岩倉市産業廃棄物処理費用住民訴訟


24/3/21(木) 岩倉市産廃処理費用住民訴訟 敗訴 名古屋地裁

岩倉市産廃処理費用住民訴訟の判決が24/3/21(木)に名古屋地裁で言い渡され、原告敗訴でした。
原告は「旧所有者の“ゴネ得”を裁判所が認めてしまった!」と述べ、控訴するかどうか検討中です。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/240321.pdf

本件は、旧地権者が愛知県企業庁と「土地に産業廃棄物が発見されたときは、旧地権者が自費で責任を持って撤去します」という確約書を平成30年8月-12月に結びながら、令和元年7月土地売買契約後の令和元年11-12月に産業廃棄物が発見され、処理費用として旧地権者が売買代金の1割である約172万円のみ負担し、残り約1億1114万円を岩倉市が負担したのはおかしいとして、岩倉市長と愛知県が連帯して約1億1114万円を岩倉市に返還するよう求めた住民訴訟です。

裁判所は以下判断しました。

争点1 本件合意に係る市長の判断に裁量権の範囲の逸脱又は濫用があるか
(1)本件合意の法的性質は和解というべき。
 市は市監査委員の勧告を受けて、市議会に、本件合意による和解に係る議案を提出し、同議案が可決された
(2)市の判断の合理性の検討
 @旧所有者の主張に法的リスクがあるとした判断
  本件処理費用をめぐる争いが法廷紛争となり、最終決着までに数年間を要する事態を想定することもあながち不合理であるとはいえない
 A旧所有者への対応により本件事業が遅延、中止されるとした判断
  本件事業が遅延し、場合によっては中止せざるを得ない状況に陥る可能性も否定し得なかったものといえる。
 B本件事業が遅延、中止した場合の影響に係る判断
  税収の試算や本件事業が遅延、中止された場合に関係者に多大な損失が生じるとの市の判断に不合理な点があるとはいえない。
(3)調査義務違反の主張
 本件合意との関係では、市長が裁量権を行使するに当たり、考慮の対象となる諸般の事情の一つであるにとどまり、これが和解を行うについて市長に与えられた裁量権をき束するということはできない。

争点2 本件合意により市に本件処理費用の大部分を負担させたことにつき、補助参加人に信義則上の保護義務違反があるか
補助参加人が市の費用負担を軽減するための措置を講じたり、本件合意の締結を拒否すべき法令上又は契約上の義務を負う根拠は見当たらない

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岩倉市産廃処理費用住民訴訟 判決は24/3/21(木)13時10分 名古屋地裁

岩倉市産廃処理費用住民訴訟は24/2/19に結審し、判決は24/3/21(木)13時10分名古屋地裁1102号法廷で言い渡されます。
是非傍聴下さい。


最終準備書面で、原告代理人は「遅くとも2019年2月までに岩倉市は廃棄物が埋設されているか調査すべきだった。
調査しなかったことで処理費用約1.1億円がかかった」と述べました。

被告岩倉市代理人は「旧地権者と結んだ、売買代金1割を市に払う『合意書』締結は合理的だった。
本件事業が遅延または頓挫すれば、処理費用を明らかに超える損失を被った。
旧地権者の同意無く調査は不可能だった。
市議会で2度にわたり合意書は審議され、認められた」と述べました。


23/11/30(木) 岩倉市産廃処理費用住民訴訟 市課長「(廃棄物の埋設確認終了する)開発検討段階終了は平成31年2月まで」

岩倉市産廃処理費用住民訴訟で、23/11/30に名古屋地裁で堀巌・元市議、市担当課長の尋問を行いました。
本件は、旧地権者が愛知県企業庁と「土地に産業廃棄物が発見されたときは、旧地権者が自費で責任を持って撤去します」という確約書を平成30年8月-12月に結びながら、令和元年7月土地売買契約後の令和元年11-12月に産業廃棄物が発見され、処理費用として旧地権者が売買代金の1割である約172万円のみ負担し、残り約1億1114万円を岩倉市が負担したのはおかしいとして、岩倉市長と愛知県が連帯して約1億1114万円を岩倉市に返還するよう求めた住民訴訟です。

