岩倉市産業廃棄物処理費用住民訴訟


22/12/14(水)岩倉市産廃処理費用住民訴訟 原告「極めて高額な『金入り』同意書を上限として処理費用を交渉した」

22/12/14(水)に岩倉市産廃処理費用住民訴訟のWEB弁論準備(非公開)が行われました。

被告岩倉市は前回のWEB弁論準備で「@本件各合意時には廃棄物が埋設されていると情報を収集されていたため、各合意について調査義務違反はない。
各合意を締結しない場合は
A事業延期により税収が減少する B事業が頓挫した可能性
を考慮すれば、各合意締結における裁量判断は合理的」と主張しました。

原告である名古屋市民オンブズマンの弁護士は、以下主張しました。
@について「本件各合意(2021年)は、売買交渉を経て決定(2019年)された売買代金を基礎として、その何割かを廃棄物処理費用として負担させるという過程を経て決定した。
岩倉市は『金入り』同意書を2018年8月-12月に地権者に提示したが、市は廃棄物調査をしていない。市が提示した売買価格それ自体極めて高額と言わざるを得ない。
にもかかわらず、市は本件各合意に向けた廃棄物処理費用の負担額の交渉に際し、明らかに不相当な本件各土地の売買価格を基礎として、処理費用の負担額として売買価格を上限とした交渉を地権者と行った。
市は売買価格が不当に高額なものであることを前提とした交渉を行った形跡はないため、市に調査義務違反に起因する裁量違反があることは明らかである」。
Aについて「仮に本件事業が延期されたとしても、事業計画年度に想定した税収は後の年度に持ち越されるだけ」「加えて岩倉市は地方交付税の交付団体であり、市税収入が増えれば地方交付税が減額される仕組みになっている」
Bについて「2020年5月から造成工事が粛々と始まっていたから、廃棄物処理費用の負担割合についての紛争が未解決だからといって、立地企業内定通知以後の一連の手続を停止させる必然性は全くない。
仮に、地主らが売買契約の無効あるいは取消を主張する危険性があったというのであれば、岩倉市において一旦廃棄物処理費用全額を負担して廃棄物の撤去を行ったうえで、岩倉市の負担額のうち、相当な金額を地主らに請求すれば足りる。」

また、被告補助参加人の愛知県は、「愛西佐織地区内陸用地造成事業の事案は、原告主張の通り産廃処理費用『全額』を旧地権者が負担したが、処理費用額は企業庁に売り渡した土地の売渡金額合計の約10%に相当する。岩倉市の事案も、旧地権者の各売渡金額の10%を負担させて調整した事案」と主張しました。

次回までに岩倉市は原告主張に反論する予定です。
次回は23/2/27(月)10時-Web弁論準備(非公開)です。

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時系列を整理します。

2015年 岩倉市担当者が県企業庁と担当者と相談
    岩倉市議会の全員協議会で説明
    ★本件土地に土砂が山積みされ、プレハブの建物やコンテナで囲われていた
2016年 川井町土地開発推進委員会と野寄町土地開発推進委員会を組織
    本件土地は雑種地であることが判明
2016年-2018年 別の地点で試掘調査が行われたが、本件土地は試掘調査が行われなかった 
2018年 本件土地所有者が「廃棄物がある場合、又は愛知県に売り渡した後に廃棄物が発見された場合には、自費で、かつ責任を持って撤去します」確約書に署名・押印
 8月-12月『金入り』同意書を地権者に提示
2019年 愛知県と岩倉市が開発基本協定締結
    本件土地売買契約
    産廃が地中に存在することが判明
2021年 産廃処理契約を業者と締結(1億1286万円)
    旧所有者が合計171万7870円負担する合意を締結     

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22/10/17(月)岩倉市産廃処理費用住民訴訟 市「2021年には市は土地に産廃が埋設されているという情報は収集していた」

22/10/17(月)に岩倉市産廃処理費用住民訴訟のWEB弁論準備(非公開)が行われました。

原告は前回のWEB弁論準備で「2016年には市は地下に産廃が埋められている可能性が高いと認識し得た」と主張し、市が調査義務とつくさないまま、産業廃棄物の処理費用1億1286万円を負担したのは、市長の裁量を逸脱した判断だ、と主張しました。

