大規模展示場問題


『政策顧問の闇』に切り込んだ愛知県包括外部監査 ?? しかし知事は全否定 〜PFI 3事業に潜む不透明な構造とガバナンス崩壊の現実〜

2024年度に実施された愛知県の包括外部監査が、前例のない深度で「政策顧問」の異常な関与実態とPFI(官民連携)事業の構造的腐敗を暴き出した。
監査報告は、政策顧問が法的・制度的裏付けを欠いたまま県の意思決定を事実上操り、職員に直接「指示」を与えていたと明記した。にもかかわらず、大村秀章知事は記者会見で「合法」「問題なし」と断言。県の見解も「善管注意義務」など民法上の抽象論に終始し、具体的な是正は皆無である。これはもはや地方自治の形骸化、説明責任の完全放棄である。本稿では、愛知県の3つのPFI事業をめぐる監査報告と知事の反論を事実と資料に基づき分析し、公共政策における「政治的隠蔽体質」の実像に迫る。

【第1節】包括外部監査とは何か ?? 見過ごされがちな民主主義の防波堤
包括外部監査は地方自治法第252条の37に基づき、自治体が第三者の監査人(弁護士、公認会計士等)に外部視点からの監査を委託する制度である。愛知県の2024年度の監査人には弁護士・田口勤氏(名古屋市)が就任し、監査テーマを「官民連携(PFI事業・指定管理者制度併用施設)」に設定。田口弁護士以外に12名の弁護士・公認会計士で外部監査に臨んだ。委託報酬額は他1件と合計で18,411,800円(税込み)。

その報告書(全219ページ)では、以下の問題が浮き彫りとなった:
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/somubu-somu/2024gaibukansa.html

・政策顧問制度が、契約も記録もなく“闇の中”で政策を動かしていた実態
・3つのPFI施設における選定・審査・契約過程での著しい公正性欠如
・行政の形式的合法性に対し、実質的な透明性・説明責任の著しい欠如

対象となった施設:
・愛知県国際展示場(Aichi Sky Expo)
・STATION Ai
・愛知県新体育館(IGアリーナ)

【第2節】「政策顧問」という闇の実在 ?? 正体不明の影の権力者
U氏は知事の高校同級生で、東京の建設コンサル会社代表。2012年より政策顧問を務めるが、設置根拠である「政策顧問設置要綱」はあるものの、書面での契約書も存在せず、報酬・活動実績も県HPには一切記載されていない。監査報告では次の実態が記録されている:

・職員に11回以上助言、うち複数は「指摘」「修正要望」として反映(国際展示場)
・33回の打ち合わせ(新体育館)、実施方針や要求水準書案を複数回書き換えさせる
・委員会の委員選定に関与、議事録にも「政策顧問」名義で出席

監査人は「このような者に行政情報を渡し、判断に影響させるのは、民主的統制の重大な逸脱」と指摘した。

【第3節】Aichi Sky Expo ?? 選定委員会は出来レースか
国際展示場の整備に際し、政策顧問は発注形式、設計、審査基準まで「チェック」していた(日本設計議事録)。

運営等事業者選定委員には、弁護士(西村あさひ所属)と公認会計士(デロイトトーマツ)が含まれていたが、アドバイザリー業務の再委託先(西村あさひ及びデロイトトーマツ)と所属が同じであった。これは、明白な利益相反構造である。

監査報告は「県民の信頼に値する審議体制とは言えない」と断じた。にもかかわらず、県は「委員と再委託担当者は別人」と形式論を展開するにとどまった。

【第4節】STATION Ai ?? ソフトバンク“特別扱い”の構造
STATION Aiでは、落札企業グループ(ソフトバンク)が入札前からプロジェクト協議会メンバーとして関与。しかも選定審査では企業名が委員に開示されていた。

これは県のPFIガイドラインに反する運用であり、「公平な審査が困難になる」と監査人は指摘。また、家賃補助(半額)についても「公益性の判断を企業任せにしており、行政の責任放棄だ」と批判された。

知事は「最終承認は県」と弁解するが、その過程がブラックボックスであり、チェック機能は実質ゼロである。

【第5節】IGアリーナ ?? バリアフリー無視と豪華接待施設
新体育館(愛知国際アリーナ)は、大階段(49段・7.4m)という障害者排除的構造を含む計画が強行され、障害者団体から抗議が上がった。
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/21cd3730f1b3d7c77be8f6328ccb406bf8714322

