情報公開条例


ついに公開!名古屋市職員「WEBアクセスログ」は370日保存

●あなたの個人情報が“探られて”いる証拠が『不存在』
あなたの名前が、市役所のパソコンで“こっそり検索”されているかもしれない──
名古屋市で起きた驚くべき事件。それは、市職員が情報公開請求者の氏名をネットで検索し、職場まで突き止めようとしていたというものです。


情報公開制度は、市民の「知る権利」を支える土台。しかしその制度の根幹が、今まさに脅かされています。
氏名や所属を勝手に調べられれば、請求者は報復や不利益を恐れ、制度を使えなくなるかもしれません――。

名古屋市民オンブズマンは、ついにアクセスログ保存の仕組みを解明し、一端を入手することができました!

●情報公開請求での市の対応と矛盾
名古屋市前市政情報室長が、情報公開請求者の氏名を探っていた時期である「2023年4月1日〜2024年3月31日の職員がいつ・どのサイトを見たか記録されている“アクセスログ”(電磁的記録)」を名古屋市民オンブズマンが2025年5月19日に情報公開請求したところ、「不存在」と回答がきました。

前市政室長は2024年3月31日に異動になっています。
後任の人も、もしかしたら同様に情報公開請求者の氏名を探っていた可能性があるとして、2024年4月1日〜2025年3月31日の「アクセスログ」を情報公開請求しました。
担当課からは「情報公開請求には応じられないが、保存期間の設定画面や抽出したアクセスログを情報提供できる」と連絡がありました。

●アクセスログは370日保存
上記を踏まえ、市から情報提供してもらって情報公開請求は取り下げました。
以下が情報提供の抜粋です。

2 名古屋市情報セキュリティ管理基準の抜粋
8 技術的情報保護対策【市対策基準9関係】
(1) 情報システム及びネットワークの管理
ア ログの取得等
・市対策基準9(1)エ(ア)における「ログ」は、原則として1年以上保管することが望ましいが、情報システムが遵守すべき法令等によって保管期間が定められている場合もあるため、関係法令等を確認の上、決定する必要がある。

ログ取得ソフトウェアのシステム設定画面の写し
※ログを370 日(1年以上)保存する設定を行っております。

●「名古屋市民オンブズマン」WEBページ閲覧判明
また、今回の「WEBアクセスログ」で判明した検索キーワードを見る限り、特段の変わったことはありませんでした
(大学の先生の名前や、判例を検索しているのが多かった)。
なお、「名古屋市民オンブズマン」WEBページを閲覧していることも判明しました。役所の方はぜひWEBページ記載内容を参考にしてください。

●ログ保存の重要性とは
名古屋市は事件を受け、「再発防止に取り組む」としています。
しかしながら、本件は単なる「個人情報漏洩事件」ではありません。
情報公開請求の身元を調査すると、制度が壊死してしまいます。
少なくとも職場のPCから情報公開請求者の氏名を調査していないか、「WEBアクセスログ」を市民が定期的に情報公開請求していれば、「情報公開請求者を探ろう」とする気にはならないのではないでしょうか。

また、公的機関の「WEBアクセスログ」の情報公開請求は「身元調査」を未然に防ぐだけではありません。
2016年6月3日、福井県池田町議会事務局長のパソコンが業務と関係ないサイトを閲覧して乗っ取られ、遠隔操作によりデータが流出した事件がありました。
(福井県池田町には当時情報公開条例が不存在だったため情報公開請求できず詳細不明)

2025年6月18日に、名古屋大学は「人文学研究科教員がサポート詐欺に遭い、当該教員のパソコンが第三者による不正アクセスを受ける事案が発生した」旨発表しました。
現時点ではどのようなWEBサイトを閲覧していたか判明していませんが、職務と関係ないサイトを閲覧して乗っ取られたのであれば大問題です。

いうまでもありませんが、公的機関のパソコンでは、職務に関係のないサイトを見てはいけません。
定期的にアクセスログを情報公開請求することで、これらを未然に防ぐことができるのではないでしょうか。

●情報公開請求で制度を守る
市民オンブズマンは、誰でも使える「情報公開請求」という権利で行政をチェックしています。
誰でも行政チェックは可能なのです。
・名古屋市は電子申請でも情報公開請求できます
 https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/55-2-7-0-0-0-0-0-0-0.html
・このように書けば誰でも請求できます
 例)〇年〇月日〜〇月〇日の○○のWEBアクセスログ
・職場PCのWEBログを、年に1回は市民が請求することが、最大の抑止力です
それが、“行政を変える第一歩”になるかもしれません

「情報公開請求なんて、『行政に弓引く』みたいで、、、」と躊躇していませんか?
名古屋市民オンブズマンは、市民の当然の権利である、情報公開請求を気軽にできるようにするための活動を続けています。

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●カンパのお願い(市民の力で継続的に監視を)

「制度を壊す行政を、見過ごさない。制度を守る市民の力を、絶やさない。」
このまま“行政の勝手な秘密主義”を放置しておけば、市民の知る権利はますます形骸化していきます。
名古屋市民オンブズマンの活動は、あなたの一歩で動き続けます。
皆様方のカンパが頼りです。以下リンクからカンパのご協力をお願いいたします。
なお、このままですと、来年以降も現在の事務局職員体制を維持することは困難となります
https://readyfor.jp/projects/ombuds2025
http://www.jkcc.gr.jp/profile/01_09.html
http://www.ombnagoya.gr.jp/kannpa.htm

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2025年06月18日 名古屋大学
個人情報漏えいの可能性について
https://www.nagoya-u.ac.jp/info/press/post_483.html

情報公開請求者を探った名古屋市前市政情報室長らのアクセスログは『不存在』

●あなたの個人情報が“探られて”いるかも
あなたの個人情報、知らぬ間に行政に“探られて”いるかもしれない――

名古屋市で起きた前代未聞の事件。それは、情報公開請求者の氏名を、市の職員がネットで検索し、職場まで特定しようとしたというものです。
情報公開制度は、市民の「知る権利」を支える土台。しかしその制度の根幹が、今まさに脅かされています。


氏名や所属を勝手に調べられれば、請求者は報復や不利益を恐れ、制度を使えなくなるかもしれません――。

しかもこの事件、証拠となるはずの「アクセスログ」は“存在しない”とされているのです。なぜなのか?本当に残っていなかったのか?

名古屋市民オンブズマンは、この問題にどう立ち向かったのか――

●役所には『アクセスログ』は本来あるはず
本件で、名古屋市前市政情報室長は「情報公開請求者の氏名をネットで調べて職場を探索した」とのこと。

実は、役所は各職員のPCから外部サイトを閲覧した履歴である『アクセスログ』を記録して一定期間保存しています。
名古屋市民オンブズマンは、かつて職務に関係ないサイト閲覧し残業代を請求して懲戒処分となった名市大職員の2022年のアクセスログを開示請求して「日時」「パス / URL」「タイトル」を入手しました。
また、2015年にも名古屋市立中学校の管理職のWEBアクセスログを開示請求して入手し、職務に全く関係がないサイトを閲覧していたことを確認しています。

●なのに、今回「不存在」
本件を受けて、名古屋市民オンブズマンは、「名古屋市スポーツ市民局市民生活部市政情報室長(当時)、消費生活課長(当時)の令和5年4月1日〜令和6年3月31日のWEBサイトアクセスログ(※職員PCでどのサイトをいつ見たかを記録したもの。電磁的記録)」を2025年5月19日に情報公開請求しました。
しかしながら、2025年5月23日に「対象期間のWEBサイトアクセスログが不存在であるため、非公開とします」と非公開決定が出ました。

名古屋市は「再発防止」と口にしながら、事実確認に不可欠な「アクセスログ」は存在しないと回答。
過去には同じようなアクセスログを開示していたのに、今回は“ない”と言う。これを偶然と受け取ってよいのでしょうか?