市代理人は、「原告が具体的に主張する『調査義務違反』は、本件各土地について『売買契約(2019年)前に試掘調査を行』わなかったことであり、その正当性については既述のとおりであるが、その点を措くとしても、本件各合意書締結時(2021年)には、既に岩倉市において、本件各土地に産業廃棄物が埋設されている、という情報は収集されていたから、調査不足のゆえに、本件各合意書締結を基礎づける事実が不足する、という関係にはない。」(括弧内原告)と主張しました。
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時系列を整理します。

2015年 岩倉市担当者が県企業庁と担当者と相談
    岩倉市議会の全員協議会で説明
    ★本件土地に土砂が山積みされ、プレハブの建物やコンテナで囲われていた
2016年 川井町土地開発推進委員会と野寄町土地開発推進委員会を組織
    本件土地は雑種地であることが判明
2016年-2018年 別の地点で試掘調査が行われたが、本件土地は試掘調査が行われなかった 
2018年 本件土地所有者が「廃棄物がある場合、又は愛知県に売り渡した後に廃棄物が発見された場合には、自費で、かつ責任を持って撤去します」確約書に署名・押印
2019年 愛知県と岩倉市が開発基本協定締結
    本件土地売買契約
    産廃が地中に存在することが判明
2021年 産廃処理契約を業者と締結(1億1286万円)
    旧所有者が合計171万7870円負担する合意を締結     

市が主張する「本件各合意書締結時(2021年)には産廃があることは分かっていた」というのは当たり前です。
少なくとも2015年時点で、現場に行けばすぐ分かる、産廃の可能性について、どうして調査をしなかったのか、市の主張では理解できません。

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次回は22/12/14(水)10時-Web弁論準備(非公開)です。

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22/7/6(水)岩倉市産廃処理費用住民訴訟 原告 「2016年には 市は地下に産廃が埋められている可能性が高いと認識し得た」

22/7/6(水)に岩倉市産廃処理費用住民訴訟がWEB会議で行われました。

原告は「2016年には市は地下に産廃が埋められている可能性が高いと認識し得た」と主張し、市が調査義務とつくさないまま、産業廃棄物の処理費用1億1286万円を負担したのは、市長の裁量を逸脱した判断だ、と主張しました。

この主張は、和解に至る経過において、市の側に調査義務違反があった場合に和解での市の裁量権が小さくなる、という考え方を基本としたものです。
また、企業庁の造成工事で産業廃棄物が発見された場合の県内の他の自治体の事例等も証拠として提出し岩倉市の事例が行政実例にも反する旨の主張もしました。

一方、岩倉市は処理費用を負担した理由として『開発が遅れた場合、1年延期したら約1億円の税収を失う』ことから、地主と粘り強い交渉ができなかったのだ、と主張していますが、裁判所は岩倉市側に、次回までにその客観的な証拠を提出することを求めました。

次回は22/10/17(月)13時15分-Web弁論準備(非公開)です。

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22/4/27(水)岩倉市産廃処理費用住民訴訟 県企業庁「一枚の確約書をもとにした冷徹な権利行使は、本事業の趣旨や目的を大きく損なう」

22/4/27(水)に、名古屋地裁で岩倉市産廃処理費用に関する住民訴訟のWEB弁論準備手続きが非公開で行われました。

本件は、岩倉市で愛知県企業庁が造成中の工業団地の用地の買収の際、愛知県企業庁と地主との間で「地下に廃棄物があったときは、地主が責任を持って撤去する」との合意があったにも関わらず、岩倉市に処理費用1億1286万円の負担させたことを違法として岩倉市長と愛知県企業庁を訴えた住民訴訟です。
被告岩倉市と被告補助参加人愛知県企業庁はそれぞれ準備書面2を提出しました。

