、文化庁は所見を多分出していない。2年前に耐震性能が極めて低く、解体申請を先行するという文化庁との合意を破棄して木造復元ありきと指示したのは市長か」と質問しました。
河村市長はこれまでの説明を繰り返し、はっきりと答弁はしませんでした。
松尾局長は「木造復元が最終的な目標だから、解体させてほしいと変えた」としました。

浅井市議は「所見には『特別史跡における歴史的建造物の再現行為として適切』とあり、『復元』と書いていない。どういう意味か」と質問しました。
河村市長は自分の思いを繰り返しました。

浅井市議は「文化庁の所見には以下書いてある。
・(文化庁との)合意を破棄したから解体申請の審議をやめた
・石垣保全方針を作る約束を守れ
・復元の前に現天守の価値を評価しろ
・基本計画を作ってから解体と復元を一体で申請しろ
・中間報告はいいから全部整ってから来い
市長は指示書で『私が全責任を負う』と書いてある。今の状態では市長個人で想像を絶する多額の損害賠償を負うかもしれない。
陽子線の時、議会が議決した、木造復元も議会が議決したと言われる。議決したら議員まで訴えられる。
『お城に入ったら公務員保険入れ』とうわさされているが、4−5億円。1000億円全部持つのか。職員が気の毒でしょうがない。市長が議会も職員も含めて全責任をとるのか。全体業務を整理して検証する、議会も含めたプロジェクトチームを立ち上げて計画を練り上げてはどうか」としました。
河村市長は「必ず実現する。責任をとる。」としました。

岡本市議は「2023年3月末までに全体計画、基本計画書を作ると答弁があったが、それも含めて責任をとるのか」と質問しました
河村市長は「結構でございます」としました。

中里高之市議(自民・緑区)は「松雄局長と9月に萩生田文部科学大臣に会いに行った。文化庁の木造復元担当のトップも皆来ていた。
私は『邪魔している奴が文化庁にいるらしいな』と言った。『滅相もない。』と時代劇のようだった。
文部科学省は、名古屋市と話し合って前向きに進めていきたいと言い切った。萩生田大臣も応援する、次の大臣も引き継ぎやると言った。
うちの選挙区の池田佳隆って文部科学副大臣。前向きにきちっと成功させることが名古屋の将来の観光産業に対する皆さんの腕にかかっている」としました。

浅井市議は「中里委員から『文化庁があたかも足を引っ張っている』という発言があったが違う。申し訳ないが国宝だ。ちゃんとやることをやれば応援するというのが文化庁のスタンス。忖度はない。
昔『全名古屋市民が木造を建てたいと言っても、石垣が崩れるなら国は止める』と言った。それが国宝。そこをよく理解してほしい。」としました。

最後に、松雄局長から「精神論で仕事をやっているつもりはない。保存方針、基礎構造、バリアフリー、史実に忠実な復元原案を作ること。
そこまでいけば文化庁と相談ができる。忖度はない。正々堂々と議論をしてするしかない」としました。

21/11/5 名古屋城跡全体整備検討会議 天守木造化に一言も触れず

21/11/5に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第45回)が開催されました。
写真・ビデオの撮影等は今回もマスコミ・傍聴者は禁止されました。

・21/11/5 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第45回) 配付資料

・21/11/5 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第45回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 
有識者が議案について議論をするのですが、議案が
(1)名勝名古屋城二之丸庭園整備計画について
(2)令和4年度の二之丸庭園の修復整備・発掘調査について
(3)表二の門附属土塀の雁木の調査について
のみであり、現在名古屋市が取り組んでいるはずの名古屋城天守木造化に関しては一言も触れませんでした。

なお、名古屋市は現天守閣の解体申請を文化庁に提出していた件について21/7/27に取り下げしていますが、全体整備検討会議・各部会ともに一言も触れていません。

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有識者会議の議題は名古屋城総合事務所が決めているようですが、全体像がわからず、今後何をどう議論すべきなのか、何を議題として予定しているのかが全くわかりません。

名古屋城調査研究センターに学芸員が多数在籍するようになったとはいえ、マンパワーも予算も限られる中、何に集中して行うべきなのか。
全体を見渡して議論するのが有識者会議の役割ではないかと私は思いますが、現状はそうなっていません。

また、各部会の報告もありません。
21/10/29に開催された 石垣・埋蔵文化財部会では、千田嘉博・奈良大学教授は「御深井丸側内堀石垣調査の速報値を見たところ、想定より状況が悪い。内堀を埋めてクレーン台座を置くのはとても耐えられない。もし天守木造を行う場合、現在検討をしている工事の工法をとるのは絶望的になったのではないか」と述べました。
これに関し、全体整備検討会議で資料を共有することもなければ、発言を紹介することもなく、今後どうすべきかを議論もしていません。

さらに、名古屋城総合事務所の佐治独歩所長は「千田教授から指摘(深刻な状況の石垣の上が園路になっており、石垣の上を歩くのは正しい判断か)があった観覧者の安全については、十分対処していきたい」としましたが、今回何も触れませんでした。

今回の全体整備検討会議では、傍聴していたマスコミは途中で帰ってしまい、他に傍聴していた一般の人もいませんでした。

現時点では、5ヶ月前に開催された全体整備検討会議第40回会議(令和3(2021)年6月4日)の議事録もホームページにアップされていません。

名古屋城天守木造化に関して市民に情報を公開せず、どういう状況になっているか全く説明していない名古屋城総合事務所。
市民の理解なくして未来はありません。

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今後の予定

・21/11/9(火)午前10時 名古屋市会経済水道委員会
 名古屋城における天守閣等整備事業について(観光文化交流局関係)
・21/12/9(木)午後4時30分 名古屋城基本設計等住民訴訟
 名古屋高裁10階
・2021/12/15(水)午後1時30分〜 名古屋城文化庁訪問時面談記録情報公開訴訟(WEB会議・非公開)

※名古屋城関係の有識者会議は以下で開催予定がわかります。

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情報公開請求してコピーを入手するのも、情報公開訴訟をするのも、費用がかかります。
名古屋市民オンブズマンは、会費とカンパのみで活動しております。
今後ともご支援頂けますと幸いです。

《郵便振替口座》 口座番号 00870−9−105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ
《ゆうちょ銀行》 当座 〇八九店 105687
   加入者名 名古屋市民オンブズマンタイアップグループ

21/10/29 名古屋城石垣部会委員「大天守対岸石垣が想定より状況が悪く、このままでは木造天守復元工事に耐えられない」

21/10/29に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会が開催され、部会構成員の千田嘉博・奈良大学教授は「御深井丸側内堀石垣調査の速報値を見たところ、想定より状況が悪い。
内堀を埋めてクレーン台座を置くのはとても耐えられない。
もし天守木造を行う場合、現在検討をしている工事の工法をとるのは絶望的になったのではないか」と述べました。

・21/10/29特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第45回)
 配付資料
・21/10/29特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第45回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ

今回も、部会中の録音・録画は禁止されました。

まず、松雄局長はあいさつで「本日、文化財石垣保存技術協議会(文石協)の方に来ていただいた。
今後連携していきたい。搦手馬出石垣の積み直しについて現地指導を頂きたい」としました。

座長の北垣聰一郎・石川県金沢城調査研究所名誉所長も「名古屋城の保全事業にとって、文石協が名古屋市と連携することは今後おそらく名古屋市にとって大きな力になる。大変喜ばしいことではないか」と述べました。

その後、本丸搦手馬出周辺石垣の修復について議論がなされました。
・今後増加するとみられる集中豪雨にどの程度対応するか
・ジオテキスタイルを付加することの可否
・石灰混合の可否
・吸出防止層は妥当か
・再利用不可の石材の調達方法について
・逆石の角度補正について

続いて、御深井丸側内堀石垣の調査について議論になりました。
名古屋城調査研究センターの村木誠・副センター長は以下述べました。
(配付資料とは別に、スクリーンに投影した資料を基に説明しましたが、写真撮影・録音禁止なので詳細は手元にありません)
「『現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項』で、天守台以外の石垣の各種調査が足りないとあり、レーダー探査、目視での調査を行った。
(参考資料)現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答
まだ評価検討はできていないので、速報値。
大天守北対岸にある、御深井丸側内堀石垣調査(U65)について、石垣は戦災時に被熱劣化しており、割れがめだつ。
間詰石の抜け落ちや表面剥離も多い。面としての変形が認められる箇所もある。対応が必要な変状もある。
今年度中に整理して文化庁からの指摘事項に答える。対応方針まで取りまとめたい」

北垣座長は「写真を見ただけで戦災で甚大な被害を受けたのがわかる」としました。

宮武正登・佐賀大学教授は「写真では野面積みに見えるが違う。
真ん中で石が割れて前に出てきている。また石垣が内側で破砕し、支えきれないものが前面にでている。
太平洋戦争時被熱で全面石垣がボロボロ。また、濃尾地震時の修復箇所が変になっている。
それぞれの課題に応じた調査が必要。
当初は外見剥離を抑える方法でいいかと思ったが、天守の工事とは切り離して、石垣単体として保全できるかが課題」としました。

千田教授は以下述べました。
「当初思っていたより状況が悪い。
3つの問題がある。
・文化財としての石垣をどう保全できるか。深刻な問題。
・天守の復元に当たっては、内堀を埋めてクレーン台座を置くという計画だが、かねがね対面側石垣への影響が深刻ではないかとしていたが、とても耐えられない。
 もし天守木造を行うのであれば、これまでの工事の工法をとるのは絶望的になったのではないか。
 総合事務所でご検討いただきたい。調査の結論がでたわけではないが。
・そんな深刻な状況の石垣の上が園路になっている。このままでいいのか。
 危険な状況わかっていて、石垣の上を歩くのは正しい判断か。何らかのことがあれば、名古屋市の責任が問われる。
 調査を待ってから判断でいいのか。緊急性を要する」
 
村木副センター長は「石垣について対策が必要と指摘があったので、早期に検討したい」としました。
名古屋城総合事務所の佐治独歩所長も「特に千田先生からご指摘があった3点目の観覧者の安全については、十分対処していきたい」としました。

オブザーバーの中井将胤・文化庁文化資源活用課文化財調査官は「内堀石垣の途中経過について、文化庁からはどうこうはない。ただ、文化庁としては、安定性がどうなのか、石材はどうなのかしっかり示してほしい。
 また、今何をしないといけないか。
  ・すぐにしないといけないか
  ・少しは大丈夫か
 文化庁としては気になる。詰めた結果が出れば」と述べました。
 
部会終了後のぶら下がり記者会見で、宮武教授は「御深井丸側内堀石垣は緊急に検討を要する。天守閣復元事業工事の足場設置とは切り離して、解体修理が必要なのか、個別に安定化が図れるか検討する必要がある。
一般論としては、危ない状態で足場設置工事をするべきではない。このまま石垣をほっといたら崩れる」としましたが、名古屋城総合事務所の鈴木整備室長は「現段階では答えられない」としました。 
 
その後、石垣・埋蔵文化財部会構成員と、文石協の人が現地調査を行ったとのこと。

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現時点では、木造天守復元時、大天守北の外堀を架設桟橋で越え、御深井丸側内堀石垣の上を通り、内堀を軽量盛り土で埋めて、その上を大型重機や仮設構台を設置する予定です。
御深井丸に展示されている礎石は避けるように仮設計画を見直しましたが、その下の石垣部分についてはこれまで調査されておらず、今回初めて判明しました。

調査速報値によれば、御深井丸内堀石垣は想定以上に悪く、現時点でその上部を園路として来城者が通行しており、このままで安全性が確保されているかは早急に検討を要する、とする石垣部会構成員の指摘は重要です。

人が通るだけでも安全性が確保されているかわからないのに、人よりはるかに重量・振動がある重機を載せるのは更に問題ではないでしょうか。

なお、御深井丸側内堀石垣の問題だけでなく、内堀石垣の底には貴重な遺構(幻の小天守の石垣の基礎の可能性)もあります。

天守閣復元事業のメドは全く立っていません。
それどころか、現天守閣解体のための架設桟橋・内堀埋め立てすら全面的見直しが迫られる可能性が非常に強いです。
「不要不急」で実現可能性の見通しが立たない天守閣復元事業より先に、御深井丸側内堀石垣の安全性確保を最優先にすべきではないでしょうか。

名古屋城木造復元天守 過去2年半 市住宅都市局建築審査課と協議無し

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城天守整備事業の件で2018/2/10-2021/9/6の間に名古屋市住宅都市局建築審査課と協議した内容がわかるものを情報公開請求したところ、21/10/22に開示されました。
木造復元工事の際の素屋根ならびに実物大階段模型及び展示施設棟については打合せ記録が開示されましたが、木造復元天守に関する協議の記録は開示されませんでした。
・開示決定書
・住宅都市局建築審査課と協議した内容がわかるもの
 
2018/2/9に、名古屋城総合事務所と市住宅都市局建築審査課、竹中工務店が「名古屋城天守閣整備事業本体 法規打合せ」を10分間行ったことは以前の開示請求でわかりますが、内容は全面非公開です。

19/12/7に開催された名古屋城木造化市民説明会で、名古屋城総合事務所は「国土交通省住宅局建築指導課に直接確認をしているわけではない。ただし建築基準法三条1項4号については、特定行政庁が認定する。担当部局である名古屋市住宅都市局建築指導課に相談はしている。建築指導課からは、文化財保護法の手続きを踏み、再現がやむを得ないと判断されれば3条の適用は可能と考えていると聞いている。」と発言があっただけで、具体的にいつどこでだれが発言したかはまったく不明です。

名古屋城総合事務所は、名古屋市建築審査会で建築基準法の適用除外を受けたいとしています。
しかしながら、いまだに建築審査会で名古屋城木造復元事業に関して審議はありません。

市住宅都市局建築指導課との協議も、2018/2/9の1回のみです。
一体どうなっているのでしょうか。
果たして、名古屋市建築審査会は建築基準法の適用除外を認めるのでしょうか。
建築審査会が仮に適用除外を認めない場合、これまで費用を掛けてきた基本設計・実施設計・木材等はほぼすべて無駄になります。
それに代わる「建築基準法に適合した木造復元事業」なるものがどのようなものかわかりかねますが、現在の名古屋城木造復元の予想図とはかけ離れたものになるでしょう。

いったい、名古屋城木造復元事業はどこまで進んでいるのか。
・市住宅都市局建築指導課との協議 1回のみ
・市建築審査会 0回
・現天守解体申請 取り下げ
・木造復元天守申請時期 見通しなし
・竣工時期 見通しなし
・基本設計 18/3/30に完成と市は主張(住民訴訟 高裁係属中)
・実施設計 22/3/25まで再延長
・木材 21/3/31までに少なくとも38億1344万円支出済
・バリアフリー国際コンペ 今年度中に開始したいと市

名古屋城総合事務所は、木造復元の全体像を示したことはなく、何がどこまで進んでいるのか、どのような協議をしているのかも不明です。
事業が進んでいるのか進んでいないのかすらわかりません。

市民が情報公開請求を頻繁に行っても、よく分かりません。
このような状況で、「市民に望まれる名古屋城」ができるとは到底思えませんし、そもそも完成にこぎ着けられるとも思えません。

名古屋城木造復元 市消防局との協議議事録開示「5階ははしご車も届かない」

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城天守整備事業の件で2018/3/20-2021/9/6の間に名古屋市消防局と協議した内容がわかるものを情報公開請求し、21/10/22に開示されました。
・開示決定書
・消防局と協議した内容がわかるもの