堀元市議は元岩倉市職員。商工農政課時代、農業委員会の仕事を兼務していた経験があります。
市議時代の平成29年3月、農業従事者から「野寄地区の土地が産業廃棄物の中間処理場のような使われ方がされており、うちの田んぼに水が来ない」と陳情がありました。
堀元市議は商工農政課に話を伝え、その後に農業従事者と共に現場を確認し、当該土地は田んぼではなく廃材置き場のようだったことを確認しています。
令和3年3月議会に、市全体の違法農地転用について質問し、市は8筆くらい把握していると答弁がありました。
裁判官は堀元市議に対し、「本件土地に関し、産業廃棄物が埋設されているんじゃないかという話は聞いたことがないか」と質問し、堀元市議は「農業振興地域なので、基本的に違法転用されることはない。その土地に埋まっている状態は奇異であり、田んぼでないところがあるのはおかしい。もしかしたら産業廃棄物が埋められているんじゃないかという噂は聞いていた」としました。

市担当課長は平成28年4月から現在まで都市整備課長。うち平成29年4月〜令和4年3月まで企業立地推進室長兼務でした。
原告代理人は乙4号証を示し、愛知県企業庁からいつ受領したか質問しましたが、担当課長はいつか覚えていないとしました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/iwakuraotsu4.pdf

原告代理人は担当課長に「乙4号証にあるB開発検討段階 が終わる時期はいつか」と聞くと、「平成31年2月まで」と述べました。
原告代理人は「平成31年2月までにやるべきこととして、『廃棄物の埋設、土壌汚染の確認』とあるが、本件土地1,2ではやっていないですね」と聞き、やっていないことを認めました。
平成31年1月24日に県企業庁に提出した産業廃棄物結果報告で、企業庁から「埋め立てし農地以外に利用されている駐車場や建物敷地については、実施していないため不明」との所見を加えるよう指示され、その後平成31年3月に本件事業地として決定がなされたことを認めました。
企業庁担当者から試掘調査をして欲しいと部下が言われたにもかかわらず、試掘調査はしなかった、契約前に試掘調査の申入れをしなかったことを認めました。
さらに、平成28年5月〜平成30年1月までの間に、「川井町・野寄町土地開発推進委員会合同会議」が開催され、その場で「不法転用やダンプの進入」が話題になったことも認めました。
にもかかわらず、市課長は「産業廃棄物が本件対象土地のどこかに不法投棄されている可能性」があるとは思わなかった、柵で囲って雑種地として例えば資材置き場などに使うためにダンプが来ているという認識だったとしました。
また、市課長は「産廃発覚後の令和2年2月〜3月、元地権者から『売買契約を破棄したい、土地を取り戻したい』と言われた。
市の顧問弁護士からは『土地売買契約の5割程度の負担を旧地権者に求めるべき』と言われたが、私が旧地権者と交渉し、『売買代金の1割負担』と言われたため、市としては旧地権者は売買代金の1割負担と決め、市の顧問弁護士には後で報告した」としました。
市課長は「旧地権者から訴訟が起こされたり、仮処分申請があった場合、事業が進捗できなくなる、頓挫するかもわからないと危惧した。
本件土地を除外した場合、採算性が失われて、隣接している土地も除外しなくてはいけない」と述べました。

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次回2024/2/19(月)午後2時半〜 岩倉市産廃処理費住民訴訟 弁論(名古屋地裁1102号法廷・公開)を行います。
ぜひ傍聴下さい。

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名古屋市民オンブズマン 岩倉産廃問題ページ
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/iwakura/

岩倉市産廃処理費用住民訴訟 23/11/30(木)13時半- 元市議と市課長尋問

23/10/23(月)に岩倉市産廃処理費用住民訴訟のWEB弁論準備(非公開)が行われました。

23/9/13WEB弁論準備に引き続き、人証申請に関して検討を行い、原告側証人として、本件をずっと追及してきた堀巌・元岩倉市議が、岩倉市側証人として、当時の市都市整備課長(企業立地推進室長兼務)がともに採用されました。

堀元市議は、「市は遅くとも平成29年3月には本件土地に産業廃棄物が不法投棄されていることを知り又は知りえたこと」などについて述べます。
市都市整備課長は、本件各合意の締結に至った経緯などについて述べます。