審査委員の過半数が政策顧問の関係団体関係者で占められ、提案企業名や価格が事前開示されていた点でも透明性に問題あり。

さらに「VIP接待施設」や「超高級ホテル」まで組み込んだ提案が選定されたが、採用理由の説明は一切ない。

【第6節】知事の記者会見 ?? 全否定と“監査封じ”の言葉の暴力
今回、包括外部監査人が最終稿を提出するまで「第9稿」まで県に提出してやり取りするという異例の状況だった。
通常監査結果はホームページ公表とともに記者発表も行うが、今回は報道発表は行わず、監査人の専門的判断に対し、法務相談を盾に「全否定」し、報告書と同時に反論文書を公表するという異常な対応を取った。
・愛知県の見解
 https://www.pref.aichi.jp/soshiki/somubu-somu/2024gaibukansa.html

それどころか、2025年5月20日、大村知事は記者会見でこう述べた:
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/250520.pdf

「政策顧問は民法上の準委任契約に基づく、正当な助言をしただけ」
「契約書は不要。善管注意義務で守秘義務も成立」
「監査報告は事実誤認。極めて遺憾」

これは監査制度の独立性を侵すものであり、事実上の“監査潰し”にほかならない。

【第7節】市民オンブズマンの怒りと提言
今回の監査は、愛知県行政の「不透明さの構造」を解剖した画期的な文書である。それに対して知事が全面否定で応じたという事実は、行政権の暴走そのものである。

私たち名古屋市民オンブズマンは次の改革を強く求める:
・政策顧問制度に関する契約書面義務化と、活動内容・報酬の完全公開
・PFI選定委員会の附属機関化と、委員選定過程の文書記録・公開義務化
・委員とアドバイザリー再委託先の関係チェックと利益相反排除
・PFI契約全文、審査資料、採点根拠を住民が閲覧できる制度整備
・包括外部監査報告を「措置不要」で黙殺できないよう議会報告と答弁義務化

【結語】
私たちは、行政の透明性と説明責任を「言葉だけで終わらせない」ために、今後も情報公開請求・議会要請・世論喚起を通じて、実効ある監視を続けていく。
不正義に声を上げることこそ、民主主義を守る第一歩である。

なお、現在「包括外部監査の通信簿」を作成中だが、担当者1人だけでは手に負えないとして、複数でチェックしている。
本監査結果を踏まえ、地元の名古屋市民オンブズマンとしてどうするか今後検討したい。
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2022/6/17(金) 5:30 yahooニュース 関口威人
【独自】隈研吾氏デザインの愛知県新体育館にバリアフリーの大問題 26年アジア大会に影響も
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/21cd3730f1b3d7c77be8f6328ccb406bf8714322

2022/6/30(木) 6:01 yahooニュース 関口威人
【続報】愛知県新体育館に「超高級ホテル」併設計画も…バリアフリー含め疑問の声収まらず
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/f8fb03c4b0cc1040c4b6bf18d2a39298a458b912

2022/12/23(金) 6:01 yahoo!ニュース 関口威人
【独自調査】新体育館など愛知県の入札事業への重大疑惑と「政策顧問」存在の闇
https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/b9a10230ee4446051425e07c1dbc94247b3a6e6a

2022/12/28() 14:46yahooニュース 関口威人

愛知の入札事業の疑惑に対して県から反論の書面(全文掲載)

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/b17da2c3e2d2f3fe75415446e182bb100b63b7f0


25/5/10(土) 7:01 yahoo!ニュース 関口威人

【独自】外部監査で愛知県と政策顧問のいびつな関係や入札の不透明さ指摘 県は異例の反論

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/efc8f2dd22e6e4c3c627d018ce02ef775f8ec898


25/5/21 中日新聞
情報管理 政策顧問と契約を 県の包括外部監査で見解相違
知事「法務確認済み」と反論

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名古屋市民オンブズマン 指定管理者の情報公開
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/npo/index.htm
名古屋市民オンブズマン 大規模展示場問題
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/tenji/index.htm
名古屋市民オンブズマン アジア競技大会
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/asia/index.htm

包括外部監査の通信簿 クラウドファンディング中(25/5/23-25/6/23 合計60万円目標)
https://readyfor.jp/projects/ombuds2025

18/2/20 名古屋市「東邦ガス 空見地区大規模展示場整備調査協力拒否書面」をいまごろ開示

名古屋市は、名古屋港にある空見ふ頭に大規模な展示場を計画する予定でしたが、「許認可権を持つ愛知県が反対している」として断念することを検討と表明しましたが、地権者の東邦ガスに確認するとして、書面を送っていました。