しかしながら、防災・避難計画策定に関する情報について、「名古屋城ほどの大規模な木造の歴史的建築物の復元工事が行われた例はこれまでない。そのため、大規模な木造建築物の防災・避難計画策定のために、株式会社竹中工務店の技術上のノウハウを活かした独自の手法を用いている。この情報は他の歴史的建造物の復元にも適用可能なものであるため、公開されると同業他社が上記ノウハウを模倣することにより、株式会社竹中工務店の競争上の利益が損なわれるものと認められる」とし、肝心な部分が非公開となっています。
また、配付資料は今回の開示資料にはついていませんでした。

なお、木造名古屋城大天守は、約12.5メートルの石垣の上、約36.1メートル5階建ての予定です。

そんな中、以下は判明しました。
日本建築センターと、消防設備安全センターの許可を得るための協議です。

18/4/25に名古屋城総合事務所、名古屋市消防局予防部指導課建築係と竹中工務店が協議した際、「各階の屋根の先端の出が大きいので、通常のはしご車では1階窓しかアプローチできない。また、先端屈折式のはしご車でも1・2階にしかアプローチできないことがわかった」と記載がありました。

18/5/30の協議の際、市消防局予防規制課建築係の服部係長は消防隊進入口について「屋根の先端にしか届かなくても、進入・救助をしないといけない場合もあるので、はしご車が窓に届かないから不要とするものでもない」と述べています。

18/10/16の協議では、市消防局予防規制課建築係池田主任は「消防隊侵入口について、5階ははしご車も届かないことから進入口は設置しなくてよい。ただし1階から4階まで10m毎に進入口を設けること」としています。

18/12/12の協議では、市消防局予防規制課建築係の服部係長は「はしご車のバスケットが窓に直接取り付けられれば、つまり屋根の上を登って窓に取り付くことがなければ、丸輪は不要としてよい。バスケット側面に扉が付いているものもあるので、その扉の開閉に必要な寸法は壁面(窓面)から離れていてもバスケットが窓に取り付いていると考えてよい。そのチェックをした上で要不要を決めれば良い。」としています。

19/9/11協議で、竹中工務店は「はしご車の架梯の図は、■委員長から事務局に要請があったようで、事務局としても断れないので回答の資料として提示したいと連絡があった。また事務局からは、その資料を提示することではしご車を使っての消防・救助活動にまで議論が及ぶのは今回の審議にそぐわないので、そのあたりはきちんと委員に説明し、はしご車の架梯が可能であることだけに議論をとどめるとのことであった。もしも救助活動について問い合わせがあったとしても、回答できるように、窓上部(室内側)に丸環をつけ、ロープをフックで掛けて屋根の上を伝えるように計画したが、これを今後提示してもよいか。(追加資料-1)」と述べました。
名古屋城総合事務所の遠藤技師は「今日の資料では窓の上にも丸環をつける図となっているが、意匠的な問題もあるので、場合によっては天守閣部会の了承も得たいので、今日は了承できない」としました。
市消防局の服部係長は「勾配のある屋根の上を伝っての救助活動は、なにがしらの補助設備などがほしいが、議論が保留になったままのところでもある。」としました。
竹中工務店は「人命に関わる設備は、史実と異なっていても設置できる方針だったので、提案した。一旦、窓の上の丸環については、消した図で今回は安全センターに回答する。窓上部の丸環は中止し、窓の下の置き床となる箱内にロープを常備しておき、片方は固定されていて、もう片方を窓から投げることができるようにする方針とし、安全センターへの資料としたい。(電話にて池田氏、遠藤氏に確認))」としました。

2019/11/27の協議で、19/10/18システム評価専門委員会の指摘事項に対する回答案等について、竹中工務店は「また、救助活動に関わる部分はシステム評価の対象ではないと事務局から言われているが、前回専門委員会後に■委員長が事務局に対して5階屋根の上でのバスケットまでの避難部分に滑り止めとなるような対策を検討するよう指示があったそうで、総合審議の欄に追記されてきている。これについても屋根面に避難はしごを展張できるような案を示したいと思う。」としました。
市消防局の服部係長は「この案で回答するのはいいが、更に追求されるようだったら、5階在館者に対してはプレアラームの段階で避難誘導を開始する(まずは階段に誘導し、階段での避難が難しくなれば救助袋を使う)などして、5階で一時待機となってしまう人数をなるべく減らすようにする、ということも考えておいてはどうか。」としました。
名古屋城総合事務所の纐纈主査は「はしご車での救出が可能かどうか、現地での検証を名古屋城総合事務所から消防局にお願いしている。候補日として12/2、3、16のいずれかで調整中。」としました。

20/2/4の協議で、名古屋城総合事務所の遠藤技師は「評価書案50ページ「第7 付帯事項」4には、3階4階の屋根面にも金属はしごの設置を「所轄消防機関と協議し施工すること」とあるが、3階4階への金属はしご設置は確定なのか?」と質問したところ、竹中工務店は「施工は協議結果により必要とされれば設置するの意のつもりでいる。委員会当日にも議事録にもない話なので、安全センターに確認する」としました。
また、市消防局の服部係長は「今後は大天守東面の進入口を使った救助に必要な設備等の打合せが残っているという認識でいる。」とし、竹中工務店は「では、次回以降の協議として、32条特例・許可申請のスケジュールと進入口を使った救助方法について協議させていただく」としました。
その後、「(安全センター 技術部 ■氏 2/5 16:40tel.にて:評価書案「第7 付帯事項」4については、名古屋市消防との救助方法の検討結果により3階4階にも必要とされれば設置する、の意と解してもらって良い。施工は無条件で必須というわけではない。)」と記載がありました。

「次回、20/2/27(木)09:30〜」協議とありますが、その後の議事録は開示されませんでした。

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議事録に資料が添付されていないため、詳細がわかりません。

・現在名古屋市に配備されているはしご車で、結局木造天守閣の何階までアプローチ可能なのか。
 【参考】西消防署 はしご車(30m級先端屈折式) 約2.5mで屈折
  中川消防署 はしご車(30m級先端屈折式) 約3.5mで屈折
・窓や屋根に丸環・金属はしご・すべりどめは付けるのか
・火災時、各階に何人いると想定し、どのように避難する想定なのか。

名古屋市は2019/1/21に一般財団法人 日本建築センターから『防災評定書』を取得しています。
また、名古屋市は一般財団法人 日本消防設備安全センターから2020/1/29に「消防設備システム評価書」「評価報告書(名古屋城天守閣整備事業の避難誘導システム)」を取得しています。

しかしながら、避難計画の詳細については開示されていません。

木造天守閣内にいる人は、火災時に屋根を伝ってはしご車で避難するのか。その際何人が避難可能なのか。
情報が開示されなければ、結局責任が曖昧になってしまいます。

消防に関して詳しい人がいれば、資料を読んで感想をお聞かせください。

名古屋城現天守閣解体申請取り下げ 復命書開示

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城現天守解体申請取り下げ時の書類と文化庁への出張復命書の情報公開請求を行い、開示されました。

・開示決定書
・21/7/19 名古屋市長 河村たかし
 特別史跡名古屋城跡の現状変更(天守閣解体)の許可申請の取扱いについて
・21/7/27文化庁への出張復命書

それによれば、令和3年7月19日に名古屋市長河村たかし名で文化庁に対し、「本申請に木造天守復元の内容を加えて見直しを行い、改めて出し直す方針としましたので、一旦、申請書を返却くださいますようお願いします。」と記載がありました。

復命書には「【その他】・現天守閣解体の現状変更許可申請に関する書類を受領した」とありました。

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名古屋市は2019/4/18に解体申請書を文化庁に提出し、2021/7/27に解体申請書を取り下げました。
(「返却」という言葉は行政手続法にありません)

19/9/18に開催された名古屋市議会本会議で、松雄名古屋市観光文化交流局長は「文化庁も将来的な木造復元の方針があるならば、本来解体と復元は一体として申請されることが望ましいと考えているとのことでございます」と述べました。

この2年間はいったいなんだったのか。
名古屋城木造復元に関しては、新たな基礎構造のメドもたっておらず、バリアフリーに関する国際コンペも始まっていません。文化庁のいうとおり、現天守解体と木造復元の書類は一体として出すのが筋です。

にもかかわらず、現天守解体申請書を出し続け、しかも、木材について、少なくとも38億1344万円支出済です。
・21/3/31 90,070,000
・20/3/31  573,370,000
・19/11/22  954,000,000
・19/3/29 2,196,000,000
それも含め、木造復元事業は人件費も含め平成28年度〜令和元年度で69億6800万円余支出しています。

木造復元の書類を文化庁に提出出来るメドはたっていません。
「やってる感」を出すために現天守解体申請を出し続けたのではないでしょうか。

21/10/8 名古屋市議会委員会 令和2年度名古屋城決算を賛成多数で可決

21/10/8に開催された名古屋市議会経済水道委員会で、
名古屋城関係の決算を賛成多数で可決しました。

21/10/8 名古屋市議会経済水道委員会
名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

自民:賛成 名古屋城においては、天守閣の木造復元の早期実現のため、議会の指摘事項を踏まえ着実に進めるとともに、景観の改善や庭園の整備等についても、名城公園を所管する緑政土木局と連携して進め必要な体制を構築できるように努めること。
民主:賛成 一つ名古屋城天守閣整備事業の昇降技術の公募については、障害者団体等の声をしっかり聞くとともに、予算について整理した上で議会に丁寧な説明を行って開始し、復元検討委員会に向けた全体計画にバリアフリーの方針を反映すること。一つアフターコロナにおける観光戦略においては、新しいニーズに応えながら名古屋の新たな観光誘客に繋がる仕組みを作り名古屋の観光振興や地域経済の活性化に繋げていくこと。
減税:賛成
公明:賛成 金シャチ横丁の整備については、利用者の利便性向上のため、休憩スペースやトイレなどの設置を事業者側と協議し進めるとともに、集客力向上のために一過性のものとならないよう創意工夫を凝らし、効果的なイベントなどを開催し、周辺の観光資源と一体で盛り上がるための方策を検討すること。
共産:反対 名古屋城天守閣木造復元を強引に進めようとしたため、名古屋城重要文化財と展示収容施設の外構工事での特別史跡の毀損事件でも明らかになったように、遺構や石垣に対する調査研究体制に不安なまま事業を進めさらに、木造復元の実施設計において、繰越費用まで不要額とする、あってはならない事態を招いた。木造復元の完成期限2022年12月を断念した以上、技術提案交渉方式による契約の必要性もなくなったことから、事業を中止すべきであるから、
      名古屋城天守閣特別会計反対。理由は一般会計の2項目目と同じです。

21/10/6 名古屋城木造天守閣昇降新技術公募新スキーム 自民市議「どれもよくない場合どうするか」

21/10/6に名古屋市議会経済水道委員会で決算審査が行われました。

・21/10/6 名古屋市議会経済水道委員会 配布資料 観光文化交流局

・21/10/6 名古屋市議会経済水道委員会(名古屋城関係)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし
 
まず、新型コロナの影響で、名古屋城の入場者数が令和元年度の約200万人から令和2年度は約52万人まで落ち込んだことが報告されました。

次に、西之丸毀損事故で1113万6000円費用がかかったと報告されました。
名古屋城総合事務所は、再発防止策を策定してからの毀損事故は4件としました。
浅井正仁(自民・中川区)市議は「街路灯は無断の現状変更だ。毀損届として出していない。同様のことは何件あったのか」としたところ、村木名古屋城調査研究センター副所長は「件数としては把握していないが、二之丸庭園の発掘調査で間違いから掘りすぎたと先週認識した。深さ1メートルのところ50センチくらい余分に掘った。判断が甘かった。学芸員の経験不足も含め反省している」としました。

次に、実施設計の予算が2億2000万円のところ2573万7000円の支出だったと報告がありました。
江上博之(共産・中川区)市議は、どうして設計図を繰り越したのかと質問したところ、荒井主幹は「業務としてできなかった」としました。

続いて、木造天守閣の昇降に関する新技術の公募について議論になりました。
木造天守閣昇降技術開発等担当梅田主幹は「障害者団体や有識者を含め丁寧なご説明をさせていただいたうえ、手順が整い次第公募を開始していければと考えている。
国内外10社以上は興味を持っている。公募スキームを変更し、公募期間を約9か月として最優秀者と協議を実施し、開発契約まで3か月を見込んでいる。公募開始から開発契約まで約1年を想定している」としました。

岡本やすひろ(民主・緑区)市議は「この予算は今年度までと理解している。来年度にかかるのはおかしくないか」としたところ、佐治所長は「しっかり整理する。今後必要な予算は一度精査して、あらためてこの委員会に相談したい」としました。

浅井市議は「10社からまず何社を選ぶのか。だれが選ぶのか」と質問したところ、梅田主幹は「有識者で評価委員を決めており、その結果を踏まえて市が選定する。
評価委員には車いすの人が2人いる」としました。浅井市議は「公募してどれもよくない場合どうするのか」と質問したところ、梅田主幹は「障害者団体はエレベーターの設置を望むという考えは変わっていない。史実に忠実とバリアフリーの両立と丁寧に説明はさせていただいているが、障害者団体と膝を突き合わせて話進めつつ、技術を選定していこうとしている」としました。
佐治所長は「審査基準を作っており、一定の得点に満たなかった場合は採用しないということもある。その時点で検討が必要と考えている」としました。

また、浅井市議は「現天守閣解体後、キーホルダーを作ったり銅板瓦を売るという話を天守閣部会から提案があったがその後はどうなった」としたところ、名古屋城総合事務所は「解体の時期が決まっていないので現状では検討していない」としました。

さらに、浅井市議は本丸御殿のスプリンクラー設置について質問したところ、名古屋城総合事務所は「スプリンクラー設置については文化庁にも有識者会議にも諮っていない」としました。
松雄観光文化交流局長は、「構造をどうするかは時間がかかる。建造物部会は2年間で1回も開いていない」としました。
佐治所長は「初動の体制を充実した。建造物部会にかけるため準備はしたが、準備が整わなかった」としました。

浅井市議は「木造復元の完成時期はいつまでに積み上げられるのか」と質問したところ、委員長の渡辺義郎(自民・北区)市議から「令和2年度の決算について審議しており、行き過ぎているような感じがする」としました。
江上市議は「2022年12月竣工で基本協定書ができている。令和2年度中に基本協定の文言の変更などの動きはあったか」と質問したところ、荒川主幹は「そこまではなかった。今後検討したい」としました。

最後に、渡辺義郎委員長は「名古屋城木造建設について、一部会派は反対だがそれ以外は反対していない。しかし、手法というか、手続きというか、答弁したことがきちんと済んでいないからうまくいかない。うちの会派からもいつできるのかと心配になっている。決められたこと、発言したことをきちんと守っていただきたい」としました。

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「名古屋城木造天守閣の昇降に関する新技術の公募支援業務委託」契約書・支出命令書を情報公開請求したところ開示されました。
当初、令和元年〜3年度で1億4300万円の契約を(株)日本総合研究所と結びました。

しかしながら、まだ公募開始には至っていません。
名古屋市が言う「審査基準」なるものはなにかわかりませんが、愛知県重度障害者の生活をよくする会・NPOちゅうぶが提出した「バリアフリーは今より良くなる!!?」を実現するために必要な7つの基準は以下です。
 1 誰もが乗れる
 2 誰もが簡単に使える
 3 一般の人(健常者)の移動と同じような時間で移動できる
 4 たくさんの利用が連続してできる
 5 一般の人の移動と対立しない
 6 天守閣の最上階まで上がれる
 7 怖い思いをしないで乗れる
 