証人尋問は23/11/30(木)13時半- 名古屋地裁1102号法廷で行います。尋問の順番は、堀巌市議、市課長の順で行います。(トータル2時間半程度)
ぜひ傍聴下さい。

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23/7/26(水)岩倉市産廃処理費用住民訴訟 原告「試掘調査を行っていれば土地を除外できたはず」

23/7/26(水)に岩倉市産廃処理費用住民訴訟のWEB弁論準備(非公開)が行われました。


原告は以下述べました。

1.平成28年度には、岩倉市は農地では無く雑種地であることを把握していた。
2.平成30年2月に市が作成した試掘調査の結果報告書には、県企業庁との話し合いの結果「農地以外は不明瞭で今後調査が必要」と記載がある。
3.この時期に試掘調査を行っていれば、本件土地を開発区域から除外できたはず。
4.後日行われた試掘調査では地表まで廃棄物が混入していた。あえて売買契約締結が済むまで試掘調査をしなかった疑いすらある。
5.以上のように、岩倉市が調査義務を怠り自ら選択の範囲を狭めたことを考慮すべき

今後、原告は人証申請を検討する予定です。

次回は23/9/13(水)10時〜 WEB弁論準備(非公開)です。


岩倉市産廃処理問題 市と県企業庁との協議内容 非公開

岩倉市産廃処理費用住民訴訟の件で、名古屋市民オンブズマンが岩倉市と愛知県企業庁が、産廃処理費用をめぐって協議した内容を県企業庁に情報公開請求したところ、内容が一部非公開でした。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/230710-3.pdf


本件は、愛知県企業庁が岩倉市で造成中の工業団地の用地の買収の際、愛知県企業庁と地主との間で「地下に廃棄物があったときは、地主が責任を持って撤去する」との合意があったにも関わらず、岩倉市に処理費用1億1286万円の負担させたことを違法として、岩倉市民が岩倉市長と愛知県企業庁を訴える住民訴訟です。

開示された「会議状況報告書」によれば、岩倉市企業立地推進室と、愛知県企業庁工務調整課が、旧地権者から「金入り同意書」取得後に発見された産業廃棄物をどう処理するのか、費用をどうするのかを協議していることがわかります。
また、旧地権者から面会したいと連絡があったこと、その対応も協議されていました。

残念ながら、内容は非公開でした。
今後、住民訴訟の中で明らかにするかどうかを検討したいと思います。 
 
・全部開示
 岩倉市建設部土地整備課が平成28年12月5日から令和元年12月9日までに岩倉川井野寄地区工業団地造成に関して、産業廃棄物について県企業庁に報告・相談・協議した際の復命書、持参資料、面談した際の内容が分かるもの
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/230710-1.pdf
・全部開示
 岩倉市建設部土地整備課が令和元年12月10日から?令和3年3月12日までに岩倉川井野寄地区工業団地造成に関し、産業廃棄物について県企業庁に報告・相談・協議した際の復命書、持参資料、面談した際の内容が分かるもの
 ・令和元年12月17日付け会議状況報告書「岩倉川井野寄地区 第2回事業連絡調整会議について」
 ・令和2年1月16日付け会議状況報告書「岩倉川井野寄地区の埋文、廃棄物に関する調整会議について」
 ・令和3年2月2日付け会議状況報告書「岩倉川井野寄地区 産業廃棄物処理の経過報告について」
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/230710-2.pdf

・一部開示
 岩倉市建設部土地整備課が令和元年12月10日から?令和3年3月12日までに岩倉川井野寄地区工業団地造成に関し、産業廃棄物について県企業庁に報告・相談・協議した際の復命書、持参資料、面談した際の内容が分かるもの
 ・令和2年1月31日付け会議状況報告書「岩倉川井野寄地区の埋文、廃棄物に関する調整会議」
 ・令和2年3月2日付け会議状況報告書「岩倉川井野寄地区の廃棄物処理に係わる旧地権者交渉(速報)」
 ・令和2年6月3日付け会議状況報告書「岩倉川井野寄地区 廃棄物処理の旧地権者交渉について」
 ・令和2年6月18日付け会議状況報告書「岩倉川井野寄地区 第3回事業者連絡調整会議について」
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/230710-3.pdf