ようやく18/2/20になって、「東邦ガスからの調査協力拒否」回答書を公開しました。

http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/180220.pdf

内容は全て公開されました。
わざわざ情報公開請求しないといけない名古屋市の姿勢に疑問を抱きます。


18/2/16 空見地区展示場 名古屋市が愛知県・東邦ガスに提出した文書入手

名古屋市は、名古屋港にある空見ふ頭に大規模な展示場を計画する予定でしたが、「許認可権を持つ愛知県が反対している」として断念することを検討と表明しました。

名古屋市に対し、東邦ガスと愛知県に提出した書類を情報公開請求し、18/2/16に以下文書が開示されました。
1 平成30年1月22日に名古屋市が愛知県に提出した「空見地区における大規模展示場整備に関する調査について」
2 平成30年1月26日に愛知県が名古屋市に回答した「空見地区における大規模展示場整備に関する調査について」
3 平成30年1月29日に名古屋市が東邦ガス株式会社に提出した「空見地区における大規模展示場に関する調査へのご協力について」
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/180216.pdf

今回開示された文書は全て全面公開です。
どうしてわざわざ情報公開請求しないといけなかったのか。理解に苦しみます。

18/1/22名古屋市から愛知県知事への文書は、「1/26までに返事が欲しい」という大変失礼なものです。
18/1/26愛知県から名古屋市への回答文書は、「空見地区では事業性がない」とするだけでなく、「展示会研究事業」も「認識が一致していない」ため、「混乱を招くことが懸念され、時期尚早」としています。
18/1/29名古屋市から東邦ガスに対する文書は、「愛知県にから賛同できないと言われたが、東邦ガスに調査協力いただけるか、2/5までに確認させていただきたい」というものです。

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河村市長は、名古屋市独自で出来ることは何とかやろうと試行していますが、愛知県や国、企業と連携して事業を行うことはことごとく失敗しています。
これでは市政がすすみません。

市政の進め方を抜本的に変える必要があります。

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なお、以下の文書は公開されませんでした。
1 平成30年1月22日に名古屋市が愛知県に提出した「空見地区における大規模展示場整備に関する調査について」に関し、提出時の応対記録については、文書不存在のため、該当文書はありません。
2 平成30年1月29日に名古屋市が東邦ガス株式会社に提出した「空見地区における大規模展示場に関する調査へのご協力について」に対する回答については、平成30年2月1日付で請求のあった時点で文書不存在のため、該当文書はありません。

2月1日以降、東邦ガスからは何らかの返事が来たと聞いておりますので、
あらためて情報公開請求中です。

18/2/1 調査すらできず 名古屋市 空見ふ頭展示場 断念へ

名古屋市は、名古屋港にある空見ふ頭に大規模な展示場を計画する予定でしたが、「許認可権を持つ愛知県が反対している」として断念することを検討と表明しました。

当初は愛知県と名古屋市が連携して大規模展示場を作ろうとしていましたが決裂し、愛知県は中部空港島に大規模展示場を作る計画を着実に進めています。
名古屋市はそれとは別途、空見地区にある東邦ガスの土地に大規模な展示場を作ろうとしていました。
愛知県は、「空見地区については、埋設ガス管移設費用や、建ぺい率問題、土壌汚染疑惑、連絡デッキ整備やアクセス新駅を別途作る必要があるなど、事業性に大きな疑問がある。地権者の東邦ガスは、『知事が反対している以上、最低限、県の合意が得られないと貸さない』としている。」と17/3/15に名古屋市に文書を送付しています。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/170315-4.pdf

名古屋市は上記問題をクリアできるかどうかを調査するために、2017年3月議会で調査費2000万円を提案しました。
多数の問題が指摘されたものの、名古屋市議会は付帯決議をつけて調査費を可決しました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170322-4.pdf

2018年1月22日、河村市長はアポなしで担当部長を訪ねて、1月26日までに愛知県の見解をまとめ回答するよう求めていました。1月26日に愛知県から返事があり「空見地区は事業可能性がなく具体化できないため賛同することはできない。愛知県と名古屋市の連携を実施するのは混乱を招くことが懸念され、時期尚早である」とする回答をまとめたとのこと。
(2018/1/28 横井利明名古屋市議ブログより)http://blog.livedoor.jp/minami758/archives/2397924.html

2018年1月29日河村市長定例記者会見では、概ねそのようなことがあったとするも、「正式に東邦ガスにこれまでの愛知県と名古屋市のやりとりを文書で送る。それの返事を受けてから発表したい」とするのみ。また、「東邦ガスから空見地区が断られた場合、別の代替場所を名古屋港で探す。」と述べました。
https://www.youtube.com/watch?v=GVRYH5YcK40