●名古屋市民オンブズマンの調査と対応
税金の無駄遣いを追及し、情報公開の徹底を求める名古屋市民オンブズマンは、本件に対し、個人情報保護審議会の傍聴をするとともに、「幹部会での市長発言メモ」「懲戒処分取扱方針」「苦情申立書」「審議会での局長・部長挨拶」を情報公開請求して入手してきました。
情報公開によって、当時の市幹部の説明内容や、懲戒処分の基準などが明らかになりました。

●再発防止にはログの保存が不可欠
名古屋市は事件を受け、「再発防止に取り組む」としています。
しかしながら、本件は単なる「個人情報漏洩事件」ではありません。
情報公開請求の身元を調査すると、制度が壊死してしまいます。
少なくとも職場のPCから情報公開請求者の氏名を調査していないか、市民がチェックできるように、『アクセスログ』を長期保存すべきです。

●情報公開は市民の権利
市民オンブズマンは、誰でも持っている権利を利用して、主権者として行政をチェックしています。
誰でも行政チェックは可能なのです。
あなたも思いついたら一度情報公開請求してみませんか?
それが、“行政を変える第一歩”になるかもしれません

「情報公開請求なんて、『行政に弓引く』みたいで、、、」と躊躇していませんか?
名古屋市民オンブズマンは、市民の当然の権利である、情報公開請求を気軽にできるようにするための活動を続けています。

参考
・令和7年5月23日 行政文書非公開決定通知書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/250523.pdf

・2023年 02月 06日 市民オンブズマン事務局日誌
 職務に関係ないサイト閲覧で懲戒処分を受けた名市大職員の「WEBアクセスログ」開示
 https://ombuds.exblog.jp/29491485/

・令和7年4月17日 名古屋市
 職員による違法行為について
 https://www.city.nagoya.jp/sportsshimin/cmsfiles/contents/0000185/185785/250417.pdf

・名古屋市 情報公開窓口
 https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/55-2-7-0-0-0-0-0-0-0.html
 
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●カンパのお願い:市民の手で情報公開を守るために
「制度を壊す行政を、見過ごさない。制度を守る市民の力を、絶やさない。」
このまま“行政の勝手な秘密主義”を放置しておけば、市民の知る権利はますます形骸化していきます。
名古屋市民オンブズマンの活動は、あなたの一歩で動き続けます。
皆様方のカンパが頼りです。以下リンクからカンパのご協力をお願いいたします。
なお、このままですと、来年以降も現在の事務局職員体制を維持することは困難となります
https://readyfor.jp/projects/ombuds2025
http://www.jkcc.gr.jp/profile/01_09.html
http://www.ombnagoya.gr.jp/kannpa.htm


傍聴者を退席させた名古屋市個人情報保護審議会局長挨拶 「不祥事に謝罪」音声開示

「あなたの個人情報、知らぬ間に行政に“探られて”いるかもしれない――」
名古屋市前市政情報室長による前代未聞の情報漏洩事件。その謝罪の場すら市民から隠された。


「名古屋市の情報公開への姿勢」を象徴するやり取りに対し、税金の無駄遣いを追及し、情報公開の徹底を求める名古屋市民オンブズマンはどう対応したのでしょうか。

●抗議!局長謝罪は“非公開”
上記不祥事に対し、市個人情報保護審議会で話題になるのではないかと考え、名古屋市民オンブズマンは2025年4月28日に開催された同審議会を傍聴しようとしました。

しかしながら、「委員長の選出がある」という理由で退席を促され退席したところ、審議会開催されていた部屋から、スポーツ市民局長が出てくるところを目撃しました。
局長挨拶が傍聴できなかったとして猛烈に抗議したところ、市は当初は「挨拶は議題になかったので、慣例により傍聴させていない」と発言。

●情報公開条例違反?“審議会は原則公開”
名古屋市民オンブズマンは「市情報公開条例36条で『審議会は原則公開。非公開にするには審議会で非公開と決める必要がある』となっている」としたところ、市は「今後は運用を見直す必要があるのかなと思う」としました。

●音声開示で分かった“本当の謝罪”
その後名古屋市民オンブズマンは、局長挨拶部分の音声の情報公開請求をしたところ、全部開示されました。
実際の音声を文字起こしすると、以下のような謝罪がなされていました。

鳥羽義人スポーツ市民局長:まずですね、最初に申し上げなければいけないことがございまして、先日報道等で発表されましたが、スポーツ市民局の市政情報、当時室長、の立場にある職員がですね請求される方の個人情報等を、人物像等を探ろうとする意図で個人情報をですね、漏洩を含めまして、不祥事が起きたという、そういったことがございました。こういった個人情報の保護等を所管するスポーツ市民局でありながらこういった不祥事を起こしてしまったということを深く反省しておりますし、また
こういうことが2度と起こらないようなですね全市を挙げて、個人情報の保護に努めてまいりたいと思っておりますので、どうかご理解を賜りますようお願い申し上げます。

●情報公開審査会挨拶(傍聴不可)も開示
なお、2025年4月21日に開催された情報公開審査会での南出清志市民生活部長の挨拶部分(傍聴不可)も開示されました
南出清志市民生活部長:なお先日報道がありました通り、前市政情報室長らによる違法行為があったことにつきましては、大変遺憾と思うとともに、誠に申し訳ないと思っております。
本件については個人情報保護制度を所管し、情報を適切に管理する立場の市政情報課で発生した事案であり、この点について大変重く受け止めております。2度とこのような事件が起こらないよう、今一度個人情報の取り扱いの周知徹底を図るとともに、2度とこのようなことを起こさないように職員一同頑張って参りたいと考えております。
今後ともご指導ご鞭撻を賜り、本市の情報公開制度について様々な視点からお力添えをいただいますようお願い申し上げます。

●「音声を開示」すればよいのか
これは単なる“謝罪の録音”の話ではありません。
制度そのものが壊されています。市民が知るべき情報を、市が組織的に閉ざしていることこそが問題なのです。

情報公開請求し、局長・部長挨拶が開示されたのは一歩前進です。
しかしながら、情報公開請求者を探ろうとすること自体、情報公開制度を壊死させることにつながります。
わざわざ平日昼間に審議会傍聴する人はほぼいません。
名古屋市がホームページ上で公開している〈開催結果〉には審議の概要しか記載されていません。
傍聴が可能な審議会を広くネット中継したり、議事録を全てネット公開するなど、真の意味での情報公開が求められているのではないでしょうか。

●名古屋市民オンブズマンは引き続き追及します
情報公開制度の壊死につながる今回の問題を引き続き追及します。詳細が決まり次第お伝えいたします。

参考
・25/4/28 令和7年度第1回名古屋市個人情報保護審議会〈開催結果〉
 https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigikekka_2025_1/sportsshimin/0000186219.html
・25/4/28 名古屋市個人情報保護審議会 スポーツ市民局長挨拶(文字起こし)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/250519-13.pdf
・25/4/21 第232回名古屋市情報公開審査会〈開催結果〉
 https://www.city.nagoya.jp/templates/kaigikekka_2025_1/sportsshimin/0000186215.html
・25/4/21 名古屋市情報公開審査会 市民生活部長挨拶(文字起こし)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/250519-12.pdf
 
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●カンパのお願い:市民の手で情報公開を守るために
「制度を壊す行政を、見過ごさない。制度を守る市民の力を、絶やさない。」
名古屋市民オンブズマンの活動は、あなたの一歩で動き続けます。
皆様方のカンパが頼りです。以下リンクからカンパのご協力をお願いいたします。
なお、このままですと、来年以降も現在の事務局職員体制を維持することは困難となります
https://readyfor.jp/projects/ombuds2025
http://www.jkcc.gr.jp/profile/01_09.html
http://www.ombnagoya.gr.jp/kannpa.htm


25/5/19(月)名古屋市個人情報保護審議会小委員会 傍聴者はタブレットで資料閲覧

25/5/19(月)に開かれた名古屋市個人情報保護審議会小委員会を傍聴しに行きました。
先日25/4/28の個人情報保護審議会は傍聴者に説明もなく、冒頭のあいさつ部分の傍聴ができず猛抗議しました。
今回は冒頭の委員・職員あいさつから公開されただけでなく、なぜか配布資料は紙ではなくタブレットで閲覧できました。
資料を持ち帰れないと思ったら、「希望すればメールで資料を送ります」といわれ、実際に翌日メールで資料が届きました。
非公開議題は傍聴できませんでした。


・25/5/19(月)名古屋市個人情報保護審議会小委員会レジュメ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/250519-0.pdf
・名古屋市個人情報保護審議会事務局等 担当者一覧
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/250519-1.pdf
・敬老パス 特定個人情報保護評価書(全項目評価書)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/250519-2.pdf
・保護評価書チェックシート(敬老パスの交付又は利用に関する事務)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/250519-3.pdf
・(情報連携基盤システム関係分)特定個人情報保護評価書(全項目評価書)(4.0.4版)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/250519-4.pdf
・(電子申請システム関係分)特定個人情報保護評価書(全項目評価書)(1.0.3版)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/250519-5.pdf
・事務連絡(特定個人情報保護評価書記載例の情報提供)_市区町村等
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/250519-6.pdf
・別紙2_特定個人情報保護評価書(全項目評価書)記載例見え消し版
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/250519-7.pdf

・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/250519.pdf

25/3/31に、「名古屋市行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行条例の一部を改正する条例」が公布されました。
https://www.city.nagoya.jp/koho/cmsfiles/0000001/1012/1012.pdf