・全部開示
 岩倉市が令和元年12月10日、令和2年1月21日に岩倉川井野寄地区工業団地造成に関し、県企業庁に報告した「埋設確認調査結果」報告書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/230710-4.pdf

・不存在
 岩倉市建設部土地整備課が平成28年12月5日から令和元年12月9日までに岩倉川井野寄地区工業団地造成に関して、産業廃棄物について県企業庁に報告・相談・協議した際の復命書、持参資料、面談した際の内容が分かるもの
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/230609-0.pdf
 

23/5/22(月)岩倉市産廃処理費用住民訴訟 岩倉市「費用負担について企業庁と口頭で話し合い、市に記録がない」

23/5/22(月)に岩倉市産廃処理費用住民訴訟のWEB弁論準備(非公開)が行われました。




原告の、岩倉市に対する求釈明に対し、岩倉市はそれぞれ反論しました。


1 岩倉市は金入り同意書を地権者に提示する前に試掘調査が未了と県企業庁に伝えたか

・金入り同意書は2018/9/29、10/14、10/15、12/20に作成した。

・試掘調査は市が2016/12月、2018/2-3月に、県教育委員会が2017/10-11月に行った。

・調査結果は2018/2/26と、日時不明に県企業庁に送付または持参した。

 その後県企業庁との話の中で「産廃が混入・埋設している可能性は低いが駐車場や建物敷地については不明瞭」と所見を加えることになった。

 2019/1/24に「農地に産廃が混入・埋設している可能性はないと判断される。しかし駐車場や建物敷地については、実施していないため不明」と所見を加えることになった。

・「本件土地1、2の試掘調査が未了と県企業庁に伝えた」事実はない。ただし、上記所見を見れば試掘調査がなされていないことは分かる。


2 試掘調査が未了であることを企業庁に市が伝えたのはいつか

・上記のとおり

・市は県企業庁への報告を電話または面談にて行っており、具体的時期について記録なし

・県企業庁から市に特に指示はなかった


3 金入り同意書を地権者に提示する前に、産廃が埋設されている可能性を岩倉市は認識していたか

・川井町、野寄町の両土地開発推進委員会においても、産廃が埋められている可能性について指摘がなかった

・確約書取得の際、市が産廃の有無を確認しているが、旧土地所有者はいずれもないと回答

・市としては産廃が埋設されている可能性は極めて低いという認識

・2019/11/6、11/13、12/16に市が試掘調査に着手し、産廃が発見されるまで認識に変更はない


4 市が県企業庁に産廃が埋設されている可能性を伝えたのはいつか

・19/12/10、20/1/21に県企業庁に報告した

・県企業庁から20/3/13に「岩倉川井野寄地区の廃棄物の処理について(通知)」が交付された


5 2019年11月-12月 市の試掘調査の実施及び時期はいつ決定したか

・市の予算が確保されていなかった

・近隣で公共工事を行っていた業者に対し、公示の合間に掘削するよう依頼した

・実施の決定及び具体的な依頼時期について記録は残っていない。

・業者に対し市から掘削の時期の指定をしていない

・愛知県企業庁は、何らの関与をしていない


6 岩倉市は県企業庁に対し、費用負担に関する土地所有者の主張をいつどのように報告したか

・口頭で報告したため、誰がいつ報告したか、具体的な内容について岩倉市に記録がない

・愛知県企業庁職員の誰が対応していたかは岩倉市に記録がない


次回までに、原告側は岩倉市主張に対して反論する予定です。

次回は23/7/26(水)13時半〜ウェブ弁論(非公開)です。



23/2/27(月)岩倉市産廃処理費用住民訴訟 岩倉市「売買代金を決めたのは愛知県」

23/2/27(月)に岩倉市産廃処理費用住民訴訟のWEB弁論準備(非公開)が行われました。


被告岩倉市代理人弁護士は、「当該土地を購入したのは愛知県であり、売買価格の決定は愛知県が行った。『不当な売買価格』であったか否かは不知。」と書面で主張しました。

原告名古屋市民オンブズマンの弁護士は「埋設物の調査義務を負っているのは県なのか市なのか。価格形成の決定について、市はどの程度関与しているのか。形式的答弁ではなく、求釈明で県とつきあわせをしたい」と述べ、原告が求釈明を提出することになりました。