これらすべて満たし、しかも史実に忠実で、「エレベーターではない」ものを世界公募すれば実現可能なのでしょうか。

渡辺義郎委員長は最後に「市は決められたこと、答弁したことをきちんと守っていただきたい」と述べました。
しかしながら、「実現不可能なことを決めた・答弁した」場合は、どうやっても実現不可能です。

バリアフリーの問題だけではありません。
市が実現不可能なことを決めた、答弁したから、ここまで大混乱なのではないでしょうか。
参考:2015/8/24 河村たかし市長「全責任は私が取る」指示書

名古屋城木造化をめぐる傷は極めて大きいです。
すでに平成28年度〜令和元年度で69億6800万円余予算を支出しています。
バリアフリー公募に関し、来年度まで予算がかかる見通しになったのだから、無理に今年度に公募を開始するのではなく、あらためて木造復元事業そのものの実現可能性・採算性をすべて見直したうえで、バリアフリー公募のめどが立ちそうになってからでも遅くはないのではないでしょうか。


21/10/4 名古屋市議会経済産業委員会で名古屋城決算審査

21/10/4 名古屋市議会経済産業委員会で、令和2年度決算審査が行われました。

・21/10/4 名古屋市議会経済産業委員会(名古屋城・国際展示場部分)
 名古屋市民オンブズマンによる半自動文字起こしアプリによる文字起こし

名古屋城に関しては、新型コロナの関係で入城者数が激減した件、金シャチ横丁も売り上げが激減した件、外構工事で石列を毀損した件、石垣調査が遅れた件、実施設計が進まなかった件、木造天守閣昇降に関する新技術公募の進捗状況、9000万円の木材保管費について、21/10/6の名古屋市議会経済産業委員会に資料が提出されることになりました。


21/10/1 第44回名古屋城跡全体整備検討会議で現天守解体申請取下の報告せず

21/10/1(金)に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第44回)がウェブ上で開催されました。
今回は委員のネットでの会議の様子を傍聴者がネットで見ることができました。

・会議次第【全体会議(第44 回)】
・議事1「西之丸蔵跡追加調査について」
・報告1「本丸御殿の天井板の破損について」
・名古屋市民オンブズマンによるメモ

今回、議事として「西之丸蔵跡追加調査について」、報告として「本丸御殿の天井板の破損について」があげられるだけで、約50分で終了しました。

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21/9/17名古屋市会本会議において、松雄俊憲・名古屋市観光文化交流局長は21/7/27に名古屋城現天守閣解体申請書を取り下げたことを認めました。

特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議は、第42回が21/8/6、第43回が21/9/3に開かれていますが、今回の21/10/1第44回でも、現天守閣解体申請書の取り下げは全く報告されていません。

21/5/7開催の第39回会議では、「(参考資料)現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答」が配付されています。

名古屋市にとって都合の良い情報だけ全体整備検討会議にあげ、都合の悪い情報は隠蔽する、というのは、全く反省していない証拠ではないでしょうか。
これでは同様の失敗を繰り返してしまいます。


21/9/28 名古屋城木造化基本設計等住民訴訟 高裁第4回口頭弁論

21/9/28に、「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」が原告となった、名古屋城天守閣木造復元事業基本設計費の返還等を求める住民訴訟の高裁第4回口頭弁論が名古屋高裁民事1部で行われました。

一審原告は、原告側証人高橋和生意見書を提出しました。

なお、名古屋市民オンブズマンに21/9/17に開示された名古屋城天守閣整備事業 基本計画書(概要編・資料編・図面編)ですが、一審原告は「開示されたばかりで精査している。次回口頭弁論までに書証として出すだけでなく、主張も提出したい」としました。
・令和3年9月16日 行政文書一部公開決定通知書
 ■2018年7月20日-25日に、名古屋市職員が文化庁を訪れた際の持参資料として
  (1)名古屋城天守閣整備事業 基本計画書(概要編・資料編・図面編)  
   
次回弁論は21/11/11(木)14:00〜 名古屋高裁10階で行います。
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・名古屋城天守の有形文化財登録を求める会

名古屋城情報公開訴訟対象文書 開示決定見直し 資料一部開示

名古屋城情報公開訴訟の対象文書が、開示決定が見直されて21/9/17に開示文書を新たに受け取ってきました。
残念ながら、復命書等の開示部分は変わりませんでした。
名古屋城天守閣整備事業 基本計画書(概要編・資料編・図面編)の500ページの資料のうち、103ページはあらたに開示部分が増えました。
しかし、肝心な部分は開示されていません。

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・令和3年9月16日 名古屋市長 河村たかし
 行政文書一部公開決定の取消しについて(通知)
 
・令和3年9月16日 行政文書一部公開決定通知書
 平成30年6月13日に名古屋城の件で文化庁を訪問した際の復命書、支出命令書
 (1)復命書
 (2)支出命令書

・令和3年9月16日 行政文書一部公開決定通知書
 ■2018年7月20日-25日に、名古屋市職員が文化庁を訪れた際の持参資料として
  (1)名古屋城天守閣整備事業 基本計画書(概要編・資料編・図面編)  
  (2)平成29年12月 復元検討委員会での報告に対する意見(平成30年3月提出)
  (3)平成29年12月 復元検討委員会での報告に対する意見への追加回答
  (4)平成30年3月 復元検討委員会での報告に対する意見への回答
  (5)2018年7月20日-25日に、名古屋市職員が名古屋城関連で文化庁を訪れた 際の持参資料
  (1.復元概要・復元整備基本構想)
 ■2018年7月20日-25日に、名古屋市職員が文化庁を訪れた際の復命書、支出金 調書として、
  (6)復命書(名古屋城総合事務所長以下5名分)
  (7)復命書(ナゴヤ魅力向上担当部長分)
  (8)支出命令書(平成30年7月20日分)
 ■2018年7月20日-25日に、名古屋市職員が文化庁を訪れた際の会談の内容、指 摘事項がわかるものとして
  (9)2018年7月20日 文化庁打合せメモ
 ■2018年7月26日に、名古屋市職員が文化庁を訪れた際の復命書、支出金調書として
  (10)復命書(名古屋城総合事務所長分)
  (11)支出命令書
 ■2018年7月26日に、名古屋市職員が文化庁を訪れた際の会談の内容、指摘事項 がわかるものとして
  (12)市長国家提案【文化庁】<平成30年7月26日(木)>面会記録
  (13)市長国家提案【文化庁】<平成30年7月26日(木)>メモ

・令和3年9月16日 行政文書一部公開決定通知書
 ■2018年7月27日?12月10日に、名古屋城天守閣整備事業の件で名古 屋市職員が文化庁を訪れた際の
 1 持参資料として
  (1)市長文化庁訪問<平成30年8月3日(金)>ぶら下がりメモ
  (2)持参資料(石垣保存の基本的な考え方と天守台
  (3)新聞一式
 2 復命書、支出命令書として
  (4)復命書(平成30年8月3日(金)分)
  (5)復命書(平成30年9月10日(月)分)
  (6)復命書(平成30年9月25日(火)分)
  (7)支出命令書(平成30年8月3日(金)分)
  (8)支出命令書(平成30年9月10日(月)分)
  (9)支出命令書(平成30年9月25日(火)分)
 3 会議の内容、指摘事項がわかるものとして
  (10)市長文化庁訪問<平成30年8月3日(金)>面談記録
  (11)市長文化庁訪問<平成30年8月3日(金)>ぶら下がりメモ
  (12)文化庁打ち合わせメモ(平成30年9月10日(月)分)
  (13)市長文化庁訪問<平成30年9月25日(火)>面談記録

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(名古屋城天守閣整備事業 基本計画書(概要編・資料編・図面編)以外、
 開示部分に変化なし。
 以下が開示されたページ番号。
G79,G80,G81,G82,G83,G90,G91,G92,G93,G94,G97,G98,G99,G100,G101,G102,G103,G104,G105,G106,G107,G108,G109,G110,G112,G113,G114,G115,G117,G118,G119,G120,G121,G122,G125,G126,G127,G128,G129,G130,G131,G132,G133,G134,G135,G136,G137
S125,S197,S217,S219,S220,S221,S222,S223,S224,S226,S228,S229,S230,S232,S249,S266
Z50,Z51,Z52,Z53,Z54,Z55,Z56,Z57,Z58,Z59,Z60,Z62,Z63,Z64,Z65,Z66,Z67,Z68,Z69,Z70,Z71,Z72,Z73,Z74,Z75,Z76,Z77,Z78,Z79,Z80,Z81,Z82,Z83,Z84,Z85,Z86,Z87,Z88,Z89,Z91

21/9/17 名古屋市 名古屋城現天守閣解体申請書を「取り下げ」

21/9/17に開かれた名古屋市会本会議において、浅井正仁議員(自民)の質問に対し、松雄俊憲・名古屋市観光文化交流局長は21/7/27に文化庁を訪問し、名古屋城現天守閣解体申請書を「一旦返却してもらった」ことを認めました。
・21/9/17 名古屋市会本会議 (名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

浅井市議は2021年6月本会議で、文化庁の所見を踏まえ解体申請は取り下げるべきと強く意見をしましたが、松雄局長は取り下げないとしました。
浅井市議は21/7/28に文化庁を訪問したところ、「21/7/27に松雄局長と佐治所長が文化庁に来て、現天守閣解体申請書を取り下げに来た」と言われたとのこと。
文化庁の山下文化財第二課長は「取り下げと認識している」とのこと。
浅井市議は松雄局長に、木造復元天守の完成時期の想定を聞きました。

松雄局長は「市長の決裁を頂いた上で、木造復元の内容を加えてあらためて出し直す方針を固めた。
文化庁に方針を説明し、『一旦返却』してもらった。市の方針に反して解体申請を取り下げたいとは言っていない。
竣工時期については、以前は2028年と提示したが、全体計画作成を丁寧に進めることが重要であり、途上である現段階で完成時期を答えるのは適切でないと考える」としました。

浅井市議は「言葉遊びだ。『返却』という行政手続きがあるのか。
21/6/23文化庁に提出した文書には『解体申請の取り下げをする場合は市の意思表示をすること。手続きは口頭でもメールでも事務連絡でもよい』と書いてある。
また、その際に市が持っていった工程表には『申請取り下げ』と書いてある。また、復命書には『現状変更許可申請に関する書類を受領した』としかなく、文化庁とのやり取りが記載されていない。
文化庁には『取り下げ』とし、市議には『返却』。
山下課長や調査官に『返却か』と聞いたら『申請には取り下げと継続しかない』と鼻で笑われた。
市職員に聞くと、みんな『取り下げ」というが、名古屋城総合事務所職員だけ笑いながら『返却』という。
市長はこのようにごまかして木造復元が進むと思っているのか。
今週初め、経済界の重鎮から『松雄局長から、木造復元を妨害しているのは自民党』と言われたと聞いた。
現状は石垣の保全方針もまだ、基礎構造もまだ、実施設計もまだ、国際コンペもまだ。
以前は石垣部会のせい、今は自民党のせいにしている。
あなたたちのせいではないか。
2年前の令和元年9月本会議で、松雄局長は『文化庁から一体として申請することが望ましいと伝えられている』と言っている。
市民から『いつ名古屋城ができるの』と聞かれ、『いやまだちょっとわからない』というと、『だって100億で木買っちゃったんでしょ』と言われる。
目標はいつなのか。」と述べました。

河村たかし名古屋市長は「取り下げということになると断念したと思われるから、それは良くないと言うことで出し直すように松雄局長に僕が指示した。変更でもいいから名前はそちらで考えていただいて。
時期は丁寧にやっているので、文化庁のとこにありますので、そういう段階」としました。

浅井市議は「市長、一緒に文化庁に行って返却に行きましょう」と締めました。

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名古屋城現天守閣の解体申請に係る現状変更許可申請書は、単独で提出しても通らないことは、2年前にはすでに文化庁から伝えられていました。
にもかかわらず、どうしてずっと「取り下げ」しなかったのか。
まさに河村市長が述べたとおり、「取り下げということになると断念したと思われるから」です。

名古屋城木造復元に関し、「やっている感」「進んでいる感」を出すためだけに、通りもしない解体のみの現状変更許可申請を提出してきた名古屋市。
浅井市議が述べるとおり、「石垣の保全方針もまだ、基礎構造もまだ、実施設計もまだ、国際コンペもまだ」です。
にもかかわらず「100億円で木材を購入してしまった」名古屋市。
石垣調査や基礎構造検討は一歩ずつ進んではいますが、最終的に木造復元が可能になるかはいまだにわかりませんし、出来ないと主張する専門家も多数います。
仮に木造復元が技術的に可能だとしても、「入城料だけで建設費・運営費をまかなう」計画が達成されるとは状況がこれだけ変化した現在、到底思えません。
「やっている感」の代償はあまりにも大きいです。

21/9/3 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第43回)

21/9/3(金)に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第43回)が開催されました。
今回も委員はネットで会議をしましたが、傍聴者はネットで見ることができず、会議室でスクリーンを見ました。
唯一、パソコンからのスピーカーの音を、会場マイクで拾って会場スピーカーで流したため、声が聞き取りやすかったのがよかったことです。

・21/9/3 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第43回)配付資料
・21/9/3 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第43回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 
今回も、石垣・埋蔵文化財部会の指摘を受けて名古屋城総合事務所が微修正をしたことを議論しました。
しかしながら、石垣・埋蔵文化財部会がどのような理由でどのような指摘を行ったのか、具体的な議事録が配付されていないため、全体整備検討会議構成員が、どうして変更することになったか理解できずに困惑するシーンが複数ありました。

具体的には、六番御蔵の発掘範囲に関してと、穴蔵石垣現状変更許可申請の範囲についてです。

また、天守台穴蔵石垣等試掘調査についての資料はでましたが、それが今後の木造復元事業のどの位置を占め、今後どのような工程を考えているのかの全体像は示されませんでした。

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いまだに各部会との情報共有がうまくいっていません。
ひとつは、全体整備検討会議や部会をネットで公開し、録画も公開することです。
そうすれば、広く傍聴者が傍聴でき、別の所属の委員も見ることができます。
技術的にはすぐにでも出来るのに、どうしてしないのか理解に苦しみます。

なお、全体整備検討会議の議題は名古屋城総合事務所が決めるようです。
文化庁への現状変更許可申請はいったいどうなったのか、最近報告事項にも上がってきていません。

21/6/28(月)の名古屋市本会議で、浅井正仁市議(自民・中川区)は「文化庁は『名古屋城木造復元は全ての条件が整うまで現状変更許可申請は受け付けない』としている。一旦今の解体申請は取り下げるんですよ、ね。」と質問し、名古屋市の対応が4転したことを明らかにしています。

現状変更許可申請がどうなったかは、 全体整備検討会議の報告事項に上がってもいいはずです。
有識者にまできちんと情報を共有しない名古屋城総合事務所。
隠していることはまだまだあるのではないでしょうか。

名古屋市消防局 名古屋城木造復元事業に関する名古屋城総合事務所との協議内容・資料不存在

名古屋市民オンブズマンは、名古屋市消防局に対し、「名古屋城天守閣復元事業の件で、名古屋市消防局が名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所と協議した内容がわかるもの・資料(名古屋市消防局保有分)」を情報公開請求したところ、「名古屋城総合事務所とは協議をしておりますが、消防局では文書の作成、資料の保有はしておらず不存在であるため、非公開とします。」と決定が出ました。