空見地区のハードルがあまりにも高く、調査が進まないことは、1年前に既に分かっていました。無用な混乱と、貴重な人件費・議会の時間を空費した名古屋市の進め方に大変疑問があります。
また、予算を通した名古屋市議会も問題ではないでしょうか。

17/3/8 大村知事と河村市長 空見展示場の件で電話でのやりとり開示

名古屋市空見地区新展示場を巡り、名古屋市が調査予算をつける問題で、河村たかし名古屋市長は、大村秀章愛知県知事が「調査費を認める」と発言したと主張している件で、名古屋市に対して知事と市長のやりとりを情報公開請求したところ、17/3/8 PM0:20頃に知事が市長に電話をかけてきた際の内容が公開されました。
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/170328.pdf

大村知事は「共産の質問に答えて俺が調査費を認めたと言っとったけどそんなことは言っとらん!」としています。



愛知県ならびに大村知事は、名古屋市の空見ふ頭での展示場構想については一貫して様々な課題があるとしています。少なくとも16/2/1以降現在に至るまで変わっていません。
・平成 29 年 3 月 15 日委員会説明資料(9 頁)
『空見地区における大規模展示場整備にかかる市長と知事のこれまでのやりとり』についての愛知県の認識
http://www.pref.aichi.jp/uploaded/attachment/235691.pdf

河村市長は、17/1/30東京での立食パーティーの際、ボソボソと知事に予算に関する耳打ちをし、「その場で知事の了解を得た」ことを唯一の根拠としています。
しかしながら、市職員以外に誰も聞いておらず、しかも知事は当該日以前も以後も、了承をしていません。
どうしてこのようなことが根拠とできるのかは全く理解できません。

しかも、名古屋市のポートメッセ新1号館が4万平方メートル、愛知県が空港島で建設中の新展示場が6万平方メートル。
空見地区新展示場は5万平方メートルを予定しており、河村市長は17/3/8電話で「15万平方メートル県と市でやろみゃあ」と呼びかけるも、大村知事は「行政のことなんだ」として全く相手にしていません。

空見地区新展示場を作るには、愛知県並びに名古屋港管理組合の許認可が必要です。
土地所有者の東邦ガスも「愛知県と名古屋市が一致しないと土地は貸せない」と言っています。
名古屋市議会は、それでも2000万円の調査予算を認めました。市長も市長なら、議会も議会です。

空見地区新展示場ができると空港島展示場と競合するという事情を差し置いても、空見地区での新展示場構想には問題がありすぎます。
このような市政の進め方でよいのか、17/4/23投開票の名古屋市長選挙で市民の意思を示しましょう。

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2017年3月24日 愛知県
名古屋市会経済水道委員会への名古屋市提出資料に係る愛知県の見解等について
http://www.pref.aichi.jp/soshiki/chiiki/tenji001.html


愛知県「名古屋市空見地区展示場は事業可能性がなく調査実施は無意味」表明も市議会委員会で予算可決

17/3/22名古屋市議会経済水道委員会において、名古屋市が計画している空見地区大規模展示場調査費用について、愛知県は「事業可能性がなく、具体化できない事業について調査を実施することは無意味である」と認識しているという文書が配布されました。
 ・17/3/22 名古屋市の空見地区調査に対する愛知県の認識
  
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/170322.pdf
 ・17/3/22 名古屋市議会経済水道委員会資料
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170322.pdf
・17/3/22 名古屋市議会経済水道委員会付帯決議
  名古屋城天守閣木造化・空見地区新展示場調査費について
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170322-4.pdf

   ・17/3/21 名古屋市議会経済水道委員会資料
  http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170321.pdf

・17/3/21 名古屋市議会経済水道委員会 メモ(名古屋市民オンブズマン作成)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/170321-1.pdf
・17/3/22 名古屋市議会経済水道委員会 メモ(名古屋市民オンブズマン作成)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/170322-1.pdf