新たに独自利用することになった敬老パスに関し、特定個人情報保護評価書で評価する、というものです。
小委員会の結論としては「適正」としました。

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以下感想

過去、いろんな有識者の審議会等を傍聴しましたが、タブレットで資料を閲覧したのは初めてです。
事務局としても、何人傍聴に来るかわからないのに大量に資料(今回で122枚)を印刷しておくのは手間とコストがかかると思います。
傍聴者としても、紙よりデータの方がその後扱いやすいです。
ここまでできるのであれば、市のホームページですぐにデータをアップした方がよいとも思います。


名古屋市室長が情報公開請求者を違法に探った件 苦情申立書は内容非公開

あなたが市役所に情報公開請求を出した。すると、あなたの名前や所属が、こっそり職員に探られていた??。
こんなことが実際に名古屋市で起きました。
これは、行政があなたを監視する側に回った瞬間です。情報公開制度の根幹が揺らいでいます。

しかも、情報公開請求者が市に提出した「苦情申立書」は内容が全面非公開でした。


名古屋市が情報公開請求者の身元を違法に探って「情報公開請求制度を壊死させる」行為を行っていた件で、当該情報公開請求者が名古屋市に提出した「苦情申立書」と回答を情報公開請求したところ、苦情申立書の内容は全面非公開でした。回答は一部非公開でした。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/250508.pdf

名古屋市の非公開理由は「申立ての内容は、特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、申立人の権利利益を害するおそれがあるため」情報公開条例第7条第1項第1号に該当するとありました。
https://www.city.nagoya.jp/sportsshimin/page/0000001423.html

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以下感想

名古屋市は、「再発防止に努めていきたい」と述べたとされています。
(25/4/18毎日新聞)

どのような再発防止策を取ったのか、あらためて名古屋市に問い合わせをしたいと思います。


名古屋市室長が情報公開請求者を違法に探ったのは「懲戒処分取扱方針」では懲戒処分に当たるのでは

あなたが市役所に情報公開請求を出した。すると、あなたの名前や所属が、こっそり職員に探られていた??。
こんなことが実際に名古屋市で起きました。
これは、行政があなたを監視する側に回った瞬間です。情報公開制度の根幹が揺らいでいます。

しかも、発覚しても職員は「懲戒処分」になりませんでした。

読売新聞の25/4/17のスクープで、名古屋市が情報公開請求者の身元を違法に探って「情報公開請求制度を壊死させる」行為を行っていたことが判明しました。
https://www.yomiuri.co.jp/local/chubu/news/20250417-OYTNT50000/

名古屋市は、市政情報室長について「個人情報の保護に関する法律第67条及び第69条第1項並びに地方公務員法第34条第1項に抵触」と認めています。
消費生活課長について「個人情報の保護に関する法律第64条及び第67条並びに地方公務員法第34条第1項に抵触」と認めています。
しかしながら「所属長厳重注意」(懲戒処分未満)にとどまっています。
https://www.city.nagoya.jp/sportsshimin/cmsfiles/contents/0000185/185785/250417.pdf

これは単なる規則違反ではなく、市民の「知る権利」を委縮させる重大な人権侵害です。

そこで私たち名古屋市民オンブズマンは「懲戒処分の取扱方針」がどのようになっているのかを情報公開請求で調べました。
残念ながら「職員に対する措置(懲戒処分未満のもの)の量定の基準は「不存在」となりました。
※以下のリンクは、私たちが入手した「懲戒処分の取扱方針」の全文です。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/250502-1.pdf

今回開示された「懲戒処分の取扱方針」(令和5年12月1日施行のもの)では以下になっています。
つまり、名古屋市が自ら定めた処分方針に照らしても、今回のケースは明らかに処分対象になり得るはずなのです。
名古屋市は今回の件を自らは公にせず、2人の処分について「懲戒処分ではなかったことも含め、総合的に判断した」(25/4/18 毎日新聞)と説明していますが、市の懲戒処分取扱方針に照らしても、これは看過できる問題ではありません。

市政情報室長及び消費生活課長の行動が、下記に当たるのではないか、どうして懲戒処分にならないのか大変疑問です。

今回の行為が該当しうる処分基準は以下の通りです。
・「懲戒処分の取扱方針」(令和5年12月1日施行のもの)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/250502-1.pdf
(8)秘密漏えい
ア 職務上知ることのできた秘密を故意に漏らした職員は、減給又は戒告とする。
イ 職務上知ることのできた秘密を故意に漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせた職員は、免職又は停職とする。この場合において、自己又は第三者の利益に供するために不当な目的で秘密を洩らした職員は、免職とする。
(10)個人情報の不正使用
職務上知ることのできた個人情報を自己又は第三者の利益に供するために不当な目的に使用した職員は、免職、停職又は減給とする。
(11)個人の秘密情報の目的外収集
その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集した職員は、減給又は戒告とする。
(12)コンピュータの職務目的外使用
職場のコンピュータを職務外の目的で使用し、公務の運営に支障を生じさせた職員は、停職、減給又は戒告とする。

本来は懲戒処分にあたるものを「所属長厳重注意」(懲戒処分未満)にとどめたというのは、広沢一郎市長以下、問題を矮小化させようとしているようにしか見えません。

この問題を風化させないために、市民一人ひとりの関心が不可欠です。
ぜひ名古屋市の対応を注視し、声を上げてください。
名古屋市議会は25/5/20-22に臨時会が行われますので、そこでどのような議論になるのか注目してみましょう。
情報公開制度を守るために、市や市議に意見を送ったり、オンブズマンの取り組みに注目してください。

名古屋市民オンブズマンは、引き続きこの問題を追及します。


名古屋市 25/4/21幹部会で「市長発言メモ」を作成していたことが判明

名古屋市が情報公開請求者の身元を違法に探っていた件で、名古屋市民オンブズマンが「25/4/21に広沢市長が個人情報保護について幹部会で話したメモ」を情報公開請求したところ、開示されました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/250501-1.pdf

以下引用します。
4月21日(月)幹部会
●市長発言
(個人情報の不正取得、漏えいについて)
・職員同士が職務上知りえた情報を互いに漏えいしていた事例があった。どちらかが「良くない」と声を上げれば発生しなかったのではないか。こうした事例が発生すると市民からの信頼が揺らいでしまう。こうした事例が昨年度に引き続き2件続くのは異常だと思う。今後はこういったことが二度と無いように幹部の方も含めて気を引き締めるとともに、改めて個人情報保護の趣旨及び関係法令の遵守に取り組んでほしい。

市総務局総務課は、「幹部会の『開催概要』には『市長は冒頭部分でコメントしたが、議題になかったので特段記載してしていない」としていました。
また、情報公開請求しようとしたところ、「概要以外には特にない」と言っていました。
https://www.city.nagoya.jp/somu/page/0000176533.html

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以下感想

広沢市長は個人情報の不正取得、漏えいについて発言をしていたにもかかわらず、開催概要欄に全く記載がないのは市職員による隠ぺいの意思を感じざるを得ません。

一方、広沢市長は「個人情報の不正取得、漏えい」としてしかとらえておらず、「情報公開制度が壊死する」という問題意識がないことが分かりました。

今後も追及していきたいです。

25/4/28(月)名古屋市個人情報保護審議会 局長挨拶の存在を示さずに傍聴者を退席させる

名古屋市民オンブズマンメンバーが、25/4/28にあった名古屋市個人情報保護審議会を傍聴しようとしたところ、「議題の前に委員長選任があるので退出を」といわれました。
「審議会開催の案内に『非公開』と記載がない」とその場で抗議したものの、非公開と言われてしぶしぶ退出しました。

しかし、実は委員長選任の前に、局長挨拶や委員挨拶、事務局挨拶があったことが後で判明しました。(目の前を局長が退出していく様子を見ました)

「審議会は原則公開と決まっているはず」とその場で猛抗議したものの、「当審議会は個人情報が含まれる可能性があるため、議題で公開としたもの以外は非公開」と事務局から言われ、納得できないとしたものの議事が進みました。


公開の議題終了後、即市民情報センターに駆け込んで経緯を説明したところ、折り返し担当者から電話があり「委員長選任は個人情報が含まれる可能性があるため慣例として非公開と事務局が決めた。
局長挨拶も一連のものとして非公開と決めた」と繰り返すのみ。
情報公開条例で「審議会は原則公開」としているにも関わらず、自分たちで勝手にルールを決めています。
しかも、当該会議で「局長挨拶や委員長選任」は非公開を決定していません。

・名古屋市情報公開条例 (会議の公開)
 第36条 実施機関に置く附属機関及びこれに類するものは、その会議(法令又は他の条例の規定により公開することができないとされている会議を除く。)を公開するものとする。ただし、次に掲げる場合であって、当該会議で非公開を決定したときは、この限りでない。
 (1)非公開情報が含まれる事項について審議、審査、調査等を行う会議を開催する場合
 (2)会議を公開することにより、当該会議の適正な運営に著しい支障が生ずると認められる場合
 https://www.city.nagoya.jp/sportsshimin/page/0000001423.html