名古屋城木造復元 「消防設備システム評価書」取得済が判明

名古屋市民オンブズマンが名古屋市に対して情報公開請求したところ、名古屋市は一般財団法人 日本消防設備安全センターから2020/1/29に「消防設備システム評価書」「評価報告書(名古屋城天守閣整備事業の避難誘導システム)」を取得していたことが判明しました。

21/7/9に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第41回)で、名古屋市は「一般財団法人 日本建築センターから『防災評定書』を取得している。
さらに一般財団法人 日本消防設備安全センターによる評価も取得済である。」と述べたことから今回の請求を行いました。


21/8/25 名古屋城石垣・埋蔵文化財部会委員「穴蔵石垣調査目的が共有出来ていない」

21/8/25(水)に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会(第44回)がウェブ会議で開催されました。
傍聴者は名古屋能楽堂の会議室でしか傍聴できず、会場のスピーカーは小さく、音が聞こえにくいだけでなく、ネットの不具合で音声が時々途切れました。
しかも録画・録音は禁止されました。
傍聴者はマスコミ含めて8名でした。

・特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・
 埋蔵文化財部会(第44回)配付資料
 
・特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会(第44回)
 名古屋市民オンブズマンによるメモ
 
今回、天守台穴蔵石垣の調査成果についてようやく市が説明する時間ができました。
その後、天守台穴蔵石垣の試掘調査について市から案が提案され、部会で議論になりました。

名古屋城調査研究センターの村木誠副所長は以下述べました。
「穴蔵石垣について、測量、現況調査、史実調査を行ってきた。
 現在見えている部分については、現天守閣再建時に全て積み直しており、近世の遺構は残っていない。
 ただ、まだ根石等隠れている部分について条件が許せば発掘調査をしたい。
 現在、木造天守の基礎構造は『調整会議』で再検討されており、地下遺構の試掘を踏まえてからという意見が出た。
 2021年7月の全体整備検討会議で諮ったところ、『根石だけでなく石垣背面も把握する必要がある』という意見が出た。
 今回は、まず調査出来る部分の根石を調査したい。
 背面についてはどこをやるべきか具体案を検討できていない」。
 
宮武正登・佐賀大学教授は以下述べました。
「調査の目的が共有できていない。
 今後、木造天守を作るのであれ、現状保存であれ、根石部分にオリジナル部分残っているか?という考古学的調査だけでなく根石が無事かどうか、安定しているかを調べる必要がある。
 現天守閣再建時の工事がずさんで、後ろの石垣が持たなくなった。
 大地震が来たら内側穴蔵石垣が完全崩壊する。
 現状が安定しているか確認するためトレンチを入れる」
 
千田嘉博・奈良大学教授は以下述べました。
「内面石垣の安定性をいかに確保するか。
 鉄筋であれ木造であれ、復元検討委員会がどうこういっても人が入れなくなる。
 また、調査位置として、橋台のところの石垣の把握も追加すべきだ。」

西形達明・関西大学名誉教授は以下述べました。
「少なくとも下部石垣の角度はどうなっていか。穴蔵石垣の安全性は絶対に確保する必要がある。
 それに対する安定性の検証はどうすればいいかきっちり検討する必要がある。」

村木副所長は「橋台が調査可能か調査したい。
また、遺構の残存状況を調べる目的だったが、石垣の安定性まで広げた目的を達成できるようにしたい」としました。

宮武教授は「橋台の調査について、文化庁に現状変更許可申請を別々に出すなら論理がおかしくなる。セットで出さないといけない」としました。

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熊本城天守閣の地階穴蔵部分は,石垣を伝統的工法で復旧した上で建物側にネット等による安全対策を施しています。
天守閣への入口となる小天守東側は、グリグリッドと呼ばれる、築石の裏のグリ石の間に網状のシートを敷きこむことで動きを拘束し,さらにシートと繋がれたフックの端を石垣表面にかぶせたネットと結束し築石の崩落も防ぐという仕組みを採用しています。
・大林組 グリグリッド
・2021-05-10 けんせつPlaza
熊本城の復興〜歴史的遺産の将来への継承
4. 天守閣復旧整備事業

現在の名古屋城は、小天守から橋台を通って大天守穴蔵部分を通過して大天守に登っていきます。
木造復元した場合も同様です。

大天守穴蔵部分の石垣耐震性・安全性の確保は絶対です。

今後穴蔵石垣の試掘調査を行うのでしょうが、木造復元事業はさらに難題を抱えることになりました。
・文化財としての地下遺構を守りながら新たな基礎構造を作れるか
・地下遺構があってもなくても、根石部分が安定しているか 
 大地震の際石垣ごと崩壊しないか
・仮に石垣崩壊の可能性がある場合、どのように来場者の安全性を確保するか

仮に木造復元事業を断念するとしても、現天守閣を再開するには、建物の耐震性だけでなく、穴蔵石垣の耐震性も検討する必要があります。


名古屋市文化財調査委員会委員「『守山の棒の手』一部が伝承解除されたのは市補助金がなくなったからか」

21/8/2に、名古屋市文化財調査委員会が開催されました。
録音は禁止されました。また、協議題「歴史資料について」は傍聴出来ませんでした。

・配付資料

4 報告事項 の中で、委員から、文化財保護事業等の補助率について質問がありました。

D市指定文化財を収蔵するための専用施設の修理
補助対象経費の35/100以内(元 35%)
※22年度に国・県指定文化財に対する本市からの補助金を廃止

名古屋市の担当者は、以下述べました。
・市が指定する文化財は名古屋市が補助金を出している
・国や県が指定する文化財に対しては、国や県が責任を持つべきだとして、平成22年度から名古屋市からの金銭的な補助金は廃止した。
 しかし、窓口支援は引き続き行っている。

委員は以下述べました。
「『守山の棒の手』は県指定の無形民俗文化財だ。これまで大森と川村で伝えられてきたが、県が財源の問題で補助金がどれだけあるか。
 随伴補助は0になった。現在は大森だけであり、川村は伝承解除になり抹消された。その情報が委員に入らなかった。
 名古屋市が連絡を取っていなかったという悪態をさらした。
 委員として情けないし、議論されることもなかった。
 川村が伝承解除されたのは、名古屋市が補助金を出してなかったからか?そういうことが起こってからでは遅い」
 
名古屋市教育委員会文化財保護室長は以下述べました。
「市指定文化財の修理等は補助対象経費の70/100以内にしている。
 平成22年度に、全市一律補助金を3割カットした。10年間7がけにし、令和元年に7割まで戻った。」
 
委員は以下述べました。
「市内の文化財の現状はどうなっているのか。貴重な財産で、残らなくなってしまう。
 お金じゃない。保存会に寄り添う必要がある。
 名古屋市は、山車だけでなく棒の手などもきちんと見るべき」
 
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名古屋市の文化政策を考える上で、上記エピソードは大変示唆に富むのではないでしょうか。

なお、平成22年度は名古屋市で市民税減税が始まった年です。
・名古屋市 平成22年度予算 当初予算


21/8/25名古屋城石垣・埋蔵文化財部会部会 WEB会議も傍聴は会場のみ

名古屋市は、21/8/25に第44回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会を開催すると発表しました。

案内によれば、WEB会議とのこと。
しかし、傍聴はWEB上での傍聴は不可で、傍聴者用会場での傍聴は10名となっています。

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現在、愛知県には「愛知県まん延防止等重点措置」が実施されています。
それどころか、21/8/20には大村秀章愛知県知事は新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言の発令を国に要請しました。

にもかかわらず、傍聴は会場に来いとのこと。

過去、21/2/9全体整備検討会議、21/2/12石垣・埋蔵文化財部会、21/6/4全体整備検討会議はZoomウェビナーで行われ、傍聴もWEB上で可能でした。

今回、市民への説明態度が明らかに後退していますし、新型コロナウイルス対策にも逆行しています。

名古屋城天守閣木造復元事業は、名古屋市民だけでなく全国的に注目されています。
しかしながら、傍聴するには会場へ来い、しかも10名のみ、というのは事実上傍聴拒否と言わざるを得ません。

Zoomウェビナーの費用は、傍聴者500人まで毎月10700円、傍聴者1000人まで毎月18800円です。
この程度であれば、部会に参加する構成員の交通費が浮くため、十分予算内でまかなえるはずです。

建設費だけで505億円にも及ぶ名古屋城天守閣木造復元事業。
かたくなにネットでの傍聴を許可しないのは、市民に知られてはまずいことがあるのでしょうか。


21/8/17 名古屋城木造化基本設計等住民訴訟 高裁第3回口頭弁論

21/8/17に、「名古屋城天守の有形文化財登録を求める会」が原告となった、名古屋城天守閣木造復元事業基本設計費の返還等を求める住民訴訟の高裁第3回口頭弁論が名古屋高裁民事1部で行われました。

一審原告は、準備書面(3)を提出しました。
その中で、「別訴(名古屋地裁民事9部 情報公開訴訟原告 名古屋市民オンブズマン)で、名古屋市は非開示を見直すといっている。この中には、本件甲24号証等も含まれており、本件控訴審の根幹をなす記載もあるので、同文書が開示された段階で証拠として提出する。
ただ、いつごろ開示されるかわからない」としました。

名古屋市の代理人弁護士は「本訴訟と担当部局が違うのでわからないが、一審原告がいう『根幹をなす記載』とは認識が違う。
また、探索的証拠調べになるのではないか。どことどういう関連があるのか」としました。

一審原告は、「甲24号証には基本設計図書が含まれており、本件控訴審の根幹をなす」としました。

名古屋市代理人弁護士は「黒塗りは、本事業を請け負った竹中工務店の著作権や知的財産の部分に関して行った。
市の解釈が変わったわけではないが、時間が変化してこの時期に竹中工務店に譲歩を求め、決定を一部見直す」としました。

なお、今回までに提出予定だった、原告側証人高橋和生意見書については「証人との調整が間に合わなかった」とのことで、次回までに提出する予定とのこと。

次回弁論は21/9/28(火)13:30〜 名古屋高裁10階で行います。
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・名古屋城天守の有形文化財登録を求める会

21/6/27 名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議(第1回)配付資料 一部開示

名古屋市民オンブズマンは、21/6/27に開催された、名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議(第1回)配付資料を情報公開請求して一部開示されました。

「名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議」(第1回)配付資料
・決定書
・開示文書
 
「名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議の補足事項」では「調整会議は、原則非公開で開催する。ただし、構成員及び座長と相談の上、公開での開催が出来るものとする。」とあります。

資料には、
1 木造天守基礎構造に係る検討項目(案)
(1)天守台の現状把握
(2)天守台の修復整備の方針
(3)基礎構造の検討
2 木造天守基礎構造に係る検討ステップ(案)
が記載されていますが、
「当該行政文書には、未確定な情報や今後想定している事業内容を含んでおり、公にすることにより、市民等から名古屋市や有識者会議構成員等に問合せ・苦情等が寄せられ、『率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ』があると考えられるため」
「当該行政文書には、未確定な情報や今後想定している事業内容を含んでおり、公にすることにより、市民等から名古屋市や有識者会議構成員等に問合せ・苦情等が寄せられ、『事務の公正又は適正な遂行に支障を及ぼすおそれ』があると考えられるため」非公開となっています。

その他資料は公開されています。
なお、(参考2)名古屋城天守閣整備事業 基本計画書は、現在名古屋市民オンブズマンが情報公開裁判で争っている文書と同一であり、今回の開示対象からは外しました。

今後、調整会議は概ね2ヶ月に1回を想定しているとのこと。

参考になれば幸いです。
[#IMAGE|d0011701_22212651.jpg|202108/10/01/|mid|1654|2340#]

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※今回の開示で、白黒26枚、カラー84枚、合計4460円の費用がかかっております。
ぜひともカンパをお願い致します。


21/8/6(金)特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議開催は何のため?

21/8/6に、特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第42回)が開催されました。
今回も録音・録画はマスコミ・傍聴者に許可されませんでした。

・21/8/6 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第42回)配付資料

・名古屋市民オンブズマンによるメモ

冒頭、佐治独歩・名古屋城総合事務所所長は、本丸御殿天井板破損に関して一報しましたが、配付資料には一切記載がありませんでした。
今後文化庁に対して毀損届を提出し、点検結果をまとめて全体整備検討会議に提出するとのこと。

その後、二之丸庭園修復整備、二之丸地区発掘調査について議題になりました。

その後、報告として、西之丸蔵跡追加調査があげられました。
名古屋城総合事務所は「石垣・埋蔵文化財部会から『事前に文化庁に、念のため聞いておいた方がいいのではないか』という指摘があり、文化庁にこれでいいか聞いたところ、よいのではないかという趣旨の回答を得た」と発言がありました。
構成員からは特に意見もなく、全部で30分で終わりました。

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今回の全体整備検討会議は一体何のために行ったのでしょうか。

天守閣木造復元事業について、一言も述べていませんでした。
現在事業はどうなっているのか?今後の見通しはどうなっているのか。
前回の全体整備検討会議から進んでいるのか進んでいないのか。
名古屋城総合事務所が「議題」にあげたものだけを議論するので、「議題にあげられていない」ものはわかりようもありません。

また、西之丸蔵跡追加調査に関し、21/7/14に開催された石垣・埋蔵文化財部会で、宮武正登・佐賀大学教授は「1838年以前に成立した御本丸御深井丸図には六番御蔵は記載がない。当時なかった六番御蔵を展示するのは適当か。石垣・埋蔵文化財部会として『方針がはなはだ疑問である』という意見が出たとしてほしい。外観的には、同時に存在したと誤解を生じさせかねない。シンプルに、石垣・埋蔵文化財部会は『時代の違う、併存したことのない建物を表示していいのか』疑問だとしていると文化庁に聞いて欲しい。文化庁から『いいのではないか』といわれればそれっきりだ」としました。

それをどこまで文化庁に伝えたかわかりませんし、今回の全体整備検討会議では特に伝えていませんでした。

市民や議員、マスコミはおろか、有識者会議同士の情報すら共有させずに進めようとする名古屋城総合事務所。
これは木造復元事業に限ったことではありません。

各種有識者会議の配付資料や議事録の、ホームページ掲載は以前よりは早くなったものの、まだまだ遅いです。

事業が遅々として進まないだけでなく、度重なる毀損事故を起こしているのは、情報の非公開体質が原因ではないでしょうか。
市民への説明会も年1回のみで、時間も限られるしおおざっぱなものです。

そうではないとするならば、もっとやり方があるのではないでしょうか。

21/7/14(木)名古屋城情報公開訴訟 弁論準備WEB会議

名古屋城天守閣木造化をめぐり、名古屋市が文化庁訪問時の復命書等の情報を非公開にしたのはおかしいとして、名古屋市民オンブズマンが公開を求めた情報公開訴訟の弁論準備が21/7/14にWEB会議(非公開)で行われました。

非公開文書
 
名古屋市は、これまで非公開にしてきたいくつかの情報について当方と同様の開示請求があったことからそちらに開示決定をする関係で当方の不開示部分も見直す、という回答をしてきました。
次回までにあらたな開示決定をし一覧表の差し替えも名古屋市がする一方で当方は訴えの変更をすることになりました。
次回期日は21/9/22(水)午後4時45分〜 Web会議(非公開)です。


21/7/14(木)名古屋城石垣・埋蔵文化財部会 穴蔵石垣調査まで議論できず

21/7/14に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第43回)が開催されました。
今回も写真・録音は許可されませんでした。

21/7/14 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第43回)
配付資料

21/7/14 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 石垣・埋蔵文化財部会(第43回)
名古屋市民オンブズマンによるメモ 