次回は23/5/22(月)10時半-Web弁論準備(非公開)です。


22/12/14(水)岩倉市産廃処理費用住民訴訟 原告「極めて高額な『金入り』同意書を上限として処理費用を交渉した」

22/12/14(水)に岩倉市産廃処理費用住民訴訟のWEB弁論準備(非公開)が行われました。

被告岩倉市は前回のWEB弁論準備で「@本件各合意時には廃棄物が埋設されていると情報を収集されていたため、各合意について調査義務違反はない。
各合意を締結しない場合は
A事業延期により税収が減少する B事業が頓挫した可能性
を考慮すれば、各合意締結における裁量判断は合理的」と主張しました。

原告である名古屋市民オンブズマンの弁護士は、以下主張しました。
@について「本件各合意(2021年)は、売買交渉を経て決定(2019年)された売買代金を基礎として、その何割かを廃棄物処理費用として負担させるという過程を経て決定した。
岩倉市は『金入り』同意書を2018年8月-12月に地権者に提示したが、市は廃棄物調査をしていない。市が提示した売買価格それ自体極めて高額と言わざるを得ない。
にもかかわらず、市は本件各合意に向けた廃棄物処理費用の負担額の交渉に際し、明らかに不相当な本件各土地の売買価格を基礎として、処理費用の負担額として売買価格を上限とした交渉を地権者と行った。
市は売買価格が不当に高額なものであることを前提とした交渉を行った形跡はないため、市に調査義務違反に起因する裁量違反があることは明らかである」。
Aについて「仮に本件事業が延期されたとしても、事業計画年度に想定した税収は後の年度に持ち越されるだけ」「加えて岩倉市は地方交付税の交付団体であり、市税収入が増えれば地方交付税が減額される仕組みになっている」
Bについて「2020年5月から造成工事が粛々と始まっていたから、廃棄物処理費用の負担割合についての紛争が未解決だからといって、立地企業内定通知以後の一連の手続を停止させる必然性は全くない。
仮に、地主らが売買契約の無効あるいは取消を主張する危険性があったというのであれば、岩倉市において一旦廃棄物処理費用全額を負担して廃棄物の撤去を行ったうえで、岩倉市の負担額のうち、相当な金額を地主らに請求すれば足りる。」

また、被告補助参加人の愛知県は、「愛西佐織地区内陸用地造成事業の事案は、原告主張の通り産廃処理費用『全額』を旧地権者が負担したが、処理費用額は企業庁に売り渡した土地の売渡金額合計の約10%に相当する。岩倉市の事案も、旧地権者の各売渡金額の10%を負担させて調整した事案」と主張しました。

次回までに岩倉市は原告主張に反論する予定です。
次回は23/2/27(月)10時-Web弁論準備(非公開)です。

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時系列を整理します。

2015年 岩倉市担当者が県企業庁と担当者と相談
    岩倉市議会の全員協議会で説明
    ★本件土地に土砂が山積みされ、プレハブの建物やコンテナで囲われていた
2016年 川井町土地開発推進委員会と野寄町土地開発推進委員会を組織
    本件土地は雑種地であることが判明
2016年-2018年 別の地点で試掘調査が行われたが、本件土地は試掘調査が行われなかった 
2018年 本件土地所有者が「廃棄物がある場合、又は愛知県に売り渡した後に廃棄物が発見された場合には、自費で、かつ責任を持って撤去します」確約書に署名・押印
 8月-12月『金入り』同意書を地権者に提示
2019年 愛知県と岩倉市が開発基本協定締結
    本件土地売買契約
    産廃が地中に存在することが判明
2021年 産廃処理契約を業者と締結(1億1286万円)
    旧所有者が合計171万7870円負担する合意を締結     

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22/10/17(月)岩倉市産廃処理費用住民訴訟 市「2021年には市は土地に産廃が埋設されているという情報は収集していた」