25/5/9に市政情報課から3回目の電話があり、「ご指摘を踏まえ、これまでの運用を一定見直す必要があるのかなと思う。
4月の互選はまず議題として扱うことが検討の余地がある。非公開に当たらなければ公開もありうる」と一歩前進しました。

とりあえず、以下を情報公開請求しました。
・25/4/21に開催された名古屋市情報公開審査会での市職員の挨拶の内容がわかるもの
・25/4/28に開催された名古屋市個人情報保護審議会での市職員の挨拶の内容がわかるもの

参考:25/4/28 名古屋市個人情報保護審議会 配布資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/250428.pdf

名古屋市の情報公開に対する考え方がたるみきっています。
何らかのイベントを早急に企画します。

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名古屋市民オンブズマン 情報公開条例
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/jouhou/index.htm

25/4/21(月)名古屋市 幹部会の概要に「情報公開請求者の個人情報調査」記載せず

名古屋市が情報公開請求者の身元を違法に探っていた件で、25/4/22中日新聞に、「25/4/21に広沢市長が個人情報保護について幹部会で話した」と記事がありました。
幹部会の概要が公開されていましたが、特になにも載っていませんでした。
https://www.city.nagoya.jp/somu/page/0000176533.html

市総務局総務課に問い合わせたところ「市長は冒頭部分でコメントしたが、議題になかったので特段記載していない」とのこと。
以下25/4/24づけで情報公開請求しました。
・令和7年4月21日に開催された「幹部会」の会議の内容がわかるもの(「庁内会議の会議の概要 令和7年4月21日作成、提出件名一覧、会議資料」を除く)
・令和7年4月21日に開催された「幹部会」録音・録画

また、以下を情報公開請求しました。
・職員に対する懲戒処分の量定の基準
 2023年4月1日〜2025年4月22日のもの
・職員に対する措置(懲戒処分未満のもの)の量定の基準
 2023年4月1日〜2025年4月22日のもの

よいアイディアがあればください。
よろしくお願いいたします。


名古屋市市政情報室長 情報公開請求者の身元を違法に探る

読売新聞は25/4/17に「名古屋市が情報公開請求者の身元を違法に探った」と記事を掲載しました。
名古屋市は同日記者会見を行い、違法行為を認めました。
・2025/04/17 05:00 読売新聞
 公開請求者の人物像探る 名古屋・元室長 市「違法」と謝罪 
 https://www.yomiuri.co.jp/local/chubu/news/20250417-OYTNT50000/
・25/4/17 名古屋市スポーツ市民局総務課 市民生活部市政情報課
 職員による違法行為について
 https://www.city.nagoya.jp/sportsshimin/cmsfiles/contents/0000185/185785/250417.pdf


各種記事や名古屋市の発表文によれば、情報公開請求をしていた人の名前を市政情報室長が検索し、消費生活課長に確認を求め、消費生活課長が「講演を依頼するふりをして」職場に確認し、身元を探ったとのこと。

当時の市政情報室長と消費生活課長は、個人情報保護法並びに地方公務員法に抵触するとして24/12/27に所属長注意を受けたとのこと。

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情報公開請求は、市民の権利です。(名古屋市情報公開条例1条)
https://www.city.nagoya.jp/sportsshimin/page/0000001423.html

だれが情報公開請求しても同じ結果がでる制度になっており、市は情報公開請求者の身元を検索する必要はありません。
それどころか、「身元を検索される」と市民が思えば、不安から情報公開請求しなくなり、情報公開請求制度が壊死することにつながりかねません。

名古屋市は「この事案以外で同様の行為はない」と説明しているようですが、到底信じられません。

名古屋市の情報公開制度への無理解が本件につながったと考えます。
名古屋市民オンブズマンとしてどう対応するか緊急に協議中です。

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・名古屋市民オンブズマン 情報公開条例ページ
 http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/jouhou/index.htm

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2025/04/17 06:49 読売新聞
情報公開請求者の人物像、名古屋市の元室長が探る…市が違法認め謝罪
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250417-OYT1T50026/

毎日新聞 2025/4/17 11:06(最終更新 4/17 11:06)
情報公開担当の元室長 請求者の個人情報を違法収集 名古屋市が処分 - 毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20250417/k00/00m/040/093000c

2025年04月17日 19時03分 NHK
名古屋 情報公開請求者を市の担当者が違法に調査 厳重注意
https://www3.nhk.or.jp/tokai-news/20250417/3000040866.html

2025年4月17日(木) 18:34 CBC
名古屋市の幹部職員 「情報公開請求」した市民の個人情報を違法に集める 名前をネットで検索→職業など調べ…
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/cbc/1861824?display=1

2025年4月17日 19:11 中京テレビ
「情報公開請求への対応を円滑にするために必要だと思った」 “情報公開請求者”個人情報を違法に集めた市職員「厳重注意」 名古屋市
https://news.ntv.co.jp/n/ctv/category/society/ct53e745f3128d46bc9986f5f1caba5a34

2025/04/17 21:09配信 東海テレビ
“講演依頼”を装い聞き出す…情報公開請求した男性の個人情報を市の幹部らが違法収集 市が2人を処分し男性に謝罪
https://www.tokai-tv.com/tokainews/article_20250417_39925

2025/04/18 16:17 読売新聞
情報公開請求者の人物像を調査、名古屋市の所管部署が謝罪…個人情報の不祥事相次ぐ
https://www.yomiuri.co.jp/national/20250418-OYT1T50015/

2025年4月17日 20時52分 (4月17日 22時03分更新) 中日新聞
情報公開請求者の人物像、名古屋市の担当室長が調査 市が違反認め謝罪 
https://www.chunichi.co.jp/article/1054635

名古屋市市長室秘書課が送ったメール 全て「紙」で開示

名古屋市民オンブズマンが「名古屋市市長室秘書課が2023/3/1-3/7に送信した電子メール(電磁的記録希望)」を情報公開請求したところ、全て「紙」で開示されました。
・行政文書一部公開決定通知書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/230512-1.pdf
・開示された文書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/230512-2.pdf
 

行政が仕事をするにあたり、Eメールでのやりとりは日常的になっています。
今回、「電磁的記録希望」と明記したにもかかわらず、紙で開示されました。
今回の市市長室秘書課が送ったメールは1週間で318枚になりました。

行政がどのような業務をしているのか。メールを調べることは大変重要ではありますが、全て紙で開示されるとなると、紙1枚10円がかかり、
非常に開示請求する人の負担が増えます。
なお、名古屋市はCD-R1枚(700メガまで)で1枚50円です。
https://www.city.nagoya.jp/shisei/category/55-2-7-0-0-0-0-0-0-0.html

名古屋市情報公開条例第1条では、「地方自治の本旨にのっとり、市民の知る権利を尊重し、行政文書の公開を求める権利を明らかにする」「市政に関し市民に説明する責務が全うされるようにし、市民の市政への参加を進め、民主的で公正かつ透明性の高い市政の推進に資することを目的とする」としております。
https://www.city.nagoya.jp/sportsshimin/page/0000001423.html
このようなメールの公開を紙でするという運用を改めるべきだと考えます。


横浜市の情報公開手数料改定に対する抗議声明

名古屋市民オンブズマンは、23/2/16に「横浜市の情報公開手数料改定に対する抗議声明」を発表し、横浜市長宛に郵送しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/230216.pdf
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横浜市の情報公開手数料改定に対する抗議声明
2023年2月16日
団 体 名 名古屋市民オンブズマン 代表 新海 聡
 今般、「横浜市の保有する情報の公開に関する条例」の一部改正がなされ、電磁的記録の写しの交付に係る手数料の額が「従量制」とされた(2023年4月1日施行予定)。これは、従前は記録媒体の実費相当額のみであった費用に、「1ファイル210円」「1頁10円」の手数料を加算するとするものであり、これにより、交付を受ける市民の負担が著しく増大することとなる。また、複写の過程で頁ごとのスキャン等の作業を要しない場合にまで「1頁10円」の手数料を徴収するものであって当該事務に要する経費が勘案されるべき手数料の趣旨にも反するものである。
 こんにちでは、行政文書につき、国は公文書を電子データで作成・取得し、これを正本として保存・管理することを原則としており、地方公共団体においても電子データ化が進んでいる。こうした行政情報のデジタル化は、行政内部の便宜の観点だけでなく、従来の、請求にもとづく情報公開から,誰もがいつでも政府の情報にアクセスすることができるオープンガバメントのためのインフラストラクチャーとして期待され、位置づけられている事は、世界の常識である。ところが、横浜市の条例改正は、情報のデジタル化による開示コストの飛躍的軽減や文書管理の簡素化に逆行するだけでなく、オープンガバメントの創設という、今後の行政と市民との関係の芽を摘む制度と言わざるを得ない。ここには、行政情報を知ることが、いまだに市民にとって特別な制度であり、そのための費用を支払った者だけが情報に知ることができる、という旧態依然とした発想がみてとれる。