議事は多岐にわたり、最後の(4)穴蔵石垣の調査成果について、(5)天守台穴蔵石垣の試掘調査について は、資料は配付されたものの、時間切れで議論できませんでした。

佐治独歩・名古屋城総合事務所長は「8月下旬に次回石垣・埋蔵文化財部会を予定しているので、穴蔵石垣についてはそこで議論していただきたい。
9月に基礎構造を議論する調整会議を行う予定。石垣部会の評価を踏まえて次回の部会で諮れればと思う」としました。

------
まず、名古屋市から、天守閣整備事業の進捗状況について、文化庁からの指摘事項への回答と、基礎構造を議論する調整会議について報告がありました。

宮武正登・佐賀大学教授は「21/6/27に調整会議があり、21/7/9に全体整備検討会議があり、本日21/7/14に石垣・埋蔵文化財部会を行っている。『全体整備検討会議等と調整会議の関係について(案)』によれば、全体整備検討会議の議論で、部会に何をしろと決まったか報告する必要がある。それがなされていない」としました。

名古屋城総合事務所は「全体整備検討会議では、穴蔵石垣試掘調査について、把握できていない地下の根石周辺遺構だけでなく、背面遺構についてもあわせて検討してはどうかという意見が出た」としました。
宮武教授は「調整会議の中身まで報告し、それぞれ意見が出るとぐちゃぐちゃになる」としました。

本丸搦手馬出周辺石垣についての議論の後に、二之丸地区の発掘調査について議論になりました。
千田嘉博・奈良大学教授は「金沢城では二の丸御殿の大規模調査が行われている。金沢城は近代に軍隊が入っていて、兵舎跡が発掘されている。近世の二の丸御殿の把握がかなり難しい。文化庁からは『近代以降の遺構も重要なので、近代の遺構の撤去はまかりならん』と指導があったようだ。
名古屋城も近代に軍隊が入っているので、文化庁と相談して発掘調査の方針を決めて欲しい」としました。

続いて、西之丸蔵跡追加調査について議論になりました。
千田教授は「1838年以前に成立した御本丸御深井丸図には六番御蔵は記載がない。当時なかった六番御蔵を展示するのは適当か」と質問しました。
鈴木整備室長は「全体整備検討会議で整備方針について諮ったあと、発掘の是非を検討する」としました。
千田教授は「全体整備検討会議の議論が十分でないのではないか。だから石列の毀損につながったと考える。同時に存在していないものは整備しない『異時同図法』は基本中の基本。基準になる絵図面で存在しているものと厳格にかせられている。史跡整備の基本的な考え方として間違っている。矛盾があるなら矛盾を無くさないと、図面を書いても文化庁から突っ返される」としました。

名古屋城調査研究センターの村木誠副所長は「江戸時代後期の姿を表示する計画に見直したつもり。発掘調査に基づいて何が表現できるか。六番御蔵の発掘物はあるので、何らか表示はする」としました。

宮武教授は「石垣・埋蔵文化財部会として『方針がはなはだ疑問である』という意見が出たとしてほしい。外観的には、同時に存在したと誤解を生じさせかねない」としました。

司会の赤羽一郎副座長は「発掘調査によって整備の手法を決めるのは間違っていると思う。論議の方向、方法が間違っていると考えざるを得ない」としました。

宮武教授は「シンプルに、石垣・埋蔵文化財部会は『時代の違う、併存したことのない建物を表示していいのか』疑問だとしていると文化庁に聞いて欲しい。文化庁から『いいのではないか』といわれればそれっきりだ」としました。

最後に、千田教授は「今回はリモートで参加したが、各会議の頻度が高すぎてタイトな日程だ。できるだけ出席できるような日程構成を望む」としました。

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今回も、石垣・埋蔵文化財部会と全体整備検討会議の風通しの悪さが問題になりました。

最もよいのは、各会議をフルオープンにしてネットで公開することです。
市民にも議員にも他の有識者にも議論の内容がよく分かります。
現在は、なぜか傍聴を許可して録音・録画が禁止されているだけでなく、名古屋城総合事務所の議事録作成も極めて遅いです。

今回傍聴席の隣で「議事録作成者」の名古屋市職員が座って作業をしていたのですが、手書きでICレコーダーを置いて議事録を作成していました。
全体整備検討会議議事録は2021年1月8日以降、石垣・埋蔵文化財部会議事録は2020年12月17日以降公開されていない理由がようやくわかりました。

少なくともPAミキサーからのライン録音を行って半自動文字起こしアプリを使えば、2時間半程度の会議であれば1日で文字起こしが完了します。
最も良いのは「話す人の前にスマホを持っていく」です。(会場はマイクを使っているため、会場マイクと、スマホマイク2本持ちが最適だと思います)

名古屋市健康福祉局は、千種区役所、中村区役所、南区役所、名東区役所でUDトークを法人契約しています。

よりよい名古屋城にするにはどうすればよいのか。
市民に議論が開かれたものにするしかないのではないでしょうか。

21/7/9(金)名古屋城跡全体整備検討会議  麓名誉教授「調整会議は何のためにあるのか?」

21/7/9 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第41回)が開催されました。録音・録画は今回も禁止されました。

21/7/9 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第41回)
傍聴者配付資料

21/7/9 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第41回)
名古屋市民オンブズマンによるメモ

構成員の、石垣・埋蔵文化財部会部会の赤羽一郎氏、公益財団法人琴ノ浦温山荘園代表理事の高瀬要一氏は欠席でした。

まず、報告として、「天守閣整備事業の進捗状況について」が報告されました。

ここで、はじめて、現天守閣解体申請に対する指摘事項への回答の結果についてとして、文化審議会文化財分科会の所見(要旨)が公開されました。

(文化庁の「史跡等における歴史的建造物の復元等に関する基準」(令和2年4月17日文化審議会文化財分科会決定)は構成員のみに配付されました。)

名古屋市は「文化審議会文化財分科会の所見では、『木造天守復元が理由なら一体の計画として審議していく必要があり、申請は現天守解体のみならず、木造天守復元についても一体として見直しを図るのが適当。木造復元に関する計画の具体的内容については、上記文化庁の基準に準拠した適切な内容となるよう十分な調査・検討を実施されたい』とされた。名古屋市は、『復元』に該当すると考えている。また、すでに防火・避難については日本建築センターから「防災評定書」を取得している。
(名古屋市民オンブズマンが情報公開請求で入手した、19/1/21 一般財団法人 日本建築センター 名古屋城天守閣整備事業 防災評定書
さらに、一般財団法人日本消防設備安全センターによる評価も取得済である。
今後、構造評定を取得する予定だし、バリアフリーも安全確保をしていく。御深井丸調査なども文化審議会第三専門調査会に報告したい」としました。

また、21/6/27に非公開で開催された「名古屋城木造天守基礎構造検討に係る調整会議について」についてもはじめて議論の中身が一部公開されました。
名古屋城総合事務所は「局長名で『本市からのお願い』を出した。『はね出し架構』に代わる基礎構造を検討するため、石垣・埋蔵文化財部会と天守閣部会にまたがる調整会議を設置する。屋上屋を架すものにならないようにしたい。
専門家としての知見に基づくご意見に加え、公開しないことを前提とした忌憚のないご意見についてもお出し頂きたい」としました。

小濱芳朗・名古屋市立大学名誉教授は「示された『基礎構造検討の考え方』だが、『天守台の遺構には新たに手を加えない』とあるがどこまでをいうのか」としましたが、名古屋城総合事務所保存整備室の荒井敦徳主幹(天守閣整備)は「穴蔵の試掘調査を行い、しっかり調査して情報を把握した上で検討したい」としました。
麓和善・名古屋工業大学名誉教授は「荒井さんの回答は不十分。近代や昭和に修理し積み替えたものは本来の遺構ではないと言い切ってもいいと思うが」としましたが、名古屋城調査研究センターの村木誠副所長は「明治以降に手が加わったところの区別がまだできていない」とするのみ。
麓名誉教授は「『近代や昭和に修理し積み替えたものは本来の遺構ではない』となぜ明言しないのか。はっきりしないと近代まで手を加えられなくなる」としました。

座長の瀬口哲夫・名古屋市立大学名誉教授は「『本来の石垣は崩壊しない』とは断定できない。人命の安全確保を第一とするのとは矛盾するのではないか。」としました。

丸山宏・名城大学名誉教授は「調整会議で座長をつとめている。穴蔵石垣は観覧者の安全を確保するため、崩壊しないようにしないといけない。調整会議のメンバーでは共通の認識があったと思う」としました。

荒井主幹は「石垣は、完全に安全性を確保することはありえない。万が一の時でも崩れないようにすることはできる。今後調整会議で具体的に議論して進めていきたい」としました。

麓名誉教授は「次回調整会議で議論しないと行けないのか。『近代改造は本来の遺構とは思っていない』、それに手を加えるかどうかは次の話だ」としたところ、荒井主幹は「それはそれで前提。その後は議論する」としました。

三浦正幸・広島大学名誉教授は「現在の穴蔵石垣は、新品の薄い石を貼り付けているだけ。大地震で崩れる可能性は100%だ。本来の石垣がどうだったのかしっかり調査する必要がある。
また、内部石垣は観覧者から近く、崩れた場合に人命に差し障りがあるため、1000年に1度の地震でも崩れてはいけない。通常の方法では絶対無理で、別の方法を使って施行する必要がある」としました。

続いて、二之丸地区発掘調査について議論になりました。
名古屋城総合事務所は「全体整備検討会議で調査計画変更を承認いただければ、石垣部会に諮る」としました。
瀬口座長は「石垣部会で議論した結果がここに来ているのか」と質問したところ「まだ石垣部会には諮っていない。調査区の変更は新たな調査と同じ扱いだと思った」としました。
麓名誉教授は「部会で検討し、全体検討会議で承認なら良いが、全体検討会議で承認後、部会で検討は考え方がおかしいのではないか」としました。

続いて、余芳の移築再建について議論になりました。
麓名誉教授は「建造物部会で疑問点や間違っている点が指摘されたが、今回の資料は建造物部会の図面と同じ物。せめてそのまま出すのはやめてほしい」としました。
瀬口座長は「部会がどんな議論をしているのかわからない。『こういう部会の意見があり、こういう修正をした』をしないのは名古屋城総合事務所が疑問があるから修正しないのか。内容的に高まらない。」としました。

最後に、天守台穴蔵石垣試掘調査について議論になりました。
麓名誉教授は「今日はいっぱい言いたいことがある。調整会議でこの件はでた。明らかに積み直しをしているところは古写真で確認出来ている。どこが本来の石垣か、戦後の石垣か、判断がつかないかを示してもらいたい。
とりあえず現状変更申請ではなく、試掘調査と現況調査を一緒に申請出したらと提案したが、今回反映されていない」としました。

瀬口座長は「それはサボタージュという。調整会議の意見を反映して試掘調査の追加をすればよいのであって、部会に戻す必要はない。行ったり来たりでまた2-3年かかる」としました。

村木副所長は「穴蔵石垣全体の調査は、現天守があるので全体調査は出来ない。速やかに調査が出来るところを選定した。今後の石垣部会に報告し、評価を確定してから全体整備検討会議に報告したい」としました。

麓名誉教授は「調整会議はどうなるのか。石垣部会の構成員もいる。意見をまた石垣部会で検討して全体整備検討会議で諮るのか。調整会議は何のためにあるのか」としました。

荒井主幹は「穴蔵石垣の試掘とあわせて背面調査をやりたいと思っている。しかし慎重にやらないといけない」としました。

麓名誉教授は「荒井主幹は大変悠長だ。当然どこを解体してどこを調査するか検討していたと思っていた。この調査にどの程度時間をかけるのか。
オブザーバーの愛知県の洲嵜さんに聞きたいが、『両方確認しないといけないとわかっている場合、根石と石垣解体について、調査範囲がわかれば、同時に現状変更出せる』のか」と質問したところ愛知県県民文化局文化部文化芸術課文化財室の洲嵜和宏室長補佐は「調査の目的がしっかりしていれば、まとめていただいてもいい。できていなければ個別に現状変更許可申請をする必要がある。」としました。

麓名誉教授は「個別に現状変更許可申請をするのなら時間がかかるのか」と質問したところ、洲嵜室長補佐は「そのとおり」としました。

名古屋城総合事務所の佐治独歩所長は「背面土は検討してこなかった。穴蔵試掘を先行してやりたい」としました。

瀬口座長は「石垣試掘調査の場所を追加するのは石垣部会に諮らなくてもここで決めればよいのでは」としましたが、荒井主幹は「やれるところとやれないところがある。現天守がある状況ではこの場所を選んだ」としました。

瀬口座長は「調整会議は公開しないかもしれないが、委員の名前は公開しなくても意見は公開しないといけない」としました。

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全体整備検討会議・各部会の議事録は1年以上たっても公式ページで公開されていません。
(21/7/12現在)
・特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議
 第31回会議(令和2(2020)年6月22日)以降まだ
・特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会
 第39回部会(令和2(2020)年12月17日)以降まだ

市民に情報を公開しないだけでなく、全体整備検討会議・部会間でも情報を共有しない、というのはどういう組織体制なのでしょうか。
このことは名古屋城木造復元計画が浮上してきた5年以上前からずっと指摘しているにもかかわらず、一向に改善しません。

さらに、新しく「調整会議」が設置され、どんな議論がなされているか参加した人以外はわからず、断片的に述べられるだけです。
そうであれば、全体整備検討会議・部会・調整会議ともいっそのことフルオープンにし、録音・録画も可にすれば、構成員だけでなく市民・議員全員が情報共有出来ます。

2015/8/24に河村たかし名古屋市長は「まず本丸天守の復元。全責任は私がとる」という指示書を出しました。
それから6年がたとうとしていますが、いまだに木造復元計画を文化庁に提出出来ていないのは、関係各所と情報を共有しないことが原因ではないでしょうか。

また、愛知県の洲嵜和宏室長補佐が述べるように、「両方一緒に現状変更許可申請を文化庁に提出すれば、結果的に時間が短くて済む」のです。
穴蔵石垣に関してわざわざ別々に現状変更許可申請を出すのは、名古屋市が市民や議会に対して「やってる感」を出すためではないかと疑ってしまいます。
これは、現天守の解体申請と、木造復元の申請についても同様だと思います。

「やってる感」だけで6年。
開示された資料によれば、2019年度までにすでに58億3719万7000円使っており、2020年度に2億3207万4000円使う予定です。

16/6/17読売新聞によれば、「清水建設が石垣を先に補修すれば約350億円で済むも、2024年ごろの完成になり河村市長が要求する2020年7月の完成に間に合わないために辞退した」とあります。

そもそも木造復元事業は時間と金さえかければ可能なのか。
莫大なお金はかけたものの、新たな基礎構造が提案できるか不明ですし、バリアフリーも不明。巨大地震に耐えられるかも不明です。
現時点で505億円の費用を入城料でまかなえるかどうかの試算も竣工時期が定まっていないからという理由で出来ていません。
「全責任は私がとる」という河村たかし名古屋市長の発言がさらに重要になってきます。

名古屋城事務所長が「基礎構造に係る調整会議」に関し部会構成員に送ったメール 肝心の部分が非公開

名古屋市民オンブズマンは、「名古屋城天守木造復元事業に関し、『基礎構造に係る調整会議』を指す文言が含まれ、佐治名古屋城総合事務所長が特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議及び各部会の構成員に送ったメール、上記メールへの返事」を情報公開請求し、21/7/6に一部開示決定がでました。