22/10/17(月)に岩倉市産廃処理費用住民訴訟のWEB弁論準備(非公開)が行われました。

原告は前回のWEB弁論準備で「2016年には市は地下に産廃が埋められている可能性が高いと認識し得た」と主張し、市が調査義務とつくさないまま、産業廃棄物の処理費用1億1286万円を負担したのは、市長の裁量を逸脱した判断だ、と主張しました。

市代理人は、「原告が具体的に主張する『調査義務違反』は、本件各土地について『売買契約(2019年)前に試掘調査を行』わなかったことであり、その正当性については既述のとおりであるが、その点を措くとしても、本件各合意書締結時(2021年)には、既に岩倉市において、本件各土地に産業廃棄物が埋設されている、という情報は収集されていたから、調査不足のゆえに、本件各合意書締結を基礎づける事実が不足する、という関係にはない。」(括弧内原告)と主張しました。
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時系列を整理します。

2015年 岩倉市担当者が県企業庁と担当者と相談
    岩倉市議会の全員協議会で説明
    ★本件土地に土砂が山積みされ、プレハブの建物やコンテナで囲われていた
2016年 川井町土地開発推進委員会と野寄町土地開発推進委員会を組織
    本件土地は雑種地であることが判明
2016年-2018年 別の地点で試掘調査が行われたが、本件土地は試掘調査が行われなかった 
2018年 本件土地所有者が「廃棄物がある場合、又は愛知県に売り渡した後に廃棄物が発見された場合には、自費で、かつ責任を持って撤去します」確約書に署名・押印
2019年 愛知県と岩倉市が開発基本協定締結
    本件土地売買契約
    産廃が地中に存在することが判明
2021年 産廃処理契約を業者と締結(1億1286万円)
    旧所有者が合計171万7870円負担する合意を締結     

市が主張する「本件各合意書締結時(2021年)には産廃があることは分かっていた」というのは当たり前です。
少なくとも2015年時点で、現場に行けばすぐ分かる、産廃の可能性について、どうして調査をしなかったのか、市の主張では理解できません。

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次回は22/12/14(水)10時-Web弁論準備(非公開)です。

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22/7/6(水)岩倉市産廃処理費用住民訴訟 原告 「2016年には 市は地下に産廃が埋められている可能性が高いと認識し得た」

22/7/6(水)に岩倉市産廃処理費用住民訴訟がWEB会議で行われました。

原告は「2016年には市は地下に産廃が埋められている可能性が高いと認識し得た」と主張し、市が調査義務とつくさないまま、産業廃棄物の処理費用1億1286万円を負担したのは、市長の裁量を逸脱した判断だ、と主張しました。

この主張は、和解に至る経過において、市の側に調査義務違反があった場合に和解での市の裁量権が小さくなる、という考え方を基本としたものです。
また、企業庁の造成工事で産業廃棄物が発見された場合の県内の他の自治体の事例等も証拠として提出し岩倉市の事例が行政実例にも反する旨の主張もしました。

一方、岩倉市は処理費用を負担した理由として『開発が遅れた場合、1年延期したら約1億円の税収を失う』ことから、地主と粘り強い交渉ができなかったのだ、と主張していますが、裁判所は岩倉市側に、次回までにその客観的な証拠を提出することを求めました。

次回は22/10/17(月)13時15分-Web弁論準備(非公開)です。

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22/4/27(水)岩倉市産廃処理費用住民訴訟 県企業庁「一枚の確約書をもとにした冷徹な権利行使は、本事業の趣旨や目的を大きく損なう」

22/4/27(水)に、名古屋地裁で岩倉市産廃処理費用に関する住民訴訟のWEB弁論準備手続きが非公開で行われました。

本件は、岩倉市で愛知県企業庁が造成中の工業団地の用地の買収の際、愛知県企業庁と地主との間で「地下に廃棄物があったときは、地主が責任を持って撤去する」との合意があったにも関わらず、岩倉市に処理費用1億1286万円の負担させたことを違法として岩倉市長と愛知県企業庁を訴えた住民訴訟です。
被告岩倉市と被告補助参加人愛知県企業庁はそれぞれ準備書面2を提出しました。