 私たち市民オンブズマンは、情報公開制度のヘヴィーユーザーとして、1990年代半ばから地方公共団体等の様々な情報を公開し、その不正・不当な行為の監視、是正の活動をおこなってきた。こうした活動によって、情報公開制度の重要性が地方公共団体にも理解され、緊張と信頼とで結ばれる市民と行政との新たな関係も、鳥取県など一部の自治体で生まれ始めている。しかし、横浜市の改正条例には、そうした市民との関係性に対する期待も展望もない。改正条例は、情報公開請求する市民を相変わらず敵視する20世紀的な時代遅れの発想に貫かれたものであり、2023年の段階で、全国的にも類を見ない悪条例と言わざるを得ない。
以上の点から横浜市に対し、上掲条例手数料規定の撤回を私たちは求める。
以上

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全国市民オンブズマン連絡会議 情報公開特集
https://www.ombudsman.jp/rank


豊田市情報公開審査会 情報公開手数料導入諮問時、質問した委員の氏名を議事録に記載せず

22/10/3に開催された豊田市情報公開・個人情報保護審査会で、情報公開請求時の手数料導入について諮問されましたが、その際の質疑応答の議事録を情報公開請求したところ、質問した委員の指名が Q:としか書かれておらず、どの委員が発言したか分からないことが判明しました。
22/10/3に開催された豊田市情報公開・個人情報保護審査会の議事録
●議事録
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota287.pdf
 
22/10/3に開催された豊田市情報公開・個人情報保護審査会の配付資料(「『情報公開制度における手数料の導入について』に関するパブリックコメントの結果」を除く)
説明資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota286-1.pdf
●R4第8回審査会次第
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota286-2.pdf
●R4第8回審査会進行要領
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota286-3.pdf
 
当該審議会は「非公開」で開催されました。
この議事録は「全部公開」なので、審査請求しても取消訴訟をしても、発言した委員の氏名は分かりません。

議事録には「審議の経過 意見なし。 結論 実施機関の案を適当なものと認める。」とありました。

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参考:豊田市情報公開・個人情報保護審査会委員名簿
 鋤柄司  弁護士
 鈴木秀和 名城大学理工学部情報工学科准教授
 鈴木裕利 中部大学工学部情報工学科教授
 松村 享 名古屋学院大学法学部法学科教授
 宮崎 亮 弁護士
 渡部美由紀名古屋大学大学院法学研究科教授

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豊田市は、22/11/9に「情報公開制度における手数料の導入について」の意見募集結果の公表をし、反対 38件どちらでもよい 1件 でした。
https://www.city.toyota.aichi.jp/shisei/koho/1009544/1049531/1050674.html

22/12/2(金)に豊田市議会が開会されます。
・令和4年12月定例会 豊田市議会
 提出議案一覧 議案の要旨・予算関係議案の要旨
 http://toyota-shigikai.jp/presentation.html#pagelink

豊田市情報公開条例の一部を改正する条例が上程され、コピー実費以外に、請求1件当たり200円の請求手数料と、100枚を超える枚数1枚につき10円の開示手数料を新たに設定する方針です。

豊田市がパブリックコメントを行った際、名古屋市民オンブズマンは22/9/30に上記に対し反対の意見を提出しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220930.pdf

市議会の議論に注目したいです。

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なお、同市議会に、豊田市個人情報保護法施行条例も上程されます。

上記に関し、同審査会に諮問した資料も情報公開請求しました。

市長が22/10/25に豊田市情報公開・個人情報保護審査会に諮問した「個人情報保護条例」に関する諮問書類一式
@諮問書
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota284-1.pdf
A諮問事項
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota284-2.pdf
B制度改正の概要(国の説明資料).pdf
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota284-3.pdf
C個人情報の保護に関する法律(令和5年4月1日)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota284-4.pdf
D【制定案】豊田市個人情報保護法施行条例(新規制定)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota284-5.pdf
E【新旧】豊田市情報公開・個人情報保護審査会条例の一部改正条例
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota284-6.pdf
 
22/10/31に開催された豊田市情報公開・個人情報保護審査会で配布された資料(審査請求に係る資料を除く)
説明資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota285-1.pdf
R4第9回審査会次第
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota285-2.pdf
R4第9回審査会進行要領
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/toyota285-3.pdf


豊田市情報公開請求手数料新設案パブコメ 反対が39件中38件

豊田市は、22/11/9に「情報公開制度における手数料の導入について」の意見募集結果の公表をしました。
https://www.city.toyota.aichi.jp/shisei/koho/1009544/1049531/1050674.html
・意見の概要
反対 38件
どちらでもよい 1件
多くの市民の反対にもかかわらず、豊田市は「応分の御負担を頂くことは、やむを得ないと考えられます」と繰り返し、請求手数料新設する方針を続けています。

一方、なぜか豊田市が行った「Eモニターアンケート」の結果も掲載しており、153人中公文書開示請求をしたことがないのが3名のみであることがわかりました。
開示請求をしたことがない人に手数料導入の是非を聞くのはふさわしくないと考えますし、ただでさえ開示請求をする人が少ないのに、さらに請求手数料を新設した場合、さらに開示請求をする人が減少するのではないでしょうか。

---
豊田市議会は22/12/2(金)-12/21(水)開会予定です。
http://toyota-shigikai.jp/


豊田市情報公開請求手数料徴収 非公開審査会で「徴収は適当」答申

豊田市が情報公開請求時に200円請求手数料徴収の条例改正方針を示している件で、諮問を受けた豊田市情報公開・個人情報保護審査会は、非公開の審査会を踏まえて22/10/24に「徴収は適当」と答申を出しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/221024toyota.pdf
なお、上記手数料に関するパブコメの結果とそれに対する市の見解は、11月中旬に市ホームページに掲載される予定です。

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また、豊田市は同審議会に22/10/25に個人情報保護条例改正に関して諮問しました。
22/10/31に同審議会を非公開で開催しました。
次回は22/11/28ですが、議題はまだ未定で、次回も傍聴実施予定はないとのこと。

名古屋市民オンブズマンは電話で「個人情報保護条例改正に関して、市民の関心が高い。
また、全市町村で同時期に個人情報保護条例改正作業を行っており、役所の担当者がホームページで他自治体の動向を調査している。
豊田市と同時期に手数料を導入しようとした瀬戸市は、市民の傍聴を許可しただけでなく、配付資料をすべてホームページで公開している。
http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2022092100107/
豊田市も同様のことを望む」と伝えました。


22/11/1(火)瀬戸市情報公開請求手数料案は「無料が適当」市審査会答申

瀬戸市情報公開・個人情報保護審査会は22/11/1に「個人情報の保護に関する法律の一部改正に伴う対応について(答申)」を出し、改正後の個人情報保護条例ならびに情報公開条例について、開示等請求手数料は現行どおり無料とすることが適当としました。
http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2022092100107/files/tousinn.pdf

瀬戸市は、個人情報保護法が改正されるため、個人情報保護条例で開示請求手数料を新設し、情報公開条例でも同様に開示請求手数料を新設する方針を示し、パブリックコメントを募集しました。
しかしながら、多数の市民から反対意見が出て、審査会の判断が注目されていました。

瀬戸市は2022年12月議会にも、個人情報保護条例改正案を提出する予定です。

・瀬戸市情報公開・個人情報保護審査会
 http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2022092100107/


豊田市情報公開請求手数料新設案 パブコメに反対9割強

豊田市が、情報公開請求手数料新設する案をパブコメにかけたところ、反対意見が9割強だったことが、名古屋市民オンブズマンの情報公開請求で判明しました。
・パブコメ回答まとめ
 どちらでもよい 1件
 反対 10件
・令和4年9月20日 豊田市長 太田稔彦
 諮問 情報公開制度の運営に関する事項について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220920toyota.pdf
 
・22/10/3に開催された豊田市情報公開・個人情報保護
 審査会に提出された「『情報公開制度における手数料の導入について』に関するパブリックコメントの結果」
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/221003toyota.pdf

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豊田市は、22/9/1-30までパブリックコメントを募集しました。
・22/8/26 豊田市報道発表資料 「情報公開制度における手数料の導入について」に関するパブリックコメントを実施します
 https://www.city.toyota.aichi.jp/pressrelease/1050502/1050838.html