名古屋城木造復元に関し、竹中工務店が提案した「はね出し架構」は遺跡を破壊するとして、石垣・埋蔵文化財部会が反発してきました。
石垣・埋蔵文化財部会と天守閣部会が合同で『基礎構造に係る調整会議』を開催しようということになりましたが、20/10/22に設置を了承したにもかかわらず、8ヶ月後の21/6/27になってようやく「調整会議」が開催されました。
今回、佐治所長が各部会構成員に送ったメール・上記への返事のうち、「調整会議」という文言が含まれるもののみを開示請求しました。

しかしながら、肝心の部分の中身は非公開でした。

21/6/27「調整会議」は非公開で開催されました。
また、「調整会議」の配付資料は、業務量の増大を理由に21/8/11まで延長になっています。

いったい佐治所長は石垣・埋蔵文化財部会構成員になんとメールを書いているのか。
各構成員はどのような思いなのか。
木造復元の最重要課題である基礎構造は、市民に全く知らされずに議論されています。

21/6/28(月)自民名古屋市議「文化庁は『名古屋城木造復元 全ての条件が整うまで現状変更許可申請受け付けない』としている」

21/6/28に行われた名古屋市議会本会議で、浅井正仁市議(自民・中川区)は名古屋城木造復元に関し、文化庁から届いた『所見』を文化庁から入手し、「全ての条件が整うまで、現状変化許可申請も受け付けない。復元検討委員会はその後に開催するとここに書いてある」と述べました。

・21/6/28名古屋市議会本会議(名古屋城木造復元関係部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしアプリによる文字起こし

浅井市議は「先週、『今年の夏に木造復元検討委員会がスタートして、2028年完成する』かのような報道がされたが真っ赤な嘘。議会に嘘を言い、マスコミに嘘をいい、そして市民にも平気で嘘を言っていた」としました。

浅井市議は「文化庁の見解として、『解体申請に対する見解は一旦取り下げて、解体と復元検討を一体の計画として出して』とある。また、新聞報道が正しければ、7月までに石垣の保存方針を策定しなければ、復元検討委員会はスタートしない。1ヶ月でどうやって間に合わせるのか」と質問しました。

松尾観光文化交流局長は「文化庁からは『天守解体のみならず、木造天守復元についても一体としてその内容に加えるよう見直しを図るのが適当である』とされた。この所見に沿った見直しを図っていきたい。
また、復元検討委員会は、本市において木造天守の基礎構造やバリアフリー対策も含め、木造復元計画の全体像がまとまった後に、諮れることがはっきりいたしましたので、これまでの認識を改めなければならないと思っております。」としました。

浅井市議は「あなたは文化庁に謝罪を言うべき。ゴールポストがどんどん変わっている。今度はいつの文化審議会を死守するのか。」と質問したところ、松尾観光文化交流局長は「御深井丸側内堀、石垣背面の空隙調査や築石の調査、また石垣保存方針の策定検討等残っている。現時点で具体的な時期をお示しできない」としました。

浅井市議は「一旦今の解体申請は取り下げるんですよ、ね。
また、市長に質問するが、市長は21/6/14記者会見で『文化庁から口止めされているので言えないが順調』と言った。
・(参考)令和3年5月31日 市長定例記者会見
文化財保護室と観光文化交流局に聞いたが、文化庁に電話していない。市長も聞いていない。市長、あなたは聞いてもいないことを電話をしていないのに口止めされた。これを嘘と言わずして、何を嘘と言うんでしょうかね。
また、毎年1億円、完成までに何十億円が必要かわからない、どんどん膨れ上がる木材の保管料を市民の皆さんに更に重い負担をかけて、税金で担うのか。」と質問しました。

河村市長は「竹中工務店からは、『事業費について、上限額を遵守し、名古屋市と協力して木造天守復元を実現してまいりたい』と聞いているので、上限額に収まるようにする。『木造天守閣は他に類を見ない大規模な木造復元であることから、大変意義のある事業であり、引き続き名古屋市と協力して事業を進めてまいりたい』と聞いている」としました。

浅井市議は「竹中工務店とは基本協定を白紙にすることはないという合意を得ていると、そして505億も何年経とうがずっと堅持できるというね、合意をもらってるみたいで、市長さすが」とのべました。
その後、「21/6/23に名古屋城が文化庁に行ったが、答弁調整の際、解体申請を取り下げるのかと質問したら、
1)松雄局長は「取り下げます、市長と相談します」。
2)次の日、私は何も言ってません。局長の方から「取り下げます」
3)昨日の夕方「出し直す」に変わった
4)今日「見直す」に変わった
言葉遊びがこの低迷のね、一番の原因だ。」としました。
松雄局長は「幹部会で最終的な答弁の精査をし、『取り下げは致しません』。解体申請の取り扱いについては、文化庁から市で決めなさいというふうにお伝えをいただいておりますし、今回指摘をいただいておりますので、その通りの対応したい」としました。

浅井市議は「あきれて物もいえない。所見を見て公務員は誰1人としてあなたの言った所見を理解できない。文化庁もがっかりだと思う。
今後、文化庁からは何の相談も受けてくれなくなるかもしれない。市長をはじめそこに座っている人みんなの責任だ」としました。

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名古屋城木造復元の件で、過去に何度も名古屋市は文化庁を訪問していますが、どのようなやりとりがあったのか、肝心の部分はいまだに黒塗りです。
名古屋市は議会やマスコミや市民に『説明』をしてきましたが、今回文化庁からの『所見』を浅井市議が入手したことで、市の『説明』と文化庁の『所見』が全く違っていたことが明白になりました。

名古屋市民オンブズマンは、過去の名古屋市と文化庁とのやり取りの非公開を情報公開訴訟で争っています。
また、今回文化庁から出された『所見』についても情報公開請求しています。

名古屋市民はどの程度、名古屋市と文化庁の言い分が食い違っていることを知っているのでしょうか。
今回の浅井市議の本会議でのやり取りならびに文化庁からの『所見』を全名古屋市民に配布することを望みます。

21/6/27(日)名古屋城木造天守 基礎構造検討「調整会議」非公開で開催

21/6/28新聞各紙に、名古屋城木造天守の基礎構造を検討する「調整会議」が非公開で開催されたと報道されました。

名古屋城木造天守の基礎構造は、竹中工務店が、現在の石垣や遺構を取り外してコンクリートで作る「はね出し架構」という工法を提案しましたが、石垣・埋蔵文化財部会は「史跡を破壊するはね出し架構は断じて認めないし、一般論として文化庁も認めないだろう」と述べました。
「はね出し架構」に代わる工法を検討する「調整会議」は「石垣・埋蔵文化財部会」と「天守閣部会」の代表者から構成されるとのこと。
20/10/22に開催された特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第34回)で、「調整会議」の設置が了承されました。
しかしながら、8ヶ月後の21/6/27になってようやく「調整会議」が開催されました。

この間、名古屋城総合事務所と各部会構成員とでどのようなやりとりがあったのか、21/5/25に「佐治名古屋城総合事務所長と各構成員との、『基礎構造に係る調整会議』を指す文言が含まれるメールのやりとり」を情報公開請求しましたが、21/7/8まで延長になっています。

そもそも、名古屋市の附属機関と類する機関は、名古屋市情報公開条例第36条で「公開するものとする」となっています。
上記に基づき、「石垣・埋蔵文化財部会」と「天守閣部会」も公開されています。

今回の「調整会議」はどうして非公開となったのか。
21/6/28に、まずは調整会議の開催要項と、配付資料を情報公開請求しました。

21/6/26(土)「金シャチと名古屋城」千田教授講演会 木造復元に一言も触れず

21/6/26(土)に、「名古屋城金シャチ特別展覧開催記念講演会」があり、特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会構成員の千田嘉博・奈良大学教授の講演会「金シャチと名古屋城」がありました。
・配付資料
・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 
千田教授は、会場に集まった城好きを前に、名古屋城をはじめとする全国のお城の最新発掘調査に基づく話しを2時間にわたって行いましたが、名古屋城木造復元には一言も触れませんでした。

録音・写真撮影は禁止されたので、メモを元に要点を書きます。
・徳川家康は築城も名人だった
・石垣の重ね積みと算木積みは並行する技術だった
・大小天守群が連結する慶長期江戸城は鉄壁な守りを誇るが、御殿用地を圧迫した
・その後に計画された名古屋城は、政治や話し合いのための御殿用地を確保するため、大天守西側の堀の中に小天守を作ろうとした。
 しかし、西側小天守の根石を据え付けた段階で、最終的にやめた。
・その後計画された大坂城・江戸城は、名古屋城での家康の決断に秀忠・家光が従ったから。 
・明和大火以降、天守そのものが不要になった
・天守の屋根にシャチを載せるのは、おそらく安土城から
・龍は中国では最高の神聖な生き物
 龍とシャチは同義のもの
・名古屋城の金シャチは、戦いの時代ではなく、平和な時代を象徴したもの

名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託 変更概要書 開示

名古屋市民オンブズマンは、2021/3/26に名古屋市が竹中工務店と変更を行った「名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託 変更概要書」を情報公開請求して入手しました。

・名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託 変更概要書(R3.3.26)

実施設計に関し、当初は2018/4/9-2020/5/29まででした。
しかしながら、2021/3/26まで延長しました。
今回、2022/3/25まで再延長していたことが判明しました。

今回開示された「変更概要書」には以下記載がありました。

・設計図作成 本事業を進めるための必要最小限の業務である、木造天守復元と現天守解体を一体で行う現状変更許可の取得に向けた書類作成業務の内、実施する必要がなくなったものを取り止める
・現状変更許可書類作成 本事業を進めるための必要最小限の業務である、木造天守復元と現天守解体を一体で行う現状変更許可の取得に向けた書類作成業務の内、実施する必要がなくなったものを取り止める

これでは、当初の実施設計契約で何の書類作成を必要としていたのか、なにを取り止めるのかがわかりません。

変更概要書以上に詳細な文書がないか、今後情報公開請求してみます。

朝日新聞「市幹部 名古屋城木造復元『解体と木造化一体化 見直しには2年かかる』」

21/6/21に、河村たかし名古屋市長の定例記者会見がありました。

・令和3年6月21日 名古屋市長河村たかし 定例記者会見

しかしながら、公式youtubeには名古屋城に関して発言はありませんでした。

記者会見の「第2部」で、名古屋城に関して発言していたことがTHE PAGE の動画及び文字起こしでわかりました。

21/6/21(月) 15:18配信 THE PAGE
名古屋市・河村市長が定例会見6月21日(全文3完)木造天守復元の議論始まるのでご安心を

文化審議会文化財審議会から名古屋市に出された、現天守閣解体への指摘事項に対する名古屋市からの回答が報告され、所見が出たとのこと。
・現天守解体、仮設物設置が石垣等遺構に与える影響を判断するための調査、検討が一定程度進捗したものと評価できる
・天守解体の理由を木造天守復元と整理したのであれば、天守解体と木造天守復元を一体の計画として審議していく必要があると認められる。
・本申請については天守解体のみならず木造天守復元についても一体としてその内容に加えるよう見直しを図るのが適当である。

河村市長は「いよいよ復元についての議論が始まるということでご安心をいただきたいと思います」と述べています。

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ところが、21/6/22朝日新聞記事によれば、「市は今後、解体と木造化を一体化した計画づくりを急ぐが、練り直しには『2年かかる』(市幹部)といい、見直した計画が許可されるかどうか見通せない。」としています。
 
これはどういうことなのか。

・現時点では、名古屋市は現天守の解体について文化庁に申請を提出し、文化審議会文化財審議会から「調査、検討が一定程度進捗したもの」と評価された。
・現時点では、名古屋市は木造復元に関して文化庁に申請書は提出出来ていない。
・文化庁は、「天守解体と木造天守復元を一体として申請する」のが適当と、名古屋市に述べた。
・名古屋市幹部は「天守解体と木造天守復元を一体として計画するには2年かかる」と述べた。
・仮に一体として書類を文化庁に申請できたとして、その後文化庁で何年審議されるかは不明。

河村市長は「いよいよ復元についての議論が始まる」と述べていますが、そもそも復元についての書類が出来ておらず、「文化庁で復元についての議論が始まる」ことはありません。
むしろ「いまから復元についての議論」が名古屋市の中で始まるのではないでしょうか。
しかし、木造復元で極めて重要な部分である基礎構造の見直しについて、いまだに石垣部会・天守閣部会合同の「調整会議」が開かれていません。

2015年3月に名古屋市が「名古屋城整備検討調査報告書」で「可能な限り早期の木造復元が望ましい」としてから早6年がたちました。
当初予定していた2020年7月竣工はとうの昔に過ぎ去り、竹中工務店と基本協定を結んだ2022年12月竣工も正式に断念しています。

名古屋市幹部は「天守解体と木造天守復元を一体として計画するには2年かかる」としていますが、貴重な遺構である石垣を壊さずに、耐震性・耐火性・避難・バリアフリーを確保した形で木造復元計画が果たして2年で可能になるのでしょうか。

何年かけても上記条件をクリア出来ない可能性が非常に高いと、6年前から一部市民は主張しています。
仮にクリアしたとしても、現時点で総額505億円の工事費を入場料だけでまかなえるとは到底思えませんし、その具体的試算も出ていません。

文化審議会文化財審議会からの「所見」は、現天守解体に関しては一歩前進ではありますが、木造復元まであと何千歩かかるかわかりません。
もしかしたら、何万歩かけてもたどり着かないのかもしれません。
河村市長は、あたかも木造事業が進んでいるように見せているだけで、木造復元事業は文化庁に対しては6年前から一歩も進んでいないのです。

名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託 2022/3/25まで再延長

名古屋市民オンブズマンは、名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託について、
・支出命令書(令和2年度分)
・変更契約書
・名古屋城天守閣整備事業先行工事(木材の製材)に基づく、支出命令書(令和2年度分)
を情報公開請求して開示されました。

実施設計に関し、当初は2018/4/9-2020/5/29まででした。
しかしながら、2021/3/26まで延長しました。
今回、2022/3/25まで再延長していたことが判明しました。

2020年度に実施設計業務委託のために支出した金額は25,737,261円でした。
また、木材の製材の為に支出した金額は9007万円でした。

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実施設計契約は、名古屋城木造復元の詳細を確定するきわめて重要なものです。
しかしながら、既存の石垣遺構を破壊する「跳ね出し架構」に代わる基礎構造はいまだに具体化されていませんし、基礎構造を検討する『調整会議』も開かれていないようです。

また、バリアフリーについても、具体的なことは決まっていませんし、国際コンペも昨年度末までには開始されませんでした。

実施設計は、建築審査会、文化財保護審議会、復元検討委員会、消防長同意、構造安全性審査、防災計画評価が得られてはじめて完成します。
(2016年3月25日 竹中工務店 技術提案書 29ページより)
耐震・耐火・避難計画についても、どのような状況になっているのかまったくわかりません。
そもそも「名古屋城天守閣整備事業に関する基本協定書」第4条では天守閣の完成期限を2022/12/31にしていますが、
2019/8/29に、河村市長はようやく2022年末復元を断念と発表しました。
その後完成期限を基本協定書上どうしているかは不明です。

いつまで、見通しの見えない事業に税金と労力をつぎ込むつもりなのでしょうか。
新型コロナウィルスは全世界に猛威を振るっており、外国からの観光客がいつになったら戻ってくるのかも不明です。
「入場料だけでまかなう」とした収支計画がどのようになるのかも不明です。

なお、名古屋市民オンブズマンは、名古屋城天守閣整備事業実施設計業務委託 契約書(令和3年3月26日)記載の「変更概要書」を追加で情報公開請求しました。

21/6/4 名古屋城全体整備検討会議に「新たな工程」示さず

21/6/4に特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第40回)がZoomウェビナーで開催されました。
録音・録画は今回も認められませんでした。