岩倉市:旧土地所有者から「売買契約を破棄し、土地を返して欲しい」と主張されていた。
 その後旧土地所有者は同売買代金の1割ではあるが負担すると一定の譲歩を示した。
 監査結果で記載がある、愛知県企業庁企業立地部公務調整課が監査委員に対して述べたという「仮に今回廃棄物が発見された土地の旧所有者と処理費用を負担させるように交渉を今後1年間継続した場合については、県は現在契約中の造成工事をその間中止する」について、愛知県企業庁が岩倉市に対して
 このような考え方を示したことはなかった。
 しかしながら岩倉市は、愛知県企業庁がそのような考えをもつであろうと考え、これを含め本件事業が遅延するとの判断をなした。
 
愛知県企業庁:地権者の個人責任は例外的補完的なもの。
地権者の個人責任追及について、特段の事情を斟酌してその可否・程度を判断するのは岩倉市であり、その裁量的行為。
 自治体の地域開発行為について地権者が協力し売買に同意したのに、一枚の確約書をもって民法法理ないし個人責任原理の名のもとに、一地権者の予想をはるかに超える多額の廃棄物処理費用の賠償支払責任を課したり、あるいは、売買代金相当額を賠償額とし事実上無償で強制収用するような処理方法や
 結果を当然とする考え方及びその冷徹な権利行使は、本事業の趣旨や目的を大きく損なうものと思料する。
 「仮に今回廃棄物が発見された土地の旧所有者と処理費用を負担させるように交渉を令和2年12月以降さらに1年間継続した場合について、造成行為を中止することによって(仮に中止することになったら)、愛知県企業庁における本事業の収支見通しはどのようになるか」という監査委員からの仮定質問に答えたもの。「造成工事を中止する」と自ら示したものではないし、県企業庁が岩倉市に「工事中止」を伝達したこともない。

次回までに原告は被告岩倉市と被告補助参加人愛知県企業庁に対して反論を行います。

次回は22/7/6(水)午前11時30分-Web弁論準備(非公開)です。

なお、名古屋市民オンブズマンは本訴訟を支援しています。

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22/3/7(月)岩倉市産廃処理費用住民訴訟 WEB弁論準備手続き 

22/3/7(月)に、名古屋地裁で岩倉市産廃処理費用に関する住民訴訟のWEB弁論準備手続きが非公開で行われました。

本件は、岩倉市で愛知県企業庁が造成中の工業団地の用地の買収の際、愛知県企業庁と地主との間で「地下に廃棄物があったときは、地主が責任を持って撤去する」との合意があったにも関わらず、岩倉市に処理費用11286万円の負担させたことを違法として岩倉市長と愛知県企業庁を訴えた住民訴訟です。

前段階の住民監査請求では、岩倉市監査委員は、旧所有者から市に支払われた1,717,870円と処理費用112,860,000円の差額111,142,130円を市長に請求せよ、市長は上記措置を講じないときは、債権放棄について議会の議決を経よという勧告を出しました。

・令和3年度(令和368日付け)岩倉市職員措置請求の監査結果(令和386日公表)

 https://www.city.iwakura.aichi.jp/cmsfiles/contents/0000002/2384/R3.6.8jyuuminkansa.pdf

市議会は21/9/24111,142,130円の債権放棄の議決を行いました。

・令和3年度(令和368日付け)岩倉市職員措置請求の措置状況

 https://www.city.iwakura.aichi.jp/cmsfiles/contents/0000002/2384/R3.6.8kansasoti.pdf

被告岩倉市と被告補助参加人愛知県企業庁はそれぞれ準備書面1を提出し、原告は反論の準備書面1を提出しました。

岩倉市と愛知県企業庁が、次回、これに対する反論の書面を書くことになりました。

また、原告が岩倉市と愛知県に対して愛知県企業庁は交渉継続期間に造成工事を中止することを伝えたか否か、その根拠を明らかにせよ、と求めた点に対して裁判所も同様の意見で、次回までにこの点を明らかにするよう愛知県企業庁と岩倉市に求めました。

次回は22/4/27(水)午前11時30分?Web弁論準備(非公開)です。

なお、名古屋市民オンブズマンは本訴訟を支援しています。

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