今回開示された内容には詳細な意見が記載されており、「情報公開制度は受益者負担にはなじまない」「知る権利の後退」「請求手数料を設定することで、現状0.05%の利用者をさらに抑制することに」などが述べられております。

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一方、今回開示された資料の中に、なぜか「第5回Eモニターアンケート 情報公開制度における手数料の導入に関する意見募集」結果が掲載されていました。
https://www.city.toyota.aichi.jp/shisei/koho/emonitor/1008206.html

(1)情報公開制度によって市の保有する公文書の開示請求ができることをご存じですか
 ・知っていて、公文書の開示請求をしたことがある 2%
 ・知っているが、公文書の開示請求をしたことはない 42%
 ・知らなかった 56%

(2)公文書の開示請求において、実費に加えて、手数料を導入することについてどう思いますか?
 ・手数料の導入をすべきである  30%
 ・手数料の導入はやむを得ない  54%
 ・手数料の導入はすべきではない 11%
 ・その他             5%

------
上記Eモニターアンケートは、「公文書の開示請求を実際にしたことがない98%の人が、手数料について回答している」という重大な欠陥があります。
自由欄にも「実際にどのような公文書を開示しているのかわからなかったので、漠然とした質問で回答しにくかったです。具体例を記して欲しかったです」というものもあり、豊田市のアンケートの仕方自体に問題があると考えます。

豊田市情報公開条例第1条には、「地方自治の本旨にのっとり、市民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利を保障するとともに、公文書の開示等に関し必要な事項を定めることにより、市の諸活動を市民に説明する責務を全うし、もって市民の理解と批判の下に公正で透明な市政を実現し、市民の市政への参加の促進に資することを目的とする。」と書かれています。

そうであれば、0.05%しか情報公開請求していない現状を少しでも改善させるような仕組みを導入すべきではないでしょうか。

豊田市は、パブコメの回答をまだ市ホームページで公表していないだけでなく、22/10/3に開催された審査会自体を非公開にし、22/10/31開催予定の審査会も非公開を続ける方針です。

まずは、「パブコメに反対9割強」という事実を広く豊田市民に知らせるべきだと思います。


22/10/17(月)瀬戸市情報公開・個人情報保護 開示請求手数料導入見送り方針 市審査会

瀬戸市情報公開・個人情報保護審査会は22/10/17に会合を開き、情報公開条例・個人情報保護条例に伴う開示請求手数料の導入を見送る答申作成の意向を固めました。

・瀬戸市情報公開・個人情報保護審査会
 http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2022092100107/

・名古屋市民オンブズマンによるメモ
 http://nagoya.ombudsman.jp/data/221017.pdf
 
瀬戸市は、個人情報保護法が改正されるため、個人情報保護条例で開示請求手数料を新設し、情報公開条例でも同様に開示請求手数料を新設する方針を示し、パブリックコメントを募集しました。
しかしながら、多数の市民から反対意見が出ました。

今回、瀬戸市は「個人情報保護条例に基づく開示請求は年間20件程度。コストは算出していない。情報公開条例に基づく開示請求は年間196件で、かかった時間は1525時間。人件費で算出すると1件当たり14,009円(コピーは別途)」と述べ、受益者負担の観点から開示請求手数料の導入を提案したとしました。

審査会委員からは「個人情報保護の方は、特定が容易」「他市町村ではほとんど開示請求手数料導入を検討していない」(市事務局調査では、兵庫県赤穂市・相生市がパブコメで導入を記載した程度) 「これまでも開示請求手数料を徴収することはできたが、個人の権利を保障するためとらずにきた」「要介護認定や火災について、自分の情報を取るのにどうして手数料が必要なのか、行政の説明が必要」「個人情報請求で財政圧迫しているとは思えない」という意見がでて、今回は見送りという結論になりました。

続いて、情報公開請求の手数料の議論になりました。

審査会委員から「開示請求に300円を取るのは市民の知る権利からみてまずいと思う。本来、開示請求を待たず積極的に情報提供をすべき」「なにを1件と考えるのか。開示請求者とトラブルになるのでは」「情報が不存在にもかかわらず開示請求手数料をとるのは懐疑的」「今回は、個人情報保護法改正に伴い、情報公開条例の開示請求手数料の提案が出てきたが、便乗値上げではないか。情報公開請求には公、大義があり、有料にしてはいけない」「受益者負担を強いるのはどうか」「時期尚早」という意見が出て、審議会委員全員が、開示請求手数料有償化ではなく、現在の無償化を継続するという意見でまとまりました。

今後審議会として答申をまとめて公表予定です。
瀬戸市は2022年12月議会にも、個人情報保護条例改正案を提出する予定です。

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・赤穂市個人情報保護法施行条例の制定及び赤穂市情報公開条例の一部改正に対するパブリックコメント
 https://www.city.ako.lg.jp/soumu/gyousei/kojinnjyouhoukoment.html

・「相生市個人情報の保護に関する法律施行条例(案)の概要」に対する意見の募集について
 https://www.city.aioi.lg.jp/site/public/kozinzyouhou-public.html

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豊田市情報公開請求手数料徴収 条例改正を審議する審査会は非公開の方針

豊田市が情報公開請求時に200円請求手数料徴収の条例改正方針を示している件で、市は22/9/20に豊田市情報公開・個人情報保護審査会に諮問しましたが、22/10/3に行った審査会は非公開、22/10/31(月)に予定されている審査会も非公開の方針であることが判明しました。
・22/8/26 豊田市報道発表資料 「情報公開制度における手数料の導入について」に関するパブリックコメントを実施します
 https://www.city.toyota.aichi.jp/pressrelease/1050502/1050838.html

名古屋市民オンブズマンが22/10/5に市担当者に電話で確認したところ、「パブコメの集計結果は、市の見解をつけて10月中に公表する予定。
集計結果は審査会に提示した。
豊田市情報公開・個人情報保護審査会条例上、審査会の行う調査審議の手続は、公開しないことになっており、市としては公開方針はない。
答申はできたら公文書管理センターに配架する予定。
22/10/31に条例改正について継続審議するかどうかはまだ未定。
なお、別件だが個人情報保護条例改正に関し、まだ審査会に諮問をするかを決定していない。パブコメする予定はない」とのことでした。

名古屋市民オンブズマンは「同時期に情報公開条例のパブコメを行った瀬戸市では、瀬戸市情報公開・個人情報保護審査会運営規則上は非公開となっていたものの、今回『瀬戸市情報公開・個人情報保護審査会傍聴要綱』を作り傍聴可能とした。
http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2022092100107/files/boutyouyoukou.pdf
豊田市でも、諮問部分に限って傍聴可能として欲しい」と述べたところ、「意見として承った」としました。

なお、名古屋市民オンブズマンは、上記諮問書ならびに審査会に提出されたパブコメ取りまとめ結果を情報公開請求しました。


情報公開条例があぶない

名古屋市民オンブズマン代表の新海聡弁護士は、「情報公開条例があぶない」と題した書面を22/9/24に開催された第29回全国市民オンブズ米子大会2022で発表しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/abunai2022.pdf

・動画
https://youtu.be/YkYqpD5ozZ8



情報公開条例があぶない
名古屋市民オンブズマン  新海 聡

2022年8月15日、突如として愛知県瀬戸市のWebに「公文書の開示請求に係る手数料の徴収及び個人情報の保護に関する法律の改正に併せた不開示情報の改正をするに当たり、瀬戸市情報公開条例の一部を改正」するので、改正骨子案に意見を求めます、という記事が掲載された。瀬戸市の改正骨子案は次のような内容だ。
@受益者負担の考え方により、開示請求に係る手数料を公文書1件につき300円とする。
A行政機関個人情報保護法の一部改正にあわせ、不開示情報から除外されていた、公務員の職及び氏名並びに職務遂行内容の内、氏名について、除外事由から削除する。

