指定管理者 情報公開問題特集

指定管理者制度とは、「官から民へ」のかけ声の下、地方自治法改正により「指定管理者」が導入されました。これまで自治体が50%以上出資している団体しか「公の施設」(プール、体育館など)の管理・運営が出来なかったものを、議会の議決を経れば民間会社やNPOでも可能にしたものです。

この指定管理者制度が本当に税金削減に効果的かどうか、市民のチェックが及ぶのか、市民オンブズマンの関心が高まっています。

なごやボランティア・NPOセンター ようやく情報公開請求可能に

名古屋市の施設「なごやボランティア・NPOセンター」の指定管理者である 特定非営利活動法人ワーカーズコープについて、保有する文書の情報公開を 求めることができなかった件で、ワーカーズコープは09/3/24づけで 名古屋市民オンブズマンに対して情報公開規程をFAXしてきました。
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/npo/nagoyaborakitei.pdf
しかしながら、情報公開を求めることができる文書は09/2/1以降に作成・取得 した文書に限られるなど、不十分なものです。

指定管理者制度など「民営化」によって、市民による情報公開請求の範囲が 狭まっていますが、それが一部改善されたことは評価に値すると思います。


09/2/12 民間指定管理者の名古屋市施設 情報公開請求できず

市民オンブズマンは、「民営化」の負の側面として、市民による情報公開請求が できなくなることを追及してきた。
特に、自治体が保有する施設の管理運営を民間に委託することが可能な 「指定管理者制度」について、早くから現状調査や申し入れなどを行ってきた。 しかしながら、名古屋市の民間が受託している指定管理者施設において、 不十分な情報公開規定しかもたず、実質的に市民の権利が侵害されている 事例が見つかった。

施設は「なごやボランティア・NPOセンター」。
平成16年から指定管理者に委託しており、平成20年4月からは、 特定非営利活動法人ワーカーズコープが新たに指定管理者となった。

今回、名古屋市民オンブズマンが、「なごやボランティア・NPOセンター」が 保有する情報を入手しようとしたところ、名古屋市情報公開窓口は 「名古屋市が保有する文書ではないので、市の条例に基づく情報公開請求は できない。名古屋市情報公開条例第37条の2で、指定管理者は 情報公開に必要な措置を講ずるよう努めることになっているので、 その規定に基づき、開示申し出を行って欲しい」といわれた。

名古屋市情報公開条例 第37条の2 指定管理者(地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項に規定する指定管理者をいい、市の公の施設を管理するものに限る。以下同じ。)は、この条例の趣旨にのっとり、当該公の施設の管理に関する情報公開を行うため必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
2 実施機関は、指定管理者に対し、前項に定める必要な措置を講ずるよう指導に努めなければならない。
http://www.reiki.city.nagoya.jp/reiki_int/reiki_honbun/ai50202651.html


そこで、直接なごやボランティア・NPOセンターに09/1/30に電話をかけたところ、 よく理解していないような応対がなされた。
名古屋市情報公開窓口とのやりとりを説明したところ、09/2/2に再度電話があり、 その後はまったく連絡がなかった。

たまたま用事があり、なごやボランティア・NPOセンターに09/2/7に 出向いたところ、担当者が出てきて、「情報公開規定は、あるにはあるが、 定款などしか開示できないようになっている。
現在市の担当課と相談して、規定を改定しているところだ」と言われた。 現在の規定を情報提供してもらったが、定款など9項目しか開示を 受け付けられなくなっている。
しかも、開示場所は「当法人本部」(東京)とある。

指定管理者ではなく、自治体直営であれば、領収書をはじめ 保有する文書全てが情報公開条例の対象となる。
きちんとした情報公開規定をもっている指定管理者や、出資法人に対しては、 保有する文書全てが情報公開の対象となる(条例ではないので、 裁判などで争うことはできない)。

今回、1カ所ではあるが、民営化された指定管理者の情報公開規定の 不備が見つかった。
他指定管理者はどうなのか調べようとしたが、名古屋市の情報公開窓口では、 他団体分については現在資料入手中とのこと。
愛知県の情報公開窓口では、全指定管理者の情報公開規定が 閲覧に供されており、ざっとみたところ民間事業者もきちんとした 規定をもっていた。

指定管理者については、うまくいっているところもあれば、問題を起こしている ところもあると聞く。
市民に情報公開をすることで、問題を未然に防ぐことができるはずである。 早急な取り組みを期待したい。

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特定非営利活動法人 ワーカーズコープ 情報公開規定(任意提供)
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/npo/nagoyanpokitei.pdf

なごやボランティア・NPOセンターの管理運営に関する基本協定書
(名古屋市に情報公開請求して入手)
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/npo/nagoyanpokyotei.pdf

なごやボランティア・NPOセンター運営審議会 議事録(平成20年11月12日)
(名古屋市に情報公開請求して入手)
http://www.ombnagoya.gr.jp/tokusyuu/npo/npo081112.pdf

なごやボランティア・NPOセンター
http://www.n-vnpo.city.nagoya.jp/


2006.9.16−17 第13回全国市民オンブズマン福岡大会
指定管理者制度調査報告 全国市民オンブズマン連絡会議
http://www.jkcc.gr.jp/13fukuoka/13fukuokd.html