特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第 40 回)配付資料
・会議次第
・(資料1)要綱改正について
・(資料2) R3整備スケ
・(資料3)内堀御深井丸側石垣のレーダー探査
・(資料4)正門トイレの改修について
・(資料5)西之丸蔵跡追加調査について

別の用事がありほとんどの時間傍聴できませんでした。
議事録は名古屋城公式ページで後日ご確認下さい。
(なお、20/6/22に行われた第31回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議の議事録すら掲載されていません)

配付資料によれば、令和3年度事業予定について(イメージ)が提案されましたが、天守閣整備事業に関する「新たな工程」「バリアフリー対応」について≪検討中≫となっています。

21/6/1 名古屋城石垣部会 現天守解体に関する文化庁への回答への対応 話題に出ず

21/6/1に第42回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会がオンラインで開催されました。
今回も傍聴者には写真も録画も禁止されました。

21/6/1 第42回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会 配付資料

21/6/1 第42回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議石垣・埋蔵文化財部会
名古屋市民オンブズマンによるメモ

1時間半の限られた時間の中、1時間10分は本丸搦手馬出について議論になりました。

その後、御深井丸側レーダー探査について議論になりました。
しかし、時間がないということで、「危険性の高い石垣からレーダー探査する」ということなどを、全体整備検討会議に報告するということになりました。

最後に、報告事項として二の丸発掘調査について報告がありました。
最終的には1時間40分で終了しました。

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昨年度、あれだけ時間をかけて検討した、
「現天守解体に関する文化庁からの指摘事項への回答」について、文化審議会でどのように対応したかは話題に出ませんでした。

21/6/4開催の第40回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議で確認することを望みます。

21/5/31 河村市長 名古屋城解体申請 文化審議会「言ってくれるなということになっとる」

21/5/31に河村市長の定例会見が行われ、現天守解体申請への指摘事項への回答を21/5/6に郵送した後の文化審議会の扱いを問われ、「言ってくれるなということになっとる。まあ順調だということで」と述べました。
・令和3年5月31日 名古屋市長河村たかし 定例記者会見(名古屋城部分)
 名古屋市民オンブズマンによる、半自動文字起こしによる文字起こし
 
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210531.pdf

記者は「願望ではなく結果を聞いている」と問いましたが、河村市長は「言わんでちょういうことになっとる。」と返答しました。
記者は「文化庁が名古屋市に、報道、質問に答えるなと言ったのか」としたところ「言わないという慣例らしい」としました。

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19/6/21に、名古屋市は「6/21に開催された文化審議会で議題とならず、解体工事の着手にさらなる遅れが生じるため、工期の見直しを含め、竹中工務店、文化庁、地元の有識者と協議を進める」旨発表しています。
・19/6/21市長コメント
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190621.pdf

名古屋市は文化庁に電話で聞けば確認出来るという前例があります。

河村市長の発言は、主語が不明のことが多々あります。
「言ってくれるな」と言ったのは、文化庁なのか、名古屋市担当者なのか、それとも河村市長なのか。
どうして、新型コロナ対策の際は市担当者が答えるのに、名古屋城関連は市担当者が答えないのか非常に疑問です。
「名古屋市は文化庁に問合せをしたのかどうか」「その結果はどうだったのか」「言えないのなら、文化庁から口止めされているのか」を名古屋城担当者に直接聞きたいです。

21/6/1開催の第42回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議、石垣・埋蔵文化財部会、21/6/4開催の第40回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議で確認することを望みます。
https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigioshirase_2021/0-Curr.html
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なお、河村市長が述べた「メディアに対する監視機構」のFAIRは、「政府による検閲や報道における少数派意見の擁護」を行う団体とのこと。
河村市長の指摘とは正反対ではないでしょうか。
・FAIR(Fairness and Accuracy in Reporting)
 https://fair.org/
・前嶋和弘 文教大学人間科学部准教授
 アメリカのマスメディア監視団体の政治的・社会的影響力についての研究
 https://www.taf.or.jp/files/items/533/File/p237.pdf
 「FAIR は 1986 年の創設以来、メディアの偏向と(注:政府機関などによる)検閲に対し、十分な批判を続けてきた。報道における多様性を擁護し、公共の利益や少数派、異なる意見をメディアが軽視しないように厳しくチェックすることで、憲法修正第一条に定められた「言論の自由」を活性化させるよう活動している」

 
名古屋城石垣部会赤羽氏が名古屋城総合事務所長に送付したメール開示

名古屋城天守木造復元の件で、石垣・埋蔵文化財部会構成員の赤羽一郎氏が、佐治名古屋城総合事務所長あてに送付したメール(2021年2月17日付)を名古屋市民オンブズマンが情報公開請求したところ、21/5/20付けで開示決定が出ました。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210520.pdf

これは、21/2/9名古屋城跡全体整備検討会議で、赤羽構成員が「なにも木造天守にしなくても、現在の天守を活かし、修理すべき石垣を修理すれば、木造天守以上に当時の雰囲気を知っていただけるのではないか。現天守を丁寧に扱って活かすということを、財政的な問題やいろんな課題、要請されている法的問題などをクリアできるのか私は疑問に思う。」と述べたことを踏まえています。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#210209

開示されたメールでは、佐治独歩・名古屋城総合事務所長が21/2/16に赤羽氏に対し「21/2/3に、基礎構造に係る調整会議を進めていく上で、木造天守復元についての考えを聞かせて頂きたいとメールを送ったが、21/2/9全体整備検討会議のご意見に凝縮されているということか」とメールしていました。

21/2/17に赤羽氏が佐治所長に送ったメールでは以下述べています。

21/2/9全体整備検討会議で申し上げたことが私の主張に相違ない。
2012年度の整備方針(現天守耐震補強・展示機能向上)に加えて、EVの最上階への延伸、本丸を囲む櫓の利活用等を進めれば、木造天守を復元しなくても本丸地区の存在意義は十分発揮されると考えている。
また、資料3-6に「3-2復元の課題」が掲げられているが、この項目こそが復元論議のスタートにあるべきものだが行われず、達成される見通しが立っていない。
・21/2/9 第37回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議
 資料3 本丸整備基本構想(木造天守復元)について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210209-3.pdf

1)21/2/9全体整備検討会議で、三浦正幸・広島大学名誉教授が「将来の大地震で現天守も石垣も崩壊する。木造天守はメンテをしっかりすれば永続する。いずれ崩壊する現天守の耐震補強を行うのは二度手間だ」と述べたが、崩落した石垣を再構築する具体的な理論と方法を作成することが先に行われなければならないのではないか。

2)ケーソンに依拠して木造天守を復元することが「史実に忠実」なことか。ケーソンの真ん中とその周囲でボーリング調査を行いたいという目的も、天守台の石垣ではなくて木造天守を支えるケーソンの健全性を推し量るものではないか

3)穴蔵は空襲被害とケーソン工事によって大半が壊され、再構築された様相が見てとれたが、それも含めて長い歴史のかけがえのない一部であり、トータルとして名古屋城を捉えなくてはならないと思う。

4)バリアフリーの進展は見られないように思う。世界の趨勢は、バリアフリーという概念自体が遅れており「ユニバーサル・デザイン」の時代と言われている。それらの概念と「史実に忠実」という概念がどのように調和を得られるのか。

5)復元に要する経費とその財源見通しはどうなっているのか。未曾有のコロナ禍の元で悪化している財政状況の中で市の公金がどのように使われているのか、市民への負担はどうなのかという疑問に答えるべき

6)21/2/9全体整備検討会議で麓和善・名古屋工業大学大学院教授は「木造復元は市が決めたことで、私たちは論ずるべきものではない」と述べた。その場で、私がこういう会議で様々な意見が出て論議されてよい、と申した。この考えも変わらない。

上記メールを踏まえ、名古屋城木造復元の事務方トップの松雄俊憲・観光文化交流局長は21/2/19に赤羽氏に送付したメールで「この(市長の)やり方では決してうまくいかないことを認識し、市長との公約としての木造復元ではなく行政ベースの木造復元に大きく舵を切っており、その進め方として、従来に戻ることは私がいる限りありません。」と明確に述べています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210420.pdf

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全ては河村たかし名古屋市長が2015/8/24に出した「まず本丸天守の復元。全責任は私がとる」という指示書がはじまりです。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
 
石垣部会ら有識者とのボタンの掛け違いが約6年たっても解決しません。
バリアフリー、耐震など6年前からの課題はいまだに解決できず、基礎構造を議論する、石垣部会・天守閣部会合同の「調整会議」も20/3/31特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第30回)に提案されましたが、それから1年2ヶ月たってもいまだに開かれていません。

開示された資料によれば、名古屋城木造復元事業で2019年度までにすでに58億3719万7000円使っており、2020年度に2億3207万4000円使う予定です。

にもかかわらず、現天守の解体のめどはたっていませんし、木造復元事業のめどもたっていません。

河村たかし名古屋市長はどう「全責任をとる」のでしょうか。

21/5/13 名古屋城情報公開訴訟 弁論準備WEB会議

名古屋城天守閣木造化をめぐり、名古屋市が文化庁訪問時の復命書等の情報を非公開にしたのはおかしいとして、名古屋市民オンブズマンが公開を求めた情報公開訴訟の弁論準備が21/5/13にWEB会議(非公開)で行われました。

非公開文書
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200203-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-2-1.pdf   
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-3-1.pdf
 
名古屋地裁民事9部の裁判長が日置朋弘裁判官に交代しました。

書面の検討の上にたって、被告名古屋市側に一覧表での当方の主張に対する反論を求めました。
番号2 議会で承認されている、という当方の主張に対し
番号3 意思形成に関する影響はあるか
番号32?35 どういう混乱があるのか
番号38 石垣部会の議論を新聞が報道していることと混乱の関係
番号40・42 市長発言でどのような混乱があるか

また、乙4の3の利用目的を尋ねました。

これについて一覧表を市側に7月5日までに提出するよう求めました。
名古屋市民オンブズマン側は次々回までに反論となります。
次回は2021年7月14日午後1時30分 web会議(非公開)です。

河村市長「名古屋城木造天守 4,5年前 バリアフリーを企業に検討依頼 人力がいいという結論に」文書不存在

名古屋市民オンブズマンは、21/4/26中日新聞8面に記載された、21/4/25河村たかし名古屋市長当選後のインタビューの、名古屋城木造復元のバリアフリー部分の文言について根拠資料を情報公開請求したところ、全て不存在決定が出ました。
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210512.pdf

・「中日新聞:名古屋城天守木造復元事業でエレベーターの代わりにどんな バリアフリーのアイデアがあるのか。
 河村市長:『四、五年前、ある企業にお願いして検討してもらった。』」の依頼文、費用がわかるもの
・「河村市長:『四、五年前、ある企業にお願いして検討してもらった。今の技術だと人力(で上階へ運ぶ手段)がいいという結論になりました。」の結論がわかるもの

少なくとも、公文書としてバリアフリーについて企業にお願いして検討してもらったことは残っていません。
なんらかの結論も残っていません。

河村たかし名古屋市長が「口からでまかせ」を言った可能性が極めて強いです。
「口からでまかせ」ではないというのであれば、今すぐに当該企業名とお願い文書、費用、結論文を市長が公開すべきです。

もっと悪質なのは、21/4/25投開票の市長選挙最中に、上記バリアフリーの具体策について河村市長は一言も述べず、当選が決まってから「すでに決まったこと」と述べていることです。

しかも、名古屋城木造復元の事務方トップの松雄観光文化交流局長は「この(市長の)やり方では決してうまくいかないことを認識し、市長との公約としての木造復元ではなく行政ベースの木造復元に大きく舵を切っており、その進め方として、従来に戻ることは私がいる限りありません。」と明確に述べています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210420.pdf
具体的には、21/2/19の時点で「名古屋城の内部構造から幅150cm×奥行160cmの格子に収まり、階層毎に貫通する昇降技術(エレベーター技術)はできないのか」というものです。
しかし現時点では目処はたっていません。

河村市長は何回も「エレベーターをつけずに人力で何とかする」と発言しており、これは信念です。
市長にいくら信念があっても、バリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)14条では、不特定多数が利用する特別特定建築物を新築する際は、建築物移動等円滑化基準に適合させなければなりません。
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/

なお、有識者会議である特別史跡名古屋城跡バリアフリー検討会議は、第3回会議が2019年10月24日に開催されて以降、1年半に渡って開催されていません。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2020/03/20200331_993.html

2018年7月24日開催の「特別史跡名古屋城跡バリアフリー説明会」ではパワーアシストスーツも紹介されましたが、あくまで「紹介」であって、結論が出ているわけではありません。https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/tenshu_information/2020/02/20200204_953.html

河村たかし名古屋市長は二重三重四重五重に市民をだましているとしか言いようがありません。
情報公開請求で「ファクトチェック」してみました。
市長からの反論を具体的な資料で求めます。


名古屋城天守閣木造復元事業 総務省への起債届出書 完成は2031年度と記載

名古屋城天守閣木造復元事業について、総務大臣に届け出をした起債届出書(2020年度発行分)を情報公開請求したところ、21/2/3づけで名古屋市が総務大臣に届出をしていたことが判明しました。

・名古屋城 木造復元事業 起債届出書(2020年度発行分)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210430.pdf

それによれば、事業期間は平成28年度〜令和13年度(2031年度)とありました。
 
2019年度分も情報公開請求していますが、同じく事業期間は平成28年度〜令和13年度(2031年度)です。
 
・名古屋城 木造復元事業 起債届出書(2019年度発行分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200415-1.pdf

開示された資料によれば、2019年度までにすでに58億3719万7000円使っており、2020年度に2億3207万4000円使う予定です。
国庫補助は全く予定していません。

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名古屋城木造復元事業は、現天守の解体すら見通しがついておらず、木造復元事業がいつ完成するのか、そもそもどのような木造復元になるのかすら目処がたっていません。
しかしながら、基本設計・実施設計や木材製材で、すでに60億円以上を使っています。
上記のほとんどを借金でまかなっており、どのように返済するのかも全く目処がたっていません。
名古屋市は「全額入場料収入で返済する予定。返済計画は竣工時期が固まった時点で見直す」と述べていますが、新型コロナ禍がどの程度続くのか誰も見通せず、来城者もまったく見通せません。

一体どうするつもりなのでしょうか。

・2015/8/24 河村市長「全責任は私が取る」指示書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf

名古屋城石垣部会赤羽氏と河村市長「公務として面談は確認出来ず」

名古屋市民オンブズマンは、名古屋市に対し、名古屋城の件で石垣・埋蔵文化財部会構成員の赤羽一郎氏と、河村たかし名古屋市長が面談した際の記録(21/2/22-4/20分)を情報公開請求しましたが、不存在決定がでました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210430-1.pdf

その後、名古屋城総合事務所から電話があり、「公務として2名が面談していることは確認出来なかった」と連絡がありました。
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本件は、松雄観光文化交流局長と赤羽氏とのメールのやり取りの中で、赤羽氏が「河村市長に直接お目にかかりたい」と伝え、松雄局長が「本当にお望みなら、私からお断りする理由はない、セットできないか調整したいと思っている」と記載があったことを受けて情報公開請求をしたものです。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210420.pdf