この骨子案が、これまでの瀬戸市の情報公開制度を後退させることは明らかだ。そもそも開示手数料の単位となる「公文書1件」の数え方はこの骨子をみるかぎり不明だが、仮に「一件」を開示対象文書の標目毎にカウントした場合には、膨大な費用の負担を請求者に強いることになる。
しかし、より本質的な問題は、この改正を実現しようとすることが、瀬戸市長が意識するしないにかかわらず、情報公開に対する考え方を転換することを意味する点だ。瀬戸市情報公開条例は冒頭の1条で「市民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利につき定めること等により、情報の一層の公開を図り、もつて市の諸活動を市民に説明する責務が全うされるようにするとともに、市民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することを目的とする。」と述べている。開示請求権が憲法21条に基づく知る権利に基づくことを直接宣言したものではないにしても、情報公開請求の制度は民主主義の根幹をなす知る権利を尊重するために設けられたものであり、これは行政の市民に対する説明責任を実現するためのものであることを宣言しているのだ。
そもそも「受益者負担」の考え方は、行政が特定の市民に特別なサービスを行った場合に、サービスを受けた者とサービスを受けない一般市民との間の不公平を是正することを目的としたもので、サービス実施に要した費用を、サービスを受けた者に負担させようとする考え方を基礎とする。しかし、条例に基づく情報公開条例に基づいて、行政の説明責任を問う市民の行為が、行政に特別のサービスの提供を求めることにはならない。受益者負担と情報公開の制度は、本来両立しないことは明らかだ。ところが、あえて瀬戸市が情報公開請求に受益者負担を持ち出すことは、結果的に行政の市民に対する説明責任を否定することにつながる。地方自治体の情報公開制度に変質をもたらす点で、見逃すわけにはいかないのだ。
Aについても問題が多い。行政機関個人情報保護法の施行にともない、地方公共団体の個人情報保護条例の改正が行われるからといって、情報公開法の規定を動かす必要はない。もともと、国の情報公開法の運用では、各行政機関の公務員の氏名情報は平成17年8月3日の情報公開に関する連絡会議の申し合わせによって、法5条1号ただし書イの「慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」に該当するものとされて運用がなされている。瀬戸市が、同市条例7条(2)ア「慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」に国の上記申し合わせを読み込む運用をするつもりであれば、条例改正の必要はない。わざわざ条例の改正骨子案で指摘しているということは、今回の改正によって瀬戸市は公務員の氏名を一般的に不開示とすることを意図したものと言わざるを得ない。
 こうした動きは、自治体の活動についての情報が減少するだけでなく、首長の職員の任命責任に対する説明義務を尽くさないことにつながる。

このような情報公開条例改正の動きはこのところ、立て続けに生じている。豊田市も情報公開請求時に1件200円の請求手数料を徴収することについてパブリックコメントの募集を始めた。福岡県大任町では、開示請求権者を「何人も」から、一年以上町内に居住する町民に限定する条例改正を行っている。いずれも行政の情報から市民を遠ざける改悪である。

こうした情報公開制度の後退は、情報公開制度の民主主義政治への重要性について首長、議員の間で十分な理解がなされていないことを意味する。そしてその原因として、この10年間の国政における情報公開制度への敵視ともいえる態度を挙げなければならない。第二期安倍政権以降、国は政権に都合の良い情報の広報にすぎないものを「国民への情報公開」と意図的に誤用する一方で、重大な説明責任発生の根拠となる文書の破棄、改ざんを行ってきたことが次々に明らかになった。こうした情報公開制度への敵対的姿勢は、情報公開制度に対する信頼を害し、それまでの地方公共団体における情報公開制度への真面目な取組を否定し、説明責任に対する首長の意欲の後退を蔓延させていったと考えられる。

情報公開制度と説明責任を敵視した政権の姿勢は、現在も続いている。だからこそ、情報公開に逆行する条例の改悪に抗議し、私たちの活動に情報公開制度を利活用し続けていくことが、この国の瀕死の情報公開を復活させるために必要であることを、強調したい。
(了)



22/10/3(月)瀬戸市情報公開条例「公務員氏名不開示除外を削除」方針は認めず 市審査会

22/10/3に瀬戸市情報公開・個人情報保護審査会が開催され、情報公開条例の不開示情報から「公務員氏名の不開示除外を削除」しようとする市の方針を認めないとしました。
一番懸念していた請求手数料については、次回22/10/17審査会で議論することになりました。
令和4年度 第6回瀬戸市情報公開・個人情報保護審査会
http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2022092100107/

傍聴者は4名。
22/9/13まで市が実施していたパブリックコメント実施結果も報告されました。
傍聴者は資料は閲覧可能でしたが、持ち帰りは不可でした。
14時から開催し、16時15分まで議論が白熱しました。

・瀬戸市情報公開条例一部改正骨子(案)についての意見募集の結果をお知らせします
 http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2022093000062/
・瀬戸市個人情報保護法施行条例骨子(案)についての意見募集の結果をお知らせします
 http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2022093000109/

そもそも瀬戸市は「個人情報の保護に関する法律の一部改正に併せ、情報公開条例の不開示情報から除外されていた、公務員の職及び氏名並びに職務遂行内容の内、氏名について、除外事由から削除します。」とする方針を示していました。

名古屋市民オンブズマンは、22/9/13に「情報公開条例の規定を動かす必要は無い」と意見書を提出しています。
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220913.pdf

市は「情報公開条例から公務員氏名について、除外事由から削除しても運用上は変わらない」と説明していましたが、委員からは「わざわざ条例から削ることで、市民の誤解を招くのでは」「削ることに意味が出てくるおそれがある」「いつまでも『公務員氏名を開示する』という慣行が続くといえるのか」などの発言が相次ぎました。

市は「情報公開条例と個人情報保護条例をそろえた方がいいと思うが、多くの自治体で別で開示不開示を決めている。
また、情報公開条例から公務員氏名について除外事由から削らず、そのままという自治体も10市程度あり、法的には可能。」と述べました。

委員は「法的に問題がなければ、現状のままの方がよい」とし、審議会の意見としました。

また、個人情報保護条例の目的外利用及び外部提供に関し、その旨を市長に届け出ることを義務づけるという点について、瀬戸市は、「愛知県の答申では特に触れていないが、名古屋市の答申では『事後的に審査会に報告しなさい』となっている」としました。
委員は「複眼でチェックする必要がある」「一旦個人情報が流出したら取り返しが付かない」と述べました。
委員からは「原則、外部提供してはいけない」としてはと提案がありましたが、市からは「法律でそれは出来ないとなっている」としました。
委員から「外部提供の条件を厳しめに書けないか」と意見が出ました。

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次回22/10/17審査会でどのような議論になるのか注目したいです。
その後審査会としての答申が出る予定ですが、それを市はどう条例案に反映するのか、市議会はどのような議論を行うのか、目が離せません。
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なお、瀬戸市議会個人情報保護条例骨子案のパブコメ結果が公開されました。
http://nagoya.ombudsman.jp/data/221003-1.pdf


豊田市 情報公開請求時に200円請求手数料徴収の条例改正案に対し「反対」

豊田市が情報公開請求時に200円請求手数料徴収の条例改正パブコメを実施すると発表したことに対し、名古屋市民オンブズマンは反対の意見を提出しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220930.pdf
なお、名古屋市民オンブズマン代表の新海聡弁護士は、「情報公開条例があぶない」と題した書面を22/9/24に開催された第29回全国市民オンブズ米子大会2022で発表しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/abunai2022.pdf
https://youtu.be/YkYqpD5ozZ8


瀬戸市情報公開請求手数料徴収改正骨子案に意見提出

名古屋市民オンブズマンは、瀬戸市が現在行っている情報公開条例一部改正骨子(案)の意見募集(パブリックコメント)に対して、「改正骨子案のいずれにも反対する」という意見書を提出しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220913.pdf

@受益者負担の考え方により、開示請求に係る手数料を公文書1件につき300円とする。
→導入により、瀬戸市の情報公開条例に対する考え方を転換させる

A行政機関個人情報保護法の一部改正にあわせ、不開示情報から除外されていた、公務員の職及び氏名並びに職務遂行内容の内、氏名について、除外事由から削除する。
→行政機関個人情報保護法の施行にともない、地方公共団体の個人情報保護条例の改正が行われるからといって、情報公開法の規定を動かす必要はない。

意見書では、「骨子案は情報公開の後退に他ならない」として、「骨子案を撤回することこそ、行政に対する信頼を獲得することにつながることを、瀬戸市長においてご理解いただきたい。」と締めています。

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瀬戸市は現在、「情報公開条例一部改正骨子(案)」、「個人情報保護法施行条例骨子(案)」、「市議会の個人情報保護条例骨子(案)」、「行政不服審査関係手数料徴収条例骨子(案)」に対するパブコメを行っています。(いずれも22/9/13(火)締切)
http://www.city.seto.aichi.jp/bunya/publiccomment/


瀬戸市民が情報公開請求手数料徴収等方針に抗議

22/8/29に、「瀬戸市の問題を考える市民ネットワーク」が、瀬戸市に対し「瀬戸市情報公開条例一部改正骨子(案)等とそのパブリックコメント募集手続きに関する抗議及び申入書」を提出しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220829-1.pdf

・まず情報公開・個人情報保護審査会に諮問せよ
・審査会は調査審議を行え
・上記を経た上で市民説明会を開催し、あらためてパブコメを行え
・行政不服関係手数料徴収条例も同様にせよ
・情報公開請求手数料は撤回せよ
・公務員氏名はこれまで通り公開せよ
・個人情報保護条例の手数料も撤回せよ
・個人情報保護条例は市の主体性を示せ