空見地区については東邦ガスの土地であり、土壌汚染についてごく一部しか自主調査をしておらず、土壌汚染対策にいくらかかるかわかりません。
当該土地は戦前は滑走路であり、地盤改良のために石炭ガラを蒔いたことがわかっています。
(なお、東京・豊洲市場40.7ヘクタールの土壌汚染対策費として858億円かけたとのこと)
2016年2月に名古屋市長が愛知県知事に土地の賃借料が年間2億円という試算を持って行きましたが、市議に示したのは2017年3月になってからでした。
名古屋市は稲永地区展示場構想がありましたが、そこでの建設費見積もりは963億円だったにもかかわらず、今回はなぜか愛知県試算の300億円から算出しました。
その他アクセス新駅(稲永地区試算だと23億円)、連絡デッキ(稲永地区試算だと22億円)、立体駐車場(稲永地区試算だと106億円)、東邦ガス施設の移転費(東邦ガス試算だと約10億円)がかかります。

これらを勘案し、愛知県は「事業性がない」と判断したにも関わらず、名古屋市は「調査をして愛知県を納得させたい」とのこと。
名古屋市議会経済水道委員会は調査予算2000万円を可決しました。

ずっと委員会を傍聴してきましたが、なぜ予算を可決することになったのか全くわかりません。
委員会最中、長時間休憩を行っており、傍聴者のいないところ、マスコミのいないところで議員が何らかの話し合いがなされたものと思われます。

総額で1000億円を超えるような事業になる可能性があります。事業性のない計画を出してきた市長の責任も大きいですが、あれだけ厳しく追及したにもかかわらず予算を通す市議会の責任も大きいです。



17/3/17 名古屋市空見地区新展示場予定地 東邦ガス「土壌処理設備」土壌調査せず

名古屋市が空見地区に新展示場を計画しようとしている件で、17/3/17名古屋市議会経済水道委員会に対して提出した資料で、東邦ガスが土壌汚染について自主調査部分をした具体的な地点が判明し、過去のプラント跡地のみ調査し、他工場で発生した汚染土壌を処理した設備その他の場所は調査していなかったことが判明しました。

・17/3/17 名古屋市議会経済水道委員会説明資料
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170317.pdf
・空見地区における大規模展示場整備にかかる知事の指摘事項と本市の考え方について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/170317.pdf

また、河村たかし名古屋市長が16/2/1に大村秀章愛知県知事に対し、空見地区新展示場に関する見積もり資料を提出していたことが新たに判明しました。
それによれば、建設費約250億、移転費10億、新駅24億、土壌汚染対策費(記載せず)、土地代年2億円となっています。
これまで議会に書類を提出していませんでした。

なお、名古屋市が2000万円かけて16年3月に発表した「大規模展示場の整備可能性調査」で、稲永展示場の建設費見積もりは963億円であったことも判明しました。
・稲永ふ頭における大規模展示場の整備可能性調査 概算事業費内訳(フェーズ1)
 http://www.city.nagoya.jp/kankobunkakoryu/page/0000084850.html

これらについて、名古屋市は市議にも市民にも報告せず、しかも担当主幹は県に対し、市環境局にも無断で「東邦ガスが自主的に土壌調査をし、市環境局と協議を重ねた上で、汚染範囲及び対策方法を決めて適切に処理された旨、市として報告を受けている」とし、市議にも「過度な心配はない」と説明していたことが判明しました。

さらに、当該土地は戦前は飛行場であり、石炭ガラをまいたという話もあるとのこと。
http://underzero.net/html/tz/tz_470_1.htm
http://airfield-search2.blog.so-net.ne.jp/nagoya-airfield

許認可権を持つ愛知県知事が「できない」といい、土地を持つ東邦ガスも「愛知県と名古屋市が話し合わなければ貸さない」というだけでなく、土壌汚染の可能性があり、しかも見積もりは愛知県には極めて安く報告するも、実際にかかる値段はその数倍にも及び、議会・市民にはそれら事実をきちんと報告せず、知事の発言をねつ造してまで、なぜ河村たかし名古屋市長は空見での新展示場にこだわるのでしょうか。
ここまでハードルが高いことがわかっている事業を強引に進めようとする行政は見たことがありません。
これで議会が予算を認めるとしたら、上記を不問に付すことになります。

17/3/15 大村知事臨時記者会見 空見新展示場 東邦ガス責任者「知事が反対しているため土地は貸せない」

17/3/15に大村秀章愛知県知事は、名古屋市が空見地区に計画している新展示場を巡って、臨時記者会見を行いました。
・全文文字おこし(17/3/15 名古屋市議会経済水道委員会 説明資料)
 
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/170315-3.pdf
・名古屋市「空見地区大規模展示場」についての愛知県の認識(17/3/15 名古屋市議会経済水道委員会 説明資料)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/170315-4.pdf