06/2/15 愛知県内市 指定管理者アンケート 結果発表

愛知県市民オンブズ連絡会議が、愛知県と県内全市を対象に、指定管理者制度導入後の 公の施設管理に関する情報公開制度や適切な管理に対する方策について アンケート調査をし、2006/2/14に結果がまとまりましたのでご報告致します。
http://www.ombnagoya.gr.jp/dekigoto/sitei060214.pdf

・アンケートの意義
 2003年地方自治法の改正により、公共施設の管理について従来の管理委託制度に 代わって指定管理者制度が創設され、経過措置期間が終了する2006年9月2日以降は、 指定管理者制度の全面導入が必要とされています。
これにより、いままで自治体が外部団体に管理委託していた施設や、自治体が直営で 運営していた施設を自治体以外の民間団体が管理するようになる訳ですが、指定管理者が 新たな利権にならないため、自治体にアンケートを行った次第です。

・情報の隠蔽をおそれる
特にこれまで外郭団体で情報公開されていたものが、民間企業やNPOが指定管理者に なったとたんに非公開になるとすれば問題だと考えます。
・指定管理者が保有する情報が公開されるか
・赤字になった際、補助金の追加投入があるか
・「丸投げ」禁止の規定があるか
・首長・議員の兼業禁止の規定があるか
・担当課以外の指定管理者監督の部署があるか

・拙速ではないか
今回愛知県内の自治体にアンケートを送りましたが、自治体自身、国から指定管理者の 導入をせかされ、とまどいながら行っているという感があり、情報公開のことまで 気が回っていないのか「検討中」と回答する例が多かったです。

・証票類の公開は?
田原市と愛西市は指定管理者が保有する契約書や領収書を公開しないと回答してきました。
名古屋市など16市は検討中で、公開するのは、愛知県と岡崎市など14市にとどまりました。
集計結果はアンケートに回答頂いた自治体に送付致しました。
今後の指定管理者のあり方のご参考にして頂けますと幸いです
05/11/30 指定管理者について 愛知県内全市にアンケート

★指定管理者制度とは
 「官から民へ」のかけ声の下、地方自治法改正により「指定管理者」が導入されました。これまで自治体が50%以上出資している団体しか「公の施設」(プール、体育館など)の管理・運営が出来なかったものを、議会の議決を経れば民間会社やNPOでも可能にしたものです。
★問題点
 この指定管理者制度が本当に税金削減に効果的かどうか、市民のチェックが及ぶのか、市民オンブズマンの関心が高まっています。愛知県内の市民オンブズ団体で作る「愛知県市民オンブズ連絡会議」が、愛知県と県内全市に対してアンケートを実施しました。特に、指定管理者の保有する情報は情報公開条例の対象からはずれてしまうのではないか、赤字になった際に税金で補てんしてしまうのではないか、首長や議員が天下り先として団体を設立したり、外部に丸投げしてしまわないかについて尋ねました。2006年2月に結果をまとめて公表の予定です。

指定管理者制度についてのアンケート
自治体名 (                   )回答担当者(              )
1,情報公開について
 1,事業報告書以外にその根拠となった領収証、契約書等の証憑を公開する制度を準備していますか。
   ア、公開     イ、公開しない    ウ、検討中
 2.1?アと回答された場合
公開はどのような方法で行いますか。
ア、事業報告書に証憑を添付して担当部局に提出することを義務づけているので、証憑も含めて従来からの情報公開条例の「公文書」として取扱う。
イ、指定管理者を情報公開条例の実施機関とする。
ウ、情報公開条例に基づく公開請求があった場合に、証憑を実施機関に提出する指定管理者の義務を情報公開条例に定める。
エ、要綱による。
オ、その他の方法による(方法:                            )
3,1?ウと回答された場合
いつまでに結論をだされる予定か、目標をご教示下さい。
2,適正な管理について
1.単年度の収支が赤字となった場合の方策について
ア、交付金、補助金の投入もあり得る  イ、指定管理者の自己責任による
 2.1?アの場合
交付金・補助金の投入について条例・要綱を定めますか(定めていますか)
   ア、条例による  イ、要綱による  ウ、その他(          )
3.総務省自治行政局長通知(平成17年7月17日総行行第87号)では、「管理にかかる業務を一括して第三者に委託することはできないものであること」と記載されています。このことは貴自治体では何に定めていますか。
ア、条例  イ、規則  ウ、協定  エ、特に定めていない。
オ、その他(            )
4,首長や貴自治体の議員が代表者、役員に就任している法人と指定管理者との請負契約を禁止する規定を設けていますか。
ア、条例上設けている  イ、条例にはないが、規則で設けている 
ウ、条例にはないが、協定で定めている  エ、特に定めていない
オ、その他(                         )
5,指定管理者による適正な管理を実現するために、自治体内に適正な管理を監視する機関または監視する部署を設けている(設ける予定)がある場合には、これらが対象とする指定管理者ならびに調査対象、権限についてご教示下さい。
ご協力ありがとうございました。
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