☆瀬戸市 パブリックコメント(市民意見募集)
 http://www.city.seto.aichi.jp/bunya/publiccomment/

対応した行政課長は以下述べました。
「『瀬戸市パブリックコメント手続に関する要綱』によれば、『手数料の徴収を除く』としている。
http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2010111003862/
情報公開条例改正は本来対象ではないが、個人情報保護条例と関係するから、パブコメで市民の意見を聴いた上で審査会にかけたい。
22/8/30に瀬戸市情報公開・個人情報保護審査会を開くが、そこではパブコメの説明はするが、諮問はしない。
審査会は『会議は、非公開とする』とあるので公開しない。
https://www1.g-reiki.net/seto/reiki_honbun/i506RG00000672.html
22/9/13にパブコメ終了後、9月中に審査会に諮問する予定。
10月中に条例の成案を作り、12月議会に上程する予定。
個人情報保護法改正に伴い、個人情報保護条例を改正しないといけない。
今回、受益者負担の考えから、個人情報保護条例も情報公開条例も手数料を取る提案をした。
なお、公務員氏名については、条文は変えるが、これまでと変わることがない運用をする予定。
隠すつもりはない」

「市民ネットワーク」の加藤徳太郎氏は「パブコメの記載では市民にはわかりにくかった。
筋として、市民に説明し、審査会に諮問をしてからパブコメをすべき。
また、名古屋市の審議会では個人情報保護条例に関し、手数料を0円にすべきと答申を出した。
逗子市担当者は『神奈川県で手数料を取るとか公務員の氏名不開示にするとか聞いたことがない』といっている。
個人情報保護条例改正と、情報公開条例とは関係が無い」と述べました。

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また、市議会議長に対しても「瀬戸市議会基本条例を無視した瀬戸市議会個人情報保護条例についてのパブリックコメント募集に関する抗議及び市民意見募集期間延長等を求める申入書」を提出しました。

水野良一議長が対応して下さいました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220829-2.pdf

・個人情報開示請求手数料300円を撤回せよ
・議会個人情報保護条例を作る際、市民との意見交換会、説明会等を
 行うまで市民意見募集を延期せよ
・議会基本条例から逸脱するな

議長に経緯を聞こうとしましたが、議事課長が代わりに答えました。
「個人情報保護法改正で、議会が個人情報保護条例から外れる。
 議会独自の個人情報保護条例を作る必要があるため、市長部局と相談し、市長部局と足並みをそろえるような内容で案を作成し、今後市長提案として議会に条例案を出す予定。
 条例案については、全国市議会議長会が作成した条例(例)があるので、それを参考にした。
 議会には、議会運営委員会で2回報告している。」
 
同席した名古屋市民オンブズマンの内田は、議事課長に「議会には過去どのような個人情報保護条例に基づく自己情報開示請求があったのか」と質問しました。
議事課長は「事実上ほぼ事例がない。議会として個人情報を収集することはない」としましたが、内田は「請願や陳情書に書かれている氏名、傍聴者氏名、その他議員の住所氏名、政務活動費の支払先個人などが考えられるのではないか。
 また、愛西市では政治倫理審査会が開かれたが、審査会が入手したというNPO等の個人情報が誤って記載されていた。このような際に議会に対して
 個人情報保護条例に基づく自己開示請求は行い、誤っていたら訂正したり、削除を求めることが出来る」としました。
 
加藤徳太郎氏は「三重県議会では、代表者会議で協議し、2023年2月議会で条例を上程するという。瀬戸市議会も急ぐ必要は無い」としました。

議長は「加藤徳太郎氏は、『パブコメの資料だけでは、説明が足らない』ということか」と質問し、加藤氏は「そうだ」と答えました。

内田は、「今回申入れしなかったが、市長部局の個人情報保護条例改正も問題が多い。
そもそも、個人情報保護条例とは、自分の情報を入手し、誤っていたら正したり削除したりするもの。
よくあるのは、公立学校でいじめ自殺した後、クラスメートにアンケートを取ったものや報告書を開示請求する。また、公立病院で医療ミスが起こったときのカルテなども開示請求する。
こんなとき、手数料がかかるというのはハードルが上がってしまう。
名古屋市などは、手数料0円にしようという方針を固めている。
条例を検討する際はよく考えて欲しい」と述べました。
  
なお、瀬戸市議会から、全国市議会議長会が作成した「○○市議会の個人情報の保護に関する条例(例)案」を入手しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/220829.pdf

瀬戸市のパブリックコメントは22/9/13(火)までです。
 http://www.city.seto.aichi.jp/bunya/publiccomment/

豊田市が情報公開請求時に200円請求手数料徴収の条例改正パブコメへ

豊田市は22/9/1-30まで、情報公開請求時に200円請求手数料徴収の条例改正パブコメを実施すると発表しました。
22/8/26 豊田市
「情報公開制度における手数料の導入について」に関する
パブリックコメントを実施します
https://www.city.toyota.aichi.jp/pressrelease/1050502/1050838.html

豊田市によれば、令和2年度に開示請求を行った人は230人(市民の0.05%)で、うち、1件当たり100枚超又は年間開示請求が100件超の開示請求を行った人が23人(10%)。
その23人にかかった行政コストが約888万円(53%)として、「応益負担に不公平が生じているといえる」としています。

なお、豊田市によれば、中核市において手数料を導入しているのは6自治体のみ。愛知県内では春日井市及び尾張旭市のみ導入しているとのこと。

今後、2022年12月議会に条例改正案を上程し、2023年4月1日施行の予定とのこと。

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22/8/29に担当者に電話で問い合わせたところ、「今回は情報公開制度のみ手数料を導入する予定。個人情報保護制度では導入しない。
豊田市情報公開審議会で、意見交換は行った。
今後2022年10月中に諮問を行い、答申を経て条例改正案を上程したい」とのこと。

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過去、市民オンブズマンが行ってきた「情報公開度ランキング」では、情報公開請求時に手数料を取る自治体を「失格」としてきました。
市民の「知る権利」を制限する閲覧手数料の導入は決して許しません。

しかも、豊田市は「通常の開示請求を行っている方」ではない「1件当たり100枚超または年間100件超」と勝手に決めつけている人は、名古屋市民オンブズマンであれば簡単に対象となってしまいます。

少し詳しく情報公開請求で調査しようとすると、100枚以上の資料は取って分析する必要があります。
様々な分野の調査をしようとすると、簡単に年間100件以上になってしまいます。

請求手数料を取ることは、豊田市情報公開条例の「地方自治の本旨に則り、市民の知る権利を尊重し、公文書の開示を請求する権利を保障することにより、市の諸活動を市民に説明する責務を全うし、もって市民の理解と批判の下に公正で透明な市政を実現し、市民の市政への参加の促進に資すること」に反します。

同様に、閲覧手数料を新設しようとした陸前高田市は、2019/6/27に陸前高田市議会で継続審査になり、審議未了で廃案になりました。
https://bit.ly/3KvYba8

今後早急に対応を考えます。


瀬戸市が情報公開・個人情報開示請求時に300円手数料徴収の条例改正案パブコメ募集

瀬戸市が情報公開条例改正案(骨子案)・個人情報保護条例改正案(骨子案)・市議会の個人情報保護条例骨子(案)、行政不服審査関係手数料徴収条例骨子(案)へのパブコメを募集を発表しました。
公文書1件につき300円の手数料をとり、また、公務員の氏名を不開示にできるようにしようというものです。

瀬戸市 2022年8月15日
情報公開条例一部改正骨子(案)の意見募集 
http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2022081200030/
募集期間 8月15日(月)〜9月13日(火)※郵送の場合は必着

瀬戸市 2022年8月14日
個人情報保護法施行条例骨子(案)の意見募集
http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2022080400097/
募集期間 8月15日(月)〜9月13日(火)※郵送の場合は必着

瀬戸市 2022年8月14日
市議会の個人情報保護条例骨子(案)への意見募集
http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2022070700039/
募集期間 8月15日(月)〜9月13日(火)※郵送の場合は必着

瀬戸市 2022年8月15日
行政不服審査関係手数料徴収条例骨子(案)の意見募集
http://www.city.seto.aichi.jp/docs/2022081200016/
募集期間 8月15日(月)〜9月13日(火)※郵送の場合は必着
------
過去、市民オンブズマンが行ってきた「情報公開度ランキング」では、情報公開請求時に手数料を取る自治体を「失格」としてきました。
市民の「知る権利」を制限する閲覧手数料の導入は決して許しません。

同様に、閲覧手数料を新設しようとした陸前高田市は、2019/6/27に陸前高田市議会で継続審査になり、審議未了で廃案になりました。
https://bit.ly/3KvYba8

名古屋市民オンブズマンとして早急に申入書を提出する予定です。

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