平成29年3月15日 大村秀章愛知県知事 臨時知事記者会見


名古屋市が計画している空見地区新展示場について臨時に会見する。
・河村市長が証人と主張するのは第3者ではない。部下である市職員
 客観的証拠をださないといけない
 市長は「テープはとっていない」わかっているが事実と異なる答弁 むなしく残念
・2月1日 私は明確に否定
 2月15日 私は記者会見で否定
 3月7日 市長は市議会で事実と異なる答弁
 ええわええわではすまない
東邦ガスの責任者と3月に知事が面談 市長が「貸すと言った」というが違うのではないか
 東邦ガスに、名古屋市から正式に土地を貸してほしいという申し入れはない
 調査予算も新聞で知った。
 「知事が反対している以上、最低限、県の合意が得られないと貸さない」

知事 市議会本会議の答弁は重い
 「私がいいと言った」どこから出てきたのか
 公の場で記者会見をしている
 月曜日以来河村市長と連絡はない。
 話をすり替えようとしている。  
 消えてなくなる話ではない
 事実と異なるため、説明を求めたい。
 具体的には市長と議会が考えてほしい。
 今後、会う予定もない
 「政治の話ではなく、行政の実務の話だ」と伝えた。
 市職員は近くにいなかった。河村さんが近くによってきてぼそっといった。
 証拠を示さないといけない。公人として説明できない。
 「盟友か?」 特にコメントありません。 
 「同じ方向を向いているか」 コメントはありません。
 「国際展示場が県内に乱立していることについて」どうやってもできないので、乱立していない
 土地が確保できない、我々は許可しない。土地が汚染されている可能性がある。
 時間とお金が膨大にかかる。
 市長とは去年2月に本件について話して以降、一切ない。
 今年1月30日に立ち話。
 私は以前も「調査していい」という話をしたことは一切ない。
 市議会から知事には聞かれたことはない。記者会見はオープンとなっている。

同日午後に行われた名古屋市議会経済水道委員会でも、新展示場について議論されました。
・17/3/15 配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/castle/170315.pdf
・名古屋市民オンブズマン 作成メモ(大規模展示場関係分)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/170315-1.pdf
 
一部報道によれば、名古屋市は展示場予算を250億円と試算しているのに対し、愛知県は1100億円かかると試算しているとのこと。(名古屋市が愛知県に確認したところ、そのような試算はしていないとのこと)。
そもそも名古屋市の250億円というのも、愛知県が6万平米で300億円だから、名古屋市は5万平米で250億円かかると言っているだけで、土壌汚染調査費、汚染処理費、埋設物撤去費、新駅建設費、アクセスデッキ費などは計上されていませんし、試算も出していません。

河村市長は、大村知事に17/1/30に立ち話で「空見の調査をする」と言って、大村知事が「『調査やってちょうよ』といった」(知事は発言否定)を根拠に調査費をつけようとしています。
大村知事は、17/1/30以後一貫して空見地区には展示場はできない、市の予算も否定しています。
これで2000万円の費用をかけて調査をしても、知事の意向が変わるとはとても思えません。

名古屋市は、「県が作る空港島6万、金城ふ頭4万、市が作る空見5万 合計15万平米でやろう」としていますが、愛知県は「金城ふ頭と空港島10万平米で始める」とすれ違いです。

しかも、名古屋市展示場担当主幹はH29.2.22に愛知県大規模展示場室長あてに主幹名で書類を出しています。
 「2.16新聞で、知事は「空見地区には土壌汚染の懸念がある旨」会見したとのこと。当該土地は都市ガス製造プラントでした。
 しかし東邦ガスは自主的に土壌調査を実施し、H16.12公表している。
 本市環境局と協議を重ねた上でさらに詳細調査し適切に処理されたと名古屋市に報告した」
しかし、名古屋市環境局に中川市議に聞いたら、この文書を知らなかったとのこと。
「当該土地はすべての敷地を指す。調査は一部しか行っておらずそもそも誤り。誤解を招く」と環境局。市内部での調整も満足にできていません。

河村市長は思いつきで行政を進め、他行政機関どころか市内部での調整もできていません。
名古屋城も同様、全く前に進んでいきません。
行政のあり方としてこのようなことでよいのでしょうか。

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なお、名古屋市民オンブズマンは、東邦ガスの土壌汚染についての資料を情報公開請求して入手しています。参考になれば幸いです。

・土壌汚染等調査結果報告書(平成16年12月14日付、東邦瓦斯株式会社提出)
・汚染拡散防止計画届出書(平成18年2月16日付、東邦ガス株式会社提出)
・汚染拡散防止措置完了届出書(平成18年4月13日付、東邦ガス株式会社提出)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/161025.pdf