岩倉市:旧土地所有者から「売買契約を破棄し、土地を返して欲しい」と主張されていた。
 その後旧土地所有者は同売買代金の1割ではあるが負担すると一定の譲歩を示した。
 監査結果で記載がある、愛知県企業庁企業立地部公務調整課が監査委員に対して述べたという「仮に今回廃棄物が発見された土地の旧所有者と処理費用を負担させるように交渉を今後1年間継続した場合については、県は現在契約中の造成工事をその間中止する」について、愛知県企業庁が岩倉市に対して
 このような考え方を示したことはなかった。
 しかしながら岩倉市は、愛知県企業庁がそのような考えをもつであろうと考え、これを含め本件事業が遅延するとの判断をなした。
 
愛知県企業庁:地権者の個人責任は例外的補完的なもの。
地権者の個人責任追及について、特段の事情を斟酌してその可否・程度を判断するのは岩倉市であり、その裁量的行為。
 自治体の地域開発行為について地権者が協力し売買に同意したのに、一枚の確約書をもって民法法理ないし個人責任原理の名のもとに、一地権者の予想をはるかに超える多額の廃棄物処理費用の賠償支払責任を課したり、あるいは、売買代金相当額を賠償額とし事実上無償で強制収用するような処理方法や
 結果を当然とする考え方及びその冷徹な権利行使は、本事業の趣旨や目的を大きく損なうものと思料する。
 「仮に今回廃棄物が発見された土地の旧所有者と処理費用を負担させるように交渉を令和2年12月以降さらに1年間継続した場合について、造成行為を中止することによって(仮に中止することになったら)、愛知県企業庁における本事業の収支見通しはどのようになるか」という監査委員からの仮定質問に答えたもの。「造成工事を中止する」と自ら示したものではないし、県企業庁が岩倉市に「工事中止」を伝達したこともない。

次回までに原告は被告岩倉市と被告補助参加人愛知県企業庁に対して反論を行います。

次回は22/7/6(水)午前11時30分-Web弁論準備(非公開)です。

なお、名古屋市民オンブズマンは本訴訟を支援しています。

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22/3/7(月)岩倉市産廃処理費用住民訴訟 WEB弁論準備手続き 

22/3/7(月)に、名古屋地裁で岩倉市産廃処理費用に関する住民訴訟のWEB弁論準備手続きが非公開で行われました。

本件は、岩倉市で愛知県企業庁が造成中の工業団地の用地の買収の際、愛知県企業庁と地主との間で「地下に廃棄物があったときは、地主が責任を持って撤去する」との合意があったにも関わらず、岩倉市に処理費用11286万円の負担させたことを違法として岩倉市長と愛知県企業庁を訴えた住民訴訟です。

前段階の住民監査請求では、岩倉市監査委員は、旧所有者から市に支払われた1,717,870円と処理費用112,860,000円の差額111,142,130円を市長に請求せよ、市長は上記措置を講じないときは、債権放棄について議会の議決を経よという勧告を出しました。

・令和3年度(令和368日付け)岩倉市職員措置請求の監査結果(令和386日公表)

 https://www.city.iwakura.aichi.jp/cmsfiles/contents/0000002/2384/R3.6.8jyuuminkansa.pdf

市議会は21/9/24111,142,130円の債権放棄の議決を行いました。

・令和3年度(令和368日付け)岩倉市職員措置請求の措置状況

 https://www.city.iwakura.aichi.jp/cmsfiles/contents/0000002/2384/R3.6.8kansasoti.pdf

被告岩倉市と被告補助参加人愛知県企業庁はそれぞれ準備書面1を提出し、原告は反論の準備書面1を提出しました。

岩倉市と愛知県企業庁が、次回、これに対する反論の書面を書くことになりました。

また、原告が岩倉市と愛知県に対して愛知県企業庁は交渉継続期間に造成工事を中止することを伝えたか否か、その根拠を明らかにせよ、と求めた点に対して裁判所も同様の意見で、次回までにこの点を明らかにするよう愛知県企業庁と岩倉市に求めました。

次回は22/4/27(水)午前11時30分?Web弁論準備(非公開)です。

なお、名古屋市民オンブズマンは本訴訟を支援しています。

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