このメールのやり取りは決定的なことが書かれています。

河村市長:公約「木造復元竣工時期ありき。まず木造復元、その後石垣。」全責任は私がとる 
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
松雄局長:2019年6月に、市長公約としての木造復元ではなく、行政ベースの木造復元に大きく舵を切った。
 石垣の保全を第一。課題の克服の先に木造復元がある。
赤羽構成員:木造復元より、現天守を護っていくことがはるかに歴史的に意義深い。木造復元に与することはあり得ない。  

名古屋城の整備に関し、文化庁は「地元有識者の理解」を得るよう繰り返し述べています
市長と局長、石垣部会構成員の思いがここまで食い違っているのであれば、とうてい名古屋城天守閣木造復元は不可能ではないでしょうか。

少なくとも2021/4/20までは、公務として市長・赤羽氏の面談はなかったようです。
関係者の思いがバラバラで調整も出来ず、そもそも木造復元が実現するかどうかもわからない。
こんな状態をいつまで続けるのでしょうか。

21/5/7 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議 文化庁への回答に意見無し

21/5/7 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第39回)が開催されました。

・21/5/7 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第39回)配付資料
 
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210507-1.pdf
・現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210507-2.pdf

別の用事がありほとんどの時間傍聴できず、最後のみ傍聴しました。
議事録は名古屋城公式ページで後日ご確認下さい。
(なお、20/6/22に行われた第31回特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議の議事録すら掲載されていません)
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/

なお、本日赤羽一郎・前名古屋市文化財調査委員会委員長・元愛知淑徳大学非常勤講師は急に欠席したとのこと。

議事としては、「令和3年度事業予定について」がありました。
麓和善・元名古屋工業大学大学院教授は「全体整備検討会議と各部会、調整会議の関わり方はどうなっているか」と質問しました。
名古屋城総合事務所は「現在は、全体整備検討会議で議論したものを各部会に下ろし、また全体整備検討会議に上げている。今後、見直しも考える」としました。

次に、その他として、「現天守解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答」が資料として配られました。
名古屋城総合事務所は「文化庁は5月の文化審議会にご報告していただき、一定の方向性を出していただけるものと思っております」と述べました。

A3で41ページもの資料を配付されましたが、構成員からは特に意見は出ませんでした。

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「指摘事項への回答」では、「本来、木造天守復元が現天守解体の理由」と明記しました。
「本丸整備基本構想及び天守整備基本構想」として、色々書かれていますが、いったいいくらかかるのか、いつまでに行う予定なのか、そもそも実現可能なのかは全くわかりません。

「本丸整備基本構想及び天守整備基本構想」は、有識者会議にしか示されておらず、市民の意見を聞いたものではありません。

赤羽一郎構成員は21/2/9 第37回名古屋城跡全体整備検討会議で「なにも木造天守にしなくても、現在の天守を活かし、修理すべき石垣を修理すれば、木造天守以上に当時の雰囲気を知っていただけるのではないか。財政的な問題やいろんな課題、要請されている法的問題などをクリアできるのか私は疑問に思う。」と述べました。
その後、松雄局長との往復書簡もメールでやり取りしています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210420.pdf

赤羽構成員以外の各構成員は意見を言わなかったのでどう考えているかわかりかねますが、名古屋城木造復元は「絵にも描けない餅」ではないでしょうか。
いくら市長が公約で掲げても、市は法律違反をすることができません。
松雄局長がいう「行政ベースの木造復元」だと、文化庁が言う「復元的整備」になる可能性が高いです。
・令和2年4月17日 文化庁
 史跡等における歴史的建造物の復元等に関する基準の決定について
 https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/92199502.html
 
事実に基づき、きちんと議論する場を望みますが、残念ながら望み薄です。


21/5/6 名古屋市 名古屋城現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答を郵送で提出

名古屋市は21/5/6に、「名古屋城現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答」を郵送したと発表しました。

・令和3年5月6日 名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所
 現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答提出について
 
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210506.pdf

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河村市長もコメントで述べていますが、「5月の文化審議会にご報告していただき、一定の方向性を出していただけるものと思っております」というだけで、実際に文化審議会がどう判断するかわかりません。

また、「解体に加え復元についても一体的な審議をお願いしたいと思っております」とあるように、復元について具体的な計画はまだ出来ていません。
特に、「跳ね出し架構」に代わる新たな基礎構造を議論するため、石垣部会と天守閣部会が合同で「調整会議」を開くとしていましたが、2021年3月末までには開催がありませんでした。

今後も注目していきたいです。

(参考 21/5/7 特別史跡名古屋城跡全体整備検討会議(第39回)に配付した、「現天守閣解体申請に対する文化庁からの指摘事項への回答」)

名古屋城木造復元 文化庁とのやり取りがどの程度公開されているか知っていますか?

21/4/25(日)名古屋市長選が行われます。
その争点の一つに、名古屋城木造復元があります。
当初、2022年12月竣工予定でしたが、河村たかし名古屋市長は2022年12月竣工を断念し、あらたな竣工時期は発表されていません。

しかし、そもそも許認可権を持つ文化庁は、名古屋城木造復元についてなんといっているかご存じでしょうか。
名古屋市民オンブズマンは、18/6/13-18/12/10分の名古屋市と文化庁とのやり取りについて情報公開訴訟をしています。

当初はほとんどが黒塗りでしたが、訴訟が進むにつれて徐々に公開部分が増えてきました。

非公開文書
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200203-1.pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-2-1.pdf   
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/190531-3-1.pdf
 
いまだに、文化庁が名古屋市になんといっているのか非公開です。
また、「石垣保存の基本的な考え方と天守台石垣の保存方針(案)について」も非公開です。


防災・避難計画(案)なども非公開です。

復元整備の詳細と利活用についても非公開です。


現状では、「文化庁が名古屋市に対し、木造復元についてなんと言っているか」は市民も議員も知らないのです。
それどころか、「どのような木造復元を名古屋市がしようとしているのか」も、市民にも議員にも示していないのが現状です。

名古屋市長選の争点になれば幸いです。
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名古屋城木造復元 21/4/8 文化庁訪問時の復命書・資料 開示

21/4/8に名古屋城天守閣木造復元事業の件で、河村たかし名古屋市長や特別秘書、名古屋城総合事務所長、名古屋市教育委員会文化財保護室らが文化庁訪問をした際の復命書・資料を情報公開請求して21/4/23に開示されました。

・21/4/8 文化庁訪問時の復命書(河村市長、特別秘書分)
 
http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210423-1.pdf
・21/4/8 文化庁訪問時の復命書・資料(名古屋城総合事務所保存整備室分)
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210423-2.pdf
・21/4/8 文化庁訪問時の復命書(名古屋市教育委員会文化財保護室分)
 http://nagoya.ombudsman.jp/castle/210423-3.pdf
 
開示資料にははっきり書かれていませんが、21/4/9朝日新聞によれば、21/4/8時点では名古屋市はまだ文化庁からの現天守解体に関する指摘事項へ回答しておらず、河村市長は、「回答に向けた準備が整ったことを伝え、回答のベースになる資料を渡した」だけとのこと。

名古屋市側は、「天守閣木造復元事業が目に見える形で動き出すことを強く願っている」「5月の文化審議会にご報告してもらえるようお願いしたい」としていますが、文化庁は「担当の方で資料を確認させてもらい、内容が詰まったら審議会に諮っていくことになるのでしっかりと擦り合わせをしてもらいたい」と述べるにとどまっています。

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何回も述べますが、これは「現天守の解体にかかる現状変更許可申請に対する文化庁の指摘事項」に対する回答のベースです。
実際、名古屋市が文化庁に回答を送付したかは、現在情報公開請求中です。

今回、名古屋市は「現天守閣解体の現状変更許可申請に対する文化庁の指摘事項への回答」を行う予定ですが、それと同時に木造天守閣復元の具体的な絵を基本構想という形で示す予定で、今回の「名古屋城本丸の整備計画【将来構想】」「名勝名古屋城二之丸庭園整備計画(案)」「『未来につなげる』名古屋城の魅力向上と発信」がそれにあたると思われます。

しかしながら、河村たかし名古屋市長は「文化庁の責任ある方から、解体と天守の復元を同時にやられてはどうですかと話があった」としており、現天守解体のみの現状変更許可申請が認められるのかは不明です。

21/3/18に名古屋市議会経済水道委員会で、佐治所長は「一体の現状変更許可申請に関し、時期はまだ文化庁と相談していない。出し方は取り下げになるのか、付け足しなのかは調整するが、まだ先になる。」としました。

21/4/25(日)に名古屋市長選挙が行われます。
名古屋城木造復元の現状をよく把握した上で、投票行動を行うことを望みます。

21/4/20 市観光文化交流局長「市長主導の名古屋城木造復元では決してうまくいかないと認識」メール開示

名古屋市民オンブズマンは、名古屋市に対して、松雄観光文化交流局長がメールで送った、「一昨年4月に観光文化交流局長を拝命し、その年の6月までは市長の主導の名古屋城木造復元を実現しようと思っておりました。しかし、このやり方では決してうまくいかないことを認識し、市長との公約としての木造復元ではなく行政ベースの木造復元に大きく舵を切っており、その進め方として、従来に戻ることは私がいる限りありません。」の全文、上記への返事、返事への回答メールを情報公開請求し、21/4/20に開示されました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210420.pdf

これは、21/3/8自民党の浅井正仁市議の市議会本会議質問で発覚したことです。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#210308

当該メールは、石垣・埋蔵文化財部会の赤羽一郎構成員からのメール(未入手)に対する返事として松雄文化交流局長が21/2/19に書いたものだったことが判明しました。

21/2/9全体整備検討会議で、赤羽構成員は「なにも木造天守にしなくても、現在の天守を活かし、修理すべき石垣を修理すれば、木造天守以上に当時の雰囲気を知っていただけるのではないか。現天守を丁寧に扱って活かすということを、財政的な問題やいろんな課題、要請されている法的問題などをクリアできるのか私は疑問に思う。」と述べたことを踏まえています。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/goten/index.htm#210209

まず、松雄局長は「一昨年4月に観光文化交流局長を拝命し、その年の6月までは市長の主導の名古屋城木造復元を実現しようと思っておりました。
しかし、このやり方では決してうまくいかないことを認識し、市長との公約としての木造復元ではなく行政ベースの木造復元に大きく舵を切っており、その進め方として、従来に戻ることは私がいる限りありません。」と述べています。
具体的には、石垣保全を第一にし、木造復元の竣工時期にとらわれないとしています。

一方、木造復元自体は市の方針で議会の議決を得、国と正式に協議しているので、振り出しに戻すこともあり得ないとしています。

松雄局長は、木造復元する意義は高いと考えており、伝統技術を確実に継承したいとも思っています。
天守閣の木造復元を契機に、次の名古屋をどうするのかグランドデザインを考えるきっかけにしないといけないとしています。

木造復元とエレベーター問題については、どうしたら「史実に忠実」とバリアフリーが調和した形で復元出来るか知恵を絞っているとしています。
経費については全額入場収入でまかなうことになっており、年間350万人を見込んでいるが、決して不可能な目標数値ではないと考えているとしています。

それに対し、赤羽構成員は21/2/20メールで「戦国時代の木造天守を復元するより、第二次世界大戦後の名古屋市民の思いを具現させた現天守を護っていくことが、はるかに歴史的に意義深いと思う」「私のこれまでの思いを覆してまで、木造天守復元に与することはあり得ない」と述べています。

さらに、赤羽構成員は21/2/21メールで「松雄局長は、河村市長の意向には必ずしも従わず、石垣等の史跡保護を最優先としその延長線に木造復元があると理解してよいのか。そうなら私の現天守に対する思いは変わることはないが、全体構想の中で天守をどう位置づけるかという議論なら私見を述べさせていただくことにやぶさかではない」「可能なら、松雄局長ともども、河村市長に直接お目にかかり、局長の考えや私どもの思いを河村市長に伝え、木造復元の進め方の問題点を申し述べる機会としたい」としています。

松雄局長は21/2/22メールで「市の方針と異なり残念だが、しっかり受け止めさせていただく」としました。
松雄局長の認識を変えるきっかけは、局長になる前の2019/3/25第30回石垣部会の議事録を読んだからとのこと。
https://www.nagoyajo.city.nagoya.jp/plan_expert/2020/03/20200331_992.html
「市長のように竣工時期を先に決めて、天守が先、石垣は後の進め方では何年かかっても木造天守などできない」としています。
具体的には、文化庁からの指摘事項に回答することとしています。

また、天守内堀であらたに検出された石列遺構の追加調査をすべきではないかというご指摘については、文化庁中井調査官の指摘を踏まえ、調査の趣旨・目的を逸脱しない範囲で必要な調査を検討したいと考えているとしています。
さらに、「文化庁は現天守を解体してまで、新たに木造天守を復元する意味を名古屋市に問いかけている」の市の回答は、「特別史跡名古屋城跡本丸整備基本構想」が当たると考えているとしています。

市長との面会については、「本当にお望みなら、私からお断りする理由はない、セットできないか調整したいと思っている。
しかし、本質のところで意見が相違しており、有益な会談となるのか、また会談を通じて益々先生との関係がギクシャクするのは望んでおりません」と結んでいます。

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このメールのやり取りは決定的なことが書かれています。

河村市長:公約「木造復元竣工時期ありき。まず木造復元、その後石垣。」全責任は私がとる 
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/shijisho.pdf
松雄局長:2019年6月に、市長公約としての木造復元ではなく、行政ベースの木造復元に大きく舵を切った。
 石垣の保全を第一。課題の克服の先に木造復元がある。
赤羽構成員:木造復元より、現天守を護っていくことがはるかに歴史的に意義深い。木造復元に与することはあり得ない。  

その後石垣部会構成員と市長との会談が行われたかどうかは現時点では不明です。

そもそも、河村市長は松雄局長の「方針転換」を了解しているのか。
そのような「方針転換」を市民にきちんと説明したのか。
市民は市長公約が行政によって変更されたことを理解しているのか。

松雄局長は「益々先生との関係がギクシャクするのは望んでおりません」としていますが、むしろ市長と松雄局長の関係がどうなっているのかが知りたいです。

その上で、「地元有識者の理解」を得るよう文化庁は繰り返し述べていますが、赤羽構成員が「木造復元に与することはあり得ない」というのなら、文化庁が木造復元を許可することは「あり得ない」のではないでしょうか。

現在、名古屋市長選の最中です。
河村市長はマニフェストに名古屋城について書いてありますが、上記「方針転換」についてどこまでわかって書いているかは不明です。
「何年かかってもできない」(松雄局長)ことを前回の「公約」としていたことも問われるべきです。

少なくとも、名古屋市在住の全有権者は、今回開示されたメールを読んだ上で投票行動を考えるべきだと思います。


21/4/16 令和3年度 名古屋城関係予算要求額内訳 開示

名古屋市が令和3年度に予算として計上した実施設計1億2100万円、設計監理等支援業務委託1200万円、木材製材1億2400万円、石垣調査等8107万4000円、の内訳を情報公開請求したところ、21/4/13に公開されました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/210413.pdf

木材保管費9000万円、木材運搬費3400万円としています。
名古屋市は「今回の予算要求により、木材の製材の契約金額が増加するものではありません。」と述べています。

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木材の製材の契約書等を名古屋城総合事務所から情報提供してもらいました。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/200708.pdf
これによれば、予算額は94億5540万円で、工期は令和4年12月16日までとしています。

木造天守閣の完成どころか、現天守閣解体のメドもたっていません。
あと1年9ヶ月で木材が全て使われる見込みはありません。

今後竹中工務店と木材の製材の契約書を見直さざるをえません。年間9000万円にも及ぶ木材保管費用についてどうなるのか、
名古屋市は全く語っていません。

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