・東邦ガスから受け取った資料
  平成27年12月25日に受領した資料
  平成28年3月4日に受領した資料
  平成28年6月2日に受領した資料
・名古屋市から東邦ガスに提供した資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/161012.pdf


17/3/13 名古屋市大規模展示場 河村市長発言を巡り、大村知事が河村市長に「厳重に抗議」

17/3/13午前に行われた大村秀章愛知県知事定例記者会見で、17/3/7に河村市長が名古屋市空見地区に市単独で計画している新展示場を巡って市議会本会議で発言した「知事は『調査やってちょうよ』と言った」は事実に反するとして、「猛省を促すとともに厳重に抗議を申し上げたい」と述べました。
知事が公的な場で市長に厳重に抗議することは極めて異例です。
・愛知県知事定例記者会見(数日後に掲載されます)
 http://www.pref.aichi.jp/koho/kaiken/

平成29年2月定例会 3月7日 本会議 代表質問
日本共産党名古屋市会議員団 田口 一登議員に対する河村市長答弁 40:00-
「大村知事とはもう1年以上ことあるごとにいろいろ空見のことも話してきまして、この話も『調査やってちょうよ』ということだったんです。
 まあいろいろそれからなんかありましたけど、それだからこそいっぺんと、土地がどうの駅ができるかとかいろいろ言ってみえたので、それならそれでそれだからこそ調査させてくださいよとして、別に矛盾はしておりません。」
http://www.nagoya-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=1092

同日午後に行われた名古屋市議会経済水道委員会で、知事定例記者会見について市議から相次いで質問され、記者会見の文字おこしが読み上げられました。
http://www.gikai-tv.jp/dvl-nagoya/2.html (数日後に掲載されます)
「3月7日の名古屋市議会におきまして、空見地区における大規模展示場に関する代表質問が行われたが、その際の河村市長の答弁に対し事実と異なる部分があったため、ここで正確なことを申し上げるとともに、厳重に抗議する。
 共産党田口議員への答弁について、H29年度調査予算について私が『調査をやってちょうよ』と言ったと市長が答弁しているが、そういう事実は全くない。
 市長からH29年度調査を考えていると聞いたのは1月30日の東京でのMICE懇談会での立食パーティーでの立ち話で、耳元でぼそぼそっとささやいた。
 その際私は『本当にそんなことやるのか、おまえやめとけよ』とぼそっと返した。
 その後2月1日に河村さんに電話で『空見ではできない』と直接伝え、明確に否定をしている。
 その後2月15日名古屋市の予算の発表とあわせて記者会見でも明確にそれはできないと否定させていただいた。
 従って、やってよいと私が言ったという事実は事実としてないのであらためて否定しておきます。
 もし仮に市長はそう主張されるなら一般社会の常識として証拠を示して主張しなければいけない。ただ単に自分がそう思った、思っただけで発言するというのは一般社会まして公人としては許されない。
 猛省を促すとともに厳重に抗議を申し上げたい。」

市議からは、予算案を議会に提出する前に知事と話をつけるべきだ、としました。
・17/3/13 名古屋市議会経済水道委員会配付資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/170313.pdf
・17/3/13 名古屋市議会経済水道委員会 メモ(名古屋市民オンブズマン作成)
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/170313-1.pdf

名古屋市のやり方はあまりにもずさんです。
河村市長は市議会で事実をねじ曲げて発言したのならば、議会制民主主義を否定しています。
河村市長の反論ならびに発言が事実に反していれば知事だけでなく議会・市民に対する謝罪を早急に求めます。

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なお、名古屋市民オンブズマンは、東邦ガスの土壌汚染についての資料を情報公開請求して入手しています。参考になれば幸いです。

・土壌汚染等調査結果報告書(平成16年12月14日付、東邦瓦斯株式会社提出)
・汚染拡散防止計画届出書(平成18年2月16日付、東邦ガス株式会社提出)
・汚染拡散防止措置完了届出書(平成18年4月13日付、東邦ガス株式会社提出)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/161025.pdf

・東邦ガスから受け取った資料
  平成27年12月25日に受領した資料
  平成28年3月4日に受領した資料
  平成28年6月2日に受領した資料
・名古屋市から東邦ガスに提供した資料
http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/161012.pdf


17/2/15 名古屋市 空見地区大規模展示場に2000万予算案を計上し県と対立

名古屋市は17/2/15に平成29年度予算の概要(草案)を発表しました。
http://www.city.nagoya.jp/shisei/category/68-6-2-14-1-7-1-0-0-0.html

その中で、新規事業として市独自で空見地区に大規模展示場を作るための「空見地区における大規模展示場整備に関する調査」2000万円を計上しています。
(空見地区における大規模展示場整備に係る施設規模や需要予測等の調査)

愛知県は独自に空港島に約350億円規模の大規模展示場を計画しており、2019年秋に開業すべく予算もつけて着々と進めています。
すでに2019年9月1日以降の事前利用申し込みを受け付けています。
http://www.aichi-ex.jp/

愛知県の大村知事は直ちに反対を表明したとのこと。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170215-00000048-asahi-pol

大規模展示場を二つとも作れば共倒れになることは火を見るよりも明らかです。
しかも、名古屋市はアクセスのためのあおなみ線新駅建設費用も試算していません。

今後議会でどのような審議がされるのか注目したいです。

愛知県大規模展示場 総合評価方式で竹中工務店が約341億円で落札

愛知県は、空港島に作る予定の大規模展示場について総合評価方式を行い、株式会社竹中工務店名古屋支店を金34,139,718,000円(消費税及び地方消費税込み)で落札者と決定したと発表しました。落札率は99.9995%。
http://www.pref.aichi.jp/soshiki/chiiki/rakusatsu.html

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愛知県振興部 地域政策課 大規模展示場準備室
http://www.pref.aichi.jp/soshiki/chiiki/tenji.html

愛知県 独自大規模展示場に5184万円 6月補正予算で計上

愛知県は16/6/3に平成28年度6月補正予算を発表し、中部空港島に2019年秋に開設予定の大規模展示場に5184万円の予算ならびに348億9040万円の債務負担行為を行うこととしました。
・愛知県 平成28年度6月補正予算
 http://www.pref.aichi.jp/soshiki/zaisei/h28-6hoseiyosan.html
・平成28年度6月補正予算 参考資料
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/H28-6.pdf
・新たな大規模展示場の計画について
 http://www.nagoya.ombudsman.jp/data/160603.pdf

現在、名古屋市は空見ふ島に別途独自で大規模展示場を作ろうとしています。
二重行政の典型例です。
河村市長と大村知事は、二重行政打破のため2011年2月愛知県知事・名古屋市長同時選挙で「中京都」構想を打ち出していましたが、その後どうなったかさっぱりです。

「二つとも作って共倒れでツケは市民に来る」ことにならないようにしてもらいたいです。


16/5/14 国際展示場 名古屋市は空見ふ頭に県と別で単独整備の方針示す

愛知県と名古屋市がそれぞれ大型国際展示場の建設を計画している問題で、16/5/13に名古屋市は市単独で建設する方針に切り替えたと市議会委員会に報告しました。
・平成28年5月13日 名古屋市観光文化交流局
 経済水道委員会説明資料 大規模展示場の整備等に関する調査結果について
 http://nagoya.ombudsman.jp/data/160513.pdf

愛知県は中部国際空港に隣接する空港島内に展示場を計画して2016年3月議会で3億6465.9万円の予算を可決しています。概算建設費は約300億円を見込んでいます。
・愛知県 平成28年2月3日
 大規模展示場の整備について 〜首都圏に並ぶ交流拠点に向けて〜
 http://www.pref.aichi.jp/soshiki/kokusai-kanko/tenjijo-001.html
・平成28年度愛知県当初予算
 第4(6)観光あいちの推進
  大規模展示場整備費 364,659千円
 http://www.pref.aichi.jp/soshiki/zaisei/h28tousyoyosan.html

名古屋市はこれまで「愛知県と協議する」と説明していましたが、県予算可決を受け、単独建設に切り替えたとしています。
費用の見込みがありませんし、どの程度利用者がいるかも示されていません。
市議会では「市が大型展示場を作ると、愛知県のほうがうまくいかなくなると懸念する人が多い」という意見が出たようですが当然です。
しかも、アクセスのため、あおなみ線に新駅建設すれば名古屋駅から22分でつながるとしていますが、新駅建設費用がいくらぐらいかかるのかは試算していません。

これはまさに二重行政ではないでしょうか。
河村市長と大村知事は、二重行政打破のため2011年2月愛知県知事・名古屋市長同時選挙で「中京都」構想を打ち出していましたが、その後どうなったかさっぱりです。

詳しい資料をいち早く議会・市民に示すべきです。
そのうえで議会・市民を交えて十分議論することが必要ではないでしょうか。